令和4年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


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令和4年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号

議事日程 第2号

 令和4年9月15日(木曜日)

 午前10時開議

 第1 議案第93号から議案第127号まで(質疑)

 第2 一般質問

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会議に付した事件

 第1 議案第93号から議案第127号まで(質疑)

 第2 一般質問

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出席議員(41人)

 1番 鈴木德久

 2番 山家敏宏

 3番 中本浩精

 4番 堀 龍雄

 5番 藤山将材

 7番 井出益弘

 8番 宇治田栄蔵

 9番 北山慎一

 10番 玄素彰人

 11番 中西峰雄

 12番 秋月史成

 13番 森 礼子

 14番 濱口太史

 15番 尾崎要二

 16番 冨安民浩

 17番 川畑哲哉

 18番 玉木久登

 19番 鈴木太雄

 20番 岩田弘彦

 21番 吉井和視

 22番 谷 洋一

 23番 佐藤武治

 24番 岩井弘次

 25番 中 拓哉

 26番 多田純一

 27番 新島 雄

 28番 山下直也

 29番 中西 徹

 30番 谷口和樹

 31番 藤本眞利子

 32番 浦口高典

 33番 山田正彦

 34番 坂本 登

 35番 林 隆一

 36番 楠本文郎

 37番 高田由一

 38番 杉山俊雄

 39番 片桐章浩

 40番 奥村規子

 41番 尾﨑太郎

 42番 長坂隆司

欠席議員(なし)

〔備考〕

 6番 欠員

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説明のため出席した者

 知事         仁坂吉伸

 副知事        下 宏

 理事         田嶋久嗣

 知事室長       赤坂武彦

 危機管理監      福田充宏

 総務部長       吉村 顕

 企画部長       長尾尚佳

 環境生活部長     生駒 享

 福祉保健部長     志場紀之

 商工観光労働部長   寺本雅哉

 農林水産部長     山本佳之

 県土整備部長     福本仁志

 会計管理者      中家秀起

 教育長        宮﨑 泉

 公安委員会委員長   竹田純久

 警察本部長      山﨑洋平

 人事委員会委員長   平田健正

 代表監査委員     森田康友

 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫

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職務のため出席した事務局職員

 事務局長       出津野孝昭

 次長(秘書広報室長事務取扱)

            浜野幸男

 議事課長       長田和直

 議事課副課長     岩井紀生

 議事課課長補佐兼議事班長

            村嶋陽一

 議事課主任      伊賀顕正

 議事課主任      菅野清久

 議事課副主査     林 貞男

 総務課長       葛城泰洋

 政策調査課長     神川充夫

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  午前10時0分開議

○議長(尾崎要二君) これより本日の会議を開きます。

 日程に先立ち、諸般の報告をいたします。

 過日提出のあった議案第96号から議案第106号まで、議案第108号及び議案第114号から議案第117号までは、いずれも職員に関する条例議案でありますので、地方公務員法第5条第2項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、文書により回答がありました。お手元に配付しておりますので、御了承願います。

 日程第1、議案第93号から議案第127号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、併せて日程第2、一般質問を行います。

 11番中西峰雄君。

  〔中西峰雄君、登壇〕(拍手)

○中西峰雄君 おはようございます。県議会に来させていただいてから初めてのトップバッターでございますが、よろしくお願いいたします。

 まず、誰もが予想だにしなかったことがこの夏起こりました。安倍元総理への凶弾による銃撃事件でございます。この27日には国葬が行われるということでございますけども、私も心から御冥福をお祈りしたいと思ってございます。

 それでは、まず1番目に行きます。

 情報Ⅰ必修化と専門教員及び情報Ⅱについて、その1、情報科の専門教員についてお尋ねします。

 本年度から、高校におきまして情報Ⅰが必修化されました。加えて、令和7年度(2025年)の大学入学共通テストに情報が加わることになってございます。

 ところが、情報科専門教員の不足が全国的に大きな課題となっています。地域格差も大きく、東京都の都立高校で情報科を教える教員全員が情報科の免許を持っていますが、地方の道府県では、専門教員でない免許外教科担任や臨時免許の教員が教えているところが多いと聞いております。和歌山県の現況をお尋ねいたします。答弁よろしくお願いします。

○議長(尾崎要二君) ただいまの中西峰雄君の質問に対する答弁を求めます。

 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 情報科の専門教員の現況ということでございます。

 大きく変化する社会で子供たちが生きていくための資質能力を育む上で、教科「情報」の役割は大きく、今後の大学入学共通テストの出題教科となることからも、優れた情報科教員の確保並びに情報科教育の充実・向上が重要な課題であります。

 現状では、県立高等学校における情報科免許を有する教員は84人いますが、その多くは数学や理科等の免許を併せ持ち、また、それらの授業も担当しております。

 一方で、教科「情報」の授業を免許外教科担任や臨時免許の教員が担当している場合もあり、情報科としての専門性向上に課題があります。

 県教育委員会は、喫緊の対応として免許外教科担任の解消に向けて取り組んでおり、教員配置や校内担当を見直して、今年度の免許外教科担任は、昨年度の41名から17名へと大きく減っております。

 一方、小規模化等の学校の事情により、分校や定時制等で情報科免許を有する教員を配置できない学校が一部ありますので、積極的な情報科教員の採用や人事異動により改善に努めるとともに、ICTを活用して、他校の専門の教員の授業を受講できることにも取り組み、県内どの生徒も質の高い指導を受けられるようにしてまいります。

○議長(尾崎要二君) 中西峰雄君。

  〔中西峰雄君、登壇〕

○中西峰雄君 やはり専門教員だけでは対応できていないということでございますけども、2番目といたしましてお聞きします。専門教員確保の計画と取組についてであります。

 専門教員で充足できない事態というのは、できるだけ速やかに解消すべきだと思っております。しかし、なかなかすぐに解消するのが難しいのも事実です。ですけども、専門教員の計画的な採用や、専門外の教員に情報科免許取得を促すことなどが必要かと思います。どのような計画を持って取り組もうとされているのかお尋ねいたします。

○議長(尾崎要二君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 専門教員確保の計画と取組についてでございます。

 情報工学や情報教育を専門的に学んだ学生が本県学校教育に関心や意欲を持ち、採用試験に応募してくれるよう、県内外の大学訪問等、広報や求人活動を引き続き行うとともに、採用試験における情報科免許所有者を優遇するための加点制度なども充実していきたいと考えております。

 また、本県の情報科免許所有者数を増やすために、今年度から5年計画で、他教科の現職教員が情報科免許を取得するための認定講習を実施しております。

○議長(尾崎要二君) 中西峰雄君。

  〔中西峰雄君、登壇〕

○中西峰雄君 分かりました。

 次に、専門教員でも充足できない間の情報科教育をどうしていくのかについてお尋ねします。

 これ、外部人材の活用とか遠隔授業、いわゆる動画による複数校指導等が考えられるわけですけれども、どのように取り組もうとされているのかお尋ねします。

○議長(尾崎要二君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 専門教員で充足できない間の情報教育をどうしていくのかということでございますが、本県では、教科「情報」を担当する免許外または臨時免許の教員を含め、全ての教員を対象に、年3回、8会場での教科指導力向上の研修を県独自に実施するとともに、情報の授業改善に特化した学校指導訪問での指導、助言を行うなど、質の高い授業に向けた教員の支援に取り組んでいます。

 今後、さらに専門性を高めるために、議員御指摘のように、研究機関やICT企業等で活躍している専門人材を招聘し、教員とチームで授業を行う体制整備や、ICTを活用して優れた教員の授業を遠隔の学校に配信することや、近隣校との兼務等、効果的かつ効率的な体制整備についても研究を進めてまいります。

○議長(尾崎要二君) 中西峰雄君。

  〔中西峰雄君、登壇〕

○中西峰雄君 なかなか難しいと思いますけども、しっかりとやってください。

 それでは、次、4番目、情報Ⅱについてお尋ねします。

 もう基礎的な情報Ⅰは必修化されたんですけれども、それを発展させました情報Ⅱの授業は選択科目とされておりまして、必ずしも履修の必要はございません。しかし、これからの社会では、多くの仕事の場で情報の知識が求められるようになりますし、社会の発展には、基礎的な知識やスキル以上の高度な知識を身につけた情報系人材の育成が求められているところでございます。情報Ⅱの授業も履修できることが望ましいと考えます。

 ところが、この情報Ⅱの開設の計画なんですけども、地域差が大きいようでございます。東京都では、情報Ⅰの設置校の5割以上が情報Ⅱの授業の開設を予定していると。神奈川、埼玉、千葉などでも4割以上が開設を計画しております。都市部で開設を計画するところが多く、地方になるほど開設をするところが、計画するところが少なくなっております。

 また、AIやデータサイエンス等の情報系人材のニーズは非常に高いんですけども、人材は不足しております。高いニーズに応じて、情報系学部・学科の人気も高く、それに応じて情報系学部・学科の新設や充実を考える大学が増えると見込まれています。そういう大学では、情報Ⅰを発展させた情報Ⅱの履修を前提とした入試を検討しているとも聞いております。

 住むところによって、履修の選択の格差、ひいては子供たちの将来のチャンスに格差が生じることが懸念されます。和歌山県として、情報Ⅱの開設をどう考えるのかお尋ねいたします。

○議長(尾崎要二君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 情報Ⅱについてでございます。

 教科「情報」では、情報Ⅰが共通必履修科目であり、プログラミングやデータ利活用等の情報活用能力の育成を担っています。

 情報Ⅱは、実習を通して教科の発展的な内容について学習する科目であり、各学校の状況に応じて設定することになっており、本県では、現時点では全日制課程で2校、定時制課程2校で開設する予定です。

 これとは別に、実習を通して情報デザインを学ぶ情報活用や、データ利活用について学ぶ情報探究など、独自の学校設定科目についても9校程度で開設を予定しています。

 また、一部の大学の一部の入試形態においては、情報Ⅱの履修を前提とした入試の検討を行っていることは報道等で承知しておりますが、関係機関に問い合わせたところ、現時点では検討段階ということであり、今後も引き続き注視をしてまいりたいと考えております。

 県教育委員会としましては、情報化が加速度的に進む社会において、まずは、子供たちの情報活用能力をしっかりと高めてまいります。

 さらに今後、大学入試の動向等、情報教育の進展を踏まえながら、情報Ⅱも含めた情報科の科目を充実してまいります。

○議長(尾崎要二君) 中西峰雄君。

  〔中西峰雄君、登壇〕

○中西峰雄君 いろいろと課題がようけあるのは分かっているんですけども、しっかりと考えていただきますことをお願いいたします。

 それでは、大項目の2へ移ります。

 バイクの「3+1ない運動」についてでございますけども、これ面倒なんで、もう3ない運動と言わせていただきます。令和元年9月の一般質問で、高校生のバイクの3ない運動の見直しを提言させていただきました。そのときの答弁の大要は、3ない運動というのはPTAの取組であることとか、事故防止のため、県教育委員会として見直しは考えていないということでございました。私としては納得できませんので、再度見直しを提言したいと思います。

 現実論としまして、事故のリスクというのは避けられません。しかし、リスクがあるから利用しないでは、社会は成立しません。リスクを避ける、事故を避ける運転テクニック、運転マナーを身につける交通教育をして、それでも発生する事故は、自己責任としてやむを得ないと私は思っています。

 皆さん、車を運転されますよね。事故は起こしたくありません。でも、事故に遭うかもしれない。だから、皆さん自動車損害保険を掛けておられるんですね。一般社会人と高校生で、このリスクと便益について違う取扱いをする理由は、私には理解できません。

 それと、前にも申し上げましたけども、そもそも論として、バイクに乗る権利は、免許を取れば認められる国民の権利なんです。これ、東京地裁の判決でも違憲判決が出ているんです、最高裁に行ってひっくり返っていますけど。だから、そういう法曹の間でも、これはやっぱり違憲だという意見の方も相当いらっしゃる。そもそも、この自由権の制限については、合理的で必要最小限にしなければならないというのは、これはもう自由主義国家の憲法論でも大原則なんですよ。それから言っても、これは行き過ぎていると思います。

 それと、原則と例外の在り方についても、現状は原則禁止なんです。例外的に許可。許可件数も非常に少ないと聞きます。憲法解釈通説からすると、原則と例外が逆転している、逆立ちしていると私は思います。

 そういうことから、私も何らかの制限は必要やと考えますけど、でも、しかし現状は明らかに行き過ぎている。だから、見直しをしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○議長(尾崎要二君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) バイクの「3+1ない運動」は、1980年代、バイクによる交通事故が大きな社会問題となる状況下で、各家庭で子供を指導することが困難であったことから、全国高等学校PTA連合会と共に、県高等学校PTA連合会がバイク事故から若者を守るための運動として始まりました。

 また、本運動だけでなく、交通ルールやマナーの遵守等、交通安全教育の推進に努めてきたことで、高校生のバイク事故の抑制に成果が見られました。

 一方、高校生の免許取得については、遠距離通学生でほかに交通機関がない場合や、教育的、経済的な観点から必要な場合など、許可基準を従来設け、保護者の申請に基づいて対応するなど、必要と認める場合には免許取得やバイクの利用を認めており、行き過ぎた制限とは考えてはおりません。

 しかしながら、議員発言のとおり、時代の変化とともに、今後、「3+1ない運動」への考え方も変わっていくことから、生徒や保護者の意見を尊重しつつ、柔軟に対応することを県高等学校PTA連合会等に助言をしていきたいと考えております。

 また、各学校の生徒指導においても、学校を取り巻く社会環境等の変化を見据え、校則等、適切に運用されているかを調査し、助言をしてまいりたいと考えております。

○議長(尾崎要二君) 中西峰雄君。

  〔中西峰雄君、登壇〕

○中西峰雄君 答弁ありがとうございます。

 これ、全国高等学校PTA連合会のほうも、推奨をやめているんですよね。それと、ついでに申し上げますと、これ、全国都道府県教育委員会に対する調査なんですけど、原付免許取得について原則禁止しているというのは5県しかない。何らか条件をつけて制限しているというのは9県しかない。何の制限もつけていないというのは21都道府県あるんです。和歌山県は、その数少ない中の一つなんですね。

 もう一つ言いますと、関東地方の都県で3ない運動を展開しているところは一県もございません。今や3ない運動をそのまま実施しているというのは珍しい存在なんですね。私は、和歌山県民として、いこじにいつまでもこれを堅持しておられる和歌山県に対して、大変残念といいますか、恥ずかしいというふうに感じております。

 これ、答弁いただいた中で、柔軟な対応を学校PTAに助言していきたいといただいたんですけども、柔軟な対応って何なんかなと、助言とは何なんかなと、ほんまによく分かりません。分かりませんけれども、多少は変えていこうという前向きな答弁なのかなあと勝手に解釈させていただいて、今回は、再質問は控えさせていただきたいと思いますけれども……(「言えばいいやん」と呼ぶ者あり)そのほかにも言いますと、バイク通学を認めたところでは、死亡事故も発生しているんですよ。でも、その学校は、死亡事故が発生したからといってバイク通学を禁止したとは私は聞いておりませんし、もう一つ言いますと、私個人の感想なんですけども、今の若い人たちというのは、割に幼い感じがする子が多いように思います。そう感じるのは、今の子育ての風潮というのかな、いつまでも子供扱いをして、親も学校も転ばぬ先のつえばっかりをついている。子供の自立心を養うという姿勢が弱いせいではないかなというふうに思っております。

 高校生はまだまだ未熟ですよ。でも、彼らの人格を大人と同じように尊重して接することで、彼らは成長していくんだと私は思っているんですね。そうすることによって、世間の荒波にもこぎ出していける自立心を持った人格が形成されると思います。

 この3ない運動は、そういう高校生の自立心を損なうもんだと私は思っておりますので、今後、県教育委員会は、自立的な人格形成に資する指導方針とは何かということをよく考慮いただいて、この問題に取り組むことをお願いして、これは終わっておきます。

 その次に行きます。

 3番目、小中学校の適正配置・適正規模についてであります。

 これ、私、何回も委員会で言ったりもしていますけども、県教育委員会は、近い将来の生徒数の減少を見据えて、子供たちの学びを保障するため、令和4年3月、県立高等学校教育の充実と再編整備に係る原則と指針を公表しました。

 高等学校の生徒数の減少に先行して、県下の小中学校の小規模校化、クラスの少人数化が進行しております。小中学校は市町村が取り組むべき課題ではございますけれども、県教育委員会として、現況をどう認識し、どう対応すべきと考えているのかお尋ねいたします。

○議長(尾崎要二君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 小中学校の適正規模化についてでございます。

 県教育委員会では、学校の活力を維持していくため、一定の学校規模を確保する必要があると考え、平成18年度に、国の基準を踏まえた小中学校の適正規模の基準として、小学校では12から18学級、中学校では9から18学級とした指針を取りまとめました。

 これまで各市町村において、地域の実情等を踏まえ、県と連携しながら指針に基づいた適正規模化を進めてきました。

 この16年間で、市町村立の小中学校の数は443校から358校へと推移していますが、学校数の減少を上回るペースで児童生徒数の減少が進んでおり、学校の小規模化はさらに進行しています。このままの状況が続くと、児童生徒が多様な考えに触れたり、切磋琢磨したりする機会が少なくなることなどが懸念されます。

 一方、適正規模化の実現に当たっては、児童生徒の通学時間への配慮や地域住民の思いを踏まえることが必要です。これまで適正規模化を進めてきた地域では、市町村教育委員会が地域住民と丁寧に合意形成を図るなど、粘り強い取組が行われています。

 県教育委員会といたしましては、今後も可能な限り指針に沿った学校の適正規模に向けて働きかけるとともに、適正規模化が困難な状況であっても、ICTを活用した学校間の交流学習や、地域の教育力を活用した教育活動など、小規模校の児童生徒の教育環境を維持し低下させないよう、市町村教育委員会や学校への助言、支援を行ってまいります。

○議長(尾崎要二君) 中西峰雄君。

  〔中西峰雄君、登壇〕

○中西峰雄君 よろしくお願いします。

 次、4番、子供の貧困対策についてお尋ねいたします。

 子供の貧困が社会問題として捉えられるようになってから久しい時間が過ぎましたけれども、日本の子供の相対的貧困率は、平成30年のデータでは13.5%、新基準──何が新基準なのか私も分かっていませんが──14%です。実に7人に1人という高い数値になっています。和歌山県はといいますと、若干低いようですが、ほぼ全国水準並みです。

 また、令和2年の和歌山県内の要保護・準要保護児童生徒数と就学援助児童生徒数の割合は15.71%でありまして、過去若干の増加傾向にあります。人数は1万人を超えておりまして、決して少ない数ではない。

 政府は、平成25年に子どもの貧困対策の推進に関する法律を制定しまして、翌年の平成26年に子供の貧困対策に対する大綱を閣議決定いたしました。これを受けまして、和歌山県では、平成29年に和歌山県子供の貧困対策推進計画、平成29年から令和3年までを策定しまして、支援の緊急度が高いとされる生活保護世帯、独り親世帯及び児童養護施設に入所している子供を中心に、現状の把握と貧困対策事業を整理したとしています。

 質問をするに当たりまして、一通り、子供の貧困対策推進計画の1・2──今は令和4年から令和8年の分に変わっていますけども──と子供の生活実態調査に目を通しました。正確なデータとして把握していたわけではないのですけども、ある意味で言いますと、子供の貧困の実態というのは、おおむね私の想定の範囲内でありました。

 しかし、子供の貧困は家庭の貧困でありまして、家庭の貧困の改善は、生活困窮者支援制度を含めた幅広い、かつ個々に応じたきめの細かい支援が求められますし、必要な人に支援をつなげる、支援を有効に機能させるためには、格段の工夫と努力が要ると思います。大変難しい課題だなと改めて思いました。

 さて、子供の貧困対策推進計画は、大変多岐にわたる施策をつくっているんですけども、今回は「貧困の連鎖を断ち切るための県の独自施策」の中から、次の2点をお尋ねします。貧困の連鎖を断ち切る県の独自施策という勇ましい言葉に引かれてちょっと聞きますが。

 1番目、ひとり親家庭訪問支援につきまして聞きます。

 所管は子ども未来課、予算は495万8000円。私からすると大変少ない。新規の児童扶養手当受給者に対して支援員が全戸訪問するとともに、児童扶養手当現況届出時に支援の相談ができるようにすることにより、独り親世帯の孤立を防止して、相談支援体制を強化する施策とのことであります。これによりまして、児童扶養手当受給者は最初と年1回の支援相談を受けることができまして、孤立を防ぎ、支援につながることが期待できます。

 しかし、最初と年1回でいいのかとも感じます。支援を必要とする人は、支援の相談をするには支援をする人との関係性が大事です。関係性の構築には寄り添うということが必要です。それなりの人材と、人材に対する予算の拡充が要ると思うのですが、いかがでしょうか、お尋ねいたします。

○議長(尾崎要二君) 福祉保健部長志場紀之君。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 県では、平成30年度に和歌山県子供の生活実態調査を実施し、その結果、独り親世帯をはじめとする経済的に厳しい家庭の傾向として、近隣住民や友人とのつながりが乏しい家庭が多く、子育て支援制度や相談窓口の認知度が低い状況であることが分かりました。

 そのため、令和2年度から、独り親家庭の孤立防止と独り親家庭支援制度の周知徹底を図ることを目的として、和歌山県母子寡婦福祉連合会に委託し、新たに独り親となった児童扶養手当受給者等に対する居宅等への支援員の訪問や、児童扶養手当現況届期間中の出張相談を行うひとり親家庭訪問支援事業を開始したところです。

 本事業は、各種施策や相談窓口の周知を主目的としているため、家庭訪問は1回となっていますが、仕事や子育て等の悩み事、心配事についての相談を希望する場合は、わかやまひとり親家庭アシスト事業により、同連合会の見守り支援員が家庭訪問を継続することとしております。

 また、訪問時に継続した見守りが必要と判断した独り親家庭の情報につきましては、振興局を通じ市町村に対し情報提供を行い、必要に応じて市町村の要保護児童対策地域協議会や生活困窮者自立支援会議で支援策を検討するなど、関係機関が連携し、情報共有を図っているところです。

 議員御指摘のとおり、相談支援を行う上で、支援を必要とする人と支援する人との関係性は最も重要であると考えており、県としましては、支援員の資質向上のために必要な予算を確保しているところです。支援員に対しては、地域ごとにケースに応じた適切な支援の方法等の研修を実施し、支援員同士の情報交換を行うことにより、寄り添った支援を実践できるよう、きめ細かに対応しているところです。

 今後も、引き続き、独り親家庭に必要な支援が行き届くよう取り組んでまいります。

○議長(尾崎要二君) 中西峰雄君。

  〔中西峰雄君、登壇〕

○中西峰雄君 継続的な行政につなげるとか、いろいろと考えていただいているみたいですけども、ちょっと私、気になることがあるんですよ。何かというと、今、行政はやたらと民間の方とか、ボランティアの方に協力をいただいてということが多いんですよね。ところが、民間の、特にボランティアの団体さんは、もう高齢化と、それから新規会員の獲得がなかなかできなくて、減っていっているというのが実態としてあるんですね。今お願いしているところも、そういうところはあると思います。

 だから、そこに主として依存していくのは、ちょっと考えるべきところじゃないかなと思いますので、御検討いただきたいと思います。

 それでは、次に2番、養育費確保支援について、これも貧困の連鎖を断ち切る施策だそうです。県の独自政策だそうです。

 国の調査では、独り親世帯の貧困率、平成30年の調査ですが、48%、県の調査でも年間収入が200万円未満の母子世帯が46.6%となっておりまして、子供を抱える独り親の収入水準の低さが子供の貧困につながっております。

 それに加えまして、養育費の負担義務のある離婚相手から養育費を受け取っていないことが多く、国の調査では養育費を受け取っている母子世帯は僅か24%にすぎません。

 令和2年の和歌山県の離婚件数は1529件です。ちなみに、婚姻件数は3527件です。この離婚件数を婚姻件数で割りますと、実に43%を超えています。これはこれで大問題やと思います。でも、県のデータによりますと、母子家庭で養育費の取決めがあって養育費の支払いを受けているのは、たった26.1%しかありません。また、父子世帯では、取決めがされているのはたったの10.8%、1割ぐらいしかありません。そうしたことが子供の貧困の大きな原因の一つであることは明らかです。

 令和2年2月定例会で、養育費の取決めの支援と支払いの確保を求めましたけれども、あれから2年がたちまして、ようやく実現していただいたことに、まずはお礼を申し上げたいと思います。そのときにも申し上げたんですけれども、要するに、それが、部長の答弁でこういうことをおっしゃられました。いろいろと施策を、相談の業務を、相談をできるように体制をつくっていますと。でも、つくってあると言うけど、どんだけそれが役に立っているのかは別ですよと、私が見るところ、ほとんど役に立っていないんと違いますかというふうに申し上げたのを覚えています。

 制度はつくっていただいたんですけども、離婚時にこの施策の存在を認知していただいていて、利用してもらえるようにするには工夫が要ると思うんですが、どのようなことをしていただけるか、お尋ねいたします。

○議長(尾崎要二君) 福祉保健部長。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 県では、離婚に伴い困窮に陥るリスクの軽減を図るため、養育費を確実に確保できるよう、無料の弁護士相談、公正証書の作成費用等の補助、支援員による公証役場や裁判所への同行などを総合的に行う養育費確保支援事業を今年度から開始したところです。

 養育費に関する悩み事を抱えている離婚検討中の方や児童扶養手当を受給している独り親の方に、漏れることなく本事業を周知するため、県のホームページや「県民の友」への掲載をはじめ、市町村の戸籍担当係と連携し、離婚届の用紙取得時や提出時にチラシを配付するとともに、児童扶養手当の新規認定請求時や現況届提出時においても本事業について案内するなど、利用促進に向け、あらゆる機会を通じて広報しているところです。

 なお、養育費に関する悩み事は複雑多岐にわたり、法的知識も必要となるため、相談に応じる職員には高い専門性とニーズに応じた対応能力が求められます。県としましては、各振興局の母子・父子自立支援員や市町村の独り親家庭施策担当職員、同行支援員等を対象に、養育費等相談支援センターによる養育費や面会交流に関する研修や相談マニュアルの徹底など、相談に応じる職員等の専門性を高めるとともに、相談対応能力の向上に努めているところです。

 今後は、離婚を検討している方と早期に接触する機会のある市町村の戸籍担当係の職員向けにも窓口対応における留意点を記載したマニュアルを作成し、より一層本事業の周知徹底を図ってまいります。

○議長(尾崎要二君) 中西峰雄君。

  〔中西峰雄君、登壇〕

○中西峰雄君 前に質問させていただいたときにも申し上げたんですけど、法務省も窓口にパンフレットといいますか、ガイドブックを配布しているんですよね。ところが、本当にお役所仕事だと申し上げましたけど、もう送るだけ。市町村には何のお願いもしない。これが法務省です。こういうのを本当にお役所仕事というのかなと私は思うんですけども、一番初めに接する市町村の窓口の方に、よく県のほうから協力していただけるように、足を運んでお願いしていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 最後に、農林水産物・食品の輸出についてお尋ねいたします。

 まず、本県主力果樹の輸出の現状についてであります。

 平成28年(2016年)の6月定例会の一般質問で、農産物の輸出について質問させていただきましたけれども、それから早くも6年がたちました。今回、改めて和歌山県の農産物・食品の輸出について質問させていただきます。

 政府の資料によりますと、日本の農林水産物・食品の輸出額は、2012年の4497億円から倍増して、2021年には1兆円を突破しています。また、令和4年6月改定、農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略によりますと、輸出目標額として、2025年に2兆円、現状の倍、3年先に倍にすると。2030年には5兆円に目標を設定するとともに、重点輸出品目と輸出額の目標も設定しています。本県の主力果樹である桃、かんきつ、柿・柿加工品も輸出重点品目に設定するとともに、2025年の輸出目標も示しております。

 お手元に配付の資料を御覧いただきたいんですけども、この資料によりますと、桃の2019年度の輸出実績は19億円、2025年の輸出目標金額が61億円。同じく、かんきつの実績は6.7億円、輸出目標が39億円。柿・柿加工品の実績は4.4億円、輸出目標が14.1億円となっています。もう一つの主力果樹である梅について、ちょっとデータがありませんでした。

 輸出目標設定の2025年までは3年しかありません。実績から見ると、国の輸出目標の達成は難しいだろうと思いますけれども、それはともかくとして、本県の主力果樹の輸出の現状について、農林水産部長にお尋ねいたします。

○議長(尾崎要二君) 農林水産部長山本佳之君。

  〔山本佳之君、登壇〕

○農林水産部長(山本佳之君) 国は、品目ごとの輸出実績を貿易統計で把握していますが、都道府県別の実績については公的な統計が存在しておりません。国内の市場に出荷した本県農産物が商社を通じて海外に輸出されているケースも多く、個々の輸出実績の全てを把握できないというのが現状でありまして、本県では、毎年独自に調査を行い、輸出額の把握に努めているところです。

 その前提の上でお答えしますと、本県の主要農産物である桃、柿、ミカン、梅の令和3年度の輸出については合計490トン、3億3400万円となり、平成28年度から金額ベースで2倍以上となっています。

 輸出額が最も多いのは桃で、全体の6割を占め、2億1300万円となっており、台湾、香港、シンガポールに輸出しています。

 ミカンについては5100万円となっており、香港、シンガポール、マレーシア等に輸出しています。

 柿については4400万円、加工品としてあんぽ柿が650万円となっており、香港、シンガポール、アメリカ等に輸出しています。

 梅については2400万円となっており、香港、マレーシア、シンガポールに輸出しています。

○議長(尾崎要二君) 中西峰雄君。

  〔中西峰雄君、登壇〕

○中西峰雄君 それでは、2番に行きます。

 輸出を伸ばす取組についてお尋ねします。

 既に1兆円を超える農林水産物・食品の輸出額から見ますと、国全体の青果物、いわゆる生果の輸出額は376億円で、全体の3%しかありません。

 今お答えいただいたように、本県の輸出額の合計は、県が把握しているものだけで、そのうちのまた1%の3億3400万円とのことなんですけども、これ、主力果樹について、どのようにして輸出を伸ばしていくのか、もっと伸ばせる余地、可能性があると思いますので、今後の取組と意気込みを農林水産部長にお尋ねいたします。

○議長(尾崎要二君) 農林水産部長。

  〔山本佳之君、登壇〕

○農林水産部長(山本佳之君) 本県の桃については、特に台湾で人気を博しておりまして、検疫条件が厳しい台湾の規制に応じた必要な対策を産地で行っているところです。また、今年度からは、一部の選果場において輸出専用ラインの導入を行うなど、さらなる輸出の増加に努めているところです。

 ミカンについては、昨年10月、輸出が解禁となったベトナムへ、日本でトップを切って輸出を行いました。今年は、JAグループ等でさらに量を増やすことを計画しています。

 柿・柿加工品については、当初、国の輸出重点品目に入っていませんでしたが、国に提案を行った結果、追加されました。引き続き、香港、タイ、マレーシアなどに販売促進を行っていくほか、ベトナムについて、国に対し、引き続き早期輸出解禁を提案してまいります。

 梅については、近年、アジアを中心に梅酒の人気が高まってきております。青梅の時期に梅酒等の作り方も併せて普及するなど、効果的なプロモーションを行いながら、さらなる輸出拡大に取り組んでまいります。

 農産物の輸出については、相手国により検疫条件が異なるなど、国内とは違う対応が必要となることから、今後もJAグループ等と連携し、輸出拡大に向け、園地の拡大や老木の改植等による増産を戦略的に行う産地の育成に取り組み、農家所得の向上に努めてまいります。

○議長(尾崎要二君) 中西峰雄君。

  〔中西峰雄君、登壇〕

○中西峰雄君 私が6年前にお聞きしたときから比べますと、県内の生果の出荷額は確かに増えています。努力していただいたんかなというふうに思うんですけども、なかなか生果はいろいろ難しいことがたくさんあるというのは分かっています。検疫の問題もあるし、それから鮮度保持の問題もあるし、価格の問題もあるし、難しいのは分かっているんですけれども、やっぱり県内の農家の所得が向上するためには、輸出というものをやっぱり伸ばしていかなきゃいかんので、しっかりと取り組んでいただきますことをお願い申し上げまして、私の一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)

○議長(尾崎要二君) 以上で、中西峰雄君の質問が終了いたしました。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 23番佐藤武治君。

  〔佐藤武治君、登壇〕(拍手)

○佐藤武治君 皆さん、おはようございます。

 6月の議会が終わった頃から、新型コロナウイルスの感染症第7波で県下にも非常に増えまして、今なお、かなりの方が毎日感染されているようでございます。まず、お亡くなりになられた方々に心から御冥福をお祈り申し上げます。一日でも早くコロナが終息するように願うばかりであります。

 私ごとでありますけれども、7月に、55年間、いわゆる眼鏡生活、眼鏡が必要、近眼・近視の眼鏡、これに終止符を打ちました。といいますか、今は、その代わりに老眼鏡が必要になりました。というので、正確には近視の眼鏡生活に、眼鏡が要らなくなったというよりは近視の眼鏡が要らなくなった。

 といいますのは、ちょうど5月の中頃に趣味のゴルフに行きました。朝行ったときに、何か朝一打つ前に、ちょっと右目がおかしいなというような感じがしました。さほどその後に影響は、特にスコアには影響はなかったんですけども、前の日にちょっとお酒を飲み過ぎた関係かなと、自分でそんなふうには感じたんですが、やはり目のことですから、ちょっと心配になりまして、6月議会の終わった後に診察してもらう機会があり、そのときに先生が、ちょっとショックやったんですが、佐藤さん、加齢からくる白内障やで。白内障かと。特に白内障はあれだったんですけど、加齢からくると言われ、70前に、加齢かとか、ちょっとショックでありました。先生いわく、すぐに手術は必要ないでとか言われましたけれども、今後の自分の活動なんかの予定もありまして、6月末に右目、7月の10日過ぎに左目ということで手術をしていただきました。

 先ほど言ったように、中学生のときからでございますから、本当に55年間、ほかの眼鏡のない方と比べれば──不自由ではないか。そういうことで、ただ、もう一個先生に、そのときに手術終わってから、佐藤さん、ふだんの生活の動作に脳が追いついていかんでと、こんなふうに言われて、何言うてんかなと。(「加齢や」と呼ぶ者あり)確かに、朝目が覚めると、すぐにいつも置いていた眼鏡のところに手が行くんですね。ところが眼鏡がないというふうに、朝、今でも顔を洗うときには眼鏡を取る動作が入るとか、そんなことを先生は言っていたんだなあと今になって気づいたところであります。

 今は、たまに老眼鏡をかけますけども、このとおり、ここでこの原稿を読むのにも特に眼鏡が必要ないぐらいになりました。ありがたいなというふうに今は思っております。

 さて、議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、私の一般質問を行います。

 まず一つ目、最初の質問でありますけれども、今年の12月頃に初打ち上げが予定されています民間小型ロケットに関する質問であります。

 ロケット関連につきましては、地元のことでもあり、これまで何回か質問をいたしましたので、再度確認の意味も込めて質問をいたします。

 8月24日に、県議会議員を対象にした発射場の見学会があり、出席をさせていただきました。

 以前、令和3年1月29日だったと記憶していますが、私を含め議員有志5名で、串本町役場ロケット推進グループの職員を通じて、発射場の整備工事を進めている清水建設株式会社の現場責任者の方を訪ねまして、工事の進捗状況を説明していただき、実際に発射場建設現場も案内をしていただきました。そのときに公表されていた小型ロケットは、高さ18メートル、重量23トン、直径約1.35メートル、フェアリングと呼ばれる先の膨らんだ部分が約1.5メートルと、こういうふうな説明をしていただきました。ただ、現物を見たことがなかったので、漠然としか想像はできませんでしたが、先日の見学会では、実際に使う実物大のロケットを4分割された状態で見せていただき、少し実感が湧いてきたところであります。

 昨年1月の時点では、総合司令塔を建設中で、事務所とロケットの監視をする場所であり、運び込まれた衛星が運搬途中でトラブルが起きていないかをチェックするクリーンルームも含まれると聞きましたが、その総合指令室も完成し、ロケットの軌道を追うモニターも見せていただきました。説明の中では、既にエンジンの燃焼実験も行われたようですが、ほかにも県が把握している情報があれば、ぜひ伺いたいと思います。

 また、以前に質問しました幾つかの点が気になるところであります。以前の質問時に、当時の商工観光労働部長からは、ロケットの打ち上げは、地元住民の生活に悪影響を及ぼさないよう、地元関係者と共にしっかりと準備をしてまいりますと、こう答弁していただきました。当時の答弁から1年6か月が経過しておりますので、変更点や新しい取組があれば教えていただきたいと思います。

 そして、再度確認の意味も含めて、打ち上げに向けての進捗状況、そして公式見学場となる串本町の田原海水浴場と那智勝浦町の旧浦神小学校の進捗状況と、見学者の受入れ体制について、地元自治体、地元協議会等への関係機関とどう連携をして、最終的な体制を住民へどのように説明しているのか、商工観光労働部長にお伺いをいたします。

○議長(尾崎要二君) ただいまの佐藤武治君の質問に対する答弁を求めます。

 商工観光労働部長寺本雅哉君。

  〔寺本雅哉君、登壇〕

○商工観光労働部長(寺本雅哉君) スペースポート紀伊を運営するスペースワン社では、ロケットエンジンの燃焼実験を成功させ、現在、打ち上げ用の燃料やエンジン等が搬入された際の組立て工程を確認するための訓練を行うなど、打ち上げに向けた最終段階の調整を進めていると聞いております。

 また、打ち上げに伴い必要となる宇宙活動法をはじめとする許認可についても、順調に手続を進めていると聞いております。

 見学場への受入れ体制については、打ち上げの際には多くの来訪者を見込んでおり、マイカーによる来訪が集中すると交通渋滞の発生が予想されます。このため、鉄道利用に加え、串本町及び那智勝浦町と連携したパーク・アンド・ライド導入や、県警察本部や国土交通省紀南河川国道事務所等と共に交通渋滞対策に係る協議を進めております。

 また、地元の皆様に対しては、両町の全区長を対象とした区長連合会を開催し、交通渋滞対策に加え、スペースワン社による打ち上げに向けた準備状況について説明を行いました。

 今後も、引き続き関係機関との連携を行うとともに、地元の皆様に対する交通渋滞対策の周知徹底と、その取組に御理解いただけるよう努めてまいります。

○議長(尾崎要二君) 佐藤武治君。

  〔佐藤武治君、登壇〕

○佐藤武治君 ありがとうございます。

 最近、地元の方とも話をすることがよくあるんですが、やっぱり前にも質問しましたけども、日常生活、その辺に支障がないようにというのが非常に心配されているようであります。また後で警察本部長にも聞きますけども、しっかりとやっていただきたいと、このように思います。

 それでは、次の質問に入ります。

 初打ち上げが近づくにつれて期待が膨らむわけですけれども、その機運を盛り上げようと、地元自治体では、公式見学場の出店募集やワークショップを開催しているところです。

 那智勝浦町では、串本町に続いてロゴマークが完成したと聞いていますし、串本町では、8月21日と22日に、中高生が泊まりがけでロケットや人工衛星について学ぶ体験教室が開かれています。また、シンポジウムや近鉄百貨店等で各種イベントが行われておりましたけれども、その内容について概要を教えていただきたいと、このように思います。

 そして、7月24日に串本町で開催されたシンポジウムでは、関係者をはじめ地元高校生からも発表があり、私が聞くところでは、感じたところでは、知事にも多くの拍手がありましたけども、知事を上回る拍手があったような、そういうふうに私は感じたところであります。また、シンポジウムの進行や会場の運営もされたと聞いております。これまでのシンポジウムと比べても、盛り上がりが見られました。

 今、地元では、このように初号機の打ち上げを、期待を持って待ち望んでいるわけであります。ロケットの打ち上げは、観光の振興をはじめ、紀南地域活性化の起爆剤となるものであると思います。ロケット打ち上げを今後どのように地域振興につなげていくのか、商工観光労働部長にお伺いいたします。

○議長(尾崎要二君) 商工観光労働部長。

  〔寺本雅哉君、登壇〕

○商工観光労働部長(寺本雅哉君) 7月24日に開催された宇宙シンポジウムin串本では、宇宙に対する知見の深い大学教授や宇宙関連企業だけでなく、串本古座高校の皆さんによる運営や発表なども行っていただき、例年以上の盛会となりました。

 また、地元串本町では、ロケットのまちとして全国にアピールし、地域を元気づけようという機運が盛り上がってきており、町内の飲食店や観光施設などでは、宇宙とロケットをイメージした新商品や、宇宙食をイメージした長期保存できるレトルト製品などの開発が進められています。

 あわせて、7月27日から8月1日の6日間、地元の事業者で構成された実行委員会が近鉄百貨店和歌山店催事場にて南紀串本ロケットウィークというイベントを開催しました。イベントでは、来場された約5000名の方々に対して、スペースワン社の事業や、宇宙の魅力をテーマとしたセミナーや、地元の事業者が開発した商品の紹介などが行われました。

 さらに、串本町の観光協会では、漁業者と連携し、漁船を活用した観光クルーズ事業の企画等、新しい観光コンテンツの創出についても検討を進めています。

 県としましては、ロケット打ち上げをきっかけとして、地元の観光やサービス産業のほか、教育活動についての裾野が広がっていくような魅力ある地域振興につなげてまいります。

○議長(尾崎要二君) 佐藤武治君。

  〔佐藤武治君、登壇〕

○佐藤武治君 どうもありがとうございます。

 御答弁いただきましたように、県として、このロケットの打ち上げを地域振興につなげていくということでありますが、ぜひ今後はこれを契機として、観光をはじめ様々な地域振興に生かしていただくように要望をしておきます。

 本当に、特に観光、コロナのせいでももちろんあるんですけれども、今、いろんな形で和歌山が見直されて観光も増えたとはいえ、紀南の中でも特に那智勝浦町なんかは、以前の最盛期と比べると宿泊は3分の1に減っているところも、ピークが減っているんですね。そういうふうに、非常に地元のそういう観光関係の方と話をする機会があっても、やっぱり切実ですわ、本当に。それを今、コロナが追い打ちをかけたというふうな実態がありますので、何とかこのロケット、ぜひ成功、これ成功するのは向こうのほうのスペースワンさんですけども、県としてもしっかりとそういう地域振興につなげていただきたい、このように思います。

 また、今後、このロケットの発射については、2020年半ばには年間20機を打ち上げる計画だというふうには聞いております。

 そうなると、今、あの機体は県外で製造して陸送してこちらへ運んで、発射場まで運んできているというふうに聞いているんですけども、やっぱり年間20機以上、20数回発射するとなれば、陸送の費用なんかも非常にかかることになるだろうなと思います。これも将来的にしっかりこの事業が順調に進んでいけば、やはり地元にロケット製造に係る関連企業、こういう企業誘致についても当然話が出てくるだろうし、うちの地元の町長なんかも、そういう話もやっぱり会うたびにしていますので、そういう地元民の雇用拡大、こういうことにもつながります。しっかり地元自治体と連携をしまして、県当局も誘致活動を進めていただきたいと、このように要望しておきます。

 そしたら、次に入ります。

 今年の4月に、警察署の再編により、串本警察署が新宮警察署に統合されております。交通渋滞対策と併せて、打ち上げ日前後の防犯対策、住民の不安解消と軽減につきまして、以前御答弁をいただいた内容と変更点はないのか、着任早々ではありますけれども、警察本部長にお伺いをいたします。

○議長(尾崎要二君) 警察本部長山﨑洋平君。

  〔山﨑洋平君、登壇〕

○警察本部長(山﨑洋平君) ロケット発射前後の交通渋滞対策や治安対策につきましては、令和3年2月及び6月定例会で御質問いただいた際に答弁申し上げた警察の対応に何ら変更はなく、現在、主催者や自治体等関係機関と緊密に連携を図りながら、具体的な対応策を協議、検討しているところでございます。

 まず、交通渋滞対策としては、見学場への入場チケットを所持していない観光客等による路上駐車等を規制するための区域の検討や、信号現示時間の調整を行う交差点の選定などを行っております。

 次に、治安対策としては、各種トラブルや雑踏事故を防止するためのパトロール強化に必要な体勢の検討などを行っております。

 本年4月、串本警察署と新宮警察署を統合したことにより、ロケット発射場と2か所の見学場及びその周辺地域がいずれも新宮警察署の管轄となり、ロケット発射に伴う諸対策を同署が一元的に実施することができるようになるなど、より盤石な体制となっております。

 いずれにしましても、こうした取組を行うことにより、各種トラブルや事故を防止し、住民の方々の不安解消を図ってまいりたいと考えております。

○議長(尾崎要二君) 佐藤武治君。

  〔佐藤武治君、登壇〕

○佐藤武治君 本部長、御答弁ありがとうございます。

 ロケット打ち上げに関しては、本当に地元住民、先ほども言いましたけども、大変楽しみにしています。その日を待っているんですけども、今言われたように、町外からたくさんの方が来られる予想もされていますし、そうなると、前にも質問しましたけども、いろんな形で地元住民に協力していただいて、今の発射場なんかができているわけであります。そういう方々にやっぱり日常生活に支障が出たり、治安面で事件、トラブルがあれば、ほんまに迷惑をかけるということになれば、つらいなというふうに思っています。

 今、本部長から力強い答弁をいただきました。これ地元の方々にもしっかりと伝えておきたいと思います。

 なおと言うんか、余分ですけども、本部長が就任の記者会見で、以前、在トルコ日本国大使館の何かを務めたことがあるというふうな、載っていました。そのことから、和歌山に赴任したことに縁を感じるというふうにおっしゃっておられたなと。ちなみに、本部長はエルトゥールル号の映画、「海難1890」を御覧になりましたでしょうか。ありがとうございます。町長肝煎りの映画でございまして、ありがとうございます。

 また、県民の安全・安心のために尽くしたいと、このようにもおっしゃっておりましたので、ぜひ初打ち上げ時には、地元住民の不安を払拭する体勢を取っていただくようにお願いをしておきます。

 次の質問に入ります。

 献血バスにおける医師確保についてであります。

 献血と聞いて、皆さんは何を思い浮かべますか。また、献血された経験はありますか。

 私が最初に献血をしたのは、就職後2年ほどたったときに、職場の先輩が入院されておったんですが、至急輸血が必要だということで、勤務中ではありましたけども、直接病院に出向いたのが最初でありました。残念ながら、その方は小さな子供を残してお亡くなりになられましたけれども、それが最初の1回目。その後、私、なかなか献血する機会がなかったんですけれども、職場の近くに、あるとき献血バスが来ましたので、これは一番身近にできるボランティアだなあというような感覚で献血したのを覚えております。それがもう約38年ほど前だったかなあというふうに思います。

 その後、職場近くに献血バスが来たときは、体調がよければ献血するようになって、勤務で和歌山市に出張があったときには、駅前にある献血ルームでも何回か献血したような記憶もあります。

 ところが、献血回数が50回を超えた頃だと思いますけれども、献血バスに乗ると、最初に血圧等の測定をするんです。そのとき、なぜか血圧が高いから、今日はもうできないよというふうなことを当時の医者に言われまして断念をし、その後何回かバスが来るごとに行くんですが、やはり血圧が高いということで、血圧の薬を飲み始めてからは、当時そういう薬を飲んでいると献血ができないというふうに言われて、もう数十年ということはないか、10数年できていなかったんですが、実はライオンズクラブに入らせていただいておりまして、そこでも毎月献血活動があるわけでございます。その職員と話をする中で、今はそういう薬を飲んでいても、種類によっては献血できますよと、こういうふうなことを言われまして、これを機に、また再び献血するようになりました。

 先日、赤十字血液センターの紀南出張所長と話をする機会がありました。最近コロナ禍で、特に緊急事態宣言が出たときは、献血の協力者の減少が見られたと聞きました。ある県では、それまで献血に協力してくれていた企業から、在宅勤務の広がりなどで献血バスのキャンセルが続出したとも言っておりました。

 不要不急の外出の自粛が求められ、休日に献血バスを派遣する大型商業施設などへの人出が減ったこともあり、県の赤十字血液センターは、献血は不要不急ではありませんと協力を呼びかけましたが、なかなかすぐに元の状態には戻らなかったというふうなことであります。

 また、私の住む紀南地域は、献血の量自体は県全体の、聞くと3分の1以下だそうですけれども、担当するエリアが広く、職員数もそう多くはなくて、職員の休日でも病院に血液を届けることもあるので大変ですというふうな話も聞きました。

 その中でも特に苦労しているのは、献血バスに乗ってもらう医師の確保に困っているとのことでありました。その日も、今日も和歌山市内の医師に乗ってもらっていますが、2日間拘束してしまうことになります。田辺市だと、まだ医師もいますけれども、東牟婁地域ともなると、本当に医師がなくて困っていますとお聞きいたしました。

 そこで、紀南地域における献血バスに乗車する医師の確保状況について、福祉保健部長にお尋ねいたします。

○議長(尾崎要二君) 福祉保健部長志場紀之君。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 紀南地域の献血バスの稼働には、一部紀北地域からの医師が対応しているため、通勤に時間を要することや宿泊を伴う場合があるものの、現状では医師は確保できており、献血バスの稼働には支障がない状態であると認識しております。

○議長(尾崎要二君) 佐藤武治君。

  〔佐藤武治君、登壇〕

○佐藤武治君 部長からは、今現在、医師は確保できているというような認識でありますということでありましたけれども、地元で、今のところ、先ほど言いましたように、和歌山市のほうとか、ほかの地域から調達と言うんか、来ていただいていることが多い、ほとんどそうだということであります。それより、やはり地元で乗っていただくほうが効率的であるかなというふうには思います。保健所と連携をしながら、地元医師会や病院から献血バスに乗車可能な医師の情報などを集めていただいて、血液センターに提供するなどして協力をしていただきたいと、このように思います。これは一つ要望とさせていただきます。

 続いて、献血キャンペーンと献血ウェブ会員登録についてお伺いいたします。

 毎年、夏のシーズンにおいては、長期休暇などにより学校や企業、団体などからの献血への協力が得にくくなるため、全国で7月に愛の血液助け合い運動街頭キャンペーンを1か月間実施していますけれども、ほかの季節でも啓発をすることはできないものでしょうか。

 また、献血ウェブ会員登録の普及活動について、現状ではどのようになっているんでしょうか、福祉保健部長にお伺いをいたします。

○議長(尾崎要二君) 福祉保健部長。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 県では、7月の愛の血液助け合い運動に加え、献血者が減少しがちな1月から2月に、はたちの献血キャンペーンを実施しており、若年層を中心に広く献血を呼びかけています。

 また、市町村の協力により、成人式を迎える方を対象として、献血に関するリーフレットを配布して、献血への理解を求めているところです。

 次に、献血ウェブ会員登録ですが、予約により待ち時間が短縮できるなど、献血者にもメリットがあることから、令和元年度から県が作成する献血リーフレットや街頭啓発時等に配布する啓発資材への登録用QRコードの印刷、また、県ホームページへの掲載によって普及を図っているところです。

 その結果、現在の登録者数は約2万人であり、献血の予約率は約42%となっています。

○議長(尾崎要二君) 佐藤武治君。

  〔佐藤武治君、登壇〕

○佐藤武治君 ありがとうございます。

 今、部長から献血ウェブ会員登録、ラブラッドと言うらしいですけども、これの登録者数が約2万人になっているということであります。

 確かにこれ、(チラシを示す)これは僕が当日の、先月かな、ライオンズクラブの献血で、こういうガイドになったやつを頂いたんですが、今ちょっと目を通して、まだ自分自身は登録できていないんですけれども、これに登録すれば、今言われたように予約して、待ち時間が非常に短縮されて、ポイントなんかもたまるような、それと記念品を交換できるとか、いろんなメリットがあるようであります。

 たしか先月、役場の職員だったかな、役場の職員で時間の間を取って来て、これに登録していたらしくて、もうすぐにやって短時間で帰られたようですけど、仕事に支障がないような、そういうふうなメリットもあるように思います。

 ただ、これ、今後伸ばしていってほしいんですけれども、どうも紀南の出張所長に聞いたところ、登録、紀南管内ではまだまだ少ないように聞きました。ちょっと差があるんかな、紀北と。一層登録を増やしていただくように所長にもお願いしたところでありますけれども、ただ、新規登録をするには、2013年の10月1日以降に1回でも献血受付の履歴が必要であるという、こういう条件もあるように聞いています。またスマホで、あくまでもこれスマホでしか駄目ですよね。そういう部分もありますし、いろいろちょっと課題もあるんかなあというふうにも思いますけれども、何しかこれは、この制度はいいかなと、こういうふうに私も感じていますので、何とかして登録者数を増やしていただければなと、このように思います。

 最後の質問になります。

 若年層の協力者の確保と県庁での献血状況についてお伺いしたいと思います。

 和歌山県は献血率、ここは意識があったかなと思うんですが、全国3位。これ、この間、所長に聞いたときは2位やと言っていたんですが、何かちょっと時間的なことがあって、今の資料では3位というふうに聞いています。確かに私も先ほど言ったように、ライオンズクラブの献血活動に行くんですが、どうも来ている年齢層を見ていると、本当に若年層が少ないなあと、このように感じております。

 現状、若年層、高校生を含むんですけども、この献血を広めるために、県はどのような取組をまず行っているのか、そしてまた、県民に献血への協力を呼びかけている県としましては、どの程度の協力をしているのか、県庁では北別館、南別館に献血バスが来て献血をしているというふうに聞いておりますけれども、そこでの実績につきましても、併せて福祉保健部長にお伺いをいたします。

○議長(尾崎要二君) 福祉保健部長。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 本県における令和3年度の献血可能人口当たりの献血者数を示した献血率は、40代、50代が高く、10代から30代は全年齢層よりも低位にあります。

 このことから、将来にわたり安定的に血液を確保するためには、若年層への献血の普及が重要な課題であると認識しています。

 そのため、県では、先ほど申し上げましたはたちの献血キャンペーンに加え、献血可能年齢に達する高校生を対象とした献血学習や、高等学校、大学への献血バスの配車などを推進してきました。

 現在は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により実施件数は減少している状況ですが、今後とも機会を捉え、若年層への献血の普及に努めてまいります。

 次に、県庁での献血ですが、今年度はこれまでに、北別館に3回、南別館に2回、献血バスが配車されています。そのときの献血バス1稼働当たりの献血者数は平均で59.6人であり、令和3年度の1稼働当たりの県内平均は49人であることから、多くの者が協力していると認識しています。

 献血は、血液を必要とする患者の命を救う大きな意義があるものであり、また、自分自身の健康管理にも役立つことから、今後とも職員の献血への協力を促してまいります。

○議長(尾崎要二君) 佐藤武治君。

  〔佐藤武治君、登壇〕

○佐藤武治君 ありがとうございます。

 今、報告いただいた県職員の献血率、これは本当に多忙な業務中にもかかわらず、ほかの会場と比べても、私も高いほうだなというふうには感じます。

 というのは、私の所属する、先ほどから言っている串本ライオンズクラブは毎月献血活動をして、私も時間があれば出るんですけれども、やはり場所にもよると思うんです。串本なんかやったらAコープとか、オークワさんとか、人の集まるところでやるんですが、もちろん役場も、串本町役場もしますし、前の役場、古座分庁舎でもしますし、いろんなところへ行くわけです。大体、多いときでも50人いけばいいほうかなあというふうに、でも、少ないところであれば30人を切るような、1日というか10時から夕方4時までやって、少ないときはもう30人切る程度の実績ぐらいしかないときもありますので、今の県職員の方の報告、実績を聞いていますと、それなりに高いのかなと、ぜひ今後も皆さんにそれを続けていただきたいと、このように思います。

 先ほども、全国で3番目だというふうな話もしましたけれども、確かに40代でも全国で4番目、50代でも2番目、60代でも3番目と、こういうふうに、いずれも全国平均を上回っているような実績があります。ただ、その中で、平均よりは高いんですが、やっぱり10代とか20代とかここらが、30代も含めて、やはりもう少し上げていけないかなあというふうなところがあるんで、今、様々な取組もされているというふうにお聞きしましたので、何とかその向上に向けて一層取り組んでいただきたいと、このように思います。

 本当に、これ、ある意味人が少ないと、やっぱり直接そういう献血数に関わって、今後、人口減少が進むと、やっぱり対象者自体が少なくなるということになってきますので、今、現状の方を一人でも多くしていくことが大事かなと。

 ただ、アンケートなんかでも、献血したことのない理由の1番が針を刺すのが痛くて嫌と、こういうふうな意見が1位を占めているようなアンケートがあるようでございます。確かに普通に採血する注射と比べれば太いです。人によってはなかなか、私もあんまり好きではないんですが、ボランティアということでしているわけです。そういうのも一つ払拭するような、何かこういうふうな取組があればいいかなあというふうなことも思っておりますけど、これは個人差がありますので、無理強いするような部分じゃございません。ひとつ今後に、献血は大事な、本当に人の命を救う事業でございますので、大勢の方にしていただくように県も取り組んでいただくことをお願い申し上げまして、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(尾崎要二君) 以上で、佐藤武治君の質問が終了いたしました。

 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。

 この際、暫時休憩いたします。

  午前11時27分休憩

────────────────────

  午後1時0分再開

○議長(尾崎要二君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 19番鈴木太雄君。

  〔鈴木太雄君、登壇〕(拍手)

○鈴木太雄君 皆さん、改めまして、こんにちは。

 早速ですが、議長のお許しをいただきましたので、通告に従い一般質問を行います。

 まず初めに、大項目の1として、スペースポート紀伊に係って、その小項目1、機運醸成を高める広報戦略について質問をいたします。

 先月の24日に、国内初の民間企業によるロケット打ち上げ射場「スペースポート紀伊」を視察してまいりました。この射場の運営会社スペースワンは、2018年4月に設立された商業宇宙輸送サービス企業で、顧客から預かった小型人工衛星を地上から所定の衛星軌道まで運ぶ「ロケットによる運送業」と自らを呼んでいるそうです。

 ふだん使いのコンピューターが手のひらサイズのスマートフォンになったように、人工衛星の世界でも小型化と軽量化は進んでおり、各種センサーの進化によって、総重量100キロに満たないコンパクトな衛星でも地球をよりきめ細かく観測できるようになっているとのことであります。

 そういった中、小型衛星の数は、今後大きく増えると予想されています。2017年に打ち上げられた小型衛星の数が330基だったところ、ユーロコンサルの試算では、2018年からの10年間で打ち上げられる総数は7000基を超えるとも言われています。

 しかしながら、小型化、高機能化した人工衛星を打ち上げる機会は、大きく増えてはおらず、その原因として打ち上げコストが挙げられています。

 現在、小型衛星は、より大きな衛星を大型ロケットで打ち上げる際の隙間に積んでもらう、あるいは複数の小型衛星を相乗りで打ち上げるなどの方法で軌道投入がされております。JAXAが鹿児島県の種子島で打ち上げている全長約50から60メートルの大型ロケットでは、そういった意味で、いつ運用を開始できるか予定を立てづらいといった課題があります。そこで、小型衛星を専用の小さいロケットで打ち上げるビジネスが有望視されているわけであります。

 スペースワンが狙う市場も商業用小型衛星の打ち上げというマーケットであり、現在、2年程度はかかる人工衛星の打ち上げプロセスを1年以内とすることを目標に、全長18メートルの小型ロケットを開発するとのことであります。このシンプルかつ低コストに運用が可能な固体燃料ロケットを輸送手段として、数年後の2020年代半ばには、年間20基の打ち上げを実現する計画を立てているようであります。

 このように無限の可能性を秘めたスペースポート紀伊が紀南地域に存在することを喜びに感じるとともに、串本町や那智勝浦町はもとより、紀南地域全体の機運を高め、地元事業者の意欲喚起や企業活動の活性化、誘客の促進などにつなげるなど、地域経済の底上げにつなげていきたいという思いも持ったところであります。

 その実現に向けては、まず、ロケット初号機の打ち上げが和歌山県で、さらに串本町で行われるということをより多くの人に知ってもらうことが肝腎であり、大変重要なことであると思います。

 そこで、小項目1として、ロケット初号機打ち上げに向けた機運醸成について、これまでの普及啓発の取組と今後の広報戦略について、どのようなお考えを持たれているのか、商工観光労働部長にお伺いいたします。

○議長(尾崎要二君) ただいまの鈴木太雄君の質問に対する答弁を求めます。

 商工観光労働部長寺本雅哉君。

  〔寺本雅哉君、登壇〕

○商工観光労働部長(寺本雅哉君) 現在、スペースポート紀伊では、年末のロケットカイロスの初号機打ち上げに向け準備が進められています。

 県でも、その動きに合わせて、串本町におけるロケット事業の知名度向上や紀南地域への誘客のため機運醸成を図っているところであり、県庁正面前の大型看板掲示をはじめ、ポスターやチラシの作成・配布、県内の講演会への参加やイベントへの出展などを通じ、ロケット打ち上げの魅力について県内外に情報発信を行っています。

 また、7月24日には、宇宙シンポジウムin串本を開催し、会場には地元だけではなく紀南地域からも多くの方々に参加いただくとともに、オンラインでも多数の御参加をいただきました。

 日本の宇宙開発やビジネスを牽引する方々によるスペースポート紀伊への期待やロケットカイロスの可能性をメインとした講演やパネルディスカッションのほか、串本古座高校の生徒の運営や発表も加わり、初号機の打ち上げに向け、特色ある情報を県内外に発信できたと考えています。

 さらに、その前日には、県内中学生による缶サット体験イベントを開催し、地元や和歌山市内の学校からの参加に加え、今年は初めて田辺市内の学校からも参加していただくなど、紀南地域においても機運が醸成されつつあります。

 また、7月1日に開設した打ち上げ応援サイトでは、チケット事前予約をはじめ、当日の打ち上げ内容の事前案内や現地でロケットの見学ができない方々の当日のウェブ配信、次回のイベント案内等の内容を配信します。

 なお、当サイトにつきましては、8月末までに約1300名が登録し、現在も受付中です。

 県としては、串本町や那智勝浦町のみならず、隣接する紀南地域をはじめとする県内各市町村とも連携しながら、ロケットファンを含めた多くの方々に対して幅広い広報活動を展開してまいります。

○議長(尾崎要二君) 鈴木太雄君。

  〔鈴木太雄君、登壇〕

○鈴木太雄君 次に、小項目の2、誘客促進と渋滞対策を両立させる施策について質問をいたします。

 打ち上げ時には、多くの見学客が予想されます。過去に最も来訪者が多かった事例は、鹿児島県の内之浦で打ち上げられたイプシロンロケット初号機だと言われ、9月の3連休の初日だったということもあり、約2万人、8000台の車両が流入したと聞いています。

 この事例を参考に、本県では、見学者数を上限5000人の事前予約制とし、自家用車で来る見物客への対応としてパーク・アンド・ライドを導入するなど、誘客対策と渋滞対策を両立させる取組を周辺地域内で進めているようでありますが、誘客と渋滞のバランスをうまく保つためには、広域的なスケールメリットを生かした対策も重要ではないでしょうか。

 例えば、ロケット見学客が利便性の違いなどから白浜や田辺で宿泊をし、当日にバスや電車で現地へ移動するような観光ツアーの造成など、紀南広域において複数の拠点を設ける施策によって、現地への車両流入の調整や公共交通機関の活用が図られるのではないかと考えます。

 そこで、小項目2として、誘客促進と渋滞対策を両立させる施策について、周辺地域だけではなく、特に紀南地域という観点でどのように取り組まれているのか、商工観光労働部長にお伺いいたします。

○議長(尾崎要二君) 商工観光労働部長。

  〔寺本雅哉君、登壇〕

○商工観光労働部長(寺本雅哉君) 議員御指摘のとおり、当日の見学客については、交通量分散の観点からも、ツアー造成を中心とした誘客が必要であると考えており、現在、旅行会社と連携し、戦略的な誘客プランを作成中です。

 また、ツアー造成については、串本町や那智勝浦町の周辺地域だけでなく、議員御提案の田辺・白浜を含む紀南地域の観光資源を組み合わせた内容を予定しております。

 見学場として設定している串本町の田原海水浴場と那智勝浦町の旧浦神小学校の2会場までの移動については、両見学場周辺には大規模な駐車場がないことから、鉄道利用に加えてパーク・アンド・ライド拠点を設け、見学場までのシャトルバス輸送を実施することとしております。

 また、事前予約のない来訪者による交通渋滞が発生しないように、見学者の完全事前予約制の周知徹底による抑制に加え、警察と連携して、国道42号の見学場、発射場周辺における駐停車禁止規制等の交通対策を実施するための調整を進めています。

 ロケットの打ち上げは、観光の振興をはじめ、紀南地域活性化の起爆剤となるものであるとともに、一方では、発射場周辺の地元住民の生活に悪影響を及ぼさないように取り組んでいく必要もあることから、今後もしっかりと準備してまいります。

○議長(尾崎要二君) 鈴木太雄君。

  〔鈴木太雄君、登壇〕

○鈴木太雄君 次に、小項目3、紀南の地域資源を融合した観光戦略について質問を行います。

 県の試算によると、スペースポート紀伊が県内に及ぼす経済波及効果は、10年間で約670億円、そのうち観光消費による年間の経済波及効果は13億円に上るとされております。

 紀南地域の主要産業である観光振興については、当然自ら持っている地域資源を最大限に活用することが前提でありますが、今後はそれに加えて、もともと持っている地域のポテンシャルと他の地域資源を組み合わせることで、さらなる活性化につながるという発想が求められます。

 例えば、白浜のアドベンチャーワールドとロケットのコラボレーションや、田辺市の南方熊楠にまつわる曼荼羅と宇宙との親和性など、地域観光を掛け合わせることで、もともとのポテンシャルも新鮮な形に生まれ変わるものではないかと考えます。

 また、スペースポート紀伊そのものと、紀南地域が有する様々な地域資源が融合した旅行企画を提案、造成することは、ロケット打ち上げ時のみならず、これからの広域観光の推進、教育旅行の誘致にも必ずやつながります。

 そこで、小項目3として、紀南地域の観光振興策についてどのようにお考えか、商工観光労働部長にお伺いいたします。

○議長(尾崎要二君) 商工観光労働部長。

  〔寺本雅哉君、登壇〕

○商工観光労働部長(寺本雅哉君) 紀南地方には、熊野三山や熊野古道に代表される世界遺産をはじめ、白浜のアドベンチャーワールドや南方熊楠をはじめとした多くの偉人、様々なジオサイトなど、多くの観光資源を有しています。

 さらに今回、串本のスペースポート紀伊でのロケット打ち上げが予定されており、国内から多くの関心が紀南地方に寄せられているところです。

 こういったチャンスを最大限に活用していくためにも、ロケット打ち上げと紀南地方の観光資源を最大限に活用した観光施策を推進してまいります。

 具体的には、今後の恒常的な打ち上げを想定し、ロケットとの親和性の高い星空観光等の地域観光資源を組み合わせたツアー造成を旅行会社へ働きかけるとともに、メディア等を活用したPR展開、さらにジオパークやロケット関連施設等を活用した教育旅行の誘致など、様々な観光施策について、しっかりと取り組んでまいります。

○議長(尾崎要二君) 鈴木太雄君。

  〔鈴木太雄君、登壇〕

○鈴木太雄君 御答弁いただきました。

 ロケットの打ち上げは、天候の悪化等により延期することも往々にしてあるとのことですので、空白時間を持て余すことのない戦略が必要であると思います。

 紀南地域は、幸い世界遺産をはじめとした数多くの観光資源を有しておりますので、ぜひ様々な地域資源を融合した政策に取り組んでいただきますよう、強く要望いたします。

 次に、小項目の4、宇宙を題材にした教育について質問をいたします。

 ロケット打ち上げをきっかけとした取組としては、宇宙教育の推進もその一つであります。

 宇宙教育は、理数系教科のみならず、環境教育や外国語教育等、学習活動の充実が図られ、児童生徒の学習への興味、関心、意欲を高めるとともに、宇宙への夢をきっかけとして、子供たちに広く科学への関心を持ってもらえる機会となります。また、当地方の児童生徒だけが味わえる感動や夢を与える教育は、愛郷心の醸成にも必ずやつながるものでもあります。

 令和6年度には、串本古座高校で公立高校としては全国初の宇宙探究コースの新設が予定されております。それに向け、教育委員会と県が連携し、全国からたくさんの生徒が集まるよう、スペースワン社をはじめ、JAXAなどの有識者や東京大学のほか、地元和歌山大学の学識経験者などの協力の下、魅力あるカリキュラムづくりを行う検討が開始されているとお聞きをいたしております。

 全国から生徒が集まることも本当に重要ですが、やはり地元や県内から生徒が集まるような環境づくりも大切だと考えております。

 そこで、小項目4点目として、地元や県内の小中学生にロケットや宇宙への興味を持ってもらうため、どのように取り組むのか、また、串本古座高校での宇宙教育の取組が県内の高校教育にとってどのような効果が期待できると考えられているのか、併せて教育長にお聞きをいたします。

○議長(尾崎要二君) 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 宇宙を題材にした教育についてでございます。

 地元の小・中・高校生については、スペースワン株式会社や商工観光労働部と連携し、スペースポート紀伊の見学会を実施していますが、今後、県内の他地域の児童生徒も対象とし、夢や希望が広がっていくことを期待しています。

 地元のみならず、県内全ての小中学生にロケットや宇宙についての興味関心を高めてもらうには、教員の専門性や指導力の向上とともに、児童生徒の体験的活動の充実が必要です。

 現在、県内の幅広い地域から小・中・高等学校の教員が集まり、宇宙教育研究会を組織し、モデルロケット組立て教室や模擬人工衛星「缶サット」の製作体験会を開催しています。

 また、民間企業主催で実験教室やロケットに関するイベントも行われており、子供たちの興味関心が高まっています。

 こうした取組を充実させることで、将来、串本古座高等学校の宇宙探究コースで学ぶ県内の子供たちが増えるとともに、大学で理系の学びをさらに深めたいと思う生徒が増加していくことも期待しています。

 串本古座高等学校では、現在、専門家を交え、宇宙探究コースの教育課程を検討しています。

 また、先日の宇宙シンポジウムで、串本古座高等学校の生徒が缶サット甲子園への挑戦やロケット発射に向け地元を盛り上げる活動を発表し、論理的で豊かな表現内容であったとの高い評価をいただきました。

 このように、宇宙は理数系科目にとどまらない裾野の広い分野であり、その正解のない問いに挑戦する探求的な学びは、まさに今求められている人材育成にもつながります。

 このような先進的な取組は、他の高等学校にも前向きな展望を与え、それぞれが独自かつ特色ある教育課程を編成していく後押しになると考えています。

○議長(尾崎要二君) 鈴木太雄君。

  〔鈴木太雄君、登壇〕

○鈴木太雄君 今後のロケット産業の振興や宇宙教育の推進を占う意味で、まず、初号機の打ち上げが無事成功することが何よりも重要であると考えております。

 我々を含め、県民一丸となって、スペースワン社と共にカイロスロケットの打ち上げを応援いたしたいと思います。

 続いて、大項目の2として、行政DXの推進施策について質問をいたします。

 近頃は、あらゆる場面でDXという言葉を耳にいたします。

 このDX、もともとは2004年にスウェーデン、ウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が提唱した概念で、その意味は「ITの浸透が人々の生活をあらゆる面でよりよい方向に変化させる」というものだそうです。

 このエリック・ストルターマン教授が提唱した概念を日本向けに分かりやすく定義したものが、経済産業省が2018年12月に発表したデジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)と言われています。

 つまり、DXという言葉は従前存在していたということになりますが、私たちがこの言葉を意識し始めたのは、昨今のコロナ禍において特別定額給付金の給付に遅れが生じたことや教育現場のオンライン授業をめぐる混乱など、日本の行政サービスや民間におけるデジタル化の遅れが浮き彫りになったことが契機であったように思います。

 世界のデジタル先進国と比べて後れを取っている日本のデジタル化を推し進めるため、今から約1年前の令和3年9月1日、「誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化を」というミッションを掲げ、国、地方行政のIT化やDXの推進を目的としたデジタル政策の司令塔として、デジタル庁が発足いたしました。

 現在では、デジタル庁を中心として、マイナンバー制度やガバメントクラウドなど、デジタル社会に必要な共通機能の整備や地方公共団体の基幹業務システムの統一・標準化などの取組が動き始め、本年6月には、デジタル社会の実現に向けた重点計画が作成されるなど、日本全体、社会全体のデジタル化、DXはますます加速化しており、地域の様々な課題解決につながるものと大いに期待されているところであります。

 社会生活や経済活動におけるDXが世界規模で進展する中、本県においても、この流れに遅れることなく対応して社会全体の変革を促すことで、より暮らしやすい地域づくりや産業競争力の強化を図っていくことが必要ではないかと考えます。

 DX推進に向けた県の取組については、これまでも県議会一般質問等で質疑が行われており、当局からは、令和4年度新政策において、「新しい世界で飛躍する和歌山」の実現を目的としたDX和歌山に取り組むこととし、産業、地域社会、行政、教育をはじめ、あらゆる分野においてDXを推進していく方針が示されております。

 産業、地域社会の取組を強力に支援するとともに、県、市町村が一体となって積極的に取り組むことで、世界規模で加速化しているDXを社会全体で推し進めていくものであり、大変期待するものでもあります。

 我々県議会におきましても、この流れに遅れることなく対応していかなければなりません。

 さて、今回DXについて質問を行うに際し、改めて行政DXについて、私なりに考えてみました。

 行政というものは、地域や産業の発展を底支えしている側面もあり、行政分野のDXを推進することは非常に重要であると考えます。

 また、国立社会保障・人口問題研究所による日本の地域別将来推計人口によると、今後も少子化は止まらず、和歌山県の2045年人口は約69万人まで減少すると推計されています。さらに、年々激甚化する豪雨災害や近い将来発生が危惧されている南海トラフ地震など、大規模災害への対応も求められています。このような中長期的なリスクに対して、行政が機能不全に陥ることがないようにすることも必要ではないでしょうか。

 本年4月には、本県における行政DXを推進し、デジタル技術の活用による県民の利便性向上や行政の効率化を図るため、和歌山県庁DX推進本部が設置されました。

 本部会議資料を拝見いたしましたところ、「行政の在り方を全面的にデジタルに」を前提としたものへと移行することが掲げられております。オンライン化によって手続やサービスがデジタルで完結するようになれば、行政窓口へわざわざ出向くことなく、スマートフォンなどの情報端末で行政手続を完了することが可能となり、県民の利便性は一気に高まります。

 また、職員の業務にDXが浸透すれば、行政のデジタル化が進み、組織資源の有効活用が図れますし、働き方改革、生産性の向上も期待できます。

 そこで、DXをどのように推進していくのか、現状と今後の取組について、市町村DXの支援も含めて総務部長にお伺いいたします。

○議長(尾崎要二君) 総務部長吉村 顕君。

  〔吉村 顕君、登壇〕

○総務部長(吉村 顕君) 議員御質問のとおり、本県が抱える中長期的な変化やリスクに対応するためには、行政DXが不可欠であります。このため、本年4月に県庁DX推進本部を立ち上げました。

 行政手続に係る住民ストレスの最小化、業務全体での時間消費の最小化、場所にとらわれず、チーム主体の働き方に資する業務環境という三つの考え方で、県庁一丸となってDXに取り組んでまいります。

 具体的には、まずは行政手続のオンライン化です。年間100件以上の件数があるものについてはオンライン化の可否を検討し、支障がある場合にはその事由を整理して導入時期を定め、計画的に進めてまいります。秋頃をめどに(仮称)和歌山県行政手続オンライン化整備計画を策定します。

 次に、職員の業務フローを、デジタルを前提としたものへ再構築してまいります。

 昨年度実施した業務量調査の結果を基に、今年度は5業務程度を選定し、デジタル技術を用いることで省力化できる業務を洗い出し、見直しを行ってまいります。

 あわせて、プログラミングの知識がなくてもアプリを作成できるノーコード・ローコードツールを200ライセンス導入し、全所属に配付することで、職員による自発的な業務の効率化を推進します。また、チャット機能を有するアプリを試行的に225ライセンス追加導入し、職員間のコミュニケーションを活性化します。

 加えて、行政事務用パソコンの軽量モデルへの入替えや本庁舎での無線LANの整備を進めており、ペーパーレスでの打合せが実施しやすい環境の整備に取り組んでおります。

 これらにより、職員の時間を企画立案や対人折衝業務など、職員でなければできない業務にシフトし、質の高い県民サービスにつなげてまいります。

 市町村のDXにつきましては、国の施策として、国民の利便性向上に資する子育て、介護等に係る手続のオンライン化や業務基幹システムの標準化の方針が示されております。

 県といたしましては、県庁DX推進本部の下に市町村DX推進部会を設置し、県、市町村の共通認識を図りながら推進してまいります。

 また、県独自の支援策として、二つの取組を進めてまいります。

 1点目は、行政手続オンライン化への支援です。国や民間が提供する電子申請サービスの活用が進むよう、技術者派遣や申請様式のひな形作成などの支援を行ってまいります。

 2点目は、業務再構築への支援です。昨年度、県内市町村に呼びかけて実施した業務量調査の結果を踏まえ、今年度は全市町村に共通して業務負荷が大きい定型業務について、市町村と共にデジタル技術の活用方策を検討し、業務の再構築を支援してまいります。

 本県における行政DXは、以上のような取組に着手したところであり、最終的には、デジタル空間で完結できる行政事務はデジタル空間で完結させることを目指して進めてまいります。

○議長(尾崎要二君) 鈴木太雄君。

  〔鈴木太雄君、登壇〕

○鈴木太雄君 続いて、大項目の3、森林環境譲与税の活用についての小項目1、森林のあるべき姿について質問を始めます。

 本県は、県土の76%を森林が占めています。木の神々がすまう土地として、古くから「木の国」と呼ばれ、それが「紀伊国」の由来となったと言われるほど、木と緑が深い地であります。

 先人は、森林と共に生活をしながら、この地域に根づいた歴史や文化を育み、多様な産業を築きながら、豊かな森林を我々に託してくれました。また、森林は環境保全や土砂災害の防止など、多くの役割を担ってくれているとともに、この地で生産された品質の高い木材は、紀州材として全国各地で利用されるなど、森林資源や特用林産物といった豊かな恵みを我々にもたらしてくれています。

 既に戦後植林された森林資源が成熟期を迎えている中で、長引く木材価格の低迷から林業が衰退し、それに伴い森林に対する関心が薄れ、適切に管理されていない森林の増加や林業の担い手不足など、多くの課題があります。

 「木の国和歌山」が持続可能な地域であり続けるためには、我々は森林資源の循環と保全を両立させ、先人から引き継いだ森林を豊かで恵みある形で後人に引き継がなければなりません。

 そこで、まず小項目1として、県が目指す森林のあるべき姿について、また、課題解決のためには何が必要なのか、農林水産部長にお伺いいたします。

○議長(尾崎要二君) 農林水産部長山本佳之君。

  〔山本佳之君、登壇〕

○農林水産部長(山本佳之君) 議員も申し述べられましたように、森林は、林産物の供給をはじめ、水源涵養、県土の保全、生物多様性の保全、地球温暖化の防止などの多様な機能を有し、県民の暮らしに様々な恩恵を与えてくれるため、県では、森林のあるべき姿として、多様な機能が持続的かつ十分に発揮される状態を目指しております。

 県としては、こうした豊かな森林をよりよい形で後世に継承することが重要と考え、平成23年5月に全国植樹祭を開催し、子供たちの樹木を慈しむ心を育むとともに、県民総参加で木の国和歌山の森林及び樹木を守り育てるため、条例を制定したところです。紀の国森づくり基金を活用し、県民、特に次代を担う子供たちに、森林の重要性についての啓発、教育に取り組んでいます。

 また、県の施策を総合的に推進するため、平成29年度に和歌山県森林・林業総合戦略を策定しました。総合戦略では、森林の機能面に着目し、林業の生産活動を推進する経済林と、森林の公益的機能の維持増進を図る環境林に区分する森林ゾーニングを行い、施策の選択と集中を行っているところです。

 経済林においては、林業の生産性を高め、収益を上げる必要があると考え、高性能林業機械等を活用するスマート林業や路網整備の推進に取り組んでいます。加えて、就業者の確保・育成や紀州材利用の拡大にも取り組んでいます。

 環境林においては、森林の持つ公益的機能の維持増進を図る必要があると考え、森林所有者による手入れが期待できない人工林の整備や、新紀州御留林による公有林化など、森林の保全を推進しています。

 県としては、本年4月に策定しました“新”総合戦略に基づき、さらに施策を進めることで、林業、木材産業の成長産業化や森林の公益的機能の維持増進を図ってまいります。

○議長(尾崎要二君) 鈴木太雄君。

  〔鈴木太雄君、登壇〕

○鈴木太雄君 次に、小項目2、県の森林環境譲与税の活用状況について質問をいたします。

 御承知のように、平成31年4月1日に森林経営管理法が施行され、手入れが行き届いていない杉やヒノキといった人工林の適切な整備を進めていくための森林経営管理制度がスタートいたしました。

 同時に森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律が施行され、森林経営管理制度の推進、担い手の育成や確保、森林の有する公益的機能の維持・発揮を図るための森林の整備及びその促進に関する施策の恒久的な財源として、森林環境税及び森林環境譲与税が創設されました。

 その森林環境譲与税は、令和6年度に始まる森林環境税に先立ち、交付税及び譲与税配付金特別会計における借入金を原資に令和元年度から開始され、私有林人工林面積や林業就業者数、人口による客観的な基準で案分して国から自治体に資金が配分されております。

 また、令和2年3月には、同法の一部改正により、特別会計からの借入れを行わずに地方公共団体金融機構の準備金を活用することで、満額譲与の時期が令和15年度から令和6年度に早まりました。

 そして、森林環境譲与税は、同法34条において、市町村は、森林の整備に関する施策及び森林を担うべき人材の育成及び確保、森林の有する公的機能に関する普及啓発、木材の利用の促進、その他森林の整備の促進に関する施策に、都道府県は、市町村が実施する施策の支援、市町村が実施する森林整備に関する施策の円滑な実施に資する施策に充て、市町村及び都道府県は、森林環境譲与税の使途を公表しなければならないと明記されております。

 こうした中、本県においては、令和2年度ベースで1億4419万2000円が、県下市町村には8億1710万2000円の森林環境譲与税が配分をされ、県においては、林業担い手の育成・確保や市町村への支援を主として活用されております。

 県の令和2年度の森林環境譲与税に関する決算状況によりますと、森林環境譲与税による取組の成果として、喫緊の課題である林業従事者の確保においては、前年度32名であった新規就業者が46名に増加をし、市町村支援におきましては、県内30市町村の8割に当たる24市町において森林経営管理意向調査が実施されるとともに、6市町において森林経営管理権集積計画が作成され、また、一つの町、1町においては、経営管理実施権配分計画が作成されるなど、令和元年度から始まった新しい制度、つまり森林経営管理制度の円滑な実施につながったとされております。

 そこで、小項目2として、本県取組の詳細と令和元年度から令和3年度までの森林環境譲与税の活用状況について、農林水産部長にお伺いいたします。

○議長(尾崎要二君) 農林水産部長。

  〔山本佳之君、登壇〕

○農林水産部長(山本佳之君) 県には森林環境譲与税として、令和元年度から令和3年度までの3年間で約3億9000万円が配分されており、新規就業者の確保対策や市町村支援に活用しています。

 新規就業者の確保対策として、東京、大阪の都市部での林業体感セミナーの開催やSNS等により、紀州林業の情報や魅力を発信しています。

 さらに、市町村やわかやま林業労働力確保支援センターと連携し、仕事、住まい、暮らし等をワンストップでサポートする就業者相談会の開催などを実施し、令和3年度では52名の新規就業者を確保しています。

 また、林業就業前に最先端林業などを学ぶ和歌山県農林大学校林業研修部において、森林3次元計測システムや油圧式集材機など、最先端機器の導入などを図っており、令和4年度で8名の研修生を受け入れています。

 市町村支援として、航空レーザ測量のデータ解析による高精度な森林資源情報を提供するとともに、その活用も含めた市町村職員の実務研修を実施しています。

 その結果、令和3年度末までに27市町村において森林経営意向調査が実施されるとともに、11市町において森林経営集積計画が作成されるなど、森林経営管理制度の進捗に寄与していると考えています。

○議長(尾崎要二君) 鈴木太雄君。

  〔鈴木太雄君、登壇〕

○鈴木太雄君 次に、小項目3、市町村の森林環境譲与税の活用状況について質問をいたします。

 令和元年から2年度に全国の市町村に配られた500億円の使途を総務省と林野庁が調べたところ、228億円は間伐や木材利用促進に使われていましたが、半分以上の272億円が使われずに基金として積み立てられていたほか、全額を基金に積み立てていた自治体が令和元年度で38%、令和2年度は20%あるとのことでした。

 森林面積が少ない自治体ほど基金への積立てが多い傾向にあり、令和2年度の調査結果では、私有林人工林が1000ヘクタール以上の自治体では91%が森林整備などに取り組み、基金への全額積立ての自治体は7%、一方、1000ヘクタール未満の自治体のうち、森林整備に取り組んだのは45%と半減し、基金への全額積立ては、その次に多い36%だったようであります。

 このような調査結果から、現行の森林環境譲与税の配分基準では、人口の多い都市部への配分が多くなることや、森林整備などには使われず基金に積み立てられているなどの問題が指摘され、見直しの動きが本格化しているとのことであります。

 また、林野庁等の公表資料によると、本県の市町村においては、令和元年から2年度ベースで12億160万3000円の森林環境譲与税が配分され、そのうち基金に積まれた額は7億4398万9000円となっています。

 この制度の運用当初は、準備や体制整備などに時間を要し、基金に積まれることも仕方のない部分もあったかと思いますが、譲与開始から今年で4年目を迎えます。

 そこで、小項目3として、令和3年度までの県内市町村に配分された森林環境譲与税の活用状況及び基金積立てに関する県の認識について、また、その基金については、各市町村において計画が策定され、その結果として積まれているのならば理解できますが、そうでない場合、何が原因でしょうか。市町村を支援すべき立場として、どのように分析されているのか、併せて農林水産部長にお伺いいたします。

○議長(尾崎要二君) 農林水産部長。

  〔山本佳之君、登壇〕

○農林水産部長(山本佳之君) 県内の市町村には、森林環境譲与税として令和元年度から令和3年度までの3年間に約20億2000万円が配分されており、そのうち間伐等森林整備に約7億7000万円、木材利用に約1億4000万円、人材育成・担い手対策に約3000万円、計約9億4000万円が活用されています。

 しかしながら、残りの約10億8000万円は基金として積み立てられており、令和6年度から森林環境税の徴収が開始されるに当たり、森林環境譲与税の使途を決めず基金に積み立てることは住民の理解が得られにくく、本税制の存続にも関わる問題であると考えています。

 市町村において、森林環境譲与税の基金積立てが多い要因としては、配分額が少ないところは公共建築物の木造・木質化などに活用するために複数年分を積み立てていることや、令和2年度及び令和3年度における配分額が当初より倍増したこと、また、森林・林業の専門的知識を有した職員が少ないことなどが考えられます。

 このため県では、市町村への積極的かつ具体的な活用の働きかけや県の林学職OBの紹介などを行った結果、令和4年度では、当該年度の配分額以上の事業を執行するため、基金の取崩しを検討するところが増えています。

 しかしながら、まだ約10億円が基金に積み立てられている現状に鑑み、県としては、市町村が森林環境譲与税を有効かつ最大限に活用し、森林の持つ公益的な機能が十分に発揮できるよう、さらに働きかけてまいります。

○議長(尾崎要二君) 鈴木太雄君。

  〔鈴木太雄君、登壇〕

○鈴木太雄君 最後に、大項目の4、紀南地域における企業誘致の現状と取組について質問をいたします。

 企業誘致の主とした目的は、雇用の創出と地域経済の活性化であります。多くの企業に来ていただけることによって、県民の雇用が生まれ、地域に活気が生まれます。働く場があれば、仕事を求めて県外に転出する必要がなくなりますから、人口減少対策としても非常に有効であります。

 仁坂知事が就任以来、企業誘致に力を注がれ、そのかいもあって多くの企業にお越しいただいております。その中でも、紀南地域においては、特にIT企業の誘致が進められてきましたが、今まさに追い風が吹いていると考えております。

 昨今のコロナ禍によるテレワークの普及により、デスクワークであれば場所を選ばず働くことができる時代となりました。

 パーソル総合研究所が実施している新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する調査によりますと、2022年7月の調査で、正社員のテレワーク実施率は25.6%と、コロナ禍の第1波である2020年3月時点の13.2%と比べて12.4ポイントも高い状況となっております。

 今後もテレワークが社会に浸透すれば、そもそもオフィス自体が不要ではないかということになりますが、そういうことは言い切れずに、長引くコロナ禍で、現在、テレワークの弊害も浮き彫りになってきております。

 例として、労務管理が非常に難しい、仕事とプライベートのめり張りがなくなる、上司・部下や同僚とのコミュニケーションが取りづらいといったようなところであります。

 そのため、最近では在宅ワークとオフィス出社を組み合わせたハイブリッド型の働き方を目指す企業も出てきております。ハイブリッド型であれば、オフィスは必要だけれども、テレワークができるため、そのオフィスは東京などの大都市に集中させなくてもよいということになります。

 経営者には、自然豊かで賃料も安い地方のオフィスに本社機能の一部を移転しようという発想が出てきていますし、従業員は、人の多い都心より自然豊かな地方のほうがゆったりと快適な生活を営むことができます。それに加えて、ワーク・ライフ・バランスの改善や生産性の向上等を図る働き方も求められている現在、紀南地方は、自然豊かで首都圏等からのアクセスもよく、県や町が助成して施設整備をしていることからも、オフィスの開設に非常にマッチした地域であります。

 そしてまた、社会情勢の変化といえば、コロナ禍による製造業等の国内回帰への活発な動きであります。製造業の誘致では、京阪神から距離が近い紀北地域において、これまでも和歌山市、紀の川市、橋本市等で続々と工場ができており、非常に好調であると認識しております。

 さらに、橋本市では、あやの台北部用地の造成が進んでおり、工場の立地に拍車がかかるものと期待しております。

 一方の紀南地域においては、昨年、白浜町に本社を置く福原ニードル株式会社が増設を決定するといった喜ばしい動きはありましたが、紀北地域に比べ、工場の誘致件数ではかなり少ないのが実情であります。

 工場の立地は、先ほど申し上げた企業誘致の目的である雇用の創出と地域の活性化、人口流出の歯止めに、ITオフィス以上の効果をもたらします。また、大きなイニシャルコストを要する分、誘致は本当に困難でありますが、一たび立地されれば撤退されにくいものでもあります。

 紀南地域は、京阪神からの距離があることや平地が多くないなどの地理的要因等により、工場の誘致が簡単ではないため、それを補う大きなアドバンテージが必要であると考えています。

 ITオフィスの開設や工場の立地など、今まさに企業の誘致がしやすい環境を得ている。言い換えれば、企業の誘致がなかなか進まなかった紀南地域にとっては千載一遇のチャンスのときを迎えております。

 そこで、社会情勢の変化を十分に踏まえた上で、紀南地域における企業誘致の現状と取組について、商工観光労働部長にお伺いをいたします。

○議長(尾崎要二君) 商工観光労働部長。

  〔寺本雅哉君、登壇〕

○商工観光労働部長(寺本雅哉君) 紀南地域における企業誘致の現状と取組についてお答えします。

 まず、IT企業等の誘致につきましては、新型コロナウイルス感染拡大に伴うテレワークの普及により、首都圏等のオフィスを縮小し、在宅ワークへの切替えやオフィスの地方分散を試みる企業が増えてきております。

 本県ではこの傾向をチャンスと捉え、首都圏等からのアクセスのよさ、全国最高水準の奨励金制度などのビジネス環境の強みや緑ある快適な住環境、万全な医療体制、充実した教育・学校などの安全・安心な生活環境のよさを「New Work×Life Style」として提案しています。

 紀南地域においては、コロナ禍以前より積極的な誘致活動に取り組んでおり、その結果、令和4年8月末時点において、田辺市で5社、白浜町で15社の誘致企業がオフィスを開設している状況です。

 さらなる誘致を図るべく、白浜町に現在整備中である新たなビジネス拠点「Office Cloud9」にも既に1社の入居が決定し、田辺市でも現在交渉中の案件があり、コロナ禍で生まれたチャンスをつかむべく着実に誘致を進めているところです。

 一方、大きな投資が伴う産業として、木質バイオマス発電所の誘致を進めた結果、既に新宮市や上富田町で稼働しているほか、日高港工業団地でも建設が決定しているところです。

 また、製造業の工場誘致につきましても、紀南地域では特に奨励金の交付要件を緩和する措置を講じており、近年では、最先端の電子部品やメリヤス編み針等を製造する企業が工場を増設しました。高速道路の4車線化等により交通アクセスが向上しているため、市町村や民間企業と連携した新たな企業用地の協議を進め、誘致につなげてまいります。

 さらに、ロケットの初号機が年末に打ち上げられる予定であることから、宇宙関連産業の誘致にも積極的に取り組んでまいります。

○議長(尾崎要二君) 鈴木太雄君。

  〔鈴木太雄君、登壇〕

○鈴木太雄君 御答弁をいただきましたが、その中で、令和4年8月末時点において、田辺市で5社、白浜町で15社の誘致企業がオフィスを開設したとのことです。

 IT企業誘致は、コロナ禍において増えているワーケーションとも親和性が高いので、この機を逃すことなく誘致を進めていただきたいと思います。

 また、先ほど質問しました、最初に質問いたしましたスペースポート紀伊に関連して、ロケット関連企業の誘致にも取り組むとの答弁でありましたが、宇宙産業は最先端の技術、英知が集結する産業でもあります。それらの企業が紀南地域に集積し、世界中と交流し、この地を中心として羽ばたいていくという、これまでにないくらいの大きなチャンスでもあります。

 今後の誘致活動には、地元としても全力で応援をさせていただきたいと、このように考えておりますので、実現に向けた県当局のなお一層の取組をお願いし、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(尾崎要二君) 以上で、鈴木太雄君の質問が終了いたしました。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 32番浦口高典君。

  〔浦口高典君、登壇〕(拍手)

○浦口高典君 それでは、質問させていただきます。

 議長のお許しを得ましたので、通告に従い質問させていただきますが、まず、この6月の15日に、仁坂知事が今年11月の知事選には出馬せず、退任されるということを正式に発表されました。いろんな御事情がおありかと存じますが、私は非常に残念に思っております。

 仁坂知事の4期16年の功績については、今さら私が語るまでもございませんが、私自身が特に印象的だったのは、2011年9月の台風12号紀伊半島大水害のときの対応であります。その対応の的確さは目をみはるものがあり、お隣の奈良県と比べて、復旧・復興の迅速さに感心をいたしました。

 また、記憶に新しいところでは、一昨年2月に新型コロナウイルスが和歌山県でも感染が出始めたとき、驚くべき初期対応の速さで感染拡大を抑え込み、「仁坂知事の強力なリーダーシップの下で、封じ込めに成功した」と当時のワシントン・ポスト紙でも評価されたことは周知の事実であります。

 しかし、今期限りで引退を表明されてからの知事は、どこか元気がなく、その足元を見透かしたように、新型コロナウイルス第7波では感染が拡大し、8月19日には2381人と過去最多となったことも事実であります。もちろんオミクロン株の感染力の強さということも関係しているでしょうが、知事の元気のなさにコロナウイルスが付け込み、これだけ感染を拡大させていると感じているのは私1人でしょうか。

 それはさておき、仁坂知事が今期限りで引退を表明された日に、産経新聞の記者から感想を求められ、私が述べたのは、「知事は公平無私な人で、非常に評価している。もう一期やってほしかった」と正直な気持ちを吐露いたしました。今さら知事におべんちゃらを言っても仕方ありませんので、改めてここで申し上げるのは、これは私の本心であります。

 先ほども述べましたように、紀伊半島の大水害、新型コロナ感染の初期対応など、公平無私で県民の皆さんのことを第一に考えないとできなかった仕事であり、私は今でもそのことを高く評価いたしております。

 ただ、県の職員や新聞記者、また、我々議員に対しても、公平無私な立場から、時には厳しく、時には偏ることなく冷たく対応されることもあったかと思いますが、私は、それは知事という職責を全うするための態度、行動であったかと信じております。

 しかし、知事にもう一期やってもらいたかったというのは、決して私が知事のことを好きだとか嫌いだとかいう感情で言っているのではなく、もう一期やって、知事にはやり遂げなければならないことがあったかと思ったからであります。

 それは二つです。

 まず一つは、「健康長寿日本一わかやま」の実現です。それともう一つは、これからの和歌山県のために、経済再生であります。この2点、もう一度知事として戦い続けてもらいたかった。その点、私は残念でなりません。

 しかし、知事にもいろんな御事情がおありでしょうから、ここで知事の口から「引退の取消し、5期目出馬」を引き出そうとは思っておりません。逆に知事が退任されると聞いた瞬間から、私は一議員でありながら、その志を後任の知事に引き継いでいただけるよう、さらに頑張っていかなければならないと覚悟を決めた次第でございます。

 もちろん知事御自身も、まだまだほかにやり残したこと、また、やりたかったことが数々あるかと思いますが、今回、私はこの2点に絞り、質問をさせていただきます。

 その前に、改めて申し上げるまでもなく、私たち議員には、執行権はありません。執行権者はあくまでも行政であり、そのかじ取りをするのが知事であります。しかし、議員はこの議場においての発言にしろ、議決にしろ、一人一人が自らの言動に責任を持たなければならないことは言うまでもございません。

 今回、知事に恐らく最後の質問をするについて、私なりに考え、何度も思案する中で、さきの2点に絞りましたが、その前提として、和歌山県の過去、現在、未来について、やはりふだんから私が申し上げているとおり、政策判断の下敷きとなる和歌山県の人口減少問題から入りたいと思います。

 そして、仁坂知事には、4期16年の経験に基づき、次の新しい知事並びに来年4月に当選する県議会議員に対し、強いメッセージを訴えてもらいたいと思います。

 それでは、まず、資料1を御覧ください。

 これは、和歌山県が最多の人口であった1985年(昭和60年)の国勢調査からと、仁坂知事が就任される前年の2005年(平成17年)の国勢調査からの人口推移、高齢化率、子供(15歳未満)の人口比率、生産年齢(15歳から64歳)の人口比率を表したものと、現在、そして2015年(平成27年)を基準にした今後の人口推計等を表したものであります。

 仁坂知事が就任される少し前でありますが、実は私が初当選した平成15年に初めて質問したときの大きなテーマが「人口激減、どうする和歌山」であります。これは私の県政報告ですが(県政報告を示す)、そのときにこの問題を取上げさせていただきました。当時は木村知事でありましたけれども、一番大きなテーマは今言った「人口激減、どうする和歌山」です。このときの人口というのは約107万人ありました、直近の国勢調査で。今既に、そこに書いているように90万人を切ろうとしております。

 このときの議事録を調べますと、「平成42年(2030年)、つまり今から27年後には、和歌山県は何と88万人と90万人を切ってしまうとされています」と述べておりましたけれども、来年は平成でいうと35年ですから、このときよりかなり速いペースで80万人台に突入するのは容易に想像がつきます。

 さらに、当時の議事録では、「しかも、このときの高齢化率は、和歌山県は33.4%」ということでありました。御存じのとおり、一昨年、つまり令和2年の10月の国勢調査によると、和歌山県の高齢化率は既に33.4%と、これはここでいう平成42年のレベルで、もう既に2年前の令和2年に達しているということであります。つまり、10年早いということです。

 さらに、少子化という観点から見ますと、合計特殊出生率は和歌山県自体、他府県に比べて決して悪くないとはいえ、2019年で1.46人と、人口を維持するのに2.07人必要と言われる中、確実に減少していくことは間違いありません。

 そこで、最近では、皆さんが枕言葉のように言われるようになりましたが、人口減少、少子高齢社会の先進県として、これから和歌山県はどのような方向性を持って政策を進めていけばよいのか、持続可能な活力ある和歌山県をつくることができるのか。仁坂知事、これまでの経験を踏まえて、この際ですから言いたいことをはっきりと言ってください。それが今後の和歌山県のためになると私は確信をしておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 1問目、終わります。

○議長(尾崎要二君) ただいまの浦口高典君の質問に対する答弁を求めます。

 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 少子化、高齢化を伴う人口減少は、地域経済や医療・福祉、教育など、様々な分野に悪影響を及ぼし、自治体の存続まで危うくする可能性があります。

 御指摘もありましたが、就任時、国立社会保障・人口問題研究所推計をベースにした本県の推計人口は、2017年に92.8万人程度になるとされておりました。

 実はその頃、長計を策定していたわけでございます。そのときの最新のデータの人口は、2005年で103.6万人でありましたので、これはもう大ショックの数字であります。こういうのは過去のデータから計量経済学的手法で推計していきますので、私が知事になったとき以前のトレンドがそのまま続くならという数字であります。

 これではならじと長計でいろいろと政策を考えているんだから、それの効果があって、そういう効果が出るはずだから、あるいは出てほしいということではじいたのが、そのときの長計の2012年、これは5年経過したときですが、99.2万人、2017年、これは目標年ですが、97.5万人という数字であります。実際は、98.8万人と94.8万人でしたので、割合、少しはましということでありました。

 こうやって人口減少対策を県政の最重要課題として取り組んできたところでございますけれども、少しは、この長計の期間中、人口減を食い止めたかなあと、でも、目標には少し及ばんなあというのが正直なところであります。

 次に取り組んだのが、私にとって2回目の長計でございました。このときは足元でもっと、1回目よりも大変な事態の変化がもう顕在化しておりました。それは何かというと、高齢人口が、さすがに、長寿命化であまり死ななかったんですけれども、これはもうそろそろ限界だと。だから大量に亡くなる人が出てくるぞということが、計量経済学的トレンド以上に激しくなっていくということが予想されたわけでございます。

 人口減少には自然減と社会減がございますが、特に自然減が拡大することになるわけでございます。出生数が減少していく中で、長寿命化によって死亡者数があまり増加しなかったことで、1995年ぐらいまでは自然増となっておりましたけれども、その後、長寿命化の限界が来て死亡者数が急増し始めて、現在、現状では自然減がどんどん加速をしております。

 人口構造を急に大きく変えるのはなかなか難しいので、当面の自然減は避けられないと考えますけれども、何とか減少に歯止めをかけるためには何をしたらいいかというと、少子化対策でございまして、これに懸命に取り組んでまいりました。

 具体的には、県独自の結婚支援とか子育て世帯に対する全国トップレベルの経済的支援、待機児童ゼロを目指す保育人材確保、医療体制の整備、教育の充実など、子供を安心して産み育てられる環境づくりを進めてまいりました。

 また、紀州3人っこ施策とか、そういう直接、お子さんを持っていただくことに働きかけるようなこともやってまいりまして、その結果と思いたいんですが、合計特殊出生率が徐々に上昇いたしまして、2014年には1.55までいきました。

 ところが、ちょっと伸び悩みの上、残念ながらコロナの影響もあって、2020年は1.43にとどまっているということで、これは満足することはできません。

 社会減については、1990年代前半を除きまして、転出者が転入者を上回り、一貫して減少をしております。その対策といたしましては、雇用の場を創出することが何よりも重要でございます。このため、企業誘致や創業支援、県内企業の競争力強化など、産業政策を充実させてまいりました。加えて、UIターン就職の促進や町なかへの大学誘致など、若者の県内定着促進に懸命に取り組んできたわけでございます。

 また、産業の発展の条件となる高速道路ネットワークとか府県間道路とか県内幹線道路のネットワーク、こういうものもちゃんと進めないといけません。これは一時、民主党政権のときに足を引っ張られましたが、熱心にずっと取り組んでまいりました。

 また、防災、教育、保育、福祉、まちづくり、環境、こういうものも実は産業の立地を決めるときには大いに効いてくるんで、したがって、こういうことも一生懸命やらないかんということであります。

 こうした施策を積み重ねてきたことで、企業誘致では、15年間で264社、3410人、それから、県外大学等への進学率も長らく続いた全国ワースト1位からようやく脱却するなど、一定の成果が表れております。また、高校生の県内就職率もじわじわと高まっております。

 このような考え方に基づき、2016年には、先ほど言いました私にとって2回目の長計に取り組んだわけでございます。このときも国立社会保障・人口問題研究所の推計は、先ほどの高齢者のお亡くなりになる数の増加などを加味しているのでありましょうか、大変厳しく、新長計の目標年度の人口は85.9万人になってしまうとのことでありました。

 そうならじということで、政策で頑張ろうと、2026年に89.4万人でとどめようという計画でございます。

 ちなみに、これはまだ結果は出ておりませんが、2021年という4年たったときの目標、人口推計のあのときの考え方だと92.8万人の目標でございましたが、実績は91.4万人と、食らいついているけども不十分だなということではないかと思います。

 そのように考えて、依然として人口減少が続いており、それから、長計の目標も完全達成というわけにはいかないということでございますので、この流れをがばっと変えてやろうということで、いろんな新しいものに手を出しました。

 既存の施策に加えて、民間ロケット発射場を誘致するとか、新しい投資プロジェクトの誘致に一生懸命取り組んできたわけでございます。

 IR誘致もこの投資プロジェクトの一環でございました。IR事業は、スケールがでかいので、一気に、最終的な試案で4.8万人の新規雇用創出を見込むことができるということがございましたので、私も手を出したというわけでございます。まだまだこれは将来に、県の原案ではなくて、別のやり方で実行してみせるという方もいらっしゃいますから、そのために申し上げますと、仮にこの4.8万人を直近の国立社会保障・人口問題研究所による2030年の本県推計人口に単純に加えて2015年と比較すると、増減率が、和歌山県はなかなかつらいんで、全国で41位になるんですけど、19位へ一気に上がるということになったわけであります。さらにその勢いが、仮に、乗数効果その他で好循環を生むことができたら、もうちょっとよくなったかもしれないということであります。

 人口減少対策は、その効果が表れるまでに長期間を要することから、県民と意識を共有しながら人口減少に向き合い、これまで積み重ねてきた政策を継続するとともに、地域経済を牽引する新しい投資プロジェクトの発掘・推進にも積極果敢に挑んでいくことが持続可能で元気のある和歌山県の実現につながると考えております。

○議長(尾崎要二君) 浦口高典君。

  〔浦口高典君、登壇〕

○浦口高典君 知事、大変詳しい御説明をありがとうございました。全く言われるとおりで、いろいろ御努力されていることはよく分かります。

 私自身、この人口減少問題というのを肌で感じているもんですから、いろいろと調べたんですが、基本的にこれはなかなか止まりませんというか、止まらないです、はっきり言って。それは何かというと、合計特殊出生率、先ほど言いましたけども、1.4か1.5にしようとも、いわゆる2.07人以上産んでも、それは増えない。なぜかというと、私はここでも言いましたけど、少子化問題だけじゃない。少子化問題の一番大きな原因は、少母化問題なんですね。母親の数、子供を産んでくれる女性の数が相対的に地方でどんどんどんどん少なくなってきているんですね。だから、幾ら2.07人を産んでも、小さいままというか少ないままでずっとずっといくもんですから、この人口減少というのは止まらないし、これは別に私自身が知事の責任だと言うつもりはさらさらないんです。ただ、いろんな対策をする中で、知事が就任される、先ほど言いました2005年からこの2022年に、もう既に12.9万人、つまり約13万人が和歌山から消えてしまっているという現状でありますので、そのことを新たに、次にバトンタッチされる方に、私は、またそのことを訴えますけれども、その前提で、これからの政策、施策を進めていただきたい、そのように思っている次第でございます。知事は一生懸命いろいろとされたことは、私は先ほど言いましたように高く評価しておりますので、それだけ付け加えさせていただきます。

 それでは、2問目に行かせていただきます。

 さて、これから先、仁坂知事に、繰り返すようですが、もう一期やってもらいたかった、ぜひ達成、もしくは新たな展開を見せてほしかった2点に入ります。

 まずは、人口減少・少子高齢先進の和歌山県で、和歌山を本気で元気にしたいと思う私が着目したのは、健康寿命の延伸ということであります。

 これは、もともと平成20年4月発表の、先ほどのお話にもありましたが、和歌山県長期総合計画の中で、「健康長寿日本一わかやま」を目指すという一文から来ています。

 その前に、私自身、先ほども御紹介いたしましたように、「人口激減、どうする和歌山」と大きな声で叫んだ手前、じゃあ、おまえはどうするんだと聞かれたときに、自問自答もしましたが、なかなか答えは、当時持っておりませんでした。恐らくこの場にいらっしゃる議員の皆さんもそうでしょうが、地元の選挙区において、有権者の皆さんに対して、「和歌山を元気に」、「地元何々市を元気に」、「何々郡を元気に」と大声で叫んでいらっしゃると存じます。

 しかし、最近では特に、さきに述べたとおり、人口減少、少子高齢化が物すごい勢いで進み、つまり、避けられない現実があります。スピードの違いがあるとはいえ、どこの市や郡でもこの傾向ですし、和歌山県全体を考えれば、全国的に見てトップクラスのスピードで進んでいることは周知の事実であります。

 そこで私が目をつけたのが、さきの「健康長寿日本一わかやま」の実現ということであります。人口減少、少子高齢化、加えて若者の県外流出が続く中で、どうしたら和歌山県が元気を保てるのかと考えたとき、健康寿命の延伸、つまり、年を取っても元気な状態をより長く継続してもらい、地域の活力を保つということをこの「健康長寿日本一わかやま」という言葉ではっと気がつきました。

 しかし、いろいろ調べてみると、和歌山県の健康寿命は非常に短く、要介護認定者の割合も非常に高いということが分かり、少しでもよりよい方向に向かえるように、一人一人の運動、栄養、社会参加、各項目での具体的な提案をし、知事も理解はしてくれて政策をつくってまいりました。

 それが健康推進づくり、ラジオ体操の指導者づくり、ウオーキングの普及やその管理、また、ここ2年ほどコロナ禍の影響でできておりませんけれども、わかやま健康と食のフェスタの来場者の大幅増員、さらに、最近ではシニアエクササイズの普及のためのNPOへの支援、今日は、実は傍聴席のほうに今、和歌山市でシニアエクササイズを指導されているNPO法人わかやまシニア健康センターの山田代表も傍聴に来られております。そのNPOへの支援や100歳大学の設立など、できることは、この壇上で私は全て発言をし、私自身も実践し、市民の皆さんと共に活動をしてまいりました。

 そして、平成29年の県長期総合計画では、知事の肝煎りで「健康長寿日本一わかやま」を「目指す」から「実現する」とまで発信することになりましたが、結果は、この皆さんにお渡しした資料のとおりであります。資料2ですね、見てください。

 私は、今年12月に様々な御事情で退任される知事に、「県民との約束が違うじゃないか」と文句を言い、むちを打つ気はございませんが、もう少し本腰を入れてくれれば、仁坂知事ほどの方であれば、もっとよりよい結果、例えば日本一でなくても、せめて中位以上の結果を出せたのではないかと残念で仕方ありません。

 確かに県民の皆さん一人一人を健康で長生きしてもらうという政策は、理想的であっても、理想であっても、公共工事のように道路を造れば人が通り、公園を造れば人が集まるというような単純なものではありません。当たり前のことですが、県民の皆さん一人一人の意識の向上と、そして、健康長寿のための実践の継続がなければ、結果は出すことはできません。それは資料2を見ていただければ、まだまだ足りなかったことを改めて感じる次第であります。

 そこで仁坂知事に、「健康長寿日本一わかやま」に対するこれまでの思いと、この結果を踏まえて、今後、次の県政を担う者への具体的なアドバイスをぜひ聞かせていただきたいと思います。どうぞ忌憚のない御答弁をよろしくお願いいたします。

○議長(尾崎要二君) 知事。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 県民が健康であることは、本県にとっても、また豊かな人生を送るために個々人にとっても非常に重要なことでございます。

 この目標を長計でどう表現しようかと考えたときに、目標がせこせこしたもんではなくて、目標だから高く掲げたほうがいいなあと思って、少しはできるかと思いながら長計では思い切った表現をいたしましたが、浦口議員には、常に県議会で正しい御指摘をいただいておりまして、現実には、数値の改善が私も大変不満足なので、その都度、寿命が縮んでいるという気がいたします。

 ただ、先ほど議員から、もっとできたんじゃないかというお話がありましたが、実はこれはそうではございません。できると思ったことは全部やったというのが、これは私の力がないということを証明していることかもしれませんが、正直なところです。陸奥宗光の言葉で「他策なかりしを信ぜんと欲す」というのがございましたが、まさにその心境であります。

 浦口議員からも、その中には貴重な御提言などがございました。それをそうだ、そうだということで3倍ぐらいに膨らまして実行したというのもこの中には含まれておりますが、それを御紹介申し上げますと、がん検診や特定健診の奨励など、従来の施策に加え、楽しく運動習慣を身につけてもらう健康づくり運動ポイント事業、ラジオ体操、検診受診率向上や草の根的に健康づくりを推進する健康推進員制度の創設、働く世代の健康づくりを推進するわかやま健康推進事業所認定制度、がんやたばこをはじめとした学校等での健康教育等の啓発、さらには、県民の健康意識の高揚を図るわかやま健康と食のフェスタの開催など、いっぱい取り組んできたところでございます。

 また、保健・医療提供体制を充実することも重要だと考えまして、救急医療やがん医療の充実など、命を守る施策にも積極的に取り組んでまいりました。取り組んでいなかったら、恐らくもっと事態は悪くなっていると思いますが、結果が日本一とは程遠いのは事実でございますので、いつもこれを気に病んでおりまして、議会ごとに御指摘されるので寿命が縮んでいるということでございます。

 ただ、データを詳細に見ると担当職員も言い分がいろいろとあるそうでございまして、それを御紹介しながら政策の説明をさせていただきます。

 議員配付の資料を見ると、要支援1から要介護5までを不健康期間としたもので、男女とも低い状況でございますけれども、平成17年から令和2年への伸びを見ると、男性がプラス2.94年で13位、女性がプラス2.02で16位となっており、男女ともに伸び率では上位になっているんだというふうに主張をしております。

 また、どちらかというと要介護2から要介護5までを不健康期間とすることが世の中では一般的でありまして、その場合、本県は男性が36位、女性が35位となって、議員の資料よりもよい順位となるわけであります。

 ただ、本県における要支援及び要介護1の認定人数が全国平均より多いことは事実でございまして、こうした人が健康を維持し、介護度が進まないようにすることも重要な課題であります。

 そのため、県としては、この課題に最近は重点的に取り組んでおりまして、介護予防を推進するため、和歌山大学と共同で開発した高齢者向け運動指導プログラム「わかやまシニアエクササイズ」の各市町村での普及を支援するとともに、自立につながる適切なプランを検討するための地域ケア個別会議の実施を全ての市町村に拡大させ、ケアプランに適切なリハビリテーションを反映させるなどの自立支援の取組を進めてきております。

 その結果、全国平均の要支援及び要介護認定率が上昇している中、本県はほぼ横ばいでございまして、今後の状況によっては健康寿命の順位がより改善されるということも期待できます。

 なお、健康寿命の別の指標である国民生活基礎調査における日常生活に制限のない期間でも、平成28年は男性43位、女性32位でありましたが、令和元年では男性32位、女性31位と男女ともに改善しているところでございます。

 また、一般社団法人日本リカバリー協会が行った「元気な人が多い」都道府県ランキングで、男女とも和歌山県が日本一となっております。これは、厚生労働省のストレスチェック制度の健康状態項目を基にして、ストレスが少なく元気だと感じている人の割合が一番高いのは和歌山県という調査結果であります。

 人生元気で伸び伸び楽しく暮らすことが何よりであり、そこで日本一というのは、和歌山県として大いに誇ってよいことであるという考え方もあります。ただし、これは主観でありまして、客観的によろしくない状態の前で、主観があんまり楽観的過ぎると改善しようという気にならないので、これがどうかという議論も一方ではあると思います。

 次の県政を担う者への具体的なアドバイスと言われますけれども、御存じのように、健康長寿である長野県においても、約半世紀をかけて健康長寿日本一を実現したものでございます。和歌山県で私がリードしてやってもらったことというのは、あったら直ちに実行しておりますので、後世、やったらどうだなんていうようなことは何一つ今はありません。あったら今やっております。したがって、「他策なかりしを信ぜんと欲す」の心境であるということは、今述べたとおりでございます。

 ただ、長野県の例にも明らかなように、和歌山県の目標実現にはまだまだ遠い状況でございますが、しかし、子供のときから老年期に至るまで、また、健康なときから健康づくりの意識を高めてもらうための健康教育が大切と考えております。そして、県民自ら主体的に健康づくりに取り組んでもらえるような仕組みづくりが重要と考えております。

 加えて、県民に身近な市町村と共に、民間の事業者も参加してオール和歌山で取り組む必要があり、長い時間がかかるかもしれないし、道は険しいが、一歩一歩着実に取り組んでいくしかないと考えております。

○議長(尾崎要二君) 浦口高典君。

  〔浦口高典君、登壇〕

○浦口高典君 知事、どうもありがとうございました。

 いろいろとこの場でも、何度も知事と「健康長寿日本一わかやま」についてお話をさせていただきまして、本当を言うとまだまだ言いたいこと、言わなきゃいけないことはあるんですが、これ以上言って知事の健康寿命を短くしたらいかんので、今回で終わらせていただきたいと思います。ぜひ知事、後々御健康で長生きされるように祈っておりますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、3番目へ移らせていただきます。

 さて、仁坂知事、これが最後の最後の質問であります。

 それは、これからの和歌山県のための経済再生ということについてであります。

 私は、もともと経済について今までこの場で質問したことは少なく、どちらかというと福祉、保健、教育などを中心に、知事にも質問をさせていただきました。

 しかし、初当選以来ずっと言い続けている私の言葉で言うと、人口激減、超高齢先進、また、若い女性の減少による出生数そのものの減少による少子化進展、さらに、要介護認定率が令和元年度まで6年連続日本一、そして、労働人口の減少などを考えると、これからの医療、福祉、教育などの財源をどのようにするのか、よく考えることがあります。

 もちろん、私は、行政の長でもなければ財務の責任者でもありませんが、当たり前のこととして、お金がなければ、これらのことを満足に行っていくことはできません。

 しかも、和歌山の経済は、ENEOSの来秋の操業停止や日本製鉄(旧住友金属)の縮小など、決して将来が明るいとは言えません。もちろん、串本町へのロケット基地誘致や紀の川市へのパナソニックの工場の増設など、明るいニュースもありますが、その規模は、経済的には決して大きいものではありません。

 そこで、これからの和歌山県にとって、稼げる産業を考えていかなければならないと考えるのは私1人ではないと思います。

 人口減少、少子高齢化社会の中で、今後起こるであろうことを考え、それらに対処していくためには、新しい産業をつくり、雇用を生み、収入を上げることで、若者も定着してもらわなければなりませんし、さきに述べたとおり、医療、福祉、教育の財源とする必要があります。

 さて、ここで県全体の経済ということを調べてみますと、この資料3を御覧いただきたいんですが、県内の総生産は、大体年間3兆5000億円前後であります。全国でいうと大体38位から40位ぐらいのランクということになるそうですが、お手元に配付したこの3の資料をじっくり御覧ください。

 この資料には、令和元年度における県内総生産の状況が記載されておりますが、右側の構成比を見ますと、製造業がやはり1番で25.8%、2番目は保健衛生・社会事業10.5%、3番目は不動産で10.1%となっております。以下、卸売・小売業9.7%、5番目は建設業で7.5%と続きますが、それに、私はこれ非常に意外だったんですが、割合として小さいのは、宿泊・飲食サービス業、これには観光も含むそうでありますけれども、2.4%、さらに、農林水産業は1.9%でした。

 依然として製造業に大きく依存する構造となっておりますが、先ほど来言っておりますようにENEOSの撤退や日本製鉄の縮小など、マイナスの要因も大きくなると考えられ、今後、本県の重工業偏重型の産業構造を転換させていかなければならないことは自明の理であります。

 それだけに今回開業すれば、3年後に年間の経済波及効果が約3500億円という和歌山県の県民総生産を10%程度増やすことができたと言われていた和歌山IR計画が本議会で否決されたということは、私自身、これからの和歌山県のための経済再生の大きなチャンスを自ら失ってしまったと今も思っております。

 これまでも企業誘致や新しい業を起こす起業家へのサポートなど、県も一生懸命やっていることは否定いたしませんし、今後も地道に続けていくことは大事でありますが、産業構造を転換させ、和歌山県の経済再生をさせるための大きなエンジンになるかというと、それだけの大きな効果が上げられるとは、残念ながら思えません。

 毎回申し上げるとおり、これから2025年には団塊の世代が皆75歳以上になり、それでなくても和歌山県は要介護認定者が多く特に男性の方で多くなると考えられ、それから13年から15年後の2038年から2040年にかけて、日本の人口減少もピークに達すると言われており、資料1で示すとおり、2045年には、和歌山県は人口68.8万人、高齢化率が40%程度に達するのではないかと言われております。

 これは、先ほど鈴木議員からもお話がありました。実は68.8万人という数字は、前にも御紹介いたしましたが、もっと、本来というか、これはあくまでも国立社会保障・人口問題研究所ですが、日本創成会議によりますと、前の増田寛也総務大臣のところの試算によりますと、大体5年ぐらい早く和歌山の人口が68万人に達するというふうに言われております。労働人口も大幅に減少することが考えられております。

 冒頭の人口減少、少子高齢化、さらに要介護認定率が高い和歌山県においては、医療・福祉の重要性は言うに及ばずでありますが、これからさらに需要の増えるであろう医療・福祉を支えていくためにも財源をどうするか、常に考えていかなければなりません。

 この問題は、もちろん地方というよりも大きくは国の方針でありますが、やはり国だけに頼るのではなく、県も市町村も自ら稼げる競争力のある産業づくりをしていかなければなりません。

 そこで、和歌山IR計画が否決になったことは残念でなりませんが、これからの和歌山県経済をどのように次の知事が方向づけをし、牽引していけば、果たして経済再生ができ、安心して暮らせる和歌山県づくりができるのか、最後に聞かせていただきたいと存じます。

 どうぞ知事、和歌山IR計画を推し進めてきた御本人として、思いの丈を述べてください。

○議長(尾崎要二君) 知事。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 経済再生をどうしたらいいかということなんでございますが、大きな項目で言うと、経済再生というのは経済活動でございますので産業活動。産業活動の前提となる、条件となる環境条件を整えるというのが大事で、その環境条件を整えた上で企業の方々に精いっぱい頑張ってもらうと。もちろん新しい血も導入しながら頑張ってもらうということがその次で、それから3番目に、時代がどんどん変わっていって、新しい動きも出てくるので、それをチャンスと捉えて適切な手を打っていく。全てを、やっぱりみんな論理的な話なんで、きちんと理詰めで考えて説明をしながらやっていくということではないか、そんなふうに思います。

 経済再生のためには、産業活動の環境条件ということを言いました。先ほどもちょっと申し上げましたが、例えば、私が知事になったときの状況でいうと、こんな他県より劣る高速道路とか府県間道路とか県内の幹線道路のネットワークとか都市計画道路とか、こんなもんで民間の方が、他県に負けないように競争しろと言われても、絶対に負けるに決まっとるじゃないかというふうに思いました。それが「コンクリートから人へ」のキャンペーンに私が敢然として逆らった理由であります。

 人が競争に負けて生きていけなくなる和歌山県で、どうして「コンクリートから人へ」と言われても、もうそれはどうしようもないじゃないかということでございます。あのときの動きで5年は遅れましたけれども、その後、様々な方々の御努力で、今は大分人並みになってきておりますので、そういう意味では、環境は大分整ってきたなということであります。最近、立地なんかも大分引き合いが出てきておりますが、これは明らかにそういうところが背景にあるということだというふうに思います。

 しかし、環境条件といっても、交通ネットワークとか工業用水といった従来型の産業に近いところのインフラだけではございませんので、先ほどもちょっと申し上げましたが、医療や福祉、保育所の充実、教育水準、そういうものがよいか悪いか、そういう生活環境も総合的に見られます。したがって、そこはきちんとしておかないと、産業活動の環境条件を整えたことにはならないというのが、もう今の時代の流れだと考えます。

 その中には、例えば若者が集えるような中心市街地のあるまちづくりなんていうのも物すごく重要なファクターになります。私がかつて農地をどんどん転用して都市が広がり、市街地が広がって、中心がなくなったら駄目じゃないかというようなことをかなり強引に主張したのもそういう背景であります。

 こうやって環境条件をよくした中で、県内の企業家の方々に頑張っていただき、また、企業誘致を積極的に行うことで、全体としてうまくいくように一生懸命やってまいりました。

 一方、例えば私が登場する前提になっておりました、背景になっておりました官製談合のような見返りモデル、こういうものを排することは一生懸命やりました。

 これは、こういうのがありますと、その人だけはいいんですけど、ほかの全員が白けてやる気をなくすということになると力が出ませんので、そういうことも環境条件を整えて企業に頑張ってもらえる要件の一つだというふうに思います。

 県内企業には技術開発とか販売促進を支援いたしまして、人材確保にも力を入れてまいりました。加えて、最近特に問題になっておりますが、価格転嫁が進まない等々、あるいはもっと取引条件がむちゃくちゃでというようなことになったら、我が県の中小企業はひどい目に遭いますから、そういうことについての代弁をしながら戦うということも県の仕事だと考えてやってまいりました。

 幸いなことに、若い起業家とか、あるいは革新的な経営者とか、そういう方がいろんな分野でたくさん出てまいりました。最近特に目につくのは農業の分野で、あるいは農産品加工業の分野で、あるいはサービスの分野でそういう人たちがいっぱい出てきて、これは楽しみだなあというふうに思いますし、昔からの老舗企業においても、いろいろな支援策なんかも活用してもらいながら海外進出を図るとか、あるいは新製品を開発するとか、経営をどんどん広げるとか全国展開するとか、積極的に取り組んでくれるようになってきたのは、本当にうれしい限りだと思います。

 新しい産業をつくっていくためには、企業誘致も大切でございまして、製造業も結構数は稼いだんですが、これからの産業ということでICT企業の誘致がようやく本格的に展開できるようになってまいりました。また、パナソニックエナジー株式会社のリチウムイオン電池の量産に向けた増設とか、それから各地で今、続々とできているバイオマス発電も、だんだん大きめのものがどんどんそろってまいりました。ロケット発射場の誘致を契機に、宇宙産業の集積もこれから目指さなきゃいかんということだろうと思います。

 ENEOSについては、脱石油の中で、世界をリードするエネルギー企業として脱皮、飛躍していってもらわないといかんわけですが、そのための事業、そこを和歌山でやってくださいよと言って、一生懸命働きかけているところであります。

 観光産業においては、世界的な評価を、これはたくらみをいろいろとやったんですが、高めてまいりました。また、特色ある農林水産業も振興してきたつもりでございます。

 その中で、今後、コロナの中で起きた新しい動きに対して、これはピンチでもありますが、チャンスでもあるわけでございますので、新しい動きを見極めて対応していかないかんというふうに考えております。

 まず、テレワーク、あるいは都会生活にちょっともう限界を感じたなどという人たちが随分出てきておりますので、ワーケーションも含めて、移住・定住政策も活用しながら、新たな人とか企業を和歌山に連れてくる、そういうことが大事だと思います。

 次に、コロナで製造のラインがずたずたになったというところもあって、これはある程度、やっぱり国内回帰の流れもございますので、パナソニックエナジー株式会社の取組もそうなんですが、それにとどまらず、ほかにもないかということで一生懸命探していかないかんというふうに思います。

 3番目は、コロナで動けないからオンラインだということもその一環ですが、DXであります。これは産業のDXも大事だし、それから行政のDXも大事だし、それからDXそのものを業としている人たちも大いに入ってもらうように頑張っていかないかんということだというふうに思います。

 4番目に、脱炭素化への対応ということがあらゆる分野で起こってくるはずなので、これをどうやって産業で取り上げてどうのこうのというようなことも、いつも我々は考えていかないといけないんじゃないかというふうに思います。

 未来に向けて産業界の課題を洗い出すとともに、常に新しい情報、今、新しい項目を四つ申し上げましたが、そういうことのチャンスなんかも積極的に対応して、和歌山を元気にするために頑張り続けないといけないんじゃないか、そんなふうに考えております。

○議長(尾崎要二君) 浦口高典君。

  〔浦口高典君、登壇〕

○浦口高典君 知事、どうもありがとうございました。

 最後に、「コンクリートから人へ」ということで、非常に、当時のその政党に属している一人としましては大変申し訳ないなと思うんですが、私は本当に公共事業、特に和歌山はまだまだ道路が遅れているんで、やっぱりそこはどんどん進めるべきだと、その持論は変わりません。

 ただ、一つ人口減少ということをずっと捉えてやっていますとよう分かってきたのは、やっぱり道ができた、インターチェンジができたところはどんどん人が抜け出していることも事実なんですね。いきなり移動しなくても、やはり地元で物を買わなくなった結果として、商売が成り立たなくなった、そして若い者が外に出て行かざるを得なくなったということがあることも事実であります。

 いずれにしましても、私は今回このことだけに的を絞ったわけじゃないんですが、和歌山IR計画というのは、非常に私はいまだに残念だったなと思うと同時に、私は決してIRにこだわっているわけじゃないんです。これだけ民間の大きな投資を生み出すような、やっぱりこれからアンテナを高くして、ぜひ行政の皆さんも我々も見定めていかないかんという思いを改めてする次第でございます。

 最後になりますけども、私は仁坂知事がIRによって一つの大きな人の流れとお金の流れを和歌山に引き込もうとした、その姿勢に対しまして、政治家・仁坂を高く評価をいたしまして、私の質問とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(尾崎要二君) 以上で、浦口高典君の質問が終了いたしました。

 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。

 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。

 本日は、これをもって散会いたします。

  午後2時54分散会

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