令和4年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


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令和4年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号

議事日程 第4号

 令和4年9月20日(火曜日)

 午前10時開議

 第1 議案第93号から議案第127号まで(質疑)

 第2 一般質問

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会議に付した事件

 第1 議案第93号から議案第127号まで(質疑)

 第2 一般質問

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出席議員(41人)

 1番 鈴木德久

 2番 山家敏宏

 3番 中本浩精

 4番 堀 龍雄

 5番 藤山将材

 7番 井出益弘

 8番 宇治田栄蔵

 9番 北山慎一

 10番 玄素彰人

 11番 中西峰雄

 12番 秋月史成

 13番 森 礼子

 14番 濱口太史

 15番 尾崎要二

 16番 冨安民浩

 17番 川畑哲哉

 18番 玉木久登

 19番 鈴木太雄

 20番 岩田弘彦

 21番 吉井和視

 22番 谷 洋一

 23番 佐藤武治

 24番 岩井弘次

 25番 中 拓哉

 26番 多田純一

 27番 新島 雄

 28番 山下直也

 29番 中西 徹

 30番 谷口和樹

 31番 藤本眞利子

 32番 浦口高典

 33番 山田正彦

 34番 坂本 登

 35番 林 隆一

 36番 楠本文郎

 37番 高田由一

 38番 杉山俊雄

 39番 片桐章浩

 40番 奥村規子

 41番 尾﨑太郎

 42番 長坂隆司

欠席議員(なし)

〔備考〕

 6番 欠員

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説明のため出席した者

 知事         仁坂吉伸

 副知事        下 宏

 理事         田嶋久嗣

 知事室長       赤坂武彦

 危機管理監      福田充宏

 総務部長       吉村 顕

 企画部長       長尾尚佳

 環境生活部長     生駒 享

 福祉保健部長     志場紀之

 商工観光労働部長   寺本雅哉

 農林水産部長     山本佳之

 県土整備部長     福本仁志

 会計管理者      中家秀起

 教育長        宮﨑 泉

 公安委員会委員    中野幸生

 警察本部長      山﨑洋平

 人事委員会委員長   平田健正

 代表監査委員     森田康友

 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫

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職務のため出席した事務局職員

 事務局長       出津野孝昭

 次長(秘書広報室長事務取扱)

            浜野幸男

 議事課長       長田和直

 議事課副課長     岩井紀生

 議事課課長補佐兼議事班長

            村嶋陽一

 議事課主任      伊賀顕正

 議事課主任      菅野清久

 議事課副主査     林 貞男

 総務課長       葛城泰洋

 政策調査課長     神川充夫

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  午前10時0分開議

○議長(尾崎要二君) これより本日の会議を開きます。

 日程第1、議案第93号から議案第127号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、併せて日程第2、一般質問を行います。

 42番長坂隆司君。

  〔長坂隆司君、登壇〕(拍手)

○長坂隆司君 皆さん、おはようございます。

 議長のお許しをいただきましたので、以下、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。

 一つ目に、世界遺産登録後及び日本遺産認定後の取組についてであります。

 去る令和4年3月23日から25日にかけて、改新クラブ5名で島根県のほうに、世界遺産登録後及び日本遺産認定後の島根県の取組について調査してまいりました。島根県も和歌山県同様に、一つの世界遺産と七つの日本遺産があり、和歌山県のように神代の昔からの多くの歴史的文化遺産がありますし、太古の時代の火山活動に影響を受けた造形美を、海岸線を中心に有していることに興味を覚え、遺産の保護・保全の状況、また、どのように観光資源を維持して観光振興に役立てているかを調査することを目的として出向いてまいりました。

 まず、世界遺産「石見銀山遺跡とその文化的景観」ですが、平成19年に世界遺産に登録されて、当初来訪者が急増しましたが、狭い二つの駐車場に観光バスが押し寄せて、すぐキャパシティーをはるかに超えてしまうし、ごみは散乱し、トイレも不足するなど、自然環境、生活環境に大きな影響を及ぼしました。

 また、銀山の坑道である龍源寺間歩に来訪者が偏在してしまい、他の遺跡や町並みへの人の分散化が進まず、当初年間80万人ほどいた観光客も、昨年は、コロナの影響も受けているとはいえ、16万人余りに減少してしまっている状況です。

 石見銀山世界遺産センターで大田市教育委員会の石見銀山課の新・旧課長にお話を伺いましたが、最近になって地元大森町も民間団体をつくり、民と官が協働で考え、取組を始めているということ、具体的にはパーク・アンド・ライド方式の採用、町並み保全のために、住民と共に景観や環境に配慮したり、歩く観光を推奨したり、グリーンスローモビリティー、すなわち低炭素、低速の小型車両での移動等、懸命の努力を行っているとのことでした。

 石見銀山の銀が中世・近世には世界的な需要があり、貿易で日本海側の港も栄えたことから町並みが発達したという歴史的背景も学ばせていただいて、世界遺産の構成要素である代官所ゾーンや武家・町屋ゾーンも歩いて、江戸情緒あふれる家並みの保存等の日頃の地域住民の努力も実感させていただいて、今後の盛り返しを期待するものです。

 次に、日本遺産ですが、7件のうち3件を調査しました。まずは一般社団法人出雲観光協会にて、平成29年度認定の日本遺産「日が沈む聖地出雲~神が創り出した地の夕日を巡る~」の説明を受けて、夕日に象徴される稲佐の浜と弁天島、巨勢金岡が朝夕刻々と美しさが変化する姿を描き切れずに絵筆を投げたという筆投島、国譲り神話の中で高天原側のタケミカヅチとオオクニヌシノミコト側のタケミナカタで岩を投げ合ってできたと言われるつぶて岩、下の宮「日沉宮」(祭神、アマテラスオオミカミ)と上の宮「神の宮」(祭神、スサノオノミコト)の上下の社から成る日御碕神社、日御碕のウミネコの繁殖地で、ちょうどお経の巻物を積み重ねたように見える神域の経島、そして出雲大社等を調査しました。

 いずれも神々しい要素がふんだんに現存し、一つ一つのストーリー性が豊かでリピート性に恵まれた日本遺産の地であり、おまけに標識等も分かりやすく整備されていて、日頃の美化活動を続けておれば、さして手を加えずとも十分日本遺産として成り立っている現況でありました。

 二つ目の平成28年度認定、雲南市、安来市、奥出雲町の「出雲國たたら風土記~鉄づくり千年が生んだ物語~」は、雲南市の観光振興課の方に鉄の歴史博物館に連れていっていただいて、鉄の歴史村地域振興事業団の先生、株式会社たなべたたらの里地域開発部の方々、そして、菅谷高殿山内生活伝承館施設長に御説明いただきました。

 日本古来の鉄作り「たたら製鉄」には、古代から先人たちが刻んできた鉄作り1000年の物語が終わることなく紡がれています。中興の祖として、15世紀には紀州熊野からやってきた田部家が雲南市吉田町でたたら製鉄を開始したとのこと。企業城下町として繁栄をもたらした田部家は、今も複数の事業を当地で営んで地域貢献をしています。

 田部家土蔵群、吉田町の町並み、鐵泉堂、菅谷たたら高殿等を調査しました。長い製鉄業の歴史の重みを感じるとともに、田部家を中心に地域の人々が当地域を大切に守り、伝統の技を今に伝えている、その時代、時代の連続性を実感しました。

 ちなみに本年7月29日に、平成28年度認定19件の日本遺産の総括評価、継続審査があり、そのうちの3件の他のモデルになる重点支援地域に選ばれ、「これまでの取組を継続させる具体的な計画である。魅力をさらに伝えるための商品開発やゲートウエー機能の強化を行っている」と評価されています。

 最後は、令和2年度認定、大田市の「石見の火山が伝える悠久の歴史~“縄文の森”“銀の山”と出逢える旅へ~」です。石見地方もかつて火山の噴火を繰り返し、石見銀山の鉱床もマグマから生まれてきたものですが、火の国の恵みをたくさん享受しており、石英粒子70%含有のキュッ、キュッと音がする鳴き砂の琴ヶ浜、約1500万年前の火山噴火の土石流で倒れた木が埋もれて化石になって海岸に露出している波根西の珪化木、ほとんど同じ時期に礫岩層と凝灰岩層が重なってできて隆起した立神岩等を調査しました。

 ほか、時間の都合で調査できなかった“縄文の森”がある「石見の火山」たる三瓶山と“銀の山”である石見銀山とのつながりと併せて、いかにストーリー性を充実させていくか、今後の展開が楽しみな日本遺産でした。

 さて、一般質問に移りますが、一つ目、世界遺産は、そもそも世界の人が共通して守るべき顕著な普遍的価値を持つものであり、その資産の保護を目的とするものです。奈良県、三重県にまたがる和歌山県の世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」ですが、神話の時代から神々が鎮まる特別な地域と考えられている紀伊山地の霊場と参詣道、そして、それらを取り巻く文化的景観が構成要素です。

 文化的景観とは、「地域における人々の生活又は生業及び当該地域の風土により形成された景観地で我が国民の生活又は生業の理解のため欠くことのできないもの」(文化財保護法第2条第1項第5号より)とあります。

 本県の世界遺産は、コロナ禍でインバウンドは途絶えているものの、収まってくれば今後も国内外の観光客は見込めそうですし、山歩きに見える方も多くなっていて、観光振興の上では堅調だし、参詣道の環境保全ウオークやトレッキングなども行われています。

 島根県の世界遺産「石見銀山遺跡とその文化的景観」もその資産の保護と観光振興のはざまで大変御苦労されておりますが、本県の「紀伊山地の霊場と参詣道」については、資産の保護と観光振興の両立について、知事の思いと、未来に向けてどのように考えておられるか、お伺いをいたします。

○議長(尾崎要二君) ただいまの長坂隆司君の質問に対する答弁を求めます。

 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 「紀伊山地の霊場と参詣道」は、豊かな自然と人々の営みによって形成された文化的景観が高く評価された世界で当時二つしかなかった道の世界遺産でございます。世界遺産は、観光の目玉と考えられるわけでございますけれども、16年前の私の言動を調べてみていただいたらお分かりだと思いますが、私の観光政策の第一歩は観光資源の保全であります。調子に乗って観光資源を毀損してしまうといけないわけでございます。

 県では、そのため、文化財保護法により、特に世界遺産については、世界遺産の登録資産となっている社寺や道などの文化財の保護を図るとともに、文化財保護法や景観条例などの法令を総動員して、参詣道のコアゾーン、バッファゾーンの保全に加えて、参詣道からの眺望を阻害する風力発電等の新設を制限するなど、人々の生活や生業の中で育まれ、継承されてきた棚田や森林といった和歌山県らしい良好な景観とその基盤となっている豊かな自然を保全し、世界遺産の雰囲気が壊れないように努めてきたところであります。

 また、将来にわたって世界遺産を良好な状態で保全していくため、参詣道の環境保全活動、道普請の取組を進めるとともに、広く価値を知ってもらい、次世代に承継していくための学習プログラムを実施しております。

 受入れ体制では、国の内外からの観光客に世界遺産の魅力を満喫していただけるよう、語り部や高野・熊野地域通訳案内士の養成、宿泊施設等でのおもてなしの充実など、地域を挙げてのおもてなし力の向上に加えて、公衆トイレの改修や多言語看板の設置等に取り組んでまいりました。

 また、世界遺産の魅力を知ってもらうため、私も職員も国内、国外に直接出向き、精力的にプロモーションを展開したり、あるいは旅行メディア、旅行ジャーナリズム、旅行社のリクルートに努めてきました。

 これらの取組が認められ、令和3年2月には、世界的な旅行ガイドブック「ロンリープラネット」において、サステーナビリティーに配慮した観光地として和歌山が世界で唯一選出されるなど、国内外で高く評価され、令和元年には、世界遺産登録市町村において、1730万人の観光入り込み客数を記録し、世界に誇る本県を代表する重要な観光資源となっております。

 令和6年には、世界遺産に登録されて20周年と節目の年を迎え、翌7年には大阪・関西万博が開催されることから、改めて「紀伊山地の霊場と参詣道」の魅力について、国内外に広く発信するとともに、地域における受入れ体制の充実を図り、保全と活用を両立しながら、引き続きしっかり取り組んでいただくように期待いたします。

○議長(尾崎要二君) 長坂隆司君。

  〔長坂隆司君、登壇〕

○長坂隆司君 次に、高野山、熊野は山岳地帯にあり、大峰山を歩いていてそうであるように、国内外から山歩きに来られている人が大変多いです。歩いておられる方のマナーにも注意を呼びかけることが必要だと思います。山に生育する植物やほこら、仏像などの勝手な採取、盗難を防がないといけませんし、資産の保護として環境面にもルール、マナーの呼びかけに、大いに配慮いただきたいと思います。

 2番目、日本遺産についても、令和2年12月、日本遺産のフォローアップを受けながら6年間で成果を上げられなかった地域、次の3年間の地域活性化計画の認可を受けられなかった地域について、時間的猶予を与えた上で認定取消しを行う制度をつくる旨が通知されました。

 また、新たに認定候補地域の募集が2021年3月から始まり、候補地域への認定とフォローアップを経て、取消し地域との入替えを行い、認定件数は100件程度を維持すると指針が出されています。

 島根県の日本遺産を3か所だけ見てきましたが、いずれも歴史の流れが明確で、有形・無形の文化財が組み合わさって、その魅力を発信しつつ、ストーリー展開をしている感じがしました。

 本県の日本遺産も、古代からの歴史、それに連なる地域の人々の生活感や信仰、そして自然の景観等がつながっています。本県も7件の日本遺産があり、今後の構成要素のブラッシュアップと深掘り次第で、本県にとって一層かけがえのない観光資源になってくる可能性がありますが、本県における今後の日本遺産の保全について、教育長にお伺いいたします。

○議長(尾崎要二君) 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 日本遺産は、地域の歴史的魅力や特色を通じて我が国の文化、伝統を語るストーリーを文化庁が認定するもので、県内では7件が認定されています。

 日本遺産の保全を図るためには、日本遺産のストーリーを語る上で欠かせない構成文化財を適切に保全することが不可欠であり、県教育委員会では、国の補助金等を活用して構成文化財の整備に取り組む市町村等を支援するとともに、未指定の文化財の指定・登録を推進しています。

 直近では、令和4年7月に、日本遺産「「葛城修験」-里人とともに守り伝える修験道はじまりの地-」の構成文化財である堀越癪観音庫裏が国の登録有形文化財への登録について、文化審議会の答申を受けたところです。

 県教育委員会としましては、こうした未指定の文化財の指定・登録を推進することにより、日本遺産の構成文化財が地域の宝として認知され、適切に保全されるよう市町村等と連携して取り組むとともに、子供たちがふるさと和歌山の文化財等に興味や関心を持って学習できる機会の充実を図ることにより、郷土の文化遺産が次世代へと継承されるよう取り組んでまいります。

○議長(尾崎要二君) 長坂隆司君。

  〔長坂隆司君、登壇〕

○長坂隆司君 今回、葛城修験において、堀越癪観音庫裏が国の登録有形文化財への登録について、文化審議会の答申を受けましたが、ほかにも本県内にたくさんのお寺やほこらなどの未指定の文化財があります。ぜひ文化財の指定・登録を推進していただいて、個々の日本遺産の内容をさらに充実させていただいて、まずは地域の方々に、そして訪問客へと周知を図っていただきたいと思います。

 三つ目に、七つの日本遺産を観光資源として磨きをかけていく取組について、商工観光労働部長にお伺いいたします。

○議長(尾崎要二君) 商工観光労働部長寺本雅哉君。

  〔寺本雅哉君、登壇〕

○商工観光労働部長(寺本雅哉君) 本県では、七つのストーリーが日本遺産に認定されており、今年7月には、「鯨とともに生きる」が継続認定となったところです。

 そのうち、県が事務局を務める三つの日本遺産については、認定以降、日本遺産の構成文化財や周辺のグルメ、お土産品等を紹介するパンフレットやホームページ等で情報発信を行うとともに、案内板・誘導板等の設置、日本遺産ガイドの養成等、受入れ体制の整備を進めるなど、観光資源としての磨き上げを行ってきたところです。

 それぞれの日本遺産の取組の成果といたしましては、「鯨とともに生きる」では、近年、体験型の修学旅行が注目を集めており、太地町のくじらの博物館での学習プログラムが人気を博し、昨年度は246校の利用がありました。「葛城修験」では、登山地図アプリを活用したモデルコースを3月末に公開し、併せてデジタルスタンプラリーを実施しており、現在約6800人の方が利用されています。「絶景の宝庫 和歌の浦」では、昨年度に約7700人の方が語り部の案内を利用されたところです。

 また、市町村等が運営を行っている四つの日本遺産について、パンフレット等に掲載し、情報発信に努めるほか、周辺の観光地等と組み合わせたモデルコースを作成し、旅行会社に対し、旅行商品の造成につながるよう案内しているところです。

 今後も、県内にある日本遺産について、継続の認定が受けられるよう事業実績を積み上げるとともに、個々の資産の魅力の磨き上げを行い、誘客に努めてまいります。

○議長(尾崎要二君) 長坂隆司君。

  〔長坂隆司君、登壇〕

○長坂隆司君 私が日本遺産の地を訪れる際に気にかかるのは、まずは標識・看板、それ以外では植物などで特定外来生物、例えばナルトサワギクやオオキンケイギク、こんなものが片男波あるいは友ヶ島の沖ノ島で群生したりしているわけであります。雑草として除去したほうがよいと思います。県環境部局や市町村とも連携しながら、日本遺産を一つ一つ磨き上げていただきたいと思います。

 2点目に、本県の公共交通についてであります。

 今年は鉄道150年の年になります。鉄道は本来、大量輸送が可能であります。しかるに、本年、JRのうち東海を除く各社から利用者の少ない路線の収支等の現状が示されて、赤字ローカル線の問題がクローズアップされています。和歌山市においても、新型コロナウイルスの影響で公共交通の利用者が激減しました。

 鉄道の市内駅の年間利用者数ですが、コロナ禍前後の2019年度と2020年度の比較で、JRも南海電鉄もそれぞれ20%を超える減少、その上、路線バスの減少はさらに大きく、45.5%減とほぼ半減しました。2021年度は2社ともにやや回復したとはいえ、深刻な状況に変わりはありません。

 JR東日本の只見線は、福島県の会津若松駅と新潟県の小出駅を結ぶ135.2キロの路線ですが、2011年7月30日の豪雨で、一部区間は復旧したものの、長年にわたり福島県内の会津川口駅から只見駅間が不通となり、代行バスが運行されていましたが、今年10月1日より全線が復旧する予定です。その際、線路の保有管理は福島県が行い、列車の運行はJR東日本が受け持つという上下分離方式が採用されます。只見地区は多雪地域で、新潟県へ越える国道252号は冬季閉鎖となりますから、只見線の復旧はこの地方にとっては欠かせません。

 また、JR磐越西線は同じJR東日本で、福島県の郡山駅から新潟県の新津駅へ向かう175.6キロの路線ですが、その間、会津若松市、喜多方市という地方都市もあるので利用客は多い区間もあるのですが、山間部の野沢駅から津川駅間は県境区間で輸送密度も低く、JR東日本のワースト4位になっています。過疎化も激しく、現在、県境をまたぐ移動をする人はほとんど車を利用します。

 しかし、この磐越西線も東日本大震災の際は、3月11日から26日の間不通になったとはいえ、早めの復旧を果たし、東北本線が長期にわたって不通になる中、3月25日から4月16日の間、首都圏から郡山へ向けて磐越西線を利用して臨時迂回石油輸送が行われ、震災復興に大きく貢献し、人々を勇気づけました。ですから、公共交通機関としては欠かせない赤字ローカル線もあるわけであります。

 本年7月の国交省の赤字路線に関する提言の中で、鉄道路線のバス路線化、BRT(バス高速輸送システム)路線化に関しても触れています。東日本大震災で甚大な被害を受けたJR東日本の気仙沼線柳津駅から気仙沼間と大船渡線の気仙沼駅から盛駅間は、BRT路線になりました。両BRT路線は旧線路跡をバス専用道路に変更して利用し、復旧できなかった区間は一般道路を利用してバスが走ります。

 BRTの長所は、運行本数が増やしやすい、運行経費が鉄道に比べて抑えられる、旧駅以外に停留所が設けやすい、専用道路区間は渋滞に巻き込まれず時間どおりに走れる等ですが、短所としては、鉄道に比べて定員数が少なめ、一般道では渋滞に巻き込まれるといったことが挙げられます。

 しかし、実際のところ、この路線によって役所や病院、ショッピングセンターへ立ち寄るルートになり、地域の人々には利便性の高いルート設定が可能になります。また、鉄道に代わる通常のバス路線の活用も、近くに公共交通機関がない住民にとってはなくてはならないものだと思います。

 もう一つ、滋賀県の私鉄、近江鉄道ですが、2024年度から上下分離方式で再スタートすることになりました。鉄道の再生に県が乗り出したことで、沿線の市町も駅前の駐輪場やトイレを整備する動きも出てきましたし、会社側も全線を無料で乗車できる1日キャンペーンを企画するなど、みんなが協力し始めているとのことであります。知事の肝煎りで交通税の導入も検討して、県民が等しく少しずつ負担することも考えておられます。

 一つ目の質問ですが、本県も新型コロナウイルスの影響で鉄道交通の赤字はさらに深刻になっておりますが、知事にも御尽力いただいて、昨年9月1日よりJR紀勢線の普通電車でのサイクルトレイン実施、さらに白浜駅から新宮駅間で、本年10月1日から特急くろしおでのサイクルトレインも実現いただいて、JR線の利用促進に御尽力いただいています。JR和歌山線、南海本線、そして貴志川線などにもサイクルトレインをいち早く広げていただけたらと願うばかりです。

 ただ、今後コロナ禍が収まってきても、鉄道経営はやはり厳しいと思われる中、前述のような上下分離方式やLRT路線の採用、あるいは公共交通不在の地域へのバス路線の復活、拡張など、さらに前向きな議論も必要かと思います。また、大阪市内では、利用者が乗降場所を予約で指定する乗合型のオンデマンドバスがOsaka MetroとWILLER社で試験運行されて注目され、競合しかねないタクシー事業者に運行を委託して共存も図り、交通サービスとして定着を目指しています。

 そこで質問ですが、本県の今後の公共交通の利用、維持について、大変厳しいと存じ上げておりますが、知事の御所見をお伺いいたします。

○議長(尾崎要二君) 知事。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 県内の地域公共交通を取り巻く環境は、人口減少や新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、利用者が大幅に減少し、非常に厳しい状況にございます。

 県では、地域公共交通を維持するため、これまで地域鉄道やバス路線について様々な支援を行ってまいりましたが、依然として利用者が著しく少ない路線が存在しております。

 私もよく公私ともに県内の中山間地に出かけますけれども、注意してバスが通るところを見ておりますと、誰も乗っていない路線バスをよく見かけます。これでは補助金の無駄遣いだし、バス会社も士気が上がらないんじゃないか、そんなふうに思います。

 一方、恐らく高齢化とともに自家用車に頼れない人がこういう地域では増えてきているんじゃないか、そんなふうに思います。

 そのため、鉄道、路線バスやコミュニティバス、あるいは予約に基づき運行するデマンド型の乗合タクシーなど、地域のあらゆる輸送資源を組み合わせた効率的で持続可能な地域公共交通について、どんなものがいいのか、それを市町村と共に考え、見直しに向けた実証運行等の支援を行っているところでありまして、まだまだごく一部の自治体でございますけれども、利用者の少ないコミュニティバスをデマンド型の乗合タクシーへ転換するなどの動きが出始めております。

 地域公共交通を維持するためには、まず、何よりも地域住民が「自ら乗って残す」という意識を持ち、行動しなければならないと考えます。その上で、現在の公共交通機関が利用しづらいということであれば、どのような交通モードなら利用しやすく、どういった施策が必要であるかなどについて、地域の関係者がしっかりと話し合うことが重要であります。

 現在、県では、市町村や交通事業者、社会福祉協議会、老人クラブ連合会、高等学校PTA連合会の方々など、公共交通に関わる多くの関係者と共に、将来における本県の公共交通の在り方を示す地域公共交通計画の策定を進めているところでございまして、関係者と十分協議をしながら、地域にとってふさわしい交通ネットワークの構築に取り組んでまいりたいと考えております。

○議長(尾崎要二君) 長坂隆司君。

  〔長坂隆司君、登壇〕

○長坂隆司君 例えば、和歌山市内でも東南部の三田、岡崎、安原、山東地区には路線バスがありません。地区内あるいは近隣を貴志川線が走っています。でも、県道、市道近辺にお住まいの方でさえ、高齢者や障害のある方となると、歩いて貴志川線の最寄りの駅へ行こうとしても、30分以上歩かないとたどり着かず、病院や百貨店等へ買物にも行けない方が現実に少なからずいらっしゃいます。常にタクシーを利用というわけにはいかないわけであります。そんなところにバスが来ればと切実な思いを抱いている地域住民は少なからずいらっしゃいます。

 「乗って残す」の意識を常に持っていただくことは必要ですが、交通弱者に常に寄り添う気持ちも行政には求めていかざるを得ないのが現実であるということを、地域に寄り添うべき議員の立場で伝えさせていただきます。

 2点目に、公共交通ではありませんが、トラックでの貨物輸送は、我々の暮らしや経済を支える重要な社会インフラです。国内貨物輸送の9割以上をトラックが担い、食品流通輸送では、トラック輸送が97%を占めています。時間に正確で低温管理輸送、すなわちコールドチェーン物流も世界に誇る強みであります。全国に張り巡らされたネットワークがあり、時間を守り、信頼性が高いトラック輸送であります。

 10月からは和歌山下津港で毎週土曜日の定期運航の内航線である大王海運のRORO船も就航し、トラックやシャーシごと千葉港へ運ばれることになり、効率的な作業ができ、トラックの長時間、長距離輸送を抑制し、ドライバー不足を少しでも解消することにつながり、CO2の排出量も削減できます。

 さて、物流業界でトラックドライバーの人手不足が深刻化していますが、トラックでの貨物輸送に対する荷主の要望や期待は高まるばかりです。平成31年4月1日より働き方改革関連法が順次施行されましたが、トラック運送等自動車運転業務に関しては、時間外労働の上限規制の適用が令和6年4月1日施行となっています。

 本県のトラックドライバーの雇用確保と労働環境については、労使間の争いも少なくはなく、まだまだ議論されていく余地がありそうです。県民の暮らし、生活を支え、ますます貨物需要が増えることが予想される必要不可欠なエッセンシャルワーカーであるトラックドライバーの人材確保と、長時間・長距離の運転といった重労働・過労働等の労働環境の改善については、県当局も和歌山労働局と共に今後も注視いただいて、適正なる指導をお願いしたいと、これは要望させていただきます。

 3点目に、障害者雇用についてであります。

 企業が障害のある方の雇用を進めることは、障害者の方が活躍できる場を提供するという意味を持つために大きな社会貢献につながって、企業価値の向上や多様性のある組織づくりなど、多くのメリットをもたらし、雇用全体の方針を見直すきっかけにもなり、業務の効率化や生産性の向上につながるなど、様々な効果をもたらすものと言えます。

 しかしながら、障害者と共に働いたことがない配属先の社員が、知識不足から障害者を不安に感じ、そこから問題や課題が生じるケースも間々あると言われます。9月5日付の毎日新聞に、障害者の大量退職についての記事を見つけて、今さらながらに驚きました。

 企業での障害者の雇用が盛んになったのは、1976年に改正身体障害者雇用促進法が成立して、初めて法定雇用率が義務化されてからだと思います。例えば1976年の翌年、1977年に18歳で採用された人が、45年たった2022年現在では63歳になっているわけであります。当時、常勤の従業員数のうち1.5%以上の身体障害者を雇用するよう企業に義務づけ、達成できなければ納付金を徴収する仕組みが設けられたのであります。

 一方、障害者雇用促進法に基づき、企業は雇用を推進するに当たり、国から様々な助成金を受け取ることもできます。毎日新聞は、主要企業126社を対象に6月上旬から7月上旬にかけ、障害者雇用に関するアンケートを実施して、104社(回答率82.5%)が回答しました。うち45社が「中高年になった身体障害者の従業員の一定規模の退職が続いている、もしくは続く見込み」と回答しました。

 企業は、代わりの障害者人材の確保に苦慮しています。代わりとなる障害者を雇い入れようとしても、これまでの経験で企業にノウハウがあり、職場に適応しやすい身体障害者や軽度の知的障害者は奪い合いの状態と言われます。精神障害者は2018年に法定雇用率の算定対象に加わり、雇入れはこれから増えていくものと思われます。国も週20時間未満の短時間勤務の人も雇用率に算定できるよう見直す方針だと聞いています。

 障害者の総数は、国の推計で約965万人、身体障害者が一番多く436万人で45%、知的障害者は109万人、そして、近年増えている精神障害者は419万人の43%になっています。法定雇用率は年々引き上げられており、現在では43.5人以上雇用する企業が対象で、法定雇用率は2.3%にまで上がっています。ちなみに国、地方公共団体は2.6%、都道府県教育委員会は2.5%です。

 日本の民間企業における障害者雇用率の達成割合は、厚生労働省が2021年12月24日に公表した令和3年障害者雇用状況の集計結果によると、47.0%でした。対前年比で1.6%の低下となっています。

 そこで質問ですが、一つ目、本県の民間企業における障害者の雇用状況について、商工観光労働部長、教えてください。

○議長(尾崎要二君) 商工観光労働部長。

  〔寺本雅哉君、登壇〕

○商工観光労働部長(寺本雅哉君) 本県の令和3年6月1日現在の民間企業における障害者の実雇用率は、法定雇用率の2.3%を上回る2.49%となっております。また、全国平均の2.2%を0.29ポイント上回っています。法定雇用率達成企業の割合については61.1%となっており、全国平均の47.0%を14.1ポイント上回る状況となっています。

○議長(尾崎要二君) 長坂隆司君。

  〔長坂隆司君、登壇〕

○長坂隆司君 和歌山県の民間企業の障害者雇用が全国の平均を上回っているとお聞きして、安堵の気持ちがいたしました。

 2点目に、障害者の中には体力的、また精神的に一定時間以上の労働がしづらい方もおられると思いますが、労働時間の配慮による短時間労働と法定雇用率の関係について、商工観光労働部長、教えてください。

○議長(尾崎要二君) 商工観光労働部長。

  〔寺本雅哉君、登壇〕

○商工観光労働部長(寺本雅哉君) 障害者雇用率の算定に当たっては、労働時間が週30時間以上は1人、週20時間以上30時間未満は短時間労働者として0.5人でカウントされています。

 障害のある方には体力的、精神的に一定時間以上の労働の困難な方がおられることから、重度身体障害者と重度知的障害者の場合は週30時間以上を2人、週20時間以上30時間未満は1人として、通常の2倍にカウントされています。また、精神障害者については、令和4年度末までは短時間労働者を1人とカウントする特例が設けられています。

 一方、現行制度において、労働時間が週20時間未満の人は対象とされていないことを踏まえ、本年6月の国の労働政策審議会において、「週10時間以上20時間未満の精神障害者、重度身体障害者、重度知的障害者は、その障害によって特に短い労働時間以外での労働が困難な状態にあると認められるため、特例的な取扱いとして、その雇用を実雇用率の算定対象に加えることが適当である」との意見書が国に提出され、現在、国において検討中となっています。

○議長(尾崎要二君) 長坂隆司君。

  〔長坂隆司君、登壇〕

○長坂隆司君 週10時間以上20時間未満の方が、これを対象に加えられたら、障害者雇用も重度の範囲までかなり広がってくるのじゃないかなと期待をしております。

 3点目に行きます。障害者が働きやすい環境づくりのためには、職場でも障害者と健常者とのお互いの理解と意思疎通が欠かせないと思いますが、双方それぞれのサポート体制は必要であります。障害がある方々は、それぞれ一つの分野で秀でた才能を持っておられる方が多いですが、長所を一層伸ばすための教育システムや、スペシャリストとしての才能を仕事に生かすための取組、これは大変重要だと思います。

 そこで、県の障害者雇用における取組について、知事の御所見を伺います。

○議長(尾崎要二君) 知事。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 障害者の自立のためには、その能力や適性に応じた職業に就き、定着することが重要であると考えます。そのために、就職に必要な知識、技能の習得が重要でございまして、また、事業主の協力や理解、社会全体の理解も重要であると考えます。

 このような考えから、県では、ビジネスマナーをはじめ、パソコン操作や販売実務等の障害者を対象とする職業訓練の実施や、障害者が日頃培った技能を互いに競い合うことを目的に和歌山県障害者技能競技大会(アビリンピック和歌山)を開催するなど、職業能力の向上に取り組んでおります。その中で、全国大会に出場する方々を毎年お呼びして励ましておりますけれども、懸命な生き方を見て心を打たれるものがございます。

 また、企業での職場定着を図るため、就職前の職場実習やインターンシップを実施するとともに、事業主の協力や理解を得るため、就職前から就職後までの障害者の支援を行う障害者就労支援者(ジョブサポーター)を企業に派遣し、事業主に対して、障害特性に配慮した雇用管理や職務内容の設定に関する助言を行っております。

 あわせて、社会全体の理解を促すため、障害者雇用に関するセミナー等の開催や街頭啓発の実施、また、県内事業者に対する雇用の確保に関する要請を行うとともに、障害者を積極的に雇用する事業所や勤務良好な方に対する表彰を行い、障害者雇用の推進に関する周知や啓発、機運醸成を行っております。

 今後とも、このような取組を充実させていきたいと考えております。

○議長(尾崎要二君) 長坂隆司君。

  〔長坂隆司君、登壇〕

○長坂隆司君 事業主はもちろん、一般の社員さんの障害者の方に対する理解、そして、職場でのコミュニケーションも大事だと思います。知的障害者や精神障害者の方は、特にコミュニケーションが難しい場合もあるので、研修等、共に学べるような機会づくりも必要かと思います。障害者が働きやすい環境は、ひいては健常者にとっても働きやすい環境であると思います。

 また、例えばメーカーの場合、障害者の方に、特に商品における消費者の使い勝手のよしあしを判断してもらえれば、その商品の機能もさらにアップするような、そんな局面も出てくるのではと期待しております。

 健常者の目線と障害者の目線は、それぞれ違っていると思います。障害者の皆様がその才能をさらに伸ばして仕事に生かしていけるよう、県当局におかれましても、日頃から定期的な巡回訪問を行っていただいて、障害者の方が働く現場のさらなる把握に努めていただければと思います。

 以上で、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(尾崎要二君) 以上で、長坂隆司君の質問が終了いたしました。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 36番楠本文郎君。

  〔楠本文郎君、登壇〕(拍手)

○楠本文郎君 台風がどうなるんやろうか、一般質問できることになるんやろうかと心配をしていたおとつい。今日はもう全く問題がないということで、議長の許しをいただきましたので、通告に基づき、順次、分割方式によって一般質問をさせていただきます。

 まず、大きな項目の1点目は、統一協会による被害の状況と和歌山県消費生活センターの相談活動及びオレオレ詐欺などの現状について質問を申し上げます。

 まず、統一協会関連についてです。安倍元首相への銃撃事件がきっかけとなって、元の「統一協会」、現在の名称は「世界平和統一家庭連合」と言いますが、今、この団体の活動が大きな社会問題になっています。今も被害が続いているからです。

 この団体には、関連団体も含め、たくさんの名称がありますが、もともとの名称は「世界基督教統一神霊協会」です。この質問では「統一協会」、「教育」の「教」ではなくて集まるという「協」で私は通したいと思います。

 この統一協会には、二つの側面があります。一つは、霊感商法、集団結婚など、甚大な社会的被害を与えてきた反社会的カルト集団としての側面、二つは、宗教的な装いと表裏一体の組織として国際勝共連合をつくり、反共と反動の最悪の先兵の役割を果たし、政治に関与してきたことです。

 かつては、勝共連合という名前などで御坊周辺の家々を訪れ、かなり高いハンカチやはがき、珍味などを「難民救済のため」と言って売りつけるとか、「障害者支援のため」と偽って訪問販売をしていました。また、集団結婚式も有名な話になりました。私の知り合いにもその被害者がいます。

 統一協会の霊感商法をめぐる新生事件というのは、2009年、和歌山市黒田にある統一協会和歌山教会に家宅捜査が入った事件です。この裁判で裁かれた手口は、通行人に「姓名鑑定をしてあげる」などと声をかけて事務所に連れていき、客の悩みや心配事は「家系に悪い運がついている。運命を変えるには印鑑を作ること」と不安をあおり、印鑑3本を110万円で購入させていました。私は御坊で相談に乗ったことがありますが、当時は開運ではなく因縁、祖先の悪霊を取り除くという売り込みだったんですね。

 判決では、「新世」という印鑑販売会社は、「客を統一協会に入信させることも目的として印鑑販売をしていた」と認定しました。販売手法と信仰が混然一体だったと指摘しています。添付の資料は、霊感商法対策弁護士連絡会が新たに作成した統一協会の関連団体の一覧表です。とにかく荒くたい量あります。統一協会が無数の顔と名前を使って、信者や日本国民から金を集めて韓国へ送金しているという実態が明らかになっています。

 和歌山県内には、紀の川市打田、和歌山市黒田、田辺市新庄の3か所に教会があります。そのホームページには、清掃活動、多様なボランティア活動、友好を深める活動など、多彩な活動に信者が参加していることが紹介されています。建物の費用も維持費もかかるでしょうから、信者から多額の資金提供を受けていると推察されます。

 統一協会が行政や政治家を活用するのは、自分たちの団体がそうした社会的、公的なところや政治家にも認められている存在だとの宣伝に使うためだと指摘されています。

 また、統一協会は、家庭教育支援を一つのテーマにしています。「教育の基本は家庭にある」という主張です。それは、子供が主人公であるとか、学ぶ権利であるとかではなくて、家庭が子供を教育する、行政が家庭を教育する方向を目指しています。

 統一協会が世界平和統一家庭連合に名前を変えることができたことが国政をゆがめたのではないかと問題になっていますが、地方自治体に向けては、家庭教育支援条例や法律制定を求める意見書提出運動を装ってきています。

 そもそも家庭を重視するというのは、統一協会の教義とつながっているんです。「我々の真の父母は文鮮明夫妻」という「血分け」の根本教義に通じるところから来ているのです。夫婦別姓に反対するとか、LGBTQを敵視する考えと連なっていきます。

 この統一協会の資金集めのやり方は、1980年代から2000年代に社会的に問題になったつぼや印鑑を法外な値段で売りつけるやり方から、今は中心的には信者に多額の献金をさせる手法に変化しています。

 こうした状況を受けて、政府はこの9月5日から30日の間、「『旧統一教会』問題相談集中強化期間」を設けました。七つの省庁の合同電話相談窓口の設置ですから、この統一協会問題の深刻さが浮き彫りになる事態であり、その対応も異例です。

 そこで、第1の質問は、県消費生活センターとして受けた過去の相談のうち、開運商法に関するものは何件あったでしょうか。このうち統一協会に関するものは何件でしょうか。

 次に、この統一協会問題に限らず、この機会に県消費生活センターの活動についてお尋ねしていきます。

 訪問販売、還付金詐欺など、今までの相談頻度の高いものから、18歳への成年年齢引下げを狙ったお試し購入、火災保険・地震保険の請求を勧誘する業者によるトラブル、高齢者を狙った過量販売や老人ホーム入居権詐欺など、実に多種多様な相談が増えているとお聞きしました。その実情についての概要説明をまずお願いします。

 センターとしての多岐、複雑化する相談活動だからこそ、相談員の研修が必要ではないでしょうか。さらに、弁護士などとのネットワークを持ってのスキルアップが必要不可欠だと考えます。現状と今後の方向性について、1点目と併せ、環境生活部長からお答えをいただきたいと思います。

 同時に3点目ですが、刑事犯罪に仕分される相談も減少するどころではないとお聞きします。特殊詐欺に当たる被害や相談について、認知件数、年齢構成、被害額のそれぞれの特徴的な状況を報告いただき、それに対しての和歌山県警察本部としての現在の取組の中心点をお示しいただきたいと思います。

 この3点目については、県警本部長からお答えをいただきたいと思います。

○議長(尾崎要二君) ただいまの楠本文郎君の質問に対する答弁を求めます。

 環境生活部長生駒 享君。

  〔生駒 享君、登壇〕

○環境生活部長(生駒 享君) 県消費生活センターに寄せられた消費生活相談のうち、開運商法に関するものの相談件数は、令和3年度では14件で、過去10年間においては毎年20件以内で推移しております。

 なお、特定の団体・事業者に関する相談の有無やその内容については、一般に当該事業者等の正当な利益を害するおそれなどがあるものとして、和歌山県情報公開条例の趣旨に鑑み、公表しておりません。

 次に、県消費生活センターに寄せられた相談の概要と消費生活相談員のスキルアップについてお答えします。

 令和3年度の相談件数は5116件であり、その内容は、化粧品・健康食品の定期購入トラブル、簡単に高額収入を得られるという内職や副業などのもうけ話、出会い系サイトの高額請求など、多岐にわたっています。

 そのため、消費生活相談員に対しては、国民生活センターが実施する高度化、複雑化する相談に適切に対応するための研修を積極的に受講させるとともに、2か月に1回程度開催する和歌山弁護士会との共同事例検討会に参加させるなど、様々な事案に対応できるスキルや知識の習得を図っております。

 今後とも相談対応能力の充実に努めることで、消費者トラブルの未然防止や早期解決に取り組んでまいります。

○議長(尾崎要二君) 警察本部長山﨑洋平君。

  〔山﨑洋平君、登壇〕

○警察本部長(山﨑洋平君) 特殊詐欺被害の現況について御説明いたします。

 令和4年8月末の被害認知件数は58件で、前年同期比でプラス19件、被害総額は約8340万円で、前年同期比プラス2030万円と、認知件数・被害金額とも増加傾向にあります。

 主な手口は、未払い料金があるなどの架空の事実を口実として金銭等をだまし取る架空料金請求詐欺が22件で最も多く、次いで、医師を装い「息子さんの喉の手術をした」などと電話がかかってきた後に、息子を名のる者から金銭を要求するなどのオレオレ詐欺が13件となっております。

 被害者の傾向としましては、65歳以上の高齢者が43人と、全被害者の約74%を占めています。また、被害に遭った高齢者のうち、女性が約84%を占めており、高齢女性の被害割合が高くなっています。

 県警察では、高齢者宅への巡回連絡等による直接的なアプローチ、防犯メール、防災無線や回覧板を利用したお知らせなど、基本的な対応のほか、高齢者の御家族や周囲の地域住民の皆様に対して、幅広く広報啓発を推進しております。

 その一部を申し上げますと、犯人からの電話に出ないよう、常時留守番電話設定の呼びかけ、特殊詐欺被害防止に特化した24時間フリーダイヤル「ちょっと確認電話」の利用促進、金融機関やコンビニエンスストア等の関係機関・団体と連携した、被害に遭う前に声かけをしてもらうなどの水際対策、発信力の高い著名人や御当地アイドル等に御協力をいただいた積極的な広報啓発活動などの被害防止対策を強力に推進しているところであります。

 なお、「ちょっと確認電話」は、運用を開始した令和3年3月から本年8月末までの間に約5500件の着信があり、380件の特殊詐欺被害を未然に阻止しています。

 県警察では、今後も検挙と抑止の両面での対策を推進してまいります。

○議長(尾崎要二君) 楠本文郎君。

  〔楠本文郎君、登壇〕

○楠本文郎君 丁寧な答弁をいただきました。ありがとうございます。

 3点ありますので、まず一つ目は、統一協会に関することです。

 この間の全国霊感商法対策弁護士連絡会の活動と過去の判例によって、統一協会の目的、手段、結果に照らして、協会の伝道教化、これは教え導くという教化の意味ですが、その過程は社会的相当性を逸脱したものであるというとても重い結論を発表されています。つまり、協会による正体を隠した勧誘、マインドコントロールを使った教化などにより財産を収奪、加害者を再生産、被害者は家族と断絶させる、このような事実が報告されているところです。

 また、統一協会の韓国版の原理講論には、アダムとエバの時代、エバの不倫により人類は原罪を負い、サタンの血族となった。日本がサタンの国やという指定もありますね。選ばれた女性が、教祖の文鮮明によって清められることで原罪のない子を産み、人類が救済される、これが「血分け」ですね。特異な教義であることもジャーナリストによって多々紹介をされているところです。

 ですから、行政は、真実を見極めなければならない立場だと思います。私は、被害の根絶に向けて、宗教法人としての解散命令を出すべき団体だと考えます。法人として守るべきことを守っていないから、解散するべきだと思うんです。

 公正であるべき行政は、統一協会もしくは関係団体のいかなる催しなどにも加担しない。お墨つきを与え、広告塔の役割を担わされることになり、被害者を増やすことになるということ。したがって、寄附も受けない。

 ただ、名称を隠すことがよくありますから、関わっていることが判明した時点できっちり清算する。この原則も県庁組織内で確認していただきたいと、これは要望を申し上げておきたいと思います。

 次に、政治家と言われる議員の在り方です。統一協会とはいかなる団体で、その関連団体も含め、自らも広告塔の役割を担わされることがあり得るという識見を持っているかどうかが問われています。襟を正して自己調査を徹底し、自己清算を呼びかけるものです。

 今回、私は、統一協会に対する質問を準備してきました。今、明らかになってきているのは、信者に依拠した寄附行為に切り替えてきている。ますます被害が陰湿になっています。これ以上被害を出させないためには、統一協会に対する敏感さを持ってほしいという思いと、被害が中に籠もっていくようにしないためには、疑問や不安を持ったら、とにかく公的な機関に気軽に相談できる、そんな体制が必要だという結論をもって、今回、県の消費生活センターと県警本部に対して尋ねることにしたわけでございます。

 このリスト、ぜひじっくりと見て、関連したところがないかどうかという再点検をよろしくお願いしたいと思います。

 その上で、国が旧統一協会問題の相談集中期間をやることになりましたから、この情報なんかもしっかりと県行政としても共有をしていただきたいと思います。

 その上で、県消費生活センターの報告をいただきました。10年間の保存期間なんですね。しかも、商法としての被害が少なくなってきた時期の10年間ですから、開運商法としては10年間で119件だと思います。県消費生活センターへの相談は、でも、令和3年度は全体で5116件と爆発的なんですね。

 県警への「ちょっと確認電話」の利用は1年半で5500件の着信があって、380件の特殊詐欺被害の未然防止、防ぐことができたと答弁をされました。内容もかつてはクーリングオフの問題、その前はクレジット、サラ金問題、ヤミ金融のこと、保険金請求の増加、過量販売の御注意をということに変わってきて、入居権詐欺という手口が新しく出てきているんですね。「高齢者を狙った悪質な過量販売に」というチラシや「老人ホームなどの入居権を譲って」という(チラシを示す)、これは詐欺というジャンルで呼びかけていますが、県消費生活センターで受け付けている中身ですよね。

 今では、こうした相談所はなくてはならないと思います。さらに県警では、刑事事件なのかどうか、受けた5500件の中では、これは民事やでというのも多々あるでしょう。しかし、よくよく聞いてみたらというような中身も含まれているのではないかと思います。

 県消費生活センターは「嫌や」、これは取引ですから「嫌や」で済むんですよね。それから、県警のほうは「全部詐欺や」と、「これはわなや」ということでしっかりチラシを配られていくんですが、(チラシを示す)ここの差はばしっと線が引けるようなものではなくなっているということを私、この場で強調を申し上げたいと思うわけです。

 それを受けていく体制の問題を、次に申し上げておきたいんですね。

 県消費生活センターでは、和歌山市の本所職員が5名で相談員4名、田辺市の紀南支所は職員2名、相談員2名、別枠でなんですが、予算は別のようですが、御坊市と周辺日高郡内6町で共同の相談窓口が設置されております。それぐらいニーズが高くなっているということを反映しているかと思います。

 中身について、公表ができないということは了解をしているんですが、商法に関わる契約なのかどうか、寄附行為かもしれないとあるんですね。相続関係も調べる必要が出てまいります。繰り返しますが、刑事・民事の判別がしづらいなど、とても難しい相談内容になっているから、相談員のスキルアップは欠かせない。どのように仕分するのか日々悩むという状況がどんどん発生しているということを答弁からも明らかにされていたかと思います。

 それで、県民の不安に応え、安心・安全の県民生活が営まれるように、その活動の充実をしっかりと期待して、要望とさせていただきます。

 次に、二つ目の大きな項目の質問にまいります。

 和歌山南陵高校の学校運営の問題についてお尋ねします。

 2学期に向けて、学校法人南陵学園から保護者に対し、8月26日付で理事長就任の御挨拶が送られました。新理事長とともに学校長のお名前もあり、事業承継が完了とされているんですね。また、文中には、9月中に保護者会を開催し、今後の学校運営の方針等について説明する旨の記載がありました。

 しかし、9月13日、保護者の有志から学校に対し、昨年度の保護者会の収支報告書の開示、来年度の保護者会の役員を決める選考委員会の設置などを求めて申入れされています。

 一方、高校所在地である日高川町議会では、一般質問が9月12日、13日に行われました。「新理事長からの日高川町への説明は得られていない。ただ、町としては、水道料金や施設使用料の納付遅延には粘り強く徴収に努めながら──払われてないということなんですよ──給水の停止や施設の使用を制限していない」などが答弁されています。

 生徒たちにとって、自分ではどうしようもない期間が続いています。気が気でない期間を早期に改善しなければなりません。私立高校として継続的に運営できる条件をどう考えておられるでしょうか。まず、お尋ねをして、2点目として、私立高校も国公立の学校と変わりなく、教育基本法の規定、公の性質を有するものです。さらに、公共性を高めるために、その組織・運営等についても様々な規定が置かれている。和歌山南陵高校は、少なからず正常な組織運営ではなかったわけですから、これらの規定どおりの運営になっていくことが最低の条件やと思うんです。運営面での改善が図られつつあるのかどうかが問われています。

 そして、経営の安定の下で学習環境を整えることが学校法人に求められることですが、現状はまだ程遠いと言わざるを得ない情報が私には多々寄せられています。

 和歌山県として、まだ改善されていないと考え、法人及び学校に求めていることを1点、2点、併せて企画部長からお示しいただきたいと思います。

○議長(尾崎要二君) 企画部長長尾尚佳君。

  〔長尾尚佳君、登壇〕

○企画部長(長尾尚佳君) 私立学校法において、私立学校を設置する学校法人は、自主的にその運営基盤の強化を図るとともに、その設置する私立学校の教育の質の向上及びその運営の透明性の確保を図るように努めなければならないとされております。

 また、その設置する私立学校に必要な施設及び設備またはこれらに要する資金並びにその設置する私立学校の経営に必要な財産を有することが求められています。

 しかし、学校法人南陵学園は、公租公課等の滞納や保護者からの預り金の返還遅延、教職員への給料の未払い事案の発生など、その経営が著しく混乱しており、これらの要件を満たしていない現状にあると判断されたため、当該法人の所轄庁である静岡県から、本年7月8日付で改善を求める措置命令が発出されたところです。

 私立学校法では、運営の改善その他必要な措置命令などの方法により監督の目的を達することができない場合には、最終的に所轄庁が学校法人に対して解散を命ずることができるとも規定されておりますので、学校法人南陵学園が解散に至らず、和歌山南陵高等学校の運営を継続していくためには、現在、静岡県から発出されている措置命令に適正に対応し、経営の混乱を速やかに解消することが必要であると考えます。

 次に、和歌山県として法人及び学校に求めていることについてですが、学校法人南陵学園及び和歌山南陵高等学校に対しましては、これまでも、生徒の学びに支障が生じることのないよう、その運営に係る問題点について複数回にわたり改善を求めてきました。

 新たな校長の就任と校務の執行、通信制課程の教頭の選任など、これまでに是正されてきたものもありますが、日本私立学校振興・共済事業団への掛金及び公租公課の滞納並びに図書室の未設置など、現在も改善に至っていない点が残っているため、引き続き指導しているところです。

 また、学校の施設及び設備の経年劣化等により衛生面や安全面で問題が発生している箇所についても、生徒の学習環境を守る観点から、引き続き早急な対応を求める必要があると考えています。

 さらに、生徒の皆さんが安心して学校生活を送ることができるよう、学校の現状や今後の運営方針について、生徒及び保護者の方々並びに教職員に対して速やかに、かつ正確に説明を行うことが極めて重要であると考えております。

 以上のように、多くの問題が残されておりますので、学校法人南陵学園に対して、生徒たちの学びの場を守るための改善を早急に行うよう、引き続き強く求めてまいります。

○議長(尾崎要二君) 楠本文郎君。

  〔楠本文郎君、登壇〕

○楠本文郎君 現状の部分では、とっても納得できる答弁なんです。それで、ちょっと確認的な部分で再発言をしておきたいなと思うんです。

 学校ですから、日々変化があります。9月10日にはスポーツの大会があるとか、だったら、そのスポーツの大会のところの保護者を寄せたりということをしています。でも、視点が変わればよしあしの判断も変わってくるということなんで、見誤らないためにも、最も重視されるべきことは、この学校の主人公は誰なんという話やと思っているんです。先ほどの答弁では明確にそれを出していただきました。生徒なんです。縁があって南陵高校へ来たんよ。

 その生徒が、でも、未成年の子が大多数ですから保護者の意見も重要で、だから、部分部分の保護者ではなくて、全ての保護者に対する説明会が絶対要るって答弁してくれたらよ、もうそのとおりやと思うんですよ。これを何で早うやらんのか。これはしっかりやっぱり経営陣に求めていきたいことやと思うんですね。

 もう一個、忘れたらあかんのが、分業の進んだ高校であっても、教育である以上、教職員の集団で行われるべき。集団がやっぱり大事なんですよね。経営は理事会のはずなんです。理事長の独断はあり得ない。有名な私立の大学の大きな教訓を我々意識しとかんなんの違うかいと思っています。大人が知恵を絞って、この子らを育てるという思いを共有するところから教育が生み出されて、生徒にすばらしいものを伝えることができるという中心点を外さず、県当局が奮闘していただけることを要望して、この項目は要望としたいと思います。ありがとうございます。

 次に、3点目の質問にまいります。

 気候危機に対応する脱炭素化、再生可能エネルギーの普及についてお尋ねするつもりです。

 その後、川のことをば4点目に質問する予定で、これ台風来たらこんな質問にならんの違うかというのが冒頭お話しした中身だったんですね。

 今の台風はばかでかい。荒くたい風もがいな量の雨も伴なってくる。これがほんまに紀伊半島を目指してくるということもあり得るわけでしょう。第2室戸とおんなじ規模やって言っていましたもんね。もう僕らもちっちゃな頃ですから。でも、覚えていますもんね。

 そういうのが出てこないようにするのが、抑えるのが気候危機に関することやと思うので、その質問をさせていただきます。

 6月議会で同僚の杉山議員への答弁で、環境生活部長は、「本県の脱炭素化を進めるためには、地域と密着した行政を担う市町村の積極的な取組が重要──略しますが──そうした取組をさらに拡大していくことが必要」と、国の支援強化にも触れられていました。

 それで、今回はその脱炭素化の点に絞ってお尋ねをします。

 まず、第5次環境基本計画では、「2030年度における県内消費電力量に対する再生可能エネルギー発電量の割合が33%となることを目指します」とあります。現時点で、この比率は何%になっているでしょうか。

 私は、地域と密着した脱炭素化を進める柱は三つあると思っています。その一つは太陽光発電です。地域と密着しない、いわゆるメガソーラーに対する和歌山県独自の条例制定は、地域住民の安心と安全を図る上で評価申し上げているところです。

 一方で、私は、日照時間の豊かな和歌山県でこその思いで、太陽光発電施設を自宅屋根に設置して22年になります。何回かの台風にもちゃんと耐えてくれました。そうした経験からも、自宅屋根のパネルが最も合理的で現実的だと考えています。

 その上に公共施設、特に学校は広い南向きの屋根があって最適な設置場所だと考えます。倉庫などの長い大きな屋根を見るたびに、「ここに太陽光パネルを設置したら、よう発電するやろなあ」とつい思ってしまうんです。

 また、最近は、農地におけるソーラーシェアリングが全国で広がっています。これは、技術的な到達点としては可能な発電になってきたのではないかと考えています。

 以上の点は、太陽光発電のより一層の普及が進むだろうし、進ませたいという私の思い入れです。

 お尋ねする2点目は、思うほど導入の進んでいないのが小水力発電。有田川小水力発電は、全国的に有名になりました。この成功事例や島ノ瀬ダムでの小水力発電も稼働しています。田辺市上秋津では、民間での水力発電所が進められています。水量豊かな和歌山で、河川や中小ダムを活用した小水力発電がまだ見えてこないのが残念なんです。今後どのような普及啓発を行っていかれるのかをお示しください。

 3点目に、バイオマス発電についてです。

 既に新宮市、上富田町で国産材での実用化が図られてきています。また、日高港での輸入燃料による計画も発表されました。ただ、輸入燃料をめぐっては、ウクライナ侵略問題などから、外国産ですから、不安視する意見もあります。

 本来的に外国産の燃料輸入頼みではなく、国内の未利用材を活用したチップやペレットの生産技術の向上の下での国産燃料づくりが求められているところだと考えます。

 この点では、県内における木質バイオボイラー設置でも、チップ、パウダーに加え、木くずだきや間伐材によるまき燃料の活用にも取り組まれてきていますが、今後、木質バイオマス発電を円滑に進めるために、どのような取組が必要と考えられますか。

 以上、3点ありましたが、3点とも商工観光労働部長からお答えをいただきたいと思います。

○議長(尾崎要二君) 商工観光労働部長寺本雅哉君。

  〔寺本雅哉君、登壇〕

○商工観光労働部長(寺本雅哉君) まず、1点目でございます。

 県内消費電力に対する再生可能エネルギー発電量の割合は、県の推計値では、2021年度末時点で約27%となっております。

 続きまして、小水力発電については、発電効率の優れた電源として、発電により得られた収入を農業水利施設の維持管理費に充てるなど、エネルギーの地産地消として地域で有効に活用されています。

 県内では、議員から御質問いただいた二川小水力発電所をはじめ、発電出力1000キロワット以下の発電所が9か所稼働しているところです。

 一方、小水力発電所の適地の選定に当たっては、地盤や流量などの自然条件による制約があります。また、工事、メンテナンスのためのアクセス確保等の立地条件に伴う課題のほか、河川の占用許可や水利権の調整なども必要になると認識しています。

 県としましては、現在、許認可についての担当窓口や関係法令、制度内容等を紹介するなど、調整の円滑化に取り組んでいます。

 引き続き、こうした取組に加え、市町村や事業所に対する意識啓発を行いながら、小水力発電の導入を推進してまいります。

 3点目でございます。木質バイオマス発電につきましては、再生可能エネルギーの一つと位置づけられるとともに、出力を調整可能な電源として注目されているところです。

 このような中、県内においても、ここ数年間で紀南地方を中心に木質バイオマス発電所の立地が進んできましたが、先般、日高港において大型発電所の建設が決定したところです。

 このことは、再生可能エネルギーの普及にとどまらず、雇用の創出や地域経済の活性化への貢献も大いに見込まれ、大変喜ばしいことだと考えております。

 一方で、木質バイオマス発電は、大量の燃料を必要とすることが特徴であり、円滑な運営のためには、燃料を長期にわたり安定的に確保していくことが肝要であると考えております。

 今後、県内の発電所において、間伐材等の未利用材の利用が増えていくことが予想される中、全国でも有数の森林県である本県では、燃料用原木の生産やチップ加工施設の整備など、燃料供給体制の強化を図り、事業者の安定操業を支援してまいりたいと考えています。

○議長(尾崎要二君) 楠本文郎君。

  〔楠本文郎君、登壇〕

○楠本文郎君 この点でも丁寧な答弁をいただきました。

 本会議場というのは、あんまり議論のやり取りをする場ではなくて、到達点を明確にして進むべき方向を確認するということの場だというふうに思っています。冒頭に申し上げているように、今の気候危機の下で、わがら何ができるんなと言ったときに、いろんなそれぞれのポジションでできることに取り組んでいくということが、もうほんまに待ったなしやと。2030、30年超えたらもう地球の取戻しができへんでという認識を共有して、しっかりと今後もお互い頑張ろうやないかということを呼びかけておきたいと思います。

 以上でこの項目の質問、要望は終わります。

 最後に今度はその気候危機の下で、荒くたい雨と風というこの御時世の中で、川は大丈夫かよというところの質問になります。

 日高川の本流における河川内堤防のり面の低木や草の除去は、振興局建設部において予算を取って実施されています。

 一方、本流に流入する支川においては、その堤防はほとんど天端舗装もなく、草刈りは地域の農家を中心に町内会、区会総出で行われてきました。道普請と同様に川掃除、下草刈りなどが地域でと表現されて、管理は地域でやるという自負を持った、言わばボランティアに支えられてきました。

 時代の変化の中で、近年の農家人口の減少と高齢化、地域全体の人口減少とも相まって、この活動ができなくなってきています。特に小さな河川はどこでも河床に草が繁茂し、増水すると途端に堤防は流量に制限がかかり、付近に越水や、果ては破堤もあり得る──これ、しゃれと違いますよ、そんな状況となっています。こうした状況は、県内どこでも言われていることではないでしょうか。

 近い将来、放置される堤防や土手がたくさんになる、その前に対策が必要だと考えます。事例も含め、今後どう対策されるのでしょうか、お示しをいただきたいというのが1点目です。

 2点目は、河川内の土砂や堆積物、また砂利の撤去を望む声は、同じようにどこの河川でも多いのではないかと感じています。今後、地球温暖化による洪水や線状降水帯による集中豪雨、大雨は必ず増加、拡大するわけで、これで安心という河川はないと言ってもいいんじゃないでしょうか。

 そうだとしたら、川の掘削やしゅんせつを計画的に実施していくことが必要になります。県下全域でのしゅんせつの予算は、災害がなくても増額していかなければならないと考えます。河川のしゅんせつに関する予算は確保されてきているのでしょうか。今後の方向性も併せてお答えいただきたいと思います。

 最後に3点目、日高川水系河川整備計画についてお尋ねしておきます。

 一つは、西川支川の下川の放水路の設計についてです。ボーリング調査などの結果、御坊市湯川町小松原の県道御坊美山線と御坊停車場線の交差点を起点として、御坊停車場線を南進して日高川堤防道路を終点とする、そこから日高川へ流出するという当初計画に変更ないでしょうか。

 市民が呼ぶ通称18メートル道路の下に放水路を埋設設置することも、見通しは立ったのでしょうか。問題は、この道路の起点から終点までの傾斜がどうか、放水される流量から見て、最終はポンプアップをしなければならないのではないかという地域の意見があります。沿道の方々の心配事でもあります。現時点の進捗状況をお答えいただきたい。

 さらに、堂閉川は測量が順調よく進み、地域説明会も行われました。地域では期待の声が寄せられているんですね。引き続き、来年度予算を確保していただき、早期の完成を目指していただきたいと思います。方向性をお伺いしておきます。

 以上3点について、併せて県土整備部長からお答えをいただきたいと思います。

○議長(尾崎要二君) 県土整備部長福本仁志君。

  〔福本仁志君、登壇〕

○県土整備部長(福本仁志君) 河川管理の現状と対策についての御質問についてお答えいたします。

 まず、河川の除草についてです。

 県では、河川の除草等の活動に対して、河川愛護会として届けている自治会等には奨励金による支援、きのくにリバーアドプト事業に参加している企業やNPOなどの団体には活動に必要な物資の貸与や提供による支援を行っているところです。

 また、日高振興局建設部では、これらの活動に際して、車輪がついた自走式の草刈り機を貸し出し、除草の負担軽減を図っております。

 県としましては、地域における河川の除草や清掃などの活動に対し、引き続き支援を行うとともに、河川管理者として河川管理上必要な箇所については除草を実施してまいります。

 続きまして、河川のしゅんせつについてです。

 議員御指摘のとおり、県内の河川においては、河川内の堆積土砂の撤去の重要性が増しております。

 土砂の堆積状況や人家への危険度の観点から優先度の高い箇所においては、本来の流下能力を確保することを目的として、緊急的に堆積土砂の撤去を実施しています。

 近年では、令和2年度に創設された緊急浚渫推進事業債を活用するなど、堆積土砂の撤去に係る予算の確保に努めております。

 今後とも、堆積土砂の撤去など、河川内の適切な維持管理を行ってまいります。

 最後に、日高川水系河川整備計画の進捗についてです。

 まず、下川につきましては、日高川へ接続する放水路を県道御坊停車場線の下に整備することで浸水被害の低減を図る計画としており、現在は放水路の設計や地質調査を行っているところです。

 次に、堂閉川につきましては、河道を一部付け替えて斉川の下流に接続することで流下能力を高める計画としており、令和4年5月と7月には地元説明会を実施するなど、地域の皆様の意見も聞きながら設計を進めているところです。

 今後も引き続き、必要な予算の確保を図り、計画に基づいた河川整備を進めてまいります。

○議長(尾崎要二君) 楠本文郎君。

  〔楠本文郎君、登壇〕

○楠本文郎君 御答弁をいただきました。

 日高振興局で買ったものの紹介もしていただいたんですが、スマイルリバーという制度があるということも今回分かりました。そしてしゅんせつ債、いわゆる借金をしてでもしゅんせつをするということも併せて、しっかりと全県的に進めていくという姿勢が確認できたと思います。

 日高川水系整備計画についても、具体化が急がれる計画でありますけれども、避難体制、訓練などと同時に取り組むべき課題だということを確認させていただきまして、私の一般質問を終わらせていただきます。御協力ありがとうございました。(拍手)

○議長(尾崎要二君) 以上で、楠本文郎君の質問が終了いたしました。

 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。

 この際、暫時休憩いたします。

  午前11時46分休憩

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  午後1時0分再開

○副議長(岩田弘彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 9番北山慎一君。

  〔北山慎一君、登壇〕(拍手)

○北山慎一君 皆さん、こんにちは。

 まずは、週末に上陸した台風により被害を受けました方々に、心からお見舞いを申し上げますとともに、お亡くなりになられました方には心からお悔やみを申し上げます。早期の復旧・復興を心よりお祈り申し上げます。

 それでは、議長のお許しを得ましたので、通告に従い、一般質問を始めさせていただきます。

 それでは、最初の項目、道路における路面標示についての質問に入ります。

 これは、私自身が車で道路を走行中に気づいたことを今定例会の質問として取上げさせていただきました。

 この議場におられる大半の皆様は、運転免許証をお持ちで、日頃は車やバイク等を運転し、道路を走行していると思います。また、運転免許証をお持ちでない方も中にはいるかと思いますが、お持ちでない方は、御家族が運転する車に乗ることや、あるいはタクシーやバスに乗車することで道路を走行するなど、運転免許の有無にかかわらず、何らかの形で、ほぼ毎日のように道路上を走っているのではないかと思います。

 その道路には、国が管理する国道、都道府県が管理する都道府県道、市町村が管理する市町村道など、大小様々な道路があり、それぞれが責任を持って所管する各道路を管理されております。管理という役割においては、道路の新設や改修、また、交通安全施設や交通施設の一部などの管理を行うということを担い、日々道路に関し、安全で安心して走行できるよう努めていただいております。

 よく見かける代表的な管理でいえば、傷んだ路面を整備し直す舗装工事がその一つで、走行に支障を来す道路等で実施されています。路面の状況が悪いと、ハンドル操作など運転に影響を与え、走行に直接関わってくることが多いことから、安全性を考え優先的に改修されていると思います。

 もちろん、路面状況をよくし、安全に走行できる道路づくりを考えれば、優先的事項になるのは当然のことかと思います。しかし、安全性というものを考慮するのであれば、加えて、もう一点、優先的にしていかなければならないことがあるのではないかと私は考えています。

 その点に関しては、私だけでなく、多くの方が道路を走行中に既に気づいていたり、気になっていたりしていることであるのかもしれませんが、県内の道路は、センターラインや横断歩道など、道路における標示物が薄く消えかけている箇所が非常に多い、そのように私は感じております。

 中央線や車道外側の線などが薄い道路を走っていたときには、走行レーンが認識しづらく運転しづらいと感じたことや、停止線が薄い道路では、停止位置が分かりづらく停止位置に迷ったことなど、私の体験上、路面標示が薄い道路より路面標示が濃くはっきりと描かれている道路のほうが断然運転しやすく、ドライバーが戸惑いやストレスを感じにくい道路であると言えるのは明らかです。そのような状況を踏まえると、安全性の高い道路づくりを進めていくためには、そういった箇所の補修も適宜しっかりと行っていくことが非常に大切であり、重要なのではないかと考えます。

 もちろん、日頃より管理をしていただいているわけですから、定期的に見回り、点検していただいているものと思います。また、必要な箇所については、その都度補修していただいていると思います。しかし、路面標示が薄く消えかけている箇所が多いのも事実であります。本県において、信号のない横断歩道での車の停止率が全国でも下位に位置しているのは、こういった部分も影響しているのではないでしょうか。

 横断歩道や停止線が薄くなっている道路で横断歩道を渡ろうとする人がいる状況があった場合に、人がいることには気づくが、そこに横断歩道があるという認識ができない、そのようなドライバーもいるのではないかと思います。ただ、横断歩道がある箇所には標識が必ず立っています。その標識で横断歩道があることを認識することもできます。しかし、道路上にはっきりと標示されているほうが道路を走行するドライバーにとっては一目瞭然であるのは言うまでもありません。

 そういったことも含め、道路は、センターラインや横断歩道、また、停止線などの路面標示が薄い状態よりも、はっきりとしている状態のほうが、夜などの暗い時間帯や雨などの視界が悪い状況でもドライバーの視認性が上がり、より運転しやすい道路になると思います。また、そのような観点から、安全性が向上し、事故の減少にもつながっていくと私は思います。

 予算の関係もあり、なかなか難しい問題もあると思いますが、ドライバーや歩行者など、人の命がかかっています。事故を少しでも抑止、減少を図るためにも、区画線及び道路標示をはっきりと表示しておくべきではないかと考えますが、県の取組状況について、県土整備部長、警察本部長、それぞれお聞かせください。

○副議長(岩田弘彦君) ただいまの北山慎一君の質問に対する答弁を求めます。

 県土整備部長福本仁志君。

  〔福本仁志君、登壇〕

○県土整備部長(福本仁志君) 道路管理者としましては、公安委員会が設置する横断歩道や停止線などの道路標示を除く車道中央の白色の破線や車道外側の白色の実線などの区画線を設置しています。

 議員御指摘のとおり、区画線を適切に維持管理することは、安全で円滑な道路交通を確保する上で重要であると考えています。

 区画線の修繕については、定期的に職員が実施している道路パトロールの結果などを基に、通行の安全確保の観点から優先度を考慮の上、実施しているところです。

 また、特に舗装の損傷が激しい箇所については、国の防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策などの予算を活用し、舗装の打ち換え工事と同時に区画線の更新も行っています。

 今後も、県管理道路を安全に通行できるよう必要な予算の確保に努め、区画線の適切な維持管理に取り組んでまいります。

○副議長(岩田弘彦君) 警察本部長山﨑洋平君。

  〔山﨑洋平君、登壇〕

○警察本部長(山﨑洋平君) 警察においては、さきに県土整備部長が答弁したとおり、横断歩道や一時停止等の公安委員会の交通規制に係る道路標示の設置を行っております。

 これら道路標示につきましては、その摩耗、劣化状況を踏まえながら、設置・補修年月日から優先順位をつけ、必要な予算措置を講じた上で、その補修を計画的に行ってきているところであります。

 今後とも引き続き、ドライバーや歩行者の皆さんが安全で安心して道路を利用できるよう、必要な措置を積極的に講じてまいります。

○副議長(岩田弘彦君) 北山慎一君。

  〔北山慎一君、登壇〕

○北山慎一君 答弁いただきました。

 それぞれ適宜パトロールなどを行い、緊急性を考慮しながら順次補修していただいているということでした。

 それにしては、区画線や道路標示が薄いと感じる道路が多いような気がいたします。そのような状況を踏まえますと、現状の予算では追いついていないということになります。予算が足りないのであれば、配分を見直したり、予算を増額したりしていかないと、そのような箇所がさらに増えてしまうのではないかと懸念します。

 先ほどの質問時にも申しましたが、ドライバーや歩行者の安全を考えますと、路面標示は非常に大事なものとなります。

 最近では、交通事故が頻繁に起こる交差点の路面にカラー舗装を施し、ドライバーに注意を促すなどの取組もなされています。このカラー舗装は、私の周りでも好評で、色をつけることで視認性を上げ、ドライバーにより注意を促すことで、事故を抑止する効果があることから行われているものだと思います。

 そういったことを考えますと、路面標示は、道路を走行するドライバーにとって非常に重要なものであると言えます。ドライバーが運転や判断に迷いが生じたら、事故が起こる確率も上がるのではないでしょうか。人の命がかかっています。しっかり予算を確保していただき、御対応していただけることを要望して、次の質問に移ります。

 それでは、次の項目、アルコールチェックの義務化について質問いたします。

 令和3年11月10日、道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令が公布されました。その内容は、白ナンバーの乗用車5台以上、または乗車定員が11人以上の自動車を1台以上使用する事業所等を対象に、新たにアルコールチェックの義務化が追加されるというもので、令和4年4月1日より改正道路交通法施行規則が順次施行されているところです。

 これまでは、運送業や旅客運送業などのいわゆる緑ナンバーの車両を持つ事業者のみがアルコール検知器によるチェックの義務化対象となっていました。しかし、いまだ深刻な問題となっている飲酒運転の背景もあり、飲酒運転の根絶には、さらなる取組や拡大が必要となり、今回の改正に至ることとなりました。

 アルコールチェックの義務化の対象が拡大されることにより、これまで以上に社会全体で取り組まれることとなり、対象事業者内での意識の向上が図られることはもちろんのこと、周りに与える影響も大きくなっていくものと思われ、そのような効果が飲酒運転の撲滅につながっていくものと期待するところであります。

 今回の改正で、対象は白ナンバー車を5台以上使用する等となっていますので、その条件は社用車や営業車を持つ多くの企業や事業者に当てはまってくるものと思います。もちろん、出先機関も含め、公用車など、多くの車両を使用している県の機関の多くも、その対象に該当してきます。

 その一定台数以上の車を保持している企業や事業所は、社内の運転業務に関して管理業務を行う安全運転管理者と呼ばれる方を選任しています。安全運転管理者は、以前から運転者の適性の把握や安全運転指導、また、日常点検整備の実施や異常気象時等の措置を講じるなどの管理業務を行っており、今回の改正で実施されるアルコールチェックの義務化は、これまでの管理業務に加わる新たな項目となります。

 令和4年4月1日施行の運転者への酒気帯びの有無の確認及び記録の保存の義務化は既にスタート。現行は、酒気帯びの有無の確認は目視等で行うこととなっておりますが、令和4年10月1日からは、酒気帯びの有無の確認にはアルコール検知器を用いて行うことが必須となってきます。

 ただ、そのアルコール検知器なのですが、製造に必要な半導体が世界的に不足していることもあり、製造がままならず、検知器の需要と供給のバランスが取れないという点から、10月1日の施行は延期されると先日報道されておりました。直近、9月9日付の警察庁通達によりますと、十分な数のアルコール検知器が市場に流通するようになる見通しが立っていないため、当分の間、アルコール検知器の使用義務化規定は適用しないが、見通しが立った時点で再度規則を改正し、できるだけ早期に適用するとされております。

 しかし、延期はされたといえ、アルコール検知器の使用義務化は決まっております。和歌山県の行政の中枢であり、多くの車を保持し、多くの方が勤めている和歌山県庁。出先機関も含め、和歌山県庁は、県民や他の事業者のお手本となるよう取り組んでいかなければならない機関であると私は思っており、今後、どのように実施されていくのか、また管理されていくのか、気になるところです。

 そこで、総務部長にお聞きいたします。

 アルコールチェックの義務化により、アルコール検知器の庁内等への導入や検査の実施の仕方、また、確認状況の記録、保存など、どのように取り組んでいくのかお答えください。

○副議長(岩田弘彦君) 総務部長吉村 顕君。

  〔吉村 顕君、登壇〕

○総務部長(吉村 顕君) 道路交通法施行規則の改正により、安全運転管理者による酒気帯びの確認が義務化されたことを機に、県におきましても、自動車を使用して出張する際、運転者の所属部署または公用車を管理する部署において、目視等による確認を徹底するとともに、確認した内容を記録して1年間保存することとしております。

 あわせて、アルコール検知器による確認についても、規則施行後、遅滞なく対応できるよう、検知器の導入を順次進めており、既に検知器による確認を実施している部署もございます。

 また、飲酒した日の翌日にアルコールが残っていて酒気帯び運転になることがあることも含め、飲酒運転の危険性について、行政事務用パソコンの掲示板で周知したり、研修を実施したりして注意喚起を図っているところです。

 今後も引き続き、職員の飲酒運転根絶に向けた取組を行ってまいります。

○副議長(岩田弘彦君) 北山慎一君。

  〔北山慎一君、登壇〕

○北山慎一君 答弁いただきました。

 先ほどの総務部長の答弁にもあったように、深夜まで深酒してしまうと、翌朝にアルコールが残ってしまうこともあります。本人に自覚がなくてもアルコールが残っている場合もあり、アルコール検知器でのチェックは、飲酒運転根絶には有効なものとなります。使用義務化規定の適用を待つのではなく、引き続き積極的に導入し、取り組んでいただくよう願います。

 続けて行きます。

 それでは、次の項目、ため池事故防止対策についての質問に移ります。

 本県は、全国でも有数のため池を有している県であり、近年頻発する豪雨災害や近い将来起こると想定されている東南海・南海地震等による被害の発生が危惧されています。

 そんな中、和歌山県では、ため池改修加速化計画を策定し、平成25年度からため池の改修に取り組んでいただいております。

 ため池改修加速化計画では、県下にある約5000か所のため池のうち、決壊した場合、下流への被害の大きい池で、池の堤体、洪水吐きなどの機能を全面的に改修するものや、豪雨や地震への安全性を向上させるための部分的な改修をするものなど、ため池が持つ機能、構造の安全性の向上に努めていただいているところであります。

 ため池改修の加速化がさらに推進されることで、ため池において防災上の安全性は向上されていくものと思われ、その点においては、しっかり計画され、対策していただいていることに安堵いたします。

 予算の関係もあると思いますが、県当局には、そのような状況下にある県民の方々が一日でも早く安全で安心して生活ができるよう、ため池改修事業のスピードアップに努め、さらに推進していただくようお願いいたします。

 ただ、私は、ため池に関してもう一つ懸念していることがございます。防災上の対応だけでなく、安全性という観点から、転落事故や水難事故が発生しないように取り組む必要があると考えます。

 近年では、ため池の周辺においては混住化が進んでおり、ため池事故の危険性が増加していることが危惧され、時に人命が失われるなど、全国各地で痛ましい事故が発生していることを皆様も報道等でよく見聞きすると思います。幼い命が失われたり、また、助けに行った者までも亡くなったりと、海や川だけでなく、ため池でも事故が毎年のように発生しており、そういったことを耳にするたびに胸が痛くなります。

 そこで、全国のため池事故の発生状況と本県における発生状況について、農林水産部長にお聞きします。

○副議長(岩田弘彦君) 農林水産部長山本佳之君。

  〔山本佳之君、登壇〕

○農林水産部長(山本佳之君) 農林水産省による全国の農業用ため池の死亡事故発生状況については、ここ10年間で232件、251人の死亡となっています。

 本県で把握している転落事故については、平成29年4月に発生した1件となっています。

 ため池での事故発生時期としては、暑くなる5月から9月にかけて多く発生しています。また、事故の要因は、釣りや水遊びなどの娯楽中や、ため池管理作業中に発生しており、その多くが高齢者や子供となっています。

○副議長(岩田弘彦君) 北山慎一君。

  〔北山慎一君、登壇〕

○北山慎一君 ありがとうございます。

 では、次の事故防止及び抑止対策についての質問に移ります。

 基本的に、ため池は、誰でも自由に行き来できる場所ではありません。しかしながら、そういった事故が発生するということは、管理者の安全面に対する意識が不十分ではないかということを懸念します。

 そこで、和歌山県のため池の事故防止及び抑止対策について、農林水産部長にお聞きいたします。

○副議長(岩田弘彦君) 農林水産部長。

  〔山本佳之君、登壇〕

○農林水産部長(山本佳之君) 和歌山県内には約5000か所のため池があり、市町村や水利組合が管理を行っています。

 県では、平成21年度から毎年5月をため池点検強化月間として、ため池所有者や管理者に、ため池の適正管理と事故防止の徹底について啓発するとともに、危険を周知する看板の設置を推進しています。

 また、市町村には、広報紙等により、地域住民へ水難事故防止について周知するよう働きかけを行うとともに、小中学校での「出張!県政おはなし講座」において、ため池の歴史や役割、自然環境などに加え、ため池の危険性について啓発を行っています。

 さらに、ため池の改修工事を行う際には、啓発看板の設置や転落した場合の脱出を容易にする護岸ブロックの整備を行うなど、事故防止対策も実施しているところです。

 県としましては、今後も引き続き、市町村やため池管理者に対し、事故防止に向けた啓発と安全対策の取組を推進してまいります。

○副議長(岩田弘彦君) 北山慎一君。

  〔北山慎一君、登壇〕

○北山慎一君 答弁いただきました。

 本県においては、事故の発生状況は少ないということでした。それは、先ほど農林水産部長がお答えいただいた中にあるように、啓発活動や小中学生への学習や指導にしっかりと取り組んでいただいているたまものであり、そういったことは、引き続き事故が発生しないよう、継続して取り組んでいただければと思います。

 ただ、私が心配するのは、ため池での転落事故にはいろんなケースが想定されるということです。

 答弁にもあったように、事故の多くは高齢者や子供となっています。転落する場所にもよりますが、高齢者や子供がため池に落ちることなどを想像せずに、不意に着衣のまま転落してしまったら、落ち着いて整備されているブロックのところまでたどり着けるでしょうか。転落したことで気が動転しているかもしれません。また、水草が足に絡むこともあるでしょう。加えて、服を着たままの状態の中、自分だけの力ではい上がるのは難しいのではないかと私は思うんです。

 転落した人の救助には急を要する状況が多く、その場にいる誰かが飛び込み、助けに行くケースも多いと思います。ですが、これは非常に危険な行為です。そういった危険な行為を防ぐ対策を講じておくのも、ため池を管理していく上で必要なのではないかと私は考えています。

 要救助者を溺れさせないための浮き輪等の浮遊具があれば、他の助けが来るまで少しは安心して待てるのではないでしょうか。ペットボトルなども浮き輪代わりになると言われておりますが、そう都合いいようにあるかは分かりません。そのようなことを考えると、今の事故防止対策や抑止対策に加えて、万が一に備えて、ため池に浮き輪等の浮遊具を据え置く、設置しておくことは、命を守るためにも必要なことだと思います。

 ため池の管理は県ではありませんが、各自治体や水利組合等に設置の検討をぜひ働きかけていただきたいことを要望して、次の質問に移ります。よろしくお願いいたします。

 それでは、最後の項目、男性用トイレにおけるサニタリーボックス設置についての質問に移ります。

 近年、男性用トイレにもサニタリーボックスを設置する動きが全国で広がりつつあります。その背景には、膀胱がんや前立腺がんなどの後遺症、また、加齢による頻尿や尿漏れに対応するため、尿漏れパッドやおむつを使用されている方々がいる、そうしたことが知られてきたということがあります。そして、そのような方々が捨て場所を気にせず安心して外出できる環境づくりが必要となってきている状況に対応し、設置が進んできている運びとなっています。

 女性用トイレには当然のように設置されているサニタリーボックスですが、男性用トイレには、ほとんどと言っていいほど設置されていないのが現状です。尿漏れパッドなどを使用している方々が困ることなく利用できる環境づくりは、本県でも同様に必要と考えます。

 ただ、設置することにより、家庭ごみを捨てられたり、いたずらされたりと、そのようなマイナス面も想定され、それらを防止する策を講じたり、対応する苦労も出てくることや、そもそも設置したくても置くスペースがないトイレなどもあることは理解できます。しかし、なくて困ったとなるより、あってよかったとなるよう、トイレには当たり前のようにあるものとなっていかなければならないと私は思います。

 サニタリーボックスを利用する人は少数かもしれません。しかし、膀胱がんや前立腺がんなどの後遺症、また、加齢により困っている方々が実際におられます。こうしたことで困っている方々が日々充実した生活を送れる環境づくりが重要であると私は考えます。

 そこで、福祉保健部長にお尋ねいたします。

 がん患者をはじめ、こうしたことで困っている方がいるということに対して、県としてどのように考えているのかお答えください。

○副議長(岩田弘彦君) 福祉保健部長志場紀之君。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 議員御指摘のとおり、例えば前立腺がんの摘出手術を受けた方であれば、多くの方が術後に尿漏れを経験しており、そのうち大部分の方は、数か月から半年後までに日常生活に支障がない程度まで回復されますが、一部の方につきましては、その後も症状が改善されない場合があると言われております。

 そうした中で、外出先の施設の男性用トイレにサニタリーボックスがあれば、使用済みの尿漏れパッド等を家庭に持ち帰る必要がなく、安心して外出することができますので、がん患者など、この症状でお困りの方々にとって望ましいことであると考えます。

 男性用トイレへのサニタリーボックス設置につきましては、現状においては、全国的にも市町村を中心に庁舎等の公共施設において設置が始まったところであり、県としましても、まずは社会全体がこの課題を認識することが必要と考えますので、この取組を県内に周知啓発してまいります。

○副議長(岩田弘彦君) 北山慎一君。

  〔北山慎一君、登壇〕

○北山慎一君 周知啓発に取り組んでいただけると福祉保健部長にお答えいただきました。ぜひともよろしくお願いいたします。

 それを踏まえて、次の項目、県庁舎内への設置に向けた取組についての質問に移ります。

 先ほども申しましたが、男性用トイレへのサニタリーボックスの設置は全国的にも増加傾向で、答弁にもありました市町村を中心とした庁舎内等には既に設置の取組が始まっています。また、熊本県庁も既に設置しているなど、他府県でも積極的に設置していく傾向にあります。

 もちろん、民間も含め多くの方が利用するようなトイレへの設置の働きかけもお願いしたいところではありますが、まずは県庁舎内に率先してサニタリーボックスの設置を実施していただきたいと願います。

 現在の設置状況及び今後の対応について、総務部長にお尋ねいたします。

○副議長(岩田弘彦君) 総務部長。

  〔吉村 顕君、登壇〕

○総務部長(吉村 顕君) 現在、県庁舎の男性用トイレにはサニタリーボックスを設置しておらず、必要がある場合には、サニタリーボックスを設置している多目的トイレの御利用をお願いしているところです。

 今後は、がんの後遺症や加齢等により尿漏れパッド等を使用されている方が安心して来庁していただけるように、来庁者の利用頻度が高い男性用トイレへのサニタリーボックスの設置を進めてまいります。

 また、設置後は、利用を希望する方に設置箇所が分かるように、庁舎案内での表示について工夫をしてまいります。

○副議長(岩田弘彦君) 北山慎一君。

  〔北山慎一君、登壇〕

○北山慎一君 県庁舎内に設置を進めていくと答弁いただきました。そのことは非常に喜ばしく思います。

 ただ、和歌山県庁が有している施設は県庁舎だけではありません。出先機関や県が管理する施設などもあり、人が多く訪れる施設はほかにもたくさんあります。まずは、答弁いただいた県庁舎からスタートし、次に出先機関に拡大、その後、県が有している公共施設などにも広げていただき、そういった設置の流れが最終的には民間施設などにも広がっていく、そういった人に優しい環境づくりがどんどん進んでいくよう、関係部局にはしっかりと連携を図っていただきたいと思います。サニタリーボックス設置の推進をよろしくお願いいたします。

 以上で、私の質問が終わります。これにて質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○副議長(岩田弘彦君) 以上で、北山慎一君の質問が終了いたしました。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 18番玉木久登君。

  〔玉木久登君、登壇〕(拍手)

○玉木久登君 皆さん、こんにちは。

 本日最後の登壇となります。この機会を与えていただきました先輩・同僚議員に感謝いたします。

 それでは、通告に従い、早速一般質問に入らせていただきたいと思います。

 今回は、大項目で4項目行いたいと思います。誠心誠意努めてまいります。よろしくお願いいたします。

 まず、1項目めです。県内における農作業中の事故の状況と事故防止に向けた取組についてであります。

 今回、近隣において起こった農作業中の痛ましい事故に触れ、県内の農作業中の事故の状況と事故防止に向けた取組についてお聞きしたいと思います。

 農家の皆さんとの会話の中でも、農作業中の事故のお話は、かねがねよくお聞きいたします。昨年には、九度山町において乗用型スピードスプレーヤー、通称SSによる転倒死亡事故のお話もお聞きいたしました。御家族のことを考えると胸が締めつけられる思いです。

 この機会に、全国における農作業中の事故について調べたところ、農林水産省調査による令和2年に発生した全国の農作業中による死亡事故の概要によると、農作業事故死亡者数は270人であり、内訳については、農業機械作業に係る事故が186人、全体の68.9%、農業用施設作業に係る事故が8人で3%、それ以外の作業に係る事故が76人、全体の28.1%でありました。年齢階層別では、65歳以上の高齢者の死亡事故は229人で全体の84.8%、男女別では、男性232人で85.9%、女性が38人で14.1%であります。

 これまで、この議場において、農作業中の事故についてあまり議論されることがなかったかと思いますが、その数値を基に示しますと、私自身が思ってもみない状況が分かりました。

 農業就業人口10万人当たりの事故死亡者数を見てみると、令和元年の調査では、全国平均で16.7人でありました。この数値は、全産業の1.3人、建設業の5.4人を大きく上回っているのが現状です。

 参考までに、交通死亡事故については、令和3年警視庁交通局資料によると、人口10万人当たり全国平均で2.09人となっています。このことから、農作業中の死亡事故がいかに多いかが見てとれます。

 全国において、65歳以上の高齢者の農作業中の死亡事故が229人で全体の84.8%の数値からも、当県における基幹的農業従事者の65歳以上の割合が63.9%──これは令和2年2月現在の数字であります──この現状からも、農作業中の事故対策は大変重要であると考えます。

 農業従事者の高齢化が進む中、県内の農作業中の事故の状況と事故防止に向けた取組について、農林水産部長にお伺いいたします。

○副議長(岩田弘彦君) ただいまの玉木久登君の質問に対する答弁を求めます。

 農林水産部長山本佳之君。

  〔山本佳之君、登壇〕

○農林水産部長(山本佳之君) 本県における農作業事故の状況につきましては、令和3年にスピードスプレーヤーの横転事故で2名の方が亡くなられております。また、家族経営は含まないものの、事業者から和歌山労働局への農作業事故の報告では、脚立や木からの墜落によるものが23名と最も多く、次いで転倒が11名であり、全体で61名の方が休業を要する負傷を負ったと把握しております。

 このため、県では、春と秋に実施する全国農作業安全確認運動に加え、果樹の収穫期である6月と11月を県独自の重点期間と位置づけ、市町村やJAの広報紙、テレビ、ラジオによる事故防止の啓発を実施しております。

 さらに、トラクターなどの安全講習の実施や農機具と園内道の点検、補修を呼びかけるとともに、園内道の大規模改修等では支援策も講じているところです。

 県では、農作業事故の防止は大変重要なことと認識しており、今後も引き続き、関係機関と連携して、農作業の安全確保に取り組んでまいります。

○副議長(岩田弘彦君) 玉木久登君。

  〔玉木久登君、登壇〕

○玉木久登君 答弁いただきまして、ありがとうございます。

 今、答弁いただいたんですけど、これまでの状況と少し近年は変わってきているんじゃないんかなと思います。

 というのは、この答弁の中にもありましたけど、この啓発活動が繁忙期にかけてということではありますけども、今回、近隣で起こった事故というのは、真夏の真っただ中、恐らく熱中症か何かになられた形で転落したのではないかと言われています。だから、今年も大変暑い夏が続いて、農作業っていろいろ大変だと思うんですね。特に有田地方は、真夏の暑いときにかっぱを着て消毒をやっているんです。今、空調服とか、そういうものもできていますけども、やっぱり暑さ対策というのは物すごく必要なんじゃないんかなと思います。ですので、そういう啓発活動もしっかりしていっていただきたいなと思います。

 そして、ちょっと悲しいことに、その発見が遅れたということもあるんですね。ですので、ブザーというんですか、例えば繁忙期って多くの皆さんが集まっていて作業をされるんで、不測の事故があったときでも発見されることって早いかと思うんです。ああいう消毒作業とかは一人でされていることとかが多くて、特にそういう事故に遭ったときに携帯電話、近くに持っていればいいんですけど、消毒作業ってかっぱを着るもんで、どうしても携帯電話を車に置いていたとか、そういうこともよくあるので、近隣に聞こえるような大きいブザーというんか、そういうふうなもので発見を早くするということも大事かなと思います。今後、そういった取組も考えていただきたいなと思いますので、どうかよろしくお願いしたいと思います。

 続いて、2項目めに移ります。

 観光動態などデータを活用した観光マーケティングについてであります。

 いまだ終息への先行きが見通せない新型コロナウイルス感染症。県内においても、第7波により感染者が拡大し、今なお多くの方々が苦しんでいる状況にあります。

 しかしながら、経済との両立を見据え、様々な施策を講じながら、ウィズコロナへの取組がなされています。今後も引き続き、医療体制強化や保健所の機能強化など、感染症対策の充実を図りながら、経済においても停滞を招かないよう、両軸の政策が今後も検討課題であります。

 経済の回復には、皆さん周知のとおり、和歌山県は観光立県であり、今後の和歌山県の発展の柱として観光産業の再生は不可欠であります。コロナ禍の状況下において、令和3年度、国内宿泊旅行者を対象にした民間による都道府県魅力度ランキング、総合満足度調査において、総合点で沖縄県を上回り、和歌山県が全国1位となりました。大変喜ばしいことであります。官民一体となり、誘客への様々な取組が功を奏した結果であることはもちろんですが、現在、その要因の分析や今後の課題などを抽出して今後へと取り組まれていると思います。

 その指標となる資料が8月19日付で送付していただきました令和3年和歌山県観光客動態調査報告書であります。その数字を見ることにより、県内における観光客の動きが見えてきます。年度比較によりコロナ禍による減少の前後の動きが示され、各市町村の観光動態も読み取れます。皆さんの地元の観光動態を調べてみるのも、今後の提案や提言に生かせると思います。

 例えば、地元の有田市の動向を見てみると、宿泊客は低迷しているものの、日帰り観光客については大きな伸びを示しています。その要因の一つは、令和2年3月頃から国内感染者が増加し始めた新型コロナウイルス感染症により、移動制限が出始めた同年5月末、新設オープンした有田箕島漁業協同組合直営による産直市場「浜のうたせ」が創意工夫によりコロナ禍の状況下にありながら右肩上がりで好調であることにより、新たな観光拠点を軸に、市全体への誘客が伸びたことなどが読み取れます。

 データの利活用については、先輩・同僚議員が過去にも質問されておりますが、今回は、観光動態などのデータを活用した観光マーケティングについてお聞きします。

 一般的に、マーケティングとは、組織と顧客の関係を構築する活動と言えます。県内はもとより、和歌山県を訪れるお客様が今求めている欲求のみに応えることを主として施策に反映させているだけでは、長期的な利益と反することも起こり得ます。そのため、お客様が意識していない欲求、それは、潜在化しているニーズなど、長期的に欲求に応え続けられる仕組みが必要と考えます。そのためには、グローバルな視野に立って考えていかなくてはならないのではと思います。

 そのためにも、観光動態などデータを活用した観光マーケティングは重要と考えます。データを活用したこれまでの取組と今後の観光マーケティングについてのお考えを商工観光労働部長にお伺いいたします。

○副議長(岩田弘彦君) 商工観光労働部長寺本雅哉君。

  〔寺本雅哉君、登壇〕

○商工観光労働部長(寺本雅哉君) 議員御指摘のように、観光客の今求めている欲求のみに応えるだけではなく、潜在的、長期的なニーズに応え続けられるよう取り組むことがマーケティングとして大事なことと認識しています。

 そのため、県では、データを分析し、観光客の嗜好を見極め、周遊企画やPR手法の選定等に活用できるような取組を進めています。

 例えば、令和3年和歌山県観光客動態調査における観光客の目的別の来県状況から、本県の有力な観光資源である社寺参詣、温泉、観光施設が約6割を占めており、引き続き世界遺産の高野山や熊野三山、本県の誇る温泉やパンダなどの観光資源を使った誘客活動が必要と考えております。

 また、最近注目されているアウトドア観光であるキャンプを目的とした来県者数は、対前年比で約2万7000人、約2割程度増えており、プロモーション活動の強化を図っているところです。

 今後も、様々なデータを積極的に活用し、地域の広域連携による観光振興策や市町村の誘客の取組に対する支援を行うとともに、特に2025年の大阪・関西万博に来られた方々が本県を訪れ、くまなく巡ってもらうことができるようなマーケティングに取り組んでまいります。

○副議長(岩田弘彦君) 玉木久登君。

  〔玉木久登君、登壇〕

○玉木久登君 答弁いただきまして、ありがとうございます。

 マーケティングの重要性ということで、ちょっと部長にお聞きしたんですけども、今やられている施策というのが多分マーケティングに基づいて行われていることなんだなというのはあります。

 いろいろマーケティングのことについて調べてみて、今、和歌山県、このデータの利活用ということで、EBPMの推進ということを核にやっているという、EBPM──エビデンス・ベースト・ポリシー・メーキングというらしいんですけど、11PMやったら知っているんですけど、違うか──エビデンスに基づく政策立案、これは根拠に基づくということだと思うんですけど、データの収集というのは、今示してもらった動態調査表のように、比較的きっちりとデータって取れているんかなと思うんです。あとは分析するスキルというんですかね、それを高めていくことというのが大事かなと思います。

 ただ、問題点というか、これからの課題として、その分析スキル、これを持つ人材の確保というのがちょっとこれから大事なんじゃないんかということを問題点として挙げられていて、そんなに何か難しいもんなんかなとちょっと自分は思うんですよね、それ。データが確保できているんやったら、それをやるというのは物すごく、分析するということはあんまり難しく考える必要じゃなくて、シンプルで分かりやすくやっていったらいいんじゃないんかなと私は思います。

 というのは、やっぱり和歌山県って物の本質のポテンシャルって物すごく高いんだと思うんですよ、いいものがいっぱいあるんだから、それをきちっとやると。あと、それにプラスアルファで何か考えたらええんじゃないんかと私は思うんですね。それって予算をかけずに何かやっていこうと思ったら、それはやっぱり接遇、人への思いやりとか、おもてなしとか、そういうことだと思うんです。

 知事肝煎りでトイレ大作戦とかいろいろされて、Wi-Fiの完備であったり、和歌山県って観光の面では物すごいプラスアルファになったことはあると思うんです。先ほど申しました民間の都道府県魅力度ランキングってあるんですね、ある企業がされている。この中で、沖縄県って常にトップクラスなんですよ、いつもランキング1位です。今回、沖縄県を抜いたということで、非常にすばらしいことやと思っているんですけど、その常にトップを走る沖縄県が、これ今年で18回目の調査なんですけど、18回中17回で1位になっている部門ってあるんですね。総合ですから、中に項目があるんですけど、「地元の人のホスピタリティを感じた」、これがもう18回中17回、沖縄がずっと1位なんですよ。どこに行ったって親切にしてくれると、これってすばらしいことと違うんかなと思うんですわ。だから、和歌山県もそういうことを一点に絞って、ポテンシャルの高いものがあるので、そこを何とかやっていこうという気持ちでやっていけば、これ、ずっと1位を取れる可能性だってあると思います。

 残念ながら、この「ホスピタリティ」というところに、和歌山県はトップ10にランキングしておりません。ですので、何とかそこの部分を上げていくことで、より維持できるということが明白やと思うので、その点をやっていただきたいなと思います。

 3項目めに移ります。

 県管理河川における河川愛護活動についてであります。

 これ、午前中に楠本議員も質問をされていたのとちょっとかぶるところがあると思いますが、私なりの考えでちょっと行かせてもらいたいと思います。

 河川愛護団体の活動は、河川の除草やごみの収集など、河川美化への啓発はもちろんのこと、堤防・護岸の異常など、早期に気づくきっかけともなり、地域住民の河川愛護、河川堤防の重要性に対する意識向上へとつながる大変重要な取組と考えています。

 その活動に、県では、河川愛護団体への奨励制度を設けて奨励金の交付を、また、優良河川愛護団体の活動に対して知事から表彰を行っています。

 河川愛護団体の活動実績を見ると、平成27年度、団体数は230団体とあり、令和2年度では207団体となっています。また、活動延べ人数については、4万2283人から2万8710人となっています。このことから、6年間で23団体、1万3573人が減少していることが分かります。

 団体と参加人数の減少理由として考えられるのは、コロナ禍による活動停止なども一因であろうかと考えますが、参加者の高齢化と人口減少によるところが大きいと考えられます。

 私自身も、河川愛護活動に毎年参加して感じることは全く同じで、だんだんと高齢化の波は押し寄せ、活動に支障を来し、継続することの難しさなどのお話を伺うことが多くなりました。県管理河川のみならず、市町村管理の河川愛護活動も同じ状況にあります。

 そのことから、河川愛護活動による除草作業や美化活動は、近い将来、限界を迎えるんではないかと思います。そのことにより、河川の荒廃などが進み、管理もままならなくなるでしょう。

 地域の皆さんは、自分自身の身を守ってくれる河川堤防・護岸の重要性を十分に理解してくれています。それは、単なる河川美化のみではなく、まちの安全・安心への取組の一環として捉えてくれているからこそ、河川愛護活動に積極的に参加してくれています。ここにも、防災における自助の考え方が生かされていると思います。

 とはいえ、現実問題として、これまでどおりにいかない現実にも向き合っていかなくてはなりません。県として、今後の河川愛護活動についてどのようなお考えなのか、また、労力を必要とする除草や木の伐採などへの対応をどのように考えているのか、県土整備部長にお伺いいたします。

○副議長(岩田弘彦君) 県土整備部長福本仁志君。

  〔福本仁志君、登壇〕

○県土整備部長(福本仁志君) 県管理河川においては、各地域で河川愛護会の皆様により、河川の除草や清掃など、自主的な活動を実施していただいております。陥没など堤防の異常が早期に発見された事例もあり、高い意識を持って活動に取り組んでいただいていることに、改めて感謝申し上げます。

 議員御指摘のとおり、様々な要因により活動団体数や活動延べ人数も減少しております。県としましては、除草の負担軽減のため、車輪のついた自走式の草刈り機の貸出しを実施し、また、奨励金による支援や知事表彰を行い、河川の愛護思想の普及とその機運の向上に取り組んでおります。

 今後、活動が困難な河川愛護会も増えてくることが予想されるため、県ホームページで活動を紹介し、河川愛護会への登録や参加を促していくとともに、河川管理上必要な箇所については、ひび割れや陥没など、堤防の異常の早期発見などを目的に、河川管理者として除草や木々の伐採を実施してまいります。

○副議長(岩田弘彦君) 玉木久登君。

  〔玉木久登君、登壇〕

○玉木久登君 答弁いただきました。

 午前中の答弁とほとんど一緒なところが多いんですけども、まず河川愛護団体から、私も入っておりますので、そこのところに感謝の気持ちがあるということをお答えいただいたのは、非常にうれしいなと思っています。

 その中で、草刈りって本当に大変なんですね。高齢者になると、あの草刈り鎌というか、エンジンのついたやつでやると事故もよくあって、それをもう禁止して手でやるというところもあるんですけど、そんな広大な場所、手でやるなんて、もうそんな先に進まへんわけですわ。だから、この振興局で貸し出している手押しの自走式というんですか、草刈り機っていいと思うんですけど、大体河川愛護活動に参加されている人は分かると思うんですけど、同じ日にやるんですよ、全部の地区が。ですから、1台や何ぞあったって取り合いになるだけの話で、それがあるから大丈夫というのはちょっとおかしいような気が私はします。

 だから、そこの部分は、ないよりあるのがいいというのは分かるんですけども、それぐらいやっぱり大変なことやということなんですよ。防草シートを張ったりとか、いろんな予算の許す限り、そういう草刈りをせんでええようなことというのはやっていかなあかんと私は思うんですけど、やっぱり予算というのは限りがあると思います。その中でも、これだけ県内に様々な河川があって、どれ一つとしてこの川はええねんという川なんかないと思います、どれも重要な川なので。そしたら、この予算を確保するためにどうしたらええんかということを、やっぱり自分らも考えるんですよ、いろいろと。

 やっぱりいろいろ考えていくと、河川のしゅんせつとか樹木の伐採とかにかかる費用の極端に言うと約3分の2は産廃処理費がかかってくるよという話を振興局で聞いたこともあります。だから、その処理費を削減できれば、工事箇所を1か所でも2か所でも例えば増やすことができるんじゃないかなとずっと思うんですよ。

 ですから、予算を確保するために、産廃処理の在り方というんですか、例えば樹木であったり、そういうものも、例えば市町村と協力して地元の焼却炉を使えればコスト的に何ぼか下がるとか、一度この間も試算してもらいました。ただ、条件がいろいろあるんです。木をチップにせなあかんとか、そんなコストがかかってくると逆に高くつくとか、そういうこともありますけども、やっぱりかかっているコストの大きいところというんですか、そこをもっと圧縮できたら工事箇所が増えて、除草作業もできるんじゃないかと、余裕もできるところがあると思うので、その点について、部長も何とか御検討いただきたいと思います。

 では、最後の……

○副議長(岩田弘彦君) 要望でよろしいですか。

○玉木久登君 はい、要望で。よろしくお願いしときます。

 最後の質問に入ります。

 4番目です。公立高校における女子硬式野球部の創部についてであります。

 皆さんは、女子野球と聞いて、どんな印象をお持ちでしょうか。日本における女子野球の歴史は古く、始まりは明治からとの記述もあり、戦後を経て昭和50年代、1970年後半から80年前半には全国大会が開催されるなど、大きな盛り上がりを見せた時期もありました。その後、ブームも去り、一時期消えかけた状況から平成、令和と時は流れ、今は全国規模で女子野球が盛んに行われています。

 和歌山県においては、平成21年(2009年)、学童女子によるチームが東牟婁、西牟婁、有田海草、それぞれの支部で結成され、その後、日高、和歌山、那賀、伊都支部が加わり、現在7チームが活動しています。

 全国で女子野球が盛り上がりを見せる中、平成25年(2013年)、日本野球機構主催による最大規模となる全国大会「NPBガールズトーナメント」が始まり、今年で第10回を迎えました。各都道府県代表が参加するこの大会に、和歌山県は、県内各支部から選抜された代表選手で第1回大会から出場し、第6回大会、第7回大会では2大会連続で決勝戦へと進出、2回の準優勝、そして第10回、今大会において見事優勝を果たし、悲願の全国制覇を成し遂げました。このすばらしい戦績に心から祝福を送りたいと思います。

 選手は、小学校を卒業後、ほかのスポーツに転身する子ももちろんいますが、中学校の部活動として男子と共に野球を続ける子、また、女子ソフトボールに転身する子、クラブチームとして活動する軟式、硬式、それぞれ自分に合った野球クラブに入団する子、その選択肢の中で野球を続けています。

 大好きな野球を続けたい。中学卒業後の選択について調べてみました。

 現在、和歌山県内公立、私立とも高校には女子の野球部は軟式、硬式ともありません。高野連においては、女子の入部を拒むものではありませんが、公式戦への出場は認められていません。

 それを踏まえてお聞きいただきたいのですが、野球を続けたい、野球をやりたい、それをかなえる選択肢として県外への野球留学があります。関西圏では、現在、大阪府2校、京都府4校、兵庫県2校、そして近隣の四国では高知県に2校があり、全国合わせて43校、そのうち公立高校は4校であります。また、県外では来年、新たな創部の動きもあります。

 和歌山県から県外野球留学の状況は、以下のとおりです。知り得る範囲での数字ですので、正確ではない点もあろうかと思いますが、御容赦ください。女子学童野球設立後、東牟婁支部からは4名、西牟婁支部7名、有田海草支部7名、日高支部1名、伊都支部から2名が県外へと野球留学をしています。来年度も現時点で3名が県外野球留学を希望しているとお聞きしています。この状況において、かねがね県内高校に女子の硬式野球部があればなと考えておりました。

 先ほどお話ししたとおり、公立高校の女子硬式野球部は、全国でも4校と少なく、創部には様々なハードルも感じています。公立高校女子野球部は、沖縄県立南部商業高校、高知県立室戸高校、広島県立佐伯高校、島根県立島根中央高校と、全て西日本にあります。創部理由は、野球を続けたい女子高生の受皿であることはもちろんですが、全ての高校が生徒数の減少、地域高校としての存続危機がその理由に挙げられます。その課題の解決策として、地域もその取組の一役を担い、まちづくりの一環として女子硬式野球部創部へと踏み出しました。県内においても、生徒数の減少、地域密着型の特色ある学校づくりが急務な課題であります。

 そこで、県内公立高校女子硬式野球部創部へのお考えを教育長にお伺いいたします。

○副議長(岩田弘彦君) 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 女子硬式野球部の創部についてでございますが、学校教育の一環として行われる部活動には、高い目標に向かって粘り強く取り組む姿勢や態度の養成などの教育的意義がございます。その部活動の活性化には、PTAや同窓会はもとより、地域の応援や支援も大きな要因となります。また、外部指導者の協力も重要となります。

 一方で、少子化による学校規模の縮小で、既存の部活動において部員の確保や部の運営に苦労し、部活動の維持が困難な状況にある部もあります。

 そのような中、生徒から新たな競技に取り組みたいという自主的な声が上がり、実現に向けてチャレンジしていくことや、その声を受けて学校が生徒と共に取り組むことは、学校の特色化や生徒たちの成長にとって重要なことであります。

 また、議員御提案の県内で女子硬式野球部を創設することは、県内で硬式野球を続けたいという生徒や保護者の声に応えるとともに、現状の県外流出を止めることにつながることから、大変意義のあることだと考えます。県教育委員会としましては、生徒のニーズや地域の意向も踏まえながら、学校等での取組を積極的にサポートしてまいります。

○副議長(岩田弘彦君) 玉木久登君。

  〔玉木久登君、登壇〕

○玉木久登君 教育長、ありがとうございます。

 まず、地域の応援、また支援が大きな要因になるというお答えでした。ここがまさにそのハードルの高さなんだと私も思います。この問題は、逆にクリアできれば大きく前進するのかなと思っています。

 和歌山には、地域が応援してやっている分校、日高中津分校であったり、南部龍神分校など、スポーツで頑張っている学校が、いい例がやっぱりあります。それも本当に地域の皆様が一緒になって応援してくれて成り立っていることかなと思います。この女子野球創部に関しては、やっぱりこれをやりたいなと言ってくれる、地域としてサポートしてくれる市町村が出てくればなと思っていますので、それを望みたいなと思っています。

 何よりも、県外流出なんですね、やっぱり。10年前と今とはまた違って、今、高校の女子野球は決勝戦が甲子園でされます。テレビでも中継がされます。明らかに目標が見えてきている。高校を出たって、社会人になってチームがある。また、プロ野球の下部チームとして女子野球チームもできてきている。そういう意味でも夢がずっとつながっていくスポーツであると私は思っているので、子供たちに最後まで夢を見させてやりたいなと思っているんで、どうかよろしくお願い申し上げます。

 以上で、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○副議長(岩田弘彦君) 以上で、玉木久登君の質問が終了いたしました。

 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。

 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。

 本日は、これをもって散会いたします。

  午後2時18分散会

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