令和5年6月和歌山県議会農林水産委員会会議記録


令和5年6月和歌山県議会農林水産委員会会議記録

 

1 日時   令和5年6月26日(月)午前9時59分~午前10時53分

2 場所   第4委員会室

3 出席者  委員長   玉木久登

      副委員長  谷 洋一

      委員    冨安民浩、山家敏宏、谷口和樹、長坂隆司、 浦平美博

      欠席委員  なし

      委員外議員 なし

4 概要

   午前9時59分開会

    ●玉木委員長
     ◎開会宣告 挨拶
     ◎報告事項 委員の欠席なし
     ◎傍聴協議 なし
     ◎撮影許可 3件
     ◎議事   議案2件継続審査を要する所管事務調査8件
     ◎農林水産部審査宣告
     ◎議案等に対する説明要請
    ●山本農林水産部長説明
    ●玉木委員長

     ◎議案に対する質疑及び一般質問宣告

 

  Q 山家委員
   6月2日の線状降水帯や台風2号でいろいろ被害に遭われた方にまずお見舞い申し上げる。
   そのような中で、農業者をはじめとしていろいろな方に話を聞いた。今回は特に農地について何点か質問したい。
   今回の災害で園地の下の方が崩れて上の方が大丈夫という場合に、モノレールやスプリンクラーを早急に修理しなけ

  れば、仕事にならないという声を聞いたが、この場合の支援策について県の考えを聞きたい。

  A 箕澤農業農村整備課長
   樹園地の崩壊に伴う個人のモノレールやスプリンクラーが被災した場合、復旧にあたっては、国の農地の災害復旧制

  度が利用可能である。1か所当たりで工事費が40万円以上であれば、採択されるという要件となっている。
   しかしながら、早期復旧という農家の要望に対して、どうしても査定を受けるなどの手続が必要となることから、こ

  の秋の収穫に間に合わせるためにはこの制度の活用は不向きではないかという課題はある。

  A 岩倉果樹園芸課長
   被災したモノレールやスプリンクラーの復旧については、既存の県の単独補助事業の活用が可能となっている。

  Q 山家委員
   県単独事業で補助率3分の1の事業があって、早急な修理のために既に着工しているところも補助対象となるか。

  A 岩倉果樹園芸課長
   補助金の申請前に着工している場合であっても、補助対象となるよう現在、事務的な協議を進めているところであ

  る。

  要望 山家委員
   ぜひ補助対象とするようお願いする。

 

  Q 山家委員
   農地や農道に土砂が流入した場合の査定前の着工というのはどのように進めるのか。

  A 箕澤農業農村整備課長
   災害復旧事業は国の査定を受けた後、対策工事を実施するという手順で進める。
   営農や通行再開のために早期対応が必要な場合には、査定前着工ということが可能となる。査定前着工については、

  災害査定を待たずに、復旧工事に着手できる応急本工事と、応急仮工事という制度がある。
   応急本工事については、今回のように農地や道路に土砂が堆積した場合のように、緊急性がある復旧にかかるものに

  ついて、査定前に事業主体、今回であれば市町村役場の判断により土砂を撤去することが可能になる。この場合、1か

  所当たりの工事費が40万円以上の災害復旧事業が採択要件になっている。
   応急仮工事については、これも査定前に事業主体の判断で、仮設的な応急工事で復旧が可能である。この場合、1か

  所の応急仮工事が20万円以上でかつ、復旧工事費が1か所40万円以上、合計60万円以上が採択要件となる。
   これらはいずれも後日査定で、国が審査するという形になる。

 

  Q 山家委員
   過去に災害で復旧する際、石積みをブロック積みとした箇所について、今回の大雨で再度崩落したところがあると聞

  いた。
   このようなところは、再度補助対象として申請できるのか。

  A 箕澤農業農村整備課長
   基本的にブロック積みなどの対象施設が、適切に維持管理ができていることや、今回の被災要因が明確に説明するこ

  とが必要になるが、過年度において被災し、復旧したブロック積みなどについても、今回のように再度被災した場合に

  は災害復旧事業の対象とすることは可能である。

  Q 山家委員
   有田・下津地域の石積み階段園みかんシステムが世界農業遺産に申請しているところだが、災害が起こった場合、石

  積み園でもブロック積みで直さないといけないとよく言われている。必ずブロック積みで直さないといけないのか。ま

  た、ブロック積みと世界農業遺産との関係はどうなるのか。この2点について聞きたい。

  A 箕澤農業農村整備課長
   今回ブロック積みではない工法での改修ということだが、あくまでも農地は個人所有ということになる。農地災害の

  場合は個人負担が発生するため、所有者の意向や同意が必要となるが、災害復旧事業制度上では、もともと被災施設が

  自然環境に配慮した工法である場合や、自然環境、文化財等の法令により制限を受ける場合は、天然石による練積みや

  化粧ブロックによる復旧が可能である。
   復旧工法については次に災害が起こらないように構造上、安定する工法が採用されることから、ブロック積での復旧

  が多くなっているのが現状である。

  A 中尾里地・里山振興室長
   農業遺産は認定地域に規制や制限がかかるものではない。このため、既設の石積みが被災したため、ブロック積みで

  復旧されても、農業遺産の認定に影響を与えるものではない。
  Q 山家委員
   もしその農地の所有者から石積みで復旧したいと要望があった場合は補助の対象になるという解釈でよいか。

  A 箕澤農業農村整備課長
   対象となる。

 

  Q 山家委員
   みかん畑や水田に、河川や上の農地からの流入土砂などもかなりあったと聞くが、これを撤去することに対しての補

  助はあるか。 
  A 箕澤農業農村整備課長 
   みかん畑や水田に堆積した土砂の撤去については、災害復旧事業の採択要件である1か所当たりの事業費が40万円以

  上のものについては災害復旧事業の対象とすることができる。なお、工事の際に発生する土砂の処分費用については、

  災害査定を受けた後、実際に工事するときには補助の対象になるが、国の災害復旧の採択要件である40万円を算定する

  ときには、この処分費用を含まない状態で40万円以上にする必要があるこというところに注意していただきたい。
   また、点々と被害を受けた場所があるとか、離れているところにあるなど、1か所当たりの規模が小さい場合、その

  ような場合は150メートル以内で連続して起こっている場合は、合計することができると災害復旧制度上なっているの

  で、合わせて40万円以上あれば採択可能となるので活用してほしい。

 

  Q 谷口委員
   うめの単価の低迷、今年の青うめの取引価格が相当安いが、どのような対策を考えているのか。

  A 岩倉果樹園芸課長
   去年、一昨年と比較的豊作であり、今年もある程度量が多い中で、青うめの価格が去年よりも安い状況となってい

  る。県が直接うめの単価を左右することはできないが、消費拡大や生産面で対策は行えると考えている。例えば、消費

  拡大面については、もともと産地の市町村やJA、生産者、加工業者が一体となって様々なPR活動をしているので、県で

  は、産地が行う機能性の研究やPR活動の取組などに対して支援を行っている。
   また、県では「南高」と今までの受粉樹の開花時期がなかなか合わないという現状もあるので、県が育成した

  「NK14」や「星秀」という品種をできるだけ混植して、「南高」と受粉時期を合わせることにより生産の安定化を図る

  ことで、ある程度価格に対しても対応できると考えている。
   併せて収入も重要であるので、価格下落などによって収入が減少した場合に、国の収入保険制度があるので、県とし

  ても、できるだけ農家が加入するように推進していきたいと考えている。

  A 山田食品流通課長
   食品流通課としても県産品PRに取り組んでいるところである。直近では、先日記者発表したとおり、セブン・イレブ

  ン・ジャパンにおいて、6月21日から7月3日まで「食の和歌山応援フェア」ということで、近畿2府4県で梅を使っ

  た3商品が販売されている。また、6月9日から首都圏での県産梅のPRということで、観音山フルーツパーラー銀座店

  と連携して、都内を走っているロンドンバスの側面と後ろの面に、紀州南高梅のラッピングを施し、都内約90分を周遊

  するといったPRを実施しているところである。
   今後とも様々な取組を重ねることにより、紀州南高梅のファンづくりにつなげていきたいと考えている。

  Q 谷口委員
   在庫の余剰、青うめの取引価格の低下、人件費の上昇、収入の減少といった農業者の現状に対して、緊急の対策を行

  えるか。

  A 岩倉果樹園芸課長
   価格安に対し、緊急的に何か県で対策を行うのは、現時点では難しいと考えている。引き続き県としても、農家の苦

  しい状態を踏まえながら、消費拡大対策及び生産対策を積極的に取り組んでいきたいと考えている。

  要望 谷口委員
   田辺市の神島高校に商品開発プロジェクトというものがある。地場産品を販売、PRして消費拡大につなげようと、フ

  ァミリーマートや地場の企業との連携や、一昨年からうめを使った弁当をインスタグラムに投稿し、コンテストを開催

  するなどいろいろな取組を行っている。「うめは在庫を抱え、価格が上がらず、大ピンチだと思う」と生徒が話すほ

  ど、危機的状況にあると思う。ぜひとも、今やっていることにプラスアルファで、うめのPRの場所や手法を変えるな

  ど、何とか工夫してやってほしいというのが一つ要望である。

  

  Q 谷口委員
   高校生の地産地消や県外へのプロモーション活動を県とコラボして拡大できないかと考えるが、どうか。

  A 岩倉果樹園芸課長
   神島高校の生徒がうめを使った商品のPRに取り組んでいることは聞いている。県では、地産地消の取組として、地元

  農産物を使った加工品や料理のPRなどの取組に対して支援を行っており、神島高校の生徒たちが行う取組も支援対象と

  なると考えられる。ほかにも、産地の協議会や県でもうめのPR活動をしているので、何か一緒にできることがあればと

  思う。
   また、高校でも弁当コンテストをやっているとのことだが、県の調理士会でも地域産品を使った弁当のコンテストを

  実施しているので、参加いただくことも可能かと思う。

  意見 谷口委員
   ぜひ、調査もしてもらい、一緒に取り組んでほしい。高校生の力を借りなければと思うし、若い人のSNS等の発信力

  は突出していると思う。商品の開発も普通の業者ができないこともやっているし、ファミリーマートとのコラボでも高

  校生のメリットや特徴も生かして取り組んでいる。若者の感性とアイデアを生かして産地を助けてもらえればと思う。

 

  Q 谷口委員
   サカキについてお聞きしたい。
   現状、全国で流通しているサカキの約9割が中国産で、残りの5~6%くらいが国内産と思われる。県産のうち6~

  7割ぐらいが田辺・西牟婁で採られているが、現状の単価や今後の取組を教えていただきたい。

  A 原林業振興課長
   県では、これまでサカキ出荷のための枝の採取や結束技術等の研修会を開催し、サカキ小花の品質向上を図ってきた

  結果、県内のJAにおける出荷価格が徐々に上昇し、令和4年次では、1束当たり187円となり、平成24年次の約3割高

  となっている。
   県産サカキは、優れた色艶と形、日保ちのよさなどから高い評価を得ているが、最近ではサカキブチヒメヨコバイに

  加害され、葉に白い斑点が生じる被害が多くなっていることから、薬剤散布方法等の虫害防除研修を行っている。
   今後も、研修会の開催などによる県産サカキの品質確保、安定出荷に向けた支援を行う。

  Q 谷口委員
   これまでの取組のおかげで単価も向上し、生産されている業者も整備されてきていると考えている。引き続き国内産

  のシェアを上げるために様々なところの協力を仰いだらどうかと思う。関係者と協力した取組も進めてもらっている

  が、一つ提案すると、神社などの人目につくところで、「日本のサカキをぜひ使ってください」という掲示物や取組を

  やってもらえれば、熊野のサカキ、田辺・西牟婁で採れる立派なサカキがより消費者の目に留まると考えられる。外国

  のサカキが悪いわけではないが、関税がかからないこともあるので、掲示物の取組などができないかと思うがどうか。

  A 原林業振興課長
   和歌山県神社庁との連携については、和歌山県神社庁と協議しながら、県産サカキのPRなどについて検討していきた

  い。

  要望 谷口委員
   単価も3割ぐらい向上しているが、生産者の高齢化が進んでいる。新規参入などの生産者を増やす必要があると考え

  られるので、単価が1束当たり250円になると生計も立てていけるかと思う。そうしたところを目指してお力添えをお願

  いする。

 

  Q 長坂委員
   農福連携が関西でも広がってきた。有田川町の早月農園が廃校になった小学校を再利用し、社会福祉法人「有田つく

  し福祉会」が開所している。みかんやうめ等も栽培し、生産量が上がり1人当たりの平均給与は3万円を超える。本県

  における農福連携についてはどれくらい広がっているのか、どのような成果が現れてきているのか。

  A 川村経営支援課長
   農福連携の広がりについては、障害福祉課によると、自ら農業を営んだり農家から農作業を受託するなど、積極的に

  取り組む障害福祉サービス事業所は38事業所であり、5年前に比べ3倍以上となるなど、近年増加傾向にある。
   一例として、かつらぎ町において、果樹の収穫作業や後片づけを障害福祉サービス事業所に委託している農業法人が

  あり、委託内容は年々拡大している。
   剪定枝の後片づけ等を委託することで、農業法人の従業員が剪定作業に集中できるなど作業効率が上がるとともに、

  事業所にとっても障害者の工賃が向上するなど、相乗効果としてウイン・ウインの関係が築かれていると聞いている。

  Q 長坂委員
   障害者との農福連携が主流だと思うが、元気な高齢者、それも認知症予防にも非常に効果的な事例もある。元気な高

  齢者との農福連携の事例はないか。

  A 川村経営支援課長
   障害者の中にも高齢者の方がいると思うが、具体的な事例については、今後研究したい。農業では労働力が不足して

  おり、高齢者の方にも農作業等に従事してもらうことも考えていきたい。

  意見 長坂委員
   農福連携について、これからも支援をお願いしたい。

 

  Q 冨安委員
   一本釣りの漁業者は厳しい状況である。農業分野では経費の3分の1が補助対象となる次世代野菜花き産地パワーア

  ップ事業があるが、似たような制度を漁業に対してもつくってほしいがどうか。

  A 山本農林水産部長
   内容について、委員に別途話を聞いた上で、どういう支援が必要か検討する。

 

  Q 冨安委員
   コロナやウッドショックで木材価格が非常に上がっていたが、現状はどうか。

  A 小川森林・林業局長
   一時、木材価格は上昇していたが、コロナ以前の価格に戻ってきている。

  意見 冨安委員
   4月の新聞に花粉症が社会的な問題であるということで、伐期を迎えたスギの伐採の加速化として2割伐採する旨、

  総理大臣が表明したことが報じられた。総理大臣が言ったことなので、来年度の予算編成に必ず出てくると思われる。

  この2割というのは国有林を切るのか、民有林も切るのかなど国の動きを注視していただきたい。

  

    ●玉木委員長
     ◎議案に対する質疑及び一般質問終了宣告
     ◎議案に対する採決宣告
     ◎議案第78号、第95号については全会一致で原案可決
     ◎農林水産部審査終了宣告
     ◎発議された意見書(案)に対する協議宣告
     ◎意見書(案)採決宣告
      委員会から「森林環境譲与税の譲与基準の見直しを求める意見書(案)」を提出することに全会一致で決定
     ◎継続審査を要する所管事務調査宣告 異議なし
     ◎県内外調査協議 
     ◎閉会宣告
   午前10時53分閉会

   

 

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