令和3年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


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令和3年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号

議事日程 第4号

 令和3年12月9日(木曜日)

 午前10時開議

 第1 議案第141号及び議案第148号から議案第177号まで(質疑)

 第2 一般質問

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会議に付した事件

 第1 議案第141号及び議案第148号から議案第177号まで(質疑)

 第2 一般質問

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出席議員(42人)

 1番 鈴木德久

 2番 山家敏宏

 3番 中本浩精

 4番 堀 龍雄

 5番 藤山将材

 6番 岸本 健

 7番 井出益弘

 8番 宇治田栄蔵

 9番 北山慎一

 10番 玄素彰人

 11番 中西峰雄

 12番 秋月史成

 13番 森 礼子

 14番 濱口太史

 15番 尾崎要二

 16番 冨安民浩

 17番 川畑哲哉

 18番 玉木久登

 19番 鈴木太雄

 20番 岩田弘彦

 21番 吉井和視

 22番 谷 洋一

 23番 佐藤武治

 24番 岩井弘次

 25番 中 拓哉

 26番 多田純一

 27番 新島 雄

 28番 山下直也

 29番 中西 徹

 30番 谷口和樹

 31番 藤本眞利子

 32番 浦口高典

 33番 山田正彦

 34番 坂本 登

 35番 林 隆一

 36番 楠本文郎

 37番 高田由一

 38番 杉山俊雄

 39番 片桐章浩

 40番 奥村規子

 41番 尾﨑太郎

 42番 長坂隆司

欠席議員(なし)

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説明のため出席した者

 知事         仁坂吉伸

 副知事        下 宏

 理事         田嶋久嗣

 知事室長       赤坂武彦

 危機管理監      細川一也

 総務部長       吉村 顕

 企画部長       横山達伸

 環境生活部長     生駒 享

 福祉保健部長     志場紀之

 商工観光労働部長   寺本雅哉

 農林水産部長     岩本和也

 県土整備部長     安部勝也

 会計管理者      真田 昭

 教育長        宮﨑 泉

 公安委員会委員    細江美則

 警察本部長      遠藤 剛

 人事委員会委員長   平田健正

 代表監査委員     森田康友

 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫

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職務のため出席した事務局職員

 事務局長       出津野孝昭

 次長         中井 寛

 議事課長       山田修平

 議事課副課長     岩井紀生

 議事課課長補佐兼議事班長

            岩﨑 亮

 議事課主任      伊賀顕正

 議事課主査      菅野清久

 議事課主事      松本 悠

 総務課長       須田剛司

 政策調査課長     神川充夫

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  午前10時0分開議

○議長(森 礼子君) これより本日の会議を開きます。

 日程第1、議案第141号及び議案第148号から議案第177号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、併せて日程第2、一般質問を行います。

 18番玉木久登君。

  〔玉木久登君、登壇〕(拍手)

○玉木久登君 おはようございます。本日、この場に立たせていただきました先輩・同僚議員の皆様に、感謝をまず申し上げたいと思います。

 早朝から先輩議員が、先頭バッター、トップバッターとはどうあるべきかということをこんこんと申されました。緊張もしております。私、自分の名刺にも書いていますが、「夢に向かってフルスイング」でございますので、先頭バッターとして初球からフルスイングで頑張りたいと思っています。ハーフスイングにならないように、しっかりとやっていきたいと思います。どうかよろしくお願いします。

 早速ですが、議長のお許しをいただきましたので、一般質問のほうに入りたいと思います。

 まずは、要望として1点述べさせていただきます。

 和歌山下津港湾岸道路建設に向けた取組についてであります。

 去る11月25日、和歌山下津港湾岸道路建設促進議員連盟の活動として、尾崎要二会長、宇治田栄蔵副会長、新島雄副会長、山下直也副会長と共に国土交通省道路局長並びに県選出国会議員の皆様に対し、和歌山下津港湾岸道路の早期整備に向けた要望書を提出してまいりました。

 本議連は、本年9月定例会の一般質問において尾崎要二会長から述べられたように、和歌山下津港沿岸部に高規格な道路を実現するため、令和3年3月に再結成をいたしました。現在、早期開通に向け進められている国道42号有田海南道路の整備促進に集中するため、一時活動を休止しておりましたが、従来の道路交通問題に加え、IRの誘致が佳境に入ってきたことから、再始動したところであります。

 今回の要望活動の内容は、一つ目として、令和4年度予算編成において、必要とされる予算を確実に確保すること。一つ、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策について、必要な予算、財源を別枠で確保すること。一つ、広域道路交通計画の見直しの際には、既に位置づけられている和歌山環状北道路、和歌山環状道路に加え、本構想の重要性を鑑み、和歌山下津港湾岸道路を位置づけられるよう、国道42号、和歌山市から海南市間のネットワークの課題や路線の必要性、効果等を和歌山県と協力して調査することとしております。

 今後は、仁坂知事には、当該道路を早期に実現できるよう国に働きかけるとともに、県の重要施策としての認識と位置づけを強く要望いたします。

 要望については以上で終わります。

 ここからは質問に入らせていただきます。

 今回は、脱炭素社会の実現に向けて質問をいたします。

 大項目1番として、脱炭素社会の実現に向けた県の取組についてであります。

 地元有田地方では、有田みかんの収穫の最盛期を迎え、ミカンを満載した軽トラックがまちのあちらこちらを駆け巡り、活気にあふれています。道行く中で農家の皆さんとも会話も弾み、当然今年のミカンの出来栄えの話になります。

 そんな中で共通して話題に上るのが、「最近の気候は異常やなあ」という言葉。今年に関しては台風の直撃もなく、災害も最小限の状況下でしたが、ミカンの花の開花時期である5月の長雨によりハイカビが花に生え、「今年のミカンは見栄えが悪い」と皆、おっしゃっています。

 また、例年ですと防寒ヤッケを着てミカン取りを行うところ、「暑くて気持ち悪なる。熱中症になるわ」と、つい最近まで言うていました。400年以上継承されてきた伝統の有田みかんもこんな形で悩まなあかんのかなあと考えさせられます。

 異常気象に関しては、近年、台風の大型化やゲリラ豪雨、線状降水帯による局地的長期豪雨による災害などが増加し、日本のみならず世界的な規模で発生し、気候変動の影響が世界各地で顕在化しています。そのことからも現在、危機感が高まっており、去る11月にイギリスのグラスゴーで開催されたCOP26(気候変動枠組条約第26回締約国会議)では、産業革命前からの気温上昇を1.5度に抑える努力を追求することや、石炭火力発電の段階的削減に向けた努力を加速させることなどが合意されました。

 国内においては、昨年、菅前首相が2050年カーボンニュートラルを宣言した後、今年4月には、温室効果ガス排出量を2030年までにマイナス46%削減することが表明され、国を挙げて脱炭素社会の実現に向けた動きが加速しています。

 そのことを受け、県では、令和3年3月に第5次和歌山県環境基本計画を策定し、2050年度までに温室効果ガス排出量実質ゼロとすること、すなわち脱炭素社会の実現を目指すことが示されています。

 このことを踏まえ、県として今後どのような取組を行っていくのか、環境生活部長にお伺いいたします。

○議長(森 礼子君) ただいまの玉木久登君の質問に対する答弁を求めます。

 環境生活部長生駒 享君。

  〔生駒 享君、登壇〕

○環境生活部長(生駒 享君) 県では、従来再生可能エネルギーの導入促進や省エネルギーの推進など、温室効果ガスの排出削減に取り組んできたところですが、国内外で脱炭素化の動きが加速していることを踏まえ、より一層取組を進める必要があると考えています。

 本年3月には、2050年カーボンニュートラルを宣言し、同月策定した第5次和歌山県環境基本計画において、省エネルギーの推進、再生可能エネルギーの導入促進、森林吸収源対策、脱炭素に向けた地域づくりなどの気候変動対策に重点的に取り組むこととしました。

 カーボンニュートラルを達成するためには、省エネルギー化や再生可能エネルギーの積極的な導入に加え、エネルギー消費量の大部分を占める産業部門での技術革新や個人の生活様式の見直しが必要不可欠です。

 本県の企業や県民が積極的に気候変動対策に取り組めるよう、国内外の動向を注視しながら有用な情報を発信し、脱炭素社会の実現に向けた意識醸成に努めてまいります。

○議長(森 礼子君) 玉木久登君。

  〔玉木久登君、登壇〕

○玉木久登君 環境生活部長から答弁をいただきました。

 この項では、脱炭素社会の実現に向けた県の取組についてお伺いをしているんですが、和歌山県における気候変動対策の推進に関しては、温室効果ガスの排出削減対策と吸収源対策などの緩和策、それと影響に備えるための対応策が必要とされ、今後、気候変動に関する国内外の動向や県内の経済状況も十分に踏まえつつ、県民、それと事業者、それと行政など全ての人々が協働しながら、県全体一丸となって、社会のあらゆる分野の低炭素化社会、それと気候変動への適応、これを着実に進めていくということだと思います。

 県民一人一人が脱炭素社会の実現に向け、何か一つでも取り組めるように、より分かりやすい啓発活動も必要だと思いますので、どうかよろしくお願いしたいと思います。それに併せて、それに対する支援というんですか、支援策も考えていただきたいなと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

 次の項に移ります。今後の和歌山県の新分野への取組についてであります。

 先ほどの環境生活部長の答弁にありました内容について一部復唱いたしますと、「カーボンニュートラルを達成するためには、あらゆる場面において、省エネルギー化や再生可能エネルギーの導入に加え、エネルギー消費量の大部分を占める産業部門での技術革新や個人の生活様式の見直しが不可欠である」と答弁がありました。ここでは、エネルギー消費量の大部分を占める産業部門について、何点か知事の見解をお伺いしたいと思います。

 中小企業が大部分を占める県内の状況下において、独自で技術革新に向けて取り組むことは、そう簡単なことではないと考えます。私は、県内大企業の先進的な技術革新が脱炭素社会に取り組む本県の大きな鍵となると考えるのですが、現状の取組も踏まえ、見解をお聞きしたいと思います。

 あわせて、新たな企業誘致についてお聞きいたします。

 新エネルギー分野に取り組む企業を県内に誘致することについて、どのようなお考えをお持ちでしょうか。私は、水素製造部門については特に有力な候補だと考えています。例えば、J-POWER(電源開発)の取り組む化石燃料とCO2回収・貯留(CCS)技術の組合せでつくるブルー水素、それと再エネ電力で製造するグリーン水素、この両面からCO2フリーに水素を大量に製造する研究は、今後の水素社会をリードする取組だと思います。ほかにも研究段階として、メタンハイドレート、核融合実験炉、再生可能エネルギー部門など、エネルギー新分野の研究は今後大きな役割を担うのは間違いないと思います。

 このような新エネルギーの研究を行う企業、研究機関の誘致は、県内における雇用の創出はもちろんのこと、アフターコロナに向けた新たな和歌山県の戦略として非常に重要だと考えます。知事の考えはいかがでしょうか。

○議長(森 礼子君) 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 脱炭素に関しましては、CO2排出の内訳を見ますと、産業、民生、運輸というふうに部門が分かれるんですけれども、このうち産業部門は、2020年度のエネルギー消費量で見たときなんですが、45.3%を占めておって、カーボンニュートラルの実現に向けての脱炭素の主役みたいな役割があると思います。

 その中では、例えば和歌山県の島精機製作所の開発したホールガーメントというのは製品ロスが全く出ませんので、したがって、効果抜群の省エネあるいは省資源技術なんですね。脱炭素にも当然資するわけで、こういうものがもっともっと、その製品が世界中に行き渡れば、カーボンニュートラルに資することは間違いないというふうなものもあります。

 一方、県内に立地するENEOSの石油精製業とか、あるいは日本製鉄の鉄鋼業は、これは物すごくつらいところがありまして、カーボンニュートラルに向けて、これまでのビジネスモデルや戦略を根本的に転換しなければいけないという宿命を負い始めています。

 例えば、日本の鉄鋼業のエネルギー効率は、もう世界の中では抜群に高いのでありますけれども、実はそもそも今の生産方法だと、鉄を作ると大量のCO2が出てしまうということになります。そのような中で日本製鉄では、これはいかんということで、水素還元製鉄のようなゼロカーボン・スチールの実現に向けた挑戦を進めているわけであります。

 また、脱炭素と言われると、炭素の塊であります石油なんか物すごくつらいわけで、石油精製業は一番切ない、これからどのようにビジネスを変えていくのか、大変悩ましいところがあると思います。

 こういう和歌山経済の主力が、これらは和歌山経済の主力でありますので、主力がこの世からなくなってしまったら和歌山はどうやって食べていったらいいんだということに直面いたします。それぞれの企業が必死で技術開発に取り組むと思われますけれども、その成果が和歌山で実現するように我々も協力をするということがどうしても重要で、そのためには情報収集をしたり営業活動をしたり、どんどん活動をしていかないと、あっという間に置いていかれるという可能性がある時代になってきました。

 また、カーボンニュートラルに向けた対応は、今申し上げました巨大・大企業のみならず、中小企業も取り組むべき課題であります。従来の生産工程のままでは、燃料制約や電気代の高騰、これが一方では進むでしょうから、対応できないことになります。そうすると、中小企業にもICTやデジタルといった技術を活用して、高効率化と高付加価値化の取組が必要と思います。

 どの企業にとっても大変な道のりでございますが、県としては、国が2兆円のグリーンイノベーション基金をつくってくれて、そのほかの国の支援策の活用も可能でございますので、そういうことを働きかけて、県内の事業継続が何とか実現する、もっと言えば事業が拡大するように、様々な支援策により、県内企業の脱炭素化に向けた前向きの技術開発の取組を後押ししていきたいと考えております。

 次に、御指摘がありましたエネルギーの新分野の企業誘致については、これはあらゆる分野でチャンスがあれば取り組まなければならないというふうに思います。ただ、弊害があってもとにかくやるんだというのはおかしいので、そこは弊害を除去しながら取り組まなきゃいけないということでございます。

 とりわけ、議員御指摘のとおり、水素は企業がカーボンニュートラルを進めていくに当たり、救世主となり得るものと考えております。現状では、運搬とか製造あるいはコストなどに課題がございますけれども、将来的に余った太陽光を水素に変えて貯蔵できるような、そういう技術ができれば、これはカーボンニュートラルに大きく近づくんじゃないかというふうに思います。

 県としては、この水素化に少しでも貢献しなきゃいかんということで、公用車としての燃料電池自動車の購入とか水素ステーションの設置の働きかけなどを通じて需要拡大に取り組んでおりまして、将来的には水素サプライチェーンを形成する中核企業の誘致を目指してまいりたいと思っております。

 次に、メタンハイドレートがあります。これは炭素ではありますけれども、実はメタンのまま排出いたしますとCO2の25倍もの温室効果ができてしまうわけで、メタンが空中に出ますとできてしまうわけなんで、うまく海中から取り出してこのメタンを潰してしまわないかんと。つまり、そこからエネルギーを取って、その結果、CO2は多分出ますけど、25分の1の効果になるわけですから、これは何とかちゃんと有効活用しなきゃいけないということであります。

 技術的には実用化にまだ遠いわけでありますが、国において実用化のための技術開発を今やっておられるので、これに期待をして、県としては、和歌山沖にどのぐらい、どこにどれだけあるかということの賦存状況調査は実用化になったときに備えて進めておこうと、こういうことで取り組んでおります。

 カーボンニュートラルの技術開発については、ナショナルプロジェクトとして進める大規模なものがある一方で、県内の中堅・中小企業がカーボンニュートラルに向けて少しでも前進させるためのローカルな取組もあるはずであります。いずれも企業に事業構造の転換を強いるような痛みを伴う取組であると思いますが、国の支援策も活用しつつ、県としても県工業技術センターの全面的な支援の下に、地域に根差した研究開発を進めながら、県内でカーボンニュートラルに取り組む企業が増えるように一歩一歩取り組んでまいりたいと考えます。

 あわせて、産業構造もやっぱり将来に備えて変えていかないと危ないという感じはあります。ICT企業などのエネルギーをあまり使わないで付加価値を生み出すような企業の誘致に取り組まなきゃならないと考えます。

 カーボンニュートラルを一例として、変化していくのが経済でありますので、今のままでいいんだと、いろんな余計なことはしないほうがと言っていると、あっという間に今の地位すら危なくなって、今のままではもたないというのがもう歴史上何度も繰り返されたことであります。

 したがって、それぞれ情報収集に努めて、営業活動にどんどん取り組んで、あらゆる雇用源になる産業、企業については誘致と、それから育成、この両方に取り組んでまいりたいと考えております。

○議長(森 礼子君) 玉木久登君。

  〔玉木久登君、登壇〕

○玉木久登君 知事に御答弁いただきました。

 いろいろとカーボンニュートラルの取組というのはあると思います。有田はENEOSさんがありまして、昔から大きい企業ですし、やっぱり地元のつながりも強い。そういう中でカーボンニュートラルということになってくると、大変きついなというのはやっぱり地元でも感じるところだと思います。

 逆に、石油精製の工程の中で水素というのはもう不可欠なものなんですね。それを製造しながら、水素がないとうまく精製できないということもあります。だから、こういうカーボンニュートラルに向かう中でも、独自にやはり企業の中で持っている技術というんですか、そういうものを活用しながら新分野へ取り組んでいただけるようなことを、ぜひとも県としても御支援をいただきたいなと思います。

 また、公用車、あのブルーの公用車、よく堀止でぴゃって前走るのを見るんですけども、おおっと思いますが、確かに水素ってこれからの開発が鍵になるんだと思います。やっぱり各自動車メーカーはじめ、いろんなところでどんどん技術開発が進んでいくんだなと思っています。そして、やっぱりどの企業もいろんな研究をこれからしていくと思いますので、そういう情報をしっかりレーダーを張っていただいて、和歌山県の産業の発展、そしてまた企業誘致へと、これからも努力していただきたいなと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 それでは、最後の項目に入らせていただきたいと思います。和歌山県における家庭教育支援についてお伺いをいたします。

 教育基本法は、2006年(平成18年)に全面改正されました。前文では、新たに「公共の精神を尊び、豊かな人間性と創造性を備えた人間の育成を期するとともに、伝統を継承し、新しい文化の創造を目指す教育を推進する」こととされ、生涯学習の理念や義務教育に加え、大学や幼児教育についてもうたわれています。

 今回質問する家庭教育についても、第10条に新たに設けられました。第10条1項では、「父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであって、生活のために必要な習慣を身に付けさせるとともに、自立心を育成し、心身の調和のとれた発達を図るよう努めるものとする。」、第10条2項は、「国及び地方公共団体は、家庭教育の自主性を尊重しつつ、保護者に対する学習の機会及び情報の提供その他の家庭教育を支援するために必要な施策を講ずるよう努めなければならない。」と規定されています。

 さて、家庭教育と聞いて、皆さんはどのようにお考えになるでしょうか。その考え方は、個々、思うことも様々であろうかと思います。家庭教育については、私自身も強く思うこともあり、今後の和歌山県の教育の根幹であると私は考えています。さきに述べたように、個々、様々な考え方があることから、早期に家庭教育について、国の方針を示すべきであると私は考えます。

 しかしながら、家庭教育支援法、家庭教育に係る法整備は、教育基本法改正後10年以上経過する今も制定には至っていません。十分な議論がなされ、早期に法整備に向かうことを願うばかりであります。

 一方、地方では、2013年4月に熊本県が家庭教育支援条例を制定し、2021年6月までに9県6市で条例が制定されています。家庭教育の重要性を鑑み、国に先行する形で地方から動くことは、地方分権の観点からも有意義であると考えています。

 そこで、教育長にお伺いいたします。

 家庭教育についてどのような認識を持っているのか、お聞かせ願います。

○議長(森 礼子君) 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 家庭は教育の原点であり、全ての教育の出発点です。

 家庭教育とは、保護者が子供に対して、基本的な生活習慣や生活能力、人に対する信頼感、豊かな情操、他人に対する思いやり、基本的倫理観や社会的なマナー、自立心や自尊心等を身につけさせるために行う教育のことです。

 また、子供たちにとって、適切な家庭教育を受けることは、健全な成長を遂げるため、極めて重要な意味を持つと考えます。

○議長(森 礼子君) 玉木久登君。

  〔玉木久登君、登壇〕

○玉木久登君 次に、現状と課題についてお伺いいたします。

 今、教育長から、家庭教育が教育の出発点であるという教育長の意見、私も同感であります。言い換えれば、そこで思い悩み、つまずいたりすると、今後の教育に大きな影響を及ぼすということになります。現状はどうなんでしょうか。

 子育ての現状は今、大きな社会問題ともなっています。子育て環境の変化は、少なからず家庭教育に大きな影響をもたらすと考えています。

 本県の現状と課題について、教育長にお伺いいたします。

○議長(森 礼子君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 核家族化や少子化、地域社会のつながりの希薄化が進み、保護者が身近な人から子育ての仕方を学ぶ機会が減少したり、子育ての悩みを気軽に相談できる人がいなくなるなど、家庭を取り巻く状況が大きく変化する中、家庭の教育力の低下が危惧されています。

 また、本県においても、人口減少に伴う同様の変化が見られ、子育てに不安や悩みを抱える孤立しがちな保護者に対して、必要な支援が届けられていない状況が見受けられます。そのため、子供の誕生から自立まで、切れ目のない支援体制を構築していくことが大切と考えています。

○議長(森 礼子君) 玉木久登君。

  〔玉木久登君、登壇〕

○玉木久登君 答弁をいただきました。

 次に移ります。今後の取組についてお伺いをいたします。

 現状と課題について答弁をいただきました。家庭教育が全ての教育の出発点、その根幹である家庭教育の変化への対応の重要性は、皆が考えるところであります。

 核家族化や少子化、地域社会のつながりの希薄化、そのことにより子育ての仕方を学ぶことや子育ての悩みを聞いてもらうなど、自然でごく当たり前であったかのように思うことが、今はそうではないということかもしれません。過去もそのようなことは未無かというとそうではないと考えていますが、明らかに多くなっているのだと思います。

 では、今後どのように対処していくのか、市町村への働きかけや地域の役割も含め、今後の取組について、教育長にお伺いいたします。

○議長(森 礼子君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 県の教育委員会では、全ての保護者が安心して子育てや家庭教育を行うことができるよう、講座等を開催し、基本的生活習慣の定着や親同士のネットワークの構築を図るとともに、学校や地域、福祉関係機関とより連携した家庭教育の充実に努めてまいります。

 また、市町村に対し、家庭を訪問して不安や悩みなどを聞いたり、情報提供を行う訪問型家庭教育支援事業の推進を図ってまいります。これにより、子育てに関する様々な課題を抱えながら、地域社会から孤立し、自ら学びや相談の場に参加することが難しい保護者に対し、切れ目のない支援を行ってまいります。

 和歌山県では、ほぼ全ての学校がコミュニティスクールとして、学校、家庭、地域が相互に信頼関係を築きながら、子供たちの健やかな育ちを支えています。

 今後も、コミュニティスクールの仕組みを効果的に活用しながら、学校、家庭、地域、行政が一体となり、社会全体で考え、家庭教育支援に取り組むことで、地域社会を支えていく意欲あふれる子供たちの育成に努めてまいります。

○議長(森 礼子君) 玉木久登君。

  〔玉木久登君、登壇〕

○玉木久登君 答弁をいただきました。

 教育長からお話しのとおり、学校や地域、福祉関係機関との連携を密に、今後も取り組んでいただきたいと思います。

 私から、思うことを述べさせていただきたいと思います。

 幼少期の子育てに関しては、従来、厚労省所管といいますか、そういう意味合いが強くて、文科省が所管する教育委員会がその点に重きを置く考え方というのはあまり浸透していないんではないかなと思います。県内においても、幾つかの自治体では教育委員会がその部門を所管しているとお聞きしていますが、その点についても今後の課題ではないかなと考えます。

 子育て講座や保護者同士の交流、親として成長するための学習機会は、家庭教育の意味合いが強く感じるんですが、訪問型家庭教育支援は、教育というよりも福祉面での子育て支援のイメージと感じてしまうのは私だけでしょうか。

 今後は、家庭教育支援をより明確にして、子育てする親が今望むことを分かりやすく啓発し、学んだり、また相談したりできるよう努めていただくことをお願いいたします。また、福祉関係機関との連携についても、子供を抱える保護者等にも連携の状況をしっかり分かるような工夫も必要だと考えます。今後もより一層、部局横断で努めていただくことを要望いたします。

 今、生活様式の変化とともに、日本人として美徳とされてきたことが変わってきたように思えてなりません。「躾」という言葉は国字であり、日本人にとって「心を育てる」大切な意味を表す言葉でもあり、私は言霊だと思っています。

 過去にも多くの先輩議員がこの家庭教育、また、しつけについて、この議場でいろんな質問、御意見が出されています。温故知新とよく言われますけども、今、私自身も含めて、しつけというその意味をもう一度考えて、今につなぐことが大切だと考えています。

 和歌山にも徳川頼宣公、李梅渓が書いたとされる父母状という、岡公園のところに石碑もありますけど、そういう、やはり人の道を外れないということが書かれたものもあります。そして、子供を育てる親として、今、やはり学ばなければならないんじゃないかなと思っています。

 教育基本法は、その理念として「我々は、日本国憲法の精神にのっとり、我が国の未来を切り拓く教育の基本を確立し、その振興を図るため、この法律を制定する。」とあります。

 我が県の未来を切り開く教育の基本を確立すべく、今後も教育の出発点である家庭教育をより明確に、そして充実させるために、これからも議論を行っていきたいと考えています。どうかよろしくお願いいたします。

 以上で、私の一般質問を終わります。御清聴どうもありがとうございました。(拍手)

○議長(森 礼子君) 以上で、玉木久登君の質問が終了いたしました。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 40番奥村規子君。

  〔奥村規子君、登壇〕(拍手)

○奥村規子君 おはようございます。

 早速ですが、議長のお許しを得ましたので、通告に従って三つの点についてお聞きいたします。

 まず、1点目は、新型コロナウイルス感染症への今後の対応についてです。

 厚生労働省は、11月30日、新型コロナウイルスの新たな変異株、オミクロン株の感染者が国内で初めて確認をされましたと発表しました。4人目の感染者が確認されたということではないかと思います。8日現在で、世界の新型コロナウイルス感染者は約2億6719万人、亡くなられた方は527万人に上ります。国内の確認例は172万7878人、死亡者数は1万8356人です。ちなみに和歌山県の感染者数は5304人で、62人の方が亡くなられています。

 私は、この一人一人の生きたいという、そういった思いが、このような新型コロナの感染によって断ち切られた、この数字を本当に重く受け止めなければと思います。改めてお見舞いと御冥福をお祈り申し上げ、これまでのような感染爆発と医療崩壊を再び起こさない対策が求められています。

 国においては、2020年度における3度にわたる補正予算及び2021年度予算の中で、新型コロナウイルス感染症の対応の強化をはじめ、地域の医療提供体制や医療従事者を支援する施策が講じられてきました。

 県は、国の配置基準に基づき、感染症病床32床を確保していますが、この間、それを大幅に上回る新型コロナ感染患者の発生によって入院病床が不足し、一般病床などを活用せざるを得ない事態になりました。

 全国唯一の全員入院堅持の方針は、県民にとって大変心強いことだと思います。ベッドコントロールに当たっては、それぞれのところで大変な御苦労があると思います。また、県職員はじめ関係機関や関係部署、受入れ病院の皆さんの多大な御努力に大変感謝申し上げます。

 一方、受入れ医療機関の現場では、勤務変更や当日にならなければ勤務配置が分からない、ほかの科への患者さんの転室や科を超えての受入れなど、現場のストレスは相当なものです。さらに、今年の新卒生は、昨年からの新型コロナ感染患者発生のため、十分な実習経験がないため、現場での学び直しをしながら勤務をするという状況になっています。そういった中で、なかなか夜勤体制に組み込めないとお聞きします。「他の患者さんにしわ寄せがいっているのがつらい」、「看護の質の低下を必死に食い止めるのに限度がある」など、悲痛な声も聞かれています。

 通常、看護師1人で患者7人または10人のところ、新型コロナ対応の場合は看護師1人で患者さん2人、そして、その上に認知症などを伴っている場合は付きっきりの看護に当たらなければなりません。県としても、「感染患者を受け入れるためには、手厚い看護体制が必要であるが、人材がすぐに見つからない場合もあるなど医療機関の負担が大きい」と、国に向けての和歌山県の提案・要望の中に記されています。

 こういった状況から、今後、新興感染症の発生等に備えた医療提供体制の確保が必要だということを申し上げて、質問に入らせていただきます。

 一つ目は、新型コロナウイルス感染症に対応する医療機関への支援の充実についてお尋ねします。

 国は、新型コロナ患者の病床や宿泊療養体制の整備、診療報酬の特例的な対応、また、医療提供体制を強化するため病床確保の支援をしています。支援として、1床当たりの単価が、重点医療機関は7万1000円、協力医療機関は5万2000円となっていますが、それ以外の医療機関の病床については1万6000円と少額です。重点・協力医療機関以外にも受入れ医療機関が必要だと考えます。

 県は、軽症患者でも初期に悪化する可能性もあり、症状に応じた経過観察、適切な治療や転院調整など、医療機関の負担は大きいと認識されています。受入れ医療機関の病床確保料を県独自で上乗せ補助を行っているとお聞きしています。今後も継続すべきと考えますが、いかがでしょうか。福祉保健部長にお尋ねいたします。

○議長(森 礼子君) ただいまの奥村規子君の質問に対する答弁を求めます。

 福祉保健部長志場紀之君。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 県といたしましては、入院医療機関における新型コロナウイルス感染症患者の受入れ病床の確保に係る財政支援について、次の感染拡大に備え、あらかじめ病床を確保しておく必要があることから、引き続き県独自の上乗せ補助を行い、感染症患者の全員入院を堅持してまいります。

○議長(森 礼子君) 奥村規子君。

  〔奥村規子君、登壇〕

○奥村規子君 様々な新型コロナウイルス感染症に対する医療機関への支援が行われていると思います。私は、ここで何よりも感染防止策をあらゆるレベルで行っていくことが大切である中で、県民にとって入院ベッドが確保されていることは非常に安心につながります。

 一方、そういった中でも、医療スタッフの人的な体制は急にはなかなか整いません。財政的支援とともに、平時の余裕ある体制が必要ではないかと考えます。

 日本医労連が看護職員らの夜勤実態調査を先日発表いたしました。コロナ禍で長時間の2交代夜勤、過去最多の44%になるなど、人員増の切実な実態が明らかになっています。県の提案・要望の中に、資料配付で頂いているこの国の施策及び予算に関する和歌山県の提案・要望(資料を示す)、この冊子が6月に、国に向けて届けられているかと思いますが、その点について、通常は一般病床として運用するが、新興感染症の発生時等に県からの要請で感染患者を受け入れる病床を感染症病床に準ずる病床として、廃止・休止病床を危機対応病床として、あらかじめ位置づけが必要、速やかに新興感染症等に対応するため、あらかじめ看護師等の確保が必要と明記されています。

 そういったことから、まずは現在の平時の看護体制の充実に努めていただきたいと思います。そのためには、県下でも実際の病院の勤務体制、状況、実態をぜひ調査などしていただけるようにお願いをして、次の質問に行かせていただきます。

 二つ目は、事業者への支援についてお尋ねします。

 県は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、宿泊、観光業をはじめとする非製造業の売上げが大幅に減少しており、失業者の増加が懸念されると言われています。県が本年8月に実施した県内事業者の影響調査では、対前々年比で50%以上の売上げ減少の割合で、非製造業が約30%、特に宿泊・観光業者は約55%、飲食業で約50%、旅客運送業で約40%と聞いています。

 このような中で、持続化給付金などのような支援策を再支給すべきと考えますが、県の考え方をお教えください。

 また、県独自の施策として、飲食・宿泊・サービス業等支援金第3期分が可決されましたが、これまでの実績についてもお伺いいたします。第3期分は確定申告の時期と重なるため、申請サポート体制の強化を求めたいと思いますが、この点についても御答弁をよろしくお願いいたします。商工観光労働部長にお尋ねをいたします。

○議長(森 礼子君) 商工観光労働部長寺本雅哉君。

  〔寺本雅哉君、登壇〕

○商工観光労働部長(寺本雅哉君) 新型コロナウイルス感染症の影響の長期化により、県内の事業者の方々においても深刻な影響が生じていることから、県としては、全国知事会を通じて、事業者向け給付金の支給や月次支援金の継続支給など、事業者の実情に十分に配慮した幅広く手厚い、大胆な経済支援を講じることなどを国に対して要望し、先般、事業復活支援金の実施が閣議決定されたところです。

 一方、県が実施した支援策の実績としては、飲食・宿泊・サービス業等支援金の第1期では約8000件の申請があり、約13億円の支給を行いました。第2期では11月末時点で約6600件の申請があり、順次審査の上、支給を進めているところです。

 申請サポート体制については、昨年度より県が設置している総合支援相談窓口に加え、支援金の事務局も設置し、申請に関する問合せや各種相談に対応するとともに、県内の商工会、商工会議所に支援を行い、申請のサポートができるよう臨時的に人員を配置し、体制を整備しております。

 今後も、経済団体や市町村とも連携の上、苦境にある事業者の方々を支援してまいります。

○議長(森 礼子君) 奥村規子君。

  〔奥村規子君、登壇〕

○奥村規子君 いろいろと国のほうも含めて、先般の早期議決ということで第3期の支援金、支援をいろいろとこれからまた検討されて具体的に実施されていくと思うんですが、ここで私自身が要望しておきたいと思うんですけど、私の友人がこの年末にとうとう閉店を余儀なくされるということになりました。子供が難病にかかり、そのことから夫が脱サラをして自営業を始めました。そのお店を手伝いながら、今はお亡くなりになりましたが、当時は車椅子に乗せて子供の面倒を見ながら働いていました。親の介護問題もありました。夫も病気になりながらも、リハビリだと言ってお店を何とかやっていくようなことで自営業を続けていました。

 そんな中で、コロナ禍で資金繰りに絶えず頭を悩まし、とうとう御自身がストレスが重なって病気になってしまいました。この年末で20年続けてきたお店を閉じて、県外にいらっしゃる娘さんの近くに引っ越すことになりますが、私はとても悔しい思いでいっぱいです。

 コロナ危機の中、県民の命と暮らしを支えるために、職員の皆さんが様々な施策を昼夜頑張って進めている中ですが、ぜひこういったことが一人一人に行き渡るように、また、事業が継続できるように、一層国への働きかけと同時に、制度の活用など相談体制を充実させていただきたいと思います。ぜひよろしくお願いいたします。

 次に、三つ目は、独り親世帯への支援についてお聞きいたします。

 和歌山県において、2018年7月から8月にかけて、子供の生活実態調査が実施されました。独り親世帯の母子世帯では、約4割が所得段階Ⅲとなっており、所得の水準が特に低くなっています。就労状況については、パート、アルバイトなど、非常勤職員については所得段階が低いほど多くなるという結果です。

 新型コロナウイルスの感染防止のため、保育所が休園になると、保護者が欠勤せざるを得ないという状況に追い込まれます。たちまち減収につながってしまい、生活困窮に陥ってしまいます。このような場合の支援策はどのようになっているでしょうか、福祉保健部長にお尋ねいたします。

○議長(森 礼子君) 福祉保健部長。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 保育所休園時の保育の支援について、所得水準の低い独り親世帯については、県または市町村において、自己負担額が無料または少額となるサービスを実施しています。

 県では、就業上の理由による養育支援や疾病等のため一時的に家事援助、保育サービスを提供するわかやまひとり親家庭アシスト事業を実施しています。また、市町村では、児童の預かりの援助を受けたい方に対し、援助を行う者とマッチングし、支援を行うファミリー・サポート・センター事業を実施しています。

 これらの制度を有効に活用いただくため、「ひとり親家庭のしおり」を作成し、市町村やハローワーク等関係機関へ配布するとともに、市町村での児童扶養手当現況届時などの機会等を活用し、引き続き制度の周知に努めてまいります。

○議長(森 礼子君) 奥村規子君。

  〔奥村規子君、登壇〕

○奥村規子君 このサポートは、活用すると仕事も続けられたり、そういった状況になると思いますが、安心してまず働ける環境づくりの一つとして、非常にこの制度をもっともっと知ってもらえたらいいなというふうに思っています。まだまだちょっと活用が十分でないんではないかと思いますので、またぜひ周知などよろしくお願いいたします。

 次に、四つ目は、介護保険制度の補足給付についてお尋ねします。

 国は、所得が低い介護施設利用者の食事、居住費を軽減する補足給付について、世帯分離している配偶者が住民税課税の場合や預貯金1000万円以上の場合、対象外にするとともに、受給要件として、それまで含まれなかった非課税年金──障害年金、遺族年金についても、所得として勘案するなど見直しが行われてきました。

 地域では、介護保険料の負担が重いことや、サービスを受けたくても利用料の負担があるので受けられないなど、多くの声が聞かれます。コロナ禍の上、さらにこの8月からもまた改定されたとお聞きしますが、どのような内容でしょうか、福祉保健部長にお尋ねいたします。

○議長(森 礼子君) 福祉保健部長。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 特別養護老人ホーム等の介護保険施設における食費及び居住費については、在宅で介護を受ける方等との公平性を図る観点から、平成17年10月より利用者本人の負担を原則としていますが、低所得の方には、年金収入等に応じて負担限度額を定め、利用料がこれを上回る場合には、それらの差額分を特定入居者介護サービス費、いわゆる補足給付として支給しています。

 この補足給付については、これまでも在宅の方等との公平性や負担能力に応じた負担を図る観点から見直され、令和3年8月より所得段階間の均衡が図られるよう、食費負担限度額をより精緻化するとともに、給付の対象要件となる預貯金等の金額について、所得段階に応じた見直しがなされました。

 具体的には、年金収入等80万円超の第3段階が、80万円超120万円以下の段階と120万円超の段階とに分けられ、前者の食費負担限度額はこれまでと同じ1日当たり650円、後者は1360円に設定されました。また、預貯金額について、単身世帯の場合、これまでの一律1000万円から年金収入等80万円以下の第2段階では650万円、第3段階の120万円以下では550万円、120万円超では500万円に設定されるなど見直しがなされました。

○議長(森 礼子君) 奥村規子君。

  〔奥村規子君、登壇〕

○奥村規子君 厚生労働省は、今年3月の参議院予算委員会での日本共産党の倉林議員の質問に対する答弁で、介護施設に入所する低所得者への食費等の補助の見直し、この点で対象者が約27万人で、影響額は約100億円に上ることが答弁の中で明らかになりました。

 介護保険利用料の自己負担上限額引上げについては、対象3万人、影響額が10億円程度だと説明をしています。この対象人数や影響額は介護保険部会に示していないことも認めたということですが、実態を基に十分な審議がされていないことだなあというふうに思います。

 8月から実施されていますが、この間の県においても、実態や影響額などをぜひ把握していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に、2点目の項目に行きます。カジノを含むIR誘致についてお尋ねします。

 一つ目は、県の予備調査能力についてお尋ねします。

 12月3日付のロイター通信によると、マカオの司法警察局は、和歌山IRへの参加を表明し、この5月に撤退したサンシティの代表、アルビン・チャウ氏が逮捕されたと報じられています。中国の国営通信社、新華社が伝えたもので、中国政府が、賭博が禁止されている中国本土からマカオなどのカジノが盛んな地域に資金が流れ、国家安全保障上のリスクになっていると報道しています。また、ネットニュースでは、逮捕容疑は、違法賭博、マネーロンダリングとの報道もあります。

 サンシティは和歌山IRに応募し、審査委員会は優先権者となったクレアベストよりも高い評価を与えていました。県のIR推進室が予備調査の中でサンシティについて問題としたのは、オーストラリアのニューサウスウェールズ州カジノ規制当局が設立した独立公開調査委員会の、いわゆるバーギンレポートと言われるものです。

 バーギンレポートは、サンシティのアルビン・チャウ氏が反社会勢力とのつながりがあるなどの内容があり、県はサンシティに対して関係のないことの証明を求めていましたが、サンシティは予備調査が終了する前に、5月12日の撤退表明となりました。

 IR推進室が粘り強くサンシティに対峙したことについては敬意を表したいと思います。しかし、今回のチャウ氏の逮捕は、IR推進室が全く問題にしていなかったことではないでしょうか。サンシティが撤退していなかったら、サンシティが優先権者となっていたはずです。

 予備調査は並行していたかもしれませんが、県の調査力は、外国のカジノ企業の全容を掌握することはできていなかったと考えるのですが、県当局の見解をお伺いいたします。理事にお尋ねをいたします。

○議長(森 礼子君) 理事田嶋久嗣君。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○理事(田嶋久嗣君) 日本型IRにおいては、本来刑法で禁止されているカジノ事業が特例的に認められるものであることから、IRを設置・運営する事業者には非常に高い廉潔性が求められています。国の基本方針において、「都道府県等は、事業者選定の段階においても、カジノ事業の免許の基準を踏まえ、可能な範囲で民間事業者の適格性につき確認を行うことが必要である」旨、記載されているところです。

 そのため、県では、世界的な監査法人であるEY新日本有限責任監査法人の協力を得ながら、予備調査を進めてまいりました。

 サンシティに関して申し上げますと、海外規制当局への照会、同社へのヒアリング、役員や株主が暴力団員等に該当しない者であることについての和歌山県公安委員会への照会、公示情報の精査、無犯罪証明書の確認などを行いました。

 議員の御質問にございましたように、県はサンシティに対して、バーギンレポートに記載されている内容が事実でないことの証明を再三求めておりまして、それが立証されない限り、サンシティを優先権者とすることはあり得ませんでした。したがいまして、サンシティが辞退していなければ、サンシティが優先権者になっていたはずという議員の御指摘には当たりません。

 県の調査力は全容を掌握することはできていなかったとの御指摘につきましては、今回のアルビン・チャウ氏の逮捕については様々な報道がなされており、容疑の全容が明らかになっておりませんが、逮捕されたのは最近のことですので、サンシティが辞退した5月12日時点では、マカオの司法警察局も我々和歌山県と同様に、犯罪となる事実を把握できていなかったのではないかと思われます。

○議長(森 礼子君) 奥村規子君。

  〔奥村規子君、登壇〕

○奥村規子君 いずれにしても、県民の皆さんからの目からでは、そういった事業者が応募していたというようなことが分かったわけですし、それで、この公開させていただいた中で、先ほど理事がおっしゃったように、3月30日付で「貴社に対し、いわゆるバーギンレポート記載の内容が事実でないことを証明するための客観的な証拠の提出を求めたところです」ということで、和歌山県からの質問に対する回答がなされていないというようなことで文書を頂いているんですが、公開文書、ほとんど黒塗りで真っ黒で、なかなか実際の状況が分からないという状況なんです。

 そういう中で、こういう回答が出されていないということに対して、県はどのように考えられたのでしょうか。その点をお答えいただけますでしょうか。

○議長(森 礼子君) 理事。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○理事(田嶋久嗣君) 議員の御質問は、予備調査の段階において、サンシティに対して照会した内容が、サンシティから回答がなかったことをどう思うかということでしょうか。

 サンシティとはずっとやり取りをしていまして、回答が──最終的な回答ですね、そこには至っていませんけども、再三やり取りは行っております。ただ、最終的な回答に至る前にサンシティが辞退をされたので、予備調査としては完了しなかったと、そういうことでございます。

○議長(森 礼子君) 奥村規子君。

  〔奥村規子君、登壇〕

○奥村規子君 二つ目は、審査のやり直しと予備調査の実施についてお尋ねします。

 11月19日のIR対策特別委員会で区域整備計画の原案が示され、私も委員外議員として傍聴させていただきました。その中での議論に関連して、二つお聞きいたします。

 一つは、優先権者となったクレアベストニームベンチャーズという会社の中身が、IRに応募したときと8月25日に基本協定を結んだ後では、会社名は同じでも別の企業になっているのではないかということです。

 応募段階のクレアベストニームベンチャーズは、カナダの投資会社のニームゲーミングのグプタ氏が100%の株を持ち、実権を握る会社でしたが、特別委員会での会社側の説明では、クレアベストニームベンチャーズの株の中で、パシフィックリゾーツが100%持っており、パシフィックリゾーツの株主は4社で、クレアベストグループが0.25%、クレアベスト和歌山が12.25%、ニームゲーミングが12.5%、エディ・ウーが75%の株を持っているとの説明でした。そして、パシフィックリゾーツの代表はエディ・ウー氏であり、クレアベストニームベンチャーズの代表取締役もエディ・ウー氏です。会社の売買があったのではないかと考えます。

 和歌山IRへの応募時の企業と基本協定締結後の企業が株主構成も代表者も全く別人になっているのですから、審査のやり直しがあってしかるべきだと考えます。また、県の予備調査はパシフィックリゾーツに対しても行われるべきだと考えますが、県の見解を求めます。理事に再度お尋ねをいたします。

○議長(森 礼子君) 理事。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○理事(田嶋久嗣君) 事業者選定委員会の指摘を受けまして、県はクレアベストニームベンチャーズ株式会社に対して事業実施体制の強化を求めております。それを受けまして、カジノやホスピタリティ関連等の会社設立に関与するなど豊富な事業経験を持つエディ・ウー氏の代表取締役の就任や株主の追加、変更や増資などを行ったものと認識しております。

 これらは、県が定める手続にのっとり、事前に相談の上、行われたものですので、審査のやり直しは必要ないものと考えております。

 なお、事業者選定時以降、県が定める手続により追加する役員や株主等については、議員御指摘のとおり、今後も引き続き予備調査を行ってまいります。

○議長(森 礼子君) 奥村規子君。

  〔奥村規子君、登壇〕

○奥村規子君 三つ目は、融資要請への県の関与についてお尋ねいたします。

 特別委員会で、カジノの事業主体が決まっていないということと資金計画が不明であることが大きな論点になっていました。この2点が不明なままで公聴会や説明会、パブコメを進めようというのはあまりにも強引な手法であり、特別委員会の総意として延期を決議し、IR推進室もこれに同意されたことは適切な対応だったと思います。

 そこで、気になる点をお聞きしますと、金融機関に融資を求める場にIR推進室長が同席しているという発言でした。金融機関が融資を実行するかどうかは、その融資の安全性を検討するわけですが、その融資の要請に県の幹部が同席することは、金融機関に対して県が融資の保証を与えているかのような誤ったシグナルを送ることにはならないのでしょうか。この点について、理事にお尋ねいたします。

○議長(森 礼子君) 理事。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○理事(田嶋久嗣君) IRは民設民営事業ですが、国に申請する区域整備計画は県と事業者が共同して作成するものであり、金融機関をはじめ、和歌山IRにおける協力及び連携等を求める第三者との協議に県が同席することは問題がないと考えております。

 県は、金融機関との協議の場において、区域整備計画の申請に当たり、資金調達の確実性を裏づける客観的な資料の提出が必要であることの説明などを行っていますが、そのことで県が融資の保証を行っているような印象を与えることはないと考えております。

 そもそもIRは民設民営事業であり、金融機関がIR事業者に融資をして返済がされない場合に、県が債務を保証するという制度にはなっておりませんし、そのことを金融機関は十分に理解していると思います。

 その上で、融資を実行するかは、事業の実現性や採算性などを基に、金融機関が独自に厳正な審査をするものと認識しております。

○議長(森 礼子君) 奥村規子君。

  〔奥村規子君、登壇〕

○奥村規子君 銀行からの融資がなければ、IRは成立しません。優先権者の選定の際にも資金面の調査が行われたと思いますが、いまだに資金の見通しは立っていないということです。

 そこでお伺いしますが、融資の幹事銀行は決まっているのでしょうか。また、自己資本と融資の割合は、比率はどうなっていますか。そのことをお尋ねしたいと思います。

○議長(森 礼子君) 理事。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○理事(田嶋久嗣君) 議員の御質問にありました幹事銀行ですとか自己資本と融資の割合については、ただいま事業者のほうで鋭意努力中でございまして、この時点でお答えすることはできません。

○議長(森 礼子君) 奥村規子君。

  〔奥村規子君、登壇〕

○奥村規子君 銀行の融資依頼に県職員が同行して事業者と一緒にお願いするということで、県が何らかの保証を与えるかのような誤った印象を与えることにもなりかねません。このことで県に損害を与えることが絶対にあってはならないと考えますので、県職員が同行することはやめていただきたいと思います。

 その点で、これまで幾つの金融機関に何人の職員が同行されたのか、県職員だけで幾つの金融機関に要請に行かれたのか、お尋ねをいたします。

○議長(森 礼子君) 理事。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○理事(田嶋久嗣君) 事業者と一緒に行った、A銀行に1回、B銀行に1回ということでございます。

○議長(森 礼子君) 奥村規子君。

  〔奥村規子君、登壇〕

○奥村規子君 県職員だけで銀行に行くということはなかったのでしょうか。何回というのはもう申し上げませんが、聞きませんが、県職員だけで銀行に行かれるというのはないんですね。

○議長(森 礼子君) 理事。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○理事(田嶋久嗣君) 県職員だけで状況を調べに行くということはございました。融資の要請ということでなくて、どういうことをお考えかということをお聞きするということはございました。

○議長(森 礼子君) 奥村規子君。

  〔奥村規子君、登壇〕

○奥村規子君 時間もありませんので、また次の機会にしたいと思いますが、こういった疑義がたくさん生じているこのような事業をぜひ私はやめるべきだと思うんです。今回、住民投票というのが和歌山市、立地市で行われ、住民の意思を問うという、そういった条例を制定してほしい、住民投票実施条例を制定してほしいというようなことで和歌山市さんに届けられているかと思いますが、この住民投票が、結果2万856筆、12月7日時点で集まったとお聞きしています。受任者は1400人を超え、そして、この2万以上の皆さんの意思が示されているので、この点についても申し上げて、次の質問に行かせていただきます。

 最後の3点目は、西庄太陽光発電計画地についてお尋ねをいたします。

 今年の7月21日には、事業者の案内で計画地を視察させていただきました。計画地は宅地造成工事を中断している土地であり、谷埋め盛土が広範囲にわたり未完工の状況で、盛土の一部が崩壊して調整池が埋まってしまうことがありました。造成工事途上の斜面と谷、急傾斜崩壊危険箇所に指定されているところですが、土砂流出防止工事が中断したままになっているところもあります。また、住宅地が隣接しています。付近には土石流危険渓流や急傾斜危険区域があり、指定されています。

 さらに、地質の専門家の方からは、中央構造線の分岐断層と考えられるやや規模の大きい磯ノ浦北断層が計画地を横断して、調整池計画地点を通ることを指摘しています。この断層に沿って湧水も確認しており、地下水の上昇も予想されます。

 そこで、農林水産部長にお尋ねをいたします。防災の観点から、この計画地の現在の状況をどのように把握しているでしょうか、お答えいただきたいと思います。

○議長(森 礼子君) 農林水産部長岩本和也君。

  〔岩本和也君、登壇〕

○農林水産部長(岩本和也君) 西庄太陽光発電所計画地の現在の状況についてお答えいたします。

 和歌山市西庄の太陽光発電所計画地につきましては、平成3年に住宅団地の造成を目的とした林地開発許可を受け、開発が行われておりましたが、平成5年から造成工事が中断され、平成26年には現在の事業者へ林地開発の権原が承継されています。

 また、現場では、開発許可の申請内容に沿って、人家に近い箇所に三つの調整池等の防災施設が設置されております。

 議員御指摘のように、調整池上部の盛土の一部が崩壊した事実はありますが、当該箇所については、事業者により平成28年に大型土のうの設置と安定勾配による盛土で復旧されており、併せて調整池にたまった土砂のしゅんせつも行われたことにより、防災機能の回復もしていることを確認しています。

 計画地は、現在全域にわたり緑化が進み、新たな崩壊も見られず、事業者による定期的な巡視などの管理も行われている状況を確認しており、周辺人家に災害を及ぼす危険性は低いと考えております。

○議長(森 礼子君) 奥村規子君。

  〔奥村規子君、登壇〕

○奥村規子君 最後に御要望をさせていただきたいんです。危険性は少ないと御答弁をいただいたかと思うんですが、資料にあるように地震調査委員会は、和泉山脈南麓における将来の活動は、大規模な直下型地震が発生すればマグニチュード7.2、震度6強から7と予想されている中、事業者は中央構造線の活断層帯の影響評価を行っていません。

 また、中央構造線の分岐断層の磯ノ浦北断層が事業計画地を横断し、この断層上に新たな調整池が計画されていますが、地質調査が不十分であると考えられます。

 申請書に添付された地質調査資料も宅地造成計画におけるもので、造成が中断された現計画地の調査データがなく、計画地の地盤の強度に関わるデータについても提示されていません。

 さらに、造成が中断し、資料の航空写真より盛土のり面の大規模な崩壊跡が認められますし、造成地北部の谷では、造成と土砂流出の対策工事が中断、放置されていて、盛土の崩壊、土砂の流出の危険があるため、工事を完成させる必要があるのではないでしょうか。

 加えて、発電所の進入路が一つだけしかないのも問題だと感じています。災害時の事故などに対応できません。実際に近接の団地内の水路が大雨のときにこれまでも何度かあふれ、下流域の道路が浸水する事態も起こっています。住民からは3500通もの意見が上がっています。

 このようなことから、変更許可申請の審査に当たっては、計画地の危険性について厳正に審議していただきますようよろしくお願いをいたしまして、一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)

○議長(森 礼子君) 以上で、奥村規子君の質問が終了いたしました。

 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。

 この際、暫時休憩いたします。

  午前11時33分休憩

────────────────────

  午後1時0分再開

○副議長(鈴木太雄君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 39番片桐章浩君。

  〔片桐章浩君、登壇〕(拍手)

○片桐章浩君 こんにちは。

 昼一番、一般質問、登壇させていただきます。最後までどうかよろしくお願いしたいと思います。

 では、議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問を行います。

 まず1点目、カーボンゼロの取組でございます。

 2015年に合意されたパリ協定において、気温上昇による発生するリスクを軽減するため、産業革命前からの平均気温上昇の幅を2度未満とし、1.5度に抑えるように努力することが国際的な目標として取決めがなされ、現在に至っています。

 この取組に関しては、地方自治体もその取組が求められているのは言うまでもありません。

 全国の地方公共団体でも、2050年までに二酸化炭素排出量実質ゼロを表明しての取組が進められており、和歌山県でも、第5次和歌山県環境基本計画を策定し、その取組が進められているところです。

 この計画では、温室効果ガスの削減目標を2050年までに排出量実質ゼロとなることを目指すと記されており、この環境基本計画期間終了年度である2025年には、2013年度比でマイナス24%を達成することが明示されているところです。

 一方、新型コロナ明けの経済活動再開に向けた取組が必要となる時期でもあり、例えば県が進めているデジタル化、あるいは企業誘致、IR誘致もそうですが、経済活動が活発になれば基本的に温室効果ガスの排出量も増えることにもなります。

 特に社会が目指しているデジタル化の進展によって、環境省の資料によりますと、通信分野では日本において、2030年には現在の総電力の約1.5倍、2050年には現在の約200倍の電力をICT関連機器だけで消費するおそれも指摘されております。一体200倍もの電力をどのように生み出すのかと思うところもありますが、デジタル化社会は電力多消費社会へと向かうことになると思います。

 和歌山県としてカーボンゼロに向けた取組とともに、デジタル社会への対応を同時に進める必要がありますが、そのためには、デマンドサイドのゼロカーボン化及びサプライサイドのゼロカーボン化を目指すことになりますから、県の果たす役割は大切なものになろうかと思います。

 言うまでもなく、ゼロカーボンは困難への挑戦であり、和歌山県が解決の道筋をつけられるような課題ではありませんが、今年3月、2050年ゼロカーボンシティの表明を和歌山県がしたことで、県民や企業の皆さんに環境を意識した行動を強く認識してもらいながら、継続した訴えが必要になろうかと思います。

 環境への取組は、どちらかというと結果が見えない努力目標のような感じがしますが、今、具体的な行動をしなければ、近い将来、環境インフレなど生活や経済活動が今よりも制約される懸念もあるので、今から取り組む、これが大事なことだと思います。

 環境への取組は、実践した結果を感じにくい、こういう難しさがあるわけですが、今はとにかくやるべきことは意識づけ、それから小さな行動を積み重ねていく、時にはコスト負担をする以外にはないかと思います。

 そして、令和3年度は宣言から実現への年度ですから、その取組も意識も行動も、今よりも一歩先に進める必要があろうかと思います。

 環境省では、2020年度から2025年度までを5年の集中期間に政策総動員をしてゼロ宣言都市を支援しているのは、カーボンゼロを宣言した取組による効果はエネルギー自給率の向上、化石燃料輸入の低減につながり、国益にも反映できる、このような観点があろうかと思います。そして、考え方を変えれば、地域にとっても、和歌山県にとっても、域内経済の循環、新産業、そして雇用の創出、こういったものにつなげるチャンスではないかなというふうにも思っております。

 実績を見ますと、和歌山県では、これまでの気候変動対策を推進してきた結果、温室効果ガス排出量は年々減少していることが数字で現れています。特に産業部門と家庭部門の削減が顕著ですが、これは産業用では省エネ機器の導入が進み、家庭では電化シフトが進んでいることが要因だと考えられます。

 このことから、和歌山県はリーダーとして、事業者に省エネルギー対策を訴えること、家庭に対しては身近にできる環境行動を紹介することや継続した意識啓発が必要かと思います。

 和歌山県のこの温室効果ガスのここ最近の実績を見ると、明らかに低減となっているわけです。これが省エネ機器の導入が進むなどの意味での低減であれば、これは歓迎すべきことですが、ややもすると県内企業の生産活動の低迷や事業所が減少している、こういった要因での減少であれば、素直に喜ぶことはできないかと思います。

 ややもすればカーボンゼロと経済活動はトレードオフの関係にありますから、和歌山県では、これは難しい課題ですが、経済活動と環境保全の活動の両立を図っていただきたいというふうに思っております。

 既に世界的企業では、その取引先に対してカーボンゼロのエネルギーで製造した部材を供給することを取引条件にする、こういったことも付されているところもありますから、県内企業においてもいずれそれに対応する必要があろうかと思います。

 ただし、カーボンゼロのエネルギーはコストが比較的高いので、企業経営的には導入が容易でないことは明らかです。

 県内事業者が従来どおりの生産を行いながらカーボンゼロを達成するために、和歌山県として負荷変動の少ない再生可能エネルギーの導入や工業団地でRE100を推進するなど、取り組むべきことがあろうかと思います。経済活動とカーボンゼロの達成を同時達成することは難しいテーマですが、積極果敢に取り組んでいただきたいと思います。

 そこで、一つ目の質問に入ります。

 2050年ゼロカーボンシティの表明に向けた思いについてであります。和歌山県では、今年3月、2050年ゼロカーボンシティの表明をしているところでありますが、私の身近なところでは、これまでこのゼロカーボンシティ宣言のことは話題になったこともないですし、これに基づいて議論を交わしたことも実はありません。多くの方々はそもそもこの表明のことを知らないのではないかとさえ思います。環境への取組は新しい技術への転換を意味するものでもあるので、雇用と利益につながり、意識も行動も変わっていくことが必要かと思います。

 逆に言うなら、世界が環境問題に挑戦することによって技術革新を図ろうとしているので、我が国が環境問題を軽く見て取り組まない、あるいは様子を見ながら追従するとすれば、産業界は世界の流れに後れを取ることになっていくと思います。これは、和歌山県でも同じことが言えるのではないかと思います。

 環境問題の意識づけを行い、行動を促すためには、この宣言を県民の皆さんや事業者の皆さんに浸透させることが必要かと思いますが、ゼロカーボン宣言に込められている知事の思いをまずお聞かせいただけたらと思います。

○副議長(鈴木太雄君) ただいまの片桐章浩君の質問に対する答弁を求めます。

 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 近年、気候変動による影響が顕在化しており、世界の趨勢としてカーボンニュートラルを目指す方向にございます。

 我が国においても、昨年、2050年カーボンニュートラルが宣言され、脱炭素社会実現に向けた動きが官民を問わず加速しております。

 気候変動は理論上だけの問題ではなくて、最近は大雨による水害リスクの増大や農作物への被害など、気候変動の影響が身近に感じられるようになってまいりました。

 加えて、気候変動対策における世界各国の取組姿勢や我が国政府の動向を踏まえると、本県もカーボンニュートラルを目指さざるを得ないと考えました。どうやって実現するかとか、できるとかできないとかという話ではなくて、もうとにかく目指さざるを得ないということでございます。

 そこで、本年、御指摘のように、3月、第5次環境基本計画において、2030年度の温室効果ガス排出量の削減目標を設定するとともに、省エネルギーの推進、再生可能エネルギーの利用促進、森林吸収源対策など、気候変動対策の方針を明示し、2050年カーボンニュートラルを目指すことにいたしました。

 カーボンニュートラルを達成することは、もちろん容易なことではありませんが、その実現に向け、国の内外の動向に対し感度を高め、積極的に情報収集をするとともに、新たな科学技術の導入や生活様式の転換をはじめ、ありとあらゆることを十分検討し、少しでも可能性のあることに挑戦していくように努める所存でございます。

○副議長(鈴木太雄君) 片桐章浩君。

  〔片桐章浩君、登壇〕

○片桐章浩君 答弁をいただきましたけども、とにかく目標達成どうこうというよりも、挑戦することが大事だと思います。ただ、その難しさというのも本当に感じられるところでありまして、例えばデジタルグリッドというプラットフォームがあるわけなんです。こういった縛りのあるエネルギーを今買おうと思えば買えるんですけど、実は化石燃料で使ったエネルギーよりもコストが高くなって、県内企業を何か所か僕も回ったことがあるんですけども、どこも採用することはないと、こういうふうな現状があります。実際行動に起こす、あるいは成果を出すというのは、こんなことでもなかなか進まないので、その難しさがあろうかなというふうに思います。

 そこで、この項目、二つ目に入るわけなんですけども、そういった観点で県が策定した第5次和歌山県環境基本計画、これを読んでみました。極めて高い意識を持って具体性のある取組を進めていこう、こういうチャレンジャブルな取組事例が幾つかというか、たくさん見受けられました。

 例えば、家庭や事業所に対しては省エネルギー性能の高い機器の導入促進を図ること。電気自動車など次世代の自動車の普及促進を図ること。蓄電や水素などの新しい技術も取り入れた自立分散型のエネルギー社会を推進すること。電気自動車充電設備ネットワークの強化など、都市基盤の低炭素化の促進を図ること。主な項目を少し紹介させていただいたんですけども、まさに、これを見るとデマンドサイド、それからサプライサイド、ゼロカーボンを目指す極めて大きくて挑戦的な取組が示されていて、この成果が仮に出るとすれば、和歌山県は日本一の環境都市になれるかと思います。

 ただ、極めてこのように高い目標を達成するためには、環境問題に取り組んでいる企業が県の環境基本計画に賛同して、県が進めようとする具体的な取組に参画してくれる、言い方を変えれば巻き込むことが必要かと思います。

 そこで質問であります。

 再生可能エネルギーの導入促進が掲げられているところでありますが、事業者が行う規模の太陽光発電や風力発電の設置は現在適切な場所がなくなりつつあります。導入促進のためには、さらに次世代のエネルギーとも言える非化石燃料を活用した水素製造と利活用、太陽熱集光発電、あるいは洋上風力、海流発電など導入が必要になろうかと思います。またカーボンリサイクル技術拠点を誘致する、こういったことも対策としては考えられるのではないでしょうか。

 このようなサプライサイドの取組について、商工観光労働部長の答弁をお願いしたいと思います。

○副議長(鈴木太雄君) 商工観光労働部長寺本雅哉君。

  〔寺本雅哉君、登壇〕

○商工観光労働部長(寺本雅哉君) 電力量に占める再生可能エネルギーの割合は、昨年度、全国で約20%であったのに対し、本県は約25%となっており、全国的に見ても再生可能エネルギーの導入が進んでいる状況です。

 そのような中で、議員が御指摘のとおり、県内における太陽光発電や陸上風力発電については、自然環境や生活環境との調和を図りながら導入を進めることが難しくなってきております。

 一方で、再生可能エネルギーの中でも木質バイオマス発電につきましては、令和2年6月に上富田町で、令和3年10月に新宮市で運転を開始し、現在も2か所で建設中であるなど、導入が進んでおります。

 次世代エネルギーの活用につきましては、カーボンニュートラルを達成する上で必要不可欠である一方、その商業化には技術面やコスト面で課題があり、現在は国の支援を得ながら技術開発が進められている段階にあると認識しています。

 県としましては、県内の再生可能エネルギーのポテンシャルを有効活用するとともに、国の技術開発の動向を踏まえながら、県内での技術実証の可能性を検討するとともに、将来的に次世代エネルギーの導入を目指してまいりたいと考えています。

○副議長(鈴木太雄君) 片桐章浩君。

  〔片桐章浩君、登壇〕

○片桐章浩君 それでは、サプライサイドの観点から答弁をいただきましたので、続きまして、デマンドサイドの取組はどうかということで議論を進めさせていただきたいと思います。

 令和3年3月末現在で、和歌山県内の戸建ての電化率というのは48.2%に達しています。エネルギー機器の転換は導入するための投資が必要なことなので、このことを考えますと、県民の皆さんが高い環境意識を持っているのではないかと思います、費用をかけて導入するということですから。これはエネルギーを既存のエネルギーから置き換える、この取組になります。そのほか、減らす取組である省エネルギー、創る取組である創エネルギーなどが家庭部門を含んだデマンドサイドの考え方になろうかと思います。

 ただし、家庭に経済的な負担をかけて推進する施策だけではなく、さらに環境意識を高めてもらうという両面の施策も必要になってこようかと思います。

 一方、電気自動車の普及が、これは日本全体のことなんで和歌山県だけではないですが、進んでいないと思います。その理由の一つとして、急速電気充電設備の設置が遅れていることが考えられますし、設置を見合わせる理由は幾つかあるのですが、まずは県が事業者の意見をよく聞いて、阻害要因を一緒に解決していこうとする姿勢が必要かと思います。急速充電設備を走行可能な距離に応じて配置するなどによって、消費者の消費行動につなげられるのではないかとも思います。

 そこで、県がすべきデマンドサイドの取組について、環境生活部長の答弁をお願いいたします。

○副議長(鈴木太雄君) 環境生活部長生駒 享君。

  〔生駒 享君、登壇〕

○環境生活部長(生駒 享君) デマンドサイドにおける気候変動対策の取組としては、省エネルギーの推進と化石燃料の使用削減、さらには議員お話しの創エネルギーなど、消費者自らがサプライサイドの役割を果たすことが重要であり、これらの取組を社会全体に行き渡らせるようにするためには、県民一人一人の実践行動が大変重要になると考えています。

 具体的には、省エネルギーの推進では、節電や省エネ型製品への切替え、断熱性の高い住宅の新築や改築、また化石燃料の使用削減では、次世代自動車への買換えなどが挙げられます。さらに、自らがサプライサイドの役割を果たすものとしては、家庭における太陽光パネルや蓄電池の設置などが代表的な取組として考えられます。

 県では、このような実践行動の促進を図るため、広報紙やウェブ、イベント等による啓発、子供たちへの環境教育などを通じ、広くその意義を伝えているところであり、引き続き、広報や啓発の充実強化を図りつつ、粘り強く取り組んでまいります。

○副議長(鈴木太雄君) 片桐章浩君。

  〔片桐章浩君、登壇〕

○片桐章浩君 それでは、2問目に入ります。

 和歌山県福祉サービス利用援助事業についてであります。

 これは、主に高齢者の方々の財産管理についての項目になります。自治会や民生委員の中には、独り暮らしの高齢者の方々の相談を受けている方がおられます。中でも気を遣うのが、金銭管理の不安からくる相談です。独り暮らしの高齢者の方の中には、将来、自らが認知症になってしまうことなどの不安を感じていることから、財産管理はどうしようだとか、知っている弁護士がいない、誰が信用できるのか相談相手がいないから不安、子供に迷惑をかけたくない、このような悩みを抱えている方がおられます。

 和歌山県では、和歌山県社会福祉協議会で、福祉サービスの利用援助や日常的な金銭管理サービス制度があり、金銭管理面でも利用していただいているようですが、あまり独り暮らしの高齢者の方々には知られていないように思います。

 このサービス制度は、自ら金銭や大切な書類を管理することに不安のある高齢者の方あるいは障害者の方々に対する福祉サービスの利用や金銭管理などの相談に応じ、安心して生活ができることを支援する事業です。

 希望すれば受けられるサービスの中には、定期訪問、金銭管理サービスがあり、例えば福祉サービスの利用料金や医療費、公共料金などの支払い、年金や福祉手当の受領に必要な手続、日常生活に必要な費用の支払い、預貯金の出し入れなど、こういったサービスが受けられるようです。

 また、財産管理として預金通帳や財産関係書類などの預かりサービスが必要だと思います。寄せられた意見として、定期預金の通帳は使わないので保管しているが場所を忘れてしまっただとか、不動産の権利証書や契約書などの書類を自分の家で保管するのは不安だ、こういった声もあります。

 県内の高齢世帯の方々が財産管理などに不安を感じながら生活しているというのを解消するために、福祉サービス利用援助事業をさらに周知することができないものかなあと思います。

 また、この福祉サービス利用援助事業を使いたいと思った高齢者の方々が、この協議会に相談に行ったと。そのときには、預金通帳や印鑑、年金証書、権利証書などの金銭管理について相談したところ、消極的な姿勢に思ったなどの意見が寄せられました。これは利用者の主観ですから何とも分からないところもありますが、利用してもらうための制度なので、ぜひ親切に対応していただけたらと思います。

 そこで質問です。

 和歌山県福祉サービス利用援助事業の相談の対応状況について、また、対象となる皆さんへの周知はどのようにしているのでしょうか。福祉保健部長の答弁をお願いいたします。

○副議長(鈴木太雄君) 福祉保健部長志場紀之君。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 福祉サービス利用援助事業は、認知症高齢者や精神障害、知的障害のある人など、情報の入手や理解、意思表示などの判断能力が不十分な方が自立した地域生活が送れるよう、福祉サービスの利用や公共料金の支払いなどの日常生活上の手続に関する援助、金銭管理、書類等の預かりなどのサービスを行う事業で、社会福祉協議会と利用者の契約に基づき支援を行っています。

 利用を希望する方からの相談は各市町村社会福祉協議会で対応していますが、高齢者や障害者等への援助経験のある専門員が相談者本人や家族等の支援者への訪問調査や面談を行い、金銭管理や定期的な見守りなどの必要となるサービスを聞き取っています。

 加えて、第三者の医師や司法書士等から成る審査会の意見も聴きながら、相談者の状況や希望に応じた適切な支援を行えるよう対応しています。なお、県も審査会の一員として、利用者を援助する際の助言を行っております。

 事業の周知につきましては、社会福祉協議会のホームページや広報紙、パンフレット及び県が実施する民生委員、児童委員への研修などで広報に努めてきたところですが、利用者が年々増加し、本事業の需要が高まっている状況を踏まえ、今後はケアマネジャーや施設職員などの身近な支援者に対しても研修を行うことにより、必要な人に必要な支援が届くよう対応してまいります。

○副議長(鈴木太雄君) 片桐章浩君。

  〔片桐章浩君、登壇〕

○片桐章浩君 答弁をいただきまして、これ、せっかく制度としてあるわけですから、ぜひ広報とともに、窓口では親切に寄り添うような形で対応いただけたらと思います。

 それでは、3問目に入ります。

 今年11月12日から13日にかけて和歌山ワーケーションファムツアーというのが行われまして、11月26日と27日は、これは民間主催ではありますが、「南紀白浜でSDGs×健康経営を学べ!!」のワーケーションツアーが開催されております。これらはワーケーションを行うことにより得られるメリットに関して検証するために開催されたもので、参加したのは首都圏、それから関西圏、どちらかというと大阪の企業のビジネスパーソンや個人事業主の方が多かったようです。

 また、今年10月21日、第9回プラチナ大賞において、和歌山県は優秀賞ワーケーション先達賞を受賞しています。受賞した取組は、「都市部と地域の関係性を再構築する『日本型ワーケーション』モデル」です。このことは和歌山県のワーケーションモデルが全国で認められたものであり、コロナ禍においても着々と積み上げてきたものが評価されたことはうれしく思います。

 これらのツアーの地域の課題は、教科書に載っているべたなものではないことを現地で学び、今後のビジネスに生かしてもらうことを目指したものだと認識しています。

 そして、SNSで非常にこれ他府県からたくさんの意見が寄せられたんですが、県の情報政策課長のコメントが結構発信されまして、和歌山のワーケーションのイメージをかなり高めてくれています。少し抜粋をさせていただきます。「自治体の課題というと『教科書に載っていそうなべたな課題』だと思ってしまう。でも現地に足を運べば、課題の内容や軽重にも地域ごとに違いがあり、現地で解決に向けて頑張っている人の存在も分かる。僕自身がそうだったかのように、新しい視座が増えます。そして、和歌山はワーケーションだけではなく、移住してくる人も多い。地域おこし協力隊を経て移住したり、著名なプログラマーが住んでいたりと多様性がすごいんです。もちろん昔から住まれている地元の方もすてきな方ばかりで、よそ者の私にも温かく接してくれます。東京に住んでいた頃は、似たような環境に住む人ばかりと飲んでいましたが、和歌山で様々な経験や思いを持つ方々とお話しすることはとても刺激的で、人生の優先順位についても考えるようになった」、このように話していることが話題になっております。実に和歌山のイメージを向上させてくれたものだと思います。

 このように、現地で研修機会を持つことで分かることもあります。参加者にそれを気づかせてくれるロケーションが和歌山県にはあろうかと思います。

 そこで質問に入ります。

 現地で教科書では分からないことを学べる和歌山県のワーケーションツアーです。今回ツアーに参加した皆さんの感想を聞かせてもらうと、もうほぼ肯定的な意見が多くて、歓迎する声が多かったんですが、少し考えるべき課題も聞いております。自然環境はすばらしいのですが、ちょっと見ると廃墟があり、むしろ気持ちが萎えてしまう。行きたいところじゃないと行くことはない、行きたいと思わせるコンテンツが必要であり、それを正しく県外に発信することが必要。ワーケーションの聖地というのはいいが、地域の環境整備などをすべきである。こういったちょっと厳しいというか建設的な意見も実は寄せられております。

 これまでワーケーションツアーの成果と今後のワーケーションツアーの取組について、企画部長にお尋ねいたします。

○副議長(鈴木太雄君) 企画部長横山達伸君。

  〔横山達伸君、登壇〕

○企画部長(横山達伸君) 和歌山県が全国に先駆けて取組を開始いたしましたワーケーションですが、初年度である平成29年度には、企業目線でのワーケーションを推進するため、ワーケーションモニターツアーを実施いたしました。首都圏企業を中心に約20名に御参加をいただき、参加された方からは、「地域の方々だけでなく、ふだんは付き合いのない他社の方とも多様なアクティビティーを通じて関係構築ができ、またネットワーキングの機会としても有用でありました」等の前向きな御意見、御感想を数多くいただきました。

 続く平成30年と令和元年度は、親子で参加できるワーケーションツアーを学校の夏休み期間に実施をいたしました。

 そして、コロナ禍にあった令和2年度には、オンラインを活用しましてWAKAYAMAオンラインワーケーションを2日間にわたって実施をいたしまして、初日は、和歌山県内でワーケーションを実施している企業の実例や県の受入れ体制等を紹介する講演を行い、2日目には、バーチャルツアーにより県内の受入れ施設や観光資源を紹介し、2日間で延べ約180名の方に視聴いただきました。

 今年度は、11月12日から15日にかけて、「和歌山ワーケーションファムツアー」と題し、ワーケーションを実施することで得られる効果を定量的に検証する効果検証型ファムツアーを開催したところです。

 参加された方には、ツアーの参加前から参加後までウエアラブル端末をつけていただき、バイタルデータにどのような効果が見られるかについて、実施前、実施中、実施後の経過分析を行うとともに、同期間ツアーに参加しなかった方にも端末をつけていただくことでワーケーション実施効果を比較検証することとしています。

 現在、データの分析を行っているところですが、その結果の中で和歌山県におけるワーケーションの実施効果を定量的に示すことができましたら、それらのエビデンスを活用して、引き続きワーケーションの適地・和歌山県のPRを進め、首都圏のみならず京阪神からの人の流れを促進していきたいと考えております。

○副議長(鈴木太雄君) 片桐章浩君。

  〔片桐章浩君、登壇〕

○片桐章浩君 お答えをいただきまして、まさに和歌山のこのツアーというのは本当に全国の先端を僕は走っていると思っているんですが、特に担当される所管の、先ほど課長のコメントも話しましたけども、班長さんとか担当の方がデジタル媒体とかを通じて非常に登場しているんですよね。これが結構あちこちから反響がありまして、こういった効果の検証に加えて、例えば和歌山のロケーションを生かしたストーリーに加えて、関わっている人というのをぜひ特筆、PRしてもらえたら、さらに和歌山らしさというのでしょうか、そういったものが出ると思いますんで、人も注目しながらこのツアーを続けていただけたらと思います。

 そして、次の質問、2番目です。

 関係人口というちょっと聞き慣れない言葉なんですけど、ワーケーションでは関係人口という言葉が非常に重要視されているのかなと思います。これは、地域や地域の人々と多様に関わる人、これでも分かりにくいんですけども、注目した言葉でありますが、ワーケーションによって生じる関係人口──要は和歌山県と関係を持ってくれた人ということですよね──はどのような地域活性化につながるものでしょうか。企画部長にお尋ねいたします。

○副議長(鈴木太雄君) 企画部長。

  〔横山達伸君、登壇〕

○企画部長(横山達伸君) ワーケーションによって生じる関係人口についてお答えいたします。

 ワーケーションを活用して来県される方は、観光客と比較をいたしまして、より長期かつ継続的に訪問される傾向にあり、そのニーズは多岐にわたります。

 そのため、和歌山県では、当初からワーケーション利用者の方々に対して、単に宿泊サービスを提供するだけではなく、テレワーク用スペースや様々な体験型観光、援農体験、さらには道普請、海岸清掃などのボランティア機会の提供といった受入れビジネスの創出に取り組んできました。

 さらに、ワーケーション受入れサービス登録制度を設け、体制の構築を進めてきたところです。

 この登録制度に関しましては、今年11月末時点で、ワークプレイス41、宿泊施設54、アクティビティー31のサービスが登録されており、また、問合せに応じてワーケーションプランの企画調整を行うコーディネート事業者も9サービスが登録されておりまして、これらを合計すると135サービスまで広がりを見せています。

 新型コロナウイルス感染症の影響により、都市部からの人の移動が制限された時期が続いていましたが、新型コロナ後にはワーケーションを通じた関係人口の創出が期待されます。

 こうした関係人口は、観光的な観点での県内での消費行動の増加による経済活性化に加えて、SNS等を活用した情報発信、さらには地域企業との協業や地域住民への支援等により、幅広く地域の活性化につながるものと考えております。さらに、最終的には企業誘致や移住・定住にまでつなげていきたいと考えております。

○副議長(鈴木太雄君) 片桐章浩君。

  〔片桐章浩君、登壇〕

○片桐章浩君 答弁ありがとうございます。

 最後にも部長、答えていただきましたように、最終的にはやっぱり企業誘致とか移住・定住につなげていくというか、関係人口から定住人口が理想かなというふうに思います。今回ちょっと時間がなくて触れなかったんですけど、この移住政策についても今年の和歌山県の取組、実は県外から「いいよ」というふうに聞いておりますし、ぜひ関係人口から移住というのはまた次回ぜひ取上げさせていただきたいと思うんで、こちらの施策も継続してお願いできたらと思います。

 それでは、最後の項目、医療的ケア児と御家族の支援について質問をさせていただきたいと思います。

 先ほどからちょっとお子さんの声もしているわけなんですけども、今回、子供さんにも多分来ていただきながら、このテーマ、関心を持って聞いてくれるものだというふうに思いますので、当局の部長におきましてはしっかりとお答えをいただきたいと思います。

 医療的ケア児と御家族への支援について、最後です、質問をさせていただきます。

 最近、医療的ケア児の御家族の皆さんと話合いをする機会やZoom会議を持つ機会がありました。

 この医療的ケアとは、人工呼吸器による呼吸管理、喀たん吸引、その他医療行為と定義されています。法律で定義されている医療的ケア児とは、ふだんの生活をしたり学校に通うために常に医療的ケアが必要な子供のことをいいます。

 医療的ケア児は、この医療的ケアが原因となり、学校に通うことさえ困難なケースもあり、環境が整っていないから近い学校に通学できないことや、通学できたとしても保護者が常に付き添わないと通学できないといったケースもあるように聞いています。

 子供の通学のために御家族が仕事の時間を割いて送り迎えや学校内で対応しているため、御家族には大きな負担がかかっているところもあります。

 そんな中、これまで関係している皆さんの取組が実って、今年6月11日、医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律が成立し、今年9月18日に施行されています。

 この法律の目的は、医療的ケア児とその家族への支援について、国や地方公共団体の責任と義務を明確にして、医療的ケア児の成長を見守ること、そうすることで家族も仕事を続けられるので、安心して子供を育てられることにつなげることにあります。

 この法律は、都道府県に対しては、就学前から社会参加までの間、切れ目なく支援を受けられる体制の整備を行うことを求めています。

 その一つが、保育所、認定こども園、幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、そして特別支援学校など全ての学校において医療的ケア児の受入れに向けて支援体制を拡充していくことが必要だとされております。そのため、医療的ケア児が御家族の付添いなしで希望する施設に通えるように、保健師や看護師、または喀たん吸引を行える保育士などの配置が必要になってきています。このように、看護師などの配置をすることによって医療的ケア児の支援をすることを法は求めているのです。

 二つ目として、都道府県においては、医療的ケア児支援センターを設立することを求めています。医療的ケア児の御家族は、悩み事をどこに相談すればよいのか分からない場合があるので、御家族の相談に応じる役割を医療的ケア児支援センターが担当することになります。この支援センターの設置と相談業務は、都道府県が行う場合と、社会福祉法人など役割分担して実施することも可能ということになっております。

 ここでは、教育委員会と学校、そして福祉部局と連携体制を整備することや、医療的ケア児の就学、進級、進学及び就労などに個別の教育支援計画が有効に活用される仕組みをつくることや、連携支援コーディネーターを配置することが必要だと考えられます。

 ここまでをおさらいします。まず、法律の制定において、国や地方公共団体などの責務が明確になりました。都道府県、和歌山県においてもですが、医療的ケア児とその御家族への支援に係る施策の実施が求められています。国においては、医療的ケア児支援センターの設置の推進と医療的ケア児の支援者の養成、医療的ケア児の御家族への支援を総合的に実施するための予算の拡充が図られることになっています。

 これらの施策は、医療的ケア児の御家族は医療的ケア児が心身の状況に応じた適切な支援や教育を受けられないことや、御家族が24時間ケアを担うために就労機会を失うこと、子育てなどで悩み事の相談するところがないという山積する課題を解決するためのものです。

 そこで、項目一つ目になります。

 医療的ケア児に関わる課題を聞く機会を持つことで、早期に解決に向かわせるため、早く法律の趣旨に沿った形で医療的ケア児支援センターをつくるべきかと思います。

 医療的ケア児の子供さんを持つ親御さんから、こういった話を聞かせていただきました。「子供と楽しい、うれしい、おいしい、こういった同じ感情を味わうことができないことは本当につらいと思うことがあります。でも、こういった内心は誰にも相談できないのです」、こういった話もいただきました。本人もつらいけれども、親も身体的、精神的に苦しいときがあるのです。福祉保健に携わられる皆さんは、そんな言葉で言い表せない苦しみに心から寄り添ってほしいと思います。

 そこで質問ですが、和歌山県として、医療的ケア児の御家族が安心して子育てを行い、仕事ができるような支援をすべきだと思いますので、その観点から、医療的ケア児支援センターの設置の考え方についてお答えをいただきたいと思います。

 また、法律に基づく支援をするために、医療的ケア児に対応できる人材を養成する必要があります。医療的ケア児コーディネーターの養成についての考え方も併せてお示しください。福祉保健部長の答弁をお願いします。

○副議長(鈴木太雄君) 福祉保健部長。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 医療的ケア児の支援につきましては、議員お話しのとおり、本年9月に医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律が施行され、県に設置する医療的ケア児支援センターにおいて相談や研修の実施が位置づけられました。

 本県におきましては、平成30年度より、医療、保健、福祉、教育に関係する課室で情報連携等を図るとともに、各障害保健福祉圏域において、保護者等からの相談があった際には、市町村や医療機関、サービス提供事業所等による医療的ケア児一人一人の状況に応じた個別の支援会議を行うなど、支援の充実に取り組んできたところです。

 また、医療的ケア児コーディネーターの養成も行っており、これまでに127名が研修を修了していますが、地域的な偏在もあり、引き続き養成が必要な状況です。

 県では、医療的ケア児とその家族を支援する各障害保健福祉圏域の体制整備を優先すべきであると考えており、そのためには、地域で中心となる医療的ケア児コーディネーターの育成が重要であると考えております。

 そうした各圏域での体制整備を進めた上で、医療的ケア児支援センターの設置につきましては、令和5年度を目標とし、引き続き市町村や関係機関と連携し取り組んでまいります。

○副議長(鈴木太雄君) 片桐章浩君。

  〔片桐章浩君、登壇〕

○片桐章浩君 答弁いただきまして、今まで何とか保護者の方とか御家族の方々が県とか市、こういったところへ要望に行っていたと思うんです。この医療的ケア児支援センターの設置について、なかなか明確にしていただけなかったということもあったんですが、今、部長の答弁で、令和5年度を目標ですが設置するということでお答えをいただきました。まずは和歌山県内、和歌山市を含めて八つある圏域の整備を4年度で進めていただきまして、和歌山県として令和5年度にセンターの設置というのが図られることをぜひお願いしたいと思います。

 それでは、2点目であります。

 保護者からは、医療的ケアの体制の充実はもちろんのこと、運動機会が少ないことや運動施設が少ないことから太る子供が多い、あるいは運動のサポートの仕組みがあればうれしい、こういった意見も聞かせてもらっております。

 保育所や学校、特別支援学校など全ての学校において、医療的ケア児の受入れのための看護師の配置や増員なども含めた支援体制を拡充していく必要があると考えておりますが、福祉保健部長の答弁をお願いしたいと思います。

 また、この点に関しては、教育長からの答弁もお願いしたいと思います。

○副議長(鈴木太雄君) 福祉保健部長。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 保育所における医療的ケア児への支援体制についてお答えします。

 保育所の実施主体である市町村においては、保護者等から保育所の利用について事前に相談を受け、看護師等の配置を行い、医療的ケア児の支援を行っております。

 県では、国の補助制度を活用し、看護師を配置する経費等について市町村に対し補助を行っているところです。

 引き続き、医療的ケア児の支援を適切に行うよう市町村に対し助言を行うとともに、必要となる経費の補助を行ってまいります。

○副議長(鈴木太雄君) 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 学校における支援体制についてお答えします。

 県教育委員会では、医療的ケアを必要とする幼児、児童、生徒の多くが在籍する特別支援学校に看護師を配置しています。

 本県では、看護師と教員が幼児、児童、生徒の主治医から直接指導や助言を受け、協働してケアを実施する体制を整え、学校生活を支えています。また、各市町村教育委員会においても、ケアを必要とする児童生徒が在籍する学校に看護師を配置し、支援が行われております。県教育委員会から学校の支援体制等について助言を行ってもおります。

 今後も、全ての学校において、医療的ケアの必要な幼児、児童、生徒が安心・安全に学ぶことができるよう、支援体制の充実に取り組んでまいります。

○副議長(鈴木太雄君) 片桐章浩君。

  〔片桐章浩君、登壇〕

○片桐章浩君 それでは、3点目であります。

 御家族の方々に健康の不安があったときなど、医療的ケア児を預けるための短期入所事業所が少ないことなど、御家族の身体的、精神的な負担は私たちの想像以上のことだと思います。これは昨日も1時間程度、今朝からも保護者の方とお話をしてきたんですけども、こういったことが本当に実感するところであります。

 特に東牟婁圏域においては、一時的に医療的ケア児を預けることのできる事業所が不足していることも聞かせていただきました。

 短期入所事業所の県内の状況、とりわけ東牟婁圏域の状況、またその状況を踏まえた県の認識についてお聞かせをいただきたいと思います。

 また、子供の成長に合わせ、社会とのつながり方も学校から地域へと変化していきます。保護者の方にとっては高校卒業後の進路や支援について、卒業が近づくにつれて不安を募らせている、こういう話も聞いております。ただ、学校生活においては、担任の先生が十分よくしてくれていることや、和歌山大学のボランティアの生徒がとてもいいとか、こういったうれしい、満足感のある意見も聞くことがありますので、申し添えておきます。

 ただ、一方では、先ほど言いましたように、卒業後に不安を感じています、就職できても適応しなければひきこもりにならないかどうかの不安を感じている、こういうことも聞かせてもらっておりますので、今後の医療的ケア児と御家族への支援の充実についてどのように取り組んでいくのか、福祉保健部長の答弁をお願いいたします。

○副議長(鈴木太雄君) 福祉保健部長。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 県内にある短期入所事業所の状況ですが、全体では67事業所あり、そのうち児童への対応が可能な事業所は19事業所ありますが、そのうち東牟婁圏域にあるのは2事業所となっております。

 県としましては、医療的ケア児支援に対応できる障害福祉サービス事業所の充実が必要であると認識しており、国に対し、課題となっております看護師配置のさらなる加算の増額などについて必要な改善を求めているところです。

 引き続き、医療的ケア児とその家族が、それぞれのライフステージに合わせ、希望される社会生活が送れるよう、市町村が行う医療的ケア児一人一人に合わせた支援に対し、県としても連携して取り組んでまいります。

○副議長(鈴木太雄君) 片桐章浩君。

  〔片桐章浩君、登壇〕

○片桐章浩君 答弁いただきまして、ありがとうございます。

 今の答弁の最後に、希望される社会生活が送れるよう、県としても市町村と連携して取り組んでいくと、こういうお答えをいただきました。

 保護者と本当に話をすると、子供と一緒に生きていく、あるいは制約条件のある中で仕事を続けていく、こういった話を聞く反面、時には、やっぱり安らぎも欲しいなという、こういう解放感を求める声もあります。

 ぜひ、県の施策ではありますが、所管におかれましては、仕事というよりも親身になって相談に乗って、寄り添えるパートナーとしての役割を果たしていってほしいなということをお願いいたしまして、私の一般質問とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○副議長(鈴木太雄君) 以上で、片桐章浩君の質問が終了いたしました。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 14番濱口太史君。

  〔濱口太史君、登壇〕(拍手)

○濱口太史君 皆さん、こんにちは。

 私が本日の最終登壇者となります。いましばらくよろしくお願いいたします。

 議長のお許しをいただきましたので、命の大切さに関する項目で質問をさせていただきます。

 まず一つ目、新宮市立医療センターをはじめ県内における医師偏在の解消についてであります。

 去る11月17日、新宮市立医療センターから、来年3月1日以降の出産予約を休止するとの発表がありました。このショッキングなニュースに多くの市民や近隣町村の住民は、この緊急事態に大変な不安と不満を覚え、大きな騒動となっています。

 事の発端は、長年、当該病院で御尽力いただいた産婦人科部長が令和4年3月で退職することになり、後任の産婦人科部長について、和歌山県と連携しながら各所に派遣要望活動を行っていたところではありますが、後任の見通しが立たない状況下では安全な医療提供が担保できないことから、出産予約休止という苦渋の決断を下したということです。

 新宮市立医療センターは、平成13年5月に開院した地域の中核病院であり、当該病院が受け持つ患者エリアは、交通アクセス上の問題や病院の持つ診療機能等の関係により、新宮のみならず、三重県熊野市及び南牟婁郡から奈良県十津川村、和歌山県東牟婁郡といった3県にまたがる広域的なものであります。

 当該病院は、この地域の公立病院では最多の19診療科、304床の病床を備え、46名の常勤医がこの広範囲にわたる地域を支え、急性期医療を中心とした医療の提供を行っています。

 今般、新宮市が医師の派遣を要望している産婦人科につきましても、奈良県立医科大学及び和歌山県立医科大学から2名の常勤医を派遣していただき、両大学等からの非常勤医師と協力をしながら、年間約300件の分娩に加え、異常分娩や帝王切開手術等、当地域の周産期医療の要として尽力していただいています。

 現在、57名の妊婦がおられ、そのうち予定日が2月下旬までの10名は新宮市で分娩できる可能性が高いのですが、後任部長が不在となれば、あとの47名につきましては当該病院で分娩を取り扱うことができず、当地域で安心して分娩に対応できる病院がなくなり、近隣地域にも開業医が1軒のみであるため、身重な体で2時間以上かけて和歌山県田辺市や三重県松阪市の病院で受診していただかなければならず、万が一、異常があった際、最悪の場合、母子ともに命に関わる危険性が高まります。

 こういう事態になったときに安全に安心して地域の病院で分娩が行えないとなると、出産の不安要素となり、少子化に拍車をかける重大な問題であり、那賀、有田なども同様の状況です。

 こうした新宮市立医療センターにおいて起こった問題の背景としては、医師が辞めるという直接的な問題もある一方で、和歌山県全体における医師偏在による医師不足という問題があると思われます。

 本県は、医師不足解消を目指し、平成20年度から和医大において医学部定員を増員したことから、その年以前よりも医師数は増加し、全国公募の県民医療枠や県内募集の地域医療枠の二つの制度の創設が功を奏しています。令和3年に94名であった医師派遣人数についても、令和4年には134名と、大幅に増員できるとの心強い効果も出ています。

 和歌山県全体で見ますと、人口比率を基に全国と比較した数値だけで言えば、医師数は多い県と言えます。しかしながら、現状を見ると、分野や地域によって偏りがあり、充足している状況とは言えません。

 また、本県の地域偏在は、和歌山エリアとそのほかの地域とそれぞれを比べると、医師の数は最大で約2倍以上、病院のみでは約3倍以上の差があります。診療科によっては、今般の産婦人科のみならず、小児科や精神科も少ない状況であります。

 産婦人科、精神科など、患者の性質上、限られた医師数の中で24時間体制を取らなければならない診療科は、それだけでも肉体的、精神的な負担を強いられます。

 そのような診療科医師への成り手が少ないとなれば、現場での負担はますます重くなり、そんな大変な現場に自ら進んでなろうと考える若手医師が少ないことはやむを得ないのかもと考えます。

 それに、医師には選択の自由があることから、それぞれが従事したい分野や勤務したい地域を選択することは必然のことと考えますが、それが医師の偏在を引き起こす一つの要因となり、結果としてそれぞれの地域で医師が不足することになれば、それらを解消するための対策を講じなければならないのではないでしょうか。

 もちろん、県内の医師偏在の問題については様々な要因があると思いますが、まずは、それぞれの地域や診療科で必要な医師を確保することが重要ではないかと思います。

 そこで、喫緊の対応として新宮市立医療センターの産婦人科医師の確保が求められるところではありますが、和歌山県全体としての医師の現状や課題を踏まえた医師確保による県内医師偏在の解消に向けた取組について、中長期的な視点も踏まえた県が行う医師確保と、緊急対策として新宮市立医療センターにおける産婦人科医師の確保について、福祉保健部長、お答えください。

○副議長(鈴木太雄君) ただいまの濱口太史君の質問に対する答弁を求めます。

 福祉保健部長志場紀之君。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 県では、将来にわたり地域医療を担う医師を確保するため、短期的な施策と中長期的な施策を組み合わせて実施しております。

 まず、短期的な施策としては、県立医科大学地域医療枠などの医師を県内中山間地域等へ適正に配置するとともに、小児科、産科など特定診療科での勤務を条件とする返還免除付研修・研究資金の貸与制度を積極的に運用し、不足する診療科医師の確保に取り組んでおります。

 さらに、中長期的な施策としては、若手医師が地域と大学病院等をローテーションしながら専門的な知識や経験を積むことができるキャリア形成プログラムの充実を図るとともに、初期臨床研修や専門研修、さらには和歌山県立医科大学医学部の定員確保に取り組んでおります。

 このたびの新宮市立医療センターの産婦人科については、突然の診療科責任部長の不在により、緊急的な対応が必要であると認識しております。

 対象の医師については、豊富な分娩経験に基づく役割が必要でありますが、県内で該当する人材の確保が困難であることから、現在、日本産科婦人科学会を通じた公募依頼や県外の医科大学など関係病院に対する産婦人科医師の派遣要請を行っております。

 県としましては、引き続き、県内医師の地域偏在と診療科偏在の解消に向けた取組を推進し、県民が安心して適切な医療が受けられる体制づくりに取り組んでまいります。

○副議長(鈴木太雄君) 濱口太史君。

  〔濱口太史君、登壇〕

○濱口太史君 どうか全力を挙げて、何としても分娩休止の回避のため、よろしくお願いいたします。

 次の項目に移ります。

 交通事故被害者等への支援と命の大切さについてであります。

 一つ目、紀の国被害者支援センターにおける支援体制について。

 たまたま予期せぬことに出くわしたとき、「それは交通事故に遭ったようなものだね」と、突然の出来事だから防ぎようがないという意味で何げなく使ってしまいます。使うほうは軽めの事故程度の話として使いますが、実際に交通事故によって大事な家族や友人などを亡くした経験のある方がこの言葉を耳にしますと、世の中はこの悲しみや悔しさを軽く感じている、自分事としては理解してくれていないのかと、憤りと絶望を感じるそうです。

 11月の第3日曜日は世界道路交通被害者の日だそうですが、その前日の20日、新宮市において「生命(いのち)のメッセージ展」というイベントが開催されました。2000年に当時19歳の児島健仁さんがバイクで走行中にトラックと正面衝突した事故でした。突然の息子の事故の知らせから亡くなってしまうまでの14日間の壮絶な親子の闘いの様子を、最愛の息子を亡くされた児島早苗さんが涙ながらに訴える講演と、また会場では、犯罪、事故、いじめ、医療過誤、一気飲ませなどによって理不尽に命を奪われた幼い子供から大人に至る犠牲者一人一人の等身大の人型パネルが30体ほど展示されていました。

 このパネルはメッセンジャーと呼ばれ、その胸元には、本人の写真や生前の人生や将来の夢、遺族の悲しい思いのメッセージが貼られ、その足元には、生きたあかしとして本人の履いていた靴が置かれています。来場者は神妙な面持ちでそのメッセージを読み、被害者と遺族の無念さに思いをはせているようでありました。

 このメッセンジャーの展示は全国各地の大型商業施設や学校などで開催され、小さな子供さんでも真剣に読んでくれるそうです。

 児島さんが自分の体験を話されるとき、「これから生死をさまよう息子を励まし続けた様子、その祈りがかなわなかった失望感の一部始終をお話ししますので、皆さんは目を閉じて、自分が一番大事と思う人を思い浮かべ、自分のこととしてお話を聞いてください」という説明があり、話の最中に会場のあちこちからすすり泣く声も聞かれました。

 講演終了後に、近くの若い人に感想を尋ねると、命のはかなさを感じ、自分の貴重な命をこれからどう大事に使っていこうという心境になったそうです。

 今回のイベント開催に私が関わったきっかけは、私の地元で交通事故ゼロを訴える活動をされている紀南交通事故被害者の会の代表を務める中岡貴恵さんとの出会いでした。

 彼女は、運転する車の後部座席に母を乗せ、交差点を直進しようとしたところへ対向車が右折しようと進入。進路を妨害され回避するために急停止・急ハンドルで、車同士の衝突は回避しましたが、自分の車はバス停に激突。その衝撃で母親が命を落とすという、つらい経験をされた方です。

 相手の加害者は、事故から半年後、責任は重大と起訴され、事故から10か月後に禁錮1年、執行猶予3年の判決となりました。

 彼女は、事故の後、しばらくは加害者への恨みと同時に自分の責任を自問自答して苦しむ日々が続いたと言います。そのときの心境を「暗い闇の中にいる感じ。当時の行動を悔やんで自分を責め続けた毎日だった」とおっしゃっていました。しかし、紀の国被害者支援センターの存在を教えてもらい、支援員が親身になって相談を受けてくれたことで、苦しんでいる私は1人じゃないと光を見つけたそうです。

 また、その際に、命の重さ、貴さを訴え、交通事故のない社会を実現し、未来の命を守ることを目的とし、全国各地で活動されているNPO法人KENTOという団体の存在を知りました。その代表が、先ほど紹介した講演会の講師の児島さんだったのです。

 ちなみに、団体名のKENTOとは、亡くなった息子さんの名前に由来します。

 中岡さんはその活動に感銘を受け、新宮市でのイベント開催に奔走したということです。

 私は、このイベントに参加して、改めて人の命の貴さについて考えました。そして、自分の身近にそのような犠牲者がいなかったので、確かに自分事と考えたことはなかったと反省しました。もっと生きていたかったはずなのに、死が突然訪れてしまった御本人の無念と、最愛の人を亡くすことに直面した御家族や友達のいたたまれない心情をもっと早く認識し、議員という立場でやるべきことがあったのではないかとも感じました。

 さて、本県においても、平成18年4月に施行した和歌山県安全・安心まちづくり条例に基づき、犯罪被害者等に対する支援に取り組んできましたが、さらに支援の充実強化を図るために、平成31年4月、和歌山県犯罪被害者等支援条例を施行しました。この条例に基づき、犯罪被害者等が被害を受けたときから再び平穏な生活を営むことができるまでの間、多様なニーズに応じた必要な支援を途切れることなく受けることができるよう、犯罪被害者等に対する県の支援施策を体系的に整理し、総合的かつ計画的に推進することを目的に、犯罪被害者等支援基本計画を策定しています。

 犯罪や交通事故については、被害者遺族の二度と起きてほしくないという訴え、県警はじめ関係機関の御尽力、事故であれば自動車メーカーの安全装置の開発や進化などによって、本来ならなくなっても不思議ではないはずですが、運転ミスや不注意、昨今問題視されている高齢者ドライバーの原因などで命をなくす悲劇は今もなお各地で後を絶ちません。

 犯罪や交通事故の被害を受けた人は、そのことによって傷つけられるだけでなく、それに伴って生じる心身の不調、生活上の問題、あるいは周囲の人の言動による傷つき、捜査、裁判などに伴う様々な負担を抱えることになります。犯罪や交通事故に巻き込まれ、苦しんでいる犯罪被害者等が一日も早く平穏な生活を取り戻すためには、関係機関・団体が連携し、地域社会で犯罪被害者等を支えていくことが必要です。

 被害者遺族は、加害者に直接怒りをぶつけられるわけではないので、支援の乏しさに対して、あるいは警察や司法関係者、保険業者などの対応や行き届かない言葉への不満に対して怒りが向けられることがあります。また、大事な人を亡くした要因に自分も関与してしまったのではないかという罪悪感により、遺族自身の内面に怒りが向けられてしまうと、自殺行動として表れることもあるそうです。

 故人に対して、生前もっとこうしてあげればよかった、あのとき電話をしていれば助かったのに、外出を止めればよかった、自分が助けられなかったことに対して罪悪感や自責感に毎日さいなまれるそうです。ほとんどの場合、事前に助け出すことは不可能ではありますが、遺族は自分を責めずにはいられず、周囲の慰めは受け入れ難いといいます。

 それから、大事な人を亡くしたストレスからくる疲労だけでなく、犯罪や事故では、裁判や保険の問題など、やらなくてはならないことがたくさん存在するために、物理的にも疲労が生じるわけです。

 そこで、警察本部長にお尋ねします。

 いずれのような様々な問題で精神的な苦労が絶えないと言われる被害者を支援する施設である公益社団法人紀の国被害者支援センターでは、どのような支援活動を行っているのでしょうか。具体的に教えてください。

○副議長(鈴木太雄君) 警察本部長遠藤 剛君。

  〔遠藤 剛君、登壇〕

○警察本部長(遠藤 剛君) 公益社団法人紀の国被害者支援センターは、犯罪被害者支援法に基づき、平成23年2月に和歌山県公安委員会から犯罪被害者等早期援助団体として指定され、交通事故の御遺族を含む犯罪被害者等の精神的、経済的負担の軽減を図り、再び地域で平穏な生活を営めるよう支援を行っております。

 具体的には、犯罪被害者等の支援に関する広報紙やパンフレットの作成、配布などの広報啓発活動、犯罪被害等に関する相談への対応のほか、犯罪被害者等が病院や裁判所、警察に行く際の付添い、弁護士相談やカウンセリングへの橋渡しなどを行っております。

 また、同センターでは、年2回、紀北及び紀南地方でそれぞれ1日移動無料相談を実施し、弁護士やカウンセラーを含む相談員が対応しております。

 なお、年間の相談・支援件数は、平成23年、公安委員会指定当時、274件であったところ、令和2年度は765件と、約2.8倍となっております。

 他方、犯罪被害者等にとって最も身近な存在である警察としても、被害直後に被害者や御家族、御遺族に対し「被害者の手引」等を交付し、利用できる制度や相談窓口、捜査や裁判の仕組みについて説明しております。

 また、犯罪被害者等の同意を得た上で、犯罪被害者等の氏名や被害概要を紀の国被害者支援センターに情報提供し、同センターから積極的にアプローチしてもらうなど、個々のニーズに応じたきめ細かな支援に努めております。

 引き続き、被害者の方々などに寄り添った対応に努めてまいります。

○副議長(鈴木太雄君) 濱口太史君。

  〔濱口太史君、登壇〕

○濱口太史君 実際に支援センターに救われている被害者の方は多く、支援員の方々をはじめ関係各位に敬意を表し、今後とも頑張っていただきますようよろしくお願いいたします。

 二つ目、命の大切さを学んでもらうための取組についてお聞きします。

 県は、条例の第8条に基づき犯罪被害者等支援基本計画を定めており、その計画における施策の柱の一つとして、犯罪被害者等を支える地域社会を形成するため、県民の理解の増進を図る施策を行うとしています。

 その一つは、啓発イベントの開催や広報紙等を活用した広報啓発の実施であります。そしてもう一つは、犯罪被害者等への配慮や協力意識の涵養、次世代を担う若い人たちの規範意識の向上を図るために、中学生、高校生を対象とした「命の大切さを学ぶ教室」を開催とのことですが、それはどのような内容で実施されているのでしょうか。

 また、小学生に対してはどうでしょうか。命の大切さを学んでもらうための取組について詳しく教えてください。教育長にお願いいたします。

○副議長(鈴木太雄君) 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 県教育委員会では、県警察本部並びに公益社団法人紀の国被害者支援センターの協力を得て、毎年、県内の中学校、高等学校それぞれ4校程度を対象に、平成19年度から、命の大切さを学ぶ教室を開催しています。

 この教室では、犯罪被害者遺族を講師として招き、子供を亡くした親の思いや家族の絆、生命の大切さなどについて講話をいただく中で、生徒たちにとっては、大切な命を守り、誰もが安全で安心して暮らせる社会の実現について考える機会となっています。

 実施校では、「大切な命を守る」全国中学・高校生作文コンクールにも参加し、命の大切さに関する自分の考えや意見を作文にすることを通して犯罪被害者等への理解を深めることにつなげています。

 さらに、小学校においては、生命の貴さや思いやりなどを涵養することが重要であると考え、本県独自の道徳教科書を活用して道徳教育の充実も図っております。

 また、児童生徒による地域安全マップづくりや交通ルールや通行マナー等を学ぶ交通安全教室の学習を通して、自他の命を大切にすることを学んでいます。

 このような発達の段階に応じた学びを通じて、命の大切さについて学習を進めてまいります。

○副議長(鈴木太雄君) 濱口太史君。

  〔濱口太史君、登壇〕

○濱口太史君 引き続きよろしくお願いいたします。

 それでは、三つ目、市町村における犯罪被害者等支援についてであります。

 県では犯罪被害者等支援条例を制定していますが、犯罪や交通事故被害者や御遺族などへの支援は継続的に、そしてきめ細かく行うことが重要だと考えます。それに一日も早く平穏な生活が取り戻せるように、身近で寄り添うことが理想だと考えます。すなわち、どこに住んでいても同じような支援が受けられる体制を構築することが望まれます。

 そこで、県としては各市町村に対してどのような働きかけを行っているのでしょうか。環境生活部長、よろしくお願いします。

○副議長(鈴木太雄君) 環境生活部長生駒 享君。

  〔生駒 享君、登壇〕

○環境生活部長(生駒 享君) 議員御指摘のとおり、犯罪や交通事故の被害に遭われた方やその御家族、御遺族に対する寄り添った支援は、生活に身近な市町村においても大変重要だと考えております。

 県では、これまでも警察や弁護士会等と連携して、事件・事故の被害者などが直面している様々な困難な状況や、それぞれの事情に配慮した支援の重要性、さらには県条例や県基本計画に基づく支援施策等をテーマに、市町村を対象とした研修会を実施してまいりました。

 研修会においては、被害者の御遺族に自らの体験を通して、命の大切さはもちろんのこと、地域における被害者支援や条例制定への期待などについてお話しいただき、それぞれの市町村において被害者への支援の在り方を考える機会としています。

 被害者支援は、多くの主体が互いに連携を図り、途切れなく行うことが肝要であり、引き続き、市町村、関係機関、支援団体等と一緒になって被害者支援に取り組んでまいります。

○副議長(鈴木太雄君) 濱口太史君。

  〔濱口太史君、登壇〕

○濱口太史君 どうぞよろしくお願いします。

 市町村での支援条例の制定状況に触れますと、例えば近畿府県で、京都府、奈良県、滋賀県の市町村が100%、兵庫県の市町村が約98%、条例を制定しているとのことです。残念ながら大阪府、和歌山県ではまだ制定に至っていない市町村のほうが多いので、ぜひとも御尽力くださいとのお話を多くの被害者の方々から御要望いただいたので、今回の一般質問に取上げさせていただきました。

 市町村に条例を制定してもらうことは重要なことだと考えます。他地域の条例を参考にしますと、犯罪被害者等の経済的な負担の軽減を図るため、見舞金の支給も盛り込まれていますが、条例が制定されているところと、ないところがあれば、もし異なる市町の人が同じ事件に巻き込まれ、最悪、お二人が犯罪被害者となってしまった場合、支給の有無に差が生じます。

 現在、本県で支援条例を制定されているのは、和歌山市、紀美野町、九度山町、湯浅町、有田川町、上富田町、那智勝浦町、太地町の8市町です。ちなみに、新宮市においても、今市議会で濵田市会議員の要望を受け、田岡市長が制定を約束したということです。このように準備を進めている市町村もあるかもしれません。

 なお、市町村に対しては、地方分権上、条例制定を県からお願いできるものではないと理解しています。答弁にもありましたが、市町村を対象にした研修会の際も県が直接お願いできないので、講師の被害者遺族の方から必要性を訴えてもらい、あとは市町村の判断に委ねるしかないのかなと察します。

 しかしながら、各市町村でも条例が制定されれば、被害者等への支援の質の向上が確実に期待できると考えます。

 そこで、大変僣越な御提案ですが、議場におられる先輩議員・同僚議員の皆様方からも、まだ制定されていない市町村の市町村長や議会、議員に対して、ぜひ条例制定のお声がけをしていただけないでしょうか。どうか犯罪被害者等の住んでいる地域が異なっても公平な支援が受けられる環境を整えられるよう、本県におきましても県と県議会が一丸となって市町村100%制定に向けて御協力賜りますことを伏してお願い申し上げまして、質問を終了させていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○副議長(鈴木太雄君) 以上で、濱口太史君の質問が終了いたしました。

 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。

 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。

 本日は、これをもって散会いたします。

  午後2時29分散会

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