令和3年12月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)


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令和3年12月 和歌山県議会定例会会議録 第5号

議事日程 第5号

 令和3年12月10日(金曜日)

 午前10時開議

 第1 議案第141号及び議案第148号から議案第180号まで(質疑)

 第2 一般質問

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会議に付した事件

 第1 議案第141号及び議案第148号から議案第180号まで(質疑)

 第2 一般質問

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出席議員(42人)

 1番 鈴木德久

 2番 山家敏宏

 3番 中本浩精

 4番 堀 龍雄

 5番 藤山将材

 6番 岸本 健

 7番 井出益弘

 8番 宇治田栄蔵

 9番 北山慎一

 10番 玄素彰人

 11番 中西峰雄

 12番 秋月史成

 13番 森 礼子

 14番 濱口太史

 15番 尾崎要二

 16番 冨安民浩

 17番 川畑哲哉

 18番 玉木久登

 19番 鈴木太雄

 20番 岩田弘彦

 21番 吉井和視

 22番 谷 洋一

 23番 佐藤武治

 24番 岩井弘次

 25番 中 拓哉

 26番 多田純一

 27番 新島 雄

 28番 山下直也

 29番 中西 徹

 30番 谷口和樹

 31番 藤本眞利子

 32番 浦口高典

 33番 山田正彦

 34番 坂本 登

 35番 林 隆一

 36番 楠本文郎

 37番 高田由一

 38番 杉山俊雄

 39番 片桐章浩

 40番 奥村規子

 41番 尾﨑太郎

 42番 長坂隆司

欠席議員(なし)

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説明のため出席した者

 知事         仁坂吉伸

 副知事        下 宏

 理事         田嶋久嗣

 知事室長       赤坂武彦

 危機管理監      細川一也

 総務部長       吉村 顕

 企画部長       横山達伸

 環境生活部長     生駒 享

 福祉保健部長     志場紀之

 商工観光労働部長   寺本雅哉

 農林水産部長     岩本和也

 県土整備部長     安部勝也

 会計管理者      真田 昭

 教育長        宮﨑 泉

 公安委員会委員長   竹田純久

 警察本部長      遠藤 剛

 人事委員会委員長   平田健正

 代表監査委員     森田康友

 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫

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職務のため出席した事務局職員

 事務局長       出津野孝昭

 次長         中井 寛

 議事課長       山田修平

 議事課副課長     岩井紀生

 議事課課長補佐兼議事班長

            岩﨑 亮

 議事課主任      伊賀顕正

 議事課主査      菅野清久

 議事課主事      松本 悠

 総務課長       須田剛司

 政策調査課長     神川充夫

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  午前10時0分開議

○議長(森 礼子君) これより本日の会議を開きます。

 日程第1、議案第141号及び議案第148号から議案第180号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、併せて日程第2、一般質問を行います。

 42番長坂隆司君。

  〔長坂隆司君、登壇〕(拍手)

○長坂隆司君 皆さん、おはようございます。

 去る師走の1日、天皇皇后両陛下の長女、愛子様が二十歳の成年を迎えられ、皇后様は、昨日、58歳の誕生日を迎えられました。改めて、お誕生日をことほぎ、お祝いを申し上げますとともに、さらなる御安泰と皇室のいやさかを御祈念申し上げます。

 それでは、議長のお許しをいただきましたので、以下、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。

 一つ目に、南海本線紀ノ川橋梁についてであります。

 本年10月3日、紀の川に架かる六十谷水管橋の一部が崩落し、和歌山市北部の約6万世帯13万8000人もの方々が断水被害に遭いました。10月9日午前から順次給水が再開されたわけであります。

 専門家による調査によりますと、水管橋の残された部分のつり材に4か所の破断が確認されたことなどから、上部のアーチから水道管をつり下げるつり材の腐食、破断が崩落の要因の一つとしての認識で一致しました。この際に、和歌山市企業局がドローンで撮影した映像が示されたわけですが、常日頃から、目視だけでなく、ドローンによる調査が必要ではなかったかと思われるわけであります。

 ところで、南海本線紀ノ川橋梁でありますが、これまで何度となくこの議場で安全に対する懸念を訴えさせていただきました。上り線は、1903年(明治36年)に開通以来、今年で118年が経過、下り線は、1922年(大正11年)に竣工以来、今年で99歳であります。南海電鉄は、毎年、安全報告書でごく簡潔に安全性を強調しておられます。特に上り線側は三角形を構成するトラスの部材が交わる格点はピン結合で、引っ張り力しか働かない下弦材は両端に穴の空いたアイバーと呼ばれる板状の鋼材で、ピン結合もアイバーも緩みや破断のおそれがあることは前々から指摘されています。

 南海電気鉄道株式会社の窪田勇輝氏、小出泰弘氏と株式会社シーエス・インスペクター吉田育央氏の論文「南海本線紀ノ川橋梁での塗装足場を利用した詳細調査および減災対策の実施について」において、論者は、上部工の塗装工事を実施することになったことから、塗装工事の足場を利用した詳細調査(長寿命化)を全面的に実施した際の報告をされています。

 長寿命化対策として、一つ目に、特に腐食が顕著であり、また構造的にも重要であるピントラスの支承部及びピン結合部の一部について、延命化を目的として1種ケレン、すなわち鉄部の汚れやさび、旧塗膜を落とす作業を実施しました。二つ目に、ピントラス構造においては、斜材及び下弦材に用いられているアイバー及びピンが危険に至る要素となるので、アイバーの管理が非常に重要であり、従来振動数と格点部のキャンバー、すなわち橋梁につける上向きの反りの測定、応力測定を行っており、より精度よく、かつアイバー斜材全数の状態を把握すべく工事足場を用いた測定を実施したそうであります。

 その結果、一部のアイバーにおいて、経年劣化等により弛緩していると思われる箇所も存在しました。応力測定では、過去に他の橋梁において破断の事例が報告されているアイバーの首部付近にゲージを貼り付けて測定を行ったところ、耐荷性については問題ないとされ、耐久性についても打切り限界以下であると確認されたことから、現状では緊急性を要する箇所はないと判断されました。

 まとめとして、「今回の取り組みでは様々な調査や工事を行ったが、全ての自然災害や経年劣化に耐えうるものではない。そこで、列車運行の更なる安全性向上を目的とし、現在別の橋梁で研究開発中の橋梁異常検知システム(橋梁に異常が発生した際に即座に列車を停止させるシステム)を本橋梁にも適用すべく、検討を進めていく次第である」と結語されています。

 この調査に基づいて、南海電鉄は落橋防止対策工事や橋脚の補強などの安全対策工事を進めて、2018年度に上下線ともに工事が完了したと「安全報告書2021」には記載されています。ですから、南海電鉄側も紀ノ川橋梁は全ての自然災害や経年劣化に耐え得るものではないということを認めているわけであります。そして、橋梁の崩落、倒壊を防ぐには、日頃からいかにチェックが必要かということであります。

 六十谷水管橋のような崩落事故は、決して他人事ではないはずです。南海本線乗客何百人という人命に関わる問題です。

 そこで質問ですが、一つ目、上記で指摘させていただいたように、上部工については特にトラスの部材が交わる格点や下弦材であるアイバーは緩みや破断のおそれがあります。また、下部工においても衝撃振動試験や、減災対策として橋脚部に鋼棒を挿入する工事や深浅測量も実施されていて、先述の論文では、「水面下については過去には潜水夫による目視調査を実施したこともあったが、費用や協議に係る労力面から、近年では橋脚上から錘を垂らす方法により簡易に河床位置を測定している」とあります。その代わり、3次元測量を実施しているとのことですが、南海電鉄による当該調査と減災対策工事を終えた2018年度以降の調査点検について、企画部長にお伺いいたします。

○議長(森 礼子君) ただいまの長坂隆司君の質問に対する答弁を求めます。

 企画部長横山達伸君。

  〔横山達伸君、登壇〕

○企画部長(横山達伸君) 南海電鉄に確認をいたしましたところ、昨年、2年に1度の全般調査を実施するとともに、上部工につきましては、2018年から今年にかけて塗装工事を実施した際に、必要な箇所について、入念な近接目視と、トラスのうち特に劣化が懸念される一部の部材に対し応力測定を行ったとのことでございます。

 また、下部工については、通常の全般検査に加え、3次元測量を実施し、川底の形状や橋脚の根入れの深さを確認するとともに、衝撃振動試験を実施し、基礎の安定性や躯体の健全性を点検したとのことです。

 全般検査をはじめ様々な調査や点検を行った結果、施設の健全性が確認されたとの報告を受けております。

 とはいえ、議員御指摘のとおり、南海電鉄の橋梁、もし何か大きな事故がありますと多数の人命に関わる点がございます。私どもとしましても、南海電鉄から報告を受けるだけではなくて、今後、この報告書についてもよく県としても中身をお聞きしたり、あるいは県としてまた検証したりしながら万全を期すような対策を取っていきたいというふうに考えてございます。

 以上です。

○議長(森 礼子君) 長坂隆司君。

  〔長坂隆司君、登壇〕

○長坂隆司君 企画部長、ありがとうございます。

 とにかく上り線は築118年、下り線も築99年の超高齢橋であります。今回の水管橋のように、崩落前にさしたる地震や川の増水があったわけでなくて、それでも何らかの原因で突然崩落してしまうわけであります。

 南海本線紀ノ川橋梁は、乗客が減少傾向とはいえ、8両編成の大型列車が1時間に何本も往復している和歌山県民にとっても重要な公共交通機関であります。下部工についても、機械に頼るだけでなく、定期的な潜水夫による目視や映像撮影は必要不可欠だと思っております。念には念を入れて、今後も調査点検、そして安全対策工事をお願いしていただきたいと思います。

 2点目に、六十谷水管橋崩落事故を踏まえて、平素から目視だけでなく、小型無人機・ドローンによる部材の破断等の調査の必要性を痛感しました。

 六十谷水管橋の崩落については、つり材の腐食の原因の一つに鳥のふん害が指摘されています。南海電鉄は、通常の経年劣化を前提とした定期点検だけでなく、他の要因による劣化も含めて、ドローンや監視カメラ等によるふだんからの部材の連結・結合部分等、微に入り細に入った検査、調査が必要と考えますが、今後の対策について、企画部長にお伺いいたします。

○議長(森 礼子君) 企画部長。

  〔横山達伸君、登壇〕

○企画部長(横山達伸君) 南海電鉄に確認しましたところ、現在、通常の全般検査に加えて、高感度カメラで橋梁全体を遠隔で監視できるようにしているとのことでございます。

 また、ドローンを飛行させ、紀ノ川橋梁を空撮する点検を試験的に実施しており、今後、通常の目視点検に加えて実施することの有用性について検討していくとのことでございます。

 さらに、地震や大規模出水など非常時における対策として、橋脚の傾斜や沈下、桁の流出など、緊急性の高い橋梁の異常を検知すると、指令所や信号機を介して列車の乗務員に直ちに異常を知らせる橋梁異常検知システムの構築を現在進めておりまして、来年3月に完了する見込みと聞いてございます。

 先ほども申しましたとおり、今後も、引き続き南海電鉄と積極的に情報交換を行うとともに、県としても強い覚悟を持って安全性の確保を働きかけてまいりたいと考えております。

○議長(森 礼子君) 長坂隆司君。

  〔長坂隆司君、登壇〕

○長坂隆司君 橋の崩落の原因は経年劣化だけでとどまらないのではないかという懸念は、今回の水管橋崩落事故で強くなるばかりです。

 橋梁というのは、陸の連結部分から川の部分、そして陸の連結部分に至るまでに橋脚、橋桁、そして上弦材、下弦材、斜材から構成されるトラス部分等々たくさんの部位に分かれて結合されています。点検箇所は無尽蔵にあるはずです。ドローンによる点検や空撮は目視点検にとどまらず、定例的に実施していくべきだと思います。どうか引き続き、南海電鉄には、和歌山県民をはじめとする乗客の皆様の大切な命を預かっている公共交通機関であります。ですから、日頃からの安全対策を決して怠らぬよう、県当局のほうからもくれぐれもよろしく働きかけていただきたいとお願いを申し上げます。

 2点目に、県域を越えた広域的なサイクルツーリズムの振興についてであります。

 サイクルトレインについては、6月定例会での一般質問で鉄道各社への実施の呼びかけについてお願いをさせていただいて、おかげさまで、9月から11月末までJR紀勢線紀伊田辺から新宮駅間の普通列車で毎日実証実験をしていただき、今月からの本格的導入が決定しました。県当局とJR西日本の多大なる御理解と御尽力に感謝を申し上げさせていただきますとともに、他の区間、他の鉄道会社に対しましても引き続きお呼びかけをお願いできたらと要望させていただきます。

 さて、アワイチで全国的に知られる淡路島でのサイクリングですが、11月28日まで試験運航されていた深日洲本ライナーを利用して、時間の許す限り走ってみたいと常々思っておりました。

 思い立ったが吉日、去る11月20日土曜日、朝一番の出航便は既に定員いっぱいであったので、次便の10時30分深日港発に単身で乗船し、自転車の前輪だけ外して船上に固定をして載せていただきました。今までは加太から友ヶ島汽船に乗って、地ノ島・沖ノ島の友ヶ島を眺めていましたが、今回の乗船でさらに沖から沖ノ島、地ノ島から、釣り船の密度がさらに濃い淡路由良沖をじっくり鑑賞できて、感動を覚えました。

 帰りが16時25分洲本港発という大急ぎの輪行ではありましたが、好天の中、淡路島の東海岸から伊弉諾神宮経由、西海岸の多賀の浜海水浴場までの往復と、洲本港から由良までの往復を走ってまいりました。

 和歌山県の入り組んだ美しい海岸線を自転車で走る爽快さは何事にも代え難いものがありますが、不案内な土地でのサイクリングもいいものです。

 深日─淡路・四国連絡船航路は1949年に開通し、60年代に深日─洲本間、深日─徳島間でフェリー運航が始まりましたが、淡路島、四国へ橋が架かり始め、92年に深日─洲本間、翌年に深日─徳島間のフェリーが廃止、洲本港への高速艇も明石海峡大橋完成翌年の99年に廃止されました。深日─洲本間の定期航路復活を目指して深日洲本ライナーは2017年から2019年に期間限定で試験運航され、私の所属する和歌山サイクリング同好会WCCの方々もたくさん乗り込んで協力をさせていただきました。

 今年は6月26日土曜日からの試験運航の予定が、新型コロナのため、10月23日土曜日からに延期され、11月28日日曜日までの土日祝日に試験運航されました。

 私が乗船した便も満員で、自転車での乗客もたくさんおられました。岬町の松岡副町長も御家族で乗船されておられました。今回の利用状況は、運航14日間で2143人、うち自転車は462台で21.6%、1便当たり平均乗客者数は19.1人で乗船率は28.1%でした。今後も、引き続き岬町も洲本市と共に内閣府への航路再生の要望を続けていくとお聞きしました。

 かねてより岬町にすれば、和歌山は生活圏内であるし、本県と広域的なサイクリングの取組を一緒にしたいという希望を持っておられましたし、和歌山県にとっても、加太から大川峠を越えて海岸線を走り、岬町谷川から深日、そして淡輪からせんなん里海公園へと府県境を越えた快適なサイクリングルートがつながっていて、私も時折楽しませていただいています。

 もし深日洲本ライナーが復活すれば、淡路島から四国へ、そして神戸へとルートがつながり、手軽に観光もサイクリングも双方向で範囲が広がっていきます。深日港─洲本港航路は大阪湾をつなぐ!広域型サイクル・ツーリズム事業に位置づけられており、和歌山県も、大阪府、兵庫県、徳島県、和歌山市や岩出市をはじめとした近隣市町村、加えて関西広域連合と共に後援を行っています。

 深日港は、孝子峠を越えれば自転車でも自動車でもすぐに行けるところにあります。定員68名、自転車積載数最大31台の小型旅客船でありますが、双方向の広域観光、広域サイクリングの拡大に向けて、この深日洲本ライナーの復活、本格運航については、和歌山県からすれば淡路島からの乗船者を増やすことが課題であります。

 本県にもナショナルサイクルルートに指定された太平洋岸自転車道や紀の川サイクリングロード等々、淡路島一周のアワイチに負けず劣らずの魅力あるサイクリングコースがたくさんありますから、深日港からの和歌山県へのガイドツアーの開催や泉州を含めた和歌山県の観光周遊ツアーも期待できるのではないかと思います。

 また、和歌山市の和歌山港と徳島県の徳島港を結ぶ南海フェリーでは、二輪車──自転車、バイクは1船20台前後で、予約制ではなく、先着順での乗船と伺っています。自動車が混んでいなければ自転車も畳まずに乗船できます。

 以前、自転車&バイク(125cc未満)無料キャンペーンも実施されたことがありましたが、日頃、和歌山県内からだけでなく、大阪方面からも自転車のツーリング客は少なくないと伺っています。四国、特に徳島県から和歌山県への観光客やサイクリング客の呼び込みの取組も行っていただくとともに、南海フェリーの自転車の積載数も増やすべく、自動車の積載数を減じることなく、自転車(二輪車)を積載するための一定のスペースも確保いただいて、利便性にも配慮いただくことによって南海フェリーを利用したサイクリストも増えるのではないかと思います。

 先ほど申し上げた深日洲本ライナーが来年度も継続されれば、和歌山や大阪南部や淡路島を含めて京阪神や四国エリアへと広域的にルートがつながりますし、南海フェリーにつきましても、サイクリストの利便性がさらに向上すれば、四国エリア、徳島からの利用者の増加も期待されます。ナショナルサイクルルートに指定された太平洋岸自転車道も含め、広域的にサイクリングの施策を展開することは、和歌山県にとって相乗効果も大いにあると思います。

 そこで、本県の観光振興の一つの要素として、県域を越えた広域的なサイクルツーリズムの振興について、商工観光労働部長にお伺いいたします。

○議長(森 礼子君) 商工観光労働部長寺本雅哉君。

  〔寺本雅哉君、登壇〕

○商工観光労働部長(寺本雅哉君) 近隣府県のサイクリストの皆さんに、本県が誇る全長800キロを超えるサイクルルートを楽しんでいただくため、県域を越えた広域ルートを確立し、関係団体や交通事業者と共にプロモーションに取り組んでいくことは重要と考えております。

 このため、本年5月に千葉県銚子市から和歌山市加太に至る太平洋岸自転車道がナショナルサイクルルートに認定されたことを受け、広域ルートの共同プロモーションや、9月からJR西日本が紀伊田辺─新宮駅間で運行し、サイクリストに大変好評のサイクルトレインに併せたキャンペーンも行っているところです。

 また、現在、関西広域サイクリングルートとして近畿各府県や四国などをつなげたルートが設定されており、この広域周遊ルートをPRすることで、大都市圏だけでなく、四国エリアや淡路島を経由した本県への誘客も見込まれます。

 これまで、県では、南海フェリーと連携した誘客キャンペーンや、四国エリアの主要旅行会社を訪問し、旅行商品の造成活動を行ってきたところです。岬町をはじめ泉南エリアとの連携についても、京阪神エリアからの誘客に加え、四国エリアとの周遊ルートやナショナルサイクルルートと組み合わせることにより、本県のサイクルルートのさらなる魅力アップにつながることが期待できます。

 今後も、引き続き関係団体や交通事業者と連携し、広域的なサイクルツーリズムの振興に取り組んでまいりたいと考えております。

○議長(森 礼子君) 長坂隆司君。

  〔長坂隆司君、登壇〕

○長坂隆司君 本県の海岸線を走ってみますと、白浜、すさみから串本、そして那智勝浦から新宮までの南紀の太平洋に直面した黒潮擁する奇岩、奇石の雄大な自然美の海岸線はもちろんのこと、和歌山市内の加太、雑賀崎から和歌浦までの万葉の昔から歌に詠まれた歴史豊かな海岸美、そして湯浅湾岸を小さな島々を眺めながら白い岩と青い空と海のコントラストの日本のエーゲ海・白崎海岸までぐるりと巡る景観も私は大好きであります。決して淡路島一周・アワイチには負けていません。

 海あり、山あり、川あり、谷ありの本県のサイクリングルート、そしてナショナルサイクルルートの太平洋岸自転車道の周知が増せば増すほど、最後にサイクルツーリズムで勝利するのは和歌山県だと確信しています。

 ちょっと疲れたらサイクルトレインに乗ればいいんです。今、そう今こそ早く手を打って、和歌山市と徳島市間の南海フェリーや、岬町と洲本市も必死に取り組んでいる深日洲本ライナーの活用をはじめ広域的なサイクリングによる将来的な本県のサイクルツーリズム振興のために、県当局のたゆまぬ御尽力をよろしくお願いいたします。

 3点目に、クルーズ船就航についてであります。

 クルーズ船による訪日外国人数は、新型コロナ前に年間250万人にまで増加し、毎年寄港先も100を超え、観光立国の実現に向けて盛況に推移しておりました。

 ところが、新型コロナウイルス感染症の影響で船内感染が世界中で相次ぎ、我が国においても、令和2年2月に横浜港に入港したダイヤモンド・プリンセス号におけるクラスター発生で、多くの乗船者が感染する事案が発生しました。それ以降、日本へのクルーズ船寄港は一気に減少し、国際クルーズについては今なお再開には至っておりませんが、国内クルーズについては、国土交通省各地方整備局が事務局となり、自治体の衛生主管部局等も参画する水際・防災対策連絡会議が令和3年8月時点で全国129港に設立され、クルーズ船内の感染者の発生等の不測の事態においても即座に情報共有し、連携して対処するための体制が構築されています。

 郵船クルーズ、商船三井客船、日本クルーズ客船の邦船3社による国内クルーズについては、令和2年9月に整備された感染拡大予防ガイドラインを踏まえ、同年10月から徐々に運航を再開してきており、本年4月末に船内で感染者が確認された際も船舶ガイドラインに基づき乗客の自室待機を行うなど、船内の感染防止措置が速やかに講じられ、他の乗客や船員への感染も確認されず、これまでの取組が効果を発揮しました。

 本年9月28日までの間は、3泊4日のクルーズを上限としつつ、乗船前の事前PCR検査の実施に加え、乗船当日にPCR検査または抗原検査を実施、乗客が「感染リスク低」であることを確認した上で出港する方針が公表されました。自治体、港や就航先と船会社側との相互理解の促進の下、より安全・安心な国内クルーズの運航が再開されたところです。

 本県においても、新宮港には昨年11月に飛鳥Ⅱ、同12月ににっぽん丸と飛鳥Ⅱ、本年1月にぱしふぃっくびいなすが寄港しましたし、日高港には本年4月に飛鳥Ⅱ、8月にはぱしふぃっくびいなすが寄港しています。

 そこで質問ですが、一つ目、現在の国内クルーズ船の就航について、本県港湾での新型コロナ感染防止対策について、県土整備部長、聞かせてください。

○議長(森 礼子君) 県土整備部長安部勝也君。

  〔安部勝也君、登壇〕

○県土整備部長(安部勝也君) クルーズ船の就航は新型コロナウイルスの感染拡大により激減しましたが、観光が重要な産業の一つである和歌山県にとって、多くの観光客を呼び込む起爆剤であり、その重要性は全く変わっていません。

 現況下において、クルーズ船社ではそれぞれ独自の感染拡大防止対策を実施し、受入れ側の和歌山県では対応マニュアルを作成し、厳格に運用しています。

 具体的には、船社は乗客数の定員を半分以下に制限、乗員・乗客の乗船1週間前のPCR検査の実施、乗船当日のPCR検査または抗原検査の実施、船内での検温、消毒、換気の徹底、寄港地における観光ツアーの人数制限など、厳しい対策を実施しています。

 一方、県は、船社、保健所、医療機関等との緊急連絡体制を構築しており、感染者が発生した場合の速やかな搬送、円滑な入院措置、保健所による速やかな濃厚接触者の特定及び必要な検査の実施、感染者以外の下船停止などを徹底することとしています。

 これら取組により、これまで本県に寄港するクルーズ船から新型コロナウイルスに感染した乗客は確認されていません。

 今後とも、関係機関と連携し、新型コロナウイルスの感染リスクを最小限にしてまいる所存です。

○議長(森 礼子君) 長坂隆司君。

  〔長坂隆司君、登壇〕

○長坂隆司君 2点目に、今後の国内クルーズ、そして国際クルーズ再開に向けた本県の取組について、県土整備部長、お聞かせください。

○議長(森 礼子君) 県土整備部長。

  〔安部勝也君、登壇〕

○県土整備部長(安部勝也君) 今年度の寄港件数は昨年度の6回を上回る13回の予定であり、現時点で既に7回寄港するなど、新型コロナウイルス感染症の収束後を見据えた誘致活動を活発化させるタイミングにあると認識しています。

 誘致活動の実施に当たっては、積極的な船社への訪問はもとより、寄港の際の岸壁上でのプロモーション活動、オンライン商談会への参加など、あらゆる機会を活用しているところです。

 また、寄港地としての魅力を伝えることが重要であると認識しており、地域の独自性が詰まったオプショナルツアーの開発、地域の食材を活用した食事の提供、新しい観光資源の発掘など、日高港などで実施している地域の独自の取組を支援しています。

 一方、国際クルーズについては、特に安全な受入れ体制が重要だと認識しており、ダイヤモンド・プリンセス号の事案を教訓に、和歌山市、御坊市、新宮市と連携した安全対策協議会の立ち上げなど、目に見える形で安全対策を構築しています。

 その上で、国際クルーズの再開に向け、外国人の訪日に影響を持つ人たちを対象としたファムツアーを再開し、寄港地としての魅力を体験していただくとともに、我々が気のつかなかった様々な改善点を収集し、訪日外国人のニーズに合った受入れ環境を整備していく方針です。

 県といたしましては、安全で安心できるクルーズ就航を第一とし、船社のニーズを踏まえ、就航件数が着実に増えるよう積極的な誘致活動を展開してまいります。

○議長(森 礼子君) 長坂隆司君。

  〔長坂隆司君、登壇〕

○長坂隆司君 御答弁をいただきました。

 自治体、船会社、そして保健所、医療機関等との密接、入念な連携を頼もしく感じさせていただきました。

 国内クルーズも順調に再開されて、本格的な国際クルーズ再開に向けた肩慣らしもできつつあるなと感じました。

 早く新型コロナが終息して、国際クルーズ船が就航して、寄港先から県内へのインバウンド観光が始まることを祈っております。

 4点目、小学校での教科担任制に移ります。

 本年1月、中央教育審議会がまとめた答申では、義務教育9年間を見通した指導体制の構築、小学校高学年から中学校への円滑な接続、個別最適な学びのための専門性を持った教員によるきめ細かな指導、授業準備の効率化による教員の負担軽減などを目的に、小学校高学年からの教科担任制が2022年度をめどに本格的に導入する必要があると明記されました。

 今年6月に行われた義務教育9年間を見通した指導体制の在り方等に関する検討会議(第3回)で示された論点メモでは、教科担任制導入は、「短期的・長期的な二段構えで検討することが重要。短期的な取組の中で有効な取組を抽出し、横展開していく上で、各地域の取組の中でどういった形態を長期的な国の標準として制度設計していくか実証すべき」という意見が記されています。

 中教審答申は、対象科目について、グローバル化やSTEAM教育(Science、Technology、Engineering、Arts、Mathematics)への社会的要請が高まる外国語、理科、算数を例示しています。

 検討会議では体育を加えることが検討され、教員の高齢化や専門性の観点から対象教科に加える意見と、円滑な学級運営のために学級担任が担うべきという意見の両論があるとされています。

 教科担任制推進に向けて、小学校高学年で外国語、理科、算数などで専科教員による指導を拡充していくというのがこれまでの議論の流れと伺っています。

 小学校の教員採用倍率が過去最低の2.7倍と低迷し、35人への少人数学級化による教員の増員もあって予算の制約も強まる中、十分な数の優秀な専科教員を迅速に確保することは困難が予想されます。

 教科担任制に期待されるメリットとして挙げられているのが、一つ目に、専門性の高い教員による高度な学習を含めた指導力向上と児童の学力向上、二つ目に、複数教員の関与による児童の多面的な理解、3点目に、中学入学後の環境変化に戸惑う中1ギャップの解消、4点目に、授業準備のための時間の確保と準備作業の削減による働き方改革という4点です。

 東京都江戸川区立第四葛西小学校は、区教育委員会から教育課題実践推進校に指定されて、今年度から学年内の担任教員と専科教員で教科を分担する教科担任制を3年生以上で実施しています。特別活動や体育、総合的な学習の時間、道徳などは学級担任が担当、音楽や図工などは専科教員、算数は東京都の小学校で従前から実施されている習熟度別少人数クラスが受け持ち、国語や社会、理科などの科目については学年の教員同士の調整で教科担任を決めています。時間割は教務主任が作成しましたが、学年ごとに教科担任を決める調整などもあり、結局約3か月もの期間を要したといいます。

 私自身は、どうしてこのような小学校での教科担任制の議論が出てくるのか、まず不思議に思いました。児童生徒の学力格差を小学校の時分から大きくさせることにならないのか。児童の学力向上をそこまで追求しなければならないのか。働き方改革が強調されて、小学校教員が全教科を教えることの負担が大き過ぎて、どうしても残業を多く生み出すことになっていることが原因なのか。中学校から始まる教科担任制がそれほど深刻な中1ギャップを生み出すものなのか。小学校教員の在り方自体が変わってしまわないか。1人の学級担任の先生が基本的に全教科を受け持ってこそ児童一人一人を把握でき、バランスの取れた伸び伸びとした教育を行うことが小学校教育の醍醐味なのではないか。教科の授業だけで子供を見ることになると、その子が1日を通じてどんな生活を送っているかまで把握し切れるのか。児童の様子や変化を見逃すことにならないのか。小学校での外国語(英語)教育導入の影響、しわ寄せが強過ぎるのか。そして、教科担任制が実施されると、高学年を教える自信がなくて、低学年ばかりを受け持つ先生が出てきて、教員が担任する学年が固定化されたりしないのかなどなど疑問がいろいろ湧いてまいります。

 教科担任制が導入されれば、必然的に小学校、中学校の人事交流もさらに必要になってくるでしょうし、逆に中学校へのしわ寄せにならないように留意しないといけません。教科担任制の議論は、児童の立場から、また教員の立場から、もっと慎重な議論が必要ではないかと思います。

 そこで質問させていただきます。教科担任制で特定の教科を教えることになって、教員の負担が減って働き方改革が実現したとしても、児童一人一人の個性や特性を把握して、10歳から12歳という人間的にも体力的にも基礎的な力を育成するかけがえのない時期の児童を学級担任の教師がバランスよく指導していくことの重要性を見落としていないのかどうか、どうしても懸念が持たれますが、教科担任制の次年度導入における本県の準備状況と併せて教科担任制についての教育長の御所見をお伺いいたします。

○議長(森 礼子君) 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 議員御指摘のように、新しい時代の9年間を見通した義務教育の在り方が議論された結果、小学校教科担任制を推進していくことになりました。

 期待される効果としては、これまた議員が御指摘されていましたが、児童が当該教科の中学校や高等学校の免許状を保有する専門性の高い教員の授業を受けることで、学習内容の理解度や定着度が向上することが考えられます。

 また、小学校高学年の一部の教科において教科担任制を導入することにより、中学校に進学した際、その学習や生活に順応しやすくなるということも考えられます。

 一方、小規模校では、教員の数が少ないため、近隣中学校の教員が小学校で授業を行うといった校種を超えた工夫などが必要となります。

 県教育委員会といたしましては、これまでの小学校学級担任制のよさである児童一人一人の個性や特性を把握した個に応じた指導を大切にしながら、各学校の実情に応じ、今後、円滑に導入してまいりたいと考えております。

○議長(森 礼子君) 長坂隆司君。

  〔長坂隆司君、登壇〕

○長坂隆司君 既に県内でも先進的に教科担任制を実施している小学校もあるということで、来年度から教科担任制を円滑に導入できるという教育長の自信たっぷりの御答弁をいただいた気がします。

 しかし、実際、来年以降、3月下旬の教員の異動の際には、小学校の高学年を教えるための中学校や高等学校の免状を持った専門性の高い教員の確保も考慮に入れた上、人事異動を行って、異動が終わったらすぐにでも時間割等々教員間の教科担任等の調整も行わねばならない。果たして4月からの新学期につつがなく間に合うんでしょうか。

 複数の教員が多面的に児童を見ることによって、きめ細かな指導が実現できると言われますが、それは教員の立場からの視点であって、いじめや不登校などが少なくない昨今、学級担任制から教科担任制に移行して、子供の発する様々なシグナルを見落とすことにならないのか、私は大変心配しております。

 小学校からの教科担任制を来年度から導入するに当たっても、どうか児童一人一人の様子や変化を見逃すことのないよう、児童の目線にも立っていただいて、児童が教員に心を開いて頼ることのできる、毎日小学校へ登校することが楽しみでしょうがない気持ちにさせてくれるような学校づくり、それをくれぐれもよろしくお願いを申し上げたいと思います。要望に代えさせていただきます。

 これで、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(森 礼子君) 以上で、長坂隆司君の質問が終了いたしました。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 9番北山慎一君。

  〔北山慎一君、登壇〕(拍手)

○北山慎一君 おはようございます。本日、2人目で登壇をさせていただきます北山です。

 この場に立ちますと、やはり雰囲気が違い、緊張感やプレッシャーが半端ないですが、その重圧に負けず、しっかりと質問してまいりたいと思いますので、少しの間、お付き合いのほど、よろしくお願いいたします。

 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従い質問させていただきます。

 一つ目の項目として、潜在看護師について質問していきたいと思います。

 まず、コロナ禍における潜在看護師の活動状況についてお聞きいたします。

 皆さんは、潜在看護師という言葉を聞いたことがありますでしょうか。昨年、新型コロナウイルス感染症の拡大により、医療が逼迫し、医療に従事する医師や看護師が不足する問題が全国各地で発生いたしました。

 以前からも潜在看護師という言葉は存在していましたが、昨年の医療従事者不足の状況に陥った頃を境に、よく耳にするようになりました。

 潜在看護師とは、資格を持っているにもかかわらず、看護師として働いていない方のことを指します。看護師等学校養成所を卒業し、看護師として働いていたが、結婚、出産などにより職を離れている潜在看護師の方々は多いと思います。

 本県では、県内の看護職の就業を促進するため、県ナースセンターを設置しております。

 ナースセンターとは、厚生労働省の許可を受けた看護職員無料職業紹介所になります。1992年に、看護師等の人材確保の促進に関する法律に基づき、47都道府県に設置されました。

 本県では、公益社団法人和歌山県看護協会に運営を委託。県内の看護職の就業状況や就業希望等の動向の把握など看護職の現状把握をはじめ、無料職業紹介や看護に関する普及啓発など幅広く活動を展開し、看護師の就業を支援しており、復職支援業務もその一つとされています。

 2015年度からは、さらなる取組として、団塊の世代が75歳以上となる令和7年の全国的な看護師不足の解消を図るため、看護職が離職した際に、住所、氏名、免許番号などを都道府県ナースセンターに登録する制度が運用されております。

 今回の新型コロナウイルスの感染拡大により、県内の医療機関では、感染対策の徹底を図りながら発熱外来の設置や感染症患者の入院治療など、看護師をはじめ多くの医療従事者がそれぞれの現場で最善を尽くして県民の命を守っていただいています。

 新型コロナウイルス感染症対策の第一線で活躍される医療従事者の皆様の御苦労は大変であると察するが、そのような中、宿泊療養施設の運営やワクチン接種など、新たな業務に対応する看護師等の人材を確保するに当たり、潜在看護師の方々への期待は大きいと考えます。

 本県の潜在看護師の状況、またこのたびの新型コロナウイルス感染症対策にどのような役割を担っていたのか、福祉保健部長、お答えください。

○議長(森 礼子君) ただいまの北山慎一君の質問に対する答弁を求めます。

 福祉保健部長志場紀之君。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 県では、昨年8月の第2波を経験した後、次の感染拡大を見据え、感染対策に従事する医療人材を確保するため、昨年11月には全国に先駆けて県看護協会と契約を締結し、潜在看護師を派遣する体制を整備いたしました。それを受けて、県看護協会が約900名の看護師を登録している県ナースセンターを通じて呼びかけを強力に行いました。

 その結果、これまで延べ1139名の潜在看護師が、県内各保健所において感染者の疫学調査と濃厚接触者や退院者の健康観察を行いました。また、45名が、宿泊療養施設において24時間体制で療養者の健康管理を行いました。さらに、新型コロナワクチン接種において、市町の集団接種や職域接種に41名が従事したところであります。

○議長(森 礼子君) 北山慎一君。

  〔北山慎一君、登壇〕

○北山慎一君 では、次の質問に移ります。

 県における潜在看護師の復職支援についてお聞きします。

 本県では、看護大学の誘致等、看護職員等の人材確保施策も積極的に進められてきました。その一方で、全国的な看護師不足が言われており、本県も同様に看護師不足の声が聞こえております。

 このような状況下で看護人材を確保するためには、潜在看護師に活躍していただかなければなりません。

 しかしながら、先ほどにも少し触れましたが、看護師の離職の理由は結婚や出産が多くの割合を占めています。数年から、長ければ数十年、現場から離れてしまうケースもあり、ブランクが長ければ長いほど現場に戻る気持ちに不安を覚え、復職への一歩を踏み出しにくくなります。

 また、医療機関により勤務時間や業務内容の違いなど、求人先である各医療機関の正確な情報発信も求められます。

 医療や看護の知識や技術は、日進月歩で変わっていきます。復職を目指すに当たり、医療の進歩についていけるか心配になったり、手技の感覚が鈍っていそうで怖いなど、様々な不安要素が現場復帰への足かせとなっており、潜在看護師が抱える不安の解消に向けた取組も求められます。

 そこで、復職を目指す潜在看護師の支援について県はどのように取り組んでいるのか、福祉保健部長にお尋ねいたします。

○議長(森 礼子君) 福祉保健部長。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 看護師が必要とされる場面は、福祉、介護等にも広がり、人材不足が言われています。

 県では、潜在看護師の活躍できる場を広げるため、県ナースセンターを通じて、医療機関や訪問看護ステーション、介護保険施設など働く場の情報や短時間勤務など多様な働き方について、ホームページ等を通じて情報発信しています。

 また、求職者に対しては、業務内容や勤務条件等の希望を聞き取り、求人施設とのマッチングを行っています。

 さらに、長期離職から復帰を目指す看護職向けの復職支援研修や技術演習、復職した看護職との交流会などを実施しています。

 今後も、潜在看護師のナースセンターへの登録を促進するとともに、このような潜在看護師の復職支援の取組を継続してまいります。

○議長(森 礼子君) 北山慎一君。

  〔北山慎一君、登壇〕

○北山慎一君 答弁いただきました。

 今回の新型コロナウイルス感染症の拡大により、医療の逼迫や医療従事者の不足が大きな問題、また課題となりましたが、全国には約70万人もの潜在看護師がいるとされており、また本県でも、県ナースセンターに登録されている看護師が約900名もおられます。いざというときには県内にそれだけの医療に従事できる方々がいるということに心強さを感じます。

 しかしながら、復職に至っていないのもまた事実であり、当局におかれましては、潜在看護師、医療機関双方の状況や情報をしっかりと把握し、マッチングも含め、医療人材が不足するような事態とならないよう、復職支援や県民が安心して医療を受けられる医療提供の充実に努めていただきたいと思います。

 加えて、繰り返しになりますが、離職の理由としましては結婚や出産が大半を占めております。そうした方々への復職支援として、現在も、託児所がある医療機関の情報提供や託児所の設置の働きかけなどに取り組んでいただいているところですが、引き続き、より一層取り組んでいただけるようお願いいたします。

 現在、新型コロナウイルス感染症が落ち着いている状況ではありますが、新たな変異株・オミクロン株も現れ、第6波の懸念がされています。

 様々な状況を想定し、3回目のワクチン接種や宿泊療養施設に係る人材の確保などにも引き続き努めていただきたいと思います。

 また、宿泊療養施設に触れましたので少し申し上げますと、新型コロナウイルス感染症患者の急増に備え、宿泊療養施設を確保することは重要であると考えます。その選定に当たっては、地域性や宿泊施設、そして施設内の各事業者の状況も踏まえ、施設確保を進めていただき、感染の拡大にしっかり備えてもらいたいということを申し上げ、次の質問に移りたいと思います。

 それでは、次の質問、通信制課程について質問いたします。

 初めに、通信制課程の果たす役割、理念についてお聞きいたします。

 高校の定時制・通信制教育は、戦後、就業等のために全日制の高校へ進学できない青年に教育の機会を提供するものとして制度化されてきましたが、経済の発展により、近年では、就業しながら学ぶ生徒が減り、その役割が変わってきました。

 近年、特に通信制課程を設置した学校が、全国的にN高やS高といった私立の広域通信制高等学校が注目されることで、学校数だけでなく、通信制課程に進む生徒も増加している傾向にあります。

 令和3年11月に文部科学省が通信制高等学校の現状などをまとめた資料によりますと、学校数の推移に関しては、公立通信制においては現在全国で77校が設置されており、校数は僅かに増加しているとされています。一方で、私立通信制の校数は現在183校が設置されており、大きく増加していると示されています。

 また、生徒数の推移については、通信制課程の生徒数は全体として増加傾向にあるとしつつも、令和3年の調査時点で公立通信制の生徒数は5万3880人と、徐々に減少していると示されています。その一方で、私立通信制の生徒数は16万4548人と大きく増加しており、この20年間で2倍以上増えていると示されています。

 本県においては、通信制で学べる公立学校として伊都中央高等学校、きのくに青雲高等学校、南紀高等学校が定時制を併設した通信制・定時制の拠点校として3校あり、多様な生徒の学び場として設置されております。

 通信制課程には、年齢など関係なく県下どの地域からでも入学でき、様々な生徒が通っていると聞いています。

 通信制課程を選択した生徒の抱えている事情は様々であるが、県教育委員会として通信制課程の果たす役割をどのように考えているのか、教育長にお尋ねいたします。

○議長(森 礼子君) 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 通信制課程は、与えられた課題を自宅で学習し、郵送による添削指導を受け、登校した際に対面指導や試験を行い、その成果により単位認定される仕組みとなっています。

 本県では、県立高等学校通信制課程に令和3年5月現在、1373名の生徒が在籍しています。また、私立の広域通信制高等学校で学ぶ生徒もいます。

 学習する場所や時間、時期、方法などを自ら選択して、自分のペースで学ぶことができることから、近年では、勤労青少年のみならず、スポーツや文化・芸術活動等を優先したい生徒や全日制課程の中途退学者、義務教育段階での不登校経験者、障害のある生徒等、ニーズが高まっています。

 通信制課程は、このような多様な生徒に対して教育機会を提供する重要な役割を担っており、今後もさらに充実させてまいります。

○議長(森 礼子君) 北山慎一君。

  〔北山慎一君、登壇〕

○北山慎一君 では、次の質問に移ります。

 通信制課程では、全日制や定時制と比べて登校回数は少ないと聞いておりますが、様々なニーズの生徒に対して、自宅等で自由な時間に学習できるという便利な反面、限られた対面指導の中で生徒の学習意欲を維持させることや他の生徒との交流機会を増やすなど、全日制課程にはない苦労があると思います。

 学習支援や学校行事の運営等、多様な生徒に対する指導の充実について、教育長にお尋ねいたします。

○議長(森 礼子君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 通信制課程では、多様な生徒が在籍していることから、視聴覚教材等を利用した学習や個別のスクーリング、平日や夜間のスクーリングの実施など、きめ細やかな丁寧な指導を行っています。

 また、生徒会活動や文化祭、体育祭などの特別活動は通信制課程で学ぶ生徒にとっても重要であることから、生徒同士が互いに協力して活動できる機会を設けています。

 さらに、社会人も学べる講座を開設し、科目履修生として受け入れたりするなど、通信制課程で学ぶ生徒だけでなく、地域の方々の学びの場ともなっています。

 今後、ICT等を活用した通信制課程の新たな学びの構築や、全日制課程や定時制課程に在籍している生徒が通信制課程の科目履修や単位認定を柔軟に行えるように取り組んでまいります。

○議長(森 礼子君) 北山慎一君。

  〔北山慎一君、登壇〕

○北山慎一君 答弁いただきました。

 今回、通信制課程にスポットを当てて質問させていただきましたが、通信制課程においては、学びたい意欲のある人が諦めることにならないよう、状況に応じた支援や学習内容の整備が必要だと考えています。

 今後、県立高等学校の再編整備が進められていく中で、その時々の教育ニーズを踏まえ、存続と充実にしっかりと取り組んでいただくようお願いいたします。

 それでは、次の質問に移ります。

 不登校に関する質問に移ります。

 この質問に関しては、これまでも多くの議員の皆様が様々な視点や角度から質問されてきましたが、今回、私も私なりの視点で質問をさせていただきたいと思います。

 不登校の児童生徒の人数は、少子化傾向とは相反するように全国的に年々増加しており、本県でも増加傾向にあります。

 令和3年10月、文部科学省が公表いたしました令和2年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査の数値と併せ、本県の数値と比較した内容の資料が提供されました。

 その公表されている数値を見て気がかりになったのが、今回質問させていただく不登校児童生徒の状況に表れていた数値でした。特に高等学校に関しては、1000人当たりの不登校児童生徒数の数値の推移が、平成30年では16.5人の全国27位、令和元年では17.8人の全国33位、そして昨年の令和2年では19.5人、全国43位と増加し、全国でも不登校生徒が多い県となっているのが現状です。

 県教育委員会としても、年々増加傾向にある不登校児童生徒の状況は把握しており、不登校の解消に向けた取組をしていただいています。

 主な取組として、累計5日以上欠席した児童生徒の個人状況・学校対応状況シートの活用、「不登校問題対応の手引き」及び「不登校対応基本マニュアル」の活用、またスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、不登校児童生徒支援員、訪問支援員の配置など、様々な支援をしていただいております。

 スクールカウンセラーにおいては、小学校159校、中学校112校、義務教育学校1校、高等学校46校、特別支援学校10校に配置されており、未配置校については拠点校から派遣し、全ての小中学校に対応。また、スクールソーシャルワーカーにおいても29市町村、和歌山市は独自で配置されておりますが、高等学校17校にも配置されております。

 しかしながら、現状は、このように支援を拡大しているにもかかわらず、不登校の児童生徒は増加してきております。

 不登校の要因にはメンタルの部分が大半を占めており、心のケアやサポートが非常に大切なものとなります。そのための人的なサポートであるスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、また不登校児童生徒指導員や訪問支援員は、まずは不登校の児童生徒との信頼関係を築いていかねばなりません。信頼関係を築くまでの時間、距離感など、個々それぞれに合わせた支援のやり方があります。また、再登校に向け、大変慎重になる非常に難しい部分でもあります。しかしながら、そうであるからといって放っておくわけにはいきません。

 不登校の児童生徒が再登校につながるよう、さらなる対面での支援が必要不可欠だと考えますが、教育長のお考えをお聞かせください。

○議長(森 礼子君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 不登校の対策につきましては、平成28年和歌山県不登校対策に係る有識者会議の提言を受けて、「不登校問題対応の手引き」等のマニュアルを作成し、相談体制を強化するなど取組を進めてきた結果、不登校児童生徒数は改善傾向になりました。

 しかしながら、近年、全国的に不登校児童生徒数が増加する中、和歌山県も同様に増加傾向にあります。改めて、マニュアルの活用を徹底し、不登校の未然防止、早期発見・早期対応、解消に向けた取組を充実させてまいります。

 不登校については、個々の状況に違いがあり、個別に対応する必要があります。議員御指摘の対面による支援については、登校することができない児童生徒に対して担任や訪問支援員が自宅を訪問し、学習支援等を行っています。

 また、不登校児童生徒を受け入れる施設として適応指導教室があり、学力補充や教育相談、登校支援を行っています。

 登校できるが教室に入ることができない児童生徒に対しては、不登校児童生徒支援員が別室で個々の不安な気持ちを取り除いたり学習支援を行ったりしています。

 このようなそれぞれの段階に応じた支援によって、再登校につながるよう取り組んでいます。

 今後も、不登校児童生徒へ個々に対応した対面での支援を充実したものとなるように努めてまいります。

○議長(森 礼子君) 北山慎一君。

  〔北山慎一君、登壇〕

○北山慎一君 答弁いただきました。

 不登校は個々にいろんなケースがあり、これといった完璧な答えもありません。マニュアルはあくまでマニュアルであり、その支援ややり方がそのまま当てはまるとは限りません。根気よく、粘り強く、一人一人と、そして一つ一つ真剣に向き合い、解決に向け取り組んでいくしかないと私は思っております。

 その向き合う中でも、やはり対面による支援は必要不可欠であると思います。人と接する機会が減れば減るほど、よりふさぎがちになることもあります。初期の段階であれば、誰かに理由を聞いてもらう、誰かに悩みを聞いてもらう、それだけで気持ちが楽になり、不安が解消され、不登校にならない場合もあります。できるだけ早い段階で本人と会う、そのスピーディーさも大切になってきます。

 不登校になるということは何らかの理由があり、まずはその理由を知らねばなりません。しかしながら、信頼関係が築けていなければ理由は話してくれないでしょう。信頼関係を築くのは決して簡単なことではない、そのことも分かっています。しかしながら、再登校に向け、しっかりとサポートしていかなければなりません。今後も、再登校につながるよう努めていただきたいと思います。

 県教育委員会におかれましては、不登校児童生徒のみならず、全ての児童生徒が持っている才能や能力、それぞれの可能性を伸ばすことで、全ての児童生徒の社会的自立につなげていく、そういった熱い気持ちや思いをしっかりと持ち、今後も取り組んでいただきたいと思います。

 それでは、次の質問、最後の質問に移ります。

 職員の電話対応についての質問に移ります。

 令和2年12月定例会で玄素議員が挨拶を中心に職員の接遇に関する質問をされておりましたが、今回、私もこれまでの自身の体験や県民の声をお聞きした中での職員の電話対応について質問していきたいと思います。

 これまで私は、議員になる前から、仕事上で庁内各課や関係する機関に電話することが度々ありました。その中で、全ての職員がそうではないということを前置きしておきますが、職員の電話対応に不満を感じることがありました。これは、議員になってもたまに感じることでもあり、また県民の御指摘もあり、今回質問として取上げさせていただくこととなりました。

 その不満に感じる電話対応とは何かと申しますと、こちら側から電話をかけたときが大半なのですが、受け手側の第一声が明らかにだるそうな口調で、元気がなく、聞き取りにくい小さな声で覇気がなく、電話に出たくないけど仕方なく電話に出て対応している、簡単に言えば嫌そうな感じで電話に出ている、そういった印象を受けることであります。

 また、そのほかにも電話の切り方に関することですが、相手が電話を切る前に受話器を勢いよく置いて切るため、ガチャっという耳が痛くなるくらいの大きな音で相手に不快な思いをさせたりと、皆さんも職員の電話対応とは言わず、少なからずこれまでいろいろ電話をかけていて電話対応で不快な思いをされたことがあるのではないでしょうか。

 近年、携帯電話の普及により、各家庭での固定電話の設置数が減っております。そのことにより、若年層では、用件がある人に直接電話できる携帯電話を使用する機会はあっても、誰がかけてくるか分からない固定電話においては、社会に出るまであまり使用したことがないという若者も増えているのも事実であり、日常生活の中で自然と学んでいた固定電話に対するマナーというものに触れる機会が随分少なくなってきています。

 電話というのは、対面での会話ではないので、相手がどんな顔で話されているか表情が読み取れない分、声のトーンや口調で読み解いていかねばなりません。ましてや全く知らない方との電話のやり取りに関しては、相手の顔を知らない分、表情等のイメージがつかない分、声のトーンや口調だけが唯一の判断材料になり、情報源となります。そういったことを踏まえますと、電話は声のトーンや口調が非常に重要なものと言えます。

 民間企業では、お客様相手に商売をされていますので、お客様あっての会社という意識から電話対応には大変気を遣っておりますが、県職員に関しては、そういった意識が不足しているのではないかと感じてしまいます。

 民間企業でいうお客様といった観点から考えますと、県にとっては県民全てが対象となります。もちろん通常の電話ばかりではなく、クレーム対応もしないといけないときもあるでしょう。そういったときこそ真摯に向き合い、しっかりと対応することにより、分かり合っていけると思います。

 対応する職員が県庁の顔であるということの意識づけが大変重要かと考えますが、職員の電話対応向上に向け、どのような取組をしているのか、総務部長、お答えください。

○議長(森 礼子君) 総務部長吉村 顕君。

  〔吉村 顕君、登壇〕

○総務部長(吉村 顕君) 職員の電話対応向上のための取組につきましては、来庁者に対する挨拶の実施などの接遇向上の取組を進めていく中で、明るく、はきはきとした電話対応を心がけるよう、全職員に対して行政事務用パソコンの掲示板を活用し、周知しているところです。

 また、議員御指摘のとおり、若年層では固定電話を使用する機会が少なくなっていることから、新規採用職員については、入庁後すぐに実施しております接遇マナー研修において、電話によるコミュニケーションの特性をはじめ基本的な電話の受け答えや電話を切る順序など、基礎的なところから研修を行っております。

 事務補助職員につきましても、新規採用職員と同様に、電話対応に関する研修を実施しております。

 あわせて、各所属で実施している朝礼・終礼時を利用した職場研修においても電話対応の徹底を図っていくなど、職員一人一人が県庁の顔という認識を持ち、県民の皆様に満足いただける受け答えが実践できるよう、引き続き取組を進めてまいります。

○議長(森 礼子君) 北山慎一君。

  〔北山慎一君、登壇〕

○北山慎一君 答弁いただきました。

 接遇、これは簡単なようで意外と難しいんですね。そういう私も、できているのかと問われると、自信を持ってできていますとは言い切れないです。

 しかしながら、我々議員は常に県民や有権者の方に見られているという意識を持っております。よいことも悪いことも全て評価され、個人に返ってくるということを常々頭に入れております。

 また、民間企業においても、お客様が1番というお客様ファーストであるため、自分イコール会社、そういった意識を持ち、接客や接遇マナー向上に取り組んでいます。

 県職員が全てそうというわけではないのですが、もう少し県庁という自分の職場に対する意識、和歌山県行政の中枢となる機関の1人であるという意識を持ち、マナー向上に取り組んでいただきたいと思います。

 1人の対応で県庁全体がそうであるとみなされてしまうこともしっかり頭に入れ、対応していただくようお願いを申し上げ、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(森 礼子君) 以上で、北山慎一君の質問が終了いたしました。

 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。

 この際、暫時休憩いたします。

  午前11時24分休憩

────────────────────

  午後1時0分再開

○副議長(鈴木太雄君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 2番山家敏宏君。

  〔山家敏宏君、登壇〕(拍手)

○山家敏宏君 皆様、こんにちは。

 今回で7回目の一般質問です。知事はじめ当局の皆様には、よろしくお願いいたします。

 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、一般質問を行います。

 まず、和歌山県水道ビジョンについて質問いたします。

 10月3日午後、和歌山市六十谷水管橋が崩落し、和歌山市北部の約6万世帯、約13万8000人が断水の被害を受けました。

 今回の断水で、県内外を問わず給水支援、復旧支援を行っていただきました関係者の皆様、そして、入浴ができない住民の方々のために御協力いただきました公衆浴場施設の方々、個人でお支えいただいたボランティアの方々、仮設水道管設置を昼夜問わず実施していただきました工事関係者の方々、全ての皆様に、この場をお借りし、心から感謝申し上げます。

 今回は和歌山市で起こりましたが、和歌山県のどの地域でも、きっちりとした技術を習得した職員が定期点検を実施しなければ起こり得ることだと危惧します。

 そこで、小項目1の水道技術の継承について質問いたします。

 この項目については、令和2年2月議会で「各市町村の水道事業の組織強化について」ということで質問させていただき、内容については、県では、新水道ビジョンに掲げられた持続、安全、強靱の理念に基づき、令和元年6月に策定した和歌山県水道ビジョンの中に水道技術の継承が課題になっていますが、現状では、市町村の水道事務所では、経験豊富な技術職員が定年退職を迎え、減少しています。そのため、安心・安全な水道水の供給、災害に強い水道の構築に対応できる技術職員の不足が最重要問題となっています。各自治体間で技術継承するための体制を県がマッチング、指導、助言することが必要であると考えるとの質問に対し、答弁を抜粋いたしますが、「市町村の水道事業に従事する職員数は、1996年から年々減少し、2017年には444人と20年間で3分の2になっており、今後も定年退職により経験豊富な職員が減っていくことが予想されます」、「こうした課題を解決するため、県では、小規模な工事における発注を簡素化するための設計方法や、水質事故に対応するための管理手法など、事務量の削減や技術力の継承を目的とした研修会を開催し、水道事業者の技術力を維持するための支援に取り組んでまいりました」、「水道広域化推進プランでは、それぞれの水道事業者が実施している水質検査や浄水場の運転監視、施設の保守点検等の業務を共同で行う手法、施設を統廃合し管理を一体化することで全体の業務量の削減を図り、少ない職員で管理運営を行う手法、さらには、統合した水道事業を既存の一部事務組合など広域的な事務処理を担っている組織で運営する手法など、地域の実情や連携の進み具合に応じた組織体制の強化につながる提案をしたいと考えております」との答弁をいただきましたけども、それから約1年9か月が経過しましたが、技術継承の課題解決に向けた進捗状況について、環境生活部長の答弁を求めます。

○副議長(鈴木太雄君) ただいまの山家敏宏君の質問に対する答弁を求めます。

 環境生活部長生駒 享君。

  〔生駒 享君、登壇〕

○環境生活部長(生駒 享君) 水道事業に従事する職員数は、令和2年度時点では423人で、和歌山県水道ビジョン掲載の平成29年度時点より約5%減少しております。

 また、年齢別構成比では、40歳以上の職員が約75%と高く、水道技術の継承は水道事業の大きな課題の一つになっております。

 県においては、国や各種団体が実施する研修会について、市町村に案内するとともに、独自に維持管理や施設更新、水道資材の特性などについての研修会を開催するなど、水道技術の維持、向上を支援しております。

 また、市町村においても、ベテラン職員が退職後も再任用職員として水道業務に従事し、若手職員を指導するなどの取組も行われています。

○副議長(鈴木太雄君) 山家敏宏君。

  〔山家敏宏君、登壇〕

○山家敏宏君 研修会については、大切なことですので、引き続きお願いいたします。

 また、策定予定の水道広域化推進プランについては、各市町村と協議を重ね、可能な範囲でスタートしていただき、例えば、広域圏での薬品の共同購入、共同点検等も実施可能だと考えますので、実現可能な広域化の取組も併せてお願いいたします。

 続いて、危機管理体制等の進捗状況について質問いたします。

 水道事業は、生活や社会経済活動に不可欠な、重要なライフラインであり、そのため、地震などの自然災害、水質事故等の非常事態においても、基幹的な水道施設の安全性の確保や重要施設等への給水の確保、さらに、被災した場合でも速やかに復旧できる体制の確保等が必要であります。

 これらのことを踏まえ、和歌山県水道ビジョンでは、現状分析及び評価と課題の整理を行っておりますが、応急給水計画、応急復旧計画、地震対策マニュアル、耐震化計画の進捗状況、また、進捗状況を踏まえた今後の考え方について、環境生活部長の答弁を求めます。

○副議長(鈴木太雄君) 環境生活部長。

  〔生駒 享君、登壇〕

○環境生活部長(生駒 享君) 事故や災害時の対応を定めた危機管理関係各種マニュアルの令和2年度時点の整備状況は、応急給水計画が67.9%、応急復旧計画が60.7%、地震対策マニュアルが46.4%など、水道ビジョン掲載の平成28年度より整備は進んでいるものの、依然、整備状況が低いものもあります。

 また、管理運営における取組の方向性や財政面での見通しを示した経営戦略は、全市町村が策定済みで、施設整備を計画的に進めるための耐震化計画は、導水管、送水管、配水本管などの基幹管路については67.9%、浄水場や配水池など管路以外の施設は64.3%が策定済みとなっております。

 近年頻発する自然災害等に対応するため、また、経営状況の厳しさが増す中、計画的な経営と施設整備を行うため、各種マニュアルや計画の策定と、それらに基づいた運営は重要であり、引き続き、マニュアルや計画の策定について指導や助言を行ってまいります。

○副議長(鈴木太雄君) 山家敏宏君。

  〔山家敏宏君、登壇〕

○山家敏宏君 応急給水計画67.9%、応急復旧計画が60.7%、地震対策マニュアルに至っては46.4%と依然低い状況ですので、今後とも、実現可能な計画策定についての指導や助言をよろしくお願いいたします。

 続いて、水道施設の点検に対する県の役割と取組について質問いたします。

 先般の六十谷水管橋破損を踏まえ、水道施設の点検は最重要課題であることが再度浮き彫りになりました。

 水道事業は、あくまで各市町村の事業であり、独立採算制で行っておりますが、平成10年4月施行の水道事業の許可事務の自治事務化により、水道事業の許可の所掌が給水人口5万人以下等の市町村に対しては都道府県許可に移行し、県の役割は重要であると考えます。

 そこで、水道施設の点検に対する県の役割と取組状況について、環境生活部長の答弁を求めます。

○副議長(鈴木太雄君) 環境生活部長。

  〔生駒 享君、登壇〕

○環境生活部長(生駒 享君) 水道施設の点検については、水道法施行規則第17条の2に、「水道事業者は、水道施設の状況を勘案して、適切な時期に、目視その他適切な方法により点検を行うこと。」と定められており、具体的には、令和元年に水道施設の点検を含む維持・修繕の実施に関するガイドラインが厚生労働省から示され、県より各市町村に周知しています。

 また、今回の六十谷水管橋の事故を受けて、水管橋の保有状況と点検状況の全国調査が実施され、本県においても調査結果を国に報告するとともに、水道施設の点検を含む維持や修繕等について適切に実施するよう、改めて通知したところです。

 さらに、今後、点検についての研修を行うなどの支援も行ってまいります。

○副議長(鈴木太雄君) 山家敏宏君。

  〔山家敏宏君、登壇〕

○山家敏宏君 事故が起こってからでは遅いので、先ほども触れましたが、点検については、共同点検を実施することによって第三者による点検にもなり、より安定的かつ安全な水の供給が可能になると考えていますので、このことも踏まえた上で、適切な指導をお願いいたします。

 次の質問に移ります。

 続いては、県が推進するキャッシュレス決済については、先輩の藤山議員が以前から取り組んでいただいており、多くの県有施設等にはキャッシュレス決済が導入されています。

 今回、新型コロナも鎮静化に至っていないため、さらにスピード感を持って推進していただきたいとの思いから質問いたします。

 キャッシュレスの決済手段には、クレジットカード、デビットカード、電子マネー、スマートフォン決済など、様々です。スマートフォン決済の中にも、クレジットカードをひもづけして支払う方法やチャージ式等、様々です。

 日本のクレジット会社A社の今年8月実施のアンケート結果では、ふだん支払いをする際に最もよく利用する支払い方法についての単一回答結果では、クレジットカードが38.8%、現金30.2%、QRコード決済17.7%、流通系ICカード5.7%、交通系ICカード3.6%等の結果です。この結果から見ても、日本もキャッシュレス決済の利用が定着しつつあります。

 クレジットカードとQRコード決済を比較すると、クレジットカード利用者は、QRコード決済利用者の約2倍になっています。

 事業者にとっては、全てのキャッシュレスを利用可能にするためには導入コストと決済手数料の課題がございます。しかし、利用者にとっては、全てのキャッシュレスが利用できることで、より利便性が高まります。

 そこで、県が推進するキャッシュレス決済の考え方について、商工観光労働部長の答弁を求めます。

○副議長(鈴木太雄君) 商工観光労働部長寺本雅哉君。

  〔寺本雅哉君、登壇〕

○商工観光労働部長(寺本雅哉君) 日本のキャッシュレス決済比率は、海外諸国と比べて低位にあり、インバウンド需要の取り込みによる売上げ拡大や事業者の業務効率などを目的に、国として2025年までにキャッシュレス決済比率を40%程度とする目標が掲げられ、近年、総務省においてJPQR普及事業やマイナポイント事業、経済産業省においてキャッシュレス・ポイント還元事業が実施されてきました。

 本県としましても、これらの国の事業を活用し、商工団体やQRコード決済事業者等と連携し、県内でのキャッシュレス決済の普及を推進してきた結果、平成26年商業統計調査での普及状況が全国最下位であったものが、令和元年、2年に実施されたキャッシュレス・ポイント還元事業において、人口当たりの加盟店登録数が全国で12番目となったところです。

 議員御指摘のとおり、キャッシュレス決済には様々な種類があり、利用者側にとってはクレジットカードが最も多く利用されているところでありますが、事業者側、特に小規模事業者においては、初期導入費や決済手数料の負担が軽いQRコード決済を中心に普及が進んできているところです。

 県としましては、日々進化するキャッシュレス業界の動向を常に把握し、ウィズコロナ時代で推奨される非接触のキャッシュレス決済の推進を図るとともに、アフターコロナ時代に向けてのインバウンド需要回復への備えなど、各事業者のニーズに応じた様々なキャッシュレス決済の導入を、引き続き普及推進してまいります。

○副議長(鈴木太雄君) 山家敏宏君。

  〔山家敏宏君、登壇〕

○山家敏宏君 本県では、電車、バス、タクシー、飲食店、ガソリンスタンド、ホテル等、様々なところでキャッシュレス決済が普及しています。

 ここ数年、職員の皆様の御努力、事業者の方々の御協力により、急激に使用できる場所が増加しています。引き続き、利用者の利便性も考慮した推進をお願いいたします。

 また、アメリカ、ヨーロッパのキャッシュレスは、クレジットカードが主流ですので、2025年大阪・関西万博では、和歌山県にも多くのインバウンド観光客が訪れてくれます。キャッシュレス決済を導入していない小規模事業者の方々には、QRコード決済を入り口として、最終的に事業者にもメリットがあるマルチ決済を導入できるような取組をお願いいたします。

 次の質問に移ります。

 続いて、住宅耐震化促進事業について質問いたします。

 住宅耐震化促進事業については、大地震から県民の命を守る重要施策として、平成16年度から、無料の住宅耐震診断、住宅耐震改修に対しての補助からスタートし、現状では、補強設計、地震津波対策型移転、耐震ベッド、耐震シェルターへの助成等、支援制度も拡充して取り組んでいる事業であり、市町村、建築士等も連携しながら推進していただいていることは理解した上で、耐震化に向けた県の取組状況について質問いたします。

 つい先日、12月3日、紀伊水道を震源とするマグニチュード5.4の地震が起こり、建物のガラスが破損する等の被害がありました。今後、南海トラフ沿いにおいては、マグニチュード8から9クラスの地震が30年以内に70%から80%で発生するとされる中、住宅の耐震化は喫緊の課題であり、早急な対策が必要だと考えますが、これまでの耐震診断と耐震改修の実績の推移と促進するための取組状況について、県土整備部長に答弁を求めます。

○副議長(鈴木太雄君) 県土整備部長安部勝也君。

  〔安部勝也君、登壇〕

○県土整備部長(安部勝也君) 南海トラフ地震など、巨大地震発生の可能性が高い本県では、住宅の耐震化を早急に進めるため、全国に先駆けて革新的な施策を順次導入し、全国トップクラスの支援制度になっています。

 具体的には、平成18年度に導入された、耐震基準を満たさずとも、避難を重視した補強への補助を皮切りに、現地建て替えへの補助、最大116万6000円の定額補助、津波避難困難地域からの住み替えに伴う除却や建て替えへの補助などを導入しています。

 また、建築士や工務店など民間事業者と連携し、耐震改修サポート事業や木造住宅耐震診断士の養成、低コスト工法の普及等にも取り組んでいます。

 これら取組により、耐震診断件数は、新型コロナウイルスの影響はあるものの、近年は年間約1000件で推移し、耐震改修件数は、約10年前の平成21年から6倍の約360件に増加しました。

 この結果、本県の耐震化率は81%ですが、南海トラフ地震が発生した場合に甚大な被害が想定される10県のうち、いまだ最下位となっています。

 県といたしましては、市町村や民間事業者と連携し、年間1万件を目標とした戸別訪問等により、全国トップクラスの支援制度を丁寧に説明し、住宅の耐震化を加速させてまいります。

○副議長(鈴木太雄君) 山家敏宏君。

  〔山家敏宏君、登壇〕

○山家敏宏君 住宅の耐震化の課題を一日でも早く解消するために、年間1万件の戸別訪問の目標を達成していただくよう、さらなる努力をお願いいたします。

 また、改修工事の低コスト工法も重要になりますので、引き続き、よろしくお願いいたします。

 続いて、現地建て替え制度の考え方及び実績、今後の活用方針について質問いたします。

 部長の答弁でもありましたように、平成26年度からは、耐震診断を行い、耐震性が不足すると判断された場合には、耐震改修または現地建て替えでも補助事業の対象になります。

 しかしながら、和歌山県のホームページを検索しても、現地建て替え制度の部分は、耐震改修の部分の後ろにちょっとこう括弧書きで示されているのみです。耐震改修のみならず、現地建て替えをもっと県民の皆様に周知するべきだと考えます。

 住宅耐震化促進事業の目的は、第一に県民の命を守ることです。また、旧耐震基準となる昭和56年5月31日以前に着工された住宅は、築年数が浅い物件でも築40年が経過しています。なおさら、現地建て替えのメニューもあるのですから、さらにPRするべきだと考えております。

 そこで、現状の改修と建て替えの割合、建て替え補助の県としての考え方、今後の活用方針について、県土整備部長の答弁を求めます。

○副議長(鈴木太雄君) 県土整備部長。

  〔安部勝也君、登壇〕

○県土整備部長(安部勝也君) 住宅の耐震化における現地建て替えへの補助制度は、耐震診断の結果、耐震性能が極めて低く、改修に多額の費用を要する住宅を対象に、現地での建て替えを支援するものです。

 平成26年度の導入時には、改修または建て替えを行った住宅のうち、建て替えを行った住宅は24件と約2割でしたが、令和2年度には121件と約4割まで増えています。

 県といたしましては、建て替えのみならず、改修をも含めた補助制度や融資制度、税制優遇措置などを、戸別訪問による周知に加え、SNSを活用するなど、広く情報発信を行い、住宅の耐震化を促進してまいります。

○副議長(鈴木太雄君) 山家敏宏君。

  〔山家敏宏君、登壇〕

○山家敏宏君 この制度の趣旨は、先ほども述べさせていただいたように、県民の命を守ることが第一です。

 改修工事の場合、どうしても基礎下の地盤補強が難しいのが実情です。建て替えとなれば、地盤調査を行い、地盤に適合した地盤補強も実施できます。

 また、親が対象住宅に住まわれていて、子供が賃貸マンションに住まわれている場合には、2世帯住宅に現地の建て替えも可能ですし、また、空き家対策にもつながると考えます。

 所有者の方の予算の関係もございますが、長期的に考えれば、現地建て替えを行う場合の費用対効果も増加すると考えます。

 以上の考えから、現地建て替えについても選択肢の一つとして、広く、分かりやすくPRしていただくことをお願いし、次の質問に移ります。

 続いて、県発注工事における建設資材高騰の対応について質問いたします。

 令和3年6月定例会の一般質問でウッドショックについて触れさせていただきましたが、10月22日更新の経済産業省のホームページを抜粋しますと、輸入価格の動向については、木材・木製品・林産物全体の輸入価格は、2021年9月には、前年末比で69%上昇しています。また、加工前の丸太は、相対的に上昇幅は小さかったのですが、それでも、前年末比23%の上昇となっていました、そして、合板と集成材は、前年末比でそれぞれ49%と149%の大幅な上昇となっていますとのデータで、異常な価格高騰になっています。

 また、県工事単価の根拠にも使用されています一般財団法人建設物価調査会発行の「建設物価」で、昨年の12月号と今年の12月号を比較しますと、異形鉄筋D16──16ミリの鉄筋なんですけども、トン当たり6万9000円から10万円に44%上昇、H形鋼、代表的な大きさは200の100の5.5の8で、トン当たり比較しますと7万9000円から11万2000円に41%上昇、生コンクリート、強度いろいろあるんですけど、18の18の25で見比べますと、立米当たり1万7000円から1万9000円に11%上昇しています。アスファルトについては横ばいです。しかしながら、その他にも急激な値上がりをしている資材は数多くあります。

 そこで、急激な資材高騰を踏まえ、小項目1の設計単価の見直し頻度について質問いたします。

 県発注の規模の大きな工事では、設計を完了し、入札、契約まで最短でも2か月程度はかかると思われます。ここまで価格変動が著しい中、落札業者の方が資材発注までの期間を考えますと、資材発注時点での実勢単価と設計単価の乖離が大きくなるのではと危惧いたします。

 そこで、設計単価の見直し頻度について、県土整備部長の答弁を求めます。

○副議長(鈴木太雄君) 県土整備部長。

  〔安部勝也君、登壇〕

○県土整備部長(安部勝也君) 県では、公共工事の品質確保の促進に関する法律に基づき、市場の実勢価格を県発注の公共工事の予定価格に速やかに反映させるため、建設資材単価等の実態調査を行い、設計単価を見直しています。

 実態調査については、一般的に単価の変動が比較的大きいU形側溝などのコンクリート二次製品や鋼材、ガソリン等の燃料については毎月調査し、生コンクリートやアスファルト合材、骨材等については3か月ごとに調査しています。

 今後とも、実勢価格を速やかに設計単価に反映できるよう、市場の実態把握に努めてまいります。

○副議長(鈴木太雄君) 山家敏宏君。

  〔山家敏宏君、登壇〕

○山家敏宏君 引き続き、市場の実態把握に努めていただきますようお願いいたします。

 続いて、物価の変動等に伴う請負代金の変更について質問いたします。

 私は、請負業者の方が適正価格で工事を実施して、若い後継者を育てていける適正価格で工事を行っていただきたいと考えております。そして、災害時には最優先で復旧に御尽力いただけるのも、建設業者の方々のマンパワーです。

 本県では、物価変動が著しい場合については、きっちりと対応していただいていると考えますが、物価変動の契約変更の対応について、県土整備部長の答弁を求めます。

○副議長(鈴木太雄君) 県土整備部長。

  〔安部勝也君、登壇〕

○県土整備部長(安部勝也君) 県発注の公共工事においては、建設工事請負契約書にスライド条項が規定されています。これは、契約後に著しい物価高騰があった場合、受注者から発注者に対し、変動前後の請負代金の差額を請求できるものです。

 具体的には、工期の長い工事を対象とした工期中の賃金や資材単価の変動に対応する全体スライド、資材単価の著しい価格変動に対応する単品スライド、インフレによる急激な変動に対応するインフレスライドがあります。

 昨年度は、受注者から請求のあった工事に対し審査をした結果、単品スライドで5件、インフレスライドで1件について、スライド条項を適用しました。

○副議長(鈴木太雄君) 山家敏宏君。

  〔山家敏宏君、登壇〕

○山家敏宏君 単品スライド5件、インフレスライド1件ということで、ちょっと少ないようにも感じるんですが、契約は発注者、受注者、対等の立場ですので、今後とも、迅速な対応をお願いいたします。

 また、県民の皆様から、安心・安全な生活ができるよう、歩道設置、道路改修、河川改修、しゅんせつ等の御要望を多くいただく機会がございます。限られた予算の中、全てを実施できるわけではございませんが、令和4年度土木費予算については、資材の高騰も加味していただき、防災・減災、国土強靱化予算も活用し、今年度以上の工事実施を行っていただきますよう要望し、私の一般質問を終了いたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○副議長(鈴木太雄君) 以上で、山家敏宏君の質問が終了いたしました。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 29番中西 徹君。

  〔中西 徹君、登壇〕(拍手)

○中西 徹君 皆さん、こんにちは。

 4番目なので、もう、すぐに一般質問に入らせていただきます。

 それでは、議長の許可を得ましたので、一般質問を始めさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 それでは、第1項目め、新型コロナウイルス感染症予防3回目ワクチン接種についてお伺いします。

 この質問に関しては、初日の一般質問において、公明党の中議員の質問と少し重複する部分もありますが、よろしくお願いいたします。

 12月1日から、新型コロナウイルスワクチンの3回目となる追加接種が国内で始まりました。今回も全額国費での対応と聞いています。

 追加接種は、発症予防などの効果を持続させるために行われ、対象は、2回目からおおむね8か月以上が経過した18歳以上の希望者で、2月以降に先行接種で受けた医療従事者から順次開始され、65歳以上の高齢者への接種は年明けから始まる予定となっています。

 12月6日の首相所信表明で、8か月を待たずに、できる限り前倒しするとの発言もありますが、詳細はまだ決まっていません。

 和歌山県では、1回目、2回目の接種は、知事はじめ関係者の皆様の御尽力で非常にスムーズに進捗し、全国でも有数の成果を残され、敬意を表します。

 そこで、3回目ワクチン接種についてお尋ねします。

 1番、ワクチンの選択についてでございます。

 市町村への3月までの配分量が示されたと聞いています。接種回数で考えた場合、今回の配分は、ファイザー社製のワクチンとモデルナ社製ワクチンが約半分半分の接種回数分で各市町村に配分される予定と聞いています。

 ただ、1回目、2回目にファイザー社製のワクチンを接種された方が約63万人、モデルナ社製が約3万人という中で、私としては、1回目、2回目にファイザー社製ワクチンを接種した方は、3回目もファイザー社製ワクチンを希望する方が多いのではと考えます。

 そのような中、接種が進めば、ファイザー社製ワクチンが不足し、モデルナ社製ワクチンが余ることも危惧されます。

 そこで、接種を受ける方にワクチンを選べる選択権があるのか、また、私の危惧するファイザー社製ワクチンが不足となった場合、県民の方は、待てば希望するワクチンの接種が受けられるのか、福祉保健部長にお伺いします。

 以上で、既設演壇での質問を終わります。

○副議長(鈴木太雄君) ただいまの中西徹君の質問に対する答弁を求めます。

 福祉保健部長志場紀之君。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) まず、ワクチンの選択権についてお答えします。

 現在、各市町村において、ファイザー社製ワクチンに加え、モデルナ社製ワクチンでの接種ができるよう体制整備を行っているところです。

 ワクチン接種を進めていく中で、2種類のワクチンの在庫があれば、接種を受ける方がワクチンを選択することは可能です。

 次に、接種時期を待てば希望するワクチンを接種可能かどうかについてお答えします。

 7月末までのワクチン2回接種者を対象とする3月接種分までのワクチン供給スケジュールは国から提示されているところですが、それ以降の供給スケジュールは、今のところ示されておりません。

 議員御指摘のように、ファイザー社製のワクチンの配分を待てば接種できるのかは、現時点では分かりませんが、ファイザー社製ワクチンも、モデルナ社製ワクチンも、同じメッセンジャーRNAワクチンですので、接種が可能な時期になれば、できる限り早期に接種していただければと考えております。

 しかしながら、本県では、1~2回目で多くの方がファイザー社製ワクチンを接種しており、3回目も多くの方が同じワクチンの接種を希望することが推測されることから、ファイザー社製のワクチンを国が責任を持って確保するよう働きかけているところです。

○副議長(鈴木太雄君) 中西 徹君。

  〔中西 徹君、登壇〕

○中西 徹君 交互接種についてお伺いします。

 答弁の中でもありましたが、ファイザー社製ワクチンもモデルナ社製ワクチンも同じメッセンジャーRNAワクチンですので、接種が可能な時期になれば、できる限り早期に接種していただければと考えているということですが、既に薬事承認が認められているファイザー社製ワクチンの接種も始まっており、今は、1~2回目と同じ3回目のワクチン接種が可能なので、スムーズに進んでいると考えます。

 国は、交互接種についても問題ないという見解であり、アメリカの10施設を対象とした調査において、交互接種のほうが、効果がよりあるかも分からないということも報告されていると聞いています。厚生労働省のホームページにも掲載されていました。

 ただ、私は、交互接種の有効性や安全性について、まだまだ県民には伝え切れていないように思います。

 そこで、お聞きしますが、交互接種の有効性や安全性について県民の理解が得られるように、県としてはどのように考えられているのか、福祉保健部長にお伺いします。

○副議長(鈴木太雄君) 福祉保健部長。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 交互接種の有効性や安全性については、ワクチンの薬事承認を行っている国が臨床試験等のデータに基づき国民に対して説明すべきものであり、幅広く認知してもらわなければならない事項であることから、県としては、全国知事会や関西広域連合を通じて、しっかりと情報提供するよう提言しているところです。

○副議長(鈴木太雄君) 中西 徹君。

  〔中西 徹君、登壇〕

○中西 徹君 交互接種の有効性や安全性については、ワクチンの薬事承認を行っている国が説明すべきものということですが、交互接種の安全性及び有効性の情報を伝え切れていないと、疑問や不安を持ち、ワクチンの選択権があるのであれば、同じ会社のワクチンを次の配分まで待っておこうと思うのが普通ではないかと考えるわけです。そうなると、3回目の接種を控える動きが広がりかねないこともあると思います。

 国のワクチンの在庫や配分量の厳しい事情なども関係すると思いますが、基本は、希望するワクチンを速やかに接種できるだけの配分がなされるよう、国への働きかけと、交互接種の有効性と安全性の情報をしっかりと県民に伝えることができるように強くお願いします。

 また、今回の3回目の接種現場サイドにおいて、中議員も話されていましたが、予約の段階で事務の困難や、接種現場で複数のワクチンによる接種調整、いわゆるファイザー社製とモデルナ社製の1バイアルの回数が違いますし、希釈の必要性も違うなど、接種に間違いが起こることがあるのではとの声も聞かれます。県においては、円滑に接種が進むように必要な支援をお願いします。

 この質問に関しては、和歌山県市長会・町村会から、新型コロナウイルスワクチンの追加接種についての緊急要望も出されていると思います。実施主体は各市町村で、民間病院も関係してきます。現場がワクチン接種希望者に対してスムーズに対応できるよう、県は、市町村の声を吸い上げ、国へしっかりと働きかけをお願いします。

 次に、大項目2、地域公共交通政策についてお伺いします。

 地域公共交通の維持・確保に関する県の取組についてでございます。

 令和2年11月、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律が広範囲にわたり改正されました。

 これは、公共交通サービスの需要の縮小や経営の悪化、運転者不足の深刻化などにより、地域によっては路線バスや鉄道の維持が難しくなっている状況にあり、その一方で、高齢者の運転免許返納が増え、受皿としての移動手段を確保することがますます重要な課題であることを背景として施行されたものです。

 さらに、昨今の新型コロナウイルス感染症により、在宅勤務、テレワーク等、生活様式の変容も加わったことから、地域公共交通に対して多大な影響が及んでいるところであります。

 そこで、1点目として、地域公共交通の維持・確保に関する県の取組はどのようになされているのか、企画部長にお伺いします。

○副議長(鈴木太雄君) 企画部長横山達伸君。

  〔横山達伸君、登壇〕

○企画部長(横山達伸君) 県では、これまで各市町村を訪問し、地域公共交通の維持・確保に向けた意見交換を実施するとともに、市町村が主体的に行う公共交通ネットワーク構築の取組について、令和2年度から実施をしております地域生活交通確保支援事業の活用などにより支援をしております。

 本事業は、地域公共交通の課題を抱える市町村に対し、アドバイザーの派遣や実態調査、実証運行に係る助成を行うもので、令和2年度は4市町、令和3年度は7市町において、コミュニティーバスの路線見直しや利用促進、デマンド交通の検討などを実施しておりまして、市町村や事業者と、県も一緒になって進めているところでございます。

 また、今議会において、新型コロナウイルス感染症の影響を受けている地域交通事業者の事業継続を支援するため、補正予算案を提案させていただいているところでございます。

○副議長(鈴木太雄君) 中西 徹君。

  〔中西 徹君、登壇〕

○中西 徹君 答弁ありがとうございます。

 各市町村に対し、アドバイザー派遣や実証運行等に係る助成など、県が一緒に進められ支援しているということ、また、県の施策で、今回も地域交通事業者へコロナ禍での補正予算も提案をしていただいており、感謝しております。引き続き、よろしくお願いします。

 次に、中項目の2、広域的な課題への県の対応についてお伺いします。

 公共交通については、収益が減少する中で、これまで以上にサービス水準の向上を求められるという厳しい状況になってきている中、持続可能な運送サービスの提供の確保に資する取組を推進するため、法改正されました。

 法改正の大きな意義は二つあり、一つは、地域が自らデザインする地域の交通づくりに向け、都道府県も含めた地方自治体に地域公共交通計画の策定を努力義務としたことであります。

 従来の公共交通サービスに加え、地域の多様な輸送資源である自家用有償旅客運送、福祉輸送等を位置づけ、地域のニーズにきめ細かく対応し、また、定量的な目標設定や毎年度の評価などにより、データに基づくPDCAの強化実施も求め、交通手段に着目した従来の考え方から、移動全体、人々のモビリティー確保・改善という幅広い観点から見直したものと考えられます。

 二つ目は、地域公共交通特定事業のメニューに地域公共交通利便増進事業を創設したことです。

 既存の公共交通サービスの改善策として、等間隔運行や定額制乗り放題運賃、乗り継ぎ割引運賃など、利用者が使いやすい施策等が挙げられ、さらに、MaaSの円滑な普及促進に向けた措置として、新モビリティサービス事業計画の認定制度の創設も挙げられています。

 MaaSは、複数の公共交通やそれ以外の移動サービスを組み合わせて一つの移動サービスと捉え、ICTを活用して様々な交通手段を継ぎ目なく円滑につなぐという考え方で、高齢者対策、観光振興などに向けて極めて有効な手法であり、実現すれば理想的な地域サービスになり得ます。

 本県においても、人口減少等が速いスピードで進む高齢化の中、地域公共交通ネットワークの劣化は避けられない中で有効な施策だと思います。地域公共交通施策の統合化、広域化による地域公共交通の整備が必要になってくると考えます。

 本県の現在の地域公共交通計画の策定状況は、4市となっています。これまでは、地域の公共交通の計画を立てるのは市町村です。しかし、人の生活と市町村の境は必ずしも一致しません。生活圏は隣の市町村が当たり前です。市町村単位で公共交通を計画している限り、市町村を超えての交通ネットワークの最適化は進まないのではないでしょうか。

 事実、本県においては、公共交通の空白地帯は市町村境に、あるいは地域境界周辺で発生しており、改善のためには、市町村を超えた広域的な地域公共交通政策が必要と考えます。県が主体的に広域地域を関連市町村と連携して、地域公共施策に取り組むべきだと考えます。

 そこで、2点目として、今後、市町村を超えての交通ネットワークの最適化など、広域的な課題が生じる場合も考えられる中、地域公共交通の広域的な維持確保に向け、県はどう対応するのか、企画部長にお伺いします。

○副議長(鈴木太雄君) 企画部長。

  〔横山達伸君、登壇〕

○企画部長(横山達伸君) 広域的な交通ネットワークに関しまして、県では、これまでも関係市町村と協議を行い、広域的なコミュニティーバスの運行など、課題解決に向けて取り組んできたところです。

 また、複数の市町村が共同して広域的な課題解決に向けた検討を行う場合、地域生活交通確保支援事業による支援を行うとともに、今後も、県も市町村や事業者と一緒になって課題解決に取り組んでまいりたいと考えております。

 さらに、議員御指摘の広域的な公共交通の在り方について、県といたしましても、地域公共交通計画として取りまとめるべく検討を進めているところでございます。

 一方、電車やバスという地域公共交通を維持するためには、まず、地域住民の方々が公共交通機関を利用することが必要でございます。ほとんど利用する方がいない状況では、その路線を維持することは極めて困難となります。このため、地域住民の方々には、乗って残すという行動を日々実践していただくことが必要でございます。

 県といたしましても、小学生を対象とした公共交通の大切さやバスの乗り方に関する授業、あるいは、高齢者グループを対象に、電車やバスを実際に利用することの重要性をテーマとした講座を実施したり、交通に関するイベントやお知らせを県のSNSで発信するなど、取組を行っております。

 また、バスの利便性を向上させるために、事業者が行う路線バスへのICカードシステム導入や、次のバスがいつ来るか分かるバスロケーションシステムの導入などに支援を行うことで、利用促進を図っているところでございます。

 今後も、地域公共交通の維持・確保に向けて、市町村や事業者と連携を密にしながら取り組んでまいります。

○副議長(鈴木太雄君) 中西 徹君。

  〔中西 徹君、登壇〕

○中西 徹君 答弁ありがとうございます。広域的な課題に向け取り組んできたということです。

 現在は、市町村で地域公共交通計画について、4市町村以外、必要なところにおいては、策定をされている途中だと思います。

 実際、この計画を策定しなければ、市町村がいただいていた国からのコミュニティーバスの運行に対する補助事業とかがカットされるということだと聞いております。

 基本は、もちろん乗ってもらって残すという答弁でございます。ただ、乗ってもらえないため、バス事業者など、タクシー事業者なども、営業所などを、今、現実、撤退しているということだと思います。

 例えば、私の地元の海南市から有田市へ移動する手段が、バスはこの間、今はもう運行されていませんので、電車だけとなっています。もちろんタクシーも使えるのですが、加茂郷駅にあった営業所も先日撤退しました。

 これは、人口減少も大きく関係してくると思います。この課題に関して、市町村単位では解決できない問題でもあるので、そういう部分について、県がリーダーシップを取って取り組むべきものだと考えますし、答弁にもありましたけど、これからICTを活用した新しいモビリティーサービスも進んでいくと思われますので、しっかりと使える施策を取り入れた中で、人口減の公共交通政策はこれだという施策が実施されることを期待して、次の質問に入ります。

 3番、県営住宅の浸水対策についてお伺いします。

 浸水想定区域内の県営住宅数についてでございます。

 令和3年2月10日の読売新聞に、社会のセーフティーネットとも言える公営住宅の水害対策について、都道府県と政令市、県庁所在市と中核市の131自治体を対象に実施した調査結果が掲載されていました。

 その内容は、台風や豪雨で浸水被害が想定される洪水浸水想定区域内の公営住宅に関して、水害対策に着手していた自治体は4割だったことが判明したというものです。

 また、公営住宅の入居世帯のうち、高齢者のいる世帯が半数以上となる中、点検と対策が早急に必要であると指摘しています。

 昨年7月の九州豪雨では、熊本県・球磨川が氾濫し、多数の公営住宅が浸水しました。人吉市の市営住宅1階に住む65歳の女性は、早朝、迫る濁流から逃げるため2階まで駆け上がり、部屋は天井近くまで水没し、避難訓練の経験もなかったため、あのまま寝ていたら亡くなっていたかもしれないと振り返られていました。

 水防法では、浸水想定区域内にある高齢者施設は避難訓練などの義務がありますが、公営住宅にはありません。しかしながら、公営住宅では、入居者の高齢化の進展に伴い、より一層の災害時の入居者の安全確保が求められます。

 あわせて、本県は、南海トラフ巨大地震による津波被害も想定されていることから、水害対策に加え、津波対策も重要であると思います。

 そこで、浸水想定区域内にある県営住宅数はどれだけあるのか、県土整備部長にお伺いします。

○副議長(鈴木太雄君) 県土整備部長安部勝也君。

  〔安部勝也君、登壇〕

○県土整備部長(安部勝也君) 県営住宅全67団地のうち、洪水浸水想定区域に位置する団地は27団地、南海トラフ巨大地震による津波浸水想定区域に位置する団地は19団地あります。重複が9団地ありますので、合計で37団地、全体の約55%を占めます。

○副議長(鈴木太雄君) 中西 徹君。

  〔中西 徹君、登壇〕

○中西 徹君 答弁ありがとうございます。

 37団地、55%というのは、私が思っていた以上に多かったと思います。

 関係しますので、2項目めに移ります。

 県営住宅における取組と方針についてでございます。

 読売新聞の調査において、洪水浸水想定区域内に公営住宅がある120自治体のうち49自治体が対策を行っていました。

 その内容は、避難訓練が多く、次に大雨時の職員派遣が続き、費用の問題からソフト面での対策が目立ったということです。

 ハード面においては、過去の水害を教訓に、浸水時に想定される水深が深い団地を3階建てとし、浸水が想定される1階には居住させないという取組も行われています。

 逆に、対策未着手の自治体は71自治体となり、理由としては、過去に大きな災害が起きていないためということが多く、自治体職員からは、想定外の災害があることは分かるが、そこまで手が回らないという回答もありました。

 一方で、他県では、住宅困窮者と災害弱者は重なる点が多く、一定の災害弱者の入居を前提に対策を行う必要があると指摘しており、このことは、多くの自治体に当てはまることではないかと考えます。

 そこで、県土整備部長にお聞きしますが、洪水浸水想定区域や津波浸水想定区域内の県営住宅におけるソフト面、ハード面の対策としてどのような取組を行い、今後の方針はどのように進められるのか、お伺いします。

○副議長(鈴木太雄君) 県土整備部長。

  〔安部勝也君、登壇〕

○県土整備部長(安部勝也君) 現在、県では、防災力向上を図るため、高齢者のみに限定することなく、県営住宅の入居者全員を対象とした施策を進めているところです。

 具体的には、防災力を向上させるソフト対策として、団地ごとに洪水や津波の浸水想定による水深を入居者に周知し、早期の避難を働きかけるとともに、上層階に避難が可能な団地については、垂直避難の啓発など、対策を行っています。

 また、ハード対策としては、県営住宅が入居者に加え地域の方々の防災力向上に資するよう、6団地において津波避難階段を設置するとともに、設計中の串本団地は、津波の想定浸水深より上層階に住戸並びに避難場所を配置し、津波避難ビル機能を有する構造にしています。

 県といたしましては、災害時に死者を一人も出さないという強い決意の下、浸水時に避難が困難な高齢者などを特定し、市や町、自治会等と連携し、個々の実情に応じた避難方法を早期に定め、実践できるように努めてまいります。

○副議長(鈴木太雄君) 中西 徹君。

  〔中西 徹君、登壇〕

○中西 徹君 早期に実施できるよう努めてまいりますという、すばらしい答弁をいただきましたので、しっかりと取り組んでください。よろしくお願いします。

 次、4項目め、海外への農水産物・加工食品の販路拡大についてお伺いします。

 コロナ禍での海外販路拡大の取組についてでございます。

 令和3年12月6日の新聞に、農産物輸出、初の1兆円へという記事が掲載されていました。農林水産省が3日に公表し、2021年1月から10月の農林水産物・食品の輸出額が前年同期比28%増の9734億円となったということです。

 我が国の食市場は、人口減少を起因とした縮小傾向にある一方で、海外においては、新興国の経済成長や人口増加に伴い、市場規模は、2015年の890兆円から2030年には1360兆円の1.5倍に拡大すると見込まれています。

 農林水産物・食品の輸出額については、2012年の4497億円から2019年の9121億円へと倍増しました。

 コロナ禍においては、世界各国の食料消費が外食から家庭消費へシフトしたことにより、日本から農林水産物・食品の輸出についても、家庭向けを中心とした品は増加しました。

 世界市場の伸びを考えると、まだまだ販路拡大の可能性があると考えます。今後の国内市場の縮小を考えれば、国内農業を守るためにも、拡大する世界市場へ目を向けなければなりません。

 県が作成した和歌山県農水産物・加工食品の販売戦略「アクションプログラム2021」によると、海外市場の販路開拓強化として、海外見本市出展等による商談機会の充実や海外における和歌山プロモーション、輸出拡大に向けた環境整備などに取り組むとされています。

 ただ、長引くコロナ禍により、県が出展を予定していた海外食品見本市や現地で開催する和歌山フェアに県内事業者が渡航できず、現地の販売員による試食や販売活動すらままならない状況となってしまっています。

 私は、いつまで続くか分からないコロナ禍の中で、デジタル化などを活用した海外への販路拡大の取組も必要ではないかと考えます。

 そこで、コロナ禍の中で、販売促進活動のための海外渡航ができないなどの行動制限がかかる中、県では、現在、どのように海外への農水産物・加工食品の販路拡大に取り組まれているのか、農林水産部長にお伺いします。

○副議長(鈴木太雄君) 農林水産部長岩本和也君。

  〔岩本和也君、登壇〕

○農林水産部長(岩本和也君) 県では、農水産物及び加工食品の輸出に当たって、品目別にターゲット国・地域を定めて戦略的に取り組むとともに、海外食品見本市への出展や現地での商談会といったプロモーション活動等を実施してきたところです。

 しかしながら、議員御指摘のように、新型コロナウイルスの感染拡大により、令和2年4月頃から海外渡航が難しくなり、従来の対面を基本とする商談やプロモーション活動を行うことができなくなりました。

 そこで、ウェブ会議システムを最大限に活用し、これまで構築してきた現地輸入商社等との協力関係を維持するとともに、国内輸出商社に積極的に働きかけ、新規海外バイヤーとのウェブ商談会を開催するなど、県内事業者の商談機会の創出に努めています。

 さらに、国の食品産業の輸出向けHACCP等対応施設整備事業等を活用し、コロナ禍においても、輸出先国のニーズへの対応に必要な施設や機器の整備に積極的に取り組む県内8事業者への支援を行ったところです。

 新型コロナウイルスの感染状況については、新たな変異株の出現などで、まだまだ先行きは不透明ですが、ポストコロナ社会にも柔軟に対応しながら、引き続き、本県の農水産物・加工食品の輸出拡大に向けた取組を進めてまいります。

○副議長(鈴木太雄君) 中西 徹君。

  〔中西 徹君、登壇〕

○中西 徹君 コロナ禍でも、ウェブ会議などを最大限に使い、国の整備事業なども使って活動されているということですので、引き続き、よろしくお願いします。

 最後の中項目2に入ります。

 新たな販路開拓の取組について伺います。

 国は、2025年までに2兆円、2030年までに5兆円の輸出額を目標に掲げ、農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略の下に、輸出拡大を国の重要施策の一つと位置づけています。

 県としても、様々な観点から、民間企業などとも連携、協力しながら販路の開拓に取り組む必要があると考えます。

 先日、有田川町のJAありだAQ中央選果場にて開催されたベトナムへの本県温州ミカンの輸出出発式に出席してまいりました。こうした海外への新たな販路に大変期待をしているところです。

 県として、本県農水産物・加工食品の新たな販路開拓にどのように取り組まれていくのか、農林水産部長にお伺いします。

○副議長(鈴木太雄君) 農林水産部長。

  〔岩本和也君、登壇〕

○農林水産部長(岩本和也君) 新たな販路開拓の取組として、まず、本年10月に解禁となったベトナムへの温州ミカンの輸出について、先月28日、出発式とともに国内初となる輸出を行い、現地日系スーパーや高級フルーツ店において、ジェトロ等と協力し、販売促進活動を行っているところです。

 また、海外で店舗数を拡大しているPPIH──株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスと本年3月に包括連携協定を締結したことを受け、香港DON DON DONKI全7店舗において、梅酒を中心とした41商品が新たに定番商品として販売されているほか、年末・春節商戦をターゲットとした「和歌山フェア」を11月から3か月にわたり同3店舗で開催しており、県内51事業者に約2万5000点の発注がありました。

 そのほか、現在開催中の台湾DON DON DONKIでのミカンのプロモーション、来年4月には、米国で例年実施している「和歌山フェア」の期間拡大などを予定しております。

 さらに、昨年9月に「和歌山梅酒」が酒類の地理的表示(GI)の指定を受けたことを契機に、日EU経済連携協定により、GIの相互保護関係にあるフランスにおいて、来年2月にGI和歌山梅酒のプロモーションイベント等を行う予定です。

 今後も、JAグループや民間企業等と連携、協力しながら、本県農水産物・加工食品のプロモーション等を実施し、有望な市場への販路開拓を行い、さらなる輸出拡大に取り組んでまいります。

○副議長(鈴木太雄君) 中西 徹君。

  〔中西 徹君、登壇〕

○中西 徹君 前向きな活動を行っているという答弁をいただきました。

 私もそうですが、目的は、生産者の所得をどうやって上げるかということだと思います。

 先日、ベトナムへ送った温州ミカンは、現地のスーパーや高級フルーツ店などで1キロ1300円から1500円台で販売されていると聞いています。

 和歌山県の農家数は、全体での戸数ですが、2000年は約4万戸でしたが、2020年──20年後ですね──は約2万5000戸まで減っており、これからも減ると予測されています。

 高齢化もあるのは分かりますが、海外で和歌山県の農水産物や加工品が定着することで生産者の所得が上がっていけば、この今の流れも変わっていくのではと考えます。

 今後も、輸出拡大の取組に期待を申し上げ、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○副議長(鈴木太雄君) 以上で、中西徹君の質問が終了いたしました。

 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。

 次会は、12月13日定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。

 本日は、これをもって散会いたします。

  午後2時20分散会

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