令和3年9月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)


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令和3年9月 和歌山県議会定例会会議録 第5号

議事日程 第5号

 令和3年9月21日(火曜日)

 午前10時開議

 第1 議案第124号から議案第135号まで(質疑)

 第2 一般質問

 第3 議案第136号(当局説明・質疑)

 第4 議案の付託

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会議に付した事件

 第1 議案第124号から議案第135号まで(質疑)

 第2 一般質問

 第3 議案第136号(当局説明・質疑)

 第4 議案の付託

 第5 休会決定の件

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出席議員(42人)

 1番 鈴木德久

 2番 山家敏宏

 3番 中本浩精

 4番 堀 龍雄

 5番 藤山将材

 6番 岸本 健

 7番 井出益弘

 8番 宇治田栄蔵

 9番 北山慎一

 10番 玄素彰人

 11番 中西峰雄

 12番 秋月史成

 13番 森 礼子

 14番 濱口太史

 15番 尾崎要二

 16番 冨安民浩

 17番 川畑哲哉

 18番 玉木久登

 19番 鈴木太雄

 20番 岩田弘彦

 21番 吉井和視

 22番 谷 洋一

 23番 佐藤武治

 24番 岩井弘次

 25番 中 拓哉

 26番 多田純一

 27番 新島 雄

 28番 山下直也

 29番 中西 徹

 30番 谷口和樹

 31番 藤本眞利子

 32番 浦口高典

 33番 山田正彦

 34番 坂本 登

 35番 林 隆一

 36番 楠本文郎

 37番 高田由一

 38番 杉山俊雄

 39番 片桐章浩

 40番 奥村規子

 41番 尾﨑太郎

 42番 長坂隆司

欠席議員(なし)

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説明のため出席した者

 知事         仁坂吉伸

 副知事        下 宏

 理事         田嶋久嗣

 知事室長       赤坂武彦

 危機管理監      細川一也

 総務部長       吉村 顕

 企画部長       横山達伸

 環境生活部長     生駒 享

 福祉保健部長     志場紀之

 商工観光労働部長   寺本雅哉

 農林水産部長     岩本和也

 県土整備部長     安部勝也

 会計管理者      真田 昭

 教育長        宮﨑 泉

 公安委員会委員長   中野幸生

 警察本部長      親家和仁

 人事委員会委員長   平田健正

 代表監査委員     森田康友

 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫

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職務のため出席した事務局職員

 事務局長       出津野孝昭

 次長         中井 寛

 議事課長       山田修平

 議事課副課長     岩井紀生

 議事課課長補佐兼議事班長

            岩﨑 亮

 議事課主任      伊賀顕正

 議事課主査      菅野清久

 議事課主事      松本 悠

 総務課長       須田剛司

 政策調査課長     神川充夫

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  午前10時0分開議

○議長(森 礼子君) これより本日の会議を開きます。

 日程第1、議案第124号から議案第135号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、併せて日程第2、一般質問を行います。

 42番長坂隆司君。

  〔長坂隆司君、登壇〕(拍手)

○長坂隆司君 おはようございます。

 本日は、本当に秋の日本晴れ。気持ちよい、すがすがしい朝であります。

 1番目に、議長のお許しをいただきましたんで、一般質問をさせていただきます。

 一つ目、和歌山県の繊維産業をはじめとする地場産業の海外進出についてであります。

 和歌山県、特に和歌山市は、ニット、メリヤスという地場産業が伝統的に盛んで、その工場群が現在もたくさん立ち並んでいます。

 現在、日本では輸入物が90%とされていますが、日本の繊維産業は世界に誇れる技術を有しており、ヨーロッパの第一線のエージェントをして「ヨーロッパでは手に入らない肌触りや風合いがある」と言わしめています。

 フランス・パリで、毎年、年2回開催され、世界のファッションはここから始まると言われる世界最高峰の素材見本市、プルミエール・ヴィジョン(PV)に、和歌山県からもニット、カットソーを中心に生地を開発されているテキスタイルメーカー、株式会社エイガールズやパイル織物の代表的製造企業、妙中パイル織物株式会社が早くから出展されていますし、最近ではカネマサ莫大小株式会社や株式会社森下メリヤス工場も出展。日本ブランドを世界にアピールしていただいております。

 株式会社エイガールズは、2017年に第9回プルミエール・ヴィジョンアワードのファブリック部門で、日本で2社目のグランプリを獲得されています。海外において今でこそ類いまれな感性と高品質性が認められているとはいえ、そこに至るまでの御苦労は並大抵のものではなかったことと想像されます。

 第1に言葉の問題。国際化に対応できる人材づくりも欠かせませんし、まずは展示会出展のために信頼の置ける売手と買手の仲介役たるエージェントを見つけないといけない。サンプルの用意、展示会前の準備と顧客へのあらかじめのプレゼン、展示会での商談、展示会後のアフターフォローと営業、荷物が往々にして届かない場合の備え、輸出通関等煩雑な貿易手続のノウハウ、情報収集と市場調査、そしてファッショントレンドを把握できる感性など、様々なハードルがあります。

 また、国外への輸出を通して、何より日本での内需拡大につなげていかなければなりません。絶えず相手国それぞれのニーズに合わせた製品開発力も問われます。展示会への出展は1回で終わらず、何年も継続することで自社のブランド力を上げていかなければなりません。必然的に経費はかさむことを覚悟しなければなりません。

 特にヨーロッパでは、自社製品の企画提案力、そしてコンセプトやストーリー性も問われます。経営者自身が足を使って歩き、現場を肌で感じ、自社製品をアピールする強烈な情熱、意気込みと確固たる決断力、リーダーシップがなくてはなりません。

 それでも、「日本のテキスタイルの品質は世界中どこへ行っても決して負けない。自信を持って挑戦してほしい」と先人はおっしゃっています。

 世界の繊維製品の輸出額を主要な国々で比較してみると、日本のシェアは僅か2%の現状です。でも、シェアの小さい今だからこそ、本県の技術力のある繊維製品は世界へ打って出て成功を収める可能性とポテンシャルは無尽蔵と言えるかもしれません。

 関西国際空港も至近距離にあります。海外輸出については、日本国内にも独立行政法人中小企業基盤整備機構、ジェトロ、経済産業省、日本繊維輸出組合等、幾つかの支援・援助機関があります。

 繊維産業は、世界的には成長産業と言われています。日本の繊維産業は高機能繊維を製造する技術と独創的な高品質のテキスタイルの開発力を有して、世界でも高く評価されています。また、商品の小売におけるEC市場が右肩上がりの伸びを見せていて、衣料品、繊維製品の販売形態も例外ではありません。DtoC(Direct to Consumer)、すなわち自ら企画、製造した商品をどこの店舗も介することなく、自社のECサイトで直接顧客へ販売するビジネスモデルによって大きく飛躍している企業も出てきている昨今であります。

 和歌山県産品の輸出は、県食品流通課等の御尽力で、柿をはじめとするかんきつ、桃などの生果や、梅干し、梅酒などの加工食品等で行われていますが、あくまで個々の単発的な状況に変わりはありません。和歌山県の地場産業の繊維製品など工業製品も、これからの輸出展開はたくみの技術があればこそ大いに期待できる分野ではないかと思います。

 もちろん、ヨーロッパ、アメリカ、中国、そして東南アジアなど、それぞれ対象国は製品に対する見方、市場の成熟度、技術力、マーケティング、物流形態、法律規制等それぞれ異なります。でも、仁坂知事もジェトロを県庁に持ってきてくださいました。和歌山県全体を横串に刺して、ジェトロの御指導も仰ぎながら、官民で、そして金融機関にも参加いただいて、和歌山県輸出振興会(仮称)のような横断的な勉強会をつくってスキルを磨き、付加価値のつけ方を学び、本県のポテンシャルを輸出展開に結びつけ、中小企業を国際化していく、そんな取組の後押しを県として考えていただきたいと思いますが、商工観光労働部長、いかがでしょうか。

○議長(森 礼子君) ただいまの長坂隆司君の質問に対する答弁を求めます。

 商工観光労働部長寺本雅哉君。

  〔寺本雅哉君、登壇〕

○商工観光労働部長(寺本雅哉君) 本県では、平成29年に全国で初めて県庁内に開設されたジェトロ和歌山貿易情報センターと連携し、海外市場調査や販売戦略の策定支援等を行うとともに、海外展示場への出展支援をはじめMOU締結国との商談会開催、現地プロモーション活動、海外バイヤー招聘など、県内中小企業の海外展開を支援しております。

 現在のコロナ禍においては、パリのメゾン・エ・オブジェやニューヨークのショップ・オブジェへのオンライン出展や、タイ、ベトナム、台湾とのオンライン商談会を開催するとともに、海外eコマースにおいては、ジェトロが運営するBtoC向けECサイト「ジャパン・モール」等への登録掲載を促すことで、急拡大したEC市場への販路拡大にも取り組んでおります。

 加えて、県内企業の人材育成の観点からスキルアップを図るため、ジェトロ和歌山と共催し、貿易実務講座や、ベトナム、タイ、インドのビジネス環境セミナー、中華圏市場開拓セミナー等をオンライン併用で開催するなど、最新の貿易情報を提供しているところです。

 こうした取組の結果、ジェトロ和歌山では、令和2年度においては相談件数が1003件、対前年度比292%となっており、ジェトロ和歌山の認知度の高まりとともに、海外への販路開拓を目指す企業が年々増加しております。

 本県としては、今後もジェトロ等との連携により、オンライン併用セミナーをはじめ支援メニューを数多くそろえ、必要な情報、知識が入手可能な環境整備を一層進めるとともに、経済団体、金融機関との連携や、産業別担当者による情報発信により、各種支援メニューの活用をさらに促してまいります。

 また、新型コロナ収束後は現地におけるビジネスミッションやビジネスマッチングを直ちに再開し、新たな販路開拓につなげ、県内中小企業のより一層の国際化に向けて取り組んでまいります。

○議長(森 礼子君) 長坂隆司君。

  〔長坂隆司君、登壇〕

○長坂隆司君 本県地場産業の海外進出に向けて県当局もたくさんのメニューを実践いただき、海外の販路拡大や輸出促進に取り組んでいただいていて、ありがたいことです。

 ただ、お客様で海外進出を果たした企業、そして今後それを目指している企業を個々に後押しするだけでなく、異業種・異分野の企業、事業者が一堂に会して勉強会を行って交流することで、オール和歌山で海外進出の機運を盛り上げて、お互い相乗効果も生まれるのではないかと思うわけです。

 例えば、対象国の貿易事情や商慣習、それに国民性、嗜好などの情報収集を勉強会での交流によって行った上で、国際的な展示会に出展するに当たっても、出展ブースのデコレーションとして本県の魅力ある産品、例えば漆器などの郷土芸能産品や彩り豊かな本県特産果実を並べてみたり、あるいは、それらをギブアウエーに使ってみるのもありかなと思います。

 それと、輸出を行うには、やはりまとまった資金も必要でしょう。ビジネスとしてやっていけると踏んだら、金融機関も相談に乗ってくれて、支援、バックアップも得られるかもしれません。ですから、県やジェトロのアドバイスもいただきながら、産・官・学・金の横断的な勉強会の機会もあってしかるべきではないかと思います。

 また、私、個人的には、決してシェアが大きいとは言えないヨーロッパへ、すなわち市場が成熟しているからこそ正統派の高品質性、高機能性、高デザイン性が認められる、それゆえ日本の実力が最も発揮できるところ、まさに本丸へもっと攻め込んでいってはどうかと思います。どうかよろしくお考えいただければと思います。

 2点目、ぶどう山椒と山村振興についてであります。

 去る9月1日、改新クラブでJAありだと有田川町宮川、旧清水町のかんじゃ山椒園に、全国の6割の生産を誇る本県の特産物であるぶどう山椒について県内調査に行ってまいりました。

 JAありだのほうでは、ぶどう山椒の最近の作況、実ザンショウと乾燥サンショウの収穫時期の違いや地域的なすみ分け、サンショウ農家の後継者不足と、兼業農家でないと厳しい状況、急斜面での小粒ゆえの収穫時の手間が大変という御苦労等をお聞かせいただきました。

 かんじゃ山椒園では、山村の自立的な再生を目指し、安定し継続可能な山の暮らしを実践しようとぶどう山椒作りと加工品生産についてお聞かせいただきました。

 サンショウの歴史は古く、東アジア及び日本が原産国と言われ、平安時代初期の延喜式に、サンショウが薬用や香辛料として利用されていたという記述があります。

 清水地区では、江戸時代の頃から薬用としてサンショウを栽培しており、ぶどう山椒の始まりは、天保時代に遠井村の医要木勘右衛門の庭に自生していたものを植え替えたことが発祥とされています。

 永岡冬樹社長は、サラリーマンを経て、15~16年前にお父様の農業の手伝いのため清水町に戻りましたが、旧清水町の過疎・高齢化が深刻で、まさに地域を愛して根を下ろさないといけないと決断し、江戸時代からの特産品で薬用として高値で取引されていた副産物にも着目し、当時の減反政策もあってサンショウ生産は増えていたのですが、豊作過ぎて価格が大暴落、大量に焼却処分される事態に至りました。

 誰もやっていないところに目をつけて農産加工品の製造販売も始め、インターネットでホームページを立ち上げました。最初は生の実ザンショウと乾燥サンショウとを小分けして和歌山駅や天王寺駅前で販売もしましたが、なかなかうまくいかず、そこで奥様とカフェを立ち上げ、食べ方の提案を始めました。乳製品、パスタ、スイーツ等との相性もよく、試行錯誤の上、自慢のレシピが生まれ、初めての味わいにびっくりしたお客様が家でも使おうとサンショウを買って帰るという連鎖が生まれたそうであります。

 2016年にはベルギーで和歌山の食を紹介するイベントに出展し、人がたくさんブースに集まってくれ、世界の一流レストランのシェフやパティシエからも称賛を受けて、ベルギーやフランスのレストラン等の取引が始まったそうであります。海外向けは、総売上高の10%を占めるそうです。

 近くの若い農家の方も巻き込み、仲間を増やしておられます。永岡社長は、「切磋琢磨しての地域産業づくりとして、都会、消費者、流通とつながることで能力以上の楽しさがあり、何よりお客様の反応が楽しい。地域でも潜在能力が蓄積される」と言っておられました。

 会社のスタッフも現在8名いらっしゃいます。

 かんじゃ山椒園を紹介してくださった和歌山大学食農総合研究教育センターの客員教授・三谷隆彦先生のサンショウの塩味増強による減塩効果の研究など、機能性にも注目が集まっているぶどう山椒であります。

 そこで質問ですが、一つ目、本県のサンショウは、ぶどう山椒人気で生産不足になり、供給が需要に追いついていない現状です。まさに、世界規模で今後の需要が見込まれる中、本県のサンショウ生産の基盤づくりについて、農林水産部長にお答え願います。

○議長(森 礼子君) 農林水産部長岩本和也君。

  〔岩本和也君、登壇〕

○農林水産部長(岩本和也君) 和歌山県におけるサンショウは、有田川町と紀美野町を中心に167ヘクタール栽培されており、収穫量は531トンと、全国の約6割を占める日本一の産地であり、香辛料や漢方薬の原料として需要が高く、近年は海外での評価も高まっていることから、中山間地域における重要な品目の一つと考えております。

 しかし、生産能力のピークを過ぎた老木園が多く、反収の低下を招いていることや生産者の高齢化が進む中、傾斜地にある園地での農作業が負担となっていることに加え、収穫時の農繁期には労力が不足するなど、生産量を確保していく上で様々な課題があると考えております。

 県としては、これらの課題に対処するため、老木園については、国の事業を活用した新規植栽や改植による若返りを進めるとともに、苗木については、果樹育苗組合との連携により安定供給に努めてまいります。

 また、農作業の省力化を図るため、傾斜の緩和や園内道の設置を支援することに加え、農繁期の労力を確保するため、JAと協力して、生産者に対し求人サイトの利用を促進してまいります。

 このように、サンショウ生産の基盤づくりに取り組み、市町村やJA、生産者と連携を図り、需要に応じた生産量を確保して日本一の産地の活性化につなげてまいります。

○議長(森 礼子君) 長坂隆司君。

  〔長坂隆司君、登壇〕

○長坂隆司君 御答弁いただいたとおり、サンショウの新規植栽、改植、そして苗木作り、あるいは主たる園地である傾斜地への園内道の確保、そして何より収穫期の人手の確保等は、継続的な供給体制の充実のためにはどうしても必要であります。

 今後の海外輸出増も見込まれ、日本でもサンショウの新たな香辛料としてのパワーや薬効を利用する事業者や消費者が拡大傾向にあると思われる中、需要はさらに伸びていくことでしょう。

 和歌山県の誇るべき日本一の質・量を誇るサンショウが増産できて、安定した供給体制が取れるよう、サンショウ生産の基盤づくりを今後ともどうかよろしくお願いいたします。

 そして、先ほど中議員から聞かせてもらったんですが、今や和歌山県のサンショウというのは、本当にジャパニーズ・ペッパーというふうに向こうでは言われているぐらいだそうです。これをジャパニーズ・ペッパーならぬ和歌山ペッパーとして世界ブランドに仕立て上げていただけたらなと思っております。

 2点目に、テレビ朝日の「ポツンと一軒家」ではありませんが、かんじゃ山椒園さんの取組と生きざまを拝見して、「山村社会の自立的再生」をキャッチフレーズにした人里離れた農村での農業と6次産業の取組、そして仲間づくりには、長年の御労苦とふだんの努力のたまものであることを考えると、驚嘆とともに大きな感動を覚えました。本県の山村振興、そして特産品づくりを考える意味で大変参考になる好事例だと思います。

 サンショウに限らず、農山村へ新規就農を呼び込む施策について、農林水産部長のお答えをお伺いいたします。

○議長(森 礼子君) 農林水産部長。

  〔岩本和也君、登壇〕

○農林水産部長(岩本和也君) 農山村に新規就農を呼び込む施策についてお答えいたします。

 新規就農には、農業法人等へ就職する雇用就農と自身が経営者となる自営就農があり、農山村へ新規就農を呼び込むには、雇用の受皿となる中核的な経営体を育成するとともに、就農希望者の受入れを行う産地の体制づくりが重要であると考えております。

 このため、県では、中核的な経営体の育成に向け、経営力向上のための農業経営塾の開催や専門アドバイザーの派遣を行うとともに、協業組織を育成するため、生産拡大や販売促進、加工品作り、人材育成の取組への支援を行っております。

 また、就農希望者には、農林大学校や就農支援センターにおける技術研修をはじめ、農地のあっせんや就農前後の資金を助成する農業次世代人材投資事業による支援を行っております。加えて、市町村やJA、生産者等が一体となって振興品目の技術的な研修や農地の確保等を行うことにより、就農希望者を定着まで一貫支援する受入れ体制づくりを各地域で進めており、県の新規就農者支援サイトや都市部での就農相談会で積極的に発信しているところです。

 なお、農山村地域での就農は、農業面の支援だけでなく、住居や子育てなど生活面を含めた総合的な支援が必要なことから、今後とも市町村やJA、県の移住担当部局等と連携し、新規就農者の確保、育成に取り組んでまいります。

○議長(森 礼子君) 長坂隆司君。

  〔長坂隆司君、登壇〕

○長坂隆司君 生産者のお話を伺っておりますと、サンショウ作りは中山間地への移住を考えている人にも興味深く映っているようであります。

 サンショウに限らず、地域の特産農産物やその加工品作りは、本県の移住・定住政策の大きな魅力にもなっていると思います。新規就農者の本県への呼び込みのため、御指摘いただいたように、農林水産部と移住担当部局、そして魅力ある付加価値を追求すべく、大学等の研究機関などとのさらなる連携をどうかよろしくお願い申し上げます。

 3点目、太陽光発電施設についてであります。

 温室効果ガス排出量の大幅削減に向け、政府が導入の拡大を急ぐ太陽光発電でありますが、本県についても和歌山市の和泉山脈南側に幾つも太陽光発電施設、それもメガソーラー建設の計画が持ち上がりましたが、そのたびに地域住民は大きな不安と嫌悪感にさいなまれてきました。いつも地域住民にとって最も懸念されるのが土砂災害の危険性です。

 例えば埼玉県嵐山町では、昨年10月に大雨が続いた後に太陽光パネルが敷かれた場所の斜面が崩れました。また、千葉県匝瑳市には、地域住民や自然との共生が実現しているソーラーシェアリングという優良事例がありますが、そこでも2017年に周辺の地盤が崩れました。

 東京電気管理技術者協会千葉支部長の鈎氏によると、「太陽光パネルを建てたもともと畑だった場所は、土がふかふかで雨を吸い込みやすく、設置工事に伴い周りを固めたとき、土が一部硬くなり、水を吸いにくくなる。そうしたことで1か所に水が集まり、被害が出た」と分析されております。つまり、地盤の中の水の流れ方がポイントであります。

 経済産業省は、本年4月1日、発電用太陽電池設備に関する技術基準を定める省令を制定しましたが、第5条で「施設による土砂流出又は地盤の崩壊を防止する措置を講じなければならない」と定めています。

 国の制度改正は、2010年代半ば以降、中山間地域の丘陵地や里山、谷状の地形などに太陽光パネルを敷き詰める例が増えたことが背景にあります。こうした事業は、多くの場合、林地開発許可が必要になります。

 林野庁によると、林地開発許可件数のうち、太陽光発電事業を目的としたものは、2012年度に32件だったのが、2013年度に124件、2014年度255件と増加しています。

 さらに、2018年7月の西日本豪雨により、神戸市須磨区の山陽新幹線のトンネル出口付近で、線路沿いの斜面に設置された太陽光パネルが崩落しましたし、姫路市北部の林田町では、太陽光パネル約1300枚が山の中腹から崩れ落ちました。

 奈良県平群町椿台地区の真上に山林が伐採されたエリアの約48ヘクタール、甲子園球場12個分の事業面積のメガソーラー建設が進められていますが、この計画では、山の山頂付近を削って谷に盛土をし、ソーラーパネルを設置しやすいように起伏のある山肌をなだらかにするというのですが、その下には椿台地区などたくさんの住宅を擁する団地群があるわけであります。椿台地区付近の勾配は平均で17.9%。同様に土砂災害が起きた熱海市の谷筋の勾配は19.07%と近い数字です。平群町の当地区においても大雨が降ったときの土石流が大変懸念されるところです。現在、住民約1000人による事業差止めを求める集団訴訟が起きています。

 そもそも谷筋というのは、山に雨が降れば雨水が川となって流れるところであり、そんなところを排水処理もおろそかに盛土をして埋め立てること自体あってはならないことであります。山は勾配も大きいし、特に集中豪雨とか地震発生の際には土砂崩れが大いに懸念されます。

 和歌山県は、県土の約81%が山地であり、台風の襲来も多いですが、豊かな自然に恵まれていますし、葛城修験や熊野修験、そして高野山などの古代からの山岳信仰に導かれた歴史、文化の宝庫にもなっています。人工的で無味乾燥なパネル群が山の中腹を占領している姿を見ると違和感を禁じ得ませんし、せっかくの四季折々の景観も台無しになってしまいます。

 そこで質問ですが、山間部に太陽光発電施設を建設することについて、そもそも県はどのように考えておられますか。環境生活部長に御答弁をお願いします。

○議長(森 礼子君) 環境生活部長生駒 享君。

  〔生駒 享君、登壇〕

○環境生活部長(生駒 享君) 県では、和歌山県太陽光発電事業の実施に関する条例に基づく太陽光発電事業の認定に当たり、設置場所のいかんにかかわらず、県民生活の安全確保を最優先に、土地造成や設備構造などの様々な基準に照らし、十分な安全対策が施されているか厳正に審査を行っているところです。

 加えて、太陽光発電施設が本県の豊かな自然環境や魅力的な景観を損なうことがないよう、入念に審査を行っています。

 議員御指摘の山間部の太陽光発電事業についても、事業者が住民等に対し十分な説明を行った上で、安全性が確保され、環境との調和が図られたものに限り、認定することとなります。

○議長(森 礼子君) 長坂隆司君。

  〔長坂隆司君、登壇〕

○長坂隆司君 和歌山市直川、墓の谷周辺は、これまでも何度も土砂崩れが発生して市道を塞いでおり、今回中止に至った直川・府中太陽光発電事業の計画などは、まさにその山の上に予定されていたわけであります。もともとこの周辺は地盤の緩い山林域であり、もしメガソーラーが建設されようものなら、即、大規模な土砂崩落につながる可能性が大きかったでしょう。日本遺産にも認定された葛城修験の始祖役行者ゆかりの地でもあります。

 生駒山系に位置するさきの奈良県平群町にしても、古代有力豪族、平群氏の本拠地として烏土塚古墳や西宮古墳などが分布し、奈良時代の皇親政治家、長屋王夫妻のお墓、聖徳太子が毘沙門天を感得した信貴山や、役行者の修行地、千光寺などが所在。戦国時代には、松永久秀の信貴山城、島左近の椿井城なども築城されていた歴史の宝庫であります。

 そんな山間部の由緒ある地をやすやすと太陽光発電のパネルだらけにして、土砂崩落の元凶をつくって人命を脅かしてよい道理がありません。むしろ、パネル交換また汚れの清掃や覆いかぶさる草木を伐採するなど、土砂崩落の危険性のない平地などに建設された既存の太陽光発電施設の発電効率を上げることのほうがメンテナンスを含めて重要ではないかと思われます。

 本県においても、どうか山間部への太陽光発電施設の建設については、和歌山県のたくさんの魅力を損なわせることのないよう、県土の持続可能な保全を第一義に十二分に慎重に対処いただきたいと強く要望させていただきます。

 4点目に、和歌山下津港におけるサイバーポートの取組についてであります。

 令和3年9月1日、デジタル庁がスタートしましたが、本年4月1日より、国土交通省によって港湾関連データ連携基盤「サイバーポート」の運用が開始されました。

 現状は、ペーパー、電話、メール等で行われている民間事業者間の港湾物流手続、すなわちブッキング(船腹予約)、インボイス(送り状)、シッピングインストラクション(船積み依頼書)など港湾関連データを連携させる基盤を構築し、港湾情報処理の完全電子化を目指す取組であります。

 これによって、船会社は、日本各港の利用について情報共有ができ、必要となる情報を連携基盤にアップすることでデータの問合せができます。

 荷主は、貨物ステータス、すなわち手続状況や位置情報を自ら確認でき、海運貨物取扱業者(フォワーダー)はどの荷主と契約しても同一の接続方法でデータの受渡しができるようになり、複数入力やデータ変換が削減されます。

 陸運事業者は電子情報で貨物情報の授受ができ、貨物内容を事前に把握することが可能になります。1取引当たり全体で約4割の時間が削減されるとの効果が見込まれています。

 既に令和3年度中にでも輸出入貨物の税関への通関手続のためのNACCS(輸出入・港湾関連情報処理システム)とも情報共有が一部できるようになり、港湾物流手続と税関手続のワンストップ化が可能となり、利用者にとっては大幅な利便性向上に資することが期待されます。

 さらに、港湾の完全電子化を目指し、サイバーポートでは民間事業者間の物流手続の電子化を扱う港湾物流分野のみならず、港湾行政手続情報や統計情報(港湾管理分野)、港湾の施設情報等(港湾インフラ分野)についても電子化を進め、3分野の情報を連携させることによってシナジー効果、すなわち相乗効果を発現させることを見込んでいます。

 例えば、災害時における代替物流ルートの検討を行うことや、港湾物流情報や施設利用情報を活用して効率的な港湾施設の資産運用を行うことなどを目指すこととしています。

 さて、港湾インフラ分野におけるサイバーポート構築に向け、和歌山下津港は全国で10港のプロトタイプ対象港に選ばれ、サイバーポート活用に当たっての課題を洗い出すことで、より利便性の高いシステムとなるよう改良して、その後の社会実装を目指します。

 この10港は、基礎データを様々な形式で保有しており、最初のテスト稼働実施のモデル港としてのプロトタイプの構築を通して、全港湾の情報の電子化を効率的に行うための手順を確立します。また、独自のシステムを保有する管理者との連携をテスト稼働します。

 ちなみに、10港は、苫小牧港、横浜港、新潟港、清水港、神戸港、和歌山下津港、広島港、高知港、北九州港、下関港です。

 そこで質問ですが、サイバーポートのプロトタイプ対象港に選ばれた和歌山下津港の現時点での試行状況と今後の取組について、県土整備部長、お聞かせください。

○議長(森 礼子君) 県土整備部長安部勝也君。

  〔安部勝也君、登壇〕

○県土整備部長(安部勝也君) 和歌山下津港では、トラックドライバーの確保が困難なこと、二酸化炭素排出削減のためにトラック輸送から海上輸送へ転換が求められていることなどから、トレーラーやトラックの荷台のみを輸送する貨物船、いわゆるRORO船などの定期航路のニーズが高まっています。

 また、紙ベースの情報のやり取りが多い港湾関連手続については、情報通信技術の進展により、IT化による迅速化が求められています。

 現在、県は新規航路の誘致活動を積極的に実施していますが、ほかの港湾との差別化を図るためにも、これら課題への対応が強く求められているところです。

 今般、解決策の一つとして、令和2年8月より、国によるサイバーポートの検討に参画しています。今年3月には、議員御指摘のとおり、プロトタイプ対象港、すなわち新しいシステムの導入による課題を検証する港湾として全国の10の港湾のうちの一つに選定され、今年度末までの試行運用を目指しているところです。

 本システムを導入することで、港湾施設に関する情報や手続の電子化が実現し、煩雑な作業の軽減や手続に要する時間の短縮など、メリットが得られるものと認識しています。

 県といたしましては、新規航路開拓に向けた優位性を確保できることから、国と積極的に協力して和歌山下津港の高度化を進め、RORO船などの就航を実現させたいと考えています。

○議長(森 礼子君) 長坂隆司君。

  〔長坂隆司君、登壇〕

○長坂隆司君 残念ながら、横浜港や神戸港のように多種大量の輸出入貨物もないし、港湾関連の会社も少ない和歌山下津港であります。でも、プロトタイプ対象港に選定されたことでサイバーポートによるデジタル化がいち早く進むことによって、船会社から、そして荷主などからも使い勝手のよい港湾として和歌山下津港が注目されることを期待できるかもしれません。

 和歌山県におかれましても、ぜひ国や民間の関係者と共にサイバーポート運用を一層推進していただきたいと要望させていただきます。

 これで、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(森 礼子君) 以上で、長坂隆司君の質問が終了いたしました。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 11番中西峰雄君。

  〔中西峰雄君、登壇〕(拍手)

○中西峰雄君 おはようございます。

 久しぶりに一般質問をさせていただきたいと思います。

 最初の項目は、新型コロナワクチン接種推進についてということでございます。

 世界を震撼させております新型コロナの蔓延も、はや1年半以上は過ぎましたが、いまだ収束の気配は見えません。

 この間、和歌山県においては、仁坂知事、野?技監の卓越したリーダーシップの下、県庁職員一丸となった新型コロナウイルスに対する取組により、感染者数、死亡者数、そして重症化率は全国と比べて大変少なくなっています。その御尽力に心からの敬意と感謝を申し上げたいと思います。

 そうは言いながらも、まだまだこの闘いは続きそうです。仁坂知事がおっしゃっているように、第1に、保健医療行政が頑張らなければなりません。また、医療関係者の頑張りや国民の協力なしにはこの闘いは続けられません。そして何よりもこの闘いにおいて最も重要なことは、ワクチン接種をできるだけ早くかつ広く進めることだと思います。

 ワクチンは、100%感染を防げるものではありません。変異型の発生もありまして、ワクチンを接種しても感染・発症する、いわゆるブレークスルー感染が一定不可避であることも明らかになっています。しかし、感染・発症抑制、重症化抑制、死亡者減少の効果が相当高いレベルで認められていることも明々白々な事実であります。

 この9月10日、アメリカの疾病対策センターが発表した調査によりますと、「ワクチン未接種者もしくは接種完了前の新型コロナ感染患者が死亡する割合は、接種を完了していた患者よりも10倍以上高い」と報告しています。

 また、県の野?孝子技監の資料によりますと、2回接種済みの場合とワクチン未接種の場合を比べてみると、2回接種済みの場合は発症リスクを95%減少させる。ワクチン未接種集団で100人が発症する場合、ワクチン2回接種集団では5人が発症するにすぎないという計算になるという報告をされております。

 このようにワクチンの有効性、有用性が明らかであるにもかかわらず、ワクチンの有効性、有用性を否定し、副反応等のデメリットを殊さらに強調して、ワクチンは危険だから接種してはいけないとするワクチン接種反対主義者──主義者と呼ばしてもらいますけども──が少数ながら存在します。こういう人たちというのは、自ら接種を忌避するだけでなく、SNS等で「ワクチンは危険だから打ってはいけない」とか「若い人はたとえ感染しても無症状のこともあるし、ほとんどが症状は軽いから、危険なワクチンを打つよりもデメリットのほうが大きい」と発信したりして、自らの根拠なき主張を広めようとしています。

 実際のところ、こういう人たちに惑わされて、何となく怖いから、何となく不安だから接種しないという人も結構います。特に若い人に多いと言われております。

 確かに若い人は軽症の場合がほとんどです。しかし、変異株の感染拡大で若い人が重症化したり後遺症が残ったりするケースが増えています。たとえ若い人でも、ワクチンを接種しないという選択には大きなリスクが潜んでいると言わなければなりません。

 さて、一体、厚労省は新型コロナワクチンのベネフィットと副反応等のデメリットをどう考えているのでしょうか。

 厚労省の新型コロナワクチンQ&Aでは、「国内外の数万人のデータから、発症予防効果などワクチン接種のメリットが、副反応などのデメリットよりも大きいことを確認して、皆様に接種をお勧めしています」としていることや、本年5月31日の第22回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会において、ファイザー製ワクチンに関してですが、「12歳~15歳に使用した場合も、これまで接種対象となっている16歳以上の者に接種した場合と同様の有効性・安全性が期待できる」としていることから、若い人も含めてワクチン接種が有効かつ安全であるとしているものと思われます。

 また、たとえ若い人でもワクチンのデメリットがメリットを上回る可能性があるとは決して言っていないようです。

 そうなんですけども、ところが、厚労省が大変紛らわしい資料、困った資料を公開しているんですね。その資料は何かといいますと、昨年10月の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会の資料です。どんな資料かといいますと、「対象者の特性によりワクチンの有効性の大きさが異なる場合、同じワクチンであっても接種の判断が異なり得る」、「感染症による重症化・死亡のリスクが低い場合、有効性がリスクを下回り得る(ある世代の重症化リスクが極めて低い場合)」という記述なんです。これは大変紛らわしい記述です。この部分だけを見ますと、新型コロナワクチンの有効性、ベネフィットよりも、リスクのほうが大きい可能性があることを厚生労働省傘下の専門家が認めているように見えるからです。これは、ただ単に紛らわしいというだけではなくて、大変困った記述です。

 なぜかといいますと、これがワクチン接種反対主義者の格好の主張の理由、主張の根拠とされてしまっているからです。彼らは、これをもって「厚生労働省もワクチンの危険性のほうが大きいこともあり得ることを認めている。だから、国も自治体も、有効性がリスクを下回ることもあることを周知徹底すべき」という主張をしているからであります。これは誘導尋問みたいなもんで、「リスクのほうが大きいことも考えられると国も言っていますよ。ですからやっぱり皆さん、ワクチンは危険があるんですよ。打つ前によく考えてくださいね」と言って不安をあおっているわけです。

 この新型コロナウイルスとの闘いにおいて最も重要なことは、ワクチン接種をできるだけ早く、そして広く進めることです。ウイルスとの闘いに勝てるかどうかは、これにかかっている、今のところはと私は思います。1にワクチン、2にワクチン、3、4がなくて5にワクチンと言ってもいいくらいだなというふうに思います。ワクチンしかありません。

 ここに来まして、ワクチンの供給、そして接種の体制が大体整ってまいりました。アメリカでは53%まで行った接種率、2回接種が53%まで行っているんですけども、そこから随分と伸び悩んでいます。伸び悩みの原因というのは、アメリカの強烈なワクチン接種反対者の存在と、感染しても大したことがないとか、何となくワクチンを信用できないという人々の存在です。今、バイデン大統領は、人々のワクチンへの不信をいかに払拭するかに苦心しています。

 日本も2回接種の接種率が5割を超えるところまで来ました。ワクチン供給の見込みも、そして接種の体制も整いつつあります。あとは人々の接種意欲をどう高めるかです。

 そんな中で、人々の接種意欲をそぎ、いたずらに不安をあおるワクチン接種反対主義者の口実に使われるような記述を、ワクチン接種を進めるべき厚労省が紛らわしいまま放置し公開しているのはいかがなもんかと思います。

 そこで、まず確認したいのは国の見解です。

 昨年10月の厚労省厚生科学審議会の資料にあります「感染症による重症化・死亡のリスクが低い場合、有効性がリスクを下回り得る」という記述は、新型コロナウイルスワクチンに関するものなのか、それとも全てのワクチンについての一般論なのか、どうか分かればお答え願いたいと思います。

 また、ワクチン接種反対主義者の格好の主張の根拠に利用され、彼らのプロパガンダに使われるような紛らわしい記述は速やかに是正すべきと考えます。知事の御所見をお尋ねしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○議長(森 礼子君) ただいまの中西峰雄君の質問に対する答弁を求めます。

 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 新型コロナワクチンは、2回接種すると感染リスクは未接種時と比較して大幅に減少し、万が一、感染しても重症化リスクは少なくなります。

 また、ワクチン接種に伴うリスクはゼロではございませんが、家族や同僚といった他の人に感染させるリスクとか、病院の方々の苦労も大幅に減らすことができるので、これらを比較考量すると、ワクチン接種にはリスクを上回る効果があると思います。

 リスクといっても、副反応が出て熱が出たり、なかなかつらいことになるというようなことなんですが、2日ぐらいで治ってしまうというのがこれまでのデータでございますので、これはやっぱりワクチンを接種したほうが本人のためにも社会のためにも絶対リスクが少ないというふうに私は思います。

 議員から御指摘のあった国の審議会の資料について厚生労働省に確認を行ったところ、当該資料は特定の感染症の動向を念頭に置いたものではなく、ワクチンに係る一般論を述べているものとのことであります。

 ただ、一般論でいうのなら、こんな資料を作る必要は全くないと私は思います。比較してどっちがいいか比べて、いいほうを選べというのは口で言えば済む話なんで、もっともらしくこんな資料を作って何がうれしいかというふうに私は思います。作るのならば、和歌山県がどんどん公表しているように、実地のデータから分析したものを国もどんどん国民に公表すべきであろうというふうに考えます。

 しかしながらというか、ああいう資料を出したということに対してでございますが、第5波により、全国的にも若年層のワクチン接種の重要性が高まり、接種意欲を高めていく必要がある中で、今もなお誤解を招くような資料を厚生労働省が審議会で出し続けるのはいかがなものかと考えます。これについて指摘をしていきたいと考えております。

 本県のデータを見ると、第5波では、デルタ株の感染力の強さから20代以下の陽性者数が増加しておりまして、若年層であっても重症化リスクが極めて低いとはもはや言えないという状況でございます。

 また、感染経路も家族から子供への感染だけではなくて、子供から家族、あるいは友人、保育所職員への2次感染が疑われる事例も発生しております。

 こういうことから考えますと、これから子供さんなんかも受験があり、あるいは一生懸命練習した部活の晴れの舞台、すなわち試合とか発表会とかそういうものもあるだろうになあと、早く打っとけばいいと私は思っておりますので、県民の全ての方に早く予約をしておくようにと。必ずしも政府から潤沢にワクチンが配給されているわけではありません。何とか予約をすれば、少し待ったら、全体としては間に合うような感じで配給されておりますので、これ予約しておかないと、いずれにしてもどんどん先に延びますので、早く予約をされておいたほうが、すぐには打てないかもしれないけど、絶対にいいというふうに私は思うわけでありますので、そのように発言をさせていただいております。

 こうしたことから、感染拡大を防ぐためにはワクチン接種が極めて重要であると考えておりまして、今後も県民がワクチンを接種するかどうか正しく理解した上で選択できるように、先ほど言いましたように、県はどんどん公表しております。ワクチンの効果や副反応について県相談窓口でもしっかり説明をいたしますので、あるいはそういうところを利用していただき、あるいは様々なメディアも少し最近は正しい報道をしてくれるようになっておるような感じがいたしますので、そういうことを活用し、それからまた、信頼できる方々の分析書がどんどん出ております。そういうものも読んでいただいて、それで考えていただいたらどうかなあというふうに思っております。

○議長(森 礼子君) 中西峰雄君。

  〔中西峰雄君、登壇〕

○中西峰雄君 答弁ありがとうございました。

 これは、本当に困った話だと私は思っていまして、厚労省の審議会の資料は一般論としては間違いではないのかもしれないですね。ただ、これ新型コロナウイルスのワクチンをどうするか、どう考えるかという審議会の議題のときにこの資料が出ているわけです。これはいかがと本当に思います。

 だから、一般論なんか新型コロナワクチンについてなんかが判然としないようなこういう記述の仕方というのは全くよろしくないと私も思っております。

 ワクチン接種反対の人がいます。こういう記述を裸で出してしまいますと、彼らに利用されてしまうというおそれがあることは十分に予見可能であったんじゃないかなとも思います。普通の人は、私も含めて、ウイルスやワクチンについてあんまり知識がありません。だから、正否、正しいか正しくないかということを自ら判断することはなかなかできないですね。やはり専門家や国の説明を聞いて判断すると思うんです。ですから、こういう惑わされやすいような表現はやっぱりよろしくない。

 実際に、これ、ある地方議会でのことなんですけども、議員に詰め寄られた行政当局が新型コロナワクチンのリスクが有効性を上回る可能性があることを認めてしまったということが起こりました。また、その議会では、リスクは有効性を上回る可能性があることを周知するように国に求める意見書を採択しました。残念なことです。

 知事の御答弁をお聞きして安心しましたけれども、できたら県のほうから国に対し、早急に是正を申し入れていただきますことと、ワクチンの接種推進、特に若い人たちの接種意欲を高めることに一層力を入れていただきますことをお願いして、この質問を終わります。

 次に移らせていただきます。

 項目2は、地域医療構想についてであります。

 これも新型コロナに関連してということですけども、新型コロナで病床の逼迫ということが言われていまして、病床は逼迫するようなことがあるんだから、地域医療構想による病床の削減というのは見直すべきだという声があります。

 でも、私はやはりこの良質で効率的な医療提供体制を構築するためには地域医療構想はやっぱりやっていくべきだと考えておりますけども、県の考え方と進捗状況をお尋ねいたします。

○議長(森 礼子君) 福祉保健部長志場紀之君。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 地域医療構想は、団塊の世代が75歳以上となる2025年を見据え、将来の医療需要に応じた病床機能の転換や病床数の適正化を通じて、効率で質の高い医療提供体制を構築しようとするもので、今後も取り組むべき課題であると認識しております。

 県では、これまで2次医療圏単位に全ての病院と地元医師会、市町村などで構成する地域医療構想調整会議を設置し、各医療機関の役割や必要な病床数などについて協議を進めてまいりました。

 その結果、地域医療構想を策定した平成28年から令和2年までの5年間で、過剰となっている高度急性期、急性期、慢性期の病床を合わせて1937床減らす一方、不足となっている回復期病床を950床増やし、機能転換を図りながら、県全体で987床の減少につながったところです。

 県としましては、今般の新型コロナウイルス感染症のような新興感染症等が発生したときには、感染拡大防止に全力を尽くすことは当然として、引き続き各医療機関と丁寧に合意形成を図りながら、県民が住み慣れた地域で安心して適切な医療が受けられる体制づくりに取り組んでまいります。

○議長(森 礼子君) 中西峰雄君。

  〔中西峰雄君、登壇〕

○中西峰雄君 答弁ありがとうございます。

 ただ、新型コロナのせいでこの調整会議のほうもちょっとなかなか開けていないということも聞いておりますので、オンラインでも何でもやっぱり年に2回、開催していただきますようにお願いしたいと思います。

 それでは、次の項目に移らせていただきます。

 次は、国民健康保険運営方針と統一保険料(税)についてであります。

 まず1番、医療費水準の格差是正についてお尋ねいたします。

 国民健康保険は社会的弱者の最も多い公的医療保険制度であり、国民皆保険制度の中で最も脆弱性が高く、それがゆえに最後のとりでと言われている保険でもあります。

 従前は、その運営主体が市町村とされていたことから構造的な課題がありました。その課題解決のため、国は法律を改正し、平成30年度からは都道府県が財政運営の主体となって中心的な運営を担い、市町村は資格管理や保険給付、保険料(税)率の決定、賦課・徴収、保健事業などを引き続き行うことにしました。これによって国保運営の安定的、効率的な運営、そして課題の解決を目指すこととなりました。

 それから3年が経過し、本年3月、第二期和歌山県国民健康保険運営方針を策定しました。その中で、令和9年度に統一保険料(税)を目指すとしています。今回は、それについて尋ねてみたいと思います。

 従前は市町村が運営主体であったため、市町村によってばらつきが大きく、統一保険料(税)に至るまでには幾つもの課題が横たわっています。

 しかしながら、全ての国民が健康で文化的な生活を送るために欠くことのできない国民皆保険制度、最後のとりでである国民健康保険制度を守っていくためには避けては通れないことであると認識しております。

 保険料の──以降税はちょっと省略させていただきます──保険料の統一を考える際、地域によって医療環境の優劣があり──医療の地域偏在──受ける医療サービスや医療水準に格差があること、市町村によって1人当たりの医療費が異なること、市町村独自の施策で法定外繰入れをして保険料を抑えている市町村があること、短期被保険者証や被保険者資格証明書の裁量による認定が市町村によって微妙に異なること、保険料の収納率、収納方法、滞納処分にかなりの差があることなどが課題として挙げられます。

 今回の方針では、医療費水準に格差がある現状において保険料を統一することは、市町村の医療費適正化へのインセンティブが働かなくなるおそれがあることから直ちに統一は行わない、令和9年度の統一を目指すとしています。

 これを読めば、直ちに統一すれば医療費の高い市町村が適正化への努力をしなくなるおそれがある。統一を先延ばしすれば、その間にインセンティブが働いて、あるいは県が働きかけて医療費の適正化が進められると考えていることになります。果たしてどうなんでしょうか。そもそも、現況においてもインセンティブがそれほど有効に機能しているのでしょうか。

 確かに、健診率や収納率によって交付金が受けられるあめがあります。しかし、大したインセンティブにはなっていないように感じます。

 平成30年3月に、県は、第三期和歌山県医療費適正化計画を策定しています。3年がたちます。果たしてどれだけ計画が進捗したのか甚だ疑問です。

 医療費の水準の格差は是正しなければなりません。しかし、3年でできないものが10年かかればできるようになるのか。医療費水準の平準化と保険料統一をリンクさせることにどれだけの意味があるのか、私にはよく分かりません。

 統一保険料のためには、全ての被保険者の受益と負担が平等であることが理想です。しかし、現実にはそれは難しい。べき論でいえば是正すべきである。しかし、現実には難しい。医療の地域的偏在の解消が難しい以上、医療費水準の格差を解消することは難しい。ただ単に先延ばししているだけではないのかという疑問が出てきます。

 国民健康保険は、その被保険者の属性から、安定的運営は他の公的医療保険よりも困難な医療保険制度です。この守るべき制度の基本は、できるだけ受益の公平性を目指すことと、負担能力に応じた平等な保険料設定だと思います。

 しかし、受益の平等性、医療費水準の平準化は現実には難しい。難易度が高いと思います。ですから、医療費水準の平準化は、べき論として唱えることに異議はありませんけれども、統一保険料の前提として、あまりに重きを置くべきではないのではないかと考えます。

 国民皆保険制度の最後のとりでである国民健康保険制度を守っていくためには、負担の平等性、応能負担──負担能力に応じた平等な保険料しかないのではないでしょうか。

 この受益と負担を基本的にどう考えて統一保険料を目指されるのか、お聞きしたいと思います。よろしくお願いします。

○議長(森 礼子君) 福祉保健部長。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 本県では、平成30年の国民健康保険運営方針の策定に当たり、市町村と協議を重ねた結果、期限を決めて取り組んでいく必要があるとの合意の下、平成30年度から10年間で保険料水準の統一を目指すこととしております。

 保険料水準の統一のためには、様々な課題があります。その中でも、医療機関の偏在などによる医療費水準の格差の是正は難しい課題です。

 県内市町村の1人当たり医療費については、平成30年度で約1.8倍の格差があり、その是正に向けた取組を進めていかないと県民の理解は得られないのではないかと考えております。

 県では、その格差是正のため、これまでも、糖尿病性腎症重症化予防など県民の健康の保持増進や後発医薬品の使用促進などの医療の効率的な提供の取組を推進してきたところです。

 また、令和3年度においては、各市町村の医療費、生活習慣、社会環境など、医療費水準の格差が生じる要因を詳細に分析し、医療費水準の格差の是正に資する効果的な保健事業を実施していきたいと考えております。

 負担と給付の公平性の観点から、県内どの市町村に住んでも、同じ所得、同じ世帯構成であれば同じ保険料水準が望ましいと考えており、そのためにも市町村と協議を重ねながら、医療費水準の格差の是正に向けた取組を進め、保険料水準の統一を目指してまいります。

○議長(森 礼子君) 中西峰雄君。

  〔中西峰雄君、登壇〕

○中西峰雄君 大変難しい課題に取り組んでいただいておりますことに、まずお礼申し上げたいと思います。

 そして、次の2番、収納率に移らせていただきます。

 収納率は、市町村によってかなりの差があります。収納率の差は、まちの規模や特性、在り方の違いもありますけれども、私は、市町村がどれだけ本気で取り組んでいるか、その本気度の違いが収納率に表れるだろうというふうに思っています。

 県内を見ますと、最も低いところは91.37%、1割の人が納めていない。最も高い北山村は100%。ちなみに私の住んでおります橋本市は96.22%。これは平成30年の数字ですからね。この差、さらには滞納者の割合、滞納処分、差押え件数と金額の差は看過できません。これを放置したままの統一保険料は、被保険者の理解、納得感が得にくいと思います。

 確かに医療費水準の違いというのも納得感を得にくいのかもしれませんけど、それは先ほども述べましたように、市町村ではどうすることもできない医療環境というのが大きく作用しています。ところが、収納率というのは市町村の頑張りで改善できるものなんですね。

 ですから、これも3年たってどのように進んでいるのか、また、今後どのように取り組まれるのか、お尋ねいたします。

 すいません、一つ飛ばしてしまいました。

 また、収納率ですけれども、被保険者数の規模別に3000人未満から5万人以上まで6段階に収納率の目標を分けております。目標とする収納率も97%から91%まで人口規模別に6段階に細かく分けています。

 果たしてこんなに細かく分ける必要があるのか疑問です。例えば、1万人以上5万人未満の市町の収納率目標を規模別にさらに二つに分けていますが、保険料徴収の困難度、難易度にそれほど差があるとは思えません。収納率目標に差をつけるほどの違いはないのではないでしょうか。

 また、5万人以上の収納率目標が91%というのは低過ぎると感じます。

 設定した収納率の達成によって国からの交付金が受けられるように、現況のままでも、あるいは現況から少し頑張れば達成できるように設定しているだけではないかと思われます。果たしてそれでいいのか甚だ疑問です。見直すべきだと考えますが、いかがですか。

○議長(森 礼子君) 福祉保健部長。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 保険料(税)の収納率については、国民健康保険の安定的な財政運営とともに、被保険者間における負担の公平性の観点からも重要と考えております。

 収納率は、市町村の被保険者の年齢構成など様々な要因により差が生じており、人口規模の大きな市町では低くなる傾向となっています。

 収納率の県平均の状況については、平成30年度で94.44%、令和2年度の速報値で95.02%となっており、県全体として上昇傾向にあります。

 また、市町村間の収納率の差については8.63ポイントから7.75ポイントに縮まっています。

 県では、これまでも市町村に対して口座振替制度の推進や収納担当職員への研修など、収納率の向上、収納体制の充実強化に対する支援を行ってきましたが、今後も、引き続き様々な助言、指導を行ってまいります。

 次に、収納率の目標については、全国平均収納率などを参考として、被保険者数の規模別に設定し、目標に達した市町村に対して財政支援を行っております。

 さらなる収納率向上を図るため、財政支援のバランスも考慮しながら、次の改定の際には収納率目標と区分について検討してまいります。

○議長(森 礼子君) 中西峰雄君。

  〔中西峰雄君、登壇〕

○中西峰雄君 どんだけ凸凹がならされるか。3年間でちょっと改善しているのが見えますけども、どんだけならされるかはちょっと分かりませんね。

 国保の制度というのは、被保険者の保険料だけで運営されているわけではないですよね。保険料で賄っているというのは、必要な運営資金のほぼ4分の1程度。あとは、ほかの医療保険からの支援金とか、あるいは国や県の公金、公費で賄われているわけです。自助、共助、公助のバランスで成り立っているんですけれども、自助の部分よりも公助のほうが格段に大きい制度なんです。

 医療費の多い地域もあれば、少ない地域もある。収納率の高いところもあれば、低いところもある。また、多額の医療費を使う人もいれば、使わない人もいる。凸凹があっても、みんなで支え合っていこうというのがこの制度なんじゃないかなと思うわけです。凸凹をならす努力はしなければなりませんけれども、しかし凸凹はあっても国民皆保険制度、国民健康保険制度という大きな傘の恩恵を受けているという点では、どの地域も、どの被保険者でも同じです。その大きな傘による受益のほうが凸凹による損とか得とかよりもずっと大きいんじゃないかなと私は思うんです。広域化は、その大きな傘の安定的運営、持続できるようにするためのもんなんです。

 それを思えば、答弁にもあったように、同じ負担能力、所得と家族構成であれば、同じ保険料でいいのではないかと私は考えています。こういう考えもあるということを考慮に入れていただいて、今後お取組いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 そしたら次に、市町村の事務の標準化・共同化についてです。

 市町村ごとのばらつきを標準化し、また共同化できるものについては共同化を進めるということは当然のことですが、既に3年がたっています。さらにまだ7年もかかるのかということです。本気で取り組んだら3年か5年もあればできるんじゃないかなあというふうに感じるのですが、いかがですか。

○議長(森 礼子君) 福祉保健部長。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 事務の標準化・共同化については、従前診療報酬の審査手続や医療費通知、職員への研修などを実施しており、最近では、外国人被保険者への外国語による国民健康保険のパンフレットなどを作成したほか、葬祭費の支給額についても統一したところです。

 今後も、事務の標準化・共同化については、実施状況や運用方法の状況把握を行い、市町村の意向や要望、変更に係る費用などを聴取した上で進めることとしており、まずは国の交付金対象となる事項からできるだけ早期に取り組んでまいります。

○議長(森 礼子君) 中西峰雄君。

  〔中西峰雄君、登壇〕

○中西峰雄君 できるだけ早急に取り組んでいただきますことをお願いいたします。

 最後の項目に移らせていただきます。

 これ、最近ちょっと見たんですけども、医学部の地域枠についてです。

 厚生労働省は、令和5年度から医学部の地域枠を全国で40人程度増やす方向と聞きました。どんな内容なのか、そして和歌山県もそれを取りに行けるのかどうか、お尋ねいたします。

○議長(森 礼子君) 福祉保健部長。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 先月開催された国の医師需給分科会におきまして、これまで歯学部入学定員の削減を行う大学に対し、一定数の医学部臨時定員の増加が認められてきた制度、いわゆる歯学部振替枠を令和4年度末で廃止した上で、その枠数44名を活用し、令和5年度から医学部地域枠制度の中で臨時定員として、地域医療や社会的なニーズに対応する枠組みを新たに設定することが大筋で了承されました。

 新たな枠組みでは、総合診療科、救急科など、地域で不足する診療科を入学時に指定するとともに、これまで歯学部振替枠を有していた大学に限定せず、2036年での医師不足都道府県等の地域枠とすることが示されたところです。

 現在、国が機械的に算定した医師偏在指標では、医師不足都道府県は16団体でありまして、医師多数と位置づけられる本県など多くの府県では、この新たな枠組みの対象外になると見込まれます。

 まだまだ不明な部分もあることから、県としましては、引き続き医学部地域枠の新たな枠組みの動向を注視してまいります。

○議長(森 礼子君) 中西峰雄君。

  〔中西峰雄君、登壇〕

○中西峰雄君 ひょっとしたら和歌山県も取れるんじゃないかなあと期待しておったんですけども、残念です。ただ、もし取れるのであれば取りに行っていただきますことをお願いさせていただきます。

 これをもって、私の一般質問を終わらせていただきたいと思います。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(森 礼子君) 以上で、中西峰雄君の質問が終了いたしました。

 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。

 この際、暫時休憩いたします。

  午前11時29分休憩

────────────────────

  午後1時0分再開

○議長(森 礼子君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 21番吉井和視君。

  〔吉井和視君、登壇〕(拍手)

○吉井和視君 皆さん、こんにちは。

 私は、最近、一般質問をするたびに、これは最後だなと、そういう気持ちで一生懸命、真剣に取り組んでおります。

 今日も、長年やってきた木材利用のことについて、まず一般質問をさせていただきます。

 公共事業における木材利用ということで、最近、世界中でカーボンニュートラル・脱炭素ということで、世界中がこの宣言をして、124か国がやっているわけなんですけども、これにまっしぐらに取り組んでおります。日本も、菅首相が昨年10月に、カーボンニュートラル・脱炭素ということで、温室効果ガスをゼロにするという、そういう社会を実現するということで宣言して取り組んでおります。

 それで、これに関連して、脱炭素ということであれば、地球環境を守るというよりも地球消滅を防ぐという、そういう観点から取り組んでいかなきゃならないと、そういうことであろうと思います。

 私は、政治家で一番尊敬するのは石原慎太郎という政治家が──元東京都知事でいるんですけども、その方の著書とか、そして新聞紙上、新聞にも2回も載っておりました。この方が言われたことは地球が消滅するということで、イギリスのいわゆる天文学者、科学者ですね、ホーキングという学者がいるわけなんです。この方が地球の消滅ということに関して、なぜ地球人は宇宙人と遭遇しないのかと、そういうことの中でその方が言ったことには、地球ほどに文明が発達すれば、まあ銀河系で4000億とか5000億とかそういう星があるわけなんですけども、地球みたいな星が1億、2億あると聞いています。それで、なぜ生命と遭遇しないのかと、それは、その学者ホーキングが言うのには、地球みたいに文明が発達すれば一瞬にして消滅するというわけなんです。一瞬にして。

 これを石原慎太郎さんがどこかの講演で聞いて、その場で手を挙げて質問をしたわけなんです。「一瞬とはどれぐらいの年月ですか」と、これにホーキングが言下に「100年から200年」と、そういうふうに言ったわけなんです。100年、200年でこのままでは地球が消滅すると、そういうことを言ったので、びっくりして、世の中に警世をするために石原慎太郎が──慎太郎、慎太郎と呼び捨てにするんですけど、自分の子供にもシンタロウという名前をつけたんで、そういうふうに言うわけなんですけども……(発言する者あり)はい。そういうことであるわけなんです。

 それで、今日はカーボンニュートラルの話をさせていただくのに、木材利用ということはどういう関わりがあるかということなんですけども、いわゆるカーボンニュートラル、炭素を排出させない、この取組と吸収させるという取組があるわけなんです。吸収、それはどういうことが担っているかというと、山林が、山の保全、山林整備というのが炭素の吸収を担っているわけなんです。そして、この木材利用、木材に使うということで炭素の閉じ込めをやっているわけなんです。

 そういうことで、私は、平成10年ぐらいから、この森林、木材利用というものを取り組んできたわけなんですけども、そのきっかけは、日高郡選出の木下秀男さんというのが、今は亡くなっているんですけれども、この方が最初に、平成10年頃に、全国の森林・林業・林産業活性化促進地方議員連盟の会長になったわけなんです。そのときに、私は事務局長ということでついて行って、いろんな活動をさせてもらいました。

 一番大きな活動は、林業基本法というのがあって、平成10年頃にその林業基本法が改正されたわけなんです。森林・林業基本法という名前になったわけなんですけどね、これは、林業だけではあかんと、森林をやっぱり守っていかなあいかんということで改正されたわけなんです。それで、今ももって森林を守るのに一番重要なものは、林業、山の仕事、木材を使うということが一番大事になってくるわけなんです。

 そこで、県でも、林業を守るということで、木材を公共事業に使うということで、公共事業マニュアル、木材利用マニュアルというものをつくって、有田川町のクスベ産業が考えた木製ガードレールも知事が本当に積極的に取り組んで、観光地とかそういったところのガードレールの差し替えについては、1番目に木製ガードレールを使うと、こういうふうに決めていただいて、徐々にではありますけど、この木製ガードレールもだんだんだんだん進んできたように思うわけなんです。とにかく和歌山県は、林業の先進地域、先進県であると思います。

 それで、県の取組としても、我々議会の取組としても、この木材を使うために、そしてまた山を保全するために、森林税というものは和歌山県でできたわけなんです。そのときに、県議会が議員提案として、全国でも初めてで、そんな議員提案というのはないわけなんです。税金を取るのに議員が提案するというのは、ほぼないわけなんです。それを和歌山県議会が議員提案ということで初めて取り組んだということで、相当、これは全国的にも評価していただいております。

 私も、このことについて、やっぱり積極的にやった1人であるわけなんですけども、全国議員交流会のときに説明にも行かせてもらいました。そのときに、地方自治の学者である大森先生という方が来られておって、和歌山県のこの取組というのは大きな議会改革であると、そういうふうに評価していただきました。税金の在り方、そういったものを県民に語りかけて、本当にその森林の大切なことを語りかけて、まれに見る森林税というものを県民から取る算段をしてくれたと、そういうことで大変評価していただいておりました。

 そういうことで、この森林の木材の利用推進ということで、先般、請願が来ました。12月の県議会で請願が来たわけなんです。その請願の内容は、紀伊半島に奈良県とか三重県とか、3県がありますけれども、3県が共同して、木材利用の観点から、そしてまた観光振興の観点から、そしてもう一つは、世界遺産というものを、歴史文化を守るために取り組んでほしいという、そういう請願が来たわけなんです。他府県に意見書を出してくれと、近隣県に意見書を出してくれと、そういう請願が来て、我々も取り組んで、全会一致で意見書を出すような請願が通ったわけなんです。

 それで、岸本議長がわざわざ三重県とか奈良県の議会に意見書を持っていただいて、県議会が他府県の当局に、知事宛てに意見書を出すというのは、これはまた異例なことなんです。私は、和歌山県議会始まって以来のことだろうと思うわけなんです。県議会が意見書を出したということに対して、それはもう相当なインパクトがあったと私は思います。

 それと同時に、関西広域連合に対しても、たまたま関西広域連合は仁坂知事が広域連合長を務めておりましたので、関西広域連合にも出して、構成県の、いろんな構成県がありますけれども、そこへ木製ガードレールを利用して木材利用を検討してもらおうじゃないかと、そういうことで、岸本議長から仁坂知事に意見書を提出させていただきました。

 これは本当に、今後、紀伊半島、近畿府県、関西地方で木材利用というのを図ることによって、脱炭素を図っていこうという大きな取組ではないかと、そんなに思います。

 それで、この間、紀伊半島三県議会交流会議というものがあったわけなんです。これは、森議長はじめ鈴木副議長も参加してもらって、7人の県会議員が参加させてもらいました。そこで、森議長のほうから三県の議会交流会議において、木材利用を通じて観光振興を図っていこうと、お互い協力し合ってやっていこうという、そういう提案をさせていただきました。それで、やっぱり請願を県民から出していただいたので、請願の行動面の議会の取組であったなあと、そんなに思います。

 それで、私は、今日質問させていただくのは、こういった和歌山県初の林業、木材利用のその取組について、3県あるいはまた近畿全般でやっていくのに、今後、どういった和歌山県、先進県として取り組んだらいいのかと、そういうことを関係部長に質問させていただきたいなと、そんなに思います。

 第1問目の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○議長(森 礼子君) ただいまの吉井和視君の質問に対する答弁を求めます。

 県土整備部長安部勝也君。

  〔安部勝也君、登壇〕

○県土整備部長(安部勝也君) 公共事業分野における木材利用については、木材利用マニュアルを踏まえ、積極的に推進しており、例えば、木製ガードレールの利用量は、平成29年に比べて約5倍の31立方メートルになるなど、成果も出てきております。

 また、世界遺産である高野山周辺の主要道路や西有田県立自然公園内の湯浅海岸を望む県道においては、木製ガードレールが設置されたため、景観が大きく改善されただけでなく環境保護や観光振興に寄与し、昨今の脱炭素社会の構築にも応えるものと認識しています。

 議員御指摘のとおり、この取組を県内だけでなく、紀伊半島という視点からも推進するメリットが大きいと考えており、まずは、3県の県土整備を担う部局間で施工事例や課題、取組状況等の情報を共有するなど、木材利用を働きかけています。

 県といたしましては、この取組を進めるとともに、紀伊半島知事会議や関西広域連合等において、近隣府県と連携し、木材利用を促進できるよう積極的に取り組んでまいります。

○議長(森 礼子君) 吉井和視君。

  〔吉井和視君、登壇〕

○吉井和視君 答弁、非常にありがとうございます。

 この問題については、知事も積極的に取り組んで、私は大変評価させていただきたいと思います。

 2問目、移らせてもらいます。

 IR構想について質問をさせていただきます。

 7月8日に全員協議会がありました。そこで、クレアベストの計画を聞かせていただきました。流暢な説明に始まったわけなんですけども、確かな事業計画が定まっていないという、そういう大方の見通しでありました。その後、7月20日に優先権者となり、すぐに基本協定を結ばれるはずであったわけなんです。

 長崎県なんかは、優先権者になったら10日をめどにして結ばれなきゃいけないということで、10日後に結ばれておったわけなんですけども、和歌山県はなかなか基本協定を結ばれなかった。我々も心配したわけなんですけども、どこに問題があって結ばれることがなかったのかということを聞きたいわけなんです。そんなことは、いわゆる特別委員会が近くできるので、細かいことはそこで聞かせてもらいますけども、今日聞かせいただきたいのは、基本協定が結ばれたときに、もうすぐ11月に、県民の意見を広く聞くというパブリックコメントがなされると聞いております。

 そこで、パブリックコメントにおいて、一番聞かなければならないことがたくさんあると思うわけなんです。パブリックコメントをやるまでに、その全体像を我々議会にも示していただかなきゃいけない、そういう思いで、今日は何点か重要な問題について質問をさせていただきたいなと、そんなに思います。

 まず第1点は、先ほど申し上げました基本協定についてお尋ねいたします。

 我々、考えるのに、基本協定というのは通常、一番その肝になるのは基本協定で、一番その優先権者が事業をやっていく上で、いわゆる責任が発生すると思うのです。責任の度合いというのが一番大事だろうと思うわけなんです。

 そこで、責任の度合いというのはリスクですね。事業がストップしたときにリスクが当然発生しますね。そのときに、今のクレアベストの本社、そしてまたクレアベストニームベンチャーズ、いわゆるニームベンチャーズというのは、県にIR構想を申請してきた会社ですね。その上にクレアベストグループ本社があるわけなんです。この本社の、お互いに本社というのは、ニームベンチャーズというのは資本金も少ないだろうし、どこかの子会社であると思うのです。その子会社が責任を十分取れるのか。当然、本社が取らなきゃいけないと思うわけなんですけども、そういうことが、責任の度合いとか、そしてまたリスクの度合いとか、いろんなリスクがあっても任しとけというところがなければいけない。

 そういうことで、基本協定というのはどういうふうな協定になっておるのかと、それを一番に聞かせていただきたい。

○議長(森 礼子君) 理事田嶋久嗣君。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○理事(田嶋久嗣君) クレアベストニームベンチャーズ株式会社及びクレアベストグループ・インコーポレーテッドのコンソーシアムと8月25日に締結しました基本協定は、公募手続により、この両者のコンソーシアムが和歌山IRを実施する民間事業者として選定されたことを確認するとともに、区域認定後に実施協定を締結するまでの間の県と事業者双方の役割等と諸手続を規定しているものでございます。

 リスク負担については、基本協定では、事業者の責めに帰すべき事由で、実施協定の締結が不成立となった場合の違約金の支払いに関する事項について明記しております。

 なお、議員御指摘のIR事業がストップした場合のリスク負担については、国による区域認定を受けた後に、県とIR事業者が締結する実施協定において、事業の継続が困難になった場合の措置などについて具体的に定める予定にしております。

○議長(森 礼子君) 吉井和視君。

  〔吉井和視君、登壇〕

○吉井和視君 理事の今の答弁によれば、IR事業をストップしたときに、リスクは国に申請した後で決めるという、そういう答弁でありましたですね。これはちょっとおかしいなと思うわけなんですけど、やっぱりそのニームベンチャーズというのは比較的小さい会社ですね。責任能力があまりないと思うのです。

 それで、責任能力がないのであれば、もともとこのIR計画というのは、県へ申請したときに、審査会でも審査が通っているわけなんです。なぜ通ったかといいますと、クレアベストのグループ、本社のやっぱり事業遂行性の確かな信頼があるんではないかということで通ったわけなんです。これはIRを国に申請した後に、リスクの度合い、責任の度合いを決めるというのは、ちょっと納得できない面があるわけなんです。

 そういったことも含めて……、まあ今聞いとこか、答弁してください。

○議長(森 礼子君) 理事。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○理事(田嶋久嗣君) 先ほど答弁差し上げましたように、基本協定は、提案者であるクレアベストニームベンチャーズとクレアベストグループ・インコーポレーテッドのコンソーシアムとの間で、実施協定を締結するまでの間の責任と役割を規定しています。

 IR事業は、区域認定、国に区域整備計画が認められた後にIR事業が動き出すということになります。IR事業の実施責任は、今後、このコンソーシアムが中心となってつくるSPC・特定目的会社であるIR事業者がその責任を担うことになります。IR事業そのものについての役割と責任については、区域整備計画認定後に、IR事業者と県との間で結ばれる実施協定において定めることになっております。IR整備法上、実施協定を締結するためには、まず、国土交通大臣の認可が必要でございます。国土交通大臣の認可を受けた後に、法律上、実施協定の概要を公表するというのが法律上の手続となっております。

 ただ、そうは言っても、実施協定を認可されるまでの間、実施協定の中身が全く分からないというのはいかがなものかというような御意見、ごもっともでございまして、実施協定の案につきましては、県議会で区域整備計画の議決を得る際にお示ししたいと、そのように考えております。

○議長(森 礼子君) 吉井和視君。

  〔吉井和視君、登壇〕

○吉井和視君 理事の答弁は、実施計画というものが、区域認定ができて、そういうことを結ぶもんだということを聞かされたのですけども、もっともっと確かなことを準備しておかなきゃいけないなと、そんなに思います。そういうことを指摘させていただいておきます。

 続いて、事業の実施主体についてということで、お尋ねさせていただきたいと思います。

 事業の実施主体としては、クレアベストニームベンチャーズというものがあるわけなんです。それで、このクレアベストニームベンチャーズの株式が発行されておると思うのです。その株式の常識的に考えて半分以上が、いわゆる実績のある、信頼性のあるクレアベストグループ本社ですね、これが持っておらなかったら心もとない、そういう思いがするわけなんです。

 そういうことで、このクレアベストニームベンチャーズの株式が申請時、どことどことが保有しておるかということをお尋ねさせていただきたいと思います。

○議長(森 礼子君) 理事。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○理事(田嶋久嗣君) クレアベストニームベンチャーズ株式会社は、クレアベストグループ・インコーポレーテッドのビジネスパートナーであるニームゲーミング株式会社が100%出資している企業です。

 クレアベストグループ・インコーポレーテッドは、これまでクレアベストニームベンチャーズ株式会社に長期貸付金の形で投資を行ってきましたが、優先権者選定を受けて資本関係を見直し、クレアベストニームベンチャーズ株式会社の株式取得など、その強化、連携を図るとお聞きしております。

 なお、県は、クレアベストニームベンチャーズ株式会社及びクレアベストグループ・インコーポレーテッドのコンソーシアムと基本協定を締結しておりまして、資本関係の有無にかかわらず、義務を履行しないことにより県に損害を与えた場合には、この2社が連帯して県に賠償しなければならない旨、規定しております。

○議長(森 礼子君) 吉井和視君。

  〔吉井和視君、登壇〕

○吉井和視君 この答弁の内容は、今日いただいたわけなんです。それで、今考えるのは、ニームベンチャーズの株式を100%持っているのはニームゲーミングという会社であるわけですね。このニームゲーミングという会社は、恐らくクレアベストグループの子会社であろうと思います。グループの子会社が、いわゆる申請してきたニームベンチャーズの株を100%持っておると、これでは、なかなか信用することができない。もともと投資機関であるニームベンチャーズ、親会社のグループも投資機関であります。

 総務委員会で、投資会社であるニームベンチャーズグループというのは信憑性がないという委員の発言があったということも聞いております。それほど県民が不安を感じておるわけなんです。投資会社であるからこそ不安を感じておるわけなんです。そういったことを考えれば、県は、積極的に資本のいわゆる責任とか、もっともっと追及しないといけないなと。そうでなかったらこんなもの、あと40~50日たって、どうして県民に意見を聞くわけなんですか。そんな段階に至らないでしょう、多分。

 これは、再質問なしに3問目に移らせてもらいます。

 3問目は、事業計画についてであります。

 事業計画ということになれば、資金調達です。どういった企業が資金を提供してくれるのかと、4700億円ですよ。500億円や600億円の資金じゃないわけなんです。4700億円という途方もない計画を県は聞いておるわけなんです。そういった中で、事業者に対して、まあ資金計画のめどが立っておるのかどうかというのは聞くのが当たり前でしょう。

 そしてまた、銀行の融資、銀行がどういった形でコミットメントして、その証拠資料をもらえるのかというのは、これも出しておかないといけない。そういうことを考えたときに、これは短期間でできるのかなあという、そういう疑問を持つわけなんです。

 そういったところについて、理事の答弁をお願いします。

○議長(森 礼子君) 理事。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○理事(田嶋久嗣君) 資金調達につきましては、事業者選定委員会の附帯意見において、「提案内容を確実に履行するため、資金調達の確実性を早急に担保することを要望する」と記載されたことを受けまして、現在、事業者に対して確実性の担保を求めておるところです。

○議長(森 礼子君) 吉井和視君。

  〔吉井和視君、登壇〕

○吉井和視君 現在、資金調達の担保を求めているという答弁がありましたけども、悠長な計画ですね。そんなこと言っておって、県民に広く意見を求めるパブリックコメント、できますか。あと40~50日でやらないといけないわけですね。急いでください。

 それで、最後に知事に質問をさせていただくわけなんですけども、知事は先日、新聞の記事で、最大ということはないですけど、チャンスが到来している、和歌山県に絶好のチャンスであるということを語っておられました。この議会でも語っておられますね。それは、何か材料があるので語っているのでしょうね、多分。材料がなければ、私はそういうことを語れないと思うのです。そして、今、理事の答弁を聞いてみたら、資金調達のいわゆるそういう挙証資料を求めるとか、そういう具体的な計画がまだまだ完成しておらない状況であろうと思います。

 そして、知事も先般、和歌山市議会議員らと話合いを持たれたと聞いております。あれは意見交換ですね。その意見交換の中には、今、このIR計画について、いわゆる資金を出さないかとそういうことを言っている人がおると、そういうことを知事も聞いたと思うわけなんです。仕事が欲しければ資金を提供しろと、平たく言えば、そういうことを語っていると聞くわけなんです。

 これは、こういうことを知事も、オール和歌山でIRというのは検討していかなきゃいけないと、こういうこともおっしゃっておったと思うのです。オール和歌山ということは、いわゆる和歌山県内の企業の協力も、同じような条件で、同じような機会を与えてみんなに呼びかけると、そういうことがオール和歌山の基本原則ではなかろうかと思うわけなんです。

 そういうことを、私は理事に3問聞きましたけども、きっちりした資金計画とか、きっちりしたコンソーシアムとか、そういう連合体を組めるような企業の計画でなきゃいけないということに関して、今日はお聞きしたわけなんです。

 知事に聞くのは、そういう計画が曖昧なままで、IRは夢の実現、和歌山にとってはこういうすばらしいことがありますということは、我々も分かっておるわけなんです。我々もそれを求めて推進してきたわけなんです。そういうような状況の中で、オール和歌山にそぐわないような、この事業に参画したいのであれば、県内企業の皆さんに1億円出しなさいとかそういうことを言っているということについて、そういうようなことをこのまま放置しておくんであれば、知事に対しても、私は政治責任が発生するであろうと思うわけなんです。

 そこで、知事にお尋ねするのですけど、知事は、どういった思いで和歌山にチャンスがあるということをおっしゃったのか、どういった思いでこのIR計画を今後取り組むのかと、そういうことをお尋ねしたいなと思います。

○議長(森 礼子君) 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 議員の御質問というか、御発言を聞いていると、幾つかの要素があると思います。それをちょっと分けて御説明したいと思います。

 まず、和歌山にチャンス到来というのはそのとおりで、皆さん、そういうふうに思っておられると思うのですが、それは、これができますと、どのぐらい雇用効果があって、それで所得効果があって、一方で、これによる依存症というのはこういう形で防ぐことができると、そういう見通しがあるので、したがってチャンス到来と、こういうことを言っているわけでございます。

 そのときに、チャンスがあったら、私は、仮にわらにでもすがるような状況であっても追求したいと思っています。例えば、高速道路なんかも、大分めどがついてきたのでありますが、実は、私がやるぞと言って頑張ろうとしたときは計画もなかったようなものが、もうじき計画ぐらいはできると、次は事業化をして何とかと、こういうふうにどんどん前へ進むものでございますから、仮に100%成算がなくても、頑張らなきゃいけないというのは当たり前じゃないかなというふうに思います。

 ただ、今回のケース、吉井議員からいろいろまだまだ問題があるぞというお話がありまして、それはそのとおりだというふうに思います。区域整備計画の認定申請をするまでにきちんとまとめておかないと、いずれそんなものは認められないといってペケになるという可能性がございますから、したがって、それはちゃんと完成をさせないといけないというのは当然でございます。

 そのときに、じゃあこれ、完成できないんじゃないのというふうに思うほど可能性のない、あるいは可能性の少ない案件とは私は思ってません。

 それは、私が個人でそういうふうに勉強して思っているだけではなくて、この事業者を選ぶときに二つの事業者がいたんですけれども、提案書類審査の評価というのをぎりぎりやってもらいました。そのときに、日本を代表する各分野の専門家で構成された事業者選定委員会で、物すごく熱心に、かつ非常に公平・公正に審査をいただいたと思っています。その意味では、箸にも棒にもかからないような話とは私も思っておりませんし、このような方々もそんなふうに思っているということだろうと思います。

 同時に、予備調査、これは専門委員の方々じゃなくて県がやったわけですが、これが、コンサルを雇って一生懸命やりましたところ、これは大丈夫ということになっておるので、これもいいかなというぐらいの感じでございます。

 したがって、今後、さっき田嶋理事が御説明したように、さらにいいものにしていきたいというふうには思っておるわけでございますけれども、できるだけいいものに仕上げて、それで、全然確約が取れてないじゃないかなんていう話にならないようにまとめて、それで、議会にも御説明をし、県民にも御説明をし、そして政府に認定をいただくというふうにしていければいいなというふうに思っているわけでございます。

 もう一つの問題は、仕事が欲しければ出資しろというようなことを言い回った人がいるという話でございます。

 これは、はっきり言うとナンセンスであります。なぜナンセンスかというと、そんなもの桁が違う。しかも、誰かが優先権者になり、そして県のパートナーになって区域整備計画上の事業者になるということになってから初めて、どういう人に例えば県内の調達を任せるかというような手続が始まっていくわけでございまして、初めから出資していないと駄目だなんていうことを触れ歩いた人は、とんでもなく物が分かっていない人というふうに思うし、そういうことによって和歌山のIRを推進したらいいなと思っている人たちが分断されるということは、とんでもない話でございます。この優先権者を選ぶ際の考え方として、優先権者になっても、県内の人に対しては、過去の経緯、その他で差別をするようなことをしたら承知しないぞというような──言葉はちょっと違いますが、そういうことをあらかじめ厳命をして、それを納得してもらって優先権者になっているというふうに御理解いただきたいと思います。

 したがって、そうやって将来は、県の中でも調達者が出てくると思います。そのときは、我々も目を光らせて、選ばれた事業者に公平な調達をしてもらうということは当然、担保をしていくわけでございますが、それよりも前に、できるだけこれから事業者と交渉して、それで、レベルの高い、かつ確実な区域整備計画をつくっていくということに全力を挙げてまいりたいと考えております。

○議長(森 礼子君) 吉井和視君。

  〔吉井和視君、登壇〕

○吉井和視君 このIR計画を和歌山県の発展のために取り組んでいただきたい。それで、もう既に秋が来ておりますけども、この年末まですぐ時間がたつと思うので、本当に精力的に取り組んでいただくことをお願いして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)

○議長(森 礼子君) 以上で、吉井和視君の質問が終了いたしました。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 15番尾崎要二君。

  〔尾崎要二君、登壇〕(拍手)

○尾崎要二君 久々の登壇ということで、できるだけ短い時間でと思っておりましたが、久しぶりに発言をするということは、たくさん言わねばならんことがたまっているということでありますので、少々時間も長引くかもしれませんけれども、どうかひとつ御理解のほど、よろしくお願いできればと思います。

 今回、私の質問は、きのくに教育審議会答申についてということから始まって、4点あるわけでありますけれども、まず、今回の答申において、知事は既に幾つかの答弁をされているわけであります。

 県内の子供たちが優れた能力を十分に発揮できているかどうか、一人一人の子供たちが十分活躍できているかどうかと、それらの点について、本県の教育行政、また本県の教育について、鋭い指摘をしていて評価できるというように、この議場においても答弁をされておられます。その点については、私も同感でございます。県民の関心も高く、この議場において、既に6名の議員がこれについての質問をされているということからも分かるわけであります。

 まず、今現在の県立高校全日制における状況に目を配れば、1年間に200人の生徒が退学する。学校を去っております。また、中学校を卒業して高等学校を選ぶと、県外・県内と、県外を求めて受験する人たちの数は300人、反対に県外から県内へ来てくれる子の数は50人弱、これはマイナス250人、先ほど私が最初の退学について200人、その後250人、合わせれば450人の生徒が学校からいなくなっているというような形にも取れるわけであります。これは、小さな高等学校の1校分の生徒にも当たるのではないかなと。いつまでもこのようなことが延々と続くような県立高校、また教育内容でいかがなものかと、常に私も心配している一人でございます。

 まず、望むところは、少々大きな困難に直面してもへこたれることなく、常に前を向いて、そして粘り強く努力を積み重ねていく、そのことを大切なことだということで身につけるような生徒として育ってほしいものであります。そして、今、問われているのは、本当に子供たちが強く優しい生徒として、学校でそのようになるべく、なっていけるように指導を受けているかどうか。そして、もう一点、学力、スポーツの成績、そして文化活動等、本当に高い結果を果たして残しているかどうか、この辺がやはり問われるところではなかろうかなと思ってございます。

 そういう点からも、今後、教員の採用、人事異動、そして、現職の先生方の技量の向上、いろんな課題があろうと思います。今回の答申を受けて、教育委員会として、真剣にその対応を考えるべき時期に来ているのではないかなと考えます。教育長の答弁を求めたいと思います。

 一括でありますので、そのまま続けてさせていただきたいと思います。

 2点目は、防災・減災、国土強靱化についてであります。

 東日本大震災、それからはや10年と6か月、紀伊半島大水害からは、この9月で丸10年の歳月がたっております。その間、私たちは多くのことをそれらの災害から学んでまいりました。

 そして、その災害発生後でありますけれども、私は同僚議員と共に被災地をそれぞれ訪れさせていただいております。最初に、東日本ということで、被災地の現場を訪れたときには、あまりにも津波の破壊力の大きさ、悲惨さに対して声も出ないような状態であり、亡くなられた皆様に対して御冥福をお祈りするということで、ただただ茫然として手を合わせていたことを昨日のことのようによく覚えております。

 そして、いろんな話も承らせていただいた。その話の中には、やはり地震に対する恐怖、その破壊力のすごさ、近しい人を亡くした悲しみやいろんな話も聞かせていただいたわけでありますけれども、そんな中で、「地震テンデンコ」というような言葉も、またその内容についてもお教えをいただきました。そして、もう一つ、お聞きした言葉の中で印象に残っておりますのは、「高速道路は命の道だった」という話、これは、仙台でも釜石でも山田町でもその話を聞かせていただく機会がございました。

 本県も長らく、この震災、災害が発生する前から、道路を整備することは命の道を整備することだと、高速道路は本県にとって命の道だということを常々、要望の時点でも発言をさせていただき、時には、知事先頭に街頭での運動もさせていただいたこともございます。また、マスコミの皆さんにもその旨を訴えたこともあると。大変言いにくい話でありますけれども、当時の政権は、公共事業に対して大変理解が薄かった。優しい物の言い方です、私なりの。そういうような中で、和歌山の高速道路の紀南延伸に関してストップをされてしまった。予算を削られてしまった。和歌山県と長崎県でそういうこともございました。

 そういう苦難の中ではありますけれども、それを乗り越えて、そして今現在、和歌山県民の夢であり願いである紀伊半島一周の高速道路も大きく進展して、その明かりが見えるところまでついにやってこられたと、大変うれしい限りであります。

 この県議会においても、高速自動車国道紀南延長促進議員連盟というのがもう結成されて、大変長らく活動してまいりました。通称・高速議連でありますけれども、多くのその活動に活躍していただいた先輩をはじめ、今も頑張っておられる同僚の皆さんに、心から敬意を表する次第でございます。

 それでは、今、防災・減災、国土強靱化のそれらについて、これから入らせていただきたいと思いますけれども、ちょうど防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策が終わって、そして、新たに加速化の5年のスタート、今年はスタートの年度になっております。

 私の地元においても、国道370号線阪井バイパスをはじめ、その東部へ向いて、また、紀美野町でも道路の改良が着実に今、進んでおります。同じようなことが海南市と有田の間、海南金屋線においてでも順調に進んでいるようなところです。また、和歌山市においては宮街道、それから、安原の冬野に向けて、4車線の松島本渡線という立派な都市計画道路が既に供用されております。これも一刻も早く、4車線のまま海南市の国道370号線まで南伸を進めていただきたいと、早く事業着手をしていただきたいというような思いを持ってございます。

 これらについては、今回、要望とさせていただいて、国道42号線についてであります。

 これは、平成4年に、有田市と当時の下津町で、この苦しんでいる渋滞対策を何とかせねばならんというようなことで協議会を立ち上げました。あれから30年、きみまろさんの40年から比べるとまだ10年少ないですけれども、30年、その間に、有田郡の皆さんや海南市の皆さん、また同僚の県議も加わっていただいて熱心な要望活動を続け、そして、現在では海南インターから冷水にかけて、冷水拡幅といいますけれども、4車線で、もう今年中に何とか供用できるというところまでの返事もいただいております。

 冷水から下津町の小南までのトンネルも、令和7年度までには供用できると、有田市においても、有田川に架かる橋梁について、令和4年には供用できるというような話を聞かせていただいて、大変喜んでいるわけでありますけれども、それだけでは、真ん中がまだまだそのままだという形の中で、今回は、ここさえあと抜いていただけたら、一気に渋滞には大きな効果が上がるという小南─上の間の道路について、今回、県土整備部長に、その見通しについての質問をさせていただきたいと思います。お答えをいただければと、よろしくお願いを申し上げます。

 それから、次は小項目の2番手になりますけれども、海南港の津波対策、この津波対策に関しては、一つありがたいなと思ったのは、隣接する関係地域の企業の皆さんが分担金、お金を自分たちも出してでもこの事業を進めようじゃないかと、官民協働して進めるというような姿勢をお示しいただいて、御理解をいただいた。そして、世界初の浮上式の堤防を造るということで、鳴り物入りで進めてきたのですけれども、3連動の地震が発生した時点では、その堤防はもたない、壊れてしまうというような結果が出てまいりましたので、改めて一旦白紙に戻して、そしてかさ上げ方式、分かりやすく言えば、今の堤防をもっと大きなもんで水を止めるという話です。それで事業費は450億円、令和5年度に完成をするということで、今日までその事業を推し進めていただいております。

 それに関して、私も心配症でありますから、年に一度の国、地元を含めた津波の対策協議会、そこで発言をしてまいりました。今の予算のつけ方で、本当に約束どおり令和5年に完成するのかと、大丈夫かと何度も聞くものでありますけれども、そのたびに大丈夫でありますと、そして、進めていきますのでと言ってくれておりました。まあ和歌山弁で言うたら、「任しとけ」という一言であります。

 そして、今年を除いてあと2年で完成の年度を迎えるわけでありますけれども、残事業は160億円、今年27億円、国の同等の予算の中の3分の1をいただいても27億円だった。それが、80億円、80億円とつければ、ほとんど全ての予算を充当していただかなければ完成しないというような事態、今聞いたら「任しとけ」というのは言わんかもしれませんけれども、この津波の工事における今後の見通しについても、県土整備部長にお尋ねをしたいと思います。

 また、引き続き、和歌山下津港の湾岸道路、これはどんなものかといいますと、和歌山市の北部、元の住金、今現在の日本製鉄の北のほうから、南は有田市の東燃、これも名前が変わってエネオスというような名前になっているようですけれども、その間を和歌山県北部臨海工業地帯として設定されて、そして、そこに位置する企業の皆さんが納めていただく税金は、県の税収の大きな柱となって今日まで来ております。雇用に対しても、関連会社をひっくるめると、大変大きな雇用面での位置づけをしていただいてきております。

 ただし、これらの区間を結ぶ道路は大変脆弱であり、この議場で私、一度、住金の前から海南のほうを向いて海のほうの道の話をさせていただきました。こうして、こうして、こうして、こうしてと、もう何回、手を横へ折ったか分からん、90度に曲がっているというような話をさせていただきましたが、今回、それをやっていると時間が足りませんので、やはり脆弱だというようなことから、今年の7月に、和歌山市、海南市、有田市の議員さん方、御理解いただける皆さん方にお集まりをいただいて、そして、ぜひスムーズに西側の海岸通りを通れるような道路に関して、その建設に向けてお互い頑張っていこうというようなことで、よし、やっていこうというような話になってまいりました。

 そんな中で、いま一つ、ここは特に大丈夫かなと思うのは、今、先ほど私の前にも、このIRに関しての議論が随分されていたわけでありますけれども、IRが設置されると、マリーナシティ、実は今でも、もう夏休みのイベントがあるときには、地域は大渋滞をいたします。

 ついこの間のことですけれども、私も家に帰りましたら、ちょうど金曜日ですね、広告の中にマクドナルドの商品を値下げするようなチラシを入れてくれておりました。試しに土曜日、買いに行ったわけではないのですけれども、お昼前にマクドナルドの前を通過しました。案の定、少し渋滞をしております。もうドライブスルーから店へ入るお客さん、入れないもんですから、片側の車線に何台も並んで通りにくいわけであります。

 今までも、ダイエーさんが国体道路でバーゲンをするとダイエー渋滞が起こり、今現在では、ユニクロさんがバーゲンをするとユニクロ渋滞が起こると、4車線ではありますけれども、少しあれすると、もう国道が渋滞するというようなことであります。そのようなことから、何とかその湾岸の道路、特に和歌山市の西をスムーズ、海岸沿いをスムーズに走れる道路がないわけでありますので、この整備で外循環というか、そういうような流れをつくれるような道路整備、その一端であろうと思いますけれども、マリーナシティやその隣接地帯から、思い切って対岸の冷水のほうへ行くルートをこの際、考えるべきではなかろうかなと。それを渡ってしまいますと、国道42号線、おかげさまで改良が進んでおります。

 そして、和歌山県下で高速道路のインターチェンジをお考えいただいたら、一番港に近いのが海南インターであります。高速道路のインターと、そして港と、そういうラインがきれいに結んでいけるというようなこともひっくるめて、今回、このことについては知事に、この構想についての所見をお伺いしたいと思います。

 続いて、世界農業遺産についてであります。

 この農業遺産と、よく皆さん勘違いされるのは世界文化遺産とか、遺産、遺産といってよく出るので、間違えられることもあるのですけれども、この世界農業遺産については、我々、既にみなべ・田辺のお手本をお示しいただいております。

 ただ、その当時と制度が違って、今は一気にそこへ行くわけにはいかんと、日本農業遺産という関所を通ってくださいよということであります。平成30年の1回目の日本農業遺産を認定するその前に、実は、関連する地域の議員が集まりまして、ひとつ一生懸命これ、後ろからバックアップしようじゃないかというふうなことで、議会の中で、農業遺産推進協議会と、和歌山県議会という名をつけての多くの皆さんに御同意をいただいて、そして、それぞれ平成30年の認定、それを出していたのは下津蔵出し、それから高野・有田川の農林業とこの二つですけれども、応援していこうと、また、県選出の国会議員にも一生懸命お願いに行こうというようなことでの活動をさせていただいて、結果的には、下津の蔵出しみかんは一発で御認定をいただいたけれども、高野・清水のほうは悔しい思いをしました。

 それが終わったときにでも、次、必ずいけるように力を合わせて頑張ろうというようなことを、その場でも話をしたわけでありますけれども、その当時、一つ感動したことがございます。その申請において、当時の農林水産部長をはじめその担当の人、特に原部長、議場で個人の名前を、私、職員の方を挙げるのは初めてですけれども、この原部長はすごい。「やりましょう。いきましょう」と、大変な熱を持って、もう気がついたら、生産団体やいろんなところまで足を運んでくれて、その申請書類のたしか半分以上は原部長が書いたんじゃないかなというぐらいの大活躍をしていただいた。私も頭の下がる思いで、その部長や係の皆さんを見詰めさせていただいた。こういう思いのある職員がいる部なら、必ず2回目には成功するだろうなと、そのときにも私なりに思いを持っておりました。

 そして、有田みかんも新たにチャレンジしたいというお話もいただいて、そして、高野・有田川、有田みかん、この二つに対してバックアップもさせていただきました。昨年、この二つがきちっと日本農業遺産として認定をされたわけであります。短く言っておりますけれども、有田のほうは「みかん栽培の礎を築いた有田みかんシステム」、片や「聖地高野山と有田川上流域を結ぶ持続的農林業システム」──ちょっと覚えにくいですけれども、長いので──という二つが認定をいただいたということであります。

 やはり、当局と議会が共にスクラムを組んで、これというときには一生懸命やることも大変大切なことだなということを、またそのときもつくづく思ったんですけれども、その後でございます。下津のミカン、有田のミカン、県外の人たちから見たら、和歌山県の下津、有田、どの辺かなと見たら、もう全くお隣同士、また、選定の委員の先生からも、世界を目指すのなら、この二つが一緒になって、そのお互いの長所をあれして頑張ったらどうかというような話もあったようにも聞いておりました。

 早速、出身地を含め、県の議連の役員の皆さんと相談をさせていただいたところ、「よし、一本にして早速動こうじゃないか」というようなことも言っていただいて、それぞれ、私は、海南市長、またJAながみね、有田市の議員さんは、有田市長、JAありだ、有田郡の議員さんは、また有田郡の町長さんのほうへそれぞれ話をしていただいて、集約した話が、前向いて行こうじゃないかというような返事をいただいたので、早速、当局のほうへ皆さんはこういう考え方でおられると、「よし、力を合わせて頑張っていこう」というようなことで、話が今日まで来ております。

 これら温州ミカンというのは、和歌山県、全国の生産量の1位、17年連続しての1位を獲得しております。それゆえの主幹産業でもある。その誇りにかけても、何とか世界農業遺産への認定の扉を開きたいという思いを強く持っておりますので、そういう思いもお酌みいただきながら、農林水産部長の答弁を賜りたいと思います。

 そして、小項目の2に入りますけれども、日本農業遺産の認定をいただいた下津蔵出しみかんでありますけれども、その産地の一つである仁義地区は、ビワの産地として県下1位の生産量を誇っております。これ、そのビワを喜んで最初から作ったかというと、そうではなくて、やはりミカンの果樹園として不適地な、本当に何にも作ることができないかというぐらいの険しい、そういう急峻なところを、なお、そこで収入を得るために一生懸命作ってきたのがこのビワの木であります。

 ところが、昨年、大変なことが起こってしまいました。それは何だというと、ビワキジラミ、私もそのとき初めて名前を聞いたのですけれども、このキジラミが異常発生したと。そして、収穫はどの程度になってしまったかというと、例年の8割減、2割ほどになった。もうひどいところでは全滅状態だと。もともと急峻な、作るのに環境としては厳しいところで頑張ってきた。高齢化もありますけれども、もうこの際、こんなひどいことになるんだったらビワの生産をやめておこうかと、もうほっておくと、もう作れないというような声が至るところから私のところへも届いております。

 危機感を持って担当部署に御連絡いたしましたところ、農林水産部としても承知をしているということと同時に、何とかせねばならないというような思いも持っていただいて、早速、JAと一緒に当産地まで出向いていただいて、例のドローンというので一度、農薬散布をするのにどうかというような試験もやっていただいております。

 このビワキジラミ、これが来年も続くようならば、もうほとんどビワの園地というのはなくなるであろうと。そうなってしまいますと、日本農業遺産の認定というか、今度の継続だとか、産地の継続だとか持続性とか、そういうところも引き続いてやっていきなさいよというような認定要件にも触れてくるぐらいの緊急事態であります。どうかひとつ、思い切って、県のほうで御支援をいただきたい。

 あわせて、これは、もう既にこの議場でも発言が出ておりましたが、クビアカツヤカミキリ、これもちょっと舌をかむような名前ですけれども、このカミキリが桃、それからサクランボ、桜の木、そして、本県の特産であります梅にとっても大変な危害を及ぼすという、まだ今、そこまで行っておりませんけれども、その危険性が高いという大変厄介な害虫であります。これに対しても、暴れさせないように、ぜひ対応に十分心してかかっていただければと、この2点についての対策についても、担当部長の答弁を求めたいと思います。

 引き続いて、世界文化遺産、紀伊路についてでありますけれども、この件に関しては、昨年の6月定例会で、坂本登議員が日高を中心とされたところの例を挙げて、追加で御認定をいただけるかというような質問をもうされておりますけれども、私の地元海南市の状況をお聞きいただいて、そして、ぜひ頑張ってほしいという思いで、これから話をさせていただくわけでありますけれども、海南市で8月の27日に、鈴木屋敷の復元ということでの起工式をしたということがテレビや新聞でも触れておられます。

 当議場の中で、同僚議員でも鈴木さんは2人いると。全国の鈴木さんの大本だと言われている鈴木屋敷であります。海南市の商工会議所の会頭というか、会長というか、神出会長を中心として復元の会をして、また、文化庁からもいろいろと御指導もいただきながら、多くの皆さんにお声をかけて、浄財も集まって、やっと着工する運びになってきたということで、私も大変期待をしているところでありますけれども、その建っている場所というのは、隣は藤白神社、藤白王子であります。

 さきの質問のときにも出た話ですけれども、まず、世界遺産へお認めをいただくという場合には、これもまた障害があってというか、ハードルがあって、国の史跡に認定をいただきながら、それが多くなってきて初めてその有資格者になってくるような話をそのときもお聞きしたんです。その藤白王子は既に国の史跡をいただいております。

 それからすぐ山であり、南へ南へ向いていかねばなりませんので、上っていく道は藤白坂といいまして、これも国の史跡の認定を受けております。ここに関しては、今年度、文化庁、県、そして海南市が事業主体となっていただいて、もう長雨が続き、土の道ですから、舗装をしておりませんから、どんどんどんどん流されてひどい状況になってきた。その改修についても、近く着工していただけるというようなことで大変喜んでいるんですけれども、やはりこういう史跡等は、みんなで守っていってこその史跡だなと思います。その藤白坂をそのまま上へ上っていきますと、塔下王子という王子がございます。これも、もう国の史跡に指定をされております。観光休憩所並びに観光トイレ、また、その隣には国宝の地蔵峰寺、大きな地蔵さんですけれども、そういうのもあると。

 それを今度はずっと、峠ですから、大体下へ下りてきますので、下へ下れば、もう一番下る手元には岩屋山福勝寺、これも国の重要文化財でございます。そして、その下にある、流れている川には橋が架かっているんですけれども、熊野古道専用の木橋を復元して、もう今、立派な木橋がそのまま架かっているような状態です。それを南へ行くと、次は所坂王子、これは今、国の史跡のほうへ申請をしていただいているようですけれども、皆さんも御承知のように、お菓子とミカンの神さんである橘本神社がそこに鎮座しているというところであります。

 また、そこから1キロほど南向いて上っていきますと、一壺王子、これも国の史跡に認めていただいております。山路王子神社と、赤ちゃんが赤いふんどしをつけて、泣き相撲という形で皆さんによくお知りおきをいただいている神社があるところであります。そこから南を順番に言っていくと、もうあと残り25分、大体答弁聞いたら時間がないような状況になりましたので、そこから先は控えますけれども、それだけのもう国の史跡も並び連なっているという、地元の人たちからは、なぜこれで世界遺産の追加の中へ入れてもらえなかったのかなあというような素朴な声すら聞こえております。

 どうか紀伊路の世界文化遺産の追加登録について、当局の答弁を求めたいと思います。

 過去の質問では、大体答弁いただくと、その時点で時間がないというのが過去2回ございました。25分ありますので、少し再質問をしたいと思っておりますので、ひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。

 これで、1回目の質問を終わります。

○議長(森 礼子君) ただいまの尾崎要二君の質問に対する答弁を求めます。

 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 和歌山下津港湾岸道路の案件につきまして御答弁申し上げます。

 和歌山下津港湾岸道路については、国道42号の慢性的な交通渋滞の解消と地域産業経済の飛躍的な発展に寄与することを目的に、約20年前から和歌山下津港湾岸道路建設促進議員連盟を発足させ、尾崎議員が実現に向け尽力されていることに敬意を表したいと思います。

 本道路は、和歌山下津港の各港区の連携や周辺地域からのアクセスを強化することで、物流の効率化に資するだけではなくて、IRの予定地である和歌山マリーナシティや日本遺産に認定された「絶景の宝庫 和歌の浦」などの拠点を連絡していくということから、様々な効果があると認識しております。

 一方、巨額に上るであろう建設費のことはさておきまして、南港山東線や松島本渡線などの整備が進展し、周辺地域の道路交通環境も改善しつつあること、和歌の浦の干潟や景観について十分な配慮が必要なこと、国や市をはじめとする関係者を巻き込み、実現に向けた機運を醸成する必要があることなど、多様な視点から考える必要があると認識しております。

 そうしたことから、当該道路の必要性の検証や実現に向けた課題の整理など、議員の御意見をお聞きしながら具体的に取り組んでいく所存であります。

○議長(森 礼子君) 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) きのくに教育審議会についてでございます。

 少子化が進行する中、価値観が多様化するとともに、様々な選択が可能となってきた今日、県立学校の魅力や特色が色あせ、結果として、各高校の活力や存在感が弱まってきていることは重く受け止めております。

 議員御指摘のように、学業やスポーツ、文化芸術活動等の面で、高校生が思う存分力を発揮し、成果を上げることや、全ての生徒が入学時の志を保ち、学業を全うできる高等教育を整備充実する必要があると考えております。

 これまでも、高校教育の充実を図るための対策等を実施し、一定の成果を上げたものがある一方、対症療法的なものに終始していた面や徹底して取り組むことに課題があった部分もあります。また、何より、校長をはじめとする教員の熱意や指導力によるところも大きいと考えております。

 優れた指導者の下には、おのずとやる気のある生徒が集い、傑出した成果や人間的な成長につながることは明らかでございます。その点から、県立高校の活性化には、熱意と能力の高い者を教員として採用するとともに、エクセレントコーチのように、高い専門性を有する指導者が学校現場で活躍できる仕組みを有効に活用してまいります。

 現在、優れた人材を教員として採用するため、技術やスポーツの分野で顕著な実績を有する者や博士号取得者等を対象とした特別選考を実施していますが、今後、優秀な志願者を数多く集めるためには、学校を教員にとってやりがいが感じられる場所にしていく必要があります。さらに、採用後も、教員の意欲を高い水準で保つため、研修や人事異動、処遇面でめり張りをつけていく必要があると考えます。

 議員御指摘の県立高校の再編整備の問題は、学校の統廃合の観点だけではなく、魅力や特色ある高校や高校教育をどのように整備していくかということが本旨であり、教員の採用や育成までを含めた総合的な課題だと感じております。

 県教育委員会としては、和歌山県の子供たちが才能や能力を大きく伸ばせるよう、中長期的な見通しの下で、各高校のめり張りある整備方針とその進行計画を作成し、県立高校及び高校教育の充実に向けた施策に取り組んでまいります。

 続きまして、紀伊路の世界文化遺産登録についてでございます。

 世界文化遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」は、平成16年の登録後、平成28年に高野参詣道、大辺路、中辺路において22地点が追加登録されました。

 この追加登録の提案書に、紀伊路も熊野参詣道の経路の一つであることを記述し、世界遺産委員会に認識されていますので、紀伊路の追加登録の前提となる国史跡の指定地点を増やす取組を進めています。

 現時点では、海南市の藤白王子跡をはじめとする六つの王子跡、道としては藤白坂など4地点、合わせて10地点が国史跡に指定されており、さらに、海南市の所坂王子跡、印南町の切目王子跡などの指定に向け、関係市町と取り組んでいるところです。

 また、藤白王子跡の一部を構成する鈴木屋敷の復元事業が進められており、完成後は、紀伊路を歩く人々のビジターセンターとしての役割が期待されます。

 県といたしましては、紀伊路の世界文化遺産登録に向け、積極的に取り組んでまいります。

○議長(森 礼子君) 県土整備部長安部勝也君。

  〔安部勝也君、登壇〕

○県土整備部長(安部勝也君) まず、国道42号有田海南道路についてお答えします。

 この道路の全長9.4キロのうち、国から開通の見通しが示されていない6.3キロ区間については、用地取得がおおむね完了しており、まだ掘削に着手していない4本のトンネル工事のうち、有田市側の仮称・1号トンネルや仮称・3号トンネルの掘削に必要な橋梁工事、土工事などを急ピッチで進めていると聞いています。

 県といたしましては、早期開通に大きく影響するこれらトンネル工事に、少しでも早く着手していただくことが重要であると考えており、国に対し、必要な予算等の確保も含め強く働きかけてまいります。

 続きまして、海南地区の津波対策事業についてお答えします。

 国は、過去の経緯に対する反省と本事業の重要性に鑑み、今年度の港湾局所管直轄海岸事業の当初予算において、全国予算総額の3割を占める全国で一番多い予算を配分し、目標年度までに完成させるべく、鋭意事業を推進しているところです。

 一方、事業化前に代表的な箇所のボーリング結果から想定された軟弱地盤層の厚さが、工事が進むにつれ、想定以上に厚いことが判明しています。また、背後地の企業群を取り巻く事業環境が大きく変化した結果、現場着手に際し、さらなる配慮を実施する必要が出てきております。計画どおりに完成させるためには、このような新たな課題を早急に解決する必要があると聞いております。

 県といたしましては、率先して背後地の企業等との調整に関わり、事業環境の改善を図るとともに、国に対して、事業に必要な予算の確実な配分と早期完成に当たって必要とされる対応策の共有をこれまで以上に強く働きかけてまいります。

○議長(森 礼子君) 農林水産部長岩本和也君。

  〔岩本和也君、登壇〕

○農林水産部長(岩本和也君) 下津地域と有田地域のミカン産地の世界農業遺産認定申請に向けての取組について、お答え申し上げます。

 「下津蔵出しみかんシステム」が平成31年2月に日本農業遺産に認定されて以降、尾崎議員に会長として御尽力いただいております和歌山県議会農業遺産推進協議会をはじめ、地元関係者の御協力の下、PR動画の配信やロゴマークの作成等、認知度の向上に取り組んできたところです。

 また、本年2月には、「聖地高野山と有田川上流域を結ぶ持続的農林業システム」と「みかん栽培の礎を築いた有田みかんシステム」が日本農業遺産の認定を受け、世界農業遺産「みなべ・田辺の梅システム」を合わせ、本県の農業遺産認定地域数が国内最多となったことは大変誇らしく、県議会をはじめ地元関係者の皆様の御協力に感謝申し上げます。

 議員御指摘のように、下津地域、有田地域のみかんシステムが一体となった世界農業遺産への申請につきましては、世界農業遺産等専門家会議からも同様の意見をいただいており、県といたしましても、世界農業遺産の認定取得に極めて有効と考え、現在、関係市町、JA等で構成する下津、有田両地域の推進協議会及び関係者と協力し、融合したシステムの作成に鋭意取り組んでいるところです。

 具体的には、世界農業遺産科学助言グループ委員を現地に招き、評価をいただくとともに、国内外のかんきつ産地との比較による独自性、重要性を明確にするため、国際柑橘学会の代表委員などの方々からの意見聴取や関連する文献調査に加え、ミカン園地の石垣等における農業生物多様性の取りまとめを実施しているところです。

 今後、みかんシステムの融合案を両地域の推進協議会にお諮りし、次期世界農業遺産への認定申請に向け、来年度、国の承認が得られるよう全力で取り組んでまいります。

 続きまして、農業遺産地域などの果樹に被害を及ぼす新たな害虫に対する県の対応について、お答えいたします。

 ビワキジラミについては、平成29年以降、県内各地で生息が確認され、議員お話しのとおり、本年には海南市下津地域のビワ産地において甚大な被害が発生しており、来年以降の生産への影響についても大変危惧しております。

 このため、県では、防除指導をはじめ、生態の解明や効果的な薬剤の選定のほか、ビワ生産者やJAの協力を得て、急峻な園地においてドローンを活用した現地防除試験にも取り組むとともに、地域全体を対象に、園地条件に応じた防除実証について産地と十分協議し、農家負担の軽減にも配慮しつつ、必要な支援を実施してまいります。

 また、クビアカツヤカミキリについては、令和元年に初めて県内での被害が確認されて以降、紀北地域で急激に被害が拡大しており、さらなる被害拡大は、桃やスモモ、梅産地に及ぼす影響が大きいことから、強い危機感を持っております。

 被害の拡大防止には、早期発見と防除の徹底が重要であるため、県では、発生調査の強化をはじめ、各地域での研修会や小学生への出前授業等を通じて、県民に対し、幅広く啓発を行うとともに、生産者への技術指導や被害樹の伐採経費などの支援に取り組んでおります。

 また、かき・もも研究所が中心となって、防除薬剤の選定や野外飼育室での薬剤効果試験、ネット被覆による物理的防除など、より効果の高い防除方法の確立に取り組んでおります。

 今後も、新たな害虫に対する情報収集と監視を怠らず、侵入が確認された場合は、迅速かつ的確な対応を実施してまいります。

○議長(森 礼子君) 答弁漏れはありませんか。

  〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(森 礼子君) 再質問を許します。

 尾崎要二君。

  〔尾崎要二君、登壇〕

○尾崎要二君 今、御答弁いただきました。

 一つ、これも私が心配性かもしれませんけれども、今、国において国土強靱化の3か年が終わって、そして、大きく和歌山県の課題も前へ進んできたと、大変いいことだな、ありがたいなと。ただし、この加速化の5年の、今年はその1年目だということであります。御承知のように、今御苦労していただいている新型コロナやそんな関係での財政出動も大変多くなってくるであろうと、そうすると、もう整備の終わっている府県は大丈夫ですから、もうほとんどやってしまいましたということですけれども、我々のところは、今やっと一生懸命して改善や改良を進めているという中で、加速化がしぼんでくるようなことがなかろうかなということで、大変危惧しているところもあります。

 こんなときこそ、当局とそして議会が、それぞれ御努力いただいている議連もありますから、みんなでひとつスクラムを組んで、こういう難局を越えていかねばならないというような思いであるのと同時に、先ほど質問の中でも少し言わせていただきましたが、やはり当局の皆さんも「よし、やろうか」と、「前向いて行こうか」と、熱い熱をお持ちいただくと。また議会も、ああだこうだと時にはすごい議論をお互いにするわけですけれども、一たび「よし、頑張っていこう」ということになると、みんな一つにその努力をする、そのことは惜しまないという思いでこの議場に来られているというようなことであろうと思いますので、何しろ和歌山県、もともと小さい県でもありますから、力を合わせていくときには、全部、力を合わせて頑張っていけたらなというような思いも持っておりますので、その点も指摘をさせていただいて、私の質問を終わります。(拍手)

○議長(森 礼子君) 以上で、尾崎要二君の質問が終了いたしました。

 お諮りいたします。質疑及び一般質問を終結することに御異議ございませんか。

  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(森 礼子君) 御異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問を終結いたします。

 この際、報告いたします。

 議案の追加提出がありました。

 日程第3、議案第136号を議題といたします。

 議案は、お手元に配付しております。

 まず、当局の説明を求めます。

 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) ただいま上程されました議案について御説明申し上げます。

 議案第136号は、長引く新型コロナウイルス感染症の影響により打撃を受けている観光関連事業者を支援するため、改めて「わかやまリフレッシュプラン」を実施する経費として、一般会計で22億1600万円余の補正予算をお願いするものです。

 何とぞ、御審議の上、御賛同賜りますようにお願い申し上げます。

○議長(森 礼子君) 以上で、当局の説明が終わりました。

 これより質疑に入ります。

 本案について質疑はございませんか。

  〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(森 礼子君) 質疑なしと認めます。

 次に日程第4、議案の付託について申し上げます。

 お手元に配付しております議案付託表のとおり、議案第124号から議案第133号まで及び議案第136号は所管の常任委員会に付託いたします。

 お諮りいたします。9月22日及び24日は常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。

  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(森 礼子君) 御異議なしと認めます。よって、9月22日及び24日は休会とすることに決定いたしました。

 次会は、9月27日定刻より会議を開きます。

 本日は、これをもって散会いたします。

  午後2時39分散会

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