令和7年6月和歌山県議会人権・少子高齢化問題等対策特別委員会会議記録(6月20日)


令和7年6月和歌山県議会人権・少子高齢化問題等対策特別委員会会議記録

 

1 日時  令和7年6月20日(金)午後2時18分~午後2時51分

2 場所  予算・決算特別委員会室

3 出席者 委員長   藤山将材

      副委員長  林 隆一

      委員    岩田弘彦、吉井和視、中村裕一、坂本佳隆
            山下直也、藤本眞利子、浦口高典、奥村規子

      欠席委員  なし

      委員外議員 なし

4 概要

 午後2時18分開会

  ●藤山委員長

   ◎開会宣告 挨拶

   ◎報告事項 なし

   ◎撮影許可 3件

   ◎議  事 (1)人権問題等対策の現状と今後の取組について
         (2)その他

 

(1)人権問題等対策の現状と今後の取組について

  ●島本共生社会推進部長説明

  ●今西教育長説明

  ●藤山委員長

   ◎説明に対する質疑等宣告

 

意見 吉井委員

 今、教育長から、問題提起者へのケアということを聞かせてもらったが、問題提起者は差別の被害者ではないのか。だから病気に陥ったと聞いている。綿密なケアをしてあげてほしい。大変なストレスから病気を起こしている。救ってあげてほしい。

 差別をした人が1年も経たないうちに他の職場へ変わっているということは非常に問題があると思う。石の上にも3年というが、3年ぐらいその職場に置いて、差別をした教師が、どのような背景でしたのか、どのような反省をしているのか、どのような研修を受けたのか、そういうことを見守る必要があるのではないか。極端な言い方をすれば、2人、被害者も差別した方も、一緒の職場に置いて、コミュニケーションの改善というか、そのようなことを見た方が良かったのではないかと思う。教育長も就任したところで、経過がわからないと思うので、一言言わせてもらった。

 

Q 吉井委員

 2月の予算特別委員会で岸本前知事に質問をさせてもらい、知事の答弁に少し不満はあったが、なかなか一生懸命やってもらっているという感じを受けた。知事が代わったので、新しい知事にも考えておいてくださいという観点で、何点か質問をさせてもらう。

 一つは、いつの議会かわからないが、共産党の議員から部落差別についての質問があり、部落差別は他の差別と違い、定義がないというような質問があったとき、仁坂元知事が、確か、「部落差別の定義は部落差別だ」と、そういう答弁をしたと思う。これについては賛否両論があり、私は名答弁かなと思ったが、部落差別の定義について、まず、部長に伺う。

 

A 島本共生社会推進部長

 部落差別の定義についてという質問だが、例えば、部落差別の解消の推進に関する法律においても、明確に定義されておらず、部落差別の定義として、公なものはないと考えている。ただ、この法律が成立したときに、県では、県民の方向けに啓発のリーフレットを作成しており、そこには「部落差別とは」ということではないが、「同和問題とは」ということで、法務省の言葉を引用している。少し読むと、「同和問題とは、日本社会の歴史的発展の過程で形づくられた身分階層構造に基づく差別により、日本国民の一部の人々が長い間、職業や住むところを制限されるとともに、経済的、社会的、文化的に低位の状態を強いられ、現代社会においても、同和地区と呼ばれる地域の出身者であることなどを理由に結婚を反対されたり、就職や日常生活上で様々な差別を受けるという我が国固有の人権問題です。」ということで、県民の皆様に啓発しているところである。

 

Q 吉井委員

 差別には、部長の説明にもあるが、男女差別、高齢者差別、障害者差別、外国人差別などいろいろな差別があり、また、その時代とともに新しい差別も起こってくると思う。それらと部落差別との違いは、最初に言ったが、やはり定義がないということだと私は思う。例えば、障害者差別については、障害等の目に見える、そしてまた、想像できる差別の要因というのがあると思う。どんな差別も許されないということは、近代社会の基本中の基本であるが、やはり、高齢者差別、男女差別にも、それぞれの要因がある。しかし、部落差別にはそれがないと、そういうふうに思う。だから県も、政府に対して、実効性のある法整備を要望している。また、第三者機関を設置してほしいという要望を最近見た。かつて、いわゆる救済機関を作ってほしいという、人権一括りの法案の要求があったと思うが、今回の県が第三者機関を作ってほしいという政府要望のイメージとは、どういったものか聞きたい。昔は、国家行政組織法の第3条で定められるような国家公安委員会や公正取引委員会、中央労働委員会などのいわゆる3条機関と呼ばれる、そういう特別な機関を設置するべきだという声があったが、県が思っている第三者機関の設置の要望というのはどういうものか、イメージを部長に伺う。

 

A 島本共生社会推進部長

 今、県が要望している第三者機関というのは、やはり独立した第三者で構成される機関と考えている。その第三者機関が、例えば差別事件があった場合、それを調査し、人権侵害があったかどうか認定する専門性を備えていて、また調査だけでなく、例えば説示や勧告、仲裁といった被害者救済を迅速に措置できるような機関を想定している。

 

Q 吉井委員

 どんな法律に基づいて第三者機関を設置してほしいということを要望しているのか。

 

A 島本共生社会推進部長

 明確にどの法律に基づくということは、今の政府要望では書いていない。かつて、人権委員会のような政府にも設置に向けての動きがあったとは思うが、そのような形で第三者の機関を設置していただきたいということで要望しているところである。

 

Q 吉井委員

 第三者機関の設置というのは、法律に基づいてでないと設置できないのではないか。

 

A 島本共生社会推進部長

 もちろん設置に当たっては、法律に基づくものであると考えている。

 

Q 吉井委員

 そのようなことを要望しているのは、本当に先進的な県であると私は思う。予算特別委員会のときに言わせてもらったが、県の部落差別解消推進条例の中に、地方自治法に則った部落差別専用の附属機関を新しく設置してほしいと要望した。ほかの差別にない特有の問題解決をしなければならないので、特別な委員会を設置してほしいということを前知事に要望した。前知事は、将来的に考えるという意見であったが、新しい知事にこのことを聞いてもらいたい。予算のかかる問題ではない。だからそういう先進的な県が、国に対して第三者機関、実効性のある法整備、そういう要望をしているのであれば、県独自に設置することは、簡単ではないか。名前は少し忘れたが、何にでも使えるような審議会ではなく、一つの条例に対して一つの設置機関、いわゆる附属機関を作ったらどうかと、そういうことを言わせてもらったのだが、変わりはないか。

 

A 島本共生社会推進部長

 前回の予算特別委員会のときに吉井委員から、人権施策の審議会の中に設けた特別委員会のメンバーの中に副知事を入れるようにという要望が最後にあったと思うが、その後、岸本前知事の逝去という事態があり、今の時点で新しい知事にこういう要望があるという話はまだできていない状況である。今後また、いろいろ検討を重ねていきたいと思う。

 

要望 吉井委員

 新しい知事も経過はよく知っていると思う。だからそういうことを一度、知事に聞いて、次の委員会までに結論を出してほしいと思う。

 

Q 奥村委員

 昨年におけるインターネット上の人権侵害の状況を教えてほしい。

 

A 加藤人権政策課長

 インターネット上の人権侵害については、同和問題に関するモニタリングの実績になるが、令和6年度に差別書き込みがあったのが855件。そのうち先ほど部長からの説明にもあった削除要請の結果、削除された件数は369件ということで、約 43 パーセントの削除率になっている。50 パーセントぐらいは削除されていないという状況になる。

 

Q 奥村委員

 855件もあるということで、その傾向というのは、どういったものが多いか。

 

A 加藤人権政策課長

 近年、SNSや匿名の掲示板というサイトが非常に盛んであり、そこにいろいろな方が書き込みをするということが非常に多くなっており、増えてきている。

 

Q 奥村委員

 ジェンダー平等の取組について、和歌山県内はどんな状況か。特に男女の賃金格差はどんな状況で、企業の規模にもよると思うが県内の公表状況はどうか。

 

A 鈴木多様な生き方支援課長

 男女の賃金格差の状況については、令和6年の賃金構造基本統計調査では、県内の男性の平均給与額 33 万 400 円に対して、女性の平均給与額は 24 万 9300 円と約8万円の差である。こうした賃金格差の状況については、毎年、男女共同参画の様々な状況をまとめた年次報告書として県ホームページで公表している。また、女性活躍推進法において、常用労働者数が301人以上の事業主は男女の賃金の差異を公表することが義務づけられており、県内では 71 社が対象で、厚生労働省のホームページで公表されている。

 

Q 藤本委員

 今回、教員による差別事件の取組の中で同和研修をしているとのことだが、同和研修はどのような形でされているのか教えてほしい。

 

A 岩井人権教育推進課長

 同和研修は、各県立学校に指導主事が行き、各県で行われている同和の啓発ポスターを使ったりしながら、ただ教えるだけではなく、先生方が何が差別なのか、差別の見極め方、今回の事件でもあったが、すぐに「それは駄目だよ。」と注意できるよう、正しく教えられるよう、昔の歴史についても教えている。知的理解というか、今までの同和問題、昔から現代に至るまでの同和問題の特徴なり、そういうことを説明して、グループワークも入れながら先生たちに啓発をしている。

 今後は、指導主事が行くだけではなく、先生方が各自で、各学校において、同和問題について取り組んでいけるよう広めていきたいと考えている。

 

Q 藤本委員

 それは全教職員が受けているのか。

 

A 岩井人権教育推進課長

 今のところは全教職員対象で行っている。

 

要望 藤本委員

 私には、差別の実態が、事例として、研修の中で討議したり、いろいろと話し合いをする中では、良い教材になるのではないかいう思いがある。今回のこの事件をそれで終わらせるだけでなく、臭い物に蓋をすると部落差別はなくならないと思うので、その辺はよく話をしてもらい、生きた教材にして、研修を進めてもらえるよう要望する。

 

  ●藤山委員長

   ◎質疑等終了宣告

 

(2)その他

  ●藤山委員長

   ◎県内外調査協議 正副委員長一任

   ◎閉会宣告

 午後2時51分閉会


    

 

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