令和5年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


◆ 汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているものもあるため、人名等、会議録正本とは一部表記の異なることがあります。人名等の正しい表記については「人名等の正しい表記」をご覧ください。

令和5年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号

議事日程 第4号

 令和5年2月21日(火曜日)

 午前10時開議

 第1 議案第1号から議案第17号まで、議案第34号から議案第40号まで、議案第43号から議案第46号まで、議案第48号から議案第57号

     まで及び議案第59号から議案第75号まで(質疑)

 第2 一般質問

────────────────────

会議に付した事件

 第1 議案第1号から議案第17号まで、議案第34号から議案第40号まで、議案第43号から議案第46号まで、議案第48号から議案第57号

     まで及び議案第59号から議案第75号まで(質疑)

 第2 一般質問

────────────────────

出席議員(41人)

 1番 鈴木德久

 2番 山家敏宏

 3番 中本浩精

 4番 堀 龍雄

 5番 藤山将材

 7番 井出益弘

 8番 宇治田栄蔵

 9番 北山慎一

 10番 玄素彰人

 11番 中西峰雄

 12番 秋月史成

 13番 森 礼子

 14番 濱口太史

 15番 尾崎要二

 16番 冨安民浩

 17番 川畑哲哉

 18番 玉木久登

 19番 鈴木太雄

 20番 岩田弘彦

 21番 吉井和視

 22番 谷 洋一

 23番 佐藤武治

 24番 岩井弘次

 25番 中 拓哉

 26番 多田純一

 27番 新島 雄

 28番 山下直也

 29番 中西 徹

 30番 谷口和樹

 31番 藤本眞利子

 32番 浦口高典

 33番 山田正彦

 34番 坂本 登

 35番 林 隆一

 36番 楠本文郎

 37番 高田由一

 38番 杉山俊雄

 39番 片桐章浩

 40番 奥村規子

 41番 尾﨑太郎

 42番 長坂隆司

欠席議員(なし)

〔備考〕

 6番 欠員

────────────────────

説明のため出席した者

 知事         岸本周平

 副知事        下 宏

 理事         田嶋久嗣

 知事室長       赤坂武彦

 危機管理監      福田充宏

 総務部長       吉村 顕

 企画部長       長尾尚佳

 環境生活部長     生駒 享

 福祉保健部長     志場紀之

 商工観光労働部長   寺本雅哉

 農林水産部長     山本佳之

 県土整備部長     福本仁志

 会計管理者      中家秀起

 教育長        宮﨑 泉

 公安委員会委員長   竹田純久

 警察本部長      山﨑洋平

 人事委員会委員長   平田健正

 代表監査委員     森田康友

 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫

────────────────────

職務のため出席した事務局職員

 事務局長       出津野孝昭

 次長(秘書広報室長事務取扱)

            浜野幸男

 議事課長       長田和直

 議事課副課長     岩井紀生

 議事課課長補佐兼議事班長

            村嶋陽一

 議事課主任      伊賀顕正

 議事課主任      菅野清久

 議事課副主査     林 貞男

 総務課長       葛城泰洋

 政策調査課長     神川充夫

────────────────────

  午前10時0分開議

○議長(尾崎要二君) これより本日の会議を開きます。

 日程第1、議案第1号から議案第17号まで、議案第34号から議案第40号まで、議案第43号から議案第46号まで、議案第48号から議案第57号まで及び議案第59号から議案第75号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、併せて日程第2、一般質問を行います。

 32番浦口高典君。

  〔浦口高典君、登壇〕(拍手)

○浦口高典君 まず初めに、今回、トルコ・シリア大地震でお亡くなりになった皆様の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆さんに心よりお見舞いを申し上げます。

 議長のお許しを得ましたので質問させていただきますが、その前に、改めまして岸本知事、御就任、誠におめでとうございます。国民民主党和歌山県連代表の浦口高典でございます。前の代表があまりにも偉大だったために、私の存在はずっとかすんでおりますけれども、少しでも前の代表の足元に近づけるように私も精いっぱい頑張ってまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 そして、もう一言述べさしていただきますけれども、実は私、初めて岸本周平というこのビッグネームを耳にしたのは、もう今からかれこれ40年前であります。40年近くになるんですね。私は、天下国家のため政治の世界に青雲の志を抱き、勤めておりました民間会社に自分の意思で辞表を出し、当時の自民党全国区参議院議員・玉置和郎先生の秘書になりました。秘書といっても、当時、玉置事務所には50名以上秘書団がおりましたので、末端の名ばかりの秘書でした。仕事といえば先輩秘書の使い走りが中心で、暇なときはお茶くみや事務所の書類整理、また、当時事務所で乗っていたラッタッタというミニバイクの掃除などを一生懸命やっておりました。

 ある日、先輩秘書からの指示で、当時の厚生省──今の厚労省ですね──に、そのラッタッタに乗って資料をもらいに行ったとき、担当の職員の方と雑談になりました。そこで、その方から「浦口秘書さんはどちらの御出身ですか」と聞かれたものですから、「はい、私は玉置議員と同じ和歌山です」と言うと、その職員の方から「和歌山だったら、大蔵省に岸本周平という優秀な男がいるが、知ってますか」と聞かれたんです。私は、全くその当時、知りませんでしたんで、すかさず「知りません」と言うと、その職員の方がくしくも「いずれ彼は和歌山県の知事になりますよ」と言われたんです。これ、本当の話なんですよ。

 そして、いろいろお話を聞きますと、その岸本氏というのは私より一つか二つ年下ということが分かりました。どんな男やろうと思って非常に興味が湧いてきて、一度会いたいものだと思ったのですが、何分使い走りの身でございましたんで時間的余裕もなく、そうこうしているうちに玉置先生の衆議院への転戦が決まり、後援会づくりのために和歌山に戻ってまいりました。

 しかし今、この県議会の議場で、天下国家のためと使命感に燃えながらも、ラッタッタを永田町、霞が関で颯爽と乗り回していた私が県議として、そして、40年近く前に初めて聞いたビッグネーム、岸本周平氏が知事として対峙し、議論できることは、時の流れとともにその喜びを体全体で感じておる次第でございます。

 とはいうものの、御存じのとおり、岸本知事とは、民主党、民進党、国民民主党と岸本氏が代表で、私が幹事長として10年余り御一緒さしていただいておりますので、彼の頭脳の明晰さ、卓抜した行動力、そして、腰の軽さと同時に弱者への細やかな配慮など、私など到底及びもつかない能力であることは十分理解しております。たまには論理明解、意味不明解なことを何度か私は聞きましたけれども、私も政治に関わる者でございますので、全て今まではのみ込んでまいりました。しかし、これからは知事として和歌山県並びに県民の皆さんのため、論理明解、意味不明解ではなし、論理明解、意味も明解な答弁、そして、答弁されたことを実行していただくことを心より望む次第でございます。

 本題に入りますが、さて、実は岸本知事もおっしゃっているように、昨年12月17日に就任されたばかりで、来年度予算については前仁坂県政を基本に引き継ぐということであるということですので、その内容については深くお聞きはいたしません。また、昨年9月に仁坂知事に質問した際、私は、11月に岸本氏が知事に当選し、就任されたとき、この2月議会で同じ内容を少しでも視点を変えて質問するつもりでおりました。

 それは、次の3点です。1、人口減少問題、2、「健康長寿日本一わかやま」、3、和歌山経済再生についてであります。岸本新知事以外の方は、この場にいらっしゃる方は同じようなことをまた聞くというふうに思われるかもしれませんが、この和歌山県の将来にとっては非常に大事な項目であるだけに、岸本新知事の基本的な考え方をお伺いいたしたいと思います。

 まず、1番目の人口減少問題について、県独自の人口減少マニフェストについてでありますが、最近ではこの人口減少という言葉は、皆さん、枕言葉のように使われておりますけれども、お手元の資料を御覧ください。

 和歌山県では、1985年、昭和60年の108万7000人をピークに38年間、人口減少が続いており、今年の1月1日時点で90万621人まで減少しております。まだ公表されておりませんけれども、これまでのペースで減少すれば、恐らく今月、この2月1日時点で80万人台になるというふうに思われております。私が議員になった今から20年前に、当時の直近の国勢調査、これは2000年でありますけれども、人口は減少傾向にあったとはいえ107万人あり、高齢化はこのとき21%でした。現在でも、今申し上げたとおり、90万人を切ろうとしている状況で、高齢化率も既に33%を超えております。

 しかし、これで止まるとは誰も思っておらないと思います。国立社会保障・人口問題研究所では、2040年(令和22年)には73万4000人、このときの高齢化率は38.5%と推計しておりますけれども、以前にもお話しした元総務大臣の増田寛也氏が座長であった日本創成会議の試算では、2040年には69万人、高齢化率はほぼ40%という数字も出ておりますし、現実は、私はこれに非常に近いのではないかと思っております。2040年まであと僅か17年です。

 このような状況で、県では、平成27年6月に和歌山県長期人口ビジョンを策定し、人口減少が続く中においても2060年の総人口70万人を確保することを目指すとしております。それは右に書いておりますが、この長期人口ビジョンは、言わば県における人口減少マニフェストと言えるものであると認識しておりますが、実際には、お配りしている表にもあるように、人口ビジョンで示した数字は達成されておらず、人口減少の流れは抑えることができないのが現実であります。

 私は、今後のインフラ整備や経済政策を考えるときに、この人口減少問題は避けては通れないものだと考えております。今も総人口が何人減った、自然増減が何人で社会増減が何人という結果は公表されておりますが、果たしてどういうことが原因で減ったのか。人口減少は複合的な要因によるもので、詳細な分析は難しいと思います。しかし、私は、県民の皆さんや行政自体が現実を深く認識してもらい、今後の人口減少に少しでも歯止めがかかるためにも、毎年度、人口動態とその主な原因が何であるか分析を行い、次の施策につなげていくべきではないかと思いますが、知事のお考えをお聞かせください。

○議長(尾崎要二君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。

 知事岸本周平君。

  〔岸本周平君、登壇〕

○知事(岸本周平君) 浦口議員の質問にお答えをさせていただきます。

 その前に、過分な御紹介をいただきましたけれども、長年、同じ党でお支えをいただきましたことの御礼と論理明解、意味不明解なことを申し上げてきたことのおわびを申し上げたいと思います。今後とも、どうぞ御指導をよろしくお願い申し上げます。その上でお答えさしていただきます。

 県では、平成27年に策定いたしました和歌山県長期人口ビジョン、今、議員のほうからは人口減少マニフェストというお言葉で示されました。これは、2060年の県人口を70万人程度とする目標を掲げ、人口流出に歯止めをかける、出生率の向上を図る、暮らしやすい社会を創るという三つの方向を示した上で、具体的な政策をまとめました和歌山県まち・ひと・しごと創生総合戦略に基づき、長期的な視点を持ちまして目標の実現に向けた取組を現在も進めているところでございます。仁坂県政から引き続き、私もこの目標の実現に向けて努力をしていきたいと考えております。

 一方で、人口減少対策は、その効果が現れるまでには長期間を要すると考えます。2020年の国勢調査における県の人口は92万3000人、これは、国立社会保障・人口問題研究所の推計人口を5000人程度上回っておりますけれども、議員御指摘のとおり、和歌山県長期人口ビジョンの目標値93万4000人には及んでおりませんし、また、足元の数字は、浦口議員御指摘のとおり、大変厳しい状況になっておることも認識しております。

 そして、このような人口減少を食い止めるために、令和5年度におきましては、まず子育て支援を強化する、妊娠から子育てまでの伴走型支援と経済的支援の一体的な実施、保育料等の無償化や保育人材の確保、放課後児童クラブや子供食堂の充実による子供の居場所づくりを進めるための予算案の提案をさしていただいてるところでございます。

 次に、雇用の場を創出することで、若い世代の県内定着を促進するとともに、県外から多くの人を呼び込んでいくことが何より重要であると考えております。具体的には、新規就農者の確保、紀州材の生産性向上、水産資源の回復に取り組むことで、農業、林業、水産業の活性化を図るとともに、大阪・関西万博やポストコロナを見据えたクルーズ客船誘致など、国内外からの観光誘客に取り組む努力を続けます。また、宇宙関連産業等の集積を目指すほか、県内企業のDXを推進するなど、最先端産業の振興と企業の成長支援や企業誘致もさらに取り組んでまいります。その上で、人と物の流れを活性化するため、高速道路や幹線道路を計画的に整備していくことに留意をしていきたいと思っております。

 これまでも、施策の効果をはかるため、合計特殊出生率や新規企業の立地件数、あるいはUターンの就職者数などの指標について、その進捗を把握し、人口動態の主な要因分析などを行い、対策を講じてまいりましたけれども、正直申し上げまして、人口減少問題は、行政だけが頑張ることで解決できるようなたやすい問題ではないという認識もしております。

 議員御指摘のとおり、現状と課題を明らかにしながら県民の皆さんと危機感を共有し、人口減少の流れを何としても食い止めることができるよう、前例にとらわれず大胆な政策を実行し、子供たちが和歌山が最高だと感じ、県民の皆さんが誇りを持てる和歌山県の実現に向けて取り組んでまいりますので、御協力のほどお願い申し上げます。

○議長(尾崎要二君) 浦口高典君。

  〔浦口高典君、登壇〕

○浦口高典君 岸本知事、非常に論理明解、意味明解なお答え、御答弁、ありがとうございました。

 この人口減少問題については、先ほども申し上げましたように、和歌山県では2000年から現在まで僅か23年間で17万人の人が減少しているということでありますが、先ほども言いましたように、これから国立社会保障・人口問題研究所以上に人口が減る、先ほど言った日本創成会議の数字によりますと、この17年間、これからの2040年までの17年間で20万人人口が減るということでありますから、これ、単純に割って計算すると、これまでもうかなり人口は減っておりますけれども、1.6倍ぐらいのスピードで人口減少が起こるということであります。

 これは、私はずっとこの人口ピラミッドを見ていろいろ、ああでもない、こうでもないと考えてるんでよく分かるんですけども、県民の皆さんの中に、これは国全体でもそういう傾向はあるんですけども、特に和歌山は団塊の世代の方が非常に多いんですね、昭和21年から23年ぐらい生まれの方が。これから、これらの方が17年しますと生きていらっしゃる方で90歳以上になりますし、多くの方がお亡くなりになる可能性があるということで、これは今まであんまり言葉として耳にされなかったと思いますが、これから和歌山もいよいよ多死社会、自然減の社会に入ってくる、そのような認識をしておりますけれども、いわゆる人口がごそっと減るということで、持続可能な次の世代のためにも、本当に人口が2060年に70万人を維持できるように、ぜひ今後、考えていただきたいと思います。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。

 次、「健康長寿日本一わかやま」の実現についてでありますが、まず最初に、2017年(平成29年)4月策定の県長期総合計画についてお聞きいたします。

 これは、「健康長寿日本一わかやま」というのは、私の政策の一丁目一番地でありますが、もともとは平成20年策定の県長期総合計画の中で「健康長寿日本一わかやま」を目指しますと明記されておりましたけれども、平成29年に策定された現行の計画には、「目指す」から「実現します」とより踏み込んだ書きぶりにバージョンアップしたいきさつがございます。

 まず、この県民の皆さんが健やかに長生きできることを目指した「健康長寿日本一わかやま」の実現に引き続き取り組んでいただく御意思があるのかどうか、知事のお考えをお聞かせください。

○議長(尾崎要二君) 知事。

  〔岸本周平君、登壇〕

○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。

 私は、長年、浦口議員から「健康長寿日本一わかやま」のお話を同士として聞いてまいりました。この間、今御指摘のとおり、実現というふうに県の行政のスタンスが変わったのも恐らく、これは私の推察でありますけれども、浦口議員の情熱が県当局を動かしたのではなかろうかと思っております。

 その上で、私は、昨年12月の就任以降、県庁の仕事は県民を幸せにすることであると定義をいたしまして、当然人それぞれに何が幸せかは異なります。しかし、人は幸せなときには笑顔になるでしょうから、県民の笑顔をつくることが県庁の目的であると、私たちの仕事の目標であるというメッセージを発信してまいりました。

 健康で長生きすること、そのことはまさに県民にとっての幸せだと思いますので、これはまさに県庁の我々の最大の仕事の一つであります。したがいまして、平成29年に策定した和歌山県長期総合計画に掲げる「健康長寿日本一わかやま」の実現につきましては、引き続き、これを最大限の目標として目指してまいります。

 しかしながら、健康長寿日本一実現には、現状の指標を見ますとまだまだ少し遠い状況かなと考えております。私も議員時代、議場の先生方と同じようにミニ集会といいますか、座談会といいましょうか、やってまいりました。その際に、この健康長寿の話をしますと、健康診断を受けられない方が、マクロの数字もそうですけれども、個別にお伺いしても本当に少ないという感じを受けました。「何で健康診断を受けられないんですか」と私が聞きますと、男性の方は「わしは大丈夫や」とおっしゃるんです。女性の方は「見つかると怖い」とおっしゃるんです。そういうことじゃないんです。見つけるために受けていただくんです。わしは大丈夫じゃないんです。健診を受けてくださいということですから、まずは健康診断を受けていただくようなことから進めていかなければならないと思っております。

 近年は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けまして中止になったイベント等もありましたけれども、今後は平均寿命や健康寿命の改善につながるよう、県民に身近な市町村と共に民間の事業者も参画しまして、今の健康診断のみならず、啓発を中心とした健康づくりに向けた各種施策に取り組むとともに、保健・医療提供体制を充実することが重要だと考えております。さらには、救急医療、がん医療の充実など、命を守る施策にも積極的に取り組んでまいります。

○議長(尾崎要二君) 浦口高典君。

  〔浦口高典君、登壇〕

○浦口高典君 岸本知事、大変力強い御答弁ありがとうございます。

 引き続き「健康長寿日本一わかやま」を実現するために頑張っていただくということで、知事は、ずっと選挙期間中、選挙が終わってからも県庁の職員に対して、県民を幸せにすることは県庁の仕事であるということをはっきり明言されております。それは、我々立場こそ違え、県会議員も同じ立場であると思います。

 この県民を幸せにするというのは、もちろん幸せというのはそれぞれ一人一人価値観が違いますけれども、やはり幸せの価値観の中で一番基礎となるのはお一人一人が健康で長生きできることじゃないか、これは誰でも推測できることでありますし、ずっと、後ほども質問の中にありますけども、これは私、10年ぐらい言い続けてるんですね。大分よくはなってはきてるんですが、ただ、今もちょっとお話ありましたように、一気になかなかできないということもよく分かるんですけども、このこと自体を、先ほども言いましたように、いわゆる県の長期総合計画に掲げてもう14年たちますんで、ぜひとも県庁の知事が言われる本気度を見せていただきたいなと、そのように思います。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。

 今年の2月号の「県民の友」に、「みんなで健康いきいき元気に」と健康長寿について特集されていますが、30年前に比べれば、男女とも平均寿命も健康寿命も延びてはいるものの、平均寿命は全国で男性35位、女性37位、また、健康寿命は男性32位、女性31位と少しずつですが改善されてきております。しかし、まだまだ日本一には遠い存在であります。

 仁坂知事が議会のたびに「浦口議員に『健康長寿日本一わかやま』と繰り返し言われるもので、私の健康寿命が短くなる」と、本気とも冗談ともつかぬことを言われておりましたけれども、仁坂知事は仁坂知事なりに真剣に取り組んでいただき、最後には陸奥宗光の言葉で「他策なかりしを信ぜんと欲す」という言葉まで発するぐらい頑張ってくれたゆえに、先ほどの結果が今の段階では出ておると思っております。

 しかし、実はこれ、私、ずっと深掘りしてますんで、やり方はまだまだあるんです。まだまだあるし、もちろん県だけでは駄目なんですけれども、一つ例を挙げますと、これも議会で言いました。「健康長寿日本一わかやま」に今の段階からまだステップアップするためには、例えば和歌山県の要介護認定率ですね、それが平成26年から令和元年まで6年連続全国ワースト1位なんです。その一番大きな原因は何かというと、人口の一番多い和歌山市が県平均よりもさらに高いという状況を改善することが日本一にもっと近づける方法であると、以前も議会で数値を示して申し上げました。

 これには、和歌山市の行政やNPOにフルに動いていただかなければできませんけれども、果たして岸本知事は、「健康長寿日本一わかやま」を実現するため、和歌山市の要介護認定率を下げることを含め──含めですよ、これだけじゃありませんが、本腰を入れて取り組んでいただくことを決意される思いがあるのか。そういう思いがあるのか、知事のお考えを聞かしていただきたいと存じます。

○議長(尾崎要二君) 知事。

  〔岸本周平君、登壇〕

○知事(岸本周平君) お答えいたします。

 県では、介護予防を推進するために、和歌山大学と共同で高齢者向け運動指導プログラム「わかやまシニアエクササイズ」を開発し、自主グループの立ち上げや活動を支援する市町村の取組を推進してまいりました。

 浦口議員御指摘のとおり、県の高齢者数の約36%を占める和歌山市は、県全体の要介護認定率への影響も大きく、特に介護の必要度が低い要支援認定者の割合が高くなっております。このため、県といたしましても、和歌山市に対して自立支援の取組を強く働きかけてまいりました。和歌山市では、平成30年度から地域ケア個別会議を実施し、自立につながるよう適切なリハビリテーションをケアプランに反映させるなど、自立支援の取組を進めていると承知しております。

 このような取組を全市町村で順次実施、お願いしてきた結果、実施前の平成28年度から令和2年度までの間に、全国の要介護認定率は0.7%上昇しておりますけれども、県全体では逆に0.3%減少すると、少しずつではありますけれども効果が出てきているのではないかと考えております。

 また、今年度から、市町村において効果的に運動機能の改善を図る短期集中予防サービスの導入やその充実が進むよう、先進地講師による研修会の開催などを行っております。和歌山市は、議員御指摘のとおり、要支援認定者の割合が高いため、特に短期集中予防サービスの導入は効果があると考えられますので、和歌山市に対しても強くその導入を働きかけてまいります。

 県といたしましても、高齢者の健康を維持し、介護度が進まないようにするため、介護予防や自立支援の取組をしっかりと進めてまいります。

○議長(尾崎要二君) 浦口高典君。

  〔浦口高典君、登壇〕

○浦口高典君 知事、どうもありがとうございました。

 今、知事からお話ありましたように、「わかやまシニアエクササイズ」は現在、和歌山市でも私の知ってる限り106団体が活動しているということを聞いております。以前にも御紹介いたしました、その中でNPO法人わかやまシニア健康センターも、和歌山市の包括支援課や15ある包括支援センターと連携しながら、一生懸命普及活動に取り組んでくださっております。

 和歌山市は要支援認定者の割合が高いため、短期集中予防サービスの導入が効果的であるということですが、昨年の秋、我々改新クラブで要介護認定率の低い日高郡印南町へ、そして、印南町の担当者が学びに来たという大阪府大東市に県議会福祉環境委員会で調査視察に行き、いろいろなことを学んできましたが、実は、この大東市に行ったときのその担当者の方から言われたんですけども、本来、和歌山市の非常に介護認定率が高いということもその方は認識されてまして、「印南町は来てくれたんだけど、和歌山市は来てませんね」というふうに、決して私は市の職員じゃないんで嫌みじゃなくて本音を言ってました。もちろん和歌山市に無理に行けとは言いませんけれども、やはり県が和歌山市と共に印南町や大東市に行ってもっと学ぶべきではないかと思いますが、今回は知事に基本的なことの御質問でありますので、福祉保健部長には答弁を求めませんけれども、大体このことはよく分かっておられると思いますんで、ぜひとも次に進めていただきたいと思います。

 それでは、次の質問に移らしていただきます。

 次に、和歌山県の経済再生についてであります。農林水産業・観光業の将来について。

 岸本知事は、さきの知事選挙中、農林水産業や観光業で和歌山県を盛り上げていきたいということを盛んに言われておりました。また、今議会初日においても、県政の基本的な方向性について「何より、農林水産業の活性化と新しい観光産業の創造を両輪として、大胆な政策を実行していきたい」と述べられております。このことについては、私も全く異論はございません。

 しかし、昨年9月の一般質問で、令和元年の県民総生産額3兆7446億円の円グラフと各業種の金額と割合を申し上げました。それによりますと、農林水産業は、その全体の723億円で全体の1.9%、また、観光を含む宿泊や飲食サービス業は902億円で2.4%でしかありません。また、従業員数においても、国勢調査では農林水産業で平成27年、4万556人から令和2年、3万7648人に、また、宿泊サービス業では、平成27年の2万6637人から令和2年には2万6212人に減少しております。

 このような状況を踏まえ、今後、農林水産業、観光業をどのように盛り上げ、和歌山県全体に活力を取り戻していくのか、知事のお考えをお聞かせください。

○議長(尾崎要二君) 知事。

  〔岸本周平君、登壇〕

○知事(岸本周平君) お答えいたします。

 農林水産業、観光業は、それぞれに非常に裾野の広い産業であります。食品製造業あるいは卸・小売業、運輸業など、他業種への波及効果の大変大きい産業であると考えております。

 それぞれの振興策につきまして、これは浦口議員御指摘のとおりでありまして、まず、農林水産業では担い手の確保、これが大変重要だと思います。さらには生産基盤の強化、販路拡大について、それぞれ対策を講じることが必要であります。特に担い手の確保につきましては、就業希望者の受入れ体制の整備や雇用就業の受皿となる法人の育成支援など、新規参入の垣根を低くする取組を進めていくべきだと考えております。

 また、生産基盤の強化につきましては、農業では新品種やスマート機器の導入、林業では林道の整備やスマート林業の推進、水産業では沿岸漁場の再生や水産資源の管理など、生産性の向上に資する取組を進めていく必要があります。さらには、デジタル社会に対応した販売促進を行うとともに、国内外の販路拡大にも取り組んでまいります。

 一方、観光業では、これからの3年間は追い風となるようなビッグイベントが続きます。コロナ禍からの反転攻勢を図るべく、環境に優しい持続可能な観光地づくり、大阪・関西万博に向けた誘客推進、滞在期間の延長と消費の拡大を目指した取組を進めてまいります。

 具体的には、フルーツ狩りや生マグロの競りツアーなど、農林水産業と結びついた体験型観光の磨き上げや掘り起こしを行うとともに、和歌山県の得意な特色のある温泉、グルメ、ワーケーションなどを活用した誘客などにしっかりと取り組み、観光地での消費拡大につなげてまいります。

 農林水産業及び観光業につきましては、関連する多くの産業に経済効果が波及することや、とりわけ紀南地方では重要産業であること、そういう認識を持ちまして、各地域を回りながら関係者の皆さんの声を直接聞き、県庁内でもよく議論した上で、全力で可能なものから速やかに取り組むことにより和歌山をどんどん盛り上げていきたいと考えております。

○議長(尾崎要二君) 浦口高典君。

  〔浦口高典君、登壇〕

○浦口高典君 知事、どうも御答弁ありがとうございました。

 農林水産業、観光業とも、他業種への波及効果が非常に大きい産業であるということで、それは私も否定をいたしませんけれども、先ほども知事もおっしゃったように、農林水産業は後継者や人材の問題というのがあります。また、観光業は季節的な問題、つまり夏の最盛期や春・秋のシーズンなど、限定されたものでありますので、今後、これらの問題を一緒に解決していかなければならないと私も再認識をいたしました。

 そういった意味から、次の質問にも関わりますけれども、和歌山IRは、カジノや国際見本市を誘客の材料にオールシーズンのリゾートであっただけに、非常に惜しいなというふうに思いがあります。

 それでは、次に、最後の質問に移らせていただきます。

 大型経済プロジェクトの誘致について。

 仁坂知事は、昨年の12月議会で玄素議員の質問に対し、この仁坂知事の在任中ですね、「うまくいかなかったものとしては、健康長寿日本一と和歌山IRなどがそれに当たります」とはっきりと答弁されました。

 和歌山IRについては、御存じのとおり、4月20日の臨時県議会において賛成18、反対22で否決され、結局日の目を見なかったわけでありますけれども、そのIRの是非は別といたしまして、それでは、それに代わり得る何か大型経済プロジェクトはあるのか、また考えられるのか、知事の御答弁をお願いいたします。

○議長(尾崎要二君) 知事。

  〔岸本周平君、登壇〕

○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。

 浦口議員御指摘のとおり、大型経済プロジェクトというのは、大変重要な活性化策として真剣に取り組むべきものであろうと考えております。その一方で、これは私も選挙中、再々申し上げてまいりましたけれども、和歌山県が再浮揚するための起爆剤となるものを期待する県民の声は大変大きいわけでありましたが、しかし一方で、一発大逆転の魔法のつえのような妙手というのは、なかなかこれは一朝一夕には見つからないのであろうということを申し上げてきたわけであります。

 一方で、新たな産業の創出につながる企業誘致、これは何としても推進していかなければなりませんし、足元の農林水産業の活性化や新たな観光産業の創造を両輪にいたしまして、子育て施策も強化し、何としても和歌山県に人と企業を呼び込むと、そのための地味ながら具体的な施策を戦略的に積み重ねていくことを優先していきたいと考えております。

 具体的には、令和5年度の重点施策として、高級宿泊施設など新たなサービス産業の誘致、宇宙関連産業や蓄電池関連産業など成長分野の企業集積といった県内に新しい産業を創るための施策に積極的に取り組むこととしております。

 また、コロナ禍をきっかけに、リモートワークやワーケーションが進行してきております。ワーケーションは、まさに和歌山県が発祥の地であります。観光情報や移住支援、子育て関連施策、生活・教育環境などをPRすることで、二地域居住を含む交流人口や関係人口の拡大につながるよう取組も進めてまいります。

 さらに、林業を再生して森林整備を推進し、二酸化炭素の吸収源対策に取り組むことによりまして、本県の豊かな資源を生かした新たな産業の展開に向けても検討を進めてまいります。

 紀の川市におけるパナソニックエナジーの新型車載用リチウムイオン電池量産に向けた増設もあります。御坊バイオマス発電所の建設、ENEOS和歌山製油所の持続可能な航空燃料・SAFの製造に関する事業化の調査決定もございます。このようなことを組み合わせて、脱炭素化という観点から世界をリードする取組が県内でスタートしております。

 引き続き、皆様共々に知恵と力を結集して、トライアンドエラーで様々な施策に挑戦してまいる所存でございます。

○議長(尾崎要二君) 浦口高典君。

  〔浦口高典君、登壇〕

○浦口高典君 御答弁ありがとうございました。

 和歌山IRというか、統合型リゾート施設については、観光だけではなく国際見本市やカジノ、さらに滞在型リゾート地として大きな花を咲かせると我々も希望を持っておりましたが、これは県議会が否決したことで、私もその一員でありますから、それをどうのこうの今さら言いません。ただ、本当にこれ、私の支持者でない企業人の方からもひょこっと言われることが今もあるんですけども、「IRについては本当に惜しいことしたな」と、特に和歌山市周辺の方から「やっぱり大きな希望だったのにな」というふうなことを再々言われたことがございます。

 岸本知事は、選挙期間中、私自身も先ほども言いましたように10年余り御一緒させていただいてるんで、御本人の非常に卓抜した能力というのはよく分かってますし、一つ一つの、国会議員であられたときも小さなことから本当にこつこつと積み上げられたその姿勢というのは、我々みたいな大ざっぱな人間から言わせますと、とてもできません。

 それだけに、企業とか御商売されてる方に、それこそ小さなことからこつこつと言われることはいいことだと思うんですが、やはり政治の大きな役割として大きな人の流れ、経済の流れをやはりつくっていかないと、幾ら言葉としても、それは確かにそのとおりだなというふうに思うんです、小さなことからこつこつは。ただし、それと同時に私自身が起爆剤に、それも本当にすばらしいことだし、私はそれを全く否定はいたしませんけども、ただ和歌山のいろんな現状を見ますと、だんだんだんだん私らが知ってる和歌山からどんどんしぼんでいってるという状況の中で、その典型的な例が人口減少ではありますけれども、これが本当にまだまだこれから本格的な人口減少時代、私は、人口激減、どうする和歌山とずっと問い続けておりますけども、この中で考えていかなきゃいけないということでありますので、ぜひそこは、もちろん小さなことからこつこつとやりながらも大きな経済の流れをつくっていただくように、岸本知事に私は要望し、最後に、和歌山県だけではなしに全国的なビッグネーム、岸本周平になっていただくようなことを私、心から要望いたしまして、私の質問とさせていただきます。御答弁ありがとうございました。(拍手)

○議長(尾崎要二君) 以上で、浦口高典君の質問が終了いたしました。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 29番中西 徹君。

  〔中西 徹君、登壇〕(拍手)

○中西 徹君 皆様、おはようございます。

 それでは、早速ですが、議長の許可を得ましたので、1期目最後の一般質問を始めます。よろしくお願いします。

 それでは、まず、子供を育む環境づくりについてお伺いします。

 岸本知事は、さきの知事選で、和歌山が最高だと子供たちが思う未来の実現に向け、公選第22代和歌山県知事に御就任をされました。誠におめでとうございます。5期にわたり衆議院議員として多数の議員立法に携わり、また、大蔵省や経済産業省、財務省など、政治経験豊富であり、また、トヨタ自動車の役員として経営感覚も磨かれ、多彩な経験に裏打ちされた広い視野と経営マインドにより、和歌山県をより元気にしていただけるものと私も大いに期待をするところでございます。

 和歌山県は、知事も職員訓示で言われましたように、人口減少、高齢化、産業の空洞化、経済成長力の鈍化、教育水準の低下など、日本が抱える課題の宝庫です。だからこそ職員さんには、実験の精神で、トライアンドエラーで挑戦し、事業改善につなげていこう、前例がないは禁句、職員さんが挑戦して失敗した場合はとがめないが、何もしない場合は厳しく評価すると言われております。聞いていてわくわくします。さすが行政経験と民間経験をされている方だなあと感心をし、職員さんにもこれからどんどん期待したいと思います。

 議会初日の知事説明において、子供を育む環境づくりの説明では、妊娠から子育てまでの伴走型相談支援と経済的支援の一体的な実施や多子世帯の経済的負担を軽減するための保育料等の無償化や保育人材の確保、放課後児童クラブや子供食堂の充実による子供の居場所づくりの推進など、引き続き多面的に子育て支援を行ってまいりますと説明されました。

 また、教育分野においては、串本古座高校の宇宙探究コースの設置準備を進めるなど、専門性を高める教育の充実を図るとともに、特に文化芸術に力を入れ、児童生徒の情操教育を推進するとともに、いじめ、不登校の解消に向けた取組を着実に進めてまいると説明をいただきました。子育てをしている保護者からも、期待の声が私にも届いています。私も期待しています。

 そのような中、子供の医療費無償化についてお聞きします。

 医療費の無償化については、保護者の声で多く言われます。「どこの市が医療費の無償化は18歳までなのに、うちの市はなぜ中学校までか」、以前は「どこの市が中学校まで医療費無料なのに、うちの市は小学校までなん」とよく言われました。私も子育て世代なので、確かに保護者にしてみたら、隣の市や町が無償化について実施しているのに、自分のまちはできていないことに憤ることも理解できます。

 実際に、医療費助成制度を和歌山県全体で見てみると、30市町村中、中学校卒業までが12地域、残りの18地域が18歳まで医療費の自己負担の助成を行っています。私自身、いつも感じていたことは、医療費の無償化で県内の30市町村が自治体間競争するのは、和歌山県全体で見るとこれでいいのかと考えていました。県が主体で18歳までの医療費を一律に無償化すべきではないかと感じています。もちろん予算の関係もあります。市町村と話合いをして、負担割合を決めることも必要だと考えます。

 質問ですが、子供の医療費無償化について、18歳まで県が主体で一律に実施すべきではないかと考えますが、知事の考えをお伺いします。

○議長(尾崎要二君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。

 知事岸本周平君。

  〔岸本周平君、登壇〕

○知事(岸本周平君) 中西徹議員の御質問にお答えをいたします。

 子供の医療費の無償化につきましては、何より乳幼児期、この段階では抵抗力が低くて病気にかかりやすい、病気にかかった場合には重症化もしやすいということから、早期に医療機関を受診できるよう、乳幼児医療費助成制度として、乳幼児までを支援する制度として市町村に県から補助をしております。

 一方で、市町村では、それぞれの実情に応じた考え方に基づく政策として、現在、全市町村で中学校卒業まで、そのうち、今、議員がお示しいただいたように、一部の市町村では高校卒業まで対象年齢等を拡大して、医療費の自己負担分を市町村独自に助成をされております。

 このような中、県財政は非常に厳しい状況でございまして、先日も御議論いただきましたが、財政危機警報を出させていただき、子供の医療費の無償化、これは理想としては大変すばらしいことであります。一方で、恒久的な財源の確保というのがどうしても必要になるという状況にございます。現在、市町村と共に実施している乳幼児の補助の6億円という費用に加えまして、仮に県が市町村と共に高校卒業までを対象といたしますと、概算で年約9億円の新たな負担が生じます。毎年、合計15億円という恒久財源が必要となってくるわけでございます。

 県といたしましては、現状の就学前の乳幼児を対象とした医療費助成制度、これは断固として継続しつつ、さらに恒久的な財源の確保について検討してまいりたいと考えております。

○議長(尾崎要二君) 中西 徹君。

  〔中西 徹君、登壇〕

○中西 徹君 答弁ありがとうございました。

 15億円ぐらい、18歳までの無償化をした場合にかかるということで、今、財源が厳しいということですが、しっかりと検討のほうよろしくお願いします。

 それでは、次の質問に入ります。和歌山県の教育の充実・発展についてでございます。

 私立学校となりますが、紀美野町にあるりら創造芸術高等学校は、「主体的でありながら、協調性を備えた」豊かな人間性=「生きる底力」が備わった若者の育成を目的として、一般科目のほかに舞台作品や美術作品などの芸術創作活動を深く体験する独自のカリキュラムを設け、特色のある教育を実践しています。

 また、田辺市では、旧二川小学校を活用して、探求型や多言語教育を掲げる私立の小中学校を創設する構想が現在、浮上しています。和歌山市の一般社団法人ワカヤマスコラボが2025年に小学校、2029年に中学校の開校を計画しており、旧校舎が再び学校としてよみがえれば地域が活気づくと地元区も期待し、市に誘致を求める要望書が提出されたと聞いています。

 このように、私たちの周りでも情操教育や探求型教育の重要性、必要性が認識され、りら創造芸術高等学校において芸術を通じたすばらしい教育が実践されたり、田辺市のような新たな学校開設の動きが具体的に出てきたりしていることは、本県の子供たちにとってもよいことではないかと考えます。

 さらに、説明でもありましたが、和歌山県は宇宙教育の推進を掲げており、令和6年度に串本古座高校普通科内に宇宙探究コースを新設することが決まっており、来年度予算に設置準備を進める予算が計上されています。

 農業教育についても、紀北農芸高等学校、有田中央高等学校、南部高等学校、熊野高等学校の四つの農業系高校と県農林大学校を5年間一貫教育で結ぶわかやま農業教育一貫プロジェクトが始まっています。生産から加工、販売まで行う6次産業の学びにも取り組むなど、専門性、継続性の高いカリキュラムを構築して、経営的な視点を持った人材の輩出も考えているということです。このプロジェクトにより、農業に関してより実践的で専門性の高い技術、知識を身につけた地域を支える人材を育成していくということは、本当によい取組であり、知事が考えている第1次産業の振興にもつながると考えます。

 私立学校と公立学校という分け隔てはありますが、子供たち一人一人が伸び伸びと自らの個性を存分に発揮しながら、豊かな人間性や生きる力をしっかりと身につけることができる教育の充実が今後も重要だと考えます。知事説明においても、教育分野では、専門性を高める教育の充実を図るとともに、特に文化芸術に力を入れ、児童生徒の情操教育を推進すると説明をいただきました。私も必要かと考えます。

 和歌山県の教育の充実・発展について、知事の考えをお伺いします。

○議長(尾崎要二君) 知事。

  〔岸本周平君、登壇〕

○知事(岸本周平君) 中西議員の質問にお答えします。

 基本的に、全く私も同様に考えているところでございます。これからの和歌山の教育には、子供たちが未来に対して希望を抱き、挑戦し続ける活力を育むことが期待されます。そのためには、豊かな教養、感性、自己肯定感等をバランスよく身につけていただくことが重要であります。それは、教室内での勉強だけではなくて、本物の芸術や文化に触れたり、あるいはスポーツや読書、さらにはボランティア活動などに親しんだりすることを通じて、総合的に培われるものだと考えております。

 それから、今、中西議員から御紹介がありましたりら創造芸術高等学校、私も昨年、授業参加に行かせていただきまして、まさに芸術創作活動等の特色ある教育を行うだけではなくて、全人格的な教育が行われておりました。その結果としてでしょう、全国から多くの生徒が志願をされているということをお聞きいたしました。これも、山上校長先生の情熱的な教育へのその姿勢がもたらしたものだろうと思っております。

 また、今、議員からも御紹介がありましたが、田辺市に探求・体験型カリキュラムを目指す私立の小中学校が構想されているということで、これまでになかった新しい学びの姿が和歌山で誕生し、また誕生しようとしていると理解しております。これも、仙石さんという情熱あふれる方がファウンダーとして小中学校をつくられるということであります。

 やはり教育というのは、本当にリーダーとして教育に対する熱い思いがある方が奔走される、それを周りのみんなが引っ張られる形で、市町村や県も含めて応援していくという形が一番効果的なんだろうと思います。それが今、現実に起きております。これは、公立の小中学校を含めた和歌山県全体の教育にもよい影響を与えるということで、大いに期待しております。

 また、県立高等学校では、農業や工業、商業、芸術、スポーツなど、専門性を伸ばす教育を充実していく必要があると考えております。意欲ある生徒の能力をしっかりと伸ばすことができるような環境づくりに取り組んでまいります。

 県内の学校教育を魅力あるもの、特色あるものにしていきますと、恐らく全国から生徒が志願してくると、そのような状況がつくれると思います。そうなりますと、まさに低学年であれば保護者も来ますので、人口の増加にもつながるという一石二鳥の効果があると思っております。そのことがまた和歌山の子供たちの活力も高めると、そして、地域が活性化することにつながると確信をしております。

 今後も、和歌山で学び、和歌山で育つ子供たちが個性や持てる力を十分に発揮できますよう、和歌山らしい教育を構想し、着実に進めてまいります。

○議長(尾崎要二君) 中西 徹君。

  〔中西 徹君、登壇〕

○中西 徹君 私もほんまに同じ思いで、全国から和歌山の教育を受けたいというぐらいの和歌山県の教育はでき、それと、これからの子供たちにとっては、やはりもう私も子育てをしている中、やはり基本は教育の充実が一番大切だなあというふうにしみじみ感じておる次第です。知事は、子育て支援に力を入れると強くおっしゃっておりますので、どうぞ期待しておりますので、よろしくお願いします。

 次の質問に入ります。不登校対策についてお伺いします。

 不登校とは、何らかの心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的要因・背景により、児童生徒が登校しない、あるいはしたくてもできない状況にあり、病気や経済的な理由を除いているわけですが、30日以上の長期欠席をしている者をいいます。

 文部科学省が実施した令和3年度児童生徒問題行動調査に係る不登校児童生徒数の全国平均の状況は、1000人当たりの不登校児童生徒数で、小学校で13.0人、中学校で50.0人、高等学校で16.9人となっており、和歌山県の公立学校の状況は、小学校で13.5人、中学校で44.7人、高等学校で24.1人となっており、和歌山県においては、小学校、中学校の数値は過去最高となっております。

 また、不登校に至る要因として、小学校では、無気力・不安、親子の関わり方、中学校、高等学校では、無気力・不安、生活リズムの乱れ・遊び・非行など、多岐にわたっています。近年では、コロナ禍での生活リズムの変化や学校生活の様々な制限によって交友関係が変化したことも背景として考えられます。また、子供や保護者の中には、学校に行くのは当然といった捉え方から、無理に学校に行かなくてもという意識も生まれるなど、価値観の多様化も背景にあると考えられます。しかし、学校に登校しなくては体験することができない学びや成長があり、できるだけ学校復帰に向けた取組が私は大切だと思います。

 近年、不登校の子供たちの支援として、フリースクールや教育支援センターなど、新たな学びの場が民間や自治体の取組により提供されています。また、学校外でのオンライン教材の学習が確認できれば出席扱いとするといった取組も整備されており、不登校の支援が着実に広がっているように感じられます。

 不登校の要因や背景には、それぞれの状況や価値観の違いがあり、これまでのような不登校対策だけでは改善や解消に至らないと考えています。ただし、不登校やひきこもりによって、学びや成長する一番大切な時期にできないというのは、本当に子供たちにとって生涯にわたりマイナスになることを心配しています。

 以上の点から、不登校に対しての教育長の考えをお伺いします。

○議長(尾崎要二君) 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 不登校対策についての御質問でございます。

 最も大事にしているのは、学級づくりや授業改善によって、不登校を生まない学校づくりに取り組んでいることです。

 次に、子供のささいな変化を見逃さないことや家庭との連携を深め、不登校の兆しを早期に把握し、スクールカウンセラー等の専門スタッフと一緒になって不登校対策基本マニュアル等に沿った対応を進めています。

 さらに、不登校の子供たちの学びを止めないという点から、適応指導教室やICTを活用した学習支援など、学びの機会の確保に努めています。今後は、フリースクール等、学校外の教育機関との連携協力にも積極的に取り組んでまいります。

 子供の成長という観点から、様々な関係機関と連携して社会と子供をつなげていくことや、子供や保護者の将来への不安を軽減し、希望を見つけることにつなげる支援をスクールソーシャルワーカー等の専門スタッフと協力しながら一層進めてまいります。

 このように、学びや成長から誰一人取り残さないという視点から、不登校への対応を今後も充実し取り組んでいきます。

○議長(尾崎要二君) 中西 徹君。

  〔中西 徹君、登壇〕

○中西 徹君 先ほどの魅力ある和歌山県の教育にも関連してくると思います。この不登校対策については、来年度予算についても4億565万円、また、学びのセーフティネットで7383万5000円の予算が今回上げられているわけなんですけども、しっかりと取り組み、基本はほんまに子供たちのために結果を残していただきたいことと、そういう一番大事なときに学べないというのが本当に子供たちにとってもマイナスになると思いますので、取組のほうをよろしくお願いいたします。

 次の質問に入ります。

 放課後児童クラブへの巡回アドバイザー配置についてお伺いします。

 平成27年度、子ども・子育て支援新制度の施行を契機に学童保育の法改正や基準の策定、支援員の資格化等が始まり、また、平成28年度に保育士のOB等が経験年数の短い保育士に対し、業務内容全般に関する助言等を行うことを目的として、若手保育士や保育事業者等への巡回支援事業が始まりましたが、その際、保育事業者等と記述された中に学童保育についての明確な内容は示されていませんでした。

 平成31年3月に、ようやくこの事業の中で、放課後児童クラブにおいて、子供が安全・安心に過ごせることができ、子供の主体的な生活が尊重される質の高い支援を確保するための助言、指導等を行うため、放課後児童クラブ巡回アドバイザーの配置による放課後児童クラブへの巡回支援の実施に必要な費用の一部を補助すると示されました。

 近年、放課後児童クラブの利用児童数は年々増加しています。一方で、放課後児童支援員等の確保が困難であったり、障害を抱えている子供や配慮が必要な子供の利用も増加しています。また、子供や子育てを取り巻く環境が変化し、子供たちの健全育成をはじめ、保護者や学校、地域との連携など、放課後児童クラブに求められる役割が多様化、複雑化してきています。そのため、放課後児童支援員等にもより高度な専門性や知識が求められるようになっており、放課後児童支援員等の専門性の向上は大変重要となってきています。

 そのような中で、私のところにも放課後児童支援員さんたちからいろんな相談があります。もちろん放課後児童クラブの主体は市町村なので、市町村に相談して様々な問題に対し、解決してもらうことが基本となります。ただ、先ほど述べたように、放課後児童クラブに求められる役割が多様化、複雑化して支援員が病んでしまうことや、なかなか相談しても解決できない問題もあるようです。そこへコロナ禍で、課題も浮き彫りになったと聞いています。

 滋賀県は、滋賀県放課後児童クラブ巡回支援事業を実施しており、県が配置する巡回アドバイザーが令和3年度から3年間で県内の放課後児童クラブを巡回する予定となっています。これ、2人と聞いたんですけど。令和3年度は19市町、80か所を訪問し、県内全ての放課後児童クラブ、支援員、事務職員に対して実施したアンケートの内容を踏まえ、問題点について助言、提案したり、子供たちの様子、子供たちへの関わり、環境面、問題点などの情報収集を行ったりしています。

 和歌山県においても、放課後児童クラブに求められる役割が多様化、複雑化する中で、県のリーダーシップも必要と考えられる中、放課後児童クラブ巡回アドバイザー事業の実施を行うべきと考えますが、福祉保健部長の考えをお伺いします。

○議長(尾崎要二君) 福祉保健部長志場紀之君。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 放課後児童クラブに対する県の支援としましては、施設整備に必要な経費や運営費の補助を行っているほか、放課後児童クラブの支援員や補助員の確保のために、放課後児童支援員認定資格研修や子育て支援員研修放課後児童コースを開催するとともに、放課後児童クラブ従事者研修会を実施し、現任の従事者の資質向上を図るなど、市町村の取組をハードとソフトの両面から支えております。

 議員御指摘の放課後児童クラブ巡回アドバイザー事業につきましては、必要性など背景は理解しておりますが、それぞれの地域によって課題が異なることから、現状は、各市町村が子育て家庭の状況や子育て支援のニーズを把握し、地域の実情に応じた独自の取組を行っているところです。

 例えば、市町村の職員やコーディネーターが放課後児童クラブを巡回し、支援員の相談に応じたり、市町村の職員と放課後児童クラブの職員で毎月会議を開催したり、市町村の担当課内に元校長や元園長などの経験のある人を配置し、常に相談できる体制を整備するよう、きめ細やかな取組を行っているところもあります。

 県としましては、今後とも県内の先進事例を各市町村に紹介するとともに、国の補助金制度の積極的な活用も促しながら、滋賀県のように県に巡回アドバイザーを配置し数年かけて一律に巡回するのがよいのか、市町村がそれぞれの実情に応じて実施する取組を支援するのがよいのかなど、市町村のニーズも適正に把握しつつ検討してまいります。

○議長(尾崎要二君) 中西 徹君。

  〔中西 徹君、登壇〕

○中西 徹君 現場の支援員さんたちからは、各市町村の放課後児童クラブの実態の声を聞いていただき、問題点や課題を取りまとめる仕組みとして、県が主導で放課後児童クラブ巡回アドバイザー事業などを実施して対応してほしいということです。なかなか市町村単体では──主体は市町村単体なんですけども──問題解決に至らないことも多々あるようです。また、放課後児童支援員は、放課後児童クラブ固有の専門性と経験を有する人でないと、その役割は果たせないということを私に強くおっしゃられておりました。

 また、1月18日に、海南市議会教育厚生委員会の放課後児童支援員さんたちとの意見交換の中でもこの話が出たと聞いています。

 岸本知事も、放課後児童クラブの充実も行うとおっしゃっています。放課後児童支援員の声を取りまとめられる仕組みをつくり、課題解決を行うことは、子供たちの一定水準の保育の質の確保、向上ができることにつながると考えるので、検討のほうをよろしくお願いします。

 それでは、最後の質問に入ります。

 県立自然博物館新館建設についてお伺いします。

 この件については、昨日の一般質問で藤山議員が海南市の気持ちを率直に伝えてくれた質問だったと思います。少し質問文が重複しますが、質問に入ります。

 昨年の令和4年度新政策では、「『県立紀伊風土記の丘』と『県立自然博物館』の新館建設計画を推進」、R4基本計画、R5基本設計、R6実施設計──令和ですね、「R10年度の開館を目指す!」と力強く記載されているものが、先日公表された令和5年度当初予算(案)の概要では、紀伊風土記の丘の再編整備だけが令和10年度の開館を目指すと記載されているだけで、県立自然博物館の移転に関するR5基本設計の記載がなく、それに関する予算もありません。

 海南市に尋ねたところ、一切全く知らなかったということです。建設予定地の造成は、既に県と海南市の長い間の協議を経て完成しています。県立自然博物館移転に関する海南市の今までの財政負担は、一般財源で約2億2000万円だったということです。

 私は、一般質問で2回、県立自然博物館新館建設計画についてただしました。令和4年度に念願の調査費がつき、今回、令和5年度に予定されていた基本設計の予算計上がなされていないことは、私の質問への教育長の答弁は一体何だったのでしょうかと思います。

 また、今までの海南市民の期待を考えると、海南・海草選出の尾崎議長をはじめ3人の県議会議員としては、納得できるものではありません。行政の継続性を考えると、いきなり地元自治体に相談もない中で予算を計上しないことに、地元選出議員としては納得できません。海水の問題など多額の予算が必要なことは、予測されていたはずです。

 R5年度の予算計上を見送りしたのは、R4基本計画の報告書が年度末に出てから検討するためとお聞きしていますが、海南市としては、同時進行で防災公園整備をしている中で、一刻も早く補正予算の計上をしていただき、スケジュールを固めていきたいと考えていると思われます。早い段階での県議会への県立自然博物館新館建設に係る補正予算を計上していただきたいと考えますが、知事にお伺いします。

○議長(尾崎要二君) 知事。

  〔岸本周平君、登壇〕

○知事(岸本周平君) お答えいたします。

 昨日の藤山議員からも同様の御質問をいただいておりますので、重複いたしますけれども、御答弁をさせていただきます。

 御指摘の県立自然博物館につきましては、開館をいたしましてから40年が経過し、施設が老朽化、収蔵スペースの不足、さらには南海トラフ地震による津波への対策などの課題があることから、令和4年度当初予算におきまして、県立自然博物館の新館建設に係る基本計画を作成するための経費を計上したところであります。

 その後、基本計画の作成に向けた調査の中で、仮に県立自然博物館の移転先候補である海南市大野中地内で現在と同程度の水族展示を行う場合、高額の建設費に加え、海水の確保や排水に多大の経費が必要となる見通しとなりました。

 令和5年度の当初予算編成時点におきましては、そのような結果、新館コンセプトが明確になっておりません。必要コストや工程も含めた全体像がまだ見えない状態でありますことから、次のプロセスである基本設計の実施に係る予算計上については見送らせていただいたところであります。

 現在、県立自然博物館のリニューアルに係る課題の整理を鋭意行っているところであり、基本計画の作成に係る報告書、その調査結果を私としては見守らせていただいているところでございます。

 これまでの経緯や海南市の対応状況、さらに海南市としてもこの博物館を大変大切な施設とお考えいただいているということは十分に認識しておりますので、今後、課題の詳細な分析を行い、必要な条件等が明らかになった段階で、改めまして海南市へ丁寧に御説明させていただくとともに、虚心坦懐、誠心誠意、十分な協議をさせていただきたいと考えております。

 なお、中西議員御質問の関係予算につきましては、このような段階を丁寧に経た後、改めて検討してまいる所存でございます。よろしく御理解、お願い申し上げます。

○議長(尾崎要二君) 中西 徹君。

  〔中西 徹君、登壇〕

○中西 徹君 海南市の今までの積み上げや心情を考えますと、本当に厳しいかもしれませんが、年度末の判断を踏まえ、できれば6月、9月に予算を補正でしていただき、これまでのスケジュールどおり令和10年の開館に向けて作業を進めてほしいということではないかと考えます。

 県職の皆さんもそうですが、海南市の職員さんも必死にやっております。頑張っております。早いめの予算計上を強く要望して、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(尾崎要二君) 以上で、中西徹君の質問が終了いたしました。

 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。

 この際、暫時休憩いたします。

  午前11時22分休憩

────────────────────

  午後1時0分再開

○副議長(岩田弘彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 23番佐藤武治君。

  〔佐藤武治君、登壇〕(拍手)

○佐藤武治君 昼食後の時間であります。少し睡魔に襲われる方もおられるだろうと思いますけれども、私の一般質問が子守歌にならないように、質問、しっかりとやっていくつもりでございますので、しばらくお付き合いをお願いします。

 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、私の一般質問を始めたいと思います。

 まず、今月6日にトルコ共和国南部で大地震が発生し、トルコ共和国と隣のシリアを合わせて犠牲者約4万6000人、これは2月20日現在でございますけれども、超えたというふうな大変痛ましい報道がありました。

 さらに今朝のニュースでは、日本時間の本日未明にマグニチュード6.3という大きな余震が発生して新たな犠牲者が出ているとのことであります。

 このたびの地震でお亡くなりになられた方々に心から御冥福をお祈りするとともに、被災された方々にお見舞いを申し上げます。

 皆さん御存じのように、私が住む串本町では、1890年にトルコの軍艦エルトゥールル号の遭難事故が発生をいたしました。これもまた誠に痛ましい悲劇ではありましたけれども、地域住民をはじめとする日本国内の官民を挙げての救援活動はトルコ本国にも伝えられ、トルコ国民の心の中に日本に対する親愛と感謝の念を根づかせるきっかけとなりました。

 串本町では、このエルトゥールル号遭難事故以来、第2次世界大戦中は一時中断をいたしましたけれども、5年ごとにトルコ共和国との共催で追悼式典を開催しており、メルシン市やヤカケント市とも姉妹都市縁組を結ぶなどの交流がずっと続いております。

 ちなみに、メルシン市内には串本姉妹都市通りという名の通りもあるくらいであります。

 さて、地震といえば本県においても近い将来、東海・東南海・南海の3連動地震や南海トラフ巨大地震の発生が危惧されており、串本町に住む私にとっても今回のトルコの地震は他人事とは思えず、トルコ共和国の被害には心を痛めているところであります。串本町や県では、被災したトルコを支援する義援金を募集していますが、和歌山県民の温かい心がトルコに届くよう、切に願っております。

 先週、串本町長や串本町議会議員の皆様と一緒に南紀白浜空港を利用して上京してきたのですけれども、トルコ地震の現況説明について、外務省の大臣官房参事官から二階代議士に説明をする際に、その場に私たちも同席をさせていただく機会に恵まれました。

 現地の被害の様子は、テレビやネットのニュースで見聞きする以上の大惨事であることが分かり、とても心が痛んだところであり、日本からも国際緊急援助隊の救助チームと医療チームが派遣され、現地では野営病院を設けて人命救助に当たっているとの報告もありました。

 その後、二階代議士と共にトルコ共和国大使館を訪れ、串本町には9日間余りで、町内、また町外、そこから集まった義援金1500万を目録として、串本町長からお渡ししました。そして、その中に串本町潮岬中学校の生徒によるトルコ語の励ましのメッセージを添えて、コルクット・ギュンゲン駐日トルコ共和国特命全権大使に手渡しをしたところです。大使は、その場で涙ながらに感謝の気持ちを伝えてくれました。私たちは、今後も引き続き復興に向けて少しでも手助けができるよう支援をしていきたいとの思いを伝えて大使館を後にしたところです。

 このように、1890年のエルトゥールル号の遭難事故以来130年以上にもわたり、トルコと日本の交流が続いているわけでありますけれども、8年前に両国の絆を描いた映画「海難1890」が上映をされました。全国公開されたので御覧になった方も多いと思いますけれども、この映画の田中光敏監督は串本町長と大学の同級生という間柄であります。

 串本町長は、今回のトルコの地震を受け、トルコのために何かできることはないかと田中監督と話し合ったそうであります。この映画をできれば全国でチャリティー上映をし、その収益の一部をトルコに義援金として届けてはどうかとのアイデアが浮かんだそうであります。このすばらしい提案は既に、同席した二階代議士も賛同されて御尽力いただき、既に実現に向けて動き出していると聞いております。トルコと日本の友情を描いた映画がさらなる支援をトルコに届けてくれることを期待しております。

 さて、新型コロナウイルスについては、ようやく第8波の峠を越えたように感じます。近頃では、感染予防のための行動制限がなくなり、県内各地でも3年ぶりにイベントなどが開催されていますが、それで県内の企業や事業者の収益がコロナ禍前に戻っているかというと、ほとんどの事業者ではそうではなくて、まだまだ以前の状態には戻っていないと感じています。現に私の地元では、いろいろな方にお話を伺ったところ、飲食業でもまだまだ以前のにぎわいは見られないという声が聞かれました。

 国の旅行キャンペーン等で観光地は少しはその恩恵を受けて、観光客の皆さんも来てくれているようではありますけれども、それでもコロナ禍前の規模には戻っていないというふうにお聞きしております。

 民間の信用調査会社・帝国データバンク和歌山支店によりますと、令和4年の1年間で1000万円以上の負債を抱えて倒産した県内企業は70件に上り、前年よりも7件増加したとのことです。負債総額1000万以下のコロナ関連倒産は15件で前年より4件増加、負債総額は27億7440万円とのことであります。

 倒産した企業の中には私も利用するゴルフ場が含まれておりました。最近、私もそこではプレーしたことがありませんので、まさか私のせいではないと思いますけれども、これもコロナによる影響によるものではないかなというふうには考えております。

 令和4年はコロナ禍の行動制限が緩和され、10月には実質的に外国人の入国制限も撤廃されたことから、企業実績は飲食や宿泊業など個人向けのサービス業を中心に、おおむね堅調に推移しているようであります。しかし、一般家庭では昨年からの主要食品の値上げが続き、今年も1万品を超える商品の値上げが予定されている報道もあり、一層生活が厳しくなる家庭が多くなりそうです。

 ここで質問に移ります。

 本来なら先に知事に答弁をお願いするわけでありますけれども、恐らく新知事になられたということで知事に対する質問が多いというふうなことを予想しました。本日のこの通告を見ても、朝からもうほぼ知事のみ、私の後も知事のみということで、知事が答弁、休まる間がないなと思いまして、失礼ではございますけど少し休んでいただくということで、2番目に回させていただきました。

 本年1月末、政府が新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけについて、5月8日から新型インフルエンザ等感染症から外し、季節性のインフルエンザと同じ5類感染症とする方針を示したとの報道がありました。

 県内の感染状況はいまだ収束には至りませんけれども、通常の社会経済活動ができるような状態になりつつあります。私の地元である串本町においても、主要産業である観光業の事業者の方から、宿泊客が戻りつつあり、売上げも上がってきているというお話をお聞きしております。

 しかしながら、多くの事業者はこれまでの新型コロナウイルス感染症の影響に加え、原油・原材料価格高騰等の影響を受けており、業況の回復に至らず、厳しい経営状況に陥っているのではないかと危惧しているところであります。

 国内で新型コロナウイルス感染症の影響が出始めた令和2年度から、苦境に陥っている事業者を支援する様々な制度を国や県において創設をしていただきました。

 その中で、県の融資制度では3年間の実質無利子・無担保融資、いわゆるゼロゼロ融資が創設をされ、その融資を利用された件数は約1万2000件、融資額にして約1850億円と聞いております。ゼロゼロ融資はその大半が令和2年度に実施したものですけれども、コロナ前となる令和元年度の県の制度融資全体での実績は、件数にして約3000件、融資額としては約290億円であったことと比較すると、いかに大きい規模の融資であったかが分かります。

 このゼロゼロ融資には返済の据置期間もありますが、既にその返済が始まっている事業者もおられ、その事業者から資金繰りが厳しいという声を聞いております。借りたお金ですので、事業者はいずれ返さなければなりませんけれども、新型コロナウイルス感染症の影響に加え、原油・原材料価格の高騰等による厳しい経済情勢の中で、毎月決められた額を返済していくのは非常に大変なことであると思います。

 ようやくコロナからの脱却が見えている状況で、今さえしのげば立ち直る事業者もおられると思います。返済に窮する事業者への支援が必要ではないかと考えております。

 また、県の融資といっても実際には金融機関を窓口に借りられていますので、金融機関に対しても柔軟な対応を行っていただくように働きかけていただく必要があると思います。

 そこで、ゼロゼロ融資の返済に窮する事業者に対して、県としてこれまでどのような資金繰りの支援を行い、今後どのような対策を考えているのか、商工観光労働部長にお伺いをいたします。

○副議長(岩田弘彦君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。

 商工観光労働部長寺本雅哉君。

  〔寺本雅哉君、登壇〕

○商工観光労働部長(寺本雅哉君) 県の中小企業融資制度におけるゼロゼロ融資の返済については、既に多くの事業者で始まっており、県としましては、これまでも経営環境の悪化した事業者が借換え等を行う場合に、低利で利用できる資金を措置してまいりました。

 本年1月には、ゼロゼロ融資の借換えにも利用できる資金の対象について、売上高の減少率を前年同月比15%から5%に引き下げるとともに、原材料価格等の高騰に鑑み、利益率が減少した場合でも利用できるよう要件を緩和したところです。

 また、県内の金融機関に対しては、事業者から相談があった際、事業者の実情に応じて、返済猶予等の条件変更に柔軟に対応いただくよう依頼しております。

 一方で、ゼロゼロ融資は来年度に3年間の利子補給期間が終了するため、返済に窮する事業者の中には資金の借換えを行うことができず、やむなく返済猶予等の条件変更を行い、国の制度上必要となる追加保証料を負担するケースが増加することも考えられます。

 そのため、県としましては、この追加保証料について全額補助する制度を新たに創設し、当面の間、返済に窮する事業者の資金繰り支援をさらに拡充したいと考え、必要な経費を令和5年度当初予算案でお願いしているところです。

 今後とも金融機関や信用保証協会と連携し、経済情勢や県内事業者の状況等を踏まえながら、必要となる融資制度の改正を検討してまいります。

○副議長(岩田弘彦君) 佐藤武治君。

  〔佐藤武治君、登壇〕

○佐藤武治君 答弁ありがとうございました。

 今、部長のほうから、いろんな対応、対策を取られている、中でもいろいろ要件の緩和とか返済猶予の条件変更、ここらも柔軟に対応していただくというような答弁がございました。

 先ほど質問しましたように、やっぱりまだいろんな多くの方が苦しんでおられるのが現状だというふうに思っております。本当に今助けてあげれば、今後十分な、また事業を展開できる事業者も多いと思いますので、引き続き御対応をお願いしておきます。

 続きまして、次の質問に入ります。

 先日新聞報道されていましたけれども、知事は、おにぎりミーティングと称してお昼休みに知事室において若手職員との意見交換会を行っていると聞きました。ふだん接する管理職の方々だけではなくて、様々な世代から率直な意見を聞くことは、組織運営の面でも大切なことであると思います。若手職員にとっても、自分の意思が県政に反映されることは非常にうれしいことであろう、より一層、仕事のやりがいを感じることだと思いますので、ぜひ今後も継続していってほしいというふうに思っております。

 また、新年度の組織改革において、地域の振興に主眼を置き、振興局を活性化するポスト地域振興監を設け、振興局と市町村の連携を強めたい、また、振興局長は将来的に若手の登竜門にすることを検討したいと報道をされていました。この件も私は非常に大賛成であります。より一層、紀南地方をはじめとする地域振興に取り組んでいただきたいと思います。

 さて、紀南地方では、近畿自動車道紀勢線の一部であるすさみ串本道路と串本太地道路の建設が順調に進んでおり、緊急医療や防災、観光の面で大変頼もしく感じているところであります。紀伊半島一周高速道路は我々県民の、また特に紀南地域の住民の悲願でありましたけれども、最後にようやく紀南地方の自動車専用道路が整備をされ、県内の道路がつながることになります。

 ただ、人口が少ないとはいえ、紀南地方の自動車専用道路の整備が県内で最も遅れてしまったことは事実であります。

 そこで、紀南地方における道路整備の現状について、知事としてどのような認識を持たれており、今後どのように進めていただけるのでしょうか。知事にお伺いをいたします。

○副議長(岩田弘彦君) 知事岸本周平君。

  〔岸本周平君、登壇〕

○知事(岸本周平君) まず、佐藤議員の温かい御配慮に感謝を申し上げ、力を入れて答弁をさせていただきます。

 紀伊半島を一周する高速道路は、すさみ南インターチェンジ以南は、なおミッシングリンクが残されております。沿岸部の主要な幹線道路は国道42号のみという状況が続いております。

 そのため、国では国道42号の代替となる高速道路を整備しております。県におきましては、それらを補完する内陸部の幹線道路として、長井古座線やすさみ古座線、国道371号などの整備を鋭意進めているところであります。

 紀南地方には、豊富な森林資源や水産資源、また、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」といった世界に誇る観光資源が存在しております。これらを有効に活用し、地域を活性化する上で、また、南海トラフ巨大地震などの大規模災害への備えとして、道路ネットワークの整備が非常に重要なことは言うまでもありません。

 一方で、紀南地方を含めた和歌山県の道路整備は全国と比べますと遅れております。県内全域で計画的に優先順位をつけまして整備を推進していくことが非常に重要になっております。

 今後も、人、物の流れを活性化し、和歌山県の発展に寄与する紀伊半島一周高速道路や幹線道路網などの県内道路ネットワークの形成を図ってまいります。

○副議長(岩田弘彦君) 佐藤武治君。

  〔佐藤武治君、登壇〕

○佐藤武治君 答弁、知事、ありがとうございます。

 今、答弁されたように、南海トラフやそういう巨大地震、この備えとして非常にこのネットワーク、重要なことと認識をしていただいているという答弁であります。全くそのとおりで、今、命の道と言われている専用道路が着々と、たしか令和7年の春頃というふうな、もう発表もございました。そういうための工事費も県内出身の国会議員の皆様に御尽力いただいたおかげで、かなりそういう資金についても確保されているような話も聞いております。

 実は、昨年だったと思います。串本の市街地に入る直前に、今、国道42号の歩道の整備をしているところがあるんですけど、距離にして100メートルぐらいあるのかな、そこの工事中に斜面がちょっと崩落、崩れました。もちろん通行止め、もう土砂が全部道を、国道42号2車線、交互でありますけど全部埋めてしまって、もう当然通行止めやということで、そのときは生活道路、もちろん生活道路でありますし、それで運送する、そういうスーパーとか荷物を運ぶ、ああいう業者も、非常に多くのトラック等が走ってるわけでありますけれども、どうしても迂回路としては一旦戻るというか、戻って古座川の奥を回って串本町内の市街へ入るという、これは時間的にいうとやっぱり40~50分余分にかかるということで、非常にその間も大変な思いをしたというふうな話もその当時よく聞きました。

 地元の建設業者等のおかげで思ったより早く片側になったわけでありますけれども、やはり一度そういうことがあると、本当にこれ、今、迂回路というんですか、そこが非常に少ないというか、ほぼない、そこしかないというような状況であります。

 正月にも、そのちょっと近く、高富という地域で交通事故がありまして、その際にも2時間以上、多分通行止めになりました。ここはちょっとした配慮があれば、もう少しうまいこと時間稼げたのかなという、後々聞いておりますと、そういうところもありましたけれども、一度そういう事故とかが起こりますと、今言ったように必ず古座を回る、ここしかないわけであります。私も実際その経験をしたところでありますので、その際には、早く高速道路があればなあというふうな思いもしましたので、令和7年を待ち望んでいるところであります。

 優先順位等とおっしゃいましたけれども、ひとつそういう紀南の状況をしっかりと把握しておいていただきたいなということを要望しておきます。

 続きまして、ロケットの打ち上げについて、これ、延期されたんですが、先ほどお昼休みに、誰かとは言いませんけども、佐藤がロケットの質問するたびにロケットが延期されてるというふうな、そういう御注意を受けたところでありますが、決してそういうことはありません。たまたま今回も部品が入らないということであったように聞いております。

 これ、田原地区で本当に建設がもう進んで、もう発射場自体はできているわけであります。ロケットについては昨年の、今言ったように6月の議会でも質問させていただきました。前向きな御回答もいただいたところです。

 その後、今言ったように、昨年末に予定されていた打ち上げが新型コロナウイルス、またウクライナ戦争に伴う世界的な物流網の混乱の影響を受けて、今年の2月末に延期になりました。

 ところが、このときも非常に残念だなあというふうに思いましたけれども、これは世界的な影響でもありますので仕方がないなというふうに、私をはじめ地域の皆さんが納得をしていたところであります。

 ところが先日、スペースポート紀伊周辺地域協議会が開かれて、2月末に予定をされていたこの打ち上げをさらに今年の夏頃に延期するという発表があったところであります。これもやはり新型コロナウイルスやウクライナ情勢の影響で海外からの部品調達ができないという理由ですので、延期は致し方ないという思いでありますけれども、これで3回目の延期となります。

 もう本当に地元住民は非常にこのことに期待をしておりまして、盛り上がっていた、非常に盛り上がっていた。そこで3回目の延期となったわけで、この地元の皆さんの落胆ぶりというんですか、皆さんは非常に相当なものであったなあというふうに思います。ここの部分はしっかりと報告をしたいと思います。

 先ほど言いましたように、先週16、17と東京のほうに行ってきたわけですけども、16日の木曜日、一緒に行った串本町長や串本町議会の皆様と一緒に東京のキヤノンの本社を訪れました。そこに、御手洗代表取締役会長兼社長をはじめキヤノン電子株式会社の酒巻代表取締役会長、スペースワン株式会社の豊田代表取締役社長や最高顧問の遠藤氏とお会いして、ロケット初号機の打ち上げの今後の見通し、また、関連する企業誘致について意見交換をしてまいりました。

 串本町長からは、打ち上げ当日に見学会場を2か所、用意をしているわけでありますけれども、2か所で一応想定されるのが約5000人、この方以外見れない。見学会場に入れない方のために、町長から串本役場の旧古座分庁舎に設置をしてある8Kのシアター、ここでロケットを倉庫から出す瞬間から打ち上げまでの映像を流したいというふうな意見も出まして、御手洗会長をはじめスペースワンの豊田社長等に、こういう構想も持っているんだということでいろんな意見交換をやったところであります。

 そして、これは計画ではありますけれども、2020年代の後半になるかというふうな話がありましたけれども、年間20機ぐらいを打ち上げたいという話をしていたら、キヤノン電子の酒巻会長のほうから、そんな20機と言わずに100機でもどうなと、年間100機打ち上げたら、それはすごいぞという話がありましたけれども、それやったら飛行機に当たるやろと、そんな月に8本も9本も打ってたら白浜空港から飛ぶ飛行機に当たるだろうというような冗談に近い話がありまして、なかなか100機は難しいと思いますけれども、やはり20機以上は打ち上げていただく、このぐらいの計画でしっかりやっていただきたいなというところであります。

 そして、その翌日です。たしか翌日17日の金曜日だったと思います。種子島宇宙センターから打ち上げられる予定だった新型のH3ロケットが、機体システムの異常によって直前に打ち上げが中止されたというニュースが流れました。全国ニュースで大きく取り上げられたのを見まして、ロケットの打ち上げというのは町民や県民だけではなくて、本当に全国から注目される大きなイベントだなあという、改めて認識した次第であります。

 本県の小型ロケットの打ち上げも、必ずこれは成功してもらわないと、観光関係者が打ち上げに伴い期待をしている経済効果が薄らいでしまいます。何より、ロケットを契機に地域を盛り上げようと様々なイベントに取り組んでいただいている地域住民の皆さんのモチベーションが下がってしまうのではないかと心配をしております。何とか地域住民の熱意、観光業をはじめとする様々な事業者さんの熱意を保つべく、県として何らかの対応をしていただけないかと思いますが、今現在、県として取れる対応として何があるのか、商工観光労働部長にお伺いをいたします。

○副議長(岩田弘彦君) 商工観光労働部長。

  〔寺本雅哉君、登壇〕

○商工観光労働部長(寺本雅哉君) 議員御指摘のとおり、打ち上げ延期については致し方ないと受け止める一方で、打ち上げまでの間の機運醸成が引き続き必要であると考えています。昨年7月に立ち上げた打ち上げ応援サイトには約1万2000名の方が御登録をされており、延期の発表後も登録者数は増え続けていることから、これまでどおり、打ち上げに対する期待と関心は高いと認識しています。

 現在、串本町では令和3年度から旧古座分庁舎をリノベーション中で、8Kシアターをはじめロケットや宇宙に関連したコンテンツの展示などを行う準備を進めており、新たな観光資源として注目が集まる施設になると考えています。

 また、県では、宇宙シンポジウムin串本を来年度も開催予定であり、シンポジウムの開催時期や内容の充実について、打ち上げ時期を踏まえながら検討を行ってまいります。

 宇宙教育についても、令和6年度からスタートする串本古座高等学校の宇宙探究コースのカリキュラムや全国募集に向けた広報戦略について検討を進めており、打ち上げがさらなるPR効果となるよう期待しているところです。

 このほかに新たな取組として、国内最大の国際宇宙学会である「宇宙技術および科学の国際シンポジウム」を串本町で開催するべく誘致活動を行っており、ぜひ実現に向けて取り組んでいきたいと考えています。

 また、地元事業者の取組については、ロケット関連グッズや土産品などの商品開発が進んできており、スペースワン社のエンブレムや串本町、那智勝浦町が作成したロゴマークを使った商品登録数は100を超え、今後も増えていく見込みです。

 このように、打ち上げをきっかけとした取組は、延期にかかわらず今後も切れ目なく進める予定でありますが、そのためにも、まずは打ち上げの成功が第一であると考えています。

 県としましては、スペースワン社の打ち上げ成功を引き続き応援していくとともに、町や地元事業者等と連携しながら、打ち上げ応援サイトの活用をはじめ、あらゆる広報媒体を通じ地元の情報や取組の紹介を行うなど、地域活性化に向けた取組を進めていきたいと考えています。

○副議長(岩田弘彦君) 佐藤武治君。

  〔佐藤武治君、登壇〕

○佐藤武治君 部長、答弁ありがとうございます。

 今も答弁にありましたけども、応援サイト1万2000人も登録、それ以上、今増えていると私も聞いております。それだけ皆さん、関心というか期待も持っておられるんだろうなというふうに思います。

 そういった中で来年度もシンポジウム、やるごとに本当に人が増えて、非常にまだ入り切れない希望者が多いです。楽しみにしているところでありますので、しっかりとまた開催をしていただきたいと思います。

 それと、これ、あんまり私も聞いたことがなかったんですが、令和7年度に国際宇宙学会、ここが第35回ですか、国際シンポジウム、これ、串本町でこういうふうに今誘致活動を行っていただいてる、これも本当にぜひ実現、もうありとあらゆる手段を用いてでも、ぜひこれはやっていただきたいと、本当に期待をしております。よろしくお願いします。

 本当に地元業者は、もう本当に待ちに待っているというふうなところであります。もうここのこれに関わっている方たちの話を聞きますと、本当にもうまず地域、串本だけでないですね、紀南地域、和歌山含めて、これ国内初の民間の発射場でございますから、もう一心に皆さん、こうして期待もしておりますし、楽しみにもしていただいてるところが本当だというふうに思っております。

 ただ、先ほどもありましたように、これはもう失敗は許されない。スペースワンの方、社長とも、これはもう本当に失敗は許されないと言っておりました。ここはもう慎重にやっていただいて、ぜひ初号機の打ち上げは成功していただきたいと私も願っているところであります。

 いろいろありましたけれども、これまた今後、機会を見て質問をしたいと思いますので、よろしくお願いします。

 これで、私の一般質問を終わります。御清聴どうもありがとうございました。(拍手)

○副議長(岩田弘彦君) 以上で、佐藤武治君の質問が終了いたしました。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 37番高田由一君。

  〔高田由一君、登壇〕(拍手)

○高田由一君 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い発言、質問をしていきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

 質問に入ります前に、岸本知事は就任直後の記者会見で、次のように語られております。県民の笑顔をつくるという点では、そういう意味では、共産党の皆さんも多分同じ御意見を持ってくださるでしょうから、そこは、是々非々のお付き合いをしていきたいとの発言がございました。私も是々非々の立場で議論をしていきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

 最初に、岸本知事の知事選挙での公約である子育て支援策について伺います。

 知事は、新聞の候補者アンケートなどで子供医療費や給食費の無償化を進める旨の回答をされていましたので、私も大きな期待を持っておりました。ただ、率直に申し上げて、今議会初日の知事の提案説明は、いささか拍子抜けした感じが否めませんでした。選挙でされた公約について、もっと熱く語られるのかと思っていたからです。年末の選挙というタイミングからいっても、新年度の当初予算に岸本知事の意向が十分反映できないのは分かりますが、それでは、今後どのようなスケジュールで実施をされようとしているのか分かりませんでした。

 そこで、伺いたいと思います。

 子育て支援の中でも子供医療費と給食費の無償化を選挙公約として掲げられた、この分野での知事の思い入れと、これらの施策に必要な財源の見通しも含めて御答弁をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○副議長(岩田弘彦君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。

 知事岸本周平君。

  〔岸本周平君、登壇〕

○知事(岸本周平君) お答えいたします。

 国におきまして、異次元の少子化対策に取り組むという方針が示されております。本県といたしましても、前例にとらわれない大胆な施策を実行し、子供を育む環境づくりを進めていきたいと考えております。

 子供の医療費及び学校給食費の無償化は、子育て世帯に対する経済的負担の軽減につながります。このことを私も強く期待しております。

 まず医療費の無償化につきましてですが、乳幼児期は抵抗力も低く、罹患した場合には重症化しやすいことから、早期に受診できますよう乳幼児医療費助成制度として、乳幼児までを支援する制度として、現在、市町村に補助を行っております。

 一方、市町村では、地域の実情に応じた政策として現在、全市町村で中学校卒業まで、そのうち一部の市町村では高校卒業までを対象年齢としております。その自己負担分を独自に助成しているわけであります。

 現在、市町村と共に実施している乳幼児の予算は6億円であります。仮に県が市町村と共に高校卒業までを対象とすると、概算で年9億円の負担が新たに生じます。都合、毎年約15億円の財源が必要となります。

 次に、学校給食費の公的支援につきましては、現在、政策として実施している市町村における無償化や、経済的に就学困難な世帯を対象とした就学援助制度によって行われているところであります。

 仮に、県内全ての児童生徒を対象に学校給食費の無償化を実施した場合は、毎年33億円の財源が必要となります。将来にわたって子供の医療費及び学校給食費を無償化するには、多額の恒久財源の確保が必要であります。

 今後は、予算の賢いやりくりを前提に、県による市町村への補助や負担の手法を含めて、検討してまいる所存でございます。

○副議長(岩田弘彦君) 高田由一君。

  〔高田由一君、登壇〕

○高田由一君 答弁をいただきました。

 答弁では、子育て支援に係る概算の費用を示していただきました。医療費への半額負担で、高校生まで無料にして15億円ということで、さらに給食費無償化は33億円とおっしゃられましたが、これは県がこの全額給食費を持った場合の金額だと伺っていますから、医療費のように半額補助だと16億円程度というふうに思います。

 医療費無償化、それから給食費の無償化、併せて市町村の努力も要るんですが、30億円程度の財源──県財源ですね──だとすると、財政危機警報を出す前の新中期行財政経営プランにおきましても150億円程度の基金残高の予想でございました。でしたから、知事のおっしゃられる子育て支援政策をこの30億円余し使ったとしたら5年程度で財源が、その部分だけ使えば枯渇をするということになってくると思います。私は、そういう基本的な情報も含めて出された選挙公約だというふうに思っておりましたから、知事就任後、財源問題が持ち出されてくるとは思いもよりませんでした。

 ただ、私はこれ、文句を言うために質問してるんじゃなくて、応援をするために言っているんですが、一遍に無理でしたら、段階的に実施をしていくということも選択肢としてあり得ると思うんです。

 給食費でいいますと、例えば県から1000円の補助が出るよ、2000円の補助が出るよというだけでも随分助かると思うんですが、こうした段階的な実施ということについても御検討の中には入らないでしょうか。これは再度答弁をいただきたいと思います。

○副議長(岩田弘彦君) 知事。

  〔岸本周平君、登壇〕

○知事(岸本周平君) ありがとうございます。おっしゃるとおりでして、予算の執行ですから、いろんなやり方があろうかと思います。いずれにしましても、仮に段階的にやるとして、少額であろうとも恒久的な財源が必要です。これはもう今、高田先生の御質問の仕方を聞いていますと、よく御理解をいただいていると思います。使い切って、なくなって、次ありませんというわけにはいかない。

 仮に3億円でも、未来永劫3億円をずっと使うわけですから、3億円のお金をともかく恒久財源としてひねり出す、5億円のお金をひねり出すと、こういうことでありますので、やはりそこは、私はある程度、自らも財政については長年やってきたという自負もございますので、あまり軽々なことは申し上げられないという意味で、少し思いとは裏腹に慎重な言い方にはなっておりますけれども、まずもって賢いやりくりをやりながら、就任したばかりですので、令和5年度、しっかりと事業を見直しまして、これだけ恒久財源ができましたという段階でまた御報告をさせていただけるように努力してまいりたいと思います。

○副議長(岩田弘彦君) 高田由一君。

  〔高田由一君、登壇〕

○高田由一君 ぜひ、選挙のときの公約された知事の熱い思いを推進していただけるように、よろしくお願いをしたいと思います。

 それでは2問目、次に原発政策について伺います。

 政府は2月10日、エネルギーの安定供給や気候危機対策を口実に、原発の新規建設や60年を超える運転を認めることなどを盛り込んだグリーントランスフォーメーション実現に向けた基本方針を閣議決定いたしました。ここに分厚い資料がございますが、(資料を示す)私も読ませていただきました。

 その方針では、原子力の活用としてエネルギー基本計画に定められている2030年度の電源構成に占める原子力比率、20~22%の確実な達成に向けて原子炉の再稼働を進めるということや、次世代革新炉の開発・建設に取り組むなどとされています。

 福島での原発事故以来、原発の新増設を想定しないとした政府のこれまでの立場を大転換するものであり、私ども日本共産党は、これには断固反対の立場です。

 こういう状況の中で、報道によりますと、関西電力は新年早々福井県庁を訪れ、知事と懇談、2023年末、今年の年末ですが、これを期限としている原発から出る使用済み核燃料の中間貯蔵施設の県外での移設場所について、あらゆる可能性を追求して全力を尽くしていると発言をされました。

 関電は、これまで県外計画地点の表明に向け、自ら設定した2018年、そして2020年という2度の期限をこれまで延期をしてきました。そして、今年末までとした3度目の約束を履行できなかった場合は、運転開始から40年を超えた美浜原発3号機、高浜原発1、2号機は、計画地点確定まで運転しないという方針を自ら示されています。その上で関電の森社長さんは、関係先のキーパーソンに働きかけを行っているとも答えられています。

 県内でも、この原発から出る核のごみの処分場や中間貯蔵施設をめぐって、これまでも私の地元白浜町も含め心配の声があり、この議場でも何度か議論をさせていただきました。

 仁坂前知事は、和歌山県の地理的条件や巨大地震の心配などもあることから、「最終処分場はもとより、中間貯蔵地としても最もふさわしくないところであることは理論的に明らか」として、県としてこうした施設の調査を受け入れることさえ念頭にないことを明確に答弁をされました。

 ただ、私が心配しているのは、今回の政府の原発推進への方向転換によって、今後も使用済み核燃料がたまり続けることになり、その中で関西電力があらゆる可能性を追求して全力を尽くしているとしていることから、今後、和歌山県への働きかけがある可能性も出てきているわけです。

 そこで、知事に伺います。

 そもそも知事は、この原発についてどのようなお考えをお持ちでしょうか。また、使用済み核燃料など原発から出る廃棄物については、これまでどおり受け入れないということで変わりはございませんでしょうか。知事の答弁をお願いします。

○副議長(岩田弘彦君) 知事。

  〔岸本周平君、登壇〕

○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。

 エネルギー自給率が諸外国に比べまして大変低い我が国であります。2050年のカーボンニュートラルや2030年の温室効果ガス削減の目標達成に向けて取り組む上では、将来にわたり安定的にエネルギーを確保しつつ脱炭素化を実現させるためには、再生可能エネルギーはもちろんのことでありますけれども、原子力発電も重要な選択肢の一つであると認識しております。

 また、脱炭素化の潮流に加え、ウクライナ侵攻後の世界情勢などを背景としたエネルギー価格の高騰により、今、電気料金が大幅に上昇し、国民生活が脅かされている状況にございます。

 当然、原子力発電につきましては、東京電力福島第一原子力発電所の悲惨な事故を防ぐことができなかったことに対する反省や教訓を肝に銘じた上で、廃炉や復興、最終処分といった課題に政府は責任を持って取り組むべきであり、その際には、国民から十分な理解を得て進めていく必要があると考えております。

 その上で、2050年カーボンニュートラルや2030年度の新たな削減目標の実現を目指すに際して、原子力につきましては安全を最優先し、再生可能エネルギーの拡大を図る中で可能な限り原発依存度を低減するという政府方針を踏まえ、安全性を最優先に、当面、原子力発電を活用していくことは必要であると考えております。

 ただ、これまでどおり、原子力発電所から出る使用済み核燃料などの廃棄物を我が県として受け入れる考えはございません。発電所から離れた場所に廃棄物を運搬することは効率的とは言えませんし、何より本県は南海トラフの地震の被災リスクもあります。地震や津波の影響、あるいは地形、土地の利用や人の居住の状況などを踏まえれば、県民の命と暮らしを守る私の立場上、和歌山県内は適地であるとは考えられず、受け入れる考えはございません。

○副議長(岩田弘彦君) 高田由一君。

  〔高田由一君、登壇〕

○高田由一君 答弁をいただきました。

 知事は、御答弁の中でこの政府の方針を踏まえるとおっしゃいました。政府の方針は今おっしゃられたように、可能な限り原発依存度を低減するということも盛り込まれております。

 ただ、これはよく誤解される方もおるんですが、可能な限り原発依存度を低減するというのは、あの福島県の事故が起きる前、つまり事故の前30%程度あった原発の依存度、これを20~22%に減らすというのが政府の方針なんですね。それが原発依存度を低減するという表現で政府方針に書き込まれています。

 この政府方針と比べると、実は現在の電力における原発依存度は6%程度です。それを政府方針のように20~22%にしようとすれば、今後全原発の再稼働、加えて新設をしなければこの数値にはならないということが明らかになっています。

 それに加えて、今回のGXの基本方針での原発回帰のことです。だからこそ私は、こういう状況の中ですから、あえて知事にそもそも原発についてどういうお考えでしょうかと伺ったわけです。

 政府方針を踏まえるという、今、御答弁の立場では、いつまでたってもこの核のごみの処分場の心配はこの和歌山からなくならないのではないか。知事自身はそういうふうにはっきり表明いただきましたけど、長いこと続いていく原発ですから、そういう心配が続いてまいります。私はこの際、やはり政府に対して今の方針を撤回することを求めることこそ、この和歌山県にとって必要な知事の態度ではないかと考えるんですが、いかがでしょうか。これは答弁をお願いします。

○副議長(岩田弘彦君) 知事。

  〔岸本周平君、登壇〕

○知事(岸本周平君) 再質問ありがとうございます。

 論理的には、理屈上、今、高田議員が御指摘になった点は論理的な一つの道筋だろうと思います、論理的には。一方で、私ども和歌山県としては、日本政府の中の一つの地方公共団体として、政府の方針に沿って行政も行っていくという立てつけもございますので、現状、今の足元の政府のこれまでの計画や方針につきまして、和歌山県として十二分な検討をして、それに対して賛成、反対の立場をしっかりと採点し直すという段階にはございません。

 当面、政府の方針を踏まえて、今、高田議員がおっしゃられたことも念頭に置きながら、いろんなことを、いろんな御意見も聞きながら考えていきたいと思います。

○副議長(岩田弘彦君) 高田由一君。

  〔高田由一君、登壇〕

○高田由一君 ぜひ知事には、知事としての立場と政治家としてのお立場があるでしょうから、ぜひ私は政治家としての岸本周平さんに、このことを政府にぜひ求めていっていただきたいなというふうに考えております。よろしくお願いいたします。

 次に、災害時の県の支援策について伺いたいと思います。

 実は、この問題については、私は2019年9月の一般質問で取り上げましたが、そのときは、いい答弁はいただけませんでした。ただ、私の中では重要なテーマの一つなので、今回再度伺うものであります。

 災害が発生したときに、被災者の皆さんを支援する制度として被災者生活再建支援法があります。この制度は1998年に成立し、自然災害により住民が生活基盤に著しい被害を受けた場合、都道府県が拠出した基金を活用して、その生活の再建を支援することになっています。

 現在では、家屋が全壊した場合や大規模半壊に加え、2020年の改正で、中規模半壊といって損害割合が30%程度の被害も支援の対象となってまいりました。

 ただ、この国の制度にも不十分さがあるんです。まず、制度の対象となるのは基本的に10世帯以上の住宅全壊被害が発生した市町村、あるいは100世帯以上の住宅全壊被害が発生した都道府県となっておりまして、極めて大規模な災害でないと適用にならないということです。

 そのため、同一の災害で個人的には全壊に近い被害を受けましても、集団的な被害のまとまりがないと支援制度が適用されない場合がございます。分かりやすい例で言えば、例えば竜巻の被害があります。数軒の家だけ筋状にがたがたっと全壊に近い状態でやられた場合などが対象とならない場合があります。これに対して不公平だとの声が出るのも当然です。

 そこで、県独自の被災者生活再建支援制度について伺います。

 内閣府の資料を見ましても、災害規模や要件にかかわらず、住宅の半壊や一部損壊、床上浸水などに支援金を出している都道府県がかなりこの間増えてきております。和歌山県でも、災害規模や要件にかかわらず、住宅の被害、特に半壊や一部損壊、床上浸水も対象とした県独自の被災者生活再建支援制度をつくるようにしてはいかがでしょうか。

 あわせて、県の災害見舞金の充実についても伺います。

 県の災害見舞金制度は昭和42年に創設され、その後4回の見直しを経ています。現行の見舞金の額については、被害の程度に応じて、住家の被害に対して全壊が1万円、半壊と床上浸水が5000円、人的被害に対して死亡と行方不明者が5万円、重傷が5000円となっている状況です。

 例えば、床上浸水の見舞金の県の5000円ですが、これについては市町村のほうが金額もかなり多い状況です。私の地元の白浜町では、床上浸水は2万円の見舞金、隣の田辺市でも同じく2万円、参考に、和歌山市では3万円、海南市でも3万円となっています。その他の市町村も見舞金を県の制度よりもより多く支援している状況があります。災害に備えて、県の見舞金の引上げをすべきではないでしょうか。県独自の被災者生活再建支援制度や災害見舞金の充実について、知事の答弁をお願いしたいと思います。

○副議長(岩田弘彦君) 知事。

  〔岸本周平君、登壇〕

○知事(岸本周平君) お答えいたします。

 災害時の住宅の半壊や一部損壊等々についての支援の在り方というのは、少し時代を振り返ってみますと、もともとは非常に手薄いものでありました。といいますのは、個人の資産でありますので、個人の資産について公的なお金を出すのはどういうことか、いかがなものかというような考え方があったわけでありますけれども、阪神・淡路大震災を契機に、大変な被害を受けられた方々に対して、そういう一昔前の考え方を変えて、徐々に徐々に支援の幅が拡大してきたという経緯がございます。

 その上で申し上げますと、災害で被災された方への支援につきましては、平成10年でありますけれども、大規模な災害を受けた地域の復興を速やかに進めるという観点から、都道府県が出し合って造成した基金と、国庫補助金を財源といたしまして、生活基盤に著しい被害を受けた個人に対して支援を行う被災者生活再建支援制度が設けられ、これが数度にわたり、今申し上げましたように内容の改善が図られてきております。

 その上で、さらなる制度の改善につきまして、全国知事会を通じまして、和歌山県としても国に対応を求めてまいりました。その結果、令和2年12月に被災者生活再建支援法が改正されました。これまでの全壊、大規模半壊に加え、半壊の中でも被害程度が大きい、いわゆる中規模半壊が新たに制度の対象となったところであります。

 県独自の支援につきましては、平成23年の紀伊半島大水害において、想像をはるかに超える住家被害が発生し、被災者生活再建支援制度による支援のみでは、生活の拠点である住宅の再建が困難な世帯も多数に上ると考えられたことから、最大150万円の県独自の上乗せ補助制度を創設し、被災者の住宅再建を支援したところであります。

 一方、議員御指摘のとおり、同一災害による被害であっても、災害規模の要件によりまして法適用される区域とされない区域が生じる場合もございます。被害の状況によりましては、法適用外区域に県独自の支援を行うということも考えております。

 近年発生している災害を見ますと、その態様は様々でありますので、災害の状況に合わせて、県独自の上乗せ補助や法適用外区域への支援を行うなど、必要に応じてできる限り柔軟に対応するとともに、同一災害による全ての被災区域を支援の対象とするよう見直すことにつきましては、引き続き国に対して要望してまいります。

 それから、議員からの御指摘でありますけれども、県独自の災害見舞金制度ということにつきましては、被災された方を慰労する、激励するということのため、被害の程度も半壊や床上浸水以上を対象とするなど、これも少しずつ対象を幅広くしてまいって現在に至っております。今後も引き続き、現行の制度の中で実施してまいりたいと考えております。

○副議長(岩田弘彦君) 高田由一君。

  〔高田由一君、登壇〕

○高田由一君 答弁いただきました。

 被害の状況によっては、法適用外区域に県独自の支援を行うことも考えられるということ、前向きのお言葉もいただきましたので、ぜひそれが実現できるようにお願いしたいと思います。

 ただ、災害見舞金制度については本当に低い額なんですよ。ぜひ見直しをしていただきたいということを、これは強く要望いたしたいと思います。

 次に、ユニバーサルツーリズムの推進について伺います。

 これも私の主要なテーマの一つです。この質問は、2021年12月にも一般質問で取り上げました。

○副議長(岩田弘彦君) 高田議員にお願いします。4番が飛んでいるように思いますが。

○高田由一君 失礼しました。すみません、大変失礼しました。議長、ありがとうございます。

 鉄道の不採算路線について伺いたいと思います。

 昨年4月に、JR西日本は「ローカル線に関する課題認識と情報開示について」という文書を発表いたしました。輸送密度が1日当たり2000人未満の線区、県内では紀勢線の新宮から白浜間が該当するようですが、こうした線区について収支率を公表し、赤字で大変だというふうに言いたいようです。

 また、同社は、こうした線区については、鉄道の大量輸送の優位性を発揮できないとして、今後地域の皆様と議論や検討をしていきたいとの内容です。要は、赤字で大変だからどうにかしてほしいということだと思います。

 この文書に対して、当時の仁坂知事はコメントを発表、その中で、「鉄道は、全国で公平に安定して確保されるべきユニバーサルサービスとしての役割があるため、路線ごとに採算を合わせる必要はなく、黒字路線の収益を赤字路線に配分するなど、全ネットワーク維持の方向で考えるべき」と述べられておりました。私も、これは的を射た内容だなというふうに思いました。

 特に収益が赤字になっている路線のみを取り上げ、今回公表をされていますが、逆に、大もうけを上げているドル箱路線についてはどれだけ黒字になっているか、あるいはどれだけもうけているかは、一切発表されていません。いいとこ取りの反対の悪いとこ取りというふうに言えると思います。

 こうして鉄道の存続が全国各地で問題になる中、私ども日本共産党は昨年12月、「全国の鉄道網を維持・活性化し、未来に引き継ぐために」の提言を発表いたしました。そこでは、不採算路線を含めて維持するとした民営化時のルールを確認し、国が責任を果たす改革を訴えています。

 その内容は、国が線路・駅などの鉄道インフラを保有・管理し、運行はJRが行う上下分離式などを提案しています。この上下分離式は、ヨーロッパの鉄道事業では当たり前の形態と言われ、完全民営でやっているのは日本だけと言っても過言ではないとしています。先日、知事にもこの提言をお渡ししたところでございます。

 そこで、知事に伺います。

 岸本知事は、そもそも鉄道の役割についてどのようにお考えでしょうか。また、JRの今回の動きをどのように受け止めておられるでしょうか。また、国やJRへ今後どのように働きかけをされていくおつもりでしょうか。

 以上、答弁をお願いしたいと思います。

○副議長(岩田弘彦君) 知事。

  〔岸本周平君、登壇〕

○知事(岸本周平君) 御質問ありがとうございます。

 本日は、高田議員と是々非々で議論を闘わせていただいておりますけれども、本件については全く同意でございます。

 まず、鉄道につきましては、通勤・通学などの日常生活、さらには産業、観光などの地域経済を支える必要不可欠な社会基盤としての役割を担っていると考えております。国土強靱化や国土の均衡ある発展などの観点から、地方のローカル線を含む全国的な鉄道ネットワークの維持を図ることは、最重要課題であると考えております。

 さらに、先ほど議員から御指摘のありました紀勢本線の新宮-白浜区間、1日当たりの輸送密度が2000人未満となっている不採算区間であるとして、JR西日本から開示をされております。しかし、これはもう本当に高田議員のおっしゃるとおりで、じゃあ新大阪から白浜はどうなってるんですかということを言いたくなるわけであります。

 そもそも同社の鉄道事業は、不採算路線を含め事業全体で採算が確保できるように民営化されたことから、路線の維持については一部の区間の収支等だけではなく、同社の鉄道ネットワーク全体の収支等に基づき議論されるべきであると考えております。

 したがいまして、県としては、国に対して、黒字路線の収益を赤字路線に配分するなど収益を内部移転させるルールづくりや、国策としての鉄道ネットワーク維持についての考えを示すよう求めてまいります。

 また、JR西日本に対しては、沿線自治体や県と連携して鉄道の利用促進を図るとともに、民営化の経緯を踏まえ、引き続き路線を維持していくよう働きかけてまいります。

○副議長(岩田弘彦君) 高田由一君。

  〔高田由一君、登壇〕

○高田由一君 御答弁いただきました。

 全くそのとおりだと思います。ぜひよろしくお願いしたいというふうに思います。

 それでは、先ほど失礼しました。次に、ユニバーサルツーリズムの推進について伺いたいと思います。

 この質問は、2021年12月議会でも一般質問で取り上げました。そのときの議論でも紹介しましたが、兵庫県の取組が参考になります。兵庫県ではその後も取組を進め、この2月県議会で、高齢者、障害者等が円滑に旅行することができる環境の整備に関する条例が議案審査されるようです。

 この条例に至る社会的背景を見ますと、一つには、人口の減少・偏在化、少子高齢化の進行があります。総人口の減少が進む中、高齢者、障害者は県内人口の3割以上を占め、今後も増加していき、2025年には団塊の世代が全て後期高齢者になります。

 二つ目には、SDGsの取組です。そこでは、誰一人取り残さない包摂性を掲げており、観光分野においても誰一人取り残さない視点が重要となっています。

 三つ目には、ユニバーサル社会づくりに向けた社会的要請であります。障害者差別解消法の改正に伴い、遅くとも2024年6月までに、事業者にも障害者に対する合理的配慮の提供が義務づけられています。

 そして最後に、観光面でのニーズの高まりがあります。来年5月開催される神戸世界パラ陸上や再来年の大阪・関西万博など、国内外からの誘客機会を見据え、多様な来訪者の受入れに備えることが必要になるからです。

 以上のような理由で、県として条例までつくってユニバーサルツーリズムへの取組を県内外にアピールしているのが兵庫県です。また、高知県での取組も以前紹介いたしましたが、県がバリアフリー観光相談窓口を開設して強力に推進しています。一方、和歌山県内には、ユニバーサルツーリズムに関する相談窓口さえない状況が続いています。

 そこで、知事に伺います。

 ユニバーサルツーリズムを推進するため、どのような施策をお考えになっておられるでしょうか。知事としての意気込みを答弁していただけたらと思います。よろしくお願いいたします。

○副議長(岩田弘彦君) 知事。

  〔岸本周平君、登壇〕

○知事(岸本周平君) お答えいたします。

 現在の社会におきまして、障害のある方をはじめ高齢者の方など、誰もが社会活動に参加する機会が確保され、障害のある方もない方も互いにその人らしさを認め合いながら、共に生きる共生社会を実現することが大変大事であると認識しております。

 したがいまして、観光面におきましても、年齢や障害等の有無にかかわらず、誰もが気兼ねなく参加できるユニバーサルツーリズム、今、高田議員がおっしゃっていただいたユニバーサルツーリズムを推進していくことが大変重要だと考えております。

 これまでも県といたしましては、市町村が設置する公衆トイレのバリアフリー対応を含めた整備への支援、あるいは県内の宿泊・観光事業者を対象にしたおもてなしセミナーなどの取組を実施してまいりました。

 ユニバーサルツーリズムの推進は、新たな誘客層の開拓につながるものと強い期待があります。ハード面、ソフト面の受入れ体制の整備や充実を図りながら、今、高田議員がお示しをくださった先進地の取組を参考に、誰もが家族や友人等と共に旅行が楽しめる観光地づくりに努力してまいります。

○副議長(岩田弘彦君) 高田由一君。

  〔高田由一君、登壇〕

○高田由一君 ぜひよろしくお願いいたします。

 次に、会計年度任用職員の処遇改善について伺います。

 2020年4月から全国の自治体の非正規職員に会計年度任用職員が導入され、この3月でちょうど3年を経過することになります。和歌山県では、それ以前から、県独自の制度として事務補助職員という制度を2014年から導入し、運用してこられました。この制度においては、3年を迎えるまでは公募によらず、つまり試験をすることなく雇用の更新ができて、3年が終了した時点で改めて試験を受けて合格をすれば、改めて任用がされておりました。

 2020年から導入された今の会計年度任用職員制度での事務補助職員の採用においても同様の方式が取られて、和歌山県では公募によらない再度の任用が2回までは可能となっています。逆に言えば、3年たてば一旦リセットされて公募をされるということになります。

 これら会計年度任用職員の制度において当初から心配されていたのが、雇用の継続の問題でした。実際、2021年の和歌山県の事務補助職員の公募においては、知事部局で見ると105名の方が継続して働きたいと試験を受けられましたが、そのうち不合格者が13名出ており、うち6名が少なくとも事務補助職員の制度が開始された2014年から県庁で勤めていた方であり、ベテランの非常勤職員が継続して雇用されなかったという実態があります。

 さらに今年も、会計年度任用職員制度導入以前から長年県庁で勤めてきたベテラン職員が不合格になった事例も出ています。まさにこうしたことが県庁内全ての職場で起こる可能性があるんです。

 なぜこうしたことになるんでしょうか。それは、会計年度任用職員の任期については、その採用の日から同日の属する会計年度の末日までの期間の範囲内とされているからです。つまり原則1年以内ということです。

 総務省が作成した会計年度任用職員制度の導入等に向けた事務処理マニュアルでは、任期の終了後、再度任用されることはあり得るとする一方、Q&Aの部分では、国の期間業務職員については、平等取扱いの原則及び成績主義を踏まえ、公募によらず、従前の勤務実績に基づく能力の実証により、再度の任用を行うことができるのは原則2回までとしていると例を出しています。

 これにより、会計年度任用職員制度の導入前までは10年、20年、場合には25年と再度の任用を繰り返してきた非正規の県の職員にまで、導入後には公募によらない再度の任用は2回までといった制限をかけることになった、そういう自治体が多数になったわけです。

 このような会計年度任用職員として働く方々からは、公募の年度になるたびに次年度の再度の任用がどうなるか、生活はどうなるのか不安で精神的な負担が大変大きい、安定した生活が望めないので結婚や家庭を持つことが考えられないといった生の声も出されています。

 雇用の継続性が確保されなければ、知識や経験を深め、専門性を蓄積することはできませんし、必要もありません。業務に専念し力を発揮していただくためにも、安定した暮らしを保障するためにも、安定・安心して働き続けられる職場が必要です。会計年度任用職員の継続的な任用を保障し、自治体業務の専門性・継続性が確保できるようにすることが大切です。

 例えば、民間の場合はどうでしょう。民間労働者の場合は、労働契約法第18条で有期労働契約の契約した期間が5年を超える労働者が当該使用者に対して期間の定めのない労働契約の締結の申込みをした場合には、期間の定めのない労働者として承諾したこととみなすとしています。しかし、労働契約法は公務員においては適用除外とされているため、自治体の会計年度任用職員への適用もありません。

 ぜひとも、和歌山県の会計年度任用職員の処遇を改善するためにも、この任用期間の見直し、これを考える必要があると思いますけれども、これに対する知事の見解を伺いたいと思います。

○副議長(岩田弘彦君) 知事。

  〔岸本周平君、登壇〕

○知事(岸本周平君) お答えいたします。

 会計年度任用職員の任用に当たりましては、客観的な能力の実証を行うことが必要であります。本県では、何より地方公務員法の平等取扱いの原則及び成績主義を踏まえ、公募による選考を行っております。

 また、再度の任用につきましては、国の非常勤職員の制度とのバランスや、それ以前の本県における事務補助職員制度の運用の実態を考慮いたしまして、従前の勤務実績に基づく能力実証により、連続2回までは公募によらない再度の任用を行うことができるようにしております。

 公募に当たりましては、年齢や任用回数による制限は設けておりません。任用満了予定の職員が改めて採用試験を受験することは可能であります。

 そういうことで、任用期間の見直しということの御質問でありましたけれども、今後とも国の非常勤職員や他の都道府県の会計年度任用職員の制度を参考にしながら、適正な運用に努めてまいりたいと存じます。

○副議長(岩田弘彦君) 高田由一君。

  〔高田由一君、登壇〕

○高田由一君 御答弁をいただきましたが、私、質問の中でも、国の示しているマニュアルが非常に地方自治体まで制限をかけてしまっているし、国の非常勤職員の運用もそうなっているということで、問題点を指摘しました。

 やはりそこが問題だとすれば、やはりこれは知事の立場で国のほうへ働きかけをしてもらうと、ぜひこれは現場で長く、それこそ10年、20年、働いてきた方がいきなり、それまで何も問題なく勤務をされてきた方が雇い止めになるというようなことになってるわけですから、国のほうへこの制度そのものの見直しを働きかけていただくということはできないもんでしょうか。答弁をお願いしたいと思います。

○副議長(岩田弘彦君) 知事。

  〔岸本周平君、登壇〕

○知事(岸本周平君) 私が公務員になりましたのは昭和55年、かなり昔のことでありますけれども、当時は国におきましても会計年度任用職員というような制度はございませんでしたし、いわゆる非常勤という形で働く方の職員の数は非常に少のうございました。いわゆるアルバイトという形で、そういう形で働く方はおられましたけど、それこそ補助的なお仕事をしていただくようなことでありまして、その後、財政状況の悪化により、なかなか公務員の定員を増やすことができない一方で業務量がどんどんどんどん増えていくと、あるいはさらに行政改革で逆に定員を減らしていくという大きな流れの中で、恐らく現場の知恵で、やむを得ずそういう非常勤で働く働き方を増やさざるを得ないというようなことがあったのかと思いますし、また財政を預かってきた立場から言いますと、職員の給料は人件費であります。なかなかそのアルバイトとかそういうものは、いわゆる予算上の職員の給与とカウントされないというようなこともあって、そういういろんなことが重なって現状のようなことになっているかと存じますが、私自身、政治家として今私たちが直面しているような働き方を公務員の皆さんにしていただくことが本当に正しいのかということは、私は国家公務員のときから自問自答してきた人間であります。

 今、にわかに県知事の立場としてどうこうするということは申し上げられませんけれども、今、高田議員がおっしゃられた問題点につきましては共有をさせていただいて、いろいろと研究をしてまいりたいと思います。ありがとうございました。

○副議長(岩田弘彦君) 高田由一君。

  〔高田由一君、登壇〕

○高田由一君 先ほども申し上げましたが、民間労働者はもう5年たって継続して雇用があって、次も雇ってねといった場合、期間の定めのない雇用にできますよと、これ、一つの運動があって実現をできました。民間労働者がそうやってできるのが、なぜ公務の職場でできないのか。大変不思議な思いですから、知事にも今後の働きかけをよろしくお願いしたいと思います。

 それで、要望なんですが、私は、県で対応できることの一つとして、会計年度任用職員の賃金をもう少し上げていくべきではないかということを思います。これは既に昨年12月県議会の総務委員会でも質問をさせていただきましたが、県の会計年度任用職員は、一般事務に関する業務というくくりですと、3年間勤めたときの額で月額15万4900円となっています。県では、このほかに相当高度の知識及び経験等を有する一般事務に関する業務という区分もあって、そこの月額の上限は18万8700円となっています。

 私は、和歌山市役所で働く会計年度任用職員の方の賃金も調べました。和歌山市では事務員というくくりで月額18万5200円となっています。県でいう相当高度の知識及び経験等を要する一般事務に関する業務と和歌山市の事務員がほぼ同じ賃金の水準になっていると見受けられます。

 各自治体で制度設計が違いますから一概には言えませんけれども、決して県の会計年度任用職員さんの報酬が高いものではないと思いますので、今後調査の上、改善されることを要望して、私の一般質問を終わらせていただきます。御協力ありがとうございました。(拍手)

○副議長(岩田弘彦君) 以上で、高田由一君の質問が終了いたしました。

 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。

 明日も定刻より会議を開きます。

 本日は、これをもって散会いたします。

  午後2時25分散会       

このページの先頭へ