令和4年6月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


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令和4年6月 和歌山県議会定例会会議録 第3号

議事日程 第3号

 令和4年6月10日(金曜日)

 午前10時開議

 第1 議案第76号から議案第89号まで及び報第5号(質疑)

 第2 一般質問

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会議に付した事件

 第1 議案第76号から議案第89号まで及び報第5号(質疑)

 第2 一般質問

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出席議員(41人)

 1番 鈴木德久

 2番 山家敏宏

 3番 中本浩精

 4番 堀 龍雄

 5番 藤山将材

 7番 井出益弘

 8番 宇治田栄蔵

 9番 北山慎一

 10番 玄素彰人

 11番 中西峰雄

 12番 秋月史成

 13番 森 礼子

 14番 濱口太史

 15番 尾崎要二

 16番 冨安民浩

 17番 川畑哲哉

 18番 玉木久登

 19番 鈴木太雄

 20番 岩田弘彦

 21番 吉井和視

 22番 谷 洋一

 23番 佐藤武治

 24番 岩井弘次

 25番 中 拓哉

 26番 多田純一

 27番 新島 雄

 28番 山下直也

 29番 中西 徹

 30番 谷口和樹

 31番 藤本眞利子

 32番 浦口高典

 33番 山田正彦

 34番 坂本 登

 35番 林 隆一

 36番 楠本文郎

 37番 高田由一

 38番 杉山俊雄

 39番 片桐章浩

 40番 奥村規子

 41番 尾﨑太郎

 42番 長坂隆司

欠席議員(なし)

〔備考〕

 6番 欠員

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説明のため出席した者

 知事         仁坂吉伸

 副知事        下 宏

 理事         田嶋久嗣

 知事室長       赤坂武彦

 危機管理監      福田充宏

 総務部長       吉村 顕

 企画部長       長尾尚佳

 環境生活部長     生駒 享

 福祉保健部長     志場紀之

 商工観光労働部長   寺本雅哉

 農林水産部長     山本佳之

 県土整備部長     福本仁志

 会計管理者      中家秀起

 教育長        宮﨑 泉

 公安委員会委員    中野幸生

 警察本部長      遠藤 剛

 人事委員会委員長   平田健正

 代表監査委員     森田康友

 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫

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職務のため出席した事務局職員

 事務局長       出津野孝昭

 次長秘書広報室長事務取扱

            浜野幸男

 議事課長       長田和直

 議事課副課長     岩井紀生

 議事課課長補佐兼議事班長

            村嶋陽一

 議事課主任      伊賀顕正

 議事課主任      菅野清久

 議事課副主査     林 貞男

 総務課長       葛城泰洋

 政策調査課長     神川充夫

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  午前10時0分開議

○議長(尾崎要二君) これより本日の会議を開きます。

 日程第1、議案第76号から議案第89号まで及び地方自治法第179条第1項の規定による知事専決処分報告報第5号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、併せて日程第2、一般質問を行います。

 14番濱口太史君。

  〔濱口太史君、登壇〕(拍手)

○濱口太史君 皆さん、おはようございます。令和4年度最初の6月定例会の一般質問が、本日から始まりました。その先陣を切って登壇をさせていただき、誠に光栄なことと存じます。先輩・同僚議員の皆様に心より感謝を申し上げます。

 毎回、この場に立ちますと気持ちが高ぶるのですが、それに加えまして、尾崎要二新議長の圧を背中に感じながら、かなりの緊張感の中ではありますが、精いっぱい務めさせていただきます。

 議長のお許しをいただきましたので、質問に入ります。なお、4項目につきまして、一括で行いますので、よろしくお願いいたします。

 さて、本県では、新型コロナの感染の猛威により、基幹産業である観光業をはじめ、いろいろな分野で大きな打撃を受け続けてきました。第6波の感染拡大はようやく落ち着きを見せ始めてはいるものの、県内の感染状況を見ますと連日100名前後で推移しており、依然ウィズコロナという言葉が当てはまる状況です。しかしながら、特効薬などができることにより、国が感染症法における新型コロナの基準を2類相当から緩和させることで、やがてはポストコロナの時期が必ず来ると考えております。

 それにより、これまでの社会における新型コロナの感染防止に対する方針は、とにかく集まらない、出かけないといった辛抱するという意識でしたが、そろそろ開放的なものになってくるのではないかと考えます。

 そこで、新型コロナ前の人の流れを再び取り戻すという観点で、2点お聞きいたします。

 まず、回復の兆しを見せる観光に目を向け、述べさせていただきます。回復傾向は、既に今年のゴールデンウイークの国内観光客の入り込み数が好調であったことからも間違いのないことと感じています。特に我が和歌山県は、HISのゴールデンウイークの国内旅行予約数では伸び率が725%と人気急上昇といった報道もありました。

 さらに追い風と期待できることは、国においての動きであります。一つは、GoToトラベルを6月下旬から7月頃の再開に向けて検討がなされているということです。もう一つは、新型コロナの流行を受け、2年にわたって海外からの観光客の入国を禁止していましたが、本日6月10日から日本への入国制限を緩和し、添乗員つきの団体ツアーに限られますが、98の国と地域からの観光客の受入れを再開すると発表したことであります。

 思い返せば、国内で初めて多くの新型コロナ感染者が出たのは、令和元年2月、乗客・乗組員3711名を乗せて横浜港に入港予定だったクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号船内でのクラスター、その感染拡大は死者13名、感染者は712名にも上りました。そのため、ブームにもなっていましたクルーズ船観光は、船内で感染者が出た場合、他の乗船客との隔離が困難で感染拡大の心配が大きいというイメージが強く印象づけられてしまいました。当然、その後のツアーはほとんど中止で、一気に火が消えたようになり、新宮港への入港も途絶えていましたが、昨年あたりから乗船客数を制限したクルーズ船ツアーが入港するようになりました。

 令和4年度も4月30日ににっぽん丸が、5月27日にはぱしふぃっくびいなすが入港し、多くの乗船客に熊野の地を訪れていただきました。しばらく行われていなかった梛の木見送り隊によるお見送りイベントも再開され、私もマイクを通じて乗客の皆さんに感謝と旅の安全を願う言葉を送らせていただきました。

 今後も7月から8月にかけて、にっぽん丸が1回、ぱしふぃっくびいなすが2回、8月28日には飛鳥Ⅱの入港が予定されています。クルーズ船の入港に、地元住民は活気が戻ってきたことを感じております。

 これまで県においては、ウィズコロナの時期にあっても、リフレッシュプランによる県内観光の促進や県内修学旅行の推奨による団体旅行の維持に尽力されてきました。加えて、途絶えたインバウンドが回復したときに備え、プロモーションや多言語看板の整備などに取り組んできたと聞き及んでいます。

 国内、県内でも新型コロナの感染拡大による経済活動への悪影響が出始めた頃に、自民党県連で各業界に聞き取り調査を実施した際に、観光業界や交通業界からの声として、「観光は、止まるときはあっという間に止まるが、回復は一気に戻ることが期待できない」と話されていたことがいまだに頭に残っております。

 しかしながら、幸いにして本県においては、今後ビッグイベントが続くことから、今後の戦略次第では、他の地域よりも継続的な回復状況が期待できるのではないかと考えます。

 改めて、新型コロナウイルスの感染状況を踏まえた観光戦略について、国内外からの誘客に対する知事の意気込みをお聞かせいただきたいと思います。

 次に、各地域におけるイベント開催に対する県の対応についてお聞きいたします。

 新型コロナウイルスの感染拡大は、地域における祭りやイベントにも大きな影響を与えており、これまでは中止や規模縮小をせざるを得ない状況が続いていましたが、最近は全国的にも飲食店における人数制限の解除や大規模イベントの開催など、社会経済活動の再開に向けた動きが出てきています。

 県内でも、和歌山市内で開催された和歌祭や、白浜町が花火大会をはじめとする夏から秋にかけての恒例イベントの実施を発表するなど、再開に向けた機運の高まりも感じられます。

 一方、それぞれの地域では、祭りやイベントの再開を検討するものの、周辺地域の同様のイベントとのバランスや住民感情に配慮し、まだ実施に踏み出せない団体が多くあるように見受けられます。

 先日出席いたしました地元新宮市の花火大会実行委員会におきましても、主催者側から「会場内や付近での見物客のソーシャルディスタンスを確保するのが困難であるため、中止にしたい」という提案があり、意見を求められた各委員が「今年はやむなく中止に賛成する」という意見で一致し、中止が決定されました。しかしながら、ある委員から「有無に対する意見を求められても、専門家ではないため判断が難しいというのが本音であり、それならば、来年以降の再開の有無を決定するための基準を今のうちに設けておくべきではないか」との意見が出されました。すると、主催者側から「県の方針や基準を参考にしたい」との答弁がありました。

 そこで感じましたのは、現状は特に制限がなされていないにもかかわらず、県民には非常事態宣言やまん延防止等重点措置の際に県から制限がなされたイメージがいまだに残っており、イベント再開のタイミングの判断は、県や市町村の方針が目安になるという認識を持ったままの方が多いのではないかという懸念であります。

 このような懸念や、祭りやイベントへの参加者に感染が拡大するかもしれないという不安などから、住民感情への配慮が開催に向けて積極的になれない状況もあるのではと思われます。

 祭りやイベントの開催は地域経済の活性化に寄与するものと考えますが、イベントが安全に開催され、地域住民の皆さんにも安心して参加してもらえるためには、県としてどのような対応をされているのか、危機管理監にお尋ねをいたします。

 3番目の物価高騰による県内への影響に対する知事の捉え方についてへ移ります。

 新型コロナの感染拡大がもたらした県民生活や県経済への影響は依然として大きいものがあります。先ほど述べました観光の回復、イベントなどの再開などは、地域の活気を取り戻し、経済を上昇させるよい材料と言えます。

 しかしながら、そのような期待を打ち砕こうとしているのが、ロシアによるウクライナ侵攻であります。その影響で世界規模での不確実性が高まり、原油をはじめとする原材料や穀物等の価格については、高い水準で推移しています。

 我が国では、原油等による多くの原材料や穀物等を輸入で賄っていることから、世界市場での影響を強く受け、物価が大きく高騰している状況です。このような物価高騰が消費マインドの悪化につながり、民間消費や企業活動を低下させ、安定的な供給が滞り、サプライチェーン全体への影響が生じることで、県内の下請企業等の活動を低下させるとともに、そこで働く従業員への賃金等にも多大な悪影響を及ぼすものと考えられます。

 さらに、近年の円安の影響による輸入物価の上昇に係る企業の仕入れ費用等への影響につきましても、注視していく必要があると思われます。

 そこで、既に新型コロナにより経済的に厳しい環境にある現状の中、直面する物価高騰による県内への影響を知事はどう捉えておられるのか、御所見をお尋ねいたします。

 続けていきます。世界規模で加速しているDX(デジタルトランスフォーメーション)とは、もともと2004年にスウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授によって提唱された概念で、その内容は、進化し続けるテクノロジーが人々の生活を豊かにしていくというものだそうです。進化したデジタル技術を浸透させることで、人々の生活や仕事をよりよいものへと変革することを指しているとのことです。

 デジタルトランスフォーメーションという英語を直訳するとデジタル変換という言葉になりますが、変換というよりも変革という言葉の意味のほうがぴったり当てはまると理解をしています。ちなみに、DXと混同されやすいのがIT化という言葉ではないでしょうか。私自身もその違いはよく分かっていませんでした。

 ITとは、インフォメーションテクノロジーを略した言葉であり、コンピューターとネットワーク技術の総称です。インターネットやデジタルテクノロジーの進化に伴い、これまでのアナログな作業をデジタル化して便利にするという意味合いがIT化ということです。

 例えば、IT化とは、これまで手書きしていたことをワープロなどのデジタル文字に変換し、汎用しやすくするといったことを指すのに対し、DXとは、デジタル技術を用いることによって、人々の生活や仕事を革命的、画期的に向上させることを意味しているとのことです。つまり、DXは、社会や組織、ビジネスの仕組みそのものを変革することであります。

 本県においても、この世界的な動きを逃すことなく正確に捉まえ、県内企業の競争力、生産力の向上、弱点の克服、人材不足解消、経営の継続をちゅうちょする事業主に改めて前向きな意欲を感じてもらうためにも、世界規模で進んでいるデジタル導入は大きな武器になるものと考えますが、そのような中小企業を支援するためのわかやまデジタル革命推進プロジェクトとはどのような政策でしょうか。説明を求めます。

 また、DX実現のため、デジタル化を進めるといっても、何から手をつけてよいのか分からないといった声が聞かれます。また、長く事業を展開してきた中で成功を成し遂げてこられた事業主の中には、今さら事業形態を変えるなんてとんでもないことと考える方も多いと思います。絶対的な仕組みを確立されていることはすばらしいことだと考えますが、時代の流れや、取引先もその時流に乗ってデジタル化しているとなると、取引先と足並みをそろえることを迫られるかもしれないという認識もしていただいた上で、今後の事業展開を判断してもらうことは重要なことだと考えます。

 また、積極性で考えますと、県の実施するセミナーやシンポジウムへ参加される方は、もともとデジタル化や企業変革への関心が高い層であって、県経済の活性化の観点からは、さらに多くの企業に関心を持ってもらう必要があると考えられます。

 DX導入をちゅうちょする中小企業の背中を押すためには、どのような取組を実施されるのでしょうか、併せて商工観光労働部長にお尋ねをいたします。

 質問は以上です。

○議長(尾崎要二君) ただいまの濱口太史君の質問に対する答弁を求めます。

 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 本県において、新型コロナウイルス感染症の影響を受けるまでは、観光入り込み客数や外国人宿泊客数が史上最高を更新するなど、大変好調でございましたが、新型コロナウイルスにより大きなダメージを受けたところであります。

 各国において水際対策措置が徐々に緩和され、世界的な旅行需要が回復しつつある中、先般、世界経済フォーラムが発表した2021年版の旅行・観光開発ランキングでは、我が国は第1位に輝くなど高い評価を受けております。

 中でも和歌山県は、世界的旅行ガイドブックの「ロンリープラネット」ベスト・イン・トラベル2021のサステーナビリティー部門読者投票で、世界で唯一選出され、また、「ミシュランガイド京都・大阪+和歌山2022」で和歌山県の飲食店が初掲載されるなど、引き続き世界から高い評価を受けておりまして、これからの外国人観光客の主流になると思われる個人客は、こういうものから情報を得て旅行先を考えるわけでございますので、本県にとって大きなチャンスであると捉えております。

 これまでも観光産業を支援するため、コロナからのよみがえりをうたった「蘇りの地、わかやま」キャンペーンとして、わかやまリフレッシュプランSなど需要喚起対策を講じつつ、自然やアウトドア、歴史・文化、食などにおいて多様化する観光客のニーズにきめ細かく対応できるよう、テーマ別の観光プロモーションに取り組んできたところでございます。

 一方で、観光客の嗜好が従来型の観光スポットを巡る観光から体験型観光に移行していることから、本県が誇る海、山、川の美しい自然との触れ合い体験や熊野古道トレッキング、サイクルトレインを活用したサイクルツーリズム、ワーケーションや体験型観光を組み入れた教育旅行、世界遺産の保全活動に参加できる道普請を活用した企業研修やCSR活動の誘致など、誘客の多角化も図っているところであります。

 インバウンドについても、6月10日の訪日外国人観光客の受入れ再開を受け、これまでのオンラインメディアを通じた情報発信等に加え、海外現地におけるプロモーションの取組を進めてまいる所存でありまして、そろそろ渡航活動可能な国々へ県庁のプロモート隊を発進させようと思っております。

 今後は、観光産業にとって追い風となる令和5年の弘法大師空海御誕生1250年、令和6年の世界遺産登録20周年、令和7年の大阪・関西万博とビッグイベントがめじろ押しであることから、この期間をダイヤモンドイヤーとして位置づけ、コロナ禍からの反転攻勢を目指してまいります。

 特に令和7年の大阪・関西万博に向けては、4月29日に大阪・関西万博機運醸成シンポジウムを開催し、多くの観光客の誘客に向け、和歌山へ呼び込む仕掛けをつくっていこうと決意を新たにしたところであります。

 今後は、和歌山館の整備や交通アクセスの利便性の向上などに取り組むとともに、積極的なプロモーション活動を展開し、和歌山県への誘客活動に取り組んでまいる所存でございます。

 次に、物価高騰に関する考え方であります。

 現在直面している物価高騰は、県内企業の活動や県民生活に大きな影響を及ぼすものであると懸念をしております。

 我が国の経済は、デフレ基調が長く続いてまいりましたが、原油高や円安、そしてロシアによるウクライナ侵略などの要因でコストプッシュ型の物価上昇の局面に入り、本年4月の企業物価については、前年同月比でプラス10.0%となっております。

 しかし、県が実施した県内企業への調査では、原材料や物流コスト、光熱水費などのコスト上昇分を取引価格に反映できているという声は少数であったところであります。したがって、県内の企業の大宗はより苦しくなっているということであります。

 一方で、近年の円安等の効果により、輸出採算のある大企業は過去最高益を更新するなど、好調な状況にあります。大企業を支える地方の下請中小企業には、しかし、影響があんまり及んでいないというのが現状であります。

 日本経済全体を好循環させるためには、取引価格を適正化し、大企業の利益を地方の下請中小企業や材料提供企業に分配することが最も重要であると考えます。

 そこで、県は、取引条件の改善に向け、県内企業の声を十分聞きながら、下請取引の適正化などを政府に要望し、さらに、サプライチェーン全体で取引条件が改善されるよう日本銀行へも提言をしたところであります。

 また、今議会においては、原油高騰による直接的な影響が大きい交通事業者や農業者への支援を、さらに生活困窮者に対しては生活福祉資金の特例貸付けによる支援などを提案したところであります。

 今後、物価高騰により困窮する方々の状況を把握し、時を逸することなく対策を講じ、県内企業の活動や県民生活を守っていく所存でございます。

○議長(尾崎要二君) 危機管理監福田充宏君。

  〔福田充宏君、登壇〕

○危機管理監(福田充宏君) コロナ禍におけるイベント開催に対する県の対応についてお答えいたします。

 国の基本的対処方針においては、イベントの開催に当たり、感染防止策等を徹底する観点から、地域の実情に応じて都道府県知事が主催者に対し、イベントの中止ではなく、人数の上限や収容率、感染防止安全計画の提出などの要件を設定し、その要件に沿った開催の要請を行うこととされております。

 現在、県においてもイベントの中止を求めているわけではなく、一定規模以上のイベントを開催する場合、主催者に対して感染防止安全計画等の提出をお願いしています。一方、開催に不安を感じる主催者からは、イベントの開催規模にかかわらず、事前の相談を受けているところです。

 今後も主催者に対して、マスクの着用や手指消毒、人と人との距離の確保など、基本的感染予防対策について働きかけを行うとともに、主催者がイベントの種類に応じたガイドラインに基づく適切な感染予防対策を行い、地域における祭りなどのイベントが安全・安心に開催できるよう、引き続き相談に応じていきたいと考えております。

○議長(尾崎要二君) 商工観光労働部長寺本雅哉君。

  〔寺本雅哉君、登壇〕

○商工観光労働部長(寺本雅哉君) 世界的にデジタル化が急速に進んでおり、この流れに乗り遅れると企業の存続に関わる状況であるため、DX(デジタルトランスフォーメーション)を待ったなしで進める必要があります。

 これまでも企業のデジタル化の取組は進められてきましたが、単なるデジタル技術の導入にとどまらず、業務そのものや組織、プロセス、企業文化、風土の変革に至るまでの取組が重要であることから、今年度の新政策として、わかやまデジタル革命推進プロジェクトを実施することとしました。

 本プロジェクトは、四つのフェーズにより取り組んでいきます。まずは、シンポジウムの開催などによる機運醸成、啓発を行い、次に、デジタル経営診断により各企業の現状把握につなげます。その上で、DXオンライン入門講座をはじめAI講習やIoT講習など、様々な企業のニーズに応じた講習を開催し、人材育成や技術習得を図ります。さらに、生産ラインの改善やIoTの導入などが必要となれば、システムカイゼン補助金等による導入支援を行います。このような取組を一気通貫で支援し、県内企業のDX実現につなげてまいります。

 今後、多くの企業にDXへの関心を持ってもらうためには、各企業が自らのデジタル化についての現状や課題を把握することが重要であると考えられるため、デジタル経営診断を実施いたします。

 デジタル経営診断は、デジタルコンサルティングの入り口に当たるものであり、経営戦略やデジタル人材育成など六つのカテゴリーで、合計30問の質問に回答することにより、デジタル経営に関する自社の状況を評価することができます。また、他企業の平均値との比較や時系列での分析も可能なものとなっております。

 開発した診断ツールはウェブサイトにおいて公開したところでありますが、この診断をより多くの企業に受けていただくため、診断員による企業訪問なども行い、今年度は年間1000社を目標に診断を実施することとしています。

 診断を受けていただくことで、各社が優先的に取り組むべき課題が見える化できるとともに、経営者層には、DX推進に向けた意識改革を促す効果も期待されます。

 この診断結果を受け、DX人材の育成が課題であれば様々なニーズに応じたDX推進講習を受講いただき、また、業務改善システムの導入が必要となれば導入経費を助成するシステムカイゼン補助金を活用いただくなど、それぞれの企業の段階とニーズに応じた支援を行ってまいります。

 デジタル化に関心のあまりない企業にも診断を受けていただいて、自社の課題を認識していただき、各種支援メニューに呼び込んでいくことで、より多くの企業がDX推進に向けた取組を行うよう支援してまいります。

○議長(尾崎要二君) 再質問を許します。

 濱口太史君。

  〔濱口太史君、登壇〕

○濱口太史君 質問ではありませんので答弁は求めませんが、最後のDX導入の件につきまして、要望を述べさせていただきます。

 このプロジェクトを人に置き換えますと、健康診断や検診と同様だと思います。行政が無料の健診や補助金を用意することによって健診を受診する人が増えたとしても、肝腎なのはその先の御本人の行動であると考えます。すなわち、健診により見つかった健康上の問題に向き合い、生活習慣の見直しや改善あるいは危機感を持ち、意を決して病院での治療や手術を受ける意識になってもらえるかどうかではないでしょうか。もっとひどい状態になったら検討しようとか、忙しいのでそんなことに時間を費やす余裕はないなどとちゅうちょする気持ちに対する後押しが、このプロジェクトにおける目的達成の鍵を握っているのではないかと考えるからです。

 ぜひ、県内中小企業に対するDX導入と利活用への取組の周知と徹底した支援ができるプロジェクトとして取り組んでいただきたいと思います。

 以上、お願いを申し上げまして、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(尾崎要二君) 以上で、濱口太史君の質問が終了いたしました。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 17番川畑哲哉君。

  〔川畑哲哉君、登壇〕(拍手)

○川畑哲哉君 皆さん、おはようございます。節目となります人生15回目の登壇の機会をいただきました。御理解をいただきました先輩・同僚議員の皆様に、改めて心から感謝を申し上げます。

 尾崎要二議長よりお許しをいただきましたので、以下、通告に従い、一般質問をさせていただきます。

 令和3年の2月定例会及び6月定例会におきまして、「ケアラーへの支援」あるいは「ヤングケアラーへの支援」という項目で、本県におけるヤングケアラーの実態調査を実施すべきと重ねて提案をさせていただきました。

 果たして、昨年10月から11月にかけて、福祉保健部により御作成いただきましたアンケートを教育委員会により配付・回収をしていただき、県内の中学校及び高等学校2年生1万5599人を対象とし、回答数1万4237人、回収率91.3%という近年まれに見る大がかりなアンケートと言われる実態調査を実施していただくに至りました。まずは、御理解をいただき、御尽力いただきました仁坂知事はじめ県当局の御担当の皆様並びに宮﨑教育長はじめ県教育委員会の御担当の皆様に心より感謝を申し上げます。

 結果、家族のケアをしているのは、本県の中学校2年生では全国調査の5.7%に対して4.7%、全日制高校2年生では全国調査の4.1%に対して3.9%、定時制高校2年生相当では全国調査の8.5%に対して13.8%であり、ケアを必要とする家族は全国調査と同じく「きょうだい」、「父母」、「祖父母」と続き、ケアの頻度が高い回答者ほど1日当たりのケアの所要時間も長い傾向があることや、ケアの内容は「家事」が最も多く、「見守り」や「幼いきょうだいの世話」と続くこと、ケアに関する悩み事の相談経験があるのは1割強で、相談先は「家族」、「友人」、「学校の先生」の順に多いこと、自身がヤングケアラーに当てはまるか「わからない」が過半数で「あてはまる」は1割強とのことでございます。

 また、ストレスなど生活への影響を感じているには、家族のケアをしている回答者の約4分の1で、ケアに要する1日当たりの時間が長いほど影響を感じる傾向ありとのことでございました。

 このような本県における実態調査の結果につきまして、仁坂知事はどのような思いをお持ちでしょうか。知事の御所見をお尋ねいたします。

○議長(尾崎要二君) ただいまの川畑哲哉君の質問に対する答弁を求めます。

 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 令和3年度に本県が実施いたしました実態調査では、全ての回答者のうち、身体的・精神的な負担が伴う家族のケアを日常的に行っている子供が1%程度存在し、幼い兄弟の世話など家族のケアに当たっている実態が明らかとなりました。

 同時に、この調査では、家族のケアについての悩み事がある場合において、外部に相談するケースが少ないという実態も明らかになったところであります。

 家族のケアは、これまで家庭内の問題とされ、そもそも外部への相談につながりにくいものであったと推測されますが、家族のケアを担う本人が悩み事を抱え込んでしまうと、勉強やクラブ活動が十分できないなど、学校生活に影響が生じるだけではなくて、場合によっては社会的な孤立につながってしまうということも懸念されます。

 介護や子育て、生活困窮といった課題を抱える方々に向けては、様々な支援制度が準備されているところでありまして、ヤングケアラーにあっても家族の中で抱え込まないで、こうした福祉施策を活用することにより、負担の軽減につながるものと思います。

 最も大切なのは、悩みを独りで抱え込まないことであります。家族を思う愛情や気持ちは尊いと思いますし、これを他の人が、この気持ちを肩代わりするということはできないかもしれませんが、行為としての家族のケアをすることによって負担を感じている場合には、遠慮することなく周囲に相談していただきたいと思います。

 ただ、そうはいっても、子供さんたちはどこに相談に行ったらいいのか、大変難しいのではないかというふうに思います。したがって、その際、子供と接する機会の多い学校の果たす役割は大きいと考えます。

 学校の先生方には、日頃から生徒の生活状況を気にかけて、生徒からの相談があった場合には、あるいはこれはほっとけないなあと思うような場合には、しっかり向き合って親身に対応し、県で作成したヤングケアラー支援のための福祉サービスの手引きなども活用しながら、県や市町村等の福祉部局につないでいただきたいとお願いをしているところでございます。

 県としては、家族のケアを担う子供たちの負担を軽減し、学校生活と家庭生活を両立できるように、教育と福祉が相互に連携しながら、一体となって支援する体制を整えてまいりたいと考えております。

○議長(尾崎要二君) 川畑哲哉君。

  〔川畑哲哉君、登壇〕

○川畑哲哉君 調査結果では、中学生、高校生ともに全国平均をやや下回っているものの、定時制においては特段の結果が表れています。このことは、本県ではヤングケアラーであるがゆえの経済的な事情や勉強するための自分の時間が取れない等の事情から定時制高校を選んでいる生徒が多いのではと推察をいたします。

 いずれにしましても、明らかな結果が出ている以上、早急な対応が必要であると私は考えていますが、教育長のお考えはいかがでしょうか。

 自由意見では、「ヤングケアラーと『家のお手伝い』の境界が分かりづらい」、「ヤングケアラーについて学ぶ機会を、小・中学校のときから設けてほしい」等の意見が見られたこともあり、小学生からの啓発や中学生への実態調査の毎年実施等も御検討いただき、生徒それぞれがその能力に応じた進学先を選べるような支援体制を直ちに整えるべきではないかと思います。

 また、定時制高校へは、記名アンケートの実施やスクールカウンセラー及び保健室の養護教諭の増員等も検討すべきではないでしょうか。

 ヤングケアラーへの支援について、県教育委員会の今後の取組を教育長にお尋ねいたします。

○議長(尾崎要二君) 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) ヤングケアラーについては、教職員が児童生徒とのコミュニケーションを基に、その状況を的確に把握し、福祉関係と情報を共有していくことが大切です。

 県教育委員会といたしましては、教職員がヤングケアラーの認識を深め、関係機関や市町村と適切な連携を図れるよう、研修等を充実してまいります。

 また、全ての校種の児童生徒を対象として定期的に実施しているアンケートに、ヤングケアラーに関する質問等を新たに加えてまいります。このことで児童生徒自身がヤングケアラーについて認識を深めるとともに、校種や学校、学年ごとのヤングケアラーの状況把握が進むと考えています。

 このことを踏まえ、議員御指摘の高等学校定時制課程については、状況をより詳細に把握し、必要な対応や支援を考えてまいります。

 最も大事なことは、様々な課題を抱える生徒が高校生活を諦めることのないよう学びを保障していくことであり、そのために、教員はもとよりスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等の充実を図りながら、適切かつ丁寧に対応してまいります。

○議長(尾崎要二君) 川畑哲哉君。

  〔川畑哲哉君、登壇〕

○川畑哲哉君 家庭環境に恵まれなかった子供たちが自立に向けて歩んでいく様子、それを支える大人たちに密着した松本和巳監督のヒューマンドキュメンタリー映画「旅のはじまり」の中で、子供の頃に居場所を失った経験を持つある青年の「職業としてカウンセリングしている大人には壁を感じるので、悩み事があっても打ち明けられないと思う」というコメントが痛烈に心に残っています。

 大人を信じられないという感覚を大なり小なり持っているかどうかは子供たちそれぞれで違うとは思いますが、本県におけるヤングケアラーの中に、この青年と同じような感覚を持っている子供がいないとは言い切れません。福祉の支援制度をより充実させていくことは大切でございますが、支援の必要な子供を教育現場から福祉へとスムーズにつなげることが何より大切だと思います。

 担任の教員に期待する部分は大きいですが、教員も1人の人間であり、そのキャリア形成には必ず家庭が存在します。担任任せだけではなく、学校全体でヤングケアラーの受皿となっていただき、ヤングケアラーの気づきを早め、ヤングケアラー支援の確実性をより高められるように取り組んでいただきますよう、切にお願いを申し上げます。

 ちなみに、2001年に創設されました認定NPO法人カタリバという団体がございます。学校に多様な出会いと学びの機会を届け、社会に10代の居場所と出番をつくるための活動に取り組まれていまして、この団体いわく、「日本社会は生まれ育った環境や受けた教育によるきっかけ格差が広がっている」とし、「複雑な思春期にある10代を育むことを親と学校だけで背負う限界が訪れている」と主張されています。

 また、1994年に関西学院大学の学生4名により始められ、2000年には学生主体としては全国初となるNPO法人格を取得されたブレーンヒューマニティーという団体は、2011年にこの認定NPO法人カタリバとライセンス契約を結ばれて関西カタリバ事業を展開されていますが、2013年に那賀青年会議所の特別事業として貴志川高校へお招きし、近畿大学生物理工学部の学生の皆様にもお手伝いをいただき、カタリバ事業を開催させていただきました。

 縦の関係になる学校の先生には話せない悩み等が斜めの関係となる大学生世代には話せるという切り口でございましたが、その際の報告書には、「学校の先生から直接話を伺ったところ、『ふだんの学生の表情と違う、ふだんと違う姿を見ることができて、改めてびっくりした』などの声を聞くことができた」、また、「高校生もこの事業を体験し、『お兄さんやお姉さんの話を聞いて、物事を前向きに考えられそうです』や『自分のやりたいことに向かって思い切りチャレンジしてみます』、『まだ将来の夢は決まっていないけれども、いろいろと考えてみたいと思う』など、前向きな意見が多かった」との検証がなされています。ぜひ、今後の取組の御参考にしていただければと思います。

 それでは、次の項目に入らせていただきます。

 今年5月17日付で、県立医科大学における県民医療枠に特別枠として学校推薦型選抜での産科枠3名程度の県民医療枠Bと一般選抜での不足3診療科(産科、小児科、精神科)枠2名程度の県民医療枠Cを設置することが記者発表されました。

 有田市立病院と新宮市立医療センターでは、医師確保への御関係の皆様懸命の取組によって、一時休止していた分娩の再開にこぎ着け、地方における産科維持の先進事例となりましたが、私の地元では那賀病院が2020年に分娩を休止し、那賀病院の周産期医療については、分娩を取り扱う医師の不在により妊婦健診を行い、分娩は圏域外の連携病院等に紹介している状況にあります。つまり、現在、那賀保健医療圏では出産する場所がゼロとなったままでございます。

 産科の医師不足は全国的な喫緊の課題と認識をしてございますが、本県でのこの取組には大いに賛同するところでございます。

 また、このたび設置される特別枠の学生は、返還免除付修学資金の支給対象となることもあり、特別枠設置は産科医確保の長期的な対策として心から期待しているところでもございますが、この県立医科大学への産科医・不足診療科医に限定した特別枠設置の件につきまして、改めて福祉保健部長にお尋ねをいたします。

○議長(尾崎要二君) 福祉保健部長志場紀之君。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 本県では、これまで、産科を専攻することとなった若手医師に対して、返還免除付研修資金を貸与することで産科専門医の取得を支援するとともに、現行の地域医療枠卒業医師において、原則内科勤務として地域へ派遣するところを、産科の専攻を認め、産科医として派遣するなど、様々な医師確保対策に努めてまいりました。

 しかしながら、医師の不足によって出産ができない、もしくは脆弱な体制となる保健医療圏が複数となり、周産期医療体制が危機的な状況となりました。

 そこで、県では、令和4年度新政策において、抜本的な対策も含め、3段構えにより産科医不足の解消に取り組むことといたしました。

 第1に、緊急的な対応策として、県外医科大学と連携し、大学から直接分娩を取り扱う県内公立病院へ医師の派遣を行いました。

 第2に、和歌山県立医科大学に寄附講座を開設し、即戦力として県外から新たな教員を確保することによる人材育成や診療を支援する体制の強化を行っているところです。

 そして、第3として、中長期的な視点も踏まえ、県内で不足する診療科の医師を養成するという考えの下、大学の入学段階から医師確保に取り組んでいくこととして、全国公募の医学部県民医療枠を活用し、県立医科大学において、来年度の学生募集から産科の入学枠及び産科、小児科、精神科といった診療科指定の入学枠を設定いたしました。

○議長(尾崎要二君) 川畑哲哉君。

  〔川畑哲哉君、登壇〕

○川畑哲哉君 私は、秘書時代より「少子化対策と言うが、那賀地域では子供を産む場所がどんどん減ってきている」と厳しい御指摘をいただいてまいりました。初当選させていただいた際にも「那賀地域の出産場所を守ってほしい」と強い御要望をいただいていましたが、いよいよ那賀地域で子供を産める場所はなくなってしまいました。

 とはいえ、私なりに今日まで産科の維持について調査をし続けてまいりました。県内の産科医会の先生方をはじめ、看護師や助産師の皆様方と意見交換会や勉強会を重ね、昨年3月には富山県を訪れて、産科医でいらっしゃる種部恭子県議会議員より、非常に示唆に富む話を聞かせていただきました。

 結果、産科の維持・確立においては、産科医を増やすための出産に対する適切な教育及び訴訟リスクの軽減、そして、産科医の集約という短期的及び中長期的な取組が必要と考えるに至りました。

 出産に対する適切な教育に関しては、命が生まれることの感動や、そもそも出産とは元来リスクを伴うもの等の教育を適切に施すことが効果的なのではと思います。特に性教育を科学的に理路整然と施す中で取り上げるべきと考えていますが、こちらはまた別の機会にしっかりと提案をさせていただきたいと思います。

 訴訟リスクの軽減に関しては、弁護士会との連携が一つの選択肢であると思います。一方で、産科医療補償制度の存在や、産婦人科の訴訟件数が2006年の161件をピークに、今やその4分の1以下まで減少していることから、産科医を増やすことで訴訟リスクはさらに抑えられるということを医大生に丁寧に伝えることも肝要ではないでしょうか。

 最後に、産科医の集約に関してですが、先ほど福祉保健部長から御答弁いただきました新たな医師を確保するための施策に加え、分娩のためには助産師の存在も欠かせません。助産師は、正常分娩であれば自ら責任を持って助産を行うことができることから、その専門性を活用することが期待されます。

 那賀地域をはじめ、県内においては活躍場所を失った助産師や潜在助産師が一定数いらっしゃるのではないかと思います。もちろん、現場を離れたブランクを埋める学び直しの機会確保は必要となるかもしれませんが、県内外からの産科医確保と併せて助産師を確保し、産科医と助産師を那賀病院へ集約することが那賀保健医療圏における産科再確立の最も現実的な方法ではないかと考えますが、いかがでしょうか。福祉保健部長の御答弁をよろしくお願いいたします。

○議長(尾崎要二君) 福祉保健部長。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 議員御指摘のとおり、助産師は分娩に立ち会うだけでなく、医師と役割を分担しながら、医師の負担軽減や妊産婦の多様なニーズに対応した院内助産所や助産師外来の開設など、専門性を生かした助産師の役割が期待されるところです。

 とはいえ、那賀保健医療圏における産科の再確立に向けて、まずは那賀病院での産科医の確保が必須となります。

 とりわけ、分娩リスクに対応できる責任者レベルの産科医を確保するとともに、産科の診療業務は24時間365日の対応が求められることから、医師が疲弊することなく安全に医療を提供するため、複数の医師による十分な診療体制を整えることが必要となります。そのめどが立った時点で、初めて助産師を確保し、活用していくことにつながるのかと考えています。

 県としましては、産科医不足の解消に向け、従来の取組に加え、今年度の新政策として緊急対策を実施しながら、那賀保健医療圏をはじめ、各地域での医療提供体制の整備に取り組んでまいります。

○議長(尾崎要二君) 川畑哲哉君。

  〔川畑哲哉君、登壇〕

○川畑哲哉君 県のお考えはよく分かりました。とはいえ、複数の産科医を同時期に確保することは至難の業でもあります。

 一方で、近年、院内助産が注目されてきているとのことです。ただいま福祉保健部長より御答弁もございました。

 公益社団法人日本看護協会が策定した院内助産・助産師外来ガイドライン2018によりますと、「効率的な医療提供体制を構築していくためには、各医療機関の機能や地域ニーズ・対象者ニーズを踏まえ、産科医師と助産師とが役割分担し、チーム医療の推進にもつながる院内助産・助産師外来の体制整備が求められる」とあります。

 医師との役割分担の細分化や明確化などで、今までの医師の負担の軽減にもつながり、潜在助産師の活躍の場も生まれると思います。産科医確保と並行して、潜在助産師も含めた助産師の確保を進め、責任者レベルの産科医を一人でも確保できた段階で、助産師も十分な人数を集め、手の届く範囲から分娩の再開につなげることが那賀保健医療圏における産科再確立への大きな選択肢であるとの私の思いは変わりません。

 もちろん、そのためには、紀の川、岩出両市をはじめ、地域一丸となった思いや覚悟があってのことではございますが、このような要望が地元から起こってきた際には、県も産科医や助産師の確保はもちろんのこと、ブランクのある助産師の現場復帰への支援施策等も含めて、ぜひ御支援いただきますよう強く要望を申し上げます。

 それでは、次の項目に入ります。

 一般社団法人レジリエンスジャパン推進協議会が強靱化に資する取組を全国から募集し、評価・表彰するジャパン・レジリエンス・アワードでは、和歌山県防災ナビでグランプリを受賞した2021年度に続き、2022年度はきいちゃんの災害避難ゲームが最優秀賞を受賞したと4月28日付の資料提供で知りました。非常に喜ばしいことだと思いますし、提案者としてうれしく思います。

 昨年3月に完成した当該ゲームは、津波からの避難と避難所運営の二つの災害対応シミュレーションができるボードゲームで、使いやすさと学びやすさにおいてたくさんの工夫が凝らされた、まさに御担当職員の皆様の英知が結集したすばらしい仕上がりになっています。

 避難所運営を疑似体験するゲーム2の対象は高校生以上ながら、津波避難シミュレーションのゲーム1は対象が小学校高学年からとなっていて、老若男女が楽しみながら学べる内容だと思います。

 ぜひ、県民の皆様にも大いに御活用いただき、避難や避難所運営に強くなっていただきたいと願いますが、現在の県内での認知度及び活用状況はいかがでしょうか。また、今後はどのような取組をお考えでしょうか。危機管理監の御答弁をよろしくお願いいたします。

○議長(尾崎要二君) 危機管理監福田充宏君。

  〔福田充宏君、登壇〕

○危機管理監(福田充宏君) 議員から御提案をいただき作成したきいちゃんの災害避難ゲームは、災害時の迅速な避難行動や事前準備の重要性、避難所運営における協力体制等について、楽しみながら学べる教材であり、和歌山県防災ナビなど、県や市町村の施策の有効性も実感できる実践的なゲームとなっております。

 昨年4月から県内の市町村と振興局に各10セットを配備し、積極的な活用に結びつくよう、市町村などの防災担当職員、学校の教員に対してゲームの進め方などの講習を行うとともに、県民の防災意識向上を目的に実施している出張!減災教室や地域防災リーダーを育成する紀の国防災人づくり塾で活用するなど、多くの方に体験していただけるよう取り組んできたところでございます。

 その結果、昨年度は新型コロナウイルス感染症により防災活動が制限される中、計134回の利用実績があり、認知度も向上していると考えております。

 利用者からは、「ゲーム形式がよかった」「楽しみながら学べた」「事前準備の大切さや避難所運営における様々な対処すべき事案について理解ができた」などの評価を得ており、より一層認知度が高まるよう、あらゆる機会を捉え、周知を図ってまいりたいと考えております。

 今後の取組についてですが、子供の頃から防災意識を高めることが重要であり、学校に配備してほしいとの要望が多かったため、今年度1050セットを用意し、県内の学校に配付することで、より授業等で活用しやすい体制を整えてまいります。

 引き続き、市町村職員や教員等に対する研修等を行うことで、学校や地域におけるゲームの活用を推進し、より多くの県民の皆様に防災意識を高めていただけるよう取り組んでまいります。

○議長(尾崎要二君) 川畑哲哉君。

  〔川畑哲哉君、登壇〕

○川畑哲哉君 今月19日には、那賀青年会議所の例会でも出張!減災教室として、当該ゲームが体験されるとお聞きをしています。こちらも含め、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、最後に県立高校の生徒ホールへのエアコン設置についてお尋ねをいたします。

 生徒ホールは、学生生活を彩る上で極めて重要な施設であると思います。前後の学年や同学年で他のクラスの生徒とも顔を合わせる場であり、空腹や気持ちを満たす場でもあると思います。

 自分の高校生時代を振り返りますと、2時間目の休み時間には、夏でも冬でも必ずクラスメートと連れ立って生徒ホールへ向かい、教室でも話せるようなたわいもない話に花を咲かせていました。そこで居合わせた者同士の縁が広がったり、中には気になる異性を目で追いかけていた友人もいたりと記憶しています。

 そんな生徒ホールへのエアコン設置は、近年のコロナ禍や気候温暖化の折、換気や熱中症対策の観点から必須であると考えますが、県立高校の生徒ホールへのエアコン設置状況はいかがでしょうか。

 ホール内が暑気にあふれていますと、生徒の気持ちにゆとりが持てなくなり、生徒同士の衝突が増える懸念もあり、そもそも集いの場という性格を失ってしまう気がします。また、ホール内が寒気に包まれていますと、生徒の心も凍えぎみとなり、会話の花が咲かないおそれがあります。

 換気をしつつ、適正な温度を保つことで、生徒ホールの安心・安全な環境が整い、ホール内の物販のさらなる売上げアップが見込まれて、安定した生徒ホールの運営につながることも期待できます。

 一方で、普通教室に導入されたエアコンの耐用年数をおもんぱかりますと、普通教室のエアコンの修理や取替えに大きな予算消費が発生し、生徒ホールへの新たなエアコンの設置には永劫に予算が回らないのではとの懸念が生じます。

 そこで、教育長にお尋ねいたします。

 県立高校の生徒ホールへのエアコン設置状況はいかがでしょうか。また、生徒ホールへのエアコン設置について、県教育委員会としては、今後どのような進め方をお考えでしょうか。御答弁よろしくお願いいたします。

○議長(尾崎要二君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 生徒ホールにつきましては、生徒の福利厚生を目的とし、学校生活において大事な役割を担っております。

 生徒ホールの設置や使用の許可は、PTAからの申出に基づいてされており、管理運営はPTAが委託する業者が行っています。

 県立学校の生徒ホールへのエアコン設置状況についてですが、令和4年4月1日現在、全日制高等学校29校のうち14校、定時制高等学校3校のうち2校に設置されております。

 生徒ホールのエアコンは、昨今の熱中症対策の観点もあり、施設改修等に併せて、必要に応じて順次設置しているところでございます。今後も、生徒の学校生活の充実に向けて取り組んでまいります。

○議長(尾崎要二君) 川畑哲哉君。

  〔川畑哲哉君、登壇〕

○川畑哲哉君 学校側から要望がございましたら、生徒の学校生活の充実に向けて、どうぞ前向きに御対応いただきますようよろしくお願いいたします。

 以上で、私の一般質問を終了させていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(尾崎要二君) 以上で、川畑哲哉君の質問が終了いたしました。

 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。

 この際、暫時休憩いたします。

  午前11時6分休憩

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  午後1時0分再開

○議長(尾崎要二君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 12番秋月史成君。

  〔秋月史成君、登壇〕(拍手)

○秋月史成君 議長の許可を得ましたので、以下、通告に従い一般質問を行います。

 令和2年9月定例会において、第1回和歌山県人会世界大会の反省点について伺ったところ、当時の田嶋企画部長より「一つ目の課題である移民の歴史の県民への浸透につきましては、プレイベントや教育機関などと連携を実施することなど、様々な機会を捉え、着実に図ろうと考えております。また、前回大会で協力していただいた方々を含め、さらに多くの皆様に参画いただき、一緒に大会を盛り上げていただけるような方策を検討してまいります」、「二つ目の課題である県人会との交流強化につきましては、引き続き在外県人会周年事業などへの参加や県人会子弟の受入れに取り組むことにより、幅広い世代の方々と交流を図ってまいります。また、若年層を含め、より多くの会員の皆様が気軽に参加できるSNSなども活用し、交流の活性化を図ってまいります。第2回和歌山県人会世界大会につきましては、2023年の開催を予定しております。前回大会で得られた経験や教訓を生かし、県人会員、県民の双方にとって、ふるさと和歌山への誇りと愛情を高められる大会となるよう、早い段階から県民の皆様にも御協力をいただきながら、今後の取組を着実に進めていく所存です。議員の皆様におかれましても、引き続き御協力をよろしくお願いします」と答弁をいただきました。

 在外県人会の皆様との交流につきましては、3年を超えるコロナ禍でありますので、周年事業に参加することはできませんでした。この点については仕方がないことだと私も考えております。

 第1点目の移民の歴史の県民への浸透につきましては、プレイベントや教育機関などと連携を実施するなど、様々な機会を捉え、着実に図るとありましたが、前回の答弁を踏まえ、どのような活動を行ってきたのか、お答えください。

○議長(尾崎要二君) ただいまの秋月史成君の質問に対する答弁を求めます。

 企画部長長尾尚佳君。

  〔長尾尚佳君、登壇〕

○企画部長(長尾尚佳君) 移民の歴史について浸透を図るため、県では、昨年度から、在外県人会と県内児童生徒とのオンライン交流事業「わかやま国際ネットワーク」を実施しております。昨年度は、県内の小学校から高校までの11校、約800人が参加し、参加校による日本文化の紹介や、県人会員が自宅やまちの様子を動画で紹介するバーチャルホームステイ体験等の内容で交流いたしました。

 交流に先立って職員が参加校へ出前授業を行い、移民の歴史について児童生徒が理解した上で在外県人会との交流に臨んでもらうよう工夫いたしました。

 参加校からは、移民の歴史をより深く理解できた、在外県人会との絆を深めることができたとの評価をいただいており、今年度も引き続き実施いたします。

 また、昨年11月からは、「和歌山と移民~海外へ移住した先人の歴史」と題するパネル展を県内全市町村巡回する形で実施しているところです。

 今後の取組としては、在外県人会の方々を訪問し、移住先での困難や繁栄を築くまでの歴史などを聞き取り、映像としてまとめ、メディアや県ホームページなどを通じて広く紹介することとしております。

 これらの取組を着実に実施し、第2回和歌山県人会世界大会に向け、県民に本県移民史の浸透を図ってまいります。

○議長(尾崎要二君) 秋月史成君。

  〔秋月史成君、登壇〕

○秋月史成君 次に、和歌山県中南米交流協会という団体があります。その代表である真砂睦氏は上富田町在住で、私の自宅近くにお住まいになられております。また、真砂氏の田辺高校時代の同級生の皆様ともたまたま以前より親交があったということもあり、私は和歌山県中南米交流協会の会員にもならせていただいております。

 真砂夫婦の献身的な御努力により活動を続けてはおりますが、80歳を超える高齢ということもあり、また長年地元を離れていたということもあり、人脈も比較的薄く、活動資金も乏しく、それこそ爪の先に火をともすような活動を行っております。

 田辺・西牟婁地域では、県というより、和歌山県中南米交流協会の献身的な活動が中心と目に映ります。

 令和4年5月13日付紀伊民報では、和歌山県中南米交流協会代表の真砂氏が田辺高校で講演し、戦後のブラジル移民再開に貢献し、移民の父として知られるみなべ町(旧岩代村)出身の松原安太郎氏とその功績を紹介しました。「ブラジルでは日本人に対する信頼が厚い。それは、松原ら先人が汗水流して勝ち取ったものだ」と語り、地域と世界のつながりをテーマにした総合的な探求の時間で、田辺高校2年生、約280人が聴講したと報道されております。和歌山県中南米交流協会が中核団体として取り組む松原の生誕130周年記念顕彰事業(実行委員会主催)の一環でもあると記事に記載されております。また、松原移民として渡った多くの和歌山県人とその子孫たちとは現在も密接な交流が続いていることや、来年10月には県内で第2回県人会世界大会が開催され、ブラジルやペルーなど南米、北米から約300人が来県することも紹介したとも記載されております。

 私の感覚ではありますが、私の住む田辺・西牟婁地域においては、和歌山県中南米交流協会の活動が中心であり、県の介在が薄いという印象を持ちます。行政でできること、民間活力を生かしてできること、その立場立場で限界はあるとは思いますが、行政と民間活力が力を合わせれば、1足す1は2ではなく、3にも4にもできると私は思います。

 そこで質問です。今後の和歌山県中南米交流協会との関わり、また、本年11月に田辺市で開催される予定の松原安太郎生誕130周年記念顕彰事業への県の関わり及び補助について、企画部長、お答えください。

○議長(尾崎要二君) 企画部長。

  〔長尾尚佳君、登壇〕

○企画部長(長尾尚佳君) 和歌山県中南米交流協会は、中南米諸国に渡られた方々との交流や移民の歴史、実態を地域の方々に紹介することを目的として平成20年に設立されて以降、本県と中南米の在外県人会との友好のかけ橋として活動されております。

 令和元年に開催した和歌山県人会世界大会では、会員の皆様にスペイン語、ポルトガル語のボランティア通訳として県人会の方々とのコミュニケーションをサポートしていただいたところです。

 同協会が中核団体として実施される松原安太郎生誕130周年記念顕彰事業は、第2次世界大戦後、日本人のブラジル移住再開への道を切り開いた松原安太郎氏の功績をたたえ、後世に継承していく有意義な取組と認識しております。

 県といたしましては、同顕彰事業に対して助成を行うとともに、同協会の相談に応じてシンポジウムの実施等に係るノウハウの提供や、紀南はもとより県内全域への広報活動の支援を行ってまいります。

 今後も、同協会を中南米地域の在外県人会との交流を進める上での貴重なパートナーとして、同協会の皆様に活発に活動いただけるよう協力してまいります。

○議長(尾崎要二君) 秋月史成君。

  〔秋月史成君、登壇〕

○秋月史成君 松原安太郎生誕130周年記念顕彰事業なんですけども、事業予算案を見せていただきました。50万円ぐらいの予算だったと思うんですけども、会費の中からの切り崩し及び地元の企業への広告収入を望んでいるみたいです。すごく県に成り代わって地元では活躍してくれている団体ですので、大半が自分らの自己資金でやっているということもありますので、ひとつ何とかお支えいただけるようによろしくお願いします。

 次の質問に移ります。

 2問目の質問にもありました松原安太郎という名の人物であります。戦後ブラジル移民の父「松原安太郎」生誕130周年記念顕彰事業開催趣意書を中南米交流協会代表である真砂睦氏から頂きました。趣意書の内容は、おおむね次のとおりです。

 1952年、大東亜戦争及び第2次世界大戦で断絶されていた日本とブラジルの国交が回復し、直後の1953年(昭和28年)、日本人のブラジル移住が再開されました。国交回復直後という困難な時期に日本人移住者受入れ再開の許可の取付けにこぎ着けたのは、和歌山県日高郡岩代村(現みなべ町)出身の戦前移住者、松原安太郎の公私にわたる献身的な努力がありました。戦争前に既に大農場主として成功していた松原は、終戦直後650万人とも言われる引揚者を抱え苦難の中にあった母国日本の窮状打開の一助としたいとの思いから、広いブラジルに人生をかける志のある同胞を呼び寄せることを心に誓って、当時のブラジル大統領ジェトゥリオ・ヴァルガスとの緊密な関係を足場に、4000家族の日本人移住者受入れ再開の許可を取り付けました。同時に、この日本人移住の再開は、戦後の日本とブラジルの人的交流の嚆矢となり、日伯外交関係再構築の起爆剤となりました。その後、最初の移住者として渡航したのが松原移民69家族でした。このとき移住した和歌山県人56家族とその子弟の方々が、ブラジルと和歌山県との強い絆の礎となり、今日の地球の裏側で活躍している同胞との活発な交流につながっているのです。松原移民から始まった戦後のブラジル移民再開から70年の時を経て、今年、2022年は松原安太郎の生誕130周年となります。この記念すべき年に、戦後ブラジル移民の父と尊称される松原安太郎の足跡をたどり、現在に生きる歴史的な業績を顕彰し、講演会やパネル展、地域の学校への出前授業などを通して、広く地域住民、特に若い世代に未来へつながる教訓を学んでもらう機会としたいと願っているのです。

 以上が趣意書の内容となりますが、松原安太郎という人物は、私はこの趣意書を頂くまで、恥ずかしながらその名前も功績も知りませんでした。恐らくこの議場におられる皆様もおおむね同じ状況かと思います。県教育委員会にお聞きしたところ、県教育委員会が発行するふるさと教育副読本である「わかやま何でも帳」には、和歌山ゆかりの先人として掲載されているとのことです。

 「わかやま何でも帳」の存在を以前知り、和歌山市内の大きな書店を数軒回りましたが、手に入れることはできませんでした。私の感覚では、容易に入手しづらいという感覚を持っておりました。県職員にお願いして後日入手することができ、内容を熟読とはいきませんでしたが、ぱらぱら見ておりますと、非常によくできた副読本であると思います。

 そこで質問です。「わかやま何でも帳」の入手方法、また、DXの時代、和歌山県ではDX推進室を設立し、DXを強く推し進めようとしていると思われますが、「わかやま何でも帳」も例えば電子書籍等により比較的容易に読める仕組みを構築してはいかがと思われます。教育長の所見をお答えください。

○議長(尾崎要二君) 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 県教育委員会では、児童生徒が郷土について学び、ふるさと和歌山への愛着と誇りを持てるよう、ふるさと教育の副読本「わかやま何でも帳」を作成し、県内全ての中学生に配布してきたところです。

 冊子として子供たちの手元に渡ることで、いつでも何度でも読み返すことができ、郷土への理解を深めるなどの効果が高まると考えます。

 また、広く県民の方々にも読んでいただけるよう、書店販売や通信販売も行っておりますが、今後、電子書籍も含めた出版の在り方について研究してまいります。

○議長(尾崎要二君) 秋月史成君。

  〔秋月史成君、登壇〕

○秋月史成君 よろしくお願いいたします。

 次の質問に移ります。

 現在、3年目を迎えるコロナ禍であります。コロナ禍以前は、公務や行事、地元支援者の皆様との交流等々、忙しく毎日を過ごしておりました。1期目4年間はほぼ休むことなく県議会議員としての活動を続けておりましたが、コロナ禍となり、以前に比べ自宅で過ごす時間も多くなりました。現在、2人の子供も巣立ち、家内と2人の生活が続いております。コロナ禍以前より、夫婦円満の秘訣はソーシャルディスタンスを取ることと思い、不要な接触を避ける家庭生活を続けております。

 ある休日、夕食を家内と黙食し、入浴を済ませた後、自室のベッドにて、とある番組を見ておりました。番組では、宮崎県高原町で、地域に根づき、オーガニックにこだわった安心・安全のパン作りをする天然酵母田舎のぱん屋さんが事業承継マッチングプラットフォームにて後継者を募集していました。この事業承継をすることになったのは、宮崎県出身で現在は千葉県に住む関島美弥さんという方でした。もともとお店のファンで、帰省時には買物に行っていたという関島さんと、UIターン者に承継してほしいという希望を持っていた店主の松崎さんが奇跡的とも言える出会いを果たし、事業承継をされたそうです。

 私は、以前から、事業承継を一つの政策課題、地域の経済対策の一つとして位置づけ、政策の柱の一つと考えております。まちの小規模事業者、町工場のおやじとして、現在も細々と事業を続けております。そんなこともあり、私の友人、知人の大半は、小規模事業の経営者、商店主であります。法人成りしている会社もあれば、家族で細々と経営を行っている商店主もおります。

 以前は、大阪のお世話になる車体整備工場が上場会社に吸収合併する場面にも立ち会った経験もあります。また、地元の建設会社のM&Aにもそばで見る機会があり、同族間の事業承継とは違い、第三者に事業を引き継ぐ難しさを目の当たりにした経験があります。

 最近では、テレビでも事業承継及びM&Aを行う会社のCMが流れ、友人の会社には、買う側、売る側の立場で電話での勧誘があるとの情報も私の耳に入っております。

 私が常々着目している事業承継は、有限会社、株式会社等の法人成りしていない、言わばまちの商店のM&Aであります。まちの商店ではM&Aなどとは縁遠いとその店主は考えているのが大多数だと思われます。しかし、長年、地域に根づいて頑張り、お客様に信頼、支持されてきた商店は、地域にとって必要な存在だと思われます。

 そんな商店にとって、比較的ありがちなのが後継者不足であります。家業である商店を継ぐより、サラリーマンや公務員を親も子も望んでいたようなケースもございます。しかし、商店主が高齢となり、「元気でいるうちは今の店を細々と続ける」を生きがいとして商いを続ける反面、日々ずるずると商いを続け、方向性を決められないうちに店主が亡くなる商店も散見されます。

 和歌山では、以前より、和歌山県事業承継・引継ぎ支援センターを設置し、その機能を日々強化し、円滑な事業のバトンタッチをサポートし、経営資源のスムーズな承継を支援していただいていることと存じます。県事業承継・引継ぎ支援センターは、中小・小規模事業者と商工団体や金融機関等、また専門家である弁護士、税理士等士業の皆様ともネットワークを構築されております。

 現在、DXの時代であります。そこに一つ、テレビ報道でもあった事業承継マッチングプラットフォームを活用し、漏れや切れ目のない事業承継を行い、機能強化を図ってはいかがかと思います。

 現在、国や県の企業支援等を見ますと、あくまで私の感覚ではありますが、地域にとりまして比較的大きな企業、まちのリーディングカンパニーに対する支援や事業承継、M&Aに関する施策が手厚いと感じます。

 私は、まちの商店、小規模事業者の可能性を諦めることがどうしてもできません。どのまちも商店街はシャッター街となりつつあります。まちの商店には、手軽で容易に事業承継が行えるべくDXを活用したマッチングプラットフォームの構築及びプラットフォームなどを運営する会社と提携を図ってはいかがかと思いますが、商工観光労働部長の御所見をお聞かせください。

○議長(尾崎要二君) 商工観光労働部長寺本雅哉君。

  〔寺本雅哉君、登壇〕

○商工観光労働部長(寺本雅哉君) 事業承継につきましては、和歌山県事業承継・引継ぎ支援センターが中心となり、県、商工団体、金融機関等と連携し、一体的に取り組んでおります。

 地域経済の安定と雇用の確保を図るため、親族内承継のみならず、従業員等が承継する選択肢も含めて啓発しており、国においても事業承継税制の特例措置を設けるなど、様々な支援策を講じているところです。

 しかしながら、零細な個人事業主においては事業承継相手の選択肢が限られることから、マッチングが困難となる場合があることは認識しております。

 議員御指摘のDXを活用した事業承継マッチングプラットフォームについては、近年、ウェブサイトを立ち上げ運営する企業が増加している状況です。また、同センターにおいては、中小企業庁が認定している3社の民間運営会社と契約を締結し、マッチングのための情報登録を推進しております。

 このような状況であることから、県といたしましては、小規模事業者がマッチングしやすい効果的な提携先があれば積極的に取り入れていくよう、同センターに対し働きかけてまいります。

○議長(尾崎要二君) 秋月史成君。

  〔秋月史成君、登壇〕

○秋月史成君 寺本部長、よろしくお願いします。

 次の質問に移ります。

 令和3年9月定例会に引き続き、南紀・はまゆう統合支援学校(仮称)の屋外運動場整備についてお聞きします。

 南紀医療福祉センター敷地への屋外運動場の整備における将来的な可能性について質問をしましたが、宮﨑教育長から「将来に向け、さらに安心・安全で、よりよい学校づくりを目指し実現していくものであり、一定の時間を要するものであると認識しておりますが、和歌山県福祉事業団等、関係機関の御協力の下、将来、和歌山県福祉事業団所有の南紀医療福祉センター敷地に屋外運動場設置が実現可能となることを目指し、継続した協議を進めてまいりたいと考えております」との御答弁をいただきました。

 これに対し、「言ったことは必ずやる。協議、継続して続けていただきますよう、よろしくお願いいたします」と私が申し添え、その質問を終えさせていただきました。

 もう一度言います。「和歌山県福祉事業団所有の南紀医療福祉センター敷地に屋外運動場設置が実現可能となることを目指し、継続した協議を進めてまいりたいと考えております」と御答弁をいただきました。

 それから約10か月の時間が経過いたしました。継続した協議が和歌山県福祉事業団との間で行われていることと思いますが、この10か月の間で何度協議が行われ、どのような内容の協議が行われたのか、県教育長、お答えください。

○議長(尾崎要二君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 昨年度9月の9月議会以降、県教育委員会からは2回、和歌山県福祉事業団にお伺いをいたしました。

 昨年9月議会終了後には、答弁内容を踏まえて、統合校の運動場整備に係る県教育委員会の考え方について説明を行い、その際、はまゆう支援学校跡地に整備を行う屋外運動場整備計画や、施設使用に当たっての安全対策等が具体化した段階で説明するなどの意向を伝えました。

 また、今年5月には、現在検討中である屋外運動場整備計画案の進捗状況と、さらに今後も継続的に情報共有すること等を伝えました。

 県教育委員会として、まず、はまゆう支援学校跡地への屋外運動場整備や安全対策を着実に進めることを優先し、屋外運動場の設計や施工等に係る予算化に向けて準備を進めているところです。今後、屋外運動場整備計画等が整い次第、両校保護者や地元関係者に説明を行ってまいります。

 現時点において協議には至っておりませんが、将来、和歌山県福祉事業団所有の南紀医療福祉センター敷地に屋外運動場設置が実現可能となることを目指し、継続して取り組んでまいります。

○議長(尾崎要二君) 秋月史成君。

  〔秋月史成君、登壇〕

○秋月史成君 2回意向を伝えただけで、協議には至ってないという御答弁でした。

 一定の準備というか、理解は示したいと思うんですけども、これから協議に入る準備が整ったということで、継続的に協議をしていただきますことをよろしくお願いいたします。

 次の質問に移ります。

 令和4年5月10日の「知事からのメッセージ」についてお聞きいたします。

 令和4年5月10日付で、知事は、「和歌山IR否決のその後」という表題で県のホームページにおいてメッセージを出されました。私もそのことについて、今回のIRの議案の賛否にかかわらず、議員から出された意見を踏まえ、質問したいと思います。

 そこには、IRの今回の否決について、あたかも自身の提案された議案には問題がなく、議案に反対した議員や否決した議会が悪いと読み解けます。同じ印象を抱いた一部同僚議員もおります。

 また、文中には、今回の否決はあたかも資金計画だけが反対の理由のように述べられておりますが、IR施設の建設費の不透明感、事業実施中核法人の信頼性、一時は100条委員会の設置の動きもあった虚偽答弁や資料の内容に差があるなど、行政及び県職員の不誠実な対応、県の財源支出に対する不透明感、交通インフラに対する不十分な対応など、IR対策特別委員会が指摘、改善を求めてきたことについて全く触れられておらず、知事が今回の否決の原因が議会側にあると印象操作しているように感じます。

 さらに、文中には、議会でIRの議案を否決した事実に対する知事の反省点もなく、全体的には品位や見識を疑わざるを得ない独善的な内容となっていると感じています。

 議会直前には、ここまで来た話をまさか県議会が否決して潰してしまったら大変なことになるというような議決権に対し介入するような発言をし、議会の反発を招き、二元代表制について深く考える県民からもその見識を疑う声が少なからず私の耳にも届いております。

 最近の知事の言動には、私が正しいとの色合いが濃くなっていると感じます。

 私は、常々考えていることがあります。みんなが私と同じように考えていると勝手に思い込んでいることが悪いというものです。大半の人は仕事にも人付き合いにおいても知恵を絞り、夢や目標のために努力していると私は思っていました。しかし、周りの人には、その自分の思いはあまり伝わらないものです。私が伝えようとしていたものを周りは求めていなかった。人の考えはそれぞれ。相手の身になって物事を考えなかった私の反省であります。

 政治には、時には独裁的な手法が必要なこともあります。しかし、それは民主主義国家であるここ日本において、あくまで合意形成が図れるものでならなくてはなりません。今回は、議会の議決という事前の合意形成が図れなかったのですから、素直にそれを認め、反省しなければなりません。

 メッセージ中には、これからどうするかで力を合わせていけばよいと議会との関係にも触れられていますが、そのような意思が本当にあるのなら、今回のようなメッセージは記載しないと考えます。議会との対立をあおっているだけです。そんな感覚さえ覚える内容です。

 この知事メッセージは、議会制民主主義、二元代表制への挑戦とも私は感じます。私は、議員になる以前から、一県民として仁坂知事の支持者でもありました。以前は、上富田町では、仁坂知事の後援会青年部会長を務めたこともあります。今でも仁坂知事のシンパだと思っています。しかし、県議会の一員として議案を真剣に審査し、政策を決定することが県議会議員の役目であると思っております。

 IRが否決となる前に、知事の言うことを信じて議案に賛成し、国の審査に任せろという御意見を地元の財界の方からお電話でいただきました。知事の御意向ということです。しかし、このIRの議案も厳格にIR対策特別委員会にて審査し、県議会の議決をもって自信を持って国に申請すべきものでありますが、議論を重ねれば重ねるほど、事業者及び県当局への不信感が募るばかりでした。

 また、知事メッセージの中では、「議会で賛成、反対が分かれたわけですが、反対した方は支援者、有権者にその立場を説明することによって責任を取られればいいのであって」というくだりもありますが、私に言わせれば大きなお世話だと感じております。

 その証拠に、私の選挙区では、支援者、有権者から議案に対する説明を求めることはごくごく少数であり、逆に、県議会のチェック機能が働いているという称賛の声を多くいただいております。

 県当局と県議会は車の両輪によく例えられますが、一方で、県当局と県議会は独立した存在であります。自動車のホイールアライメントの調整、トーイン、キャンバー、キャスター角度調整は左右の独立した足回りでそれぞれ調整し、最終的には左右のアライメントを総合的に調整し、正しい方向へと自動車が進むように調整していきます。県議会の意思決定に関する態度については、公の場で知事にとやかく言われる趣旨のものではありません。知事メッセージにおけるこのような記述は、知事がその正邪を判断しているとしか考えられない表現であります。

 そこで質問です。令和4年5月10日付「和歌山IR否決のその後」と称する知事メッセージは、おおよそ仁坂知事が感情をあらわにし、自らの反省は一切述べることなく、否決の原因を反対の表決をした議員や議会に責任転嫁し、自らが提案し否決された区域整備計画案を無理やりにでも正当化しようとしている文章としか考えられないと、私と思いを共有する議員からも御意見を賜っております。

 政治家として意思表明を後援会や個人のホームページ等で行うならともかく、和歌山県のホームページ、メールマガジン等、公の広報を利用することに対して疑念を抱く次第であります。

 広報紙「県民の友」令和4年6月号掲載の知事メッセージにて、知事は県行政報告会について触れられています。「なぜ県政報告会ではなく県行政報告会かというと、県の公式行事であるから、政治色をなくし、純粋に県行政に話題を限りたかったから」と述べられております。それなら、和歌山県の公の場であるホームページで政治色満載の意見を掲載するのは論理矛盾が生じると思います。まずは、今回の県ホームページにおける5月10日付知事メッセージ掲載についての経緯及び知事メッセージをしたためた目的をお答えください。

○議長(尾崎要二君) 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 私が知事メッセージで発しておりますくだんの掲載号に関しまして大変御批判があるということについて、少しあれっという気持ちがあることは事実でございます。

 先ほどございましたように、私は、やっぱりこういう県政の──県の行っている手段ですね、そういうものについては、おっしゃるように、政治色満載の案件を政治色満載の方法で述べるようなことはいたしますまいというふうに思っておりまして、あんまり矛盾してないんじゃないかというふうに思っているんです。

 というのは、IRの件についても行政そのものでございますから、それについて自分の見解とか事実とか、それを述べても別におかしくはないんじゃないか。それから、全体を読んでいただければ、否決が間違っていたとかそんなようなことはどこにも書いておりませんし、それはもうしようがないんだから、みんな後は仲よくしていきましょうよと、非難したりするのはいけませんよというようなことを、それは県当局者として、自分の意見ですけど、そんなに悪いことじゃないんじゃないか、そんなふうに思っている次第でございます。

 そういうことでございますが、趣旨について順を追って申し上げていきたいと思います。

 まず、私が知事メッセージを発していることも県行政の一部でございますから、議員の皆様が御覧になって、今日のように、秋月議員のように議会で質問され、あるいは議論されるということは当然のことだし、むしろ県政のためには批判も十分大事なことですから、ありがたいことだというふうに思っております。

 知事メッセージのテーマについては、最近であれば、行政上の大事なこと、新型コロナウイルス感染症対策とか、新中期行財政経営プランとか、その中には和歌山IRも入っているというのは当然だと思います。その時々の県行政の重要課題や県民の皆様の関心が高いものを選んでおりまして、それらの詳細な内容、ちょっと長過ぎるという御批判がありますが、政策判断に至った経緯などについて私自身が書き記したものをホームページに載せ、そしてメールマガジンで御希望の方には発しているということでございます。

 その際、県行政といっても、実は日本全体の流れとか世界の情勢などに大いに影響されますので、県政にも関係のあることが通常なんでございますけども、和歌山県の行政の守備範囲と考える県行政に直接関係のないこと、例えば防衛問題などはそうなんですが、県のホームページなどはあんまり使わないようにしております。

 また、県知事としての職務を遂行する上での私自身の考えはもちろん書かせていただいておりますけれども、それ以外、例えば選挙の抱負とか政局の考え方とか、そういうことについては、これ、遠慮するように努めているという次第であります。

 議員御指摘の和歌山IRの否決に関するメッセージでは、これは県の行政の重要課題でございますので載せておりますけれども、まず議会の判断は民主的な手続によってなされたものでございますので、原案作成者としての説明はもちろんしております。どういう考えで原案を出したか説明しておりますし、自分のその影響の考えは述べておりますが、否決という判断を批判するようなことは一切言っておりません。

 そもそも、賛成をなさった方も反対をなさった方も、これはいろいろな悩みや熟慮をされた上で、その末のぎりぎりの判断でなされたことなんで、これはもう尊重しなきゃいけないし、絶対に尊重しなきゃいけないということでございます。まして、反対した議員のことを非難するようなことをしてはいけないし、全くそういうことを書いておりません。

 この点については、実は、そのメッセージとは違って、議会の議決後、多くの賛成派の方がたくさん来られまして、あるいは連絡されまして、口々に、もう露骨に申し上げますと、反対された議員について批判するような御発言がたくさんありました。そのたびごとに、私は、議会の判断は絶対ですから、済んだことをいつまでも言っても仕方がないし、皆さん考えられた末の判断なので、したがって反対した人を批判したり攻撃したりするのはおやめになったほうがいいんじゃないですかと。また将来、IRのチャンスもあるかもしれないので、そのときは皆で協力して話を進めたらよいと、ちょっと偉そうでございますが、たしなめたりしているわけでございます。

 また、メッセージでもそう書いてあるはずでございます。

 メッセージでは、このような立場に立って、あるいは考えに立って、議会や議員の判断については一切批判的なことは言っておりませんが、関連する事実については説明をしなければいけないと思って、少しいたしました。それは、依存症や一発破産を防ぐための和歌山県が行った法律の上乗せを工夫していたこと、それから資金調達に関するテクニカルワードについてでございます。

 このような事実を説明したほかは、繰り返しになりますけれども、議会の決定はなされたので、いつまでもこれを引きずって対立したりすることなく、これからどうするかで力を合わせていけばよいと考えておりまして、議会が否決したことを批判的に言う人に対しては、敵だ、味方だというのは駄目じゃないですかと、それは和歌山の将来のためによくないから、みんなで仲よくして力を合わせたほうがいいと申し上げたとおりのことを書いているわけでございます。

 このことは、物すごく多くの人に申し上げたことなんで、どっかでお聞きいただいたらこれが真実だということはお分かりいただけると思います。それだけは、秋月議員だけではなくて全ての県民の方に申し上げておきたいと思います。

 将来、チャンスがあれば、IRですが、またみんなで力を合わせて議論をして挑戦すればよいと考えておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

○議長(尾崎要二君) 秋月史成君。

  〔秋月史成君、登壇〕

○秋月史成君 最後に、二元代表制の一翼を担う県議会がIRの議案を否決したことについて、仁坂知事の認識を伺います。

○議長(尾崎要二君) 知事。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 私はかねがね、県当局と県議会が車の両輪となって県政を一体で進めなきゃいけないと考えて、そのように県議会の場でも申し上げてきました。時には意見は対立いたしますので、それは法律その他の手続によって、デュープロセスを経て、どちらかの意見を採用すればいいということだと思います。時には、その中間が行われるということが大変よろしいということではないかというふうに思うわけであります。その考えは、もちろん今でもいささかも変わりはございません。

 付言いたしますと、議会でしっかり御議論をして県当局を正していただくためには、議員の方々に情報をどんどん提供していかなければなりません。この点では、もう改善をしてから随分時間がたっておりますので、お気づきになっておられる、意識しておられない方もいらっしゃると思いますけれども、実は私が就任した直後から、県当局から議員各氏に対する情報提供を、それまでの和歌山県政のやり方に比べまして実はかなり増やして多くしたつもりであります。その結果、議員から御批判を受ける材料も提供しているわけでございますが、それは当然のことだというふうに私は思っております。

 知事として、このように二元代表制の下での互いの機能と役割を尊重して、切磋琢磨しながら県政を推進してまいったつもりでございまして、法律に定める民主的手続の一環であるIRの議案の否決に関しても同様です。これは、法律に基づいて民主的手続によって決定されたということでございますので、絶対でございます。

○議長(尾崎要二君) 秋月史成君。

  〔秋月史成君、登壇〕

○秋月史成君 「敗軍の将、兵を語らず」ということわざがあります。私は、そのように思います。

 以上で、一般質問を終わります。最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございました。(拍手)

○議長(尾崎要二君) 以上で、秋月史成君の質問が終了いたしました。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 40番奥村規子さん。

  〔奥村規子君、登壇〕(拍手)

○奥村規子君 議長のお許しを得ましたので、通告に基づき大項目3点にわたって質問をいたします。

 今、地域を訪問するたびに、あの戦争、何とかやめさせられないのかという声ばかりをお聞きします。ほとんどの皆さんから、心を痛めている言葉が返ってきます。

 子供たちのことも気になります。毎日、目に飛び込んでくるのは、テレビの映像を通して戦争の様相と被害の光景です。子供たちの成長にどのように影響するのかが大変心配です。

 私の小学生時代、半世紀以上も前のことでございますが、家にある写真から、戦死したおじの視線を成長の中でずっと感じてきました。あるとき、先生が「国同士、仲よくするために国連ができ、日本には戦争をしませんと決めた憲法があるから、平和な国になっていきますよ」とおっしゃったことに、とても安心した気持ちになったことが妙に心に残っています。

 子供たちには、軍事力ではなく、平和への道筋を示す事が大切だと考えます。それぞれの立場で、今、最も力を入れなければならないのは、国連憲章に基づく平和の国際秩序を回復させることだと思います。国連憲章は、平和の破壊や侵略行為を禁止し、紛争の平和解決を示しています。紛争を戦争にしないために政治の力が発揮されなければならないと思います。そうすることで子供たちにも希望を語ることができると確信していることを申し上げて、一般質問に入らせていただきます。

 それでは、大項目の一つ目について質問いたします。

 私は、長引く新型コロナの感染と物価の高騰で県民の暮らしは大変になっていると日々実感します。新型コロナとウクライナ侵略に加えて、これまでのアベノミクスによる異次元の金融緩和が異常な円安をつくり出し、物価高騰を招いた要因になっていると思います。年金や賃金が下がる一方、教育費や医療・介護などの負担が重く、さらに、消費税の連続増税が行われ、事業や家計が傷んでいます。このような中で、県民生活を守る県政の役割が非常に大きく、一層県民に寄り添った政治が求められています。ますます生活困窮者支援や生活保護制度の役割が重要だと思います。

 そういったことから、以下4点について質問いたします。

 一つ目は、まず、平成27年4月から施行された生活困窮者自立支援制度は、残念ながら住居確保給付金以外には給付制度がありません。基本的には貸付制度となっており、コロナ禍に対応する貸付けとして激増した社会福祉協議会による緊急小口資金、総合支援資金の貸付けとなっています。この実績の状況と、返済期間も迫ってきていると思いますが、返済についてはどのようになっているか、お聞きをしたいと思います。福祉保健部長、御答弁よろしくお願いいたします。

○議長(尾崎要二君) ただいまの奥村規子さんの質問に対する答弁を求めます。

 福祉保健部長志場紀之君。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 新型コロナウイルス感染症の影響により、収入の減少した世帯を対象とした緊急小口資金及び総合支援資金の特例貸付けについては、令和2年3月に受付を開始して以来、2年余りを経過したところです。

 特例貸付けの開始前においては、二つの資金を合わせた貸付実績は年間50件程度、金額も最大1000万円程度で推移していたところです。

 本年6月3日時点における特例貸付けの累計は、緊急小口資金につきましては、貸付件数が1万599件、貸付額が19億1654万1000円、また総合支援資金については、貸付件数が2万370件、貸付額が107億633万8500円となっております。

 特例貸付けの返済につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響の長期化に伴い現在も据え置かれておりますが、令和5年1月以降、据置期間が順次終了する予定でございます。

 なお、返済期間につきましては、緊急小口資金が2年以内、総合支援資金が10年以内であり、原則として、借受人及び世帯主の住民税が非課税の場合に返済の免除が可能となっておりますが、それ以外にも例外規定がございますので、相談窓口に御相談いただきたいと思います。

○議長(尾崎要二君) 奥村規子さん。

  〔奥村規子君、登壇〕

○奥村規子君 御答弁ありがとうございます。

 このコロナ禍において非常に福祉資金を利用した方が多いということで、二つ合わせても、重なっている場合もあるかと思いますが3万件余りということで、こういったことで制度があって利用できて、当座のお金で何とか乗り越えられたよという方もいらっしゃいました。しかし、また一方では、これをまた返済していくことになるので、これを利用するのをなかなか踏ん切りがつかなかった方も一方ではたくさんいらっしゃったように思います。

 そういった状況の中で、今回またコロナ禍の上に物価高というような大変暮らしにくい状況がさらに重なってきていると思います。

 そんな中で、生活に困っている人に引き続き一律10万円の給付金が支給されるように、そういったことをぜひ国に求めていっていただきたいなあというふうに思っています。

 また、窓口に相談をしてくださいということでおっしゃっていただいたんですが、こういった相談に、一人一人の状況に丁寧に向き合って相談をしていくためにも、現場は大変な状況にあるかと思いますが、そういったところでもぜひ体制も強化し、そして相談をしながら希望が持てるような形で支援を続けていっていただきたいなということをお願いいたします。

 そういう中で、何といっても最後の命綱と言われている生活保護制度へのやはり説明も紹介もしっかりやっていただきたいなと思いますので、2番目に、県内の支援機関で受け付けたこれまでの新規相談件数、また、最後のセーフティーネットと言われている生活保護の申請件数及び開始件数についてお尋ねいたします。福祉保健部長に御答弁を求めます。よろしくお願いします。

○議長(尾崎要二君) 福祉保健部長。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 生活困窮者支援機関における新規相談者件数については、令和元年度は1409件、令和2年度は6256件、令和3年度は5288件となっており、コロナ禍の令和2年3月に生活福祉資金の特例貸付制度が開始したことなどに伴い、令和2年度以降、大幅に伸びたものと思われます。

 また、生活保護の申請件数と開始件数については、令和元年度は申請件数1458件で開始件数は1289件でありましたが、令和2年度は申請件数1507件で開始件数が1351件、令和3年度は申請件数1481件で開始件数が1334件となっております。平成23年度から令和元年度までは減少傾向にありましたが、令和2年度以降は新型コロナウイルス感染症の拡大前と比べると微増しております。

○議長(尾崎要二君) 奥村規子さん。

  〔奥村規子君、登壇〕

○奥村規子君 今おっしゃっていただきました生活保護制度の活用の問題なんですけれども、コロナ前と比べても微増ということで、コロナの状況の中で、先ほど福祉資金の活用とかそういったことを含めても非常にそんなふうに伸びていないということは、やはり生活保護制度の活用がなかなか簡単にはいかないということを示しているのではないかと思われます。

 日本は諸外国と比べても、以前からも捕捉率が低いと言われています。現在でも、やはり生活保護基準の状況にあっても制度を活用しない、利用しないというような状況の中で、全国的にも20%ぐらいだというようなことで言われていますので、その点においても、今の大変な状況の中で積極的なお知らせなど、ぜひ考えてもらいたいなあと思うんですが、この原因の一つとして考えられるので、三つ目に行かせていただきます。

 3点目の生活保護制度の活用においてネックになっているのが車の保有の問題ではないかと思います。自動車の処分が生活保護の申請要件と考えて、生活保護の申請をちゅうちょする方がいらっしゃいます。また、自動車の処分指導が生活保護からの自立を阻害する場合もあると考えています。保護基準以下の収入しかないのに、制度を勧めても拒む方が多いということです。

 この生活保護の受給に関する自動車の保有の考え方、その点について、相談者や県民にどのように周知されているのか、福祉保健部長にお尋ねいたします。

○議長(尾崎要二君) 福祉保健部長。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 生活保護の制度運用については、厚生労働省が定める取扱いに基づき全国統一で行われており、生活保護の受給に際し、自動車の保有は原則認められていませんが、障害者の通院など一定の要件を満たす場合には保有が認められているところです。

 また、失業や傷病により就労が中断している場合、新たな就労により生活保護からの脱却が確実に見込まれる等の要件の下、福祉事務所による処分指導の保留が原則1年を上限にできると示されており、生活保護からの自立に配慮した取扱いとなっております。

 なお、自動車を保有する方からの生活保護の相談に当たっては、自動車の処分が生活保護の申請の要件との認識にならないような説明の徹底や、申請後の判断についても各福祉事務所において適切に対応しているところです。

 今後とも、相談者に対しては、福祉事務所ごとに作成した「生活保護のしおり」を用いて、制度内容や生活保護を受給した際の権利や義務の丁寧な説明を行うなど、適切な周知に努めてまいります。

○議長(尾崎要二君) 奥村規子さん。

  〔奥村規子君、登壇〕

○奥村規子君 今、福祉保健部長のほうから説明していただいて、ここの和歌山市の「生活保護のしおり」というのがあるんですが(しおりを示す)、そこのところで、資産の活用ということで、「活用できる資産があれば、売却するなどの方法で生活費に充てる必要があります。資産の例としては、預貯金、有価証券、高価な動産(宝石や貴金属など)、土地不動産、生命保険、自動車などがあります」ということを書いているので、「ただし、預貯金が少額だったり、それを手放すことで生活が成り立たなくなったりする資産(たとえば居住用の土地・建物)については例外が認められます」というふうに書いてくださっているので、こういった非常にぎりぎりの生活をされていて、特に独り親家庭で、女性の場合なんかが多いんですけど、子育てしながら、子供さんが病気になったら病院に車で通院をしていたりとか、いろんなことがどうしても日常の中でも必要だったりするので、収入もこういった社会的な状況の中で本当に大変な状況になってきている。でも、生活保護制度の活用をなかなかしないと。周りから勧めても、やっぱりなかなか応じてもらえないというようなことがあるんです。そういうようなことも含めて、結構、車を保有しているというようなことで、手放さないといけないというふうに思われている方が多いということで、中で、ここのしおりの説明においてもそういうふうに感じるんですけども、こういう点で、手放すことで生活が成り立たなくなったりする資産、「たとえば」ということについては例外が認められていますというようなところにも、やはり車などの件についても「たとえば」の中に記載をしていただくと大変ありがたいなと思うんです。こういったことも含めて、車を保有するということで、もともと車を保有している人が今の時代ほとんどで、多いというふうに思うんですけど、そういったことが、手放さないと、大変な生活の中ででも生活保護が受けられないというふうに思い込んでいる状況もあるので、その点も、ぜひ県としては各自治体やそれぞれのところに周知をしていっていただけたらありがたいと思います。ぜひ御検討をしてもらいたいと思います。

 自動車の保有を全く認めていないわけではないというようなことで答弁をしていただいたかと思うんですが、障害があって自動車なしでは通勤・通学、通院が困難な場合や、公共交通機関を利用して通勤・通学、通院すること、また求職活動の場合など、そういった状況の場合なんか、非常に今、一方ではバス路線が廃線になったり、また減便になったりというような状況も多くなってきていると思うんです。そういった場合の一人一人の状況に合わせた、困難な状況の中で、ぜひとも車の保有についてやっぱり検討していただけるような状況をつくってもらいたいなと思っています。柔軟な対応で、厚労省からは車の日常使用を認めていないというようなことが文書で来ているようなんですけども、そういった点についても、県としてはやっぱり県民の状況を十分把握した中で生活保護行政を進めていってもらいたいなあというふうに思っていますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 その次に、そういった状況の中で、一人一人の状況をぜひケースカンファレンスとか、ケースワーカーさんも十分把握しながら努めていただきたいと思うんですが、この四つ目の生活保護制度に関わる職員には、特に相談者への真摯な姿勢で寄り添いながら共に一緒に考えるという姿勢が大切だと思います。そのために研修が重要ではないでしょうか。専門性を高めるため、どのような研修をされていますか、お答えください。

○議長(尾崎要二君) 福祉保健部長。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 福祉事務所において生活保護制度を適正に運営するため、ケースワーカーの資質向上や専門性の確保が重要であり、ケースワーカーへの指導・助言を行う査察指導員の機能強化、ケースワーカー内での事案や制度内容の情報共有等の取組を行っておるところです。

 また、各福祉事務所の新型コロナウイルス感染症の感染拡大への対応状況を勘案して昨年度は実施できておりませんが、新規にケースワーカーに配属された職員に対し、制度内容や人権などに関する研修を県において毎年行っているところでございます。

 加えて、毎年、県が実施する各福祉事務所への監査などを通じて、保護費の算定状況、訪問調査活動の実施状況、面接相談時の対応状況などの制度運用状況と併せ、相談者に寄り添った丁寧な対応などについても指導・助言を行っております。

○議長(尾崎要二君) 奥村規子さん。

  〔奥村規子君、登壇〕

○奥村規子君 いろいろと研修をされているということで、ぜひとも研修の時間なども十分に取れるような体制ということも必要だと思います。今、和歌山市で言えば、ケースを持たれているのが大体1人80人ぐらいという基準ですが、100人以上とかそういった状況もあるので、そういう中で今のきめ細かな相談活動・相談体制というのをやっていくのは、ケースワーカーの方自身の負担も大きくなってくるかと思います。その体制的な問題もぜひ県として、各振興局やまた市町への支援をよろしくお願いしたいと思います。

 次に、大項目の二つ目についてお聞きいたします。

 コロナ危機によって景気の低迷、生活の困難が長期に及んでいるところに、ガソリン、食料品、電気料金をはじめ物価の高騰が襲いかかっています。暮らしと営業は深刻な打撃を受けています。

 私の知人のラーメン店を訪ねました。夕方から深夜まで営業していますが、お客として私が3人目だと言います。お客さんが戻ってきてくれるのを期待して頑張っていますが、スープの昆布は温暖化と大手の買占めで高騰、麺や油、テークアウトの容器も値上がり、何もかも値上がって、売上げだけが下がっている。子供に後を継いでもらったので何としても頑張らないけないと、貯蓄を取り崩しながらお店を続けています。中小業者が繁栄するためには、個人消費を拡大させ、地域でつくり出された富を地域で循環させる、そういった経済が大切ではないかと思っています。

 そこで、まず、現状がどのようになっているかということで、県内事業者のこれまでの倒産、休業、廃業等の件数についてお尋ねをいたします。商工観光労働部長、よろしくお願いします。

○議長(尾崎要二君) 商工観光労働部長寺本雅哉君。

  〔寺本雅哉君、登壇〕

○商工観光労働部長(寺本雅哉君) 帝国データバンクの全国企業倒産集計によりますと、負債総額1000万円以上の倒産件数は、令和元年度80件、令和2年度75件、令和3年度52件でございます。

 また、県内の休廃業及び解散件数は、帝国データバンクの全国企業「休廃業・解散」動向調査によりますと、令和元年352件、令和2年334件、令和3年316件と、いずれも減少傾向となっております。

○議長(尾崎要二君) 奥村規子さん。

  〔奥村規子君、登壇〕

○奥村規子君 今、県内事業者の状況をお答えしていただいたんですが、この休廃業というところでは微増と──微増じゃなくて、少しは減っているとおっしゃってくださったかと思うんです。これは毎年352とか300とかいうことになれば、これまで1000件が休廃業したというようなことになるのではないかと思うんですが、その理解でよろしいでしょうか。(「まあ」と呼ぶ者あり)

 だから、そういった状況の中で、まちの中を見ましても、廃業した事業者さんが本当に多いなというふうに感じているんですけども、こういうコロナ危機と物価高騰から営業を守るため、事業復活支援金をまた持続化給付金並みに拡充して再支給して家賃支援給付金を復活すべきと私は思います。

 皆さんからお話を聞く中では、どうしても営業を続けていくためには固定費ということで光熱費とか家賃とかそういった支援を求める声が大変多いんですが、そういった点もぜひ御検討をしていただきたいなと思います。

 次に、これまでの県独自の飲食・宿泊・サービス業等支援金、国の営業時間短縮要請協力金、この実績についてもお尋ねします。

 この申請と給付状況、周知はどのように行われているか、その点についてもお答えください。

○議長(尾崎要二君) 商工観光労働部長。

  〔寺本雅哉君、登壇〕

○商工観光労働部長(寺本雅哉君) 飲食・宿泊・サービス業等支援金につきましては、第3期の申請件数が8772件、給付件数は8664件、給付金額は14億4660万円となっております。第4期の申請件数は、6月1日現在で7672件、給付件数は3432件、給付金額は10億335万円であり、6月30日まで申請を受け付けているところでございます。

 また、和歌山県営業時間短縮要請協力金の第3期の申請件数は、6月1日現在で5041件、給付件数は4588件、給付金額は45億9166万9000円となっております。

 両事業につきましては、県のホームページや広報紙「県民の友」をはじめ広報番組「きのくに21」やラジオ、新聞等を通じて広報を実施しているほか、各商工会、商工会議所等から事業者に対して周知を行うなど、申請漏れがないよう努めております。

 また、申請書類につきましても、各市町村役場をはじめ県庁及び各振興局、商工会、商工会議所等で配布しており、身近なところで入手できる体制を整えております。

○議長(尾崎要二君) 奥村規子さん。

  〔奥村規子君、登壇〕

○奥村規子君 いろんなところで周知をしていただいているということですので、ネット情報だけじゃなくて、いろんな機会を通じて、ぜひ、知らなかったよということのないようによろしくお願いしたいと思います。

 次に、支援金の申請要項では、飲食店を経営されている方に対して、協力金支給対象となる事業者は原則として支援金の対象外とされています。この点についての理由をお聞かせください。

○議長(尾崎要二君) 商工観光労働部長。

  〔寺本雅哉君、登壇〕

○商工観光労働部長(寺本雅哉君) 飲食・宿泊・サービス業等支援金は、新型コロナウイルス感染症の影響により、売上げが減少している事業者に対し、支援金を給付することで、事業継続に資することを目的とするものでございます。

 第4期の対象期間中には、オミクロン株の感染拡大に伴い、本県が、まん延防止等重点措置を実施すべき区域となり、飲食店への営業時間短縮や不要不急の外出自粛などの行動制限を要請したことにより、様々な業種において業況が悪化いたしました。

 時短要請に応じた飲食店に対しては、国の制度としては営業時間短縮要請協力金が支給されますが、その他の業種については協力金の制度がないため、不公平ではないかという議論が起こりました。

 そこで、県の独自施策である飲食・宿泊・サービス業等支援金(第4期)におきまして、協力金の対象となった事業者は当支援金の対象外とした一方で、協力金の対象でない事業者で売上げが大幅に落ち込んでいる事業者に対しては倍額を支給することで、より多くの事業者が事業を継続できるよう支援を実施したところでございます。

○議長(尾崎要二君) 奥村規子さん。

  〔奥村規子君、登壇〕

○奥村規子君 協力金と支援金の目的というのがそれぞれ違うかと思います。そういった点で、やはり支援金の対象外とされているということがなかなか皆さんの理解を得にくいというような状況になっているので、そういう点について、ぜひもっともっと中小業者さんへの支援を国も含めてしっかりと広げていってもらいたいなというふうに思います。

 そういった中で、4番目は、所得税法第56条についてということで、この点についても業者の皆さんから廃止を求める声が出ています。全国の県・市町の議会でも決議、意見書が上がっています。

 所得税法は個人の所得に対する税金について定めた法律ですが、和歌山県は人口1万人当たりの小売業事業所数は全国4位と聞いています、平成28年6月1日時点ですが。経営状況が厳しい中で、働く家族の労働が正当に評価されていない、そういった状況になっているので、こういったことも含めて、やはり廃止を求め、税金を軽くというようなこともしていけるんじゃないかと思うんですが、そういった点で、第56条の趣旨ということについて、総務部長にお尋ねいたします。

○議長(尾崎要二君) 総務部長吉村 顕君。

  〔吉村 顕君、登壇〕

○総務部長(吉村 顕君) 所得税法第56条は、個人事業主と生計を一にする親族がその事業主の営む事業に従事したことなどにより給与などの対価の支払いを受ける場合、その対価は、その事業主の所得計算上、必要経費に算入しないこととする規定です。これは、親族間の恣意的な所得分割による租税回避を防止する観点から、必要経費に算入しないこととされているものと承知しています。

 この規定を原則としつつも、所得税法第57条におきましては、青色申告者は、正確な帳簿の記録があり、事業と家計とが明確に区分され、給与支払いの事実が確認できることから、その事業に専従する親族に支払う給与の実額を必要経費に算入することが認められる特例規定が設けられております。

 他方、白色申告者につきましては、一つ一つの取引ごとではなく、日々の合計金額をまとめるなど、簡易な方法で記帳してもよいこととなっており、青色申告者と同様の確認を行うことが困難であることなどを踏まえて実額による経費算入が認められておりませんが、概算的な定額の控除を認めることとし、配慮がなされているものと承知しております。

○議長(尾崎要二君) 奥村規子さん。

  〔奥村規子君、登壇〕

○奥村規子君 次も、中小業者さんの負担とかそういったことも含めて税の問題なんですけども、インボイス制度について要望をしておきたいと思います。

 取引内容や消費税率、消費税額などを記載した請求書、領収書を発行し保存しておく制度で、適格請求書等保存方式とも呼ばれています。税務署から割り振られた登録番号の記載が必要となります。制度が導入されると、免税事業者は、免税事業者のまま事業を続ける、もしくはインボイス登録をして課税事業者になる、いずれかの選択を迫られます。免税事業者のままでいると、消費税分の値下げを求められたり、取引先から排除されるおそれもあります。課税事業者になると、消費税を納めることになり、手取りが減ります。いずれの場合でも、新たな税負担が事業存続に大きく響いてきます。一部の農林水産業者、俳優や劇団関係者、個人タクシー、軽輸送ドライバー、塾、音楽教師、プロアスリート、シルバー人材センター会員など、多岐に上ってきます。中小業者の経営を守るため、消費税の減税とともにインボイス制度の中止をぜひ県として国に求めていただきたいと思います。これは要望でございます。

 最後に、中小企業は県経済の根幹であって、地域社会と住民生活に欠かせません。雇用の担い手でもあります。地域に根を下ろし、物づくりやサービスでの需要に応え、雇用を生み出している中小企業の役割は、ますます大きくなっています。この中小企業が元気になってこそ、地域が元気になります。大企業がよくなれば、地域経済、中小企業もよくなるという大企業中心の経済政策を根本的に改め、中小企業、地域経済の主役にもふさわしい支援策を根本的に強めていただけるよう、よろしくお願いいたします。

 最後の大項目の三つ目について、会計年度任用職員制度について、引き続きお尋ねをいたします。

 2020年4月、会計年度任用職員制度がスタートしました。県では、昨年の4月1日、一般行政職は3529人、会計年度任用職員は558人、全体の13.7%で、その558人の半数が事務補助職員とお聞きしています。マスメディアが当初、「非正規公務員にボーナス支給」と報道したことにより、大幅な収入増への期待が高まりました。実際は改善となったのでしょうか。

 また、制度開始の初年度に任用された会計年度任用職員については今年度をもって任期満了となりますが、その後の任用はどうなるのでしょうか。総務部長にお尋ねいたします。

○議長(尾崎要二君) 総務部長。

  〔吉村 顕君、登壇〕

○総務部長(吉村 顕君) 会計年度任用職員の給与につきましては、制度導入に伴い、条例の規定に基づき新たに期末手当を支給することとなり、昨年度実績で申し上げますと、年2回の合計で2.55月分の期末手当を支給しております。

 また、本県では、公募によらない再度の任用は2回までとしており、議員御指摘の令和2年度に任用された会計年度任用職員については、次年度、公募によらず再度の任用を行うことはできません。しかしながら、その方々につきましても、公募に係る試験への受験は可能であり、引き続き任用の機会は等しく与えられているものと考えております。

○議長(尾崎要二君) 奥村規子さん。

  〔奥村規子君、登壇〕

○奥村規子君 答弁をいただいて、会計年度任用職員の給与が期末手当分増えているということで、一定評価をしたいと思います。しかし、他の自治体では月額報酬が引き下げられているのではないかと思います。

 公務非正規女性全国ネットワークの緊急アンケートが、昨年、取り組まれました。その中で、半数が年収200万円未満という結果が出ています。

 また、会計年度任用職員取扱基本要綱では、任用期間がその日から同日の属する会計年度の末日までの期間の範囲となっていることも非常に不安定な働き方に通じるもので、問題があると思います。

 2013年4月1日に改正労働契約法が施行され、無期転換ルールが規定されました。無期転換ルールとは、有期労働契約が更新されて通算5年を超えたときに、労働者の申込みによって無期労働契約に転換されるルールのことです。これは民間の場合ですが、自治体で働く非正規労働者に対する総務省と民間の非正規労働者に対する厚生労働省との対応が真逆のものになっていると考えます。

 公務非正規問題は、社会の在り方に関わる重要なテーマです。住民に対するまともな公共サービスが持続可能な形で提供されるためにも、抜本的な改善が必要と考えることを申し上げて、私の一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)

○議長(尾崎要二君) 以上で、奥村規子さんの質問が終了いたしました。

 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。

 次会は6月13日定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。

 本日は、これをもって散会いたします。

  午後2時43分散会

散会

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