令和5年12月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)


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令和5年12月 和歌山県議会定例会会議録 第5号

議事日程 第5号
 令和5年12月13日(水曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第126号から議案第168号まで(質疑)
 第2 一般質問
 第3 議案の付託
 第4 請願の付託
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会議に付した事件
 第1 議案第126号から議案第168号まで(質疑)
 第2 一般質問
 第3 議案の付託
 第4 請願の付託
 第5 休会決定の件
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出席議員(42人)
 1番 坂本佳隆
 2番 三栖拓也
 3番 秋月史成
 4番 川畑哲哉
 5番 藤山将材
 6番 森 礼子
 7番 井出益弘
 8番 尾崎要二
 9番 高田英亮
 10番 玉木久登
 11番 佐藤武治
 12番 濱口太史
 13番 鈴木太雄
 14番 冨安民浩
 15番 吉井和視
 16番 鈴木德久
 17番 玄素彰人
 18番 岩田弘彦
 19番 中本浩精
 20番 中村裕一
 21番 谷 洋一
 22番 山家敏宏
 23番 北山慎一
 24番 堀 龍雄
 25番 谷口和樹
 26番 新島 雄
 27番 山下直也
 28番 小川浩樹
 29番 中尾友紀
 30番 岩井弘次
 31番 藤本眞利子
 32番 浦口高典
 33番 山田正彦
 34番 坂本 登
 35番 小西政宏
 36番 浦平美博
 37番 中西 徹
 38番 林 隆一
 39番 片桐章浩
 40番 奥村規子
 41番 尾﨑太郎
 42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
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説明のため出席した者
 知事         岸本周平
 副知事        下 宏
 理事         田嶋久嗣
 知事室長       北廣理人
 危機管理監      福田充宏
 総務部長       吉村 顕
 企画部長       前 昌治
 地域振興監      赤坂武彦
 環境生活部長     山本祥生
 福祉保健部長     今西宏行
 商工観光労働部長   三龍正人
 農林水産部長     山本佳之
 県土整備部長     福本仁志
 会計管理者      﨑山秀樹
 教育長        宮﨑 泉
 公安委員会委員長   竹田純久
 警察本部長      山﨑洋平
 人事委員会委員長   平田健正
 代表監査委員     森田康友
 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       林 伸幸
 次長(秘書広報室長事務取扱)
            萩原 享
 議事課長       長田和直
 議事課副課長     岩谷隆哉
 議事課議事班長    伊賀顕正
 議事課主任      菅野清久
 議事課副主査     西 智生
 議事課副主査     林 貞男
 総務課長       葛城泰洋
 政策調査課長     岩井紀生
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  午前10時0分開議
○議長(濱口太史君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第126号から議案第168号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、併せて日程第2、一般質問を行います。
 10番玉木久登君。
  〔玉木久登君、登壇〕(拍手)
○玉木久登君 皆さん、おはようございます。
 今議会の一般質問最終日、朝一番の登壇をさせていただきます。先輩・同僚議員の皆様に機会を与えていただきまして本当に感謝申し上げます。ありがとうございます。
 有田地方は、今ミカンの繁忙期でございます。軽自動車が朝夕ひっきりなしに走っている状況であります。今年は、ミカンは裏年に当たると、和歌山県が。数はちょっと少ないんですけど、味のほうは例年よりももっとおいしいと、よりおいしいという話を聞いております。今年6月2日には大きな災害がありまして、農地の崩壊等もいろいろありました。そんな中で、農家の皆様はブランドミカンとして有田みかんを懸命に作られていることに敬意を表したいと思います。
 私ごとなんですが、私、12月、誕生月でございまして、59歳、還暦リーチとなりました。来年はたつ年、年男でございます。還暦をちょっと調べてみますと、えとを一巡するということで、還暦祝いというのは一巡したよということでお祝いをすると、それが還暦祝いということらしいです。また第2の人生のスタートということでもあるかなと思っております。まあ……。(発言する者あり)いやいやいやいや。
 続けます。たつ年、年男なので、より一層フルスイングで来年も頑張っていきたいなと思っております。
 私、玉木久登という名前でございますが、これ祖父につけていただきました名前で、久登、久しく登るという。久しいというのは長く登ると、たつ年にちなんで長く登っていけるようにということで、久登とつけてくれたということでございます。(「ええ名前や」と呼ぶ者あり)はい。
 ちなみに、私の大先輩でもありますし、同期の先生でもあります堀先生、堀龍雄、でも堀先生はうさぎ年です。前段長くなってすみません。
 それでは、議長から許可をいただきましたので、通告に従い一般質問を行ってまいりたいと思います。
 まず第1項目め、大項目1として、和歌山らしい教育の充実、第4期和歌山県教育振興基本計画についてお聞きしたいと思います。
 第3期和歌山県教育振興基本計画が示された2018年、平成30年2月定例会において、キャリア教育、特別支援教育、きのくにコミュニティスクールの三つの課題について質問をいたしました。その後5年を経て、本年、今後5年間の本県教育の方向性を示した第4期和歌山県教育振興基本計画が策定されました。さきの5年間は、その大半がコロナ禍の真っただ中にあり、基本計画の推進もままならない状況であったかと推測されます。この間、現場の教職員はもとより、児童や生徒の学校生活や学びなどに大きな暗い影を落としました。ようやく平常に戻りつつある中で、長く続いた閉塞感により、体力の低下や不登校の問題、陰湿ないじめなど多くの課題も浮き彫りになっています。
 そのような観点に立って、その課題の取組、未来に希望を抱き、挑戦し続ける活力を育む教育が今、最重要であります。
 第4期和歌山県教育振興基本計画の骨子である和歌山らしい教育へのアプローチは、子供たちが生涯にわたってたくましく、また自分らしく生きていく上で、豊かな教養、感性、自己有用感等をバランスよく身につけていくことは大変重要であると明記しています。また、学業のみならず、本来の本物の芸術や文化に触れたり、スポーツや読書、ボランティア活動などに親しんだりすることの重要性についてもうたわれています。
 そのことを踏まえ、5項目についてお聞きいたします。
 まずは、キャリア教育、2点についてお聞きしたいと思います。
 キャリア教育については、過去一般質問の場や委員会において、先輩・同僚議員が質問や提案をなされていますが、大変有意義なことであると感じています。
 以前、地元である有田市の小学校において、和歌山県立医科大学地域医療支援センターに協力をいただき、キャリア教育として「お医者さんの仕事」と題し、小学校4年生の出前授業のお手伝いをさせていただきました。校長先生のコメントに、「キャリア教育の点でも理科教育の点でも楽しくて、ためになる授業でした」、「もしかしたら、今日の授業で、将来お医者様になりたいという子供が増えたかもしれません」とつづられていたことが印象に残っています。
 小中学校におけるキャリア教育、特に小学校においては、自分の将来への夢を大きく広げたり、目標をつくり、その目指す目標に向かって勉学であったりスポーツであったりと、自らの将来を切り開くきっかけとなるのではと考えております。
 キャリア教育の推進は重要です。平成30年に策定された第3期和歌山県教育振興基本計画の中で、各学校において、キャリア教育の全体計画を作成し、社会的・職業的自立に向けて、必要基盤となる資質、能力を育むことを重点的に実施する取組として上げられておりましたが、どのように取り組まれたのか、教育長にお聞きいたします。
○議長(濱口太史君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 教育長宮﨑 泉君。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 第3期和歌山県教育振興基本計画におけるキャリア教育の全体計画についてでございますが、社会的・職業的自立に向けて必要な基盤となる資質、能力を育む上で、教育活動全体を通じてキャリア教育を実施していくことは大切であります。
 その柱となるのが、自校のキャリア教育の目標や、学ぶ内容、指導する場面等を明示した全体計画であります。県内のキャリア教育全体計画の作成状況は、第3期和歌山県教育振興基本計画を策定した初年度である2018年度は小学校46.8%、中学校で42%、高等学校100%でありましたが、最終年度の2022年度には、県内全ての小・中・高等学校が作成をすることができました。
 各学校では、作成した全体計画を活用し、全ての教育活動においてキャリア教育が充実して展開するよう取り組んでいます。
○議長(濱口太史君) 玉木久登君。
  〔玉木久登君、登壇〕
○玉木久登君 ありがとうございます。
 続いて、令和5年に策定された第4期和歌山県教育振興基本計画における推進、キャリア教育の今後の方向性についてお聞きしたいと思います。ICT教育の推進とともに、県内全ての公立学校において、タブレットが普及し、児童生徒はそれを活用していると思います。知りたいことを簡単に検索することができるこのツールは、考えることなくすぐ答えを導き出せることから、考える能力や発想力など、本来、身につけなければならない能力が育たないのではと考えます。その観点から、活用方法について今後研さんをいただきたいと思います。
 とはいえ、非常に優れた機能ですから、キャリア教育への活用もなされていると思います。小中学生に限らず、夢を持つことの大切さと夢を達成するためのプロセスを知ることは、大変重要であると考えます。子供たちにより多くの職業を知ってもらうこと、好奇心を持たせること、理解を深めることの重要性はもとより、地元で経験できる職業はもちろんですが、身近でなかなか体験できないことに対して、タブレットによるインターネットの活用、リモート授業による職業体験など工夫をと感じます。
 そこで今、県として取り組んでいることや、今後のキャリア教育の考え方の方向性について、教育長にお考えをお聞きいたします。
○議長(濱口太史君) 教育長。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) キャリア教育の今後の方向性についてであります。
 小・中・高等学校においては、地域、社会や産業界等と連携しながら、職場見学や職場体験活動、インターンシップを実施するなど、児童生徒が勤労の尊さや生産の喜びなどを実感できるような、より質の高い学びを行っています。また、コロナ禍を経て、ICT環境の整備が進み、遠く離れた場所にあっても、オンラインによる工場見学や企業へのインタビュー調査など、児童生徒の学習活動の選択肢が増えています。
 今後も、全ての校種で児童生徒がキャリア教育で学んだことや成長したことをキャリア・パスポートに記録するなど、系統立てたキャリア教育の充実を一層図ってまいります。
○議長(濱口太史君) 玉木久登君。
  〔玉木久登君、登壇〕
○玉木久登君 教育長から御答弁いただきました。その中でキャリア・パスポートというお話があります。このキャリア・パスポートという中身ですよね。ちょっと私自身考えるに、このキャリア・パスポートというのは、その子の個性の発掘なんではないかなと思っています。その個性を発掘することによって、その子の将来というものを先生が導くというふうに私自身はちょっと考えているので、非常に重要なんではないかなと思っています。
 このキャリア・パスポートというのは、お聞きすると、小学校からずっと小・中・高校生まで、その子が学んだことであったりとか、そういうものを記していくということをちょっとお聞きしたんですが、高校進学に向けて、それが本当に生かされていくのかということが非常に重要なんだろうと思うんです。
 私、今、中1の孫がおります。おるんですけど、聞きました。キャリア・パスポートって書いてんのかって聞きました。書いたという、書いた。だから、これを将来どうやってつなげていくかというのは先生の本当に指導だと思うんですよね。ですから、そういうことをこれから重要視していただいて、本当にキャリア・パスポートというものをしっかりと活用していただきたいと思っております。近々の3者面談もあるということなので、結果をまた聞きたいなと思っております。
 次の質問に移ります。特別支援教育について2点お伺いしたいと思います。
 1点目は、インクルーシブ教育システムの推進の状況についてです。
 障害のある子供と障害のない子供が可能な限り共に学ぶことができるよう、一人一人の教育的ニーズに応じた合理的配慮の提供など様々な配慮に取り組みながら、特別支援教育を一層推進していくことであります。
 特別支援教育の充実。障害のある幼児、児童生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取組を支援するため、県内公立学校におけるインクルーシブ教育システムの推進の状況について、教育長にお聞きいたします。
○議長(濱口太史君) 教育長。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) インクルーシブ教育システムの実現のためには、障害のある子供と障害のない子供が可能な限り共に協働的に学ぶ環境整備と、一人一人の教育的ニーズに応じた学びの場を整備することを両輪として進めることが必要不可欠であります。こうした環境整備の重要性については、2023年G7教育大臣会合富山・金沢宣言においても、その認識が共有されています。
 県教育委員会では、全ての学校において、障害のある子供と障害のない子供、さらに地域の人たちとの触れ合いや、共に活動する交流及び共同学習を推進しています。また、通常の学級や通級指導教室、特別支援学級、特別支援学校といった連続性のある学びの場の充実と、それを生かした特別支援教育の推進により、多様なニーズに対応できるインクルーシブ教育システムの実現に向け取り組んでいます。
 議員の御質問の推進状況ですが、2018年度から5年間で、通級指導教室は、小中学校等で15教室増の計71教室、高等学校で6教室増の計8教室、特別支援学級は、小中学校で192学級増の806学級設置しています。また、南紀はまゆう支援学校の新校舎の建築など、特別支援学校の教育環境整備を進めています。このような取組を通じて、一人一人の障害や特性に応じた教育を充実させています。
 また、インクルーシブ教育システムを推進するためには、通常の学級を含む全ての学びの場において、特別支援教育を理解し実践する教員の育成が重要となります。教育センター学びの丘で実施する特別支援教育に係る研修をはじめ、小中学校と特別支援学校との人事交流や、特別支援学校教諭二種免許状の取得促進に向けた認定講習の継続的な開講など、特別支援教育を担う教員の専門性向上を図る取組を推進しています。
 何よりも大切なのは、適切な合理的配慮による教育の提供と、児童生徒やその保護者が最も学びたいと思える学びの場を柔軟に選択できることであり、今後も引き続きインクルーシブな特別支援教育の充実に努めてまいります。
○議長(濱口太史君) 玉木久登君。
  〔玉木久登君、登壇〕
○玉木久登君 教育長から御答弁いただきました。
 インクルーシブ教育というもの、自分なりの解釈ってずっとあったんですね。普通学級の中で、障害のある子供も障害のない子供も一緒に学ぶ場だと。そのためには、合理的配慮をしていきながら普通の教室の中で学ぶというものが、自分自身の中ではインクルーシブ教育だと本当にずっと思っておりました。今回、インクルーシブ教育システムという名前がついているということですね。多様なニーズ、保護者からのニーズに対応できる特別支援学級であったり学校であったり、そういうところも含めた上での本来のインクルーシブという考え方に立って教育委員会が行っているということについては、大変共感をいたします。
 多様なニーズがありますので、これから本当にこの指導される先生ですよね、それの引き出しというんですか、それの多さが本当にそういう子供たちの助けになると思っておりますので、その点をしっかりと進めていただきたいと思っております。
 2点目に移ります。教育現場における発達障害支援についてであります。
 以前にもお話をさせていただきましたが、発達障害を代表する言葉としてASD、ADHD、LDなどがあります。ASDはアスペルガー症候群などを含む自閉症スペクトラム障害、ADHDは注意欠如多動性障害、LDは学習障害です。
 近年、理解は深まりつつありますが、その特性には一人一人違いがあり、本人はもとより保護者の方の思い悩む姿をずっと見てまいりました。年少期に始まり、小中学校と義務教育課程から高等学校への進学は、義務教育から離れることにより、これまでと違う関心や心配される保護者の方々も少なくありません。高校生活では、卒業後、社会の中でうまくやっていけるかなど、自我に思い悩むこともあります。
 多様化する教育の中で、教育現場では、児童や生徒、保護者との向き合う姿勢、コロナ禍の中ではどうであったのでしょうか。教育現場における取組について、教育長にお聞きいたします。
○議長(濱口太史君) 教育長。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 新型コロナウイルス感染症の拡大は、友人と会う機会の減少、学習や部活動の制限等により、全ての子供たちが不安やストレスに直面してきました。特に、自閉スペクトラム症をはじめとする発達障害の特性として、変化に対する不安や感覚の過敏性、コミュニケーションの困難さなどがあります。また、マスクの着用が困難なことや、学級閉鎖等による急な予定変更に対応しづらいなど、学校の新しい生活様式になじむために時間を要する子供が多くいたと思われます。さらに、近い距離で対面指導や具体物を介した指導、体験的な学習や交流活動なども実施しづらい状況にありました。
 こうした中、各学校では、保護者の方の協力も得ながら、一人一人の特性に合わせた指導を工夫するとともに、子供たちも少しずつ対応しようと努力を重ねてきました。また、この間、発達障害等のある児童生徒の進路については、多様な学びの場の選択が進んでおり、特に、特別な教育的支援を必要とする高等学校生徒も一定数増加しています。
 高等学校においても、発達障害等のある生徒の学びを支える通級指導教室の設置拡充に努めています。さらに、5類感染症移行後、活動の制限がなくなったことにより、地域との連携、高等学校と特別支援学校の生徒が協働する取組などが広がり、生徒が互いの成長を認め合いながら自己有用感を高めることとなっています。
 加えて、発達障害の特性理解や効果的な支援の在り方等について、教員の意識も向上しています。
 これらの取組が、発達障害の子供たち一人一人の自立と社会参画につながると期待しています。
○議長(濱口太史君) 玉木久登君。
  〔玉木久登君、登壇〕
○玉木久登君 御答弁いただきました。
 子供たち同士の助け合いというんですか、昔からちょっと発達障害ということについては興味があるというか、よくそういうグループの方とお話しする機会があって、ずっと取り組んできたことなんですけど、大阪にある公立小学校のインクルーシブ的な合理的配慮の例がよく取り沙汰されて、それを学んだことがあるんですけど、子供同士でそれを助け合う精神というんですか理解するという、そこによって、例えばなかなか先生からだと受け入れられないことが友達同士だと、受け入れたりとか、そういうこともあるのかなとずっと私は思っております。
 そんな中で、この発達障害支援というのは本当に難しい問題ではあろうかと思いますけども、さきのインクルーシブ教育システムを含め、今後の子供たちのために、しっかりと取り組んでいただきたいなと思っております。どうかよろしくお願いいたします。
 続いて、5番目に入りたいと思います。
 きのくにコミュニティスクールの活性化についてお伺いしたいと思います。
 コミュニティスクールの活性化についてお聞きをするんですが、今後、第4期和歌山県教育振興基本計画に対する取組への理解や様々な問題の解決には、保護者はもとより地域の理解は欠かせないと思います。きのくにコミュニティスクールの活性化は、学校、地域が共有をし、学校、地域が共に子供たちの将来を考えることを目的とする施策であり、学校運営に重要な役割を果たすことは言うまでもありません。
 方針としては、学校、家庭、地域の連携・協働を核として、子供たちの成長や家庭教育を社会全体で支え育てていく環境の整備に向けて、学校、家庭、地域の連携を強化するとともに、学校運営協議会を核として、関係する人々が連携・協働することで、きのくにコミュニティスクールの活性化に取り組むとなっています。
 しかしながら、小中学校の統合など従来の学校区から広域となる統合は、今までの小さなコミュニティーの課題のみならず、全体的な課題も考慮することを余儀なくされます。また地域間格差により、関わり方の温度差や学校運営協議会の人選など、偏りのない取組の課題抽出も考えなくてはなりません。
 今回、主な取組として、私なりに重要と考える小規模校におけるICTの活用の基本的方向と、きのくにコミュニティスクールの仕組みを活用した地域人材の発掘と活用については、学校運営協議会の枠組みを超えた地域連携と、多方面からの文化交流による地域活性化の取組に学校を加えることにより、より地域と関係が深まり、学校の取組への理解も得られると考えます。
 少子化の中、地域を今後支えていく子供たちが早い段階から地域に溶け込み、進学や就職など故郷を離れたとしても、いつかまた故郷に戻り、地域活性に寄与してくれる人材の育成、また多方面から交流人口を増やすことは、過疎に苦しむ地域においては一助となると考えています。教育長のお考えをお聞きしたいと思います。
○議長(濱口太史君) 教育長。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 学校、家庭、地域が連携・協働する社会の実現を目指したきのくにコミュニティスクールは、導入から6年が経過しています。現在、県内各地において、地域や学校の実情に応じた様々な取組が行われているところです。
 県教育委員会では、学校運営協議会のさらなる活性化や教職員全体への浸透を図るため、きのくにコミュニティスクールについて、豊富な知識と経験を有する県CSマイスターを学校運営協議会や学校単位での研修等に派遣しています。
 また、学校と地域を円滑につなぐには、コーディネーターの果たす役割が大きいと考えています。最近訪問したある小学校では、コーディネーターが学校と地域とをうまくつなぎ、子供たちが地域の方々と一緒に野菜を栽培し、その感謝の気持ちを地域の方々にお返しするという活動を行うなど、地域と心の籠もったお付き合いができていました。こうした取組がどの地域にも定着していくよう、コーディネーターの育成や、新たな地域人材の発掘に向けた研修会を継続的に開催してまいります。
 今後も、きのくにコミュニティスクールの充実発展に取り組み、地域と共にある学校づくりと学校を核とした地域づくりを進めてまいります。
○議長(濱口太史君) 玉木久登君。
  〔玉木久登君、登壇〕
○玉木久登君 御答弁いただきました。
 どっちも本気度が試されるんではないかなと思っています。もう待ったなしの状況ではないかなと思っています。学校側もしっかりオープンにしていただきたいことも山ほどあるということは、コーディネーターの方からもお聞きしております。そういうことでありますので、本気でこれからの地域のこと、また学校のことを考えていくという形で、覚悟を持って進めていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 それでは、大項目の2番目、最後の質問のほうに入りたいと思います。
 エンジン01文化戦略会議オープンカレッジin和歌山有田開催に向けてお話をさせていただきたいと思います。
 前段の質問においても触れましたが、私なりに重要と考える地域人材の発掘と活用についてですが、地域連携と多方面からの文化交流による地域活性化の取組と学校の融合は、より地域と関係が深まり、学校への取組についても理解が得られると考えています。
 昨今、文化芸術を核とした地域の活性化に取り組む自治体が増えてきております。文化芸術が暮らしの中に息づき、人々に豊かさと潤いを与える取組は、大変歓迎すべきものと思っています。本県においても、今まで以上に県民に喜びや感動と潤いを与えることができるような環境を整えることは、ますます重要だと考えています。
 今回取り上げるのは、エンジン01文化戦略会議という団体の取組についてであります。
 この団体は、歴史家の井沢元彦さん、作曲家の三枝成彰さん、有田市とも関係の深いパティシエの鎧塚俊彦さんなど様々な分野で日本を代表する文化人、知識人、芸術家の方々が、日本の文化のさらなる深まりと広がりを目的としたボランティアの集団です。
 そのエンジン01文化戦略会議の最大規模のイベントであるオープンカレッジは、毎年1回、会員150名程度の講師が地方の都市に集結し、3日間にわたって地域の人たちと知の交流を行います。市民向けに幅広いテーマで様々な趣向を凝らした数多くの講座が開催されるとともに、中学生、高校生向けに、各界の一流の文化人が講師となって、それぞれの職業について語る「中高生のきみたちへ エンジン01 ハローワーク」などが実施されます。
 昨年度、岐阜市で開催されたオープンカレッジには、全国から1万5000人の来場者があったということです。このエンジン01文化戦略会議オープンカレッジが、エンジン01in和歌山有田として、来年、2024年11月22日から24日にかけて有田市で開催されることが決定しています。有田市は、市のシンボルの一つであったENEOS和歌山製油所が今年10月、81年の長きにわたる製油機能の操業を終えました。製造所となった今は、今後、SAF・次世代バイオジェット燃料製造拠点と位置づけられ、合成燃料など未来環境供給基地として生まれ変わろうとしています。
 また、有田市内では、400年の歴史を持つ一流ブランドである有田みかんシステムが日本農業遺産から世界農業遺産へと申請中であり、うたせと評される底引き漁法である辰ヶ浜・箕島漁港は、タチウオ漁獲量日本一の呼び名が高く、漁業が盛んに行われています。しかしながら、人口減少や少子化の流れの中、生徒数の減少により市内4校の中学校が統合され、来年4月に新しく有和中学校が開校します。
 このように、次世代に向けて大きく変化していこうとしている有田市において開催されるエンジン01in和歌山有田ですが、本イベントの開催は、有田市にとどまらず、県民の皆様にも注目され、よい影響を及ぼすすばらしい機会になると考えています。オープンカレッジは、参加料を払うことによりどなたでも参加できます。また、ハローワークは、中学生、高校生は無料で参加できます。有和中学校と県立箕島高校の生徒が主役となり、新たなハローワーク、有田モデルとして県内外にアピールする絶好の機会であると考えています。
 また、県内開催による県民の皆様の参加も大変優位となります。各界の一流の文化人によるお話を生で聞くことのできる機会は、本県の文化の向上に貢献する機会になりますし、キャリア教育という面においても、県内中学生・高校生には、将来の職業を考える上で本当に得難い機会になると考えます。
 このエンジン01in和歌山有田が本県有田市において開催されることについて、知事の御所見をお聞かせください。
○議長(濱口太史君) 知事岸本周平君。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
 エンジン01文化戦略会議オープンカレッジは、玉木議員御指摘のとおり、文化のさらなる深まりと広がりを目的に、様々な分野の第一線で活躍されている文化人が多数集まり、多様な講座やコンサートなどの開催に加え、中学生、高校生向けにそれぞれの職業について語るハローワークを開催するなど、他に例のない特色のあるイベントであると承知しております。
 ふだんテレビや雑誌などを通してしか接することのできない作家や評論家、音楽家、あるいはスポーツ選手の皆さんのお話を直接生で聞くことができるということで、県民の皆さんにとっても大変刺激になる、すばらしい機会になると考えておりますし、玉木議員御指摘のとおり、中学生、高校生の皆さんに、キャリア教育という観点からすばらしいチャンスを与えることになるかと考えております。
 また一方で、来県いただいた多くの文化人の皆さんが、御自身のSNS等で和歌山県の魅力を発信していただくことで、本県のPRや地域振興にも大いに役立つものと期待されることと承知しております。
 また、エンジン01in和歌山有田は、来年11月の開催ということでありますが、文化芸術の持続的な発展を目的に本県が実施している「きのくに文化月間」、その目玉事業になり得るのではないかと考えております。したがいまして、本県としましても、エンジン01in和歌山有田の開催を心から歓迎しております。
○議長(濱口太史君) 玉木久登君。
  〔玉木久登君、登壇〕
○玉木久登君 知事から御所見をお伺いいたしました。十分御理解をいただいているということで、最後の質問のほうに移りたいと思います。
 先日、有田市の望月市長と、このエンジン01側で実行委員を務められておられます鎧塚俊彦さんとお会いして、お話をいろいろと伺いました。エンジン01in和歌山有田の開催に向けたテーマとして、エネルギー問題や脱炭素社会についてのほか、一次産業の振興など候補として上げられておられました。また、これらのテーマを多くの方々に伝えるには、多くの方々に参加していただかねばならないという意見であります。多くの方々が参加したいと思えるような楽しい企画も考えていきたい、そうおっしゃっておりました。
 何より、過去にオープンカレッジを開催した自治体の中で一番小さいまち、これが宮崎県延岡市だそうです。ここでも人口が約12万人都市なんですね。今回、有田市は今人口約2万6000人のまちだということで、この有田市で開催することの意義、これは大変重要だということもお話をされておりました。有田市で開催を成功させることによって、日本全国の地方の活性化のために非常に重要なことであると、熱意を持ってお話をされておりました。
 私としても、有田市のみにとどまらない効果を考えますと、県にもぜひこれは積極的に関わっていただきたいと思っています。過去の開催地においては、県が実行委員会に入り、市と共に開催に向け取り組んだというお話も聞いておりますが、エンジン01in和歌山有田開催に向け、今後、県としてどのように関わっていかれるのか、知事に伺います。
○議長(濱口太史君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
 この開催に向けまして、玉木議員が上げられましたようなテーマ、今おっしゃいましたエネルギー問題、脱炭素社会についてのほか第一次産業の振興などがテーマに上がっているということでありますので、和歌山県としても大変心強く感じております。しかも、様々な分野の第一線で活躍されている方々の柔軟な発想による企画で、これらのテーマの重要性を参加者の皆さんにお伝えいただけるということは、大変楽しみに期待をしているところであります。
 また、エンジン01in和歌山有田の開催は、この間、ENEOSの事業転換問題などで揺れ動いた有田市を盛り上げ、市民の皆さんを勇気づけるという効果もあると思います。それにとどまらず、和歌山県全体の文化振興や地域振興に資するイベントにもなり得ます。
 したがいまして、県としては、今後、有田市や地元の関係団体などを中心に設立される実行委員会には、参加したいと考えております。ぜひ、開催には協力したいと思います。
 また、開催経費をどう負担するかということなんですけれども、これは地元御選出の玉木議員の熱い御質問がありましたので、先催地のさきに開催したオープンカレッジの中で、県の支援がどのようなものであったかということも参考にしながら、令和6年度予算編成の中で前向きに検討させていただきたいと存じます。
○議長(濱口太史君) 玉木久登君。
  〔玉木久登君、登壇〕
○玉木久登君 知事から御答弁をいただきました。前向きにということなので、楽しみにしておりますので、どうかよろしくお願いいたします。
 以上で、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(濱口太史君) 以上で、玉木久登君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 2番三栖拓也君。
  〔三栖拓也君、登壇〕(拍手)
○三栖拓也君 皆様、おはようございます。
 6月議会の初登壇以来、こうして一般質問の機会を与えていただいた先輩・同僚議員の皆様に改めて感謝申し上げます。
 議長の許可をいただきましたので、通告書に従い、これより一般質問を行います。
 まずは、和歌山県におけるこどもまんなか社会の実現に向けて、知事のお考えをお尋ねいたします。
 9月議会において、堀議員も一般質問され、また12月定例会の初日に、岩井議員も知事に御質問されたように、日本全体が少子化という国難とも言うべき大きな壁に直面していることは周知のことかと存じます。国においては、本年4月にこども家庭庁を創設、こども基本法が施行され、6月にはこども未来戦略方針を策定しました。和歌山県でも、10月30日に和歌山こどもまんなか大会を開催し、こどもまんなか社会の実現に向けて、仕事と家庭を両立できる環境づくりの推進に取り組んでいるところと承知しております。
 私も、この和歌山こどもまんなか大会に、妻と子供と一緒に参加させていただきました。りら創造芸術高等学校の皆さんの迫力あるパフォーマンスに始まり、登壇された講師の方々から貴重なお話を聞くことができ、大変有意義な大会であったと思います。中でも、株式会社ワーク・ライフバランス代表取締役社長・小室淑恵氏の記念講演において、子供たちに明るい未来を残すために、徹底した働き方改革が必要と力強くお話をされていたのが非常に印象的でした。ワーク・ライフ・バランスといった言葉をはじめ、女性の活躍や男性の育児参加の重要性が広く叫ばれるようになってきた一方で、現実では、目先の業務に追われて仕事を優先することや、家庭の事情で休みを取得することに後ろめたさを感じる状況が多いのではないでしょうか。
 コロナ禍を経て、オンライン会議や在宅勤務などを活用することで、かなり柔軟な働き方ができるようになってきたと実感しますが、中小企業や一次産業、個人経営の業態が多い和歌山県においては、働き方改革の理想と現実に大きな乖離が存在しているのではないかと想像します。
 私は、今回の一般質問を行うに当たり、令和5年6月13日に閣議決定されたこども未来戦略方針に目を通したところ、その強烈な内容に衝撃を受け、危機感と緊張感が一気に湧いてまいりました。「少子化は、我が国が直面する、最大の危機である。」という一文から始まり、出生数の減少などデータを用いて少子化のトレンドについて解説していきます。「そして、少子化は、人口減少を加速化させている。2022年には80万人の自然減となった。今後も、100万人の大都市が毎年一つ消滅するようなスピードで人口減少が進む。現在、日本の総人口は1億2500万人だが、このままでは、2050年代に1億人、2060年代に9000万人を割り込み、2070年に8700万人程度になる。わずか50年で、我が国は人口の3分の1を失うおそれがある」。このように、今のまま人口減少が進めば、経済大国としての位置づけも危うくなり、国際社会での存在感が失われると警鐘を鳴らしています。
 さらに続きます。「若年人口が急激に減少する2030年代に入るまでが、こうした状況を反転させることができるかどうかの重要な分岐点であり、2030年までに少子化トレンドを反転できなければ、我が国は、こうした人口減少を食い止められなくなり、持続的な経済成長の達成も困難となる。2030年までがラストチャンスであり、我が国の持てる力を総動員し、少子化対策と経済成長実現に不退転の決意で取り組まなければならない」、こうして少子化対策の必要に触れています。
 そして最後は、以下のように締めくくっています。「繰り返しになるが、我が国にとって2030年までがラストチャンスである。全ての世代の国民一人ひとりの理解と協力を得ながら、次元の異なる少子化対策を推進する。これにより、若い世代が希望どおり結婚し、希望する誰もがこどもを持ち、安心して子育てができる社会、こどもたちがいかなる環境、家庭状況にあっても、分け隔てなく大切にされ、育まれ、笑顔で暮らせる社会の実現を図る」、まさに国難に直面しているという危機感と、この状況を打破しなければならないという決意が伝わってくる内容ではないでしょうか。
 少子化の背景には、経済的な不安定さ、出会いの機会の減少、男女の仕事と子育ての難しさ、家事・子育ての負担が依然として女性に偏っている状況など、様々な要因が複雑に絡み合っていることであり、少子化を既婚者や女性、子供の問題とするのではなく、社会全体の問題として認識する必要があると考えます。
 また、少子化対策は、決して国や社会の都合で若者に特定の価値観を押しつけたり、プレッシャーを与えたりするものであってはならず、こどもまんなかの考え方の下で、これから生まれてくる子供を含め、今を生きている子供と共に結婚や子育ての当事者となる若い世代を真ん中に据えていくことが大事だと思います。
 12月1日に、こども家庭審議会から政府に対し、「今後5年程度を見据えたこども施策の基本的な方針と重要事項等~こども大綱の策定に向けて~」が答申され、こども大綱が年内に閣議決定されると聞いております。
 そこで、御質問です。
 国がそうした動きをしている中、こどもまんなか社会に向け、和歌山県はどのように取り組んでいくのか、岸本知事にお伺いします。
○議長(濱口太史君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 知事岸本周平君。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
 まず、和歌山こどもまんなか大会に御参加をいただきましたことに御礼を申し上げたいと思います。その上でお答えをしてまいります。
 6月に、国においてこども未来戦略方針が決定されました。三栖議員御指摘のとおりであります。この方針に合わせまして、国、県、市町村が一体となって着実に子供施策を実施していくということになります。また、今月、国におきましてこども大綱が策定される見込みですけれども、和歌山県としては、これらを勘案いたしまして、2025年度から5年間の計画期間で県のこども計画を策定する予定にしております。
 県こども計画は、子育て支援、母子保健、子供の貧困対策、子供の虐待防止、子供・若者育成など、子供や若者に関する施策の方向性や具体的な取組を策定するものになります。
 今後も、子供のために何が最もよいことかを常に考え、全ての子供たちが健やかに成長し、将来にわたって幸福な生活を送ることができるような社会の実現を目指し、県こども計画に盛り込む施策を着実に実施してまいる所存でございます。
○議長(濱口太史君) 三栖拓也君。
  〔三栖拓也君、登壇〕
○三栖拓也君 岸本知事に御答弁いただきました。
 和歌山にとって子供たちは宝であります。これからの日本を担う希望でもございます。子供たちが主役という「こどもまんなか」の考え方を、私自身も含めてですが、もっと強く発信していくことが重要だと考えます。
 ただいまの御答弁にもあるとおり、和歌山県としても、県こども計画の策定を予定しているということですので、子供を取り巻く環境を真剣に考えて、これまで以上に子供のための施策を推進していただけるようにお願いを申し上げます。
 それでは、次の質問に移りたいと思います。
 先ほどの質問でも触れましたこども未来戦略方針の中で、政府として若者・子育て世代の所得を伸ばすことに全力で取り組むとあります。さらに、次元の異なる少子化対策として、構造的賃上げ等と併せて経済的支援を充実させ、若い世代の所得を増やすこと、また、社会全体の構造や意識を変えること、全ての子供、子育て世帯をライフステージに応じて切れ目なく支援すること、これらの三つを基本理念として抜本的に政策を強化するとしています。
 このように、政府は、経済成長の実現と少子化対策を車の両輪として進めていくことが重要であると訴えています。私は、少子化対策のこの三つの基本理念に基づき、和歌山県でも取り組むことができる内容があると考えます。
 例えば、こどもまんなか応援サポーターという取組がございますが、こちらは、子供たちのために何が最もいいのかを常に考え、子供たちが健やかで幸せに成長できる社会を実現するこどもまんなか宣言の趣旨に賛同していただいた方が参加できる取組です。もちろん、私もこの趣旨に賛同し、こどもまんなか応援サポーターとして、様々な機会で子供が社会の中心となるよう、気配りやアクションを実施しているところでございます。
 大がかりな準備や申請、登録などの手続は不要です。個人のほんの僅かな意識の変化で実践が可能となります。社会全体の構造や意識を変えるには時間がかかりますが、行動を始めなければ何も変わりません。公共交通機関でベビーカーを優先したり、トイレの待ち行列などで子連れに順番を譲ったり、今日から実践できる内容ばかりですので、ぜひ皆様もこのこどもまんなか応援サポーターに参加していただければと思います。
 もう少し制度に踏み込んだ部分では、こども誰でも通園制度(仮称)の取組なども、ぜひ進めていただきたいと思います。こども家庭庁は、本格導入に向けて、来年度には全国の150程度の自治体で新たなモデル事業を行うことを発表しています。現行制度では、保護者が就労していることを条件に保育園などが利用できますが、専業主婦──これには男性も女性も含みますが──や育児休業中の人は、保育園へ子供を預けるということができません。一時預かりの仕組みが導入されていない自治体もあり、育児の負担が大きいと感じる世帯も多いと思います。この新たな制度は、保護者の就労有無にかかわらず、ゼロ歳から2歳までの子供について文字どおり誰でも通園できるもので、時間単位での利用が検討されているところです。
 私ごとになりますが、我が家においても、つい先日、保育園などの入園に関する届出を行いました。入園に当たっては、保護者の就労状況を詳しく記載するフォーマットの存在や、場合によっては勤務先での就労証明が必要だということを初めて知り、保育園などの利用に対するハードルが想像以上に高いことを実感したところです。
 たとえ仕事をしていなくても、育児は大きな負担がかかるものです。特に初めての育児や知らない土地で相談できる知人、友人がいない状況であればなおさらです。保育園などを誰でも利用することができ、育児の中で孤独を感じることがないよう気軽に保育士さんに相談したり、子供を預けてつかの間の息抜きができる環境であれば、大変ありがたいものです。子育て奮闘中のイクメンの一意見として受け取っていただけますと幸いです。
 このように、和歌山で暮らす子供たちや子育て世代に対して、国の施策だけではなく、県としてもできることがあると考えますが、岸本知事の御所見をお伺いいたします。
○議長(濱口太史君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
 こども未来戦略方針を踏まえ、県としても、仕事も家庭も大切にしながら働き続けることができ、無理なく子育てできる環境づくりや、子供の居場所づくりなど、子供や子育て当事者に優しい社会づくりに取り組む方針であります。
 このような社会をつくるために最も必要なことは、重要なことは、男性は仕事、女性は家事・育児といった固定的な性別役割分担を押しつける意識、昭和の意識ですね、こういうものや社会の構造を変えることが重要である、必要であると考えております。
 したがいまして、三栖議員にも御出席いただきました働き方改革などを講演テーマとした和歌山こどもまんなか大会などを開催するといったことで、機運醸成を図っております。
 特に県内企業等に対しては、10月に創設した和歌山こどもまんなか応援団への参加を呼びかけ、子育てしやすい職場環境の整備や、地域における子育て応援に関する取組の促進を図っておりますし、和歌山県庁内でも、我々自身、職員の皆さんが子育てしやすい職場環境になるように、みんなで今力を合わせているところであります。
 子供や若者、子育て当事者の意見を聞きながら、あらゆる取組、政策の中心に子供や若者を据えるこどもまんなか社会の実現に向けまして、本日、子育て奮闘中のイクメンの三栖議員から御提案いただいた内容を参考にさせていただきまして、子供政策を強力に推進してまいりたいと思います。
○議長(濱口太史君) 三栖拓也君。
  〔三栖拓也君、登壇〕
○三栖拓也君 岸本知事に御答弁いただきました。
 ただいまの御答弁の中にあるように、社会の意識や構造を変革していくことが本当の意味で根本であり重要であると感じます。先ほども述べさせていただいたとおり、一人一人の心がけを広げていくよう、私も引き続き取り組んでまいりたいと思います。
 また、加えてのお願いとなりますが、新しい制度や仕組みができた際に、それを必要としている方々にきちんと伝わって利用していただかないと、せっかくつくった制度の意味をなしません。国では、デジタル技術を活用したプッシュ型の通知方法なども検討されているということですが、2030年までという時間の制約がある状況下においては、方式を問わず、スピード重視で、たとえアナログな方式でも構わないので、新しい制度や仕組みを必要とする方々へ漏れなくアナウンスできるようにしていただければと思いますので、重ねて御要望させていただきます。
 それでは、次の質問に移りたいと思います。
 続いては、大項目二つ目の地域の子供支援についての質問に移りたいと思います。
 子供は、地域の宝と言いますが、私の暮らす周辺でも、最近は子供の遊ぶ声を聞く機会が少なくなってしまいました。少子化が進んでいることは事実として間違いがないのでしょうが、子供たちのよりどころとなる場所やコミュニティーも少なくなっているような気もいたします。やはり地域の発展には、次世代を担う存在が不可欠です。子供たちが元気いっぱいで健やかに成長できる環境をつくるのが、我々大人の使命ではないでしょうか。
 岸本知事が力を入れておられる子供食堂も、その環境づくりの一助となる取組であると考えます。和歌山県のホームページで公表されている数字を見てみますと、令和5年10月末時点において、57か所の子供食堂が開設されています。岸本知事就任後、子供食堂に対する補助事業の強化など、さらなる増設に向けて励んでおられることは見てとれます。
 県が把握する範囲において、令和5年10月末時点で、西牟婁郡における子供食堂の数は2か所でございます。運営されている方にお話を伺うと、幾つかの興味深い示唆をいただきました。こちらの食堂は不定期開催で、毎回100食のお弁当を準備しているそうでございます。これは、先着順の事前予約制になりますが、SNSで開催を告知すると、すぐに予定数の申込みがあり、必要とされている方が多いなということを実感されるとのお話でした。また、利用者の中には、子供だけではなく大人も含まれているとのことで、子供食堂という名前ですが、世代を超えたニーズがあると感じます。
 一方で、過去には弁当配布形式から、食堂での食事提供形式に変えたところ、30食程度しか利用がなかったそうです。周囲の目を気にされる方が多く、子供食堂の在り方に対する誤解も多いのではとのお話をしてくださいました。
 9月議会において、堀議員の質問に対する知事の御答弁の中で、子供食堂という名前ですけれども、おじいちゃん、おばあちゃんも近所の地域のコミュニティーの集まる場として、子供を真ん中に置いた上で、3世代、4世代の集まりをつくるという趣旨であると述べられており、県民の皆様に子供食堂の意義を正しく理解していただく必要があると考えます。
 地域の新たなコミュニティーとしての役割や、皆で食事を共にするという食育の観点からも、必要な存在になりつつあると感じます。子供食堂を始めてみたいがどこから手をつけたらいいのか分からない、食材の調達や人手不足などが心配、初期投資に費用がかかるといった悩みを抱えた方も多くいらっしゃいます。
 そこで、御質問です。
 県として、子供食堂のさらなる普及、推進を行うために必要な活動支援について、岸本知事にお尋ねいたします。
○議長(濱口太史君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
 ただいま三栖議員から御指摘をいただいたとおり、子供食堂は県内でも広がりを見せております。現在、県が把握しております子供食堂の数は、先ほどおっしゃっていただきましたとおり、本年10月末現在で16市町57か所となっております。
 県では、全ての子供たちが安心して地域の大人とつながる居場所として、また地域交流の拠点として、全小学校区への子供食堂の設置を目指しております。
 また、今、三栖議員から御指摘をいただきましたとおりでして、子供食堂という名前は子供が入っているんですけど、これは子供のための食堂ではありません。まさに、おじいちゃん、おばあちゃん、お母さん、お父さん、3世代、4世代の地域のコミュニティーの人が集まる場として、中心が子供というような形の趣旨であるということは、より一層県民の皆様にも御理解いただきたいと思っております。
 今年度、食堂の新規開設に必要な設備・備品、あるいは食堂において学習支援や多世代交流を行うために必要な備品などの購入費用に対しまして、上限はありますけれども、全額県で支援する補助事業を実施しているところであります。
 子供食堂は、ボランティア団体などの地域団体によって運営されており、継続して運営していくには、地域の多くの関係者、団体等と連携していくことが重要であります。そのため、県では、来年1月に子供食堂の現状や役割を広く知っていただくため、認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえの理事長・湯浅誠さんを招いてセミナーを開催する予定であります。特にそこでは、先ほど申し上げました子供食堂という名前ではあるけれども、多世代の交流の場であるということを広く県民の皆様に周知していく予定であります。
 さらに、子供食堂が地域で継続して活動していけるよう、子供食堂を応援したい企業、市町村や社会福祉協議会等のネットワークの構築を支援し、食材や寄附のマッチング、子供食堂同士の交流やボランティア等の人材確保などの取組を進めてまいります。
○議長(濱口太史君) 三栖拓也君。
  〔三栖拓也君、登壇〕
○三栖拓也君 岸本知事に御答弁いただきました。
 子供食堂を運営している方、そしてこれから始めようとする方に対する支援はもちろんのことでございますが、子供食堂を応援したい企業や団体の皆様、多くいらっしゃると思います。こういう方々に対する子供食堂の取組の御理解だったり支援の呼びかけというのも、子供食堂との関係構築の支援、全体に関する中において非常に重要な取組であると考えます。
 そして、また今後、拠点数が増えてくれば、行政だけでマッチングの支援など全てに対応するのは困難になってくると予想がされます。むすびえ様のような外部のサービスをうまく活用していただきながら、円滑な食堂運営を目指すことについては、大変有意義な取組だと感じております。来年1月に予定されているセミナーに関しても、子供食堂について、より多くの方に活動の中身を知っていただくいい機会となると思いますので、ぜひとも県のほうから十分に情報発信をしていただきたいと思います。
 いずれにしましても、子供食堂の拠点が増えること、地域にとって当たり前の存在になることが重要だと考えています。近所に拠点がなくて、利用したくてもできないという方や、周囲の目を気にして我慢を強いられている方など、子供食堂を本当に必要とされている全ての方に利用していただけるよう、さらなる拠点増加に向けて取り組んでいただきたいと思います。
 それでは、最後の質問に移りたいと思います。
 近年、いじめや暴力行為、不登校といった児童生徒の問題行動が増加しています。文部科学省から発表されているデータによると、令和4年度のいじめの認知件数は68万1948件であり、前年度に比べ6万6597件、10.8%が増加しています。さらに、不登校の児童生徒数は10年連続で増加し、令和4年度は29万9048人であり、前年度から5万4108人、22.1%増加し、過去最多となっています。
 文部科学省は、「新型コロナウイルス感染症によって学校や家庭における生活や環境が大きく変化し、子供たちの行動等にも大きな影響を与えていることがうかがえる。人と人との距離が広がる中、不安や悩みを相談できない子供たちがいる可能性があること、子供たちの不安や悩みが従来とは異なる形で現れたり、1人で抱え込んだりする可能性があることも考慮する必要があり、引き続き周囲の大人が子供たちのSOSの早期発見に努め、組織的対応を行い、外部の関係機関等につなげて対処していくことが重要である」としており、学校や家庭だけではなく、悩みや困り事を相談できる外部組織の重要性が増していくと考えられます。
 そのような状況の中、本年5月、紀南地方で初めてとなる児童家庭支援センター「くまのっ子児童家庭支援センターのこのこ」が開所されました。和歌山県児童家庭支援センター(紀南)事業実施要綱によると、支援センター事業とは、地域や家庭からの相談に応ずる事業、市町村の求めに応ずる事業、都道府県(児童相談所)からの受託による指導、里親等への支援、関係機関等との連携・連絡調整、その他地域の児童、家庭の福祉の向上を図るために必要な事業と、まさに学校や家庭における様々な困り事の相談先として幅広い活動が行われています。
 5月の開所以来、既に多くの相談や支援を行っており、10月末時点で約80ケース、延べ約210回の相談や支援を実施しています。事業日数が123日という中における発生件数としては、かなり高い頻度で相談を受けたり支援を行っている状況であると想定します。
 しかし、実際の現場では、限られた予算や人員で紀南全体をカバーする必要があり、今後も増えていくと想定される相談や支援件数に対し、これまでのように活動を継続していくことが難しくなっていくのではないかと不安を覚えます。和歌山に暮らす子供たちや子育て中の親が抱える悩みや困り事に寄り添いながら、よりよい方向に導いていく児童家庭支援センターの存在は地域にとっては欠かせないと考えますが、県として期待する役割や今後の活動内容について、どのようにお考えか、福祉保健部長にお尋ねします。
○議長(濱口太史君) 福祉保健部長今西宏行君。
  〔今西宏行君、登壇〕
○福祉保健部長(今西宏行君) 児童虐待やいじめ、不登校など、児童や家庭の抱える悩みが複雑多様化する中、児童家庭支援センターは、社会福祉士や臨床心理士を配置する専門機関として、地域において重要な役割を担っています。
 また一方で、児童相談所や市町村などの公的機関に相談することをためらう県民にとっても、気軽に相談できる身近な機関として、児童家庭支援センターは大切な存在と認識しております。
 新たに設置されたセンターにおいては、教員経験者がスタッフとして常勤しているため、いじめや不登校などの問題についても、学校と緊密に連携して支援を実施しています。
 今後、相談件数が増加しても、児童家庭支援センターが一つ一つの事案に対し、しっかりと対応ができるよう、関係機関と連携を図りながら運営してまいります。
○議長(濱口太史君) 三栖拓也君。
  〔三栖拓也君、登壇〕
○三栖拓也君 ただいまの福祉保健部長の御答弁の中で、県としても、児童家庭支援センターの担う役割が今後さらに重要になってくるとのお考えを示していただきました。立ち上げの支援、これはもとよりなんですけれども、来年度以降も継続して運営していけるように、財源確保に向けて努力をしていただけますことをお願い申し上げます。
 最後になりますが、やはり和歌山の明日を担う子供たちのために、県としても全力投球で臨んでいただきたいと思いますし、やはり国が緊張感を持っていろんな施策を打ち出している中で、各都道府県、地方がそれに追いついていかなければ、地方の未来はないと思いますので、同じ熱量、それを超える熱量で取り組んでいただけますことをお願い申し上げて、私の一般質問とさせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(濱口太史君) 以上で、三栖拓也君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時18分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○議長(濱口太史君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 25番谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕(拍手)
○谷口和樹君 皆さん、こんにちは。25番谷口和樹でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、早速質問に入ります。
 1点目の小項目の1です。
 和歌山県で多様な個性を持つ方々、特に聴覚障害がある方々も参加するインクルーシブダンスユニットへの支援についてお伺いをいたします。
 私は20年近く、地域の野外イベントで舞台の裏方というのをずっとやってきています。この経験から、舞台芸術が演者だけでなく、裏方や観客にも大きな影響を与え、地域文化の育成に貢献していると感じています。
 特に障害がある方々も一緒に参加するイベントは、新しい価値観や感動を提供し、社会全体の多様性と包括性の促進に貢献をしています。
 来年開催の東京ガールズコレクションの支援メニューの中で、障害がある方々もプロの指導を受け、多様なメンバーと共にダンスの大きな舞台に立たれるということですが、本当にすばらしいと思います。
 障害のある方々に、華やかな舞台に立つ経験と一生残る感動を経験する機会をつくる。また、多様な障害や個性がある方々も参加するインクルーシブユニットの生み出す新しい価値観や感動を観客、県民と分かち合う。
 このような点で重要と評価して、ファッションショーという民間のイベントであっても社会的意義のために行政支出を決断したことは非常にすばらしく、そして、非常に共感するところでございます。
 障害のある方々も参加するインクルーシブユニットのダンスなどのステージを使っての活動は、それを見た障害のある多くの方々の社会参加を促進したり、インクルーシブという行為自体が地域社会に新しい価値観をもたらすための大きなインパクトを秘めています。
 先日、SDGsをテーマにした野外イベントで、「いんくるーじょん」という聴覚障害のある方々も参加するインクルーシブユニットのダンスステージを見ました。
 田辺を含めた関西出身の5人は、ステージ冒頭、彼、彼女たちのうちの3人が、生まれつき耳が聞こえないこと、そして、多様な五つの個性がつくるステージをぜひ見てほしいと手話を交えてありました。演技は15分でしたが、終了後の観客は、初めて経験するインクルーシブが生み出した感動に立ち上がり、拍手や声援がなかなか鳴りやまないくらいすばらしいパフォーマンスでありました。
 ふだんは各自インストラクターやプロのバックダンサーで活躍する5人で、このとき初舞台でしたが、インクルーシブという行為で生み出した新しい価値観の感動に自分たちも驚いているようでした。
 東京ガールズコレクションやこのようなステージ自体のすばらしさ、そして、インクルーシブユニットのすばらしさはここまで述べたとおりですが、これらを見て、自分たちもインクルーシブユニットに挑戦しよう、イベントやワークショップを企画しようという人たちが生まれることが大いに期待されます。
 しかしながら、その場合、いきなり大舞台ではなくて、まず、自分たちの小さな舞台活動から始めると思いますが、そのようなときに背中を押し、これらの取組を実現するためには、TGCのような大型補助ではなく、小規模で効果的な支援制度というのを設けることが必要だと考えます。
 インクルーシブユニットにもいろいろな形がありますが、特に実際今回体感した聴覚障害のある方も参加するインクルーシブダンスユニットに焦点を当てた支援を提案したいと思います。
 ちなみに、現在、文化・スポーツ振興助成事業というものがありますが、民間に対する規約が厳しく、小規模イベントには手続や報告の負担が大きいところです。この部分は、東京ガールズコレクションなどもそうですが、民間イベントには条件が厳しいということになっています。
 和歌山県で聴覚障害がある方々も入ったインクルーシブダンスユニットの舞台やワークショップなどを主催者が自主的に申請できるような活動支援制度を、小規模でもいいので設けることはできないか、知事にお聞きをいたします。
○議長(濱口太史君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 知事岸本周平君。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
 議員おっしゃるとおりでして、インクルーシブという行為自体が地域社会に新しい価値観をもたらす大きなインパクトを秘めていると御指摘されました。全く同感でございます。その上で、谷口議員御説明のとおり、ハイレベルなパフォーマンスなどを見たり、あるいは指導を受けたりすることは、障害のあるなしにかかわらず、全ての人にとって貴重な機会であると考えております。
 また、同じ聴覚障害のある方のパフォーマンスを見ることで、「聞こえない」を解消してきた工夫などを肌身で感じたり、出演者への憧れから、自身の夢として努力される方も当然おられると思います。
 そして、障害のある方の文化芸術活動を支援すべきであるという谷口議員の御指摘について、私も全く同感であります。
 今年の3月に和歌山県立和歌山ろう学校の卒業式に出させていただきました。卒業生の皆さん、あるいは在校生の皆さんの本当に堂々とした立ち居振る舞いを見て、感動いたしました。ぜひ応援していきたいと思います。
 その上ででありますけれども、県としては、表現者の方々が障害の有無にかかわらず、すばらしいパフォーマンスを発揮できる機会を創出したいと考えております。その機会を障害があっても一緒に見て、楽しめる社会を目指していきたい。まずは障害のあるなしにかかわらず、同じようにいろんな機会を得ていただきたい、その環境を整えていきたいということであります。
 その一環として、先ほども御指摘いただきましたけれども、9月の定例会で御承認いただいた「TGC(東京ガールズコレクション) WAKAYAMA 2024」の舞台において、障害のあるなしや性別などにかかわらず、多様性を認め合い、県民一人一人が輝ける社会を表現したいと思って努力をしているところであります。
 県としては、障害のある方、とりわけ一つの障害に特化したような支援制度というのは現在のところ考えておりませんけれども、全ての方、障害のある方もない方も一緒に文化芸術の活動に取り組めるよう、しかし、谷口議員の御指摘もありましたので、今後いろんな工夫を重ねながら、引き続き支援をさせていただければと考えております。
○議長(濱口太史君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 多くの障害のある方々に、たくさん舞台に立って経験をしていただきたいので、この1回、TGCも含めて、よい機会がありますので、今後また裾野が広がるように、そして、そもそも頑張っていられる方々もおられますので、ぜひともこれからも御支援よろしくお願いいたします。
 それでは、二つ目の質問に入ります。
 アップサイクルファッションショーへの支援について質問します。
 アップサイクルの推進と才能発掘や見た人へのインパクトといった様々な点で効果的なファッションショーへの支援を、自主的に申請するための支援ができないかという質問です。
 アップサイクルとは、捨てられるものに新たな価値観を与えて再生することで、持続可能な社会に貢献する手法です。アップサイクルは、リサイクルやリメイクとは異なり、元の製品の素材を生かしながら、付加価値をつけて別の製品として生き返らせることが特徴です。例えば古着の生地を使った縫いぐるみ、古いタイヤを使ったプランター、はかなくなったジーンズを使ったトートバッグなどです。
 アップサイクルは、循環型社会の実現に向けた取組の一つであり、SDGsの目標12「つくる責任、つかう責任」にも関連しています。アップサイクルに取り組む企業や個人が増えていることから、アップサイクルは今後ますます注目されることだと考えます。
 このようなアップサイクルした舞台衣装や撮影衣装を使ってファッションショーを開催されている方々がおられて、せんだって見せていただく機会がありました。
 プロデューサー兼デザイナーである湯川晴美氏は、田辺市在住であります。
 見せていただいたファッションショーは、要らなくなった高価な着物や服、大量に廃棄されるプラスチックを捨てる前にファッションショーの衣装としてステージで披露して「もう一花咲かそう」というコンセプトから、ファッションショーのタイトルは「ひとはな」とつけられていました。通常のアップサイクル製品ではなく、撮影にも使われる舞台衣装ですので、非常にあでやかでファッショナブルでありました。
 しかも田辺市で開催されたことから、各衣装に「紀南地方のすばらしさ」をテーマに、南方熊楠が生涯をささげた粘菌や闘鶏神社の紅白の鳥などをテーマにしたすばらしい衣装でありました。
 また、3歳から75歳まで、老若男女を問わない17名のモデルは、子育てのママさんから小さなお子さん、義足の講師をされている方、車椅子で政治家をされている方、様々多様なメンバーでありました。
 アップサイクルの社会的な意義や効果は今述べたとおりでございますが、和歌山にとってもファッションショー自体の意義や効果、可能性もあります。
 例えば地域経済の活性化とともに、和歌山県独自の文化や伝統を取り入れたファッションを披露することで、県の文化や伝統を広める機会になります。また、地元のデザイナーやアーティストにとって、作品を披露する大きな舞台となり、新しい若者たちの才能を発掘したり、育成する場としても機能します。また、ファッションショーを通じて、和歌山県のブランドイメージを構築することもできます。
 そこで、和歌山県内でのSDGsとアップサイクル推進啓発の観点から、アップサイクルファッションショーの主催者が申請できるような支援制度を設けることはできないか、また、こういった方々に大阪・関西万博など、大型イベントで活躍する場を提供できないか、知事にお聞きをいたします。
○議長(濱口太史君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
 県では、廃棄物の排出を抑制し、資源の循環利用を促進するため、リデュース、リユース、リサイクルの3Rを推進しているところであります。
 特に再生品の利用促進に関しては、主に県内で発生した廃棄物を原材料とした製品などを認定し、廃棄物の減量、再資源化を図る和歌山県リサイクル製品認定制度を設けております。さらには、県の物品調達において、エコマーク認定製品の優先調達などにも取り組んでいるところであります。
 谷口議員御指摘のとおり、アップサイクルの推進は、捨てられるものに新たな価値を与えて再生することで、循環型社会の推進に大いに貢献するものと認識しております。
 県では、アップサイクルの推進について、まずは和歌山県リサイクル製品認定制度などを活用しつつ、県内のアップサイクルの取組状況などの把握に努めてまいります。
 一方で、現時点ではアップサイクルのファッションショーに特化した何か制度をつくるということよりも、いろんな、県でイベントの補助とかございますので、そういうところに一つの類型として応募していただくような道があるのかないのか、少し研究をさせていただきまして、その上で新たな支援制度が必要かどうか検討してみたいと考えます。
 それで、大阪・関西万博でありますけれども、今お聞きしてまして、ぜひ出ていただきたいと思いました。参加型の万博を目指しておりますので、例えば関西パビリオン内の私どもの和歌山ゾーンもパフォーマンスの広場を造る予定ですので、そこでぜひやっていただければと思いますし、また、万博会場内でのその他の催事場でいろんな催事があります。これにもぜひ応募していただいて、我々も応援しますので、ぜひ大阪・関西万博でのパフォーマンスを期待しております。よろしくお願いします。
○議長(濱口太史君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 ありがとうございます。
 アップサイクルファッションショーのような新しい社会的意義のある活動というのが和歌山で生まれてくるというのは、本当にすばらしいことではないかと思います。ぜひとも、今はないということなんですけども、そういう新しい活動というのを後押しするというのも行政の役目かなと思うので、いずれまた考えていただいたらありがたいなと思いますのと、万博ですけども、ぜひ参加するようにお願いしてみたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
 それでは、三つ目の質問に入ります。
 パラスポーツコミッションについて質問します。
 このスポーツコミッションとは、スポーツ合宿の誘致を行う団体です。2012年の9月議会一般質問で、スポーツ合宿誘致推進とスポーツコミッションの設立について質問をさせていただきましたが、例えば紀南では、2013年に南紀エリアスポーツ合宿誘致推進協議会が設立され、その後、西牟婁振興局地域振興部企画産業課が事務局を持って、数々のトップクラスの合宿誘致というのを次々成功させてきています。企業や学校の合宿も数々受け入れたり、経済効果だけでなくて、スポーツ振興にも大きな成果を上げています。
 現在もパラスポーツの合宿受入れは十分やっていただいておりますけれども、特にサポート、スピード、負担軽減など、利便性のさらなる充実のために、スポーツコミッションのスキームでパラスポーツの合宿誘致に特化したパラスポーツコミッションというのを、障害者関係団体の力を借りながらつくれないかという、そういう質問でございます。
 理由は、やっぱり健常者のスポーツ合宿とパラスポーツの合宿、困ることがかなり違うので、そういうことが一つと、他府県にはないので、ぜひ先進モデルとして挑戦できないかと、そういう理由であります。
 まずは、和歌山県でも競技人口が少ないパラスポーツに特化した合宿誘致協議会の必要性を実際体験して感じたワクワクレスリング教室の話をさせていただきます。
 ワクワクレスリング教室とは、新宮出身のアトランタ五輪銅メダリストの太田拓弥先生が、早稲田大学のマットを使って18年前に始めたダウン症と自閉症の若者たちのためのレスリング教室です。
 この9月には、故郷の新宮市と那智勝浦町において、3日間の日程で合宿として開催され、初日の練習のお手伝いに伺いました。
 太田先生の指導もすばらしいのですが、選手たちのモチベーションが非常に高く、本当に楽しそうに汗をかき、最後は模擬試合をして盛り上がっていました。
 多くの県内のレスリング関係者や太田先生の御友人などのサポートで、ワクワクレスリングの合宿は滞りなく終了しましたが、それでも課題や気づきも多く、感じたことは、やはり事前に個々に応じた、合宿には様々な不安があり、必要なサポートも様々でありますので、障害者スポーツ団体の合宿に対して、地元の関係団体やヘルパーさんの協力を得たりするパラスポーツ専門のワンストップサポートの設置が必要ということであります。
 ちなみに、現在、大半の国内スポーツコミッションは、一部にパラスポーツの合宿を受け入れる窓口を設置しています。しかしながら、当然ですが、寄り添ったサポートを整えるには、やはり地元の障害者団体としっかり協議会を構成したパラスポーツ合宿専門のパラスポーツコミッションが必要であると考えます。
 現在、田辺スポーツパークは、平成28年3月に、陸上競技場がパラリンピック陸上競技のナショナルトレーニングセンター競技別強化拠点施設に初めて指定され、その後、令和4年4月以降も引き続き再指定され、強化合宿の際には、和歌山県立医大が競技者のフィットネスチェックやメディカルチェック等のサポートを行います。
 これで田辺スポーツパークは優れたトレーニング環境を有することを国内外に広くアピールするとともに、県内の競技者や指導者がトップレベルのトレーニングメニューや指導方法などを学ぶ絶好の機会となるのはもちろん、パラリンピアンとの交流を通じ、障害者スポーツに対する市民の理解も深めているわけですが、このように、実際西牟婁振興局に事務局がある南紀エリアスポーツ合宿誘致協議会のように、トップレベルのパラスポーツをサポートしている実績を持っているところもありますので、その実績をもって、県内全域でアマチュアのパラスポーツの合宿誘致協議会の設立も、ともに可能かと考えます。
 当然、経済効果だけでなく、様々な効果がもたらされるパラスポーツの合宿誘致ですが、和歌山県として、関係障害者団体と共にパラスポーツの合宿誘致に特化した全国初のパラスポーツコミッションを設置することはできないか、知事にお聞きをいたします。
○議長(濱口太史君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
 谷口議員御指摘のように、障害のある方が合宿などを行う場合には、スポーツを行っている時間や場所、その場面だけではなくて、障害の特性によりましては、宿舎など、食事もそうですし、いろんな面での配慮が必要となってくると存じます。
 そういう中で、障害に理解があり、専門的な知識を有する者のサポートがあるということは、合宿地を選定する立場からすれば非常に心強いものがあると思います。
 実は今月、山下泰裕さんのリードする日本オリンピック委員会(JOC)と県で協定を結ぶ予定にしておりました。少しおけがされたものですから1か月延びて、来月協定を結ぶんですけれども、その準備の過程で山下さんとお話ししていたのは、前回の東京オリンピック・パラリンピックが初めてと言っていいぐらいパラリンピックとオリンピックが一体化したということで、JOCとしてもパラ競技を一緒に盛り上げていきたいということでして、和歌山県としても、パラ競技を後押しするいいきっかけになるかなと思っておりました。その思いは、今お聞きしてまして、大変強くありました。
 そういうことですけれども、まず、今御指摘いただきましたように、南紀エリアスポーツ合宿誘致推進協議会でパラスポーツ合宿の実績がございます。この協議会と私どもの和歌山県障害者スポーツ協会などの県のいろんな関係団体と連携しまして、積極的にパラスポーツの合宿の受入れを進めていくと。その努力を積み重ねていく中で、その延長線上に、流れの中で、独自の独立したパラスポーツコミッションというようなものが設置できるかどうか、あるいはすべきかどうか、前向きに考えていきたいと思っております。
○議長(濱口太史君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いします。よいお話も聞かせていただきましたので、今後ともお取組をよろしくお願いいたします。
 それでは、次の質問に入らせていただきます。
 南紀白浜空港の活性化について御質問させていただきます。
 せんだって、石川県のクルーズターミナルの視察に行かせていただきました。その中で、児童向けの社会見学を受け入れるコーナーがありました。今までのターミナルの歴史や運転シミュレーター等の設置をされており、設置意義の啓発や施設の有効活用の点から、非常に有効かと感じました。
 そもそもなぜ空港が必要かということや、今までの県の先人の努力を伝えることは、地元の空港を大切にし、愛着を持つ心を地元の人たちや観光客に持ってもらうことにつながり、さらなる航空便利用増につながると考えます。
 南紀白浜空港に児童の社会見学などにつながる体験施設を造れないか、知事にお聞きします。
 また、石川県クルーズターミナルでは、様々なイベントにも待合スペースを利用できるように工夫をされていました。視察の際に説明を受けた後の立ち話で、担当の方と「ここなら結婚パーティーなどからそのまま新婚旅行などに船で旅立てるのではないですか」というような話をさせていただきました。そっくりそのまま空港の一角で結婚パーティーを空港でした後、出席者に見送られながら旅立つというシチュエーションも当てはまるのではないかと考えます。そのような空港内施設の利用の仕方についても知事にお聞きをいたします。
 また、オフィス機能が充実されることもワーケーションの先進地の空港として、利用客満足度を高める上で大事だとお聞きをしています。個人で使用し、時間貸しできるボックス型のオフィスや、LANでの高速通信やプリンターの設置なども今後必要な整備ではないかと考えます。南紀白浜空港のオフィス機能の充実について、知事にお聞きをいたします。
 また、記念便数や就航記念日に合わせて、離陸の機体写真などを、NFTを発行することで空港知名度やイメージアップをすることなどが考えられます。新しい技術による空港PRや収益化に向けてのルール整備について、知事にお聞きをいたします。
○議長(濱口太史君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
 今、南紀白浜空港の活性化につきまして、谷口議員からすばらしいアイデアをたくさんいただきました。本当にすばらしい提案をいただきましたので、ありがたい限りであります。
 現時点で、南紀白浜空港を運営している株式会社南紀白浜エアポートさん、岡田社長が率いていただいてますけれども、大変よく頑張っていただいております。今でも一般のお客様が立ち入ることのできない空港エリアの中ですけれども、離着陸する航空機や巨大な化学消防車などを間近で見学できるツアーを実施していただいたりしております。また、国際線ターミナルの中で本が読めるような、図書室みたいなアイデアも実施をしていただいております。
 これからはこういう、今、谷口議員がおっしゃっていただいたアイデアも含め、南紀白浜エアポートの皆さんから御提案をいただいたいろんなアイデア、これをぜひ我々としては応援していきたいということであります。
 今の具体的な例に加えて、例えば南紀白浜エアポートさんではピアノコンサートやトークショーなどのイベントもしていただいております。結婚パーティーもぜひできるような環境づくりは進めていければいいかなと考えております。
 また、空港内の設備についても、現状でも無料のWi-Fiが可能でありますけれども、今後ともビジネス客にも利用しやすい空港づくりを進めてまいりますが、これもまた民間活力といいますか、空港会社の御提案をいただきながら支援をしていきたいと思っております。
 それから、谷口議員御提案のNFTについても、これ全く賛成でありますので、研究をしていきたいと思います。
 このように、南紀白浜エアポートを中心に、いろんな関係者、主体が連携をいたしまして、空港利用者の利便性向上に取り組んでいるところでありますけれども、今後とも御指導いただきながら、しっかりと連携をしていきたいと思っております。
○議長(濱口太史君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 ぜひよろしくお願いいたします。ありがとうございます。
 それでは、最後の質問に入ります。
 デジタルリスクやデジタルトラブルから職員を守れるかという題で質問させていただきます。
 ということで、これデジタルリスクマネジメントについて聞いていきます。
 6月議会で質問もさせていただいたんですけども、その結びで体制についてもお話しさせていただきました。
 その後、せんだって、廃棄されたドメインが売買された後、未成年などには危険なサイトにつながるようになっていた件がありました。
 そこを振り返ってみると、6月にもうちょっと強くお話というか議論をしたらよかったなあと思いながら、反省するところもあるんですけども、知事が記者会見で「私どもの不行き届きで」と陳謝されているのをメディアで拝見しました。既に就任前に終わっていた事業で知事には若干どうしようもなかったことですし、今回聞くのも非常に忍びないんですけども、しかしながら、今後の県のデジタルリスクマネジメント、これからの組織や体制の在り方について質問するので、ぜひお付き合いをよろしくお願いします。
 ドメインは、インターネット上での住所のようなもので、ホームページを公開する際に欠かせないものです。
 今回、Go To Eatのドメインが事業終了後しばらくして廃棄され、その後、オークションで売り買いされて、別の業者の持ち物になりました。そこに立ち上げられた未成年に有害なサイトにアクセスされるようになっていたということです。
 このドメイン廃棄の問題についてですが、使用期限が切れたドメインを、再登録が可能になるタイミングを狙って第三者が取得する手法というのはドロップキャッチと呼ばれます。このドロップキャッチで行政機関などが大変な目に遭ったことは、国内では初めてではありませんし、デジタル技術が飛躍的に進歩したようなものでもなく、当時の県が、我が県で行われるコロナ対策の大きな事業ですから、危機意識があって、そのとき気づいて確認していれば簡単に防げた初歩的なミスだと考えます。
 このケアレスミスが国の機関、和歌山県も含めた全国の都道府県、信頼して委託した企業の間で起きたことというのは、非常にショッキングな出来事です。
 これらは初歩的なトラブルですが、県は、国と委託事業との契約といえども、このような大きな事業なのにドメインの廃棄手順を確認しようとしなかったのか。県はなぜトラブルが起きた場合の事業者との契約を確認しなかったのか。また、トラブル処理においては、いまだにホームページのみで、エンドユーザーへの注意喚起というのはなかなか行われていない現状です。
 加えて、デジタルトラブル処理というのは、事業担当部署がするのか。廃棄ドメインはほかにも幾つあって、それらは大丈夫かなど、再発防止とトラブル処理に当たっては、今後に向けて懸念点というのが多々残されています。
 県の情報通信の技術者個々の能力が高いというのは十分存じています。では、能力が高いにもかかわらず、なぜ県がドロップキャッチのリスクや廃棄の契約などを見逃したのか。それは当時の組織に、気づくための役割を与えていなかったからだと考えます。
 当時の組織に、重大なデジタルトラブルが起こらないように目を光らせたり、トラブルが起こった際に、二次被害が拡大しないようにエンドユーザーである県民への対応をするといった電子化された事象のリスクマネジメントをする部署、デジタルリスクマネジメントの部門がなかったからだと考えます。
 もし当時の組織に単純な「事業が終わった後、ドメイン廃棄をどうするの」とチェックする役割を与えられた部署があれば、公的機関が使うLG.JPのドメインを使わない委託事業のほうがはるかに少ないのですから、ドメイン廃棄は未然に防げたはずだと考えます。
 もしまた、万が一のトラブルに備えて、デバイスを持つエンドユーザーに注意喚起する仕組みを事業者に課しているのかと担当者に確認できていれば、今のようにホームページの掲載だけで未成年などのエンドユーザーが危険なまま放置されることはなかったと思います。
 ちなみに、先ほどドロップキャッチの悪用で第三者に取得されたドメインは、少し例を挙げると、以下のような方法で悪用されることがあります。
 まず一つ、コピーサイトの作成からの詐欺被害。事前に元のページとそっくりの、元のページのデータを複製して、もともとのサイトそっくりのコピーページを用意します。その後、そのドメインが廃止するのを待ち、オークションでこっそりドロップキャッチをします。その後、用意しておいたコピーページとドメインとをくっつけて、あたかも一時期見れなかったサイトが復活した、そのように見えるようにつくります。
 そうとは知らずに、ブックマークに登録していたものを久々に開いたユーザーがその偽サイトにアクセスしてしまうと、ドメインやURLが合っているから、そこでチケットや商品を購入してしまう、個人情報を入力してしまう等、クリックの詐欺被害に遭ってしまいます。
 もう一つ、メールアドレスの詐称からのクレジット被害。ドメインが取得されると、そのドメインに関連するメールアドレスも新たにつくることができます。通常はどのようなメールアドレスがつくられているかは分からないはずですが、第三者が当たりをつけてアカウントを量産したり、既に公開されているメールアドレスをつくることで、送付されたエンドユーザーは知らず知らずにアクセスしてしまい、情報が漏れてしまう可能性があります。
 宅配大手から荷物の不配や金融機関からクレジット番号の漏えいを語ったメールのアドレスに大手の会社の名前が入っていたりするので、アクセスして言われたとおりに記入すると請求されているといった、このような詐欺というのはこの類いかと推察します。
 Go To Eatの場合は、1のように、以前Go To Eatを購入された方々がホームページでチェックするなどしてドメインをブックマークしており、知らずにアクセスした際に、同じようなGo To Eatの新しいキャンペーンが次につながったサイトに用意されていた。うっかり購入して、押してしまって詐欺に遭うということは容易に想像できます。
 こういった場合、県のホームページに掲載するだけでは、未成年が分からずアクセスしてしまい、金銭や違法なビジネスに巻き込まれるかもしれません。
 そのために、このようなトラブルが起こった場合に備え、事業者に直接エンドユーザーへの注意喚起の仕組みを課すべきであり、そうすればすぐに二次被害にも対処できるということです。
 今回できていませんけれども、今後は必ず行政ドメインであるLG.JP以外を使う民間委託の場合は、契約時にドメインの廃棄の際のルール、トラブルが起こった際の直接エンドユーザーに周知する責務を受託企業に含めて課しておく、そうするべきだと考えます。
 また、今後、デジタル時代の進展に伴い、地方自治体も多様なデジタルリスクとそのデジタルトラブルに直面することが考えられます。そのトラブルが起こったときの処理の仕方に、今回も担当事業課が窓口になっていますが、担当事業でトラブルが起こった際に、あまりにも不慣れなトラブル処理や長時間対応をするのが担当する職員だとするならば、処理に大きな心身ともの負担が起こるというのは確実かもしれません。
 また、そうだとするなら、万が一のトラブル処理を自分がしょい込むことを恐れて、安心して働けないのではないかと考えます。
 和歌山県が今後のさらなるデジタルリスク、そして、デジタルトラブルから職員を守るためには、事前のリスク管理と事後のトラブル処理の役割について、今までの組織から見直しが不可欠で、今後、AI駆動型言語処理システムなどの急速な技術の発展が進むデジタル化社会から職員や行政組織を守っていくために必要不可欠なステップであると考えます。
 現在の体制で、ここからです、現在の体制で情報漏えいなどのデジタルリスクに対応できるか、また、現在の体制でデジタルトラブルが起こった際の処理と対応から職員を守れるか、知事にお聞きをいたします。
○議長(濱口太史君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
 まず、初めに申し上げておきたいんですけれども、Go To Eatのドメインにつきましては、この事業は農林水産省の委託事業として実施されているものであります。
 したがいまして、県の直接の関与自体はないんでありますけれども、しかし、事の重要性と、さらには食事券の発行事業者の公募は、和歌山県単位で行われております。県民、国民から見たら、もう明らかに和歌山県が関わっている公的なサイトだというような受け止め方があると思いましたので、私のほうからは、まず、関係性のないサイトに悪用されておりましたので、そのことをいち早く防ぐために、まずもって県民の皆様へおわびし、注意喚起を早急にさせていただいたという経緯がございます。
 それから、今、谷口議員がるる御質問されましたインターネットの利用に伴う様々なリスクにつきまして、これは本当におっしゃるとおりだと思います。総務省のガイドラインや注意喚起を踏まえ、そのような脅威から対策をしっかりと講じていかなければならないというふうに改めて感じました。
 その上で、現在県庁内では、このような対策を行う管理体制につきましては、情報セキュリティポリシーにおいて組織の役割と責任を定めております。直接対策を行う立場として、統括情報セキュリティ責任者を置いております。そして、情報基盤課長が統括をしているということであります。本日、谷口議員から御指摘された点を踏まえ、しっかりと担当者を指導してまいりたいと存じます。
 それから、内部からの情報漏えいなどのリスクについての御質問がございました。今後は職員のリテラシー向上を図るために、委託事業者を含め、情報セキュリティポリシーの徹底と情報セキュリティーに関する研修を行うなど、しっかりと努力を重ねていきたいと存じます。また御支援を賜れればと、お願いいたします。
○議長(濱口太史君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 それでは、再質問をさせていただきます。
 今、御答弁いただいた中で気づいた点なんかも挙げながらですけども、全体の話として、先週時点での注意喚起というのは、農水省が事業主体ですので、そのホームページによって注意喚起というのはされています。県も当然ホームページに載せているんですけども、未成年を含むエンドユーザー、皆さん携帯持ってふだん生活していると思うんですけども、実際持っている方々に今回の事象というのが伝わっているかというと、ほぼほぼ、どのぐらいの割合か分かんないですけども、未成年に有害なサイトというものに照らし合わせると、若い子にどんだけ伝わっているかと考えると、やっぱりあんまり伝わっていないと思うんですよね。
 当然、やっぱりエンドユーザーへの注意喚起というのを直接するというのは、往々にして普通なんじゃないかなと思うんです。自分は今まで車のメカニックなんかの経験をしているんですけども、車の、例えばリコールなんかだと、直接ユーザーに危険性というのがぱんと行くわけですよね。
 それと同じように、やっぱり今回のデバイスを通じたリスクみたいなものは、若い子から取り除けたんかというと、実際取り除けないと思うんですよね。
 そういう意味では、県は県の自分の立場があって、農林水産省が事業主体と言われるかもしれないですけども、そういうことも含めて、実際のところ、今、エンドユーザーに行っていないというのもちゃんと理解しながら、それでも適切だと言うてる、この心持ちというか、そういうところにはすごく懸念を抱くわけです。
 実際エンドユーザーへの注意喚起というのは今、ほぼほぼないわけなんですけど、それを直接県が関わってやれる方法というのは、紙媒体であったりとかSNSであったりとか、いろんな方法であるとは思うんですけども、実際農水省に事業主体があるということで、任しています。それでエンドユーザーには連絡が行くことがないと。
 それは県も分かっているという中で、何でやっぱりそんなになるのかなと。こういうことを考えると、やっぱり一番最初、起こったことは仕方ないんですけど、最初にこのドメインのこの廃棄に関して、チェックするのを見落としていたと。それを見落としているというのを認めることであったり、その責任を負うことであったり、それが、責められたくなくて、実際「農水省が事業主体です」と言われている今の状況からすると、農水省が悪いとするから、後始末も農水省となることで、県民のこの注意喚起が置き去りになっていると。実際県民が守れてないんじゃないかというのが僕の意見なんです。そういうことになっているんじゃないかと。
 知事の新体制で、やっぱり一番改革しなければならないというのは、以前から続く小さな縄張りの保身体質じゃないかなと思うんです。これが一つ思うところです。
 また、もう一つ、職員の問題ですけども、職員のデジタルリスクについてですけども、内部のデジタルリスクに対しては、セキュリティポリシーの徹底とセキュリティーの議員研修ということですが、職員個人の能力を鍛え上げて漏えいなどのリスクに対処しますと、それはそれでいいと思うんですけども、そういうことが今考えていることだとするならば、トラブルが起こったら、完全に自己責任の個人任せで、この職員というのは守られていない状況だと思うんです。
 これもトラブル処理という役割を担当部署に与えていないので、その担当部署が、次のトラブルが起こったときの責任回避だと思うんです。これも同じ。小さな縄張りの保身体質なんじゃないかなと思います。
 知事は組織改革で、いつもトライアンドエラーと言われますけれども、この以前からの体質のままだと、職員はエラーしたら大変な目に遭うの分かっているので、分かっていながらトライせよということになると思うんです。
 その知事の思いというのが実現するとしたら、何回も何回もトライすることで満身創痍になると思うんですよね。そうじゃなくて、やっぱり今までの古い、小さな縄張りの保身体質というのをぜひ変えていただきたいなと思っています。
 せっかくなので、部長級の皆さんもおられる、座られているので考えていただきたいのですけども、当局の部長級の皆さん、皆さんも多くの職員を部下にお持ちだと思います。デジタル技術がどんどん進化していく中で、ふだんからこれ、セキュリティーや契約に、この契約、このセキュリティーに気をつけてくださいと指摘されたり、万が一のデジタルトラブルに見舞われたときに、後の処理は任してと言ってくれるようなデジタルリスクの専門部署というのがなかったら、おちおち部下の皆さんも安心して仕事できないんじゃないかなと思うんです。今の体制とは違ったデジタルリスクマネジメント部門の必要性について、部長の皆さんもぜひ考えていただけたらなあと思います。
 そして、その上で、このデジタルリスクマネジメントの部門について、6月の議会の内容と少しだけ重複しますけれども、この部門の必要な構成員、このチームですね、この構成員として、例えば種類、幾つかあるので挙げさせていただきたいなと思います。
 重複しますけれども、デジタルリスクマネジメント部門を担当する構成員の一人としてAIの専門家、データの収集なんかを行うデータエンジニア、ソフトウエアエンジニア、セキュリティーの専門家、プロジェクトがちゃんと進行しているか、そういうふうなことを見るプロジェクトマネジャー、エンドユーザーが使いやすいようにシステムのインターフェースを設計するUXデザイナー、法律顧問、こういう方々が必要かと思います。当然片手間ではなくて、多様なスキルと視点を持つ専門のチームで作業に当たることが望ましいと思いますので、知事にはその専門チームについて御所見を伺います。
○議長(濱口太史君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 再質問を頂戴いたしました。お答え申し上げたいと思います。
 今、谷口議員がおっしゃられた中で、いろんなスキルを持った専門家の皆さんと専門のチームをつくってはどうかという御提案だと理解をいたしました。
 その上でお答え申し上げますけれども、現状、私どもの職員と、それから民間企業のデジタルトランスフォーメーションの専門家の皆様、今、アドバイザーをお願いしてやっております。引き続きいろんな御知見をいただいておる中で、今の体制で、まずは取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(濱口太史君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 優秀な体制を組んでいただいているということで前回もお聞きしたんですけども、期待を申し上げるところです。
 私からの御要望というか希望というのは、体制の中でもやっぱり役割というのが与えられないと、組織というのは機能しないなと思います。
 ぜひ事前のデジタルリスクの管理と事後のトラブル処理、これをぜひその役割として与えていただきたいなと思います。
 県民の安全とデジタルに精通しない職員でも安心して働ける環境を実現していただきたいと、このように強く要望いたしまして、質問を終わります。ありがとうございます。(拍手)
○議長(濱口太史君) 以上で、谷口和樹君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 27番山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕(拍手)
○山下直也君 皆さん、こんにちは。そして、お疲れさまでございます。
 令和5年12月定例会、4日間の多くの議員の皆さん方による一般質問も、いよいよ私が最後となりました。訳あって淡々と進めていきたいと思いますが、どうか先輩・同僚議員の皆さん方、あとしばらくの間、お付き合いをいただきたいと思います。
 ただいま濱口議長のお許しをいただきましたので、本年6月定例会以来、約半年ぶりの一般質問となりますが、本年を締めくくる有意義な質問といたしたいと考えておりますので、知事はじめ当局の皆さん方には前向きな、また誠意ある御答弁をよろしくお願い申し上げたいと思います。
 先月28日に、株式会社帝国データバンクは、企業が選んだ2023年を表す漢字アンケートの結果を公表しました。1年間の事業活動を表す漢字について企業に尋ねた結果でありますけれども、1位は「変」でありました。
 選んだ理由としては、「生活や働き方改革、人手不足、物価上昇など、世の中が急激に変化している」ということや「変革の変。DXなどにより時代の変化のスピードが速い」との声があり、変化や変革の年と捉えたとのことでありました。
 私も企業の回答結果と同感であります。物価上昇や人手不足、頻発かつ激甚化する自然災害など、2023年は急激な変化を痛感した年と言わざるを得ないと思います。
 昨年12月に岸本知事が就任され、この激動の2023年の県政を担ってこられました。この間、さきに述べました急激な変化に対応すべく、6月及び9月補正において必要な予算を講じてこられたところであります。
 そんな2023年を踏まえ、先日、知事は12月定例会の開会に際し、令和6年度重点施策と予算編成の方針について説明をされました。
 来年度の重点施策では、全ての人が希望を持って生き生きと暮らせるウエルビーイング、すなわち身体的・精神的・社会的に快適な和歌山県を実現するため、五つの方向性に基づき、具体的な事業立案を進めていくとのことであり、その五つの方向性のうち、私が議員活動の中で特に今日まで注力してまいりました防災・減災対策など、安全・安心で心豊かに暮らせる社会づくりも盛り込まれているところであります。
 来年度予算につきましては、同僚であります秋月議員、また、玄素議員も既に一般質問を行っているところでありますが、本年最終の一般質問者として、県民の安全・安心の確保に係る予算編成について、改めて知事の意気込みをお伺いいたしたいと思います。
○議長(濱口太史君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 知事岸本周平君。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 山下議員の御質問にお答えをいたします。
 本県を取り巻く経済状況は依然として厳しく、特に原材料価格の上昇や円安の影響等によるエネルギー・食料価格の高騰が長期化し、県民生活への影響が懸念されております。
 また、気候変動等の影響による豪雨災害は、近年、頻発化・激甚化しており、さらに、近い将来発生が懸念されている南海トラフ巨大地震への対策についても喫緊の課題となっております。
 こうした状況に対し、県民の命と暮らしを守るため、来年度の重点施策方針におきましても、安全・安心で心豊かに暮らせる社会づくりに取り組むことを掲げ、現在、具体的な事業の立案に向けて、予算編成を進めております。
 既に今年度の補正予算におきましても、災害対応や物価高騰対策を実施しているところでありますけれども、特に6月及び9月補正予算におきましては、本年6月及び8月に発生した台風等による豪雨災害の被害に対しまして、応急や復旧に必要な予算を迅速に編成し、エネルギー・物価高騰に対しても、国の臨時交付金を活用した生活者・事業者支援を実施したところであります。
 この定例会におきましても、国の経済対策を活用して物価高騰対策を行うことに加え、命を守る道路や河川・海岸整備など、国土強靱化の推進に係る補正予算案を御提案させていただきました。
 このように、国補正予算などによる有利な財源を十二分に活用させていただき、突発的な災害等にも対応できるよう財政の柔軟性と健全性を確保しつつ、しかしながら、あくまでも県民が安全・安心に暮らせる社会づくりを進めてまいる覚悟でございます。
○議長(濱口太史君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 ただいま知事より答弁がありました。
 私は、本県の課題として二つの大きな課題があると考えております。一つは人口減少、もう一つがいつ来るか分からない南海トラフ地震や自然災害への備えであります。
 このことは、この間、議会初日、中村議員の在職30年のその御挨拶の中で中村議員も述べておられたとおりであると私は思います。
 和歌山県が最高だと思う、子供たちがそう思う未来をつくっていくため、私たち議会も当局と合わせてこのことに取り組んでいきたいというふうに思います。
 次の質問に移ります。
 国土強靱化に係る今後の道路網の整備方針についてお尋ねをいたします。
 まず、道路網の整備についてであります。
 先ほどの質問において、県民の安全・安心の確保に係る予算編成についてお尋ねをしたところでありますが、安全・安心の確保において、道路は不可欠なインフラであります。
 私は、令和元年6月定例会におきまして、橋梁やトンネル等の整備状況について一般質問を行いました。そのときの県土整備部長からは、当初予算の前年度比伸び率が全国2位の予算獲得率となり、これらの予算を活用して、県民経済、生活を支える重要インフラの機能維持を図り、防災対策を推進する取組を加速化していくと力強い答弁をいただいたところであります。
 県議会からも国土強靱化のための意見書の提出を行うなど、幅広い取組を展開してきたことが成果として現れ、県民の安全・安心の確保に係る道路をはじめとするインフラ整備が着実に進んでいると実感をいたしております。
 一方、今定例会でも秋月議員が取り上げましたが、県道長井古座線の八郎山トンネルでは施工不良が判明し、国道168号仮称2号トンネルでは継続的なフッ素やヒ素の検出による事業休止が生じたことは誠に遺憾であり、地域の方々にとって命の道である当該箇所についても、一刻も早い整備を希望するものであります。
 知事の予算編成方針では、国土強靱化の取組は着実に進めていくとのことでありますが、いつ発生してもおかしくない南海トラフ地震に備え、リダンダンシーの確保等を早急に進める上で、ますます予算の有効活用が求められております。
 そこで、国土強靱化に係る今後の道路網の整備方針について、県土整備部長にお尋ねをいたします。
○議長(濱口太史君) 県土整備部長福本仁志君。
  〔福本仁志君、登壇〕
○県土整備部長(福本仁志君) 南海トラフ地震の発生が危惧される中、災害時の迅速な救助・救援はもとより、災害発生後の生活再建など、社会経済活動への影響を最小化する上で、道路ネットワークの強靱化を図ることは極めて重要です。
 そのため、県では、まずは災害時の早期の復旧・復興に資する緊急輸送道路上の橋梁耐震化やのり面対策、無電柱化に加え、平時・災害時を問わず機能を喪失させないための老朽化対策を推進しているところです。
 また、道路ネットワークの多重性の観点から、国道42号の代替機能を有する紀伊半島一周高速道路の早期完成や暫定2車線区間の4車線化、高規格道路と代替機能を発揮する直轄国道とのダブルネットワークの強化として、国道42号有田海南道路の整備促進を国などに対し働きかけています。
 県においても内陸部における災害に強い道路ネットワークを構築すべく、国道168号五條新宮道路や県道海南金屋線などの整備を推進し、リダンダンシーの確保に努めているところです。
 県としましては、引き続き国土強靱化予算などを活用し、災害に強い道路ネットワークの構築を着実に推進していきます。
○議長(濱口太史君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 今、部長より答弁がありました。
 道路整備に関しても私の地元である和歌山市内の街路整備も西脇山口線、市駅和佐線、南港山東線など、東西幹線道路の整備が進んだと感じる一方で、南北幹線道路の整備が遅れているのではないかと考えます。
 具体的には、貴志琴ノ浦線の梅原交差点から北島橋の区間の整備が行われていないことから、朝夕の渋滞の問題など、交通円滑化に向け、整備の推進が必要であります。
 リダンダンシーのような防災機能の強化はもとより、交通課題を解消する貴志琴ノ浦線など、都市計画道路の整備を着実に推進するためにも、財政が厳しい中ではありますけれども、県民ニーズの高い道路整備が滞ることがないよう、十分配慮されますよう要望をいたします。
 次の質問に移ります。
 3点目であります。歩行者の安全対策についてであります。
 先ほど道路網の整備方針について県土整備部長にお伺いしたところでありますが、道路網の整備が促進されることと併せて、利用者の安全を確保するための施設整備も進めなければなりません。
 とりわけ歩行者の安全確保につきましては、いわゆる自動車社会が進展した頃から、交通事故対策として和歌山市中心部などの大きな交差点を中心に横断歩道橋が整備されてきたと認識をしております。
 自動車と歩行者を分離する横断歩道橋は通学路として有用であり、交通安全だけではなく、自動車の円滑な通行に大きな役割を果たしてきたと考えています。
 しかしながら、現在、著しく老朽化している横断歩道橋とそれに近接して横断歩道が設置されている交差点等が多く見受けられます。
 少子高齢化が進み、ユニバーサルデザインの観点からは、横断歩道橋がバリアになっているのではないかという懸念や、横断歩道が近接しているにもかかわらず、今後も横断歩道橋のメンテナンスに継続的に予算や人材を投入する必要があるのかどうかという疑問も浮かんでくるところであります。
 限られた予算を効果的に活用し、県民の皆さんの安全・安心を確保するためには、横断歩道橋を取り巻く環境の変化を捉え、その在り方を検討すべきと考えます。
 横断歩道橋が設置されてきた経緯と今後の維持管理について、県土整備部長にお伺いをいたします。
○議長(濱口太史君) 県土整備部長。
  〔福本仁志君、登壇〕
○県土整備部長(福本仁志君) 我が国では、1950年代後半から始まった急激なモータリゼーションの進展に伴い、全国的に交通事故が多発するようになり、大きな社会問題になりました。横断歩道橋は、その安全対策の一つとして、自動車と歩行者の動線を立体的に分離するために建設されてきました。
 高齢化が進む今日においては、高齢者が利用しづらいという意見がある一方で、横断歩道より横断歩道橋のほうが安全なことから、依然として地域住民や小学生などに利用されております。
 維持管理につきましては、5年に1度の法定点検を実施し、その結果に応じた補修工事を行っております。
 また、地域から横断歩道橋の撤去に関する要望があった場合には、横断歩道橋の利用状況などを調査の上、関係機関や教育委員会などと協議を行い、撤去について検討してまいります。
○議長(濱口太史君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 部長から答弁中、県管理の横断歩道橋の撤去について協議を行って検討していくとのことでありますが、ともすれば残すかどうか、地域の声もしっかり聞いて、これは大事なことであります。しかし、県としての考えもしっかりと持っていただいた上で地域との協議に臨んでいただきたいということをこの際申し上げたいと思います。どうかよろしくお願いをいたします。
 4点目、太平洋新国土軸構想についてであります。
 太平洋新国土軸構想は、皆さん御承知のとおり、沖縄から九州中南部、四国、紀伊半島を経て伊勢湾沿岸に至る地域及びその周辺地域に新しい国土軸を形成する構想であり、1998年に策定されました21世紀の国土のグランドデザインにおいて、多軸型国土構造を形成するための四つの国土軸構想の一つとして位置づけられたわけであります。
 この構想に係る紀淡海峡ルートの実現につきましては、この議場において、過去、たくさんの先輩・同僚議員が一般質問を行ってこられました。私も2013年の12月定例会において質問したわけであります。
 2011年に発生した東日本大震災や紀伊半島大水害を目の当たりにして、私たちはリダンダンシー確保の重要性を大いに実感させられました。災害がどこで発生するか分からない中で、新国土軸の整備は現国土軸のリダンダンシーを確保する強靱な国づくりにとって大変重要な課題であり、また、現国土軸から離れ、高速交通網の整備が遅れたことによる地域間格差を解消し、国土の均衡ある発展という面からも重要であるとの認識から、当時の仁坂知事に機運醸成の取組についてお伺いをしたところであります。
 あれから10年が経過いたしました。本年6月定例会で片桐議員が一般質問で紀淡海峡ルートの問題を取り上げておられましたが、本県のみならず他府県の知事も替わっていく中で、また、本県においては財政危機警報が発生される中で、これまで要望活動等に粘り強く取り組んできた活動が、ともすれば水泡に帰するのではないかという懸念が払拭できないでおります。
 この構想自体は、本年7月に閣議決定されました第三次国土形成計画におきましても、広域的な機能の分散と連結強化を図るための全国的な回廊ネットワークを構成する構想として位置づけられております。財源など、実現には様々な課題があることは承知をいたしておりますが、南海トラフ地震の発生が懸念される本県においては、県民の安全・安心の確保からも非常に重要な構想と考えております。
 知事は本構想の意義をどのように考えておられますか。改めて現状と今後の取組についてお伺いをいたします。
○議長(濱口太史君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
 太平洋新国土軸構想は、第二国土軸として、国土の強靱化を図る上で重要なプロジェクトであります。リダンダンシーの確保だけではなくて、関西国際空港と大阪都心を結ぶ四国新幹線の実現、関西大環状道路や大阪湾環状道路の形成が可能となります。和歌山県はもちろん、関西全体の発展に大きく寄与する構想だと考えております。
 県としては、これまで関係15府県や8経済団体と共に、平成2年に太平洋新国土軸構想推進協議会を結成いたしました。その後、本構想の実現に向けて活動を行ってきたところであります。
 今後も引き続き関係団体と連携して、セミナーなどの開催を通じた機運醸成、そして、国・関係団体への働きかけなどに取り組んでまいります。
○議長(濱口太史君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 知事から答弁をいただきました。
 様々な課題があることは承知をいたしておりますが、国家的プロジェクトであるがゆえ、粘り強い要望活動が必要であると考えます。
 私が予算編成の質問で触れました人口減少や震災・自然災害への備えに大きなインパクトを与える構想であると認識をしておりますので、引き続き当局の取組に期待するところであります。どうか知事、よろしくお願いいたします。
 5点目、スポーツ振興についてお伺いをいたします。
 本年3月、WBC(ワールドベースボールクラシック)が開催され、日本代表侍ジャパンが3大会ぶりに3回目の世界一に輝きました。また、8月から9月にかけてはバスケットボールのワールドカップ、9月から10月にかけてはラグビーのワールドカップが開催され、いずれの大会でも日本代表が躍動するなど、多くの国民がスポーツのすばらしさを実感した1年となりました。
 私はいろいろスポーツにも関わりを持たしていただいておりますけれども、尾崎要二会長の下、水泳競技にも携わらせていただきまして、そのほかバレーボールとか、また、アーチェリーやアイスホッケー等の競技団体の役員も務めさせていただいております。競技大会に参加してお手伝いをさせていただきながら、その試合等を観戦させていただいてまいりました。
 先週10日の日曜日に、尼崎市において第78回国民体育大会冬季大会近畿ブロック大会アイスホッケー競技会成年の部の決勝戦が行われ、本県代表、7対4で大阪に勝ちました。大阪府代表を破り、見事初優勝を果たしました。優勝という結果もうれしいわけでありますが、それ以上に練習場の確保もままならない、困難な本県の代表選手が関係者の方々の大きな支えの中、ひたむきに頑張る姿に、私は胸が打たれました。
 一方、国では、スポーツの多様な効果を普及させるため、スポーツ基本法を2011年に制定、また、2015年にはスポーツ庁が設置されるなど、スポーツが持つ多様な効果を活用する環境を整えてきております。
 このことを受け、県におけるスポーツ振興の推進体制を調べてみますと、実は私も調べるまでよう分からへんかったんですが、多くの都道府県が今まで知事部局で所管をしてます。そして、本県を含め、教育委員会でスポーツ振興を所管しているところがだんだん少数になってきている。ちょっと心配もしてます。これからどうなっていくんかなという思いであります。
 スポーツによる地方創生、まちづくりやスポーツによる健康増進等、スポーツが持つ多様な効果を知事部局所管の施策に反映できるように推進体制を構築していっている、そんな方向性がうかがえるわけであります。
 これまで本県では、全ての県民一人一人がスポーツを通じ、生涯にわたり生活の質の向上を図ることを目的に取り組んできたと認識をしておりますが、これからはまちづくり等、スポーツが多様な効果を求められているのは、さきに述べたとおりであります。
 推進体制等、今後に向けての議論は進んでいるのでしょうか。スポーツ振興に対する知事の所見をお伺いいたします。
○議長(濱口太史君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
 私も先日の尼崎市でのアイスホッケーの近畿大会、和歌山県の優勝を本当に喜んでおります。
 実は先日も、長年和歌山県でアイスホッケーの大会に出るために社員を雇用して、スポーツ選手を社員として雇用するなど、応援していただいている企業の訪問をしてまいりました。そこではまたアイスホッケーの選手、関係者とも意見交換ができまして、本当にうれしく思っております。南国和歌山ですから、南国和歌山でアイスホッケーが強くなる、それを地域の企業を含め、いろんな方で支えているというのは、本当に県民の一人として誇らしく思いました。
 その上でお答え申し上げますけれども、全ての県民一人一人がそれぞれのライフステージにおいて、関心や適性等に応じて自発的にスポーツと触れ合い、日常的にスポーツに親しむ、あるいは楽しむ、今申し上げましたように、さらに支えるなどの活動を通じて、生涯にわたり生活の質の向上が図られる、こんな和歌山県を目指したいと思います。
 そのためには、競技団体を核とした世界の舞台で活躍できる競技者の発掘・育成・強化も大事です。また、学校と地域における子供のスポーツ環境の充実も大切です。さらには、ライフステージに応じたスポーツ活動の推進、いろんな角度で取り組んでまいりたいと考えております。
 一方で、議員御指摘のとおり、スポーツ基本法の制定やスポーツ庁の創設に伴い、都道府県のスポーツ振興担当部署の多くが知事部局に移管され、従来のスポーツ振興に加えて、地方創生・まちづくりや健康増進など、他部局と連携しながら、社会の活性化、社会課題の解決を図るという意味でのスポーツ施策の推進が求められていると考えております。
 切磋琢磨する選手の姿や、それを支える競技団体関係者の取組は、私たち県民に感動や活力を与えてくれます。
 本県におきましても、競技力向上施策によるトップアスリートの輩出など、スポーツ振興を継続的に発展させることはもとより、地域の活性化や障害者スポーツを含めた多様な主体におけるスポーツ機会の創出など、新たな取組を進め、県の活性化を図るため、よりよい連携体制を県全体で検討してまいりますので、御指導よろしくお願い申し上げます。
○議長(濱口太史君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 知事から答弁をいただきました。
 推進体制については検討していくとのことでありますが、まちづくりなど、これまでのスポーツ振興に取り組んできた、そんな担当してこられた職員さんや、それから体協をはじめいろんなスポーツを今まで、今日まで支えてきていただいた多くの関係団体にとっては、その方々にとってはひょっとしたら新しい形になっていくかもしれんということは、今日まで経験したことのないこともこれから多く出てくるんではないかなというふうなことも思います。
 これまでの取組を継続的に発展させていくということでありますので、今申し上げましたように、関係者の方々や団体の皆さんが不安とか、それから疑問とか、そんなことを思うことのないように、また、誤解を受けることのないように、慎重に取り組んでいっていただきたい。そのことを御要望させていただきたいと思います。
 最後の質問に入ります。
 拉致問題についてであります。
 先月26日に東京都内で拉致問題地方議会全国協議会幹事会及び全拉致被害者の即時一括帰国を求める国民大集会が開催され、和歌山県議会「北朝鮮に拉致された日本人の救出のために行動する和歌山県議員の会」の会長として、藤山副会長や吉井幹事長と共に出席をいたしました。
 幹事会では、街頭での署名活動等、議員の会としての活動報告を行い、終了後に開催された国民大集会では、岸田文雄内閣総理大臣・政府拉致問題対策本部長が出席、北朝鮮による拉致被害者家族連絡会の横田拓也代表の挨拶に引き続き、横田早紀江さんや曽我ひとみさんら御家族の訴えがあり、最後に、北朝鮮に拉致された日本人を早期に救出するために行動する議員連盟、松原仁幹事長が決議案を朗読、賛同の大きな拍手の中、国民大集会は閉会をしたのであります。
 国民大集会で挨拶に立った岸田総理は、拉致被害者御家族の皆様方も高齢となる中、時間的制約のある拉致問題は、ひとときもゆるがせにすることができない人道問題であること、また、この集会を通じ、日本国民の一致団結した強い思いが示されることは、拉致問題の解決に向けた力強い後押しとなり、その声こそが国際社会を動かし、北朝鮮を動かすことにつながっていくと信じる、そう述べられました。
 私は、この問題に関しては、平成29年9月定例会におきましても一般質問を行いました。このときも国民大集会に参加した直後でありましたが、全拉致被害者救出を早期に実現するために、我が国として拉致という絶対譲れない最優先課題があることを、拉致問題地方議会全国協議会、また北朝鮮による拉致被害者を救出する知事の会も、共に訴え続けなければならないと強く感じたことを記憶しております。
 岸田総理が挨拶で触れた一致団結した強い思いは、6年経過した今でも、私自身はいささかも揺らいでおりません。
 6年前は当時の仁坂知事に私と同様の強い思いを共有していただいているのかどうか、その所見をお伺いいたしましたが、改めて拉致問題についての岸本知事の所見をお伺いいたします。
○議長(濱口太史君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
 拉致問題は国政に関わる問題でありまして、和歌山県知事の所管外ではありますけれども、私も長年国会議員として活動してまいりました。例えば私の支持母体の一つでありましたUAゼンセンという労働組合があります。年に1回、UAゼンセンと一緒に私も和歌山市に立たせていただいて、拉致問題の街頭宣伝活動をしてきました。チラシを配り、署名を集めさせていただきましたので、その意味では山下議員と思いを同じくするものであります。
 何より拉致問題は、我が国の憲法に保障されている基本的人権の侵害はもとより、我が国の主権を侵害する極めて重大な問題であります。
 横田めぐみさんが拉致されましてから46年、北朝鮮が拉致を認めてからでも21年という長い年月が経過しているにもかかわらず、いまだに問題解決には至っておりません。
 肉親の帰国を待つ親世代の高齢化が着実に進んでおり、問題解決に残された時間を考えると、一刻の猶予も許されない状況にあります。拉致被害者の御家族のお気持ちを考えると、深い悲しみと激しい憤りを感じざるを得ません。
 拉致問題の解決に向けて、国際社会に対して「拉致は絶対に許さない」という日本国民の毅然とした態度を示すことが必要であり、そのためには本問題が風化することのないよう、若い世代も含めて、各世代への啓発が大変重要であると考えております。
 アニメ上映等を通じた若い世代への啓発をはじめ、ポスターや県広報紙、広報番組等を活用した啓発活動など、様々な媒体や機会を捉えて、私たち一人一人が、自分とは関係のない遠いところで起きている問題であるという意識を変えていく必要があると思います。
 県としては、拉致被害者家族による講演やパネル展示等を通して拉致問題の県民への周知と関心を高めるため、各都道府県で順次開催されている「拉致問題を考える国民の集い」を来年度、和歌山県で開催する予定で国と調整を行っております。
 今後も引き続き、県議会の皆様や国の関係機関等と連携を取りながら、拉致問題の早期解決を各方面に訴えてまいります。
○議長(濱口太史君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 ただいま知事から答弁をいただきました。
 先週10日の午後1時から、JR和歌山駅前におきまして、自民党和歌山県連による拉致被害者救出の街頭活動を行いました。我が自民党県議団の先輩・同僚議員はじめ、約30名の同志の方々と署名のお願いや街頭演説を行うとともに、御通行中の皆様にチラシを配布させていただいたところであります。
 街頭での啓発ですので、通行中の皆様は大変お忙しいところかと承知をしておりましたが、なかなかチラシを受け取っていただくことができず、残念だったのは、とりわけ若い世代の方々に訴えていくことの難しさを本当に痛感いたしました。この点に関しましては、学校における啓発等も含め、今回は教育長に質問はいたしませんが、このことについて、やっぱり今後進めていっていただくようによろしくお願いを申し上げたいと思います。
 知事の答弁にもありましたように、この問題は風化させることのないよう、各世代の啓発が大変重要と認識しているところでございますので、「拉致問題を考える国民の集い」を来年度、本県で開催すべく、調整をしていただいていることに感謝をいたしますとともに、様々な媒体、機会を捉えて一人一人の意識を高め、一刻も早く被害者とその御家族が再会を果たせるよう、議会としても当局と両輪で取り組んでまいりたいと考えます。
 教育長、ほんまにね、日曜日でありましたけど、学生さん、結構おられたんですよ。我々も仲間の人たちも一生懸命「これ読んでいただけませんか」ということをやるんですけどね、もう全然相手にしてもらえないね。これどういうことなんかなあということをやっぱり思うんです。
 当日、日曜日ですから和歌山駅から御旅行に行かれる方も非常に多かったし、近鉄でお買物をされる方も多かった。やっぱりこの国は平和なんだなあというふうに思うことと同時に、本当にこれでいいのかなあという思いを、多分そのときに御出席をいただいた同志の皆さんは本当に同じことを思ったと思うんですね。
 学生さんも含めて、難しい問題かも分かりませんが、共に、他人事ではなくって、もしあなた本人やあなたの御家族がこういうことになったときに、果たして今と同じような、そのような行動が取れるかどうかということを、どうか一緒に考えていただけませんかというような問いかけだけでも、一遍学校でやっていただくわけにはいかんのですかね。大変残念でありました。そのことだけ、ちょっと最後に報告をさせていただきたいと思います。
 以上で今回の質問項目は全て答弁をいただきました。
 今回の質問では、県民の安全・安心の確保に係る取組を中心にお伺いをいたしましたが、質問のうち、スポーツ振興で触れたように、行政ニーズに見合う県の推進体制の構築に合わせ、職員の皆さんが働きやすい環境を整えることは重要であると考えます。
 国土強靱化に係る事業量の増加に見合う職員配置もしかりでありますし、ひょっとしたらこの先、この和歌山県庁の組織の再編や新しいいろんな組織ができてくるかも分からない。そのときに関しましては、どうか丁寧に、慎重に、また、議会に対しましても同様であると思いますけれども、県民の皆さん方にも分かっていただけるような、理解していただけるような、そういう丁寧なやり方で進めていっていただきたいということをこの場で申し上げたいと思います。
 質問冒頭、企業が選んだ今年の漢字アンケート結果について触れましたが、今年は変化に耐え忍び、変革に動いた企業が多かったようであります。変化・変革の1年先に来る2024年が、本県としても安定した明るい一年となることを祈念いたし、私の一般質問を終えさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(濱口太史君) 以上で、山下直也君の質問が終了いたしました。
 お諮りいたします。質疑及び一般質問を終結することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(濱口太史君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
 次に日程第3、議案の付託を議題といたします。
 お諮りいたします。配付しております議案付託表のとおり、議案第140号は人権・少子高齢化問題等対策特別委員会に、また、議案第148号は行政改革・基本計画等に関する特別委員会にそれぞれ付託いたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(濱口太史君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
 次に、配付しております議案付託表のとおり、議案第126号から議案第139号まで、議案第141号から議案第147号まで及び議案第149号から議案第168号までは所管の常任委員会に付託いたします。
 次に日程第4、請願の付託を議題といたします。
 今期定例会の請願については、配付しております請願文書表のとおり、所管の常任委員会に付託いたします。
 お諮りいたします。12月14日及び15日は常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(濱口太史君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
 次会は、12月18日定刻より会議を開きます。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時33分散会

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