令和6年6月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


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令和6年6月 和歌山県議会定例会会議録 第3号

令和6年6月
和歌山県議会定例会会議録
第3号
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議事日程 第3号
 令和6年6月19日(水曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第98号から議案第115号まで並びに報第1号及び報第2号(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第98号から議案第115号まで並びに報第1号及び報第2号(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(41人)
 1番 坂本佳隆
 2番 三栖拓也
 3番 秋月史成
 4番 玉木久登
 5番 藤山将材
 6番 森 礼子
 7番 井出益弘
 9番 高田英亮
 10番 佐藤武治
 11番 鈴木德久
 12番 濱口太史
 13番 鈴木太雄
 14番 冨安民浩
 15番 吉井和視
 16番 玄素彰人
 17番 山家敏宏
 18番 岩田弘彦
 19番 中本浩精
 20番 中村裕一
 21番 谷 洋一
 22番 北山慎一
 23番 川畑哲哉
 24番 堀 龍雄
 25番 谷口和樹
 26番 新島 雄
 27番 山下直也
 28番 小川浩樹
 29番 中尾友紀
 30番 岩井弘次
 31番 藤本眞利子
 32番 浦口高典
 33番 山田正彦
 34番 坂本 登
 35番 小西政宏
 36番 浦平美博
 37番 中西 徹
 38番 林 隆一
 39番 片桐章浩
 40番 奥村規子
 41番 尾﨑太郎
 42番 長坂隆司
欠席議員(1人)
 8番 尾崎要二
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説明のため出席した者
 知事         岸本周平
 副知事        下 宏
 理事         田嶋久嗣
 知事室長       北廣理人
 総務部長       吉村 顕
 危機管理部長     河野眞也
 企画部長       前 昌治
 地域振興部長     赤坂武彦
 環境生活部長     山本祥生
 共生社会推進部長   島本由美
 福祉保健部長     今西宏行
 商工労働部長     大川伸也
 農林水産部長     立石 修
 県土整備部長     福本仁志
 会計管理者      高橋博之
 教育長        宮﨑 泉
 公安委員会委員長   竹田純久
 警察本部長      野本靖之
 人事委員会委員長   平田健正
 代表監査委員     森田康友
 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       林 伸幸
 次長(秘書広報室長事務取扱)
         橋爪正樹
 議事課長       岩井紀生
 議事課副課長     田中 匠
 議事課議事班長    伊賀顕正
 議事課副主任     中阪康仁
 議事課副主査     西 智生
 議事課副主査     林 貞男
 総務課長       榊 建二
 政策調査課長     岩谷隆哉
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  午前10時0分開議
○議長(鈴木太雄君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第98号から議案第115号まで並びに報第1号及び報第2号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、併せて日程第2、一般質問を行います。
 12番濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕(拍手)
○濱口太史君 皆さん、おはようございます。
 去る6月12日に議長を退任させていただいたばかりでありますが、早速、令和6年6月定例会の一般質問、初日のトップに登壇の機会を与えていただきました先輩・同僚議員の皆様と、登壇のお許しをいただきました鈴木太雄議長に心より感謝を申し上げます。
 前回の一般質問での登壇より1年余り期間が空きましたので、いささか緊張を感じているところではありますが、県体制において、新たな部局の設置や大きな組織再編が行われた中で、令和6年度の岸本県政スタートに際し、岸本知事がどのようなかじ取りを考えておられるのか、大きな事業を今後どう展開されようとしているのかなどをお聞きしたいと思います。
 加えて、退任の挨拶の中でも申し上げましたが、私が議長就任中に様々な経験を積ませていただいた中で感じたことなども述べさせていただきたいと存じます。
 議長就任中、六つの国や地域を訪問させていただきました。しかしながら、議長単独としての訪問につきましては、報告の機会がありませんでしたので、ここで報告をさせていただきたいと思います。
 最初の訪問国は、ベトナム社会主義共和国、今年から熊野白浜リゾート空港という愛称で親しまれます南紀白浜空港に、昨年7月、ベトナムからの訪問団を乗せたチャーター便が到着、その折り返し運航便に、本県から知事や吉井会長をはじめ、観光振興議員連盟の多数の議員、企業、高校生らによる訪問団が乗り込み、ベトナム・ダナン空港に向かいました。両方の訪問団が一つの飛行機を利用して、それぞれの国での交流活動を行う形式で実施されました。本県訪問団はダナンでの活動、知事と私は別チームで三つの省を巡りました。
 まず、ダナンでは、日本の県議会に当たる人民委員会を訪問、首都ハノイでは、日本大使館、外務省、文化スポーツ観光省などを訪れ、相互協力の締結、ベトナムの大学生を対象に、本県で働いてもらうことを促進するために開催されたジョブフェアに参加、航空会社ベトジェットエアのフン会長をはじめ、関係者らとソビコグループ主催の夕食会で親交を深めました。
 フーイエン省では、フーイエン大学の学生と和歌山信愛大学をオンラインで結び、日本語を学んでもらうという取組の開校式に出席したほか、マグロ漁が盛んな水産業や観光業のビジネス関係者との意見交換などを行いました。タイトなスケジュールではありましたが、フーイエンの5キロメートルにも及ぶ白い砂浜の海岸線に幾つもの五つ星ホテルが建ち並ぶ環境には感動いたしました。
 やがて1億人に達すると言われるベトナムの人口、その国民全体の平均年齢は約30歳、それを聞くだけで労働人口の豊富さがうかがえます。日本の平均年齢は約45歳と言われていますので、いかに若いパワーが将来のベトナムの経済発展を成し遂げるか、納得せざるを得ません。
 10月、台湾の企業に招かれ、ウオータースチームリニア発電機という、文字どおり水蒸気や地熱でリニア式発電機を作動させる画期的な新技術を視察してまいりました。日本への進出を模索しているとのことでした。
 11月には、和歌山県と友好関係にあります中国・山東省を公式訪問してまいりました。
 平成29年より毎年夏に大勢の学生が教育研修旅行で本県を訪れてくれている山東師範大学が、コロナ禍で中止していた研修旅行を昨年7月に再開してくれまして、67名の学生と7名の先生による訪問団が来県してくれました。本県において熱心な研修を行っていただいた学生たちとの別れを惜しむため、関西空港に見送りに行きましたところ、何人かの学生に感激の涙を流していただきました。その本県に対する厚い思いに応えるべく、次は私が学生や先生との再会の約束を果たすため、大学を訪れ、感謝の気持ちを示すべきだと考えた次第です。あわせて、県議会に当たります山東省人民代表大会の範華平副主任との面談も実現いたしました。
 ちょうどこの頃は、福島原発処理水の海への放出に反対する中国政府が日本産の水産物の輸入を全面的に停止するなど、国同士の関係が緊迫している時期でありましたので、国会議員でさえ訪中を取りやめるほどでした。日本人に対する中国側の過剰な反日行動を警戒する中、議会事務局の皆様にも我が身の危険を案じていただいたこともあり、慎重を期すため、外務省とも相談をいたしました。その回答によりますと、先方が訪問を受け入れるということは、友好的な意思表示だとの見解を示していただき、国会議員ではなく、県議会議員とはいえ、この時期に政治家が訪中してくれることは、外務省としてもありがたいと言っていただきましたので、それならばと訪中計画の実行を決断いたしました。
 案の定、先方に冷遇されるどころか、範華平副主任はじめ関係者には歓迎していただき、このような時期にもかかわらず訪中してくれたこと、これまでの山東師範大学の教育旅行への協力にも感謝の意を表していただきました。
 そして、範副主任との面談の際に、私は勇気を振り絞り、「国同士はいろいろともめていますが、親同士が仲たがいしているからといって、子供同士まで全て合わせる必要はないと思います。我々は、40年もの長きにわたり友好を深めてきた関係であり、特に若者同士の交流を支援することで、将来的にもお互いが尊敬し、分かり合える隣国としての関係を強化し、助け合っていくことが重要だと思います」と冷や冷やしながら申し上げましたところ、範副主任からも、「全く同感です。我々も、来年の友好40周年記念行事の成功を期待しています」との言葉が返ってまいりました。さらに、二階代議士の親書を手渡すと大変感激していただき、後日、二階代議士の下に感謝の手紙が届いたとのことでした。
 次に、山東師範大学を訪問いたしました。周副校長をはじめ、先生や日本語専攻の学生たちとの座談会で再会を喜び合い、お土産の日本のチョコレートのお菓子を振る舞うと、大変盛り上がっていただきました。大学では、夕食会まで催していただくなど、心温まる対応をしていただきました。その後にも、これまでに来県された学生や先生が私との面会のために夕食会の終了を何時間も会場の外で待っていただいたことを知り、その再会に今度はこちらが目頭を熱くしてしまいました。そして、皆さんは、中国において和歌山県のPRと今後の交流をさらに深めていくことを誓ってくださいました。通訳を交えての会話であり、直接交わした言葉ではありませんでしたが、国は違っても誠意は通じるんだと確信した時間でした。
 翌日は、高速鉄道で青島市へ移動し、斎藤憲二在青島日本国総領事、真珠青島市人民政府外事弁公室副主任などの面談のほか、青島市内を視察させていただきました。
 青島市は、人口約1000万人、かつてのドイツの植民地時代の影響を残す青島ビールや、紅瓦に白い壁の建物が多く見られました。開発された地域には、高く大きな建物や港、公園が整備され、中国のスケールの大きさを感じました。徐福が日本へ渡った際に出航した場所という説もあります。今回の訪問を機に、本県や新宮市との交流を活発化させ、相互の文化や各分野技術において協力し合える友好関係の構築が望ましいと話合いを持ちました。
 そして、年が明けて1月には、日印交流促進に関する議員の会・新島会長をはじめとする訪問団と共に、インド共和国マハラシュトラ州を訪問し、ファドナビス副首相やマハジャン観光大臣、州議会ラフール下院議長などと面会し、意見交換をいたしました。その内容は、2月定例会においての鈴木德久議員と三栖議員の御報告のとおりです。
 議長としてラストスパートの5月には、日韓親善議員連盟の山下会長をはじめ、役員、港湾局長、国際課長らと一緒に韓国の釜山市を訪れました。金亨駿駐大阪大韓民国総領事が私のお誘いに快く応じていただき、新宮市、那智勝浦町、太地町を訪問していただきました。その際に、金総領事のほうから、逆に地元である釜山市への訪問を勧めていただき、朴市長や安市議会議長、大塚総領事らと面会できるよう働きかけていただいたことがきっかけです。それだけでなく、国際課長の御縁で旅行エージェント、船舶会社の会長とも会うことができました。詳しくは、この後登壇される山下議員が御報告をされます。
 最後には、昨年の和歌山県人会世界大会に参加するために立ち上げていただき、約50名も参加していただきましたオーストラリア木曜島県人会、その創立1周年記念式典への出席と、1878年から1941年までトレス海域における真珠貝の採取のため、多くの紀南地域の先人が移住し従事されました。700名余りの日本人が眠る慰霊塔と墓地を訪ね、哀悼の思いをささげてまいりました。中には、潜水病で命を落とされた方も多数おられるとのことです。その御報告は、日豪友好議員連盟幹事長の佐藤議員が行われますので、詳細は割愛させていただきます。
 このように、議長として六つの国と地域を訪れさせていただきました。いずれの国も、島国の日本と比べますと、当然、国土の広大さの違いは仕方のないことですが、やはり景色や建造物、そこに住む人たちのスケールの大きさを感じます。
 また、技術や経済で世界の先頭グループを走っていると思っていた我が日本は、今は世界から取り残されつつあるのではないかという不安、インドやベトナムの若者の多い国の勢いや、他国と比べての日本の若者の愛国心の低下、私自身も含め、英語が話せる人口の割合の少なさなど、今さら私が言うまでもないことだと思いますが、国際的な感覚を身につけなければ日本の将来は危ういのではないかと強く感じました。
 それから、申し上げたいのは、二階代議士がよくおっしゃいます「外交は行ったり来たり」という言葉と実行の重要性であります。こちらに来てくださいと相手に求めるだけでは本当の交流とは言えず、お互いの国を訪れ、空気感や人柄に触れることで、より親近感や敬意が強くなるのだと思います。各国に対してのアプローチは他の都道府県も行っているわけですから、本県は、社交辞令的な関係で済ますことなく、共通の課題解決のためのテーマを見つけ出し、共同でのプロジェクトを提案し、取り組むことにより、お互いの国を何度も行き来し、その国の大使や総領事をはじめ関係者と、県や議会との関係を密にする努力があってこそ、お互いの絆と信頼をより強固なものにできるのではないでしょうか。相手国に対して敬意を払い、交流を深めたいという本気度を訴えることが外交の基本形だと実感いたしました。
 そして、つくづく感心いたしましたのは、本県の国際課職員の皆様の御活躍です。本県がこれまで多くの国と関係を築いてこれたこと、また、日本を後にし、各国に移住され、想像を絶する苦労の末に生活基盤と信用を築かれた和歌山県人やその子孫とのつながりを維持してこられた陰には、相手の国の文化や習慣までも理解し受け入れ、それらの人たちと公私を問わず献身的に向き合っておられる国際課職員の皆様の努力に尽きると頭が下がる思いであります。我々県議会といたしましても、その努力を最大限に生かし、本県にとっても実りあるものにするため、海外との積極的な活動に引き続き協力していかなければならないと考えております。
 長々と国際的な感覚の重要性を聞いていただきましたところで、質問の本題に入りたいと思います。
 開催まであと300日となりました、大阪・関西万博についてであります。
 議長就任中の外国訪問の際、その先々で万博が話題になることがありました。万博につきましては、日本国内では様々な議論がありますが、海外では、万博に随分興味を示している国があることを認識しました。参加表明のあった国や地域は、実に161に上るそうです。その影響は大きく、国内外からたくさんの来場が見込まれていると聞いております。
 万博という大きな国際イベントが開催されることの意義は、先ほども述べましたが、子供から大人までが世界に目を向け、日本を大いにアピールするチャンスであることは言うまでもありませんが、世界と日本との比較をする機会、例えば、技術進歩や発展状況、異文化や考え方の違いを学ぶことにより、日本のよさを改めて再認識すると同時に、他国に後れを取っている部分にも気づき、刺激を受ける絶好の機会であると思います。また、実際に外国人と接することも多いと想像されますので、英語をはじめ各国の言葉に生で触れられる、会話ができた人は、国際感覚をさらに養おうというきっかけをつかむかもしれません。個人的にもなかなか立ち会うことのできない、本当に有意義で貴重なビッグイベントだと考えています。
 さて、建設資材の物価高騰や土壌問題によるアクシデントなどにより、全体の開催準備が遅れているような報道もありますが、関西パビリオン和歌山ゾーンの準備に当たっては、昨年6月、出展基本計画が打ち出され、世界的に有名なデザイナーの吉本英樹氏が和歌山ゾーン構築総合ディレクターに就任されました。関西パビリオン和歌山ゾーンの取組はどれくらい進んでいるのでしょうか、知事にお尋ねをいたします。
○議長(鈴木太雄君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 知事岸本周平君。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
 その前に、濱口前議長におかれましては、本当に和歌山県と海外の国々との国際関係に多大なる貢献をしていただきましたこと、心から御礼を申し上げたいと思います。
 私も、今、濱口議員が御指摘いただいたように、これから和歌山は国際的な活動が一つの命綱になるんだろうと思っております。その意味で、私自身も昨年度、5か国回らせていただきましたが、一人では回り切れません。その分、濱口議長と一緒のこともありましたけども、別々に回らせていただいたことで、和歌山県のいわゆる国際的な活動が非常に深みのあるものになったと思いますので、本当にありがとうございました。
 その上で、ただいまの万博関連の御質問にお答えをしたいと思います。
 大阪・関西万博の開幕まで300日を切りました。開幕に向けまして、報道を見ますと、海外パビリオンの一部等で準備が遅れているということは私も承知しております。
 一方で、関西パビリオンということで、関西広域連合で用意しておりますパビリオンの建設は順調に行っておりまして、建物が完成し、秋になりますと和歌山ゾーンの内装整備にも取りかかれる見込みであります。順調な準備が進められていると考えております。
 本県といたしましては、万博の開催というのは大変大きなチャンスであります。和歌山ゾーンでは、「和歌山百景-霊性の大地-」というテーマをつくりまして、上質、質がいいという「“上質”のつまった和歌山」ということをコンセプトとして、和歌山にあります精神文化から生まれた自然、人、産業、食、文化など、多様な魅力を表現してまいりたいと考えております。
 そして、できる限り多くの県民の皆様に御参加をいただくために、和歌山ゾーン、これは、実は関西パビリオンの中で一番広い面積を頂いているんですけれども、中央にステージを設けまして、県民の皆さんにパフォーマンスをしていただいたり、プレゼンテーションをしていただいたり、表現をしていただくように考えておりまして、現在、出演者の調整を行っているところであります。ぜひこの中継を、インターネットで見ている皆さんには、応募していただければと考えております。
 そのほかにも、カウンターバーを設けまして、豊かな和歌山の食、フルーツをはじめ、すばらしい食べ物がございますので、それを提供したいと考えております。その上で、室内の装飾も、県内の子供たちが作成した押し花アートを壁面に展示するなど、そういう意味で子供さんが参加をするということで、県民総参加の万博にしたいと考えております。
 ぜひ、県民参加型の万博、和歌山ゾーンに、多くの県民の皆様の御参加をよろしくお願い申し上げます。
○議長(鈴木太雄君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 御答弁をいただきました。そしてまた、身に余るお言葉をいただきまして、ありがとうございました。これからも国際的に活動していける機会がありましたら、ぜひ私も力になりますので、お声かけをいただきたいと思います。
 それと、今、答弁をいただきました和歌山ゾーンの内容につきまして、大変企画の豊富なゾーンになるかと期待をしております。また、準備のほうも順調に進んでいるということで安心をしておりますし、これからのさらなる準備のほうに力を入れていただきたいと思います。
 そしてまた、県民参加型ということも今お言葉の中にありましたけども、大変いいことだと思いますので、よろしくお願いいたします。
 ただしかし、2問目に移りますが、県内に目を向けますと、万博を実感する機会がまだまだ足りていないのではないかとも感じます。
 また、報道でもマイナスなイメージの話題のほうが多いのも気になります。特に、関西以外の地域の声として、莫大な費用をかけてまで行う必要があるイベントなのかとか、いかにも国が無駄遣いをしているようなネガティブな意見が前面に出されておりますが、それを打ち返すような、万博そのものを楽しく未来につながる有意義なものだと感じてもらえるためのPR活動、一緒に盛り上げていこうという県民の方々の機運を高める必要があると思います。
 こうした大きな国際イベントだということを県民に知っていただくことは、やはり必要不可欠ですし、県民には自分事として捉えてもらうことが重要になってくると思います。県としてどのように取り組んでいくのか、知事にお尋ねをいたします。
○議長(鈴木太雄君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
 ただいま濱口議員御指摘のとおりでありまして、これは日本全体そうなんですけれども、まだ国民全体として大阪・関西万博に対する関心が高まっている状況ではないというふうに私も考えております。したがって、和歌山県も、大阪という近くの会場ではありますけれども、じゃ、本当に和歌山県民全体にどれだけ期待感があるのかということについては、これからだろうというふうに考えております。したがいまして、県内での機運醸成ということはとても大事なことだろうと思っております。
 したがいまして、これまでも、例えば2025年国際博覧会和歌山推進協議会というものが設置されまして、各種イベントをやっております。それから、特に和歌山県商工会議所連合会の皆さんが、イベントがあるとブースをつくっていただいて、そこで大阪・関西万博のチラシやいろんな物品を配って宣伝には努めていただいておりますし、また、メールマガジンの配信などもやっておりますけれども、より一層頑張っていきたいと思っております。
 ただ、この前、昨年度ですけれども、開幕500日前のタイミングで、関西万博のクラゲ館というテーマ事業をやっている中島さち子さんというプロデューサーをお招きして、いわゆるプレイベントなんですけども、全てが音楽で、和歌山の合唱団の子供たちとか、海南の小学校のブラスバンドの子供たちとか、中島さち子さん自体が、御自身がジャズピアニストですので、音楽ばっかりのプレイベントをしたところ、大変好評を博したところでありますので、今後も、特に中島さち子プロデューサーが和歌山県を気に入っていただいて、いろいろな場面を使って来ていただくことが多いものですから、さらに盛り上げていきたいと考えております。
 秋には、各パビリオンの入場予約も始まります。このタイミングで、私どもが先ほど言いましたような県民参加型のイベントを企画・検討しておりますので、そういうことで機運醸成を図ってまいりたいと思っております。
 ぜひ県議会の先生方にも御協力をいただいて、人ごとではない、自分事としての万博ということを宣伝していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
○議長(鈴木太雄君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 どうぞよろしくお願いいたします。
 次の質問に移らせていただきます。
 和歌山県の観光振興についてであります。
 観光振興につきましては、これまでも県は大きな柱として位置づけて取り組んでおり、国内外から多くの観光客が訪れています。
 「紀伊山地の霊場と参詣道」、高野山と熊野を中心とした精神文化が世界遺産と認められて20周年を迎えました。このほかにも、和歌山には、豊かな自然や文化、それらを生かした南紀熊野ジオパーク、地域ならではの食べ物もたくさんあるなど、国内外に誇れる魅力あるコンテンツがたくさんあります。
 また、報道を通じてだけの印象かもしれませんが、コロナ禍の後の外国人観光客の動向を見ておりますと、日本古来の文化に触れようと訪れる外国人は、京都や奈良に集中している感があります。しかしながら、近畿においての二次的な観光場所として考えますと、和歌山県こそが移動にかかる時間の短さや観光客の混み具合からすれば、余裕を持って楽しんでいただけることも売りになるのではないかと考えます。
 また、人口減少化により、どの産業でも人手不足が問題となってくる中、観光業は主要な部分を人間の労働力に頼る労働集約型産業なので、DX化も含めた人手不足の解消を図っていく必要もありますが、一方では、人と人が触れ合うことも観光の醍醐味であり、お客様と観光事業者も含めた地域の方たちが触れ合うことで、和歌山県民の温かい人柄も感じてもらえると思います。
 新宮市で考えますと、かつては林業が栄え、大きな製紙会社があった頃は活気もありましたが、現在は、大きな産業がないため、観光業を軸とした取組の効果に多くの方々が期待を寄せています。
 地元で消費をしてもらい、外貨を地域に残してもらうだけでなく、県を訪れてもらう人が増えることで地域の活気を取り戻すことなど、観光が地域に与える影響を考えますと、観光振興と地域振興は密接な関係にあると思います。
 特に、本年は、世界遺産登録20周年という特別な看板を掲げられることによる誘客への期待は、地元新宮市をはじめ関連地域で高まっていることは当然ながら、周辺の地域においても、観光客の来県増加の大きなチャンスと期待していると感じます。
 そこで、知事にお尋ねいたします。
 観光に力を入れる、このことにつきまして、岸本知事は就任時より声高らかに宣言されておりましたし、実際に県内各地の観光資源や文化に関心を持たれておられます。「聖地リゾート!和歌山」のキャッチフレーズを掲げられましたのも、特に精神文化の体感を促す意気込みの表れの言葉と理解しております。
 多くの国内外の観光客の誘客に向けた取組や、地域の受入れ体制や人材の確保などについて様々なアイデアを駆使され、構築していかれることと存じますが、知事の観光振興に対する所感をお伺いしたいと思います。
○議長(鈴木太雄君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
 観光というのは、本当に和歌山県にとりまして、大変大事な産業だと考えております。
 それから、その際に、外部からおいでいただく皆さんにとって魅力があるということが大事だろうと思っておりますけども、外から来られた方が「すごいいいところですね」と、「すごいですね」と言ってくださることで、我々地域の地元の人間が「そうなんや」と。自分たちが長年住んでいるとあまり思わないことが外から来た人にはすごく映るということで、誇りを持つというか、自信を持つということにもつながるという意味で、観光というのはすごいいい手段なのではないかと考えております。
 当然、今、濱口議員御指摘のとおり、世界に誇れる観光資源がたくさんありますので、特に今、単に見るだけの観光というよりも、体験するというような観光も中心になってきておりますので、地域の文化や伝統や歴史を楽しんでいただけるような施策も展開しているところであります。
 そして、今年は、今御指摘のとおり、世界遺産登録20周年でありますので、「聖地リゾート!和歌山キャンペーン」を7月から12月にかけて実施をする予定にしております。この期間中は、神社仏閣、それから市町村の皆さんの御協力をいただきまして、例えば特別御朱印帳、御朱印ですね。それから熊野速玉大社のライトアップ、いろんな特別企画や記念イベントをやらせていただこうと思っております。
 それから、今もやっていますので、ぜひ先生方にも見ていただきたいんですが、県立博物館で特別展をやっております。これは、ずっと年度内続ける予定でありますので、そこでPRしていきたいと思っています。
 また、「令和の熊野詣」ということで、私も昨年参加いたしましたが、熊野三山を目指して歩くリレーウオークイベントを通じて、本県の魅力を発信していきたいと思っています。特に、高野山もそうですし、熊野三山のいわゆる聖地、精神的な心のよりどころというのは、和歌山県にとりましては最高の財産ではないかと思っております。その意味で、今年、濱口当時議長のお導きでお燈まつりに参加させていただきまして、その精神性の高さには本当に感動させていただきました。
 それから、新宮港は、今クルーズ船の大人気の場所になっておりまして、これも背景に熊野三山があるがゆえに、新宮港へのクルーズ船が大変増えております。新宮港の整備もそれに併せてやっていきたいと思っております。そのことで、ますますインバウンドの皆さんにも来ていただけるというふうに考えております。
 今後とも、観光が持続可能な地域づくりに最も大事な総合産業であるという認識の下、さらにデジタル技術の活用などを通じて、いろんな人材を引きつける魅力的な雇用の場としても使っていきたい、労働集約型の観光産業独自の課題もありますけれども、その解決を図りながら、さらに真剣に観光振興に取り組んでまいりたいと思いますので、引き続きの御指導、御支援、よろしくお願い申し上げます。
○議長(鈴木太雄君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 人口減少が進む中ではありますが、観光産業が大きく発展すれば、活力のある豊かな地域づくりにつながると思います。今後も、ぜひとも地域を巻き込んだ観光産業の発展、すなわち、地域がやる気を出して盛り上げる産業となりますよう、様々な支援を頑張っていただきたいとお願いを申し上げます。
 それでは、最後の質問に移らせていただきます。
 民間小型ロケットの打ち上げについてであります。
 本年3月、スペースワン社のロケット射場「スペースポート紀伊」からカイロスロケット初号機が打ち上げられました。1度目のトライは3月9日に予定されておりましたが、海域に船舶があり、危険との判断から、発射を断念しました。2度目は3月13日午前11時1分12秒に発射、そのシーンを中継映像などで見守っていた多くの人々が大喜びしたのもつかの間、約5秒後にロケットが爆発し、赤い炎に包まれたロケットと白い煙に歓声は打ち消され、どよめきに変わりました。機体の破片は、発射場の敷地内に落下し、炎が広がる光景に緊張が走りましたが、幸い、けが人や家屋などの被害はなかったとのことで、安堵したところであります。
 今回は、残念ながらロケットが宇宙空間まで届くことはなかったですが、記念すべき第一歩となったと思っています。今後の再チャレンジに大いに期待をつないでいきたいと考えます。
 さて、周りの対応についてはどうだったでしょうか。打ち上げ以前から懸念されていた見学場までの人の流れや、地域に及ぼす影響などについて確認したいと思います。
 まず一つ目は、当初から最も懸念されていた交通渋滞、その対策をどう講じていくのかという点でした。見学場へ行くまでの動線としては、国道42号線だけが唯一の道路であり、地元住民の交通にも影響を及ぼすのではないかという不安もありました。私も、1度目の発射予定の際に、新宮市の自宅から田原会場に向かいました。前日から紀南地域のホテルは満杯だったので、もしもの渋滞に備え、かなり早い時間に出発しましたが、特に渋滞に巻き込まれることもなく、スムーズに通行はできました。
 また、近隣に大きな駐車場がなく、JRの電車の本数も少ないことから、田原会場、浦神会場合わせて約5000人が来場することについて、混乱が生じるのではないかとの懸念もありました。私自身、渋滞に巻き込まれることがなかったので、会場入りした時間はかなり早かったのですが、既に多くの見学者はスムーズに会場入りしていたように見受けられました。
 県内だけでなく、県外からも多くの方が来てくれていましたし、土曜日ということもあり、子供連れや家族連れなど、多くの人たちに集まっていただいておりました。飲食店や地元産品が購入できるお店も数多く出店し、老若男女問わず人であふれており、また、報道陣の数も多く、ロケットに対する関心の高さが感じられました。
 そこで、知事にお尋ねします。
 私は、1度目を田原会場で、2度目は予算特別委員会が開かれている和歌山県庁内で、いずれも知事らと同じ場所で発射の時間を過ごしましたので、一部しか見ておらず、全体として周辺の様子や人の流れで混乱を招いた様子があったのかなどの詳細につきましては、あまり存じていません。当初懸念されていた交通渋滞、見学場への誘導や、また、見学場内の様子など、当日の状況についてはどのように受け止められておりますか。知事にお尋ねいたします。お願いします。
○議長(鈴木太雄君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
 濱口議員御指摘のとおり、幾多の困難を乗り越え、今年の3月13日に、スペースワン社のカイロスロケット初号機が打ち上げられました。残念ながら、衛星の軌道投入という目標の達成には至りませんでしたけれども、第一歩を踏み出したことは確かだと考えております。
 また、民間企業がロケットを自ら飛ばすという、これは日本では初めての挑戦であります。スペースワン社のその挑戦する姿勢には、改めて敬意を表したいと思います。
 待ちに待った初号機の打ち上げということでもあり、用意しておりました有料の見学チケット5000枚は、販売開始から2日間で完売、キャンセル分などの再販売も即日完売、周辺宿泊施設も満室になるなど、全国的にも大きな反響がありました。さらに、当初の打ち上げ予定日であった3月9日は土曜日で、見学チケット購入者以外の来訪者も多数予想されたことから、地元の串本町、那智勝浦町や関係機関と連携し、徹底した交通渋滞対策に取り組んだところであります。
 まず、見学場へ来られる方には、パーク・アンド・ライドや臨時便を含む鉄道の利用を呼びかけるとともに、旅行会社に対しては、見学ツアーの造成を働きかけるなど、自家用車での来訪を抑制するための取組を実施いたしました。
 それから、見学チケットをお持ちでない方にも、渋滞発生予告の事前広報や県警察本部による当日の交通規制、白バイの巡回などを通じて、通過交通の円滑化も図らせていただきました。
 また、打ち上げの感動を共有できるよう、リアルタイムでの無料ウェブ配信を実施するとともに、高速道路サービスエリアなどのサテライト会場に加え、別途視聴できる場所としてオフィシャルPVパートナーを募集し、多くの事業者の皆様に御協力をいただきました。
 加えて、これは本当に地元住民の皆様の御協力をいただいたんですが、当日、外出自粛までお願いをしたところであります。地元の皆さん、そして関係者が一丸となって、円滑なイベント運営に取り組みました結果、今、濱口議員御指摘のとおり、危惧された渋滞はほとんど発生しませんでした。大きな混乱も生じることなく、また、地元の皆さんからは、見学者のマナーがすばらしかったと、こういうお声も聞かせていただいております。
 両日とも、見学場は大変な熱気に包まれ、現地へ来られた皆様の情熱を身をもって感じることができました。打ち上げについては、いろいろありましたけれども、受入れ側としては十分な対応ができたのではないかと考えているところでございます。
○議長(鈴木太雄君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 次の質問に移らせていただきます。
 次回以降の打ち上げについてであります。
 今回は残念な結果となりましたが、報道を見ておりますと、ロケットが爆発した後も、会場の雰囲気は、残念というより、次への期待感を感じられました。地元も次こそはの思いで、熱気が冷めているところを感じるどころか、ロケット成功への難しさを実感されて、ますますこの事業を応援しなくてはという機運になっていたかと思います。改めて、宇宙やロケットが持つ大きな魅力を感じており、ぜひとも、次回は、衛星分離まで無事に到達できるよう、大きく期待しています。
 今回の和歌山県内での民間ロケット事業について、当日や翌日のトップニュースとして扱われたところを見ますと、全国からの注目度も高いことが分かりましたが、一方で、3月9日の打ち上げが船舶の進入によって中止となる予期せぬ事態が生じたところでもあります。
 次回こそはと打ち上げ成功を願ってやまないところでありますが、この多くの人たちの反響や期待を持続していくため、さらなる機運醸成を図るとともに、これから以降の打ち上げについても、ぜひ県としてできる限りの応援をお願いしたいと思いますが、県としてどのようなことに取り組んでいくのか、知事としての意気込みやお考えをお聞かせください。
○議長(鈴木太雄君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
 3月13日の初号機の打ち上げにつきましては、飛行中断措置が取られる結果とはなりましたけれども、まずは打ち上げを実現できたということが大きな一歩であると感じております。
 そして、これも濱口議員御指摘のとおりでありまして、今回の打ち上げの様子は、国内外の各メディアで大々的に取り上げられました。大変大きな注目を集めており、次回に向けた期待はますます高まっていると感じております。
 私も、いろんなニュースをその後見ましたけれども、一つ覚えていますのは、小さな男の子が「カイロス、君なら飛べる」と言っていた映像があって感動しましたし、また、失敗、打ち上げがうまくいかなかったときに、子供たちが泣いていましたよね。和歌山県の子供たちがそこまでカイロスに感情移入するというか、自分事として感じておられることを見て、本当にすごいことだなと思っています。
 恐らく、年内にもまたチャレンジをしていただくように期待をしておりますけれども、この機運を一層加速させるために、県では、この8月です、昨年もやりましたけれども、宇宙シンポジウムin串本というイベントをしたいと思っております。
 このシンポジウムでは、挑戦するということが大事だと、前にも申し上げましたけど、イーロン・マスクのロケットも最初は飛ばなかったわけでありますけれども、そうして挑戦をして、失敗を繰り返しながら成功していくという、そのプロセスが重要だということを多くの方々に知っていただくために、宇宙関連で失敗を乗り越えて成功を遂げた事例として、H3ロケットや、あるいは小型月着陸実証機・SLIMのプロジェクトを担当された方々などに御登壇をいただく予定にしております。
 県としては、3月9日の打ち上げ延期につながった、今、濱口議員も御指摘ありました警戒区域への船舶の進入というのは、確かに今後の課題であると感じております。したがいまして、実は先般、内閣府の宇宙政策特命担当大臣の高市大臣に、第三者が警戒区域へ進入を抑止するための法的措置を講じていただけないだろうかと、今、法律の根拠はないんですね。出ていってくださいとお願いベースでやっているんですけれども、ぜひ法的な措置を講じていただけないかということを要請いたしました。高市大臣からは、法律を改正すると大変時間がかかるので、まずはガイドラインの見直し等で対応したいというお話をいただきましたけれども、県当局では、引き続き内閣府と調整をしてまいりたいと考えております。
 次の打ち上げに向けまして、国の協力もいただきながら、和歌山県、地元市町村、住民の皆さん、一丸となりまして、引き続き全力でサポートしてまいる所存であります。スペースワン社のほうでも、次回の打ち上げに向けて、現在、初号機の飛行中断措置の原因究明が行われていると聞いておりますが、ぜひ次回こそは必ず成功いただけるよう、万全の体制で打ち上げに臨んでいただきたいと考えております。
○議長(鈴木太雄君) 濱口太史君。
  〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 大変力強い答弁をいただきました。引き続き、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 人口減少問題が本県の今後にも暗い影を落としているのは確かですが、和歌山県には、現状打開や将来への課題に対抗できる武器と負けん気が幾らでもあります。迫りくる自然災害への対策も喫緊の課題と思いますが、岸本知事におかれましては、本県の長期計画作成に多くの県民の意見や期待を集約されると伺っておりますし、どうか和歌山県浮上のために、県民が一丸となれるためのかじ取りに御期待を申し上げまして、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(鈴木太雄君) 以上で、濱口太史君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 27番山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕(拍手)
○山下直也君 皆さん、おはようございます。
 ただいま鈴木太雄議長のお許しをいただきました。昨年12月定例会以来、約半年ぶりの一般質問であります。今回、ちょっと長いです。有意義な、長いんですけれども、今大切な問題ばかりを取り上げさせていただいたつもりでございますので、知事はじめ当局の皆さん方におかれましては、どうか誠実な御答弁をよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 去る3月、二階俊博衆議院議員が次期総選挙に出馬されない旨を発表されました。県議会議員時代を含め、約半世紀の長きにわたって和歌山県発展への多大な御尽力をいただきましたことに対し、深く敬意を表するものであります。
 その二階先生の座右の銘に、次の和歌がありました。「ますらをが 心定めし 北の海 風吹かば吹け 浪立たば立て」。
 この和歌は、明治の北海道十勝開拓の偉人である依田勉三氏が若かりしとき、郷里の静岡から北海道へ渡り、十勝開拓に挑もうと決意したときに詠んだ一首であり、男子が生涯の事業と決めたことは、どんな困難があろうとやり遂げるという強い決意の歌であります。
 私も、この歌に感銘を受け、県議会議員として県民の安全を守り、安心して暮らせる社会を実現するんだという志、生涯の事業をやり遂げる、そんな気持ちで、今、この議場に臨んでいるつもりであります。
 岸本知事も、同じ政治家として志を持って和歌山県知事に当選されたことと思います。現在、本県は、少子高齢化や急速な人口減少、来るべき南海トラフ地震への対策など、課題が山積しております。また、世界に目を向けますと、ウクライナやガザで戦争が続いており、地球温暖化の問題も待ったなしの状態であります。このような大きな向かい風や荒波の中、我々政治家は、いかなる困難があろうとも、よりよい和歌山県をつくっていくため、前進していかなければなりません。
 そこで、今回の一般質問では、今後の本県の新たな指針となる新総合計画の策定や、能登半島地震を踏まえた防災・減災対策、子供を取り巻く問題など、本県が抱える様々な課題への対応について、当局の見解をお伺いしたいと思います。
 それでは、質問に入らせていただきます。
 1項目め、韓国との交流についてであります。
 先日、和歌山県旅行業協会の総会に出席した際、参加の方が「人口がこれからどんどん減っていく中で、和歌山県にとって観光業が今後ますます重要な産業になってくる」、そういう話をされておりました。私も全くそのとおりだと思いました。
 観光業は、地域経済の活性化や文化交流の促進など、多くの面で地域に重要な役割を果たしてくれます。コロナ禍も収束し、海外からの観光客も回復してきた中、今年は世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の登録20周年であり、来年には大阪・関西万博も開催されますので、これからの本県へのインバウンド観光客の増加に大いに期待するところであります。
 さて、そんな中、去る5月14日から16日にかけ、日韓親善和歌山県議会議員連盟の会長といたし、濱口前議長や議連の役員である藤山議員、玄素議員、そして、県からは、花田港湾空港局長、山下国際課長と共に韓国の釜山広域市を訪問し、今後の交流やチャーター便、クルーズ船の誘致に向けた活動を行ってまいりました。
 釜山広域市は、韓国でもソウルに次ぐ第2の都市であり、人口は約330万人を超え、貿易都市としては韓国最大であります。本県とは、昨年9月にワーケーション分野での覚書を締結し、関係を深めてきました。
 特に、同市出身の金亨駿駐大阪大韓民国総領事とは、今年2月、県議会への表敬訪問を受けて以降、交流を重ねてきており、今回は金総領事のお招きもあり、韓国訪問が実現することとなりました。
 韓国訪問1日目は、金海国際空港到着後すぐに、在釜山日本国総領事館にて大塚剛総領事と面会し、本県と釜山広域市との交流について御助言をいただきました。その後、釜山広域市の朴亨埈市長を表敬訪問し、今後の本県との交流について意見交換を行いました。
 朴市長によりますと、釜山では、現在、大阪や福岡などが観光地として人気が高いとのことですが、ほかにも愛媛県の松山市や香川県の直島など、地方の小都市も注目を集めているとのことでありました。
 ちなみに、松山市は、松山空港から釜山への直行便が運航しているという利便性に加えまして、韓国の方に非常に人気の高い温泉、それからゴルフ場がありますし、直島は瀬戸内海にある島でありますけれども、草間彌生さんという有名な作家の方がおられますけど、このアート作品が周囲の自然と融合する形で展示されておりまして、現代アートの島として有名なところであります。私は、この話を聞いて、本県にも十分誘客のチャンスがあると、そう感じました。
 朴市長からも、和歌山県は温泉やゴルフ場、おいしい食べ物が、それに加え文化遺産など、たくさんあり、観光地としてとても魅力的だとおっしゃっていただきました。
 2日目は、本県に観光客を多数送っていただいておりますドリームランド社の玄光津代表と南紀白浜空港へのチャーター便運航について意見交換を行いました。韓国では、白浜町のほか、和歌山市の和歌山城や、また、たま電車なども観光スポットとして人気が高いということでありました。
 ドリームランド社では、例年、冬の時期に、務安国際空港から関西国際空港にチャーター便を数か月間運航しておりまして、現在、南紀白浜空港へのチャーター便運航についても御検討いただいているというところであります。しかしながら、南紀白浜空港の滑走路が短いことを懸念されておりましたので、今年度、県が行う滑走路延伸に向けての調査において、よい結果が出ることを期待したいと思います。
 最終日である3日目は、釜山広域市議会の安成民議長を表敬訪問し、観光交流などについて意見交換を行いました。その後、釜山-大阪間のフェリーを運航しているパンスター社の金泫謙会長と面会し、本県へのクルーズ船運航に向けた誘致活動を行いました。同社は、クルーズ船としても活用可能な豪華なフェリーを新しく今造っているというところでありまして、本県への寄港についてPRしたところ、同社の感触もよく、今後の展開に大いに希望が持てる面談となりました。
 以上の3日間の日程でありましたが、今回の韓国訪問に当たりましては、山下国際課長が日頃から韓国との人脈を築いてくれていたおかげもあり、大変実りのある国際交流や誘致活動を行うことができました。その尽力に感謝申し上げたいと思います。
 今回の議員連盟の訪韓をきっかけとして、ぜひ県当局としても、韓国との観光交流やクルーズ船、チャーター便の誘致を一段と進めていっていただきたいと思いますが、今後の韓国との交流について、知事の見解をお伺いいたします。
○議長(鈴木太雄君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 知事岸本周平君。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 山下議員の御質問にお答えいたします。
 先月、日韓親善和歌山県議会議員連盟会長の山下議員をはじめとする4名の県議会の議員の皆様が韓国・釜山広域市を訪問していただきました。ちょうど和歌山県は、昨年9月に、ワーケーション分野での連携強化のための覚書を締結したところであります。そして、釜山広域市の朴市長、安議長と今後の交流について意見交換をされ、また、旅行会社等で熊野白浜リゾート空港へのチャーター便や本県へのクルーズ船誘致など、観光客誘致を実施していただきましたことに心から感謝を申し上げたいと存じます。
 国際チャーター便やクルーズ船の誘致は、インバウンド観光客を直接県内に呼び込み、韓国との交流促進を図る大変有効な手段であります。本年2月及び5月には、金亨駿駐大阪韓国総領事の支援を受け、韓国から熊野白浜リゾート空港へのチャーター便が運航し、大変好評を博していると伺っております。また、釜山の海運会社が来年4月から運航を予定するクルーズ船の県内寄港に関心を示している状況であり、和歌山県といたしましても、引き続き、チャーター便やクルーズ船の就航に向け、運航会社に対して必要な支援を行っていく所存でございます。
 今回、山下会長はじめ、日韓親善和歌山県議会議員連盟の皆様が積極的な誘致活動を行っていただいたことを受けまして、できれば私も、来年2月に議員連盟の皆様と御一緒に韓国に伺って、プロモーションを実施できないか考えているところでございます。
 今後とも、議員連盟の皆様はじめ、和歌山県議会の皆さんと一緒になって、韓国との交流を活発に進めてまいりたいと存じますので、引き続き御支援と御協力をよろしくお願い申し上げます。
○議長(鈴木太雄君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 今、知事から御答弁をいただきました。ぜひ来年の2月の韓国訪問を実現していただきまして、知事のトッププロモーションを行っていただきたいと思います。その際は、日韓親善和歌山県議会議員連盟といたしましても、全力でそのことを御支援させていただきたいと思いますので、議会と、そして当局と一緒になって協力しながら、この観光交流やワーケーションの促進、チャーター便、クルーズ船の誘致実現を目指し、一緒になって頑張っていければというふうに思っておりますので、どうかよろしくお願いを申し上げます。
 2項目めになります。
 新総合計画の策定についてお尋ねをいたします。
 知事は、本年2月定例会におきまして、森議員の一般質問を受け、1年前倒しで新たな総合計画の策定を表明されました。4月には、知事を本部長とする新総合計画策定本部が設置され、現在、県当局において、2040年頃を展望した本県の目指すべき姿などの検討が行われ、計画策定の取組が着々と進められていると聞いております。
 言うまでもなく、総合計画は、県政を進めていく上で最上位となる計画であり、今後の指針となるべきものであります。少子高齢化や急速な人口減少、南海トラフ地震への対応など、本県が抱える問題に対し、県民が安心できる、希望が持てる計画であってほしいと思います。
 知事は、就任以来、財政危機警報の発令や県庁の大幅な組織再編など、新たな試みに次々と着手されてきましたが、今回策定する総合計画は、岸本知事が初めて策定する総合計画でもあります。
 そこで、知事にお伺いいたします。
 現行の長期総合計画と、今回知事が新たに策定をする新総合計画との違いは何か。また、策定にかける知事の思い、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
○議長(鈴木太雄君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
 新総合計画につきましては、コロナ禍を経て、人々の暮らしや働き方が見直されました。そして、人口減少、超高齢化、デジタル技術の進展や脱炭素・循環型社会への構造転換が求められるなど、和歌山県を取り巻く環境が大きく変化しております。そのため、1年前倒しで対応していきたいと考えたところでございます。
 今、山下議員から、これまでの長期総合計画と新総合計画の違いについてお尋ねがございました。お答えしたいと思います。
 まず、一つ目の違いなんですけれども、今回は2040年問題というのがありますので、2040年頃を展望した長期の構想と、それから、今2024年でありますけれども、5年ぐらいで実施計画を考えていって、それをロールオーバーしていくというような形で考えていきたいと思っております。今の長期総合計画は10年ですけれども、射程が長い。それから5年ごとに具体的な実施計画を行っていくというところであります。これは、ある程度2040年に、和歌山県の市町村の中で、例えば2015年と比べた場合に人口が半減するようなところも出てくるということですので、長期的な視野と、それから、社会情勢が大きく変わりますので5年ごとぐらいで見直していきたいと、こういうことであります。
 それから、二つ目の違いでありますけれども、できれば、これまでは数字を、いろんな数字の指標をいっぱい並べておりましたけれども、なかなか抽象的で分かりにくいということもありましたし、実際検証してみますと、その数字がなかなか当たっていないというか、少しちぐはぐになってきているようなところがありますので、むしろ県民の皆様によく理解していただく、あるいは市町村の皆さんにも御理解いただくように、メッセージ性を重視した内容にしたいというふうに考えております。数字というよりも、中身をお伝えしていきたいというふうに考えております。それから、いわゆる官庁作文のようなものにはしたくないということでございます。
 それから、三つ目の違いとしては、何としても県民の皆さんに自分事として捉えていただきたい。多分、長期総合計画といっても、県民の皆さんはあまり御関心がなかったでありましょうし、どこか他人事みたいなことだったと思うんですけども、今回は、ぜひ県民総参加型でやっていきたいと思っております。
 したがいまして、県内各地の地域住民の皆さんを対象に熟議の場をつくらせていただいたり、あるいは、まさに2040年ですから、今の小学生や中学生が大人になって活躍される時期でありますから、小学生、中学生を対象とした作文とか絵画を募集して、問題意識を持ってもらう。子供さんがそういうのをおうちでやっていたら、保護者の皆さんも関心を持っていただけるのではないかと考えております。
 それから、できれば高校生や大学生を対象としたデータ利活用コンペティションなどの実施も予定しておりまして、それらの機会を通して、幅広い層、特に将来を担う若者の皆さんに、2040年の和歌山、どんな和歌山にしたいんだ、どうあるべきだと、そんなことを一緒に考えていただいて、御意見やアイデアをいただきたい、それを反映していきたいというふうに考えております。
 また、今もやっていますけど、タウンミーティングの中でも、今年度からは、参加している皆さんに、2040年の市町村はどうありたいか、あるいは、今なさっているNPOの活動とか、観光協会、商工会の活動が2040年にどうなっているのか、そういう御意見も今伺いながら回っているところであります。
 どうしても人口減少という、我々としてなかなか変えることが難しい大きなトレンドの中で、県の行政は、2040年問題をはじめとして、困難な課題に直面せざるを得ません。それを例えばグリーントランスフォーメーションの投資の拡大やデジタル技術の進展など、何とか発展のチャンスをつかんで、また、和歌山の文化や歴史、伝統の強みを生かして、未来志向で創意工夫を行ってまいりたいと考えております。
 計画策定に当たりましては、和歌山県行政に係る基本的な計画の議決等に関する条例の趣旨を踏まえ、策定の各段階におきましては、和歌山県議会に検討状況を御報告し、御意見をいただきながら、最終的には議決していただくべき原案をまとめる予定となっておりますので、そのプロセス、プロセスで御指導いただきながら、できれば来年の県議会、9月定例会には議案を提出したいと考えております。
 その意味で、我々、県民の皆さんの御意見をいただきながら、職員を挙げて知恵を絞ってまいりたいと思いますので、ぜひ節目節目で県議会の先生方のお力添えを心からお願い申し上げる次第であります。よろしくお願い申し上げます。
○議長(鈴木太雄君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 今、知事の御答弁で、小学生、中学生、また大学生、そして、タウンミーティングでと幅広い層でいろんな御意見を聞きながらということだと思います。それはそれで結構だと思います。
 総合計画の策定に当たりましては、今も知事の答弁にもありましたように、県議会のほうにも報告しながら策定していくということでございますので、どうかこれからも、我々議会としても、このことに関しましては大変重要なことだと思いますので、大いに意見を述べさせていただきまして、よりよい計画となるよう、真摯な議論を重ねてまいりたいというふうに思ってございます。どうか議会共々、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 次の質問に移ります。
 3項目めであります。
 能登半島地震を踏まえた防災・減災対策についてお尋ねをいたします。
 本年元日に発生いたしました能登半島地震は、最大震度7、マグニチュード7.6の大地震であり、260名という多くの方がお亡くなりになりました。住宅被害も12万5000棟以上の大きな被害が出ております。
 改めまして、今回の能登半島地震でお亡くなりになられた御遺族の方々に心からお悔やみを申し上げますとともに、被災されました皆様方には、心よりお見舞いを申し上げます。
 能登半島地震につきましては、本県からも5月31日まで職員を派遣し、石川県能登町の避難所運営や罹災証明書発行などの業務を支援されたと聞いておりますが、私が顧問を務めます和歌山市管工事業協同組合、こちらからも組合員を石川県のほうに派遣をいたしまして、給水管漏水調査、また修繕作業など、応急復旧の支援を行っていただきました。
 加えて、公益社団法人日本下水道管路管理業協会からの要請を受け、和歌山市にございますが、株式会社青木実業の皆様方も被災地に入っていただきまして、下水道の災害調査や汚水の排水作業など、復興支援に当たっていただいたわけであります。
 復興支援に行ってくださった方々から報告を聞いたところ、能登が半島という地理的な要因のため、被災地に向かう道路が限られ、その道路が寸断されたことに伴う被災地の孤立や復旧支援の遅れが生じていたとのことでありました。被災地付近で宿泊できる場所も少なく、宿泊先から被災地まで片道2時間から3時間かけて応援に行っていたとのことでありました。
 これは、同じ半島に位置する本県におきましても人ごとではありません。特に、紀伊半島は日本最大の半島でありますので、道路の寸断によって、今回の石川県よりも重大な問題が生じる可能性があり、大変心配するところであります。本県沿岸部の幹線道路である国道42号の代替ルートとして、これまで紀伊半島一周高速道路やX軸ネットワーク道路の整備など、県内緊急輸送道路のネットワーク化が図られてきたところではありますが、これら道路の防災・減災対策の進捗も大変気になるところであります。
 南海トラフ地震は、今後30年以内に発生する確率が70から80%となっており、年々その確率は高まってきております。また、県北部には、活断層である中央構造線断層帯が横断しており、こちらは発生確率が低いとはいえ、地震はいつ起こるか分かりません。紀北地域には、大変ため池も多く、決壊による甚大な被害をもたらす可能性もあります。
 地震だけではなく、昨年6月には台風2号に伴う豪雨災害もあり、県内でも多くの地域が被災をいたしました。私も、このときに現地で被害状況をあちこち回りまして、その状況を目の当たりにしてきたわけでありますが、年々気象災害が激甚化、頻発化しているように感じました。
 県では、昨年の豪雨災害においても防災・減災対策の見直しを行っていましたが、対策に完璧過ぎるということはないと思います。被害を最小限にし、早期の復旧を図れる体制を構築しておくことが行政の役割であると思います。
 そこで、知事にお伺いいたします。
 今まで、災害時の緊急輸送道路の橋梁の耐震化、危険なため池の改修を順次行ってきたかと思いますが、現在、対策はどの程度進んでおられるのか。また、今回の能登半島地震を踏まえ、今後、本県においてどのような対策が必要だと考えておられるのか、お伺いをいたしたいと思います。
○議長(鈴木太雄君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申します。
 今、山下議員が御指摘をいただきました防災・減災対策につきましての御懸念、問題意識は、全く同感でございます。
 したがいまして、本県では、過去から災害の都度、災害対応力の強化を進めてきておりますが、直近では、議員が御指摘をいただきました昨年6月の豪雨災害などの災害事例に対して、県としてどんな対策が重要なのか、見落としはないのかということについて、担当部局を中心に見直しを随時行ってきております。
 まず最初、議員御指摘の災害時の緊急輸送道路に係る橋梁の耐震化についてでございます。これは、2004年度より対策を進めてきておりまして、2023年度末時点──今年の3月末時点で耐震化が必要な橋梁450か所のうち427か所、約95%については完了しております。
 それから、御指摘のありました、ため池の豪雨対策につきましては、2023年度末時点で、改修の必要性の高い農業用ため池233か所のうち135か所に着手をしております。
 また、ソフト対策では、ため池決壊による二次被害を軽減するため、市町村と協力し、防災重点農業用ため池1900か所のうち94.3%のハザードマップを作成し、順次完了を目指しております。まずは、これらの緊急性の高い対策を着実に進めてまいりたいと考えております。
 一方で、今年の1月に発生いたしました能登半島地震では、道路の寸断により救援部隊の進出が妨げられ、大型車両や重機による救助活動、救援物資輸送や、その後の被災者支援にも大変大きな影響が出ております。また、災害関連死の防止や避難所運営の在り方などにおいても、新たな課題が見えてまいりました。
 現在、本県から能登町へ応援に行きました職員の知見や、国が6月上旬に公表いたしました令和6年能登半島地震に係る災害応急対応の自主点検レポートを踏まえ、現在、全庁的な検証を行っているところであります。すぐさま着手すべき対策あるいは中長期的な検討課題につきまして、今、取りまとめを行っておりまして、できれば秋頃に中間報告をさせていただきたいと考えております。
 和歌山県としては、着実なハード整備の推進はもちろんのことでありますけれども、輸送インフラが破損した場合の代替手段の確保、あるいは県外からの応援人員の後方支援など、受援体制のさらなる強化を図っていきたいと思っております。あわせて、市町村と連携し、県民の皆様に、大規模災害に備えて1週間程度の備蓄の促進を啓発するなど、住民の防災意識の向上を図り、自助、共助を含めた総合的な対策に努めていきたいと考えております。
 それから、今、山下議員が御指摘くださいましたけども、半島ならではの被害、これは、まさに能登半島地震で我々学びました。能登半島よりも広い紀伊半島ですので、ひょっとしたらより被害が大きくなるということだろうと思います。これも実は県議会の先生方にお世話になっておりますが、半島振興法が今年度末で期限がまいります。今、この延長、拡充にお願いを上がっているんですが、実は、この能登半島地震を受けまして、半島防災、半島ならではの防災という条文をつくっていただけないかと、それを基に国土強靱化で予算を獲得していきたいということで、先週、政府・与党に要請に行ってまいりましたので、これもぜひ県議会の先生方に応援をお願いしたいと思っておりますので、ぜひよろしくお願い申し上げます。
○議長(鈴木太雄君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 大規模災害の発生時には、県庁内の全ての部署が集まって災害対策本部が立ち上がり、対応することになるかと思います。平時の防災・減災対策につきましては、危機管理部をはじめ、県土整備部や農林水産部など、それぞれの部署の持ち場において計画的に取り組んでいただいているかとは思いますが、ぜひ各部長におかれましては、御自身の部署だけではなく、全庁的な地震対策がどれだけ進んでいるのか、定期的に情報交換を行っていただき、加えて、県下各振興局との連携も図り、今後の対策がいざというときに的確な判断ができるよう、準備をお願いいたしたいと思います。
 今、知事の御答弁の中で、市町村とも協力しということがありましたので、もうこの点はきちっとやっていただけるというふうに思いますから、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 やっぱり災害が起こったときに、一番まず早く状況を知りたいのは各県下市町村ですよね。そこの連携というのは、やっぱり各振興局がつかむのが早いと思います。それをもって、本庁で部長さんたちが常日頃からこの調査をずっと、どれだけ進んでいるかというのを御検討いただけるということでありますので、そういう形を取りながら、いつ来るか分からない、この大きな地震に対応していただければというふうに思います。
 また、今、知事のほうから議会にもというお話もありました。当然、我々の議運とか特別委員会とかいろいろありますので、そのことにつきましては、私が偉そうに代表で言ってはいけないので、みんな同じ気持ちだと思うんですけども、一緒になって頑張りたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。
 今、ちょっと議会のことも触れましたが、我々県議会におきましても、いざ大規模災害が起こったときの対応を平時より想定しておく必要があると考えておりまして、議会事務局では、令和4年4月に、災害時の議会の運営手順などを定めた業務継続計画、いわゆるBCPを策定しておりますが、南海トラフ地震による被害が想定される本県において、二元代表制の一翼である本議会がしっかりと役割を果たすためにも、議会の先輩・同僚議員の皆様とこのBCPの実効性をさらに高めることができるよう、今後検討してまいりたいと、私はそのように考えます。
 次の質問に入らせていただきます。
 4項目め、空き家対策についてであります。
 これも実は、さきに質問しました地震と関係があります。4月30日に総務省が公表した令和5年住宅・土地統計調査の速報値によりますと、県内の総住宅数に占める空き家の割合が21.2%となり、徳島県と並んで全国1位となりました。新聞なんか、これ、全国ワースト1位とか、そんなワースト、ワーストばっかり言うので、ちょっとワースト1位というのは適切でないなと思いましたので、今回は全国1位という表現にさせていただきました。5軒に1軒が空き家という状態になります。
 5年前の同じ調査では、空き家率が20.3%の全国2位でありましたので、本県の空き家率は上昇の一途をたどっていると言えます。私も、仕事柄、県内の各地を歩くわけでありますが、年々空き家が増えてきていると感じております。
 先ほど、防災・減災対策について知事に答弁をいただきましたが、能登半島地震では、所有者不明の空き家が倒壊、周辺に被害をもたらしたり、避難の妨げになったりしたほか、所有者不明により解体が進まないなど、復旧・復興の支障にもなっていると聞いております。
 本県におきましても、南海トラフ地震の懸念がある中で、所有者不明の空き家や放置された危険な空き家の対策は、今後、危機感を持って取り組んでいかなければならない、そういう課題であると思います。
 また、放置された空き家は、治安の上でも問題であります。放火や不法侵入など、犯罪の温床となりやすい状態になり、周辺の生活環境に様々な悪影響を及ぼします。空き家が増えていくことにより、まちの活気も失われていくように感じます。
 空き家問題につきましては、この議場で、過去、ほかの議員からも質問があったところではございますけれども、今回空き家率が全国1位となり、今後、人口減少により、さらに空き家が増えていくことが予想される中、改めて県として、この問題に対しどのような対策を講じていこうと考えておられるのか、これは県土整備部長にお伺いをいたします。
○議長(鈴木太雄君) 県土整備部長福本仁志君。
  〔福本仁志君、登壇〕
○県土整備部長(福本仁志君) 県では、年々増加する空き家に対して、その状態に応じて利活用、保全、除却等の取組を進めております。特に、所有者不明または放置された空き家は、治安上の問題や倒壊等の危険もあり、南海トラフ地震の発生時には救援、救助の妨げにもなることから、県、市町村、専門家等による和歌山県空家等対策推進協議会を設立し、危険な空き家の基準の策定や相談会、啓発セミナーを行い、除却を進めてきました。こうした取組により、市町村の実情に応じた利活用や除却等の成果も現れてきています。
 一方、急激な人口減少、高齢化の進行により、空き家の増加は避けられない状況の中、危険な空き家の発生を抑制することが最も重要であると考えています。具体的な取組としては、危険な空き家の一歩手前にある管理不全空き家を発生させないよう、居住者やその親族に対し、空き家問題について意識醸成を促し、不動産の相続登記の義務化を啓発するため、パンフレットやセミナーで県民に広く呼びかけるとともに、自治会等と連携し、高齢者世帯をターゲットに、重点的に周知、啓発を行ってまいります。
 また、これまでの対策をさらに推し進めるために、今年度から、多様な空き家相談を一元的に対応する窓口を設置することにしており、相談から対策への移行率が高まるよう努めてまいります。
 今後も、引き続き市町村や専門家等と連携し、危機感を持って空き家対策を総合的に推進してまいります。
○議長(鈴木太雄君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 県土整備部長、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 次の質問に移らせていただきたいと思います。
 教育委員会であります。
 5項目め、子供を取り巻く諸問題についてお伺いをいたします。
 少子化が進む現代社会におきまして、次世代を担う子供たちは和歌山県の宝であります。しかしながら、子供を取り巻く環境に目をやりますと、いじめや孤立、貧困やヤングケアラー等々、課題が山積している状態で大変心配をしております。
 親におきましても、小1の壁や小4の壁など、働き方と子育ての両立が難しい環境があると聞いております。
 小1の壁とは、子供の小学校入学後、登校前や放課後の受入先がなく、親が働きにくくなる問題のことでありますが、仄聞するところによりますと、親の仕事の関係で朝早く通学しなければいけない児童が、小学校の前で校門が開くの待っている光景が全国各地で起こっていると聞いております。
 昔であれば、学校の門は朝早くから開いており、早く来て運動場で遊んだり、教室で本を読んだりと、そんないろんなことをすることもできたわけでありますが、今の時代、子供の安全を考え、通学の時間のみ門を開ける学校が多いとのことであります。
 本県における小学校の朝の校門前の状況について県教育委員会に確認したところ、同様の問題は県内でも起こっているとの回答がありました。朝早くに来た児童に対しましては、学校から、朝早くに来ないようにと書いた手紙を渡される場合もあるとのことであります。手紙を渡された児童は、親が朝出勤した後、家で独りで留守番をし、時間になったら家の鍵をかけて登校することになります。小学生に独りで留守番や戸締まりをさせるというのは、親としてもとても心配だと思いますし、防犯上の懸念もあると思います。
 小学校の門を朝早くから開けるということについては、先生方も今大変多忙でありまして、勤務時間外である早朝から門を開け、子供たちを見守ることが難しいのは承知をしております。先生方の働き方改革というのも必要でありましょう。
 しかしながら、今現在、子供が困っている、親が困っているという実態があるのであれば、ぜひ子供や子育て世代の親に寄り添っていただきまして、諸課題解決に向けた知恵を皆で考えていただきたいと思いますが、この問題について、県教育委員会の見解、今後の対応について、教育長にお伺いをいたします。
○議長(鈴木太雄君) 教育長宮﨑 泉君。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 小1の壁についてでございますが、学校の開門時間前に校門が開くのを待っている子供たちがいることは、承知をしております。保護者や子供の不安な思いと教員の働き方改革を考え合わせると、非常に悩ましい問題であると感じています。
 現在、多くの小学校において、地域の方々の協力を得て、登下校の見守り活動を実施しています。こうした方々の協力や、本県が進めるきのくにコミュニティスクールの仕組みを活用するなど、学校、家庭、地域で課題を共有し、解決策を図ることが必要であると考えます。
 県教育委員会としましては、学校が様々な課題と向き合い、地域の方々の力も借りながら、子供に寄り添った丁寧な対応を進めていくよう、市町村の教育委員会と連携して取り組んでまいります。
○議長(鈴木太雄君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 今、教育長から答弁をいただきました。
 確かに、様々な課題があることは私も承知をしておりますが、少子化を解消するためには、子育てしやすい環境づくりが不可欠であります。ぜひ、今も答弁にありましたとおり、地域の方々とも連携をしながら、子供に寄り添った学校であってほしいと思います。どうかよろしくお願いを申し上げます。
 この項目の2点目であります。
 先ほど教育長から、朝の学校における子供の居場所についてお伺いしたところでありますが、朝だけでなく、放課後の学童保育や地域においても、子供が自分らしく安心して過ごせる居場所が大切であると考えます。
 また、県が3月に公表いたしました子供の生活実態調査によりますと、県内の子供の貧困率が10.7%となっており、非常に衝撃的な結果でありました。子供の貧困対策も喫緊の課題であり、大きな問題であると思います。子供たちが経済的な理由で自分が望む将来を諦めることなく、それぞれの個性を持ちながら成長できる社会をつくっていかなくてはなりません。
 こういった子供の居場所や貧困など、子供を取り巻く様々な課題に対し、今後、県としてどのように取り組んでいかれるのか、共生社会推進部長にお尋ねをいたしたいと思います。
○議長(鈴木太雄君) 共生社会推進部長島本由美君。
  〔島本由美君、登壇〕
○共生社会推進部長(島本由美君) 子供の貧困対策については、これまで、和歌山県子供の貧困対策推進計画に基づき、教育支援、生活支援、保護者に対する就労支援、経済的支援の施策を総合的に推進してきたところです。
 また、子供の居場所づくりについては、昨年度、県が実施した子供の生活実態調査で、居場所が多いほど自尊感情が高くなるという結果が出ており、その重要性を再認識し、子供食堂をはじめとした居場所づくりを推進しております。
 しかしながら、子供を取り巻く課題は山積していることから、今年度、県では、貧困対策をはじめ、子育て支援や虐待防止など、子供に関わる様々な計画を一元化したこども計画の策定を進めているところです。
 策定に当たっては、子供たちからできる限り広く意見を聞く予定にしており、子供たちの状況やニーズを踏まえつつ、個々の計画を一つにまとめることにより、より効果的に施策が実行できると考えております。
 今後は、この計画に基づき、こどもまんなか社会の実現に向けて、様々な課題解決に向けた施策に取り組んでまいります。
○議長(鈴木太雄君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 部長、僕のほうを向いて答えてほしいわな。
 今、答弁いただきましたけど、過日の新聞報道によると、和歌山市など県内における放課後児童クラブの待機児童が今年度、大幅に解消できる見込みとのことであります。現場の取組に感謝するとともに、待機児童ゼロを目指し、引き続き頑張っていただきたいと思います。
 子供を取り巻く様々な問題につきましては、県民の皆さんが改善されていると実感できることが大事だと考えておりますので、広く意見を聞いて計画をつくり、着実に実行していっていただきたいと思います。部長、どうかよろしくお願いいたします。
 最後の質問に入ります。
 拉致問題についてであります。
 この問題に関しましては、昨年12月定例会の一般質問におきまして、知事の所見をお伺いいたしました。知事からは、拉致問題に対し、深い悲しみと激しい怒りを感じる、問題解決に向け、若い世代も含め、各世代の啓発が大変重要との答弁をいただきました。知事も私と同様、拉致問題の早期解決に向けた強い思いを持たれていることが分かり、大変心強く感じたところであります。
 また、その際、「拉致問題を考える国民の集い」を今年度、本県で開催すべく国と調整を行っているとのことでありました。
 そこで、現在の開催に向けた状況や、予定している国民の集いの内容について、知事にお伺いをいたします。
○議長(鈴木太雄君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
 拉致問題につきましては、私も国会議員時代、拉致の問題についての街頭活動をできる限り参加して、専らJR和歌山駅前で街頭活動をしてきたわけでありまして、山下議員と全く思いは同じだと自負しております。
 その上で、「拉致問題を考える国民の集い」といいますのは、地方レベルで拉致問題啓発の取組を促進するように、内閣官房拉致問題対策本部が共同開催をする地方公共団体を募集して、2008年度から毎年行われているものでございます。和歌山県におきましても、県民の皆さんの拉致問題への関心を高めて、問題解決に向けた後押しとなるよう、できれば今年度、開催をしたいというふうに予定をしております。
 内容につきましては、拉致被害者等御家族の訴え、あるいは有識者による講演等を予定しております。ユーチューブによるインターネット配信も検討しておりまして、さらに、若い世代の啓発喚起を促すプログラムを検討しております。これにつきましては、県の教育委員会と連携して準備を進めてまいります。
 そして、和歌山県議会自由民主党県議団拉致問題解決促進議員連盟の皆さんが例年実施されておられます「北朝鮮による拉致被害者救出の街頭活動」と「拉致問題を考える国民の集い」につきましては、できれば日程を合わせるなど、効果が出るような周知の仕方について検討してまいりたいと考えております。よろしくお願い申し上げます。
○議長(鈴木太雄君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 知事、ありがとうございます。
 和歌山県議会自由民主党、この質問を私、させていただいていますけど、何も私一人がやってきたのではなく、自民党県議団の皆で対応をやってきたわけなんですね。そういうことで、和歌山県議会自由民主党県議団拉致問題解決促進議員連盟といたしましてもという言い方をさせていただきますが、本県で初めて開催されます「拉致問題を考える国民の集い」が問題解決に向け一歩でも二歩でも前進する機会となるよう、県当局とも協力してやっていきたいというふうに思いますので、どうかよろしくお願いを申し上げます。
 以上で、今回の質問項目は全て答弁をいただきました。今回の質問では子供の問題を取り上げましたが、実は、高齢者がやっぱり気になるところであり、大変大事であります。この高齢者の方々が暮らしやすい社会であることも、忘れてはならないと思います。
 テレビや新聞では日々暗いニュースが流れ、いろいろなことが起こる毎日ではありますが、せめて御苦労されてきた高齢者の方々には、その日その日の暮らしに心配することなく、ゆっくり生活ができる、そんな世の中であってほしいと思います。ぜひ知事や県当局の皆さん方には、そういった世の中をつくる、そういうお仕事をしていただきたい。私たち議会も頑張るということを申し上げたいと思います。
 また、今回は質問はいたしませんでしたが、先日、テレビのニュースで、実は大阪の堺市にある団地の空き部屋を食堂として改装して、高齢者の孤独な食事や孤立化を防ぎ、住民、地域とのつながりの場にするという取組が紹介をされておられました。団地食堂というそうでありますが、私はそれを見て、非常にいい取組だなというふうに思いました。ハードルはいろいろあろうかと思いますけれども、本県でもこういった取組が進めば空き室の解消にもつながりますし、子供や高齢者など、世代を超えた交流の場ができて、地域にとってもコミュニティーの活性化などが期待できるのではないか、そう思いました。これについては、また機会があれば県当局と議論をさせていただきたい、そのように考えてございます。
 以上で、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(鈴木太雄君) 以上で、山下直也君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時40分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○議長(鈴木太雄君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 30番岩井弘次君。
  〔岩井弘次君、登壇〕(拍手)
○岩井弘次君 こんにちは。お昼終わりで、少しうとうとしてくる時間でございますけど、お昼はきいちゃんの和歌山御膳をおいしくいただきまして、非常においしかったなあという感想で、ますますお店が繁盛するようにと思う次第でございます。しばらくの間、お付き合い願いたいと思います。
 議長のお許しをいただきましたので、早速通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 まず、学校施設の老朽化対策・防災機能強化の推進について伺います。
 学校施設の役割は、児童生徒の多様な教育活動を支える機能を提供することだけではなく、地域住民の生涯学習や文化活動の場として活用されるなど、地域コミュニティーの拠点としての役割も担っています。そして、地域の防災拠点としての役割も期待されています。また、近年、学校施設は単なる教育の場としてだけではなく、多様な目的に対応できる質の高い施設整備が求められています。
 文部科学省によりますと、全国の公立小中学校の約半数の施設が築40年以上を経過し、そのうち約7割が改修の必要ありとしています。昨年は、福岡県北九州市の小学校で、老朽化した外壁が落下する事故で児童5人がけがをし、埼玉県久喜市の小学校では、畳1畳分ほどの外壁が落下する事故が起きるなど、平成27年度から昨年11月までに発生した外壁落下は38件に上っています。
 修繕や建て替えを計画的に進める必要があることから、文部科学省としては、国土強靱化5か年加速化対策の取組として推進しており、支援メニューとして、長寿命化改良事業、防災機能強化事業があります。
 公立学校のほとんどが地域の避難所となっているため、学校施設の老朽化対策及び防災機能の強化は重要です。また、学校施設の老朽化による影響は、施設劣化の進行による雨漏りなど、学校での活動に支障を来すだけではなく、施設設備や備品を損傷するおそれもあります。
 久喜市の事故を受けて、文部科学省は、法令等に基づく専門家による点検の適切な実施、日常的な点検等で異常を発見した場合には専門家に相談するなど、学校施設の維持管理の徹底を図る旨、全国の教育委員会に通知しました。
 学校施設の老朽化対策は、児童生徒の安全・安心の確保に加え、地域の防災機能の強化といった面からも重要な視点となります。
 厳しい財政状況の中で、計画的、効率的に学校施設の防災機能の強化も含めた老朽化対策を進めていくことは大変な課題であると思いますが、国の支援策も活用しながら、地域の実情に合わせた対策を推進していかなくてはなりません。
 つきましては、教育長にお伺いいたします。
 県立学校施設の築年数や建築基準法第12条に基づく調査点検の状況について、また、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策で、令和7年までの修繕や改修の計画において、政府としては令和5年6月に国土強靱化基本法を改正し、今後の方針となる国土強靱化実施中期計画を法定化したことを受けて、令和7年度以降においても、引き続き学校施設の老朽化対策を推進としていますが、外壁落下防止対策を含めた老朽化対策を進めるべきと考えますが、御所見を伺います。
 3点目に、昨年、同僚議員も質問されておられますが、県立学校で避難所となり得る体育館等の空調設備の整備状況について、教育長にお伺いいたします。
○議長(鈴木太雄君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 教育長宮﨑 泉君。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) お答えいたします。
 県立学校施設の築年数や建築基準法第12条に基づく調査点検の状況についてでありますが、県立学校施設の築年数につきましては、全国の公立小中学校と同様に、約半数が築40年を経過しております。
 建築基準法では、建築設備は毎年、建築物は3年ごと、外壁については10年ごとに調査点検を行うこととされており、県立学校においては、定期的に調査点検を実施の上、改修が必要な箇所は随時対応を行うなど、施設の適切な維持管理に努めているところです。
 次に、令和7年度以降の外壁落下防止対策を含めた老朽化対策についてでありますが、県立学校施設の老朽化対策等につきましては、国が示す現行の防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策に基づき、軀体の長寿命化を目的とした外壁改修や、校舎等の外壁等の落下防止対策などに取り組んでいるところであり、国土強靱化実施中期計画の法定化を踏まえ、引き続き老朽化対策や防災機能強化に努めてまいります。
 続きまして、体育館等の空調設備の整備についてでありますが、県立学校の体育館等の空調設備の整備状況につきましては、昨年度、避難所に指定されている武道場、9校全部でありますが、スポットクーラーを導入したところであります。今後は、国の補助制度等を活用し、特別支援学校の体育館への空調設備の設置を進めるとともに、高等学校の体育館へのスポットクーラーを含めた空調設備の導入を検討してまいります。
○議長(鈴木太雄君) 岩井弘次君。
  〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 御答弁ありがとうございます。
 老朽化対策につきましては、何か起こってからではなく、早めの対策、また丁寧な点検整備をお願いいたします。
 体育館等の空調の整備につきましては、国の補助が県立学校においては特別支援学校に対してのみとなっております。国に対してその拡充を求められるとともに、避難所となり得る体育館への空調整備の推進をよろしくお願いいたします。
 続いて、がん教育についてお伺いいたします。
 がんは2人に1人が一生のうちに罹患し、国内における死因第1位です。その正しい知識を子供たちに身につけてもらうがん教育が学校において行われています。
 がんに関する正しい知識を身につけ、予防や早期発見の大切さを理解し、健康と命の大切さについて主体的に考え、がん患者や家族への共感的な理解を深め、がんに対する偏見や差別をなくすことなどを目的としています。
 中学校と高校の学習指導要領に盛り込まれたことで、中学では2021年度から、高校では22年度から全国で実施されるようになりました。小学校でも、児童の発達段階や学校の実情に応じて展開されています。
 文部科学省は、内容の充実には専門知識を持つ医師や実体験に基づいた話ができるがん患者、経験者ら外部講師の活用が重要になるとして、今年1月19日、それを促す通知が発出されております。
 そして、公表した調査結果によりますと、22年度に外部講師を活用してがん教育を実施した学校は、全国で小学校段階が9.5%、中学校段階が14.7%、高等学校段階が11.7%にとどまっており、前年より微増しているものの、進んでいない状況であるとのことです。
 外部講師を活用しなかった理由としては、「教師が指導したため」が約63%と最も多く、「指導時間が確保できなかった」、「適当な講師がいなかった」が続いています。
 こうした点を踏まえ、文部科学省が出した通知では、都道府県・政令指定都市教育委員会に対して、衛生主管部局と連携して、がん教育の推進に関する協議会を開催し、外部講師の活用を推進するように要請しました。具体的な検討事項として、外部講師の名簿の作成や学校側が派遣を依頼できる窓口の設置、研修の実施などが挙げられています。
 さらに文部科学省は、日本医師会に対しても外部講師の活用に協力を求める通知を発出し、厚生労働省も各衛生主管部局に同様の通知が出されました。
 また、がん教育シンポジウムの開催、講師派遣に係る経費などへの支援も実施されています。
 教員のがんに関する知識不足による負担の増加、がん教育の実施率の地域差、教育現場における時間的・予算的な制約など、課題は多くあるかと思いますが、がん教育は健康教育の重要な一部であり、子供たちの健やかな成長に寄与するものと考えられます。今後も関係機関が連携してがん教育の充実に努めていくことが期待されます。
 そこでお伺いいたします。
 小・中・高等学校段階での外部講師を活用したがん教育の実施状況について、また、講師に医師や経験者など、外部講師の活用推進に向けた今後の取組について、教育長にお伺いいたします。
○議長(鈴木太雄君) 教育長。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) がん教育を行う上で、医師やがん患者、経験者等の外部講師を活用することは重要と認識しております。それによって、児童生徒に生活習慣や遺伝子等のがんの発生に関する基本的な情報も含めたがんの正しい知識やがん経験者等の声を伝えることができます。
 外部講師を活用した本県のがん教育の実施状況は、2022年度で小学校段階31.6%、中学校段階11.8%、高等学校段階3.8%となっており、県全体では22%と全国平均の11.4%を上回っている状況であります。
 県教育委員会では、外部講師リストの充実を図るとともに、外部講師を活用したがん教育の公開授業や担当教員が知識を得るための研修会を実施するなど、学校における外部講師の活用推進に努めてまいります。
○議長(鈴木太雄君) 岩井弘次君。
  〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 ありがとうございます。
 理論としてのがん教育にとどめず、体験談はより理解を深め心に刻まれます。より一層のお取組をよろしくお願い申し上げます。
 それでは、次に進ませていただきます。
 学校で実施されている健康診断についてお伺いいたします。
 学校においては、児童生徒等が学校生活を送るのに支障がないか疾病をスクリーニングし、健康状態を把握するため、学校保健安全法第13条により義務づけられている健康診断を毎年実施されております。
 学校での健康診断をめぐっては、近年、全国的な問題として、教育委員会に児童生徒から、聴診器が胸に当たって不快な思いをした、なぜ肌を見せなければならないのかなどの意見が多数寄せられ、上半身裸で待機することや異性の教員が立ち会うことへの疑問等その実施方法に懸念の声が上がっています。
 公明党としましても、こういった懸念のお声をお聞きし、昨年5月12日、政府に提言したすべての女性のためのトータルプランの中で、安心して受けられる学校健診の実現として、「健康診断の質を担保しつつ、児童生徒が安心して受けられる健康診断に取り組むこと」「学校の健康診断において、衣服を脱いで実施するものに関しては、児童生徒の性的羞恥心や個々の事情、性的少数者を想定するなどの配慮を行う」「女性医師による健康診断の実施の検討」「児童生徒、保護者への十分な説明を行う」とともに、「個別の診察スペースを確保してプライバシーの保護に取り組むこと」等の提言を行いました。
 そのような状況の中で、文部科学省は、本年1月22日付で、健康診断について正確な診察に支障のない範囲で、原則、上半身裸ではなく体操服等で体を覆うなど、子供たちのプライバシーや心情に配慮した環境整備を行うよう通知を行いました。
 具体的には、1点目に、健康診断の服装等については今まで特に定めがなく、地域や学校で運用が異なっていたため、正確な検査や診察に支障がない範囲で、原則、上半身裸ではなく体操服やタオルで体を覆い、配慮するよう求めました。
 2点目に、検査や診察の際は、囲いなどで個別スペースをつくり、ほかの子供から体が見えないようにし、原則、子供と同性の教職員が立ち会うことなどを例示しました。
 三つ目に、一方で、診察では、成長段階に多く見られる背骨の病気の確認のため、背中を直接見たり、心臓の異常の有無の確認のため、直接聴診器を当てたりすることなどがあると例示し、体操服や下着などをめくって診察する場合や、聴診器を当てる場合があることを学校が事前に子供や保護者に説明するよう求めました。
 また、文部科学省は、自治体に対して地域の医師会と健康診断の際の実施方法を協議し周知するよう求め、日本医師会にも今回の通知内容の周知を依頼しました。
 これらの内容に示されたとおり、プライバシー等に配慮された安心できる環境で、正確な検査、診断を受けることができる健康診断の実施が、子供たちにとってとても重要であります。
 そこで、和歌山県においても、文部科学省が示したように、正確な検査や診察に支障がない範囲で児童生徒のプライバシー等に十分な配慮を行い、児童生徒等が安心して受けられる健康診断を実施していくことが重要だと思いますが、本県の健康診断の状況と、今回の文部科学省の通知について、県内の学校に周知されたのか。また、文部科学省は、自治体に対して、地域の医師会等と健康診断の際の実施方法を協議し周知するよう求めていますが、和歌山県において、医師会等と健康診断の実施方法について協議されたのか、教育長にお伺いいたします。
○議長(鈴木太雄君) 教育長。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 学校で実施されている健康診断についてお答えをいたします。
 本県の学校における健康診断については、以前から文部科学省の通知に基づき、実施方法やプライバシー等に配慮しながら学校と学校医が相談の下、行っております。
 2024年1月に文部科学省から、より一層プライバシー等に配慮した環境整備に対する通知があり、県立学校及び市町村教育委員会に改めて文書や会議で周知いたしました。
 また、県教育委員会と県学校医会は、事前に学校と学校医が相談し共通認識を持つとともに、児童生徒等及び保護者の理解を得られるよう丁寧に説明を行った上で実施することを確認いたしました。
 今後も、県学校医会と連携を深め、児童生徒等のプライバシーや心情に配慮するとともに、何よりも正確な検査、診察を実施してまいります。
○議長(鈴木太雄君) 岩井弘次君。
  〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 御答弁ありがとうございました。
 それでは、続きまして、児童相談所における一時保護中の子供たちの学習機会の確保についてお伺いいたします。
 新聞報道によりますと、児童虐待の相談対応件数が過去最高を更新する中、虐待などで保護された子供たちが一時保護所で過ごす際の学ぶ権利の保障に課題が残っており、また、一時保護所によって、学習支援の取組にばらつきがあり、通学できない子供も多いとありました。
 調査によると、一時保護中に週4日以上通学できていた子供は6%にとどまり、通学ゼロもあったそうです。本人の通学意向を確認していたのは約3割の自治体のみで、通学しない理由として、送迎対応する職員が確保できない、保護者が子供を奪還するおそれがある、無断外出のおそれがあるなどが挙げられています。
 児童の教育権を守るため、本人の意思を尊重し、通学支援体制を整備することが重要です。こども家庭庁が一時保護所のガイドラインを随時改定するなど、子供の権利擁護に取り組んでいますが、一時保護所での子供の学習権保障には依然として課題が残されているようです。一時保護所の環境整備や職員体制の強化、本人の意向確認など、子供の教育権を最優先に考えた取組が必要です。
 一時保護所の環境整備として、個室の確保や落ち着いた学習環境の整備が重要であること、一時保護所の職員体制として、子供の送迎や学習支援に専任の職員を配置することが求められています。そして、一時保護所と学校との連携を強化し、子供の学習状況の共有や学校への通学支援など、多角的なアプローチが必要です。
 児童相談所における保護中の子供たちの学習機会の確保は重要な課題であり、子供の最善の利益を第一に考え、環境整備、職員体制、学校との連携など、総合的な取組が求められると考えますが、いかがでしょうか。共生社会推進部長の御所見をお伺いいたします。
○議長(鈴木太雄君) 共生社会推進部長島本由美君。
  〔島本由美君、登壇〕
○共生社会推進部長(島本由美君) 議員御指摘のとおり、一時保護中の子供の学習機会の確保は重要な課題でありますが、一時保護所からそれぞれの子供の在籍校へ通学させることは、職員の送迎体制を確保できないことや子供の安全確保の観点から、現状では困難な状況にあります。
 そのため、県では、2022年の一時保護所の建て替えの際に専用の学習室を整備し、落ち着いた学習環境を確保するとともに、現職の教員2名を配置し、在籍校の担任と連携を図りながら、子供の学年、学力、心身の状況などに応じた学習の提供に配慮することにより、学習の遅れが生じないようサポートしているところです。
 なお、一時保護期間の長期化が予測され、かつ子供の安全確保が可能な場合には、里親や児童養護施設等へ一時保護委託を行い、一時保護委託先から地域の学校へ通学できるよう対応しております。
 今後とも、子供の最善の利益を考慮しつつ、関係機関とも連携しながら、一時保護した子供の学習機会の確保に努めてまいります。
○議長(鈴木太雄君) 岩井弘次君。
  〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 御答弁ありがとうございます。
 なかなかいろいろと課題があって難しい部分もあるかと思います。基本的には、子供一人一人の、ある意味、学習カルテのような一人一人に合ったそういう支援の仕方というのをつくっていただけたらなという思いの中で、また、その分、職員さんにも負担がかかりますし、大変な部分も理解できます。でも、やっぱり将来を担う子供のためにという思いで取り組んでいただいているかと思いますけども、しっかりとこれからも取り組みいただきたいと思います。また、一時保護委託先の地域の学校へ通学という御答弁がありましたけども、なかなかいわゆる転校みたいな形で、お友達も誰もいない、知らないお友達ばかりのところへ通うというのに抵抗あるというのも時折聞いたりもします。そういった部分で、特に一時保護中の子供さんの安心・安全は第一ではございますけども、学習の機会を確保するという意味でのお取組、また寄り添いをよろしくお願いしたいというふうに思いますので、お願いします。ありがとうございました。
 それでは、続きまして、次の項目に入らせていただきます。
 帯状疱疹ワクチン接種に係る補助についてお伺いします。
 帯状疱疹は、高齢者に多く見られる感染症で、発症すると強い神経痛を伴うことが特徴です。帯状疱疹の発症率は70歳前後でピークを迎えますが、ワクチンの有効率は年齢とともに低下していきます。そのため、高齢者に対するワクチン接種が重要となります。ワクチンを接種することで、発症率の低減や重症化の予防が期待できます。特に、帯状疱疹後神経痛(PHN)は長期にわたり患者を苦しめる合併症ですが、ワクチン接種によりその発症リスクを下げることができます。加齢とともにPHNのリスクが高くなるため、高齢者に対するワクチン接種は非常に重要です。
 帯状疱疹ワクチンは、現在のところ、保険適用外の任意接種となっています。そのため、ワクチン接種に係る費用、高いもので約4万円の接種費用は全額自己負担となります。
 一部の自治体では、高齢者などを対象に接種費用の一部助成制度を設けています。その数は増えてきており、現在、全国で約600の自治体が独自で助成しているとお聞きします。和歌山県においても、田辺市をはじめ17市町で助成が行われています。
 今、国において、80歳までに3人に1人が発症するとされる帯状疱疹をめぐって、ワクチンの接種費用を助成する自治体が増えているとし、定期接種化に向けた議論がされようとしているとお聞きしました。
 今後予想される高齢化の拡大に臨むに当たって、接種費用を助成する自治体が増加し、行く行くは国の定期接種のような位置づけで無料で受けられるようになることを目指し、その後押しとなるよう県として費用面も含め支援いただきたいと願うものですが、県としてのお考えを福祉保健部長にお伺いいたします。
○議長(鈴木太雄君) 福祉保健部長今西宏行君。
  〔今西宏行君、登壇〕
○福祉保健部長(今西宏行君) 帯状疱疹は、加齢やストレス等による免疫機能の低下が原因となり、過去に感染した水ぼうそうと同じウイルスが再活性化し、痛みを伴う水膨れが出現する疾病です。
 帯状疱疹ワクチンは、予防接種法上、公費負担されている定期接種に該当しておりませんが、現在、国において定期接種化の検討が進められております。
 県といたしましては、全国衛生部長会を通じて国に対し、定期接種化と併せて定期接種に係る費用の財政措置がなされるよう本年3月に要望を行ったところであり、引き続き国の動向を注視してまいります。
○議長(鈴木太雄君) 岩井弘次君。
  〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 御答弁ありがとうございました。
 よく体の周りに赤い発疹ができて、一周回ったらどうのとかという話も聞いたりするんですけど、それぐらい激痛が走るということで経験者の方からもお聞きしました。私もこれから行く道でございますので、ぜひまた打っておきたいなという思いと、怖くはないんですけど、注射嫌いというのもありまして、少し悩んでいるところではございますが、これからますます急激な高齢化に伴って罹患される方が増える、そこにおいて、また負担もありますから、軽減を図っていただきたいというふうに切に願うものでございます。よろしくお願いいたします。
 それでは、次の項目に移らさせていただきます。
 カメムシの大量発生について質問いたします。
 カメムシは強烈な異臭を放つ害虫で、桃や梅などの農産物を荒らし、大きな被害をもたらす害虫です。今年特に問題となっている果樹カメムシ類が大量発生している原因は、餌となる杉やヒノキの種子が豊富な年に繁殖した虫が、餌を求めて園地に飛来するためと言われています。また、今年は、過去10年間で最多の発生数を記録しており、和歌山県においても深刻な被害が出ているとお聞きしました。
 防除対策としては、カメムシ専用の農薬を散布する、桃では早期に袋がけをするなどで被害の防止につながると聞きます。
 カメムシは果樹を吸汁して、外見上の品質低下や腐敗を引き起します。特に桃や梅などの果樹では、果実の変形や落果が深刻な問題となります。
 和歌山県は、温暖な気候と肥沃な土壌に恵まれ、様々な果樹の栽培に適し果樹王国として知られております。和歌山県の農業産出額の7割が果実で占めており、全国でもトップクラスの生産地域です。
 カメムシ被害による果実の変形や落果、収穫量の減少など、深刻な影響が危惧されます。
 果樹カメムシ類の対策として、農薬の散布を主とした防除対策が取られていますが、カメムシ大量発生の状況把握やその対策、また、被害に遭った農家の方々の経営の安定について、県としてのお考えを農林水産部長にお伺いいたします。
○議長(鈴木太雄君) 農林水産部長立石 修君。
  〔立石 修君、登壇〕
○農林水産部長(立石 修君) 議員御発言のとおり、今年は全国的に果樹カメムシ類が大量発生し、30都府県で病害虫発生予察注意報が発令され、本県においても桃や梅などの果樹園で被害が発生していることは承知しております。
 カメムシ対策では、発生の増加傾向が確認された時点から速やかに薬剤散布を行うことが有効であるため、県では発生状況をモニタリングし、JAなどを通じて生産現場に情報発信を行っています。
 今年の状況を具体的に申し上げますと、3月末に技術情報として果樹カメムシ類の越冬量が平年の6倍程度と非常に多いということを注意喚起し、その後も予察灯での誘殺数が多かったため、4月と5月に注意報などを発表し、速やかに防除を行うよう指導を行ってまいりました。
 次に、農家の経営安定対策でございますが、カメムシ被害によって収穫量の減少や品質の低下があった場合には、被害農家の収入を補塡する国の収入保険制度や果樹共済の制度があるほか、経営を維持するための融資制度として、日本政策金融公庫のセーフティネット資金があります。
 県といたしましては、今年のカメムシの大量発生を今後の対策に生かせるよう、果樹関係の試験場が中心となり、被害の状況や特徴を分析するなど知見を集めまして、より精度の高い病害虫発生予察情報の発信や適期防除の推進により被害の軽減に取り組むとともに、収入保険などの加入促進を図り、農家の経営安定を図ってまいります。
○議長(鈴木太雄君) 岩井弘次君。
  〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 御答弁ありがとうございます。
 保険に入っておいてください、融資制度もありますのでというお話でございます。このことにつきましても、私の後、登壇されます坂本議員も同じ思いで、またいろんな諸先輩議員方もカメムシ被害について、桃や梅、様々な農産物の被害を受けて大変なんやという声は聞かれているというふうにお聞きしております。
 在来種であるから厳しいと。クビアカツヤカミキリですか、あれについては外来なんで、国も補助があり、いろんな薬剤への補助金もあったということもお聞きしております。カメムシは在来だからということで、なかなか厳しいんですよと。たまたま気候的な原因があって、今回は大量発生しているから、何とか収入保険やセーフティネットの融資制度があるんで、取りあえずここをしのいでおいてくださいという。県としてもいろんなそういう予測情報であるとか注意報であるとか、いろんな情報発信はしますということであるんではございますけど、やっぱり被害としては、外来種だろうが在来種だろうが、今回大変な思いを農家の方が被っている事実は、これも変わりないことなんで、何とかその辺も考えていただきながら、国へのそこら辺の拡充も要望していっていただけたらなという思いであります。
 現場からも県に対して、この件につきましての要望もいろいろと声が届いているかと思いますので、しっかりお受け取りいただいて、寄り添っていただけますように心よりお願い申し上げます。
 それでは、次の、最後の質問事項に移らせていただきます。
 災害ケースマネジメントについて伺います。
 今なお3000人近くの方が避難所に身を寄せている能登半島地震。復旧・復興への取組も進む中で、今後、生活再建から取り残される被災者が出ないよう、どう支援するかが課題となっています。国は、被災者一人一人に寄り添い、個別の状況に応じて支援する災害ケースマネジメントを実施する方針を示し、注目されています。
 災害ケースマネジメントとは、大阪公立大学大学院、菅野拓准教授によりますと、被災者一人一人が抱える課題はそれぞれ違う。その解決へ様々な制度を組み合わせたオーダーメード型の支援を行う仕組みで、災害時は住宅被害を受けた人には被災者生活再建支援制度、事業の再生には資金繰り支援などの施策があるが、複合的な困難を抱える人は、そうした支援だけではうまく生活再建につながらない。
 例えば、被災後にアルコール依存になってしまった方には医療的な支援が必要であり、住まいを失った高齢の方には、住まいの確保とともに介護ケアもしていかなければ日常を取り戻すことができないなどです。
 そこで、災害ケースマネジメントでは、被災者一人一人を丁寧に訪問するなどして、ニーズを聞き取り、カルテを作成、それを基に、特に自力での解決が難しい場合は、行政職員や保健師、弁護士、NPOなど官民の多職種チームがその被災者の個別支援計画をつくり支援を行う。基本的には、まず全ての被災者を目指して、何らかの形で状況を把握し、個々に支援の必要性を見極めていくこと。
 全体の6割から7割の世帯は、支援情報がきちんと提供されるだけで、自力で再建を進めていくことができるという印象があるとのことです。
 同准教授は、東日本大震災で仙台市が取り組んだのがスタートで、つらさを抱える被災者ほど実はSOSを出せなかったが、仮設住宅の被災者を1軒ずつ訪問し、聞き取り調査をする中でデータベースを構築、災害時だけでなく、平時の支援とも組み合わせながら、個々の被災者を支援していき、こうした取組が功を奏し、ほかの地域の仮設住宅が撤収まで8年ほどかかったのに対して、仙台市は約5年で全世帯の撤去ができたそうです。
 災害ケースマネジメントは、熊本地震や岩手県岩泉町の台風禍、西日本豪雨などでも取り組まれています。そして、一部自治体では、条例で同マネジメントを制度化しているところもあるとのことです。
 避難所生活の長期化に伴う課題に対して、被災者一人一人の状況に合わせた支援を行うことが重要です。避難所の環境改善や生活支援、さらには生活再建に向けた支援など、被災者の自立と生活の質の向上を目指す取組が求められます。災害ケースマネジメントと地域の防災力の向上が相互に関連しながら、被災地の復興につながっていくことが期待されます。
 内閣府は、地方公共団体や関係団体向けの説明会を開催し、災害ケースマネジメントの実施に向けた支援を行っています。また、災害ケースマネジメントの実施に関する手引書を作成し、地方公共団体の取組を支援しております。
 被災者一人一人の生活再建を支援することで、地域全体の防災力の向上にもつながります。被災者の自立と生活再建を支援することで、地域の復興にも寄与することができます。また、災害時の支援体制を平時から構築していくことで、迅速な対応が可能になります。被災者支援の観点からも積極的な取組を期待するものですが、災害ケースマネジメントに関してのお考えを福祉保健部長にお伺いいたします。
○議長(鈴木太雄君) 福祉保健部長。
  〔今西宏行君、登壇〕
○福祉保健部長(今西宏行君) 被災者一人一人の被災状況を把握し、関係者が連携してきめ細やかな支援を実施する災害ケースマネジメントは、重要な取組であると考えています。
 このため、昨年度、県の地域防災計画に災害ケースマネジメントを明記し、被災者支援の仕組みの構築に努めることといたしました。
 また、昨年11月には、この取組の第一人者である大阪公立大学大学院の菅野准教授や知見を有するNPO法人に協力をいただき、市町村や社会福祉協議会、NPO等を対象として研修会を実施したところです。
 今後も、市町村や支援関係機関と連携して、発災後、できるだけ速やかに被災者ニーズに合った生活再建支援に取り組めるよう、必要な体制を整えてまいります。
○議長(鈴木太雄君) 岩井弘次君。
  〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 御答弁ありがとうございました。
 以上で全ての項目、質問を終わります。
 この災害ケースマネジメントについて、私も防災士の資格を持っておりますけども、今から約10年前に取りました。これは、やっぱり定期的にしっかり研修を受けていかないと、いわゆる車で言うペーパードライバーになってしまっているんじゃないか、こういう反省も今あります。
 地域においても、私は楠見地区連合自治会というところに住んでおりますが、防災訓練、毎年秋に行われます。そのときも、形骸化した防災訓練じゃなくて、実情に即したという話をいつも役員の皆さんが話されております。
 この災害ケースマネジメント、一人一人に寄り添った防災計画、これも私、自分自身の地域にも当てはめながら、これからしっかりと生かしていけるような取組をしてまいりたいと思います。どうか県におきましてもお取組いただきますように、心よりお願い申し上げまして、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうました。(拍手)
○議長(鈴木太雄君) 以上で、岩井弘次君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 1番坂本佳隆君。
  〔坂本佳隆君、登壇〕(拍手)
○坂本佳隆君 皆さん、こんにちは。自由民主党県議団、坂本です。一般質問初日の最後の質問者として登壇の機会を与えていただきました先輩・同僚議員に、まず感謝を申し上げたいと存じます。
 また、昨日は、梅雨前線の影響で、県下各地でも大雨警報が発令をされまして、一次避難勧告が出された地域もございました。昨年の6月2日の大災害が頭をよぎりましたが、幸いなことに大きな被害も報告されてないというところで、胸をなで下ろしたところであります。
 また、先ほど岩井先輩も御質問をされました。私ども地元紀の川市では、桃の収穫の最盛期を迎えております。近年にないカメムシの大量発生というところで、被害も出ていると聞いております。今後も収穫、収量の減少などがないか、また引き続き注意深く見守っていただきたいと思いますし、また、秋には柿のシーズンにも入ってくるというところでありますので、このままカメムシの大量発生が続くようであれば、また新たな対策等もぜひお考えいただきたく存じます。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問を始めたいと思います。
 去る令和6年5月20日から24日まで、5日間の日程で、和歌山県議会南北アメリカ諸国友好議員連盟、谷洋一会長を筆頭に、所属する長坂隆司議員、中西徹議員、北山慎一議員、私の5名の議員と、岸本周平知事、和歌山県国際交流協会ほか県の職員、計14名がロサンゼルスを訪問してまいりましたので、その内容について御報告をさせていただきたいと思います。
 まず、5月20日、初日は関西国際空港から、アメリカ合衆国・ロサンゼルスへの移動となりました。関西国際空港から約10時間をかけロサンゼルス国際空港へ到着をいたしました。日本との時差はマイナス16時間です。ロサンゼルスへ到着したのが、現地時間お昼の12時頃で、日本時間では翌午前4時ということになります。
 到着後、在ロサンゼルス日本国総領事館の職員の方々に荷物のピックアップや入国審査の御支援をいただきました。在ロサンゼルス日本国総領事館の皆様には、出国の際も御支援をいただくことになります。本県とロサンゼルスの交流強化のための訪問を御支援くださる総領事館があることを大変心強く感じました。
 入国審査を終え、到着ロビーに到着をいたしました。「ようこそロサンゼルスへ Welcome to Los Angeles」と書かれたボードを持って御歓迎をいただきました。また、歓迎のプレゼントに県人会の皆様のお手製のクッキーやケーキ等を頂きました。そこから次の訪問先に向かう必要があるため、僅かな時間の交流になるにもかかわらず、お迎えに来ていただいた南加和歌山県人会の皆様の和歌山県に対するお気持ちに触れ、とても温かい気持ちになりました。
 私たちは、一旦県人会の皆様と別れ、一つ目の訪問先であるジャパン・ハウスロサンゼルスに向かいました。ジャパン・ハウスロサンゼルスは、エンターテインメントの中心であり、観光とハイカルチャーとが交差するまちハリウッドにある、外務省が世界3都市に設置する日本文化発信拠点の一つであり、幅広い層に向けて、日本の多様な魅力、政策や取組を伝え、親日派、知日派の輪を広げることを目的としております。
 ジャパン・ハウスでは、企画展「Yes,KAWAII is Art-EXPRESS YOURSELF-」や日本酒プロモーションイベント「酒&焼酎セミナー」の視察を行いました。当日、本県の酒造メーカーも出展されており、アメリカ現地での積極的な企業努力に感服をいたしました。
 また、その後、ジャパン・ハウスロサンゼルスでの和歌山県のアメリカでのプロモーションについて、海部優子館長と意見交換を行いました。海部優子館長によりますと、ロサンゼルスは、文化的受容性の高い多様性に富んだ都市であるとのことです。日系人が多く、取組に御協力いただける方も多いとのことで、今後の本県のプロモーションが成功する可能性を感じました。
 続いて、ハリウッドを離れ、在ロサンゼルス日本国総領事館を訪問し、曽根健孝総領事を表敬訪問いたしました。
 在ロサンゼルス日本国総領事館は、世界最大の約6万4000人の在留邦人のサポートを行う総領事館であります。総領事館では、ロサンゼルスでの和歌山県の観光、物産品振興への協力の依頼を行いました。曽根健孝総領事からは、これからもロサンゼルスと和歌山県の関係を強化したい、日本人の当たり前は海外から見たすごいものだったりするので、観光や食のプロモーションなどを行い、和歌山県の魅力をロサンゼルスでもどんどん発信していただきたいとのお言葉をいただきました。
 また、余談になりますが、現在の円安による海外生活での影響が出てきているとのお話の中から、大使館職員のお給料が、円建てから現在ドル建てに変更されたようであります。
 ちなみに、私が滞在しているホテルで、1リッターのミネラルウオーターを買ったところ、9ドル44セントでありました。御報告させていただきます。
 2日目、5月21日、2日目は、まず、エバーグリーン墓地を訪問し、初代南加和歌山県人会会長、湯浅銀之助頌徳碑への献花を行いました。湯浅銀之助翁は、私の地元であります紀の川市、旧粉河町でお生まれになって、南加在留日本人のリーダーでありました。明治23年にミカン輸出のために渡米をされ、明治24年サクラメントにて果樹園の農業に従事をされたということ。明治30年には、雑誌「新日本」を創刊し、明治44年、南加和歌山県人会を創立し、大正11年まで会長を務められ、大正15年に逝去されました。同郷の偉大なる先人の功績に思いをはせました。
 続きまして、ロサンゼルス市を離れ、サンペドロ市に向かいました。マリタイムミュージアムを訪問しました。マリタイムミュージアムは、ロサンゼルス港の歴史を伝える施設で、ロサンゼルス港の歴史の一つとして、和歌山県人を中心とする日本人漁師のコミュニティーがあったターミナルアイランドの常設展示を行っています。
 マリタイムミュージアムでは、太地人系クラブ会員から、本県からの移住者の当時の暮らしぶりについて説明を受け、先人の暮らしをありありと思い浮かべることができました。
 続いて、ターミナルアイランドを訪問し、移住された先人の御子孫であるターミナルアイランダーズのジュン・ミヤモト・ドノヴァン会長から、ターミナルアイランドでの先人の暮らしについて説明を受けました。
 ターミナルアイランドでは、1900年初頭より日本人漁師のコミュニティーが結成をされ、3000人程度の日本人が暮らしましたが、その大半は和歌山県出身者だったとのことです。男性は漁師として、女性は缶詰工場の労働者として働いておりましたが、第2次世界大戦により財産が没収され、収容所に入ることとなり、艱難辛苦の日々だったとのことをお聞かせいただきました。大変御苦労を乗り越えて今日を迎えられたターミナルアイランダーズの皆様を誇りに感じました。
 午後は、再びロサンゼルスに戻り、日米文化会館を訪問いたしました。日米文化会館は、本県出身の小阪博一氏がアートディレクターを務める日本人と日系アメリカ人の伝統の保存や紹介活動を行う施設です。昨年10月には、小阪氏との御縁から、和歌山市の事業者4者が日米文化会館の15か所の窓に障子とキャビネットを設置するなど、本県とのつながりは深くなっております。当日、小阪氏は、私たちと入れ替わりに日本へ来日しており、お会いすることはできませんでしたが、私たちの帰国後、5月28日に和歌山県庁に岸本知事を表敬訪問されたようであります。
 日米文化会館では、パトリシア・ワイアット館長、高野山真言宗米国別院の松元優樹主監らと、令和7年1月に本県事業者が訪問し実施する精進料理プロモーションへの協力や、今後の日米文化会館での県産品PRについて意見交換を行いました。現在、日米文化会館では、新潟県の燕三条金物が展示販売されておりましたが、大変売行きが好調だとのことで、今後、本県の県産品の展示販売につきましても、高いポテンシャルを感じたところであります。
 2日目の最後は、モントレーパーク市にあるルミナリアスレストランで、南加和歌山県人会主催の夕食会に出席をいたしました。夕食会では、南加和歌山県人会、フィッシャー敦子代表をはじめ、36人の県人会員の皆様の御歓迎を受け、和歌山県と遠く離れたロサンゼルスに居ながら、ふるさと和歌山を思う県人会の皆様のお気持ちに触れました。夕食会では、余興でロサンゼルスと和歌山の御当地クイズが行われ、各テーブルごとに回答を発表し合い、大いに盛り上がりました。夕食会の最後には、フィッシャー敦子代表から、和歌山県人会世界大会や、本県での若手県人会の受入れ事業などが県人会と本県の絆を強くしていると本県への感謝が語られました。県人会の皆様との交流を通して、南北アメリカ諸国友好議員連盟として、今後も南加和歌山県人会との友好を深めてまいりたいと決意を新たにいたしました。
 続きまして、3日目、5月22日、3日目の午前中はガーデナ市に向かい、県と県産品の海外への販路拡大を目的とした連携協定を締結している株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス、これはドン・キホーテグループの会社でありますが、この子会社であるマルカイコーポレーション本社を訪問し、豊浩一社長をはじめ担当の皆様方から、海外での日本の産品の市場トレンドについて説明を受けました。また、その後、和歌山フェアの会場の視察を行いました。梅や桃など本県の果物の加工品が売れ筋だとのことで、今後一層の県産品の販路拡大を期待しております。
 3日目の午後は、ロサンゼルスに戻り、全米日系人博物館を訪問し、和歌山県立近代美術館と全米日系人博物館の姉妹ミュージアム提携締結式に出席をいたしました。式典に先立ち、全米日系人博物館の職員の方から、館内展示の御案内、御説明をいただきました。全米日系人博物館は、日系人の歴史からの学びを通し、多様性に満ちた未来を実現するための能動的な政治参加の大切さを伝える積極的な博物館活動を実施されております。同じ移民の歴史を共有する和歌山県立近代美術館と全米日系人博物館が、今回の提携を機に、一層の具体的な連携を深めることに期待をしております。
 式典後は、今回の訪問の最終プログラムとなる和歌山県主催の夕食会が訪問団宿泊ホテルで開催をされました。夕食会には、今回の訪問において大変お世話になった南加和歌山県人会役員の皆様や、全米日系人博物館館長をはじめとしたスタッフの皆様の御参加をいただきました。和歌山県主催夕食会では、国際交流の向上、発展に功績があった南加和歌山県人会のフィッシャー敦子代表、坂地純子氏、竹下ジェイミー氏ら3名の県人会員様に、岸本周平和歌山県知事から功労者表彰状が贈呈をされました。
 夕食会を通し、県からの訪問団一同、南加和歌山県人会員との固い絆を確認いたしました。南加和歌山県人会の皆様、また、ターミナルアイランダーズの御案内や御説明をいただいたターミナルアイランダーズ、太地人系クラブの皆様と、2028年に開催される予定である第3回和歌山県人会世界大会で再会できることを楽しみにしております。
 4日目、5月23日、最終日の朝、今回の訪問の余韻と幾ばくかの名残惜しさを感じながら、ホテルを出発いたしました。
 ロサンゼルス国際空港に着くと、南加和歌山県人会員の皆様がお見送りにお越しくださっておりました。南加和歌山県人会の皆様も空港のあるロサンゼルス周辺でなく、様々な土地でお暮らしされていると伺いました。そんな中、遠方から空港までお見送りにお越しいただいた皆様を思うと、今も胸が熱くなります。
 これまで築き上げてきた和歌山県と南加和歌山県人会の関係をさらに強固にし、南加和歌山県人会はもとより、ロサンゼルスとの人的交流や学術交流をより活発化できるよう、和歌山県南北アメリカ諸国友好議員連盟といたしましても、最大限の努力をするようお誓いを申し上げます。
 最後になりましたが、このたびの訪問に際し、本県国際課、山下課長はじめ職員の皆様、和歌山県国際交流協会の皆様には大変お世話になりました。関わりいただいた全ての皆様に厚く御礼を申し上げ、令和6年5月20日から24日までのロサンゼルス訪問の御報告とさせていただきます。
 それでは、これより質問に入らせていただきます。
 私は、今回のロサンゼルス訪問の際、英語で会話できたらいいのにな、先ほどから、朝から濱口前議長の質問にもありました、これほどこういうことを思ったことはありませんでした。歓迎を受けました県人会の中でも、もう既に3世、4世の方もいらっしゃり、夕食会などの場面でもなかなかうまく思いを伝えることができないもどかしさを感じたのも否めませんでした。英語は読み書きではなく話せるようになりたい。いつもいつもの提唱であります。
 英語を習っているのに全く話せないというのはどういうわけなのか。私は、そもそも読み書きとしゃべりの隔たりが問題だと思っております。読み書きは頭脳の問題で、一人でも部屋で机に向かって勉強すれば何とかなるものと思います。一方、会話、しゃべりは体であると思います。体を使わないと覚えられない。周りの環境がとても大きいと思います。
 英語という共通点で、読み書きと会話という全く別の働きを必要とする分野を同じ教科にするのは恐ろしく無理があって、洋楽と世界史を、どうせ海外のものだからといって一緒の教科書にしているものと同じです。
 英会話には、本来、体育、音楽、美術と同じカテゴリーに分類されなければならないのかもしれません。その体と頭脳の距離感が測れていないというところに、英語教育の改革の難しさがあると思います。
 グローバル化という言葉が使われ始めて久しいですが、英語の重要度は高まり続けているのは周知のとおりであります。今まではほとんどビジネスに限られていた英語は、今現在では、インバウンド観光客をはじめ、外国人技能実習生の受入れなど、海外との人・物・情報のやり取りが日常的になり、共通の言語である英語は非常に大きな存在になっています。
 日本有数の観光地を有し、慢性的な人手不足に悩むこの和歌山においても、これほど日常的な英語の活用が求められる時代はありません。そんな中、日本の英語教育の現状はといいますと、何十年も大きな変化はなく、戦後から続く日本式教育を続け、変化の速い現代社会に英語が必要不可欠と承知をしながらも、なかなか英語教育の現状は不動のものだったと言えるのではないでしょうか。
 こんな現状を踏まえ、文部科学省は、2020年、戦後最大の大幅な教育改革に着手をし、学習指導要領が約10年ぶりに大幅改訂をされました。急速に進むグローバル化社会において、将来的に活躍できる存在を育てるというのがこの改革の大きな目的であるため、英語教育こそが改革の目玉で、指導要領の至るところにコミュニケーションという言葉が見られ、従来の読み書きに加え、聞く、話すに力を入れようという意気込みがうかがえます。
 指導要領の改訂により、2020年より小学校の3年生、4年生では外国語活動としてまず英語に触れる体験を、5年生、6年生からは教科として学習を始め、これまでの読み書き中心の学習から聞き取りや会話などによる音声コミュニケーションを中心とした授業になっていると伺っております。そして、中学校は2021年に全面実施、高校は2022年から年次進行で実施となっています。
 とはいえ、同じアジアの中国や韓国と日本の英語教育を比べてみますと、韓国では1997年から、中国では2001年から小学校での英語教育が教科化されていることから、日本では20年遅れでスタートしたと言えるでしょう。
 これまでの日本の英語教育を振り返りますと、私たち日本人は、中学、高校の6年間、大学進学した人は10年もの間、英語の勉強をしてきましたが、英語を話すことに自信が持てない大人は多いと思います。私もその一人であります。だからこそ、我が子には英語が話せるようになってほしいと願う親も多く、子供に習わせたい習い事ランキングの中でも英語の早期教育に対しての関心も高まっております。
 ロサンゼルス訪問の際にこんなエピソードがございました。今回の訪米のメインイベントでありました和歌山県の近代美術館と全米日系人博物館の姉妹提携の締結式の式典でのことであります。岸本周平知事の挨拶の中で、担当課が用意をしておりました英語のスピーチ原稿が紛失するという、こういう事態がありまして、私、大きなお世話だったんですが、変な汗をかきまして、そういうアクシデントがありました。しかし、知事は、「Lost my paper」とおっしゃって会場を沸かせた後、英語で御自分でスピーチをされ、この式典の挨拶を完遂されました。私は、尊敬と羨望のまなざしで、知事のスピーチを拝見させていただきました。
 和歌山で生まれ育つ子供は、高校を卒業する頃には英語で日常会話ができる、こんなスキルを身につけさせて社会へ送り出す。日本語だけではなく、ほかの言語でもコミュニケーションが取れることは、きっと大きなメリットとなると私は思います。そしてまた、確信をいたしました。
 本県の公立学校での英語教育における児童生徒の英語によるコミュニケーション能力の育成についてどのように考えるか、知事のお考えをお尋ねしたいと思います。知事に答弁を求めます。
○議長(鈴木太雄君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 知事岸本周平君。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 坂本議員の御質問にお答えをしたいと存じます。
 まず、その前に、本当にこの間のアメリカ出張におきましては、南北アメリカ諸国友好議員連盟の谷洋一会長はじめ、ただいま御質問いただいた坂本先生、長坂先生、中西先生、北山先生と御一緒させいただきました。日程が全く御一緒させていただきまして、ある意味、議員外交ということをしていただきましたので、大変心強く、その間、過ごさせていただきましたので、谷洋一会長、代表してお礼を受けていただければと思います。ありがとうございました。
 それで、今、過分なお言葉があったんですけれども、私も実は、アメリカに初めて行きましたというか、生活したのが38歳のときでありまして、行ったら、もちろん私も日本の英語教育の犠牲者でありまして、38歳で行ったとき全く英語がしゃべれませんでした。その前に相手が何を言っているのか聞き取れないんです。そうですよ。何を言っているか聞き取れないので、しゃべれるはずがない。大変つらい思いをしたわけでありますので、今、坂本議員がおっしゃった英語教育の御指摘は全く同感であります。
 その上でお答え申し上げたいんですが、グローバル化が急速に進展する中で、英語でコミュニケーションができるようになるということが大変大事でありますので、学校の教育におきましても、英語によるコミュニケーションの能力を育成する必要があると考えております。
 授業の中では、生徒さんは、例えばネーティブスピーカーの標準的な発言を聞くということや、実際に会話を楽しむというような形で授業を行っていると聞いております。
 これ、失礼ですけど、日本人の先生の発音を聞いたら大変なことになると思いますので、できるだけネーティブの方の発音を聞いて、特に若い方は聞いていただければと思います。
 近年では機械も使えますので、端末で簡単にネーティブスピーカーの発音は聞けますし、あるいはオンラインで英会話すらできるという時代ですので、そういうこと。それから、これ、実はこの前、県のアドバイザーをやっていただいている楽天の三木谷さんからも御指摘いただいたんですけど、AIのアプリを使った英会話のソフトがあるらしいんです。これは物すごく有効らしいので、これはまたぜひ教育委員会のほうでも使っていただければと思っております。
 そういうことで、特にこれからインバウンド、海外のお客様をおもてなししてビジネスにしていかなければいけない和歌山県にとりましては、まず、児童生徒の英語のコミュニケーション能力を育成するということに力を入れていきたいと思っております。
 ただ、これもお釈迦様に説法ですけれども、私自身はあんまり小学生のときに英語をやるのはいかがなものかという思いもありまして。というのは、英語のコミュニケーション能力も大事ですけど、もっと大事なのは日本語のコミュニケーション能力なので、日本語のコミュニケーション能力が中途半端なまま英語をやるのはどうかなと思っているんで、私は、少なくとも小学校6年ぐらいまではきっちりと日本語を覚えて、日本語でコミュニケーションする教育をしっかりとしていただいたほうがいいのではないか。中学ぐらいからネーティブの方の発音を聞いてしゃべれるようになるのがいいのではないかと個人的には思っていますが、その辺また教育委員会の皆さんともお話をさせていただきたいと思いますが、いずれにしましても、坂本議員の御提案には賛成でありますので、しっかりと教育委員会と二人三脚でやっていきたいと思います。どうもありがとうございました。
○議長(鈴木太雄君) 坂本佳隆君。
  〔坂本佳隆君、登壇〕
○坂本佳隆君 御答弁ありがとうございます。
 知事がおっしゃった小学校低学年ではちょっとなかなかというお話でしたが、外国人活動も触れ合うというところの意味では、慣れるといいますか、大事かと思いますので、また、完璧な文法を使った英会話でなくてもいいと思いますので、先ほど申しましたしゃべりは体というところで、自転車に乗れる、そんな感覚で英語に触れていけるような環境をつくっていただければなと思います。
 また、県では、県人会の世界大会とか、この間、知事も記者発表されておりました日米草の根交流サミット、こういう国際交流の場にも教育委員会とまた連携しながら、子供たちも参加したり交流する場面をまたぜひとも御検討いただけたらと思います。
 それでは、次の質問に移ります。
 GIGAスクール構想についてであります。
 1人1台端末と高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備することで、特別な支援を必要とする子供を含め、多様な子供たちを誰一人取り残すことなく、公正に個別最適化され、資質、能力を一層確実に育成できる教育環境を実現するとともに、これまでの私たちの国の教育実践と最先端のベストミックスを図ることにより、教師、児童生徒の力を最大限に引き出す、こういうGIGAスクール構想が2019年に公表をされました。全国の小中学校で新しい学びが本格的にスタートをしました。
 当初は、2023年までに端末の整備を完了するようという、段階的に実施をしていく計画であったようですが、コロナ禍で学びを止めないというオンライン需要の急増が後押しとなって、各地域、学校では計画を前倒しして整備が進められ、2022年度にはほぼ全ての義務教育段階における整備が完了しているということであります。
 早い地域ではもう既に5年目、多くは4年目に入っております。先進校では、GIGA端末を学習の道具として毎日使って授業を改善し着実に進めています。GIGAスクール構想によってどんどん授業が変わってきている学校もあれば、ようやくこの環境に慣れてきた学校もあるでしょう。また、そんな中、国では現在のGIGAスクール構想の次のステージ、いわゆるセカンドGIGAに向けて動き始めています。
 次のステージに向かう上で気になりますのが、端末の更新費用等の自治体の財政負担であります。
 この問題に関しましては、我が自由民主党と公明党の政務調査会全体会議等を通じて検討した結果、2023年6月に閣議決定をされた経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる2023年骨太の方針に、GIGAスクール構想について、次のフェーズに向けて周辺環境整備を含め、ICTの利活用を日常化させ、国策として推進するGIGAスクールの1人1台端末は、公教育の必須のツールとして更新を着実に進めると明記をされました。
 義務教育段階での1人1台端末の更新に係る予算措置が継続するということとなりました。数年後の学習指導要領の改訂では、GIGA端末は公教育上の必須のツールとなるでしょう。今後も、国策としてGIGAスクール構想を進めるために、私も予算の確保に注力をしたいと考えています。
 では、GIGAスクール構想の次のステージ、いわゆるセカンドGIGAはどのような視点で進んでいくのか。
 セカンドGIGAの前に、教育委員会や行政は、まず、これまでのGIGAスクール構想の検証を行わなければならないと思います。
 昨年の9月定例会で同僚の三栖議員が課題点を御質問され、通信環境の改善と教員のICT活用指導力の向上を最重要課題と考えているとの答弁を受けたところでありますが、特に活用に関しては、私も教員や学校、市町村によって格差があったと認識をしております。
 私も現在、小学5年生の子供がおります。コロナ禍の真っただ中でありましたが、東京の公立小学校へ入学をし、休校時にはリモート授業やチャットを使ったホームルーム、家でゲーム感覚でタイピングの練習をするなど、GIGAスクール構想による1人1台端末が緊急事態宣言下の学校生活をカバーしていたように思いました。2年前に、私の都合で和歌山へ戻り、紀の川市の小学校へ転校をしてきましたが、こちらでは、当時はリモート授業はもちろん、持ち帰りもありませんでした。
 GIGA端末は、コロナ禍のような非常時のためだけに整備されたのではありません。子供が毎日の学習で使うために整備されたことで、情報活用能力を高めていくことが必要であります。デジタル化、ICT化は都会だから進んでいるとか、地方だから遅れているの話では決してないとは思います。通信環境さえ整っていれば、全国どこで暮らしていても同じ教育機会が得られると思います。和歌山県のような地方にいるからこそ、ICT活用は重要なのだと思います。
 そこで、GIGAスクール構想の今後さらなる推進を図る上で、市町村や学校における格差のある教員のICT活用指導能力向上の対策をどのように進めていくのか、教育長のお考えをお尋ねいたします。
○議長(鈴木太雄君) 教育長宮﨑 泉君。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 教員のICT活用指導力の向上についてお答えいたします。
 国が目指す主体的、対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を図る上で、教員のICT活用指導力の向上は大変重要であると認識しております。
 県では、管理職や情報化推進教員を対象とした研修を実施するとともに、学校におけるICT活用時の疑問や不安を解消するための支援員配置を促進しているところです。
 また、国が指定した学校において、端末の利活用による日常授業の改善や家庭学習の充実を実践し、成果のあった取組の普及を図るリーディングDXスクール事業を活用するとともに、県と県内市町村で構成する和歌山県市町村教育情報化推進協議会においても、先例事例の情報共有に努め、教員の指導力向上を図ってまいります。
○議長(鈴木太雄君) 坂本佳隆君。
  〔坂本佳隆君、登壇〕
○坂本佳隆君 御答弁ありがとうございました。
 続いて、セカンドGIGAについて、もう一点だけ確認したいことがございます。
 1人1台端末の更新についてであります。
 先ほど義務教育段階での1人1台端末の更新に係る予算措置が継続することとなったと申し上げましたが、今回の端末の更新に係る国の補助金を受けるためには、自治体における共同調達が補助要件の一つとなっております。現行の端末の仕様が各自治体間で異なっており、共同調達のための仕様をまとめることが大変難しいと考えております。今後、どのように調整を進めていこうとしているのか、教育長のお考えをお尋ねいたします。
○議長(鈴木太雄君) 教育長。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 1人1台端末の更新についてでありますが、1人1台端末の更新費用に係る補助については、都道府県に造成された基金から支出するよう、国が定めた基金管理運営要領において規定されています。
 議員御指摘のとおり、県及び市町村で構成する共同調達会議が取りまとめる共同調達により更新を行うことが補助要件の一つとされています。
 この共同調達は、市町村の事務負担の軽減やスケールメリットによるコストの低減などを目的として実施するものであり、県及び県内全市町村は、6月3日に和歌山県市町村教育情報化推進協議会の総会を開催し、共同調達に向けた協議を開始したところであります。
 協議を進めていく中で、構成団体から様々な意見が出ることが想定されますが、協議会に設置する作業部会において、必要に応じて国や有識者の助言を得ることにより、構成団体相互の十分な理解が得られるように協議を進めてまいりたいと考えています。
○議長(鈴木太雄君) 坂本佳隆君。
  〔坂本佳隆君、登壇〕
○坂本佳隆君 御答弁ありがとうございました。
 文部科学省の2023年4月の調査では、和歌山県はほぼ毎日使う小学校の割合が全国的にも下位グループに位置をしておりました。政府もデジタル行財政改革会議が中心となって改善策等を検討しているようでありますけども、デジタル教育の環境整備が市町村任せだったことが一因だと指摘もされており、より規模が大きくなる都道府県単位でまとまって調達や教育現場での活用方法を判断できる体制を整えていただきたく、県教育委員会が積極的に関わっていただいて、リーダーシップを持って改善を目指していただきたく思っております。
 先ほどの英会話の話も同じですが、世の中はどんどん変化をし、教える側の教職員の先生方の御苦労もお察しをいたしますが、将来、この和歌山を担う子供たちが時代のニーズに対応できるスキルを身につけ、社会に羽ばたいていってほしい、そう強く願って私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(鈴木太雄君) 以上で、坂本佳隆君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開きます。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時27分散会

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