令和7年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)
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令和7年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号
議事日程 第3号
令和7年9月17日(水曜日)
午前10時開議
第1 議案第120号から議案第137号まで(質疑)
第2 一般質問
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会議に付した事件
第1 議案第120号から議案第137号まで(質疑)
第2 一般質問
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出席議員(40人)
1番 高田英亮
2番 上山寿示
3番 佐藤武治
4番 鈴木德久
5番 森 礼子
6番 濱口太史
7番 井出益弘
8番 尾崎要二
9番 玄素彰人
10番 山家敏宏
11番 鈴木太雄
12番 岩田弘彦
13番 吉井和視
14番 中村裕一
15番 北山慎一
16番 坂本佳隆
17番 中本浩精
18番 堀 龍雄
19番 新島 雄
20番 山下直也
21番 三栖拓也
22番 川畑哲哉
23番 秋月史成
24番 谷口和樹
26番 坂本 登
27番 岩永淳志
28番 小川浩樹
29番 中尾友紀
30番 岩井弘次
31番 藤本眞利子
32番 浦口高典
33番 尾﨑太郎
34番 藤山将材
35番 小西政宏
37番 中西 徹
38番 林 隆一
39番 片桐章浩
40番 奥村規子
41番 谷 洋一
42番 長坂隆司
欠席議員(1人)
25番 山田正彦
〔備考〕
36番 欠員
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説明のため出席した者
知事 宮﨑 泉
副知事 友井泰範
知事室長 北廣理人
総務部長 山本祥生
危機管理部長 中村吉良
企画部長 北村 香
地域振興部長 赤坂武彦
環境生活部長 湯川 学
共生社会推進部長 島本由美
福祉保健部長 𠮷野裕也
商工労働部長 中場 毅
農林水産部長 川尾尚史
県土整備部長 小浪尊宏
会計管理者 高橋博之
教育長 今西宏行
公安委員会委員 岸田正幸
警察本部長 野本靖之
人事委員会委員長 平田健正
代表監査委員 田嶋久嗣
選挙管理委員会委員長 和歌哲也
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職務のため出席した事務局職員
事務局長 中嶋 宏
次長 橋爪正樹
議事課長 岩井紀生
議事課副課長 田中 匠
議事課議事班長 川原清晃
議事課主査 川崎競平
議事課副主査 西 智生
議事課副主査 林 貞男
総務課長 榊 建二
政策調査課長 岩谷隆哉
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午前10時0分開議
○議長(岩田弘彦君) これより本日の会議を開きます。
日程第1、議案第120号から議案第137号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、併せて日程第2、一般質問を行います。
17番中本浩精君。
〔中本浩精君、登壇〕(拍手)
○中本浩精君 皆さん、おはようございます。
久しぶりの一般質問ということで、とても緊張しております。しかし、先輩・同僚議員の皆様の御配慮をいただき、2日目のトップバッターとして登壇させていただくことができました。感謝の気持ちを持って、そして、程よい緊張感を持って、しっかりと質問させていただきたいと思います。当局の皆様におかれましては、どうかいい答弁をよろしくお願いします。
それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従い一般質問をさせていただきます。
まず初めに、スポーツ活動の拠点施設の現状と今後についてお尋ねします。
夏の全国高校野球選手権は、8月23日、決勝戦が行われ、沖縄県代表の沖縄尚学高校が西東京代表の日大三高に3対1で勝利し、見事初優勝を果たしました。私は、その姿をテレビで見て、自らの野球人生を思い起こしました。
私ごとで恐縮ではございますが、私の野球人生について少しお話をさせていただきたいと思います。
私は野球が好きで、プロ野球選手に憧れて小学校4年生から野球を始め、大学まで13年間、野球人生を送らせていただきました。小学校時代は、お兄ちゃんたちの野球する姿を見て、僕も野球が上手になりたいと、この一心で一生懸命練習したのを覚えております。
中学時代は本当に狭いグラウンドでした。ファーストベースの後ろ、多分15メーターか20メーターだったと思うんですけど、柿山があり、ライトの選手はよく柿山で守っていた記憶があります。その上、グラウンドを使用できるのも他の部活動との共有で、2日に1度しか練習できない状態でした。そういう環境でしたが、中学校3年生のときに、伊都地方での大会で優勝させていただき、県大会に出場しました。優勝できたこと、これが中学時代の一番の思い出です。
高校は、地元橋本高校に進学し、野球部に入部しました。当時、橋本高校は野球部員が少なく、先輩が5名しかおられない状況でした。入学してすぐに試合に出場させていただくことができましたが、ちなみに、私の現役時代、桐蔭高校は新島雄青年監督、新宮高校は下川俊樹元和歌山県会議長、和高専は鈴木德久学生監督でした。
高校時代の一番の思い出は、古い話ですみません。1977年秋季大会2次予選です。新チームになり、野球部員が10人という中でベスト4に進出させていただくことができました。あと1勝すれば近畿大会に出場できます。準決勝は、当時、石井、嶋田のバッテリーを擁し、春夏連覇した全盛期の箕島高校と対戦することになりました。全員一丸となり、燃えに燃えて試合に臨みましたが、3対0で負け、近畿大会出場の夢はかないませんでした。あのときの悔しかった思いは、50年近くたった今も鮮明に記憶に残っています。
甲子園に出場できなかったので、次は神宮球場で野球がしたいと思い、当時、橋本高校野球部監督だった広畑監督と相談し、明治大学に進学、野球部に所属しました。親元を離れ、初めての生活、大学での野球への期待と不安がありましたが、とにかく4年間、へこたれずに頑張ろうと決意しました。
当時は、先輩・後輩の関係をはじめ、練習内容や生活態度などでも今の時代とは異なり、随所に厳しさが残る時代でした。全国から集まった選手の中には有名選手もいたりしましたが、お互いに切磋琢磨し、野球に明け暮れた大学時代でした。レギュラーの座を勝ち取ることはできませんでしたが、島岡監督の下、悔いのない野球人生を送らせていただきました。
私は、野球というスポーツを通して、信頼関係の大切さ、チームワークの大切さ、そして、目標に向かって諦めない強い気持ちを持つことなど、多くのことを学ばせていただき、私の人生において大きな財産の一つとなっています。
少し私の野球人生についてお話しさせていただきました。それでは、本題のほうへ入らせていただきます。(「もう終わりか」と呼ぶ者あり)すみません。もっと言いたいのですけれど、今日はこれぐらいで御容赦いただきますよう、よろしくお願いします。
高校野球の和歌山県予選大会は、紀三井寺公園野球場が使用されていますが、橋本高校の一員として出場以来、母校の応援で紀三井寺公園野球場を訪れた際、当時は広く見えたグラウンドや整然と並んだベンチなど、鮮明に記憶にありますが、あれから45年以上がたった今、当時と変わりがありません。そのため、訪れるたびに勝ち進んだときの記憶がよみがえり、懐かしい感情で胸がいっぱいになるのですが、一方、いろいろなところが老朽化してきていることが目につくようになりました。さらに、当時は広く感じたグラウンドなども、時を経た今、他の球場と比較しても見劣りする球場になっています。
また、私が県会議員に選出されてから、県内外のスポーツ施設を訪問する機会も増えました。それまでは、野球場以外のスポーツ施設に行く機会はあまりなかったのですが、各施設でスポーツに打ち込む県民の方々の姿を見ると熱いものが込み上げてきます。夢を追いかけて若さあふれるプレーの小学生や中高生、仕事をしながら忙しい合間を縫って練習している社会人の方、健康維持のため新たなスポーツに挑戦されている高齢者の方、皆さん本当に表情豊かで生き生きとしています。
私の勝手な考えですが、人は、一生懸命になれることは何においても重要なことだと思います。学業や仕事はもちろんですが、趣味としてのスポーツもまた一生懸命になれることです。その意味でも、スポーツができる環境は、これからも大切にしていかないといけません。改めてスポーツの重要性を感じています。
そのようなことを感じさせてくれるスポーツですが、残念ながら、県立体育館や紀三井寺公園陸上競技場も、野球場と同じく老朽化が隠せない状況になってきています。修繕をしながら大切に維持していただいており、関係者の御尽力には頭が下がる思いですが、いつまでも続けられるものではありません。そろそろ次のことを考えないといけない時期ではないかと思いながら訪れることも多くなりました。皆様も、それぞれの施設を訪問され、私が抱く思いと同じ思いを持たれているのではないかと思います。
県立体育館や紀三井寺公園の陸上競技場、野球場は、県内のスポーツ活動の拠点となる施設です。このような施設はほかで代替できるものではありません。そこで、県立体育館や紀三井寺公園の陸上競技場、野球場の現状と、スポーツ活動の拠点となる施設確保に向けた今後の取組について、知事にお伺いします。
○議長(岩田弘彦君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
知事宮﨑 泉君。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 県立体育館や紀三井寺公園陸上競技場、それから野球場は、和歌山県で開催された国民体育大会、全国障害者スポーツ大会の式典や各種競技会をはじめ、全国高等学校総合体育大会や全国高等学校野球選手権の県予選会などに使用されており、県内スポーツ活動の拠点として長く県民に親しまれてきた施設であります。いずれの施設も建築から60年が経過しているものの、2015年に行われた紀の国わかやま国体を前に大規模改修などを行い、その後も施設修繕や設備更新を実施するなど、拠点としての機能確保に努めてきたところであります。
プロスポーツの発展や大会の開催基準の変更など、利用ニーズの変化に対応し、県民の多様なスポーツへの参画機会を創出するためには、引き続き拠点としての機能確保を進めていく必要があると考えております。
しかしながら、人口減少の下で資源に制約がある中にあっては、県だけではなく、市町村や民間施設を含め、広域的な視点で対応を検討していく必要があります。まずは、県有スポーツ施設の状況を再確認するとともに、競技団体をはじめとした利用者ニーズの把握や、他の都道府県の施設の整備状況の調査などを行い、拠点となる施設の在り方について検討をしてまいります。
○議長(岩田弘彦君) 中本浩精君。
〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 検討していくと知事より答弁いただきました。ありがとうございます。
本当に、将来を担う子供たちが明るく、楽しく、元気よく、目標に向かって頑張れる、そういう環境を整備していくことはとても大切だと思います。
今、知事もおっしゃったように、これから本当に人口減少が見込まれる時代ですが、私が高校球児であったときに感じたように、紀三井寺野球場は野球をする子供たちにとって夢の舞台です。また、スポーツ活動の拠点となる県有施設は、そのスポーツをする県民の皆さんにとって憧れの施設です。どうかその期待に応えた、そして時代に応じた施設になるよう、関係部署と連携しながら検討をしていただきたいと思います。宮﨑知事、よろしくお願いいたします。
次の質問に入ります。
大阪・関西万博の開催効果を県内に波及させるための予算や体制についてお尋ねします。
大阪・関西万博が4月13日に開幕し、既に約5か月が経過し、来月13日には閉幕を迎えようとしています。開幕前は、建設工事費の高騰や海外パビリオンの工事の遅れを懸念する声が多く、また、会場である夢洲の安全性に対する御意見等も多くあったかと思います。そのような状況の中で開幕した大阪・関西万博でありますが、先月15日の時点で収支が黒字化する目安とされていた入場チケットの販売が1800万枚に達したと発表がありました。
今後、施設の解体や撤去などの精算手続や自然災害等への備えなどを要することから、収支が確定するまでは予断は許さない状況でありますが、万博開催の効果が大きく出るのではと考えております。
その万博会場で、県では、常設の和歌山ゾーンや期間限定の催事イベントの開催により、和歌山県を大いにPRしていることと存じますが、それと併せて、閉幕後、万博の開催効果をいかに波及させていくかが今後の和歌山県にとって重要な取組となるのではと考えています。
さきの令和7年6月定例会においても、濱口議員が、万博の効果を県内に最大限波及させるためにどのように取り組んでいくのかと一般質問され、宮﨑知事から、「時を逸することなく、関係各所に働きかけを行い、万博効果を県内に最大限波及できるよう精いっぱい取り組んでまいります」との答弁があったところです。
本万博は、160近くの世界の国や地域、また、日本の先頭を走る企業などがリアルに一つの場に集まり、各国の文化や企業の技術をパビリオンで表現し、来場者に感動や興奮などを与えていることと思います。万博会場に存在するそれら多様なステークホルダーと関係を築き、様々なノウハウを県内に波及させることが県経済の発展や地域活性化につながるものと考えております。
そこで、万博のレガシーを引き継ぎ、万博の開催効果を最大限県内に波及させるためには、次年度以降も引き続き整った予算や体制も必要となるのではと考えますが、現状、知事はどのようにお考えでしょうか、お尋ねいたします。
○議長(岩田弘彦君) 知事。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) いよいよ万博も閉幕まであと1か月を切りました。万博の開催効果というのを最大限に波及させるにはどうするかという御質問でございます。
大阪・関西万博は、和歌山県経済や関西経済、ひいては日本経済全体に大きな影響を与えるものであり、その効果を県内に最大限波及させることが重要であると認識しています。
万博会場では、約160もの国と地域が参加し、おのおのの文化などをパビリオンで表現しています。また、日本企業によるパビリオンでは、それぞれの最先端技術を展示・紹介し、来場者を感動させ、盛況を博しているところでございます。
議員御指摘の多様なステークホルダーとの関係を構築することや、先端技術のノウハウ等を県内に波及させることを目指し、積極的に関係各所に働きかけを行っているところであります。
例えば、海外との関係で言うと、イタリアとはヨーグルトと桃を使用したスイーツのイタリア館での販売、ポルトガルとはワインと梅酒の試飲イベントの開催といった互いの魅力を発信し、連携を強めてまいりました。さらに、紀州漆器やニットなどの地場産業についても、県主催イベント等で海外に向けて魅力を発信し、新たなビジネスにつながるよう取り組んできたところであります。
また、日本企業との関係で言えば、万博会場で披露されている空飛ぶクルマの県内での実用化に向け取り組むとともに、その他の最先端技術なども県内に取り込んでいけるよう、関係する企業に働きかけを行っているところであります。
万博の開催効果を最大限波及させるためには、このような働きかけを実らせ、本県の産業振興や国際的なプレゼンスの向上につなげていくことが重要であります。そのため、次年度以降における必要な予算や体制については、予算編成過程の中で十分な検討を行ってまいりたいと考えております。
○議長(岩田弘彦君) 中本浩精君。
〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 答弁いただきました。
本当に、現状、県では予算や人員が不足していることは承知しています。しかし、大阪・関西万博の効果を県内に波及させるためには、しばらくは継続した取組が重要だと思います。多くの関係者らとつながりを持った県万博担当者らの努力と、万博に出演した地域の方々の思いを一過性に終わらせることがないよう、ぜひ予算や人員体制を整備し、最大限取り組んでいただけるよう要望させていただいて、次の質問に入ります。
橋本警察署等の建て替えについて。
一つ目、警察施設の老朽化に対する対応状況についてお尋ねいたします。
県民が生活する上で、地域の安全・安心を考えたとき、地域の警察署や交番、駐在所の存在は大きいのではないでしょうか。和歌山県内では12か所の警察署、149か所の交番、駐在所があり、日夜警察官の方々が勤められ、地域の安全・安心のために力を注いでおられます。
しかし、その基盤となる県内の警察署や交番、駐在所等の警察施設にあっては、約40%が建築後30年以上経過しているようで、建て替え等を含めた老朽化対策を推進していかなければならない状況かと思います。
また、令和7年1月1日現在で女性警察官が248人おられます。近年は、DVや家庭のトラブル、性犯罪事件などの対応に女性警察官が活躍する場や女性警察官が求められる場が広がっていると思います。そのため、今後も女性警察官の採用が拡大されると思われる中、職員宿舎を含めた職場環境、生活環境を時代に見合うように整備していくことは、喫緊の課題ではないかと思います。
このような状況であることから、県警察では、警察施設について順次建て替え等を進められているようですが、警察施設の老朽化に対する対応状況について、警察本部長にお尋ねいたします。
○議長(岩田弘彦君) 警察本部長野本靖之君。
〔野本靖之君、登壇〕
○警察本部長(野本靖之君) 県警察におきましては、計画的な電気、機械、空調設備等の更新や外壁・防水改修などを行い、施設の長寿命化を図るとともに、既存施設の活用や地域の情勢に応じた施設の集約化を進めております。また、施設内に女性用仮眠室を設置するなど、女性警察官の勤務環境や生活環境に配慮した施設の新築、改修等を推進しているところであります。
今年度においては、海南警察署重根交番の新設、橋本警察署高野幹部交番の改修、かつらぎ警察署花園駐在所の新築等を進めており、警察施設の建て替え、統廃合を計画的に推進しております。
○議長(岩田弘彦君) 中本浩精君。
〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 次に、建て替えに対する条件や要する期間についてお尋ねいたします。
老朽化した施設に対して、計画的に対応していると答弁をいただきました。施設の建て替えとなった場合、例えば警察署であれば、その建て替えを行うに当たり、どのような条件があるのでしょうか。また、建て替えの候補地にふさわしい適地が見つかった場合、開所されるまでどのくらいの期間が必要となるのでしょうか、警察本部長にお伺いいたします。
○議長(岩田弘彦君) 警察本部長。
〔野本靖之君、登壇〕
○警察本部長(野本靖之君) 警察署の建て替えにおいては、警察活動の拠点としての諸条件を満たすことが必要であります。
例を挙げますと、各種警察事象に迅速に対応できる立地であること、警察署建築に必要な広さがあること、浸水、土砂災害などのハザードマップに含まれていないことなどがあります。
また、期間については、国との調整や選定地によっては造成工事などが必要となることもありますが、一般的に土地の購入から基本設計、実施設計、建築工事と進められ、運用開始までは6年の期間を見込んでおります。
○議長(岩田弘彦君) 中本浩精君。
〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 運用開始まで6年の期間が必要と答弁いただきました。
そこで、橋本警察署等の建て替えについてお尋ねいたします。
私の選挙区である橋本市を見ますと、地域の安心・安全の要は橋本警察署です。近隣には橋本市役所や橋本郵便局、伊都振興局が集まる市街地にあり、職員宿舎が併設されています。しかし、この橋本警察署と職員宿舎は、見るからに年月がたっている建物です。
そこで、警察本部長にお伺いします。
この橋本警察署及び併設している職員宿舎の建て替えに向けた検討状況について、お教えください。
○議長(岩田弘彦君) 警察本部長。
〔野本靖之君、登壇〕
○警察本部長(野本靖之君) 議員御指摘のとおり、橋本警察署は、築後50年が経過している県内で最も古い警察署であり、併設の職員宿舎2棟も同時期に建築しているため、ともに老朽化が進んでおります。
また、建築当時より署員数が増えていることなどから、老朽化とともに狭隘化も課題になっているほか、同署は、紀の川の堤防が決壊した際には浸水被害を受けることが想定されているため、別地への移転建て替えを前向きに検討しております。
現在、警察活動の拠点として必要な諸条件を満たす候補地を選定しているところであり、移転用地が決定すれば、同地への移転建て替えに向け、計画的に進めてまいります。
○議長(岩田弘彦君) 中本浩精君。
〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 御答弁いただき、ありがとうございました。前向きに検討していただいていることがよく分かりました。
本当に、全ての警察職員の皆さんが快適に職務に邁進できるよう、また、女性がその個性と能力を十分に発揮して活躍できるような職場環境、生活環境の構築を切に望みます。ぜひ、和歌山県や橋本市とも連携の上、一日でも早く橋本警察署及び職員宿舎の建て替えが実現できるよう、よろしくお願いいたします。
最後の質問に入ります。
橋本医療圏における地域医療の現状と今後の在り方について。
一つ目、橋本医療圏での地域医療構想に基づく取組の進捗状況についてお尋ねいたします。
私を含め、病院にお世話になったことがない方はいらっしゃらないのではないかと思います。私の親族を見ても、かかりつけ医からの紹介や救急での搬送、がんの治療などで病院には大変お世話になってきました。病院の待合室で診察を待つ間、不安で落ち着かない時間を過ごしたことは忘れられません。
また、がんとの闘いは、長期にわたる通院や入院で、本人や親族にとって身体的にも精神的にも大きな負担がかかります。闘病中はいろいろなことがありますが、本当に苦しいものです。そのような中、治療はもちろんのことですが、親身になっていただいたお医者さんや看護師さんなどの医療スタッフの方との会話は本当にありがたいものでした。
つらいときは、人の優しさ、温もりが身にしみます。これまで同じような境遇の方を多数見られてきた経験による医療スタッフの方のお話は、本人や家族などの心配や悲しみを安心に変えてくれる魔法のように思ったものです。このように、県民にとって住む地域にある病院は、その地域に安心を与えてくれる大きな存在です。
しかし、救急やがん診療などの急性期医療をはじめ、入院が必要な医療を担う病院は今、厳しい経営環境にあります。全国の六つの病院団体による2024年度診療報酬改定後の病院経営状況調査によれば、60%超の病院が経常利益の赤字、医業利益については69%の赤字となり、前年よりも赤字の割合が増加している状況です。主に地域の救急や小児・周産期医療といった不採算部門の医療を提供する公立病院について見ると、全国自治体病院協議会の調査において、令和6年度において86%が経常赤字、医業収支は95%が赤字であり、昭和48年の調査開始以降で最も悪い状況となっています。橋本医療圏においても、地域医療の中核を担う橋本市民病院の令和6年度医業利益は約10億円の赤字見通しと大変厳しい状況になっています。
また、本年4月の和歌山県の推計人口は29年連続で減少となり、橋本・伊都地域においても同様の減少が続いています。さらに、国立社会保障・人口問題研究所の日本の地域別将来推計人口では、今後も減少傾向が続き、2050年には、橋本・伊都地域の人口は2020年と比べて約4割減少する見込みとされています。地域の人口そのものの減少は、患者と医療従事者双方の減少につながることとなります。
このように人口減少が続く中、昨今の物価、人件費の高騰は、地域の病院の経営環境を大変厳しい状況に追い込んでいると言わざるを得ません。医療は地域住民にとってなくてはならない社会インフラと言えますが、地域の医療体制をどのようにして維持していくかがこれからの大きな課題と考えます。
中長期的な課題を見ると、県では、団塊の世代が75歳以上となり、医療需要の増大が見込まれる2025年頃を目指し、適切な医療提供体制を構築するため、和歌山県地域医療構想を策定し、その構想に基づき、各地域の病床機能の分化や連携を進めてこられてきました。今年度が現行構想の目標年次でありますが、橋本医療圏における取組の進捗状況について、福祉保健部長にお尋ねいたします。
○議長(岩田弘彦君) 福祉保健部長𠮷野裕也君。
〔𠮷野裕也君、登壇〕
○福祉保健部長(𠮷野裕也君) 県では、地域医療構想を策定した2016年から、橋本医療圏地域医療構想調整会議において、各医療機関の役割や必要な病床数などについて協議を重ねているところです。昨年までに過剰となっている急性期病床26床を減らす一方、不足している回復期病床43床を増やすなど、病床機能の転換を図り、一定の進捗があったと認識しております。
しかしながら、橋本医療圏では、必要病床数と比べて急性期病床が200床程度過剰である一方、回復期病床が100床余り不足していることや、病院間で一部の医療機能が重複していることが課題であると考えております。
県としましては、引き続き、病床の機能分化や医療機関同士の連携に取り組むとともに、現行の地域医療構想の取組結果及び課題は、来年度から始まる新たな地域医療構想の検討過程において評価を行い、よりよい構想策定に生かしてまいります。
○議長(岩田弘彦君) 中本浩精君。
〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 二つ目の質問に入ります。
今後の橋本医療圏の医療体制の在り方についてお尋ねいたします。
2025年を目標年次とする現行の地域医療構想に基づく取組は答弁をいただき、一定の進捗があったと理解していますが、適切な医療提供体制を構築するためには、より一層の病床機能の分化や連携に係る議論を深める必要があるのではないでしょうか。
さきに述べたとおり、今後は人口減少がさらに進む中、医療需要の減少や85歳以上の割合の増加、働き手である医療従事者の減少が見込まれます。このように、地域の医療は重層的な課題に直面しており、また、人口構造や経営環境はこれまでにないスピードで変化している状況です。
これからも、地域の住民が安心して医療を受けられることが何より大事なことであり、将来を見据えた先手先手の対策が求められるのではないでしょうか。
今後の橋本医療圏の医療体制の在り方についてどのように考えておられるのか、知事にお伺いいたします。
○議長(岩田弘彦君) 知事。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 今後の橋本医療圏の医療体制の在り方についての御質問でございます。
現在、橋本医療圏には四つの病院があり、このうち、救急や小児・周産期医療等をはじめとした急性期医療を担う橋本市民病院と、急性期から慢性期医療までを幅広く担う紀和病院は、それぞれ約300床の病床を有し、総合的な医療を提供しています。また、県立医科大学附属病院紀北分院と山本病院は約80床の病床を有し、主にリハビリや内視鏡診療など、専門的な医療を提供しています。
議員御指摘のとおり、県内では、橋本医療圏を含む各地域で、今後さらに患者数及び労働人口が減少する見込みとなっています。そのため、各病院がこれまでどおりの規模でこれまでと同じ医療を提供することは、経営と人材確保の両面から困難であり、このままでは経営を維持できず、共倒れとなって、地域に必要な医療機能が失われるおそれがあります。そのような事態は絶対に避けなければなりません。
また、道路事情の改善を踏まえると、高度・専門医療は、大学病院等が立地する和歌山医療圏で対応する広域的な視点も必要であります。各病院が必要な医療機能を見極め、ダウンサイジングも視野に入れつつ、競争ではなく共存する体制の構築が必要であり、病院間の機能分化と連携を一層進めていくべきであると考えています。
こうした議論を一層深めていくため、橋本医療圏内の4病院による意見交換の場を設け、既に議論を始めております。各病院の現状や課題の共有を通じてそれぞれの強みを生かしつつ、弱い部分は補うことで共存できる体制につなげていきたいと考えています。
県としましては、医療機関や関係市町村と議論を尽くし、地域にとって最適な形を見出し、その実現に向けて取り組んでまいります。
○議長(岩田弘彦君) 中本浩精君。
〔中本浩精君、登壇〕
○中本浩精君 御答弁いただきました。
本当に、地域の医療はそこに暮らす住民の生活に直結するものです。県民が安心する医療体制の実現を目指してほしいと思っております。
そのためには、地域の病院にとって、足元の喫緊の課題である物価高騰等に伴う経営悪化に対しては、全国知事会が国に対して、社会経済情勢を適切に反映した診療報酬改定等に関する緊急要望を行うとともに、日本病院協会などの医療団体も国への要望を行っています。次期診療報酬改定において、物価高騰が適切に反映されることを願うところであり、様々な機会を通じて粘り強く国への働きかけを続けていただきたいと思います。
また、住民の命に直結する救急や小児・周産期医療等を守っていくことは、橋本地域のみならず、和歌山県全体にとって重要な課題です。知事の答弁のように、競い合うのではなく、医療機関同士が連携し、それぞれの役割を明確に分担することで共存する体制が構築できれば、救急をはじめとする不採算医療を担う公立・公的病院の存続と医療の質の確保につながり、住民の安心・安全が守られると考えます。
県民が安心して必要な医療を受けられる医療体制の実現に向けて、今後とも一層の御尽力をしていただくことを要望させていただき、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(岩田弘彦君) 以上で、中本浩精君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
9番玄素彰人君。
〔玄素彰人君、登壇〕(拍手)
○玄素彰人君 議席9番、玄素でございます。
日頃尊敬してやまない中本先輩に続いての質問ということで、いささかプレッシャーを感じておりますが、しっかり務めさしていただきたいと思います。
また、今回質問に当たりまして御助力いただきました関係各位に感謝、御礼を申し上げたいと思います。また、いつものことでありますが、時に厳しいことを当局の皆さんに申し上げるかも分かりませんけども、そこは和歌山県を思う玄素の思いということで、広い心で受け止めていただければと存じます。
それでは、質問に入らせていただきたいと思います。
1点目でありますけども、外国人が増えているというような質問であります。
8月の上旬であったか、全国紙を拝見しましたら、住民基本台帳上、これ25年の1月時点なんですけども、外国人の方が367万人になったんだと。これは、2013年に調査を始めて一番最高の数になられたんだというような報道がなされてありました。ああ、そうなのかなということで読み進んでおりますと、さらに興味深いことが書いてあったのですけども、専ら外国人の伸び率というのは九州地方が高い割合を占めているのですけども、この近畿の中で一番伸び率がこの1年で高かったのが何と和歌山県で、その伸び率が12.34%の伸び率なんだということになっておりました。
確かに、最近、まちを歩いていても増えておられるなという感覚はあるわけでありますけども、和歌山県においては、全国的にもそうなんですけれども、ベトナムの方が一番多く来られております。業種的には製造業に従事される方が多いということであります。和歌山が大好きで和歌山に来られるというよりは、やっぱり仕事の関係、経済的な事情で和歌山に来られているという方がほとんどだと思います。
この製造業をはじめ、和歌山の産業を支えていただいている企業の経営者方にとっては本当に渡りに船だと思いますし、外国人の方々は大いに歓迎すべきだという見方もある一方で、最近、埼玉県の知事がトルコ経由で相互でビザなしで交流していたのをちょっとやっぱり待ってくれないかというような報道がなされたり、ホームタウンにJICAが認定をするということになったらアフリカの方がたくさん日本に入ってくるのかというようなことで、四つの市であったと思いますけども、抗議電話が殺到したりとか、最近ニュースなんかを見ておりますと、外国人の方々が逆走されたりですとか、SNS投資詐欺のほうに加担をされたりとか、ひき逃げされたりとかというような事件も起こっていると。そういったことで、受け入れる側の日本人にとっても、ああ、ちょっと気になるなというようなこともあって、もろ手を挙げてというか、賛成といかないところも、向きもあるのかなというようにも思ったりいたします。
そんな中で、今、和歌山県、どういうような対応をしているのかなということで、気になったので質問をさせていただくんですけども、この外国人を受け入れるというような中での当県の政策理念のようなものがあれば、それをお示しいただきたいということと、今、どういうことを政策として実施されているのか、それから今後、2040年には人口の10%ぐらいに外国人の方が到達をされると予想されております。ざっくり言えば3倍来られるということになるわけでありますけども、そういうようなこともイメージをされて、どういったイメージで政策をこれから重点的に打たれるのかということについても併せて御答弁をいただければと思います。
以降、質問、再質問につきましては、対面式の演台から行わせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
○議長(岩田弘彦君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
企画部長北村 香君。
〔北村 香君、登壇〕
○企画部長(北村 香君) 県としては、人口減少が加速する中、文化、言語、習慣の違う外国人を、地域社会を共に発展させていく仲間として受け入れ、大いに活躍いただくことで、活力ある和歌山県を実現させてまいりたいと考えております。
現在、県では、在住外国人支援として、外国人のための生活相談や各種交流会、防災知識を習得してもらうためのガイドブックの作成や、社会生活に役立つサポートメールの配信を多言語で行っています。また、無償の日本語教室を開催し、日本語の習得を支援しています。
今後も、日本語教室の拡充等、外国人の受入れ環境の充実に努めてまいります。
○議長(岩田弘彦君) 玄素彰人君。
〔玄素彰人君、登壇〕
○玄素彰人君 企画部長、答弁ありがとうございました。
今おっしゃってくれた答弁を整理しますと、これから外国人受入れに当たっての理念的な話で言えば、共に和歌山をつくっていく仲間ということの位置づけの中で、今、政策としては、相談業務であるとか、防災のためのガイドブックを作ったりとか、日本語教室をされているとか、そういうようなことをされているんだというお話であったと思いますし、優先事項としては多分そうなんだろうなというふうに解釈するんですけども、日本語教室というのを増やしていくんだというお話であったと思います。
やっていることというのはいいことをやられているんだというふうに思うんですけども、AIに今私がさせていただいた同じような質問を投げかけましたら、大体40項目ぐらいやるべきことが出てきたんですね。それに対して優先して取り組む事項も聞きますと、さあっと答えてくれるわけなんです。ああ、いい答弁やな、こんな答弁やったらいいなというふうに思ったんですけども、その中でも、ただ私は私の思いとしてあるんですけども、先ほど理念的なことということでお話をしたんですけども、その受け入れる仲間というのは私も正しいんだと思います。ただ、やるべきことってたくさんありますから、どうしても優先順位をつくってやらないと、限られた予算の中で政策を実行していく上での政策効果みたいなものを上げようとすれば、当然これ順番を決めていかないと駄目なのかなというふうに思っているんです。
どういう順番を決めていけばいいのかというのを考えますと、まずはやっぱり外国人の方々の命の保障をしてあげないと駄目なのかなというふうに思うんです。どういうことかといいますと、例えば病院に救急搬送されてきましたと、だけど、言葉が分からなくて不幸なことになってしまったであるとか、避難の看板に日本語の表示しかなくて、それで命を落とされるというようなことはやっぱりあってはならないし、受け入れる側の日本人も不安なんですけど、来られる方も不安なので、そういう不安を取り除いてあげるようなこともやってあげないと駄目だと。
そういうようなことを突き詰めて考えていった場合に、やっぱり日本語というのは大事だなと。さっきも日本語教室をやっていただけるという話であったのですけども、単に日本語教室をやればいいのかなというように考える考え方もあるんですけども、ただ一方で、じゃ、労働者と一緒に帯同されてくるかも分からない子供の教育とかはどうなるのかなとか、事業所においてその業務を推進しやすい、遂行しやすいように、日本語の対応をできるのかなと、こういったことを細かく考えていきますと、さっき申し上げたように、AIが出したような答え、40項目ものものに結びついていくんですけども、そういったことを中心にやっていく。もちろん地域の交流とかも必要なんですけども、どうしても優先順位が下がってくるというようなことを感じたりするので、そういった側面を持っていただけたらありがたいなと思います。
それと、これはAIにも、今の答弁にもなかったのですけど、さっきもちょっと質問の中で触れたのですけども、外国人の方が日本に、和歌山にやってくる、もちろん当然そういうような観点から見ると、ベクトルはそっちのほうに向いて、ああ人権、命は大事だなということで対応をされるというのは、これ当然のことだと思うんですけども、一方で、受け入れる側の和歌山県の方々のほうにもベクトルを向けて考えていく必要があるのかなというようにも思っております。特に、最近起こっている外国人の事件なんかを考えると、治安、防犯、こういったところに対する側面というのも同時に持ちながら、こういった対策というのは必要じゃないのかなというようにも思っております。
そうなると、警察関係との連携というようなことも必要になってくる。どうしても、今日は外国人に対する質問ということで、国際課を担当する企画部の部長から答弁をいただいたわけですけども、警察関係との連携みたいなものも、想像をすれば当然起こり得ることであろうから、ちゃんと今から連絡会議みたいなものもつくっていただいて情報共有をしていただく。縦割りの組織ですから、いや、うちところは国際的なものは関係ないんだと警察の方が言われるかも分からないし、こっちは関係ないと押し合いへし合いしてしまう傾向というのはあるのかも分かりませんけども、そこは知事にもリーダーシップも発揮していただいて、そういう側面も考えていただけたらということを申し上げて、次の質問に移らせていただきたいと思います。
議長、引き続き、2点目ですけども、トランプ関税の影響についてであります。
もうこれも皆さん御承知だと思うのですけども、トランプ関税が発動されました。相対的に見て関税が上がったということになるわけであります。となると、和歌山県の雇用を支えていただいている、税収を支えていただいている地域の元気を支えていただいている企業さんに影響はないのかということに対して懸念が及ぶわけであります。
先月の27日だったと記憶しておりますけども、ジェトロとか近畿の経済産業省なんかとも交えて説明会のようなものもあったと承知をしているのですけども、県内企業に対する影響というのはあるのかなというのをシンプルに思うわけなんです。どうなのかということについて、部長から答弁いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○議長(岩田弘彦君) 商工労働部長中場 毅君。
〔中場 毅君、登壇〕
○商工労働部長(中場 毅君) 和歌山財務事務所が発表した最新の和歌山県内経済情勢報告によると、県内の経済情勢は持ち直していると判断されております。米国関税措置の影響も指摘されておりますが、現状ではあまり影響を受けていないとの声を事業者から聞いております。
県がヒアリングを行った事業者からは、先行きが不透明であるため、正確・迅速な情報提供を求める声をいただいており、これを受け、8月27日には近畿経済産業局及びジェトロと共に米国関税に関する説明会を開催しました。
引き続き、県内事業者へのヒアリングを適宜実施するとともに、国の経済対策の動向を注視しつつ、対応を検討してまいります。
○議長(岩田弘彦君) 玄素彰人君。
〔玄素彰人君、登壇〕
○玄素彰人君 答弁をいただきました。ありがとうございます。総じて言えば大丈夫だということなんだと思います。理解しました。
ただ、この関税というのは厄介なもので、例えば自動車産業を取ってみますと、関税が今度上がったと、どうしてもそれを国内から自動車を輸出するときに価格に転嫁しなければならないとか、向こうに行ったら行ったで関税の部分を輸出先のディーラーが払うとかというようなことになってしまうと、どうしてもプレッシャーかかるわけですから、あらゆる産業にマイナスのダメージが波及してくるというのは、先ほども注意深く見守るというような答弁もあったと思うのですけども、それはやっぱり意識しておかなければならないなというように思います。
また、ゼロサムというんでしょうか、あなたところの国はこれだけ得したんだから、こっちのところで損を被りなさいねみたいな、トランプさんのやり方というのはそういうものだと思うんですけども、これが何に、米に飛び火するのか、ほかの医薬品に飛び火するのかというようなことも今後分からないというようなことを考えても、これ別に、今回、商工労働部長に答弁をいただいたわけですけども、ほかの部局にもそういうイメージを持っていただくことは必要なのかなというようなことも感じました。
あと、今回、関税の影響はないということで一瞬喜んだんですけども、また同時に思ったのは、そういうリーディング産業が今和歌山にないのかなというようなことも感じました。今、ロケットだのSAFだの洋上風力だの、昨日は昨日で蓄電池の可能性にも言及されておりましたけども、こういった産業、これからAIも伸びてきて、その関連産業も伸びていくというのはほぼ間違いないことだと思いますから、そういったところもしっかり気を配っていただいてキャッチアップする、今回の出来事からそういうようなところまで意識を膨らませていただけたらなということを思いましたということを申し上げて、次の質問に移らせていただきたいと思います。
次、行きます。
3点目、白浜空港活性化のための併任辞令のところなんですけれども、去年の予算特別委員会の中で、白浜空港の滑走路を延長するというのを今方向性とやられているのは分かるけれども、そのセールス環境がちゃんとできていないのに滑走路だけ使っても、結局、活性化にはならないんじゃないかと。どうせ滑走路を造るんだったらそのソフト面も充実をさせたらどうかというような質問をさせていただきました。
そのときに、一つ御紹介を申し上げたのがこの併任辞令というものであります。佐賀空港の視察に行かせていただきまして、そこで併任辞令というのを実施しているんだということを知りました。どういったことかというと、和歌山県には100人近い副課長がいると思うのですが、ふだんの業務はふだんの業務としてやっていただくと。同時に、白浜だったら白浜、空港の活性化のために併せてミッションを持ってくださいねというのが、ざっくり言えばそういう制度のわけであります。
そんなこともあって、私が言ったからかどうかは分かりませんけども、この4月1日から併任辞令というのを県でも行っていただいているのですけども、ただちょっと、どういうようなことをやっておられるのかということが見えにくいので、御紹介をいただきたい、質問をさせていただくことになったわけであります。
どういったことを今はされているのかについて、答弁をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○議長(岩田弘彦君) 県土整備部長小浪尊宏君。
〔小浪尊宏君、登壇〕
○県土整備部長(小浪尊宏君) 議員御質問のとおり、県では、令和7年4月1日付で、本庁各課の副課長、振興局地域づくり部の副部長の職員96名を港湾空港振興課に併任発令を行っています。
併任職員は、港湾空港振興課の指揮の下、各課所管の団体等と連携し、チャーター便などの情報発信、空港活性化のためのイベントの検討・開催などの主体的な取組を進めています。
例えば、これまで観光局及び西牟婁振興局と連携したパンダのスペシャルポストカードのプレゼントキャンペーン、また、食品流通課等と連携したJALマルシェ和歌山in天王洲、成長産業推進課と連携した使用済み天ぷら油回収ボックスの設置などを実施しました。このようなオール県庁での取組を引き続き推進してまいります。
○議長(岩田弘彦君) 玄素彰人君。
〔玄素彰人君、登壇〕
○玄素彰人君 部長、答弁ありがとうございました。
まだ着任して日が浅い部長に対して申し上げることではないということをあらかじめ断っといた上で申し上げたいんですが、今答弁いただいた内容というのは、別に併任辞令をしなくてもできることなんだろうなというふうに、まず第1の感想で思いました。というのは、今までもそういうようなことの協力体制というのはあったと思いますし、そういうさっき答弁のあったような内容をされるのであれば、課長さんに、ちょっと今度イベントやるから人出してよとかというようなことで済むんだろうなというように思いました。
ここがやっぱり佐賀県と違うなと思うところを一つポイントだけ申し上げておきたいのですが、佐賀県の場合だと、1人の副課長に大体3社から5社ぐらいの担当の企業というか、事業所さんとか、そういったものがあるようです。例えば、今度チャーター便やりますよというようなことが起こった際には、その副課長さんが例えば5社だったら5社の事業所に足を運んで、今度こういったチャーター便やるので乗ってあげてくださいね、よろしくお願いしますねと。イベントもしかりであります。こういったイベントやるので、また来てあげてくださいねとかというようなことをやっているそうです。その結果とか内容をフィードバックして次につなげるというようなことをやられているそうです。
100人の副課長がいましたら、500社ぐらい支援をしてくれる会社があるというようなことでありまして、例えばチャーター便が、和歌山から多分チャーター便飛ばしてくれませんかとこっちから積極的に働きかけることはないんでしょうけども、そういう話が来たときに一つ問題になってくるのは、こっちからお客さんを送り出せるかと、外国のバウンドだったらアウトバウンドで送り出せるかということが課題になるわけです。それができないから補助金でカバーしたりとかするんですけども、例えばコアでそういうような方々がいらっしゃったら、そういった方々にお願いをして、その席を埋めてもらうということもできるんだと思います。
現状は、県庁の職員さんに使ってねということをアナウンスするぐらいで、例えば、チャーター便をやるにしても、旅行会社の方に、旅行会社はあなたのところが企画するんだから、自分のところで集めてねというようなことでは、なかなか白浜空港って半島の空港なんで、商圏、例えば半径30キロということで想定した場合も、どこの空港よりもセールスのやりにくい環境にあるからこそだけど、そういうようなことをやっていかないと駄目なのかなというふうに思っております。
なので、一度佐賀県からコンサルティング料を取られるわけではないと思うんで、一回見てきていただいて、多分前に行ったときも聞いていただいていると思うんですけども、一回そういったところも情報収集していただいて、まだこれ、やり始めて半年で緒に就いたばかりですから、いろいろ改善できるところもあろうと思いますし、それをやってこそがこの併任辞令の本当の意味での効果だというふうに私は思っておりますので、その辺のところをお伝えいたしまして、次の質問に移りたいと思います。
続いてなんですけども、ラーケーションに関する質問であります。
休日の平準化といいまして、ざっくり言えば、ゴールデンウイークとかお盆とかお正月に休みを取るのではなくて、観光業の閑散期のような時期に休みを取っていきましょうというような試みは、観光業を中心に、産業にとっても非常に有効であるというような趣旨から、6月議会においては三栖議員からその旨の質問があったと思います。ああ、いい試みだなと私も思っているわけでありまして、そんなこともあって、関西広域連合に今、私、行かせていただいているわけでありますけども、その際にも休日の平準化の必要性、また同時に、休日の平準化といっても概念が広くて、どこかからやっぱり突破口、ポータルを見つけて対処していかないと、これ前に進んでいかないというように、自分なりにいろいろと勉強して思って、ああ、ここだと思ったのが今申し上げるラーケーションの取組であるというように思っております。
ラーケーションって何ですかということなんですけれども、英語のラーンとバケーション、これを足した造語であります。どういうことよということなんですけども、もうざっくり言ってしまえば、学校の現場で、年間、自分の自由な時間に、好きな時間に3日ないし5日ぐらい、これぐらいの休暇を自分で自主的に取ることができるというような制度であります。
じゃ、それをやってどうなるのかということなんですけども、当然さっきの休日の平準化とつながってくるんですけども、自由に休みを設定できるんで、旅館業なんかでおいたら安い時期に設定すると旅行なんかも行きやすいというようなことになるわけであります。そういうことで言えば、旅行業は元気になるよねと。それから、子供にとっても経験値を上げることができるというようなことも言えますし、自発的な学習意欲というのが課題になっているわけでありますけども、自分自身がこういうことをしたいと言えばそういった活動ができる。当然家で宿題をするというのもその選択肢ですし、お父さん、お母さんと県内、県外に旅行へ行くというのもそうですし、熊野古道へ歩きに行くというのもそういうようなところに入ってくると思うんですけども、一応教育上の休みを取るわけですから、単に旅行へ行きますよというよりも修学旅行的なイメージというのが必要になってくるのかと思います。
それから、お父さん、お母さんにとっては何がいいことなんですかというと、最近言うワーク・ライフ・バランスの推進にいいと。もちろん親子の時間というのは最近ないですから、そういった休みを一緒に取っていただいて、大体子供さんが休みを取ったら親が休みを取れるというようなことが観光庁の報告書にも書いておりましたので、そういうようなことも含めて、三方よしの制度ではないかというように思っているわけなんです。
であるならば、これ本来は教育部局が率先してやるべき話なんですけども、単にただこれを実施するに当たっても、教育委員会だけが学校現場に号令一下をかけてそういう制度をやりましょうということだけではやっぱり足りないんだと思います。先ほど申し上げたように、観光業の協力もないといけない。それから、お父さん、お母さんに休みを取ってくださいね、ラーケーションに協力してくださいねというようなことになると、商工労働関係の労働関係の部局もこれに参加をしていただかないと駄目だと。だけど、先ほども申し上げたように、縦割りの組織ですから、じゃ、皆さんで一生懸命やりましょうねというような雰囲気には、別に皆さんを否定しているわけじゃない。やっぱり組織の体制上そういうふうになってしまいがちなんで、ここはリーダーシップを知事に執っていただく必要があるなと思ったので、知事に質問をさせていただきたいと思います。
知事の思い入れがなかったら、これ、前へ進んでいかないというような話であるのですが、知事はどのようにお考えいただいているのか、答弁をいただけたらと思います。よろしくお願いいたします。
○議長(岩田弘彦君) 知事宮﨑 泉君。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) ラーケーションは、混雑が少ない平日に、学校ではできない貴重な体験をゆったり落ち着いて行えることや、計画性を持って体験することで主体的な学びにつながること、保護者にとっても子供の学びに直接関わることができるといった効果が考えられます。もちろん議員御指摘のように、観光業をはじめとする産業への波及効果やワーク・ライフ・バランスの一助となることも考えられます。
本県には、豊かな自然や世界遺産、文化財、美術館や博物館等の教材がたくさんあり、ラーケーションでの活用も考えられます。
この問題につきましては、教育長時代、岸本前知事とも大いに議論を行ってまいりました。今後、先進地の動向も参考にしながら、ラーケーションの効果や問題等を研究、検討してまいりたいと考えております。
○議長(岩田弘彦君) 玄素彰人君。
〔玄素彰人君、登壇〕
○玄素彰人君 知事、答弁ありがとうございましたと心から言いたい気持ちになりました。
このラーケーションというのは、今度2030年から随時小学校、中学校と学習指導要領が改訂をされる中でも、そういった時間を持ってはどうかという議論が審議会の特別分科会かな、そういったところでも議論されているというふうに、ちょっと読んだりしました。ストライクではないかも分からないですけども、ヒットぐらいの当たりがあるのかなというふうに思っております。
それから、私、よく申し上げているんですけども、これは三方よしの政策で、かつ費用対効果がいいと。財源はあまり使わないけども、ちょっとお役所の皆さんに頑張っていただくだけで政策効果が上がる政策だとも思っております。
そしてまた、最近は徳島県も導入をされると聞いておりますし、これ、都道府県だけでなくて、例えば志摩スペイン村のある志摩市なんかはもう市単独でやられているとか、山口県とか茨城県とか静岡県とか、もちろん先進地として愛知県でも導入をされている、時流にかなったものであるのかなというふうに思っておりますので、今後とも、ぜひとも実現に向けてお力添えをいただきたい、頑張っていただきたいということを申し上げて、次の質問に進ませていただきたいと思います。
続いて、カスタマーハラスメントについての質問です。
去年の9月の議会であったと記憶しておりますけれども、学校の先生が過度に保護者の方々からバッシングを受けられて、つらい思いをされていると。カスハラに当たるのかと思うんですけども、だけど、教頭先生や校長先生に相談をしたら、わしも昔はそうやって辛抱したんやとか、今度、人事異動で対応したるさかい、それまで辛抱せえよとかというようなことで、なかなからちが明かないような事案を実際私は見たんだと、聞いたんだというような話をさせていただいた中で、縦割りの組織の中で解決するのは限界があるので、直接弁護士なんかに相談ができるように、ダイレクトに相談できるような体制構築をつくられてはどうかというような質問をさせていただいたわけであります。そんな中で、この4月1日から行政部局においても、和歌山県カスタマーハラスメント対策基本方針だったと記憶しておりますが、そういう方針を出されて、このカスタマーハラスメントに対しての対応をされているということを承知しておるんですけども、先ほど冒頭申し上げたように、やっぱり上司に相談したら限界あるから、直接弁護士さんに相談できるような体制をつくってくれたらいいのになというようなことも思いましたし、同時に、どういった体制でそれに臨もうとされているのかということも気になりました。
そこで、今どういうような運用をされているのかということについて、実際、これはカスハラの事案だというようなことで何か認定して取り組まれているようなことがあるのか、また相談等あるのかということも含めて答弁をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○議長(岩田弘彦君) 総務部長山本祥生君。
〔山本祥生君、登壇〕
○総務部長(山本祥生君) カスタマーハラスメントに対しては、職員を守り、行政サービスを適正に提供するため、組織的に対応することとしており、対応困難な事案は考査課で相談を受け付け、対応を支援しております。
万が一、苦情や要望に対応している職員が上司に相談することが難しく、問題を独りで抱えて困るような事態が起こった場合には、職員意見箱やメールまたは対面による職員相談など、様々な手段を活用して、職員が考査課に直接相談できる体制を整えております。
令和7年度において、所属長からカスタマーハラスメントに該当するとして報告のあった事案はありませんが、各所属から相談を受けた件数は8件となっております。
○議長(岩田弘彦君) 玄素彰人君。
〔玄素彰人君、登壇〕
○玄素彰人君 部長、答弁ありがとうございました。
これはカスハラや、対応しなきゃということが今のところはないというようなことで一旦安堵をしたわけでありますけども、一方で、8件相談があるんだというお話でありました。氷山ではないですけども、多分その下にはもっとふつふつと沸き上がるようなものがあるのかなというぐらいのイメージをして取り組んでいただけたらなということを冒頭申し上げたいと思います。
その上で、今、上手な答弁をするので整理しにくいんですけども、多分今カスハラの事案が起こった場合、例えば県土整備部で起こった場合、商工労働部で起こった場合、それは自己完結、要は部局内で対応してくださいということの理解で多分よかったのかなというふうに思うんです。そうであるならば、例えば上司が誰になるかで、例えばその顧問弁護士が誰になるかで、判定する人の立場によって、カスハラの事案ということに対してのダブルスタンダードというものが起きないのかな。答弁をかみ砕いてそしゃくして考えたときに、それでもまあ詰まなかったら考査課に相談したらいいよみたいなイメージで私は答弁を捉えたんですけども、先ほども申し上げたように、ダブルスタンダードみたいな基準が起きないように、これ、8件というのも多分僕が今回質問するから把握された中身であるというふうに思うので、そこは一元管理したらいいのかなと。
都道府県によっては人事課がやったりしているところもあるわけなんですが、多分今回これに対しての質問、答弁というのが考査課さんを中心としたところで作成をいただいたのでしょうから、そういったところに対して一元管理しないとダブルスタンダードが生じるのかなということと、あと、青森県さんはこういったことに対してマニュアルを作っているそうであります。多分マニュアルを作っていろんな対応を考えていたら、これ、やっぱり行き着くところは弁護士さんに相談しないとだめだな、直接できる相談窓口をつくらないとだめだなということになったんだと想像するんです。青森県さんには顧問弁護士がないそうなんですけども、そういった事案に対してダイレクトに相談できる窓口をつくったそうであります。
これ、やっぱり行き着くところは、職員さんの職場離れであるとか、精神的に疾患を来してしまうとか、早期離職につながっていくと思いますので、その辺は神経質になって今後取り組んでいただけたらなと、まだまだ先ほどの併任辞令と一緒で緒に就いたばかりなので、今後、改善をしていただけたらなあということを申し上げて、次の質問に移らせていただきたいと思います。
続いては、学校の教育、学力についての質問であります。
これ、毎年のように地方紙なんかに書かれている話なんですけども、中学校の学力テストの結果が全国平均以下であるというような見出しが毎年のように飛び交います。
私も記憶を遡れば、多分もう20年近くこの傾向、小学校の学力は全国より高い傾向、小高中低なんていうような言い方もされるわけですけども、この状況が続いている。もちろん現場においては御努力をされているということは承知をしておりますし、かつて、もう今から10年ぐらい前になるのかと思いますけども、もう小学校の学力も低い傾向にあって、多分都道府県で一番後ろから数えるほうが早かったような時期もあったように思います。そのときは、学力テストの先進地である福井県からノウハウを持った方を招聘したりとか、学校の先生も頻繁に学力テストの高いところに視察に行ったりとか情報収集したりして、一旦、和歌山県の学力というのは40番台から30番、20番台のときもあったと思うのですけれども、そういうようなことをできたということを考えても、また、私もかつて小さい自治体でこのことに対応させていただきました。当時、和歌山県でもうほとんど最下位レベルに近かった学力を約3年かけて実施したらトップクラスになりました。これも多分そういう記録は残っているかも分からないので、見ていただいたら分かると思うんですけども、やればできるというのが結論なんですね。
そのときにポイントになったのが、やっぱり先生の意識というのは非常に大きなウエートを占めると同時に、和歌山県の傾向として本を読む数が少ないとか、家庭学習の時間が少ないとかというようなこともあるかと思うんですけども、とにかく努力をすればできるんじゃないかと。それができてきたら、やっぱり教育行政を取り仕切っていただいている教育委員会も学校現場の先生も胸を張れると思うし、それを聞く我々も、やあやあ全国平均以上ですからと胸張って言えるというような環境をつくって攻めていただいて、いい循環を政策でつくっていただきたいな、結果でつくっていただきたいなというように思うんです。当然今努力をされているというのは分かっているんですけども、そういったことを目指すに当たって、例えば今年度に入って新しいことを何かされているんですかということと、今までどういう努力をしていて、今後こういうことをしていきたいというような思いがございましたら、教育長から答弁いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○議長(岩田弘彦君) 教育長今西宏行君。
〔今西宏行君、登壇〕
○教育長(今西宏行君) 今年度の全国学力・学習状況調査において、生徒質問調査では、授業が分かると答えた割合が全国より高く、これは、教員が研修や学校訪問等を通じて学んだことなどを生かし、授業改善を進めてきた結果であると考えております。その上で、教科の調査結果に結びついていないのは、読解力や表現力等に課題があるからだと分析しております。
課題への対応として、探求的な学びを各学校で今以上に進めていく必要があると考え、今年度より、きいtubeで発信事業を開始したところでございます。加えて、主体的な学びを充実させるための教員研修や、学校の課題に応じて支援するきのくに学力定着フォローアップ事業等の継続により、指導力の向上を図ります。
また、学校や家庭で使用できるオンラインの学習システムの充実も進めており、その活用を推進し、子供の主体的な学びの充実を図ってまいります。
○議長(岩田弘彦君) 玄素彰人君。
〔玄素彰人君、登壇〕
○玄素彰人君 教育長、答弁ありがとうございました。努力をされていると、今年度も新しいことをやられて、一歩を踏み出そうとされているというのは評価をさせていただきたいなというように思います。
あんまり最近は、学力ばっかり伸ばしてもというような風潮もあるように思うんですけども、私、この学力というのは、人生を歩んでいく上での武器なのかなというふうに思っております。これ、使い勝手によると悪い方向にもいいようにもいくんでしょうけども、だけど、人生を渡っていく上で武器がないというのも寂しいし、研ぎ澄まされるのであれば、それにこしたことがないなというように思います。
また、その知識を得ようとして、学力テストで頑張ろうとする過程というのが、今、自分自身を振り返ってみても大きな財産になるのかなというように思いますし、知識量というのは増えてくると、私、医学部でも何でもないから分からないんですけども、ニューロンといいますか、シナプスといいますか、こういったものが知識と知識でくっついて生きる力につながるんではないかなというようなことも感じたりするので、やっぱり学力はあるにこしたことがない。相対比較しても多分学力のあった方のほうが総じて一般的に言う幸せな人生を送れているのかなというふうなことも考えたりすると、やっぱり一定のものというのは公教育として担保する、県民の皆さんに説明責任を果たしていくというためにも、全国の学力調査は、和歌山県は常に小学校も中学校も全国以上なんですよと胸張って言えるような体制をつくっていただきたい。数ポイントぐらいでちょっと動いてしまいますから、ちょっと頑張ったら結果出るように思いますので、ぜひとも御努力をいただきたいということを申し上げて、次に進ませていただきたいと思います。
続いてであります。女性トイレについてであります。
私も、たまにではありますけども、クラシックコンサートなんかに行かせていただくことがあります。県民文化会館なんかに行きまして、休憩になりましても目の当たりにするのは、ああ、女性トイレ混んでいるなというようなものであります。ほかへ行ってもそういうような光景は見られますし、鉄道や空港や、最近では万博でもそういった光景を見たりもしました。
そういった中で、何とかならないのかなというようなことを思ったりしていたんですけども、この7月に、さすがに国のほうからも、花火だとか大きなコンサート、野外コンサートなんかをするときに、女性トイレも十分、要は数を確保しろということなんだと思うんですけども、配慮をして、そういったイベントをやってくださいねというのも通知として出されております。そういうような状況を全体的に聞いていく中で、うちところの県はどうなんだろうな、ちゃんとキャッチアップしてくれているんだろうかとか、前向きに取り組んでいただいているんだろうかというようなことが気になりました。
今、和歌山県においてどういう状況なのかということについて、今後の施設の改修とかというようなことも含めて努力をされているか。いろいろ聞いておりますと、女性トイレが混んでいるのは、中でスマホをやっているとか、化粧をやっているからやというようなことを言われる方もいらっしゃるんですけども、そういうようなこと全般含めて、今後和歌山県でどういうような方向性をお考えなのか、答弁をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○議長(岩田弘彦君) 共生社会推進部長島本由美さん。
〔島本由美君、登壇〕
○共生社会推進部長(島本由美君) 女性用トイレの行列問題については、国の女性用トイレにおける行列問題の改善に向けた関係府省連絡会議で、利用環境の改善に向けた効果的な施策の検討が進められており、来年度には、国土交通省において、トイレの設置数の統一的な基準を策定する方針であることが示されたところです。
県としましても、女性用トイレに行列が発生しないよう取り組む必要があると認識しており、既に県有施設では運用上の工夫をしながら、できる限り混雑緩和に努めているところです。
なお、今後国の方針が示された場合は、県有施設だけでなく、他の関係機関等に対しても女性トイレの混雑緩和について働きかけるとともに、県有施設を改修する際は、国の基準を踏まえて改善を図るよう検討を進めてまいります。
○議長(岩田弘彦君) 玄素彰人君。
〔玄素彰人君、登壇〕
○玄素彰人君 部長、答弁ありがとうございました。総じて前向きな答弁であったというふうに承知をいたします。
国の方針というところの中に、私、これ読んだ話なんですけども、全国の女性トイレ問題解消のための事例集みたいなものも、いい取組というのもどんどん発信していくよというようなこともありましたので、現時点からそういうのも参考にして取り組んでいただきたいなというように思います。
それと、あともう一つなんですけども、文化会館とかでは既にそういった対応をされているというお話でありましたけども、答弁の中身を聞いていると、逆説的にというか、逆に考えれば民間のところに対しては全くできていないというふうにも聞こえておりましたし、実際そうなんだと思います。和歌山県全体がそういう機運になるように、ひとつ御助力をいただきたいということを申し上げまして、この質問を終わりたいと思います。
以上で、私の予定しておりました質問を全部終了いたしましたので、お付き合いをいただきました皆さんに感謝、御礼申し上げまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
○議長(岩田弘彦君) 以上で、玄素彰人君の質問が終了いたしました。
これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
この際、暫時休憩いたします。
午前11時30分休憩
────────────────────
午後1時0分再開
○副議長(秋月史成君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
質疑及び一般質問を続行いたします。
29番中尾友紀君。
〔中尾友紀君、登壇〕(拍手)
○中尾友紀君 皆さん、こんにちは。公明党県議団の中尾友紀でございます。
議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
まず、最初に、財政危機警報を踏まえた「賢いやりくり」の取組と必要な予算の確保について。
財政危機警報については、令和4年12月に故岸本周平氏が知事に就任し、財政のプロとしての目線から、将来の財政危機を回避するため、速やかに財政構造を見直す必要があることから、令和5年2月に発出したものであります。その中で、賢いやりくりによって、将来にわたり持続可能な県政に資する財政運営を行えるよう努めると言われておりました。
私が令和5年9月議会で、県の財政状況と財政危機警報について質問したときの答弁では、岸本前知事は、「足元の物価高騰、さらには金利上昇の影響、過去最大となった令和5年度当初予算や近年の公共事業などによって増加した補正予算の規模などを踏まえ、改めて試算した結果、何ら対策を講じなかった場合には2025年度に基金が底をつき、予算編成が困難になるという見込みとなりましたことから、財政危機に陥る前に持続可能な財政構造に転換すべく、令和5年2月に財政危機警報を発出させていただいたところでございます」と答弁されました。
県職員の皆様の懸命な知恵と努力の結果、令和7年度の予算も無事、現在執行されているところではありますが、令和8年度の予算はどうなるのか心配しているのは私1人ではないと思います。
そこで、お尋ねします。
賢いやりくりを具体的にどのように取り組んできたのか。また、直近の試算でも、令和9年度末に基金が底をつく見通しとなっているが、災害に備えたインフラ整備や少子高齢化、地場産業の振興など、課題は山積しております。
その中で財政危機警報を踏まえた賢いやりくりの取組と、今後どのように必要な予算を確保していくのか、宮﨑知事の御所見をお聞かせください。
○副議長(秋月史成君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
知事宮﨑 泉君。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 財政危機警報下での必要な予算の確保についてお答えを申し上げます。
議員御指摘のとおり、令和5年2月に財政危機警報を発出し、社会保障関係経費や県債償還のための公債費に加えて、新たな財政需要にも機能的に対応できるよう、事業の見直しや予算の賢いやりくりを徹底し、持続可能な県政に資する財政運営を行うよう努めてまいりました。
その中で、年々増嵩する公債費の負担を軽減するため、令和4年度2月補正において、決算剰余金を原資とした公債費臨時対策基金を創設しております。同基金にこれまで91億円の積立てを行い、73億円を活用するとともに、102億円の借換債の発行抑制により後年度の財政負担の軽減に取り組んでまいりました。
また、重点施策や新たな財政需要に必要な予算を確保するため、業務量適正化の観点も踏まえた事業のスクラップ・アンド・ビルドを進めるとともに、国庫支出金を最大限活用しながら予算編成を行っているところです。
しかしながら、それらを行ってもなお、急速に進む物価高騰や人件費の増加の影響により、依然として厳しい見通しであります。
したがいまして、スクラップ・アンド・ビルドの徹底といったこれまでの取組を継続しつつ、新たな歳入確保策の検討や国に対する様々な要望を行ってまいります。
その上で、限られた財源の中で、医療、介護、子育てなど、県民の生活を支える事業や、命と暮らしを守る防災・減災対策事業、成長産業の創出や観光振興といった本県の経済活力を高めるための事業など、課題解決に向けた必要な予算をしっかり確保し、県政を着実に前に進めてまいります。
○副議長(秋月史成君) 中尾友紀君。
〔中尾友紀君、登壇〕
○中尾友紀君 知事の力強い答弁、ありがとうございました。
次に、防災対策についてお尋ねします。
南海トラフ地震臨時情報の発表以降の取組について。
昨年の8月8日、宮崎県の沖合でマグニチュード7.1の地震が発生し、宮崎県日南市で震度6弱を観測したほか、東海地方から奄美群島にかけて震度5強から1を観測、宮崎港で0.5メートル、日南市油津で0.4メートルなど、各地で津波を観測。気象庁は初めて、南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)を発表しました。
和歌山県内では、イベントの中止や延期、海水浴場の閉鎖といった施設の利用制限のほか、鉄道の運行にも影響が出ました。交通や観光業等への影響は甚大でありました。
改めまして、南海トラフ地震臨時情報とはどのような内容なのか、危機管理部長、県民の皆様に分かりやすくお答えください。
○副議長(秋月史成君) 危機管理部長中村吉良君。
〔中村吉良君、登壇〕
○危機管理部長(中村吉良君) 南海トラフでの過去に起こった大規模地震の発生形態は様々でありまして、南海トラフの東側と西側で同時に発生したり、時間差を置いて東側、西側で連続して発生したりしております。南海トラフの東側または西側だけで大規模地震が発生したとき、起こっていない反対側の地域において次の大規模地震に備えることは有益であることから、不確実ではあるものの、大規模地震発生の可能性が平常時と比べて相対的に高まったと評価された場合は、国が南海トラフ地震臨時情報を発表することになります。
臨時情報には、地震の規模に応じ1週間対応しなければならない場合として、巨大地震注意と巨大地震警戒の2種類があります。
まず、昨年8月にも発表された巨大地震注意では、県民の皆様には、日頃からの地震への備えの再確認をいただいた上で、ふだんの日常生活を継続していただくこととなります。
また、巨大地震警戒では、巨大地震注意の対応と併せて、津波からの避難が間に合わない地域に居住する方は、避難所等へ事前避難をしていただくことになっております。
○副議長(秋月史成君) 中尾友紀君。
〔中尾友紀君、登壇〕
○中尾友紀君 御答弁ありがとうございました。
昨年8月、初めて南海トラフ地震臨時情報が発表されて以降、様々な混乱が生じましたが、国や県で改善等行われたのか、危機管理部長、お答えください。
○副議長(秋月史成君) 危機管理部長。
〔中村吉良君、登壇〕
○危機管理部長(中村吉良君) 国では、令和6年8月に南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)が運用開始後初めて発表されたことに伴い、各地で様々な対応、反応があったことを受け、県、市町村、事業者等で防災対策の検討が図られるよう、令和6年12月に改善方策を公表しました。この方策に基づき、本年8月に南海トラフ地震臨時情報防災対応ガイドラインが改定され、臨時情報の基本的な考え方が明記されるとともに、個別分野の留意事項や防災対応の例が充実されるなど、巨大地震注意に関する記載の充実が図られてきました。
一方、昨年8月の臨時情報発表時に、地域で対応の判断が大きく異なったイベント開催に関する内容については、別途、県においてもガイドラインの策定に取りかかっており、今年度中の発表を予定しております。
あわせて、巨大地震警戒が発表された際の事前避難に関して、広域的な避難も含めた避難体制の枠組みを県と市町村で検討しているところです。
○副議長(秋月史成君) 中尾友紀君。
〔中尾友紀君、登壇〕
○中尾友紀君 御答弁ありがとうございました。
次に、令和7年7月30日のカムチャツカ半島付近の地震に伴う津波警報への対応についてお尋ねします。
本年7月30日午前8時25分頃、ロシアのカムチャツカ半島東方沖でマグニチュード8.7の大規模な地震が発生しました。この地震により、北海道から九州にかけての太平洋沿岸に津波警報が発表され、全国で一時200万人以上に避難指示が出されました。
和歌山県では、津波警報の発表を受けて、沿岸部を中心に警戒レベル4の避難指示が発令されました。特に串本町では、町内22か所に避難所が開設され、午前11時10分時点で住民や観光客ら228人が避難しているとの報告がありました。
津波の影響は北海道から九州までの広い範囲で観測され、岩手県の久慈港では最大130センチの津波が記録されました。和歌山県を含む太平洋沿岸では、津波警報が発表された後、警戒が続けられましたが、午後4時30分には全ての津波警報、注意報が解除されました。
日本国内の被害状況では、直接的な津波の被害は限定的でありましたが、避難中の事故などにより1人が死亡、21人が負傷するなどの間接的な被害が報告されております。
遠く離れたカムチャツカ半島での地震であり、実際に地震の揺れを感じていなかったため、どのような避難行動を取るのか、悩んだ県民の方も多かったのではないかと推察しますが、高台にあるイオンや和歌山ビッグ愛などには多くの避難者が殺到し、道路も渋滞したと聞き及んでおります。
そこで、お尋ねします。
カムチャツカ半島の地震に伴う津波警報への対応について。
防災情報の発信について、県ではどのようにして住民に情報を伝えたのか、危機管理部長、お答えください。
○副議長(秋月史成君) 危機管理部長。
〔中村吉良君、登壇〕
○危機管理部長(中村吉良君) 県では、住民のみならず、県内で滞在している方に対し、即時にエリアメールや緊急速報メールで津波警報の情報を配信し、高台などの安全な場所への避難を呼びかけました。
さらに、登録されている方や閲覧されている方に対してではありますが、防災わかやまメール配信サービス、和歌山県防災ナビアプリ、防災わかやまウェブサイトでも即時に情報を提供するとともに、SNSでも避難を呼びかけたところです。
また、避難発令情報及び避難所開設状況については、市町村が県の防災情報システムに入力後、防災わかやまメール配信サービスや和歌山県防災ナビアプリ、防災わかやまウェブサイトで発信するとともに、Lアラートにより放送事業者等にも情報提供をしたところです。
○副議長(秋月史成君) 中尾友紀君。
〔中尾友紀君、登壇〕
○中尾友紀君 御答弁ありがとうございました。
次に、津波警報に伴う避難指示で、多くの人が避難しましたが、その課題と県としてどう対応するのか、危機管理部長、お答えください。
○副議長(秋月史成君) 危機管理部長。
〔中村吉良君、登壇〕
○危機管理部長(中村吉良君) まず、課題についてお答えいたします。
多くの県民の皆様が指定避難所や一時避難場所に避難しました。猛暑の中での避難であったことや、遠地での地震発生による津波警報であり、比較的避難に時間の余裕があったことから、熱中症と自動車による避難が大きな課題であったと考えております。
その対策についてでありますが、まず、熱中症につきましては、県内の指定避難所の77.5%には冷房機器が確保されているなど、一定の暑さ対策はなされておりますが、県としましては、引き続き避難所の環境改善を図るため、市町村に対して、国の支援制度やわかやま防災力パワーアップ補助金の活用により空調設備等の整備を促してまいります。
一方で、避難タワーや運動場など、ほとんどの一時避難場所は日陰や飲料水の備蓄のない屋外施設が多いため、避難時には飲料水等の準備や日傘、帽子などの着用を心がけるよう、市町村と共に県民の皆様に啓発を行ってまいります。
二つ目の自動車による避難に関して、津波からの避難は、家屋倒壊や落下物等により円滑な避難ができないおそれや、渋滞、交通事故等により徒歩避難者や救助車両の通行を妨害するおそれがあり、県では、原則として、徒歩での避難をお願いしているところです。しかしながら、今回の課題を受け、地域に応じた自動車避難の在り方について、先進事例等の調査を行った上で、県としての対応を検討してまいります。
○副議長(秋月史成君) 中尾友紀君。
〔中尾友紀君、登壇〕
○中尾友紀君 御答弁ありがとうございました。
昨年の1月には能登半島地震が発生し、8月には南海トラフ臨時情報が初めて出されました。カムチャツカ半島地震では、津波警報が出されました。それぞれの災害に対して課題を洗い出し、一つ一つ潰して対応していくことが、必ず来ると言われている南海トラフ地震の事前の備えになると確信します。引き続き、対応をよろしくお願いいたします。
次に、防災に関する啓発について。
紀伊半島大水害被災体験紙芝居を防災啓発に活用することについてお尋ねします。
8月20日に那智勝浦町にある和歌山県土砂災害啓発センターに視察に行ってまいりました。災害の恐ろしさを日頃から様々なツールで見聞きし、身近な人たちと危機感を共有するすばらしいツールがありました。
それは、14年前、和歌山、奈良、三重で死者、行方不明者88人を出した紀伊半島大水害で夫を亡くした那智勝浦町の久保榮子さんの自作の紙芝居による約22分間の被災体験の映像です。当時の那智川の激流の状況や、九死に一生を得た心の葛藤が目に浮かんでくるようでした。早く逃げることの大切さを痛感しました。
9月4日付の読売新聞和歌山版に、「豪雨の恐怖 紙芝居で訴え」との見出しで、「那智勝浦・久保さん 講演100回超」のサブタイトルとともに、家族3人が自宅の雨戸にぶら下がる場面、激流に流される久保さん、娘と再会して抱き合い涙ぐむ久保さん。3枚の紙芝居が写真で紹介されています。
2011年8月末に台風12号が紀伊半島に接近し、那智勝浦町では、8月30日から9月4日午前零時までの雨量が480ミリ、午前4時までにさらに341ミリの雨が降り、那智川が氾濫。川から約15メートルの自宅にいた久保さんは4日未明、夫の二郎さん、長女の靖子さんと共に濁流に襲われ、3人で雨戸にしがみつきました。久保さんはそこから流されて、約100メートル先の道路脇で柵につかまって助かり、靖子さんも自宅の屋根に上がって難を逃れた。二郎さんは無理やと言い残して流され亡くなった。半世紀近く同じ場所に住み、どんなに雨が降っても大丈夫だったため自宅にとどまっていた。早く避難していればと後悔した。
80歳を超えてしんどい日もあるが、体が動くうちは読み聞かせと聞き取りを続けたい。体験を後世に残して命の貴さを伝えたい。それが水害で亡くなった人たちの供養になると信じていると紹介されています。
自身のつらい体験を乗り越え使命に変え、100回を超える講演に心より敬意を表したいと思います。
この紙芝居の体験映像は、和歌山県土砂災害啓発センターのホームページやユーチューブから紀伊半島大水害被災体験紙芝居で検索すれば視聴することができます。体験に勝る教訓なしであります。
近年、地震だけではなく、線状降水帯など、風水害も多発しております。
あらゆる機会を通して、過去の災害に学ぶ防災啓発に取り組むべきと考えますが、宮﨑知事の御所見をお聞かせください。
○副議長(秋月史成君) 知事。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 紀伊半島大水害被災体験紙芝居についてでございます。
災害時には、速やかに避難行動に移ることが重要であり、県としても、出張!減災教室事業をはじめ、各種防災啓発研修等において避難意識の向上に努めております。
議員御発言の紀伊半島大水害被災体験紙芝居についても、早期避難の大切さを伝えるものであり、有益なものと承知しております。
また、作者の久保榮子さんにおかれましては、紀伊半島大水害における御自身の被災体験や教訓の伝承活動に取り組まれており、防災啓発に関して大変な貢献をいただいている方と認識をしております。
過去の災害は、今後の対策や行動の指針となるものであり、体験を防災の知恵として生かしていくことは大変重要であり、紙芝居については、早期避難の啓発ツールの一つとして、おはなし講座をはじめとした防災啓発において、広く活用し周知してまいります。
○副議長(秋月史成君) 中尾友紀君。
〔中尾友紀君、登壇〕
○中尾友紀君 御答弁ありがとうございました。
次に、予防医療の推進について。
和歌山県における予防医療の取組についてお尋ねします。
高齢化が進む日本社会において、より長く健康な生活を送る上で予防医療の重要度は日々増しております。
予防医療とは、生活習慣の改善などを通じて、病気の発症を予防するほか、健康診断により病気の早期発見、治療を促し、重症化を防ぐものです。健康寿命を延ばすことや生活の質向上につながり、推進する意義は非常に大きいと考えます。
一方、我が国は、高齢化に伴う社会保障費の増大により、国民の負担感も高まっており、中には医療へのアクセスを抑えて社会保障費を減額させるという意見もありますが、公明党は、予防医療によって健康な人を増やすことで費用を削減し、保険料を抑制することを主張しております。
公明党は、多くの予防医療を推進してきました。代表的なものは、胃がん予防のためのピロリ菌除去への保険適用であります。胃の内視鏡検査を適用の要件としたことで、胃がんによる死亡者数は大幅に減少しております。生活習慣病などのリスクを高める不眠症や睡眠時無呼吸症候群といった睡眠障害に悩む人への支援も行ってきました。
予防医療の普及に向けては、目的や取組内容を周知していくことが重要です。自治体によっては、介護予防に向けて事業者の創意工夫を尊重しつつ、要介護状態への進行を遅らせた人数などの成果に応じて委託費を支払う先進事例もあります。
そこで、お尋ねします。
和歌山県における予防医療の取組について、福祉保健部長、お答えください。
○副議長(秋月史成君) 福祉保健部長𠮷野裕也君。
〔𠮷野裕也君、登壇〕
○福祉保健部長(𠮷野裕也君) 健康的な生活を送るためには、県民一人一人が健康的な生活習慣を知り、自発的に実践することで、病気の発症を予防することや早期発見、早期治療により重症化を防ぐことが重要であると考えております。
その一環として、健康コラムを今年度から開始し、健康的な食生活、たばこの健康への影響、がん検診などの健康情報を分かりやすくまとめ、SNSで発信するとともに、県ホームページへの掲載やチラシの配布など、情報を入手しやすい環境づくりを進めています。
がん検診においても民間企業とタイアップし、がんの早期発見、早期治療の重要性を啓発しております。
また、特定健診の結果、糖尿病のリスクが高い方が重症化や人工透析が必要な状態に至らないよう、市町村などの保険者や医療機関と連携し、さらなる受診勧奨や保健指導等を実施する糖尿病性腎症重症化予防対策に努めております。
今後も、県民の皆様がより長く健康的な生活が送れるよう、引き続き市町村や関係機関と協力しながら取り組んでまいります。
○副議長(秋月史成君) 中尾友紀君。
〔中尾友紀君、登壇〕
○中尾友紀君 御答弁ありがとうございました。予防医療、非常に大切なことでございますので、しっかり推進のほう、よろしくお願いいたします。
次に、HPVワクチンについてお尋ねします。
子宮頸がんは、毎年約1万1000人以上の方が罹患し、約2900人の方が亡くなるがんであります。また、若い年齢層で発症する割合が比較的高いがんで、患者さんは20歳代から増え始め、30歳代までにがんの治療で子宮を失い、妊娠できなくなってしまう人も1年間に1000人います。女性にとっては非常につらい恐ろしいがんであります。
2013年4月に定期接種が始まりましたが、積極的勧奨が差し控えられ、ようやく2022年、HPVワクチンの積極的勧奨が再開されました。約9年間の勧奨差し控えの影響を受けた対象者も、3年間の期間限定で定期接種と同じ条件で接種できるキャッチアップ接種ができるようになりました。
さらに、2025年3月31日までにHPVワクチンを1回以上接種した方は、2026年3月31日までに公費で全3回の接種が受けられます。
そこで、お尋ねします。
HPVワクチンの積極的勧奨が再開されて以降の定期接種とキャッチアップ接種の接種状況、啓発の実施状況について、福祉保健部長、お答えください。
○副議長(秋月史成君) 福祉保健部長。
〔𠮷野裕也君、登壇〕
○福祉保健部長(𠮷野裕也君) HPVワクチンの定期接種に係る延べ接種者の数は、暫定値ですが、積極的勧奨が再開された2022年度が4222名、2023年度が4393名、2024年度が5768名と増加傾向となっております。
また、キャッチアップ接種に係る延べ接種者の数は、暫定値ですが、2022年度は対象者の数が3万4599名に対して接種者の数が5366名、2023年度が3万7720名に対して6034名、2024年度が4万1455名に対して1万6381名の方が接種を受けております。
啓発については、ホームページやSNSなどを活用した広報を行うとともに、教職員等を対象とした研修会の開催や県内大学等での周知など、様々な機会を捉えた取組を進めております。
○副議長(秋月史成君) 中尾友紀君。
〔中尾友紀君、登壇〕
○中尾友紀君 御答弁ありがとうございました。引き続き、子宮頸がんを予防するため、エビデンスに基づく正しい情報の提供と啓発活動で、HPVワクチンの接種率が向上するような取組をよろしくお願いいたします。
次に、HPVワクチンの男性接種についてお尋ねします。
2018年10月14日付ヤフーニュースエキスパートによりますと、「2028年、オーストラリアから子宮頸がんが消える?HPVワクチン接種と検診で、激減する子宮頸がん」の見出しで、オーストラリアでは、2028年までに子宮頸がんの診断を受ける女性が10万人に4例未満まで減ると予測されています。一般的に10万人に対し6例未満のがんは希少がんと呼ばれており、さらに2066年には10万人に1例未満となり、先進国の中でも子宮頸がんを克服する最初の国になると予測されております。
2007年からHPVワクチン接種に積極的に取り組んできたオーストラリアは、他国に先駆けて公費によるHPVワクチン接種プログラムを導入した国でもあります。
10代の女子は学校でHPVワクチンの無料接種を受けることができ、19歳から26歳の女性もかかりつけ医の下、無償接種が受けられます。
15歳女子の接種率は、2016年78.6%と高く、さらに2013年からは学齢期の男子にも拡大しました。
HPVは、性的接触で感染が広がるため、男子にも接種することで、より効果的に感染を抑えることができます。ワクチン接種者が増えることで集団免疫も得られます。集団免疫とは、大多数が予防接種を受けることで、感染者が出ても接種済みの人だけではなく、ワクチンを接種していない人への感染拡大も抑制される効果であります。
WHOのホームページによりますと、HPVワクチンを男女ともに接種している国は、アメリカやカナダ、オーストラリア、イギリス、フランス、ドイツなど57か国もあり、男女接種は世界の常識であります。日本においても、青森県平川市が12から25歳の男性に令和4年8月から接種助成を開始、北海道余市町、千葉県いすみ市、群馬県桐生市、秋田県にかほ市などが令和5年から男性の接種の助成を開始しました。
子宮頸がんは、検診とワクチン接種で予防のできるがんであり、がんの経済負担は640億円に上るという試算もあります。日本人の死因の第1位はがんですが、早期に見つかれば身体的にも精神的にも経済的にも負担が軽減されます。本人の苦痛の軽減や医療費抑制の効果が期待されます。
和歌山県におきましても、HPVワクチンを男性にも助成し接種すべきと考えますが、宮﨑知事の御所見をお聞かせください。
○副議長(秋月史成君) 知事。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) HPVワクチンの男性への接種については、肛門がんなどに対する発症予防効果が期待できることから、任意の接種となりますが、9歳以上の男性を対象に国において承認されています。
また、定期接種化については、国の審議会において、予防する対象疾病、安全性、接種回数等に関する最新の科学的根拠の収集やそれらの評価を行いながら、継続的な議論が進められています。
県では、HPVワクチン接種に係る相談支援体制や医療体制を維持しつつ、全国知事会を通じて、男性に対する定期接種化の方針が早期に示されるよう要望しているところであり、引き続き国の動向を注視してまいります。
○副議長(秋月史成君) 中尾友紀君。
〔中尾友紀君、登壇〕
○中尾友紀君 御答弁ありがとうございました。日本から子宮頸がんをなくすという強い決意で取り組んでいただきますようよろしくお願いいたします。
次に、帯状疱疹ワクチンについてお尋ねします。
帯状疱疹ワクチン定期接種対象年齢の引下げについてお尋ねします。
帯状疱疹ワクチンにつきましては、令和7年4月から65歳以上を対象に定期接種が開始されております。しかしながら、帯状疱疹は50歳代を中心に発症率が高まることが知られており、働き盛り世代での発症は、労働損失、医療費増加といった社会的、経済的な負担につながることが報告されております。
私の知り合いも帯状疱疹を3月に発症しましたが、薬を飲んでいますが、いまだに痛みが継続していると聞いております。また、中には2年以上痛みが継続する人もいるとのことであります。
国内外の疫学研究によれば、50歳以上での発症率は有意に上昇し、また、ワクチンによる予防効果は年齢が若い人ほど高いとされております。米国や欧州の一部では、50歳以上を対象に公的接種が推奨されており、日本においても同様のエビデンスを踏まえた対象年齢の引下げが望ましいと考えます。
全国的には、1741自治体のうち、50歳から64歳に帯状疱疹予防接種の公費助成を行っているのは、2025年5月30日時点で673の自治体が実施しております。
和歌山県においても、社会的、経済的な影響を最小化する観点から、帯状疱疹ワクチンの定期接種の対象年齢を65歳から50歳へ引き下げることについて検討を進めるべきと考えますが、宮﨑知事の御所見をお聞かせください。
○副議長(秋月史成君) 知事。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 帯状疱疹ワクチンの定期接種の対象年齢については、帯状疱疹の罹患者数が70歳代にピークを迎えることや、ワクチンの有効性が時間の経過に伴い一定程度低下することなどを考慮し、原則65歳とされています。
しかしながら、全国的に帯状疱疹の罹患者数は50歳代から増加しており、県としましては、全国知事会を通じて、新たに開始された定期接種の状況等を踏まえ、対象年齢等について継続した検討を行うよう要望しているところであります。
○副議長(秋月史成君) 中尾友紀君。
〔中尾友紀君、登壇〕
○中尾友紀君 最後になります。
障害福祉について。重度心身障害児(者)医療費助成制度の精神障害者保健福祉手帳2級への拡充についてお尋ねします。
平成18年、障害者自立支援法が創設され、これまでは身体障害者や知的障害者とは別の制度で行われていた精神障害者の福祉サービスや公費負担医療制度が一元的な制度として提供される仕組みとなりました。
平成28年4月、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律、いわゆる障害者差別解消法が施行され、第7条2には、「行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。」と行政機関等における障害を理由とする差別の禁止が明確に記載されております。
平成30年、公明党の多田元県会議員の一般質問に対し、当時の仁坂知事は、精神障害者についても身体障害者、知的障害者と同様に同制度の対象とするよう、市町村とも相談しながら、現行制度の見直しを進めていくことを明言しました。
令和元年8月1日より重度心身障害児(者)医療費助成制度に精神障害者保健福祉手帳1級所持者の方がようやく新たな対象となりました。現在の対象者は、そのほかに身体障害者手帳1、2、3級所持者、療育手帳A所持者、特別児童扶養手当1級該当者となっております。
私が市会議員に初当選させていただきました平成15年より、公明党議員団として和歌山市に対して、毎年のように予算要望を出し、家族会と共に尾花市長にも要望書を提出してまいりました。県が2分の1、市が2分の1出すことにより、医療費助成の拡充が実現することができ、家族会の方も大変に喜ばれていました。
日本の精神医学の父と呼ばれた呉秀三は、今から100年以上前の話ですが、1918年、精神病者私宅監置の実況及びその統計的観察を著しました。1910年から16年にかけて行われた精神障害者の私的監置に関する全国実態調査をまとめたものであります。私宅監置とは、精神病者監護法に基づく私宅での精神病者隔離のことであります。
精神科病棟がほとんどない、抗精神薬もない時代に、公的な機関が関与し、自宅に座敷牢のような構造を作り、患者を監置することを認める法律でしたが、結果として、劣悪な環境下に精神障害者を隔離することを公的にお墨つきを与えてしまいました。その実態をつぶさに調査し、精神障害者の処遇改善を訴えたのが呉秀三であります。
「我が国十何万の精神病者は実にこの病を受けたるの不幸のほかに、この国に生まれたるの不幸を重ぬるものというべし」との言葉が、その後の精神医学界においても名言として脈々と語り継がれております。
精神病者監護法の下で、劣悪な環境の私宅監置や身体拘束から精神障害者を解放した先駆者で有名であります。30年以上前に聞いた言葉ですが、私の心に突き刺さっております。
最近では、病院から地域へと言われるようになりましたが、海外と比べ、日本の精神障害者の長期入院が問題になっているのも、その要因の一つかもしれません。
歴史的に見ても、3障害の中で一番行政で遅れているのは精神障害者への取組であります。
和歌山県紀美野町では、2020年から精神障害者保健福祉手帳2級所持者も助成の対象となっております。ほかにも、和歌山県では六つの市町が2級まで拡充していますが、どこの市町も財政に余裕のあるところはありません。
精神障害者家族会からも毎年のように医療費助成制度拡充の要望が寄せられております。家族会も高齢の方が多くなり、親亡き後の子供のことを大変に憂慮されております。
精神障害者の重度心身障害児(者)医療費助成制度を2級手帳所持者に拡充すべきと考えますが、宮﨑知事の御見解をお聞かせください。
○副議長(秋月史成君) 知事。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 重度心身障害児(者)医療費助成制度の精神障害者2級への拡充についてでございます。
障害のある方々が安定した生活を送るためには、適切な医療の継続により、病状の悪化を防ぐことが必要であると認識しております。本制度は、より医療費の負担が多い重度障害のある方が安心して医療を受けられるようにするための制度であり、障害程度が重い障害年金1級の支給要件である他人の介助を受けなければ日常生活がほとんどできないほどの障害の状態と同程度の重度の方を対象としています。
今後も安定して地方単独医療費助成制度である重度心身障害児(者)医療費助成制度を維持し、医療を受けていただくためには、まず、将来にわたり持続可能な制度とすることが大変重要と考えます。
また、地域によって極端な差異があってはならないため、国の責任において等しく医療費助成を受けられる制度とすべきものであると考えます。このことから、今すぐに県での対象者の拡大は困難でありますが、全国知事会や近畿府県民生主管部長会議等様々な機会を通じて、強く国に制度化を要望してまいります。
本人やその御家族は、誤った理解から差別や偏見に苦しみ、大変つらい思いをされてきたことと認識しております。本県では、精神障害の正しい理解の普及を図るとともに、障害のある方も暮らしやすい地域づくりに取り組んでいるところです。
引き続き、障害の有無にかかわらず、誰もが安心して自分らしく暮らすことができる環境の整備を一層進めてまいります。
○副議長(秋月史成君) 中尾友紀君。
〔中尾友紀君、登壇〕
○中尾友紀君 御答弁ありがとうございました。
1問目の必要な予算の確保について、宮﨑知事は、限られた財源の中で、医療、介護、子育てなど、県民の生活を支える事業や、命と暮らしを守る防災・減災対策事業、成長産業の創出や観光振興といった本県の経済活力を高めるための事業など、課題解決に向けた必要な予算をしっかり確保し、県政を着実に前に進めてまいりたいと、力強い答弁をいただきました。
今回質問したいずれもが担当部局にとどまらず、宮﨑知事の強いリーダーシップが必要となります。全国に先駆けて実施できるよう要望し、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(秋月史成君) 以上で、中尾友紀君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
31番藤本眞利子君。
〔藤本眞利子君、登壇〕(拍手)
○藤本眞利子君 本日も4人目ということで、大変お疲れのところ、しばらく御静聴よろしくお願いいたします。
今回は、一般質問を始めるに当たりまして、まず、最初に、5月7日から5月の14日まで訪問いたしましたニューヨークの視察の報告をしたいというふうに思います。これはニューヨークの和歌山県人会のお誘いで、そういうことになったわけです。
ニューヨーク和歌山県人会から、今年で4回目になるジャパンフェスに参加しませんかとのお話をいただきました。そこで、谷口議員、アップサイクルアーティストの湯川さん、通訳に同行してくれた谷口さんと和歌山県人会としてジャパンフェスに参加しようということで、一路ニューヨークへ飛んだのです。
5月7日に関西国際空港から羽田空港を乗り継ぎ、JFK空港に降り立ちました。JFK空港はターミナルが分散されており、私が着いたのは第7ターミナル、そこで今回御一緒する皆さんと合流し、一路ニュージャージーの宿舎に向かいました。JFK空港からは地下鉄を乗り継ぎ、宿泊施設に荷物を置いたのです。
5月8日は、ニューヨーク和歌山県人会会長の松本真由美さんと合流し、松本さんの勤務されているニューヨーク大学の視察を行いました。
ニューヨーク大学は、アメリカ合衆国ニューヨーク市に本部を置く私立総合大学で、マンハッタン中心部に本拠を置きながら、学生数が約6万人に達する巨大校で、13のスクールとカレッジから成り、近年は上海やアブダビなど、世界25か国でもキャンパスを展開しています。様々な指標で米国内の有力大学とみなされています。
THE大学ランキングでは世界総合第33位、米国内19位、U.S.News誌の米国ランキングでは第35位、ビジネス・プログラムは国内第5位の評価を受けている大学です。
ほとんどの校舎はマンハッタンに点在するビル内にあり、松本さんの勤務するキャンパスもこのビルの一角にありました。
ちなみに、学費をお聞きしますと、寮費も加えると約1200万余りの費用がかかるということで、かなりの高額で驚きました。キャンパスは点在していましたが、学生が集う場所があちらこちらにあり、学生が勉強したり雑談したりと自由な時間を過ごす様子を見て、少し羨ましい気分にもなりました。ちょうど卒業式シーズンであったため、卒業セレモニーが行われ、大勢の学生が卒業式のマントをつけ歩いている様子も見ることができました。
その後、クレア自治体国際化協会を訪問し、日本とニューヨークの関係強化の取組をお聞きしました。
クレアは、総務省から出向の方と各自治体から出向されている方、およそ20人余りが勤務されており、日本とニューヨークの橋渡し的な業務を行っています。
各自治体からの要請があれば、その問題について調査され報告をする、ニューヨークでの出店の希望があれば、その準備をお手伝いするといった対応をされています。また、ニューヨークでの人脈をつくるとともに、日本人の皆さんの活動支援、助成などの申告等のお手伝いもしていただけます。また、ニューヨークの今抱えている問題についてもお話しされ、深刻なごみ問題、増え続ける移民の問題についても説明を受けました。人種のるつぼと言われるニューヨークの困難な事例についても勉強させていただきました。
5月9日は、午後からジャパンパレードの準備があり、午前中はMoMAと愛称で呼ばれるニューヨークの近代美術館を視察しました。MoMAのコレクションで有名なところでは、ゴッホの「星月夜」、ルソーの「眠るジプシー女」、ピカソの「アヴィニョンの娘たち」など、絵画が展示されており、世界中からの観光客でにぎわっていました。
その後、松本会長と合流し、パレードの前夜祭に出席しました。
和歌山県人会、沖縄県人会と合流で前夜祭を行いました。
ニューヨークに住む日本人は移住で居住している方は少なく、どちらかというとビジネスで訪れて居住している方が多かったように思います。ただ、在住して二世、三世と続いている御家族もおられました。皆さん和やかに歓談されていました。
5月10日、いよいよ本番のパレードの日を迎えました。和歌山県人会は5番目のスタートで、日本国旗とアメリカ国旗の間という大変恵まれた位置から出発することができました。
私たちは熊野詣の平安衣装の装いのグループと、私たちはまたそれとは違う一味違った着物のパフォーマンスを行いながらパレードを進めました。そのことが日系の新聞に大きく取り上げられ、写真が掲載されたり、様々なメディアから注目を浴びることができました。
DAILYSUNの日本人向けの新聞なんですけど、その記事の中で、今日は資料の中で写真を入れさせていただいているんですが、ジャパンパレードのDAILYSUNの記事を載せていただいています。その中では、「ニューヨークで過去最大規模の『ジャパンパレード』が開催、6万人が訪れ“日本好き”の聖地に」というふうな見出しで大きく取り上げられました。
「今回で4度目となる同パレードは、ニューヨークを彩る日系コミュニティが数多く参加する催しで、日本の各地方自治体から日本人学校などの教育機関、そして和太鼓や着物、空手・柔道など日本を代表する和のカルチャーから、ハローキティやたまごっちといったポップコンテンツまで、幅広く集結。81丁目から67丁目まで全14ブロックにわたり、各自のパフォーマンスやフロートを準備してマーチを行った。」とあります。
私たちも110組のチームが参加したジャパンパレードの規模の大きさに驚くとともに、ニューヨーク在住の日本人の多くがそれぞれのパフォーマンスを楽しみながら日本の文化を伝えていたことに感動しました。参加して本当によかったと思っています。
私、そのDAILYSUNの記事、その2人が載っている写真は私と湯川さんという方なんですが、これ、多くの110組のチームの中でもこの写真が取り上げられたということで、私たちは大変喜んでいます。
そのジャパンパレードが終わった後、5月11日にはニューヨーク市内を地下鉄と徒歩で視察いたしまして、マンハッタンとブルックリンを結ぶブルックリン橋に向かいました。ブルックリン橋は、全長1053メートルのつり橋で、84メートルのゴシック様式のアーチなど、その美しさはマンハッタンの代表的な風景の一つになっています。橋は徒歩で渡ることもでき、歩道は木製、歩道の下が車道となっています。アメリカ合衆国国定歴史建造物にも登録されています。すばらしい建造物の上を大勢の観光客の皆さんが徒歩で行き交っていました。その後、ニューヨーク市庁舎見学、裁判所見学と徒歩で移動、中華街、イタリア街と足が棒になるまで歩きました。
その夜は県人会の後夜祭が行われ、和歌山県人会だけではなく、各地から県人会の皆さんでにぎやかな後夜祭となりました。はっぴを着て参加する方、阿波踊りの御披露や沖縄三線の演奏など、日本の文化がここでも盛大に披露されました。
5月12日には、田辺で着物のアップサイクル事業を手がけている湯川晴美さんとニューヨークでもそのような事業を手がけている日系2世のミス・サラ・サカナカさんのニューヨーク発アップサイクルのブランド、コンシダード・オブジェクツの会社を訪問しました。
日本では高価な着物も一旦売るとなると二束三文に買われます。一度も袖を通していないしつけ糸がそのままのような着物がたくさん捨てられています。そのような現状を何とか改善したいと、湯川さんたちが着物のアップサイクルを手がけています。趣味としてではなく、商売として成り立つよう、そのノウハウをお聞きしてきました。着物を生まれ変わらせることに付加価値をつけ、着物の持っている価値以上に商品を創造していくことが重要だという説明を受け、実際商品を見せていただき、その価格も教えていただきました。
1着のコートが着物の生地とコラボさせるだけで、コートの値段が300万円ということで、本当に大変驚きました。日本の中では難しいかもしれませんが、海外向けに商品を輸出することで道が開けるのではとアドバイスもいただきました。和やかな中にも意義深い訪問となり、今後、産業として発展させていきたいと感じました。
私の着ているこういう着物も、一旦こういうふうに着ますと、今度売るときは本当に安い値段で売られてしまうわけで、これもすごいつむぎの生地ですが、これを売るのは大変時間もかかりお値段も張るというふうな着物になっております。これを何とか新しく生まれ変わらせるアップサイクル、これもしていきたいなと思っています。
その後、世界の三大美術館であるメトロポリタン美術館の視察を行いました。世界の美術品がここに集結したような展示物に圧倒されました。全てを見ることは時間的にかなわないことでしたが、主要な部分は見て回ることができました。この美術館、やっぱり2日も3日もかかるようなそんな大きな美術館でした。ゴッホ、モネ、ルノワール、ピカソ、ルソー、マティス、セザンヌ、めったに見ることのできない絵画が本当に無造作に展示されており、こんなに身近に見ることができるなんてと大変驚きました。
写真をそこに載せさせていただいているんですが、近くの小学生が先生に連れられて、ゴッホの絵を目の前にして、その場に座って模写をしていました。これにも大変驚きました。和歌山県でもそういったすばらしい作品が展示されたときは、こういうふうに子供たちに模写をするようなそんな機会があればなというふうに思いました。すばらしい作品の前で、また来る機会があればもっとゆっくり回りたいと感じました。
5月14日午後の飛行機に搭乗すべく準備をして、帰路に着いたわけです。
今回のニューヨークはそんな形で視察を行わせていただきました。
そして、初めてのニューヨークということで、大変まちの魅力も感じましたし、様々な問題も捉えることができました。
地下鉄に乗ってもまちを歩いても、肌の色も目の色も髪の色も違う様々な国の方々が行き通っていました。英語ではない言葉もいっぱい耳にし、アメリカという国はそれが当たり前で多くの人々が集まってくることで成り立っている国なんだなあと実感しました。
まちのあちらこちらで見かける工事現場も同様で、アメリカ社会が移民の方々に支えられているという様子も見られました。
物価も高く、日本からは考えられないような値段で、食事を取ることもちゅうちょするようなありさまでした。もうすごく高くて、あまり現地で食事もできませんでした。
貧富の差も大きくて、ニューヨークのまち全体が所得の差によって分断されているようにも思いました。
今の大統領が移民排斥を実行し、大学の自治をないがしろにするという政治が、今、アメリカでは行われています。でも、これまでは、やっぱり移民を懐深く受け入れて、多様な生き方を認め合う国であったというふうに思います。
今回は、ニューヨーク和歌山県人会のお招きを受けてのジャパンパレード初参加でした。様々な人種、様々な背景を持つ人たちが沿道で大きな声援を送ってくれました。日本の文化も受け入れつつ、アメリカという国の文化に融合させていく度量を見習っていきたいと思います。
私たちもパレードをしていて、いっぱい写真を撮られました。とってもうれしかったです。
そこで、今回、外国につながる児童生徒及び保護者の支援ということに観点を少し移させていただきまして、質問したいと思います。
日本とアメリカは歴史も文化も違いますが、これからの日本も外国から移住してくる方々と共に生きていくという方向が求められてくると思います。文化の違いや言葉の壁等にトラブルやアクシデントもあるかと思いますが、お互いの立場の違いを理解し合うことが重要だと考えます。
この頃は、うちの近所でも外国の方々をよく見かけます。そのような風景が本当に普通になってきました。
先ほど今日の朝の質問で、玄素議員への答弁の中でも、県としての考え方を聞いていただいたんですが、県としては、外国人を受け入れ、共に地域をつくっていく仲間だとの答弁でありました。地域で共に暮らしていくために、先ほどもそういう答弁があったことを大変うれしく思ったのですが、地域で共に暮らしていくために、これも玄素議員の意見の中にもあったんですが、日本語の習得が本当に大事だなというふうに私も考えています。
今回、日本語指導の必要な子供たち、この子供たちも増加の傾向にあります。で、日本で働く外国人の方々と一緒に家族で日本にやってくる子供たちのことでもありますから、教育委員会で調べていただくと、小中学生で今の段階で63名、高校生で17名というふうに伺っています。これはあくまでも日本語指導が必要とされている児童生徒の数ですので、実際、外国につながっている児童生徒を含めるともっと数は多くなるんじゃないかというふうに思います。
保護者の都合で日本に移住してくる子供たちの事情はそれぞれ千差万別で、和歌山県では外国にルーツを持つ子供の数が増加していますが、まだまだ少数散在、散らばって散在しているという様子です。外国にルーツのある児童生徒の母国も多数に及んで、その実態の把握も必要なことだと思います。
日本で生まれ育った子供、小学生とか青年期に来日した子供など、非常に多様な背景を持つ外国につながる子供たちが、今後、進学や就職をして、将来社会で活躍できるようにするためにはどのような視点を持って関わっていくかということが大変重要であると思います。
文部科学省では、外国人児童生徒等の教育の充実に関する有識者会議で審議を進めており、資質、能力の育成のための新たな日本語指導や外国人児童生徒等の教育の充実についての報告を踏まえた進捗状況や外国人児童生徒を包摂する教育、指導内容の深化、充実についてヒアリングを行っていると伺っています。
しかし、県、市町村ごとに実態が異なっているため、文科省が示されている支援プログラムが一律に応用されるわけでもなく、各県ごとに手探りで進めているといった状況だと感じます。
そこで、和歌山県では、外国につながる児童生徒への指導をどのようにされているのか、教育長にお伺いしたいと思います。
まず、学校全体でどのように取り組んでいるのか。和歌山県のように、外国につながる児童生徒が散在している場合、学校に1人か2人の児童生徒を教職員全体で支え、その児童生徒の文化や知識や経験を尊重し、教育実践に生かしていくといった取組が最も必要なことだと思います。
和歌山でも外国につながる児童生徒を支援する取組が必要と考えますが、今の現状はどうなっていますか、教育長にお伺いします。
○副議長(秋月史成君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
教育長今西宏行君。
〔今西宏行君、登壇〕
○教育長(今西宏行君) 来日して間もない外国につながりのある子供の中には、言葉や文化の違いから、不安な気持ちを持っている子供もいます。子供たちが安心して学校生活を過ごすためには、新しい環境における戸惑いや不安を取り除くことが重要です。
そのため、各学校においては、特定の教員だけでなく、学校全体でその子供に寄り添いながら支えていく体制を整えていくことが大切です。また、その子供の来日した理由や、母国の文化などを共通理解した上での配慮や支援も必要です。
県教育委員会では、外国につながりのある子供たちの受入れ体制や支援の在り方について学ぶことができる研修会等を行っています。参加者からは、子供の母国における経験を生かす指導が大切であることが分かったという声がありました。
今後も研修会等を通して、学校全体での支援体制や個に応じたきめ細やかな支援の充実等を図ってまいります。
○副議長(秋月史成君) 藤本眞利子君。
〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 次に、日本語指導というのはどのような形で行われているのでしょうか。
教育委員会のお話では、昨年度より、来日したての児童生徒には特別支援プログラム作成の上、オンラインでの指導を行っているとお聞きしています。現状はどうなっていますか、教育長にお伺いします。
○副議長(秋月史成君) 教育長。
〔今西宏行君、登壇〕
○教育長(今西宏行君) 県内各地に在籍し、多様な言語を話す子供への対応等のため、小中学生に対してオンラインで日本語指導を行っています。
本講座では、日本語習得のレベルに応じた日本語指導を受講でき、日本の文化や学校のルールなどについても学習することができます。加えて、教員も日本語指導が必要な子供への支援に関する相談ができ、日本語指導の質の向上を図っています。
さらに、小中学校では、日本語指導担当教員を拠点校に配置し、複数校において子供の状況等に応じた日本語の学習をきめ細やかに進めています。また、高等学校では、日本語指導が必要な生徒の在籍する学校に教員を配置し、授業の支援や日本語の指導等、それぞれの生徒に応じたサポートを行っています。
○副議長(秋月史成君) 藤本眞利子君。
〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 次に、母語指導というのも大変重要な柱の一つです。日本に適応するための日本語指導はもちろん重要なことなんですが、自分のルーツや自分の自国の文化を学ぶことは、その子たちの自尊感情を育むためにはなくてはならないものです。自分の考え方や感情は母語でなければ言い表せないということはよくあります。そのためにも学校での母語指導はとても重要な要素だと思います。和歌山市では母語指導をボランティアにお願いしているということですが、それでは十分な指導とは言えないと思います。
教育委員会としてはどのような対策を行っているのか、教育長にお伺いします。
○副議長(秋月史成君) 教育長。
〔今西宏行君、登壇〕
○教育長(今西宏行君) 日本語指導が必要な子供が、母語や母国の文化を自身の一部として肯定的に捉えることや、自尊感情を育むことにおいて、母語指導は重要であると考えています。その上で、学習の面でも日本語だけでなく母語で指導を行うことで、学習内容をより深く理解できると考えます。
しかしながら、日本語指導が必要な子供は県内各地に在籍しており、母語も多様であるため、母語支援員等による直接的な母語指導については十分行えていません。
国では今後、日本語指導の総合的、体系的なカリキュラムを検討し、デジタル技術や教材等の効果的な活用も含む指導のガイドラインを作成することとしています。
県教育委員会では、国の動向を注視しつつ、ICTの活用とともに先進的な事例を参考にしながら、母語指導の在り方について研究を進めてまいります。
○副議長(秋月史成君) 藤本眞利子君。
〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 次は大きな課題の一つで、保護者の問題なんですね。
日本の学校教育の現状を何も知らないままで来日した保護者に、日本での教育システムや学校での規則、授業の内容ややり方、年間を通してのイベントなど、日本に住んでいる私たちなら自然と理解していることが全く分からないということがよくあることだと思います。
保護者が日本語の理解が十分でない中で、子供を学校に通わせるのは並大抵なことではありません。保護者への支援についてはどのような現状なのか、教育長にお伺いします。
○副議長(秋月史成君) 教育長。
〔今西宏行君、登壇〕
○教育長(今西宏行君) 県教育委員会では、学校から保護者への連絡文書等を多言語で作成できるウェブサイトを周知し、保護者が母語で連絡を受け取れるよう、その活用促進を図っています。
また、日本での生活に必要な読み書きややさしい日本語等を学習することができるきのくに学びの教室を開講しています。この教室には、日本語を学びたい保護者も参加してくるため、日本での生活や学校行事等、受講者のニーズに合わせた内容を自分のペースで学ぶようにしています。
また、県国際交流センターでも、和歌山県せいかつにほんご教室を対面及びオンラインで開講するなど、県内どの地域にお住まいの外国人の方でも日本語を学ぶことができる機会を提供しています。
今後、在住外国人の支援を行う関係機関等との連携を深め、日本語の学習を必要としている方にこれらの情報が確実に届くよう周知に努めてまいります。
○副議長(秋月史成君) 藤本眞利子君。
〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 ただいまの教育委員会には学校全体としての取組、日本語指導の取組、母語指導の取組、保護者への支援と、それぞれお聞きをしました。
外国に通じる児童生徒の指導については、教育委員会としてもまだ手探りのような状況のように思います。日本語指導も1人の教員が複数校を巡回しているような状況ですし、母語指導も、先ほど教育長がお答えになったように、やっぱり十分に行えないというふうな状況です。保護者への支援となると余計に難しいなあというふうに感じているわけです。
というのは、来日して、社会のことも何も分からない中で子供を学校に行かせるわけで、自分が学ぶ場所も分からないし、どこへ情報をもらいに行っていいかも分からないというふうな状況なんですね。
外国につながりのある児童生徒を受け持った担任の教員の方に少しお聞きしてきました。一番何が困っているのかとお聞きすると、例えば各種書類への記入であったり、オンラインの日本語指導講座の説明であったり、身体検査とかありますし、個人懇談もありますし、この間から大阪万博への遠足とか日常の事柄が説明できない。日常の学校生活に関わる様々な事柄というのは、その都度のことなので説明できないというふうなことでした。
そして、まだテストがありますよね。テストをどのように実施していけばいいのか、辞書や翻訳機などの利用はどうするのかとかいうようなことまでも悩まれていまして、誰に聞いたらいいんだろうと担任の先生が相談するにも、市教委に聞いても詳しく説明できる方がいないというふうなことで、本当にそれぞれの学校の担任に任されているというふうな現状だそうです。
子供たちの支援や保護者への対応もお聞きしましたけど、日本について本当に全く知らない状況で来日する皆さんの御苦労というのは、それから学校現場でその担任になった場合の御苦労というのは、本当に大変なものだというふうに推察します。
そこで、来日して日もまだ浅い児童生徒や保護者に、日常会話程度の日本語や日本での生活習慣とか文化を紹介して、日本での生活をスムーズに進めるための準備期間みたいなものを設けて、プレスクールのようなものを設置してはどうかというふうに考えるんです。
プレスクールの中で、保護者とか児童生徒がまず日常生活の約束事とか習慣、学校生活での基本的に必要な事柄とかそういうことも理解していただいて、日本語を習得することもしていただいて、この期間を経てから学校に通学できるような制度にすればいいんじゃないかというふうに思ったりするわけです。
本当に先ほども言いましたけど、保護者の方は、来たてで、じゃ、学びの教室へ行きましょうかとか、国際交流センターへ行きましょうかとか、そんな情報すらないわけで、何もない中で生活を行っていかなくちゃいけないという中で、そういうふうに基本的なことを先に理解していただくためのプレスクールを考えていってはいかがですかということなんですが、教育長に見解をお聞きします。よろしくお願いします。
○副議長(秋月史成君) 教育長。
〔今西宏行君、登壇〕
○教育長(今西宏行君) 議員御指摘のプレクラス、いわゆる初期指導教室では、来日間もない日本語指導が必要な子供とその保護者が日本の学校に適応できるように、一定の期間、集中的に指導が行われており、三重県四日市市や愛知県西尾市等において実施されています。
本取組の成果としては、来日直後の環境の変化の中でも日本の学校の様々な文化やルールを学ぶことで、学校生活にスムーズに適応できることが挙げられています。一方、課題としては、人材の確保やその養成などが挙げられています。
県教育委員会では、今後、このような先進事例等を参考にしながら、初期指導教室に通うことの制度化も含め、来日間もない子供とその保護者に対する初期指導の在り方について、市町村教育委員会とも連携して研究してまいります。
○副議長(秋月史成君) 藤本眞利子君。
〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 ありがとうございます。取りあえず、それ、本当に研究していただいて、これからやはり外国につながる児童生徒も増えてくるんじゃないかなというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
次の質問に移ります。
戦後80年を迎えまして、核兵器廃絶に向けた取組についてお伺いしたいと思います。
暑い夏がようやく過ぎようとしている今日この頃ですが、まだまだ暑いですけど、2025年8月は戦後80年、被爆80年という節目の年でもあり、敗戦を迎えた年でもあります。
私は何年かぶりに広島で行われた被爆80周年原水爆禁止世界大会に参加してきました。今年の原水爆禁止世界大会は、今までにない危機感を共有する緊迫した大会となりました。
初日は平和公園から県立総合体育館まで折り鶴平和行進を行い、その後、県立総合体育館において大会が開催されました。高校生平和大使を加えた2200人の参加者が核も戦争もない社会を実現するために、3日間の大会に集ったのです。
ロシアによるウクライナ侵略戦争での核使用の威嚇、イスラエルによるパレスチナ・ガザ地区への虐殺やイランの核施設への攻撃、アメリカによる介入、爆破攻撃と世界の大国の指導者が力による支配を強行している中、戦争や核の脅威が現実味を帯びてきています。
原水爆禁止世界大会もそのような世界の動きの中で、日本として何をすべきかと真剣な話合いが行われました。
平和宣言を読み上げた松井一實広島市長は、「米国とロシアが世界の核弾頭の約9割を保有し続け、またロシアによるウクライナ侵攻や混迷を極める中東情勢を背景に、世界中で軍備増強の動きが加速しています。各国の為政者の中では、こうした現状に強くとらわれ、『自国を守るためには、核兵器の保有もやむを得ない。』という考え方が強まりつつあります。こうした事態は、国際社会が過去の悲惨な歴史から得た教訓を無にすると同時に、これまで築き上げてきた平和構築のための枠組みを大きく揺るがすものです。」と冒頭で述べています。
長崎平和宣言を読み上げた鈴木史朗長崎市長も、「『武力には武力を』の争いを今すぐやめてください。対立と分断の悪環境で、各地で紛争が激化しています。このままでは、核戦争に突き進んでしまう。そんな人類滅亡の危機が、地球で暮らす私たち一人ひとりに、差し迫っているのです。」とこれまでにない強い言葉で核戦争に突き進む世界情勢について触れています。核問題について、これほど強い危機感があったでしょうか。戦争は最大の人権侵害であり、戦争をさせない大きな世論と政治の力が不可欠であると考えます。
広島の松井市長は続けます。「世界中の為政者の皆さん。自国のことのみに専念する安全保障政策そのものが国と国との争いを生み出すものになってはいないでしょうか。核兵器を含む軍事力の強化を進める国こそ、核兵器に依存しないための建設的な議論をする責任があるのではないですか。世界中の為政者の皆さん。広島を訪れ、被爆の実相を自ら確かめてください。」このように言われています。
鈴木市長も「地球市民の一員である、すべての国の指導者の皆さん。今年は、『戦争の惨禍を繰り返さない』という決意のもと、国連が創設されてから80年の節目でもあります。今こそ、その礎である国連憲章の理念に立ち返り、多国間主義や法の支配を取り戻してください。」と世界の為政者に呼びかけたのでした。
さて、このような呼びかけに、石破首相、交代ということになっておりますが、石破首相は、「広島、長崎にもたらされた惨禍を決して繰り返してはなりません。非核三原則を堅持しながら、『核兵器のない世界』に向けた国際社会の取組を主導することは、唯一の戦争被爆国である我が国の使命です。核軍縮を巡る国際社会の分断は深まり、現下の安全保障環境は一層厳しさを増しています。しかし、だからこそ、国際的な核軍縮・不拡散体制の礎である核兵器不拡散条約(NPT)体制の下、『核戦争のない世界』、そして『核兵器のない世界』の実現に向け、全力で取り組んでまいります。」と、こういうふうに述べています。
しかし、あくまでも核兵器不拡散条約体制の下という枠組みから一歩を踏み出そうとはしていません。
核兵器不拡散条約は、核保有の増加を防止し、未所有国は所有を禁止、既に保有している国は削減を目指すとしていますが、認められている核保有国は5大国以外にも広がり、保有国の削減も廃絶には程遠い現実があります。
2022年に行われたNPT再検討会議では、核保有国の核兵器先制使用の禁止が盛り込まれましたが、核保有国の反対によって取り下げられたという結果になっています。NPTは機能不全に陥っています。
2024年ノーベル平和賞を受賞した日本原水爆被害者団体協議会が訴えてきた核兵器を作るのも使うのも人道に反するという声が世界に届き、2021年核兵器禁止条約が制定されました。その中で大きな役割を担ったのは、この日本の被爆者の声だったと認識しています。
しかし、日本政府はいまだ核兵器禁止条約を批准もオブザーバーも参加されていないという状況です。
このような核をめぐる世界の動きの中で、知事にお伺いします。
知事は、このような日本政府の動きに対してどのような御意見を持たれているのか、お伺いします。
○副議長(秋月史成君) 知事宮﨑 泉君。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 被爆者の立場から核兵器の廃絶を訴え続けてきた日本原水爆被害者団体協議会が、昨年、ノーベル平和賞を受賞されたことは大変意義深く、心より敬意を表します。
原子爆弾によって多くの貴い命が失われ、一命を取り留めた方々も筆舌に尽くし難い労苦を体験されてきたことは、決して忘れてはなりません。広島、長崎にもたらされた惨禍が二度と繰り返されることがないように、日本は唯一の戦争被爆国として、核兵器のない世界に向けた国際社会の取組を主導していく使命があると思っております。
一方、核軍縮の進め方をめぐっては、核兵器国と非核兵器国との間のみならず、核兵器の脅威にさらされている非核兵器国とそうでいない非核兵器国との間においても分断が広がっています。
こうした状況の下、日本政府は、全ての核兵器廃絶を目指す核兵器禁止条約を核兵器国が締結する見込みはなく、核兵器国を交えずに核軍縮を進めることは難しいことから、国際的な核軍縮の取組は、核兵器国と非核兵器国が広く参加する核兵器不拡散条約──NPTですね──の下で進めていくことがより望ましいとしております。
さらに政府は、日本の安全保障環境が厳しさを増す中、日本自ら核兵器を保有することはないという前提の下、国民の生命と財産、日本の独立と平和を守り抜くためには、米国が提供する核を含む拡大抑止が必要であるとの立場を取っております。
日本政府としては、多くの方々からの声を受け、様々な角度から熟慮を重ねた結果、以上のような理由から、核兵器禁止条約の批准については難しく、オブザーバー参加したとしても、必ずしも効果的な取組にはならないという結論に至ったものだと理解しております。これは日本政府の立場であります。
私も確かに被爆者の方々の立場や、日本は唯一の戦争被爆国であるということでありますから、オブザーバーとして参加して、核兵器のない世界の実現に向けて存在感を発揮してほしいというような思いもあります。しかし、日本政府としては、今の国際情勢の中ではやむを得ない判断であると理解するところであります。日本は、これからも核兵器のない世界に向けた現実的で実践的な取組を全力で推進していくとの立場であります。
何よりも、県政を預かる私としては、今後とも県民が平和で安全な暮らしができることを常に念頭に置きながら、一生懸命に県政に取り組んでまいりたいと思っております。
○副議長(秋月史成君) 藤本眞利子君。
〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 先ほど、そのNPT、核兵器不拡散条約というのは機能不全に陥っているというふうに申し上げました。(傍聴席より電子音を鳴らす者あり)その中でも核軍縮を進めていくためには、核保有国に対して、核軍縮に努力するようしっかりと求めていただきたいというふうに思うわけです。国にはそのような私は意見を持っています。
次に、戦争を知らない世代が多くなり、最近の参議院選挙では、核武装は最も安上がりであり、最も安全を強化する策の一つだと発言をするような、本当に現実の法律も知らなければ、被爆地の事実さえ知らない政治家が現れてきた中で、県でも核を使用しないという毅然とした思いを、対応を取るべきというふうに思うわけです。
1998年の6月24日に県議会で核兵器廃絶平和県宣言を宣言しています。今こそこの宣言を皆さんと共に共有すべきだと考えます。(傍聴席より電子音を鳴らす者あり)
戦後80年を迎えた今年、いま一度この宣言に立ち返り、知事として核廃絶に向けた思いを聞かせていただきたいと思います。(傍聴席より電子音を鳴らす者あり)
○副議長(秋月史成君) すみません。この際、申し上げます。
傍聴者の皆さん、携帯電話は禁止になっていますので、よろしくお願いいたします。
知事。
〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) さきの大戦の終結から80年の節目となる本年、県民の皆さんは、戦争によって犠牲となられた内外の多くの人々に思いをはせ、万感胸に迫るものがあったことと思っております。
戦争を知らない世代が大多数となる中、悲痛な戦争の記憶を世代を超えて継承し、戦争の惨禍を決して繰り返すことなく、これからも世界の平和と繁栄に力を尽くしていかなければならないとの思いを強くしているところです。
議員から御紹介のあった和歌山県議会における核兵器廃絶平和県宣言は、核兵器の廃絶と恒久平和の実現を心から希求する全ての県民の願いが込められたものであると認識をしております。
日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中、改めて核兵器廃絶平和県宣言に込められた思いを強く胸に刻み、常に平和を追求する努力を重ね、県民の安全を守るように、私も議員の皆様と共に歩んでまいりたいと思っております。
○副議長(秋月史成君) 藤本眞利子君。
〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 非核宣言自治体という数が、2024年の5月16日現在では1667自治体を数えています。現在、和歌山県でも7市19町1村が非核宣言を行っています。
和歌山市では、非核宣言自治体として、広島平和バス事業を実施し、毎年広島平和記念式典への参加を募っています。海南市においても、高校生を平和大使として送り出しています。和歌山市や海南市のように、非核宣言をするだけでなく、自治体として、県民や市民に対して具体的な呼びかけを実践することが大切だと思います。
今後、このような自治体の動きが世界の軍縮と核兵器廃絶の流れとなることを願っていますし、その取組がもっともっと大きな流れになるような取組を進めていただきたいと思います。
現在、運動団体からは、核保有国に対して、核兵器先制不使用を宣言させる2035ビジョンが示されています。中国とインドは既にこの核兵器先制不使用を宣言済みです。
2035ビジョンでは、全ての核保有国に対してその宣言をしていただけるよう運動を続けたいとしています。全ての核保有国がその宣言をすることで、核使用への大きな歯止めになると信じます。
日本も被爆国として、この宣言を世界の核保有国に求めていくことも核兵器廃絶のための大きな歩みになると信じて行動を起こしていただきたいと強く願います。
今回は、この平和の問題、そして外国につながりのある児童生徒の教育の課題、どう保障していくかという問題を取り上げました。
さきの参議院選挙では、核兵器が安上がりだとか、日本人ファーストを公約した党が議席を大幅に確保しました。これ、まるでトランプ氏の二番煎じのような公約でありました。外国につながりのある児童生徒や大人は、この言葉、日本人ファースト、どのような気持ちで受け止めたのかというふうに思いました。
移民の問題で揺れるヨーロッパの国々も同じような主張をする党が躍進しており、日本でも影響の波が押し寄せているようです。しかし、その主張している内容は、歴史を改ざんし、デマや事実に基づかないものが多く、SNSやユーチューブ等での切り取られた映像が多くの国民を扇動したように思います。
これからの社会を生きていかなければならない子供たち、国や民族の違いを超えてお互いの違いを認め合えるような、亡くなった知事がよく話されていた多様性、公平性、包摂性を大切にする人間になっていくよう、私たち大人も力を尽くしていきたいというふうに思います。
今回の選挙では、大変いろいろと考えさせられました。そのことを申し上げまして、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(秋月史成君) 以上で、藤本眞利子君の質問が終了いたしました。
これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
明日も定刻より会議を開きます。
本日は、これをもって散会いたします。
午後2時40分散会

