令和5年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


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令和5年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号

 議事日程 第2号
 令和5年6月20日(火曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第95号(当局説明)
 第2 議案第78号から議案第94号まで及び諮問第1号(質疑)
 第3 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第95号(当局説明)
 第2 議案第78号から議案第94号まで及び諮問第1号(質疑)
 第3 一般質問
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出席議員(41人)
 1番 坂本佳隆
 2番 三栖拓也
 3番 秋月史成
 4番 川畑哲哉
 5番 藤山将材
 6番 森 礼子
 7番 井出益弘
 8番 尾崎要二
 9番 玉木久登
 10番 佐藤武治
 11番 濱口太史
 12番 鈴木太雄
 13番 冨安民浩
 14番 吉井和視
 15番 鈴木德久
 16番 玄素彰人
 17番 岩田弘彦
 18番 中本浩精
 19番 中村裕一
 20番 谷 洋一
 21番 山家敏宏
 22番 北山慎一
 23番 堀 龍雄
 24番 谷口和樹
 25番 新島 雄
 26番 山下直也
 27番 高田英亮
 28番 小川浩樹
 29番 中尾友紀
 30番 岩井弘次
 31番 藤本眞利子
 32番 浦口高典
 33番 山田正彦
 34番 坂本 登
 36番 浦平美博
 37番 中西 徹
 38番 林 隆一
 39番 片桐章浩
 40番 奥村規子
 41番 尾﨑太郎
 42番 長坂隆司
欠席議員(1人)
 35番 小西政宏
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説明のため出席した者
 知事         岸本周平
 副知事        下 宏
 理事         田嶋久嗣
 知事室長       北廣理人
 危機管理監      福田充宏
 総務部長       吉村 顕
 地域振興監      赤坂武彦
 企画部長       前 昌治
 環境生活部長     山本祥生
 福祉保健部長     今西宏行
 商工観光労働部長   三龍正人
 農林水産部長     山本佳之
 県土整備部長     福本仁志
 会計管理者      﨑山秀樹
 教育長        宮﨑 泉
 公安委員会委員長   竹田純久
 警察本部長      山﨑洋平
 人事委員会委員長   平田健正
 代表監査委員     森田康友
 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       林 伸幸
 次長(秘書広報室長事務取扱)
            萩原 享
 議事課長       長田和直
 議事課副課長     岩谷隆哉
 議事課議事班長    伊賀顕正
 議事課主任      菅野清久
 議事課副主査     西 智生
 議事課副主査     林 貞男
 総務課長       葛城泰洋
 政策調査課長     岩井紀生
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  午前10時0分開議
○議長(濱口太史君) これより本日の会議を開きます。
 日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
 過日提出のあった議案第80号及び議案第84号は、いずれも職員に関する条例議案でありますので、地方公務員法第5条第2項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、文書により回答がありました。お手元に配付しておりますので、御了承願います。
 この際、報告いたします。
 議案の追加提出がありました。
 日程第1、議案第95号を議題といたします。
 議案は、お手元に配付しております。
 まず、当局の説明を求めます。
 知事岸本周平君。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) ただいま上程されました議案について、御説明申し上げます。
 議案第95号は、令和5年梅雨前線による大雨及び台風第2号による災害に早急に対応するため、一般会計で総額140億5000万円余の補正予算をお願いするものです。
 被害を受けた道路、河川、港湾などの公共土木施設の復旧や土砂災害への緊急対策等を行うとともに、被災された方に対して災害援護資金の貸付けを行う市町村への支援、また、国宝や世界遺産などの文化財の修復に対する支援を行うほか、県立高等学校の修繕等を行ってまいります。
 何とぞ御審議の上、御賛同賜りますようお願い申し上げます。
○議長(濱口太史君) 以上で、当局の説明が終わりました。
 次に、日程第2、議案第78号から議案第94号まで及び諮問第1号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、併せて日程第3、一般質問を行います。
 8番尾崎要二君。
  〔尾崎要二君、登壇〕(拍手)
○尾崎要二君 6月定例会一般質問が今日から開催される。その先頭バッターとして、災害関連について質問したらどうかという同僚・先輩の皆さん方のお話をいただき、また御配慮いただいて、これから災害一本に絞って質問をさしていただきたいと思います。
 まず、どうしていくんだ和歌山県はということを尋ねるのが大体の文章であろうと、内容であろうと思うんですけれども、早速、今日は朝一番の議運のほうで140億を超える災害復旧の予算について上程をいただいたということで、まず、県当局に対して、その積極的な姿勢に対して高い評価をいたしたいと思います。
 今回の台風で、和歌山県で2800棟、床下・床上の浸水があったと。私どもの海南・海草地域もその半数の被害を被ったということでの同僚・先輩の皆さん方の御配慮ということと、年長であるがゆえということでの質問になろうと思います。
 まず、梅雨前線による大雨に係る被害と内容、県の取組についてを尋ねてまいりたいと思います。
 初めに、このたびの台風2号接近に伴う大雨によって2名の方の貴い命が失われたことに対して、御遺族の方に心よりお悔やみを申し上げます。また、1名の方の行方がいまだ確認されていないことを踏まえて、御家族の方、親交が深い方々のお気持ちを察すると、一刻も早く生存が確認されることを期待してやみません。
 今回の災害では、私の地元、海南市、海草郡はもとより、北は和歌山市から南は日高郡まで、広範囲にわたって多くの県民の方が住家の浸水など被害に見舞われ、また、店舗、病院、農林水産関係等事業所、工場なども、今まさに元の生活を取り戻すべく懸命に復旧作業に取り組まれているところであり、その方々に対しましても心からお見舞いを申し上げたいと思います。
 これらの被災された方々の復旧作業を支援するため、これまで多くの方がボランティアとして、海南市、紀の川市、紀美野町などで精力的に活動されています。災害市町の復旧対策を支援するため、和歌山市をはじめ橋本市、御坊市、田辺市、新宮市からも延べ200名を超える職員が海南市の災害廃棄物の運搬、処理や罹災証明の業務に当たられております。
 この支援活動の輪は県内にとどまらず、岡山県倉敷市をはじめ8府県12の市から職員の派遣や土のう、ブルーシート等の物資提供による支援をいただいており、これらの県内外の皆様から様々な形で支援をいただいておりますことに、改めて御礼を申し上げたいと思います。
 さて、今回の災害について振り返ってみますと、台風2号の接近に伴い、梅雨前線に向かって台風周辺の暖かく湿った空気が流れ込んだことで大気の状態が非常に不安定となり、県内では6月1日から3日にかけて激しい雨が降りました。とりわけ6月2日に県北部にて線状降水帯が発生し、午前11時から午後3時までの4時間雨量は、海南市東畑では159ミリ、有田市糸我で171ミリ、美里町松ケ峯で146ミリ、かつらぎ町御所で147ミリを記録するような大雨が、河川の上流から下流における広範囲において一気に降り注いだことで、河川水位の急激な上昇を招いたと考えています。
 真国川では、紀美野町にある西野水位観測所で水位が午前11時時点で2メートル、それが4時間後の15時には7メートルを超えるというところまで上昇しています。また、真国川付近の道路も冠水しましたが、最も深い場所では、ピーク時に1.7メートルほど冠水したということで、単なる冠水ではなく、道路が激流の川となり、周辺の車が流され、100キロ近い重量のコンクリート製の側溝の蓋まで下流50メートルぐらい道路を流されておりました。
 そこで、知事にお伺いいたします。
 今回の災害での被害の全容について、どのように把握されているのか、また、被害を受けた市町へ初動の支援として、これまでどのような取組を行ってきたのか、その上で、復旧に向けた取組をどのように進めていくのか、知事の考えも併せて答弁を求めたいと思います。
 続いて、具体的な対策についてお伺いいたします。
 今回の災害で住家被害を受けた被災者の方が多くおられます。局地的に激しい雨が降り注いだことにより、各地で床上浸水が多数発生するとともに、全壊や半壊などの甚大な住家被害も発生しております。
 私も災害後、1週間に及ぶその日数を費やして地元の被害状況を歩いて見て回る中、住まいが被害を受けて自宅で生活ができなくなり、困り果てた住民の方を何人も見てまいりました。
 住まいと暮らしの再建は、被災された方々が元の生活を取り戻すための第一歩であると考えます。
 このような住家被害に対して様々な支援制度があると聞いておりますが、県として抜かりなくそれらの制度を活用できる状況にあるのか、福祉保健部長にお伺いをいたしたいと思います。
 次いで、農林水産業被害の復興に向けた対策についてお伺いいたします。
 私の地元ではミカンの栽培が盛んでありますが、農林水産業は本県の基幹産業であり、一刻も早く復旧に向けた対策を講じて、被災農地等での営農再開が必要と考えます。
 被災された農家の皆さんは今後の営農再開に大きな不安を抱えており、迅速な復旧が重要であります。ただ、災害復旧には経済的な負担を伴うため、その負担額が大きい場合、復旧を断念し、農業をやめてしまうといった事態が起こりかねないことから、早期の復旧を図る上で、農地の復旧のみならず、きめ細やかな支援が重要と考えます。
 そこで、今後の農林水産業の復旧に向けた県の取組について、農林水産部長にお伺いをいたします。
 続いて、公共土木施設等の復旧対策についてお伺いをいたします。
 今回の災害では、河川の護岸損壊や道路ののり面の崩壊をはじめとして、県民の安全・安心を支え、県内の社会経済の基盤となっている公共土木施設にも甚大な被害が発生しております。今後、いつまた今回のような激しい大雨や台風が本県を襲うとも限らず、当面は予断を許さない状況であります。常に気象の動向に気を配るのはもちろんのこと、特に、今回被害に遭った公共土木施設等に関して、漏れなく迅速な災害復旧対策を講じることが肝要であります。これは、県が管理する施設に限ったことではなく、市町村が管理する公共土木施設においても言えることであります。県に比べて財政力が弱い市町村においても、所要の災害復旧事業を着実に推進できるよう、国庫補助のかさ上げが適用される局地激甚災害の指定を受けることは有効であると考えます。
 そこで、今回の災害における公共土木施設の災害復旧事業の取組と局地激甚災害の指定に関する状況について、県土整備部長にお伺いをいたしたいと思います。
 さて、県民の安全・安心の確保を推進していく上で最も重要なこととして指摘しておきたいのは、今回の災害における被害をしっかりと検証した上で次の災害に備え、必要な対策を着実に講じなければならないということであります。
 今回の災害によって河川の河道に土砂の堆積が多数発生しており、これを放置すると、その河川が持つ排水能力を十分に発揮できず、新たな被害を発生させる要因になります。道路の側溝等においても同じことが言えます。次の災害が起こるまでに、これらの公共土木施設が持つ本来の機能を回復させることが必要であり、緊急的にその対策として維持修繕事業を集中的に実施することが肝要であり、そのための所要の予算が必要と考えます。
 早速、今日は朝からこの項目については答えを出していただけたということでありますが、一方、申し上げたように、今回の災害は、一気に激しい雨が降り注いだことで河川の河道の流下能力を上回る量の水が流入したため、河川の越水、溢水を引き起こし、広範囲に浸水被害をもたらしたものと思います。
 今回、越水、溢水した河川の中でハザードマップの制作ができておらず、浸水リスク情報が空白地となっているところもありました。先ほど指定をいたしました真国川の紀美野町区域もその場所であります。
 私は、かねてから日方川の浸水想定の見立てが甘いのではないかという疑念を持っておりました。河川の氾濫によって海南市の市街地が浸水するのではないかと指摘をしており、今回、まさにそのとおりの被害が発生しました。また、真国川の紀美野町釜滝付近において河川の浸水想定ができていなかったことでもあります。
 今回と同じように大雨が降った場合に備え、今回の被害の要因をしっかりと検証した上で、県民への浸水リスクの情報提供の在り方や、河川の整備計画に問題はなかったかなど点検し、治水対策を進めていく必要があると思いますが、この点についても県土整備部長にお伺いいたします。
 今回の災害に対する県の対応については、早い段階から被災市町に職員を派遣し、そして早急な被害状況の把握と、その対策の検討に取り組んでいることに対しても評価をしておきたいと思います。引き続き迅速な復旧対策を進めていただくとともに、被害に遭われた方々への支援についてもきめ細やかに対応いただきますよう申し上げておきたいと思います。
 これで、私の第1回目の質問を終わります。
○議長(濱口太史君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 知事岸本周平君。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 尾崎要二議員の御質問にお答えをさせていただきます。
 その前に一言、これまでの前回までの議会で尾崎要二議長が大変公平公正な議会運営をなされ、また、私ども県庁当局に対して御指導いただきましたこと、まずもって感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございました。
 その上で、答弁をさせていただきます。
 今回の災害では、6月2日の正午頃から県北部に線状降水帯が発生いたしました。非常に激しい雨が長時間続きましたことで、急速に河川の水位が上昇し、越水、溢水が起こる中、住宅地など随所で浸水被害が発生いたしました。
 人的被害としては、2名の方がお亡くなりになり、いまだ1名の方の行方が分かっておりません。住家被害では、海南市、有田市など紀北地域を中心に、6市12町で全半壊15棟、床上・床下浸水は2839棟に及ぶなどの被害が発生しております。
 農林水産業では、のり面崩壊等の農地被害が最も深刻であります。農業用施設被害や、かんきつ類をはじめとした農作物等にも多くの被害が発生しております。被害総額は約72億5000万円に上っております。また、公共土木施設でも河川の護岸損壊や崩土等による道路への被害などで被害額が約90億円に上るなど、多数の被害が発生しております。その他、学校施設、文化財にも被害が発生しており、県民の生活と県内の社会経済活動に与える影響は大きいものと認識をしております。
 現在、不安を感じながら非日常の生活を余儀なくされている方々が一刻も早く元の生活を取り戻し、事業の再開や営農の再開ができるよう支援をさせていただくのが県の責務であると考えております。そのために、発災直後から所要の対策に取り組んでまいりました。
 まず、被災市町の復旧対策や被災者支援の対策が円滑に推進できますよう、発災後の早い段階から3市6町に職員を派遣し、住家被害の状況調査のほか、公共土木施設や農地等の災害査定に係る調査業務等の支援に当たらせていただいております。
 また、被災者支援策と復旧対策を速やかに実行に移すための第1弾の予算措置として、本日、追加補正予算案を提出し、議会にお諮りしたところであります。この予算案が承認されました後には、事業効果ができるだけ早く発現できますよう取り組む所存でございます。
 公共土木施設や農林水産業に係る災害復旧事業の推進に当たっては、被災市町と連携しながら早急に被害状況等の把握を行い、激甚災害の早期指定と迅速な事業執行に最大限の努力をしてまいります。
 さらに、災害復旧事業に併せて河川の堆積土砂のしゅんせつなど、緊急性を要する維持修繕事業につきましても積極的に推進し、将来の災害にしっかりと備えてまいりたいと存じます。
 今後も被災者支援施策の推進に当たりましては、県民の皆様の声に十分耳を傾けながら創意工夫を凝らし、きめ細やかに対応してまいります。加えて、尾崎議員御指摘のとおり、今後の災害に備えまして被害の検証を行い、ハードとソフト両面から県民の安全・安心の確保に取り組んでまいる所存でございます。
○議長(濱口太史君) 福祉保健部長今西宏行君。
  〔今西宏行君、登壇〕
○福祉保健部長(今西宏行君) 県では、広範囲に多数の床上浸水被害が発生した海南市については災害救助法を適用しており、準半壊以上の住宅の応急修理、学用品や日用生活品の提供等、応急的な対応を迅速に行えるよう支援を行っているところです。
 他の市町でも同様に、床上浸水の被害が発生しておりますが、それぞれの市町の人口に応じた適用基準を満たさないため、災害救助法の適用はできておりません。
 そうした中、全壊被害のあった紀美野町、九度山町については、災害救助法による住宅の応急修理等の支援は行えませんが、全壊、大規模半壊などの住宅被害に遭われた方々の住宅の再建や補修などに対する給付ができるよう、海南市を含め被災者生活再建支援法の適用手続を進めているところです。
 さらに、市町村が実施する住家被害認定を支援するため、要請のあった市町に対し、関係団体や市町村及び県の職員から成る住家被害認定士チームを派遣し、被災者支援制度の適用を受ける際に必要となる罹災証明書を速やかに発行できるよう取り組んでいます。
 加えて、被災者に対し長期・低利の貸付けを行う市町村を支援するための災害援護資金について、追加補正予算案を提出し、議会にお諮りしたところです。
 県といたしましては、被災された皆様方が一日も早く平穏な生活を取り戻せるよう、引き続き全力で支援を行ってまいります。
○議長(濱口太史君) 農林水産部長山本佳之君。
  〔山本佳之君、登壇〕
○農林水産部長(山本佳之君) 今回の豪雨による農林水産業被害について、特に農業関係では、樹園地ののり面崩壊に加え、農道や水路などの農業用施設の損壊が多数発生するとともに、かんきつの樹体流出やモノレールの損壊など多大であります。一日も早い復旧と営農再開を行わなければ、離農や耕作放棄地の増加などが懸念されるため、県としては、スピード感を持って復旧対策に取り組んでいます。
 具体的には、被災された農林漁業者向けに、6月8日に融資相談窓口を開設、6月16日にはモノレールやスプリンクラー、パイプハウス等の設備に加え、鶏舎や特用林産物の生産施設等の復旧を支援する県の補助事業や特別融資について広報を行ったところであり、今後、市町村や関係団体と連携を密にして、被災された農林漁業者に周知が行き届くよう取り組んでまいります。
 また、農地や農業用施設、林道の災害復旧事業など、国の査定等が必要な対策については、早期の事業着手が可能となるよう国に働きかけを行うとともに、地元負担の軽減を図るため補助率を引き上げる増嵩支援を市町村が行う際には、十分なサポートを行ってまいります。
 今後も市町村や関係団体と連携し、被災された農林漁業者に寄り添いながら、早期の復旧、事業再開に取り組んでまいります。
○議長(濱口太史君) 県土整備部長福本仁志君。
  〔福本仁志君、登壇〕
○県土整備部長(福本仁志君) 今回の台風第2号の影響を受けた梅雨前線による大雨で、現時点で国に報告している県管理の公共土木施設の災害件数は、102河川で380か所、道路25路線で60か所、その他砂防、港湾施設など9か所となり、被害額の合計は、知事が先ほどお答えしましたとおり、約90億円となっております。
 災害査定は、通常、被災2か月後、今回の6月の災害では8月の初旬から行われることになりますが、災害件数の多い市町については早期確認型査定を活用し、7月初旬から災害査定を受ける予定となっております。
 県としましては、一日も早い本格復旧に向け、全力で取り組んでまいります。
 局地激甚災害の指定につきましては、各市町村の標準税収入に対する査定事業費の割合等の決定基準により国が行うものであります。
 県としましては、まずは早急に査定事業費を確定させるとともに、公共土木施設の被害が大きかった市町については、極力、局地激甚災害が指定されるよう国に対して働きかけを行ってまいります。
 続きまして、浸水リスクの情報提供ですけども、これまで県では、日方川など洪水予報河川及び水位周知河川など22河川において想定最大規模の降雨を対象とした洪水浸水想定区域図を作成し、公表を行っているところです。
 令和3年度の水防法改正により、洪水浸水想定区域図及びハザードマップの作成、公表の対象が住宅等の防護対象のない河川を除く全ての1級・2級河川に拡大されました。
 県では、真国川を含めた未作成の428河川について、令和3年度より洪水浸水想定区域図の作成に着手し、令和4年度末までに全ての河川について作成を終えたところです。
 今後につきましては、令和5年度末までに段階的に公表し、関係市町村に通知を行っていく予定です。
 それを受け、新たに市町村が作成する洪水ハザードマップにつきましては、補助制度の活用など積極的な働きかけを行い、早期に完成、公表されるよう県として努めてまいります。
 また、このように浸水リスク情報などの取組を充実させるとともに、日方川など越水、溢水のあった河川につきましては、実態調査や被害の検証を行い、河川整備計画の点検を行った上で、浸水被害軽減に向け、検証結果を踏まえた治水対策に取り組んでまいります。
○議長(濱口太史君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(濱口太史君) 再質問を許します。
 尾崎要二君。
  〔尾崎要二君、登壇〕
○尾崎要二君 今、それぞれ答弁をいただいたということで、ひとつくれぐれもよろしくお願いを申し上げたいというのが、もう最初、申すべき言葉かなと思っております。
 まず、海南市に対する災害救助法の適用は、これ大変ありがたいなということで喜んでおります。感謝を申し上げたい。
 しかし、同じ貴志川水系で隣の紀美野町では、なぜ同じ水系の中で同じように起こったのに、海南市で災害救助法が適用になり、同じように被害を受けた紀美野町では適用されないのかと、納得できないという声を多く聞いてまいりました。
 先ほど、住家被害に関する支援に関する福祉保健部長の答弁を聞くと、災害救助法の有無により支援される内容に差が生じることが分かりました。そもそも災害救助法は、昭和20年台、その元があり、昭和37年に、先ほどから言っております人口規模、何件床上浸水をしたかという、そういう人数で判断をするということでありまして、まず海南市はその判断の中に入っていたということで指定をいただいたわけでありますけれども、紀美野町は入っていない。
 それで、よくよく調べましたら、昭和37年にその人口何十万から何人以上とかという、そういう数字は、37年に設立されてからこの61年、一度も変更されていない。不思議なのは、よくこんな法律が61年も変更しないで続いてきたなという思いを持っております。と申しますのは、人口30万のまちだと450件の床上浸水があれば、その算定の仕方はいろいろあるんですけれども、450件を超えればオーケーだと。今回、それに海南市はかなったわけであります。
 それでは、人口1万人弱の紀美野町はどれだけ必要かというと、120件必要だという数字が記されております。これ、その比率というのは大変不公平な比率の配分だなと。大体、30万と1万で30分の1になるわけですね。そうすると、450人を指定されれば、その450人に対して30分の1は幾つになるかというと、こんなことぐらいは小学生でもその数字が出る。15件があればそれでいいというのが公平な物の見方ではないかなと思うんですけれども、実際そのようになっていない。大きな人口を有するまちは有利だけれども、本県のように人口の少ない市町村の多いところでは、随分厳しい条件を突きつけられるということでありまして、そういうことから見ると、やっぱりこれでいいのかなと、今先ほど申しましたが、そんな不合理な数字を並べられて、よく61年、改正もしないでこの法律は来たんだなということであります。
 こんなふうに偉そうに言ってる私も、実はその数字、今回のことでいろいろ勉強して、こんな不合理があったのかということが初めて気がついたので、言えないわけでありますけれども、それをするのは県ではなしに国のほうの法律でありますけれども、これでは、それは紀美野町の皆さんは、なぜなのかという思いをするのは当然だなというように思うわけであります。それゆえに、災害救助法の適用基準について、やはりこれから物を申していかなければならないなと、現実に即した、そして私どもの和歌山県のように人口の少ない市町村が多いときにこの適用に不利になるというような法律は改めてもらわなければいかんなというように思っております。
 議会のほうでも、このことについては同僚・先輩の皆さん方の御協力も得て、各関連のする政党へも、これでは困るということをやはりスクラムを組んで物を申していかなければならんなと思うと同時に、県当局もこの災害救助法、海南市は見ていただいてありがたいので、あんまり文句を言うつもりではないですけれども、やはり片方でおかしな状況が存在しているということでありますので、県からも強く働きかけていただきたいと思います。
 知事のほうでは、全国知事会もある、大きなまちの知事もおりますけれども、我が県と同じような知事もたくさんおいでになられるであろう知事会のことも、ぜひひとつ知事に発言してもらいたい。また、濱口議長にお願いしとかなならんですけれども、全国議長会としても、この問題は一度ぜひ訴えていただいて、そして、公平公正というような配分になるように、ぜひお力添えをいただきたいと思います。
 この点はこれぐらいにしまして、また、今回の災害において、一部の学校において警報発令後、ちょうどお昼前、給食を食べさせて帰ったほうがいいかな、それとも、もう発令されているんだから昼食を抜いてでも帰したほうがいいのか、いろいろと悩まれたようであります。
 ただ、一気に今回のように雨量が多くなって、そして通学路もあっという間に浸水してしまうというような状況でありますので、その判断というのは大変難しいのではないかなと、現場においてもということで、御飯食べないで自宅へ帰ったら、やはり両親は、また家族はみんな仕事へ行ったりして1人で御飯も食べられないで夜まで待たねばならんというような状況、これは避けねばならんし、ただ、どんどん雨が降れば通学路は浸水する。また、中学校、高校においてでも交通機関が止まってしまうという、それゆえに、それらの判断に関して常に情報を収集しながら、刻々とそういう変化をする気象の状況も見抜いて、それぞれの学校において適切な処置が取れるように、これはまたひとつ教育委員会、頑張ってほしいなと。
 今回のこの事案、災害に関してお聞きをしたところ、全く小中学校、県内の学校は、そういう意味では、何一つ事故とかそういうのは起こらなかったということで、きちっと宮﨑教育長の下でやっていただいてるんやろうなと思うわけですけれども、再度、こういうときの難しい判断、現場で、学校で、それぞれしていかなきゃならんという形でしょうから、そういう訓練を、ふだんからそのシミュレーションを考えておいていただきたいなと思いますので、この点は要望をさせていただきたいと思います。
 また、今回いろんな声が聞こえてきたわけですけれども、例えば緊急防災無線、これはこういう警報なんか出たら鳴らすようでありますけれども、実は私自身も聞こえなかったんです。私のところの家はトタン屋根でありますから、やっぱり音がバーバー鳴るものですから、それで聞こえなかったのかもしれませんけれども、あちこち行くと、そういう防災の無線等が聞こえないということになっている。また、聞かせてもらうとこれはおかしいなと、これは多分流してくれてるんでしょうけれども、大きな雨音になってくると聞き取れないというようなことで、ちょっと関係者にお聞きしたところ、緊急防災無線、ふだん大きな音にすると、やかましいというてお叱りをいただく、災害が発生しそうな大きな雨のときには、全く小さくすれば聞こえなかったんじゃないか、それぞれ運用される方は大変であろうと思うんですけれども、やっぱり命かかったこういう無線でありますので、それで違うことの何かどんどんどんどん流しているというのはあれでしょうけれども、こんな災害のときにはボリュームアップしていただいて、それを聞き取れるようにしていただかないと、何のための防災無線かなあという感じがいたします。
 また、今、学校の話をさせていただきましたが、よく体に障害を持つ介護の関係の指定もいただいているという方が、危なくなったら、浸水してきたら2階へ逃げなさいという指導があっても、自分の自力で2階へ行くことができない、そういうケースも多々出てくるであろうと。そうなってきますと、災害が発生したときに、まずその御近所の皆さんでそういう情報を共有して、そんな大変になってきたら、すぐあそこのおうちの人は何とかしなけりゃそのまま1階にいたまま、大変なことになるぞといって、まずは御近所の御協力もいただかなければならんですけれども、今回、犠牲になられた中鞆渕のお方というのは、知り合いの御夫婦を何とか助けに行こうということでロープ持って、そして献身的に行かれて、そして濁流にのみ込まれたということもあるので、そういうときにもどういう処置と、どんなことができるんかなと、大変難しい問題ですけれども、この点についてもそれぞれの所管の部でひとつ知恵を絞っていただけたらなあというようにも思います。
 今回、大きな災害にやられたまちにも、検証してチームでやっていくという答弁をいただいたんですけれども、やはり今回の大変なこの状況を次の糧として、ひとつ全庁挙げて、それぞれのケースについてもう一度、十分そういう検討はしていただいてると思うんですけれども、頑張っていただけたらなということを申し上げて、私の一般質問を終わります。(拍手)
○議長(濱口太史君) 尾崎要二君の質問が終了いたしました。質疑及び一般質問を続行いたします。
 6番森 礼子さん。
  〔森 礼子君、登壇〕(拍手)
○森 礼子君 おはようございます。森礼子です。
 先日の豪雨によって多くの皆さんが災害に遭われて、本当に悲しい思いをされました。心よりお悔みとお見舞いを申し上げます。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 初めに、県庁内保育所の設置について質問します。
 安倍元総理が打ち出した一億総活躍社会では、少子高齢化という日本の構造的問題について正面から取り組むことで歯止めをかけ、50年後も人口1億人を維持すること、一人一人が家庭で、職場で、地域で、生きがいを持って充実した生活を送ることができることを目指しましたが、そのときに、お子様を保育所に入れることができなかった女性の本音、「保育園落ちたわ」のフレーズから始まる叫びが匿名ダイアリーに投稿されたのは2016年2月15日のことでした。同年10月に東京都庁内にとちょう保育園が開設されました。私は、この報道を聞いたとき、和歌山県庁にもあればいいのになというふうに思いました。以来7年、少子化の現状はまだ大問題であります。
 2023年6月、岸田文雄首相は少子化対策の柱を、若い世代の所得を増やす、社会全体の構造、意識を変える、全ての子供、子育ての世帯を切れ目なく支援をすると掲げた異次元の少子化対策を打ち出しました。
 いみじくも、少子化は経済成長力の低下と年金、医療などの社会保障制度の安定性を揺るがすものである、この観点から静かなる有事とも呼ばれています。
 少子化問題は、先進国の共通の課題です。そんな中でフランスが少子化対策に成功への道を見いだしたと言われ、たくさんの書籍も発行されるほど注目されています。
 フランスの子育ての標語は、社会全体で子育て応援体制に取り組むことから、親の義務から社会の責任へ。具体的には、子供を産めば産むほど頭数0.5人分の所得税が下がる、子供を3人以上養育した親は年金受給額が10%増える年金加算制度などがありました。
 成功例のまねできるところは吸収し、和歌山県に合う子育て対策が必要であると思います。まさに異次元の少子化対策に期待するところであります。
 少子化対策は多面の対策が必要ですが、基本中の基本である子育てと仕事の両立をまず整えるべきであるというふうに思います。
 本県においては、わかやま結婚・子育て応援企業同盟を推進し、子育てと仕事が両立できる働く環境に力を入れています。参加要件の一つに、結婚や子育てをしやすい職場環境を整え、全社員に周知している、また、育児休業から仕事に復帰する際は面談を行い、仕事内容や配属先など本人の希望を聞き尊重することなどが記されており、産後復帰ができることを前提のように捉えられています。
 本県の待機児童の現状は、4月時点での待機児童はほとんどありませんが、産後復帰時の待機児童の数は増え続けています。産後復帰時に保育枠がないという不安は解消改善すべきであるし、それぞれの不安が出産へのブレーキになるのではないでしょうか。
 和歌山県の待機児童の現状が産後復帰時に多く発生し、仕事にスムーズに戻れない状況を解決すべきであります。地域枠を備えた県庁内保育所が誕生することで、この状況の解消につながると私は考えております。平成28年2月に県庁内保育所の設置の質問を行いましたが、民業圧迫という理由でかないませんでしたが、いま一度現状を見詰め直し、子育てと仕事の両立の構築のため、県庁内保育所の開設を提言いたします。
 参考までに、全国に庁内保育所は12か所設置されています。順に、福島県、宮城、埼玉、広島、東京、茨城、福岡、岩手、富山、岐阜、岐阜県は令和5年4月に開設されました。山梨県と静岡県は一時預かりの形で保育所として設置されています。
 設置されている地域は、東京と福岡以外は田舎県で、地方です。都会より地方に偏りがある理由を調べてみましたが、明確な回答はありませんでしたが、私が思うに、本県和歌山も県庁が県内最大の事業所であります。多くの県民が働く事業所に需要があると考えます。
 県内企業にわかやま結婚・子育て応援企業同盟の推進を図るのと同時に、県内最大の事業所である県庁から始めるべきだというふうに思います。
 本来なら、私は、同時に病児・病後児保育も兼ね備えた県庁内保育所の設置を求めるところですが、今回はまず県庁内保育所の設置に関して知事の御答弁をお願いいたします。
○議長(濱口太史君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 知事岸本周平君。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 森礼子議員の質問にお答えをさせていただきます。
 仕事と子育てが両立できる社会を実現するため、子育て世代が働き続けられる環境を整備することは、議員御指摘のとおり大変重要なことであると考えております。
 県職員の場合でありますけれども、育児休業は最長で子供が3歳に達する日まで取得可能であります。育児休業を取得している女性職員の相当数は、2年以上の育児休業を取得する予定になっております。
 ところが、男性職員におきましては、大変低い育児休業の取得になっておりますので、今県庁内では、男性職員の育児休業の取得目標を野心的なものに変えるよう、今検討を始めたところでございます。
 そして今、県庁では、子ども未来課が県内企業に対しまして企業内保育所を推奨するよう政策を実施しております。一方で、本庁、それから地域の振興局合わせまして3300名の職員を抱える組織でありながら、和歌山県庁には企業内保育所を設置しておりません。自分で設置していないで他人に勧めるというのは、大変恥ずかしいことだと私は考えております。
 一方で、保育所を造るといいましても保育室だけではできません。子供用トイレも要ります。調理設備も要ります。職員室や園庭等の整備も必要になります。県庁の建物の中で、子供にとって最適な保育を提供するための場所を確保できるのか、さらには設備の整備と運営につきましても多額の費用を要するなどの問題を解決する必要があると考えております。特に和歌山県は、先般より財政危機宣言を発出するほど財政が非常に厳しい状況でございます。そのようなことも踏まえまして、しかしながら、このような課題一つ一つを真摯に検討し、早期の職場復帰を希望する職員の声に耳を傾けまして、県庁内の保育所の設置につきましては、前向きに検討してまいる所存でございます。
○議長(濱口太史君) 森 礼子さん。
  〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 答弁をいただきまして、答弁の中の保育スペースの確保だったり設備整備の確保、財源が厳しいということは大変な問題であるけれども、これは県サイドの理由でありまして、私たちは県民のほうを向いて取り組むべきだというふうに思っています。
 そして、県庁の職員さんの場合、最長で3歳を迎えるまで2年間の育児休業が取れるということですけれども、これは夫婦そろって県庁の職員であるという場合にはとても充実した制度であるなというふうに思いますし、この制度は本当に民間ではなかなか難しいというふうによく耳に届いております。
 民間で本当に難しいということが、この産後復帰時の待機児童の数に反映しているのではないかなというふうに私は思っています。
 例えば、県庁の職員さんで、奥様が民間企業に勤められていて、子供の首が据わった頃に仕事に復帰をしようと思ったときに、保育枠がないというような、そのニーズには、また向き合っていただければなと思いますし、ぜひとも地域枠を備えた県庁内保育所への前向きな御検討をよろしくお願い申し上げます。
 次の質問に移ります。
 次は、健康に生きるため、歯の健康は体全体の健康を守る、入院患者さんへの歯科検診の体制について質問します。
 和歌山県議会では、元気な高齢者の方を一人でも増やすことと、私たちの一生の財産である歯と口腔を守り、皆が健やかに成長し、健康長寿日本一を実現するために、平成23年、和歌山県民の歯と口腔の健康づくり条例を尾﨑太郎座長の下、議員提案で制定されました。
 私も、歯科保健推進に係る条例案検討会の委員として勉強する中で、歯の健康は体全体の健康につながると学びました。言い換えれば、歯の不具合がほかの病気を引き起こすということです。
 条例の目的として、県民、教育関係者、保健医療関係者、福祉関係者、事業者、医療保険者の役割を明らかにすることを明記しました。「県は実態調査を行い、計画を策定し、基本施策を実施することで環境の整備に努めます」と記しています。また、県の責務には、歯と口腔の健康づくりに関する計画を策定し、歯と口腔の健康づくりのための基本的施策の実施とされています。どんなときも、歯と口腔の健康づくりの環境が整っていなければなりません。
 最近、私の耳によく届く実例ですけれども、転倒などによる骨折で手術、そして生活復帰のため入院リハビリ治療を行う約3か月間、早く元の生活に戻れるようにリハビリに励みますが、そんな中、歯の不具合を訴える患者の声が届きました。
 院内で歯の治療を受けることができず、また、行きつけの歯医者に行くこともできなかったので、ボルタレンなどの鎮痛剤で痛みを抑えることとなりました。退院後、歯の治療に行きましたが、結果、歯を失うこととなり、今では食べることがおっくうで、おかゆや豆腐、硬いものははさみで切り刻んで食べるという食生活になり、日に3度の楽しみのお食事の時間が嫌々の時間となりました。体重は減るし、さきに述べたように、食べられないことでほかの病気を引き起こすのではないかと心配になると、入院中に歯を診てもらうことはできないのですかと相談を受けております。
 骨折治療で足腰は治るが歯の健康を失い、同時に食べることの喜びを失うことは、生活の喜びを奪い取ってしまい、とても残念です。和歌山県のリハビリを兼ね備えた病院の口腔外科の設置状況は、お手元の資料のとおり、充実しているとは言えません。しかも、医大や日赤は手術後は長期入院できず、傷が癒えたらほかのリハビリ病院に転院となってしまいます。全ての病院に口腔外科の設置は難しいと思いますが、入院患者さんの歯の検診ができる体制を構築することは可能であると考えますし、条例の目的、責務の部分に値するのではないでしょうか。
 令和7年には、紀北分院のリハビリが新病棟となり拡充される予定ですが、紀北分院にも現在、口腔外科の設置はございません。特に、リハビリに励む病院の入院患者さんには、歯の検診は不可欠だというふうに思いました。入院患者さん皆さんへの歯の健康づくり体制の構築について、福祉保健部長の答弁をお願いいたします。
 続いて、手話は言語である。
 初めに、和歌山県では平成29年12月、岸本健座長の下、議員提案による和歌山県手話言語条例が制定されました。
 条例の第1条、「手話が言語であるとの認識に基づき、手話の普及及び習得の機会の確保に関する必要な事項を定めることにより、ろう者とろう者以外の者が共生することのできる地域社会を実現することを目的とする」が基本理念です。
 先日、6月10日、11日と、第71回全国ろうあ者大会inおおいたの大会に和歌山県聴覚障害者協会の皆さんと一緒に参加させていただきました。
 ちなみに、大分県では、議員提案で令和3年3月に大分県手話言語条例が制定されていました。視察の目的は、来年6月、和歌山県が全国ろうあ者大会の開催県であり、全国から約3000人のお客様をお迎えするに当たり、勉強に入りました。大分大会は3日間行われ、子供から高齢者まで、それぞれの生活の問題を解消するためのたくさんの分科会、日頃の趣味である絵画等の展示、生活を快適にするための機械などの展示、そして観光コースの設定があり、3日間で存分に大分県を満喫できるプランとなっておりました。
 視察団は、来年の開催県としての目線で、ぜひ参考にすべきところ、反対に注意点の気づきや改良点など、和歌山大会の大成功に向けての鋭い目線に圧倒されました。最終日に、関係大臣、地元知事や市長、国会議員を来賓とする大会セレモニーが開催されました。手話が会場中に飛び交っている様子は、まさに手話が言語であることを感じ取りました。音声が言語か、手話が言語であるか、ただそれだけの違いなのに、コミュニケーションが難しいなというふうに感じました。コンビニ、タクシー、ホテル、駅、料理店、町中で手話が使えたらどんなにすばらしかったのにというふうな場面に遭遇しました。おもてなしの心として、簡単な手話の習得を推進し、来年の和歌山大会の成功につなげていきたいというふうに思います。どうか成功に向け、知事はじめ担当課さんの御協力、御支援をいただけますようお願い申し上げます。
 さて、手話言語条例の第12条、「聴覚障害のある幼児、児童又は生徒が通園し、又は通学する学校の設置者は、ろう児等がその特性に応じて手話を学び、又は手話を用いて学ぶことができるよう、手話を指導する者を確保し、及び教職員の手話に関する技能を向上させるために必要な措置を講ずるよう努めるものとする」と規定されております。
 第1条の手話の普及及び習得の機会の構築は、現在どのような構築をされていますか。進捗状況と成果を添えて、福祉保健部長の答弁をお願いします。また、第12条の「手話を指導する者を確保し、及び教職員の手話に関する技能を向上させるために必要な措置を講ずる」は、現在どのような措置を講じていますか、教育長の答弁をお願いします。
 現在、小学校には放課後児童クラブが設置されていますが、聾学校には放課後児童クラブ、学童保育はありません。働くお母さんにとって放課後児童クラブがないことが仕事への負担となり、本来なら聾学校へ通わせたいけれども、普通の小学校に通わしているという実例があると伺いました。さらに、聾学校へ通っている御両親からも、放課後児童クラブがあれば仕事との両立が楽になるのになという意見も伺いました。
 本年度中に聾学校の旧寄宿舎が解体されると伺っております。解体後の跡地利用については、学校関係者、聾関係者、皆さんの声を幅広く聴取し、聞こえない、聞こえにくい乳幼児や子供、支援の必要な学生のために、よりよい環境、対策を築いていただきたいと思います。
 その環境の一つが放課後児童クラブであると思います。聾学校への放課後児童クラブの設置について、福祉保健部長の答弁をお願いします。
○議長(濱口太史君) 福祉保健部長今西宏行君。
  〔今西宏行君、登壇〕
○福祉保健部長(今西宏行君) 歯と口腔の健康づくりは、生涯を通じて健康で生き生きとした生活を送るためには欠かせないものであると考えております。
 県では、和歌山県民の歯と口腔の健康づくり条例に基づき、和歌山県歯と口腔の健康づくり計画を策定し、歯科口腔保健の推進に取り組んでいるところです。
 とりわけ、県内どこでも必要な歯と口腔の保健医療サービスを受けられる環境整備が重要であると考えております。
 そこで、療養中の方や歩行困難等で通院が困難な方が自宅や入院中の病院等で歯科医師や歯科衛生士の訪問による歯科治療や口腔ケアを受けられるよう、在宅歯科医療連携室を設置し、対応できる診療所の紹介や相談など、訪問歯科診療の推進に取り組んでいるところです。
 県といたしましては、市町村や県医師会、県病院協会等の関係団体の協力も得ながら、入院中の方でも利用できる訪問歯科診療について県民に広く周知を図り、誰もが利用しやすい環境づくりに努めてまいります。
 次に、手話の普及についてでございます。
 手話の普及及び習得の機会の構築については、県職員等が聴覚障害者に対し、手話や筆談を交えながら基本的なコミュニケーションが取れるようになることを目的とした、県職員・市町村職員・事業所等職員向け手話講座を本庁及び各振興局で毎年開催し、令和4年度は308名が参加されました。
 また、県民の方に向けての普及啓発として、手話に気軽に触れる機会を提供することを目的とした「はじめての手話講座」を実施しており、令和4年度は計10回開催し、130名の方が参加されています。
 これらの講座の受講をきっかけに、自分でも手話で話がしたいと思ったり、手話奉仕員養成講座を受講するなど、ステップアップされる方もおられます。このほかにも、あいサポーター研修など様々な研修会を利用し、和歌山県手話言語条例の概要や、簡単な手話についての説明を行いながら、広く県民に知ってもらえる機会を設けているところです。
 今後も、引き続き様々な機会を活用し、手話の普及啓発に取り組んでまいります。
 聾学校への放課後児童クラブについてでございます。
 放課後児童クラブは、共働き世帯が増加する中、保護者が昼間家庭にいない児童の健全育成策として、また、仕事と子育ての両立支援策として重要な役割を担っていると認識しております。
 一方で、聾学校における放課後児童クラブの実施については、障害の特性に応じた支援員の配置や、県内各地から通学する児童の送迎手段の確保などの検討課題があることから、利用者のニーズも適正に把握しつつ、聾学校や和歌山市などの関係機関と協議を行ってまいります。
○議長(濱口太史君) 教育長宮﨑 泉君。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 和歌山県の聴覚障害教育の中核校である和歌山ろう学校では、聴覚障害のある教員の協力も得ながら、新任や転任者を対象とした集中的な手話学習や、全教職員を対象とした手話学習などを通じて、手話を用いて指導できる人材育成を進めています。
 また、聴覚障害教育部門を有する南紀はまゆう支援学校をはじめとして、他の特別支援学校に対しても、手話を用いて指導できる教職員の配置を進めています。
 加えて、教職員を対象とした特別支援学校教諭2種免許状取得のための講座の中で、聴覚障害教育分野の講座を毎年開講し、言語としての手話理解の必要性などについて学んでいます。講座を受講する幼稚園、小中学校及び高等学校教員は今年度62名と年々増加傾向にあり、特別支援学校以外の教員が手話を用いた指導や学びについての理解を深めることにつながっています。
 今後も引き続き、手話を用いた指導力の向上や手話に関する理解啓発を進め、聴覚障害教育を担う教職員の専門性向上に向けた取組を進めてまいります。
○議長(濱口太史君) 森 礼子さん。
  〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 本当に歯の健康というのはすごく大切だなというふうに、いろんな人の声を聞かせていただいて実感しました。入院中でも歯の治療を受けられる体制があるというふうなことでしたけれども、病院関係者さんだったり入院患者さんにも伝達がうまくいってないということなので、ぜひ、関係者さんと連携を図って、そして入院されるときには、歯の検診が受けられるというようなこともしっかり説明をしていただけるように、御配慮のほうを進めていただけるようお願いいたします。
 そして、聾学校への放課後児童クラブの設置に向けては、条例第12条の手話を指導する者を確保したり及び教職員の手話に関する技能向上が喫緊の課題であります。どうか働く女性の環境の充実や、仕事と子育ての両立の観点からも、指導者の手話の習得と向上、県民への手話が言語であることの周知に対して、対策を要望いたします。
 最後に、手話言語条例の制定が和歌山県内では紀美野町と湯浅町と広川町で制定ができていない状況です。全市町村への設置に向けて、推進の取組を重ねて要望いたします。
 最後に、学生の進路の充実と和歌山の即戦力として、料理学校の創設について質問します。
 中学校卒業資格で入学できる学校の一つに高等専修学校があります。高等専修学校は、中学卒業後の15歳から入学資格があります。1年制から3年制があり、3年制の高等専修学校のほとんどで、卒業後は大学等への入学が可能になり、進学や就職、資格取得の際に高卒と同等の扱いを受けることができます。
 社会で役立つ資格取得に力を入れている学校が多く、不登校や中退を経験した生徒も、学校生活を楽しめるよう配慮されていることが多いということです。
 和歌山県の高校進学率は99%で、令和元年で1.4%、令和2年で1.3%、令和3年で1.3%の高校生が中途退学しています。最近よく相談を受ける一つに、「子供が料理学校に進学したいけれども、和歌山に学校がないので大阪に通うことになりました。和歌山に料理学校があればいいのに」と、このような声は1人、2人ではなく、度々相談を受けています。
 観光立県和歌山、食の宝庫和歌山、フルーツ王国和歌山、観光で和歌山を元気に、誰もが願う和歌山が目指す発展の起爆剤です。
 私たち観光の楽しみの大部分が御当地グルメです。和歌山に来県される観光客を魅了するツールに、お食事は最大の観光資源であります。和歌山県のすばらしい食材をおいしく料理に仕上げるのは料理人であり、私は、料理人の育成は必要であると考えます。学んだ学生が将来、和歌山で手腕を発揮し、お料理というすばらしい芸術を披露し、和歌山を元気に盛り上げていく人材となることを確信しております。
 また、認可されている高等専修学校で学べる分野に、商業実務として、旅行、観光、ホテルがあります。料理とともに専攻コースを兼ね備えることで、多くの学生の進路の選択肢が広がり、観光立県和歌山にふさわしい高等専修学校にわくわくいたします。
 一方、現状の和歌山県立和歌山産業技術専門学院の要項では、中学卒業資格で技能訓練できるのは、理容のみです。複数の分野を学べるように要項を変更し、そこに料理訓練科をつくることが望ましいと考えています。やり方を熟考していただき、ぜひ、観光立県和歌山、学生の進路拡充のため、料理学校の創設について知事の御答弁をお願いいたします。
 さらに、昨今は、介護や医療が必要になっても、住み慣れた自宅や地域でサービスが受けられる在宅介護・医療が普及し、利用者の希望に寄り添い、医療費が抑制できることから、国も積極的に推進しています。在宅ケアには、食事、排せつ、入浴、コミュニケーションなどのサービスがありますが、ヘルパー、家族が特に安全性において気をつけなければならないのがお食事だと言われています。最近では、幼児のお食事の事故が相次いで報道されました。高齢者も一人一人、飲み込む力や筋肉の衰えが異なり、その人に合ったとろみ食や刻み食、嚥下食など、安全なお食事を提供する必要があります。病院食や介護食を学ぶことが必要、希望とする県民が誰もが年齢制限なく学べる体制の必要性を感じています。知事の御答弁をお願いします。
○議長(濱口太史君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 答弁申し上げます。
 森礼子議員の御指摘のとおり、食は観光にとりまして重要な要素の一つであります。観光立県和歌山の食の魅力を十分に観光客に伝えるためには専門的な知識が必要で、調理師の国家資格を有する者を育成するべきことは大変望ましいものと考えております。まずもっては、民間の料理学校が県内に進出することを期待しているところでございます。
 なお、森議員の御指摘の県立和歌山産業技術専門学院は、現在、設置後60年弱経過しております。今、建て替え等の検討が喫緊の課題となっているところであります。そういう状況でございますので、調理施設の設置等の大規模改修は、非常に困難ではないかと考えております。
 一方で、県といたしましては、2027年度から2031年度までの第12次和歌山県職業能力開発計画を策定する中で、学院の建て替えを含む施設の在り方ということも検討しなければなりません。そんな中で、森礼子議員御指摘の当該訓練科の要否についても検討してまいりたいと考えております。
 次の御質問でございます。
 高齢者は、そしゃくや嚥下能力の衰え等も現れるため、身体の状況に応じた介護食等を提供することが大変重要であります。
 介護食等につきましては、ホームヘルパーとなるために受講する初任者研修等におきまして、高齢者の状態に応じた食事や食べさせ方、あるいは食事の際の正しい姿勢等をカリキュラムに盛り込んでおり、各研修機関において座学と実習を適切に組み合わせた研修が行われている現状がございます。
 また、市町村におきましては、介護食等をはじめ、家族介護者向けに介護に関する知識や技術を学ぶ介護教室等が実施されております。
 県といたしましては、今の森礼子議員の御指摘を踏まえまして、引き続き、こうした市町村の取組を支援してまいりたいと存じます。
○議長(濱口太史君) 森 礼子さん。
  〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 とても力強い答弁をいただきまして、ありがとうございます。
 現在、やはり学生が県外で料理を学んでいるという状況はたくさんあると思いますので、その部分にはしっかり向き合っていただきたいなというふうに思います。
 そして、令和9年から13年の第12次の計画策定ということですけれども、コロナ禍で策定が止まっていたという時期もあったというふうに思いますので、その止まっていた部分をぎゅぎゅっと締めていただいて、迅速に対応できるように、よろしくお願いします。
 そして、学院へのお料理を含めた新たな訓練科の設立に大いに期待をいたしたいと思います。
 これで、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(濱口太史君) 以上で、森礼子さんの質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時21分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○議長(濱口太史君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 38番林 隆一君。
  〔林 隆一君、登壇〕(拍手)
○林 隆一君 皆様、こんにちは。日本維新の会の林隆一でございます。またこの場に立てたこと、御礼申し上げます。
 本当ね、最近はもう選挙もあって、皆さんもやれやれというところじゃないかなというふうに思うんですが、本当ね、県会議員に立つというのは、やっぱり気合入れないとなというふうに最近ちょっと思っておりまして、最近、県の方もそうなんですけど、よく、林先生、また来賓でお願いしますというのをよく聞くんですけど、その後、祝辞もお願いしますというふうによく言われるんですよ。ほんで、聞けば、私ですかと聞いたら、いや、奥様ですと。そういうのは度々続いておりまして、今日も、ある記者の方に囲まれたら、私の一般質問のことかなと思ったら、奥様の記者会見、いつするんですか、また奥様によろしくということで、本当ね、最近、秘書かなと思うような、錯覚するようなことが多いんですけど、県会議員として、今日ははっきりと、きちんとして質問をしたいというふうに思ってます。よろしくお願いいたします。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、一般質問をさしていただきます。
 一つ目は、大阪府が高校、大阪公立大学等の授業料等無償化制度を拡充予定であることを踏まえて、和歌山県民に対する高等学校、県立医科大学等の授業料等の無償化について質問をさしていただきます。
 さて、大阪府では、現在、大阪の子供たちが家庭の経済的事情等にかかわらず自由に学校選択できる機会を保障するため、所得制限はあるものの、高等学校等の授業料の無償化を行っているところでございます。
 この施策をさらに進めるため、先月9日、大阪府において戦略本部会議が開催され、所得や世帯の子供の人数に関係なく、公立、私立にかかわらず、高校等の授業料を完全無償化する素案が示されたところでございます。さらに、大阪公立大学、大阪公立大学工業高等専門学校に通う大阪府民に対して、所得や資産、世帯の子供の人数に関係なく、授業料及び入学料を無償化することも素案に含まれております。
 この素案では、令和6年度より、例えば高校においては高校3年生から、大学においては大学4年生から段階的に無償化を進め、令和8年度に無償化制度の完成を目指すものでございます。
 また、高校等においては、大阪府内の学校だけではなく、大阪府民であれば、大阪府以外の近隣の私立の高校に通う生徒も無償化の対象とされることとなっております。
 和歌山市の学校の私立の一つは、もう生徒の3割以上4割未満が大阪から通っているという生徒もいるんですね。和歌山にありながら大阪から通う子は無償である。しかし、和歌山、地元の人が有償だというのはどうもおかしいなというふうな声が上がってくるんではないかということを危惧しております。
 そして、今後、大阪府においては、大阪府だけでなく、近隣府県の私立高校等に対しても参加を促す調整を始めると聞いており、和歌山県内の私立高校等においても、この大阪府の無償化制度に賛同するものではないかと、そういうふうに考えております。
 和歌山県における私立高校の平均授業料は、令和4年度で年間約46万円となっております。国の就学支援金による支援により、年収目安が590万円以下の家庭は年間約6万円の負担で済みますが、年収目安が590万円から910万円以下の家庭は年間約34万円の負担、年収目安が910万円を超える家庭では国の支援がなく、年間約46万円を負担しており、3年間の授業料となると大きな金額となっております。
 仮に、和歌山県の私立高校等が賛同することになると、大阪府在住の生徒は授業料無償、和歌山県在住の生徒は有償と、生徒間において不公平感が生じるものと思われます。
 さらに、懸念する点としては、大阪府在住であれば授業料、大阪公立大学等においては入学金も無償となるため、和歌山から例えば大阪府南部の地域へ移住し、和歌山あるいは大阪の私立学校等へ通学する、大阪公立大学等へ進学しようと考える家庭が増えるものと考えられます。結果、和歌山県の人口流出につながるんじゃないかということを非常に心配しております。
 こうしたことは、私立高校だけではなく、公立高校、県立医科大学についても同様の影響を受けるのではないかというふうに考えております。
 私は、常々、教育については格差があってはならないと考えておるところでございます。
 そこで質問いたします。
 和歌山県在住の生徒は、私立高校の全生徒数約4800人のうち約3100人、そして公立高校の約1万9000人、県立医科大学の県内生は全学部で約1500人のうち約550人と聞いております。
 本県においては、高等学校や県立医科大学等の授業料等を無償化すると財源がどれぐらい必要なのか。また、和歌山県の人口流出を抑えるため、本県において無償化を進めることができないのか、知事にお伺いいたします。
○議長(濱口太史君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 知事岸本周平君。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 林隆一議員にお答え申し上げます。
 議員御指摘のとおり、私立高校は、県内の子供たちが進路を選択するに当たりまして大変重要な役割を担っていると考えております。
 大阪府の新しい制度ができまして、和歌山県内の私立高校も無償化の対象となった場合なんでありますけれども、県内の私立高校を進学先として選択する大阪府内からの生徒も一定程度いるものと想定されます。その場合には、和歌山県内の私立高校の側からすれば、私立高校側に負担がない場合には、新たに負担が生じない場合には、生徒確保の観点からして、この制度に賛同する学校も出てくる可能性は私は否定できないと考えております。
 一方で、県民の側ですね、和歌山県民の方が大阪府の制度を受けるためには、これは大阪府内に移住する必要がございます。移住するとなると大変なことでして、引っ越しの費用もかかりますから、あるいは新たに住まいを用意しなければいけないというようなこともあります。生活環境も変化いたします。ですから、無償化によって受けられるメリットと移転に伴うデメリットを恐らく総合的に判断をされるわけでしょうから、まあどちらになるかよく分かりませんので、今後の動向については和歌山県としては十分に注視をしてまいりたいと思っております。
 それで、林議員御指摘のとおり、和歌山県が大阪府と同様の制度を導入した場合どうなるかということでありますけど、概算でございますけれども、私立高校、県立高校の無償化に約11億円かかります。それから、県立医科大学の無償化でありますと約3億円の負担がそれぞれ毎年発生いたしますので、毎年14億円もの巨額の財源が必要となります。
 これも午前中申し上げましたとおり、和歌山県は現在、財政危機宣言を出すほど大変厳しい財政状況でございますので、その中でも賢いやりくりということで、事業点検や見直しを繰り返しながら瀬戸際の県政運営を行っているところでありますので、このような巨額の金額ですので、県の財政に与える影響が非常に大きいということでありますので、現状では、現時点では、大阪府と同様の制度を創設することはなかなか難しいのではないかと考えております。
 仮に、私どもが県議会の先生方の御指導をいただいて賢いやりくりができたとした場合にも、私どもとしては、より多くの方々の教育費の負担軽減につながるような取組にその財源を使っていきたいと考えているのが現状でございます。
○議長(濱口太史君) 林 隆一君。
  〔林 隆一君、登壇〕
○林 隆一君 御答弁いただきました。
 岸田首相が異次元の少子化対策を打ち出し、先週、6月13日、その具体的な中身となるこども未来戦略方針が閣議決定されたところでございます。
 このこども未来戦略方針における基本理念の一つに、「全てのこども・子育て世帯を切れ目なく支援する」とあり、「親が働いていても、家にいても、全ての子育て家庭を等しく支援すること」が必要と明記されております。
 しかし、具体的な施策として、大学等の高等教育費の負担軽減についての施策であり、高等学校等の授業料完全無償化については記載されておりません。
 そこで再質問いたします。
 本県の財政状況は厳しく、大阪府と同様の制度を創設することは難しいとのことでございますが、国において少子化対策が進められている中、教育無償化に向けた予算の一層の拡充を国に求めてはいかがでしょうか。知事にお伺いいたします。
○議長(濱口太史君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
 教育費の無償化を国に対して要望していったらどうかという御指摘でございます。
 この教育費の無償化ということにつきましては、これが公立高校全体にどのような影響を及ぼすのか、あるいは所得の高い人も含まれるわけでありましょうから、所得に応じた負担の在り方ということや手法につきまして、これはやはり全体的に慎重に検討すべき課題もあると考えておりますけれども、林議員からの御指摘でございますので、こういう問題点も含めてしっかりと勉強してまいりたいと考えております。
○議長(濱口太史君) 林 隆一君。
  〔林 隆一君、登壇〕
○林 隆一君 御答弁いただきました。
 さきにも申し上げたとおり、地域ごとで教育の格差はあってはならないと考えており、また、和歌山からの人口流出がこれ以上広がらないためにも、知事には前向きな御検討をお願いしたいと思っております。
 それでは、引き続き、次の質問に移ります。
 2点目は、財政危機警報に関する問題でございます。
 本年2月6日に、県において財政危機警報が発令されました。その内容としては、令和14年度までの財政収支を県において試算したところ、何ら対策を講じなければ、令和7年度には財政調整基金、県債管理基金が底をつくという試算の結果が明らかになり、速やかに財政構造を見直していく必要がある、令和5年度を財政見直し元年と位置づけをし、新中期行財政経営プランの終期年度である令和8年度までに、事業の見直しや予算の賢いやりくりを徹底することにより、将来にわたり持続可能な県政に資する財政運営を行えるよう努めてまいりますとしたものでございます。
 奈良県において、5月に新たに就任された山下知事は、費用対効果が検証されていないとして、今年度の予算執行を一時停止していた20項目のうち15項目の事業費をカットし、73億5000万円の執行を中止すると思い切った決断をされたところでございます。事業費をカットしたものには、スポーツ施設整備や大規模広域防災拠点整備など大型事業があり、将来にわたる事業費の削減総額は約4730億円にも上る見込みとのことでございました。そして、今回の予算削減で確保した財源は、山下知事が公約に掲げていた教育無償化や福祉政策に充てるという方針を聞いております。
 財政危機警報を発令した和歌山県においても、公共施設や公共事業に係る予算を抜本的に見直す必要はないでしょうか。
 そこで質問いたします。
 今後、財政危機警報に基づく予算の見直しをどういうふうに進めていくのか、知事にお伺いいたします。
○議長(濱口太史君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
 高齢化の進展に伴いまして、社会保障関係費の増加が見込まれます。それから、足元の物価高騰や金利の上昇によりまして、この先の財政状況は大変厳しくなるということが見込まれましたものですから、この県財政の瀬戸際を脱却するために、令和5年2月に財政危機警報を出させていただいたところであります。
 和歌山県では、近年、国と歩調を合わせて公共事業を積極的に推進してまいりました。その結果、大変ありがたいことに、道路網など県内のインフラが整備されました。地震や風水害に備えた防災・減災対策も大きく前進、進展しております。
 その一方で、投資に伴う借入れの増加によりまして、県債残高は増加傾向にあります。補助金はあくまでも補助金ですので、残った部分は県の借金をしなければいけないということで、これが大きく膨らんでまいりました。
 その結果、公債費の負担、元利払いも年々増える見込みでございます。例えば、今年度当初予算で、公債費のうち交付税措置がなされない県の実負担、これが予算上225億円ございますけれども、10年後の推計をいたしましたところ、何と倍の436億円にこの負担がなると見込まれています。ただ、これは今の金利状況ですので、金利がこの後、恐らく上がってまいりますでしょうから、金利が1%上がるごとに33億円の利子負担が増加する状況であります。
 このように確実に増加していく公債費に対しましては、毎年の増加分の半分を昨年度設置させていただきました公債費臨時対策基金の取崩しで賄います。そして、残り半分を予算編成過程において捻出する公債費償還財源確保スキームによりまして、少なくとも令和8年度までは財政負担の軽減を図っていくということを決定、部内的には決めさせていただいております。
 その上ででもありますけれども、実は、私は、生意気を言うようでありますけど、予算のプロとしての自負がございます。予算をつくるときに私が大蔵省主計局で学んだことは、先輩から、予算に飛躍なしということでありました。予算に飛躍なし。予算は、急に増やしてもなかなか消化が大変です。急に減らしたら、この予算によって事業をしてたいろんな方々に御迷惑がかかります。したがいまして、やはりそこは急激な変化というのは予算のプロとしてはやってはいけないというふうに、もう骨身にしみておりますので、あんまり県民の皆様に御迷惑かけるようなことにはならないように、しかし一方で、義務的な経費を除きました政策的経費につきましては、まず優先順位を整理しまして業務量を減らしていくと。予算に着目するよりも、今無駄な──無駄なと言うと失礼なんですけど、県庁の職員の方がいろいろやってる業務のうち、優先順位をつけまして、補助金なんかも本当に役に立っているのかどうか、ここは丁寧に見直しをさせていただきたいと思っております。その上で、予算の急激な増減は県民生活に多大な影響を与えますので、ともかく丁寧に現場の声に耳を傾け、執行状況調査、精査してまいりまして、できる限り丁寧かつ着実に賢いやりくりをしていきたいと、このように考えております。
 さらには、歳出面の取組だけではなくて、歳入面におきましても、交付税措置率の高い県債、まさに国土強靱化はそうなんです、交付税措置率の高い県債など有利な財源を積極的に活用することによりまして、来年度予算編成に向けまして、まずは持続可能な財政構造を実現するための取組を行ってまいりたいと考えております。
○議長(濱口太史君) 林 隆一君。
  〔林 隆一君、登壇〕
○林 隆一君 予算のプロとしての御意見、よく理解できました。ぜひとも、持続可能な財政構造を実現するように推し進めていっていただきたい、そのように思っております。
 また、財政を見直した結果について、県民の皆様に分かるような具体的な形で示してくださいますようよろしくお願い申し上げ、次の質問に移ります。
 令和6年度の施策及び予算に関する和歌山県の提案・要望についてでございます。いわゆる政府要望についてでございます。
 5月24日に我々県議会議員に説明され、5月31日、当局から県選出の国会議員の皆様へ説明されたところでございますが、今回の要望項目について気になるところがございました。
 言うまでもなく、政府要望の目的は、県が直面する課題や取り組んでいる施策について国に理解を求めることで、来年度の国の施策や予算の編成に反映してもらい、県の課題解決や施策の推進を図るものと理解しております。
 昨年度、令和5年度の政府要望については要望項目は77項目ございましたが、知事が絞り込みを指示した結果、来年度の政府要望は重点項目12項目とそれ以外の25項目の合計37項目と、昨年度より40項目減少しております。
 本年度は、随分重点項目が整理され、見やすい要望書だったというふうに私は思っております。私も、昨年度までは、説明を聞きながら、非常に項目が多いと思っておりましたが、知事も昨年度までは国会議員として、県から説明を受ける立場として同じような思いをされたのではないか、そういうふうには思っております。
 そこで質問いたします。
 来年度の政府要望の項目数を大きく減らしたのはどういう理由でしょうか。知事にお伺いいたします。
○議長(濱口太史君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
 議員御発言のとおり、和歌山県、本県では、県の課題解決や施策の推進に向けまして、例年、国の関係省庁等へ積極的に政府提案・要望を行っております。
 昨年度は、全体で77項目と項目数が多く、網羅的な要望になっておりました。今、林議員が御指摘されましたように77ですので、あまりにも多いもんですから、どの項目が重点なのか分かりにくいという御指摘も多々お聞きしたものですから、今年度は本当に重要な項目だけを本気で要望するということで項目を統合いたしまして、もちろん別途、全国知事会や関西広域連合の場を通じて要望することもございますので、提案項目を絞り込まさせていただいた結果であります。
 重点項目12項目、それから、各部長さんたちが各省庁でお願いをする部局要望が25項目、計37項目としたわけでありますけれども、必要かつ十分な重要な要望はこの中に入っているものと認識をしております。
 今後も、国の関係省庁等に対し、県が必要とする予算、制度につきまして、県の課題解決や施策の推進が図られますよう、県議会の先生方の御指導をいただきながら、分かりやすい形で要望させていただきたいと思っております。よろしくお願い申し上げます。
○議長(濱口太史君) 林 隆一君。
  〔林 隆一君、登壇〕
○林 隆一君 御答弁いただきました。
 政府要望については、本県における課題解決や施策の推進のための県の強い思いが国に確かに届くような形で今後も要望を行っていっていただきたいと、そういうふうに私は思っております。
 最後に、今回、高等学校等の無償化、財政危機警報、政府要望について質問いたしましたが、本県の財政状況が非常に厳しく、人口も年々減少している中であるものの、和歌山を元気にしたい、県民の幸せにつなげたいという思いから知事に伺った次第でございます。
 岸本知事は、和歌山が最高だと子供たちが思う未来を目指して県政を進められておられます。すばらしいことだと私も思っております。今後、知事のスローガンが実現され、和歌山の子供たちを含む県民が和歌山が最高だと実感できる県政を進めていただきますようよろしくお願いを申し上げ、私の一般質問を終了いたします。
 御清聴いただき、どうもありがとうございました。(拍手)
○議長(濱口太史君) 以上で、林隆一君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 10番佐藤武治君。
  〔佐藤武治君、登壇〕(拍手)
○佐藤武治君 皆さん、こんにちは。
 お昼からの質問であります。少し(目元辺りを指す)この辺が落ちてくると思いますけれども、もう少しお付き合いのほど、よろしくお願い申し上げます。
 さて、今年の近畿地方の梅雨入り、5月29日頃と、昨年と比べて16日早く、平年と比べても8日ほど早くなりました。
 農家の方などについては、雨も必要ではありますけれども、最近は毎年のように豪雨による災害が発生をし、多くの地域で被害を受けています。
 県でも、6月2日、台風2号の接近により線状降水帯が発生、その大雨により2名の方の貴い命が失われ、1名の方の行方がいまだに確認をされておりません。また、海南市をはじめ多くの地域では、家屋や道路、河川、農作物などに大きな被害が出ております。
 被災された皆様に、改めてお見舞いを申し上げます。
 実は、私も、その日に熊野INTERNATIONAL ROAD RACEフェスタ2023というのが私の近くの古座川町で開催が予定をされておりまして、そのセレモニーに出席をするため、スタート地点でありますぼたん荘まで行ったんでありますけれども、朝から大雨警報が出ておりまして、セレモニーの開始直前でその大会が中止になったところです。アメリカ、オランダなどの外国チームもエントリーをされておりまして、楽しみにしておったんですけども、非常に残念な思いをしたところです。
 ただ、翌3日、4日の第23回ツール・ド・熊野の2レースは、天候も回復をし、無事に開催をされました。4日のセカンドステージの太地半島周回コースのセレモニーに出席をし、観戦をしたところです。自転車ではありますけれども、身近に見ると、そのスピードと迫力には、なかなか思わず、うーんと、うなったようなところであります。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、私の一般質問に入ります。
 まず、知事が就任してから約6か月になります。その間、独自の取組を幾つか始められました。例えば、知事室で昼食を取りながら懇談するおにぎりミーティングを実施しました。若手の職員から意見を聞くなどしており、最終的には全職員を対象とすると聞いております。
 前知事が行っていた市町村ごとに県の政策を説明していた行政報告会を廃止し、住民の声を直接聞くタウンミーティングをやりたいと、1月早々に第1回目を田辺市で開催、今までに18か所で行ったと聞いております。
 4月19日には、私の地元、串本町でも、南紀熊野ジオパークセンターで実施をされ、集まった参加者の生の声を聞いていただきました。
 今回は、和歌山ロケット応援団の方で、聞けば、串本や浦神地区の方たちであります。熊野古道のガイドの方も入っていたようであります。ほかには南紀串本観光協会の方が参加されたと聞いております。
 知事から、冒頭、「地域の草の根で活動されている皆さんには本音で話してほしい。できるだけ改善すべきところは改善をしていきたい」という発言があったと伺っております。
 ロケット応援団の方たちからは、ロケット打ち上げを生かして取り組みたい要望や意見、また、近隣の古座川町はロケットの話から取り残されている感があるので、県の方に先頭を切って盛り上げてほしいとか、そういう話、そしてまた観光協会の事務局からは釣り公園の要望とか、多くの意見・要望があったと聞いております。知事からは、「前向きな話が多くて、夢があっていいことです」と発言があったということであります。
 そこで質問でありますけれども、これまで行ってきたタウンミーティングの中で、住民からいろんな意見や要望があったと思います。知事自身、これまでのタウンミーティングで特に印象に残った意見や要望、あるいは、すぐにでも施策に移せそうな提案等はあったのでありましょうか。これまでのタウンミーティングに関する知事の所感についてお伺いをいたします。
○議長(濱口太史君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。
 知事岸本周平君。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) 佐藤議員にお答え申し上げます。
 タウンミーティングにつきましては、私が就任して始めました。まずは、何より県民の皆さんの生の声をお聞きしまして、その思いを生かした県政をつくりたいという目的で、地域地域で様々な活動をされている皆さん、大体10人ぐらいお集まりいただいて、1時間から1時間半ぐらいの時間で意見交換をさせていただいております。これまで18か所やってまいりました。
 そういう様々な地域で御意見や要望をお聞きする中で、その場には私どもの地元の代表である振興局長さんには必ず同席をしてもらってます。また、市町村長さん、あるいは市町村の役場の方にも同席をしていただくようにしておりますので、お話の中では、あっ、そんなことなら今すぐやりますよというようなことで、例えば、学童保育、必要だという話があって、そんなんだったらやれますよみたいな話もありました。それは湯浅町でしたけれども、そういうこともありました。
 そして、いろんな御要望も、すぐに答えの出ないものもありますんで、必ず振興局長が引き取りまして、県の行政であれば必ず振興局長が担当者と相談してお返しをするということも心がけているわけであります。
 そして、所管でありますけれども、今、佐藤議員の御質問にありましたが、串本町のタウンミーティングでは、ロケット打ち上げを生かした取組への御要望をいただく一方で、古座川ですけれども、ロケットの話から少し取り残されているというような生の本音の地域の実情を伺うことができました。
 それを受けて、振興局がスピード感を持って対応して、地域の方が集まる会議においてロケットに関する講演を行い、地域ぐるみの活動につながるような取組につながったというふうに考えております。
 ともかく、現場の話を聞かせていただけるというのが何よりもためになると感じております。また、世代が、いろんな世代があるんですが、本当に皆さんそれぞれ頑張っておられるなあということを実感しました。
 それから、地域によっては移住・定住の方も参加していただくタウンミーティングがありまして、Iターンの方ですね、縁もゆかりもない方がこちらに、和歌山に来られたIターンの方は、すごく和歌山を愛していただいておる。我々以上に和歌山愛があって、和歌山のよさを感じていただいてます。
 また、Uターンの方たちも再認識ですね、もともと生まれ故郷ですけれど、その和歌山のよさを再認識されるということで、お話聞いてますと、Iターンの方とUターンの方が協力されてる地域ほど、まちおこしがうまくいってるなあというふうにも感じたところであります。
 それから、案外、シニアの方と中堅と若い方がうまく協働してやってるなあというのもございまして、そういう生の声を聞かせていただくのが私の一番の励みになっているところでございます。
○議長(濱口太史君) 佐藤武治君。
  〔佐藤武治君、登壇〕
○佐藤武治君 答弁ありがとうございます。
 知事のほうから、タウンミーティングの所感を聞かしていただきました。
 そのIターンの方、本当にUターンと、私も何人かの方もお話しする機会もありましたけれども、しっかりと本当に地元、ほんまにある意味、私以上に分かってる方も多くて、こういう方たちが先頭を切って、こういうふうな知事に御意見言っていただく機会を設けていただいたということは非常にいいのかなあというふうに思っております。
 それで、今言われましたように、Iターン、Uターンの方というのは、うまくコラボしてるというか、お互いの魅力を引き合ってるというか、そういうふうな手応えも感じてるところでありますので、また引き続き、こういうことはよろしくお願いをしておきたいと思います。
 それから、次に、今後のタウンミーティングの進め方についてですけれども、この今やってる一通り、現在の計画が終わるのがいつかちょっと分かりませんけれども、2回目以降についても、趣向を変えながら、各地域で夢を持ち活動している方たちとのミーティングをぜひとも重ねていただきたいなあと、こういうふうに思います。
 また、より多くの県民の意見を吸い上げるためには県内の隅々まで行っていただく必要があるかと思いますけれども、この点、知事はどのようにお考えでしょうか。
 さらに、参加者についても、幅広く一般の方、一般住民というんかな、地域地域で本当に若い方が、私の知ってる限りでも地元でもたくさんの若い方が頑張っている方がおられます。そういう方たちもぜひこのタウンミーティングに今後参加できるような、そういうこともできないかなあというふうには考えております。その点も知事についてのお考えをお願いいたします。
○議長(濱口太史君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
 今御指摘のとおりでして、私もできるだけ隅々まで県内各地、回りたいと思っております。市町村の数は30なんですけれども、合併する前の地域を考えております。ですから、例えば田辺市でも龍神村、あるいは中辺路、本宮、それぞれの地域でやっていきたいと思ってますし、有田川町であれば清水でやるとか、そういう細かく回っていきたいと思ってます。
 それから、当然、各地域1回、あと私の任期、あと3年半ありますので、ともかくずうっと何度も何度も回らしていただきたいと思っております。
 そうしますと、意見交換を1時間から1時間半でやるためには10人程度でないと回らないんで、やっぱり限られます。ですから、1回目は商工会議所の関係者であれば、2回目は農業の関係とか、3回目は林業、あるいは移住・定住、それぞれの地域ごとにいろんな分野で、この辺は振興局長さんと地元の市町村長さんとで相談いただいて、何度も何度も違うパターンで、できる限りいろんな業種業態、年齢層、そういう形で、できるだけ女性の参加も多いようにお願いをしているところでありますので、できる限り幅広い皆さんとお話を続けていきたいと思っております。
 ぜひ、現場の声を聞かせていただくというこのタウンミーティングは一生懸命やっていきたいと思っておりますので、御協力、御理解、お願い申し上げます。
○議長(濱口太史君) 佐藤武治君。
  〔佐藤武治君、登壇〕
○佐藤武治君 知事、ありがとうございます。
 本当に公務忙しい中ではあると思いますけれども、今言われた本当に隅々まで、若い方やいろんな1次産業の方とか幅広い方の御意見を直接聞いていただいて、恐らく知事の目的であろう県民が笑顔になる和歌山のためにということであります。そのためには、直接県民の声を聞いて、その思いを生かした県政を共につくっていきたいというような知事の思い、これを何とか実現していただけたらと思います。よろしく期待をしております。
 そしたら、この項目の最後でありますけれども、このタウンミーティングについては、当然のことながら、聞いて終わりではない。今後の知事のやる気、つまり住民の意見を受けて県としてどのように対応するのかが問われることになると思っております。
 串本町のタウンミーティングでは、進行役として東牟婁振興局長が出席をしておりました。住民から出た意見についてどのように施策に反映していくのでしょうか。私自身、地域の方が身近に感じる振興局の役割が大変重要だと考えておりますけども、その点、知事の考えをお伺いいたします。
○議長(濱口太史君) 知事。
  〔岸本周平君、登壇〕
○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。
 これは、私も昨年の知事選挙のときにも申し上げてまいりましたし、知事に就任しましても職員の皆さんにお願いしたんですけれども、やはり県の行政の最前線は市町村長さん、市町村の現場であります。したがいまして、私たちも、県の職員も、あるいは幹部も、ともかく現地に出向いて、できる限り現場のお話を聞くという姿勢は大事だろうということでありますけれども、さはさりながら、本庁なら本庁の仕事がございますので、何より振興局を現場の最前線の私どもの出先として活性化をしていきたいということであります。
 これまで、実は、財政だけではなくて、行政改革という観点がありましたもんですから、この20年間、県庁の職員数は減っております。減っているんですけれども、減っている中身は、ほとんどが実は振興局の定員なんですね。振興局の業務を整理合理化するという、効率化という名の下に、人を引き揚げてきてるという経緯がございました。
 これで本当に、それで本当に地域のニーズが分かるのか、現場のお声を拾えるのかということを、今、私も職員の皆さんと一緒に考えているところでありまして、そうなりますと、まず振興局にできる限り権限を戻すとか、あるいは、そうなりますと人員が必要になってまいりますから、そういう予算定員の面からも振興局をどうやって活性化していくのかという検討を、まさに令和5年度現在、県庁内で、けんけんがくがく議論を始めたところであります。ともかく振興局を大事にしたいということであります。
 その意味では、振興局長さんたちが、今、本当に駆けずり回っていただいてまして、市町村のみならず、商工会とか農業のJA、森林組合、いろんなところへ振興局長さんが出向いていただいておりますので、今後、市町村の皆さんとタッグを組んで、振興局中心に我々も精いっぱい汗をかかしていただきたいと考えております。
○議長(濱口太史君) 佐藤武治君。
  〔佐藤武治君、登壇〕
○佐藤武治君 ありがとうございます。
 先日、知事が読売新聞のインタビューに答えておった記事を拝見させていただきました。ここにも、今言われたようなことをインタビューでお答えをしていたというふうに思っております。手元に今、そのあれがあるんですけれども。
 本当に大事な振興局の役割、今、以前と比べたら人数が減ったとか言っておりましたけど、僕もちょっと逆かなというふうな部分があって、それやから各市町村であったり地元住民の意見が今まで吸い上げられる機会が少なかったんやろうなあと、こんなふうに感じたところで、このような今回質問をさせていただきました。
 それで、タウンミーティング、串本でやっていただいた後に、南紀串本観光協会の、今、局長されてる宇井さんって、この方、以前、海中公園のほうに勤められておった方で、その後、前局長が体調を崩した後、就任されたと思うんですけど、この方は非常にいろんな新しい企画をつくるというんかな、非常にうまいなと以前から僕も感心しておったところですけれども、いろんな仕掛けをして、串本に多くの方を呼び込んでいきたいというような、非常に積極的にやっている方なんでありますけれども、その方にタウンミーティングのことを少しお話をしました。知事は気さくに私たちの意見や要望を聞いていただいて、取り組めることはぜひ振興局を窓口にしてやっていきたいと言ってくれたんですよと。参加した人たちも、その知事の言葉を聞いて勇気づけられたみたいな話をおっしゃっておりました。
 私自身も、今言ったように、遠い各担当課の専門の方と、それもいいんですけれども、やはり地元の振興局の方を窓口にして、地域のことをしっかりと振興局の方に聞いていただくことが大事であろうな、このように思って、それがまたまちづくり、まちおこし、地域の活性化につながっていくもんだなあというように思っております。
 今後も、ひとつしっかりと知事については、その点もお願いしながらミーティングをやっていただきたい、このように思っております。要望しておきます。
 それでは、次の質問に入りたいと思います。
 次の質問、和歌山県における自殺者についてであります。
 この自殺に関しての質問については、私が4年前に議員になった後に、令和元年9月議会で山下議員が、令和2年6月議会で玉木議員が、そして同じ令和2年の12月議会で長坂議員が、それぞれ一般質問をしております。直近は長坂議員であったんですが、それから2年半が経過しているところであります。
 実は、今回、私がこの質問をするきっかけとなったのが、この今年の令和5年2月定例会の直前に私が議員会館に連日泊まっておったんですが、そのときに、私の長い間の友人である2歳年下の方が自殺で亡くなったというLINEが入りまして、非常に私自身もショックを受けて、今もちょっといろいろと思うところがあるんですけれども、後で聞きますと、その友人が非常にあることで鬱状態になっておると聞いておりました。一番心配したのが、最悪のことがいつか起こるんじゃないかなというふうな、自分自身にも気持ちがあったんですけれども、それがちょうど議会始まる直前に最悪のことになったということで、自分が長い間友人であった方に何もできないというこの悔しさと無念というのが今も自分の中にはあるんですけれども、そういうこともありまして、今回ですね。
 先日、皆さんも見たことあると思いますけれども、地方新聞に、「令和3年の県内の自殺率、全国2番目の高さ」という見出しがありました。県内の自殺者数は186人、前年より35人増加したと。自殺死亡率は、人口10万人当たりで、ここでは20.5人で、全国平均は16.5人らしいです。自殺死亡率が全国で2番目の高さであるという、そういう内容の記事でありました。
 もう少し紹介しますと、県によると、自殺者は2015年から7年連続で全国平均を上回っており、このうち、2018年は21.2人──全国平均はそのときに16.1でありました──全国でも最も高かったということであります。性別では、いずれの年も男性が女性を上回り、約4倍の差がついた年もあったということであります。
 一方で、自殺者数は2008年の293人をピークに減少傾向にあったが、2012年からは下げ止まり、200人前後を推移しておる。その後、2020年には151人まで減ったということですけれども、2021年は再び増加したという、このような内容の記事でありました。
 県でも、第1期和歌山県自殺対策計画で、自殺未遂歴がある方の割合が全国に比べて非常に高いという現状から、緊急医療機関の協力を得て、自殺未遂で搬送された方やその家族の同意を得て、保健所の職員が本人、家族と連絡を取って、自殺の原因となった問題の解決に向けた相談を行う取組や、電話相談を365日24時間体制に変えたり、SNSを活用した相談窓口も開設したりと、新たな取組をしていると聞いております。
 ただ、残念なことに、今回の数字を見る限り、その効果があまり現れていないんではないかなというふうには思ってしまうところもあります。これに関して当局はどのように捉えているのか。県内の自殺者の現状も含めて、第1期和歌山県自殺対策計画での取組、課題について福祉保健部長にお伺いをいたします。
○議長(濱口太史君) 福祉保健部長今西宏行君。
  〔今西宏行君、登壇〕
○福祉保健部長(今西宏行君) 本県においては、平成30年4月に、計画期間を令和4年度までとする第1期和歌山県自殺対策計画を策定いたしました。
 本計画では、これまで行ってきた自殺予防のための啓発や教育の充実に加え、自殺未遂者の自殺再企図を防止するための取組のほか、電話相談の24時間体制への拡充やSNSを活用した相談窓口を開設するなど、総合的な自殺対策の充実を図ってまいりました。
 しかしながら、現在も毎年150人から200人の方々が自殺により亡くなられており、直近の令和4年では176人となっており、人口10万人当たりの自殺者数を示す自殺死亡率も、全国と比べ、高い水準となっております。
 自殺の多くは、子供・若年層、中高年層、高齢者層の三つの世代のライフステージにおいて特有の課題があります。また、多様で複合的な原因や背景、様々な要因が連鎖する中で起きております。
 社会経済情勢の変化等に応じて必要な支援を行えるよう、関連施策との連携強化を進めるとともに、市町村など関係機関と連携し、県全体で自殺リスクを低下させることが重要であると認識しております。
○議長(濱口太史君) 佐藤武治君。
  〔佐藤武治君、登壇〕
○佐藤武治君 どうも御答弁ありがとうございます。
 今、部長のほうから、自殺死亡率も全国と比べて高い水準であるということとか、今後、関連施設と連携を強めて自殺リスクを低下させることができるようにというふうな答弁がございました。重要な課題であるという答弁をいただきましたけれども、頂いた資料を見ても、現状と課題ということで、平成18年から令和3年までの県内の自殺の方の人数が載ってるわけですけども、10万人当たり、高いと今言われましたけど、ここはもう平成24年で180人で、そのときは全国42番目と。これ、いろんな、令和3年は186人で2番目やと。同じような人数なんですけども、うちは人口が少ないので、分母が小さいので、何人かが7~8人とか10人ぐらい増えれば、いきなり順位が上がっていくというような傾向にあるんで、私自身はその自殺率ということはあまり重要視はしてないと思うんですが、1人でも要は人数を減らしてほしいんだというふうには強く思うところであります。
 そこで、今回、県では、第2期の和歌山県自殺対策計画をつくっておると思います。資料を見ると、今までの資料ですけれども、やはり特に働き盛りの40代、50代の男性に多いというような数字が出てると思います。原因については、今、あれですけれども、全ての年代で健康であるとか、中高年であれば経済的な問題や生活の問題が高くなっているように思います。これはもう全国でも同じようなデータで、同じ傾向が見られます。
 今度、この2期の計画では、数値目標で平成24年から28年の5年間の平均死亡率、ここを令和9年までに30%減少させるようにというふうなことだと思いますけれども、第1期の計画を踏まえて、この2期の和歌山県自殺対策計画において、特にここは強化したいなという部分がもしあれば、福祉保健部長、その点について、ここは聞いておきたいと思います。よろしくお願いします。
○議長(濱口太史君) 福祉保健部長。
  〔今西宏行君、登壇〕
○福祉保健部長(今西宏行君) 本県では、令和4年10月14日に国が定める自殺総合対策大綱が改定されたことから、令和5年4月に第2期和歌山県自殺対策計画を策定いたしました。
 計画策定に当たっては、第1期和歌山県自殺対策計画の各取組の達成状況を評価分析することで、目標値の見直しを行いました。
 また、自殺対策をより強化するため、ギャンブル等依存症者に対する専門医療機関の選定を行うとともに、産後鬱予防を含めた妊産婦のメンタルヘルス対策の実施を新たな目標値として掲げました。
 さらには、特に、日頃から県民一人一人が周りの人の自殺の危険を示すサインに気づいた場合に適切に行動することができるよう、ゲートキーパーをはじめとする人材の養成が重要であると考えております。
 引き続き、和歌山県自殺対策強化補助金等の活用により市町村や民間団体と連携しながら、総合的な自殺対策の充実を図ってまいります。
○議長(濱口太史君) 佐藤武治君。
  〔佐藤武治君、登壇〕
○佐藤武治君 答弁ありがとうございます。
 その2期のほうで力を特に入れたいというギャンブル依存症ですか、また妊産婦のメンタルヘルス対策、また新たに目標値を設定するということであります。いろんなゲートキーパー等の人材養成にも取り組んでいきたいという話です。
 先ほど、以前の計画の効果があまり個人的には出てないんじゃないかというふうな、今言いましたけれども、これ一番最初に言いました令和元年の9月に山下議員のほうが多分この質問、同じような質問の中で、相談体制とか、これの充実、それから再発ですか、そういう防止策を前知事に訴えて、当時の知事も、当局としてもしっかり取り組んで、有識者会議みたいなものをつくってという、いろんな分析を進めて、1人でも多くの県民の命を守る取組というふうな話があったように思うんですけれども、ちょっと和歌山県がどうも、いろいろ計画立ててやるのはそれはもうもちろんでありますけれども、そういうもう少し踏み込んだ内容というんか、対策、支援、そこに一つは今言った有識者会議みたいなのをしっかりつくって対応できないのかなというふうに私も思っております。
 その点をひとつしっかりと、今後、2期の計画、始まりましたけれども、しっかりと取り組んでいただきたいというふうなことを要望しておきたいと、このように思います。
 自殺の原因は、さっきも言うたいろいろあるんですけれども、私も個人的には、自分が小さい子供の頃なんかは3世帯が一つの屋根で暮らすようなこういうときは、こんなに自殺って聞いたことなかったん違うんかなあというようなことも何か自分では勝手に思ってるというふうに、社会全体の構図とか環境が変わってきて、ここ何十年間か核家族化が増えてきたりして孤立化するような状況に社会がそういうふうになってるんかなと、これも大きな一つの原因ではないかなと、これは私が勝手に思ってるんかなあと思いますけれども、やはり最後は、先ほど私の友人が亡くなった話をしましたけれども、人とのつながりが本当に大事やなと、今回、身にしみて僕も思ったんですけれども、ただ、今回は自分も何の力にもなれなかったなあということを今も悔やんでいるところであります。
 それでは、次の質問に移りたいと思います。
 次は、これも痛ましいというんか、同じ自殺でも子供の自殺についてであります。
 先日、全国で児童生徒の自殺者が初めて500人を超えたという報道がありました。その報道によりますと、厚生労働省と警察庁は、2023年3月14日に、2020年度中における自殺の状況、これ確定値になりますけれども、公表しました。その中で、小・中・高校生の自殺者は514人、1980年に統計を開始してから初めて500人を超えて、過去最多となりました。
 そこで、県内の子供の自殺の現状、将来ある子供たちの自殺をなくすための取組について教育長にお伺いをいたします。
○議長(濱口太史君) 教育長宮﨑 泉君。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
○教育長(宮﨑 泉君) 子供の自殺につきましては、近年、社会的な問題として注目されています。本県においても、少人数ではありますが、自ら命を絶つ子供がいます。誠に痛ましい残念なことだと思っております。
 学校では、長期休業明けはもちろんのこと、日頃から子供の様子をきめ細かく捉え、変化や発せられるSOSを見逃さないようにしています。また、得られた情報は、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどの専門職を交えて共有し、チーム学校として、子供の指導や支援に注力しています。
 県教育委員会では、教職員による気づきと適切な支援が行えるよう、県内の生徒指導及び教育相談担当教員に対して、毎年、自殺予防教育をテーマに専門的な研修を実施しています。
 また、子供たちがいつでも相談できるように、24時間対応の相談電話やSNSを活用した相談窓口を設けています。
 今後も、全ての子供たちに、学校のあらゆる教育活動を通じて命の大切さを徹底して伝えるとともに、苦しいときやつらいときには周りの人に助けを求めることをちゅうちょしないように周知するなど、自ら命を絶つ子供が1人も出ないよう取り組んでまいります。
○議長(濱口太史君) 佐藤武治君。
  〔佐藤武治君、登壇〕
○佐藤武治君 ありがとうございます。
 今、教育長のほうから、様々な、いわゆる相談窓口であるとかそういうことをしておりますという対応の答弁いただきました。
 本当に大事であります。本当に将来ある子供たちの命を救うために、もうありとあらゆる手段を取ってほしいなあというふうに思っております。
 これは、今回のこの自殺の対策とは直接関係はないと思うんですけれども、先日、内閣府のほうが10歳から17歳の小・中・高校生5000人を対象に行った2022年度の調査の中で、この年代の子供たちが平日にインターネットと接する時間、ここを調査しております。ここは平均で4時間41分であります。約7割が3時間以上利用しておるとのことであります。小学生の平均は3時間34分、それから中学生は4時間37分、高校生では5時間45分と、学年が上がるにつれて長くなっております。
 これ、目的は動画視聴が最も多かったということでありますけれども、この点について、東北大学の教授が、思春期の子供たちの脳は感情をコントロールする前頭葉というんですか、ここが未発達であって、SNSや動画はそんな子供たちの五感を刺激するものが多く、健全な脳や心身の発達に影響がある、このように言っております。
 ほかでも、3時間を超えると心の病になる可能性が上がると、こういうこともあって、将来的に鬱病などに至るケースも否定はできないとも言われておるところです。
 これ、学校のほうで以前もこういうスマホの依存症というんか、そういう質問もされた方がおったと思うんですけど、これ非常に大事なところやなあというふうに僕も思います。今後、もしスマホ依存対策等について検討していただくことがあれば、この点もよろしくお願いしたいなあというふうに教育長にお願いをしておきます。
 それでは、最後の質問に入ります。
 最近、テレビ、新聞、もう毎日のように生成AI、人工知能ですね、このニュースというか記事が目に入ります。
 最近の進歩は本当に目をみはるものがありますけれども、私、このコンピューターというんか、こういうのにあまり疎いので、あんまり今まで印象というんか、あんまり強く思わなかったんですが、またその中で私が記憶にあるのが、2016年やったと思います、コンピューターが人間のプロの囲碁棋士に勝利したニュースをちょっと見たなあというのを覚えておるところです。それをきっかけにして、AIが囲碁や将棋のトップ棋士に連続して勝利することがありました。その能力が社会に広く知られるようになったきっかけやなあというふうに思います。
 勝ったのは、皆さん御存じだと思いますけれども、これ、グーグルの人工知能ソフトのAlphaGoという人工知能で、その以前、コンピューターが最初1992年にボードゲームというのを皮切りに、94年にはオセロでも、そしてまた97年にはチェスも多分攻略しております。その後も、将棋の世界もコンピューターに攻略されて、最後のとりでと見られていたのが囲碁の世界であったようです。
 これ、なぜ僕も囲碁なんやというふうに思ったんですが、先ほど言ったチェスの場合は、次の手として選び得るのは平均して先24手らしいですが、囲碁の場合は候補となる手は200近くあるということですね。複雑性ゆえに、当時の最新のコンピューターでも膨大な量の計算を処理し切るのは不可能だと言われていたようでありました。
 ただ、AlphaGoは、中国出身のヨーロッパチャンピオンにも3度輝いた方に5回戦で全勝したと、こういう話もありました。そういう、いろんなコンピューターによっていろんなところが攻略されています。
 つい先日、これ将棋やったかな、学生の名人戦というのがあって、そこで優勝した学生が、どうも対局中に将棋のAIソフトを使っていたというふうなことが判明したという記事が載ってありました。それで失格、もちろん失格になるわけですけれども、そういうところがあって、その学生もどうもそれを認めたというふうな記事が載ってありました。
 ChatGPTに代表されるようなこの生成AI、人工知能をめぐっては、生成AIが創り出す文章や画像を把握できず、社会に混乱を来しているとして、開発者自らが相次ぎ危険性を唱えておるところであります。
 先日行われたG7の首脳会議の最初の討議でも大きな焦点になったと言われております。
 先日、神戸市で、ChatGPTをはじめとする生成系AIについて、業務で活用する際のルールを条例化したというニュースがありました。全国初の取組であって、条例の詳細は省きますけれども、ChatGPTを業務で活用するに当たり、一定の制限の下、安全に利用できる体制を整えて、神戸市では6月より試行を開始するという予定であるというふうに聞いております。
 また、和歌山市でも、5月25日に、文書や画像を自動的に作成するChatGPTなどの生成AI活用に向けて研究会を立ち上げるというふうな発表もありました。
 そこで、もう本当に便利なツールでありますけれども、今現在、行政内部で活用することに、今後、県当局もなるというふうに思うんですけれども、この今の時点で、当局が思う生成AI、ChatGPT等の活用についてどのように思っているというんか方向性を持っているのか、総務部長にお伺いをいたします。
○議長(濱口太史君) 総務部長吉村 顕君。
  〔吉村 顕君、登壇〕
○総務部長(吉村 顕君) 行政分野での生成AIの利活用につきましては、機密情報の取扱い、個人情報や著作権の保護などについて課題が指摘されています。
 県におきましても、生成AIの業務利用に当たり、個人情報や非公開情報等の取扱いの禁止、生成された情報をそのまま利用せずに事実確認を徹底すること等について、職員に対して注意喚起を行ったところです。
 一方、生成AIは、リスクだけではなく、様々な事務作業の効率化や問合せ対応の向上等につながる可能性があります。
 県でも、行政DXを進めていく中で生成AIを有効に活用することは重要であると考えており、行政企画局を中心に庁内業務の効率化に向けた利用事例の検証を行い、他団体とも情報交換を行いながら、当該技術が効果的に機能する分野や使用方法等について研究を進めてまいります。
 あわせて、職員向けに生成AIに関するリテラシー向上のための研修を実施するとともに、事例の検証により得た注意点や活用策を周知していくなど、生成AIの利活用に向けた環境整備にも取り組んでまいります。
○議長(濱口太史君) 佐藤武治君。
  〔佐藤武治君、登壇〕
○佐藤武治君 ありがとうございます。
 今、部長のほうから答弁いただきましたけれども、本当にこの利用については、今、様々な点で危険性も含めてあるということで、いろいろ課題が指摘をされてるところであります。本当に使い方によっては、もう本当に今後いろいろと医療とかそういう教育などの方面でも期待ができると思うんですが、幾つかの本当に多くのリスクがあるというふうに思います。本当に機密情報の漏えいとか、個人情報の不適切な利用、犯罪の巧妙化と容易化とか、偽情報による社会の不安定とか、本当に学校現場でも使われたら生徒の想像力が低下するんではないかと、いろんなところで課題があるように言われております。
 これ、一番最近見た新聞記事でびっくりしたのが、ベルギーで30歳代の男性が人工知能と自動会話するプログラムを利用した後に自殺したと。これは本当に、こんなことあり得るんやなというふうに僕も見てびっくりしたんですけども、そういうふうに何か本当に使い方一つで人の命も失われるという、非常にそういう一方危険もありますので、ここは行政にだけに絞れば、上手に使っていただきたいというふうに思います。そしたら、職員のいろんな業務の効率化なんかも多分いけるんじゃないかなと、このように思っているところであります。
 これからいろんなまたガイドライン、決めていくんだろうというふうに思っておりますけれども、本当に有効活用して、おいてはまた県民のためになるということでもあると思いますので、しっかりとその点を慎重にしながら利用していくような方向を出していただければと思います。
 これで、私の一般質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手)
○議長(濱口太史君) 以上で、佐藤武治君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開きます。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時13分散会

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