令和3年12月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(全文)


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令和3年12月 和歌山県議会定例会会議録 第6号

議事日程 第6号

 令和3年12月13日(月曜日)

 午前10時開議

 第1 議案第141号及び議案第148号から議案第180号まで(質疑)

 第2 一般質問

 第3 議案の付託

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会議に付した事件

 第1 議案第141号及び議案第148号から議案第180号まで(質疑)

 第2 一般質問

 第3 議案の付託

 第4 休会決定の件

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出席議員(42人)

 1番 鈴木德久

 2番 山家敏宏

 3番 中本浩精

 4番 堀 龍雄

 5番 藤山将材

 6番 岸本 健

 7番 井出益弘

 8番 宇治田栄蔵

 9番 北山慎一

 10番 玄素彰人

 11番 中西峰雄

 12番 秋月史成

 13番 森 礼子

 14番 濱口太史

 15番 尾崎要二

 16番 冨安民浩

 17番 川畑哲哉

 18番 玉木久登

 19番 鈴木太雄

 20番 岩田弘彦

 21番 吉井和視

 22番 谷 洋一

 23番 佐藤武治

 24番 岩井弘次

 25番 中 拓哉

 26番 多田純一

 27番 新島 雄

 28番 山下直也

 29番 中西 徹

 30番 谷口和樹

 31番 藤本眞利子

 32番 浦口高典

 33番 山田正彦

 34番 坂本 登

 35番 林 隆一

 36番 楠本文郎

 37番 高田由一

 38番 杉山俊雄

 39番 片桐章浩

 40番 奥村規子

 41番 尾﨑太郎

 42番 長坂隆司

欠席議員(なし)

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説明のため出席した者

 知事         仁坂吉伸

 副知事        下 宏

 理事         田嶋久嗣

 知事室長       赤坂武彦

 危機管理監      細川一也

 総務部長       吉村 顕

 企画部長       横山達伸

 環境生活部長     生駒 享

 福祉保健部長     志場紀之

 商工観光労働部長   寺本雅哉

 農林水産部長     岩本和也

 県土整備部長     安部勝也

 会計管理者      真田 昭

 教育長        宮﨑 泉

 公安委員会委員    中野幸生

 警察本部長      遠藤 剛

 人事委員会委員長   平田健正

 代表監査委員     森田康友

 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫

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職務のため出席した事務局職員

 事務局長       出津野孝昭

 次長         中井 寛

 議事課長       山田修平

 議事課副課長     岩井紀生

 議事課課長補佐兼議事班長

            岩﨑 亮

 議事課主任      伊賀顕正

 議事課主査      菅野清久

 議事課主事      松本 悠

 総務課長       須田剛司

 政策調査課長     神川充夫

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  午前10時0分開議

○議長(森 礼子君) これより本日の会議を開きます。

 日程第1、議案第141号及び議案第148号から議案第180号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、併せて日程第2、一般質問を行います。

 23番佐藤武治君。

  〔佐藤武治君、登壇〕(拍手)

○佐藤武治君 皆さん、おはようございます。

 一般質問も最終日となりました。早いもので、今年も本日を入れて残すところ19日ということになりました。特に最近は1年が早く感じるように思います。

 自分が子供の頃、年配の方がよく「年を取ると1年が早く感じるなあ」というようなことをよく聞きました。さすがに小学生の会話の中では、この時期になっても「おい、もう1年、早う過ぎたなあ」と、こういうことはほとんど聞かないように思うんですけれども、いわゆる年配の方がよく言う1年が早く過ぎるというこの現象というんですか、これを心理学的に説明した人がおられます。御存じの方も多いと思うんですけれども、フランスの哲学者、ポール・ジャネが考案したジャネーの法則であります。

 この法則は、ジャネが発案し、おいの心理学者、ピエール・ジャネという方の著書において紹介された法則であります。主観的に記憶される年月の長さは、年少者にはより長く、年長者には短く感じられるという現象を心理学的に説明したものだそうであります。

 例えば、50歳の人間にとって1年の長さは50分の1ほどでありますけれども、5歳の人間にとっては5分の1に相当をします。つまり、50歳の人間にとっての10年間は5歳の人にとっての1年間に当たり、5歳の人にとっての1日は50歳の人にとっての10日に当たるということになります。

 ジャネーの法則は、生涯のある時期における時間の心理的長さは年齢の逆数に比例するのだそうです。生きてきた年数によって1年の相対的な長さがどんどん小さくなることによって、時間が早く感じるということらしいであります。

 人は、経験したことがないことをやっているときは、それが強く意識に残り、時間が長く感じます。反対に慣れてしまうと、時間の長さが気にならなくなり、あっという間に時が過ぎたように感じるらしい、このことを言うらしいです。自分もあんまりよく分からんのですけれども。

 それでは、議長のお許しをいただいておりますので、通告に従い、一般質問を行います。

 まず、11月10日から12日にかけて、所属する建設委員会の県内外調査について簡単に報告をさせていただき、それに関連する質問を行いたいと思います。

 調査には、吉井委員長、秋月副委員長、宇治田委員、冨安委員、片桐委員、中西徹委員、私の7名が参加をし、県土整備部長、河川・下水道局長らに御同行をいただきました。

 初日は、和歌山市朝日の和田川改修事業、海南市別所の県道海南金屋線改良事業の現地調査を行った後、福井に移動。

 2日目は、午前中、福井県議会議事堂にて、福井県農林水産部の担当者から、福井県の森林・林業の現状について、県産材利用に関する制度や活用状況について、森を活かすプロジェクトでは木材供給量の増加につなげる施策を、木を活かすプロジェクトでは需要量の増加につながる施策等について説明をいただきました。施策や事業の予算化の前段階で木材利用ができないかを先に検討するのが福井県方式とのことで、非常に感心をいたしました。

 続いて、県産材を活用した河川工事について事前説明を受けた後、午後からは現地調査に向かい、間伐材による木工沈床工事の現場と、県産材を活用した公共建築物、福井県立一乗谷朝倉氏遺跡博物館を調査しました。

 3日目には、若狭町小川の堀川1号砂防堰堤の現地を調査いたしました。堀川1号砂防堰堤のある堀川地区では、平成11年8月の豪雨により土砂が流入し、人家等への被害が発生、また流域の荒廃が著しく、今後の豪雨で下流域に存在する人家等に被害が発生する危険性が高い箇所であることから、砂防堰堤を整備し、下流域の民生の安定を図るために工事着工したとのことでありました。

 福井県では、砂防堰堤の上流側に間伐材を用いた残存型枠を使用することとしていますが、この箇所は、名勝・三方五湖の区域内のため、堰堤下流側にも間伐材の残存型枠を使用し、景観にも配慮をしているとのことでありました。

 福井県の県産材利用促進の取組で私の印象に特に残ったものは、公共土木工事における資材的な部分にも木材の利用を積極的に進めておられるなあと、こういうふうに感じたところであります。

 建築物であれば、「ああ、これは木造やなあ。ここにも木材を使っているなあ」と目につきやすいこともあり、本県の施設においても「紀州材がよく使われているなあ」と感じるところです。土木工事においては、砂防堰堤などのように、もともと人目につきにくい場所に施設があることや、資材的な使い方をしていても、工事が完成した後では、どこに木材が使われているのか分からないということもあり、なかなか実感として木材利用がされているのか分かりにくい面があるのだと思います。

 本県では、今後、木材の利用をより一層推進し、その成果を確実なものとしていくため、農林水産部及び県土整備部が所管する公共土木工事において、特に木材の利用が相当量見込めるものや木材の使用割合が高いもの、または他の工種・工法への波及が期待できるものについて、木材の利用目標を記載した木材利用推進指針が定められておるところです。

 県産材、紀州材の利用を量的な面から拡大するためには、公共土木工事における資材的な利用が貢献度も高いのではないかと考えます。

 そこで、お伺いをいたします。

 本県の土木工事において、木材は現状どのような使い方をしているのか。また、素人考えでありますけれども、鋼材やコンクリート製品など従来の工事用資材と比べると、強度や耐久性、コスト面での課題もまたあろうかと思います。脱炭素やその他、山林の持つ多面的機能の保持に寄与するものという大きな観点からすれば、コスト面の課題は特に問題がないものと考えます。

 土木工事で木材を利用するに当たっての課題にはどのようなものがあるのか。また、公共土木工事における木材利用推進指針では、「木材の利用を重点的に推進する工種・工法」、「新工種、新工法について、積極的に試験施工等に取り組むものとする」とされておりますけれども、今後の本県の土木工事における木材利用の方向性について、視察にも御同行いただきました県土整備部長にお伺いをいたします。

○議長(森 礼子君) ただいまの佐藤武治君の質問に対する答弁を求めます。

 県土整備部長安部勝也君。

  〔安部勝也君、登壇〕

○県土整備部長(安部勝也君) 公共土木工事における紀州材の使い方については、「公共土木工事木材利用マニュアル」を踏まえ、主に、木製ガードレールや道路のり面ののり裾を覆う丸太伏工、河川護岸の根固め工における木製沈床工、堰堤における木製残存型枠、まく板型枠などにおいて利用しています。

 利用に当たっての課題については、価格、強度、耐久性の観点から、木材を利用しない場合に比べて利用範囲が限られてしまう点です。例えば、河川内で利用する場合には、強度の観点から、流速の速い箇所や転石の多い箇所では利用が困難なこと、耐久性の観点からは、水位の変化により、ぬれたり乾いたりする箇所では腐食による部材の劣化のおそれがあり、同じく利用が困難なことです。

 今後の土木工事における木材利用の方向性については、木材の利用に係る様々な課題を解決するために、県発注工事における優遇措置等を通じて県内企業に対し技術開発を促します。

 また、福井での調査結果も踏まえ、量的な面から、木製ガードレール等既存の木材利用における使用量をさらに増やすために、現場において導入しやすくなるよう、設計段階における各種マニュアル等を早期に整備するとともに、河川や砂防等の現場に利用範囲を拡大できるように調査研究を進めていく所存です。

○議長(森 礼子君) 佐藤武治君。

  〔佐藤武治君、登壇〕

○佐藤武治君 答弁ありがとうございます。

 福井県では、県産材の利活用、これを推進するため、専門の担当課室を設置しているところです。

 本県でも、副知事をトップに、知事部局の各部長、各振興局長、教育長、警察本部警務部長から組織する木の国プロジェクト推進会議、これが創設されております。体制は整っていると思いますので、ひとつ今言われたような部分をしっかりとやってくれればと思います。

 福井県で実施している予算化の前に木材利用を検討するということも、できれば本県でも取り入れていただくということなどもひとつお願いします。

 引き続き、公共土木工事における県産材の利用範囲の拡大を研究されるとともに、さらなる利用推進を要望しておきますので、よろしくお願いいたします。

 次の質問に移ります。

 11月1日から30日までの間は同和運動推進月間、児童虐待防止推進月間、11月11日から12月10日までは人権を考える強調月間、11月12日から25日は「女性に対する暴力をなくす運動」期間、11月25日は女性に対する暴力撤廃の国際デー、それから11月25日から12月1日は犯罪被害者週間、12月3日から9日は障害者週間、12月4日から10日は人権週間、12月10日は世界人権デーと、11月から12月にかけては人権課題に係る啓発や運動等の強化期間が重なり、県内各地で様々な人権課題に関する催物などが開催をされました。

 また、「県民の友」11月号においても、「障害のある人が活躍できる社会」の特集記事、人権に関わる相談窓口、講演会や研修会の紹介記事、同和問題、子供、女性、犯罪被害者等に関する啓発記事が掲載されており、人権や人権課題について私も改めて考える機会を得たところです。

 人権課題について思い返したとき、私には強烈な印象を持って記憶していることがあります。

 私が県議会議員に初当選させていただいたのは平成31年4月、平成から令和へと改元される時期でありました。5月に臨時議会が開催されましたが、私にとって初めての県議会定例会、令和元年6月定例会の一般質問の最終、吉井議員による部落差別解消についての質問であります。

 詳細については会議録が県議会のホームページにも掲載されていますので、そちらを御覧いただきたいのですが、吉井議員は質問の中で、平成27年9月に本県議会において採択された「企業・団体等による部落差別撤廃のための法律」の早期制定を求める意見書が契機となって、その後の東京での人権課題解決に向けた和歌山県集会人権フォーラムの開催を経て、部落差別の解消の推進に関する法律(部落差別解消推進法)、この制定につながった、その内情などを説明いただいています。

 そのとき私は、このとても大きな県とは言えない和歌山県のその県議会で採択された意見書がきっかけとなって、部落差別という大きな人権課題の解消を目指す法律の制定につながった、つながるんだと、法律制定に尽力した吉井議員をはじめ先輩議員に対する尊敬の念を覚えるとともに、それら先輩議員と席を並べることの緊張感と同時に、和歌山県議会ってすごいとこやなあ、自分ももっとこれはしっかりせないかんというふうな決意を新たにしたことを覚えております。

 また、先ほど申しましたが、私にとって県議会議員として初めての議会は令和元年5月臨時会であります。そこでは、北朝鮮による拉致被害者全員の即時帰国を求める意見書が可決をされました。

 我が国が抱える人権課題は、我が国固有の人権課題と言える部落差別、いわゆる同和問題、そして女性、子供、高齢者、障害のある人、外国人等々、少なくはありません。全ての国民に基本的人権の享有を保障する日本国憲法の下であって、現在においても社会的身分、門地、人種、民族、信条、性別、障害等による不当な差別や人権侵害、生命や身体の安全に関わる事象が存在することは、残念ながら紛れもない事実であります。

 北朝鮮当局による日本人拉致問題も、我が国が抱える重要な人権課題であることは言うまでもありません。本来保障されるべき自由で平和な生活を奪い、被害者の方々とその家族の基本的人権を踏みにじる重大明白な人権侵害であると同時に、我が国の国家主権に関わる問題であります。

 10月18日、岸田首相は、首相官邸で北朝鮮による拉致被害者家族らと首相就任後初めて面会をしました。その際に、「私の内閣でも拉致問題は最重要課題。私自身が先頭に立って取り組んでいかなければならない」と語っておりました。

 北朝鮮当局による日本人拉致問題につきましては、和歌山県議会自由民主党県議団拉致問題解決促進議員連盟の会長である山下議員が平成29年9月定例会において質問されているところでありますけれども、改めて拉致問題についての知事の御所見をお伺いいたします。

○議長(森 礼子君) 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 北朝鮮による日本人拉致問題は、国民の生命と安全に関わる重大な事件であり、これは誠にひどい人権問題であるというふうに考えます。

 今年は、横田めぐみさんらが拉致されてから44年、北朝鮮が拉致を認めてから19年となります。発生から長い年月がたつ中、拉致被害者の御家族のお気持ちを考えると、深い悲しみと怒りを感じます。拉致被害者やその御家族も御高齢になっており、問題の解決には一刻の猶予も許されないと思います。

 北朝鮮は、2002年の第1回日朝首脳会談においてようやく拉致を認めたんですが、1970年以降、多くの日本人が不自然な形で行方不明となり、北朝鮮による拉致の疑いが濃厚であったにもかかわらず、当時の高名な政治家や識者の中に、拉致そのものを否定したり、北朝鮮との国と国との親善に障害をなすと言って、マスコミもそれに同調したりして、その真相究明や警察の捜査を抑圧するような風潮があったことは大変残念であります。そういう主張をした人や論陣を張ったマスコミがざんげをしたり謝罪をしたりする事例を私は知りません。これは、日本現代史上の汚点であると思います。我々日本人は、大いに反省すべきであると思います。

 この拉致問題において大事なことは、当たり前の人権、当たり前の人道、当たり前の正義を常に堂々と語ることだと考えます。どんな目的であろうと、人を拉致して自由を奪うことは言語道断であって、ましてや日本人が被害に遭っているというのは、同じ日本人として決して許すことができないことであります。

 我々としては、可能な限りあらゆる手段を使い、拉致被害者を一刻も早く取り返さなければならないと強く感じております。

○議長(森 礼子君) 佐藤武治君。

  〔佐藤武治君、登壇〕

○佐藤武治君 どうも御答弁ありがとうございます。

 今、知事の力強い所見を聞きました。同じような決意を持って政府関係者にも取り組んでほしいなあという思いがあります。

 平成18年6月に制定された拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律では、地方公共団体の責務として、拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題に関する国民世論の啓発を図るよう努めるものとし、また、12月10日から16日までを北朝鮮人権侵害問題啓発週間と定め、国民の間に広く拉致問題等についての関心と認識を深めるという、この週間の趣旨にふさわしい事業を実施するよう努めるものとしております。

 拉致問題等の解決には国際社会の理解と支持が不可欠であり、国民全員が一日も早く被害者を取り戻すという強い意志を持っていることを発信し続けることが北朝鮮当局や国際社会への強力なアピールになります。そのためには、何よりこの問題を風化させてはなりません。県民の皆さんにも関心を持っていただき、深めていただかなければなりません。

 我々自由民主党県議団では、12月の5日、JR和歌山駅頭において、啓発活動、署名活動を行ったところであります。ただ、非常に残念に思ったのが、署名をいただける方は年配の方が多く、若い方は関心がないのか、署名までいただける方はほとんどいないように感じました。日本人拉致問題のことを本当に知っているのかなあというふうな疑問を抱いたところであります。

 県当局におかれましても、より一層の普及啓発に取り組まれるようお願いをいたします。

 質問を続けます。

 国においては、人権教育・人権啓発に関する施策の推進に関し、国、地方公共団体及び国民の責務を明らかにし、必要な措置を定めることを目的として、平成12年12月に、人権教育及び人権啓発の推進に関する法律、いわゆる人権教育・啓発推進法が施行され、これに基づき、人権教育・人権啓発に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、平成14年には人権教育・啓発に関する基本計画が策定をされ、同和問題をはじめ我が国が抱える各人権課題をテーマ項目に設定し、各府省の取組方針が示されています。

 この基本計画に、平成23年4月、「北朝鮮当局による拉致問題等」が人権課題のテーマ項目に追加をされ、文部科学省の取組として、「学校教育においては、児童生徒の発達段階等に応じて、拉致問題等に対する理解を深めるための取組を推進する」としております。

 先月22日、大阪市教育委員会が北朝鮮による拉致問題の啓発教育を推進することを決め、市立高校を含む各校に通知したとの新聞報道がありました。各校への通知では、北朝鮮による日本人拉致問題啓発アニメ「めぐみ」の視聴や啓発ポスターの掲示、拉致問題に対する正しい理解が進む教育の推進を求めているということであります。

 このアニメ「めぐみ」は、昭和52年、当時中学1年生だった横田めぐみさんが学校からの帰宅途中に北朝鮮当局により拉致された事件を題材に、残された家族の苦悩や懸命な救出活動の模様を描いた25分間のドキュメンタリーアニメで、全国の小・中・高校、特別支援学校、高等専門学校へも約4万枚配布されたとのことであります。また短縮版もあり、発達段階に応じて子供たちにとっても視聴しやすいものとなっているとのことであります。

 私は、12月5日の啓発活動の後に、JAビルで開催された「めぐみへの誓い」という上映会に参加をし、視聴してまいりました。

 拉致された当時、横田めぐみさんは中学1年生、13歳でありました。同年代である中学生や高校生、多くの県民の皆さんにぜひ御覧をいただき、拉致問題に対する関心、認識を深めていただきたいと思いました。また、アニメ「めぐみ」であれば、中学生や高校生にとってより理解しやすく、自分のこととして考えていただきやすいのではないかとも思いました。

 11月18日に開催された関西広域連合議会における大阪府議会議員・西野修平氏の「アニメ『めぐみ』を活用した北朝鮮による日本人拉致問題の啓発について、大阪府議会で採択された『北朝鮮による拉致問題の啓発活動を推進する決議』では、アニメ『めぐみ』の上映や、政府主催の北朝鮮人権侵害問題啓発週間作文コンクールへの参加など、若年層向けの啓発活動推進に積極的に関与するとしていますが、関西広域連合構成府県市においても同様の取組を進めるよう連合長からの働きかけを」との質問に対し、連合長である仁坂知事は「みんなで見てもらうのが理想であります。和歌山県でもそうしたいと思っている」と、積極的な発言をされたと伺っております。

 学校における人権教育の実践の場面においてアニメ「めぐみ」を積極的に活用することについては、平成23年5月27日付で、内閣官房拉致問題対策本部事務局政策調整室長から各都道府県等教育委員会人権教育担当課長宛てに、文部科学省初等中等教育局児童生徒課長から各都道府県教育委員会指導事務主管課長及び各都道府県知事部局私立学校主管課長宛てに、それぞれ依頼も行われておるところであります。

 拉致問題を風化させないためにも、子供たちが拉致問題を深く認識し、拉致問題を人権問題として捉え、その解決に向けて取り組もうとする意識を高めることが大切だと考えます。

 本県教育委員会においては、学校教育における人権教育・啓発について、同和問題をはじめ様々な人権課題を取り上げ、児童生徒の発達段階に応じた配慮をしつつ、また保護者向けにも取り組まれていると聞いておりますが、人権課題としての拉致問題に対する取組とアニメ「めぐみ」の活用について、教育長にお伺いをいたします。

○議長(森 礼子君) 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 県教育委員会では、和歌山県議会で決議された意見書がきっかけとなり制定された部落差別の解消の推進に関する法律に関するパンフレットを作成するなど、同和問題をはじめとする様々な人権問題の解決に向けて教育・啓発に取り組んでいるところです。

 北朝鮮による日本人拉致問題については、国民に対する人権侵害であり、我が国の主権や国民の生命と安全に関わる重大な問題です。

 子供たちは、社会科の授業などで、拉致問題の解決に向けて様々な人々の努力が重ねられていることなどについて学んでいます。

 一方では、拉致問題はいまだに解決せず、拉致被害者とその家族も御高齢となっています。拉致問題を風化させないためにも、これまで以上に国民が心を一つにして問題の解決を求める取組が必要であり、人権教育の中でもしっかりと取り組むことが大切であると考えています。

 県教育委員会では、これまでも全ての学校にアニメ「めぐみ」等の視聴覚教材を活用するよう呼びかけたり、人権教育研修会において、アニメ「めぐみ」の上映や人権教育担当者が国の実地研修で得た知見を報告するなど、教育・啓発に努めてまいりました。

 これまでの取組に加え、県立学校と市町村教育委員会に対して、拉致問題に関する教育・啓発を一層充実するよう強く働きかけるとともに、拉致被害者とその家族の心の痛みや解決に向けた強い思いを学び、拉致問題について深く考えることができるよう、全ての学校がアニメ「めぐみ」を視聴するようにしてまいります。

○議長(森 礼子君) 佐藤武治君。

  〔佐藤武治君、登壇〕

○佐藤武治君 御答弁ありがとうございます。

 今、県の教育委員会で様々な取組もしていただいているようでありますので、ひとつ今後もよろしくお願いしたいと思うんですけども、学校教育の中で取り上げなければならない人権課題は数多くあります。どれ一つとしておろそかにすることはできません。

 先ほども申し上げましたけれども、横田めぐみさんが北朝鮮当局により拉致されたのは中学1年生のときでありました。同年代である中学生、高校生たちにつきましては、それぞれの学校に在学する3年間のうちに1度はアニメ「めぐみ」を視聴するよう取り組んでいただきたい。今、答弁の中にもありましたけども、していきますということでありますので、ぜひこれはやっていただきたいと思います。

 この私の質問項目を終える前に、2点ばかり要望をしておきたいと思います。

 一つは、今もありましたこのアニメ「めぐみ」の視聴を職員の人権研修の場面においても活用をいただきたいこと。知事部局、県教育委員会、県警察本部においても御検討をお願いしておきます。

 二つ目は、本県では、人権施策を総合的かつ効果的に推進するための指針として、平成16年に和歌山県人権施策基本方針が策定をされて、平成22年、平成27年、令和2年に改定が行われております。最新版は令和2年3月に改定をされたものでありますけれども、その第3章、分野別施策の推進に、「昨今の人権に関わる重要課題を分野別施策として取り上げ、その課題解決のための施策の基本的方向を示しています」とし、重要課題の分野として17の分野が個別に挙げられております。

 そこには、国の人権教育・啓発に関する基本計画や法務省人権擁護局が刊行している冊子「人権の擁護」には示されていない「環境と人権」や「災害と人権」、「自殺」、「ひきこもり」、「働く人の人権」が重要課題として項目立てされている一方、国の基本計画や人権擁護局が人権課題として項目立てしている「アイヌの人々」、「北朝鮮当局による拉致問題等」については、「その他の人権課題」という項目の中で名称のみの記載にとどまり、取組についての記述はありません。

 社会情勢や人々の人権意識などの変化に伴って、人権課題も新たに生じます。新型コロナウイルス感染症に関連して、感染された方や医療従事者等への偏見や差別などの人権問題が発生したことは記憶に新しいところであります。

 しかしながら、アイヌの人々や北朝鮮当局による拉致問題等については、少なくとも10年以上前から国の基本計画に人権課題として明記されているものであります。和歌山県人権施策基本方針においても、きちんとテーマ項目立てをして、それぞれの課題に対する本県の施策の基本的方向を示すべきと考えます。早急な検討をお願いしておきます。

 今回は、2項目について質問をいたしました。

 紀州材を活用する取組や需要拡大を図る取組は、木材協同組合や森林組合、民間事業者など、県内各地でも行われております。和歌山県は、関西の中で先進的に木製ガードレールの設置に取り組んでいます。将来にわたって続けていく必要があると思いますので、市町村や団体等とも連携をし、新しい分野も含め、幅広い取組をお願いいたします。

 人権課題や拉致問題については、より多くの県民への周知、啓発活動をしていただきたい。今以上の積極的な取組強化を強く要望して、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(森 礼子君) 以上で、佐藤武治君の質問が終了いたしました。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 36番楠本文郎君。

  〔楠本文郎君、登壇〕(拍手)

○楠本文郎君 議長の許可を得ましたので、一般質問に参加させていただきます。

 前口上全く抜きで、今回は三つの項目です。

 まず、大きな項目の1点目に、障害のある子供たちが学ぶ特別支援学校について御質問申し上げていきます。

 これまで、小学校、中学校、高校、大学、幼稚園にはある設置基準が特別支援学校にはありませんでした。その下で、全国的には異常とも言える劣悪な教育環境が常態化してきていたんです。

 こうした現状からの改善をと、父母、保護者、教職員、関係団体、教育研究者、議員など広範な方々は、10年余にわたる粘り強い運動を続けられてきましたが、関係者にとってのビッグニュースとして、9月24日、特別支援学校設置基準が制定されるに至ったわけでございます。

 令和3年文部科学省令第45号として、2021年9月24日に公布され、総則及び学科に係る規定は2022年4月1日から、編制並びに施設及び設備に係る規定は2023年4月1日から施行されることが文部科学省から通知されました。この設置基準の公布は、在籍者数の増加により慢性的な教室不足が続いている特別支援学校の教育環境を改善するという観点から、学校教育法第3条に基づき制定するものだと示されています。

 さて、和歌山県はどうでしょうか。この間の特別支援学校の増設にもかかわらず、きのかわ支援学校178人、紀伊コスモス支援学校229人、和歌山さくら支援学校211人と、大規模校化しています。紀北支援学校は、平成10年に54人であった小学部は、22年後の今、2倍の117人になり、中学部、高等部合わせて273人という大規模過密の学校になっています。

 小学部が増えるごとに、教室が足らなくなる、特別教室を普通教室に転用せざるを得ない状況となり、既に「もうこれ以上潰す教室ないよお」と悲鳴が上がっています。こうした現状を改善してほしいから、全国的にも10年余の運動があったわけです。

 そこで、和歌山県教育委員会として、障害を持つ子供たちの学びの保障の前提となる設置基準が制定されることをどう受け止められておられるでしょうか。まず教育長からお答えをいただきたいと思います。

○議長(森 礼子君) ただいまの楠本文郎君の質問に対する答弁を求めます。

 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 従来、和歌山県においては、決して異常とも言える劣悪な教育環境などではなくて、特別支援教育を必要とする児童生徒に対して、障害の程度や特性に応じた環境整備を行ってまいりました。児童生徒の増加に対して適切に対応してきたところでございます。

 今回制定された特別支援学校設置基準においては、特別支援学校を設置するための基準が設定されるとともに、地域の実態に応じた適切な対応が可能となるよう弾力的かつ大綱的な規定が示されております。

 設置基準では、校舎や運動場の総面積、校舎に備えるべき施設として、教室、自立教室、図書室及び保健室などを設けるとともに、校舎等を新築または改築する場合には、設置基準に定める面積基準を上回る必要があることなどが規定されております。

 設置基準の策定は本県においても望むところであり、今後、さらに特別支援学校の環境整備を充実させ、児童生徒の学びをより一層安心・安全で豊かにできるものと期待しています。

 今後も、特別支援学校の教育環境の充実に、これまで以上に努めてまいる所存でございます。

○議長(森 礼子君) 楠本文郎君。

  〔楠本文郎君、登壇〕

○楠本文郎君 基本的な答弁をいただきました。ありがとうございます。

 「学びの保障」というのがキーワードやと思っているんです。校舎、運動場の総面積、校舎内の施設として、教室、自立活動室、図書室、保健室なども設ける等々もこの規定の中にあるということをお示しいただいたと思います。指針という表現が意味深に聞こえるんですね、私には。

 それで、現状把握についても即の質問に入りたいと思います。

 県教育委員会が出されているホームページに、特別支援学校在籍者数の推移というのがあります。それを見ますと、平成14年から令和3年、西暦で言うと2002年から2021年の20年間、20年間を比較してみると1.53倍になります。全国でも20年間で1.6倍と言われていますから、全国と同じような傾向が和歌山県内にもあり急増です。

 ちなみに、県下の特別支援学級では、同じ20年間で小中合わせて──ごめんなさい、大事なポイント──県下の特別支援の学級、地域の小学校、中学校に併設されている学級では、同じ20年間で小中合わせて3.29倍と、より一層の急増になっています。学級数は1.8倍、学校の数は1.1倍しか増加していませんから、児童生徒数の増加に施設の改善が追いついていないという問題が生じてはいないのかと危惧しているところでございます。

 今日の質問はそこではなく、学級ではなく、なぜ子供の数は全体として少子化なのに、特別支援教育を必要とする子供が増加しているのは何でやろう。その要因をどう考えておられるんかという点が一つ。

 二つ目は、その中で和歌山県立の学びの保障としての特別支援学校の教育施設環境の現状は、この設置基準に照らしてどうなっているのか。

 児童生徒数の増加に伴う一時的な対応状況を整理すれば、改善の課題はすぐ明らかになるかと思っています。教育長から現状把握について御報告をいただきたいと思います。

○議長(森 礼子君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 近年、特別支援教育を必要とする子供が増加していることについての要因としましては、医療の進歩や特別支援教育への理解が進んでいるとともに、本県の特別支援学校における個々の教育的ニーズに応じた学習や進路指導などの丁寧な取組が県民、保護者の方々に認められてきたことも大きな要因であると考えております。

 その結果として、和歌山県においても、特別支援学級や特別支援学校で学んでいる児童生徒が増加しているところもあります。そのことによって、設置基準で定める面積基準を満たさなくなることも懸念されます。

 県教育委員会としましては、これまで平成24年度に和歌山市に和歌山さくら支援学校を開校しております。その他の学校においては、令和2年度に紀伊コスモス支援学校で校舎を増築しました。現在、児童生徒の人数に合わせて教室を間仕切ることや、一部の特別教室等を普通教室に転用するなど、76教室を確保するとともに、学習形態や指導方法を工夫することにより、児童生徒の学習活動に支障のないよう取り組んでいるところでございます。

○議長(森 礼子君) 楠本文郎君。

  〔楠本文郎君、登壇〕

○楠本文郎君 適切になるように改善をされてきましたが、これまで設置基準というのがなかったのですから、どれが正しい形なのかということは、そんなにはっきりしていたわけではありません。

 要するに子供の数が著しく増えているから、平成24年に和歌山さくら支援学校が新設をして、令和2年には紀伊コスモス支援学校を増築してということで対応してきましたというのが今の答弁ですね。これは何にも否定する中身はございません。そうなんよ。そやけど、足らならよ。足らんで。教育長が言われたように、76、何らかの改善が必要やというわけでしょう。それは基準で見たら普通教室が、だって30人も35人も入れられるはずがないんですよね、一つの教室に。だから教室が足らなくなったらどんなにするんかというたら、特別教室を転用する。それから管理諸室を転用するというような形でやってきたんだと思うんですね。教室の間仕切りというのも中にあったかと思います。

 そういう状況にあるということは、冒頭申し上げましたように、対応ができていない現状がありませんか。設置基準ができたことによって、もう一回見直してみよらよう、これが今大事と違うんかい。76もの教室、何らかの形で改善せんならんというのは決して正常ではないということを言われていると受け止めているんですよ。この現状認識がとっても大事やと思うんです。

 それで、転用してきた、保護者からしましたら潰されてきた普通教室を元に戻すことも含めてやらんなんねんけども、改善の課題ははっきりしていると思うんですね、76という数字が出るわけですから。これは和歌山県としてちゃんと早うから準備をしてきた。文科省が言うように、「3年末に計画出せよ」と言うているけども、ちゃんと和歌山県は「去年からやっているで」と言うているのも理解をしているんですが、でも、すぐの新設や増設には無理があります。用地買収から設計の段階に至るプランが必要なことは、南紀支援学校とはまゆう支援学校の統合を見ても明らかですよね。この議場でも繰り返し議論をされています。

 法令上も、このことで、ちょっと遅うなっても構わんよと手当てされているんですよ。しかし、計画的に整理をして、思い切った予算の配分をしない限り、後回しになってけえへんか。後回しにしても構わない状況は設置基準がないからやというて、父母やら障害児教育に関わる皆さんが一生懸命署名集めてきたんよ、全国的に。それで設置基準ができました。「そしたら後回しにもうせんといてよ」と言うているわけですよね。

 それを国のほうは、ちゃんと尾ひれつけているんですよね。文科省は、令和2年から6年度までを集中取組期間と位置づけたと。その促進のために、僕らよう言うんやらよ、「掛け声ばっかりで、財源ないやないか」とよう言うんやけど、財源措置もしたんですよね。施設設備の新設・増設等に関する申請を優先的に採択していることに加えて、集中取組期間における廃校や余裕教室等、特別支援学校の用に供する改修工事に係る国庫補助を令和3年度から3分の1だったのを2分の1に引き上げるという措置をやりました。その上で、この集中期間の計画を来年3月、つまり令和3年度末までに策定するよう求めているわけなんですよね。

 県としての対応を教育長から再度お願いしたいと思います。

○議長(森 礼子君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 文部科学省が定める令和2年度から令和6年度の集中取組期間において、本県が取り組むための計画として、特別支援学校における教室不足の解消に向けた集中取組計画を令和2年度に策定しております。これに基づき、紀伊コスモス支援学校の校舎増築、南紀支援学校及びはまゆう支援学校統合に伴う校舎建設、みくまの支援学校校舎の大規模改造工事を進めております。

 これまでも、特別支援学校における多様な学びの場の整備という観点から、必要な環境整備を適切に進めてきたところでありますが、引き続き設置基準に規定された施設等を確保できるよう努めてまいります。

 本県では、障害のある幼児、児童、生徒に応じた支援を充実してまいりました。今後も、一人一人の自立と社会参加を目指し、特別支援学校で学んでよかったと実感してもらえるよう取り組んでまいりたいと考えております。

○議長(森 礼子君) 楠本文郎君。

  〔楠本文郎君、登壇〕

○楠本文郎君 教育長の答弁はとっても丁寧で、学びの保障としての子供たちの場所を提供することを一生懸命やりますよという決意表明はいただいたと思いました。

 ところが、具体策をなかなか言うてくれへんのですよ。特別期間があって、集中取組計画をもう既に作成して、それは文科省にも報告をするということもはっきりしてあんねんけれども、その計画の中身が和歌山の市に住んである子供たちの、じゃ、このあふれ返ったところをどないするのとか、出てこないんですよね。

 今、一番問題が集中しているのは、冬野に造られた紀北支援学校やと僕ら思うんです。さっきも紹介したように、だってもともと設計の段階で小学部は54人しかいなかってんから、そのための普通教室を造っているわけでしょう。決して将来増えるさかと倍造っているはずはないわ。けども子供は倍になっちゃっているんですよ。

 何で子供が倍になるんかというたら、僕は、障害児学校を希望できる環境になった、障害をきちっと医学的に証明されて特別支援を受ける教育を求める保護者の理解がぐっと進んで、「そうや、この子の未来のためには特別支援学校に入学させたらなあかん」という世論が前進したわけですから、障害持ったある子にとってみたらすばらしい前進なんですよ。でも、入れ物は54人しか用意していないやつを117人詰め込むなんてことはできないわけですから、特別支援が必要なということがはっきりしてあるところですからね。

 だから、何で教育長からすぱっと増設しますとか、ここに新設しますとかと出てこないのかが大分悩んだんです、私。何で出てこないんやろうかと。その議論ちょうどしてきましたが、その議論の中で、答弁は今日はここまでしか言うてくれんなあと、そやから再質問で追いかけたって同じやなあというふうに思ったんで、もう要望だけにとどめますね。

 はっきりしてんのは、長年、保護者の皆さん、学校の先生方が求めている那賀地域、ここに特別支援学校がないんよらな。冬野、近いさかと思って造ったけどよ、でも和歌山市のところなんやらな。片一方で、和歌山市に住んではる子供たちがどんどんやっぱり増えているわけですから、那賀にまず造ると。これ、教育長から答弁もらえると思ってあったんや。那賀に造ったら校区の整理だってできるんですね、岩出から来ている子、紀の川から来ている子、その子たちは新しいところへということで、そしたら冬野とさくら、高校で言うたら北高、それからコスモスという地域的なところも加味して通学区分も引きやすい。こういう、ある部分、和歌山市のことは僕存じ上げにくいですけれども、でも、そうすることがベストやということがもうはっきりしているじゃないかというふうに思っています。

 これは、那賀地方の皆さんが長年要望してきたことの実現の道やし、急増している和歌山市の保護者の願いにも応えられる道やというふうに思っています。ぜひ、そういう中身を今後十分に検討していただいて、この3年度の末までに加味をしていただけんやろうかというふうに私は思っています。

 これは、県立高校の再編問題があるんかいなあと変な勘ぐりをしています。勘ぐりは本会議場にふさわしくありませんから申し上げません──言うたか。でも、ほんまにそことは別の問題で、障害を持っている子供たちの学びの場を保障するという原点でぜひ改善策をお示しいただきたいということを要望して、この第1の項目は終わらせていただきます。答弁は結構です。

 要望させていただいて、続けて大きな2点目の項目に入らせていただきます。

 2点目は、気候危機問題として、その対応について御質問をさせていただきます。

 国連気候変動枠組条約締約国会議、いわゆるCOP26が11月に開かれました。たくさんの報道がありましたが、1.5度目標が共有され、1.5度増に抑える努力の追求と明記をされました。

 もう一つの焦点は、脱石炭でした。これは石炭火力の段階的廃止が提案されましたが、段階的削減に、削減に弱められました。

 このCOP26では、「地球温暖化を1.5度に制限するには、地球のCO2排出量を2030年までに10年比で45%削減し、今世紀半ばまでに実質ゼロまで削減することが必要だと認識する」、「各国が決定した削減目標を合計しても、30年の温室効果ガス排出量は10年比で13.7%増になるとの推定結果に深い憂慮を持って注目する」との合意になっています。そして、IPCCが警告している気温上昇による壊滅的な影響を念頭に、来年末までに必要に応じて検証し、さらに強化するよう要請をいたしました。

 また別の角度として、SDGsでは、「脱炭素、工業的農業からの脱却など、各種の目標と期限が設定されています。2018年の国連気候変動に関する政府間パネル、『1.5℃特別報告書』では、1.5度目標を実現するためには、CO2排出量を2030年までに2010年の水準から約45%削減、2050年頃までに実質ゼロとする必要があり、2030年までの削減の取組が決定的に重要である」──これ、SDGsです──としています。

 特別報告書に関する記者会見では、「今すぐ行動を起こし、今後10年間でCO2排出量を大幅に減らさなければ、気温上昇を1.5度以下に抑えることが極めて困難になる」と語っています。2050年にゼロにすればよいのではなく、2030年目標の達成が重要なんです。この10年は「未来への分岐点」とも表現をされているところです。

 こうした状況を受けて、私たち日本共産党は、「気候危機を打開する2030戦略」というのをこのパンフレットで(パンフレットを示す)提案をしてきました。当局担当者にお渡ししています。2030年の位置づけ、2030年までの計画が決定的だというところから論立てを始めています。

 また、環境問題、気候変動の取組について、近年欧米では、環境正義、気候正義という概念が使われています。これは、公害、環境汚染の被害者は人々に等しく降り注ぐのではなく、貧困層、社会的弱者とその居住する地域に集中して現れることから、そこには不正義が存在していると捉える概念です。気候変動による食糧危機などの被害も貧困層と富裕層では影響が違います。また、現在の世代が利便性を享受した結果、将来世代がその不利益の影響をまともに受けるという世代間での不正義も視野に入れた概念です。

 当時、15歳のグレタ・トゥーンベリさんが始めた行動が未来のための金曜日行動として若者に広がっているのは、この不正義をなくせ、未来を奪うなという訴えそのものです。SDGs、パリ協定の目標は、人として地球で生きる者としての正義の追求であり、未来の世代への責任だと考えることを前提に提案をしています。

 2030年に向けては、県の施策と県民、NPOなどの団体、そして政党も共通認識を持って取り組んでいくことが非常に重要だと考えます。そのために私は随所で、環境正義、気候正義という表現をこれからもしていきたいと思いますので、お含みおきをいただきたいと思います。

 さて、9日の一般質問でお二人の先輩から質問がございました。この御質問に対し、県政としての姿勢、課題等についての答弁が知事も含めてありました。微妙な部分はさておいて、地球という大きな船の中で持続的な社会をつくっていくための議論はしっかり多角的に積み重ねていくべきだと感じながらお聞きをさせていただきました。

 そこで、先輩方の一般質問と重なる項目を避けて、ちょっと違った角度からの質問として、まず1点目に、省エネ、再エネを含む産業振興面からのお尋ねをしたいと思います。

 私たちは、この2030戦略でもって、脱炭素化、省エネルギーと再生可能エネルギーの推進は、生活水準の悪化や耐乏生活を強いるものでも経済の悪化や停滞をもたらすものでもなく、それどころか新しい雇用を創出し、地域経済を活性化し、新たな技術の開発など持続可能な成長の大きな可能性を持っていることを、この「気候危機を打開する2030戦略」の中で示したつもりなんです。

 省エネというのは、企業にとっても中長期的な投資によってコスト削減とまともな効率化をもたらす。リストラ、人件費削減という経済全体にマイナスとなる効率化とは正反対だ。住宅などの断熱化は地域の建設業などに仕事と雇用を生み出す。

 バイオマス発電や小水力発電などの地域の発電所は、石炭火力や原発などよりはるかに多い雇用を生み出し、地域経済の活性化につながる。大規模な太陽光発電ではなく、屋根上の太陽光発電は和歌山県のような日照時間の長い県に適したものであり、公共施設や民家の屋根上発電の設置は地域の中小企業の受注にもつながる。

 海外に依存してきた化石燃料への支払いは、これでもって大幅に減り、日本経済の弱点である低いエネルギー自給率は大きく向上し、再エネの普及によるコスト削減もあって、実際には電気料金の値下げにもつながっていくはずだと考えています。

 未来のためのエネルギー転換研究グループによる「レポート2030」というのがあります。その試算では、2030年までにエネルギー需要を約40%削減する省エネと、再生可能エネルギーで電力の44%を賄うエネルギー転換を実施すれば、年間254万人の雇用が新たに創出され、エネルギー転換で影響を受ける産業分野での現在の雇用者20万人をはるかに上回る。投資額は2030年までの累計で202兆円となり、GDPを205兆円押し上げ、化石燃料の輸入削減額は52兆円になるとされている。

 世界的に見ても、環境と人権を重視した投資、商品が重視をされています。原発、化石燃料関連は座礁資産と呼ばれて、投資の対象とされない時代に入ってきています。また、著名な多国籍企業がRE100といって自らの経済活動を再エネ100%で実施することを宣言し、これを目指して、再エネを推進しない事業者はサプライチェーン、バリューチェーンからはじかれるという時代を迎えようとしています。有名な大会社が宣言しています。

 EUは2026年に国境炭素税を全面実施することを発表するなどの動きも進んでいます。

 気候危機に対応する地域社会をつくることは、和歌山県の持つポテンシャルを発揮させ、より上質な暮らしと経済をつくっていく道だと考えます。

 県政の具体として、産業振興計画をはじめ県の基本政策に気候危機をしっかり位置づけることが不可欠だと考えます。

 省エネについて、例えば生産工程における効率のよい機器の導入、または断熱システムの更新も重要であると考えます。今後、産業部門において省エネ化を進めていくために、支援策の充実が必要だと思いますが、商工観光労働部長にお聞きをいたします。

○議長(森 礼子君) 商工観光労働部長寺本雅哉君。

  〔寺本雅哉君、登壇〕

○商工観光労働部長(寺本雅哉君) 議員御指摘のとおり、今後企業が脱炭素への対応を成長への機会と捉え、省エネや再生可能エネルギーの推進に積極的に取り組むことで、持続可能な成長につながっていくものと認識しております。

 議員御質問の企業の省エネ推進の支援についてですが、県では、平成29年度より省エネ設備の導入支援を県単独事業として実施してきましたが、昨年度より国の制度が拡充したことにより、現在は国の補助金を活用いただいているところです。

 また、今年度から物づくり企業における生産性向上のための県単独補助制度を設けており、その中で省エネ設備も補助の対象としているところです。

 昨年度改定した第三次和歌山県産業技術基本計画においてもエネルギー・環境分野を重点的に推進する戦略分野と位置づけており、計画を踏まえ、ICTやロボット等の先端技術を活用した生産性の向上や作業の省力化など、省エネにも寄与する技術の開発、導入を支援しているところです。

 県としましては、さらなる産業部門の省エネ推進に向けて、こうした取組を引き続き実施していくとともに、国の新たな経済対策の動向も踏まえつつ、脱炭素に向けた県内企業の積極的な取組を支援し、県内産業の成長につなげてまいりたいと考えております。

○議長(森 礼子君) 楠本文郎君。

  〔楠本文郎君、登壇〕

○楠本文郎君 前段、力み過ぎたんでのう、ちょっとテンポ上げていきます。

 再質問いたしません。

 県として先行してこの省エネの補助を取り組んできた。その成果もあって、国が今ハンドルをぐいっと切りかけやる、そんな局面ではないかと思うんですね。だから、国の施策に注視をしながら、こんなペーパーが(資料を示す)ずっと回ってきているんですけれども、こういうふうなところに注目をしながら、この流れを県としても後押ししていく、県は特に中小企業の皆さんを応援していく、こういうところに徹していただきたいと思います。

 もう一つの側面、住宅の断熱化という問題があります。これは光熱費を削減することで、ヨーロッパ・欧州では貧困対策として重視をされていると聞いています。

 県営住宅、市町村営住宅の断熱化の促進、また民間住宅の断熱化、省エネ化に向けた改修を気候危機打開の公益的機能があるとして支援する制度を強化することが必要だと思いますが、これは県土整備部長のほうからお答えをいただきたいと思います。

○議長(森 礼子君) 県土整備部長安部勝也君。

  〔安部勝也君、登壇〕

○県土整備部長(安部勝也君) 住宅の断熱性能の強化やエネルギー効率の高いエアコン等設備の導入は、エネルギー消費を低減させ脱炭素化に寄与することから、2050年までのカーボンニュートラル実現に向けた施策として、今年10月に閣議決定されたエネルギー基本計画に列挙されています。

 まず、県営住宅などの公営住宅については、行政が運営していることから、政府目標を達成するために省エネ化を率先して導入する必要があると認識しています。ついては、エネルギー消費量を現行基準から20%削減するため、国が現在見直し中の公営住宅等整備基準に基づき、これから計画する県営住宅に対しては本基準に基づき整備するとともに、市町村営住宅についても適切に整備されるよう助言してまいります。

 また、既存の公営住宅に対しては、老朽化に伴う屋根の改修、あるいは玄関ドアや設備機器の取替え時において、断熱性の高い材料やエネルギー効率の高い設備を用いることとしています。

 一方、民間住宅については、本県全住宅戸数の9割を超え、政府目標の達成に大きく寄与することから、民間事業者の省エネ化に向けた取組を支援してまいります。具体的には、国が現在検討を進めている省エネ性能に係る基準の引上げや臨時国会における補助制度の審議を見極めながら、各種制度の周知や講習会の開催を進めてまいります。

○議長(森 礼子君) 楠本文郎君。

  〔楠本文郎君、登壇〕

○楠本文郎君 答弁をいただきました。

 ここでも住宅リフォーム助成としてハンドルを切ったというふうに考えます。ニーズがあって需要が増えると単価も安くなり、大手企業ではなくて、まちの工務店が事業として請け負える、そういう流れがつくられていくということを私たちは理想の形として考えているところでございます。

 前例は、太陽光発電事業というのがあったと思うんです。これは屋根上がかなり先に補助金出して先行して、今では国の補助はFITだけになっていますよね。こういうふうな先行して事業を起こして、事業者がもうけられる仕組みをつくっていくという、ここでも強めていただけたらと思っています。

 さて、2の3項目め、未来を担う子供たちへの環境学習及び観光教育の取組というところに質問を進めていきたいと思います。

 経済産業省資源エネルギー庁が募集している第6次エネルギー基本計画(案)のパブリックコメントに対して、日本版気候若者会議がコメントを投稿しています。日本版気候若者会議では、環境政策の早期実現、開かれた議論の場、発信による世論喚起を目的に、若者108名で、2021年5月23日から8月1日までの10週間、気候変動対策について議論し、政策をまとめ、それを提案したと。9月には、日本版気候若者会議として提言を行っています。未来の担い手として、主体者として切り開いていこうとする若者の行動には希望を感じますよね。

 和歌山県内では、まだこうした若者世代からの働きかけは顕在化していないようなんですが、子供たちの活動があります。県内の活動をこの間も見聞きしてまいりました。第5次の環境基本計画を自らの問題として主体的に実践していってくれるのは子供たちだと思います。

 未来を担う子供たちへの環境学習の取組については環境生活部長から、また、学校での環境教育の取組については教育長からお答えをいただきたいと思います。

○議長(森 礼子君) 環境生活部長生駒 享君。

  〔生駒 享君、登壇〕

○環境生活部長(生駒 享君) 2050年カーボンニュートラルを目指すためには、息の長い取組が必要であり、将来を担う子供たちに環境問題を正しく理解してもらい、自ら解決策を考え行動していくといった高い環境意識を醸成する必要があると考えています。

 県では、環境学習を支援するため、学校の求めに応じて専門家を派遣するとともに、省エネルギーの効果を実感してもらうため、植物の苗などを配布し、グリーンカーテンを育てる取組も実施しています。さらに、小学生を対象として、家族と共に夏休み期間中に様々なエコ活動に取り組んでもらい、活動の成果を各地で展示するなど、各種の環境学習に取り組んでいるところです。

 また、本年度より、専門家の指導の下、小中学生が自然環境に深く関わる知識や技術を学ぶネイチャー・キャンプや、中高生が海洋環境等の特定のテーマについて主体的に調査研究を行う南紀熊野ジオパーク探偵団など、本県の豊かな自然環境や生物多様性への理解を深める取組も始めたところです。

 引き続き、教育委員会と連携を図りながら、子供たちへの環境学習に積極的に取り組み、環境意識の醸成に努めてまいります。

○議長(森 礼子君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 現在、気候変動等の地球環境に関わる問題についての関心が高まっております。

 各学校では、理科や社会科等での学習をはじめ教育活動全般を通じて、子供たちに環境について学ばせるとともに、環境を大切にする心を育てています。さらに、地域のごみの分別や川の水質調査等の身近な題材を取り上げ、環境をテーマに天神崎や南紀熊野ジオパーク等の地域教材を活用した学習にも取り組んでいます。

 環境教育を推進する教員を育成するために、県教育委員会では、環境等をテーマに自主研究に取り組んでいる教員に支援を行っています。また、県立自然博物館等の施設を活用し、教員を対象としたエコティーチャー養成研修会を毎年実施しています。

 今後も、持続可能な社会の実現に向けて、一人一人が自ら主体的に考え行動できる子供たちを育ててまいります。

○議長(森 礼子君) 楠本文郎君。

  〔楠本文郎君、登壇〕

○楠本文郎君 ここでの答弁は本当に抽象的でええかと思っているんですよ。西川きよしさんを思い出すんですよね。大きなことも小さなことからこつこつと。文字どおり、環境問題なんていうのはそうですよね。

 今年から(資料を示す)3月に策定された基本計画をずっと読んでみたら、ページ数の3分の1以上が地球環境の問題なんですよね。その下で、どんなにしてつくっていくのかという第4章で、計画実現に向けた基盤整備は人づくりやということなんですよ。それは学校だけでなくて、地域社会も含めて一緒になって力合わせてやりましょうねということやと思うんですね。

 私、質問の中で産業面と言いましたけども、これ(パンフレットを示す)「『スマートライフ』って何だろう?」という電気のメーカーの皆さんが出しているエコライフ、エネルギーを無駄なく賢く使おうらよという呼びかけのパンフレットですよね。だから、ガスの業界も同じように出していますよね。そうやって産業界からのアプローチも受けながら、この10年、大事。けども2050まで永続的にこの脱石炭を続けていくためにはどないすんねやというたら、やっぱり子供ら育てていこらよということになると思うんですよね。

 この間から議員に配付している(資料を示す)、もうたら、わかやま環境賞というのがもう21回目を迎えるんですね。こうやって表彰をしている中身は、地球温暖化対策活動、まちの美化清掃活動まで含めて資源の再利用、リサイクル活動なんかも入れていると。こういうふうな取組と持続可能な環境、地域づくりを目指しますという、これは(資料を示す)和歌山大学観光学部からの御案内、資料提供ですね。「わかやまこどもエコチャレンジ事業」活動レポートの展示というのも(資料を示す)やられているという、こういういろんなところを使いながら地球環境を守っていこらようという、この取組を今後ともぜひ、一つは教育ですけども、一つは環境生活、総務ですか、の取りまとめ役としてもしっかり促進をしていただけるよう要望して、この項は終わりたいと思います。ありがとうございました。

 最後に、大きな項目の三つ目に進みたいと思います。

 大きな項目の3点目に、公職選挙法上の選挙における投票率の向上についてお尋ねしていきます。

 10月31日に総選挙が終わって、各種の分析が出されてきています。第49回衆議院議員総選挙における有権者全体における投票率は、小選挙区が55.93%、比例代表が55.92%。いずれも前回2017年衆院選の投票率を2.24ポイント余り上回りました。それでも、戦後3番目に低い投票の低さとなりました。

 近年、特に強まる低投票率の傾向は、私は民主主義の危機だと感じているものです。要因についても、もちろん様々なことが重なっています。同時に、特効薬を求められるものでもないことを意味していますが、明るい選挙推進協会が発行している(資料を示す)この赤い表紙の、時々見せてもらうんですが、「Voters」の10月号に、「女性参政権75周年を迎えて」の特集というのがございました。その中身を見ながら、上智大学の先生が75周年で論考を出しているんですけども、民主主義の発展の歴史を踏まえて、主権者国民、市民の政治参加の保障は政治の成熟度にもつながるという思いから質問をすることにいたしました。

 選挙に関わってですから県の選挙管理委員会に質問できる範囲は限られていますが、ここでの質問は、投票率向上のために今まで取り組んでいること、その中での課題と取組方向についてお尋ねしていきたいと思います。

 1項目めは、18歳以上の若者、特に高校生、大学生の選挙権行使の問題ですが、総務省は、11月5日に、18歳、19歳の年齢別投票者数調べの速報を発表しています。もう読み上げませんけれども、投票率は18歳男性が48.80%、18歳女性53.68%、50%を超えた。19歳男性が33.28%、19歳女性が36.87%。全体では43.01%です。男女別では、男性が41.04%、女性が45.11%と、女性のほうが4ポイント近く高くなっています。

 18歳が51%を超えているのに、19歳が35.04%。何で19歳になったら低なるのなあということを問題意識にしています。

 大学の先生の論文では、主権者教育を考え直さなあかんの違うかと。狭義から広義として捉えるよう呼びかけているわけですけれども、これまで18歳選挙権が実施されて以来、若者層の投票率の向上に向けて県の選挙管理委員会として議論をされ実践されてきたことを、その取組状況についてお示しをいただきたいと思います。

○議長(森 礼子君) 選挙管理委員会委員長小濱孝夫君。

  〔小濱孝夫君、登壇〕

○選挙管理委員会委員長(小濱孝夫君) 選挙は、国民が政治に参画する最も重要かつ基本的な機会であり、投票率、とりわけ若年層の投票率が課題であると認識しております。

 そのため、選挙管理委員会としては、選挙時においては大学生や高校生に啓発物資の作成など選挙啓発活動への参画を試みたり、若葉がよく利用すると思われるコンビニへのレジ画面広告、ヤフーのバナー広告、SNSを活用した情報発信に取り組んでいるところです。

 また、若年層への対策は長期的視野に立った取組が重要であり、平成23年度から、市町村選挙管理委員会と連携して、小学生を対象に選挙出前講座を実施しております。この出前講座では、私どもの職員が投票することの意義や投票方法など選挙についてお話しし、生徒数人が候補者役となり、一つのテーマについてそれぞれ演説を行った上で、実際の選挙で用いられる投票箱や記載台等を使用して投票を体験してもらう模擬投票を行っております。

 平成27年度からは、選挙権年齢の引下げを受けまして、中学生や高校生等も対象とし、それぞれ年齢等に合った講座を行っております。

 今後とも、こうした取組を一層充実させ、投票率の向上に取り組んでまいります。

○議長(森 礼子君) この際、申し上げます。

 所定の時間まで残り僅かです。質問は簡潔にお願いいたします。

 楠本文郎君。

  〔楠本文郎君、登壇〕

○楠本文郎君 ありがとうございます。

 簡潔に、この項の2点目の質問をいたします。

 若者ともう一つの極は高齢者なんですね。その高齢者が投票所に行きにくいという現実があります。このことを市町村の選挙管理委員会も身近にびんびんと感じてくれていまして、いろんな改善というのが図られつつあると思います。

 私は、移動もしくは巡回の期日前投票所の開設、また投票所までの移動支援が決定的ではないかと思います。

 県の選挙管理委員会としての考え方、さらに県下の市町村の現状について御説明ください。

○議長(森 礼子君) 選挙管理委員会委員長。

  〔小濱孝夫君、登壇〕

○選挙管理委員会委員長(小濱孝夫君) 投票所まで距離がある方や、高齢者が投票しやすい環境づくりに配慮することについて、選挙管理委員会といたしましても、これまで地域の実情に応じた移動支援や移動期日前投票所などを積極的に行うよう、市町村選挙管理委員会に対して助言を行ってきたところです。

 中でも、過疎化や高齢化が進む地域の選挙人にとっては、移動期日前投票所は投票機会の確保につながる選択肢の一つであると考えており、平成28年に全国で初めて導入した島根県浜田市や県内で初めて導入した有田川町における取組等について、機会を捉えて事例紹介を行ってまいりました。

 この有田川町における取組は、平成30年の県知事選挙において導入され、今回の衆議院議員総選挙においても車2台で町内5か所を巡回して実施されました。また、新たに新宮市でも移動期日前投票所が設置されたところであります。

 その他の移動支援の取組としては、市町村選挙管理委員会において、期日前投票所または投票所まで往復する無料の送迎バスの運行や、無料乗車券の発行などを行ったところもございます。

 選挙管理委員会といたしましては、今後とも、投票環境の向上に関し、市町村選挙管理委員会と連携して取り組んでまいります。

○楠本文郎君 ありがとうございました。(拍手)

○議長(森 礼子君) 以上で、楠本文郎君の質問が終了いたしました。

 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。

 この際、暫時休憩いたします。

  午前11時39分休憩

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  午後1時0分再開

○議長(森 礼子君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 35番林 隆一君。

  〔林 隆一君、登壇〕(拍手)

○林 隆一君 皆様、こんにちは。日本維新の会の林隆一でございます。

 最終日で、しかも3番手に登壇させていただいたのは初めてのことでございます。それをお許しくださいました山下議会運営委員会委員長はじめ、先輩・同僚議員の皆様に御礼申し上げます。

 さて、去る衆議院選挙において、県民の皆様から我が党、日本維新の会は9万6813票もいただきました。応援をしていただいた県民の皆様に心から感謝申し上げます。県民の我が党に対する期待の大きさをひしひしと感じております。

 我が党の大躍進は、「大阪での改革を全国に」をスローガンの一つに掲げた結果でもありましたし、大阪での15の小選挙区の全勝は、大阪での今までの実績が大阪府民に高く評価されたものだと思っております。

 また、近畿全般では、兵庫県では比例復活を含め候補者9人が全員当選、京都府1区は候補者比例復活当選、奈良県1区も候補者比例復活当選というすばらしい結果でございました。(「和歌山は」と呼ぶ者あり)マスコミは我が党の県総支部の動向にも注目しており、既に1年近く先の知事選挙についても聞かれ、県の責任者としては発言に苦慮しているところでございます。

 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従い一般質問をさせていただきます。

 私は、これまで県営住宅の共益費に関することについて、県議会本会議の場において、過去3回一般質問を行ってまいりましたが、今回はこれまでとは異なった観点から、県営住宅に関することについて質問をさせていただきます。

 本年9月29日の知事定例記者会見において発表された「多様性を認め合い誰もが活躍できる社会の実現」というタイトルの資料を見ますと、夫婦等が対象のサービス・制度について、原則、法律婚、事実婚、同性カップルを同様に取り扱うこととし、その対象となるサービス・制度として4項目が記載されております。

 一つ目に犯罪被害者法律相談、二つ目にDV被害者相談、三つ目に心身障害者扶養共済制度、四つ目に県営住宅への入居となっているわけでございますが、今回、私は四つ目の県営住宅への入居について質問いたします。

 もともと県営住宅の入居者資格としては、事実婚は法律婚と同様に取り扱っていたということでございますが、今回のこの取組の趣旨は、多様性を認め合い、誰もが活躍できる社会の実現に向け、県の行政サービスや制度における不利益や不都合な取扱いを解消するものであり、住宅に困窮する低所得者世帯に対し、安い家賃で賃貸する県営住宅への入居者資格として、同性カップルについても事実婚や法律婚と同様に扱うというものでございます。

 この制度の趣旨そのものについては賛同いたしますが、そもそもどういう法定根拠に基づいて実施しているのか。また、同性カップルであることをどのように判断しているのか。まずは、この点を明確にしておきたいと思います。

 そこで質問いたします。

 県営住宅の入居者資格として、同性カップルを事実婚や法律婚と同様に取り扱うに当たり、同性カップルが入居できる法定根拠と同性カップルであることを認める上での確認手続について、県土整備部長、お答えください。

○議長(森 礼子君) ただいまの林隆一君の質問に対する答弁を求めます。

 県土整備部長安部勝也君。

  〔安部勝也君、登壇〕

○県土整備部長(安部勝也君) 県営住宅への入居資格は、和歌山県営住宅条例第6条第1項第1号で「現に同居し、又は同居しようとする親族があること」、この親族には、「婚姻の届出をしないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者その他婚姻の予約者を含む」と規定されています。

 今般、県では、事実上婚姻関係と同様の事情にある同性カップルが県営住宅に入居できるよう、条例上の親族として取り扱うこととしました。

 また、入居者資格については、令和3年10月に改正された和歌山県営住宅条例施行規則に基づき、確認することとしています。

 具体的には、入居を希望する同性カップルが過去に同居した事実を証明する住民票、婚姻と同様の意思を持って婚姻関係に類する共同生活を行う関係であることを両人が申し立て、かつ、第三者によりその申立てが事実であることを証明した書類などを確認します。

○議長(森 礼子君) 林 隆一君。

  〔林 隆一君、登壇〕

○林 隆一君 御答弁をいただきました。

 いわゆる親族であると県が認めた場合に承認すると理解いたしました。

 しかしながら、ただいま御答弁をいただいたように、その確認手続については、第三者による証明書を担保とするなど、事実認定の手法としては、完璧な制度とは言い切れない部分があると思います。

 そもそも民法に基づいた法律婚ではないわけですから、客観的事実として同性カップルであることを完全に証明することはなかなか困難であろうかと思います。

 改めて申し上げますが、私は同性カップルを事実婚や法律婚と同様に取り扱うことに対して反対しているわけではございません。ただし、現状においてそういう状況であるならば、もう少し柔軟な姿勢で、さらに県営住宅の入居者資格を緩和する方向で検討できないかという観点から質問をいたします。

 超高齢化社会と言われる現在、本県の65歳以上の高齢者数、いわゆる高齢者人口は、令和3年1月1日付で現在30万9814人、総人口に占める高齢者人口の割合は32.8%であり、全国においては第10位と、高齢化が全国よりも速いペースで進んでおります。

 しかし、本県の高齢者人口のうち、独り暮らしの高齢者は7万1386人であり、高齢者全体の23.0%となっております。高齢者の独り暮らしには様々な困難が想定されますが、独り暮らし自体が寂しいと思われる方もいらっしゃると思います。

 そこで、例えば、低所得要件など、県営住宅入居に係る諸条件をクリアした上で、気の合う御老人同士が県営住宅に一緒に同居するというような事例を認めることはできないでしょうか。

 そこで質問いたします。

 あくまで一つの仮定として独り暮らしの御老人を例に申し上げましたが、困難を抱える県民の一つの支援策として、県営住宅の入居者資格をさらに緩和する意向はあるのでしょうか。その見解について、県土整備部長、お答えください。

○議長(森 礼子君) 県土整備部長。

  〔安部勝也君、登壇〕

○県土整備部長(安部勝也君) 議員御指摘のとおり、例えば生活に不安のある高齢者同士が助け合いながら一緒に生活する場として、県営住宅に入居したいということは十分理解できます。

 しかしながら、県は、同居親族を前提に入居者の募集を行っており、現状においても募集戸数に対して2倍程度の競争倍率があることから、当面その前提を変更することは難しい状況です。

 つきましては、例えば認知症や障害のある方々の共同生活援助事業を行う社会福祉法人等が県営住宅をグループホームとして利用することができる制度の活用促進を図るなど、可能な限り高齢者の生活の実態を踏まえた県営住宅行政を推進してまいります。

○議長(森 礼子君) 林 隆一君。

  〔林 隆一君、登壇〕

○林 隆一君 御答弁をいただきました。

 現時点において見直しを図ることはないとの御答弁でしたが、今後、高齢化社会や人口減少のさらなる進展など、社会の変容がもたらす県民生活への影響等を考慮しながら、行政サービスの見直しを図っていくことが重要だと思います。

 県営住宅の入居者資格の在り方についても、困難を抱える県民への一つの支援策として、引き続き検討をお願いいたします。

 続いて、もう一つ大きな観点から公営住宅の在り方について質問いたしたいと思っております。

 平成8年、公営住宅法が改正され、高齢者や障害者など、真に住宅に困窮する人々に対し、的確に公営住宅を供給することを大きな目的として入居者基準が引き下げられるなど、公営住宅の福祉化が大きく進められてきたところでございます。

 先ほども申し上げましたが、今後、少子高齢化や人口減少のさらなる進展が見込まれる中、持続可能なまちを形成していく上で、公営住宅を有効に活用することも必要かと思います。

 大阪府においては、地域のまちづくりへの資産活用や、福祉施策と密接に連携した住民サービスの提供を進めるために、公営住宅については市や町が担い、市町自らが自由度をもって地域の課題に柔軟に対応しながら運営することが望ましいと考え、府営住宅の市町への移管を推進しております。

 このことにより、府営住宅と市営住宅、町営住宅が並存することはなくなり、効率的な管理運営が可能になるだけではなく、まちづくりや住民サービスの向上といった多くのメリットが住民にもたらされるという政策でございます。

 大阪府における移管の基本条件は、大きく3点です。1点目は、土地・建物は無償、現状有姿により譲渡する。2点目は、市や町内にある全ての府営住宅を移管する。3点目は、府が府営住宅建設時に発行した起債の償還相当額は市や町が負担する。

 以上の条件により、既に大阪市、大東市、門真市、池田市の4市については移管を実施しており、既に移管済みのものも含め、令和9年度までに82団地、2万1064戸の移管が進む予定になっております。

 本県における公営住宅のストックに関するデータを申し上げますと、県営住宅は令和3年4月1日現在、和歌山市内にある18団地、89棟、2853戸を含め、21市町においては合計67団地、219棟、5115戸を有しており、市町村営住宅は令和3年3月31日現在、和歌山市営住宅の98団地、4802戸を含め、28市町村において494団地、1万688戸を有しております。県全体の公営住宅ストックの比率を申し上げると、県営住宅が32.4%、市町村営住宅が67.6%という状況でございます。

 そこで質問いたします。

 先ほど申し上げた大阪府の考え方や移管状況を踏まえた上で、本県としては、県営住宅を市町に移管する考えはあるのでしょうか。その見解について、県土整備部長、お答えください。

○議長(森 礼子君) 県土整備部長。

  〔安部勝也君、登壇〕

○県土整備部長(安部勝也君) 大阪府営住宅の移管については、大阪市など大都市を中心に、応募倍率が約5倍と高水準で入居ニーズが非常に高いこと、団地の建て替え・集約による余剰地の有効活用や売却が可能であることから、府から移管を受けることによる市町側の財政的メリットが大きいと聞いています。

 一方、我が県の県営住宅は、県内21市町に展開していますが、古い住宅が多く、年々維持修繕や改修、建て替えといった財政負担が大きくなっています。また、府営住宅のように密集した地に立地していないことから、団地を集約して余剰地を活用する余地も少なく、財政的メリットも期待できません。

 さらに、管理戸数が少ない市町が多いことから、現在配置されている職員数が限られており、これまで以上の負荷を与えてしまうものと考えられます。

 このように、移管による市町側のメリットは少ないと思われますが、まずは市町の実態の把握に努めてまいります。

○議長(森 礼子君) 林 隆一君。

  〔林 隆一君、登壇〕

○林 隆一君 県土整備部長から「市町の実態の把握に努めてまいります」との御答弁をいただきました。ありがとうございます。

 本県と大阪府の地域性の違いや、本県の県営住宅の立地や建物の状況、さらには市町村の財政負担や管理運営に係る人的負担など、様々な条件を踏まえながら課題をクリアしていかなければならないということは理解いたしました。

 そのような中でも、各市町に対して、県営住宅の移管に関する意向を確認すれば、市町の判断により、幾つかの団地によっては移管を実施し、それぞれの地域のまちづくりや住民サービスの向上につながる場合があるかもしれません。そのようなことが実現することを願いつつ、最後にもう一点、県営住宅に関して、要望のみさせていただきます。

 本年6月議会において、県営住宅条例の改正が議決され、県による共益費徴収が実現の運びとなったことは誠に喜ばしいことであり、令和4年度からの実施に向け、徴収事務の詳細を整備するとともに、令和4年度当初予算において、共益費徴収に係る歳入が計上される予定だと聞いております。

 私は、令和2年2月議会において、県による1戸当たりの徴収に係る経費はおおむね幾らぐらいと考えておられるかという質問をしたところ、当時の髙松県土整備部長から「徴収システムの整備や団地自治会ごとの徴収や支払いに要する経費等を基に試算すれば、団地の戸数等にもよりますが、おおむね1戸当たり月額100円から300円程度になるのではないかと想定しております」、そのような答弁をいただきました。

 入居者の負担ができるだけ軽減されるよう、手数料を安価に設定することを要望して、県営住宅に関する質問は終わります。

 次の質問に移ります。

 和歌山市六十谷の水管橋の一部崩壊による6日間の断水は、紀の川以北にお住まいの和歌山市民約13万8000人の方々に大変不自由な生活を強いることになり、地域経済にも大きな弊害をもたらしました。

 言うまでもなく、今回の件に関する応急復旧は和歌山市が中心となって実施すべきことではありますが、県も様々な面から支援されたとお聞きしております。

 具体的に申しますと、給水に関しては、陸上自衛隊に給水車応援の派遣要請を行い、自衛隊員延べ1160人、299車両の応援をいただくこととともに、県の備蓄飲料水の提供のほか、県内各市町に対してペットボトル飲料水や給水袋の手配を依頼されたそうでございます。

 連絡調整支援や技術的支援に関しては、県の技術職員や関係職員延べ46人を和歌山市にリエゾン派遣するとともに、水道管の仮設に伴う六十谷橋の構造のチェックや周辺の交通渋滞の解消に向けた取組を実施してくださったそうでございます。知事をはじめ関係職員の皆様の御尽力に感謝申し上げたいと思います。

 しかしながら、これらの対応はあくまで応急復旧に係る対応であり、本来、今回のような事象が起こることがないよう未然防止を図ることが重要かと思います。

 水道事業を取り巻く環境は、人口減少に伴う料金収入の大幅減少、施設の老朽化対策・災害対策に伴う更新需要の増大、水道職員の減少に伴う技術基盤の脆弱化等、厳しさを増しております。

 そのような中、水道施設の老朽化に関して、令和元年の水道統計に基づくデータを一つ申し上げますと、和歌山県内の水道事業の管路の総延長は県全体で約7276キロメートル、そのうち法定耐用年数である40年を超えた管路は約1508キロメートルにも及びます。総延長の20.7%を占める状況です。

 そこで質問いたします。

 今議会における議員の方々の一般質問と一部重複するところもあると思いますが、今回の水管橋事故に対して、水道を所管する環境生活部が行った対応と、市町村の水道施設の老朽化に対する県の役割や今後の取組について、環境生活部長、お答えください。

○議長(森 礼子君) 環境生活部長生駒 享君。

  〔生駒 享君、登壇〕

○環境生活部長(生駒 享君) 環境生活部では、事故が発生した10月3日から職員を和歌山市に派遣し、情報収集、県への要望の聞き取り、厚生労働省への連絡調整、復旧に対する国の補助事業活用についての助言などを行いました。また、事故を受けて国で創設された新たな交付金を活用するため、本議会でその関連予算をお願いしているところです。今後も、本復旧が早期に完了するよう支援してまいります。

 次に、水道施設の老朽化対策については、水道事業の経営状況が厳しさを増す中、計画的に実施する必要があるため、水道施設の適切な資産管理による更新需要の把握、財政収支の見通しに基づく事業費の平準化、施設整備の優先順位を定める計画の策定などを市町村に指導、助言してまいります。

 また、水道施設の老朽化や耐震化対策には多額の予算が必要であるため、国の補助事業の活用が必要であり、引き続き市町村や各種団体と連携して、国に対し、予算の確保や採択要件の緩和、補助対象の拡充等を要望してまいります。

○議長(森 礼子君) 林 隆一君。

  〔林 隆一君、登壇〕

○林 隆一君 御答弁いただきました。

 今回、私は水道施設の老朽化という観点から質問しましたが、今議会において複数の議員が御指摘されましたように、水道を含めたライフラインの管理運営は様々な課題を抱えていると思います。水道をめぐる諸課題については、県が広域的な観点により積極的に関与し、市町村に対して適切な指導、助言を行っていただきますようよろしくお願いいたします。

 では、次の質問に移ります。

 私は、令和2年6月議会において、相次ぐ職員の不祥事を踏まえた懲戒処分の厳罰化について質問いたしました。当時、県庁の女子トイレに小型カメラを設置して盗撮した職員が逮捕された事件や、ホームセンターにおいて管理職が商品を万引きした事件など、立て続けに不祥事が続いており、県民からの信頼が大きく揺らいでいると感じたため、知事に対して、これらの相次ぐ職員の不祥事を踏まえ、綱紀粛正を図るためにどのような取組を行っていくのかを問うとともに、懲戒処分の基準を見直し、さらなる処分の厳罰化を図らなければ、職員の不祥事は防げないのではないか、このことに関する所見を伺いました。

 知事からは、不祥事事案を十分に調査、確認してもらって、諸般の事情を総合的に考慮した上で、適正、妥当な判断をしている旨と、過去の懲戒処分の基準改正の実績を踏まえながら、私からどこをもっと厳しくすればよいのかという提案があれば、直ちに真摯に検討したい旨の御答弁をいただきました。

 さて、過去5年間の懲戒処分の状況を見てみますと、年間3から4件発生しており、その中で最も重い処分である懲戒免職の状況を申し上げますと、平成28年度はゼロ件ですが、平成29年度は1件、平成30年度は1件、令和元年度は1件、令和2年度は3件、そして令和3年度においても懲戒免職となったものは既に2件発生しております。

 この数字が何を物語っているかというと、懲戒処分の基準がさらなる厳罰化に至っていない状況の中で、免職に値する不祥事が増加しているということではないかと思われます。

 皆様御承知のことと思いますが、令和3年度に発生したその2件について、改めてこの場で申し上げますと、1件目は、飲食店での飲酒後、コンビニエンスストアに向かうために自家用車を運転し、過去にも飲酒後、複数回、車庫入れ時の自家用車運転や原動機付自転車、自転車を運転した行為があるというもので、2件目は、自宅で飲酒後、自家用車を運転してスーパーに向かい、駐車場内で自転車に乗っていた被害者に衝突し、重傷を負わせたというものでございます。いずれも飲酒が絡んだ事件でございます。

 そこで質問いたします。

 県職員の不祥事が相変わらず発生しております。このことを踏まえて、県はどのような対策を講じているのか、副知事、お答えください。

○議長(森 礼子君) 副知事下 宏君。

  〔下 宏君、登壇〕

○副知事(下 宏君) 県職員による不祥事が相次ぎましたことについて、県民の皆様に改めて深くおわびを申し上げます。

 このような状況を受けまして、定例部長会議におきまして、所属長以上の職員に対し、公務中だけではなくて、プライバシーに配慮しながらも、日常生活についても職員への目配りを行うよう繰り返し指導いたしました。

 また、職員研修につきましては、発生事案が多い飲酒運転、ハラスメント等に関しまして、全職員を対象とした飲酒運転防止のための動画研修や所属長を対象としたパワーハラスメントセミナーを実施するなど、それ以外に県内各地での監察査察監による研修も予定をしているところでございます。

 なお、その研修の中で、懲戒処分を受けた場合の不利益についても説明をするなど、その研修の内容についても見直しを行ってございます。

 以上のような再発防止に向けた取組を進めることによりまして、綱紀の粛正を徹底してまいります。

○議長(森 礼子君) 林 隆一君。

  〔林 隆一君、登壇〕

○林 隆一君 御答弁をいただきました。

 全職員を対象とした研修の実施など、対策を強化しているとのことでございました。

 県のホームページにも掲載されております本県の懲戒処分の基準を改めて見ますと、その標準例が一覧表的にまとめられております。例えば、飲酒運転の欄を見ますと、六つのパターンが表示されております。道路交通法上の酒気帯び運転であろうと酒酔い運転であろうと、それぞれの不祥事事案における諸般の事情を総合的に考慮した上で決定となされているのでしょう。その六つのパターン、いずれの場合であっても免職の判断がなされる場合があるとなっております。職員の研修に当たっては、この懲戒処分の基準を繰り返し周知徹底することも必要だと思います。

 また、その反面、懲戒処分の周知などの厳しさを伴ったものだけではなく、職員のメンタルケアも重要であると思っております。聞くところによりますと、県ではメンタルヘルス関係の相談事業として、カウンセラーによるストレス相談や精神科医によるメンタルヘルス相談なども実施しているとのことですので、副知事答弁にありました所属長などによる職員への目配りに加えて、このような事業を積極的に利用してもらうことも含めて、様々な面から職員の綱紀粛正を図り、県民の信頼を取り戻していただくよう要望し、この質問は終わります。

 さて、次にIR誘致に関して質問をいたします。

 和歌山県が目指すIR、その収益のエンジンとなるカジノ産業について、世界の情勢を踏まえ、いま一度冷静に見てみますと、昨年発生した新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、いわゆるランド型カジノが世界中で一時閉鎖を余儀なくされるなど、大きな影響を受けたのは事実であろうと思います。

 こうした状況下にあっては、カジノ業界では、ランド型からオンラインを活用したビジネススタイルへの転換を加速させると私は認識しております。

 ただ、日本では、IR整備法並びにカジノ管理委員会の規則により、オンラインカジノは認められていないため、こうした世界のカジノ産業の潮流を和歌山IRに取り込むことはできないわけでございますが、常に世界のカジノ産業の動向に目を光らせ、巨額の投資に伴うIRという事業が、破綻することなく40年の長きにわたり本県の発展に資することは本当に可能であるのかどうか、いま一度よく考える必要があると感じているところでございます。

 今後、県は区域整備計画の作成に全力を挙げて取り組まれることと思いますが、そもそもIRは民設民営で行われる大事業でありますから、世界のカジノを含むIR産業の動向や未来像、また、産業としての課題をしっかりと見据えた上で、皆が納得できる優れた区域整備計画の完成を目指していただきたいと思っております。

 そのような観点も踏まえながら、今回はIR誘致に関する現状において、私が感じた懸念について質問したいと思います。

 去る11月19日に、IR対策特別委員会が開催され、県当局並びにクレアベストニームベンチャーズ株式会社から、区域整備計画の原案の説明がございました。しかしながら、計画において最も重要である事業実施体制や資金調達先については、現状開示することはできず、開示は1月末になるとの内容でございました。

 これを受けまして、IR対策特別委員会において、事業実施体制や資金調達先を開示した上で公聴会、パブリックコメントを行うべきであるという意見が出され、全会一致で採択されたことから、県当局は公聴会の開催並びにパブリックコメントの実施について、延期する旨を発表されました。

 委員会では、計画の内容そのものや計画づくりの進め方などについても様々な意見や懸念が示され、委員外議員として出席させていただいた私も、事業者の財務内容を明らかにするために、主体的に財務諸表を早急に提出することやオール和歌山の体制づくりという観点から質問させていただきましたが、今後クレアベストには、企業情報をより積極的に開示するなど、よりスピーディーな対応をお願いしたいと考えております。

 さて、その中で私はいささか問題があるのではないかと感じた事案がございました。委員会質疑の中で、「県職員が和歌山IRへの事業参画や協力を求め企業訪問した際、県議会議員が同席したことがあるか」、「それは県から依頼して行っているのか」という趣旨の質問がございまして、それを受けて県当局は「同席してもらったことが2度ほどある」、「区域整備計画を作成する段階において、日本を代表する大企業の力を借りたいということで、もともとその会社を知っている県議会議員に幹部を紹介してもらえないかと県から議員に依頼した」と御答弁されました。

 そこで質問です。

 この公務で企業訪問した際、県及び県議会議員は、どのようなことを依頼したのでしょうか。その依頼内容に出資や融資の要請は含まれていたのでしょうか。

 また、このように一部の県議会議員がIR推進室職員と共に企業訪問をするというのは、いささか行き過ぎた行動ではないのかと私は思っております。同席した県議会議員は誰でしょうか。県当局の見解と併せて、IR担当理事、お答えください。

○議長(森 礼子君) 理事田嶋久嗣君。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○理事(田嶋久嗣君) 最初に申し上げますが、議員御質問にございました一部の県議会議員の方から、以前から本県へのIR誘致について情報の提供をいただいたことはございますが、当該議員に対して、ほかの県議会議員にお示ししていない区域整備計画に関する秘匿情報を県から提供したということはございません。

 それでは、まず、御質問の企業訪問の背景について御説明いたします。

 和歌山県がIR事業の優先権者として選定したのは、クレアベストニームベンチャーズ株式会社とクレアベストグループインコーポレーテッドのコンソーシアムですが、このコンソーシアムから提出された提案審査書類には、将来のコンソーシアム構成員やMICE施設、宿泊施設などの中核施設の運営などを担う協力企業、資金調達先候補の金融機関が記載されていました。

 区域整備計画には、これらの企業、金融機関を明記しなければならないため、県からクレアベストに対して、これらの企業等のIR事業への参画を確実なものにするように求めていたところです。ところが、クレアベストから交渉がはかどっていないとの報告があったため、県が直接当該企業等から現状を聴取する必要があると考えておりました。

 その際に、それらの企業等とパイプを持っていた県議会議員から、当該企業の幹部社員と面談し、情報収集をしてくるとのお話をお聞きしましたので、県としても直接面談したいとの思いから同行をお願いし、現状について確認させていただきました。

 このような事情ですので、県議会議員とIR推進室職員が共に企業等を訪問したことは、行き過ぎた行動というわけではないものと考えております。

 訪問した際に、出資や融資の要請をしたかについてですが、提案審査書類に記載された将来のコンソーシアム構成員とは、クレアベストが和歌山県に優先権者として選定された場合、IR事業への出資を行う予定の企業ということですので、当該企業に対して予定どおりに出資する意向があるかについて確認を行いましたが、具体的な出資金額を示した要請は行っておりません。

 また、資金調達先候補の金融機関についても同様に、融資する意向があるかについて確認を行いましたが、具体的な融資金額を示した要請はしておりません。

 なお、同席した県議会議員は誰かとの御質問ですが、個々の議員の政治活動に関することですので、私から答弁することは控えさせていただきます。

○議長(森 礼子君) 林 隆一君。

  〔林 隆一君、登壇〕

○林 隆一君 理事、御答弁どうもありがとうございます。突っ込みどころ満載でございます。

 まず、審査機関の一員である議員が審査側につくということ自体、議会人として相当問題があるというふうに私は思っております。議会に対する背信行為であり、利益相反行為でもございます。そのことについて、理事、どうお考えでしょうか。

 それと、東京までIR推進室長を行かせた。それで、私が復命書を提出してほしいと言えば、この旅行命令簿(資料を示す)、この黒塗りの旅行命令簿、これはどこに誰が何を言ったか、何の話をしたか、全く分かりません。議員に秘密があると、あり得ないです。その県議会議員だけが情報を得ている、そういうことはあり得ない。おかしいんじゃないですか。

 誰と何を話したのか。今回、非常に重要なことだと、押さえておかなきゃならないことを公開しないと、議会に対する隠蔽ではないんでしょうか。理事はどういう主張をしているのか、また、監督責任はないのか。理事、お答えください。

○議長(森 礼子君) 理事。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○理事(田嶋久嗣君) まず、区域整備計画の議決をいただく議会の構成員である議員が、区域整備計画の作成に関与しているのではないかと、おかしいのではないかという御質問ですけども、当該議員は、従来和歌山県へのIR誘致を推進するというお立場から様々な活動を展開されてきておりました。その活動を通じてパイプを持ったIRの関連事業者、そことのパイプを生かして和歌山県のIR誘致について協力をいただいたということです。

 ただ、区域整備計画の中身そのものについて、冒頭申し上げましたように、他の県議会議員にお示ししていないことを当該議員にだけお知らせしたということはございません。

 そして、旅行命令簿が黒塗りになっているということでございますが、訪問した企業というのは、今後、区域整備計画の中で記載する企業になり得るということです。今、競争環境にございまして、従来申し上げておりますように、最終的に区域整備計画に掲載する段階では当該企業名を当然明記して明らかにしないといけないんですが、現時点では交渉中の段階でございまして、最終区域整備計画に掲載することになるのかどうかということを、企業とクレアベスト社との間で交渉しているところです。

 当該企業からも、今の時点で自分たちの名前というものを公表しないでほしいというふうにお伺いしておりますので、議員にお示しした旅行命令簿上も、行った先、職員が訪問した先というのは黒塗りにさせていただいたということでございます。

○議長(森 礼子君) 林 隆一君。

  〔林 隆一君、登壇〕

○林 隆一君 復命書がないのはなぜかということについてお答えしてもらっていないんですが、それはどういうことでしょうか、お答えください。

 なぜ公開しないのか。担当職員に聞いたら、「ない」と。そうすれば、理事はどこで誰と何を話したかの確認もできない、そのような状況ではないんでしょうか、お答えください。

○議長(森 礼子君) 理事。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○理事(田嶋久嗣君) 復命につきましては、どこに行ったかということは旅行命令簿上分かるんですけども、そこでどういうお話だったかということは口頭で復命を受けております。

○議長(森 礼子君) 林 隆一君。

  〔林 隆一君、登壇〕

○林 隆一君 確認に行ったと言うんであれば、復命書がなければ言うた言わないの話になるし、証拠がないと、そういうことにもなりかねないという状況です。何を議会に隠蔽しようとしているのか、その辺も考えていただきたいと思います。

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━━━━━━━━━━━(発言する者あり)

○議長(森 礼子君) 理事。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○理事(田嶋久嗣君) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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━━━━━━━━━━━(「議事進行」と呼ぶ者あり)

○議長(森 礼子君) 26番多田純一君。

○多田純一君 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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○議長(森 礼子君) この際、暫時休憩いたします。

  午後1時53分休憩

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  午後4時20分再開

○議長(森 礼子君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 この際、申し上げます。

 林隆一君から、先ほどの会議における同君の発言について、一部取り消したい旨の申出がありました。

 お諮りいたします。この申出を許可することに御異議ございませんか。

  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(森 礼子君) 御異議なしと認めます。よって、同君の申出を許可することに決定いたしました。

 林隆一君から発言を求められておりますので、許可いたします。

 35番林 隆一君。

  〔林 隆一君、登壇〕

○林 隆一君 本日の一般質問における私の発言に不適切な発言がございました。おわび申し上げます。

○議長(森 礼子君) この際、本日の会議時間は、都合によりあらかじめ延長いたします。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 35番林 隆一君。

  〔林 隆一君、登壇〕

○林 隆一君 それでは、続行させていただきます。

 議員が融資機関等への融資をあっせんすることについては貸金業法違反になると思いますが、いかがでしょうか。お答えください。

○議長(森 礼子君) 理事。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○理事(田嶋久嗣君) 貸金業法で禁じられているのは、登録なくお金を貸し付けること、登録なくお金を貸し付ける仲介をすることを業として行うものです。だから、業という形態でなければ、貸金業法に違反するということはないものと考えております。

○議長(森 礼子君) 林 隆一君。

  〔林 隆一君、登壇〕

○林 隆一君 答弁いただきました。

 ただ、貸金業法違反云々というのは、あっせんすることだけでも罪に問われることが、違反ということになりかねないと。例えば、住宅ローンのあっせんとか、そういうのはいっぱいあるんですけど、そういうのも貸金業法違反に問われることがあると、お金の有無とは関係なしに問われることがあるということを一言申し添えておきます。

 そうしたら、もう時間が5分ぐらいしかないので、そしたら、刑事事件とか民事事件になる可能性があるというのは、先ほど申し上げましたように、貸金業法違反とか、もしくは県内事業者の方に出資や融資を要請した場合、出資法違反に問われる可能性があるんですね。ですから、そういう事態にならないよう細心の注意が必要なわけなんですけれど、理事、知事もそうなんですけれど、今回特別委員会を設置してなかなか進まないというのは、やはり議会に対して公開不足であると。なかなか公開してもらえないと。ですから、議員の皆様が疑心暗鬼になっていると。大丈夫かなと。この会社、大丈夫かなと。県の職員さん、一生懸命されているかもしれないんですが、大丈夫かなと疑心暗鬼になっているところがあると思います。

 ですから、全て、1人の議員に公開するとかそういうのではなくて、議会にやはり共有できるような、全て議会に公開し、明らかにするということが一番大切であるというふうに思います。復命書の中身を聞かれて答えられないとか、ますます不信感が募るばかりだというふうに思います。

 ですから、さきの9月議会におきまして、吉井先輩議員から、この事業に参加をしたいのであれば、県内企業の皆様に1億円出しなさいとか、そういうことを言っていることをこのまま放置しているのであれば、知事に対しても政治責任が発生するだろうということを述べられております。私も、当然知事に政治的責任があると思います。ですから、知事がリーダーシップを持って全て公開するように理事及び職員に指示をしていただければ、そういうふうに思います。

 以上で、私の一般質問を終了いたします。御清聴いただきありがとうございました。(拍手)

○議長(森 礼子君) 以上で、林隆一君の質問が終了いたしました。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 41番尾﨑太郎君。

  〔尾﨑太郎君、登壇〕(拍手)

○尾﨑太郎君 令和3年、最後の一般質問となります。

 一時はどうなるかと随分心配したコロナ禍も落ち着きを見せ始めまして、やれやれと思ったのもつかの間、オミクロン株なる聞き慣れない変異株の出現で、やれやれとはなかなかいきませんが、今回はせめて少し夢のある質問にして、幾つかの提案をしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 本年10月に総務委員会の県内視察で、新宮市の重要文化財である旧西村家住宅を見学する機会を得ました。この家は、新宮市の名誉市民であり、大正時代を代表する文化人である西村伊作が大正3年(1914年)に、欧米の滞在経験から強い影響を受け、自ら構想し、建てたものです。

 それまでの日本家屋は、私の子供の頃でもまだそうであって、応接を第一に考えて造られていましたが、西村は家族の団らんを中心とした考え方に基づき、家を設計しています。その間取りは、現代でこそよく見られるものではありますが、昭和の終わり頃の家と比べても格段に先進的と言えるものです。驚くべきことには、屋根裏の貯水槽からボイラーを通して給湯する設備、水洗トイレ、浄化槽まで兼ね備えています。

 私は、昭和40年の生まれで和歌山市で育ちましたが、小学校に入るまでは、お風呂はおがくずでたいていましたし、トイレは水洗ではありませんでした。

 西村伊作はまた、大正10年(1921年)には、東京・神田駿河台に文化学院を創設します。「国の学校令によらない自由で独創的な学校」という理念の下に、開校当初は女子生徒のみでしたが、後に我が国で初めての男女共学を実施、感性豊かな人間を育てることを目指しました。

 例によって校舎の設計は西村自身が行い、イギリスのコテージのような建物になりました。残念なことに関東大震災で全焼しますが、再建されています。

 教師陣も豪華けんらんです。西村の文化人としての面目躍如、その幅広い交流から、日本で最も有名な展覧会とも言える二科展を主催する仁科会の創立者の一人である洋画家山下新太郎、水彩画家の棟方志功、特に親しく付き合っていた与謝野鉄幹・晶子夫妻、ノーベル文学賞の川端康成、西村と同じく新宮市名誉市民となる佐藤春夫や芥川龍之介、文芸評論は小林秀雄も担当しました。

 政治学、法律学、哲学の分野でも、「平和というものは、われわれが平和の歌を歌っていればそれで守られるというものではない。いわゆる平和憲法だけで平和が保証されるなら、ついでに台風の襲来も、憲法で禁止しておいた方がよかったかも知れない」と、戦後、その著書「敢えて言う」の中で述べることになる田中美知太郎、天皇機関説を唱えた美濃部達吉、結果の民主性を求める民本主義を主張した吉野作造ら、当代一流と言われる学者たちが講義をしています。

 これほどの学校を国の補助金に頼ることなく、運営は自らの資金で賄っていたそうですから、教育にかける情熱もさることながら、その財力のすごさにも驚かされます。日大の理事は、この話を聞けば、穴があったら入りたくなるどころか、入った穴から出てこられないのではないでしょうか。

 当時としては、とてつもない経済力と進取の気性、博愛の精神を育んだ新宮の地、その源泉とは何なのでしょうか。

 新宮の地を訪れながら、私は昨年読んだ柳広司さんが書いた「太平洋食堂」という本を思い出していました。この本の主人公は、明治の大逆事件に連座し死刑となった大石誠之助です。

 今、高校生が習う日本史の最もスタンダードな教科書である山川出版の「詳説日本史」は、この事件を次のように記述しています。「第2次桂内閣は、天皇暗殺を計画して爆弾を製造した社会主義運動家を捕らえたのをきっかけに、全国で数百名の社会主義者・無政府主義者を検挙し、うち幸徳秋水ら26名を大逆罪で起訴した。翌年、26名全員が有罪判決を受け、うち12名が死刑を執行されたが、その多くは暗殺計画に直接関与してはいなかった」。

 2018年、新宮市議会は、大石を新宮市名誉市民とする決議をします。この本は、新宮市議会が代表する新宮市民の思いが詰まった物語だと言えます。

 大石誠之助は、慶応3年(1867年)、大政奉還が行われた1か月後に、3男2女の末っ子として新宮仲之町に生まれました。22歳で渡米、オレゴン州立大学を卒業後、カナダのモントリオール大学で医学を学びました。明治28年、ふるさとに帰った誠之助は医院を開業しますが、3年後、インド・ボンベイ大学で伝染病の研究をしながら、医師として働きました。明治34年(1901年)、帰朝すると、兄嫁の実家の援助により、速玉神社門前船町で再び医院を開業することになります。

 13歳年上の大石家の長兄である兄の名は余平、北山一帯の山林を所有する大資産家、西村家の一人娘、冬と結婚しますが、キリスト教徒として熱心に伝道にいそしみます。新宮キリスト教教会も彼が建てたものです。

 明治24年(1891年)、余平は伝道先で濃尾地震に遭遇、夫婦共々命を落とします。ですから、誠之助が医院を開業したときには、兄余平も兄嫁の冬もこの世にはいませんでした。

 この夫婦の子供、誠之助のおいが西村伊作なんです。ちなみに「伊作」は、父余平が聖書の「イサク」から取った名前です。

 誠之助が活躍した明治時代、新宮はどんなまちであったのでしょう。柳広司の筆を借りますと、「なるほど東京からは遠い。が、まるきりいなかというわけではなく、たとえば電柱や電線が町中にはりめぐらされていて、暗くなるとあちらこちらの家に電灯がともる様は、横浜や大阪と比べても遜色がない」、「新宮の人たちからは、ハワイやアメリカ、シンガポール、マレイ、豪州といった単語がぽんぽんと出てくる。彼らはあたかも隣町に行くような気軽さで海を渡って外国に出掛けていく」。

 熊野川河口に位置し、紀伊山地の豊かな材木の集積地ではあるが、かといって、最近急に金回りがよくなった、いわゆる成金町の雰囲気でもない。紀伊半島の先端近く、太平洋に面した場所に忽然と現れる新宮のまちを、幸徳秋水と親交のあった人々は「紀州・新宮はあたかも竜宮の城」と語っていたそうです。

 東京から来た若い者がおとぎ話の理想郷に例えるまち、新宮。古くは平安時代に熊野三山の一つとして、天皇、上皇、女官たちが競うようにこの地を訪れていました。京都から熊野へは、紀伊半島の西岸は危険な海岸線が続いているため、専ら徒歩でした。京都のお公家さんたちは険峻な道を通り、山越えをして熊野詣を果たしています。

 室町末から江戸初期にかけて、庶民の熊野詣はピークを迎えます。全国各地からの参拝客が熊野を歩き回っていました。日本─ポルトガル語辞典には「アリノクマノマイリ」という言葉が載っていますが、アリは昆虫のアリです。アリの群れのように参拝に訪れる人々に、当時日本を訪れていた外国人もさぞや驚いたことでしょう。

 幸徳秋水らが創刊した日刊「平民新聞」には、「新宮は戸数三千五百、二個の新聞あり、中学校あり、区裁判所あり、電灯あり、紀南の天地に於ける中央都会を成している」とあります。

 開放的で開明的、活気に満ちた新宮で、誠之助の医院が掲げた方針は、「貧しい人々からはお金は取らない。その分金持ちから多めに取る」で、地元の人たちからは「ドクトルさん」「ひげのドクトルさん」と呼ばれ親しまれていました。

 医院の経営も軌道に乗った頃、誠之助は自ら図面を引き、大工、左官仕事まで自分で手がけ、医院の向かいに太平洋食堂を建てます。食堂の看板のマークは、おいの伊作の作です。この食堂、パシフィック・リフレッシュメント・ルームは、正確には食堂ではありません。誠之助によれば、「一々西洋風簡易生活法の研究を目安とし、中に新聞・雑誌の縦覧所、簡易なる楽器、室内遊戯の器具などを置き、青年のため清潔なる娯楽と飲食の場所を設けるに努めつつあります」とあり、庶民のサロンのようなものを目指していたようです。

 小説の中では、誠之助が喜々として自慢の西洋料理を近所の子供たちに振る舞う場面が出てきます。見たこともないような西洋料理を頬張る子供たちの姿が目に浮かびます。また、ここで誠之助は、貧しい人々に無料食事会を開催していました。これも今に言うこども食堂を100年以上先取りした取組でしょう。

 このような誠之助の行動に、明治23年(1890年)からの5年間のアメリカ滞在の経験が影響を及ぼしたのは間違いありません。誠之助の手帳には、「米国には日本の旦那衆の如く横柄な者はなく、また日本の奉公人の如く不自由な者はいない。米国の人々が人種の異同によって信義を異にせぬのは驚くべきほどである」とあります。

 今日のアメリカの姿からは考えられませんが、保守主義の古典の一つである「アメリカン・デモクラシー」の中で、革命後に生まれたフランス人であるトクヴィルは、「アメリカはデモクラシーの最も発達した国であり、デモクラシーこそ人類の共通の未来である以上、アメリカはフランスの未来である」と1831年当時のアメリカを描写しています。

 「道徳の支配なくして自由の支配を打ち立てることはできない。信仰なくして道徳に根を張らすことはできない」、これは「アメリカン・デモクラシー」の序文にある言葉ですが、これぞ保守の真髄とも言えるものです。

 保守とは、理性の暴走を警戒する姿勢のことですが、地域社会に根を張り、職業を全うし、隣人とよき関係を築き、困っている人を見ればとにかく助ける。大石誠之助の生き方に、保守を標榜する私が感銘を受けても不思議はないのです。もちろん、彼の政治的主張と私のそれとは全く相入れるものではありませんが、一個の人格として彼を尊敬することにやぶさかではないのです。

 「太平洋食堂」、誠之助は太平洋のような人であったのでしょう。おおらかで温かく、世界中に開かれ、誰をも受け入れる。

 帝国主義が世界を覆っていた時代、太平洋食堂を開いた誠之助は刑場の露と消え、平和の海、パシフィックオーシャン、太平洋は日米の戦争の舞台となりました。

 図らずもこの視察では、田辺市新庄町の特攻艇震洋の基地跡も見学しました。沖縄にこの特攻兵器が配備されていたことは知っていましたが、不勉強なことに、最近まで和歌山の海で特攻が計画されていたことは知りませんでした。戦争ですから軍人が戦闘で死ぬのは致し方ありませんが、あのような粗末な兵器で特攻するなど、もはや軍事作戦とは呼べません。出撃はしなかったので、それがせめてもの救いでした。

 物語は、昔太平洋食堂で誠之助の手料理に舌鼓を打ち、長じて写真家となった好文が、誠之助が心配していたとおり焼け野原になってしまった東京からふるさと新宮に戻り、幼なじみたちと一緒に、年に1度の御船祭、速玉神社の定例祭に出かけるシーンで幕を閉じます。

 かつて和歌山は、太平洋によって世界に開かれていました。太平洋を通して世界との交易は、和歌山に豊かさと文化をもたらしました。また、太平洋の黒潮は魚介類の源であり、気候を温暖にし、日本一のかんきつ類を育てます。和歌山は、まさに太平洋の恵みであったのです。「太平洋食堂」、ぜひ御一読をお勧めします。

 総務委員会視察の2日目は、すさみ町の道の駅を見学しました。

 太平洋は、また時に荒神となり、災いをもたらしました。道の駅すさみは、令和3年6月に、「防災道の駅」39駅として全国で初めて選定されました。非常用発電機、防災倉庫、給水施設、防災トイレを完備し、駐車場は、災害時にはヘリポートとして利用されます。備えあれば憂いなしではありますが、守りだけではなく、すさみ町は、また南紀熊野スーパーシティ構想の実現に向けて、攻めの姿勢も忘れてはいません。

 スーパーシティ構想とは、先端技術の実現に必要となる規制改革を同時、一括、迅速に進める制度で、生活全般にまたがる幅広い領域で先端技術を社会実装し、2030年頃実現され得る未来社会を、住民参画の下、加速実現するものとされています。

 すさみ町も新宮と同じく、太平洋により開け、交易の拠点となって栄えたまちでありました。今は岩田町長いわく、消滅可能性上位の過疎の町ですが、さすがあまたの移民を輩出したチャレンジスピリットは健在で、山積する課題を逆手に取り、規制緩和と先端技術の導入で住民が抱える社会的課題を解決し、すさみ町を未来都市とすべく、町を挙げて本構想に取り組んでおられると聞いております。ピンチをチャンスに変えようとする前向きな姿勢に敬意を表したいと思います。

 少し前には、すさみ町名物ケンケン鰹がドローンで空輸される様子が放映されていました。随分反響があったようですが、先日もおにぎりをドローンで届ける様子の放映がありました。いずれもスマートシティのモデル事業として実施されたものですが、スーパーシティ構想につながる試みとして注目されているところです。かつては海路の交易の拠点であったすさみが、ドローンによる空路の拠点になる日が来るかもしれません。

 本構想には、南紀白浜エアポートの岡田社長がアーキテクトとして参加されています。以前、IR事業者の方と意見交換をしたときに、白浜空港のポテンシャルの高さを力説されていました。空港から市街地までの距離が極めて近いこと、近年需要が高まってきているビジネスジェットの格納庫を確保できる土地があること、通関から僅かな時間で高速道路に乗れること、実際関空から車でIRまでかかる時間と、白浜空港から車でIRまでかかる時間はほぼ変わらないであろうこと等々、この空港は世界のカジノ立地場所にある空港と比べても、非常に利用価値が高いと評価していました。

 南紀熊野スーパーシティ構想に参画している事業者の方から面白い提案をいただきました。白浜空港をプロデュースして、もっと和歌山を世界に知ってもらう一案として、姉妹空港というのはどうでしょうかというものです。壮大なスケールではありますが、太平洋の対岸、アメリカのカリフォルニア州にロングビーチ空港があります。IRのメッカ、ラスベガスへの西海岸の玄関口としても知られています。

 太平洋の東と西、共にビーチに面し、IRへのアクセスを担う空港としての共通点はあります。もっともロングビーチ空港は滑走路が3本もあり、規模の点では随分お姉さんですが、ロングビーチ空港側では検討の用意があるそうです。姉妹都市、姉妹港というのは聞きますが、姉妹空港はあまり聞いたことがありません。一考に値するのではないでしょうか。

 さて、新宮、すさみ、白浜と太平洋に面した紀伊半島を回り北上してきましたが、いよいよ我が和歌山市のことを語りたいと思います。

 コロナ禍前には、加太の友ヶ島に年間3万人もの観光客が訪れていました。私が明石のタイよりも絶対においしいと思う加太のタイや淡島神社も、これほど人を引きつけはしません。スタジオジブリのアニメ「天空の城ラピュタ」をほうふつさせると言われるだけで、特にきれいとも思われない島に観光客が押し寄せます。いわゆる聖地巡礼です。

 砲台跡と弾薬庫に物語が加われば、これほどの観光資源に生まれ変わることができる。物語、ストーリーを生み出す創造力はどこから来るのでしょう。

 新規出版物におけるフィクションの割合は、世界的には通常10から15%程度ですが、我が国では、新規出版物のおよそ30%がフィクションです。そもそも1人当たりの出版物の量もアメリカの3倍もあるのですから、いかに我が国が物語を創作しているのかが分かります。中でも漫画の質と量は、他国を全く寄せつけはしません。

 私の子供の頃は、週刊ジャンプやマガジンの発売日が待ち遠しく思ったものですが、幾つもの漫画が載っている週刊漫画雑誌そのものが諸外国にはほとんど存在していませんし、そもそも漫画がビジネスとして成立している国もほとんどなく、日本、アメリカ、フランス、韓国、そして最近ではチャイナぐらいです。しかし、いずれも市場としての規模は、我が国に遠く及びません。

 最近は、スマホで漫画を読むことも多くなりましたが、手塚治虫から最近の「鬼滅の刃」の吾峠呼世晴に至るまで、我が国の漫画は常に出版界の中心であり続けました。例えば、アメリカのコミック市場は100億円から150億円程度ですが、日本では、漫画の市場は5000億円もあります。

 漫画は、若者がペン1本あればのし上がっていける数少ないジャパニーズドリームを体現できる分野で、才能ある若い者がどんどん参入し、切磋琢磨するので、作画のレベルは言うに及ばす、ストーリーも百花繚乱、オリジナリティーにあふれ、独特の作品世界をつくり上げているものも多くあります。この点、勧善懲悪一本やりのアメコミとは一線を画しています。

 漫画はコミックとは全く違う、まさに英訳でも「MANGA」としか言えない日本文化そのものであると言えます。このジャパンユニークな漫画を生み出す源泉は、日本の多様性にこそあると考えられます。

 かつて太地町に住み、捕鯨をテーマとした「勇魚」という小説を物にしたC.W.ニコルさんは自然愛好家としても有名ですが、世界中の自然に接してきた経験から、「世界で最も生物の多様性に富んだ風土を持つのは日本である」と述べています。

 また、日本には宗教的なタブーはありません。チャイナのような政治的な表現に対する圧力もありません。自由自在に創造力を飛翔させることができます。最近、LGBTなる言葉が出てきましたが、平安時代から同性愛の物語などありふれたものでした。

 縄文土器や土偶には既に物語性が備わっていますが、世界最古の国である我が国は、あらゆる歴史を経験しています。そして、象形文字である漢字と表音文字である平仮名、片仮名を組み合わせることで、極めて多様な表現を可能とする日本語。それら全てが漫画の創作を支えています。ですから、漫画は日本文化の粋であり、容易に他国がまねできるものではありません。

 株式の時価総額ランキングを見ると、バブルの絶頂であった1989年には、トップテンに七つも日本企業が入り、エクソンモービル、ゼネラル・エレクトリック等が続いていました。日本企業のうち五つは都市銀行でしたが、今や一つも単体では残ってはいません。2019年では、日本企業は影も形もなく、いわゆるGAFAとチャイナのアリババ、テンセント等がランクインしています。何とGAFAの時価総額は、日本企業全部の時価総額を上回っています。

 銀行が資金調達の主役を担い、製造業が世界経済を牽引していた構造は、この30年で大きく変わりました。かつて世界一であった我が国の国際競争力も低下の一途をたどり、ジャパン・アズ・ナンバーワンも今は昔、今や25位近辺をうろうろしている始末です。

 しかし、我が国も手をこまねいていたばかりではありません。2001年には、経済産業省に文化情報関連産業課(メディア・コンテンツ課)が設置され、翌年には、いわゆるコンテンツ推進法が公布されます。そして、2012年、第2次安倍内閣でクールジャパン戦略担当大臣が設置され、2016年には本県選出の鶴保庸介参議院議員が就任されました。クールジャパンの推進は、国の成長戦略であると位置づけられています。

 GDP、国民総生産は国民総支出でもあります。農林水産業も製造業も、国民経済にとって不可欠なものではありますが、国民がそれらに支出する割合は年々低下しています。先進諸国では、国民経済の主役はサービス業に移っていき、その割合はますます高まっていきます。

 今や経済は生産主導から消費主導へ、供給が需要を生むとするセイの法則はもはや成り立ちません。そして、消費は「モノ」から「コト」へ、ソフトコンテンツへと向かっていきます。

 観光は、「コト」の中でもとりわけ成長が期待できる分野です。我が国では、さきに述べたアリノクマノマイリをはじめ、おかげ参りと言われた伊勢神宮への集団参拝などは庶民の観光ツアーであり、人口が3000万人に満たない江戸時代に300万人以上の参詣者があったとの記録が残っています。おかげ参りの年以外の年でも、伊勢神宮へはかなりの安定した参詣客があり、旅行代理店兼宿泊業者の御師と呼ばれる業者もあり、一大産業となっていました。熊野や伊勢は、観光業の視点から見れば、まさにコンテンツでありました。

 政府は、ビジット・ジャパン・キャンペーンにおいて、2030年に6000万人の訪日観光客数を目標にしています。その一助として、IR推進法第1条には、「この法律は、特定複合観光施設区域の整備の推進が、観光及び地域経済の振興に寄与するとともに、財政の改善に資するものであることに鑑み」とあり、観光への寄与が第一の目的となっています。

 カジノゲーミングはもちろん魅力的なコンテンツではありますが、IR整備法では、第2条1項で、1、国際会議場施設、2、展示等施設、3、魅力増進施設、4、送客施設、5、宿泊施設から構成される一群の施設であって、民間事業者により一体として設置及び運営されることが要件とされるとともに、6、その他観光旅客の来訪及び滞在の促進に寄与する施設、アミューズメントパークやスポーツ施設等もこれらと一体的に設置及び運営される場合には、これをIR施設の中に含めることができると定めています。

 1から5までの施設を整備することは必須の要件ですが、問題はどのように各施設を運営するのか、魅力あるコンテンツを用意できるのかであります。

 例えば魅力増進施設は、日本の伝統、文化、芸術等を生かした公演、その他の活動を行うことにより、日本の観光の魅力の増進に資する劇場、演芸場、音楽堂、競技場、映画館、博物館、美術館、レストランその他の施設であることが要件とされています。(IR整備法施行令第3条)。

 先日、IR対策特別委員会で計画原案の説明を受けました。まだ原案とのことで、最終的にどうなるかは分かりませんが、何となく取ってつけた感が拭えません。外国人が作った日本を舞台にした映画を見ているような気がするのです。あるいは、外国人をターゲットにしているので、それでよいのかもしれません。

 しかし、るる述べましたように、漫画は日本文化そのものであり、サブカルチャーどころではありません。できれば、和歌山IRのコンテンツに漫画を取り入れることはできないものかと思うのです。著作権の問題もあり、一筋縄ではいかないことは承知していますが、横浜市のIR予定地であった山下埠頭にガンダムが出現したのを見て、ますますその意を強くしました。

 また、その他観光客の来訪及び滞在の促進に寄与する施設として、これは必ずしも整備を必要とはされていないものですが、eスポーツ施設に関する説明もありました。

 eスポーツとは、複数で競い合う、言わばテレビゲームであり、ゲームの分野は任天堂、ソニーが牽引して市場を開拓してきました。一時は海外でも任天堂がゲームの代名詞として使われるほどでした。スマホの登場で、様相は一変してしまいましたが、市場規模は毎年拡大をし続け、2021年には世界のゲーム市場は20兆円に迫り、エンターテインメントの雄、映画業界の3倍以上の規模となっています。日本でも2兆円の市場に育ってきています。

 既に我が国でも、プロ野球選手ならぬプロゲーム選手も誕生しており、一般社団法人日本eスポーツ連合は、プロライセンスを発行しています。国際大会も盛んで、アジア版オリンピックであるアジア競技大会の正式種目でもあり、コロナ禍前の2019年、ニューヨークで開催されたフォートナイト・ワールド・カップの賞金総額は何と3000万ドル、約33億円でした。全世界でゲームのプレーヤーは、2023年には30億人を突破すると推計されています。ちなみにフォートナイトは、アメリカのエピックゲーム社の開発したゲームです。

 決して順調とは言えない日本経済の中にあって、1人年率10%もの成長を続けるゲーム産業をIRに取り込むことには大賛成で、大いに期待したいと思いますが、ここでもできれば日本色を出していきたいところです。ぜひ日本の企業ともタイアップして、和歌山IR発のeスポーツの新種目を開発し、和歌山IRが野球における甲子園、ラグビーの花園のようなeスポーツの聖地となればと願いますが、夢は膨らみます。

 和歌山市の名誉市民、松下幸之助は、かつて「文芸春秋」に「日本の富の一番大きなものは何かというと、日本の景観美だ。日本の自然の美しさとは世界の1位、2位である。多くの外国人観光客を呼び込むことは、国土の平和にもつながる。観光省を設立すべきだ」と書きました。

 長い人類の歴史の中で、何度もパンデミックは繰り返されましたが、その都度、人類はこれを克服し、繁栄してきました。コロナ禍もいずれは終息し、平穏な日常が戻るでしょう。

 和歌山IRには、キラーコンテンツとなり得る漫画やコスプレ等を取り入れ、漫画とコラボしたゲームやeスポーツをぜひ御検討いただければと思います。そのとき、和歌山はすばらしい自然、景観、豊かな歴史、食材等を観光業のコンテンツに昇華させ、食事や各種エンターテインメントを融合させて、文字どおり「Integrated Resort」としてにぎわいを創出し、世界中の、日本中の人々を、男性も女性も、大人も青年も子供も魅了する、みんなが楽しめる舞台となっていくことでしょう。

 そこでお尋ねします。

 和歌山は、かつて太平洋によって開かれ、繁栄した土地でした。和歌山のブランディングに太平洋を使うのはどうでしょう。太平洋の平和で穏やかで、豊かで開かれた何者も抱擁するようなイメージ。

 例えば、串本のロケットの愛称は、太平洋ロケットはどうでしょう。南紀白浜空港は太平洋白浜空港なら、外国人にもイメージが湧くのでは。そして、太平洋IR。また、「食堂」の「堂」を「道」と置き換え、半島を縦横に走る食の道「太平洋食道」として食材の宝庫和歌山をアピールしても面白いかもしれません。

 知事に、和歌山県のブランディングについての御所見をお伺いします。

 かつて太平洋によって開かれ、繁栄したすさみ町は、今、スーパーシティを目指し、チャレンジしています。ぜひ応援したいところですが、国の認定スケジュールに変更があったと伺っています。

 スーパーシティ構想のこれまでの経緯と今後の見通し、また、県の取組姿勢について、企画部長にお尋ねします。

 大きなポテンシャルを秘めた南紀白浜空港は、コンセッションにより様々な工夫がなされ、和歌山のゲートウエーとしての役割は今後ますます高まっていくと予想されます。また、IRの誘致に成功すれば、いよいよ外国便の定期就航も視野に入ってくるのではないでしょうか。もちろん白浜空港の現在の滑走路では、太平洋を横断する便の就航は不可能ですが、太平洋の両岸の空港が姉妹空港になるなんて、ロマンを感じさせる話ではあります。

 姉妹空港についての見解を、県土整備部長にお伺いします。

 以上お尋ねして、一般質問といたします。

○議長(森 礼子君) ただいまの尾﨑太郎君の質問に対する答弁を求めます。

 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 議員御指摘のとおり、ブランディングが重要というのはそのとおりだというふうに思います。しかし、和歌山に「太平洋和歌山」というブランディングをつけていくのは、ちょっとどうかなあというふうに私は思います。なぜならば、和歌山には、海、山、川など、豊かな自然景観や世界遺産、パンダや食など、一つの言葉で、一つのブランディング──そういう意味でのブランディングですね、言葉で言い表せないほどのすばらしい魅力が多方面にあるからであります。

 かつて私は、南紀白浜空港の愛称をパンダ空港にしようと提唱いたしまして、大反対に遭いました。反対の方は「パンダだけではないぞ」というふうにおっしゃるわけであります。当時は、パンダも今ほど、実は忘れられている、有名ではありませんでしたし、白浜空港もあんまりはやっておりませんでしたし、白浜温泉自体がすごい逆境にあったときでございますんで、それをブレークスルーするためにやってもよかったんじゃないかと今でも思うんでございますが、今はそれぞれみんな頑張っているので、その必要もあんまり感じてはおりません。

 ましてや、和歌山県を、当時ですら「パンダ県」というふうに言うのはやり過ぎだと私は思っております。他県を見ると同じようなことをやっておられるところがあると思いますが、あんまり賛成はいたしません。

 しかし、いろいろあるぞと言っても、いろいろあるぞ、だからいいんだと言って満足していると、和歌山のブランドが高まらないということは明らかだと思います。和歌山自体のブランド価値を高めて、和歌山自身が、議員御指摘の太平洋に匹敵するようなすばらしいキャッチーな言葉として、世界中の人が認識するようにならなきゃいけないというふうに思うわけであります。

 そのためには、ありとあらゆる場で、まず、それぞれのコンテンツについて、どんどん磨きをかけて発信をしながら、そのコンテンツはみんな和歌山なんですよと言って、和歌山との関連性のイメージづくりをしていかないといけないということではないかというふうに思います。

 一例を申し上げますと、既にブランド価値を持っている有田地方のある地域の、あるいはある農家のミカンがあります。その地域あるいは農家は、自分のところは大変ブランド価値が高まっているのでそれでいいのかもしれないんですが、和歌山全体の発展のためには、ぜひそういうところも、実はそれは有田みかんなんです、そして和歌山のミカンなんですということを教示してほしいとずうっと言い続けてまいりました。だんだんとそういうふうに箱などに書いていただけるようになっているわけであります。

 そういうふうに、それぞれのコンテンツに磨きをかけながら、それがみんな和歌山のブランド力を高めるようにしていきたいというふうに考えておりました。

 こういう努力は若干実を結んでおりまして、があがあ訴えたところもありますが、世界的旅行ガイドブックの「ロンリープラネット」のベスト・イン・トラベル2021、サステーナビリティー部門、和歌山がトップに選出されております。それから、「ミシュランガイド」も幾つかのグリーンガイドには三つ星で和歌山が載っておりますが、このたび、レッドガイドブックに和歌山が取り上げられるようになりました。このようなところも使いながら、和歌山というもののブランドイメージを高めていくということが大事だと私は思います。引き続き、国内外でアピールしてまいる所存でございます。

○議長(森 礼子君) 企画部長横山達伸君。

  〔横山達伸君、登壇〕

○企画部長(横山達伸君) スーパーシティについてお答えをいたします。

 スーパーシティ構想につきましては、当初、日本を代表するような最先端技術を用いた未来都市の実現を志向しておりましたが、政府が5か所程度を選定するとの方針を打ち出したことから、地方からも積極的な提案がなされました。

 県とすさみ町では、先端技術と規制改革により、急激な少子高齢化や過疎化に苦しむまちをよみがえらせる千載一遇のチャンスと捉え、36の連携事業者の協力を得て、南紀熊野スーパーシティ構想を取りまとめ、本年4月、国に提案をしたところです。

 同様に、全国では31もの提案があり、その後、国による審査が行われてきたところでございますが、8月6日に開催されたスーパーシティ型国家戦略特別区域の区域指定に関する専門調査会において、大胆な規制改革の提案が乏しいとされ、応募した全ての団体に対し、再提案を求めることとされました。

 これを受けまして、県及びすさみ町では、来訪者への住民による食事提供を可能とする食品衛生法の施設基準の緩和、移動手段を確保する自家用有償旅客運送制度の運賃制限の緩和、ワーケーション時の副業を促進する労働時間通算の特例規定創設といった規制改革を取りまとめて、10月に再提案を行ったところでございます。

 今後の見通しについてでございますが、区域指定の時期につきましては、野田聖子地方創生担当大臣の10月の会見では、今年中か来年にかかるとされているところです。

 県としましては、すさみ町のような急激な少子高齢化や過疎化に苦しむ地域こそ、最先端の技術や規制改革により、便利で暮らしやすいまちを実現する意味は大きく、スーパーシティとして区域指定がなされるべきと強く考えているところです。

 また、本構想による取組の成功は、すさみ町のみならず、県南部地域全体、そして全国の地方の未来を変える再生モデルになるものと確信しております。今後、国からスーパーシティの区域指定を受け、この構想を実現できるよう、すさみ町と共に全力を挙げて取り組んでまいります。

○議長(森 礼子君) 県土整備部長安部勝也君。

  〔安部勝也君、登壇〕

○県土整備部長(安部勝也君) 姉妹空港の見解についてお答えいたします。

 南紀白浜空港は、立地条件やアクセスのよさから非常に高いポテンシャルを持った空港であり、和歌山の観光、産業、文化交流の拠点として重要な役割を担っています。

 平成31年4月に、空港の運営を南紀白浜エアポート社に委ねて以来、社長の岡田氏が先頭に立ち、「空港型地方創生」をコンセプトに、航空ネットワークの拡充のみならず、すさみ町のスーパーシティの推進、自転車を活用した地域活性化、顔認証技術によるキャッシュレス決済の導入など、地域のポテンシャルを引き出す様々な取組を主導しています。

 県は、航空需要の回復、拡大のみならず、ビジネスジェットの需要といった多様なニーズにも対応できるよう、国際線ターミナルの整備や老朽化対策に合わせた既存駐機場の拡張など、空港基盤の機能強化を図ることで、空港運営をサポートしています。

 一方、議員御指摘のロングビーチ空港は、若者文化にあふれたビーチリゾートと都市が融合した港町、カリフォルニア州のロングビーチ市に位置し、全米でも有数の貨物量を誇る港湾や世界屈指の海浜保養地を背後に抱える空港です。

 南紀白浜空港の滑走路延長が2000メートルであるため、ロングビーチ空港との間に直行便を運航することはできませんが、姉妹空港提携により、背後にある歴史や文化、自然等を共有させることができます。その結果、世界に開かれた地として、和歌山県の魅力が高められ、互いのブランドイメージの向上と交流人口の増加につながるものと期待されます。

 つきましては、今後のさらなる飛躍に向け、南紀白浜エアポート社と共に、提携について検討してまいります。

○議長(森 礼子君) 答弁漏れはありませんか。

  〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(森 礼子君) 再質問を許します。

  〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(森 礼子君) 以上で、尾﨑太郎君の質問が終了いたしました。(拍手)

 お諮りいたします。質疑及び一般質問を終結することに御異議ございませんか。

  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(森 礼子君) 御異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問を終結いたします。

 次に日程第3、議案の付託について申し上げます。

 お手元に配付しております議案付託表のとおり、議案第141号及び議案第148号から議案第180号までは所管の常任委員会に付託いたします。

 お諮りいたします。12月14日及び15日は常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。

  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(森 礼子君) 御異議なしと認めます。よって、12月14日及び15日は休会とすることに決定いたしました。

 次会は、12月16日定刻より会議を開きます。

 本日は、これをもって散会いたします。

  午後5時13分散会

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