令和4年2月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)


◆ 汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているものもあるため、人名等、会議録正本とは一部表記の異なることがあります。人名等の正しい表記については「人名等の正しい表記」をご覧ください。

令和4年2月 和歌山県議会定例会会議録 第5号

議事日程 第5号

 令和4年3月8日(火曜日)

 午前10時開議

 第1 議案第1号から議案第17号まで、議案第34号から議案第42号まで、議案第44号から議案第61号まで及び議案第63号から議案第73号まで並びに報第1号及び報第2号(質疑)

 第2 一般質問

────────────────────

会議に付した事件

 第1 議案第1号から議案第17号まで、議案第34号から議案第42号まで、議案第44号から議案第61号まで及び議案第63号から議案第73号まで並びに報第1号及び報第2号(質疑)

 第2 一般質問

────────────────────

出席議員(41人)

 1番 鈴木德久

 2番 山家敏宏

 3番 中本浩精

 4番 堀 龍雄

 5番 藤山将材

 7番 井出益弘

 8番 宇治田栄蔵

 9番 北山慎一

 10番 玄素彰人

 11番 中西峰雄

 12番 秋月史成

 13番 森 礼子

 14番 濱口太史

 15番 尾崎要二

 16番 冨安民浩

 17番 川畑哲哉

 18番 玉木久登

 19番 鈴木太雄

 20番 岩田弘彦

 21番 吉井和視

 22番 谷 洋一

 23番 佐藤武治

 24番 岩井弘次

 25番 中 拓哉

 26番 多田純一

 27番 新島 雄

 28番 山下直也

 29番 中西 徹

 30番 谷口和樹

 31番 藤本眞利子

 32番 浦口高典

 33番 山田正彦

 34番 坂本 登

 35番 林 隆一

 36番 楠本文郎

 37番 高田由一

 38番 杉山俊雄

 39番 片桐章浩

 40番 奥村規子

 41番 尾﨑太郎

 42番 長坂隆司

欠席議員(なし)

〔備考〕

 6番 欠員

────────────────────

説明のため出席した者

 知事         仁坂吉伸

 副知事        下 宏

 理事         田嶋久嗣

 知事室長       赤坂武彦

 危機管理監      細川一也

 総務部長       吉村 顕

 企画部長       横山達伸

 環境生活部長     生駒 享

 福祉保健部長     志場紀之

 商工観光労働部長   寺本雅哉

 農林水産部長     岩本和也

 県土整備部長     安部勝也

 会計管理者      真田 昭

 教育長        宮﨑 泉

 公安委員会委員    細江美則

 警察本部長      遠藤 剛

 人事委員会委員長   平田健正

 代表監査委員     森田康友

 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫

────────────────────

職務のため出席した事務局職員

 事務局長       出津野孝昭

 次長         中井 寛

 議事課長       山田修平

 議事課副課長     岩井紀生

 議事課課長補佐兼議事班長

            岩﨑 亮

 議事課主任      伊賀顕正

 議事課主査      菅野清久

 議事課主事      松本 悠

 総務課長       須田剛司

 政策調査課長     神川充夫

────────────────────

  午前10時0分開議

○議長(森 礼子君) これより本日の会議を開きます。

 日程第1、議案第1号から議案第17号まで、議案第34号から議案第42号まで、議案第44号から議案第61号まで及び議案第63号から議案第73号まで並びに報第1号及び報第2号を一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、併せて日程第2、一般質問を行います。

 23番佐藤武治君。

  〔佐藤武治君、登壇〕(拍手)

○佐藤武治君 皆さん、おはようございます。

 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、私の一般質問をさせていただきます。

 まず初めに、新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられました方々に心から哀悼の意を表しますとともに、今も療養中の方々の一日も早い快癒をお祈り申し上げます。

 そして、質問に入る前に、私は、12月の定例会において、人権課題としての北朝鮮当局による日本人拉致問題について知事の御所見を伺い、学校教育における人権教育・啓発に関し、北朝鮮による日本人拉致問題啓発アニメ「めぐみ」の活用について教育長に質問するとともに、職員の人権研修において同アニメの活用を要望いたしました。

 知事からは、12月16日に県のホームページ「知事からのメッセージ」、(資料を示す)ここにございますけども、これで日本人拉致問題と「めぐみ」を取り上げていただき、「すべての学校の子供たちにこの映画を見てもらえるように努力していきたいと思います」というメッセージを出していただきました。教育長からは、「県立学校と市町村教育委員会に対して、拉致問題に関する教育・啓発を一層充実するよう強く働きかけるとともに、拉致問題について深く考えることができるよう、全ての学校がアニメ『めぐみ』を視聴するようにしてまいります」との答弁をいただいておりました。

 1月に所用で串本町の教育長にお会いすることがあり、教育長から、「先日、県の教育委員会の方がアニメ『めぐみ』のDVDを持参して、各小中学校で活用してほしいとお見えになっていました」とのお話があり、伺いますと、県の教育委員会では、議会終了後直ちに文書を発出していただき、各市町村の教育委員会を訪問し、働きかけていただいたとのことでありました。また、県警察本部においても、早速、警察学校における生徒の研修に活用をいただき、年明けから順次、各警察署や本部においても所属ごとにDVDを配付し、研修に活用をいただいているとお聞きしました。本当に迅速に対応いただき、感謝を申し上げます。ありがとうございました。

 それでは、1項目めの質問に入ります。

 串本古座高等学校において宇宙探究コースの新設に向けた取組を開始することについてお伺いします。

 串本古座高校は、これまで、ラムサール条約に登録された海や南紀熊野ジオパーク、トルコとの交流、歴史など、地域の魅力ある自然や文化を活用した学びに取り組んでおり、地域も積極的に学校に協力をしています。

 また、串本町では現在、民間小型ロケットの打ち上げに向けた準備が進められており、本年末には初号機が打ち上げられる予定と聞いています。地元でも打ち上げに向けた機運がどんどん高まっています。

 県内の教育現場でも、串本を中心に、宇宙を子供たちの学習意欲の向上に生かそうという取組が活発化しています。例えば、昨年12月11日、串本町役場古座分庁舎で「宇宙飛行士の試験に挑戦」と題したイベントが開催されました。このイベントには、青少年に宇宙の魅力を伝える公益財団法人日本宇宙少年団が協力をしています。参加した小学生は、「火星や月に行きたい」と笑顔で語っていたそうであります。

 串本町は、発射場整備が決まった2018年度以降、子供向けの宇宙教育に力を入れており、町内の13小中学校でワークショップを開催し、発射場やロケット、人工衛星について学ぶ機会を持っています。また、県内の教諭有志が2020年に発足させた和歌山県宇宙教育研究会とも連携をし、ペットボトルのロケットを作って打ち上げる体験会も行っています。

 こうした中、本年1月12日の知事記者会見において、公立高等学校で全国初となる取組として串本古座高校に宇宙専門のコースを新設することが発表され、令和4年度新政策案や令和4年度当初予算案にも知事の発表内容に基づいた施策や予算が示されています。知事が新年最初の記者会見において発表されたことによって、年末のロケット初号機の打ち上げに向けて相乗効果を生み出し、串本古座高校と共に地域が注目される大変よい機会となり、すばらしい発表であったと私も強く感じたところです。

 この知事の会見を受けて、串本古座高等学校地域協議会の会長でもある田嶋串本町長は、「古座川町と共に要望してきたことが動き出し、大変うれしい。少子高齢化が進む中で、地元の子供の教育にも大きな刺激を与えると思う。町としては、地域活性化と教育振興の二刀流でまちづくりに取り組む」と意気込みを語っています。

 この発表までには様々な検討がなされてきたと思いますが、串本古座高校に新設する宇宙探究コースへの思いや今後の展望について、知事にお伺いをいたします。

○議長(森 礼子君) ただいまの佐藤武治君の質問に対する答弁を求めます。

 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 平成31年3月に、串本町が国内初の民間小型ロケット発射場の建設予定地として選定されました。現在では、スペースポート紀伊と名づけられた発射場もおおむね完成し、年末の打ち上げに向けた準備が着々と行われております。

 この間、ロケットの打ち上げに向けて機運を高めていくために、毎年、串本で宇宙シンポジウムを開催しております。子供たちを含め多くの方々に参加いただき、ロケットや宇宙に対する関心の高さが分かりました。何より、ロケット打ち上げ事業という最先端の科学の英知が集まる取組が自分たちの住むまちで実現するということに、未来を担う子供たちは大きな期待を持っているということを改めて感じました。

 このようなことから、宇宙という非常に優れた題材を用いた全国にはない新たな高等学校教育を串本の地で実現したいと考えたわけでございます。そのため、専門的な知識を持つ方々の協力は不可欠であるわけですが、シンポジウムに御登壇いただいた東京大学の中須賀真一先生やスペースワン株式会社の遠藤守最高顧問などから、今後も協力を得られる予定でございます。

 新設する宇宙探究コースでは、多くの科学技術分野を学ぶことになり、その数多くある科学技術のどこかに興味を持って伸びていく生徒が出てきてほしいと思います。さらに、地元の生徒だけではなく、全国の子供たちが串本古座高校で学び、この地域で育っていくことを望んでおります。また、生徒が県外などから来てくれるということは、地域の活性化にもつながるというふうに思います。加えて、この地域で優秀な人材が育ち、その育った人材がまたこの地域で働いていく、このような好循環を生み出していければと思っております。

 全国の宇宙少年よ、来たれという思いで、本県が率先して宇宙への思いを持つ子供たちを育てていきたいと考えております。

○議長(森 礼子君) 佐藤武治君。

  〔佐藤武治君、登壇〕

○佐藤武治君 ありがとうございます。今、知事のほうから、地元でも優秀な人材が生まれてきたらというお言葉をいただきました。

 実は、先ほど地元でも機運が高まっているという話をしたんですけども、県と教育委員会が児童生徒のICT教育の学習成果を発表するという場を開いた2021年度のきのくにICTプログラミングコンテストがありました。ここで、串本古座高校1年生の清野君という生徒がおるんですけども、この生徒が製作したアプリが最優秀賞に選ばれています。発射場スペースポート紀伊の場所といった情報が、スマホなどから地図上で確認ができるそうです。清野君は、「ロケット観光や宇宙教育に利用してもらえたら」というふうに話しております。地元にロケット発射場ができることで、こういうふうに興味や関心を持つ生徒児童が多くなることは非常にうれしい思いであります。

 続いて、宇宙探究コースは令和6年度からスタートすると伺っていますが、公立高校では全国初となる宇宙探究コースを新設していくということになれば、新設に向けたスケジュールや学習内容の検討等が大変重要になると考えます。全国初の試みということであり、ほかに見本とするようなものはないと思いますし、全国からも生徒を募集することを考えると非常に注目されていると感じています。

 今後、令和6年度の新設に向けてどのように進めていくのか、また、どのようにして学習内容を検討されていくのか、教育長にお伺いをいたします。

○議長(森 礼子君) 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 令和6年度に新設する宇宙探究コースでは、宇宙への学びを通して宇宙や科学に対する興味、関心を高め、広い視野で探求心、新しい価値を創造しようとする意欲を育成したいと考えております。

 令和6年度入学生のコース新開設へ段階的な取組を進めることにしており、令和4年度の入学生は、総合的な探求の時間の中で宇宙関連学習を実施するとともに、宇宙関連イベント等への参加や部活動でも取り組んでまいります。さらに、令和5年度入学生は、その取組に加え、学校が設けている選択科目の中に宇宙に関する科目を開設する予定です。

 こうした取組を進めていくために、大学や宇宙関連企業、JAXAなど、専門的な知見を有する方々に御協力をいただき、来年度から和歌山県宇宙教育検討会議を組織し、科目の内容や教材開発、指導計画等について助言や提案をいただくことにしております。

○議長(森 礼子君) 佐藤武治君。

  〔佐藤武治君、登壇〕

○佐藤武治君 ありがとうございます。

 今、説明の中では、大学の教授やJAXAなどの協力ということを、専門的な知識を持っている方にはお願いもできるということであります。学習内容、カリキュラムの設定は非常に重要だというふうに思います。公立高校では全国初ということもあって、県の教育委員会としても大きな挑戦になろうかというふうに思いますが、どうかよろしくお願いいたします。

 また、今後、定員はどうなるのか、現在あるグローカルコースは残していきたいが、どうなるのか、地元の生徒はどうなるのかなどといった細々としたお話も出てくると思います。こういった点にも留意をされ、串本古座高校や同校地域協議会とも緊密な情報交換、情報提供をお願いしておきます。

 質問を続けます。

 現在、串本古座高校には、全国募集を行っているグローカルコースが設置されています。県外から入学する生徒やその保護者にとっては、南海トラフ地震等の津波で大きな被害が想定される串本町でありますので、より安心・安全な高台にある住居を希望される方がほとんどだというふうに聞いております。現状でも希望に見合う物件は多くありません。

 これまでも、地域のまちや町の教育委員会、商工会、観光協会などで組織された串本古座高等学校地域協議会も、学校と連携をして県外の生徒の住居等の対応に当たっていますが、今後、串本古座高校に宇宙探究コースが新設されれば、県外や県内ほかの地域からの入学希望者がさらに増加することが想定されます。これまで以上に、県外などから入学する生徒の受入れ環境を充実しなければなりません。住むところがなければ、全国募集といってもなかなか志望者を募ることもできないというふうに思います。

 先ほど田嶋町長の意気込みも申し上げましたけれども、夢と希望のある喜ばしい話と期待を膨らませる一方、地元としてはどのように対応していけばよいのか、戸惑いや時間的な焦りも感じているところがあるようでございます。県立高校だからといって、課題があれば全て県で解決をというわけにはいかないと地元も考えております。これまでも同校地域協議会と地元との情報交換や協議なども行ってきたと思いますけれども、先ほど申しましたとおり、若干不安や焦りもあるようでございます。

 こうしたことから、今後も、同校地域協議会を中心とした地元と県とが緊密に連携をし、受入れ環境の充実などにどのように取り組んでいただくのか、教育長にお伺いをいたします。

○議長(森 礼子君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 生徒の受入れ環境の充実についてでございますが、まず、地域の様々な団体等の御参加により串本古座高等学校地域協議会を組織し、日頃から串本古座高等学校の教育活動を御支援いただいていることに対し、感謝を申し上げたいと思います。

 串本古座高等学校における県外生徒の支援については、県教育委員会としても、生活支援員を配置し、日々生徒の住居を訪問し、生活指導や相談に対応しております。また、県外生徒の受入れに際しては、現在も生徒や保護者の希望に見合った物件等の確保に取り組んでいるところです。今後、地域の協力を得ながら、下宿先として生徒を受け入れていただける物件の掘り起こしなどにも取り組んでまいります。

 地域と緊密に連携し、支援をいただきながら、生徒が入学後の生活に希望を持ち、また、保護者が安心して送り出すことができるよう、受入れ環境の充実に努めてまいります。

○議長(森 礼子君) 佐藤武治君。

  〔佐藤武治君、登壇〕

○佐藤武治君 保護者が安心して送り出せるようなというふうに答弁をいただきました。最初に質問した学習内容と同様に、この受入れ環境については、全国募集を考えた場合は本当に重要な課題であるというふうには思います。

 住居の確保については、同校地域協議会のコーディネーターをされている方を知っているんですけども、ちょうどこの議会前にもお話を聞きました。不動産屋等の話を聞いて対応しているようですけれども、大変御苦労をされていると、「なかなか見つかりにくいんだよ」というふうな話も伺ってきたところであります。仮に新たな施設を整備することなどを考えれば、残り2年間、これはそれほど多くの時間は残されていないと考えます。寮の建設も含め、生徒の生活環境の整備については、例えば閉校となった旧の古座高校、この有効活用も視野に入れるなどして、地元である串本町及び古座川町や同校地域協議会はもちろんのこと、県においても早急に検討、また協議をしていただくように要望しておきます。

 それでは、2項目めとして、歩道整備など歩行者の安全対策に関する質問について伺います。

 本定例会に提出された箇所表について内容を確認させていただくと、私の地元の串本町において、歩道整備が新規事業として挙げられております。これは、一般国道42号串本太地道路の仮称・古座川インターチェンジからJR古座駅までの道路拡幅区間から、さらに海側の国道42号までの約700メートルの間に歩道を整備するとのことであります。

 この区間は、国道42号近くにある西向小学校に通う子供たちの通学路となっております。しかし、交通量が多いにもかかわらず、家が道路に張りついており、一部区間では片側に狭い歩道があるものの、その他の区域は狭い空間にグリーンベルトという緑色の色を道路側に塗っているだけで、ガードレールも全区間設置をされておりません。もし自動車などの運転手が操作を誤ったら、子供たちの命を守ることができるとは言い難いものであります。正直なところ、歩道整備の順番がやっと回ってきたかなというふうな思いであります。

 そこで、県土整備部長にお伺いをいたします。本事業が今回位置づけられた背景と、今後どのように事業を進めるのか、御答弁をお願いいたします。

○議長(森 礼子君) 県土整備部長安部勝也君。

  〔安部勝也君、登壇〕

○県土整備部長(安部勝也君) 県道すさみ古座線のJR古座駅前から国道42号までの約700メートル区間につきましては、議員の御指摘のとおり、西向小学校の通学路であるものの、一部区間に狭い歩道があるのみです。

 今回位置づけた背景といたしましては、現在県が進めている串本太地道路仮称・古座川インターチェンジからJR古座駅前までのアクセス道路の拡幅工事が完成することにより、当該区間の交通量がこれまで以上に増えることが想定されるためです。ついては、歩行者の安全を早期に確保するため、令和4年度の事業箇所として本議会で御審議をお願いしている次第でございます。

 今後の事業の進め方としては、本議会で御了解をいただいた後に測量設計を行い、地元の協力を得ながら用地買収に入り、用地買収が完了した箇所から工事に入ることで、早期に全線にわたる完成を目指してまいります。

○議長(森 礼子君) 佐藤武治君。

  〔佐藤武治君、登壇〕

○佐藤武治君 ありがとうございます。

 この歩道整備、これは歩行者の安全を守る施設整備、これは私の地元に限らず、県議の諸先輩方にもまた地元から多くの要望が寄せられているものと、こういうふうに思います。特に幼稚園児、保育園児のお散歩コース、また小中学生の通学路は、ほかにも増して安全でなければならないというふうに思います。また、通勤時間帯など幹線道路の混雑を避けるため、抜け道と称し、総じて幅員が狭い見通しのよくない生活道路を猛スピードで走り抜ける自動車なども危険で仕方がありません。この対策も待ったなしだというふうに思います。

 国では、昨年6月に千葉県八街市において5名の児童が死傷する事故など、園児や児童が被害に遭う痛ましい交通事故が減らないことから、今年度の第1次補正予算で道路の交通安全に係る予算や施策を充実したと聞いております。運転手の安全運転教育や車両の安全性能の向上など、事故を起こさない努力は続けるべきでしょう。

 しかし、もし運転手が操作を誤ったとしても、ガードレールやブロックで隔離された歩道を歩いていれば、最悪の事態を免れる可能性は格段に上がります。抜け道となっている生活道路では、車道にハンプと呼ばれる段差などを整備したり、ロードペイントを施したりすれば、スピードを上げられないようになり、道幅が狭くても同様に最悪の事故を防止する可能性は格段に上がると思います。痛ましい事故を防ぐためにも、歩道整備や、抜け道のような道路でスピードを出さないようにするためには、警察による規制だけではなく、道路におけるハード対策にも力を入れるべきだというふうに思います。

 本県では、平成28年度より新政策として歩道整備を計画的に進めていて、5年ごとに計画を見直されていると思います。そして、来年度からは、この見直された計画の1年目になると聞いています。国の方針も踏まえ、新たに歩道整備など歩行者の安全対策が進むのではないかと期待をしています。知事の御所見並びに御決意をお伺いいたします。

○議長(森 礼子君) 知事。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 歩行者、特に園児のお散歩コースや小中学生の通学路における安全確保は、県民の命を守るという最も重要な政策目標の一つであり、これまで力を入れてきた施策の一つでございます。

 平成28年度におきまして、延長500キロメートルの歩道整備を目標に掲げまして、それまでのペースだと全部完成するまで50年かかるというふうに計算されるところ、いろいろ工夫をいたしまして、それで、20年間で重点的に歩道整備を実施することにいたしまして、現在、その計画に従って実施中ということでございます。令和3年度には、約4分の1を占める142キロメートルについて完成または事業を実施中というふうになるなど、着実に進展はさせているつもりでございます。

 このような中、議員御指摘のとおり、国では、滋賀県大津市の16名の園児が死傷した事故や千葉県八街市における5名の児童が死傷した事故等、相次ぐ痛ましい事故を受け、道路の交通安全対策を強化しているところでございます。

 今般、歩道整備計画を見直すに当たりまして、道路管理者、教育委員会、PTA、県警等による通学路合同点検で抽出した要対策箇所等を優先的に位置づけるとともに、生活道路における速度抑制の手段として、ハンプや狭窄等を設置する対策も実施することにいたしました。

 県といたしましては、来年度からは、防災・安全交付金のみならず、国が令和4年度に新たに創設する個別補助制度も効果的に活用いたしまして、通学路等の安全確保の加速化を図る所存でございます。

○議長(森 礼子君) 佐藤武治君。

  〔佐藤武治君、登壇〕

○佐藤武治君 ありがとうございます。

 本当に歩道というのは、普通考えれば、もう絶対安全なはずのところであるという認識が当然だと思うんです。そこで、こういうふうな痛ましい事故が非常に全国各地で起こっている。

 前にも、これは名古屋だと思いますけれども、中学生の自転車通学している生徒さんが歩道を普通に通学しているときに、大型のトラックがガソリンスタンドか何かに入ろうとして、その生徒を巻き込んだというふうな事故もあったように記憶しているんです。本当にその歩道に入る運転手、私ももちろん免許を持って車を運転するわけですけども、歩道については、特にそういう意味で常に一時停止、ここは意識する部分かなあというふうに思って、私も気をつけるように運転をしているわけです。ここはぜひともドライバーの皆さんにはそういう思いで運転をしていただきたいと思います。

 そして、今後とも、私の地元のみならず、和歌山県全体の道路がより安全になるように歩道整備なども加速をしていただきたい。今、知事から50年を20年というふうなお話もありましたけども、加速化をしていただきたいと、このように思います。

 そしたら、次の質問に移ります。

 小中学校の県内での修学旅行については、過去にも関連した質問をしてまいりました。令和3年2月定例会では、来年度──そのとき令和3年度でありますけども、それ以降の県内での修学旅行を推奨する取組についてお伺いをしたところ、教育長から「今後も、県内への修学旅行を推奨してまいります」との御答弁をいただいたところでありますが、小中学校の県内での修学旅行の今年度の実施状況と今後の県内での修学旅行推奨について、教育長にお伺いをいたします。

○議長(森 礼子君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 今年度、県内の修学旅行を実施または検討している小学校は、全体の8割を超える199校、中学校は全体の6割を超える76校となっています。

 今年度の修学旅行についても、昨年度に引き続き、コロナ禍の中、県外の感染状況等を踏まえ、市町村教育委員会を通じて、各学校に県内での修学旅行を御検討いただくよう積極的に働きかけてまいりました。

 県内で修学旅行を実施した学校からは、熊野古道散策等、自然や地域に密着した体験的なプログラムを取り入れたことで、和歌山の文化や産業への理解が深まったなどの意見を聞いております。

 県教育委員会としましては、子供たちが和歌山のすばらしい観光資源を体験することで、改めて和歌山の魅力を知る機会となるよう、今後も県内への修学旅行を勧めてまいります。

○議長(森 礼子君) 佐藤武治君。

  〔佐藤武治君、登壇〕

○佐藤武治君 今、教育長のほうから、実施した学校からも、和歌山のそういう自然や産業の理解が深まった、文化も含めて理解が深まったというふうな答弁をいただきました。

 私も、常々、県内においても、紀北、紀中、紀南それぞれの地域でも修学旅行としての目的を十分に果たせると思っていますし、県外にある教科書に出てくるような歴史的な建築物、こういうのも実際に見て回ることによってより学びを深めることができて、子供たちにとって意義深いことでもあるというふうには思っています。

 この長引くコロナ禍において、従来のような修学旅行が実施しにくい状況で、一時的に行き先が県内へシフトしただけかもしれませんけれども、一般旅行客が大幅に減る中で、あるホテルの関係者は、「一昨年以来、県内の小中学校などが県内に修学旅行を変更していただいて本当にありがたかった。助けられた思いです」というふうなお話も聞いております。県内での修学旅行が地域経済に貢献している、この表れだというふうに思います。

 修学旅行以外でも、遠足などの教育旅行も地域経済に貢献できる、そういうふうにも思っています。道路網が整備されるにつれ、県内でも日帰りが可能な範囲も広がっています。少し遠くの場所にバス移動でと考えると、本来の遠足の意味合いは少し薄れるかもしれませんけれども、県内には、遠足などの教育旅行にふさわしい場所が数多くあるというふうに思っております。

 県内学校の県内での修学旅行、教育旅行を推奨するため、今後実施されるかどうかは分かりませんけれども、わかやまリフレッシュプランのような事業を実施する際には、いわゆる学校枠、修学旅行や教育旅行枠というようなものを設けていただいて、これらに利用できやすくするような工夫もいただくように、この際にお願い、また要望をしておきます。

 最後の質問に入ります。

 南紀熊野ジオパークに関連してお伺いをいたします。

 南紀熊野ジオパークは、平成25年2月に南紀熊野ジオパーク推進協議会が設立をされ、その後、ガイドや地元住民の活動が高く評価され、平成26年8月28日に日本ジオパークに認定、平成31年1月には再認定をされました。令和元年7月27日には、南紀熊野ジオパークセンターが私の地元、串本町潮岬に開館し、もうすぐ3周年を迎えます。私も、自宅から歩いてもう10分弱のところにありますので、講演会やイベントがあるときだけでなく、折に触れ、訪問をして状況などをお伺いするようにはしております。

 開館以来、県内外から大勢のお客様が見えられ、令和3年5月には来館者数が10万人を超え、コロナ禍においても、令和2年度には、先ほど質問いたしました県内学校の修学旅行先が県内へシフトする動きを捉え、来館を働きかけるなどをした結果、県内で109校、県外4校の計113校、4327名が同館を訪れ、年間で約4万5000人の来客があり、今年度も県内98校、県外16校、合わせて114校、4285名が既に訪れて、来客者数も令和2年度以上になる見込みと伺っております。地域経済にも大きく貢献してくれていると思います。

 我が国には、南紀熊野を含め46地域が日本ジオパークに認定されており、そのうち9地域がユネスコ世界ジオパークに認定されています。私も調べたんですけれども、その多くは、市町村長などが会長職を務める人が多く、ただ唯一、その都道府県知事が会長をされているのが南紀熊野、知事だと聞いております。それだけ知事自らが熱心に取り組んでおられるというふうには、私は感じたところであります。ジオパークガイドの方たちとも話をする機会もあるのですけれども、皆総じて、知事は、県は熱心に取り組んでくれているとよくお聞きします。

 南紀熊野が高く評価されているのがジオパークガイドの活動であります。地元のガイドには町議会議員をしている方もおり、ジオパーク活動に非常に熱心に取り組んでいます。今後も、今まで以上に取り組んでくれるものと期待もしているところです。

 知事も御存じかと思いますけれども、地元の市町村議員ももっと南紀熊野ジオパークを盛り上げていかねばということで、令和3年8月には、串本町議会の全員協議会において、南紀熊野ジオパークの活動を支援する議員連盟の結成にも声を上げています。

 知事や県、ジオパークガイドをはじめとする住民の方々の活動、取組に比べると、せっかくの地元市町村の取組が少し弱く感じてしまうのは私だけではないというふうには思います。確かに県主導で開始をされ、推進されてきた南紀熊野ジオパークではありますけれども、それぞれの市町村のガイドの方々が本当に熱心に活動されているのを、こういうのを見ると、それぞれの市町村ももっともっとジオパーク活動の取組の前面に出てきていただきたいと、私はそう思っております。

 令和4年度は日本ジオパークの再認定の年であり、ユネスコ世界ジオパーク認定申請に向けて、自然環境室ジオパーク推進班をジオパーク室にするなど体制の強化も図り、新たな事業も本格化させていると聞いております。

 ここで、改めて、知事の南紀熊野ジオパークへの思い、ユネスコ世界ジオパーク認定申請に係るお考えをお伺いいたします。

○議長(森 礼子君) 知事。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 南紀熊野の自然、歴史文化、産業や人々の生活など、その全てが、成り立ちや仕組みをひもといていきますと、地球の活動、つまりジオにたどり着くわけでございます。

 プレートの沈み込みや熊野カルデラの巨大な火山活動により紀伊半島が隆起し、急峻な山地に多くの雨が降ることで、深く豊かな森などの自然環境、さらには奇岩、巨岩、滝など、独特の景観を生み出しております。これらは、古来より、遠く離れた都の人たちにとって畏敬の対象となり、古事記や日本書紀の神話の舞台として熊野が登場し、熊野信仰の地として多くの方々が訪れ、栄えた歴史がございます。

 また、豊富な雨に育まれた良質の木材や、それを運ぶいかだ流し、黒潮がもたらす豊かな漁場などが人々の生活を古くから支えておりますし、また、つい最近までジオ活動のもたらした鉱山も多くありましたし、また、現在でも観光の目玉でありますところの温泉がいっぱいあると、そういう恵みも受けてまいりました。

 現在、世界的に評価されている紀伊山地の霊場と参詣道、ラムサール条約登録湿地、吉野熊野国立公園の景観も全て、何千万年、何億年という途方もない年月をかけて地球がつくり上げてきたことを知れば、後世に引き継ぐべき貴重な資産として、その価値はさらに高まると思います。

 このように魅力ある南紀熊野を世界に発信していくため、市町村や環境省、地域の関係者に呼びかけて、南紀熊野ジオパーク推進協議会を立ち上げました。

 ジオパークというのは、貴重な資産を保全するだけではなくて、地元の人々がどう活用していくのかというのが重要であるというふうに理解しております。この地のジオパーク活動に火をつけたのはひょっとしたら私かもしれませんが、地元の人々の中に燃え上がる素地があり、地域が自ら盛り上がったからこそ、南紀熊野の自然と文化のすばらしさ、熱意ある地域住民とジオパークガイドというのが高く評価されまして、それで日本ジオパークに認定されたという経緯があります。

 県では、さらに地域の取組を加速させるため、和歌山県長期総合計画にユネスコ世界ジオパークの認定を盛り込むとともに、令和元年7月には南紀熊野ジオパークセンターを開設するなど、その取組を進めてまいりました。令和4年度においては、これまでの取組に加えて、陸と海のつながりに注目した海のジオサイト構想や、次世代を担う人材を育成する南紀熊野ジオパーク探偵団といった新政策を展開してまいります。

 南紀熊野ジオパークを世界に誇るものにしていくため、地域の方々と一体となって様々な取組を進めてきたが、協議会の立ち上げから節目の10年を迎えまして、いよいよ世界認定への機が熟したという強い思いに至っております。新年度には、ユネスコ世界ジオパークの認定に向け、新たにジオパーク室を設置して体制の強化を図り、国内候補地として選定されるように手続を進めてまいりたいと考えております。

○議長(森 礼子君) 佐藤武治君。

  〔佐藤武治君、登壇〕

○佐藤武治君 どうも御答弁ありがとうございました。今、知事の答弁を伺いまして、確かに知事のジオに対する熱意がよく伝わってきました。

 先ほど答弁の中にもあった南紀熊野ジオパーク探偵団、ここで取り組んでいただいているということで、非常にいい取組だなあというふうに、こう思っております。非常に、中学生とか高校生のこういう探偵団を発足していただいて、本当に新たに興味を持っていただいた方が数多くいるようにも伺っております。そうした地元からの盛り上がりが本当に大事だなあというふうに思っております。

 先ほど南紀熊野ジオパークの活動を支援する議員連盟の結成の動きを申し上げましたけれども、ここは、最初は地元が盛り上がることが大事だなというふうには思っておりますので、ぜひ知事にもバックアップをひとつお願い申し上げます。

 そういうことで、いろいろ今回、私の地元で発表された県立串本古座高校の関係やジオパークを中心に質問させていただきました。それぞれ今後、私も注視しながらまた見守っていきたいと、また御協力できるところは協力していきたいと、このように思います。

 以上をもちまして、私の一般質問を終わります。御清聴どうもありがとうございました。(拍手)

○議長(森 礼子君) 以上で、佐藤武治君の質問が終了いたしました。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 1番鈴木德久君。

  〔鈴木德久君、登壇〕(拍手)

○鈴木德久君 皆様、おはようございます。

 議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問を行います。どうぞよろしくお願いいたします。

 年末には、新型コロナウイルス感染症の新規感染者もゼロの日が続き、安心した感がありましたが、年明けからの強烈な感染力を持つオミクロン株による第6波は、我々の想像をはるかに超え、本県においても、まん延防止等重点措置区域への指定申請や自宅療養を余儀なくされる事態となりました。

 そのような中、まん延防止等重点措置区域の指定が解けた3月6日の段階で105名の方がお亡くなりになりました。心から御冥福と、現在療養中の方々の一日も早い御回復をお祈り申し上げます。

 一方で、何となく他人事のように感じていた我が家でも、1月28日に母親がPCR検査により陽性となり、即日入院となりました。透析患者ゆえの入院手配には、関係者の皆様方に大変な御苦労をおかけしたことと思います。当然、私たち家族も濃厚接触者として、翌日、PCR検査を受けました。幸いなことに結果は陰性でしたが、1週間の自宅待機となりました。その間、PCR検査の手配や翌日からの体温確認まで、一体どこまで電話での確認作業をしていただいているのかと、大変な業務の一端を見させていただきました。

 朝日新聞和歌山県版で2月の中旬に掲載された「ルポ コロナ禍の一日」では、そのタイトル「深夜の会議 苦しい胸の内」や「不安のいらだち 職員直撃」、または「様々な問い合わせに忙殺」といった内容から、現場の状況が目に浮かぶようで、改めて現場で頑張っておられる全ての方々に感謝するとともに、一日も早く平穏な日常に戻ることを願わずにはいられません。

 それでは、1問目の光ファイバーの整備及び山間部の通信状況についてお伺いいたします。

 以前から言われておりましたコロナ禍による東京への集中緩和について、1月28日付で総務省から公表された住民基本台帳に基づく2021年の人口移動報告では、東京23区は、転出者が転入者数を1万4828人上回り、初めての転出超過になったとのことです。人口や地域振興の問題に詳しい専門家によりますと、2020年は、東京23区からの転出先は東京圏や北関東にとどまっていましたが、2021年は、四国、九州といった東京圏からより離れた地域にも転出する動きも見られるということです。IT企業を中心に、リモートワークを前提に居住地の制限をなくす企業が増えていることから、この流れは大きな転換点になるのではという見方が出てきております。

 最近の話題といたしましては、ヤフージャパンは、通勤手段の制限を緩和し、居住地を全国に拡大できるなど、社員一人一人のニーズに合わせて働く場所や環境を選択できる人事制度「どこでもオフィス」を拡充とのニュースがありました。もともとヤフージャパンでは、2014年に、オフィス以外も含め、働く時間と場所を自由に選択できる「どこでもオフィス」というリモートワークの制度を設け、新しい働き方を推進しています。その結果、最近では約9割の社員がリモートワークで業務に従事しており、そのまた9割の社員が、リモート環境でもパフォーマンスへの影響がなかったと回答しています。

 そのメリットとして、これまで育児や介護のためにやむを得ず時短で働いていた社員がフルタイムで働けるようになった、あるいは、自宅にいる時間の増加に伴い、家族と関われる時間が増えた、また、通勤時間が削減されることで、学習など自己研さんの時間が増えたなどが挙げられています。

 そして、これからの取組としては、さらなる拡充策として、この4月から出社指示があった場合の通勤手段や出社時間等の制限を撤廃し、これまで以上に柔軟に社員一人一人の事情に合わせた働き方を選択できるようにすることによって、社員約8000人のウエルビーイング、幸福感が向上することによるパフォーマンスの最大化を目指します。そしてまた、居住地に左右されない優秀な人材の採用や多様な価値観に合わせた働き方を選択できることで、ダイバーシティーをさらに推進するとのことであります。

 また、一方で、国ではデジタル田園都市国家構想の実現に力を入れており、岸田総理の所信表明演説では、「これまで進んで来なかったデジタル化が急速に進むなど、社会が変わっていく確かな予感が生まれています。今こそ、科学技術の恩恵を取り込み、コロナとの共生を前提とした、新しい社会を創り上げていくときです。 この変革は、地方から起こります。 地方は、高齢化や過疎化などの社会課題に直面し、新たな技術を活用するニーズがあります。例えば、自動走行による介護先への送迎サービスや、配達の自動化、リモート技術を活用した働き方、農業や観光産業でのデジタル技術の活用です。 ピンチをチャンスに変え、我々が子供の頃夢見た、わくわくする未来社会を創ろうではありませんか」、「第2の柱は、地方を活性化し、世界とつながる『デジタル田園都市国家構想』です。 地方からデジタルの実装を進め、新たな変革の波を起こし、地方と都市の差を縮めていきます。そのために、5Gや半導体、データセンターなど、デジタルインフラの整備を進めます。誰一人取り残さず、全ての方がデジタル化のメリットを享受できるように取り組みます」と、このように宣言されています。

 そこで、全ての県民がデジタル化のメリットを享受するためには、高速大容量である光ファイバーが必要となってきますが、私の地元である田辺市の龍神村においてIT関連のお仕事をされている移住者の方にお聞きしますと、かなり専門的な映像等のやり取りを行うようなレベルでもあり、通信状況や導入価格についてなかなか満足できる状況にないとのことでした。

 県では、早くからワーケーションのメッカとして白浜等を中心に仕掛けてきており、このコロナ禍において、地方への移住機運の高まりはかなりの追い風となっていると思います。受入れオフィスを整備して誘致するケースにおいては、デジタル環境もよく、特に問題はないと思いますが、結構、私の周り、山間部にもIT関連の仕事をされる移住者の方が増えてきています。

 先ほどのヤフーの話や、総理の誰一人取り残さず、全ての方がデジタル化のメリットを享受できるように取り組むとの決意表明を聞くと、どうしても期待してしまいますが、現在の本県における光ファイバーの整備及び山間部の通信状況について、企画部長にお伺いいたします。

○議長(森 礼子君) ただいまの鈴木德久君の質問に対する答弁を求めます。

 企画部長横山達伸君。

  〔横山達伸君、登壇〕

○企画部長(横山達伸君) 県内の住居地における光ファイバーの整備状況につきましては、令和4年2月現在で世帯カバー率99.9%となっておりますが、山間部の一部にはまだ整備されていない地域が残っているため、引き続き民間事業者に整備を促してまいります。

 また、御指摘のあった田辺市龍神村につきましては、田辺市が公設民営方式で光ファイバーを整備して、民間事業者が住民向けのサービスを行っております。

 龍神村の通信状況についてでございますが、4Kの動画配信サービスの利用等により通信量が大幅に増加をし、一時的に通信速度が遅くなる状況があったものと認識をしておりますが、運営を受託している民間事業者が事態を把握した後、速やかに対応したことにより、ホームページの閲覧や動画配信のサービスの利用、テレワーク等、一般的な利用には十分な通信レベルまで改善してきております。専門的な映像等の大容量のデータを送受信するには必ずしも十分でないところもございますが、田辺市によりますと、更新時期を迎えた通信機器を今後、更新していく予定であり、さらなる改善を図ることができるものと聞いております。

 また、国におきましては、令和3年12月に、ブロードバンド基盤の在り方に関する研究会から、デジタル社会の実現に向けたブロードバンドのユニバーサルサービス化に関する提言がなされて、不採算地域における光ファイバーの整備や設備の高度化等に使える新たな交付金制度を創設する議論がなされているところであり、県といたしましても、この動向を注視してまいりたいと考えております。

○議長(森 礼子君) 鈴木德久君。

  〔鈴木德久君、登壇〕

○鈴木德久君 常に県内のデジタル環境の現状把握に努めていただいて、移住・定住の推進の観点からも、Iターンの方に事前にその状況を説明していただけるようによろしくお願いいたします。

 続きまして、再生可能エネルギーの状況と導入目標についてお伺いします。

 和歌山県では、かつて海南火力発電所や御坊火力発電所がフル稼働していた頃は、他県に供給する側だったと思いますが、現在の電力の需要と供給のバランスはどのようになっているでしょうか。

 また、現在の電力量に占める、風力、水力、太陽光、木質バイオマス等の再生可能エネルギーの割合はどうでしょうか。

 さらに、世界に目を向ければ、ドイツのミュンヘン、カナダのバンクーバー、オーストラリアのシドニーなど、再生可能エネルギー率100%を達成する地域が増え続けていますが、本県における2030年度の再生可能エネルギーの導入目標について、商工観光労働部長にお伺いします。

○議長(森 礼子君) 商工観光労働部長寺本雅哉君。

  〔寺本雅哉君、登壇〕

○商工観光労働部長(寺本雅哉君) まず、県内の消費電力量と発電量のバランスについてですが、2011年までは、石油火力発電所の稼働率が徐々に下がり、発電量が消費電力量を下回っていましたが、2011年の東日本大震災以降、電力需給の逼迫のため石油火力発電所の稼働率が上昇し、発電量が消費電力量を上回りました。しかし、海南火力発電所の休廃止等により、足元では発電量が消費電力量のおよそ5割を下回っています。

 次に、電力量に占める再生可能エネルギーの割合についてですが、2020年度、全国で約20%であったのに対し、本県は約25%となっており、全国的に見ても再生可能エネルギーの導入が進んでいる状況にあります。

 最後に、2030年度の再生可能エネルギーの導入目標ですが、昨年3月に策定した第5次和歌山県環境基本計画において、電力量に占める再生可能エネルギーの割合を33%まで引き上げることを目標にしており、国の目標も踏まえつつ、2050年度までのカーボンニュートラルの達成に向けて、今後も県民の理解を得つつ、自然環境や生活環境との調和を図りながら再生可能エネルギーの導入を進めてまいります。

○議長(森 礼子君) 鈴木德久君。

  〔鈴木德久君、登壇〕

○鈴木德久君 次に、一般家庭への太陽光発電の導入についてお伺いします。

 昨年10月に東京都から、一定の新築建築物に太陽光発電の設備設置を義務づける、都独自の制度の導入に向けた検討を開始するとの発表がありました。都知事の記者会見では、CO2削減の取組は、産業や事業系などの分野で大きな効果が出ているが、その一方で、家庭が一番進んでいないと指摘しています。携帯電話やトイレの便座などを例に挙げ、20年前と比べて、快適性と引換えにCO2の排出増につながっており、その中で、それぞれの家庭で何ができるかという点で、既に普及した技術であり、価格も落ち着いてきた個人の家の屋根での太陽光発電による創エネを推進するとしました。

 また、東京都では、2050年までに世界のCO2排出実質ゼロに貢献できるゼロエミッション東京の実現を目指し、そのマイルストーンとして、2030年までに都内温室効果ガス排出量を50%削減すること、再エネ電力利用割合を50%まで引き上げることを表明しております。

 私も、個人的に興味がありまして、2007年に屋根に太陽光を設置、2009年11月からはFITの最高額である42円の単価で買ってもらいましたが、10年たって、2019年11月からは8円となってしまいました。そして、また大きな設備投資をして蓄電池の購入と、すっかりはまっているような状況であります。なかなか元を取るところまではいきませんが、子供たちとのエネルギーに関する意識も高まり、なるべく発電した電力で暮らせないものかという現実的な環境意識の高まりは感じております。

 カーボンゼロは、何もつくる側の問題だけでなく、使う側の意識改革も非常に大事だと言われています。いろんな資料を調べても、個人の住宅に太陽光発電設備と蓄電池を設置しても、採算ベースに乗せることはまだまだ厳しい状況ではあります。このように、一般家庭に太陽光発電の導入を進めることは、発電した電気でできる限り暮らそうとする気持ちが湧き、省エネ意識も高まると考えます。

 県は、今後どのように取り組んでいくのか、環境生活部長にお伺いします。

○議長(森 礼子君) 環境生活部長生駒 享君。

  〔生駒 享君、登壇〕

○環境生活部長(生駒 享君) 一般家庭への太陽光発電の導入につきましては、国が平成24年に固定価格買取制度、いわゆるFIT制度を創設し、再生可能エネルギーの導入を国策として推進したことにより、本県においても、住宅への太陽光発電設備の設置が普及してきたところです。

 さらに、国では、2050年カーボンニュートラルの宣言を踏まえ、再生可能エネルギーの導入を一層加速させるため、今年度から、太陽光発電設備の設置と併せて、省エネ基準等を満たした住宅を新築または増改築する場合の補助制度を拡充するとともに、令和4年以降に入居する当該住宅に係る住宅ローン控除が新たに認められることとなったところです。

 県では、これまでも各種広報媒体やイベント、環境学習など、あらゆる機会を通じて、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギー導入の意義や必要性について県民の理解を深める取組を進めてきたところですが、引き続き、太陽光発電導入に係る支援制度など最新の情報を積極的に発信し、さらなる導入促進を図ってまいります。

○議長(森 礼子君) 鈴木德久君。

  〔鈴木德久君、登壇〕

○鈴木德久君 よろしくお願いしたいと思います。

 続きまして、災害時等の非常時用通信システムについてお伺いします。

 1月29日に、巨大地震による道路の寸断や電話回線の断絶など、集落が孤立した場合に備えた通信訓練が県内各地であり、訓練の成果はおおむね良好とのことでした。県では、2009年度に、孤立の可能性がある集落に防災行政無線や衛星携帯電話の配備を進めており、2011年の紀伊半島大水害では、これらの通信機器が機能したとのことです。

 そこで、まず、孤立の可能性がある集落は564か所とのことですが、その認定基準と通信機器の配備状況について、危機管理監にお伺いします。

○議長(森 礼子君) 危機管理監細川一也君。

  〔細川一也君、登壇〕

○危機管理監(細川一也君) 孤立の可能性がある集落、いわゆる孤立集落の定義につきましては、中山間地域、沿岸地域、島嶼部等の地区及び集落において、道路交通または海上交通による外部からのアクセスが、地震、風水害に伴う土砂災害や津波等による道路構造物の損傷等の要因により、人の移動・物資流通の点で困難となり、住民生活が困難もしくは不可能となる状態になることとなっております。県といたしましては、この定義に基づき、各市町村から報告があった孤立の可能性がある集落として把握をいたしております。

 また、通信機器の配備については、孤立集落の被災状況をいち早く把握することが必要不可欠であることから、県といたしましても、平成21年度に通信機器の整備について市町村に支援を行い、その後も、市町村が新たに孤立する可能性があると判断した集落については、わかやま防災力パワーアップ補助金により、引き続き財政支援を行っております。

 現在、通信機器の配備状況については、孤立の可能性がある集落564か所のうち、隣接集落の通信機器を使用できるなどの理由から設置する必要がないと市町村が判断した25か所を除いて、全て整備されている状況でございます。

 なお、県では、紀伊半島大水害の教訓から、平成24年度より、県内の孤立の可能性がある集落との情報伝達を円滑に行える策として、無線機の動作確認や操作方法の習熟を図ることを目的に、統一日を設けて訓練を毎年実施しておるところでございます。

○議長(森 礼子君) 鈴木德久君。

  〔鈴木德久君、登壇〕

○鈴木德久君 御答弁ありがとうございました。

 自主防災を目的とした太陽光発電施設や蓄電池等の整備支援について、再度お伺いします。

 2011年の経験から、反省点の一つとして、防災行政無線や衛星携帯電話のバッテリーに充電できてなくて通信できなかった事例が少しありました。

 私の集落の話なんですけども、水害当時、22戸32名の集落ですが、1週間程度の停電でした。そこで、たとえ孤立したとしても、大体田舎のことですから、水は山水もあれば、風呂もまき風呂で沸かせる。例えば、米農家もあり、備蓄は十分にありますので、みそとか梅干しでもあれば半年ぐらいでももつんではないかと、そういう中で、あとは本当に最小限の電気があればということで、いろいろな地区の役員会等でも話になりまして、そして今回、さっきも申しましたように、私の家の屋根のほうでつくっている電気を、蓄電池をつけてみようかということで、実験的に行っておるところなんです。

 このように、停電が長期にわたる場合を想定して集会所等への太陽光発電設備や蓄電池設置を考えている自主防災組織への支援について、危機管理監にお伺いします。

○議長(森 礼子君) 危機管理監。

  〔細川一也君、登壇〕

○危機管理監(細川一也君) 災害時の停電対策については、非常用電源設備の重要性を鑑みて、市町村避難所運営マニュアル作成モデルにおいて明記しており、市町村が災害時の非常用電源の資機材の整備を行う場合には、わかやま防災力パワーアップ補助金による財政支援を行っているところでございます。

 議員御指摘の太陽光発電設備や蓄電池の設置につきましては、今後、市町村からの要望がございました場合に、補助金の趣旨に照らして検討してまいりたいと考えております。

○議長(森 礼子君) 鈴木德久君。

  〔鈴木德久君、登壇〕

○鈴木德久君 よろしくお願いしたいと思います。

 続きまして、林業従事者の非常用通信システムについてお伺いします。

 林業界における死亡災害発生件数は、毎年40件前後で、死傷災害発生率・千人率では全産業界平均の10倍以上で、10年以上横ばいの状態が続いています。本県での死傷災害発生率は、全国平均の1.5倍という厳しい状況にあります。

 過去の死亡事故の分析結果から、約70%以上が発見の遅れ、連絡の遅れが原因とされています。さらに、現在の林業ではより省力化が求められており、林内での孤立作業の機会が増え、発見の遅れが顕著となるおそれがあります。また、事故発生時の救助活動に要する時間は、入電から防災ヘリ到着まで1時間以上とされています。将来の森林整備を担う人材の確保は林業界にとって最重要課題であり、既にキャリアやスキルを持った林業作業者を労働災害で失うことは、あってはならないことであります。以前にも、交通事故の対応のため、高野龍神スカイライン等での携帯電話の不感地域の解消をお願いしたところですが、さらに奥地の林内となれば、携帯電話の対応は難しいものと思われます。

 そこで、有効な対応手段として考えられるのが衛星無線機であり、これの導入により、事務所内の基地局と森林内の作業者が随時情報交換できるので、緊急事態の把握が容易で、発見の遅れ、連絡の遅れを防止できます。また、被災者の位置情報も発信できるので、救助時間の短縮も期待できます。

 林業労働者の死亡事故を撲滅させるための環境整備について、農林水産部長にお伺いいたします。

○議長(森 礼子君) 農林水産部長岩本和也君。

  〔岩本和也君、登壇〕

○農林水産部長(岩本和也君) 林業の現場は、山間部で、携帯電話の通信圏外である状況が多いため、緊急時に迅速かつ的確に消防本部に連絡できる環境整備が必要であると認識しています。

 このため、県では、林業の現場で事故が発生した場合、救助隊に少しでも早く被災現場まで来てもらうために、作業現場の位置情報や救急車との合流場所などを記載した伐木等作業緊急通報カードをあらかじめ消防本部に届け出るよう、令和元年度から事業体を指導し、その普及を図っているところです。

 また、議員御提言の衛星無線や小電力通信技術を活用した陸上移動局無線の現地実証を行い、衛星無線では、通信が途切れたり、高額な維持経費を要すること、陸上移動局無線では、高額な導入経費や山頂への中継器の設置に労力を要することなどの課題が判明したところです。

 県としましては、引き続き、衛星無線をはじめとする通信技術の進歩に合わせて現地での導入実証を実施するなど、死亡事故撲滅に向け、林業作業現場での非常用通信システムの整備に取り組んでまいります。

○議長(森 礼子君) 鈴木德久君。

  〔鈴木德久君、登壇〕

○鈴木德久君 御答弁いただきましたように、早期実現に向けてよろしくお願いしたいと思います。

 続きまして、大きな項目の医師確保についての質問に入ります。

 県では、2025年の医療需要を踏まえての地域医療構想に基づき、高度急性期、急性期、回復期、慢性期から在宅医療に至るまで、患者の症状に合った質の高い医療提供体制の構築に日々努力されていることと思います。

 一方、医療従事者の確保として、県内での医師不足解消のため、県立医科大学において、全国公募の県民医療枠や県内募集の地域医療枠、さらには近畿大学医学部での和歌山県地域枠を設けるなど、地域に定着する医師を確保する対応を取られ、従来の自治医科大学を含め、将来の地域医療を支えていくという志の高い医師の養成に取り組まれています。さらに、これらの入学枠に対応した支援策として、和歌山県地域医療医師確保修学資金など、一定期間を県内の公的医療機関で勤務した場合に返還免除となる修学資金貸与制度が用意されています。

 さきの12月定例会において濱口議員の質問にもありましたが、これらの取組により、県内での地域医療の中核を担う公立病院や診療所で勤務する医師数が増加してきていると伺っています。まだまだ充足している状況とまでは言えないと思いますが、今後の医師確保の見通しについて、福祉保健部長にお伺いします。

○議長(森 礼子君) 福祉保健部長志場紀之君。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 県では、医師不足を抜本的に解消するため、平成20年度以降、和歌山県立医科大学医学部の入学定員を60名から100名に順次増員するとともに、近畿大学医学部にも和歌山県地域枠を設け、医師の確保に取り組んでおります。

 令和3年度において、県立医科大学県民医療枠、地域医療枠及び近畿大学医学部和歌山県地域枠の卒業医師数は227名であり、初期臨床研修及び後期研修の医師を除く84名が地域の中核病院や診療所に勤務し、地域医療に従事しております。

 今後、これらの卒業医師が順次増加し、自治医科大学卒業医師を含め、令和8年度には160名を超える若手医師が地域医療に従事する見通しでございます。

○議長(森 礼子君) 鈴木德久君。

  〔鈴木德久君、登壇〕

○鈴木德久君 次に、私の知り合いで、現在消防士として働きながら、救急救命の医師を目指している方がいます。県内で唯一の医科大学である県立医科大学において、社会人から医師を目指す方への対応はどうでしょうか。また、それに対する支援策について、福祉保健部長にお伺いします。

○議長(森 礼子君) 福祉保健部長。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 社会人の方が県立医科大学において医師を目指す場合、年齢制限のない一般選抜として、一般枠、もしくは県民医療枠において受験が可能となりますが、経済的支援となる修学資金貸与制度はありません。

 ただし、県民医療枠で入学した場合には、卒業後、若手医師が地域と大学病院等をローテーションしながら専門的な知識や経験を積むことができる仕組みを構築し、医師のキャリア形成を支援する取組を実施しております。

 県としましては、志願者の年齢や社会経験いかんにかかわらず地域医療を堅持するため、県立医科大学を中心とした現行の入学制度を維持することにより、将来にわたって地域医療を担う医師を確保してまいります。

○議長(森 礼子君) 鈴木德久君。

  〔鈴木德久君、登壇〕

○鈴木德久君 先ほどの知り合いの方は、紀南地方で救急医療に携わりたいとの明確な目標を持って、今春、チェコの国立大に入学するそうです。全国的にも、最近では、ハンガリー、チェコ、スロバキア、ブルガリア、中国などの海外の国立大学医学部を目指す人も増えてきています。

 茨城県では、海外対象医師修学研修資金貸与制度をつくり、将来、茨城県内の医療機関において医師の業務に従事しようという意思の下、海外の医科大学に在学する方に対して貸与するもので、日本の医師免許を取得後、直ちに知事の指定する医療機関で貸与期間の2分の3に相当する期間を勤務した場合に返還を免除する制度があります。和歌山県では、今のところこういった方を支援する制度はないとのことですが、今後とも、様々な方策で医師確保に取り組めるよう、その支援策について要望しておきます。

 続きまして、ひきこもり支援の充実についてお伺いします。

 昨年5月19日、自民党の「いわゆる『ひきこもり』の社会参画を考えるプロジェクトチーム」により、当時の菅内閣総理大臣に提言書が提出されました。同時に関係府省横断会議設置を提案し、了承されています。作業チームの座長を務めた馳元文部科学大臣は、「政府と連携しながら支援に取り組んでいきたい。政府が法整備をしない場合は、議員立法で行う必要がある」と述べています。提言書の内容としては、1、現状のひきこもり支援施策の再点検、2、過去と未来も俯瞰した息の長い支援の充実、3、コロナ禍におけるひきこもり支援、4、良質な支援者の育成と支援手法の開発、5、国民の意識醸成、6、その他としまして、ひきこもり政策そのものを推進するための基本法の制定等とされています。

 この提言を受けた動きとして、政府の経済財政運営と改革の基本方針2021の中で、日本の未来を拓く4つの原動力~グリーン、デジタル、活力ある地方創り、少子化対策~と挙げられていますが、これらを支える基盤づくりの一つとして孤独・孤立対策を掲げ、その中にひきこもり支援が記載されています。そこでは、「現状の支援施策を再点検した上で、当事者や家族の視点に立って、ひきこもりに至った要因と将来も考慮した息の長い支援の実施、良質な支援者の育成と支援手法の開発等の取組を推進する」としています。「こうした官・民・NPO等の取組の連携強化の観点から、各種相談支援機関、NPO等の連携の基盤となるプラットフォームの形成を支援し、人と人とのつながりを実感できる地域づくりや社会全体の気運醸成を図りつつ、官民一体で取組を推進する」と明記されております。

 その流れの中で、厚生労働省から令和4年度事業で、ひきこもり支援の充実と推進として、都道府県ひきこもり地域支援センターの再点検と市町村事業の立ち上げ支援のためのサテライトの設置、あるいは市町村におけるひきこもり支援ステーション事業の後方支援が挙げられています。

 本県では、いち早くひきこもり対策事業を展開し、十分なノウハウの積み上げもあろうかと思いますし、やっと国のほうが追いついてきたのではといった感覚もありますが、そこで、市町村が実施するひきこもりサポート事業の状況と、新たにひきこもり支援ステーション事業へ移行することに伴う県の対応及び今後のひきこもり支援の取組について、福祉保健部長にお伺いします。

○議長(森 礼子君) 福祉保健部長。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) ひきこもりサポート事業については、市町村における細やかなひきこもり支援の体制を整備する目的で、国が平成30年度に新たに創設した事業です。令和元年度には、全国で81市町村が実施する中、本県では23市町村において取組が始まり、令和4年度は27市町村が実施予定となっており、全国と比べ、取組が進んでいます。これは、本県が平成16年度から、全国に先駆け、民間のひきこもり支援機関の協力を得て居場所の活用を進めてきたことが要因です。

 県としましては、同事業未実施の3町について、引き続き事業実施に向け働きかけを行うとともに、現在任意で行っている相談支援窓口の周知やネットワークづくりにつきましては、新たなひきこもり支援ステーション事業において必須となることから、居場所づくりを実施している市町村にも、そうした取組を進めてまいります。また、圏域ごとに情報共有や地域の課題の検討を行う協議の場の設置についても支援してまいります。

 県の今後の取組についてですが、内閣府の調査の結果から、県内のひきこもりの方は約8000人と推計されますが、ひきこもり地域支援センターや保健所などへの相談件数は、令和2年度で延べ3700件にとどまっており、なかなか相談につながっていないのが現状です。

 県では、これまで、民生委員・児童委員や社会福祉協議会などと連携し、地域住民が抱える様々な課題を把握する中で、ひきこもりの方や家族が相談窓口につながるような取組も行っております。ひきこもりの方の支援のためには、まず相談いただくことが大変重要であると考えており、一人でも多くの方が相談につながるよう、ホームページや県民の友、広報番組などのあらゆる媒体を活用し、ひきこもり地域支援センターや保健所、市町村が相談窓口であることの周知を行ってまいります。

 さらに、ひきこもり地域支援センターにおいて、今年度から相談員を1名増員し、相談機能やコーディネート機能の強化を図りました。同センターがひきこもり支援の拠点としての役割を果たすために、保健所や市町村、居場所を提供するひきこもり支援機関との連携をより一層強化してまいります。

○議長(森 礼子君) 鈴木德久君。

  〔鈴木德久君、登壇〕

○鈴木德久君 御答弁いただきました。

 再度、官・民・NPO連携の下で事業推進をよろしくお願いしたいと思います。

 最後に、定点カメラの設置・運用についてお伺いしたいと思います。

 今年は、例年に比べ、寒くて雪の量が多かったように思います。私の通勤路でもある国道311号でも例年になく積雪量が多く、冬用タイヤが活躍しておりました。早朝には、県の黄色い道路管理車や業者の車で塩カルをまいているところと出会うことがありましたが、おかげさまで安全に不安なく通行することができております。改めて早朝からの作業に感謝申し上げたいと思います。

 その上でのお願いなんですが、できれば国道311号小広峠付近の状況が分かるような定点カメラ設置の要望です。

 我々は、よく国道168号を使って奈良や大阪方面に向かうことがありますが、一番高い天辻峠のほか数か所が奈良県のホームページ等で定点カメラの画像を見ることができます。雪の季節、特に夜間などは、ルートの判断に非常に便利です。例えば、国道311号や国道371号、高野龍神スカイライン等、積雪や路面凍結が頻繁に発生する箇所への設置が望まれます。3年ほど前には、小広峠で夜間に大型トラックのスリップ転落事故がありました。事前に道路の状況が分かっていれば、海岸線に回ったものではないかとも思われます。

 行政管理用には、県内でも定点カメラが設置されているとも伺っておりますが、定点カメラの増設や一般公開に対する考え方について、県土整備部長にお伺いします。

○議長(森 礼子君) 県土整備部長安部勝也君。

  〔安部勝也君、登壇〕

○県土整備部長(安部勝也君) 県は、冠水、越波、積雪等の道路状況を迅速に把握し、異常事態等に適切に対処するため、国道371号や県道御坊由良線等の県管理道路12路線19か所に道路監視カメラを設置しています。

 カメラの設置により、現地に赴くことなく、各振興局建設部において道路状況等を確認できるなど、道路管理が効率的に行えることから、今年度、31か所の増設に着手したところです。

 また、並行して、一般の方が画像をリアルタイムで閲覧できるよう、県ホームページにおいて一般公開の準備を進めるとともに、画像をコンピューター分析し、冠水や越波等の閾値を超えた時点で自動的に担当職員に知らせるシステムの導入を検討するなど、カメラを活用した道路管理のデジタルトランスフォーメーションにも積極的に取り組んでまいります。

○議長(森 礼子君) 鈴木德久君。

  〔鈴木德久君、登壇〕

○鈴木德久君 どうぞよろしくお願いいたします。

 今回、一般質問で、私といたしましては、「誰一人取り残さない」であるとか「全国どこでも」といったフレーズを聞くと、とても魅力を感じて期待をしてしまいます。県民一人一人が実感できる幸福感の向上に向けた県政の推進をお願いいたしまして、今回の私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(森 礼子君) 以上で、鈴木德久君の質問が終了いたしました。

 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。

 この際、暫時休憩いたします。

  午前11時38分休憩

────────────────────

  午後1時0分再開

○副議長(鈴木太雄君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 33番山田正彦君。

  〔山田正彦君、登壇〕(拍手)

○山田正彦君 それでは、議長の許可をいただきましたので、一般質問をさせていただきます。

 ただその前に、3月1日、県下一斉に高等学校の卒業式が行われたことだとは思いますが、私も和歌山工業高校の卒業式にお招きをいただき、出席させていただきました。卒業生の皆さんは、総じておおよそ3年、コロナ禍の中でいろんな制約をされて、厳しいというんですか、学生生活をお送りになったことだろうと思ってその胸中をお察し申し上げます。これも人生の中で卒業生の皆さんに、多分この経験が長い人生の中できっと役に立つというんですか、そのエネルギーになることは間違いないんで、頑張って、社会へ出て、あるいは学校へ行く方もいらっしゃいますが、そんな中で頑張ってくださいというふうにエールを送っておきました。

 本当に一日も早くコロナが収束して平常に戻ればいいな、そういう思いでいっぱいでありますし、この前も申し上げましたが、野㞍技監をはじめ、本当に県職員の皆さん、大変御努力いただいていることに感謝しながらも、一日も早い収束になられることを心から念じている1人であります。

 それでは、私なりに、実は、表題を見ていただいたらいいんですけど、何か文教委員会しているん違うんかいというような出だしでありましたが、私も自分の意見を、文教委員会というテリトリーだけじゃなくて、皆さんにも共通して御認識いただけたらなあという思いで、これから幾つかのことについて意見を申し上げさせていただきたいなあ、そう思っておりますので、何とぞ御協力いただけたらなあと思います。

 本当に今、テレビ、ラジオ、新聞、その他のメディアで、もう目を覆いたくなる、耳を塞ぎたくなるような痛ましい事件、事故が本当に日常茶飯事のように報道されております。幼い子供が、あろうことか、親からいじめられたり、あるいは最悪、大切な命まで失ってしまうというような、本当に一昔、二昔前にはこんなことあったんかなあというような思いのニュースが流れてまいります。

 同じく学校においても、相変わらずいじめの問題が次々と現れて、昨日もたまたま藤本議員の質問にもありましたが、本当にいろんな話題が事欠きません。インターネットや出会い系サイトで若者たちが傍若無人な立ち居振る舞いによる残虐な事件、例えば初めてデートした彼女を殺したりというようなことがあって、どこに問題があるんだろうなあと私なりに思い悩むことがあるんですが、私1人だけではないと思います。皆さんもそのように思っていらっしゃることがあると思うんですが、どっかに一番人間で大切な心が置き去りになっているんではないかな、そういうふうに思います。

 時の流れというんですか、自己主張あるいは自己の権利、自己を中心とした思想がまかり通る世の中になってしまった感があります。

 そういう中で、何か国として教育とかその辺で何とかしようということで、多分、私の記憶ですが、今の松野官房長官が文科大臣のときに、道徳という教科を学習指導要領に位置づけて、2018年には小学校、あるいは2019年には中学校において全面実施されたように記憶しております。

 これまでの道徳というのは、読み物の中で登場してきた人物を読み取ることで終わってしまったり、あるいは「いじめは許されない」、「人の命は貴い」というふうなことを児童生徒に言わせたり、あるいは書かせたりするだけで、一方的な学習であったように思います。私はそう感じています。

 そんな中にあって、学習指導要領に位置づけられ、あるいは普通教育として、指導範囲や指導要領には必然的に制約される部分が多分あるでしょう。教育は学校教育法により、小学校6年、中学校3年の義務教育ベースで、脳の活性化のためにやる教育であり、情緒豊かな心、喜怒哀楽、楽しんだり、感じたり、あるいは人間としての感情、人の思いやる心、すなわち道徳心を育てる教育、これが上から目線で強制されたような教育ではなかったかな、そういう上で、私は人間として成長していく上で、必然的に身についてくるのが情操教育だと、こういうふうに思います。

 このことについて、私はそう思うんですが、教育長の御所見があれば、まずお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

○副議長(鈴木太雄君) ただいまの山田正彦君の質問に対する答弁を求めます。

 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 普通教育と情操教育についてでございますが、議員御指摘の普通教育、それから情操教育というのは、生きる力を育成していく上で重要となる幾つかの教育の一つであると捉まえています。

 普通教育、情操教育のみならず、それ以外の様々な教育を含め、調和的に充実させていくことが学校教育に求められていると考えます。

 変化の激しいこれからの社会を生きるために、確かな学力、それから豊かな人間性、健康・体力に代表される知・徳・体のバランスの取れた力の育成が必要であると考えます。

 こうしたことから、学校では、学力や体力をしっかり身につけるとともに、豊かな人間性として、自律性、協調性に加えて、思いやる心や感動する心を育むことが重要であり、これからも道徳教育や情操教育の充実に取り組んでまいります。

○副議長(鈴木太雄君) 山田正彦君。

  〔山田正彦君、登壇〕

○山田正彦君 情緒豊かな心や、あるいは豊かな感性、感動を幼少期から体験するということで、自己肯定感が育って、他人ともお互いに認め合う、相手の気持ちを理解できる心の広い子供に成長してくれると私は確信しております。

 そんな環境を醸成していく上で有効なのが芸術教育だと確信しております。教育長の御見解はいかがですか。

○副議長(鈴木太雄君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 情操教育の目的は、考える力、感じ方などを形成するのに必要な心や人間力を育てていくことであり、そのためには、感受性の豊かな幼少期から芸術や本などに親しむ環境づくりが大切です。

 学校教育においては、芸術について広く学び、学校行事や部活動を通して、様々な芸術に触れていくことが重要です。その結果、児童生徒が興味関心を高めながら、芸術を深く追求していくことを通じて、心や人間力を育てていくことにつながると考えています。

 このような観点で、学校における芸術教育の充実には取り組んでまいりたいと考えています。

○副議長(鈴木太雄君) 山田正彦君。

  〔山田正彦君、登壇〕

○山田正彦君 私は、個人的なことですが、2017年頃から子供たちが芸術活動をする現場のお世話をさせていただいたりという中で、コロナのこの試練の中、耐えつつ、慎重に防御しながら継続して頑張っている子供たちを見守らせていただいております。先ほどから申し上げましたように、芸術に関わる、特に舞台芸術を学んでいる子供たちの生き生きとした立ち居振る舞いに感動を覚えるばかりであります。

 規模の大小は別として、大きなミュージカルは前にも関係者に見ていただいたように、「空海」という創作ミュージカル、これは県民文化会館で大盛況に終えることができました。超満員の観衆の皆さん方から大変お褒めの言葉を直接いただきました。そこに出演された子供たち、その子供たちのやり遂げた達成感でショーが終わった途端、その幼い子供たちが泣き崩れるほど感動を覚えた。その姿を私は、一人一人その役目を自覚して主体的に仲間同士の立場、役割をよく理解してミュージカルを完成させた、その努力に感服いたしました。

 子供たちの保護者からは、今までの我が子の成長ぶりに大変驚いていると。レッスンのある日には、お父さんやお母さんには送り迎えをしていただかないといけないですし、これは当然のことなんですが、学校から帰ったら、自分のやること、これからすることをきっちりと計画して、学校の宿題にも積極的に取り組むようになったということで、何かにつけて積極性が出たという姿に、私が逆にお礼を申されたことが度々ありました。

 ここにもあるんですが、子供たちの親御さんのアンケート、これはもうたくさんあるんです。一々読みませんが、本当に我が子かなあと思うような変化のしようであったと、そういうふうに喜んでいらっしゃいます。

 そんな中にあって、ちょっと重複するかも分かりませんが、今朝ほど仁坂知事が、私はこれびっくりするというか大感心したんです。串本古座高校に宇宙専門コースをつくるという話、これがありました。午前中の佐藤議員のお話ですが、これをそっくりそのまま、例えば「宇宙専門コース」という言葉の代わりに「和歌山芸術科」あるいは「芸術部」という言葉に置き換えるとすれば、全く、今朝ほどおっしゃってくれた遠くの中の言葉がまるっきり生きてきます。そういう思いで聞いておりました。本当にすばらしいことだなと、知事の熱い思いが伝わってまいりました。

 今、少子化が避けられないこの状態の中にあって、県内の生徒ばかりに対応せざるを得ない。ごく最近、和歌山の高等学校の入学者選抜実施状況が発表されました。一部の倍率の高い高校はあることはあるんですが、ほとんどが定時制、夜間も入れて1000名近い生徒が足りない、受入れに対して申込者が少ない、そういう現状にある中で、何とか、先ほど申し上げましたように、宇宙専門コースという言葉のところへ芸術科をつくる、表現は適当ではないかもしれませんが、今のこの入試状況をずっと過去から見ていますと、生徒が足りない。そんな中で、ちょっと表現がきついかも分かりませんが、何かコップの中の嵐のごとく、ああでもないこうでもないというふうなやりくりをしているのが現状ではないかなあ、そう思うんです。その状況の中で思い切って、今、県内のことだけじゃなくて、外に目を向けた宇宙専門コース、これは日本全国からウエルカムだと思うんです。そういう思いでよそから呼んできて、そして和歌山県を活性化するというような新しい発想をぜひ教育委員会あるいは知事として持っていただきたいと思うんですが、これについての御感想をお伺いしたいと思います。

○副議長(鈴木太雄君) 山田議員に申し上げます。一問一答方式でございますので、複数の質問はお控えいただきますようにお願い申し上げます。

 まず、3点目について質問されるということでよろしいですか。

○山田正彦君 はい。

○副議長(鈴木太雄君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) まず、3点目の舞台芸術を実践している子供の活発な様子と保護者からの応援のメッセージについてお答えをしたいと思います。

 りら創造芸術高等学校の生徒の皆さんのパフォーマンスは、見るたびにレベルが上がっているように思います。教育には、指導者の熱い思いや優れた力量と意欲あふれる生徒とのマッチングが重要であることを痛感しております。こういった保護者の肯定的な御意見をいただいているというようなことは、本県の公立学校の教育の充実にとって、大きな示唆または教訓となります。

 また、新たな取組として、りら創造芸術高等学校と和歌山市立松江小学校との間で、舞台芸術を小学校教育に取り入れて、児童の感性、創造性、感動を高めようということが計画されています。今後、小学校教員の舞台芸術の教育に関する研究会へ発展させる構想もあるようです。さらに、りら創造芸術高等学校が教員への実技講習などを含めた研究会の継続的な支援や、希望する小学校への講師派遣なども考えていると聞いています。

 このような取組を通じて、県内の小学生が舞台芸術に触れて芸術教育の裾野を広げ、さらに中学校や高等学校へも波及していくことを期待しております。

○副議長(鈴木太雄君) 山田正彦君。

  〔山田正彦君、登壇〕

○山田正彦君 原稿は、私、基本的に書いていませんので、ちょっと前後するようなことはあるし、それと、執行部との意見調整は一切していませんので、そういうことでちょっと、いささか勇み足のところがあったように思いますが、御勘弁いただきたいと思います。

 それじゃ、改めて、今年の高等学校の入学選抜実施状況についての傾向として、御意見をいただきたいと思います。

○副議長(鈴木太雄君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) ありがとうございます。4番目の本年度の高等学校の入学者選抜実施状況についてお答えをしたいと思います。

 近年、「和歌山の子供は和歌山で育てる」という方針の下、緩やかな募集定員の設定に努めています。令和4年度の県立高等学校全日制課程の本出願倍率は、全体で0.89倍となっております。一方、県内で私立高等学校への進学や県外の高等学校を志望する生徒も少なからずいることが考えられます。

 また、県立高等学校の学科別の志願状況は、普通科志向が根強いことや、一部の高等学校に希望が集中するなどの現状があり、一部に募集定員を大きく下回っている学校や学科もあります。

 これらのことは、県立高校の魅力化や特色化に課題があると認識しております。

 このことは、一昨年8月の第6期きのくに教育審議会の答申に上げられており、県教育委員会としては、県民の意見や要望を聞きつつ、高等学校教育の充実や将来像について、県立高等学校教育の充実と再編整備に係る原則と指針(案)を作成し、お示しをしているところでございます。

 この原則と指針の策定後、各学校が期待される役割や使命に応えていくことができるよう、学校と地域とが協働しながら特色化や活性化に取り組んでまいります。

○副議長(鈴木太雄君) 山田正彦君。

  〔山田正彦君、登壇〕

○山田正彦君 すみません、予行演習したようなもので。

 その次に、先ほど申し上げましたように、串本古座高校に宇宙専門コースをつくると、これは本当に仁坂知事の、何というか、この考えについては全く同感でありますし、熱い思いを感じました。

 そこで、この困窮している高等学校のこの処置を、処置というんですか、対応について、同じような気持ちでこの和歌山県に高等学校の芸術科あるいは芸術部と言ったらいいですか、そういうコースをつくってもらえたらという思いであります。

 というのは、その根幹にあるのは、この前──私、りらの下請をしているわけでは決してありませんので誤解のないようにしていただきたいんですが、コロナのこんなに厳しくなる前に、久しぶりやからということで銀河の森きのくに子ども舞台芸術劇団というのをつくりました。つくりましたというよりか、募集したんです。そうなると、和歌山県の小中学校の生徒が、初め40人から50人ぐらいのグループで勉強会をしようと言ったのが、結局何百人という応募がありまして、途中で打ち切ったらしいんです。

 というのは、芸術というか、あるいはミュージカルというか、そういうことに対しての潜在的な子供たちの要求が非常に多いということになりますし、あるいは今度りらさんが募集している新しい新入生の、これはもちろん全国から来るんです。一番今回遠いところでは、札幌じゃなくて函館の中学校の生徒が入学したいということで来るらしいんですが、全国的に要求というか希望がある。

 そんな中にあって、こんだけ窮している現状の和歌山の高等学校の解決策の一つとして、全国に目を向けて、宇宙コースをつくるがごとくに、そういうふうな思い切った判断で和歌山県に全国的なというんですか、そういうような芸術に特化したコースを、この際ぜひ検討するように、急なことではできませんので、やっぱり研究会から進めないといけないと思いますし、そういう必要性を強く感じている1人なんですが、これについてどういうふうにお考えになっているか、御意見をお伺いいたします。

○副議長(鈴木太雄君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 串本古座高等学校に令和6年度開設する宇宙探究コースは、公立高等学校で全国初の取組であり、本県高等学校教育の特色化、活性化に向けて先駆的な役割が期待されます。

 県立高等学校教育の充実と再編整備に係る原則と指針(案)の中に、「スポーツ、文化・芸術の分野において、高い志や秀でた能力をもつ本県の子供が、県内でその能力をしっかりと伸ばすことができるような整備を行う」ということを記載しています。この宇宙探究コースを成功させ、全ての県立高等学校の充実につなげていきたいと考えています。

 議員御指摘の芸術に特化したコースについては、現時点で具体的な構想はありませんが、この原則と指針の中で、県立和歌山高等学校の改善、改革の方向性として、「総合学科の特色を生かし、他校にないような芸術科目を充実させ、専門的に学べること」が示されています。同校のこれまでの成果を踏まえ、さらに充実、発展させることで、芸術の素養や意欲のある生徒の学びの場となり得ると考えています。

 県立高等学校の特色化や活性化の実現に当たっては、大きな示唆をいただいたので、しっかり勉強してまいりたいと考えております。

○副議長(鈴木太雄君) 山田正彦君。

  〔山田正彦君、登壇〕

○山田正彦君 ありがとうございました。

 重ねて申し上げたいんですが、本当に子供たちの成長する姿を見ていますと、やっぱりこれが道徳かなあ、内面からあふれ出るような、そういう、皆さんと協力せんといかん、お父さんやお母さんに面倒をかけているけれども、自分で進んでできることはせんといかんとかいう、そういう団体の中の個人としての成長が本当に手に取るように、成長している姿が見えるんです。そんな子供たちが、1人でも多くこの和歌山から、あるいは全国から来てお願いしたいなあと思うんですが。

 先ほど下請ではないというりらさんの応援はしていますが、りらさんももうとにかく全国から多数応募がありますので、来ると宿舎から用意しないといけない。それで私立ですから、学校の経費がかさむから、親御さんに面倒を見てもらうというふうな大変苦労している現状であります。

 それに、言葉は悪いですけど、国文祭、それから全国の文化祭からいろんなことで、知事や教育長や皆さん方にもりらに大変お世話になったって、お礼を私を通じて言ってくれるんですが、本当に苦労しているのは確かなんですよ。それをやっぱりこの際、和歌山県の学校でこういうふうに、新しい学部をしようという熱い思いもあるこの今、再度研究していただきたいなあと。

 あしたからすぐできるような問題ではありませんのでね、やっぱり長期的にそういう思いで計画するなり、その検討委員会なりをつくって今後のことについて考えていただきたいと思うんです。今まで教育長とのやり取りの中でお感じになることが、知事としてお感じになることがあれば、一言御意見をお伺いしたいと思います。

○副議長(鈴木太雄君) 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 山田議員の今日の御意見については、全部賛成であります。すなわち、大事なことはやっぱり心だと。心が大事で、その心を磨くためには情操、もっと端的に言うと芸術が物すごく役に立つということについては全く賛成であります。

 あわせて、りら創造芸術高等学校につきましては、本当に立派な教育をしてくれているというふうに思っていますし、まさに何度か学校の生徒とも話し合ったこともありますし、いろんなところで活躍している人と顔も合わせたりもしておりますが、そのたびごとに、今、議員がおっしゃったように、心が磨かれていて、立派な子供たちの教育をしてくれているなあというふうに思います。もちろん総文祭とかあるいは国文祭とか、そういうところでも大活躍をしてくれて、そういう点でも感謝を申し上げている次第でございます。

 芸術分野の専門的な学校が、多分議員はもっとあったほうがいいんじゃないかというふうなことかなというふうに聞いておりましたが、むしろ、私の今の考えを申し上げますと、りらがもっと発展していただいて、それで全国からもっと多くの子供たちを集め、それで和歌山県からもたくさんの子供たちが行くようになり、それで今のような立派な教育をどんどん続けていただくというのが第一じゃないかな。それを置いといて県立学校に1個つくるというのは、ちょっと今の時点ではどうかなあというふうに私は思いました。

○副議長(鈴木太雄君) 山田正彦君。

  〔山田正彦君、登壇〕

○山田正彦君 知事のおっしゃることはもっともなんです。何しろ、向こうのことをとやかく言うつもりはないんですが、私学で紀美野町から学校を無料でお借りして、それから校舎の雨漏りも全部おんぶにだっこということで、本当に理解ある紀美野町の、町長は亡くなりましたけど今の小川町長も引き続いてやってくれているんですが、何しろ資金力がない。そういうことで、何ぼでもと言ったら失礼やけど、本当にたくさん来てくれるんやけど、来てくれたら来てくれたで宿舎を用意しないといけない。今、かじか荘も一部借りているということなんですが、とにかくお金がない。そして、校舎を増築しようと思っても、もちろん下の土地は紀美野町の土地やからどうしようもない。国からの私学の補助金でも申請したらどうやって言ってくれる人もいらっしゃるんですけど、土地が自分のもんではない、建物も自分のもんではないということになると、どうしようもないんです。

 だから、このことについてりらの校長と話したことはないんですが、りらはりらで一生懸命やっているんです。最悪、和歌山県とコラボしてでも拡大していって、そのすばらしい子供たちを1人でも多くつくりたいなあという、その思いだけなんです。

 だから、りら自身のことは、うちはどうでもいいですというんですか、うちは建ててくれんでもいいですけど、和歌山県のこの学校で1人でも素直ないい、社会へ出て活躍してくれる子供を育てたいという思い、その1点なんですよね。

 だから、もっとりらでやってくれたらええやないかと言うけど、お金がない、何しろ何にもない中ですんでね。

 これが仁坂知事の頭の中でちょっとこう、ちょっとどこか短絡というか線をつないでもらって、前向きに発展、これが機会になってですよ、そういうふうなことをもう心の底から期待して、結局、当初申し上げましたように、原稿もなけりゃ回答の返事のやり取りもないんで、ぶっつけ本番で、その辺の人に、何ていうんですか、あんまり間違ったこと言うなよという注意だけは、議事進行かけられることだけはやめてくれよって言われたんで、それに気を取られていましたけど、私の思いの一部でも分かってくれて、皆さん方も聞いていただいて、ああ、そういうこともあるんやなというようなことが納得していただけりゃ、今日、私ここでしゃべらせていただいた、何ていうんですか、僕自身の熱い思いが通じて少しでも発展するように心から御期待して、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)

○副議長(鈴木太雄君) 以上で、山田正彦君の質問が終了いたしました。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 32番浦口高典君。

  〔浦口高典君、登壇〕(拍手)

○浦口高典君 皆さん、こんにちは。

 議長のお許しを得ましたので質問させていただきますが、今の山田議員の大変文化的で崇高な舞台芸術論、そして情操教育論の後で和歌山県、和歌山市の現実を言うのは少し恐縮なんですが、今回も人口減少から始めさせていただきたいと存じます。

 今まで、私はこの席で、人口激減、超高齢先進、要介護認定率6年連続日本一和歌山というふうな少し過激な言葉をしゃべっておりましたが、今日は少しトーンを落としまして、客観的にこの35年間を振り返ってみたいと思います。

 まず初めに、お手元に配付いたしました図1の①を御覧ください。

 今回は県全体と、私の地元であります和歌山市に焦点を当てて述べたいと思います。

 左の昭和60年(1985年)の上が和歌山県、以下、県といいます。下が和歌山市(以下、市)、そして、右上が令和2年(2020年)の県、右下が市であります。

 人数の規模が違いますので、県は横軸の単位2000人、市は1000人であるということをまずお断りしておきます。

 一目見て、どのように思われますか。私はこの二つの対比した全体像を見まして、人間の体に見立てるとダイエット商品の使用前、使用後の姿だなと正直思いました。そのように見れば、右上の県は大変肩幅の広い逆三角形、右下の市は全体が絞れたスリムな体、ボディーということになります。

 しかし、人口構成、この人口ピラミッドで見ると、肩幅の広い逆三角形は高齢者が多いということであります。また、スリムな体とは、実は人口が目に見えて少なくなっているということのあかしであります。

 ここで、各世代、特に戦後のベビーブームで人数の多い団塊の世代と言われる昭和22年から24年の3年間に生まれた女性の世代を中心に見てみると──これ赤い文字でここに書いておりますが、ここの赤いところですね、見てみると、左上の県では、その世代を100とすると、直近の3年間に生まれた世代は59.2%で約6割ですが、右上の直近の3年間に生まれた世代は30.9%と約3割になり、団塊の世代そのものが減少しているにもかかわらず、直近の3年間で半分かそれ以下になり、まさに少子化を表しております。

 また、左下の市は、昨年9月議会でも発表いたしましたように、1985年から2015年までの30年間で、全国47都道府県の人口増減と同じく、47県庁所在地の人口増減を説明いたしました。それによると、この30年間で、全国で県は7番目の人口減少率でありますが、市は県庁所在地の中で長崎市に次いで2番目に人口減少率が高いと申し上げました。

 今度は県・市全体の人口構成の変化について、図1の②を御覧ください。

 ここでお断りしておきますが、人口では100人台、パーセンテージでは小数点第2位を四捨五入しておりますので、通常使う「約」という言葉を省かせていただきます。

 まずは、1985年、108万7000人から2020年の92万3000人になり──これは県ですね、16万5000人、15.1%減少。市は、1985年、40万1000人から2020年、35万7000人になり、4万5000人、11.1%減少で、市は県庁所在地でありますから、県に比べて若干減少率は低くなっております。

 また、65歳以上の高齢者人口は、県は1985年、14万4000人が2020年、30万6000人で、その間、県の高齢化率は13.2%から33.4%になり、20ポイント以上上がっております。

 一方、市の高齢者人口は4万3000人から11万人になり、高齢化率も10.7%から31.1%になり、県よりも高齢化率の差が、若干ですが大きくなっております。

 また、逆に少子化と言われるとおり、15歳未満の子供の人口は、県では、同じく22万5000人から10万5000人になり、市でも8万4000人が4万2000人になり、やはり半減以上しております。細かな数字を言わなくとも、この人口ピラミッドを見れば一目瞭然であります。

 また、2015年の人口をベースにした国立社会保障・人口問題研究所──ここの中段に書いておりますが──によると、あと18年後の2040年には、県の人口は73万4000人、高齢化率は38.9%、同じく市の人口は30万9000人、高齢化率は34.5%です。8年前に発表されて、ここでも何度か紹介いたしました増田寛也元総務大臣が座長を務めていた日本創成会議の推計によると、東京への人口集中、当時よく言われておりましたが、人口集中のため、2040年に、県は69万人、市は27万6000人ということで、高齢化率は出されておりませんが、軽く40%を超えるものと思います。

 コロナ禍の影響によって状況は変わってくるかもしれませんが、私は、人口の推移については、社人研よりこの日本創成会議の数字のほうが現在も近いのではないかと思います。

 では、どうすれば人口減少を食い止め、人口増加をさせることができるのか。結論から言いますと、他府県の状況を考えると、それはもう無理であります。県全体は、人口減少がこれからまだまだ続くし、この人口ピラミッドを御覧いただければ分かりますが、2025年、あと3年後に団塊の世代が75歳、つまり後期高齢者になりますと、特に男性で要介護認定率がさらに上がります。もしくはこの年ぐらいから亡くなる方、特に男性の方で亡くなる方が多くなってくると言われております。

 女性はなかなか男性に比べて強靱でありますから、統計上ですよ、統計上は大体82歳ぐらいまではお元気ですが、やはりこの辺から要介護認定者が多くなり、また、亡くなられる方も多くなってまいります。つまり、2032年くらいから、あと10年後ぐらいですが、団塊の世代の女性が82歳を超える頃になりますと、その辺から人口がどっと減ってくるものと思われます。

 そこで、和歌山県長期総合計画、長計では、2020年の県人口は93万4000人であり、国立社会保障・人口問題研究所の推計では、2026年に85万9000人になるが、この長計の政策を実行することにより、89万4000人に食い止めることができるということになっております。既に2020年の国勢調査をベースにした、昨年、2021年10月の人口推計は、コロナ禍のせいもあり、県外流出が減少したとはいえ、91万4000人まで減少しております。つまり、1年間で9000人前後の人口減少が起きておりますが、長計の期日まであと5年間ある中、目標として1万9000人で減少を食い止めることができるのでしょうか。

 これは本来、私は企画部長にお聞きしたいのですが、私は先ほど申しましたとおり、はっきりと無理だと思いますので、あえて質問はいたしません。

 さて、その中で、和歌山県の健康長寿の延伸について述べさせていただきます。

 コロナ禍のこともあり、ここ2年余り、我々は何かと不自由とはいえ、十分納得してマスク生活を送っておりますが、子供たちは、例えば一昨年4月に小学校に入学した子供たちは、まともに友人の顔も見られていないということもお聞きします。

 そのように不自由な生活を強いられている中で、外で遊ぶことやスポーツクラブなどで運動することも制約を受けていることは容易に想像できます。当然のこととして、体力的な発達にもブレーキがかかっているのではないかと思われます。

 そこで、県教育委員会で掌握している和歌山県の子供の体力について調べたところ、確かに大きく体力が落ちていることが分かりました。ここでは詳しくは申し上げませんが、ただ、このことについては、私自身、それほど心配はしておりません。なぜなら、もともと和歌山県の子供の体力は低く、それについて、私が平成24年9月定例会で指摘し、その後、県教育委員会の御尽力で、各学校の教員に県教委が指導をし、学校でその教員が子供たちに徹底的に体力づくりを指導したところ、常に全国平均より低かった体力のランキングが逆に上位を占めるようになってきたわけですから。

 しかし、問題は高齢者なんです。コロナ禍で感染、重症化を恐れ、なかなか外に出ることができず、足腰が弱くなって自分で歩けなくなったことだとか、また、認知症が出て1人で行動できなくなったという話をよく伺いました。

 この1の和歌山県、和歌山市の人口減少、高齢化でお話ししましたとおり、これからが本当に正念場なんです。平たく言うと、和歌山県、和歌山市は、もちろん県内の市町村もそうですが、人口はたくさん減りますし、高齢化率がさらに高くなる。しかも、以前から申し上げているとおり、要介護認定率が6年連続で日本一高い、だから健康寿命が短い。

 ここで一つ皆さんに御理解いただきたいのは、以前から私が提出している健康寿命が日本一短い、もしくはびりから2番、3番という表は、単にもともと平均寿命の短い和歌山県民の寿命から要介護認定期間を引いたものですから、健康寿命、全国でも最下位もしくは下から数えて2番、3番目になるというのは無理もありません。

 その健康寿命に対して、別の表では、例えば皆さんも御覧になったことがあると思うんですが、和歌山県の健康寿命は40番台かもしくは30番台後半というものがあります。これは、ここにある、これが見本なんですけども(資料を示す)、サンプルなんですが、ここにある内閣府のアンケートで主観的な健康具合の聞き取りをしたものを入れておりますので、若干上がっております、ランキングは。そのことをまず御理解いただいて、私はあくまでも平均寿命から今言う要介護認定期間を引いたもの、これはもうほとんど和歌山県は、どの表を見てもほとんどびりかびりに近い2番か3番目ぐらいです。

 しかし、和歌山県は「健康長寿日本一わかやま」を実現するということを宣言しているわけですから、30番台も最下位もはっきり言って変わりません。目指すは1番なんです。その気概がないと、和歌山県からますます私は活力がなくなっていくと感じるのは、私1人でありましょうか。

 仁坂知事、よく聞いてください。今まで県健康推進課を中心に、このことについて真摯に取り組んでこられたことは認めますし、それでも令和3年9月議会で仁坂知事が「笛吹けど皆踊らず」と少々自嘲的に言われたように、県民の皆さんは、たとえ自分のためであると言っても、活動していただくことはなかなかできないという現実があります。

 そこで、どうすれば少しでも現状を変えることができるのか、いろいろと現場を見せてもらいながら考えてきました。それが配付した参考資料の2であります。この2ですね。これ非常に、私が抜粋して書いたんですが、これは非常にテクニカル、技術的なもんなんです。詳細はじっくりと御覧いただければいいんですが、実は意外と皆さん気がついていないんです。和歌山県は要介護認定率が日本一高いと言われても、その和歌山県より高いのが、実はこの和歌山市なんです。和歌山市は県内の中でも非常にトップクラスに近いだけ和歌山市の要介護認定数が高いんです。

 それで、一言で言いますと、人口が多くて、しかも要介護認定率が、今申しました和歌山県より高い和歌山市を、ここで、県内でいいますと印南町もしくは47都道府県でいいますと埼玉県レベルまで下げれば、和歌山県全体の要介護認定率が全国でも山口県レベルまで下がってくるんです、逆にね。今トップですから、要介護認定率が。

 私がこの場で要介護認定率6年連続全国第1位と同じことを繰り返さなくても、これをきっちりやっていただければ真ん中ぐらいまで来るんです。そのことをぜひ御理解をまずいただきまして、非常に抽象的なことでありますが、知事に、これを御覧になった感想を述べていただきたいと存じます。1問目を終わらせていただきます。

○副議長(鈴木太雄君) ただいまの浦口高典君の質問に対する答弁を求めます。

 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 議員御指摘のとおり、県の高齢者数の約36%を占める和歌山市は、県全体の要介護認定率への影響も大きく、特に介護の必要度が低い要支援認定者の割合が高いことから、県では、自立支援の取組を特に熱心に強く働きかけてきたところではあります。

 県では、和歌山市が平成30年度から実施している地域ケア個別会議に理学療法士などの専門職を1年間で延べ約200人派遣し、自立につながるよう適切なリハビリテーションをケアプランに反映させるなど、自立支援の取組を進めてきたところであります。

 このような取組によりまして、平成28年度から令和元年度までの全国の要介護認定率は0.4%上昇したのですが、和歌山市は0.1%減少しまして、県全体では0.4%減少するなど、ほんの少しではありますが、少しずつ効果は出てきているのですが、依然として問題が解決されたとは決して言えない状況でございます。

 先ほど浦口議員から、二つのランキングについて言及がございました。実は広域連合議会で滋賀県の選出の広域連合議員の方から、実は滋賀県は比較的この客観的ランキングが高い県なんでございますが、しかし、主観的ランキングはとても低いんだそうでございます。それで、むしろそれを問題にされて、それでどうやったらこれが上がるかというような、そういう御指摘をなさったんですが、私から見ると、客観的ランキングが低くて主観的ランキングが高いというのが実は問題で、高いというのはいいほうという意味です。実際は要介護にすぐなってしまうんだけど、あんまりそれを重んじないで、まあいいかということで、今のままでいいんだというふうに満足してしまっているというのが本当は問題なんだけどなあというふうに思うわけでございます。恐らく和歌山市の方も、私も和歌山市民ですが、そういう傾向が強いんじゃないかなというふうに思うわけであります。

 対策のところも申し上げますと、県では、令和4年度の新政策として、効果的に運動機能の改善を図る短期集中予防サービスの導入や充実を市町村に対して促進することにしております。和歌山市は、御指摘のように要支援認定者の割合が高く、ということは軽度の介護サービスを受ける人が多いということでありまして、こうした取組は有効であるというふうに考えられますので、和歌山市に対して特に導入を強力に働きかけるなど、市当局と一緒になって頑張っていきたいと考えております。

○副議長(鈴木太雄君) 浦口高典君。

  〔浦口高典君、登壇〕

○浦口高典君 知事、どうもありがとうございました。

 私は知事に、「この表を見てどう思いますか」と大変失礼なことを言いました。これは小学生でも分かる図なんです。(資料を示す)非常に知事が大事にしている論理的な物の考え方でいったら、論理以前の、これ算数の問題なんですね。これだけ下げればこれだけ上がりますよというだけの問題であって、事実これがやれるかどうかということが大きな、言ってみれば、分岐点とは言いませんけども、一つの指標になると私はこれ思っておりますので、ぜひともお考えいただきたいと思います。知事がいろいろ今言われました。確かに和歌山はいろいろ調べますと、いわゆる要介護よりも要支援が多いんじゃないかとか、介護1、2ぐらいまでが多いんじゃないかと言われるんですが、私も別に介護の専門家じゃありませんが、このことをずっと追っかけていきましていろいろ分かってきたのは、やっぱり要支援とか要介護1だとか軽いところでも、結局きちっと介護予防しないと、そこから、フレイルという状況から要介護のほうになってくるんですね。だから、その辺も注意しなければいけないと思いますんで、ぜひとも併せてお考えいただきたいと思います。

 今、知事からも和歌山市とも相談してということで力強いお言葉をいただいたと思いますので、今後とも引き続きよろしくお願いいたします。

 それでは、2問目に行かしていただきます。

 そこで、これを、今の言ったことを実現するためには、全体を掌握し、誰がやるのかという問題であります。

 平成28年9月定例会で、県民全体の運動の機会をつくるということでウオーキングの重要性を訴え、当時担当課が知恵を絞って、「みんなで実践!健康づくり運動ポイント事業」を平成29年10月から実践しておりますが、そこではその数字を、では誰が掌握するのかということを質問したところ、「自治会単位で」という返事が返ってまいりました。「それは絶対にできない」ということを言いましたが、「ともかくやらせてほしい」ということで担当の課が言われたもんですから、やってみようということでやっていただいたんです。実際に、これはちょっと詳しい数字は分からないんですが、ざっくりと和歌山県内に、これ総務省が調べた中で自治会の数というのが3800ほどあるそうなんです。その3800ある中で、そしたら、この「みんなで実践!健康づくり運動ポイント事業」がどれだけの自治会が掌握してやっているかというと、何とそのうち84なんですよ。だから、やっていないとは言いませんけれども、非常に少ないし、これも知事は平成30年9月定例会で、この運動ポイント事業を8万人やると大見え切ったんですね。ところが今、実際どれだけやっているかというと、9000人ぐらいなんですね。その現状というのをまず訴えたいと思います。それを駄目だと言っているんじゃないですよ。さあ、これからどうするかということなんですね。

 この自治会というのは、私も今、この自治会の一員でありますから分かるんですが、そういう運動を捉えてどうのこうのするというような組織じゃないんですよね。もともと地域のいろいろお世話していただいている会なんですけども、ちょっとそこは、さすが県だなと思うのは、ちょっとピントがずれたんじゃないかなと、そのように思います。

 それでは、どのようにしたらいいのかと。あれこれ本当に、これも考えてみたんです。ちょうどそのときに、今日もお越しになっていただいていますが、昨年10月初めから、運動を指導するNPO法人の方から、もともとこれは県が和歌山大学の本山先生に依頼をしてつくったシニアエクササイズのコンパクト体験会を和歌山市内15か所でやるので、できるだけ私も出席をさせていただきました。そして、実はこれを下支えしているのが地域包括支援センターであるということが分かりました。

 この地域包括支援センターは、ここにそのパンフレットがありますが、(パンフレットを示す)これはもちろん所管は市なんですね。なんですが、介護予防、ケアマネジメント、総合相談、権利擁護、包括的・継続的ケアマネジメントを行うため、社会福祉士、保健師、主任介護支援専門員が常駐し、高齢者の方やその家族を支援する、まさに包括的な機関であります。

 もちろんこのセンターは、介護保険法の定めにより、市が民間の医療法人や社会福祉法人に業務を委託し運営している公的な組織であることは間違いありません。これらのセンターに対して、県からも人的、資金的な支援はもちろんしていると思うんですが、さらに県が目標とするのは健康長寿日本一わかやまでありますから、その実現のためにも、もっと県は力を入れて人的、資金的な支援をできないか、福祉保健部長、お答えください。

○副議長(鈴木太雄君) 福祉保健部長志場紀之君。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 地域包括支援センターは、高齢者ができる限り住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、医療、介護、予防、住まい、生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの中核的機関であり、介護保険法に基づき市町村が設置しています。

 センターには、保健師や介護支援専門員等の専門職が配置され、高齢者の総合相談窓口として適切に医療、介護サービスなどの機関につなげるコーディネーターとしての役割のほか、要支援者等に対する介護予防ケアマネジメント業務等を担っております。

 県としては、介護保険料と国、県、市町村からの公費を財源とする地域支援事業により運営されているセンターにおいて、市町村が法の趣旨に沿った新たな取組や人材を配置する場合には、引き続き、そのスキームを活用して財政的に支援してまいります。

○副議長(鈴木太雄君) 浦口高典君。

  〔浦口高典君、登壇〕

○浦口高典君 部長、どうもありがとうございました。

 私も全くこの介護というのは正直、興味がないというわけじゃないんで、私も自分の父親も母ももう亡くなりましたが、最後はやはり介護のお世話になったもんですから分からんでもないんです。ただやってみていろいろシステム的に、これは国の公的な機関でも、国というか市の公的な機関でもありますから無理はないといったら無理ないんですけども、大体やっぱり地域包括支援センターというのは65歳以上しか相手しないんですね。

 本来的に、さっきも言いましたように、要支援だとか要介護の1、2ぐらいですと、65歳までの方でも、まだそこに入っている方がいらっしゃるんです。それらの方に対してサポートしようと思ったら、それは我々の仕事でないと言われるんで、そこは今後ちょっと考えていただきたいなと思っております。

 それでは、続けて行きます。

 それでは3番目、介護予防(シニアエクササイズ)の自主活動グループについて。

 さて、地域包括支援センターがこれからの健康寿命を延ばすための鍵になることは分かったんですが、かといって全てがここで、今も言いましたように、できるわけではありませんし、今回1の図に示したとおり、まだまだ高齢者の割合が大きくなり、とてもそのスタッフだけではできませんし、特に介護予防についてはそのような人材もおりません。

 そこで必要になってくるのが、NPOのような非営利団体の活動であります。

 実は、先ほども申し上げましたように、平成17年から県が和歌山大学の本山教授に依頼して作成した介護予防の運動、シニアエクササイズが、現在もその受講生のOBによって各地域で運営されておりますが、その中で志のある方たちが一昨年、NPO法人の認定を受け、現在、積極的に活動してくれております。その団体こそNPO法人わかやまシニア健康センターでありまして、山田俊治理事長、西徹副理事長、沼田正幸事務局長を中心に、約10名の方がシニアエクササイズの普及活動を積極的に取り組んでいただいております。皆さん全員が70歳を超えられた方ですが、大変お元気で、もともと大きな企業の一員として定年まで勤め上げられてきた方が多く、構想力、企画力、そして実行力、指導力が大変すばらしいものがございます。

 さきに述べたとおり、昨年10月の初めより、和歌山市内の15の地域包括支援センターごとに地域住民の方たちを20名から30名ほど集めて、午前中2時間半、じっくりと指導されておりました。私も時間の許す限り参加させていただき、受講生の皆さんに御挨拶するんですが、「これはもともと和歌山県がこれからの超高齢社会に向けてつくった運動であり、仁坂知事も健康長寿日本一わかやまを実現するんだと頑張っておられますので、私も微力ながらお手伝いをさせていただいている次第です。どうぞ皆さん、ぜひこれを機会に周りの皆さんにもお声がけをいただき、継続して実践してください」と応援の言葉をそのたびに述べさせていただいております。

 今年に入り、コロナ患者が急増したため、あと2か所ほど残っているそうなんですけども、これもどうなるか分かりませんが、また来年度も引き続きこの事業をぜひ進めていっていただきたいと思います。本当に頼もしい限りでありまして、そのNPOのメンバーの皆さんがじっくりと取り組まれている姿を見ると、私さっき、ちょっと否定的ないろんな意見を言いましたけども、これは若干いけるんじゃないかと、ここから光が差してくるんじゃないかと、そのように私も実践を通じて拝見した次第でございます。

 しかし、資料でも提示しましたとおり、和歌山市の要介護認定率が県よりも1.4ポイント高いだけに、相当なパワーを持って対処しなければなりません。もちろんこれは和歌山市がやっている事業です。和歌山市の要介護認定率を印南町、埼玉県レベルに持ってこられるように、人的、資金的なバックアップが絶対必要であると私は確信をいたしておりますが、福祉保健部長の御答弁をよろしくお願いいたします。

○副議長(鈴木太雄君) 福祉保健部長。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 本県では、介護予防を推進するため、平成16年度に和歌山大学と共同で、高齢者向け運動指導プログラム「わかやまシニアエクササイズ」を開発し、市町村に対し普及を支援するとともに、延べ2000人の指導者養成を行い、県内において約340グループ、7500人が取り組んでおります。

 さらに、各地域の自主グループの活性化と体操する仲間を増やすため、健康運動指導士や理学療法士などの専門家から体操の効果やポイントを学ぶ実践教室を開催し、他のメンバーに助言できるリーダーの養成など、人材育成を行っています。

 また、和歌山市が介護保険料と国、県、市町村の公費を財源とする地域支援事業により、わかやまシニアエクササイズの自主グループの立ち上げや活動を支援する取組を拡充していく場合には、県として、引き続きそのスキームを活用して財政的に支援してまいります。

○副議長(鈴木太雄君) 浦口高典君。

  〔浦口高典君、登壇〕

○浦口高典君 部長、どうもありがとうございました。

 今回取上げさせていただいたシニアエクササイズについては、県下で延べ2000人の指導者養成、約340のグループ、7500人が取り組んでいるとのことでありましたが、実はこれ平成17年からやっているんですよ。

 先ほど言いましたように、要介護認定率、全然下がっていないんですね。まだまだどんどん上がってくる可能性が強いわけですから、現実がありますので、ぜひ今後この地域包括支援センターのスタッフだけではなしに、今のような一生懸命取り組んでいただいているようなNPOを十分活用というか、力になっていただいて、この和歌山県の超高齢社会を何とか皆さんの力で一緒になって乗り切っていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 それでは、4番目に行かせていただきます。3の1であります。新産業創出のための産官学民の連携(次世代医療研究センターの活用)についてというところです。

 今年1月25日に、和歌山県に大きな衝撃が走りました。それは、戦前から81年の歴史があり、地域経済にも大きく貢献してきたENEOS(旧東燃)が、来年10月をめどに和歌山製油所の製油所機能を停止するということで、もちろん知事もこの発表に対して、ちょっと待てとばかりに、東京のENEOSホールディングスの会社に抗議にすぐに行かれたことは、私もテレビで拝見をいたしました。大変頼もしい限りであります。

 もしこれが現実のものになりますと、報道で言われているように、従業員450名、関連企業900名が現在の職場を失ってしまうことでありますので、少し考えただけでも大変なことであると私は思います。私自身、もともと高校は有田の耐久高校でありますので、私の仲間も有田市にたくさん住んでいて、何件か電話したんですが、直接ENEOSと関係なくても、これ将来が非常に不安だということをずっと言っておりました。

 ここで、先ほど35年にわたる和歌山県、和歌山市の移り変わりを人口減少、高齢化、少子化、要介護認定率などから見てまいりましたけれども、ここで和歌山県、和歌山市に未来はないと言ってしまえば、先の夢も希望もなくなり、若い人がさらに県外に出ていって、ますます先細りになっていくことは間違いありません。

 そこで、考えなければならないのは、経済の再構築であり、新しい産業の創出であります。

 私はそのことを踏まえて、昨年2月と9月議会において、企業の持っているシーズ、種ですね、種を県民・国民のニーズ、要求に合わせて産業として成り立たせるには、これからは健康・医療産業であると断言いたしました。もちろんこれは私自身の独りよがりではなく、関西広域連合でも、次の時代の関西の産業の大きな柱は情報産業と健康・医療産業ということも言っておりますし、神戸の医療都市や北大阪の健康医療地域構想などについても、そのときに例として挙げさせていただきました。

 もちろん和歌山県でも経済産業省の関連でわかやまヘルスケア産業革新プラットフォームというものをつくり、健康、医療、福祉関係の企業同士の交流を図っております。

 その中心的なメンバーの中に、和歌山市黒田にあります東洋ライスという会社がございます。昨年、会社設立60周年ということで、もちろん皆さんもよく御存じだと思います。もともと精米する機械を造っている会社で、最初は、私も初めて知ったんですが、昔はよく御飯を食べると石が歯に当たったことありますね、その石を取る無石米を作るところから始まったそうなんです。その次に、環境保全によくない米のとぎ汁を出さない無洗米、さらに、米の胚芽の一部を残した金芽米、これは商品の名前のようですが、金芽米、これは特に冬季のオリンピック、トリノ大会で活躍された、金メダルを取りました荒川静香選手、フィギュアスケートの荒川選手のテレビCMで全国に非常に知られた名前ですね、金芽米というのは。さらに、最近では玄米で重要な部分だけを残し、栄養価の高いロウカット玄米など、御存じの方も多いかと思います。

 たまたま私が10年近く前から健康長寿日本一わかやまということを取り上げて、取り組んでいる姿勢をどこかからお聞きになったようでありまして、直接この東洋ライスさんの雑賀社長から私のほうへ電話がございました。2~3年ほど前になるんですけども、そこから、そしたらということで私、東洋ライスさんにお伺いし、雑賀慶二社長から直接いろんなお話を聞くと同時に、今、私もそうですし、県が進めている健康長寿政策について、いろいろと議論をさせていただきました。本当に長いときで1時間から2時間ぐらいずうっとお互いしゃべり合っているぐらい、このことについて雑賀社長も熱のある方であります。この雑賀社長御自身が昭和9年生まれの現在88歳ですが、まだまだ現役の社長で、いつも会社に行くと、そんな社長室に入って仕事するような立場じゃない、もうどっかの事務局長みたいなところへ座られて頑張られております。いつも私が行くと「まあ、入れ」ということで、先ほど言いましたように、この健康長寿についていろんな議論をさせていただいておりますし、まさにこの生涯現役、そして健康長寿を地で行かれている方であると私は思っております。実は昨年の暮れ、同社の創立60周年の記念セレモニーと記者会見があるということをお聞きし、その席に参加をさせていただきました。

 その中で、三つの大きな事業を今後されるということで、60周年記念として、その基金が100億円準備されているそうなんです。1番目、2番目は米穀の、米の業界のこととその消費者のことなんですが、3番目については、これ実はその新聞なんです(新聞を示す)。これ1月に出された新聞で大きく書いていますが、一面広告のところに、玄米のエキスを使った、玄米の栄養価ですね、このエキスを使った国民の健康増進事業で、雑賀社長も本気でこれをやるということで、非常に面白いなと思いました。

 実は私、現物、今日は持ってきたんですが(現物を示す)、これ商品名も何も書いていない、この中にその玄米のエキスがあるんです。これ非常にまだまだ、成分は分かっているんですが、どれだけのどういう効果があるかというのは分からないんですね。

 それで、私も何かできることはないかということで、いろいろと考えてみました。その中で、実は雑賀社長御自身も東京農業大学の客員教授をされていて、その学術研究として、東北大学だとかいろんな大学とも関係があります。この玄米エッセンスの成分分析はもう既にされているんです。何々の何倍の栄養があるということも分かっているんですけども、それと同時に、これはもう既に商品化されていて、それをみんなに──全国ですよ、これは和歌山よりもずっと全国が多いらしいんですが、全国でいろいろアンケートを取ったり感想をいただいたりして、それなりの効果が出ているんです。しかし、この中で一つだけ、私、はっと気づいたんですが、私この健康長寿を長いことやっていて感じたのは、コホート研究ってあるんですよ。実はコホート研究というのは、これ私、さっきも言いましたウオーキングのときに皆さんにお話しした、いわゆる身体活動計、実はこれコホート研究から生まれているんですね。1日8000歩20分以上の早歩きをすると健康で長生きするというのが東京都健康長寿医療センターの青柳先生の、これがもう5年、10年にわたってコホート研究で出てきたものなんですね。

 これをやってみようということで、実は去年の2月議会でも言及いたしましたけども、和歌山県立医科大学に今度薬学部ができて、次世代医療研究センターというところにちょっと着目をいたしまして、今年の2月の14日に、実は雑賀社長を連れて、雑賀社長と会社の幹部の方3人と、それから県の医務課と、それから企業振興課の職員の人も一緒に来てもらって、向こうの担当の同大学の、和医大の産官学連携推進本部の倉石教授とその事務局の方を訪ねて、1時間余り、ずっといろいろお話をさせていただきました。その席でも、私は5分ぐらいの挨拶だったんですが、雑賀社長は40分ぐらいだあっとしゃべりましてね、物すごい勢いだったんです。

 まあ、それはいいんです。非常に面白い結果が出るんかなと思ったんですが、今あまり結果報告できるようなもんじゃまだないんです。

 そこで、この次世代医療研究センターを活用することによって、産官学民の連携を推進し、医学的な観点から新しい産業を創出する、創出を支援するという考え方はあるのかどうか。

 また、医学的なエビデンス、根拠ですね、根拠を得るために、例えば先ほど申し上げましたコホート研究などの方法が考えられますけれども、次世代医療研究センターにおいてそのような研究を実施する体制は整っているのかどうか、福祉保健部長、お答えください。

○副議長(鈴木太雄君) 福祉保健部長。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 県立医科大学次世代医療研究センターにつきましては、令和3年4月、学内の研究や民間企業等との共同研究を推進することにより、次世代につながる教育研究の発展と社会貢献に寄与することを目的として設置されました。

 センターの特徴は、医療系総合大学としての強みや、医学部附属病院が併設されているという強みを生かすことにより、例えばがんや精神疾患などの創薬、治療法の研究などについて、医学的な観点から研究を推進することが可能である点にあり、こうしたセンターが持つ特徴を生かし、民間企業等を支援する取組が重要になると考えております。

 また、県立医科大学には、研究相談の窓口として産官学連携推進本部が設置されており、民間企業等との共同研究については、産官学連携推進本部で研究受託の可否や調査研究の方法等を検討する体制を整えております。

 具体的な研究、調査の方法につきましては、コホート研究も含めて共同研究を実施するに当たり、最も適切な方法が選択されていくものと考えております。

 県といたしましては、産官学の連携を推進することにより、新産業の創出や活力ある地域社会の発展につなげていきたいと考えております。

○副議長(鈴木太雄君) 浦口高典君。

  〔浦口高典君、登壇〕

○浦口高典君 部長、どうもありがとうございました。

 今、具体的な研究、調査の方法についてはコホート研究も含めてということですので、私は大変うれしく思います。

 通常このような言葉の中で、「産官学」の連携ということで収まっているのですが、私、先ほど来「産官学民」と「民」というのをつけたのは、このまさにコホート研究が入っているということなんですね。

 今まで、これ私、和医大の宮下学長とも、あの方は公衆衛生学ですから、宮下学長ともいろいろお話しする中で、宮下学長もいろいろ試みたらしいんですが、このコホート研究というのはいろいろ難しい点もあるそうです。でもね、やろうと思ったら絶対できんことはないです。いろんなところがやっていますから、各大学が。ぜひともこのコホート研究を一歩も二歩も進めていただければ、私は、これ単に今言いました、たまたま今回お米のことで東洋ライスさんのお話をさせていただきましたけども、県の農林水産業など、特産物のビジネスの可能性に私は広がっていくもんだと思っておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 最後に行きます。

 それでは、健康・医療(ヘルスケア)産業の振興について。

 今度は、これは福祉保健部長じゃなしに商工観光労働部長にお聞きしたいと思います。県の新産業として健康・医療産業を創出していくためには、医学的なエビデンスを得ることが非常に有効であると思いますので、その辺の一つの手段として、私は今、繰り返し言うようですが、コホート研究について注目をしております。

 コホート研究のような産官学民が連携して行われる共同研究によって得られたエビデンスは、根拠は、今後の県内の健康・医療産業にとって大きな武器になると私は思っております。

 よって、和歌山県立医科大学の次世代医療研究センターと企業による共同研究のような取組をどんどん活性化させ、産官学民の連携をより一層推進していくことが健康・医療産業の創出、振興につながっていくものと私は確信をしております。

 そこで、このようなエビデンスや研究成果が得られた場合、県としてはどのように健康・医療(ヘルスケア)産業の発展につなげていくのか、商工観光労働部長、お答えください。

○副議長(鈴木太雄君) 商工観光労働部長寺本雅哉君。

  〔寺本雅哉君、登壇〕

○商工観光労働部長(寺本雅哉君) 県では、第三次和歌山県産業技術基本計画において、ヘルスケア産業に関連する医療・福祉分野及びバイオ・食品分野を重点的に推進すべき戦略的分野と位置づけ、これまでも県内企業の研究開発や商品開発の支援に取り組んでいるところです。

 議員御指摘のとおり、コホート研究などにより得られた専門的知見に裏づけられたエビデンスは、それ自体が非常に高い価値を有していることから、公表され一般的に利用できるエビデンスについては、県内企業に対し、その活用を積極的に促してまいります。

 一方、自社の技術や製品の優位性を確立するために大学等と実施する共同研究で得られた研究成果については、公表せずに秘匿することで企業の発展に寄与するケースもあることから、県としては、事業者の意向も踏まえ、知的財産としての利活用だけではなく、その保護についても支援してまいります。

 さらには、先駆的産業技術研究開発支援事業やわかやま中小企業元気ファンドなどの支援メニューにより、自社や大学等が保有する知的財産を活用して事業化を目指す県内企業の技術開発や商品開発を支援してまいります。

 ヘルスケア産業は、機械や化学、食品、ITなど、様々な産業における技術が医療・福祉分野と融合することで生み出される成長産業であることから、時代の潮流や最先端技術の動向、県内企業の状況等を十分に把握し、ヘルスケア産業が将来の県内産業の一つの柱となるよう戦略的に取り組んでまいります。

○副議長(鈴木太雄君) 浦口高典君。

  〔浦口高典君、登壇〕

○浦口高典君 商工観光労働部長、本当にありがとうございました。

 繰り返し言うようですが、私は一企業の代弁者ではございません。このコホート研究というのは、私は面白いと思うんです。これをやることによって得られたエビデンス、もちろんこれ、どこが資金を出すかという問題もあるんですけども、これ私、県の共有財産になると思うんですね。

 だから、今本当に和歌山県、先ほども言いましたENEOSさんもそうですし、日鉄さんも縮小したし、こういう状況の中で新たな産業をつくっていかないといけませんし、なかなか簡単には、そうできるもんじゃありませんけども、今から力をためて研究することによって、新たなエビデンスを築き上げることによって、次の芽が出てくると私は信じております。それだけに和歌山県は風光明媚で海の幸、山の幸が豊かだけれども、若者が職を求めてふるさと和歌山からどんどん出ていくような、そんな和歌山ではなしに、新しいビジネスの価値観をつくり出して、若者が仕事と地域に誇りを持って暮らせる和歌山県を共に、知事、つくっていきましょう。知事、大丈夫ですか。起きていますか、知事。しっかりしてくださいね。いろいろお疲れだと思いますけども、ここでくじけてはいけませんよ。

 そういうことでありますので、知事、私はまだまだ、知事、これやらないかんことがたくさんあるんですよ。私は、だから知事に期待しておりますので、ぜひとも共に頑張りましょう。

 以上でございます。ありがとうございました。(拍手)

○副議長(鈴木太雄君) 以上で、浦口高典君の質問が終了いたしました。

 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。

 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。

 本日は、これをもって散会いたします。

  午後2時31分散会

このページの先頭へ