令和6年2月和歌山県議会福祉環境委員会会議記録(3月14日開催分)


令和6年2月和歌山県議会福祉環境委員会会議記録(3月14日開催分)

 

1 日時   令和6年3月14日(木)午前9時58分~午後1時46分

2 場所   第2委員会室

3 出席者  委員長   奥村規子

      副委員長  鈴木德久

      委員    森 礼子、中本浩精、堀 龍雄、尾﨑太郎、中尾友紀

      欠席委員  なし

      委員外議員 なし 

4 概要

   午後9時58分開会

    ●奥村委員長

     ◎開会宣告 挨拶

     ◎報告事項 委員の欠席なし

     ◎傍聴協議 なし

     ◎撮影許可 4件

     ◎議事   議案15件調査議案4件

           継続審査を要する所管事務調査(3月31日まで)6件

           継続審査を要する所管事務調査(4月1日から)7件

     ◎審査順序宣告 福祉保健部、環境生活部の順に審査

     ◎福祉保健部審査宣告

     ◎議案等に対する説明要請

    ●今西福祉保健部長、末松福祉保健総務課長、戎脇子ども未来課長、遠藤長寿社会課長、尾藤介護サービス指導室長、

     新解障害福祉課長、石田医務課長、宗野健康推進課長、前坂国民健康保険課長及び藤岡参事薬務課長事務取扱説明

    ●奥村委員長

     ◎議案に対する質疑及び一般質問宣告

 

  Q 中尾委員

   子宮頸がんワクチンのキャッチアップ接種の対象者はどうなっているか。

  A 宗野健康推進課長

   キャッチアップ接種の対象者は、平成9年度から平成18年度生まれまでの、10学年となっている。

  Q 中尾委員

   対象者は何名くらいか。

  A 宗野健康推進課長

   令和4年度の対象者は3万4623名である。

  Q 中尾委員

   今、普及活動をやっていると思うが、どのような状況か。

  A 宗野健康推進課長

   キャッチアップ接種については、県のホームページにおいて周知するとともに、県民の友3月号への掲載や県政ラジオ番組で情

  報発信している。

   今後、県民の友5月号への掲載や、SNS等を活用したキャッチアップ接種の啓発も実施する予定である。

   このほか、学校の養護教員を対象とした研修や、県内大学の学生を対象とした講義も実施している。

   また、例年実施している和歌山県予防接種広域化推進全体会議を2月に開催し、県医師会、郡市医師会、病院関係者に周知する

  とともに、市町村担当者に対して、キャッチアップ接種の対象者への接種に関する案内等の発送を働きかけた。

  Q 中尾委員

   キャッチアップ接種を無料で受けられる期間が、令和7年3月までとなっている。

   来年の3月に終了ということは、今年の9月に1回目の接種をしないと間に合わない状況なので、そのあたりの周知を徹底して

  もらいたい。

  A 宗野健康推進課長

   残すところ1年で、3回接種が必要となるので、引き続き周知していく。

 

  Q 中本委員

   児童虐待等対応機能強化について、アドボケイト事業に要する経費という説明があったが、これはどのような事業で、今後、ど

  のように進めていくのか。

  A 戎脇子ども未来課長

   アドボケイトとは、日本語で意見表明支援員という言葉になっている。

   親からの児童虐待などによって、児童相談所に一時保護された子供は、不安定な状況にあることで様々な悩みや不安を抱えるこ

  とが多いと聞いている。

   本県では全国に先駆けて令和3年度から、弁護士や社会福祉士などのアドボケイト(意見表明支援員)を派遣し、子供の悩みや

  不安を聞いて、児童相談所など関係機関へ伝える事業を実施している。

   令和6年度からはこの事業の拡充を考えている。一つ目は、対象を一時保護児童のみから施設入所児童にも拡大することである。

  二つ目は、子供が希望する場合には、審議会へ意見を届け、場合によっては施策に反映する仕組みを新たにつくる予定である。こ

  れらにかかる費用を盛り込んだ予算をお願いしているところである。

  要望 中本委員

   よく分かった。こどもまんなか社会ということで、よい事業だと思う。

   令和3年度から既に実施しているということで、大体の流れなどもよく分かっているかと思うので、令和6年度はより一層、子

  供の声をよく聞いて、施策に反映するよう、よろしくお願いしたい。

 

  Q 堀委員

   先ほど、部長の説明の中で妊産婦の出産等に要する交通費や宿泊費を助成するということで、どこにいても安心できる環境をつ

  くっていくということを聞いた。

   そこで、「妊産婦アクセス支援」について、内容を教えてほしい。

  A 石田医務課長

   遠方の分娩医療機関に行かざるを得ず、精神的不安や経済的負担を抱える妊産婦に対して、妊婦健診や出産等に必要となる交通

  費や宿泊費を市町村と一緒に支援するという内容である。

   具体的に、交通費の対象となるのは、最寄りの分娩医療機関まで20キロメートル以上の妊産婦、宿泊費の対象となるのは、最寄

  りの分娩医療機関までおおむね60キロメートル以上の妊産婦となっている。

  Q 堀委員

   交通費や宿泊費を助成する市町村を支援するとのことだが、手を挙げている市町村はどれくらいあるのか。

  A 石田医務課長

   12月の時点で各市町村の事業実施の意向調査をしたところ、26市町村が実施する意向と聞いている。

  Q 堀委員

   30市町村のうち26市町村ということは、4市町村が手を挙げていないから、そこには支援できないということになってくる。

  給食費の場合であれば、施設を造らなければならないので、各個人に支援するのは難しいというのは分かる。しかし、この事業の

  場合は、手を挙げていない市町村でも、個人の交通費がどれだけかかったのかということで支払うことはできないのか。

  A 石田医務課長

   4市町村が実施意向ではないということであるが、先ほど説明したとおり、距離等の要件があるので、そもそも最寄りの医療機

  関まで20キロメートル以上という要件に該当しない市町村も出てくる可能性がある。

   もう一つは、今回は出産だけではなく、妊婦健診にかかる費用も対象となっており、妊婦健診は、市町村が中心となってやって

  いくものであると認識しているので、市町村が主体となってもらいたいと思っている。

   また、対象となる市町村で事業実施意向のないところについては、引き続き、事業を実施してもらうよう働きかけていきたいと

  思っている。

  要望 堀委員

   支援をしない市町村については、支援するように推進していくということを聞いたので、よろしくお願いしたい。

 

  Q 堀委員

   県の被爆者対策の具体的な取組と、県内における被爆者健康手帳を交付されている人数を教えてほしい。

  A 宗野健康推進課長

   被爆者対策では、原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律に基づき、国からの財源を受け入れ、被爆者健康手帳などの交付や

  定期健康診断などの各種健康診断の実施、健康管理手当等の認定や支給などを行っている。

   また、被爆者健康手帳を交付されている方は、令和6年2月末時点で131名である。

  Q 堀委員

   受け入れた国の財源について、説明してほしい。

  A 宗野健康推進課長

   国からは、事業の性質に応じて、国庫負担金、国庫補助金、国庫委託金という形で交付されている。

   具体的には、被爆者を対象とした健康診断や放射能による健康被害が生じている方に対する手当等は国庫負担金、介護保険サー

  ビスを受ける場合は、県費と合わせて国庫補助金が充当されている。

   また、二世被爆者に対する健康診断調査事業には、国庫委託金を充当している。

 

  Q 堀委員

   スポーツ課が教育委員会から知事部局に移管されるが、健康増進について、今後、どのように取り組んでいくのか。

  A 宗野健康推進課長

   当課では健康長寿日本一わかやまを目指している。健康寿命の延伸のためには生活習慣病や要介護状態になることを予防する必

  要があり、その対策の一つとして、運動やスポーツの実施が望まれると考えている。

   これまでは、運動習慣の周知啓発といった個人へのアプローチ等に取り組んできたが、今後は、身体活動を実施しやすい環境づ

  くりや地域づくりのアプローチも必要と考えている。

   今回、健康増進とスポーツ振興の推進による相乗効果を期待し、スポーツ課が教育委員会から移管されるわけだが、当課の任務

  である県民の健康保持・増進を図るためにも、スポーツを通じた健康意識への働きかけが重要になると考え、しっかり連携して取

  り組んでいきたい。

 

  Q 堀委員

   認知症対策総合推進について、軽度認知障害の高齢者に対する居場所づくりを行う事業所への立ち上げ支援とあるが、内容を説

  明してほしい。

  A 遠藤長寿社会課長

   居場所づくりを行う事業者への立ち上げ支援は、認知症予防として実施している事業である。

   認知症予防として、社会参加による社会的孤立の解消や役割の保持等が有効であると示唆されており、そのため、園芸などの心

  身機能の維持や生活の質の向上に資するプログラムを提供する介護事業所等に対して、その立ち上げに要する経費を支援するもの

  である。

  Q 堀委員

   園芸で心のゆとりをつくろうと思えば、事業所の仕事が増えてくると思うが、立ち上げに要する経費だけでなく、継続に要する

  経費も支援するのか。

  A 遠藤長寿社会課長

   立ち上げに要する経費は、県でこのような予算を確保して支援するが、認知症に関する施策については、市町村が介護保険制度

  の地域支援事業で実施することになっており、県も財政的に支援している。

   継続に要する経費は、市町村と連携し、可能な限り地域支援事業として実施するよう依頼している。

  要望 堀委員

   居場所を継続するのが難しくなってくるのではないかと思う。

   居場所をつくるだけでなく、継続できるように努めてもらいたい。

 

  Q 堀委員

   こども若者シェルターということで、先日の新聞に載っていたのだが、和歌山県で取り入れていく予定はあるのか。

  A 戎脇子ども未来課長

   こども若者シェルター・相談支援事業については、こども家庭庁が令和6年度からの新規補助事業として創設するものである。

   児童相談所の一時保護や施設入所を望まない子供、年齢が高いため児童相談所の援助の対象とならない若者を対象に、宿泊もで

  きる安全な居場所としてシェルターを整備しようとするものである。

   東京や大阪の繁華街などで、家に居場所がない若者が深夜未明に集まり、事件や事故に巻き込まれる事例が増えていることが背

  景にあると国から聞いている。

   県では来年度、当事者である子供・若者を含め、様々な意見を聞きながら、こども計画を策定する予定としている。その策定過

  程において、このように新たな子供の居場所を含め、本県において必要なこども・若者支援施策を検討していきたいと考えている。

  要望 堀委員

   児童相談所や一時保護所となると、対象年齢は18歳までになるかと思う。それ以上の年齢の人で、家に帰るのが嫌な場合や帰り

  にくい場合に、ここで少し休みたいという居場所になっていくと思う。

   和歌山県に一つくらいは、あそこに行けばゆっくりできる、相談に乗ってくれる人もいる、というような施設を造ってもらいたい。

  犯罪や暴力、虐待されないような、子供を中心とした社会づくりをしていくというのであれば、もっと深く考えて、今後も進めて

  もらいたい。

 

  Q 鈴木副委員長

   最近の新聞報道であったが、国民健康保険の統一について内容を教えてほしい。

  A 前坂国民健康保険課長

   市町村国保の保険料(税)水準の統一について説明する。

   保険料の決定については、様々な項目から算定、決定されているが、「費用」としての医療費を賄うための財源として、国、県、

  市町村が負担する公費と、現役世代からの交付金等があり、これらを除いた残りの部分が保険料となる。

   現在の各市町村国保の保険料は、医療費の差、財源の差、所得水準の差などにより保険料率が異なっている。

   令和5年度の市町村国保の1人当たり保険料は、県平均で約9万3000円、一番高いみなべ町が約12万5000円、一番低い北山村

  が約7万円で、約1.8倍の格差がある。

   冒頭申し上げた「費用」としての医療費について、令和4年度の市町村国保の1人当たり医療費は、県平均約41万円、一番高い

  北山村が約57万円、一番低いみなべ町が約30万円で、約1.9倍の格差がある。

   このような格差がある保険料率を、県内どの市町村でも、同じ世帯構成、同じ所得水準であれば同じ保険料水準にすることが、

  「完全統一」であり、令和12年度からの「完全統一」を目指して、取組を進めているところだが、最終的には県が決定した保険料

  率について、各市町村において条例、規則等の改正手続きを取ってもらうことになる。

   併せて、県全体の医療費について説明する。

   令和4年度の県全体の概算医療費は約3700億円で、内訳としては、75歳以上の後期高齢者医療制度が約1600億円、国民健康保

  険が約900億円、中小企業を中心とした協会けんぽが約500億円、その他健康保険組合や共済組合で約500億円となっているが、

  高齢者を中心とした後期高齢者医療制度と、国民健康保険で全体の約7割を占めている。

   これまで医療費は、高齢化や医療の高度化等により、コロナ禍での例外はあるが、毎年増加し続けている。今後も75歳以上人口

  の増加をはじめ、高齢化が続くことから、医療費の増加が見込まれている。

   現在策定中の第四期和歌山県医療費適正化計画における医療費推計では、令和11年度には約500億円増加し、約4200億円に達す

  るものとなっている。

   県では、市町村国保の保険料水準の統一を図るだけではなく、保険料の引下げも重要と考えており、そのためにも、県民の健康

  の保持増進等を図ることにより、医療費が過度に増大しないように、全ての世代の「健康づくり」や、「生活習慣病の予防の推進」

  などに取り組んでいく。

  意見 鈴木副委員長

   大変よく分かった。

 

  要望 尾﨑委員

   先ほどの、アドボケイト事業の関係で言う。

   日本語は、外来語も許容する能力がある言語なのだが、それは程度の問題であり、程度を勘案しつつ物事をこなすというのが、

  コンピューターではない人間の頭のよいところであると思う。

   既に世の中に出回っている言葉で、人口に膾炙しているような言葉であれば使えばよいと思う。例えば、ハザードマップなどは

  もう大体、分かってきている言葉であると思う。

   しかし、一般的にまだ流通していない言葉を、県民に向けて発する文章などにそのまま出すとなると、あまり丁寧とは言い難い

  ような気がする。「これは何か」と言われない言葉ならばよいのではないかと私は思うが、そのあたりは少し丁寧にしてもらいたい。

   時代が追いついて、その言葉が常識として流通するようになれば、例えばバリアフリーなどという言葉などは、英語として正し

  いのかどうかも分からないところもあるが、よく言われているので意味は理解できると思う。そのようになるまで、うまくつなぐ

  言葉を用いながら説明してもらいたいと思うので、要望しておく。

 

  Q 奥村委員長

   先ほどの国民健康保険に関連して、予算書では特別会計で、保険者努力支援制度交付金(取組評価分)が昨年から比べたら、

  2億円増えている。

   この2億円の中身、取組の特徴を教えてほしい。

  A 前坂国民健康保険課長

   国保の取組評価分について、来年度は約6億6000万円を想定している。これは、1人当たり金額で全国6位ということで、今回

  高得点を取れた。

   これについては、例えば、先ほど説明した保険料水準の統一に向けての取組、特定健診をはじめとする健康づくり対策、第三者

  求償等の取組に対して、国において評価をしてもらえた。

  要望 奥村委員長

   そういう取組の努力があったということだと思う。

   特に保険料について、保険料の低いところにあわせて統一するということになればよいが、なかなか難しい状況ということは常々

  聞いている。

   医療費がどれだけかかるかということは結果なので、できるだけ健康で長く過ごせるという状況になることが大事である。先ほ

  ども宗野健康推進課長から説明があったが、各課が連携して、健康推進を図ることが非常に大事だと常々思っている。

   例えば、バス路線が減少しているという話をよく聞くが、外出の機会が減少すると、健康が低下していくということもあるので、

  まちづくりも併せて健康維持を考えることが必要ではないか。全庁的に各課が連携して取り組んでいくことで医療費も抑えること

  ができると思うのでよろしくお願いする。連携してしっかりと総合的な取組をしてもらいたい。

 

  Q 奥村委員長

   もう一つは、保険料が年々上がっていく厳しい状況の中で、基金や剰余金を使って低所得の方や子供の保険料に減免制度を実施

  している自治体があるかと思うが、県が保険料を統一して   いく中では、それぞれの市町村の現状の制度は尊重されるという

  ことでよいか。

  A 前坂国民健康保険課長

   現在、市町村が実施している、国の基準を超えた部分の質問かと思うが、医療保険制度については、基本的には国の制度に準拠、

  国の仕組みの中で実施するというのがまず基本であると思う。

   今後、和歌山県で保険料水準を統一し、国保制度を統一していく中での議論になるかとは思うが、国制度の範疇でというところ

  が原則になると考えている。

  要望 奥村委員長

   先日、就学後の子供の医療費だけ、国費の減額措置が廃止された。そのようなことも皆の声があって前進したと思う。そういう

  意味では、実情をしっかりつかんでもらって、子供、障害者、一人親家庭などの医療費助成は、都道府県と市町村との共同事業な

  ので、国費減額分については、市町村のみに負担させるのではなく、都道府県も負担するよう、さらに広げていってもらいたい。

 

  Q 奥村委員長

   コロナの公費負担が4月以降全廃されるが、感染症の拡大を防止するという点でも、公費で負担し、受診抑制にならないように

  してもらいたい。

   日本感染症学会、化学療法学会、呼吸器学会からも、今年の2月8日付で、新型コロナウイルス感染症治療薬の公費支援の継続

  に関する要望書が、厚生労働大臣に届けられていると思う。公費負担の全廃が感染症の拡大につながらないか心配だが、県として

  どのように考えているのか。

  A 宗野健康推進課長

   公費負担については、昨年の5月に2類相当から5類に移行して以降、急激に負担が生じることのないように、段階的な見直し

  がされてきたところである。

   そのような中、一般的な疾病となっていることから、他の疾病との均衡もあり、本年4月以降は、他の疾病と同じように、医療

  保険の自己負担割合に応じた負担となることを、理解してもらいたいと考えている。

  要望 奥村委員長

   医療現場やクラスターが発生しやすい高齢者施設等での感染症の拡大を防止していくことは大切である。

   公費負担については、継続するようにという団体の意向も含めて、今後、和歌山県からも国に対して、要望を出してもらいたい

  と考えている。

  

    ●奥村委員長

     ◎議案に対する質疑及び一般質問終了宣告

     ◎議案に対する採決宣告

     ◎議案第51号から議案第60号まで、議案台91号及び議案第94号については、全会一致で原案可決

     ◎調査議案に対する意見聴取 なし

     ◎調査報告に対する採決宣告

      調査議案については、「適当である」旨、報告することに決定

     ◎福祉保健部審査終了宣告

     ◎休憩宣告

   午前11時27分休憩

 

   午前11時30分再開

    ●奥村委員長

     ◎再開宣告

     ◎環境生活部審査宣告

     ◎議案等に対する説明要請

    ●山本環境生活部長、寺村環境生活総務課長、松尾自然環境室長、橋爪ジオパーク室長兼県立南紀熊野ジオパークセンター長、

     森循環型社会推進課長、秋月廃棄物指導室長、石井環境管理課長、加藤県民生活課長、垣内県民活動団体室長、大久保青少

     年・男女共同参画課長及び安宅食品・生活衛生課長説明     

    ●奥村委員長

     ◎休憩宣告

   午前11時55分休憩

 

   午前0時59分再開

    ●奥村委員長

     ◎議案に対する質疑及び一般質問宣告

    

  Q 堀委員

   脱炭素化の推進について、太陽光発電設備を県所有の施設に設置することについて説明してほしい。

  A 寺村環境生活総務課長

   県有施設への太陽光発電設備の導入については、今年度150施設について、導入可能性調査を実施した。

   各施設に物理的に太陽光パネルが設置可能であるかどうか、あるいは太陽光パネルの設置可能面積や発電量、各施設の年間の電

  気需要量などの調査を行った。

   これらの調査結果をもとに、施設の電気需要量と、太陽光による発電量の適切なバランスなどについて現在精査中である。

   こうした内容を精査した上で、太陽光発電の設置に有望な施設を選定し、施設側と調整した後、対象施設を決定したい。

  Q 堀委員

   その後で各市町村において、小水力発電を進めていこうと、各市町村も一緒になってやっていこうということがうたわれている

  が、それについての説明をお願いしたい。

  A 寺村環境生活総務課長

   市町村における再生可能エネルギー導入に係る取組支援として、小水力発電導入のポテンシャル調査を実施したいと考えている。

   具体的には、調査を希望する市町村から、河川や水路、上水道施設等における小水力発電の候補地を聴き取り、県が調査会社に

  委託し、候補地での発電量や建設費から導入可能性を調査するといった流れになる。

   ただし、県内市町村においては、地球温暖化対策推進法に基づく実行計画の策定やカーボンニュートラル宣言の実施率が極めて

  低いという状況である。このため、県内の市町村にこうした計画策定や宣言の実施を促すために、このポテンシャル調査の実施に

  あたっては、計画を策定し、カーボンニュートラルの宣言を行った市町村を対象にしたいと考えている。

   そして、この調査結果を市町村にフィードバックすることで、市町村における小水力発電設置に向けた具体的な検討、ひいては

  市町村における脱炭素の取組を推進したいと考えている。

  Q 堀委員

   県のほうで、将来性とか可能性について調査をして、市町村に一緒にやりませんかと呼びかけるのか。

  A 寺村環境生活総務課長

   まず、県でそういう市町村の声を聞いて、要望がある市町村に県が調査を行い、それをフィードバックすることで市町村を応援

  していく予定としている。

  要望 堀委員

   温室効果ガス排出量を2013年比で、2030年までに46%削減する目標を掲げている。

   これは要望になるか分からないが、県所有地の住宅開発や工業誘致の開発などいろいろな開発をして、県が持っている土地がある。

   その土地の上に太陽光発電設備を置くことも今後考えていかなければ、施設への設置だけでは間に合わないように思える。

   開発地の斜面などがたくさんあると思うので、そういうところも余すところなく利用してもらいたい。

   一気にできるとは言えないだろうが、頭の中に入れて考えてもらいたい。

 

  Q 堀委員

   先日、重点施策説明会で、「不幸な猫をなくすプロジェクト」により、猫の殺処分数が大幅に減少したと聞いた。私の地域でも、

  50軒あまりの地区だが約30匹の猫を捕獲し不妊去勢手術を行って、現場に戻し地域猫となっていると聞いている。 この事業の

  考え方について、改めて説明をお願いする。

  A 安宅食品・生活衛生課長

   野良猫については、地域で見守っていただくという考えのもと、「不幸な猫をなくすプロジェクト」を開始した。まず、地域猫

  対策を実施する者が、事前に近隣住民に餌やりや糞尿の処理方法等について説明した上で、地域猫対策の計画を作成し、保健所で

  認定を受けた後に、自ら猫を捕獲して、指定された動物病院等で不妊去勢手術を受けることになる。そのための捕獲おりの貸出し

  も行っている。このように地域で地域猫対策に取り組んでもらっている。

  Q 堀委員

   かつらぎ町では飼い猫に不妊去勢手術をしたら補助が出る。町の制度と県の施策との違いについて、教えてほしい。

  A 安宅食品・生活衛生課長

   かつらぎ町などでは、主に飼い猫の不妊去勢手術に対して、費用の一部助成をしており、こうした制度は、かつらぎ町のほかに

  も県内で、5市町ある。県としては、野良猫に対する不妊去勢手術としており、令和6年度もこの取組を継続することとして、

  3144万2000円の予算措置をお願いしている。

  意見 堀委員

   非常にいい事業である。地域の協力がないとできないため、地域で一緒に取り組んでいきたい。

 

  Q 堀委員

   水道施設の整備ということで、市町村水道事業者が行う水道施設の耐震化整備を支援するというものがあるが、その内容につい

  て教えてほしい。

  A 安宅食品・生活衛生課長

   市町村の水道事業者が実施する水道施設の耐震化に関する事業について、国の交付金を活用するために、水道事業者からの申請

  を取りまとめ、国に申請し、国の交付決定を得て、県経由で交付金を水道事業者に交付している。補助率は、事業メニューにより

  4分の1から3分の1となっている。

  Q 堀委員

   水道事業の所管が厚生労働省から国土交通省に移管すると聞いたが、それについての説明をお願いしたい。

  A 安宅食品・生活衛生課長

   水道事業が国土交通省に移管されたことに伴い、厚生労働省で実施していた「生活基盤施設耐震化等交付金」は、国土交通省の

  「防災・安全交付金」に移管されるが、補助メニューや補助率に変更はないと聞いており、令和6年度は引き続き、環境生活部で

  補助金の交付を行っていきたいと考えている。

  Q 堀委員

   今までと同じようにしていくとのことだが、下水道事業は国土交通省所管であり、水道管が割れたとなったとき、下水道と一体

  で整備しなくてもよいのか。

  A 安宅食品・生活衛生課長

   厚生労働省の交付金とほぼ同様のメニューが国土交通省の防災・安全交付金で示されているので、今年度と変わらないものと考

  えている。

 

  Q 鈴木副委員長

   太陽光発電設備の県有施設への導入にあたってはPPAを活用するとのことだが、PPAとはどのような方式なのか。

  A 寺村環境生活総務課長

   PPAとは建物の所有者である県自身が太陽光を設置するのではなく、PPA事業者と言われる発電事業者が、屋根の上に太陽光パ

  ネルを設置し、その発電した電気を建物所有者である県が買い取るという方式である。

  Q 鈴木副委員長

   その方式では、屋根に太陽光発電設備を設置する初期投資は不要ということか。

  A 寺村環境生活総務課長

   初期投資は事業者が行う。

  Q 鈴木副委員長

   PPAの事業者はいくつあるのか。

  A 寺村環境生活総務課長

   PPA事業者の数は把握していないが、例えば関西電力においてもPPA事業を行っている。

 

  Q 堀委員

   災害時に、効率的な応急給水を行うために、市町村による加圧式給水車購入を支援するとの部長の説明であったが、このことに

  ついて、再度説明をお願いしたい。

  A 安宅食品・生活衛生課長

   災害時などにおける断水対策として、市町村が購入する加圧式給水車の購入を支援している。補助率は、2分の1で、病院や透

  析医療機関の高所にある貯水槽に迅速に給水することを主な目的としているため、スペックの高い加圧式給水車のみを補助対象と

  している。

   事業は令和4年度から令和6年度までの3年間で、16台の給水車の整備を予定しており、令和4年度は4台、令和5年度は3台

  に対して支援を行った。

   令和6年度は9台で計8100万円の予算を今議会でお願いしている。

  Q 堀委員

   16台で、県下賄えるのか。

  A 安宅食品・生活衛生課長

   事業を始めたときの調査によると、令和3年度末で、14市町で22台、既に加圧式給水車が配備されており、この計画でプラス

  16台となるので、これで何往復かすれば、あくまで病院とか透析の医療機関の貯水槽だけになるが、計算上は賄えると考えている。

 

  Q 奥村委員長

   パートナーシップ宣誓制度について、これは前の委員会でも言ったが、パブリックコメントの中でも、やはり意見が賛成も反対

  もあった。私は歓迎する者だが、定着するためには、県民に周知をしっかりと行ってもらいたいと思う。来年度は、どういうとこ

  ろに働きかけをするのか教えてもらいたい。

  A 大久保青少年・男女共同参画課長

   性の多様性の問題については、今年度のいわゆるLGBT理解増進法の制定や、本県のほか各自治体で導入が進んでいるパートナー

  シップ宣誓制度などによって、性の多様性に対する認知自体は、少しずつ浸透してきているものと考えている。   

   しかし、民間調査結果によると、依然として性の多様性について、他人事と考える人が多く、まだまだ理解は不十分であると考

  えている。また、積極的な取組を行っている企業が県内に少ないことも課題として挙げられる。

   県においては、行政職員や企業の経営層、人事担当者を対象にしたセミナーを開催しており、令和6年度も引き続き開催する予

  定である。性の多様性や今年度県が導入したパートナーシップ宣誓制度について、周知啓発を行っていく予定である。

   また、当事者へのアンケート結果の中で、県に取り組んでほしい政策として、「学校での教育・講演」という回答が多くあった

  ことや、若いうちから性の多様性をもっと身近な問題として認識してもらうために、新規の事業として、当事者を講師に迎え、県

  内高校での出前講座を実施することとしている。

   全ての人が性別や性的指向等に関係なく尊重され、多様な生き方を認め合うことができる社会の実現を目指して、今年度導入し

  たパートナーシップ宣誓制度を足がかりとして、今後も様々な取組を進めていく。

  Q 奥村委員長

   市町村で制度を取り入れていくことも非常に大事だと思う。現在、パートナーシップ制度を導入している市町村はどこか。

  A 大久保青少年・男女共同参画課長

   県内市町村の導入状況は、橋本市が令和4年10月から導入し、その後、那智勝浦町が令和5年4月から、新宮市が令和5年10月

  から、それぞれ導入している。

  要望 奥村委員長

   実際に導入している市町の経験や意見も聴いて、さらに広めていけるように、ぜひよろしくお願いする。

 

  Q 奥村委員長

   空港の場合の環境影響評価はどのように進められていくのか。

  A 寺村環境生活総務課長

   空港の滑走路の延長に係る環境影響評価については、延長後の滑走路の長さが2500メートル以上、かつ、滑走路を500メートル

  以上延長する場合は、環境影響評価法に基づく手続きが必要である。

   手続きの流れは、他の事業の環境影響評価と同様、配慮書、方法書の段階を経て、現地調査を行い、準備書、そして評価書を事

  業者がまとめることになる。

   そして、配慮書、方法書、準備書、それぞれについて住民、関係市町村の意見、環境影響評価審査会の意見を踏まえて、県知事

  意見を述べることになる。

  Q 奥村委員長

   例えば県の事業であれば、事業者と審査の関係はどうなるのか。

  A 寺村環境生活総務課長

   環境影響評価に関する配慮書、方法書、準備書それぞれは事業者が提出することになる。

   例えば、南紀白浜空港の場合だと、事業者は県であるから港湾部局から書類の提出があり、環境部局で審査を行うことになる。

 

  Q 鈴木副委員長

   太陽光発電の導入補助について、国の制度等を説明してほしい。

  A 寺村環境生活総務課長

   脱炭素化推進事業の内容については、県有施設の駐車場へのソーラーカーポートの設置に係る調査、県有施設へのEVの急速充

  電器の導入、公用車への次世代自動車の導入、小水力発電導入に係るポテンシャル調査、脱炭素ポータルサイトの開設などの取組

  を予定している。

   また、先ほども回答したPPAを活用した県有施設への太陽光発電設備の導入のほか、住宅向けに太陽光発電設備やコージェネレー

  ションシステム等の導入補助や、事業所向けに太陽光発電設備や省エネ精度の高い設備機器等の導入補助も予定している。

   これらの太陽光発電設備等の導入や導入補助については、国の脱炭素重点加速化交付金の活用を前提としており、交付金の獲得

  に向けて現在鋭意取り組んでいるところである。

 

  Q 尾﨑委員

   県も国も基本的には脱炭素で、太陽光発電も促進しているが、民間において、様々な場所で太陽光発電設備のための開発で大き

  な問題が起きている。

   和歌山県は、和歌山県太陽光発電事業の実施に関する条例をつくって、一定程度の乱開発のようなものを防止していこうという

  ことになった。一方、それと前後して、和歌山市にも同様の条例ができている。

   住民が事業者に対し、条例に基づいて説明すべきと主張するのももっともであり、反対を表明されるのは自由であるが、一方で

  事業者も、国の脱炭素の方針に基づいて、脱炭素を事業として行おうとしており、このような事業者がなければ脱炭素は進まない。

  全てを補助金で賄うことは不可能である。それらを調整するために条例があって、その条例に基づいて事業者が努力していくこと

  になる。

   同じ和歌山県の中で和歌山市に同様の条例があり、それらの整合性はどこにあるのか。和歌山県と和歌山市で2回住民説明会を

  開催しなければならないのか、説明する自治会の範囲はどこなのか、非常に事業者の重荷になっている。

   脱炭素を進めていかなければならないが、事業者と住民との間で過剰なトラブルがあってもいけないから難しい。だからこそ、

  条例をつくったが、この条例の解釈で困難を乗り越えていく努力をするのに当たって、事業者に対しても分かりやすくなければ公

  平ではない。

   県の条例と和歌山市の条例について、県はどのように考えているのか。

  A 寺村環境生活総務課長

   和歌山市内では、和歌山市の条例と県の条例が適用されるので、当然、県と市とで情報交換しながら調整していかなければならない。

   県と市の条例には大きな違いがあり、市の条例では許可申請の前に、該当自治会の同意書の提出を求めている。住民説明会も事

  業者に課しており、事業者は住民に対し事業計画をしっかりと説明して、住民に理解を得ることを、事業者に求めている。その結果

  として、自治会の同意書を求めているものと考えている。

   一方、県では、認定申請前に、地域住民への説明を事業者には求めているが、自治会の同意までは求めていない。県としては、

  太陽光の再生可能エネルギーを推進していくことと、自然環境や生活環境を守っていくことの兼ね合いを保っていかないといけない。

  住民の方々からは多様で幅広い意見が出てくる。例えば、単に太陽光発電がよく分からないから反対であるとか、嫌いだから反対で

  あるとか、そういう意見もあるかもしれない。そのため、県では認定申請前に、自治会の同意までは求めず、認定申請後に安全面、

  環境面、景観面などについて科学的、技術的な観点から審査し、認定、不認定を判断している。

  Q 尾﨑委員

   条例において、事業者に対して住民の理解を得るように求めることは妥当だと思うが、反対がないことと、同意をもらうことでは

  ハードルが大きく異なる。同意のハードルはとても高くて、事実上、太陽光発電施設をつくらせない条例なのではないかと思える。

   和歌山県和歌山市なのだから、自治体間でその解釈をすり合わせていかなければならない。和歌山市では太陽光発電施設は造れ

  ないが、ほかでは造れるというような不公平感が県内で生じてもいけない。普通は上位の法令がつくられれば自治体間で調整して、

  片方だけになる。県で条例をつくっていても、国の法律が改正されれば、速やかに条例がなくなって国に従うようになる。同じ目的

  の法律ができれば、そちらが優先される。

   法律が不整備でカバーできないときは条例をつくる。例えば、環境影響評価でも、法律が条例の後追い的に太陽光発電設備でも手

  続きが必要となった。以前はある一定の規模までは、風力発電施設のほうが厳しかった。しかし、国は、法律を改正して後追い的に

  太陽光発電設備でも環境影響評価が必要になった。

   その改正を待つ前に乱開発されたらいけないから、条例をつくって、事業者に住民説明などを求めることは意味があった。条例に

  よって乱開発を抑制しながら、施設ができるときには適正なものを造ろうというようなことで趣旨はよかったと思う。

   国の法律ができれば環境影響評価も国の基準に準じればよいということで、法の解釈、法と条例の位置づけというものを、我々、

  条例を審議する者や条例や法律に基づいて業務を行う県職員はそういうことを意識しながら、業務を行っている。

   その点では、市の条例は異例な条例になっていて、市はそのような趣旨ではないと言うのかもしれないが、この自治会の同意書が

  必要ということは、太陽光発電施設を造らせないということかと思える。

   和歌山市は和歌山県の中にあるのだから、両者の条例に関して担当者間で調整をすべきではないか。

  A 寺村環境生活総務課長

   市の条例の運用上で不都合や支障が出ていないかについて、市と県との意見交換から始めたい。

 

    ●奥村委員長

     ◎議案に対する質疑及び一般質問終了宣告

     ◎議案に対する採決宣告

     ◎議案第48号から議案第50号までは全会一致で原案可決

     ◎調査議案に対する意見聴取 なし

     ◎調査報告に対する採決宣告

      調査議案については意見を付さず、「適当である」旨、報告することに決定

     ◎環境生活部審査終了宣告

     ◎継続審査を要する所管事務調査宣告 異議なし

     ◎閉会宣告

   午後1時46分閉会

 

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