令和5年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


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令和5年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号

議事日程 第3号
 令和5年12月11日(月曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第126号から議案第168号まで(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第126号から議案第168号まで(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(42人)
 1番 坂本佳隆
 2番 三栖拓也
 3番 秋月史成
 4番 川畑哲哉
 5番 藤山将材
 6番 森 礼子
 7番 井出益弘
 8番 尾崎要二
 9番 高田英亮
 10番 玉木久登
 11番 佐藤武治
 12番 濱口太史
 13番 鈴木太雄
 14番 冨安民浩
 15番 吉井和視
 16番 鈴木德久
 17番 玄素彰人
 18番 岩田弘彦
 19番 中本浩精
 20番 中村裕一
 21番 谷 洋一
 22番 山家敏宏
 23番 北山慎一
 24番 堀 龍雄
 25番 谷口和樹
 26番 新島 雄
 27番 山下直也
 28番 小川浩樹
 29番 中尾友紀
 30番 岩井弘次
 31番 藤本眞利子
 32番 浦口高典
 33番 山田正彦
 34番 坂本 登
 35番 小西政宏
 36番 浦平美博
 37番 中西 徹
 38番 林 隆一
 39番 片桐章浩
 40番 奥村規子
 41番 尾﨑太郎
 42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
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説明のため出席した者
 知事         岸本周平
 副知事        下 宏
 理事         田嶋久嗣
 知事室長       北廣理人
 危機管理監      福田充宏
 総務部長       吉村 顕
 企画部長       前 昌治
 地域振興監      赤坂武彦
 環境生活部長     山本祥生
 福祉保健部長     今西宏行
 商工観光労働部長   三龍正人
 農林水産部長     山本佳之
 県土整備部長     福本仁志
 会計管理者      﨑山秀樹
 教育長        宮﨑 泉
 公安委員会委員    竹山早穗
 警察本部長      山﨑洋平
 人事委員会委員長   平田健正
 代表監査委員     森田康友
 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       林 伸幸
 次長(秘書広報室長事務取扱)
            萩原 享
 議事課長       長田和直
 議事課副課長     岩谷隆哉
 議事課議事班長    伊賀顕正
 議事課主任      菅野清久
 議事課副主査     西 智生
 議事課副主査     林 貞男
 総務課長       葛城泰洋
 政策調査課長     岩井紀生
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  午前10時0分開議
○議長(濱口太史君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第126号から議案第168号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、併せて日程第2、一般質問を行います。
 39番片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕(拍手)
○片桐章浩君 おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので、2日目、早速ですが一般質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 まず1問目、最初でございます。大阪・関西万博を契機とした観光振興の件です。
 先日、県内の観光事業者の方々と、大阪・関西万博を契機として和歌山県の観光の在り方、観光の誘客ですね、この話し合う機会がございました。こんな意見です。
 万博が開催されることは歓迎ですが、今の和歌山県の観光行政の取組では、万博に訪れたお客さんが和歌山県まで来てくれるのだろうか。関西のそれぞれの府県は、万博に訪れるお客さんの誘客に向けて、いち早く取組をしています。来場者は、万博を訪れてからどこへ行こうかなと、そういうことを考えるのではなくて、既に行き先を決めて、兵庫へ行こうとか京都へ行こうとか和歌山へ行こう、こういうことを思っているそうです。既に決めている。来たついでに、時間があるから和歌山県へ行こうかなという人はいないので、事前に和歌山県の旅行計画を組み立てるのが普通だから、何とかする必要があるんではないだろうかと、こういう話合いを実はさせていただきました。当然、観光事業者の方ですから、県や市の観光部局と既に意思疎通を図った上での意見というふうにお考えいただけたらと思います。
 つまり、旅行会社に対して和歌山県観光を今から売り込んで、ツアー商品、旅行商品として企画してもらう必要がありますが、時期からすると、もう今からでも遅いぐらい、もう早く取りかかってほしい、その中で、和歌山県の強みとはこういうもんだよというのを訴えていただけたらなという意見であります。
 これまでも和歌山県は、旅行会社、メディア、出版社などを訪問していますが、幾つかの旅行会社と話ししたところ、企画物で万博と和歌山県を組み合わせた商品について、今のところ聞くことはありません。むしろ、関西圏以外の人に対して万博とユニバーサルスタジオジャパンを組み合わせた旅行商品の企画も考えているとかいう話もあるようなので、和歌山県に誘客するには相当な働きかけが必要ではないかなというふうに感じています。
 和歌山県の強みは、もう今さら言うまでもなく、食、温泉、世界遺産、パンダなどですが、地元で観光に携わっている観光事業者の方々によると、それ以上に売り込むべきものは、発祥、それから起源、そして聖地、この3点だというふうに具体的な事例を挙げて話をしてくれました。令和7年度万博開催の年に向けて、発祥、起源、聖地を感じてもらえるような企画を誘客につなげるべきだという意見も伺っております。
 和歌山県の強みとして、発祥、起源、聖地だと聞いていたところに、和歌山県の観光キャンペーンのテーマ、これが聖地リゾート和歌山、ポスターも掲示されておりますが、聞いて、岸本知事、観光部局の時流の捉え方に敬服しているところであります。
 さて、観光部局においては、今まで以上にこの切り口で万博と相互誘客を行い、全国の旅行事業者が売りやすい商品をつくってもらえる仕掛けをお願いしたいと思います。
 和歌山県には、観光誘客の武器となる発祥の地や聖地の宝庫が数多くありますから、それらを巡ってもらえるような企画、これを売り出していただけたらと思いますが、幸い、和歌山県内の市町村には、新たにつくり出さなくても、これまで蓄積してきた時代が求める体験観光がたくさんあります。これは、1999年に開催された体験型の博覧会だったジャパンエキスポ南紀熊野体験博が起点となり、そのノウハウが蓄積されているからです。
 ゼロから発祥の地巡りや体験型観光を生み出すのではなく、過去に実施した企画やイベントを再現して、和歌山県の発祥の地巡りと聖地を訪れる巡礼の旅を企画すればよいと思います。既に城南宮で、岸本知事をはじめ、令和の熊野詣、こういう企画をされているようです。以前も平成の熊野詣ということで城南宮を出発して歩いたことがあるんですが、僕もそのとき、城南宮から歩くというところに参加をさせていただいた経験がございます。
 また、和歌山県は、記紀に代表されるように歴史と文化の宝庫です。長い歴史を刻んでいることから聖地と言える場所が存在しており、和歌山県に来て体験できる食と観光を提供することで、万博に来たお客さんには、関西に来た限りは和歌山県を訪れてみようと思ってもらえるよう今から動くべきだと思います。
 そこで質問です。
 大阪・関西万博を和歌山県観光につなげることが必要だと思いますが、そのキャンペーンとして、聖地リゾート和歌山と銘打っているわけですから、和歌山県の発祥、起源、聖地、歴史を観光につなげる取組が有効だと思いますが、万博開催に合わせた観光施策について、知事の答弁をお願いいたします。
○議長(濱口太史君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 知事岸本周平君。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
 片桐議員御指摘のとおり、大阪・関西万博を機に、国内外から関西を訪れた多くの方々を和歌山県に導く仕掛けが必要だと考えております。
 今年度より聖地リゾート和歌山というキャッチフレーズをつくり、精神性、スピリチュアリティー、持続可能性、サステーナビリティー、静けさ、セレニティー、この三つのSをコンセプトとしたブランディングを進めております。
 そして今、御指摘をいただいたとおりでありまして、体験型の観光コンテンツという意味で、先週、令和の熊野詣出立式、京都の城南宮でさせていただきました。その際、紀伊路を8回に分けて歩くという熊野古道リレーウオークと同時開催ということでありましたので、大勢の一般市民の方にも御参加いただきました。
 民間事業者の力も活用しつつ、このような体験コンテンツの充実など、それぞれの県内の地域の資源を活用して、いろんな楽しみ方を提案していけるよう、県全体を挙げて取り組んでまいりたいと思っております。
 これもまた片桐議員御指摘のとおりでありまして、和歌山県内にはかつおぶしやしょうゆの発祥の地、修験道やアニメの聖地など、様々な起源や聖地がございます。
 大阪・関西万博における関西パビリオン内の和歌山ゾーンでも、霊性の大地をテーマに、和歌山に根づく精神文化をはじめ、自然、人、産業、食文化など多様な魅力を和歌山百景として発信していく予定でございます。
 大阪・関西万博に関連した情報発信に併せ、ぜひとも和歌山に足を伸ばしてもらえるよう観光プロモーションをさらに進めてまいります。
○議長(濱口太史君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 お答えをいただきました。
 僕もこの博覧会を機としたときに、城南宮から那智勝浦まで、熊野古道、中辺路ルートですけども、歩き通しておりまして、あれ、20年ぐらい前になると思うんですけども、頭の中にはインプットされていると思いますので、ぜひ個人的にも、来年始まる全国大会──この後触れますけども、全国大会、世界大会の誘致と併せて、また歩いてみたいかな、エクスカーション等で歩いてみたいかなと思いますので、よろしくお願いできたらと思います。
 それでは、この項目なんですが、ところで、この万博を契機とした観光振興の話のきっかけになったのは、加太に訪れたときに、「片桐さん、この加太の夕日というのは、坂本龍馬も見たことがあるんですよ」と、こういう話がきっかけに実はなっております。どういうことかと聞いてみますと、幕末ですね、加太に勝海舟と坂本龍馬が来たことがあるんですよと、こういう会話がありまして、そこから、加太の夕日、海に沈む夕日は日本一きれいな夕日なんです、こういう話になりました。加太の夕日がほかの夕日が海に沈むきれいな場所と違うところは、友ヶ島、淡路島、四国などが背後に重なって見ることができる、これが売り物で、西日本の夕日の見えるビューポイントとなっております。
 さらに、この地には、海に沈む夕日とともに、今話した物語になるような歴史があることが強みです。幕末、ロシア船ディアナ号が紀伊水道から大阪湾に侵入しました。この黒船が簡単に大阪湾に侵入したことで幕府に衝撃が走り、重要港湾の大阪湾にこんなに簡単に外国船が侵入されてしまったことは、我が国にとっての脅威である、危機であると認識させるのには十分過ぎる事件でした。そこで、幕府は加太から和歌浦にかけての地域に砲台を設置することが必要だと考え、砲台検分のため勝海舟を派遣し、そこに坂本龍馬も遅れて紀州に入り、お供をしております。
 加太で勝海舟が宿泊していた記録は残されているようですし、坂本龍馬も勝海舟を追って加太を訪れたと伝えられていますが、残念ながら、龍馬の足跡については、詳しい記録は残っておりません。しかし、ありがたいことに、我々は今も加太で幕末の英雄が見たのと同じ、龍馬が見た夕日を見ることができます。歴史を語れる物語は、当然、観光資源になりますし、和歌山県の自然と料理を併せて発信すれば、和歌山県への観光誘客へとさらにつながるはずです。
 令和7年の大阪・関西万博、令和6年は紀伊山地の霊場と参詣道の世界遺産登録20周年の年であり、また全国から、あるいはアメリカからも関係者と歴史好きな観光客が訪れる第36回龍馬World in 和歌山と、第31回日米草の根交流サミット2024和歌山大会の開催の年に当たります。しかも、我が国とイギリスとの間で結ばれていた不平等条約改正、日米通商航海条約から130年の年になりますから、和歌山県が観光の主役になれる絶好の機会となります。既に神奈川県金沢文庫では、不平等条約改正130年を記念して重要文化財の特別展示を企画しているように、陸奥宗光伯が実現した不平等条約改正130年の記念の年に向けて、機運醸成を図ろうとしています。
 現在、日経新聞で連載中の「陥穽」という連載小説が4月から来年1月まで始まっておりますが、この場面、昨日までの場面がちょうど和歌山が舞台になったくだりがたくさん記述されております。津田出が陸奥宗光を訪ねて、和歌山藩で進めている藩政改革への参加を求めている場面や、プロシア陸軍を模範とし、新政府に先駆けて徴兵制を採用した津田・陸奥コンビの軍政改革、そして、これ最新の新聞では、明治新政府首脳は和歌山県の藩政改革について、新しい日本の国造りのモデルとしてこの生き方に注目した、和歌山が舞台になったところでちょうど今連載されているわけですよね。(資料を示す)このような場面が描かれて、和歌山県が経済界からも注目されていると思います。
 なぜかといいますと、今年11月、先月ですが、丸の内にあります東京工業倶楽部会館及び福沢諭吉の提唱で設立した日本で最初の社交クラブ交詢社、この2か所で陸奥宗光と和歌山県について招かれて講義をしてまいりました。ここに出席してくれた経済界の方々は、和歌山県のその歴史、来年の龍馬World in 和歌山に関心を示していただき、和歌山県に行きますよなど、多くの支援をいただいたところであります。もちろん、経済界の参加メンバーは、この日経新聞の「陥穽」なんですけども、これを読んでいることから、和歌山県の歴史に関心を持ってくれていたことを前提に講義を行ったのは言うまでもありません。
 参考までに、龍馬World in 和歌山には藩士坂本家10代目が和歌山に来てくれますし、日米草の根交流サミット2024和歌山大会には、ジョン万次郎と彼を救助したホイットフィールド船長、そして、このお二人と関係のあったペリー提督の御子孫も和歌山県に来る予定ですから、幕末の偉人の子孫が和歌山県に集結する二度とない機会となります。
 また、どちらの大会も式典とともに県内の観光地を巡るエクスカーションを計画してもらっているので、和歌山県の優れた観光資源、先ほど言いました発祥であるとか聖地であるとか起源、そういったものを売り出す機会にもなろうかと思います。
 ところで、ジョン万次郎のこの財団の方と話をして、広く知られていないけれども、ジョン万次郎と和歌山県の関係について、これ知らなかったことなんですけども、深い関係があることを実は知りました。ジョン万次郎の長男──ジョン万次郎は中浜万次郎ですけれども、その長男は中浜東一郎、東京大学医学部を卒業し、衛生医学を極めて、防疫対策、疫学ですね、疫学対策の第一線で活躍した人物だったそうです。当時、森鴎外、北里柴三郎らと並ぶ日本における近代医療のパイオニアだったそうです。
 和歌山県との関係ですが、エルトゥールル号に関するものです。エルトゥールル号の船員の間で当時コレラが流行したそうですが、この感染治療に尽力した医師が中浜東一郎だったそうです。エルトゥールル号にジョン万次郎の長男が関係していることは全く知りませんでしたが、龍馬と宗光との関係とともに、この歴史も和歌山県と高知県、あるいは我が国を語る上において、非常に意味のある話であり、和歌山県でこの二つの大会が同時期に開催される意義というのを感じるところであります。
 そこで、二つ目の質問に入ります。
 大阪・関西万博の前年に、和歌山県で歴史を重ねてきた二つの大会が開催されます。一つは、36回の回数を誇る龍馬World in 和歌山、そして日米で通算31回の開催の歴史を重ねてきた日米草の根交流サミット2024和歌山大会ですが、来年7月ですが、同時期に開催されることになります。大会の主役になっている偉人の子孫が来県する世界大会及び全国大会なので、和歌山県を売り出す絶好のチャンスになろうかと思います。和歌山県として、これらの大会にどう関わるのか、これらの大会を和歌山県観光にどうつなげるかについて、岸本知事の答弁をお願いいたします。
○議長(濱口太史君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
 第36回龍馬World in 和歌山は、「龍馬と宗光 未来への伝言」と題して、陸奥宗光生誕180周年を記念して、和歌山市で開催されると聞いております。今御指摘あったとおりであります。
 このイベントは、これまで35回にわたり、高知県を中心に全国で開催され、毎回、全国から多くの龍馬ファンが結集していると聞いております。本県の偉大な先人である陸奥宗光の功績を広く全国に知っていただく、またとない機会と承知しております。この間の関係者の皆様の御尽力に心から感謝を申し上げたいと思います。
 また、日米草の根交流サミットは、遭難したジョン万次郎を救助し、米国で教育の機会を与えたホイットフィールド船長、彼ら子孫の友情を原点に、参加者が国境、言語、習慣等の違いを超えた友情を育む場として開催されてまいりました。
 ペリー来航の62年前に米国商船レイディ・ワシントン号が串本町大島に寄港し、水やまきの補給を行うなど、まさに日本で最初の草の根交流が行われた和歌山県で本サミットが開催されることは、大変意義深いものと考えております。県としてもしっかりと応援してまいりたいと考えております。
 そのため、日米草の根交流サミット2024和歌山大会を実りのある大会にするべく、公益財団法人国際草の根交流センター、県内8地域の市町や国際交流団体等に御参加いただき、先月11月21日に実行委員会を立ち上げました。
 この大会には、米国から約100名の参加者が来県される予定であります。大会の期間中、参加者の皆様には、開会・閉会式典やレセプションに加えて、県内8地域に分かれ、3泊4日のホームステイをはじめ、地域で開催される地域分科会や観光地訪問、各種体験を通じて県民と交流を図っていただき、大いに和歌山県の魅力に触れていただく予定であります。この大会を通じて、和歌山県の歴史文化の魅力を発信することで、今後の観光誘客につなげてまいる所存でございます。
○議長(濱口太史君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 答弁をいただきまして、このときにやっぱり歴史ファンとか和歌山ファンという方がたくさん来年来られて、それを万博につなげていくということも大事ですし、来られる方をお迎えすることもぜひ県観光課中心にお願いしたいと思います。
 東京工業倶楽部とか交詢社で財界の人に話をしたとき質問が結構来まして、和歌山に関心持ってくれていますし、偉人にも関心持ってくれています。例えば、答えに窮するようなことが結構ございまして、陸奥宗光が幽閉されていた期間に一体何を考えていたんだろうかと、何を考えて蹇々録を残したのか、こういう質問があったりとか、イギリスに渡って欧米に渡っていろんなことを学んできて、後の政府に、新政府の運営につなげたと言うけど、じゃあイギリスで一体何を学んできたのか教えてくださいと、例えばこんな質問が来たわけです。結構答えに窮するようなことがありましたが、やっぱり和歌山県人としてこういった、推測も当然入るわけですが、本を読んだりとか、今ちょうど「陥穽」もやってますから、こういった歴史感覚を身につけて、答えられるようには整えておきたいと思いますので、ぜひ併せてよろしくお願いできたらと思います。
 それでは、二つ目、県内企業の人材確保の問題について質問に入らせていただきたいと思います。
 地元企業、幾つか訪ねておりますが、その中で最近の課題はどういうことがあるんですかと言ったら、人材確保が非常に難しい、こういう問題が出てきました。代表的な意見を2~3紹介をさせていただきたいと思います。
 新卒者や若い人を採用したいと思っていますが、募集をかけても多くは集まりません。若い人は一度県外に進学してしまうような、あるいは県外で就職してしまうと、なかなか地元に戻ってこないのが現実です。このまま県外に進学した若い人が戻ってくれないと、和歌山県はさらに疲弊していくと思いますので、ぜひ若い人を戻してほしいという意見であります。
 ただ、若い人を採用しようと、ある企業では考えているわけなんですけども、今の人たちが重視しているのは、賃金よりも決まった休日、労働条件に変わってきています。例えば週休2日制は当たり前の要件になっていますし、時間外労働、いわゆる時間外で仕事はしたくない、こんな話もあります。週休2日と定時で仕事が終われることが希望なので、雇用する側としては採用が厳しいと思っています。
 このことは、2024年問題とリンクしているので、会社として対応を考えているところですが、週休2日と勤務時間の制約が出てくるので、仕事量は同じだとしても新規に人を増やさなければならない、こういう環境にあります。この場合、人件費は当然増えるので、請け負う仕事の単価、金額、これも増えることになり、競争力の問題が発生しますから、社会として、2024年問題に発生するコスト増を認められるような仕組みをつくってほしい、このことを県政にお願いしたい。こういう話がまず1点目です。
 それからもう一つ、仕事を公募しても若い人がなかなか集まらないので、シルバー世代の方に働いてもらっています。定年などで一旦仕事をリタイアした人は真面目で熱心であり、期待を上回る戦力になってくれているので、とてもありがたいと思っています。企業では、若い人を雇用する代わりに高齢者の方々を雇用せざるを得ない現実がありますが、高齢者の社会参画と生きがいの観点から、これは肯定すべきだと思っていますし、高齢者の方が働ける環境を企業としてつくり出せることはありがたいことだなあと思いますが、県の将来を考えると、喜んでばかりいられないと思います。こういうことです。
 そのため、若い人に地元に戻ってきてもらえる仕掛けや雇用創出を和歌山県に期待していますが、これは単に私の会社に来てほしいという願いではなくて、地元企業に就職してくれないことには、経済、人材確保などで相乗効果が生まれないことからのお願いです。社会では、自分の会社だけが発展することはありませんから、どの業種であっても若い人が戻ってきて就労してくれることが和歌山県全体の発展につながると思います。
 また、和歌山県には福祉関係の働き場所や学校というのはあるのですが、情報通信系の企業や仕事が少ない、あるいは学校も少ない、こういう現状があろうと思います。最近の若い人たちが望んでいるのは、情報通信系の仕事ですが、この分野の企業や学校があれば、さらに若い人は地元にとどまってくれる、また、地元に戻ってきてくれると思うのです。県外に進学した人たちが就職で地元に戻る場合、情報通信系の仕事に就くことを希望している人が多いようなので、この分野の企業を誘致することや、技術を学べる専門学校などを誘致することも必要だと思います。情報通信系の会社を誘致することで雇用が増えてきてくれれば、それに付随して周辺産業の会社も増えますから、地域経済、人材確保、どちらにも好影響を与えてくれると思います。県政においては、若い人材が戻ってきてくれるよう、情報通信系の企業誘致、これらの人材育成のための学校の誘致、そういったものを取り組んでほしいと思います。
 以上の意見を基に質問をしたいと思います。
 1点目、県内企業における若手人材の確保についてであります。
 現在、雇用環境は売手市場であることや、若い人の仕事に対する価値が変化しているため、県内事業者にとって新卒者の採用は厳しい環境にあるようです。若い人材が県内に戻ってきてくれるための施策について、商工観光労働部長の答弁をお願いいたします。
○議長(濱口太史君) 商工観光労働部長三龍正人君。
  〔三龍正人君、登壇〕
○商工観光労働部長(三龍正人君) 県内企業における若手人材の確保が難しい要因は、若年労働力人口の減少に加え、議員御指摘のとおり、近年、若年層の希望する労働条件が多様化し、企業側とのミスマッチが生じているためと認識してございます。
 このことを踏まえ、県では、県内企業に対し、セミナーの開催など、あらゆる機会を通じ、多様な働き方ができる社内環境整備や従業員の定着、採用力の向上が図られるよう取り組んでいるところです。
 一方、若年者の就業に向けた取組として、高校生、県内外在住の大学生に対し、ホームページやSNS、就職ガイドブックにより、県内企業の就職関連情報を提供するとともに、企業の魅力や県内で働くメリットなども掲載し、県内企業への就職に関心を持ってもらうよう働きかけています。
 また、第二新卒者やUターン希望者等を含む若年層に対しては、県が設置するわかやま就職支援センターにおいて、就職関連情報の提供はもちろんのこと、個別相談への対応や再就職に向けたセミナーの開催を通じ、県内企業への就職が円滑に進むよう取り組んでいます。
 さらに、学生や一般求職者を対象とした合同企業説明会の開催など、企業と学生のマッチングの機会を設け、切れ目のない支援を行っております。
 引き続き、学校、企業等と連携協力し、これからの和歌山の産業を担う若手人材の確保、定着に向け、取り組んでまいります。
○議長(濱口太史君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 お答えいただきました。
 この分野は結構面白くて、先日、ある方と話をしていますと、例えばエンジニアの方と話をすると、AIを使ったプログラマーというのが今需要があって、なかなか例えば和歌山に戻ってきてくれないと思うんですね、人数も少ないし。このAIを使うプログラムエンジニアというのは、ここまではなかなか無理でも、AIを使ったプログラムを使いこなす人材を和歌山で採用したらどうかというふうに思うところがありまして、これをすると、例えば時間外労働も減ったりとか、いろんな仕事量が減ったりすることが、ちょっと分かったことがございます。
 例えば、パワーポイントでプレゼンの資料を作る機会って県庁でもあると思うんですけども、例えばある──何でもいいです、万博で観光誘客につなげるというプレゼン資料20枚を仮に作ると、こうした場合、例えば1日かかったり2日かかったりと、こうかかるわけなんですけども、このAIを使うと、数分というのは言い過ぎですけども、1時間もかからない、10分でできてしまうというのをちょっと体験しまして、ちょっと驚いております。というのは、AIに万博、和歌山県の観光、例えば聖地巡礼とか、熊野古道とかキーワードを入れていくわけなんですね。それで、キーワードを入れるだけでプレゼン資料が20枚、ぶわっとできてしまうんです。しかも、レイアウトもしてデザインも優れていて、無償の写真を世界中から集めてきてぱっぱっぱっと配置してくるわけなんです。それを見返すわけなんですね。そして、これ足らないなということがあったら、例えば、京都より大阪、和歌山が勝っているというキーワードをまた入れるわけです。そしたら、そのキーワードに基づいたプレゼン資料がまたぽんとできてくるということで、例えば今まで議論を尽くして数日かかっていたのが10分でできてしまうと、こういう体験をしてしまうと、これ、仕事改革にもつながると思いますし、ぜひ県も企業も、こういった最新のツールというのを使いこなせるようにしていけば、予算も生み出せるのではないかなと思いますので、ちょっと紹介をさせていただいた次第です。
 ところで、この今言いました情報通信系の企業誘致であったりとか人材確保についての質問に入ります。
 今言いましたように、和歌山県では情報通信系の企業が少ないように思いますし、情報通信系の企業は首都圏に集中していることから、エンジニアは首都圏で就労する機会が多いと思います。和歌山県の情報通信系の企業誘致の取組及び情報通信系の人材を確保するための取組について、これも商工観光労働部長の答弁をお願いいたします。
○議長(濱口太史君) 商工観光労働部長。
  〔三龍正人君、登壇〕
○商工観光労働部長(三龍正人君) IT企業誘致については、テレワークが急速に進んだことで場所を選ばない働き方が企業、個人で広く認識され、優秀な人材を求め、IT企業の地方進出の意欲が高まっていると実感してございます。
 本県では、この動きをチャンスと捉え、首都圏等からのアクセスのよさなどのビジネス環境の強みと、安全で快適な生活環境のよさを「New Work×Life Style」として企業に提案し、積極的な企業誘致に取り組んでいるところです。その結果、現在、和歌山市や田辺市、白浜町に45社が立地しています。
 本県では、進出企業の人材確保のため教育機関とのマッチングも積極的に行っており、意見交換の場を設けるほか、特に県外に進学した情報系の学生にUターンで戻っていただけるよう、IT企業研究オンラインセミナーを開催し、本県で活躍するIT企業を知ってもらう機会を提供しているところです。
 11月27日には、IT人材育成と県内企業のIT人材確保を支援し、情報産業の活性化を図ることを目的として、フランス発のエンジニア養成機関「42」の東京校を運営している一般社団法人42Tokyoと連携協定を締結しました。
 IT企業の進出は、将来を担う若者の雇用の受皿になるとともに、県内でのDXの推進や地域活性化にも大きな役割を果たすものと期待しておりまして、企業が求める人材育成や人材確保の支援を行い、全力でIT企業の誘致に取り組んでまいります。
○議長(濱口太史君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 部長、答弁ありがとうございます。僕の友人も渋谷でIT系というかAIの仕事をしていた方が、もう渋谷の事務所を引き払って和歌山市内に実は来ていただいているんです。仕事は何しているのというと、ほとんど東京の企業向けのプログラムを請け負っているんですね。和歌山に住みながら、東京の仕事をしているということで非常にメリットが出ているんです。一つは、渋谷の家賃と和歌山の家賃、全く違います。そして、請負金額も全く違うんですね。これ、メガバンク系とか、そういったところのプログラムを組んでいるんですけど、和歌山の例えば企業なり、いろんなところからの仕事、こういう仕事もあるけどと紹介したら、ほとんど請けないんですね。要りませんと、こう言われる。地元のエンジニアさんにその仕事は振ってくださいというのは、理由が二つあります。
 一つは、彼がやっている仕事というのは数千万以上、例えば、3000万以下の仕事は受けませんよと、こういうことなんですね。残念ながら和歌山県では100万単位からということになりますので、そういう仕事はもう要らないというのが一つです。労力は一緒だけど単価が違う。もう一つが、そんなのを取ってしまったら地元の方のクラウディングアウトみたいなイメージですよね、押し出してしまうということになるので育たない。だから、地元の人に仕事をどんどんどんどんやってくださいというふうな話があって、逆に、首都圏の仕事を和歌山の人たちにばらまいてくれているというか、そういうふうなこともしてくれていますので、ぜひ企業誘致とか、人材確保の仕組みですね、強く取り組んでいただけたら、和歌山県経済もちょっと上向く、下支えするようなことになっていくのかなと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、最後の質問、和歌山市の都市機能の充実について、入らせていただきます。
 11月7日、会派でJR福山駅前とその周辺の再開発の取組を視察してまいりました。全国から駅前再開発の先進モデルと言われている事業で、官民連携によるJR福山駅前と周辺の再生の取組について、福山市及び関係事業者の地元トモテツセブンというところから説明を受けました。JR福山駅の再開発は、平成29年に福山駅前再開発協議会を開催してから7年近くが経過して、ようやく再開発が実現したものです。やっぱり再開発というのはなかなか時間がかかると。この再開発は県内外企業の共同体であり、当然考え方も資金力も違うので、最初は意思疎通を図るのが大変だった、こういう状況でスタートしております。しかし、行政を含めての会議で事業者が本気で議論を交わすうちに、事業者同士の理解ができるようになって、その上、広島県、福山市が協力するよということで、意思を示して協議体に入ってくれたことで、再開発に向けての構想がまとまっていったそうです。
 JR福山駅再開発は、駅前周辺に波及展開するウオーカブルエリア、要は歩いてもらえるようなプロジェクト、これを目標に掲げ、明確にしたところで、行政と民間事業者が動いたことで、地元の人たちも巻き込んで事業は進展していきました。とにかく事業者と行政が連携することで地元も巻き込んでいく、これは果たしてどっちが先かという問題が実はあるんですけども、そういう手法でJR福山駅前の再開発はしていきましたし、それがないとなかなか成功しないよと、こういうアドバイスをいただきました。
 このような経過を踏まえながら事業は進展し、来年の秋、令和6年秋には、JR福山駅前には北・中・南棟の商業施設がオープンするので、定住者と交流人口が増え、人の流れもできる、こういう仕掛けを実はしているところであります。今後の計画ですが、JR福山駅の現在の交通結節機能は残しながら、人が集えるような広場機能を付加したいと考えているようです。ターミナル駅にとって交通結節機能は重要ですが、それだけでは通過するだけにとどまるので、人の交流も経済効果も生まれません。交通の利便性を確保するとともに、駅前に広場機能を持たせることによって交流人口を増やし、中心部と周辺部を連動させて経済を動かそうとしています。
 続いて、11月27日から29日まで半島振興・地方創生対策特別委員会の視察に行ってまいりました。ここで訪れたのは石川県立図書館、通称・百万石ビブリオバウムという図書館だったんですけども、このスケールと迫力は圧倒的で、事前の期待を大きく超えるものでした。視察したのは平日でしたが、多くの石川県民、特に学生が図書館を利用している光景がありました。案内してくれた副館長の説明によりますと、平日で約2500人、土曜日と日曜日、祝日は約5000人が利用しているという説明をしてくれました。とにかく、ここは図書館というよりも、美術館や博物館、学習の場や交流の場、そんな機能を持たしているようにも感じましたし、そして、図書館の空間は広大で、美しい広場に来ているような安らぎと開放感がありました。視察してこの図書館のすごさを感じたので、副館長さんに、このような図書館を造った石川県知事のスタイルはどんなもんですかと尋ねたところ、こんな回答がありました。
 私が知っている──今の知事だけじゃないです──歴代知事は、自分の知事時代だけではなく、次の時代を考えて必要な投資を行うこと、投資をしたものが県民の財産となり、地元の私たちが石川県の伝統と文化を引き継いでいくことを目指してきたように思いますと説明してくれました。
 県民が欲している知と情報の要求、文化活動ができる空間など、将来につながるものに対しては思い切って投資をするという姿勢が必要ではないかと感じた次第です。
 また、同特別委員会の最終日、JR福井駅にも立ち寄りましたが、来春に北陸新幹線が開通することもあり、僕の記憶にある以前のJR福井駅とは見違えるばかりの駅になっていました。駅の持つ機能と利便性を高めている福井駅の利用者は多く、駅前には新しい店舗の出店計画があることから、開業に向けて準備を整えていて活気を感じる、そのような光景がありました。
 金沢市も福井市も、駅前から新しい都市空間を伸ばそうとしていることから、まちに、駅の周辺に、にぎわいは感じられたと思います。
 さて、この二つの視察を終えてから和歌山市を歩いてみると、にぎわい感が乏しく、イベントでは人が集まるものの、平日の和歌山城は和歌山城ホールなどでイベントのない日は人の動きが少ないようにも感じられます。広島県と福山市が民間事業者と一緒になってJR福山駅周辺の再生に取り組んだように、石川県が交流人口を増やすことも視野に入れて県立図書館を建設したように、和歌山市のにぎわいを創出するための取組は必要だと、さらに感じた次第です。
 そこで1点目、和歌山市のまちづくりについてであります。
 和歌山市の玄関口であるJR和歌山駅は、建設してから相当の年月が経過していることから、近い将来、建て替えやそれに伴う駅前再開発が必要ではないかと思っています。県では、成長産業の企業誘致を進めていることや、観光ダイヤモンドイヤーに向けての観光の取組、万博を契機とした県内観光など、和歌山県や和歌山市にとって再開発と将来とも持続できるようなにぎわい創出の絶好の機会となります。県として、和歌山市と連携したまちづくりについてどうお考えしているのでしょうか、県土整備部長の答弁をお願いいたします。
○議長(濱口太史君) 県土整備部長福本仁志君。
  〔福本仁志君、登壇〕
○県土整備部長(福本仁志君) 都市のにぎわいと活性化のためには、既成市街地などの拠点における再開発を行うなど、コンパクトな都市づくりを進めることが重要であると考えており、県としてもこのような取組を積極的に支援してきたところです。
 和歌山市では、和歌山駅、和歌山市駅、和歌山城の周辺を結ぶ町なかを中心拠点区域として、立地適正化計画に位置づけ、医療、商業、教育文化等の都市機能増進施設の誘導を行うなど、コンパクトな都市づくりを図ってきたところです。
 また、和歌山市駅前地区をはじめ、和歌山市内の4地区において市街地再開発事業が行われ、町なか居住が進むとともに、大学誘致で若者が増えるなど、にぎわいが戻りつつあり、現在、市街地再開発の新たな取組が進められております。
 まちづくりについては、本来市が主体となって進めるものでありますが、県としても、先進事例の調査を行いながら、その知見を新たなまちづくり支援に活用するなど、にぎわいのあるコンパクトな都市づくりの実現に向け、市と連携して取り組んでまいります。
○議長(濱口太史君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 二つ目になります。JR和歌山駅東口での交通連接機能の充実についてであります。JR和歌山駅東口だけではないんですが、交通の課題として、大型観光バスが駐停車できる箇所が少ないことにあります。和歌山市内で大型バスが駐車できるのは、和歌山城と和歌山ビッグホエールぐらいに限られているのではないでしょうか。そのため、観光客の乗り降り、駐車場所で困っている場面を見かけることがありますし、観光事業者に聞きますと、JR和歌山駅周辺に大型観光バスの駐車場がないので、できたらスペースが欲しいですよと、こういう意見もいただいております。大型観光バス駐車場の問題を改善すれば、もっとインバウンドツーリスト、これを呼び込むことができるのになあというふうな意見もありますから、観光立県であるなら、JR和歌山駅周辺に大型観光バスの駐車場の整備も必要かと思います。
 この観点でJR和歌山駅東口を見てみると、東口駅前に路線バスの駐車場所がありますが、ここに大型観光バスを駐停車するようにはできないものかと思います。JR和歌山駅東口周辺の道路は、大型観光バスの乗り降り場所になっていますが、できれば、関西空港や県外から来県される方々の和歌山市の玄関口として、大型観光バスや路線バスの利便性を向上させるべきだと思います。利用者や観光客の利便性向上を図るため、JR和歌山駅東口で大型観光バスなどの交通結節機能の環境整備を図ることについて、地域振興監の答弁をお願いいたします。
○議長(濱口太史君) 地域振興監赤坂武彦君。
  〔赤坂武彦君、登壇〕
○地域振興監(赤坂武彦君) JR和歌山駅は1日に約3万人が利用しており、県外からの来訪者も多く、鉄道やバスなどの交通ネットワークにより県内全域と結ばれ、本県にとって非常に重要な交通結節機能を果たしております。
 議員御指摘のとおり、当駅の東口は電車と路線バスや高速バス、タクシー、自家用車との乗り継ぎが頻繁に行われておりますが、大型観光バスの駐停車場所がない状況にあり、その確保は、円滑な乗り継ぎを行う上で大変重要であると認識しております。
 現在、県、市町村、交通事業者等で構成する和歌山県地域公共交通活性化協議会により策定中の地域公共交通政策のマスタープランである和歌山県地域公共交通計画においても、駅やバス停の待合環境整備をはじめとした交通結節点での機能の充実は、公共交通の利便性向上に必要不可欠なものとしており、今後も市町村や交通事業者など関係者と連携しながら取り組んでまいります。
○議長(濱口太史君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 それでは、この項目3点目になります和歌山北インターチェンジのフル化についてであります。
 平成22年、和歌山市北部の交通利便性の向上と、この地域の活性化を目指し、和歌山北インターチェンジは大阪方面の出入口があるハーフインターチェンジとして供用が開始されています。供用開始後、商業施設が立地したことや利便性が向上していることから、当初の目的はおおむね達成できているかと思います。
 ここで問題が、田辺方面に行く場合は和歌山インターチェンジに向かう必要があるため、和歌山市全体の交通の利便性向上や産業振興と観光振興に資すること及び一般道の渋滞緩和の観点から、フルインターチェンジ化は、地元のみならず和歌山市民の方々、市内事業者の方々から強い要望があります。当然、コスモパーク加太に進出しようとしている企業もフルインターチェンジ化を期待していると思いますから、ぜひとも早期に事業化を図ってほしいと思います。
 この動きとして、今年10月19日、和歌山市と和歌山市北インターチェンジの地元連合自治会及び商工会議所で構成する和歌山北インターのフルインター化促進期成同盟会及び京奈和・第二阪和連絡道路建設促進期成同盟会が合同で、国土交通省などに対して和歌山北インターチェンジのフル化等の国要望を行うなど、実現に向けて強い気持ちで活動を続けています。
 そこで質問です。
 和歌山北インターチェンジのフルインターチェンジ化に向けた取組について、県土整備部長の答弁をお願いいたします。
○議長(濱口太史君) 県土整備部長。
  〔福本仁志君、登壇〕
○県土整備部長(福本仁志君) 和歌山北インターチェンジにつきましては、地域活性化などを目的として、和歌山市が事業主体となり、県市連携の下、2010年に大阪方面へのハーフインターチェンジで整備されました。
 本インターチェンジの整備に伴い、隣接する和歌山市の企業誘致用地において、募集開始から1か月余りで、物流をはじめとする11社の企業が進出を決定するなど、現在に至るまで企業立地が進んでいます。
 そうした中、さらなる産業振興や物流の効率化などを図る目的で、2022年9月に和歌山市がフルインターチェンジ化に係る勉強会を立ち上げ、国、県、市、西日本高速道路株式会社など関係機関が連携し、必要性や構造についての検討を実施しております。
 県といたしましては、引き続き和歌山市と連携し、こうした取組を進めてまいります。
○議長(濱口太史君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 答弁ありがとうございます。
 これで一般質問の項目を全て終わりますが、今お答えいただきましたように、やっぱり駅前の例えば再開発であるとか、北インターチェンジの問題であるとか、その前に遡って観光振興の面とか万博を契機とした大会を成功させるとか、全てにおいてやっぱり県と市というのが、市町も含めてですけども、やっぱり連携するというか、どっちも自分らが主体になるというふうな気持ちを持って、どっちが主体かという現実問題は別として、気概を持って取り組んでいくことで前進が図られようかと思いますので、ぜひ市町村と協力していただいて、これらの県政の課題を解決するよう、前進させるよう取り組んでいただくことをお願いいたしまして、一般質問とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(濱口太史君) 以上で、片桐章浩君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 36番浦平美博君。
  〔浦平美博君、登壇〕(拍手)
○浦平美博君 皆様、おはようございます。日本維新の会所属の浦平美博でございます。
 難聴であるがゆえ、ちょっと声が大きくて、また1年生議員で大変恐縮でございますが、時間いっぱいになろうかと思います。どうぞ御容赦いただきまして、よろしくお願いいたします。
 まず、この場に立たせてくださいました県民の皆様に心より感謝を申し上げます。私にとって心豊かになる貴重な4年でした。その中で皆様に訴えてまいりました私が学んだ二元代表制の意味を忘れず、しっかりとこれからも努めてまいりたいと思います。
 長女が3歳だった頃、今から20数年前、私は教師時代に体罰を行いました。社会的制裁も頂戴し、真面目に自身と向き合ってまいりました。このような私を日頃より支えてくださいます方々に感謝申し上げます。本当に、本当にありがとうございます。
 私が今この場にいる道程で学び得たことを軸に、よいものはよい、悪いものが悪いということに、お力を頂戴する県民の皆様の御期待を裏切ることのないよう、逃げることのないよう、しっかりと努めてまいります。
 それでは、議長より許可をいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 まず、不正行為等通報制度における行政庁としての教育委員会の対応について。
 ホームページ上で県当局より公表されている不正行為等通報の受理・処理情報については、和歌山県監察査察規程に基づいて、監察査察課のページ上で確認できます。
 その上で、知事部局事案は、監察査察監、監察査察課で受理、調査、処理をされ、教育行政に関するものは所管外として、教育委員会に情報提供や回付していることが分かります。
 和歌山県監察査察規程は7条で構成され、どのようなことをするのか、その任務は、結果は知事、副知事に報告しなければならないことや、対象となった部署は求められた書類の提出や説明に誠実に対応しなければならないなど、そしてその7条には、この規程のほか、監察査察の実施に関して必要な事項は知事が別に定め、その実施要領があり、監察査察の方法、心得なども規定されていることから、厳格に行われていると考えます。よって、この閲覧できる情報は、正しい公的な内容であります。
 監察査察課におられる職員の皆様は、大変厳しい環境下、他の職員との交流も人一倍気を遣うでしょうし、大変だろう、でも、誰かがやらなければならない。敬意を表したい、そう思います。
 他方、教育委員会ページ上には、不正行為等通報があり、和歌山県教育委員会通報監察員が受けることとなっていますが、総務課にはその規定は見当たりません。資料1のとおり、担当課は総務課なのでございます。
 また、和歌山県例規集にも見当たりません。どこに和歌山県教育委員会通報監察員は存在しているのでしょうか。その監察員はどの規程でしょうか。総務課のホームページ上では、不正行為等通報における公務内容は一切記されておりません。和歌山県例規集にも通報員制度の規程もございません。だから、不正行為等における厳格な規定もホームページ上からは知り得ません。そもそも別々に、監察査察と、それから教育行政ですね、もともと分けておられるのであれば、別々にホームページ上にアップするのが必須かと思います。
 和歌山県教育委員会の5人が不正行為等通報における聴聞や弁明の機会、いわゆる調査等を行い、処理をして、総務課がそれを広報しているのでしょうか。それでは教育委員会構成、教育委員会の運用として、つじつまが合わなくなります。何の規程に基づいて、いつ、どこが何についてどう判断、どう処理したのかということが分かりません。
 教職員課の職員人事班、教員人事班が対応をするのでしょうか。しかし、和歌山県教育委員会の何の定めによる、何の規程に基づいて、この教育委員会通報監察員が決められ、情報に基づいて調査をしているのか、そのセクションが分かりません。これでは適正な教育委員会事務局運営とは言い難いでしょう。
 令和4年2月中に受理をされ、不正行為等通報について、令和4年3月10日、ある所属において、所属長の部下の職員に対するパワハラ行為、セクハラ行為が常態化していると公表されています。先輩・同僚議員の皆様には、配付させていただいているこの資料1を御覧いただければありがたいです。
 この内容は、普通に考えれば、当事者ではなく、他者が耐えかねて通報したと解されます。そして、それは当然ながら、監察査察監、監察査察課で不受理とされ、教育委員会に回付されています。教育委員会はそれを受け、調査中とし、翌月、令和4年4月21日の報告で、調査の結果、一部改善すべき言動が確認されたため、当該職員に対し厳しく注意し、職場の環境を改善するよう指導したとあります。どこがどのように調査をしたんでしょう。根本は何でしょう。そのように思ってしまいます。
 確認されたならば、懲戒処分の指針や基準に基づいてどのように処理されたのかを公表しなければなりませんが、処分基準を設けていながら、厳しく注意とのこと、訴えたその部下は、よほど社会通念上認められない言動で捏造をして訴えたのかと考える一方、そうでないからこそ認めたということなのか、事実でないならば公表において事実ではないことを伝えているはずでございます。それは組織全体の士気に関わる非常に大切な言葉だからであります。
 同年5月18日では、知事部局で受理された通報内容、4、ある所属においてパワハラ行為、セクハラ行為が常態化している所属長が昇進したとあり、それを教育委員会に回付されている。つまり、教育委員会事務局の所属長となります。教育委員会はそれに対して、当該職員には必要十分な指導を行ってきたところであり、今後も教育に対する県民の信頼を損ねることのないよう、人事異動等も含め適切な対応を行っていくとしています。常態化していると通報し、それでも昇進、教育委員会事務局はこれでよいのかという職員の思いが聞こえてまいります。
 同一人物ならば、教育委員会としてその事実を知りながら、ハラスメント行為を認めた上で、加害者はその上で罰を受けず昇進したことになります。他方では、その行為に対して自身のことではなく、組織として踏まえた問題提起だが、その訴えは上席には届かず、組織に対する諦めに近い、被害が出ても認められることなく置き去り、先ほど申し上げた処理内容は、当該職員には必要十分な指導を行ってきた、今後も教育に対する県民の信頼を損ねないようにする、人事異動等も含め適切な対応を行っていく。今起きていることをこれからに向けた意気込みを理由とし処理していること自体、人が人を育てる組織として、不正行為等通報の処理としては理解に苦しみます。
 つまり、昇進させる前に人事考課ができていなかったということを露呈させ、他方、それでも昇進させたい理由があったのでしょうか。だからこそ、帳尻合わすかのように職員には必要十分な指導を行ってきたんだ。ですが、訴えてきた内容が事実だから、当該職員に指導をしている。県民の信頼を損ねないよう人事異動も含め適切な対応を行っていきますとありますが、昇進していることに対して適切な対応とは一体何であるのでしょうか。必要十分な指導をしなければならないものを昇進させているのに、その責任所在、本当にその対応をしたかは記されておらず、理解ができません。
 皆が目の当たりにしてきているハラスメント行為を行ってきたものと知りながら昇進しているさまに組織のおかしさを感じ、このままでは駄目だという、手拭いを絞ったときの最後の一滴のように、不正行為等通報を用いたのでしょう。所属長、つまり、教育委員会事務局に設置されている役職ある者を指すことと解せます。
 本来なら、部下の相談を受け解決する立場にある者であるはずなのに、上司からの事象であれば、なおさら言えません。一連の不正行為等通報は、その表れであります。このような制度は明確にし、通報者を守り、加害者側の言い分も聞き、組織の健全化を図る、これが県民の教育に対する信頼につながるものではなかろうかと思います。
 だから、調査をするために設けた部署を定めた規程が必要です。県民の信頼を損ねないよう、人事異動も含め適切な対応を行っていきますと処理状況にありますが、必要十分な指導をしなければならない者を昇進させた後、どのように適切な人事異動ができるのか、この文言では、県民は理解ができません。
 私はいろいろと調べさせていただきましたが、私にはそのきちっとした権限を設けることができません。ですから、お伺いしているのであります。
 令和4年8月19日の資料には、「教育委員会のある……」と指定をし、通報しています。内部の者なら間違って監察査察へ通報はしません。教育委員会に通報ができないんだということを知らねばなりません。当然回付され、教育委員会が受理、その内容はある所属においてパワハラ行為、セクハラ行為を行った所属長が処分を受けていないとありますが、これは明確に所属を入れていることから、もう我慢ならないという教育委員会事務局に対しての強い訴えと解せます。何を言ってもブーメランのように元に戻ってくる、そんな思いだったのではないでしょうか。この資料から読み解くと、行ってきたところであるという過去から現在を述べている、これは同一人物だろうということでございます。
 そして処理状況は、調査の結果、一部改善すべき言動が確認されたため、当該職員に対し厳しく注意し、その後の対応を行い、現在は改善されているとされています。何ということでしょう。教育委員会として懲戒処分の指針、懲戒処分の基準を定めたならば、その部署の責任において調査をし、確認したならば処分としなければ、組織として機能しなくなってしまいます。現場教職員などは、ハラスメント行為で懲戒処分をされているにもかかわらず、自らそのルール等を遵守していないことになります。基準には、戒告、減給、停職または免職の処分が記されており、基となるのは地方公務員法第29条、非常に重いのであります。
 NHK和歌山ウェブニュースで先般、令和5年12月1日、耐久高校、星林高校の教諭が生徒に対する不適切な言動を理由に、懲戒処分の分類で戒告されたとのことでございます。教育委員会事務局内は注意され、学校現場では懲戒処分。そう指摘すれば、生徒たちに対してだからと聞こえてきそうです。しかし、学校教育を統括する委員会事務局内でハラスメント行為が容認する者たちに現場は処分される。学校教育のヒエラルキーがあるならば、上層はなおのこと厳しくなければならないのではないでしょうか。駄目なものは駄目、よいものはよいと言うべき立場にあるなら、より一層襟を正さねばならないのではないかと思うのです。懲戒処分の指針、基準は、学校現場のためのものですか。そうではないはずです。示している教育委員会事務局も同じでなければなりません。この風通しの悪さ、この体質を一体何十年続けているのでしょうか。ハラスメント行為は戒告以上となっているかと思いますが、ルールと定めた以上、遵守しなければ組織として機能しなくなるのに、どうしてこのような格差が生まれるのでしょうか。
 質問は、今回の所属長の案件です。長だからハラスメント行為と言われるのは理解します。懲戒処分の基準、別表第6、第3の6関係で記されているのは監督責任関係で、その内容は、別表第6、管理監督者処分量定表が定められていることから、所属長等は、指導監督するその立場になれば、その責務が公務員の上にさらに重くのしかかることが示されているのではないでしょうか。部下からの申告があったことを吸い上げられない組織、これすなわち、組織の長たる教育長にその責任があります。
 地方公務員法第32条は、「職員は、その職務を遂行するに当つて、法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない」。上司は、しっかりと規定された職務に対して部下に指示し、上司はその責任を負い、補完することにあると。にもかかわらず、臭い物に蓋をしているかのごとく処分をしていない結果、被害を受けたと申し出て調査された結果、確認されたとなれば、この組織の中にいるこの職員は一体どうなるのか。結局、配置替えで済ませてしまうのだろう。私はそう思います。そしてやる気がうせていく。何でも処分をすればよいものではありません。しかし、確認されたならば、それは処分をしなければならず、事実を事実と捉え、明確にしなければ、教育委員会として地方公務員法を遵守していないことになってしまうのではないでしょうか。
 被害を受けたと申告している側の精神はどうなりますか。窮状を訴えたが、何ら変化のない現状が嫌になってしまいます。加害側だと言われたその所属長は、事実でないならば、堂々とした話合いをとことんさせればいいんです。このような問題は、互いにいい話ではないばかりか、周りにも悪影響を与えてしまいます。事実ならば、謝って許しを得ればいい。だからこそ日々の中でルールを守り、管理監督ある者は正しい指示を出さねばならないのです。その権限を有する者が認められたならば、組織として痛手でも処分をしなければならない。
 所属長は、所属する部下たちとしっかり意思疎通を図らなければならないのです。部署がたがえども、所属長に対する問題を横並びの所属長が調査をしたならば、どうやって本当のことが話せるだろうか。また、調査した者が部下ならどうして上司に申し述べることができるのだろうか。また理解されるのだろうか。恐らく、これらの事案は周りの職員もその事実に気づいていたでしょう。この問題を自分のことのように助けようとする教育委員会事務局職員はいないのだろうか。いても、これでは難しいでしょう。教育委員会の事案に、教育委員会のどこの課がどの規程でどの権限を持っているのか。教育委員会総務課が調査処理をしているように見えること自体、厳正さが疑われます。厳正とは、基準を厳しく守って公正に行うことや、そのさまを指します。
 資料には入れておりませんが、本年12月6日に私の自宅に届いた封筒があります。令和5年9月20日の不正行為等通報の受理、処理状況について記載されている詳細の本人からの内容でした。調べるのに時間がかかるため、今回の質問に組み込んではおりません。内容は正確だと判断できるであろう、私は今そう思っています。
 本当に正義はないのか。この職員からすれば、本当に毎日がしんどい、そのように思います。教職員課に写しを渡してあげましたが、何らそれに対する進捗もございません。だから、正確な部署ではないのかもしれません。
 学校現場におけるいじめの根絶は、その対象者と傍観者にあります。学校には生活指導部というものがございます──生徒指導部もありますけどね。生徒たちにとって、そこに呼ばれるのは嫌ですよ。でも、悪かったら悪いで何が悪いのか。生徒の置かれている状況を鑑みて、理解ができるようフォローもしています。教育委員会は、それを学校現場に強く指導しているんです。
 しかし、教育委員会内部では傍観者が多数いる。人は弱いので、大人でもフォローが必要でしょう。決算特別委員会で指摘をした水道代、電気代は、特別支援学校として需用費の予算計上はされているのに、事業者からの請求はなく、執行されている。全日制の学校名の請求書に対して、特別支援学校は支払っている。教育長は可及的速やかに対処します。何の連絡もない。実に不誠実。
 この話の裏は実はこういうことなんです。全日制の寮にいる寮生を呼び出し、水を出しっ放しにしているから、こんなとんでもないメーターになるんやと、高額な請求来るんやぞ、そのお金はおまえらの保護者に請求するからなと、当時、叱責されたわけであります。そもそも設立時からメーターをつけていない教育委員会事務局の問題だと思います。でも、生徒の責任で親に払わせると発言。言われた寮生は一体どうなるんでしょうか、全く関係がないのに。これが大人のすることでしょうか。事務局は心が痛まないのか。過去にこんなことがあったと大人になってしまった方から聞きました。
 今、現場でも限界が来ています。教育委員会の一方的な解釈、指導により、現場の理解もなく、有能な教員が早期退職もされています。組織が麻痺している。私は、この窮状をたやすく理解できます。今、私に起きていることでございます。和歌山県庁、教育委員会は、浦平と接触する場合はICレコーダーを取れと実際に伝達されたと聞き及んでいます。番外の皆様なら聞いていたのではないでしょうか。少なくとも、私は初登庁前から、県職員から何度も連絡を頂戴しましたし、同時に、教育長から指示があったよという電話もいただきました。一般の方からも指摘されました。火のないところに煙は立たず。実際、当局と話をしたら、ICレコーダーを表に出したらどうなるか。出されても、違うものは違うし、駄目なものは駄目と、はっきり言うんだからと。そうすると、私はこれ、毎回会う職員さんみんなに、全部まず前段で話してからやるんですけども、そうすると、ポケットから出てくるんです。いえ、議員から言われたことを聞き漏らさないために。これは言い訳のマニュアルで、実際、忍ばしているんですから事実です。
 教育委員会関係者からもお電話を頂戴したところは先ほど申し上げましたが、行政は事実を要件に、効果を導き、法律に従って行政事務を遂行するのではないでしょうか。隠し取りの指示は、和歌山県は地方公務員法32条、かつ上司の職務上の命令に忠実に従わねばならない、だから職員は遵守している、こういうことになりますが、職務を遂行するに当たって、法令、条例、地方公共団体等の規則及び地方公共団体の機関の定める規程はあるのでしょうか。隠し取りはいいよなんて規程がつくれるはずがない。県として、議員に対して無断録音しなさいという規程はあるのでしょうか。ないならば、上司の命令に忠実に従う理由はありません。ないならば、その指示を出したものは正しい公務の指示であったのでしょうか。それにも該当しないならば、何か別の力が働いているのでしょうか。これは、教育長にしか分かりません。
 教育委員会事務局内のハラスメント行為がたくさん通報されている中、その証拠を得るためにICを忍ばせることが当然のようになっているから、余計に指示をしてしまうんじゃないか、勘ぐってしまいます。結局、心理学でいう防衛機制にある投影です。指示が出てから半年、皆さんと一緒に議論をしたこともない、話も満足にしていない、仕事もしたことがない、そんな吹けば飛ぶような1年議員を名指しして、口を塞いで、何がしたいのか、何が楽しいのか、不思議でなりません。
 議会はチェックする側、そのためには議論が必要、これにこそ力を傾注すべし、そう思います。知事は、二元代表制をタイヤの両輪と言っていますが、それは互いの意思疎通と信頼関係を表しているんだろうと思って私は聞いています。私は、アクセルとブレーキだと解釈しています。予算編成権、つまりハンドルを握っているのは知事です。教育行政でいうならば知事にお伺いをした上での教育長です。両輪ならハンドルを右に切れば右に動きます。左に切れば左に、そうでなければ車ではありません。それを是とするならば、余計に意思疎通が必要となり、是々非々が必要かと思うのであります。だから、話し合う。話し合うためには資料を提示し、理屈を立て、納得させる。
 実際はそうではなく、職員によって外堀を埋め、議員の言論を封殺しようとする。ということは、議員の仕事を拒むと教育長は言いたいのでしょうか。議会は行政のチェックが一義ですから、議会の関係をいま一度知る必要があると考えます。この教育委員会事務局の上席はゆがんでいるのではないか。このように申し上げなければならないことがやってきます。これが悪しき習慣を生むのではないでしょうか。原点は、しっかりと県民の声を聞く。つまり、議員としっかりと話合いをして、和歌山県をよくしていく、市町村教育委員会への指導も行っていく、そうあるべきではないでしょうか。こちらから御挨拶をさせていただいても、無視をする教育長や企画監、子供たちに挨拶をしましょうと言えますか。ここには信頼関係は生まれません。教育長、いびつな人間関係をつくってはいけません。
 過日、教育長が御挨拶と申されたとき、レコーダーの話もしました。浦平だけでなく、ほかの議員にもとおっしゃいました。私が登庁してから、5月臨時、6月定例、9月定例で、教育行政に関わる質問も多数あったかと思われますが、ふだんから議会の大先輩とも言える議員の皆さん、内緒でレコーダーを忍ばせていたということでしょうか。ならば、そのような指示をどうして出すんでしょうか。堂々と出したらいいんじゃないですか。まさに投影で何か間違っていないでしょうか。教育長、知事の言う和歌山が大好きだと言える子供たちの土壌が本当につくれるのでしょうか。
 そこでお尋ねいたします。
 1、不正行為等通報における処理が理解を得られないと考えるため、明確な部署を教育委員会内に設置することが必要かと思いますが、設置されますか。知事の答弁を求めます。
 2、教育委員会内でもみ消しているように見え、他方、現場には一方的に学校教育、現場の訴えや意見を無視し、問題を押しつけるように見える。本来ならば、現場の手助けをしなければならないと思いますが、具体的に、明確に透明性を持って、このような疑念を払拭されますか。教育長の答弁を求めます。
 3、今回のような重要な案件が次々と出ている間、令和元年の会議以降令和5年まで、総合教育会議は開かれておりませんが、どうして地教行法が改正され、どうして総合会議を行うこととなったのか。この地教行法の目的、趣旨に照らし合わせ、行っていないことに、どのように考えますか。知事の答弁を求めます。
 ICレコーダーを取るように指示したことについて、地方公務員法に照らし合わせ、教育長はどのように考えますか、答弁を求めます。
 これで一般質問の第1問といたします。
○議長(濱口太史君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 知事岸本周平君。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
 不正行為等通報制度におきましては、教育委員会所管の事業に関する通報につきましては、専門性を要する判断が必要と考えております。
 したがいまして、知事部局と教育委員会では個別に対応させていただいているところでございます。
 また、教育委員会の事務または事業における不正行為につきまして、その問題の性質に応じて、教育長の指揮の下、組織を挙げて厳正に対応しているものと理解しております。
 なお、今後、不正行為等通報制度につきましては、県民の皆様に分かりやすいように、適正に運用してまいりたいと考えております。
 それから、続けて答弁をさせていただきたいと存じますけれども、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の解釈についての質問がございました。
 2015年4月1日に施行された地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律は、教育長及び教育委員の任命、総合教育会議の招集、教育に関する大綱の策定を首長が行うことを通じて、地域の民意を代表する首長と教育委員会が教育政策の方向性を共有し、一致して執行に当たることをその狙いとしていると理解しております。
 この法律を受けまして、教育委員会とは、平素より、教育行政、教育施策に関して小まめな意思疎通を図っているところでございます。引き続き、知事としての職責を果たすため、総合教育会議の開催も含め、今後とも十分な連携を図ってまいる所存でございます。
○議長(濱口太史君) 教育長宮﨑 泉君。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 懲戒処分等の基準の明確化についてお答えをいたします。
 教育委員会事務局も学校現場と同様に、事案が起こった場合、被害者を含む関係者からしっかりと聞き取り調査を行い、事実関係の把握と本人の意向確認に努めています。また、必要に応じて弁護士とも相談し、同じ懲戒処分の指針に基づき適正に対応しています。
 公務員に対する県民の意識は高く、教育に携わる者は高い規範意識を有する必要があることから、学校の教職員、教育委員会事務局職員ともに、調査で明らかになったことに基づいて厳正に対処しています。
 不正行為等通報制度は大変重要なものであると考えており、処理状況への記載の仕方、表現も含めて精査をしてまいります。
 また、人事異動は組織の活性化や機能強化を図るとともに、職場環境を整える面から適材を適所に配置しているところであり、その目的や狙いが損なわれないよう、適切に行っていきます。
 続きまして、ボイスレコーダーを用いた議員の対応につきましてお答えをいたします。
 議員への対応だけでなく、行政に対し、陳情、要請などを行う関係者との適切、公平な関係を担保し、行政サービスの向上を図るため、正確に記録を残すことは、今後、より重要になってくると考えています。
 そういった点から、今年度の所属長への連絡において、必要な場合には、正確を期すため録音をするように指示しました。
 そのことが私の意図する内容どおりに伝わっていないのであれば残念なことであり、今後、教育庁内において趣旨の徹底を図ってまいります。
○議長(濱口太史君) 浦平美博君。
  〔浦平美博君、登壇〕
○浦平美博君 専門性を有するから余計に周りが分からなくなって、だからこそそれがきちっと分かるように、部署を設ける必要があるんじゃなかろうかということです。
 ICレコーダーについても、それを明確に表に出し、そして堂々とすればいいわけでして、皆様にもあるように、こちら側にも人格権があるんですよね。だとしたら、堂々とやればいいのに、どうしてそれを隠すのかということが問題で、今のいただきました御答弁、申し訳ない、全く響きません。ですが、これについてはしっかりとこれからも議論ができるように、研さんを積んでいきたい、そのように思います。
 次の質問でございます。
 教科用図書採択について、ちょっと時間がなくなってきましたのでちょっと速くなります。
 私は昔からとにかく剣道が大好きで、大学進学は剣道で進学しました。大学時代から教師になりたかったんです。国体の地元開催ならば、大学での実績だけで教員採用試験はありません。だから、採用試験の勉強をさせてほしい。受かりたいんです。そしたら国体で勝ったらな、これが教育委員会の上席の答えでした。国民体育大会に出なければならない理由は、まさに、教師になりたいという夢を握られていたからであります。この体質が嫌いでした。だから試合に出ないように、自分の稽古をしないように、隠れたのを覚えています。上席から見れば、全くかわいげのない若造だというふうに思いますけどもね。
 しかし、その方々に一生を見てもらうことではないんです。自分で切り開いていくしかないんです。勉強する時間は、現場におりながら、部活動、そして、自分の県の代表たる競技力向上、時間がないんですよ、勉強する時間も。採用されたら、今度は今年の国体も分かってるよな。私は現場教師になれたんで、うれし過ぎて授業で生徒たちとドッジボールをして、足首靱帯損傷、ギプスを巻く。結局国体に出れず。すると今度は、誰のおかげで採用したと思てんのや、この詐欺師が。教育委員会事務局の上席でした。私はこれを忘れず、力に変えてきました。
 1998年4月1日、旧JAビルの一室で教諭として、いわゆる就任式に出席をしました。何度も君が代を斉唱、何度もです。大学卒業から4年、いろいろなことがありましたが、この日を迎えたことに誇らしく、大きな声で斉唱したのを覚えています。しかし、隣の人は一切口を開かず、歌う人もまばらであったため、何度も歌いましょう、大きな声で歌いましょう、アナウンスがありました。どうしてみんな歌わんのやろう。素朴に感じたのですが、学校に赴任した際、その隣の人物と同じ学校でした。赴任しましたら、新任の歓迎会があるということで早速別室に呼ばれ、自己紹介を促されたのですが、○○学校○○分会から来ました○○です。どうぞよろしく。式典で国歌を歌わされそうになりましたよと笑いながら話すその姿、即、私は退席しました。なぜならば、それは組合の会合であったからです。もちろん、それに出席しなければならない理由はありません。
 入学式では礼服を着ているのは管理職、ほかの教員は礼服ではない。晴れやかなお子さんの式典に、どうしてなんやろう。疑問が疑問を呼びました。その後、研修の勧誘が何度もありました。分かりました。では出張伺いを書きますね。いや、これは年休で。それであれば参加できません。こんなやり取りがよくありました。2学期に入れば、○○新聞と称し、職員室の机上に配付され、夏休み、何々島で大型魚を釣ったとか、クルーザーに乗って大型魚をつり下げた記念写真を載せている分会写真。その頃、私は、県教委が国体その他の大会に代表として試合に出て勝ってこいと。他方では、生徒の部活動の重要性を唱えながら公務を行っていました。
 しばらくして、ある教科の教諭が教科書を選んでいるときの話を聞き、まじか、ただの思想やんと驚いたことを今でも覚えています。今は幾らか改善されただろうと、そういうふうに思いますが、今回議場に配布させていただきました資料2を御覧いただきながら、教科用図書採択、歴史教科書について議論をしたいと思います。
 4年に1度、学習指導要領に基づいた教科用図書を採択、その指導要領は10年に1度改定されます。採択において端数が生まれるときと生まれないとき、一般的にも非常に分かりにくい制度で、また、ふだんから関心を持つ分野でもありませんから、訳が分からなくなっていきます。
 学習指導要領は学校教育法に準じ、学校教育法は教育基本法に基づいています。つまり、採択は学校教育の根幹です。教科書は、誰しもが開き学ぶ大切な図書です。国語において漢字はどんどん簡略化されていることも看過できません。ですが、採択時において、特にもめる歴史教科書については、制度と思想の間で揺れ動きイデオロギーのぶつけ合いを大人たちが理屈をつけ合う。教科書出版会社はその性質を理解し、作成、そして調査員等に営業、生徒たちが使う図書となります。権限を有する教育委員会は、私たちのふるさと和歌山県という郷土を愛する心を育むために、子供たちにどのような内容から情操を育んでほしいのか。その採択というメッセージからはうかがうことはできません。
 この歴史教科書問題は、2001年の夏、栃木県下都賀地区に端を発する、このように考えています。教科書採択協議会は、扶桑社の教科書を採択しました。現在は自由社です。その内容は適切でよいものと判断をし、その適正な手続を経ての決定でした。これは、普通は最終決定日、これは8月の末日になりますが、情報の漏えいは認められていません。しかし、採択結果がマスコミに漏れ、報道され、各教育委員会へすさまじい手紙、抗議、ファクス、電話、脅迫、生命に恐怖を感じ、決定を覆され、再採択、結果、東京書籍という教科書になりました。これは大変な問題だと捉えた文部科学省は、静ひつな環境できちっと明確にやりましょう、このように全国に通達したわけであります。
 そこで私たちが知らなければならないのは、それなりの権限を有する方々がしっかりと意見を持って、子供たちのために選んだ教科書が外圧に屈し、新たに選ばれた教科書には外圧が生じなかったということ。つまり、外圧をかけた活動家たちの望む教科書を選ばせたということでございます。それが民主主義の決め方でしょうか。子供たちのための教科書ではなく、イデオロギー活動を優先するための教科書であり、それも正しいプロセスで選ばれた教科書ではありません。
 そこから、群馬、東大阪、茨城、八重山、横浜、福岡、福島、そして和歌山、全国でたくさんの被害が出て、指示した文部科学省の通知は効力を発揮できないでいました。このようなことをしていれば、地方の教育から崩壊し、国滅ぶ、そのように危惧します。大変恐ろしいことです。
 時代が進み、安倍晋三元総理は、戦後レジームからの脱却と唱え、頑張っていただきました。あたかも私たちの国が右傾化しているような情報操作があった頃、全くそんなことないですが、次の一手は水面下で、教科書の採択は調査員から選定委員、教育委員会という権限があるんだから、教科書出版会社が金品を渡し便宜を図った金銭授受問題が表に出たわけであります。教科書を選ぶための役割を担う調査員という教諭、選定委員は、その教諭の管理職と一般人、しかし、あくまでもそれから導き出される参考意見、これを声高に言う教育委員会。では、出版会社は、現場教師や管理職に金品を渡すでしょうか。絶対に渡しません。そこに、教師が使いやすいという現場の意見があるんだという担保というものがあるわけです。中には教育委員会がそのお礼、接待を受けたとして、和歌山県も同様のことがありました。当時、和歌山市11名、和歌山県下21名の金銭を受け取った教科書に触れる者たちがいました。和歌山市が半数を超えた最大の理由は、市場が大きいから、ただそれだけです。くしくも、その代表格の出版会社は、下都賀採択、逆転採択で選ばれた教科書出版会社でした。もちろんほかにもたくさんございます。
 この金品授受、接待、こんなことで汚された教科書出版会社を子供たちが使っていることに、和歌山県教育委員会はどこまでの議論を積み重ね、同様の教科書を選んでいるのか、理解できているんだろうか、私はそのように思います。
 生徒たちの教科書は、言わば真っ白な紙に絵を描いていく作業、色はたくさんあるほうが楽しいです。だからこそ、覚悟を決めて選ばなければならないのが教育委員会。これがもし、公共工事や備品調達の入札に照らし合わせたらどうなんだろうか。実際は落札した後、現金のやり取りがあり、発覚したら、きっと司法に届けるでしょうし、事実となれば、入札には参加できないでしょう。
 和歌山県教育委員会はそのような対処をしたのでしょうか。結局、どのような調査で処理をしたのか分からないんです。一つ目の質問と同じです。瓜田に履を納れず、李下に冠を正さず、これが公務員としての矜持であり公務員法の原則、このように思っています。公正さとはまさにこのことであり、これを基準に考えるとき、和歌山の生徒たちの教科書はどうだろうか。
 そこで、お尋ねをいたします。
 県内で採択をされている出版会社、教科書出版会社の状況について、教育長、お答えください。
○議長(濱口太史君) 教育長。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 県内での教科書採択されている業者の状況についてでございます。
 2015年度の文部科学省の調査結果によると、2014年以前に、検定中の教科書を教員等に閲覧させた上で意見を聴取したり、その対価として金品を支払ったりした事案等があった教科書会社は12社ありました。現在も教科書を発行しております。
 2021年度から今年度まで使用している県内八つの採択地区及び五つの県立中学校の教科書は、事案に該当する12社のうち9社を使用しています。
 一つの採択地区で使用する教科書は16種目あり、八つの採択地区の合計は128となります。そのうち事案に該当する教科書会社の使用は110です。
 同様に、県内県立中学校5校の合計は80となり、そのうち該当する教科書会社の使用は70であります。
○議長(濱口太史君) 浦平美博君。
  〔浦平美博君、登壇〕
○浦平美博君 この数字を聞いて、県民の皆さんはどう思われるでしょうか。普通ではあり得ない数字ではないだろうか。だから、こういうようなことも含めて、取り締まる部署が教育委員会事務局には必要なんですが、つくらない。
 では次に、4年に1度の教科書採択で無償措置法によって負担される県内の小中学校におけるその金額についてお答えをください。
○議長(濱口太史君) 教育長。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 県内小中学校における教科書の負担額についてお答えをいたします。
 文部科学省の資料によると、児童生徒1人当たりの2021年度使用教科書の平均金額は、小学生4083円、中学生5647円となっています。
 2021年5月1日時点の県内公立小学校の児童数は4万3176人、公立中学校の生徒数は2万1294人ですので、教科書の負担額は、小学生が約1億7600万円、中学生が約1億2000万円、合わせて約2億9600万円となります。
○議長(濱口太史君) 浦平美博君。
  〔浦平美博君、登壇〕
○浦平美博君 その年に決まった教科書、これが4年間続くわけですから、総合計で12億円を超えるたくさんのお金が動いていることと同時に、その厳正さも理解を頂戴したいと、そのように思います。
 次に、教科書採択は教育行政の公正または円滑な運営に著しい影響を及ぼすおそれがあるため非公開で、このような常套文句になっていますが、それは静ひつな環境でなく、密室での協議に陥ってしまっています。外部の目にさらされなければ、その真意も見えず、誤解や疑念を生んでしまうことに、一日でも早く気づいていただきたい、そのように思います。
 先ほど、私は、郷土を愛する心を育むために、子供たちにどのような内容から情操を育んでほしいのか、その採択というメッセージからうかがうことはできませんと申しました。採択には地域の記述などが大変重要です。皆さんも御存じかと思いますが、島安次郎さん、弾丸列車構想、そして時代が変わり、夢の超特急新幹線、この構想のもとをつくった人ですね。和歌山出身です。そして、島3世代にわたって、初の輸出となった台湾新幹線にも尽力をされたこの3代、これが自由社の教科書に載っています。エルトゥールル号の物語も、最初に載せたのが元の扶桑社ではなかったでしょうか。連綿と受け継がれる歴史という物語は、アイデンティティーの重要な要素だと思います。
 そして、教科書採択における教科書を選ぶ、この教科書というのは、学習指導要領の趣旨にちゃんと沿った図書でございます。最新の和歌山県教科書選定審議会の会議録が公表されていますが、ある委員は、こんなことをおっしゃっています。ちょっとここははしょらせていただきますけれども、社会の歴史的分野について調査研究をしてきたが、教科書として構成の面を考えると、東京書籍からのほうが自ら課題を見つけ、主体的に探求していく、あるいは他者との対話の中で学ぶという狙いがうまくまとめられていると感じる、新しい学習指導要領の趣旨に沿った図書という観点から見ると、東京書籍が優れていると感じる。このようなことで6人ほどですか、いろいろと議論を頂戴しているんですが、全て同一の教科書でございます。どこに郷土を愛することのできる記述について議論をなされたのか。委員が真面目に取り組んでおられることは理解しています。だからこそ、そのためにもたくさんの目にさらしていく必要があるのです。透明性とは、そういうことではないでしょうか。出版会社とオンラインで結び、プレゼンをして決定する。または、プレゼン用の動画をもらい、採択時に見て、議論、採決、採択する。調査員の意見や選定審議会の意見は、ただの意見として頂戴をし、オンラインでライブ中継、採択を行ってはならないとは、ちょっと待ってください。ごめんなさい、ちょっと飛びました、すみません。ライブ中継でこの教科書採択というのを決めたらどうかと、このように思っています。
 それは、文部科学省はライブ中継とかオンラインでやったらあかんとは言っていません。逆に開かれた採択の一層の推進を唱え、採択の結果や理由等の採択に関する情報の積極的な公表に努めると、このように言っています。
 そこでお尋ねいたします。
 プレゼン形式による教科書採択ライブ中継を全国に先駆けた和歌山モデルとして行ってはどうかと思いますが、それに対する見解を求めます。
○議長(濱口太史君) 教育長。
 この際、申し上げます。所定の時間まで残り4分であります。質問、答弁は簡潔にお願いいたします。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) プレゼン形式による教科書の採択についてお答えいたします。
 県教育委員会が所管する県立中学校の教科書採択については、教育委員が各教科書の内容等を十分に理解し、公平かつ適正に行うことが重要です。そのために、教育委員室に全ての教科書を常設し、教育委員がいつでも閲覧したり、持ち帰ったりして、調査研究することができるような環境を整えています。
 教育委員は、複数回にわたり教育委員協議会等においてそれらの教科書と、和歌山県教科用図書選定審議会の選定資料を参考に、質疑応答や意見交流をしながら、調査研究を進めます。さらに、教育委員が各自の調査研究を踏まえた上で、県立中学校教科用図書選定委員会が調査研究をした報告も参考にして、その内容の妥当性を協議し、採択を行っています。
 議員提案の教科書会社によるオンライン上でのプレゼンテーションを参考にする教科書採択については、調査研究の一手段となり得ても、文部科学省から、教科書会社に過度な負担とならないよう、また参加を強制することは適当ではないと通知されていることもあり、教科書会社の公平性を確保するという点から難しく、これまでの採択手順で丁寧に行うことが最適であると考えます。
○議長(濱口太史君) 浦平美博君。
  〔浦平美博君、登壇〕
○浦平美博君 それはあなた方が最適なような感じがするんですが、この教科書採択における重要な書類を、これを保存するのは和歌山県は5年保存と聞きました。学習指導要領の改訂は10年です。教科書採択は4年に1回です。ですから2回やるだけで8年、2度やるだけで8年の時間を要します。それが5年ということは、過去1回分しか見ないと。それでは、学習指導要領はなぜ10年に1回変わるのかという本質を、これは教育委員会が熟知していない、そういうふうに解されてしまいます。時代が大きく変化するわけですから、その中で長い時間と短いスパンと両方兼ね備えた上で、きちっと僕はやっていくべきかと、文書を保存すべきかと思いますが、5年になっております。
 そこで、お尋ねをいたします。
 教科書図書採択に係る公文書保存期間については、学習指導要領改訂の基本10年、採択2回、8年と考え、10年保存ですべしと考えますが、お聞かせをください。
○議長(濱口太史君) 教育長。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 教科書採択に係る公文書保存についてお答えいたします。
 和歌山県公文書管理規程では、諮問及び答申に関する公文書保存期間を5年としています。和歌山県教育委員会等文書規程においてもそれに基づき、保存期間を5年としています。
 教科書採択替えについては、基本的に4年で1周期となっており、5年間の保存期間で、前回の採択替え時における公文書を確認することができるため、現行の5年が適切であると考えています。
○議長(濱口太史君) 浦平美博君。
  〔浦平美博君、登壇〕
○浦平美博君 適切じゃないから適切にしてはどうかと言っただけでございます。
 これからもしっかりとやっていきます。1年議員で、時間目いっぱい使いまして、大変失礼いたしました。これで私の一般質問といたします。
○議長(濱口太史君) 以上で、浦平美博君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時55分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○副議長(中本浩精君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 20番中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 質問の機会を与えていただきまして、まずお礼を申し上げたいというふうに思います。ありがとうございました。
 それでは、通告に従い一般質問を行ってまいります。
 1番に、海洋風力発電について伺います。
 本年10月、第2回県人会世界大会が開催され、世界各地から約400人の県人及び関係者が来県し、交流を深めるとともに、次世代へ絆を継承する誓いを行いました。移民数6位の本県では、明治から戦後にかけて多くの先人が海外に雄飛されました。
 顧みれば、本県は、石器時代の交易から始まり、神武の東征、熊野詣の帰路、熊野水軍、御三家の設置、菱垣廻船の活躍、紀伊国屋文左衛門の出航、捕鯨、カツオ・マグロ漁業、真珠採取、高度経済成長を支えた臨海工業まで、歴史的に海洋県として発展してきました。
 日本の国土は狭くとも、EEZを含めた領域は世界6位の広さがあり、我が県域も太平洋のかなたまであります。今後とも、この海洋権益を耕し、本県の発展につなげようではありませんか。
 そこで、まず、現在調査が進んでいると聞く洋上風力発電について、現状はどうなっているのでしょうか。また、立地について知事の見解をお伺いします。
○副議長(中本浩精君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 知事岸本周平君。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
 県は、2018年度から3か年にかけまして、ゾーニングマップを作成、公表いたしております。そして、県の漁業組合連合会と共同で、開発事業者が漁業関係者に接触する際の一元的な調整用の窓口を設置いたしております。
 現在、幾つかの開発事業者が、この枠組みを利用して、関係漁業者への説明を開始しております。県としても、開発事業者の活動を後押ししながら一歩一歩取組を進めているところであります。
 また、和歌山県が脱炭素先進県を目指していくに当たりまして、大量の再生可能エネルギーを導入できる洋上風力発電は大変重要な選択肢であると考えております。幸い、和歌山県周辺海域は、風況など、近畿圏内では随一のポテンシャルが高い地域で、洋上風力発電の適地であると認識をしております。
 洋上風力発電は、地産地消の大規模な再生可能エネルギーとして、成長産業を誘致、集積させる大きな推進力になり得ます。地元企業との連携も期待されますことに加え、カーボンフットプリントなどが重視される中、脱炭素先進県を目指す本県にとりまして、挑戦する意義の大変大きい事業であるというふうに考えております。
 和歌山県といたしましては、洋上風力発電が経済の発展に向けた新たな成長の芽となるよう、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
○副議長(中本浩精君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 知事から本当に力強い御答弁をいただきました。どうかよろしくお願いしたいと思います。
 次に参ります。
 次は、海流発電など海洋開発について伺います。
 海域で行う発電は、ほかにも波力発電や温度差発電、海流発電などがあります。そのうち、海流発電は技術的に完成しつつあり、あとは電力会社次第と聞きました。
 本県沖の黒潮の場合、僅か1%活用するだけで原子力発電所2基分の発電量が得られ、風力や太陽光のように中断することはありません。数年前には、本県もシンポジウムを開催するなど海流発電に取り組んでいましたが、その後、どうなっていますか。
 また、海底にはメタンハイドレートやレアアースなど豊富な資源の賦存が報告されています。メタンハイドレートの開発に向けて、日本海の12県は日本海連合を結成し、国に事業促進を働きかけているそうです。
 現在、知事もGXを重点施策に表明されていますが、海洋を巨大な温暖化ガス吸収源とするブルーカーボンという制度が世界的に推進されています。
 本県に有利な法制度をつくることや、調査・事業化を働きかけるなど主体的な取組を期待しますが、県の見解を伺います。
○副議長(中本浩精君) 商工観光労働部長三龍正人君。
  〔三龍正人君、登壇〕
○商工観光労働部長(三龍正人君) 海流発電について、県では、2014年に国の海洋再生エネルギーの実証フィールドとして潮岬沖を申請し、複数の事業者に対し潮岬沖での実証実験を働きかけたところですが、船舶航行量の問題等で実現には至りませんでした。
 また、海底資源のうち、メタンハイドレートについては、国による調査が実施されていない潮岬沖等において、2012年から毎年、県の調査船による賦存状況調査を実施しているところです。
 海洋開発については、国の動向を注視しながら中長期的に検討していく必要があると考えます。
○副議長(中本浩精君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 難しいということは分かりました。注視するだけでは乗り遅れてしまうということもあると思うんです。和歌山県の海は、ずっと向こうまであるんですが、県境が定まっておりませんので、よそに取られてしまうことのないように、注視するだけではなくて、和歌山県が有利になるような法制度をつくっていくとか、そんなことが私は必要だと思いますんで、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思いますし、知事もどうぞよろしくお願いします。
 続けて行きます。
○副議長(中本浩精君) はい、どうぞ。
○中村裕一君 2番目に、産業振興に関して、まず、新産業の導入について伺います。
 本年は、GDPがドイツに抜かれ、日本人のノーベル賞受賞者がいない年となりました。自然科学分野での論文引用数も13位と、過去最低になりました。幸い、国際特許件数は、まだ余裕の3位にあります。
 問題は、9月議会でも申し上げましたが、国内の特許申請件数は年間30万件から40万件もある中で、本県の特許申請件数が170件前後で、全国の1%にも満たないことであります。私は、ここに本県が伸び悩んだ原因があり、逆にこれを克服することで発展できると考えています。すなわち、和歌山を常時、発明・発見が起きるところにすることこそ、産業振興、雇用開発、人口増加、地域発展の根本があります。
 私はそのために大学が必要だと考えますが、令和6年度の重点施策では、成長産業の創出が掲げられております。具体的に何をするのか、知事にお伺いします。
○副議長(中本浩精君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
 今、和歌山県の置かれている状況は、少子高齢化等、大変厳しい部分もありますけれども、一方で、カーボンニュートラルや脱炭素など、時代の潮流を捉えた新たな動きが出始めております。
 例えば、カーボンリサイクル燃料分野では、現在、ENEOSにおきまして、和歌山製造所がSAF製造拠点となるよう事業化に向けた取組を進めておられます。また、その先に合成燃料や水素などの次世代エネルギーの事業化についても検討を進めていると聞いております。
 また、蓄電池分野では、パナソニックエナジー社が新型車載用リチウムイオン電池「4680」の生産設備を設置し、来年度上期には量産が開始される予定と伺っております。
 さらに、ロケット・宇宙分野では、現在、スペースワン社が、日本初の民間ロケット射場「スペースポート紀伊」からの初号機打ち上げに向けて鋭意作業を進めているところであります。
 このような和歌山県に有利な動きをさらに発展させるために、わかやま成長産業開拓ビジョン検討会を設置し、市場の成長性や本県との親和性などの観点から、成長産業の議論を始めたところであります。
 今後は、検討会での議論を踏まえ、将来の和歌山を担い得る成長産業を呼び込むための重点事項を整理してまいります。
 成長産業を呼び込むためには、大規模事業用地や関連インフラの整備方針、クリーンエネルギーの供給及び産業人材の確保、地元産業との連携などが考えられます。これらのプロジェクトを県庁内部局横断的に検討してまいる必要があります。
 今後、こうした取組を通じて、将来の中核産業として地域に成長産業を呼び込み、企業のレベルを超えた産業レベルでの集積を実現できるよう、前向きに全力で取り組んでまいる所存でございます。
○副議長(中本浩精君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 知事の御答弁の中で、呼び込むということが何回も出てきましたので、呼び込むというイメージを持たれているんかと思いますが、もちろん呼び込むことも大事であると思いますけれども、私は、本当に和歌山で創っていくと、オリジナルというんですか、和歌山から創っていくという、そういうような意気込みが必要ではないかというふうに思っておりますので、どうかさらによろしくお願いしたいと思います。
 次に参ります。
 次は、企業誘致──これは呼び込むことでありますけれども──の戦略について伺います。
 コロナ禍の教訓や近年の安全保障の状況から、経済安保が法制化されました。何でも安ければいいという市場主義は後退しつつあり、海外に向いていた投資が国内に回帰しています。
 既に熊本県や宮城県などの地方では巨額の投資で沸いているそうですが、本県にもチャンスが巡ってきています。今こそ、企業誘致はじめ投資を呼び込むチャンスであり、そのために、マンパワー、予算を拡充するなど、戦略を決めて積極的に取り組むべきであると考えますが、県の所見を伺います。
○副議長(中本浩精君) 商工観光労働部長。
  〔三龍正人君、登壇〕
○商工観光労働部長(三龍正人君) 企業誘致は、雇用創出に加え、新たな産業を創出し、地域経済の活性化に資する重要な施策であると考えております。
 そのため、製造業においては、経済安全保障に伴う国内回帰やサプライチェーン強靱化の流れを捉え、開発中の用地に加え、民間用地など他の適地の活用も視野に入れ、誘致に取り組んでおります。
 また、IT企業等についても、テレワークが急速に進んだことを好機に、首都圏からのアクセスのよさなどビジネス環境の強みと、安全で快適な生活環境のよさを企業に提案し、積極的に誘致に取り組んでいるところです。
 今後も、基幹産業はもとより、わかやま成長産業開拓ビジョンに位置づけられる成長産業を対象に、GX推進法に基づく国の支援も活用しながら戦略的に企業誘致を進めてまいります。
○副議長(中本浩精君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 私たちが議会で質問すると、県当局の皆さんは必ず何かやっているというふうにおっしゃる。どんどんとやっていただきたいと思いますし、今チャンスだと思います。
 このわかやま成長産業開拓ビジョン、ちょっと不勉強で、私、読んでませんけれども、ここに書いていることだけじゃなくて、これから成長していくような分野、たくさんあると思いますんで、どんどんといろんな方向に、限られた予算、限られた人材ではありますけれども、目を向けて研究するということはすごく大切だと思いますので、どうかよろしくお願いしたいと思います。
 次は、熊野工業団地について伺います。
 地域発展の期待を集めた御坊第1工業団地でしたが、最後の地権者が同意したのはバブル崩壊後の平成6年で、第2団地に追い抜かれ、長く塩漬けになったまま、「第1」が取れて熊野工業団地になりました。しかし、このさきの質問で申し上げたように、投資環境が随分よくなってきました。
 そこで、改めて、熊野工業団地の取扱いについて県の所見を伺いたいと思います。
○副議長(中本浩精君) 商工観光労働部長。
  〔三龍正人君、登壇〕
○商工観光労働部長(三龍正人君) 御坊工業団地熊野地区の用地につきましては、これまでの議会においても何度か質問がありましたが、採算性の問題で、事業を進めることは大変厳しい状況であると考えています。
 県としましては、用地を購入したい企業が現れてから造成を行い売却を行うオーダーメード方式が最適だと考えており、当該用地の売却に向け、関係各課や関係市町と連携し、情報発信に努めてまいります。
○副議長(中本浩精君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 熊野工業団地は、私の実は近くにあることでございますし、県会議員になる前から知っております。責任、私にあるとは思えませんけども、大いに地域発展のために、また負債を消していくために頑張りたいと思います。
 コスモパーク加太の土地も今度売れることになって、本当によかったと思います。その陰に、努力してくれた人たちもいて、名前は明かせませんけども、大いに私はその人たちに拍手を送りたいと思うんですが、そんなように私も頑張りたいと思っております。
 次に参ります。
 3番目に、和歌山を担う人材の育成に関して、まず、本県の教育の目標について伺います。
○副議長(中本浩精君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
 和歌山のみならずですけれども、子供たちは社会の宝であります。この子供たちが夢や希望を抱いて元気に成長していくことは、これはもう県民皆さんの願いでありますし、そのことが、ひいては県の発展につながるというふうに考えております。
 これは、前の議会で藤本議員の質問にもお答えをさしていただきましたが、生成AIというようなものが発展してきてくる中で、これまでのような、教科書を覚えて、あらかじめ必ず正解がある問題を解くような教育は、これはあまり意味がないと考えております。むしろ、これまでのそういう教育をやめて、むしろ子供たちが自分で問いをつくる能力を磨く、育てると、そういう教育に変えていくべきだろうと、これは本当に考えておりますし、教育委員会の皆様にもお願いをしているところであります。
 そのような形で、もう一つ、好きこそ物の上手なれというわけですから、子供たちができるだけ早く、自分が好きなものは何なんだろうか、これ一生懸命やりたい、そういう好きなものを見つけることができるような指導も大事だと思います。その中で、いわゆる工業や商業、農業などの専門職の学科を、今までは逆で普通科のほうが増えていった、専門学科は志望者が減ってきたからどうしても少なくなっていく、何とかこの方向を逆転させて、専門的な学科を増やしていく、重点化していくようなことができないだろうか、これを今、教育委員会の皆さんと議論しているところでございます。
○副議長(中本浩精君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 県政を運営する上で、教育というのはすごく大切だと思います。しかし、一応教育委員会がやることになっているんですけれども、私は、知事も教育全般について具体的にいろいろ政策を持つことが大切であると思います。
 今、知事から思いを聞かせていただきましたが、具体的に何をやるかということについては、また改めて伺いたいと思いますが、ぜひ具体的にどんなことやっていくんだというような政策を出していただきたい、そのように思います。期待をいたしまして、次の質問に行きます。
 少し次は関係するんですけども、次は、子供たちの将来や本県の発展のために、私が必要と思うSTEM教育という教育や英語教育について教育長に伺います。
 現在、アメリカや中国は、力強く経済成長を続けています。その成長を支える人材教育として、STEM教育が実践されています。
 STEM教育は、アメリカ発の教育理念で、Science・科学、Technology・技術、Engineering・工学、Mathematics・数学の頭文字を取ってSTEMと呼ばれています。STEMは科学技術発展に重要な分野と言われ、科学技術開発は国際競争力を高めるために必須の分野となっています。そこで、将来、科学技術の分野で活躍できる人を育てるのがSTEM教育です。
 私は、本県でも、理科好きの子供を1人でも多く育て、発明・発見のプレーヤーとして、また地域医療を担う医師を養成するためにもSTEM教育の導入ができないかと考えています。
 次は、英語教育についてであります。
 皆さんは、英語しゃべれますか。
 恥ずかしながら、私はほとんどしゃべれません。大学までやりましたが、しゃべれません。アメリカでは、赤ちゃんや読み書きできない人でも英語をしゃべります。
 私は、個人的に英会話のレッスンを受けた経験がありますが、そのときに最初に教わったのは、「Which means?」という言葉でした。どんな意味かを問う言葉ですが、もし英語が分からなくても、「Which means?」を連発すれば、相手は赤ちゃんに言葉を教えてくれるように丁寧に答えてくれるでしょう。まさに、英会話を学ぶ人が最初に覚えるべき言葉だと思いました。
 しかし、たしか私の記憶では、中学で一番最初に教わった英語はThis is a pen.でした。歯にきぬを着せない発言で有名な麻生太郎自民党副総裁も、英語教育の問題点として同様の指摘をしています。
 今や世界中の会議、交渉、契約は、英語で行われています。そんなことは当たり前かもしれませんが、私は県議会議員になるまで知りませんでした。そういう意味で、本県でも、高校を卒業すれば、英文学は分からなくても、みんな英語がしゃべれるようになればいいと思っています。子供たちの進路がどれだけ広がるか、進学・就職で有利になるか、失業するときも一番最後になるんではないか、そのように思います。
 ぜひ本県でもSTEM教育や英語教育に力を入れるべきではあると思いますが、教育長の見解を伺います。
○副議長(中本浩精君) 教育長宮﨑 泉君。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) STEM教育や英語教育についての御質問でございます。
 科学技術分野における人材やグローバルに活躍する人材の育成は、これからの社会にとって重要であると考えています。
 小・中・高等学校を通して、算数・数学や理科の授業の充実とともに、教科横断的な授業や探求的な学習に取り組んでいます。
 STEM教育に関しましては、向陽高等学校や海南高等学校におけるスーパーサイエンスハイスクールや、串本古座高等学校の宇宙探究コースがあります。また、きのくにロボットフェスティバルや和歌山スーパー未来塾、各種プログラミングコンテストなどに積極的に参加する児童生徒が増えており、最先端の科学技術に触れる機会も充実しています。こういった取組が、将来、科学技術系に進む人材の育成につながると期待しています。
 また、英語教育においては、小・中・高等学校を通して、互いの考えや気持ちなどを伝え合う授業とともに、児童生徒が英語を活用してコミュニケーションを図る機会の充実等に取り組んでいます。
 日高高等学校から始まったアジア・オセアニア高校生フォーラムや、国際科を設置している高等学校を中心とした国際交流教育も充実してきています。
 今後も、国際理解の精神等を身につける多様な機会を設け、グローバルに活躍するための総合的な力を育成していきます。
 社会が激しく変化し、多様な課題が生じている今日において、児童生徒が対応できるよう効果的な取組を行っていく必要があります。今後も、時代や社会の要請に応じて教育を進化させていきます。
○副議長(中本浩精君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 教育の成果というのは、すぐに出るものではありませんので、今御答弁いただきました教育長の答えがどうなるか、ちょっと先にならないと分からないと思います。
 昨日、たまたま日高高校の同窓会というのがあって、今の日高高校の山本校長が、同窓の皆さんの前で、どんなことをやっているかということを説明してくれました。それを拝見しておりましたら、私が高校生だった頃からすれば、たくさんのいろんなことをやってくれているというふうに思いました。しかし、私は、教育委員会の皆さんも何もやってないというふうには申し上げているわけではありません。
 しかし、私が冨安県会議員に聞いたら、高校生の頃は日高高校の1学年360人しかいなかったけど、県立医科大学には同級生が6人入学したということでございました。
 今、日高高校から毎年1人入らないんです。いや、日高高校どころか、和歌山県の公立はもうあんまり入らない。和歌山市以外のところはなかなか入らないわけで、地域医療で医師不足のために失われていく命がある中で、やっぱりSTEM教育という中には別に科学者だけじゃなくて医師を養成するというようなことも、まさに今もう必要とされているわけなので、今直ちに何か医大へ入るようなそんな教育を目指していただきたい。
 県立医大の入学の在り方にも私はいつも問題があると思っているんです。また改めて知事ともお話をさせていただきたいと思いますが、医科大学は独立大学法人になって、お金は要らんようになるという話でしたが、お金はもっと要るし、なかなか言うこと聞いてくれない仕組みになっています。ぜひとも、直営にでもしたらいいんじゃないかというぐらい、もっと入りのほうで、和歌山県の僻地、医師不足の地域のところの子供をぜひ入れてもらいたいと思いますが、入学させるほうも大いに力を入れていただきたいと思います。
 英語教育は、私もしゃべれないので偉そうに言えませんけども、やっぱりしゃべれるようになればすごくいいと思うんです。ただ、今の授業のやり方ではうまいこといかんかも分かりませんけれども、そんな具体的な目標もぜひつくっていただきたい。
 言いたいこといっぱいあるかも分かりませんけれど、要望させていただきます。
 次、参ります。
 次は、土木建築人材の養成についてであります。
 先般、御坊市で行われたタウンミーティングでは、土木建築人材の養成について要望が出され、知事は、「普通科を専門学科に変えていこうと思っている。10年ぐらいかかるが、やっていきたい」と意欲を見せたことが地元紙で報道されました。
 その記事を読んだ知人から電話があり、知事がやってくれそうだと喜んでいました。その人は、地元建設業界の元会長で、土木建築人材の養成を以前から各方面に要望していました。
 地域で必要とされる人材育成は、土木建築にかかわらず、医療や介護、観光、農業、化学、工学など、幅広く取り組まなければなりません。しかし、高校の実業科教育は、受験生や保護者の要望も含めて、産業界の要請や実際の求人状況、県発展のための人材育成という観点からは大きく離れているように思います。
 知事は、御自身の会で、災害の復旧・復興に貢献する建設業界にエールを送っておられましたが、実は本県の建設業は全国一零細な個人事業主が多い、企業としての発展性が乏しいというのが現状であります。株式上場するゼネコンは1社もありません。その大きな原因は、本県に土木建築人材を養成する高校や大学が全国に比べて非常に少ないことです。
 9月の建設委員会では、工事の適切な受注や建設業界の発展のためには土木建築人材の養成が必要なことを指摘させていただきました。そして、その人材養成を県教育委員会などに要望してくれるよう要請しました。
 要請があったかどうか知りませんが、紀央館高校に土木建築コースを設置することについて教育長の所見を伺います。
○副議長(中本浩精君) 教育長。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 土木建築人材の養成についての御質問でございます。
 近年、中学校卒業生徒数の減少に伴い、全日制高等学校の募集定員を縮小する中においても、工業科の募集定員は減らしておらず、本年度の定員は19学級760人としていますが、入学者は約650人、充足率は約86%となっています。
 また、中学校卒業生徒数が減少する中、専門学科の新設や拡充は大変厳しい状況にありますが、議員の御提案については、県全体として前向きに検討する必要があると考えます。
 現在、土木や建築の分野に限らず、県内の全ての業種において人手不足が言われており、県内へ就職する生徒を増やしていくことが求められています。そうした中、学科の設置等を行う場合は、地域の盛り上がりやニーズが必要だと考えます。
 今後、県内各高等学校の整備については、地域の高等学校が地域の声を聞きながら将来像を構想することになります。県教育委員会としましても、学校長とのヒアリング等を通して構想について協議を進め、各高等学校の魅力化、特色化に向けて取り組んでまいります。
○副議長(中本浩精君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 私が思っていたよりも積極的な御答弁をいただいたと思います。
 その中で、私の今までの経験からいくと、地元の高校にお願いに行く、それはもうもっともだと思うんですが、しかし、たまたま昨日、日高高校の校長は日高高校の卒業生で、日高川町に住んでいるということが分かりましたが、県立学校、高校は、校長になられる人というのは少ない。県下全体で回ってますから。やっぱり校長で初めて御坊へ来て、何か御坊のこと、いきなり分かれといっても、やっぱり無理なわけであります。高校の学科をつくったりするというのは、県教育委員会が主導的にやるんじゃなくて、学校からやっぱり盛り上がっていくというか、そういうことが多いと思いますが、なかなかそれが火がつかない。私はぜひとも、地元も頑張りますけれども、県教育委員会の主導性というんでしょうか、そういうところを大いに発揮していただきたいというふうにお願いをしておきます。
 それで、同じ視点で土木建築人材の育成について知事はどのようにお考えでしょうか。よろしくお願いします。
○副議長(中本浩精君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
 中村議員がずっと御指摘をされてる点につきまして、私も全く同感であります。それで、じゃ、何で例えば工業の学科に生徒が行かないのかと。定員はそのままなんですけども、要するに志望者が少なくなっているんですね。ですから、長い間、そういう専門学科に行く生徒さんが減って、皆さん普通科に行かれるもんですから、普通科の定員が増えていって、専門学科が縮小してきたということであります。これを志望者を増やさないことにはいけない。もちろん鶏か卵の部分はあるんですけれども。
 それで、実は、私、今年の3月に和歌山県立工業高等学校の卒業式に行かせていただきました。校長先生からお聞きしたお話ですと、工業高校の卒業生、何と1人について15社募集があったとおっしゃるんです。もう引く手あまた。大変人気があるもんですから、少し残念なんですけれども、県外に行ってしまうんですね、給料が高いもんですから。その子たちに残ってもらうのも大事なんですけど、それぐらい専門課程を出た子供たちや生徒さんたちは社会で求められているんです。
 ただ、それが残念ながら保護者の皆さんには届いていない。今、保護者の皆さんが、やっぱり進学する際に、先を決めるときに大変大きな影響力を持っていらっしゃいますから、ここから変えていきたいと。つまり、専門学科、もちろん工業、土木もそうです、建築もそうです、電気、機械あるいは商業、デザイン、そういうことが、そっちを出たほうが社会的にはもう就職は100%、120%有利ですよと。そういう時代ですよと。そういうこともやりながら、やっていきたいと思います。
 具体的には、それをやりながら、そうなりますと生徒さんは減ってきますから、普通科の定員を減らして専門学科の定員を増やしていくようなことを具体的に考えていかなければならないと思っておりますけれども、それはもうともかく、専門学科のほうが子供たちの能力を生かせる未来がある分野ですよということを先生方も一緒になって少しPRをしていかなければならない状態かなと考えております。どうか御指導よろしくお願い申し上げます。
○副議長(中本浩精君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 指導をできるだけ、こちらも大したものではありませんが、私も県会議員にならしていただいて30年たつんですけども、実は、もう30年前から、県会議員には、中学のPTAから高校の入学定員を減らさないでほしい、増やしてほしいということを毎年陳情を受けて、教育委員会のほうに一緒に陳情さしていただいてきました。
 でも、私は、初めてその陳情を受けたときに、たまたま中学校のPTAの役員さんが知り合いでしたので、高校へ入ることも大事だけども、入ってどんな勉強することのほうが大事じゃないかと言うのですが、役員さん、毎年替わるのです。毎年同じこと言っても、もうその話は積み上がっていかないんですね。普通科へ行って、県外の大学行って、和歌山帰ってきて就職しようと思っても、なかなか希望に沿ったところには行けない。それなら高校で技術科へ行って、某有力電力会社、関西電力さんに入ったほうが、よほど給料もいいし、安定しているんです。だけど、そのことをみんな知らない。
 それからいくと、やっぱり高校だけじゃなくて、中学のインターンシップとか小学校の頃から、和歌山にどんな仕事があって、あなたはどういう仕事を目指すか。幼稚園の子供に、大人になったら何になるかと言ったら、作文に書いてくれるんですけど、どんどん就職が近づいてきたら、もう何か分からなくなってしまうことのほうが多いわけで、高校の土木建築人材、専門学科をつくってほしいという要望を申し上げましたが、これ簡単じゃないと思いますけども、ぜひ和歌山県に残りたいという人が残れるような、そういう実業科を、そしてまた専門人材を養成していただくことをお願い申し上げたいと思います。
 よく似た問題で、続いて知事にお尋ねします。
 知事は、農学部の設置を公約にされてるんですね。私は、農業というのは和歌山県にぴったり合っていると思いますし、それから、農業は世界的に成長産業というふうに言われてます。世界で8億人の人が飢えているというふうに言っておりますから、人類発展のためには、なくてはならない産業だと思います。しかし、農学部は、大阪とか京都とか神戸にはあるんですが、なぜか農業県の和歌山にありません。本当に不思議です。ぜひとも実現していただきたいというふうに思います。
 しかし、なかなか農学部をつくるのは難しそうというふうに聞いています。国立大学に新しい学部をつくる場合は、どこか削らないといけないというふうに聞きましたし、まず大学自身がやる気になってくれなあかんわけでありまして、それで和歌山県は今まで和歌山大学に新しい学部をつくってくれということをずっと言ってきましたが、なかなか、できましたが時間がかかった。
 最近、二階先生の本を頂きましたが、初めて国会議員に当選したときに質問したのが、和歌山大学に工学部をつくってくれという、そんな要望でした。もう随分やっぱり時間がかかるわけであります。
 和歌山だけが難しかったんじゃなくて、全国も同じ状況でしたけれども、ほかはどうしたかというと、公立の大学をたくさんつくってきた。私が大学受験生だった40年前頃は公立大学というのは本当に少なかったんですが、今はもうびっくりするほど増えて、国立の7割ぐらいの数があるわけでございます。
 公立大学というのは、授業料を集めて、足らんお金は交付税でくれる。総務部長はそのとおりいかんというふうなお顔をされてますけども、そこで、私は、知事も本当にやろうということであれば、私は県立でやっていただいたらいいんじゃないかというふうに思っております。
 日本の大学進学率、まだ先進国の中ではそんなに高いほうではないというふうに言われてます。少子化で、これから子供の数が減っても進学率が上がっていけば、和歌山でも、少子化でも、今からでも、私は大学はできるんじゃないかというふうに思っております。
 高校がこれから削減されていくという話も聞いております。高校1校を経営するのは6億円ぐらい年間かかると聞いておりますから、1校消えたら、和歌山で県立大学1学部つくるというような、そんなことも簡単じゃないと思いますが、ぜひ検討していただきたいと思います。
 それから、農学部をつくるなら、獣医学科というのもできるんじゃないかというふうに思います。安倍元総理も獣医学部つくるのにいろんなごちゃごちゃしたことを言われましたが、でも、全国的には獣医が足りない。行政や大型動物をやる獣医さん、足りないというふうに言われてます。
 しかし、医師と同様に、獣医師はもう養成しないというふうな宣言をしてるんでしょうか、閣議決定で大学の入学定員は増やさないということになっているというふうに聞いております。しかし、これからの世界中の動物園が、もうアフリカのサファリから動物を捕まえてきて展示するというんじゃなくて、動物園とかで増殖をした動物を展示するというような方向へなっていくんじゃないかと私は思っています。
 そういうことを考えたら、アドベンチャーワールドのパンダを育成した技術だとか、太地でずっと続けている鯨の研究だとか、こんなことがある和歌山県こそ獣医学部の適地であるというふうに思っております。
 さて、本県に大学が必要な理由は9月議会でも申し上げました。また、さきの質問でも申し上げましたけども、人口減少を逆転するためには、和歌山を常時、発明・発見が起きる県にする必要があると思っております。農学部以外にも宇宙航空や情報工学などの成長分野、それから県立医大と相性のいい医療系工学など、新しい成長分野にはいつも優秀な人材が必要であります。ぜひとも、和歌山でもできると思いますので、知事の御所見を伺いたいと思います。
○副議長(中本浩精君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
 中村議員御指摘のとおり、大学というのは、教育機関というだけではなくて、いろんな意味で地域に活性化をもたらす、力をもたらすというふうに考えております。したがいまして、これまでも和歌山県では、医療・福祉対策、あるいは幼児教育の充実というような観点から専門性の高い人材の育成を進めるために、五つの大学をこれまで設置、あるいは誘致を進めてきたわけでございます。この方向性は本当に正しかったと、よかったと評価さしていただいているところであります。
 一方で、文部科学省は本年7月に大学関係の推計を出しまして、2050年には国公立・私立大学の入学者数が2020年に比べて2割減るという推計を出されております。現在でも多くの大学で定員割れをし、経営が成り立たない大学がたくさんありまして、大学淘汰の時代を迎えようとしております。
 したがいまして、公立大学を新設するということにつきましては、県財政への影響のみならず、トータルで大学経営ができるのかということについても課題や懸念もあるところでございます。
 したがいまして、まずは、これまで誘致してきた多くの大学を含め、現在、県内では11の高等機関、和医大、和大を含めて、高等教育共創コンソーシアム和歌山というのができております。こういう高等教育機関と協力しながら産業振興とか人材育成を進めていくということが、まずもって我々の今取りかかる課題ではないかと考えております。
 それから、農学部については、これは私の夢でありまして、何とかどんな形にしてもつくっていきたいとは思っておりますが、今のような問題がございます。
 現在、知事に就任しましてから、いわゆる県の農業大学校、研究機関、いろいろ研究をしております。まずは、できるところからということで、県の農業大学校を拡充していく、県の研究機関をかさ上げしていくと。そして、一つの方向として農学部に近づけたい。その際の運営主体として、どこがどういう形でするのかも含めて今後検討してまいりたいと考えております。
○副議長(中本浩精君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 大学のことについては申し上げたいこともたくさんありますが、時間がなくなってきましたので、次に移りたいと思います。
 しかし、知事、和歌山のためにはやれると私は思ってますんで、また改めてお願いします。
 4番目に、農林水産業の振興に関して、まずは農業の機械化について伺いたいと思います。
 農林水産業は、さっきも言いましたけども、和歌山にぴったりな産業で、しかも観光立県をする上で不可欠の産業だと思います。
 県産のミカンや梅、柿などの果樹、まりひめ、杉、ヒノキといった紀州材、カツオ、マグロやタチウオ、クエなど、先人が築いてくれたスーパーブランドであります。
 しかし、嗜好の変化や市場競争、価格低迷、資材高騰など、農林漁家の経営は苦しく、少子高齢化、高卒後の県外流出も相まって、農村漁村の過疎は止まりません。
 その悪循環を断ち切るためには、生産面では品種改良や機械化などの省力化、販売面ではブランド化や輸出など積極政策で頑張らなければなりません。
 そんな中、来年度の新政策に、機械化に取り組むとの説明がありましたが、具体的に何をどう進めるのか、県の所見を伺います。
○副議長(中本浩精君) 農林水産部長山本佳之君。
  〔山本佳之君、登壇〕
○農林水産部長(山本佳之君) 農業者の高齢化や担い手が減少する中、省力化を進めるため、スマート農業機械の導入は重要であると認識しております。
 そのため、県では、果樹におけるドローンやリモコン草刈り機などの活用効果を評価するとともに、ミカンや梅などの生産現場で実演し、導入を推進してきたところです。
 施設園芸では、環境制御装置を活用した生産性の向上を図るため、農業者が技術を学ぶ実践塾を開催しております。そうしたドローンや電動運搬車、環境制御装置などを導入しようとする生産者に対して、補助事業により支援しているところです。
 今後、果樹でのスマート農業機械の導入がさらに進むよう、ドローンで利用できる農薬数を増やすための試験に加え、ドローン散布用の肥料や散布技術、作業性のよい樹形づくりなどを企業とコラボしながら開発してまいります。
 また、農業で活用できる新技術の情報収集や、わかやまテクノ・ビジネスフェアなどの機会を活用した企業への働きかけによりコラボを進め、産地が必要とする技術の開発を進めてまいります。これらの取組により、生産現場へのスマート農業機械の導入を進めていきたいと考えております。
○副議長(中本浩精君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 答弁の中で、ドローンと4回も答えていただきました。確かにドローンは有効な手法だと思います。しかし、ドローンで農薬散布するといっても、ミカンとか梅の葉っぱの裏側にまでなかなかかかりにくいということがあって、もう何年も前に県の皆さんから聞かしてもらいました。樹形もやらなあかん。今、答えにありました。しかし、よう考えてみたら、樹形だけじゃなくて、もう圃場の在り方から、ドローンを飛ばそうと思ったらやり替えなあかんわけでありまして、ぜひそんなことも考えていただきたいと思います。
 それから、今、農業新聞見ていたら、いっぱい新しい機械が出てきた、スマート農業と出てくるんですけども、動力系といって、トラクターを造るとか、あと、ハウスのビニールのような、大企業じゃないとできない資機材の開発ってあると思いますが、でも、ほかのところを見てみたら、この機械、どこの会社かなと思ったら、九州辺りの名前も聞いたことないような会社が造っていたりするわけです。それは、農業というのは、ハイテクじゃないけども、いろんな幅の広い知識、技術が要るので、私は和歌山県の会社でも、それから県の農林水産試験場なり暖地園芸センターみたいなところでも新しい技術というのは開発できるんではないかというふうに思うんです。
 今、水を入れたポットの中に花を入れて箱で出荷をしてますけれども、箱をひっくり返しても水がこぼれないポットというのがある。農家の人と民間会社と開発したというふうなお話を聞いてますけれども、私はそういうのがたくさんあると思いますので、ぜひお願いしたいのは、今、農林水産部は植物を育てるそういう人、魚は魚捕る、それから林業は木を育てるということですけども、やはり機械のことが分かったような人も、これから研究していく中には、そんな人も要るというふうに思っておりまして、ぜひ、方向性はすごくいいと思うので、頑張ってやっていただきたいというふうにお願いをしておきます。
 次は、輸出について伺います。
 農林漁家の経営が大変な中、農林水産物や加工品の輸出は大変いい方向です。国策でもありますし、今や1兆円超えておりますが、今後の県の現状や取組について伺います。
○副議長(中本浩精君) 農林水産部長。
  〔山本佳之君、登壇〕
○農林水産部長(山本佳之君) 農水産物や加工食品の輸出については、コロナの影響により現地に渡航して商談等を実施することができなかったことから、国内での新たな輸出商社の開拓やオンラインを活用した商談機会の創出に努めてきました。今年度は、これらに加えて、海外での見本市参加や和歌山県産品フェアの実施など、対面での販路開拓を中心とした取組を進めています。
 中でも、梅酒については、2020年度に県産梅酒が酒類の地理的表示・GIの指定を受けたことを契機として、2021年度からフランスでのプロモーションを推進しており、さらに、今年度から、所得水準の高いオーストラリアでの取組にも着手しています。
 輸出をするためには、輸出先国の規制への対応が必要となる場合があり、生産園地や選果梱包施設の登録等といった産地が一体となった取組、果実加工や水産加工業者が取り組むHACCP等対応施設の整備について支援を行っているところです。
 今後も、海外への輸出に意欲的な生産者や事業者を支援することで、本県農水産物や加工食品の輸出振興を図ってまいります。
○副議長(中本浩精君) この際、申し上げます。所定の時間まで残り5分であります。質問は簡潔にお願いいたします。
 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 農業の振興のためには、品種改良とか、それから、今すごく温暖化してますから高温対策というのが必要だと思いますけども、どのように対処をされますか。よろしくお願いします。
○副議長(中本浩精君) 農林水産部長。
  〔山本佳之君、登壇〕
○農林水産部長(山本佳之君) 農業生産において、産地に適した優良な品種を導入することは重要であり、県では、梅やスターチスなど主要品目の競争力を高めるため、品種改良に取り組んでいるところです。
 梅では、黒星病に強く、「南高」と開花時期が合う「星秀」、スターチスでは、生産性が高い黄色や紫色の品種などの育成に取り組んできました。
 また、園地で変異により有望な形質を持った品種について、農家やJAと連携して探索するとともに、特性調査や品種登録の支援に取り組んでおります。
 近年、夏から秋にかけて高温が続くことがあり、梅干しの日焼け果や、スターチスが赤葉となる生育不良などの高温障害が発生しています。そのため、生産者の協力を得ながら調査研究に着手したところです。
 今後、品種改良については、収穫期間を拡大するためのわせ品種やおくて品種の育成、病害抵抗性を持つ品種などの育成に取り組んでまいります。
 高温障害対策については、産地で活用できる技術の開発を進め、JA等と協力しながら普及に取り組んでいきたいと考えております。
○副議長(中本浩精君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 最後に、農地の保全について伺いたいと思います。
 今、和歌山県の耕作放棄地は4600ヘクタールもあるというふうに聞いています。この前、廃川敷の払下げに関連して、農地が幾らぐらいかというのを調べたんです。そうしたら、御坊市内でも、もうただやというんですね。ただだったらいかんので、お金を出したけど、10アール10万円というふうに言われております。
 NHKで蔵出しみかんの後継者のことが報道されていたので、尾崎要二議員に下津でどうかと聞いたら、やっぱり下津のような世界遺産の農業地でも農地の継承というのは難しいというふうに聞きました。
 私は、そんな中で、レクリエーションでやる農業だとか、それから粗放農業というのは有効だというふうに考えていますが、農地の保全について県はどんな考えていますか。よろしくお願いします。
○副議長(中本浩精君) 農林水産部長。
  〔山本佳之君、登壇〕
○農林水産部長(山本佳之君) 農業者の減少や高齢化等が進む中、今後、地域農業をどう守っていくのかということが重要な課題と考えております。
 特に、農地は一度荒らしてしまうと、元に戻すために大変な労力と資金が必要となるため、耕作放棄地になる前に、農業公社を通じて担い手に農地をマッチングしているところです。
 一方、全国的に放棄される農地が増加傾向にあるため、国では、本年4月に農業経営基盤強化促進法を改正し、市町村が地域ごとに検討し、この地域の農地を誰が守っていくのかを明らかにした農地利用計画を2年以内に策定することとなっています。
 今後、市町村が定めた計画に基づき、農業公社が担い手へ農地集約を進めていくことになります。県では、農地を守っていただく担い手や法人の負担を軽減するため、規模拡大で必要となる農業機械などの支援を考えているところです。
 県としましては、今後とも、市町村等と連携しながら優良農地の維持保全に取り組むとともに、担い手が少ない地域での農地の維持保全方法についても他県の事例を参考に研究してまいります。
○副議長(中本浩精君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 最後に一言。
 レクリエーション農業だとか粗放農業よりもっといいものがあればどんどんと提案、実現していただきたい、そのことをお願いして、質問を終わりたいと思います。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(中本浩精君) 以上で、中村裕一君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 38番林 隆一君。
  〔林 隆一君、登壇〕(拍手)
○林 隆一君 皆様、こんにちは。林隆一でございます。このたびは大変御配慮いただきまして、先輩・同僚議員の皆さんをはじめ職員の皆様、感謝申し上げます。
 最近は、公私ともいろいろ問題になったりしておりますが、先輩・同僚、職員様の皆様には温かいお言葉ですとかいただいております。大変勇気づけられていて、県議になってよかったなと思ったりしております。無所属にはなりましたが、引き続き和歌山県に対する思いは一向に変わっておりません。県民目線に立って、またここで再び質問させていただきたいと思っております。
 今日は30分程度、短い時間ではございますが、お付き合いいただきますようよろしくお願いを申し上げ、一般質問を始めさせていただきます。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、質問をさせていただきます。
 教育費の無償化を含むことで、教育支援についてでございます。
 まず最初に、今年の6月議会及び9月議会においても一般質問をさせていただきました教育の無償化について、和歌山県内のほとんどの私立高等学校が大阪府の教育無償化制度に参加する意向を示したことから、再度、改めて質問させていただきます。
 今月5日、小池東京都知事が、都議会の所信表明において、私立を含む全ての高等学校の授業料について来年度から所得制限を撤廃し実質無償化するとの意向を示し、大きく報道で取り上げられているところでございます。
 この東京都の所得制限撤廃により、新たに少なくとも約12万人に助成することとなり、400億円超という非常に大きな財源を投入するものと報道されております。
 また、以前から県議会の場で紹介させていただいている大阪府の授業料無償化の制度については、所得や世帯の子供の人数に関係がなく、公立・私立にかかわらず、高校等の授業料を完全に無償化するものであり、大阪府議会の令和6年2月定例会で議決されれば、来年度より段階的に実現されます。
 この大阪府の無償化制度について、高校等においては、大阪府内の学校だけではなく、大阪府民であれば大阪府以外の近隣の私立高校等に通う生徒も無償化の対象とされることとなっております。
 さきの6月議会及び9月議会の一般質問において、和歌山県内の私立高校等が大阪府の制度に賛同するとなると、大阪府在住の生徒と和歌山県在住の生徒との間で不公平感が生じ、また、和歌山県から大阪府への人口流出が進まないか非常に懸念する旨を繰り返し申し上げております。
 大阪府の発表によりますと、和歌山県内に九つある私立全日制高校のうち、開智高校、近大附属和歌山高校、智辯学園和歌山高校、和歌山信愛高校、初芝橋本高校、近大附属新宮高校、高野山高校、りら創造芸術高校と、和歌山南稜高校を除く八つの高校が大阪府の高校授業料の無償化に参加するとのことでございます。
 大阪府のこの制度については、授業料の補助上限である63万円を超える分は学校側へ負担を求めるキャップ制を導入しており、近隣の府県の私学団体では、この制度に反対する意向を示しているようでございますが、和歌山県内の私立高校の授業料は、大阪府の補助上限より低いこと、県内の私立高校に大阪府から通う生徒が多いこと、また、経営主体が大阪府内にある学校法人である高校もあることなどから、県内の私立高校が大阪の制度に賛同したと報道されております。
 先月28日に行われた岸本知事の記者会見の場において、記者の方から、この県内私立学校の動向を踏まえ、授業料無償化について質問された際、知事は、「財源に限りがあり、私立高校を支援するための財源が現在あるかどうか。むしろ給食費の無償化など、所得が低い家庭への応援がまだ不十分。そのほかにもたくさんの課題があり、まず、不登校対策など、小中学校の子供たちが公平にいろんな教育の機会を得られるように県の財源を使っていきたい」と述べられ、本年9月議会で知事からいただいた答弁と同じく、県内私立高校の動向が変わってきたものの、本県の高校等の授業料無償化については優先されていないものと感じました。
 しかし、さきに申し上げた私の懸念、同じ学校へ通っているのに、大阪府の生徒は授業料が無償、和歌山県の生徒は有償と、生徒間で格差が生じてしまうこと、また、人口減少が著しい和歌山県から大阪府へ住居を移転する家庭も出てくるおそれが来年度から実際に起こることに、非常に危惧の念を覚えております。
 隣の奈良県では、私が考える理由と同じく、奈良から大阪へ人口が流れていくことを懸念し、令和6年度から、高校等の実質的な授業料の無償化を来年度より進めていくことと、10月18日に発表されました。
 奈良県の無償化制度は、世帯収入の目安が910万未満の世帯とする所得制限や、補助金の上限は国の就学支援金と合わせて最大63万円まで、それを超える授業料は世帯が負担する必要があるとしており、大阪府とは補助のスキームが異なりますが、一方、大阪府では3年間にかけて段階的に無償化を進めるのと違い、奈良県では来年度から全学年の授業料を無償化すると、大胆な施策となっております。
 和歌山県においても子育て・教育支援として教育の無償化に何らかの手だてを加えないと、先週の8日に、この議場で玄素議員もおっしゃられておりましたが、知事のスローガンである「和歌山が最高だと子供たちが思う未来を」の実現を県民の皆様が実感できないのではないでしょうか。
 和歌山県の私立高校、県立高校等の授業料について、大阪府と同じ制度で無償化するとなると、さきの議会で約11億円の財源が必要だと伺いました。
 そこで、私からの提案でございますが、大阪府と同じでなくとも、隣の奈良県と同様の制度であれば、約5億円で高校等の授業料の無償化を進められるというふうに聞いております。さらに、奈良県のように一気に全学年で無償化を行わず、各年度ごとに1学年ずつ無償化の対象とするならば、来年度の授業料無償化の財政負担は2億円もかかりません。この金額であれば、財政危機警報が発令された今年の2月以降、事業の見直しや予算の賢いやりくりをされた中で捻出できるものではないかと、そういうふうに私は考えており、知事がスローガンに掲げる子育て・教育支援について県民に対する大きなアピールポイントになるのではないかと、そういうふうに思っております。
 そこで、知事にお伺いいたします。
 県内のほとんどの私立高等学校が大阪府の教育無償化制度に参加する意向を示し、来年度から教育の場において地域格差が生じ、県民が県外へ流出する可能性が考えられる中、せめて奈良県のように所得制限や補助上限額を設けるとともに、大阪府のように段階的に高等学校等の授業料無償化を進められないか、そういうふうに知事にお伺いいたします。よろしくお願いいたします。
○副議長(中本浩精君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 知事岸本周平君。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
 6月議会、9月議会に続きまして、この問題で質疑をさせていただくことになりました。
 私は、中学校のときに、父親が中小企業のサラリーマンをしておりまして、大変言葉を選ばなきゃいけませんが、決して裕福ではない家庭でございましたんで、高校進学するときは授業料の安い県立高校に行くこと以外は全く考えておりませんでした。
 そういう意味で申し上げますと、もちろんいろんな例外はあるかもしれませんが、私立の高校に行かれる御家庭というのは相対的に、どちらかというと恵まれた御家庭なのではないかというふうに考えます。
 今、2億円ともおっしゃられましたけれども、そういう限られた財源の中で、私どもとして教育に対して投資をする場合に選択肢を与えられたとするならば、まずは子育て世帯への経済的支援としての給食費の無償化ですとか、特に今問題となっております不登校の児童生徒、不登校は問題ではありません、学校へ行かなくていいんです。でも、学校へ行かなかったら学びの場が失われます。そういう方々への学びの場を提供するというようなことに、私としてはお金を使いたいと思っております。
 公平とおっしゃいましたけれども、相対的に一般論として恵まれた御家庭の大阪府の方と和歌山県の方の公平よりも、私は、和歌山県民の中でいろんな家庭状況が違うからといって同じような教育の場を与えられないという不公平のほうを重んじたいと思っております。どうか御理解をいただきますようお願い申し上げます。(拍手)
○副議長(中本浩精君) 林 隆一君。
  〔林 隆一君、登壇〕
○林 隆一君 着座にて質問させていただきます。
 知事、御答弁ありがとうございます。
 先ほど、限られた財源の中で教育に対して投資をする場合、給食費の無償化や不登校の児童生徒への学びの場を提供するなどの支援に財源を充てるべきだというふうな御答弁をいただいたと思います。
 しかし、給食費の無償化については、この県議会第1日目の玄素議員の質問に対して知事が答弁されたとおり、国へ要望するということで、それも実現の可能性が不明です。
 もう一つの不登校の対策ですが、私も文教委員会の委員として3年間近く、この問題について取り組んでまいりました。十分とは言えないまでも、学校へのスクールカウンセラーやソーシャルワーカーの配置などにより、本県の不登校対策は進んでいるものと思いますので、新たに財源を投入するとしても、それほど大きな予算が必要だとは思いません。
 知事が公約に掲げられた施策の一つに、給食費の無償化などによる子育て家庭の経済的負担を軽減するというのがございますが、これは私の公約かと思えるぐらい近い内容でございます。岸本知事が誕生した際、その政策の実現を期待しましたが、今年は無理、また来年も無理かもしれないという状況においては、少し期待外れじゃないのかなというふうに私は思っております。高校等の授業料の無償化もできない、給食費の無償化もできないとなると、知事が進める子育て支援の姿は全く見えず、県民の方々も失望されるのではないか、そういうふうに懸念をしております。
 財政状況が厳しいことは十分承知しておりますが、岸本知事はやってくれると県民の方々に喜んでいただけるような子育て・教育支援を来年度の施策に反映していただけますよう切にお願いし、次の質問に移ります。
 続きまして、大阪・関西万博における和歌山県の取組についてでございます。
 大阪・関西万博における和歌山県の取組についてお伺いいたします。
 2025年4月から184日間にわたり開催する大阪・関西万博の開幕まで、500日を切りました。開幕500日を切った現在も、会場建設費の増額や海外パビリオンの建設の遅れなど、万博開催に向けて逆風が吹いている状況でございます。
 延期や中止を求める声も上がっている中でありますが、開幕500日前に当たる先月11月30日には、前売り入場券の発売が開始されました。政府一丸となって準備や機運醸成を進めていくと岸田総理からのメッセージが出されたところでございます。政府や日本国際博覧会協会には強力に前に前に進めていただきたい、そういうふうに思っている次第でございます。
 一方、万博の開催による効果ですが、入場者数が約2820万人と想定され、経済効果は、一般財団法人アジア太平洋研究所の関西経済白書2023によると、関西全体で万博期間中に様々なイベントを開催するなど、関西全体をパビリオンとする拡張万博ケースでは、日本全体で約2.9兆円の経済効果があると試算されております。この効果を隣接する本県にいかに波及させることができるか、またとない機会であるとともに、大きいチャンスでございます。
 本県の万博に要する予算額は約16.7億円と承知しておりますが、その予算でどういった取組をすることにより、万博の効果を本県に最大限に波及させることができると考えておられるのか、知事の所見をお伺いいたします。
○副議長(中本浩精君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
 大阪・関西万博の開幕まで、500日を切りました。開幕に向けて様々な課題が浮き彫りになってきております。今、林議員御指摘のとおりでありますけれども、本県としては、万博の開催を千載一遇のチャンスと捉え、準備を進めております。
 万博に向けましては、将来世代につながる和歌山の未来を創造することをテーマに、関西パビリオン内の和歌山ゾーンの整備運営や、万博会場内の催事場をお借りして、祭りなど地域の文化パフォーマンスや企業の出展、また、万博の目玉である空飛ぶクルマの実証飛行の実現などに取り組んでいく所存でございます。
 1970年の大阪万博当時、私、中学生でありましたけれども、万博会場には何度も行きました。その際に、特に、中学2年でしたけど、外国のパビリオンを見まして、海外への関心を強く持ったことを覚えております。今回の大阪・関西万博につきましても、人それぞれ、特に若い学生さん、生徒さんは、自分の思いを込めて、参加型の万博になっていただければ、そのための機運醸成も必要ではないかと考えているところであります。
 大学生や高校生には主体的にぜひこの万博に参加をしてもらい、その中でいろんなことを学んでいただければと思っております。例えば、和歌山ゾーンのステージを設けますので、パフォーマンスをしていただくようなことで参加いただくことも考えたいと思っております。
 それから、小中学生の皆さん、和歌山県、南のほうは会場が遠いわけでありますけれども、何とか学校行事としてこの万博に参加いただけないだろうか、そのための御支援をすることが可能かどうか、今、検討をしているところであります。
 このような取組を進めることで、経済効果はもとよりでありますけれども、県民の皆様が地元和歌山のよさを再認識し、さらには若者の育成にもつなげるなど、将来に向けて和歌山県全体の活性化となるように、万博については全力で取り組んでまいる所存でございます。
○副議長(中本浩精君) 林 隆一君。
  〔林 隆一君、登壇〕
○林 隆一君 御答弁いただき、どうもありがとうございます。
 知事がおっしゃるとおり、万博開催は本県にとって大きなチャンスだと私も思っております。和歌山県の経済効果を高めるため、海外や他府県の方々が、万博会場の大阪だけでなく、和歌山県にお越しいただけるような取組や、和歌山へ行きたいと思っていただけるような関西パビリオン内の和歌山ゾーンの運営をぜひともしていただきたいというふうに思っております。
 また、県内の生徒・学生を含む若者が万博における最新の技術や未来社会を体感し、将来、和歌山の未来を創造できるよう、若者の育成にも全力を挙げて取り組んでいっていただきたいというふうに考えております。
 引き続き、ドローンに関する県の取組についてでございます。
 まず、一等無人航空機操縦士の資格を有する県職員の状況と、資格を活用したドローンの取組についてお聞きいたします。
 無人航空機、いわゆるドローンについては、言うまではございませんが、農薬散布、測量、輸送、災害被害調査、インフラの点検・調査、行方不明者の捜索など、幅広い分野で活躍しております。
 今後、少子高齢化に伴う労働人口の減少や、これまでにない規模での災害の頻発、急増するインフラ施設の老朽化といった社会的課題を解決するため、さらにドローンの活用が望まれるというふうに考えております。
 しかし、人の頭上を目視外でドローンが飛行することは、過去、禁止されており、ドローンの有効活用に大きな制限がございました。そこで、国において、昨年12月、航空法が改正され、有人地帯、つまり第三者上空での補助者なし目視外飛行が可能になり、これまで認められていなかった道路上や市街地上空の飛行が可能となりました。
 あわせて、無人航空機操縦者技能証明制度が創設され、ドローンの操作にも国家資格として免許制度が導入されました。
 この資格には一等資格と二等資格の2種類があり、一等資格取得者においては、第三者が飛行エリアに立ち入らないようにする立入り管理措置を講じなくとも、事前審査は必要なものの、人がいるところで目視外飛行が行えるようになりました。そのため、市街地での物資の配送やイベント施設での警備、建設現場での測量、町なかの橋や道路の保守点検、災害時の救助活動、救援物資の輸送など、ドローンの活用範囲が大きく広がり、社会的課題の解決や新しいビジネスモデルの創出に、このドローンの活用は非常に貢献すると思われます。
 この一等資格の取得に、今年度、県職員が取り組んでいる担当部局に伺ったところ、24名の県職員の方が資格取得を目指しているとのことでございました。県の職員の方が自ら資格を取得し、ドローン操作によって防災・減災対策を有効に行っていただく取組はすばらしいものだと私は思っております。
 つきましては、県職員の資格取得の状況と、資格を活用したドローンの取組について、危機管理監及び県土整備部長にお伺いいたします。
○副議長(中本浩精君) 危機管理監福田充宏君。
  〔福田充宏君、登壇〕
○危機管理監(福田充宏君) 南海トラフ地震などの大規模災害や豪雨災害等の甚大化、頻発化が危惧される中、県及び市町村の災害対応力のさらなる向上を図り、県民の安心・安全な生活の確保につながる防災・減災対策を推進するには、近年、飛躍的に進歩を遂げるデジタル技術の活用は必要不可欠なものとなっております。
 その中でも、ドローンは、防災分野におけるデジタルトランスフォーメーション、いわゆる防災DXを推進するための有効な手段であると認識しており、今年度、危機管理局では、2名の職員が第三者上空での飛行に対応した一等無人航空機操縦士に係る修了審査及び学科試験に合格したところです。
 県では、現在、発災時の被害情報の収集はもとより、市町村が実施する孤立地域への救援物資の搬送や沿岸地域における津波からの避難誘導など、ドローンを活用した災害対応の手法について検証を進めているところであり、今後、検証結果を踏まえ、一等無人航空機操縦士の資格を生かし、県及び市町村におけるドローンを活用した災害対応力の向上に努めてまいります。
○副議長(中本浩精君) 県土整備部長福本仁志君。
  〔福本仁志君、登壇〕
○県土整備部長(福本仁志君) 県土整備部における資格取得の状況につきましては、ドローンの操縦経験や意欲があるなどの理由により振興局建設部長等から推薦された職員22名が、11月から順次、登録講習機関で講習を受講しており、これまで一等無人航空機操縦士の修了審査及び学科試験を受験した10名中7名が合格したところです。
 また、資格を取得した職員が新型ドローンを操縦することで、災害時に県が管理する道路や河川など公共土木施設の点検において、2次災害の危険を回避しながら現地状況の把握にかかる時間を短縮することが期待され、迅速な初動対応の確保などに役立つものと考えております。
○副議長(中本浩精君) 林 隆一君。
  〔林 隆一君、登壇〕
○林 隆一君 御答弁ありがとうございます。
 資格取得を目指している県職員24名のうち9名が合格されたということで、残りの方も頑張って取得されるよう応援しております。また、資格取得された後も、大規模災害等へ向けてドローン操作の技術を向上していただけますようよろしくお願いを申し上げます。
 引き続き、農林業におけるドローンの活用についてお伺いします。
 先ほどお伺いした部局においては、災害発生時や県が管理する施設の点検などに活用され、県民の安心・安全を守るため行われている施策であると考えております。
 さきにも申し上げましたが、ドローンが活躍できる分野は大変広いものでございます。和歌山県は、果樹を中心に、野菜、花等多くの農産物を生産する農業県であり、森林も県の面積の4分の3を占めております。こういった本県の特徴に加え、農林業者の高齢化が進展し、担い手が減少している中、農林業に従事する方々がドローンを例えば農薬散布や農産物等の搬送利用することなどにより、本県の農林業の生産性が向上するものと考えております。
 つきましては、本県における農林業でのドローンの活用に係る県の取組について農林水産部長にお伺いいたします。
○副議長(中本浩精君) 農林水産部長山本佳之君。
  〔山本佳之君、登壇〕
○農林水産部長(山本佳之君) 農林業におけるドローンの活用は、作業の効率化や省力化に有効であると考えております。
 このため、県では、ドローンの最新機器や技術情報をスマート農業フェア等で提供したほか、実演会や研修会の開催に加え、補助制度の活用を推進し、生産現場への導入を積極的に進めているところです。
 現在、農業においては、水稲での農薬散布がJAなどの作業請負を中心に実施されており、果樹や野菜についてもドローン防除用の登録農薬が増加するに伴い、徐々に利用農家数が増え、2022年は199戸となりました。
 また、林業においては、植栽時の苗木や獣害防止資材等の運搬、森林調査などにおいて、その活用が進んでいます。
 今後も、農林業の生産性向上に向け、ドローンの活用を推進してまいります。
○副議長(中本浩精君) 林 隆一君。
  〔林 隆一君、登壇〕
○林 隆一君 御答弁いただき、どうもありがとうございます。
 生産現場への導入を県が積極的に進めており、ドローンの活用が進みつつある現状がよく分かりました。しかし、もっと多くの農林業従事者の方がドローンを利用できる可能性はあると思っております。機会を捉えて、どれぐらいドローンを利用したい農林業従事者がいらっしゃるのか掘り起こし、そういった方々へのドローンの有効活用を積極的にPRしていっていただきたいと、そういうふうに思っております。
 本県の農林業の発展と生産性向上のために、引き続き県としての支援を続けていただけるようお願いを申し上げ、次の質問に移ります。
 続きまして、脱炭素先進県の実現に向けた太陽光発電設備の民間への導入の推進についてでございます。
 国としては、令和3年度に地域脱炭素ロードマップや地球温暖化の対策計画、令和5年7月には脱炭素成長型経済構造移行推進戦略、いわゆるGX推進戦略が決定されました。
 国は、これらに基づき、民間と共同して意欲的に脱炭素に取り組む地方公共団体等に対して、地域脱炭素の推進のための交付金を用意し、脱炭素の基盤となる重点対策を全国で実施することにより、国、地方連携の下、地域での脱炭素化の取組を推進しております。
 令和5年2月議会の環境生活部長の御答弁において、県有施設への太陽光発電設備の導入について、事業者が発電設備を設置し、その電気を県が買い取る、いわゆるPPAの活用を予定しており、令和5年度は太陽光発電設備の設置に適した施設を洗い出すための導入可能性調査を実施し、令和6年度から計画的に導入を進めると聞いております。
 そこで、質問いたします。
 和歌山県の地域全体の脱炭素化を進めるには、県有施設への太陽光発電設備の導入を進めるだけではなく、住宅や事業所等民間への導入を推進する必要があると考えますが、いかがでしょうか。環境生活部長にお伺いいたします。
○副議長(中本浩精君) 環境生活部長山本祥生君。
  〔山本祥生君、登壇〕
○環境生活部長(山本祥生君) 和歌山県の地域脱炭素を推進するためには、県有施設だけでなく、住宅など民間施設への再生可能エネルギーの導入も有効な方法と考えております。
 現在、国の地域脱炭素移行・再エネ推進交付金において、再エネ発電設備を一定以上導入することを要件に、公共施設や住宅などへの太陽光発電施設等の設置についての支援がございますので、このような交付金を活用した住宅などへの太陽光発電設備等の設置支援を検討しているところです。
○副議長(中本浩精君) 林 隆一君。
  〔林 隆一君、登壇〕
○林 隆一君 御答弁いただき、どうもありがとうございます。
 脱炭素先進県の実現に向けて、行政だけではなく、民間と協力しながら様々な対策を講じていく必要があります。ぜひ国の制度等を活用して民間への支援を進めていっていただきたいというふうに思っております。
 以上で、私の一般質問を終了いたします。御清聴いただき、どうもありがとうございました。(拍手)
○副議長(中本浩精君) 以上で、林隆一君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開きます。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時41分散会

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