令和5年2月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(全文)


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令和5年2月 和歌山県議会定例会会議録 第6号

議事日程 第6号

 令和5年2月24日(金曜日)

 午前10時開議

 第1 議案第1号から議案第17号まで、議案第34号から議案第40号まで、議案第43号から議案第46号まで、議案第48号から議案第57号

     まで及び議案第59号から議案第75号まで(質疑)

 第2 一般質問

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会議に付した事件

 第1 議案第1号から議案第17号まで、議案第34号から議案第40号まで、議案第43号から議案第46号まで、議案第48号から議案第57号

     まで及び議案第59号から議案第75号まで(質疑)

 第2 一般質問

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出席議員(41人)

 1番 鈴木德久

 2番 山家敏宏

 3番 中本浩精

 4番 堀 龍雄

 5番 藤山将材

 7番 井出益弘

 8番 宇治田栄蔵

 9番 北山慎一

 10番 玄素彰人

 11番 中西峰雄

 12番 秋月史成

 13番 森 礼子

 14番 濱口太史

 15番 尾崎要二

 16番 冨安民浩

 17番 川畑哲哉

 18番 玉木久登

 19番 鈴木太雄

 20番 岩田弘彦

 21番 吉井和視

 22番 谷 洋一

 23番 佐藤武治

 24番 岩井弘次

 25番 中 拓哉

 26番 多田純一

 27番 新島 雄

 28番 山下直也

 29番 中西 徹

 30番 谷口和樹

 31番 藤本眞利子

 32番 浦口高典

 33番 山田正彦

 34番 坂本 登

 35番 林 隆一

 36番 楠本文郎

 37番 高田由一

 38番 杉山俊雄

 39番 片桐章浩

 40番 奥村規子

 41番 尾﨑太郎

 42番 長坂隆司

欠席議員(なし)

〔備考〕

 6番 欠員

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説明のため出席した者

 知事         岸本周平

 副知事        下 宏

 理事         田嶋久嗣

 知事室長       赤坂武彦

 危機管理監      福田充宏

 総務部長       吉村 顕

 企画部長       長尾尚佳

 環境生活部長     生駒 享

 福祉保健部長     志場紀之

 商工観光労働部長   寺本雅哉

 農林水産部長     山本佳之

 県土整備部長     福本仁志

 会計管理者      中家秀起

 教育長        宮﨑 泉

 公安委員会委員長   竹田純久

 警察本部長      山﨑洋平

 人事委員会委員長   平田健正

 代表監査委員     森田康友

 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫

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職務のため出席した事務局職員

 事務局長       出津野孝昭

 次長(秘書広報室長事務取扱)

            浜野幸男

 議事課長       長田和直

 議事課副課長     岩井紀生

 議事課課長補佐兼議事班長

            村嶋陽一

 議事課主任      伊賀顕正

 議事課主任      菅野清久

 議事課副主査     林 貞男

 総務課長       葛城泰洋

 政策調査課長     神川充夫

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  午前10時0分開議

○議長(尾崎要二君) これより本日の会議を開きます。

 日程に先立ち、諸般の報告をいたします。

 監査委員から監査報告がありました。お手元に配付しておりますので、御了承願います。

 日程第1、議案第1号から議案第17号まで、議案第34号から議案第40号まで、議案第43号から議案第46号まで、議案第48号から議案第57号まで及び議案第59号から議案第75号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、併せて日程第2、一般質問を行います。

 11番中西峰雄君。

  〔中西峰雄君、登壇〕(拍手)

○中西峰雄君 おはようございます。

 今回、私、最後になるんですけども、御存じのとおり。静かに去り行こうかというふうにも思ったんですけど、でも、せっかくですから、日頃自分が考えていること、思っていることを述べさしていただいて、最後にしたいなあというふうに思ってございます。発言の機会を与えていただきました議長様、そして、同僚・先輩議員の皆様方に感謝申し上げまして、質問を始めさしていただきます。

 まず、知事の基本的な考え方と給食費無料化について、私、この1点でございます。ここの中で、私が日頃思っていること、考えていることも交えながら、お話をさしていただきます。

 社会は、日本の国も多くの課題がございますけれども、日本は何といってもGDP世界第2位の経済大国です。また、日本は豊かで、世界で最も安定している国の一つだと思います。

 世界を見てみますと、欧米諸国あるいは世界の多くの国では、社会の分断とか暴動、大規模なデモ等の社会不安が見られますけれども、日本ではそういうことはありません。さらに、最近、凶悪犯罪がちょこちょこ出てきてますけど、そうは言っても世界の他の国々と比べると治安のよさはトップクラスだと思います。

 また、貧困の問題というのもありますけれども、飢え死にするというようなことはほとんどありませんし、国民皆保険のおかげで低所得層の人たちもひとしく医療を受けることができます。そのおかげもあると思うんですけども、新型コロナウイルスでの致死率も他の国と比べて大変低いというふうにお聞きしております。

 こういうことを見ますと、日本は本当にいい国だと思います。私も、日本に生まれて、あるいは、日本に住んでてよかったなあというふうに思います。そのせいかどうか、最近の若い人たちというのは、あまり海外に出たがらないというようなことも聞いております。

 その一方で、バブル崩壊から30有余年、リーマンショックからでももう15年、失われた30年とも言われる現状、伸びないGDPと賃金、GDPに関して言いますと、この30年の日本のGDPの伸び率は1.5倍です、30年たって。しかるに、アメリカは3.5倍、ドイツは2.3倍、中国は何と37倍も伸びております。アジア諸国もぐっと、もっともっと高い伸び率ですね。最近また言われております賃金に関しましても、日本は4.4%しか伸びておりません。実質賃金は下がってますよね。しかるに、アメリカは47.7%、イギリスでも44.2%、ドイツは33.7%、フランスも31%伸びております。これに加えて、止まらない少子高齢化。

 安倍首相と黒田日銀総裁によります異次元の金融緩和からも、もうはや10年がたちます。目標としましたデフレの克服と経済の好循環は未達のままです。残されたのは何かといいますと、GDPの2倍を超える国債残高、そして、その半分のみならず、日本の株式時価総額の3分の1を日銀がファイナンスするという異形の──異形です。異形の財政構造。

 こういう日本の現状を見ますと、日本はゆっくりと衰退しているのではないかという不安を感じます。山崎豊子さんの小説に「沈まぬ太陽」というのがありますけども、日本は、日いずる国ではなく日没する国、沈みゆく太陽ではないかという不安を感じます。

 現に、豊かさの指標であります国民1人当たりのGDP、これは、2000年には世界第2位でした。そこからずうっと落ち続けまして、現在27位です。今では、数年のうち、2~3年のうちに韓国や台湾にも抜かれるんじゃないかというふうに予測されてます。韓国にはもう抜かれた、為替の関係もあって、もう抜かれたというふうなことを言われてますからね。

 今年頂きました私の知り合いの高齢の方の年賀状に一言添え書きがありました、「若い人が気の毒です」。老い先短い自分はいいけれども、若い人の将来、日本の将来を案じていらっしゃるのだと思います。私も同じように感じます。

 なぜそうなのかと。いろんな原因があって、政治だけではないでしょうけれども、政治の在り方が大きいと思います。私は、地方政治という場から政治を見続けてきましたけれども、その私が思うに、日本の政治の特徴は、国も地方も優しい政治にあるというふうに思っております。どういうことかといいますと、世論を常に気にかけ、強権の発動はできるだけ避け、社会的弱者に対しても一定の配慮を怠らない政治、できる限り痛みを伴う急激な変化を避け、目先目先の痛みを手当てする政治です。

 強権の発動を抑えるということでは、マイナンバーカード普及に関する政府のやり方がいい例かなというふうに思います。制度が始まって、皆さん、何年たつんですか。7年たちます。その間、カードを持つか持たないかはあくまでも個人の判断に委ねて、巨額の費用を使ったマイナポイントで取得を促していますけれども、ようやく取得率は7割です。70%です。なぜこんなばかなことをやっているのか、私には理解できません。これも優しい政治の一つですよね。

 また、中小企業対策、福祉政策について言うと、特に日本の政治の優しさを感じます。この優しいというのは政治だけではなくて、日本の文化的特質、美徳でもあります。多くの日本人の行動、日常生活には、人に対する親切や優しさ、気配りがあります。政治もこの日本人の特質、美徳を反映しているのかもしれません。

 しかし、この優しい政治が社会の豊かさと安定をもたらしてきたと同時に、衰退を招いているというのが私の考えです。そこでは、解決すべき課題の根本的な原因の追求や政策効果の考察が軽んじられ、目先の手当てに走る傾向があります。

 昨今の少子化対策の議論を聞いていてもそう感じます。少子化の原因は幾つもあります。第1に、社会的、文化的な意識の変化です。結婚をして家庭を持つことが普通、社会の多数派であった時代ではなくなってきています。非婚率の上昇には、結婚できない、したくてもできないという人だけではなくて、結婚はしたくないという人が増えているというということもございます。

 さらには、子供は要らないという男女も増えています。あるいはまた、女性の高学歴化や自立、家庭や子育てよりも個人の自由を優先する価値観、ワンオペとも言われる男女平等でない家庭労働と子育ての女性への荷重、男女を問わず長い労働時間と通勤時間、いわゆるワーク・ライフ・バランスの取れない働き方、それに金銭的負担があります。「しろがねも黄金も玉も何せむに勝れる宝子にしかめやも」、これ、皆さんも御存じの山上憶良の歌ですけれども、そういう社会的空気が薄れてしまったということも大きな原因の一つです。

 また、成長しない日本経済も大きな原因です。最も大きな原因と言っていいかとも思います。リフレ派が期待した異次元の金融緩和は、賃金の上昇、経済の活性化という好循環にはつながらず、安い日本で給料が上がらないことが結婚や子供を持つことをちゅうちょさせています。

 最近になりまして、政府は、経済界に対して直接賃上げを働きかけるようになりました。一部の優良企業は政府の呼びかけに積極的に応じていますけれども、70%以上の被雇用者が勤める中小企業で給料を上げられるところは、果たしてどれだけあるかは疑問です。会社がもうからなければ賃上げはできません。結局のところ、会社がもうかるようになるために、国として、あるいは地方としてどうすべきかを真剣に考えて取り組むしかありません。

 少子化の原因は、多面的、多層的であるのに、金銭的負担を軽減すること、所得制限なしに児童手当を給付することが少子化の目玉であるかのような議論、医療費の無料化や給食費の無料化もしかり、いかがなものかと思います。費用に見合うだけの効果が期待できるとも思えません。

 民主党の子ども手当から、自民・公明両党の政権に移行してからの児童手当は大幅に拡充されました。今までは約1.9兆円の公費が充てられております。ところが、この巨額の児童手当があっても、合計特殊出生率は若干は伸びてるみたいですけども、子供の数は減り続けております。

 また、私は、医療費のときにも言ったんですけども、格差の拡大と貧困の問題をどう考えているかと思いますね。社会には、厳然として社会階層、経済格差、所得格差というのがございます。負担能力に応じて社会的費用を負担していただくというのは税の根幹であり、社会を維持する基本だと私は思います。一律に負担の無料化を図ることは、それに反するのみならず、負担能力のある人たちが負担を逃れ、その分、もっと手厚く手当てするべき人たちへの手当てが薄くなることにつながり、格差の拡大にもつながります。

 子供の医療費を無料化したり、給食費を無料化したりする自治体が増えています。それで若い人の流入が増えたとして、明石市が報道で取り上げられたりもしました。この明石市としては、明石市の人口政策としては正しいんだろうと思います。明石市というコップの中では正しいんでしょう。しかし、子供を持つ世代の奪い合い、ゼロサムゲームでしかないんではないですか。

 また、その費用は予算のやりくりで出しているということでしょうけれども、その大きな財布の国自体が3分の1以上を借金に、国債に依存した予算の中での地方財政のやりくりにすぎない。少なくともプライマリーバランスの取れた国家予算があって、その上で所得制限のない児童手当や子供の医療費や給食費の無料化をするならまだ理解できます。しかし、巨額の負債を将来世代に背負わせながら、社会格差、負担能力を無視した一律の児童手当、医療費や給食費の無料化は、私には到底理解できません。また将来不安を大きくするだけではないかなと思います。

 ところが、残念ながらと言います。残念ながら、子育ての金銭的負担を軽減する児童手当の一律給付、医療費の無料化、給食費の無料化は、子育て世代に優しい政治として、国から地方まで、あるいは自民党から共産党さんまで、今や社会のトレンドとも言っていい流れになっていると思います。こういうのを見てまして、私は、一体この国はどこに行こうとしているんだ、どんな国家、どんな国民をつくろうとしてるのか、自助の精神を軽んじ、何でも公助を求める国民、将来を考えずにポピュリズムに走る国になりつつあるのではないかと思います。

 少子化の原因はいろいろあるにしましても、最大の理由は、将来不安をもたらしている日本の異形な財政構造であり、低い経済成長と上がらない賃金です。これを変えない限り少子化は止まりません。これをどうするかをもっと真剣に考え、議論し、取り組むべきです。そこをなおざりにして、目先の痛み止め、目先の満足に走っているようにしか私には思えません。

 知事は、御自身の公約として給食費の無料化を掲げていらっしゃいます。これまで私がるる申し述べましたことを踏まえていただいて、どのような基本的観点から給食費の無料化を実現したいとお考えなのかお尋ねしたいと思います。御答弁よろしくお願いいたします。

○議長(尾崎要二君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。

 知事岸本周平君。

  〔岸本周平君、登壇〕

○知事(岸本周平君) ただいま中西議員から、大変格調の高い演説がありました。正直申し上げまして、私自身も中西議員と同じ問題意識を持ち、まさに我が意を得たりという思いでお聞きをさせていただいておりました。

 正直申し上げまして、私自身、国会議員のときに、財務金融委員会や予算委員会で、今、中西議員がおっしゃられたことと同様の議論をさせていただいておりました。しかしながら、なかなか国政の場では、与党も野党も含めて、今、中西議員がおっしゃられたような状況の中で、まさに私の発言は蟷螂のおのでありまして、そのことも国政からふるさと和歌山に戻る一つの私の──今、お笑いになられた方に対しては、本当なんです。私の思いとして、国政の場ではなかなか私一人が頑張っても、大きな国の流れを変えることはできないのではないかという思いがありましたことも事実であります。それで、ふるさとに戻って自分の力を試したいと思ったことも正直に申し上げたいと思います。

 例えば、コロナが起きたときに、1人10万円の給付が行われました。13兆円弱の、当時からすれば大変信じ難いような巨額の国家予算であります。一昔前なら、およそあり得ない政策でありました。

 実際に、野村證券の研究所が推計しましたところ、この1人10万円の給付の9割が貯蓄に回ったということでありました。生活に困ってない方にとっては10万円は貯蓄に回る。しかし、本当に困ってらっしゃる方には月10万円、1人10万円では何の足しにもならない。むしろ、同じ金額を使うのであれば、所得の低い方、職を失った方、困ってる方にもっと手厚い援助するというのが筋道であったろうかと思いますし、諸外国では、所得の低い方にピンポイントで、プッシュ型で、これは、もうまさに日本で言うマイナンバーカード、税務の記録が全部一律にICTで管理されてますから、本当に困ってる方にプッシュ型で資金を配っているわけであります。そのことに比べて、我が国のありようは大変憂うべき事態であろうかと思います。

 その上で、ただいま学校給食費の無償化についてお尋ねがございました。学校給食費あるいは医療費は、これは現物支給であります。国民に対するサービスには、現金給付と現物給付というものがあります。現金給付は、まさに、いささかばらまきの可能性があります。これについても中西議員おっしゃるとおり、これまで与党も野党も、さっき言った10万円も、これ、与党も野党も賛成したわけであります。むしろ、現金給付より現物給付のほうが同じ子育て世帯の経済的負担を軽くするにはふさわしいのではないかという基本的な考え方がございます。

 ただ、医療は、日本はフリーアクセスなんです。誰でも自由に病院に行ける。それは、無償化いたしますと大変膨大な医療費につながる。これは、まさに高齢者が医療費無料であったときの教訓であります。しかし、本当に和歌山県としては、乳幼児には必要だろうと、あるいは小中学生には必要だろう、こういうことで進んできてるわけですけども、これは、フリーアクセスと無償化の問題というのは一つの課題であります。

 一方で、給食は誰もが食べます。しかも、今、本当に子供の貧困ということが言われて、御家庭によっては給食しか栄養を取る場面がないというお子さんもおられ、夏休み、冬休みの後は痩せて学校へ来られるような子供さんもおられるわけですから、学校給食というのは全ての方が食べていただける。これはフリーアクセスのような問題はない。これを現物給付でやっていくと。そうしますと、先般もこの場でお答えしましたように、学校現場、さらには、今、多くなっています行政での徴収の事務が軽くなる、事務費の軽減にもなるというふうな観点から、私としては、子育ての世帯の経済的負担を軽減するための現物給付の在り方として、これはやりたいというふうに考えたことでございますけれども、基本的な今おっしゃった日本経済あるいは財政の在り方についての中西議員のお考えには同意をさしていただくところであります。

○議長(尾崎要二君) 中西峰雄君。

  〔中西峰雄君、登壇〕

○中西峰雄君 1点だけ言わしていただきますけどね、貧困家庭に対しては、生活保護世帯であるとか援助家庭とかについては、これは給食費の減免制度というのがございます。だから、そこは全く配慮がないというわけじゃなくて、ここはやっぱり日本の優しい政治かなというのがございますので、そこはちょっと申し添えさしていただきたいと思います。

 これをもって、私の一般質問を終わらしていただきますけれども、これまで私をお支えいただきました橋本市の有権者、支援者の皆様に心から感謝申し上げますとともに、私を御指導いただきました議員諸兄、そして、職員の皆様に心から感謝を申し上げまして、私の一般質問を終わります。

 本日は、ありがとうございました。(拍手)

○議長(尾崎要二君) 以上で、中西峰雄君の質問が終了いたしました。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 9番北山慎一君。

  〔北山慎一君、登壇〕(拍手)

○北山慎一君 おはようございます。本日、2人目で登壇をさしていただきます自由民主党県議団の北山です。議長のお許しを得てますので、早速ですが、一般質問に入りたいと思います。

 まず、一つ目の項目、道路交通法の一部改正に伴う安全対策について質問さしていただきます。

 2022年4月、国会にて道路交通法改正案が可決されました。道路交通法とは、1960年(昭和35年)に制定され、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、及び道路の交通に起因する障害の防止に資することを目的とする法律になります。

 これまでも、道路交通における様々な情勢に対応し、改正が行われてきました。例を挙げますと、飲酒運転者に対する罰則の強化や、妨害運転いわゆるあおり運転に対する罰則の創設など、社会問題や交通情勢に応じての改正が行われたところです。

 今回、世代を問わず多くの方が利用する自転車が法改正の対象の一つとなり、2023年4月から施行されていくこととなります。

 改正前と改正後では何が変わるのか。4月1日からは、全ての自転車利用者のヘルメットの着用が努力義務となります。

 現在、ヘルメットの着用は、13歳未満の児童や幼児を対象としています。現状の道路交通法では、保護者の方は13歳未満の子供にヘルメットをかぶらせるよう努めなければなりませんとされており、道路交通法第63条の11の規定では、「児童又は幼児を保護する責任のある者は、児童又は幼児が自転車を運転するときは、当該児童又は幼児に乗車用ヘルメットをかぶらせるよう努めなければならない。」とされています。

 しかし、今回の改正で、ヘルメットの着用は全ての自転車利用者が対象となり、改正後は、自転車の運転者と同乗者は乗車用ヘルメットをかぶるよう努めなければなりません。

 ただ、着用は努力義務です。この努力義務ということがヘルメット着用の普及にどのくらいつながっていくのか、少し心配されます。

 先ほども申しましたが、自転車という乗り物は、あらゆる世代で多くの方が利用されています。多くの方が利用する乗り物ということですから、その分、多くの交通トラブルや事故も発生しており、時には死亡事故につながるケースも含まれます。

 自転車乗車中の死亡事故につながるケースの多くは、自転車利用者のヘルメット非着用が大半を占め、ヘルメットを着用していなかった人の死亡率は、ヘルメットを着用していた方と比べて、平成29年から令和3年までの5年間の合計で約2.2倍高くなっています。また、同じく平成29年から令和3年までの期間で見ると、死亡原因の約6割が頭部への損傷となっていることから、頭部を守るヘルメットを着用することがいかに大事なことなのかが分かると思います。

 そのような命を守るヘルメットの着用の推進をどのように進めていくのか、警察本部長、お答えください。

○議長(尾崎要二君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。

 警察本部長山﨑洋平君。

  〔山﨑洋平君、登壇〕

○警察本部長(山﨑洋平君) 議員御指摘のとおり、昨年4月27日公布の道路交通法の一部を改正する法律のうち、自転車利用者に対する乗車用ヘルメット着用の努力義務に関する規定が本年4月1日から施行されます。

 罰則はありませんが、法で定められた努力義務ですので、まずは、法を遵守すべき公務員が積極的に着用することから始めるべく、既に県庁内及び各市町村への働きかけを行っております。

 また、通学等で自転車の利用が多い学生に着用を促すため、教育委員会へ働きかけるなどの取組を行っているところです。

 引き続き、県民に自転車ヘルメット着用の重要性が理解され、着用が幅広く習慣づくよう、関係機関・団体と連携しながら広報啓発等に取り組んでまいります。

○議長(尾崎要二君) 北山慎一君。

  〔北山慎一君、登壇〕

○北山慎一君 答弁いただきました。

 次に、児童生徒の自転車のヘルメット着用に向けた取組について質問したいと思います。

 自転車は、児童生徒にとって通学などの移動手段に欠かせない乗り物となり、ほぼ毎日のように利用しています。

 県内の現状を見てみますと、園児や小学生においては、保護者の方がヘルメットをかぶるよう努めていただくなど、ヘルメットの着用を促しており、中学生においては、各自治体によって多少差はあると思いますが、中学校入学時にヘルメットを配付し、登下校時にヘルメットの着用を促し、もしもの場合に備えています。しかし、高校生におきましては、ヘルメットの配付はなく、登下校時、ほとんどの生徒がヘルメットを着用していないのが現状です。

 道路交通法改正が施行される4月1日以降は、ヘルメットの着用は努力義務となり、全ての自転車利用者がかぶるよう努めなくてはなりません。通学に利用されることの多い自転車。児童生徒の安全面を考えても、ヘルメットは頭部を守り、命を守る大変重要な防具となります。

 ヘルメット着用に関しての県教育委員会の考えと今後の対応、取組について、教育長にお尋ねいたします。

○議長(尾崎要二君) 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) ヘルメットについてでございます。

 現在のところ、中学生は、登下校時のヘルメット着用はほぼ徹底できておりますが、高校生や登下校時以外のヘルメット着用は進んでいない状況でございます。

 そこで、県教育委員会では、本年4月から施行される自転車ヘルメット着用の努力義務化に当たり、関係部局と連携して作成した啓発用チラシの配布と文書でヘルメット着用を周知してきました。

 また、これまでも、県内全域において、毎月2回、学校、警察、関係部局と連携した自転車安全運転街頭指導を合同で実施し、特に高校生へのヘルメット着用推進を呼びかけてきました。

 県教育委員会としましては、全ての児童生徒のヘルメット着用が進むように、関係部局とも連携しながら、交通ルールの遵守と交通マナーの高揚に向けた取組を進めてまいります。

○議長(尾崎要二君) 北山慎一君。

  〔北山慎一君、登壇〕

○北山慎一君 答弁いただきました。

 ヘルメットに関しては、安全面を考えると、非着用より着用しているほうがいいということは言うまでもありません。それは、自転車を利用する全ての人に言えることであります。

 しかし、ヘルメットの着用が時には苦痛に思うことや抵抗を覚えることなど、そんな状況もあるのではないでしょうか。例えば、夏場の気温が高い猛暑の日に、通気性の悪いヘルメットを着用することで頭が蒸れ、汗をかいたりし、不快な思いをすることや、ヘルメットをかぶることにより、スタイリングやセットした髪型がくしゃくしゃになり悲しい思いをしたりと、そのように思う方もいるのではないでしょうか。そういった方も少なからずいるということも十分に理解し、ヘルメット着用の推進を慎重に進めていただきたいと願います。

 今現在、ヘルメットを着用していない方、そこには高校生も含まれてくると思いますが、今かぶっていないヘルメットを着用することにすごく抵抗を感じる人もいるのではないかと思います。そのようなこともあり、児童生徒も含む全ての自転車利用者へのヘルメット着用は、非常に難しい問題であると私は思っています。

 ですが、ヘルメットは、頭部を守るという大変重要な役割を持つ防具です。このことをいかに伝えていくのかが今後の大きな課題となってきます。ヘルメットの着用に抵抗がある方もいるということも念頭に置き、一方的な考えを押しつけることなく、県警察と県教育委員会、また関係部局とも連携を図り、ヘルメットの役割や重要性をしっかりと伝え、交通ルールや交通マナーを守ることの大切さも併せて周知していただくようお願いいたします。

 それでは、次の小項目、電動キックボードの安全対策についての質問に移ります。

 皆さん、電動キックボードという乗り物を御存じでしょうか。電動キックボードとは、モーターとバッテリーを搭載した電気を動力に公道を走れる新たなモビリティーとして2020年から2021年頃に普及してきたコンパクトで小回りの利く乗り物です。時にはキックスケーターとも呼ばれたりもしています。その電動キックボードについて質問していきたいと思います。

 先ほども申しましたが、2022年4月、国会にて、道路交通法改正案が可決されました。電動キックボードは、これまで原動機付自転車いわゆる原付として区分されていましたが、この改正において、特定小型原動機付自転車、略称・特定小型原付という車両区分が新設されたことにより、特定小型原付の条件を満たす電動キックボードは、16歳以上であれば運転免許は不要、さらに、ヘルメットの着用は努力義務での運転が可能となりました。

 電動キックボードの新ルールは、2023年7月から施行されることとなっており、2023年7月以降は、実際に公道での走行が可能となります。今現在は新ルール適用前となっているため、電動キックボードは原付バイクと同じ扱いとなり、運転免許やヘルメットの着用など、幾つかの条件を満たさなければなりませんが、新ルール適用以降は条件が変わるため、利用者が増えていくことが予想されます。免許がなくても利用できる。これは、今回の道路交通法の大きな改正点の一つであり、この改正により手軽に使える乗り物として電動キックボードを利用する人が増えていくのではないかと私は思っております。

 電動キックボードが普及すれば、様々な世代の方の移動手段が増え、使い方により大変便利な乗り物になるのではと感じており、私も、機会があればぜひ乗ってみたいと思っております。さすがに登庁するのに使用するのは無理がありますが、岩出市内などの住宅街で車を止めるスペースがないようなところでは活躍するのではないかなどと考えており、いろんな場面での活用の仕方があるかと思います。

 私が今回の質問で言いたいことは、そのいろんな場面での電動キックボードの様々な活用方法云々を言いたいわけではなく、電動キックボードを利用することで、これまで以上に事故や交通トラブルが発生してしまうおそれがあるのではないかということです。

 先ほどにも述べましたが、2023年7月以降は免許が不要となります。免許が必要ということであれば、免許を取得するために教習所等に通い、運転技術や交通ルールを学びます。その後、試験を受験し、合格となれば免許証が交付され、公道を走ることとなります。

 加えて、免許を有する方は、3年ないし5年に1度、免許証の更新もあり、改めて交通ルール等に触れる機会があります。しかし、免許を持たない方においては、交通ルールを学ぶ機会が少なく、標識や標示物、また、交通ルールをよく理解できていないこともあるかと思います。電動キックボードが免許不要の乗り物であることを考えれば、当然、そのような状態で運転する利用者もあると思います。手軽で便利な乗り物である電動キックボードの利用者が増えていく状況になれば、必然と事故や交通トラブルの発生も増えていくのではと懸念いたします。

 今回、電動キックボードが区分される特定小型原付の速度制限は、時速20キロ以下と定められました。時速20キロ以下で走行する乗り物とはいえ、一定程度のスピードは出ます。それに加え、ヘルメットの着用は努力義務。着用しない利用者ももちろんいるでしょう。公道を走れば、歩行者や自転車、また、バイクや自動車なども行き交い、交通量の多い道路など、危険な箇所もあるでしょう。また、そのような走行に関する問題に加えて、電動キックボードの置き場所や盗難に対する備えなど、利用者が増えるにつれ、様々な問題も出てくると思います。

 電動キックボードを利用する年代は、恐らく10代や20代が中心になってくると思われますが、2023年7月以降の電動キックボード利用者に対する安全対策や規制など、本県ではどのように展開していくのか、警察本部長、お答えください。

○議長(尾崎要二君) 警察本部長。

  〔山﨑洋平君、登壇〕

○警察本部長(山﨑洋平君) 議員御指摘のとおり、昨年4月27日公布の道路交通法の一部を改正する法律のうち、特定小型原動機付自転車、いわゆる電動キックボード等に関する規定が本年7月1日に施行予定となっております。

 本県においても、電動キックボード等の利用者による交通事故や交通違反が懸念されるところではありますが、具体的な取締り方法や安全教育の在り方等については、警察庁において、現在、検討が進められていると承知しております。

 県警察といたしましても、これら警察庁における検討を踏まえつつ、7月1日の施行に向けた準備を着実に進め、電動キックボード等をめぐる交通安全対策に万全を尽くしてまいります。

○議長(尾崎要二君) 北山慎一君。

  〔北山慎一君、登壇〕

○北山慎一君 答弁いただきました。

 2023年7月の施行までまだ日数はありますが、警察庁の動向や状況をしっかりと注視し、施行日に備え、交通トラブルや事故が発生しないよう、交通安全対策に取り組んでいただくようお願いいたします。

 それでは、次の項目、県内の病児保育の実施状況及び取組状況について質問していきたいと思います。

 この質問は、令和2年2月定例会において一般質問をさせていただいた項目となりますが、今回、改めて質問させていただきたいと思います。

 まず、病児保育を簡単に御説明いたしますと、病児保育とは、通園や通学をしている子供が体調不良や病気になったとき、仕事を休めない親に代わり、保育士や看護師、栄養士などの専門家が施設で子供を預かり、保育や看護を行う事業のことを指しております。

 近年、核家族化がより進み、共働きの家庭も増え、子育て環境は一昔前とは大きく変わってきました。その変化とともに、子育て支援の在り方も、それに対応していかなければ子育て支援につながらないと私は感じております。子育て世代はどのような支援を求めているのか、何を望んでいるのかなど、そういった要望や思いに着実に応えていくことが充実した子育て支援の近道なのではないでしょうか。

 この質問を再度するのは、やはり私の中で、病児保育なども含めた子育て環境をさらに充実させていくことがより子育てしやすい環境につながり、ひいては子育て世代の定住や移住の呼び水にもつながっていくと感じているからであります。

 人口減少や少子化問題は、本県にとって重要課題であることは皆様も御承知のことかと思いますが、国においては、2023年4月に発足するこども家庭庁の設置の動きや、岸田総理が年頭の記者会見において、「異次元の少子化対策に挑戦する」と述べられたことなど、国は、さらなる子育て支援や子供政策の強化を図ろうとしています。

 そのようなことから、今後は、社会全体が今まで以上に子育てをよくしていく流れになっていくものと思います。その時流に乗り遅れることなく、本県でもさらなる子育て支援に取り組んでいかなければなりません。

 私が令和2年2月定例会で、安心して子育てができる環境整備につながる取組の中の一つである病児保育、中でも特に病児対応型の施設の充実は、仕事と子育ての両立に大変重要となるため、今後、どのように取り組んでいくのかを質問させていただきました。加えて、要望として、さらなる病児保育の充実を図っていただくよう当局にお願いさせていただきました。

 当時の福祉保健部長が私の質問に対し、答弁で、「全市町村で利用できる体制を整えるため、新たな設置を促進するとともに、単独市町村で設置することが困難な場合は、近隣市町村との広域利用も働きかけている」と答弁され、特に病児対応型はニーズが高いと考えており、「引き続き、県全域で利用できる体制づくりを目指して取り組んでまいります」と答えられました。

 あれから約3年が経過しました。県内の病児保育の状況はどのようになったのか、また、病児対応型の充実に向け、どのような取組をしてきたのか、福祉保健部長、お答えください。

○議長(尾崎要二君) 福祉保健部長志場紀之君。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 児童が病気の際、自宅での保育が困難な場合に、病院等で一時的に保育する病児保育は、保護者の仕事と子育ての両立を図る子育て支援策として重要であると考えております。

 病児保育には、急変の心配のない病気の児童を病院等の専用スペースで保育する病児対応型、病気の回復期にあるものの、集団保育が難しい児童を保育所等の専用スペースで保育する病後児対応型、保育所等での保育中に微熱を出すなど、体調不良となった在園児に保健的な対応を行う体調不良児型があります。県内には、病児対応型が11施設、病後児対応型が8施設、体調不良児型が15施設設置されており、全体では30施設、県内21市町で利用できるようになっております。

 しかしながら、特に病児対応型につきましては、保護者からのニーズが高いにもかかわらず、保育士や看護師等の人的確保等が課題となり、設置が進みにくい状況となっており、令和2年度から、紀南地域における広域利用が開始され、令和3年度に新たに1施設が設置されましたが、県内11施設、17市町での利用にとどまっております。

 県としては、病児対応型について、引き続き、施設整備の補助金を活用し、新たな設置を促進するとともに、近隣市町村との広域利用を働きかけ、県全域で必要なときに利用できる体制を整えるよう取り組んでまいります。

○議長(尾崎要二君) 北山慎一君。

  〔北山慎一君、登壇〕

○北山慎一君 答弁いただきました。

 当局においては、前回、私が質問させていただいてからも、病児保育の、特に病児対応型の充実に向け、より取り組んでいただいているところですが、なかなか増えていないのが現状です。子育て支援の一つである病児保育、特に病児対応型の充実に向け、県内の全ての地域で共働き世帯が安心して仕事と子育ての両立ができる環境整備をさらに進めていくよう願います。福祉保健部長、よろしくお願いいたします。

 それでは、次の質問に移ります。

 本県では、2018年に、その先5年間の方針となる第3期和歌山県教育振興基本計画を策定、基本方針である「信頼される質の高い教育環境づくり」において、重点的に実施する取組として、きのくにICT教育を推進しています。

 このきのくにICT教育は、県内全ての公立小・中・高等学校及び特別支援学校において、発達の段階に応じて取り組む体系的なICT教育を行うもので、中でもプログラミング教育に関しては、国に先駆けて、開始時期を前倒しして2019年度から実施されています。その内容は、体験期、基礎期、応用期を校種ごとに位置づけ、ロボット教材の活用や県教育委員会作成の学習指導案を使用し、小・中・高等学校で体系的なプログラミング教育を行うというものです。

 また、ICT教育を行うには環境整備が不可欠であり、設備等のハード面においては、小中学校では、文科省のGIGAスクール構想により児童生徒1人1台端末や校内ネットワークなどの環境整備が整い、県立高校では、2020年6月議会の補正予算にて、生徒1人1台PC端末の導入が進められました。

 ソフト面においては、教職員へのICTに関するスキルや指導力向上の研修を行うことや、ICT支援員等サポート体制の構築など、ICTをフルに活用できるよう準備も進められ、現在に至っていることと思います。

 このように、現在は、ICT教育を行っていく環境は整い、それぞれの学校でICT教育が進められてきていると思いますが、1人1台端末の活用状況など、本県の小中学校におけるICT教育の現状はどのようになっているのか、教育長にお尋ねいたします。

 また、これまで、ICT教育を実施してきた中に課題や問題点はあるのか、今後はどのように展開していくのか、併せてお答えください。

○議長(尾崎要二君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 本県におけるICT教育の現状についてでございます。

 和歌山県では、独自のプログラミング教育のカリキュラムを構築し、令和元年度から、きのくにICT教育として、県内全ての学校でプログラミングの授業を実施しています。

 また、新型コロナウイルス感染症の拡大を契機に、各学校では1人1台端末を活用したオンライン授業の実施に取り組み、デジタル教科書やデジタル教材を用いた学習、グループで協働してプレゼン資料を作成する活動なども行っています。

 一方、学校間や地域間において1人1台端末の活用状況に差が見られるとともに、ICTを活用した授業実践等の達成感や展望を十分に持つことができない教員もいるなどの課題があります。

 今後は、市町村におけるICT環境整備等への助言に加え、ICTを活用した質の高い学びや教職員の働き方の改善などに取り組んでまいります。また、これらをより加速させるために、県教育委員会の体制強化を図ってまいります。

○議長(尾崎要二君) 北山慎一君。

  〔北山慎一君、登壇〕

○北山慎一君 答弁いただきました。

 ICT教育には、効率的な学習を行うことができることや生徒の情報活用能力を養うことができるなど、多くのメリットがあります。

 もちろんデメリットもあります。大きなデメリットとしては、やはり数年に1度、端末を含むICT機器の更新が必要になるということで、定期的に生じる大きな財政負担に対応していく必要がある、このことが一番大きなデメリットと言えると思います。

 ほかにも、故障時の対応に苦慮することや、情報漏えいにも気を配る必要があることなど、ICT教育には幾つかの問題点があります。そのデメリットな部分を少なくしていくことも、ICT教育を推し進めていく上での今後の課題になってくるのではと思います。

 授業の進め方や活用方法、また、数年後にやってくる端末の更新など、先を見据え、どのように進めていくのかをしっかり考え、今後も、よりよいICT教育を児童生徒が受けられるよう努めていただきたいと思います。1人1台端末が絵に描いた餅や宝の持ち腐れとならないよう、ICT機器を有効に使い、学力向上や教育の充実を図っていただくようお願いいたします。

 それでは、次の項目、放課後児童クラブの充実に向けた県の支援状況についての質問に移ります。

 放課後児童クラブとは、一般的に学童保育と呼ばれている施設のことを指し、法律としては、児童福祉法を根拠とした放課後児童健全育成事業として行われています。

 役割として、放課後や学校休業日の土曜日や夏休みなどに、小学校に就学している共働き家庭等の子供に遊びや生活の場を与え、子供の状況や発達段階を踏まえながら健全育成を図るものであります。加えて、学校や地域の様々な社会資源との連携を図りながら、保護者と連携して育成支援を行うとともに、その家庭の子育てを支援する役割も担います。

 この放課後児童クラブの設立・運営は、公設公営、公設民営、民設民営の三つの形・スタイルがあり、その設立の多くは公設で設置されており、各市町村の自治体が実施しております。

 共働き世帯が増えている現在、認可保育園などの待機児童は減少傾向にありますが、学童保育に関しては、登録児童数や待機児童は増加傾向にあります。厚生労働省が2022年12月23日に公表したデータによりますと、令和4年5月1日現在の登録児童数は、前年比4万3883人増の139万2158人で、過去最高を更新したとされています。この数字から見ても、放課後児童クラブの需要がいかに多いかが分かると思います。

 皆さんは、小1の壁という言葉を耳にしたことがありますでしょうか。共働きの家庭では、就学前は子供を保育園に預けることができたり、会社でも時短勤務が認められていたりと、育児と仕事の両立が可能だったものが、子供が小学校に通うようになると、これらの支援を受けられなくなってしまい、育児と仕事の両立が難しくなってしまう、このようなことを小1の壁といいます。結果として、預け先がないため、母親が仕事を辞めたり、正規雇用から非正規雇用に変わらざるを得ない状況を強いられるなど、共働き世帯にとって、小学校に上がるときの育児と仕事の両立問題が大きな悩みとなっています。

 預かる場となる放課後児童クラブは、遊びや生活の場としての機能を備えた専用区画を設けるよう求められており、その面積は、子供1人につきおおむね1.65平方メートル以上、約畳1畳分の広さとなります。また、一つの支援のクラスを構成する子供の数はおおむね40人以下とするよう定められています。そのような条件もあり、放課後児童クラブで預かれる子供の数にも限りが出てくるため、希望者全員が学童保育を利用することのできない状況にあります。学童保育を希望しても入れず、利用したくても利用できない児童は、本県でも多くいると思います。

 放課後児童クラブの設置等は、基本、各市町村となっていますが、学童保育の充実を図るため、県ではどのような取組をしているのか、福祉保健部長、お答えください。

○議長(尾崎要二君) 福祉保健部長。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 放課後児童クラブに対する県の支援につきましては、施設整備に必要な経費や運営費の補助を行うとともに、放課後児童支援員認定資格研修や子育て支援員研修放課後児童コースを開催し、支援員や補助員の確保に努めております。

 その結果、県内の放課後児童クラブの数は、平成28年度の226か所から令和4年度では280か所に増加しており、送迎等により他の小学校区のクラブを利用できる場合を含めると、全体の92.6%の小学校区において利用が可能となっております。

 登録児童数につきましても、平成28年度の7790人から令和4年度で9810人に大幅に増加していますが、利用ニーズの急増等により、和歌山市や海南市などの都市部を中心に、令和4年5月1日時点で244名の待機児童が発生しております。

 待機児童の実態を分析したところ、244名のうち207名は4年生以上の高学年となっており、低学年や独り親家庭の児童などにつきましては、各市町において優先的に利用できるよう配慮しているところでございます。

 また、空き教室の確保、支援員や補助員の確保などに努めるとともに、夏休み期間を経て自宅で対応できるケースが増えることなどから、令和4年10月1日時点での待機児童数につきましては157名まで減少しております。

 いずれにしましても、県においては、希望者全員が放課後児童クラブを利用することができるよう、特に児童数が増加傾向にある小学校区を持つ市町に対して、計画的な施設整備とともに、さらなる支援や補助員の確保について、引き続き粘り強く働きかけてまいります。

○議長(尾崎要二君) 北山慎一君。

  〔北山慎一君、登壇〕

○北山慎一君 答弁いただきました。

 共働き世帯が子育てをしていく中、安心して子供を預けられる場所があるからこそ、育児と仕事の両立が成り立っていくものだと思います。

 預け先がなく、家で一人で待つ子供がいたら、集中して仕事ができるでしょうか。学校が終わる時間が近づくにつれ、子供のことが気になってそわそわし、仕事が手につかないこともあるのではないでしょうか。

 共働き世帯にとって、放課後児童クラブが利用できるということは大きな支援となります。施設や教室の確保、また、支援員や補助員の確保など、課題や問題はありますが、学童保育は育児と仕事の両立を望む家庭の支えとなりますので、各市町村としっかりと連携を取り、一人でも多くの児童が利用できるよう、さらに取り組んでいただきたいということを強くお願いし、私の一般質問を終了したいと思います。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(尾崎要二君) 以上で、北山慎一君の質問が終了いたしました。

 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。

 この際、暫時休憩いたします。

  午前11時11分休憩

────────────────────

  午後1時0分再開

○副議長(岩田弘彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 39番片桐章浩君。

  〔片桐章浩君、登壇〕(拍手)

○片桐章浩君 こんにちは。議長のお許しをいただきましたので、早速ではございますが、一般質問を行わさしていただきます。

 岸本知事就任時の訓示、皆さん御存じのように、「県庁の中では『前例がありません』という言葉は禁句にします。前例はつくるもので、私たちの仕事は前例をつくるものです」というすばらしいコメントがありました。前例はないとは言わない、つまり困難と思われる県政の課題に対しても、やろう、やってやろう、そういう気持ちで県民の皆さんの笑顔のために全力で県政に邁進する、そういったこと、姿勢を求めている言葉だと思います。

 そんな課題の一つが、脱炭素社会に向けた取組です。知事の県議会開会の挨拶にもありましたが、これは極めてチャレンジャブルな知事の姿勢に県民が、皆さんが期待しているものだと思います。

 ただし、これは非常に効果が見えにくいもの、やっていても盛り上がり感に欠けるという取組でもあり、その点、意識向上が難しさがあります。

 特に、中小企業の比率が高い我が県では、企業は温暖化防止対策に投資する費用の捻出が難しいと思うので、県主導にならざるを得ない経営環境であると思います。そのため、このテーマの推進は、県主導でやるか、投資を呼び込むか、このどちらかだと思います。

 脱炭素社会の実現に向けた県の動きを感じると思わせるような取組が必要で、今さら太陽光発電の導入と言ったところで、誰も「県はよくやっているなあ。進歩性があるなあ」と思わないばかりか、むしろ「今頃」という感じがあるかもしれません。

 今からやるなら、例えばRE100の工業団地を造ること、洋上風力発電の建設など、難しいことにチャレンジする姿勢が求められる、あるいは、求められる以上にその姿勢が期待されていると思います。その姿勢がなければ、掛け声だけで変わらない。この政策を具体化に推進することは極めて重要だと思います。

 脱炭素社会に向けた和歌山県の取組について、環境問題に取り組んでいるメーカーやグローバル企業との取引に必要なRE100のエネルギーを使うことの支援などがあり、県内企業活動を支えることも考えていますが、大型の再生可能エネルギーの投資を呼び込むことまでには踏み込んでいないようには思います。県主導の予算出動とともに、民間企業に投資を促す取組が必要だと思います。

 そこで、この観点から、今回は洋上風力発電についての質問を行います。

 岸本知事知事選の公約の一丁目一番地となったものが、恐らく南海トラフの巨大地震など大災害から県民の命と財産を守る、この1点、それから洋上風力発電だったというふうに記憶してございます。

 洋上風力発電は、陸上風力発電よりも投資額が大きく、かつこの事業は建設時だけではなく、運転開始以降も地元雇用があり、メンテナンスや観光振興など、毎年、数十億円の経済効果が期待できるものです。地元同意の課題などあるものの、秋田県、千葉県、そして長崎県でできているのに、和歌山県でできない特別な理由はあるのだろうかなというふうに思います。

 加えて、関西で洋上風力発電の適地性があるのは和歌山県だけで、立地すれば港湾を基地港として利用できる、そういうことも期待できると思います。

 基地港湾は、発電設備の重厚長大な資機材を扱うことのできる高い耐荷重性を持った岸壁、長尺資機材の保管、組立てが可能な規模の荷さばき地を備えた埠頭を有する港湾が必要で、国土交通大臣による、これは指定が必要となるものです。

 基地港湾というものは、地域の産業の発展や新しい産業の呼び込みにもつながることから、関西で最初に洋上風力発電を立地することが和歌山県にとってとても重要だと思います。

 以前、一般質問で、なぜ和歌山県に洋上風力を進めるべきかという理由を述べましたが、新知事にもこのことを伝えさせていただきたいと思います。

 一つ目です。これまで促進区域で指定された海域、これは長崎県五島市沖を除き、ほとんどが50ヘルツ地域に立地される予定であり、千葉県銚子市を除き、日本海側に集中をしております。電力消費地から遠い海域が多く、そのような海域の案件では大規模な送電線の増強が必要になりますが、和歌山県の場合はそれは必要ではないと思われます。和歌山県における洋上風力発電の候補海域は60ヘルツ地域であり、太平洋側に立地することや、消費地まで大規模な送電線の増強が不要となる、これが一つ目の理由です。

 二つ目の理由です。直接的には、建設工事、メンテナンスなどの分野で地元雇用が増えます。間接的には、ホテル、飲食、観光、第1次産業にも好影響を与えます。

 三つ目。予算と3年という期間をかけて、県内外、多くの人たちの協力の下、洋上風力発電導入のためのゾーニングマップ及び報告書が完成されており、洋上風力発電を推進する準備、環境が整っていること。

 四つ目。和歌山県は、大規模災害などの有事に備えて県内に大型発電所を持つ必要があります。和歌山県は、以前、電力輸出県でしたが、現在は電力輸入県になっています。産業と県民経済に必要な大型電源を持っていない県という不安定な状況にもなりかねず、大規模電源として導入が期待される和歌山県産の洋上風力発電は、和歌山県のエネルギーの安定供給に資すると考えます。

 五つ目。国においても、昨年2月のロシアによるウクライナ侵攻以降、エネルギーの安定供給の確保が世界的に大きな課題となる中、GXですね、これを通じて、脱炭素、エネルギーの安定供給、経済成長の三つを同時に実現すべく、本年、今年2月10日にGX実現に向けた基本方針を閣議決定しており、エネルギーの安定供給の確保に向け、徹底した省エネに加え、再エネや原子力などのエネルギー自給率に資する脱炭素電源への転換など、GXに向けた脱炭素の取組を進めることが定められております。

 洋上風力発電に関しては、導入拡大に向け、早期運転開始の計画を評価するインセンティブづけを行うなど、洋上風力公募のルールの見直しを踏まえ、2022年末に公募を開始したところです。

 さらに、排他的経済水域への拡大のため、制度的措置を検討している状況にあるかと思います。

 以上により、関西で唯一、洋上風力発電の立地可能がある和歌山県がこれを推進することで、西日本におけるクリーンエネルギー普及に多大な貢献となります。

 また、太平洋側に立地することで、エネルギーの安全保障上のリスク分散に大きく寄与することや、送電増強コストが非常に低く、他地域に比べて需要家の経済的貢献が強いことから、和歌山県での洋上風力発電の適地性は全国的に見ても希少性が高く、これは挑戦すべき事業だというふうに思います。

 そこで、洋上風力発電に関する知事の考え方についてお尋ねをしたいと思います。

 知事が公約に掲げ、脱炭素社会に向けた取組の一つとしての施策が洋上風力発電だと思います。和歌山県が世界的課題に挑める数少ないチャレンジあふれる事業なので、和歌山県の将来を思うと、十分検討に値する事業だと思います。和歌山県としてやれば実現可能性もある事業だと思いますので、洋上風力発電に関する知事の考え方をお聞かせ願います。

○副議長(岩田弘彦君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。

 知事岸本周平君。

  〔岸本周平君、登壇〕

○知事(岸本周平君) 片桐議員のただいまの質問にお答えを申し上げます。

 選挙中、私も再々申し上げておりましたとおり、脱炭素の社会になりましたときには、和歌山県はリーダーになれる県だと考えておりますし、ならなければならないと考えております。

 その中でも、洋上風力発電は、今後の大量導入が可能な再生可能エネルギーであり、脱炭素化を進めるためにも有効であります。投資規模や経済波及効果が非常に大きく、和歌山県でもチャレンジする意味があり、検討を進めていきたいと考えております。

 幸いにして、和歌山県周辺海域は、風況など、近畿圏内では随一のポテンシャルが高い地域であると認識しております。

 ただ一方で、事業の検討に当たりましては、当然のことでありますけれども、先行利用者をはじめとした関係者の理解を得て調整していくことが大変重要であります。

 このような課題を克服し、洋上風力発電事業を和歌山で実現していくためには、まずは、事業化を検討する発電事業者の皆さんに地元の理解や関係者との調整などに努めていただく必要があると考えております。

 我々県としても、事業者の活動をしっかりと後押ししながら、一歩一歩進めていくことが重要であると考えております。

○副議長(岩田弘彦君) 片桐章浩君。

  〔片桐章浩君、登壇〕

○片桐章浩君 それでは、この件の二つ目の項目になりますけども、知事から今答弁いただきましたが、過去から取り組んでる洋上風力発電に係る現在までの進捗状況はどうなっているのでしょうか。また、今後の取組について知事からお聞かせいただけたらと思います。

○副議長(岩田弘彦君) 知事。

  〔岸本周平君、登壇〕

○知事(岸本周平君) お答えいたします。

 現状、令和3年2月に、和歌山県としましては、洋上風力発電に係るゾーニングマップを公表いたしました。その後、和歌山県周辺海域での洋上風力発電事業に関心を持つ事業者からの問合せ、あるいは御相談が増加しております。

 したがいまして、事業者が予定される海域の先行利用者である、まずは漁業関係者の皆様に対し、事業に関する情報を公平に正確に伝えていただくことを目的に、和歌山県と県漁業協同組合連合会が連携をいたしまして、事業者が漁業関係者に接触する際の一元的な調整用窓口を設置したところであります。

 現在、幾つかの事業者がこの仕組みを利用して関係漁業者への説明を始めている状況であると認識しております。

 県といたしましては、今後、関係者の理解の状況などを見極めながら、一歩一歩進めてまいりたいと考えております。

○副議長(岩田弘彦君) 片桐章浩君。

  〔片桐章浩君、登壇〕

○片桐章浩君 知事からお答えをいただきまして、やっぱりこのチャレンジャブルな課題に、県政の課題というか世界的な課題にしっかりと対応していこう、進めようという気概すら感じるお答えをいただきまして、一緒にまた進められたらと思いますので、どうかよろしくお願いしたいと思います。

 続いて、2問目に入ります。

 県立高校からの連絡手段の在り方について質問さしていただきます。

 先々週、高校生の子供を持つ母親たちと懇談する機会があったときに、こういう意見がありました。学校からの不審者情報とか緊急を要する連絡を受けるには、メールアドレスを事前に登録しておく必要があると。今、お母さん同士、お父さん同士、保護者同士の連絡はLINEをはじめとするSNSが中心になっておりまして、アドレスをつくっていない、持っていない人も多いし、迷惑メールが届くこともあるので、メールアドレス設定していた人もカットしていると、こういう状況が多いというふうにお聞きしました。できたら学校からの連絡はSNSというんでしょうか、一番今汎用性の高いのはLINEだというふうに思ってますが、それに切り替えてほしいなあという意見がありました。

 それで、続けて、県立高校の生徒にも集まっていただいて、この問題について尋ねたところ、学校からは登録しておいたアドレスへの一斉メールが届くことになってます、しかし──同じような意見です──迷惑メールが多いので受信拒否にしている生徒も多いので、不審者情報などがあったとしても気づくというか知らないままもう帰宅している、情報伝達が遅れてるよと。今では、主にやり取りはLINEを多くの生徒が使ってるということなので、スピードとか利便性はSNSのほうが大きいので、できたらこちらに変更していただけたほうがありがたいかなと、こういう意見がありました。

 これ聞くまで、このデジタル化の社会において、学校では今も一斉メールを配信していること、知りませんでした。公立の小中学校、高校も多分同じだろうなあと、同じ仕組みだろうなあというふうにお聞きしましたけども、メールはもう今となっては古いツールなので、学校からの一斉メールは見直しの余地があると思います。ふだんはメールを使っていない保護者や生徒に対してメール配信をしても、必要な情報が届かないばかりか、肝腎な不審者情報などを受け取る時期が遅れてしまうこともあり得ます。

 社会一般を見ても、大人の社会を見ても、今、メールを使って情報交換とかコミュニケーションを図ってる人というのは、ないとは言いませんけど、少数派だというふうに思います。学校からの情報発信も時代に対応する必要があるのではないかなあというふうに思ったところであります。

 そこで、県立学校からの連絡手段の在り方についてなんですが、県立高校が不審者情報など、生徒や保護者に伝達する手段として一斉メールがありますが、アドレスを持っていない高校生、保護者が増えていることから、あるいはふだんはメールそのものを使わない高校生が多いことから、情報伝達についてはSNSの活用を図ることが時代の要請だと思います。

 県立高校からの連絡手段の現状、メール以外の活用はできないものか、教育長にお尋ねをいたします。

○副議長(岩田弘彦君) 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 県立高校からの連絡手段についてでございますが、各学校において、コロナ禍における臨時休校の連絡や不審者情報等、瞬時に情報を発信する機会が増えております。

 多くの県立高校においては、デジタルによる連絡手段を取り、そのほとんどは、現在、一斉メールの仕組みを採用してます。

 一斉メールの仕組みについては、届いていない子を個別に把握できるという部分もあります。

 こういったことによりまして、各家庭にとっては、学校との信頼関係に基づいて、正確な情報を適時に受け取ることができるとともに、学校の事務の簡素化、効率化にもつながると考えています。

 学校からの連絡手段につきましては、今後、情報技術の向上とセキュリティーも踏まえ、PTAなどとも相談しながら、議員御提案の方法も含め、各学校がより適切な方法を活用するように進めてまいりたいと考えております。

○副議長(岩田弘彦君) 片桐章浩君。

  〔片桐章浩君、登壇〕

○片桐章浩君 お答えいただきまして、僕もこの高校生の声を聞いてふっと思ったんですけど、確かに携帯でメールって何年もやってないのかなと、アドレスすら忘れてるような状況でして、恐らく知事も教育長も、今、携帯でメールでやり取り頻繁にしてるということはないと思います。高校生も同じ状況なので、やっぱり何でもそうです、一番使われてるものとか、そういったものの情報伝達が一番早いんですよね、気づきますし。そういった観点から、今、教育長、見直しを図っていくというふうなことがあって、多分なっていくんだろうなあとは思うんですけども、これもスピード感を持って対応いただけたらと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 続けて、3問目、全国大会の受入れと環境整備についてというところで質問に入らしていただきます。

 我が和歌山県は、いにしえの国書と言われる「古事記」、「日本書紀」に堂々と日本国創生の大舞台として記されております。紀伊半島は、古代から日本民族が生活し、集落をつくり、日本文化を根づかした日本の原点の地と言われております。そのあかしが、当県の食文化にあります。大地では五穀、野菜、果物が実り、豊かな海では魚があふれ、山では山菜が取れ、イノシシや鹿などのたんぱく質豊富な動植物が存在し、日本大陸で最も豊かな地であったからこそ、現在に引き継がれるなれずしなどの保存食、かつおぶし、しょうゆ、みそなどの発酵食品、これら和食文化が発達したのです。食は力を生みますから、県内各地に豪族が誕生し、紀伊の国がつくられてきたわけです。

 時は文化を育み、政による集団生活が全国に地方をつくり、やがて大和朝廷が成立し、現在は第126代、世界で最も長期にわたる元首・天皇をいただく国として、世界から尊敬されている国になっております。

 その天皇が、平安の時代に生きるための原点を肌で感じ、国の在り方を見詰め直す修行の道が紀伊半島の熊野三山を巡り詣でる熊野詣でありました。それが時を経て、熊野三山のほかに弘法大師・空海によって霊峰高野山が加わり、南北の参詣道として成熟し、現在、和歌山県が誇る「紀伊山地の霊場と参詣道」となって今日に至っています。

 このように、和歌山県は豊かな地であるとともに、神仏が宿る尊い場所であることから、徳川御三家の一つにも選ばれ、紀伊の国の紀州徳川家は、265年もの間、戦のない、世界で最も平和な時代を過ごせたわけです。

 しかし、その頃、海の外では、帝国植民地主義と化しており、日本国周辺はことごとく西洋列強に植民地化され、アジアで独立していたのは我が国だけでした。列強各国は、日本を植民地化するために不平等な条約を徳川幕府に押しつけ、それが基となって国内では不安定な国家危機となり、侵略されぬがために先人たちは多くの犠牲を払いながらも幕藩体制から明治政府に替えて開国し、数々の改革を成し遂げ、艱難辛苦の末、陸奥宗光が外務大臣となった明治27年7月16日にようやく不平等な条約を改正し、我が国の主権を認めさせ、国家の独立を保ったのであります。

 そのあかしが、今も外務省に堂々と建立されている英雄、陸奥宗光公銅像の姿です。

 この陸奥宗光を顕彰する会が、平成28年、県民有志で結成され、県内で活躍されています。参考までに、この会の会長は、元県議会議員の立谷先生でございます。

 この会が活動する中で、実行委員会の役員の方々が、平成30年の夏、坂本龍馬の家督を継承する郷士坂本家10代の坂本匡弘氏を和歌山にお招きし、懇談をしました。

 坂本家10代目は、「陸奥先生の御功績はすばらしい。陸奥先生は、海援隊以前からも坂本龍馬の側近として活躍してくれていたこともあり、龍馬ファンにとっても周知の存在で、陸奥先生のことなら全国の龍馬ファンの関心は大いにありますよ。龍馬を敬愛する人でつくられた全国龍馬社中に入って陸奥先生の御功績を広められたらいかがですか」と、この全国龍馬社中というこのグループに御推挙をいただいたわけであります。

 全国龍馬社中とは、全国至るところの坂本龍馬を敬愛するファンたちが結集し、龍馬のふるさと、高知県を中心に、我が国では北海道から九州までの126団体、海外におきましてはカリフォルニア、LA、カナダ、パリ、ドイツ、ブラジル、オランダ、台湾、上海、タイ、シンガポールなど17団体、世界合わせて現在143団体が今年で結成35年を迎え、これまで215団体の加盟記録を持ち、龍馬の名の下、国際交流を実践している一般社団法人であります。

 そんな坂本家10代目のアドバイスを受けて紀州宗光龍馬会を結成し、全国龍馬社中に加盟申請を行い、第197番目の龍馬会として平成30年11月30日に承認、同年12月8日の発足式に坂本氏は全国龍馬社中の常任相談役として立ち会ってくださいました。紀州宗光龍馬会が発足されたことによって、改めて全国龍馬社中に和歌山の団体が迎え入れられたわけであります。

 こうした経緯を経て、「全国大会を和歌山で」と熱い呼びかけを和歌山から全国龍馬社中に発信したところ、それに応じてくださり、令和6年に行う全国大会の開催地が和歌山県和歌山市になることが承認されました。

 その理由は、陸奥宗光が成し遂げた不平等条約改正が令和6年7月16日で130年を迎えること、また偶然にも、同年、陸奥宗光誕生180年を迎えること、そして何よりも賛同を得たのは、不平等条約の改正は当時の我が国の悲願であり、開国前の各藩がそれぞれの立場で貴い命を投げ出して明治維新を起こし、強い国となって不平等を改正するため、新国家建設に尽力したことです。

 徳川幕府、新政府側の薩長土肥、市井の庶民を含む全ての国民の大願であったのが不平等条約の改正であり、国民それぞれの願いを全国4万キロを歩いてまとめ上げたのが坂本龍馬直筆の「新政府綱領八策」でありました。この龍馬は、八策を数枚書き上げた10日後に暗殺されたと言われております。

 陸奥宗光は、龍馬亡き後、自立し、明治政府の一員となり、様々な苦労の末、国会、憲法、財政、軍備、そして最も難題であった外国の交際を議定す、外国との条約をただす、不平等条約を改正するという法の整備を達成していくのです。そうです。「新政府綱領八策」に記された課題を陸奥がクリアしていったわけであります。つまり、陸奥は坂本龍馬の願いを自分の糧として生涯をささげて、我が国のために生涯尽くしてくれたということが言えようかと思います。

 このような和歌山が誇る歴史から、第36回龍馬World in 和歌山が開催されることになりました。令和6年7月13日、全国大会及び交流会、14日、15日の両日、和歌山県内を旅するエクスカーションが企画されております。さきに言いました熊野三山巡りコース、霊峰高野山コース、陸奥宗光が歩いた南紀コースなどが企画されているところであります。和歌山県の和食文化、山の幸、海の幸を堪能してもらい、当県を知ってもらう絶好のチャンスが訪れると言えます。

 さて、ここで改めて訴えることは、龍馬が目指したのは我が国が列強と対等な関係の強くて尊敬される国になること、そのためには、列強との間で締結されている不平等条約を改正することを弟分である陸奥宗光が成し遂げたので、龍馬の夢を維新の志士たちが実現されたということです。

 和歌山大会で和歌山県からこのとき訴えるべきことは、龍馬が夢見た世界と対等で尊敬される日本国を実現したことを和歌山県から全国に発信すること、それが和歌山県が和歌山県で全国大会を開催する意義だというふうに理解していただきたいと思います。

 毎年各地で開催されているこの全国大会は、和歌山県に会ができたから当たり前にできたというものではなくて、長い時間をかけて各地の龍馬会に和歌山県開催への協力要請を行い、役員会で提案を繰り返し、和歌山県の熱意と情熱を認めてもらって、それなら和歌山で我々いこうじゃないかと開催が決定したものであります。

 歴史上の人物で最も人気の高い坂本龍馬の全国大会を和歌山県で開催することの経緯と、今述べました開催意義を感じてもらえるなら、これが快挙であると理解してもらえると思いますし、最初で最後の和歌山大会になるかもしれない、こういう大会であります。

 令和8年開催を求めている愛知県の、これは知立市というところがあるんですが、この林郁夫市長が、龍馬の命日に京都市で開催された坂本龍馬慰霊祭提灯行列に参加し、令和8年の全国大会の開催候補として強いアピールを行いました。このように、令和8年の開催候補地の市長がPRのために京都に訪れる、これぐらいの規模の全国大会であり、首長が誘致に積極的に行動しないと本来は実現できない、そういうレベルの大会でもあります。

 そして、この全国大会には、僕も何回か行きましたが、県知事、それから開催市の市長が必ず出席していただいて挨拶をしてくれる、これが通例となっているぐらいの大会でありますから、和歌山大会においても知事や和歌山市長にはぜひ参加していただきたいと思っているところであります。

 令和6年和歌山大会では、不平等条約改正130年、坂本龍馬と維新の志士たちの祈願達成130年の年であり、陸奥宗光伯生誕地である和歌山県で開催することは、和歌山県にとっても僕は名誉だというふうに思っております。龍馬が記した「新政府綱領八策」が実現して近代国家になったのは、維新の志士たち、そして陸奥宗光の存在があったからであります。

 この改正については、列強と対等の国と認めさせるために必要なものであったわけで、そのための大政奉還であり明治維新。失われようとしていた国家の主権を守るために国家体制を変えることこそ龍馬や宗光が命をかけて実現しようとしたことだと思います。

 若き日の龍馬と宗光が、「祖国を侮られたくない。守らなければならない」と語り合った熱い志と熱い魂がその後に奇跡を呼んだとすら思っております。迫りくる列強との戦いに備えて維新を実現さしたことは、我が国の歴史上で最も重要な出来事の一つであり、しかも維新が終わりではなく始まり。不平等条約改正までには、それから27年の年月を必要としていた。龍馬の願いを陸奥が実現させたことが、我が国の歴史で起きた奇跡だというふうに思います。

 このことに関して、知事も知っている歴史家、懇意にしてもらってる歴史家が、こういうふうに言いました。「片桐君、龍馬が大政奉還を主導したように思っているようだが、それは違うよ。陸奥宗光が龍馬を動かしていたんだよ。もっと歴史を勉強するように」と、このように叱られながら、実はこういったことを勉強さしてもらっております。

 その日から130年後の令和6年、和歌山県に、国内はもとより、世界17か国の各地の龍馬会から人が集まり、両雄の偉人を和歌山県で顕彰することになります。我が国の最も重要な出来事を振り返り、その精神を未来に生かしていくことを和歌山県から発信する機会を得ることができるのです。

 この不平等条約改正130年の奇跡の日に、和歌山県で開催される第36回龍馬World in 和歌山は、和歌山県にとっての文化、歴史、観光を発信する絶好の好機であり、和歌山県の魅力を全国、世界の歴史通の人々に訴える機会となろうと思います。

 全国大会と言いますけど、大げさに言うなら世界大会と言ってもいいかもしれません。何としてもすばらしい企画を策定して、和歌山県に、全国、世界の歴史ファンをお迎えしたいというふうに思っております。

 この大会、どういう方が来たか、ちょっとだけ触れさしていただきます。山口県の全国大会、これ開催されたときは安倍元首相が実は来賓として出席した上、基調講演も行っております。それほど注目を集めている大会が和歌山で開催されるということをぜひ認識していただきたいというふうに思います。

 そして、今回のテーマは、「龍馬と宗光 未来への伝言」、サブテーマは、「和魂、紀州和歌山にあり」、こういうことになったことが実は決議されておりまして、これは非常に美しい言葉だと僕は思ってます。和魂というのは、日本の心、日本人の魂のことを指します。和の魂は和歌につながりますし、その和歌とは、日本の春夏秋冬の季語を用いて心を歌う、我が国の情緒を表した古代から歌い継がれてきた教養であり、美の文学でもあります。

 つまり、和歌山県とは、優しく日本の心を表現した、品格あるすばらしい県名なのです。和歌山県に誇りを感じるような県名の由来ですから、和歌山大会では、和魂、すなわち和歌山県は日本の源流であることを国内外にこの機会に訴えていきたいというふうに思います。

 そこで、質問です。

 前知事にも再々尋ねたことなんですが、ふるさとの偉人、近代日本の礎を形成し、不平等条約の改正を実現し、近代外交史にとどまらず、日本史そのものに光り輝く功績を残したふるさとの偉人、陸奥宗光外務大臣のことについて知事はどうお考えになる、どう思っていますでしょうか。

 また、第36回龍馬World in 和歌山は、龍馬の遺志をふるさとの偉人、陸奥宗光が引き継いで不平等条約が改正を実現したことから誘致できたものなので、和歌山県で開催されることについて知事のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

○副議長(岩田弘彦君) 知事。

  〔岸本周平君、登壇〕

○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。

 今、片桐議員御指摘のとおりでありまして、陸奥宗光は、駐米公使としてアメリカに赴任しましたときに、メキシコとの間に我が国初の対等条約であります日墨修好通商条約を締結されました。そして、第2次伊藤内閣では、外務大臣としてイギリスとの間に日英通商航海条約を締結したところであります。

 また、伊藤首相と共に下関での清国との講和会議に出席し、日本にとって有利な条件で戦争を終結させる日清講和条約の調印も成功させているわけであります。

 坂本龍馬も「独立して自らその志を行うを得る者は、ただ余と陸奥のみ」というふうに評されていることは、大変有名な言葉であります。陸奥宗光が存在しなければ、欧米諸国と対等な近代国家日本の成立がはるかに遅れていたと歴史家が評するほどであります。我が国の外交史上において不滅の名を残す人物であり、尊敬すべき偉大な郷土の先人の1人であると認識しております。

 ちなみに、衆議院和歌山県第1区の初代の代議士は、陸奥宗光であります。比べようもありませんが、私自身、その末端につながる者として、仰ぎ見る先輩として認識をしているところでございます。ちなみに、和歌山県議会初代議長は、濱口梧陵さんでございます。

 令和6年に開催されるというふうに、今、片桐議員から御紹介ありました龍馬World in 和歌山につきましては、現在、その詳細な内容等について承知しておりませんけれども、多くの方々にお越しいただき、偉大な先人である陸奥宗光の功績を知っていただくだけでなく、和歌山県の魅力を発信する機会になればと考えております。

○副議長(岩田弘彦君) 片桐章浩君。

  〔片桐章浩君、登壇〕

○片桐章浩君 ちょうど日経新聞を見ていますと、(新聞のコピーを示す)3月1日から「陥穽」というタイトルで「陸奥宗光の青春」というのが連載されるということになっておりまして、御存じのように和歌山県出身の辻原さんが作を書くということで朝刊に連載される。これは和歌山県にとっても追い風だと思いますし、歴史と文化を発信する機会が訪れると思いますので、ぜひこういったことも機運に乗って和歌山を歴史で盛り上げていただきたいというふうに思っております。

 そして、もう一つ、岸本知事が初登庁したとき、僕も県庁正面に行かしていただいたんですが、非常に印象に残る言葉を発してくれました。「県職員さんが選手であり、県議会議員が監督です。知事はそれをコーディネートする立場なので、一緒に県政をつくり上げていきたいと思います」、こういう趣旨の言葉だったと思います。間違いないです、手帳に書いてますから。このような発言があったと思います。知事をはじめとする行政組織と、県民の代表である県議会が政策議論を重ねて県政をつくり上げていく、これの大事さを十分認識していただいた上で我々に投げかけてくれた言葉だと思いますので、今回もその提案をさしていただいた次第であります。

 ぜひ和歌山県が何らかの形で参画していただきまして、国内外、世界から訪れている方々をお迎えするお手伝いというんでしょうか、主導的役割を県にお願いし、参画できるような検討をしていただけたらなあと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 それから、この項目、二つ目になります。受入れ側の環境整備についてであります。

 私は、外国からお客さんをお迎えするときに、和歌山城に隣接している岡公園に案内することが度々あります。地元の我々は岡公園というと、もう1分か2分で通り過ぎてしまう、素通りしてしまう、そういうふうな公園と思うんですが、外国から来た方は1時間も2時間も公園内を見て回りまして、質問たくさんしてくれます。

 こんな話をしてくれて、非常に僕も感銘を受けております。「人が造った全てのものには、造った人の魂が込められています。銅像や石碑などは、それを造るきっかけは必ずあったはずです。だから、造った人たちの志を反映した物語は、その地には必ずあるはずですが、それが語られていないと物語は消えてしまいます。和歌山県は、自ら誇るべき歴史に対してとてももったいない扱いをしているのではないかなと思います。現在において、物語として語られていない歴史は、造った人の思いが失われているということです。どうして語らないのでしょうか。なぜ歴史ある公園を素通りしているのだろうかと思います。地元にあるものを大切にしなければ、物語は語り継がれないのです。よいものがあるのに素通りでは地域はよくならないし、誇りにも思わなくなりますよ。ここに銅像や石碑があるということは、その当時に関わった人たちの志があるということです。それは、地元で決して失ってはならない物語なのです」。これ、日本人じゃなくて外国人の方がこういう言葉、言ってくれるんですね。これをちょっと肝に銘じなければならないと思います。

 そして、陸奥宗光先生の像、これ、岡公園に建立されておりますが、ここを案内したとき、ちょっと気づかない視点の話をしていただきました。「ここに陸奥宗光さんの銅像があるなら、この人はすごい人物だということですね。欧米では、国に尽くした人だけが銅像として建立されます。国家に尽くした人が銅像として建てられるので、ここに陸奥宗光さんの銅像があることを和歌山県は誇るべきだと思います。ところで、陸奥宗光さんは和歌山城を建てた人ですか。この銅像には英語の案内がないので、何の功績があった人なのか分からないんです。偉大な人物の銅像であれば、外国人観光客に知ってもらうために、英語表記、外国語表記の解説も必要ではないでしょうか」、このような話を聞かしてもらってる次第です。

 これまで僕が案内した外国人、和歌山市を案内したんですけども、聞かしてくれる話は、どれもこれも和歌山県人である我々が自信と誇りを持たしてもらうような話ばかりでした。外国だけではなく、全国からお客さんを迎え入れたときに、我々が物語を語れること、それがふるさとの自信と誇りにもなりますし、地域の財産とも言える先人の志や思いを失うことは実にもったいないことです。ふるさとへの愛着や誇りを失わないように、全国あるいは外国からのお客さんを和歌山に迎え入れたいというふうに思います。

 そこで、質問です。

 これまで外国からたくさんのお客さんを案内したときの話から、観光施設の環境整備と県外の人からの視点から、公園や歴史的建造物、銅像などの解説文をおもてなしの観点から、地元の人は分かっているという視点ではなく、知らない人が見たらどのように感じるだろう、知らない人にどう説明すべきだろう、そういう観点で見直すべきだと思いますが、インバウンドの再開、観光立県和歌山として必要なことだと思います。商工観光労働部長、いかがでしょうか。

○副議長(岩田弘彦君) 商工観光労働部長寺本雅哉君。

  〔寺本雅哉君、登壇〕

○商工観光労働部長(寺本雅哉君) 議員御指摘のとおり、インバウンドの受入れに当たっては、おもてなしの観点から、多言語による観光案内板の設置や観光施設の解説の充実など、観光地の歴史的・文化的意義を分かりやすく伝えられるような環境整備が重要です。

 観光庁におきましては、多言語対応強化に向けた統一的なガイドラインを公表しているほか、県では、観光施設整備補助金により、市町村が実施する多言語案内板等の整備に助成をしています。

 改めて、県内市町村をはじめとする関係者に対して、観光地の歴史的・文化的意義の解説等が分かりやすいものとなっているかどうか点検を促すとともに、観光施設整備補助金等を活用しながら、インバウンドの受入れ環境整備の充実が図られるよう働きかけてまいります。

○副議長(岩田弘彦君) 片桐章浩君。

  〔片桐章浩君、登壇〕

○片桐章浩君 全ての質問を終わらしていただきまして、答弁いただきましてありがとうございます。

 今回、実はボリュームが非常に多くて、前半からもうちょっと飛ばしたんで、岸本知事との話を、コミュニケーションを前半は図りたかったんですけど、ちょっと時間が余りましたのでお話しさせていただきますと、一般質問入ってから、今日、たくさんの方が議場にお越しに、多分40~50人ぐらいの方、来てくださってると思うんですけども、これは岸本知事のデビュー戦をどうしても議論を聞きたいという思いがあったかというふうに思います。

 テレビで見ている皆さんからの感想を見ると、きめ細かいというか前向きな県政に対する姿勢を感じられるというふうに意見を聞いてまして、非常に期待が持てるじゃないかという声を聞いて本当に喜ばしい限りですし、我々もそういう知事をいただいて、しっかりと県政の中で両輪の役割を果たしていきたいなあという気持ちを改めて思っている次第でございます。

 新しい和歌山県がスタートする令和5年度、岸本知事の下でたくさんの県民の皆さんが期待して応援していると思いますので、一緒に前に向いて進んでいける、いきたい、そういう思いを持って一般質問を今回さしていただいた次第です。

 ぜひ今後とも一緒に、輝く県政をつくり上げたいと思いますので、よろしくお願い申し上げまして一般質問を終わらしていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○副議長(岩田弘彦君) 以上で、片桐章浩君の質問が終了いたしました。

 質疑及び一般質問を続行します。

 2番山家敏宏君。

  〔山家敏宏君、登壇〕(拍手)

○山家敏宏君 こんにちは。

 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告書に従い一般質問をいたします。

 人口減少・少子化対策について質問いたします。

 皆様御承知のとおり、本県の人口は、令和5年1月1日では90万621人となっており、1年前の令和4年1月1日の91万1229人と比較いたしますと1万608人の減少となっています。人口が最も多かった昭和60年(1985年)の108万7000人の人口をピーク時に、年々減少しているのが現状であります。

 また、和歌山県長期人口ビジョンの目標値では、2030年の見込み値86万9000人、2060年では70万3000人としておりますが、現状の施策だけでは目標達成は不可能に思え、将来に対しての不安を拭えません。

 このような現状でも、ホームページでは、きいちゃんが「将来はもっと人口が減っていくようだから、社会のしくみをそれに合わせていく必要があるねっ!」と、吹き出しで他人事のように言っています。そんな次元ではないだろうと突っ込みたくなりますが、そのようなことにならないためにも、県では、目標達成に向けて様々な人口減少・少子化に対しての施策を行っています。

 その中の重点施策の一つである地方移住を呼び込むための4方面戦略、個人移住、農林水産業の担い手としての移住、企業誘致に伴う移住、転職なき移住を柱としたわかやま移住定住総合戦略を行っていますが、取組状況について企画部長の答弁を求めます。

○副議長(岩田弘彦君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。

 企画部長長尾尚佳君。

  〔長尾尚佳君、登壇〕

○企画部長(長尾尚佳君) デジタル技術の進展によりテレワークが普及し、働き方の自由度が増したことで、地方移住への関心が高まっています。

 そこで、県では、これまで進めてきた個人移住に加え、農林水産業の担い手としての移住、企業誘致に伴う移住、転職なき移住をターゲットにして、仕事、暮らし、住まいに重点を置いた移住支援に取り組んでいます。

 まず、仕事と暮らしについては、地域の仕事と暮らしを実際によく知ってもらうため、約170の仕事メニューと、地域の方や先輩移住者との交流を併せて体験するお試し移住を実施しているところであり、移住者をさらに呼び込むため、若者や女性に人気のあるカフェやゲストハウスなどの体験ができるメニューを充実していきたいと考えています。

 次に、住まいについては、移住者の住まい探しを支援するため、空き家バンクの運営を行うとともに、空き家の掘り起こしにも積極的に取り組んだ結果、ウェブ上で利用者が閲覧できる物件数が昨年末に前年同期比約2倍の200件となったところであり、さらなる利便性向上のため、360度画像で家の内部が確認できる機能の活用なども進めてまいります。

 今後も、移住関心層に向けた情報発信や、これまで構築してきたきめ細かな相談体制、市町村のワンストップパーソンをはじめとした受入れ体制を充実強化するなど、総合的に取り組むことにより、移住者の獲得を図ってまいります。

○副議長(岩田弘彦君) 山家敏宏君。

  〔山家敏宏君、登壇〕

○山家敏宏君 取組状況は、よく分かりました。

 移住人口に対して、令和2年度から各市町村の住民票受付でアンケートを実施した結果、本県の移住者の定義である5年以上定住する意思がある方が毎年約1000人程度と聞いております。

 しかしながら、本県では基準を5年以上としておりますが、都道府県によって基準も様々であり、基準も設けていないところもあります。現状、他府県との比較もできず、本県の1000人が多いのか少ないのかも判断できません。現時点では難しいと思いますが、全国統一の基準が必要であると考えますので、その点を国に対しての働きかけをよろしくお願いし、次の質問に移ります。

 続いて、わかやま結婚支援の取組と実績を質問いたします。

 結婚支援として県主催の婚活イベントは、平成25年度から実施し、10年目が終わろうとしています。予算では、令和4年度821万円、令和5年度では2642万円計上されていますが、今までの取組状況と実績について福祉保健部長の答弁を求めます。

○副議長(岩田弘彦君) 福祉保健部長志場紀之君。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 県では、少子化の大きな要因である未婚化、晩婚化への対策として、結婚を希望する方の出会いの場を創出するため、平成25年度から結婚支援に取り組んでおり、趣向を凝らした会員制の婚活イベントを毎年10回程度、実施してまいりました。

 コロナ禍においては対面イベントの開催が制限されたため、1回当たりの申込者数は、コロナ禍以前の令和元年度の118人に比べると、令和2年度、令和3年度の平均は15人で、87%減少してしまいました。今年度は、行動制限が徐々に緩和されたことに伴い、1月末現在で25回開催しており、平均申込者数は30人と回復傾向にあります。

 また、新規会員も令和元年度の305人に比べると、令和2年度、令和3年度の平均68人と、78%減少しましたが、今年度は271名と、回復傾向となっています。

 事業の成果として、平成25年から令和3年までの参加者は3611人、そのうちカップルが成立した参加者が1100人で、カップル成立率は約30%、カップルが成立した1100人のうち、成婚に至った方が60人であり、成婚率は約5%となっております。

 県としましては、参加者数をさらに増やし、成婚率を向上させることを目的とした予算を今議会に上程しており、会員が簡単にイベントに参加できるようにサポートするシステムの導入や、イベント参加から成婚に至るまで、婚活の専門家による会話術、ファッションのアドバイス、相談対応など、丁寧なフォローアップを実施してまいりたいと考えております。

○副議長(岩田弘彦君) 山家敏宏君。

  〔山家敏宏君、登壇〕

○山家敏宏君 カップル成立率は約30%、成婚率は約5%とのことですが、委託における仕様書上の目標成果指数では、カップル成立率40%以上、カップルの成婚数は年間3組以上となっています。

 このように、カップル成立率は目標値に達していませんが、成婚率は令和3年度までの実績では30組60人とのことですので、目標は達成できています。

 しかしながら、この目標設定数をどのような経過で決めたのか、目標設定が適正なのか、また、仮にこの目標値が適正だとした場合でも、目標値に向かっての取組になっているのかと疑問に思う部分がございます。9年間で30組ということですので、累計予算からすれば、私の主観ですけども少ないと考える部分もあります。

 例えば、本県が婚活アプリと連携し利用した際の会費に対しての助成等を補うということも成婚率アップにつながる有効な一つの方法だと思いますので、一度御検討いただくようお願いし、次の質問に移ります。

 続いて、県における少子化対策の方針を質問いたします。

 1月23日の第211回国会において、岸田内閣総理大臣施政方針演説では、「こども・子育て政策は、最も有効な未来への投資です。これを着実に実行していくため、まずは、こども・子育て政策として充実する内容を具体化します。そして、その内容に応じて、各種の社会保険との関係、国と地方の役割、高等教育の支援の在り方など、様々な工夫をしながら、社会全体でどのように安定的に支えていくかを考えてまいります。 安心してこどもを産み、育てられる社会を創る。全ての世代、国民皆にかかわる、この課題に、共に取り組んでいこうではありませんか」と発言されております。

 私も、こども・子育て政策は最も有効な未来への投資だと考えております。

 本県の少子化対策においても、どのような子育て支援をするのかにも左右されますが、直接的に少子化対策につながるものと、つながらないものがあると思います。

 知事が決意表明で発言されました市町村の応援団となるボトムアップ型の県政も含め、既存の枠にとらわれない考えで実施していくことが急務であると私も考えています。

 そこで、少子化対策をどのような方針で行っていくのか、知事の答弁を求めます。

○副議長(岩田弘彦君) 知事岸本周平君。

  〔岸本周平君、登壇〕

○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。

 まず、冒頭、山家議員がおっしゃったこども・子育て政策は最も有効な未来への投資だという御発言につきましては、私も全く同感であります。

 そのことを申し上げた上でお答えしたいと存じますけれども、本県の令和3年の出生数は、人口動態統計によりますと5514人、前年比で3.8%の減少となりました。コロナ禍の2年間で婚姻数が大幅に減少したことによりまして、少子化はさらに加速する見込みとなっております。まさに重大な危機に直面している状況にあり、少子化対策を強化していかなければならないと考えております。

 一方で、少子化にはいろんな原因があるということは、この議会でのこれまでの質疑でもありましたとおりだと考えておりますが、その少子化の大きな原因の一つとして、未婚化、晩婚化があると思います。その背景には、出会いの機会の減少、子育てに係る経済的、身体的、時間的、さらには精神的な負担の重さや、若年層の都市部への人口流出、さらには雇用の不安定さなど、様々な要因があるかと存じます。

 県といたしましては、平成25年度より結婚支援に取り組んでまいりました。そして、子育て支援として、多子世帯の経済的負担をまずは軽減するということで、平成20年度より保育料の無償化、そして平成30年度より在宅でゼロ歳児を育児する家庭への支援の実施、それから国に先駆けて県独自に子育て世帯への経済的支援を進めたのが今の例であります。令和5年度には、妊娠から子育てまでの伴走型相談支援と経済的支援の一体的な実施や、物価高騰の影響を受ける子供食堂に対する食材費等の支援を実施する予定としております。

 結婚、出産を希望する方の希望をかなえるためには、もちろん経済的支援だけではなく、結婚や子育てをしやすい環境をつくっていくことが重要であろうかと考えております。そのため、保育所や放課後児童クラブ、子供食堂など、子育て支援の充実や、働き方改革による仕事と子育ての両立支援、若年層の雇用環境の改善など、様々な面での施策が必要となってまいります。そして、これを着実に進めることが、Iターン、Uターンの増加にもつながると思います。

 このような少子化対策は、無論、国や県だけで進められることではなく、住民に最も近い自治体である市町村との連携が不可欠であります。まさにその市町村を応援するボトムアップの県政を行っていく所存でございます。

 県としては、令和5年度の重点施策に上げました子供を育む環境づくりを軸といたしまして、産業の振興、活力あふれる地域づくり、安全・安心に暮らせる社会づくりなどを総合的に実施して、市町村と共に多面的に少子化対策に取り組んでまいりますので、御理解を賜りたいと存じます。

○副議長(岩田弘彦君) 山家敏宏君。

  〔山家敏宏君、登壇〕

○山家敏宏君 知事の答弁で、先ほども言うたんですけども、子育て支援と少子化対策、全てがリンクするわけではないなと私考えてるんですね。市町村によってもおのおの少子化対策がどういうもんがええかというのは、やっぱり違うとこもあると思うんで、引き続いて市町村と協力しながら少子化対策に取り組んでいっていただきますようにお願い申し上げます。

 続いて、紀州和華牛について質問いたします。

 紀州和華牛とは、プレミア和歌山にも認定されている、和歌山県内で飼育された黒毛和牛であり、ミカンジュースやしょうゆの搾りかすなどを1割以上飼料とし、ビタミン制限を行わず飼育されている牛です。また、ロースの脂肪量は通常の和牛より約1割少なく、ビタミンEは1.7倍多く含まれており、しつこさがなく、肉本来の味が楽しめる、とてもおいしい牛肉です。

 私も、昨年、初めてこの紀州和華牛を和歌山市の焼き肉店で食べさしていただきました。霜降り肉は好物ですけども、年齢とともに少量しか食べれなくなっていましたが、和華牛の場合、赤身部分が多く、サシが入った部分でもしつこくなく、いろいろな部位も一緒にたくさんの量を本当においしく頂くことができました。

 その後、プレミア和歌山にも登録されている紀州和華牛生ハンバーグを購入し食べたのですが、これも本当においしいハンバーグです。ぜひ皆様にも一度食していただきたいと思います。

 現在、紀州和華牛は、湯浅町山田地区で約220頭飼育されております。地元の方々と紀州和華牛の話をしたのですけども、ほとんどの方が紀州和華牛のことを知らないのが現状でありました。

 このような現状も踏まえ、湯浅町では、町内の飲食店の方々に和華牛ハンバーグを取り扱っていただくよう試食マッチング会を3月下旬に開催し、このマッチング会を皮切りに、地元焼き肉店での取扱いを目指していると聞いております。この和華牛ハンバーグを湯浅町の飲食店で提供できるようになれば、観光客誘客にもつなげていく取組をしていこうと考えているようです。

 しかしながら、まだまだ認知度が低いと思いますので、紀州和華牛の認知度を高めるための活動が今後も必要だと考えています。

 本県でも、紀州和華牛の知名度を広げるためのPR活動等を行ってはいますが、具体的にどのような活動を行っているのか、農林水産部長の答弁を求めます。

○副議長(岩田弘彦君) 農林水産部長山本佳之君。

  〔山本佳之君、登壇〕

○農林水産部長(山本佳之君) 紀州和華牛については、県では、牛舎の改修等への支援による生産基盤の強化を図っているところです。また、生産者、精肉店等で組織する紀州和華牛協議会と連携し、取扱店舗への販促資材の配布や、令和2年度にプレミア和歌山審査委員特別賞を受賞されたことから、テレビCM放映や路線バスのラッピング広告など、PR活動に支援を行ってきたところです。

 出荷頭数は、令和元年度に16頭でスタートし、今年度は60頭を超え、生産は順調に伸びています。

 また、県内の精肉取扱店舗なども12に拡大するなど、県民に味わっていただける機会も増えてきていますが、ふるさと納税の返礼品や店舗からの需要に追いついていない状況です。

 こうした状況を踏まえ、県では、紀州和華牛の生産拡大について引き続き支援を行うとともに、SNSやインターネットのグルメサイトへの掲載等のPR活動を強化するよう、協議会に働きかけてまいります。

○副議長(岩田弘彦君) 山家敏宏君。

  〔山家敏宏君、登壇〕

○山家敏宏君 引き続いてのPR活動、また紀州和華牛協議会、湯浅町との連携をよろしくお願いし、次の質問に移ります。

 続いて、鳥インフルエンザ対策について、鶏舎に侵入したネズミ駆除に対する補助を質問いたします。

 鳥インフルエンザは、今シーズンでは2月15日の時点で25道県76事例が発生し、約1478万羽が殺処分の対象となっています。また、本県では、11月11日に白浜町の家禽飼養施設において発生し、63羽が殺処分されました。また、11月30日には和歌山市の養鶏農場において発生し、4万2943羽が11月30日と12月1日の2日間で殺処分されました。

 鳥インフルエンザが確認されれば、鳥は殺処分され、焼却処理が行われます。次の鳥が入荷するまでの間、養鶏農家の方はほとんど仕事ができなくなり、自身の生活にも多大な影響が出てしまいます。そして、何より貴い鳥の命が奪われてしまうことも本当にやるせなく、また処分に携わっていただいている職員の皆様も同じ気持ちだと思います。

 鳥インフルエンザを未然に防ぐ観点から、本県では、畜産施設衛生管理強化支援事業を活用し、野生動物の侵入防止対策を行うことで、ウイルスを農場内に持ち込まない対策を講じるよう指導しています。

 しかし、既存の農場の場合、難易度が高く、100%侵入を防ぐのは不可能です。仮に、建築費用を除外視し、農場を新築した場合、建物を鉄筋コンクリート造にして、地下にはコンクリートのピットを設置して、地中からも野生動物を侵入できないようにすれば可能でありますけども、しかし、それだけの金額を投資した農場を建築することはあり得ないです。よって、県が補助している今の施設を改修して、侵入を防ぐ方法が現実的です。もちろん、先ほども述べたように100%は不可能でありますが、リスクを減らす観点では有効であると考えられます。

 先日、養鶏農場の方からお話を聞かせていただきましたところ、どの野生動物がウイルスを運んでくるかは断言できませんが、ネズミの侵入が一番恐ろしいと言っておられました。そのため、この農場では、殺鼠剤を使用している専門業者に依頼し、ネズミの駆除をしているとのことでした。なぜ専門業者かというと、自身で殺鼠剤を使い対応しているとこもあるそうなんですけども、ネズミは警戒心が非常に強く、定期的に殺鼠剤の種類を変えていかなければ対応できないので、専門業者に依頼しているとのことです。

 そこで、県の担当職員の方にネズミの駆除方法についてお聞きしたところ、野生動物の侵入については毎日点検するよう指導しているとのことでした。

 私は、侵入経路が判明した時点で、当然、野生動物がもう入ってきておりますので、既に手後れだと思います。最も重要な対策は事前に侵入を防ぐことですが、万が一侵入した後の対策を考えておくこともリスクを減らす観点から重要度は同じであると考えます。

 また、補助金額については、概算で試算したところ、県内100羽以上の農場が60か所、規模にもよりますが農場1か所につき専門業者の委託費が年間20万円程度と仮定した場合、事業費ベースで1200万円、3分の1補助として県負担は年間400万円であります。

 今後、本県で鳥インフルエンザを発生させないためにも、県が補助金対策を行うことでネズミ駆除対策に徹した農場が増加すると考えておりますけども、農林水産部長の答弁を求めます。

○副議長(岩田弘彦君) 農林水産部長。

  〔山本佳之君、登壇〕

○農林水産部長(山本佳之君) 鳥インフルエンザの発生予防には、消毒や野生動物の侵入防止対策の徹底により、ウイルスを農場内に持ち込ませないことが重要です。

 県では、令和3年度より、野生動物の侵入防止の徹底を図るため、防鳥ネットの設置や鶏舎の修繕などに対して支援を行っています。

 さらに、養鶏農家の意識向上を図るため、専門家を招聘し、研修会を毎年開催しています。

 議員が申し述べられました専門事業者によるネズミの駆除は、定期的に継続して行うことにより、一定の効果が見込まれますが、養鶏農家の経営規模や鶏舎の構造によって対策も異なることから、今後、県内農家の実態や他県の取組を調査し、本県での支援の在り方について検討してまいります。

○副議長(岩田弘彦君) 山家敏宏君。

  〔山家敏宏君、登壇〕

○山家敏宏君 県内農場の実態、他県の取組状況等を検討していくということでありますんで、何とぞよろしくお願いいたします。

 今後も、鳥インフルエンザが発生してしまった場合の養鶏農家の方々はもちろんですけども、24時間体制で殺処分に携わっていただく県職員の方の精神的負担も大変だと思っております。そのことを踏まえ、他県の取組状況に関係なく、本県では絶対発生させないという強い考えで検討していただくよう再度お願いし、次の質問に移ります。

 緊急輸送道路沿岸建築物の耐震化について質問いたします。

 2月6日にトルコ南部で発生した大地震によりお亡くなりになられた方々に心よりお悔やみ申し上げます。また、被災された全ての方々に心からお見舞い申し上げます。

 このトルコ・シリア大地震は、午前と午後それぞれマグニチュード7.8と7.5の大地震が発生し、死者は増え続け、現在4万6000人を超えています。マグニチュード7.8の地震で2万4921戸の建物が倒壊ないし甚大な被害を受けたと発表され、各階層が重なるように崩壊するパンケーキクラッシュが相次いだと報道されています。

 なぜこのような多くの建物が崩壊に至ったかについて、東北大学・竹谷特任教授は、ビルも住宅も日本のような建て替え・代替わりの早い木造住宅ではなく、世代で受け継がれるれんが積み住宅が多いので、建て替え更新により耐震強化する社会システムになっていないと分析されております。

 しかしながら、日本でも旧耐震基準の既存不適格物件が多く残っているのが現状です。

 そのような現状も踏まえ、本県では、災害発生時における広域的な緊急車両の通行を確保するため、優先して沿道建築物の耐震化に取り組む道路として、建築物の耐震改修の促進に関する法律に基づき、耐震診断を義務化する道路を令和3年4月に指定しています。指定した道路は、総延長194.5キロメートルで、主に高速道路インターチェンジからの振興局、市役所、町村役場、空港等までの道路となっています。

 その沿道建築物のうち、昭和56年5月31日以前に新築工事に着手した建築物のうち、道路幅員に応じた基準を設け、基準に当てはまる建築物については、耐震診断、補強設計、耐震改修に対して補助制度を設けています。

 重点施策として、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化支援として令和5年度7918万円の予算が計上されており、事業期間が令和6年度までとなっています。

 そこで、現状の対象棟数も含めて、取組状況を県土整備部長に求めます。

○副議長(岩田弘彦君) 県土整備部長福本仁志君。

  〔福本仁志君、登壇〕

○県土整備部長(福本仁志君) 耐震診断結果の報告義務が課される建築物は当初県内に99棟あり、個別訪問など、これまでの取組により7棟が除却済みまたは除却工事中、90棟については耐震診断の完了または着手済みであり、残りの2棟についても令和4年度内に耐震診断に着手の見込みとなっています。

 耐震診断の結果、耐震基準を満たさないと判定された建築物の所有者に対して、引き続き、早期に耐震化などの対策に取り組んでいただけるよう働きかけてまいります。

○副議長(岩田弘彦君) 山家敏宏君。

  〔山家敏宏君、登壇〕

○山家敏宏君 民間の建築物であるんで、耐震改修となったら事業費の約63%が自己負担となるため、難しい部分もありますけども、早期完了に向けて引き続きよろしくお願いいたします。

 以上で、私の一般質問を終了いたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○副議長(岩田弘彦君) 以上で、山家敏宏君の質問が終了いたしました。

 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。

 次会は、2月27日定刻より会議を開きます。

 本日は、これをもって散会いたします。

  午後2時25分散会

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