令和5年6月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


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令和5年6月 和歌山県議会定例会会議録 第3号

議事日程 第3号
 令和5年6月21日(水曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第78号から議案第94号まで及び諮問第1号(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第78号から議案第94号まで及び諮問第1号(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(42人)
 1番 坂本佳隆
 2番 三栖拓也
 3番 秋月史成
 4番 川畑哲哉
 5番 藤山将材
 6番 森 礼子
 7番 井出益弘
 8番 尾崎要二
 9番 玉木久登
 10番 佐藤武治
 11番 濱口太史
 12番 鈴木太雄
 13番 冨安民浩
 14番 吉井和視
 15番 鈴木德久
 16番 玄素彰人
 17番 岩田弘彦
 18番 中本浩精
 19番 中村裕一
 20番 谷 洋一
 21番 山家敏宏
 22番 北山慎一
 23番 堀 龍雄
 24番 谷口和樹
 25番 新島 雄
 26番 山下直也
 27番 高田英亮
 28番 小川浩樹
 29番 中尾友紀
 30番 岩井弘次
 31番 藤本眞利子
 32番 浦口高典
 33番 山田正彦
 34番 坂本 登
 35番 小西政宏
 36番 浦平美博
 37番 中西 徹
 38番 林 隆一
 39番 片桐章浩
 40番 奥村規子
 41番 尾﨑太郎
 42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
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説明のため出席した者
 知事         岸本周平
 副知事        下 宏
 理事         田嶋久嗣
 知事室長       北廣理人
 危機管理監      福田充宏
 総務部長       吉村 顕
 地域振興監      赤坂武彦
 企画部長       前 昌治
 環境生活部長     山本祥生
 福祉保健部長     今西宏行
 商工観光労働部長   三龍正人
 農林水産部長     山本佳之
 県土整備部長     福本仁志
 会計管理者      﨑山秀樹
 教育長        宮﨑 泉
 公安委員会委員    中野幸生
 警察本部長      山﨑洋平
 人事委員会委員長   平田健正
 代表監査委員     森田康友
 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       林 伸幸
 次長(秘書広報室長事務取扱)
            萩原 享
 議事課長       長田和直
 議事課副課長     岩谷隆哉
 議事課議事班長    伊賀顕正
 議事課主任      菅野清久
 議事課副主査     西 智生
 議事課副主査     林 貞男
 総務課長       葛城泰洋
 政策調査課長     岩井紀生
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  午前10時0分開議
○議長(濱口太史君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第78号から議案第94号まで及び諮問第1号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、併せて日程第2、一般質問を行います。
 16番玄素彰人君。
  〔玄素彰人君、登壇〕(拍手)
○玄素彰人君 議席16番玄素でございます。
 6月議会2日目、トップバッターで質問をさせていただく機会をいただきました。関係各位に感謝申し上げたいと思います。
 また、知事の冒頭の行政報告にもありましたとおり、今回、台風2号の大雨でお二人の方がお亡くなりになられました。また、床上・床下浸水、農業災害等で多くの皆さんが被災されました。お亡くなりになられた方にはお悔やみを、また、災害に遭われた方にはお見舞い申し上げたいと思います。
 ただ、そんな中ではありますけども、私も今回の台風でいろいろ県民の皆さんから要請を受けて、県の職員さんであるとか市町村の職員さんと協議なんかとかお願いなんかさせていただいたんですけども、うれしかったのは、ふだんと違って、またふだんより一つ意識レベルを上げていただいて、職員さんには対応していただいたなというふうに思います。
 今なお復旧・復興に向けて頑張っていただいてると思いますが、そういった職員さん、また事業者の皆さん含めて、関係者の皆さんに敬意と感謝と御礼を申し上げたいなというふうに思います。
 さらに、また申し上げるとするならば、今定例会というのは、改選後初めての定例会であります。ここに集いし議員の皆様は、選挙のハードルを乗り越えられて、ここにお集まりでございます。改めて、私のほうから皆様方にお祝いを申し上げると同時に、不肖、玄素に対しましても引き続き御指導賜りますよう、この場をお借りしてお願いを申し上げます。
 さて、今日は通告ということで10点、質問、用意をさせていただいております。なぜこんなに多いんだというようなことかも分かりませんけども、人口減少問題というものに対していろいろ考えていく中で、やっぱり雇用が大事だなというふうな思いを持ったので、今回こういう通告をさせていただいております。なぜ雇用が必要なのかというような話を質問の半分ぐらい使って、ちょっと私の思いというのを皆さんにお伝えできたらなというふうに思っておりまして、残りの半分で知事に対して個別の質問、やり取りをさせていただきたいと思います。
 ゆえに、途中、皆さんにストレートな思いをお伝えするために、今日は原稿を持たずにやらせていただきたいなというふうに思うんですけども、途中脱線するかも分かりません。また、時間は多分60分近くになろうと思いますので、あらかじめ御了解いただけたらなというふうに思います。
 さて、本題に入っていくんですけども、我々選挙というハードルを越えていく中で、当然後援会活動なんかをやっているわけであります。県民の皆さんにお会いしたら、最近、空き家増えてきたなとか、商店街シャッター増えてきたなとか、もちろん人減ってきたなとか、貧困の家庭が増えてきたなとか、様々御意見をいただくんですけども、あまり景気のええ話というのはないんだというふうに思っております。
 それぞれに、そういった問題に対しては個別の対応の仕方というのがあるんだろうなというふうに思うんですけども、一方で、なかなか解決できない問題というのは複雑に物事が絡み合ってるなという印象をもっているんです。そして、そういった問題の結構多くの問題の根底にあるのが、私は人口減少のこの問題なんだろうなと思っているんです。であるならば、この問題に対して逃げることなくトライをしていかないと駄目だなというふうに思うんです。
 そしたら、何でこれ人口減るんだということになるんですけども、生まれてくる子供が少ないということになるんだと思うんです。じゃ、何で生まれてくる子供の数が少ないんだということになるんですけども、一方でちょっとそれますけども、完結出生児数という言葉を以前この議会でもお話をさせていただいたかと思うんですけども、これはカップルになった男女が一生涯のうちにもうける子供の数のことをいうんですけども、私の生まれた1973年、ちょうど私今年50なので50年前、72年の調査であったと思うんですけども、完結出生児数というのは2.2ぐらいありました。それから2000年に向かって、この2人というのはなかなか割ることがなくてそのまま行ったんですけど、さすがに2000年ぐらいからは、ちょっと下がり始めました。
 直近の調査では2021年に、それでも1.9あるんですね。ということは、結婚していただいて、子供をつくってもらったら、2人近い子供を今でもつくってもらってるという現実があるんだなということが分かると思いますし、そういうことからいうと、3人目をつくっていただくためのこの子育ての支援というところに力点を置いていくというのは、一つの政策なんだろうなと、考え方なんだろうなというふうに思います。
 一方で、結婚をしたくてもできてない現実というのがあるんだと思うんです。今、大体、男性の3割、女性に関しても2割ぐらいの方、これ50歳ぐらいにバーが引かれるんだと思うんですけども、結婚できていない。これが男性は4割、女性も2割から3割というふうに増えていくんじゃないかというふうに言われているんです。
 じゃ、そんなに結婚したくないのかということなんですけども、いろんな調査を私、今までも見てきたんですけども、結婚したくないですか、したいですかというようなアンケートを取ったら、これも若干いろんな調査に誤差はあるんですけども、私の感覚で言えば9割ぐらいの男女が、結婚はしたいんだというふうになってる。だったら何で、じゃ、そこにギャップが生まれるのかということを考えていかないと駄目なんですけども、やっぱりいろんなそれは考え方はあるのかも分かりませんけども、とどのつまりはお金の問題、若い人の所得の問題、家計、結婚すれば家計の所得の問題になってくるんだろうなということになるんだと思うんです。
 じゃあこれ、家計の収入を増やしていく、若い世代の収入を増やしていくのには何をしたらいいのかということになるんでしょうけども、やっぱり雇用なんかなと、働くところ、安定した働くところはなかったら駄目なのかなというようなことから今回これを、質問をさせていただくことになったんですけども、詳細は後の質問のところで申し上げるんですけども、とにかく雇用は大事であるというふうに思っているんです。
 それから、二つ目に何が大事かということになってくるんですけども、それはやっぱり子育て支援なのかなというふうに思っております。子育て支援といいますと、代表的なもので、医療費、高校まで無償にしますよとか、保育料を国の基準の半額にしますよとか、様々そういった政策が各市町村、都道府県で取られているわけでありますけども、ただ、この子育て支援も、さっきの雇用というものが安定した中での子育て支援の政策というのは、相乗効果というかシナジー効果を生むんだと思うんですけども、ただ雇用が不安定で、子育て支援が幾ら充実してても、なかなか家計の所得ということには響いていかない、若者世代の所得というところに響いていかないので、これが一番かというと、やっぱりそうではないのかなと。
 もちろん政策の順番なんかを考えていくと、婚活なんかも今、県で一生懸命やっていただいてると思いますし、私も婚活に対して質問をさせていただきましたけども、これ優先順位、ちょっと低いんじゃないかなというようなことも感じます。ただ、ないよりは間違いなくよくて、家計の所得であるとか若い人の所得を上げていくという意味においては必要なんだろうなと。ただ、もうちょっとインパクトを持たすとするならば、大体、生まれてから大学卒業までの教育費というのは、公立を出すと大体1000万、私立だと2000万弱というふうに言われてるんですけども、これぐらいのインパクト、お金にしたら7兆円とか8兆円、今、77万人ぐらい子供生まれてますから、これぐらいのインパクトのものをやらないと、子育てによって合計特殊出生率を上げていくというのは難しいのかなというふうに考えてるんです。
 こう言いますと、ここにいらっしゃる方は理解はしていただいてるかと思うんですけども、やっぱり県民の皆さんなんかとお話ししてると、おまえら若い者ばかりにお金いきやる話やないかというようなことを言われてるわけなんですけども、ただ、世代会計的に見ても、OECD比較なんかに見ても、またこの予算を子育てのところに投じるというのは、将来、それによって子供の数が増えれば、その子供は納税者にもなっていただくし、労働者にもなっていただくし、国民健康保険や介護保険や、そういったことの支えにもなっていただくということを考えれば、これはなかなか投資効率のいいという言い方が適切かどうかは分かりませんけども、年配の皆さんに対しての政策でもあるんだということはお分かりいただけると思いますし、私は聞かれたら、そう言われたらそういうふうな答え方をしております。そういったことで、2番目に大事なのは子育て支援なのかなと。
 それから、3点目なんですけども、これはちょっと2点目のところと重なってくるところもあると思うんですけども、これ住む場所の確保というか、安心・安全・安価な土地があるということも含めて、若い世代の住む場所の環境、住むところの環境というか、そういったところの整備というのが必要なのかなというふうに思っているんです。
 今、和歌山県で人口が何とか増えてるところというのは、去年の段階で岩出市と日高町と上富田町なんです。じゃ、この三つの市町が何で人口増えるんだというのを自分なりにさっきの必要やなというような項目に当てはめて考えてみましたら、例えば岩出市も上富田町も日高町も、単独の雇用だけで人口を増やすだけのインパクトはないように私は思ってるんです。ただ、30分圏内ぐらいに通勤範囲を広げると、例えば岩出市なら和歌山市にも行ける、それから大阪にも行ける、それから最近電池の工場を増設した紀の川市なんかにも通えるわけなんですね。それから日高町に関しても、そんなに雇用場所があるというふうに思えないんですけど、ただ御坊市に対してのアクセスというのは非常に、周辺の町の中では多いんだということなんだと、近くにあるということは言えるんだと思うんです。それから、上富田町にしてもしかりなんですけども、上富田町も独自に昔から企業誘致なんかをやっていただいてるんですけども、ただやっぱり隣に田辺市という働く場所があるので、ここへ働きに行かれてる方というのが多いのかなというふうなことを考えると、雇用としては成立するというか、増えるだけの雇用があるのかなというふうに思います。
 それから、子育て支援なんですけども、これも相対比較ということであらかじめお断りをして申し上げるんですけども、そんなに立派な政策をやってるようには思えない。むしろ、ほかの県内市町村でも、それ以上にやられてるところのほうが多いというふうに思うので、子育て支援がそれら三つの市町が人口の増えてる要因にはなってないというふうに思うんです。
 それから、三つ目のさっきちょっと住む場所のということでお話をさせていただいたんですけども、土地が結構関係あるのかなというふうに思ってあるんです。といいますのは、岩出市は、例えば和歌山市よりも土地の単価というのは安いです。しかも、南海トラフによる津波の影響というのも割と外れてるし、水を避けようと思えば山側へ行けば逃げることができる。宅地の値段としても和歌山市よりも安いという傾向があるんですね。
 日高町なんかにしても、私の住んでる印南町と御坊市とも隣接をしてますけども、安全・安心、要は津波が来ない、水が来ないというような土地に関しては、日高町は印南町よりも2分の1ぐらいの価格で土地を手に入れることができるんですね。
 上富田町なんですけども、田辺市なんかへ行きますと、西牟婁振興庁舎のある新万というところは坪当たり40万ぐらいするんですね。田辺市の旧市内で津波の来ないところ、水の来ないところというようなことを考えたら、坪当たり25万ぐらいは、やっぱり旧市内ですると。ただ、上富田町まで行きますと、坪5万円から高くても20万弱といったところなんです。
 何でこんな話するかといいますと、私、一応FPなんですけども、人生で一番お金のかかる、自分の商売と違うんですよ、人生の中で一番お金のかかるステージというのがあるんです。それは、一つは家建てたとき、それからもう一つは教育資金、それから老後の資金なんです。やっぱり家建てるときというのはお金が必要だし、今は低金利なんで家も建てやすいんですけども、借金する、住宅ローンをするということになるんですけども、それは総額は安いにこしたことない。近くで通勤圏内、15分で田辺市内でといってもなかなか、坪当たりの単価でそこそこ広い家をというふうに望んだら、結構3000万、4000万はかかってくるなと。
 だけど、ちょっとずれれば500万、600万ぐらいローンの総額が違ってくるので、これからお金かかろうかということで不安に思っている中で、ここのところに対して安心が得られるということは、スタートダッシュという意味においては非常にいいのかなというふうに思うと、なるほどこの3市町がそれなりに人口が増えてるというのは説明できるのかな。もっとほかに要因はあるのかも分かりません。それぞれ今申し上げた市町には県会議員の先生方もいらっしゃいますから、そういった影響も全くないとは言えないとは思うんですけども、そう考えると、今申し上げた雇用と、それから子育て支援と、それから若い人たちが住む環境、場所の提供、土地の政策、そういったところ、もっと言いますと、一種農地なんかというので割かし農地法で縛られてるところがあるんですけども、そういったところの見直しなんかをするだけでも、安全・安心の高台の土地の単価というのは下がってくるんでしょうし、若い人が住んでくれたら、アパートに住んでくれたら2万円補助しますよとか家建ててくれたら100万円差し上げますよというような政策なんかも、こういった部類に入ってくるのかなと思っているんです。
 ただ、こういう話をしますと、玄素君、それはパイの取り合いやぞというような議論も当然あるんだと思います。しかし、こうやって、ふるさと納税なんかもそうなんですけども、自分ところをよくしていこうと切磋琢磨するというのは、最終的には、お互い切磋琢磨することによって日本全体というか、地域を押し上げていってるというのが現実としてあると思うんです。
 私、首長をさせていただいたときに、多分県下でトップクラスで高校まで医療費無料にしたんですけども、そのときは、それはおまえだけ何なんというふうなことも言われたりしましたけど、今、だけど結果見たら、もう和歌山県のほとんどのところがそういうことになってる。地方自治体がやっぱり政策の最前線でありますから、そういう状況を見て、国もそれは重い腰を上げたと、本来もう国からそういう政策というのは、どんどんお金を刷って下ろしてくれればいいんですけども、国というのはなかなかそういうような雰囲気ではない、問題が表面化してきてもうしんどいなという頃にいつもお金つけてくれるんで、こういうような形というのは仕方ないと思いつつも、こういった競争というのはやっていったらいいのかなというふうに思います。
 そのほかにも、男女共同参画なんかで、もっと男の人が家事したらええんやというような話もあるんですけども、これも欧米の人らが例えば6時に帰ってきて、日本人は8時に帰ってきて、この2時間ぐらいの差というのが実際あったら、それはなかなか男の人もできないですから、働き方改革なんかで6時に帰れるようになれば、それは男の人もやってくれるなというふうに思ったりしますし、一方で、人口増やすだけだったら外国人入れたらいいんやというような議論もあるのも承知しております。
 それにしても、それに関しましても昨日、佐藤先生からの話もあったように、これからAIがどんどん進んできたら、今ある職業の47%から49%はなくなるんやという話もありますし、実際今、子供さんを持たれている女性の就業率は、私が最近見た記事の中では75.9%というふうに出ておりました。そういった雇用の機会も奪われるので、あんまり安易に安い賃金ということだけを目的として特定技能なんかで広げ過ぎるのはどうかなと思いますし、今労働者のうちの36.9、若干40弱ぐらいが非正規雇用なんですね。アルバイトとかなんです。こういった人たちのやっぱり婚姻率というのは普通の正社員よりもかなり低い位置にあるんです。
 ですから、こういったところに対して給付つきの税額控除をやるとか、もちろんそういった所得の一定のところだけベーシックインカムをするとか、そういうような考え方ももちろんできるんだと思いますし、お金をせっかくもうけても、その運用が上手でなかったら、やっぱりお金というのはたまっていかないと思うんですけども、1988年から今日まで約35年間ぐらいの間で、日本人の金融資産というのはこの35年で2倍ぐらいになったんですけども、アメリカなんかは7.5倍になってるんですね。
 何でそうなったのかといいますと、401kとか今NISAとかiDeCoとかって言われてるんですけども、こういうことをアメリカは35年前にやっているということを考えれば、こういったところもしっかりコミットしていったらいいのかなと思うんですけども、こういった話というのは専ら国の政策のところが大きいのかなと。地方でできなくないですけども、そういったこともしていけばいいんですけども、ただ、今、早く、もう手を打つということでいうならば、最初申し上げた雇用だと、子育て支援だと。それから、若い人が住む場所の提供も含めて、住宅環境の整備だということになってくるんだと思うんです。
 だけど、ここまで言ったって、玄素君、そんなにそうやったってうまいこといけへんの違うんかというようなことを言われるかも分からんのですけども、最後に質問に入る前に、うまいこといってるというところの話をさせていただきたいと思います。
 岡山県に奈義町といって山あいの町です、人口6000人の町があります。この2月には総理も視察をされております。ここの町の出生率なんですけども、何と2.95だそうであります。2005年には1.41のこの町、出生率だったんですけども、それが今は2.95まで伸びております。岡山県は今1.39ですから、よう似たようなもんだろうなというふうに思うんですけども、じゃあ何でここ、2.95になったのかということで、私なりに興味を持ったので、行ってはないんですけども、調べてみました。
 さっきの雇用とかというものに当てはめて申し上げますと、その奈義町には、年間出荷額250億円、雇用者数でざっと700人の工業団地を擁しております。それから30分圏内で働く場所というところで見てみますと、津山市という10万人ぐらいの市があるんですけども、そこにも70社ぐらいの企業が集積した団地があります。この辺のところまでは働きに行けるんだろうなと。結構、類似のところが奈義町と同じぐらい、250億も、雇用者数700人も抱えられてるところがこの地域、和歌山県にあるのかな、市町村にあるのかなと思ったら、なかなかないのかなというふうには思いました。
 それから、子育て支援なんですけども、保育料の第1子は国の基準の半額になっております。医療費は高校まで無料であります。それから給食費は一部補助、それから学用品なんかは無償にしてます。それから、若い人が住んでもらうために町が公営住宅、一軒家を用意してそこに5万円で住めますよという制度も用意をしております。それから、その町に、6000人の町ですから高校もないんだと思うんですけども、通学の費用のために年間13万5000円を上限として、通学のための補助もやっております。結構やっているなというような感覚なんですけども、じゃあ、ほかでそれぐらいのことやってるところないのかといったら、結構あるように思うんですね。
 それから、さっき言った土地の話なんですけども、土地なんかも坪2万円ぐらいで宅地あるそうなんですね。だからローン組むときには、そら安い家建てられるなという、こういうような、三拍子そろってるというようなところで2.95になってるのかな。もちろんほかにも原因、要因というのはあるんだと思うんですけども、だけど、三つぐらいのことを、今申し上げた優先順位三つぐらいのことを真剣に取り組んでたら、人口も反転するかも分からんなというような期待も持たせてくれます。
 何でこんな話をするかといいますと、やっぱりやればできるんやないかと私自身は思うんです。もう無理やと言ってしまったら、その言葉というのは可能性をそいだり、未来をそいでしまうんだというようなことを言われてる方もいらっしゃいますけども、そんなんしたら人間というか楽なんですよね、政策立案当局も楽なんです。だけど、それやってしもうて、もう無理やと言ってしまったら、物事前へ進みませんから、とにかくめり張りつけて、行政の政策ってどうもあれもこれも、それもどれも、あれもやってますと言うんやけども、じゃあ結果出てるんですかというのがなかなか出ていないように思うんですけども、やればできるんだと、日本人にも和歌山県人にもできるんだというような思いを皆さんに共有したくて、こんなような話をさせていただきました。
 イスラエルの出生率、合計特殊出生率って皆さん御存じでしょうか。3.0あるんですね。先進国の中でトップクラスです、ずば抜けてトップクラスです。別にここは子育て支援をようやりやるかとか雇用があるのかというのも、もちろんそれなりにあるんですけども、ここは時代的な背景で、やっぱり歴史的なもんで、子供は宝なんやという、18歳になったら男女も徴兵をされるんですけども、そういった雰囲気も醸し出すだけでも、やっぱりそれだけの国全体で子供は宝やという感覚を持つだけでも、やっぱり出生率が増えるのかなというふうに思いますし、一方で韓国は、最近の調査では0.78だそうであります。2750年には韓国が消滅するという推計も出てるようであります。これ、どっちにだって振れるんだろうなと、怖いなと、だけど希望もあるなというようなことを申し上げつつ、もうそろそろ質問の中へ入らしていただきたいと思うんですけども、そんな中で、企業誘致というか1点目でありますけども、企業誘致が必要ではないかと。
 今も230人ぐらい、大体5年平均ぐらい取らしてもらったら、和歌山県が企業立地とかで、よう進出協定やりましたとかという記事になって出てると思うんですけども、これ5年ぐらいの平均取りましたら大体230人ぐらいつくってくれてはいるんです。よう頑張ってくれてるんだと思うんです。ただ、そのうちの有田から南は平均して66人なんですね。どうしても北のほうに寄ってしまってる。これも経済圏的な問題とかアクセスの問題もあって、そうなるのはしようがないなというところはあるんですけども、その辺のところはやっぱり知事にもちょっと耳に入れておきたいなという思いもあって、こんな話をさせていただくんですけども、いずれにしても雇用が必要やというのは、今、話をさせていただいて理解をしていただいたかと思うんですけども、これもあれもどれもやってくれてるのは分かるんですけども、もう一歩、人も財源も入れても、これはチャレンジするかいがあるんだろうなというふうに思っております。
 そこで、知事に1点目の質問をさせていただくんですけども、このこと、企業誘致に関しての御認識と、あと企業誘致、どんどんどんどん増やしていくために何かいい策がありましたら、こんなことやりたいんだということもあれば、含めてお答えをいただきたいと思います。
 以上で、私の1点目の質問を終わります。以降、質問については対面式演壇から行わせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
○議長(濱口太史君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 知事岸本周平君。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 玄素議員の御質問にお答えをさせていただきます。
 雇用創出に企業誘致の推進が重要であるということは、玄素議員の御指摘のとおりでございます。したがいまして、厳しい財政状況の中ではありますけれども、手厚い奨励金制度を創設しております。特に紀中・紀南地域については、交付要件を緩和するなどのインセンティブもつけさせていただいております。
 グローバルサプライチェーン見直しによる国内回帰の流れが今ございますので、これをチャンスと捉えまして、成長産業の集積につながりますよう、引き続き企業誘致の活動には努力をしてまいりたいと考えております。
○議長(濱口太史君) 玄素彰人君。
  〔玄素彰人君、登壇〕
○玄素彰人君 知事、答弁ありがとうございました。ちょっと声かすれてるようなんで、10問もと、今ちょっと心があれなんですけども、揺れ動いたんですけども、今、紀南のほうへ優遇措置を設けているんだというお話をいただきました。ありがとうございます。ただ、それが結果がやっぱり伴ってこないと駄目だと思うんで、その辺のところは常に考えていってほしいなということと、あとサプライチェーンの見直しというお話もありました。
 例えば、熊本で今半導体の会社TSMCなんかが進出してくると、広島には何かマイクロンという会社が入ってくると、それからサムスンが横浜というか神奈川、それから富山にインテル、それから北海道にアイメックとラピダスだったかな、半導体の会社、そういったところが拠点をどんどんどんどん設けているというようなところでありますから、どこに的を絞るかということも大事だろうと思いますけども、AI、半導体なんかはどんどんどんどん伸びておりますから、知事の人脈も含めて頑張っていただきたいなというのと同時に、何も県だけがこの企業誘致に一生懸命やっていただく必要は、私、ないと思ってるんです。
 例えば、和歌山県で私、お会いする方々にも、こんな企業の偉い人が御存じなんですねとか、こんな人、知ってるんですねと、結構、人脈のある方というのがいらっしゃるんですね。だから、そういった方の緩急というか、別に大阪の方でもいいんだと思うんです。和歌山に企業を連れて来てくれる人の情報提供とか、その結果に対してインセンティブを出しますよというようなことをやったら、和歌山県民みんなが、この雇用に対して味方になってくれるというような思いもありますので、その辺のところは検討していただけたらなということを申し上げて、次の2点目に進ませていただきます。
 2点目、事業承継についてでありますけども、さっき年間で大体230人ぐらい雇用をつくっていただいてるというお話をさせていただきましたけども、一方で、休業、廃業、解散による和歌山県の1年間の雇用の喪失というのが2016年から2020年の調査平均すると770人いらっしゃるんです。これに倒産によって失われた雇用というのを足しますと、大体190人ぐらい平均なんで全体で1年間で960人、平均の雇用が失われている現実があるんですね。なかなかこういったことはおっしゃってくれないんですけども。
 一方で、人口1万人を増やそうと思えば、かつて申し上げたと思うんですけども、770人の基幹的産業の雇用があれば、人口1万人を押し上げる効果があるというのを岡山大学特任教授の方が言われたんですけども、今これは反対になっておりまして、人口9000人弱、1000人が失われてる一方で230人の雇用をつくっても770人減ってる状況ですから、これ1万人ぐらい減っていくというのもあながちうなずけるなというようなことも感じるんです。
 ただ、その770人、特に申し上げるとするならば、その中で全体的に日本の中小企業で言えることなんですけども、半分の企業というのは後継者がいる問題で苦しまれているということなんですね。だけど一方で、雇用を増やすというのと守るということもすれば、失われてる雇用というのは少なくなってきますから、これ、事業承継をしっかりやるということでいえば、雇用も多少、この770人というペースを止めることもできるのかなというふうに思っております。この事業承継に対する知事の認識と、あと、これに対しての政策、こういったことはやってはどうかというような思いがありましたら、再度お答えをいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○議長(濱口太史君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 今、御指摘いただきましたとおりだと思っております。県内の事業者は、雇用や多様な技術、技能の担い手として、地域経済を支えております。その事業価値をしっかりと次の世代に引き継いでいくということが大変重要でありますし、そのためにも、玄素議員御指摘のとおり、事業承継は大変重要なことだと認識しております。
 一方で、事業承継には、例えばどこに相談したらいいのか分からないとか、どうしても社長さん、元気ですから、その準備を先へ延ばしてしまう。あるいは税制とか、いろんな専門的な知識も必要になってまいります。そんな問題につきまして、私ども県、あるいは関係の機関におきまして様々な取組を行ってきたところでありますけれども、玄素議員の御指摘を踏まえまして、今後も経済社会の動向や事業者の皆さんのニーズを踏まえながら、世代を超えた事業の承継、企業の発展が図られますよう、しっかりとサポートしてまいりたいと考えております。
○議長(濱口太史君) 玄素彰人君。
  〔玄素彰人君、登壇〕
○玄素彰人君 答弁ありがとうございました。
 事業承継、今、一生懸命やっていただいている窓口も、相談窓口も設けていただいてる、PRもやっていただいてるというのは理解をしてるんです。ただ、このままだったら今までのとおりにしかならないので、何とかしていただきたいという思いで質問をさせていただいてるんですけども、今もう金融機関なんかと県も連携というか、お互い情報共有できるような体制に私、今あると思って、間違ってたらごめんなさいなんですけども、そうであるならば、例えば年間770人減っていく、その中小企業の中で、決算書なんかを見たら、この企業は事業承継できそうだなというのと、やっぱり時代の流れでここは無理だなというのをソートをかけられるというふうに思うんですね。
 そういったところに対して、窓口ありますよというような形だったらもちろんそれでいいんですけど、なかなか事業を、自分、今まで大切に育ててきた事業をなかなか承継させるって、誰かに承継させるというのはやっぱり抵抗ありますから、こっちから、そういった決算のいいところとか、ダイレクトメールを送るなり個別訪問をかけたりとかできないのかなという思いもあるんです。今よりも一歩踏み出すというような意味において、引き続きこの事業承継の問題に取り組んでいただけたらなというふうに思います。
 続いて、3点目にまいります。
 起業家の育成というところなんですけども、私も起業の経験はあるんですけども、最初の資金繰りのところと、倒産をさせてしまったときのやっぱり自分の責任とか、また再度チャレンジできるのかというようなことに不安を感じたことを今でも思い返しますし、役所も支援をしてくれるんですけども、書類、結構面倒だったなと。多分、役所の方からいうと、当たり前のようにさばけるんですけども、やっぱり民間の立場からいうと、やっぱり書類、面倒だなと、結構こんなところで線引かれて、こんなところで線引かれてというようなことがありました。
 そういったことも踏まえて、ただ、起業家を育てるということは、最終的に雇用を生んでくれるであろう事業者を育てるということにもなりますから、ここにも積極的に取り組んでいただきたいと思っているんですけども、知事の認識と、あと、何かアイデアがありましたら、お答えをいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○議長(濱口太史君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 今、玄素議員御指摘のとおり、スタートアップ、起業家、ベンチャースピリット、とても大事なことだと思います。そういう人材を育成していくことの重要性は、言うことはまたないわけでありますけれども、これ、難しいんですね。私の友人で、ベンチャー企業の成功者はたくさんおりますけれども、ほっといてもやる人はやるんですね。少なくとも、ベンチャー育成のセミナーなんかやってますけど、セミナー行く段階で終わってます。そんなセミナー行くような人で起業家になった人は一人も私は見たことありません。
 起業家というのは、もういろんな障害をぶち破って、何が何でもやるぞというような、まさに挑戦をする、失敗をしても失敗をしてもやっていくというような強い心のある人でないとベンチャーにはなれないんです。
 そうだとすると、ひょっとしたらもう教育の段階で、小学校、中学校の教育の段階から、失敗してもいいよというような、そういう教育をするとか、あるいは日本の社会全体を、失敗することを許さないような、この閉塞した社会を変えていくということも大事なのではないかと考えております。
○議長(濱口太史君) 玄素彰人君。
  〔玄素彰人君、登壇〕
○玄素彰人君 知事、答弁ありがとうございました。
 もうこれ、今、知事がおっしゃったのは、スタートアップとかアントレプレナーとか、要はこれから伸びていく産業、雇用が大いにつながっていくというような産業についてのイメージの話だと思うんですけども、私、申し上げてるのはちょっと違って、今まである既存の産業とか商売とか、簡単に言えば飲食なんかでも、いや、やりたいんだと、違う形態でやりたいんだと、将来雇用2人でも3人でも生むんだというようなものに対して、特にやっぱり力を入れていただきたい。これから伸びる企業やから投資をするんじゃなくて、これから雇用をつくってくれる可能性があるというところに力を注いでいただきたいというような思いでお話をさせていただきました。
 昔、「マネーの虎」といいまして、ちょっともう二十歳ぐらいのときだったかな、経営者、成功された方を前に、エンジェルというか、投資をしていただきたい、起用する人がいろんな話を聞いて、まあまあええ話やと、そしたらお金出そうというような番組があって、今も「令和の虎」とかといってネットでやってるそうでありますけども、ざっくり言うならば、それぐらいのことを、県職員さんとか知事とかがそういう話を聞いて、幾らとお金出すということには反対なんですけども、ただ、それなりに事業で成功された方がそういった方を面接して、よかったら必要額に対してお金あげてもいいよというぐらいの制度を設けたら、今よりも起業される方は増えるんじゃないかなと。面倒な書類とか、面倒な縦割りというか、いろんな制約を持たずにそういったこともやってみたらいいのかなと。何よりも、今よりも何とかするということでいえば、そういったこともあるのかなということを申し上げて、4点目、行かしていただきたいと思います。
 4点目でありますけども、今、和歌山県がここに存立してあるのは、やっぱり今ある事業者が雇用をしていただいて、また、今ある事業者が税金等々納めていただいてるからだというふうに思うんです。割かし、もうスタートアップとかというて、起業者のほうやといって新しいほうへ目が行きがちでありますけども、今の企業だって、時代のスピードが速いので、どうしても設備投資をするとか、違う業態に参入していかないと駄目だということはあるんだと思うんですね。
 だけど、今の国とか県とかの支援制度を見ておりますと、雇用何人つくってくれないんなら駄目ですよ、この業態は駄目ですよ、資本金これぐらいでなかったら駄目ですよと、結構制約があるんですね。これは、伴走型の支援になっているのかなと。みんな企業それぞれ思いはあるんでしょうけども、できる限りそういった思いに沿ったような支援策を練っていただきたいなというふうに思うんです。
 特に、国の支援とかというのは何か縛りがきつうて、やっぱりそれはもうお金もかかる話なんですけども、投資ということでいえば、ここは投資すべきところだというふうに思っております。このことに関しての知事の認識と、また、何かアイデアなどありましたら、お答えをいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○議長(濱口太史君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) ありがとうございます。これも玄素議員御指摘のとおりでして、県としては、今活躍されている企業の皆さんに寄り添って、オーダーメードでの事業支援や、特に競争力強化のためのDXの推進等のいろんな施策を今やっているところであります。
 そして、おっしゃるとおり、いろんな補助金が今回もコロナ関連で出たんですけれども、確かに国の制度はやはり要件がありますので、県独自で少し要件を緩和したような補助金もつくらせていただいておりまして、これは大変利用率が高いという状況になっております。今後も、コロナが終わり──終わったというのは言い過ぎですけども、コロナ禍後の新しい環境の下で、企業ニーズも変わっていくでしょうから、寄り添いながら、既存の企業の成長につきましても担当部局一生懸命やっていきたいと考えております。
○議長(濱口太史君) 玄素彰人君。
  〔玄素彰人君、登壇〕
○玄素彰人君 知事、答弁ありがとうございました。
 オーダーメードという話が出たのでちょっと思い出したんですけども、御坊市、私の住んでる印南町の隣に御坊市がありまして、御坊市には第2御坊工業団地といいまして、土地だけ買うて企業の造成をされることなく放置されてるというところがあります、12ヘクタール。ただ、ここも一応企業立地課のほうで工業用地として出していただいているんですけども、オーダーメード方式でやっていただいてると。
 どういうことかというと、企業から要請あったら宅地造成をしてお渡ししますということなんですけども、それで多分、造成費なんかも入れて渡してしまうと、周りの工業用地の値段の5倍とか10倍とかになってしまうというように、ちょっと勝手が悪いなというふうに思ってるんですけども、ただ1点、この今ある県内事業者の支援に関しては、まさにこのオーダーメード方式みたいなのがいいんでしょうねと思ったので、そのことをお伝えして次の質問に移りたいと思います。
 次の介護、保育、建設労働者の求人の多い職種の処遇対応についてということでありますけども、今、私が把握している中で求人の率なんですけども、有効求人倍率というんでしょうか、建設業で3.4、それから介護で3.2、保育で2ぐらいあったんですけど、ちょっと改善されて1.6ぐらいなんですね。これもう求人が多いということなんですけども、せっかく雇用があるのにそれがマッチングできていないというのは、これもやりようによっては、うまく雇用に結びつけられるんだろうなというふうに思っているんです。この処遇改善とかも含めて、このことに対して、知事はどのようにお考え、認識を持たれて、どういうようなことをしていったらいいとお考えになられているのか、お答えをいただけたらと思います。引き続きよろしくお願いいたします。
○議長(濱口太史君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) ただいまの御質問につきましても玄素議員御指摘のとおりでありまして、介護・保育等福祉分野の職員の皆さん、あるいは建設労働者の皆さんの現場での人材不足の解消、これについてはまずは賃金の引上げが一つだと思います。さらなる処遇改善に取り組むことが最重要課題であると認識をしております。
 まず、福祉分野における職員の賃金の引上げでありますけれども、これもいろんな介護、障害、いろんな分野の共通の課題でありますけれども、これは国の法定の制度の中で価格は公定、公が定める仕組みになっております。累次、徐々に改善をされてきておりますけれども、特に昨年度、新たな加算制度が創設されておりますが、しかし、全産業平均に比べますとやはり低いんです。したがいまして、私どもとしては全国知事会等を通じまして、これまでもやってますけれども、引き続き国に対して処遇改善については強く要望してまいりたいと考えております。
 それから、建設労働者の処遇改善につきましては、まさに適正な賃金水準の確保がこれも重要であります。今現在、国におきましても同じ問題意識を持っていただいておりまして、労働者に適正な賃金が支払われる仕組みについて、審議会等で検討が進められていると承知しております。いずれにしましても、さらなる処遇改善に向けて速やかな制度化、いろんなものを国に対して強く要望していきたいと考えております。
○議長(濱口太史君) 玄素彰人君。
  〔玄素彰人君、登壇〕
○玄素彰人君 知事、答弁ありがとうございました。
 実は、私の会社も人を募集しているんですけども、なかなか来てくれないんですね。これ、給料が安いのか、休みが少ないのか、業種が嫌がられてるのか、福利厚生が悪いんかといろいろ考えるわけなんですけども、だけど本当に必要なら、あらゆる方策を使って企業というのは、事業者というもんは雇用を獲得しようとするんだと思うんです。
 今あるこの有効求人倍率のギャップの原因というのは、一義的には、やっぱりその労働の対価に対して賃金のミスギャップが生じているということなんでしょうけど、専ら今国に処遇改善をやっていただいて、県がそれだけのことをするお金はないのは承知してあるんですけども、ここは政策的には待つ勇気というか、企業の自助努力みたいなものに様子を見ていくことが必要なのかなという私の思いをお伝えして、次の質問に移りたいと思います。
 6点目に行きます。
 一次産業のことなんですけども、今、和歌山県で大体、年間新規就農者で160人から170人、それから新規林業者、漁業者でそれぞれ50人ずつで大体260人から270人、新規一次産業従事者が生まれているということなんです。和歌山県って周りの府県と比較すると、新規一次産業に携わっていただく方を増やすのには非常に優位な立地なんだろうなと、状況なんだろうと思ってるんですけども、これも新規雇用というか雇用なんですね。
 そこで、知事に、この一次産業について、特に農業、漁業、林業で、ここに力を入れたいんだということがありましたら、それも含めて、その認識と方策についてお伺いをしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○議長(濱口太史君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) これも一次産業につきましては、昨年の知事選挙の私の公約の一丁目一番地で、一次産業の振興をお約束させていただいたところであります。大変、本県にとりましては重要な基幹産業であると考えておりますので、毎年安定した新規就業者を確保するということは大変重要であります。そのために一番大事なことは何かというと、やはり農林水産業が収益性のある産業になるということだろうと考えております。そうしないと、新しくそこに入ってこようという方もなかなか生まれないということではないかと思っております。
 したがいまして、まず生産性を上げる、それからコストを下げる、そのような基盤整備が必要であります。そのための県の応援、助成、それからスマート技術、ITを使った技術の導入、それから、まさに収益性が高まるような品種の改良、研究開発、それから販売促進、そういう施策が必要になってこようかと思っております。
 そして、昨日も御質問いただきましたけれども、タウンミーティングで新規就農者の方にもたくさんお会いしました。あるいは新規就農されて10年、20年たっている先輩の皆さんとも意見交換をしましたけれども、本当に皆さん、頑張っておられます。必死で頑張っておられます。そういう若い新規就農者の皆さんを県挙げて応援することで、さらに就農を目指す方を増やしていきたいと考えております。
○議長(濱口太史君) 玄素彰人君。
  〔玄素彰人君、登壇〕
○玄素彰人君 答弁ありがとうございました。
 答弁の中にもあったんですけども、収益性を目指していくという農業がというか、一次産業が大事だというのはそのとおりだと思います。例えば、今、農業なんかでも、農業者の数は減っているというのは皆さん御承知のことだと思うんですけども、一方で規模を大きくしている農業者というのは増えている傾向にあると思うんです。また、所得も増えているというふうに思います。そういったことからいいますと、そういった方々が増えるような政策をするとか、株式会社化をしてから規模を大きくすることがいいのか、スマート化をするのがいいのか、漁業と例えば農業をハイブリッドでやるのがいいのか、何かストレートに響くようなところ、最大公約数みたいなところもあろうかと思いますから、そういったところも、とにかくもうからなんだら業として成り立っていかないので、そういったところに政策の柱、哲学というものを持っていただきながら、引き続き推進していただくようお願いを申し上げて、次の質問に移りたいと思います。
 7点目です。これ、転職なき移住者の取り込みと書いてるんですけども、今、和歌山県に年間転居というか移り住んでくれてる方というのはざっと1000人ぐらいいらっしゃるというふうに聞いております。ほかの調査なんかと合わせてみますと、そのうちの4割から2割、5割弱ぐらいの方々が、ちょっと都道府県で若干差異があるというふうに理解してるんですけども、転職なき移住者といって、職を持ったまま、コロナでリモートワークが増えたとか、これからのITとかAIとかというような方に業務される方が別に都会に住んでなくても仕事ができるということで、魅力のあるところへ移り住んで仕事をするという傾向にあるんだというふうなことを理解を今してるんですけども。
 今まで和歌山県というのは、高校生の県外進学率というは割かし高かって、一回県外へ出てしまったら、地元に雇用ないさかい帰ってこれんのやというようなお父さんやお母さんの嘆きを幾度か聞いたことがあるんですけども、この転職なき移住者という方々が和歌山にどんどん来ていただいたら、もちろん税金も払っていただいて、買物もしていただいて、うまいこといけば結婚もしていただいて子供もつくっていただくと。
 最大のこれ雇用と簡単に言うけど、簡単につくれないのが雇用のしんどいところなんですけども、仕事を持ったまま来てくれるというのは、非常に投資効果のあるというか、頑張りがいのあるところなんだろうなというふうに思っております。このことに対しての知事の御認識と、あと、このことに対してどんどんどんどんやっていくために、何かいい方法ありましたら、御指南いただけたらと思います。よろしくお願いいたします。
○議長(濱口太史君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 今、玄素議員が御指摘いただきましたとおり、転職なき移住、それから2拠点居住というのが和歌山県にとってはとても大事なことだろうと考えております。
 そして、例えばですけど、今私どもがやってますのは、テレワーク勤務を推奨している企業がたくさんあります。これは大きな上場企業が中心なんですけれども、そういう企業に対しましては県から、今、私どもがつくり出したワーケーション、あるいはお試し移住、そういうことの取組について本県がいろいろ助成もしてますので、そういうことを従業員の皆さんにぜひ周知いただきたいというような働きかけをやっております。この点もまた、ほかにいい知恵がないかどうか、しっかりと検討してまいりたいと思います。
○議長(濱口太史君) 玄素彰人君。
  〔玄素彰人君、登壇〕
○玄素彰人君 知事、ありがとうございました。
 ここに関しては、結構今、県庁の現場でも一生懸命やっていただいているふうに私は捉えております。引き続き、どんどんやっていただけたらなという思いを申し上げて、次の質問に進みたいと思います。
 8点目であります。
 8点目、金額の多寡、年齢にとらわれない雇用の創出についてと書いてあるんですけども、どういうことかというと、先ほど人生でお金のかかるステージというのは、家建てたときと子供の教育資金と、それから老後の資金だというお話をさせていただいたんですけども、それぞれずっと雇用がうまいこといくという保証はなくて、また退職した後に仕事をやろうと思ってもできないという環境であれば、人生100年時代を送れないというようなことになるんだと思いますし、ひいては、そんなんで子供らつくったらまた負担になるから、やっぱりやめとくかということにもなりかねないなというふうに思います。
 仕事の数というのは1万7000種ぐらいあるというふうに言われておりますけども、今は別に和歌山で雇用がなくても、クラウドワークスみたいな形で、ネット上で仕事のやり取りができるとか、また、年を重ねてもシルバー人材センターでちょっと孫のお小遣いを稼いでいくとかというようなこともできるわけでありますけども、ここのことに意識をして雇用政策をやるとか、県政を運営するということの違いというのは大きく出てくるように思うんです。このことに対する知事の御認識と、あと、このことに対しての思い等、ありましたら答弁いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○議長(濱口太史君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 和歌山県といたしましては、多様な人材がその能力を生かして働くことができますよう、いろんな働き方があるんだということにつきまして県民の皆様、そしてあるいは企業、雇用主の皆さんにしっかり周知していきたいと思ってます。
 それから、県庁自体がもう少し弾力的ないろんな採用をするとか、雇用環境を整備するように、今部内で集中して検討しております。一つ、県庁で副業していただくという制度ができまして、応募したところ、物すごい倍数の応募がありましたので、副業、兼業、裁量労働制の導入など、県としてはできるだけ多様な働き方を推奨していきたいと考えております。
○議長(濱口太史君) 玄素彰人君。
  〔玄素彰人君、登壇〕
○玄素彰人君 知事、答弁ありがとうございました。
 今の副業なんかの話というのは、ああなるほどねと非常に共感を覚えました。引き続きよろしくお願いをしたいと思います。
 あと残り2問、よろしくお願いします。
 9番目、観光における雇用創出確保についてというところであります。
 さっき紀北のほうが企業誘致においては、地政学的というか、優位にあるというお話をさせていただいたんですけども、観光業ということで言うならば、南の方向というか紀中、紀南のほうが優位性があるのかなと。この産業を育てていく、また裾野も広いですから、建設業の裾野と、もう一つの柱として育てていくというのは有効かなというふうに思ってるんですけども、このことに対しても、今もチャーター便の誘致であるとか高級ホテルの誘致であるとか様々やっていただいているというのは理解してるんですけども、この観光によって雇用をつくり出すということに対しての知事の認識と、あと、そのアクセスの方法などありましたら、お答えをいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○議長(濱口太史君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 今、玄素議員御指摘のとおり、企業誘致では、紀中、紀南が少し遅れているという、最初の御質問とも関係しますが、観光産業ということになりますと、これは逆に紀中、紀南のほうが潜在力、ポテンシャルは物すごく高いと考えております。一方で、既にインバウンドもかなり戻ってきておりますので、人手不足がむしろ問題になっておりますので、要するに上質な品質の高い観光サービスを提供するということで、収益性を高め、賃金を上げていく方向で努力していきたいと考えております。
○議長(濱口太史君) 玄素彰人君。
  〔玄素彰人君、登壇〕
○玄素彰人君 知事、答弁ありがとうございました。
 観光も一次産業に似ているところがあると思うんですね。地域の資源としては和歌山県、いいもの持ってるんですけども、それがやっぱり商売とか経済とか雇用のところに結びついてこないと、やっぱり業として長らく持続化可能にやれないというところがあるんだと思います。引き続き、そういったところにも着目をして、この観光における雇用創出に尽力されますことをお願い申し上げたいと思います。
 以上、これ、9点申し上げてきたんですけども、最後、これ以外に、今ロケットなんかの話もありますけども、そういったことを含めて、いや玄素君、こういうやり方で雇用も創出できるんじゃないかというものがありましたら、最後に、知事、お願いをいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○議長(濱口太史君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 和歌山というのは、とてもいい企業がたくさんあるんです。だけど、親御さんたちが子供を育てるときに、和歌山は働くところないさかい、しっかり勉強して都会へ出ていけと18年言い続けた結果、お子さんたちは出ていって帰ってこないケースがたくさんあります。そうじゃないんです。本当にすばらしい企業がたくさん和歌山にはありますので、また県としては、地元の企業にこんな就職先があるよと、しかも、さっきおっしゃったように、東京に比べたら家の値段は3分の1なんです。すごく環境がいいんです。ですから、できる限り、一遍出てもいいです、戻ってくることも含めて、和歌山の本当にすばらしい中堅中小の企業と和歌山の子供たちとマッチングするような努力を続けてまいりたいと考えております。
○議長(濱口太史君) 玄素彰人君。
  〔玄素彰人君、登壇〕
○玄素彰人君 知事、ありがとうございました。
 魅力をもっと発信していくんだというお話であったと思うんですけども、魅力を発信していくためには、その魅力というのを高めていかないと駄目だと、そういうことでいえば、私これ10点目の質問にしたらよかったかなというふうに思うんですけども、理科系の人材というのがやっぱり足りないんだというようなことが言われております。もうこれを教育のアクセスなんかでうまいことできないかとか、例えば御坊に高専があるので、その定員とか、新しい学校を増やせたらええかなとか、もっと小さい頃から、先ほども教育の話されてましたけども、マイスター制度みたいな、ドイツの制度みたいなので、将来もう早いこと就職するところ決めたほうがいいのかなというようなアクセスの仕方というのも、私、全国の中で和歌山県は一生懸命やってるんだというので、あってもいいのかなというようなことも思いました。
 いずれにしましても、知事、10問もすみませんでした。そのことに御礼申し上げると同時に、お付き合いいただきました皆様に感謝、御礼申し上げまして、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(濱口太史君) 以上で、玄素彰人君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 39番片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕(拍手)
○片桐章浩君 おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問を始めたいと思います。
 今朝、その前に新聞読んでましたら、コラム欄にクルーグマン博士のコラムがございまして、3か月に1回ぐらい不定期に出てるんですけども、これ、カナダの山火事のテーマがございました。カナダの山火事が果たして原因は何なのかという問題があって、もしかしたら温暖化なのか、あるいは恣意的なものか、陰謀論なのかと、こういう話があったんですけども、それがニューヨークのあの状況、マンハッタンの状況、煙った状況を皆さん御存じだと思うんですが、そこに来ているというこの危機を都会に住んでいる人は気がつかないと。今ここにある危機を、そのうち大丈夫だろうとか、あるいは人は最悪の事態は後送りにする、先送りにする、こういう傾向があると、こういう記事だったんですね。
 僕は、クルーグマン好きで30年ぐらい前からこの人の本は読んでるんですけども、当時日本がデフレに入るだろうという、こう予告をやってたんですけども、理論的には、デフレというのはあるんですが、世界でデフレが現れたことがない、デフレという怪物は現れないもんだというふうなことがあって、いや、日本はデフレだということを一番最初に言ったのが、僕の記憶ではクルーグマンだったんではないだろうかなあという気はするんですが、今、今日質問させていただく紀淡海峡ルートであるとか、高齢世帯の公共交通の問題も、今、問題になろうとしてるんですけど、気づかないので先送りする、こういうことだけは避けて議論をさせていただけたらありがたいかなと思いますので、どうかよろしくお願いしたいと思います。
 それからもう一点、今年は統一選がございまして、その中でいろんなところで議会報告をさせていただきました。議会に県政に関心を持った皆様方が今日議場にお越しいただきまして、本当にこういう機会に触れて来ていただいたことを感謝申し上げて一般質問をさせていただきたいと思います。
 まず、1点目が四国新幹線・紀淡海峡ルートの問題についてであります。
 近畿ブロック知事会、あるいは徳島県の記者会見で、新しく県知事になられた後藤田知事から四国新幹線岡山ルートの発言があり、非常に驚きました。これまで、和歌山県と徳島県の間で四国新幹線を含む紀淡海峡ルートを進めるために、国への要望、それから関係する府県との協議会で話合いとかシンポジウム、こういったものを続けてきたからです。
 さきの5月24日、令和6年度国の施策及び予算に関する和歌山県の重点要望の説明会がございまして、それまで継続して国に要望していた紀淡海峡ルートと四国新幹線に係る項目が消えていたので、そのとき企画部にも尋ねさせていただきました。
 令和5年度の重点要望まで、継続して国に要望していたこの関空・紀淡・四国高速交通インフラの早期実現の項目が消えておりますが、今回は部局要望として国に上げる予定、果たしてこの重点要望から外れることで、重みがなくなったんではないかというふうな話をさせていただきました。それまで、前和歌山県知事、前徳島県知事が熱心に国への要望活動やシンポジウムを行っていたので、外れていることは残念だなという話をしたところ、企画部からこういう話をいただきました。
 県の重点施策の要望から外れたとしても従来と変わるものではなく、国の整備新幹線計画に四国新幹線があるので、継続して要望していく、こういった趣旨のお答えをいただきました。四国新幹線は1973年11月15日、建設を開始すべき新幹線鉄道の路線を定める基本計画に盛り込まれている基本計画路線の一つです。この計画は、紀淡海峡ルートとも深く関係しており、和歌山県と徳島県を結ぶ高速道路とともに、この四国新幹線の開通を目指す、これで効果が出てくるものだと思います。
 和歌山県では、この構想を推進するために、平成になります、25年9月21日、関空・紀淡・四国高速交通インフラ期成協議会を結成しまして、事務局を我が和歌山県企画部の中に設置して、今日まで活動を続けているところであります。
 この協議会の目的、言うまでもなく、第二国土軸をはじめとする高速交通インフラ整備に関係する府県が協力しながら、ここでは関西、四国、九州の各府県が入っておりますが、積極的に交流をする、そして紀淡海峡ルート、四国新幹線の実現に向けて取り組むことを目指すもので、目指している項目としては次のようなことが記されております。
 西日本の大動脈の代替機能を有する四国新幹線の実現、それから、関西大環状道路、大阪湾環状道路を結ぶ紀淡海峡ルートの実現、こういったことが記されておりまして、構成府県は和歌山県のほか大阪、兵庫、奈良、そして徳島県が構成メンバーになっております。
 ところで、この四国新幹線というものには二つのルートの案がございます。この二つのルートとは、一つは、四国新幹線で淡路島から大鳴門橋を渡り、和歌山市に至る徳島ルート。これは関西空港から新大阪へと抜ける案であります。もう一つの四国横断新幹線は、岡山県から瀬戸大橋を渡る、これが岡山ルートと言われております。
 私も、飯泉前徳島県知事とは何度かこの件について県を訪れて話をさせていただいたことがありますが、非常に熱心にこの四国新幹線について話を語ってくれた、こういう印象があります。
 ところが、5月25日の近畿ブロック知事会議、僕は5月24日、企画部から説明を受けた翌日だったんですけども、後藤田新知事は、四国は一致して岡山ルート、徳島が賛同することによって四国はまとまりますので、ぜひお願いしたいと思います、このような発言がありました。
 これまで、香川県、愛媛県、そして高知県が岡山ルートを推進していたのに対して、徳島県は淡路島ルートを推進してきましたが、この発言は、前知事が推進していた淡路島ルートから岡山ルート推進に転換する方針を示したようにも映ります。
 ところで、和歌山県と徳島県の小松島港の間に南海フェリーが航路を持っておりますが、これは、明石海峡大橋の開通以前には関西と四国を結ぶ主要ルートであり、現在に至るまで四国と関西国際空港を結ぶルートとして重要視されてきました。
 徳島県が紀淡海峡ルートを重要視しているのは、陸路でも関西とつながりたい、こういう思いがあったからだと思います。徳島県内の報道紙によりますと、徳島県がこのルートにかける情熱は長く熱い。例えば、1985年(昭和60年)に開通した徳島県と淡路島を結ぶ大鳴門橋は、鉄道スペースが設けられている。1990年代には和歌山市の友ヶ島を経由して淡路島まで架橋する紀淡連絡道路が構想され、実現が間近であるとされた時期もあった、こういう記事もございました。
 今回の徳島県知事の発言の真意は分かりませんが、もし、徳島県が岡山ルートに向かおうとすれば、関空・紀淡・四国高速交通インフラ期成協議会の今後の活動が不安視されますし、協議会活動の熱量が低下するんじゃないか、あるいは紀淡海峡ルートの構想は限りなく岡山ルートの次に位置づけられ、実現は困難に向かうのではないかと思います。
 第二国土軸が我が国や和歌山県にもたらす重要性を考えると、和歌山県、そして関空・紀淡・四国高速交通インフラ期成協議会としての対応がぜひとも必要かと思います。
 そこで、岡山ルートの発言について質問をさせていただきます。
 さきに触れたように、令和6年度の国への重点要望では、この項目が外れております。5月24日、企画部に対して、この構想が外れていることについて尋ねたところ、これまではないと答えてくれたのですが、翌25日の近畿ブロック知事会議での徳島県の知事の発言は、岡山ルートというものでした。今回の徳島県知事の岡山ルート発言をどう捉えておりますか。知事の答弁をお願いいたします。
○議長(濱口太史君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 知事岸本周平君。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 片桐議員の御質問にお答えをさせていただきます。
 御指摘の後藤田徳島県知事の近畿ブロック知事会議での御発言につきましては、他府県の知事の発言でございますので、特に私のほうからコメントすることはございません。そういう立場ではございません。
 なお、徳島県さんは、現時点でも関空・紀淡・四国高速交通インフラ期成協議会の構成団体としてなおいらっしゃいます。
○議長(濱口太史君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 この問題については、早速和歌山市から県外に通学している大学生からも意見をたくさんいただいておりまして、少し紹介しながら質問を続けたいと思います。
 2011年、九州新幹線、開業したときの伝説のコマーシャル、これは印象に残っているとこの大学生がおっしゃってるんですね。そして、2015年、北陸新幹線金沢駅開業から石川県のイメージが飛躍的に向上した。これは、地域がわっと盛り上がる瞬間を目の当たりにするたびに、この盛り上がりを和歌山で体験してみたいと常に思っていたそうです。そして、大学で学んでいる中で、和歌山県は他県との周遊がしづらいことが観光する上で不利になっていると気づきました。つまり、和歌山県から四国に抜ける新幹線があれば、和歌山県を含む周遊ルートができるので、様々な効果が期待できるのではないかというものです。なので、ぜひ和歌山県を通る新幹線を整備してほしいと、こういう若い方からの意見です。
 紀淡海峡ルートは、高速と四国新幹線をセットにして実現を目指すものと認識していますが、紀淡海峡ルートの意義について、知事にお伺いしたいと思います。
○議長(濱口太史君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 紀淡海峡ルートにつきましては、先ほど来、片桐議員の御指摘のとおりでありまして、第二国土軸として国土の強靱化を図る上で必要不可欠なプロジェクトであると考えております。
 また、関西全体にとりましても、紀淡海峡ルートが仮に実現した場合には、関西国際空港と大阪都心が四国新幹線で結ばれます。関西大環状道路や大阪湾環状道路が形成されることになりますので、和歌山はもちろん、関西全体の発展に大きく寄与するものではないかと考えております。
○議長(濱口太史君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 徳島県知事が、これも他府県の知事のことなのでコメントは全然要らないんですけど、こんな気になる発言がありまして、やはり淡路ルートになると政府も国会議員もほとんど動きがない中で形だけが残っていた、こんな発言があったんですね。これは、今までの和歌山県、徳島県、そして、関空・紀淡・四国高速交通インフラ期成協議会の活動を御存じないのか、あるいは否定するものなのか、真意は分かりませんが、今後の要望活動に影響を与えないかと、こういったことも危惧しているところであります。今後の取組について知事の答弁をお願いしたいと思います。
○議長(濱口太史君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 今、御指摘をいただきました関空・紀淡・四国高速交通インフラ期成協議会でありますけれども、和歌山県が中心となって2013年に設立をいたしました。現在でも毎年、国への要望活動をみんなでやっておりますし、シンポジウムなども開催をし、機運醸成の取組は重ねてきております。
 紀淡海峡ルートの実現には、もちろん財源問題など課題は多いわけでありますけれども、引き続き国や関係団体への働きかけなど積極的に進めてまいりたいと考えております。
○議長(濱口太史君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 答弁をいただきました。
 この問題、四国の前知事の──前知事の話をしても今さら仕方ないんですが、訪れたときに、和歌山市を通過して関空へ行って堺市から新大阪へ行くという、こういう図面も見せていただいて、熱心に、これができると徳島と和歌山が結ばれるんだよ、昔の南海道、これが陸路になってよみがえる、どちらかというと全国からやや低く見られているかもしれない県なので、もう一度南海道、海路の時代を陸路でも発展しようという、こう熱く語っていただいた記憶がちょっと今よみがえってまいりまして、ぜひこういった、今まで携わってきた方の熱意というか火を消さないように、しっかりとその魂は受け継いでいただけたらありがたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 それから、第2問、公共交通についての質問に移らせていただきます。
 和歌山市につつじが丘という住宅地があるんですが、ここも市が販売を開始してから結構年月がたっておりまして、高齢世帯が増えているところであります。ここの方を尋ねたとき、こんな話がありました。
 この方は、令和3年の誕生日に75歳を迎えたので、運転免許証を実は返納したわけです。度々高齢者の運転交通事故が発生していることや、和歌山県からのアドバイス、高齢者の運転は危険だから返納することは望ましいよという、こういうアドバイスをいただきながら返納する気持ちになったということです。
 和歌山県の高齢者の運転免許証返納の取組が効果を見せているということでは好ましいことだと思いますが、この後、ちょっと触れさせていただきますけども、単に返納を促進するだけでは、施策としては足りないのかなと、こういうふうに思います。
 この方は、当初、車がなくても生活の不便さはないと思っていたのですが、返納してすぐに、まだ元気なので返納しなければよかったと後悔をした、このように素直に語ってくれました。それは、車がないと生活に、この場所なんですけども、生活に支障が出てくる。もっと返納についてしっかりと考えてから対応すればよかった、このように実は話してくれました。
 あるとき、あるときというかほぼ毎日のように、自宅から路線バスを利用してスーパー、大型のスーパーマーケットだと思うんですけども、買物に行ったときのことです。出かけるときはバスの発車時刻が分かるので、その時刻に合わせてバス停に行くので、不便さはさほど感じないのですが、問題は買物をした帰り道にありました。道路事情によってバスの出発時刻がずれることがあるため、出発時間よりも、かなり余裕を持ってバス停に行く必要があること、バスの運行本数は非常に少ないので、乗り遅れると相当な時間をバス停で待つことになること、さらに、買物の帰り道なのでたくさんの買物袋を持っていること、バス停にはいつも荷物の置場もありませんから、持ったままの状態でバス停で立つことになります。買物袋を持ちながらバスを待つことは、高齢者にとって相当つらい、このような状況であります。
 加えて、夏と冬の季節にバス停でバスを待つ時間の問題です。夏は暑くてしんどくてたまらないし、冬は寒くて寒くて待っていられない、このような話です。そしてまた雨の日は、買物袋を持ちながら、傘を差しながらバス停で待つことになりますから、これも高齢者にとってはとてもつらい、こういう話を聞かせていただきました。
 高齢者に運転免許証を返納するように指導するのであれば、公共交通機関、特に路線バスの運行を考えるべきではないだろうか。運転免許証を返納した高齢者の視点で路線バスの在り方を考えると、改善すべき課題があるように感じた次第です。
 ところで、和歌山市の路線バスは和歌山バス、これ民間事業者ですが、運行しているので、利用者数や採算性などを考えると、高齢者が求めるような路線バスの運行本数の増便、そしてバス待ち環境の改善に向けた投資は、極めて難しいんじゃないのかなあとは思われます。ただし、高齢社会における路線バスの運行やバス待ち環境の整備は、高齢者というよりも高齢社会の暮らしを維持する観点、あるいは障害を抱えながらお仕事をしている皆さんの観点から、行政の支援は必要だと思います。
 高齢者の方が運転免許証を返納することで外出機会が減少すれば、人との交流機会が減ることにもなりますから、県が推進している健康寿命にも影響があると思われますし、できるだけ人と会うこと、話をすること、外出機会を持つことが健康でいられ、高齢時代の生活を充実させることになるので、路線バスに係る整備は喫緊の課題だと考えます。
 ただ、この方は無理なことを言ってるわけでなくて、民間の投資に係る問題なので、交通政策として、和歌山市全体のバス運行の在り方を考えることになる。時間を要することは理解しているが、高齢世帯の生活のためにぜひお願いしますと、こういう意見をおっしゃっていただきました。
 翻ってみますと、これは、つつじが丘だけの問題ではなくて、路線バスの運行が網のように巡っている中心市街地以外の地域、その地域全体の問題であり、あるいは市全体の問題でもありますから、一部の地域の課題ではなく、県として公共交通の在り方を考えるべきだと思うんです。
 そこで質問です。
 和歌山市では、路線バス、公共交通が少ないので、高齢者が運転免許証を返納すれば、これまでの生活に支障が生じることになります。時間的制約を考えることなく外出していた、そういった生活がなくなるからです。そんな路線バス環境なので、対象者に運転免許証を返納してくださいと呼びかけるのと、路線バスなど公共交通の利便性向上をセットにして政策とすべきだと思います。そこで、路線バスの状況はどうなっているのでしょうか。利便性向上について県はどのように取り組んでいるのか、これは地域振興監に質問させていただきます。
○議長(濱口太史君) 地域振興監赤坂武彦君。
  〔赤坂武彦君、登壇〕
○地域振興監(赤坂武彦君) 路線バスは、現在、県内で11のバス事業者が187の系統を運行しており、高齢者や学生、運転免許をお持ちでない方などの貴重な移動手段として非常に重要な役割を担っていると認識しております。
 一方、人口減少や新型コロナウイルス感染症の影響により路線バスの利用者が大きく減少したことから、バス事業者の収益が悪化し、さらに運転手不足も相まって路線の維持が困難な状況となっております。
 県といたしましては、バス路線を維持するため、国や市町村と連携し、利便性の向上を図るためのキャッシュレスやバスロケーションシステムの導入を促進するとともに、効率的な運行を行うデマンド交通の導入などを支援しているところです。
○議長(濱口太史君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 お答えをいただきまして、ちょうどこのバスだけではなく運送事業者全体の問題としても2024年問題というのがありまして、結局、採算だけじゃなくて労働者雇用の問題とか就労の問題で、結構、路線維持であるとか運送というのは非常に影響が24年からあるということで今備えている。そういった中で路線バスをさらに維持しなきゃいけないということもありますので、この問題の難しさは分かるわけですけども、今やっていただいてる市町に向けた施策、特にデマンド交通なんかは効果的だと思いますので、しっかりと24年までという期限を持ったぐらいの覚悟で取り組んでいただけたらと思います。
 そして、二つ目の問題です。バス停の待合環境問題についてです。和歌山市内の路線バスのバス停は、停留所の表示があるだけのところが多く、和歌山市役所前であるとか、県庁前であるとか以外では、屋根あるいは風よけ及びベンチ、待合用の椅子、こういったものがない停留所が大半だと思います。
 また、せっかく路線バス情報を見える化しているバスロケーションシステムを導入していますが、利用者が知らないケースもあるので、周知することも必要だと思います。
 路線バスが市民の皆さんにとって持続可能な交通機関であり続けるためには、高齢者をはじめとする多くの人にとって利用しやすい路線バスの利用環境を整備することが重要だと思います。このバスを待つための環境、いわゆるバス待ち環境の整備は、高齢社会に必要なものだと思います。バス停の待合環境整備について、これも地域振興監に質問をさせていただきます。
○議長(濱口太史君) 地域振興監。
  〔赤坂武彦君、登壇〕
○地域振興監(赤坂武彦君) 議員御指摘のバス停の待合環境については、路線バスの利便性向上のために大変重要であると認識しており、県が昨年末に実施した県民アンケートにおいても、バス停の風よけやベンチの設置を求める声が多く寄せられているところです。特に鉄道や他のバス路線との結節点など、ニーズの高いバス停の環境整備を進めることが重要であることから、バス事業者や市町村に対して、国庫補助金の活用なども含め、積極的に働きかけてまいります。
○議長(濱口太史君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 お答えをいただきまして、今までこの公共交通の問題をというと、ほとんどが市町の問題だから県はアドバイスするだけだとか、上がってきたら予算をつけるだけだという答えが多いんですが、赤坂地域振興監が今回就任していただいたことで、飛躍的に効果が出るものと期待しておりますので、ぜひ、24年問題と相まみえて、期限を区切って対応していただきたい、このように思うところであります。
 それで三つ目、コミュニティーバスの運行の問題です。
 路線バスがそもそも運行していない地域というのがありまして、ここでは、コミュニティーバスの運行というのも試験的に実施していると思います。これは、コミュニティーバスなので乗車時は指定の場所からでよいと思いますが、買物などに出かけたときは、帰り道は買物袋など大きな荷物を持っているので、自宅付近などで、希望する場所で止まってくれるということも望ましいかと思います。県内のコミュニティーバスの状況、高齢社会に対応したコミュニティーバスの運行について、この点も地域振興監にお尋ねしたいと思います。
○議長(濱口太史君) 地域振興監。
  〔赤坂武彦君、登壇〕
○地域振興監(赤坂武彦君) コミュニティーバスは、県内22市町村で198の系統が運行されており、県民の買物や通院などの重要な生活交通であるとともに、高齢者の外出機会の創出など、地域住民にとって貴重な移動手段であると認識しております。
 コミュニティーバスの運行に当たっては、事業者や利用者、学識経験者、国、県などの関係者が参加する各市町村の地域公共交通会議において、運行ルートやダイヤなどを決定することとされており、県といたしましても、デマンド交通の導入をはじめ、地域のニーズを踏まえた運行に向けて積極的に助言を行っているところです。
 さらに県では、地域交通の専門家派遣や、実証運行に要する経費の一部補助などの支援も行っており、今後とも地域に適した交通の確保に取り組んでまいります。
○議長(濱口太史君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 ぜひお願いしたいと思います。今、話を聞き、答弁聞きながら思い出したんですけど、以前、和歌山市で路面電車を復活させようという、たしかプロジェクトがありまして、県でも協議会があったような気がします。そのときの座長が僕もよく知っているムラハシ教授先生だったんですけども、来ていただいて座長を務めていただいたので情報を共有してたんですが、結局うまくいかなかったんですね。これ、うまくいかなかった原因って幾つもあるんですけども、ぜひ県と市町のコミュニケーションをしっかり取って、この問題、対応いただけたらと思います。
 次の項目に移ります。
 大阪・関西万博の和歌山ゾーンの問題です。
 和歌山県として関西広域連合が設置する関西パビリオン、このブースに和歌山ゾーンを出展することになりました。和歌山ゾーンのテーマは「和歌山百景-霊性の大地-」で、神話の時代から神々が鎮まる特別な場所に根づいた、宗教や身分などの違いにかかわらず全てを受け入れて融合、共存させる精神文化の日本を持続可能な世界のモデルとして、全国あるいは海外に発信する、こんなコンセプトがあると聞いております。
 この和歌山ゾーンに関して、知事の発言です。現時点で和歌山県の展示には誰も期待していない。だからこそ、むちゃくちゃチャレンジして、一発大逆転ですばらしいものをつくると担当職員にハッパをかけたところだ。その上で、古事記、日本書紀の時代から育まれてきた和歌山のサステーナビリティーを売りにしたい。このような意気込みを語ったと聞いております。記紀にも登場する和歌山県が持つ歴史の偉大さを訴えるもので、すばらしいコメントだと思います。期待が高まります。
 これまでも一般質問の中で繰り返し和歌山県の歴史と偉人に誇りを持つことを訴え、和歌山県の歴史や偉人に係る企画展とか、そういったものを開催してくれた経緯があります。知事がこのような意識をお持ちであれば、これまで、ふるさとの歴史と偉人達に誇りを持つことの提言、和歌山の和歌とは美しい和の心、これを理解していただけるものと拝察いたします。
 そして、現時点で誰も和歌山県に期待していない、このコメントはもしかしたら、これは僕の勝手な想像ですけども、和歌山ゾーンだけの話ではなくて、和歌山県の置かれた状況、現在の経済状況であるとか産業、取組について、全国からそれほど期待されないんだからもっとやらなきゃいけないんだろうなと、こういう意味ではないかなというふうにも推察しているところです。
 底からはい上がることへのハッパをかけた分だと思いますし、はい上がれるだけの潜在能力があることに期待しての発言だと思います。ただし、潜在能力なので、そのうち、そのうちと思っているなら、その潜在能力は発揮しないままでいる可能性、危険性もあります。
 古事記、日本書紀の時代から育まれてきた和歌山のサステーナビリティーを売り物にしたいとは、和歌山県が全国に誇る固有の価値を理解して発信しているもので、この点も、これまで取り組んできた和歌山県の文化、歴史を大切にする、精神文化を大切にする価値と合致していると思います。
 勝負どころになるのは、これから和歌山県が浮上するために、各分野においてどのように具体化していくかです。全国から和歌山県が期待されていないのであれば、いかに驚かせるかが勝負です。大いに期待できる知事の発言を聞いて、和歌山県が力を発揮する時期は、この大阪・関西万博からではないかというふうにさえ思うぐらいです。
 そこで、大阪・関西万博の和歌山ゾーンについての質問に入ります。
 記紀の時代から育まれてきた和歌山県のサステーナビリティーを売り物にする和歌山ゾーンへの着想は大いに歓迎するものです。和歌山県の和歌、先ほど言いましたが、美しい和の心、つまりは和魂を表すものだと解釈しますが、和歌山ゾーンの考え方、来場者に訴える価値、ここで表現する記紀から伝えられてきた和歌山県の姿とはどのようなものを予定しているのでしょうか、知事の答弁をお願いします。
○議長(濱口太史君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
 大阪・関西万博では、関西パビリオンの中の和歌山ゾーンにおきまして「和歌山百景-霊性の大地-」というテーマで、「“上質”のつまった和歌山」というコンセプトをつくりました。和歌山に根づく精神文化から育まれました自然、人、産業、食、文化など多様な魅力をこのゾーンで大いに表現をしてまいりたいと考えております。
 今、議員御指摘のとおり、県内には、神話の時代から現在に至る歴史物語ゆかりの地がたくさんあります。本県は、日本の精神文化に大きな影響を与えた地域であると自負しております。それを万博で表現して、地域で育んでまいりました多様な価値観をお互いに尊重し合える寛容の精神、それを持続可能な世界をモデルとして国内外に発信をしてまいりたいと考えております。
 そのために、この和歌山の多様な魅力を皆さんに体験してもらうために、映像のトーテムポールの真ん中に中央ステージがありますので、和歌山の今を生きる皆さんに焦点を当てて発信をしていくということも考えておりますし、飲食可能なカウンターバーも設けまして、和歌山の上質な食の魅力を楽しんでもらいたいと考えております。
 その上で、この万博を県内の企業や学校をはじめ、県民参加型のプロモーションの場としたいと思っております。それに参加することで県民の皆様に地域の誇りを取り戻していただいて、国内外との双方向での交流拡大につなげられるよう、オール和歌山で挑戦してまいりたいと考えております。
○議長(濱口太史君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 それでは、4問目に入らせていただきたいと思います。
 令和5年5月、先月です、太田城史跡顕彰保存会が主催する太田城水攻め438年祭に参加してきました。コロナ禍の影響で実に4年ぶりの開催となったもので、太田城水攻め跡の小山塚、ここで、当時の太田城主である太田左近の法要が執り行われました。
 本来であれば、コロナ禍以前は、子供みこしとかそういったものがあり、近くの公園でもう少し祭り気分があったんですが、今回は法要ということで再開をされました。
 この太田城の水攻めについてですが、これは1585年、羽柴秀吉の水攻めによって滅ぼされた当時の太田城主が太田左近でした。この水攻めで秀吉軍は、高さ4メートルから6メートル、総延長約7キロに及ぶ堤防を築造したと伝えられており、秀吉の三大水攻めの一つがこの太田城であったとされております。
 地元の皆さんが太田左近をお祭りし、昭和44年から継続して毎年法要を執り行ってまいりました。地元からは以前より、地域の歴史と文化を守るため太田城水攻め堤跡を保存してほしい、こんな要望があり、これまで県議会、教育委員会で、堤跡とか来迎寺、そして見学、地元の皆さんと懇談を行ってきた、こういう経緯があります。
 そして、今年4月21日、県教育委員会では太田城水攻め堤跡を和歌山県指定文化財に新規指定をしていただきました。この太田城水攻め堤跡は私有地ですが、地元の理解をいただき、指定をいただいたものであります。これまでの取組が実ったうれしい指定であり、地元としては、県と和歌山市との連携により、維持、管理、活用に向けた取組を目指していくことになります。
 これまで多くの方が太田城水攻め堤跡を和歌山県として維持管理して後世に伝えてほしいと願ってまいりました。太田城に係る水攻めに関わるたくさんの冊子の発行であるとか説明会を行ってきたわけですが、この中には既に故人となられた方もいますが、この報を聞いて喜んでくれていると思います。
 この地に太田城があったことや、秀吉による水攻めの歴史などを語り継いでいる太田城史跡顕彰保存会、そして、地元の連合自治会の方々は、「太田城の水攻めの歴史は、地元で継続して語ってきましたが、ようやく県指定文化財として認められたことは喜ばしい限りです。秀吉の三大水攻めの一つとして、太田の歴史、太田の文化、太田の宝を後世に伝え残していくのが私たちの使命と考えているので、これからの活動にも力が入ります」、このようなコメントもいただいております。
 この太田城のことは、平成28年6月議会でも実は一般質問しておりまして、そのときの教育長からは、太田・黒田遺跡周辺は、昭和43年以来、80件近い発掘調査が実施され、考古学的データが蓄積されています。その調査結果において9地点で太田城に関わる堀が確認していることから学術的価値が高い、このような答弁をいただいております。
 そんな経緯もあって今回、太田城水攻め堤跡が和歌山県指定文化財に新規指定されましたが、この指定の理由、そして地元と連携した今後の保存、活用の方法について、教育長にお尋ねしたいと思います。
○議長(濱口太史君) 教育長宮﨑 泉君。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 太田城水攻めは、羽柴秀吉の天下統一に向けた日本三大水攻めの一つとして知られる戦いです。今回、県史跡に指定した堤跡は、水攻めで雑賀衆による自治が終わり、豊臣、徳川の治世の下、和歌山城とその城下町の建設が始まった、和歌山における歴史の転換点となる出来事であった重要な場所であります。
 議員御指摘のとおり、これまでも長年にわたり、太田城史跡顕彰保存会が地域内での勉強会や語り部ウオークなどを実施し、保存、活用に尽力されてきたところです。今後は、和歌山市が主体となって堤跡を適切に管理していくとともに、堤跡周辺の案内板の整備等を進めることにより、さらなる活用促進が期待されます。
 県としましても、昨年度、紀伊風土記の丘の特別展において太田城水攻めをテーマにしたシンポジウムを開催し、好評を博したところです。今後も、歴史的価値の高いこの遺構をより多くの人に知っていただき、未来に継承していけるよう、和歌山市と連携して取り組んでまいります。
○議長(濱口太史君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 教育長、答弁いただきまして、今、答弁にありましたように、当時紀州ですね、紀伊国はなぜか有力な大名がいなくて、もっと言えば先進的だったかもしれません、共和制というか地方自治というか、そういうものが確立して合議制で国の運営を決めていたと、そんな時代だったというふうに、今回、いろいろ研究者とお話をしてお聞きしたんですけども、戦国時代において既に共和制というか住民自治が確立していた紀伊国、この和歌山は本当に先進的なすばらしい県だったんだなというふうに思いますし、そういった歴史も県指定文化財とともに語り継いでいただけたらありがたいかと思いますので、期待しておきたいと思います。
 今回、多くの方に議会傍聴いただきました。少しでも県政に関心を持っていただけるようにということで、岡山ルートの発言での紀淡ルートであるとか、たくさんの意見を聞いての公共交通、路線バスの在り方、そして、太田城の水攻め堤跡の問題等々を取上げさせていただきました。
 これを契機として、県勢がさらに岸本知事の旗振りの下、発展することを期待いたしまして、一般質問とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(濱口太史君) 以上で、片桐章浩君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時44分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○副議長(中本浩精君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 30番岩井弘次君。
  〔岩井弘次君、登壇〕(拍手)
○岩井弘次君 それでは、議長のお許しをいただきましたので、順次、通告に従い、一般質問をさせていただきます。
 まず冒頭に、この6月2日中心に、台風2号によりまして、もう県内において甚大な被害を及ぼしました。亡くなられた方、また、行方不明の方の早期発見を願いますとともに、亡くなられた方へ心よりお悔やみ申し上げますとともに、被災された皆様方に心よりお見舞い申し上げます。
 私も、発災後、現地、知り合いのお宅に伺いました。1階、ほぼ天井近くまで浸水をされておりまして、まだ建って新しいおうちでございましたけど、想像するに、日頃楽しく語らっていたリビングが濁流にのまれる状況を幼い子供と一緒に2階へ上がる階段から見ておられた、そういった話を聞いたときに、本当に心を痛めました。早く日常が取り戻せますように、心よりお祈り申し上げます。
 まず、不登校対策について質問させていただきます。
 昨年10月、文部科学省より、令和3年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果及び全国と和歌山県の比較結果が公表されました。その中で、不登校に関して、和歌山県における1000人当たりの不登校児童生徒数は、令和元年から令和3年までの3年間の推移を見ますと、小学校で6.5人、8.2人、13.5人、中学校では35.9人、38.8人、44.7人と増加しており、高等学校では17.8人、19.5人、24.1人と急増しております。非常に憂うる傾向となっております。
 また、調査では、令和3年度の不登校の小中高生は全国で約30万人、過去最多となり、特に小中学生は約24万5000人に上り、このうち約4万6000人は、学校内外での相談支援などを受けられておらず、不登校が長期化しています。
 子供が不登校になる理由は様々で、特定は難しいとされますが、近年の増加の背景について、コロナ禍での生活環境の変化や学校生活の制限が交友関係などに影響したことで、登校意識が湧きにくくなったことも考えられます。
 こういった事態を受け、文部科学省において、本年3月末、不登校の総合対策、COCOLOプランが策定されました。誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策として、学びにアクセスできない子供たちをゼロにすることを目指し、不登校の児童生徒全ての学びの場の確保、そして、心のSOSを見逃さず、チーム学校で支援、学校の雰囲気を見える化し、安心して学べる場所にするの三つの柱を掲げています。
 具体策として、指導内容や授業時間を柔軟に決められる不登校特例校を現在の24校から全国300校への拡大や、教室に通いづらい子の居場所を校内に設けるスペシャルサポートルームの設置、学校外にある不登校の公的支援施設、教育支援センターの機能強化などを促進するとなっています。
 これまで、学校や教育委員会においては、魅力ある学校づくりのための努力が重ねられてこられていると思います。一方で、不登校の児童生徒数の増加については、子供たちの実態と学校との間に合っていない部分が存在するのかもしれないとの指摘もあります。
 教育の在り方として、子供たちの学びの主体性を育むためのためにも、選択できる、強みを伸ばすといったことが重要とも考えられ、例えば、午前中は集団学習をし、午後は自己設定した探求テーマなどに沿った個別学習や、スポーツや文化、企業実習等を通して個々の強みを伸ばしていく、そうした子供たちが自ら学びを組み立てるという仕組みを検討することなどにより、自己肯定感の向上を得られるよう工夫をする。自己肯定感は学びの大前提であり、不登校とも大きく関わっていると考えられています。自己肯定感の向上のためにも、子供たちが学びを選択でき、興味あることや好きなことを通じて学びを深め、広げていくことができるような教育の実現が望まれます。
 COCOLOプランが取りまとめられ、一人一人に光を当てた教育、誰一人置き去りにされない教育を推進するため、不登校児童生徒が学びたいと思ったときに学べる環境の整備について、学校に行きづらい児童生徒のために、通常の学校より授業時間数が少ないなど、柔軟に学べる不登校特例校や、学校には行けるけれど、自分の教室には入れないときや、少し気持ちを落ち着かせてリラックスしたいときに利用できる学校内の空き教室等を活用したスペシャルサポートルーム等の設置、そして、夜間中学について、令和2年度国勢調査で、和歌山県における未就学者及び最終卒業学校が小学校の方の数は、未就学者が549人、最終卒業学校が小学校の人は8737人となっており、人口に占める割合は、それぞれ0.07%、1.1%となっています。特に、最終卒業学校が小学校の比率は全国比率の0.7%を上回っております。
 不登校など、様々な事情により、義務教育を修了しない状態のまま学齢期を経過された国内外の方々の教育を受ける機会を実質的に保障するための重要な役割を果たす夜間中学について、また、それぞれの現状と今後の取組について、教育長にお伺いいたします。
○副議長(中本浩精君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 教育長宮﨑 泉君。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 不登校対策の現状と今後の取組についてお答えをいたします。
 全ての児童生徒が一人一人に応じた最適な学びの場を確保することは大切であると考えています。
 登校はできるものの、教室には入ることができない児童生徒には、校内に別室等を設け、不登校児童生徒支援員が学習支援や相談支援などを行い、個々の不安な気持ちを取り除き、教室に入れるよう支援をしています。
 また、学校に登校することが困難な児童生徒には、市町村が教育支援センターを設け、指導員を常駐させ、学習支援や相談支援により登校につなげられるよう取組を行っています。現在、19の市町が設置しているところですが、今後も未設置の町村に設置を働きかけていきたいと考えております。
 一方で、閉じ籠もりがちな児童生徒もおり、教育支援センターを十分に活用できていない課題もあります。自宅に籠もりがちな児童生徒には、訪問支援員がその家庭を定期的に訪問し、学習支援や心のケア等の支援を行っています。
 さらに、不登校児童生徒の学びに特化した学校として、不登校特例校についての研究も行ってまいります。
 続いて、改めて中学校で学び直すことを希望する方に、就学の機会の保障として夜間中学がございます。県としましては、各市町村に対し、その設置の必要性を働きかけているところです。
 本年5月に、複数の市教育委員会と共に他県の夜間中学を視察しました。今後も引き続き、設置に向け進めてまいります。
○副議長(中本浩精君) 岩井弘次君。
  〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 御答弁ありがとうございました。それぞれ、どうかよろしくお願いいたします。
 COCOLOプランの取りまとめ、その中心者である永岡文部科学大臣は、そのメッセージにおいて、不登校児童生徒の急増に関し、様々な要因があるものの、より根底には、子供たち一人一人の人格の完成や社会的自立を目指すための学校や学びの在り方が問われていると考えておられること、そして、不登校により学びにアクセスできていない子供をゼロにすることを目指し、徹底的に寄り添うとの強い決意を述べられております。
 また、永岡大臣は、そのためにも、行政だけでなく、学校、地域社会、各御家庭、NPO、フリースクール関係者等が相互に理解や連携をしながら、子供たちのための取組の必要性、そして一人一人に応じた多様な支援を行い、不登校になっても学びを継続し、社会で活躍できるよう、自身が先頭に立ち、子供の学びに携わる全ての関係者と共に取り組む決意を述べられています。どうかチーム学校、チーム社会全体として、より効果的な取組となりますよう、よろしくお願いいたします。
 夜間中学に関して、各市町村にその設置の必要性を働きかけられており、また、設置に向けた他県の夜間中学を視察されているとの御答弁でした。
 文部科学省の夜間中学設置応援資料「夜中を全国に!プロジェクト」によりますと、令和4年4月時点での全国における夜間中学の設置・検討状況は、設置数が15都道府県、40校となっています。その後、令和5年度には静岡県や仙台市などで4校、令和6年度には泉佐野市、徳島市において設置予定であり、その他、鳥取県や長崎県などの県や市において8校が検討中とのことであります。各都道府県、指定都市に少なくとも1校の設置が推奨されています。市域や圏域を超えた調整も可能です。どうか早期に協議会等を設け、域内を総合的にコーディネートされることを期待しております。
 今後、国からの制度的、財政的な措置も期待されます。教職員はじめ現場の大変さは計り知れないものがあるかと思いますが、どうか子供たちの小さなSOSに早期に気づくことが重要と考えます。その早期発見、早期支援のための取組について、教育長にお伺いいたします。
○副議長(中本浩精君) 教育長。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 不登校対策の早期発見、早期支援についてお答えをいたします。
 不登校を生まないためには、学校への魅力や安心を実感することが大切です。楽しい授業づくりや学級づくりなどの日々の取組を豊かにし、不登校が起こりにくい教室環境となるよう取り組んでまいります。
 不登校傾向の早期発見については、「不登校対策基本マニュアル」や、欠席しがちな児童生徒の情報を集約した個人シート等を活用することが有効であります。教職員が児童生徒のささいな変化を見逃さないことや、家庭と連携を深めることを通して、不登校の兆しを早期に把握しています。
 また、不登校児童生徒の学校での早期支援については、ケース会議等において適切なアセスメントを行い、登校しづらい要因を取り除くとともに、深刻化しないよう、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等の専門職と協力し、関係機関と連携しながら進めています。
 さらに、誰一人学びから取り残さないという教員の意識の下、マニュアルに沿った組織的な対応がより確実に行われるよう、管理職のリーダーシップを高める研修を昨年度から充実をさせています。
 今後も、全ての児童生徒に学びの場を確保するよう、一人一人の状況に応じた支援を行ってまいります。
○副議長(中本浩精君) 岩井弘次君。
  〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 ありがとうございました。
 不登校の原因を探ることも大切ですが、子供の今のままを認めること、だからこそ子供に合わせた柔軟な学び方や学びの場を用意することが大切ではないかと考えます。
 また一方、不登校の子供を育てる保護者への支援も重要です。我が子が不登校になった責任を感じ、誰にも相談できずに自分を責めて、孤立してしまうことのないよう、情報を共有すること、そして、同じ思いで悩んでおられる保護者同士の話し合える場を提供し、そこにスクールソーシャルワーカーなど専門家にも入っていただくなどをして、共にその解決に向けた取組も重要ではないかと考えますので、併せてどうかよろしくお願いいたします。
 次に、降雪時における休校などの判断と周知方法について伺います。
 本日6月21日は夏至でございまして、これから夏に向かおうというときに、この雪の話をするのもどうかと思ったんですけども、本年1月24日から25日にかけまして、和歌山でもかなりの雪が降ったこと、皆さんも記憶に新しいのではないかと思います。
 和歌山地方気象台の気象概況によりますと、1月24日から25日にかけて、この冬一番の寒気が流れ込んだため、強い寒気の影響で、和歌山県では広範囲で降雪となりました。和歌山でも5年ぶりの積雪となり、24日は降雪の深さの日合計が5センチを観測し、大雪となりました。
 また、24日は風が強く吹いた地点があり、川辺と南紀白浜では1月の最大風速と最大瞬間風速1位の値を記録更新し、かつらぎでも最大瞬間風速1位の値を更新したそうです。大雪と強風のため、路面凍結や積雪による通行止めとなり、特に25日は出勤や通学が困難となった地域が多く、そもそも雪に慣れていない私たちの市民生活に大きな影響を与えました。
 台風などの場合、天気予報により、前もってある程度の予測をし、休校、自宅待機などの判断ができますが、雪については、警報などが発令されていなくても、路面凍結や少しの積雪でも通学における転倒などの危険があります。
 25日の積雪の日、警報が出ているわけでもなく、学校から休校などの連絡もなかったので、気をつけながら学校に行くと、休校になっていて帰ってきたという話を何人か保護者の方からお伺いいたしました。メール連絡を見逃したことも考えられますが、来ていなかったとのこと。
 そこで、お伺いします。
 基本、天候の非常変災の場合、各学校での判断で休校などを決めておられると思います。そして、何より安全が最優先であることから、そのことが全児童生徒に周知されるべきと思いますが、その判断と周知方法について、教育長にお伺いいたします。
○副議長(中本浩精君) 教育長。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 降雪時における休校などの判断と周知方法についてお答えします。
 降雪時など、非常変災その他急迫の事情があるときは、学校教育法施行規則第63条に基づき、「校長は、臨時に授業を行わないことができる。」とされています。その場合、各学校においては、臨時休業等の確実な連絡体制や災害に対する備え、地域の実情に応じた臨機応変な対応が必要となります。また、臨時休業及び自宅待機などの保護者等への連絡は、一斉メールなどの仕組みを活用しています。
 県教育委員会では、各学校の災害への備えや臨機応変な対応の一助となるよう、あらかじめ非常変災等が想定される場合、気象台等と連携を図り、気象情報や公共交通の運行状況の見通しを事前に学校に提供しています。
 今後、非常変災等が多くなることが心配される中、保護者との連絡等、各学校が状況に応じた柔軟な対応力を高めるとともに、児童生徒自らが命を守る主体者としての自覚を持たせるような防災教育の充実を図ってまいります。
○副議長(中本浩精君) 岩井弘次君。
  〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 御答弁ありがとうございました。
 積雪時の登校の判断は、坂道があるなどによっても変わってくるかと思います。各自の安全最優先を判断した行動が第一と思いますが、周知に違いがあることのなきように、また、その判断のタイミングを誤ることのないようにお願いをし、次の項目に移ります。
 日本遺産について質問させていただきます。
 これまで、文化財保護法に基づき、国宝、重要文化財、史跡名勝天然記念物など、文化財の分類ごとに指定され、一定の規定の下、点として保存、活用を図ることを中心として展開されてきました。
 我が国の文化財や伝統文化を通じた地域の活性化を図るためには、その歴史的経緯や地域の風土に根差した世代を超えて受け継がれている伝承、風習などを踏まえたストーリーの下に、有形、無形の文化財をパッケージ化し、これらの活用を図る中で、情報発信や人材育成、伝承、環境整備などの取組を効果的に進めていくことが必要であるとの考え方から、平成27年に日本遺産事業が創設されました。
 文化庁において、地域の歴史的魅力や特色を通じて、我が国の文化、伝統を語るストーリーを日本遺産として認定し、ストーリーを語る上で不可欠な魅力ある有形、無形の様々な文化財群を総合的に活用する取組を、その情報発信や普及啓発、公開活動などのための整備において支援するものとしています。
 認定による効果として、日本遺産に認定されますと、当該地域の認知度が高まるとともに、今後、日本遺産を通じた様々な取組を行うことにより、地域住民のアイデンティティーの再確認や地域のブランド化等にも貢献し、ひいては地方創生に大いに資するものとなると考えられ、認定されています。
 また、世界遺産登録や文化財指定は、いずれも登録・指定される文化財、文化遺産の価値づけを行い、保護を担保することを目的とするものですが、日本遺産は、既存の文化財の価値づけや保全のための新たな規制を図ることを目的としたものではなく、地域に点在する遺産を面として活用し発信することで、地域活性化を図ることを目的としている点に違いがあります。
 本県においては、平成28年4月25日、「鯨とともに生きる」が県内で最初の日本遺産に認定され、その後、「絶景の宝庫 和歌の浦」、「『最初の一滴』醤油醸造の発祥の地 紀州湯浅」、「『百世の安堵』~津波と復興の記憶が生きる広川の防災遺産~」、「1300年つづく日本の終活の旅~西国三十三所観音巡礼~」、「女性とともに今に息づく女人高野~時を超え、時に合わせて見守り続ける癒しの聖地~」、そして、「『葛城修験』─里人とともに守り伝える修験道はじまりの地─」など、七つが認定されています。
 文化庁は、日本遺産認定により知名度が向上し、実際に観光客が増えた地域もあるが、伸び悩み、取り残されている認定地も出てきていること、また、認定地の中には、観光化をより推進するために、遺産認定が意味する本質とは異なる取組を行う傾向も一部に見られることから、日本遺産フォローアップ委員会を設置し、認定後の状況を精査検証し、場合によっては認定解除という厳しい対応も視野に入れた検討を行うとお聞きしております。
 現在、和歌の浦と紀州湯浅の2か所が総括評価、継続審査対象となり、7月には結果が出ると伺っております。その保存、整備を図り、観光資源として積極的に国内外に発信し、活用の努力をなされていると思いますが、県として、その地域や関係団体とも連携を取る中でお支えいただき、より高みを目指せるようにと願うものですが、本県の日本遺産の現状と県の支援について、商工観光労働部長、お答えください。
○副議長(中本浩精君) 商工観光労働部長三龍正人君。
  〔三龍正人君、登壇〕
○商工観光労働部長(三龍正人君) 日本遺産は、認定6年経過後に継続認定の審査を受けることになっており、昨年度は、「鯨とともに生きる」が継続認定となりました。
 また、議員御指摘のとおり、今年度は、「絶景の宝庫 和歌の浦」と「『最初の一滴』醤油醸造の発祥の地 紀州湯浅」の2件が継続認定の審査対象となっており、既に審査を終え、評価結果を待っているところです。
 継続認定されるためのポイントとしては、地域活性化計画に定めた情報発信や受入れ体制整備等の取組が総合的に実施されていると評価される必要があります。
 これまで、県が事務局を務める三つの日本遺産については、構成文化財や周辺のグルメ、土産品等を紹介するパンフレットやホームページ等で情報発信を行うとともに、案内板、誘導板の設置や日本遺産ガイドの養成などを進め、観光資源としての磨き上げを行ってまいりました。
 また、市町村等が運営を行っている四つの日本遺産については、パンフレット等に掲載し、情報発信に努めるほか、周辺の観光資源と組み合せたモデルコースを作成し、旅行会社に対し旅行商品の造成につながるよう案内してきました。
 継続審査を契機に、今後もより多くの地域の住民、団体と共に、個々の資産のさらなる魅力向上につながるよう、支援に努めてまいります。
○副議長(中本浩精君) 岩井弘次君。
  〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 御答弁ありがとうございました。
 継続審査、あると思いますが、この機会をぜひとも高みを目指す──磨き上げるという日本語で言っていただいたんで、よかったですけど──ブラッシュアップする一つの機会とできるように、負担とならないように、現場の負担とならないように、また県もしっかり寄り添っていただきたい、このように思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
 次に、4項目めの質問ですが、県営住宅のバリアフリーについて伺います。
 障害や高齢化によって、何かしらの身体的な不自由があっても快適に暮らすことができる住宅は、家庭内の誰にとっても安心して暮らすことができる住宅と言えます。高齢者や障害者だけではなく、妊娠中の方や小さな子供といった様々な人にとっての障害を取り除き、それぞれが生活しやすい設備や機能、システムなどを備えられていることが望まれます。
 県営住宅において、入居者や入居しようと検討されている方々からよく聞きましたのが、特に浴室におけるバリアフリー、人に対する優しさに欠けていることが多いとの声です。お風呂場の浴槽に入るために大きな段差を越える必要があることは、必要な動作や身体的な負担が少なくなるため、負担が大きいため、障害のある方だけではなく、高齢者含め、安心・安全に入浴ができます。
 県営住宅における浴室等も含めたバリアフリーについて、これまでの取組と障害者向け住宅の現状、そして今後について、県土整備部長にお伺いします。
○副議長(中本浩精君) 県土整備部長福本仁志君。
  〔福本仁志君、登壇〕
○県土整備部長(福本仁志君) 県では、令和4年度末現在、67団地、219棟、5115戸の県営住宅を管理しています。
 県営住宅のバリアフリー対策としては、平成4年度以降に建設した全ての住戸において、浴室、便所等への手すりの設置、住戸内の床段差解消及びまたぎ高さを抑えた浴槽の設置などを行っています。
 また、共用部分の対策としては、全ての階段に手すりを設置するとともに、平成12年度以降に建設した3階建て以上の全ての住棟にエレベーターを設置しています。
 現在、これらの対策がなされた住宅は、全体の約30%となっています。
 また、障害者向け住宅は、主要な団地の1階部分に整備してきており、車椅子使用者用住宅21戸、聴覚障害者用住宅10戸及び視覚障害者用住宅11戸の合計42戸となっています。
 今後とも、障害者や高齢者の方を含め、全ての方に安心して御利用いただけるよう、バリアフリー化を推進してまいります。
○副議長(中本浩精君) 岩井弘次君。
  〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 ありがとうございます。
 県営住宅のバリアフリーについて伺いましたが、下肢に障害のある方が県営住宅に入居しようとしましたが、特に浴槽について、その高さや使い勝手の悪さといいますか、怖さのため入居を諦めたと伺いました。障害者、特に下肢に障害を持たれた方にとって、個人差はありますが、標準的にバスタブの高さは40センチまで、また、手すりや一度腰かけられるスペースがあればより安全など、配慮が必要です。
 入居されている方が障害者にかかわらず、高齢化などによる生活環境の変化も考えられます。そういった方がバリアフリーなどの対策を望む場合、個別の相談にどのように対応いただけるのか、再度、県土整備部長にお伺いいたします。
○副議長(中本浩精君) 県土整備部長。
  〔福本仁志君、登壇〕
○県土整備部長(福本仁志君) 御質問の浴室等に係る個別の御相談につきましては、浴室の構造等から、県が個々の事情に対応して改修することは困難でございます。
 このため、こういった入居者からの相談に対しては、介護保険住宅改修制度を活用した手すりの取付けや段差解消等を御案内しているところです。
 また、エレベーターが設置されていない住棟において、階段の昇降が困難な方には、下層階への住み替えを可能としています。
 県としましては、引き続き、入居者から御相談をいただいた際に各種制度を御案内するなど、丁寧な対応に努めてまいります。
○副議長(中本浩精君) 岩井弘次君。
  〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 御答弁ありがとうございました。
 県営住宅については、今後、人口減少に対する見直しも必要になることも予想されます。住宅困窮者のためなど、従前の考え方に加え、見直すことも必要となってくるのではないかと思います。
 また、急激な高齢社会に向かう中、バリアフリー・ユニバーサルデザイン化された住宅の供給が急がれるのではないかとも考えます。障害者用であったり一般向け、そういった垣根なく、全ての方に優しいユニバーサル化、こういったことも考えていかれることを強く要望して、この質問を終わります。
 それでは、最後の項目でございますが、リトルベビーハンドブックについて伺います。
 子供が生まれる、それは、この世で最もうれしい瞬間の一つです。ママやパパはもとより、周りの全ての人たちを一瞬にして幸せの笑顔にします。
 私も、一女一男を授かりましたが、今もあのときの感動と喜び、そして、親として頑張らないとという決意をというか、自覚をしたことをしっかりと覚えております。
 出産、誕生は、おめでとう、生まれてきてくれてありがとうで周りの人たちを優しい喜びで包み込む出来事であることが大半ですが、時に様々な試練を与えられることがあります。
 先日、奈良県からかわいいお客様が見えられました。4歳になった女の子です。お母さんの横で遊ぶその姿からは、その後伺った話からは想像もできないほど明るく、笑顔のかわいいお子さんでした。
 お母さんの話によりますと、第2子となるその子供さんは、令和元年6月5日、奈良県立医科大学附属病院において、妊娠25週、584グラムの超低出生体重児で生まれたそうです。その日、いつもと同じように上のお子さんを幼稚園に送り出し、仕事に行こうとしたとき、体の異変を感じ、緊急入院。胎盤早期剝離で母子ともに危険な状態であると診断され、緊急帝王切開となり、出産されました。医師からは、生きて生まれるか、生まれたとしても数日生きられるかどうか分からない、退院できたとしてもほぼ100%障害が残ると告げられ、どうか生きてほしいと祈るしかなかったそうです。出産したとき、産声を上げることがなく、心肺停止、肺が膨らまなかったため、人工的に膨らませてもらい、何とか一命を取り留めました。その後、出生体重を聞かされたとき、涙が止まらず、生きているのかを聞けなかったそうです。
 そして、生まれた子供の顔を見ることができたのは翌日で、たくさんの痛々しいチューブがつながれ、皮膚が薄く、内臓が透き通っており、目もできていない姿に、ただ泣き、ごめんね、ごめんねと娘に対して申し訳ない罪悪感と、何もできないことに情けない気持ちでいっぱいで、押し潰されそうだったとお聞きしました。
 そして、4か月にわたる入院期間中、医師や看護師など、大勢の皆さんの懸命な治療とサポートで退院の日を迎えたそうです。その頑張ったお子さんが先日来られ、冒頭申し上げたかわいい笑顔の元気なお嬢さんとして、周りの皆さんに笑顔を振りまいておられました。
 妊娠すると必ず頂くのが母子健康手帳ですが、お母さん方は、この母子健康手帳に妊娠当初から小学校入学までの成長の記録や予防接種などの記録ができるようになっています。しかし、低出生体重児の場合、身長や体重などの成長や運動機能など、成長のペースが異なり、平均的な成長、発達を確認する通常の母子健康手帳では記録できない項目もあります。また、はい、いいえで記入するところは、ほとんどが「いいえ」となり、記録するたび心理的な負担や罪悪感にさいなまれ、つらさに拍車をかけると伺いました。
 そんな中、低出生体重児を出産した母親らが考案し、平成23年、静岡県で誕生した「しずおかリトルベビーハンドブック」を知り、その同じ思いの母親に寄り添った内容に勇気と希望をもらえたそうです。
 このハンドブックの特徴は、国際母子手帳委員会の板東あけみ事務局長によりますと、書き込む中で我が子の発育を感じ、標準と比べなくてよいと理解できる。先輩経験者のメッセージに安心感や将来への期待感を得られるとともに、地元の当事者サークルの情報を入手できる。地元の相談機関の連絡先が分かるといった点が上げられると言われております。
 出生体重が2500グラム以上4000グラム未満の赤ちゃんを正出生体重児、生まれたときの体重が2500グラムに満たない赤ちゃんは低出生体重児と呼ばれます。低出生体重児はさらに細かく分けられており、1500グラム未満が極低出生体重児、1000グラム未満が超低出生体重児となります。低出生体重児は、NICU・新生児集中治療室に入院し、特別な治療やケアを必要とする場合があり、発育、発達にも注意が必要です。
 1980年代から2005年までは、低出生体重児の割合は年々増加傾向にありましたが、それ以降は9.5%前後で推移しています。全体で見ると高い数値ではありませんが、100人のうち約9人は低出生体重児であることを考えると、決して珍しいケースとは言えません。最新の統計が出ている令和3年には、日本全国で約81万2000人の赤ちゃんが誕生しました。このうち2500グラム未満で生まれた赤ちゃんは約7万6000人、全体の9.4%に当たります。極低出生体重児は6090人、0.8%、超低出生体重児は2443人、0.3%となっています。
 リトルベビーハンドブックについては、現在、静岡県をはじめ、福岡県、広島県のほか、そして間もなく発行される神奈川県を含めますと37県で、小さく生まれた赤ちゃんのママやパパのため、発行の取組が全国に広がっております。本県においても速やかに発行に向けた取組をしていただきたいと願うものですが、福祉保健部長の御所見をお伺いします。
○副議長(中本浩精君) 福祉保健部長今西宏行君。
  〔今西宏行君、登壇〕
○福祉保健部長(今西宏行君) 本県の令和3年人口動態統計の出生数は5514人で、うち24人が平均体重の約半分に当たる1500グラム未満の極低出生体重児となっています。
 県では、母子健康手帳を交付する際に、妊娠、出産に関する不安を軽減するために、県が作成した「赤ちゃんとお母さんの健康ガイド」を配布しています。さらに、令和4年度からは、小さく生まれた子供向けの発育曲線などの内容を盛り込んだところです。
 しかしながら、小さく生まれた子供の御家庭からは、平均的な発育と差があり、一般的な母子健康手帳では、多くの部分で十分な記載ができず、不安も高まるという声も聞かれます。
 県といたしましては、他府県のハンドブックを参考に、市町村の子育て世代包括支援センターの保健師や対象者、支援者の御意見を伺いながら、リトルベビーハンドブックの作成に向けて検討しています。
○副議長(中本浩精君) 岩井弘次君。
  〔岩井弘次君、登壇〕
○岩井弘次君 御答弁ありがとうございました。
 最後に、「とちぎリトルベビーハンドブック」作成に携わった国際母子手帳委員会の板東あけみ事務局長の作成助言者として発刊に寄せた言葉を紹介して、質問を終わらせていただきます。
  ご出産されたお子様もご家族の愛情と多くの専門家の熱意とご支援により、大きくなっていかれます。
  このリトルベビーハンドブックには、専門家の皆様やご家族が書かれるページがあります。お子様が学校に入り、思春期を迎え、そして青年になられるまでの折々に、ぜひこのリトルベビーハンドブックを読み聞かせ、あるいは自分で読んでごらん!とわたしてあげてください。
  読まれて、多くの専門家の皆様が24時間つきっきり体制で命を護ってくださった記録や、ご家族の深い想いや願いなどが書きつづられることで、「自分は望まれて命を得て、護られて命をつなぎ、愛されて育ってきた。」ことを理解されるでしょう。それがお子様の自己肯定感を育て、おとな社会に旅立つときのエネルギーになると思います。
  このリトルベビーハンドブックをどうぞご愛用ください。
と。
 以上で、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(中本浩精君) 以上で、岩井弘次君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 35番小西政宏君。
  〔小西政宏君、登壇〕(拍手)
○小西政宏君 議長にお許しをいただきましたので、通告に従いまして、一般質問をさせていただきます。
 今回は、大阪・関西万博の県と市町村の連携についてをお伺いしていきたいと思います。
 まずは、市町村への財政的支援、サポートについてお伺いをしていきます。
 2025年4月から184日間開催される大阪・関西万博まで2年を切りました。経済産業省によれば、万博の入場者数は約2820万人程度が見込まれ、会場建設費は約1850億円、経済波及効果は、一般財団法人アジア太平洋研究所の「関西経済白書2022」によると、開催期間、会場にとらわれず、関西各地、関西全体をパビリオンとする拡張万博ケースでは2.9兆円と試算しています。
 このように、万博を開催することは、地域経済にとって非常に大きなプラスの影響を与え、会場である大阪に隣接する和歌山県にとっても、またとない盛り上がりのチャンスであります。
 県としては、大阪・関西万博関西パビリオン和歌山ゾーン出展基本計画をまとめるなど、御尽力していただいておりますが、本当の意味で和歌山県全体に万博の効果を取り込むために、私は、各市町村が主役となり動いていく必要があると考えています。
 しかし、複数の自治体の声をお聞きしますと、万博に向けて積極的に取り組みたい思いはあるが、財政的に厳しく、県からの支援があると助かるとお聞きしています。また、財政的な支援だけでなく、市町村間の情報共有や連携の仕組みを構築するなど、県でなければできないサポートも重要だと考えています。
 そこで、お伺いいたします。
 主役たる市町村への県からの財政的支援やその他のサポートが必要と考えるが、知事の見解をお伺いいたします。
○副議長(中本浩精君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 知事岸本周平君。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 小西議員の御質問にお答えを申し上げます。
 大阪・関西万博は、世界の英知を大阪・関西地域に集約する一大国際イベントであります。和歌山県並びに市町村が主体的に取組を進め、その効果を最大限、県内に取り込んでいくことが重要であると考えております。
 大阪・関西万博の開幕まで既に2年を切りました。約2820万人と想定されている来場者に、いかに和歌山県内を訪れていただけるのかという仕掛けづくりが重要でありますし、新たな商品開発による産業の育成を図る取組も必要であります。県内各地の自然、人、産業、あるいは食や文化などの多様な魅力を磨き上げ、今後、加速させていく必要があると考えております。
 そのためにも、地域の特性を生かした体験プログラムや特色あるコンテンツの創出、万博と連携した催事イベントの企画など、県内の市町村が主体性を持って地域を盛り上げるための取組を進めていただきたいと考えております。したがいまして、県としても、各市町村のそれぞれの取組への支援を前向きに検討してまいります。
 このように、県と市町村が一丸となったオール和歌山での取組を通じまして、大阪・関西万博を契機として、本県への誘客促進、さらには産業振興をはじめ、国内外との交流人口の拡大につながりますよう、県議会の先生方の御指導をいただきながら、全力で取り組んでまいります。
○副議長(中本浩精君) 小西政宏君。
  〔小西政宏君、登壇〕
○小西政宏君 答弁いただきまして、ありがとうございます。
 答弁にありましたように、県として、その取組、市町村への取組を前向きに検討していただけるというふうに御答弁をいただきましたので、これから、もちろん制度設計等もあると思います。ただ、もう開催まで2年を切っとるということもありますので、できるだけ早い中での制度設計等々を検討していっていただければと思いますので、引き続きよろしくお願い申し上げます。
 そうしまして、次に、県と市町村との今後の連携方法についてお伺いをしていきたいと思います。
 関西パビリオン内における和歌山ゾーンでは、「和歌山百景-霊性の台地-」をテーマに構想を進めていただいています。その中で、映像タワー「トーテム」に和歌山の魅力を映し出し、和歌山に誘客をしようと考えていただいてると思います。
 そこに映し出す内容としましては、世界遺産・高野山をはじめ、熊野三山や白浜温泉などを予定してると思います。もちろん、これらは和歌山が世界に誇るすばらしい場所であるわけでありますが、和歌山県は、それこそ県全体が自然の宝庫であり、ほかにもポテンシャルのある原風景がまだまだあると考えています。この万博を契機に、それらの資源をさらに磨いて発信をすることがとても重要だと考えています。
 ですけども、どこにどういったすばらしいものがあるのかということは、やっぱり一番よく知ってるのは市町村なのかなと、私が考える上で。もう一方、また、パビリオンを出展していくに当たっても、各市町村から出展をしていただくことになると思います。県から市町村に対して、単なるその時間とか、場所を当て込むだけと、でも、そうではなくて、県と各市町村がしっかり対話を重ねることによって、より注目の集まるパピリオンになるんではないかと考えています。
 したがって、万博の機会を最大に生かすためには、県と市町村が連携することはもちろんでありますけども、それには早い段階からお互いに意見交換、対話を通して一緒に考えていくことが重要だと思っています。
 そこでお伺いいたしますが、早い段階で県内市町村と県が意見交換をしていく機会が必要だと考えますが、商工観光労働部長の見解をお伺いいたします。
○副議長(中本浩精君) 商工観光労働部長三龍正人君。
  〔三龍正人君、登壇〕
○商工観光労働部長(三龍正人君) 大阪・関西万博に向けては、昨年4月に和歌山県商工会議所連合会と県が中心となり、産業界、金融機関、行政等を構成メンバーとする2025年国際博覧会和歌山推進協議会を設立し、県内での機運醸成や、万博の経済効果を県内へ波及させる取組を進めているところです。
 現在、当協議会において、県内市町村を含む関係者の皆さんにメールマガジン「わかやま万博通信」による情報発信を行うとともに、各市町村で実施される集客イベント等における機運醸成のための万博ブース出展や啓発グッズの配布など、連携したプロモーション活動を展開しております。
 今後、万博期間中の関西パビリオンにおける和歌山ゾーンでの魅力発信や、会場内での催事イベントを検討していくに当たり、意見交換の場を設けていきたいと考えております。具体的には、2025年日本国際博覧会協会から示される出展基本計画方針等を踏まえ、この夏には振興局エリア単位で市町村との意見交換の場を設け、地域の特性に応じた受入れ環境整備や、万博会場に出展する企画商品のアイデアを出し合うなど、市町村との連携を密にし、万博の経済効果を本県に最大限波及させるよう取り組んでまいります。
○副議長(中本浩精君) 小西政宏君。
  〔小西政宏君、登壇〕
○小西政宏君 答弁いただきまして、ありがとうございます。
 もう早速、この夏には市町村の方々とお話合いをしていただけるということですので、非常に喜んでおります。引き続き、よろしくお願いいたします。
 それでは、大項目2項目めのほうに行かしていただけたらと思います。
 学校給食での黙食についてお伺いをしていきます。
 新型コロナウイルス感染症については、この5月に感染症法上の分類が2類相当から5類に移行しまして、これまで黙食を余儀なくされていた学校給食においても、ようやく子供たちが友達同士で楽しく会話しながら食事をすることができるようになってきました。
 私は、給食の時間というのは、子供たちのコミュニケーションが深まる非常に大切な時間であると考えてます。そういった中で、国においても、令和5年4月28日付で、文部科学省から「5類感染症への移行後の学校における新型コロナウイルス感染症対策について」という通知が発出されておりまして、その中で、学校給食の場面において黙食の必要はないと書かれております。
 しかし、私が保護者等から御相談をいただきまして、聞いたところによりますと、学校によっては、給食の時間に子供たちが話をしてると先生から注意を受けるといったケースがあるようでした。
 そこで、そういった問題がありまして、県教育委員会に相談をさしていただいたんですが、そしたら、すぐに県教育委員会さんは市町村教育委員会に対して再度学校に周知するよう周知をしていただきまして、それに合わせて実態調査も行っていただきました。まずは、迅速に御対応いただき、本当に感謝を申し上げたいと思います。
 実態調査を行った結果は既にまとまってると思いますが、その内容について、まず御説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○副議長(中本浩精君) 教育長宮﨑 泉君。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 6月上旬に、市町村教育委員会に対して、給食時間に黙食は必要のない旨の通知を再度行いました。それと同時に、二つの点についての実態調査を行いました。その結果は、次のとおりになります。
 1点目の調査では、以前5月1日に通知した給食の時間に黙食は必要ないとの文書を全ての教育委員会が所管の各学校に周知していたということを今回確認いたしました。
 それから、2点目の調査では、5類感染症への移行後において、保護者から市町村教育委員会に対して、給食の時間に黙食を指導しているという旨の申入れや相談は全くなかったということも確認をいたしました。
○副議長(中本浩精君) 小西政宏君。
  〔小西政宏君、登壇〕
○小西政宏君 御報告ありがとうございます。
 調べていただいた結果では、そういった声はなかったというふうな取りまとめだったと思います。なんですが、私が直接学校に行かせていただきまして、校長先生などにヒアリングをさせていただいたら、確かにそういった声は上がってはいないということはありましたけども、実際もう黙食の指導がまだ行われている現場もあるようでした。
 今回、改めて周知はしていただいたところでありますが、すぐに現場まで浸透することが難しいことは私も理解をしております。ただ、先ほど申し上げたとおり、給食の時間は本当に子供たちにとって非常に重要な時間です。できれば、全ての学校現場で黙食がなくなることを願っています。
 そこで、今後、県教育委員会として、学校現場で黙食指導が続いていることを確認した場合、どのように対応していくのか、教育長にお伺いいたします。
○副議長(中本浩精君) 教育長。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 給食の時間は、児童生徒に望ましい食慣習や食に関する知識やマナーなどを学ぶ場であるとともに、議員おっしゃるように、何よりも楽しい、わくわくするような時間を過ごすということが大事だと思っております。
 このような給食の意義を踏まえながら、各学校で実態に応じて適切に対応できるよう、市町村教育委員会を通じて広めてまいりたいと考えています。
○副議長(中本浩精君) 小西政宏君。
  〔小西政宏君、登壇〕
○小西政宏君 教育長、答弁ありがとうございます。
 今後とも、各市町村教育委員会と連携をしながら、また周知をしていっていただけるということですので、また引き続きお願いをしていきたいと思います。
 以上で私の一般質問としては終わるんですが、この4月に初当選をさしていただきまして、今回、県議会で貴重なこういった場をいただきました。先輩議員、また同僚議員の皆様、で、私は橋本市選挙区です。橋本市民の皆様、そして、和歌山県全体のことを一緒に考えながら汗を流していただける職員の皆様、全ての皆様に感謝の思いをお伝えさせていただきまして、私の一般質問を終わらせていただきたいと思います。本日はありがとうございました。(拍手)
○副議長(中本浩精君) 以上で、小西政宏君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開きます。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時3分散会

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