令和5年2月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


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令和5年2月 和歌山県議会定例会会議録 第3号

議事日程 第3号

 令和5年2月20日(月曜日)

 午前10時開議

 第1 議案第18号から議案第33号まで、議案第41号、議案第42号、議案第47号及び議案第58号(委員長報告・同質疑・討論・表決)

 第2 議案第1号から議案第17号まで、議案第34号から議案第40号まで、議案第43号から議案第46号まで、議案第48号から議案第57号

     まで及び議案第59号から議案第75号まで(質疑)

 第3 一般質問

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会議に付した事件

 第1 議案第18号から議案第33号まで、議案第41号、議案第42号、議案第47号及び議案第58号(委員長報告・同質疑・討論・表決)

 第2 議案第1号から議案第17号まで、議案第34号から議案第40号まで、議案第43号から議案第46号まで、議案第48号から議案第57号

     まで及び議案第59号から議案第75号まで(質疑)

 第3 一般質問

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出席議員(41人)

 1番 鈴木德久

 2番 山家敏宏

 3番 中本浩精

 4番 堀 龍雄

 5番 藤山将材

 7番 井出益弘

 8番 宇治田栄蔵

 9番 北山慎一

 10番 玄素彰人

 11番 中西峰雄

 12番 秋月史成

 13番 森 礼子

 14番 濱口太史

 15番 尾崎要二

 16番 冨安民浩

 17番 川畑哲哉

 18番 玉木久登

 19番 鈴木太雄

 20番 岩田弘彦

 21番 吉井和視

 22番 谷 洋一

 23番 佐藤武治

 24番 岩井弘次

 25番 中 拓哉

 26番 多田純一

 27番 新島 雄

 28番 山下直也

 29番 中西 徹

 30番 谷口和樹

 31番 藤本眞利子

 32番 浦口高典

 33番 山田正彦

 34番 坂本 登

 35番 林 隆一

 36番 楠本文郎

 37番 高田由一

 38番 杉山俊雄

 39番 片桐章浩

 40番 奥村規子

 41番 尾﨑太郎

 42番 長坂隆司

欠席議員(なし)

〔備考〕

 6番 欠員

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説明のため出席した者

 知事         岸本周平

 副知事        下 宏

 理事         田嶋久嗣

 知事室長       赤坂武彦

 危機管理監      福田充宏

 総務部長       吉村 顕

 企画部長       長尾尚佳

 環境生活部長     生駒 享

 福祉保健部長     志場紀之

 商工観光労働部長   寺本雅哉

 農林水産部長     山本佳之

 県土整備部長     福本仁志

 会計管理者      中家秀起

 教育長        宮﨑 泉

 公安委員会委員長   竹田純久

 警察本部長      山﨑洋平

 人事委員会委員長   平田健正

 代表監査委員     森田康友

 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫

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職務のため出席した事務局職員

 事務局長       出津野孝昭

 次長(秘書広報室長事務取扱)

            浜野幸男

 議事課長       長田和直

 議事課課長補佐兼議事班長

            村嶋陽一

 議事課主任      伊賀顕正

 議事課主任      菅野清久

 議事課副主査     林 貞男

 総務課長       葛城泰洋

 政策調査課長     神川充夫

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  午前10時0分開議

○議長(尾崎要二君) これより本日の会議を開きます。

 この際、暫時休憩いたします。

  午前10時0分休憩

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  午前10時59分再開

○議長(尾崎要二君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 日程第1、補正予算等議案議案第18号から議案第33号まで、議案第41号、議案第42号、議案第47号及び議案第58号の計20件を一括して議題とし、順次、常任委員会委員長の報告を求めます。

 福祉環境委員会委員長浦口高典君。

  〔浦口高典君、登壇〕(拍手)

○福祉環境委員会委員長(浦口高典君) 福祉環境委員会における審査の経過並びに結果について、御報告申し上げます。

 当委員会に付託されました案件は、議案付託表に記載のとおり、議案3件であります。

 委員会は、2月15日、第2委員会室において開催し、福祉保健部、環境生活部の順に当局から付託案件について説明を聴取した後、慎重に審査いたしました結果、議案第18号、議案第23号及び議案第30号は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、委員会審査における主な質問項目等を申し上げますと、福祉保健部関係では、一般会計補正予算の生活福祉資金の特例貸付けに関する増額の内容について、障害児通所施設が導入する登園管理システム等の内容について、繰越しによる出産・子育て応援給付金支給への影響について、国民健康保険特別会計の国への返還金が生じた要因について、県立こころの医療センター事業会計の入院収益など、医業収益における増額の内容について、環境生活部関係では、一般会計補正予算の地域子ども団体育成事業の補助申請件数が減少した要因について、簡易水道事業が市町村への直接補助に移行されることの影響についてであります。

 以上をもちまして、福祉環境委員会の報告を終わります。何とぞ、適切な御決定をお願い申し上げます。(拍手)

○議長(尾崎要二君) 経済警察委員会委員長北山慎一君。

  〔北山慎一君、登壇〕(拍手)

○経済警察委員会委員長(北山慎一君) 経済警察委員会における審査の経過並びに結果について、御報告申し上げます。

 当委員会に付託されました案件は、議案付託表に記載のとおり、議案6件であります。

 委員会は、2月15日、第3委員会室において開催し、まず、公安委員会、次に、商工観光労働部・労働委員会の順に当局から付託案件について説明を聴取した後、慎重に審査いたしました結果、議案第18号、議案第20号、議案第24号、議案第31号、議案第32号及び議案第47号は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、委員会審査における主な質問項目等を申し上げますと、遅延している警察学校庁舎新築に係る用地購入、和歌山市内の交通信号機等の交通安全施設の整備及び警察本部内システム構築に関する見通しについてであります。

 以上をもちまして、経済警察委員会の報告を終わります。何とぞ、適切な御決定をお願い申し上げます。(拍手)

○議長(尾崎要二君) 農林水産委員会委員長鈴木德久君。

  〔鈴木德久君、登壇〕(拍手)

○農林水産委員会委員長(鈴木德久君) 農林水産委員会における審査の経過並びに結果について、御報告申し上げます。

 当委員会に付託されました案件は、議案付託表に記載のとおり、議案3件であります。

 委員会は、2月15日、第4委員会室において開催し、当局から付託案件について説明を聴取した後、慎重に審査いたしました結果、議案第18号、議案第19号及び議案第58号については全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、委員会審査における主な質問項目等を申し上げますと、農業担い手対策事業の補正内容について、和歌山県施設園芸用燃油価格高騰緊急対策支援金事業の補正内容について、配合飼料の価格高騰について、紀の国森づくり基金活用事業の補正内容について、農業活性化支援事業の補正内容についてであります。

 以上をもちまして、農林水産委員会の報告を終わります。何とぞ、適切な御決定をお願い申し上げます。(拍手)

○議長(尾崎要二君) 建設委員会委員長佐藤武治君。

  〔佐藤武治君、登壇〕(拍手)

○建設委員会委員長(佐藤武治君) 建設委員会における審査の経過並びに結果について、御報告申し上げます。

 当委員会に付託されました案件は、議案付託表に記載のとおり、議案5件であります。

 委員会は、2月15日、第5委員会室において開催し、当局から付託案件について説明を聴取した後、慎重に審査いたしました結果、議案第18号、議案第25号、議案第28号、議案第33号及び議案第58号は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、委員会審査における主な質問項目等を申し上げますと、2月補正予算の主な減額内容について、公的処分場管理の減額内容について、住宅確保要配慮者専用賃貸住宅改修の減額内容について、未利用建築物の除却の減額内容について、土木施設災害復旧費の減額内容について、地籍調査の減額内容について、直轄道路事業負担金の減額内容について、明許繰越予算の工事完了予定について、港湾施設管理特別会計の使用料収入の増額内容についてであります。

 以上をもちまして、建設委員会の報告を終わります。何とぞ、適切な御決定をお願い申し上げます。(拍手)

○議長(尾崎要二君) 文教委員会委員長多田純一君。

  〔多田純一君、登壇〕(拍手)

○文教委員会委員長(多田純一君) 文教委員会における審査の経過並びに結果について、御報告を申し上げます。

 当委員会に付託されました案件は、議案付託表に記載のとおり、議案2件であります。

 委員会は、2月15日、第6委員会室において開催し、当局から付託案件について説明を聴取した後、慎重に審査いたしました結果、議案第18号及び議案第21号は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、委員会審査における主な質問項目等を申し上げますと、県立学校施設予算の繰越内容についてであります。

 以上をもちまして、文教委員会の報告を終わります。何とぞ、適切な御決定をお願い申し上げます。(拍手)

○議長(尾崎要二君) 総務委員会委員長山家敏宏君。

  〔山家敏宏君、登壇〕(拍手)

○総務委員会委員長(山家敏宏君) 総務委員会における審査の経過並びに結果について、御報告申し上げます。

 当委員会に付託されました案件は、議案付託表に記載のとおり、議案9件であります。

 委員会は、2月15日に第1委員会室において開催し、会計局、人事委員会、監査委員、選挙管理委員会、議会事務局、知事室、企画部、総務部の順に当局から付託案件について説明を聴取した後、慎重に審査いたしました結果、議案第18号及び議案第42号は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。議案第22号、議案第26号から議案第29号まで、議案第41号及び議案第58号は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、委員会審査における主な質問項目等を申し上げますと、企画部関係では、貨物自動車運送業エコタイヤ導入支援の実施見込みについて、総務部関係では、退職手当基金の今後の見通しと適正な規模について、公債費臨時対策基金の設置のタイミング等についてであります。

 以上をもちまして、総務委員会の報告を終わります。何とぞ、適切な御決定をよろしくお願い申し上げます。(拍手)

○議長(尾崎要二君) 以上で、常任委員会委員長の報告が終わりました。

 これより委員長報告に対する質疑に入ります。

 質疑はありませんか。

  〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(尾崎要二君) 質疑なしと認めます。

 次に、討論に入ります。

 高田由一君から反対討論の通告がありますので、許可いたします。

 37番高田由一君。

  〔高田由一君、登壇〕(拍手)

○高田由一君 日本共産党県議団を代表して、議案第18号、第42号、第47号についての反対討論を行います。

 議案第42号は、和歌山県公債費臨時対策基金の設置、管理及び処分に関する条例です。これについては、2月に入ってから県当局より「和歌山県財政の現状と課題」という資料が発表され、知事が財政危機警報を発出するということになりました。

 しかし、これまで、令和8年度を最終年とした新中期行財政経営プランでは、令和7年度末で財政調整基金と県債管理基金が171億円の残高となっていたのですが、これが新たに発表された今回の資料では、枯渇をして予算編成が不可能な状態になるとなっています。試算の仕方一つでこれだけ変わるのかと驚くと同時に、なぜそうなるかは、短期間でしたが、調べましたが、よく分かりませんでした。これは同じ思いの議員さんもおられると思います。

 それなら、この基金に充てる分を一旦県債管理基金に積んでおいて、その後、県民や議会で十分な議論と納得を得た上で、本当に必要な基金だということになれば、来年度に設置するということでも十分間に合うのではないでしょうか。

 2月県議会の補正予算分と併せて先に審議して決定することは、あまりにも拙速なやり方と言わざるを得ません。したがって、今回、新たに公債費臨時対策基金を設置することには反対です。

 また、議案第47号は、大阪・関西万博において、関西パビリオンや和歌山館を建設する費用や広報宣伝活動をする費用を基金で確保するものですが、16億円を上回る額となっています。

 万博の費用では、例えば会場建設費が当初予定の1250億円から1850億円へと600億円も増加しています。大阪パビリオン建設でも、当初予定の74億円から115億円と41億円も上振れしています。関西パビリオンについても、昨年8月の関西広域連合議会で、当時の仁坂連合長は「可能な限り無駄を省く」と答弁されましたが、同時に、当初の費用より増加する可能性も認めておられます。

 私は、万博に係る県負担については、基金で対応して財源の囲い込みをするというのではなく、それこそ予算の賢いやりくりをしながら、できるだけ節約をする、単年度での予算措置でもいいのではないかと考えます。したがって、この基金設置についても反対です。

 また、一般会計補正予算である議案第18号は、今述べた二つの基金への積立ても含まれているため、反対としたいと思います。

 以上で、反対討論を終わります。ありがとうございました。(拍手)

○議長(尾崎要二君) 以上で、討論を終結いたします。

 これより採決に入ります。

 まず、議案第18号、議案第42号及び議案第47号を一括して採決いたします。

 本案に対する委員長報告は、いずれも原案可決であります。

 本案をいずれも委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君は御起立願います。

  〔賛成者起立〕

○議長(尾崎要二君) 起立多数であります。よって、本案はいずれも原案のとおり可決されました。

 次に、議案第19号から議案第33号まで、議案第41号及び議案第58号を一括して採決いたします。

 本案に対する委員長報告は、いずれも原案可決であります。

 本案をいずれも委員長報告のとおり決することに賛成の諸君は御起立願います。

  〔賛成者起立〕

○議長(尾崎要二君) 起立全員であります。よって、本案はいずれも原案のとおり可決されました。

 この際、暫時休憩いたします。

  午前11時18分休憩

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  午後0時59分再開

○議長(尾崎要二君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 日程第2、議案第1号から議案第17号まで、議案第34号から議案第40号まで、議案第43号から議案第46号まで、議案第48号から議案第57号まで及び議案第59号から議案第75号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、併せて日程第3、一般質問を行います。

 5番藤山将材君。

  〔藤山将材君、登壇〕(拍手)

○藤山将材君 こんにちは。自由民主党県議団の藤山でございます。

 2月定例会が始まりました。この当初予算案を審査する1年で最も重要なこの2月の定例会に、3年も連続で1人目の質問者として登壇をさしていただくだけでも光栄の至りでありますが、今定例会は、岸本知事が就任をされてから初めて招集された定例会において、トップバッターを務めさしていただく機会をいただきました。議員諸兄に心から感謝を申し上げます。

 まず初めに、先日、本県と特に関係の深いトルコ共和国において地震が発生し、多数の犠牲者が出たことに対して、お悔やみとお見舞いを申し上げます。

 岸本知事におかれては、見舞金の支出や義援金の募集、大統領への手紙の送付など、早急な対応をされましたが、我々県議会といたしましても、明日の議員互助会の理事会において、義援金についての協議を行う予定になっています。

 また、新型コロナウイルス感染症拡大から3年が経過をしましたが、いまだ終息せず、第8波のピークは越えたものの、つい最近も新たな変異株の感染者が確認されるなど、まだまだ感染予防対策を続ける必要があります。今もなお最前線で尽力をしておられる関係者の方々に感謝を申し上げる次第です。

 それでは、県の財政状況と令和5年度予算について伺ってまいります。

 岸本知事といえば、国全体の財政をつかさどる大蔵省の出身。大蔵省での経験に加え、トヨタでの民間経験、御自身がおっしゃるどぶ板の政治経験も生かした活躍を大いに期待しているところであります。

 その大蔵省時代には、国の予算編成やマーケット政策などに携わり、御活躍をされていたとお聞きしております。国と地方自治体では予算の規模や性質、編成方法も違うということはありますが、予算や財政に関する感覚というのは、大蔵省を退官され、月日がたっているとしても身にしみついているものであると思います。

 知事は、就任後間もなく令和5年度当初予算の編成に臨まれました。今回の予算について、知事は、事務方が積み上げたものをベースに、私としてどうしてもやりたいことをお願いしたと発言されていました。また、知事査定についても事業件数を絞っていたと仄聞しましたが、これも、これまでの知事査定のスタイルを変えたように見受けられます。

 他方、このような中においても、知事自身こだわりを持たれたところも少なからずあったのではないかと思っています。

 そこで、知事に伺います。

 知事が編成した令和5年度当初予算はどのような予算であるのか、あわせて、どういう点に自身のこだわりを持たれているのかをまずお聞きいたします。(「議長、知事」、「ちょっと待ってくださいよ」と呼ぶ者あり)

○議長(尾崎要二君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。

 知事岸本周平君。

  〔岸本周平君、登壇〕

○知事(岸本周平君) 失礼しました。初めての答弁でございますので、御容赦をいただければと存じます。

 ただいま藤山議員から御質問を頂戴いたしました。

 令和5年度の当初予算につきましては、就任いたしまして日程に余裕がございませんでした。その中で編成を進めなければならないという事情がございました。したがいまして、知事就任後すぐに、各部局から県政上の課題や施策について説明をいただきました。

 その上で、仁坂前知事の下で職員の皆さんが検討されてきた新規の事業案につきましては、基本的にはこれを引き継ぐということにいたしました。一方で、幾つかの事業につきましては、私の判断で新規に事業化し、または拡充をお願いしたところであります。

 予算案の全体といたしましては、物価高騰、これは皆さん御存じのとおりでありますし、国庫補助金の縮減など大変厳しい状況にあっても、どうしても新型コロナ対策をはじめとする県の行政の推進に必要な予算は確保しなければなりません。その結果として、今回は過去最大規模の6138億円余を計上することになった次第であります。同時に、財政調整基金及び県債管理基金の取崩しを行わずに収支不足額を解消するなど、健全な財政運営にも配慮させていただきました。

 この予算案は、和歌山県の未来につながる施策を推進するための予算であり、産業の振興、子供を育む環境づくり、脱炭素社会の実現に向けた取組、活力あふれる地域づくり、安全・安心に暮らせる社会づくりの5本柱の重点施策を掲げさしていただいております。

 加えまして、国内外で活躍されている多様な人材が参加する(仮称)和歌山未来創造プラットフォームでございますけれども、これを新たに設置するための予算も計上しておりまして、皆さんの知恵と力を合わせて県政を進めてまいりたいと考えております。

 このようないろんな施策を着実に実行することで、県民の皆様からの負託にしっかりと応えてまいりたいと思っております。

○議長(尾崎要二君) 藤山将材君。

  〔藤山将材君、登壇〕

○藤山将材君 国の予算委員会のように、あまりぱっぱっと、本会議場ですのでね。

 5本柱で県民からの負託にしっかりと応えたいということですので、期待をしたいんですが、後でお聞きをすることにも関係するので、今は次の質問に移ります。

 次に、財政危機警報について伺います。

 令和5年度当初予算の公表に際して、先般、財政危機警報という今まで聞いたことのない宣言が発出されました。これによりますと、何ら対策を講じなければ、令和7年度には財政調整基金、県債管理基金が底をつくとされ、本県の財政状況は大変厳しい状況に置かれているというものでありました。

 警報という言葉を聞いた瞬間は、キツネにつままれたような感覚でありましたが、今後、財政危機に陥らないように警鐘を鳴らしたということであるという説明を受け、一定の理解をしつつ、しかし、仁坂前知事の時代には、県の財政状況がここまで厳しいということは聞いた記憶がありません。

 昨年3月に策定された新中期行財政経営プランの収支見通しでも、プラン期間の令和8年度までの5年間は、財政調整基金、県債管理基金の残高を150億円程度維持するということが示されていたのになあと、腑に落ちないのが実際のところであります。

 プランが公表されて1年もたたないうちに、今回、新たな試算が示され、内容としては、プランとは違い、財政状況は大変厳しく、近々にも予算を編成することが困難になるというものでありました。

 知事の説明によれば、県債償還に充てる公債費が今後増加していくことが予算フレームを圧迫するとのことで、確かに、ここ数年は国土強靱化事業など、国による後押しもあり、インフラ整備がどんどん進んだという印象を持っています。このことは、インフラ後進県と言われている本県にとっては喜ばしいことでありました。

 一方で、知事の指摘するように、こうした積極的な投資により、県の借金である県債の発行が増える。また、社会保障関係経費の増加に加え、足元の物価高騰や金利の上昇による影響も県財政を逼迫させる要因となることは想像できます。

 そこで、改めて現在の財政状況についてどのように考えておられるのか、お尋ねをいたします。

○議長(尾崎要二君) 知事。

  〔岸本周平君、登壇〕

○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたとおり、知事に就任いたしましてから、県の財政状況につきまして協議、分析を重ねてまいりました。そして、令和5年度の予算の編成に先立ちまして、私からは、事務当局に対して10年間の収支について試算をお願いし、実施したところでございます。

 この試算では、1年とはいうものの、随分と状況が変わっております。その実態に即した分析を行うために、今、議員御指摘の新中期行財政経営プランを策定した後の実績を基に、足元、大変な物価高騰や金利の上昇も見込まれますこと等から、その点を反映させていただきました。

 そうしますと、内閣府の試算も変わりましたので、これも相当厳しい状況でございます。そういう試算を積み重ねたところ、従来の延長線上で何も対策を講じない場合、財政調整基金及び県債管理基金という現在の私どものある意味貯金である基金が、単純に計算すればですけれども、令和7年度には底をつくという結果になったわけであります。

 それを放置しておきますと、当然のことながら予算編成が困難になります。特に、災害等の不測の事態が起こった際には、県民の皆様に対して必要な支援を行うことができなくなるようなことになりますと大変なことでありますので、また、長期的な観点で見ましても、今、藤山議員も御指摘いただいたとおりであります。公債費が増えていく、さらには、どうしても社会保障費は増大していくということでございますので、これは避けて通れないという認識に立ったわけであります。

 したがいまして、今現在、財政危機だということではありません。財政危機に陥る前に警報を鳴らさせていただいて、みんなで協力をお願いできないかと、その意味での財政危機警報という形で、いささか強いメッセージを発出させていただいた次第でございます。

○議長(尾崎要二君) 藤山将材君。

  〔藤山将材君、登壇〕

○藤山将材君 今、県財政の収支について、10年間の試算を行った結果という説明がありましたが、いつ頃からの県債借入れによる負担が大きいのか財政課に聞いてみたところ、平成の終わり頃からのようであります。だとすれば、その県債を借り入れる段階で、負担がどうなるかは推計できるはずであります。

 現に、以前、特別委員会で退職者数や退職手当の将来の状況について質問したことがありましたが、随分見込まれておりました。それがなぜ岸本知事が就任した今、明らかになるのか。財政当局では分かっていたのに、なぜか明らかにしてこなかった、不思議には思いますが、現状そうなっているのであれば、対策を打たなければなりません。

 そこで、今後の予算あるいは予算編成の在り方が県民の生活を支える上で非常に大事になってきます。

 知事は、業務の効率化を進めると発言されており、再来年度の県政運営に関しては、新政策をやめて、過去の事業を見直そうと考えているとも発言されています。財政危機警報に加え、こうした発言からも、今後の財政運営は厳しいものになるのではないかと思料します。

 今年度は、就任後時間のない中での予算編成であり、知事の政策がより色濃く反映されるのは来年度の予算編成以降とのことでありましたが、今後、県の予算をどのようにしていくのかお聞きをいたします。

○議長(尾崎要二君) 知事。

  〔岸本周平君、登壇〕

○知事(岸本周平君) 御質問ありがとうございます。

 私の尊敬する陽明学者に、これは、備中松山藩の家老をなされた山田方谷という方がおられます、江戸時代末期なんですけれども。この方は10万両の借金があった備中松山藩を僅かの期間で貯金10万両に変えた、上杉鷹山と並び称される財政家でありました。この山田方谷先生が、現代訳で現代語に直しますと、御著書の中で、歳出カットと増税をしても財政再建はできないんだと。むしろ、領民が幸福になって明るく暮らせるように、藩政の王道を実施すれば、おのずと財政も再建されるんだと述べておられます。

 私にとりましては、自分が財政当局にいたときからこのことは肝に銘じて仕事をしてきたつもりでありますし、今回、県の台所を預かる立場になりましても、このことは肝に銘じてやっていきたいと思っております。

 したがいまして、私のポリシーとして、単純な歳出カットではなくて、予算を賢くやりくりするということで財源を捻出していくことが重要だと考えております。

 それから、もう一つ、実際私自身が大蔵省で査定を行っていたときの経験からも、予算に飛躍なしという言葉があります。

 予算に飛躍なし。これは、予算が急に増えても執行できませんし、急に減れば、それで仕事をしていた方々に迷惑がかかりますから、予算に飛躍なし、一足飛びに予算を増減させないということであります。それを肝に銘じております。

 その上で、今定例会に公債費臨時対策基金の設置を提案させていただきました。この公債費臨時対策基金を活用しまして、公債費償還財源確保スキームというのをつくりました。

 たまたまですけれども、この2年間、コロナの状況の中で国の税収が上振れをしました。景気が悪くなるんだろうと思われてたんですけど、案外税収が増えたものですから、したがいまして、昨年の税収が増えた結果の交付税が増えたものですから、そのたまたま1回限り増えたお金を使って、今後、確実に増加する公債費負担を軽減するスキームをつくらしていただいたところであります。

 今後、県職員一丸となりまして、予算の賢いやりくりを徹底していくことで何とかこの難局を乗り切り、持続可能な財政構造への転換を図ってまいりたいと思っております。もちろん一朝一夕にはまいりませんけれども、令和5年度を財政見直し元年と位置づけまして、腰を据えてじっくりと取り組んでいく所存でございます。

 県民や議会の皆様の御意見に耳を傾け、振興局をはじめとした職員の皆さんとしっかりと議論していく中で、農林水産業の振興や子育て支援の充実等の新しい政策を実現し、和歌山が最高だと子供たちが思えるような未来をつくってまいるよう努力してまいります。

○議長(尾崎要二君) 藤山将材君。

  〔藤山将材君、登壇〕

○藤山将材君 単純な歳出カットではなくて、予算を賢くやりくりをして取り組んでいくとの考えと理解した上で、次に、大きな柱の2項目めとして、和歌山県の産業振興、地域振興のために欠かすことができない道路整備について伺います。

 日本では、鉄道や道路整備は首都圏を中心に整備が進み、和歌山県のような地方への投資が遅れてきた結果、経済面でも不利な条件を負わされてきました。これは、仁坂前知事も常に主張されていたと記憶しています。

 そうした状況の中で、二階代議士を中心に、東日本大震災を教訓に、防災面での道路などの必要性も取り上げ、国土強靱化対策として国予算の確保を図っていただいたおかげで、和歌山県にも大きな国庫補助金が集中的に投資されるようになってきたと思います。

 そして、その結果が高速道路の南進や4車線化、すさみ、さらには新宮へ紀伊半島一周高速道路が実現することにつながっていきます。

 1問目で取り上げましたが、今後の予算編成あるいは執行については、厳しい財政状況の中、国土強靱化のような有利な地方債を活用することで、財政健全化を図りながら公共事業に取り組むという姿勢であると認識していますが、これにより、県内道路整備の進捗が遅れることはないのか。

 また、現在、私の地元であります海南・海草地域においても大きなプロジェクトが進められています。私が勝手に西高野街道と名づけている観光ルートでもある国道370号では、大角地域などでバイパス整備や拡幅が進められていますし、かねてから早期整備を求めている都市計画道路松島本渡線の南進、有田市と海南市を短時間でつなぐ有田海南道路、有田川町と海南市を結ぶ県道海南金屋線のトンネル工事など、和歌山市、海南・海草はもちろん、有田市や有田郡などに大きな経済効果が期待をされています。

 こうした道路整備の遅れは、経済はもちろん、防災面でも大きな影響を与えると思いますので、今後の道路整備の進捗について知事にお尋ねをいたします。

○議長(尾崎要二君) 知事。

  〔岸本周平君、登壇〕

○知事(岸本周平君) 御質問ありがとうございます。

 紀伊半島一周高速道路や幹線道路網の整備は、何より農林水産業の活性化や新しい観光産業を創造し、和歌山県に多くの人を呼び込んでいく上で大変重要でありますし、さらには、南海トラフ巨大地震などの大規模災害に備える上でも、非常に重要なインフラであるということを強く認識しております。この点は、藤山議員と全く同じ認識でございます。

 そうしたことから、紀伊半島一周高速道路などの早期整備を国に対して強く要望してまいりますとともに、県におきましても、幹線道路や都市内道路などを計画的に優先順位をつけまして、その道路ネットワーク整備を推進しているところでございます。

 かねてより、選挙の公約でも私自身申し上げてまいりましたとおり、道路ネットワーク整備は、和歌山県の発展にとりまして不可欠なものでございます。選択可能な地方債から有利なものを活用するなど、賢いやりくりをしながら、引き続き、道路ネットワーク整備につきましては強力に推進してまいる所存でございます。

 今、藤山議員から具体的にお話のありました国道42号有田海南道路につきましては、昨日も開通式、ごく一部でございますが、すばらしい橋梁が完成いたしました。この有田海南道路につきまして、今後も事業主体である国に進捗を働きかけますとともに、直轄道路事業負担金をしっかりと確保してまいる所存でございます。

 また、県事業の都市計画道路松島本渡線や海南金屋線などにつきましても、引き続き早期整備に取り組んでまいります。

○議長(尾崎要二君) 藤山将材君。

  〔藤山将材君、登壇〕

○藤山将材君 3番目として、自然博物館の移設について伺います。

 今、道路整備については遅滞なく進めるとの回答でありました。もちろん、有利な県債の活用など、頭を使い、やりくりしていくということであります。

 では、私の地元の海南市で大変人気の高い県有施設であります自然博物館の移設についてどうなのか、お尋ねしないわけにはいきません。

 自然博物館の移設については、平成29年2月定例会において質問をし、仁坂前知事から、10年間の期間中につくると計画に書いたわけだから、実現に向けて頑張っていくと力強い答弁をいただきました。

 その後、移転先の検討を行い、移転先が海南中央公園に決まり、海南市は、令和元年度に用地の鑑定評価、造成に係る実施設計業務などを実施し、令和2年度に用地を取得、さらに、令和3年度には用地造成工事を完了しました。その用地取得に係る費用は3億円以上と聞いています。

 そのような状況の下、県では、令和4年度の新政策の中で令和10年度の開館を目指すとされ、自然博物館については移転・建て替えであることも明記し、県のホームページでも公表されています。

 また、令和4年度において、基本計画策定業務の予算が認められ、今まさに基本計画を策定中であり、年度末までに出来上がると聞いておりました。いよいよ基本設計、実施設計へと向かっていくものと楽しみにしておりました。

 ところが、今年1月17日、海南・海草議会連絡協議会が岸本知事に陳情に行った際に、知事から突然、自然博物館の移設についてはゼロベースから見直すとの発言があり、自分の耳を疑いました。

 知事の交代によって政策判断が変わるということはあり得ることかもしれませんが、基本計画策定の予算がついて、実際に計画策定業務委託を発注しているような事業であります。さらに、県との協議の上、約3億円もかけて用地取得した海南市は、何の説明も受けていないのです。前知事との約束とはいえ、海南市は和歌山県を信用して用地を用意したわけであります。見直した結果、仮に海南市が用意した用地が不要となった場合はどうなるのでしょう。裁判でも起こしてくださいとでも言うのでしょうか。

 だからこそ知事に伺いますが、令和5年度で基本設計に係る予算を計上せずに、1年間かけて移転・建て替えの検討を行うと聞いていますが、見直しに至った経緯と今後の考えをお答えください。

○議長(尾崎要二君) 知事。

  〔岸本周平君、登壇〕

○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。

 県立自然博物館につきましては、開館をいたしましてから40年が経過しております。施設の老朽化、それから収蔵スペースの不足、さらには南海トラフ地震による津波への対策などの課題があることから、令和4年度当初予算におきまして、県立自然博物館の新館建設に係る基本計画を作成するための経費を計上したところであります。

 その後、基本計画の作成に向けた調査の中で、仮に県立自然博物館の移転先候補である海南市大野中地内で現在と同程度の水族展示を行う場合、高額の建設費に加え、海水の確保や排水に多大な経費が必要となる見通しとなりました。

 令和5年度当初予算編成時点においては、新館コンセプトが明確になっておりません。必要コストや工程も含めた全体像がいまだ見えない状態でありますことから、次のプロセスである基本設計の実施に係る予算計上については見送らせていただいたところであります。

 現在、県立自然博物館のリニューアルに係る課題の整理を鋭意行っているところであり、基本計画の作成に係る報告書、その結果を私としては見守っているところでございます。

 藤山議員から御指摘がございましたとおり、これまでの経緯や海南市の対応状況、さらに、海南市としてもこの博物館を大変大切な施設とお考えいただいてるということは十分に認識しておりますので、今後、課題の詳細な分析を行い、必要な条件等が明らかになった段階で、改めまして海南市へ丁寧に御説明をさしていただくとともに、十分な協議を推進してまいりたい、そのように考えております。

○議長(尾崎要二君) 藤山将材君。

  〔藤山将材君、登壇〕

○藤山将材君 議長もそうですが、当初から関わってきた者から言わしてもらえれば、まず、内陸への建設、我々、建て替えではないんですかという話の中で、いや、津波被害から避けたいので内陸へ移りたい、海水の確保も海が近いのでタンクローリーで運びますとかいう、今おっしゃられたようなことはもう初めから分かっていたことであります。そして、海南市のこれまでの対応なども理解した上で丁寧に説明し、しっかりと協議をさせてもらうとの答弁でありましたが、しかし、丁寧に説明するのはいつでしょう。

 突然な話を知事が出される前に、また、これまでの県の方針を新知事が見直そうとしている段階で、まず、海南市に対して説明があってしかるべきではありませんか。担当の室長に、その後、海南市へ説明に行かれたのかと聞きますと、会ってもらえませんでしたとのことでありました。そら海南市の関係者、かんかんに怒ってますよ。

 そこで、改めて伺いますが、知事、この際、海南市に対して今のこのような状況を招いた中で、海南市に対して申し上げること、ありませんか。

○議長(尾崎要二君) 知事。

  〔岸本周平君、登壇〕

○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。

 このたびの経緯につきましては、ただいま御答弁をさしていただいたとおりであります。

 その段取り等につきまして、100%十全な手続であったかどうかについても含めてしっかりと検討しまして、いろんな調査結果が出た段階で、海南市のほうには丁寧な御説明とともに、真摯な御協議をさしていただきたいと、そのことを申し上げたいと存じます。

○議長(尾崎要二君) 藤山将材君。

  〔藤山将材君、登壇〕

○藤山将材君 なかなかあれですけど、知事は選挙戦の中で、和歌山県というのは実体がない。そして、市町村はプレーヤーで、議会は監督でありコーチであると。そして、県はそれを実現していくために動くんだというようなことを選挙戦でも話されておりました。そのプレーヤーである海南市に対して、今回のことというのはちょっとあまりにも失礼ではないかというふうに思います。

 そのことに対して、知事に今、海南市に対してどうですかということを、ありませんかということでありましたが、もう一度お尋ねします。ございませんか。

○議長(尾崎要二君) 知事。

  〔岸本周平君、登壇〕

○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。

 私が選挙中で申し上げたのは、全くそのとおりでございます。

 ただ、この自然博物館、これは、運営費は県が全額支出をするようになっておりますし、建設も県がやるわけでございますので、用地を御用意していただくのはそれぞれの市町村のほうであることは十分理解しておりますけども、ある意味ゼネラルマネジャーとしての県の立場からいたしましても、運営費、それから建設費が、チームが成り立たないぐらい大きな金額になるとするならば、それについては少し御相談をしなければいけないのではないかと。

 応援する気持ちは変わりませんけれども、この案件につきましては、県もゼネラルマネジャーとしての資金繰りの責任がございますので、それにつきましても、今現在、基本計画をつくるための調査が続行しておりまして、年度末には出るわけでありますけれども、本当にこれまで御議論をいただいてきたような状況で可能なのかどうか、あるいは、今も答弁さしていただきましたようなそれぞれの状況についての調査結果を見守った上で、ゼネラルマネジャーとしての立場から、これは、段取りについてはよかったかどうかは検討いたしますけれども、虚心坦懐、誠心誠意、御協議をしてまいりたいと、そのように考えておりますので、何とぞ御理解を賜りたいと存じます。よろしくお願い申し上げます。

○議長(尾崎要二君) 藤山将材君。

  〔藤山将材君、登壇〕

○藤山将材君 資金繰りの話は、それはよく分かるんですけども、就任して間もない知事に、たまたま来た陳情団にああいう形で唐突に発表させる事務方もどうかと思いますよ、教育長。

 普通、どうですかね。その先、第1問でも申し上げましたけれども、この手の大きな話、相手さんのある話ですから、仮に、僭越ですけど、僕が知事ならまず市長に連絡入れますよ、普通は。

 議会に対してもそうです。毎年2月定例会の開会日、あるいはその前日に重要施策の説明会ありますけれども、昨年は新政策として移転やりますというようなことを、教育長から説明を受けましたけれども、今回、こんだけ海南市でも騒ぎになっている状況の中、私も議会で聞きますよと言うてる中ででも、教育長からは何の説明もなかったじゃないですか。やっぱりどうも私には丁寧な県政運営とはとても思えません。こういう業務の進め方は、しっかり是正していただく必要があると思っています。

 いずれにいたしましても、知事が議会の冒頭の就任の挨拶の中で、車の両輪に例えられる県当局と県議会との二元代表制を尊重し、議員と丁々発止、意見を闘わせながら県政を進めてまいりますと言われたとおり、今後、海南市や関係者の皆さん、また、県議会としっかり意見を交わしながら検討を重ねて、県民が誇れる自然博物館にしていっていただけるように強く要望して、次の質問に移ります。

 4番目の柱として、新型コロナウイルス感染症5類移行に向けた県の対応について伺います。

 1月27日に、政府の新型コロナウイルス感染症対策本部において、5月8日から新型コロナウイルス感染症の感染症法の位置づけを季節性インフルエンザと同等の5類に見直すと決定し、これまで講じてきた様々な対策や措置等、移行に向けた検討が開始されたところであります。

 5類では、季節性インフルエンザと同様に、就業制限や入院勧告がなくなり、幅広い医療機関での受診・入院が可能となりますが、医療費やワクチン接種の自己負担が発生するなど、県民にとっても様々な影響が考えられます。

 そこで、知事にお尋ねをいたします。

 政府が決定した新型コロナウイルス感染症の5類移行についての知事の所見と今後の県の対応についてお答えください。

○議長(尾崎要二君) 知事。

  〔岸本周平君、登壇〕

○知事(岸本周平君) お答えいたします。

 新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけにつきましては、国が5月8日に5類へ移行するという決定をされました。このことにつきましては、高く評価しているところであります。

 しかしながら、移行に当たりましての具体的な内容はまだ示されておりません。したがいまして、関西広域連合あるいは全国知事会を通じまして、国に対しては速やかに段階的な措置の具体的な内容と完全移行までのロードマップを示していただきたい、さらには、医療費やワクチン接種に係る公費負担など、国による十分な財源措置は行っていただきたいというような要請を既に行ったところでございます。

 また、5類への移行に際しましては、感染防止対策への不安等の面から、新型コロナウイルス感染症患者の受入れに消極的となる医療機関も想定されます。幅広い医療機関でコロナ患者が受診できる医療供給体制の構築と、高齢者施設や医療機関等におけるクラスター対策、これらが最重要の課題ではないかと考えております。

 したがいまして、医療関係者を対象といたしました県主催の講習会を開催することや、感染防御対策を講じるためのハード面・ソフト面、両面におけます支援等、地域での医療体制の確立に向けた取組を実施する予定でございます。

 特に、高齢者施設等に対しましては、ここが一番心配なところでございますので、引き続き、各保健所等におきまして、施設職員に対する感染管理の研修を実施さしていただきますとともに、それぞれの施設が関係する医療機関との連携、これを強化していただくよう徹底してまいりたいと思っております。

 県といたしましては、今後、国が示す方針を踏まえて、柔軟かつ迅速に必要な対策を講じてまいります。

○議長(尾崎要二君) 藤山将材君。

  〔藤山将材君、登壇〕

○藤山将材君 最後の項目であります。

 観光振興策について伺います。

 政府による新型コロナウイルスの水際対策の緩和も進み、インバウンドの観光客も戻り始めてると聞いています。

 先日も、県から年末年始の観光客状況が発表されましたが、その内容を見てみると、行動制限のない3年ぶりの年末年始ということもあり、初詣客の増えたところもあり、観光客総数はコロナ前の8割超まで、また、宿泊客数は9割半ばまで回復をしてきているということでありました。

 また、昨年から続く全国旅行支援などによる観光需要喚起策によって、宿泊客が増えているという声も聞いています。

 先ほども申し上げましたが、政府は、5月8日から新型コロナの位置づけを5類に引き下げるとの方針であり、今後は、より一層新型コロナウイルス感染症により受けた経済のダメージからの回復に向けた取組を鮮明にしていく必要があり、最優先的に考えていかなければならない施策の一つが観光産業への対応だと思います。

 県では、今年から始まる弘法大師御誕生1250年記念事業の実施、来年の世界遺産登録20周年、さらに、3年後には大阪・関西万博の開催とビッグイベントが続き、これをダイヤモンドイヤーと名づけて観光客の誘致に取り組むと聞いています。

 先ほど、道路整備の進捗についてお聞きしましたが、有田海南道路の建設に伴い、海南市にも道の駅が建設されることになっています。

 昨年度、ある旅行関連事業者が実施した全国道の駅グランプリにおいて、群馬県川場村の道の駅川場田園プラザが1位になりました。人口3300人の川場村に全国から年間200万人の観光客が訪れ、そのリピート率は7割ということであります。県内にも35か所の道の駅がありますが、グランプリでは残念ながら10位以内に入っていませんでした。

 つい最近も新聞報道で、道の駅にバイクのライダーが集結し、そこをスタートにツーリングに出かける例が非常に多いとのことで、SNSで検索の多い道の駅も示されていましたが、残念ながら、こちらも和歌山県内の道の駅が含まれていませんでした。

 やはり人気の場所には、様々なアミューズメントがあったり、何かプレミア感のある商品が売られていたり、おいしい食べ物があったりといった売りがあるように思います。こうした面でも観光客誘致の戦略が極めて重要だと感じた次第であります。

 岸本新知事の下、ポストコロナを見据えた観光振興とダイヤモンドイヤーに向けた取組について、どのような考えをお持ちなのかお尋ねいたします。

○議長(尾崎要二君) 知事。

  〔岸本周平君、登壇〕

○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。

 これまでも、和歌山県は、「ロンリープラネット」や「じゃらん」など、国内外の権威あるメディアなどから和歌山の観光地としての魅力が高く評価されてきたということはございます。

 しかしながら、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う行動制限の影響によりまして、和歌山の観光産業は大きな打撃を受けました。このような状況からの反転攻勢を図るべく、環境に優しい持続可能な観光地づくり、大阪・関西万博に向けた誘客推進、滞在期間延長と消費拡大を目指した取組を進めてまいる所存でございます。

 これからの3年間は、観光産業にとりまして追い風となるビッグイベントが続きます。特に、令和7年の大阪・関西万博を明けの明星のように位置づけまして、本年の弘法大師空海御誕生1250年、それから、来年の世界遺産登録20周年をプレ万博として位置づけまして、積極的なプロモーション活動を展開し、国内外からの誘客に努めるとともに、観光産業の復興にはしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

 具体的には、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」、温泉と食、サイクリング、アウトドアといった素材をしっかりと活用するとともに、新たな観光スタイルとして注目されておりますワーケーションの推進、ほんまもん体験を取り入れた教育旅行の誘致などに取り組んでまいります。

 藤山議員御提案の道の駅なども、これはぜひ地域の観光情報発信拠点として積極的に活用してまいりたいと思っておりますので、また藤山議員からもいろんな御提案をいただきまして、一緒に進めてまいりたいと思っております。

 また、インバウンドにつきましても、藤山議員御指摘のとおりでありまして、引き続き世界から高い評価を受けております中で、今後はインバウンドの本格的な回復が見込まれますので、この好機を逃すことなく、海外の現地旅行会社やメディアへのプロモーションなどによりまして、海外からの誘客につきましては、和歌山県庁を挙げて全力で取り組んでまいりたいと存じます。

 それから、ちょっと最後になりますけれども、今日、藤山議員の答弁をさせていただくのが初めての登壇でございまして、少し国会とは段取りが違いまして、大変粗相をいたしましたことについてはおわびを申し上げ、今後、伝統ある和歌山県議会の慣習に沿った運営に努力したいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

○議長(尾崎要二君) 藤山将材君。

  〔藤山将材君、登壇〕

○藤山将材君 今のおわびは、私、個人的には海南市のほうに向けていただきたかったんですが、岸本県政がスタートして2か月と少し、いわゆる我々の世界でいうハネムーン期間中であります。昨年の知事選の候補者選びでは、党内でもいろいろありましたけれども、保守分裂を避けて一致団結をして応援することができたというふうに思っております。

 先ほどの自然博物館の件では、いささかちょっと強い物言いをしてしまいましたけれども、こういうことが今後続くと、ハネムーンが転じて成田離婚にもなりかねませんので、今後は丁寧な県政の運営をしていただきたいということを申し上げ、そして、共に県民の幸せのために頑張っていこうではありませんか。

 以上で、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(尾崎要二君) 以上で、藤山将材君の質問が終了いたしました。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 25番中 拓哉君。

  〔中 拓哉君、登壇〕(拍手)

○中 拓哉君 皆さん、こんにちは。

 藤山さんの質問受けまして、私も頑張らなあかんなと決意新たにしました。

 44回目の登壇になります。一方で、最後の登壇となります。

 顧みれば、16年前の平成19年6月19日に、木村前知事の不祥事の解明と公益通報や監察査察などの再発防止策を仁坂知事にただしたことが一般質問のデビューでございました。自来、16年間の県議会議員のこの任期中、質疑を含む──質疑1回やらしてもうたんですけど──一般質問30回、委員長報告10回、反対討論も2回やりました。議事進行も2回、手挙げたことあります。都合44回のこの場への登壇を経験させてもらいました。

 これが納めかとなると万感胸に迫るものがありますけども、県民から託された大切な質問権です。有効に活用してまいります。

 昨年の2月24日に突如ロシア軍がウクライナに侵攻してはや1年、いまだ戦争やまず、戦禍のニュースを日々見るたびに心痛める毎日でございます。

 また、先日のトルコ・シリアを襲った大地震の甚大な被害にも心安らぐことございません。被災者の方々にお見舞い申し上げる次第です。

 幸い、今、公明党和歌山県本部の議員が先頭に立って、党員さんと共に義援金の募金活動に取り組んでいるところでございます。被災者に寄り添い、えにし深きトルコの友人を励ましていければな、かように思っております。

 それでは、議長の指名を受けましたので、順次質問に移ってまいります。

 岸本周平さん、県知事の選挙、勝利おめでとうございます。

 衆議院選挙のたびに有権者から、「周平さん、周平さん」と親しみを持って皆さん声援なさる姿に、私、羨望のまなざしで拝見しておりました。

 中西啓介代議士から、「実は、中君、桐蔭出身で大蔵官僚に優秀な男がおるんや。将来、和歌山県の知事にと思っているんや」、こんな話を伺ったことがありました。その人物が誰あろう、あなた、岸本周平なのであったのであります。

 秘書の私が仕える西博義代議士と中西啓介代議士とが同じ事務所で、新進党、自由党の苦節時代を過ごしてまいりました。今ちょうど知事の特別秘書を務めてらっしゃる末次さんはじめ中西事務所の秘書さんたちからも、あなたのおうわさは聞き及んでおりました。

 順風満帆なエリート人生から苦節の時代をはね返され、衆議院にチャレンジされた当時のことも断片ながらも耳にしておりましたし、谷本代議士に挑まれた初戦の折には、城東中学校での個人演説会をのぞいた折に楽得さんに見つかってしまい、「中君、ちょうどよかった。紹介するから壇上に上がってマイク持ってくれよ」と、危うく押し出されるところでございました。公明党やったんで、なかなかそないいきません。

 苦節4年の浪人生活を物ともせず、谷本龍哉を負かして代議士となられてからは、各種式典でお目にかかるとともに、同級生の広井さんからもお誘いあったのでしょう、学会の支部総会の会合などにも参加されているお姿を拝見するにつけ、尊敬の念を深めていった次第でございます。

 総選挙では、公明党の議員である私は、推薦候補の門博文氏の当選に向けて奔走してまいりましたので、悔しい思いをあなたには何度もさせられてきましたが、雨の日も風の日も、また暑い日も寒い日もいとわず路傍に立ち続け演説されている姿には心底脱帽しましたし、公明党の支持者からには、中君も見習えよ、こんなことでお叱りというか御意見も頂戴しました。

 一方、野党に転じてからも──当時、勝ったときは民主党政権だったと思います、転じてからも、衆議院財務委員会の質疑では国際金融などの専門的な分野の質問もこなされる姿に、我が党、公明党の副大臣も賛辞を送っておりました。

 また、NPOの活動にも法改正に尽力してくれるとともに、私が会長を務める和歌山県日中友好協会の活動にも理解を深めてくださっていることに、この場から御礼申し上げます。感謝申し上げます。ありがとうございます。

 そんな御縁から、この先も共に県勢の発展にと思いつつ、最初で最後の質問となります。

 所信表明のことから入りますけども、所信表明で、まあ緊張なさったんでしょう、1行飛ばしましたよね。「第2の柱は、子供を育む環境づくりです」と。たった1行ですけど、どっかで直すんやったらこの場で直しといたらどうですか。

 所信表明の演説でもお述べでございました、県当局の県議会と二元代表制を尊重し、議員の皆さんと丁々発止意見を闘わせながら県政を進めるとのことで、大賛成でございます。丁々発止、かんかんがくがく、けんけんごうごう、活発な本音での議論を期待します。

 そこで、まずは16年にわたる仁坂県政の評価をお聞きします。

 仁坂前知事は、とりわけ民主党政権の「コンクリートから人へ」の標語に本当に常に反発を示しつつ、県土強靱化に力点を置きながら常におっしゃってました。晩年の仁坂県政では、COVID-19・新型コロナ感染症対策は、あのワシントン・ポストでも称賛されるほどの活躍だったから異論はないものと思いますけども、この仁坂さんの県政について、まず評価をお聞きしたいと思います。よろしくお願います。

○議長(尾崎要二君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。

 知事岸本周平君。

  〔岸本周平君、登壇〕

○知事(岸本周平君) ただいま、中議員から身に余る御紹介と併せ御質問を頂戴いたしました。

 また、この場を借りまして、日中の関係では本当に御指導いただいた中、党派を超えた友情を長年お示しいただきましたことを御礼を申し上げたいと存じます。

 その上でお答え申し上げたいと存じますが、今回、初めての議会に当たりまして、先ほども申し上げましたとおり、国会とは段取りが違うもんですから不慣れなもので御迷惑おかけしております。所信表明のときも、単純なミスなんですけれども、年取ってきて老眼のせいもありまして目がしょぼしょぼしたんでしょうか、一行読み飛ばしました。これは子育てのところでしたので、私が一番力を入れて、書いたの私ですんで、私、悔しい思いをいたしましたので、できれば事務的な、今、届けも出してますので、1行の復活をお認めいただきますようにお願いを申し上げたいと存じます。

 その上で、仁坂前知事の16年間にわたります県政につきましては、これは昨年、令和4年6月でございましたが、6月議会の谷洋一議員との一般質問のやり取りを私も聞いておりまして、全くそのとおりであろうと評価をさしていただいてるところでございます。

 その上、就任以来申し上げてるとおりでありますけれども、行政は継続性が大事であります。私の県政におきましても、過去から続いてまいりました和歌山県政の大きな流れを継承していくことが基本であろうと考えております。

 ただ、ウクライナの戦争に見ますように、本当に今、大きな時代の転機を迎えておりますので、これを県議会の皆さん共々に乗り越えていくためには、これまでの延長線をただ進むだけというわけにはまいらない。変えるべきところは御相談しながら変えていきたいと思いますし、将来を見据えた大胆な政策を実行していきたい、そのように思っておりますので、二元代表制の県議会の皆様の御指導、御鞭撻、よろしくお願い申し上げます。

○議長(尾崎要二君) 中 拓哉君。

  〔中 拓哉君、登壇〕

○中 拓哉君 ありがとうございます。

 不慣れとはいえ、やっぱり代議士を長いことなさってますからなかなか堂に入ったもんで、すごいなと感心しております。

 ただ、1行飛ばしたやつ、訂正するんやったら議長さんのそんな字句の修正というわけにいきませんから、読んだらええのになあと思って、あんなこと申し上げた次第でございます。

 先ほどの藤山さんとのやり取りも聞いておきながら、やっぱりここで謝るときは謝って素直にしたほうが議会とはうまいこといくん違うかなあと、そんなこと思います。(「そのとおり」と呼ぶ者あり)変に意地張ったら議事進行かかったり止まってもうたりして混乱することになりますんで、そこはよろしくお願いしたいと思います。

 同じように藤山さんも聞いてくれてましたけど、財政危機警報、財政見直し元年についてお聞きしたいと思います。

 仁坂さんも、16年前は就任早々に財政の健全化を唱えまして、木村県政立て直しとの思いで長期総合計画をつくるんだ、またつくって10年なったんですけど、10年待たんと1年前倒しして改定したり、併せて単年度収支の不足額が当時のことに平成19年度末で151億円穴空くというか食い込んでまうと、基金残高も平成24年末には892億円の不足になるというような試算を提示して、人件費を削るんだ、事務事業費を削るんだ、投資的経費を抑えるんだ、公債費負担を抑える、あるいは県税収入を増やす、そんな、あるいはもっと上手な県債を活用する、これも言うてましたけど未利用地の処分するとか、そういったことを打ち上げまして、新行財政改革推進プランを策定しました。

 その後もこれを順次改定して、2次、3次と改定しながら、昨年には、令和4年から8年度までの新中期行財政経営プランを作成したんです。その試算によりますと、令和8年度末には、財調・県債基金の残高が139億で大丈夫だと胸を張っておりました。また、基金残高は減らしていくけれども、何とか150億ぐらいで踏みとどまれるんで、今以上の行政サービスを県民の皆さんに提供できると述べておったんで、私も安心しておりました。去年の決算でもいろんな数字は大丈夫だ、こういうことでございました。

 ところが、その仁坂知事の──仁坂知事さんは通産省、経産省出身です、今度、岸本さん、大蔵省、財務省出身に替わった途端に、5年の推計を10年にした。そうした途端に、やれ財政危機警報だ、財政見直し元年だと大騒ぎになりました。

 今回の予算見ても、県税収入も伸びますし、県債依存度も下がってますし、その他諸収入は増加しておりますのに、また岸本さんは最善の予算だとおっしゃりながら、機械的に10年間の試算に置き換えただけなのに、財調や基金が令和7年度には枯渇してしまうと。どういうことでしょうか。かんで含んで、できれば仁坂さんがここにおって、仁坂さんにも納得してもらえるような形で御答弁いただけたらと思います。よろしくお願いします。

○議長(尾崎要二君) 知事。

  〔岸本周平君、登壇〕

○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。

 本県では、先ほどの藤山議員の答弁にお答えしたとおりでありますけれども、昨年3月に新中期行財政経営プランを策定いたしました。このプランは、5年間の、令和8年度までの財政収支を公表したわけでございます。

 私は、財政の畑が長かったもんですから、やはり5年よりも10年のほうの推計をしないと中長期的な課題が分からないだろうということで、事務局と一緒に10年の推計に変えさしていただいたわけでありますが、それだけではなくて、実はこの1年間で相当足元の状況が変わっております。物価の高騰というのはもう全くこれまでと違う次元に陥っておりますし、金利も、今回、黒田総裁から植田総裁に替わる中で、既に足元相当揺らいでおりますけれども、金利の上昇も見込まれるということであります。

 それを踏まえた内閣府の中長期の経済財政に関する試算がつい最近、出し直されましたので、それを使いました。これは、特に経済成長が相当落ちるような前提になっております。その他、金利とか消費者物価も違ってまいりますので、それを基に財政収支を試算したところであります。

 その結果として、何ら対策を講じなかった場合には、令和7年度に、これまでの貯金である基金が底をつくと──何もしない場合ですよ。何もしない場合は予算編成が困難になるという見込みになりましたので、財政危機に陥る前に、当然今は財政危機ではありません、たまたま税収が思った以上に上振れしたという一時的な要因があって、昨年度の税収も増え、交付税も増えましたので、この補正、それから令和5年度予算につきましては盤石の予算が組めたんですけれども、これをずるずると続けていくわけにはいかないために、財政危機警報ということで警報を鳴らさせていただいた。財政危機に陥る前に手を打ちたいという意味でございます。

 その上で、新たな収支見通しが昨年のプラン策定時と比して大変悪くなったということは今申し上げたとおりでありますけれども、一つは、過去最大規模の今年度、令和5年度当初予算を起点としたことが原因があります。それから、今申し上げました物価の上昇や金利上昇、経済成長の条件が悪くなったというようなことが1年前と違います。それから、近年の動向から、どうしても公共事業関連の予算は補正があるでしょうから、これもこれまでのような状況で続くだろうと置きました。

 これはまさに賢いやりくりで、私自身は歳出カットすると言ってませんので、従来どおり補正予算がつけば、国土強靱化を中心に、県の負担の少ない地方債を出して、できる限りの公共事業をしたいと、そのことも織り込んだ上のことでありますので、どうか御理解をいただきたいとは思います。

 なお、財政収支につきまして、昨年度、これも実は県債償還期間の延長や国土強靱化の積極的な推進等によって、どうしても後年度の公債費負担が増加するということは昨年も県としては申し上げていたと思いますし、その際、県当局も財政については「楽観視できるものではない」という認識も示していたというふうに承知しております。

 したがいまして、財政について楽観視できないという認識、基本的な認識は昨年度からは大きくは変わっていないと思っております。今回も、あくまでも警報でございます。ただ、ロシアによるウクライナ侵略、さらには本当に生活に密着する物価高騰、金利上昇など、足元の社会経済情勢の変化も踏まえまして、保守主義の原則というんですけれども、より厳しい状況を想定した上で財政運営を行っていく必要があるというふうに私としては考えた次第でございますので、どうか御理解を頂戴したいと存じます。

○議長(尾崎要二君) 中 拓哉君。

  〔中 拓哉君、登壇〕

○中 拓哉君 財務省、大蔵省出身の方やから大丈夫、そういうことで、変なこと言うてないとは思いますよ。しかし、予算編成しながら、あなた、おっしゃったこの内閣府のが、1月24日ですよね、1月24日ですから、もう大体がもう予算も組んできてるし、6138億も大方固まってきてるわけですよ。ほんで、そんな中でこの数字が出たから聞きますと、ベースラインケースを採用したほうであって、成長実現のほうじゃないんだと、こうやって言うんですけども、下向いてるわけではないですよね。やっぱりちょっとずつですけど上向いてるし、また戦争のこともあった、物価高もあった、あるいはこれから金利も上がるやろ、それはそうです。しかし、この5年の予算を組むときは、現状にガソリン上がったりはしてますけども、そういうことは来年にまた反映することであって、あるいはこの途中で補正組んだり、そういうことをしていく中でやっていくことじゃないですか。

 金利上がるのは怖いですよ。もうそれはそのとおりでございます。しかし、一方で物価も上がって景気もようするんやと言うてるんですから、それはそれで一方ええことですし、税収も増えたじゃないですか。そういう形で、いいほうに回っていくことも、消極主義でいくというのはそのとおりか分かりませんけども、明るい未来だ、子供たちに喜んでもらえるんだというんであれば、やっぱりそこらもおっしゃってもらわな困りますよね。

 6138億のをつくっておいて、それで発射台が高いから大変や大変や。時間あったら吉村さん、吉村さんはずっとおりますからね、そこらの見解も聞きたいところでございますけども、制限されてる時間もありますんで。

 ほんで、山田方谷のお話もありましたけど、私もさほど勉強してませんけど、あなたがおっしゃるんで、そういうものの本読んだら、山田方谷、10万両借金やけど、大阪の金貸しさんのとこ行って、50年待ってくれといって武士の力で言うてるわけですね。よっしゃよっしゃって、まあ岡山藩潰れへんでしょうと、松山藩潰れへんということで待ちますよと。ほんで、利子もばばにしてくれと。分かりました、利息もそうしましょう、そんな中で立て直したというんですから、ある面、徳政令みたいなことなんですよ。緊急的なことして、そうなったということですから、お話としてはどんどんしてもろて結構ですけども、やっぱりそれこそ米百俵と同じようなもんで、話としての領域しか説得力がないんではないでしょうか。それは、どうぞお含みくださいませ。

 次に、記者会見での発言で、これもまたかみついた感じで、中拓哉、うるさいやつやなと思うか知りませんけど、お聞きします。

 12月19日の毎日新聞の記者さんからの記者会見の問合せで、選挙開票の当選時に万歳している周りに自民党が多いと有権者の声がありますと。今後の政党との付き合い方、あるいはスタンスを毎日新聞から問われたあなたは、「ここにいらっしゃる皆様全員御存じのとおりです。統一地方選挙が4月にあります。したがいまして、統一選挙の候補者になり得る方は、あの場に上がれない。テレビは撮れない。皆さんがよく御存じのとおりです。ですから、万歳の場に、各政党で県会議員の方や市会議員の方は登れないんです。県民の皆さんに聞かれました場合、私はそのようにお答えします」ということです。

 どうして県会議員や市会議員は壇上に上がってテレビに映ったら駄目なんですか。そんなこと、公選法、どこにもありませんよ。

 残念ながら、公明党は県知事選挙では自主投票で臨みましたので、あなたを推薦しませんでした。選挙事務所には私も顔を出しませんでした。でも、日中友好協会の──先ほど触れていただきましたけど──役員会で、顧問であるあなたの推薦を決めまして、芝本理事長ほか役員の方々と華月殿の事務所を訪ねまして推薦状をお渡ししました関係から、当選の一報には私も万歳を叫びましたし、仮にもしあの現場に私が行っておれば、祝意を申し上げに壇上にも駆け上がったでしょう。私は、来年というか今年の選挙に出ませんから公職の候補者ではありませんけども、芝本さんは相変わらず市会議員に立候補されるわけですから、もし一緒に行ってて上がろうとしたら、中さんはええけど、芝本さんは映ったら困ると、こんなことになりますかね。どういうことなんでしょう。どうしてあんな記者会見で間違ったことを言うたんですか。お示しください。

○議長(尾崎要二君) 知事。

  〔岸本周平君、登壇〕

○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。

 ここはもう政治家の皆さんばかりがおられますので、公職選挙法にそのような決まりがないことは皆さん御存じのとおりだと思います。

 私も、長年、政治活動を続けてまいりました。政治活動をする場合には、報道機関の方々との協力体制というのはこれはもう必須であると私は考えております。また、私は野党の小さな政党でありましたけれども、国民民主党の県連代表を務めておりましたので、あくまでも報道機関の皆様とは円滑な協力関係を続けていくということに留意をしてきたわけであります。

 報道機関には報道機関の皆様のやはり御苦労もありまして、選挙に出る可能性のある政治家が特別のイベントとか、あるいは行事等で出た場合に、これはマスコミのほうの自主規制とおっしゃられるのかもしれませんが、ルールとして、そういう映像とか写真は基本的に使わないというふうに伺っておりまして、その旨、長年、御協力の依頼をいただいてまいりました。それにつきまして、わざわざ私が出張ってテレビに映りに行っても仕方がないと思いまして、その都度都度、マスコミの報道機関の皆様の要請には応じ、協力させていただいたところでございます。

 記者会見での発言は全く正確に引用していただきましたけども、私が当選いたしました日の対応につきましても、これまで同様、報道機関の皆様の要請に協力をさせていただいたという私の思いを述べさせたにすぎません。あくまでも公職選挙法上の禁止されたことではございませんので、改めて申し上げたいと思います。

○議長(尾崎要二君) 中 拓哉君。

  〔中 拓哉君、登壇〕

○中 拓哉君 公選法でないということはちゃんと言ってくれたんで、ありがとうございます。

 報道機関、報道機関と言いますけど、一部なんですね。嫌みなこと言うたら、あなたの奥さんの会社がやはりそういうことを一生懸命おっしゃるんですね。

 しかし、選挙のとき、そうですけども、そんなことで縛られてて、マスコミがコーディネートしててずっとやってるということについては、私はもうこの仕事しながらずっと違和感感じてました。やっぱりそうじゃないでしょうと。映って悪かったら映らないようなアングル考えたり、いろいろ考えるのが報道機関であって、どうしてそんなことを聞かなあかんのですかと、まあこういうことですね。

 卑近な例で言うたら、鶴保さんの万歳のときもそうです。早々と万歳決めました。皆さん待ってました。皆さん、万歳して、それぞれの挨拶があります。しかし、とある日本で有名な放送局が、生で聞かんなんからといって、ずっと鶴保さんのそばに誰も行かさんと、待たすわけですね。1分、2分なら待ちますよ。東京のスタジオの関係で5分ほど待たしといて、ほんでいざ始まったら、鶴保さんは耳入れてるから聞けますよ。私ら、何か分からんまんま待ってやんなんですね。まあ、そんなことをここでいろいろ言うても仕方ありませんけども、そこらはどうぞどんどん遠慮なしにやっていただけたらと思います。

 こんな質問したら、いつも下さん、苦い顔してるんで、私もつらいんですけども、その上で、これからもどうぞマスコミと協調しながら、かというて、そんなマスコミにおもねることのないように頑張っていただけたらと、かように思います。

 それでは、続きまして次の質問に移ります。

 県有の普通財産についてお聞きします。

 行財政改革や財政見直しなどのたびに、未利用地の処分が常に話題になります。ここでも先輩方、また私も質問もしてまいりました。

 本来の分譲を目指す企業誘致の土地造成やったらもちろんのことですが、そうではない旧の白浜空港の跡地や関西国際空港建設の土砂供給のために削った加太の、あのコスモパーク加太の土地の跡なんかも売却も進まず、県政の大きな課題となっております。

 一方、日常の行政事務の変遷から、やむなく行政目的がなくなり、普通財産になってしまう土地も発生します。例えば、海草振興局の建設部は、和歌山市築港に長年おりましたけど、南インターチェンジができましたので、災害のことも考えて、拠点に近いということで森小手穂に移転しました。非常にいいことだと思います。

 それで、築港の土地は普通財産となって売りに出したところ、幸い、1月16日の入札で1億3100万円の落札売却とのことでございます。

 同じ日に、この入札で、和歌浦東3丁目の和歌山すみれホームの跡地も1億602万円で落札として処分されることですから、年数は随分かかりましたけれども、まずはめでたしめでたしです。

 そこで、こういったことを調べる中で、公有財産の管理のルールやいかにと思いまして調べていきますと、和歌山県公有財産事務規程というのがあります。その2条3号に普通財産の規定があり、行政財産以外の一切の財産をいう、つまり行政財産以外は普通財産だと言われます。

 一方、行政財産の取得、管理の事務は、所管の部局長が所掌すると書いてますし、また、5条には、普通財産の取得、管理、処分の事務は、総務部長が所掌すると。本来、全体的には総務部長が普通財産は管理するんだとありながら、その2項で、「部局長の所管する事務又は事業と密接な関係があると知事が認めるものは、当該部局長が所掌するもの」とあります。この条文のおかげで、いつまでも当該部局長が持ち続けるわけですけども、そこで、この5条1項の規定どおり、本来の考えどおり、総務部長が全部所掌していると思うんですけど、総務部長として管理してる普通財産と、そうじゃなしに、2項の項目を使って、知事が必要と認めて、当該部長が所掌している普通財産のこの現状をお示しください。

○議長(尾崎要二君) 総務部長吉村 顕君。

  〔吉村 顕君、登壇〕

○総務部長(吉村 顕君) 県有普通財産106万3181平方メートルのうち、和歌山県公有財産事務規程第5条第1項の規定により総務部長が所掌する普通財産は25万8380平方メートルです。

 また、同条第2項の規定により部局長が所掌する普通財産は80万4801平方メートルとなっております。

○議長(尾崎要二君) 中 拓哉君。

  〔中 拓哉君、登壇〕

○中 拓哉君 ありがとうございます。

 そのように、パーセンテージで言うたら25%とかそんなもんやろうと思うんですね。そうなっております。

 それで、そんな状態をいつまでも続けるからなかなか処分が進まんと、監査に指摘されたり、住民からも草刈りなあよ、ほっといたらどうよ、ほっといたらどうもならなしてと、こんなことで苦情も受けたりするんじゃないかと思います。

 ですから、その上で、こういった行政目的を終えて普通財産になったまま、処分もせんと、一部貸付けもあるようですので、貸付けしてる事例についてもお示しください。

○議長(尾崎要二君) 総務部長。

  〔吉村 顕君、登壇〕

○総務部長(吉村 顕君) 普通財産の貸付事例を申し上げると、長期に貸し付けている物件は、御坊市名田町野島の土地を独立行政法人国立高等専門学校機構に昭和40年から貸し付けており、最近貸し付けた物件は、東京都品川区東五反田の土地を学校法人青葉学園に平成30年から貸し付けているところです。

○議長(尾崎要二君) 中 拓哉君。

  〔中 拓哉君、登壇〕

○中 拓哉君 高専にずっと昔から貸してると。あるいは、最近、東京事務所の職員住宅の跡地をまた学校に貸してると、こういうことなんですね。

 まあほったらかしにして、お金取らないよりは、借りてくれるのはええことやと思いますけども、ずっと賃貸業を和歌山県、営んでるわけではありませんよね。やっぱり和高専には払下げと申しましょうか、そういった交渉したらいいと思いますし、東京の学校なんかも、ずっと東京事務所が管理するというのも非常に無理があるように思いますから、処分していったらいいんじゃないかな、そういうように思って今お尋ねした次第でございます。

 それで、ここで私の提案といいましょうか、強く申し上げたいのは、県庁が土地の賃貸借するわけではないんですから、新たな事務事業があれば必要な土地を取得し、事業の目的が終わればその土地を処分することが本来の管財課、総務部長さんの役割ではないですかね。

 事業目的の終わった従前の部局長に管理や処分を所掌させておったとしても、日常、本来の事務事業に手いっぱいで、終わった事務事業の土地の管理や処分にまで思いをはせるような部長・局長は少ないかと思いますし、どだい無理があるんじゃないでしょうかね。

 財産管理を曖昧にいざなうようなこの5条2項の規定を削除すれば、事務事業の片づけが格段に進み、効率的な行財政の進捗に寄与するものと考えます。

 そこで、総務部長、あなたの力量をもってすれば、こういった部局長に任せてるよりは、一元管理することで一層処分がはかどり、有効に活用されることで、県民の幸せにつながると期待しますが、いかがでしょうか。お答えください。

○議長(尾崎要二君) 総務部長。

  〔吉村 顕君、登壇〕

○総務部長(吉村 顕君) 和歌山県公有財産事務規程第5条第1項では、「普通財産の取得、管理及び処分に関する事務は、総務部長が所掌するものとする。」と定められており、同条第2項では、「前項の規定にかかわらず、普通財産の取得、管理及び処分に関する事務のうち、部局長の所管する事務又は事業と密接な関係があると知事が認めるものは、当該部局長が所掌するものとする。」と定められております。

 行政財産としての用途を廃止した普通財産については、その財産を管理している部局長がその後の有効活用を検討し、振興局の関係部局を通じるなどして引き続き管理を行い、雑草の除草や不法投棄防止のための見回りを実施することが効率的であり効果的であることから、第2項の規定が定められているものと理解しております。

 県では、これらの規定に基づき普通財産を管理し、有効活用を進めることが重要であると考えております。その際、継続して保有する必要のない普通財産については、まず県庁内での公共利用を優先し、利用予定がないものは、所在する市町村に対して取得意向の調査を行い、市町村から取得要望がなかった場合には、一般競争入札による売却を進めることとしております。

 また、現在貸付けをしている普通財産についても、相手方への売却を働きかけるなど、有効活用に努めてまいります。

○議長(尾崎要二君) 中 拓哉君。

  〔中 拓哉君、登壇〕

○中 拓哉君 恐らく何回もそういう有効活用に努めてまいりますというのは、ここで答えてるねんやと思います。それが、はかどらないし、ほったらかしになってるから、たんびたんびに質問を受けたりするんだと思うんで、この際、乱暴ですけど、あの規定がなかったら総務部がせなあかんので、しっかりするんじゃないかなと思って聞きました。

 例えば、国の森友学園もそうです。財務省が持ってたんですけども、航空局も関係してるかなということで、あんな複雑なことになりました。

 あるいは、身近な和歌山県を見ても、砂山にあった建設省が汀丁のところへ、和歌山県も国の直轄事業だといって訳の分からん負担金出しながら立派なビル建てて、国土交通省が仕事をしております。しかし、跡地についてはまだ進みません。どうやら和歌山市が何かコミセンでも造ってくれるようなお話は地元で聞きますけど、そんなことでなかなかはかどりません。

 その前の財務事務所、これも長いこと空き家のまんまです。

 あるいは、お城の周りの一等地に合同事務所がありました。その手前に9階建ての立派な税務署やら検察庁やら法務局やらいろんなところが入って、県民・住民には大変便利でございますけど、元の建物は囲ったまんま、ほったらかしですよね。

 これは国のことですけども、やっぱり和歌山県なんかでも総務部が一元管理してくれてやってくれたら、先ほどおっしゃってくれたような有効活用に進むんじゃないかと思って、ここで提案さしてもらった次第でございます。知事も替わったことですし、そこらを解決していただければな、これは期待しております。

 それでは、次の質問に移ります。

 去る1月31日、いつか訪ねようと気になっておりました井澤弥惣兵衛為永の銅像のあるさいたま市の見沼自然公園に行ってまいりました。

 かつて平成29年12月議会で中本議員もお触れになった郷土の偉人、このときは大畑才蔵さんと一緒ですけど、大畑才蔵と井澤弥惣兵衛のことでございます。

 今年の1月28日、毎年やってくれてます明治大学駿河台キャンパスアカデミーコモンという立派な建物らしいですけど、そこで開催されました「紀州徳川家シンポジウム─紀州徳川家とその時代─」の中で、元和歌山県副知事で明治大学教授の山下茂さん、恐らく下さんなんかはよく御存じやと思うんですけども、その先生が、8代将軍吉宗に呼ばれて紀州流の利水土木の技術をもって進めたのが井澤弥惣兵衛であると、こういうことで御紹介もしてくれておりました。

 利根川の水を60キロに及ぶ見沼代用水路と掘り進めていきまして、見沼という埼玉県の片田舎の田んぼに水田を開発しました。この水位を調整する閘門の通船堀という方法で船を江戸と結ぶ水運、これはパナマ運河と同じ原理だそうですけども、そういう技術も発明して、江戸にお米を運ぶように貢献する大事業を何と僅か半年で完成させたとされております。

 このときの工事事務所を構えたとされる万年寺というお寺にも足を運んでまいりましたところ、そこにも碑文が掲げられておりました。

 今日は資料提供で皆さんにお配りしてます。実は私の母は海南の阪井の育ちで、母のやぶ入りで、いつも夏休み、小学校の頃は、よく亀池に連れていかれて、夏休みの宿題の図画で亀池を描いたり、あるいは工作の材料、花や草木、木の実やそういったものを拾ったのも亀池でございました。

 その亀池の堤には、子供の頃は当然そんなこと知りませんでしたけど、井澤弥惣兵衛の功績をたたえる立派な石碑が建っております。

 和歌山ゆかりの先人として、「わかやま何でも帳」にも掲載してくれております。

 調べれば、井澤さんは、海南市溝ノ口の出身で、紀州藩2代藩主光貞に取り立てられて、大畑才蔵と共に紀州流の土木技術、この土木工法を確立し、藤崎井、小田井、あるいは亀の川改修、亀池築造と実績を積み、やがて吉宗がお江戸で将軍やったときに、吉宗の享保の改革の新田開発に大きく貢献したわけであります。その我が郷土の偉人の銅像が、はるか関東の異郷の地の人たちの手によって建立されているではありませんか。

 かつてこの議場から小野田寛郎元陸軍少尉の顕彰もお願いしました。提案もしました。30年間潜伏したフィリピン・ルバング島では、小野田さんの記念館が建ち、青少年の平和教育のとりでとして活用されていることも紹介しました。本県での顕彰を一生懸命訴えてるとこでございます。私と同じ海南の出身です。

 井澤弥惣兵衛さんも同じく海南の出身です。埼玉に銅像のあることは、石田真敏代議士や門博文前代議士らも折に触れて広報周知してくれております。和歌山県として、「わかやま何でも帳」に掲載するだけでなく、銅像を建てるぐらいの顕彰をお願いするというか提案します。

 実のある答弁をお願いします。

○議長(尾崎要二君) 企画部長長尾尚佳君。

  〔長尾尚佳君、登壇〕

○企画部長(長尾尚佳君) 本県には、国家、社会の発展に大きな働きをした多くの先人がいます。このような方々の功績を知ることは、ふるさとへの愛着や誇りにつながるものであり、先人の顕彰に継続的に取り組むことが重要であります。

 井澤弥惣兵衛の功績につきましては、ふるさと教育副読本「わかやま何でも帳」に掲載するほか、和歌山県総合情報誌「和-nagomi-」などでも紹介するとともに、平成31年3月の農業土木歴史偉人フォーラムや先月28日に開催した紀州徳川家シンポジウムにおいても、紀州流土木工法という技術を導入し、小田井用水路や亀池等における利水・治水工事をはじめ、関東地方の見沼の干拓や見沼代用水など、全国的に数々の用水路の開削や新田開発を行い、8代将軍吉宗の享保の改革を支えたことなどについて顕彰したところです。

 県としましては、郷土への愛着心を醸成できるよう、様々な機会を捉えて、井澤弥惣兵衛をはじめとした先人の顕彰に一層取り組んでまいります。

○議長(尾崎要二君) 中 拓哉君。

  〔中 拓哉君、登壇〕

○中 拓哉君 企画部長・長尾さんも海南でしょう。そういうポストにある限り、郷土愛満ちて、ぜひ頑張ってくださいよ。お願いします。

 実は立派な公園なんですね。公園の中で、これ見てもうたら分かるように、広々とした中で建ててくれてます。脇書き見たら、土地改良区の方が自分らでお金出してるわけですね。もうずっとお江戸の時代のことなのに、今の田んぼやってる方が感謝の気持ちを持ってこうやって建ててくれてる。うれしい話ですよね。

 ところが、残念ながら、こっちでは、亀池には立派な石碑はありますけども、銅像がないと。

 例えば、県議会のとこへ行きますと、濱口梧陵の銅像があります。いつも朝、出勤のとき、あるいは帰るとき、夕日に打たれて、それを見たときに、しゃきっとするものがやっぱりありますよ。

 県文へ行けば銅像あります。県庁の職員に聞いても、誰ですかなあぐらいなことです。小野真次さんなんだそうです。それぐらいやっぱり偉大な方なんですね。

 仮谷志良さんも偉大でしたけど、銅像建つわけではありません。仁坂さんも偉大でしたけど、この先どうか分かりませんけど、銅像建てようかというようなことにはなりません。この先、岸本さんはどうか分かりませんけども。

 そのように、いろいろ碑文を書いてくれたり、書いて木で置いてくれたりしますけど、やっぱり銅像になったり胸像になったりするというのは、そういう思いがあって実っていくんじゃないかな、そんなことを思いました。

 何とか、私も議員は終わりますけども、一市井の人間として頑張っていきたいな、このように思う次第でございます。よろしくお願いします。

 次に、読書についてお伺いします。

 令和2年3月議会で堀龍雄議員も取り上げてくれておりました読書活動推進計画、そのこととは別の視点で今日はお聞きしたいと思います。

 和歌山県社会教育委員会会議の議長を務める、これ私の同級生、海南高校同級生の藤田直子さん、和歌山大学特任准教授がまとめた提言「読書文化の醸成に向けて~生涯にわたり読書に親しむために~」という冊子があります。これによりますと、学校、家庭、地域それぞれの重要性をお述べになるとともに、小さいときの絵本に始まり、本がいつも身近にあることの大切さが述べられておりました。

 去る1月29日日曜日の読書推進フォーラムでは、「『ちょっと本でも読んでみようかな』のために」というタイトルで講演会がありまして、そこに参加しました。「本は優しい」との演題で、金田一秀穂先生の講演も興味深く拝聴しました。

 面白い話を紹介します。国語辞典で、あ行が「あ」から始まるんですけど、「愛」で始まります。わ行、最後は「腕力」で終わるそうです。それで、辞書の真ん中のページを開いてくださいと。家へ帰って調べましたら、さ行の「せ」の欄でして、世界。つまり日本は世界を中心に愛から腕力まで包摂する、このような日本の辞典だ、こんな面白い話をしてくれました。

 また、漢字の普遍性についても強調されておりました。

 古典に触れて自分で考えるとはどういうことだということを考えて、無知の知を知ろうではないかと、こんな呼びかけでございました。

 私も今日まで買い求めてきた蓄積した書籍が私の寿命の間に読み終えられるか、非常に不安でございますが、受験勉強そっちのけで読みふけた吉川英治の「三国志」や、風呂にまで持っていって入って読んだ尾崎士郎の「人生劇場」、あるいはこれは勉強ですけど、ゼミ論を仕上げるためにルソーの難しい「社会契約論」、それなどいっぱい、いろんな書物が私をつくってくれて、読書には感謝しております。

 毎年、和歌山県教育委員会がやってくれてる中高生のビブリオバトルも楽しく拝見しております。

 私の娘も、幼児の頃に、娘が読み終えた本のタイトルを家内が大きな模造紙に木の絵を描いて、リンゴの実として本のタイトル書いて貼り付けることで、読書の習慣を彼女は身につけました。

 仄聞するところ、お薬手帳のようなシールを貼っていくタイプもあるようです。

 また、読書通帳の取組を知りましたし、興味を覚えました。大人が預金通帳をキャッシュディスペンサーに通しているしぐさに憧れて、子供たちが読書通帳を手にして、喜んで読み終えた本の記載をその読書通帳の機械で印字してもらうことを喜んでるそうでございます。そういうことで読書の習慣が身につくとのことでございました。

 翻って我が身に当てはめて、自分を形成してくれた、今まで読んできた書物の履歴が判明すれば楽しいだろうなあと夢想もいたします。和歌山県内でも導入している図書館があるやに仄聞します。石川県立図書館でも導入とのことでございます。

 きのくに志学館やBig・Uの県立図書館で導入していただけないでしょうか。お伺いします。

○議長(尾崎要二君) 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 読書の記録についてでございますが、読書は、私たちの人生に豊かな時間と心の栄養を与えてくれる効果があります。

 県では、令和3年度から、読書に親しむ環境を充実させるために、読書文化の醸成を目指して取り組んでおります。

 生涯にわたって読んだ本の履歴を残すということは、年齢に関係なく楽しみとなり、読書意欲をかき立てられるなど、その人にとって大きな意味を持つと考えております。

 議員御質問の読書記録機器導入については、読書環境をより充実させるための一つの手段であると考えます。

 県内の状況でありますが、読書記録機器等の通帳タイプを導入しているのは3市町、自ら手書きしていく自書タイプは4市町であります。

 読書履歴の有効活用については、これら県内の活用状況なども踏まえながら、県として引き続き研究してまいります。

○議長(尾崎要二君) 中 拓哉君。

  〔中 拓哉君、登壇〕

○中 拓哉君 ありがとうございました。

 読書記録購入何とか機械って、難しいこと言いますね。読書通帳と言うてくれたらええんですけど、調べたら、内田洋行の商標登録してるそうなんで、商品名で言えないとのことでございました。何やらNHKみたいな厳しいこと言うなあと思って気にしたんでございます。なかなかLINEとかZoomとか言わないでしょう。SNSとかそういう言い方でしかしませんよね。なかなか難しいんやなと思います。

 それでは、時間も残り少なくなってまいりました。

 顧みれば、創価大学で政治思想史を学び、昭和54年正月に坂井弘一代議士の門をたたき、秘書として政治の道に足を踏み入れました。江上先輩に鍛えられました。坂井先生の慈愛にも包まれて、また西博義代議士にも禄をはんで雇ってもらいました。新進党、自由党では、中西啓介、二階俊博両代議士の下で修行を積むこともできました。

 その後、公明党の公認候補として、平成11年4月、42歳で和歌山市議選に立候補、4038.036、同じ中さんがおったんで、こういう案分されました。平成15年4月の市議選でも同じように中さんが出たんで4454.232票という得票でございました。平成19年、50歳で和歌山県議選和歌山市選挙区で9802票、平成23年、2期目では9902票、平成27年、3期目では9371票、おかげでこのときは1番でございました。平成31年、8477票で4期目の当選を飾ることができました。

 振り返れば、旅田市政では、不老館や石泉閣、花いっぱいなどのことを一生懸命追及してきました。大橋市政では、職員給与の不正な渡り支給を是正し、仁坂県政でも、国民体育大会や紀の国わかやま文化祭といった全国大会の成功、紀伊半島大水害からの復興、関西広域連合の発足、IRや新型コロナウイルス感染症対策、阪和自動車道紀勢線の延伸、京奈和自動車道、第二阪和の開通、和歌山市内主要計画道路の整備、もうすぐまたうれしいことに南港山東線があさってですか、オーケーするそうです。先日も市駅小倉線が通りました。

 また、南インターチェンジの整備にも、ここで質問して、和歌山市が鈍くさかったと言ったら怒られますけど、和歌山市が苦労してたのを仁坂知事の下で和歌山県が立派な道を、インターチェンジを造ってくれました。あるいは、一方で、和歌山駅や市駅の市駅再開発事業のまちづくりにも提案してまいりました。

 また一方で、旧美里町の裏金の問題、医科大学の研究費の不正の経理の問題、あるいは中津村森林組合、あるいは県庁職員の県証紙の横領、フェンシングふるさと選手応援補助金の不祥事、そういったことの再発防止策を提案してまいりました。

 また一方、レイディ・ワシントン号や郭家の住宅の保存、軍師・名取三十郎正澄の顕彰、あるいは、今日も申し上げましたけど、小野田寛郎や井澤弥惣兵衛偉人顕彰、また一方、ICOM・国際博物館会議、日本遺産といった文化・学術の振興も取り上げてまいりました。

 一方、自殺防止や生活困窮者自立支援、ユニバーサルデザイン、見守り支援、消費者問題、いじめ・不登校、PTA不正経理、あるいは柔道の畳、自動畳み機の導入経費なんかについても取り組んでまいりましたし、福祉・教育の推進にも頑張ってまいりました。

 一方、大きな問題は、ロケットやENEOS、日本製鉄、関電海南発電所の跡地、RORO船、コスモパーク加太といった産業振興などにも取り組んでまいりました。

 取り扱った課題は、もう辞めるんで一遍調べようと思って見ましたら、大項目で148、小項目で304項目を質問してまいりました。

 あっという間の県会議員16年でございました。あっという間の議員生活24年でございました。あっという間の政治の仕事44年でございました。

 この4月で議員という役割は終わりますが、布衣となって、世の中の不幸をなくすため、ささやかながら歩んでまいりたいと考えております。

 先輩、同僚、後輩の議員各位の皆さん、また議会事務局の皆さん、とりわけ政策調査課の方には資料のことをまとめてもらったり調べてもらったり、お世話になりました。

 また、この場で質問するのに、和歌山県では、そういった関係部署との調整に当たってくれる関係の職員さんを、当初は私と同級生の海南高校の尾上さん、同級生についてもらい、その後は海南高校後輩の森さん、岡本さん、今の鈴木さんにお世話になります。また、時として、性格からでしょうか、反省せなあきませんけど、大声を張り上げて興奮する私に、冷静に対応してくださった県当局の職員の皆さん、大変お世話になりました。謹んで御礼申し上げます。

 私、信仰者として朝晩勤行の後、和室に掲げる初当選の万歳の写真を毎日眺めております。我が事のように喜んでくださった方々の励ましのおかげで今日まで務めることができました。

 最後に、県議会議場に送ってくださった創価学会同志の皆さん、また、その同志の皆さんから勧められて私を応援してくださった県民の皆さん、支えてくださった後援会の皆さん、誠にありがとうございました。

 心の底から感謝申し上げまして、この壇上での挨拶とします。ありがとうございました。(拍手)

○議長(尾崎要二君) 以上で、中拓哉君の質問が終了いたしました。

 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。

 明日も定刻より会議を開きます。

 本日は、これをもって散会いたします。

  午後2時45分散会

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