令和4年2月 和歌山県議会定例会会議録 第7号(全文)


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令和4年2月 和歌山県議会定例会会議録 第7号

議事日程 第7号

 令和4年3月10日(木曜日)

 午前10時開議

 第1 議案第1号から議案第17号まで、議案第34号から議案第42号まで、議案第44号から議案第61号まで及び議案第63号から議案第73号まで並びに報第1号及び報第2号(質疑)

 第2 一般質問

 第3 議案の付託

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会議に付した事件

 第1 議案第1号から議案第17号まで、議案第34号から議案第42号まで、議案第44号から議案第61号まで及び議案第63号から議案第73号まで並びに報第1号及び報第2号(質疑)

 第2 一般質問

 第3 議案の付託

 第4 休会決定の件

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出席議員(41人)

 1番 鈴木德久

 2番 山家敏宏

 3番 中本浩精

 4番 堀 龍雄

 5番 藤山将材

 7番 井出益弘

 8番 宇治田栄蔵

 9番 北山慎一

 10番 玄素彰人

 11番 中西峰雄

 12番 秋月史成

 13番 森 礼子

 14番 濱口太史

 15番 尾崎要二

 16番 冨安民浩

 17番 川畑哲哉

 18番 玉木久登

 19番 鈴木太雄

 20番 岩田弘彦

 21番 吉井和視

 22番 谷 洋一

 23番 佐藤武治

 24番 岩井弘次

 25番 中 拓哉

 26番 多田純一

 27番 新島 雄

 28番 山下直也

 29番 中西 徹

 30番 谷口和樹

 31番 藤本眞利子

 32番 浦口高典

 33番 山田正彦

 34番 坂本 登

 35番 林 隆一

 36番 楠本文郎

 37番 高田由一

 38番 杉山俊雄

 39番 片桐章浩

 40番 奥村規子

 41番 尾﨑太郎

 42番 長坂隆司

欠席議員(なし)

〔備考〕

 6番 欠員

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説明のため出席した者

 知事         仁坂吉伸

 副知事        下 宏

 理事         田嶋久嗣

 知事室長       赤坂武彦

 危機管理監      細川一也

 総務部長       吉村 顕

 企画部長       横山達伸

 環境生活部長     生駒 享

 福祉保健部長     志場紀之

 商工観光労働部長   寺本雅哉

 農林水産部長     岩本和也

 県土整備部長     安部勝也

 会計管理者      真田 昭

 教育長        宮﨑 泉

 公安委員会委員長   竹田純久

 警察本部長      遠藤 剛

 人事委員会委員長   平田健正

 代表監査委員     森田康友

 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫

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職務のため出席した事務局職員

 事務局長       出津野孝昭

 次長         中井 寛

 議事課長       山田修平

 議事課副課長     岩井紀生

 議事課課長補佐兼議事班長

            岩﨑 亮

 議事課主任      伊賀顕正

 議事課主査      菅野清久

 議事課主事      松本 悠

 総務課長       須田剛司

 政策調査課長     神川充夫

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  午前10時0分開議

○議長(森 礼子君) これより本日の会議を開きます。

 日程第1、議案第1号から議案第17号まで、議案第34号から議案第42号まで、議案第44号から議案第61号まで及び議案第63号から議案第73号まで並びに報第1号及び報第2号を一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、併せて日程第2、一般質問を行います。

 25番中 拓哉君。

  〔中 拓哉君、登壇〕(拍手)

○中 拓哉君 おはようございます。

 皆さんも、連日のロシアとウクライナの戦争で心を痛めていることかと思います。若い兵士の姿を見れば、「君死にたまふことなかれ」、与謝野晶子を思いますし、防空ごうで出産しているシーンを見れば、「生ましめんかな」、この詩を思います。あるいは、外交交渉を見れば、宮沢賢治の「雨ニモマケズ」、そういう詩がリフレインされるんですけども、一刻も早いウクライナの平和を祈りつつ、「雨ニモマケズ」も最後は「南無妙法蓮華経」などと終わるんです。そういう朝夕の私自身も勤行する中で平和を祈ってきた、あるいは祈っていきたい、さように思っております。

 それでは、議長のお許しをいただきましたんで、令和4年度の新年度予算あるいは条例等について一般質問したいと思います。

 令和4年の当初予算や条例を審査する本会議質疑、一般質問も最終日となりました。いつもは本会議の初日を希望して質問に登壇するんですが、その都度、追加議案の提案があり、質問通告が登壇2日前のルールのため、追加議案に対する質問権が縛られてしまう、この現実に議会運営委員会の席でその矛盾を改めようと主張してきましたところ、ベテラン議員から、初日の質問を改めて、追加提案を見越した日程にすればとのアドバイスがございました。

 今議会でも、2月15日の議会運営委員会に予算の概要や上程される条例案が提示されました後に、招集日初日に、22日に、案の定、補正予算の追加提案がございました。内容は、まん延防止等重点措置の延長に伴う協力金などの増額であり、その増額財源は、企業立地促進対策助成19億6030万5000円を2億4980万5000円に減額することで帳尻を合わそうとする追加提案でございます。17億1050万円の捻出は、産業開発基金への積立ての減額であります。

 なるほど、このようなテクニックがあるのかと感心するとともに、さすれば、中期行財政経営プランの守り手のごとく示される財政調整基金や県債管理基金とは別に、25個にも及ぶ基金の残高には、今回の産業開発基金のような融通の利く財源があるということがおぼろげながら分かりました。

 「なかなか頑張る中拓哉」、12月議会に続く43回目の登壇でございます。有権者から託された質問権、有益に行使してまいりますので、当局におかれましても的確な答弁をお願いします。

 まず初めに、去る1月25日、突然発表されたENEOS和歌山製油所の機能停止についてお尋ねします。

 昨日も玉木議員からの質問がございましたので、重複を避けてお尋ねしたいと思います。

 顧みれば、丸善石油の下津製油所が閉鎖され、高田機工が跡地に操業しております。海南市の富士興産も変遷を遂げながら、海南石油精製からENEOS和歌山石油精製株式会社と商号変更がありました。

 関西電力の海南火力発電所も撤退を決め、2本の煙突もなくなりまして、景色がすっかり変わりました。跡地の一部には、竹島鉄工建設株式会社さんが進出とのことでございます。

 前にも聞きましたけど、この和歌山市の住金さんも新日鐵住金となり、今は日本製鉄和歌山製鉄所として、第一高炉を休止しました。

 令和2年3月3日の一般質問でこのことをただしたところ、当局からは、「雇用については、県内企業が受皿となるように取り組み、ITやロケットの先端産業の誘致や県内企業の技術革新を図り、新たな産業を興していく」との答弁でございました。

 仁坂知事就任の下、ここ16年ですかね、企業誘致にお取組いただき、相応の成果を上げておりますこと、非常にうれしく思います。こうやってこつこつこつこつ会社の企業誘致を実現して、従業員さんを和歌山で雇ってもらうと。そうやって県勢浮揚に取り組んできている一方で、どさっと大企業が撤退して抜けていきますね。そうした中、今回のENEOSの決定でございます。

 知事の当初の発言では、憤りをあらわにして本社にどなり込み、大田社長をどやしつけるがごとき勇ましさでした。ところが、26日の本社での会談を終えると、方針撤回を迫るとした前日の勇ましさはどこへやら、オオカミの遠ぼえはやめて、雇用の維持を要請したという記者発表でございました。

 エクソンモービル傘下でエネルギー供給構造高度化法の施行時、閉鎖が検討されたものの、東日本大震災のガソリンの特需で沙汰やみになり、事なきを得ました。

 当時のことに、仁坂知事はむちゃくちゃ暴れて、外資のエクソンですら分かってくれたと自慢なさっておりますのに、今回は至って紳士的な対応のようでございます。

 今は亡き江上柳助先輩の岳父が東燃のOBでしたし、ENEOSに勤務する私の友人も多くおります。つい最近のことに、家を新築した社員さんもいるやに仄聞いたしました。

 来年10月の機能停止後の従業員さんや協力会社の社員さんの雇用を守るにはどのような方策をお取りになりますか。和歌山製油所エリアの今後の在り方に関する検討会における成果はいつお示しいただけるんでしょうか、お答え願います。

○議長(森 礼子君) ただいまの中拓哉君の質問に対する答弁を求めます。

 商工観光労働部長寺本雅哉君。

  〔寺本雅哉君、登壇〕

○商工観光労働部長(寺本雅哉君) 和歌山製油所における今後の雇用の確保や同製油所エリアで実施する新事業等について議論を進めるため、2月25日に第1回目の和歌山製油所エリアの今後の在り方に関する検討会が開催されました。

 検討会には、ENEOS株式会社の佐藤総務部長、望月有田市長、神出海南市長、国からは、定光資源エネルギー庁資源・燃料部長及び伊吹近畿経済産業局長が出席され、県からは、私、商工観光労働部長が出席いたしました。

 冒頭、主催者としてENEOSからの検討会の開催スケジュール案等が示されましたが、県及び市からは、スピード感を持った対応と、検討会の開催頻度を上げるよう意見を申し上げたところです。

 次に、和歌山製油所で新たに進める事業について、ENEOSから専属チームを構成して検討を進めているとの報告があり、バイオマス発電、摘果ミカンを使用したバイオエタノールの製造や森林資源の活用などの例示がありました。県からは、ENEOSが考えている未来志向の新事業を和歌山で実施するとともに、新事業が始まるまでの間も含め、しっかり雇用を継続してほしいと併せて申し上げました。

 今後は、実務者レベルの会議において具体的な議論が開始されますが、雇用の確保はもちろんのこと、ENEOSが脱炭素時代におけるアジアを代表するエネルギー・素材企業を目指し、推進する事業の構造転換を和歌山でも担えるよう、県としても積極的に意見を申し上げてまいります。

 また、検討会の具体的な議論はこれから始まるところであり、少しでも早く成果に結びつくよう、県としてもスピード感を持って対応し、検討会における議論が加速するよう取り組んでまいります。

○議長(森 礼子君) 中 拓哉君。

  〔中 拓哉君、登壇〕

○中 拓哉君 御答弁ありがとうございました。

 来年の10月には閉まるということなんで、やっぱり一日も早くこうやでと。素材産業と言うてくれていますけども、安心できるような方針をぜひともお願い申し上げます。

 次に、COVID-19・新型コロナウイルスの感染症対策について伺います。

 2年前の2月定例会のこの本会議の主なテーマが、始まったばかりのコロナ対策でございまして、急に安倍さんが学校一斉休校とか言い出しました。

 九度山町の岡本町長は、休校にしないと英断を発揮しました。

 じ来、議会のたびに補正予算で感染症対策の強化や関連業種への支援が繰り返し実施されてきました。

 今回、第6波の今次の感染拡大の対策が講じられるに先立ちまして、公明党県議団3名で、去る2月17日に仁坂知事にお時間取ってもらいまして、ワクチン3回目接種の集団・職域の迅速化、5歳から11歳の小児接種の円滑化、交差接種の効果、副反応などの周知徹底を要望いたしました。

 3月4日に私もやっと3回目の接種を受けました。2回目の接種の折には38度9分の高熱にうなされ、もう二度と打つまいと思いましたが、接種券が届くと、やっぱり打っとこかあと思いまして、申し込みました。

 予約の取れた日にIRの特別委員会が夕刻までかかってしまったんで、最初の申し込んだ日は駄目だったんですが、1か月ほど遅れましたけど、ようやく接種してもらいました。案の定、熱は出たものの、高熱とまではいかず、倦怠感や脱力感、関節の痛み等で済みました。

 この3回目の接種については岸田首相の方針変更で二転三転しまして大変混乱しましたけども、本県の状況をお示しください。

○議長(森 礼子君) 福祉保健部長志場紀之君。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 和歌山県における追加接種の状況につきましては、度重なる国の方針転換により、追加接種の段取りが二転三転したところですが、県内市町村の努力や医療機関の協力もあり、1・2回目接種時と同規模の接種体制が構築され、その結果、令和4年3月7日時点で、全国平均の接種率が25.8%に対して本県は31.0%と、全国と比較して速いペースで接種が進んでいるところです。

 今後、昨年8月以降に2回目接種を終えられた高齢者以外の方を中心とした追加接種が順次行われていきますので、引き続き、ワクチンの種別にかかわらず接種が円滑に進められるよう、交互接種の有効性や安全性に係る情報発信を行っていくとともに、3月28日から開始する県庁を含め職域接種を各企業で実施していただくことなどにより、市町村や医療機関と協力しながら追加接種に取り組んでまいります。

○議長(森 礼子君) 中 拓哉君。

  〔中 拓哉君、登壇〕

○中 拓哉君 よろしくお願いします。

 ただ、県庁の職員さんでも60人を超えてかかっているということですから、県庁の集団接種なんかももうちょっと早めにならんもんかなあというようなことも思います。よろしくお願い申し上げます。

 また、5歳から11歳の子供へのワクチン接種では、学校での集団接種は行わず、地域の小児科での実施、または法律が予定している努力義務を課さないようです。いろいろ報道等もあり、皆さん心配しています。本県での対応策をお示し願います。

○議長(森 礼子君) 福祉保健部長。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 5歳以上11歳以下の小児へのワクチン接種についてですが、オミクロン株が流行する前の臨床試験の結果、ワクチン接種により発症予防効果が90.7%であることが示されていること、現時点で安全性に重大な懸念が認められていないことなどを踏まえ、国において実施することが決定されたところです。

 県内のワクチン供給状況ですが、2月末から4月末までに対象者の約8割分が供給されることとなっており、早い市町村では3月上旬から接種が始まっております。

 接種方法としては、副反応が生じた場合に適切な初期対応が行える小児科医による個別接種等での実施を予定しております。

 なお、学校での集団接種については、同調圧力を生みがちであり、接種後の体調不良に対するきめ細やかな対応が難しいため、国から推奨しないとした通知があること、小児への接種は努力義務も課されていないことなどから、現時点での実施は考えられていないところです。

 県としましては、本人や保護者の方が発症予防効果や重症予防効果といったメリットと接種時の副反応等のデメリットなどを比較考量し、接種を判断できる正確な情報を適宜提供していくとともに、接種を希望する方がスムーズに接種できる環境づくりを市町村や医療機関と協力しながら進めてまいります。

○議長(森 礼子君) 中 拓哉君。

  〔中 拓哉君、登壇〕

○中 拓哉君 ありがとうございます。

 それで、保護者の方は結局どうしたらええんやろうなとなるんですね。自分で決めなよということですけども、なるべく心配のないように進めていけたらなあと思いますので、よろしくお願いします。

 次に、知事の予算議案の提案理由の説明にもありましたように、新政策の解説書や予算の概要をまとめてくれて、非常に私ら参考にしている、いわゆる黄本、イエローブックですね、このトップの記載にも、DX和歌山、デジタルトランスフォーメーションと読むそうですけども、こういう表記があります。また、DXの推進にはリスキリングが不可欠とのことですが、県の政策には、このリスキリングの展望が見当たりません。

 県の施策の説明のあちこちに、IT、ICT、IoT、スマート、デジタル、プラットフォーム、アドボケイト、フェーズ2、ナッジ理論、ポータルアプリ、エトセトラエトセトラ、新政策には非日本語が満ち満ちております。

 控室に来る職員さんに片っ端から「DXって何よ」と聞くんですけど、明確に答えている方には出会えません。「マツコ・デラックスなら知っているよ」という、そういう職員さんもいらっしゃいました。

 DX、トランスフォーメーション和歌山、分かるように説明してください。

○議長(森 礼子君) 企画部長横山達伸君。

  〔横山達伸君、登壇〕

○企画部長(横山達伸君) デジタルトランスフォーメーション、いわゆるDXとは、デジタル技術によりまして社会や生活をよい方向に変化させることでございます。

 行政の分野について申し上げますと、デジタル技術の導入に合わせて、制度や政策、さらには組織の在り方そのものを変革させ、より質の高い行政サービスを提供していくことであり、ビジネスにおいては、デジタル技術を活用して製品やサービス、ビジネスモデル、企業風土等を変革し、競争力を高めることと言えます。

 もう少し具体的に申し上げますと、具体的な例といたしましては、行政分野では、県や市町村の行政手続をオンライン化することによりまして、県民の皆様が窓口に出向くことなく簡単に手続ができるようになります。教育では、タブレット等のモバイル端末を有効に活用することで、コロナ禍等で臨時の休校時でも遠隔授業を行うなど、質の高い学びを提供することも可能となってまいります。また、産業分野では、製造設備の遠隔操作やデータ監視を行うことで、人員配置を減らしつつ、設備稼働状況を最適化して生産性を向上させるほか、観光や交通の分野では、電車、バスや観光施設の予約から利用までをスマートフォン一つで可能とするなど、新たなビジネスモデルを展開することで競争力を高めることもできます。

 このような社会生活や経済活動におけるDXが世界規模で進展する中、本県においても、この流れに遅れることなく対応して、社会全体の変革を促すことで、より暮らしやすい地域づくりや次代を担う人材の育成、産業競争力の強化を図っていくことが必要であると考えております。そのため、令和4年度新政策において、産業・地域社会、行政、教育はじめあらゆる分野でDXを推進してまいります。

 議員御指摘のとおり、DX推進のためにはデジタル化やDXを担う人材を育成することが重要となります。そのため、新政策といたしまして、県内企業を対象にデジタル技術や経営変革手法の習得に向けたDX推進講習を実施するほか、デジタル技術に関する職業訓練など、DX推進に不可欠な人材の育成もしっかりと行ってまいります。

○議長(森 礼子君) 中 拓哉君。

  〔中 拓哉君、登壇〕

○中 拓哉君 ありがとうございます。

 人材育成やら競争力の強化やら、要するに、デジタル化が進みましたら、そういうことができるというんですね。もうデジタル化でいいじゃないですか。何でトランスフォーメーションみたいなことをわざわざ言うて、訳が分からんことするのですかというのが私の疑問でございました。

 同じく県の新政策の参考資料に、これもまた参考資料と新政策資料とあって分かりにくいんですけども、わかやま移住定住総合戦略の解説資料には、「New Work×Life Style」と。「×」入っているんですね。ところが「×」は読まないというんですね。そんな解説でございました。何でわざわざこんなこと喜んで書くんよと思うんですけどね。

 中身はいいんですよ。県の移住相談、現地案内、空き家相談、この三つの窓口を統合して空き家バンク情報と民間物件情報を表示したり、空き家購入時の住宅検査の費用を補助したり、空き家の改修・お片付け補助金など、空き家関連施策の解説が移住定住総合戦略にはふんだんにございます。

 一方、同じ資料の「魅力的な景観まちづくりの推進」とする解説のページには、県土整備部建築住宅課、都市政策課、ここからですね、企画部地域政策課が担当して、空き家対策の推進との記載がさらりとあるのみで、より詳細な空き家対策を講じている、先ほど申し上げました企画部移住定住推進課が担当部署となるような記載がそこにはないんです。何でこんなことが起こるんですか、お答えください。

○議長(森 礼子君) 企画部長。

  〔横山達伸君、登壇〕

○企画部長(横山達伸君) 令和4年度新政策事業の魅力的な景観まちづくりの推進につきましては、県の振興局にまちづくり推進ワーキンググループを設置いたしまして、市町村と一緒になって景観の保全等を推進する重点エリアの検討や、廃墟等撤去が必要な物件のリストアップ、撤去後跡地の利活用などについて検討することとしております。

 一方で、わかやま移住定住総合戦略においては、移住希望者の方に対して空き家の情報提供を円滑に行うことで売買や賃貸につなげ、移住を促進することを目的としているところでございます。

 新政策の資料については、魅力的な景観まちづくりの推進、あるいは移住促進というそれぞれの事業目的を明確にするため、個別の記載としております。

 住居は所有者が使わなくなった場合、売却あるいは賃貸により他の方が使用することが望ましく、そのことにより、建物が支障状態となるのを未然に防ぐことにつながるものと考えております。

 議員の御指摘も踏まえ、空き家対策と魅力的な景観まちづくりの効果的な実施に向けて、関係各課がより連携を密にして取り組んでまいります。

○議長(森 礼子君) 中 拓哉君。

  〔中 拓哉君、登壇〕

○中 拓哉君 今の答弁を示してくれて、ああそうかいと。魅力的なまちづくりは、要するに、空き家を片づけるために市町村と組んだり景観のことあるから書いたんやと。一方、移住定住のほうは、ある家に来てもらわんなんから、いろいろ用意しているんやと、こんな理解ですね。いずれにしても、でも空き家対策には違いないんで、重複してもええですから担当部署を書いておくほうが僕は分かりやすいんじゃないかな、かように注文しときます。

 そして、次にですけども、2年前のこの席で提案した税務署の跡地利用がこのほど整い、県税事務所や海草振興局、県警察本部の厚生課、生活環境課、教養課が移転し、住民の利便性も向上するものと慶賀に堪えません。空いた南館の5階は職員研修所として活用し、災害発生時には自衛隊などの活用を予定しているとのことです。

 そこで、しからば和歌浦にある職員研修所が不要となりますが、どうされますか。未利用のまま放置するのでしょうか、お答え願います。

○議長(森 礼子君) 総務部長吉村 顕君。

  〔吉村 顕君、登壇〕

○総務部長(吉村 顕君) 和歌山県職員研修所につきましては、和歌山県税事務所、海草振興局地域振興部及び農林水産振興部の第2南別館への移転後、南別館の改修工事を行い、令和4年度中に移転することとしております。

 現在の和歌山県職員研修所につきましては、昨年の秋に、令和5年度以降の利用希望について県庁各課室及び所在市町村であります和歌山市に対して調査を行いましたが、利用希望はなく、建物の老朽化も進んでいることから、建物の撤去に向けて取り組んでいきたいと考えております。

 和歌山県職員研修所が所在する地域は、文化財保護法に基づき名勝に指定されており、建物等を撤去する際には文化庁の許可が必要となってまいります。あわせて、都市計画法に基づく風致地区であり、建物の撤去に伴い立木を伐採する際には、和歌山市風致地区内における建築等の規制に関する条例に基づき、和歌山市への協議が必要となる場合もございます。このため、関係機関と調整しながら各種の手続を進めてまいります。

 建物撤去後の土地につきましては、公共的利用を優先し、利用予定がない場合には、一般競争入札により売却を進めてまいります。

○議長(森 礼子君) 中 拓哉君。

  〔中 拓哉君、登壇〕

○中 拓哉君 2年前にここで答弁してもうて、そういう計画もあると分かっているんですよ。それやのに、去年の秋に、「後、使えませんか」といろいろ聞いたというんでしょう。えらい遅ないですか。もう空いてくるのが分かっているのに、もっとさっさとしてほしいですよ。

 私、見てきました、職員研修所。見てきましたら、確かに職員研修なさるお部屋もありますけども、ほとんど倉庫でしたね。県土整備部さんの海草振興局が向こうへ移ったときのたくさんのファイルやら、あるいは薬務課さん関係、県の荷物がありました。驚いたことに、社会福祉協議会の荷物を預かっているんですね。災害ボランティアで、もしも和歌山で災害があったときに全国から来てくれると。そういうときに一輪車用意しとかなあかん、スコップ用意しとかなあかん、自転車用意しとかなあかん、こういうことで用意してくれています。私も災害ボランティアに登録していますし、それは非常にええことやと思います。

 しかし、県庁の建物に社会福祉協議会の荷物があるということがどうも解せんですね。やっぱり県の行政財産ですから、県庁の荷物を置くんならいいですよ、置きたいんなら社会福祉協議会の一輪車なりなんなり、そういった荷物を一旦県がもらって預かるというなら分かりますけど、社会福祉協議会のまんま、あそこに置いていて、この後どうすんのよということをやり取りしていたら、なかなか言ってくれなかったんですね。ほんで見に行ったら、ああなるほど、こういう荷物があるから言えないのかと、そんなことも思いました。

 ここ、どうですか。行政財産の目的外使用の一環やと思いますけども、こういうことがあるから遅れた。もっとさっさと片づけたらどうですか。

○議長(森 礼子君) 総務部長。

  〔吉村 顕君、登壇〕

○総務部長(吉村 顕君) 今、議員からは、行政財産の目的外使用について、それがあるから検討が遅れたのではないかという御指摘でございますが、そのようなことはないと考えております。

○議長(森 礼子君) 中 拓哉君。

  〔中 拓哉君、登壇〕

○中 拓哉君 別に悪いことしているわけじゃないんで、むきになって言うことないんですけども、社会福祉協議会の会長、誰ですか。仁坂さんなんですよ。申請が出されて「よっしゃ」と言うのは誰ですか。仁坂さんなんですよ。双方代理なんですよ。契約ならこんなのあかんですよ。

 そんなせっついたことを言うとどうかと思いますけども、一遍、総務部長も知事も忙しくてしょうがないか分かりませんけど、この庁舎だけでも北別館の地下ももう長いこと倉庫のまんまですわ。そうやってなかなか片づけをせんのですよ、役人はね。次の仕事をすることは一生懸命ですけど、終わった後、ちゃんと片づけていかんなんと、そういう思いがないもんですから、私、こんなこと言いました。やっぱり担当者がやりますと言っても、人事異動でそのうち替わりますからね。なかなか性根が入らんですよ。そういう点もあるということを申し上げて、次に移ります。

 何か反論したそうですけど、申し訳ないです。

 次に、令和3年4月に施行されている改正バリアフリー法に基づく本県公立小中学校のバリアフリーの整備状況をお示しするとともに、併せて今後の加速策についてお答えください。

○議長(森 礼子君) 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 県内の公立小中学校におけるバリアフリー化の状況につきましては、令和2年5月1日現在、車椅子使用者用トイレの設置においては78.4%、スロープの設置においては63.2%、エレベーターの設置においては17.2%となっています。

 エレベーターの設置につきましては、大規模な工事が必要となることから、校舎等の新設や大規模改修時に設置することが多くなっております。

 小中学校では、障害のある児童生徒の入学が決まった場合、保護者と必要な支援内容等を確認の上、スロープ、階段昇降機などの整備など、学校生活に支障のないように個別の対応を行っているところです。

 また、施設の整備状況に応じて、ホームルーム教室を移動の少ない場所に移すなどの対応をしている場合もあります。

 学校は、児童生徒の学びの場であると同時に、災害発生時には避難所となることから、県教育委員会といたしましても、市町村教育委員会に対し、あらゆる機会を捉え、活用できる国の補助金等の情報を積極的に提供するとともに、バリアフリー化の計画策定や取組を促してまいります。

○議長(森 礼子君) 中 拓哉君。

  〔中 拓哉君、登壇〕

○中 拓哉君 ありがとうございます。

 私もここで避難所としての学校の在り方というようなことも何回か、テレビを置いてくれとか、そんなことを申し上げたと思います。ほんまに学校の避難所として使われることは地域住民にとっては心強いことでございますので、バリアフリー化を進めてもらいたいし、やっぱり地元の学校で学びたいよというお子さんは、みんなと一緒に、友達と離れないで行きたいという気持ちもあるでしょうから、進めていただけたらと思います。

 次に、4月1日から改正民法が施行されまして、未成年者取消し権がなくなります新成人──18歳、19歳といった若者は、消費者被害に遭うことが非常に心配されていますので、その点についてお尋ねします。

 旧臘8日の12月議会では、インターネット取引の隆盛で電子商取引の被害が増加していることから、取引DPF法が整備されました、5月の施行です、相談体制の充実はどうですか、ここでたださせてもらいましたし、併せて、この時代ですから、それこそDX、トランスフォーメーションじゃありませんけども、電話や窓口相談に加えて、SNSを活用できる相談への準備も提案させてもらいました。

 今回は、この民法改正により、成年年齢が18歳に引き下げられることにより、契約行為が前提条件なしに成立してしまうことの心配でございます。社会経験の乏しい18歳、19歳の若者を狙い打ちにしようと、悪徳業者が虎視たんたんと身構えております。

 ネットでの通販利用がもう趨勢とする中で、残念ながら通信販売にはクーリングオフは適用できません。世間はインチキにあふれております。ネットでは、デマやフェイクが当たり前です。アフィリエイトのお試し無料に申し込んだつもりが有料だったり、無料のサブスクリプションが自動更新で有料になってしまっていたり、フィッシング詐欺、デート商法、就活商法など、危険が満ち満ちております。

 若年層への消費者被害防止の対策が急がれますので、その対策をお示しください。

○議長(森 礼子君) 環境生活部長生駒 享君。

  〔生駒 享君、登壇〕

○環境生活部長(生駒 享君) 民法改正による成年年齢の引下げにより、社会経験の乏しい若者を狙った悪質商法や、インターネット上の詐欺サイトなどによる消費者被害の増加が懸念されます。

 県では、これまで様々な広報媒体を通じて若者が消費者被害に遭わないよう注意を促すとともに、専門の講師を派遣するなど、学校における消費者教育についても力を入れてきました。

 昨年12月には、成年年齢引下げに伴う被害防止策をさらに充実させるため、若者が巻き込まれやすい消費者トラブルへの備えや相談窓口などを紹介する特設サイトをインターネット上に新たに開設いたしました。

 できるだけ多くの若者に視聴してもらえるよう、このサイトに簡単につながるQRコードを掲載した広報チラシを高校や大学をはじめ事業所などにも配布するとともに、高校生や大学生などの若者やその親世代が利用するSNSなどの画面に、特設サイトへのアクセスを促すウェブ広告を配信するなど、より効果的な啓発に取り組んでいるところです。

 引き続き、様々な工夫を凝らしながら、若者の消費者被害防止に努めてまいります。

○議長(森 礼子君) 中 拓哉君。

  〔中 拓哉君、登壇〕

○中 拓哉君 ありがとうございます。

 この流れで、教育長にも学校でのそういった消費者教育、金融政策、金融教育等聞こうと思ったんですけど、昨日も中西峰雄さんが丁寧に聞いてくれましたんで、そこは割愛しました。

 一方、また県が予算取ってやってくれました消費生活相談員養成研修に私も応募しまして、去年の冬、おかげで通ることができました。ありがとうございました。どうか皆さん、消費生活相談がありましたら、中拓哉に一遍聞いてください。そんなことでございます。でも、いいことやと思います。始まって30何人しか通っていないと言って、私が30何番目やと言ってくれたので、しっかり頑張らないと、かように思います。

 次に、RORO船についてお伺いします。

 毎年、年度末に開催されるポートセミナーを楽しみにしておりましたところ、1月24日にアバローム紀の国で行われましたポートセミナーには、大分県の関係者、あるいは国土交通省の方、あるいは大王海運の社長の話を伺い、2月10日、雨模様の中を万トンバースに寄港した大王海運の第五はる丸に乗船し、くまなく船内を見学いたしました。同僚の長坂議員もお越しでございました。

 平成5年の国会議員の政策担当秘書の国家資格の勉強でも、モーダルシフトという言葉を初めてそのときに知りまして、環境施策を学ぶたびに自動車のガソリン消費について思考を重ねてきました。どんどんテスラみたいな会社ができて、もう電気自動車に替わっていくんで、やっぱり時代やなとは思いました。また、セミナーではCO2の削減についての発表もありましたが、むしろトラック運転手の働き方改革、長距離トラックで長く拘束されるトラックの仕事ですけども、その問題が2024年に、もう一方的にちゃんとした労働者としてしていきなさいということで取り組まんなんそうです。そういう問題解決にもこのRORO船は貢献するということで興味を覚えました。

 行きますと、トレーラーの荷台部分のシャーシというんですけど、シャーシを160台一気に運ぶRORO船です。また、4層になっておりまして、一番下の層には乗用車も250台搭載できるそうで、現に大王海運は富士重工さん、SUBARUの乗用車を運んでいるとのことでございました。

 この4月には試験寄港してくれるとのことですが、定期便として定着するような誘導策は本県にございますでしょうか、お示しください。

○議長(森 礼子君) 県土整備部長安部勝也君。

  〔安部勝也君、登壇〕

○県土整備部長(安部勝也君) 和歌山下津港では、トラック運転手の確保が困難なこと、二酸化炭素削減のために陸上輸送から海上輸送へ転換が求められていることなどから、トレーラーやトラックの荷台のみを輸送する貨物船、いわゆるRORO船の定期航路のニーズが高まっています。

 県は、これまで複数の船会社に対し誘致活動を行ってきましたが、今般、愛媛県の大王海運株式会社と、4月以降、約1か月間、試験的に寄港することで合意したところです。愛媛県三島川之江港から千葉港に向かう航路の途中で、毎週土曜日に和歌山下津港に寄港する形になります。

 この試験的な寄港が定期航路として定着するためには、船会社が恒常的に利益を得ることができるよう、首都圏に海上輸送する一定量以上の貨物が定期的に必要になります。つきましては、現在、和歌山発の貨物のうち、首都圏まで陸上輸送している貨物や、堺泉北港等近隣の港から首都圏に海上輸送している貨物をターゲットに据えて、荷主に対して説明会や、大王海運と一緒になった個別営業活動等を積極的に展開しているところです。

○議長(森 礼子君) 中 拓哉君。

  〔中 拓哉君、登壇〕

○中 拓哉君 ありがとうございます。

 全然設備しなくていいんですね。ガントリークレーンのようなことを据えなくてもいいですし、南海フェリーのように着場の乗り口を造らなあかんとか、そんなことしなくてもいいんです。もうRORO船、自分で降ろしてくれて、道を造ってくれて、ひたすら航路の中、行ったり来たりするだけで、非常にいい方向だと思いますので、おっしゃるように、荷物出してくれるところ、どんどんつくったっていただけたらと思います。

 次に、こうやって県議会議員で質問する機会をいただきます。もう貴重な質問権でございます。ふだんはいろんな相談事を聞いて、担当の方にお話しして、進めてもらうということもあるんですけども、やはりここの本会議の議場で聞けることが県議会議員の権限として非常に大事なことやと思います。ですから、ここでいろんな議員さんも地元の問題を取り上げて、ただしていると思います。そうした中で、私も住民さんから相談を受けた件、この際、聞かせてもらいます。

 河川管理を地域の住民にお任せする仕組みとして、本県に河川敷の清掃などをしてくれたときに多少の援助をするスマイルリバー事業とかがあるやに聞きます。

 私の住む砂山地区には、有志がNPOバンマツリを結成し、砂山公園、端ノ丁公園、湊御殿公園、通称・ハス池公園と言いますが、あるいは最近できたきれいな砂山今福健康公園の花壇整備や清掃に取り組んでおられます。

 そうした活動の中で、築地川の堤防に生い茂る草や木を刈って遊歩道に整備しようと新たな取組を始めまして、私も時間があればお手伝いに行っております。元県土整備部長の野尻さんも来てくれています。

 ところが、築地川の水軒川合流地点付近に樹木が生い茂っており、チェーンソーで切るぐらいのような本格的な伐採の必要な区域があり、とても住民の手には負えないんです。何度か住民の方が海草振興局建設部に掛け合うも、なかなか進展しないそうです。地域住民のけなげな運動に御協力願えませんでしょうか。

 また、もう1点は、県が数年前に整備してくれたこの築地川の歩道なんですね。非常にきれいになって喜ばれております。川沿いの道で、何か本当に観光地に来たんかなと思わんでもないです。一度、この歩道で何メーターか何十メーターか途切れたまんま、次のところにまた整備されているということがあります。この切断された部分はいつ頃完成するのでしょうかという問いを住民からも受けますので、併せて見通しをお示しください。

○議長(森 礼子君) 県土整備部長。

  〔安部勝也君、登壇〕

○県土整備部長(安部勝也君) まず、樹木伐採につきましては、水軒川との合流点下流左岸約130メートル区間のうち、約90メートル区間については、今年1月に伐採が終わりました。残る約40メートル区間について、今年6月までに伐採する予定でございます。

 次に、歩道整備でございますけれども、平成21年より、大和橋上流左岸約400メートル区間の整備を進めてまいりましたが、そのうち約120メートル区間につきましては、川沿いの事業所から業務の支障になるという理由で了解が得られず、今に至っているところです。

 県といたしましては、地元の意向も踏まえつつ、当該事業者に対して了解を得られるよう、再度調整を進めてまいります。

○議長(森 礼子君) 中 拓哉君。

  〔中 拓哉君、登壇〕

○中 拓哉君 よろしくお願いします。

 21年からずっとほったらかしなんですよね、せっかくいいようにやってきていて。了解得られると言いますけども、護岸というか、その場所は県の土地じゃないですか。そこはちょっと積極的に進めてもらいたいですね。

 また、先ほどお願いしたところにも倉庫みたいなのが建ったまんま放置されているんですね。あれがなかったら、もっとすてきな花壇が造れるのにと、こういうことでございます。

 国体に向けて、仁坂知事の英断で、水軒の松林の中にいろんな不法占拠がございました。中にはちょっと怖い人もおったようでございますけども、そんなところを県の職員さんが片づけてくれて、非常に快適になりました。そのごとく、職員さんからしたら余計な仕事で、あんまり前を向いてしたいような仕事じゃないか分かりませんけども、やっぱり片づけていって、きっちり護岸は護岸の役割を果たし、その上を遊歩道できれいにするなら、またそれこそまちづくりにつながるかと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 それで、まだ幸い15分ほどありますね。いつも冒頭で仁坂知事とやり取りすると時間食われてしまって、後が大変なんで、今日は最後にお願いしました。

 インテグレーテッドリゾート、特定複合観光施設区域整備計画でございます。

 2月7日のIR対策特別委員会の翌日の記者会見で、記者さんが「昨日もめていましたよ」と。委員に渡す資料のうち、不公平な配付があったことについて聞かれた知事は、最初は「ノーコメント」と。「何でノーコメントですか」、「いやいや詳しい事情を知らんからノーコメントだ」と。そういう話の中で、担当者が「担当者自身の判断で、議員への折衝の強弱があっていい」と、このような発言がありました。とんでもないです。

 あのときの委員会のやり取りのことを申し上げますと、「まさに区域整備計画、これからの資金調達どうなるんですか」といって去年の特別委員会で、「いやいや、次に開くときはちゃんと示します」と言って終わったんです。1月の末までに開かれるのかいなと思ったら、なかなか開かんで、2月になったんです。ほんで、開いてくれるのかなと思って資料もうたら、さほど書いていないんです。私も、その資料をもらいましたから聞きましたよ。聞きましたけども、そのことの答えはありませんでした。

 ところが、委員会が始まったら、当局が作った資料で、クレアベストニームが27.5%、クレアベストグループインコーポレーテッドが27.5%、何と一番関心のあったシーザーズ・エンターテインメントが5%、そのほか少数株主で40%、これで4700億のうち30%は出資金として賄うんだと。中核株主の中にはLOIを提出してくれているとこもあると。あるいは、借入金の3300億については、クレディ・スイスという言葉は私らのとこにもありましたけども、ハイリー・コンフィデント・レターを提出していると。こういう表記が、ある議員が持っている資料には書いているんですね。私らのもらった資料にはないんですね。当然、その資料に基づいて議員は聞きますよ、当たり前ですよ。ところが、私ら、何を聞いているのよ、どうなっているのよ。こうやって委員会で混乱したから、ええかげんにせいと、どういうことだと、ある議員には配り、ある議員には配らんのかと、それはどういうことだということで紛糾したわけです。

 田嶋さんは、秋のところには、コミットメントレターがちゃんと来ますと、コミットメントレターをもって資金計画のことが示せますと言っていましたけど、そのことはまだ来てなくて、私らよう分からんハイリー・コンフィデント・レター提出と、こういうことやったんです。ふざけるなといって、ここで詰問しときます。

 そのことについて強弱があってええというようなことを言われたら、私ら、同じように県民から選ばれて議員になってやっているのに、とんでもないことやと思います。

 また、区域整備計画の提出に対して、あなたは、「クレアベストからこちらに任せろと言われたから、それにかけるしかない」と。あるいは、「もうこんなコロナのことで大変でギブアップしてしまうのではないかと心配していたけども、不安ながらクレアベストの可能性にかけるしかない」と。こういうふうな発言をしています。クレアベストのつくる区域整備計画にかけるとは一体どういうことなんでしょうか、御説明ください。

○議長(森 礼子君) 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 難詰されてしまいましたので、ちょっと元気をなくしておりますが、御答弁させていただきます。

 議員御発言のとおり、2月8日の定例記者会見で、記者から、「IR対策特別委員会では資金計画などが具体性に欠けるのではないかという指摘があったが、受け止めはいかがか」という質問を受けまして、私は二つの点でお答えしております。ちょっと何かいいかげんに考えているような雰囲気でお語りになりましたけど、それはちょっと違いますので、これから御説明申し上げます。

 まず、二つの要素がございます。一つは、「新型コロナウイルスや個々の国の政策などが響いて事業者がギブアップするのではないかと心配しておりました。最終的に頑張りますと言ってくれた」という旨を答えております。これは本当でございまして、新型コロナウイルスなどのマイナス要因があって、それで過去にもそういう市場の状況が変わったんで、もうやっぱりやめますというようなところが結構あったことも事実ですし、和歌山以外のところでもありました。したがって、どんどん事態がいいほうでないほうへ行っておりますので、大丈夫かなあというふうに思っておったにもかかわらず、本県にコミットしていただいたのは率直によかったというのが第一であります。

 そういう関係では、ほかの例も申し上げましたが、例えば大阪の案件なんかでは、何とそういうコロナの後で需要が見通せないときは撤退する権利を契約で明示しちゃったというようなこともあって、こういう情勢なんで、大阪のような例で言えば、そういう事態だったら、幾らやりますといってはっきり書いていても、「いや、コロナがはやっていますから、言ったことは全部なし」というふうに簡単に言えるわけで、それはちょっとどうかなと思うんですが、そういう情勢なもんですから、我々はそんなことはありませんのでほっとしておるというのが第一です。

 それから、第2は資金計画でございます。「IRというビジネスをやろうとするときは、世界でのやり方、日本のやり方などいろいろあるけれども、それが自分たちの考えているやり方と違うからといって、『全部合わせろ』と言ってもできないかもしれませんね」と。「クレアベスト側が真面目にやろうとしているのならば、ある程度、彼らのやり方も尊重して、可能性にかけて前に進めるしかない」というふうに申し上げたわけであります。

 IRが民間ビジネスであるからには、公共事業のように、こちらが全部決めるというわけにはいきません。まず十分な背面調査をいたしまして、これが適正な事業者かどうかというのと、真面目にやろうとしているのか、その能力はありそうかということを見極めた上で、民間事業者のやる気にかけて、IRの完成、そしてそれらによる和歌山復興を願うしかないというような趣旨で申し上げた次第であります。ということであります。

○議長(森 礼子君) 中 拓哉君。

  〔中 拓哉君、登壇〕

○中 拓哉君 そやからといって、日本の法律でやらんなんのですからね、日本の法律に基づいてせんなんのやから、それは合わせてもらわないとあきませんよ。また県と一緒になってやるんでしょう。一個降りて、クレアベストさんが残って、採点つけて交わしたと。交わした──知事とですよ、一緒にやりましょうかということ。ところが、その社長がその日に替わっているんですよ。こんなん、僕は分からんですよ。そこの幾ら外国スタイルやと言われても、さんざん話してきて、じゃあ一緒にやりましょうかと言うたら、カナダ人から台湾の人に替わっているんですよ。それだけでももう不思議ですわ。最初から、じゃあ、その人来いよと、こう思いますよね。

 あるいは、クレアベストがなかなかあかんので、シーザーズに助けてもらうと。シーザーズは専門なんでしょう。じゃ、シーザーズが最初から応募してくれたらいいのにと、素人ながら思いますよね。

 ですから、せめてそんな大事な相手やから、知事さんが、コロナやから会えないというのはあるか分かりませんけども、どんな人か分からんまんま、そんなとこと結ぶんかいなあと思います。また、去年の秋の委員会の中で、職員さんが議員さんと一緒にいろいろ大手を回ったと。そのことについて問題になったと。それはそれでクレアベストが一生懸命探さなあかん資金調達先ですけども、一緒になって探してあげるということも別に悪いとは思いませんよ。それを知事さんは、「いや、そんなことは向こうがやったらええんで、こっちがすべきじゃない」みたいなこと言うたら、職員さん、気の毒ですよ、一生懸命やっているのにね。そんなこと、片っ方で思いました。

 また、そういう合同のことで問題になったといって手紙が来たんですよ、エディ・ウーさんやらマリオ・ホーさん連名で。書いているのを見ていたら、訳分からんのですよ。「このたびは迷惑かけました。特定の議員と特別な関係があり、何か親交な関係がありまして、すみません」と言うから、また委員会で聞いたんですよ。そしたら梶さんは、「いやいや、別に具体的にないんやけど、謝っとかな悪いさかい書いた」と言うんですね。そんな訳が分からん風習、日本にはないですよ。事務所も行ったんですよ。閉まったままで誰もおらんのですよ。

 だから、幾ら外国方式でいいんだと言われても、そんなことは信用できますか。私、そこが非常に疑問で、ただしたいけども、エディ・ウーさんが委員会に来てくれるわけじゃないですしね。来てもらいたいですよ。英語はしゃべれませんし中国語もしゃべれませんけども、通訳入れながらでも聞いたことぐらいは聞けるやろうと。そこまでの丁寧さをもって今回の最後の採決に望みたいと思うんですけども、今申し上げたようなことで、いろいろあった上でのやり取りなんです。

 あなたは来ていないから知らんですわ。田嶋さんから聞いているのか知りませんけど、やっぱりそこはちゃんと自分が命運かけているんだと言うのなら、やっぱり丁寧に聞いてもらいたいな、かように思いますし、結論的には、マリーナシティをいつまでもほっとくわけにいかん、あるいは大企業がどんどん出ていく、起死回生の策やと言うあなたの主張も分からんではないです。しかし、「クレアベストがやっていることにかけていく」というふうなことを言われたら、94万、95万の県民のこの先を、幾ら賭場、ばくち、鉄火場を造るにしても、そこに「かける」というような表現は避けたほうがいいのと違いますか。どうでしょう。

○議長(森 礼子君) 知事。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 議員の御指摘は誠にごもっともというところが多々ございます。それを一々正当であるなあと、問題なしと言っているわけでは全然ありません。

 先ほど申し上げましたのは、資金計画の立て方の問題を一般的に申し上げたんで、それでもやっぱりみんなができるだけ理解できるように、具体的になるように一生懸命努力してほしいという話は私からも申し上げているわけでございます。それが第一。

 それから、第2は「かける」という言葉でございます。日本語は難しくて、かいへんに者と書く「賭ける」というのがございます。これは危険を冒してするとか賭け事をするということ。私もあんまり賭け事は好きじゃないもんですから、決してそんなことを言っているわけではございません。もう一つは、てへんに土二つ書いてトというのがある。これはいろんな意味がありますが、上に乗せるとか依存するとか乗っかるとか、そういうのがございまして、どちらかというと、そっちのほうの意味で申し上げた次第であります。

○議長(森 礼子君) 中 拓哉君。

  〔中 拓哉君、登壇〕

○中 拓哉君 発言には漢字の表記が分かりませんから、しゃあないです。議事録読んで、平仮名で書いていますから、どっちでも取れます。そこは議論の余地があると思います。

 ただ、何遍も申し上げたように、それだけ大事なことですから、丁寧に言ってほしいと。一方で、私、今回、情報公開で有識者会議のほうに申し込みました。そしたら検討してくれて、これは隠すこと違うなということで、別に申請した者だけじゃなしに、皆さんに言ってくれるそうです。知事がちょいちょい有識者会議でああ言われた、こう言われたと言われたら、言った中身を見んことには私ら判断できないですよ。ですから、どんどん情報公開してもらって、今、説明会もしていますけど、オープンな中で、最後に僕は住民投票でもしたらいいのになと思います。あるいは世論調査でもしたらいいのにと思います。しかし、最後は議決で県議会で決めるんだと言うなら、私もしっかり勉強して、最後、自分の権限を行使したいと思うことを申し上げて、私の一般質問とします。ありがとうございました。(拍手)

○議長(森 礼子君) 以上で、中拓哉君の質問が終了いたしました。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 30番谷口和樹君。

  〔谷口和樹君、登壇〕(拍手)

○谷口和樹君 皆さん、おはようございます。谷口和樹です。よろしくお願いいたします。

 皆様、連日のニュースなどでウクライナへのロシアの武力侵攻に心を痛めておられるかと思います。本当に決して許される行為ではないので、本当に悲惨な状況に一日も早いロシアの撤退と元の平和が取り戻せるように心よりお祈りをしながら質問に入りたいと思います。

 それでは、よろしくお願いします。

 1問目です。

 中学校における部活動の総合型地域スポーツクラブ等への移行について。

 移行の現状についてお聞きをいたします。

 令和5年春から、中学校の休日部活動が段階的に中学校から総合型地域スポーツクラブ等に移行する予定になっていますが、開始まであと1年という中で、準備時間が少ないということを危惧しています。万が一、受皿を整備できないことで、特に山間部の中学校で部活動が縮小したり、結果、なくなることになれば、子育て世代の転入が減り、過疎に拍車がかかることは容易に予測できますので、地域や集落を持続していく上で何とか避けなければならないと考えます。

 この中学校部活動を地域に移行する場合の受皿となる一つである総合型地域スポーツクラブとは、日常的に活動の拠点となる施設を中心に、会員である地域住民のニーズに応じた活動が質の高い指導者の下に行えるスポーツクラブであります。

 改めてその特徴を挙げると、以下のようになります。1、複数の種目が用意されている。2、地域住民の皆さんの誰もが集い、それぞれが年齢、興味・関心、体力、技術・技能レベルに応じて活動できる。3、活動拠点となるスポーツ施設を持ち、定期的、継続的なスポーツ活動を行うことができる。4、質の高い指導者がいて、個々のスポーツニーズに応じた指導が行われる。5、できれば文化的活動も準備されているであります。

 また、総合型地域スポーツクラブは、地域の皆さんが各地域でそれぞれ育み発展させていくもので、地域とは、一般的に拠点となる施設を中心として、会員が自転車等で無理なく日常的に集うことができる範囲になります。また、内輪で楽しむ私益ではなく、地域住民に開かれた公益を目指した自主運営、自主財源の非営利な組織になります。

 今回の中学校の部活動改革は、部活動の教育的意義を踏まえつつ、さらなる学校の働き方改革を実現するための取組の一環ですが、中学校の部活動の現状を申しますと、2021年の日本スポーツ協会の調査によると、スポーツ庁が2018年に示した週2日以上の休養日は、中学校は81%が遵守し、週当たり計11時間を遵守していたのは、中学校58%でありました。

 この中で、保健体育が担当でなく、かつ担当している運動部活動の競技経験がない教員は46%から27%に7年間で大幅に減少しました。

 ただ、17年度から、顧問がいなくても練習の指導や引率ができる部活動指導員制度が始まったが、学校外から任用する指導員を依頼していると答えたのは、中学校が9%のみということです。

 令和5年度以降は、休日部活動の段階的な地域移行ということで、休日部活動は、教師ではなく、地域の活動として地域人材が担い、休日の指導を望まない教師は休日に従事しなくてもよくなりますが、休日の指導を希望する教師は、教師としての立場ではなく、兼職兼業の許可を得た上で地域部活動の運営主体の下で従事することとなります。

 なお、その場合、大会参加を含め、地域部活動中に事故が発生した際には、運営主体や大会の主催者が責任を負うことになります。地域にとっては非常にハードルが高い状況にあります。

 もう少し部活動の変更点について補足しますと、今後は、特に少子化の影響が大きい過疎地域においては、市町村を越えた他校との合同部活動を推進することや、都市部においては、市内の近隣校との拠点校方式による合同部活動を推進する事業を実施することが考えられています。

 学校の働き方改革の観点も踏まえ、主に地方大会の在り方を整理する必要があり、国は、関係団体に大会の参加資格については学校以外のチームも参加できるよう弾力的な取扱いの検討を要請しています。

 来年以降、中学校の休日部活動が段階的に学校から総合型地域スポーツクラブ等に移行する予定になっていますが、地域または市町村によっても温度差があり、この地域の将来まで巻き込んでの大きな改革のアナウンスが届いていないところも多数あります。

 現在、移行に関しての試験事業がかつらぎ町で行われているということですが、取組状況について、教育長にお聞きをいたします。

○議長(森 礼子君) ただいまの谷口和樹君の質問に対する答弁を求めます。

 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 学校の働き方改革を踏まえ、休日に教員が部活動の指導に携わる必要がない環境や、休日における地域のスポーツ・文化活動を実施できる環境を整備すること等が部活動改革の方向性として示されています。

 令和5年度以降の休日の部活動の地域移行については、あくまで段階的に移行してまいります。本県においては、地域人材の確保や費用負担の在り方、運営団体の確保等の課題を解決するために、かつらぎ町において実践研究に取り組んでおります。

 この取組により、専門の指導者による質の高い技術指導を提供できたことなど、一定の成果を得ることができました。一方、平日と休日の活動において、指導者が替わることによる指導方針のすり合わせの難しさ等、新たな課題も見つけることができました。

 また、本県では、外部人材を活用した部活動指導員を100名弱お願いしております。これについては、かなり機能しているんではないかなというふうに認識をしております。

○議長(森 礼子君) 谷口和樹君。

  〔谷口和樹君、登壇〕

○谷口和樹君 ありがとうございます。

 二つ目の質問です。

 設立されているが人口減少の懸念のある地域の考え方についてお聞きします。

 令和5年から段階的に休日の中学校部活動が総合型地域スポーツクラブ等に移行する見通しになっていますが、受皿として、中学校区に総合型地域スポーツクラブがある地域とない地域がございます。現在、既に地域の中に総合型地域スポーツクラブが設立されている地域の中で、人口減少の著しい地域は、今後運営していく上でも自主運営が上向きになることが難しく感じます。そのような地域において、中学校からどのような移行を想定しているのでしょうか、教育長にお聞きをいたします。

○議長(森 礼子君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 休日の部活動の地域移行については、総合型地域スポーツクラブのほか、スポーツ少年団、それから各市町村体育協会等の団体による運営が想定されます。

 しかしながら、本県の地域におけるスポーツ環境は、運動部の全ての競技を受け止められる環境が整っていない状況もあります。

 県教育委員会といたしましては、実践研究で得られた成果や新たな課題等を整理して、地域の実情に合わせて取り組んでまいりたいと考えております。

○議長(森 礼子君) 谷口和樹君。

  〔谷口和樹君、登壇〕

○谷口和樹君 続いて、三つ目の質問に入ります。

 総合型地域スポーツクラブ等が設立されていない人口減少の懸念のある地域の考え方についてお聞きをいたします。

 現在、人口規模も少なく、減少傾向にある中学校区は、支える企業も少なく、総合型地域スポーツクラブの設立、運営は簡単ではありません。受皿がない中、部活動が中学校から地域に移るということで、子供の将来を考える家庭の転入が減り、転出が増え、一段と過疎化が進む速度が増し、集落機能をなくすことが懸念されます。

 受皿ができない場合の考え方について、少し重複する部分もございますが、教育長からお聞かせください。

○議長(森 礼子君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 令和5年度以降、段階的な地域移行ということであり、地域のスポーツ環境の受入れ体制が整っていない場合、中学については現状の部活動運営が続くことになります。

 最も大事なことは、子供たちの心身にわたる成長などを促す部活動を継続させることであると考えます。

 県教育委員会といたしましては、将来的に持続可能な部活動のための環境整備について、コミュニティスクールの学校運営協議会などで話し合っていただく等、学校と地域が一層の連携を図るとともに、充実したスポーツ活動の体制を整えられるよう努めてまいります。

○議長(森 礼子君) 谷口和樹君。

  〔谷口和樹君、登壇〕

○谷口和樹君 ありがとうございます。よろしくお願いしときます。

 それでは、二つ目の質問に入ります。

 オレンジリボンと配布タブレットの活用についてということで、子供からの直接SOSを受け取る虐待防止への活用ということで質問させていただきます。

 文部科学省が推進する「全ての児童・生徒のための世界につながる革新的な扉」とするGIGAスクール構想は、ICT技術の社会への浸透に伴って、教育現場でも先端技術の効果的な活用が求められることから、小・中・高等学校など教育現場で児童生徒各自がパソコンやタブレットといったICT端末を活用できるようにする取組であり、全児童や生徒への端末の配備は我が県でも2020年度から進められています。

 GIGAスクール構想は、2020年度から始まる10年ぶりの学習指導要領の改訂を受けたものでありますが、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、オンラインを活用した授業や学習への必要性が高まったことから、我が県でも端末導入のスケジュールを大幅に前倒しして進められています。

 今後、国では、デジタル教科書やAIドリルといったソフトと、地域指導者養成やICT支援員などの外部人材を活用した指導体制の強化も含め、推進されるということです。

 我が県も、それに合わせて、授業中に通信容量がオーバーすることで通信機器が一時停止するなどの改善や、それに併せた教職員の働き方改革の推進が急務になっています。

 いずれにせよ、身近にデジタル端末がある環境が整備されると同時に、今後は、デジタル端末が教育も含め、和歌山県になければならないライフラインとなることが確実になったということでもあります。

 2004年、栃木県小山市で、3歳と4歳になる2人のかわいらしい兄弟が、父親の友人から再三にわたって暴行を受け、息も絶え絶えの状態で橋の上から川に投げ込まれて幼い命を奪われるという痛ましい事件をきっかけに、全国でオレンジリボン運動が始まりました。

 2006年から総合窓口を担う児童虐待防止全国ネットワークは、「子供への虐待をなくしたい」という志の下、全国で共通したシンボルとするために、目指すべき目標、オレンジリボン憲章を定め、活動しています。

 ちなみに、オレンジの色は、里親家庭で育った子供たちの明るい未来を示す色として選んだと言われています。

 2021年6月16日の紀伊民報に、2020年度中に和歌山県の児童相談所に寄せられた児童虐待相談件数は、前年度より35件多い1726件で、5年連続で過去最多を更新したとあります。ほぼ右肩上がりで、ここ10年では1000件以上増え、中央児童相談所には前年度より17件多い1387件、紀南児童相談所には、18件多い339件の相談が寄せられたということです。

 虐待の種別には、言葉による脅しなど心理的が814件と半数を占め、16年度の347件から毎年増え、4年で2倍以上になりました。中でも、子供の前で家族同士が殴る、蹴る、どなる、侮辱するなどの行為をする面前DVの事案が多く、次いで、殴る、蹴るなどの身体的が3割、498件、食事を与えない、車内に放置するなどのネグレクトは2割の408件、性的は6件であったということです。

 被虐待者の年代別は、小学生が最多の584人、3歳から就学前が484人、3歳未満が324人、中学生が219人、高校生などが115人となっています。

 虐待者とされるのは、実母が最多の913件で半数以上を占め、実父が632件、実父以外の父親が34件などと続いています。

 県は、コロナ禍が虐待事案に影響があったかについては、直接的な関連は分からないとしていますが、相談件数については、近隣住民や知人からが261件と、前年度の190件の1.4倍になっている。このことから、外出自粛などによる在宅時間の増加が影響したと見ています。

 全国で発覚する児童虐待の悲惨なケースや事件は後を絶ちません。我が県に関しても同じであります。

 関係各所の努力には敬意を表するところでありますが、学校、家庭が介在する状況で虐待が確認され、明るみに出て、児童が保護されるまでのタイムラグは依然として存在します。

 現在、LINEを使っての相談や電話での環境は整えられていますが、そもそもスマホが持てる、ネットに接続できる家庭環境にあるか、電話で直接話をできる状態にあるかなどと考えると、当てはまらないケースというのもあるのではないかと考えます。

 コロナ禍において、オンライン授業などを目的に、タブレット端末が我が県でもスピーディーに全児童や生徒への配布が行われたことで、直接児童とコミュニケーションを取ることが可能になりました。

 GIGAスクール構想で児童生徒に配布され、各学校でオンライン授業等に活用されている1人1台の端末から、虐待のSOSや不安や悩みなどの相談を児童生徒が直接送ることができる仕組みを導入できないか、教育長にお聞きをいたします。

○議長(森 礼子君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 日常的に児童生徒の様子を見守っている学校や教職員は、虐待に気づきやすい立場にあります。重要なことは、担任教員等との対面による相談も含め、子供が相談しやすい仕組みづくりを充実させていくことだと考えております。

 議員御提案のGIGAスクール構想で児童生徒に配布された1人1台端末から直接虐待等の相談ができる仕組みの導入については、子供の悩みや不安を受け止めるのに新たな窓口となりますので、既に導入されている自治体などを参考にしながら研究をしてまいりたいと考えております。

 既に、子供SOSダイヤルやLINEを活用した相談窓口を運用しており、その周知をより一層図り、教職員が寄り添うことによって子供の虐待等の早期発見、早期対応に努めてまいりたいと考えます。

○議長(森 礼子君) 谷口和樹君。

  〔谷口和樹君、登壇〕

○谷口和樹君 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします。

 それでは、3番目の質問に入りたいと思います。

 和歌山フリーWi-Fi大作戦からもう約10年たってきます。当時は、3Gのぱかぱか携帯を持っている方が結構おられたんですけども、今やもうスマホは5Gということで、フリーWi-Fiの拡大の質問というのは今回で2回目なんです。前回、知事から御答弁の中でいただいた受益者負担から、やはりこれからの将来のことを考えて通信インフラの投資が必要という、そういう内容で質問を進めさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 それでは、3番、情報インフラの整備について質問させていただきます。

 リープフロッグ現象という言葉があります。直訳はカエル跳びですが、近年起こっている、まだ既存の社会インフラが整備されていないアフリカなど、いわゆる新興国が新技術で先進国を一気に追い抜き、革新技術を社会実装する現象であります。

 今までなら、新しい技術は比較的教育水準と所得水準を条件に都市部や先進国などから生まれ、社会に実装していく、こういうパターンが多かったんです。しかしながら、21世紀に入ると、デジタル技術で先進国を一気に飛び越えるリープフロッグ現象が起きていると言われています。

 例えばケニアでは、2007年の今から15年前からM-PESAというサービスが普及し始めています。これ、銀行口座を持たなくとも携帯電話からショートメッセージを送信することで、全国どこででも金融取引を行うことができるという、これはいずれ来ると言われている銀行店舗のない世界というのがそこで実現しているということです。

 最近は日本でも、受け取った後の現金化はできませんけれども、PayPayやLINE Payといったもので現金送金ができて、いわゆる新興国からのリバース・イノベーションだと言われています。

 ルワンダでは、医療用ドローンが道の整備がされていないところへ薬や血液を運ぶなどで活躍していたりと、今後、新しいデジタル技術の社会実装で、2030年以降躍進するインドに続いて、次は2040年にアフリカの躍進する時代が来るとも言われています。

 インフラがない、新旧サービスに摩擦がないなど規制が少ない中で、リープフロッグ現象で遂げた新興国の革新的な社会実装というのは、これから和歌山でも取りかかるDXを進める上で、頭に入れておくべき未来の姿、事象であると考えます。

 さらに、2030年にはGDPでインドが3強に入り、社会は五つの飛躍的テクノロジー、AI、5G、自動運転、量子コンピューティング、ブロックチェーンで大きく社会が変わるとも言われています。

 この結果、2040年にかけて、例えばAIのディープラーニングで士業と言われる職業が、ゼロにはなりませんが、効率化される。仮想通貨とブロックチェーンの普及で、店舗としての銀行が効率化される。メタバースの普及で、現実社会でのショッピングモールが効率化される。何より一番効率化されるのが行政であるという予測もあったりします。

 和歌山県もこの2030年、2040年の姿など、未来がこうなるんじゃないかと予測する力と、だからこういうDXをするんだというリーダーが描くビジョンというのが、これからのDXの実現と成功を左右するということです。これによってただのIT化で終わるのかDXを実現するかは、リーダーのビジョンにかかっているということでもあり、知事の描くDXにおけるビジョン、ここに大きく期待をするところでございます。

 このDXに関する議論は午後からの中西議員の質問に委ねますが、何より基礎になる社会での通信インフラの在り方について、一昨年もフリーWi-Fiロングの普及やWi-Fi付自動販売機の活用、これについて質問をしました。そして、その中で知事からいただいた受益者負担のお話、これもなるほどとお聞きしながらそう思ったところでありますけれども、そう思いながらも、以来、さらに勉強を重ねてみました。

 今回、2の質問にも関連します先ほどのGIGAスクール、GIGAスクールのGIGAはGlobal and Innovation Gateway for Allで、これから15年ほどの間に、先ほど申しました飛躍的テクノロジーで社会が大激変する中で、日本の都市部ではあらゆるところでフリーWi-Fiが使えます。都市部に比べて接続環境の差で、和歌山の児童や若者たちは大きくその扱うスキルやリテラシーも立ち後れてしまうのではないかと危惧しています。

 そして、これが数年もすれば、DXを進める上で、和歌山県出身者を多く採用する和歌山県庁を直撃するだけでなく、和歌山全体に影響するのではないかと考えると、受益者負担というのは本当になるほどなと、そう思うところではございますけれども、やはり次世代のために通信インフラへの投資というのはすべきではないかと考え、再び質問することにしました。

 10年ごとに100倍に進化すると言われる通信インフラですが、重ねて、DXを進める我が県にとっても今後県内の情報インフラの高速化、接続域の拡大化、無料化など、あらゆる面で整備というのは必須であります。

 今後は、GIGAスクール構想でタブレット端末を持つようになった全ての児童にとっても、ITを活用して創造力を生み出す環境にあることが大切で、全ての児童が通信料を気にせず、至るところで接続できる通信環境をつくることが理想的であります。

 ポケットWi-Fiを附属で渡せばよいのですが、ランニングコストと、児童以外も使えることなどを考えると、フリーWi-Fiのエリア拡大が合理的ということから、学校、体育館、図書館、水族館、公園など、子供が活動するエリアや防災拠点などに、通信料金の要らないフリーWi-Fi接続エリアを広げることができないか、知事にお聞きします。

 またあわせて、将来的に例えばフリーWi-Fiの接続の際の認証画面等で県の広報を入れるなど、またそこで広告の収益を得られるようにするなど、工夫で、少しずつでいいのでWi-Fiエリアを広げ、いずれ通信料金の要らない、そういう県を目指すことができないか、知事にお聞きをいたします。

○議長(森 礼子君) 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 和歌山県では、平成27年度に和歌山フリーWi-Fi大作戦と銘打ちまして、和歌山県内を訪れる外国人観光客等が快適に和歌山県内を周遊することができる環境を整備することで本県への誘客を図るため、県内のWi-Fi環境を整備したわけでございます。

 たまたまこのときは麻生内閣が自由に使える地域振興のお金を下さったので、これを利用して県が整備費用を負担いたしまして、観光客の増加により利益を得る宿泊施設や観光関係施設などの管理者が毎月の利用料を払うということで整備を一気に推進したわけでございます。

 本来は、議員御指摘のように、それぞれの宿泊施設などはそれぞれの営利目的でやっているので、フリーWi-Fiはビジネスのセールスポイントとして物すごく有効なんですよね。したがって、それぞれの施設の管理者が施設の魅力向上や誘客効果といったビジネスの観点から、自分で考えて投資すべきもんだということだと思っておったんですが、お金もたまたまあるし、何に使おうかと思ったときに、一気にインバウンドを増やしてやれというふうに思ったもんですから、県が自分でやるということに踏み切りました。

 今度は、このフリーWi-Fi接続エリアを広げるために、さらなる整備費用や運営費用が必要となりますけども、それぞれの本来の目的に戻るべきだと私は思っておりまして、例えば営利目的の誘客施設などでは、自分でさらにもっと増やすかどうかはビジネスの問題として考えてほしいというふうに思っておるわけでございます。

 ただ、議員御指摘のように、たくさん例を挙げられたものの中には公共目的の施設や公共目的の事業があります。そういうものについては、これは実は主体が公共になるわけでございますので、今の世の中の流れからいえば、積極的にこういうものが利用できないと困るところはちゃんと整備しておくということは、我々の問題としても大事なことではないかなあというふうに考えているところでございます。

○議長(森 礼子君) 谷口和樹君。

  〔谷口和樹君、登壇〕

○谷口和樹君 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いします。

 和歌山県がこれからDXに取りかかる中で、県庁だけでなく、後に「和歌山にリープフロッグが起こった」と言われるような、そういう和歌山をぜひ導き出すような知事のビジョンにこれから大きく期待しながら、次の質問に入らせていただきます。

 それでは、4番目の和歌山県のSDGsの取組について質問します。

 主な内容は、世界全体が目指すゴール、SDGsですので、進める上でやはりたくさんの皆さんに共有、共感していただきながら、そのプロセスを経験して、やはり持続可能な社会というのは、この30年に区切ったSDGsのこのゴールだけではなくて、多分永久的に続いていく人類の目標ではないかと思うので、そういうプロセスをできるだけたくさんの人に波及して、自主的に理解、活動していただく人を増やす。そういう意味で、ぜひこのデザインというのを活用していただきたいなと、こういう思いで質問をさせていただきます。

 それでは、SDGsとは、持続可能な開発目標という、2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標であります。17のゴール、169のターゲットから構成され、地球上の誰一人取り残さないことを誓っており、SDGsは発展途上国のみならず、先進国自身が取り組むユニバーサルなものであり、日本としても積極的に取り組んでいます。

 ユーロ圏発の投資を生み出す新しい価値観でもありますが、分かりやすいメッセージとカラフルなピクトグラムが映えるSDGsのプロモーション、このインパクトというのは秀逸であります。

 SDGsのロゴやコミュニケーションをデザインし、世界の課題、目標を一目で見て伝わるように制作したトロールベック氏が国連からSDGsのデザインについて依頼を受けたのは2014年ということです。このときの様子をサステナブル・ブランドというウェブサイトで拝見しますと、彼が初めてSDGsについて見た資料というのは、多岐にわたる内容が羅列されていて分かりづらかった、目標を覚え切れない、何が大事なのか伝わらない典型的な事例だと思ったそうです。

 この複雑な内容をいかに分かりやすくし、言葉から行動につなげるにはどうすればいいのか考えたときに、まず、第一に、シンプルな言葉づくりから始めたということです。よりポジティブで、未来を見据え、目標に向かっているということを体感させられる言葉はないかと考えて、そうして生まれたのが「貧困をなくそう」、「飢餓をゼロに」、「全ての人に健康と福祉を」といった短いフレーズだったということです。

 次に、SDGsのピクトグラムやロゴをつくる言葉の視覚化。そして、最後に取りかかったのがブランドづくり。17色の円形のロゴは、「全ての目標が一つになり、統合されている印象を与えられる、太陽のような形状のもの」というストーリーをデザインしたと述べられています。

 このSDGsについて、トロールベック氏は、「全てのグローバルな課題にはローカルな解決策がある。一見すると大きな課題でも、小さな行動によって世界は変えられる」と述べています。

 SDGsを単なる目標や課題として捉えるだけでなく、SDGsは2030年に向け世界全体が進む方向性を示したものであり、今や多くの人が理解する世界の共通言語であり、ビジネスや投資についてもこのトレンドと無縁では進められない流れになっています。

 このもはや社会現象になっている、国連が進めるSDGsであります。このデザインやインパクトを利用せずに県民のSDGsの意識を高めて、特にデジタル世代に訴え、自ら自主的に活動する人間を生み出す、そういう方法があればいいのですが、私自身はこのデザインを活用する以外思いつきません。

 さらに、このロゴやピクトグラムなどデザインに関するあらゆる権利というのは、誰にも利用しやすいようにオープンにしてくれています。

 分かりやすいフレーズ、カラフルなロゴ、共感するストーリーなどとデザインの力というのは本当に大事です。

 結果を出そうとする行政の真摯な取組というのは本当に大切なんですけども、内容を理解した行政の限られた人数の中で数値目標を目指していく、これも本当に大事なことなんですけども、デザインの力を利用して、共感する、より多くの県民と共に自主性の高い取組をしたほうが結果的により効果的ですし、持続性という意味でも大きいと考えます。

 ロゴとコンセプトをしっかり前面に打ち出してSDGsに取り組んでいただきたいと思っています。

 また、改定時に身内に分かりやすいように数値目標で取り組むことも理解しますが、より多くの大衆に波及するように、ぜひロゴやデザインを前面に出しながら長期総合計画に盛り込みやってほしいと思っています。

 SDGsだけじゃなくて、本当にずっと続くテーマでもあると思うんです。プロセスをみんなで経験して、共有して、共感して、30年以降にも続いていけるような、そういう人づくり、そういうことを思っています。

 ぜひともこのロゴを利用する、そして長計に盛り込みやってほしい、このことについて知事に御意見をお伺いいたします。

○議長(森 礼子君) 知事。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 議員御質問にございましたとおり、「誰一人取り残さない」というSDGsの理念は普遍的で、その重要性は、皆、十分認識していると思います。

 しかし、その理念を実現するために大切なことは、様々な社会的課題に対して、それぞれが具体的な取組を実行していくということではないかというふうに思います。

 日本政府では、SDGsの17ゴールと169ターゲットの達成に向けて、日本として特に注力すべき優先課題を掲げております。具体的には、あらゆる人々が活躍する社会の実現、健康・長寿の達成、成長市場の創出、地域活性化、科学技術イノベーション、持続可能で強靱な国土と質の高いインフラの整備などの8分野であります。

 いずれも本県が目指す将来像の実現に向けた重要な課題でございまして、和歌山県長期総合計画において、これら全ての要素について具体的な数値目標を設定し、これまでも取組を推進してきたところであります。

 なお、県では、SDGsの取組の裾野を広げるため、小中学校や民間団体等へのアドバイザー派遣など、県民向けの普及啓発を推進しております。また、事業者に対しては、SDGsに関わるビジネスチャンスを逃さないように、展示会への集団出展やセミナーへの参加を促してきたところでございます。

 カラフルなロゴや分かりやすいフレーズは、SDGsが対象とする経済、社会、環境など広範な課題を考えるきっかけになるかもしれませんけれども、組織や個人に求められているのは具体的な行動であって、よく考えてみると、デザインを身につけたら具体的な行動をするかというと、そこまでは必ずしも期待できないかもしれない。したがって、県としては、福祉の充実や産業振興、防災対策、良好な生活環境の保持、活力、魅力あるまちづくりなど、あらゆる分野の課題に具体的な行動や活動を今後とも着実に取り組んでまいりたい。それがSDGsの示すものだと私は思っております。

○議長(森 礼子君) 谷口和樹君。

  〔谷口和樹君、登壇〕

○谷口和樹君 そうはおっしゃられますけれども、やっぱりデザイン、ピクトグラムにしてもロゴにしてもそうなんですけども、みんな掲げて行動することで、連帯感であったりとか、お互い刺激を受けて、よりモチベーションが上がったりするというのは、当然やっている中で経験することなんです。和歌山県の中でリーダーといえばやっぱり知事であって、和歌山県の旗頭といいますか、やっぱり旗を振ってくれんと、皆、やりにくいんじゃないかなとも思ったりするんです。

 そういう意味でも県内の影響力でいうと、やっぱり知事含め和歌山県の波及力というのは当然強いと思いますので、何とか、そうはおっしゃられますけれども、こういうデザインというのを取り入れていただけたらなあと思っています。これから、もしそういう隙間があれば、何とか入れてください。そうお願いします。

 今日は、3月の10日であります。11年前の3月11日というのは、東日本大震災がありました。亡くなられた方々と行方不明者合わせて約1万8000人、いまだに避難をされている方が38万人ということで、忘れることができない大災害です。改めて、お亡くなりになられた皆様方に謹んでお悔やみを申し上げますとともに、被害に遭われた皆様、いまだ帰ることのできない皆様方にお見舞いを申し上げるところでございます。

 そして、6日で県内の新型コロナウイルス感染症まん延防止等重点措置が解除されました。全国でも突出して重症化率の高い隣の大阪府に隣接している立地ですので、不安に感じる声というのもよく聞きます。そんな中でも、現場で従事されている方々、当局はじめエッセンシャルワーカーの皆様方に心より感謝と敬意を申し上げるところでございます。

 ありがとうございました。それではお時間をいただきました一般質問を終わります。(拍手)

○議長(森 礼子君) 以上で、谷口和樹君の質問が終了いたしました。

 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。

 この際、暫時休憩いたします。

  午前11時47分休憩

────────────────────

  午後1時0分再開

○議長(森 礼子君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 29番中西 徹君。

  〔中西 徹君、登壇〕(拍手)

○中西 徹君 皆さん、こんにちは。

 最終日に質問の機会をいただき、本当にありがとうございます。

 これだけ質問が重複するもんだなあということを感じております。しかし、質問が重複するということは、それだけ重要な課題ということですので、当局の皆さん、前向きな答弁よろしくお願いします。

 それでは、早速ですが、議長の許可を得ましたので、2月議会の一般質問を始めます。よろしくお願いします。

 大項目1、新型コロナウイルス第6波の教育への影響について、1、ハイフレックス型授業の推進についてお伺いします。

 国内で初めて新型コロナウイルス感染者が確認されてから2年が経過しました。臨時休校措置から2年を迎えようとしています。今年に入ってからも、オミクロン株の感染拡大により、全国各地で学級閉鎖や休校なども相次いでおり、特に子供のいる共働き世帯にとっては大変な日々が続いています。2022年2月4日の報道によれば、デルタ株が広がった2021年夏の第5波では、感染者は20代や30代が比較的多かったのが、今回の感染の第6波では、その主体が子供に移ってきています。

 感染者情報を集約する厚生労働省のシステムによると、1月の新規感染者数を年代別に見てみると、10代以下が27.1%と4分の1以上を占めました。デルタ株が広がった2021年夏の感染の第5波では、10代以下は、7月が14.6%、8月が19.2%、感染が収まり始めた9月は23.1%で、20代や30代の感染が比較的多かったのですが、第6波では、より低い年齢層の感染が目立つようになっています。

 感染者のクラスターが起きた場所も、子供に関係するところが増えており、1月1日から1月28日までの4週間の資料によると、学校・教育施設で703件、高齢者福祉施設が338件、児童福祉施設が330件、企業などが269件、飲食店が202件、医療機関が162件などとなっています。学校・教育施設などの教育施設でのクラスターの増加が目立っており、1月の1か月間だけで、デルタ株が広がった2021年7月から9月までの3か月間の合計691件を上回りました。さらに、1月の学校でのクラスターの内訳は、幼稚園・保育園が271件、小学校が174件、中学校が68件、高校が153件、大学が51件、専門学校が6件となっています。

 非常に感染力が高い中で、和歌山県においても、感染拡大の一つとして学校でのクラスターも多く発生しています。ただ、以前の緊急事態宣言と違い、完全休校とはならず、クラスターが発生した学校においては休校などの措置が取られ、また、クラスターにならなくても、クラスで何名かが感染すると学級閉鎖などの対応を行いました。

 そのような中で、私も子育て世代ということもあり、何名かの保護者の方たちから相談があったことを今回、質問とします。

 保護者としても、学校で違う学年の児童が感染したことにより、自分の子供たちは学級閉鎖になっていない中、感染回避により自分の子供に学校を休ませた保護者もいました。

 相談の一つは、GIGAスクール構想により、2020年度内に児童生徒1人に端末1台はほぼ達成し、家にいてもオンライン授業をできる体制ができている中、こういうときこそこのタブレット端末での授業を行ってほしいということです。ただ、共働きが多い中で、先ほども述べましたが、オンライン授業では困る保護者の方もいます。多くの予算を継ぎ足し、ICT教育の一環で児童1人に1台のタブレットを配っている中で、その端末を生かすべきだと考えます。

 そのような中、一部の学校において、ハイフレックス型授業を行った学校がありました。ハイフレックス型授業とは、ハイブリッド・フレキシブル型授業の略で、対面授業とオンライン授業を併用する授業形式のことです。対面授業とオンライン授業にはそれぞれメリット、デメリットがありますが、二つの授業形式を上手に併用することで、両方のメリットを生かしながら感染リスクを抑えられます。令和2年8月、萩生田文部科学大臣の記者会見においても、既に対面授業を再開している小中学校に合わせて、大学も対面とオンラインのハイブリッド授業を推進してほしいとの見解を示しました。

 私は、特にこのような感染拡大が大きいコロナ禍の中では、対面とリモート、オンラインによるハイブリッド型の教育、ハイフレックス型授業がいつでも可能という状態を目指すべきであると考えますし、現段階でも可能と考えています。ハイフレックス型のメリットは、子供や保護者が選択できることです。登校に不安を感じている方はオンラインで、登校や支援を必要とする子は対面で、それぞれのニーズに合わせて選択ができます。

 そこで、お聞きしますが、新型コロナウイルス感染症が蔓延する状況下において、ハイフレックス型授業をいつでも行えるよう推進すべきであると考えますが、教育長の考えをお伺いします。

○議長(森 礼子君) ただいまの中西徹君の質問に対する答弁を求めます。

 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 現在、新型コロナウイルス感染症拡大を受け、感染不安による欠席や、濃厚接触となり自宅待機を余儀なくされている児童生徒を含め、全ての子供たちの学びを止めないことが重要だと考えております。

 各学校では、児童生徒の発達の段階や保護者の要望等を考慮しながら、タブレット端末による授業動画を活用したオンライン学習や、課題を用いた学習指導等、様々な工夫を凝らしながら学習保障に取り組んでいるところです。議員御指摘のハイフレックス型も一つの手だてと考えております。

 県教育委員会では、今後も引き続き、児童生徒の状況に応じた適切な学習指導の方法を研究し、対応してまいります。

○議長(森 礼子君) 中西 徹君。

  〔中西 徹君、登壇〕

○中西 徹君 しっかり取り組まれるようよろしくお願いします。

 2番に移ります。

 新型コロナウイルス感染回避による出席停止等の取扱いについてお伺いいたします。

 児童生徒の感染等により、各学校では学級閉鎖などの対応を取ってきました。文部科学省が行った新型コロナウイルス感染症の影響による臨時休業状況調査の結果では、2月9日現在、臨時休業等を行っている小・中・高等学校、特別支援学校は全国で5480校あり、本県では、小学校29校、中学校10校、高等学校5校、特別支援学校2校で、臨時休業等をせざるを得ない状況になりました。また、感染回避により自分の子供に学校を休ませた保護者も、先ほども言いましたが、いました。

 学校保健安全法第2章の学校保健の項目では、学校の管理運営、健康相談、健康診断、感染症の予防等が示されています。また、同法第4条から第6条においては、学校設置者の責務、学校保健計画の策定等、学校環境衛生基準について定めています。これを踏まえ、文部科学省では、児童生徒及び教職員の健康を保護するため、学校環境衛生基準として学校における換気や採光、照明、保温、清潔保持などを規定しています。

 また、学校保健安全法第19条では、学校感染症による出席停止について示されており、感染症の罹患及び疑い、おそれがある場合も、校長の判断で出席停止させることができるとしています。現在の新型コロナウイルス感染症についても同様に、同法第19条の規定にのっとり、濃厚接触者に特定された場合や本人並びに家族に発熱等の風邪の症状が見られる場合も、出席停止の措置が必要である旨の条項となっています。

 学校保健安全法は、児童生徒及び教職員の健康保持や安全な環境における教育活動のために定められたものであります。同法で定められた規定に従うことは当然ですが、新型コロナウイルスという新たな感染症への対応に当たっては、校長は、出席停止、臨時休業を含め、柔軟に判断し対応することが必要となります。そして、感染防止と併せて、感染者発生等の不測の事態が起きた後の適切な対処によって、児童生徒及び職員の健康、安全を守ることが求められています。今回、初めの質問でも言いましたが、学校でのクラスターがたくさん発生しました。

 そこで、お伺いしますが、クラスメートで感染が確認できた場合や違う学年で感染があった場合など、自分が感染していなくても、感染が不安で欠席した場合の出席等の取扱いはどのようになるか、教育長にお伺いします。

○議長(森 礼子君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 感染不安により登校できない児童生徒の出席等はどのように取り扱われるかについてお答えをいたします。

 児童生徒の生活圏において、感染経路が不明な患者が急増している場合などの合理的な理由があると校長が判断した場合には、欠席の扱いとはせず、出席停止や忌引等の日数として取り扱うこととなっております。

○議長(森 礼子君) 中西 徹君。

  〔中西 徹君、登壇〕

○中西 徹君 答弁ありがとうございます。

 第19条の合理的理由の解釈がちょっと僕、分からなかったので、出席停止や忌引などの日数として取り扱うということで理解します。ありがとうございます。

 次、大項目2、令和4年度新政策についてお伺いします。

 ①DX和歌山の推進についてお伺いします。この質問に対しては、午前中の中議員も取り上げられていました。

 このDXについては、私は、令和元年9月議会で、県議会議員となって初めての一般質問の1項目めで、AIやRPA等の先端技術の活用による業務の効率化についてを質問させていただきました。

 和歌山県は、他の都道府県よりもデジタル化に向けての実証実験等も早く取り組まれており、答弁においては、「今後もAIやRPAの対象業務を拡大し、積極的に活用することで、職員の作業時間の削減による業務の効率化を図り、削減による時間を企画立案や対人業務に充てるなどの業務改革を進め、県民サービスの向上につなげてまいります」と答弁をいただいております。

 この間、和歌山県においては、テレワーク環境整備、ウェブ会議における環境整備なども進められています。また、国においては、令和3年9月1日に、国・地方行政のIT化やデジタルトランスフォーメーション──つまりDXですね──の推進を目的として、IT分野を担当するデジタル庁も設置されました。

 そのような中で、和歌山県の令和4年度新政策においては、行政の在り方を全面的にデジタルの前提としたものへと移行するため、和歌山県庁DX推進本部を立ち上げ、県、市町村が一体となり推進していくとなっています。「DX和歌山」ということで、オンライン申請を可能とするインターフェースの構築、業務フローの再構築、場所にとらわれず、チーム主体の働き方を可能とする環境の整備に取り組まれようとしています。

 DXについては、様々な施策が関係する中で、県民に向けてのキャッシュレス化や県業務の効率化、また市町村との一体化、また、業務効率化や組織内の連携の活発化などの整備について、どのようにDXを活用し、県民の利便性の向上や職員の業務効率化に具体的に取り組まれようと考えているのか、総務部長にお伺いします。

○議長(森 礼子君) 総務部長吉村 顕君。

  〔吉村 顕君、登壇〕

○総務部長(吉村 顕君) 新型コロナウイルス感染症の拡大などにより、人々の働き方や生活が大きく変化しており、行政の在り方をデジタル技術の活用を前提としたものへと見直す必要があります。

 県では、来年度、総務部総務課にDX推進室を設置し、行政のDXを推進するための体制を強化してまいります。

 行政DXの推進では、まずは県民の皆様に利便性を実感していただけるよう、県として行政手続のオンライン化の推進に取り組むとともに、市町村においてもオンライン化が進むように、県電子申請システムの共同利用を提案し、併せて標準様式や導入手順書を作成するなど、市町村の取組を強力に支援してまいります。

 次に、今年度実施している業務量調査の結果を踏まえ、定型的な事務作業については、AI-OCR・RPAなどのICTツールの活用を進めるほか、新たに業務改善のためのアプリケーションを導入するなどして、業務手順の見直しを図っていく方針です。さらに、職員の働き方も時代に即したものとなるよう、コミュニケーションアプリの導入や電子決裁機能を備えた公文書管理システムの整備を進め、業務を効率化し、組織内の連携を活性化する環境を整備してまいります。

 新年度には、県庁一丸となってDXを推進するための県庁DX推進本部を立ち上げることとしており、併せて市町村DX推進部会を設置し、県、市町村が一体となって行政のDXを推進してまいります。

○議長(森 礼子君) 中西 徹君。

  〔中西 徹君、登壇〕

○中西 徹君 市町村との連携を密にしていただき、どんどん進めていっていただきたいと思いますし、県庁DX推進本部も立ち上げられるということで、和歌山県が全国で一番デジタルトランスフォーメーション・DXが進んでいるよう、キャッシュレス化など早急に取り組まれることが可能なところから取り組んでいただき、県民の利便性の向上と業務改善が行われることを期待しています。

 次に移ります。

 2番、自然博物館新館建設計画についてお伺いします。

 この件についても、令和3年6月議会の一般質問で、県立自然博物館の移転・リニューアルについて質問しました。県立自然博物館の移転・リニューアルについては、平成29年4月策定の県長期総合計画や平成30年3月策定の第3期県教育振興基本計画において、移転・リニューアルを進める旨、記述されています。

 そのような中で、今回、令和4年度新政策案において県立自然博物館の新館建設計画における予算が示されています。私の地元、海南市においても、大野中地区にある内池と大池の一部を埋立造成し、隣接する既存のわんぱく公園と併せて、災害時には防災拠点として機能する防災公園として都市公園の大幅リニューアルに取り組んでおり、県立自然博物館移転先候補として、この事業用地内において新しい自然博物館の受入れ準備を進めています。市としては、この公園を様々な体験を育む場として整備を進めており、この地に自然博物館が移転されれば、一層このエリアの価値も高まります。

 今回の海南市の公園事業は、令和7年4月のオープンに向け進めております。県としても、コロナ禍においていろんな事業が影響を受け、厳しい状況の中で、今回の県立自然博物館新館建設基本計画作成予算が計上されたことに感謝を申し上げます。

 そこで、お聞きしますが、県立自然博物館新館建設においての今後のスケジュールはどうなるのか、教育長にお伺いします。

○議長(森 礼子君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 県立自然博物館につきましては、和歌山県長期総合計画において移転・リニューアルを行う旨、位置づけられていることから、来年度において新館建設に係る基本計画を策定するための予算を今議会でお願いしているところでございます。

 基本計画策定後は、令和10年度で開館を目指し、基本設計及び実施設計の作成など、新館建設計画を進めてまいりたいと考えております。

 また、新館につきましては、収蔵庫を拡充し、貴重で膨大な所蔵品を最適に保存するとともに、これらの価値を効果的に展示する機能を充実してまいりたいと考えております。

○議長(森 礼子君) 中西 徹君。

  〔中西 徹君、登壇〕

○中西 徹君 令和10年ということで、多額の予算が必要となってくると思いますが、しっかり取り組んでいただき、一日も早い完成を期待します。よろしくお願いします。

 次、3番、高校生の就職活動支援強化についてお伺いします。

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大前、国内企業にとって人手不足への対応が大きな課題でありましたが、緊急事態宣言が発令された令和2年4月、労働市場は大きく変動しました。

 まず、同月就業者数が前月から107万人減少し、その大部分は現役世代の女性と高齢者であり、ほとんどは求職活動を行わず、非労働力化しました。女性が離職したのは、学校休業に伴う子育てに対応するため、高齢者が離職したのは、感染リスクを恐れたためであると考えられています。加えて、事業の悪化は一時的という見通しが当時は主流であったこと、潜在的に人手不足の基調が続くと予想されていたこと、雇用調整助成金の特例措置の効果等により、仕事を辞めてはいないものの全く仕事をしなかった休業者の人数が前年同月に比べ420万人増加し、597万人に達しました。

 感染拡大が続き、当面景気が厳しくなるという先行き不安となり、企業が従業員を休業にとどめられず、非正規社員の雇い止めや正規社員の解雇に踏み切る懸念が強くなり、非正規雇用者の中には経済的に余裕のない生活をしている人も多く、体調が悪くても簡単に仕事を休むことができない状況となりました。特に、パートやアルバイトの方にとっては、数日休むだけでも生活への打撃は大きくなっていました。

 約2年が経過し、まだ感染は広がっていますが、総務省統計局「労働力調査(基本集計)」によると、2022年1月の対2020年同月増減は、正規の職員・従業員についてはプラス15万人、非正規の職員・従業員はマイナス81万人となっております。

 また、厚生労働省「一般職業紹介状況」によると、全国の有効求人倍率は、2020年1月は1.49倍でしたが、新型コロナの影響を受け、9月には1.04倍まで下がりました。その後、有効求人倍率は徐々に回復し、2022年1月には1.2倍となりました。本県においては、2020年1月は1.27倍でしたが、12月には0.94倍まで下がり、2022年1月には1.16倍となっており、少しは回復しつつあるのかと考えています。

 このような雇用状況の中、新政策として、高校生の就職活動支援強化に取り組もうと考えられています。私が以前から気になっていた部分ですが、新規学卒就職者の離職状況ですが、平成30年3月卒業者の状況では、高校卒の3年以内離職率は36.9%、大学卒は31.2%となっています。特に1年以内の早期離職率にて、高校卒が16.9%、大学卒11.6%と、高校卒と大学卒で大きな差が表れています。離職理由は、人間関係が合わなかったり、仕事や配属先が自分に合わなかったりが上位に上がっています。

 私としては、生徒が県内に就職し、和歌山県に残ってもらえたらと考えているのですが、高校生の県内就職率はどのようになっているのか、また、支援強化としてどのような取組を行うのか、商工観光労働部長にお伺いします。

○議長(森 礼子君) 商工観光労働部長寺本雅哉君。

  〔寺本雅哉君、登壇〕

○商工観光労働部長(寺本雅哉君) 高校生の県内就職率については、平成30年度が77.9%、令和元年度が76.7%、令和2年度が76.6%となっております。今年度は、12月末現在の県内内定率が78.0%と順調に推移しています。

 県としましては、高校生が県内に就職してもらうためには、早い段階から県内企業の魅力や県内就職のメリットを知ってもらうとともに、自主的に就職先が決められる環境が必要と考えております。そのため、企業と高校が連携した産業人材の育成、就職希望の高校生を対象とした応募前企業ガイダンスの開催、「高校生のためのわかやま就職ガイド」の配布とともに、コロナ禍であっても県内企業を知る機会を提供するため、1、2年生から、対面だけでなくウェブも活用した企業説明会を開催しています。

 また、令和3年度から、県内企業への採用選考において、応募開始から生徒の希望により複数企業の入社試験に応募できる制度を導入したところです。

 今後、さらに高校生の県内就職の支援を強化するため、令和4年度に高校生向けの就職ポータルサイトをリニューアルし、県内企業のPR動画を掲載するとともに、就職活動のスケジュール、求人票の見方などを「Web就活オリエンテーション」として動画で掲載し、高校生の就職活動に必要な情報を見やすく、入手しやすい形で提供する予定です。

 加えて、高校生本人だけでなく、その保護者にも県内企業を知る機会を提供するため、休日にWeb合同企業説明会を新たに開催するなどの工夫を凝らし、一人でも多くの高校生が県内に就職するよう取り組んでまいります。

○議長(森 礼子君) 中西 徹君。

  〔中西 徹君、登壇〕

○中西 徹君 ウェブの活用を強化し、情報提供に力を入れていくということでよろしくお願いします。

 県内の内定率も順調に上がっているということが分かりました。そしてまた、離職の関係なんですけど、今年度から県内企業の採用選考の1人1社が見直され、複数企業が応募できる制度になったということで、少し変化があるのかなということも期待しております。

 次の質問に入ります。

 離職者の再就職支援についてお伺いします。

 離職者の再就職支援策についても令和3年度から行われ、4年度も行われる予定ですが、受入れ企業の体制が整っていないと進みません。事業概要としては、スキーム1、直接雇用型とスキーム2、間接雇用型に分かれているわけですが、それぞれ求職者にどのような支援を行い、正規雇用につながっているのか、また、受入れ企業は何社参画しているのか、商工観光労働部長にお伺いします。

○議長(森 礼子君) 商工観光労働部長。

  〔寺本雅哉君、登壇〕

○商工観光労働部長(寺本雅哉君) 離職者の再就職支援事業は、新型コロナウイルス感染症の影響下で離職し、正規雇用を希望する求職者に座学と職場実習による研修機会を提供することにより、研修先企業で正規雇用として再就職することを支援するものです。

 直接雇用型は、企業で求職者を直接雇用し、指導者の下で2か月間の座学研修と職場実習を行った上で、正規雇用されることを目指すものです。この直接雇用型には、製造業、医療・福祉、建設業、卸売業・小売業、宿泊業・飲食サービス業など、様々な業種から204の企業に参画いただいております。

 また、間接雇用型は、県が委託した人材派遣会社が求職者を雇用し、1か月間の座学研修や求職者の適性に合った企業へのマッチングを行い、その後、2か月間の職場実習を行った上で正規雇用につなげるものです。

 なお、令和3年度は、2月末現在、直接雇用型で25人、間接雇用型では15人が正規雇用されています。

 今後も引き続き、研修受入れ企業の拡大を図るとともに、求職者に当事業を活用していただけるよう、経済団体やハローワーク等と連携して周知しながら、より多くの方が正規雇用として再就職できるよう支援してまいります。

○議長(森 礼子君) 中西 徹君。

  〔中西 徹君、登壇〕

○中西 徹君 令和3年度も成果を出されており、204の企業に参画していただいているということなので、周知方法も強化をしていただき、一人でも多くの再就職支援をお願いします。

 次に、大項目3項目め、魅力ある学校教育についてお伺いします。

 1番、職業系専門学科における今後の展開について。

 和歌山県の2021年10月1日時点の人口は91万3523人で、前年同期より9061人減少しています。減少数は、26年連続で、前年からの減少数や減少率は拡大傾向が続いています。中でも、出生数が調査開始以降、最少を更新したことで、自然減数は最多となりました。

 少子化が進んでいる中、県立高校においてもクラス数も減ってきております。加えて、社会ニーズの変化に対応し、職業教育を専門にしている職業系専門学科を設置している県立高校においても、学科の統合や廃止、再編が進んできました。

 以前、企業の方からもお願いされたことがあるのですが、職業系の専門学科のある高校のクラスを減らさないでほしいということを要望いただきました。雇う側として、職業系専門学科の生徒が減少することは、技術を持った人材の不足につながるということです。

 今回の新政策で、佐藤議員、また山田議員も質問の中で取り上げられましたが、県は、宇宙教育の推進を掲げており、令和6年度に串本古座高校普通科内に宇宙探求コースを新設することになりました。そのような設置に向け、令和4年度から宇宙に関連する学習が実施されるよう準備が進んでいると聞いており、専門的な学びが始まることに期待をしています。

 また、農業分野の教育については、昨日の玉木議員の質問でも取り上げられましたが、令和4年度入学生から、県内の農業系高校と県農林大学校の5年間、一貫教育で連携するわかやま農業教育一貫プロジェクトが始まります。和歌山県は、全国有数の果樹王国であり、その特産物である果樹の栽培に特化した学びを行うことで、より優れた高い技術を有した人材を育てていくことに加えて、6次産業化の学びにも取り組めるよう、専門性、継続性の高いカリキュラムを構築して、経営的な視点を持った人材の輩出も考えられていると伺いました。

 このプロジェクトにより、農業に関してより実践的で専門性の高い技術、知識を身につけた地域を支える人材を育成していくということは、本当によい取組であり、他の職業系の専門学科でも必要であると感じております。さらに、これらの高校では、いずれも全国から生徒の募集を行うこととなっています。和歌山県の高校が全国から注目され、志願者が増えることは、人口減少の解消やまちに若者がにぎわうことで地域の活性化にもつながると考えられます。

 そこで、地域産業を支える担い手を育成する職業系専門学科の今後の展開について、教育長の考えをお伺いします。

○議長(森 礼子君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 令和4年度県立高校全日制の募集定員において、農業や工業、商業、看護に関する職業系の専門学科は11校に39学級で、全体に占める割合は24.4%、生徒減による募集定員が減少する中、一定の割合を維持してまいりました。

 職業系専門学科では、当該の職業に従事するために必要な知識、技能、能力や態度を育むことで、地域の産業を支える人材を輩出してきました。近年の社会や産業構造の急激な変化により、必要とされるものが変わってきていることから、それに応じた教育内容の改善、充実が求められています。

 その一つとして、職業系専門学科が地域産業や研究機関、大学等との連携を進めることで、最先端の技術を学ぶ機会の創出等、教育内容の近代化、高度化に取り組みます。

 また、職業系専門学科の生徒には、高校卒業後、専門分野をより深く学び、知識、技術を高めるために、大学進学希望も強くなっていることから、それに応えることも大切です。

 さらに、職業系専門学科の活性化にとって、職業教育への強い意欲や前向きな展望を有している生徒が集うことが必要です。そのためには、小中学校で職業について適切に学ぶことや、職業系専門学科の学習内容等について理解が深まる取組を充実していきたいと考えております。

 また、入学者選抜において、今年度から実施した農業科特別選抜のような全国募集や早期選抜を、他の職業系専門学科において導入することも含めた検討が必要だと思います。

 将来の起業家やイノベーションを引き起こす人材につながるように、本県の職業系専門学科の充実発展に取り組んでまいります。

○議長(森 礼子君) 中西 徹君。

  〔中西 徹君、登壇〕

○中西 徹君 高校の専門学科は、仕事に結びつきやすい専門的な内容を学べるということがメリットだと思います。

 今回、農業教育一貫プロジェクトの説明では、経営手法の学習や、ICTやスマート農業の学び、また6次産業化の学びなど、もうかる農業を育てると説明されています。なかなか公共で「稼ぐ」とか「もうかる」とかいう言葉が出てきにくいんですが、私としては、全国から入学したい魅力がある学校づくりについて、この考えは必要だと思っています。農業科特別選抜と同様、他の職業系専門学科でも特色化を検討する必要もあると考えられているので、和歌山県はこういう職業系専門学科があるんだと、他県からでも入学したい学校づくりをお願いします。

 それでは、最後の質問に入ります。

 特色ある教育の取組についてお伺いします。

 先日、2月10日のわかやま新報の記事において、グローカルな子供を育てるための探求プロジェクトを構想している──私立学校になると思いますが──新たな小中学校の設置を目指すプロジェクトで有田川町を候補地予定として進めていくという記事を見ました。

 この記事を見て、探求教育についてほかも調べてみたところ、長野県佐久穂町に大日向小学校という廃校を活用した学校があります。そこは2021年で開校3年目を迎えているのですが、日本で唯一のイエナプラン教育認定校で、児童の76%が県外からの移住者で、県外から学ばせたいとわざわざ移住され、この4月からは中学校も開校するようです。

 イエナプラン教育というのは、独自教育のコンセプト「20の原則」の下、異年齢集団で活動するのが大きな特徴で、対話、遊び、仕事──学習ですね、そして催し・行事という四つの活動を通じて、一人一人の個性を尊重しながら自律と共生を学んでいくのが特徴です。近年、日本でも活動を取り入れる学校や塾があり、教育に関心の高い保護者からも期待を集めています。

 広島県福山市も一部、4月から、公立初でイエナプラン教育を行います。クラス人数の半分は市外からの入学者だということです。保護者は、子供の教育のためであれば、行かせたい小学校へ移住してでも来る保護者がいるということです。

 一方、本県では、例えば橋本市にはきのくに子どもの村小中学校があり、一人一人の違いや興味を大切にする教育を行っており、学習の計画や行動の立案を子供と大人との話合いで決めるなど、自己決定が大切にされています。さらに、同校では、時間割の半分を占める「プロジェクト」と呼ばれる時間があり、実際に作ったり調べたりする体験的な活動を重視しています。この学校は、今も定員がいっぱいでなかなか入れないということをお聞きしております。

 また、先日、山田議員の質問の中でも言われていた紀美野町に、りら創造芸術高等学校という芸術に特化した学校があります。また、高野町では、イギリスの公的機関ブリティッシュ・カウンシルと協議し、義務教育9年間を通したカリキュラムの作成を目指すなどして国際化への対応を図っています。

 このように、既存の教育を発展させた新たな取組が始まっており、子供たちの意識も、日本の大学だけではなく海外の大学への進学も検討するなど、少しずつ変わっているようにも思います。新たな教育の取組は、まちづくりや教育移住などの2次的効果も期待できることから、今後も、本県において特色ある教育を進めていくことが重要だと考えますが、どのような見解を持たれているのか、教育長の答弁をお願いします。

○議長(森 礼子君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 児童生徒や地域の状況、課題を捉え、家庭や地域社会と協力しながら特色のある教育活動を展開していくことは大変重要であると考えています。私立の小中学校がいろんな取組をしているということは、本当によいことだというふうに思っております。

 現在、小中学校では、総合的な学習の時間において、国際理解、環境、防災などをテーマに探究的な学習に取り組むなど、各学校の創意工夫により特色ある学校づくりを進めているところです。

 また、高等学校では、来年度からスタンフォード大学と連携して、県内全ての高等学校から30名の生徒を募集し、オールイングリッシュによる同時双方向型オンライン遠隔講座を実施する予定です。同大学の開設科目などをテーマとして設定し、教科横断的で探求的な学びとなるように取り組んでまいります。

 県立高等学校では、「県立高等学校教育の充実と再編整備に係る原則と指針(案)」に示させていただいているように、期待される役割や使命に応えることができるよう、各学校の特色化を図り、魅力ある学校づくりを進めていきたいと考えています。

 県教育委員会では、今後も、様々な先進的な事例を参考にしながら特色のある教育活動の推進に取り組んでまいります。

○議長(森 礼子君) 中西 徹君。

  〔中西 徹君、登壇〕

○中西 徹君 特徴ある教育として、イエナプラン教育や、文部科学省が、成長戦略2020──2020年7月に閣議決定──において、国際的に通用する大学入学資格が取得可能な教育プログラム・国際バカロレアの普及拡大を図り、2020年までに国際バカロレア認定校を200校以上に増やす──2014年が74校でしたが、2021年3月現在で167校に増加している──という目標を掲げているわけでありますけど、特徴ある教育を公立学校に取り入れていく動きが出てきており、推進しています。まだまだ浸透していないのが現実だと思います。

 また、実際このような教育プランを取り入れるとしたら、恐らく多額の予算が必要となることも聞いており、なかなか動けていないのが現実だと思うのですが、これからの教育投資はどんどん行っていっていただきたいし、教育には2次的、3次的効果もあると思うので、前の質問と同様、和歌山県にはこういう特色ある学科があるんだと他県からも入学したい学校づくりをお願いします。

 以上で、私の2月議会の一般質問を終了します。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(森 礼子君) 以上で、中西徹君の質問が終了いたしました。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 7番井出益弘君。

  〔井出益弘君、登壇〕(拍手)

○井出益弘君 トリやから頑張れという激励をいただきながらやらせてもらいます。大変お疲れだと思いますけど、もうしばらく御静聴よろしくお願いします。

 私は、今回の質問は三つあります。一つは、水源涵養の森林づくりについて、2番目が新型コロナウイルス感染症治療薬について、それから3番目に、災害時における医療機関の機能維持についてであります。

 まず、水源涵養の森林づくりについて質問させていただきますけども、その前にちょっと、なぜこういう質問をするかというと、和歌山市に住んでいて何でかなと思う方もおったらあれなんで、私の生い立ちをですね。

 実は、私の生まれ育ちは有田川のずっと奥の花園村というとこで、有田川、それから、ここは母方ですけど、父方は長野県の南佐久郡八千穂村、これも村ですけど、現在、今、話しされとった佐久穂町、今、なかなか教育熱心な長野県、開智学校といって学校を最初に造ったのも長野県、そういうところにも1年半ほど住んでおりまして、どちらも農林業です。

 そういう中で生まれ育ちまして、私は、父親も長男で、僕も長男で、本来なら井出一族の長男でおったんですけど、実は28年の28(にっぱち)水害、あの水害のときに、父親は、バタコといって運送業、オート三輪車という角ハンドルの、あれの運送業を経営しとって、花園村から和歌山市までずっと運んどったそういう家族というか、花園村の花園小学校より、まちの学校へ行ったほうがちょっと勉強も実力もつくんじゃないかということで、金屋の鳥屋城小学校というとこへ1年生と2年の夏まで、夏にその28水害に遭ったんですよ。

 そのときに花園村は、僕とこの家から下は皆流れた。それで、私とこの鳥屋城小学校へ行っとったときのこの学校の近くに、丹後の森というとこがありまして、そこのバス停とか、そこの地区でおったんですけど、徳田というとこの徳田橋というのがちょうど学校の下側に、有田川に架かっていまして、鉄の橋です。ちょうど水害で、屋根の上でばあっと助けてくれって流れてきたのも徳田橋のとこで引っかかって、飛び移る者もたまにおったけど、よう移らんとばあっと行ってもうたら、こっち側はもう丸太とかガラクタで人はおらんから、そういうのをちょうど見ました。それで、私も怖いなあと思って、それで、花園村の親戚の方が、私とこの家は残っとったから、金屋のほうにも家があったから、そこで住んでいただくように、親戚の人に。それから、私らは運送業ができなくなったんで、道がずうっともう花園まで壊れてしまったから、長野県へ行きました。長野でまた農林業で、だけど、なかなかね。

 花園のダムというのは、天然ダムといって本当に大きなダムやって、私もなかなかダムの大きさが、あれを見に行ったときはまだよかったんやけど、ダムが切れたわけですね。切れて、そんなような下が皆ざあっと流れたというね。それは、この1番の水源涵養の森林づくりについて、本当にこれ大事やと思うので。

 それで、これで終わってもうたらあかんので、まず、水源涵養の森林づくりについて。

 森林は、大きく分けて天然林と人工林に分けられますが、天然林は、その名のとおり、その土地本来の樹木が自然で成り立っている森林です。一方、人工林は、主に木材生産を目的として、杉やヒノキなどの針葉樹等を植林した森林になります。人工林は、成長過程で間伐など人が手を入れないと、土砂の流出や大雨による土砂崩れなどの問題を引き起こす可能性があります。

 そして、森林にはたくさんの機能があるが、私が思うに、森林に降った雨がすぐに森林から流れ出ることなく、地中に浸透し、地下水となってゆっくり流れ出して、雨が降らなくても川の水がかれないような働きが必要です。近年は、水源涵養の機能が低下しているように思います。

 私のふるさとは、有田川の上流で、以前は豊富に水があったが、今は魚がすめないような干上がったところも多く見られます。花園の中でもそうですけど、清水町の中でも──この花園の下が清水町ですけど、ところどころに全然魚がいない、干上がるもんですから魚がいない。昔、蛍は花園もいっぱいおったんですよ。もちろん清水のほうも。だけど、そういう干上がったところがやっぱり一番先に、この蛍の餌になるニナというやつがもういなくなってしまって、蛍もいなくなるという、そういう現象がやっぱりこういうことになってきたんじゃないかなと。私も、こんなときにいつも思い出すのが「ふるさと」という歌、「ウサギ追いしかの山、コブナ釣りしかの川」、魚釣りとかも小学校の頃よくやったりね。

 本県の森林は、小規模な山林所有者が多いことや、道のついていない奥山等の条件が不利なこと、林業の後継者不足などを理由に、手入れが遅れた人工林が増えてきております。このようなところでは、杉やヒノキだけを植林するのではなく、広葉樹を植林したり、また間伐したりすることで、水源涵養機能を高め、昔のように魚がすむ川を取り戻すということもしていく必要があります。

 これは、災害とも大きな関係があるということをまず前提に聞いていただいてと思うんですけど、そのために必要な予算、費用については、森林を県民の財産として守り育てて、次の世代に引き継いでいくことを目的とした紀の国森づくり基金があります。

 そこで、このような森林の水源涵養などの保全について、紀の国森づくり基金を活用してどのような対策を行っているのか、農林水産部長にお伺いします。

 続いて、ずっと3件まで一括して質問させてもらいます。

○議長(森 礼子君) 井出議員に申し上げます。一問一答なので、一旦ここで答弁を求めていただけますようお願いします。

○井出益弘君 そうなん。ちょっと話があれやな。取りあえず、ちょっと時間短縮と思ったから。

○議長(森 礼子君) ただいまの井出益弘君の質問に対する答弁を求めます。

 農林水産部長岩本和也君。

  〔岩本和也君、登壇〕

○農林水産部長(岩本和也君) 議員御指摘のとおり、森林には土砂災害の防止や二酸化炭素の吸収など様々な機能があり、中でも、水源涵養機能は重要な機能の一つで、この機能が十分に発揮されるためには、間伐を行うなど森林を適切に管理することが重要です。

 しかしながら、長年にわたる木材価格の低迷や森林所有者の世代交代に伴う森林への関心の薄れ等により、管理が行き届いていない森林が増加してきたことから、第2期及び第3期の紀の国森づくり基金を活用し、平成24年度からの10年間で人工林約1万1000ヘクタールの間伐を行ってまいりました。

 一方で、令和元年に始まった国からの森林環境譲与税を活用し、県内の市町村でも、適切な管理が行われていない森林のうち、林業経営に適していない森林の間伐が進められているところです。

 このようなことから、来年度から始まる第4期の紀の国森づくり基金活用事業では、森林環境譲与税を活用した市町村による間伐事業とのすみ分けを行い、尾根筋などの生育の悪い人工林の広葉樹林化を進めることで、水源涵養機能をはじめ、生物の多様性の保全や土砂災害の防止など、森林の持つ公益的機能が十分に発揮されるよう取り組んでまいります。

○議長(森 礼子君) 井出益弘君。

  〔井出益弘君、登壇〕

○井出益弘君 答弁をいただきました。

 なかなかこの紀の国森づくり基金についても、これからいろんなことを、結果が出ないとあかんので、結果に向かってしっかり活用なり、有効なことを進めてほしいなと。

 そして、大事なことは、やっぱり山林所有者が売るときに利益が出なかったら、結局、売れない木をもう永久につくり続けたままで、木はどんどん大きくなるけど、大きくなったやつを切って出すのにまた費用がたくさんかかると、そういうことで、大きな木になってもまた費用が要るから、山主にはあんまり利益がないとか、出しても赤字になるような話が出るんじゃないかと思うんで、結構聞いていますけど、そんな話ね。

 いろいろトータルして、やっぱり山主にもいろんな整備の協力も求めたり、国としてもいろんなことをやっていくことを理解してもらって、そういう中で、山林所有者にもそういう山林を持っていてよかったと思えるような、孫子の代へずっと続いていくにしてもよかったと思えるような時代が昔はあったわけですよ。そういう時代がまた来るように、ぜひ考えていただくということで、これは、もう議論じゃなくて、要望しておきたいと思います。

 続いて、議長。そしたら、ここからまた2番へ。

 それでは、次に、新型コロナウイルス感染症治療薬について。

 第6波の新型コロナウイルス感染はピークを越えた感があり、また、本県のまん延防止等重点措置についても3月6日をもって解除されましたが、新規感染者数は高止まりの状態であり、予断を許さない状況が続いております。改めて、コロナによりお亡くなりになられた方々に心からお悔やみ申し上げますとともに、現在も療養中の方々にお見舞い申し上げます。一日も早く元気な体に回復されますようお祈りしています。

 さて、新型コロナの治療でECMO──これは体外式膜型人工肺──が有名になりました。肺の機能が極端に低下した場合は、従来の治療では対応できない状態になります。ECMOは、患者の血液を体外に取り出して、膜型人工肺という装置で血液に酸素を加え、二酸化炭素を除去し、再び体に戻すという治療で、肺を休ませて機能の回復を待つ、自力では呼吸ができなくなった患者に装着する医療機器ですが、非常に特殊な知識と技術、そして経験が必要とされております。

 県内にECMOを備え付けている病院は8病院、16台あり、使用状況について県に確認すると、使用事例は3人、うち2人の方がお亡くなりになっています。今ほど説明しましたが、使用するには知識と技術が医師に求められることに加えて、患者本人の回復力に頼る治療であることから、高齢者に対しての使用は難しい装置であるということも理解しておくことが大切です。

 こうした中、本県の第6波における国基準相当重症患者、高流量の酸素投与が必要な肺炎があり、ICU入室相当であったりする人工呼吸器を装着した重症患者は、50代以上の方で、とりわけ70代以上の高齢者が大半を占めております。また、これまでにお亡くなりになられた方については、令和4年2月末現在ですが101人、うち70代以上の高齢者が95人と、94%が高齢者であります。

 現在流行しているオミクロン株でも、高齢者ではやはり重症化リスクが高いと言われている中、高齢者は、自分が感染しないかと外出を控え、不安な毎日を過ごしているわけです。そのような中、新型コロナウイルス感染症治療薬として、今までの中和抗体薬に加え、昨年の年末に飲み薬タイプの治療薬が1品目特例承認され、また、先月にも1品目特例承認されたと公表されています。さらに、先月25日には、塩野義製薬が国産初の治療薬を国に承認申請したと発表がありました。

 県民、特に高齢者は、新型コロナの感染予防対策を徹底し、ワクチン接種もして、何とか感染しないように、重症化しないように努めていますが、データからも一目瞭然、どうしても重症化、そして亡くなる割合が高いのは高齢者です。重症化を防ぐ、コロナにおびえない日常生活を取り戻すことができる最後の一手が新型コロナウイルス感染症治療薬であると考えます。

 しかし、現在の中和抗体薬や飲み薬タイプの治療薬は、いずれも海外の製薬メーカーが開発した薬であり、輸入しているということもあって流通が必ずしも安定していないのではと心配しているところであります。

 そこで、オミクロン株の治療に使用されている中和抗体薬と経口薬の供給体制と状況について、福祉保健部長にお伺いいたします。

○議長(森 礼子君) 福祉保健部長志場紀之君。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 新型コロナウイルス感染症の治療薬のうち、オミクロン株に有効とされている中和抗体薬は1品目、経口抗ウイルス薬は2品目であり、高齢者や基礎疾患などの重症化リスク因子を有する軽症者、酸素投与が不要な肺炎患者等に使用されております。

 供給に関しては、供給が安定するまでの間、国が買上げ、品目ごとに登録された病院、診療所、薬局に無償で提供されているところです。そのため、通常の医薬品購入とは異なる登録手続が必要となることから、県では、新型コロナウイルス感染症の診療を行う病院等に対し、発症初期に投与できるよう積極的な登録を促してきたところです。

 その結果、一例を申し上げますと、経口薬である販売名ラゲブリオカプセルでは、2月末時点において、病院、診療所合わせて約370施設、薬局約180施設が登録を完了しており、在庫数は約500人分、使用した患者数は約650人となっております。

 現在、各品目において在庫数や使用施設等に制限はあるものの、いずれの品目も供給が滞っていないことから、登録病院等において、医師が必要と判断した患者には供給できているものと認識しております。

 また、高齢者施設等において、療養している患者の早期治療を図るため、往診可能な医師を募集して、中和抗体薬を使用する仕組みも進めており、治療薬の積極的な活用に取り組んでいるところです。

 今後とも、新たな医薬品が供給される見込みであることから、それぞれの治療薬の投与対象者に適切な治療が行われるよう、関係機関と連携しながら供給体制の充実に努めてまいります。

○議長(森 礼子君) 井出益弘君。

  〔井出益弘君、登壇〕

○井出益弘君 今、お話聞いた中で一つ、往診にいろいろ協力していただけるというお医者さんを募集して、これは中和抗体薬を使用する仕組みを進めているという答弁でありましたけども、募集して、どのぐらいの程度の応募者があったのか。なかなかうれしいというか、仁坂知事が一生懸命やっとるので、こういう人らも協力してくれるという話が出たんかと思うけど、どれぐらいの程度の応募があったのか、聞かせていただきたい。

○議長(森 礼子君) 福祉保健部長。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 応募につきましては、3月8日現在で、病院で22、診療所で87、合わせて109施設から応募がありまして、現在、登録手続を行っておるところでございます。

○議長(森 礼子君) 井出益弘君。

  〔井出益弘君、登壇〕

○井出益弘君 なかなか多くの診療所、病院から、そういう協力していただけるという応募がこんなにあったというのは、本当にすばらしいなと、それはうれしい話でありまして。

 次に入らせていただきます。

 三つ目の災害時における医療機関の機能維持について。

 昨年の10月3日、和歌山市六十谷の水管橋の一部が崩落し、和歌山市紀の川以北の地域の約6万世帯、約13万8000人の方が6日間にわたり断水の被害を受けました。改めて、県内外を問わず給水活動を行っていただいた関係者の皆様、給水所などで支援していただいたボランティアの方々、そして、応急復旧のために、昼夜問わず対応していただいた工事関係者の皆様方の御尽力に心より感謝申し上げます。

 実は、私も和歌山市北部に住んでおり、被害を受けていたのですが、水の確保に奔走しながら、小学校等の給水所で支援活動を行いました。本当に大変な事態で、もう一本送水ルートがあれば、和歌山市北部に浄水場があれば、このような事態にならなかったのではないかと残念でなりません。今後、このようなことが発生しないよう、抜本的な対策を講じられたいと思うのであります。

 さて、本題に入りますが、当然のことながら、今回の断水は県民の命を守る医療機関においても長期間の断水となり、入院患者や人工透析を急ぐ患者にも影響を及ぼしていたわけでありますが、この医療機関の中には、災害拠点病院も含まれております。

 今回、局地的な断水ではあったが、近年、台風や豪雨、地震など大規模災害が相次いでおり、近い将来の発生が懸念されている南海トラフの地震が起こった際は、被災地域は広範囲にわたり、被害も多く発生するものと考えられます。地震や台風などの災害で負傷者が発生した場合に、中心となって受入れを行う災害拠点病院や、数日に1回の治療を必要とする透析患者を受け入れる医療機関などは、災害による停電や断水が発生したとしても、病院の機能を維持し、命を守る医療の提供を続けなければなりません。

 私は、ちょうどこの質問を出させてもらおうかと考えた頃、和歌山ろうさい病院が、私も以前から、南條院長が「災害が起こったら、ちょっとうち大変や」というようなことを、だけど、この断水ということがあったもんですから、非常に私もわあっと思ったんですけど、早速、もうこのことの対策で和歌山ろうさい病院は、何か仁坂知事もいろいろと非常に骨を折ってもらって、停電とかしないように上へ上げたとか、いろんな患者を受入れするような病棟を、そういうのをちょうどオープンしたというのを最近聞いて、私も、ちょっとああっと思ったんですけど、本当に。

 だけど、なかなか、東電の原子力発電所の停電なんかでもあれやし、私はもともと住友金属というところで、機械の点検とか修理とか、何かあったときに直しに行く仕事をやっとったんですけど、溶鉱炉とか、鉄を溶かしている平炉とか転炉とか、そういうところは、冷却水というのは本当にもう命がけで守るんで、私らも二重に三重にそういうのをやっとって、東電の原子力発電所があんなこと、電気が切れたら水かぶったんで、何かモーターが回らないとか、何かディーゼル発電とかディーゼルエンジンで送れるように二重、三重になっていると言うたのが、燃料が入ってなかったとか、あきれた報道を聞いたんですけども、やはり和歌山でもそういうことがあるか分からんと思うし、まず、30年以内に来ると言っているのだから、そういうようなことも考えると、特別な対応というのを考えてはおると思うんですけども、そういうようなことも一度、現在の分かっている状況、あるいは今後のどうしようかというような対応策のようなことをまず聞かせていただきたいと思います。

○議長(森 礼子君) 福祉保健部長。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 県内に10か所ある災害拠点病院につきましては、その指定要件として、少なくとも3日分の病院の機能を維持するための水を確保しておくことや、通常の6割程度の発電容量のある自家発電設備を保有し、3日程度の燃料を確保しておくことが求められており、体制は整っております。

 さらに、水の確保については、治療のため特に水を必要とする透析医療機関のうち、災害時に中心となる医療機関を保健所が選定しており、市町村において、優先給水を行う重要給水拠点として登録されております。

 昨年10月の水管橋の落下事故では、透析や分娩、患者が入院している医療機関など14の医療機関を優先給水の対象として、9日間で約3200トンの給水が実施されたところです。

 また、電力の確保については、発災後3日が経過し、災害拠点病院の自家発電設備で使用する燃料が不足した場合など、県と石油商業組合との協定に基づき燃料を供給することとしているほか、大規模災害発生時において、電力会社が派遣する発電機を搭載した車により電力の臨時供給を行うべき重要施設のリストに、病院や透析を行う診療所をあらかじめ登録しております。

 県としましては、今後とも、地域の災害医療を担う医療機関に停電や断水への備えを強化するよう働きかけるなど、災害時に県民の命を守る医療体制の充実に引き続き努めてまいります。

○議長(森 礼子君) 井出益弘君。

  〔井出益弘君、登壇〕

○井出益弘君 大変、対応しているというのも非常に分かりました。だけど、さらに、そういうチェック漏れがないかとか、そういう思わぬことが起こってもというようなこともやっていただくことをお願いして、以上で終わります。(拍手)

○議長(森 礼子君) 以上で、井出益弘君の質問が終了いたしました。

 お諮りいたします。質疑及び一般質問を終結することに御異議ございませんか。

  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(森 礼子君) 御異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問を終結いたします。

 次に日程第3、議案の付託について申し上げます。

 お諮りいたします。お手元に配付しております議案付託表のとおり、議案第1号から議案第17号までは予算特別委員会に付託いたしたいと思います。これに御異議ございませんか。

  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(森 礼子君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。

 次に、お手元に配付しております議案付託表のとおり、議案第34号から議案第42号まで、議案第44号から議案第61号まで及び議案第63号から議案第73号まで並びに報第1号及び報第2号は所管の常任委員会に付託いたします。

 お諮りいたします。3月11日及び14日から16日までは委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。

  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(森 礼子君) 御異議なしと認めます。よって、3月11日及び14日から16日までは休会とすることに決定いたしました。

 次会は、3月17日定刻より会議を開きます。

 本日は、これをもって散会いたします。

  午後2時23分散会

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