令和4年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


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令和4年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号

議事日程 第4号

 令和4年3月7日(月曜日)

 午前10時開議

 第1 議案第1号から議案第17号まで、議案第34号から議案第42号まで、議案第44号から議案第61号まで及び議案第63号から議案第73号まで並びに報第1号及び報第2号(質疑)

 第2 一般質問

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会議に付した事件

 第1 議案第1号から議案第17号まで、議案第34号から議案第42号まで、議案第44号から議案第61号まで及び議案第63号から議案第73号まで並びに報第1号及び報第2号(質疑)

 第2 一般質問

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出席議員(41人)

 1番 鈴木德久

 2番 山家敏宏

 3番 中本浩精

 4番 堀 龍雄

 5番 藤山将材

 7番 井出益弘

 8番 宇治田栄蔵

 9番 北山慎一

 10番 玄素彰人

 11番 中西峰雄

 12番 秋月史成

 13番 森 礼子

 14番 濱口太史

 15番 尾崎要二

 16番 冨安民浩

 17番 川畑哲哉

 18番 玉木久登

 19番 鈴木太雄

 20番 岩田弘彦

 21番 吉井和視

 22番 谷 洋一

 23番 佐藤武治

 24番 岩井弘次

 25番 中 拓哉

 26番 多田純一

 27番 新島 雄

 28番 山下直也

 29番 中西 徹

 30番 谷口和樹

 31番 藤本眞利子

 32番 浦口高典

 33番 山田正彦

 34番 坂本 登

 35番 林 隆一

 36番 楠本文郎

 37番 高田由一

 38番 杉山俊雄

 39番 片桐章浩

 40番 奥村規子

 41番 尾﨑太郎

 42番 長坂隆司

欠席議員(なし)

〔備考〕

 6番 欠員

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説明のため出席した者

 知事         仁坂吉伸

 副知事        下 宏

 理事         田嶋久嗣

 知事室長       赤坂武彦

 危機管理監      細川一也

 総務部長       吉村 顕

 企画部長       横山達伸

 環境生活部長     生駒 享

 福祉保健部長     志場紀之

 商工観光労働部長   寺本雅哉

 農林水産部長     岩本和也

 県土整備部長     安部勝也

 会計管理者      真田 昭

 教育長        宮﨑 泉

 公安委員会委員長   竹田純久

 警察本部長      遠藤 剛

 人事委員会委員長   平田健正

 代表監査委員     森田康友

 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫

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職務のため出席した事務局職員

 事務局長       出津野孝昭

 次長         中井 寛

 議事課長       山田修平

 議事課副課長     岩井紀生

 議事課課長補佐兼議事班長

            岩﨑 亮

 議事課主任      伊賀顕正

 議事課主査      菅野清久

 議事課主事      松本 悠

 総務課長       須田剛司

 政策調査課長     神川充夫

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  午前10時0分開議

○議長(森 礼子君) これより本日の会議を開きます。

 日程第1、議案第1号から議案第17号まで、議案第34号から議案第42号まで、議案第44号から議案第61号まで及び議案第63号から議案第73号まで並びに報第1号及び報第2号を一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、併せて日程第2、一般質問を行います。

 12番秋月史成君。

  〔秋月史成君、登壇〕(拍手)

○秋月史成君 おはようございます。一般質問2日目、第1登壇者となります。

 それでは、議長の許可を得ましたので、以下、通告に従い、一般質問を行います。

 令和3年9月29日、自由民主党総裁選挙が行われ、岸田文雄衆議院議員と河野太郎衆議院議員との決選投票の結果、岸田文雄衆議院議員が第27代自由民主党総裁に選出されました。10月4日、衆議院及び参議院の本会議で行われた内閣総理大臣指名選挙において第100代内閣総理大臣に選出、就任されました。

 自由民主党総裁選挙では、国による福祉・公共サービスの縮小と大幅な規制緩和、市場原理主義の重視を特徴とする新自由主義から脱却し、経済成長と富の再分配を掲げ、「新しい資本主義」の政策を公表しました。その後、内閣に新しい資本主義実現本部を設置し、本部長に就任、副本部長に新しい資本主義担当大臣、内閣官房長官、本部員に他の全ての国務大臣が就任いたしました。

 昨年12月6日の岸田総理による所信表明演説においては、「新しい資本主義の下での成長」と称して、1、イノベーション、2、デジタル田園都市国家構想、3、気候変動問題、4、経済安全保障の4点にわたり、政策が掲げられました。

 イノベーションでは、科学技術によるイノベーションを推進し、付加価値出力を引き上げるために、スタートアップ企業への追加的な支援や大学改革を積極的に行うこととし、デジタル田園都市国家構想については、主役を地方と位置づけ、人口減少、高齢化、産業空洞化などの課題をデジタル化によって解決するとして、海底ケーブルの日本周回、デジタル関係サービスの充実、デジタル庁の強化、マイナンバーの活用推進などが具体策として提示されました。

 気候変動問題では、2050年カーボンニュートラル実現に向けた再エネ導入促進のための規制見直しやクリーンエネルギー分野への投資、経済安全保障では、サプライチェーン強靱化や半導体国内立地推進などが示されました。

 分配というと、県というより国の権限によるものが多いと考えられますが、成長分野では、国の提言を受け、本県でも取り組むべきことが多々あろうかと思います。

 本2月定例会は、令和4年の方向性を決める重要な議会でもあります。国が掲げる成長戦略に鑑み、本県では次年度においてどのような政策を展開するのか。通産官僚でもあった仁坂知事にとって、特に得意分野だと思われます。岸田政権「新しい資本主義」を踏まえた本県の成長戦略について、知事の御所見をお聞かせください。

○議長(森 礼子君) ただいまの秋月史成君の質問に対する答弁を求めます。

 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 御指摘の「新しい資本主義」のキーワードは、「成長」と「分配」ということであろうかというふうに思います。

 岸田総理は、行き過ぎた新自由主義で市場に依存し過ぎた結果、成果が広く分配されず、次の成長を阻害しているおそれがある。このため、分配という考え方を取り入れて、これを是正しようとお考えだと思います。

 ただ、どうも、どういうふうにしてそれをおやりになるのかが、まだあまり見えてこないという感じがあります。ただ、始まったばかりで、いろいろ仕掛けができつつあるので、今後の期待かなあというふうに思っております。

 本県についてということで考えるとどうかということだろうと思いますので、本県では、分配が足りないという点について、そして、それが次の成長を阻害しているという点で、ずうっと私が第一に思って頑張ってまいりましたのは、実は取引条件の改善なんです。

 大企業は、黒田バズーカが効いて好業績なのに、地方にある下請企業に分配がなされない。大企業の本社は東京に多くて、下請企業は地方にあることが多いために、地方の企業に富が分配されず、そのために従業員の賃金が上がらず、地方の消費喚起につながらない、だから、成長も大したことはない、こういうことではないかと。その結果、経済の好循環が途切れてしまうのではないかというふうに思うわけであります。

 特に、限定的な下請関係だけじゃなくて、総じてずうっと不況の頃、大企業が一生懸命社業を守るためにやっていた、調達価格をできるだけ渋く、安くするという、そういう行動パターンが今も物すごく強いんじゃないかということを思うわけであります。中には違法、不当の行為もある。これは、常に安倍内閣のときから、和歌山県も恐らく日本の中で一番熱心に取り組んでいたことでございます。申し上げておきますと、安倍総理御自身も、それから経済産業省も大いに協力して取り組んでくれた話でございますが、成果はなかなか十分ではないというふうに思います。

 今後も、政府を挙げてこのような取組を一層進めていかなければならないと思います。岸田首相にも一生懸命に取り組んでいただければ、成長と分配の循環が生まれ、地方の成長にもつながっていくと考えております。

 次の問題といたしまして、分配は大事でございますが、分配という名の下にばらまきをして、それがただの貯蓄あるいはたんす預金に回ってしまうというのは、あまり効果的ではございません。したがって、成長を促す政策が必要でありまして、国に資金があるのであれば、単に現金を配布するのではなくて、成長につながる産業、しかも国内に投資すべきであるというふうに思います。そうすれば、国内の生産力が向上し、雇用も増え、賃金も上がる、これも一つのよい政策だと考えております。

 さらに、経済安全保障の観点から、戦略的な産業、イノベーションに力を入れて取り組むことも重要だと考えておるわけであります。

 その上で、成長の陰に困っている社会的弱者、こういう方がいるわけでございますので、そういう方に対する政策をなおざりにしてはいけないと思います。その方々が経済成長に全体として参加していただけないような状態があるのは、これは、とても成長の阻害要因にもなると、御本人たちもお気の毒ということになりますので、そういうことを考えなきゃいけない。したがって、そういう社会的弱者に対する政策はなおざりにせず、そういう方々の社会参加、経済参加が成長と分配に必要でございます。

 また、少子化対策、これは成長のためにも充実していかないかんというふうに思います。

 地方でも、成長を促すような、投資に結びつくような政策をどんどんやっていく必要があると思います。そこで、本年の新政策予算におきましても、本県の成長を実現するため、あらゆる産業におけるデジタル化、あるいは起業支援の拡充などにより、県内産業の成長支援を図るとともに、IR誘致や宇宙関連産業、ICT企業の誘致、集積などにより、新産業を育成していく必要があると思います。

 また、ビジネス環境や社会環境の強みを生かした「New Work×Life Style」の提案により、本県への企業誘致や製造業の国内回帰を捉えた工場誘致など、本県に投資を促す政策を積極的に進めてまいりたいと思います。

 同時に、社会的弱者への政策や少子化対策は、全て少しでも前進していきたいと思っておりますし、また、そういう方々の社会参加も促すような工夫をしていきたいと考えております。

○議長(森 礼子君) 秋月史成君。

  〔秋月史成君、登壇〕

○秋月史成君 決して落ちこぼれが出ませんように、しっかり下支えしていただきますように、よろしくお願いいたします。

 続きまして、選挙制度について一石を投じたいと思います。

 有権者が投票できる選挙区は、現在、住民票にひもづけられております。私は、選択制ふるさと投票制度を提案したいと思います。

 選択制ふるさと投票制度は、投票帰属地として本籍地を選べるようにとする提案であります。若年世代の投票率向上や最高裁での判決── 一票の格差の是正につながるとして期待が持てると考えます。

 現在、選挙で投票するには、各市区町村の選挙管理委員会が管理する選挙人名簿に登録されている必要があり、その対象は、市町村に引き続き3か月以上住民票がある満18歳以上の日本国民であります。経済的格差や社会的地位、男女を問わず、日本国民にひとしく与えられた権利でもあります。

 政治参加するに当たり、自身と縁のある地域で1票を投じたいと考えるのは、自然のことと思います。しかし、前述のとおり、現行制度における選挙区は住民票にひもづいており、投票するには、その地に住民票を置いておく必要があります。

 単身赴任のサラリーマンや実家を離れて進学した大学生などは、住民票を移しておらず、故郷に住民票を置いたままの人も珍しくはありません。この場合は、不在者投票制度で事前に手続を行えば、地元の選挙区に投票することができます。

 また、転勤族で全国を転々とするサラリーマンも多く存在することでしょう。しかし、住民票を移している場合、愛着のある地元の候補者に1票を投じることはできません。

 私も、自衛隊時代、大阪府八尾市に住民票を置いていた時期がありました。衆参国政選挙、市議会議員選挙に投票に行った記憶がかすかにございます。衆議院総選挙では、幼少の頃から自民党支持者であったため、当時「塩爺」の愛称で有名だった塩川正十郎元財務大臣に1票を投じましたが、参議院選挙や地方選挙では候補者とのつながりも一切なく、また、候補者の人となりについても知らなかったので、誰に投票してよいか分からず、白票を投じたように記憶しております。当時、父母が住む和歌山県の候補者に投票したいと思う気持ちを抱いたものでありました。

 平成23年3月に、最高裁判所大法廷では、一票の格差について、日本国憲法の投票価値の平等の要求に反する状態、つまり違憲状態であるとの判断が行われました。その後、選挙制度改革のたびに一票の格差問題が報道等で大きく取り上げられるようになり、国民的議論ともなっております。

 そして、令和2年の国勢調査の結果を踏まえ、現在、衆議院議員選挙区画定審議会において、衆議院小選挙区選出議員の選挙区の改定に関する審議が行われており、今月取りまとめられた区割り改定案の作成方針では、人口の最も少ない県における人口の最も少ない選挙区の人口の2倍未満であること、選挙区は飛び地にしない、選挙区の改定に当たっては市区町村の区域は分割しないことを原則とする、行政区画に併せ地勢、交通その他の自然的社会的条件を総合的に考慮するものとするが、その場合、郡の区域はできる限り分割しないなどが盛り込まれました。

 我が自由民主党県連では、この選挙区の改定に関して、本年1月10日、二階俊博県連会長を筆頭に、衆参国会議員、県議会議員参加の下、意見交換を行いました。和歌山県では、衆議院の選挙区が3から2に減るおそれがあることから、この問題に全員一丸となって取り組む、断じて減らすことは許さないとの意見が多数寄せられていたと記憶しております。

 現在、和歌山県選出の自民党の国会議員は、二階俊博衆議院議員を筆頭に、石田真敏衆議院議員、世耕弘成参議院議員、鶴保庸介参議院議員も閣僚を経験し、中央政界では確固たる地位を築かれ、地元和歌山県に多大なる貢献をいただいております。しかし、人口の減少が進む地方で人口減に歯止めをかけるため、どの県も努力を行っているものの、人口減少を食い止めるのは至難の業と言えます。国も、東京一極集中主義を是正し、地方創生に取り組んではいますが、その効果が発揮されるには時間を要するものであります。

 地方の悲痛な声を国政に届け、全国均一的発展を遂げるには、地元の声を届けてくれる国会議員が多ければ多いほどよいと思います。「政治は数なり」の言葉もあるとおり、地方を活性させ浮揚させるのには大きな政治力が必要と思うのは、議場におられる皆様をはじめ、党派を超えた周知の事実だと思います。

 そこで、人口が減少する地方で選挙人を増やす方法はないのか、また、地元を離れて住民票も別の地に移した場合、故郷の選挙に参加する道はないのかと私は考えるようになりました。

 前福井県知事の西川一誠氏は、住民票のない故郷を投票帰属地にする「ふるさと投票制度」と名づけた提案を行っているという情報を目にいたしました。西川氏の提案と私の意見は少し異なりますが、本人の意思により、本籍地か生まれ育った故郷の選挙人となれるようにする、つまり、投票は住民票のある居住地で行うが、投じた票は事前に登録した本籍地などの故郷に届くという仕組みであります。

 単身赴任者や学生だけでなく、地元に愛着を持ち続けている都市生活者は大勢いるはずです。西川前福井県知事は、ふるさと投票により、都市から地方に有権者の意思が移動し得る、投票率の向上に役立つだけではなく、一票の格差是正策としても期待されると主張しておられます。

 税金に対する国民の意識を高めるとともに、お世話になったふるさとや地域を応援するといった理念で始まったふるさと納税の制度のように、選択制によるふるさと投票を認めてはと思います。選択制ふるさと投票の選挙制度導入に向け、中身の議論、制度設計には熟慮が必要でありますが、仁坂知事にも全国知事会において要望していただきますよう、よろしくお願い申し上げます。これは、要望といたします。

 次の質問に移ります。

 私は、西牟婁郡選出の県議会議員であります。現在の西牟婁郡は、私が住む上富田町は、隣接地より転入者が多く、津波の影響を受けにくい立地で、本県では少ない人口増加の町であります。和歌山県が誇り、全国的にも有名な観光地でもある白浜町。過疎・高齢化が進むすさみ町ではありますが、スーパーシティ構想にも手を挙げ、岩田勉すさみ町長のリーダーシップもあり、全国的に注目度の高い町でもあります。上富田町、白浜町、すさみ町、それぞれ町の特性は異なりますが、3町が現在の西牟婁郡であります。

 その中でも、近年、白浜町はワーケーションで全国的に注目を集めております。

 ワーケーションとは、ワークとバケーションを組み合せた造語であり、観光地やリゾート地でテレワークやリモートワークを活用し、働きながら休暇を取る過ごし方であり、遊びながら働く新しいワークスタイルであります。働き方改革や新型コロナウイルス感染症の流行に伴う新しい日常として位置づけられるようになり、他県からも注目を集めております。

 都会の雑踏から離れ、通勤ラッシュからも解放され、豊かな自然環境や落ち着いた雰囲気の中で働くことで、創造性や生産性が高まり、有給休暇の取得率も高まり、また、滞在地にとって交流居住による人口の増加や地元での消費に伴う経済振興につながるとして期待されております。

 しかし、白浜町の人口は増加しておりません。また、地元白浜町民の皆様の中には、ワーケーションの施策推進による地元経済に対するメリットが見えにくいという声も聞きます。私も同感であります。

 ワーケーションに来られる企業の皆様は、比較的少人数で、短期での滞在のように見受けられます。現在の法制度では、法人税、住民税等、地元白浜町に落ちることも少なく、また、少人数のため交流人口も少なく、地元への経済波及効果は薄いと考えます。ITビジネスオフィス等の投資効果が地元経済に体感しにくいのが現状かと感じます。

 ワーケーションは、今後の観光、移住・定住、サテライトオフィス及び将来の本社機能移転につながる入り口であると私は考えます。

 そこで、質問です。

 まずは、ワーケーションの地元経済における現在のメリットについてお答えください。

○議長(森 礼子君) 企画部長横山達伸君。

  〔横山達伸君、登壇〕

○企画部長(横山達伸君) 和歌山県では、平成29年度より、全国の自治体に先駆けてワーケーションに取り組んでおり、これまでに県で把握しているだけでも150社を超える企業がワーケーションを実施されております。

 その後も、ワーケーションを目的に定期的に来県される企業も出てきており、紀南を中心にワーケーションの旅行手配を行っております南紀白浜エアポート社によりますと、平成30年10月からの約3年間で延べ手配件数は1000件を超えており、ワーケーションを実施するために多くの企業等が来県されるなど、短期的な視点でも、継続的な来県による県内での消費行動の増加による経済活性化の効果が生まれているものと認識をしております。

 また、和歌山県では、当初からワーケーションを実施する皆様をサポートしていただく地元企業の受入れビジネスの創出に積極的に取り組んでまいりました。現在では、地元企業の協力を得ながら140の受入れビジネスが生まれており、今後も引き続きワーケーションを実施される皆様に御利用いただくことで、地元経済に大きく貢献をされるものと考えております。

 さらには、ワーケーションを契機として、和歌山県というフィールドを活用し、首都圏企業と地元の次世代リーダー層が共同で地域課題の解決に取り組む事例も出てきております。このような地域や業種を超えた交流により、地元企業において新しい商品開発や販路開拓などにつながって、ひいては新たな産業の創出にもつながっていくものと考えております。

○議長(森 礼子君) 秋月史成君。

  〔秋月史成君、登壇〕

○秋月史成君 短期的な視点でも継続的な来県による県内での消費行動の増加による経済活性化の効果が生まれていると認識していると横山企画部長より答弁いただきました。

 平成29年度から始まってまだ5年ほどしか経過していないので、一部の業種を除き、町の商店等を含めた小規模事業者にまで、その経済効果が体感できないのが現状です。

 先ほどの質問にもありましたとおり、私は、ワーケーション事業は今後の観光、移住・定住、サテライトオフィス及び将来の本社機能移転につながる入り口、きっかけであると考えております。

 そこで、質問です。

 現在のところ、ワーケーション施策と観光施策、移住・定住施策、企業誘致施策と各施策が点となっていると感じています。所管する部局もばらばらであります。点から線へ、線から面への今後の展望をお聞かせください。

○議長(森 礼子君) 企画部長。

  〔横山達伸君、登壇〕

○企画部長(横山達伸君) 今後の展望についてでございます。

 議員御指摘のとおり、これまで県では、県外にいながら本県と継続的に関わってくださり、最終的には企業誘致や移住・定住にもつながることが期待される関係人口の創出を目的として、ワーケーション事業に取り組んできたところでございます。

 現在、新型コロナウイルス感染症等の影響によりまして、富士通、NTT、ヤフー、メルカリなど、大手企業の中にも、仕事場所を問わず働ける人事制度、いわゆる転職なき移住を認める企業や、パソナのように本社機能そのものを地方に移したりする企業も出てきております。

 こうした首都圏から地方への関心の高まりは、本県にとって大きなチャンスであると考えますが、全国の中から和歌山を選んでいただくためには、実際に来県をいただき、豊かな自然や歴史文化など、他の地域にはない本県の魅力を肌で感じてもらうことが重要だと考えます。

 首都圏の企業をターゲットに、和歌山の魅力を発信し、多くの社員様に入り口、きっかけとしてワーケーションを体験していただくよう働きかけを強めるとともに、周辺地域の観光情報や子育て施策、教育環境など和歌山暮らしの情報、また、移住支援施策などもPRすることによりまして、交流人口・関係人口の拡大、企業のサテライトオフィスの設置、本社機能の移転等につながるよう、より一層組織横断的な取組を進めてまいりたいと考えております。

○議長(森 礼子君) 秋月史成君。

  〔秋月史成君、登壇〕

○秋月史成君 次の質問に移ります。

 令和3年9月、地元上富田町議会定例会では、「農業の労働力不足解消と公務員の兼業について」という一般質問が行われております。

 海草郡紀美野町では、紀美野町職員が職務外に報酬を得て、農家等での地域貢献活動に従事することを認めました。また、有田市では、繁忙期のミカン農家で農作業に従事する場合に限り、市職員の副業を解禁いたしました。農家の人手不足解消に貢献し、職員の皆様が地域の基幹産業を学ぶ機会とするのが目的であります。

 地方公務員法第38条では、営利企業への従事等の制限があり、営利企業への従事等の制限の許可の基準に関する人事委員会規則もあります。和歌山県職員服務規程では、「職員は、地方公務員法第38条第1項の規定による営利企業等に従事するための許可を受けようとするときは、あらかじめ営利企業等の従事制限の許可申請書を所属長を経由して知事に提出しなければならない。」とあります。

 よくあるのが、実家の家業である農業の手伝いであります。私の父母世代では、家業である農業を継がなくてはならず、また、農家では安定した日々の収入が望めないことから、当時としては賃金が安い役場をはじめとする公務員になったと、よく耳にいたしました。また、週末には家業の商店を手伝う公務員も見受けられました。有給、無給かは定かではありませんが、公務員の仕事と家業である農業や商店を手伝うことは、以前から見かけた光景の一つでもありました。

 コンプライアンス──法令遵守という言葉が一般に広く使われるようになり、20年余りになります。これは、県外の事例ではありますが、令和3年7月末、北海道十勝地方の20代消防士が許可なく農作業のアルバイトを副業としたとして戒告処分を受ける事案がありました。他方、道内では、地域産業を守ろうと職員の副業を認めている自治体もあり、農業関係者の間では、働きたい人が堂々と働けるようになってほしいとの声もあるようです。

 私が住む上富田町では、南部、田辺ほどの梅の産地ではありません。専業農家の少ない地域でもあります。しかし、梅の収穫時期や田植時期になると、飲食店や私の家業である自動車整備工場も農作業に没頭する方が多いため、例外なく閑散期となります。父から言われたことがあります、カエルが鳴く季節になると一日将棋を指して遊んだと。

 近年では、人手不足から、一般家庭の主婦や私の家内まで梅の収穫の手伝いに声がかかるようになってきました。地域にとっては、比較的高い日給や昼食、おやつ等の待遇を競い合い、人手を確保しているのが現状です。

 人口減少、少子高齢化が進む現在、その傾向は今後も続くと容易に予測されます。週休2日制が当たり前となり、比較的に休暇が取りやすい公務員、その労働力は、人手不足に悩む農家にとっては魅力的なものとなります。

 そこで、質問です。

 本県の基幹産業でもある農業に限ってでも、許可基準の明確化や緩和等を含め、県職員の副業許可の運用見直しを検討してはどうかと考えますが、知事の御所見をお聞かせください。

○議長(森 礼子君) 知事。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 多様化する地域課題の解決のため、公務員が公務外においても、その知識や経験を活用することが期待されているということは明らかだと思います。そういうことから、職員が地域活動に参画する場合の兼業について、運用方針を令和3年度に策定したわけでございます。

 この方針の下、農業の場合でございますが、相続等により農地を継承し、自営するような場合には、一定の基準に該当するものについて、どんどん許可を与えております。

 議員の御質問は、収穫の手伝いなど自営以外のものを想定しておられると思いますが、私は、これも自営か他の手伝いかで扱いを峻別する必要はないと思っております。しかしながら、報酬を得て農業に従事する場合──他の農業経営主体に雇われる場合ですね、その内容は様々なケースがあると考えられ、場合によっては、公務員としての公正の観点から、県民の指弾を受けるおそれのあるケースも考えようと思ったら考えられます。このため、一律に取り扱うということは困難であろうかと考えます。

 したがいまして、公益性の高い活動であるか、相手方と利害関係がないか、本来の職務時間に影響を与えないか、報酬が社会通念からかけ離れていないかなど、運用方針に則して許可すべきものと考えます。

○議長(森 礼子君) 秋月史成君。

  〔秋月史成君、登壇〕

○秋月史成君 人手不足がもう蔓延しているというんか、本当に、うちの家内も今年も梅取りに参加しまして、来年もよろしくお願いしますというようなお話もいただくようになっていますので、県職員の皆様にも参加しやすいような環境づくりをよろしくお願いいたします。

 最後の質問に移ります。

 昨年12月25日、那智勝浦町で、一般国道42号線串本太地道路の起工式にお招きいただきました。夢の紀伊半島一周高速道路の実現を地域の皆様と一緒に喜びました。

 また、12月26日には、田辺市で開催されました近畿自動車道紀勢線有田インターチェンジから印南インターチェンジの4車線化完成の式典にも出席させていただき、4車線化による渋滞緩和を体感することと現在なっております。

 週末や夏の観光最盛期になると、阪和自動車道の当該区間は大渋滞となり、二度と白浜に行きたくないという他府県からの観光客の悲痛な言葉をいただくことも多くありました。4車線化の投資効果は大きく、自宅がある上富田町から和歌山市まで1時間ほどとなり、和歌山市まで随分近くなったと感じております。白浜町中心部から田辺市の中心部まで食事に行く際、約30分から40分ほど時間を費やします。上富田町から田辺市中心街へも約15分から20分ほどかかります。ちょっと和歌山市内まで食事にでも行こうかという時代となりました。

 近年、和歌山県の道路政策では、最優先課題として、紀伊半島一周の高速道路早期完成、府県間道路やX軸ネットワーク、県内の主要河川沿いの道路を川筋ネットワーク道路として重点を置き、その整備を力強く進め、紀伊半島一周の高速道路は完成が見え始め、X軸ネットワークは完成。道半ばとはいえ、川筋ネットワークの整備も進展、今後も果敢に挑戦する道路政策。人は歩みを止め、挑戦することを忘れたときに年老いていく。つまり、挑戦や夢を忘れてしまうと衰退していくのも早いと私は考えます。

 本県の現在の衰退は、道路網の整備の遅れも一因であると思います。コロナ禍前は、道路網の整備の効果もあり、また、関西国際空港、南紀白浜空港の航空輸送力もあり、観光や物流も以前に比べ顕著に向上し、本県の浮揚に大きな投資効果をもたらしたと感じております。

 私は、次なる本県の道路政策の課題は、紀伊半島の内陸部を横断する道路整備の充実であると考えます。これまで取り組まれてきた紀伊半島一周高速道路、X軸ネットワーク、主要河川沿いの生活圏を連絡する川筋ネットワークの整備に加え、次に取り組む道路政策として、川筋と川筋を連絡する道路整備が考えられると思います。防災・減災、緊急輸送、観光及び利便性の向上、また、戦後衰退の一途をたどった林業の振興にも大きな効果が見込まれると思われます。特に、現在、今後も伐採時期を迎える山林、林業の振興には大きな効果が見込まれることとなるのは明白であります。

 そこで、質問です。

 今後の道路政策における知事の御所見をお聞かせください。

○議長(森 礼子君) 知事。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 道路ネットワークは、本県の経済活動等の基盤でありまして、企業誘致など産業振興だけではなくて、大規模災害への備えとしても不可欠な、基礎的な社会インフラであります。

 知事就任当初、本県の道路ネットワーク整備の遅れを目の当たりにいたしまして、大変驚いたということを記憶しております。高速道路はみなべまで開通していたものの、対面通行で危険な状態でございますし、京奈和はちょっとしかありませんでしたし、県管理の幹線道路は、未改良区間がばらばらといっぱいあって、なかなか一気通貫でつながっていなかった。そもそも道路ネットワークと呼べるような状態ではなかったなあと認識しています。

 この遅れを取り戻すことが急務と痛感いたしまして、高速道路整備などを国に強力に働きかけるとともに、府県間道路やX軸・川筋ネットワーク、それから都市内の交通の軸となる主要幹線道路などの整備にも精力的に取り組んできたところであります。

 県選出国会議員や県議会議員の皆様の御尽力もございまして、高速道路や府県間道路などの整備は著しく進展いたしました。最近では、印南インターチェンジまで4車線化が完成し、企業誘致や観光振興などチャンスが拡大しつつあると思います。大規模災害時の命の道としても、だんだん安心できる水準に近づきつつあるというふうに思います。

 しかしながら、紀伊半島一周高速道路のみならず、川筋ネットワークや都市内道路も、完成までにはもう少し踏ん張らないといけない状況でございます。防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策などの予算を最大限に有効活用し、引き続き整備を促進してまいりたいと思います。

 また、高速道路の整備効果をさらに波及させ、県の将来の発展にも抜本的に寄与すると思います和歌山環状北道路──これは、そのうちの主要な部分は京奈和と、それから第二阪和をつなぐというところでございますが、それから、京奈和関空連絡道路の実現に向けたさらなる取組も必要だと思います。

 ついては、これら事業の進捗状況を見極めつつ、市町村のまちづくりの観点から必要となる道路、議員御指摘の川筋と川筋を連絡する道路などについて、地元のニーズや整備による効果などを個々に検討した上で、必要な道路の整備を着実に進めてまいる所存であります。

 これまでの宿題がだんだん片づいておりますが、これがもっと片づいていけば、今申し上げたようなものもだんだんと前進できるんじゃないかと、そんなふうに思っております。

○議長(森 礼子君) 秋月史成君。

  〔秋月史成君、登壇〕

○秋月史成君 中山間地域、私も日置川の奥とか、いろいろ抱えていまして、今、過疎、高齢化で本当に人口も少ない状態になっています。優先順位があるのは十分よく分かるんですけども、手後れにならないように地域を救っていただければと思います。

 これで、私の一般質問を終わります。最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございました。(拍手)

○議長(森 礼子君) 以上で、秋月史成君の質問が終了いたしました。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 26番多田純一君。

  〔多田純一君、登壇〕(拍手)

○多田純一君 おはようございます。公明党県議団の多田純一でございます。

 和歌山として初めて経験いたしました、まん延防止等重点措置が昨日で解除になりました。少しずつ減少傾向をたどっているとはいえ、昨日も221人と高い状況ではあります。早く収束させるために、3回目のワクチン接種を進めていく以外にはありません。この問題に対し、2月定例県議会の前に、知事に県議団として緊急要望をさせていただいております。

 集団接種や職域接種、そして、今月から希望者に始まりました5歳から11歳までの子供たちへのワクチン接種についても、速やかに実行していただくことを知事に改めてお願い申し上げたいと思います。

 医療従事者やエッセンシャルワーカーの皆さんや保健、医療、衛生に従事する全ての皆さんの御尽力に感謝を申し上げます。

 議長のお許しをいただきました。大項目4点について、一般質問をさせていただきます。

 まずは、岩橋千塚古墳群、紀伊風土記の丘についてお尋ねをしたいと思います。

 岩橋千塚古墳群、紀伊風土記の丘、これは、国の特別史跡として指定をされております。「大王墓と紀伊の首長墓」いうテーマで公開シンポジウムが、先月2月13日、東京有楽町よみうりホールで開催されましたので、参加してまいりました。世界遺産百舌鳥・古市古墳群と国の特別史跡「岩橋千塚古墳群」に映し出された政治と社会を考古学者の皆さんに熱く語っていただき、仁徳天皇など大王家一族と、それに従う豪族が築いたと考えられる百舌鳥・古市と紀伊の豪族・紀氏が築いたと推定される岩橋千塚を比べ、古墳時代の歴史や文化、ヤマト王権と近隣地域の関わりなど、講演やパネルディスカッション、4時間を超える内容となりました。日本考古学を代表される方々が一堂に会し、岩橋千塚古墳群の魅力を発信する県外で行う初めてのシンポジウムです。

 兵庫県立考古学博物館和田晴吾館長の講演にもありましたが、百舌鳥・古市古墳群が主に造られたのは5世紀頃、古墳時代の中期、岩橋千塚古墳群が主に造られた6世紀は、その頃は後期に当たり、この間に時代を二分するほどの社会的変化があり、それは、日本の古代国家の形成を担っているヤマト王権の政治体制が各地の地元を支配する首長たちによる連合体制から中央集権的な国家体制に移行した。6世紀は、岩橋千塚古墳群の全盛期、特に石室が立派な天王塚古墳が圧倒的で、古墳時代の構築物としては最高の一つなど、岩橋千塚古墳群のすばらしさを評価していただきました。

 また、紀の川右岸の鳴滝遺跡では、大きな倉庫群跡地が発見され、車駕之古址古墳では、日本では大変珍しい金製勾玉が出土しており、九州や大陸との関わりなど、興味は尽きない話の内容となっておりました。

 改めて、シンポジウムを開催した意義と、これからも和歌山の古墳文化を内外に広く知っていただくということについて、知事の御所見をお伺いしたいと思います。

○議長(森 礼子君) ただいまの多田純一君の質問に対する答弁を求めます。

 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 岩橋千塚古墳群は、紀伊の豪族・紀氏が築いたとされておりますけれども、古代史の研究成果などから、紀氏には2系統あると考えられております。

 一つは、5世紀を中心に紀の川河口右岸を拠点とし、朝鮮半島へも遠征した紀臣(きのおみ)系氏族で、後に中央貴族となったとされております。日本書紀では、朝鮮半島への遠征中に亡くなった紀小弓宿祢の墓を現在の岬町の淡輪に大王が造るように命じたとされておりますけれども、実際に全長200メートルを超える巨大前方後円墳が造られておりまして、考古学的にも、ヤマト王権への窓口として軍事、交易などの重要な役割を担っていたことが分かります。

 もう一つの系統は、6世紀を中心に紀の川左岸に拠点を持ち、後に紀国造家となる紀直(きのあたい)系の氏族で、岩橋千塚古墳群の被葬者と考えられております。

 岩橋千塚古墳群では、両面人物埴輪等、独自性の高い埴輪が造られる一方で、大王墓に類似した埴輪もあり、独自性と共通性が共存しております。埋蔵施設は、結晶片岩と石棚、石梁を持つ畿内と大きく異なる独創的な岩橋型石室であります。埋葬方法も九州地方に類似した開かれたひつぎで、石棺などのひつぎを用いない点において、畿内の閉ざされたひつぎとは大きく異なります。

 6世紀になり、中央集権的な国家体制が形成される中、畿内に隣接しながら独特の古墳文化を持つ様相は、九州勢力と畿内勢力のバランスを保つ役割を果たしていた可能性も考えられます。

 こういう物すごい意味のある岩橋千塚古墳群の持つ意義を全国にアピールしなきゃ損だということでございまして、2019年に世界文化遺産に登録された大王墓である百舌鳥・古市古墳群を擁する堺市の市長にちょっと働きかけをいたしまして、一緒に特別史跡である岩橋千塚古墳群と世界遺産である百舌鳥・古市古墳群の学術的価値の高い二つの古墳をテーマとしたシンポジウムを首都圏においてやろうじゃないかということで、堺市と共に御指摘のシンポジウムを開催したところであります。

 シンポジウムでは、日本の古墳時代研究を牽引する考古学研究者3人により、日本の古代国家の形成過程から見る両古墳群の姿、埴輪から日本の古墳文化をひもとく話がございました。和歌山の古墳についてのシンポジウムを首都圏で開催することは初めてでありまして、参加者からは、継続的に開催してほしいなあとか、現地へ行ってみたいというような御意見を多数いただいたわけでございます。

 今後も、岩橋千塚古墳群の魅力を県民の皆様に、より知っていただくことはもちろんでございますけれども、他の地域と連携するようないい手段を使いまして、和歌山の古墳文化のすばらしさを広く世にアピールしていきたいと考えております。

○議長(森 礼子君) 多田純一君。

  〔多田純一君、登壇〕

○多田純一君 ありがとうございます。

 昨日も、今、シンポジウムの録画を──YouTubeで今月から配信されておりますけども、それを御覧になった方からお電話いただきまして、大変興味深くシンポジウムをお聞きになられたという感想と、こんな古墳が和歌山にあったということについて非常に誇りを感じると、そんなお話もいただきましたので、引き続き、よろしくお願いをしたいと思います。

 二つ目の質問に入らせていただきます。

 紀伊風土記の丘新館建設基本設計業務1億4259万7000円が令和4年度新政策として計上されております。

 私が考古博物館構想を取り上げたのが平成28年9月、6年前でございました。知事の御英断で、平成29年からの10年間の和歌山県長期総合計画の中で、初めて特別史跡岩橋千塚古墳群・紀伊風土記の丘資料館の再編整備が計画として取り上げられるようになりました。

 また、この年から2年かけて、航空レーザによる地形測量を行い、指定候補地の土地調査や特別史跡追加指定の計画づくりと進んできております。

 そして、平成30年度から博物館構想に取り組み、平成31年度予算には、考古博物館土地購入関係費として約2億9800万円が計上されました。

 建設計画に向け、測量や地元住民の方々への説明、そして用地買収と順調に進めてきていただきました。いよいよ令和4年度に基本設計の予算が計上され、今後、どのように進めていかれるのか、お聞きしたいと思います。

 構想では、現在の資料館も活用しながら、県内の考古資料や民俗文化財を適切に保全し、文化的・学術的価値を広く伝えることによって、文化遺産として後世に長く伝えることを目的に整備するとあります。新博物館という以上は、先進的で斬新的な設計を期待したいと思います。新館建設、再編整備について、改めて、その意義と目指す姿について、知事のお考えをお聞きしたいと思います。

○議長(森 礼子君) 知事。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 岩橋千塚古墳群は、特別史跡に指定されている国内最大規模の古墳群で、重要文化財の翼を広げた鳥形埴輪、両面人物埴輪など、本県の古墳文化を知る上で貴重な資料が数多く出土しております。

 これらを収蔵、展示している紀伊風土記の丘資料館は、建設から50年が経過をし、施設の老朽化、収蔵スペースや研究設備の不足などの課題を抱えていることから、貴重な文化財を活用し、後世に引き継ぐため、資料館の再編を現在の県長期総合計画に位置づけております。古墳文化や考古学、民俗学の県内拠点としてふさわしい展示、保存、研究の機能を有する考古民俗博物館に再編整備することを目指しておる次第でございます。

 実物資料の展示とともに、VRや高解像度映像等のデジタル技術を活用し、特別史跡岩橋千塚古墳群をはじめ、和歌山県の考古資料と民俗文化財が融合した特色ある、そして世界に向けた発信力のある博物館にしたいと思います。

 御指摘のように、既に土地は手当てをしておりますけれども、財政難でステップアップを若干ためらったところもありました。しかし、長計の履行ができなくなっては困りますので、もう今年からいよいよスタートということで、今、予算をお願いしているところでございます。

○議長(森 礼子君) 多田純一君。

  〔多田純一君、登壇〕

○多田純一君 進めていただきまして、本当にありがとうございます。

 この構想では、現資料館が2000平米、新館は約6000平米、今の駐車場も活用しつつ、新たに新館隣接の駐車場スペースとして100台を予定されているとされております。新たな考古民俗学の発信拠点として、郷土の歴史に愛着が増すような新館建設を期待したいと思います。

 具体的な取組については、教育長にお尋ねいたします。

○議長(森 礼子君) 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 紀伊風土記の丘資料館を仮称ではございますが考古民俗博物館に再編整備することについては、岩橋千塚古墳群と一体となった博物館と位置づけ、研究する、保存する、見る・学ぶ、交流するを理念とする基本構想を令和元年6月に公表いたしました。

 令和元年度からは、新館建設等整備に必要となる土地の取得を進めるとともに、考古学、民俗学、史跡整備、古代史の専門家のほか、学校や報道関係の有識者から御意見をいただきながら、博物館の整備内容を検討してまいりました。

 再編整備による開館を令和10年度に見据え、令和4年度から土地造成、展示、建物建設、それぞれの基本設計を進めることとし、必要となる予算を当初予算案に盛り込ませていただいております。

 新しい博物館が県民に受け入れられるようにしていくためには、県民を巻き込むプロセスが必要不可欠と認識しており、基本設計を進めるに当たり、子供、高齢者、障害者をはじめ、広く県民の意見を取り入れていきたいと考えております。

○議長(森 礼子君) 多田純一君。

  〔多田純一君、登壇〕

○多田純一君 この質問の最後の質問になりますけども、和歌山市寺内地区に所在する寺内18号墳の発掘調査並びに現地説明会に参加をいたしました。岩橋千塚古墳群発掘調査の説明会としましては、令和3年、井辺1号墳の発掘説明会以来です。

 場所は、和歌山インターと南インターの中間点に位置し、高速道路沿いの山道から5分ほど入った小高い山になっております。井辺1号墳にも近く、大日山35号墳の尾根伝い南側に位置するところでございます。井辺1号墳は方墳でしたけども、寺内古墳は地区内唯一の前方後円墳で、今回の調査では、人物埴輪や家形埴輪などの器種が出土しております。

 昭和40年に、関西大学考古学研究室によって埋葬施設の発掘調査が行われ、古墳時代後期の6世紀前半の前方後円墳だということが分かっております。改めて発掘調査が行われたわけですけども、大日山35号墳や天王塚古墳との関わりもあり、今後、特別史跡として追加指定をどのように進めていかれる計画か、教育長にお尋ねをいたします。

○議長(森 礼子君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 岩橋千塚古墳群は、約900基の古墳が群集する古墳群で、昭和27年に国の特別史跡に指定されて以降、3期にわたる追加指定を経て、現在、約500基が密集する約63ヘクタールの範囲が特別史跡となっております。

 しかしながら、未指定地域にある約400基の古墳の中にも重要なものがあることから、順次、追加指定を目指して取り組んでいるところです。

 現在、第4期目として取り組んでいる範囲では、県内最大の方墳である井辺1号墳を令和2年度に、そして、今年度は寺内地区唯一の前方後円墳である寺内18号墳の発掘調査を行い、それぞれ貴重な成果を得ることができました。

 これら古墳の重要性を県民の皆様に知っていただくため、先月23日に寺内18号墳の現地説明会を開催し、多くの皆様に御参加をいただいたところです。

 また、今年度からは、発掘調査と並行して、追加指定に必要となる土地境界の確定、土地所有者の皆様への追加指定、公有地化に関する説明などを行い、追加指定に向けた事務的な作業も進めております。

 今後も、県民の皆様の御協力を得ながら、この追加指定事業を計画どおり進めることにより、国の宝である岩橋千塚古墳群を適正に保存、活用、次世代に伝えていきたいと考えております。

 また、今後の発掘調査においても貴重な資料が出土することが想定されます。これらの資料と、過去に和歌山市、関西大学、同志社大学により実施された発掘調査で出土した資料を集約して有効活用することも、併せて検討してまいりたいと考えております。

○議長(森 礼子君) 多田純一君。

  〔多田純一君、登壇〕

○多田純一君 2番目の質問に移りたいと思います。

 2番目の質問は、新生児聴覚検査後の早期支援体制ということでございます。

 新生児全員に聴覚検査をすべきだと考えております。生まれてくる赤ちゃんの1000人に1人から2人は、生まれつき耳が聞こえづらい先天性難聴を持つと言われております。生まれつきの難聴を早期に発見して、早期に支援や治療を行うことが赤ちゃんのコミュニケーションや言葉の発達にとても大切なことだと言われております。

 政府は、このほど、都道府県が難聴児の早期発見、早期療育を推進するための基本方針を発表しております。基本方針は、今から3年前の2019年3月に発足した厚生労働省・文部科学省両省によるプロジェクトチームが取りまとめた報告に基づき作成をされております。

 この問題につきましては、公明党も深く関わり、提言もし、今日に至っております。全新生児が聴覚検査を受検できるよう、検査費用の公費負担を進め、切れ目のない支援に向けた療育などの体制構築が必要と考えられます。

 基本方針によると、出生から1か月後の健診に聴覚検査を全員対象にし、3か月までに精密検査の実施、遅くとも6か月までに支援が必要とされ、子供への療育を開始していくことが大事になっています。

 我が国が新生児聴覚検査事業を実施したのは2005年からでございました。15年前の2007年には、新生児聴覚スクリーニング検査が少子化対策に関する地方単独措置として一般財源化され、財源の確保もされております。つまり、費用負担がなくなりました。

 この聴覚スクリーニング検査は痛みもなく、数分で終了と伺っております。生後3日以内に初回検査、要再検査とされた対象に生後1週間以内に実施、確認検査。

 今、申し上げましたように、検査費用は地方交付税措置されますが、初回検査を公費で負担する自治体は、本県においても進んできてはいますけども、昨年度、令和3年度においても、まだ14市町に公費助成制度がありません。したがって、ばらつきがあり、公費負担をしていないところでは、検査実施率が80%に満たないところもあります。令和元年度実績での県内検査実施率は96.2%、217人が未受診となっております。

 この国の基本方針を踏まえ、新生児聴覚検査後の支援策として、早期発見、早期療育を進め、市町村や医師など専門家、そして保育所、支援学校等との連携や、保護者への相談窓口の充実などについてどのようになさるのか、福祉保健部長にお聞きいたします。

○議長(森 礼子君) 福祉保健部長志場紀之君。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 議員お話しのとおり、聴覚障害児の早期発見、早期療育の観点から、新生児聴覚検査実施後の支援体制が大変重要です。

 生後1か月までに実施する新生児聴覚スクリーニング検査の受検率は、令和元年度において、全国平均90.2%に対し、本県は96.2%と高い状況となっています。しかしながら、検査の結果、支援が必要な乳幼児への対応が必ずしも十分とは言えない状況でした。

 そのため、本年4月に、和歌山県聴覚障害者情報センター内に聴覚障害児支援のための中核拠点を設置し、専門の相談員2名を配置することで、聴覚障害児への療育相談や不安を抱える家族等の支援に取り組んでまいります。

 さらに、市町村の保健師が妊婦に対し、検査の重要性を説明することができるよう、保健師に対する研修を実施するとともに、国の基本方針に示された教育委員会や医療機関、障害者団体等の関係機関による協議会を設置し、支援の充実に努めてまいります。

○議長(森 礼子君) 多田純一君。

  〔多田純一君、登壇〕

○多田純一君 今、御答弁をいただきました。県内の検査実施率は96.2%と、高いとはいえ、まだ217人の方が未受検者ということでございます。

 要望といたしましては、検査の未実施の原因や課題を確認していただいて、解決を図るようにするとともに、市町に検査に対する公費助成の実施をしっかりと促していただきたい、こういうふうに要望させていただきたいと思います。

 3番目の質問に移らせていただきます。

 外国人留学生・労働者の受入れについて、お尋ねをいたします。

 2020年度をめどに、留学生受入れを30万人とすることを目指す留学生30万人計画が2008年に策定されています。当時約12万人だった留学生が2.5倍に増え、計画目標年次を1年早く31万に到達しています。ところが、コロナ禍の影響で一転、日本は、2020年から入国規制を始め、外国人の新規入国制限の見直し、令和3年1月14日以降、特段の事情がある場合を除き、外国人新規入国は原則停止し、水際対策を講じ、いわゆる鎖国状態を続けてきました。

 昨年11月末からは、変異型オミクロン型への対応で外国人の新規入国を原則停止、在留資格の事前認定を受けているのに入国できない留学生は14万人に上るとされております。

 国内外からこの状態の解消の声が上がり、当初の緩和策から人数制限を撤廃するような思い切った開国策に踏み切るように、自民党や公明党からの強い要望を行いました。

 留学生を増やすことで日本の国益を増やそうと計画し、それが長期停滞し、海外の留学生から選ばれない国になってしまっていることに危惧を抱いている方は多くなってきております。交換留学の中止で、日本の学生も海外に行けず、学ぶ権利にも影響しております。

 3月からの緩和策で、やっと1日5000人に緩和されましたが、まだまだ緩和を進めるべきとして、超党派でつくる日本語教育推進議員連盟では、2月22日に政府に要望し、現行の5000人から、14日からは7000人に緩和していただき、留学生は別枠で1日1000人程度受入れされるとされました。しかし、この4月には間に合わないでしょうし、全ての留学生が日本に戻ってくるには約5か月程度かかる見通しです。

 そこで、お尋ねいたします。

 入国制限により、和歌山の留学生への影響について、どのように受け止めておられるのか。また、留学生受入れ再開に当たって、県としての支援体制をどのように考えておられるのか。

 和歌山県が受入れしている外国人留学生や労働者は少な過ぎます。コロナ前の令和元年には、全国約28万人の留学生に対し、和歌山での留学生の受入れは520人、全国の1000分の1。

 長期総合計画には、「世界とつながる 愛着ある元気な和歌山」とあります。昨年、私が国際観光都市和歌山について質問もさせていただきました。和歌山が外国人観光客を迎えるためにも、環境を整え、人材を育成し、世界と積極的に共生していくことが和歌山を元気にしていく大事な施策だと思います。今後、外国人留学生を増やすために、どのようにお考えなのか、お答えいただきたいと思います。

 以上、3点を企画部長にお尋ねいたします。

 一方、外国人労働者の取組は、昨年、2021年は過去最高の3390人、技能実習や専門的・技術的分野はこの5年間で約2倍となっております。国籍別では、特にベトナムからの受入れが1178人となり、5年前の6倍となってきています。しかし、全国の外国人労働者172万人から比べると、大変少ない状況と言わざるを得ません。

 現在、公明党は、中小企業に対し、アンケート形式で全国調査を行っております。中小企業の抱えた問題点や支援の在り方などを集約したいと考えております。全国調査のまとめはまだできておりませんが、私がお伺いした中では、どの職種にあっても人材不足、そして、労働力の確保は喫緊の課題と言えます。留学生の雇用の促進や、和歌山での定着率を高めることなどが求められます。

 人材不足の現状から、外国人労働者受入れについて積極的な施策が大事と考えますけども、商工観光労働部長にお聞きをしたいと思います。

○議長(森 礼子君) 企画部長横山達伸君。

  〔横山達伸君、登壇〕

○企画部長(横山達伸君) まず、本県留学生への影響についてでございます。

 県内においては、10の大学及び高等専門学校のほか、二つの専修学校日本語学科があり、入国できずに待機している留学生は、現時点で約90名に上ると承知をしております。

 感染拡大防止のため、水際措置として講じられている入国制限の長期化によりまして、日本への留学を断念したり、あるいは他国に留学先を変更するといった事例が生じるのではないかと懸念をしております。

 このような状況の中、政府は、3月1日より留学生の新規入国を認め、入国に必要な手続をオンラインで完結するように簡素化したほか、議員御指摘のとおり、1日当たりの入国者数の上限を引き上げる等の新たな水際措置を適用しており、本県への留学生の入国も順次認められるものと考えております。

 続きまして、二つ目の県の支援体制でございますが、県では、国際交流センターにおいて、留学生を含む県内在住の外国人が安心して生活を送れるよう、各種支援に努めております。

 在住外国人が抱える労働や教育、医療など、様々な生活にまつわる相談に対しましては、英語、中国語、フィリピノ語、ベトナム語を理解する生活相談員を配置しまして、専門機関と連携を図りながら対応する体制を整えております。

 また、防災に関する知識や意識を高め、災害時に適切な行動が取れることを目的とした防災に関する講座や、日本の伝統文化への理解を促進させるための文化講座を実施しております。

 さらに、昨年10月からは、災害時の支援情報や新型コロナウイルス感染症に関する情報を多言語で提供する外国人サポートメールの配信を開始しているところでございます。

 三つ目に、今後の留学生受入れ推進施策についてでございます。

 議員御指摘のとおり、政府は、日本への留学生を増やすために、留学生30万人計画を策定し、取組を進めてきた結果、同計画が目途とする2020年よりも1年早く、2019年にその目標を達成する一方、県内の外国人留学生は、2019年現在、520人にとどまっております。

 留学生の存在は、多くの教育機関にとってもよい刺激となるだけでなく、地域の国際化にもつながるものと考えております。

 県では、これまで中国の山東省との友好提携に基づき、山東師範大学との学生交流を実施しているほか、インド及びインドネシアを訪問した際には、現地の大学や日本語学校を訪れ、県内教育機関を紹介する機会を設けるなど、海外の学生が留学先として和歌山県を選んでもらえるよう取り組んでまいりました。

 また、留学生を受け入れる教育機関においても、和歌山大学では、日本文化への理解と関心を深めてもらうような新たな特色ある留学生プログラムを打ち出しているところです。

 一方で、県外では、留学生の大量失踪や不法就労等のトラブルが見受けられるところであり、適切な受入れ体制や卒業後の進路に関しての指導、あるいは進路確保の取組が必要不可欠であります。

 いずれコロナ禍が明け、外国人の留学生が再び増加することが見込まれますが、本県としましては、覚書や友好提携の関係を生かし、引き続き、本県教育機関の紹介を進めるとともに、留学生の受入れを積極的に行っている他府県地域の事例についてもよく研究し、参考にしながら、今後、取組を進めてまいります。

○議長(森 礼子君) 商工観光労働部長寺本雅哉君。

  〔寺本雅哉君、登壇〕

○商工観光労働部長(寺本雅哉君) 県では、産業人材を確保するため、高校生や大学生、再就職やUターン希望者等に対して企業説明会を開催するなど、県内就職を促進しているところですが、外国人労働者の雇用も労働力確保の選択肢の一つになると認識しています。

 特定技能や技能実習による外国人労働者については、各企業の責任において受け入れていただくものですが、県としては、企業が外国人労働者を円滑に受け入れられるよう、外国人労働者の受入れに関する制度や方法を引き続き周知してまいります。

 また、外国人労働者との円滑なコミュニケーションを実施している企業の好事例について周知するとともに、和歌山県国際交流協会と連携して、日本語の習熟、日本文化等の学習機会を提供するなど、支援してまいります。

 一方、留学生については、大学等において習得した知識、応用的能力等のほか、高い語学力を有するため、高度専門職など専門的、技術的分野において県内で活躍していただきたいと考えています。

 このため、大学等を通じて合同企業説明会などの就職情報を留学生に提供するとともに、ジェトロや和歌山大学と連携して、外国人留学生向け日本企業勉強会を開催するなど、できる限り県内に就職し、定着できるよう取り組んでまいります。

○議長(森 礼子君) 多田純一君。

  〔多田純一君、登壇〕

○多田純一君 それぞれお答えいただきましたけども、他都市と比べるというのはあまり好きなほうじゃありませんけども、やっぱり外国人材、留学生や労働者をいかに本県に呼び込むかということにつきましては、本当に先進的に、いろんな都道府県で取組をされております。そういうのをしっかり参考にしていただきながらやっていただかないと、現在のありきたりな施策だけではなかなか増えないんじゃないかと、こんなふうに思います。

 留学生は、高度外国人材とされ、獲得のための施策を進めている自治体も多くなってきています。学生側も、卒業後のキャリアと定住を見据えて留学先を選ぶ傾向があるようです。帰国した場合も、留学した国との関係を持ち続けることも多く、留学生は未来からの民間大使と呼ばれるなど、外交の観点からも、また、日本の経済発展や技術革新にも貢献し得る人材です。

 留学生が定着することで、和歌山県にとっても得難い労働力となるはずです。そのための環境づくりを行政が行うことに遅れていると指摘せざるを得ません。企画部長からも御答弁いただきましたけども、早く先進的な取組を、他府県なども調査していただいて、強化策を図っていただきたい。これは要望とさせていただきたいと思います。

 それでは、最後の質問に入らせていただきます。

 教育の質の向上を目指してという観点で、免許外教科担任の解消についてお聞きをしたいと思います。

 文科省は、相当免許状主義として、教育職員は、教育職員免許法に基づいて授与される免許状を保有しなければならないし、勤務する学校種及び担任する教科に相当するものでなければならないと定めております。

 教員免許状は、取得したい教科の教職課程がある大学や短期大学等に入学し、法令で定められた科目及び単位を修得して得られる資格ですが、教育実習なども経験させて、教員の資質確保として得られる免許となっております。

 ところが、一方で、文科省は免許外教科担任制度も認めています。

 免許外教科担任制度とは、中学校、義務教育学校の後期課程、高等学校、中等教育学校、特別支援学校の中学部もしくは高等部において、当該学校の普通免許状を有する教員に他の教科を担当させることを特別に認める制度のことをいいます。

 お手元に配付させていただいておりますけども、文科省が発表しております免許外教科担任の許可件数という都道府県別の表を用意させていただきました。

 これによりますと、和歌山県の今の実態が分かるわけでございますけども、全国の現状を見ますと、一部地域では、免許外教科担任の許可件数が目立つ状況です。本県におきましても、中学校では260人前後、高等学校でも130人前後、許可を与えるのは教育委員会です。和歌山県も、毎年ほぼ中学、高校合わせて400件と、県の規模を考えると際立って許可件数の多い県となっております。全国のこの現状を鑑み、文科省は、平成30年には「免許外教科担任の許可等に関する指針」を示しております。

 相当免許状主義は、教育基本法に定める学校教育の目的の達成を、教育の資質、能力の面から制度的に担保する原則であります。しかし、免許法附則第2項には、取り得る手段を尽くしても、教科の免許状を保有する中学校、高等学校の教員が採用できない場合の例外として、1年以内の期間に限り、都道府県教育委員会の許可により、当該教科の免許状を有しない教員が当該教科の教授を担任する免許外教科担任制度が存在します。しかし、この制度は、相当免許状主義の例外として本来抑制的に用いられるべきとし、改めて免許外教科担任制度の運用の指針が示されたことになります。

 表2を御覧いただくと、和歌山県の10年間が分かります。指針が出されてから3年がたち、4年目になります。ほとんど変わっておりません。

 中学校では、技術家庭、また数学や理科のほか、美術、保健体育が長年にわたって免許外教員の慣習が目立っております。高校では、情報や公民などの傾向となっております。

 この問題を、私は、ある方から指摘をされ、問題意識を持つことができました。その方は、和歌山県で長く教員生活を送られ、校長まで経験された方です。小規模学校では、教科担任制だけでは学校運営ができにくい和歌山県の事情もお分かりです。ですが、安易な教科外担任制を続けていくことで、受験科目に偏重を来し、本来あるべき教育の質が低下していくことや、日本の強みでもあった物づくり教育を大事にすべきとの思いなど、和歌山県教育の在り方を危惧しておられます。しっかり対応すべきと考えます。

 中学校の技術や家庭は、身近な生活をより工夫して、利便性や環境負荷、安全性などを、技術力によってよりよい生活や持続可能な社会を構築する資質や能力を育成する狙いがありますし、理科や数学も科学技術の土台となっております。理科離れも教える側に問題がありそうです。

 県内では、例えば、音楽の先生が国語や数学を教えていたり、技術の先生が他の教科を教えていたり、そういう状況がうかがわれます。質の高い教育を提供できるだろうかと危惧いたします。本来あるべき姿からすると、驚くべき実態と言わざるを得ません。

 免許外教科担任の解消について、教育長の御答弁を求めます。

○議長(森 礼子君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 免許外教科担任は、当該教員が配置されなかった場合などに、やむを得ない場合に、経験及び実績等を考慮の上、学校が申請する制度でありますが、本県における免許外教科担任の許可件数が他府県と比較して多い状況にあることは、教科専門性に応じた質の高い授業を提供し、生徒に興味、関心を育むという学校教育の目標達成において大きな課題と認識しています。教育長として重く受け止め、改善に向けて真摯に取り組んでまいりたいと思います。

 このような状況になった要因の一つとして、県教育委員会が行う教員採用において、結果として不足している教科の教員の採用が十分できていなかったことが上げられます。

 また、各学校における教員配置において、教科専門性より生徒指導や部活動指導の充実等が学校運営を優先してきたという面も考えられます。

 この状況を改善するために、教員採用試験において、不足している教科の採用や複数教科免許の所有者の特例制度を進めてまいります。

 また、本年度も、32大学に対しリクルート活動を行ったところですが、さらに人材確保のルートを広げ、安定させるために、県教育委員会と複数の大学との情報ネットワークを強力に充実させてまいります。

 免許法に基づく認定講習については、これまでも特別支援学校教諭等の認定講習を実施してきたところではありますが、今後はさらに充実させ、免許外教科の担任をしている教員の免許取得を促進することにも取り組んでまいりたいと考えています。

 喫緊の取組としましては、免許外教科担任の偏在を是正するために、人事異動による適正配置を行ってまいります。

 免許外教科担任の解消に向けた取組は、短期間で効果を得ることは難しいですが、長期的な展望に立って、必ず改善してまいりたいと考えております。

○議長(森 礼子君) 多田純一君。

  〔多田純一君、登壇〕

○多田純一君 御答弁をいただきましたけども、生徒のほう、また親御さんたちも、その相手の先生が、その教科の免許状を持っているかどうかということについて知らないんですよね、中学、高校の。一々免許を持っているかどうかということを確認するわけじゃありませんけども、そういう意味では、長きにわたって免許外教科担任制を続けてきたという本県の姿勢に、また、県教育委員会としての任命責任は、僕はあると思うんです。

 教育長として、改善に向け真摯に取り組むとおっしゃっていただきました。教育は人をつくる、国をつくるという点では責任重大だと思っております。教育委員会の姿勢が問われます。しっかりと改善計画は立てるべきと考えます。

 解消する方策として、私なりに考えを申し上げますと、まずは、許可の見直しをすべきだと思うんですね。免許外教科担任の許可に関わる具体的な審査基準を設け、地域の特性や実態、学校教育をめぐる環境の変化に応じて適宜見直していくべきだと思います。

 また、改善策としましては、教科の指導に必要な教員の計画的採用、これがやっぱり一番基本になると思いますけども、それをまずしっかりとすべきだと考えます。

 また、教職課程を有する大学等と連携して、今後の改善策を協議して、検討していくべきだと思います。

 また、在籍する近隣校との連携や遠隔システムの活用など、そういう支援策もあるんじゃないでしょうか。

 また、現職教員以外の多様な人材を活用し、特別免許状の授与などを考える、こういうことも必要だと考えております。

 また、現職の教員別の教科を教える場合、免許状の取得をできるよう、複数免許を取得できるような免許法認定講習の充実も図る、こういうことが考えられるんじゃないでしょうか。

 まずは、教職課程を有する大学等と連携して、今後の改善策を協議、検討していただいて、教職員の資質や能力向上など、今後の方針や取組を定めた県の教育振興基本計画などに反映させていただいて、着実に進めていくべきと考えますけども、教育長のお考えを再度お伺いさせていただきます。

○議長(森 礼子君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 教育委員会といたしましては、教職課程を有する大学の協力も得ながら認定講習を実施していくことや、それから、一部の受験者の少ない教科の免許取得者に対して、受験してもらうように大学に働きかけたりとか、そういったことにも取り組んでいきたいなというふうに考えております。

 それから、今後短期的、長期的な採用計画に、そういったものはもとより、基本計画とかにも盛り込んでいくような、そんな形で免許外の制度の解消に向けて取り組んでいきたいなというふうに考えております。

 その上で、何よりも一番大事な教職員の資質、能力の向上にしっかりと取り組んでまいる所存でございます。

○議長(森 礼子君) 多田純一君。

  〔多田純一君、登壇〕

○多田純一君 御答弁いただきましたけども、しっかり協議し、また検討して、しっかり計画をつくっていくということが大事じゃないかと思います。今、教育長からお話しいただきましたように、教職員の資質向上を図るという観点からも、やるべきことはたくさんあると思いますし、それを先ほど申し上げましたような、これからつくっていく計画に織り込んでいただきたいということを最後要望させていただきまして、私の一般質問を終わらせていただきます。

 御清聴、どうもありがとうございました。(拍手)

○議長(森 礼子君) 以上で、多田純一君の質問が終了いたしました。

 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。

 この際、暫時休憩いたします。

  午前11時38分休憩

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  午後1時0分再開

○副議長(鈴木太雄君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 31番藤本眞利子君。

  〔藤本眞利子君、登壇〕(拍手)

○藤本眞利子君 皆さん、こんにちは。

 午後一番ということで、議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。

 今日、今回は3点について質問したいと思います。

 まず一つ目が、中国との友好連携に基づく交流についてお伺いしたいと思います。

 北京2022冬季オリンピックも閉会し、日本勢の活躍に大きな声援が寄せられました。冬季オリンピックといえば、スキージャンプやアルペンスキー、フィギュアスケートを思い浮かべましたが、今季は、カーリング、アイスホッケー、スノーボード等の多様な競技での活躍が目立ったオリンピックでした。

 しかし、ロシアのウクライナ侵攻という重大な事態により、オリンピックも遠い昔のように思えます。

 先週の金曜日からはパラリンピックが開会し、熱い戦いが始まっていますが、ロシアによるウクライナ侵攻に非難が集まり、ロシア、ベラルーシの選手の出場を認めない決定がなされています。

 ロシアの行いは、断じて許されるべきものではありません。国連総会では、141か国がウクライナからの即時撤退を求める決議を採択しました。グローバルな世界にあって、どの国も自国の利益のみを考えていては、政治や経済が回るわけがありません。

 そこで、今回は隣国である中国との友好について質問したいと思います。

 1972年9月29日、当時の田中角栄首相と中国の周恩来首相は北京で共同声明に署名、恒常的な平和友好関係を確立することで一致しました。これが、いわゆる日中国交正常化です。

 この共同声明は、今読み返しても画期的な内容となっています。「日中両国は、一衣帯水の間にある隣国であり、長い伝統的友好の歴史を有する。両国国民は、両国間にこれまで存在していた不正常な状態に終止符を打つことを切望している。戦争状態の終結と日中国交の正常化という両国国民の願望の実現は、両国関係の歴史に新たな一頁を開くこととなろう」、「両国間の国交を正常化し、相互に善隣友好関係を発展させることは、両国国民の利益に合致するところであり、また、アジアにおける緊張緩和と世界の平和に貢献するものである」としています。この一文を見ても、この当時にあっては画期的な共同声明でありました。

 共同声明では9項目にわたって声明を発表しており、現在懸念されている尖閣の問題、台湾の問題についても明確に示しています。

 第6項に、「主権及び領土保全の相互尊重、相互不可侵、内政に対する相互不干渉、平等及び互恵並びに平和共存の諸原則の基礎の上に両国間の恒久的な平和友好関係を確立することに合意する」。

 全ての項目を御紹介できませんが、この当時、ここまで踏み込んだ内容が共同声明に盛り込まれたことは、日中両国の国交正常化を強く切望したことの表れであると思います。

 その後、1978年8月12日に日中平和友好条約が署名され、両国は新たな1ページを開くことになります。

 本日、このお話をさせていただくのは、日中国交正常化から今年は50年という節目を迎えるからであります。この記念すべき節目に、これをお祝いするマスコミの声も小さく、ともすれば台湾問題や尖閣諸島問題ばかりがクローズアップされる昨今において、中国との友好問題はいま一度原点に立ち返る必要があるとの思いで質問いたします。

 この当時、和歌山県は、1972年、国交正常化が行われる以前より、中国との交流を頻繁に行っていました。国交正常化後は、当時の大橋正雄知事を先頭に、日中友好議連の訪中団をはじめ数多くの県民が訪問し、中国より熱烈歓迎を受けています。

 そのような中、1974年、和歌山県日中友好青年の船が派遣されました。国交正常化にはなったものの、まだ日中平和友好条約が署名されていない4年も前の1974年のことです。

 参観訪問と友好交流を通じて中国の歴史と現状への理解を深め、善隣友好の精神を涵養するとともに、和歌山と中国の友好の絆を一層強め、郷土の建設に意欲を燃やす青年リーダーの育成を図り、青年和歌山の躍進に寄与することを目的としていました。

 大橋正雄知事を団長に、県議会からも4人の議員が参加、青年400人と事務局を合わせて440人余りの団体が組織され、和歌山港から日本丸に乗船し、一路上海に向けて出航したのです。これだけの人数で中国を訪問するということは、日本でも初めてのことでした。その当時の大橋正雄知事の英断は今もってたたえられるべきで、和歌山県にとっても誇らしい歴史だと思います。

 私も参加をする機会を得て、多くの仲間と一緒にこの日本丸に乗り込みました。船中では、1班20名に分かれ、中国の歴史、中国語、中国の歌の練習、団員同士の交流など、一日中スケジュールが組まれ、大変忙しかったことを思い出します。下副知事も参加されたと記憶しております。若いときでした。

 上海港に接岸したときの感動は、48年たった今も忘れられません。港いっぱいに埋め尽くされた群衆と、大太鼓、鐘の音が響く中、赤いネッカチーフを巻いた子供たちの「熱烈歓迎」の大合唱で迎えられ、私たち一行は大いに胸を熱くしたのでした。その後、各班に分かれ、学校、病院、福祉施設、工場、人民公社、史跡など、各方面の参観と交流を行ったのでした。

 上海から天津、そして北京と訪問し、大きな成果を上げ、和歌山港に帰ってまいりました。

 今、大変懐かしく思い出し、お話ししているのは、48年たった今日、この日中友好青年の船が県と中国とのその後の友好の礎となっていると思うからです。

 その後、様々な先輩の皆さんの御尽力で、和歌山県と中国の友好は続いています。何度となく先行きが不安になったときも、「こんなときだからこそ交流を途絶えさせてはならない」とお話しされた先輩もおられました。

 私も、市議会議員、県議会議員と活動させていただきながら何度も中国を訪問させていただき、友好を深め、中国の飛躍的な発展をこの目で見てまいりました。

 財務省の貿易統計によると、2020年の日本の貿易における中国の構成比は、輸出が22.1%、前年比3.0%上昇、輸入は25.7%で2.2%上昇したと報じています。経済の面から見ても、中国は最も重要なパートナーと言えます。

 また、2018年10月に安倍総理が訪中した際、習近平国家主席、李克強国務院総理と首脳会談を実施したほか、12本の国際約束、覚書の署名が行われるなど、政治・安全保障、外交、文化・国民交流などの様々な分野で数多くの成果が上がりました。

 外務省のホームページでは、政治的互恵関係の醸成、海洋安全保障分野における協力及び信頼醸成、経済分野等における実務協力の推進、対中ODAに代わる新たな協力、国民交流促進・領事分野の協力、地域・国際情勢などについて合意しています。

 このように、日本と中国の関係は50年にわたり、事あるごとに相互の努力が続けられています。トランプ前米大統領が仕掛けた米中貿易摩擦問題を発端とした今日の米中関係に振り回されることなく、私は、日本として日中関係を安定的に発展させることが大変重要と考えます。

 そこで、まず、企画部長にこれまでの中国との交流についてお伺いします。

○副議長(鈴木太雄君) ただいまの藤本眞利子君の質問に対する答弁を求めます。

 企画部長横山達伸君。

  〔横山達伸君、登壇〕

○企画部長(横山達伸君) 和歌山県は、これまで中国の山東省及び四川省と友好提携を結んでいるほか、清華大学と交流分野を特定した覚書を締結し、双方にとって有益な関係を構築してきております。

 山東省との交流事例といたしましては、環境分野では、2008年から2013年までの間、大気汚染等をテーマに技術者の派遣や研修団の受入れを実施してまいりました。また、福祉分野では、近年中国で急速に進んでいる少子高齢化を踏まえ、高齢者介護サービスに関するセミナーを開催する等の協力を行っております。

 また、四川省とは、白浜アドベンチャーワールドと成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地のジャイアントパンダ日中共同繁殖研究がきっかけとなって、2020年3月に同省と友好交流関係の発展に係る覚書を取り交わし、交流を開始いたしました。

 その後、青少年、防災・減災等の分野で積極的にオンラインを活用した交流を重ね、こうした交流が実を結び、本年1月、友好県省関係、この県省の県は和歌山県の県、省は四川省の省でございます。友好県省関係の締結に関する議定書の調印式を開催し、友好提携に至りました。

 加えて、2021年11月には、世界トップクラスの教育水準を有する清華大学と、主に人材育成を目的として、包括交流に向けた覚書を締結したところでございます。

○副議長(鈴木太雄君) 藤本眞利子君。

  〔藤本眞利子君、登壇〕

○藤本眞利子君 次に、知事に、今後の中国との交流を、どんなふうにお考えなのか、お伺いしたいと思います。

○副議長(鈴木太雄君) 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 和歌山県と中国は古くからの往来の歴史がありまして、秦の始皇帝の命を受け、不老不死の仙薬を探すため、熊野を訪れたと伝えられている徐福伝説、中国から渡来し紀三井寺を開創した為光上人、遣唐使として中国に渡った弘法大師空海、金山寺みそ、しょうゆの発祥、尺八、虚無僧文化、いろいろと深い関係を持っています。

 また、今日における和歌山県と中国との友好関係は、議場にも会長がいらっしゃいますけども、和歌山県日中友好協会をはじめとした多くの方々がずうっと日中友好の発展のために長く努力されてきた結果であると認識しております。

 この友好関係を継続し、さらに発展をさせていくというのが私の務めというふうに思っておりますが、就任以来、友好機関等、具体的な相互協力をしていったほうがいいなあと、単なる交換とか乾杯とか仲よしとか、そういうよりもいいなあと思いまして、特に山東省とは、環境協力、人材育成協力、それから最近では高齢者福祉協力などを具体的に展開しているということでございます。

 特にそのうち、公害防止については、和歌山県の経験とか技術、和歌山県も昔それで苦しんだわけでございますので、そういうことを積極的に移転いたしまして、それで最近は山東省のどうも空気がきれいになってきたじゃないかというふうに思うわけであります。山東省の方々から、和歌山県のおかげだとは、まあそこまでは言ってくださらないんですけど、私は絶対これは効果があったはずだというふうに実は心の中では思っております。

 また、中国語を身につけて中国の政治、経済、文化などに精通した人材を育成するということが重要でありますから、2009年以降、山東省との友好提携に基づきまして続々と若手職員を派遣させていただきまして、それで中国語のよくできる職員が今まで11名派遣されたということで、今後も続けていく予定でございます。

 今後の中国との交流については、それぞれ友好提携先があるんですが、山東省とはこれまでに築き上げてきた信頼関係を踏まえて、先方の御要望を踏まえ、高齢者福祉分野を中心に実務的な交流を行っていきたいと考えております。

 また、四川省とは、本年、友好提携を締結したところでございますが、パンダの研究交流はもちろんですが、防災・減災、それから観光、経済貿易といった幅広い分野で交流を行って、信頼関係を築いてまいりたいと思っております。

 加えて、中国一と言ってもよい清華大学とは、昨年、協力の覚書を取り交わしたところでありまして、これを生かして様々な学術交流や、あるいは次世代を担う青少年の交流に積極的に取り組んでまいりたいと思っております。

 本年は、日中国交正常化50周年の節目の年でございます。和歌山県としても中国との良好な友好関係を途切れさせることのないように、未来につなげてまいりたいと思っております。

○副議長(鈴木太雄君) 藤本眞利子君。

  〔藤本眞利子君、登壇〕

○藤本眞利子君 御答弁ありがとうございました。

 先月も、橋本市ですかね、清水小学校と中国の山東省済南外国語学校開元国際分校という学校とオンラインで交流するというふうなお知らせもいただいていまして、私、教育にすごく、いろいろと興味じゃないけど関心があるんですが、それで、これまでも小学校も中学校も高校も大学もというふうなことで山東省とか四川省とかの交流を進めておられるというふうにお聞きしておりますので、これも継続していただき、友好を深めていただけたらというふうに思います。

 また、経済界との結びつきも大変深いと思いますので、今後、さらに日中友好が発展することを願って、第1問目を終わりたいと思います。

 2問目は、児童相談所の体制の強化についてお伺いしたいと思います。

 一時保護所の職員が逮捕されるというふうな事件が起こりまして、その検証と対策についてお伺いしたいと思います。

 昨年9月に発覚した一時保護所における未成年女性に対するわいせつ行為事件についての検証と、その後の対応について質問します。

 この事件については、皆さん御存じのとおりですが、私のメールのほうにも県民の皆さんからもお怒りの声と児童相談所への不信の声が届けられており、私も同様、許せない気持ちでいっぱいです。

 12月議会で高田議員からも質問をされていますが、この事件の容疑者の浅野紘平は、2020年4月に県の社会福祉士の専門職で採用されています。同年11月より、一時保護課で勤務していたと聞いています。

 この事件は、2021年9月に、被害者である少女より第三者を通じて被害の相談があり、発覚しました。その後、11月16日、浅野紘平容疑者が児童福祉法違反で逮捕され、12月6日、同容疑で起訴されています。

 行為は、2021年の5月から8月に数回にわたって行われ、宿直勤務中に施設内の部屋に女性を呼び出すなどしていたと報道にあります。所内異動した11月の勤務から、何と半年もたたないうちの犯罪ということになります。

 一時保護所に保護されている保護児童は、様々な事情を抱え、心に傷を負っている場合も少なくありません。まして、保護を必要としている児童がこのような犯罪に巻き込まれ、被害者となってしまった今回の事件は、言語道断であります。被害女性の人生を狂わせてしまうかもしれないのです。(「そのとおりだ」と呼ぶ者あり)一時保護所で行われた行為に対して、私は怒りが収まりそうにありません。相談所の責任は大変重く、徹底した検証と対策を求めたいと思います。

 加害者が逮捕され起訴されておりますので、詳しい調査は警察のほうで行われ、裁判になると思いますが、児相として、児相内で起こった問題についてどのような検証を行ったのか、お伺いします。

 まず、加害者は宿直勤務の際に女性を施設内の部屋に何度も呼び出し、わいせつ行為を行ったとされていますが、どこに問題があったとお考えなのか。ただ単に本人の倫理観の問題だけでは片づけられないように思います。日頃からの人間関係はどうなっていたのでしょうか。他の職員は本当に気づけなかったのでしょうか。

 そこで、問題が発覚した後、加害者が逮捕されるまで2か月余りの間、児相ではどのような対策を取ったのか。どのような調査を行ったのか。全ての職員に対して事情を聴いたのか。また、他の保護児童についてどのような対応をされてきたのか、福祉保健部長にお聞きします。

○副議長(鈴木太雄君) 福祉保健部長志場紀之君。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 今回の事件に関しましては、令和3年9月24日に第三者からの情報提供を受けた後、9月27日から当該職員や他の職員、被害児童や他の児童に対し聞き取り調査を開始しました。

 被害児童に対しましては、計3回面談し、被害状況を確認するとともに、当該職員につきましては、計5回の聞き取りを行いました。当初、当該職員は不適切な関係について否定しておりましたが、10月1日に事実であると認めたため、同日、海南警察署に通報したところです。

 他の児童に対しましては、当該職員を含む一時保護所職員から嫌なことをされたことがないか、他の児童が困っていたり嫌がっていることを見聞きしたことがないか等について聞き取りを行いました。他の職員に対しても、当該職員のわいせつな行為を見聞きしなかったか、なぜ気づけなかったのか等について聞き取りを行いました。

 県としましては、それらの聞き取り調査の結果も踏まえ、事件の発生原因や改善すべき点を整理したところです。

 事件が起こった原因としましては、当該職員が一時保護所職員として当然持ち合わせるべき倫理観に欠けていた点と、夜間の職員体制について、職員配置が十分でなかった点が挙げられると考えます。

 事件後すぐに、職員に対しマニュアルや職員服務規程について再徹底するとともに、夜間の見守り体制に関し早急に改善を図ったところです。

○副議長(鈴木太雄君) 藤本眞利子君。

  〔藤本眞利子君、登壇〕

○藤本眞利子君 改善すべき点を整理して、原因と見守り体制の早急な改善を図ったと言われておりますが、次の、じゃあ、今後どうするんだということに移りたいと思うんです。12月14日には福祉環境委員会で志場福祉保健部長がこの問題について陳謝をし、再発防止に努めると話されています。

 私は先ほど「児相の責任は大変重い」と申し上げましたが、それぞれの職員さんが責任を果たしていなかったということは思いません。児相の職員は、それこそ毎日、本当に9時、10時と、遅くまで対応に追われ、仕事をされているわけです。そんな中で起こった今回の事件で、職員一人一人に責任はあるとまでは言いませんが、児相という大変重要で、なくてはならない職場で、二度とこのような事件が起きないようにするために、体制を変えていかなければならないというふうに思っています。

 そこで、今後の児相の取組について何点かお聞きします。

 県では、新規事業として、児童相談所の体制強化として、職員の増員、専門性の向上、職員の心のケアを挙げられています。一時保護所の夜間の見回り等でも職員の不足が招いた今回の事件ということもあり、職員の増員は必要なことです。しかし、浅野容疑者が事件を起こしたのは、採用されて1年少しの期間であります。今回、専門職の大幅な採用をお考えのようですが、今回の事件を教訓に、新人研修の見直しを行う必要があるのではないでしょうか。

 そこで、新人研修をどのように進めていくのか、お伺いします。

 また、新政策にも職員の心のケアが挙げられています。ストレスやプレッシャーのため、体や精神に支障を来す若手職員がいると聞いています。そのような職員を早期に把握し、定期面談等を行いながら体制を強化するとしていますが、若手職員が何でも相談できるような体制を希望しますが、具体的にはどのような内容でしょうか、お伺いします。

 児相の業務は、高い専門性を有する責任の重いものであると思います。緊急対応、児童の保護、その後のケア、一人一人に違う事情があり、その対応に追われています。限りある時間に、しなければならない業務が多いため、虐待に至った保護者への親支援、一人一人の子供への継続したきめ細かいサポートなどが難しい状況にあると思います。そのようなソフト面での支援のメニューを一緒に伴走していただけるNPOなどの民間の方々との協働をもっと進めていくべきだと思いますが、御見解をお聞きします。

 また、通告があって48時間以内に安全確認を行っているのですが、緊急性の高いもの、時間を置いても大丈夫といった優先順位を振り分ける機関が必要ではないでしょうか。米国では、郡などごとに1か所24時間体制のホットラインで通告を受理し、州政府のデータにアクセスするなどの調査と初期アセスメントを行い、調査介入的に入るものと支援に入るものとの対応を区分けしているとのことです。

 私は、子供通告窓口の一元化を導入すべき時期に来ていると思います。県においても、そのような体制を整え、トリアージ機関を外部委託する方向を導入してはどうでしょうか、御見解をお伺いします。

 また、一時保護所の環境整備、体制の見直しの中で、児童の意見形成・意見表明支援として、アドボケイトが全児童に面談を行うとしています。アドボケイトとは聞き慣れない言葉ですが、児童の意見を代弁する人、例えば弁護士さん、臨床心理士、社会福祉士等のことを指しておりまして、児童と面談して、児童の代わりにその声を伝えるという事業だということです。この事業を取り入れようとした動機と、どのように実施していくのか、お伺いします。

 以上、福祉保健部長の答弁を求めます。

○副議長(鈴木太雄君) 福祉保健部長。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 現在、児童相談所においては、児童福祉司、児童心理司等の専門職を計画的に増員しているところです。

 児童相談所の業務は、虐待を受けた児童のためのトラウマケア、虐待を行った保護者に対する養育機能回復のための支援など、高い専門性が求められます。また、一時保護所においても、様々な特性、年齢の児童に応じた処遇スキルが必要であり、経験の浅い若手職員の育成は喫緊の課題となっています。

 そこで、日々の業務の中でOJTを徹底するとともに、ロールプレイや事例検討を交えたより実践的な研修を勤務年数や職種に応じて体系的に実施し、職員の資質向上に努めているところです。

 職員の心のケアに関しましては、令和3年12月に、県職員のメンタルケアを行っている公認心理師が中央児童相談所を訪問し、希望する職員に対しカウンセリングを行ったところです。

 今後も、定期的に公認心理師が訪問するとともに、職員が抱えるストレスやプレッシャーを早期に把握し、課題解決に取り組む体制を強化するため、若手職員に対し、課をまたいだ先輩職員が定期的な面談を実施するなど、職員の心のケアとモチベーションの向上に注力してまいります。

 民間団体との協働の御質問につきましては、虐待を受けた児童を家庭復帰させるに当たり、児童相談所が保護者に対し面接指導することに加え、子育てスキルや保護者自身のストレス管理等に関する親支援プログラムも実施しており、その中で民間団体が有する専門性も活用しているところです。

 今後も、社会福祉法人やNPO法人等民間団体のノウハウやスキルを発揮できる業務について検討してまいります。

 虐待通告窓口に関しましては、児童福祉法及び児童虐待の防止等に関する法律により、児童相談所、市町村等と定義されています。児童相談所や市町村に寄せられた虐待通告については、共通の虐待リスク評価ツールを活用し、一時保護が必要とされる事案は児童相談所、在宅での支援が可能な事案は市町村が対応するよう責任の所在を明確にし、役割分担を徹底して取り組んでいるところです。

 加えて、平成30年度には、全市町村と和歌山の子・みまもり体制に関する協定書を締結し、地域での見守り体制を一層強化したところです。

 虐待事案の初期対応については、迅速かつ的確に行う必要があるため、今後も児童の安全を最優先に、引き続き市町村と連携して取り組んでまいります。

 最後に、御質問のアドボケイト事業につきましては、来年度から、一時保護した全児童に対し実施することとしております。児童相談所職員が児童の意見を十分聞くことはもちろんですが、児童の支援に直接携わっていない外部の弁護士や社会福祉士等が一時保護所を訪問し、児童と個々に面談して、児童の意見を代弁することにより児童の権利擁護を進めることが重要だと考え、導入を決めたところです。

 また、児童と面談を行う者に対して、児童の意見形成や意見表明支援に係るスキル等に関する研修についても実施してまいります。

○副議長(鈴木太雄君) 藤本眞利子君。

  〔藤本眞利子君、登壇〕

○藤本眞利子君 虐待のニュースが毎日のように報道されておりますし、件数も右肩上がりになっているわけです。今回の事件は絶対許されないということでもありますし、二度と繰り返されてはならない事件で、再発防止にはもう徹底して取り組んでいただきたいんですが、児童相談所の業務をもっとやはり改善して、風通しのいい職場にすることが再発防止にもつながると思うんですね。職員同士も風通し、子供たちとの関係ももっともっとゆっくりと過ごせるような、そんなことが必要だと思っておりますので、これを機会に、さらに改善を求め続けていきたいというふうに思います。

 三つ目の質問です。

 子供たちがスマートフォン等を安全に活用していくための教育についてお伺いしたいと思います。

 私たちの社会は、今やインターネットはなくてはならないものとなっています。パソコンももちろんですが、何といってもスマートフォンの普及が私たちの生活を大きく変えています。今や、お財布よりもスマートフォンがなければ生活できないようになっています。スーパーでのお買物もスマートフォンで済みます。学校の連絡網や友達同士の連絡はLINEで行われています。いろいろなチケットを購入するのもスマートフォンです。調べ物もスマートフォンでオーケーです。パソコンがなくてもスマートフォンで事が足りる、そんな世の中になっています。いつでもどこでもスマートフォンがあればインターネットが使えます。

 しかし、とても便利で簡単で、お年寄りから生まれて間もない赤ちゃんまで触れているスマートフォンが、大きな社会問題をもたらしています。

 インターネットによる被害は子供だけではなく大人にも及んでいますが、今回は子供社会がどのように変化してきているのか。その影響はどうなっているのか。子供たちがネット社会で生きていくためにどのようなことに気をつけていかなければならないのかといった点について質問します。

 コロナ禍の影響のため、5年間で整備しようとしていたGIGAスクール構想が前倒しになりまして、2年余りの間に全ての児童生徒にタブレットが配付されました。タブレットを用いた授業の研究が盛んに行われており、出席できない生徒が家庭においても授業が受けられるように、オンライン授業が開始されました。コロナ禍においては、インターネットがより身近なものとなり、タブレットが子供の生活に深く入り込む結果となりました。

 しかし、インターネットによるプラスの面は言うまでもありませんが、それと同時に様々なマイナス面もあぶり出されています。

 文部科学省初等中等教育局児童生徒課の児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査、2021年10月13日公表によると、小・中・高、特別支援学校を合わせたネットいじめの認知件数は年々増加してきており、2020年度は1万8870件を数えています。10年前で2992件ですので、その増加の幅がお分かりになると思います。

 SNSではネットいじめが多様化しています。ネット掲示板の学校裏サイト、IDさらし、電子メールによるなりすまし、メールアドレスの悪用、LINEによる悪口、既読無視、未読無視、LINE外し、5分ルール、インスタグラムによる中傷投稿、ツイッターのさらし、フェイスブックの嫌がらせ投稿等々、内容も多様化し、SNSのもたらす弊害は枚挙のいとまがありません。

 スマートフォンを用いてインターネットを利用している実態として、内閣府の令和3年度青少年のインターネット利用環境実態調査の調べによると、4歳児で72.2%、5歳児で81.0%、6歳児で82.3%、7歳児で83.9%、8歳児で91.9%、9歳児で91.6%と報告されています。インターネット利用の低年齢化がコロナによってますます加速している実態が報告されています。

 和歌山県の子供たちはインターネットにどれぐらい接しているのでしょう。

 一般社団法人ソーシャルメディア研究会代表で兵庫県立大学准教授・竹内和雄氏が、和歌山県の子供たちの実態を報告されています。

 まず、「家で一番すること」をパーセントで表した調査資料によると、小学校4年生でネットが26.4%、学年が高くなるにつれ高くなり、中1で51.9%、中2で63.5%、中3で76.7%、高1で75.7%、高2で81.3%、高3で76.6%と、テレビやネット以外の遊びを引き離しています。今のパーセントは、「家で一番すること」というパーセントです。

 また、ネットの接続時間も4時間以上接続している割合が、学年によっては2割を超えているといった状況です。学校から帰ってきて寝るまでの間の4時間、もうそれ以上接続している子供たちの様子です。

 そういった子供たち、4時間以上ネットを利用している児童生徒は朝食を取らない割合が高いとか、就寝時間が12時を超える割合が高いとか、いらいらする、勉強に自信がない割合が高いといった報告もあります。

 また、ネットで一番することを見ると、動画を見る、オンラインゲームをする、SNSなどで占められており、勉強というのは1割も満たない結果となっています。特に女子の場合はゲームより動画やSNSの占める割合が高く、女子の特徴が出ているように思います。

 このような実態から、竹内和雄氏は、「コロナ禍においてインターネットの影響はますます高まっており、インターネットを使っている時間が長いほど危険な状態になっている」と警告しています。

 文部科学省は、児童生徒に身につけさせたい情報活用能力の目標を「教育の情報化に関する手引」というので示しています。小学校では、文字入力、電子メールの送受信、電子ファイル保存・整理、インターネットの閲覧等を身につける、様々な方法で文字や画像などの情報を収集し、調査、比較することを身につけるといった基本的な操作方法を学習していきます。中学校では、基本的な操作に関する知識を深めるとともに、課題を解決するために自ら効果的な情報手段を選んで必要な情報を収集することとされています。高校では、さらに高度な情報活用能力を身につけていきます。

 このように、今の子供たちは学校教育の中で操作方法を学んでいますが、インターネットを利用するためのルールやマナーについては学ぶ機会が限られているといった状況です。

 スマートフォン等の利用に潜む危険性は多岐にわたっています。子供たちを被害者や加害者にしないためにも、発達段階を踏まえた丁寧な指導が必要だと考えています。

 そこで、現在のネット社会において、子供たちがスマートフォン等を安全に活用していくために、県教育委員会はどのような対策を講じているのでしょうか、お伺いします。

○副議長(鈴木太雄君) 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) スマートフォン等は、子供たちにとっても身近な存在であり、便利な一面がありますが、長時間利用による生活習慣の乱れや、ネット上でのいじめや誹謗中傷等、課題となる面を持ち合わせています。

 こうした中、県教育委員会では、令和元年に、医師や大学教授、PTA関係者等で構成する学校における依存症等対策有識者会議を設置し、翌年、児童生徒がスマートフォンやゲームへの依存について正しく理解し、依存状態に陥らないためにどう取り組むかの提言をいただきました。

 それを踏まえ、授業等で活用できる啓発資料や学習資料集、動画教材等を発達の段階を考慮して作成し、県内全ての公立学校に配布するとともに、県教育委員会ホームページに掲載し、積極的な活用を促しています。

 さらに、スマートフォン等の望ましい利用に関しては、保護者の理解、協力が重要であることから、子供とじっくり話し合い、家庭でルールづくりをすることを推奨しています。そのため、保護者向けリーフレットを作成し、保護者懇談等の機会において周知啓発を行っています。

 また、スマートフォン等を介した対人関係やコミュニケーションのトラブル等についても、児童生徒が1人で悩むことのないよう、子供SOSダイヤルやLINEを活用した教育相談等の相談窓口を開設しています。加えて、県が開設している県内の青少年を対象としたネットトラブル専用のわかやまネットトラブル相談窓口についても周知を行っています。

 今後も、児童生徒が学びを通じて自分自身で考え、スマートフォン等と上手に付き合っていく力を身につけることができるよう、作成した各種教材等を効果的に活用したり、外部講師から指導助言を得たりしながら、発達の段階に応じた指導の充実を学校、家庭と一体となって進めてまいります。

○副議長(鈴木太雄君) 藤本眞利子君。

  〔藤本眞利子君、登壇〕

○藤本眞利子君 御答弁ありがとうございました。

 近年は、スマートフォンに関して低年齢化にはもう驚くばかりなんです。先ほど紹介した内閣府調べのインターネットでの利用率も、生まれたてのゼロ歳児でも11.5%、1歳児で33.7%、2歳児では62.6%、3歳児で66.5%というふうに、もうスマートフォンに何か育児を任せているみたいな、乳幼児の接する増加が目立っているという結果になっています。もう生まれてすぐにスマートフォンに接しているんですね。

 これ、教育委員会だけでは対応できないような状況もありますけど、何にも知らない無知が一番悪いと言われているんですね、このスマートフォン等に関しては。私ら、無知やから一番悪いんですけど、でも世界全体でそういうことを共有して、このスマートフォンの利活用をもっともっと進めていかなくちゃいけないなあというふうに思っておりますので、よろしくお願いします。

 最後に、質問じゃないんですけど、ちょっとお礼を申し上げたいんですが、コロナ対応で本当に御苦労されている皆さんに感謝を申し上げたいというふうに思います。

 まず、コロナのオミクロン株というふうなこともあるんですが、亡くなられた方には心からお悔やみを申し上げたいと思います。

 私も2月7日にコロナの陽性というふうに判明しまして、自宅療養ということを余儀なくされたんです。公表されたために、支援者の皆さんからも心配の声をいただいたりしたので、この場を借りてお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。

 私の場合は、熱も37度5分ほどで、1日だけで、本当に軽症で収まりまして回復に向かったんですが、その間、保健所の方からは安否を確認する連絡を毎日いただきまして、「熱はどうですか」とか、「体調はいかがですか」というふうに連絡をいただきました。感染者がもう爆発的にちょうど増加している中でしたので、一人一人に安否確認の連絡をする労力というのは大変なものだなあと思いまして、本当に頭の下がる思いでした。

 病院からは、コロナの薬、もうちょっと高齢ですので、薬を処方していただきまして、調剤薬局から薬剤師さんが家までお薬を届けてくれました。県のほうからも食料と、ちょっとした日用品が届きまして、もう本当に助かりました。何から何まで本当にお世話になって、そのためにどれだけの皆さんが働いておられるのかと思うと、もう感謝の気持ちでいっぱいです。

 保健所の対応が取り沙汰されていますけれども、コロナを経験したことで、保健所や関係の皆さんの御苦労が少しでも私なりに分かってよかったなと思います。

 保健所に勤めている友人がいるんですが、「もう大丈夫か」とか、「コロナは急変することがあるから気つけてやあ」というふうな電話をいただきまして、でも、そんな電話をくれているその本人は保健所に行っていますので、晩も9時とか10時とか残業して、休日も返上して頑張ってくれているわけです。

 そんなことを経験しまして、もう本当に感謝の気持ちでいっぱいです。この経験が、これからの県の公衆衛生の充実、こういうことはやっぱり大事だと思いますので、一石を投じることができれば幸いと思っております。

 最後に、本当にコロナ禍において御苦労されている全ての皆さんに感謝を申し上げまして、一般質問を終わります。本当にありがとうございました。(拍手)

○副議長(鈴木太雄君) 以上で、藤本眞利子君の質問が終了いたしました。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 37番高田由一君。

  〔高田由一君、登壇〕(拍手)

○高田由一君 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い一般質問をさせていただきます。

 最初に、新型コロナウイルス感染症の検査体制の充実について伺います。

 新型コロナウイルス感染症の第6波で高齢者に感染が広がり、命を落とす人が急増しています。全国的には、1日当たりの死者数が2月22日に初めて300人を突破しました。2月だけで死者は4000人を超え、過去最悪の水準となっています。

 厚生労働省のまとめによりますと、今年に入ってから亡くなった人のうち、70歳以上が9割を超えています。これは、高齢者施設でのクラスターの増加と関係しています。和歌山県でも第6波ではこれまで40名以上が亡くなっていますが、ほとんどが70代以上の高齢者ということです。

 先日、野㞍技監が発表されました「第六波の現状」というレポートがございます。ここでは、3回目ワクチン接種後の感染事例や同じ人が2回かかる、こうした事例など、新型コロナとの闘いはまだまだ予断を許すものではないことを物語っています。

 そこで、最初に、行政検査の状況について伺います。

 年明け早々、第6波に突入いたしまして、感染が急拡大いたしました。現在はピークを超えつつあるようですが、2月15日に示された全国知事会の緊急提言でも、危機的状況が国民に正しく認識されるよう国として強く発信することなど、危機感を持った対応が必要な状況は変わりなく、むしろ感染が高止まりで推移をする、あるいは増加に転じる可能性もあります。

 私は、これまで紀南地方にも臨時の行政検査の検査体制が必要なことを訴えてまいりましたが、昨年11月に和歌山県が民間の大手検査機関と契約をされ、今回の第6波では、その力が活用されています。この契約では、検体の搬送までを民間業者に担ってもらうことで、県行政に負担がかからないやり方となっています。このことで第6波での検査需要にも対応できているようで、これは大きな成果を上げていると考えます。

 ただ、心配しますのは、あまりにも検査の陽性率が高いことであります。大阪や東京などでは、検査で陽性となる率が40%近い状況があるようです。こういう状況では検査そのものが不足をして、感染実態とずれている危険性はないかと心配をしています。

 そこで、福祉保健部長に伺います。

 和歌山県において行政検査は不足していないかどうか、また滞りなく行えているのかどうか、答弁をお願いいたします。

○副議長(鈴木太雄君) ただいまの高田由一君の質問に対する答弁を求めます。

 福祉保健部長志場紀之君。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 第6波におけるPCR検査体制としては、まず和歌山県環境衛生研究センターにおいて、1日当たり300件まで実施可能な検査体制を取っています。

 さらに、今後の感染拡大に伴う検査逼迫が想定されたことから、民間検査機関に検体検査業務を委託し、また、患者受入れ病院に対してもPCR検査機器整備を行い、迅速な検査体制を図ってきたところです。

 こうした取組により、第6波のいまだかつて経験したことのない規模の感染者が発生している状況の中においても、PCR検査能力、1日当たり最大約2700件まで高めて対応してきたところです。

○副議長(鈴木太雄君) 高田由一君。

  〔高田由一君、登壇〕

○高田由一君 答弁をいただきました。

 現状は滞りなく行えているということだったと思います。ただ、1日の感染が500名を超えた1月末から2月当初にかけては、大分行政検査のほうも結果が返ってくるのに時間がかかったというふうに伺いましたので、ぜひ今後とも抜かりなくお願いをしたいと思います。

 次に、抗原検査キットの幅広い配布と活用について伺います。

 このことについては、昨年の6月議会でも議論をいたしました。今、特に介護の職場からは悲鳴が上がっています。感染者が出たときの職員体制の確保はもちろん、従来なら濃厚接触者の周りの人に、県から頂いた抗原検査キットで検査をしてもらいながら勤務をしていたんですが、今はキットの不足でこの検査もできないために、自分が感染を広げているんではないかという心配でいっぱいになりながら介護に当たっているという状況があります。施設の中には研究用と言われる、いわゆる薬事承認をされていない検査キットを自費で購入して検査をしてもらっているところもあると伺いました。大変な苦労です。そのような状況ですから、職員や入所者に対する検査を頻回に行うため、早急に介護、障害者施設等への抗原検査キットの配布が急がれると思います。

 また、昨年12月議会で、私は、児童の入所施設や保育園、幼稚園、小学校、学童保育など、ワクチン接種の対象年齢に満たない子供たちが利用する施設でクラスター発生を防ぐためにも、感染状況が一定のレベルを超えた段階で定期的な検査を実施していくことが必要だと要望いたしました。

 このたび、政府の新型コロナウイルス感染症対策推進本部は、事務連絡ですが、検査の集中的実施計画の対象になってこなかったこうした施設での検査を検討するよう要請をしています。

 また、報道によりますと、東京都では、私立も含めた学校の教職員を対象とした定期的な検査を始めたようです。これは抗原検査キットを活用したもので、週1回程度、全教職員を対象に実施します。教職員からは、「自分たちが学校にウイルスを持ち込めば、体の弱い子たちにうつしてしまうかもしれない」と心配の声が上がっていました。

 そこで、福祉保健部長に伺います。

 検査の集中的実施計画で、どのような施設を対象に、どのぐらいの頻度で検査を実施していくおつもりでしょうか。答弁をお願いしたいと思います。

○副議長(鈴木太雄君) 福祉保健部長。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 県では、これまで集団感染が発生している施設やその周辺の濃厚接触者などに対して、重点的に抗原検査キットをいち早く配布し、感染の早期発見と感染拡大の防止を図ってきたところです。

 今回、本県がまん延防止等重点措置区域として指定されたことに伴い、基本的対処方針に基づき、高齢者施設等の従事者等に対する集中的実施計画を策定したところです。

 同計画では、特別養護老人ホームなどの入所系の高齢者施設や障害者支援施設等をはじめ小学校、幼稚園、保育所、学童保育等において、従事者や教職員への週1回程度の定期的な検査を3月31日まで実施することとしています。

 県としましては、同計画に沿って従事者等に検査を行うことにより、施設への感染の持込みを未然に防ぎ、感染拡大の防止を図ってまいります。

○副議長(鈴木太雄君) 高田由一君。

  〔高田由一君、登壇〕

○高田由一君 答弁をいただきました。

 新たに、小学校や幼稚園、保育所、学童保育等でも週1回の職員への検査を実施するということでございました。ただ、3月31日までという今の時点での期限にはまっていますが、状況によってこれは延長されることと理解しております。ぜひ、これは一歩前進だと思いますので、よろしく対処のほどお願いしたいというふうに思います。

 次に、無症状の幅広い県民を対象にした無料検査の実施状況について伺います。

 感染拡大時に、都道府県の判断により、感染の不安がある無症状者に対してPCR検査等を実施する一般検査事業が昨年末から取り組まれています。これは、無料で検査ができる制度です。

 昨年12月県議会で、私の質問に対し危機管理監は、「和歌山県では、PCR検査及び抗原定性検査を合わせて約50万回分に係る経費等を計上している」と御答弁をされました。そのときはまだ感染が本当に少ない状況で収まっていたので、私が申し上げたのが、感染拡大時に無料検査実施のタイミングが遅くならないか、感染者が少ないうちに囲い込むのが大切、検査の実施もぜひ前倒しでというふうにお願いしたところです。その後、感染拡大の兆候を見て、年末からこの無料検査を動かし始めていただいたことには、感謝を申し上げたいと思います。

 そこで、危機管理監に伺います。

 県の年度内の50万回の検査予定に対して、これまでの実施件数はどうなっているでしょうか。

 また、検査結果はどのようになっていますか。

 さらに、新年度予算の中でも感染拡大時の検査が予定をされていますが、どれくらいの規模を予定されているでしょうか。

 加えて、この無料検査を知らない、どこでやっているか分からないという県民の方もまだまだいらっしゃいます。もっと県民への周知が必要ではないでしょうか。

 以上、答弁をお願いいたします。

○副議長(鈴木太雄君) 危機管理監細川一也君。

  〔細川一也君、登壇〕

○危機管理監(細川一也君) 一般検査事業は、感染が拡大傾向にある場合に、知事の判断により、感染リスクが高い環境にある等のため感染に不安を感じる無症状の県内在住者に対して、ワクチン接種者を含めて検査を受けることを要請するものであります。その検査費用は無料となっております。

 令和3年12月28日から開始した一般検査事業におけるPCR検査及び抗原定性検査の実施件数は、令和4年3月4日時点の集計では約2万6000回となっており、その検査結果で陽性であったのは約1.8%となっております。

 また、令和4年度におきましても、現在の第6波の感染拡大が終息した後、再度感染が拡大した場合に、一般検査事業として実施するPCR検査及び抗原定性検査、合わせて約38万回分の経費等に係る予算の審議を今議会でお願いしているところでございます。

 一般検査事業に関する県民への周知につきましては、これまでホームページ、テレビ、ラジオによる周知、新聞やフリーペーパーへの周知広告の掲載に加え、各世帯への周知チラシの配布などに取り組んできたところでございます。今後も、様々な手法により工夫をしながら、より県民への周知を実施してまいりたいと考えております。

○副議長(鈴木太雄君) 高田由一君。

  〔高田由一君、登壇〕

○高田由一君 答弁をいただきました。

 当初の予定の50万回に対して、年度内の分ですが2万6000回ということで、まだまだ余力があると思いますし、陽性を発見したのが1.8%ある。これは本当に陽性発見の率からしたら大きな成果を上げたんじゃないかというふうに思います。ぜひ、今、危機管理監も言われたように、宣伝、周知のほうもよろしくお願いしたいと思います。

 この問題の最後に、知事に伺います。

 感染状況はようやく頭を打ち始めておりますけれども、高齢者施設での感染拡大などで、これまでの波を大きく超えて死亡する方が増加しています。ここで、これまで以上に検査や積極的疫学調査を拡大し、早期の囲い込みを行うことが感染を早期に終息させ、亡くなる方を減らすことにつながるのではないかと考えています。今後の終息に向けた取組について、知事のお考えを聞かせてください。

○副議長(鈴木太雄君) 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) これまで和歌山県は患者の命を守るため全員入院を堅持してきていましたけれども、オミクロン株の感染力は強力で、感染の急拡大から、感染者が1月中旬で既に連日100名を超えたために、感染拡大を想定して確保していた病床も瞬く間に埋まるという事態になってしまいました。

 県としては、入院が一番安全に県民の命を守れるものですから、できれば全員入院でいきたいと思っておるんですけれども、次善の策として、入院に加えて宿泊療養や自宅療養をしてもらい、その間のお世話とウオッチを県医師会の協力も加えて万全にやっていき、病状の悪化が予想された場合は保健所で措置入院をしていただくという療養体制に今切り替えて、県民の命と健康を守ろうとしているところでございます。

 より詳しく申し上げますと、特に自宅療養については、病状の急激な悪化が命の危険につながることから、常にウオッチをしていく必要がございます。先ほど藤本議員から、しょっちゅう様子を聞いてくださったというお話があるんですが、保健所も実は新しい人も世話していかないといけないもんですから、既存の方に、いつも余裕があればそれは聞くにこしたことはないんですが、それをやっているとパンクしてしまうというところもございます。

 そこで、和歌山県医師会の協力の下に、一旦自宅療養ということになった方については、お医者さんを割り当てて、それで患者の容体をクリニックの医師に電話またはウェブで健康観察していただいて、病状悪化時には保健所に連絡していただいて、保健所の調整で病院に搬送するという体制に今しているわけでございます。

 さらに、高齢者施設等においてクラスターが多発したことから、初期対応の手引を作成いたしまして周知するとともに、感染管理認定看護師・医師の派遣を行いまして、施設における感染拡大の防止を図ってまいりました。

 さらに、かかりつけ医等が高齢者施設等を往診しまして、中和抗体療法を含む早期治療をすぐに行えるようにいたしまして、重症化防止を図る取組を実施しているところでございます。

 加えて、感染や重症化を予防するため、市町村の努力や医療機関の協力によりまして、全国と比較して速いスピードでワクチンの追加接種が現在進められているところであります。

 感染防止のためにあらゆる手段を講じた結果、現在、第6波の県内の感染状況は恐らくピークを過ぎて減少傾向にあるとは思いますが、これだけ頑張っているのに急激に感染者が減らないというのは本当に大変で、依然として、家庭、学校、職場などで感染が発生し、いわゆる下げ止まりというような状況かなあというふうに思っております。

 県としては、保健所による早期発見、早期隔離、徹底した行動履歴の調査など、御指摘の積極的疫学調査、すなわち保健医療行政の働きにより、総力戦で感染の早期終息に努めてまいる所存であります。

○副議長(鈴木太雄君) 高田由一君。

  〔高田由一君、登壇〕

○高田由一君 答弁をいただきました。

 本当に今、知事の答弁にもありましたが、なかなか下がらないという状況を心配しております。オミクロン株の特徴は、やはりその感染力の強さと、世代を繰り返す世代時間の短さだと言われています。軽症や無症状感染者の多さも特徴です。その無症状者を早期発見するには、やはり検査と積極的疫学調査が必要だと思います。

 国中で感染爆発しているときは、和歌山県で幾ら努力をしてもなかなか限界があると思うんですが、今、感染が、今日は大阪もやや少ないようですが、頭打ちになってきたこのときにこそ、ここに力を注げば、この波の下がり具合をきつくできるというふうに思い、県内の亡くなる方を大きく減らすことができると思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 そして、この項目の最後に、先ほど藤本議員も発言されました、日夜頑張っておられます職員や医療従事者の方々に感謝を申し上げて、次の質問に移りたいと思います。

 次の項目は、県立図書館の充実について伺います。

 最初に、資料費の問題と役割についてです。

 一般質問で県立図書館の問題を取り上げるのは2度目になります。2001年に取り上げたときは、図書を購入するための資料費にまで大変厳しいシーリングがかかって、以前の半分以下になっているときでした。

 お配りしている資料を御覧になっていただけたらと思います。

 今回は、この県立図書館の将来像について質問をしようとしていたのですが、そのために「図書館年鑑」という資料がございます。調べておりましたら、資料費の決算額で和歌山県が9216万円となっていて、人口120万人未満の県の中で、鳥取県の1億円超に次いで第2位にランクされているとなっていて、随分頑張って予算を獲得しているなあと感じて、改めて図書を購入するための資料費について聞いてみようと考えたわけです。

 ところが、先日、図書館に聞き合わせたところ、これは統計の集計をした日本図書館協会のミスのようで、本当はお配りしている資料にもあるように、近年は5000万円台で推移をしています。

 誤りは誤りとして日本図書館協会に訂正をお願いしたいのですが、問題はその後です。

 昨年、今年の予算のほうで見ますと、一番下のほうにありますが、明らかに資料費が減ってきています。また以前のようにどんどん減らすことにはならないのか、大変心配になりました。この資料費が減ってきていることについて、今後どのようにしようと考えておられるのか、教育長の答弁をお願いします。

 関連して、そのように資料費などの予算が心もとない中で、県内の図書館行政における県立図書館としての独自の役割について、きちんと果たせていけるのかどうかも心配をしております。県立図書館の役割について、どう捉えられているのかを併せて答弁をお願いしたいと思います。

○副議長(鈴木太雄君) 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 県立図書館では、様々な制約がある中、資料購入に当たっては徹底した精査や紀南図書館との資料の共有化等も図り、毎年約2万冊の新規購入を行うことで蔵書の充実に努めています。

 また、近年、市町村立図書館等の整備充実化が進んでいることから、資料整備の面で、利用者のニーズに応えた県立図書館と市町村立図書館のすみ分けも必要であり、県立図書館では、和歌山県に関する資料の収集、保存等、県の中核的な図書館としての役割や機能を重視しています。

 このような取組を通じて、県民の生涯学習や読書に対する要求に応えていきます。

 また、インターネットの普及に併せ、ホームページでの蔵書検索や貸出予約、調査相談の受付を行うとともに、県立図書館の資料を県内どこに住んでいる方にも閲覧してもらえるよう、利用者のサービス向上に取り組んでいます。

 今後も、一層広い視野に立った工夫を重ね、幅広い年齢層の読書や生活・仕事上の解決など様々なニーズに応えることができるよう、県立図書館の環境や機能の充実に努めてまいります。

○副議長(鈴木太雄君) 高田由一君。

  〔高田由一君、登壇〕

○高田由一君 教育長、もう少し踏み込んだ答弁をいただけると思ったんですが、資料は毎年約2万冊買っていますよと、市町村の図書館も整備されてきたんで、すみ分けもしていますよということなんですが、県の資料費が減ってきているという、このことについて今後どうしようと考えているんでしょうかという質問をしたつもりなんですけども、ここについて、もうちょっと明確に答弁をいただけないでしょうか。

○副議長(鈴木太雄君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 確かに若干減っている状況にはあるんですけれども、先ほども申しましたように、精査をしながら、それから市町村立のすみ分けというのもありますよね。そういったことで、資料の購入額自体は確かに減っても、それはそれで対応できているという、そういうことでございます。

○副議長(鈴木太雄君) 高田由一君。

  〔高田由一君、登壇〕

○高田由一君 金額の問題ではないという言葉が印象に残りましたけど、日本共産党として、図書館についての政策も発表しております。その中に、都道府県立図書館では市町村の図書館が所蔵していない資料の提供ができるように、少なくとも国内出版物のほとんどを購入収集できる規模の資料費増額が必要ではないかという、そういう政策も提言をしております。

 答弁にもございましたが、毎年約2万冊購入ということでございましたが、調べてみますと、年間の書籍や雑誌の出版点数は国内で合わせて約7万冊というふうに言われています。県内の図書館の中核ということであれば、私は、資料費の充実こそ今後求められているということを指摘して、ぜひ増額を要望しておきたいと思います。

 次に移ります。

 読書バリアフリー法への対応について伺います。

 2019年、視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律、略して読書バリアフリー法が成立、施行されました。この法律には、視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する基本理念が定められており、障害の有無にかかわらず全ての国民が等しく読書を通じて文字・活字文化の恵沢を享受することができる社会の実現に寄与することを目的としています。

 こうした基本理念に基づき、地方公共団体が視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する計画を策定することを努力義務としています。努力義務なので、必ず策定するものでないということは残念ですが、この法律を受けて、かなりの自治体で今この計画の策定が進められているようです。

 この視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する計画、これについて、今後、県としてどのように取り組んでいくおつもりでしょうか。教育長の答弁をお願いしたいと思います。

○副議長(鈴木太雄君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 読書バリアフリー法への対応につきましては、来年度、有識者及び社会福祉団体等関係者による検討会議を開催いたしまして、早期の計画策定に取り組んでまいりたいと考えています。

 また、県立図書館では、バリアフリーに配慮した施設の整備や、大活字本や録音図書の充実、対面朗読や郵送による貸出サービスなどを実施しています。

 今後も、障害のある方々が図書館を利用しやすくなるよう、取組を充実してまいります。

○副議長(鈴木太雄君) 高田由一君。

  〔高田由一君、登壇〕

○高田由一君 このことについては、ぜひ、今答弁にもありましたが、視覚障害者の当事者の皆さんともしっかり意見交換をしながら計画を進められるように要望をしておきたいと思います。

 次に、県立図書館の将来像について伺います。

 現在の県立図書館が建設されたのは1993年で、今年で29年になります。この間、すさまじい勢いでインターネットが普及し、デジタル化が進行しました。以前は、古い新聞などをマイクロフィルム化したりして長期保存をしておりましたが、現在では、そのマイクロフィルム自体の保存性が問題になっている状況です。

 国立国会図書館などでも蔵書のデータ化が進められており、著作権等の問題はありますが、この流れは進んでいくことと思います。

 また、過疎化、高齢化が進む紀南地方でも、コロナ禍を契機に、地方への移住やIターン就農など、新しい人の流れが起こりつつあります。このことは歓迎すべきことですが、新しく移住してこようという志を持った人たちにとってネックになるのが、私は、住みづらさよりも、高度な勉強や資料収集をする環境が整っていないことではないかと考えます。

 こうしたことから、私は、県内どこにいても県立図書館の情報を利用して、レファレンスなどそのサポートを受けながら、質の高い、仕事の成果にも結びつけられる環境をつくることは今後必要不可欠になってくるのではと考えております。

 そこで、知事に伺います。

 県立図書館の将来像をどのようにお考えでしょうか。答弁をお願いしたいと思います。

○副議長(鈴木太雄君) 知事。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 県立図書館は、教育長の答弁のように、本県において郷土の文化的価値を高める資料を積極的に収集、保管、公開して、図書館の目的である教養、調査研究、レクリエーション等の助けとなる資料を県民に提供するというのが大事なことだと思います。

 現在106万3000冊の資料を所蔵する県内最大の拠点でございます。特に和歌山県に関する資料は、可能な限り収集し保存をしています。また、紀州徳川家第16代当主・徳川頼貞が収集した楽譜、音楽書のコレクションである南葵音楽文庫の大部分も保管、公開して、紀州徳川家にゆかりのある西洋音楽資料の殿堂という文化拠点としても高い評価を受けております。

 その意味では、市町村が設けている図書館、あるいは書店なんかとはちょっと目的が違う気がいたします。しかし、私の経験したことなんですけど、ある方々は自分の読みたい本を買ってもらうのは当たり前だと。例えば、娯楽のために読んでおられるような本もどんどん買ってほしいし、十分買ってくれないので不満という人もいるわけであります。

 県立図書館は、今申し上げました使命に合ったような蔵書の充実とか文化の保全、これを考えていくべきであると第一に思うわけであります。ただ、とはいっても、あまり堅く考え過ぎますと、ちょっと不都合も出てくると思います。特に、例えば楽しみのために読むようなものを置いといてはいけないのかと。それもまたちょっと言い過ぎで、限られた予算の中で、本当に必要なものから買っていって、それで、その上で余裕があれば、そうとも言えないようなものも併せて蔵書に加えていったらいいんじゃないかというふうに考えております。

 和歌山県の読書文化の振興を図るために必要だと考える蔵書を今後とも一層充実をするとともに、御指摘もございましたようなITを活用したサービスやデジタル化した貴重資料のデータベースを公開することによりまして、利便性の向上も図っていきたいと思います。

 さらに、生涯学習の機会の充実を図るため、市町村立図書館が発展充実されてきておりますから、これと連携して、全ての県民がより身近に活用することができるような図書館の実現を目指していきたいと考えております。

○副議長(鈴木太雄君) 高田由一君。

  〔高田由一君、登壇〕

○高田由一君 答弁をいただきました。

 将来像という大きな問いだったわけですが、今、各地の図書館でいろんな工夫が始まっています。例えば、山形県の県立図書館などでは、幅広く一般向けに宅配サービスをしています。送料はもちろん自己負担なんですが、料金も安く設定されています。コロナ禍で移動しにくい状況や交通不便の問題のあるこの和歌山でも参考になる事例ではないかと思いました。

 また、図書館先進県と言われる鳥取県では、はーとふるサービスとして、障害者だけでなく高齢の方など、図書館利用に困難のある方へのサービスを充実させています。同時に、市町村の図書館や学校図書館などと連携をして、県立図書館の資料が県内どこの拠点や図書室にでも2日以内に届けられるという日本一の物流システムだと言われていますが、これを整備されています。県立図書館の専門的な資料が県内どこにいても素早く活用できる体制がございます。

 このように各地の図書館で独自のサービス提供が進められています。さらに資料のデジタル化の推進など、やるべき課題はたくさんあると思います。新政策にもあるように、「New Work×Life Style」を進めるなら、文化や知的環境の整備は欠かせないと思います。

 先ほど、知事から南葵音楽文庫の紹介がございました。この南葵文庫や今おっしゃった南葵音楽文庫の礎を築いた明治の紀州家の侯爵・徳川頼倫公は、日本図書館協会の初代総裁でもございました。その分野の偉大な先人に学ぶなら、この図書館行政においては和歌山県が全国の先導役をすることこそ求められているし、ふさわしい役割だと私は思います。図書館行政のさらなる発展のため、頑張っていただけるよう要望いたしまして、次の質問に移りたいと思います。

 最後に、自治体で働くケア労働者への賃上げについて伺います。

 新型コロナウイルス感染症の影響で、多くの働く人、中でもケア労働を担う労働者に大きなしわ寄せが行っています。日本経済が成長せず、新型コロナなどの危機に弱い根本には、賃金が上がらない日本の異常さがあります。1人当たりの実質賃金は、ピーク時の1997年と2020年を比べると64万円も減ってしまいました。中でもケア労働者は、例えば保育士でいうと、全産業労働者と比べて月額で9万円以上賃金は低いという統計が出ております。

 これについては、お配りしている保育士のこの資料を御覧ください。

 1990年代後半以降、人件費の削減を狙う大企業、財界の要求に応えて、歴代政権が労働法制の規制を緩和してきたことで、低賃金の非正規雇用が増え、賃金が押し下げられました。年収200万円未満のワーキングプア・働く貧困層は、約1200万人に上ります。国民の所得が増えず、格差と貧困が広がったことで、日本経済の弱体化が進みました。

 そのような中、昨年12月、岸田首相の所信表明演説がありました。経済対策として、国が率先して、看護、介護、保育、幼児教育などの分野において、給与の引上げを行っていくことを表明。介護、保育、幼児教育の現場で働く方については、この2月から3%、年間11万円程度給与を引き上げるとして、100%国の財源による処遇改善交付金が予算化をされました。

 これまでの経済対策や賃金政策、新自由主義政策の誤りを認めたからこそ、首相は未来社会を切り開く新しい資本主義を言われているのでないかと思います。

 今度のケア労働者への賃上げは1桁低いとも言われていますが、若干でも改善の方向を出されたことは一歩前進だと思います。

 ところが、この賃上げ政策が素直に喜べない事態になっています。介護や障害者施設については、これは多くの民間の事業所が担っておりますので、ほとんどの職場で処遇改善交付金を申請するとのことですが、保育士や幼稚園教諭、学童保育支援員などのうち、公立の職場では賃上げを実施する市町村が少ないと聞いております。公立の職場でも100%国の交付金がもらえるのに、なぜ申請しないのか、甚だ疑問であります。

 そこで、福祉保健部長に伺います。

 市町村の保育士の処遇改善に向け、県としてどのように対応をしてこられたのでしょうか。その結果、市町村からどれだけの処遇改善交付金の申請が上がってきているでしょうか。答弁をお願いしたいと思います。

○副議長(鈴木太雄君) 福祉保健部長。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 市町村の保育所における保育士の処遇改善について、県の対応と市町村の申請状況についてお答えします。

 県としましては、市町村に対し、今回の保育士等の処遇改善は閣議決定された経済対策を受けて実施するものであり、公立保育所における保育士等の賃金改善について積極的な実施の検討を依頼する旨の内閣府、厚生労働省通知を周知することにより、保育士等の処遇改善の検討を促しました。

 また、会計年度任用職員については、職務の内容や責任などを考慮した報酬額の見直しや、地域の民間給与水準を踏まえた上で、一般行政職と同じ給料表を用いつつ、給料の調整額等の支給も想定される旨の内閣府、厚生労働省経由の総務省通知も送付したところです。

 その結果、公立保育所で働く保育士等の処遇改善のため、12市町から国庫補助金の申請の提出がありました。

○副議長(鈴木太雄君) 高田由一君。

  〔高田由一君、登壇〕

○高田由一君 答弁をいただきました。

 12市町から申請があったということです。ただ、これは私たちの調べたところなんですが、申請のあった12の市町でも、ほとんどが会計年度任用職員のみを対象にしていて、正規職員の賃上げは予定されていないというふうにも伺っています。

 もしこの交付金を申請しなければどうなるでしょうか。

 再度、このカラーのお配りしている資料を御覧いただきたいんですが、今年の人事院勧告では、公務員賃金が21年度に比べて0.9%、一番右端の棒グラフですが、引き下げられることになっています。公立の保育士の賃金も引き下げられるようです。今度の国の交付金である処遇改善事業では約3%、9000円の賃上げを保証するため、この0.9%の人勧で下がる分、減額分についても穴埋め分として措置することになっています。右から2番目の棒グラフの黄色い部分です。逆に言えば、この国の交付金を申請しないと、給与は減額となります。

 市町村の中には、まず公務員保育士から賃上げはしにくいという声もありましたが、政府の閣議決定にもあるように、「民間部門における春闘に向けた賃上げの議論に先んじて」、この賃上げを実施するということですから、何も遠慮することはないと思います。

 また、閣議決定では、「新型コロナウイルス感染症への対応と少子高齢化への対応が重なる最前線において働く方々の収入の引上げ」を言っています。民間も公立も関係ありません。実際、保育士などのケア労働者は、ふだんの生活の中でもなるべく外出を控える、帰省してきた家族との食事なども控えるなど、子供たちに絶対に感染を持ち込んではならないと神経をすり減らしながら頑張っておられます。この頑張りに応えようというのが今回の賃上げではないでしょうか。

 現状では、公立保育園における処遇改善交付金の申請と正規職員への適用が少ない状況です。事業の実施主体は市町村ですから、県から「ああしろ、こうしろ」と、こう言うわけにはまいりませんが、市町村の中には、申請の期限と言われた2月21日を過ぎたからもう諦めたというところもあると聞きます。しかし、せっかくの賃上げのチャンスです。本当の政府への期限は3月末というふうに伺っています。あと少しの期間ですが、いま一度交付金の手続について市町村にも周知をしていただけるよう要望をして、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○副議長(鈴木太雄君) 以上で、高田由一君の質問が終了いたしました。

 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。

 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。

 本日は、これをもって散会いたします。

  午後2時42分散会

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