令和4年4月 和歌山県議会臨時会会議録 第2号(全文)


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令和4年4月 和歌山県議会臨時会会議録 第2号

議事日程 第2号

 令和4年4月18日(月曜日)

 午前10時開議

 第1 議案第75号並びに報第3号及び報第4号(質疑)

 第2 議案等の委員会付託

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会議に付した事件

 第1 議案第75号並びに報第3号及び報第4号(質疑)

 第2 議案等の委員会付託

 第3 休会決定の件

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出席議員(41人)

 1番 鈴木德久

 2番 山家敏宏

 3番 中本浩精

 4番 堀 龍雄

 5番 藤山将材

 7番 井出益弘

 8番 宇治田栄蔵

 9番 北山慎一

 10番 玄素彰人

 11番 中西峰雄

 12番 秋月史成

 13番 森 礼子

 14番 濱口太史

 15番 尾崎要二

 16番 冨安民浩

 17番 川畑哲哉

 18番 玉木久登

 19番 鈴木太雄

 20番 岩田弘彦

 21番 吉井和視

 22番 谷 洋一

 23番 佐藤武治

 24番 岩井弘次

 25番 中 拓哉

 26番 多田純一

 27番 新島 雄

 28番 山下直也

 29番 中西 徹

 30番 谷口和樹

 31番 藤本眞利子

 32番 浦口高典

 33番 山田正彦

 34番 坂本 登

 35番 林 隆一

 36番 楠本文郎

 37番 高田由一

 38番 杉山俊雄

 39番 片桐章浩

 40番 奥村規子

 41番 尾﨑太郎

 42番 長坂隆司

欠席議員(なし)

〔備考〕

 6番 欠員

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説明のため出席した者

 知事         仁坂吉伸

 副知事        下 宏

 理事         田嶋久嗣

 知事室長       赤坂武彦

 危機管理監      福田充宏

 総務部長       吉村 顕

 企画部長       長尾尚佳

 環境生活部長     生駒 享

 福祉保健部長     志場紀之

 商工観光労働部長   寺本雅哉

 農林水産部長     山本佳之

 県土整備部長     福本仁志

 会計管理者      中家秀起

 教育長        宮﨑 泉

 公安委員会委員    中野幸生

 警察本部長      遠藤 剛

 人事委員会委員長   平田健正

 代表監査委員     森田康友

 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫

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職務のため出席した事務局職員

 事務局長       出津野孝昭

 次長秘書広報室長事務取扱

            浜野幸男

 議事課長       長田和直

 議事課副課長     岩井紀生

 議事課課長補佐兼議事班長

            村嶋陽一

 議事課主任      伊賀顕正

 議事課主任      菅野清久

 議事課副主査     林 貞男

 総務課長       葛城泰洋

 政策調査課長     神川充夫

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  午前10時0分開議

○議長(森 礼子君) これより本日の会議を開きます。

 日程第1、議案第75号並びに知事専決処分報告報第3号及び報第4号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行います。

 33番山田正彦君。

  〔山田正彦君、登壇〕(拍手)

○山田正彦君 おはようございます。本臨時会の冒頭に質疑をさせていただくことに感謝いたします。

 私は、議案第75号について質疑をいたしたいと思います。

 IRについては、滞在型観光の核として、本県の観光振興、雇用の拡大に貢献し、地域経済活性化の起爆剤となり得、ひいては人口減少の抑制も大いに期待できるものと捉まえて、また、新型コロナウイルス感染症終息後の県経済のエンジンとなるものであるということから、私たちは以前から誘致を全面的に支援してきたところであります。

 そのため、誘致実現に大いに期待するところでありますし、何としても認定を勝ち取らなければならないことだと考えておりますが、今回議案として提出されました区域整備計画がその水準に達しているかどうかということについては、まだまだ心配の声が大きくあります。

 これまでの経緯を振り返ると、昨年11月のIR対策特別委員会で、当局並びにクレアベストニームベンチャーズ株式会社から区域整備計画案の説明がありましたが、事業の実現性が不透明であり、公聴会やパブリックコメントは、資金計画等についてつまびらかにした上で実施することという決議がIR対策特別委員会で出されました。

 2月7日の特別委員会で、再度、区域整備計画案について説明がありましたが、その時点での資金計画の内容については、到底納得できるものではありませんでした。

 一方、国への申請日程が決まっている中で、これ以上、公聴会やパブリックコメントを先送りすることは、委員会として本意ではないということから、藤山IR対策特別委員会委員長から談話を出した上で、これを認めたところであります。

 その後、当局におかれましては、県民向け説明会の実施、パブリックコメントや公聴会を開催し、そこで県民からいただいた様々な御意見を踏まえ、区域整備計画を完成させて、3月17日のIR対策特別委員会において、クレアベストニームベンチャーズ株式会社のマリオ・ホー代表から、資金計画を含む区域整備計画の説明があり、3月末には、立地市である和歌山市、県公安委員会から区域整備計画に対して同意を得たものと伺っております。

 そこで、知事に質問します。

 この臨時会に提出されました区域整備計画の内容、私たちにはまだまだ多くの不安材料が払拭されていない内容で、果たして国の認定を勝ち取ることができるのか、知事の意気込みをお聞かせいただきたいと思います。

○議長(森 礼子君) ただいまの山田正彦君の質問に対する答弁を求めます。

 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) IRには、経済波及効果や雇用創出効果、財政の改善などといった大きなメリットがあり、また、新型コロナウイルス感染症終息後の県経済のエンジンになると考えまして、ギャンブル依存症等の社会的リスクを徹底的に排除する措置を講じつつ、その誘致に全力を挙げて取り組んでいるところでございます。

 もちろん、地方都市である和歌山県が世界中のIR事業者をより取り見取りで選べるはずがございません。また、ここがもっとあったほうがよい、ここが不十分だと言っても、全てがかなえられるわけでもありません。要は、応じてくれた事業者に対して、足元を見られることなく、どこまで国の審査に耐え得るところまで持っていけるかという点から、最善の努力をしてきたつもりでございます。

 こうしてここまで努力してまいったのも、和歌山の衰退傾向に歯止めをかけたいという思いからであるということは御理解いただいているものと考えます。

 当初、新型コロナウイルス感染症などの影響により、取組を予定していた各県も続々と脱落をする中で、和歌山IRへ投資する企業が来てくれないのではないか、また脱落してしまうのではないかと心配しておりましたが、クレアベストが熱心に応じてくれ、結果として、議案としてお示しをした区域整備計画にまで行き着いたということでございます。

 すなわち、今に至るまでは、議員御発言のとおり、これまで計4回にわたり開催されましたIR対策特別委員会において、事業計画を実現する上で、核となる資金計画の内容が不透明であるとの御指摘をいただき、私自身もその御指摘はもっともであると考えまして、事業者に対して直接対話をし、県議会の御指摘などを説き、より確実性の高い資金計画を示すように強く求めてきました。その結果、以下に述べますように資金計画も充実し、十分、国の審査に耐えられるようになっているのではないかと私は思います。

 すなわち、事業者が大いに努力した結果、シーザーズを含めた中核株主が決まり、少数株主も続々と集まってきております。また、融資に関しては、世界に名立たるクレディ・スイスが、ハイリーコンフィデントレターを通して、このプロジェクトに関して融資を取りまとめる自信を示すということに至っております。

 また、クレディ・スイスの努力により、現在でも既に金額を記載した企業だけで所要の資金額を超えていると聞いております。こうして時間的な制約があった中で、IRのプロジェクトを実行できる体制は整ったと思います。資金計画の中でも特に懸念があった融資は、自らが融資をするという銀行がコミットメントレターを出すという日本的な形ではなく、クレディ・スイスが融資企業をアレンジする形でハイリーコンフィデントレターを出すという形になっておりますが、その双方の形式が、いずれかが法律上許されないわけではございません。コミットメントレター形式でも出せばよいというものではなくて、両形式とも大事なことは、信頼できる機関かどうか、本気かどうかが審査されると考えます。

 我がほうの場合は、要はクレディ・スイスの信用力とクレディ・スイスがアレンジすると言っている融資機関の財力と本気度を証明すれば、国の審査で合格できるのではないかと思います。事業者と協力し、また指導していくつもりであります。さらにまた、十分それはできるのではないかと思っております。さらに、少数株主についても、特に日本企業、和歌山企業の参加招致をさらに積極化していくつもりであります。

 ここまで育ててきたプロジェクトを県レベルでやめてしまうということになりますと、その後の様々な投資誘致の際に障害が生じることを私は恐れます。供託金も取れません。どうか御賛同してくださいますようにお願い申し上げます。

 とはいえ、IRに熱心に取り組む方に、この区域整備計画は不合格になるという予測から、別のシナリオを持っていらっしゃる方もいるということを、最近ある有力な方から直接お聞きして知りました。そのシナリオによれば、クレアベスト案は不合格になるばかりか、これを申請すると3年くらい認定の可否が出ず、たなざらしに遭い、その間に2次募集があったときに和歌山がこれに再チャレンジする機会を失うので、今回は申請しないほうがよいという意見でありまして、なるほど、そういうシナリオもあるのかというふうに正直思いました。

 しかし、国が3年もの間、認定の可否を出さないということは、一般的には考えられませんし、また、今申請者が少ない中で、すぐに2次募集があるとは考えられないので、仮に万一、不合格になっても、和歌山が再チャレンジのチャンスを逃すということにはならないと思いますし、そのシナリオにのっとって国に申請しなかったら、そのシナリオの正しさを証明できなくなってしまい、IRの実現を望む県民に説明ができなくなるのではないかと恐れます。

 前述のとおり、現在の区域整備計画は、国の審査に耐え得ると考えておりまして、それを申請しても和歌山の名折れというレベルではございません。したがって、議員諸氏におかれましては、どうか議案には御賛同いただき、一刻も早くIRを実現すべく、国にチャレンジさせていただきたい。それでも万一不合格ということになれば、あるいはなっても、和歌山県は事業者のためによく戦ってくれたという世評が残り、県としてまた再チャレンジができると私は思います。平に御賛成をお願い申し上げたいと思います。

 ただし、重ねて申し上げますけれども、この段階にまで至ることができたのは、これまで折々の議会において、IR誘致を成功させたい、将来の和歌山の発展の要素として何としても必要であり失敗はできないとの思いを持つ多くの議員の御指摘のおかげだと思っておりますし、その方法、シナリオには様々なものがあっても、全てリスペクトの気持ちは失わない所存でございます。御賛同方、どうぞよろしくお願い申し上げます。

○議長(森 礼子君) 答弁漏れはありませんか。

  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕

○議長(森 礼子君) 再質問を許します。

  〔「終わります」と呼ぶ者あり〕(拍手)

○議長(森 礼子君) 以上で、山田正彦君の質疑が終了いたしました。

 質疑を続行いたします。

 17番川畑哲哉君。

  〔川畑哲哉君、登壇〕(拍手)

○川畑哲哉君 皆さん、おはようございます。このたびの貴重な登壇の機会をいただきました先輩・同僚議員の皆様に、心から感謝を申し上げます。

 以下、通告に従いまして、心を込めて議案第75号につきまして質疑を行わせていただきます。

 議案第75号別冊「和歌山県特定複合観光施設区域整備計画」18ページの「様式:要求基準4」には、「クレディ・スイスからHighly Confident Letter(資金調達の確信性が非常に高い場合にのみ金融機関から交付されるレター)を入手済みである」と記載されています。このハイリーコンフィデントレターが、資金計画において国が要求するコミットメントレター等に当たるのかどうかにつきましては、これまで常任委員会やIR対策特別委員会でも各委員より質疑に及び、先ほど知事からも御答弁ございましたが、当該事業における議論の大きな柱の一つとなっています。

 そもそも、ハイリーコンフィデントレター及びコミットメントレターというワード自体、我が国の商慣習においては耳慣れないものであり、初めて聞かれた方も多いのではないでしょうか。この各国における商慣習の違いをよく理解するということが、外資系企業とお付き合いする際に極めて大切なことだと思います。

 例えば、外資系企業の中には、お盆休みという概念がないとか、ボーナスが年に3回あるとかとお聞きしたことがございますし、また、我が国の株式会社では、代表取締役社長以外に、代表取締役会長や代表取締役専務と、代表取締役が複数存在する場合が往々にしてございますが、海外では、代表権を持つ者は1人という概念が一般であるとお聞きしたことがございます。

 これらを踏まえてお尋ねいたします。

 このたびの資金計画では、なぜハイリーコンフィデントレターにとどまったのでしょうか。コミットメントレターとはどう違うのでしょうか。そして、このたびの資金計画に対して、県としてはどの程度の信頼を置かれ、国の要求基準への充足度としてはどのように解釈をされているのでしょうか。田嶋理事の御答弁をよろしくお願い申し上げます。

○議長(森 礼子君) ただいまの川畑哲哉君の質問に対する答弁を求めます。

 理事田嶋久嗣君。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○理事(田嶋久嗣君) まず、コミットメントレターとは、金融機関が、記載された条件が充足されることを条件として、自らが融資を実行する用意があることを表明するものです。一方、ハイリーコンフィデントレターは、ライセンス申請時点において、資金調達の確信性が非常に高い場合にのみ、資金調達をアレンジする金融機関から交付されるレターであり、これまで数多くのIR事業において認められてきた実績があります。

 和歌山IRにおいては、クレディ・スイスが他人資本の調達をリードする主幹事となったことから、海外のIR事業では一般的なハイリーコンフィデントレターの提出となったものです。

 ハイリーコンフィデントレターの発出元であるクレディ・スイスは、世界50か国以上で業務を展開し、スイスやニューヨーク市場に上場している世界的な企業として信用力が高いこともあり、これまでも世界中に大変多くのプロジェクトを成功に導いていることは、特別委員会で御説明したとおりでございます。事実、今回もこのレターを通じて出資、融資を表明する企業が続々と現れております。

 こういう企業の中でも、金額を明記している企業も多くあり、その金額の合計は既に区域整備計画の総事業費を上回っていると聞いております。

 一方、コミットメントレターが出ているといっても、どの企業が出したとか、どのくらい確実かは十分審査されると思われるのに対して、ハイリーコンフィデントレターも出せばいいというものではありませんので、今回のケースのようにクレディ・スイスという有力機関が発出し、既に、実際に効果を発揮しているハイリーコンフィデントレターは、国においても資金調達の確実性を裏づける客観的な資料として評価されるものと考えています。

○議長(森 礼子君) 川畑哲哉君。

  〔川畑哲哉君、登壇〕

○川畑哲哉君 再質問させていただきます。

 今の田嶋理事の御答弁をお聞きしまして、資金計画について、その解釈でありますとか、いかに信頼されているかということはよく分かりました。御理解を深められた県民の方も多いのではというふうに思います。

 先日のIR対策特別委員会で、マリオ・ホー氏も同様の御発言をされていたと記憶をしておりまして、私もその言葉を信頼したいというふうに思います。

 しかし一方で、今回のこの和歌山IRの事業に御参画される県内とか国内の企業名が少ないということが、あるいはハイリーコンフィデントレターにとどまらせたり、それがひいては資金計画の脆弱というようなイメージにつながる一因となったのではという思いが私には拭い切れません。

 つきましては、御参画される企業名をその都度可能な限りで明らかにしていくということが大切なのではないかというふうに私は思いますが、いかがでしょう、田嶋理事。この場で最新の企業名をお出しいただけないでしょうか。もう一度、御答弁、よろしくお願いいたします。

○議長(森 礼子君) 理事。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○理事(田嶋久嗣君) 今、再質問いただきました点につきまして、資金計画に関する部分ではないんですけども、施設を運営する事業者ということで、基本的にはIR事業者が直接運営するんですが、一部委託に回す部分がございます。委託事業者について、全ての事業者名を今まで明らかにできていなかったんですけども、MICE施設につきまして日本コンベンションサービス株式会社、魅力増進施設については株式会社KADOKAWA、送客施設・滞在促進施設等については楽天グループ株式会社に役割を担っていただきましたので、お知らせさせていただきます。

○議長(森 礼子君) 川畑哲哉君。

  〔川畑哲哉君、登壇〕

○川畑哲哉君 ありがとうございました。非常に魅力的な企業名を出していただきまして、各施設運営に期待が膨らみます。

 それでは次に、そんな和歌山IRの事業継続性についてお尋ねいたします。

 和歌山IRの区域整備計画が国より認定された後、県と締結する実施協定では40年間の契約になるとお聞きをしました。40年にわたり事業を継続するためには、様々な企業努力が必要となることは想像に難くございません。西日本最大級のアウトレットモールとなりました、かのりんくうプレミアム・アウトレットは、2000年11月23日に開業されて以来、20年余の間に5期に及ぶ増設をされ、店舗数も79店舗から242店舗へとおよそ3倍増となっています。パレートの法則では、全顧客の上位20%が売上げの80%を生み出しているといいますので、依存症ではなく、いわゆる健全なリピーター獲得ということも必須かと思います。

 そこで、お尋ねいたします。

 そもそも、計画が認定されれば、そのまま40年続くということなのでしょうか。そして、この40年間の事業継続性については、県としての支援の在り方や関わり方も含めてどのようにお考えでしょうか。また、途中解約や、その際の土地所有権等、実施協定の内容はどのような想定になっているでしょうか。田嶋理事の御答弁をよろしくお願いいたします。

○議長(森 礼子君) 理事。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○理事(田嶋久嗣君) まず、計画が認定されれば、そのまま40年間続くのかという御質問についてですが、IR整備法において、区域整備計画の認定期間は、最初は10年、その後5年ごとに更新の手続が必要となっております。更新のたびに公聴会等の住民意見を反映させるための措置、立地市及び公安委員会の同意、県議会の議決等の手続が必要となっていますので、無条件で40年間の事業期間を認めているわけではありません。

 次に、40年間の事業継続性についてどのように考えているかについてですが、和歌山IRでは、都市部にない観光資源や新たな魅力を発信するリゾート型IRとして、これまでにない世界最高水準のIRを目指しており、国内外から多くの集客が得られるものと考えています。また、各施設の魅力を高めるための設備投資やコンテンツ充実等を実施することや、将来的には、IR施設全体または各施設の大幅な増改築、新築等の投資も想定しております。IR事業を長期にわたって安定的、継続的に実施できるものと考えております。

 IRは民設民営事業であるため、IR施設の建設や事業の運営に県が費用を負担することはありませんが、将来にわたって発展する地域を実現するため、IR事業者から納入される納付金等を活用して、県内観光地のプロモーションや受入れ環境整備、周遊バスネットワークの構築など、観光地の魅力を高める取組も展開してまいります。

 次に、業績不振により事業者が事業を放棄した場合についてですが、事業継続が困難となった場合、基本的には新たなIR事業者を前事業者が見つける、または県が公募する形でIR事業の継続を目指すことになります。新たなIR事業者は、公共施設並みの耐震性を有した付加価値の高い建物を低廉な価格で取得できることになりますので、有利な条件で事業を継続することができます。

 万が一、買取り手がなかった場合、すなわち施設に価値がない場合、事業者に施設の撤去義務を課すことを想定しておりまして、その上で、県が必要とする場合には、土地を優先的に買い戻すことができるような措置を講じたいと考えております。

○議長(森 礼子君) 川畑哲哉君。

  〔川畑哲哉君、登壇〕

○川畑哲哉君 非常によく分かりました。

 それでは、最後の質問に入らせていただきます。

 私ごとで恐縮でございますが、総務委員会委員長を仰せつかっておりました令和元年の9月定例会におきまして、統合型リゾート(IR)の誘致に関する決議を議決していただきました。その提出者としての責任を持って、その折以上のIR誘致にかける強い推進の思いを持ってお尋ねをいたします。

 区域認定に係る制度についてでございます。

 先ほど知事からも御答弁ございました。巷間、今回不完全な区域整備計画で申請し、国で認められなかった際には再チャレンジができない、ついては、次回の再公募の際に、よりよい別の事業者と共に完璧な計画で申請をして、認定をいただくことを目指すべきという話が出ていると耳にいたしました。このようなお話には根拠があるのでしょうか。

 IR関係法令に当該趣旨に関する規定があるのかどうか、また、県としては当該趣旨についてどのようにお考えでしょうか。

 言い換えれば、万が一、国に申請して認定に至らなかった際には、再チャレンジということが可能なのかどうかということでもございます。可能であれば、その再チャレンジや再公募はいつ頃と想定されるのかも併せてお答えください。田嶋理事、どうぞよろしくお願いいたします。

○議長(森 礼子君) 理事。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○理事(田嶋久嗣君) 国が再度、申請期間を定めて候補地を募集することはあり得ますが、一度申請して認定されなかった場合に、次の機会にチャレンジできないなどという定めはございません。

 現時点では、再公募の時期や、そもそも再公募が行われるのかなどは明らかではありませんが、現在進行中の手続において3か所しか申請がない状況を考えると、政府が再公募をしても誰も応じないおそれもあり、その中で、今すぐ政府が再公募をするということはなかなか考え難く、また、改めて区域整備計画の認定申請期間を定めるなど一定の期間が必要になると考えます。

 したがって、今回申請して、万が一認定されなかったとしても、和歌山県が再チャレンジの機会を逃すことはないと思います。それよりも、今回の申請の機会を逃せば、その間、和歌山県発展のチャンスを早くつかむことを逃すことになりますので、ぜひ今回の機会に国に申請をして、認定を勝ち取ってまいりたいと考えております。

○議長(森 礼子君) 川畑哲哉君。

  〔川畑哲哉君、登壇〕

○川畑哲哉君 当局の皆様におかれましては、平成29年のIR推進法の成立以前から、事業者の招聘や視察対応、基本構想の作成、投資意向調査などを行ってこられ、IR整備法が成立した後、令和元年には事業者公募を行い、その後、クレアベストを選定して、同社と共に区域整備計画の作成に鋭意取り組んでこられました。

 ここに至るまで、新型コロナウイルス感染症の発生や国の基本方針の修正等、事業の進捗に大なり小なりの影響を与える出来事も起こり、知事はじめ当局の皆様におかれましては、まさに艱難辛苦を幾つも乗り越えられてこられ、流された悔し涙も一度や二度ではないのではと推察をいたします。私も2度、シンガポールの二つのIR施設の視察にお伺いし、一度はこの場で御報告もさせていただいています。

 ここまで来ました。私も微力ながら引き続き全力で和歌山IR実現に向けてお手伝いしてまいりますことをお誓い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。頑張りましょう。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(森 礼子君) 以上で、川畑哲哉君の質疑が終了いたしました。

 質疑を続行いたします。

 2番山家敏宏君。

  〔山家敏宏君、登壇〕(拍手)

○山家敏宏君 おはようございます。議長の許可をいただきましたので、議案第75号の質疑を行います。

 私は、本県にとってIR事業は、県民の雇用、また、経済波及効果等もあり、地域経済の起爆剤になると考えています。何としても、本県のIR事業を成功させなければならないという強い思いで質問いたします。

 まず1点目は、区域整備計画についての疑問点は多々ございますが、国の区域認定を受ける上での入り口での要求基準4「IR区域の土地の使用の権原・IR施設の設置根拠についての妥当性」の資金計画について質問いたします。

 本県IR初期投資額は約4700億円で、中核企業となるクレアベストニームベンチャーズ株式会社を含む3社と少数株主で出資額は約1450億円、30%で、残り70%の約3250億円をクレディ・スイスが主幹事となり調達する計画となっています。

 大阪府の計画では出資額約50%、長崎県では約40%となっており、本県の出資額は約30%と一番低いのが現状であります。こんな中で、借入金3250億円をどのような形で調達するのかが重要課題であると考えます。

 国の認定申請の手引き、要求基準の具体的記載項目には、「収支計画及び資金計画(IR事業を行うために必要な資金の総額、内訳及び調達方法を含む。)」との記載があり、「添付書類の『資金調達の確実性を裏付ける客観的な資料』については、コミットメントレター等を提出する」となっており、本県ではコミットメントレターはないが、公表されてはおりませんが、クレディ・スイスからのハイリーコンフィデントレターがあると聞いております。

 大阪では、都市銀行が中心となり融資団を結成し、コミットメントレターを提出すると聞いております。

 コミットメントレターは、皆様御承知のとおり、貸付人が借入人との正式な融資契約の締結前において、貸付人としての融資の意思を表明するために提示される書面であり、コミットメントレターは法的拘束力を有しているのが一般的です。

 本県のクレディ・スイスが示しているハイリーコンフィデントレターは法的拘束力がなく、クレディ・スイスが事業に対しての関心がありますよという関心表明書と同等程度の書類にすぎず、不安を感じております。なぜ、クレディ・スイスがコミットメントレターを提出しなかったのかということも疑問に思います。

 また、信頼性のある事業で利益を生むのであれば、当然、和歌山県の金融機関、企業等が参入するはずなのですが、この点も疑問を払拭し切れません。

 そこで、国の要求基準で重要となる資金計画内訳について、どこの会社が幾らの融資を行うのか、金利はどのようになるのか、3250億円の借入れをされる詳細について、田嶋理事にお聞きいたします。

○議長(森 礼子君) ただいまの山家敏宏君の質問に対する答弁を求めます。

 理事田嶋久嗣君。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○理事(田嶋久嗣君) 和歌山県の資金計画では、主幹事行であるクレディ・スイスが中心となって、金融機関からの借入れや社債発行をバランスよく組み入れて調整することとしています。

 クレディ・スイスが発行したハイリーコンフィデントレターは、海外においては、これまで数多くのIR開発において、ライセンス申請時点における資金調達の確信性が非常に高い場合にのみ交付されるレターとして認められてきた実績があります。

 また、具体的な出資、融資企業名並びにそれらの企業から提出された基本合意書に記載された金額の合計が初期投資額の4700億円を超えている旨記載した書類がクレディ・スイスからクレアベストに提出されており、その内容を県も確認しています。

 融資の3250億円の内訳や金利等の詳細については、今後、区域認定を受け、融資が実行される時点で最終的に決定されるため、現時点ではお示しできません。

 なお、大阪や長崎の区域整備計画においても、借入れの内訳や金利等については明示されておりません。

○議長(森 礼子君) 山家敏宏君。

  〔山家敏宏君、登壇〕

○山家敏宏君 改めて3250億円という金額について、私、考えてみたんですけども、仮にオール和歌山で企業が融資してくれると考えたときに、1000の会社が融資に協力してくれるとなったときに、1社当たりの金額というのは3億2500万なんですね。このような物すごい金額のお金のまだ使途がはっきりしないと。

 その中で、理事がおっしゃるには、資金調達の確信性が非常に高い場合にのみ交付されるレターがあるというお話なんですけども、これがまだ議会に対して開示されていないとお聞きしているんですね。これは、7割もの──4700億円の7割ですね、このうちの3200億円がこのレターによって確約されるというお答えなんですけども、これは開示すべきだと考えておりますが、いかがでしょうか。

○議長(森 礼子君) 理事。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○理事(田嶋久嗣君) ハイリーコンフィデントレターは、クレアベストとクレディ・スイス、いわゆる民間同士で結ばれた契約で、守秘義務がかかっておるわけですね。だから、基本的には当事者同士を縛るものですので、広く開示するということは通常あり得ないというか、開示することによって損害賠償義務が発生するという、そういった内容のものでございます。

 ただ、特別委員会においても、ハイリーコンフィデントレターというものが非常に核となっておりますので、開示を求められておりまして、クレアベストとの間でクレディ・スイスと交渉して、議員限りでお見せすることができないかということを話しておりまして、お見せをする方向で進めているところです。

○議長(森 礼子君) 山家敏宏君。

  〔山家敏宏君、登壇〕

○山家敏宏君 ぜひ理事、よろしくお願いいたします。

 2点目の交通渋滞対策について質問いたします。

 この課題については、令和4年2月定例会の一般質問で、片桐議員が和歌山IRに関わる道路整備について質問していますので、重複する部分もございますが、御了承をお願いいたします。

 片桐議員の質問では、新しい世界に飛躍する和歌山にふさわしい道路整備を行うべきとの質問に対し、田嶋理事の答弁では、「現時点において行っている大規模開発地区関連交通計画マニュアルに基づく交通量の分析では、マリーナ入口、琴の浦交差点などにおいて交通渋滞が想定されますが、交差点改良などのハード対策や信号現示の調整などのソフト対策を行うことで、周辺住民などへの影響を最小化できると考えています」との回答でした。

 私は、正直、この回答を聞いたときに、IRは和歌山県の肝煎りの政策なのに、本気でこのようなことを考えているのか、真剣にIR事業を考えてくれているのか、本当に悲しくて残念な思いになりました。

 私は、和歌山市に行くときには、よく有田インターで高速道路に入り、海南インターで降りて、国道42号線を通ります。海南市船尾の交差点を西に進みますと、ファストフード店が数軒あり、通勤時間帯はもちろん渋滞が発生し、休日での店舗のキャンペーン等があれば渋滞が発生しております。

 計画では、IR区域への来訪者数は年間約650万人、1日平均約1万8000人となり、さらなる交通渋滞が発生することが容易に推測できます。

 そこで、交通渋滞を解消するためには、海からのアクセス、そしてIR周辺の国道42号線も含めた抜本的な対策が必要であると考えますが、具体的な案は示されておりません。これで区域整備計画が通るか、不安にもなっております。現状の計画案で交通渋滞が本当に解消すると思われているのか、田嶋理事の答弁を求めます。

○議長(森 礼子君) 理事。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○理事(田嶋久嗣君) 現時点では、開発の初期段階の検討に使用する大規模開発地区関連交通計画マニュアルに基づく交通量の分析を行っております。平日、休日、MICE開催の有無によりパターン分けの上、検討しておりますが、そのうち最大の負荷がかかる休日でMICE開催日の約3万5000人の来訪者に対しても、分析上はマリーナ入口交差点の立体化や、琴の浦交差点の改良などのハード対策や、信号現示の調整などソフト対策を行うことで、周辺住民などへの影響を最小化できると認識しております。(発言する者あり)

 なお、想定している来訪者については、世界リゾート博の際の平均4万1406人を下回っていることや、当時よりも道路ネットワークが充実していること、さらにマリーナ入口交差点において今回も立体化を検討していることから、現段階の対策としては適正であると認識しております。

 一方で、区域認定後、より詳細な分析を改めて実施し、追加の対策、対策の見直しが必要となった場合は、道路管理者、交通管理者と協議・調整を行いながら、必要な対策の実現に向けて連携して取り組んでまいります。

 加えて、年に数回程度見込んでいる7万人程度の最大規模のイベントを開催する際には、臨時駐車場からのパーク・アンド・バスライドなどの交通量抑制施策を実施してまいります。

○議長(森 礼子君) 山家敏宏君。

  〔山家敏宏君、登壇〕

○山家敏宏君 最後の質問に移ります。

 今回の計画では、建設費で約4000億円、延べ床面積は、暫定計画値では屋外施設も含め74万4689平米の巨大な建築物が計画されています。この建築物の概算予算を算出しているにもかかわらず、今もまだ地盤調査等を行っていないとのことです。本来、この規模の建築物を計画して概算費用を算出するためには、地盤調査、液状化の検討、土壌汚染の調査を行う必要があると考えます。それなのに、なぜ今回事業者は地盤調査等を行っていないのか疑問に感じております。

 昨今の急激な資材高騰、地盤の改良費等で、4000億円で建築できるのか不安に感じるところもございます。地盤改良の必要深さも不明なため、どれだけの建築費が増額するかが明確には分かりませんが、私は建築士でもあるので、経験上申し上げますと、最低でも数百億円かかると思っております。あえて、数百億円かといいますと、地盤調査等を行っていないためです。地盤調査のデータがあれば、概算で構造物の荷重を算定し、基礎の大きさ、くいの長さを算定することができるため、例えば200億円なのか、それか250億円程度なのかまでは算出可能です。

 しかし、調査を行ったとしても、実施設計をしない限りは、この程度の誤差は十分出てくると考えております。仮に、私が建設工事費の概算費用を算出するのであれば、地盤の状況も分からない状況ではリスクが大き過ぎるため、概算費用の算出自体を断ります。

 このような大きなリスクがあるにもかかわらず、事業者が地盤調査等を行っていないのは不安を感じてなりません。また、そんな中で資金計画を立てているのかは、この計画の妥当性にも疑問を持たざるを得ません。なぜ地盤調査をやっていないのか、それで問題ないとお考えなのか、田嶋理事の答弁を求めます。

○議長(森 礼子君) 理事。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○理事(田嶋久嗣君) この地盤の問題で何かと比較されるのが大阪の夢洲ですけども、夢洲がまだ埋立てして日の浅い土地であるのに対して、マリーナシティは完成後、年月もたち、安定していると考えられます。また、大阪とは異なり、和歌山県は地盤対策も含め、全て事業者の責任という方針を堅持していますので、事業者側も地盤リスクに対しては十分な考慮を払っていると思います。

 さらに、建設費の算出に当たっては、過去に実施されたマリーナシティ島内2か所の土質調査やIR施設の規模を基に、くい工事費用を見込んでおりまして、現時点における計画としては適正であると認識しております。

 今後、詳細な設計を進めていく上で、IR事業者がIR施設の配置等を踏まえ、必要な地盤調査を行うものと認識しております。

○議長(森 礼子君) 山家敏宏君。

  〔山家敏宏君、登壇〕

○山家敏宏君 私は、議員として、どの議案に対しても議決権を行使することは、二元代表制であることから、県民の代表として知事と同様に重大な責任があります。

 議案第75号について、仁坂知事は、4月6日の定例記者会見において「ここまで来た話を、まさか県議会が、自ら否決して潰してしまったら、大変なことになる。ぜひ議決してほしい」と発言しておりますけども、この「否決して潰してしまったら、大変なことになる」との発言に対して、理解に苦しむ発言であると感じたことを申し添え、質疑を終わります。(拍手)

○議長(森 礼子君) 以上で、山家敏宏君の質疑が終了いたしました。

 質疑を続行いたします。

 40番奥村規子君。

  〔奥村規子君、登壇〕(拍手)

○奥村規子君 おはようございます。議長のお許しを得ましたので、早速、通告に従って、議案第75号について質疑をいたします。

 一つ目は、県民合意についてです。

 議案第75号特定複合観光施設区域の整備に関する計画の認定申請については、国土交通大臣の認定を申請するに当たり、特定複合観光施設区域整備法第9条第8項の規定により議会の議決を要することから、提案されているものです。国への提出期限は4月28日となっています。

 県としては、昨年11月のIR対策特別委員会を経て、公聴会、説明会、パブリックコメントを開始する予定でしたが、特別委員会の全員一致の反対で延期され、予定より2か月以上遅れました。そのため、コロナ禍も重なって開催数が減り、県民の意見を聞く場が少なくなったと思います。それでも、公聴会や意見募集1356件が提出され、その中身は「カジノについてそもそも反対」などを含めた意見も多かったと理事も述べられています。このような状況で、整備法に定められている県民合意が得られたとは思いません。

 ギャンブル依存症やマイナスの経済的影響、環境問題など、県民の不安や疑問に十分応えられていないと思います。4月の28日の提出期限が迫ってきているからといって、県民合意の得られていないものは、国への申請を行うべきではないと考えますが、いかがでしょうか。知事にお尋ねいたします。

 二つ目は、区域整備計画の内容についてお尋ねします。

 1点目は、大阪カジノの影響についてどう考えているか、お聞きします。

 関西圏で二つのIR計画が進められています。大阪のIR計画は、和歌山IRができてから2年ほど後に開業すると聞いていますが、2030年には大阪IRと和歌山IRが同時に営業されている可能性があります。大阪は年間2000万人の来訪者を見込んでいますし、和歌山IRは年間650万人の来訪者を見込んでいます。

 そこで、お聞きいたしますが、和歌山IR計画の来訪者数は、大阪IRが開業した場合と開業しなかった場合には、来場予測が大きく影響を受けるのは間違いありません。現在の和歌山IRの計画は、大阪IRがある場合を想定しているのでしょうか。それとも、大阪IRがない場合を想定しているのでしょうか。理事に答弁を求めます。

 2点目は、来場者数や収入の予想を過大に見込んでいるという問題です。

 知事は、シンガポールのIRを例示されることがありますが、シンガポールのIRには、マリーナベイ・サンズとリゾート・ワールド・セントーサという二つのIRがあります。その二つのIRの年間来訪者合計は6500万人です。そして、その二つのIRの中にあるカジノ売上げは合わせて3700億円です。この数字は、大阪市の自民党市議団が最近発表したものです。そして、和歌山IRの年間来訪者数の予測は650万人で、シンガポールの二つのIRのちょうど10分の1を見込んでいます。

 ところが、和歌山県、和歌山IRのカジノ売上げは1900億円とクレアベストは見込んでいます。IRへの来訪者は、シンガポールの10分の1なのに、カジノ利益は約50%見込むというのは、あり得ない見込みと言わざるを得ません。シンガポールと同じ水準なら、カジノ利益は370億円になります。それを1900億円と膨らませたのは、県に入る入場料納入金や、県や和歌山市に入る納付金を過大に期待させるものではないでしょうか。

 コロナ禍の中、本当に和歌山IRに650万人もの入場者が来ると考えているのでしょうか。県として、どのような根拠に基づいて試算したのか、お教えください。

 和歌山IRのカジノ売上げは1900億円となっていますが、県としてどのような根拠でそのような金額を出したのか、お教えください。

 業者が出した数字を信頼したものというような答えは、県として無責任ですから、県が根拠としたものを教えてください。理事にお尋ねいたします。

○議長(森 礼子君) ただいまの奥村規子君の質問に対する答弁を求めます。

 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 区域整備計画の内容について、説明動画の配信や14か所での住民説明会、2か所での公聴会の開催、また、パブリックコメントの実施など、可能な限りの説明と情報提供を行ってまいりました。そもそも制度的には、住民説明会や公聴会、パブリックコメントも賛否を問うものではありませんので、区域整備計画に対する御意見をいただくものでありまして、いただいた意見を踏まえて必要な修正を行ったつもりでございます。

 国土交通大臣に区域整備計画の認定申請を行うに当たっては、まさに賛否でございますが、立地市町村の同意を得た後、県民の代表である皆様方県議会の議決を得るという非常に民主的な制度になっていると思います。

 県民の中に一部反対の方がおられるので、国への申請を見合わせるべきだとおっしゃるのは、筋が通らないと思います。立地市である和歌山市では、区域認定申請を行うに当たっての同意を議会の議決すべき事件に定めており、去る3月30日、和歌山県特定複合観光施設区域整備計画に係る同意についてを賛成多数で可決いただいたところであります。

 本臨時会において議決をいただいた上で、初めて区域認定申請を行えるわけでございます。御審議の上、どうか御賛同賜りますようによろしくお願い申し上げたいと思います。

 先ほど山家議員からお話がございましたが、誠にそのとおりでございまして、議会で議決を得て初めて区域認定申請を行えます。それをできないと、ここまで育ててきた和歌山県が途中でやめるのかということで、投資家に対するマインドに大変な影響を与えるというふうに思いましたので、説明が足りなくて大変申し訳ございませんでした。心は、皆さんよろしくお願い申し上げますということでございます。

○議長(森 礼子君) 理事田嶋久嗣君。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○理事(田嶋久嗣君) まず、大阪IRの影響ですが、和歌山IRの計画では、大阪をはじめ日本に3か所のIRが存在することを想定した上で来訪者数を試算しています。その上で、和歌山IRは、大阪とコンセプトが異なる本県の観光資源を生かしたリゾート型のIRであることから、二つのIRは共存可能だと事業者も考えており、県としても同じ認識です。

 次に、IR区域への来訪者数とカジノ売上げについてです。

 新型コロナウイルス感染症の影響により、業界全体が大きなダメージを受けたのは事実ですが、IR開業を予定する2027年には状況は回復していると考えており、そのような前提で算出しています。

 IR区域への来訪者数については、和歌山IR施設の構成を踏まえて、国内外の類似施設の実績データを基に、施設ごとに来場者の積み上げ計算を行った後、施設間の重複数を考慮し、650万人と算出しています。

 最後に、収入予想についてですが、議員御指摘のシンガポールの二つの年間来訪者合計6500万人という数字は、センサーで通行人の数を機械的にカウントするなど、同一人物の重複を考慮しない数字でございまして、正確な来訪者ではありません。そのため、この数値を引用し、区域整備計画のカジノ売上げが過大に見積もられているとの御指摘は当たらないと考えております。

 和歌山IRでは、カジノ売上げについては、海外IRの実績データやシーザーズの知見を基に、マス、プレミアム・マス、VIPなどの客層ごとの来場者数に、客単価を掛け合わせることで算出しています。これらの算出は、事業者がその知見を基に行ったものであり、その詳細については県としても確認しており、内容については妥当なものであると考えています。

 また、和歌山県がIR基本構想を策定する際、大手監査法人に委託し、来場者数やカジノ売上げの試算を行っています。今回、その数字を基に検証を行いましたが、区域整備計画における数値は、投資規模から考えて過大なものではないと認識しています。

○議長(森 礼子君) 答弁漏れはありませんか。

  〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(森 礼子君) 再質問を許します。

 奥村規子君。

  〔奥村規子君、登壇〕

○奥村規子君 最初に、県民合意が得られていないというようなことで、私自身は申し上げました。その点について、民主的な制度でやっているというようなことで知事は答弁されたと思います。その点についても、やはりこの間、公聴会でいえば、これは県からの資料でございますが、27名の公述人の方がいらっしゃって、それで賛成が7、反対が20ということになっていると報告をいただいています。

 意見募集は、確かに1356件というような本当にたくさんの人たちが意見を述べてくださっているということで、こういった中で、その中で反映できるものはやっているというようなお話でしたが、実際、この民主的な制度という問題について、やはり不十分ではないかなと思います。時間的な、スケジュール的には全くこの4月28日に申請するというカジノありきという、そういうスケジュールがありました。また、そういった中で、こういった皆さんの御意見に対して、本当に議論をする、いろんな形で県民挙げて議論をする、そういうような状況が、全く時間がない中で今に至っていると思います。

 この中でも、私どもに意見としてお電話もいただいたりするんですけども、重大な大事な問題点やそういったことも取り上げられていないとか、県が反映するというその物差しが何か分からないとか、そういったことが非常に意見として出されていました。

 私自身は、この間、ずっと知事が一般質問などで答えていただいた中でも、せんだっての2月の議会におきましても、知事は、前回の県知事選挙で、IRは絶対に必要であり、断固推進しますとずっと宣言をいたしまして、多数の支持を得て知事になったわけです、それを今一生懸命やっていると、したがって民意は十分に反映されていると考えていると言われたことに対して、非常に違和感を持ちました。

 それで、選挙公報というのがあります。それが平成30年11月25日執行の和歌山県知事選挙の選挙公報を、私はもう一度見直してみたんですけど、そこには、知事の公約ともいうべきこのものの中に(資料を示す)全くカジノという言葉はございません。こういった状況の中で、民意は十分に反映されているというのは思い違いではないでしょうか。そういったことで、ぜひとも、もう一度考え直して、本当に皆さんと御一緒に議論をしていくということは大事じゃないかなというふうに思っています。

 私自身は、申し上げたいのは、こういったことを反映していると、今回の知事説明でも言われていましたが、こういう1356件が提出されたということは、本当にこの中には賛成も反対もいろんな意見も踏まえて、私は、涙が出るほど和歌山県のことを、本当にふるさと和歌山県、これからの将来を考えて、こういう方がたくさんいらっしゃるんだということに私は感動しています。そういった思いが、まず知事として非常に大事ではないかなと思います。

 民主的な制度、制度はそんなふうに手続上なっていても、一つ一つの意見を大切にする、また、反対の意見にしっかりと耳を傾ける、そういったことこそ民主的な運営をしていく、魂をやっぱり入れていくという姿勢ではないかということを申し上げておきたいと思います。

 それと、もう一点は、過大な見込みではないかという点について、これは今、過大な見込みじゃないかということについては、非常に今、国がカジノの法律をつくるに当たったそのときの世界情勢と、今本当に変わってきているというふうに思うんです。もちろん、コロナのことや、また、今、戦争という問題があります。いろいろとそういう世界情勢の中で変化があることを踏まえて、こういう計画を再度考えて、しっかりと県民に求めていくということが大事ではないかと思います。

 その点においては、やはり……

○議長(森 礼子君) 奥村議員に申し上げます。所定の時間が参りましたので、以上で奥村規子君の質問を終了いたします。

  (「すいません。よろしくお願いします」と呼ぶ者あり)

○議長(森 礼子君) 以上で、奥村規子君の質疑が終了いたしました。

 質疑を続行いたします。

 37番高田由一君。

  〔高田由一君、登壇〕(拍手)

○高田由一君 議長のお許しをいただきましたので、質疑を行います。私は、分割方式でお願いしておりますので、よろしくお願いいたします。

 最初に、IRによるマイナスの経済効果について伺います。

 IR区域整備計画の意義として、国際競争力の高い魅力ある滞在型観光の早期実現を目指すことが、和歌山県において日本型IRを整備する意義と述べられています。その経済波及効果が県内の観光地へのプラスになれば言うことはありませんが、区域整備計画でも、外国人観光客を将来約110万人受け入れるとしながら、IR内の送客施設を活用した旅行者数の増加は約12万人にすぎないことになっています。これは、和歌山のIRから日本全国の観光地へ送り出すという数で、それが12万人。ですから、県内観光地への旅行者増加の効果はほとんどないのに等しいのではないかというふうに思います。

 また、IR来訪者の8割以上が日本人の想定になっています。後ほども述べますが、IR全体の収益も、これも8割をカジノ収入が担っており、そこでもうけを上げようとすれば、おのずと来訪者の囲い込みにつながると考えます。これまで県内観光地に行っていた国内客が、IRが開業することによって、目新しさも手伝って、旅行消費額をIRのほうに振り向けてしまうということは十分あり得ると考えます。結果として、県内観光客を食ってしまうのではないでしょうか。

 こうしたマイナスの経済効果について、知事はどうお考えでしょうか。答弁をお願いしたいと思います。

 次に、コンプやポイントなど囲い込みの影響について伺います。

 昨年7月の全員協議会の席で、私は、クレアベストの梶参考人に、カジノへ来たお客の囲い込みについて伺いました。そのときに、コンプといって、カジノでの賭け金額が多ければ多いほど宿泊代や食事がただになる制度があることについて質問し、実質的に金銭面での囲い込みになるのではないか、県内の観光地への影響についてどうなるのか伺いました。

 そのとき、梶参考人は、次のように述べられました。「後ほど、県のほうとも御相談申し上げて、そこはゆっくり御説明申し上げたい」、このように言われましたが、このことについて、いまだにゆっくり御説明を聞いたことはありません。

 その上で、このコンプというのは、「お部屋代をただにするとか、お食事をただにするとか、これは言ってしまえば接待交際費の一部だと思ってください」ともおっしゃられました。こうしたやり方をされれば、県内観光地の中でも白浜のような大規模な宿泊施設があるところは、大きな影響が出るのではないかと心配をしております。そのことについてどうお考えでしょうか、これについては理事の答弁をお願いしたいと思います。

○議長(森 礼子君) ただいまの高田由一君の質問に対する答弁を求めます。

 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 和歌山IRは、高野山、熊野古道、温泉などといった本県の既存の観光地を目的に来訪していた方たちとは異なる、これまで本県を訪れることがなかった新たな客層を呼び込むことを企画していると考えます。具体的には、MICE施設で行われる企業主催の会議や国際会議、インセンティブトラベル、展示会といったビジネスイベントや、エンターテインメントイベント、カジノなどを目的とした来訪者でございますから、これまでの県内観光客を取り込んでしまうということはございません。

 なお、議員御指摘の送客数12万人は、送客施設を利用してIR区域外にIR側が送り出す人数でありまして、IR区域訪問者のうちIR区域外を訪問する人数を表したものではありません。これはもっと多いと思います。

 議員御心配のような懸念は、したがってございませんので、むしろ通常、旅行をする際は、複数の観光地を訪れるケースが多く、IRという新たな観光スポットが生まれることで、近隣の観光地への集客効果も当然高まるものと考えます。

 特に、外国をはじめ遠くから来られる人にとっては、和歌山や近隣県が誇るIR以外の観光資源がとても魅力的に映ると思われ、大いに観光客が増えると考えるべきでしょう。

 さらに、県としては、こうした効果を最大化するために、県全域が世界から認められるより魅力的な観光地となるよう、納付金を活用して、受入れ環境の充実や周遊交通ネットワークの構築、プロモーションの強化に取り組む計画としており、これまでにない規模の観光客を県内に呼び込むことができるものと考えております。

○議長(森 礼子君) 理事田嶋久嗣君。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○理事(田嶋久嗣君) 議員の御質問にございましたように、食事代や宿泊代が無料になるのは、それに見合った多額の賭け金を拠出できる富裕層でありまして、こうした方々は、これまで本県を訪れることが少なかった新たな客層であると考えております。

 こうしたことから、既存の客層を奪い合うといったマイナスの影響はなく、むしろIRを訪れる富裕層を県内の観光地に送客することで、県内に新たな需要を生み出すものと考えております。

○議長(森 礼子君) 高田由一君。

  〔高田由一君、登壇〕

○高田由一君 御答弁をいただきました。

 日本人の客が約8割を占めているという今回の計画です。私は、IRで1泊2泊したら、よそへ県内へというふうになるとは、どう考えても思えないんです。

 計画の、この今議論している別冊ですね、140ページには、IR開業時には、このIRの集客効果で、旅行客はほかの地域で減少するということをこの計画自身でもうたわれているところであります。ですから、私の心配は杞憂ではないというふうに思います。私は、県が納付金で潤っても、地元観光業がマイナスになるのであれば、本末転倒になると考えます。

 また、コンプやポイントの制度を理事から御説明いただきました。富裕層が対象と言いますが、お客さんがIRに思ったように来なければ、もっと大勢の人に割引しますよ、おまけしますよとなってくるんじゃないでしょうか。目に見えていると思います。このことを御指摘して、第2問の質問に移りたいと思います。

 次に、実施協定案に関連して伺います。

 まず、IR対策特別委員会におけるマリオ・ホー参考人の発言について伺います。

 私は、マリオ・ホー参考人に対して、40年の実施協定を県と結びますが、その間に政治状況が変わって、事業者ではなくて政治の都合でIRはやめますとなった場合、県に対して損害賠償を求めるのかという質問をいたしました。彼の答えはノーで、そういう政治的なリスクは理解をしている、その結果、ライセンスが付与されなくても、市や県に補償を求めることはないと明言をされました。

 ところが、その後の答弁で知事は、事業者に責任がないのに勝手に事業を打ち切られれば、損害を補償するというのが当たり前の話なので、当たり前の話をそこに書いてあるのだろうと思うという答弁をされました。

 そこで、はっきりさせるために、実施協定案ではこうした場合の損害賠償について書かれているんでしょうか、書かれていないんでしょうか。いるとすればどのような内容になっているんでしょうか、知事の答弁をお願いします。

 次に、理事に伺います。

 この実施協定案については、その内容について、区域整備計画の認定後、その概要を公表するとしています。この協定の締結については、県議会の議決事項ではないと聞いていますが、県の募集要項でも「和歌山IRはIR事業者が設置・運営するものであるが、その実施は地域に及ぼす影響が大きいことから、和歌山県は実施協定の概要を公表する」としています。この協定の内容は、和歌山市議会でも議論されたと伺いました。例えば、募集要項では、履行保証金について、金額や差し入れ時期、返金条件等の詳細は実施協定案において示すとなっています。これに対して、市議会議員の質問に対して市当局は、履行保証金は、初期投資額4700億円の5%で、235億円になると答弁をしたと伺いました。実施協定案の概要さえ公表していない中で、それが一部公になっているというのは、私は納得できません。区域整備計画案の採決前に、県民や県議会に実施協定案の概要を公表してはどうかと思います。これについては理事の御答弁をお願いします。

○議長(森 礼子君) 知事。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 実施協定につきましては、IR事業者に何ら帰責がないにもかかわらず、一方的に県が事業を打ち切るといった、県の責めに帰すべき事由により、IR事業者の事業継続が不能となった場合については、IR事業者が現実に被った損害の補償を県に求めることができる旨を規定する予定であります。

 ただし、IR事業の終了といった県や議会の決定の根底にIR事業者の責めに帰すべき事由がある場合については、この限りではございませんので、この場合は、IR事業者の帰責事由として、県がIR事業者に違約金等を求めていくことになるわけでございます。

 なお、IR事業者が県に求めることができる補償の範囲については、逸失利益を含めないことを予定しております。県の責めに帰すべき事由による事業の終了の場合については、IR事業者の補償の請求に対し、適切に対応すべきだと考えます。

○議長(森 礼子君) 理事。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○理事(田嶋久嗣君) まず、実施協定の御質問についてお答えする前に、先ほど議員のほうから、区域整備計画の140ページで周辺の観光客が減少するという御指摘がございましたが、そこに書かせていただいているのは、和歌山県以外の周辺の地域が減少をすると。ただ、それは和歌山県にIRという新たな観光資源ができることで、ほかの区域に行っていた方が和歌山県の選択をして和歌山県に来る方が増えるだろう。ただし、その後は元に戻っていくよと、元に戻っていって、むしろ全体として伸びていくということを書かせていただいていますので、そういう趣旨でございます。すみません。

 実施協定についてでございますが、実施協定の概要につきましては、現時点で開示することはできないと考えております。

 まず、IR整備法上、実施協定は、区域認定後に国の認可を受けた後で締結するよう規定されており、現状、確定していない状況であるためというのが一つです。

 また、IR事業は公共事業ではなく、あくまで民間ビジネスですので、今後も事業者やその株主のグローバルなビジネス活動は継続されていきます。実施協定の内容が開示されることは、グローバルなビジネスの競争上、極めてリスクが高いという点がございます。

 これらのことから、IR整備法においても、実施協定の公表については、国土交通大臣の認可後、実際に締結した後に行うよう規定されているとともに、公表は実施協定全文ではなく、概要にて行うよう規定されていると認識しております。

 なお、大阪及び長崎においても実施協定の公表は行われておりません。

○議長(森 礼子君) 高田由一君。

  〔高田由一君、登壇〕

○高田由一君 答弁をいただきました。

 知事の答弁では、実施協定の中に、そうした県の責めに帰すべき事由において、IRを中止すれば損害賠償をしていくという、それを盛り込むと御答弁をいただきました。マリオ・ホー氏は、先ほども申し上げましたが、私の質問に、市や県に補償を求めることはないというふうに明言をされています。これは、ただの心意気だったのでしょうか。実施協定では補償するという内容を知っていて、そういう答弁をされたのなら遺憾ですし、知らないで補償を求めないと言ったなら、経営責任者としてどうかと思いました。

 ますます、議決をする前に実施協定案を知る必要があると思います。一部で和歌山市議会の議論も紹介をいたしましたが、実施協定案の議論が出て幾つか答弁があるということで、やはり私は、これはきちんと議決の前に、採決の前に概要だけでも示す必要があるというふうに思います。そういう中で議決を求められても、改めてこの計画案には賛成できないということを申し上げて、私の質問を終わります。(拍手)

○議長(森 礼子君) 以上で、高田由一君の質疑が終了いたしました。

 質疑を続行いたします。

 35番林 隆一君。

  〔林 隆一君、登壇〕(拍手)

○林 隆一君 日本維新の会の林隆一でございます。

 IRといえば維新、維新といえばIR、林といえば維新、維新といえば林という立場ではございますが、私は、和歌山IRに関しては県民目線に立って判断したいと思っております。

 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、議案第75号について質疑させていただきます。

 私は、昨年10月から、計4回にわたり開催されましたIR対策特別委員会に委員外議員として参加するとともに、本会議での一般質問などの機会を通じて、これまでIR誘致に係る疑問点や問題と考える事項について質問を重ねてまいりました。いよいよ今臨時会において、国へ提出する区域整備計画が示されましたので、これまでの経緯も含め、私が疑問に思う以下の3点について質疑させていただきます。

 まず、1点目としまして、今回の区域整備計画における資金計画についてです。

 和歌山IRの建設等に係る初期投資額は4700億円に及ぶ大規模なものですが、そのうち、中核株主であるクレアベストニームベンチャーズ株式会社は、投資額の27.5%に当たる約400億円を出資するとされております。

 皆様にお配りしております資料を見ていただきますと、中国の国務院弁公庁は、国家発展改革委員会、商務部、中国人民銀行、外交部の4部門が制定した「対外投資の方向性のさらなる誘導・規範化に関する指導意見」を2017年8月18日付で各省政府、国務院関連部門、各直属機関に対して通知し、確実に執行するように求めているとされております。

 そこで、質疑いたします。

 このような通達が出されている状況下において、クレアベストニームベンチャーズ株式会社の出資の蓋然性について、県としてどのように確認されていますか、お答えください。

 2点目は、事業不振による撤退や倒産時の備えについてです。

 新型コロナウイルス感染症が世界中で広まり、約2年が経過しました。しかし、いまだ地域によってはロックダウンの措置が取られるなど厳しい状況が続いており、本県においても、いまだ連日200人、300人という感染者が日々出ている状況でございます。このような新型コロナウイルス感染症の現状を踏まえますと、今後海外からのインバウンドがどこまで回復し、和歌山IR開業時に見込みどおりの集客が実現できるか、見通しが非常に困難な状況ではないかと思います。

 加えて、中国においては刑法賭博開設罪が改正され、中華人民共和国国民を海外の賭博に参加するよう組織し、金額が巨大である、またはその他重大な事情が認められるものについて規制の対象とされ、2021年11月にはロシア・ウラジオストクの賭博ツアー運営組織が中国当局に摘発され、100人を超える逮捕者が出るなど、本来、和歌山で客層として見込んでいた中国の富裕層のカジノ施設への集客が見込めないなどの点は、今後、和歌山のみならず、日本のIRにとって大きな課題の一つと言えるのではないでしょうか。

 そこで質疑いたします。

 これらの現状を踏まえ、あくまで一つの仮定ですが、和歌山IR開業後、事業不振などにより事業者が撤退せざるを得ない状況になり、施設の撤去義務が生じたにもかかわらず、事業者がその撤去に応じないケースが生じた場合、撤去義務を担保するために積立金等を準備されているのではないでしょうか。また、仮に事業者が倒産した場合においても、その積立金等は給与の未払いやその他の債権者に優先して確保できるものでしょうか。

 最後、3点目の質疑に移ります。

 今回、区域整備計画における資金計画を見ますと、借入れとして3250億円を調達するとされており、説明によれば、主幹事行であるクレディ・スイスからハイリーコンフィデントレターが提出されているとお聞きしております。

 私は、IRのような大規模な事業開発に際して、国は資金調達の確実性を裏づける客観的な資料として、法的拘束力のあるコミットメントレターの提出を必須としていると考えますが、県当局の見解についてお示しください。

 以上3点につき、IR担当理事、お答えください。

○議長(森 礼子君) ただいまの林隆一君の質問に対する答弁を求めます。

 理事田嶋久嗣君。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○理事(田嶋久嗣君) まず、中核株主であるクレアベストニームベンチャーズ株式会社の出資の蓋然性についてですが、クレアベストニームベンチャーズ株式会社の資金力を証明する資料として、区域整備計画にも簡単に記載しておりますが、ニューヨーク証券取引所等で上場している事業会社7社の創設者が参画する投資事業組合から、クレアベストニームベンチャーズ株式会社に対して、計画上の出資予定額である約400億円を上回る4億米ドルを出資する旨記載したLOIが提出されており、県もその内容を確認済みです。

 次に、事業不振による撤退や倒産時の備えについてですが、県は、国から区域認定を受けた後、事業者との間で、適正な業務の確保やリスク分担など両者の責任と権利義務を規定する実施協定を締結することになっています。実施協定では、和歌山IRの履行を保証するため、履行保証金を県に差し入れることを規定する予定です。

 議員御質問の事業不振等により事業を放棄するなどの事業者帰責事由により和歌山IRから撤退する場合は、県は実施協定に基づき違約金を請求するとともに、売却できなかった施設については撤去することを義務づけることとしています。

 基本的には、中核株主でありますクレアベストグループインコーポレーテッドやシーザーズエンターテインメントは、世界でIR事業を展開している事業者であり、自分たちの評判を落とさないためにも、撤去義務を果たさずに撤退することはないと考えています。万が一、事業者が撤去義務を果たさず撤退し、県が撤去の必要性があると判断した場合には、県に施設撤去義務はございませんが、撤去費用に違約金や履行保証金を充当することができる仕組みとなっております。

 以上は、撤去の必要性が生じる場合ですが、万一、今の事業者が事業の途中で撤退したとしても、耐震性が高く、立派な建物ができていれば、新たな事業者により事業が承継され、既存の建物を活用して新たな観光ビジネスが展開されるということが考えられます。

 また、倒産した場合に履行保証金を他の債権者に優先して確保できるのかについてでございます。

 IR事業者の履行保証金返還請求権は、破産管財人が管理する破産財団に帰属することになりますが、当該債権は、実施協定において定められている範囲で発生することになります。実施協定では、IR事業者に県に対する違約金支払い義務がある場合に、県が履行保証金から、これを控除した上で返還することを規定する予定ですので、他の債権者に優先して確保することが可能であると考えております。

 最後に、コミットメントレターの提出についてですが、IR整備法上、区域整備計画には、国土交通大臣が告示で定める書類を添付しなければならないと規定されており、告示では、資金調達の確実性を裏づける客観的な資料を添付することが求められています。

 では、資金調達の確実性を裏づける客観的な資料とは何かということに関して、観光庁が昨年7月に示した「特定複合観光施設区域整備計画に係る認定申請の手引き」で「コミットメントレター等の書類」と補足説明されているところです。「コミットメントレター等」の「等」がどのような書類を指すのかは明らかにされていませんが、区域整備計画にコミットメントレターの添付が必須とされているわけではございません。融資の実行が確実と見込まれるかどうかが審査されることになると思っております。もっとも、それはコミットメントレターの場合も同様で、出されているからいいというわけではないと思います。

 クレアベストから提出を受けたハイリーコンフィデントレターは、これまで世界の数多くのIR開発において、ライセンス申請時点における資金調達の確信性が非常に高い場合にのみ交付されるレターとして認められてきた実績がございます。ハイリーコンフィデントレターの発出元であるクレディ・スイスは、世界50か国以上で業務を展開し、スイスやニューヨーク市場に上場している世界的な企業として信用力が高いこともあり、これまでもこの方式で多くのプロジェクトを支えてきたということは、IR対策特別委員会でも御説明したところです。事実、今回もこのレターを通じて出資、融資を表明する企業が続々と現れております。

 仮に、海外のIR事業で一般的なハイリーコンフィデントレター方式では認められないとなりますと、IR事業の実績がある海外企業を中心としたプロジェクトの組成は不可能となると思っております。

 国においては、資料の種別により、形式的に判断されるのではなく、その中身において、審査されるものと認識しており、実際にその効果を発揮している今回のクレディ・スイスのハイリーコンフィデントレターは、資金調達の確実性を裏づける客観的な資料として評価されるものと考えております。

○議長(森 礼子君) 答弁漏れはありませんか。

  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕

○議長(森 礼子君) 再質問を許します。

 林 隆一君。

  〔林 隆一君、登壇〕

○林 隆一君 私は、資金等調達の蓋然性を判断する上では、金融機関が提出した書面が法的拘束力を有するのか、書面を提出した金融機関において機関決定がなされているのか、詳細な融資条件が検討されているのかといった点が重要であると考えております。特に、このような大規模な開発事業に際しては、こういった資金面での蓋然性を慎重に確認することが必要です。

 知事の先日の発表後、新生銀行から「和歌山県が和歌山市内で建設を計画するカジノを中核としたIRの資金調達に当たり、当行が借入金融機関の一つに加わる、という報道がされておりますが、当行が借入金融機関に加わることに関して、決定した事実はございません」と知事の発表を否定されました。そうなると、ほかの融資先等も疑わしいものでございます。議会はもちろんのこと、県民に対して、信用を失墜させるような行為であります。

 知事は、事業者のことを一方的に信用したのか、なぜ調査させなかったのか、私には分かりませんが、県民を納得させる説明はできておりません。

 いずれにしても、最高責任者である知事には、当然責任があると思います。どう責任を取るのか、お答えください。

○議長(森 礼子君) 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 新生銀行の件に関しましては、事業者側から、これはハイリーコンフィデントレターの下で融資をする意向があるというふうにお聞きして、しかも、その名前は出してくれということであったので、そのとおりさせていただいたんですが、恐らく今から考えますと、ハイリーコンフィデントレターを発出する人については我々見ておりますから、権限のある人がやったと思いますが、実際の融資までの間には機関決定とかそういうのがたくさんある、その手続がまだ終わっていなかったんだろうと思います。

 新生銀行が全くフェイクであるということにはならないのですけれども、おっしゃるように、やっぱり機関決定をできるだけきちんとしてもらって、確実なようになっていくような形で国に御説明をする、できるだけそれをやっていくということは必要なことだと考えております。

 そういうことも含めまして、このプロジェクトの遂行については、全て私が責任を持って、やっていきたいと考えておりますので、皆様方におかれましては、ぜひ御議決くださいますようにお願い申し上げます。

  (発言する者あり)

○議長(森 礼子君) 答弁漏れはありませんか。

  (「新生銀行に確認せなあかんねんな」と呼ぶ者あり)

○議長(森 礼子君) 再々質問を許します。

 林 隆一君。

  〔林 隆一君、登壇〕

○林 隆一君 これ本当、新生銀行に限らず、先ほど私が言うたように、全部、本当に確認しなきゃならないというような事態に発展する可能性もあると思っております。詳細については守秘義務がある云々と理事が言われていましたが、我々は審査機関なんですよ。審査機関にこれはいかなるもんだということを確認させなければ、審査の対象にならないわけなんです。これは守秘義務がある、それは審査機関に──我々は審査機関なんですね、まず。ちゃんとした書類を、詳細をちゃんと言ってくれない限り、表してくれない限り、示してくれない限り、これについては賛同しろと言われてもどうかなというふうに思っております。

 これからIR対策特別委員会がありますので、それには私も参加させていただきまして、判断させていただきたいと思っておりますので、少しでも多くの資料を、詳細を報告していただきたいと、そういうふうに思っております。

 私からは以上でございます。御清聴いただき、ありがとうございました。(拍手)

○議長(森 礼子君) 以上で、林隆一君の質疑が終了いたしました。

 お諮りいたします。質疑は以上で終結することに御異議ございませんか。

  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(森 礼子君) 御異議なしと認めます。よって、質疑は以上で終結いたします。

 次に日程第2、議案等の付託について申し上げます。

 お諮りいたします。お手元に配付しております議案付託表のとおり、議案第75号はIR対策特別委員会に付託いたしたいと思います。これに御異議ございませんか。

  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(森 礼子君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。

 次に、お手元に配付しております議案付託表のとおり、知事専決処分報告報第3号及び報第4号は、所管の常任委員会に付託いたします。

 お諮りいたします。4月19日は委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。

  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(森 礼子君) 御異議なしと認めます。よって、4月19日は休会とすることに決定いたしました。

 次会は、4月20日定刻より会議を開きます。

 本日は、これをもって散会いたします。

  午前11時45分散会

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