令和4年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


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令和4年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号

議事日程 第4号

 令和4年6月13日(月曜日)

 午前10時開議

 第1 議案第76号から議案第89号まで及び報第5号(質疑)

 第2 一般質問

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会議に付した事件

 第1 議案第76号から議案第89号まで及び報第5号(質疑)

 第2 一般質問

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出席議員(40人)

 1番 鈴木德久

 2番 山家敏宏

 3番 中本浩精

 4番 堀 龍雄

 5番 藤山将材

 7番 井出益弘

 8番 宇治田栄蔵

 9番 北山慎一

 10番 玄素彰人

 11番 中西峰雄

 12番 秋月史成

 13番 森 礼子

 14番 濱口太史

 15番 尾崎要二

 16番 冨安民浩

 17番 川畑哲哉

 18番 玉木久登

 19番 鈴木太雄

 20番 岩田弘彦

 21番 吉井和視

 22番 谷 洋一

 23番 佐藤武治

 24番 岩井弘次

 25番 中 拓哉

 26番 多田純一

 27番 新島 雄

 28番 山下直也

 29番 中西 徹

 30番 谷口和樹

 32番 浦口高典

 33番 山田正彦

 34番 坂本 登

 35番 林 隆一

 36番 楠本文郎

 37番 高田由一

 38番 杉山俊雄

 39番 片桐章浩

 40番 奥村規子

 41番 尾﨑太郎

 42番 長坂隆司

欠席議員(1人)

 31番 藤本眞利子

〔備考〕

 6番 欠員

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説明のため出席した者

 知事         仁坂吉伸

 副知事        下 宏

 理事         田嶋久嗣

 知事室長       赤坂武彦

 危機管理監      福田充宏

 総務部長       吉村 顕

 企画部長       長尾尚佳

 環境生活部長     生駒 享

 福祉保健部長     志場紀之

 商工観光労働部長   寺本雅哉

 農林水産部長     山本佳之

 県土整備部長     福本仁志

 会計管理者      中家秀起

 教育長        宮﨑 泉

 公安委員会委員長   竹田純久

 警察本部長      遠藤 剛

 人事委員会委員長   平田健正

 代表監査委員     森田康友

 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫

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職務のため出席した事務局職員

 事務局長       出津野孝昭

 次長秘書広報室長事務取扱

            浜野幸男

 議事課長       長田和直

 議事課副課長     岩井紀生

 議事課課長補佐兼議事班長

            村嶋陽一

 議事課主任      伊賀顕正

 議事課主任      菅野清久

 議事課副主査     林 貞男

 総務課長       葛城泰洋

 政策調査課長     神川充夫

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  午前10時0分開議

○議長(尾崎要二君) これより本日の会議を開きます。

 日程第1、議案第76号から議案第89号まで及び地方自治法第179条第1項の規定による知事専決処分報告報第5号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、併せて日程第2、一般質問を行います。

 10番玄素彰人君。

  〔玄素彰人君、登壇〕(拍手)

○玄素彰人君 皆さん、おはようございます。

 中本先輩の議長に再開を呼びかける元気なというか、明るいというか、すばらしい声に、私自身はかなわないなと、そんな思いを今いたしたところなんですけども、今般、6月議会2日目、トップバッターで一般質問をさせていただくことになりました。議員各位には感謝を申し上げたいと思います。

 今日、朝、スマホのお天気アプリを見ましたら、今日からもう来週の水曜日まで、私の住んでいる印南町に晴れマークがないということに気づきました。もう梅雨に入るんだなと。梅雨に入りますと、雨で衣服がぬれたり、洗濯物が乾かなかったり、運転していても見づらかったり、そんないいイメージというのはあまり持たれてないような雰囲気があるんですけども、一方で、そういった雨なんかも、梅雨が明けた後のさんさんと照る太陽、夏の日差し、そういったものをよりめでるためにあるのかなと、そんなことを思いますと、これからの天気もいとおかしと思えるんじゃないかなと、そんなことを思いました。

 今回、私から5点質問をさせていただきます。当局にとりましては、そんな質問、指摘が梅雨の空のような、雨のような印象のものもあろうかと思いますけども、それもこれも、梅雨が明けた後の太陽のごとく、和歌山県を投影してのことでありますので、どうかお許しをいただきまして、また、そういった質問もいとおかしと感じていただければ幸いに思っています。

 なお、今回、質問に当たりまして、2~3の問合せがございました、玄素君、進退伺いはしないんですかと。私は、通告以外の質問をいたしませんので、どうか心穏やかにゆっくりと質問をお聞きくださればと思っております。

 それでは、中身に入らせていただきます。

 まず、1点目であります。ふるさと納税に対する県の考えと取組について質問をいたします。

 令和3年7月21日の日経新聞によりますと、令和2年度のふるさと納税による寄附額が6724億円と前年度から37.9%伸び、件数についても3488万件と過去最高になったことが報じられておりました。

 私の選挙区でもある美浜町においても、ふるさと納税で令和元年度12月時点との比較で8.2倍となる9億9700万円を集めたと出ていました。県内20市町村の返礼品を扱えるよう協定を結び、品ぞろえをそれまでより300品目多い800品目に増やしたことが大きいとのこと。寄附件数は20倍近くになったとのことです。

 さらに、お隣の御坊市や由良町、日高町、上富田町、紀美野町、北山村、紀の川市、海南市なども同様に、様々な工夫の下、寄附額が過去最高を上回っているとのことでした。

 そんな中、和歌山県はどうか。令和2年度こそコロナ対策の純然な寄附があり、4.6億円となっているようですが、コロナが収まれば減ってしまう可能性をはらんでおります。

 また、ふるさと納税は、単に寄附だけでなく、地場産品をいい意味で刺激しているようです。私の周りでも、ふるさと納税はもうかるということで、一次産品を含め一稼ぎしたいという人や、ふるさと納税の商品に採用してもらうよう頑張っている方の姿も見るようになりました。私は、県も含め、各市町村がふるさと納税獲得のために競い合うことはいいことだと思っています。

 前段、美浜町のように、自力で返礼品を作れなければ他の自治体の力を借りる、こういった対応は民間が思うほど行政にとっては簡単ではないと思うんですが、自主財源をつくり出すというトップの意思も、職員の頑張りも感じられます。

 同時に、結果が出れば組織はいいように回ってまいります。ふるさと納税で得た財源を活用して、前向きな施策を実施できるだけでなく、町民の自信にもつながってくるように感じます。ふるさと納税を通じて他の市町村と連携したり、民間のポータルサイトを活用して政策課題を解決できれば、その必要性や公金に対する目線もいいように変わってきたり、自治体間で切磋琢磨することによって、自治体の生命力や首長の力量なんかも分かると思います。

 世はコロナ禍、巣籠もり消費がふるさと納税を増やす傾向に一役買っているという向きもありますが、理由はどうあれ、税を徴収されるという受け身の行為の中で、その一部が応援する自治体の糧になる、また、返礼品をもらえるという納税する側にとってもメリットのあるこの制度をうまく活用しない手はないと考えます。

 純粋な寄附が大事だ、独自産品でなきゃなど、県のふるさと納税に関しては、いろいろ議論があることは承知しておりますが、結果を残せない言い訳にしか私には聞こえませんし、財政が決していいと言えない中で、県民に説明責任が果たせているとも、県の財源確保に対する熱量も感じることができません。

 和歌山県だからこそ寄附したいという方がたくさんいらっしゃると思います。そういった人のために、ポータルサイトのさらなる活用、取り扱う品物量、価格も含め、もうちょっと頑張ってはと言いたくなってしまいます。

 ちなみに、和歌山県の市町村全部の平成20年度の寄附額は約2600万円、令和元年度は約99億円と約380倍に膨れ上がっています。我が県の返礼品の可能性は、他の都道府県と比較してもかなり優位にあるのではないかということも御紹介しながら、今後のふるさと納税に対する考えと取組について、総務部長の答弁を求めます。

 以上、1点目の質問を終わります。

 以降、質問、再質問は対面式演壇のほうで行わせていただきます。よろしくお願いいたします。

○議長(尾崎要二君) ただいまの玄素彰人君の質問に対する答弁を求めます。

 総務部長吉村 顕君。

  〔吉村 顕君、登壇〕

○総務部長(吉村 顕君) ふるさと納税は、寄附者がふるさとへの感謝や応援したいという気持ちを具体化させるとともに、税の使い道を自らの意思で決めることを可能とする制度であり、県にとっても財源確保の一つの手段です。

 県では、従来返礼品にかかわらず、多くの方々が応援し、寄附をしていただきたいという思いを持っており、これまでにも県人会や県ゆかりの方々に折あるごとに周知を行うなど、取組を進めてきました。

 また、ふるさと納税には、返礼品を通じて地域の活性化や地場産品の振興を図ることができるという側面もあることから、SNSを通じた情報発信や効果的なふるさと納税ポータルサイトの活用により、幅広い層への周知、広報に取り組んでおります。

 さらには、返礼品に選ばれた産品の販売振興という意味もありますので、県のみならず、市町村を含めた県全体での寄附額の増加につなげることも重要と考え、優良県産品として認定・推奨しているプレミア和歌山の商品を地場産品の少ない市町村でも取り扱えるよう、共通返礼品としているところです。

 今後も、議員の御発言にありましたように、寄附を増やす観点からも、県と市町村を通じ、和歌山を応援し、寄附をしたいという方々を増やすとともに、寄附をきっかけに地場産品を継続的に購入していただけるよう取り組んでまいります。

○議長(尾崎要二君) 玄素彰人君。

  〔玄素彰人君、登壇〕

○玄素彰人君 部長、答弁ありがとうございました。

 御努力されているのは、理解はするんですが、先ほど質問の中で、令和元年時点で平成20年度と比較して市町村の場合は380倍に伸びているというお話をさせていただきました。県を、同じ比較をすると、平成20年度は3200万ぐらいだったと思います。令和元年で5000万ですから、伸び率2倍にもなっている、そんな状況を見て、どうなのかなと思ってこの質問をさせていただいたんです。違うのかな。(「いや、合っています」と呼ぶ者あり)合っている。(「令和元年度は」と呼ぶ者あり)元年度は合っているんですよ。合っているんです。

 その中において、私も、今の県のふるさと納税の体制もいろいろお話をお聞きする中でポイントがあると思っているんです。まず一つはポータルサイト、具体的に申し上げますと、楽天とさとふるに入ってください。それから返礼品の額ですね、1万円もしくはそれ以上の価格帯が多い中で、これ、やっぱり対象人数を広げるために5000円から1万円ぐらいのものもラインナップもそろえていただく、これだけやっていただくと、政治生命をかけてまでとは申し上げられませんけども、数倍か、もしくは数十倍にはなるというふうに、私はほかの自治体なんかを見ていて思いますから、ぜひともやってみていただいたらどうでしょうかと御提案を申し上げまして、次の質問に移りたいと思います。

 2点目続けて、議長、行きます。

○議長(尾崎要二君) 玄素彰人君。

○玄素彰人君 では、2点目であります。猫を保護するボランティアの育成と支援についてであります。

 ペットフード協会の調査によると、令和3年の全国犬猫飼育実態調査によると、コロナ禍において、昨年1年以内に飼われた猫と犬は約88万6000匹で、コロナ前よりも増えています。また、昨年末における全体の推計飼育数は、猫が894万匹で横ばい、犬は約711万匹とやや減少傾向にあるわけですが、その数は、2022年4月の日本の15歳未満の子供の数1465万人を超える数となっています。

 そんな中、和歌山県においては、これは繁殖力の低い犬というよりも繁殖力の高い猫を想定して、平成29年に不幸な猫をなくすための和歌山県動物の愛護及び管理に関する条例が改正され、猫の飼い主への対策、野良猫への対策、地域猫対策の推進、罰則の追加など、強化されたところであります。

 結果として、平成27年度に2478匹あった猫の殺処分数は、令和3年には422匹と顕著な成果を見せております。

 また、年度途中においても、猫の避妊手術費用等、足りない際には増額補正されるなども評価するところでありますが、それにも増して頑張ってくれているのが、避妊手術が必要な猫を集めてくれたり、飼ってくれたり、里親を探してくれたり、時には苦情のあった飼い主に対してアドバイスをしてくれたり、日夜奮闘していただいているボランティアの方々、こういった方々が継続的に活動しやすい体制をつくることが優先的に必要と感じております。

 私が伺うペットの苦情も専ら猫に関することであるということも踏まえ、以下、環境生活部長に質問をいたします。

 猫の保護活動をされているボランティアの方々は、活動を行うために、多くの時間、手間、マンパワー並びに費用を必要とします。特に、猫を引き取り、譲渡会等を通じて譲渡するためには、ノミ・ダニ検査、約3000円ぐらいです。猫エイズや白血病の検査、約4000円です。不妊手術を実施する際、子猫を妊娠している場合には堕胎費用、加えて譲渡会に出すまでの餌代などがそれに当たります。

 今後、ボランティアの方々の費用負担を軽減するために、助成金、補助金、市町村と連携した支援制度の創設などの対応も必要であると考えております。ボランティアの方々に過度な負担をかけず、末永く活動を続けていただけるよう、持続可能なボランティアづくりのために、県ではどのような対応が必要とお考えか、答弁をお願いいたします。

○議長(尾崎要二君) 環境生活部長生駒 享君。

  〔生駒 享君、登壇〕

○環境生活部長(生駒 享君) 県では、不幸な猫をなくすため、様々な理由から県が引き取った猫を新たな飼い主へとつなぐ取組に力を入れているところですが、その取組を進めるに当たり、ボランティアの皆さんの協力は欠かせません。

 新たな飼い主の下へと譲渡されるまでの間、あらかじめ県に登録いただいたボランティアの方々に猫の世話やしつけなどをお願いしています。この際に必要な餌や検査は、全て県が負担することとしています。

 議員お話しのように、個人的に猫を預かり、新しい飼い主に譲渡するまでの費用負担にお困りの方には、ぜひとも県のボランティアへの登録を御検討いただきたく、最寄りの保健所に御相談いただければと思います。

 こうした不幸な猫をなくす県の取組は、ボランティア講習会や県のホームページなどでも積極的に紹介しているところですが、ボランティアの皆さんが経済的不安を抱えることなく、末永くその活動を続けていただけるよう、今後とも機会を捉えて広く周知を図ってまいります。

○議長(尾崎要二君) 玄素彰人君。

  〔玄素彰人君、登壇〕

○玄素彰人君 部長、答弁ありがとうございました。

 この不幸な猫をなくすプロジェクトというか施策というものは、やっぱり県の単費をかけて、補助金を取らずにというようなことで、お金もかけてやっているんで、結果としていい感じになっているというのは理解をしているんです。

 部長の今の答弁を伺いますと、ボランティアに登録をしてくださいということであったんですけども、例えば、私が猫を飼っているとします。猫をもう何らかの理由で手放さなければならないというふうになったときに、例えば私が保健所に持っていけば、保健所ではその猫は受け取ってくれません。どういうことかといいますと、それは飼い主の責任だからと、それは引き取れません、飼い主の責任で、動物愛護の観点からそうしてくださいと言われる。だけど、事情があってやっぱり飼えなくなったわけですから、じゃあ、その飼い主はどうするんですかというと、山中に捨ててしまうかも分からない。だけど、幸いボランティアの方々が地域にいらっしゃるので、このボランティアの方に持っていったら何とかしてくれるだろうと思って持っていくんです。そしたら、県みたいなことは言わないですから、猫がかわいくて何とかしたいと思ってくださる方々がボランティアの方ですから、それを引き取ってくれるんです。

 引き取ってくれたはいいですけども、そういった猫に関しては、私の認識が間違っていたらごめんなさい、また改めていただきたいと思うんですけども、さっき申し上げた猫のエイズの検査とか、ノミ・ダニの検査とか、避妊とか堕胎手術とかの費用とか、譲渡会までの餌代とかなんかは、これ出ないというふうに聞いているんです。だから、そこを出せるようにしてあげないと、結局、間違って山中なんかに捨ててしまった猫がまた保健所に持ってくるというふうな悪循環になってしまうんで、厳格に運用するのは結構なんですけども、そうしたほうが結果的に、より今の数よりももっと減ることにつながるんじゃないのかなというふうに思います。

 今日、私、朝NHKで、倉敷市がやっぱり猫のボランティアなくしてこの制度の運用はできないんだと、もう当時、マックスのときから4%とか、数%のところまで不幸な猫がいなくなったという紹介をされていたんですけども、やっぱりボランティアの関わりって物すごく大事だと思うんですね。

 ボランティアの方々も、もう好きで好きでたまらないという方から、いや、ちょっとだったら参加してもいいよという濃淡もあると思うんです。だから、そういった方を全部拾えるようにしなければ、やっぱり持続可能なこの制度というのはできないと思いますし、財源的なことを申し上げても、先ほど倉敷市の話をさせていただいたんですけども、市町村にもやっぱり入ってきてもらうと。県が率先してやることはいいんですけども、市町村から見れば、もうこれ県でやりやることですからというふうなイメージに私はなっているように感じますから、費用負担もある程度は、数の把握も市町村別に把握できると思うんで、そういった費用負担を求めていくというところもそうですし、あと連携も、お金を出してもらって連携もしてもらうという負荷はかけたほうがいいのかなという思いもあるんですということを申し上げると同時に、そういうことがひいては地域猫から外れたような猫をなくしていくということにもつながっていくんだろうなということを申し上げて、この質問を終わり、次に進みたいと思います。ありがとうございました。

 次、3点目。

○議長(尾崎要二君) 玄素彰人君。

○玄素彰人君 続いて、3点目でございます。

 次は、屋外広告物条例について質問をいたします。

 「僕、何で変更しなければならないのか納得いかないんです」、そんな御相談を昨年いただきました。

 何かというと、国道沿いにある店の看板を塗り替えるに当たって、それまで赤色であった店の看板を、行政から茶色に近い色に変更しなければ設置を許可できないというものでした。何でそんなことになるのか。聞けば、県が制定している屋外広告物条例の規制区域に当たっているからとのこと。

 屋外広告物条例とは、和歌山の良好な景観を形成し、もしくは風致を維持し、または公衆に対する危害を防止することを目的として、常時または一定期間屋外に表示される広告物に対し規制を行うというもの。高速道路の沿線、神社仏閣、観光資源の周辺、国道沿いなどがその対象となっていて、看板の大きさなども細かく決められております。

 この条例が制定されたのは平成9年、その後、平成16年、17年、18年、20年、23年に都度改正が行われ、制限が加えられています。

 和歌山県は、観光地でもありますから、景観をよくしていきたいということについては一定理解するところであります。ただ、それが日常の個人や会社の経営を圧迫しかねない状況になる可能性を秘めているとしたら、それまであった地域のモニュメント一つ動かすのに対しても制約が加わるということになるのならば、本末転倒と言わざるを得ません。

 私の経営している会社にも看板を設置しております。会社やお店にとって、看板はその会社そのもの。看板の色を変えるというのは、その会社や店舗の経営に首を突っ込む、魂を奪うに等しい行為だとも思っております。

 また、特に国道沿いの規制の在り方にも問題があると考えます。特別必要があるという規制のかけ方ではなく、そのまちの中心部と考えられるところはざっくり規制の対象外としつつも、そうでないところは一律国道沿いに規制をかけていて、あまりにも繊細さに欠けます。

 そうであるなら規制の見直しをすればいいじゃないかと考えるのですが、高速道路沿いについては、平成29年に大幅な見直しを実施したものの、国道沿いについては、10年以上見直しがかけられていないため、これで公正を保てるのかと疑問を抱いてしまいます。

 条例の趣旨は理解するものの、もっと看板を規制される者の立場に立った条例の運用が必要と考えますが、県土整備部長の見解を求めます。

○議長(尾崎要二君) 県土整備部長福本仁志君。

  〔福本仁志君、登壇〕

○県土整備部長(福本仁志君) 高野山、熊野をはじめ、連綿と守り続けてきた自然や文化など、数多くの観光資源を有する和歌山県では、景観や自然環境を守りながら、地域に人々を呼び込むことが重要と認識しております。

 和歌山県屋外広告物条例は、世界遺産をはじめとする良好な景観の保全を図るため、原則広告物の設置を禁止する地域と一定の制限の下で設置を許可する地域に区分しています。この条例をしっかり遵守していただくことで、本県の景観を保全することが観光振興につながり、地域経済の発展に寄与すると考えています。

 このため、条例の許可事務を担う市町村の担当者を対象とした会議を7月に開催し、改めて条例、規則、手引等の周知を行い、厳格な運用を図ってまいります。

○議長(尾崎要二君) 玄素彰人君。

  〔玄素彰人君、登壇〕

○玄素彰人君 部長、答弁ありがとうございました。

 何か最後のところが引っかかるんですけども、ただ、最後の趣旨のところで言うならば、今までずうっと13年も14年もほったらかしてあった国道の規制を7月に見直すということの答弁であったので、それは理解するんです。

 ただ、私、申し上げているのは、条例に書かれていることを厳格に運用してもらったら、それはいいんです。だけど、その中でひずみが起きていることは解消しなければ駄目ですよということを申し上げているんです。

 もう再質問をしようかと思ったんですけども、あとの質問もあるんで、しませんけども、こういった役所が規制をかけていくというような政策、これ別に屋外広告物法と、また、それに準ずる条例に関してだけではないんですけども、こういった規制をかける、制約をかけるというふうになると、どうしてもひずみというのが県民なんかに出てくる可能性が高いというふうに私は思っているんです。

 今回、一例で、いい例なんだろうなと、ある意味思っているんです。だから、役所というのは、規制をかけて制約をかけたら、定点的に後ろを見ながら、ああ、大丈夫なんだろうか、県民の皆さんに、また事業者の皆さんに何か不便になっていないのかなというようなことも見ながら本来はやらないと駄目なんですけども、どうも何か守っていくことだけが目的になって、県民のほうを見ているんですかと、条例って何のためにあるんですかと。役所のためにあるんと違うんですよ。県民のためにあるんですよ。部長、それを分かっていて、そんなことをおっしゃっているのかと思ったら、うーんと思ってしまうんです。

 いずれにしましても、これ、屋外広告物法だけのことで、私、今回言いたかったわけじゃないんですけども、役所の皆さんにとっては、そういった規制なんかをかけるときは、都度都度そういった定点的に観測をしていただく運用をしっかり心がけてくださいと、県民のための条例であってくださいということを申し上げて、次の質問に移りたいと思います。

 議長、よろしいですか。

○議長(尾崎要二君) 玄素彰人君。

○玄素彰人君 それでは、4点目であります。鳥獣害対策について質問をいたします。

 遡ること20年前、私は29歳、町議会議員をしておりました。山間部においては、その頃から鳥獣害被害が深刻で、私の実家も例外ではなく、米がイノシシに荒らされる始末。反当たりの収量が沿岸部と比べて少ない上に、獣害にやられてはということで、結果として米作りを諦めることとなりました。

 そんな背景もあり、その窮状を訴えるべく、当時既に県議会議員であった冨安議員にコーディネートいただき、当時の県農林水産部長に会わせていただきました。「玄素君、心配せんでええから、自分の思っていることを全部部長に話したらいいで」と冨安先生がおっしゃっていただいたこともあって、当時先進地であった広島県のように狩猟期間を延ばす必要があること、鳥獣保護法の制約はあるにせよ、夜間狩猟など、捕獲のバリエーションを増やす必要があること、鳥獣害特区を県全域もしくは市町村単位でつくること、捕獲報奨金を上げること、猟期以外の有害駆除を活用しやすい環境をつくること、防護柵を設置する際の補助金の人数要件を外すことなど、言いたいことを思いっ切り当時の部長に申し上げたことを思い出します。今思えば、言いたいことを言い過ぎて、先生には大変御迷惑をおかけしたと恐縮いたしております。

 その後、この鳥獣害被害は、過疎化も相まって、山間部から沿岸部、住宅地へと広がっていったわけですが、この間、行政、団体、あらゆる関係者の御努力、御助力もあって、当時数億円程度であった国の鳥獣害対策関連予算も今は100億円を超え、鳥獣害対策も、鳥獣の追跡、ジビエの活用、おりの設置、報奨金の増額、夜間狩猟の実施、ハンターに対する支援拡大等、広がりを見せる中で、被害の上昇は何とか食い止められ、一定抑えられていると感じるようになりました。

 そんな中、県では、今年4月、5か年先のイノシシ、鹿、ニホンザルの管理を目的とした第二種特定鳥獣管理計画を定めました。これによると、10年後には各動物とも生息数を半減にするとか、農作物の被害を30%以上低減する目標が掲げられています。そして、そのためには、鹿の生息数が増えているので重点的に対策を行うこと、報奨金や狩猟免許取得などの支援、試験場が開発した捕獲ゲートの活用など行っていくとのことでありますが、現状の膠着状態から一歩抜け出すためには、また、管理計画の目標を達成するためには、もう一押しの何かが必要であるとも感じております。

 岐阜県の大垣市では、最近、AIを活用したカラス撃退の実証実験を始めたとありました。愛知県では、農業と他の仕事を掛け持ちする人たちを農村部へ呼び込む事業を始めたとありました。農業人口を増やす等、農業を元気にすることも、間接的には鳥獣害対策になり得ます。

 既存の事業以外に、今後、鳥獣害対策において現状研究していること、やってみたいと考えていること、特に重点的に取り組むことなどあればお示しいただきたいと思うのですが、農林水産部長、答弁をお願いいたします。

○議長(尾崎要二君) 農林水産部長山本佳之君。

  〔山本佳之君、登壇〕

○農林水産部長(山本佳之君) 県では、本年4月に策定した第二種特定鳥獣管理計画を達成するため、捕獲の担い手である狩猟者の確保・育成や防護柵の設置支援などに取り組んでいるところです。

 特に、狩猟者数は、平成19年をピークに減少しており、今後も高齢化による熟練狩猟者の減少が予想され、狩猟者の確保と技術向上は大きな課題となっています。

 このため、狩猟の魅力や臨場感を体験できる研修、鳥獣の特性を学ぶ座学研修、現場での実践的な個別指導などを実施しています。

 また、経験がなくても設置や捕獲が比較的簡単にできる捕獲おりなどの開発も進めています。

 今後、ICTとAIを活用した捕獲おりやドローンを使った追い込み猟など、先進的な事例を研究し、市町村や関係機関と協力して、目標の達成に向け取り組んでまいります。

○議長(尾崎要二君) 玄素彰人君。

  〔玄素彰人君、登壇〕

○玄素彰人君 部長、答弁ありがとうございました。

 AIとか、ドローンとか、ICTとかというようなことで、とにかく前向きに考えてくださっているというのは私も理解したいし、思いというのは共通なんだと思います。

 私、昨日、嫁さんの実家に梅取りに行ってきたんです。そしたら、もう嫁のおやじも80近くなってきて、それでも作業をしているのを見ていたら、何とか省力化したらいいなと。だけど、同時に、省力化するところにまたビジネスもあるんだろうなということを痛感したわけなんです。

 それと、もう一つ申し上げておきたいのが、今回の第二種特定鳥獣管理計画なんですけども、その目標として、質問の中でも申し上げました。10年後に30%以上被害額を低減するんだということと、生息数を半分にするんだと、それはできたらいいよねというふうに思うんですけども、こういった行政の計画というのは法律に委任されているもので、僕、調べたところによると505ぐらいあるんです。だけど、長計の目標も含めて、達成されたためしがないと言うたら言い過ぎですけども、あまり達成できていないというのが多いんですね。

 何でそんなことになるんかと考えるんです。私なんか、例えば民間なんかでそういった計画を担当者がいて立てます、立てたら、その組織はそれに向かって一生懸命やる。結果として結果が出せる。結果が出せれば、それが昇格とか、お給料が上がったりとか、インセンティブにつながったりするんで、そういった計画というのはできていくんだろうなというふうに思うんです。

 だけど、一方、行政のそれというのは、今回、第二種特定鳥獣管理計画を立てられた方が、じゃ、5年後、10年後、そこにいらっしゃるかというと、まず、いないんだろうなと、退職をされているかも分からない。じゃあ、そのときのセクションにいた方々はいるのかなと、いや、この人たちもどっかに行っている可能性があると。だけど、その計画は大事だということで一生懸命前に進めていって、計画が達成できたから、じゃあ2段階昇給であるとか、昇格であるとか、ボーナスに反映されるのかというと、そうでもないですから、気合が入らないと言えば、そういうような向きもあるのかなと。

 これは、全然職員さんが悪いというわけではないんですけども、一種行政組織病みたいなものかなというふうに思っているんです。そうであるのなら、それに対してのコミットをしていくというか、それを改善していかなければならないというふうに私なんかは思うんです。

 幸い、今年1年、私、望んで農林水産委員会の委員をさせていただきました。議連の役職もいただきましたんで、この1年はしっかりと部長とコミュニケーションを取りながらやっていきたいと思います。どうぞよろしくお願いを申し上げまして、次の質問に移りたいと思います。

 続いて、5点目であります。

○議長(尾崎要二君) 玄素彰人君。

○玄素彰人君 5点目、若者の投票率向上に向けて質問いたします。

 選挙管理委員会におかれましては、長から独立した機関として、選挙が公明かつ適正に行われるよう、委員会運営、広報広聴、情報化施策の企画・調整・推進、政治団体、政治資金、公職選挙法、選挙啓発に関することなどについて、日々御努力をいただいていることに敬意を表したいと思います。

 さて、公益財団法人明るい選挙推進協会のホームページには、運動の発端であった選挙浄化については、選挙違反の数も減ってきているものの、新たな課題として、投票率の低下が大きく、運動の重点はそちらに移り、その中でも特に若い世代の投票率の低さには憂うべきものがあり、政治や選挙に対して関心を持ってもらうこと、投票率を向上させることは焦眉の課題である旨、記載されています。

 そんな中、県選挙管理委員会においても、常時啓発において選挙人の政治意識向上に努めるため、今年で74年目を迎える明るい選挙啓発ポスターをはじめ、ツイッター、出張!県政おはなし講座、啓発動画の投稿、図書館へ選挙に関するコーナーを設けたりするなど、若者の投票率向上のための啓発をされてきたことは理解をしておりますが、令和元年7月21日執行の参議院議員通常選挙においては、和歌山県における全体投票率が約55%に対して、18歳から29歳までの投票率の平均が約30%と約25%の開きが出ていて、また、平成29年10月に行われた衆議院議員選挙においては、総務省のデータによると、都道府県別18歳投票率ランキングにおいて和歌山県はワースト6位の42位となっているなど、ちょっとどうなのかなという思いがいたしております。

 そんな中、私が最近注目しているのは、高校期日前投票所というもの。高校の中に期日前投票所を設けたり、高校に移動バスを走らせ、バス自体を投票所にしたりと様々な工夫をされています。投票所独特のいかめしさがないということで生徒にも好評で、また、結果も出ているようです。

 一般に言う投票所は最近減る傾向にある中で、期日前投票所は増えています。ショッピングセンターなどに設置されている共通投票所や期日前投票所にバスで送迎するなど、今まで以上にポジティブな姿勢が選管には求められているのだと思います。

 もちろん、選挙事務を実施するのは市町村であるわけですが、県選挙管理委員会のリーダーシップなしには、なし得ないとも考えます。高校に移動投票所を設置することの考えについて、委員長の見解を求めます。

○議長(尾崎要二君) 選挙管理委員会委員長小濱孝夫君。

  〔小濱孝夫君、登壇〕

○選挙管理委員会委員長(小濱孝夫君) 御指摘の高等学校への期日前投票所の設置につきましては、高校生の投票環境及び政治意識の向上を図る観点から、有効な施策の一つであると考えております。

 ほかの都道府県の実施例だけでなく、県内におきましても、平成29年の衆議院議員総選挙で、かつらぎ町において町内3校の高等学校に1日ずつ期日前投票所が開設された実績も承知しております。

 こうした取組につきましては、既に市町村選挙管理委員会に対しては県選挙管理委員会大会等で、高等学校に対しては県立学校長会、教頭会等を通じて情報提供しております。

 県選挙管理委員会といたしましては、期日前投票所を高等学校に設置する場合には、その成果に加えて、課題等につきましても市町村選挙管理委員会と検証した上で、市町村選挙管理委員会に設置の判断をしていただくものと考えております。

 今後とも、有権者の投票環境の向上を図る取組の拡大について助言を行い、また、高校生に対しては、選挙を身近に感じてもらうために、引き続き、出張!県政おはなし講座に力を入れるなど、市町村選挙管理委員会と連携して取り組んでまいります。

○議長(尾崎要二君) 玄素彰人君。

  〔玄素彰人君、登壇〕

○玄素彰人君 委員長、答弁ありがとうございました。

 質問の中でも申し上げたとおりなんです。平成29年の衆議院議員選挙において、18歳の投票率がワースト6位だという結果になったという話をさせていただいたんですけども、一般的に都市部と比べて、概してというか、田舎と言われる県なんかのほうが投票率は高いのかなと日頃印象を持っているんで、18歳といえども低いとなると、うーん大丈夫かなという思いがしたんで、今回、この質問をさせていただきました。

 答弁の中では、一度平成29年に、まさにその移動投票所をやられたということであるんですけども、いろいろお伺いをしていますと、ちょっとやっぱり内容もどうだったんかなと思うようなこともあります。ただ、選挙費用って割かし県が単独で持つというよりも、国から多分支弁されるんでしょうから、その辺のところはあまり財源を気にしなくて、思い切ってそういったものをやっていただきたいなあというふうに思ったりしました。その検証も、あれから4~5年たった中で、まだ検証をこれされていないというと、ああと、ちょっと言いたいかなということも申し上げておきたいと思います。

 また、今現状において、出張!県政おはなし講座ということをされているんだということでありましたけども、出張!県政おはなし講座も昨年度は8回だというふうに聞いております。各高校に18歳の方がいらっしゃいますから、高校の数だけやっていただかないと、なかなかやっていますというのは胸を張って言えないと思いますし、ツイッターなんかも、もう近々に参議院選挙がありますから更新をされておりますけども、昨年1年間、私、見せていただいた限り、一度も更新されていないんですね。だから、経常的なというか、どうしてもガードが下がってしまいがちな、行政の言う政治政策からすればちょっと外れてしまうところも現実あるのかも分かりませんけども、意識してやっていただけたらということを申し上げて、この質問を終わりたいと思います。

 以上、私の予定しておりました質問は全部終了いたしました。いつもながらに拙い質問にお付き合いをいただきました皆様方に感謝、御礼を申し上げ、6月議会の一般質問を終結したいと思います。ありがとうございました。(拍手)

○議長(尾崎要二君) 以上で、玄素彰人君の質問が終了いたしました。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 24番岩井弘次君。

  〔岩井弘次君、登壇〕(拍手)

○岩井弘次君 おはようございます。本日2番目に登壇をさせていただきます。この機会を与えていただきました先輩・同僚議員の皆様に心より御礼申し上げます。

 本日は、6項目の質問をさせていただきます。項目は少し多いんですけども、簡潔に質問させていただきますので、どうかよろしくお願いいたします。

 特に、1項目めは知事に答弁を求めます。質問項目表を見ますと、今日の知事答弁は私のこの問いだけとの予定になっておりますので、どうか勢い余るような答弁となりますよう、よろしくお願いいたします。

 それでは、始めさせていただきます。

 まず、1項目めですけども、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の活用について伺います。

 今年2月24日、ロシア軍によるウクライナへの侵略が始まり、今なお戦闘収束のめどが立たず、多くのウクライナ国民が近隣国や日本を含む世界中に避難しています。これまで、世界各地で起こっている大小様々な紛争や小競り合いのような対立は報道等で見聞きしていますが、今回のような長期にわたり、大規模な戦争と言えるような、また、周辺諸国もしくは全世界が巻き込まれるおそれがあるかもしれないことが、まさかこの21世紀に起こるなんて思ってもいませんでした。

 戦争ほど悲惨なものはない、戦争ほど残酷なものはありません。一番の犠牲者は子供であり、母であり、一市民です。力による現状の変更は、国際法上に照らしても決して許されません。一日も早く平和的に解決される日が訪れるよう願うものであります。

 このウクライナ危機は、世界に様々な影響を及ぼしています。我が国においても、原油価格や物価高騰の影響により、生活者や事業者はあらゆるものが不足し、そして、価格高騰により、大きな負担を強いられております。

 6月1日の帝国データバンクが食品主要105社に価格改定動向調査を行ったところ、値上げ実施済みを含み、5月末までに累計1万789品目で値上げの計画が判明しています。値上げ幅も拡大し、夏そして秋口以降も値上げが続き、値上げラッシュが止まらない状況であるとしています。

 小刻みな価格改定や、価格は据置き内容量を減らす、いわゆるステルス値上げなど、消費者への影響を極力抑制してきた企業でも全面的な価格改定に踏み切るケースが相次いでおり、今後も、再値上げ、再々値上げといった動きが前例にないペースで進む可能性が高いとの調査報告がなされました。

 私ども公明党としても、1月、2月には高齢者や子育て世代、そして事業者の方々に御協力をいただき、アンケート活動をしました。また、3月には、長引くコロナ禍に加え、ウクライナ危機や円安等、生活や事業活動に影響を及ぼしていることに対して、国民生活総点検・緊急対策本部を設置し、生活や事業経営に苦しむ方々に聞き取り調査をしました。

 先日も、建設業の方からお聞きしたのですが、生コンの価格がまた改正されるそうで、立米当たり約2割の値上げ、短期間に2度目の値上げとなります。しばらくは持ち得る体力で頑張れるが、長引き、また再値上げなどがあれば、経営努力で対応できる水準を超えるとの悲痛な声もいただきました。公共工事は増額補正に応じてもらえることもありますが、民間との契約において、契約金額を原材料の急激な高騰でという理由で増額することはほぼかないません。

 そのほか、昨日、内装業の方にお聞きしますと、クロスやのり、接着剤などが考えられないほど値上がりし、材料も手に入りにくくなってきており、お手上げ状態だとおっしゃっておりました。これらは一部のお声であります。

 そのような状況を鑑み、政府は、長引くコロナ禍やウクライナ危機の影響による物価高騰対策としての総合緊急対策で地方創生臨時交付金が拡充されました。コロナ対応だけではなく、様々な人に活用できますので、余すことなく、県民、そして事業者のために活用していただきたいと思います。

 今議会に種々その支援及び対策費として上程されていますが、上程されるに当たっては、短期間に手配、御準備された御苦労はあったかと思います。

 原油価格高騰対策として、バス・タクシー事業者の燃料費上昇分に対し2分の1支援、施設園芸農家のビニールハウス暖房費燃油価格上昇分の4分の1を支援することや、飲食・宿泊・サービス業等支援金(第Ⅴ期)など、また、生活困窮支援策としては、独り親の低所得世帯を対象に、子供1人当たり5万円の特別給付金を支給するほか、臨時交付金を充てた補正予算案が上程されています。

 補正総額35億9100万円のうち、国庫支出金が大半を占めていますが、内訳は、原油価格高騰対策が4億700万、エネルギー・原材料・食料等安定供給対策が1億5000万、コロナ禍において物価高騰等に直面する生活困窮者等への支援が26億円、そして、経済活動の継続等に係る支援として3億6200万がそれぞれ計上されています。

 誰に寄り添い、どこに支援の手を差し伸べなくてはならないのか、その知恵は現場にあります。生活者や事業者を守るため、スピード感を持ってしっかりとお取組いただきたいと願います。

 今回の新たな枠の創設により、国が行う支援策に加え、自治体は地域の実情に応じて、コロナ禍での原油高や物価高に直面する生活者と事業者への支援をきめ細かく講じることができます。例えば、自治体の判断で、子育て世帯生活支援特別給付金による児童1人当たり一律5万円に対して上乗せ給付したり、住民税非課税世帯等に対する臨時特別給付金による対象者の要件を緩和したりする等、国の支援策を補完することもできます。

 そこで、お伺いしますが、広く全てについて聞くことはできませんので、飲食・宿泊・サービス業等支援金(第Ⅴ期)に関してお伺いします。

 昨今の厳しい事業環境を見ると、第Ⅳ期と同様、売上げが50%以上減少した事業者への支援金の倍額措置については引き続き実施すべきではないか、また、対象業種を拡大するお考えはないか、最後に、今後の事業者支援について、交付金の活用も含め、どのように取り組まれるのか、知事に答弁を求めます。

○議長(尾崎要二君) ただいまの岩井弘次君の質問に対する答弁を求めます。

 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 本議会に上程させていただいております飲食・宿泊・サービス業等支援金(第Ⅴ期)は、原油・原材料価格高騰の影響を受ける中、新型コロナウイルス感染症の影響により売上げが減少している事業者に対し支援金を給付することで、事業継続に資することを目的とするものであります。

 第Ⅳ期の対象期間中には、オミクロン株の感染拡大に伴い、本県がまん延防止等重点措置を実施すべき区域となり、飲食店への営業時間短縮や不要不急の外出自粛などの行動制限を要請いたしました。

 これにより、様々な業種において業況が悪化したわけでございますが、時短要請に応じた飲食店に対しては、国の制度として営業時間短縮要請協力金が支給されたものの、その他の業種については協力金の制度がございませんので、不公平ではないかという議論が起きました。

 そこで、県の独自施策である飲食・宿泊・サービス業等支援金において、協力金の対象となった事業者は当支援金の対象外とするとともに、協力金の対象でない事業者で売上げの減少が特に大きい事業者に対しては、この対象外になった財源を使って倍額を支給する手厚い支援を実施させていただいたところでございます。

 今回の第Ⅴ期の対象期間である4月から6月は、そのようなバランスを考慮すべき特段の事情がない──つまり、時短要請をしておりませんので、協力金がない──ということと併せまして、行動制限も解除されてきておりまして、経済状況も徐々に改善していく中で、必要な事業者に広く支援が行き届くよう、支援金額を設定させていただいたところです。

 また、御指摘のように、ウクライナ情勢などによりまして新たな困難が生じてきている企業もございまして、これらに対して将来に備えなければならないという可能性もございます。そこで、現状のような制度設計をさせていただいたんですが、それでも特にお困りの事業者については、個別に相談をお受けいたしまして、資金繰り支援など、可能な限り対応をさせていただきたいと考えます。

 また、対象業種につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて売上げが大きく減少している割合の高い業種を支援の対象としたものでございまして、第Ⅴ期についても第Ⅳ期と同様の業種とさせていただきました。

 今後も、新型コロナウイルス感染症の感染状況や、原油・原材料価格高騰の影響など、経済の先行きは不透明なところがございますけれども、産業別担当者制度等を通じて様々な業種の動向を把握するとともに、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金も活用しながら、必要な支援策を機動的に実施していく所存でございます。

○議長(尾崎要二君) 岩井弘次君。

  〔岩井弘次君、登壇〕

○岩井弘次君 知事、答弁ありがとうございました。

 県に国からの交付限度額としては約52億、今回上程されているのが31億から32億、約20億が今回の議会には間に合っていないといいますか、私、単純に思ったのは、52億を、現場はもう本当に血が噴いているような状態の業種が多い中で、なぜ20億も残して今回上程されているのかなと単純に思いました。ですから、本当にスピード感を持って現場の声を聞いていただいて、対応していただきたいと。大変なのはよく分かります。

 あと、知事のほうから、対象業種についても第Ⅳ期を踏襲してという御答弁でございましたけど、特に建設業が外れております。大きなところも大変なんですけど、先ほど申し上げた内装業の方であったり、建築関連の事業者、一人親方であったり、1人、2人でされているところ、こういったところもかなりの影響を受けております。新型コロナウイルス感染症の終息だけではなくて、いろんな物価高騰等で影響を受けていることをいろいろと勘案していただきながら、ぜひとも、とにかく現場に声を聞いていただいて、対応していただけたらというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、次の項目に移らせていただきます。

○議長(尾崎要二君) 岩井弘次君。

○岩井弘次君 それでは、次に、特別支援教育について質問いたします。

 発達障害及びその疑いのある児童生徒数は年々増加しています。本県の特別支援学級在籍児童生徒数の推移を見ますと、大半を占める知的障害と自閉症、情緒障害の児童生徒数は、令和3年度現在、小学校では知的障害が1040人、自閉症・情緒障害が1063人、中学校では知的障害434人、自閉症・情緒障害が359人となっており、5年前の平成28年度と比較し、知的障害で約1.5倍、自閉症・情緒障害は約2倍近くに増加しています。

 文科省の基本計画の中で、特別支援教育の充実について、児童生徒数の増加に対応する環境整備などの課題に対応するため、教員配置や専門性を持った教員の充実などの取組の必要性も指摘されています。

 公立小中学校の特別支援学級の学級編制の標準については、障害の区分ごとに、1学級の児童生徒は8人を上限として学級編制をすることとなっており、この編制された学級数に応じて必要な教員の定数が算定されています。子供一人一人個性が違いますので、その子に合った指導方法をマン・ツー・マンで行うことが理想ですが、現実問題としては難しいと思います。

 令和2年の学校基本調査によると、特別支援学級の1学級当たり平均在籍児童生徒数は、小学校で全国平均が4.4人、中学校で4.1人、和歌山県は、小学校で4人、中学校では3.4人と、全国平均よりやや少人数学級となっております。

 そのうち、自閉症・情緒障害学級については、小学校で全国平均が5人、中学校では4.4人、和歌山県は小学校で4.3人、中学校では3.4人と、自閉症・情緒障害学級も全国平均を下回っております。学級当たりの児童生徒数は少人数となっていますが、一人一人、その個性は千差万別、数字で推しはかることはできません。

 特に、自閉症スペクトラム症や広汎性発達障害、選択性緘黙などの児童生徒が在籍する自閉症・情緒障害学級では、二次障害として多様な症状を呈する子供もおり、それぞれのニーズに応じた支援、指導も複雑化しています。先生方が子供たちと毎日懸命に向かい合っておられる現状を、日常を知っていただき、どうか現場の声を聞いていただきたいと願うものです。

 ある先生は、子供が見せた心の扉を開ける鍵を見つけた一瞬を感じ取り、それまでできなかったことが一つできるようになったとき、それまでの苦労が吹き飛び、無上の喜びを感じさせてもらえるとおっしゃっていました。

 学級人数が定員を大きく下回っているから大丈夫ではなく、それらの児童生徒数や教員の配置数について、実情に合ったものなのかどうか、単に加配でマンパワーを投入するだけではなく、個別指導ができ、繊細な子供たちの安心・安定を保障できる内容が伴っている少人数の学級をと願います。

 そこで、教育長にお伺いします。

 特別支援学級への教員配置について、在籍児童生徒数等に応じた配慮がなされているのか、また、その内容についてお答えください。

○議長(尾崎要二君) 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 特別支援学級の1学級の基準は8人ですが、知的障害者、肢体不自由者、病弱者及び身体虚弱者、弱視者、難聴者、言語障害者、自閉症者・情緒障害者の障害種別ごとに学級編制を行っており、より少人数の学級編制となっています。

 さらに、県教育委員会では、基準の学級編制に加えて、1学級6人以上の学級または1学級5人以上で3学年以上にわたる学級には、非常勤講師を配置する措置を講じています。

 今年度は、小学校546学級のうち228学級、中学校227学級のうち65学級への配置となり、個々の障害や発達段階の課題に応じたきめ細やかな指導ができるよう努めております。

○議長(尾崎要二君) 岩井弘次君。

  〔岩井弘次君、登壇〕

○岩井弘次君 ありがとうございます。

 では、特別支援学級を担当する教員を支える県教育委員会の取組について、また、今後の展望について、教育長のお考えをお聞かせください。

○議長(尾崎要二君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 県教育委員会では、特別支援学級を担当する教員が自信を持って児童生徒の指導に当たり、子供の成長を実感できるよう、教職員の研修や相談支援体制の充実に取り組んでいます。

 研修については、特別支援学級を初めて担当する教員を対象に、障害のある児童生徒の特性や支援方法、特別支援学級の学級経営について学ぶ特別支援学級担当教員研修を実施しております。

 また、特別支援学級を担当する教員の特別支援学校教諭免許状保有率の向上を目指し、特別支援学校教諭2種免許状取得に必要な免許法認定講習を毎年複数講座開講するなどの取組を行っています。

 次に、相談支援としては、特別支援学校のセンター的機能を活用した巡回相談員の派遣に取り組んでいます。また、特別支援教育の観点は特別なものではなく、全ての教員にとって必要なものであることから、県内全ての小中学校に、校長のリーダーシップの下、全校的に取り組む校内委員会を設置し、障害のある児童生徒の実態把握や支援の方策等の検討を行っています。

 さらに、小中学校への学校指導訪問や市町村教育委員会指導事務担当者会議などの機会を通じて、特別支援学級の課題解決や特別支援教育の質の向上に向けた指導助言を行っており、今後、より一層の強化を図ってまいります。

 加えて、特別支援学級の学級編制の標準化の引下げや定数改善については、全国知事会及び全国都道府県教育長協議会を通じて、引き続き、国に対して強く要望してまいります。

○議長(尾崎要二君) 岩井弘次君。

  〔岩井弘次君、登壇〕

○岩井弘次君 教育長、御答弁ありがとうございました。また、国に対する要望もそうですし、教育委員会としても、教員の皆さんのお支えをよろしくお願いいたします。

 それでは、次の項目に移らせていただきます。

○議長(尾崎要二君) 岩井弘次君。

○岩井弘次君 次に、介護施設等への入居、入所が困難と思われるようなことについて、窓口となる地域包括支援センターの相談支援の拡充に向けた取組についてお伺いします。

 令和元年版高齢社会白書によると、2018年現在、総人口に占める高齢化率は28.1%で、その後も増加傾向が続いており、2042年にピークを迎え、その後は減少に転じると推計されています。今さら言うまでもありませんが、高齢化社会は大きな問題となっています。

 厚生労働省令和元年国民生活基礎調査の概況高齢者のみの世帯、65歳以上のみで構成するか、または、これに18歳未満の未婚の者が加わった世帯の調査において、和歌山県は33.4%で全国第7位となっており、全国平均の28.7%を上回り、喫緊の課題となっています。

 また、独り住まいという視点で見ますと、国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計」には、2020年度での単身高齢者世帯数は702万5000世帯となっており、2040年には900万世帯まで増加するのではとの将来推計が示されています。

 老老介護、認認介護という問題も起こってきています。老いや病により介護保険制度を使い、施設への入所、入居といったこともいずれ訪れるかもしれません。その介護施設等に入所、入居の際に難しいケースと問題点があることも、施設側、利用者側、両方からお聞きしました。

 独り身で子供もなく、身元引受人が誰もいない、緊急時や病院の受診、入院などのとき、対応してくれる身寄りがない、いたとしても遠方であるとか、その意思がないといったことがよくあるそうです。そして、事業者側からすれば、利用料や必要経費について、本人が対応できればよいのですが、どうすることもできない状況の場合もあるなど、様々な問題が起こっているそうです。

 また、認知症でなければ後見人制度を利用できない、利用するには費用がかかり、多少の年金がある場合、生活保護制度の利用もできず、支払いが困難、そして、亡くなった場合、引取り手がいないというようなこともあるそうです。

 地域包括支援センター、市町村所管ですが、そこにケアマネジャーから相談を持ちかけるのですが、あまりうまくいかず、事業者の負担が解消されるには至らない場合が多いという御意見もありました。

 入所の際の身元保証や身元引受けなどの問題に対応してくれる窓口を設けていただきたいがどうかというような要望もあります。せめて様々な問題の解決への道筋を示してもらえる窓口があれば、利用者、事業者ともにサービスの利用、サービスの提供がしやすくなります。

 地域包括支援センターにおいて、施設や利用者に寄り添った相談支援が行われるよう支援をしていく必要があると考えますが、この点について、福祉保健部長、お答えください。

○議長(尾崎要二君) 福祉保健部長志場紀之君。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 議員御指摘のように、介護施設等への入所時に、滞納リスクの回避や身上保護、財産管理の観点から、いわゆる身元保証人等が求められるケースがあることは承知しております。

 地域の高齢者に関する総合的な相談窓口としては、市町村の地域包括支援センターにおいて、例えば、高齢者の判断能力が不十分な場合には成年後見制度に、生活が困窮している場合には生活保護の相談につなぐなど、制度横断的な支援を行っています。

 また、独り暮らしの高齢者等を対象に身元保証等を行うサービスについて相談を受けた場合にも、市町村及び地域包括支援センターにおいて適切な助言を行うよう働きかけています。

 県としましても、地域包括支援センターにおいて、高齢者等に寄り添った相談支援が行われるよう、職員に対する研修を強化するなど、必要な支援を行ってまいります。

○議長(尾崎要二君) 岩井弘次君。

  〔岩井弘次君、登壇〕

○岩井弘次君 御答弁ありがとうございました。

 市町村マターでもありますので、全てがそういう、うまくいかないというわけでもないんですけれども、しっかりまた共に頑張れるような体制、また、人材の育成等々も取り組んでいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、4項目めに入らせていただきます。

○議長(尾崎要二君) 岩井弘次君。

○岩井弘次君 それでは、通称勝手橋(管理者不明橋)について伺います。

 JR六十谷駅近く、千手川の阪和線橋梁に沿って架かる小さな橋があります。かなり老朽化していますが、補修もされず、かなり傷んだ状態で、周辺住民の通行路として長年利用されています。10年ほど前、補修できないかという相談を受け、管理者を探しましたが、分からずじまいで、今もそのまま利用されています。

 先日、読売新聞オンラインの記事に目が留まりました。見出しは、「誰が設置したのか『勝手橋』…住民多数が利用でも、管理者不明のまま補修されず放置」。

 その内容は、設置者が分からず、誰が管理するか決まっていない管理者不明橋が各地の河川で見つかっている。老朽化や災害による破損も懸念されるが、補修や点検をされないまま放置されているということです。専門家は、責任が曖昧なままだと事故や災害の拡大につながりかねないと警鐘を鳴らしています。そういった内容でございました。

 それから、いろいろ調べますと、滋賀県において、平成25年5月、県管理1級河川に架かる橋梁において自転車の物損事故が発生し、損害賠償金請求調停事案となりました。しかし、この橋は河川法未許可、いわゆる不法占用の管理者不明橋でありました。コンクリートパネルを川に架け、隙間があったため、落下防止に敷いたと思われる鉄板がずれていたため、そこに自転車の前輪が落ち、前輪部が破損したというのが事故の内容です。

 事故直後、市に対して損害賠償先に関する問合せがあり、市の管理物件ではなかったため、調査をするも分からず、当事者には調査中であると伝えるにとどまりました。

 その後、国土地理院航空写真による設置年代の調査、近年に当該河川改修工事に関わった県職員への聞き取り調査、地元自治会への聞き取りなどを調査した結果、橋梁の設置時期も、設置者も特定するには至りませんでした。

 その後、種々協議し、県の管理物件でないことより、損害賠償請求には応じられないとの結論に至り、当事者に対してそのことが伝えられました。また、管理者不明橋であることから、河川管理者の判断により、当該橋梁を通行止めとしましたが、住民からの要望もあったかと思われます。市より当該橋梁に関して河川法に基づく占用許可申請がなされたため、許可と同時に通行止めを解除、そして、地覆工事、転落防止柵の新設などをし、改めて供用開始となりました。

 当該橋梁が県の管理物件でないことを当事者に回答した後も管理者の調査を継続し、その後、幾たびか当事者とのやり取りがあったが、物損賠償に加え、事故発生後1年間の精神的苦痛に対する賠償も求める民事調停が申し立てられました。

 その後、簡易裁判所での調停は不調となりましたが、結果、県は、本事案を契機に、今後よりよい河川管理に努めていくと説明し、当事者の了承により調停は取り下げられました。

 本事案からの教訓は、河川管理者として、河川の適正な利用のための管理について考え直す機会となったこと、禁止が原則の河川占用において、その原則を解除して占用を許可しているにもかかわらず、管理者が不明の橋梁があるということを河川管理者として重く受け止め、今後、本事案と同様の事故が起こる可能性は十分にあると考えられるため、管内全域において、その実態を把握し、河川管理においても、道路と同様に損害賠償責任保険の導入について議論する必要があるとしています。

 そこで、県土整備部長に伺います。

 和歌山県管理河川は87水系、451河川、総延長は約2000キロあります。2015年10月には、国土交通省から橋の管理者の把握に努めるよう都道府県に通達がなされていますが、管理者不明橋についての調査状況と現状について御説明ください。

 また、県管理河川に係る損害賠償保険について、加入の有無とその対象について御説明ください。御答弁お願いします。

○議長(尾崎要二君) 県土整備部長福本仁志君。

  〔福本仁志君、登壇〕

○県土整備部長(福本仁志君) まず、県管理河川に係る管理者不明橋の調査状況と現状についてですが、県では、国土交通省の通達を受け、河川整備計画を策定し、改修の予定がある27河川において、平成28年度に調査を実施しました。

 その結果、直ちに台帳上管理者を確定できなかったものが51橋ありましたが、その後、市町村や地元への聞き取り等により、51橋全てについて管理者を確認したところです。

 その他の河川につきましては、継続的に河川パトロールや地元からの報告等により管理者不明橋の把握に努めているところであり、現在は、議員御指摘のものを含め3橋の管理者不明橋を確認しております。これらについては、管理者の調査を進め、対応について地元とも調整を進めていくこととしております。

 管理者不明橋は、河川の流れを阻害するなど、河川管理上支障となる可能性もあることから、引き続き、河川パトロールなどを通じ、管理者不明橋の把握に努め、把握したものについては、市町村等により管理されるよう調整を図るなど、管理者不明橋の解消に努めてまいります。

 次に、県管理河川に係る損害賠償責任保険の加入の有無とその対象についてですが、河川管理者が管理する河川管理用通路のうち、公道認定されておらず、一般の方が通行できる状態にある区間の管理瑕疵に起因する事故を対象とした賠償責任保険に加入しております。

○議長(尾崎要二君) 岩井弘次君。

  〔岩井弘次君、登壇〕

○岩井弘次君 部長、御答弁ありがとうございます。

 河川整備計画の27河川、451分の27河川、2015年に国交省から通達があって27河川、私は優しゅうございますので、この辺、あまりもうこれ以上突っ込みませんけども、51河川が見つかって、全て管理者が分かったということですけども、要望します。

 不明橋が3橋であるはずが私はないと予測しています。ちなみにですけども、先ほど申し上げた滋賀県とか、ほかのところでも、管理者不明橋における国土交通省の通達があって調査されました。少なくとも、私は和歌山県には20から30以上、3桁はあるん違うかなと思います。

 多いところでは、先ほど申し上げた滋賀県では2473橋、大阪府が424橋、宮崎県では348橋と、かなりの数字が発表されています。451ある県管理河川だけで3橋だけということは、私は優秀かなと思うんですけども、そのようには感じません。今後、市町村管理河川も含めると膨大な数の管理者不明橋があると考えられますので、どうか住民の方が事故等に遭うことがないよう、また、その利便性を損ねることのなきよう、市町村とも連携してお取組いただきますよう、強く要望しておきます。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。

○議長(尾崎要二君) 岩井弘次君。

○岩井弘次君 それでは、駐車禁止除外の認定基準について伺います。

 自動車は、駐車が禁止されている道路に駐車することができません。しかし、公安委員会が交付する駐車禁止除外指定車標章を掲示している自動車は除外されます。

 許可対象は、電信、電話、電気、水道、ガス、鉄道事業の緊急工事に使用する車両、報道機関が緊急取材に使用する車両、医師が緊急往診に使用する車両、患者輸送車または車椅子移動車として登録を受けた車両、身体障害者福祉法に定める身体障害者手帳の交付を受けている人、戦傷病者特別援護法に基づく戦傷病者手帳の交付を受けている人、療育手帳の交付を受けている人または精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に基づく精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人で一定以上の障害を有する人となっています。

 身体障害者手帳の交付を受けている人の標章の交付基準について、交付対象者は、和歌山県内に住所を有し、障害の区分、等級に該当する手帳の交付を受けている方が対象となっています。

 視覚障害は、1級から3級までの各級及び4級の1など、障害の区分に応じて対象となる等級が決まっています。

 以前、申請の当事者の方から問合せがあり、確認しますと、該当しないとのことでした。その方は下肢に障害があり、左股関節機能の著しい障害5級、そして、左膝関節機能の著しい障害5級と、項目として二つの5級の障害があります。そして、身体障害者等級表による級別は4級となっており、いわゆる障害の項目としては各5級ですが、その障害の総合の程度は4級と認定されているわけです。

 県の駐車禁止除外標章交付基準では、障害の区分が下肢について、その項目が1級から4級までの各級が該当するとなっており、総合の程度4級は該当しないとして、この方は申請を受理されなかったとのことでした。

 県警本部長にお尋ねします。

 他県では、下肢機能障害の障害区分について、重複する障害があり、下肢の重複する障害の指数を合算し、合計指数が下肢機能障害区分に該当される方を含むとしている県も多くあります。和歌山県駐車禁止除外の標章交付基準も優しく変更をお願いしたいと思いますが、お考えをお答えください、お願いします。

○議長(尾崎要二君) 警察本部長遠藤 剛君。

  〔遠藤 剛君、登壇〕

○警察本部長(遠藤 剛君) 御指摘の認定基準につきましては、和歌山県公安委員会規則の一つである和歌山県道路交通法施行細則に定められております。

 同細則では、身体障害者福祉法に規定する身体障害者手帳の交付を受けている方が乗車する車両については、障害区分と等級に応じて、駐車禁止の規制対象から除外するかどうかを定めており、障害区分の下肢機能障害の区分については、1級から4級までの各級が除外対象とされております。

 現在、等級の判定は、複数の障害を有する場合においては、身体障害者手帳内に記載されている個々の障害名ごとに付される等級によって行っており、身体障害者等級表による級別は用いておりません。

 例えば、5級の下肢機能障害が複数あり、身体障害者等級表による級別が4級であったとしても、駐車禁止の除外車両とはならないこととなります。

 しかしながら、この認定につきましては、全国的な情勢に鑑み、下肢に複数の機能障害を有する方で身体障害者等級表による級別が1級から4級に該当する方が乗車する車両については、駐車禁止の規制対象から除外することを検討してまいります。

 なお、変更となった際には、対象となる方々に速やかに正しく伝わるよう、効果的な広報に努めてまいります。

○議長(尾崎要二君) 岩井弘次君。

  〔岩井弘次君、登壇〕

○岩井弘次君 ありがとうございます。よろしくお願いします。

 最後の項目に入らせていただきます。

 平成29年に、議長尾崎要二先生はじめ先輩議員もお聞きになられていますが、がん対策について1点だけ質問させていただきます。

 令和3年度がん対策施策報告書によりますと、がんは、昭和56年に日本人の死亡原因の第1位となり、本県においては、昭和54年以降、死亡原因の第1位となっています。

 平成24年12月には、がん患者を含む全ての県民が生き生きと生活することができる地域社会の実現、県民自らがんに関する理解と関心を深め、互いに支え合い、力を合わせることにより、みんなで一体となったがん対策の推進を目指して、議員提案による和歌山県がん対策推進条例が制定されております。

 また、和歌山県がん対策推進計画を策定し、がん検診の個別受診勧奨やがん検診の質の向上、緩和ケアの充実、がん先進医療を受ける方への補助金の創設、地域がん登録の開始など、総合的ながん対策を進められています。

 こうした取組の結果、本県の人口10万人当たりの75歳未満年齢調整死亡率は確実に減少してきていますが、令和2年度の75歳未満年齢調整死亡率は72.5と全国平均の69.6より高く、依然として重要な課題となっています。

 現在行われているがんの治療法は、主に、一つ目、手術療法、二つ目に放射線療法、三つ目に抗がん剤などの化学療法、四つ目に免疫療法が4大治療法と言われています。これまで手術ががん治療の中心にありましたが、近年は放射線療法が進歩し、がんの種類やステージによっては手術と変わらない効果が認められるようになってきました。

 本年4月より、一部がん種への重粒子線や陽子線などの粒子線治療に保険が適用されることとなりました。これらの治療法の特徴は、放射線の効果を病巣の深さに合わせることにより、無駄な被曝を抑え、がんだけを集中的に狙い撃ちすることができるので、患者への負担も抑えられます。

 近隣府県に設置されていますが、粒子線治療について、移動による患者への負担や付添い等、家族への負担を考えると、一部保険適用となったこともあり、より近い県立医大への導入を再度御検討いただきたいと考えますが、いかがでしょうか。福祉保健部長、お答えください、お願いします。

○議長(尾崎要二君) 福祉保健部長。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) がん先進医療の一つである粒子線治療は、放射線をがん細胞に対してピンポイントで効率的に照射でき、従来の一般的な放射線治療に比べ、周辺の正常な細胞に対して与えるダメージが少なく、患者の身体的負担が軽く済むことがメリットとされています。

 また、粒子線治療は先進医療であることから、治療費が高額となっていましたが、近年、議員御指摘のとおり、一部の治療内容について公的医療保険が適用され、患者の経済的負担についても軽減されつつあります。

 さらに、粒子線治療を行う施設は、現在、国内で25か所あり、そのうち6か所が近畿地方にあるなど、粒子線治療を受けられる場所も増加している状況です。

 粒子線治療施設の整備を検討するに当たっては、その整備費用のみならず、運営収支も考慮する必要があり、公的医療保険の適用による診療収入への影響や患者数の見通し等を総合的に検討する必要があります。例えば、公的医療保険の適用により、患者の負担は軽減されますが、病院にとっては診療収入が減少する要因になります。

 そうした中で、県内への粒子線治療施設の導入については、これまでもPFIなどの運営手法も含め、積極的に検討を行ってまいりましたが、現状においては、県立医科大学附属病院に粒子線治療施設を整備した場合、運営収支が赤字になり、後々の県財政に影響を与える懸念があることから、整備に踏み切れておりません。

 現在、県では、がん先進医療に係る治療費に対して支援を行うことにより、県内のがん患者の方が経済的理由により治療を諦めることのないよう取り組んでいるところですが、粒子線治療施設の整備の在り方につきましても、近隣の粒子線治療施設との連携を図りつつ、技術革新によるコストダウン等の状況を見極めながら、引き続き検討を行い、本県への導入が可能であると判断できる場合は、積極的に対応してまいりたいと考えます。

○議長(尾崎要二君) 岩井弘次君。

  〔岩井弘次君、登壇〕

○岩井弘次君 御答弁ありがとうございました。

 運営収支、大事です。それよりも、私は県民の命が大事やと思っております。本当に難しい問題やと思うんですけど、私からも今回質問させていただきました。答弁いただきまして、ありがとうございました。

 以上をもちまして、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(尾崎要二君) 以上で、岩井弘次君の質問が終了いたしました。

 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。

 この際、暫時休憩いたします。

  午前11時32分休憩

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  午後1時0分再開

○副議長(岩田弘彦君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 1番鈴木德久君。

  〔鈴木德久君、登壇〕(拍手)

○鈴木德久君 皆さん、こんにちは。

 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い一般質問に入らせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 去る4月23日に、北海道知床半島の沖合で乗客・乗員26人が乗った観光船が遭難する事故が起こりました。私も以前、北海道旅行の際に利用した観光船でしたので、非常にショックを受けました。14名の方がお亡くなりになり、いまだに12名の方が行方不明とのことです。亡くなられた方々の御冥福をお祈りするとともに、行方不明者の一日も早い発見をお祈りいたします。

 和歌山県も海岸線総延長650キロを持つ海洋県ですので、海に携わる全ての方々の安全を願わずにはいられません。

 また、経済面の話ですと、最近の新聞等によりますと、4月の消費者物価指数が前年同月より2.1%上がり、上昇は8か月連続で、2%を超えるのは約7年ぶりとのことです。小売の現場では近年にないほど幅広い品物に値上げの動きが広がっています。

 日本銀行は、物価上昇率2%を目指し、世の中に大量のお金を流す金融緩和を続けてきました。日銀が目指したのは、日本の経済が物価が下がるデフレから抜け出し、企業の収益とともに働く人の賃金が上がることで物やサービスを買う需要が高まり、物価も上がっていく安定した好循環です。

 しかしながら、今起きているのは需要の高まりに引っ張られての物価上昇ではなく、ウクライナ危機や円安が相まって石油や天然ガス、穀物の価格が高騰していることによる物価上昇であり、日銀が目指した姿からは程遠いと言われています。

 特に穀物に関しては、世界銀行が「過去50年で最大の価格ショックが起こる」と警告し、国連世界食糧計画も途上国を中心に「第2次世界大戦以来、目にしたことのない食糧難が襲ってくる」と最大限の危機感を持つように注意を促しています。

 昨年2月に放映されたNHKスペシャル「2030未来への分岐点『飽食の悪夢~水・食料クライシス~』」といったこの番組は、私にとって本当にショックな内容でした。飽食の先進国と飢餓に苦しむ最貧国を隔てている現在の食料システムを2030年までに持続可能な食料システムに変革しないと、近い将来、日本人も飢餓に直面することになると警鐘を鳴らしていました。

 その時点での日本の食料自給率は38%。今回のウクライナ危機による輸出規制等によって食料輸入がストップし、種や飼料などの生産資材が入らなくなり、それが価格の高騰につながればと、考えたくもないシナリオが浮かんでまいります。

 日本の米の備蓄は100万トンと言われています。10年に1度の不作の年が続いても、2年ぐらいは大丈夫な量だそうです。片や中国の備蓄量は世界の穀物在庫の約8億トンと言われておりますが、そのうち、トウモロコシの68.8%、米の59.8%、小麦の51.1%を保有、穀物全体で約5億トン近い備蓄があると言われています。これは単に自国民を飢えさせないためだけではなくて、食糧不足にあえぐ周辺諸国への食糧援助、これを見据えた戦略ではないかとも言われています。

 はるかに人口が多いとはいえ、中国の5億トンに比べたら桁が二つも違い、日本の備蓄はあまりにも貧弱なのではと心配になります。

 ちなみに、適切な環境で保存されれば、小麦や白米、トウモロコシ、砂糖は30年以上の備蓄が可能とされています。

 私も末端の米農家といたしましては、米を取り巻く環境も非常に気になっております。

 世間では、需要減がコロナ禍によって増幅されている今、米の在庫が膨れ上がり、米価を直撃しているとされています。

 アメリカなどは、政府が農産物を直接買い入れて、コロナ禍で生活が苦しくなった人々や子供たちに配給するという支援を行っています。日本政府は、米を備蓄以上に買わないと決めたからできませんみたいなことをいこじに拒否していますけども、買入れを拒否していますが、フードバンクや子供食堂などを通じた人道支援のための施策を展開すべきではないでしょうか。

 日本政府には、米の備蓄を10倍ぐらいに増やして米を買い支えて農家を守る、減産などしないで増産に切り替えて、余裕が出れば食糧援助で世界に貢献する、これぐらいの気持ちで農政を進めていただきたいと思います。

 以前から言われていたことですが、今こそ自給率を上げなければならないときではないか、今が最後のチャンスなのではと思います。

 すみません。それでは、今回の質問の1問目、本県の農業における労働力確保についてお伺いします。

 他の農業県では、外国からの労働力確保のため、技能実習制度を利用して対応しているところもありますが、本県の農業の状況からしますと通年雇用はなかなか難しいところがあります。

 そこで提案ですが、今は海外からLCCで格安で来られる時代でもあり、出稼ぎ感覚での労働者の募集というものはできないでしょうか。3か月から6か月程度、単身で働けるようになれば、生活基盤は自国に残したまま、そういった生活スタイルができるのではないでしょうか。受け入れる側も、家族全員での受入れよりもずっと負担が軽くなるのではと考えます。

 そこで、農業における外国人による労働力確保について、農林水産部長のお考えをお伺いいたします。

○副議長(岩田弘彦君) ただいまの鈴木德久君の質問に対する答弁を求めます。

 農林水産部長山本佳之君。

  〔山本佳之君、登壇〕

○農林水産部長(山本佳之君) 農業分野における外国人就労の在留資格として、主なものは技能実習と特定技能があります。

 本県の外国人の従事者は直近の令和3年10月時点で108名となっており、その多くはベトナムや中国からの技能実習生であり、大半は施設園芸に従事しています。

 また、特定技能制度は、農業などの特定分野において、技能実習等を経た一定の技能を有した外国人が就労を目的として通算5年間の在留が可能な資格であり、現在、県内では21名が従事しており、近年少しずつ増加しております。

 農家の高齢化や担い手が減少する中で、農繁期の労働力確保が重要な課題であり、県といたしましては、国内での労働力確保はもとより、外国人の労働者の活用についても一つの方策と考えております。

 今後、国内外を問わず多くの人材を確保している他県の事例を調査し、本県の農業形態を踏まえ、より多くの人材を確保できる方策について検討してまいります。

○副議長(岩田弘彦君) 鈴木德久君。

  〔鈴木德久君、登壇〕

○鈴木德久君 御答弁ありがとうございます。今後、このことについて前向きに進むことを期待しております。

 続きまして、林業振興についてお伺いします。

 ウッドショックによる国産材への影響についてでございますが、令和3年度はアメリカなどで木材の需要が拡大し、それが日本の輸入材市況にも波及したことにより、木材価格が高騰しました。

 また、本年3月9日には、ロシア政府が非友好国に対してのチップ、丸太、単板の輸出禁止を決定するなど、ロシアのウクライナ侵攻によるサプライチェーンの乱れから、長期的な木材不足が世界中で継続する可能性があると騒がれています。ただ、この流れは、長い間、安い輸入材に押されてきた国産材にとってはチャンス到来ではないでしょうか。

 このように、令和3年度は第3次ウッドショックと言われ、翻弄されたような1年だったと思われますが、ウッドショックの影響はどういったものだったのでしょうか。農林水産部長にお伺いします。

○副議長(岩田弘彦君) 農林水産部長。

  〔山本佳之君、登壇〕

○農林水産部長(山本佳之君) ウッドショックは、米国での住宅需要の高まりや世界的なコンテナ不足などにより発生したものであり、その国内への影響は令和2年11月頃から輸入材の価格高騰や入荷量減少が見られ、これに伴い、国産材への代替需要が高まり、国産材の価格も押し上げられました。

 その後、輸入材の入荷量が増え、国産材の価格は下がりつつありましたが、本年2月のロシアのウクライナ侵略に伴い、輸入材の供給が再び不安定となったことから、国産材の需要は現在もなお高い状態にあります。

 こうした影響を受け、県内の原木市場における柱等主要構造用材の杉・ヒノキの1立方メートル当たり平均価格は、コロナ禍前の令和元年と比べ、昨年10月には60%高の1万9287円とピークになり、本年5月には34%高の1万6588円となっています。

○副議長(岩田弘彦君) 鈴木德久君。

  〔鈴木德久君、登壇〕

○鈴木德久君 ありがとうございました。

 現在、ウッドショックにより、丸太価格も少し上昇したということで、林業界では歓迎の状況にありますけども、これまでは丸太価格は低下の一途でしたので、上昇に転じたこと、こういったことによって少し活気が帯びていると、そういった状況だと思います。

 しかし、これまで苦難を強いられてきた林業界ですから、林業で働く人も減少、高齢化となっており、いきなり丸太の生産量を増やすということもなかなか無理だということを聞いております。

 また一方で、近年では、大型ドローンや油圧式集材機などの開発が進み、スマート林業が進みつつあるように思います。

 そこで、県では、令和3年度を終期として5年間、和歌山県森林・林業総合戦略に基づき素材生産、流通、加工・販売、担い手の育成などに取り組んできたと思います。その取り組んできた結果、どうだったのでしょうか。

 また、ウッドショックの状況がいつまで続くか分かりませんが、林業界にとっては好機であると思います。

 そこで、今後の取組はどのようにお考えでしょうか。農林水産部長にお伺いします。

○副議長(岩田弘彦君) 農林水産部長。

  〔山本佳之君、登壇〕

○農林水産部長(山本佳之君) 令和3年度までの森林・林業総合戦略の取組結果については、林業生産活動の基本的な指標である素材生産量は順調に増大し、目標値である26万立方メートルを達成することができました。

 しかしながら、用途別に分析すると、製材用材の生産量が伸びず、県内製材所の需要に十分対応できていないことや、新規就業者については目標の200名に対して約8割の確保にとどまり、林業就業者が十分確保できていないという課題が判明しました。

 そういった課題解決の一環として、現在、生産現場と製材所等の買手の間で直結した取引を可能とする需要別原木判別システムの整備や、大型ドローン、油圧式集材機、架線式グラップルなどを活用したスマート林業の推進に取り組んでいるところです。

 今後、このような施策をはじめ、素材の生産から流通、加工・販売、木材利用、担い手の確保・育成における取組を強化充実することにより、森林・林業“新”総合戦略に掲げる今後5年間で新規就業者を275人確保し、素材生産量を現状より9万立方メートル増の35万立方メートルに、木材生産に係る林業産出額を約10億円増の30億4000万円にするという目標の達成に向け、尽力してまいります。

○副議長(岩田弘彦君) 鈴木德久君。

  〔鈴木德久君、登壇〕

○鈴木德久君 2050年のカーボンニュートラル達成が叫ばれている中で、建築物をはじめとした木材利用など、森林資源の活用に注目が高まっています。目標達成に向けて頑張っていただきたいと思います。

 続きまして、木質バイオマス発電の状況についてお伺いします。

 天候に左右されずに電気をつくることができる再生可能エネルギーの木質バイオマス発電は、地域の未利用材を使えば森林再生や雇用創出など、SDGsにも結びつくとされて、注目されております。

 また、木質バイオマス発電は、地産地消のエネルギーとして全国的に増えており、林業家からは「以前は間伐しても売れずに放置せざるを得なかった間伐材が、今は働けば働くほど収入になる」といった声も聞こえています。

 エネルギーづくりを起点に、雇用と山林の再生、経済がつながって、地域内循環という価値が生み出されています。

 そこで、県内の木質バイオマス発電所の稼働状況と今後の計画、県産材を含む国産材の使用計画及びその調達状況について、商工観光労働部長にお伺いします。

○副議長(岩田弘彦君) 商工観光労働部長寺本雅哉君。

  〔寺本雅哉君、登壇〕

○商工観光労働部長(寺本雅哉君) 和歌山県では、豊かな森林資源を有することから、再生可能エネルギーの固定価格買取制度が導入されて以降、県内における木質バイオマス発電所の立地計画が順次進められています。

 現在の立地状況でございますが、既に運転を開始したものが上富田町と新宮市の計2か所、建設中となっているものが有田川町と新宮市の計2か所、計画中のものが御坊市の1か所、合計5か所となっております。これらの発電出力の合計は、約7万7000キロワットでございます。

 1年間に必要とされるバイオマス燃料のうち、約23万3000トン余りを国内の森林から供給される間伐材などを使用する計画となっており、令和3年度では本県及び近隣地域からの燃料用原木の集材は約9万5000トンに達しており、今後順次拡大されていく計画となっています。

 県内への木質バイオマス発電所の立地は、雇用も含め地域経済の発展につながるものと考えておりますので、今後とも積極的に進めてまいります。

○副議長(岩田弘彦君) 鈴木德久君。

  〔鈴木德久君、登壇〕

○鈴木德久君 歓迎すべき状況であると思いますが、また一方で、地域材だけで燃料を調達するとしたら発電能力は2000キロワット程度まで、年に2万トンの未利用材が必要とされています。経営上の効率化からは大型化する傾向にあり、全国的には木質バイオマス発電としてFIT認定を受けている発電所のうち、3万キロワット以上の大型発電所は100を超え、10万キロワットを超えるものもあり、これらは海外から燃料を輸入することを前提の建設が進められていると言われております。中でもベトナムや北米から木質ペレットの輸入が増えており、21年度の輸入量は約311万7000トンで、今後も急増するであろうと言われております。

 木材は成長時に二酸化炭素を吸収するため、バイオマス発電時に出る二酸化炭素は排出量としては計算されません。そのために脱炭素への貢献というものが強調されていますが、実際には発電時に二酸化炭素を出すことも事実であります。仮に、バイオマス発電の燃料生産のために森林が広く伐採され再造林が進まない場合、二酸化炭素が増える原因ともなります。

 自民党の木質バイオマス・竹資源活用議員連盟でも、輸入材はなるべく抑制して国内材の利用を促進するべきだと提言していることから、なるべく地産地消の観点からも国内産未利用材の比率を上げていただくように願っております。

 次の質問に行きます。

 県発注工事における資源の有効活用についてということで、県発注工事における、いわゆる3R、リデュースの発生抑制とリユースの再利用、リサイクルの再生利用、最近よくこの3Rを聞くんですけども、その実施状況についてお伺いしたいと思います。

 平成12年に制定された循環型社会形成推進基本法において、循環型社会とは、廃棄物等の発生が抑制され、資源の適正な循環的利用が促進され、循環的な利用が行われない資源については適正な処分が確保されることによって天然資源の消費を抑制し、環境への負荷ができる限り低減される社会というように定義されています。

 最近では、地球環境の危機に際し、我が国の技術力等の強みを生かした活力ある循環型社会の姿を示し、世界に貢献することが求められています。

 そして、循環型社会の形成に当たっては、建設現場においても持続可能な社会の構築に向けた、いわゆる3Rの推進などの取組を進めることが必要であると考えます。

 そこで、県発注工事における3Rの実施状況について、県土整備部長にお伺いします。

○副議長(岩田弘彦君) 県土整備部長福本仁志君。

  〔福本仁志君、登壇〕

○県土整備部長(福本仁志君) 県発注工事における3Rの実施状況についてですが、工事に伴い発生するコンクリート塊、アスファルト・コンクリート塊、建設発生木材、建設発生土などといった建設副産物については、建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律及び国土交通省が定めた建設副産物適正処理推進要綱に基づき、その発生の抑制、再使用、再生利用に努めております。

 直近の平成30年度建設副産物実態調査では、県発注工事で発生するコンクリート塊、アスファルト・コンクリート塊の再生骨材等への再資源化率はともに約97%、建設発生木材の木質チップ等への再資源化率は約99%となっています。

 また、建設発生土については、現場内利用や工事間で相互に流用することを原則としており、現場内利用を含む有効利用率は約86%となっています。土質や受入れ時期が合わないなどの理由により有効利用できないものについては、県指定の処分場等へ搬出しています。

 引き続き、循環型社会の形成に向け、建設副産物の有効活用に努めてまいります。

○副議長(岩田弘彦君) 鈴木德久君。

  〔鈴木德久君、登壇〕

○鈴木德久君 御答弁いただきました。ありがとうございます。

 先ほどの木質バイオマス発電の流れから、今となっては工事等で伐採される木材についてはほぼ100%燃料として有効利用できるものと思われますが、和歌山河川国道事務所では、「河川内伐採木の無料配布を行っています。」といったチラシを作って周知し、住民の要望に応えているような事例もあります。

 一方で、ある現場では、紀州備長炭の原料となるウバメガシや、福島の原発事故以降、品薄となっている原木シイタケのほだ木が処分されているが、もったいないので分けてもらえないかといった声がありました。さらには、まきストーブの愛好者も増えつつあり、結構まきの調達に苦労されているといった話もありますので、これらについて今後御検討いただけるように要望しておきたいと思います。よろしくお願いします。

 続きまして、河川工事における掘削土砂の処分と有効活用についてお伺いします。

 近年、台風や局地的な豪雨等により、全国各地で河川氾濫等の大規模な浸水被害が相次いでいます。

 和歌山県、特に紀南地方においても、平成23年の紀伊半島大水害をはじめ、平成30年の台風20号などにより洪水が発生し、甚大な被害を受けています。

 河川においては、河道内に経年的に堆積した土砂が洪水の流下能力に支障を及ぼし、河川水位の上昇を助長することから、この河道内の堆積土砂の撤去が今後の水害対策として非常に重要であると同時に、河道の土砂の有効活用も進めていくことが大変重要であると考えています。

 例えば、富田川では、整備計画に基づく河道掘削が大きく進捗していると聞いております。その進捗状況や土砂の有効活用について、県土整備部長にお伺いいたします。

○副議長(岩田弘彦君) 県土整備部長。

  〔福本仁志君、登壇〕

○県土整備部長(福本仁志君) 富田川におきましては、平成30年6月に策定した富田川水系河川整備計画に基づき防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策や防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策などを活用して河道掘削を進めており、全体計画量約50万立方メートルのうち、令和3年度末時点で約26万立方メートルの掘削が完了しています。

 また、整備計画の工事対象区間より上流では、富田川町が砂利採取を兼ねた掘削工事を行っており、掘削土砂を砂利採取業者に販売するなど、有効活用が図られています。

 今後も、引き続き関係市町村とも情報共有を図りながら、堆積土砂の撤去やその有効活用が進むよう、必要な予算の確保等に努めてまいります。

○副議長(岩田弘彦君) 鈴木德久君。

  〔鈴木德久君、登壇〕

○鈴木德久君 地域住民の安心のためにも、ぜひともその計画どおり進めていただくようによろしくお願いいたします。

 続きまして、河川における魚道の管理についてお伺いします。

 川魚の通路となっている水面に設置した工作物の所有者または占有者は、川魚の遡上を妨げないよう努める必要があると思います。

 近年、河川内の魚道が出水や経年劣化で破損して機能が低下したり、流域や河床の状態が変化して使えなくなった事例を多く見ますし、漁業者からの声も聞きます。

 また、機能しない魚道の例としましては、堰から下流側に著しく突き出した下流突出型魚道は、下流から上がってきた魚は堰からの落下水に誘われて堰の直下に行き着いてしまい、そこからバックして魚道の入り口に行き当たる確率は極めて低いとされておりまして、そこに魚道があることは、陸上からは容易に分かるんですけども、水中では極めて分かりにくいというようなことが言われております。

 日本中には結構使えない魚道がたくさん存在すると言われていますが、今後、新設工事を行う場合、必ず地元の漁協等の関係団体と相談しながら、魚が上りやすい魚道の設置を進めていくべきであると考えますが、県の考え方について、県土整備部長にお伺いします。

○副議長(岩田弘彦君) 県土整備部長。

  〔福本仁志君、登壇〕

○県土整備部長(福本仁志君) 河川に設置されている堰などの横断工作物における魚道の設置や管理については、原則として横断工作物の所有者または占有者が行っております。例えば、県が整備する砂防堰堤については、魚の生息状況等を踏まえ、必要に応じて漁業関係者等と協議を行い、魚道の形状などについて相談しながら設置や修繕を行ってきたところです。

 今後も、引き続き魚道の設置が必要な区間で県が河川の横断工作物を設置する等場合には、漁業関係者等の意見や魚道に関する最新の技術等を参考にして、魚が遡上しやすい魚道の設置に努めてまいります。

 また、河川管理者としましては、横断工作物の所有者や占有者から施設の改築工事等について相談があった場合には、漁業関係者等とも調整を行うよう促してまいります。

 あと、すみません、先ほど答弁の中で、上富田町と申すところを富田川町と、ちょっと間違って発言したようなので、修正をお願いします。

○副議長(岩田弘彦君) 鈴木德久君。

  〔鈴木德久君、登壇〕

○鈴木德久君 ぜひとも、改修あるいは新設については御配慮いただきたいと思います。

 それでは、介護保険の関係に移らせていただきます。

 まず、家庭における介護の負担軽減のための取組についてお伺いします。

 介護保険制度は、2000年4月に施行されました。この制度は、介護は個人や家族の問題ではなく、社会問題として放置できない国民的課題であり、社会全体で支えるべきという国民的合意の下、発足いたしました。

 制度発足から20年を経過し、要介護高齢者を支えてきた家族をめぐる状況も変化してきており、例えば、高齢者が高齢者の介護を行う老老介護や、育児と同時に親の介護も担うダブルケアなどの問題も生じてきています。

 改めて介護の社会化という原点に立ち返り、高齢者とその家族の暮らしを支える制度とするためにも、家庭における介護の負担軽減が欠かせないと考えますが、本県の取組について福祉保健部長にお伺いします。

○副議長(岩田弘彦君) 福祉保健部長志場紀之君。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 介護保険制度は制度発足から20年を経過し、65歳以上被保険者数が約1.6倍に増加する中でサービス利用者数は約3.3倍に増加するなど、高齢者の介護になくてはならないものとして定着、発展しています。

 県では、これまでも、高齢者が住み慣れた地域で安心して生活を送ることができるよう、市町村と連携して在宅介護や施設などの整備を進めてきました。

 他方、高齢化が急速に進む中で、自宅で介護を行っている世帯のうち、介護者、要介護者がともに65歳以上の世帯の割合は約6割となっております。

 また、現役世代が晩婚化、晩産化の傾向となる中で、結果として、一つの世帯が同時期に介護と育児に直面する問題も生じてきています。

 県としましても、こうした家庭における介護の負担軽減は重要な課題であると認識しており、引き続き、在宅介護や施設などの整備を推進するとともに、市町村の地域包括支援センターを中心に、住民の相談に幅広く対応し、必要なサービスにつなぐなど、相談支援体制の充実を図ってまいります。

○副議長(岩田弘彦君) 鈴木德久君。

  〔鈴木德久君、登壇〕

○鈴木德久君 よろしくお願いします。

 老老介護あるいはダブルケアといった話をしましたけども、もう一つ深刻な話としては、やっぱり介護離職という事態もあります。介護のために職を離れなければならない、労働力を確保するという観点からも大きな損失だと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 次に、介護人材の状況と確保のための取組についてお伺いします。

 全国の介護職員数の推移を見ると、2000年に約55万人、2017年には約187万人へと、およそ3.4倍に伸びています。

 厚生労働省の試算によりますと、2019年度で約211万人であった介護人材が2025年度には約243万人が必要となり、約32万人の不足が見込まれるとされています。人口減少局面に入っている中、労働力確保は各分野で共通に深刻さを増す問題ですが、急増する要介護高齢者の支援に当たる介護人材と介護サービスは、今や重要な社会的インフラです。特に優先して、質と量、両面からその対策を行う必要があると思います。

 先日の新聞によりますと、福井県では、外国人介護労働者の確保のためにタイに出向いて求人活動に乗り出したとの記事がありました。福井県内の介護施設では約1万1700人が働いていますが、高齢化に対応するには年200人ずつ増やす必要があり、日本人だけでは足りないため、外国人を年60人ずつ確保しなければならないそうです。

 そこで、本県における介護人材の確保の状況と、確保のための取組について、福祉保健部長にお伺いします。

○副議長(岩田弘彦君) 福祉保健部長。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 本県の介護人材は、わかやま長寿プラン2021では、75歳以上の高齢者がピークとなる2030年に、需要数2万6529人に対し供給数2万4291人となり、2238人の需給差が生じると推計しており、不足する状況が続くと認識しています。

 このため、県では、介護職場への参入促進の観点から、介護福祉士修学資金等の返還免除付貸付け、高校生が無料で介護職員初任者研修を受講できる取組に加え、県福祉人材センターでの福祉就職フェアの開催や無料職業紹介、介護未経験者への入門的研修、就職相談会等を実施しています。

 さらに、外国人介護人材の受入れ支援として、マッチング機会の創出や介護事業所における外国人への指導者に対する研修等を実施しており、今年度は新型コロナウイルス感染症の影響で中止していた日本語や介護技術に関する研修も併せて実施する予定です。

 また、介護職場の労働環境・処遇改善の観点から、介護ロボットやICT化の支援、処遇改善加算等の取得促進、さらに介護職員の資質向上の観点から、新任研修、介護技術向上研修の開催や介護福祉士等へのキャリアアップ支援等を実施しています。

 これらの取組を一層推進することで、介護人材の確保、育成を図ってまいります。

○副議長(岩田弘彦君) 鈴木德久君。

  〔鈴木德久君、登壇〕

○鈴木德久君 御答弁いただきました。引き続き、よろしくお願いいたします。

 続きまして、保険料の上昇を抑制するための取組についてお伺いします。

 介護保険で使われた総費用額を見ると、初年度の3兆6000億円だったものが2019年度には約10兆5000億円と、およそ3倍に膨らんでいます。今後も、後期高齢者人口の増加により介護費用はさらに伸びると推計されており、引き続き、介護が必要な方が必要なサービスを受けられるようにするためには、制度の持続可能性を高める必要があります。

 本県では、要介護認定率が全国で最も高く、保険料も4番目の高水準にあり、今後もできる限り保険料の上昇を抑えていく必要があると考えますが、本県の取組について福祉保健部長にお伺いします。

○副議長(岩田弘彦君) 福祉保健部長。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 県では、市町村と共に体操教室やサロンなど通いの場を充実させることで、元気な高齢者を増やし、健康の保持を図る介護予防を推進してきました。

 また、介護の必要度が低い軽度の方を対象に、自立につながる適切なケアプランを検討するための地域ケア個別会議の実施を全ての市町村に拡大させ、ケアプランに適切なリハビリテーションを反映させるなど、自立支援の取組を推進してきました。

 このような取組の結果、これまで右肩上がりで上昇していた県平均保険料は、令和3年度からの第8期において月額6541円と、前期に比べ3円増と、ほぼ横ばいとなっています。

 団塊ジュニア世代が65歳以上となる2040年には、保険料は約9600円まで上昇が見込まれています。

 県としても、今年度から、要介護とならないように効果的に運動機能の改善等を図るための短期集中予防サービスの利用を促進することとしており、今後も、できる限り保険料の上昇を抑えられるよう、市町村と連携して効果的な介護予防や自立支援に取り組んでまいります。

○副議長(岩田弘彦君) 鈴木德久君。

  〔鈴木德久君、登壇〕

○鈴木德久君 御答弁いただき、ありがとうございました。

 もう1点、介護保険制度には、当初から、医療と介護の連携強化という役目があったと思います。例えば、治療の必要がなくなった高齢者の長期入院──社会的入院──を介護サービスによって解消し、医療の場から自宅や介護施設などの生活の場に早く円滑に移れるようにするといった役目です。この辺のあたりをもう少し強化していただいて、高齢者の穏やかでその人らしいみとりを担うという今日的な課題にも対応できる制度として介護保険がなっていくことを願っております。

 以上で、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○副議長(岩田弘彦君) 以上で、鈴木德久君の質問が終了いたしました。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 38番杉山俊雄君。

  〔杉山俊雄君、登壇〕(拍手)

○杉山俊雄君 最後になりました。どうかよろしくお願いします。

 議長の許可を得ましたので、早速質問に移っていきたいと思います。

 一つ目は、省エネ・再エネによる脱炭素社会の実現に向け、市町村の取組の進捗と県の役割についてであります。

 世界も日本も気候危機の状態にあり、今後も地球温暖化の進行による被害の拡大が予想されます。温室効果ガス排出削減、とりわけCO2排出削減が急務です。国連IPCCは、気温上昇1.5度未満に抑えるために世界のCO2排出量を2030年までに10年比で45%削減、50年に実質ゼロを示しました。

 2021年8月の第6次評価報告書では、以前の評価に比べてさらに緊急性が高まっているとして、さらなる強い対策を求めています。

 世界気象機関は、今後5年間で平均気温1.5度上昇する可能性が50%あると公表。1.5度とは、気候変動の影響が人間と全地球にとってますます有害になる指数です。このまま排出を続ける限り、気温上昇は続くと警告しています。2030年までが大幅削減の勝負の年になります。

 2050年排出実質ゼロを表明した国は144か国。日本では700以上の自治体がゼロ宣言をし、100近い自治体が気候非常事態宣言を行っています。

 政府の2030年削減目標は10年比で42%、和歌山県の削減目標は25%にすぎません。仁坂知事には、日本をリードする大幅削減を期待します。

 日本共産党は、2030戦略で、省エネで40%減らし、再エネで電力の50%を賄えば、50から60%削減は可能としています。

 和歌山県の2019年度の全エネルギーの消費量は電力に換算すると590億キロワット時で、産業部門84%、運輸部門4%、家庭部門6%、業務その他部門6%を占め、全国に比べ産業部門の割合が大きいのが特徴です。

 エネルギー消費量のうち、電力消費量は68億キロワット時で全エネルギー消費の11.5%に当たります。県内の2020年度実績によると、再エネ発電量は消費電力の約25%で、国の実績を上回っているといいます。家庭・業務部門で再エネ導入が進んでいると思われますが、運輸部門での電力消費はほぼゼロで、自動車の電気化が進んでいません。また、産業部門での電力消費は6.4%で、93%以上が化石燃料です。この部門での省エネ・再エネによるエネルギー消費量の削減が脱炭素化の鍵を握ります。

 2019年度の主な化石原料のうち、石油などの4品目の輸入額は全国約13兆6000億円で、そのうち、和歌山県は約2900億円です。和歌山県はほとんど化石燃料からエネルギーを得ているので、再エネで地産地消に切り替えれば、輸入化石燃料分のお金を地域で有効活用することができます。中小企業の仕事や雇用を生み、地域活性化が期待できます。

 県は、政府目標より再エネルギーが進んでいると言いますが、県内の全消費エネルギーはほとんどが化石燃料に頼っていて、再生可能エネルギーは全エネルギーの3%足らずしか供給されていません。30年までに50%削減を実現するには、全部門で省エネ・再エネにシフトする必要があります。

 市町村の省エネ普及対策としては、更新時に、省エネ機器、断熱建築、省エネ車、電気自動車などの選択を確実にできるよう支援する、断熱建築普及については、断熱基準を高め、ゼロエミッションビル・住宅を普及していく、さらに、コスト情報、投資回収年の目安提供、省エネ対策への専門家アドバイスや窓口相談をする仕組みをつくるなどです。例えば、中小企業や家庭向けに、初期投資実質ゼロ円で、光熱費削減分で返済する省エネ設備機器普及政策なども考えられます。

 省エネによる光熱費削減分を設備投資に回す。断熱建築を地域の工務店で受注し、省エネ機器も地域企業で取り次ぎ、残る光熱費も再エネ発電で賄えば、お金が地域に循環します。脱炭素は、大きなビジネスチャンスになります。

 再エネ普及対策では、県は、2030年に再エネ発電量割合を33%とし、バイオマスや小水力、廃熱の利用促進、企業の研究開発支援、また実用段階にない海流発電の実用化や水素エネルギーの技術普及に取り組むとしています。2030年まで新技術に期待していては先進的な削減目標は達成できません。

 福井市のある病院では、2017年に老朽化した空調機や給湯器、照明を省エネタイプの機種に切り替え、18年度のCO2排出量を44%削減した、消費する電力の低炭素化を図るため、太陽光発電パネル16キロワットを設置した、事業費に対する3分の1は国からの補助で得られるため、実質負担は大幅に削減できた。将来は太陽光パネルを増設して蓄電池にするため、全電力を自足して災害時の診療も検討するとの記事が載っていました。

 再エネ100%にする。そのため、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスなどの地域の特性を生かした資源を最大限活用し、地域に発電施設を増やし、購入電力の再エネ割合を増やす必要があります。陸上風力は全国消費量に近い可能性があります。太陽光は各地で設置でき、建物の屋根だけでなく、農地や耕作放棄地にパネルを設置するソーラーシェアリングが可能です。

 ドイツでは、地域の電力供給を担う公的企業シュタットベルケが各自治体に設立され、地元の住民が地域の再生可能エネルギー開発に関わり、地域で得た収益を地域の事業に使うなど、エネルギーの地産地消、地域の活性化、地域経済の発展に重要な役割を果たしています。市町村としても、公的な新電力会社を設立して、再エネの地産地消でエネルギー転換するのも一つの選択肢ではないでしょうか。

 県内のカーボンゼロ宣言や気候危機非常事態宣言の自治体数は全国と比較して少ないのが現状です。また、地球温暖化対策推進法の実行計画の取組状況も同じく少なく、気候危機に対する構えが甘くないか心配です。市町村の計画促進のために、排出量の実態把握が欠かせません。東京都や埼玉県は、エネルギー消費量やCO2排出量統計の推計を提供しています。市町村の地球温暖化対策実行計画の策定を支援、加速する必要があると考えます。

 そこで、環境生活部長に伺います。

 市町村の脱炭素化の取組を促進するため、計画策定の支援や専門家の派遣、具体的なアドバイスが必要と考えますが、県はどのように取り組んでいくのか、答弁を求めます。

○副議長(岩田弘彦君) ただいまの杉山俊雄君の質問に対する答弁を求めます。

 環境生活部長生駒 享君。

  〔生駒 享君、登壇〕

○環境生活部長(生駒 享君) 本県の脱炭素化を進めるためには、地域と密着した行政を担う市町村の積極的な取組が重要です。既に、太陽光発電設備の設置に対する補助の実施や、国の地域脱炭素ロードマップに基づく先行地域づくりの検討など、地域の実情に応じた取組を始めている市町村もあり、今後、そうした取組をさらに拡大していくことが必要です。

 国においては、市町村別のエネルギー消費量や部門別温室効果ガス排出量の情報提供などにより、市町村の計画策定を後押しするとともに、加えて、地域の課題解決に向けた専門家派遣制度に今年度から脱炭素分野を新設するなど、その支援を強化しています。

 県では、これまでも、市町村に対して国の支援に関する情報提供や個別の相談に対する助言等を行いながら、新エネルギーをテーマにした研究会の開催やゼロカーボンシティ宣言の働きかけを行ってきたところです。今年度は、新たに市町村向けの脱炭素セミナーの開催を予定しており、先行事例の紹介を交えて具体的な取組内容を提案するとともに、支援制度の活用について助言を行うなど、市町村の脱炭素化の取組を一層促進してまいります。

○副議長(岩田弘彦君) 杉山俊雄君。

  〔杉山俊雄君、登壇〕

○杉山俊雄君 答弁ありがとうございます。

 県は、これから本腰を入れて取組を進めていく段階だと思います。和歌山県の一番の課題、問題は、再生可能エネルギーが全エネルギーの3%しかないということです。それと、市町村の地球温暖化対策実行計画があまり進んでいないということです。このままでは、今求められている2030年までに50から60%の削減は不可能です。相当な覚悟が必要だと思います。

 全エネルギーの97%の化石燃料費2900億円を活用して省エネ・再エネを促進する、また再エネによる地産地消に切り替えれば、先ほども言いましたが、大きなビジネスチャンスになります。

 川崎市議団が自然エネルギー研究センターに委託した報告書では、人口154万人の川崎市で2050年までに再生可能エネルギー100%が可能かというふうなことを問うています。その中で、再エネ100%が可能だという報告を読みました。また一度読んでいただければというふうに思います。中心は川崎市で太陽光発電90%、残りはバイオマスと風力です。設置場所は、臨海部の工場、事業所の屋根や空き地、運河、用水路、駐車場、倉庫、農地のソーラーシェアリング、民間住宅などとなっています。大都市の川崎市でも再エネ100%可能との試算があります。県下の市町村の実情に合った多様な取組が可能だというふうに思われます。

 今年度、県も国も腰を据えて脱炭素化に向けて市町村を支援する計画であるとの答弁を聞きました。できるところから積極的に取り組むよう支援をお願いして、この項の質問を終わります。

 続いて、質問。議長、よろしいですか。

○副議長(岩田弘彦君) 杉山俊雄君。

○杉山俊雄君 二つ目は、これは私が2019年に議員になった6月議会で質問した学力テストと長時間労働について二つの質問をしますが、まず2番目に、2回実施することにした県学力テストの中止についてです。

 県教委は、新規事業として、中学校で年1回実施していた県学力テストを2回実施することにしました。理由は、全国学テで小学校は全国平均と同程度で一定の成果が現れているが、中学校の結果が全国下位に低迷しているからだといいます。

 全国学力テストでは正答率を学力の指標にしているので、都道府県別平均正答率の公表が全国各地に大きな影響を与え、少なくない都道府県が教育振興基本計画に数値目標を掲げています。ちなみに、和歌山県は小中学校とも20位以内を目指すとしています。

 県教育委員会は、成績低迷の大きな課題を克服するために、県独自学力テストを2回実施し、学力アップを各校に促し、尻をたたくというのです。そのため、1年・2年生の学力調査を4月に実施し、弱点を克服するために復習教材、補充教材を提供し、12月にもう一度実施して、補充学習や授業改善の成果を新学期の4月の全国学力テストに発揮させる計画です。

 教育長は、成績低迷の大きな要因として、「部活動がメインになっていたり、生徒指導が問題になっていたりで、学習面の対策が少し手薄になっている」と今年2月の定例会の文教委員会で答弁しています。

 教育長が言うように、学習面の対策が手薄になっているのなら、学力テストを2回実施して尻をたたくより、教員が本来の教科指導に専念できる条件を整備すべきです。部活動に時間が奪われるのであれば、外部指導員を増やすか地域に移行させ、また、生徒指導に手がかかるのであれば、スクールカウンセラーやソーシャルワーカーなどの専門員を充実させ、同時に教員を増やして負担を軽減すべきです。

 私の教員時代でも、部活動に熱心に取り組み、生徒の荒れがひどいときは、その対応で日付が変わった朝方まで対応したことは多々あります。教育長が言うように部活と生徒指導に学力低位の原因を求めるのであれば、今に始まったことではありません。教科指導に専念できる時間を保障しなかった県行政の責任が問われます。

 私は、中学校の成績が小学校より低い大きな要因は、地域の成績トップクラスの児童たちが地元中学に進学せずに、県立中学校や私立中学校に進学するようになったからだと思います。地域によって異なりますが、10%から15%に上ります。

 仮に児童100人の点数が1点から100点まで規則正しく分布しているとして、そのうち上位10人がいなくなれば、平均点は5点低くなります。上位15人がいなくなれば、平均点は7.5点下がります。このモデルは極端ですが、成績上位者が地元中学校に進学しなければ、確実に平均点は下がります。地元に進学しない率が上がれば上がるほど平均点は下がります。競争教育を推し進めてきた教育行政の弊害を覆い隠し、部活や生徒指導の困難性に原因を求め、教師や生徒をテスト漬けにさせることは許されません。

 学校現場は、1年を通じて涙ぐましい学力向上対策が行われています。全国学力テストの採点や分析等は業者委託で、夏休み前に結果が送られてきます。県教委は、夏休みまで待てないとして、素早いフィードバックのために自校採点をするよう指導します。そのため、テストを委託業者に渡す前に全生徒の答案をコピーし、全教職員で分担して分析ツールソフトにデータを入力します。その結果を受けて学力向上推進プラン会議を行い、5月には学力対策年間計画を市町村教委と県教委に提出します。中間分析会議や学期末分析会議、7月には全国学テとの結果比較、確認を行います。前倒しでどんどん仕事が求められます。教育委員会は、弱点を克服するために指導方法を改善せよ、授業に生かせと教師に圧力をかけます。

 これ以外にも、指導力向上研修として、中学校教員には全国学力テストの対象教科の全教員の研修が行われます。全体研修、中核教員研修会、地方別研修会等、研修のオンパレードです。

 成績の振るわない学校では、退職校長等が指導員になってフォローアップ研究授業が課せられます。

 年間を通して学力向上推進計画で現場は振り回されます。ゆとりがありません。

 今回の中学校の県学力テスト2回分は、業者委託で問題作成、採点、結果分析等、業者が行い、教員の負担軽減を行っています。

 しかし、昨年までは、素早いフィードバックのために自校採点を課し、課題を見つけ、弱点を克服しろと圧力をかけていました。その上、評価テスト──過去問──でも自校採点を課していました。今回は2回実施するので、素早いフィードバックは免除されています。これはダブルスタンダード、御都合主義ではありませんか。何のためのテストなのか、目的が分かりません。子供や学校のためだけでないことだけは断言できます。責任の矛先を教師や子供に向けさせているのではないですか。

 コロナ禍で業務が増え、大変な中、さらに長時間労働に拍車をかけるのではないかと心配をしています。

 学力テストの最大の弊害は、子供にストレスを与えることです。全国学テが導入以来、10歳から14歳までの自殺率は2009年に底を打ちましたが、19年には1.9倍となりました。子供の自殺は、この数年、過去最多を更新する深刻な事態で、10代の死因のトップが自殺というのは主要7か国で日本だけです。日本の子供たちが高度なストレスとプレッシャーにさらされています。

 同時期に小学校の不登校認知件数は2.8倍、校内暴力は5.8倍、いじめは11.4倍にもなっています。子供たちに表れている深刻な状況は、特定の子供の性格や性質が問題ではなく、国連・子どもの権利委員会勧告で指摘されているように、競争主義的な教育行政が子供たちに深刻な影響を与えていることは明らかではないでしょうか。

 そこで、教育長に伺います。

 教育施策はスクラップ・アンド・ビルドでなければ業務が増えるばかりで、長時間労働は解消されません。県学力テスト2回実施に対し、これと同等かそれ以上の何をスクラップしましたか。

 また、学力テストには問題点が多々あります。一つは、子供がテスト漬けになる。二つは、国連・子どもの権利委員会勧告の競争的な教育環境の改善ではなく、逆に競争を強いる。三つ目は、OECD諸国で最長の教員の過重労働状態を一層悪化させる。四つ目は、教員不足が深刻なのに、それに拍車をかける。五つ目は、民間教育産業に4000万円の委託費をつぎ込むことに矛盾を感じます。さらに、私立中学校は参加しません。問題が易しく、学テに時間を取られたくないからです。県立中学校は全国平均より相当高いはずです。テスト時間が余り過ぎて寝ている状況だそうです。いろいろな要因を分析せずに全国平均にとらわれる県教委の姿勢こそ、問われるべきではないでしょうか。

 問題点の多い県学力テストの2回実施や全国学テを中止すべきと考えます。これら二つのことについて、答弁を求めます。

○副議長(岩田弘彦君) 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 県の学テの2回実施に対して何をスクラップしたのかということと、また県の学力テストの2回実施と全国学力テストを中止すべきということに対しての質問でございますが、これまでの全国学力・学習状況調査や県学習到達度調査の結果から、本県の中学生の学習状況には課題があるというふうに考えております。

 この課題を改善するために、今年度より、中学校の県学習到達度調査は全学年を対象に年2回実施し、短いサイクルで学習内容の定着状況をきめ細かく把握し、得られた結果を基に授業改善を図り、質の高い授業を提供したいと考えています。

 そうしたことが、子供たちが意欲的に学びに向かい、結果として学力の向上につながると考えております。

 また、これまで教員が行っていた県の調査の採点を業者に委託することで、教員の負担軽減にもつながっております。

 県学習到達度調査と全国学力・学習状況調査ともに実施することは、子供たちの学びを確かなものにする上で重要でありまして、今後も引き続き実施してまいります。

○副議長(岩田弘彦君) 杉山俊雄君。

  〔杉山俊雄君、登壇〕

○杉山俊雄君 答弁ありがとうございます。少し不満でありますが。

 県学テを2回実施して全国平均にする、20位以内にするには、教師に相当なことを求めるというふうに思います。教材研究、研修等、今まで以上に忙しくなります。

 教育長は、先ほども言ったように、文教委員会で「現場が忙しく、学習面の対策が手薄になった」と言っています。現場が今まで以上に忙しくなって、授業改善や質の高い授業が提供できるのでしょうか。論理は矛盾していませんか。それで子供が意欲的に学び、学力が向上する質の高い授業提供の時間をどう確保しろというのか。長時間頑張れと言うのですか。こうすればできますよと具体的に示していただきたいというふうに思いますし、それから、県学テのスクラップ・アンド・ビルドの回答が、先ほども言いましたが、大変残念です。自校採点を業者委託にすることがスクラップですか。県学テ2回実施の新政策にはいろいろな議論が付随します。その一部の自校採点を業務委託する、そういうことをしても、その他、研修から始まって、会議から、いろんな業務が残ります。この認識では、新政策をするたびに業務が膨れ上がるのではないですか。

 2019年3月の文科省の通知を多分、教育長も読まれていると思います。「学校における働き方改革に関する取組の徹底について」という通知です。この通知は、異常な長時間労働の状況を早急に是正する目的で出された通知です。

 11ページの8項目のところに、「新たな業務を付加するような制度改正等を行う際にはスクラップ・アンド・ビルドを原則とし」と書いています。あと少し中を省略しますが、「正規の勤務時間や人的配置等を踏まえ、教職員の業務量について俯瞰し,学校に対して新たな業務を付加する場合には積極的に調整を図る体制を構築すること」と書かれています。要するに、この通知では、何かしたかったら何かを廃止するスクラップ・アンド・ビルドが原則だと言っています。最後の「体制を構築する」とありますが、これは新たな負担を課すならば、人を新たに雇えということです。

 新政策、2回実施の県学テにおける業務委託が文科省の言うスクラップ・アンド・ビルドに当たりますか。教育長、答弁願えますか。

○副議長(岩田弘彦君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 業者へ委託することによって、採点も、それから分析も業者に委託をすることになります。したがいまして、教員の仕事の負担の軽減にはつながると考えております。

 それから、基本的に今までは、各学校、教員の考えで、特に早期に結果を見たいと、それから、それのために改善をしていきたいというふうな教員もございますので、そういった教員におかれましては、一生懸命自分でしっかり採点をされるというようなこともございます。そういったことでございます。

○副議長(岩田弘彦君) 杉山俊雄君。

  〔杉山俊雄君、登壇〕

○杉山俊雄君 先ほども言いましたけど、文科省の通知のほうが、スクラップ・アンド・ビルドで、何かをするんだったら何かをやめよと。一部をやめることがスクラップ・アンド・ビルドではないんだ。要はどんどんどんどん重なっていくばかりであります。現場は悲鳴を上げています。そういう意味では、もう少し考えていただきたい。少しは負担軽減がなされても、多くはなされていない。

 私が一番心を打ったというか印象に残っているのは、ある教育長が「日本の教育を駄目にした元凶は学テだ」と、こういうふうに言ったことが頭から離れません。大変的を射ているというふうに思います。

 先ほども言いましたけど、学力テストの最大の弊害は子供にストレスを与えることで、全国学テ以来、自殺、不登校、校内暴力、いじめが急増していると。そういうことは子供の問題じゃなくて、体制そのものが、そういう環境が子供をそういうふうにさせるということだと思いますし、テストで子供を追い立てても学力が伸びないことは、この20年の取組ではっきりしているというふうに思います。

 生徒の弱点克服だ、こうだ、こうだと言いますが、一定毎年先進県に教員を派遣しています。過去問に精を出していますが、それほど成果は上がっていません。一番は、先ほども言いましたけど、小学校から地元の中学校へ行かんで、上位の人たちが私立や県立中学校に行く、そういう制度をなくして、地元に行くようにしたら、中学校はそんなに平均は下がりません。低いといったって、2点とか4点なんですよ。2点、4点低いだけで、順位で言えばすごい下位ですけど、それほど変わらんのです。1問も低いわけではないんですね。だから、そういうところへ力を入れて子供や教員にストレスを与えるということはどうなのかというふうに思います。

 今の学校に一番必要なのはゆとりだというふうに思います。ゆとりこそが生徒を多面的に伸ばします。子供は、興味関心を持てば意欲的に勉強をします。強制されれば嫌気が差します。子供と学校にゆとりを取り戻してほしいというふうに思います。

 続いて、議長、次の質問に移っていいですか。

○副議長(岩田弘彦君) 杉山俊雄君。

○杉山俊雄君 三つ目は、教員の長時間労働の解消についてです。

 教員の労働実態は、文科省の調査によれば、持ち帰り仕事を含め1日12時間近く働き、その上、土日も働き、過労死ラインを超えています。管理職、特に教頭は教諭以上に深刻です。

 1日の平均休憩時間は小学校で6分、中学校で8分と大変な少ない状況です。これは、労働基準法34条、6時間を超える場合は45分、8時間を超える場合は60分に違反しています。民間企業では、違反すれば使用者は6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。公立教員も労働基準法が適用されますが、公務員の場合、違反しても使用者への罰則がありません。だから、使用者は法を守らなくても違反にならず、時間管理が甘くなります。さらに、公立学校の教員はどんなに残業しても残業代ゼロと決められている給特法があり、定額働かせ放題になっていることが長時間労働に拍車をかけています。

 苛酷な労働条件下で、病気で倒れる教員が増加をしています。過労と密接な関係がある精神疾患による休職者数は、1980年代は1000人前後だったのが、少しずつ増え続け、1990年後半から急増し、2007年から10年間以上は5000人前後で高止まりしています。休職者の推移は、職場の多忙化の進行を見事に表しています。

 昔から残業がこんなにあったわけではありません。1966年と2016年の全国教員勤務実態調査から週当たりの残業時間を比較すると、小学校では1時間20分から24時間30分と、15倍に増えています。中学校では2時間30分から29時間41分と、12倍になっています。

 残業時間が増えた理由を2019年の教育長答弁では、「いじめや不登校等の生徒指導上の課題や保護者への対応等に加え、校外校務の増加等が原因」と答えていますが、これが真の増加の原因ではありません。残業時間が増えた最大の理由は、教員定数を増やさなかったことにあります。

 1958年の義務標準法では、1日の勤務時間の半分は教科指導、残り半分は教科外指導、準備、整理、その他校務一般に充てるとし、1日8時間の枠内で仕事が終わるよう制度設計されていました。それが2002年の完全週5日制になったにもかかわらず、週6日制と同じ授業時数をしなければならなくなり、2割も少ない教員定数で、増えた授業数をこなさなければならなかったからです。

 もう一つは、授業以外の業務が増加されたことです。2019年の教育長答弁以外の業務が学校現場に押しつけられていました。全国学テや県学テは言うまでもありません。教育委員会の学力向上事業として、授業推進のための会議、テスト成績アップのための指導計画書の作成、提出、また研究授業の推進校では公開授業の授業案づくりで忙殺、打合せ会議を重ね、何回かの試行授業。さらに、職業体験学習では、打合せ会議、事前準備、体験職場への文書作成等があります。このように、増える会議と書類書き等が多岐にわたります。

 それから、学習指導要領による新たな学力観、関心・意欲・態度を成績評価するための数値化が求められます。挙手の回数、提出物のチェック等をエクセルに入力。意味を感じない作業に、ため息が出ます。

 2020年4月から、長時間労働を改善するために教職員の勤務時間把握が管理者の法律上の義務になり、昨年から時間把握のためにタイムカードが導入されています。長時間労働は改善されていますか。虚偽の報告は懲戒処分の対象になります。

 私が聞く限りでは改善されていないようでした。

 Aさんに聞きました。出退勤はカードでしていますが、ほとんどの人は持ち帰り仕事です。4月は忙しかったから、1日13から15時間ぐらい働いていました。

 Bさん。昨年は高校3年生を担任していたので、推薦書類を書く時期は週末もほぼ出勤していました。超勤は平均すれば50~60時間ぐらいです。

 Cさん。退勤後、仕事はしていません。超勤が一定以上あると校長面談があります。運動部顧問で土日来ている人は面談したと言っていました。早く帰れと言われても、練習を放り投げて帰れません。面談をしたという実績を残したいのではと思います。7時40分ぐらいに出勤し、午後6時半から7時過ぎの間に退勤します。

 Dさん。通常7時半に出勤し、19時半に退勤します。小学校低学年を受け持つので、授業時数は週26時間で、空きがありません。放課後は丸つけ、下校時の児童の事故等の対応、保護者への対応、報告書類の処理に追われ、教材研究の時間が取れません。教育委員会への報告書類は不登校状況報告、図書館利用報告、児相への関わり、教委のアンケート、困難状況報告、タブレット使用事例、ICT教育に関わること等、多岐にわたります。教材研究は朝早く起き、1~2時間行います。学校で12時間拘束されるが、持ち帰り仕事はカウントされません。友達は土日に1週間分の教材研究をするそうです。

 このように、時間管理が導入されても、長時間労働は改善されていないようです。

 そこで、教育長に伺います。

 一般企業では業務量から必要な労働者数が算定されますが、公立学校の業務量は今の教員数でこなせる量になっていますか。その根拠はありますか。

 また、2019年の一般質問から3年が経過しました。長時間労働を解消するために県教委はどのような施策を実施してきましたか。答弁を求めます。

○副議長(岩田弘彦君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 教員には、児童生徒一人一人に丁寧に関わりながら、その実情から生じる多様な課題に対する必要があり、その業務を定量化、模式化することにはなじまない面があります。

 教員の長時間労働の解消には、教職員の十分な確保と業務のスリム化を併せ、両面から進める必要があります。

 教職員数につきましては、国の加配を活用し、小中学校で国の基準より少人数の学級編制に必要な教員定数を確保するとともに、部活動指導員や不登校児童生徒支援員、教員業務支援員、スクールカウンセラーなどの専門スタッフを増員しているところです。

 教員の業務につきましては、令和2年4月に、教育職員の業務量の適切な管理その他健康及び福祉の確保を図るための方針を策定しました。また、令和3年4月に、教職員等の働き方改革推進プランを改定し、会議の簡素化や、部活動における休養日や練習時間の設定等、校務の効率化を進めるとともに、学校に対して行っている調査やアンケート、研修会について精選、簡素化するなど、業務のスリム化に取り組んでいます。

 さらに、今月6日、スポーツ庁が公表した運動部活動の地域移行に関する検討会議提言を先取りして、部活動業務の軽減に向けた対策を検討しております。

 そもそも教員にとりましては、研修会、それから研究会というのは教員の力を伸ばす絶好の機会だというふうに考えております。また、教科の研究、準備というのは必須の要件であると思います。それらをおろそかにしているわけにはまいりません。時間を有効に使うことも大切だと考えます。

 教育を充実させるためには、授業準備や児童生徒と向き合うための十分な時間を確保する必要があり、今後も、教育の質の担保と教員の働き方改革の両立を目指し取り組んでまいります。

○副議長(岩田弘彦君) 杉山俊雄君。

  〔杉山俊雄君、登壇〕

○杉山俊雄君 教員にとって教材研究してすばらしい授業をするというのは命だ、それは当然ですよ。だけど、それをする時間がない。残業してやりなさいという、今はそんなふうになっているんでしょう。だけど、50年前は8時間で終わるように制度設計されていた。その根拠を今の人たちは知らないからであります。だから、どんどんどんどん業務が増えていく。学テを見ても、ちょっと業者委託しましたよ。そやけど、あとの残りはどんどんどんどん業務が増えている。そういうことをどんどんどんどん重ねるから、長時間労働になるんでしょう。

 だから、言われるような問題意識、これこれしています、これこれしていますと言うけど、現場ではほとんどそれが届いていません。先ほども報告したように、いろんな業務がどんどんどんどんなっていると。

 だから、思い切って指導する。これやめなさい、これをやめなさいって県教委が指導すればいい話であって、大切な教員が授業・教材研究する時間をつくるように県が指導していただきたい、そういうふうに思います。

 そういうことを希望して、質問を終わります。(拍手)

○副議長(岩田弘彦君) 以上で、杉山俊雄君の質問が終了いたしました。

 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。

 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。

 本日は、これをもって散会いたします。

  午後2時40分散会

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