令和5年2月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)


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令和5年2月 和歌山県議会定例会会議録 第5号

議事日程 第5号

 令和5年2月22日(水曜日)

 午前10時開議

 第1 議案第1号から議案第17号まで、議案第34号から議案第40号まで、議案第43号から議案第46号まで、議案第48号から議案第57号

     まで及び議案第59号から議案第75号まで(質疑)

 第2 一般質問

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会議に付した事件

 第1 議案第1号から議案第17号まで、議案第34号から議案第40号まで、議案第43号から議案第46号まで、議案第48号から議案第57号

     まで及び議案第59号から議案第75号まで(質疑)

 第2 一般質問

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出席議員(41人)

 1番 鈴木德久

 2番 山家敏宏

 3番 中本浩精

 4番 堀 龍雄

 5番 藤山将材

 7番 井出益弘

 8番 宇治田栄蔵

 9番 北山慎一

 10番 玄素彰人

 11番 中西峰雄

 12番 秋月史成

 13番 森 礼子

 14番 濱口太史

 15番 尾崎要二

 16番 冨安民浩

 17番 川畑哲哉

 18番 玉木久登

 19番 鈴木太雄

 20番 岩田弘彦

 21番 吉井和視

 22番 谷 洋一

 23番 佐藤武治

 24番 岩井弘次

 25番 中 拓哉

 26番 多田純一

 27番 新島 雄

 28番 山下直也

 29番 中西 徹

 30番 谷口和樹

 31番 藤本眞利子

 32番 浦口高典

 33番 山田正彦

 34番 坂本 登

 35番 林 隆一

 36番 楠本文郎

 37番 高田由一

 38番 杉山俊雄

 39番 片桐章浩

 40番 奥村規子

 41番 尾﨑太郎

 42番 長坂隆司

欠席議員(なし)

〔備考〕

 6番 欠員

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説明のため出席した者

 知事         岸本周平

 副知事        下 宏

 理事         田嶋久嗣

 知事室長       赤坂武彦

 危機管理監      福田充宏

 総務部長       吉村 顕

 企画部長       長尾尚佳

 環境生活部長     生駒 享

 福祉保健部長     志場紀之

 商工観光労働部長   寺本雅哉

 農林水産部長     山本佳之

 県土整備部長     福本仁志

 会計管理者      中家秀起

 教育長        宮﨑 泉

 公安委員会委員    細江美則

 警察本部長      山﨑洋平

 人事委員会委員長   平田健正

 代表監査委員     森田康友

 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫

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職務のため出席した事務局職員

 事務局長       出津野孝昭

 次長(秘書広報室長事務取扱)

            浜野幸男

 議事課長       長田和直

 議事課副課長     岩井紀生

 議事課課長補佐兼議事班長

            村嶋陽一

 議事課主任      伊賀顕正

 議事課主任      菅野清久

 議事課副主査     林 貞男

 総務課長       葛城泰洋

 政策調査課長     神川充夫

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  午前10時0分開議

○議長(尾崎要二君) これより本日の会議を開きます。

 日程第1、議案第1号から議案第17号まで、議案第34号から議案第40号まで、議案第43号から議案第46号まで、議案第48号から議案第57号まで及び議案第59号から議案第75号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行います。併せて日程第2、一般質問を行います。

 18番玉木久登君。

  〔玉木久登君、登壇〕(拍手)

○玉木久登君 おはようございます。今議会最後の一般質問をさしていただけることになりました。先輩・同僚議員の皆様に感謝を申し上げたいと思います。

 本日は2月22日ということで、今日は何の日かなと調べてみました。今日は竹島の日でございます。先般も北方領土返還の県民会議が開かれました。竹島も日本固有の領土であります。この忘れてはならない日、皆様にも再度確認をしていただきたいなと思います。どうかよろしくお願いいたします。

 それでは、議長のお許しをいただきましたので、早速、一般質問に入ってまいりたいと思います。

 1項目めです。ENEOS和歌山製油所の新事業と企業誘致に向けた取組についてお聞きしたいと思います。

 世界的な潮流であるカーボンニュートラルの達成を実現するためには、CO2排出を抑えたバイオ燃料、水素、合成燃料など、脱炭素燃料の製造、技術の開発と社会実装に向けた取組が重要であると認識をしております。

 航空燃料においても、欧州を中心に、その流れが急速に広まりつつあります。航空業界の国際機関である国際民間航空機関・ICAOは、直近の総会において、国際航空輸送分野における2024年以降のCO2の排出量を2019年の排出量の85%未満に抑えるという厳しい目標を採択いたしました。そのことにより、各航空会社は目標を達成するため、CO2排出量を80%削減できる持続可能な航空燃料・SAF──Sustainable Aviation Fuelの導入が不可欠であるとされています。

 脱炭素社会の実現に向け、国もグリーンイノベーション基金事業を創設し、CO2等を用いた燃料製造技術開発を支援、脱炭素社会の実現に向けた多様な選択肢の一つとして合成燃料、持続可能な航空燃料・SAF等の社会実装に向けた取組を行うこととしています。

 そのような中、今回、HEFA技術による廃食油を原料とする航空燃料・SAFの事業化調査拠点として、ENEOS社内において和歌山製油所が選ばれたことは大変喜ばしいことであります。今後は、トタルエナジーズとの合弁会社を設立し、日本におけるSAFの持続可能な量産体制を2026年までに構築することを目指すとのことであります。

 今後の展開として、和歌山製油所が安定した事業の拡大拠点となることと、残る跡地活用として新たな企業誘致に、市民はもとより県民の期待も高まっています。現状と今後の考えについて知事にお伺いいたします。

○議長(尾崎要二君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。

 知事岸本周平君。

  〔岸本周平君、登壇〕

○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。

 有田市と海南市は、玉木議員御指摘のとおり、ENEOSと共に歩んできた地域であります。機能停止は、経済面でも雇用面でも地元に甚大な影響を及ぼすもので、大変な課題であると私も認識をしております。ENEOSが地元との協議も踏まえ、昨年末にSAF事業の実施に向けた発表をしていただいたことは、その意味では大変ありがたいと承知しております。

 新事業のSAFは、航空分野で、これは日本だけではなくて、世界的に確実な需要拡大が見込まれます将来性の高い事業であります。和歌山製油所で事業化が実現すれば、2026年までに量産体制が構築されると聞いており、地域経済や雇用にも好影響を及ぼすことが大いに期待できます。これからのSAFの需要増大を見越して、ぜひ和歌山で製造を拡大していっていただきたいと考えております。

 発表のありました事業は、現時点で、国内最大級のSAF製造工場として非常に評価できる新事業であります。しかしながら、一方で、活用が見込まれますのは、現時点では広大な和歌山製油所の土地の一部であります。現状と比べ、雇用基盤も十分とは言えません。そのため、地元の経済や雇用を持続可能なものとし、今後さらに発展させていくためにも、ENEOSにはSAFの拡充とともに、SAF以外の新たな事業につきましても引き続き検討をお願いしている次第でございます。私も、この議会が終わりましたら、ENEOSの本社に直接お願いに行こうかと考えております。

 また、今後、同社が使用しないエリアがある程度確定してくれば、タンクの撤去、土壌調査など、早急に環境を整えていただき、これは企業誘致につなげていくべきだと考えております。県としても、有田市、海南市に協力を惜しまないつもりでございます。具体的には、今後ENEOSと協議を進めてまいりたいと存じますが、物流機能の強化などに取り組みまして、製油所跡地の企業用地としての魅力を情報発信してまいりたいと考えております。その意味では、先日、サンブリッジができました有田海南道路の一日も早い開通というのは大きな手がかりになると考えております。

 今後、ENEOSが世界を代表するエネルギー企業としてさらに飛躍されるための新たな挑戦をこの和歌山県で実現してもらえるよう、有田市や海南市、また国とも連携して、全力で応援してまいります。その中で、和歌山県が全国に先駆けてカーボンニュートラル実現に向けた地域の脱炭素事業転換のモデルとなることを目指してまいります。

○議長(尾崎要二君) 玉木久登君。

  〔玉木久登君、登壇〕

○玉木久登君 知事、ありがとうございます。明確なお答えをいただいたなと思っております。

 答弁の中にもありましたが、本当にこの量産体制の構築ということが非常に重要だと思っています。これをぜひ和歌山で拡大したい、これを拡大してほしい、このことをもう本当に期待をしております。

 現時点では、SAFという廃食油なんですけど、国内だけで賄えるだけの量が絶対的に足らないというお話もあります。そんな中で、やはり本丸というんですかね、これから事業を拡大していく中の一番大事なところはやっぱりCO2、これによる合成燃料、これの拠点となることをみんな期待していると思いますので、この点についてもよろしくお願いしたいと思います。

 一昨日ですが、有田市を代表する企業の方々と会合の席で一緒になりまして、今回のSAFについて、いろいろとやはり皆さん興味がある、期待も物すごくしているというのを伺いました。ちょうどいいタイミングで、NHKの「クローズアップ現代」でSAFの特集をされてたということもあって、いろんな話ができました。

 その席で、社長さんばかりですから、やっぱり自分らで何かできることはないんやろうかなという話にもなりました。この廃食油というのは、簡単に言えば天ぷら油ですよね。もちろん食品工場の社長さんもその中におられて、やっぱり廃食油って引き取ってもらってるんだという話も出ました。それじゃ家庭用の天ぷら油はどうなんだということになりまして、やっぱり来てくれ、来てくれだけではあかんので、有田市から廃食油を家庭からでも集めるシステムか何か構築できたらいいよなという話になりました。

 そんなことで、これは私の提案ですけども、和歌山県としても、そういう家庭用の油を集めるようなシステムってもし考えていただけたらうれしいなと思いますので、これはちょっと私からの提案ということでお願いしたいと思います。

 先ほど知事も述べられましたけど、日曜日に有田海南道路、有田市に架かる第1号橋・有田サンブリッジの開通式が行われました。皆様の御挨拶の中でも、命・防災の道であるのはもちろんですけども、やっぱり産業につながる大切な道だということで、今、知事のほうからもお話がありました。

 SAFの輸送はもちろんですけど、新事業の拡大、これに向かっても大きなメリットになると思います。国の直轄事業ですから、国会議員の先生にもお願いせないかんところはありますけど、県としてこれの直轄事業の負担金、これを惜しみなくこの道に御負担いただきたいと思っております。どうかよろしくお願いします。

 ここで、ちょっと企業誘致のことについて、知事にもう一回再質問したいなと思います。

 もしENEOS以外の企業がこの土地を利用したいということで申出があった場合、企業のニーズによっては、この道はもちろんなんですけど、海の道、海路、ここにつながる湾岸の整備、このことについても非常に重要であると私は認識しているんですけども、知事のお考え、お聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いします。

○議長(尾崎要二君) 知事。

  〔岸本周平君、登壇〕

○知事(岸本周平君) 再質問ありがとうございます。

 玉木議員御指摘のとおりでして、まず、企業誘致には県としても全力を尽くしてまいりたいと思いますし、また一方、先ほどの経営者の皆さんとの御懇談のお話のとおりで、地元でどれだけの御協力ができるか、どれだけ自分たちも受入れのために汗をかきますよという発信も必要だと思っております。そういう意味では、投資をしたい、あるいはしようとする企業が魅力を感じていただけるような、そのようなことが重要であるという意味では、全く玉木議員の御指摘のとおりだと存じます。

 その上で、先ほど、私も有田海南道路の産業への面からの言及をいたしましたけれども、まさにこれは命の道であり、産業の道でありますので、国の直轄事業として、県選出の国会議員の先生方と力を合わせて強い陳情活動を行いたいと思いますし、また、その意味では、厳しい財政の下とはいえ、しっかりと負担金の準備をやりくりさせていただきたいと存じます。

 一方で、いい港なんですね。とてもいい港ですので、海路などの物流施設の整備についても、これは、投資する企業にとっては大きな魅力になると存じます。したがいまして、ある程度誘致活動の結果、企業側のニーズが見えてくれば、海路、海運の物流についてもしっかり県として検討を進め、具体的な企業誘致に続けてまいりたいと考えております。

○議長(尾崎要二君) 玉木久登君。

  〔玉木久登君、登壇〕

○玉木久登君 ありがとうございます。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 2項目めに移りたいと思います。コロナ禍における県民の心のケアについて質問をいたします。

 まず、小項目1、和歌山県の自殺の現状と対策についてお聞きいたします。

 令和2年1月16日、国内初の感染者が確認されてから今日まで、新型コロナウイルス感染症の影響により、生活習慣はさま変わりを見せております。感染症対策は重要ではあるものの、人と人とのつながりを希薄にし、この3年間、新たな出会いはもちろん、旧知の関係をも遠ざけているのが現状ではないでしょうか。

 その状況下で問題となる一つとして、孤独によるメンタルの低下や社会とのつながりの断絶などが挙げられるのではないかと考えます。そのことにより、年齢を問わず、周りへの相談の機会や憩いの場がなくなることにより、自ら命を絶つケースが増えてはいないかと危惧しています。

 令和2年6月定例会において、和歌山県における総合的な自殺対策の推進について質問をいたしました。コロナ禍の長期化による影響など、本県の自殺の現状について、全国と比べ、どのような状況であるのか。とりわけ10代の状況も気になるところです。これまでの対策も含め、福祉保健部長にお伺いいたします。

○議長(尾崎要二君) 福祉保健部長志場紀之君。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 新型コロナウイルス感染拡大下における自殺の現状につきましては、令和4年版「自殺対策白書」において、コロナ禍以前の平成27年から令和元年までの5年間の平均自殺者数と感染が拡大した令和2年及び令和3年の自殺者数を比較したところ、全国では男性は両年ともに減少しましたが、女性は両年ともに増加しております。一方、本県におきましては、男女とも両年で減少しております。

 中でも、10代につきましては、全国では男女で両年とも増加しておりますが、本県におきましては男女とも両年でほぼ同数となっています。

 このように、国と県の傾向は異なりますが、現時点では、国においても新型コロナウイルス感染症の影響について確定的なことは分かっていないため、国が行う情報収集、分析など、今後とも、その動向を注視してまいります。

 また、本県の自殺対策につきましては、平成30年度以降、全国に先駆けSNSを活用した相談窓口の開設や24時間の電話相談など、相談体制の充実を図るとともに、令和元年度から3次救急医療機関の協力を得て実施しています自殺未遂者支援につきましては、令和2年度以降、2次救急医療機関の協力を得て、体制の拡大を進めているところです。

 引き続き、市町村やゲートキーパーの養成、自殺の多い地域での見守り支援に取り組む民間団体等と連携しながら、総合的な自殺対策の充実を図ってまいります。

○議長(尾崎要二君) 玉木久登君。

  〔玉木久登君、登壇〕

○玉木久登君 福祉保健部長から御答弁いただきました。やはり取組が功を奏している感も確かにあります。ただ、女性が増えてるというのも、やっぱりこれも現実だと思うので、やはりこれからも注視していただきたいなと思います。

 令和2年以降、2次救急のほうでも取組が行われているということでお聞きをいたしました。本当にメンタルの部分っていろんなことがあると思います。そういうところで、一つでも解決する手口を築いていってくれてることには感謝を申し上げたいと思います。今後ともよろしくお願いしたいと思います。

 続きまして、小項目2番目に移ります。学校における心のケアについてお聞きしたいと思います。

 令和2年12月定例会において、和歌山県の教育現場におけるメンタルヘルスに関する取組について、お伺いをいたしました。スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーによるメンタルケアを最大限に活用して取り組むということでありましたが、マンパワー不足の問題もあるということでありました。

 それを補う役割として、養護教員の重要性、そして、きのくにコミュニティスクール、学校運営協議会の今後として学校と地域が率直に相談できる体制づくりの重要性など、提言を行いました。コロナ禍の状況下で児童生徒の変化はどうか、感じることがありますでしょうか。

 この3年余りの間に、児童生徒の置かれる環境は、私たちには分からない部分で様々な問題が起きているように思います。楽しいはずの給食の時間の黙食や休み時間の過ごし方など、多感な時期には大きな影を落とす3年間であったかと思います。その子供たちの変化に気づいてやれるのが先生であり、養護教諭、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、地域課題に取り組むきのくにコミュニティスクール、学校運営協議会ではないかと考えています。この3年間の気づきや今後の取組など、教育長にお伺いをいたします。

○議長(尾崎要二君) 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) コロナ禍での学校における心のケアについてでございますが、一斉休校やマスク着用などの様々な制限があったコロナ禍での学校生活は、児童生徒へのストレス等、心身に様々な課題を生じさせたとも言われています。

 学校では、養護教諭をはじめ教職員が児童生徒の健康観察を徹底するとともに、相談しやすい環境づくりを行ってまいりました。また、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等の専門スタッフとも連携し、チーム学校として児童生徒の心のケアに努め、寄り添った対応をしてまいりました。

 県教育委員会においても、24時間対応の電話相談やSNSを活用した相談窓口も設置することにより、児童生徒に応じた相談ができる仕組みをつくってまいりました。さらに、特色のある取組として、コロナ禍で不安や悩みを抱える子供たちへの対応を学校運営協議会で協議し、きのくにコミュニティスクールの仕組みを使って地域ぐるみで声をかけたりすることで、不登校等の未然防止に成果を上げている学校や地域もあります。

 今後も、児童生徒が人との関わりに不安を抱くなど、心の課題に直面した場合、安心して相談し、適切な支援を受けることができるよう、学校、家庭、地域が連携し、児童生徒の支援体制をさらに充実させてまいります。

○議長(尾崎要二君) 玉木久登君。

  〔玉木久登君、登壇〕

○玉木久登君 教育長にお答えをいただきました。

 昨日のニュースで、高校生が卒業式、マスク着用についてアンケートを取ったというニュースが流れておりました。マスクでの着用、54%がマスクをつけて出席したいという報告だったんですけど、ちょっと正直驚きました。例えば、本当だったら3年間、この子たち、ずっとマスクをつけっ放しだったんですよね。そんな中で、卒業式ぐらいはマスクを外してみんなと顔を見てやりたいなと言ってるんだろうなと思ったところ、54%がマスクをして出たいと言ったという、何か悲しくなりました。それだけやっぱり心の中に思うことというのが、いろんなことがあるんだなと思って。

 だから、これからのアフターコロナに向かって、そういう子供たち、いろんな感情が芽生えている中で、しっかり先生、もちろん先生方にサポートもいただきたいですし、そういう悩みとかを聞き入れてもらえるスクールカウンセラー、ソーシャルワーカーの皆さん、そして、やっぱり地域として、これからの子供たちをどう守っていくか、子供のメンタルを守っていくかということを、ぜひとも学校運営協議会の中で協議できるようにお願いしたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。

 最後の項目に移ります。3番目、大学農学部の必要性についてお伺いをいたします。

 国の示す農林水産業の振興策に沿って、本県でも様々な施策が講じられています。従来からの農林水産業振興に加え、スマート農業による人的負担の軽減や、放棄地や遊休農地の集約・活用、紀州材のさらなる普及への利活用の提案や林道整備、また、令和5年度重点施策では、タチウオの漁獲量回復への調査など、今後の農林水産業振興も多岐にわたります。今、何が必要かを考え、予算活用に取り組んでいかなくてはならないと考えます。

 一方で、本県における農林水産業就業者数は年々減少し、高齢化が進んでいます。新規就農者の確保は急務であると同時に、優れた経営感覚や高い技術を持った担い手や地域の中核となる人材育成が必要であります。こうした中、国家構想において創設されたデジタル田園都市国家構想推進交付金では、デジタルを活用した地域の課題解決など、予算の運用が行われており、他県では、農業大学校における次世代デジタル農業教育推進事業など、農業教育の分野にも活用されたという事例があります。

 また、先般、令和4年度第2次補正予算において、国は、成長分野の人材を育成する理工農系の学部を増やすため、学部転換など、改革を目指す大学に支援する施策を打ち出しました。この取組では、継続的な支援を行うため約3000億円の基金の創設を行い、今後10年かけて理系への学部再編を促そうとしています。

 以前から、地域の中核となる人材育成の観点から、本県における農学部の必然性について提言を行ってまいりました。もちろん、本県においても、農業系高校と農林大学校との新たな5年一貫教育や高校マルシェなど、学びの場から新規就農者や担い手の育成にも取り組んでいることは承知をしていますが、人材育成に活用可能な支援策が打ち出されている今、取組を一歩進め、既存大学への学部再編や農学系大学の誘致などを行う大きなチャンスではないかと考えています。

 今後の農林水産業の振興を図る上で、農学部の必要性について、知事のお考えをお伺いします。

○議長(尾崎要二君) 知事。

  〔岸本周平君、登壇〕

○知事(岸本周平君) 大学農学部の必要性についての御質問、ありがとうございます。この点につきましては、私自身も全く玉木議員と同じ考え方を持っております。

 議員も述べられましたとおり、農林水産業において、今、就業者数の減少は深刻であります。したがいまして、担い手の確保・育成というのは、これは喫緊の課題だと考えております。

 それで、大学の農学部の機能というのは大きく分けて二つなんだろうと思いますけれども、一つはやはり農業就業者というか、担い手を育てていくという役目、これは、もう昔、そのためにつくられたわけであります。もう一つはバイオサイエンスをはじめとする研究分野の役割、恐らく農学部の現状の機能というのは、そういう研究の部分に重きが置かれているんだろうと思います。実際、農学部の卒業生も、農業に従事される方の割合はそんなに大きくないということであります。

 しかし、大学農学部のない県というのは、本当に、調べますと和歌山県を含めて四つしかないんですね。つまり、47都道府県のうち43はどこにも農学部はあるんですね。そういう意味では、私自身、選挙中も申し上げましたとおり、玉木議員と一緒に申し上げたとおりでありますけれども、今後、我が県の農林水産業を振興していく上では、農学部というのは絶対必要だと考えております。

 一方で、現在、私ども、研究機関をたくさん持っておりますのは皆さん方御承知のとおりでありますけれども、現在でもいろんな大学との共同研究は実施しておりますので、そういう土台は県側にもあります。そういう意味で、研究という分野で農学部系の大学が来ますれば、地域に密着した私どもの研究の成果も生かせるということで、農業振興には相当な効果があるんだろうと考えております。

 したがいまして、この農学部の設置ということでは、少子化の現状もありますけれど、近隣府県での大学の設置状況やその効果などに加えて、当然のことながらいろんなハードルがございます。厳しい壁もございますので、様々な角度から検討を行いつつ、私としては前向きに取り組んでいきたいと考えております。

 それから、農業就業者をともかく急いで育てていかなきゃいけない。このことにつきましても玉木議員御指摘のとおりでありまして、まさに御指摘いただきましたけれども、県内に四つの農業系の高校がございます。今、農林大学校と5年間一貫教育で結ぶわかやま農業教育一貫プロジェクトを始めたところであります。ここでは、生産から加工、販売まで行う6次産業化の学びなど、専門性、継続性の高いカリキュラムを構築して、経営感覚も備えた人材育成を進めております。こういうプロジェクトによりまして、農業に関して、より実践的で専門性の高い技術・知識を身につけた、地域を支える農業人材を育成してまいりたいと思います。

 今後とも、私どもの持ってます既存の農林大学校や研究機関の強化、充実を図りまして、予算や人員、体制などを総合的に検証しながら、教育カリキュラムを充実して、農業就業者育成の観点から、できる限りのことに取り組んでまいりたいと、そのように考えております。

○議長(尾崎要二君) 玉木久登君。

  〔玉木久登君、登壇〕

○玉木久登君 知事から、明確な御答弁をいただいたと思います。本当にありがとうございます。

 農学部って簡単には言いますけど、なかなか難しいこともあろうかと思います。これ、農林水産部だけで考えるのではなくて、やはり当然企画の分野もあろうかと思います。また理工系、和歌山県には工業技術センターもあります。様々な分野からこの農学部ということについて一歩前へ進めていこうというお話をいただいたんだと思います。そういうことでもありますので、議会側としても、これは勉強会でも行いながら、自分たちもやっぱり勉強を重ねていきたいと思いますし、私自身も、それを言った限りの責任感を持って、これからも行動してまいりたいと思っております。今後とも力を合わせて、この農学部実現に向けて頑張ってまいりたいと思いますので、知事を先頭によろしくお願いしたいと思います。

 以上で、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(尾崎要二君) 以上で、玉木久登君の質問が終了いたしました。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 40番奥村規子さん。

  〔奥村規子君、登壇〕(拍手)

○奥村規子君 議長のお許しを得ましたので、通告に従って質問をさせていただきます。

 大項目の1は、新型コロナ感染症対策について、2点についてお尋ねをいたします。

 1点目は、救急搬送の実態と県の対応についてお尋ねいたします。

 第8波の感染急拡大で、医療救急体制は逼迫しました。今年の初め、医労連の皆さんと懇談をさせていただいた際、ある医療機関の看護師さんは、圧倒的な人手不足で夜勤する人が少なくなり、1人の夜勤回数が協定で決められた回数を守れなくなっていると訴えていました。別の医療機関の方は、医師がコロナに感染し、救急外来を止め、院内の会議を全て中止しなければならなくなった、また、夜勤協定が守れない、これからどうなるのかと不安の声が大きく出されました。代休も消化できないくらい人手が足りない、現場は疲弊している、医療と介護の現場と行政の施策に乖離があるのではなどのお声が上がりました。

 第8波でのウイルス感染で亡くなられた方は、過去最悪の深刻な事態となりました。介護施設や在宅で亡くなられた方がいらっしゃるとお聞きしています。まだまだ警戒が必要なときに、岸田首相は、5月8日より5類への引下げを決めています。行動制限や入院勧告などができる法的根拠がなくなり、5類への移行の際は、医療の公費負担を段階的に見直す方針を明らかにしていますが、ワクチン接種や患者の入院・外来診療、検査などでの国民負担増が懸念されます。医療費の負担増によって受診控えが広がれば、患者さんの命と健康に関わるだけでなく、感染拡大を抑制する上でも大きなマイナスです。

 政府は、5類移行後、コロナ患者に対応する医療機関の制限をなくすので、受診できる医療機関が増えるという見通しを立てています。しかし、発熱外来の設置などをためらった医療機関の多くは、一般患者さんと動線が分けられない設備上の問題などがあったためだと思います。

 第8波では、クラスターの発生や救急搬送も増え、救急搬送困難事案も大幅に増えているように思います。救急搬送困難事案とは、医療機関への受入れ照会回数が4回以上かつ現場滞在が30分以上と定義されています。

 そこで、お尋ねします。

 県として、救急搬送の実態を把握されていますでしょうか。どんな対応を行ったのかお聞きいたします。福祉保健部長、お答えいただきたいと思います。

○議長(尾崎要二君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。

 福祉保健部長志場紀之君。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 救急搬送の実態把握につきましては、消防庁が1週間ごとに発表する新型コロナウイルス感染症に伴う救急搬送困難事案に係る状況調査を確認しつつ、医療機関からも情報収集を行い、状況把握に努めているところです。

 調査対象となっている和歌山市消防局の現状を申し上げますと、第8波が始まった令和4年10月10日の週から先週までの19週間で救急件数は8413件あり、そのうち、救急搬送困難事案は279件でございます。

 また、救急搬送困難事案のうち、新型コロナウイルス感染症疑いで救急搬送困難となった事案は91件であり、前年の同時期と比べますと約2.8倍となっております。これは、感染の爆発により市中に感染者が増加し、症状を心配した比較的軽症の方が救急要請をするケースも増える中、新型コロナウイルス感染症疑い患者を受け入れる医療機関が限られていたため、搬送に時間がかかっているものと認識しております。

 こうしたことから、県では、継続して救急車の適正利用を県民に啓発していくとともに、年末年始及びその後の休日に、診療・検査医療機関に対し臨時の診療を依頼し、受診体制を強化したり、救急を受診した後で一時的に経過観察を行う観察・処置ステーションを開設し、新たな救急患者を受け入れるベッドを確保するなど、救急搬送困難事案が少なくなるよう取り組んでいるところです。

○議長(尾崎要二君) 奥村規子さん。

  〔奥村規子君、登壇〕

○奥村規子君 福祉保健部長のほうから、救急搬送の実態と県の対応についてということで答弁をしていただきました。

 非常に救急件数が多かったというようなことで、同時期と比べても2.8倍にも増えているというようなことが御答弁で分かったんですけども、こういうところで、まず、私としては、この救急搬送困難事案というのが少なくなるように取り組んでいくということが非常に大事だなあと思うんです。

 そういうことから、救急の現場というのは、消防局の、和歌山市であれば消防署のほうも大変だなあというふうに思ってます。県外のほうでは、搬送中に睡魔に襲われてというようなことも報告されてたので、本当に皆さん、現場のほうで頑張ってくださってる皆さんに事故など起こらないようにと、でも、客観的に、やはり限度もあると思うんです。そこのところで今回のこの数字をお聞きしたのは、やっぱりこういう体験とか経験をしたという中で、今後、どう生かしていくかというところが非常に大事じゃないかなというふうに思ってます。

 まず、皆さんにも、軽症とか、救急車を呼ぶときには十分そういった状況も含めてという啓蒙や啓発をされてるんですけども、やはりそこは幅があると思うんです、御本人の御心配とか。そういったところの中で、本当に救急車を利用しなくていいような状況をつくるということは、まず、やっぱり感染爆発を起こさないということが本当に大事なことだなと思ってますので、そういう点でよろしくお願いしたいなと思います。

 この困難事案というのは、先ほども定義ということでちょっと言わしてもらったんですけども、特に、私としては、必要な医療を適切に確実に提供できるということが非常に大事やと思うんですけども、そういう場合、特に高齢者などの重症化リスクの高い発熱患者さんが、早期に確実に受診できる体制づくりをぜひやっていかなければいけないことじゃないかなというふうに思ってます。

 それと、やはり高齢者の有症状患者さんの入院などを積極的に進めることによって、クラスターが多く発生している高齢者施設の感染予防対策の強化につながっていくということで、これはクラスターが多く発生している高齢者施設ということで、病院に入院までは至らないけれども、介護施設ではなかなか、ちょっと認知症があったりとか、また、いろいろと食事の進まないとか、そういった、ちょっとした医療の点滴をしなければいけないとか、そういった状況を、健康観察をやっぱりきちんとできるような高齢者の特に施設とか高齢者用の療養所というようなことも、中間的な位置づけでやはり必要じゃないかなというふうに思っていますので、そういったことを含めて医師、何といっても医師、看護師の体制を、強化をぜひして処遇改善を進めていってほしいと思いますので、そんな点でぜひ、私としては、やっぱり大軍拡を直ちにやめて、感染症対応に医療機関が全力を挙げる、そういった環境をぜひつくってもらいたいなと、これは要望をさせていただきます。

 議長、2点目。

 次に、2点目は、介護施設等への支援策についてお尋ねします。

 介護現場では、施設で入所者が発熱しても入院できないという状況が起こりました。そこにとどまり、その施設で療養せざるを得ない状況が生まれました。その上に、介護現場でのクラスター発生が多発して、現場は感染拡大の防止に神経をとがらせる毎日です。

 また、職員が感染することにより、たちまち人手不足となり、医療現場と同じように長時間労働になっています。介護サービスの提供体制が非常に困難に陥ることにもなっています。

 第8波において、コロナに感染し、療養中に緊急入院した事例や、施設や在宅で亡くなった高齢者が増加しています。クラスターが発生した施設等への支援、また、クラスターを発生させないための取組について、再度、福祉保健部長、御答弁よろしくお願いします。

○議長(尾崎要二君) 福祉保健部長。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 答弁の前に、まず、先ほどの答弁の中で、救急搬送困難事案につきまして、私、279件と申し上げたんですが、正しくは272件ということですので、訂正させていただきます。申し訳ございませんでした。

 それでは、答弁させていただきます。

 高齢者は重症化するリスクが高いため、原則として優先的に入院することとしているところでございますが、感染拡大により病床が逼迫した状況におきましては、症状、基礎疾患、独居等の社会的環境等を考慮し、入院の必要性を総合的に判断した上で、やむを得ず在宅や施設内での療養をお願いしているところでございます。

 感染者の療養を行う施設からは、施設に感染管理に精通した人材がいないこと、感染拡大への不安、感染者への対応に伴う人員不足等の声を聞いており、介護現場では大変な苦労をされていることは十分承知しております。

 県では、高齢者施設を往診して治療を行う医師や訪問看護を行う看護師等に対して協力金を支払い、早期治療を行う体制を整備するとともに、施設内療養に要する費用や、感染者への対応に伴う職員の割増し賃金や手当、衛生用品の購入費用等につきまして支援を行っております。

 また、高齢者施設等に対しては、各保健所において、施設職員に対する感染管理の研修を実施するとともに、抗原検査キットを配布し、職員等が頻回に検査することで施設へのウイルスの持込みによるクラスターの発生防止を図っています。

 加えて、施設で一人でも感染者が発生した場合は、保健所へ報告することでクラスターの発生を防止するとともに、クラスターが発生した施設に対しましては、必要に応じ保健所が医師や看護師等の感染管理の専門家を派遣し、施設内のゾーニングや感染対策の指導を行い、さらなる感染防止を図っているところでございます。

 県では、高齢者施設におけるクラスター対策は最重要課題であると考えており、5類への移行に際しましては、現場の声も十分に聞きながら、引き続き、様々な施策により高齢者施設への支援を図ってまいります。

○議長(尾崎要二君) 奥村規子さん。

  〔奥村規子君、登壇〕

○奥村規子君 いろいろと施策をしていただいてるということでございますが、やっぱり一番クラスターが発生したときには専門的なアドバイスというのが非常に心強いと思うんですが、なかなかそういった体制が、2~3日たってから来ていただいたとか、そういった状況なんかもあるようにお聞きするので、そういったところも含めて、これからぜひとも感染管理のほうに力をしっかりと入れていただきたいなというふうに思います。

 1点だけ、さっきちょっとお話をした、高齢者は重症化するリスクが高いため、原則として優先的に入院ということで、大変心強いお話なんですけど、ただ、病床が逼迫するというような事態が起こったので、皆さん介護施設とか、そこで療養するということになったので、そのことというのは、やはり基本的には健康観察とかということになれば、介護士さんというよりも往診の先生とか看護師がやはり健康観察、いろいろな状態がよくなっていってるのか、それとも悪くなっていってるのか、そこら辺の見極めとかというのが、非常に専門性が問われてくると思うんです。そういったところを介護職の方が担っていかないといけないというのは物すごくストレスというのか、介護職の人の本来の、日常のお世話をしながら日常の生活の質を上げていくという、そういうお仕事が主な状況の中で、本当に、これ、大変だなあと思ってるんです。

 そういった中で、やっぱりその責任と重圧に耐えられなくて離職とか、ちょっと職場を離れざるを得ないということになるので、ここのところをぜひとも、どんなふうに、これから和歌山県というのは、お独り暮らしとかお二人暮らしの方が全国からでも非常に高いところにある県ですので、知事がよく県民が笑顔になって幸せ感を感じるようなというようなところについては、やっぱり高齢者の人が安心してというところがこういったときに非常に浮き上がってくる問題だなあと思ってるんです。ぜひともそういった面で、今、ベッド数のこととか、今後もっと考えていかれることだと思うんですけど、高齢者に特化した療養施設とか、そんなときに臨時の医療機関の開設とか、そういったことも含めて、ぜひ積極的に考えていっていただきたいなというふうに思いますので、よろしくお願いします。

 議長、次。

 次、大項目の2番目ですが、コロナ禍と物価高騰対策についてです。

 コロナ禍に加えて、ロシアのウクライナ侵略に伴う物価高、原油・原材料の高騰と急激な円安が小規模事業者の経営にさらなる困難を与えています。ここで小規模事業者に十分な支援を行われなければ、ギブアップ廃業、倒産をもたらしかねません。これでは雇用の維持ができないばかりか、地域経済の底が抜けてしまいます。

 これまで、県議団としてコロナの影響を受けている小規模事業者の皆さんへの直接支援、固定費補助などを求めてきました。今、物価高騰で経費そのものが上がる中、あらゆる事業者が影響を受けています。

 和歌山財務事務所の報告によると、県内の経済情勢は、全体として「緩やかに持ち直している」との判断であり、先行きについても、リスク要因はあるものの、ウィズコロナの下で持ち直していくことが期待されるとしています。しかしながら、この判断は、私の周りから聞こえる声とは全くかけ離れています。

 そのような中で、今年の10月から導入予定のインボイス制度は、消費税の納税を免税されている事業者が新たに課税事業者にならざるを得ないということにもつながりかねず、小規模事業者にとって深刻な負担増となってしまいます。

 加えて、小規模事業者を含めた低所得者にとって、物価高の中、消費税10%の負担も重くのしかかっています。消費税は、事業者が仕入れのときと物・サービスを販売したときの差額を税務署に納めます。今は帳簿で行っています。この控除の計算をインボイスで行うことが義務づけられます。インボイスは、課税事業者しか発行できません。

 最大の問題は、消費税の納入を現在免除されている年間売上高1000万円以下の事業者に課税事業者になることを迫るものです。課税事業者の仕入れ先に免税事業者がいると、インボイスをもらえません。インボイスがないと、仕入れにかかった消費税を控除せずに納税しなければなりません。それを避けるために免税事業者が取引から排除され、倒産、廃業に追い込まれるおそれがあります。

 経済情勢の持ち直しが実感できない現状において、インボイス制度の導入中止と消費税の引下げを国に求めるべきと思いますが、これは知事にお尋ねしたいと思いますので、よろしくお願いします。

○議長(尾崎要二君) 知事岸本周平君。

  〔岸本周平君、登壇〕

○知事(岸本周平君) 奥村議員の御質問にお答えしたいと思いますけれども、今、この議場で奥村議員に質問をしていただくときに、よく私が国会議員の頃、南海電鉄和歌山市駅の前で街頭演説をさせていただきましたときに、奥村議員が少し離れたところで一緒に演説をさせていただきました。何度かありました。演説の内容は真逆のことも多かったと思いますけれども、私としては、奥村議員の真摯な政治活動に対して本当に一目、二目も置かせていただいておりましたので、この場で、今日、答弁をさせていただくことは感慨無量でございます。

 その上でお答えをしたいと存じますけれども、インボイス制度といいますのは、消費税が複数税率になってしまっておりますので、どうしても適正な課税を確保するために必要なものだというふうに承知しております。

 政府におきましては、免税事業者からの仕入れにつきまして、取引に与える影響、今、奥村議員が御指摘されたような影響があることは明らかでありますので、一定の仕入税額控除を制度導入後6年間、経過措置的なものを認め、補助金による支援ということも考えておられるようであります。

 加えて、令和5年度税制改正におきましては、免税事業者がインボイス発行事業者になった場合の激変緩和措置として、3年間、納税額を売上税額の2割に軽減するなどの対策も講じられると聞いております。

 政府は、消費税を、全世代型社会保障改革を進めていく上においてはどうしても必要な税だと位置づけております。コロナ禍や物価高の状況でも現状の税率は維持しつつ、その一方で、その副作用を減らすための様々な経済対策を講じていると承知しております。

 一方で、私自身も、国会議員のときに財務金融委員会等で質疑をさせていただいたときに、奥村議員と同じ問題意識を持たせていただいておりました。と申しますのは、これは、議場におられる議員の各位もそれぞれ草の根で支援者の皆さんの声を聞いておられるので、十二分に御理解をいただいてると思いますけれども、例えば、一人親方というような形で働く方がおられます、内装業者さんとか。そういう方々は大体売上げ1000万以下の方が多くて、そうしますと、その方々は、これまでインボイス発行をできない立場でした。一人で御商売なさってる方、フリーランスの方もそうです。この方々が新たにインボイスを発行するということは大変なことでありますので、御年齢が高くなってるような方におかれては、配慮をということもお考えになることがあるというふうに聞いております。

 もう本当に制度上の立てつけとして、私も税の専門家としてやむを得ないことと今申し上げたとおり理解はしているんですけれども、そういうことの結果、これまで仕事をされてきた一人親方、フリーランスの方々が不利になるようなこともあり得るということも事実であります。したがいまして、県としては、消費税は我が国の経済、さらには国民生活に大きな影響を及ぼす重要な税目ですので、これは税率等の決定、制度の決定においては国政の場で様々な議論が行われ、判断、対応されるべきであり、そのようになってると考えております。

 引き続き、国での議論は注視していきますけれども、先ほど申し上げましたように、現場を知る人間の一人として、県内の中小企業、零細企業の皆様に対して、制度の円滑な導入に向けて、もちろん周知広報などに取り組むことに加えて、さらに県として零細な中小零細の事業者の皆様に応援をするというようなことで、何ができるのか、しっかりと考えてまいりたいと思っております。

○議長(尾崎要二君) 奥村規子さん。

  〔奥村規子君、登壇〕

○奥村規子君 ちょうど2022年12月の──昨日の新聞だったか──消費者物価指数が生活必需品ほど値上げ幅が大きく、暮らしを直撃しているというような記事がありました。41年ぶりの上昇率だということで、特に都市ガスが33%、電気代が21%、食用油が33%と、こういった状況の中で、私の知り合いの──もう戦後からずうっと親の代から引き継いでかつおぶし屋さんをやってらっしゃる方──その方は、カツオも最近は取れないんやと、三陸沖のほうのカツオがちょうどなかなか取れないとか、宮城でしたかね、そういうような話もあって、とっても元気がありません。市場にも出したりとかしてるんですけど、真面目にこうやって働いてしてる人が、中小業者の人たちへの直接支援をいろいろと、先ほど知事がどんなことができるのか考えていかなあかんというような話をしていただいた中で、やっぱり中小業者さんへの直接支援なんかを、声もぜひ聞いていただいて、考えていただきたいなというふうに思っています。

 先ほども申し上げました、地域で中小企業の皆さんが元気になってこそ地域が元気に、やっぱり活気があるまちになっていくと思います。そういった点で、大企業がよくなれば地域経済がよくなるという大企業中心の経済政策、これを根本的に改めて、中小企業を──大企業は悪いとは言うてないんですよ。言うてないんですけど──地域経済の主役に位置づけて、ふさわしい政策をぜひ考える機会をいただけたら、私も一生懸命考えたいと思います。よろしくお願いします。

 そしたら、次に行かせていただきます。

 大項目の三つ目です。和歌山市園部低圧発電所計画についてお尋ねいたします。

 手続の状況と、住民の皆さんが大変不安に感じてるこの計画なので、そういったことへの対応についてお尋ねしたいと思います。

 この計画地には、中央構造線活断層帯が和泉山脈の南麓を通っています。日本列島において、最も活動的な活断層帯の一つです。あまり活断層帯を描くといろいろと余計に不安になられる方もあるので、ちょっと差し控えたんでございますが、これが近い将来、巨大な直下型地震を起こす確率が高いとされています。中央構造線活断層帯の活動によって巨大地震が繰り返し発生し、中央構造線北側の隆起が続き、和泉山脈が形成されてきました。このため、和歌山側には急斜面が発達して、地震動による地盤の緩みが進行している山地と聞いています。

 また、鳴滝川は、土砂災害が多発する山地流域を持ちます。樹林の伐採や造成など、開発を極力避けることが防災上必要だということで、専門家の方からの意見もお聞きしました。

 大雨による影響など、不安は尽きません。そこで、手続の状況や不安への対応について、県としてのお考えをお聞きしたいと思います。

 皆様のお手元に、こういう航空写真と、それに併せたブルーのところは、この事業の事業計画の土地を示してるんですけども、その赤いところが土砂災害危険箇所ということで、これは、航空写真と土砂災害の県の資料と併せて発生するリスクが高いということを見ていただこうと思って、参考にこれを作ってます。

 その次の2ページ目のところは、こういう赤いちょっと丸のような、何か風船のようなものがあるんで、これは、地滑りの状況がこういうことで印をさせていただいてます。ここのところに採石場跡というのがあって、今回、これが計画をされるということで、事前協議というのが完了したということでお聞きしてるので、大変そういったことで心配をしているところです。

 ここの2枚目のところは、それを詳しく、今度の計画の谷を埋めた盛土になってたりとか、急斜面がここにありますよとか、そういったことで描かしていただきました。これは、和歌山市作成の2500分の1の地形図を基に、航空写真と併せて作ったものです。

 3枚目が土砂災害マップを基にして、こういうふうに、鳴滝川のところに丸、丸とあるのが、非常にここでいろんな集中豪雨があったりとかすると、ダムができてしまったり、パネルがせき止めたり、そういったことになる可能性があるというようなことで示させていただいてます。また、ちょっと見にくいですけども、参考に、よろしくお願いします。

 この事業者さんは、低圧発電施設ということで50キロワット未満を40区画造って、そういった太陽光発電というようなことになってるので、これは、県も1個ずつやるんじゃなくて、全体としてやっぱり太陽光条例に基づいてやっていきますと言うてくれてるので、その点は安心してるんですけども、こういういろんな太陽光の発電計画で非常に住民の方が心配してますので、ぜひ今の状況と教えていただきたいなと思います。環境生活部長、よろしくお願いします。

○議長(尾崎要二君) 環境生活部長生駒 享君。

  〔生駒 享君、登壇〕

○環境生活部長(生駒 享君) 和歌山市園部低圧発電所につきましては、和歌山県太陽光発電事業の実施に関する条例に基づき、令和4年6月14日に事前協議の申出があり、同年12月6日にその手続が終了したところです。

 今後、本申請がなされた場合には、県が申請書の縦覧及び住民意見の募集を行い、寄せられました住民意見を踏まえ、災害防止及び環境保全の観点から厳正に審査してまいります。

○議長(尾崎要二君) 奥村規子さん。

  〔奥村規子君、登壇〕

○奥村規子君 厳正に審査していただくということでおっしゃっていただいたので、よろしくお願いしたいんですけど、この業者さんは、今回は質問してないんですけども、防災、砂防地のところを、県に許可申請が要ることなんですけども、地域の人がやっぱり、もう伐採を勝手にしてるということで、今、指導を多分受けてると思うんですけども、そういうようなこととか、せんだっては住民の皆さんに説明会というのを開かれたんですが、そこへ参加した方の御意見とかということでいけば、活断層があるというようなこととか、そういったこともちょっと御存じなかったような感じで、非常に余計に不安を感じてる状況があるので、ぜひともしっかりと審議、太陽光条例に則してやっていただきたいなということで、お願いをしておきます。

 あと、すみません、4点目、お願いします。(原稿を探す)ちょっとすみませんね。

○議長(尾崎要二君) 奥村規子さん。

○奥村規子君 ありがとうございます、皆さん。

 最後の四つ目です。4項目め、「旧統一教会」問題についてお尋ねいたします。

 私どもの党は、旧統一協会、ここの大項目のところは「旧統一教会」ということで書いてるんですけども、世界平和統一家庭連合ということでの名前が変わられました。その表記を「統一協会」と、私たちは統一と協会の「協」というのは協力の「協」を、私たちはそういうふうにしています。

 統一協会は、2015年に世界基督教統一神霊協会から現在の名称に変更をしました。しかし、霊感商法や集団結婚などで社会的批判を浴びてきたカルト集団であることに変わりなく、政府が名称変更を認めたこと自体が不当だと考えていますので、一言申し上げておきたいと思います。

 これは、安倍元首相の銃撃事件をきっかけに、旧統一教会の関連団体が開催するイベントなどに国会議員や地方議員が参加したり、地方自治体が後援名義を与えることが問題となりました。今なお、高額献金などの被害に苦しんでいる方々がいらっしゃるとお聞きします。ある和歌山でも6000万円もの献金をされて、いろいろと大変な状況になってるというお話もお聞きします。

 そのような旧統一教会は、単なる宗教団体ではなく、霊感商法や高額献金強要を繰り返してきた反社会的カルト集団ではないかと考えます。そのような関連団体の活動に地方自治体が参加、関与することは、同会の活動のお墨つきを与え、被害を拡大することにつながるのではないでしょうか。

 和歌山県では、過去10年間の後援名義の調査を実施し、旧統一教会やその関連団体に対して承認した実績がないと答弁をしていただいています。今後、どのように対応されるのか、政治への信頼とかそういったことも、県民の皆さんが非常にそういった面での危惧をしているということもありますので、知事にお尋ねしておきたいと思います。

○議長(尾崎要二君) 知事岸本周平君。

  〔岸本周平君、登壇〕

○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。

 今、奥村議員から御指摘いただきましたとおり、和歌山県では、過去10年間の後援名義の調査を実施いたしました。その結果として、旧統一教会及びその関連団体に対して承認した実績がないということが明らかになっておりますので、その旨を公表したところでございます。

 今後、どうかという御質問でございますけれども、当然のことながら、当該御指摘の団体はもちろんのこと、社会的に問題が指摘されております団体とは、これは県政の信頼が損なわれることのないように、引き続き関係を持たないということは、はっきりと申し上げさせていただきたいと存じます。

○議長(尾崎要二君) 奥村規子さん。

  〔奥村規子君、登壇〕

○奥村規子君 ありがとうございます。

 これで、一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。(拍手)

○議長(尾崎要二君) 以上で、奥村規子さんの質問が終了いたしました。

 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。

 この際、暫時休憩いたします。

  午前11時20分休憩

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  午後1時0分再開

○副議長(岩田弘彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 35番林 隆一君。

  〔林 隆一君、登壇〕(拍手)

○林 隆一君 皆さん、こんにちは。日本維新の会の林隆一でございます。(「分かってるよ」と呼ぶ者あり)ありがとうございます。

 本年度、何と5度目の登壇でございます。臨時議会を含めて5度目の登壇になっております。お許しいただきました先輩・同僚議員の皆様に、この場を借りて感謝を申し上げます。

 それでは、ちょっと質問に入る前に、最近、先ほどもそうなんですけど、衆議院、林君どうするんだとかよく聞かれるんですが、この場でちょっと私が質問にお答えするわけにいきませんので、岸本知事のエピソードをちょっと交えて話しさせていただけたらというふうに思っております。

 岸本──ちょっと私も先生、先生と言っておりまして、本当にいろいろ相談事に乗っていただいていたというのが今までの現状です。実は、1年半ぐらい前の選挙なんですけど、岸本先生に、私がちょうどうちの前に新事務所をオープンしたとき、お越しいただいたときに質問したことがあるんですね。私が衆議院選挙出たらどうですかと、衆議院の先生に質問したことがあります。そうしたら、先生は本当ね、真面目に、林君、県会議選は何票取ったとか、それで比例票何票取ったと事細かく計算していただきまして、林さん、4万票ぐらいあるで、その上、大阪は15選挙区全勝やと、我々は今12選挙区ぐらいかなと思ったんですけど、私は選対委員長を務めてるんで15選全勝というアンケート調査出てるんやと、林さん、もし衆院出たら比例復活するぞとにこにこしながら答えていただいたという、すごい先生かなというふうに思います。普通だったら、林さん、やめといてくれと、そんなの一言もないです。自分の対抗になるかも分からないような方に、ちゃんと誠実に明確に説明して、そんな先生ということで、すごいなというふうにそのとき思いました。先生、そしたら私出たら先生はどうですかと聞いたら、2万ぐらい減るかなと言うと思ったんですけど、いや3、1で、林さん出たら3万ぐらいかな、ほか1万ぐらいかなという感じだったんで、それ聞いたとき、この先生は自分のことを、代わりに、出たら当選するよとか、普通だったら、出ても苦しいん違うかなというふうな答弁かなと思ってたんですけれど、岸本先生は本当ね、実直に素直に、そういうふうには言うていただきました。それを聞きまして私は、この先生にはどうしても残っていただきたい、そういう思いに駆られた次第でございます。こうして知事が横に立っていることに対して、非常に感銘深く思っております。

 そしたら、ちょっと長くなりましたが、議長にお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。

 まずは、県営住宅の共益費の問題について質問いたします。

 私が県議会議員に当選して初めての議会であります令和元年6月議会におきまして、この共益費の問題について質問いたしました。これは約4600世帯ある県営住宅の各世帯について、その自治会単位で共益費の徴収担当の方が徴収するところ、徴収担当の方から大変であるという御意見をいただき、県のほうでこの共益費を徴収できないかということの質問をさせていただきました。

 この質問に対して県土整備部長から、入居者の方へのアンケートや自治会にヒアリングを実施するとの答弁をいただき、令和2年2月議会において、そのアンケートなどの実施状況や結果を聞いた上で、県営住宅の共益費の県による徴収について、今後の取組方針について質問したところ、県土整備部長から、県による徴収実施について合意形成が図られた自治会について、徴収できるよう県営住宅条例の改正やシステム整備、徴収や支払いに係る経費も含めて検討していく旨の答弁をいただきました。

 また、令和2年12月議会におきまして、その後の経過や条例改正などの取組について質問いたしましたところ、自治会への説明や、この制度に対するパブリックコメントの実施状況を説明していただき、制度実施に向けた条例改正への準備などを予定していると御答弁をいただいたところでございます。その後、条例も改正され、実際この制度ができたことについて、県当局の取組に大変感謝いたしているところでございます。

 そこで質問いたします。

 この問題について、最後に質問してから約2年の月日が経過しておりますが、県による県営住宅の共益費の徴収について、現在と今後の取組について、県土整備部長にお尋ねいたします。

○副議長(岩田弘彦君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。

 県土整備部長福本仁志君。

  〔福本仁志君、登壇〕

○県土整備部長(福本仁志君) 県営住宅の共用部分の維持運営は、公営住宅法並びに和歌山県営住宅条例に基づき、入居者が行うこととされており、その維持運営に係る共益費の徴収についても、入居者で組織する自治会活動の一つとして行われてきたところです。

 そうした中、入居者の高齢化や役員の担い手不足などにより、一部の自治会において共益費の徴収が困難になっていることから、自治会活動の負担軽減を目的に、自治会の決議に基づき、徴収経費を含めた共益費を県が徴収できる制度を令和4年4月から開始しました。

 現在、全67団地のうち14団地15自治会において実施しております。また、令和5年度は新たに要請のあった2団地3自治会を加えた16団地18自治会において、徴収経費は今年度と同額の1戸当たり月300円で実施する予定としています。

 引き続き、自治会や入居者の皆様に当該制度が適切に運用されるよう、その目的や仕組みを丁寧に説明してまいります。

○副議長(岩田弘彦君) 林 隆一君。

  〔林 隆一君、登壇〕

○林 隆一君 御答弁いただきました。

 実際に、15の自治会でこの制度を活用していただいており、令和5年度は18の自治会に活用していただけるということで、県当局の取組には大変感謝しております。今後、入居されている方のうち高齢者が増えるであろうことを考えますと、さらに利用拡大に向けて制度周知等を徹底、お願いいたします。

 ただ、一方で徴収経費の問題があります。県営住宅は、そもそも住宅に困った方に対するセーフティーネットで、入居の対象となるのは低所得の方であり、毎月1戸当たり300円の徴収経費が支払いに困っているという方もいらっしゃるというふうに私は聞いております。この徴収経費が少しでも安くなるよう検討していただくことを強く要望して、次の質問に移ります。

 次は、脱炭素社会の実現に向けた取組に関する問題です。

 2020年10月、政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラルを目指すことを宣言しております。この排出を全体としてゼロというのは、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出量から植林、森林管理などによる吸収量を差し引いて、合計を実質的にゼロにするということを意味しているものでございます。カーボンニュートラルの達成のためには、温室効果ガスの排出量の削減並びに吸収作用の保全及び強化をする必要があります。

 そのような中、本年2月10日に閣議でグリーントランスフォーメーション実現に向けた基本方針が決定されたと報道されております。この基本方針決定の発端は、カーボンニュートラル宣言をする国が増加し、排出削減と経済成長を共に実現するグリーントランスフォーメーションに向けた長期的かつ大規模な投資競争が激化し、グリーントランスフォーメーションに向けた取組の成否が企業、国家の競争力に直結する時代に突入したことと、ロシアによるウクライナ侵攻が発生し、日本のエネルギー安全保障上の課題を再認識したことによるものとされており、この基本方針により日本の強みを最大限に活用し、グリーントランスフォーメーションを加速させることで、エネルギー安定供給と脱炭素分野で新たな需要・市場を創出し、日本経済の産業競争力強化、経済成長につなげていくということであります。

 このような、国においてはこの基本方針を基に、2050年に向けて様々な取組が実施されていることが予想されている中、和歌山県としてもこれをチャンスとして捉え、本県の強みを生かし、施策を実施していくことが必要ではないでしょうか。

 そのような中、今議会の開会日の知事説明において、令和5年度重点施策の概要の第3の柱に、脱炭素社会の実現に向けた取組として、世界規模で進む脱炭素社会の実現に向けた動きを成長の機会として捉え、県内企業の脱炭素化に向けた取組を支援するとあります。

 そこで質問いたします。

 この重点施策にある県内企業に対する脱炭素に向けた取組の支援とは、どのような事業を実施していくことでございますでしょうか。商工観光労働部長にお伺いいたします。

○副議長(岩田弘彦君) 商工観光労働部長寺本雅哉君。

  〔寺本雅哉君、登壇〕

○商工観光労働部長(寺本雅哉君) 議員御指摘のとおり、脱炭素社会実現に向けた動きやエネルギー安全保障上の観点からも、県として温室効果ガス排出量の削減に向けた取組は重要な課題と認識しています。

 これまでも県では、セミナーや個別ヒアリング等を通じて県内企業の脱炭素化に向けた意識醸成を行っており、併せて企業ニーズの把握にも努めてきたところです。

 その結果、現時点では取引先から脱炭素化の具体的な取組を求められていないなど、企業として直接的な影響が出ていないことから、取組については消極的な状況です。

 また、取り組む意欲があっても何から始めたらよいのか分からない企業や、脱炭素経営に必要な目標設定、計画策定を行えていない企業が大半です。

 そのため来年度からは、まず県内企業の脱炭素化に係る相談窓口を設置し、国の機関や民間企業、NPO法人等で相談体制を構築し、取組への助言や取組内容の提案をすることとしています。

 次に、その提案に基づき、取組の初期段階であるCO2排出量の算定、省エネ診断の実施から、自社製品の脱炭素化、国際認証取得を目指すなど、外部評価を得るための計画策定に至るまでの企業の業種や規模によって異なる様々なニーズに対応できる支援を行いたいと考えています。

 2050年のカーボンニュートラル社会実現に向けて、世界的に展開する企業を中心に、取引企業に対して脱炭素の取組を要請する企業が増えています。今後は、取引先から要請されてからの取組では間に合わない可能性もあり、県としても早急に県内企業の取組を支援し、ビジネスチャンスの拡充や競争力の向上につなげていきたいと考えています。

○副議長(岩田弘彦君) 林 隆一君。

  〔林 隆一君、登壇〕

○林 隆一君 御答弁をいただきました。

 重点施策の概要に、世界規模で進む脱炭素社会の実現に向けた取組と書かれておりますが、その書かれている概念は非常に大きいものですが、実際、この令和5年度の事業は、どちらかというとスタート地点というような意味合いに取れるものです。

 今後、他府県に負けないような、もっと大きな取組や投資が必要となることが予想されていますので、この事業をしっかりと行っていただき、次へつなげていただければというふうに思っております。

 次の質問に移ります。

 今、御答弁いただきました脱炭素社会の実現に向けた取組に関連しまして、同じ重点施策の概要の中で、県庁自身も一事業者として脱炭素化を推進するため、県有施設への太陽光発電設備の導入を推進するとあります。

 先ほどの質問の中でも言いましたように、国においては2020年10月にカーボンニュートラル宣言が行われており、そのことをきっかけに、国と地方の協働・共創による地域における2050年脱炭素社会の実現に向けて、特に地域の取組と密接に関わる暮らし・社会分野を中心に、国民・生活者目線での2050年脱炭素社会実現に向けたロードマップ及びそれを実現するための関係府省、自治体等の連携の在り方等について検討し、議論の取りまとめを行うため、国・地方脱炭素実現会議が設置されております。実際にその会議において議論が重ねられ、2021年6月に地域脱炭素ロードマップというものが示されているところではございます。

 中身を見ますと、民間における取組や公共施設などに対する取組など、様々な方向性が示されている中で、重点対策の一つとして、政府及び自治体の建築物及び土地では、2030年には設置可能な建築物等の約50%に太陽光発電設備が導入され、2040年には100%導入されていることを目指すとされており、県としては達成に向けた取組が必要となります。

 そこで質問いたします。

 脱炭素社会の実現に向けて、県有施設の太陽光発電設備の導入をどのように進めていくのでしょうか。環境生活部長にお伺いいたします。

○副議長(岩田弘彦君) 環境生活部長生駒 享君。

  〔生駒 享君、登壇〕

○環境生活部長(生駒 享君) 県有施設への太陽光発電設備の導入につきましては、現在、県庁本館や東別館、紀三井寺競技場など42施設に合計約700キロワットの設備を設置していますが、今後、さらなる導入が必要と考えています。

 導入に当たりましては、県の負担をできるだけ軽減するため、事業者が発電設備を設置し、その電気を県が買い取る、いわゆるPPAの活用を検討しています。令和5年度においては、各施設の屋根の形状や面積、耐震性、築年数、日射条件などを調査し、設置に適した施設を洗い出した上で、長期的な導入計画を策定することとしており、令和6年度から国が示した「2030年までに、設置可能な建物の50%に設置する」とする目標に向けて、導入を進めてまいりたいと考えております。

○副議長(岩田弘彦君) 林 隆一君。

  〔林 隆一君、登壇〕

○林 隆一君 御答弁をいただきました。

 目標達成に向けた確実な導入計画を策定いただけることをお願いするとともに、昨今の光熱費高騰の状況も踏まえて、長期的に見て和歌山県にとって一番負担の少ない導入方法を御検討ください。

 また、太陽光発電設備の設置という観点からいいますと、東京都においては、2025年から一定規模の新築住宅を供給するメーカーなどに、それぞれ新築する住宅に太陽光パネルの設置を義務づける制度が創設されており、この制度開始を前に、先行的に取り組む住宅メーカーを後押しし、建築主の負担軽減につなぐため、太陽光パネルの設置費用を補助する制度も2023年度予算案に盛り込まれております。

 東京都と和歌山県では財政規模が非常に違いますし、置かれている状況も違いますので、同じことをすべきかどうか議論があるとは思いますが、脱炭素社会の実現というには、このくらい大きな取組が必要ではないでしょうか。令和6年度以降の施策に期待して、次の質問に移ります。

 次は、子供食堂に関する問題です。

 令和4年6月議会においては、私は子供食堂に関連して質問をいたしました。子供食堂の運営が難しくなっている状況に対する県の支援策について伺ったところ、子供食堂の運営に際して、食材費やボランティアの確保等の負担が大きいため、食材を提供していただける企業や福祉活動を行う住民や団体とつながりのある社会福祉協議会等と子供食堂の連携を強化するため、ネットワークを構築し、食材や人材面での支援の体制づくりをする旨の御答弁をいただいております。

 その後、さらなる食材費の高騰など物価高と言われる昨今の状況において、子供食堂の運営はますます厳しくなっているのではないでしょうか。

 私は、やはり身近なところで家族の温かさを感じられる子供の居場所づくりという子供食堂の役割は、ますます重要になっていくと思っております。

 そのような中、令和5年度重点施策の概要の第2の柱の中に子供を育む環境づくりとして、子供食堂の充実による子供の居場所づくりの推進が盛り込まれております。

 私の6月議会の質問の趣旨は、子供食堂の充実や給食費の無償化など、子育て環境の充実という観点から人口減少に歯止めをかけようとするものでありました。今回の重点施策について、大変期待するものであります。

 そこで質問いたします。

 6月議会で答弁していただいた令和4年度の子供食堂に対する県の支援策の状況は、どのようになっているでしょうか。また、令和5年度の子供食堂支援についてどのように取り組まれているか、福祉保健部長にお伺いいたします。

○副議長(岩田弘彦君) 福祉保健部長志場紀之君。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 県では、平成28年度から、子供食堂の立ち上げ支援として新規開設に係る備品購入等の費用に対する補助に加え、令和2年度からは食事の場所の提供だけでなく、学習支援や地域交流の拠点となる子供の居場所としての機能が最大限発揮できるよう、取組に必要な経費の補助を行っております。

 今年度からは、わかやま子供食堂応援ネットワーク事業として、子ども未来課内に子供食堂に関する総合相談窓口を設置し、専任の調整員が開設時や運営に伴う相談に応じるとともに、子供食堂を支援したい企業や一般県民の方からの食材等の提供について子供食堂とマッチングを行うことで、ハード面とソフト面の両面から支援しているところです。

 また、子供食堂運営者同士のつながりを深めるため、昨年8月に交流会を開催し、子供食堂の運営や取組等についての意見交換する場を設定するとともに、地域住民とつながりの深い社会福祉協議会等の取組紹介をはじめ、子供食堂の開催に伴う食品衛生面での留意点等について説明を行うなど、子供食堂の運営が円滑に実施できるよう取り組んでいるところです。

 加えて3月には、子供食堂を始めたい方や子供食堂に興味のある方が今後の子供食堂運営の参考にしていただけるよう、実際に子供食堂を運営している方との交流会を開催する予定です。

 県としては、子供食堂に対するこのような支援や取組を引き続き行っていくとともに、令和5年度においては、今般の物価高騰の影響を受ける食材費等の補助を実施し、子供食堂が定期的、継続的に開催できるよう、活動支援の充実を図ってまいります。

○副議長(岩田弘彦君) 林 隆一君。

  〔林 隆一君、登壇〕

○林 隆一君 御答弁いただきました。

 取組は非常によいと思っております。特に令和5年度における食材費等の補助は、物価高に悩む子供食堂を運営する方々から見れば、大変助かるものであると考えます。

 また、令和4年度の事業でありますわかやま子供食堂応援ネットワーク事業のような取組は、単年度だけではなく、続けて実施していくことが必要であると考えておりますので、令和5年度、6年度と続けて実施していただき、現在、県内に46か所ある子供食堂が活動の幅を拡大し、その数が増えるような取組にしていただきたいと、そういうふうに思っております。

 それでは、最後の質問に移ります。

 知事の公約の実現に関することでございます。

 岸本知事は、第一次産業や観光産業の振興、子育て施策の充実など、様々な公約を掲げて当選されました。

 林道を整備し植林することによるカーボンクレジットの獲得や、先ほど質問しましたような脱炭素社会の先進県を目指すことなどにより、大変期待するものでございます。

 中でも、給食費の無償化などによる子育て家庭の経済的負担の軽減や、放課後児童クラブの充実、子供食堂のネットワーク化など、和歌山県を子育てのしやすい場所にするという方向性は、まさに私の公約かなと思うぐらいの考えと一致するものでございます。

 先ほど申し上げましたように、令和4年6月議会におきまして、暮らしやすいまちづくりをすることで本県の人口減少の勢いを少しでも食い止めることができるんではないかという観点から、子育て家庭の負担軽減策として、小中学校における給食費の無償化や高校まで医療費の無償化、子供食堂の充実などを実施し、暮らしやすさをアピールしてはどうかという質問をいたしました。

 先日、県のホームページを見ますと、毎月推計人口ということで、毎月1日現在の人口が掲載されており、令和5年1月1日現在で県の人口が90万621人とされているところでございます。もしかしたら、現時点では90万人を割っているかもしれません。このままでは人口90万人を割ることは時間の問題、既に割っているかもしれません。それを防ぐためにも、子育て家庭に対する支援の充実は喫緊の課題であり、その実現に向けて私も応援したいと、そういうふうに思っております。

 しかしながら、足元の物価高騰や金利上昇等を背景とした新たな財政収支推計が県においてなされ、その結果、このままでは令和7年度には財政調整基金と県債管理基金が底をつき、予算編成が困難になるおそれがあるとして、2月6日に財政危機警報が発出されております。

 このような状況下において、今私が申し上げたような学校給食費の無償化をはじめとする事業は、それぞれ多額の予算を要するものであり、大変難しいかじ取りが必要になってくると想定されております。

 そこで質問いたします。

 知事は、子育て支援を中心に多くの公約を掲げて当選されておりますが、その公約の実現に向けてどのようにお考えでしょうか。岸本知事にお伺いいたします。

○副議長(岩田弘彦君) 知事岸本周平君。

  〔岸本周平君、登壇〕

○知事(岸本周平君) お答えいたします前に一言申し上げたいと思うんですけれども、先ほど林議員から一昨年のお話がありました。私は当時、選挙対策委員長をやっておりましたので、旧知の林議員に対して私の知っている客観的な情報を誠心誠意お伝えしたという記憶はありますけども、中身については詳しくは覚えておりませんのと、それから、私はずっと若い頃から自分より年下の方にも「君」づけをしたことは一つでもなくて、秘書にも部下の方にも必ず「さん」づけで呼んでますので、林君と呼んだことはないと思いますので、林先生とか林さんと呼んでますので、その点はぜひ御留意をいただければと存じます。

 その上でお答えしたいと思いますけれども、私、まさにさきの知事選挙におきまして、公約として第一次産業の活性化、それから新しい観光産業の創造、これを車の両輪としまして、その上に子育て施策を強化し、和歌山県に多くの人を呼び込んでいくこと、あるいは脱炭素社会先進県を目指すことなどを訴えてまいりました。

 特に、給食費や医療費の無償化、子供食堂の充実など、子育て支援策の強化や林道整備の推進などを強く訴えてきたわけでありますけれども、これらの事業におきましては、相当多額の予算が必要となるものがございます。したがいまして、令和5年度予算におきましては、財政危機警報を発出した中ですけれども、その中からまず子供食堂の支援を拡大するということで、現状、予算が確保、財源が確保できたものについては、まず第一歩を踏み出したわけでございます。

 今後、費用対効果、あるいはニーズがどの辺にあるのかということを検証しながら、既存事業につきましては、これを見直すという意味での予算の賢いやりくりということで、財源を確保してまいりたいと思っております。

 恒久財源を確保した上で私の公約を確実に、尻切れとんぼにならないように実現することが責任だと思っておりますので、御理解をいただきますようお願い申し上げます。

○副議長(岩田弘彦君) 林 隆一君。

  〔林 隆一君、登壇〕

○林 隆一君 知事、大変失礼いたしました。林君ではなくて、林さんでございました。この場を借り、訂正し、おわび申し上げます。

 御答弁いただきました。既存の事業の見直しを図り、予算を賢くやりくりすることで公約を実現すると思いますが、今回、議案において提出のあった令和5年度予算を見てみますと、歳出予算約6000億円のうち、人件費や公債費などの義務的経費や貸付金を除くと、単純に見て見直すことのできる予算は、6000億円の約半分である3000億円程度であるかというふうに思います。この中身を全て削減できるというのはなかなか難しいと思いますので、知事のおっしゃるやりくりが重要になると考えております。

 一つの給食費の無償化に関することを言いますと、昨日の高田議員の質問と重複するところではございますが、現時点で県内では約10団体が小中学校の給食費の無償化を実施していると聞いております。中にある自治体の首長の方とお話しした際に、無償化を実施する予算の半分を県が出してくれれば実施のめどが立つというような声も聞いております。だから、県が全額負担しなくても、その費用の半分でも、また一部でも出していただければ実施するところもあるのではないでしょうか。

 また、和歌山市では、小学校給食を無償化する費用は年間4.4億円、中学校を加えると12.6億円です。加えて既に実施している子供医療費の無償化に年間14億円が必要となっております。これに対する県の補助は、未就学児のみが対象なので約2.6億円、残りは市の単独費用となっております。これは県内市町村全てに言えることではございますが、この費用が給食費無償化への壁となっています。

 兵庫県などでも、医療費の無償化に関して県から助成があるため、給食費の無償化が実現されているとのことです。このような声も私には届いており、子育てに関する施策についていろいろな角度から総合的に検討していかなければならない、給食費の無償化は進まないのではないでしょうか。

 そこで再質問をいたします。

 今説明しましたような、実際に給食費の無償化に向けて熱心に検討している和歌山市をはじめとする一部の市町村から試験的にスタートしてみることや、恒久的ではなく、一定の期間に限って実施してみることなども考え方の一つではあると思いますが、知事の見識をお伺いいたします。

○副議長(岩田弘彦君) 知事。

  〔岸本周平君、登壇〕

○知事(岸本周平君) 再質問ありがとうございます。

 今、林議員がおっしゃった点は私も全く同感でございまして、やり方はいろいろあるんだろうと思っております。それで学校給食の無償化は、これはもちろん子育て世帯の経済的負担を軽減するということが最大の目的なんですけれども、完全にその学校の給食費を徴収する、この事務といいますか手間といいますか、これが結構大変でありまして、今行政のほうに徴収がかなり移動してますけれども、昔は学校の先生が、担任の先生がやってたようですけども、行政にかなり振ってはいるものの、学校現場や行政の現場でも給食費の徴収事務のことを考えますと、給食費を無償にすれば、そういう副次的な効果として事務費とか人件費も浮いてくるという点はあろうと思っております。

 それから、やはりいろんな形で学校の給食費を払っていないということを生徒さんが知っている場合が多いと思いますけれども、そのときの子供さんたちの思いを考えたときに、私としては、何としても小中学校の給食費についてはどんな形であれ無償化に一歩でも二歩でも進めていきたいという思いはございますので、そこは御理解いただきたいと思います。

 一方で、仮に2分の1の補助だとしましても、大変大きな金額になります。10数億円の規模の恒久的な財源をどうやって工面するのか、やりたい思いはありますけれども、その恒久的な財源をきちんと工面して、尻切れとんぼにならないように責任を持って一歩ずつ進めていきたいということでございますので、今後、林議員からもいろんなアイデアをいただいて、市町村とも相談しながら、負担の在り方、負担の度合い、いろいろ検討していくとともに、先ほど申し上げましたように、恒久的な財源を確保するための賢い予算のやりくりに努力してまいりたいと思っております。

○副議長(岩田弘彦君) 林 隆一君。

  〔林 隆一君、登壇〕

○林 隆一君 知事、すばらしい御答弁をいただきまして、どうもありがとうございます。

 知事の公約の実現は、結果的に和歌山の人口増や発展につながっていくものと私は確信しております。6月議会にこの場で立てるかどうか分かりませんが、岸本知事の公約の実現を祈念申し上げ、私の一般質問を終了いたします。

 御清聴いただき、ありがとうございました。(拍手)

○副議長(岩田弘彦君) 以上で、林隆一君の質問が終了いたしました。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 31番藤本眞利子さん。

  〔藤本眞利子君、登壇〕(拍手)

○藤本眞利子君 皆さん、こんにちは。本日もよろしくお願いいたします。

 岸本周平知事、改めまして、御就任おめでとうございます。

 一般質問も3日目となり、4人目となり、少々知事もお疲れかと思いますが、よろしくお願いします。

 周平さんと前から言っているんですが、ひな壇に座っていることに、ちょっと目も耳も慣れてまいりまして、あ、周平さんが知事なんだなと感じております。

 私は、これまでも周平さんの政治活動を懸命に応援してきましたが、県会という場では、県民の声をしっかりと届けるという意味で、知事とは是々非々でなく是々々非ぐらいで議論していきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。

 昨日の原発に関する答弁では、喉元過ぎれば熱さ忘れるといったような国の政策をそのまま答弁されたことに、少し納得できないなという思いも感じています。いまだにふるさとを追われ、元の暮らしに戻れない人の思いを忘れないでほしいと願っています。

 沖縄に「命どぅ宝」という言葉があります。命より貴いものはないという意味です。ロシアによるウクライナ侵攻から始まった戦争、トルコの大地震、共に多くの命が奪われています。深い悲しみとともに、私たちに何ができるのか考え続けていきたいと思います。

 それでは、議長のお許しをいただきましたので、今期最後の一般質問に入りたいと思います。

 まず、パートナーシップ宣誓制度と条例問題について、含めた取組についてお伺いします。

 岸田首相は4日、性的少数者(LGBT)や同性カップルを差別する発言をした荒井勝喜首相秘書官を更迭しました。首相秘書官が問題発言で更迭されるのは、極めて異例です。

 首相は、視察先の福井県坂井市で、今回の発言は、多様性を尊重し包摂的な社会を実現していく内閣の考え方に全くそぐわない言語道断の発言だ、任命責任を感じていると記者団に述べたとあります。

 その後、LGBT理解増進法について自民党の茂木幹事長が提出に向けた準備を表明、公明党や野党から、主要7か国(G7)の中で同性婚や同性間のパートナーシップ宣誓制度が国レベルではないのは日本だけであることから、5月に広島で開かれるG7サミットまでに成立を求める意見が上がっています。

 今回の岸田首相秘書官によるあからさまな差別について、国民の多くの人が、このままの状態でいいのだろうか、法案の成立が必要だと感じたのではないでしょうか。ただ、自民党の中で調整が難しいようで、またぞろ2021年に法案提出が見送られたようなことだけは避けていただきたいものです。

 新聞では括弧してLGBTとしていますが、セクシュアリティーに関しては多様な類型があることに加え、近年ではセクシュアルマイノリティーを特殊なものとせず、それ以外の人と同様に扱うように、レズビアンやゲイやLGBTなどの特別な呼び方ではなく、性的指向及び性自認、セクシュアルオリエンテーション・ジェンダーアイデンティティー(SOGI)と表現する方もいらっしゃいます。SOGIは性に対して特定の人のみが持つ要素ではなく、私たち全ての人が持つものです。

 また、同性愛者や身体と心の性が一致しない方など、性的少数者の割合は人口の8%程度だと言われており、日本において様々な困難を強いられ、権利を侵害されています。今回の事案は、まさに差別・偏見に満ちたものです。

 私は、2021年3月議会において、この問題についての提起をさせていただきました。差別や偏見は、今回の事案に象徴されるように、大きな問題として横たわっております。また、日常における困難は、彼らの人権を大きく損なうものばかりであります。私は2021年に、男女共同参画条例に含めるのか、新たな条例とするかは検討する必要があるのではと提言させていただいています。

 その当時の知事の答弁では、「和歌山県では和歌山県人権尊重の社会づくり条例というのがあり、それに基づいて人権施策基本方針というのが定まっています。その中で、多様な性の在り方について、県民の正しい理解を深め、誰もが自ら自分らしく生きていける社会を実現する取組を推進しなきゃいけないということが明記されています」とお答えになっています。

 また、和歌山県男女共同参画推進条例があります。この中に、性的指向や性自認を理由として困難な状況に置かれている人々が抱える問題の解消に向けた施策を盛り込む方向、盛り込まないといけないということの検討を進めているというふうなことも答弁されています。

 その後、多様性を認め、誰もが活躍できる社会の実現に向けて、県の行政サービス・制度における不利益や不都合な取扱いを解消するとして、犯罪被害者法律相談、DV被害者相談、心身障害者扶養共済制度、県営住宅への入居のサービスや職員の福利厚生制度の見直しや、申請書等における性別欄の廃止、または自由記述とするなど、記載方法を工夫していただいています。

 全国的に見ると、性の多様性に関する条例として、大阪府、三重県、埼玉県、東京都にLGBTに関する条例が、人権全般に関する条例に性的指向、性自認を理由とした差別の禁止を規定しているのは、鳥取県、秋田県となっています。

 パートナーシップ宣誓制度については、条例及び要綱を根拠としているのは、大阪府、三重県、秋田県、東京都です。要領のみを根拠としているのは、茨城県、群馬県、佐賀県、青森県、福岡県、栃木県です。

 性の多様性に関する条例として、三重県の性の多様性を認め合い、誰もが安心して暮らせる三重県づくり条例では、第1条に「この条例は、性的指向及び性自認の多様性を認め合う社会の推進に関する基本理念を定め、並びに県の責務並びに市町、教育に携わる者、県民及び事業者の役割を明らかにするとともに、県の施策の基本となる事項を定めることにより、性の多様性が理解され、もって、性的指向及び性自認にかかわらず、全ての人の人権が尊重され、多様な生き方を認め合う社会の実現に寄与することを目的とする。」とあります。県条例として、性の多様性を認め合う社会の実現をうたっています。

 そこでお伺いいたします。

 パートナーシップ宣誓制度や性的少数者の人権を尊重する条例について、荒井首相補佐官の差別発言を受けた国の動きも視野に入れながら、県としてどのような取組を行っていくのか、知事にお伺いいたします。

○副議長(岩田弘彦君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。

 知事岸本周平君。

  〔岸本周平君、登壇〕

○知事(岸本周平君) 御質問ありがとうございます。

 私は、LGBTQといった性的少数者の皆さんが抱えるいろんな社会的な困り事や困難は、これは基本的人権の問題であると考えております。憲法第13条には幸福追求権というのがあります。日本国憲法は、私は第13条が一番大事な条文だろうと思っておりますし、私も一番大好きな条文でもあります。ここには、個人は生命、自由及び幸福追求の権利、幸福追求に対する国民の権利については最大の尊重を必要とすると書かれています。

 人間にとって生命って一番大事ですよね。自由も大事です。その生命とか自由と同じ位置づけで、幸福追求する権利というのが私たち一人一人に認められているわけでありますから、性的少数者の皆さんの幸福追求する権利は、これは最大に尊重されるべきであるというふうに考えております。

 したがいまして、幸福追求権は全ての、和歌山県で言えば県民の皆さんの人権が守られ、皆さん一人一人が幸福を追求することができる、そういう和歌山県にしなければならないと考えております。そのためにも、県民の皆さんと共々に人権問題に対する意識を高め、この和歌山県からあらゆる差別をなくしていく運動を盛り上げていきたいと思っています。国会議員のときも、それこそ藤本議員とも一緒にこのような活動をしてきたことを大変誇りに思っております。

 そして、そのきっかけの一つとして、例えば障害者差別解消条例、これも全国都道府県にはありますけれども、残念ながら和歌山県ではまだ制定がされておりませんので、障害者差別解消条例などと併せてパートナーシップ宣誓制度の導入に向けても、広い視野から幸福追求の権利という立場で前向きに考えていきたいと考えております。

 それから、条例の件でありますけれども、性的少数者の人権を尊重し、守っていくための条例ということにつきましては、現在、国で検討されております法律案の状況は見守りながら、例えば現在ある和歌山県人権尊重の社会づくり条例、これに基づき策定された和歌山県人権施策基本方針などを踏まえた上で、新たな条例を制定するのがいいのか、あるいは男女共同参画といった条例を改定するというやり方がいいのか、それは虚心坦懐あらゆる方法をみんなで議論しながら考えていき、最も効果的な方法を選んでいきたいと、そのように考えておりますので、今後とも御指導よろしくお願い申し上げます。

○副議長(岩田弘彦君) 藤本眞利子さん。

  〔藤本眞利子君、登壇〕

○藤本眞利子君 ありがとうございます。

 どういったやり方がいいのかというのは、しっかりと考えていただいて、あまり長い時間かかるのも何かと思いますので、少し時間をちょっと区切りまして、このことについての結論を出していただきたいというふうに要望したいと思います。

 次の質問に移ります。

 男女共同参画の実現に向けて四つの点でお伺いします。

 まず一つ目です。政治における女性の参画とクオータ制についてお伺いします。

 世界経済フォーラム、これ毎年発表しているんですが、男女平等ランキングでは、日本は低迷を続けておりまして、今回も146か国中116位となっています。分野別では、国会議員の男女比、閣僚の男女比、50年における行政府の長の在任年数の男女比等が指標の基準となっている政治参画の遅れが顕著で、日本の政治分野では、0.061という数字です。1.0というのが完全な男女平等を表しておりますので、0.061は、ほとんどゼロに近い数字となっています。

 2月18日の朝日新聞でも、「女性ゼロワン」地方議会の4割という見出しで記事が掲載されています。全国の1788地方議会のうち、女子ゼロ議会が256、14.3%、女性が1人だけの議会も436、24.4%で、両方を合わせた議会は、約4割にも上っていることが明らかになりました。女性議員をめぐっては、候補者男女均等法が2018年に施行されましたが、5年たった現在でもこの現状は改まっていません。

 世界では、政治分野への女性の進出を促すため、男女間格差を是正する施策を取る国も多く、世界136か国が何らかの形でクオータ制を導入しています。制度を導入している国々の女性議員割合は27.6%に上っており、確実に成果を上げていると言えます。クオータ制は有効な手段だと思います。SDGsにもジェンダー平等がうたわれており、持続可能な社会の実現に向けて、日本でもクオータ制の導入を真剣に考える時期に来ていると思います。

 知事は、この日本の政治における女性の現状を見て、格差是正のため、マイノリティーの割当てを行うクオータ制について、どのような見解をお持ちなのか、お伺いします。

○副議長(岩田弘彦君) 知事。

  〔岸本周平君、登壇〕

○知事(岸本周平君) お答えいたします。

 政治分野における女性の参画の拡大というのは、まさに有権者の半分が女性でありますので、政治に民意を反映するということからすると、当然やっていかなきゃいけない大変重要な課題だと考えております。

 そして、平成30年度には議会議員の選挙において、男女の候補者数ができる限り均等となることを目指す政治分野における男女共同参画の推進に関する法律、先ほど藤本議員も御指摘された法律でありますけれども、施行されました。

 令和3年度には政党の取組を促進するとともに、国や地方公共団体での施策を強化するための改正も行われたところであります。実はこの立法は議員立法でありまして、私も超党派のこの議員連盟のメンバーとして法律の制定、改正法案に尽力した立場でありますので、藤本議員の御指摘は全くそのとおりだと考えております。

 しかしながら、ここで見ていただきますように、候補者数を半分にするという目標なんですね。これはクオータとはなかなか言えないんですね。当選者を半分にするというのが例えばクオータの意味ですけれども、ここが当時のぎりぎりのところでありました。そこで妥協してつくった法律でありますし、私も小さな小さな政党の選挙対策委員長をやっておりましたときには、できる限りこの比率を、候補者を2分の1にするということで努力をしてきましたけれども、なかなかこれまた手を挙げてくださる方が、もうこれ、いずれ鶏か卵の話なんですけれども、こちらは政党として候補者を5割にしますといって集めるんですが、手を挙げていた人を足しても3割5分とか4割にしかならなかったという、つらい思い出もございます。

 いずれにいたしましても、政党としては自発的なクオータ制をともかく必死になって今進めているということでありますし、最大与党である自由民主党の政治家の皆さんの中にも積極的にこのクオータ制を導入するために尽力されている仲間の先生方がたくさんおられます。少しその時間をかけながらそれを進めていければというふうに考えているところでありますけれども、外国では、これは国によってはほぼ憲法改正を必要としますので、憲法改正が行われています。メキシコが一番成績がよくて、2分の1というのを規定してますので、2分の1になってます。メキシコはすごいんですね。

 フランスは、これも議員の女性男性比率は、比較的2分の1に近づきつつあるんですけども、このフランスのやり方は、2分の1にしてくださいと、候補者が2分の1にならなかった場合は政党助成金を減らしますと、こういうやり方をされてまして、それぞれ国ごとに工夫をされております。そういう意味では、90か国でその議席あるいは候補者に一定数の女性を割り当てる方法のクオータ制度が導入されておりますので、その結果として明らかに政治分野への女性の参画が進んでいるという状況がございますから、そういう意味では、これはもう県知事の立場でどうこうできるものではございませんけれども、クオータ制度には一定の効果があるという藤本議員の御意見には賛成であります。

○副議長(岩田弘彦君) 藤本眞利子さん。

  〔藤本眞利子君、登壇〕

○藤本眞利子君 ありがとうございます。

 本当に知事の言うとおりだというふうに思っておりますので、自民党の諸兄の皆さんにもいろいろとお考えいただいて、女性の数を増やすということに尽力していただけるように、ここでお願い申し上げます。

 次の質問に入ります。

 政策・方針決定の場における女性参画のための取組についてお伺いします。

 県では、昨年3月に和歌山県男女共同参画基本計画(第5次)を策定しております。県条例が2002年に施行され、20年が経過しています。その間、2019年に女性活躍推進法、2021年、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の改正及び政治分野における男女共同参画の推進に関する法律が改正されるなど、社会参画、活躍に向けた体制は少しずつ整いつつあります。にもかかわらず、政策・方針決定過程への女性の参画もまだまだ十分とは言えません。男女平等とは掛け声ばかりで、実感として取組が足りないと感じます。

 本県の状況を見てみると、審議会等委員への女性登用率は大きな変化はありませんが、県の管理職に占める女性の割合は確実に向上してきており、令和4年度では11%に届き、ようやく1割を超えてきました。しかし、まだ1割を超えたばかりです。多様な意見を県の施策に取り入れていく上で女性職員の活躍は重要であり、政策形成に関わる管理職への女性職員の登用をより積極的に進めていただきたいと思います。

 教育現場においても、小学校における女性教員の割合が61.1%なのに、校長職において女性の割合は、小学校では28.3%です。中学校では女性割合が45.2%ですが、校長職の割合は6.5%です。高等学校では女性割合が35.8%で、校長職の割合は9.3%となっています。学校における管理職割合も依然低いものとなっています。

 民間における管理職に占める女性の割合も少しずつ上がってきていますが、いまだに2割にとどまっている現状です。ガラスの天井はなかなか分厚いと感じています。

 社会全体に政策決定の場における女性の参画が十分でない実態ですが、県としてはどのような取組を進めていくのか、環境生活部長にお伺いします。

○副議長(岩田弘彦君) 環境生活部長生駒 享君。

  〔生駒 享君、登壇〕

○環境生活部長(生駒 享君) 現行計画であります第5次男女共同参画基本計画の策定に先立ちまして、令和2年度に実施した男女共同参画に関する県民意識調査からは、固定的な性別役割分担意識がいまだ根強く存在し、男女の平等感についても社会全体で男性優遇と感じている割合が依然として高いことがうかがえます。また、議員御指摘のとおり、政策や方針の決定過程への女性の参画も十分とは言えない結果となっております。

 女性の社会参画をより一層進めるためには、女性だけでなく、男女が共に仕事と家庭を両立できる暮らしやすい社会の実現に向けた環境整備が必要であり、令和4年3月に策定した第5次計画では、「男女共同参画社会の実現に向けた意識づくり」と「男女がともに活躍する社会づくり」を進めるべき施策の方向として位置づけました。

 今後は、男女共同参画の全ての取組の基礎となる意識を改革し、あらゆる人々が男女共同参画を身近な問題として捉えることができるよう、一層分かりやすい広報・啓発に努めるとともに、県庁が率先して女性の管理職への登用などに取り組んでまいります。

 加えまして、女性が安心して働くことができる環境を整備する企業や団体を組織化した女性活躍企業同盟のさらなる拡大・活性化を図るとともに、企業や民間団体が自主的に女性の参画促進に取り組んでいただけるよう、女性の管理職への登用や職域拡大、女性が継続して働きやすい職場環境づくりに向けた経営者等への啓発や情報提供などの働きかけを行ってまいります。

○副議長(岩田弘彦君) 藤本眞利子さん。

  〔藤本眞利子君、登壇〕

○藤本眞利子君 次は、男女で賃金や待遇に違いがあることについて、お伺いします。

 総務省の2021年労働力調査において、雇用者数及び雇用者総数に占める女性割合の推移を見てみると、働く女性の数は年々増加しており、女性割合が44.7%と過去最高を更新しています。この数字は全ての労働者の半数近くがもう女性だということを表しています。しかし、そのあたり働き方の内訳は、非正規の職員・従業員の割合が53.6%となっており、働く女性の半数が非正規という現状です。男性の非正規の職員・従業員の割合も高くなってきており、21.8%となっており、男女とも非正規労働者の割合が高くなっていると言えます。

 日本の労働者の置かれている状況は、男女とも厳しいものがあります。同時に、30年にわたって賃金が上がらない状況をつくり出してきた日本経済はやはり改革していかなければならないというふうに思います。

 5年前の質問でも指摘させていただきましたが、特に女性の場合、正規雇用が25歳から29歳がピークで、それ以降、非正規で働くことが主となっている状況は、あまり改善されていません。

 一般労働者の男女賃金格差も単純比較では、所定内給与額の男女間格差は、令和3年75.2となっており、男女賃金格差も存在している状況です。

 この数字が表していることは、働く場において男女差別が存在しているという事実です。学校を卒業し就職した時点で賃金格差があります。昇給時の差別があります。役職に就く割合にも格差があります。このように明らかに男女で賃金や待遇に違いがあります。このことが女性の働く意欲やモチベーションを大きく下げています。

 このように、明らかに男女で賃金や待遇に違いがあることについて、改善していく必要があると思いますが、県の見解を商工観光労働部長にお伺いします。

○副議長(岩田弘彦君) 商工観光労働部長寺本雅哉君。

  〔寺本雅哉君、登壇〕

○商工観光労働部長(寺本雅哉君) 男女での賃金や待遇の差は様々な要因があり、一つには、同じ職場や組織で働いていても、職務や職責において性別の偏りが見られ、育成、教育訓練の格差につながることから、女性のほうがより低賃金になる傾向があると言われています。

 また、男性と女性は異なる業種や職種に集中する傾向があり、女性がより多く占める業種が比較的低賃金であることが多くなっていると言われています。

 さらに、固定的な性別役割分担意識や無意識の思い込みから家事や育児の大半を女性が担うことが多く、その一方で男性が家事や育児に参画しにくい雰囲気や慣行があると言われています。

 これらが要因となり、女性にとっては仕事と家庭の両立が難しく、継続就労やキャリアアップ、管理職への登用が困難となり、結果として男女での賃金や待遇の差が生じているものと考えています。

 この格差への対応として、国では令和4年4月から、従業員301人以上の事業主に対して、男性の賃金に対する女性の割合を開示することを義務づけ、男女の賃金の差異の状況把握や課題分析について、事業主自身が行うことを期待しているところです。

 県ではこれを受け、県主催の労働セミナーにおいて、男女の賃金の差異の公表制度をはじめ、男女ともに仕事と家庭が両立できるよう、長時間労働の削減や育児休業取得、育児短時間勤務制度等、多様な働き方について周知したところです。

 今後も、性別により差別されることなく、その能力を十分に発揮できる雇用環境を整備し、男女の賃金や待遇の差が解消されるよう取り組んでまいります。

○副議長(岩田弘彦君) 藤本眞利子さん。

  〔藤本眞利子君、登壇〕

○藤本眞利子君 今、答弁の中にもあったんですが、仕事と育児の両立ができていないということも問題の一つだというふうにお答えいただいたんですが、この最後の項目で、継続して働くことのできる、仕事と育児を両立できる職場環境づくりについてお伺いします。

 女性の理想の生き方として、51.4%の方が結婚や出産に関わりなく職業を持つ、それから33.6%の方が結婚または出産を機に一時仕事を辞めるが、その後は職業を持つという生き方が理想であると感じているというふうなことが載っています。ずっと働き続けたい、一旦辞めても再就職したい人を合わせると、85%の方がずっと働きたいというふうに言っているわけです。

 しかし、現実は、女性が第1子出産を機に30.5%の方が退職しています。5年前に質問したときは5割でしたので、少しずつ改善されてはいますが、まだ3割の方が辞めています。復帰すると非正規の仕事しかありません。3割の皆さんも働き続けられる環境をつくっていく必要があると思います。このような女性の労働意欲をもっと生かしていただきたいと思っています。一旦辞めたら非正規でしか働けないというのでは、女性の力を十分に生かしていけないのではと思います。

 令和2年に県が実施した県民意識調査の中でも、女性が継続して就労する上で必要なこととして、7割近い人が育児・介護休業など休暇制度を利用しやすくする職場環境づくりの推進と答えています。継続して働き続けられる職場をもっと増やす施策が求められています。

 また、子育てや介護のための施設や支援の充実、労働時間の短縮、フレックスタイム制などの柔軟な勤務制度の導入を4割の方が望んでいます。

 次いで3割の方が家事や子育て、介護への男性の参加が必要だと感じています。総務省調べによると、6歳未満の子供を持つ夫・妻の家事関連時間の推移では、2021年で1週当たり夫は2時間弱です。妻は7時間半と、約3倍の格差があります。和歌山県は全国の平均よりもさらに低い値となっています。夫がなかなか協力しないということであります。大方の子育て、家事労働が女性の肩にかかっているのです。

 労働組合の連合の意識調査によると、7割の男性が仕事と育児を両立したいと思っているという結果が出ました。男性もやりたいと思っている方がたくさん出てきているわけですが、現実は仕事を優先している男性が5割弱というふうに、両立したいという男性と逆転してくるわけです。

 夫が家事や子育てに協力する家庭のほうが第2子を望む割合が高いというデータ、これ、前にも言わせていただきました。男性も積極的に家事や子育てができるように、仕事と生活の調和、ワーク・ライフ・バランスを進める必要があると思います。

 そこで、和歌山県の企業の実態はどうなっていますか。また、県としてどのような取組を進め、今後どのように取組を進めていくのか、商工観光労働部長にお伺いします。

○副議長(岩田弘彦君) 商工観光労働部長。

  〔寺本雅哉君、登壇〕

○商工観光労働部長(寺本雅哉君) 県が実施した令和3年労働条件等実態調査によると、育児休業取得率は男性が13%、女性が90.0%、育児短時間勤務制度の導入率は58.8%、テレワーク制度の導入率は20.1%、フレックスタイム制度の導入率は12.5%となっています。

 近年、コロナ禍の中でテレワーク制度の導入が多く伸びていますが、育児休業取得率など、その他の制度についてはほとんど変化がない状況です。

 このような結果を踏まえ、県では引き続き、出産、育児、介護による離職を防ぎ、男女ともに仕事と育児や介護を両立できる職場環境づくりを進めることが必要だと考えています。

 このため、県主催の労働セミナーにおいて、柔軟な勤務制度の導入促進や男性の育児休業取得促進等に関する関係法令の改正のほか、国の助成金の情報について周知しているところです。

 また、経済団体や企業等への出前講座や、多様な働き方の導入等に取り組む企業に専門家を派遣して支援を行うほか、職場環境改善に取り組む県内企業の事例を県のホームページで周知しているところです。

 引き続き、仕事と育児、介護が両立でき、性別にかかわらず全ての方が安心して働き続けられる職場環境を整備し、ワーク・ライフ・バランスを推進してまいります。

○副議長(岩田弘彦君) 藤本眞利子さん。

  〔藤本眞利子君、登壇〕

○藤本眞利子君 御答弁ありがとうございました。

 今回は男女共同参画という、そういうことの実現に向けて四つの観点から質問をさせていただいたんです。もう5年前も同じようなやはり質問をしたときも、その解決に向けた取組が、大きな進展はないなあというふうなことで、実はがっかりしています。

 いろんな自由なフレックスタイムのことであったりとか、それから、先ほどから言っているようなことも、なかなかパーセントも上がっていないなあというのが現実だというふうに思っています。

 今回は、男女の格差の改善や政策方針の決定過程への女性の参画が十分でないことの取組、仕事と家庭の両立できる働き方について質問を行っていますが、分かってる、分かっているけど具体的には啓発に終わっているというふうな状況だと思います。

 しかし、賃金格差の改善や仕事と家庭の両立できる女性の働き方が、実は少子化問題を解決する大きな鍵になっているんです。このことを実現しないと少子化は多分止まらないだろうというふうに思います。

 例えば、ドイツでは2005年に成立したメルケル政権で担当大臣になったウルズラ・フォン・デア・ライエン氏は女性なんですけど、出生率の向上の鍵は、男女が仕事を持ちながら職業生活を送れるようにすることにあるとして、仕事と育児の両立を家族政策の中心に据えて制度改革に邁進したんです。

 人口問題を意識した家族政策の重要性を掲げ、家族政策の転換をしたわけです。出生率の向上の鍵は、男女が子供を持ちながら職業生活を送れることにあるとして、この仕事と育児の両立支援を中心に制度改革を進めました。2000年に日本と同じような出生率が低かったドイツは、2021年、少し統計を見てみますと日本より上がってきているんです、やっぱり出生率が。

 全国的に見ても出生率が高い福井県、この取組を紹介すると、福井県では、子供ができる、1歳になるまでは育休を利用して家庭で養育し、1歳、2歳のうちは時短で制度を活用しながら、仕事と家庭を両立していくということをして支援しています。

 こんなことはみんな、育児休業を取った人はそういうことだと思うんですけど、でもそれとちょっと違うのは、中小企業に対して0歳児育児休業応援企業奨励事業というのを出してるんです。また、ふくいの子宝応援給付金という制度を導入して、そういうことを、ゼロ歳児の育児休業を取ったら奨励金を出すというふうな具体的な取組をしているわけです、啓発だけではなくてね。この制度については次のまたこのことを言いたいので、次の機会に今回譲りますけど、このように、具体的に仕事と家庭の両立を応援するという目に見える支援を行っていくということが、出生率を改善していく大きな鍵だというふうに思います。

 働き方によらない全ての職種で育児制度が取り入れられ、女性たちが出産に対して安心できる社会、子供を育てることがお得だなあと思える社会をつくらなければ、少子化を止めることはできません。幾ら少子化が大変だ、大変だと言ったって、そこのところにきちんと予算をつけない限り、少子化を止めることができないんです。

 今のように仕事と子育てを両立しようと頑張る女性、たくさんいます。でもその負担が全て女性に覆いかぶさるような社会では、結婚しようと思ったって、結婚したらあんなに大変になるということで、だんだん少なくなるのは当たり前です。

 少子化問題を考えるときに目指すべきは、男女が共に仕事と育児を両立させながら生きていく社会の実現だと確信しています。それこそが異次元の少子化対策です。男女平等を進めることを全ての人が真剣に考え、意識を変え、働き方を変えていかなければならない時代がやってくると思います。今後ともしっかりと取り組んでいただけることを要望して、次の質問に移ります。このことについては、また次の機会に質問したいというふうに思います。

 最後に、宮前駅と駅周辺の総合的な整備について、これは強く要望したいというふうなことで、答弁は本当は欲しいんですが、答弁いただかないということで、ちょっと宮前駅の実情をお話しして、強く要望したいと思います。

 知事は、国会議員のときから毎週週末にいろんな市内のあちらこちらで立礼されて、市民の皆さんは、周平さん、今日はエバグリーンのところで見たよとか、今日は駅前で立ってたよとか、しょっちゅう私も聞かされてきました。

 最近では、とても身近にいた周平さんが知事になってうれしいけど、遠いところに行ってしまったみたいな感じですと言われる方もおられまして、ちょっと市民の皆さんは寂しいんだろうなあというふうに推察しています。

 知事は、国会議員のときは宮前駅の周辺でもよく立っていらっしゃいましたし、宮前駅の朝の様子は御存じかというふうに思います。

 宮前駅は、三菱電機冷熱システム製作所へ通勤する人たちの通勤駅として大きな役割を果たしています。1956年に冷凍機の生産を始めて以来、主にビルや工場用で使われる空調機や冷凍機の製作所として業界をリードしてきました。

 2016年には製品企画開発部門、技術部門の集約とショールームが併設された技術棟も竣工し、開発力の維持強化を後押ししていると、三菱電機のホームページにそういうふうに書かれておりました。

 宮前駅は、三菱が発展するとともに乗降客が増加しました。また、和歌山工業高校、星林高校、桐蔭高校等の近隣の高校の高校生が利用して、宮前駅で自転車に乗り換えて通学するというふうなルートになっています。

 さらに駅周辺の道路、踏切、これは宮前小学校、東和中学校に通う小学生の通学路にもなっています。

 また、宮前駅の前の南北の道路は、安原・岡崎方面から市内に向かう車が渋滞しています。しかも道路は1車線で狭くて大変危険な状況なんです。踏切は斜めになっているので、車の通行とか自転車、歩行者で、ぱっと一発触発の状況というふうな感じなんです、朝は。もう本当に混雑してるんです。そこへ智弁に通う小学生の保護者が子供を送ってくるんですけど、駅には止めるところがないので、子供は、ぱあっと降りてぱあっと大急ぎで車を離れるというふうな状況なんです。

 朝の時間帯は特に混雑を極めて電車の通過のために踏切が閉まる、車、自転車、歩行者がもう踏切前で団子のようになりまして、踏切が今度開くと、車、自転車、人が入り乱れて混雑を極めて、その踏切を渡っていくわけです。もう事故が起こらないのは本当に奇跡だというふうに思います。

 また、宮前駅は無人駅でして、ホームが本当に狭くて、これ、車椅子とか体の不自由な人は大変、使えないというふうに思います。バリアフリーレスの駅です。しかもトイレもありません。宮前駅の乗降客は大体2882人というふうにこの間聞いたんですが、3000人を下回っているんですけど、多くの人は朝にすごい集中したりするので、大変なんです。

 地元自治会では宮前駅の改善を10年以上要求していますが、一向に改善の道筋が示されていないことに大きな不安と憤りを持っています。

 宮前駅の周辺道路は和歌山市の管轄ですので、和歌山市の回答は、JR宮前駅のバリアフリー化について協議検討を続けていきます、また道路については駅周辺の利用状況を調査し、歩行者や自転車の安全かつ円滑な通行に効果的なものになるよう検討していきますと回答してくれてるんですが、もう10年そんなことばっかり言ってます。

 私は、このままの形状では宮前駅を安全な駅に改善することは到底無理な話だと思います。ホームの幅を広げるといったってどこにどうして広げるんでしょう。トイレを設置するとしても、具体的な話は全く進んでいません。現在位置での駅の改善では安全については抜本的な解決策にならないのではと考えています。道路の形状や駅舎の移転も視野に入れ、都市計画も含めた総合的な設計が必要なのではないかと考えています。

 これ以上は専門的な分野ですので、専門家の方にもしっかりと意見をいただきながら進めていただきたいと強く願っているんですが、お願いしたいのは、主体となる和歌山市に、JR、地元、議会、行政が一体となって考えていただけるよう働きかけを、こっちとしても行っていきたいと考えているんですが、県としても、JR、それから国への働きかけ、市との協議にしっかり参画していっていただきたいというふうなことを強く要望したいというふうに思います。

 今回、ちょっと答弁を求めずに要望としたのは、市の取組がある程度なければ前に進めないというふうなことなので、県には宮前駅の問題を、JRがとても難しいんですけど、和歌山市と一緒に協議していただくとともに、その上で国への要望もしっかりとお願いしていただきたいというふうに思います。

 ちょっと要望で、私としてはまだ消化不良のところがあるんですが、以上で質問を終わりたいと思います。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○副議長(岩田弘彦君) 以上で、藤本眞利子さんの質問が終了いたしました。

 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。

 次会は、2月24日定刻より会議を開きます。

 本日は、これをもって散会いたします。

  午後2時33分散会

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