令和4年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)


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令和4年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号

議事日程 第5号

 令和4年6月14日(火曜日)

 午前10時開議

 第1 議案第76号から議案第89号まで及び報第5号(質疑)

 第2 一般質問

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会議に付した事件

 第1 議案第76号から議案第89号まで及び報第5号(質疑)

 第2 一般質問

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出席議員(39人)

 1番 鈴木德久

 2番 山家敏宏

 3番 中本浩精

 4番 堀 龍雄

 5番 藤山将材

 7番 井出益弘

 9番 北山慎一

 10番 玄素彰人

 11番 中西峰雄

 12番 秋月史成

 13番 森 礼子

 14番 濱口太史

 15番 尾崎要二

 16番 冨安民浩

 17番 川畑哲哉

 18番 玉木久登

 19番 鈴木太雄

 20番 岩田弘彦

 21番 吉井和視

 22番 谷 洋一

 23番 佐藤武治

 24番 岩井弘次

 25番 中 拓哉

 26番 多田純一

 27番 新島 雄

 28番 山下直也

 29番 中西 徹

 30番 谷口和樹

 32番 浦口高典

 33番 山田正彦

 34番 坂本 登

 35番 林 隆一

 36番 楠本文郎

 37番 高田由一

 38番 杉山俊雄

 39番 片桐章浩

 40番 奥村規子

 41番 尾﨑太郎

 42番 長坂隆司

欠席議員(2人)

 8番 宇治田栄蔵

 31番 藤本眞利子

〔備考〕

 6番 欠員

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説明のため出席した者

 知事         仁坂吉伸

 副知事        下 宏

 理事         田嶋久嗣

 知事室長       赤坂武彦

 危機管理監      福田充宏

 総務部長       吉村 顕

 企画部長       長尾尚佳

 環境生活部長     生駒 享

 福祉保健部長     志場紀之

 商工観光労働部長   寺本雅哉

 農林水産部長     山本佳之

 県土整備部長     福本仁志

 会計管理者      中家秀起

 教育長        宮﨑 泉

 公安委員会委員    細江美則

 警察本部長      遠藤 剛

 人事委員会委員長   平田健正

 代表監査委員     森田康友

 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫

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職務のため出席した事務局職員

 事務局長       出津野孝昭

 次長秘書広報室長事務取扱

            浜野幸男

 議事課長       長田和直

 議事課副課長     岩井紀生

 議事課課長補佐兼議事班長

            村嶋陽一

 議事課主任      伊賀顕正

 議事課主任      菅野清久

 議事課副主査     林 貞男

 総務課長       葛城泰洋

 政策調査課長     神川充夫

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  午前10時0分開議

○議長(尾崎要二君) これより本日の会議を開きます。

 日程第1、議案第76号から議案第89号まで及び地方自治法第179条第1項の規定による知事専決処分報告報第5号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、併せて日程第2、一般質問を行います。

 2番山家敏宏君。

  〔山家敏宏君、登壇〕(拍手)

○山家敏宏君 おはようございます。一般質問3日目の朝一番、天気は残念ながら雨でじめじめしておりますが、できるだけ端的にからっとした質問をいたしますので、御静聴のほどよろしくお願い申し上げます。

 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告書に従い、一般質問をいたします。

 最初に、大阪・関西万博に向けての観光客誘客の取組について質問いたします。

 来場予定者数2820万人が見込まれ、世界中の人々が注目している大阪・関西万博の開催まで、残すところ2年10か月となりました。本県では、機運を高めるために4月29日、県民文化会館大ホールにて和歌山県と和歌山県商工会議所連合会主催の2025年大阪・関西万博機運醸成シンポジウムが開催され、私も参加させていただきました。

 シンポジウムでは、自由民主党大阪・関西万博推進本部長、二階俊博先生の基調講演を拝聴させていただき、先生からは、三つの視点からの提案がございました。

 一つ目は、万博会場に来られた世界中のお客様をどうやって和歌山まで来ていただくかという課題。二つ目は交通アクセス、紀伊半島全域、魅力ある地域にお越しいただくために交通体系の整備が不可欠という点。三つ目は、私たちの次の世代を担う子供たちの交流についての提案をしていただきました。先生のおっしゃられた提案は、開催までに取り組むべき課題が浮き彫りになり、感銘を受けたところです。

 そこで、交通アクセスの利便性向上について質問します。

 寺本部長の和歌山県の取組説明の中で、「計画的に進めていく内容にも、広域周遊のための交通アクセスの利便性向上として、鉄道やバス会社など交通機関と連携し、万博会場から和歌山への交通アクセスルートを構築することにより、観光客の受入れ体制を強化します」との説明があり、開催までの力強い意気込みを感じました。

 私は、交通アクセスの向上は最低限必須事項であり、アクセス面向上と誘客向上を兼ね備えたクルーズ船の誘致も重要であります。また、シンポジウムで部長の発言にありました夢のある空飛ぶクルマも誘客効果絶大だと思います。

 そこで、この千載一遇のチャンスを生かすためにも、鉄道、バスの利便性向上への取組状況、クルーズ船及び空飛ぶクルマの誘致の取組状況について、商工観光労働部長の答弁を求めます。

○議長(尾崎要二君) ただいまの山家敏宏君の質問に対する答弁を求めます。

 商工観光労働部長寺本雅哉君。

  〔寺本雅哉君、登壇〕

○商工観光労働部長(寺本雅哉君) 大阪・関西万博は、本県への誘客の大きなチャンスであり、交通アクセスの利便性向上も含め、大阪・関西万博開催までの3年間、集中的に取り組んでいかなければなりません。

 そのため、万博会場から県内各地への直行バスや、万博会場と県内観光をセットにした観光列車の運行誘致に新たに取り組むとともに、従来の京都、関西国際空港から高野山へのリムジンバスや、高野山・熊野聖地巡礼バスなどの二次交通を活用し、広域周遊ルートを構築してまいります。

 加えて、観光MaaSを整備し、スマートフォン一つで交通、観光のチケットの予約、決済、利用を可能とするとともに、多言語の時刻表や広域バス路線図を整備することにより、外国人観光客がストレスなく周遊できる環境を整えてまいります。

 また、クルーズ船の誘致については、これまでも国内外のクルーズ船運航会社等へのプロモーションに取り組んでおり、引き続き、運航会社等に対し、万博と本県への寄港をセットにした周遊プランの提案を行うなど、万博開催の2025年を見据え、計画的に誘致活動に取り組みます。

 さらに、空飛ぶクルマについては、航続距離が短いなど技術が未成熟であるとともに、規制緩和や法整備等が必要であるなど高いハードルがありますが、万博開催期間中の本県への運航実現に向け、国などの関係機関や運航事業者等との協議を進め、本県への誘致が実現されるよう取り組んでまいります。

○議長(尾崎要二君) 山家敏宏君。

  〔山家敏宏君、登壇〕

○山家敏宏君 交通アクセスの利便性向上については必要最低限のことですので、引き続きお願いいたします。また、法整備等が必要ではあります。新たなモビリティーとしての夢のある空飛ぶクルマの誘致に取り組んでいただくとのことですので、課題は多いと思いますが、引き続きお願い申し上げます。

 続いて、小項目2の観光客の早期囲い込みへの取組について質問いたします。

 本県は、仮称・関西パビリオンの中に和歌山県スペースを設置し、そのパビリオンでは本県の圧倒的な自然、歴史、文化と最先端技術を組み合わせたバーチャルリアリティー等を活用した本県の魅力を発信して、実際に本県を訪れてみたくなるような仕掛けを設け、併せて会場内でプレミア和歌山をはじめ県の特産品などを大いにPRしていきたいということをお聞きしております。このことは、本県の魅力をPRする上では大変重要であると私も認識しております。

 しかしながら、例えば、万博を訪れていただいたお客様が2泊3日を万博のみの旅行予定で来ていたとすると、会場で和歌山県の魅力をバーチャルリアリティーなどで知っていただいても、2泊3日を3泊4日に変更して和歌山県観光に訪れるお客様は、かなり時間に余裕のある方であって、物すごく少ないと思っております。

 また、仮に東京から家族旅行のお客様が万博会場で本県の魅力を知っていただいても、次の家族旅行では関西ではなく、また別のところに行く人が多いと考えます。

 本県には、「紀州浪漫」にも掲載されています様々な観光情報、また、日本遺産、新鮮な魚介類等、本県の魅力を挙げれば切りがないです。その魅力を体験していただくために重要なのは、先ほどの部長答弁にもございましたが、万博会場から県内各地への直行バスや、万博会場から県内観光をセットにした観光列車の運行誘致など、新たな周遊ルートの構築を行い、国内外のお客様にかかわらず、万博を訪れる際の旅行プランに和歌山県を組み込んでいただくことが必須事項であります。

 これは、旅行会社に対してのPRも大切でありますし、個人のお客様に対してのPRも重要です。時間的にも限りがありますが、喫緊の課題であると考えております。そこで、国内外観光客の早期囲い込みへの取組について、商工観光労働部長の答弁を求めます。

○議長(尾崎要二君) 商工観光労働部長。

  〔寺本雅哉君、登壇〕

○商工観光労働部長(寺本雅哉君) 大阪・関西万博については、2820万人の来場者が見込まれており、万博会場において和歌山の魅力を発信することはもちろんのこと、開催前から和歌山県の観光情報を発信し、万博来場の際にはセットで和歌山にお越しいただけるよう取り組んでいきます。

 具体的には、インバウンドについては国により嗜好が異なることから、万博と和歌山の周遊プランをターゲットとなる国ごとに作成し、旅行会社やメディアに売り込みをかけます。また、世界的なメディアを活用した情報発信や、サイクリング、ガストロノミーなどのテーマ型ツーリズムの発信を進めてまいります。

 一方、国内観光客に向けてはダイヤモンドイヤーの期間を通じてメディアやSNSを活用した情報発信を行い、機運醸成に努めるとともに、多様なニーズに応えられるよう地域と一体となって商品開発等を行ってまいります。

 また、首都圏や大都市圏の旅行会社等を訪問し、万博と和歌山を組み合わせた旅行商品造成について働きかけ、併せて誘客プロモーションも展開してまいります。

 さらに、ほんまもん体験を活用した修学旅行の誘致に積極的に取り組むなど、幅広い層に訴求していくよう努めてまいります。

○議長(尾崎要二君) 山家敏宏君。

  〔山家敏宏君、登壇〕

○山家敏宏君 先般、テレビ番組で、日本は世界の富裕層向けの旅行について対応が遅れているという報道がなされておりました。富裕層向けのプランを本県がいち早く提案して囲い込むことも有効だと考えております。開催まで2年10か月と残り少ない期間ではありますが、県民のために知事及び部長を先頭に、官民一体での取組を引き続きよろしくお願い申し上げます。

 続いて、大項目2のわかやまリフレッシュプランについて、リフレッシュプランSの販売状況及び追加募集に至った原因について質問いたします。

 わかやまリフレッシュプランSは、総額約34億3600万の予算で実施中であり、本県のリフレッシュプランの4回目となり、令和2年7月開始当初から県民の皆様の関心が非常に高い事業であります。

 私自身、県民の皆様からの問合せが多く、正確に答えるために何度も担当の職員さんから個別に説明をしていただきました。当初3回分については、ネットにつながらない、つながっても購入できない等のお声を多くいただいたのを覚えております。3回分の問題点を解決する方法として、公平に県民の皆様に行き渡るように、今回のSについては当初から抽せん販売にて行うとの方針でした。

 しかし、残念なことに現在では、令和3年12月27日から、空白期間はございますが、令和4年4月27日締切りの5次抽せんまで行い、それでも残っているため、5月2日からは先着順に切り替えざるを得なくなっているのが現状であります。

 売れ残っている要因は、複合的な要因があると思いますが、現時点での販売状況、追加募集に至った原因について、商工観光労働部長の答弁を求めます。

○議長(尾崎要二君) 商工観光労働部長。

  〔寺本雅哉君、登壇〕

○商工観光労働部長(寺本雅哉君) わかやまリフレッシュプランSについては、4月1日から県民による県内旅行を対象とした県民割を開始するとともに、隣県・ブロック割については、府県間の同意ができたところから順次対象地域の拡大を行いました。具体的には、5月9日から徳島県、滋賀県を、5月13日から三重県を、6月1日から京都府、大阪府、兵庫県、奈良県を対象に拡大したところです。

 次に、販売状況については6月12日時点において県民割で約3億円の販売実績であり、執行率は約30%、隣県・ブロック割で約1.5億円の販売実績であり、執行率は約15%となっています。また、県民割の電子チケットの追加募集については、当初予定枚数に達しなかったため複数回の追加抽せんを実施し、5月2日からは先着順での販売としているところです。

 予定枚数に達しなかった要因については、4月1日からのキャンペーン開始以降も新型コロナウイルス感染症の新規感染者数が若干ですが増加傾向にあったことや、観光庁から示された地域観光事業支援の補助要件として、当初の利用期間が1か月と短かったことに加え、以降も1か月ごとの短期間の延長が繰り返されたこと、また、4月29日から5月8日までの大型連休期間が対象外とされたこと等、複合的な要因によるものであると考えております。

○議長(尾崎要二君) 山家敏宏君。

  〔山家敏宏君、登壇〕

○山家敏宏君 部長の答弁のように、新型コロナの感染状況により数回にわたる期間の変更等、様々な要因があると私も考えております。また、度重なる国の期間の変更等で職員の皆様も大変御苦労されたことは理解しております。

 しかし、いろいろな場所で県民の方にお会いすると、まだリフレッシュプランやっているのかとの質問もいただくことが多く、情報が行き届いていないのが現状であると考えております。通常であれば新聞掲載もありますけども、度重なる変更で変更時の新聞掲載もない状態が多かったと思います。広報の方法も今後は専門家に入っていただくのも有効だと考えます。

 それと、これは本県だけではないのですが、リフレッシュプランの3回目ですと、例えば1泊2万円の宿泊費がクーポンを差し引けば実質負担8000円、60%オフで宿泊可能でしたが、Sの場合は実質負担1万3000円、35%オフになってしまうことから、上限額の面でも難しかったところはあると思います。成功した要因、うまくいかなかった要因を知ることは、次の成功につながると私は思いますので、県民の皆様のために担当職員の皆様に引き続き御尽力いただきますようお願い申し上げます。

 続いて、小項目2の今後のリフレッシュプランの予定について質問いたします。

 6月9日の読売新聞オンラインの記事によりますと、「政府は来月にも、都道府県が実施している旅行の割引キャンペーン(県民割)への財政支援について、対象とする旅行先を近隣県から全国に広げる方向で調整に入った。新型コロナウイルスの感染状況が落ち着きつつあることから、観光需要の喚起による経済活性化に軸足を移せると判断した。6月末までが期限だった県民割の延長と合わせ、月内に発表する」との記事でしたが、本県の今後のリフレッシュプランの予定について、商工観光労働部長の答弁を求めます。

○議長(尾崎要二君) 商工観光労働部長。

  〔寺本雅哉君、登壇〕

○商工観光労働部長(寺本雅哉君) 現時点では、観光庁から7月以降の具体的な取扱いについて示されていないものの、全国的な観光需要喚起策の方針が決定次第、遅滞なく都道府県版GoToトラベル事業等の必要な事業を実施できるよう、事務局の選定手続を進めることが求められているところです。県としましても、観光庁からの方針が示され次第、速やかに事業実施できるよう準備を進めてまいります。

○議長(尾崎要二君) 山家敏宏君。

  〔山家敏宏君、登壇〕

○山家敏宏君 まだ国の情報がないということですので、答弁にもありましたように、動きがあれば迅速に対応をお願いいたします。

 児童虐待の現状と対策について質問いたします。

 近年、虐待によって亡くなった子供のニュースをよく目にします。ニュースを見るたびに、何でこんなことをするのか理解に苦しみ、いら立ちと腹立たしさでやりきれない気持ちになります。

 国の2020年度児童虐待相談件数は20万5044件と過去最多で、年々増加傾向にあり、特に増加しているのは心理的虐待やネグレクトなどの目に見えない虐待であり、同年度、実の親による虐待の割合は88.7%とあり得ない数字となっており、全国では、虐待で命を落としてしまう子供、また、虐待が原因で親元を離れ、児童養護施設で暮らしている子供たちが後を絶たないのが現状です。

 国では、児童虐待の相談対応件数の増加など、子育てに困難を抱える世帯がこれまで以上に顕在化してきている状況等を踏まえ、子育て世帯に対する包括的な支援のための体制強化を行うために、6月8日に改正児童福祉法が参議院本会議で全会一致により可決、成立いたしました。

 概要については、子育て世帯に対する包括的な支援のための体制強化及び事業の拡充、一時保護所及び児童相談所による児童への処遇や支援、困難を抱える妊産婦等への支援の質の向上、社会的養育経験者・障害児入所施設の入所児童等に対する自立支援の強化、児童の意見聴取等の仕組みの整備、一時保護開始時の判断に関する司法審査の導入、子ども家庭福祉の実務者の専門性の向上、児童をわいせつ行為から守る環境整備です。

 児童虐待をなくすことは、全国的に喫緊の課題であります。そこで、本県においての児童虐待の現状と対策について、福祉保健部長の答弁を求めます。

○議長(尾崎要二君) 福祉保健部長志場紀之君。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 県内児童相談所における児童虐待相談対応件数については、平成27年度以降毎年増加しているものの、令和元年度の1691件以降は微増の傾向に転じており、令和3年度の件数は1792件、対前年度では3.8%の増となったところです。

 虐待種別としては、言葉による脅かしなどの心理的虐待の割合が最も高く、子供が同居する家庭におけるDVを心理的虐待として通告されるケースなどが多いと考えられます。

 このような増加する児童虐待に対応するため、市町村、教育機関、警察などの関係機関との緊密な連携の下、児童相談体制の強化を図ることにより、虐待の発生予防、早期対応から家族の再統合、自立に至るまで切れ目のない取組を進めていく必要があります。とりわけ、児童を虐待から守るために、地域が協力して子供と家庭を支える体制を整える必要があります。

 そこで、県が設置する児童相談所と市町村との役割分担を明確化するため、県内全市町村と和歌山の子・みまもり体制に関する協定を平成30年12月までに締結し、地域における子供の見守り体制の強化を図っています。

 また、緊急性、リスクが高い案件に対応する児童相談所においては、県内2か所の児童相談所を合わせて平成30年度は30名であった児童福祉司を45名に、児童心理司については13名から19名に増員し、職員の専門性向上を図る研修を実施するなど、その体制強化に努めているところです。

 今後とも、引き続き市町村など関係機関と連携した地域における子供の見守り活動を継続するとともに、児童虐待防止対策の一層の強化を図ってまいります。

○議長(尾崎要二君) 山家敏宏君。

  〔山家敏宏君、登壇〕

○山家敏宏君 本県の相談件数が令和3年度1792件と微増の傾向にありますが、一概に相談件数増加が児童虐待の増加に直結するわけではなく、今まで見つけることができなかった虐待が明るみに出て、救える子供が増加したという側面もあると思います。引き続き、見守り体制の強化をよろしくお願いいたします。

 また、政府が重要法案と位置づけるこども家庭庁の設置法案は、明日15日、参議院本会議で採決の予定となっております。この法案が可決し、施行されることにより、子育てに関しては国の縦割り部分が一部解消し、少子化対策、児童虐待、貧困、ヤングケアラー等の課題への法整備の対応も早くなると期待しているところです。

 本県においては、子育て支援に関しては、縦割り行政ではなく、各部局と連携を密に取り組んでいただいていると聞いておりますので、その部分については安心しております。児童虐待に関わる担当職員の方々は、日々精神的に大変であるとお察しいたしますが、引き続き自分たちが子供たちを守っているという誇りを持って取り組んでいただきますよう切にお願い申し上げ、次の質問に移ります。

 続いて、大項目4の燃油高騰対策について、漁業に対する支援策について質問いたします。

 ここ数年、原油価格や資材高騰、原材料費の高騰が続き、産業のみならず一般家庭にも多大な影響が出ています。原油価格高騰の理由については、円安、アメリカの金融政策、決して許してはならないロシアのウクライナ侵攻等、様々な理由があると考えられています。

 本県も、この原油価格高騰に対しての支援策として今議会にバス・タクシー原油価格高騰対策支援5989万2000円、和歌山県配合飼料価格高騰緊急対策支援金1億5016万8000円、和歌山県施設園芸用燃油価格高騰緊急対策支援金3億4719万1000円が上程されております。これらの支援策は、重要な支援策だと考えております。

 しかし、この原油価格高騰の支援策には、本県の重要な一次産業である漁業が含まれておりません。漁業に対して様々な国の支援策も利用していると考えますが、現状の漁業に対する支援策について、農林水産部長の答弁を求めます。

○議長(尾崎要二君) 農林水産部長山本佳之君。

  〔山本佳之君、登壇〕

○農林水産部長(山本佳之君) 燃油価格高騰に対する国の支援策について、まず、農林漁業者に対しては、軽油引取税の免税や重油の石油石炭税の免税または還付措置があります。その上で漁業者に対する支援策については、漁業者と国が資金を積み立て、価格が基準を超えた場合にその積立金から漁業者に補塡する漁業経営セーフティーネット構築事業があります。

 本事業は、過去7年の燃油価格のうち、最高、最低の2年を除いた5年間の平均価格を上回った際に、価格上昇分を積立金から漁業者に補塡するものです。補塡金の負担割合については、燃油価格が高騰するほど国の負担割合が高くなり、2分の1から最高で4分の3が国の負担になり補塡されます。

 県としましては、漁業者の経営安定を図るため、引き続き国の支援制度について周知や加入促進に努めるとともに、金融機関からの運転資金の借入れに対する利子補給等を行う漁業振興資金制度も用意しており、さらなる燃油価格の高騰に備えています。

 今後とも、和歌山県漁業協同組合連合会や漁業協同組合と連携して経営状況の把握に努めるとともに、国の動向を注視してまいります。

○議長(尾崎要二君) 山家敏宏君。

  〔山家敏宏君、登壇〕

○山家敏宏君 漁業に関しては以前にも数回一般質問をさせていただいておりますが、県と漁業者の方々の連携、またIT化、ブランド化等、方法次第ではまだまだ伸びていく、また伸ばしていかなければならない一次産業ですので、引き続き漁業者との密な連携をお願い申し上げます。

 それでは、最後の質問です。

 施設園芸農家に対する支援策について質問いたします。

 施設園芸農家に対する燃油価格高騰対策については、以前から農林水産省の施設園芸等燃油高騰対策がございますが、補塡積立金の納入条件は、対象者の要件が農家3戸以上または農業従事者5名以上、また、支援対象者は3年間で燃油使用量の15%以上削減する省エネ目標と目標達成に向けた取組を設定という条件を満たせば加入できる制度です。

 この制度のみでは、今般の燃油価格高騰に対しては十分でないと聞いております。そのため、今回、施設園芸農家を支援するための県事業として、和歌山県施設園芸用燃油価格高騰緊急対策支援金3億4719万1000円を上程していると思います。

 私は、さきに述べた漁業も農業も本県にとって重要な一次産業であるとの考えです。そこで、この異常な燃油価格高騰に対応するための施設園芸農家に対する支援策について、農林水産部長の答弁を求めます。

○議長(尾崎要二君) 農林水産部長。

  〔山本佳之君、登壇〕

○農林水産部長(山本佳之君) 施設園芸農家への支援については、現在、国の燃油高騰対策として、国と農業者が1対1の割合で原資を積み立てた上で価格高騰分を補塡するセーフティーネット制度があります。今般の高騰により農家負担はますます大きくなっているため、国の制度とは別に、県では施設園芸用燃油価格高騰緊急対策支援金として、補正予算案に約3億5000万円を計上しているところです。

 具体的には、今年秋から冬にかけて施設園芸用の燃油価格が過去7年間の最高、最低の2年を除いた5年間の平均価格を上回った際に、価格上昇分の4分の1相当を補塡するもので、国の制度と合わせると合計4分の3が補塡されることになります。なお、国の支援制度に加入されていない方に対しては、現在、参加申込みを受け付けており、多くの農業者が参加できるよう周知を図っているところです。

 今後とも、国の制度を基本に県の支援策をうまく組み合わせて、施設園芸農家の経営の安定を図ってまいります。

○議長(尾崎要二君) 山家敏宏君。

  〔山家敏宏君、登壇〕

○山家敏宏君 この県事業をきっかけに国の制度にも加入していただくよう引き続きの周知をお願いし、私の一般質問を終了いたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(尾崎要二君) 以上で、山家敏宏君の質問が終了いたしました。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 29番中西 徹君。

  〔中西 徹君、登壇〕(拍手)

○中西 徹君 皆さん、おはようございます。山家さんと違い、私、今回、からっとした質問になりませんけども、どうぞ皆さん、よろしくお願いします。

 それでは、早速ですが、議長の許可を得ましたので、一般質問を始めます。

 まず、大項目1、農業者への支援についてをお伺いします。

 全国農業協同組合連合会(JA全農)は、5月31日、6月から10月に販売する肥料の価格について、前期──令和3年11月から令和4年5月──に比べ最大94%値上げすると発表しました。ロシアがウクライナに侵攻し、主要輸出国である両国からの輸出が停滞するなど、世界的に需給のバランスが崩れたため、肥料原料の調達の先行きに不安が高まっている状態です。輸入の尿素は94%、塩化カリウムは80%、複数の成分を組み合わせた高度化成肥料は55%、それぞれ値上げとなり、全農は過去に経験したことのない大きな値上げになるといいます。

 日本は、肥料原料の多くを輸入に依存しています。塩化カリウムはロシアとその友好国のベラルーシが主要な産地で、経済制裁により供給が滞っており、リン酸アンモニウムも輸入の大部分を頼っていた中国が輸出手続を厳格化したため調達が停滞、尿素はエネルギー価格上昇で高騰し、輸送費の値上がりや円安も響いているということです。肥料価格の高騰はまだまだ続くのではないかと、出口が見えない現状となっています。

 そのような中で、和歌山県では、この6月議会補正予算において、原油価格や原材料費の高騰対応分として、和歌山県配合飼料価格高騰緊急対策支援金として約1億5000万円の補正予算が組まれています。これは、国の配合飼料価格安定制度に上乗せをして畜産農家を支援するための施策です。

 また、和歌山県施設園芸用燃油価格高騰緊急対策支援金として約3億4700万円の補正予算が組まれています。これは、国の施設園芸燃油価格高騰対策に加えて県独自に高騰分の一部を支援する施策となっています。両方に感謝します。

 ただ、農業者全体が原油価格の高騰や円安などによる急激な肥料価格の高騰の影響を受けている中、畜産や施設園芸には当てはまらない農家支援政策も必要ではないかと考えます。これから、じわりと肥料価格高騰の影響が出てくると思われます。

 そのような中で、福岡県では、この6月議会補正予算で肥料の購入経費支援として、円安などによる急激な肥料価格高騰の影響を受ける農業者に上昇分の2分の1を助成する予算を上程し、既に可決されています。予算額22億3300万円です。また、福井市では肥料購入費の10%を補助する対策を始めました。

 今後、和歌山県でも肥料価格高騰の影響が出てくると思われ、農産物のほとんどが生産コストの上昇分を販売価格へ転嫁できないため、生産者の負担は膨らむ一方になります。肥料価格高騰の影響を受ける農業者へ何らかの支援を実施すべきであると考えますが、農林水産部長のお考えをお伺いします。

○議長(尾崎要二君) ただいまの中西徹君の質問に対する答弁を求めます。

 農林水産部長山本佳之君。

  〔山本佳之君、登壇〕

○農林水産部長(山本佳之君) 議員御指摘のとおり、肥料をめぐる情勢は化学肥料原料の多くを輸入に依存する我が国にとって非常に厳しい状況にあり、今般の肥料価格の高騰は先が見通せず、農業生産に及ぼす影響について県としても危機感を持っています。

 このような中、国は肥料コストを低減できる生産体制を構築するため、土壌診断に基づく適正施肥などの取組を支援しており、本県においてもJAグループと対策協議会を設置して事業推進しているところです。

 さらに、国では、肥料原料の調達が困難となっていることに対し、調達国の変更による輸送費の増加など、掛かり増し経費に対する支援も実施されています。また、先日、政府から食料安全保障の強化を盛り込んだ骨太の方針が打ち出され、現在、農林水産省において肥料価格高騰への対策の構築について検討が進められております。県としましても、新たな対策が打ち出された際には迅速に対応できるよう、引き続き国の動向を注視してまいります。

○議長(尾崎要二君) 中西 徹君。

  〔中西 徹君、登壇〕

○中西 徹君 答弁ありがとうございます。

 6月9日の日本農業新聞にも、肥料高への緩和策の動きがあるように掲載されていました。県も国の動向に注視してまいるということですが、今回の二つの緊急対策支援金もともに新型コロナウイルス感染症対応の地方創生臨時交付金からの予算となることですし、他県も行っているように、県独自で肥料高に対する支援策も考えていかれることを要望して、次の質問に移ります。

 次に、大項目二つ目の国民健康保険の安定的な財政運営に関する取組についてお伺いします。

 まず、1項目めの国民健康保険の保険者努力支援制度の実施結果について質問します。

 保険者努力支援制度とは、平成27年の国民健康保険法等の改正により、保険者──都道府県、市町村──における医療費適正化に向けた取組等に対する支援を行うため、保険者の取組を点数化し、それに応じ国が交付金を交付する制度として平成30年度より本格実施されています。

 点数化においては、評価指標に基づき実施され、都道府県分では市町村指標の都道府県単位評価、医療費適正化のアウトカム評価、都道府県の取組状況の評価、市町村分では特定健診・保健指導、糖尿病等の重症化予防、個人インセンティブ、後発医薬品の使用促進、保険料収納率、第三者行為求償の取組などが評価指標となり、結果については公表される仕組みとなっています。

 私は、令和2年2月定例会において国民健康保険制度改革に伴う医療費適正化の質問をし、保険者努力支援制度と第三者行為求償事務の取組状況についてお伺いし、御答弁をいただきました。

 そこでまず、その後の保険者努力支援制度の実施結果についてお伺いしたいのですが、前回の質問当時の令和2年度交付分の和歌山県の獲得点数の順位は、都道府県分では全国4位、市町村分では36位となっていました。その後、令和3年度交付分は、都道府県分が引き続き4位、市町村分が33位でしたが、令和4年度の交付分は、都道府県分が45位、市町村分が44位と、大きく順位が下がっています。

 厚生労働省のホームページによりますと、都道府県分の得点については、令和4年度交付分は119点で、令和3年度の213点より94点も減少しています。和歌山県の1人当たりの医療費水準は全国平均並みであったと思いますし、和歌山県や県内市町村が医療費適正化の取組をサボっているようには思えませんが、他府県と比べてその取組が熱心に行われていないのではないかと考えさせられてしまいます。

 このように急激に評価が落ちた原因は何なのか、また、この結果を踏まえ、どのような取組を行っていくのか、福祉保健部長にお伺いします。

○議長(尾崎要二君) 福祉保健部長志場紀之君。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 議員御指摘のとおり、保険者努力支援制度の令和4年度交付分の評価点が都道府県分は前年度より94点減少し、全国順位も下がっております。都道府県分の評価点が減少した主な要因は、医療費水準の関係で50点、市町村の法定外繰入れの関係で25点、得点できなかったことによるものです。

 まず、医療費の関係では、本県の医療費水準は全国平均並みで推移していますが、1人当たり医療費は、令和3年度交付分の平成30年度医療費では全国平均の36万1000円より約4000円低かったことに対し、令和4年度交付分の令和元年度医療費では全国平均の37万2000円より約1000円高くなりました。これにより、医療費水準が全国平均より低いことと、1人当たり医療費の前年度からの改善率が全国上位5位以内であることという評価指標に該当しなくなり、得点できませんでした。

 次に、市町村の法定外繰入れの関係では、平成30年度以降、1町だけが法定外繰入れを行っている状況ですが、令和4年度交付分の令和2年度決算について、評価指標が全ての市町村で繰入れが解消されていることに変更されたことにより、得点できませんでした。なお、法定外繰入れを解消できていない1町については、解消に向けた計画を策定し取り組んでおり、令和5年度に解消する予定となっています。

 一方、市町村分の順位が下がった主な要因は、特定健診の受診率向上や後発医薬品の使用促進等の項目について、全国平均より得点できていないことによります。

 いずれにしましても、住民の将来にわたる負担が増大しないように医療費適正化を進めていくことが保険者努力支援制度の評価点の向上にもつながることから、医療費の抑制に直結する糖尿病性腎症の重症化予防や後発医薬品の使用促進、特定健診の受診率向上等に引き続き取り組んでまいります。

○議長(尾崎要二君) 中西 徹君。

  〔中西 徹君、登壇〕

○中西 徹君 答弁ありがとうございます。

 順位が落ちた分析もされており、今後取り組まれていくということなので、よろしくお願いします。

 保険者努力支援制度は、取組の有無を評価する部分と、その取組の成果を評価する部分があると思いますが、実際、医療費の成果指標は予測やコントロールが難しい中、なかなか課題もあると考えますが、いずれにしても1人当たりの交付金額に大きく関係してくることですので、引き続き取組のほうをよろしくお願いします。

 続いて、保険者努力支援制度の評価指標にもなっています第三者行為求償事務の取組状況について質問します。

 第三者行為求償とは、簡単に言いますと、例えば、交通事故で被害者がその治療に国保などの医療保険を利用した場合、その診療報酬は保険者から医療機関に支払われますが、本来、その費用は加害者である第三者が被害者に対する損害賠償として負担すべきものであるため、保険者が被害者の損害賠償請求権を代位取得し、第三者に請求できるというものです。また、被害者である被保険者は、保険者に第三者行為による傷病届を提出することが義務づけられています。

 和歌山県国民健康保険運営方針が令和3年に改定され第2期となっていますが、その中で、第三者行為求償事務の取組強化に資する取組の実施に努めるとされています。令和2年に質問した際には、傷病届の提出義務の周知の徹底を図ることや、第三者行為求償事務のスキルアップのための研修の実施、対象事案の確実な把握等に取り組むと答弁をいただきました。

 こうした取組がしっかりと行われていると思いますが、和歌山県における交通事故の実績件数から第三者行為求償すべき件数の国保分を推計し、第三者行為求償の実績件数と比較してみますと、なお求償できない事案が相当数あると思われますし、各市町村の求償実績についてはかなりのばらつきがあるようです。

 そこで、福祉保健部長にお伺いします。

 保険者への指導はどのように行っているのでしょうか。また、求償漏れなどへの対応はどのように考えているのですか、お答えください。

○議長(尾崎要二君) 福祉保健部長。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 第三者行為求償事案を確実に把握するためには、被保険者本人による傷病届の提出が何よりも重要であることから、啓発ポスターや県民の友、県ホームページ等の活用により、傷病届の提出義務について周知に努めています。

 市町村に対しては、国民健康保険証の更新時など、被保険者と接する様々な機会を捉えて、傷病届の提出義務について周知啓発に努めるほか、消防などの関係機関との情報提供に関する協力体制づくりを着実に進めるよう指導しております。

 また、第三者行為求償事案の約9割を占めている交通事故については、平成28年3月に、和歌山県国民健康保険団体連合会と損害保険関係団体との間で市町村への傷病届の代行提出について覚書が締結され、傷病届の提出の促進が図られています。

 その結果、本県の交通事故死傷者数に占める国保の第三者行為求償件数の割合は、平成30年度では13.4%で全国平均の5.2%を8.2ポイント上回っておりましたが、令和2年度速報値では本県は17.3%で、全国平均の6.0%を11.3ポイント上回っており、全国1位となっております。

 今後とも第三者行為求償事務の責任主体である市町村が適切に権利を行使し、保険者本来の役割を果たすことができるよう、和歌山県国民健康保険団体連合会が主催する研修会に積極的に参加するなど専門知識の向上を図り、確実に求償事務に取り組むよう指導してまいります。

○議長(尾崎要二君) 中西 徹君。

  〔中西 徹君、登壇〕

○中西 徹君 覚書の中でも義務規定になっている傷病届の提出義務の周知徹底をより一層図られるよう、取組のほう、よろしくお願いします。

 次に、大項目3、訪日観光客の地方誘客促進についてお伺いします。

 まず、訪日観光客再開の受入れ環境についてでございます。

 政府は、6月1日、新型コロナウイルス感染症の水際対策を緩和し、1日当たりの入国者数の上限を従来の1万人から2万人に引き上げました。6月10日には、観光目的の訪日外国人についても、その枠内で受入れを一部再開しています。

 受入れ再開に先立ち、米国、オーストラリア、タイ、シンガポールから少人数のツアー客を受け入れる実証実験を実施、国の威信をかけた実証実験で対策には万全を期していましたが、受け入れた外国人ツアー客1人が滞在中にコロナ感染となりました。感染経路が全く分からない状況だということです。

 観光庁も6月7日には外国人の受入れ対応に関するガイドラインを公表しましたが、私は、感染をゼロにはできないと考えます。重要なのは、医師も言われていますが、一つは訪日客とともに海外から新たな変異株の流入を防ぐことであり、国は海外の変異株情報に注意し、変異株の発生が確認されれば当該国からの受入れを停止するなど、柔軟に対応する必要があると考えます。

 これまで水際対策緩和を求め続けてきた観光関連業界は、訪日客による消費額が令和元年は4.8兆円に上り、半導体などの電子部品の輸出額4兆円を上回る日本経済の大きな柱と訴えてきました。それだけに、今回の訪日外国人受入れの緩和の期待は大きいと考えます。ただ、入国者数の上限を引き上げましたが、現時点では航空需要の動向に大きな変化はまだ出ていない中で、観光関連業界や専門家などからは、追加緩和を求める声も上がっています。

 私は、より幅広い地域から訪日観光客を呼び込むこともインバウンド需要の持続性に対し重要ではないかと考えます。政府も入国者数の上限を緩和してきた中で、和歌山県においても追い風と考えられる訪日観光客再開の受入れ環境について、どのように準備をしていくのか、商工観光労働部長にお伺いします。

○議長(尾崎要二君) 商工観光労働部長寺本雅哉君。

  〔寺本雅哉君、登壇〕

○商工観光労働部長(寺本雅哉君) 訪日観光客の受入れ環境整備については、コロナ期においてもインバウンド回復に備え、観光客が戻ってきた際にストレスなく県内を周遊していただけるよう受入れ環境の整備を行ってまいりました。

 特に、鉄道駅から目的地までの二次交通におけるインバウンド対応については、複数バス事業者の時刻表を一つにまとめたり、バス停の周辺案内図を作成した上で英語表記にしたり、訪日外国人旅行者向けのバス乗降方法をバス停に掲示することなどに取り組んでいます。このほか、世界遺産をはじめとした観光地における案内看板の多言語対応や洋式トイレの整備、電話通訳サービスを提供するなどの取組も引き続き進めてまいります。

 また、ミシュランガイドへの和歌山県の飲食店初掲載の機会を逃さず、外国人観光客の外食を促進するため、ウェブ上で飲食店メニューの多言語対応を自動で行えるようにするとともに、飲食店を外国人向けに紹介する検索ポータルサイトの構築も進めているところです。

 引き続き、訪日外国人がストレスなく和歌山県を周遊していただけるよう、受入れ環境のさらなる向上に向けて取り組んでまいります。

○議長(尾崎要二君) 中西 徹君。

  〔中西 徹君、登壇〕

○中西 徹君 答弁ありがとうございます。

 現時点では、インバウンドの早期回復は厳しい情勢ですが、政府は令和12年目標を6000万人、15兆円を堅持されています。

 将来的な日本の人口減少に伴い、国内旅行市場も確実に縮小することが見込まれる中で、世界で見るとアジアを中心とした新興国の人口増加と経済発展がますます進展することを考慮すると、中長期スパンにおいて著しい成長が見込めるインバウンドの重要性は依然として変わっていませんし、一日も早い人数制限なしのインバウンド回復を期待しているところです。引き続き取組のほう、よろしくお願いします。

 次に、観光MaaSシステム構築についてお伺いします。

 今回、6月議会補正予算において、MaaSシステム構築として外国人観光客受入環境高度化事業で4150万円の予算が計上されています。MaaSとは、次世代の交通サービスとして世界的に注目を集めている施策です。鉄道、バス、タクシー、旅客船、旅客機、カーシェア、シェアサイクルなど、複数の交通機関のサービスを一つのサービスとして結びつけ、人々の移動を大きく変える概念を示しています。

 MaaSが浸透すれば、一つのアプリで目的地までの複数の交通機関のルート検索、予約、決済が一元化され、シームレスに行うことができます。MaaSは地域特性に合わせて様々な形があると思います。主に都市型、地方型、観光地型となっており、今回は、観光地型MaaSの構築になると考えます。

 質問ですが、今回予定している観光MaaSシステム構築について、どのように行われるのか、商工観光労働部長にお伺いします。

○議長(尾崎要二君) 商工観光労働部長。

  〔寺本雅哉君、登壇〕

○商工観光労働部長(寺本雅哉君) 本県における観光MaaSの取組としては、令和2年度は高野山内、令和3年度は高野山内及び高野山麓地域を対象として、現地交通機関等のチケット、地域の飲食店等で利用できるクーポン等をデジタル化し、スマートフォン一つで予約、決済、利用を可能にできるよう実証事業を実施してまいりました。利用者アンケートによれば、キャッシュレスで様々なチケットが購入できて便利だったという意見が多くあった一方、操作に手間取ったという意見もいただきました。

 本年度につきましては、国のデジタル田園都市国家構想推進交付金の交付決定をいただいたことを踏まえて、本議会に上程しています補正予算4150万円も活用し、対象地域を高野山地域から熊野地域に拡大するとともに、昨年度の実証事業での課題を改善し、英語にも対応した上で実施することを予定しています。

 本事業を通じて、スマートフォン一つで紀伊半島を周遊できるような環境を整備し、観光周遊の円滑化、消費の拡大を図ってまいります。また、利用情報の分析を行い、利用者の属性やどの地域から来訪されているかなどのデータを活用し、今後のプロモーションにも役立ててまいります。

○議長(尾崎要二君) 中西 徹君。

  〔中西 徹君、登壇〕

○中西 徹君 和歌山県はすばらしい観光スポットがたくさんあります。主にマスコミに取り上げられる場所には観光客が押し寄せますが、その周辺の観光スポットにはなかなか移動できないという問題は、和歌山県に限らず観光地が抱える問題だと思います。その原因は、先ほどの答弁でもありましたが、二次的交通機関が整っていないことで、バスが日に数本しかない、タクシーがないなどの理由で観光客を逃しているのではと考えます。その問題を観光MaaSは解決する手段だと私は期待しています。

 単に利便性を高めるだけでなく、安心して観光できる手段として、アフターコロナの観光産業と地域を活性化させる可能性もあります。

 1番目の質問の訪日観光客にとっても会話の負担がなく、スマートフォン一つで利用できる非常に便利なサービスだと思うので、コロナ禍で落ち込んだインバウンド需要の喚起にも有効な施策だと考えられます。期待しています。よろしくお願いします。

 次に、大項目4、各種ハラスメントの防止に向けた取組についてお伺いします。

 まず、職場におけるハラスメント防止についてお伺いします。

 パワーハラスメント──以下パワハラ──の防止について、労働施策総合推進法(パワハラ防止法)が令和2年6月1日に施行されました。このとき対象となったのは大企業でしたが、令和4年4月1日から中小企業にも範囲が広がり、義務化されました。遵守しないことに対する具体的な罰則は設けられていないものの、パワハラの事実が発覚した場合には厚生労働省から勧告を受ける可能性があり、対策を講じない場合は後々損害賠償責任を問われるトラブルに見舞われるケースもあり、パワハラ問題はブランドイメージの低下や従業員の意欲の低下、退職の発生など不利益が多く、パワハラ防止法を守ることは企業を守ることに直結すると言えます。

 男女雇用機会均等法、労働基準法には、事業主が上司や同僚からのハラスメントの防止措置を講じなければならない、妊娠・出産・育児休業の取得を理由とした解雇や不利益な取扱いの禁止の旨が明記されており、法律に基づいた根拠が存在しています。地方公務員には、国家公務員と違い、労働施策総合推進法第30条の2が適用除外となっていないことから、厚生労働省の指針に基づき、職場におけるパワハラを防止するために雇用管理上の措置を講じなければならないとされています。

 なお、国においてはパワハラ防止に関する人事院規則10から16を制定するとともに、パワハラで相手を精神疾患に追い込む悪質な事例には免職を含む処分を科すよう、懲戒処分の指針も改正されました。また、総務省は、地方自治体にパワハラ防止に関する人事院規則の規定等について情報提供して、内容を踏まえた対応を促す通知を出しています。

 公務職場はパワハラ防止における模範となる職場であることからも、パワハラ防止に関する人事院規則に基づき対応が求められている内容についても取り組む必要があります。各ハラスメントについては、課の上司に相談することになっていることが多くあると思いますが、実際、上司からのハラスメントも多いと考えられる中、上司に相談できない部分も大いにあると考えます。第三者的機関も必要であると考えますが、職場におけるハラスメント防止について、知事部局及び教育委員会ではどのような取組を行っているのか。また、免職を含む懲戒処分が人事院規則制定後あったのか、副知事及び教育長にお伺いします。

○議長(尾崎要二君) 副知事下 宏君。

  〔下 宏君、登壇〕

○副知事(下 宏君) ハラスメントの質問についてお答えをいたします。

 県では、職場におけるハラスメント防止に関する基本方針を定めるとともに、職員が認識をすべき事項等については、セクシュアルハラスメント、パワーハラスメント及び妊娠・出産・育児または介護に関するハラスメントの各指針を別に定めることにより、職場におけるハラスメントの防止に取り組んでいます。

 ハラスメントに関する苦情の申出及び相談は、各所属の職場研修委員及び監察査察課が窓口となっていますので、職場の上司に相談しづらい場合、監察査察課で対応することになります。また、セクシュアルハラスメントに関しては、青少年・男女共同参画課及び男女共同参画センターにおいても相談できるようになっております。

 令和2年6月には、人事院規則においてパワーハラスメントの防止等が追加をされましたので、県においてもパワーハラスメントの定義について見直し、指針等の規定の整備を行いました。懲戒処分の基準についても、パワーハラスメントを行った職員について、悪質な場合は免職処分をすることができるよう改正をしています。

 指針等改正後の処分事例についてですが、令和3年12月20日に、パワーハラスメントを行った職員に対し減給10分の1、1か月の懲戒処分を行っています。

 ハラスメントは人格や個人の尊厳を侵害する行為であり、職場環境を悪化させ、公務の円滑な執行に支障を及ぼすものであることから、許されるものではありません。県では、今後もハラスメントに関して職員がさらに認識を深め、正しい判断の下に良好な職場環境を享受できるよう、全職員を対象に研修を実施し、ハラスメントの防止に努めてまいります。

○議長(尾崎要二君) 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 職場におけるハラスメント防止策として、教育委員会事務局、県立学校ともに、職場におけるハラスメント防止に関する基本方針とセクシュアルハラスメント、パワーハラスメント、妊娠・出産・育児または介護に関するハラスメントの三つのハラスメントの指針を定め、各職場での研修の実施など、ハラスメントの防止に努めているところです。

 また、各職場に相談窓口を設置するとともに、女性が相談しやすいよう女性の相談員も配置するなど、相談体制を整えております。なお、相談等で必要となった場合は、指導や職場環境の改善に努めているところです。

 議員御質問の懲戒処分については、県教育委員会で定める懲戒処分の指針に該当する懲戒処分はございません。

○議長(尾崎要二君) 中西 徹君。

  〔中西 徹君、登壇〕

○中西 徹君 答弁ありがとうございます。

 指針等の整備を行い、実行しているということが分かりました。処分事例もあったということで、対応されたということです。

 今、いろんな形でのパワハラやセクハラなどを耳にします。上司から部下に対するものだけでなく、部下から上司への場合も起こり得るようで、どの場合もしっかりと相談できる体制づくりをお願いします。

 次に、二つ目の職員に対してのカスタマーハラスメントへの対応についてお伺いします。

 全日本自治団体労働組合(自治労)が住民からの迷惑行為や悪質クレーム、いわゆるカスタマーハラスメントの実態把握調査を令和2年10月から12月に16都道府県に行い、自治体職員約1万4000人の回答から、過去3年間に住民からの迷惑行為や悪質クレームといったカスタマーハラスメントを受けている自治体職員が約半数、迷惑行為被害に遭っていると回答しました。

 現在は、新型コロナウイルスの感染拡大などにより、通常の業務以外へのクレームも多くなっていると考えられます。地方公務員安全衛生推進協議会の調査によると、令和元年度に精神的な不調で1か月以上休んだ職員は10万人当たり約1640人に上り、15年間で2.3倍に増えたということです。人事院規則でも、悪質なクレームを念頭に、迅速に職員を救済することが上司の責務として示されました。

 住民からのカスタマーハラスメントに対する職員のサポート体制や防止対策が必要であると考えますが、知事部局ではどのような体制で対応しているのか、副知事にお伺いします。

○議長(尾崎要二君) 副知事。

  〔下 宏君、登壇〕

○副知事(下 宏君) 県では、威迫や暴力行為、脅迫行為等の違法な行為により不当な要求が行われた場合は、所属長が対応職員と共に、不当要求行為に対する事務取扱要領及び不当要求行為対応マニュアルに基づき、組織として厳正かつ毅然とした対応を取ることとしています。

 県政に関する県民の方からの御意見等については、真摯に対応することは必要でありますが、職員の担当する業務の範囲や程度を明らかに超える場合、無理な要求を繰り返し、長時間にわたり居座り続ける等、業務に支障が生じる場合は、所属長が中心となって退庁の要請や警察への通報などの措置を取ることになっています。

 また、その状況に応じて所属長が監察査察監に意見を求めた場合は、監察査察監から必要な助言を行います。なお、重大な案件であると認めるときは、書面による警告や捜査機関への告発を行う場合もございます。

○議長(尾崎要二君) 中西 徹君。

  〔中西 徹君、登壇〕

○中西 徹君 それでは、最後の質問に入らせていただきます。

 県道和歌山海南線における大型車の通行規制についてをお伺いします。

 令和2年2月議会で私は、県道和歌山海南線における大型車の通行規制について要望しました。

 県道和歌山海南線は、海南市名高、六堂ノ辻交差点から海南市藤白、藤白交差点までの区間約700メートルで、国道42号に比べスムーズに通行できることから、大型車の通行量が非常に多く、周辺住民から長年、大型車の通行による振動や騒音などについての苦情や悩みが寄せられています。これまで舗装工事などの振動、騒音対策が講じられましたが、いまだ問題が解決されていないことや、令和元年には大型車に巻き込まれた死亡事故が発生してしまいました。

 このような状況において、以前から、まず、国道42号の築地交差点の拡幅整備を行った後、この県道和歌山海南線の通行規制をすると聞いておりました。その後、国道42号築地交差点の拡幅整備工事が令和3年2月に完成し、今は、県道和歌山海南線における大型車に対する通行規制の実施について待ち望んでいるところですが、まだ通行規制は実施されていません。

 通行規制については警察の仕事となりますが、どのような理由で通行規制ができていないのか、警察本部長にお伺いします。

○議長(尾崎要二君) 警察本部長遠藤 剛君。

  〔遠藤 剛君、登壇〕

○警察本部長(遠藤 剛君) 交通規制につきましては、道路利用者の安全の確保を最優先に、必要最小限のものとすることが原則であり、具体的な規制は地域の方々の御意見も十分踏まえながら、道路の構造や利用状況、交通事故が発生するおそれなどの観点から判断しております。

 御指摘の県道和歌山海南線における大型自動車等通行禁止規制につきましては、現在、規制実施の可否を含めて、関係自治体などと継続的に協議を行っているところであり、地域の方々の御意見も踏まえつつ、交通の安全と円滑の観点から適切に対応してまいります。

○議長(尾崎要二君) 中西 徹君。

  〔中西 徹君、登壇〕

○中西 徹君 答弁ありがとうございました。

 警察も通行規制について関係自治体などと協議をされていることには感謝します。地元自治会は通行規制の早期実現で意見はまとまっているようですが、ただ、一部通行規制に合意できない方がいると、先週、地元自治会の方にお聞きしました。

 海南市も通行規制を望んでいる中で、築地交差点拡幅に時間をかけて取り組んできました。地元自治会が通行規制について合意いただけない方の要望に応えることは難しく、どうすれば通行規制ができるのかを考えた場合、地元自治会の判断ではもう無理で、最終的には、通行規制を認めるのは警察の仕事となります。合意できない方も含め通行規制についての再度の協議、よろしくお願いします。

 そのことを要望して私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(尾崎要二君) 以上で、中西徹君の質問が終了いたしました。

 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。

 この際、暫時休憩いたします。

  午前11時27分休憩

────────────────────

  午後1時0分再開

○副議長(岩田弘彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 36番楠本文郎君。

  〔楠本文郎君、登壇〕(拍手)

○楠本文郎君 議長の許しを得まして、一般質問に参加させていただきます。

 今、和歌山県内でも、ロシアをめぐる平和の問題、コロナ禍の下での円高などによる物価高騰からくる暮らしの課題(「円安やろう」と呼ぶ者あり)など、全国的課題が大きな問題となっていますが、御坊日高では、こうした問題に次いで話題になっているのが地元の和歌山南陵高校の事件です。

 5月11日、給与未払いで教職員がストライキを行ったという報道を契機に、全国紙、地方紙、週刊誌、また、テレビ、ラジオ報道など、大きな話題として和歌山南陵高校の問題が取り上げられています。

 県は、日高川町に所在する私立和歌山南陵高校と、それを運営する静岡県菊川市にある学校法人南陵学園に対し、静岡県と共に調査を行い、行政指導していると報道されています。

 まず、正確を期す意味からも、県として調査し、指導に入っている事項及びその中で把握された状況について、御説明をいただきたいと思います。

 2点目に、こうした状況になっている背景は何かということをお尋ねします。

 かなりの報道がなされていますので、事実確認が必要な事象もありますし、視点が違えば違った解釈が生まれる問題もあります。ただ、私が得た情報を上げたら、信じられないほどの問題がたくさんありました。しかも、こうした問題は昨日、今日の問題ではなく、もっと長期に横たわっていた問題があると考えます。

 指導してきたはずの県行政として、こうした状況になっている背景をどのように捉えておられるのかを2点目にお答えください。

 3点目に、今後の学校法人に求めるべき運営の在り方についてです。

 学校法人である以上、教育基本法、学校教育法、私立学校法などの法令に基づく高等学校として運営されているはずです。ところが、県教育委員会は所轄ではなく、文化学術課が担当となっています。県が直接財政的支出をしているのは、私学助成金と高等学校等就学支援金であり、その適正使用の監督権はあるでしょうが、それ以上の学校法人の運営全般に係る在り方が問われていると思います。

 今後の県行政として、姿勢をお示しください。

 以上の3点の質問については、分割方式というのを初めて取り入れさせていただいて、一括して企画部長から御答弁をお願いしたいと思います。

○副議長(岩田弘彦君) ただいまの楠本文郎君の質問に対する答弁を求めます。

 企画部長長尾尚佳君。

  〔長尾尚佳君、登壇〕

○企画部長(長尾尚佳君) 和歌山南陵高等学校には、毎年、定例の現地調査を実施するほか、適宜学校運営の状況を確認しており、令和3年度の学校への現地調査では、公租公課等の滞納状況や図書室の未設置、校長が学校を長期不在にしている状況など、学校運営の問題に関わる事項を確認し、改善するよう指導しています。

 また、令和3年度の就学支援金受領に伴う預り金等の保護者への返還が行われなかったため、再三の返還指導を行ったところです。しかしながら、保護者との間で約束した最終期日までに返還されなかったため、令和4年4月以降も引き続き返還を指導するとともに、保護者への説明を行うよう求めております。

 本年5月には静岡県が行った学校法人南陵学園に対する実態調査にも同行し、教職員への給与支払い遅延や令和3年度分の授業料に係る預り金の保護者への返還の状況など、学校運営に関する資料等を調査しております。

 さらに、令和4年4月に支払い予定であった教職員への給与支払い遅延を要因の一つとして発生した授業の未実施事案に対しても、原因を速やかに改善するとともに、実施されなかった授業に係る代替日の設定など、生徒に対する適正な授業時間の確保を学校法人南陵学園及び和歌山南陵高等学校に求めております。

 次に、こうした状況になっている背景については、先ほども申し上げましたが、その要因を改めて確認するため、去る5月24日に学校法人南陵学園に対して、学校法人の所轄庁である静岡県が行う実態調査に同行し、財務状況や法人の運営状況などについて調査を行いました。

 調査結果及び授業料に係る預り金の保護者への返還遅延、教職員への給与の支払い遅延等を含む未払い金の発生状況等から、学校法人南陵学園の経営が極めて不健全な状況であると言わざるを得ないと考えております。

 最後に、学校法人の学校運営に対する県の姿勢ですが、学校法人南陵学園の経営悪化に起因した教職員給与の支払い遅延をはじめとする諸問題は、生徒の修学に悪影響を及ぼしかねないと考えております。

 今後も、文部科学省の助言を受けながら、学校法人所轄庁である静岡県とも連携を密にし、学校法人南陵学園に対して、生徒の適正な学習環境の確保と健全な育成の場を守るよう強く求めてまいります。

 なお、議員御指摘の経常費補助金や就学支援金については、現地調査等を行い、今後も適正な執行がなされているか確認してまいります。

○副議長(岩田弘彦君) 楠本文郎君。

  〔楠本文郎君、登壇〕

○楠本文郎君 御答弁をいただきました。けども、肝腎のところ何にも答えてくれへんなあと思うぐらいに大事なところが欠けているんですよね。そのことをもう新聞報道で教えてくれていたんで。学校法人は静岡県にあって、和歌山にあるのは学校法人の所在地ではないから、和歌山県、かゆいけれども靴の裏からかくようなもんやと。とにかく静岡県と一緒に行かなんだら現地確認もできないという限界があるんだということを報道で教えてもらいました。

 今の答弁をお聞きして、でも、とっても大事なことが幾つもあるように思います。

 一つは、ここは学校ですから、いわゆる教育の場にふさわしいか否かというところの物差しというのは、いろんな法律に基づいたところできちんと解析をして分析もして、改善を図るということが必要だと思うんですが、「不健全な状況であると言わざるを得ない」という表現をされました。これポイントですね。

 その不健全な状態というのは昨日、今日に始まったことだったんかというのが私の問題意識にありました。実は開校の直前に、つまり6年以上前なんですが、勤めていた方が自宅待機を命じられた上に解雇された事件というのがあります。(新聞を示す)2020年の12月に裁判が起こされまして、その裁判の中で、1審は原告完全勝利、そして、その判決に不服があったこの学校法人は、控訴しているんですよ。

 けれども、裁判所は即日「もうやめとかんせ」と、平とう言うたらよ、「やめとかんせ」と。「あんたのところ、もう負けるの分かってあんねんから和解さんせよ」と、御坊弁ではそんなに言うたんですわ。

 即日、結審で裁判所から和解勧告されて、成立をしたんです。ところが、和解勧告にいまだに応じない。払わないというわけです。2019年からの話になりますから、もう3年越しになってきます。

 この問題は、私は学校法人にあるまじき行為やと思うんです。なぜならば、労使の裁判には、行政指導はできませんが、和解は判決と同様であって、それを行わないのは、和解を履行しないのは、それは無法でしょうと。学校の現場であってはならないことで、日本の教育では、そういうことは許されないんだよということがあるはずよなあ。

 だから、この事件の担当である文化学術課は知っていましたよね。当然ながら知っていましたよね。指導する職権はないけれども、これはふさわしいものかという問題意識ぐらいはちゃんとあったはずなんですよね。そういうことを指導し切れないならばどうするのかというところが、やっぱり足らなんだん違うやろうかと思って仕方がないんです。

 実は今回の現職の教職員への給与が未払いとされたがために、ストライキに入っちゃったと。このストライキの是非ということが最初は物すごく注目を浴びて、今日も注目されているのはどうもストライキ問題が注目のようなんですが、実はこのストライキは、この南陵高校問題ということを見るときにはあくまでも経過であって、私は、この経過を見れば生徒を守るために必要、やむを得ないと教員が考えて行った行為というふうに受け止めているんです。

 これは異論があって当然やと思うんですけども、でも、そのことをつかまえてみれば、教育ができる環境にあるのかどうかということが問われていると。ここをとにかくどうやったら改善することができるんかということを考えてくれよというのが、今日の私の質問の一番の趣旨なんですよね。

 寮生が、160人余りの中で140人が入っていますから、生活の場でしょう。その生活の場だからこそ、教員の支援が必要な事象が多々ありました。ガスが止められてお風呂に入れなかったわけでしょう。これはもう御存じですね、皆さん。食事が来えへんねんからよ。払うてないからガスは使えん、水道も未納なんやけど、さすがに日高川町は止めるわけにもいかんさかいに、子供の責任と違うさかいにのう。

 だから、学校生活の基本が奪われるという中で、教職員が献身的にフォローしてきた行動というのも、これも御存じですね。つかまえてくれていますよね。はい、そういうところ。

 それから、これ日高川町の役場からすれば南山を利用していますから、その利用料を払うてくれやん。水道料金、今申し上げました。払うてもうていないんです。この滞納を何で見逃していくのかということ。

 それから、特別徴収した教職員の市町村民税の滞納、これも預り金なんです。人のお金、税金を預かって他に流用した、これ間違うたら刑事事件になるべき筋合いのもの。

 教員の日本私立学校振興・共済事業団への掛金、天引きした上で未納という問題も同質の問題。これは複数の先生から、これは事実かという確認を私もさせてもらいました。だって、将来の死活問題になる部分もありますしね。役場だって、学校やさかいに、まあちょっと資金繰りがうまくいかんのやろうと見逃しているわけにはいかないような状態になってくるということですね。

 私は、こういうのは状況証拠の積み重ねということなんですが、和歌山県行政として問われていることは、二つの財政支出だと思っているんです。就学支援金、私学助成金、この二つは、県民の税金を南陵高校に対して支出をしているという事実があります。

 就学支援金は、本来所有権は誰なのかということを勉強したんですが、高校生の学びを支えますという形で文科省がつくった制度ですね。(チラシを示す)つまり、いわゆる所得の低い世帯の中で高校にも行けない子をなくすんやということで、学びの保障をするためにつくられた、いわゆる授業料を無償化していくためのものなんですが、南陵高校は、保護者から先に授業料を受け取ります。これは確認してくれていますよね。授業料を先に受け取ります。

 その後、学校が申請をします。学校がこの就学支援金を申請して、所得や何やというのを百何十人の中でかなりの数がいますから、個別に申請するんやのうて、学校としてまとめて申請する。学校にまとめて支援金が払われる。このお金は誰のもの。ここの所有権。保護者は払うています、授業料。その授業料を軽減させてあげるということでできた就学支援金、これも南陵高校が取ったら二重取り、明白な二重取り。早う返さなあかん。

 だから、さっきから返還、返還と答弁されているのはそういう意味ですよね。返還ですわ。先に預かったのを。

 ところが、返還せんとよ、そのままほかへ流用した。これ、ほかへ流用するのが1日、2日ならば話は簡単ですが、そうやないでしょう。何か月もでしょう。だから、先ほどの答弁の中でも、早う返せよ、早う返せと何回も言うているという答弁、そこがえらい耳についたと思うんですけどね。

 早う返さなんだらえらい目に遭うぞ、えらいことになるぞ、もうこういうことは指導しているけども、うまくいってない。これがある。公金横領罪に問われる中身になるのではないかというふうに思うところもあります。

 なおかつ、私学助成金、いわゆる学ぶ環境の設備投資をするのに県が補助金を出してあげましょうということは、出したものが造られて、出したものの金額にも間違いはないということで、間違うてないという答弁をさっきしてくれたと思うんですよ。

 やけども、出したことは間違いないけれども、使われた先も間違いないけども、けども、そのことが効果的に教育的に活用されているかどうかということは、知らんよでは済まんでしょう。

 だから、きちっと学習効果を上げるための必要なものであるかないかという検証をした上で、そういう他に流用されるような使い方であれば、私学助成金は出すことができませんよということがありではないかと思うんですよね。

 そんな問題があるということはしっかりと見ていただいて、ただし、この間たくさんの報道がある中で、僕は学校としてのていをなさないというのは大体3者を考えるね。子供が悪いさかい、学校としてのていをなさない。先生が悪いさかい、学校としてのていをなさないと皆さんが考えるところはあると思うんですけども、全国紙がこんな記事を書いてくれたんです。(新聞を示す)「南陵高は、見つけた居場所や。私の子供は、先生がかわいそうと言ってます。私の子供にとってはようやく見つけた居場所です。ここは、強い子ばかりの学校ではありません。子供をテストの点数で見ない。できなくても、勉強しようという意欲を見ている」という言葉に、ほんまに大事なことが含まれているのではないかと思います。

 先ほどから申し上げているように、20前後の先生方は、必死になって子供を守らんならんという思いで頑張ってくれているわけですが、学校法人にその資格があるのかという点は、もう歴然としているのではないか、静岡県と協力して、一刻も早くこの改善を求めるということが必要ではないかというふうに思っています。その切り口も申し上げたつもりなんです。

 実は、この問題については、私の後で片桐議員も通告を出しています。私に答えるよりも、併せて片桐議員にお答えをいただくよう求めて、この質問は要望とさせていただきます。

 議長、2点目の質問に行かせてもらってよろしいでしょうか。

○副議長(岩田弘彦君) 続けてどうぞ。

○楠本文郎君 ありがとうございます。

 大きな項目の2点目として、2017年3月に操業を始めた御坊リサイクルセンター、産業廃棄物最終処分場の問題についてお尋ねします。

 現在、6月23日までの期間、県庁と御坊保健所で、第2期となる管理型最終処分場設置許可申請に基づく縦覧が行われているところです。

 第1期の管理型最終処分場の埋立容量は137万立方メートルあり、県下最大です。併設されている中間処理施設に産業廃棄物指定10品目が搬入され、ここで減量可能なもの約30%が減量化されて、リサイクル困難なものを最終埋立てすることになっています。

 地元説明では、この処分場は15年程度で満杯という計画でしたが、早くも今年5年目で7割が埋め立てられ、あと数年で最終処分ができない状況になるということで埋立申請がされているのです。

 地元の住民からすれば、「何でこんなに早う満杯になったんよ、この2期計画が通ったら、予定よりもまた早う満杯になって3期目ということにならへんのか」という疑問と不安が寄せられているところでございます。

 この5年間の推移を振り返れば、御坊市給食センターが隣接地にあることを踏まえ、御坊市独自で粉じんなどの流入を防ぐため、エアカーテンの強化が図られ、今も継続した大気環境測定を行っています。

 一昨年9月に発生した悪臭騒動は、御坊市塩屋町、名田町地域では大きな問題になりました。既に事業者によって水処理の予備調整槽の臭気対策の強化・改善が図られ、今は収まっていますが、これは事業者と御坊市とが結んだ環境保全協定が生かされた事例ではないかと思います。

 また、産業廃棄物最終処分場の背後は北風がしっかり吹きつける位置にあります。その北風の影響で、主には尾根から名田町に向かっての山中にレジ袋が散乱する光景が一時は大きな問題になりました。どこの商店のものか判別ができるものもありました。事業者が自主的に時々回収してくれているようですが、廃棄物を中間処理施設で展開し、ベルトコンベヤーなどでの減量化のための分別を徹底して除去されているのかどうか、また、飛散防止のための運搬車から荷下ろしした廃棄物への覆土はすぐに行われているのかという、そんな声も寄せられているところです。

 こうした地元住民の様々な声を受けて、御坊市は2年前の9月、最終処分場埋立物環境保全負担金条例を提案し、全議員の賛成で成立しました。全国でもとても珍しい負担金条例です。条例第1条で、「この条例は、本市の豊かな自然環境を守り育て、次代に引き継ぐ環境づくりを目指すため、最終処分場に埋め立てられる埋立物に対して、環境保全負担金を求めることにより、本市における廃棄物の排出抑制を推進し、環境低負荷型社会の実現に寄与することを目的とする。」と明記されています。排出抑制が目的なんです。

 そこで、まず1点目の質問は、第1期の処分場がこんなに早く完了することになった要因についてお尋ねをいたしますが、この御坊リサイクルセンター第1期処分場が何でこんなに早なったのかということを県行政としてどのように把握されているでしょうか。その要因についてお示しをいただきたい。

 2点目が、では、第2期の計画はどのぐらいの規模になるのか、概要について説明をしてください。

 そして、3点目に、この2期計画については、住民による縦覧の後、県は廃棄物処理施設専門家委員会に助言を求め、その後県行政による審査が行われ、設置許可の最終判断となる。その際に、基本に据えるべき幾つかの項目があると考えます。予期しない大雨にも対応できる十分な水処理施設の確保、遮水シートの健全性と漏水検知システムの有効性の確保、停電にも対応できる非常用電源の確保、大型地震の揺れに耐えられる土堰堤、有毒ガスである硫化水素抑制防止対策、アスベストの埋立ての仕方と管理など、たくさんの項目となるでしょう。既に県としても審査を開始されていることですが、基本的な姿勢を伺っておきたいと思います。

 以上、分割方式ということで、環境生活部長からまとめて答弁をお願いいたします。

○副議長(岩田弘彦君) 環境生活部長生駒 享君。

  〔生駒 享君、登壇〕

○環境生活部長(生駒 享君) 御坊リサイクルセンター第1期処分場の埋立期間については、計画当初は15年とされていましたが、当リサイクルセンターの設置事業者である大栄環境株式会社が当初の計画にはなかった中間処理施設を平成29年に和歌山市に設置し、当該事業所からの搬入により埋立量が増えたため、計画より早まる見込みになったものと聞いています。

 次に、大栄環境株式会社から申請のあった第2期の処分場の概要につきましては、燃え殻、汚泥、廃プラスチック類等の10種類の産業廃棄物を処理する管理型最終処分場で、埋立面積約7ヘクタール、埋立容量約135万立方メートルで、埋立期間は約10年の計画となっています。

 最後に、第2期計画の審査についてですが、県では、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に定められた埋立地の安定性確保、浸出水処理設備の設置などに関する技術上の基準、悪臭や水質などの生活環境の保全に係る維持管理の基準等に基づき審査を行っているところです。

 現在、周辺住民などから生活環境の保全に関する意見を求めるため、計画の内容について縦覧中であり、今後は御坊市、印南町及び和歌山県廃棄物処理施設専門委員会からも意見を聴取し、厳正に審査してまいります。

○副議長(岩田弘彦君) 楠本文郎君。

  〔楠本文郎君、登壇〕

○楠本文郎君 丁寧に御答弁をいただきました。

 それで、ちょっと申し上げておきたい、確認したいことをちょっと押さえておきたいと思うんですが、第1期は137、第2期が135、同じ規模なんです。けれど、申請では、1期目は15年とあったんです。それが早なったさかいに、皆が心配しているというお話をさせてもらいました。

 今度2期は10年と出されているんです。つまり、地元からすれば、同じようにどんどん積み上がっていくん違うんかと、これが当然の思いですよね。そしたら、3期目というたらよ、自分がまだ生きている間に来るなあと。御坊はごみのまちかよというのが頭に込み上げてきますから、それで質問に至ったわけなんです。

 答弁からすれば、二つ目ができたら産業廃棄物の処分場はやっぱり増加することになると。ということは、県が抑制策として、こんだけ減らしたいよということを、第5次ができそうなんですね。それから、これは毎年の環境白書なんです。(冊子を示す)もう詳しくは申し上げませんが、こういう中でるる明らかにされている廃棄物そのものを、一般廃棄物も産業廃棄物も減らしたい、減らすために努力しようらよというのが、昨日、おとついの質問にもありました。

 けれども、受け入れる場所を造ったら、やっぱり和歌山県としたら産廃の扱い量は増えるんですよね。というところがあることを確認しましたが、もう一個突っ込むと、1期目が早くなった要因として、県の把握とは別に──間違いと言うつもりはないですよ──京奈和自動車道の建設事業で見つかった不法投棄による産業廃棄物を含んだ土を御坊リサイクルセンターに持ってきたんですよね。

 さらに、この間続いたのは、他県、他の県からの災害廃棄物の持込みですね。当時の市議会では、この他県からの災害ごみの搬入を認めるか否かで大議論をしたことがありましたが、当然の結論、人道上、受け入れざるを得ない、他県のごみだけども、受け入れざるを得ないと結論づけました。

 そして、最終処分場埋立物環境保全負担金条例というものをつくる出発になるんです。この趣旨のところをちょっと提案理由として引っ張りますと、こんなに言うています。「次々と市内に最終処分場が建設されれば、市民が不安になり、環境負荷も高まる。現在搬入されている埋立物は市の外、市外がほとんどで、その量も年々増加している。全国から運ばれてくる災害廃棄物も増えると予想され、今のままでは御坊市はごみの捨場になってしまうという危機感を持って、この条例を検討した」と発言しているんです。この気持ちを伝えたかったんです。

 最終処分場の許認可権は、御坊市にはなく、和歌山県です。そういうところも見た中で、徹底した厳正な審査をお願いして、要望としたいと思います。よろしくお願いします。

 ちょっとこれ、皆さんに見せるのを忘れちゃったけども、これが拡大なんです。今のやつがここで、その横がもう、これ第2期なんです。(資料を示す)1期、2期と離れてあるように見えるけどね、すぐ隣、同じ敷地の中と言うてもいいですから、こういうふうな敷地にあるから僕の切実感があるんやと受け止めていただけたらということで第2問を終わりまして、3項目めの質問に行きたいと思います。

 3項目めは、いつものようなんですが、日高川流域治水プロジェクトの現状と今後の課題についてというテーマで質問をさせてもらいます。

 まず、1点目は、日高川水系河川整備計画の現在の状況についてお尋ねしておきます。

 それは昨年11月27日、日高川下流に位置する本川と支流域の地域の世話人が任意に話合いを持って、日高川流域治水を考える会というのがつくられて、その会が主催をして、出張!県政おはなし講座の御協力を得て、その一環として、河川課の副課長を招いて学習会が持たれたんです。関係する地域住民が約80人参加されました。

 さらに、去る5月21日には──ついこの間の5月です──今度は県河川課が主催して、日高川流域シンポジウムが取り組まれました。これにも約80名の方々が参加されたと思います。

 県のこうした住民への啓発学習活動に、地域に住む者の1人として感謝申し上げます。コロナ禍の下でもこれだけの方々の参加があることは、この問題の関心の高さを示しているものだと思うからです。

 5月の日高川流域シンポジウムの最初の報告は、和歌山地方気象台台長から、近年の気候変動についてでした。年降水量の全国的傾向と和歌山県での降り方、台風の変化と将来予測の説明をされた後、まとめとして、和歌山県は県土の8割が山地で急峻な地形、日高川流域での年降水量平均値は、沿岸部で2000ミリ、山地では3000ミリを超える雨の多い地域、これはみんな知ってあるな。ここまでは知っている。しかも、全国で3番目の日本有数の台風上陸県であることが特徴であり、近年、大雨や短時間強雨の発生頻度は増加し、今後も増えるであろう。そして、多くの研究から、将来は日本付近における台風の強度は強まると予測されているとして、この地域特性を知り、大雨災害を軽減させる取組がますます重要になるとまとめられたんですよ。

 この後、県の河川課長から日高川の整備状況についても報告があったんですが、ただ、後のパネルディスカッションもあり、時間的な制約の下で、日高川水系河川整備計画の進捗状況など、具体的な部分は報告されませんでして、質疑の時間もありませんでしたから、取れませんでしたから、終了後、聞きたかったという御意見が私のほうに寄せられたという次第です。

 今年度も昨年度補正も含めて大きい予算が投じられておりますから、日高川水系河川整備計画の主な整備状況について、県土整備部長からお示しをいただきたいというのが1点目です。

 2点目には、要配慮者利用施設における避難確保計画や避難訓練の実施についてお尋ねします。

 流域治水という考え方に基づいて、昨年5月に関連法が9本の法律改正として公布され、既に施行されています。川の氾濫など、近年の大規模災害は深刻さが増していることを受けて、堤防やダムの整備強化だけでなく、貯水池の整備、土地利用の規制、そして、避難体制の強化などへの取組を流域治水として流域全体で進めることによって、被害の軽減を図るとされていると私は受け止めています。

 国は、全国の1級水系で、1級河川の水系で地域の実情に合った流域治水プロジェクトを策定する。和歌山県も県内の2級水系のうち、主な16水系でこのプロジェクトが策定をされていると思います。

 そこで、2点目にお尋ねするのは、避難体制の強化が特に急がれるテーマとして、要配慮者利用施設における避難確保計画や避難訓練の実施があると思います。水防法改正によって、市町村による助言・勧告ができるようになったのですが、この点では県土整備部の応援が必要だと考えます。

 昨年の答弁では、洪水浸水想定区域内の対象施設は1453施設、このうち約6割、895施設が避難計画作成済みであり、約5割の766施設が避難訓練済みということでした。私は、一刻も早く実行しなければならない課題だと思っているんですが、令和4年3月末時点の箇所数はいかがでしょうか。その状況を県土整備部長から1点目と併せて御説明ください。

 あわせて、3点目に、地域における防災活動の推進についてお尋ねしていきます。

 もし河川の大規模氾濫が発生したときに、どうすれば人的被害を減らすことができるかを考えると、もうおのずと答えは出てまいります。地域住民の方の避難に対する意識を高めていくことが重要、それが一つ。

 そのためには日頃から地域全体で積極的に防災活動に取り組むことが肝要、その中核を担うのは自主防災組織です。残念ながら、減災のための取組状況は、市町村や市町村の中でも自主防災組織のあるかないかや、その活発度にまだまだ格差があると私は考えています。

 流域治水という考え方の中では、異常気象の下で想定を超える線状降水帯による大雨、豪雨は、どのまち、どの地域にもあり得ることであり、それゆえ、全ての地域で住民による生きた避難訓練を行うなどの防災活動を進めていくことが必要だと考えます。

 そうした観点から、ハザードマップは県土整備部からのサポートで市町村が作成していきました。このマップが完成してからの市町村の中での避難訓練等の取組は、市町村や自主防災組織での具体化が必要なのですが、まだまだこれからという状況でもあります。こうした中で、県下の自主防災組織の活動をより一層活性化させていくために、県ではどのような取組によってサポートを図っていかれようとしているのでしょうか。この点については、危機管理監からお示しをいただきたいと思います。

 以上です。

○副議長(岩田弘彦君) 県土整備部長福本仁志君。

  〔福本仁志君、登壇〕

○県土整備部長(福本仁志君) 日高川水系河川整備計画の進捗状況につきまして、整備計画で予定している地区のうち、日高川本川においては若野地区、三十木地区で完了しており、入野地区及び皆瀬地区につきましても、一部河道掘削等を残し、概成しています。

 また、日高川支川について、江川は一部管理用通路等の整備を残し、概成しています。

 同じく支川の西川につきましては、整備区間の約4.8キロメートルのうち、西川大橋から寺田橋付近までの約1.5キロメートルの護岸工事や河道掘削等の整備が概成しています。

 また、西川支川の下川及び堂閉川につきましては、設計を進めるとともに、地元との調整等を行っているところです。

 続いて、要配慮者利用施設における避難確保計画や避難訓練の実施についてお答えします。

 令和4年3月末現在、水防法に基づく洪水浸水想定区域内の要配慮者利用施設は1539施設あり、このうち約7割の1150施設が避難確保計画を作成済みです。

 また、約5割の830施設が避難訓練を実施済みとなっております。

○副議長(岩田弘彦君) 危機管理監福田充宏君。

  〔福田充宏君、登壇〕

○危機管理監(福田充宏君) 議員から御質問のありました、地域における防災活動の推進についてお答えいたします。

 議員御指摘のとおり、災害時における人的被害の軽減を図るには、地域住民の方の避難に対する意識を高めることが重要であり、そのためには、それぞれの地域において、自主防災組織を中心に熱心な活動に取り組んでいただくことが必要であると考えております。

 そこで、自主防災組織の結成や活動を促進していくためには、まず、中心的な役割を果たす人材が不可欠であるため、その人材育成を目的として、県では地域防災リーダー育成講座「紀の国防災人づくり塾」を開催してきており、これまで2536名の方が修了されています。

 また、県内の自主防災組織の活動を活性化させるため、先進的な取組事例の紹介や相互の意見交換、交流を目的とした情報交流会の開催のほか、情報紙の発行も行っております。

 さらに、自主防災組織が実施する訓練や資機材の整備等への補助を行う市町村に対して、わかやま防災力パワーアップ補助金により支援を行うなど、財政面からも活動の支援を行っております。

 今後も、これらの取組を通じて、市町村と連携しながら、自主防災組織の結成と活動の一層の活性化に向けて支援をしてまいります。

○副議長(岩田弘彦君) 楠本文郎君。

  〔楠本文郎君、登壇〕

○楠本文郎君 日高川水系の河川整備計画が地域的に完了、終わったということやもんなあ。それから概成、初めこれ僕、よう聞き取れなかったんやけど、おおむね終わりですよというところの箇所が割と大きな場所で出てきているということがとってもうれしいことなんです。

 この「紀伊半島大水害復興10年の軌跡」(冊子を示す)はまだ途中の部分だったんですが、今そういうことも併せて日高川水系で取り組まれているということが本当にうれしいことでございます。

 日高川水系は、このことばっかり言うているように聞こえるかもしれませんが、県下で最も長い2級河川、しかも、この被害もあったけれども、椿山ダムという一番でかいダムがあるということで言うたら、先にここ、流域治水プロジェクトというものの取組の典型をつくり出していく、そんな場所になるん違うかというのが私の問題意識として、日高川でやっていたらほかの川、河川でもどんどんと適用できるんではないかという問題提起のつもりでございます。

 ただ、日高川水系の河川整備計画は、できてからずうっと、促進はしてんねんけども、昭和28年に大水害があったんです。私の生まれる1年前ですから、大分古い話やで。その後、平成23年にまた、11年目ですね、あって、なんやけど、そのときよりももうちょっと低い規模の、低いというのはちょっと柔らかいというか、堤防の高さもそこまでいかんねんという規模で、平成15年8月台風を防ぐということが目標になってあるから、いわゆる土木工事そのものは早うやってもらわなんだらあかんということが片一方であります。

 同時に、それを早うやりながら、でも、7.18水害って僕ら呼んでいるんやけど、私が生まれる1年前の水害というのは生半可なもんやなかった。そのとき椿山ダムはなかった。でも、椿山ダムができて平成23年にはあった。そのことも想定しながらと言うて作られたのが、私はこのマップやと思うんです。(ハザードマップを示す)ハザードマップやと捉えているんですよ。

 せっかくこれ、県が力を入れて、市町村でつくれと言うて、こんなにして御坊市全戸に配られたんよ。コロナになってんのよ。「寄るな、集まったらあかん」とじいさんが一生懸命号令をかけたんですわ。だから、避難訓練もハザードマップで点検してもらうということもあかんようになったんよ。

 そういう時期やということをしっかりと見ていただいて、今、社会的活動を取り戻そうよという形がかなり進んできていますよね。ですから、その社会的な活動の一つとして、このハザードマップに基づく避難訓練の実施というのをしっかり今、宣伝していかん。

 要支援の施設というのは、それよりも先にやっぱり逃げ遅れることがあったからこそ、先に早う計画しようらよと。避難訓練までいかなかったけれども、計画だけは早う100%いこうらよという呼びかけの時期にしてもらえんやろうかなあというふうに思ったんです。

 今日の目標とした、3秒前ではなく5分前に終わるんやという目標になりましたんで、3年ぶりに、この日曜日に56人が参加して避難訓練をやります。こんなんしっかりやらしていただけるよう要望して、私の質問を終わります。(拍手)

○副議長(岩田弘彦君) 以上で、楠本文郎君の質問が終了いたしました。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 39番片桐章浩君。

  〔片桐章浩君、登壇〕(拍手)

○片桐章浩君 こんにちは。議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。

 本日は、2問です。まず、一つが新産業創造、もう一つが学校法人南陵学園について質問させていただきますので、どうかよろしくお願いしたいと思います。

 まず、和歌山県がこれまで進めてきた和歌山IRの計画がなくなったことは、大型の投資案件がなくなったことを意味しています。しかし、経済振興、雇用確保等々、将来の和歌山県の発展に向けた投資案件を呼び込む施策というのは、引き続き実施する、この必要があろうかと思います。

 その提案の一つとして、今回、洋上風力発電を取り上げたいと思います。

 例えば、50万キロワットの着床式洋上風力の場合、約2500億円の投資案件になります。和歌山IRには及びませんが、現状から見ると、和歌山県にこれだけの大型の投資案件はありません。

 建設費がこれだけの金額であることに加え、運転開始後の地元雇用、メンテナンス、観光振興などの経済効果も期待できますし、この点に関しても50万キロワットの着床式洋上風力を当てはめた場合、運転維持費は毎年数十億円になります。

 地元同意などの課題もありますが、秋田県、千葉県、長崎県でできていることが和歌山県でできない理由はないと思います。県と地元、事業者が連携を図るなら、実現可能な新産業の誘致ということが言えるのではないでしょうか。

 加えて、関西で洋上風力発電の適地性があるのは我が和歌山県だけで、立地すれば港湾を基地港湾として活用することが、これは指定ということなんですけども、期待できるのです。基地港湾は発電設備に必要な重厚長大な資機材を扱うことができる高い耐荷重性を備えた岸壁、長尺資機材の保管・組立てが可能な規模の荷さばき地を備えた埠頭を有する港湾が必要で、これは国土交通大臣による指定が必要となります。

 現時点で基地港湾に指定されているのは、秋田港、能代港、鹿島港、北九州港の四つで、北海道、青森県、山形県などは基地港湾の指定に現在動いているところであります。

 国交省によると、基地港湾の設置はエリアに分けられておりまして、北海道・東北・北陸エリア、東京・中部・関西エリア、中国・四国・九州エリアの三つの地域に分けまして、このうち東京・中部・関西エリアにおける基地港湾の数は、2030年までに2港、2040年までに3港ということになりますから、既にこのエリアで鹿島港が基地港湾に指定されていることから、2030年までに必要となる新たな基地港湾は一つ、2030年以降に追加する基地港湾は一つということになります。

 基地港湾は、地域の産業の発展や新しい産業の呼び込みにもつながることから、関西で最初に洋上風力発電を立地することがとても重要だと考えております。

 さて、この洋上風力発電を立地するためには手続がありまして、経済産業省と国土交通省が窓口となります。希望する都道府県は、所管官庁に対して促進区域の候補地、地元利害関係者の意向や調整状況などの情報を提供する必要があります。令和4年の場合、令和4年2月4日から受付を開始し、4月28日が締切日となっておりましたから、本年度はもう間に合わない、こういう状況になっております。今年の情報提供は締め切られているわけですが、今からだと令和5年度に向けて、既に始動すべき時期に入っているわけです。

 和歌山IRの断念、ENEOS和歌山製油所の精油機能停止による将来の経済への影響が考えられる中、地域経済振興策として、洋上風力発電は目指すべき新産業の一つだと考えます。

 既に和歌山県では、予算、それから3年間という期間をかけて、県内外の様々な人たちの協力の下、海域の適地調査を行ってきました。調査を終えた後に、際立った動きがないことが県政としての問題の一つではないだろうかと考えております。

 このENEOS和歌山製油所の精油機能停止により製造品出荷額、これ4000億円がなくなると仮定した場合、県が既に試算をしてくれておりますが、間接的影響を含めて和歌山県全体で4240億円の影響がある、このように言われております。

 これらの失われる経済効果を押し上げることが現状の政策の延長線にあまり見られませんから、時代に即した新産業をつくり出す必要があり、そこで和歌山県浮上計画の一つとして、洋上風力発電を進めることを提案するものです。

 この洋上風力発電の導入に関して、和歌山県が進めるべき理由というのに、少し触れさせていただきたいと思います。

 一つ、これまで促進区域に指定された海域は、長崎県五島市沖を除き、ほとんどが50ヘルツ地域に立地されていること、千葉県銚子沖を除き、日本海側に立地が偏っていること、需要地から遠い海域が多く、そのような海域の案件では、大規模な送電線の増強が必要となることが挙げられます。

 他方、和歌山県における洋上風力発電の候補地域は60ヘルツ地域であり、太平洋側に立地していること、需要地まで近く、大規模な送電線の増強が比較的不要になることがあります。

 以上により、関西で唯一洋上風力発電の立地可能性がある和歌山県がこれを推進することで、西日本におけるクリーンエネルギー普及に多大な貢献になること、太平洋側に立地することで、エネルギー安全保障上のリスク分散に大きく寄与すること、送電増強コストが比較的低く、他地域に比べて需要家への経済的貢献が高いということになります。

 このように、和歌山県における洋上風力発電の適地性は、全国的に見ても希少価値が高く、早期の利用が求められているのではないかなとは思います。

 二つ目、和歌山県は、大規模災害などの有事に備えて、県内に大型電源を持つ必要があります。既に海南発電所が廃止されたことで、210万キロワットの電源が消えています。和歌山県は、これまで電力移出県でしたが、現在はそうなっておりません。

 三つ目、直接的には建設工事、メンテナンスなどの分野で地元雇用が増えます。間接的には、ホテル、飲食、観光、第一次産業にも好影響を与えることになります。

 四つ目、予算と3年間の期間をかけて、県内外の多くの人たちの協力の下、洋上風力発電導入のためのゾーニングマップ及び報告書が完成しており、洋上風力発電を推進する準備が整っています。

 最後、五つ目です。経産省ではクリーンエネルギー戦略が議論されており、令和4年5月に中間整理がなされました。この中間整理では、「ウクライナ危機・電力需給ひっ迫を踏まえ、エネルギー安全保障の確保に万全を期し、その上で脱炭素を加速させるための政策を整理」とまとめられております。

 和歌山県における洋上風力発電は、国のエネルギーの安全保障、脱炭素化の政策の方向性と一致しており、国に情報提供をすれば実現可能性は高いと思われます。

 そこで、1点目ですが、情報提供以降のプロセスについて質問を行います。

 国の再生可能エネルギー導入の方向性を考えると、将来、取組の柱の一つが洋上風力発電で、県では平成31年1月から令和2年11月までの期間、ゾーニング調査を行い、令和3年に洋上風力発電に係るゾーニングマップ及びゾーニング報告書の作成を完了して事業者説明会も行っているなど、既に期待感が高まっております。

 洋上風力発電に関しては、再エネ海域利用法に基づく促進区域の指定プロセスがあり、都道府県及び事業者が国へ情報提供を行うことが求められております。

 国は、情報提供以降のプロセスについて、どの程度の期間を見込んでいるのかをお示しいただきたいと思います。この点につきましては、商工観光労働部長からお答えをいただきたいと思います。

○副議長(岩田弘彦君) ただいまの片桐章浩君の質問に対する答弁を求めます。

 商工観光労働部長寺本雅哉君。

  〔寺本雅哉君、登壇〕

○商工観光労働部長(寺本雅哉君) 再エネ海域利用法では、各地域における案件形成の後、地方自治体等から国へ情報提供を行った後、地元関係者から成る協議会での検討結果に基づき、具体的に事業を進めていくエリアを国が促進区域として指定し、その後、公募により、この区域における事業者を選定することとなっています。

 また、国の公表資料によると、このプロセスにかかる期間をおおむね3年以上と想定しているとのことです。

○副議長(岩田弘彦君) 片桐章浩君。

  〔片桐章浩君、登壇〕

○片桐章浩君 それでは、おおむね3年かかるということですから、令和5年からかかったとしても国が3年、そこから事業着手して本当に10年ぐらいの計画になってこようかと思いますので、時期的には比較的急ぐのかなあと、急いだほうがいいのかなあというふうに思っておりますが、その中で保全推奨エリアの考え方について質問をさせていただきたいと思います。

 この洋上風力発電に係るゾーニングマップ及びゾーニング報告書の1の2の3に、地域(ゾーニング対象範囲)の概況の項目5、ゾーニングの見直しの項があります。ここでは、「ゾーニングは、現在収集可能な情報をもとに整理したものであるため、社会情勢の変化や情報の変更により、必要に応じて更新するものとする」と記されております。

 ここで、第6回和歌山県洋上風力発電に係るゾーニング検討会の委員の発言を引用させていただきたいと思います。「保全推奨エリアという考え方が出ているが、なんらかの条件によって満たすものがあれば、調整エリアとすることが可能とか、示唆する言葉が一つか二つは必要かと思う。ご検討いただきたい」、このような発言がありました。

 それに対して事務局は、「保全推奨エリアは事業の可能性が残るエリアであり、誤解のないよう、エリアの分類の説明は丁寧に記載しておきたい」と発言しております。

 確かにこの保全推奨エリアという表現は、和歌山県以外では使用されていないため、表現、中身がちょっと分かりにくい、このように思います。

 資源価格の高騰、電力不足、円安、エネルギー自給率の問題、インフレ、そして、ロシアによるウクライナ侵攻を鑑みた有事への備えなど、社会情勢の変化に対応する状況にあることは間違いなく、まさにこの問題は待ったなしだと思います。

 そこに地域温暖化対策、温室効果ガス排出ゼロへの挑戦など、極めてハードルの高い課題が課せられているのが我が国であります。

 保全エリアは対象外が適切だと思いますが、社会環境が変化している中、検討会で意見があったように、保全推奨エリアであっても条件が整えば事業の可能性の残るエリアだと捉えてはいますが、この点について、商工観光労働部長の答弁をお願いいたします。

○副議長(岩田弘彦君) 商工観光労働部長。

  〔寺本雅哉君、登壇〕

○商工観光労働部長(寺本雅哉君) 県が公表した和歌山県洋上風力発電に係るゾーニングマップ及びゾーニング報告書では、保全推奨エリアについて、「『風力発電施設の審査に関する技術的ガイドライン』(環境省)をはじめ、経済産業省や国土交通省、NEDOが公表しているガイドライン・技術指針等により保全することが推奨されている又は環境影響、人間活動への影響が懸念される等により保全することが推奨されるエリア」と定義しています。

 本県の保全推奨エリアでは、自然公園の景観をはじめとする、騒音や渡り鳥等への影響並びに漁業者の活動や船舶の往来など、事業検討に際しては、多くの調整、検討事項があると考えています。

○副議長(岩田弘彦君) 片桐章浩君。

  〔片桐章浩君、登壇〕

○片桐章浩君 今、部長からお答えいただきましたように、検討事項、課題が多いということで分類しているということは分かりますが、今、事業検討に対しての問題点、指摘をいただきました。調整、検討事項があると考えております。報告書ができてから結構時間がたっておりますので、何を調整、検討事項としているのかというのも含めて、結論を見いだしていただきたい、このように思うところであります。

 続きまして、その点に関して継続しますが、日本版セントラル方式についてであります。

 このゾーニング検討会なるものの議事録を読み返してみますと、興味深い議論がされていることに気づきました。この第7回における議事録から、これも少し引用させていただきます。「国は洋上風力開発をセントラル方式で進めようとしていると認識している。国や自治体が風力の開発に係る地元調整、環境アセス許認可等をすべて行った上で、建設だけを事業者に任せるというやり方と認識している」。

 それに対して事務局は、「セントラル方式の捉え方だが、これはまだ、国も言い始めたぐらいのもので、具体的には未だルール化されていないという理解。事業者に丸投げで、県は何もしないというのも確かに変な部分もあると思うが、事業者でも検討していただくことがあるのは間違いない」、こう答えております。

 この第7回の検討会の時点では、まだ国がこの言葉を、この進め方を言い始めたという時期ですが、既に時間もたっておると思います。

 この日本版セントラル方式は、現在議論が進められているところでありますが、その内容は、調査実施に対する理解が得られる見込みの海域で、政府または政府に準ずる特定の主体が基本設計に必要な調査や環境アセスメントの初期段階の調査を行うだけであり、全てを国が行うわけではなく、あくまでも調査の理解が得られている海域をサポートするというものです。

 先行事例の千葉県銚子市沖のように、事業者が漁協を含む地元と調整した後に、県が漁協と自治体間の調整をして推進するという方法が県にとっても有益と考えますが、日本版セントラル方式による地元理解の考え方について、商工観光労働部長、お答えください。

○副議長(岩田弘彦君) 商工観光労働部長。

  〔寺本雅哉君、登壇〕

○商工観光労働部長(寺本雅哉君) 洋上風力発電の立地に際しては、漁業者など地元との調整について、関係者の意向を十分踏まえた方法で進められるべきと考えております。

 また、日本版セントラル方式につきましては、今後、国においてその在り方が整理され、仕組みが具体的になっていくと考えますので、そうした動きについて注視してまいります。

○副議長(岩田弘彦君) 片桐章浩君。

  〔片桐章浩君、登壇〕

○片桐章浩君 それでは、以上を踏まえて、洋上風力発電に関する知事の考え方についてお聞かせをいただきたいと思います。

 同じく第7回検討会の議事録の委員の発言を引用したいと思います。これは恐らく検討会における県の方向性を基に発言した内容ではないのかなあと思っている部分です。「このゾーニング事業は、基本的には洋上風力を将来、促進、成長させようという強い期待があって進んでいることは確かである。ここで出た成果を別の形で、県・地方自治体がきちんと成果として対応して欲しいと思う。今、洋上風力は、政府として情報提供の受付を始めている。調整区域は、候補地として十分考えうることを今回も示している。一方で漁業者からも様々な意見を寄せられている。そういうところを是非きちんと公正にマネジメントして、洋上風力の促進地域とゾーニングの結果として、情報提供し、協議会などを作り、そういう方向に進んで欲しい」との発言です。

 知事は、誰よりも和歌山県全体の将来の発展を目指して政策を考えている方です。例えばさきの和歌山IRは、将来の和歌山県の在り方を考えて、様々な意見がある中で地域経済の発展と雇用促進、そして、投資を呼び込むことでこの政策を選択したと思っています。公共投資は、限られた年度予算の範疇の中で行われるものなので、平時においては、それほど大きな伸びは期待できません。

 そこで、民間投資を促す政策が必要になります。和歌山県での事業に参画する意思があり、巨額の投資を考えている事業者が存在していること、加えて、日本と世界の課題に和歌山県として挑める数少ないチャレンジあふれる事業なので、和歌山県の将来を思うと十分検討に値する事業だと思います。

 和歌山県として、将来の可能性ある事業を、もし条件整備ができていないのなら、それが整うまで県政の取組課題として継続させていくことが和歌山県の将来につながります。知事の洋上風力発電についての考えをお聞かせください。

○副議長(岩田弘彦君) 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 洋上風力発電については、大量導入やコスト低減が可能であるとともに、経済波及効果が期待されるところから、再生可能エネルギーの主力電源化に大きく寄与すると言われておりまして、2050年カーボンニュートラル実現に向けて日本で期待が高まっておるということでございます。

 一方で、雇用がどのぐらい増えるかという問題のほかに、本県の海域については、黒潮の流れが速くて、特に台風時には非常に高い波浪となるなど、苛酷な気象、海象条件となっているとともに、南海トラフ地震やそれに起因して発生する津波なども危惧されている状況でございます。

 また、海岸線の多くが国立公園や県立自然公園区域に指定されておりまして、併せて世界遺産も存在するなど、自然環境や景観の保全に細心の注意を払う必要がある海域であると考えております。このほか、まき網漁や底引き網漁など、漁業活動も非常に旺盛であるとともに、海運上の重要地点ともなっているわけでございます。

 議員御指摘のとおり、洋上風力発電は、再生可能エネルギーの普及や地球環境保全の観点からは非常によいものでありまして、本県においてもゾーニングの中で環境影響が比較的小さいと考えられるエリアを調整エリアと位置づけておりますけれども、いずれにしても、本県沖の立地に関しては、今申し上げましたような多くの事項について、関係者の皆様とうまく調整していく必要があると考えております。

○副議長(岩田弘彦君) 片桐章浩君。

  〔片桐章浩君、登壇〕

○片桐章浩君 知事の答弁をいただきまして、2500億の投資、それからバイオマス発電も、これも推進しているということですが、バイオマス、たしか和歌山は5万キロぐらいだったと思います。この洋上風力発電については50万キロ、10倍の出力があるということで、主力電源にもなり得るということもありますので、環境負荷であるとか出力を考えると圧倒的だというふうに思いますし、投資効果を考えてもチャレンジしてほしいなと思います。

 本来、知事はこういった答弁はがんがんいつも押してくれていたんですけど、今日はあまり押しがなかったなと、僕個人的には実は思っておるんですけども、ぜひ積極果敢にチャレンジしていただきたい、このように思っているところであります。

 続きまして、新産業創造の2項目め、データセンターについて入らせていただきます。

○副議長(岩田弘彦君) はい、どうぞ。

○片桐章浩君 今回、データセンター誘致推進のための補正予算として、2000万円が議会に提案されているところであります。

 このデータセンターについては、都会型というのが従来でして、関西では彩都がデータセンターを誘致、立地しているところでは際立っていると思いますが、これまで和歌山県はそれほど熱心だったわけではないと認識しています。

 データセンターの必要性については今さら言うまでもなく、立地に係る投資額も大きいので、県が誘致の姿勢を見せていることは歓迎すべきことだと思っております。

 データセンターは温度管理、地震への対応、電源の確保、そして、万全のセキュリティーを備えていることなどから、地方自治体や企業は、安全に情報を管理すること、情報の安全保障の観点から利用しているわけであります。既に2021年は、データセンターの利用者の約半数がクラウドサービスを利用していると聞きますが、AI、5Gの進展など、クラウドストレージへの移行が進み、データセンターの利用がさらに増えることは、確かなことかなというふうに考えています。

 しかも、取り扱うデータの容量が増えていることから、今後は従来型のものではなく、大規模で大量の電力供給が可能なハイパースケールデータセンター、この建設が進むものだと思います。これら大規模なデータセンターの建設のため、広い土地と大容量の電力供給設備が必要で、和歌山県はそれに対応すべきだというふうに思います。

 今回、和歌山県がデータセンターの誘致に向けて動き出したことは歓迎すべきものですが、今から誘致するのであれば、この大型のデータセンターであってほしいと思いますし、最新で高品質のセキュリティーシステムを備えた施設に絞って誘致を進めてほしいと思います。

 情報の安全性が万全のデータセンターでなければ地方自治体も企業も利用しませんから、世界レベルの安全技術を有している企業を誘致すべきであり、利用者の規模を想定しても、世界レベルの信用力を有するデータセンターである必要があろうかと思います。

 そこで、データセンターの誘致について、質問であります。

 和歌山県は、このデータセンターの誘致に関しては、残念ながらやや後発かなというふうに思っておりますし、ほかの地方自治体との競争が激しい中、誘致するデータセンターは世界レベルのものである必要があります。データセンターのユーザーは、主なヘビーユーザーですね、医療機関、通信会社、そしてGAFAなどの業種ですから、それらの利用者を対象にしたレベルのデータセンターを誘致してほしいと思います。

 大容量で世界水準の安全性を備えたものであることは言うまでもありませんが、データセンターの誘致に対する県の方針をお聞かせいただきたいと思います。この点、商工観光労働部長の答弁をお願いします。

○副議長(岩田弘彦君) 商工観光労働部長。

  〔寺本雅哉君、登壇〕

○商工観光労働部長(寺本雅哉君) 新型コロナウイルス感染症の拡大によるオンライン会議の増加や動画、音楽、ゲームなどの大容量化で、インターネット上のデータ流通量は年々増加しており、データ処理を担うデータセンターの役割は重要となってきています。

 データセンターは、様々なデジタルサービスの提供を支えるとともに、企業等の営業秘密や個人情報が集積される安全保障の観点からも重要なデジタルインフラです。

 現在、国内のデータセンターの約8割は東京及び大阪近郊に集中しており、災害リスクや電力負荷の偏在が課題となっています。

 そのため、国はデータセンターの国内立地を進めるとともに、整備拠点の地方への分散化を行うとの方針を示し、その具体策として、令和3年度補正予算でデータセンター地方拠点整備事業費補助金を創設しました。

 県としましては、電力・通信インフラの整備に要する時間・費用や地域におけるデータ需要など、データセンター整備の可能性を探る基礎調査を実施するため、国の補助制度に申請すべく、今議会に補正予算案を上程しています。

 県では、製造業やIT企業の誘致に積極的に取り組んでいますが、基礎調査の結果を踏まえ、データセンターの誘致にも取り組んでまいります。

○副議長(岩田弘彦君) 片桐章浩君。

  〔片桐章浩君、登壇〕

○片桐章浩君 それでは、それを受けて、県における行政情報のクラウドストレージ化に対する認識について、質問をさせていただきます。

 現在の世界の流れからすると、データをファイルサーバーにファイル共有をしていた企業は、クラウドストレージへ移行する流れになっています。言うまでもなく、クラウドストレージに移行するのは情報管理の安全を確保するためであり、今後とも多くのユーザーが移行していくだろうなあというふうに考えております。

 そんな時代の機運を見越して、和歌山県はデータセンターの誘致を進めているわけですが、当然他府県も強力に誘致を繰り広げていますから、和歌山県に来てもらう絶対的な優位性があるわけではありません。

 そこで、誘致を促進するための条件が必要だと思いますが、県が誘致に乗り出すような情報管理レベルの高いデータセンターを誘致した場合、これは誇るべき地元産業として多くのユーザーに利用してもらうことが、立地歓迎の機運醸成になると思います。

 そこで質問です。県も行政情報のクラウドストレージ化を推進していると思います。県の行政情報のクラウドストレージ化について、どのように認識していますか。企画部長の答弁をお願いします。

○副議長(岩田弘彦君) 企画部長長尾尚佳君。

  〔長尾尚佳君、登壇〕

○企画部長(長尾尚佳君) クラウドストレージなどクラウドサービスを利用したデータ管理は、自社で機器を保有する場合と比較し、コスト面や運用管理の負担軽減に加え、セキュリティー対策や災害対策など、様々なメリットが期待され、政府においても、平成30年6月に政府情報システムにおけるクラウドサービスの利用に係る基本方針の中で、情報システムを整備する際はクラウドサービスの利用を第1候補とすることが示されています。

 県におきましても、クラウドサービスへの移行が重要との認識の下、県の情報システム調達の指針となる和歌山県情報システム調達ガイドラインにおいて、情報システムの構築、更新の際には、クラウドサービスの利用を第1候補として検討することと定めているところです。

 また、市町村に対しても、県と県内市町村で構成する和歌山県電子自治体推進協議会において、市町村の業務システムについて自治体クラウドへの移行を推進しているところであり、県としましても、引き続き、最新の技術動向等を注視しながら、データ管理の適正化につながるクラウドサービスの活用を進めてまいります。

○副議長(岩田弘彦君) 片桐章浩君。

  〔片桐章浩君、登壇〕

○片桐章浩君 企画部長の答弁をいただきまして、県も市町村もクラウドサービスへの移行、活用ということを考えているということをお聞きしました。これはデータセンターの誘致とか進出に関して、この県の姿勢というのは追い風になろうかと思いますので、ぜひその姿勢を持って誘致活動につなげていただきたいと思います。

 続きまして、2項目め、学校法人南陵学園の問題について触れたいと思います。

 南陵学園は、今、混乱しているというんでしょうか、連日テレビや新聞等でこの問題について見るところであります。最近では、もうこのように「週刊文春」とか「FRIDAY」(週刊誌を示す)、それから、持っていないですけども「週刊ポスト」にも取り上げられました。もう全国版というふうな形でにぎわせているところになってきておりまして、保護者の皆さんからも多数の問合せをいただいているところであります。

 この問題の発端となったのが、教職員への給料未払いなどの理由で、令和4年5月11日、教職員がストライキを行ったことが発端となっておりますし、遡ってみますと、就学支援金を受領していたにもかかわらず保護者に返還していなかった事実があり、和歌山県から何度も行政指導を行っているところでありますが、事態は依然、改善されていないのではないでしょうか。保護者や関係者からは、依然として不安の声が届いていますし、今では全国から注目される問題にまで発展してしまいました。

 そして、6月3日、とうとう末松文部科学大臣もコメントを発しております。「学校法人南陵学園におきましては、法人運営に混乱を生じていることはもう明らかでございます。大変遺憾なことであります。文科省としても、必要な指導、助言を行っていきたい」との発言です。

 そこで、この学校法人南陵学園で発生している問題に関して、文部科学大臣が大変遺憾なことと発言するまで事態が発展したことについて、知事の見解をお示しください。

○副議長(岩田弘彦君) 知事。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 学校法人南陵学園につきましては、議員からお話があったように、教職員への給料の未払いや保護者からの預り金の返還遅延など、多くの問題が発覚しております。

 県といたしましても、法人及び学校への現地調査を行い、学校運営について指導を重ねてきたところでございますけれども、依然として解消されていない問題がたくさんあるということでございます。

 また、保護者や教職員から再三説明を求められ、さらに県からもそう指導しているにもかかわらず、理事者側が説明責任を果たしていないというのは極めて不適切な対応と言わざるを得ません。

 こうしたことから、このたびの学校法人南陵学園をめぐる問題は、文部科学大臣の御発言のとおり、大変遺憾な事態であると思っております。

 先生方や生徒は、毎日真摯な学校生活を送っており、先日もバスケットボール部がインターハイ出場を決めたということをお聞きしたところであります。

 和歌山県としましては、学校法人の所轄庁である静岡県と連携し、生徒を守っていくという立場でその学びに支障が生じることがないよう、引き続き指導を重ね、必要な対処を行っていく所存であります。

 私立学校法に定められているとおり、本来学校法人は自主的に運営基盤の強化を図るとともに、その設置する私立学校の教育の質の向上及び運営の透明性の確保を図るよう努めなければなりません。

 そういう意味では、学校経営に乗り出すためには、よほどの確固たる財政基盤と社会的に名声を背負った企業が立派な理念を持った教育者を用意してやってもらわないと困るなあというふうに思いました。

 まずは同校の生徒たちを守ることが第一でございますけれども、今申し上げましたことも今後の教訓としてまいりたいと考えております。

○副議長(岩田弘彦君) 片桐章浩君。

  〔片桐章浩君、登壇〕

○片桐章浩君 それでは、生徒を守るための方策について、以下、質問を進めたいと思います。

 県が学校法人に支出した就学支援金ですけども、令和3年度分の就学支援金の保護者への全額支払いは、事もあろうか年度を越えてしまったわけです。

 和歌山県として、今回発覚した学校法人南陵学園のこれらの問題について、どのように取り組んできたのか。また、今、知事から答弁いただきました法人所轄庁である静岡県に対してどのような働きかけをしてきたのか。企画部長の答弁をお願いします。

○副議長(岩田弘彦君) 企画部長。

  〔長尾尚佳君、登壇〕

○企画部長(長尾尚佳君) 和歌山南陵高等学校への現地調査を毎年実施するとともに、静岡県が実施する学校法人南陵学園の実態調査にも同行し、法人の運営状況の把握に努めてきました。

 その中で、経営状況や図書室の未設置など、改善が必要であると判断される点につきましては行政指導を行い、対応を求めてきたところです。

 議員からお話がありました授業料に係る預り金の返還につきましても、再三にわたり早期の返還を求めてきましたが、令和3年度分につきましては、保護者の方々と約束をしていた期日に返還されませんでした。

 このような状況等から、私立学校の経営に必要な財産を有することを求めている私立学校法第25条第1項の規定に違反している可能性があると思料されたため、学校法人南陵学園の所轄庁である静岡県に対し、同法第63条に規定する検査等を実施した上で、第60条の規定に基づき、経営改善等に係る措置命令などの対応を取るよう書面で依頼いたしました。

○副議長(岩田弘彦君) 片桐章浩君。

  〔片桐章浩君、登壇〕

○片桐章浩君 それでは、続きまして、今答弁をいただきました就学支援金の代理受領後に学校法人南陵学園が授業料に係る保護者からの預り金の支払いの約束の期日までに返還していなかったことなどの問題について、どう考えているのか、企画部長にお尋ねしたいと思います。

○副議長(岩田弘彦君) 企画部長。

  〔長尾尚佳君、登壇〕

○企画部長(長尾尚佳君) このたびの学校法人南陵学園が保護者からの預り金を約束の期日までに返還しなかった事態は、見過ごすことのできない大きな問題であると考えております。

 高等学校等就学支援金の支給に関する法律においては、代理受領した就学支援金を当該預り金返還の原資に充てることを要求しているものではありませんが、一方、就学支援金の代理受領後も保護者からの預り金を保有し続けることは、高等学校等における教育に係る経済的負担軽減を図るという就学支援金制度の趣旨に鑑みると、極めて不適切であります。

 県としましては、授業料に係る保護者からの預り金を徴収しない、また、やむを得ず徴収する場合であっても、就学支援金の受領後においては速やかに当該預り金を返還するよう強く求めてまいります。

○副議長(岩田弘彦君) 片桐章浩君。

  〔片桐章浩君、登壇〕

○片桐章浩君 企画部長の答弁をいただきまして、ここがいつも、どうも見解の違うところもございまして、例えばこれ、この週刊誌によりますと、文部科学省の見解がありまして、就学支援金の使途は基本的には授業料のみとなっているんですよね。国からお金が振り込まれた時点で、学校は保護者から預かってきた授業料をすぐに返す必要がある、これ文科省の見解なんですよ、取材した。(週刊誌を示す)

 今の答弁だったら、別に預り金返還の原資に充てることを要求したものでないと、ここがずっと平行線をたどっているわけなんですけども、一方では好ましくないからということで、県の行政指導としては速やかに返還してください、これ指導してくれているのは事実だと僕は思っております。ですから、法律の解釈というんでしょうか、これは法律そのものは、県はこう解釈していて、国が少し違う見解を出しているという、ちょっとつじつまが合わないところを感じるんですけども、とにかく就学支援金の制度というのは、法の精神にのっとって指導を本年度、年度が替わっていますから、引き続き指導は当然していただきたいというふうに思っています。

 そして、それを受けて令和3年度の学校法人の調査結果についてなんですけども、ここでも教師の日本私立学校振興・共済事業団への掛金を給料から天引きしているにもかかわらず、掛金の滞納月数が累積していた。そして、市町村民税を特別徴収しているにもかかわらず、学校法人が天引きされた住民税は令和元年7月から、所得税は令和元年9月から支払われていなかったことが判明していることなどから、県の対応というんでしょうか、行政指導が十分機能していなかったんではないかと思います。

 その時点で、きちんとした調査と、これは強制力というのは伴わないんで仕方がないと言えば仕方ないんですけど、行政指導をしていればここまで大きな問題に発展することなく、事態を収拾に向かわせることができたのではないかなとは思うのです。(「そのとおりや」と呼ぶ者あり)

 教師のストライキ、生徒が平穏に授業を受けられていたと思いますし、保護者の不安もこのような声にはならなかったと思います。

 テレビ、新聞、週刊誌などで報道されたことによってようやく動いた感がありますが、問題になっている事実を令和3年上期の時点で把握していたのではなかったのでしょうか。

 また、学校運営を正常化するためにその状況についてどのような調査を行い、学校法人からどんな報告を受けていたのですか。企画部長にお尋ねいたします。

○副議長(岩田弘彦君) 企画部長。

  〔長尾尚佳君、登壇〕

○企画部長(長尾尚佳君) 議員御指摘のとおり、令和3年の上期の時点においても日本私立学校振興・共済事業団への掛金及び公租公課の滞納の事実について把握しておりました。

 そのため、学校教育への影響を勘案し、学校法人に対し、定期的に納付状況や滞納額等に関する報告を求め、指導を行ってきたところです。

 具体的には、令和3年7月に来庁した和歌山南陵高等学校の副校長に対し、滞納状態の早期解消を求めました。

 また、同年9月に実施した学校への現地調査の結果を踏まえ、10月に理事長の代理で来庁させた副校長に対し、直接指導を行うとともに、11月には滞納額の速やかな納付について、文書による指導を行いました。

 さらに、本年1月には法人の理事長に直接来庁を求めた上で、期日を明示した納付に係る誓約書を徴するなどの対応を行いました。

 その後も現在に至るまで、面談及び文書等による指導を継続しているところでございます。(「当たり前や」と呼ぶ者あり)

○副議長(岩田弘彦君) 片桐章浩君。

  〔片桐章浩君、登壇〕

○片桐章浩君 時間もあれでして、まず、一旦最後の質問にさせていただきます。

 とはいいながら、生徒を守っていくための対応というのが、これがまず前提となります。そこにこの問題の解決する難しさがあろうかなというふうに思っているわけなんですけども、今、学校法人南陵学園、南陵高校で起きている問題は、学校理事側の責めに帰するものであり、学校運営、学校経営上の責任について、理事者は厳しく責任を追及されるべきだと思いますし、県も追及すべきだと考えています。

 しかし、生徒にとっては自分たちの学校であり、県には当たり前に学校生活を送れる環境、卒業まで生徒を守っていく姿勢が求められています。言わば被害者でもある生徒たちを守っていく観点から、県として今後どのように対応していくのか、この点も企画部長に答弁をお願いします。

○副議長(岩田弘彦君) 企画部長。

  〔長尾尚佳君、登壇〕

○企画部長(長尾尚佳君) 県としましては、生徒の学びの機会を確保し、健全な学校生活を送ることができる環境を維持していくことが重要であると考えています。

 現在の状況から見て、学校法人南陵学園において法人経営に混乱を生じていることは明らかでありますが、そのことによって生徒の学びに支障が生じることがあってはなりません。

 また、和歌山南陵高等学校に関する報道等を受けて、生徒や保護者の方々から不安の声が出ていることから、学校法人が保護者等に対し説明会を開催することが必要であると考えております。

 生徒を守るため、引き続き、文部科学省や学校法人の所轄庁である静岡県と綿密に情報共有し、当該法人に対し経営状況等の改善を図ることや、保護者等への説明会の早期開催を求めるなど、必要な対応を行ってまいります。(「近々にやったってくれよ」と呼ぶ者あり)

○副議長(岩田弘彦君) 片桐章浩君。

  〔片桐章浩君、登壇〕

○片桐章浩君 企画部長の答弁、生徒を守っていくという観点から今後の考え方を示していただきましたけども、僕はここまで来て、問題は行政指導等で実はもう解決しないんではないかなと思っています。要はもう経営的には行き詰まっていますから、解決はもう一つですよ。もう経営譲渡先を見つける。これを県がうまくジョイント役というか仲介役をしてスムーズに譲渡する、これ以外にないと思います。

 実際4月分の給料とか5月分の給料というのは、これ理事長から出ているこの文書によりますと(資料を示す)、事業譲渡先から寄附を受けたのをもって給料を払うているということで、実質これ経営破綻しているわけなんですよね。自己資金じゃないわけですよ。事業継承者から寄附を受けてそれで支払われている、こんなことが2か月も、年度が替わってから続いているということ、これ事実として見ると、今の経営陣、理事者側にこれ以上行政指導しようが何をしようが、あまり事態は進まない、生徒を守れないのじゃないかなと思います。

 例えば、これは県に権限がないとは思いますが、静岡県と連携して、理事者側の例えば解任勧告をするとか、そこまでして経営者を替えてしまうとか、ただし譲渡先があればという、交渉しているという、こういう文書が出ていますから、これは僕も保護者から頂いて現物確認しておりますけども、現在、譲渡先を探している。探した暁には、今の理事長は、私は退任しますよと、こんなのをはっきり言うているわけです。

 ですから、この譲渡先を早く見つけて経営を安定させるためには、もうそこまで踏み込んで県として指導する、面倒を見る、子供たちのためにということで、しっかりと働きかけていただきたいというふうに思います。

 時間も残り5分ということになりましたのでここで終わらせていただきますけども、残りの点につきましては、まだまだ課題は多々あろうかと思いますので、ぜひこれはまた委員会の中でも企画部長と話を詰めさせていただきたいというふうに思っております。

 とにかく早く事態を、6月とは言わずとも7月になった時点で収拾できるように、これはもう経営譲渡先を見つける、これに県がしっかりとコミット、どこまで関与できるか、私人間の契約ですからこれ分かりませんけども、こういった事態をこれ以上引き延ばさないためにも、しっかりとサポートしていっていただきたい、このことを要望して、一般質問を終了させていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○副議長(岩田弘彦君) 以上で、片桐章浩君の質問が終了いたしました。

 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。

 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。

 本日は、これをもって散会いたします。

  午後2時52分散会

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