令和7年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


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令和7年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号

議事日程 第2号
 令和7年9月16日(火曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第120号から議案第137号まで(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第120号から議案第137号まで(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(40人)
 1番 高田英亮
 2番 上山寿示
 3番 佐藤武治
 4番 鈴木德久
 5番 森 礼子
 6番 濱口太史
 7番 井出益弘
 8番 尾崎要二
 9番 玄素彰人
 10番 山家敏宏
 11番 鈴木太雄
 12番 岩田弘彦
 13番 吉井和視
 14番 中村裕一
 15番 北山慎一
 16番 坂本佳隆
 17番 中本浩精
 18番 堀 龍雄
 19番 新島 雄
 20番 山下直也
 21番 三栖拓也
 22番 川畑哲哉
 23番 秋月史成
 24番 谷口和樹
 26番 坂本 登
 27番 岩永淳志
 28番 小川浩樹
 29番 中尾友紀
 30番 岩井弘次
 31番 藤本眞利子
 32番 浦口高典
 33番 尾﨑太郎
 34番 藤山将材
 35番 小西政宏
 37番 中西 徹
 38番 林 隆一
 39番 片桐章浩
 40番 奥村規子
 41番 谷 洋一
 42番 長坂隆司
欠席議員(1人)
 25番 山田正彦
〔備考〕
 36番 欠員
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説明のため出席した者
 知事         宮﨑 泉
 副知事        友井泰範
 知事室長       北廣理人
 総務部長       山本祥生
 危機管理部長     中村吉良
 企画部長       北村 香
 地域振興部長     赤坂武彦
 環境生活部長     湯川 学
 共生社会推進部長   島本由美
 福祉保健部長     𠮷野裕也
 商工労働部長     中場 毅
 農林水産部長     川尾尚史
 県土整備部長     小浪尊宏
 会計管理者      高橋博之
 教育長        今西宏行
 公安委員会委員長   竹山早穗
 警察本部長      野本靖之
 人事委員会委員長   平田健正
 代表監査委員     田嶋久嗣
 選挙管理委員会委員長 和歌哲也
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       中嶋 宏
 次長         橋爪正樹
 議事課長       岩井紀生
 議事課副課長     田中 匠
 議事課議事班長    川原清晃
 議事課主査      川崎競平
 議事課副主査     西 智生
 議事課副主査     林 貞男
 総務課長       榊 建二
 政策調査課長     岩谷隆哉
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  午前10時0分開議
○議長(岩田弘彦君) これより本日の会議を開きます。
 日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
 過日提出のあった議案第121号及び議案第126号は、いずれも職員に関する条例議案でありますので、地方公務員法第5条第2項の規定により、人事委員会の意見を徴しましたところ、文書により回答がありました。配付しておりますので、御了承願います。
 次に日程第1、議案第120号から議案第137号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、併せて日程第2、一般質問を行います。
 4番鈴木德久君。
  〔鈴木德久君、登壇〕(拍手)
○鈴木德久君 皆さん、おはようございます。
 今回、9月議会のトップバッターとして発言の機会をいただきました。先輩・同僚議員に感謝を申し上げながら、気合を入れて一般質問をさせていただきます。
 改めまして、皆さん、今年の夏はといいますか、今年の夏も大変暑かったですね。体調のほうはいかがでしょうか。
 私も、8月下旬の6日間、稲刈り作業に従事しまして、一番暑かったであろう8月の31日の日曜日には、龍神で寿野球の大会に参加して、2試合出場して、3試合目は半分ですけど、塁審をするという。大げさなことを言えば、ちょっと命の危険を感じながら今年の暑い夏を堪能させていただきました。
 9月1日の気象庁の発表によりますと、今年の夏、6月から8月の日本の平均気温が平年を2.36度上回り、明治31年の統計開始以降で最高になったとのことでした。令和5年、6年も過去最高を記録しているので、3年連続で最も暑い夏となり、気温上昇に歯止めのかからない状態が続いているということです。
 日本の平均気温は、環境の変化の影響を受けにくく、地域的な偏りがないよう選んだ15地点の観測結果から算出し、平成3年から令和2年の30年間の平均が基準値とされています。
 また、群馬県伊勢崎市で41.8度を観測し、国内最高記録を更新。最高気温35度以上の猛暑日を記録した地点数も延べ9385か所に上り、過去最高を記録しました。
 気象庁によると、地球温暖化で気温が底上げされており、長期的に見れば、今後も極端に暑い夏が増える可能性が高く、向こう1か月は全国的に平年より高温になる見通しで、引き続き熱中症対策が必要だと言われています。
 最近、私の近くでも、非常に親しい高齢の男性が、熱中症が原因と思われる状況で急死するというケースがありました。熱中症対策が重要であることはもちろんですが、山間過疎地域に住む者にとって、救急医療に関して思うところがありましたので、今回の質問の第1項目めとして、救急医療用ヘリコプター、いわゆるドクターヘリの運航についてお伺いしたいと思います。
 皆さん既に御承知のとおり、ドクターヘリとは、医師をいち早く救急現場に連れて行くヘリコプターのことで、機内には初期治療に必要な医療機器や医薬品が装備・搭載されており、医師のほかに看護師が同乗して救急現場に向かい、到着後、患者に対し速やかに治療を行い、医療機関に搬送します。ヘリコプターは飛行機と違い、少ないスペースで離発着できるため、航空救急医療にとって重要な存在とされています。
 世界最初のドクターヘリは、1952年(昭和27年)にスイスで山岳遭難者を救護し病院に搬送する仕組みとして創設されました。1970年代に入り、交通事故による犠牲者を減らすことを目的に、ドイツやアメリカでヘリコプター救急が始まります。次第に、急病人の治療や患者搬送へと用途が広がっていきました。
 日本で正式に運航が始まったのは平成13年4月で、導入のきっかけとなったのは、平成7年1月17日に発生した阪神・淡路大震災でした。その後、ドクターヘリの導入は年々増え続け、令和4年4月現在、全国47都道府県に56機が配備されています。
 和歌山県のドクターヘリは、平成15年1月から運航を開始、全国でも7番目の早さで、和歌山県はドクターヘリのパイオニアであるとも言えます。当時の知事のコメント等からも、和歌山県は山と海に囲まれた南北に長い地形で、過疎地域に暮らす人々も多い。和歌山市には県立医大病院や日赤医療センターなど大きな病院もあるが、重篤な病気やけがに襲われたとき、それを治療できる病院まで運ぶのはとても時間がかかった。だから、当時の県や関係者が英断を振るって、近畿で最も早くドクターヘリの就航を決定したということでした。未整備であった奈良や三重の中山間に住む人々に対しても要請を受け、何度も救援に駆けつけ、その活躍ぶりが近隣県でのドクターヘリ導入を促したとも言われています。
 現在では、関西広域連合2府6県の対象事業のうちの広域医療の分野において相互応援の協力体制をしいており、より信頼感を増しています。
 具体的な話として、私の住んでいる田辺市本宮町の場合、要請から本宮救急ヘリポートまで15分から20分、本宮救急ヘリポートから新宮市立医療センター、南和歌山医療センター及び紀南病院まで約10分程度で搬送できます。これが救急車での搬送の場合は、50分から75分かかっています。
 ドクターが乗っている劇的な救助例として、私の家の前の168号線で高齢者の単独事故があり、血気胸の疑いがあり、ドクターヘリを要請し、ヘリポートで胸腔ドレナージ──胸に管を挿管して血液と空気を排出する処置を行い、救命に成功した事例や、つい最近も心筋梗塞の患者さんが助かったといった話がありました。
 また、現場の消防隊員の話として、複数の傷病者がいる場合、現場でのトリアージが可能になり、傷病者の緊急度、重症度に応じて治療や搬送の優先順位を決定してくれるのは非常にありがたいとのことです。まさに誰に聞いてもドクターヘリに対するリスペクトと感謝の言葉しかなく、誰もがその健全な運営を願っている状態であると言えるのではないでしょうか。
 和歌山県では、県立医科大学とヒラタ学園との間で業務委託契約を行っていますが、その委託先事業者など、ドクターヘリの運航について幾つかの心配される情報が入ってきていますので、事実関係等について確認させていただきたいと思います。
 まず、昨年5月、本県を含む関西広域連合のドクターヘリの運航事業者であるヒラタ学園は、対空照明の有効期限が切れた機体から部品を流用するなどといった整備措置事案により、大阪航空局から業務改善命令を受けました。また、今年4月には、長崎県沖で本県のドクターヘリEC135と同機種の民間医療搬送ヘリコプターが墜落する事故が発生しています。
 さらに、運航事業者であるヒラタ学園の整備士不足により、本県を含む広域連合管内ドクターヘリが順次運航休止し、本県にあっては、7月9日から15日にわたり、1週間も運航が休止したという報道がありました。天候不良や機体の不具合による運航停止は致し方ないことだと思いますが、運航業者の人員不足による運航停止はあってはならないことだと思います。
 先ほども申しましたとおり、本県のように南北に長く、山間僻地を多く抱える地域にあって、ドクターヘリは救急医療体制に欠かすことのできないものであり、県民にとっては不安になる事案が立て続けに発生している状況であると言えます。
 県として、これらの事案に対し、どのような対応を取ってきたのか、また、運航停止期間中の影響について、福祉保健部長にお伺いします。
○議長(岩田弘彦君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 福祉保健部長𠮷野裕也君。
  〔𠮷野裕也君、登壇〕
○福祉保健部長(𠮷野裕也君) まず、業務改善命令につきましては、関西広域連合構成府県のドクターヘリ担当課長による再発防止対策チームを設置し、ヒラタ学園による再発防止策に係るフォローアップを行ったところ、最終的に、ヒラタ学園から大阪航空局に対し、安全管理統括管理者の設置や、必要な予備品の配置などの対策が完了した旨の報告がなされたところです。
 次に、長崎県沖の事故につきましては、事故発生直後に、事故原因の可能性のある箇所について本県ヘリの緊急点検を実施し、安全運航に支障がないことを確認しました。
 また、整備士不足による運航停止につきましては、本県の運航停止期間中にドクターヘリによる搬送要請が3件ありましたが、近隣府県ドクターヘリと相互応援による体制を確保していたことにより、大阪府及び奈良県のドクターヘリが対応したため、影響はありませんでした。
○議長(岩田弘彦君) 鈴木德久君。
  〔鈴木德久君、登壇〕
○鈴木德久君 御答弁ありがとうございました。
 実質的な影響はなかったと聞いて少し安心しましたが、改めて、ドクターヘリは年間運航回数が500回を超えるなど、本県の救急医療体制において欠かすことのできないものとなっています。
 また、近隣府県の応援があるとはいえ、本県のドクターヘリが運航停止になるということは、救急搬送の初動に大きな影響が出てきます。
 最近、ドクターヘリのトラブルが多いように思いますが、安定運航に向けて、県としてはどのように取り組んでいくのか、知事にお伺いいたします。
○議長(岩田弘彦君) 知事宮﨑 泉君。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) ドクターヘリについて、お答えをいたします。
 関西広域連合管内におけるドクターヘリは、同一会社による運航です。そのことから、一体的な運航体制を構築でき、効率や円滑な相互応援の面で利点があるとの認識でありました。
 一方、1事業者の人員規模に対して余裕を持った運航台数でなければ、業務負担が大きくなるというデメリットもあります。今般のドクターヘリに係るトラブルの要因は、ヒラタ学園の人員不足に起因することが大きいと感じています。
 対策案としましては、ヒラタ学園に対し、人員確保の要請を行っているところです。また、関西広域連合におけるドクターヘリの運航委託契約が今年度で終了することから、次期契約に向け、運航委託先の分散を関西広域連合に提案しているところです。
 県としては、より安全で安定した運航体制を堅持するため、ヒラタ学園に対し、引き続き契約内容の確実な履行を強く求めてまいります。
○議長(岩田弘彦君) 鈴木德久君。
  〔鈴木德久君、登壇〕
○鈴木德久君 御答弁いただきました。
 空の天使とも言われ、県民の皆様に信頼されているドクターヘリの安定運航に向けて、万全の体制で臨んでいただきたいと思います。
 そこで、今後期待するのは、24時間運航に向けての取組です。埼玉県では、防災ヘリを使っての運航がなされているようです。大変費用もかかり、パイロットの確保等について難しい問題だと思いますが、少しでも前向きに進められるよう、よろしくお願いいたします。
 次に、第2項目めとして、救急安心センター事業(♯7119)についてお伺いします。
 私は、令和5年9月議会でも質問しましたが、改めて♯7119とは、急なけがや病気をしたとき、救急車を呼んだほうがいいか、今すぐに病院に行ったほうがいいかなど、判断に迷うとき、専門家からアドバイスを受けることができる電話相談窓口です。
 ♯7119に寄せられた相談は、電話口で医師、看護師、相談員がお話を伺い、病気やけがの症状を把握して、救急車を呼んだほうがいいか、急いで病院を受診したほうがいいか、受診できる医療機関はどこか等を案内します。
 この事業の背景には、急なけがや病気等で不安になったとき、医師や看護師などの専門家に相談することで安心を提供する、また、相談により、適切な判断の下、地域の限られた救急資源である救急車の有効活用につなげ、一方で、救急要請のためらいによる重症化を防ぐ効果を期待しているものと思います。
 令和7年7月現在、♯7119の普及状況は、総務省消防庁の資料によると、34都道府県が全域で実施しており、県内の一部で実施している地域が3地域となっています。
 また、♯7119のサービスを受けることができる国民は1億378万人、人口カバー率は82.3%となっています。近畿地方を見てみますと、滋賀県では実施されておらず、和歌山県では30市町村中1市7町にとどまっており、他の4府県では府県全域で♯7119のサービスを受けることができます。
 ♯7119の事業の実施効果について、令和6年度救急業務のあり方に関する検討会の報告書によると、救急車の適時・適正な利用において、軽症者の搬送割合の減少、不急の救急出動の抑制、潜在的な重症者の発見等についての効果と救急医療機関の受診の適正化、消防機関の負担軽減化については、医療機関における時間外受付者数の減少、医療機関・消防機関における救急医療相談の抑制、診療時間外救急外来者の減少等について効果が確認されています。
 また、利用者の満足度については、大阪府及び京都府では約9割の利用者が「役に立った」、「ある程度役に立った」と回答しており、奈良県では約8割の利用者が「役に立った」と回答しています。
 令和5年度での♯7119の普及状況は、都道府県全域と一部地域を合わせて30地域でありましたが、現在では、先ほども申したとおり、37地域まで拡大しています。
 令和5年9月定例会の一般質問で、♯7119を導入することで、県民の皆様にさらに心強い救急医療情報システムに発展できるのではと質問させていただき、危機管理監答弁では、「♯7119事業には様々な効果があることから、県としては、導入済みの都道府県等における事業の効果や実施主体、市町村と県の費用負担割合、現在、県救急医療情報システムで行っている救急医療機関案内との役割分担や連携などについて、県内各消防機関の意見も伺いながら調査研究に努めてまいります」と答弁いただいています。
 冒頭で述べたとおり、私は、82.3%の国民がサービスを受けられる状態でありながら、和歌山県の22市町村の住民がサービスを受けることのできない、不公平で非常に残念な状況にあると認識しています。
 この制度には、相談業務があるのが好評で、救急車を呼ぶかどうかだけでなく、軽症の場合でも病院に行く判断がしやすいとのことです。全県下で実施しているところは、ほぼ県主導でやっていると聞いていますし、私は、和歌山県は他府県と比べ、♯7119の普及が遅れていると認識しています。
 そこで、まず、令和5年から現在までの県内の♯7119の普及状況や、以前答弁いただいた県救急医療情報システムとの役割分担及び連携に関する県内各消防本部の意見を踏まえた調査研究結果について、その取組状況、また、今後の県全域での♯7119の実施についてどのように考え、対応していくのか、危機管理部長にお伺いいたします。
○議長(岩田弘彦君) 危機管理部長中村吉良君。
  〔中村吉良君、登壇〕
○危機管理部長(中村吉良君) まず、県内での救急安心センター事業、いわゆる♯7119の実施状況ですが、議員御発言のとおり、本年5月から日高郡6町を管轄する日高広域消防事務組合が開始したことにより、県全体で1市7町となっております。
 ♯7119の実施について、国からは、都道府県全域での導入を検討するよう求められており、県としましても、県内一律でのサービス提供につながることから、県内全域での導入が望ましいと考えているところでございます。
 令和5年9月定例会以降、県内各消防本部に♯7119の導入に関する意向について確認をしたところ、積極的に導入を希望する団体もあれば、県内全域または消防指令共同運用を行う指令センターで導入するのであれば希望する団体や、費用負担の問題から導入を希望しない団体もあるなど、考え方に違いがあることが分かりました。
 導入に当たっては、各消防機関の同意が必要となるとともに、本県では、受診可能な医療機関の紹介等を実施する和歌山県救急医療情報システムによるサービスを県内全域で既に提供していることから、同様のサービスの重複がなく、費用負担を抑えられる最適な方法で♯7119を導入する必要があると考えます。
 これらの課題解決に向け、消防機関や関係部局と協議を進めた上で、県内全域での♯7119の導入に向けて検討を進めてまいります。
○議長(岩田弘彦君) 鈴木德久君。
  〔鈴木德久君、登壇〕
○鈴木德久君 御答弁いただきましたが、まあまああんまり2年前と変わっていないなという感じはしております。医師の偏在によって、なかなか専門医にかかることができない地方に住む者にとって、せめて医療相談だけでも全国レベルで受けたいと願う県民は多いと思います。
 田辺市の県内他市町村からの着信件数及び全着信に占める割合を見ても、令和5年度1969件、48.6%だったのが、令和6年度、3976件、65.6%と倍増し、管内相談件数を上回っています。この方々は相談を受けられない状況にあるわけで、現場では苦慮しているとのことです。
 消防本部の同意が得られないということですが、神奈川県では県主導で費用負担もし、健康医療局が実施主体になっています。他府県に先駆けて実施し、称賛を得ているドクターヘリ事業に比べ、同じ県なのかと思ってしまいますので、積極的な取組をお願いしたいと思います。
 続きまして、第3項目めです。和歌山県の森林林業についてお伺いいたします。
 企業の森事業について質問します。
 本県は、県土の約8割が森林となっており、この森林をよりよい姿で次世代に引き継いでいくことが重要です。しかしながら、林業においては、木材価格の低迷などから再造林が難しいとされ、森林の保全を危惧しているところです。
 こうした中で、全国に先駆けて取り組んでいる企業の森事業は、森林の保全だけでなく、都市と山村との交流による地域の活性化、また、企業側にとってのCSR活動のフィールド確保など、関係者それぞれに多くのメリットがあり、大変効果があるものと考えております。
 私の地元の田辺市においても、熊野古道沿いに多くの企業の森があり、こうした取組により、地域が元気になった、山に人のにぎわいが戻ったなど、喜びの声が寄せられているところです。
 そこで、企業の森事業の現状と、取り組み始めてから20数年がたちますが、その検証について、農林水産部長にお伺いします。
○議長(岩田弘彦君) 農林水産部長川尾尚史君。
  〔川尾尚史君、登壇〕
○農林水産部長(川尾尚史君) 企業の森事業につきましては、企業のCSR活動による森林整備の促進を図るため、本県が全国に先駆けて平成14年度から取り組んでおります。例年、協定の締結は年間4者程度となっていますが、本年度は8月末までに5者と締結したところであり、これらを含め、現時点で104の企業と団体が118か所、面積にして329ヘクタールで森林保全活動を実施しています。
 特に、議員の地元の田辺市は、世界遺産である熊野古道周辺の森林保全に取り組めるとして人気が高く、企業の森の取組箇所数は県全体の約半数を占めるなど、非常に活発な活動が展開されています。
 また、取組の効果につきましては、活動面積の約5割でコナラ、クヌギ、ヤマザクラなどの森林へと再生が図られているとともに、森林組合等での作業員の雇用確保や、企業社員等と地域住民との交流による地域活性化にも寄与しています。
 近年は、企業のSDGsへの取組が広がっていることから、今後も、こうした企業・団体への誘致活動を一層積極的に進め、企業の森事業の拡大を図ってまいります。
○議長(岩田弘彦君) 鈴木德久君。
  〔鈴木德久君、登壇〕
○鈴木德久君 御答弁いただきましたように、企業の森事業に参加いただいている104の企業は、県にとって貴重な財産と言えると思います。林業面だけでなく、企業にとってもほかのメリットがあるような事業を各部局で検討していただけたらと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 続いて、紀州材利用について質問します。
 和歌山県は、古くから紀州・木の国と呼ばれ、優良木材の産地として知られてきたところですが、戦後植林した森林資源は、今まさに成熟期を迎え、木材利用が重要な課題となっています。
 また、脱炭素社会への貢献という点においても木材利用を進める必要があり、公共土木工事や公共建築工事において、紀州材の利用を促進することが重要であると考えていますが、まず、公共土木工事における紀州材の利用に関して、取組状況をお聞かせください。
 次に、建築工事における住宅着工戸数が低迷している状況であり、公共建築物や民間の非住宅建築物における木材利用が重要であると思われます。しかしながら、木造建築は高いからといって木造を検討しない市町村もあると聞きます。
 このような状況の中、木材利用拡大のために、私は、県が率先して公共建築物の木造・木質化を進め、木造のモデルとなる建築物を示し、県民の目に触れる機会を多くつくることが市町村や民間への波及効果を高め、紀州材の利用拡大につながっていくものと考えます。
 公共建築物への紀州材利用拡大のため、どのように進めていくのか、併せて県土整備部長の所見をお聞かせください。
○議長(岩田弘彦君) 県土整備部長小浪尊宏君。
  〔小浪尊宏君、登壇〕
○県土整備部長(小浪尊宏君) まず、公共土木工事における紀州材の利用についてお答え申し上げます。
 平成26年に公共土木工事木材利用マニュアルを策定し、木製構造物の設計や施工に関する標準的な事項を定め、有効かつ積極的な木材利用を図っているところです。また、策定後も、木製工法の使用箇所のルール化などの改定を行ってまいりました。
 一方、公共建築物においては、平成29年に策定いたしました公共建築工事木材利用マニュアルに基づき、基本的には木造でとの考えの下、ドクターヘリ格納庫や熊野高校講堂などの低層建築物について木造化・木質化を行ってまいりました。
 現在、県営住宅の建て替え事業において、県有施設としては初めてとなる3階建ての木造建築物として計画し、設計を行っているところです。
 加えて、木造と非木造の混構造も含め、和歌山県のモデルとなるような公共建築物の木造化・木質化を進めてまいります。
 さらに、公共土木工事、公共建築工事ともに、工事成績評定において紀州材の使用を加点評価しているところです。
 引き続き、公共土木工事、低層建築物以外も含む公共建築物の双方について、他県の先進事例や最新の技術を参考にしつつ、紀州材の利用拡大に取り組んでまいります。
○議長(岩田弘彦君) 鈴木德久君。
  〔鈴木德久君、登壇〕
○鈴木德久君 県土整備部長から、県営住宅の建て替え事業において、木造化を計画し、設計を行っているとの答弁をいただきましたが、ぜひこれを公共建築物の木造モデルの一つとして完成させ、しっかりと今後につなげてほしいと思います。
 本県の人工林の多くは、本格的な利用期を迎えています。この豊富な人工林資源を活用し、森林所有者、林業事業体など、林業関係者がもうかる林業を実践できれば、地域経済も活性化し、ひいては若者の定着も促せるものと考えております。
 岸本前知事は、生前、地球環境問題が重視される今、森林の価値は大きく見直されている。森林は脱炭素時代の新たな資産となる。和歌山県には森林が県土の8割もある。先人たちが植栽し育んでこられた人工林が成熟しており、それを生かすため、50年先を見据えて林道整備を進めるなどと、和歌山県の森林と林業振興への熱い思いを語っておられました。
 令和6年度の予算編成では、財政危機警報が発出されている厳しい財政状況の中、林道整備を中心とする農林水産業の重点化に取り組む施策を盛り込み、林道整備の加速化を図るため、市町村が実施する林道開設などへの県補助率の拡充や、広域的な幹線林道の整備を県代行で実施するなど、思い切った林業政策を打たれていました。また、令和7年3月には、林道を計画的に整備するため、和歌山県林道整備計画を策定し、令和22年までに28路線、135キロを整備することを掲げられました。和歌山県の重点施策についての講演では、林道整備の加速化による持続可能な林業・木材産業の形成を語られるなど、林道整備に力を入れておられたことが今でも印象に残っています。
 岸本前知事は、林業行政政策について基礎づくりを行い、さあこれからといった新年度を迎えて間もない令和7年4月15日、突然の死去となりましたことは、県職員や我々県議会はもちろんのこと、和歌山県民にとっても何とも言えない不幸な出来事でした。しかし、急逝した岸本前知事の政策の継承を掲げた宮﨑知事が就任されましたことで、県内の林業関係者は一堂に宮﨑知事に期待しているところです。
 9月8日、アバローム紀の国にて開催された和歌山県の重点施策と題した第145回和歌山放送情報懇談会においても、知事は林道の加速化を推進するとおっしゃっておりますが、改めてその意気込みをお聞かせください。
 また、現状では、林道整備だけでなく、紀州材の需要拡大や担い手の確保、育成も重要課題であり、総合的に進めることで林業が成長産業として飛躍すると思いますが、いかがでしょうか。
 宮﨑知事におかれましては、就任後3か月が経過しましたが、和歌山県の林業振興について、今後、どのように取り組んでいかれるのか、そのお考えについてお聞かせください。
○議長(岩田弘彦君) 知事。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 林業振興に向けた考え方についてでございますが、林業は、現在、木材価格の低迷等により収益が悪化し、山の価値も低下しています。しかしながら、近年、世界的に脱炭素化への動きが加速していること、また、和歌山県は森林が県土の約8割を占め、先人たちが植栽し育んできた人工林が利用期を迎えていること、このようなことを踏まえ、様々な取組を通じ、本県の山を宝の山にしたいと考えております。
 例えば、森林の二酸化炭素吸収量をクレジットとして販売できる制度を活用すれば、木材販売以外の収入を得ることができます。さらに、木材を建物に利用すれば、長期間炭素を固定する効果がありますし、鉄などの資材に比べると製造や加工の段階でのエネルギー消費量が少ないとの報告もあり、脱炭素社会の実現に大きく寄与するものと思っております。
 また、知事就任からこれまでの3か月間の間に、積極的に林業の現場を訪れ、関係者の皆様と対話を重ね、その中で多くの方から林道の整備を進めてほしいというお声をお聴きしております。
 そこで、まずは林道を整備し、木を切って、使って、植えて、育てるという森林の循環利用の促進を図ることが重要だと考え、本年3月に策定した林道整備計画に基づき、林道整備の加速化に取り組んでまいります。
 具体的には、12年ぶりの県代行林道に着手し、広域的な幹線林道の整備を推進いたします。さらに、市町村に対しても林道開設等に対する県補助率の拡充などを行っており、引き続き積極的に支援してまいります。
 次に、機械化やデジタル技術の導入により、生産性を向上させることも重要です。また、公共建築物や民間非住宅建築物において積極的に紀州材の活用を促進すること、さらに、林業従事者の所得向上などによって林業の魅力を高め、担い手の確保、育成に取り組むことなど、今後、林業の振興に関しては、これらのことを推進して、和歌山・木の国の循環型林業の実現に積極的に取り組んでまいります。
○議長(岩田弘彦君) 鈴木德久君。
  〔鈴木德久君、登壇〕
○鈴木德久君 御答弁いただき、ありがとうございます。ぜひともよろしくお願いいたします。
 和歌山県とよく似た森林県である高知県に何回か視察に行きました。高知県も同じように危機感もあり、かなり力の入った林業行政を行っています。そこで一番感じたのは、カリキュラムもさることながら、木材をふんだんに使った林業大学校のすばらしさです。県外からの方々に非常に分かりやすいPRだと思います。
 先ほど、県土整備部長から、公共建築物へも紀州材の利用拡大に取り組んでいくとの答弁をいただいたところですが、上富田町の農林大学校も老朽化が進んでいます。見本となるような木造の校舎に建て替えていただくことを要望いたしまして、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(岩田弘彦君) 以上で、鈴木德久君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 19番新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕(拍手)
○新島 雄君 議長のお許しをいただき、この場に立たせていただいております。
 近頃、目の調子が悪く、年齢のせいだと思っていますが、今日も原稿を間違えて読むのではないか、そんな不安もありますし、声が枯れたり、また、要らないことをしゃべってみたり、(「それは困ります」と呼ぶ者あり)そんなことが時々起こります。時には相談を受けたことを忘れてしまったり、痴呆症が進んでいるんかなあ。それかといって、議長の頭も薄くなったなあ、そんなことを思ったりもするんですね。まあ年のせいだと思ってお許しをいただきながら、少しの間、お時間をいただきたいと思います。
 今年は昭和100年、そして戦後80年の年でもあります。80年前の7月9日の夜から10日未明にかけて、和歌山市にB29が108機、17万発の焼夷弾で和歌山市を一晩で焼け野原にしました。死者は1100人以上と言われています。
 8月には、広島、長崎で原爆の日の式典が行われ、15日には終戦記念日の慰霊祭が天皇皇后両陛下御臨席の下、日本武道館にて開催されました。私も議長の折、その式典に参加をさせていただいたのを思い出しております。
 被爆された都市では、地元の知事さんや市長さんの平和宣言があります。いつも大変な重みを感じながら聞かせていただいています。被爆者の関係者の皆さんや子供たちが自らの言葉で発する平和への誓いなども、他人事ではないことを思い知らされます。
 しかし、それは戦争の一面だけなのかもしれません。日本が東南アジアで侵略をしていた事実もあります。今、戦後80年を迎えていますが、世界では戦争が絶えません。今後の世界を思うとき、我々は何を考え、何を中心に備え、世界平和や各国で起こっている諸問題と向き合っていくのか、近未来が恐ろしくなり、不安を感じることがあると同時に、責任を感じることが多くなりました。
 現在、我々のふるさとは、少子高齢化の波にのみ込まれ、苦しんでいます。少しでもよいふるさとを子供や孫に残したい、そう皆さんも考えていることだと思います。
 私は以前、サイパンを訪れる機会がありました。サイパンは、スペインの占領下になり、アメリカの占領下にもなりました。もちろん日本の占領下であった時代もあります。そのサイパンを訪れた一番の理由は、サイパンのすぐ近くにあるテニアン島に行きたかったのであります。
 テニアン島のことを知っている人もいると思いますが、この島は、原子爆弾を積み、広島、長崎に投下したB29が飛び立った島であります。今でもその場所には写真があり、原子爆弾を積んでいる姿や写真、その場所そのものが残っています。話を聞いたわけではありませんが、その場所に立つと涙がこぼれてきました。しかし、この飛行場は、日本人が造った飛行場であります。
 サイパンでは、現地の人と少しだけ話をする機会がありました。その人たちは、皆さんこちらに気を遣ってくれたのか、日本の時代が一番よかった、そう言ってくれました。その理由は何かと尋ねると、日本は教育を与えてくれたと、そう言ってくれました。もう15年ほど前の話であります。そのときには、高齢者の中に少しだけですが日本語をしゃべれる方もいらっしゃいました。
 今後の和歌山県を考えたとき、和歌山という山をどう動かし、心の底で和歌山をなめるなと気概と知恵を持ち、汗とともに力を合わせ、この厳しい状況を乗り越える一つの方法は教育だと考えています。教育というものは時間のかかる事業であり、すぐに目に見えることでもありませんし、終わることのない大切な人類最大の重要課題と考えています。
 そこで、今回は、教育に関連する質問をさせていただきます。
 7月末に新聞に出た情報であります。英国の名門私立校、和歌山に進出の見出しが朝刊の和歌山版に出ていました。英国のパブリックスクール、スコットランドのゴードンストウン校とのことです。その後も何度か新聞の記事になっています。恥ずかしながら、この記事を見るまで全くの知らない情報でありましたし、驚きとともに本当かと思いました。
 既に、運営を担う国内学校法人OCCとの契約や、大阪に本社を置くサンヨーホームズ株式会社の用地15ヘクタールとの合意が済んでいて、2027年9月に開校を予定していると書いています。もう2年後にはインターナショナルスクールが開校しているのです。8月には、和歌山市役所で、和歌山市、学校法人OCC、サンヨーホームズ、南海電気鉄道の4者による締結式もあったようです。大切な和歌山県の教育に関することであり、県民にもたくさんの疑問があると思いますので、詳しく聞きたいと思います。
 まず、最初の質問です。
 今回の話は、いつ頃からの話なのか、県が把握したのはいつか、インターナショナルスクールとはどのような学校を指すのか、日本の学校教育法との関係はどうなっているのか、また、日本の小中高の卒業と同じ扱いになるのか、和歌山での教育方針や、教員はひょっとして外国人ばかりになるのでしょうか、御答弁をいただきたいと思います。
○議長(岩田弘彦君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 企画部長北村 香君。
  〔北村 香君、登壇〕
○企画部長(北村 香君) これまでも断片的な情報は聞いておりましたが、発表に向けて詳細を和歌山市からお聞きするその前に報道がありましたので、ゴールドストウン・スクールの日本校が和歌山市梅原で2027年に開校予定であるという詳細を県が把握したのは、本年7月31日の新聞報道になります。その後、和歌山市に確認したところ、和歌山市に対しては、昨年末に進出に係る提案があったと聞いております。
 インターナショナルスクールとは、法令上、特段の規定はありませんが、一般的には、主に英語により授業が行われ、外国人児童生徒を対象とする教育施設であると捉えられています。
 インターナショナルスクールの中には、学校教育法第1条に規定する学校として認可されたものもありますが、多くは同法第134条に規定する各種学校として認可されており、いずれの認可も受けていないものも存在しているようです。
 なお、ゴールドストウン・スクールの日本校は、同法第134条に規定する各種学校としての開校を予定していると聞いておりますが、各種学校を卒業したとしても、同法第1条に規定する小学校、中学校、高等学校を卒業したことにはなりません。ゴールドストウン・スクールの日本校での教育方針は、英国式教育内容を基本とし、英国本校のカリキュラムや活動に和歌山ならではの特徴あるカリキュラムを付加していく予定と聞いております。
 また、教員の国籍構成等については、未定と聞いております。
○議長(岩田弘彦君) 新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕
○新島 雄君 答弁の中で、ゴードンストウン校だと思うんですが、ゴールドストウン校と部長ちょっとおっしゃっていたんで、訂正だけしといてください。
 それと、答弁の中では、この各種学校というのは卒業と言うたらいいんですかね。修業というのか、卒業と言えないのか、その辺は微妙に分からないんですが、また教えてください。
 今、基本的なことをお聞きしたわけであります。では、運営をする学校法人OCCという学校ですが、現在の運営状況や学校の実績を教えてほしいと思います。
 また、土地建物の契約状況、賃貸なのか、買い取ったのかというようなこと、それから、南海電鉄も締結をしていると聞いておりますので、どのような内容になっているのか、お答えをいただきたいと思います。
○議長(岩田弘彦君) 企画部長。
  〔北村 香君、登壇〕
○企画部長(北村 香君) 学校法人OCCについては、大阪市阿倍野区に所在しており、昭和27年に学校法人を設立し、教育テック大学院大学、大阪キリスト教短期大学のほか、幼稚園、保育所等の運営をしております。
 また、運営状況については、同法人からは、経常収支は黒字で推移していると聞いております。
 学校法人OCCと地権者のサンヨーホームズ株式会社間における契約については、本年8月に既存の建物及び新たに建設する寮施設に係る合意がなされ、詳細は協議中であると確認しております。
 また、南海電気鉄道株式会社については、本年8月6日に、学校法人OCC、サンヨーホームズ株式会社、和歌山市と4者で締結した協定の中で、学校法人OCCとサンヨーホームズ株式会社に対して支援を行うとされていますが、その内容については検討中であると聞いております。
○議長(岩田弘彦君) 新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕
○新島 雄君 民間のことですので、案外秘密裏に事が運んでいくことも多いかと思います。でも、和歌山の県内のことですので、できる限り情報を集めていただきたいと思いますし、そういう意味から言うと、ここがなぜこの少子高齢化が進む和歌山を選んだのか。また、もう一つちょっと気になるのは、和歌山市の梅原のところに、和歌山市が近隣で進めている多目的広場というのがありますが、それとの関連はあるのか。
 それから、授業料が随分高い、そんなことを言われております。どれほどなんですかね。もちろん、その次の大きな項目にも関連するんですが、この学校は高校授業料無償化の対象外になりますよね。お答えをいただきたいと思います。
○議長(岩田弘彦君) 企画部長。
  〔北村 香君、登壇〕
○企画部長(北村 香君) 和歌山市のプレスリリースによりますと、ゴードンストウン・スクールでは、人格教育やセーリング等の課外授業を通した教育が重視されており、場所の選定については、マリンスポーツに適した自然豊かな周辺環境や津波の心配のない高台エリア、関西国際空港との良好なアクセスなどがポイントになったとされております。
 また、生徒は国内外から広く募集されるようですので、少子化が進む和歌山県で開校したとしても、生徒募集に影響がないと判断されたのではないかと考えます。
 和歌山市が近隣で整備を進めている用地については、本件とは関係なく、段階的に整備検討を進めていると伺っております。
 また、年間の費用は、授業料と寮費を合わせて800万円程度と聞いております。
 国の高等学校等就学支援金制度における高校授業料無償化の対象かどうかについては、各種学校として認可されただけでは対象にはなりません。なお、同制度においては、各種学校のうち文部科学大臣の指定を受けた外国人学校等は対象になりますので、将来的に対象となることも考えられます。
○議長(岩田弘彦君) 新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕
○新島 雄君 対象になる可能性もあるというような答弁であります。金額を聞いてみて驚いておりますから、なかなか日本の中でどれだけの人がここへ子供をやれるのかなあということを考えてしまいます。
 気になることは、まだほかにもあります。2年後に開校するということですんで、その前の受験、学校の説明会、そんなのはいつ頃の予定なのかというと、まず、この学校そのものが認可をされなければなりませんので、認可までのタイムスケジュールはどのようになっているのか。全寮制ということも聞いておりますんで、万が一事件や事故が起これば警察に連絡をするのでしょうが、もし生徒や学校に問題が起これば、どこが対処するのか。
 それと、22年の8月、岩手県の八幡平市に、それから23年9月、千葉県の柏市に同じような学校が開校されたのがあります。その内容や運営実績を教えてください。
○議長(岩田弘彦君) 企画部長。
  〔北村 香君、登壇〕
○企画部長(北村 香君) 最初の受験時期や学校説明会などの具体的な時期については、未定と聞いております。
 ゴードンストウン・スクールの日本校は2027年9月の開校を予定していると聞いておりますので、本年11月末までに各種学校の設置計画書を県に提出していただくことになります。県が計画の承認をした場合は、2026年4月末までに設置認可申請書を県に提出いただき、県は認可、不認可を決定することとなります。
 学校内で問題が起きた場合については、基本的に学校、学校法人で問題解決に向け対応いただくことになります。
 なお、県といたしましては、いじめや不登校等の相談があれば、ほかの私立学校と同様、私立学校を所管する文化学術課で対応してまいります。
 また、御質問にあった学校のうち、岩手県の学校の生徒数については、募集人数に対して約8割が在籍しており、その国籍の内訳は、日本が約3割、中国が約4割、その他20か国以上を合わせて約3割と聞いております。
 両校の年間の費用については、学年や入寮の有無にもよりますが、学費、寮費合わせて800万円から1000万円程度で、長期合宿や遠征時など、追加で費用が発生する場合もあると公表されております。
 両校では、地域との連携も積極的に行っており、スポーツや芸術での交流活動やイベントの実施などを通して、国際理解の促進と地域活性化に取り組まれております。
○議長(岩田弘彦君) 新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕
○新島 雄君 まだ2年後ということで、公になっていない部分が多いのかと思いますが、できればその都度、情報としていただければありがたいな、そのように思います。
 また、この学校に通う、もし和歌山県の県内の子供がこの学校へ行った場合、そして、何らかの理由で学校をやめなければならなくなった場合、例えば、公立学校へ変わっていく、そんなことが考えられます。教育委員会は、どのような関わりを持って和歌山の子供たちを手助けできるのか、教育長、お答えください。
○議長(岩田弘彦君) 教育長今西宏行君。
  〔今西宏行君、登壇〕
○教育長(今西宏行君) インターナショナルスクールから公立学校に変わる場合の就学先については、小中学生は、居住する地域の就学すべき市町村立小中学校に通うことになります。
 高校生は、インターナショナルスクールは各種学校であるため、高校へ入学する際は高校入試を受験する必要があります。
 県教育委員会といたしましては、公立学校に変わることを希望される場合には、個々の事情を聞かせていただき、市町村教育委員会と連携しながら丁寧に対応してまいります。
○議長(岩田弘彦君) 新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕
○新島 雄君 まだまだ分からない部分が多いかと思いますが、何か和歌山から世界へ飛び立つ子供たちが出てくればいいのになあという期待もさせていただきたいと思います。
 では、無償化の質問に移りたいと思います。
 自民党、公明党、維新の会の協議で、高等学校授業料無償化が進んでいます。教育委員会や関係する担当者の方々も、急に決まったことで御苦労をおかけしたことでしょう。国に対して刃向かうわけではありませんが、疑問に思うことがありますので、質問をさせていただきたいと思います。
 授業料を無償化することが本当に今後の和歌山県の教育に寄与していくのか、何を考え、何のために無償化を推進するのか、和歌山県の教育が今後どのように変わっていくのか、じっくり考える必要があります。
 高等学校授業料無償化については、平成22年に始まったと聞いています。十分な知識はありませんが、既に15年が過ぎました。先日の新聞記事に、学習塾の経営者が、私立高校の授業料が無償化になる前提で、進路選択から公立を外す生徒がいると書いていました。これは、県立高校の危機と考えます。また、県立高等学校の教育改革を同じようにもっともっと進めていく時代に入っているとも考えています。
 ふるさと和歌山県のさらなる発展や県民が世界で活躍するために必要なのは、教育が一番であります。だからといって、教育論を叫ぶつもりはありません。でも、教育は大切ですし、人をつくることは国家百年の計であります。
 授業料が無償化されれば、もろ手を挙げて喜べばよいのですか。本当に授業料が無償化されれば、よい結果を得られるのでしょうか。大いに検証する意味でも質問いたします。
 まず、今までの高校授業料無償化の変遷をお答えください。公立高校では、授業料以外にどの程度の費用が必要なのか、また、先ほども申しましたが、県立高校の教育改革が必要になってくると考えていますが、県はどう対処し、どう考えているのかお聞きいたします。教育長、お願いいたします。
○議長(岩田弘彦君) 教育長。
  〔今西宏行君、登壇〕
○教育長(今西宏行君) まず、公立高校につきましては、平成22年4月から年額11万8800円の授業料が無償化されました。平成26年7月からは所得制限が導入され、年収約910万円以上の世帯は無償化の対象から外れました。令和7年度においては所得制限がなくなり、再び全ての世帯が無償化されました。
 次に、私立高校については、平成22年4月から、公立高校と同様に年額11万8800円分の支援が行われてきました。また、私立高校は授業料が一般的に高額であることから、平成22年4月から低所得世帯には一定の上乗せ支援が行われてきました。その上乗せ支援の対象世帯や支給上限額は、平成26年及び令和2年において段階的に引き上げられ、年収約590万円未満の世帯に上乗せ分を含めて39万6000円を上限に支給が行われるようになりました。
 公立高校と同様に、令和7年度において、年額11万8800円分の支援については所得制限がなくなり、全ての世帯が対象になりました。令和8年度からは、上乗せ支援についても所得制限がなくなり、全ての世帯に45万7000円を上限に支給される予定と聞いています。
 公立高校では、授業料以外には、入学金、教材費、制服代、修学旅行代等が必要であり、各高校によりその費用は異なりますが、1年次にはおおむね20万から30万円程度は必要になると見込まれます。
 本県では、このたびの高校授業料無償化の導入前から、専門高校の機能強化や普通科高校の改革に取り組み、宇宙探究コースの設置、蓄電池人材の育成、農業教育一貫プロジェクトの実施、文化芸術等の学びを充実させる総合学科改革、探求的な学びの充実など、県立高校の魅力化、特色化を推進しています。
 また、今後の高校教育改革につきましては、現在、国の来年度予算編成に係る概算要求がなされており、文部科学省から新たな財政支援として、高校教育改革やそれに伴う施設の老朽化対策等に活用可能な交付金等が要求されております。
 県といたしましては、国の動向を注視しながら、新たな国の支援策をうまく活用して、県立高校の教育改革を着実に進めてまいります。
○議長(岩田弘彦君) 新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕
○新島 雄君 次は、今、公立高校と私立高校のことを、両方お答えをいただいた部分もありますが、私学の高校も授業料が一律無償化になるんですね。
 調べたところ、ほかの地域では、それでは足りなかった、45万何がしかで足らなかった私学もあるらしくて、都道府県のほうで上乗せをしているところもあると聞いています。和歌山県ではどのように考えているのか、また、それ以外に対象外の費用とはどんなものがあるのか、どの程度なのか、お答えをいただきたいと思います。
○議長(岩田弘彦君) 企画部長。
  〔北村 香君、登壇〕
○企画部長(北村 香君) 3党合意に基づく、いわゆる高校授業料無償化は、国の高等学校等就学支援金制度の見直しにより、私立高校等の場合は45万7000円を上限として就学支援金を支給する全国一律の制度です。授業料が本制度の上限額を超える私立高校等もございますので、全ての私立高校等が一律無償化となるわけではございません。
 また、本制度に対する県費での上乗せ補助は、現在のところ考えておりません。
 なお、本制度の対象外の費用のうち、学則で定められている費用については、入学料や施設整備費等がございます。その費用は学校や学年により異なりますが、県内私立高校の全日制の入学年度における費用は平均で24万円程度となっております。
○議長(岩田弘彦君) 新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕
○新島 雄君 答弁の中に45万何がしかということですが、それはたしか平均値だったのかな。そこで何かで線引きをしたんだと思うんですが、その金額が出るということになると、どことも私学は最低それになるだろうし、それ以上の金額に値上げをしていくんだろうなあというのは普通に考えられることなんで、どこまで授業料がいくのかなあという心配もあります。
 答弁を聞いて、教育にはお金がかかるということが事実であります。もっともっと思い切って、教育長からも、国に対してこんなお金が欲しいんだというような要望をどんどんどんどんしておってほしいな、そう思いました。
 一例を挙げますと、ある女子中学生なんですが、彼女は県内のある学校へ行って、トイレが汚い、それだけで県外の学校を選びました。非常に残念だなあと思いました。その学校は古い歴史もある学校で、いい学校なんですが、そんなことが今、子供たちが選ぶという時代に入っておるということを認識していただいて、より以上必要なところにはお金を出していかないかんということを、再度お考えをいただきたいと思います。
 それと、一つ気になることがまだありまして、先生が生徒からお金を集金している。現金を集金していると。キャッシュレスがこれだけ進んでいる時代に、問題起こったら大変なことですよね。だから、ほかの方法をいち早く考えていただきたいな。先生の仕事かどうかという議論ではなしに、現金を学校で扱うことの危険度、危なさを考えれば、御一考いただければありがたいな、そのように思います。
 次の質問に移ります。
 これが最後です。
 大変この教育というのは難しい、答えの出にくい問題でありますが、そこには大きな理念や哲学、そんなものが必要になってくるかと思います。先ほど質問した無償化の件も、理想や希望がなくては単なるばらまきになりますし、国家のためにはなりません。
 そこで、教育長には、和歌山県の教育の指針となる、全県民に分かりやすく、立ち止まっても、振り返っても、必ず善悪の答えが出せる大きな方針を出してほしいと考えています。
 時間は15分ほどあります。たっぷりありますので、あなたの言葉であなたの思いを、教育長、お答えください。
○議長(岩田弘彦君) 教育長。
  〔今西宏行君、登壇〕
○教育長(今西宏行君) 本県の教育は、令和5年に策定した和歌山県教育振興基本計画に基づいて行っており、この計画では、学校教育、家庭教育、生涯学習などをテーマに五つの方向性を示しておりますが、その中でも人権教育が全ての教育活動の基盤となっております。
 いじめ、不登校、様々な家庭事情を抱えた子供がいることなど、ますます多様化、複雑化する課題の多くは、子供の人権が尊重されていないことから生じております。子供の権利を守るべき立場の教職員は、高い人権感覚を身につけておく必要があります。子供たちも、それを備えた教職員から教わることで、自分も他人も大切にできる心が育まれていきます。そうすれば、学校で起こり得る様々な問題も、未然防止や早期解決に導いていくことができるようになると考えております。
 その上で、学校教育では、子供たちに対し、探求的な学びにより自ら考え行動できる力を育んだり、道徳や特別活動などを通して心身の健やかな成長を促したりしているところです。
 一方で、学校だけでは行き届かないところもあるため、家庭を丸ごとサポートできるよう、福祉部局とも連携しながら、必要な支援につなげていく取組を行うなど、誰一人取り残さない教育を推進してまいります。
 また、人口減少が進むと、子供たちを取り巻く環境も変わってまいりますが、勉強、スポーツ、芸術文化活動など、子供たちがやりたいと思うことに精いっぱい挑戦し、成長できるよう、質の高い教育と安心して学べる環境づくりに努めてまいります。
○議長(岩田弘彦君) 新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕
○新島 雄君 約2分間でした。随分時間があったので、楽しみにはしておったんですが。
 三つ子の魂百まで、そんな言葉があります。家庭教育がスタートでありまして、地域教育であったり、その上に学校教育だと思っています。大人がしっかりしていけば、よりよい地域はつくっていけるんだろうと思いますが、大きな柱であることは確かだと思っています。和歌山県の教育が全国から見て、和歌山すごいねと言われるような、そんな教育先進県になればうれしい、そう思って質問をさせていただきました。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(岩田弘彦君) 以上で、新島雄君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時30分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○議長(岩田弘彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 20番山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕(拍手)
○山下直也君 皆さん、こんにちは。今、議長のお許しをいただきました。
 2月定例会以来、約半年ぶりの一般質問であります。有意義な質問とさせていただきたいと思いますので、失礼なことを申し上げるようですが、当局の皆さん方の誠実な御答弁をよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 それでは、通告に従いまして、質問に入ります。
 1項目め、今後の財政運営についてであります。
 8月末に、国では、来年度予算の概算要求が締め切られました。総額122兆4454億円となり、昨年度に比べ約7.2兆円の増加、3年連続で過去最大を更新いたしました。長期金利の上昇を受け、国債の利払い費が大きく増えているほか、今回の概算要求では、各省庁の裁量的経費について賃上げや物価上昇を反映した増額要求が認められるなど、インフレの局面に対応した概算要求基準となったことが昨年度から大幅に増加した理由の一つであります。
 一方、県では、例年10月に次年度の予算編成方針が発表され、年末年始にかけて来年度の予算を編成していくことになりますが、令和8年度予算は宮﨑県政におきまして初めての当初予算編成となります。
 予算に関しましては、令和5年2月に財政危機警報が発出されてから2年が経過をいたしましたが、財政危機警報の発出以降、建設関連産業の予算が減少しており、県内の関連企業の方からは、県発注の入札件数が減少したという大変切実な声を聞いております。県内の建設関連企業は、地域の社会基盤の維持をはじめ、いざ災害が起こったときに真っ先にインフラの復旧等、県民の安全確保の使命を担っていただいておりますので、公共事業の減少に伴う経営悪化が心配であります。
 現在の日本経済を取り巻く状況に目を向けますと、県民生活に直結する物価の上昇が依然として続いており、今後もその傾向が続くと予想されます。
 加えて、本県の最低賃金も11月1日からは65円アップの1045円となる見通しであり、初めての1000円台となりました。政府は、2020年代に最低賃金を全国平均で1500円とする目標を掲げており、この目標を達成するためには、今後毎年7%以上の賃上げをしていかなくてはなりません。
 最低賃金引上げにつきましては、働く人からすれば、これはうれしい話でありますけれども、企業の経営者の視点に立ちますと、コストの上昇につながる話でありますので、経営をこの先、圧迫することになり、大変なことになると、そのような部分もあるわけであります。
 県内の企業はほとんどが中小企業や小規模事業者でありますので、商品やサービスに人件費のコスト上昇分を転嫁していかなければ、たちまち経営の悪化というものにつながってまいります。
 また、最近、気になっている話として、県の入札でも不調になる、こういう案件が増えているとお聞きをいたしております。これは、建設関連工事に限った話ではなく、役務調達も含めた県庁全体の話であります。
 原因は、恐らく急激な物価高や人件費の高騰により、入札予定価格と実勢価格の乖離などが原因だと推察いたしますけれども、不調の場合、再入札の際に、入札参加資格が県内企業から、県外企業も含めた条件に枠が広がる場合もあるとお聞きをしており、もし県外の体力のある大手企業が入札に参加するということになりますと、県内の小規模事業者はなかなか太刀打ちできません。そうなれば、ますます県内企業が衰退していくことにつながり、これは大きな問題だと感じております。
 令和7年6月26日付で、総務省から各都道府県宛てに出されました「地方公共団体の発注における適切な価格転嫁の実現に向けた更なる取組について」という通知の中でも、地方公共団体の入札手続において留意すべき事項として、最低賃金額の改定や労務費、それから原材料費、エネルギーコスト等の実勢価格を踏まえた適切な予定価格の作成を行うこと、また、同様の事業でほとんど同じ予定価格を長年見直すことなく実施している事業がある場合は、これは多角的な市場調査を行い、最新の実勢価格等を踏まえた積算を行うことなどが明記をされております。
 最初にも申し上げましたが、国の概算要求では、今回から、インフレ局面に対応した概算要求基準に変更されており、工事単価や労務単価を物価上昇に合わせて大幅に引き上げるなど、物価高や賃金上昇を予算要求に反映しやすい形にしたとのことであります。
 県当局におかれましては、これから来年度予算を編成していく、そういう重要な時期に当たり、物価高騰や最低賃金引上げなど、最新の実勢価格等を踏まえた適切な入札予定価格の設定ができますよう、必要な予算額の確保をお願いしたいと思います。
 また、物価高騰の影響を受け、様々なものの値段が上がっている中で、ガソリン価格も大きく値上がりを続けております。県予算への影響を懸念しております。
 県でも、職員の多くの皆さん方が公用車で県内各地を回ることが多いというふうに思いますけれども、ガソリン価格の高騰により燃料費がどんどん上がっています。特に県警は、警察車両が治安維持のためガソリンを多く消費すると思うわけでありますけれども、警察活動において、ガソリンを節約することに過剰に反応し、活動が制限されるようなことが決してあってはなりません。
 一方で、ガソリン価格を抑えるために、体力のある大手の石油会社と契約し、地元の比較的小さなガソリンスタンドの経営が悪化するようなことも避けなくてはなりません。大変難しい問題であります。
 このように、全体として、歳入はあまり増える見込みはないけれども、物価上昇や最低賃金引上げにより歳出はどんどんと増えてまいります。県の最近の当初予算はおおむね約6100億円前後で推移をしておりますが、いろんなものの価格、サービスの価格が上昇している中、同じ予算額であれば事業規模を小さくせざるを得ないことが想定をされます。南海トラフ地震への備えや老朽化したインフラの更新など、まだまだやるべきことが多い中で、必要十分な予算が確保できるのか、来年度の予算が組めるのか、大変心配をいたしております。
 令和7年2月定例会の一般質問でも御指摘をさせていただきましたが、本県の財政状況につきましては、今年度の当初予算時点で、財政調整基金及び県債管理基金が令和9年度には枯渇してしまい、財政危機警報を発出した2年前より悪化しているという試算でありました。県の財政運営は大変厳しい状況だと認識をいたしております。
 現在、県の歳入については、県税や地方交付税などの一般財源が全体の57%となっていますが、国で議論されているガソリン税暫定税率の廃止などの状況によっては、さらに厳しくなる可能性があります。
 一方で、歳出は、人件費、公債費といった義務的経費が40%を占めており、社会保障関係費も含め、今後ますます増加する見込みであります。新たな行政需要に対応した新政策などもやっていかなくてはなりません。
 県の財政構造を変えていくことはなかなか一筋縄ではいかないと承知をしておりますけれども、知事も6月の所信表明の際、将来を見据えた政策遂行と、将来世代に対して責任を持った財政運営のバランスを意識しながら対応していく、そう述べられました。
 この物価高や人件費の高騰など、インフレ局面の経済情勢の中、今後の県の財政運営についてどのように取り組んでいかれるのか、知事のお考えをお伺いしたいと思います。
○議長(岩田弘彦君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 知事宮﨑 泉君。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 山下議員の質問にお答えします。
 ここ数年の物価や賃金の上昇は、議員御指摘のとおり、本県の財政運営にも影響を与えております。県としては、国による物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金なども活用しながら、物価高騰や賃上げ等の影響を適切に予算に反映できるよう、これまでも予算編成過程において取り組んできたところです。
 これから本格化する令和8年度予算編成におきましても、適切な積算に基づく予算となるよう財政当局と関係部局で十分に連携して取り組んでまいります。
 その上で、おっしゃるとおり、少子高齢化や物価・賃金の上昇といった社会経済情勢の中で、現在の財政構造を抜本的に変えることは困難でありますが、財源が限られている中でも必要な予算は確保しなければなりません。業務量適正化の観点も踏まえ、既存事業の効果検証等による見直しや重点化、国庫補助金の有効活用といったこれまでの取組を着実に継続し、地道に努力をしてまいりたいと考えております。
 そういった考え方の下、現在の財政運営の指針である新中期行財政経営プランについて、終期を待たずに前倒しで今年度中に見直すこととしております。
 職員一丸となって知恵を絞り、さらなる事務の効率化や民間活力の積極的な活用、県有施設の必要性の再検証など、あらゆる手を尽くし、これまで以上に危機感を持って健全な財政運営の確保にしっかり取り組んでいく所存であります。
○議長(岩田弘彦君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 ぜひ、知事が掲げます未来に希望を持って前を向ける、笑顔あふれる和歌山、この実現に向け、将来世代にツケを回すことなく、持続可能で健全な財政運営をお願いいたしたいと思います。
 なお、今回答弁は求めませんけれども、質問で触れましたとおり、建設関連産業の予算減少や警察車両の燃料費高騰につきましては非常に懸念をしておりますので、県土整備部長、そして警察本部長におかれましては、しっかり対応していただきますようよろしくお願いを申し上げます。
 あと、これは要望なんですけれども、保育施設の物価高騰対策についてであります。
 2月定例会の一般質問でも取り上げ、共生社会推進部長からは、必要な支援を検討していくとの答弁をいただいているところでありますが、県内の保育園やこども園からは、急激な物価高騰により給食の食材費や光熱費が大幅に上昇し、園の運営に大きな影響が出ていると聞いております。2月の段階で園の負担額は、園児1人当たり年間約1万円とのことでありました。園児が100人いれば、年間100万円のコスト増になっているとのことでしたが、現在、お米の価格も急激に上がっておりますし、食材費が本当にさらにかさんでいるものと思われます。
 本県では、介護施設や障害者施設に対する物価高騰対策支援が行われておりますが、なぜか保育施設は対象外となっています。近畿のほとんどの府県では、介護施設等に加え、保育施設の物価高騰対策支援も行っております。
 こどもまんなか社会の推進を掲げる本県といたしまして、和歌山の未来を担う子供を育てる保育現場への支援はやっぱり大切だというふうに思いますので、ぜひ来年度当初予算におきましては必要な対策を取っていただきますよう再度お願いを申し上げたいと思います。
 共生社会推進部長、予算に関することでございますので、総務部長も、この点よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 では、次の質問に移ります。
 2項目め、ヤングケアラーへの支援についてであります。
 去る9月1日、海南nobinosで開催されました県と県教育委員会が主催をいたします令和7年度和歌山県ヤングケアラー支援担当者等研修会に参加してまいりました。
 研修会には、私のほかに川畑議員も出席されておりましたが、市町村のヤングケアラー支援の担当者やスクールソーシャルワーカー、そして養護教諭など学校教育関係者の方、子供に関わる活動をされている方などが参加をされており、皆さんと一緒に東京医科大学メンタルヘルス科、精神医学分野講師の小野美樹先生による「身近に感じて!ヤングケアラー~こどものニーズをキャッチできるまちをめざして~」、そう題した講演を拝聴いたしました。
 ちなみに、小野先生は、令和3年3月まで和歌山県の海南保健所の所長をされていた方であります。
 小野先生のお話によりますと、ヤングケアラーは、過度な家族のケアを担うことで、子供の成長に必要な様々な機会が制限されてしまい、学業不振や友人関係の希薄化、健康問題、進路への影響など、将来にわたり、その人の人生に影響を与える大きな問題とのことであります。
 しかしながら、そのヤングケアラーへの支援につきましては、医療と福祉、教育の情報連携不足や、相談窓口が分かりづらいなど、様々な課題があるとのことでありました。
 近年、ヤングケアラーという言葉も随分一般に浸透してきたというふうに感じておりますけれども、まだまだ声を上げることができずに苦しんでいる子供がいると思うと、これは皆さんも同じだと思いますけれども、大変胸を締めつけられるものがあります。
 私は、過去の一般質問におきまして、児童虐待や自殺対策、発達障害への支援について県の取組を尋ねてまいりましたが、私の政治信条として、いえ、私だけでなく、この議場におられます先輩・同僚議員もそうであると思います。大人でも子供でもみんな精いっぱい今厳しい時代を生きている中で、泣いて困っている人がいれば寄り添って手を差し伸べる、泣いている人を減らしていくというのが議員の役割であり、政治や行政の役割だと、そう皆さん方も思っておられると思います。
 ヤングケアラーについても、心を病んだり、学校にも行けなくなったり、最悪は追い詰められて自ら命を絶つというような事件・事故に発展する場合も想定される深刻な問題であると思ってございます。
 ヤングケアラーの問題については、過去の一般質問や予算特別委員会におきまして、川畑議員や堀議員、中尾議員などが実態調査や取組状況などについて質問を行ってきました。
 令和3年に行われた県独自の実態調査では、県内の中学校、高等学校の2年生を対象とした調査で、回答者の約4%が家族のケアをしており、そのうち、ストレスなど生活への影響を感じているのは、家族のケアをしている回答者の約4分の1、全回答者の1.2%という、そういう結果でありました。また、「家族のケアをしている」と答えた回答者のうち、9割弱の子供が誰にも相談していないことが分かりました。
 昨年度は、和歌山市でも、このヤングケアラーの実態調査が行われました。児童生徒に対する「お世話をしている人がいるかどうか」、この質問については、小学校で11.6%、中学校、高等学校で7.1%が「いる」と回答しており、教職員に対する「ヤングケアラーがいるかどうか」の質問につきましては、9.7%が「いる」と回答しております。
 また、ヤングケアラーの認知度についての質問では、小学校で69.9%、中学校、高等学校で56.9%の児童生徒が「聞いたことがない」と回答したとのことであります。
 国でも、ヤングケアラーへの支援は急務であるとして、令和6年6月、子ども・若者育成支援推進法が改正をされ、「家族の介護その他の日常生活上の世話を過度に行っていると認められる子ども・若者」としてヤングケアラーが定義され、国、地方公共団体等が各種支援に努めるべき対象であることが明記されました。
 法改正に伴い、国から発出された通知には、具体的な支援の在り方として、ヤングケアラーの状況や心情に関する学校関係者等の理解促進に努めた上で、主に市町村において、任意の記名式等、個人を把握することが可能な方法により調査を実施することが必要とされており、少なくとも年1回程度の定期的な調査実施が望まれるとのことであります。
 また、県については、実態を踏まえ、条例の制定や計画策定など、広域的な支援体制の整備や、県が中心となって市町村との役割を整理し、地域におけるヤングケアラーの把握から支援につなぐ、その仕組みの構築などが期待されているところであります。
 そこで、まずは、法改正を受けて、ヤングケアラーへの支援に対する現在の県の取組状況について、共生社会推進部長にお尋ねをいたします。
○議長(岩田弘彦君) 共生社会推進部長島本由美君。
  〔島本由美君、登壇〕
○共生社会推進部長(島本由美君) 県では、ヤングケアラーを支援するため、これまで、ヤングケアラー本人やその家族等が相談しやすくなるよう市町村の相談窓口を一本化し、県ホームページに掲載するなどの周知や、県で作成したヤングケアラー支援のための福祉サービスの手引を活用し、必要な福祉サービスに円滑につながるよう教職員や支援者に対し啓発を行っているところです。
 また、2024年の法改正により、支援に努めるべき対象となるヤングケアラーの定義が法律上、明示されたところですが、ヤングケアラーの支援を進めていくためには、より一層、周囲の大人等が理解を深め、家庭において子供が担っている家事や家族のケアの負担に気づき、必要な支援につなげることが重要であると考えております。
 まずは、関係機関等の職員に対してヤングケアラーへの理解を促すため、機会を捉え、法改正の趣旨について周知を図っているところです。
 また、県、市町村がそれぞれの役割を整理し、ヤングケアラーの把握から各自治体における支援体制の構築を行うことを目的として、市町村のヤングケアラー支援担当者を集めた情報交換会を実施しているところです。
 このような取組を通じて、周囲の大人をはじめ、子供自身がヤングケアラーだと気づき、適切な支援機関につながることができるよう認識の共有を図ってまいります。
○議長(岩田弘彦君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 ヤングケアラーへの支援につきましては、早期発見と把握が何より大切であります。子供の中には、自分がヤングケアラーだと自認していない事例も多くあると聞いております。助けてほしいと声を上げてくれる子供は発見しやすいわけでありますけれども、御自身、自分が、そのお子さんがヤングケアラーだと気づいていない子供や、また、ヤングケアラーだということを周りに知られたくはないという子供につきましては、見つけることは容易ではないと思います。
 そういった子供たちを早期発見するためには、周りの大人がアンテナを高く張って、ふだんのコミュニケーションの中で気づいてあげることが必要であると思います。とりわけ高校生以下のヤングケアラーの発見、把握ということにつきましては、学校や教職員の役割は大きなものだと思います。
 そこで、現在、県教育委員会で行っておりますヤングケアラーの把握や支援の取組状況について、教育長にお尋ねをいたします。
○議長(岩田弘彦君) 教育長今西宏行君。
  〔今西宏行君、登壇〕
○教育長(今西宏行君) 学校は、児童生徒と日常的に接する場であることから、ヤングケアラーの把握で重要な役割を担っていると考えます。
 県教育委員会では、生徒及び教員へのアンケートを実施することにより、ヤングケアラーの実態把握に努めるとともに、悩みを外部に相談することをためらわないよう、生徒の意識の変化を促しています。
 また、教員やスクールソーシャルワーカーの研修により対応力向上や、スクールカウンセラーの配置により相談体制の充実を図っています。
 さらに、地域の力で家庭教育を支える取組も推進しています。この取組は、身近な地域の人材が家庭に訪問することを通じて、様々な問題の未然防止や早期発見、早期対応を目指したものとなります。
 こうした取組が県内でさらに広がるよう、講座等を通じて働きかけているところです。現在、学校では、県福祉保健部が作成した手引を活用し、関係機関による支援につなげています。
 今後は、教職員と福祉関係者がより一体になって家庭を丸ごとサポートする必要があると考えています。そのため、県教育委員会では、共生社会推進部、福祉保健部との連携を強化してまいります。
○議長(岩田弘彦君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 ヤングケアラーの支援につきましては、共生社会推進部長と、そして、今、教育長にお聞きをいたしました。今、御答弁の中にもあったとおりであります。福祉や医療の分野と、その連携というものは、やっぱり大変重要なものであります。さきにお話しをした小野先生の講演では、精神疾患の親と暮らすヤングケアラーの支援については、児童精神科医のサポートなどが有効とのことでありました。地域の福祉、教育が連携して子供を見守る、そういう仕組みづくりが必要であります。
 昨年度の県の組織改正により、共生社会推進部が新設をされ、ヤングケアラー対策の所管が福祉保健部から共生社会推進部に移りました。子供施策については共生社会推進部が主導してやっていくということだと思うわけでありますけれども、福祉保健部も今日までと同様に、主体的にヤングケアラーの問題に関わっていただき、共生社会推進部、そして福祉保健部、教育委員会で定期的に情報交換を行うなど、密に連携を取って対応していただきたいというふうに思います。
 4月に残念ながら急逝をされました岸本前知事は、「和歌山が最高!だと子どもたちが思う未来を!」をスローガンに、こどもまんなか社会の実現に向け、学校給食の無償化や子供食堂の支援など、強い信念を持って精力的に取り組んでこられました。
 子供を取り巻く問題には、いじめやひきこもり、貧困など様々なものがありますが、このヤングケアラーも非常に大きな問題であり、1人でも困っている子供がいるのであれば、それを見つけて支援につなげてほしいと思います。
 宮﨑知事は、岸本県政を引き継ぐと明言をされておられますが、ヤングケアラーへの支援に向けた県内の体制の整備・強化について、知事の御所見をお伺いいたします。
○議長(岩田弘彦君) 知事。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) ヤングケアラーにつきましては、家族の世話のために自分の時間が取れないなど、その責任や負担の重さにより学業や友人関係などに影響があることが指摘されており、その支援は県でも重要な課題であると認識しております。
 まずは、学校が、ヤングケアラー等子供が抱える様々な生活課題に気づきやすい立場にあります。しかしながら、ヤングケアラーやその家庭が複合的な課題を持つこともあり、学校だけで課題を解決するわけではありません。
 私は、教育長時代から、福祉、介護、医療などの関係者がそれぞれの視点でアンテナを高く持ち、適切な支援につなげることが重要であると考えておりました。そのため、教育と福祉の連携強化の必要性を痛感し、県の部局を超えたチームが学校等において研修会を実施するなど、教職員と福祉関係者との顔が見える関係づくりを進めているところです。
 引き続き、地域における気づきから適切な支援につなげられるよう、県全体で教育と福祉の接点づくりに努めてまいります。全ての子供たちが健やかに成長し、将来にわたって幸福な生活を送ることができるような社会の実現のために取組を推進してまいります。
○議長(岩田弘彦君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 県全体で教育と福祉の接点づくりに努めていくとの知事の御答弁でありました。それはそれで本当にありがたく思います。そうなんだけども、私、実はこれまで、もう一歩だけ踏み込んだ問題解決に向けた具体的な取組をどうしても知事にお願いしたいと思いました。
 それは、先日の海南nobinosであった研修会では、会が終わった後のその後のことなんですけれども、雑談の中で、ある方が県当局の方と会話されておったんですけど、実はその方は、「私も、子供の頃、ヤングケアラーでした。でも、当時は自分がヤングケアラーだとは気づいていませんでした」、そうお話しをくださった方がおられたと聞きました。実は私の知人にも、「子供の頃は家族のケアをするのが当たり前だと思っていましたが、今思えばヤングケアラーでしたね」という方がいらっしゃいます。
 このような御自身がヤングケアラーだった経験を持つ方のお話というのは、今当事者である子供たちへの支援を考えた際に、すごく参考になるんではないかなというふうに思いました。当時どんなことを考え、そして今こう思っているというようなことをやっぱり県当局の皆さん方に、また医療関係、いろんな方々に聞いていただくというのは僕は大変大事やというふうに思いました。
 県の関係部長の皆さん方が日々この問題解決に向けて今も御努力をいただいていることは、これはこれで十分承知をしておりますけれども、県の職員だけではなくて、ヤングケアラー元当事者の方や専門家、例えば医療関係者はじめ民間の方、県内全域で同じような課題があるというふうに思いますので、市町村の職員の方など、みんなで集まって同じテーブルでこの問題について話し合う、言わば協議会とでもいうんでしょうか、そのような場が取組を進めていく上でやっぱり必要ではないでしょうか。つきましては、このようなヤングケアラーに関する対策協議会のようなものをこの際、立ち上げていただいてはというふうに思います。
 私は、そのことを最後に提案したいと思いますけれども、知事、すみませんけど、このことについてはどうお考えか、お考えを聞かせいただけませんか。お願いいたします。
○議長(岩田弘彦君) 知事。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 山下議員おっしゃるように、ヤングケアラーには様々なケースがありまして、まだまだ十分に理解されていない部分が多くあるというふうに考えます。
 ヤングケアラーへの支援を進めるに当たっては、ヤングケアラーの元当事者、それから専門家の方、そして市町村の関係の方とか先生とか、そういった方々が問題解決に向けて意見交換をするのは非常に有意義なことだというふうに思っています。そのような場の設置というのも考えたいと思います。
○議長(岩田弘彦君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 知事、ありがとうございました。
 今、意見交換の場の設置を考えていきますという御答弁をいただきました。
 くどいようですけれども、この問題に関する共生社会推進部、福祉保健部、そして教育委員会におかれましては、ぜひ常日頃からの連携を密にしていただいて、そして、できれば知事を先頭に、元当事者の方や専門家などの意見も聞きながら、県内で困っているヤングケアラーがゼロになるよう取組をこれからも進めていっていただきたいと思います。
 そのことを再度お願いを申し上げ、私の一般質問を終わらせていただきたいと思います。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(岩田弘彦君) 以上で、山下直也君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 32番浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕(拍手)
○浦口高典君 議長のお許しを得ましたので質問させていただきますが、その前に、宮﨑知事におかれましては、当選されて、はや3か月以上がたちました。改めまして、知事、御就任、本当におめでとうございます。
 個人的にも宮﨑知事誕生には感慨深いものがございます。と申しますのは、私が宮﨑氏と初めて出会ったのは約40年前であります。当時、私は2区の玉置和郎先生の秘書で、宮﨑氏は仮谷志良知事の秘書として、公式の場で度々お会いし、また、お酒の席でも御一緒させていただいたことがあります。人を飽きさせない愛きょうのある笑顔が当時から印象的でしたが、何か仕事に関することを話をするとき、きらっと眼光鋭く、多少武道の心得がある私からすると、宮﨑知事は4歳年下ではありますが、この男はただ者ではないなと、当時、直感した次第でございます。
 その後、宮﨑氏は、企業振興課長、人事課長、知事公室長、教育長、そして副知事と、私の目に狂いはなく、岸本前知事の急逝に伴い、当然のこととして多くの皆様から推され、一気に知事候補になりました。
 私が代表を務める国民民主党和歌山県連にも推薦依頼を御本人が持ってこられ、それを受けて、私ども常任幹事会で、「宮﨑さんってどういう方ですか」と聞かれたので、私は、一も二もなく、「和歌山県の指導者として実行力もある立派な方で、岸本氏の志を継ぐだけではなく、それ以上の仕事をやってくれる」と皆に説明し、全員一致で推薦決定をいたしました。それだけに、私は宮﨑新知事に大きな期待をしているものであります。
 それでは、本題に入らせていただきますが、さて、ここで、私がもう20年前からずっと言っております人口減少のことを含め、今後の地域発展について具体的に述べて、知事の姿勢をただしていきたいと存じます。
 私は和歌山市選出の議員ですので、今回は和歌山市及びその周辺にスポットを当てて述べさせていただきますが、しかし、これは我田引水というのではなく、人口減少時代、県庁所在地がその県の人口のダムにならなければならないという、「地方消滅」の著者、増田寛也元総務大臣の意見に賛同するからであります。
 振り返れば、平成31年2月議会で、全国47都道府県庁所在地の中で、1985年から2015年までの30年間で一番人口減少率の大きかったのは長崎市の15.0%、2番目が和歌山市の9.3%、3番目は青森市の9.0%、また、令和6年2月議会で、和歌山市民の共働き世帯のやはり全国47都道府県庁所在地の所得を高い順から並べたものを提示しましたが、それによると、一番低いのが青森市の──これ、共働きですよ──446万円、2番目が沖縄県那覇市の474万円、そして3番目が和歌山市の502万円ということでありました。これは、一番高い東京・新宿区の759万円や2番目のさいたま市の758万円の3分の2程度でありますが、それでもこの和歌山県内30市町村の中で和歌山市が一番高いということであります。
 人口減少については、この原因をいろいろと調べてみると、やはり和歌山県は、18歳以上、つまり高校卒業後、地元に進学する大学・短大が少なかったので、1978年から2018年まで実に41年間連続で県外の大学・短大に進学する割合が全国一高く、また、大学・短大卒業後に自分を生かせる職場が県内には少なく、和歌山県に帰ってこない。それゆえに人口減少率が高くなると逆に、高齢化率のほうはうなぎ登りでありました。
 ただ、2015年以降を調べてみますと、1985年から──先ほどは2015年と言いましたが──2020年までの35年間では人口減少率11.1%でしたが、先ほど、全国で2番目に減少率が高いと申しましたけれども、減少の仕方がやや緩やかになり、全国で3番目ということになりました。
 これは、2018年から2021年にかけて、東京医療保健大学和歌山看護学部、宝塚医療大学和歌山保健医療学部、和歌山リハビリテーション専門職大学、そして和歌山県立医科大学薬学部と、三つの大学と1学部が増設されたため、若者が、またそれに併せて職員も含め、和歌山市に残ったというのは、その要因であることは明らかであります。
 しかし、また、人口減少の別の要因を考えると、青森市の場合は、本州の最北端ということで、特に厳しい冬の環境が大きく影響していると思いますが、長崎市と和歌山市は、やはり産業の撤退及び縮小ということになると考えられます。
 長崎市は、造船関係の三菱重工の撤退、和歌山市は、旧住金・現日本製鉄の縮小でしょうか。それらの点を考えれば、やはりそれに代わる産業の誘致がなければ地域経済の繁栄はないことは明らかで、人口減少のスピードもさらに増すと考えられます。ちなみに、旧住金・現日本製鉄の従業員は、1970年には1万2800人でしたが、2025年には2379人と、5分の1以下になっております。
 そこで、私は、令和6年5月に長崎市の三菱重工跡地に視察調査に行き、当時建設中であった長崎スタジアムシティプロジェクトを見学し、そのことについては令和6年9月議会でも発表し、この9月3日にも、改新クラブ5名で、昨年10月14日にオープンした長崎スタジアムシティとホテルなど関係施設の視察調査に行きました。
 説明をしてくれたスタッフによりますと、開業の令和6年10月14日、去年の14日ですね、10月14日から半年間で入場総人数は約250万人で、これにより、周辺の商店街なども大変繁盛しており、まちには活気が戻り、若い人も地元に残ってきたということであります。
 このように、長崎での盛況ぶりの中、これまでの重厚長大産業に代わり得る和歌山市に産業の誘致は何かと考えてみますと、長崎のように民間企業、これはもう御存じだと思いますが、テレビCMでおなじみのジャパネットたかたが約1000億円も投資して、サッカーとバスケットボールのプロチームづくりから始まり、観客を呼び寄せるスタジアム及びアリーナをと考えられますが、現実に、この10年間で和歌山市に誘致した企業の投資実績はどれほどあるのか。また、今後1000億円を投資する企業があるのかどうか、商工労働部長、お答えください。
○議長(岩田弘彦君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 商工労働部長中場 毅君。
  〔中場 毅君、登壇〕
○商工労働部長(中場 毅君) 県では、新たな産業を創出し、地域経済の振興と雇用の拡大、人口の増加を図ることを目的として、これまで企業誘致に取り組んでまいりました。
 このような取組の結果、和歌山市において、誘致などにより県奨励金の対象となった企業の投資実績としては、過去10年で30社、約112億円となり、485人の雇用が創出されております。
 また、1000億円規模の投資について、現在把握しているものはございません。
○議長(岩田弘彦君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 部長、どうもありがとうございました。
 過去10年間で30社、約112億、485人の雇用を創出されたということですが、1年に換算しますと、30社ですから1年には3社、約11億円、48人ないし9人の雇用ということですが、正直、これでは人口減少の数値は2桁違います。数千人単位で和歌山市からどんどんどんどん人口が消えていってしまうということを考えたときに、ここで言えることは、もうちょっと頑張っていただきたいなと、そのようなことだけであります。
 じゃあ、2番目に移らせていただきます。
 次は、宮﨑知事の和歌山経済再生策についてであります。
 故岸本周平氏が知事に就任してすぐに財政危機警報を出され、県議会、県職員だけではなく、県民の皆さんも大変驚かれたと思います。
 私は、彼の経歴からだけではなく、常に「自分は財政のプロ」という言葉を12年間同じ党にいて何度も聞いていたので、プロから見るとそういうものなのかなあと正直思いました。
 細かい数字のことはともかくとして、彼からは、財政のプロという言葉はよく耳にしましたけれども、現在の和歌山経済を再生させるためには、もちろん財政のプロも大事でしょうが、経済のプロがもっと大事ではないでしょうか。経済のプロとは、民間の投資、平たく言うと企業誘致や地域産業の拡大ということであります。
 今年2月議会の岸本前知事との年収103万円の壁の論争に続いて、今度は私は彼に和歌山経済の再生についてはっきりと意見を聞かせてもらいたかったのですが、今はそれもできませんので、代わって宮﨑知事、特に知事の御出身地でもあるこの和歌山市の経済再生について持論をお聞かせください。
○議長(岩田弘彦君) 知事宮﨑 泉君。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 浦口議員には、40年来、大変お世話になってきました。本当にありがとうございます。高いところからではございますが、この場をお借りしてお礼を申し上げたいと思います。
 さて、御質問でございますが、県勢の発展に向けて、県都である和歌山市の経済再生は大変重要であると認識しております。和歌山市を含む県経済全体の成長の方向性については、令和6年4月に策定したわかやま成長産業開拓ビジョンにおいてお示しをしているところでございます。
 大きな方向性といえば、世界的な潮流や、和歌山の地域特性を踏まえれば、GXの成長投資を積極的に取り込み、脱炭素先進県へと飛躍することが、県経済の成長と将来世代にとって魅力的な地域を実現するための最も重要な要素であると考えております。
 議員御指摘の和歌山市の経済については、和歌山市及びその周辺エリアでは、本県経済を牽引してきた鉄鋼や機械金属、化学分野の製造業が立地しており、多様な製品を開発、製造し、グローバル市場に展開する企業が集積しております。中でも、化学分野は、独自の技術と製品を持つ開発型の企業が多くあり、国内でも有数の集積地となっております。また、製造業の総生産においても高い構成比を占めており、他の分野と比較して大きく伸びている状況です。
 脱炭素先進県を目指す本県にとって、こうした優秀な化学企業群が集積する和歌山市及びその周辺エリアの地域特性を踏まえれば、地球温暖化の原因となる二酸化炭素等を資源に変えるカーボンリサイクルや蓄電池分野は非常に相性がよく、今後大きく成長が期待できる分野であると考えております。
 中核を担う企業の誘致や、県内企業によるGX事業の促進等を通じて、和歌山の将来を担う成長産業の集積を目指してまいります。
○議長(岩田弘彦君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 知事、どうもありがとうございました。
 GXの成長投資を積極的に取り込み、脱炭素先進県へと飛躍することが県経済の成長と将来世代にとって重要であるということと、和歌山市にとっては特に化学分野の企業が多く、地球温暖化の原因となるCO2等を資源に変えるカーボンリサイクルや蓄電池分野が今後大きく成長が期待できるということで、これはこれで私は非常にいいと思うんですが、ただ、今後いろんな議論も出てくると思うんですが、長期総合計画の中にも、私、いつも思うんですが、数値目標的なもんというのが全然といってあまり、特にお金の部分で出てこないんですよね。
 だから、夢や希望は語るのにいいんですが、結局、この雇用と所得、人がどれだけそこで雇われて、どれだけの所得を生み出すかということが数値として出てこないもんですから、この文章は文章として受け止めておきますけれども、今後もう少し明確に示していただきたい、そのように要望しておきます。
 次、続けて行きます。
 実は、私、22年前から「人口激減、どうする和歌山」、当時、木村知事のときでしたけれども、言いました。これは公の席じゃないんですが、木村知事といろいろ2人で話をしているとき、「知事、どないしますか」と言うたら、「こんなに減りまんのか。大変ですな」というような、何か人ごとみたいでしたね。
 その当時、和歌山県の人口が107万あったんです。それが、2000年をベースにして、2030年に和歌山の人口が88万人になるというデータが国立社会保障・人口問題研究所から出ていたんですね。そのときに、こうなりますよと。本当に木村知事もびっくりされていたんですけども、ただ、実際は、今もう既に88万、2025年の段階で、5年前の段階で、もう既に87万人台へ突入しています。
 そういうことを考えると、私は、このままの状況が続けば、先ほど増田寛也さんが座長を務める日本創成会議の人口推計によると、和歌山県の人口は2040年には69万人に、また、この和歌山市は27.6万人になり、ますます活力のない県・市が出現することになります。それは、40年前から、先ほども申しましたように、ひそかに宮﨑知事のことを知り、いずれ和歌山のリーダーとして明るい未来をつくってくれるだろうと思っておりました私というか一県民の思いをこれでは踏みにじることになるかもしれません。
 そのようにならないために、一つ提案があります。それは、和歌山IRの復活であります。
 実は、昨年11月に、同僚の片桐議員と2人で観光庁のIR担当者にお会いし、今後のIRについて、国としてはどのようにするのか確認してまいりました。それによると、IRは、皆さんも御存じのとおり、全国で3か所造ることができ、既に大阪に1か所決まっていますが、あと2か所可能で、それを早期に決めるということでありました。
 しかし、これについては、その後の話なんですけれども、前回は手を挙げていなかった有力な候補地が手を挙げる可能性があり、これはほとんど決まるのではないかという話が伝わってまいりました。しかも、観光庁としては、これは早い者勝ちではありませんけれども、早く計画を提示できれば、当然のこととして早く検討に入ることができるということでありました。
 つまり、残りは実質的にあと1か所のみですが、前回は落選した長崎県と、県議会で否決した和歌山県の2県でしたが、今回は、ほぼ一つの枠に、まだ有力な、残っているのがほぼ一つの枠に有力な県・市が手を挙げつつあるということですので、決してのんきに構えていることはできません。
 しかし、一つだけ和歌山県にとって有利なのは、前回国に提出しようとした和歌山県特定複合観光施設区域整備計画という200ページ以上の(資料を示す)こういうものが残っています。これ、私もじっくりと見さしていただいたんですが、すごい内容です。これ、出せなかったことが非常に悔しいんですが、これは、単に県と、ここに書いていますけども、和歌山県とIR株式会社だけではなく、パブリックコメントも入れておりますんで、県民の皆さんの意見もこの中に入っているんですね。入れた書類がこれ残っているから、私はこれからもう一度考えませんかということをここで聞きたいわけですけども、実際には、まだ数千億円を出資しようとする企業が和歌山に対して興味を示してくれていると聞いております。あと、知事のもう一歩前に出る勇気と、前回否決した県議会、といっても2年5か月前ですから、議員の構成もかなり変わってきておりますし、この和歌山県の低迷する経済状況を考えたときに、県議会の決断が大事だと思います。まずは、これを前に進めるも引くも、宮﨑知事の決断であります。
 付け加えて言いますと、6月議会では、IRについて、片桐議員の質問に対して宮﨑知事は、ゼロベースから時間をかけて検討するとか、IRの誘致の是非について全く白紙の状況であるという答弁でしたが、ゼロベースや白紙では、私は、さあ、これから始めましょうなんてことは一切言いません。とても無理です。
 しかし、今も御紹介しましたように、ここにすばらしい200ページに及ぶこの区域整備計画があるじゃないですか。もちろん、これを全てそのまま使えるとは言いませんが、基礎となる土台が残っているのは事実であります。
 しかも、人件費は別として、これを作成するのに4億3000万かかっているということでありましたし、この間、長崎へ行ったときに、やっぱり我々改新クラブで行ったときに、向こうのIRの担当者、今、IRそのものの部署はないんですけれども、やはり企画の責任者の方といろいろお話ししますと、長崎の場合は、和歌山は8年か9年ぐらいですけど、長崎の場合、10年余りかけて結局人件費も入れると大体12~13億ぐらいのお金を使いました。しかし、それが駄目になりましたと言っていました。
 そういうことをまず頭の中に入れていただいて、また、知事は、その片桐議員の質問に対して、ギャンブル依存症患者の増加や交通渋滞の発生などを心配されておりますけれども、ギャンブル依存症については、ここの192ページから195ページにかけて、また交通渋滞についてはこの127ページから131ページまで、一々細かいことは紹介しませんけど、実際これ、うそじゃありません。見ていただけば書いています。精緻に考えた考え方がこの中に残っているんですね。これは十分生かせられます。同じ場所でやるとなればですね。
 さらに巨大な──これは知事が言われたんですよ、さらに巨大な投資を伴う地方への企業進出によって急激な賃金上昇が引き起こされ、地域の他産業における人材の確保がより困難になるとも答弁されていますが、これでは企業誘致なんかしなくていい、今後、先ほどから述べているとおり、著しい人口減少と超高齢化が進む県都和歌山市で何も手を打たなくていいということなのでしょうか。
 これらのことを踏まえて、宮﨑知事には、はっきり言って、このIRを本気でやる気があるのかどうか、その意欲だけを示してください。お願いいたします。
○議長(岩田弘彦君) 知事。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) お答えをいたします。
 6月定例会の一般質問においてもお答えをいたしましたが、IRにつきましては、本県経済の活性化につながると期待する声がある一方で、負の影響の可能性に対する根強い懸念もあります。何より、さきの計画案が令和4年4月臨時会で反対多数により否決された事実、これは非常に重いものであると受け止めております。したがって、新たに区域整備計画を申請する場合には十分な検討が必要であると考えております。
 現時点で国による再公募があるかどうか大変不明でありますが、IR誘致の是非については、知事である私自身が様々な機会を通じて県民の御意見を伺いながら、熟慮の上、しかるべき時期に判断をしたいと考えております。
○議長(岩田弘彦君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 ありがとうございます。
 私の質問、あんまり聞いていただいていないようで、同じようなことをステレオタイプでしゃべられても、ああ、分かりましたというわけにいかないんですね。
 ただ、本当にこれ、私、この間、東京へ行ったときに、観光庁には行かなかったんですが、私、ちょっとほかの用もあって東京の県事務所のほうにも行きました。所長と担当の課長にもお会いして、また、国交省というか観光庁も担当する職員にもお願いしてきたんですが、もっと本気になって情報を集めてくださいよと。我々でさえ、いざとなったら、一県議が、2人ですけど、2人で行って、いろいろああでもない、こうでもないといって、かなりの情報つかんでいるんです。もっともっと、この中には、この中というか私が言いたい中には、どこが今度出てくるかとか、どこが有力だというのも頭の中にはっきり言ってあるんですね。それが、一議員でもそれぐらいあるわけですから、もっと行政のほうは向こうと本気になってお付き合いというか探っていただけば、今後の方向というのははっきりしてくると思いますし、ここで私が聞きたいのは、いろんな熟慮の上といいますけど、熟慮している間にほかのところが、トンビが油揚げさらうみたいに取っていったらどうするんかという。
 私自身が、県のためにこれは、和歌山県のため、和歌山市のために考えることがありますし、そうでないと、この問題というのは、私、いろいろここまで来るまでに県庁の職員といろんな形でお話しする中で、私と片桐議員もそうなんですけども、お話しする中で、県庁の職員にも、じくじたる思いがあると思うんですよ。これだけ立派な計画書も作って、まだこれが生かされていない。このまま没。私はこれ没になると思っていません、読んだらまだまだ十分生かされますから。これを考えた上で、もう一度、知事にやる気があるのかどうか、それだけ答えてください。
○議長(岩田弘彦君) 知事。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) まず、私が最も感じたのは、皆さん方から否決されたということが非常に重い。県政始まって以来の出来事だったと私は考えております。
 そういったことをまず考慮に入れながら熟慮しないといけない話でありますので、すぐに早々にそういうふうな決断ができるというふうには思えませんので、しっかりと考えさせていただきたいなというふうに思います。
 話はちゃんと聞いておりますので。
○議長(岩田弘彦君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 非常に回りくどい言い方で、いかがなもんかなと思うんですが、否決された事実は、これは私らも、いかにやっぱり最終的には県議会が決めなきゃいけないことですが、先ほど来というか、いろんな今経済的な問題でもガソリンの問題だとか物価の問題なんか出ている中で、はっきり言って、これ、2年、3年前よりずっと経済状況が厳しくなってきています。
 今度の参議院選でいろいろ結果が出たとおり、やはり物価上昇だとか経済の問題というのは、私も今までそれほど肌では感じてなかったというわけじゃないんですけども、これほどやっぱり県民・国民の皆さんが厳しい思いされているなというのが私も選挙に関わっていて非常に感じました。それだけに、和歌山のために、本当にこれ、先ほども言いましたように、財政は財政で考えていただいたらいいんですが、経済のプロとして、今後この和歌山をより全体のパイを大きくすることをぜひとも知事に考えていただきたいし、その経済のパイを大きくするという思いがあるのかどうか、それだけでも聞かせください。
○議長(岩田弘彦君) 知事。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○知事(宮﨑 泉君) 経済のプロというのはちょっとおこがましいのでなかなか名のれないんですが、経済のパイを大きくする気持ちは大いにあります。そのために、先ほど最初に答弁させていただいた内容があるわけでございますので、地に足のついた事業からまずは進めてまいりたいなというふうに思っております。
○議長(岩田弘彦君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 これ以上言いますと、もう水かけ論になりますからあまり言いませんけども、知事ね、本気になってやらないと、こういうことでは絶対進まないですよ。
 こう言っちゃあなんですけど、知事は、もう今はいわゆる和歌山の執行権者としてトップに立っているわけですから、「やる」と言わなければ前へ進みませんし、あんまり前の岸本知事はその気やなかったというのは、私は、はたでおって感じました。
 ただ、私、これね、仁坂知事も、たしか最初はこのIRについては、カジノだけがクローズアップされたもんですから、それこそギャンブル依存症だとかそういった問題はどうだということはかなりうるさく言っていたほうですが、やっぱり和歌山の経済のことを考えたら、私は全然IRだけにこだわってないですよ。
 だから、さっきも商工労働部長に聞いたように、1000億円の何か投資してくれる企業があれば、しかも、それによって和歌山が活性化するんだったら、別にIRしなくてもそれはそれでいいと思うんですが、実際にないわけですから、1年に直して100億程度でしょう。雇用が48人ぐらいでしょう。これだと和歌山、みんな夢も希望もないです。そんなん言う余裕はありません。人口減少の進み方というのは非常に速いですから、これは今まで以上に和歌山県が、大体、私、前に計りました。今までの20年間とこれから20年間比べると、大体1.5倍ぐらいのスピードで人は減り出します。なぜかといったら、団塊の世代が非常に多いんですよ、和歌山は。それらの方が、これから多死社会に入ってきますから、たくさん亡くなっていくと、どんどんどんどん人の数、頭の数が減ってくるわけですから、こういう社会がもう間近に来ているということをぜひ御認識いただいて、私は、知事は意欲満々で、腹の中では、やる気満々やということを思って、次の質問に替えさせていただきます。
 それでは、毎回恒例の「健康長寿日本一わかやま」の実現について質問させていただきます。
 御存じのとおり、この言葉は、平成20年3月の長期総合計画で、「『健康長寿日本一わかやま』をめざします」から、平成29年3月の同計画では、「『健康長寿日本一わかやま』を実現します」とはっきりと記載されていますが、17年たった現在、和歌山県は日本一になりましたか。もしなっていないとすれば、何番まで来ましたか。福祉保健部長、お答えください。
○議長(岩田弘彦君) 福祉保健部長𠮷野裕也君。
  〔𠮷野裕也君、登壇〕
○福祉保健部長(𠮷野裕也君) 平成29年3月に策定した和歌山県長期総合計画では、目指す方向として、「健康長寿日本一わかやま」を実現することとしており、進捗管理目標として、平均寿命及び健康寿命を設定しております。
 現在、何番目かという御質問ですが、和歌山県の平均寿命は、令和2年で男性が81.03の35位、女性が87.36の37位、健康寿命は、令和4年で男性が71.95の41位、女性が75.30の33位となっており、日本一にはなっておりません。(挙手する者あり)
○議長(岩田弘彦君) 「議長」と発言お願いできますか。
 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 議長、すみません。
 健康長寿日本一、これ17年前から目指しているらしいんですけども、実際そうなんですが、いまだになっておらず、健康寿命は令和4年で男性41位、女性33位ということですが、前から言っているとおり、単純に平均寿命から要介護認定2以上の期間を引くと、もっと順位は下位になります。つまり、健康寿命が非常に短いということになりますし、これ、今から10数年前に最初質問したときに、福祉保健部の担当部長とか、また担当者の方は、「先生、これ、そんなん、日本一、日本一、まあ書いていますけど、そんなん1年や2年ではなりませんよ」というふうに言われたのを今も頭の中に残っておりますが、もう既に17年。17年たっておりますから、これは質問ではありませんけれども、そのことをもう一度深く認識をいただいて、いずれにしろ、これからつくられる長期総合計画の中に「『健康長寿日本一わかやま』をさらに推進します」という言葉を書いていただくよう強く要望しておきます。これは、また総務委員会でも話をさせていただきます。
 それでは、次に移らしていただきます。
 骨密度の検査と生かし方についてに移らしていただきます。
○議長(岩田弘彦君) (2)は。
○浦口高典君 (2)ですね。すみません。やらせていただきます。
 健康寿命が全国で男性が41位、女性が33位ということで、これ、今もお答えありましたけれども、これ、そこのデータに出ていますように、朝日新聞の朝刊、「月刊データジャーナリズム」というのがありますが、表題は「延びる平均寿命、滋賀首位のワケ」、「県挙げ禁煙対策、数値目標こだわり」で、これは男女合わせての平均寿命ですが、1990年、79.4歳で21位だったものが、2021年に86.3歳で滋賀県が全国でトップになっております。
 一方、長寿県で有名だった沖縄県は、1990年、80.4歳で1位だったのが、2021年、84.8歳で全国32位、また、我が和歌山県は、1990年、78.8歳で43位だったのが、2021年、84.8歳で36位となり、寿命も長くなりましたが、滋賀県のようには伸びておりません。
 以前、この滋賀県の長寿の秘訣を探った令和3年2月議会の質問で、和歌山県と比べて提示していたのは、平均寿命から要介護度2以上の期間を除いて算出した健康寿命の全国順位が、滋賀県は男性が2位、女性が3位で、和歌山県は男性が44位、女性が45位で、いずれも大きな差がありました。
 また、この記事によれば、特に喫煙率を下げることに着目したということですが、滋賀県の寿命の延び幅6.9歳のうち、がんの改善による延びが1.46歳分あり、また、脳卒中で1.64歳分、動脈硬化や血栓で心臓の冠動脈が詰まるなどして起きる虚血性心疾患で0.99歳分の効果が見られるということですが、この点、和歌山県ではどのように分析をしておられますか。福祉保健部長、お答えください。
○議長(岩田弘彦君) 福祉保健部長。
  〔𠮷野裕也君、登壇〕
○福祉保健部長(𠮷野裕也君) 本県の喫煙率につきましては、健康増進計画に基づき対策を進めており、令和4年で14.3%であり、全国平均よりも低くなっております。しかしながら、がんや心疾患の死亡率は、近年、改善はしているものの、全国と比べて高くなっております。
 原因としては、野菜摂取量の不足など、食生活のバランスの乱れや、歩く量の少なさ等の生活習慣に加え、健康診査やがん検診等の受診率の低さにあると認識しています。
 本県の平均寿命及び健康寿命を延伸させるためには、これらの健康課題の改善に引き続き取り組んでいくことが重要であると考えています。
○議長(岩田弘彦君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 ありがとうございます。
 寿命が延びない理由として、野菜摂取量の不足など、食生活のバランスの乱れや、歩く量の少なさなどの生活習慣に加え、健康診査やがん検診などの受診率の低さがあると認識しております。実は、これも10年以上、同じこと言っているんですね。
 私も、ちょっと意地の悪い言い方かもしれませんが、和歌山県民は、これ本当、和歌山県の何百キロも離れているようなところじゃない滋賀県でさえ、あれだけ延びているのに、なぜ和歌山県が延びないかというと、いつも、これは有権者の人に言っているんですが、決してここにいる方じゃないんですが、和歌山県民の方は野菜食べない、歩くの嫌い、ボランティア嫌いというのをいつもこの3点やということを言っているんですが、それぐらい、やはり数字が伸びていないということは、はっきりと言って、いろんなことは言うのはいいんですけれども、実質が伴っていないということですので、ぜひとも今後また10年間でこの数字を一つでも二つでもというよりも、今度は本当に日本一を目指していただきたいと思います。
 次に移らせていただきます。
 次に、今度は骨密度のことについて質問いたします。
 首位奪還を目指す沖縄県では、2022年度の1人当たりの酒類販売量が滋賀県の55.4リットルに比べて2倍以上の118.1リットルと多く、節酒を促しているということです。
 また、平均寿命が全国最下位だった青森県では、子供の頃からの肥満傾向が課題ということで、弘前大学と弘前市は2005年から毎年、同市岩木地区に住む約1000人を対象とした大規模健康診断を続けているということであります。一般的な健康診断のほかに、腸内細菌や味覚検査、体力測定といった約3000項目を検査。病気の発見だけではなく、予防に役立てることも目指すということですが、我が和歌山県では、一昨年から、骨密度を測定し、健康寿命の延伸に役立てようとされておりますけれども、その結果として、それが生かされていると思いますか。
 そもそも骨密度というのは、以前、福祉環境委員会で私が、18歳までに運動や栄養により、基となる骨芽細胞の数が決まるのではないかと福祉保健部技監に質問したところ、そのとおりですと答弁されていたのを記憶しているのですが、高齢者の対策としてはどのような見通しがあるのか御答弁ください。
○議長(岩田弘彦君) 福祉保健部長。
  〔𠮷野裕也君、登壇〕
○福祉保健部長(𠮷野裕也君) 骨密度測定は、令和6年度から市町村と協力し、健康イベント等において実施しております。昨年度は、県内50か所において県民2344名の骨密度測定を行い、今年度も70か所程度での実施を予定しています。
 健康イベント等における骨密度測定は、行列ができるほど県民の関心は高く、骨密度測定の結果説明と併せて、保健師や管理栄養士による健康づくりに関するアドバイスも実施しております。
 議員御指摘のとおり、骨は若いときに形成されるものであり、この時期に骨量を高めることはとても重要です。
 ただ、年齢とともに骨密度は減少しやすく、骨粗鬆症や骨折のリスクが高まるため、高齢者に対して、骨密度測定により骨の状態を把握し、骨の健康の維持を意識づけることが必要だと考えております。
 また、骨粗鬆症の予防にはバランスのよい食事と運動、適度に日光を浴びることが大切であり、それらは生活習慣病の予防にもよい効果をもたらします。
 今後は、市町村でも骨密度測定会を実施できるよう、手順の共有や骨粗鬆症の検査が可能な医療機関リストの整備を行うなど、骨密度測定が県民の皆様にとって健康を考え、生活習慣の改善につながるきっかけとなるよう取組を進めてまいります。
○議長(岩田弘彦君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 部長、ありがとうございました。
 骨密度の検査を今後健康長寿に生かすことは非常によいことですので、ぜひこれを2回、3回で終わらずに、続けてやっていただきたいと思いますし、今後も前向いて、健康長寿日本一というのは決してこれ笑い事じゃなしに、和歌山県が非常にまだまだ弱い部分もありますので、ぜひとも共に頑張っていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、3番目の質問に移らせていただきます。
 ひきこもりについて。
 実は、私、日本拳法という武道の道場をもう30年間やっております。ニッケンスクール高典塾というんですけれども、今もできるだけ週に2回、3回は、仕事が入らないときは道場に出るようにしておるんですが、もう30年ほどやっていますと、いろんな方と出会う中で、この間たまたま小学校5~6年生で、もう20年前なんですが、5~6年生で、うちの道場へ来てくれていた生徒のお母さんとばったりお会いしまして、いろいろお話を聞きますと、どうもその子が、小学校5~6年生ですから中学に入って道場をやめたんですが、中学校に入って、いじめではないんですけども、自分はほかの生徒と随分考え方が違うということで、何か孤立してしまって、それが原因でひきこもりに入ってしまったということで、不登校・ひきこもりになったということで、何とかならないでしょうかと。
 でも、20年引き籠もっているわけなんですが、福祉関係のヘルパーさんとも後日来られまして、ちょっとその状況というのをいろいろお聞きしたんですけども、そのヘルパーさんともお話しするのは、家の中でも筆談だそうです。なかなか正面切って話をするというのは難しいそうなんですけども、たまに家の中で暴れたりするんで非常に危険な部分もあると。かなり深刻なお話を聞かされました。
 私も、ひきこもりということについてあまり意識もなかったんですけども、正直どのようなことをアドバイスしたらええのかと思ったんですけども、私から言えることは本当に、ちょっといわゆる精神的に病んでいるんだったら、一度医療機関にかかって、適切なそういう施設等で診ていただいたらどうでしょうかという答えを出させてもらいました。
 この数年間で、ちょっと調べてみますと、県議会でも、鈴木德久議員や長坂議員、川畑議員などがひきこもりについて質問されていますけども、和歌山県では、ひきこもりが何歳から何人ほどいると見ているのでしょうか、現段階で。また、県内においても、ひきこもりについてどのような支援がなされ、結果を出しているのか、福祉保健部長、お答えください。
○議長(岩田弘彦君) 福祉保健部長。
  〔𠮷野裕也君、登壇〕
○福祉保健部長(𠮷野裕也君) まず、議員御質問の人数ですが、令和4年度に内閣府が実施した調査によると、生産年齢人口に当たる15歳から64歳の狭義のひきこもり状態にある方は、県内に約6000人と推計されます。
 次に、支援についてですが、本県では、専門資格を有する支援コーディネーターを配置した県ひきこもり地域支援センターにおいて、当事者や家族からの相談に応じるほか、支援者の資質向上のための研修や相談事例への助言を行うとともに、昨年度から、当事者や御家族に寄り添い見守るひきこもりサポーター養成事業も実施しているところです。
 しかしながら、ひきこもり状態にある方は、社会との関係が途絶え、孤立しがちで、その家族も、相談窓口が分からない、いつかは社会復帰してくれるだろうという期待、また、家族内のことを外部に知られたくないといった思いから、相談につながりにくいと言われています。
 そのため、県や市町村では、ひきこもり相談窓口を広く広報するため、ホームページや広報紙への掲載、相談窓口を紹介するリーフレットを作成し、民生委員、児童委員向けの研修会等での配布などを通じて広く周知を図っているところです。
 また、全市町村で相談窓口や居場所を設置するなど、支援体制の整備が進んできたことも相まって、昨年度に寄せられた延べ相談件数は8370件、実人員は661人であり、その中には、ひきこもり状態にあった方が相談につながったことで、主体的に居場所を利用し、自律に向けたプロセスをたどっている事例などもありました。
 今後は、相談者に対するフォローアップ体制の構築など、より効果的な支援施策を検討してまいります。
○議長(岩田弘彦君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 部長、どうもありがとうございます。
 私も、これ、まさか生産年齢人口に当たる15歳から64歳で6000人いるとは正直思っておりませんでした。大変驚いた数字ですね。
 県ひきこもり地域支援センターで、ひきこもりサポーターづくりもしているということですが、これだけの対象者6000人──これ推計でもありますけれども──いるにもかかわらず、ひきこもりサポーターだとか地域支援センターだとか、そういった存在があまりにも一般に知られていないのが問題あるんではないかと思いますし、今後、実際にどのような活動をしていくか、また、何人の方を引き受けて、何人の方が──後ほど、次の質問にもありますけども──社会復帰をさせることができたかということについても、ぜひとも分かりやすく発表していただきたいと存じます。
 以上です。
 最後の質問に移らせていただきます。
 最後になりますが、このひきこもりの問題を質問しようとしたのは、先ほども申しましたとおり、元道場生の母親からの相談がきっかけでした。
 しかし、9月4日に、私どもの改新クラブで、長崎の後、佐賀市に行きまして、これは藤本議員の紹介ですけども、視察に伺った認定特定非営利活動法人スチューデント・サポート・フェイスの谷口仁史代表理事のお話を伺って、私の考えが薄っぺらいもんだなとつくづく感じ、20年も引き籠もっている人を簡単に社会生活に戻せないことがよく理解できた次第であります。
 谷口氏の言葉を借りると、ひきこもりの対象者にアウトリーチ、つまり訪問支援と、重層的な支援ネットワークを活用した多面的アプローチ、これは社会的孤立・排除を生まない総合的な支援体制の確立に向けてということで、福祉や教育関係者だけではなく、あらゆるネットワークを使ってひきこもりから立ち直らせるということでした。
 先ほど、ちょっとヤングケアラーのことも聞いて、なるほどそんなもんかなと思ったんですが、改めて感じたんですが、やっぱりただ単に福祉関係、教育関係だけではなしに、ひきこもりの場合は、もっともっといろんな団体とか組織を活用して、そのネットワークをつくった中で、1人の人を社会復帰させるということだと思うんですね。
 しかも、これ、谷口さんいわく、「派遣先の9割以上が、脱ひきこもり、学校復帰、進学、就職等、状態が改善している」ということでありますが、この佐賀市のNPOの取組に対する所見と県の今後の取組について、福祉保健部長、お答えください。
○議長(岩田弘彦君) 福祉保健部長。
  〔𠮷野裕也君、登壇〕
○福祉保健部長(𠮷野裕也君) NPO法人スチューデント・サポート・フェイスは、佐賀県からひきこもり地域支援センターを受託し、支援者とのマッチングを考慮した上で、アウトリーチを中心とした伴走型支援を行っており、外出が困難な方への支援としては有効であると考えております。
 本県でも、県立保健所や市町村の担当者等が家庭訪問を行っていますが、ひきこもり状態にある方の状況は様々で、年齢や疾患の有無、家庭環境などで関わり方は千差万別であり、当事者の方により、求める将来像も違うため、当事者の思いを大切にしながら支援を行っているところです。
 ひきこもり支援では、自らの意思により今後の生き方や社会との関わり方を決定し、自律に向かうプロセスが大切であるため、継続的な関わりや長期的な支援が必要と考えています。
 また、全市町村において相談窓口が整ったこともあり、今後さらに当事者に寄り添った支援ができるよう、関係部局や若者支援等の関係機関と連携し、相談体制の充実に努めてまいります。
○議長(岩田弘彦君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 部長、どうもありがとうございました。
 本当に、私、今回これ藤本議員の御紹介で行ってよかったなと思うのは、やっぱり世の中、いろんな人がおるんですね、当たり前ですけども。特にこういうひきこもりの問題というのはあまり、もちろん行政も大事なんですけども、NPOで非常に柔軟な対応をしているところのほうが動きやすいし、特にアウトリーチということになってくると、そこのビデオなんか見せてもらいましたけども、いろんなやり方があるんですね。こうでなきゃいかんとか、これがこうせないかんとかいうようなことじゃないということも十分分かりました。
 それだけに、ぜひとも、先ほどもサポーターの話もありましたけれども、そういうリーダーになる人を行政だけがやるんじゃなしに、一般の中につくっていただくことを要望いたしまして、私の質問とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(岩田弘彦君) 以上で、浦口高典君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開きます。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時33分散会

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