令和5年9月和歌山県議会福祉環境委員会会議記録


令和5年9月和歌山県議会福祉環境委員会会議記録

 

1 日時   令和5年9月25日(月)午前9時56分~午後0時3分

2 場所   第2委員会室

3 出席者  委員長   奥村規子

      副委員長  鈴木德久

      委員    森 礼子、中本浩精、堀 龍雄、尾﨑太郎、中尾友紀

      欠席委員  なし

      委員外議員 なし 

4 概要

   午後9時59分開会

    ●奥村委員長

     ◎開会宣告 挨拶

     ◎報告事項 委員の欠席なし

     ◎傍聴協議 4件

     ◎撮影許可 4件

     ◎議事   議案6件、請願1件継続審査を要する所管事務調査6件

     ◎審査順序宣告 環境生活部、福祉保健部の順に審査

     ◎環境生活部審査宣告

     ◎議案等に対する説明要請

    ●山本環境生活部長説明

    ●奥村委員長

     ◎議案に対する質疑及び一般質問宣告

  

  Q 堀委員

   令和7年度までの一般廃棄物に関する5年計画というのがあるが、ちょうど今年度が中間年にあたる。県の一般廃棄物

  の排出量は全国平均より多いが、どのような状況か説明してほしい。

  A 森循環型社会推進課長

   令和3年度の一般廃棄物の一人一日当たりの排出量は、本県は929グラム、全国平均は890グラムとなっており、全国

  平均より39グラム多くなっている。

   過去10年間の推移は、本県、全国平均とも減少傾向となっており、平成24年度と令和3年度を比較すると、本県は約

  9.1%の減少率、全国平均は約7.6%の減少率となっている。

  Q 堀委員

   少なくなっているということは効果が出ているということだと思う。県が各市町に対し、分別収集を行えば、さらに一

  般廃棄物が少なくなるということを打ち出しているが、市町の分別収集の取扱いについて、県としてどのようなことをし

  ているか。

  A 森循環型社会推進課長

   各市町の分別収集については、おおむね、燃えるごみ、ペットボトルや缶・瓶などの資源ごみ、使用済み小型家電や粗

  大ごみなどを分別して収集を行っている。分別の違いについては、各市町で設置している廃棄物処理施設の種類や能力の

  違い、集団回収制度の有無や集団回収制度で取り扱う資源ごみの違い、あるいは使用済み小型家電の回収などにより違い

  が出ていると考えている。いずれにしても、各市町が定める分別方法に従い、適切に分別し排出していくことが重要と考

  えており、県としても3R(リデュース・リユース・リサイクル)の推進を含め広報啓発に努めていく。

  意見 堀委員

   市町によってある程度の差はあるが、分別収集の方向に進んでいると理解した。

 

  Q 堀委員

   循環的利用のためには、再使用、再生利用、熱回収という取組が打ち出されているが、それらについて現状、どのよう

  な取組をしているか。

  A 森循環型社会推進課長

   3Rの推進については、市町と県で広報啓発に努めている。そのほかに、一部の市町村ではあるが、粗大ごみで出され

  たたんすなどの家具を選別し、市民に無料で提供している。再生利用については、資源ごみの分別収集、集団回収への助

  成、家庭用生ごみ処理機の購入補助などの取組が市町村で行われている。熱回収については、各市町で設置している焼却

  施設で単純に燃やすだけでなく、そこから熱を回収し発電する等の取組を行っているので、施設整備の促進について、県

  としても市町と協力していきたい。

  要望 堀委員

   今後もそのような取組を徹底し、できるだけ一般廃棄物の排出量が少なくなるようにお願いする。

 

  Q 堀委員

   令和2年度に実施した「男女共同参画に関する県民意識調査」で、男性優遇と回答した人が多いということが分かった。

  今回、一般質問をした際、男性優遇とならないように、育児しやすいよう、子供が中心となってみんなで参画していける

  ような仕組みをつくっていこうという答弁であったが、男女共同参画基本計画での具体的な説明が分かりづらかったため、

  学校教育での男女共同参画についての取組の充実とはどのようなことか教えてほしい。

  A 大久保青少年・男女共同参画課長

   令和2年度に実施した男女共同参画に関する県民意識調査によると、男女の地位の平等感について、約半数近い方が家

  庭生活や職場において男性のほうが女性よりも優遇されていると感じているとの結果が出た。

   この背景の一つとして、「男は仕事、女は家庭や育児」といった固定的な性別役割分担意識が残っていることが挙げら

  れる。同調査でも約25%の方が固定的役割分担意識に賛成との結果が出ている。

   これらの結果を踏まえ、第5次男女共同参画基本計画では、次世代を担う若い世代から意識改革に取り組んでいく必要

  があると考え、学校教育での取組充実や家庭教育の支援、生涯学習等の推進について取り組んでいくこととした。

   具体的な施策として、まず1点目の学校教育については、小中高校を通じて、「家庭」や「公共」等の教科で、それぞ

  れの年代に応じた男女共同参画に関する内容の項目を学習するようになっている。また、男女混合名簿の使用など、性差

  に関わらず平等に学習に取り組めるよう配慮している。また、進路やライフデザインなどのキャリア教育や特別活動等に

  おいても、性別にとらわれず互いに尊重しながら自分らしく生きていくことを学習する男女平等教育を推進している。さ

  らに、保護者に対しても、男女に関わらず参加しやすい休日参観日を実施するなどの工夫を凝らしている。

   2点目の家庭教育については、男女の区別なく家庭全体で子供に向き合い、子育てをすることをテーマとした子育て講

  座を保護者対象に実施したり、「家庭生活の役割は男女双方が担うもの」との意識を啓発するため、男性向けの育児参加

  を促す講座や意識変化をテーマとした講座を開催したりしている。

   3点目の生涯学習については、中高生対象の男女共同参画をテーマにしたポスターコンクールの開催や、大学生向けキ

  ャリアデザイン講座や若手社会人との意見交換会等を実施している。

   また、今年度からは、理工系分野への女性参画促進のため、女子中高生を対象とした理工系企業見学や女性社員との意

  見交換会なども実施している。

  要望 堀委員                                                

   今後とも男女共同参画の推進に向けて取り組んでほしい。

 

  Q 中尾委員

   令和5年版環境白書において、電気自動車の充電インフラの整備として、「次世代自動車の普及促進と県内における利

  用の利便性向上のためには、充電インフラの整備が重要であり、県民や事業者に向けた普及啓発に取り組んでいる」とあ

  るが、どのように取り組んでいるのか。

  A 寺村環境生活総務課長

   電気自動車等の利用促進については、まずは、県の公用車をできるだけ電動車に置き換えていきたいと考えている。令

  和5年4月1日時点で県の公用車は1063台、そのうちハイブリッドを含む電動車は114台でまだまだ少ない状況である。

  県では令和5年3月に公用車の電動車導入計画を策定し、2030年度までに50%、2040年度までに全ての公用車を、ハイ

  ブリッドを含む電動車とすることを目指している。そのため、今年度から公用車の買い替え時は原則ハイブリッドを含む

  電動車とする方針で進めている。併せて、電気自動車や燃料電池自動車の県民への普及啓発のため、ラッピングを施した

  電気自動車等を今年度、県庁や振興局等に計10台導入する予定にしている。

   県でこのような啓発を進めているが、県内の充電器の設置は進んでいない。県内の充電器の設置状況は、令和5年8月

  現在で197か所の279基、その中でも急速充電器が98基とまだまだ少ない。国の充電器設置の補助制度などを関係者に紹

  介しながら充電器の設置拡大を図りたい。

  Q 中尾委員

   和歌山県内の高速道路に電気自動車の充電器は何か所あるのか。

  A 寺村環境生活総務課長

   県内の充電器設置場所の内訳は分からない。

  Q 中尾委員

   古いデータではあるが、平成24年度では吉備湯浅パーキングエリアと印南サービスエリアの2か所しか設置されていな

  い。ほかのサービスエリア等にも、充電器を設置してはどうか。

  A 寺村環境生活総務課長

   高速道路のサービスエリアやパーキングエリアについては、国の設置の補助制度がある。各施設に制度の活用を促し、

  充電器の設置拡大を進めていきたい。

  要望 中尾委員

   取組の推進をよろしくお願いする。

 

  Q 中本委員

   橋本市柏原の不適正処理された廃棄物の対応について、何年か前に市と県でいろいろと協議して、搬出する等の対応を

  していると思う。年数が経っているので今はどのような状況になっているか説明してほしい。

  A 秋月廃棄物指導室長

   橋本市柏原地区の廃棄物不適正処理案件については、従前より県と橋本市で情報共有の上、行為者に対し搬入した廃棄

  物を搬出するように指導している。

   手持ちの資料では、今年度については、4月から6月13日の間に3トントラックで12回、4トントラック1回、10トン

  トラック2回の合計約60トンの廃棄物を搬出している。

 

  Q 奥村委員長

   パートナーシップ宣誓制度の導入については、私としては大変歓迎している。県民の関心がどのような状況なのか知り

  たいので、現在実施しているパブリックコメントの状況を教えてほしい。

  A 大久保青少年・男女共同参画課長

   パートナーシップ宣誓制度のパブリックコメントは、9月1日から9月30日までの間で実施している。パブリックコメ

  ントの終了後、類似する意見を取りまとめ、県の考え方とともに県ホームページで公表する予定であり、単に賛否を示した

  意見や趣旨が不明瞭なもの、本制度案に関係のない意見等を除き、県の考え方を示す。

   9月24日現在、いただいた意見は、10者26件である。制度導入に対して賛成の意見が多い。そのほか、市町村の理解が

  進むように働きかけをしてほしい、ファミリーシップ制度の創設も検討してほしいといった意見がある。いただいた意見を

  踏まえ、制度に反映すべきところは反映し、性的少数者の方にとって、よりよい制度となるように検討していきたい。

  Q 奥村委員長                                               

   これは全ての県民に関わってくることだ。アナウンスをしっかりとしていただいて、もっとたくさんの意見をいただける

  とよいと思う。アナウンスはどうしているか。

  A 大久保青少年・男女共同参画課長

   本制度のパブリックコメントについては、障害者差別と部落差別の問題と合わせてセットにし、知事定例記者会見や資料

  提供のほか、ホームページに掲載した。新聞にも多く取り上げていただいている。周知という点では、制度の要綱を制定後、

  市町村や民間にサービスを一つでも多く提供いただけるよう、十分な説明をしていきたい。

  要望 奥村委員長

   残りの期日は少ないが、よろしくお願いする。

 

  Q 奥村委員長

   日本弁護士連合会から「メガソーラー及び大規模風力発電所の建設に伴う、災害の発生、自然環境と景観破壊及び生活環

  境への被害を防止するために、法改正等と条例による対応を求める意見書」が出されている。

   和歌山県では、大規模な風力発電の計画については、厳しい審査の上で環境影響評価法の知事意見書が出され、太陽光発

  電の計画については、和泉山脈の5か所のうち4か所が、認定されない状況になっている。

   大型の発電所をつくることは、再生可能エネルギーの振興と同時に、住民の意見をしっかり聞いていく必要があるが、日

  本弁護士連合会の意見書が出されていることも踏まえ、住民の意見をどのように考えているのか。

  A 寺村環境生活総務課長

   再生可能エネルギーとして、県内でも太陽光発電の計画、あるいは大規模な風力発電の計画がある。環境生活部としては、

  再生可能エネルギーの導入促進を進めているが、自然環境や生活環境の保全という見地からも、しっかりと見ていかなくて

  はいけないと考えている。

   地域の環境をよく知る立場の住民の方々の声は、環境影響評価において重要な役割を果たしており、様々な立場から多様

  な幅広い意見がある。それぞれの意見に配意しながら、その中から有用な環境情報等を環境影響評価の知事意見等に反映し

  ていきたい。

  Q 奥村委員長

   日本弁護士連合会から意見書が出されているのは、日本全国で、太陽光発電や風力発電の計画に対して住民から心配や不

  安の声が起こっていることの表れだと思う。

   一方、計画を進めるところは、ゾーニングという考え方を導入することも考えられるが、それも含めて、今後どのように

  進めていくのか。

  A 寺村環境生活総務課長

   現行の法令の取組の中で、環境保全に向けて政策を進めているところだが、今後、環境影響評価を円滑に進めていくこと

  ができる手続があれば研究していきたい。

  要望 奥村委員長

   エネルギーを原子力発電や化石燃料に頼るのではなく、再生可能エネルギーへの転換をしっかりと進めていくことが課題

  だが、それを進める際には、住民の声も反映して政策を進めていただきたい。

 

  Q 奥村委員長

   農林の議員連盟の鳥獣部会では、鹿が非常に増えて、捕獲をしても鹿の減数が難しいという話も出ていた。自然環境室と

  して、こういった状況をどのように考え、今後、鹿の増えている中で生態系への影響はどのようになっているのか教えてほ

  しい。

  A 松尾自然環境室長

   増え過ぎたニホンジカにより、農産物の被害はもとより、ササなどの下層植物が食害により減少し、他の生物の生息場所

  が失われるなど、生物多様性にも悪影響が発生している。今後、随時、生息調査などを行い、その結果を踏まえて、適正な

  保護と管理に努めたいと考えている。

  Q 奥村委員長

   鹿の適正な保護というのは、具体的にはどういったことになるのか。

  A 松尾自然環境室長

   増え過ぎたニホンジカについては、適正な数まで減らす管理捕獲を実施したいと考えている。

  要望 奥村委員長

   増え過ぎている状況を改善していくことが非常に大事ではないかと考える。

   農業被害が3億円近くになるとか毎年度言われる中で、本当に深刻な問題になっている。一方で、保護の仕方とか、根本

  的にバランスを取った、増えないようなやり方の研究などもぜひしっかりしていただきたい。

 

    ●奥村委員長

     ◎議案に対する質疑及び一般質問終了宣告

     ◎議案に対する採決宣告

     ◎議案第105号については、全会一致で原案可決

     ◎環境生活部審査終了宣告

     ◎休憩宣告

   午前10時43分休憩

 

   午前10時46分再開

    ●奥村委員長

     ◎再開宣告

     ◎福祉保健部審査宣告

     ◎議案等に対する説明要請

    ●今西福祉保健部長説明

    ●奥村委員長

     ◎議案に対する質疑及び一般質問宣告

 

  Q 中本委員

   私の知り合いで、重度の知的障害のある子供の家族から相談を受けた。小さい頃は親も若いので、意思疎通を図るなどい

  ろいろできたが、子供も30代半ばになって、親もだんだん年を取ってくれば、親亡き後というか、子供の将来をすごく心配

  しているという声をよく聞く。そういう状況の中で、県内の重度の障害のある方が過ごすこととなる入所施設の受入状況に

  ついてどうなっているか説明してほしい。

  A 新解障害福祉課長

   重度の障害のある方については、市町村、事業所、計画相談事業所と調整をしながら、入所の調整を図っている。入所施

  設の受入れについては、今のところ充足されている状況となっている。

  Q 中本委員

   ほかに重度の障害のある方のために、県が今取り組んでいることあれば教えてほしい。

  A 新解障害福祉課長

   お金の部分に関しては、年金や扶養共済システムがあり、親が元気なときから掛金を掛けて、亡くなった後に保険が出る

  というシステムになっている。また、相談支援事業というものがあり、その方のライフプランを決める上で大きなポイント

  になるので、相談支援事業のアドバイザー体制支援というところを充実させている。さらに、やはり入所施設等で生活して

  いただくというところもあるので、入所施設の職員に対して、基礎的な研修や、実効性のある研修を行って、そこでの生活

  を安定できるような取組を行っている。

  要望 中本委員

   この件に関して、国の方針は今どちらかというと、施設から地域へという動きであると聞いているが、和歌山県はそれに

  あまりとらわれずに、皆さんに施設に入っていただけるという政策をとっているのが、非常にありがたいという気持ちであ

  る。先ほど今西部長の説明の中にもあったが、今、障害者差別解消条例の制定に向けて、パブリックコメントを行っている

  という話も聞いている。そういう状況の中で、人権を守り、また尊重し、誰一人取り残さない社会の実現というのが、とて

  も大事だと思うので、その実現に向けて、より一層の取組をしてもらうことを、この場をお借りしてお願いする。

 

  Q 堀委員

   子供食堂について、立ち上げの際の物品・備品を補助する制度があるが、補助金の支払われる時期について、その年度が

  終わらないと補助金が下りないということを聞いた。何十万円かのお金を、計画し、支払っておいて、もらえるのが一年遅

  れになる。それでは運営が苦しいということだった。

   立ち上げをして、1年間無事に子供食堂を運営したということで補助金を支払うというのは分かるが、その立替えがしん

  どいということで、これがなければ自分たちもしたい、ということも聞いているので、そこを考えてもらえないか。

  A 戎脇子ども未来課長

   委員御指摘のとおり、現行の取扱いでは運営団体の負担が大きくなっているので、支払い時期を早めるように、早速変更

  したいと考えている。

  要望 堀委員

   相談者には、県が早速対応してくれることと、これからも頑張って、違う地域でも子供食堂を推進していただけるよう、

  私からも伝えておく。

   また、食料品が対象とならないのは分かっているが、子供食堂はボランティアでやっていただいており、地域の方々が出

  しあって運営してくれて、私たちも公民館でさせてもらっているが、備品ではない消耗品に対しても補助が出せるような柔

  軟な形を今後も考えてもらえれば、子供食堂というものがもっと発展すると思うので、よろしくお願いしたい。

 

  Q 堀委員

   障害者手帳には、身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳そして療育手帳の3種類があるが、それらの手帳を取得する

  ことによって、いろいろな面で優遇されるということを聞いている。今、手帳の申請及び再申請数が、1年間でどれくらい

  あるのか。

  A 新解障害福祉課長

   手帳の新規申請数は年間約3600件、更新は約5400件となっている。

  Q 堀委員

   再申請の場合、3か月くらい前に地元の市町村の役場の窓口で申請する。3か月たっても、その件がまだ返ってこないと

  いうような話を聞いた。そして、県のほうに問い合わせできないので、市町村のほうへ問い合せても、まだ県から降りてき

  ていないと言われると、待っている側は非常に不安になる。

   手帳がないと、電車や高速道路の費用が優遇されない。申請して早く処理されたときには問題ないが、時間がかかる場合、

  この手帳はまだ有効であるというような資格証明書を自治体の窓口が出すことや、昔の免許証のように、裏に、何年何月ま

  で延長するというようなことを記載することはできないか。

  A 新解障害福祉課長

   手帳の申請において、期限までに処理できないという事例が約10件ある。

   国では1か月前に申請者に連絡するということを示しているが、本県においては3か月前に更新する方に連絡して、申請

  の手続を早く行ってくださいと伝えている。ただ、それでもいろいろな審査があり、10件程度が期限を過ぎてもお渡しでき

  ていない状況になっている。

   しかし、有料道路や公共交通機関は身体障害者手帳の原本を見せないと、サービスを受けることができない。これらは、

  手帳が原本でないと割引を受けることができないと規則で決まっているからである。そのため、本県としては、近畿府県の

  主管部長会議に提案し、国へ新制度の創設をお願いしたり、県独自でも厚生労働省に働きかけを行ったりしているところで

  ある。

 

  Q 堀委員

   新型コロナウイルス感染症について、もう第9波という大きな波が来ているように思うが、現在の状況と今後はどうか。

  A 宗野健康推進課長

   新型コロナウイルス感染症の現状について、9月11日から9月17日の1週間の県全体の患者報告数は642名、定点あたり

  では13.1名となっている。前週比でみると患者数は91名の減、定点あたりでは1.86人の減で、2週連続の減少であり、全国

  的にも2週連続の減少になっている。また、本県の年齢階級別でみると、大体全ての年代で減少している傾向がみられる。

   次に、入院患者数について、9月15日時点で188名が入院しており、内訳としては、県が確保した病床に117名、確保病床

  以外で71名となっている。5類移行後、一般医療化するなかで、確保病床によらない形での入院患者の受入れも順調に進んで

  いる。なお、確保病床における病床使用率については、34.6%となっている。入院患者は、おおむね70歳代以上が中心で、入

  院の日数も平均7日程度と報告を受けている。また、院内感染を起こしている施設も多い状況にある。

   今後、秋の行楽シーズンを迎え、感染が増えることも考えられるが、重症化する恐れが高い高齢者への二次感染等を防ぐた

  めに、場面に応じた、マスクの着用や換気等の基本的な感染対策が重要であり、引き続き周知していきたいと考えている。

   そして、今後の対策について、この冬の感染拡大が懸念されているが、限りある医療資源の中で、高齢者と重症化リスクの

  高い方に、適切な医療を提供するために、県コールセンターへ問合せがあった場合において、オペレータと医師による適切な

  トリアージを行い、必要に応じたオンライン診療や、緊急往診による高齢者施設等での処置や処方を行うことで、夜間や休日

  の救急搬送案件を抑え、救急医療の逼迫防止を図る取組を引き続き実施していく。また、広く一般的な医療機関で、新型コロ

  ナウイルス感染症の診療に対応できる医療機関を増やしているところだが、さらに進めて、今後の感染拡大を最小限に抑える

  よう取り組んでいく。

   また、最近、インフルエンザが流行期に入っているが、同時流行となれば、医療機関の負担も大きくなることから、あらか

  じめ、抗原検査キット、解熱鎮痛剤の用意など、日頃の備えについて、呼びかけていきたい。

  Q 堀委員

   直近では、新型コロナウイルス感染者が減っていると言われて安心した。入院できる医療機関が広がってきた際、院内感染

  が広がる可能性はないのか。

  A 宗野健康推進課長

   一般化していく中で、院内感染を防止する努力はしているが、若干、致し方ない部分もある。そこは、病院で対処していく

  ので、安心できるように、引き続き頑張っていただきたいと思う。

  Q 堀委員

   今、インフルエンザが流行してきているという話であったが、これも同じような対応で考えたらいいのか。

  A 宗野健康推進課長

   県内がインフルエンザの流行期に入っていることから、先日の9月15日に資料提供をした。例年であれば、11月ぐらいから

  流行期に入って、春に収束していくが、全国的にも、昨年末から始まったインフルエンザの流行が夏になっても続いており、

  流行の収束が見られないまま新しいシーズンに入るという異例の長期流行となっている。

   原因としては、2020年以降、インフルエンザの流行がなく、インフルエンザウイルスに触れる機会が減少し、集団としての

  免疫が減っているということが言われている。

   対応としては、コロナと同様に、基本的な感染対策が大事なので、まずは、身体の抵抗力という面で、十分な休養やバランス

  の取れた食事ということで、日頃からの健康管理を一番に申し上げたい。そして、小まめな換気やせきエチケット、マスクの着

  用といった対応や、うがい手洗いといった基本対策にしっかり取り組んでもらうことが重要だと考えている。

   また、例年10月に始まるワクチンについては、高齢者や基礎疾患がある方には、発症予防・重症化予防の効果があるので、ワ

  クチンを接種してもらって、一人一人が、しっかりと感染予防対策をとっていただくよう、周知していきたいと考えている。

 

  Q 森委員

   10月30日にこどもまんなかアクションの一環として、和歌山こどもまんなか大会の開催を予定しているということだが、どの

  ようなことをするのか。

  A 戎脇子ども未来課長

   「和歌山こどもまんなか大会」については、企業・団体の経営者トップや管理職、自治体の方をメインの対象とし、働き方改

  革等について、小室淑恵さんというワークライフバランスのコンサルタント会社を経営されている方の講演や、こども家庭庁か

  らこどもまんなか社会の具体的な施策や展望を説明してもらい、皆でこどもまんなか社会というものを共有していく会議になっ

  ている。

  要望 森委員

   子供の居場所の確保ということで、和歌山県にも独自のメニューがあると思うが、今、日本財団が補助制度をつくって、第3

  の居場所づくりというものを進めている。これは全国で500か所を目標に設置を進めているが、残念なことに和歌山県にはまだ

  1か所もできていない。

   これは、建物を建てるお金や運営費については、3年間、財団がやってくれて、4年目からは和歌山市にできた施設だったら

  和歌山市が、橋本市の施設だったら橋本市が何パーセントか持つというところまで申請の段階で決めて作っていくものであり、

  モデルとしては包括的モデルとコミュニティモデルというものがあり、非常に充実していると聞いている。

   他府県で、どのようにして申請までこぎつけたか聞くと、4年目からは行政の支援もあるので、県や市町も、社会福祉法人や

  NPO法人、子供に関係している施設等と一緒になって、模索しながら進めていると聞いた。今、和歌山市内でもこれに注目が集

  まってきているので、ぜひ知っておき、勉強も進めてもらいたいという要望を出しておくので、よろしくお願いする。

 

  Q 鈴木副委員長

   企画部の所管ではあるが、中山間地域や過疎地において高齢者や免許返納をした方のための交通手段をどのように確保するか

  が課題である。

   福祉の観点からも、健康増進のために週に1回くらいは確実に診療所に通える交通手段の確保とか、免許返納した方の自宅で

  の引きこもり予防の観点とか、どこかの部署で考えてほしいと思っている。何らかの考えがあれば聞きたい。

  A 遠藤長寿社会課長

   高齢者が住みよい街づくりのためには、公共交通だけでなく、生活交通の確保が大変重要であると考えている。福祉部局とし

  ても、高齢者の円滑な移動を確保するために、市町村を中心に、事業者や地域と連携して福祉有償運送を実施するほか、住民ボ

  ランティアなどによる移動支援など、移送に対する直接の対価がない形での取組を進めているところである。

   また、通いの場に通うための交通手段がないとの話もよく聞かれるが、この点については、送迎つきの一般介護予防事業を行

  っている市町村もある。県としても、このような事例を共有するなど、支援を行っていきたいと考えている。

  意見 鈴木副委員長

   市町村も県と一緒になって取り組むことは心強いと思う。市町村もどこまでやってよいのかというのもある。県のお墨つきの

  事業にのっとって送迎ができれば、市町村は一番やりやすいのではないかと思う。

   このような点について、今後、相談に乗ってもらいたいと思う。

 

  Q 奥村委員長

   令和5年梅雨前線による大雨及び台風2号の被災者への支援について、災害救助法や被災者生活再建支援法の適用があれば一

  定の支援を受けることができる。

   一方で、居住地域が法適用外の場合には、個人として被災していても支援が受けられないという状況が生じている。県として

  何らかの形で支援を考えてもらいたい。

  A 末松福祉保健総務課長

   まず、災害救助法については、市町村単位で適用するものであるが、いわゆる1号基準という住家被害に応じた基準について

  は、制度的に人口規模の小さい市町村に厳しい基準となっている。

   これについては、議会から国に対して要望していただいているが、県も知事会や県単独での要望に取り組んでいる。

   また、同一災害同一支援については、検討していきたいと考えている。

  要望 奥村委員長

   被害を受けた人が等しく支援を受けられるということを基本にしてほしいと考えているので、国の制度改正が進まない場合に

  は、県独自での対応ということもお願いしたい。

 

  Q 奥村委員長

   知り合いの一人暮らしで高齢の方が、平家建ての家で浸水をして、大変怖い思いをしたということがあった。そういった方は、

  災害を受けた際に健康状況やいろんなことを含めたら、福祉避難所に行くことができればよいと思ったが、なかなかうまくいか

  ず、一般の避難所にとどまって、その後、何とか高齢者施設へ行ったが、福祉避難所にすぐに行ければよかったと思っている。

  福祉避難所の設置基準は、市町が決めることになっていると思うが、県としてはどのように関わっているのか。

  A 新解障害福祉課長

   福祉避難所については、二次避難所となっており、まず一般避難所に行っていただき、そこでの生活が困難となった方が行く

  ところが福祉避難所という形で国のガイドラインでも記載されている。

   県においても、命が大切なので、まず、近くの一般避難所に避難していただくことになっている。ただ、二次被害を防ぐため

  に、市町村において、一般避難所での福祉スペースを確保するようにお願いしているところである。また、一般避難所での生活

  が困難な方が行くところである福祉避難所についても、高齢の方や、重い障害のある方の人数を把握し、それを充足できるだけ

  の福祉避難所をつくってくださいということは、常に市町村に言っているところである。

 

  Q 奥村委員長

   今回の災害において、早期避難の重要性を痛感した。

   そこで、高齢者や障害者等の避難先や支援者等を定めた個別避難計画をつくっていくことが大事だと考えている。

   なかなか難しいとも聞いているが、個別避難計画の現在の取組状況はどうか。

  A 末松福祉保健総務課長

   個別避難計画の作成については、法律上、努力義務となっており、市町村で順次取り組んでいるところである。

   30市町村全てで着手しているが、本人の同意や支援者の同意の取得等、いろいろと難しい面があり、進捗にばらつきがある状

  況である。

   昨年度からは、ハザードマップで危険な箇所とされている地域に居住している方等について、優先度の設定をしておおむね5年

  程度で計画を作成するよう、市町村に強く働きかけているところである。

   例えば、海南市では、現在、避難行動要支援者名簿に約2800名が登録されており、そのうち約3割にあたる約800名の個別避

  難計画が作成されている。

   海南市は、県内でも比較的作成が進んでいる自治体ではあるが、それでも3割なので、引き続き、市町村の実態も把握しながら、

  市町村とともに取り組んでいきたいと考えている。

  要望 奥村委員長

   努力義務だとは思うが、高齢者や障害者、在宅で療養されている方が地域で安心して住めるよう頑張って取り組んでほしい。

   個別避難計画の作成が早急に実施されるよう、市町村で何が課題になっていて、それに対してどう対応していくのかということ

  を県も一緒になって考えていってもらいたい。

 

  Q 奥村委員長

   新型コロナウイルス感染症について、第9波にということで、救急が逼迫しているという状況はないのか。

  A 宗野健康推進課長

   現状のところ、それほど逼迫した状況とは聞いていない。

  Q 奥村委員長

   全国的に、物価高でガソリン代、電気代、食料費も上がっていて、家計のやりくりが非常に大変である。

   そういった状況の一方で、この10月から新型コロナウイルス感染症に対して、公費負担がなくなっていくという状況も聞いてい

  るが、経済的なことも含めて、窓口に行きにくくなったり、受診抑制につながったりするのではないか。結局は、客観的にこの感

  染症をきちっと抑止するという社会的条件が整っていっていないのではないかと心配するが、どのように考えているのか。

  A 宗野健康推進課長

   10月からの新型コロナウイルス感染症の治療薬や入院医療費の自己負担分に係る公費支援の見直しについて、患者の急激な負担

  増が生じないように配慮しつつ、ただ、5類ということで、他の疾病の公平性の観点という部分もあるので、国としても激変緩和

  として、段階的に見直しを図っているところである。

   結果としては、これまでよりも自己負担が増えることになるが、平時に向け適切な負担をということでもある。公費支援につい

  て、縮小するとはいえ、来年3月末まで継続することを決定したものであるということについては、理解願う。

  Q 奥村委員長

   感染症というのは、社会的な影響が非常に大きいと思う。そういったところから、県として感染を防止するというようなことに

  ついては、先ほども言った経済的な問題で負担が増えるとか、いろいろある中で、例えば、心配だったら検査ができるというよう

  なことを県として取り組んでもらうなどできないのか。

  A 宗野健康推進課長

   県単独での検査は特に予定はしていないが、ただ、例えば、高齢者施設等でクラスターが起こったときについては、行政検査と

  しての支援は、引き続き残るので、そういった部分で対処したいと考えている。

  Q 奥村委員長

   クラスターとか高齢者のところは、今まで配布している検査キットがあるのでということだが、他の一般の方は、子供たちやそ

  れぞれ含めて、検査は自己負担ということか。

  A 宗野健康推進課長

   そのとおりである。

  要望 奥村委員長

   早く発見するということは、これまでも5類になっても2類になっても同じだと思うので、心配だったら検査ができるというよ

  うなことを県としての取組をぜひともよろしくお願いしたい。

 

  Q 奥村委員長

   子供の生活実態調査ということで、以前に子供の貧困に関して調査をされたと思う。これは内閣府から各都道府県に対して調査

  をということだったと思うが、再び調査をするということを聞いている。調査は、支援学校や施設へ入所されている子供も含めて

  行うのか。

  A 戎脇子ども未来課長

   子供の生活実態調査については、県内市町村に在籍している小学校5年生、中学校2年生及びその保護者全員に対する全数調査

  ということになり、施設に入っている方も対象となる。内容については、貧困世帯の家計や保護者の就業状況、子供の生活習慣や

  学習の状況等を聞くアンケートになっている。

  Q 奥村委員長

   それは、来年度の予算に反映させられるということでよいか。

  A 戎脇子ども未来課長

   今年度調査をした結果を、来年度こども計画をつくるときに反映させたいと考えている。もちろんその中で緊急に予算をお願い

  しなければならないことがあれば、それは別にお願いすることで考えている。

 

  Q 奥村委員長

   最後の質問である。

   今、国で問題になっているマイナンバーカードと健康保険証の一体化について、保険証をなくすことがないようにしてほしいと

  いう請願に、私は紹介議員になっており、保険証を存続させることが難しいことではないと思うが、なぜ健康保険証をマイナンバ

  ーカードに紐づけすることになったのか。県民の声をしっかりもう一度聞いていただきたいと思うが、その点について聞きたい。

  A 前坂国民健康保険課長

   健康保険証の廃止等を含んだ法改正については、国民健康保険だけではなくて、後期高齢医療制度や他の被用者保険全ての健康

  保険の改正を含んだ形で、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部改正が本年6月2日

  に成立し、6月9日に公布されたところである。

   マイナンバーカードと健康保険証の一体化、いわゆるマイナ保険証については、現行の健康保険証を公布の日から起算をして1

  年6月以内に政令で定める日に廃止することとなっている。またマイナ保険証を利用されない方については、資格確認書が発行さ

  れる。

   県民の声ということであるが、このマイナンバーカードと健康保険証の一体化でのメリットはたくさんあり、患者の立場、医療

  機関の立場や保険者の立場の視点がある。まず一番大きいと考えられるのが、患者は、薬の履歴、特定健診及び診療情報の閲覧に

  同意すれば、医師等からより多くの情報に基づいた総合的な診断や重複する投薬を回避した適切な処方を受けることができること

  が挙げられる。医療機関についても同様のことが言える。かかりつけの医療機関以外でも、例えば災害時や旅先等において、普段

  とは違う別の医療機関でも患者の情報を確認することができて、より適切で迅速な検査・診断・治療等の実施が可能になることが

  挙げられる。様々なメリットについて、国をはじめとした保険者である市町村等からも周知啓発に努めているところである。

  意見 奥村委員長

   8月の保険医団体連合会の調査結果によると、マイナ保険証のトラブルが5493件あった。この団体は、医師の団体で、マイナ

  保険証に反対している。また、県民の大多数が合意していないということは明らかだと思う。

   マイナ保険証のトラブルは、いちいち言わないが、いろいろある。窓口で医療費を10割負担することになった事態が1291件も

  あった。課長が答弁した非常に医療の効率がよくなるとか、患者の情報が一元化して把握できるとかといったメリットについては、

  薬剤師が調剤薬局で薬の管理をしており、調剤薬局がどんどん拡大して役割を果たしてきたところである。そういったことだけで

  はなく、課長に聞く話ではないが、国は、2015年の前からマイナンバーの計画を言ってきたと思うが、2015年当時の日本経済団

  体連合会の副会長が、国民一人一人を正確に特定できるマイナンバーは非常に強力なツール、様々な活用が想像できるとのことで、

  個人情報をビジネスに利用して利益を拡大することを露骨に求めた。国民一人一人を正確に特定されてはたまらない。保険証の廃

  止を執拗に求めたのも日本経済団体連合会や経済同友会などの財界である。日本経済団体連合会が2020年に発表した新成長戦略

  で、健康保険証・運転免許証・在留カード等の公的証明書、診察券や学生証等のデジタル化とマイナンバーカードへの一元化を求

  めたことが現にあるわけであり、そういった状況の中で、国民の健康保険証をそのまま使うことに何ら問題がないのに、いろいろ

  と納得できない状況に進んでいることが非常に問題だと思っている。

 

    ●奥村委員長

     ◎議案に対する質疑及び一般質問終了宣告

     ◎議案に対する採決宣告

     ◎議案第104号、議案第106号、議案第107号、議案第117号及び議案第118号については、全会一致で原案可決

     ◎請願に対する審査宣告

     ◎請願に対する質疑宣告 質疑なし

     ◎請願に対する採決宣告

     ◎議請第1号は賛成なしで不採択とすべきものと決定

     ◎福祉保健部審査終了宣告

     ◎継続審査を要する所管事務調査宣告 異議なし

     ◎県内外調査について、令和5年10月16日から10月18日までの日程で実施することを報告

     ◎閉会宣告

   午後0時3分閉会

 

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