令和7年9月和歌山県議会人権・少子高齢化問題等対策特別委員会会議記録
令和7年9月和歌山県議会人権・少子高齢化問題等対策特別委員会会議記録
1 日時 令和7年9月17日(水)午後2時45分~午後4時19分
2 場所 予算・決算特別委員会室
3 出席者 委員長 藤山将材
副委員長 林 隆一
委員 岩田弘彦、吉井和視、中村裕一、坂本佳隆
山下直也、藤本眞利子、浦口高典、奥村規子
欠席委員 なし
委員外議員 なし
4 概要
午後2時45分開会
●藤山委員長
◎開会宣告
◎報告事項 なし
◎撮影許可 3件
◎議 事 (1)人権問題等対策の現状と今後の取組について
(2)少子・高齢化問題等対策の現状と今後の取組について
(3)その他
(1)人権問題等対策の現状と今後の取組について
●藤山委員長
◎説明要請
●島本共生社会推進部長、今西教育長説明(別添説明要旨のとおり)
●藤山委員長
◎質疑等宣告
Q 山下委員
新聞によると、鳥取県の平井知事が2日、交流サイト、いわゆるSNSなどインターネット上で差別的な投稿が拡大していることを受け、県人権条例の改正を検討していると明らかにした。中傷や差別に当たると判断した投稿に対し削除要請し、これに応じない投稿者に過料を適用する条文を盛り込むもので、早ければ年内の改正を目指すということである。鳥取県によると、表現の自由に配慮し、専門家の意見を踏まえて、差別と判断した投稿を対象にすることを想定しているという記事であった。
これについて、和歌山県はどのように考えているか。
A 加藤人権政策課長
鳥取県が公表している資料によると、インターネット上での人権侵害の発生や被害拡大を防止するため、誹謗中傷や差別行為などについて県が表現の自由に配慮しながら削除要請を行い、行った削除要請に実効性を持たせるため、公表や行政罰の適用を視野に、人権尊重の社会づくり条例の改正を検討しているという内容になっている。
鳥取県の担当部局に聞いてみると、実効性を持たせるための措置を含め、具体的な内容については、今後様々な意見を聞きながら進めるということである。
Q 山下委員
ということは、このことを鳥取県はやっていくが、まだ決まっていないということでよいか。
A 加藤人権政策課長
今のところは検討しているという段階である。
Q 山下委員
ここでやっぱり注目したいところは、削除要請に応じない投稿者に対し過料の適用を検討していくということで、これは大変大事な点だと思う。
このことに関しては、今までも様々な議論があったところだが、なかなか思い切ってこんなところまではいけていない。
しかし、鳥取県では条例の一部改正の議論の中で、過料という言葉が出てきているわけだが、ここら辺の意義をしっかりと認識して、我々県議会や特別委員会としてもきっちりとやっていかなければいけないと思う。
和歌山県としてこれからどうしていくのかということを、しっかりと前向きに考えていかなければと考えるがどうか。
A 加藤人権政策課長
今年4月に情報流通プラットフォーム対処法が施行され、インターネット上での誹謗中傷等に対する削除については少し進むのではないかという期待がある一方、全てのプラットフォーム事業者が対象になっていないということや、自己の権利を侵害されたとする者以外からの申出は対象となっておらず、地方公共団体からの削除要請については対象外となっているといった状況は、課題として認識している。
加えて、削除するかどうかは、最終的にはプラットフォーム事業者の判断という高い壁がある。
このような状況を踏まえると、県としては実効性のある対策を講じる必要があると考えており、毎年、国の方に要望しているところである。
今後、情報流通プラットフォーム対処法の運用状況を注視するとともに、鳥取県をはじめ他の自治体のインターネット上の人権侵害対策に対するアンテナを高くして情報収集を行い、実効性のある対策が講じられるよう研究していきたい。
意見 山下委員
いわゆる情プラ法に対しては、我々も様々な形で今勉強しているところである。
指摘があったとおり、情プラ法の問題というのは行政からの削除要請が対象外となっていることや、対象の事業者がGoogleなどの大手9社に限られており、9社以外であればどうなるのかというようなことがある。
ないよりはあった方がいいとは思うが、これからしっかり議論し、進めていかなければいけないと思っているので、どうかよろしくお願いする。
Q 奥村委員
私からは、最初に、先ほど藤本議員が一般質問の中で言われていたが、人権と言えば、今世界的に起こっている戦争、あれほど一方的に命が絶たれるというような事態については、本当に大変な問題だということをまず挙げさせてもらう。私自身の気持ちとして、何らか県なり議会もそうだと思うのだが、やはり発信していく必要があるなということを非常に感じた。私はやはり憲法だと思うが、先ほど部長から説明があった人権施策基本方針(第四次改定版)がこの春、出されて、この人権尊重の社会づくりが全面的に前進するというか、県民の中に自覚的、自主的な中で解決をしていくという、そのための行政のアプローチとかいろいろなことが非常に大事だなというふうに思っている。
ここで一つ質問は、この第四次改定版の中で、一気になかなかいかないと思うが、やはり和歌山県として非常に問題というのか、課題だというようなことがあれば、そういった点も含め伺いたい。
まず、女性の人権に関して、基本方針では触れられていないが、選択的夫婦別姓の問題について、改姓することに違和感を持つ方も多く、一人一人を尊重するためにも姓を選択できるよう進めてほしいとの意見も多いが、県の対応はどうか。
また、現在の物価高の影響で、年金で生活されている高齢者の方々が非常に厳しい状況に置かれている。特に医療機関への受診など、必要な移動において、公共交通機関が減少している地域では、バスの本数が少なく、やむを得ずタクシーを利用すると片道で5000円から6000円もの費用がかかるケースもある。これは、移動の自由という基本的な権利に関わる問題として今後考えてもらう必要がある。役所や病院など、生活に必要な場所へ行く手段が限られている中で、年金が月6万円程度という状況では、交通費の負担は非常に重く、切実な声が寄せられている。今後は、こうした移動の自由を守る観点からも、交通手段の確保や支援策についてはどうか。
A 鈴木多様な生き方支援課長
選択的夫婦別姓制度の導入については、婚姻制度や家族の在り方と関係する重要な問題であり、国民の理解のもとに進められるべきものであると考えている。
県としては、社会に開かれた形で早期に議論が深められ、1日も早く結論が出るよう、全国知事会等を通じて国に要望しており、本年7月24日には全国知事会から、選択的夫婦別姓制度に係る具体的な議論を加速・活性化させるよう要請したところである。
A 坂本長寿社会課長
移動支援については、現在、各市町村において障害者や高齢者の方々を対象に、バスやタクシーのチケットの配布などの支援が行われている。
また、県としては、市町村が行う「生活支援体制整備事業」の伴走支援を行っている。この事業は、ゴミ出しや庭の草刈りなど、日常生活の中でのちょっとした困り事に対して、地域住民がお互いに支え合う仕組みを構築するものである。その一環として、スーパーへの移動が困難な方への買い物支援などを実施しており、今後もこうした支援体制の充実・拡充を図っていきたいと考えている。
要望 奥村委員
人権に繋がる問題でもあるので、ぜひともこういった日常の困り事にもしっかりと応えていただくようお願いする。
Q 中村委員
説明を聞かせてもらい、同和問題に関する教材を小中高、校種別に作るということは、すごくいいことだと思うが、県立学校と市町村立学校ということである。県内の子供たちの2、3割ぐらいは私学に行くが、私学のほうはどうなっているのか。
A 岩井人権教育推進課長
県内の小中学校、それから私学からも人権教育の代表として学校で1名の教員に出てもらい、人権について、今、学んでもらっているところである。私学からも、この同和研修を行いたいということで、今のところ、3校、公立と同じような研修を行っている。私学のほうでは、あと1校、この後、研修を行うところである。その中でも、こういう教材があるということを、必ず伝えている。
要望 中村委員
私学でも使ってもらえるよう要望しておく。
Q 藤本委員
教育委員会の取組で、人権教育のリーダー養成講座をやっているということだが、これはどんな形でしているのか。
A 岩井人権教育推進課長
この人権リーダー養成講座は、年間4回の講座で行っており、各学校から1名、各学校のリーダーで頑張って勉強したいという先生を出してもらっている。まず、どういうふうに学校の中で人権教育を進めていくか、目標の設定等を行い、最後には、授業実践に繋げてもらい、1年間の研修を修了するというような形でやっている。
Q 藤本委員
それは毎年やっているのか。
A 岩井人権教育推進課長
毎年やっている。小学校、中学校、高校、特別支援学校と学校を変えながらやっている。立候補してもらい、そこから1名先生に出てもらっている。
Q 藤本委員
それは何年やっているのか。
A 岩井人権教育推進課長
確認して報告する。
Q 吉井委員
私の方から、以前から問題にしていることを、部長に伺う。
予算委員会でも申し上げたが、和歌山県の部落差別解消推進条例の中に、地方自治法で示された附属機関、名称は委員会とか審議会とか様々あるが、部落差別解消のための附属機関が設置されていない。設置されているという見方もあるが、部落差別解消推進条例に明記されていない。人権尊重の社会づくり条例のいわゆる人権施策推進審議会を代用しているという読み込み方をすればそうなるわけだが、せっかくできた部落差別解消推進条例の中に明記してほしいということをずっと言わせてもらっている。なぜ、県はこの要望に応えてくれないのか不思議でならない。
県は、部落差別が2年、3年と続いても良いと思っているのか。これは早急に、明日にでも解決しなければいけない問題であると思う。
そういうところで前の知事も、このやり方に問題が起こったら、変えさせてもらうと答弁したわけで、問題が起きたらとは、どういう問題を想定しているのか、部長に聞きたい。知事と話し合った結果どうなっているのかということも聞きたいので、答弁をお願いする。
A 島本共生社会推進部長
6月のこの委員会の席上でも吉井委員から要望があったので、現知事に部落差別解消推進条例の中で特化した委員会を設置してはどうかということについて、改めて確認した。
その結果、2月定例会の予算特別委員会で、前知事が答弁したものを踏襲し、まず現行の体制により引き続き部落差別の解消に向けて取り組んでいく。その上で、現行の体制で対応できないような大きなことが起こった場合は、体制の見直しも含めてさらなる研究を行っていくということであった。
Q 吉井委員
部長の意見として、どういうふうに知事に伝えたのか。
A 島本共生社会推進部長
2月の予算特別委員会の前知事の答弁を踏まえて、私どもの考えとしてはこの考えを踏襲させてほしいということで、現知事に申し上げた。
Q 吉井委員
そのままでいいという部長の考え方か。
A 島本共生社会推進部長
現体制のままでということである。
Q 吉井委員
地方自治法には、条例の定めにより附属機関をつくってよいということが明記されている。だから、部落差別解消推進条例ができたのであれば、やはり特別な附属機関をこの条例の中に明記したらどうかということを提案した。これには費用がかからないと思う。和歌山県は、いわゆる先進県であり、国に対しても実効性のある法整備を求めており、特別の第三者機関の設置も求めているのではないか。人権尊重の社会づくり条例の第5条を読んでみると、この審議会で審議すると載っている。わざわざ他の条例の審議会で審議するということは、部落差別が何年も続いてもいいという悠長な考え方になっているのではないかという気がする。
かつて、部落差別解消推進条例をつくるとなったときに、ある議員が徐々にやったらいいのではないかと言った。徐々にやって、何年で解決するつもりかということを私は言わせてもらった。徐々にやっていたら解決に何年かかるのか。部落差別は何年で解決したらいいと考えているか、部長に答弁してもらいたい。
A 島本共生社会推進部長
何年でというものではなく、全ての差別というのはすぐにでも解消しなければならないものだと思っている。
この条例の改正に当たってもおそらく、この委員会の場でどのような形で実効性のあるものにするか、それからそれを審議する場をどういう形にするかということで審議いただいた結果が、現体制であるかと考えている。もちろん差別はすぐに解消しなければならないものであって、何年も悠長にやっているべきでないという意見はそのとおりだと思うが、体制については今まで様々な審議をいただいた中での体制ということで、今、部落差別解消推進条例の中に特化した審議会ではないが、人権全般の審議会の中で審議するという形をとっている。
また、国に要望している事項は、部落差別解消推進法に基づき、何か特別なものをつくってほしいということではなく、様々な人権問題が発生している中で、それに対しての救済機関というものを一刻も早くつくってほしいということである。
要望 吉井委員
その考えは少し間違っている。我々議員が協議して、部落差別解消推進条例の中に特別な審議会をつくらないと決めたわけではない。当局が勝手に決めている。傍観者的なことを言わずに、人権分野を担当しているトップである部長が知事に対して、やらなければいけないのではないのかということを言ってもらわないといけない。どこに障害があってできないか我々はわからない。誰がそんなことを言っているのかわからない。誰が反対しているのかわからない。
かつて、国に部落差別解消推進法ができて、県条例をつくらなければいけないといったときに、いろんな人が反対をした。反対者がいた中でできた。別につくらなくてもいいのではないかという意見もあった。しかし、一刻も早く差別をなくさないといけないということで、反対する人も差別がなくならないでもいいということを言っているのではなく、一刻も早くなくさないといけないと思っているが、わざわざ条例をつくらなくてもよいという考え方で言っていた。今の部長もそうだと思う。
しかし、最初言ったように差別の解消に何年続くのかという思いがある。傍観者的なことをいつまでも言わずに、次の委員会までに検討してほしい。
意見 奥村委員
私は、差別をなくすというのは、やはり本当に対等平等の一人一人の人権が大切にされることであると思う。差別という認識がなくても、その事象として客観的に差別になっているとかいうのはまだまだ、私達の生活の中にもあるかと思う。
それで、子供や女性、働く人など、いろいろな権利が守られていくというようなそういう土壌をつくっていくことが非常に大切だと思っているので、人権尊重の社会づくり条例というところにしっかりと立ち、議論し、県民一人一人が人に言われてではなく自主的に認識するということが、非常に大事じゃないかと思っている。
部落差別解消推進条例ができたわけだが、私はこれについて条例をつくることに対しては反対する立場だった。様々な差別をなくしていかないといけないという思いで、人権尊重の社会づくり条例を本当にもっともっと豊かなものにしていくという取組をしていただきたい。
審議会のことも書かれているが、それに対しての様々な問題や課題について解決できたり議論したり、県民の皆さんが納得できるということが非常に大事なことだと思うので、その辺も含めて、意見として申し上げておく。
●藤山委員長
◎質疑等終了宣告
◎休憩宣告
午後3時27分休憩
午後3時29分再開
●藤山委員長
◎再開宣告
(2)少子・高齢化問題等対策の現状と今後の取組について
●藤山委員長
◎説明要請
●島本共生社会推進部長、𠮷野福祉保健部長説明(別添説明要旨のとおり)
●藤山委員長
◎質疑等宣告
Q 中村委員
和歌山県の高齢化率は33.9%で、約31万人が高齢者という説明があった。
私が調べたところ、高齢者の主な収入源は年金だが、年金だけという人が約18万人いて、年金を受給していない人が2万人程度いる。この年金をもらっていない高齢者の3分の2が貧困状態で、仕事をしているか、資産がなかったら、本当に困った状態にあると思うが、県として高齢者の貧困対策について何か対策はしているのか。
A 岩橋福祉保健政策局長
地域の民生児童委員や包括支援センター、町村役場の福祉窓口で生活に困窮しているとの相談が寄せられた場合や、地域での見守り活動などを通じて生活困窮状況にある世帯を発見した場合は、市や振興局の福祉事務所に情報が集約され、そこで様々な関係機関や支援団体等で構成する支援会議において情報を共有するとともに、そういった世帯への支援をどうするか協議することになっている。
その中で、生活保護による支援が必要な状態にも関わらず、生活保護をためらう世帯であれば、生活保護の趣旨や必要性を丁寧に説明し、納得してもらえるように対応しているところである。
Q 中村委員
高齢者対策について、対応しているとの説明があった。その結果、皆さん豊かになっているのか。もし豊かになっているのであれば、高齢世帯の住宅耐震化や下水の接続が遅れることはないはずであると思うがどうか。
A 矢代建築住宅課長
高齢化率の高い市町村については、住宅の耐震化率が低い傾向にあり、高齢者世帯の耐震化が課題と捉えている。
そのため、住宅耐震化補助について、高齢者世帯の方にも利用しやすいように、今年度から補助限度額の増額、1階改修型の創設など、制度を拡充している。これらに加え、既存の各種制度を活用して所有者の負担軽減に努めるとともに、引き続き普及啓発に努めている。
高齢者世帯を含む全ての世帯について、耐震化をはじめとした既存住宅の住環境に係る施策を進めていく。
意見 中村委員
仕事をしている人たちでもなかなか耐震化等が進まない中で、年金収入しかない世帯だと余計に進まないので、何か特別の方法をぜひ考えてほしい。住宅の耐震化や下水の接続は待ったなしの状況である。これは県土整備部だけの問題ではなく、本県の3人に1人は高齢者であり、県民の主役だと思うので、他部局もこの問題に取り組んでほしい。
Q 中村委員
人生100年時代を迎えて、80歳ぐらいまで希望すれば仕事ができるのはいいと思うが、和歌山県は幸いに1次産業ができるので、皆さん元気なうちは仕事をしているが、1次産業でないような人、サラリーマンの人などは立ちどころに仕事がない。シルバー人材センターに行ったら、あまり仕事をしてはいけないということになっているというが、かつて福岡県に行ったら、県が主導的に高齢者の雇用開発をやっているので、ぜひ和歌山県も力を入れてやってもらいたい。これについては、やっているということだが、効果は上がっているのか。
A 髙橋労働政策課長
県としては様々な方の求職の相談に乗るため、わかやま就職支援センターを開設している。定年退職された方などシニアの方も対象にしており、キャリアコンサルタントや専門の相談員による個別相談、就職に必要な各種セミナーの開催をして、その中で対応している。
意見 中村委員
能力開発をされているということであるが、雇用そのものをたくさんつくっていかないと(高齢者の就労は)増えないと思うし、和歌山県は若い人でも仕事がないから県外に行ってしまうので、高齢者用の仕事をつくることを真剣に考えてもらいたい。
意見 中村委員
和歌山県の危機っていうのは、南海地震と人口減少というふうに思っている。
少子高齢化というのは、やはり連動していて、18歳になったら8割の人が就職や進学で県外へ行って、それで3割しか帰って来ない。若年人口がどんどん出て行って高齢者しか残らなくなり、自然減も増えるので、これは悪循環だと思っている。
子育て支援をさっきから聞き、こども計画も見て、いろいろやってもらっていると思うが、せっかく育てた子供、若い人たちはみんな県外へ行ってしまって、バケツの底に穴が開き、残ったバケツの中で子育て支援してもなかなか効果が上がらない。
ぜひ、ここに蓋をしてもらいたいと思い、私は、その方法は、大学をつくることだというのを、もうこの10年間ぐらい言っている。こども計画の中にも、大学進学助成という制度があるが、その大学が和歌山県にないので、助成をするだけではなくて和歌山に大学をつくるという政策がないと、いくら助成しても県外へ行ってしまうので、人口減少は止まらない。少子高齢化は止まらない。
Q 中村委員
子供の貧困について、和歌山県では10人に1人が相対的貧困だと言われており、貧困の原因はひとり親家庭、特に母子家庭であることが多く、ひとり親になる原因の88パーセントは離婚と聞く。
離婚しなければ子供は貧困にならないし、きちんと養育費を払ってくれたら子供達は困らない。
今度1人2万円の養育費を支払う制度ができると聞いていて、それはいいことだと思うが、子供の貧困を助ける前に、離婚しなくてもいいような支援もやっていかないと、離婚をした後のことだけでは限界があると思うがどうか。
A 田伏こども家庭局長
離婚については、夫婦の話合い等で成立するものであり、制度として離婚しないようにするというのは困難である。
養育費月2万円については、令和6年に法律が改正公布され、令和8年度までに施行予定であり、現在、国において養育費の額や共同親権について議論されているので、国の動きを注視していく。
Q 中村委員
児童養護施設出身の子供たちは、進学率が低い。
特に大学進学率が極端に低いということであるが、特別に何か支援はしていないのか。
A 田甫こども支援課長
進学に関する貸付金制度を設けて児童養護施設に入所している子供たちの大学進学を支援している。
Q 中村委員
それで進学率は上がるのか。
A 田甫こども支援課長
手元に正確なデータはないが、進学率は過去と比較し、現在は増加していると認識している。
要望 中村委員
どのくらい効果があるのか、それだけでは足りないのか、何かできることはないのか検討して、別の機会に教えてほしい。
Q 中村委員
ある時に、九九が分からない高校生に出会ったことがあったが、小学校での学習の遅れが家庭の支援不足により解消されず、算数・数学が苦手なまま成長してしまう。九九ができないと、将来的に仕事に就くことも難しくなる。
和歌山県こども計画にも記載されているように、貧困世帯に生まれた子供は、勉強ができず、自尊心も育たない。結果として、良い仕事に就けず、結婚もできないという負の連鎖が続いている。
昨日の一般質問で知事が「教育だけではできないので、福祉の心を持った政策を行う」と述べていたことを踏まえ、教育長に質問したかったが不在のため、代わりに答弁を求める。
A 島本共生社会推進部長
教育と福祉の連携について、知事の答弁のとおり教育現場に福祉施策が十分に届いていない現状がある。そのため、チームを組んで教育現場を回り、困ったときに利用できる福祉施策について周知する等の取組を開始している。
教育と福祉の連携によって、子供の貧困対策などに相乗効果を生み出し、取組を進めていきたいと考えている。
要望 中村委員
行政にはできる限りの支援をお願いしたい。ただし、相談に来ないと支援できないケースが多いため、支援が必要な子供を探し出して、一人一人に寄り添う姿勢が必要である。
親がいない子供には、知事や市長が親代わりになる気持ちで支援してほしい。
Q 浦口委員
3点ある。
1点目の質問は、身近に感じたことだが、最近、娘が東京に勤めていて、いわゆる里帰り出産したが、その時非常にありがたいことに、日赤病院が近いので、急な陣痛が来てすぐに入院となった。それはそれでちゃんと対応してもらえたが、子供の調子が少し悪くて、何週間かちょっと病院に泊まらざるを得なかったということがあった。その時考えたのだが、私がたまたま和歌山市民でもあるし、近くに住んでいるので、日赤病院にも和医大附属病院にも、出産できるところへすぐ行けるありがたさがある。
いろんなところで聞くのだが、郡部に行けば、若い人が育てたいけど、ここではなかなか子供が産めないというような話をよく聞く。要するに産科医がいないということ。産科医を確保しても非常に人数が少ないし、救急対応することが非常に難しいということを聞く。その点についてはどうか。
2点目の質問は、本会議で質問したが、「若い人に和歌山で働いてもらう」というのは、言うのは簡単である。ところが、和歌山市内を中心に質問したが、この10年間でどれだけ和歌山で新規の投資をしてもらったかというと、112億円、つまり1年間で10億円程度。それで新しく来てくれた会社が10年間で30社ということは1年間で3社。どれだけ新たな雇用が生まれたかというと485人、1年間で48、49人。人口が県全体で大体1年間で1万人ぐらい、社会減だけじゃないが1万人近く減っている。その中、和歌山市内で数千人減っている中で、焼け石に水とは言わないが、働いてくれ働いてくれと言っても、働く場がないのにどうするのだと。やはり、全体のパイを大きくしていかないといけない。
しかし、答弁の中で、GXやCO2の対策で新たな産業を今後、成長産業として育てていくというのはいいが、結局数字が出てこないから、ただ絵に描いた餅である。だから、本当にそれでいいのかという感じがある。
それについてもう少し詳しく言えるのであれば言ってもらいたいし、数字的なことを言えないのなら、今この程度だということでも結構なので教えてほしい。
3点目の質問だが、健康で長生きする社会づくりはこれからの高齢化社会で大事である。議会でも言ったとおり、滋賀県が平均寿命を延ばし1位になったが、和歌山県は良くはなっているが全国的には下位である。以前にも滋賀県と和歌山県を比べたことがあるが、運動・栄養・社会参加で雲泥の差があり、それが結果として出てきている。
基本的には市町村の問題でもあるが、高齢化率の高い印南町の要介護認定率が非常に低く、人口の多い和歌山市の要介護認定率が高いため、結果として和歌山県全体の要介護認定率が高くなっている。
こういったことを分析し、もう少し本腰入れて、健康で長生きできる地域づくりをやってもらいたいがどうか。
A 石田医務課長
周産期医療の問題については、委員指摘のとおり、産婦人科医の確保は非常に難しいものがある。周産期医療圏は和歌山県内に5つある。具体的には、和歌山・有田・那賀、橋本、御坊、田辺、新宮で、各地域で必ず産めるような体制を今後も引き続き堅持したいと考えている。
要望 浦口委員
周産期医療の問題は、確かに数字的にはそうだと思うが、いろいろ聞くと、私の第二の故郷、有田でも大変だと聞く。近くでは那賀地区でも産婦人科の医師がいないと聞く。それだけに頑張ってほしい。
A 髙橋労働政策課長
2点目の質問について、企業立地課ではないので少し見当が外れるかも知れないが、どれくらい和歌山で働いてくれているか、各企業に統計を取っているわけではないので、確かな数字は持っていない。当課で把握しているところでいうと、わかやま就職支援センターにおける就職できたかというアンケートでは、令和6年の実績で年間161名が新規に就職できている。
色々な合同説明会をしている中で、数字を把握できているものでいうと、中には1回の合同説明会で40名の就職を確認できたりしているので、そういった数字の把握でしかないが、できるだけ和歌山県内の企業の魅力をPRして、そこに就職してもらうということを当課としては努めている。
A 𠮷野福祉保健部長
3点目の質問について、健康とは、何もなければ水や空気のように当たり前にあるものと思うが、自分や大事な人が病気になったときに、初めて健康のありがたさに気づくものと思う。
議員の言うとおり、運動・栄養・社会参加の3要素が大事であるが、県民性も関係してくるのか、好きなものを食べられない、お酒を控える、禁煙するとなると二の足を踏んでしまうところもあるかと思う。
今は、幼児の頃から漫画を使った運動・栄養・社会参加の啓発を進めており、意識づけから進めていきたいと考えている。
要望 浦口委員
部長の言うとおり意識改革を進める必要があるが、もう既に健康長寿日本一わかやまと言ってから17年経っている。17年経っても意識改革ができていないということは、どこか問題があると思うので、ぜひ意識改革して変わるようにお願いする。
Q 山下委員
高校生の介護分野の説明については、そのとおりだと思う。
随分前のことになるが、私は同じことを質問した。当時、竹内課長という厚労省から素敵な課長が来ていて、立命館大学の先生を座長に介護問題に対する勉強会を立ち上げてくれた。その背景には、ある就職説明会で、生徒が興味を持ってその介護施設のブースで説明を聞こうとしているところに、先生が、「介護職はしんどい。やめておけ。」というとんでもない発言をしたということがあった。
その後、県労協の顧問をしていた私は理事会に呼ばれ、こんな発言をする先生あるか、と強く叱られた。その後、この問題を提起させてもらったという経緯がある。
その後、3か年の事業として、介護職員さんにアンケートを取って、そして全県立学校の校長先生に協力してもらってアンケートを取った。興味あるという人もいれば、しんどいし、あまりいいイメージがないと素直に答えた子もいた。そして、アンケートを含めて事業内容を1枚にまとめたDVDを作成して、全高等学校に配布し、介護分野の仕事に対する理解を深めてもらい、高校を卒業して夢を持って介護分野に行くくんだという生徒を増やすために活用してもらった。その後、介護分野への理解は、少しは改善されてきているのか。
A 村田県立学校教育課長
DVDにより介護職に対する理解が学校現場で進んだ。
現在、有田中央高校では、介護福祉士の受験資格を取得できる科目を開設し、昨年度4名が受講した。また、有田中央高校を含めた6つの高等学校で、介護職員初任者研修を取得できる科目を開設し、昨年度6校で62名が受講した。6校以外の生徒に対しても、長寿社会課と連携し、介護職員初任者研修を取得できるように、約7万円程度の受講支援を行う事業を実施している。この事業は、平成27年度から開始し、昨年度末までに計918名がこの研修を修了している。
また、応募前企業ガイダンスに参加した福祉関連企業の割合は、今年度10.6%であり、10%を超えている。また、和歌山就職ガイドという企業を紹介する冊子を作っているが、その中に掲載されている福祉関連企業の割合は14.6%となっており、生徒への周知に努めているところである。
意見 山下委員
高校生の介護福祉分野に関する正しい知識と理解の促進が気になるところだが、随分改善されているようで少し安心した。
認識は共有されていると思うが、医療分野、他の分野、保育園の先生もそうである。先ほども産婦人科の先生の話もあったが、和医大で脳外科の教授をされていた上野先生が退官されるときに聞いた話であるが、「医者も例外ではなく、このままでは美容整形などへ流れ、緊急手術や大きな手術をするとき、足りなくなる。危機感を持たないといけない」という話であった。
それから看護師、保育士、やはり介護、ここが一番心配だとずっと思っている。例えば、紀北に住んでいる女性がパートやアルバイトをするのに、15分も走れば大阪に行ける。大阪府内の介護施設に行くと、和歌山県ではない手当があったり、給料が若干違ったりする。そういうことで、どんどん流出していくことが心配。やはり基本は、和歌山の方が和歌山の方々を介護するのが一番いいと思う。
これからも今やっている取組を続けて、先生にも生徒にも正しく理解してもらえるとありがたい。今後ともよろしくお願いする。
Q 吉井委員
私は常に、娘や親戚などに親戚の集まりで、早く結婚し、早く産めと言うことが問題発言だと言われている。ハラスメントだという話はわかるが、共生社会の中で、少子化の解決にはやはり子供を産まなければならない。子供を2人以上産まなければ少子化が進むわけなので、早く結婚しなければならない。
しかし、そういうことを言うと、家族の中であれば注意してくれるけれども、個人の尊重ということで、公の場では問題となる。私の言っていることは問題発言なのか。
A 島本共生社会推進部長
子供を産むとか結婚するというのは、もちろん個人の自由に基づくものだと思っている。ただ、県としても昨年度から、若い時からライフデザインというものを考えていこうという取組を実施している。
女性が子供を産むということは、身体的、年齢的な制限もあるため、そういうところも含めて、自分がどういうふうな生き方をしていくかということを若い人たちにも考えてもらう。結婚や出産は個人の尊厳に関わってくることだと思うので、自分自身でそれぞれの人生を考えてもらうことを通じて、人口減少を少しでも食い止められるように施策を進めていきたい。
結婚や出産ということを行政側から言われることに対しては、様々な意見があると思うので、自身で選択してもらうような形で進めていきたいと考えている。
意見 吉井委員
福祉の心というのは共生社会だと思っている。そして共に生きるというのは、やはり人の言うことを聞くことだと思っている。だから、そういうことを言うことがハラスメントだと言うこと自体が、共に生きる社会を阻害する要因だと思っている。
●藤山委員長
◎説明に対する質疑等終了宣告
(3)その他
●藤山委員長
◎県内外調査の実施時期報告、調査先協議
◎閉会宣告
午後4時19分閉会