令和5年2月 和歌山県議会定例会会議録 第7号(全文)


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令和5年2月 和歌山県議会定例会会議録 第7号

議事日程 第7号

 令和5年2月27日(月曜日)

 午前10時開議

 第1 議案第1号から議案第17号まで、議案第34号から議案第40号まで、議案第43号から議案第46号まで、議案第48号から議案第57号

     まで及び議案第59号から議案第75号まで(質疑)

 第2 一般質問

 第3 議案の付託

 第4 請願の付託

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会議に付した事件

 第1 議案第1号から議案第17号まで、議案第34号から議案第40号まで、議案第43号から議案第46号まで、議案第48号から議案第57号

     まで及び議案第59号から議案第75号まで(質疑)

 第2 一般質問

 第3 議案の付託

 第4 請願の付託

 第5 休会決定の件

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出席議員(41人)

 1番 鈴木德久

 2番 山家敏宏

 3番 中本浩精

 4番 堀 龍雄

 5番 藤山将材

 7番 井出益弘

 8番 宇治田栄蔵

 9番 北山慎一

 10番 玄素彰人

 11番 中西峰雄

 12番 秋月史成

 13番 森 礼子

 14番 濱口太史

 15番 尾崎要二

 16番 冨安民浩

 17番 川畑哲哉

 18番 玉木久登

 19番 鈴木太雄

 20番 岩田弘彦

 21番 吉井和視

 22番 谷 洋一

 23番 佐藤武治

 24番 岩井弘次

 25番 中 拓哉

 26番 多田純一

 27番 新島 雄

 28番 山下直也

 29番 中西 徹

 30番 谷口和樹

 31番 藤本眞利子

 32番 浦口高典

 33番 山田正彦

 34番 坂本 登

 35番 林 隆一

 36番 楠本文郎

 37番 高田由一

 38番 杉山俊雄

 39番 片桐章浩

 40番 奥村規子

 41番 尾﨑太郎

 42番 長坂隆司

欠席議員(なし)

〔備考〕

 6番 欠員

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説明のため出席した者

 知事         岸本周平

 副知事        下 宏

 理事         田嶋久嗣

 知事室長       赤坂武彦

 危機管理監      福田充宏

 総務部長       吉村 顕

 企画部長       長尾尚佳

 環境生活部長     生駒 享

 福祉保健部長     志場紀之

 商工観光労働部長   寺本雅哉

 農林水産部長     山本佳之

 県土整備部長     福本仁志

 会計管理者      中家秀起

 教育長        宮﨑 泉

 公安委員会委員    細江美則

 警察本部長      山﨑洋平

 人事委員会委員長   平田健正

 代表監査委員     森田康友

 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫

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職務のため出席した事務局職員

 事務局長       出津野孝昭

 次長(秘書広報室長事務取扱)

            浜野幸男

 議事課長       長田和直

 議事課副課長     岩井紀生

 議事課課長補佐兼議事班長

            村嶋陽一

 議事課主任      伊賀顕正

 議事課主任      菅野清久

 議事課副主査     林 貞男

 総務課長       葛城泰洋

 政策調査課長     神川充夫

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  午前10時0分開議

○議長(尾崎要二君) これより本日の会議を開きます。

 日程第1、議案第1号から議案第17号まで、議案第34号から議案第40号まで、議案第43号から議案第46号まで、議案第48号から議案第57号まで及び議案第59号から議案第75号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、併せて日程第2、一般質問を行います。

 14番濱口太史君。

  〔濱口太史君、登壇〕(拍手)

○濱口太史君 皆さん、おはようございます。令和5年2月定例会の一般質問、最終日を迎えました。登壇の機会を与えていただきました議員各位に感謝申し上げます。

 さて、今回は、新しく知事になられました岸本周平知事に、紀南地域について、特に選挙区であります新宮市に関連したことをお伺いいたしますが、どうか皆様もお付き合いのほどよろしくお願い申し上げます。

 それでは、早速質問に入らせていただきます。

 一つ目、県としてのクルーズ客船誘致についてであります。

 一つ目、ポストコロナを見据えた今後のPR戦略についてお伺いをいたします。

 令和4年11月15日の報道によりますと、我が国では、令和2年3月以降、国際クルーズの運航が停止しておりましたが、関係業界団体によるガイドラインが策定、公表され、日本における国際クルーズの受入れ再開に向けた準備が整ったとのことであります。つまり、外国船各社が日本寄港クルーズの再開計画に取りかかったということでありまして、本県としても、この動きをチャンスと捉え、積極的に誘致活動を加速させるべきと感じました。

 また、3年後には大阪・関西万博が開催されます。約2800万人の来場者が見込まれており、開催に伴って急増するインバウンドを本県に取り込むチャンスでもあります。

 私の地元にあります新宮港には、コロナ以前には国内最大の豪華客船「飛鳥Ⅱ」をはじめ、年間10回以上、クルーズ客船がツアーの寄港地として入港し、地域も活気づいておりました。

 私は、乗船客に熊野を何度も訪れていただくために、まずは気に入っていただき、そして、気持ちよく帰っていただくことが重要ではないかと、新宮市や観光協会に見送り隊結成を提唱いたしました。直ちに地域住民に呼びかけていただき、多くの方々が登録されました。名づけて「梛の木見送り隊」です。

 また、新宮港は、太平洋を臨む本州南端の港であり、他地域の港からの距離がツアー構成上、寄港地として好条件であることに加え、熊野信仰が有する精神的、霊的な文化、いわゆるスピリチュアルな要素は特に欧米の人たちの関心が高いことから、このポテンシャルをもってすれば多くの外国船に来てもらえるのではないかと、コロナ感染拡大が始まる以前に、新宮市は、県の支援も受けながらアジアの国も含めた外国船の誘致を試みておりましたが、入港可能な制限が当時は5万トンクラスまでという規模でしたので、7万トンクラスが多い外国船にアプローチができませんでした。そこで県に、港の海底を深くするため、しゅんせつ工事を行っていただき、現在では11万トンクラスの受入れが可能になっています。

 コロナ前には本県へのクルーズ客船の入港が増加傾向にありましたが、横浜港でのダイヤモンド・プリンセス号船内感染を境に、クルーズ観光がぱたりと実施されなくなりました。その間も県当局が誘致活動を続けられていたようですが、ようやくポストコロナの兆しが見え、外国船も含め、本格的な誘致活動を展開されることと思います。

 そこで、日本寄港クルーズの再開に伴い、本県にも多く寄港してもらうために、ポストコロナの流行需要に合った新たなツアーの開発や寄港プロモーションなど、どのような事業を行うのか、県土整備部長にお尋ねいたします。

○議長(尾崎要二君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。

 県土整備部長福本仁志君。

  〔福本仁志君、登壇〕

○県土整備部長(福本仁志君) 新型コロナウイルス感染症の拡大により、中断を余儀なくされていた国際クルーズ船運航の再開は、議員御指摘のとおり、まさに地方の観光と経済の活性化の好機と捉えています。

 県では、地元の市町や観光協会等と連携して、コロナ禍以降、人気が高まっている少人数で特別感のあるツアーの造成に努めます。

 また、大阪・関西万博客の取り込みについては、開催地を中心とした広範囲にまたがるツアーを近隣府県と連携して造成することで、本県への誘客を目指します。

 さらに、海外で開催されるクルーズ見本市で、県内寄港のプロモーション活動を行うとともに、ルート選定の責任者を県内にお迎えし、世界遺産熊野古道や地域の食文化といった和歌山の魅力をPRするなど、誘致につなげてまいります。

○議長(尾崎要二君) 濱口太史君。

  〔濱口太史君、登壇〕

○濱口太史君 御答弁をいただきました。

 続きまして、2番目、クルーズ客船受入れの際の地元市町への支援についてであります。

 これまで寄港を継続していただいている、あるいは新規に寄港していただいたクルーズ客船に、その後も繰り返して寄港していただくためには、乗船客に満足してもらうのは当然のことながら、船長をはじめクルーの皆さん、船会社にも気に入っていただくことが重要であります。

 また、クルーズ船観光を楽しまれる方はリピート率が高いとのことですので、何度来られても飽きられないようにすることも大切だと考えます。

 そのためには、行政だけでなく地域住民の協力も得て、歓迎や見送りイベント、オプショナルツアーやおもてなしなどにおいて趣向を凝らし、マンネリ化を防ぐための工夫が必要と考えますが、クルーズ船を受け入れる際の地元市町に対する支援について、県土整備部長にお尋ねいたします。

○議長(尾崎要二君) 県土整備部長。

  〔福本仁志君、登壇〕

○県土整備部長(福本仁志君) 県内寄港のリピート率を高め、継続的な寄港を呼び込むためには、乗船客の満足度の向上が重要だと考えています。

 そのため、県外での優れたおもてなし事例やクルーズ船社、旅行業者等から得た最近のニーズについて、県内市町村等へ情報提供するなど、受入れ体制の改善につなげてまいります。

 また、本議会に上程しております令和5年度予算で、寄港実績のないクルーズ客船が新たに入港する際、県内市町村等が開催する歓迎セレモニーなど、乗船客の満足度を高める取組に対し助成することを予定しております。

 県といたしましても、クルーズ客船の継続的な寄港を図ることにより、地域の活性化に取り組んでまいります。

○議長(尾崎要二君) 濱口太史君。

  〔濱口太史君、登壇〕

○濱口太史君 どうぞ引き続きよろしくお願いいたします。

 先ほどお見送り隊のお話をいたしましたが、乗船客に感動していただくと、こちら側も感動するのがお見送りの醍醐味でありまして、ぜひ皆さんにも新宮港へおいでいただき、体感していただきたいと思います。

 それでは、次の項目に移ります。

 二つ目、地域振興監を新たに設置した狙いと意義について、総務部長にお尋ねをいたします。

 令和5年度から企画部の組織を変更し、地域政策や移住・定住推進、地域交通政策に関する業務を所管する地域振興監を新たに設置し、各振興局との連携強化を図っていくと伺っておりますが、設置した狙いと意義について、総務部長にお尋ねいたします。

○議長(尾崎要二君) 総務部長吉村 顕君。

  〔吉村 顕君、登壇〕

○総務部長(吉村 顕君) 今回、地域振興施策を強力に推進する知事の方針の下、各振興局と一緒になって本県の地域振興施策を活性化するために、新たに部長級の地域振興監を設置することとしました。

 現在、地域を取り巻く経済社会情勢は大きく変化しつつあります。急速な高齢化や人口減少に伴い、地域での生活に必要なサービスが減少することや地域経済が縮小することが危惧される一方、社会全体のデジタル化が進み、テレワークが普及することで地方移住へのハードルが下がり、その希望、関心が高まるといった地域発展のチャンスも新たに生じています。

 こうした変化の中にあって、地域の振興施策を最前線で担う市町村と共に、県としても効果的な施策実施を図る必要があることから、地域振興監の統括の下、市町村が真に必要とする施策、人脈、ノウハウを提供し、または、自ら実施するための体制を整えることとしました。

 具体的には、まちのにぎわいの創出、地域公共交通の維持確保などの分野で、各振興局が主体となって地域課題に取り組むことを想定しており、その際には、市町村、地域住民、民間事業者等と構成する組織を立ち上げるなどして、必要な施策の立案と実践を本庁・振興局と市町村が共に行うことを目指してまいります。

 同時に、県における地域振興の現場である振興局が活性化し、市町村にとって一層頼りがいのある存在となることが大変重要であることから、地域振興監が中心となって、本庁と振興局及び振興局間のコミュニケーションが活発になるように取り組み、全庁的に地域振興に力を注いでいくこととしております。

○議長(尾崎要二君) 濱口太史君。

  〔濱口太史君、登壇〕

○濱口太史君 御答弁ありがとうございました。

 県内の振興局との連携強化を図っていくというお考えは、文字どおり、それぞれの地域の振興にこれまで以上に力を注いでいくという決意の表れと受け止めました。

 特に、新宮・東牟婁地域住民は、県庁との時間的距離感、心の距離感を強く感じられているようですので、それぞれの距離感を縮めるため、本庁と一番離れた東牟婁振興局がより効果的な利活用ができる有意義な出先機関となりますよう、くれぐれもよろしくお願いいたします。

 それでは、三つ目、岸本新知事にお伺いをいたします。紀南地域の活性化に向けた思いについてであります。

 恐れながら申し上げますと、岸本知事は、国会議員時代、和歌山市を選挙区として活動されてきた経緯から、恐らくこれまで紀南地域、特に新宮市とはあまり関わりを持たれていなかったのではないかと推測するところであります。

 しかし、聞き及ぶところでは、選挙の際に、また、それ以前の知事選出馬を表明された後、紀南地域にも精力的に何度も訪れられたとのことではありますが、地元の声として申し上げますと、新しい知事は紀南地域に対してどんな思いを持たれているのだろう、なじみの薄い紀南に重きを置いてもらえるのだろうか、そんな不安交じりの言葉です。

 何かが変わるときに、大小様々な不安が生じることは普通のことではありますが、そういう声を届けた上で、その懸念を払拭するのは地元選出の議員の重大な役目という自覚に基づきまして、岸本知事の新宮市、ひいては紀南地域の活性化に向けた知事の思いについて、全ての分野を聞くと時間が足りませんので、今日は特にという分野に絞ってお聞きしたいと思います。

 まず、観光についてであります。

 いにしえのまだ医療もあまり発達していないであろう平安時代より、生命の維持を神の力に頼り、それを求めた多くの人々が、長い道のりにもかかわらず熊野を目指したと言われています。かつてのように、国内外の多くの方々に元気を取り戻せる場所として知っていただき、多くの方々に訪れていただくために、熊野をブランド化したい、それが私の県議会議員に挑戦したときの思いです。

 2021年には、ロンリープラネットの世界で訪れるべき場所の読者投票によるサステーナビリティー部門で、熊野が選ばれました。サステーナビリティーとは、持続可能性、さらに申し上げますと、人間活動や自然環境が多様性と生産性を失うことなく、長期的に継続できる能力を意味する言葉だそうです。人間の営みの原点と言われる熊野の持ち味を生かした観光資源をこれまで以上にパッケージ化すれば、人間同士の争いや犯罪が絶えない殺伐としたときだからこそ、多くの人たちに癒やしとパワーと優しさを求めて訪れていただけるのではないでしょうか。

 岸本知事も選挙期間中におっしゃっておりましたが、紀南の大きな特徴は自然環境です。スケールでいいますと、全国各地にはもっと雄大なところは多く存在するかとは思いますが、南紀熊野ジオパークに認定されている壮大な紀伊半島の生い立ちのストーリーと、約1400万年前に起こった巨大なカルデラ噴火によって、那智の滝や橋杭岩といった特徴的な地形や巨岩や奇岩などがつくり出され、また、それらを御神体として熊野信仰が始まり、約20年前には世界文化遺産として認められた精神文化の場であり、昔も今もパワースポットとされてきたことが大きな売りになると考えます。

 また、2日前に運航が開始された川の参詣道、熊野川の川舟下りには、11月まで予約が入っており、その大半が欧米などの外国人観光客であると伺いました。時を同じくして、瀞峡を巡る船も運航が開始されました。

 加えまして、自然環境のみならず、様々な要因で2月の打ち上げが実現とはなりませんでしたが、ロケット打ち上げが行われる場所として全国各地から見物客が殺到するであろうという予測と併せ、地域の活性化や今後の発展に期待が膨らむプロジェクトがあるのも、観光における現在の紀南の強みの一つとなっております。

 次に、林業についてであります。

 新宮市は、昔から木材のまちと称され、林業の盛んな地域でありました。しかしながら、安価な輸入外材需要の影響などを受け、徐々に衰退してまいりました。

 知事は、農林水産業への活性化支援につきまして声を大にしておっしゃっておられましたが、中でも林業につきましては、カーボンニュートラルの観点からも自然林のままではその対象とならないことから、対象となる範囲を広げるために、紀州材、熊野材の利用需要促進を図り、伐採、間伐、植林などを行うための林道整備の必要性が考えられます。

 そして、過疎対策についてであります。

 御多分に漏れず、紀南地域、特に新宮市におきましても、人口減少によって、このままでいくとその地域で暮らす人の生活水準や生産機能の維持が困難になってしまうのではないかという状態となっています。いわゆる過疎地域です。

 人口が多い都市部と少ない地方との働く環境の違いは、企業の規模、業種の違いにも表れているように思います。都市部におきましては、全国に営業展開している大企業も多く、また、業種もICT、ファッション、情報通信、飲食、芸能や音楽、マスメディア、出版系などにおきまして、流行やハイレベルな技術の最先端を極めようとするならば、やはり都会に自らの身を置き、その施設や現場がある都会で働かなければならないという概念があると考えます。地方では就ける業種が限られることや、また都市部は人口が多いことから、当然、求人や就職できる枠が圧倒的に多いという環境もあります。大学や専門学校への進学も外へ出るしかありませんし、若い人たちの流出は増加の一途をたどっていると感じます。

 しかしながら、今は、ICTやネットの発達、交通の発達が進み、業種によりましては、地方に住んでいても全国を相手に仕事が成立する時代となってまいりました。コロナ感染拡大が契機となり、テレワークやリモートでの仕事や学習が普及してきたからでもあります。ワーケーションに適した自然環境を有する本県は、ワーケーションの先進地でもあります。

 さて、ここで、新宮市出身であります料理研究家・林瑞季さんを御紹介させていただきます。簡単、時短、節約をコンセプトに、ブログで毎日レシピを紹介し、月間300万PVを誇り、令和5年1月のインスタグラムのフォロワー数が106万人、3年連続レシピブログアワード総合グランプリを受賞し、殿堂入りを果たし、第9回料理レシピ本大賞では準大賞を受賞、著書累計100万部突破、レシピ開発、雑誌、テレビ、ウェブメディアで活躍中の30代の女性で、私と同じ新宮商業高校──現在の新翔高校の卒業生とのことです。

 この林瑞季さんとの出会いについてお話しします。去る2月11日、新宮市の丹鶴ホールにおきまして、新宮高等学校・新翔高等学校主催による「新宮市・東牟婁地域 教育魅力化フォーラム」が開催されました。令和8年4月の両校の統合に向け、新しい学校のコンセプトや目指す姿について一般の方にも広く知っていただくための説明会でありました。

 両校長から、企画段階でお聞きしたときに、大きな会場に一人でも多くの聴衆に集まっていただきたいとのことでしたので、それならば著名な方をゲストとして呼んではどうかという提案をいたしまして、その講師として、以前テレビで紹介されていた新宮市出身の林瑞季さんを推薦させていただきました。ただ、そのような仕事をされている方なので、てっきり東京か大阪在住だと思い、交渉は難しいかもと思いましたが、意外にも新宮市内で住んでいるとの情報を得ましたので、早速御本人に打診を試みたところ、快くお引受けくださいました。

 その際に、新宮市在住であることの理由を尋ねましたところ、「熊野新宮が好きだから」と実に単純明快な答えでありました。また、「新たな発想は熊野に住んでいるからこそ生まれる」、また「熊野に住んでいること自体が私の付加価値にもなっている」とのことでした。地方に居ながらにして、ネットなどを駆使し、全国を相手に仕事を成立させている、まさにこれからつくろうとしている新しい学校が目指す人材づくりのコンセプトにぴったりの人物だと感じました。

 先ほど御紹介のとおり、現在は大活躍の彼女ではありますが、そのような環境を確立させることは決して容易ではなかったと推察できましたので、彼女が並々ならぬ努力を重ね、成功を手繰り寄せた経緯や苦労話、活躍ぶり、ふるさとを愛する気持ちなどを語っていただくことは、地元の若い人たちや子供たち、また保護者や関係者に、大きな影響とヒントを与えていただけるのではないかと確信したからです。

 チャンスを求めて、地元からほかの地域に移り住む選択が自らの意思であれば、その意欲はすばらしいと応援したくなります。しかしながら、地元に残りたいが、地方ではチャンスを感じられないので仕方なく外に求めなければならない状況であるとすれば、地元の大人としては大変心苦しく、そのような地域の課題を克服しないと、若者の流出に歯止めなどかけれないと考えます。地域の出生率を上げる努力、子育て支援はもちろん重要ですが、Iターン、Uターン、そして、若者の流出に歯止めをかけることが喫緊の課題だと考えます。

 以上、観光、林業、過疎対策などについていろいろと述べさせていただきましたが、私は、紀南地域というのは、様々な分野で課題はあれど、発展する大きな可能性を秘めていると思っております。岸本知事は、新宮市やひいては紀南地域の特色に対する印象や克服すべき点はどこにあるとお感じになられているでしょうか。今後の活性化に向けた取組などにつきまして、どのようなお考えをお持ちであるのか、さらには、どれだけの強い思いをお持ちいただいているのかをお伺いいたします。よろしくお願いいたします。

○議長(尾崎要二君) 知事岸本周平君。

  〔岸本周平君、登壇〕

○知事(岸本周平君) 御質問ありがとうございます。

 私は、昨年5月でありますけれども、知事選挙への立候補を表明してから何度も県内各地を回らせていただきました。今、濱口議員御指摘のとおり、私は、17年間でありますけれども、この和歌山市を選挙区とする議員、あるいは議員候補でありましたので、和歌山市につきましては本当に路地裏の隅の隅まで回ってきたという自負はありますけれども、おっしゃるとおり、新宮地域、串本地域をはじめ紀南の地域は、よその選挙区でありましたので、遠慮もありまして、それほどこれまでなじみがあったわけではありません。それがゆえに、昨年の半年間の選挙期間中には精力的に紀南地域を回らせていただきました。

 そして、その中でいろんな方にお会いし、企業も含めて経営者の方、あるいは漁協、農協、森林組合、いろんな方にお会いしてお話を聞く中で、いずれも真剣なお話を聞き、気づきもたくさんありました。そして、何より、美しい海、高い山、そして清流の川の自然の雄大さに圧倒されました。これで道路のネットワークがさらに完成すれば、すばらしい潜在的な力のある地域であるということを、もう腹落ちするというか、体で、肌で感じましたので、その点は選挙期間中もずっと訴えてきたわけでございます。

 今、議員が御指摘の熊野三山も、これ、もちろん熊野三山は有名ですので、それ以前もこれは観光として参らせていただいてましたけれども、今回、選挙前に2回、3回と回りました。選挙後もお礼参りに行かせていただき、宮司様方のお話もじっくり聞く機会がありまして、すばらしい観光資源だと思います。本当にパワースポットですよね、熊野三山。違います。

 実は、ここに、議場におられる議員の皆様は選挙をしてきた方々なので同意をしていただけると思うんですけど、我々、選挙で勝つとか負けるとかというのは、自分の力を超えたところがあります。なので、最後は神頼みになる部分がございまして、私も熊野三山の奥座敷の玉置神社──これは、和歌山県ではなくて紀伊半島のど真ん中でありますけれども、十津川村の玉置神社、これは永田町では選挙の神様と言われています。戦後、総理になられた方は皆、参っておられるということで、私、落選した後、そのことを聞いて玉置神社へ行きました。参りました。本当パワースポットでした。玉置神社に参ってからは、選挙においては6戦6勝させていただいておりますので、議場の先生方にもぜひお勧めをしたいと思いますけれども、それぐらい紀南の地域にはパワーがあって、今、濱口議員もおっしゃったスピリチュアルとか、サステーナビリティーとか、それからもうセレニティーというんですけど、静けさとか、これ、実はこの3S、この三つは新しい観光資源になるんだということがアジアの投資家の間では常識になってるそうです。そういう意味では、紀南というのはまさにこの三つのS、精神性とか、持続可能性とか、静けさとか、これがあると思いますので、ぜひこれを武器に県としても力を入れていきたいと思っております。

 それから、今、濱口議員がおっしゃった林道の件であります。これも、私も全く同感でありまして、手を入れればカーボンクレジットが生まれます、ほっとくと駄目なんですけども。そのためには、やっぱり林道を整備しまして、植林から木材生産まで持続して行われるということで、林業そのものが活性化すると同時に、カーボンクレジットという新たな価値を生かすことができると考えております。来年度予算には間に合いませんでしたけれども、令和6年度予算には、しっかりとこの林道整備の予算は計上していきたいと考えております。

 それから、これも濱口議員御指摘の串本町のロケットであります。これは観光資源にもなりますけれども、ロケット発射場の周辺には、恐らくロケットの組立て工場や部品工場が進出する可能性が非常に高いと思っておりますので、県としてもそこまで、産業としての推進も考えていきたいと思っております。

 そういう意味で、こうした魅力あふれる地域であるということでありますので、いわゆる過疎地域という定義にはなるかもしれませんけども、今御紹介いただいたこの新宮出身の林さんの例ではありませんが、新たな、多様なライフスタイルを紀南地域から発信していくということで、移住・定住の方を増やすということも可能だと思っておりますし、その点も力を入れたいと思っております。

 このような、非常に発展の可能性を秘めた潜在力の強い紀南地域が和歌山県の未来をリードしていくんだという強い思いを私は持っております。これからも紀南地域を中心に、現場に出向いて生の声を聞き、地域で懸命に頑張っている皆さんを応援していくとともに、それらが一歩でも実現に近づくよう県としても積極的に取り組んでいきますので、濱口議員はじめ選出の議員の先生方の御協力を心からお願いしたいと思います。

 最後になりますけども、私の思いを少しだけ宣伝させていただきますと、私は、文化芸術に力を入れたいということも選挙公約なんですけれども、初めての私の文化イベントを4月22日にやることが決まりました。さだまさしさんをはじめ、コシノジュンコさんとか著名な方に来ていただいてトーク&コンサートをします。これは、大変ありがたいことなんですけども、私は──実はコシノジュンコ先生中心につくっていただいたイベントなんですが──あえて県文ではなくて、紀南文化会館でやってくださいとお願いしました。ちょっと新宮じゃなくて申し訳ないですけども、まだ行きやすい、近いんで。まさに、紀南文化会館で私の文化イベント第1号をやるというところに、どうか私の意のあるところをお酌み取りいただきたいと思います。よろしくお願いします。

○議長(尾崎要二君) 濱口太史君。

  〔濱口太史君、登壇〕

○濱口太史君 知事、御答弁ありがとうございました。

 もちろん紀南の課題は、医療、少子高齢化、迫りくる自然災害、経済、道路、教育など、上げれば切りがありませんが、知事の紀南地域に対する思いの強さ、今後の活性化に向けた積極的な地域支援に期待感あふれる御答弁をいただきましたので、地元の皆様にしっかりとお伝えしたいと思います。また、私も、様々な活性化に向けた取組を盛り上げる歯車になる決意を新たにいたしました。

 さて、最後に一つ要望をさせていただきたいと思います。

 先ほども触れましたが、新宮・東牟婁地域の課題の一つであります、普通科と定時制・通信制の新宮高校と、教養、建設技術、ビジネス、情報など総合学科の新翔高校の再編整備の課題に、地域一体となって取り組んでいるところであります。

 この統合の機会を生徒数減少に係る単なる数合わせの統合ではなく、これまでにない学校としてリニューアルさせるチャンスと捉え、その準備段階として、目指す姿を模索するために、両校の校長をはじめ先生方には大変御苦労をいただきまして、子供たちやその保護者、学校関係者、それだけではなく各種団体など、様々な立場の方たちから御意見を聞き取る場を重ねていただきました。地域社会にどのような高等学校教育が求められているのか、地理的ハンデを克服し、どの学校にも負けない学力や専門能力を地域の高校生に身につけてもらうために何が必要か、地域の活性化につなげるためにはどうすれば効果的かなどの御意見を集約し、構想を練り上げてまいりました。

 基本コンセプトを「生徒・地域社会の期待に応えるALL IN ONEの学校」とし、学びの分野では、「地域社会で活躍する人材の育成」、「高いレベルの大学進学に対応」、「大学や専門学校に進学し、より専門的な知識・技能・資格を取得」、「基礎・基本の習得を丁寧に支援」を四つの柱に、課程や学科をリニューアルするとともに、新たな学科として学際探究科を設定します。

 スポーツ・文化活動におきましては、生徒の他地域への流出を防ぐために、中学生や小学生らと共に一緒に活動できる環境を整えるなど、地域との連携を図り、全国や世界で活躍できるハイレベルな部活動を育てるとともに、eスポーツ、サイクリング、ダンスなど新しい分野、ゆる部活といった気軽に参加が可能な部活など、様々な地域活動への参加を行うなど、これまで以上に生徒のニーズに合った活動環境をつくります。

 今後は、このような今は平面のプランをこれから立体化していくための段階に移ります。なお、統合前ではあっても、可能なことであれば、よい取組は両校とも直ちに始めていただくこととお願いしております。

 以上、概略を申し上げましたが、地域の活性化に向けた期待と熱の籠もった新しい高校づくりプロジェクトを実現させるために、県教育委員会はもとより、知事をはじめ各部局の皆様に積極的な御支援をお願い申し上げます。これは要望といたします。

 私も、以上申し上げました紀南発展のために引き続き一つの歯車に加われますよう、必ずこの場に戻りますことをお誓いし、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(尾崎要二君) 以上で、濱口太史君の質問が終了いたしました。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 26番多田純一君。

  〔多田純一君、登壇〕(拍手)

○多田純一君 おはようございます。公明党の多田純一でございます。

 まず、岸本知事の御就任、心からお祝い申し上げます。議場から拝見させていただいておりましても、国会議員のときから変わらない真摯なその姿勢とか人柄を感じています。ロシアがウクライナに侵攻し、1年が過ぎました。ウィズコロナも続いております。先行き不透明な時代、県民の安心と信頼、そして、共感を呼べる県政へのかじ取りをぜひ期待をしております。

 今月、2月6日のトルコ・シリア地震に対し、お亡くなりになりました方や被災された方々に御冥福とお見舞いを申し上げます。大変厳しい環境の中、一日でも早い復興をお祈り申し上げます。公明党和歌山県本部では、昨日まで、被災者を救済する会の皆様と一緒に県下13か所で募金活動を行いました。これまでも、ネパール地震や台湾地震等々、ほかの数々の募金活動を行ってまいりましたが、やはりトルコに対する県民の温かい気持ちはひとしおでございました。

 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従って質問に入ります。

 最初に、特別史跡岩橋千塚古墳群及び紀伊風土記の丘について申し上げたいと思います。

 郷土の歴史を知ることは、郷土愛やその誇りを醸成し、次世代に継承しようとする機運を高めてまいります。文化庁の都倉俊一長官は、遺跡について、「それぞれの土地の気候や風土に適応して地域独自の生活を営み、世代をつないできた私たちの先祖の文化的なDNAというべきものであり、私たちが未来を切り開いていく礎と言えるでしょう」と語っておられます。先日、10年前に開館した大阪・高槻市の今城塚古代歴史館を訪問し、文化財課・宮崎課長と歴史館・内田館長にお話をお聞きしてまいりました。

 3年前にその歴史館で企画した特別展「継体大王と紀氏-今城塚と紀伊の古墳-」を開催しておられました。大変好評を博したようですが、今城塚古墳は、第26代継体天皇の陵墓とみなされており、その継体天皇と地方豪族紀氏との関係をどのように捉まえておられるのか、意見をお聞きしてまいりました。

 大和朝廷の大王が支配権を広げる中、紀氏の役割が重要だったと考えられております。継体大王は、畿内だけではなく九州地方へも勢力を拡大し、九州地方の連合組織と戦った磐井の乱は有名ですが、紀氏の活躍も、古墳の埋蔵品からその影響を受けていたことがうかがえます。

 お二人の説明と意見交換を行い、その後、奈良県天理市にあるなら歴史芸術文化村を訪問し、企画展「発掘された日本列島2022」を視察してまいりました。この展示でも、継体天皇と紀氏との関係が説明された内容でございました。

 県議会議員としてこの壇上に立つ最後の機会となりました。今議会で、岩橋千塚古墳群、紀伊風土記の丘についての質問は、10回を数えます。和歌山の古墳文化の豊かさを私なりに取り上げてまいりましたが、7回目に質問した際の仁坂知事の答弁が印象的です。仁坂知事は、「子供の頃は知らなかった。知事になって学んだその一つだ」、「子供にちゃんと教えんかった」、あるいは、全国に売り出さなかった行政とか教育を振り返りながら「これは反面教師として教訓になっております。そういうことで、これは頑張らないかんという対象であります」と御答弁をされました。

 整備計画について、初めて私が一般質問で取り上げたのは平成25年6月、ちょうど10年前になります。その後、山田先生が議長のとき、岩橋千塚を守る会の皆さんとお会いし、平成25年9月議会に整備に関する請願の紹介議員の1人となりました。請願の趣旨は、岩橋千塚古墳群の中でも重要と言われてきた天王塚古墳と大谷山22号墳を特別史跡に含めてもらいたいという内容でございました。

 同会は、平成24年8月に前代表の鴨口正紀氏ほか地元住民らの皆さんらで発足、現在は会員約70人に拡大し、指定外の古墳周辺の整備をしたり、小学校で古墳の授業を開いたりしておられます。1万5000人の署名を集めての内容は、岩橋千塚古墳群を守りたいとの熱い思いを感じました。

 その思いが実り、平成28年10月に天王塚古墳及び大谷山22号墳の一部が特別史跡に追加指定となりました。平成29年4月に発表された県の長期総合計画では、紀伊風土記の丘資料館の再編が盛り込まれ、(仮称)考古民俗博物館構想が発表となり、建設への機運が盛り上がる中、令和2年3月、資料館で「紀伊風土記の丘 夢計画」パネル展示、「みんなで考えよう!未来の風土記の丘」など、入館者の意見を収集しておられます。

 また、令和元年度から2年度にかけ、(仮称)考古民俗博物館用地を購入、令和4年2月には東京で公開シンポジウム「大王墓と紀伊の首長墓」を実施し、学長や専門家の皆さんに岩橋千塚古墳群の魅力を語っていただきました。県外では初めての開催となりました。

 考古民俗博物館は、令和4年度基本設計、令和5年度には実施設計、完成は令和10年度予定とされております。特別史跡として指定され約70年、和歌山県が紀伊風土記の丘を開園して約50年、航空測量も行い、古墳分布の詳細も分かってきました。大谷山22号墳を含めた未指定部分へ向けた今後の方針について、宮﨑教育長にお伺いをいたします。

○議長(尾崎要二君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。

 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 岩橋千塚古墳群は、昭和27年の特別史跡指定以降、3次の追加指定がなされ、現在、約500基の古墳が特別史跡に指定されています。

 平成28年度の第3次追加指定事業では、平成25年度の請願を受け、天王塚古墳と大谷山22号墳の大部分が追加指定されました。しかしながら、未指定の約400基の古墳の中には保護すべき古墳が多数存在していることから、令和2年度より第4次の追加指定に取り組んでいます。

 第4次では、大谷山22号墳の未指定部を含む大谷山地区、大日山地区、井辺地区、寺内地区を対象として、現在、発掘調査や分布調査、土地の境界確定作業など、令和6年度中の追加指定を目指し準備を進めているところです。

 今後も、この追加指定事業を計画どおり進めることにより、国の宝である岩橋千塚古墳群を適正に保存、活用し、次世代に伝えていきたいと考えております。

○議長(尾崎要二君) 多田純一君。

  〔多田純一君、登壇〕

○多田純一君 御答弁をいただきました。

 第4次の特別史跡追加指定の中に、大谷山22号墳の未指定分を入れる計画で、令和6年度中を目指すとの御答弁をいただきました。追加指定された場合、この写真でも、後で御説明をさせていただきますけども、この22号墳の入り口の部分が入りにくい状況でございます。少し工夫もしていただきたいなと、これも要望でございます。

 これで、請願を無事実現できそうなところまで来ました。請願は、全会派一致で議会として採択したものですが、たまたま私が地元に住んでおりますので、皆様の御配慮で私が取り上げてまいりました。今後の成り行きも含めて、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 2番目の質問に入らせていただきます。

 資料を用意いたしました。これは、基本構想を踏まえ、昨年発表した基本計画、その中に紹介されていますが、敷地計画の概念図になります。まだ基本設計中であり、成果物ではありませんが、この地図を御覧ください。

 真ん中の地図の1が現在の資料館でございます。この資料館、昭和46年の開館でございまして、現在も漏水補修中ですけども、登録有形文化財ですので改修保存となっております。

 2番目の建物は、西側に新博物館を新築してつなげるそうでございます。ほかには、この収蔵棟や体験学習棟なども新設し、体験広場も設ける予定と伺っております。

 また、この現資料館の近くには、身障者の方や観光バスが直接、近くまでお客様を降ろせるような乗降場も用意されるそうでございます。

 下の写真の9は、紀伊風土記の丘の入り口になり、そこからアプローチ道路を歩いて資料館まで400メーター、ゆっくり歩いて古墳公園を楽しむ癒やしの道路となっております。

 代表的な古墳として、写真を添付させていただきました。

 左側のこの東側の天王塚古墳、これは、墳長が88メーター、和歌山県内でも最大級の前方後円墳となっております。

 写真の右側、これは西側に当たりますけども、大日山35号墳がありまして、ここから見た眺めは、和歌山市内を一望できるような、そんな景観になっております。

 そして、もう少し北側に行きますと、先ほどお話しさせていただきました大谷山22号墳がございます。こういう感じの古墳が本当に幾つもございます。

 この(仮称)考古民俗博物館について、基本設計が行われ、令和5年度予算で実施設計となっております。再編整備の状況及び広く県民に受け入れられるような施設にするための取組について、宮﨑教育長にお伺いをいたします。

○議長(尾崎要二君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) (仮称)考古民俗博物館の整備状況につきましてですが、紀伊風土記の丘の現資料館につきましては、建設後50年が経過し、老朽化による展示・収蔵環境の悪化や資料の増加による収蔵スペースの慢性的な不足などが顕在化しています。このようなことから、再整備の必要性について、かねてより議員からも御指摘をいただいてきたところです。

 県では、令和元年6月に基本構想を発表した後、同年から基本計画の策定に着手し、県内の考古資料、民俗資料の保全並びにその価値を県民に広く伝えるための博物館活動、誰もが親しみ学べる場・交流する場の創出といった再編整備に関する基本的な考え方を整理してきました。

 今年度は、基本設計に着手しており、令和10年度の開館に向け、今後は、実施計画の建設工事を円滑に実施していきたいと考えております。

 また、基本設計を進める中で、障害のある方を対象としたワークショップを開催したほか、小学校や特別支援学校の教員から意見を聞く機会を設けるなど、多様な意見を取り入れて、県民に広く受け入れられる施設づくりに取り組んでいるところです。

○議長(尾崎要二君) 多田純一君。

  〔多田純一君、登壇〕

○多田純一君 お答えをいただきました。

 次の質問に入りたいと思います。

 いよいよ現資料館を改修し、博物館を新築して、県内の考古博物学の中心にすべきと考えております。少なくとも岩橋千塚古墳群から発掘された和歌山市等に分散している出土資料の集約や今後の活用について、宮﨑教育長にお考えをお伺いいたします。

○議長(尾崎要二君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 市内等に分散しているその出土資料の集約、活用につきましてですが、岩橋千塚古墳群から出土した資料について、県立紀伊風土記の丘開園以前の発掘調査で出土した資料は、調査を実施した和歌山市や大学が所有または保管していますが、開園以降の発掘調査で出土した資料は、ほぼ全て和歌山県が所有しています。

 同じ古墳や古墳群から出土した資料は、一元的に集約して保存活用することが望ましいと考えていますが、一方で、特別史跡である岩橋千塚古墳群から出土した資料は、価値が高く、適切な環境の下で収蔵・展示が必要となります。

 県としては、(仮称)県立考古民俗博物館の整備が完了し、収蔵・展示環境が整った段階で集約して活用できるよう、所有者及び関係機関と協議していきたいと考えております。

○議長(尾崎要二君) 多田純一君。

  〔多田純一君、登壇〕

○多田純一君 お答えをいただきました。

 ぜひ前向きに、いろいろな──和歌山市だけじゃないんですね。今おっしゃったように、大学も所有されてるようにお聞きしております。ぜひ前向きに取り組んでいただければと思います。

 次の質問に入りたいと思います。

 特別史跡への追加指定や資料館の再編整備と並行して、その魅力を県内外に発信して、来館者を増やすことは大事だと考えます。今後の取組について、宮﨑教育長にお伺いいたします。

○議長(尾崎要二君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 県内外への魅力発信と誘客への取組についての御質問でございます。

 令和3年度に、首都圏で初めて「大王墓と紀伊の首長墓」をテーマとしたシンポジウムを堺市と共に開催し、コロナ禍の中ではありましたが、多くの方々に御来場いただき、ライブ配信でも多数の方に御視聴いただきました。

 首都圏での魅力発信の第一歩としては十分な成果が得られましたが、いまだ県外の認知度は低く、特別史跡への追加指定及び資料館の再編整備を進めるのと併せて、シンポジウムの開催など、引き続き、県内外へのさらなる魅力の発信に努めることが必要と考えております。

 首都圏でのシンポジウムでは、継続的な開催と現地見学を希望する声が多く寄せられたことから、令和5年度に、文化庁の京都移転でも注目の集まる関西圏都市部でのシンポジウムの開催を計画しております。あわせて、現地見学会を企画して紀伊風土記の丘への誘客を行うとともに、未公開古墳の3次元測量データの公開など、最新のデジタル技術を用いた情報発信により、さらなる魅力の拡散と来館者の増加につなげていきたいと考えています。

○議長(尾崎要二君) 多田純一君。

  〔多田純一君、登壇〕

○多田純一君 ぜひ魅力を発信していただきたいと思います。

 奈良市にある日本最大の円墳、富雄丸山古墳から、過去に例のない盾形の青銅鏡と東アジア最大の鉄剣が発見され、大きな話題となっております。いずれも日本で作られたものだと発表されております。4世紀は、中国に日本の記録がなく、謎の4世紀になっております。実は、向陽高校にあった秋月1号墳や花山丘陵にも古墳群があり、4世紀の古墳があり、その一つから三角縁神獣鏡が出土していると言われております。

 先ほど御紹介をした岩橋千塚を守る会前代表の鴨口正紀さんの、この本ですけども(本を示す)、大作「千古の夢」のこの本の中にもこのことが書かれております。この三角縁神獣鏡は、当時の為政者が地方の豪族に対し配付されたとされております。

 まだまだ古代和歌山の魅力を語り尽くせませんが、岸本知事として、岩橋千塚古墳群、そして紀伊風土記の丘について、どのようにお考えかお聞かせください。

○議長(尾崎要二君) 知事岸本周平君。

  〔岸本周平君、登壇〕

○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。

 岩橋千塚古墳群は、和歌山平野の東側、紀の川下流南岸にある岩橋山塊一帯の東西約3キロ、南北約2.5キロの範囲に広がる、4世紀末から7世紀後半にかけて造られた総数約900基に及ぶ全国最大級の貴重な古墳群であります。

 長期にわたりまして、前方後円墳、円墳、方墳が同一墓域に築造されており、埋蔵施設の多様性や岩橋型横穴式石室に見る独自性が評価されています。多田議員のおっしゃるとおりでありまして、そして、昭和27年には特別史跡に指定されました。その後、3回にわたる追加指定を行い、現在約63万平米、約500基の古墳が特別史跡内に分布している状況であります。

 そして、多田議員御指摘の花山丘陵は、4世紀に遡る古墳が分布しており、未指定ではありますけれども、岩橋千塚古墳群の始まりを考える上で重要な場所であると認識をしております。

 特別史跡に指定されてから70年、紀伊風土記の丘として開園してから50年超を経過いたしましたけれども、多くの土地所有者や研究者の方々の御協力はもとより、岩橋千塚を守る会やボランティアガイドの方々の支えによって守られてきた、かけがえのない県民共有の歴史的財産であると考えております。

 これも、多田議員がおっしゃいました、岩橋千塚を守る会が2012年8月に発足をしました。私も、実は発足以来、会員として活動してまいりました。もとより多田議員のような知識はありませんけれども、勉強もさせていただき、また岩橋千塚を守る会のイベントや、特に忘年会等で多田議員と御一緒させていただいて、熱くお話を聞いたことを大変いい思い出として持っております。また、1万3000人もの署名活動をされたときの多田議員の御活動、御活躍は、横で拝見しておりまして敬意を表しておった次第であります。

 その意味で、本当に古墳としての値打ちがある中で、地元の地域の皆さんが一体となって盛り上げようとされている意味で、一つのモデルになるような地域ではないのかなと考えております。

 そういう意味では、今後とも、多田議員を中心に関係者の皆様と連携を図りながら、特に特別史跡の追加指定、それから考古民俗博物館を含む県内の整備は積極的に進めてまいります。そして、今御指摘ありました県内外への魅力発信にも取り組みまして、適切な保存と活用を図ることにより、この貴重な歴史的な財産を次の世代へと確実に継承していきたいと考えておりますので、引き続きの御指導、よろしくお願い申し上げます。

○議長(尾崎要二君) 多田純一君。

  〔多田純一君、登壇〕

○多田純一君 知事、ありがとうございます。いろんな思い出も含めて語っていただきました。

 ちょっとだけこの思い出というか、私も述べさせていただきたいんですけども、実は、JR和歌山駅の東口から、この紀伊風土記の丘に向かってバスが通ってるんです。このバスがもう廃線ということで、届出がもうされていた中で、本当に地元の方々がぜひこれは残したいと、そういうことでその廃線予定をストップしまして、いまだにまだ乗る方も大変少ないんですけども、維持していただいてる。これも、岩橋千塚を守る会の人たちも含めて、地元の方々が本当にこの紀伊風土記の丘を大事にしてこられたあかしじゃないかなと、このように思いますので、引き続き、県としてもよろしくお願い申し上げたいと思います。

 2番目の質問に入らせていただきます。

 子どもの心の診療ネットワーク事業について申し上げます。

 心の健康問題を抱える児童・思春期の世代が増えており、社会的課題となっております。今議会でも、玉木議員が10代の自殺の現状や心のケアについて取り上げられておられました。不登校や児童虐待、ひきこもり、発達障害など、児童・思春期の問題に行政がどのように向き合うか。不適切な養育によって、子供の脳が萎縮することも明らかになっております。また、国立成育医療研究センターがコロナ禍の子供の心の実態調査を2年間行ったところ、摂食障害の神経性やせ症がコロナ以前と比べると1.6倍になり、それが高止まりしていることも報道されております。

 子供の可塑性を考えると、子供の心の健康問題を早期に診断し、診療を提供して健康を取り戻すことが求められております。困難を抱える子供たちへの支援拡充は、国においても、地方行政においても喫緊の課題だと考えます。令和2年2月定例県議会で、思春期の様々な心の問題に対応するため、国が進める子どもの心の診療ネットワーク事業について質問をして、当時の福祉保健部長から、課題として、「専門医の育成等に指導的な役割を果たす医師がいない点」、「専門医の確保や病院と診療所の連携対応など、広域的な対応が求められる」、「当該事業の活用を検討しながら、各医療機関や保健福祉関係機関等と連携した子どもの心の診療ネットワーク事業の構築に向けて取り組んでまいります」とありました。その後の取組について、福祉保健部長にお尋ねをいたします。

○議長(尾崎要二君) 福祉保健部長志場紀之君。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 子供の心を支える診療のネットワーク構築は、児童、思春期といった社会に出るまでの重要な時期を過ごす子供にとって重要なものと認識しております。このため県では、関係機関と連携した支援体制を構築することを視野に、子供の心の医療体制や相談窓口の確保に取り組んでおります。

 医療体制につきましては、県立こころの医療センターにおいて、令和4年6月から対象者を小学生まで広げ、小学校4年生から18歳までを対象とした児童思春期専門外来を設けています。

 加えて、これまで課題となっていました専門医の確保については、令和4年4月に、和歌山県立医科大学神経精神医学教室に児童思春期精神医学を専門とする医師が着任し、子供の心の専門外来が新たに設けられたところです。

 次に、相談窓口としては、県精神保健福祉センターや各保健所において従来から思春期の心の相談を実施しており、現在は個別の事例を通して、地域における連携強化に取り組んでいるところでございます。

 加えて、令和2年度から、県発達障害者支援センターにおいて、紀南地域に支援拠点となる相談室を新たに設置したことや、さらに、子供や家庭に関する様々な相談に応じる児童家庭支援センターについては、令和5年度から紀南地域で新たに1か所設置し、全県的な相談支援体制の充実を図ってまいります。

○議長(尾崎要二君) 多田純一君。

  〔多田純一君、登壇〕

○多田純一君 お答えをいただきました。

 コロナ禍という中でも、思春期専門外来ができ、御専門の先生も県立医大に新しく着任されたとの御答弁でありました。

 令和5年度の国の施策を見ますと、この子どもの心の診療ネットワーク事業を実施してる自治体数は、東京や大阪、兵庫県など大都市圏だけでなく、鳥取や島根県や高知県なども含め21自治体となっております。中央では、拠点病院国立成育医療研究センターを中心に、各都道府県の拠点病院と連携しながら、技術的助言や専門家の派遣や、専門医や関係専門職の養成なども行っているそうでございます。

 本県の点と点から面への広がりを期待しております。拠点病院と県行政が連携して、医療、保健、福祉、教育を結ぶ県内の子供の心の診療ネットワークを築いていただきたいと思います。子供の問題を抱える児童相談所や児童養護施設等、そして、特別支援教育へのコンサルテーションになっていくと思われます。福祉保健部長に再度、お聞きしたいと思います。

○議長(尾崎要二君) 福祉保健部長。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 再質問にお答えいたします。

 これまで課題でありました専門医が、今年度になりましてようやく県立医科大学附属病院に配置されたところではございますが、専門医不足がまだまだ解決したわけではございません。

 今後、県立医科大学附属病院やその他関係機関へも働きかけながら、子供の心を専門的に診療できる医師の育成や確保、専門的な指導、助言に基づいた研修会や事例検討などにより、専門職の資質向上を図り、様々な支援機関の機能を高めまして、お互いの連携をさらに強化してまいります。

○議長(尾崎要二君) 多田純一君。

  〔多田純一君、登壇〕

○多田純一君 それでは、最後の質問に入りたいと思います。

 防災・減災、国土強靱化対策についてであります。

 国土強靱化基本法から10年がたちます。国土強靱化計画に基づき、大規模な災害からの被害の最小化に向けた重点施策を盛り込んだ計画で、和歌山県としても進めてきているところでございます。一方、地震発生後、前から押し寄せる津波だけでなく、2011年紀伊半島大水害で深層崩壊や土石流など、紀中から紀南にかけて大きな被害を経験いたしました。

 公明党和歌山県本部として、令和2年から1年かけて、県管理河川450河川、そして市町村管理の準用河川100河川について、河川総点検調査を行い、県管理河川については仁坂知事に申入れも行い、その後、県議会で取り上げて、令和2年2月定例県議会でも質問を行っております。3か年緊急対策として、県土整備部として約590億円のうち約107億円を、5か年加速化計画約710億円のうち約205億円を河川整備に充てておられます。その後の進捗状況をお聞きしたいと思います。

 まずは、和歌山県では水系ごとに河川整備計画を立てておりますが、河川整備の進捗状況の見える化について、どのように進めてこられたのか。

 2点目に、河川整備計画の未策定河川のその後の進捗はどうなってるんでしょうか。

 また、3点目に、浸水範囲の想定図が未作成の河川について、その後の進捗状況はどうなってるでしょうか。

 4点目に、洪水浸水区域内にある福祉施設など、避難確保計画ができていない施設の現状とその対応はどうなってるんでしょうか。

 5点目に、流域治水への取組について、県土整備部長にお尋ねをいたします。

○議長(尾崎要二君) 県土整備部長福本仁志君。

  〔福本仁志君、登壇〕

○県土整備部長(福本仁志君) まず、河川整備の進捗の見える化につきましては、令和3年3月より県のホームページにおいて、河川整備計画に位置づけられた県管理河川を対象に、工事の進捗状況を図面や写真を用いて公開しております。皆様の御意見を伺いながら、分かりやすい情報発信となるよう更新してまいります。

 2点目、整備計画の策定につきましては、周参見川水系と印南川水系において、学識経験者等の意見を聴取した上で、令和4年度中に河川整備基本方針を、令和5年度中に河川整備計画の策定を目指してまいります。また、山田川水系においては、流域の環境や流量の調査等を進めており、河川整備基本方針の早期策定に向けて取り組んでまいります。

 3点目、洪水浸水想定区域図につきましては、洪水予報河川など主要河川の作成は終了しています。その他河川については、国の協力も得ながら作成を進めており、令和5年度より、作成が完了した河川から順次公表していく予定としています。

 4点目、福祉施設など要配慮者利用施設の避難確保計画につきましては、令和4年9月末現在、対象となる1491施設のうち、約8割の1155施設が作成済みです。引き続き、計画未作成の施設管理者に対し、国が作成した手引を周知するなど、関係部局や市町村と連携し、早期の計画作成を促してまいります。

 最後に、流域治水につきましては、この取組を流域のあらゆる関係者に浸透させるため、紀の川及び熊野川流域では令和3年3月に、2級水系では、日高川をはじめとする16水系で令和4年2月までに流域治水の取組をホームページで公表しており、今後も進捗状況をフォローアップしていきます。

○議長(尾崎要二君) 多田純一君。

  〔多田純一君、登壇〕

○多田純一君 私が前、取り上げたときには、この避難確保計画が4割できてなかったんですよね。今、お聞きしましたら、あと残ってるのは2割ということでございます。非常に難しい点もあるんでしょうけども、ここをしっかりと基礎自治体である市町村の各行政とも協力していただきながら、あとの2割をしっかりとそういう計画ができるようにしていかないと、やっぱりまだ県が指定した洪水浸水区域ということでございますんで、そこの取組はしっかりとやっていただきたいなと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 河川整備計画について、知事のお考えをお聞きしたいと思います。

 和歌山県の管理する河川は、先ほど申し上げましたように450河川になります。他都市と比べると、県管理河川としては多い状況だと思います。しかも、整備計画はなかなか進みませんし、昨今の異常気象に伴うゲリラ豪雨や長時間にわたって被害をもたらす線状降水帯など、予測が難しい課題があります。知事として、県民の命と暮らしを守るとの政策課題の中で河川整備計画についてどのようにお考えか、知事の御見解をお聞きしたいと思います。

○議長(尾崎要二君) 知事。

  〔岸本周平君、登壇〕

○知事(岸本周平君) お答えいたします。

 今、多田議員が御指摘のとおり、堤防整備や河道掘削などの河川整備は、水害を軽減する防災・減災対策として非常に重要であります。河川整備を進めるには、河川法に基づいて策定いたします長期目標である河川整備基本方針、そして、それに基づく河川整備計画が大変重要であるというふうに認識をしております。

 県といたしましては、平成23年9月の紀伊半島大水害を契機に整備計画の策定を加速化しているところでございます。

 今後の河川整備につきましては、気候変動の影響による水害が激甚化すること、あるいは頻発化することへの対応や、流域のあらゆる関係者が協働する、いわゆる流域治水の考え方を取り込んでいくことも大変重要であろうと考えております。その上で、今、多田議員がおっしゃった県民の命と暮らしを守るという観点から、国土強靱化の予算もこれを最大限活用しながら、河川の整備については着実に推進してまいります。

○議長(尾崎要二君) 多田純一君。

  〔多田純一君、登壇〕

○多田純一君 最後に、御挨拶を申し上げたいと思います。市会議員として2期8年、県会議員として4期16年にわたり、県民や市民の皆様にお支えいただき、合計24年間務めてまいりました。岸本知事が誕生されて大きな期待が寄せられている中、私も1人の県民として県勢発展を見守っていきたいと考えているところでございます。

 今、思い起こすと、私がサラリーマンから議員になった1999年は、公明党が与党に入った年になります。多難な時代でございました。経済では、1997年に山一證券や北海道拓殖銀行などが破綻し、日本が金融破綻の大きな危機の節目のときでございました。このとき、小渕総理から政権与党のお誘いを受け、公明党として苦渋の選択をした経緯があります。1998年には、和歌山市で毒物カレー事件があり、大きな事件として衝撃を全国に与えました。翌年の選挙で、サラリーマン経験しかなかった私の議員人生が始まりました。無我夢中の24年間でございました。

 お世話になりました県議会の先輩、また同僚の皆様、再び県政壇上にお戻りになることを御祈念いたしているところでございます。

 岸本知事が、また下副知事をはじめ、ひな壇におられる方々だけではなく、担当していただいた職員のほか県職員の皆様、そして、県民や党員支持者の皆様には大変お世話になりました。心からお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。

 以上で終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(尾崎要二君) 以上で、多田純一君の質問が終了いたしました。

 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。

 この際、暫時休憩いたします。

  午前11時22分休憩

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  午後1時0分再開

○議長(尾崎要二君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 1番鈴木德久君。

  〔鈴木德久君、登壇〕(拍手)

○鈴木德久君 皆さん、こんにちは。一般質問最終日、昼からのトップバッターということで、もう少しのお付き合い、よろしくお願いいたします。

 まずもって、今月6日に発生したトルコ・シリア地震はマグニチュード7.8、死者は5万人を超え、100万人以上の方が被災されました。お亡くなりになられた方々に心からお悔やみ申し上げますとともに、多くの被災者の皆様にお見舞い申し上げます。

 トルコも複数のプレートが交差するところで、我々の地域とよく似ており、とても他人事とは思えません。また、その規模は阪神・淡路大震災の22倍と言われ、活断層のずれは阪神のときで約50センチ、今回は4メートルと言われ、昨日の新聞の報道によりますと、水平方向には9.1メーターずれたとの報道もありました。そのすさまじさが想像できます。

 平成7年の阪神・淡路大震災のときは、地震発生5日後から東灘区の区役所で罹災者証明の発行の事務のお手伝いをさせていただきながら、その惨状を目の当たりにし、また平成23年には東日本大震災、紀伊半島大水害を経験した者として、災害に対する心構えはできているつもりでしたが、改めて災害への備えについて肝に銘じたいと思いました。

 それでは、議長からお許しをいただきましたので、新たな観光産業の創設といった観点から質問に入りたいと思います。

 昨年のNHKの大河ドラマは「鎌倉殿の13人」でした。タイトルの鎌倉殿とは鎌倉幕府将軍のことで、主人公は鎌倉幕府二代執権・北条義時、小栗旬さんが演じておりました。鎌倉幕府初代将軍・源頼朝に全てを学び、武士の世を盤石にした男とされています。

 野心とは無縁だった若者は、いかにして武士の頂点に上り詰めたのか。頼朝の13人の家臣団が激しいパワーゲームを繰り広げる物語でした。

 私は、中でも西田敏行さんが演じる、熊野詣で有名な後白河法皇に注目して見ておりましたが、その登場の仕方が大変興味深いものでした。第3話で「挙兵は慎重に」という題目でしたが、後白河法皇は頼朝の夢枕に立ち、「一日も早く助けてくれ、清盛にひどい目に遭わされて、今は幽閉されている。清盛の首を取れ、平家のやつらを都から追い出してくれ、それができるのはお主だけだ」と言って登場しますが、頼朝は恐怖で金縛りに遭うという設定でした。

 後白河法皇といえば、平家物語や源平合戦で平家を滅亡させ、源義経を悲劇に追いやったあくどい政治家といったイメージが強いのですが、逆の見方をすると、武家社会へと流れる時代と最後まで闘った立派な天皇と言えるのではないでしょうか。

 期せずして兄と皇位継承を争って保元の乱に勝ち、28歳で天皇に即位、31歳で息子・二条天皇に皇位を継承して院政を執ります。その後、六条、高倉、安徳、後鳥羽の5代にわたって権力を握ったのですから、やはり、かなりのやり手だったと想像できます。

 在位中は天皇、院政を始めたときは上皇、出家した後は法皇と呼ばれるそうですが、上皇になってから33回、一説によりますと34回との説もありますが、熊野詣をしたとの記録があります。

 熊野といえば、平安時代、京都から往復1か月もかかる極楽浄土と呼ばれていました。その熊野にほぼ毎年、詣でていたというのです。さらに、京都には熊野三山を勧請した京都三熊野までつくっています。なぜ後白河法皇はそこまで熊野に傾倒したのでしょうか。

 あの平清盛や源頼朝を陰で操り、死ぬまで武家の言いなりにならなかったとされていますが、このとき法皇が守った公家の立場こそが、その後の武家社会における公家と武士の関係の枠組みを築いたのではないかと言われています。

 ただ、大きな時代の流れにあらがうには物すごく強靱な精神力が必要で、後白河法皇は大きな政治的ストレスを抱えていたのではと推測されます。余談になりますが、熊野詣の際には今様を歌いまくっていたとの記録もあり、現在風に我々の言葉で言えばニューミュージックをカラオケで歌っていたということでしょうか。私としても非常に共感を覚えます。

 法皇の34回に及んだ熊野詣は、壮大なリフレッシュの旅であり、一年に一度、思い切り羽を伸ばせる場所をつくりましょうという強烈なメッセージではないかと思います。ここに和歌山の観光振興のヒントがあるのではと思います。

 その舞台となったのが世界遺産の紀伊山地の霊場と参詣道ということであります。その世界遺産登録から来年で20周年となりますが、これまでの観光施策の取組実績について、商工観光労働部長にお伺いします。

○議長(尾崎要二君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。

 商工観光労働部長寺本雅哉君。

  〔寺本雅哉君、登壇〕

○商工観光労働部長(寺本雅哉君) 世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」は、平成16年に登録され、平成28年に追加登録されました。これまで、世界遺産登録社寺、地元市町、関係団体と協働して、案内板等の整備、語り部の育成、ルートごとのマップの作成や、スタンプなどを活用した押印帳の展開などの受入れ体制の整備を図るとともに、国内外の旅行会社に対し、旅行商品造成の働きかけやメディアなどでの情報発信に努めてまいりました。

 これらの成果は、世界的なガイドブック「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」における三つ星の評価や、ロンリープラネットのベスト・イン・トラベル2021において、読者が選ぶサステーナビリティーに配慮した観光地に世界で唯一、和歌山が選出されるなど、高く評価されてきました。

 一方で、貴重な資源を次世代に引き継ぐための取組も重要であり、県では、これまで地域の人々と共に文化的景観を守る取組を行ってきました。このような取組の一つとして、参詣道の保全活動である道普請を実施しており、企業のCSR活動や教育旅行の体験メニュー等で累計3万6000人を超える人々に参加いただいております。

 このような保全と活用の取組の結果、登録された平成16年の関係市町の観光入り込み客数が約1090万人であったことに対し、コロナ禍前の令和元年には1730万人と順調に伸びてきており、県内観光入り込み客数の約半数を占めるまでになりました。

 さらに、外国人宿泊客数では、約5万人泊が30万人泊と6倍以上の伸びを見せるなど、県内観光客の入り込みに大きく貢献しております。

○議長(尾崎要二君) 鈴木德久君。

  〔鈴木德久君、登壇〕

○鈴木德久君 ありがとうございます。

 続いての質問ですが、来年は、紀伊山地の霊場と参詣道が世界遺産に登録されて20年の節目の年となります。

 先般、知事からも、来年の世界遺産登録20周年をプレ万博と位置づけて積極的なプロモーション活動を展開するなどの御答弁もありましたが、具体的にどのような取組を考えておられるのか、商工観光労働部長にお伺いします。

○議長(尾崎要二君) 商工観光労働部長。

  〔寺本雅哉君、登壇〕

○商工観光労働部長(寺本雅哉君) 令和6年度の世界遺産登録20周年に向けて、登録後から現在までを振り返り、改めて世界遺産の価値を見詰め直し、魅力を再発見してもらうような取組が重要と考えています。

 具体的には、20周年の機運醸成を図るため、首都圏でのシンポジウムの開催や、高野山での歌舞伎等伝統芸能とコラボしたイベントの実施、令和の熊野詣と題して、熊野詣出立の地であった京都でのイベントの開催を予定しています。

 また、熊野古道を多くの人に歩いてもらうよう旅行会社に商品の造成を働きかけていくとともに、紀伊路や大辺路においては、JRきのくに線を利用することで、気軽に歩いてもらえるようレール・アンド・ウオークを推進してまいります。

 さらに、県内に長く滞在し、心身のリフレッシュや文化的な資源などに触れてもらうため、熊野古道と高野参詣道、日本遺産の葛城修験といった祈りの道をつないだ広域周遊ルートづくりや、受入れ対策として、地図、案内板の整備、地域の語り部人材の育成などの取組も進めるとともに、情報発信にも努めてまいります。

 そのほかにも、地域と連携した20周年特別企画の実施や、メタバースなど新しい手法を織り交ぜた情報の発信、新たな観光スタイルとして、道普請を組み入れたワーケーション、マインドフルネスを取り入れた企業研修など、誘客の多角化も図ってまいります。

 なお、今後、令和7年の大阪・関西万博を視野に、県内市町村と共に地域の観光素材の掘り起こしや磨き上げを行い、国内外から多くの皆様にお越しいただけるよう取り組んでまいります。

○議長(尾崎要二君) 鈴木德久君。

  〔鈴木德久君、登壇〕

○鈴木德久君 御答弁ありがとうございました。

 先ほどの話のキーポイントは、多いときには数百人を引き連れての熊野詣を政治に関わっていた34年間にほぼ毎年行っていたということ、年に一度は1か月程度の壮大なリフレッシュ旅を行っていたこと、ストレスの多い現代人に、年に一度は熊野を訪れてリフレッシュしたいと思わせるおもてなしができないものでしょうか。

 「蟻の熊野詣」と言われ隆盛を極めたときも、少し世間から忘れられ、細々と地方の湯治場としてつないできた時期もあったかと思いますが、1000年以上人々を受け入れてきたこの地域は、まさにSDGsな観光地と言えるのではないかと思います。

 また一方で、現在のビジネスマンはどのようにこのストレス社会に対応しているのでしょうか。話はちょっとアメリカのほうに飛びますけども、最近、シリコンバレーの起業家が座禅にはまる理由という記事を読み、その中で、特に、座禅の火つけ役になった起業家の一人としてスティーブ・ジョブズが紹介されています。

 彼は「ゼン・オブ・スティーブ・ジョブズ」、サブタイトルが「スティーブ・ジョブズを成功に導いた知られざる禅の極意」という本を出しており、多くのビジネスマンのバイブルになっているとも言われています。

 そこで、次の質問はちょっと禅のつながりで、郷土の偉人検証についてお伺いします。最近、東京在住の和歌山出身の知人から、昨今、憲法改正議論が話題となる中、太平洋戦争の終戦に際して玉音放送で流れた「堪え難きを堪え、忍び難きを忍び」の文言を進言し、新憲法における天皇の地位についても象徴と示唆した禅の高僧、山本玄峰老師をもっとPRしてはどうかとの話がありました。

 山本玄峰老師は、江戸時代末期の慶応2年1月28日、湯峰温泉で誕生、わけあって隣村の素封家、岡本家の養子となり、芳吉と命名されます。岡本家では畑仕事や伐木──きこりですね、いかだ流し等に従事、19歳で家督を継ぎ結婚しますが、その頃から眼病を発症し、視力が衰えていきます。京都府立病院にも3年間入院治療するも、医師から失明を宣告され、失意の中、新潟・越後へと流浪の旅に出ますが、行き倒れとなり、地元の方に助けられます。

 その後、弘法大師の高徳にすがるべく、四国霊場88か所巡礼をはだしで始めます。7度目の巡拝の途次、33番札所、高知の雪蹊寺で倒れ、住職の山本太玄和尚に助けられ、和尚の進言により仏門に入る一大決心をします。一度帰郷し、身辺整理をした後、その弟子となり厳しい修行に入りました。25歳で出家し、玄峰の号を受け、26歳で修行に出た老師は、想像を絶する修業を積んだ後、明治34年、37歳で太玄和尚の養子となり、雪蹊寺の住職となります。43歳で再び修行に出た後、50歳で三島の龍沢寺に入り、各地で荒廃した寺の復興に努めます。大正12年、58歳でアメリカ、イギリス、ドイツを、その2年後にはインドを歴訪しています。また昭和11年には旧満州国の新京に妙心寺を開創されました。

 そして、昭和20年、玉音放送の「堪え難きを堪え、忍び難きを忍び」の一節は、終戦の直前、首相・鈴木貫太郎氏が老師を訪ねられた際に諭した言葉とされています。

 また、昭和22年に82歳で大本山妙心寺管長に就任、当時、内閣書記官長であった楢橋渡氏が新憲法における天皇の処遇について老師に相談した際、天皇は空に輝く象徴みたいなものだと言われ、それが憲法第1条の言葉に大きな影響を与えたとされています。

 最近の不安な国際情勢によるストレス社会の中で、いま一度、老師の功績をしのび、再検証するときではないかと思います。

 そこで、これまでの啓発の状況と併せ、今後の顕彰事業について、企画部長にお伺いします。

○議長(尾崎要二君) 企画部長長尾尚佳君。

  〔長尾尚佳君、登壇〕

○企画部長(長尾尚佳君) 本県には、国家、社会の発展に大きな働きをした多くの先人がいます。このような方々の功績を知ることは、ふるさとへの愛着や誇りにつながるものであり、先人の顕彰に継続的に取り組むことが重要であると考えております。

 議員から御提案がありました山本玄峰につきましても、平成16年度に開催した紀の国先人展での紹介をはじめ、ふるさと教育副読本「わかやま何でも帳」への掲載や、県のホームページ、和歌山県ふるさとアーカイブにおける情報発信などを通じて顕彰を行っております。

 先人の顕彰につきましては、現在も県庁北別館の県議会棟ロビーに設置された県庁ギャラリーや県立図書館2階の文化情報センター内においてパネルの展示を行っているところですが、これらも含めて、様々な形で郷土への愛着心のより一層の醸成を図ってまいります。

○議長(尾崎要二君) 鈴木德久君。

  〔鈴木德久君、登壇〕

○鈴木德久君 御答弁いただきありがとうございます。

 後白河法皇からスティーブ・ジョブズ、山本玄峰老師と少々強引につないでまいりましたけども、近年、社員の早期退職防止やメンタル強化、ヒューマンスキル向上のために、座禅やヨガ、マインドフルネスを取り入れたり、研修施設に行かして研修させたりする企業が増えているそうですが、和歌山がそのメッカとなるような観光戦略を立ててみてはいかがでしょうか。

 県内外の企業はもとより、県庁職員、教職員、警察職員や病院職員等、そういういろんな必要性もあると思われますので、ぜひ御検討いただけたらありがたいと思います。

 次の質問に入ります。

 次に、日本ではひきこもりの現象が1990年代から見られるようになり、2019年にはひきこもりが110万人いると推定され、深刻な社会問題となっています。

 また、新型コロナウイルス感染症のパンデミックのために、各国の都市でロックダウンが行われた影響で、世界的にひきこもりが急増している可能性があると言われています。

 もう一つの側面として、ニートがありますが、ニートとは、15歳から34歳で就労や家事・通学をしていない人と厚生労働省によって定義されています。

 ニートとひきこもりの違いは、本人が社会と関わって生活しているかどうかであり、ひきこもりは、就学、就労、家庭外での交友を持たず、6か月以上家庭にとどまり続けている状態と定義されています。ニートの人口推移は年間55万人程度と言われ、少子高齢化が進む日本において、毎年50万人以上の若者が労働しない、できない状況は軽視できない問題です。

 これらのことは若者の未婚率が高まることにつながり、さらに少子化が加速することが想定されます。また、労働者が減少すれば納税額も減少し、将来の財源不足も予想されます。

 ニートやひきこもりの原因の一つに学校生活における不登校があると思われますが、その一方で、改善策、対応策として、高校教育があるのではとの説があります。小中学校で不登校になった生徒が自分の環境を変えられるチャンスが高校生活にはあるのではとのことですが、県内の高校における不登校生徒の現状、課題について、教育長にお伺いします。

○議長(尾崎要二君) 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 不登校生徒の現状、課題についてでございますが、過年度対比において、不登校生徒数は校種を問わず増加傾向にあり、特に義務教育段階では、学年が上がるにつれて不登校生徒が増える傾向もあります。

 一方で、中学校まで不登校であった生徒が高校入試を契機に登校できるようになることもあります。その要因としては、中学校とは違い、高等学校は定時制や通信制など多様な学びや分校など少人数の学びが可能となることや、交友環境をリセットしたり、思春期を過ぎて精神的に安定することや、何よりも、自らの意思で学校や環境を選択できることなどが挙げられます。

 また、少子化の進行で緩やかな募集定員の設定が進んだこと等から、高校の学習指導や支援において、特別支援教育の視点を取り入れた個に応じた対応が以前より可能になってきたこともあります。

 こういった事例とは逆に、高校入学後に新たに不登校になる生徒も一定数います。登校がままならないことから、転学や中途退学といった進路変更する場合も少なくありません。

 さらに、様々な支援や配慮によって高校での学業を全うできても、社会との関わりや人間関係の構築という面で課題が残り、卒業後に家庭に引き籠もってしまうこともあり、このような多くの解決すべき課題があると認識しております。

○議長(尾崎要二君) 鈴木德久君。

  〔鈴木德久君、登壇〕

○鈴木德久君 御答弁いただきましたように、高等学校へ入学することをきっかけに不登校を経験した生徒の一部については改善することも考えられるということです。高等学校における不登校対応に向けた今後の取組について、いま一度教育長にお伺いします。

○議長(尾崎要二君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 不登校対応に向けた今後の取組についてでございます。

 高等学校での不登校への対応としては、中学校との情報共有や児童相談所などの機関と連携を深めることや、個に応じた指導や対応をさらに充実させる必要があります。高校のキャリア教育を充実して、生き方や在り方について前向きに考える機会を用意することや、インターンシップや地域社会との交流活動等を通じて経験や人間関係を広げることが重要です。

 日々、教職員などが生徒の観察や相談を通じて生徒の状況を評価し、学業や生活面での不安へ的確に対応するよう努めています。様々な背景や理由で進路変更に至った生徒に対してもスクールソーシャルワーカー等の専門スタッフと協力しながら、若者サポートステーションWith You等の外部機関との連携も継続して行っています。

 学びや成長から誰一人取り残さないという視点で不登校への対応に取り組んでまいります。

○議長(尾崎要二君) 鈴木德久君。

  〔鈴木德久君、登壇〕

○鈴木德久君 ありがとうございました。

 こういった取組に期待するのは、県内の高校生だけでなく、他府県の生徒も多いのではないかと思ったわけで、生徒減少に悩む高校の対策につながればと思った次第でございます。

 続きまして、子育て支援についてお伺いします。

 今国会でも岸田総理は、「異次元の子育て支援」を連呼しています。国会での議論は当初、児童手当の支給条件に所得制限を設けるか否かに集中していましたが、現在子育て中の方たちに話を伺いますと、子供は保育園に入園できて共働きに戻ったが、子供が急に熱を出した場合にすぐ迎えに来てくださいと言われるのがなかなか大変だと、そういうことでちょっと共働きについて不安がある、そういったことをよく聞きました。このようなときに代行して迎えに行くような仕組みが整えていただけるなら、安心して子育てができるのではないでしょうかということでした。

 その対応策について、福祉保健部長にお伺いします。

○議長(尾崎要二君) 福祉保健部長志場紀之君。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 病児保育を実施する施設には看護師等を追加配置し、保育中に体調が悪くなった児童を送迎し、保育を実施する場合に、送迎対応の看護師雇上費や送迎経費を補助する国の制度があります。和歌山市及び田辺市の病児対応型の病児保育施設では、この制度を活用して、保護者に代わって送迎を実施しており、広域実施を含めますと5市町で活用可能となっております。

 利用方法としては、保育所等から保護者に体調不良の連絡があり、保護者が迎えに行くことが困難な場合、保護者は病児保育施設に送迎を依頼し、看護師または保育士が迎えに行き、病児保育施設で預かります。

 現在、利用に当たり医師の診断書が必要などの理由により代行送迎を行っていない病児保育施設もあります。このため、事前に登録を行うことで診断書等を省略するなどの工夫を行っている施設の先行事例を幅広く周知し、国の補助制度を積極的に活用して代行送迎の実施を促進するなどにより、安心して子育てができる環境整備に取り組んでまいります。

○議長(尾崎要二君) 鈴木德久君。

  〔鈴木德久君、登壇〕

○鈴木德久君 次に、保育士の確保対策についてですが、働く保育士の育児休暇対応や、より手厚い保育サービスの向上に対応するためには、保育人材の確保は必要不可欠ですが、恒常的な保育士不足も言われている中で、県の保育士確保対策について、福祉保健部長にお伺いします。

○議長(尾崎要二君) 福祉保健部長。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 県では、増加する保育ニーズに対応していくために保育士の確保対策に取り組んでおり、保育士資格の新規取得者の確保、潜在保育士の再就職支援及び保育人材の定着支援の三つの対策を進めております。

 一つ目の保育士資格の新規取得者の確保対策の主なものとしては、保育士養成施設に在学する学生に対する修学資金の貸付事業を行っております。養成施設卒業後1年以内に保育士登録を行い、和歌山県内の保育所等に5年間引き続き勤務すれば返還を免除する仕組みです。

 次に、二つ目の潜在保育士の再就職支援の主なものとしては、県福祉人材センターにおいて保育士等支援コーディネーターを配置し、潜在保育士を含め保育士に対する就職支援を行っています。保育士等支援コーディネーターは、福祉人材センターに求職登録された保育士と求人登録された保育所について、それぞれの希望を聞き取り、体験実習の場を用意するなどしてマッチングを行っています。また、ブランクのある保育士については再就職への不安解消のために、再就職支援研修や保育所の現場見学などを実施しています。

 最後に、三つ目の保育人材の定着支援の主なものとしては、妊娠や出産を機に、もしくは業務負担が大きいとの理由で離職する保育士が多いことから、今年度から保育人材の現場定着に向けた取組を行っています。

 離職防止には、勤務日や勤務時間等を選択できる限定正社員制度の導入や、保育業務のICT化等により業務負担を軽減する環境づくりに向けた取組が必要であると考えています。そこで、社会保険労務士をアドバイザーとして配置し、保育士等支援コーディネーターと共にこうした取組を行おうとする保育所を訪問して、保育士の定着に向けた取組の支援を行っています。

 今後とも保育士を安定的に確保し、充実した保育が提供できるよう、これらの対策に精力的に取り組んでまいります。

○議長(尾崎要二君) 鈴木德久君。

  〔鈴木德久君、登壇〕

○鈴木德久君 さらに、少子化時代における保育施設の在り方についてお伺いします。

 少子化に伴い、今までのような入所児童数が見込めない地域の保育施設についても、保育を必要とする家庭が引き続き利用できるように施設を維持していくための対策について、福祉保健部長にお伺いします。

○議長(尾崎要二君) 福祉保健部長。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 保育所の入所定員は最低20名以上となっていますが、人口減少地域では、これらの定員を確保できないケースも発生することが考えられます。このため、平成27年度から始まった子ども・子育て支援新制度において、人口減少地域での保育基盤が維持できる制度として、地域型保育事業が創設されました。

 地域型保育事業は、保育所より少人数の単位でゼロ歳から2歳の乳幼児を保育する事業で、小規模保育事業、家庭的保育事業、事業所内保育事業、居宅訪問型保育事業の四つの事業類型があります。

 例えば、小規模保育事業は定員6名から19名以下の少人数を対象に家庭的保育に近い環境で一人一人にきめ細かな保育を実施するもので、現在県内に5施設設置されています。また、事業所内保育は会社の事業所の保育施設などで従業員の子供と地域の子供を一緒に保育するもので、現在、県内に1施設設置されています。このほか、山間地など保育所を設置することが著しく困難な地域に設置される未就学児を対象とした保育施設として僻地保育所があり、現在県内に10施設設置されています。

 今後とも、幼児教育・保育の質の向上や受皿整備を進めるため、保育を必要とする全ての家庭が利用できるように、これらの制度を活用し、実施主体である市町村と協力しながら取り組んでまいります。

○議長(尾崎要二君) 鈴木德久君。

  〔鈴木德久君、登壇〕

○鈴木德久君 御答弁いただきありがとうございます。

 コロナ対応においては和歌山方式といった言葉が一時よく使われましたが、異次元の子育て支援の世界においても、ぜひ、和歌山方式を国に対して提言していただければと期待をしております。

 次に、カーボンニュートラルの実現に向けた取組についてお伺いします。

 2020年10月の第203回臨時国会の所信表明演説において、菅前内閣総理大臣が2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、いわゆる2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを宣言いたしました。

 排出を全体としてゼロというのは、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出量から森林などによる吸収量を差し引いて、合計を実質的にゼロにすることを意味し、達成のためには、再生可能エネルギーの普及による温室効果ガス排出量の削減と森林吸収源対策、これを強化する必要があります。

 当県の再生可能エネルギーは、水力や風力、太陽光、木質バイオマスといった発電設備が一般的に普及しており、県の長期総合計画では、豊富な自然資源を生かし、再生可能エネルギーを活用した電源開発を自然環境や地域の産業、生活環境と調和した形で促進していきます。

 一方で、風力発電については、陸上において導入が進んだ結果、適地が減少しつつあり、また、太陽光発電については、用地的に安価に入手しやすい山林での大規模な開発計画が多く、二酸化炭素の吸収源である森林をわざわざ開発してまで行うというジレンマ、開発に伴う土砂災害等を懸念する声がしばしば聞かれます。

 そこで、カーボンニュートラルの実現に向けた取組について、2点御質問します。

 まず1点目として、県の脱炭素社会の実現に向けた取組について御質問します。

 国では、脱炭素社会の実現に向け様々な制度を創設しており、例えば、令和3年6月には地域脱炭素ロードマップを作成し、先行地域づくりの制度を創設しました。これは全国で100か所以上の脱炭素先行地域をつくり、その模範事例をドミノ式に全国に広めようとする取組です。

 この制度では、市町村は、一定のエリア内の温室効果ガスを2030年までに実質ゼロにする計画を立て、国に先行地域として認定してもらうと有利な補助金が活用できる制度となっています。

 それぞれの地域が脱炭素を進めていくためには、市町村がこうした新たな制度を活用するなど、地域特性に応じた再エネ導入や地域づくりを進めることが求められており、地域の脱炭素に向け市町村の役割が大変重要になってきていると考えます。

 県は、2050年カーボンニュートラルを宣言していますが、県内の温室効果ガスの排出量の状況はどうなっているのでしょうか。また、脱炭素社会の実現に向け、県はどのように取り組んでいくのか。このような市町村の役割を踏まえ、県は市町村への支援をどのように進めていくのか。環境生活部長にお伺いします。

○議長(尾崎要二君) 環境生活部長生駒 享君。

  〔生駒 享君、登壇〕

○環境生活部長(生駒 享君) 県内の温室効果ガス排出量につきましては、直近のデータとなる2019年度において、1753万トンであり、排出量の基準となる2013年度と比べて9.5%減少していますが、さらなる削減に向けた取組が必要です。

 県では、令和3年3月に策定した第5次和歌山県環境基本計画において、2050年カーボンニュートラルを宣言し、企業の脱炭素経営の促進や住民への啓発等による省エネルギーの推進、地域の環境と調和した再生可能エネルギーの導入促進、豊富な森林資源を活用したCO2吸収減対策などに取り組んでいます。

 加えて、県も1事業者として県有施設への太陽光発電設備の設置や公用車への電動車導入に取り組んでいくこととしており、脱炭素社会の位置づけに向け、あらゆる取組を一層進めてまいります。

 また、地域の脱炭素化を進めるためには、議員御指摘のとおり、地域と密着した市町村の役割が重要であり、セミナーの開催や実行計画の策定に係る協議など、様々な機会を通じ、国の制度や支援に関する情報提供や助言を行っているところです。引き続き、市町村の取組が円滑に進むよう支援してまいります。

○議長(尾崎要二君) 鈴木德久君。

  〔鈴木德久君、登壇〕

○鈴木德久君 次の2点目といたしまして、風力発電の導入状況について御質問します。

 地域の環境と調和した再生可能エネルギーの導入については、令和3年3月に県が策定した和歌山県環境基本計画では、2030年度における県内消費電力量に対する再生可能エネルギー発電量の割合が33%となることを目指しています。

 和歌山県では、2000年頃から白馬山脈を中心に陸上風力発電施設の建設が進み、今では適地が残り少なくなる中、リプレースによる設備の大型化や新たな設備の施設の計画が奥地に向かうなど、従前と比較して、より一層、自然環境や生活環境に配慮する必要も出てきています。

 一方、洋上風力発電については、電源の大量導入が可能であるため全国的にも注目が高まっており、東北や九州地方などでは全国に先駆けてファームの建設が始まっている状況です。海域における風力発電事業についても、陸上風力発電と同様に自然環境や生態系、景観等への影響について考慮する必要があると同時に、漁業、船舶の航行といった先行利用への影響が懸念され、その導入に当たっては地域の事情を踏まえて検討される必要があることから、和歌山県では事業の可能性を検討することに適した海域と事業推進に慎重となるべく、海域を示すゾーニングを平成30年度から令和2年度にかけて実施したところです。

 このような中、現時点で、和歌山県全体では、再生可能エネルギーの導入はどの程度進んだのか。特に、和歌山県で比較的早い段階から導入が進んでいる陸上風力発電施設について、現時点での導入状況と今後の完成を目指して計画中のものがどの程度あるのかについてお伺いします。また、洋上風力については様々な懸念事項もありますが、県としてどのように考えているのか、商工観光労働部長にお伺いします。

○議長(尾崎要二君) 商工観光労働部長。

  〔寺本雅哉君、登壇〕

○商工観光労働部長(寺本雅哉君) 和歌山県の再生可能エネルギーの導入状況についてですが、令和4年3月末現在における県内の消費電力量に対する再生可能エネルギーの割合は約27%となっており、太陽光発電の発電量の増加が鈍化する中、風力発電については前年度から1.2ポイント増と、順調に増加している状況となっています。

 和歌山県内における10キロワット以上の陸上風力発電施設につきましては、建設済みのものが9か所で99基、発電能力の合計が約16万7000キロワットとなっています。また、計画中のものにつきましては、リプレースも含め6か所で最大約90基、発電能力が約38万キロワットとなっています。

 一方で、議員御指摘のように陸上風力の県内の適地は減少しており、大規模な開発は難しくなってきているため、再生可能エネルギーを今後さらに拡大していくためには、洋上風力は重要な選択肢と考えられます。

 本県の周辺海域は、風況がよくポテンシャルが高いと言われていますが、洋上風力の導入には先行利用者との調整をはじめ様々な課題もありますので、関係者の皆様としっかり議論しながら、一歩一歩進めていくことが重要であると考えています。

○議長(尾崎要二君) 鈴木德久君。

  〔鈴木德久君、登壇〕

○鈴木德久君 御答弁いただきありがとうございました。

 和歌山がカーボンニュートラル先進県となるよう、今後の取組についてよろしくお願いします。

 今回のテーマは、12月議会でも提案した小栗伝説にもあるような、その昔から弱者を受け入れてきた歴史と、もっと言えば、「ブラタモリ」でも取り上げられてました1400万年前の噴火による熊野カルデラがパワースポット的な力を出しているのではといったロマンを感じさせながら、みんなが和歌山に再起をかけて集まってくる、そんな場所になってほしいとの思いから質問をさせていただきました。

 これで、私の一般質問を終わります。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(尾崎要二君) 以上で、鈴木德久君の質問が終了いたしました。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 21番吉井和視君。

  〔吉井和視君、登壇〕(拍手)

○吉井和視君 皆さん、御苦労さんでございます。最後の質問をさせていただきます。

 議長のお許しをもらって、知事に一言、お願いをさせていただきたいと思います。

 知事、御当選おめでとうございます。

 それで知事が選挙のとき、初めて県庁前で演説をされた、そのときのことを思い浮かべております。私は感激、あるいは感動したということを、話をさせていただきたいと思います。

 それは、知事は農林水産業、これを一生懸命やりたいと、それで私は専門家ではないから県庁の皆さんの意見を聞いて、十分やっていきたいという、そういう話をされました。これはやっぱり知事の人間力、こういう言葉を県庁の先輩からも聞いたことがあるんですけど、知事は、将に将たる器の知事になってもらいたいと。ただ大将になってもらうだけではなくして、人間力のある、部下を引きつける、そういう指導者に、真のリーダーになってもらいたいと、そういう言葉が含まれておるわけなんですけども、私からも、将に将たる器の真のリーダーの知事になってもらいたいなと、そんなに思います。

 これから、議長のお許しを得ましたので、一般質問をさせていただきます。

 まず初めに私のほうから、今も鈴木德久さんから脱炭素の話がありました。前には林県議、それから片桐県議からも脱炭素の取組のことがありました。

 それで、私のほうから脱炭素の違う角度から、3人の皆さんは排出をいかに止めるかと、それで再生エネルギーをどうするかという質問であったんですけども、私のほうからは、これを吸収の面から、森林を利用した吸収の面から、そしてまた林産業を推進することで、これを固める、二酸化炭素を固める、そういう保全をするという、そういう角度から今日は質問をさせていただきたいなと思うわけであります。

 それで、今、地球の危機というのが叫ばれておりますね。これはもう半世紀前から言われておるわけなんです。ちょっとこの話をさせてもらうんですけども、石原東京都知事が40年前に東京で聞いた講演の話であるわけなんですけども、これはホーキング博士、イギリスの宇宙物理学者ですね、この人が東京で講演したときの話なんですけども、これは地球みたいな星が宇宙にどれだけあるかという話なんです。そのことを質問したらホーキング博士は200万あると。それはもう銀河系に地球みたいな星が200万あるんでしょうね。それで、その地球みたいな星があるんだったらどうして我々人類がUFO、宇宙の物体、宇宙人、そういうのに遭遇しないかということを質問したら、ホーキング博士は言下に、地球ほどに文明が発達すれば循環が加速的に悪くなって、瞬時に消滅するということを言われたという話なんです。

 それで、石原都知事が手を挙げて質問したらしいですね。それは、瞬時というのは地球時間でいうたらどのぐらいだと。これは、ホーキング博士は100年やと、こういうことを言われたわけですね。40年前に100年と言われたんですよ。だから、地球のやっぱり危機というのは叫ぶはずで、あと数十年しかないわけなんです、このままほっといては。

 だから、世界中がカーボンニュートラルとか脱炭素社会の実現というのは本気で考え始めたんですね。アメリカも初め参加しておったんですけども、途中で離脱したですね。これはトランプからバイデンに代わって急にまた参加したんですけど、とにかく地球はこれ、待ったなしの状況であるわけなんです。

 それで、いわゆる脱炭素の社会の実現を取り組まなきゃいけないと、知事も所信演説で県庁も一つの企業として脱炭素のことを取り組むということを言っておりましたけれども、地方もこれ、今まで和歌山も随分やってきたんです。国では林業基本法というのは改正を、これは20年ほど前になるかな、私はそのときのこと、状況をよく覚えておるんです。というのは、和歌山県議会の木下秀男さんという日高の選出の県会議員さんが、今は谷洋一さんが森林議連の和歌山県の代表、会長をやってますけど、木下秀男さんは全国の会長をやっておったんですね。

 それで、森林基本法を改正せんなんということで盛んに、私も事務局としてついて行ったんですけど、盛んにやっておりましたよ。それで森林基本法が改正されたと。どういうふうに改正されたかというと、林業基本法から、森林の持ついわゆる多面的機能を十分に活用するような基本法をつくれと、そういうことで改正されたわけなんですよ。残念ながらその木下秀男さんが、法改正がなされた10日後に亡くなったんですけど、海の事故で亡くなりました。和歌山県というのは、やっぱり森林・林業基本法を改正するときには、ほんまに会長が陣頭指揮を執ってやってきたことを私は今思い出しております。

 それで、和歌山県もこれはやっぱり森林の取組というのは本当に十分取り組んできたんです。これは10年ちょっと前になりますけど、いわゆる紀の国森づくり税、森林税の、これは高知県だけでやっておったんですね。それで、和歌山県もやらなあかんということで、3番目か4番目に和歌山県も導入したわけなんですけど、これはやっぱり私も全国の議員の交流する研修会で意見発表をしたことがあるんですけども、これはやっぱりそのときに出席した大学の先生が言ってましたけども、東大の教授、大森彌さんですかね、その方が言っておりました。これは、森林税というのは和歌山県で初めて議員提案でやった県条例ですけど、その先生が言うのに、地方議会の大改革であると、地方議会の議員自ら税の在り方を県民に問いかけて、税金を徴収する制度を決めたというのは、本当に議会改革であるということを言っておりました。それだけ評価されておるんですね、和歌山県も。

 それで、和歌山県のこの森林は、面積の77%が森林なんです、和歌山県は。その森林県のやっぱりリーダーである県知事が、やっぱりこの取組というのは十分しなけりゃいけないと。これ、なかなか十分すると口で言っても覚悟がなければできないわけなんです。覚悟がなければ、やっぱり、後ほど言いますけども、公共事業に使うことを思えば知事が覚悟を持って思い切ったことをやらなければ、やっぱりカーボンニュートラルの精神を生かすことができないわけなんです。

 そういうことで、知事にいわゆる森林県の長として、ほんまに覚悟を持ってやっていけるのかどうか、それをまずお聞きしたいと思います。

○議長(尾崎要二君) ただいまの質問に対する答弁を求めます。

 知事岸本周平君。

  〔岸本周平君、登壇〕

○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。

 ただいま吉井議員が脱炭素社会についてお述べになられました点につきましては、全く同意であります。

 世界的に脱炭素への動きが進む中、2020年10月、政府は2050年までに温室効果ガスの排出量から吸収量を差し引いてゼロにするという意味で、カーボンニュートラルを目指すということを宣言しました。森林におけるクレジット制度がカーボンニュートラル社会への移行を推進するツールとして注目が集まっている状況もございます。

 この制度をうまく活用すれば、森林所有者などが森林を整備し、二酸化炭素の吸収量をクレジットとして販売することで、木材販売以外の収入を得ることが可能になります。ただ、これは手を入れないといけません。その意味では、林道を整備して植林をしていくというような一連の流れが必要であります。

 私としては、選挙の公約でもうたいましたとおり、そのような流れを和歌山県においてつくっていきたいと考えております。と申しますのも、今、これまでの議会でも御議論ありましたが、県は森林面積が県土の約8割を占めているわけでありますから、その森林整備を進めることの意味というのは大変大きいと考えております。

 このため、県といたしましては、今年度の予算におきましては、林業の紀州材の効率化というような点の予算をつくっておりますけれども、しっかりとした予算のやりくりを行った上で、令和6年度予算におきましては林道を整備して、伐採して使って植えて育てるという森林資源の循環利用を進めるための予算措置を何としても実現したいと考えております。その意味でも、カーボンクレジットの取得促進ということについても、今、議員の御指摘のとおり努力してまいりたいと思っております。

 また一方で、木材は、建築物等に利用しますと炭素を長期間、その建物が、あるいは建築物が残ってる間は閉じ込めるという効果がございます。そしてまた、鉄とかの資材に比べますと、製造あるいは加工の段階でのエネルギー消費量が少ないということを言われておりますので、木材の利用を拡大するということも脱炭素社会、カーボンニュートラルには寄与すると考えております。

 したがいまして、県としては今後とも公共建築物や公共土木工事などにおいて、積極的に紀州材を使うことも考えに入れていきたいと思っております。

○議長(尾崎要二君) 吉井和視君。

  〔吉井和視君、登壇〕

○吉井和視君 知事、御丁寧な答弁、ありがとうございました。

 それから、これから公共事業における木材利用についてということで質問をさせていただきます。

 これは、私も建設委員会で常々意見を言わして質問をしてるんですけども、議場でとにかく再確認ということで、知事に聞いてもらいたいということでしゃべらしていただきます。

 それで最近、伊勢神宮で、近くで、和歌山県産の和歌山県の技術の木製ガードレールが設置されると聞いております。これはいわゆる議員の研修会で3県会議というのがあって、昨年、森礼子さんが議長のときに、紀伊山地というのは霊場で和歌山県とつながっておると、それで紀伊半島の中で観光振興にやっぱり寄与する、共同で取り組もうじゃないかということで、木製ガードレールの提案を森礼子さんが、議長がやっていただきました。

 それで県議会でも異例なことでありますけれども、奈良県と三重県に、知事宛てに意見書を出させてもらいました。どういう意見書かといいますと、木製ガードレールを使って観光振興を図ろうじゃないかという、そういう意見書を県議会から出させてもらって、議長さんはじめ何人かが行ってもらったという話があるわけなんです。

 それで公共事業の、知事も十分使わせてもらいますということは話があったわけなんですけども、いろんなところで使う道があると思うんです。河川の事業も他府県ではよく使っております。そして、ガードレールももちろんですけども、この間、福井県に視察に行ってまいりました。福井県に視察に行ってきたとき、砂防ダムのとこへ木材を張りつけてやっておると。いわゆる遊歩道なんかも木材をふんだんに使っておる、管理道も使っておると、河川も使っておると、そういう状況でありました。

 福井県は、その担当の部署に聞いてみると、この事業、あらゆる事業がまずもって木材を利用できないかということを第一義に考えるらしいですね。そういう部署も設けておると聞いております。

 そういうことで、県の今後の取組も十分考えて、公共事業に木材利用を考えるということに取り組んでほしいということで、県土整備部長に御答弁を願いたいと思います。

○議長(尾崎要二君) 県土整備部長福本仁志君。

  〔福本仁志君、登壇〕

○県土整備部長(福本仁志君) 公共事業における木材利用については、景観だけでなく、環境保護や観光振興に寄与し、脱炭素社会の構築にも資するものと認識しており、平成26年策定の公共土木工事木材利用マニュアルに基づき、積極的に推進しております。

 木製ガードレールの設置延長は、令和5年1月末時点で累計10キロメートルを超えるなど、成果も出てきております。

 また、さらなる木材利用推進のため、議員御指摘の福井県の事例などを踏まえ、令和4年12月に同マニュアルを改定したところでございます。

 改定内容としましては、1点目に、木製ガードレールを原則使用する箇所においては、転落防止柵についても木製を採用していくこととしましたこと、2点目に、環境保全上配慮すべき地域に限定していた木製残存型枠等については、施工可能な条件では地域を限定せず、原則採用していくこととしたところです。

 引き続き、紀伊半島3県はじめ近隣府県で連携し、公共事業における木材利用の推進に取り組んでまいります。

○議長(尾崎要二君) 吉井和視君。

  〔吉井和視君、登壇〕

○吉井和視君 ありがとうございます。

 それで、私は常に気になっていることなんですけど、高速道路なんか通れば、いわゆる山腹をモルタルとかコンクリートでやってるところがたくさんあるわけなんです。それで、これを山に戻すような、いわゆる木材利用で考えたら、どれだけ二酸化炭素を閉じ込められるかと、ガスの発生を防ぐかというデータがあるわけなんです。それで、モルタルとかそういうコンクリートでやれば、これを木で植えてそういう防御策をすれば、100平米で6トン違うというわけなんですね。ガードレールなんかもそうなんですよ。100メートルで、1.6トン違うという話をされております。

 これだけ脱炭素の社会の実現に役に立ってるので、多少コストが高い、これは当たり前ですね。そういう森林法とか、脱炭素のいわゆるコストは含んでるんですから高いのは当たり前で、そういうことを今後取り組んでいきたいなと、いや、やっていただきたいなと、そんなに思います。

 これから次の質問に移らせていただきます。

 同和問題について質問をさせていただきます。明治の解放令から150年がたっております。翌年には壬申戸籍もつくられ、それ以後、新たな差別も起こっております。憲法制定以来80年を経過しております。自由平等のいわゆる憲法が成立されて80年がたった現在でも差別問題が残っておると。

 佐藤内閣のときにできた同和対策審議会の答申も、いわゆる歴史的な宣言であったと思います。それにもかかわらず、事業を実施して、かかわらず、今現在も差別問題が残っておると。ちょっと前に週刊朝日の問題も出ましたですね。大阪の知事選を控えた候補者の名前は言いませんけども、妨害事件があったと。これはやっぱり、こういう企業が、団体が行った差別について、これは裁判を起こして和解で慰謝料を払って解決したということが新聞に載っておりましたけれども、慰謝料を払ったらいいのかと、謝罪したらいいのかと、そういう問題が残るわけなんですね。

 だから、そういう意味では、これ、県条例もできておりますけども、県条例の肝は知事の監督権ですよ。県条例で実効性のある監督権が和歌山県の条例には明記されておるんですよ。子供の歌にでも、うそついたら針千本飲ますと、そういう言葉が、童謡があるわけなんですね。これこそ、私は法の実効性であると思うんです。

 そういう中で、知事は、この実効性のある法制度の制定の要求を和歌山県はずっとやっておるわけなんです、これについてやっぱりこの現在認識を考えたら、知事がどういった方向で取り組むかということをまずお聞きしたいなと、そんなに思います。

○議長(尾崎要二君) 知事。

  〔岸本周平君、登壇〕

○知事(岸本周平君) お答え申し上げます。

 私自身、国会議員のときに、吉井議員をはじめとして、和歌山の県会議員の先生方と一緒に、これは超党派で部落差別解消推進法、議員立法を取り組む中で、まさに吉井議員にも御指導いただき、議場の先生方とも一緒に東京でいろんな会議がありました。その一員として国民民主党の人権推進議員連盟事務局長もやっておりましたので、問題意識につきましては、吉井議員と全く同じものを持っておるということであります。

 その上で、同和問題につきましては、市町村はじめ県民の皆さんと一致協力して、総合的かつ計画的に対策を推進してまいりました。徐々に、よい方向には少しずつ向かっているということで条例もつくりました。しかし、残念ながら、依然として卑劣な差別発言に加え、インターネット上における誹謗中傷や同和地区と称する地名や画像などの書き込みは発生しております。なかなか消えません。部落差別は現実の問題として残されていると私も認識しております。

 国におきましては、平成27年9月に県議会で採択された「企業・団体等による部落差別撤廃のための法律」の早期制定を求める意見書、これが契機となりまして、今私が申し上げました県議会の先生も参加していただいた東京での人権フォーラム、人権課題解決に向けた和歌山県集会を経て、先ほど申し上げました部落差別の解消の推進に関する法律が制定されたわけであります。そして、県におきましては、和歌山県部落差別の解消の推進に関する条例に基づき、部落差別の解消を進めているわけでありますけれども、しかし、一方で、先ほど申し上げましたとおり、特にインターネット上での書き込みを含め、なかなか残念な事象が続いております。

 これを抜本的に解決するための一つの方法としては、やはり独立性、迅速性、専門性を備えた第三者機関を創設し、行為者に対して説示、促し、あるいは勧告などを行う実効性のある人権救済等に関する法制度が必要であると考えております。これも私が国会議員のときに、いわゆる人権救済委員会というような形の立法をぜひとも進めるべきだという議員活動をしてまいりました。これは、私は和歌山県のリーダーとしても引き続き、早期に整備が図れるよう強く国に求めていきたいと思いますので、議場の皆さんの御協力をぜひお願いしたいと存じます。よろしくお願いします。

○議長(尾崎要二君) 吉井和視君。

  〔吉井和視君、登壇〕

○吉井和視君 知事も東京での人権フォーラムに御参加していただき、ありがとうございます。

 それで、私は今寝るときにユーチューブを聞いて毎日寝てるわけなんです。それで面白いんで、10分か20分で寝るわけなんですけども、毎日聞いております。その中で、武田鉄矢の「三枚おろし」というのは、パンパンと、これ、最近聞いてるわけなんですけども、その人の紹介で、ある本ができたということで、人類学者と社会心理学者の対談の「きずなと思いやりが日本をダメにする」という本で、タイトルなんですけど、その中で読んでみた中で御紹介したいんですけど、その人類学者が言うわけなんですね。人類学者というのは、何十万年単位の話をするわけなんですね。人類ができて1万年、ホモサピエンスができて50万年、チンパンジーから人類になったのは何万年とか、そういう話をするわけなんですけども、人間が、人類が共同生活が始まって、道徳というのは幾つもの道徳を身につけてきたんですけど、一つ忘れてる道徳があるというんですね。これは何かと思いますか。平等感覚の道徳が抜けてるんです。だから、人間が差別をするんやと、こういう話をするわけなんですね。近代化で自由平等ということを言われておりますけど、人類学的にこの分野が欠けておると、こういう話なんです。なるほどなと思いました。

 だから、これは近代社会にとってはなくしていかなあかん問題でありますけれども、人間的に心理学を考えたときに、やっぱり実効性のある、いわゆる法整備をやっていかなければ、やっぱり差別問題というのはなくならないと、こういう話なんです。男女差別もしかり、黒人差別もしかり、やっぱりどんどんどんどん新しい差別が起こってくるわけなんです。

 差別というのは犯罪であると思うんですね。犯罪というのは社会的逸脱行為なんです。これをなくすためにやっぱり法規制をしなけりゃいけないと。それで実効性のある、いわゆる規制できるような和歌山県の条例というのは、やっぱり精神的な条例で、この条例を広めていく上で、国もこういう差別解消法というような理念的な法律じゃなくして、改正をしてもらいたいなと、そういうことを私は訴えたいなと思います。

 それで、学校現場の取組についてお話をさせていただきます。

 学校現場、これはもういわゆる学校のOBとか教育委員会のOBと話し合っておるわけです。そのOBが言うのには、今、学校の先生がやっぱりいわゆる部落解消の同和対策審議会答申とかそんな歴史を知らないような、そういう教師が多くなっておると。先生自体が知らなかったら生徒に教えられませんね。そういうことで、やっぱり先生がその自覚を持ってそういうことを学んで、歴史を学んで生徒に対峙してもらいたいと、そういうことがあるわけなんです。生徒も先生がそんなんだから、生徒も自分のこととして捉えるという問題に意識が欠けておるわけなんです。そういうことであるので、一遍抜本的に学校現場でこの歴史を、差別をしてはならないと、そういう問題意識でもってやっていけるような対策がないものかと。

 私、その人権のマニュアルを読んでも、パンフレットを出しておるでしょう、教育長、そのパンフレットの中に、いわゆる差別解消法の県条例の説明の中に、一番その肝たる、こんな差別をしたら、説示をしても言うこと聞かなかったら、知事が勧告、県が勧告しますよという、そういう説明がないじゃないですか。あれ、誰つくったか知らんけど、教育委員会がつくったと思うんですけど、そんなことが欠けておるんですよ。一番大事なことが欠けておると、そういうことを言わざるを得んということであるわけなんです。

 今後、どういうふうにして取り組むのか、教育長にお伺いします。

○議長(尾崎要二君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 学校現場の取組についてでございますが、部落差別については、依然として結婚に関することや、インターネット上で差別を助長する内容の投稿など、悪質な差別が発生している状況にあり、一日も早い同和問題解決に向けた、より効果的な教育啓発が求められています。

 このような実態を踏まえ、学校現場では、同和問題を知識の習得にとどめるのではなく、同和問題の解決を自分事として捉え、自分や社会をどう変えていくかという、自らの生き方や行動について考える学習が必要だと認識しています。

 そのためには、同和問題を教える教職員の力量や正しい人権意識が必要となります。そこで、同和問題について触れる機会が少ない若い世代の教職員が増加していることを踏まえ、同和対策審議会答申をはじめ同和問題に関する歴史的背景や差別解消への取組を盛り込んだ人権学習パンフレットを作成し、今年度、全ての教職員に配布するとともに、学習の手引書として効果的に活用するよう指導しています。特に、今年度は県内全ての学校において、同和問題に関する校内研修の実施を働きかけております。

 このパンフレットの中に若干そういう指導ができるというふうには書いてるんですけれども、そこも強調しながら教えていきたいなと思います。

 県教育委員会としましては、自他の人権を尊重する意識や態度を育む上で先導的な役割を果たしてきた同和問題を、同対審答申の意義を踏まえ、市町村教育委員会とも連携しながら、学校に対して、いま一度しっかりと学習するよう指導してまいります。

○議長(尾崎要二君) 吉井和視君。

  〔吉井和視君、登壇〕

○吉井和視君 ありがとうございました。よろしくお願いします。

 次に、観光振興についてお伺いいたします。

 観光振興ということで、コロナ禍で3年間、無駄に過ごしました。それで、インバウンドもゼロ近い数字になって、去年は300万人ほど増えたということを国全体で聞いております。これからが勝負です。大阪万博とか、そういうことで観光振興を十分していかなけりゃいけないと、そういうふうに思っております。

 それで、観光で一番大事なことは、私は常々思ってるんですけども、情報の発信というのが一番大事だろうと思います。和歌山県に来たらこういうことがありますということを、やっぱり観光立県を宣言しておるんですから、県庁組織全員、我々も全員が観光振興に取り組まなきゃいけないなと、そんなに思います。

 それで、取組のほうですけど、様々な考え方があろうかと思います。前も申し上げたとおり、LINEなんかで、いや、フェイスブックなんかで県職員、1万人ぐらいある職員が毎日情報発信するということになれば、相当な情報発信量になると思うんです。

 私も常々そんなに思って、和歌山県の観光地に行ったら写真を撮って、写真だけでもいいじゃないですか、そういうことを心がけてやれば、本当に情報発信が大きくできると思うんです。それについて、今後の取り組み方をお尋ねいたします。

○議長(尾崎要二君) 商工観光労働部長寺本雅哉君。

  〔寺本雅哉君、登壇〕

○商工観光労働部長(寺本雅哉君) 和歌山県の観光は、高野山・熊野を中心とした世界遺産をはじめ、温泉や地元グルメ、パンダなど、多くの観光資源を有しています。

 近年、じゃらん宿泊旅行調査での総合満足度全国1位をはじめ、楽天トラベルやロンリープラネットなど、国内外から高い評価を得ているところであり、このような和歌山の魅力を情報発信していくことは重要です。

 具体的には、発信力の高いテレビ番組やCMをはじめ、ラジオ番組や雑誌掲載、新聞広告など、主要なメディア媒体を活用するとともに、公共交通機関と連携したイベント実施や、フィルムコミッション活動、各種SNS等での配信、新たな技術であるVRやメタバースの利用など、様々なツールを用いて積極的な情報発信に取り組んでいるところです。

 中でも、ツイッターやフェイスブック、インスタグラム、ユーチューブといったSNS等の活用は、手軽にできるものであり、県からの発信だけでなく、観光客の皆様から県内かつ各地の旬の情報を発信していただく取組や、インフルエンサーの活用などによるターゲットを絞った効果的な取組も実施しているところです。

 令和7年の大阪・関西万博を見据え、世界遺産登録20周年をはじめとするビッグイベントが控える中で、今後も和歌山の魅力をより多くの方々に知ってもらえるよう、あらゆる機会を捉えて情報発信に取り組んでまいります。

○議長(尾崎要二君) 吉井和視君。

  〔吉井和視君、登壇〕

○吉井和視君 ありがとうございます。

 観光という言葉は国の光を見るということで、お国自慢ですね。国の自慢をするということなんですけれども、観光立県という言葉は、どこの県へ行っても観光立県と言いますね。本県も小野県政の時代から始まったということを聞いております。

 それで、やっぱり観光立県というのは、みんなが飯を食う種をこしらえるという事業ですので、我々も取り組んでいかなきゃいけないなと、そんなに思います。

 それで、観光のことで、湯浅へかつてデービッド・アトキンソンさんを招いて、自民党の研修をやったことがあるわけなんです。これ、アトキンソンさんが言うのに、観光、観光といっても、観光名所、やっぱりいろんな名所があるけれども、新しい名所を人工的につくらなあかんということを言われておりましたね。人工的に、例えばこれ、資料をつけておりますけども、白浜の木製ガードレール、これ見たら本当にすばらしいなと思うんですよ。これを全線ですることによって、大きな人工的な観光名所になるだろうと思っております。そういうことを考えれば、ますます知事も覚悟をして取り組んでほしいなと、そんなに思います。

 次に──その答弁を一遍聞かなあかんな。人工的な名所。

○議長(尾崎要二君) 商工観光労働部長。

  〔寺本雅哉君、登壇〕

○商工観光労働部長(寺本雅哉君) 議員御指摘のとおり、木製ガードレールを活用した道路整備など、景観に配慮した観光地づくりは大変重要と認識しております。

 昨今、いわゆるインスタ映えに代表されるように、SNSに投稿された美しい写真を自分も現地に行って撮影してみたいという思いから、SNS上で写真を検索して旅先を選択するケースが多いことから、写真コンテンツの充実は不可欠と考えています。

 本県においても、有田川町のあらぎ島、有田川の二川ダムに架かる蔵王橋や鷲ヶ峰コスモスパークなど、県内の景観に配慮して整備された観光名所については非常に人気があり、県の公式SNSに取り上げ、積極的に情報発信を行っています。

 引き続き、県内市町村とも連携しつつ、このような景観に配慮して整備された観光名所の情報を発信し、観光客の誘客につなげてまいります。

○議長(尾崎要二君) 吉井和視君。

  〔吉井和視君、登壇〕

○吉井和視君 観光の取組については、全庁的な取組でお願いしたいと思います。

 以上です。

 最後に、有田のミカン対策について御質問をさせていただきます。

 江戸時代の紀伊国屋文左衛門のみんなが知ってる歌に、「沖の暗いのに白帆が見える、あれは紀の国ミカン船」と、そういう歌があるわけなんです。これはなぜこういうことを取り上げるかというと、やっぱり物語として有田みかんを売り出さなきゃいけないなと、そんなに思うからであります。

 紀伊国屋文左衛門というのは、江戸の元禄時代、ミカンが豊作なので、しけ続きの海を渡って江戸へ、江戸にはふいご祭りというのがあったらしいですね、ふいご祭り。鍛冶屋とかそういう職人が使うふいごの祭りがあったわけなんです。そのふいご祭りにミカンを大量にばらまいたり、そういう祭りがあったので、11月8日にそういう日が決まっててあったらしいです。それで10月の末になっても海のしけが収まらんので、これは一か八か、しけの中で船出をして、江戸にミカンを届けようと、ミカンがだぶついていますから、そういう思いで思い立って、義侠心といいますか、ミカンをはかさないかん、そしてまた毎年世話になっている江戸のミカン問屋にも義理を果たさなあかんと、そういうことで船出をしたらしいです。

 そういうことで、これは物語として、またミカンを販売する際にこういうことをつけて、ブランドアップさせていきたいなと、そんなに思ってるところです。

 それで、これは何を聞きたいとか言いますと、ミカンの輸出について今日は聞きたいなと思います。

 これは今、シンガポールとか香港とかベトナムとか、有田みかんも輸出しておりますけども、量は知れてるわけなんですね。本当にトラック2台か3台分ぐらいしか輸出してないわけなんです。これはやっぱり量を大きくして、有田みかんがこれだけの値段で香港に輸出してるとか、ベトナムへ輸出してるとか、そういう実績をつくって、付加価値をつけて、ミカンを作ってる人に自信と誇りをつけたいと、そういう思いで今日はこの質問をさせていただきました。

 今後の輸出対策についての御答弁をよろしくお願いいたします。

○議長(尾崎要二君) 農林水産部長山本佳之君。

  〔山本佳之君、登壇〕

○農林水産部長(山本佳之君) ミカンについては、従来から香港、シンガポールを中心に輸出されており、JAグループ等への聞き取りによりますと、平成30年度の92トンから輸出を伸ばし、直近の令和3年度は155トンとなっています。

 令和3年10月にはベトナム向けに温州ミカンの輸出が解禁となったため、日本でトップを切って2トンの輸出を行い、2年目となった今期は、購買意欲が高まるクリスマス及び旧正月商戦に合わせ約18トンを輸出し、県としても試食など販売促進の支援を行いました。

 また、東南アジアを中心に積極的に店舗展開している株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスとの連携協定に基づいて、香港、シンガポールなどでミカンのフェアを実施する等、県産ミカンの認知度向上と輸出のさらなる増加に取り組んでいるところです。

 なお、県では、これまで輸出を拡大するため、産地での大型選果場整備の支援に加え、ベトナム向けの生産園地や選果梱包施設の登録を支援するとともに、ミカンバエ等の検疫対象病害虫の調査及び防除指導を行ってまいりました。

 今後も、国内流通とのバランスを確保しつつ、輸出向け園地の拡大や老木の改植による増産、選果場整備、販路開拓等を支援し、相手国のニーズに合わせた戦略的な輸出産地の育成に、JAグループ等と連携して取り組んでまいります。

○議長(尾崎要二君) 吉井和視君。

  〔吉井和視君、登壇〕

○吉井和視君 ありがとうございました。

 今後も取り組んでいただくことをお願いいたします。

 最後に、世界農業遺産への取組について、御質問させていただきます。

 有田みかんが日本農業遺産の認定を最近受けたところでありますけれども、有田・下津の蔵出しみかんと一緒に、有田・下津みかんシステムということで、世界遺産の登録の申請を準備しておると聞いております。これが認定されれば、有田みかんの高級ブランドに道が開けて、将来的にミカン農家の安定した収入につながると思うんであります。そういうことで、まず、県の取組に期待したいと思います。県が協力してくれんかったら、やっぱりこの世界農業遺産が実現できないと思いますんで、ひとつよろしくお願いします。それで御答弁をよろしくお願いします。

○議長(尾崎要二君) 農林水産部長。

  〔山本佳之君、登壇〕

○農林水産部長(山本佳之君) 令和3年2月に日本農業遺産に認定されました「みかん栽培の礎を築いた有田みかんシステム」と、平成31年2月に認定されました「下津蔵出しみかんシステム」を融合させた「有田・下津地域の石積み階段園みかんシステム」が本年1月17日に世界農業遺産認定への申請が認められたところです。

 今後、8月までに英訳申請書を作成し、秋頃には国際連合食糧農業機関へ申請する予定です。その後、同機関の科学助言グループによる書類審査及び現地調査を経て、早ければ令和6年2月頃に認定される予定となっています。

 議員が申し述べられましたとおり、世界農業遺産に認定されることで、ミカンの高付加価値化によるブランド力の向上や、認定を活用したPR活動による販売促進、地域住民の自信と誇りの創出などが期待されることから、県としては引き続き、認定に向け地元関係者と一体となって全力で取り組んでまいります。

○議長(尾崎要二君) 吉井和視君。

  〔吉井和視君、登壇〕

○吉井和視君 以上で、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)

○議長(尾崎要二君) 以上で、吉井和視君の質問が終了いたしました。

 お諮りいたします。質疑及び一般質問を終結することに御異議ございませんか。

  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(尾崎要二君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。

 次に日程第3、議案の付託について申し上げます。

 お諮りいたします。お手元に配付しております議案付託表のとおり、議案第1号から議案第17号までは予算特別委員会に付託いたしたいと思います。これに御異議ございませんか。

  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(尾崎要二君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。

 次に、お手元に配付しております議案付託表のとおり、議案第34号から議案第40号まで、議案第43号から議案第46号まで、議案第48号から議案第57号まで及び議案第59号から議案第75号までは所管の常任委員会に付託いたします。

 次に日程第4、請願の付託について申し上げます。

 今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、所管の常任委員会に付託いたします。

 お諮りいたします。2月28日から3月3日までは委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。

  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(尾崎要二君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。

 次会は、3月6日定刻より会議を開きます。

 本日は、これをもって散会いたします。

  午後2時43分散会

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