令和3年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


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令和3年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号

議事日程 第4号

 令和3年9月17日(金曜日)

 午前10時開議

 第1 議案第124号から議案第135号まで(質疑)

 第2 一般質問

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会議に付した事件

 第1 議案第124号から議案第135号まで(質疑)

 第2 一般質問

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出席議員(42人)

 1番 鈴木德久

 2番 山家敏宏

 3番 中本浩精

 4番 堀 龍雄

 5番 藤山将材

 6番 岸本 健

 7番 井出益弘

 8番 宇治田栄蔵

 9番 北山慎一

 10番 玄素彰人

 11番 中西峰雄

 12番 秋月史成

 13番 森 礼子

 14番 濱口太史

 15番 尾崎要二

 16番 冨安民浩

 17番 川畑哲哉

 18番 玉木久登

 19番 鈴木太雄

 20番 岩田弘彦

 21番 吉井和視

 22番 谷 洋一

 23番 佐藤武治

 24番 岩井弘次

 25番 中 拓哉

 26番 多田純一

 27番 新島 雄

 28番 山下直也

 29番 中西 徹

 30番 谷口和樹

 31番 藤本眞利子

 32番 浦口高典

 33番 山田正彦

 34番 坂本 登

 35番 林 隆一

 36番 楠本文郎

 37番 高田由一

 38番 杉山俊雄

 39番 片桐章浩

 40番 奥村規子

 41番 尾﨑太郎

 42番 長坂隆司

欠席議員(なし)

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説明のため出席した者

 知事         仁坂吉伸

 副知事        下 宏

 理事         田嶋久嗣

 知事室長       赤坂武彦

 危機管理監      細川一也

 総務部長       吉村 顕

 企画部長       横山達伸

 環境生活部長     生駒 享

 福祉保健部長     志場紀之

 商工観光労働部長   寺本雅哉

 農林水産部長     岩本和也

 県土整備部長     安部勝也

 会計管理者      真田 昭

 教育長        宮﨑 泉

 公安委員会委員    細江美則

 警察本部長      親家和仁

 人事委員会委員長   平田健正

 代表監査委員     森田康友

 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫

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職務のため出席した事務局職員

 事務局長       出津野孝昭

 次長         中井 寛

 議事課長       山田修平

 議事課副課長     岩井紀生

 議事課課長補佐兼議事班長

            岩﨑 亮

 議事課主任      伊賀顕正

 議事課主査      菅野清久

 議事課主事      松本 悠

 総務課長       須田剛司

 総務課主任      松本泰幸

 総務課主事      泉 萌々香

 政策調査課長     神川充夫

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  午前10時0分開議

○議長(森 礼子君) これより本日の会議を開きます。

 日程第1、議案第124号から議案第135号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、併せて日程第2、一般質問を行います。

 12番秋月史成君。

  〔秋月史成君、登壇〕(拍手)

○秋月史成君 おはようございます。一般質問3日目第1登壇者となります。

 この夏は、コロナ禍、第5波で知事の要請もあり、不要不急の外出を控えておりました。自宅で東京2020オリンピックの観戦、また大好きな高校野球を観戦しておりました。私といたしましては、何といっても夏の高校野球決勝戦。和歌山県代表、智辯学園和歌山高校対奈良県代表、本校である智辯学園の世紀の一戦に固唾をのんで観戦いたしました。恐らく両校の決勝戦での戦いは、私が生きている時代にはもう二度と見ることができないと思われます。

 奈良県代表、智辯学園ではありますが、橋本市のお隣、奈良県五條市に所在し、伊都・橋本地域に住む和歌山県の生徒も多く通う学校であります。和歌山県庁にも本校出身の職員の皆様も多くいることを確認しております。そういった意味も込めまして、どちらも頑張れという気持ちで観戦しておりました。結果は、皆様も御承知のとおり、本県代表、智辯学園和歌山高校が見事優勝。コロナ禍で暗い話題が多い昨今ではありますが、久々の本県にとりまして明るい話題の一つになりました。両校の選手の皆様に一言お礼申し上げます。勇気と感動をありがとうございます。

 それでは、議長の許可を得ましたので、以下、通告に従い一般質問を行います。

 令和2年2月定例会、令和2年6月定例会、前議会である令和3年6月定例会に引き続き、はまゆう支援学校の跡地利用、南紀・はまゆう統合支援学校──仮称ではございますが──の屋外運動場の整備について再度質問させていただきます。

 令和2年2月定例会では、「南紀支援学校敷地からはまゆう支援学校の敷地までは、隣接地とはいえ、障害のある児童生徒には移動等がかなり困難になることが予測されますし、移動の補助を行う職員の皆様に負担をかけることになります。はまゆう支援学校の跡地利用について、今後の方向性をお聞かせください」という私の問いかけに対し、宮﨑教育長は、「新校舎は、隣接する施設等との連携も含め、基本計画を策定しました。はまゆう支援学校の跡地については、統合校の屋外運動場として利用する計画です。今後は、両校統合委員会や市町等地元の関係機関との検討を重ね、教育環境の充実を図るとともに、児童生徒が安全・安心に学ぶことができる環境づくりを行ってまいります」と答弁いただきました。

 令和2年6月定例会では、「はまゆう支援学校の跡地を統合校の屋外運動場としたとき、障害を抱えた児童生徒が安心・安全にどのように移動できるのか。また、教職員の移動に伴う負担が増大するのではないか。建築物の耐用年数を考えますと、最低50年はその場所に所在するものと認識しております。半世紀の長きにわたり、安心・安全に移動できるのか。教育委員会が考える教育環境の充実を図るとともに、児童生徒が安心・安全に学ぶことのできる環境づくりができるのかと疑念を抱く。はまゆう支援学校跡地に屋外運動場として利用する計画を進めることの是非が問われる問題だ」との問いかけに対し、「はまゆう支援学校の跡地を統合校の屋外運動場として利用する場合、児童生徒の移動の際に安全面等に課題が生じるということについては認識をしております。屋外運動場は児童生徒の心身の健全な育成のためには一日も欠かせない不可欠な施設であり、子供たちが安全・安心に学ぶことができるよう、隣接土地を所有する社会福祉法人和歌山県福祉事業団を含め、地元の関係機関等と協議を重ねながら柔軟に対応してまいりたいと考えております」と、隣接する和歌山県福祉事業団の南紀医療福祉センターの場所に屋外運動場を設置する方向の可能性を示唆されました。

 ちなみに、本会議で宮﨑教育長の答弁にもあった和歌山県福祉事業団という名称は、福祉事業団に了解も取らず、その文言を答弁されたと確認しております。

 その後、本年6月定例会では、「昨年の6月定例会から1年も経過しているが、一度福祉事業団と打合せをしただけで、私の感覚では1ミリも前進したとは言い難い状況だ。今後の整備方針及びタイムスケジュールについてお聞かせください」との問いかけに対し、「はまゆう支援学校の跡地利用については、統合校の屋外運動場の整備に向けた費用面や学校の教育活動に多々問題がある。スピード感のある対応となっていないことは遺憾。今後は、迅速かつ適切に対応していきたい。子供たちが安心・安全に学べることが大切であるとの認識から、今後、早急に課題整理を行い、和歌山県福祉事業団、関係機関等と協議を行ってまいりたい」と答弁されました。

 その後、1度ほど和歌山県教育委員会から和歌山県福祉事業団に出向き、協議を行ったと、教育委員会並びに福祉事業団幹部から報告をいただいております。報告を受けました内容を聞きますと、私の感想では、協議というより、教育委員会の意向を和歌山県福祉事業団に伝えたという印象を持っております。

 これまでの経緯をまとめますと、当初は、はまゆう支援学校跡地に屋外運動場を建設する方向性だったわけではありますが、令和2年6月定例会では、隣接する和歌山県福祉事業団所有の南紀医療福祉センターの場所に屋外運動場を建設する方向性を示唆されました。ところが、本年6月定例会において、費用面や学校の教育活動への影響等に多々課題があることが判明したことで協議が停滞していたという趣旨の答弁をいただいたと認識しております。

 そこで質問です。

 南紀・はまゆう統合支援学校において、さきの定例会で教育長の答弁にもございましたが、子供たちが安心・安全に学べることが大切であるという観点から、県教育委員会が考える屋外運動場の候補地を決める要件をお聞かせください。

○議長(森 礼子君) ただいまの秋月史成君の質問に対する答弁を求めます。

 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 南紀・はまゆう統合支援学校──仮称でございますが──の屋外運動場整備についてでございます。

 特別支援学校で学ぶ子供たちの安心・安全を保障することについては議員と同じ思いであり、これまでもよりよい統合校となるよう、議員には様々な視点から御支援、御助言をいただいていることに感謝をいたします。

 まず、これまでの経緯を申し述べます。

 統合校の屋外運動場は、当初より、はまゆう支援学校跡地に整備する計画でしたが、令和2年5月、和歌山県福祉事業団の御厚意により、統合校の隣接地である南紀医療福祉センター敷地に設置することも含め検討する機会をいただきました。その実現の可能性について検討する旨の答弁を昨年6月の議会で行いました。

 その後、統合スケジュール、整備に係る工期等を検討する中で、統合完成時までに設置は困難であることから、現時点で実現可能であるはまゆう支援学校跡地を当初の計画どおり屋外運動場として整備する方針で進めております。

 さて、御質問の特別支援学校の屋外運動場は、障害のある小学部から高等部までの多様な児童生徒が、日々の運動だけでなく様々な活動で使用することを踏まえ、整備する必要があります。よって、屋外運動場は、校舎からの安全でスムーズな移動ができること、けが等への緊急時対応が迅速かつ的確に行えること、障害者スポーツの対応等様々な活動に対応できること、そして、統合前後の使用できない時期や期間のないことなどが要件として挙げられます。

○議長(森 礼子君) 秋月史成君。

  〔秋月史成君、登壇〕

○秋月史成君 現在の答弁を踏まえて、はっきり質問させていただきます。

 南紀・はまゆう統合支援学校の屋外運動場は、はまゆう支援学校跡地なのか、現在南紀医療福祉センターが所在している和歌山県福祉事業団の土地なのか、どちらが最適であるかをお答えください。

○議長(森 礼子君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 統合校の校地に隣接する南紀医療福祉センター敷地は、児童生徒の安全でスムーズな移動という点で最もよい場所であるとの思いから、昨年6月議会での将来の可能性を含め、関係機関等と協議など柔軟な対応を考えている旨の答弁をいたしました。

 しかしながら、統合に係るスケジュールや整備の進め方などを勘案した上で、統合校校舎の隣接地に屋外運動場を直ちに設置することは教育活動に切れ目をもたらすことなど課題もあるため、現時点での適地は、はまゆう支援学校跡地と考えます。

○議長(森 礼子君) 秋月史成君。

  〔秋月史成君、登壇〕

○秋月史成君 1問目の答弁にもありましたが、統合校の校舎から安全でスムーズな移動ができること、けが等への緊急時対応が迅速かつ的確に行えることとありましたが、統合校から様々な障害を抱えた児童生徒を安全・安心、スムーズにどのような方法で移動されるのでしょうか。現地を何度も訪れ、自分の足で歩いた私には、かなりの疑問が残ります。

 1977年に日本赤軍が起こしたダッカ日航空機ハイジャック事件の際、日本政府は粘り強い交渉を繰り返していましたが、これ以上の交渉や武力での解決をよしとせず、時の福田赳夫首相が「1人の命は地球より重い」と述べて、身の代金の支払い及び超法規的措置として収監メンバーなどの引渡しを行うことを決めました。その判断は様々な批判を浴びることになりますが、「1人の命は地球より重い」というその言葉は今も日本人の心に刻まれております。

 1問目の答弁をお聞かせいただきましたが、先ほどの答弁では、安心・安全、人の命よりも教育活動が優先される印象を受けます。

 統合校からは、町道大坊奈目良線高井田橋を渡り、はまゆう支援学校に移動いたします。高井田橋は狭く、また、高井田橋からはまゆう支援学校までは高低差もあり、障害を抱えた児童生徒を安心・安全かつスムーズに移動することは困難であると思います。町道大坊奈目良線は狭隘で、歩道の設置もされていない道路でもあります。現在、上富田町は、当該町道の改良に向け、国の補助を利用し、道路改良に向け政策化を行う方向だとは聞いております。しかし、改良には用地の取得の協力が得られるかは未定であります。それに、道路改良に着手したとしても、最低3年以上はかかるものと思われます。令和5年秋頃開校の予定である統合校であることから、開校に合わせて道路改良が進むことは困難であると認識しております。

 そこで質問です。

 安全でスムーズな移動、けが等への緊急時の対応が迅速かつ的確に行えるのか、具体的にお答えください。

○議長(森 礼子君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 移動に関しましては課題もありますが、児童生徒の実態に応じスクールバスを活用するなど、車両の確保や移動時の見守り体制を検討し、より確かに安心・安全を確保できるよう最大限の工夫をしてまいります。

 また、統合校敷地と道路や屋外運動場出入口等にリモートカメラを設置する等のセキュリティー管理や、屋外運動場と校舎管理棟への連絡方法の確保を行う予定です。

 加えて、緊急時対応のできる施設として、当面は現在のはまゆう支援学校寄宿舎棟等、既存施設の有効活用も含め検討しながら、けが等の迅速かつ適切な対応が行えるようにしてまいります。

 議員御指摘のとおり、移動経路の整備も必要となるため、町道改良に向け上富田町や関係機関への働きかけを行ってまいります。

○議長(森 礼子君) 秋月史成君。

  〔秋月史成君、登壇〕

○秋月史成君 安全・安心の確保という観点からお伺いいたします。

 障害を抱えた児童生徒の移動には、健常者の児童生徒より時間を要すると思います。落雷注意報あっても、落雷警報はありません。落雷は、現在の高度な気象予報技術をもっても予想がつきにくいものです。障害を抱えた児童生徒が移動時に急な落雷の可能性を認識した際に、避難する場所も一切ない移動経路で、どのような落雷対策を行うのか。移動時における落雷対策についてお答えください。

○議長(森 礼子君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 学校では、常に天候の変化には注意し、落雷の可能性を認識した場合、活動計画の変更、中止をするなど、臨機応変に適切な対応を行っております。

 しかしながら、落雷の可能性は予見できないこともあり、対策を取っても万全とは言えないことも事実でございます。

 緊急時に迅速な対応が取れるよう、生徒児童の実態に応じ、スクールバスでの移動を検討するとともに、徒歩での移動の場合でも緊急時や災害時に安全で適切な行動が取れるよう、防災訓練など安全対策を講じてまいります。

○議長(森 礼子君) 秋月史成君。

  〔秋月史成君、登壇〕

○秋月史成君 平成27年9月定例会、平成28年2月議会、令和2年6月議会、さきの6月議会、時期を見て私はこの本会議で南紀・はまゆう統合支援学校の整備問題について問題提起を続けてきました。

 先ほどの質問にもありました「1人の命は地球より重い」の言葉のとおり、人命とはそれほど貴いものなのです。一番優先されなければならない安心・安全でスムーズな移動の施策は、先ほどの答弁では全く説得力に欠けるものだとしか言いようがありません。

 初めて問題提起をさせていただいてから7年が経過いたしました。7年間の長きにわたる月日の中で、県教育委員会の中では様々な議論が行われてきたと思います。教育活動に切れ目を起こすことは問題だと認識はしております。しかし、1人の命は地球より重いのです。生命と教育活動のどちらが優先されるものなのか、県教育長の御所見をお聞かせください。

○議長(森 礼子君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 人命を越えて優先されるような教育活動はありません。生命の危険や安全への懸念がある場合は、それを回避することを最優先といたします。

○議長(森 礼子君) 秋月史成君。

  〔秋月史成君、登壇〕

○秋月史成君 「統合校の校地に隣接する南紀医療福祉センター敷地は、児童生徒の安全でスムーズな移動という観点で理想的との認識から、昨年の6月議会で、将来の可能性を含めた関係機関等との協議等、柔軟な対応を考えている旨の答弁を行いました」というような答弁を先ほどいただきましたが、県政における最高の意思決定機関である本会議の場において、主要な関係機関である社会福祉法人和歌山県福祉事業団という法人名を相手の了解も得ずに出し、理想的という軽い認識で答弁されたのでしょうか。

 南紀医療福祉センター敷地への屋外運動場設置を示唆された昨年6月議会の一般質問で答弁された際の認識について、改めて教育長の御所見をお答えください。

○議長(森 礼子君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 社会福祉法人和歌山県福祉事業団におかれては、これまでも、南紀支援学校、はまゆう支援学校で学ぶ児童生徒を医療や生活面で支えていただきました。今回も、統合校で学ぶ児童生徒の安心・安全を一番に考え、隣接する敷地を所有していることから、屋外運動場に関する協議の場を持ってきていただいたものとありがたく重く受け止めております。決して軽い認識での答弁ではございません。

 今後も、和歌山県福祉事業団及び関係機関の協力をいただきながら、将来に向け、よりよい学校づくりを行っていきたいと考えております。

 軽い認識で答弁したとの疑念を招いたことは遺憾でありまして、誤解を招かぬよう努めてまいりたいと思います。

○議長(森 礼子君) 秋月史成君。

  〔秋月史成君、登壇〕

○秋月史成君 昨年6月議会での教育長の答弁を受けて、この議場で答弁を聞いた私を含めた県民の皆様も、統合校の屋外運動場の設置は安心・安全でスムーズな移動ができないはまゆう支援学校跡地ではなく、南紀医療福祉センター敷地にする方向に県教育委員会が方針を転換されたものと理解していると思います。その証拠に、一般質問終了後、地元紙「紀伊民報」でも、南紀医療福祉センター敷地に統合校の屋外運動場を整備する、その方向性を報道しております。

 理想的との希望的観測で、安易に昨年6月議会であのような答弁をされ、本年6月議会以降において再度方針を軌道修正されたのか。また、6月議会一般質問終了後、県教育委員会教育総務局長と会談し、今後の屋外運動場の整備方針について協議を行いました。協議終了後、直ちに教育総務局長は、町道大坊奈目良線の歩道が設置されていない高井田橋に歩道が設置できないものかと識者に問い合わせたと聞いております。

 その後、問題提起者の私には一切説明もなく、福祉事業団幹部に県教育委員会としての意向を伝えたと聞いております。時系列を知る私は、県教育委員会からの説明を待っておりましたが、一向に県教育委員会側からの説明はなく、しびれを切らした私は自分のほうから連絡し、県教育委員会より意向の説明を受けました。県教育委員会の方針を転換したことを私に一切説明せず、福祉事業団に意向を伝えに行くことも一切連絡は受けておりません。私は、問題提起者であります。私に説明してから福祉事業団に意向の説明に行くのが筋ではないでしょうか。

 その経緯といい、議会での答弁といい、県教育委員会の一連の動きは議会軽視ではないでしょうか。県教育長の御所見をお答えください。

○議長(森 礼子君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 統合校の屋外運動場の設置場所については、当初より、はまゆう支援学校の跡地に運動場を整備する計画で進めていた中、和歌山県福祉事業団の御厚意に基づき、統合校の隣接地である南紀医療福祉センター敷地に設置することも含め、検討する機会をいただき、感謝しているところでございます。

 決して希望的観測のみで答弁したものではなく、統合校における安全・安心な教育環境をよりよく実現していくための将来、その可能性を考えたものであります。

 その後、対応として、問題提起者である秋月議員への十分な説明がないまま県教育委員会職員が和歌山県福祉事業団に出向き、意向の説明や協議を行ったことは県教育委員会としては反省すべき点と考えております。決して議会軽視とは思っておりません。

○議長(森 礼子君) 秋月史成君。

  〔秋月史成君、登壇〕

○秋月史成君 また、前議会では、「費用面や学校の教育活動に多々問題があることが判明した」との答弁でしたが、費用面や教育活動に支障を来すことは最初から、昨年の6月議会の時点で、優秀な宮﨑教育長には分かっていたことと思います。

 昨年、県庁内で行われた福祉事業団理事長を含めた幹部との顔合わせ程度の協議の際、理事長より、南紀医療福祉センター建物の補償費に触れられました。当然のことと思います。

 経緯をよく知る私は、県教育委員会として、はまゆう支援学校跡地に屋外運動場を設置することは、様々な安全対策を講じたとしても、安心・安全でスムーズな移動には大変問題があると認識していた。そんなときに、福祉事業団の御厚意で統合校の隣接地の南紀医療福祉センター敷地を譲ってもいいという話があったが、建物補償費等で予算がかさむし、工期期間等の理由で教育活動に支障を来すという理由もあり、取りあえずはまゆう支援学校跡地に屋外運動場を設置するように方向を修正したと私は思っておりますが、いかがでしょうか。答弁をお願いします。

○議長(森 礼子君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 御指摘のとおり、はまゆう支援学校跡地を屋外運動場として整備するに当たり、安心・安全でスムーズな移動という面での課題については、さらなる検討を必要としてきたところでございます。

 和歌山県福祉事業団から、統合校隣接地である南紀医療福祉センター敷地に屋外運動場を整備してはどうかとの旨の御提案があり、検討を始めました。課題等を精査する中、現時点で実現可能であるのは、はまゆう支援学校跡地の利用であるとした次第でございます。

○議長(森 礼子君) 秋月史成君。

  〔秋月史成君、登壇〕

○秋月史成君 また、県教育委員会と福祉事業団との協議という名目で行われた福祉事業団に対する県教育委員会の意向伝達の後に、県教育委員会職員の方から私に説明がありましたが、その説明には、「建物補償費用を捻出する理由づけがない」との発言がありました。児童生徒の安心・安全、地球より重いと言われる命を守るために費用を捻出できない理由をお聞かせください。

○議長(森 礼子君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 統合校につきましては、現時点において、直ちに隣接地を取得しなければ教育活動に支障を来すというものではないと考えています。安全対策を講じることにより、はまゆう支援学校の跡地を屋外運動場として活用することができます。

○議長(森 礼子君) 秋月史成君。

  〔秋月史成君、登壇〕

○秋月史成君 建物補償の費用を捻出できない理由が、隣接地を取得しなければ教育活動ができないという状況ではないからと、はまゆう支援学校の跡地を屋外運動場として活用できるからとの答弁。なら、なぜ昨年の6月議会で、統合校の屋外運動場整備の候補地として南紀医療福祉センター敷地を示唆され、先ほどの答弁の中で、理想的や将来の可能性という言葉を使われたのか。将来の可能性というなら、現在の答弁には論理矛盾が生じると思います。

 教育活動に支障を来すため、取りあえずははまゆう支援学校跡地に屋外運動場を設置する、私はそのことには理解を示します。しかし、どんな安全対策を施したとしても、はまゆう支援学校跡地への安全・安心でスムーズな移動には大きな問題を擁しております。

 費用面等で多々問題はあるものの、継続して和歌山県福祉事業団と協議し、将来、統合校の屋外運動場を現在の南紀医療福祉センター敷地に設置するべきだと私は考えます。私は、県下全ての公立学校を知るわけではありません。しかし、どの学校も校舎に屋外運動場が併設されているのが当たり前だと思います。

 南紀・はまゆう統合支援学校に通う児童生徒は、障害を抱えたお子様ばかりです。1人の命は地球より重い。お金には代えられないもの、それは人の命や他人を思いやる愛だと思います。

 私は、常々大切にしていることがあります。妥協して敗れるか、必死に戦った結果、敗れるかでは大きな違いがあります。

 私は、学生時代、レスリング選手でした。私は、マット上で一切妥協したことはありませんでした。たとえ試合直前に何があったとしても、マットに向かうとき、戦うことのみに集中しました。そんな戦いにおいて、勝敗は二の次。重要なのは、結果に行き着くまでどんな戦いをしたかであります。結果は、あくまで結果なのです。その瞬間を必死に戦えば結果もついてくる。対して、一度妥協してしまえば、事あるごとに自分に甘くなり、結局はよい結果が得られないものだと思います。

 今は無理でも、いずれ統合校の隣接地、南紀医療福祉センター敷地に屋外運動場を設置するという将来の可能性についてお答えください。

○議長(森 礼子君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 将来に向け、さらに安心・安全で、よりよい学校づくりを目指し実現していくものであり、一定の時間を要するものであると認識しておりますが、和歌山県福祉事業団等、関係機関の御協力の下、将来、和歌山県福祉事業団所有の南紀医療福祉センター敷地に屋外運動場設置が実現可能となることを目指し、継続した協議を進めてまいりたいと考えております。

○議長(森 礼子君) 秋月史成君。

  〔秋月史成君、登壇〕

○秋月史成君 教育長、言ったことは必ずやる。(「はい」と呼ぶ者あり)協議、継続して続けていただきますよう、よろしくお願いいたします。

 これで、私の一般質問を終わります。最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございました。(拍手)

○議長(森 礼子君) 以上で、秋月史成君の質問が終了いたしました。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 38番杉山俊雄君。

  〔杉山俊雄君、登壇〕(拍手)

○杉山俊雄君 こんにちは。杉山です。

 議長の許可を得ましたので、通告に従って一般質問を行います。

 一つ目は、タブレット端末と健康についてです。

 公立学校では、今年から生徒1人に1台のタブレットが配付され、このタブレットの活用で授業ががらっと変わったと、ある校長は言います。

 中学校では、教科によって利用頻度は異なりますが、家庭科の若い先生に聞くと、初めは不安であったが、使い始めると授業の半分以上で使用している、場合によっては1時間使用していることもあると、大変便利だと言っていました。

 体育など実技教科では、動画を撮って自分のフォームを研究したり、作品づくりのアイデアを記録として使用しているということです。

 国語では、漢字の意味を調べるのに便利だが、頭に残るには書くことが一番。デジタル教科書は電子黒板に映せ、拡大した画面に線やポイントを記入できるので重宝している。音読もしてくれる。電子黒板は使うが、タブレットはあんまり使わない。地道な読み取りや書き込みをしないと力がつかない。しかし、黒板はメインで、電子黒板はサブ。タブレットで練習問題をする時間的余裕はない。

 欠点は、タブレットを持たせると静かになるが、何をしているのか分からない。勝手にYouTubeを見ていることもあり、他人の悪口を送り、誹謗中傷もできる。タブレットの出し入れに8分から10分程度時間がかかり、使用するのにちゅうちょすると言っています。

 助かるのは、専門的な技術者が週1回、1日常駐してくれるので、どんな疑問や質問にも親切に答えてくれ、教師に技術指導や講習等をしてくれる。

 導入されて1年目なので試行錯誤の段階であり、改善を重ねながら今後使用頻度が年々上がってくると思われます。

 話は変わりますが、2020年度の文科省学校保健統計調査によると、裸眼視力1.0未満の者の割合は年齢が高くなるにつれて増加傾向にあり、小学校1年で4人に1人、6年で約半数が1.0未満となっています。40年間の推移を見ると、小・中・高と学年が進むにつれて高くなり、年々少しずつ増加しています。驚くべきことは、スマホが普及する2010年頃から小・中・高ともに増加の割合が大きくなっています。

 一般社団法人健康長寿が眼科医を対象にした調査でも、年代別の視力の変化は小学生の低下が最も多く、次いで若年層、中学生と続き、若い世代で視力低下が見られます。

 原因の上位は、ブルーライト、近くでの長時間利用、ドライアイです。ブルーライトは、目の水晶体や角膜を通り抜け、網膜を傷つけてしまうおそれがあると言われています。眼科医はブルーライトが一番悪いと回答していますが、文科省は医学的評価が定まっていないとして特に対策は打っていません。

 視力低下による身体への影響については、眼精疲労、肩凝り、注意力の低下と続きます。疲れ目は睡眠で解消しますが、眼精疲労は症状が長続きし、肩凝りや頭痛、倦怠感など様々な影響が出てきます。

 岩手県奥州市の眼科医、鈴木さんは、スマホの長時間利用で、両目で見る機能が低下すると言います。

 患者や高校での調査から、3時間以上使っている人の4割近くが片目の位置が外側にずれ、1時間以内の場合は目の位置がずれていません。2時間ぐらいで片目の位置がずれ始め、3時間になると、ずれ幅が大きくなる人もいます。これを隠れ外斜視といいます。隠れ外斜視は使用時間を減らせばほとんど治りますが、内斜視は厄介で、知人の息子は手術をしました。

 片目で見る習慣がつくと、使わない目のほうが弱視になります。弱視は治りません。平均台を渡れない子が増えているのは立体視ができていないからではないかと思われます。

 目以外にも脳への影響があります。東北大加齢医学研究所所長・川島教授は、スマホの長時間利用が脳を破壊すると指摘します。

 約7万人以上の小中学生を5年間追跡調査し、仙台市の学力テストとスマホの利用の関係について調べています。1日1時間以上利用している場合、家でどれだけ勉強していても成績にマイナスの影響があります。スマホを見ながらの勉強が原因です。

 人間の脳は、一つのことにしか集中できません。最も驚くべきことは、長時間使用で脳の発達が阻害されることです。インターネット習慣のある子供の脳を3年後の画像で比較すると、前頭前野を中心に脳内の6領域以上で発達が止まっていたことが確認されています。これほどの脳領域の発達の遅れは長時間テレビやゲームでも見たことがないと言っています。

 リスクを知らせていくのは大人の責任です。成人までは1時間までの利用にとどめるなどのルールが必要ではないかと思っています。

 iPadの生みの親であるスティーブ・ジョブズ氏は、自分や子供の使用時間を厳しく制限したし、ビル・ゲイツも子供が14歳になるまで持たせなかったといいます。

 スマホやタブレットで情報を検索しても、検索するのは機械なので、脳は働きません。一方、読書をすると脳の神経線維は太くなります。文字を書くのも同様です。スマホやタブレットでは漢字の変換も機械がするので、脳は働きません。紙にペンで書くと、脳は働きます。頭の中で情報を整理しないと、脳は働きません。

 以上述べたように、タブレット端末やスマートフォンの長時間利用は目や脳の発達に悪影響を及ぼすことが指摘されています。タブレットやスマートフォンを適切に利用する指導が必要であると思いますが、教育長、よろしくお願いいたします。

○議長(森 礼子君) ただいまの杉山俊雄君の質問に対する答弁を求めます。

 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) タブレット端末やスマートフォン等のICT機器は利便性の高いツールであり、学習面においても有効に活用されています。

 一方で、長時間利用による健康面への影響も懸念されていることから、こうしたことを理解した上で児童生徒が適切に利用できるよう指導していくことが重要であると考えております。

 このような状況から、各学校においては、文部科学省により示されている配慮事項等を踏まえ、児童生徒や保護者に対して、正しい姿勢や適度な明るさ、適度に目を休めるなど、目の健康を守るための方法について指導及び啓発を行っています。

 県教育委員会でも、依存症予防教育の一環として、専門家等と連携を図り、家庭におけるルールづくりのリーフレットや学習資料集、動画教材等を作成し、授業での活用を促しているところです。

 今後、ICT機器の活用は必須でございます。児童生徒がうまく付き合っていけるよう取り組んでまいります。

○議長(森 礼子君) 杉山俊雄君。

  〔杉山俊雄君、登壇〕

○杉山俊雄君 答弁ありがとうございます。

 私がここに立つと教育委員会の批判をするというふうに思われていますが、今日はそうではありません。

 県が作成したこういう(資料を示す)「ストップ!スマホ・ゲーム依存 学習資料集」、これはもう生徒のほとんどへ最初に配っているみたいですけれども、県が作成した動画については学活で使ったり、県から専門的な講師を派遣して、そしてリスク教育を計画的に行っているというように、いろんな中学校へ電話するとそういうふうに言っていました。私が現役のときも、エイズやそういうことが言われた頃にはそういうふうにしてやったというふうに思っています。

 衝撃的だったのが、「スマホ脳」と「スマホが脳を『破壊』する」という本があったということです。というのは、日本だけじゃなくて、スウェーデンでも同じような内容の本が出版されているということで、脳の発達を阻害するということであった、そういう内容ですが、先ほど言ったように。

 脳に一番悪いことを知っていたのは、アップル創業者のスティーブ・ジョブズ。自分の子供には大変厳しく制限していたし、自宅に持ってこさせなかった、こういうふうに言っています。

 そういう意味では、子供には1時間ぐらいまでに規制するという、こういうふうなことが必要かなと思うのですが、県のガイドラインにも家庭でルールづくりをしましょうとあるんですが、僕、なかなか難しいというふうに思うので一つ提案です。1時間、使用時間が過ぎたら自動的に制限されるアプリ、これを県が総力を挙げてつくっていただいたらいいなあ。県にそういうふうな頭脳があるというふうに思いますので、そういうのを開発して、希望する家庭に無償配付する。そうすれば、県がよく言う学力テストなんかよく気にしていますが、学力対策になるというふうに思いますので、要望だけしておきます。

 それで次に、生理の問題について質問をします。

 二つ目は、生理の問題についてであります。

 政府は、今年6月16日に女性活躍・男女共同参画の重点方針2021を決定し、生理の貧困への支援を盛り込みました。方針の中で、経済的理由から生理用品を購入できない女性の問題が顕在化したとして、地方自治体に対して、きめ細かい相談支援の充実を促しています。

 これに先立って4月12日、内閣府は都道府県に対して、学校において相談窓口の周知と併せ、生理用品の提供を行うなどの事務連絡を出しています。また、文科省も4月14日、各都道府県等に、生理用品の提供場所を保健室等の手に取りやすい場所に設置したり、提供場所を保健室のほかに設けたりするなど、児童生徒が安心して入手できるよう提供方法や設置場所等の工夫を検討するよう事務連絡を出しています。

 日本の生理の貧困の実態を明らかにするために、#みんなの生理という団体が高校生以上の学生を対象にアンケート調査を行いました。結果は、「金銭的な理由で生理用品の入手に苦労したことがある」というのが20.1%、「生理用品の交換頻度を減らした」が37%、「経血の処理に生理用品以外のものを利用した」が27.1%など、女学生の数人に1人が深刻な状況でありました。

 寄せられた声は切実で、「夜用1個を1日中使い、かゆみと臭いで大変」、「母子家庭なので月経困難症の薬代が負担」、「トイレットペーパーを代用するといつ漏れるか不安で、学校やバイトに行けない」などといった経済的な理由によって必需品であるはずの生理用品、低用量ピル等にアクセスしづらい現状があるほか、「生理による体調不良を説明したいが、生理について話すことへのタブー意識か強く、言い出せない」などといった声もあり、「生理に関する適切なケア、環境整備で学校生活を支える必要性が明らかになった」と団体代表は話しています。

 生理用品が買えないという問題は、本質的には生活全般にわたる貧困の問題であり、絶対的な貧困問題の解決が重要な要素の一つであることは言うまでもありませんが、経済的貧困だけが原因ではありません。配偶者からのDV、保護者が買ってくれない、また、羞恥心から購入が困難なケースもあります。貧困で買えないというだけでなく、その他の事情にも目を向ける必要があると思います。

 生理の問題は、これまで女性特有の問題としてタブー視され、特に男性社会である政治や経済の世界で議論されることはなく、女性の側からも公の場で話題として取り上げることを避けてきた結果、社会では理解されず、置き去りになってきました。

 タブーとして扱われてきた生理の問題について声を上げることは、女性にとって社会の様々な場所にある生きづらさの解消につながると考えます。男女が互いの性について理解を深めることで、互いを尊重し、安心して快適に社会生活を送れるよう、男女共同参画の観点から、男女双方が生理に対する正しい理解と認識を持つよう一層の啓発を図る必要があると考えますが、どうでしょうか。環境生活部長、よろしくお願いいたします。

○議長(森 礼子君) 環境生活部長生駒 享君。

  〔生駒 享君、登壇〕

○環境生活部長(生駒 享君) 議員お話しのとおり、生理の問題は女性にとって非常に身近で大切な問題であるにもかかわらず、いまだにタブー視され、恥ずかしいものとされる風潮にあります。

 男女が共に生理に対する正しい理解と認識を持ち、思いやりを持って生きることは、社会における様々な女性の生きづらさの解消にもつながります。

 県では、思春期から高齢期までライフステージごとに直面する様々な女性特有の問題についての理解を深めるため、和歌山県男女共同参画基本計画に基づき、性に関する教育のほか、セミナーの開催や啓発活動、相談業務など、男女を問わず実施しているところであり、今後もこれらの取組を進めてまいります。

○議長(森 礼子君) 杉山俊雄君。

  〔杉山俊雄君、登壇〕

○杉山俊雄君 答弁ありがとうございます。

 タブー視されてきた生理の問題は、ジェンダーの問題であります。ジェンダーとは、女性はこうあるべき、男性はこうあるべきとか、男性は外で働き女性は家庭を守るなどの振る舞いや役割分担などを指し、これは自然にできたものではなく、国民を支配、抑圧するために政治的につくられ、歴史的に押しつけられてきたものと言われています。

 私もジェンダーギャップの中で70年間生きてきましたので、ジェンダーが刷り込まれ、しみついていて、なかなか取れません。しかし、今はジェンダーを知り、自覚しているので、新しい自分に生まれ変われたというか、そのことを理解するようになって自己変革できたように思います。

 引き続き、啓発等に御尽力をよろしくお願いいたします。

 続いて、県立学校における生理用品の設置について伺います。

 日本のジェンダーギャップ指数は120位で、イギリスは23位です。そのイギリスでも、生理に関しては男性中心であるとした著書「存在しない女たち」があります。

 イギリスでは、ホームレスの簡易宿泊所は国民保健サービスに対し、無料のコンドームの支給を要求できますが、生理用品は要求できません。生理用品を無償で提供されるのは、たまたま予算が余っている場合か寄附金があった場合しかありません。そこで、The Homeless Periodというキャンペーン団体がイギリス政府に対し、コンドームと同様に生理用品も無償で支給してほしいと嘆願しましたが、政府から前向きな援助は得られませんでした。

 コンドームは避妊のために無用な精子を捨てる生理用品です。一方、ナプキンは、妊娠せず、不要になった子宮内膜を排出するための生理用品であります。どちらも同じ生理用品なのに、コンドームは無料で支給され、ナプキンやタンポンは駄目というのは、ジェンダー平等に反すると思いました。

 世界的にも女性には生理があるという事実はまともに考慮されず、特に難民の女性たちはその影響を受けています。必需品である生理用品のための資金は提供されないことが多く、生理用品を何年も使えない女性や少女たちがいます。仕方なく非衛生的な代用品を使っているせいで、50%以上の女性は尿路感染症にかかったまま治療もできずにいたということが明らかになりました。さらに、生理を知られるのは恥ずかしく、また、漏れるのを恐れてほとんど身動きが取れなくなり、食料を受け取ったり、サービスや情報を受け取ったり、人々と交流したりできなくなりました。必需品である生理用品が提供されないことで女性たちの健康や自由度に影響が出てきているとの報告でした。

 日本では、#MeToo運動の影響などで性や生理のことが社会全体の問題として語られるように変わってきました。若い世代が声を上げ、それに対応する自治体や国の動きは急速です。内閣府の調査によると、生理の貧困への支援をしている自治体は581ありますが、公立の小中学校や高校で生理用品を配布しているのは279の自治体で、全国的には一部にとどまっています。

 小学校5年から中学校3年までの女子児童生徒を対象にした東京都港区の調査では、「学校で生理用品がなくて困った」が17%で、養護教諭は、「保健室で把握しているよりも多かった」と言っています。困った理由は、「持参するのを忘れた」が95%。「経済的理由ではなく、急に生理が来たり、ナプキンが足りなくなって困ったことで、安心して学校生活が送れないという点で課題がある」と担当課は言います。

 NHK調査でも、公立中学校の女子生徒の30%が「生理用品がなくて困った」と回答。置いてほしい場所を尋ねると、トイレが87%で、保健室が1%、どちらでもよいがその残りで10%ちょっとです。ほとんどの生徒がトイレと答えています。保健室に生理用品を取りに行くことに抵抗を感じる生徒が多くいることが分かります。

 都立新宿高校は、生徒が安心して学校生活が送れるように、東京都の方針で、校内のトイレに生理用品を無償で設置しました。そうすると、昨年、保健室での利用が10個程度だったが、トイレに置いた今年は3か月半で410個以上の使用があった。校長は「誰でも使えるようにすることで、実は困ったとか生理用品が足りないなんて言えないという子に届いている。トイレットペーパーと同じように、生理用品が当たり前にある環境にしたかった」と語っています。

 これまでは、学校のトイレに生理用品がないのが普通で、家庭で用意するものと考えられていました。普通を少し変えるだけで、よりよい環境がつくられると思います。

 今、学校現場はコロナ禍で、生徒たちはストレスを抱えています。せめて衛生面で心配なく安心して学校生活が送れるよう、ジェンダー平等を実現してほしいと思います。そのために県立学校において女子トイレの個室に生理用品を設置し、先進を行くよう範を示してほしいと考えます。教育長、よろしくお願いいたします。

○議長(森 礼子君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 現在、県立学校においては、生理用品が急に必要となった場合に備えて、以前から保健室に準備をしております。

 今後も、引き続き児童生徒が生理に関する悩みを相談しやすい雰囲気づくりや、必要なときに入手しやすい工夫をするなど、安心して学校生活が送れるよう取り組んでまいります。

○議長(森 礼子君) 杉山俊雄君。

  〔杉山俊雄君、登壇〕

○杉山俊雄君 今、保健室に置いているから今までどおりという回答でした。

 今日の新聞を見ると、中部国際空港でもトイレに生理用品を置く、そういうようなことが書かれていました。そういう状況が広がっているということなんですよ。

 東京都は、生徒の願いに応えて全ての都立高校で女子トイレに設置をした。そしたら、先ほど言ったように利用度が上がった。生理用品が足りないと言えない生徒とか、また急に困ることになった生徒に届けられたというふうに言っています。

 県は、待ちの構えではなくて、かゆいところに手が届く積極的な対策を実施してほしいと思います。各課と連携することで地域女性活躍推進交付金や地域未来支援交付金の活用が可能です。多くの自治体では活用されています。ジェンダーの観点からも、これから生理用品はトイレットペーパーと同じだと思ってほしいという都立高校校長の言葉に耳を傾けてほしいというふうに要望をして、次に進みます。

 次は、ヤングケアラーの実態調査についてです。

 ヤングケアラー支援について、川畑県議がこの間2回、一般質問を行っています。2月議会では、高校2年生を対象に実態調査をすべきとの質問に、福祉保健部長は「県独自の調査の必要性について検討する」と答弁しています。また、潜在的なヤングケアラーへの踏み込んだ啓発に取り組むべきとの質問に、「教育委員会と連携しながら、パンフレット、リーフレットを活用しながら周知に努める」と回答しています。6月議会では、2月議会での啓発グッズ作成の進捗状況と実態調査の実施について質問。福祉保健部長は、「今年度、中高生を対象に啓発物品を配付。各種福祉制度についてのマニュアルを作成して教職員に配付する」、実態調査については、「全国調査と比較できるよう、対象は中高2年生を想定。1人でも多くのヤングケアラーを学校現場から福祉につなぐよう総動員して支援していく」と答弁しています。

 現在、川畑県議の質問に対する答弁のごとく、啓発グッズの作成と実態調査を10月に予定をしています。当局の御努力に敬意を表します。

 県は、全国調査と比較できるよう、対象を中高2年生に絞り、実施方法は埼玉県と同様、教育委員会の協力を得て、県下全ての公立中学校と県立学校に調査票と回収袋を段ボール箱に入れ配布、輸送・回収は業者に委託する予定です。

 さいたま市は、県や国の調査結果を踏まえ、市内の中高生約3万4000人を対象に教員が具体的な支援を検討する必要があるとして、実態調査を今年6月に実施をしました。調査は、生徒に配付されているタブレット端末を使用して、世話をしている家族の状況や本人の悩み、相談相手の有無等を尋ね、9月に結果をまとめる予定です。具体的な支援につなげるために、調査は記名式にしました。

 厚労省の全国調査では、ケアラーの割合は、定時制高校では8.5%、通信制高校では11.0%で、全日制高校の4.2%より高い割合を示しています。

 通信制高校への入学理由は、「家族の世話や介護と両立しやすい」が18.4%で、福祉サービスの利用も1週間のケアの頻度や1日単位でのケア時間が長くなっていることから、負担の大きなケアを担っている可能性があります。

 ケアラーの発する言葉は、自己犠牲です。家族への負担にならないように学費の高い私立の学校は選択できない、ケアと両立しやすい自宅から通いやすい学校だけを選択する、何かが起こったときにすぐ駆けつけられるようにする、遠方での就職は選択しないなど、世話をしているためにやりたいことができないことが多く、毎日の通学や自由時間だけでなく、進路変更を含む自分自身の人生設計にケアが大きな影響を及ぼしていると思われます。

 ケアに関する悩みや不安を話せる人について、25.4%が「いない」と回答。また、望むサービスとしては、「困ったときに相談できるスタッフや場所」が16%、「信頼して見守ってくれる大人」が14.5%、「宿題や勉強のサポート」が13.2%、「被介護者の状況に関する分かりやすい説明」が12.2%と、自分自身に寄り添い、継続的に関わってくれる大人の存在を求めています。

 今、第一義的に求められているのは、学校でのヤングケアラーを発見する体制の強化、二つ目に、支援ニーズの高い子供に対する支援強化、三つ目は、一時休息や家事援助サービスの充実などで、過度になっている子供のケア負担を減らし、救済することではないでしょうか。

 全国調査や埼玉県調査によってヤングケアラーの実態はある程度予想できます。全国調査では、中学2年生でヤングケアラーは5.7%。1クラス35人学級としても、2人程度いるような状況です。県でも同程度の状況があると考えられます。

 今、急がれるのは、全国調査との比較より、福祉保健部長が答弁しているように、1人でも多くのヤングケアラーを学校現場から福祉につなぎ、必要となる福祉施策を支援していくことではないでしょうか。そのために、さいたま市が行ったように記名アンケートを実施すべきだと思います。

 さらに、生徒1人1台のタブレット端末を活用すれば、運搬・回収の業務委託も必要ないし、長時間をかけずに、学校の都合に合わせた短時間で実施でき、集計・分析もスムーズに行われるのではないでしょうか。

 そこで、福祉保健部長にお伺いします。

 1人でも多くのヤングケアラーを学校現場から福祉につなぎ、必要となる福祉施策で支援するためには、実態調査を記名式で実施すべきだと思いますが、お答えください。

○議長(森 礼子君) 福祉保健部長志場紀之君。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 今年度実施するヤングケアラーの実態調査は、本県の実情に即した効果的な支援策を検討するため、まずは県内におけるヤングケアラーの数や実態、その支援ニーズをより正確に把握し、全国調査の結果と比較して本県の傾向をつかむことを目的に行います。

 調査方法につきましては、学校現場を所管する教育委員会とも協議をしながら検討しましたが、ヤングケアラーは家庭内の生徒のプライベートに関わるデリケートな問題であり、記名式にすると生徒が実情を答えにくくなるおそれがあることから、今回の実態調査は、生徒が安心して回答でき、より正確な回答が得られるよう、無記名式のアンケート方法で実施することとしました。

 また、ヤングケアラーは、本人や家族に自覚がないといった理由から、支援が必要であっても表面化しにくいことが課題となっています。このため、ヤングケアラーである子供たちが独りで悩むことのないよう、調査の実施と併せて、県内の全中高生に啓発物資を配布して相談先を周知し、相談を呼びかけることとしています。

 さらに、ヤングケアラーへの支援に利用できる福祉の各種制度や相談先の手引を作成して教職員等に配布し周知するとともに、市町村でもヤングケアラー対応窓口を一本化することとしており、こうした取組を通じて学校現場における子供たちからの相談を早期に適切な支援につないでまいります。

○議長(森 礼子君) 杉山俊雄君。

  〔杉山俊雄君、登壇〕

○杉山俊雄君 答弁ありがとうございます。

 僕が感じるのは、さいたま市は、全国調査や埼玉県の調査では共有できない、すなわち誰であるかが分からない、だからあえて記名式にしたと、こういうふうに言っているんですよ。県は、学校現場から1人でも多くの者を福祉につなぐと言いながら無記名にして、無記名にすると誰であるかが分からない。何か言っていることとやっていることが違うなあと、こういうふうに感じました。

 さいたま市にちょっと電話をしたんです。県が心配しているように、無記名者がどれだけいるのかと尋ねたんです。そしたら何と、事前に親に手紙を出して理解を求めて、子供たちには趣旨を説明して、それからやったということで、無記名者はどうかというと、クラスに1人いるかいないかのパーセンテージだったと、こういうふうに。だから、何も心配することはないし、こういうふうに記名式にして、きちっと必要な子たちをつかむ、そういうことが一番、私は、やることに文句を言っているんじゃなくて、せっかく実態調査をするんだから記名にして、そういう必要な支援を求めている子たちをつかむ、それが一番いいことではないかなあと、こういうふうに思います。

 県は、どうしても何ていうか、相談を呼びかけて、それで待つ、相談に来るのを待つというんだけれど、そうじゃなくて、もっと積極的にそういう支援が必要な子供にアタックしていくというか把握していく、そういうことが私は非常に必要ではないかなあというふうに思います。

 今後このような、もう今、既に発注をしている段階で私の言うことはなかなか難しいというふうに思いますけれど、そういう機会があれば記名式にして、タブレット端末でやっても何もトラブルはなかったと、こういうふうに言っていますので、そういうことで利用するようなことも考えてやってほしいなということを要望して、質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手)

○議長(森 礼子君) 以上で、杉山俊雄君の質問が終了いたしました。

 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。

 この際、暫時休憩いたします。

  午前11時22分休憩

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  午後1時0分再開

○副議長(鈴木太雄君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 31番藤本眞利子君。

  〔藤本眞利子君、登壇〕(拍手)

○藤本眞利子君 こんにちは。

 ちょっと車椅子でこちらに運んでいただいたんですが、しばらくの間、御静聴よろしくお願いします。

 この間からの人間の可能性とか、挑戦することのすばらしさというふうなことを教えていただいたパラリンピックも終わったんですね。人間って、こんなふうに限界を超えられるんだなあというふうにも思って感動しました。

 皆さんは、「リアル」という漫画をお読みになったことあるでしょうか。「リアル」という漫画は、事故によって下半身不随になって自暴自棄になった主人公が、車椅子バスケットに出会うことで様々な困難に立ち向かっていく姿を描いている漫画なんですけど、もうすごく感動的な漫画でして、私、今まで漫画をいろいろ読んできましたけど、この「リアル」は一番だなあというふうに思っていますので、ぜひ皆さんも読んでください。

 8月の下旬に、ちょっとした不注意で左足足首にひびが入ってしまいまして、かれこれ3週間余りですか、大変不便な生活を強いられているんですけど、当初は痛くてどこにも行けませんでしたけど、まあ議会も始まりましたし、少しずつ回復に向かっているので、今日はこういうふうに登壇させていただいています。

 初めて車椅子という生活を体験させていただきましたので、少し余談ですけれども、ちょっとお話しさせてください。

 バリアフリーというふうに言われて久しいんですけど、生活の場面では、もう本当にバリアフリーになっている場所が少ないんです。そういうことを実感しました。自分の家でも、玄関から上り口、そして室内、そんなところに全部段差がありまして、もうともかく移動がほとほと困ったというふうなことでした。

 この議場も入れるかなあと大変不安に思っていたんですが、耐震の改修でその対応を取っていただいておりまして、こちらはバリアフリーで、ここまで車椅子が入れるというふうになっておりまして、大変ありがたいなあと思います。

 この際なんで、車椅子で庁内をずっと探索してみまして、車椅子でお越しになった県民の皆さんが、不自由なく各課室にというか、目的地に行けるかどうかをちょっとうろうろしてみました。

 そしたら、正面玄関はやっぱり使えないんですけど、駐車場で降りて西側通路から入館できます。だけど、ちょっと1人じゃ難しくて、やっぱりそんなときに手助けが必要だなあというふうに思いました。その後、エレベーターでも移動できますし、各階の通路も改善されていまして、どの課室へもスムーズに行くことができました。障害者用のトイレも整備されており、快適に使用することができるようになっています。

 ただ、県庁自体がもともと分かりにくい構造になっておりますので、迷子になりそうで、誰かのちょっとした手助けが必要だなあと感じました。

 私は、本当にたくさんの皆さんに助けていただきまして、もし県民の皆さんが車椅子でお越しになったときは、ちょっと声をかけてあげたりとか、ちょっとした手助けをしてあげるということがとっても助かるなあというふうに実感しました。

 県庁内はバリアフリーになっているんですが、一歩外に出るとバリアだらけですので、この点については、また、機会を改めて申し上げたいというふうに思います。

 それでは、議長のお許しを得ましたので、質問に入りたいというふうに思います。

 これは、黒田洋一郎さん、木村・黒田純子さんという両博士が2020年2月に出版された「発達障害の原因と発症メカニズム」という本です。(本を示す)著書の中では、発達障害の原因と発症メカニズムを脳神経科学から解明されており、予防、治療、療育の可能性を科学的知見とエビデンスに基づいて解明されています。

 黒田洋一郎博士は、もともと35年間、人の脳、殊に記憶、学習などの高次機能の分子(遺伝子)、それから細胞レベル、殊にシナプス可塑性の基礎研究を東京都神経科学総合研究所で行っていたそうですが、1990年前後から日本で行動に異常のある子供が増えていることに気づき、研究を始められたと書かれています。この著書の中で、両博士は、国内で発達障害が急増していることが社会問題になっていると指摘されています。

 黒田洋一郎、木村・黒田純子医学博士の指摘を受けるまでもなく、独立行政法人国立特別支援教育総合研究所が毎年実施している、通級による指導を受けている児童生徒数の推移という調査したグラフを今日は資料で出しているんですが、このグラフを見ていただいても、注意欠陥多動性障害、それから学習障害者、自閉症、情緒障害者の占める割合が、この10年間で2万1513人から9万1882人と4倍以上に増加していることが分かります。少子化が叫ばれ、小中学生、それから年々生徒が減少していることを思えば、この増加率は異常としか捉えることができません。

 私の校区でも、27学級ある学校ですが、特別支援学級が7学級もありまして、中学校においては、13学級中3学級が特別支援学級というふうに、もう過去に比べてその多さに驚きます。しかも、その特別支援学級の中身は、こういった発達に問題のある子供たちが占めているということであります。自分たちの周りでも実感として、そういった子供たちが増えているんじゃないかなあというふうなことが思われるわけです。

 博士が指摘されていることに、発達障害者急増には原因があるというふうに指摘されています。もともと疾患は、遺伝と環境が関わっており、発達障害にも遺伝的要因があるのですが、「このような急増は遺伝的要因だけでは考えられない」というふうにおっしゃっています。遺伝子が、日本人全体で短期間に変わるわけはありません。そうすると、環境要因が大きいと考えられます。環境要因であれば、変えることができます。そのことが、私は大変重要だというふうに思います。

 この50年、60年で、合成農薬、環境ホルモンを含むプラスチックなど、有害な環境化学物質が急増しています。学術論文でも、発達障害の原因になる可能性のある農薬や有害化学物質など、環境要因が発表されています。

 様々な環境要因の中でも、今回は農薬について少し御説明したいと思います。

 2012年、米国の小児科学会は、子供の農薬暴露による発達障害や脳腫瘍へのリスクについて、228編もの論文を引用して正式声明を出し、農薬暴露の危険性を警告しています。一つは、農薬などの環境化学物質が、子供の脳の発達に重要な遺伝子発現を攪乱することが実証されてきた。二つ目は、疫学研究でも、農薬の環境化学物質暴露と発達障害の相関関係を示す報告が集積されてきたことが挙げられます。

 次の表を見ていただきましたら、このデータは全く独立しておりまして、次のデータですが、右と左は全く違うところでつくられたものなんですが、右側のほうはOECDで、農薬使用量と自閉症の国際専門誌で発表されたデータをまとめただけのものです。

 これは、自閉性障害者及び広汎性発達障害の有病率と農業の人体汚染度の指標である単位面積当たりの農薬使用量を国別に比較したものですが、世界の先進国と言われる国で有病率に大きな差があります。農地面積当たり農薬使用量と見比べてみると、単位面積当たりの農薬使用量が世界1位と2位である韓国と日本が、自閉症の有病率でも、共に世界1位、2位となっています。農薬使用量が多い国順に自閉症の有病率が一致しているという、そういったデータであります。

 博士は、「農薬汚染は、一番脆弱な人の子供の脳の中で高次機能の発達を侵害し、自閉症など発達障害児の増加をもたらし、主な原因の可能性がある。これは偶然の一致とは思えない」とおっしゃっています。このデータをさらに統計学的に回帰分析し、両者を対数表示すると一直線できれいに近似され、自閉症と農薬使用の相関は確かなものになったというふうに、この本の中では述べられています。

 令和3年5月、農水省は、みどりの食料システム戦略を発表されまして、そこでは、ネオニコチノイド系を含む従来の殺虫剤に代わる新規農薬等の開発により、化学農薬の使用量の50%低減を打ち出しました。通称「ネオニコ農薬」の問題点は、これ水溶性でして、種子内部に浸透して、その農薬が成長した後も葉っぱとか茎にも広がって、殺虫効果が持続する浸透性農薬という点であります。洗えば落ちるという農薬ではなくて、その農薬をかけられた野菜なりが、毒が浸透されて、それを食べてしまうということが言われているんです。

 欧州食品安全機関は、ネオニコ農薬は発達神経毒性を持つ可能性があり、規制を強化すべきという科学的見解を発表しています。日本では、2050年度までに化学農薬使用量を50%低減すること、2050年度までに輸入原料や化石燃料を原料とした化学肥料の使用量30%の低減も盛り込みました。

 有機農業の達成目標として、EUでは2030年までに25%、日本は2050年までに25%としています。国が持続可能な農業にかじを切ったことは評価したいと思いますが、新たな農薬の開発や有機農業の25%達成がEUより20年も遅れることは、納得できない面もあり、個々には手放しで喜べないと思っています。それは、一刻も早い対応が求められていると思うからであります。

 「発達障害の原因と発症メカニズム」を執筆された黒田洋一郎、木村・黒田純子博士によると、日本では、その毒性から欧州ではほぼ禁止されている有機リン酸系農薬でさえ、減少しているが、いまだに使用されている。それに代わるネオニコ農薬の使用量は増加の一途である。2006年の論文では、日本の児童の3歳児の尿の検査で、約80%がネオニコ農薬に、100%が有機リン酸系農薬、ピレスロイド系農薬に汚染していたと記述されています。未来を担う子供たちが被るであろう脳の健康に関わる重大なことなので、持続可能な農業をどうしていくかという前に、今、予防原則に基づいた規制を行う段階にあると考えます。

 本質問では、県独自の規制まで踏み込みたいところではありますが、国のみどりの食料システム戦略をどう進めていくのかという議論の中で、ぜひこの点についての議論をしていただくことを要望しておきたいと思います。

 それを踏まえまして、まず、環境保全型農業の推進に向けた取組についてお伺いします。

 有機農業推進法が平成18年度に制定され、15年が経過しています。それに基づき、推進計画が策定されています。

 県として、有機農業を推進するために、一体これまでどのような取組をされてきたのか。有機農業に取り組む農業者の数や農地の面積は増加しているのか。有機農業を行う生産者にどのような支援を行ってきたのか。有機農業の推進に関するこれまでの県の取組について、農林水産部長にお伺いします。

○副議長(鈴木太雄君) ただいまの藤本眞利子君の質問に対する答弁を求めます。

 農林水産部長岩本和也君。

  〔岩本和也君、登壇〕

○農林水産部長(岩本和也君) 食の安全・安心や環境に対する意識の高まりを背景として、国内の有機食品の市場規模は拡大傾向にあり、本県では、和歌山県有機農業推進計画に基づき、農業者が有機栽培を含めた環境保全型農業に取り組みやすい環境づくりを推進しております。

 具体的には、環境保全型農業を進めていく段階として、県の慣行栽培基準に比べ、化学肥料、化学合成農薬の3割程度の削減を目標とするエコファーマー認定制度、5割以上削減を実践する特別栽培農産物認証制度、さらに、化学肥料、化学合成農薬を一切使用しない有機JAS認証の三つの制度を推進しております。

 また、環境保全型農業の実践者や興味を持つ農業者、JA、行政担当者等を対象に、県内各地域に設置した実証モデル園での技術交換会や、専門家を招いての土づくり研修会等を開催し、栽培技術の向上と普及に取り組んでおります。

 さらに、国の環境保全型農業直接支払交付金事業を活用し、有機農業や化学肥料、化学合成農薬の5割以上の低減と併せて、草生栽培などに取り組む農業者を支援しております。

 こうした取組の結果、10年前に比べ、本県の有機JAS認証の農家戸数は、約1割増えて101戸となり、また、栽培面積は約2倍の97ヘクタールに増加しております。

○副議長(鈴木太雄君) 藤本眞利子君。

  〔藤本眞利子君、議員待機席に着座のまま発言〕

○藤本眞利子君 すみません、議長、このままで。

○副議長(鈴木太雄君) そのままでどうぞ。

○藤本眞利子君 着座のままでお願いします。

 国内の有機食品というか、市場規模が拡大傾向にあるということですが、全体から見るとまだまだ少ない。これまでの取組の結果は、農家戸数がちょっと1割増えました。栽培面積は2倍の97ヘクタールということになりましたと御答弁いただきましたが、日本全体を見ると、有機農業の取組面積というのは、耕作面積のまだ0.5%ぐらいというふうにちょっとお聞きをしております。みどりの食料システム戦略の中では、この有機農業を2050年度までに25%にしていきたいとしているんですよね。そういった目標もやっぱり視野に入れて、新たな計画が必要だなあというふうに思います。

 それで、今回改定するというふうに伺っている有機農業推進計画のことについて、お伺いしたいというふうに思います。

 今年度、有機農業推進計画を改定するというふうにお聞きしておりまして、有機農業をさらに推進していくために、計画を改定していただきたいなあというふうに強く願っています。

 計画を改定するに当たっては、有機農業を推進するために、行政だけで策定するのではなくて、JA等の関係者はもちろんですが、有機農業生産者、学識経験者、学校関係者などの意見が反映されるような取組が必要と考えます。

 次の5年後の改定時まで数値目標を示すなど、具体的な取組を進めていけるような計画にしていただきたいと思いますが、今後の県の取組について、農林水産部長にお伺いします。

○副議長(鈴木太雄君) 農林水産部長。

  〔岩本和也君、登壇〕

○農林水産部長(岩本和也君) 国においては、令和2年4月に、有機農業の推進に関する法律に基づく「有機農業の推進に関する基本的な方針」を新たに示すとともに、令和3年5月にはみどりの食料システム戦略を策定し、有機農業の取組面積を評価指標とするなど、今後、有機農業を一層推進することとなっております。

 現行の和歌山県有機農業推進計画は、平成26年10月に策定したもので、有機農業を取り巻く状況も変化していることから、本年度、計画を見直すこととしております。

 見直しに当たっては、県内の有機農業実践者や有識者の意見を積極的に把握するとともに、関係機関と協議を行い、栽培技術の習得や有機農産物の販路拡大、消費者の啓発など、生産から消費拡大までを視野に入れた、本県の実情を踏まえた計画を策定したいと考えております。

 今後、新たな計画に定める数値目標等に基づき、生産者やJA、市町村と連携を図りながら、有機農業の推進に取り組んでまいります。

○副議長(鈴木太雄君) 藤本眞利子君。

  〔藤本眞利子君、議員待機席に着座のまま発言〕

○藤本眞利子君 今も御答弁で、改定するに当たっては、有機農業実践者とか有識者の意見を積極的に把握していただいて、関係機関と協議して策定していきたいというふうな御答弁をいただきました。

 推進計画を改定するための協議で終わるんではなくて、推進計画を改定したら、それを進めていかなくちゃいけないわけで、今後、有機農業を推進するために、やっぱりどんなにしていくかというふうな協議会を設立して、定期的にやっぱり今はどうなっているんだというふうな話合いを重ねていきながら、具体的に取組を一歩ずつ進めていっていただきたいなあというふうに強く要望しておきたいと思います。また、このことはまたの機会に譲ります。

 次に、この有機農産物を含めた地場産の農産物の学校給食への利用促進について、お伺いしたいというふうに思います。

 このことは、以前、鈴木議員さんも有機農産物の学校給食の質問をされたかと思うんですが、私も、昨年2月の議会において、私は除草剤のラウンドアップの主成分グリホサートの危険性を指摘させていただきまして、各国ではグリホサートの規制が進んでいますが、日本ではまだ残留農薬の基準を逆に緩和したというふうに聞いているんです。

 その質問の中で、「県下の小中学校、特別支援学校で使用される食材は、少しでも安全な有機食材を使っていただきたい」というふうに申し上げました。県下の子供たちが毎日食べる給食が有機野菜に変わることで、子供たちの農薬暴露が少しでも低減されることと信じるからです。食材の調達は、各市町村というより、各学校に任されている点も考慮して進めなければならないことは百も承知の上、どうすれば一歩でも前に進めることができるのか、私たち大人が真剣に考えていかなければならない問題だと思います。

 今治市では、1983年、40年も前から地産地消の学校給食をベースに、できることから一歩ずつ着実に実現を図ってきたそうです。今治市では、地産地消を進めると同時に、有機農業の普及に尽力され、有機野菜の使用率を35.8%まで引き上げています。現在、学校の食材の地産地消率は、米が100%、パンが60%、また、今治産有機野菜が35.8%、今治産一般野菜が29%というふうになっているそうです。お豆腐やうどんなど加工原料も徐々に地元産に切り替えて地産地消率を高めているそうであります。今治市の取組は、40年にわたる積み重ねの結果でありますが、その積み重ねの中に大きなヒントがあるように思います。

 今治市では、有機農業推進法が施行され、有機農業推進計画を策定するに当たって、有機農業を容易に取り組めるような施策、できた作物の流通を進める施策、消費者が入手しやすいような取組などを具体的に進め、その計画の中に学校給食に有機農産物を導入することを明示されました。そういった取組の成果は、学校給食だけではない医療施設、介護施設、飲食店などにも波及し、市民活動としての地産地消、有機農業への取組として表れています。

 2021年度からの第3次計画では、さらに有機農業の新規担い手の確保、安定的な品質・収量を確保できる生産技術の定着、有機農産物の消費拡大に重点を置いた計画の実現を図ることとなっています。法律は、活用しなければただの枠でしかありませんが、今治市では、この有機農業推進法を武器に新たなビジョンを示すまちづくりを発信しています。

 国では、食育基本法には、地産地消を推進するために、学校給食に地場産物を使うように推奨しています。食育基本法の第4次の計画では、学校給食地場産物使用促進事業を予算化し、盛り込みました。

 そこで質問です。

 先ほどから、農薬が子供の脳の発達に影響を及ぼしているであろうと申し上げてきました。県として、地産地消を進めると同時に、有機農産物を学校給食に導入することについて、どのような見解をお持ちなのか、また、有機農産物を含めた地場産農産物の学校給食への利用促進のためにどのような取組を進めるのか、農林水産部長にお伺いします。

○副議長(鈴木太雄君) 農林水産部長。

  〔岩本和也君、登壇〕

○農林水産部長(岩本和也君) 有機農産物を含め、地場産農産物を学校給食へ利用を促進することについてお答えいたします。

 県では、地産地消や食育の一環として、郷土の農林水産業や特産物などへの理解を深めることは大切であると考えており、学校給食における地場産農産物の利用率向上を目指して、平成29年に学校給食アクションプログラムを策定し、県教育委員会と協力しながら様々な取組を実施しております。

 しかし、学校給食には、一定の財源の中で食材の必要量を確保しなければならないといった調達面での条件があり、地場産農産物の価格面や供給量が折り合わないなど、その利用は伸び悩んでいるのが実情です。

 県では、このような課題に対処し、地場産農産物の利用の向上を図るため、市町村において、学校給食と農業の関係者で構成する協議会の設立を推進してきました。その結果、現在、県内の7市町で協議会が設立されており、協議会からの働きかけにより、学校側の提案に基づき地元農家が農産物を生産し、直売所等を通じて供給する仕組みができたことで、地場産農産物の利用が進んでおります。

 引き続き、こうした協議会の設置を各地域に広げ、地場産農産物が学校給食で円滑に利用される仕組みを構築するとともに、有機農業の振興を図ることで、議員御提案の学校給食での有機農産物を含めた地場産農産物の利用拡大を目指してまいります。

○副議長(鈴木太雄君) 藤本眞利子君。

  〔藤本眞利子君、議員待機席に着座のまま発言〕

○藤本眞利子君 本日、傍聴席のほうにたくさんのお母さん方が来られておりまして、このお母さん方は、子供たちに少しでも食の安全を進めていただきたいというふうな気持ち、そんな気持ちを持って、今回「食のことを聞くよ」というふうな声をかけさせていただいたところ、傍聴にお越しになった方々です。

 それで、食の安全に関する意識というのは年々高まっているように思います。今日お越しになった方の中には、無農薬で栽培した小麦でパンを焼いて学校給食に提供しているような方々もおられますし、月に1回でもいいんで有機農産物を使ってくださいというふうに、学校へお願いに行っている方もいらっしゃいます。体というのは食べ物でできているのだから、せめて、まあ大人はいいとして、成長する子供たちには少しでも安全なものを提供してほしいというふうに一生懸命運動されている方々が、今日の傍聴席にいらっしゃっているわけです。それほど、そのことについての関心が高いということを、まず、ちょっと県当局にも分かっていただきたいなあというふうに思います。

 価格面とか供給面で折り合いがつかないので、なかなかこういう利用が伸び悩んでいるというふうな答弁をされました。今後は、学校給食と農業関係者で構成する協議会を各地域に広げて、地場産農産物が学校給食で円滑に利用される仕組みを構築していきたいというふうにおっしゃっていただきました。

 そこで、各地域で協議会を設置していくことと並行して、先ほど言われた有機農業の推進計画のほうにも、学校給食に有機農産物を導入するというふうな、流通を促進するという意味も含めた項目を盛り込んでいただきたいなあというふうに思っているんです。そうすることで、結局、一つの課室で対応するんじゃなくて、横断的な取組が進むんじゃないかなあというふうに思っておりますので、この点については今回要望にしますけれども、また次回に取り上げたいと思います。

 できない、難しいという発想じゃなくて、どうやったらできるんだろう、子供らのためにどうやったらできるんだろうというふうなことを常に考えて、私は施策を進めていただきたいなというふうに強く願っています。この問題については以上です。

 次の質問に入りたいと思います。

 今度は、学校における法務相談の体制の充実についてお伺いしたいと思います。

 2018年に、日本弁護士連合会より、スクールロイヤーの整備を求める意見書が文科省に提出されたことをきっかけに、文科省も、2020年度より全国に300人のスクールロイヤーを配置する予算を確保いたしました。

 スクールロイヤーとは、ちょっと聞き慣れない言葉でありますが、教育に関して法的な解決を助言していただく弁護士を指しています。学校では、いじめ、不登校、体罰、事故等、日々の様々な問題が発生しています。しかも問題は、ますます深刻化、多様化しているのが現状です。

 最近でも、生徒同士のいじめ問題で、被害者の家族が加害者生徒を訴えて賠償金を請求するといった事例がありました。いじめについては、当事者、担任、保護者を交え、話合いを持って、指導したのはもちろんですが、それでは解決できなかったということです。被害者の気持ちも理解できます。一昔前やったら、弁護士を介して解決を図ろうという事例は少なかったように思うんですが、今は保護者の強い要求や要望が多様になって、いろんな問題が、弁護士に相談しなければならないという問題が増えているように思います。

 教員の人格にまで踏み込んだ事例もあると聞いておりまして、ある学校では、保護者が毎日学校に来られて、授業への介入や批判を繰り返したり、SNSで保護者同士が連絡を取り合いながら、教員を対象に個人攻撃をしたりするなど、学校が対応に苦慮している事例もあるようです。

 新潟市では、平成30年9月より、正式にスクールロイヤー制度を導入しています。教育委員会が窓口になっての相談はもちろんですが、学校からダイレクトにスクールロイヤーに相談できる仕組みを構築していることが特徴です。現場の声として、「学校がトラブルに直面したとき、早い段階からスクールロイヤーに相談することによって問題が整理され、解決のための手助けになった」、「学校ダイレクト相談という形態をつくってもらって、迅速に相談できるようになったのはよかった」等々、寄せられているということです。

 そこで、教育委員会として、スクールロイヤーに象徴されるような学校における法務相談体制はどうなっているのか、教育長にお伺いします。

○副議長(鈴木太雄君) 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 今日、学校が対応している事案は多様化、複雑化しており、法務相談の必要性が高まっています。

 そのため、県教育委員会では、平成25年度から、学校だけでは解決することが困難と判断された事案について、対応策を検討し、助言する学校サポートチームを設置し、対応を行ってまいりました。

 令和2年度からは、直接的な助言や指導を行う機能を持たせたタスクフォースへと発展的に改編し、学校からの身近な相談や緊急の問題に対し、弁護士や臨床心理士、社会福祉士、教員経験者などの専門家チームが迅速な事案の解決に向けた支援を行っています。

 事例として、SNSに端を発する生徒間のトラブルが複雑化し、解決の糸口を見いだすことが困難な場合、弁護士と臨床心理士を派遣し、法的な助言や当該生徒、保護者を含む関係者への心理的なサポートに対するアドバイスを行います。専門家チームによるこうした多面的な支援は、問題の早期解決や学校の対応力向上につながっています。

 県教育委員会では、県立学校や市町村教育委員会がより身近に相談できるよう、校長会や教育長会等を通じて、タスクフォースの活用について周知を行ってまいります。

○副議長(鈴木太雄君) 藤本眞利子君。

  〔藤本眞利子君、議員待機席に着座のまま発言〕

○藤本眞利子君 昨年度から、タスクフォースを設置されて取組を始められているということです。

 学校でいろんな出来事が起こりますよね。今起こったことをすぐに相談できるというふうな、そんなことが求められていると思うんです。週に1回でも、そういった弁護士さんでも巡回してくれたらありがたいなあというふうな声も聞かれます。でも、タスクフォースということをつくっていただいたので、周知をしっかりしていただいて、どんなことでも相談ができるよというふうな体制を整えていただけるようにお願いして、この問題を終えたいと思います。

 最後に、GIGAスクールの構想について要望させていただきます。

 GIGAスクール、いろんな議員さんからもいろいろと御意見があったんですが、ちょっと私も要望したいというふうに思います。

 今さら言うまでもありませんが、GIGAというのがGlobal and Innovation Gateway for Allの略で、全国の小・中学校の児童生徒に1人1台のパソコンと、全国の学校に高速大容量の通信ネットワークを整備して、多様な子供たちに、個別最適化された創造性を育む教育を実現しようというふうな構想でした。

 2019年度から5年をかけて行われる予定だったGIGAスクールの構想は、コロナ禍の影響で前倒しされまして、2021年の現在、県内全ての学校の児童生徒にパソコンが配付され、学校の通信ネットワークも整備され、授業や家庭学習に活用できる条件が整い、今に至っています。しかし、急を要した整備で、生徒も教師も保護者も、その変化に追いつけないでいる現状があちこちで散見されます。

 デジタル庁、これ、まだ準備中ですけど、このデジタル庁が7月1日から7月31日まで、GIGAスクール構想に関する教育関係者の皆様へのアンケート及びタブレットについてのアンケートが実施されまして、何と総回答数が26万件、もうすごい数が取りまとめられまして、9月3日に公開されています。

 全国から26万件もの回答が寄せられた背景には、急ごしらえのため、様々な面でまだまだ改善していかなければならない課題が多々あることを私は表していると思います。また、回答を見る限りでは、県下の状況も同じようなもんだなあというふうに実感しました。

 中でも、よく言われるのは、各学校にICT支援員を配置していただきたいということです。現状は、ICT支援員がそんなに各学校にいないので、オンライン授業の際の設定とか、そういうのがうまくいかなかったときなどに、そんなときは、専門的な知識のある先生もいらっしゃるので、そうした特定の教職員の方に業務負担が偏ってしまうという現状があるんですね。私なんか全然駄目ですから、多分その先生に頼ってしまうというふうに思うんですが、その先生も自分の授業をほっとくわけにもいかないので苦慮しているというふうに聞いています。

 それから、教科でのICTの効果的な活用方法が分からないという回答も多くて、教職員に向けての研修もされていると思うんですけど、もっと必要があると思います。日々の授業の準備だけでも大変な状況で、これをどんなふうに進めていくか、今後、教育委員会にもしっかり課題として受け止めていただきたいというふうに思います。

 それから、教職員のタブレットが1人1台ないんですよね。生徒にはあったんですけど、先生にはないんです。だから、教職員は、昔からの古い、成績のそういった処理をする、パソコンは持っているんですけど、生徒の端末と違っているので、もうすごい指導がやりにくいというふうな話も聞いています。先生にもぜひ、これ、生徒と同じようなものを配付していただけたらなと思っています。

 それから、全ての学校にネット環境が整っているわけでなく、これはよく言われています。各児童生徒の家庭の事情が違うので、教育格差が広がるんじゃないかというふうな懸念が拭えません。

 それから、授業中に端末を利用するんですが、休憩中にアニメとかゲームとか動画サイト、こんなのを見ることが可能なために、そんなものを見ているわけですね、生徒たちは。そんなときに、情報モラルとか情報リテラシーの周知、どんなときにそれを使って、これは、YouTubeばかり見ていたらあかんぞということを、そういうこともやっぱり指導しなくちゃいけない必要があるんじゃないかと思いました。

 このGIGAスクール構想については、もうこの26万件のアンケートをいただいて、関係大臣から共同のメッセージが出されております。これは、「子供達一人一人のニーズに合った教育の実現や非常時における学びの保障には、教職員や保護者のみならず、各自治体、民間事業者など幅広い関係者による、ハード・ソフト・人材一体となった環境整備が不可欠です。これからも、より一層の御協力を心からお願い申し上げます」というふうな共同メッセージも出されております。

 そういうことで、教育委員会には、県下の現状をやっぱりしっかりと把握していただいて、引き続き、国にしっかりとやっぱり要望を上げていただいて、予算をしっかり獲得していただいて、先生たちが、この問題だけじゃないですけど、教育活動にしっかり専念ができる仕組みづくりを進めていっていただきたいというふうに要望いたします。

 つくづく教育のスキルというか、やり方が全然違っているなと実感しておりまして、そのうち、今日のこういった要望とかも過去のものになっていく時代が来るんかなあと。それから、GIGAスクール構想なんていうことを言わなくても、こういったことが当たり前の時代になっていくんだろうなあというふうに思っていまして、すごい転換の時代がやってきたなあと思っているんです。だけど、ICTというのはあくまでも手段ですよね、手段。それを使いこなすことによって一人の人間を育てていくという、教育というのはそういうことですから、そこはしっかりとやっぱり押さえながら教育を進めていただきたいなあということをお願いして、今回の質問を終わりたいと思います。どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)

○副議長(鈴木太雄君) 以上で、藤本眞利子君の質問が終了いたしました。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 14番濱口太史君。

  〔濱口太史君、登壇〕(拍手)

○濱口太史君 皆さん、こんにちは。

 本日最後の登壇者となります。いましばらくのお付き合いをよろしくお願いいたします。

 初めに、新型コロナウイルス感染症で亡くなられた方々に心からお悔やみを申し上げます。そして、現在感染されている方々、後遺症に苦しまれている方々にお見舞いを申し上げます。また、医療現場で献身的に対応されている従事者や関係者の皆様に敬意を表します。

 それでは、議長のお許しをいただきましたので、質問を始めさせていただきます。

 まず一つ目、本県の新型コロナウイルス感染症対策がもたらした影響について、その一つ目に、本県における緊急事態措置やまん延防止等重点措置の考え方を知事にお尋ねいたしたいと思います。

 まさに見えない敵、新型コロナウイルス、感染拡大が収まったかと思えば、それもつかの間、新たな変異株の出現で再び感染拡大に転じ、医療現場や保健所は混乱を来し、国民には警戒と行動の制約を呼びかける、そんな状況が繰り返されています。

 そんな中、全国の感染対策と比べると、本県の保健医療行政の取組が優れていることは確かであり、一般の方、特に疾患を抱える患者などは安心して生活や仕事ができる状況であることから、評価も高く、こうした状況に多くの県民は感謝しております。ワクチン接種の効果もあり、特に高齢者への感染が少なくなるなど、いつまでもウイルスが消滅しない中でも、少しずつではありますが、日常に戻る兆しも感じられます。

 本県でも、猛威を振るった第5波の感染拡大もピークを越えて、ようやく落ち着きを見せつつありますが、政府は、9月12日までとしていた21都道府県に発令中の緊急事態宣言について、東京、大阪など19都道府県においては30日まで延長されています。

 そのことは、感染拡大が少ない本県にとって、対岸の火事のように県民は感じていると思いきや、まちの声を聞きますと、意外にも、不安や疑問を訴える声が行政や我々議員にも多く寄せられます。つまり、やはり怖いのは対岸の火事が飛び火してくることなのです。もちろん、知事にも多くの声が寄せられているとは思いますが、改めて代弁させていただきます。

 さて、他府県からの来県者は、感染拡大の封じ込めが功を奏している和歌山県なら、ウイルスが存在する確率が低く、規制もきつくもないし、安心して行動ができるのであろうと考えているかもしれませんが、いずれにしても、行き交う車の他府県ナンバーを見る限り、増えている印象を受けます。平時であれば歓迎すべきところではありますが、コロナ禍ではそうとはいかず、県民は、ウイルスを持ち込まれるのではないかという警戒心が先に立ち、不安を抱いてしまいます。また、県民に対しても、宣言等が発令されている地域を訪れることを極力控えてもらうお願いもされていますが、理由は全く同じで、持って帰ってこないでくださいであります。

 一方、人の動きを止めるための制約に対する経済活動の代償として、地域に指定されれば国から財政的措置を受けられるので、本県も同じように指定地域にしてほしいと願っている事業者も多くおります。

 報道などで、宣言指定地域の飲食店では、時短要請が出されて、それに応じれば協力金が支払われていると聞くと、宣言指定以外の地域の飲食店としては、営業していてもお客が敬遠して来店してくれない状況はどこも同じなのに、国からの支援に差が出ることに不公平さを感じるという事業者も少なくありません。

 私の地元、新宮市での話をしますと、隣の三重県には緊急事態宣言が発令されており、飲食店が時短要請に応じれば、店舗の規模などに応じて1日4万円から10万円までの協力金が支給されます。しかし、商圏でいえば同じ地域である新宮市内の飲食店では、支給されることはありません。和歌山県も三重県も縦に長い地域で、感染者が多い地域は都市部に近い北部から中部に集中し、両県とも南部には感染者が少ない状況です。それにもかかわらず、「なぜ三重県の隣のまちでは支給されて、和歌山県では支給されないのか。不公平だと思いませんか」、そのような切実な声が後を絶ちません。そのような話は、特に通勤などで大阪との往来をされる住民が多い橋本市や岩出市などでも同様だと聞いております。

 まだ第4波のときは、そのような訴えに、「本県は感染拡大を抑えることができているので、宣言指定地域にはならない。その代わり、知事や県には別の形で支援をお願いしているので、理解してほしい」と説明してきました。実際に県では、飲食業や宿泊業などへの支援金を2度実施していただき、「大変助かった」、「勇気づけられた」との声も多く、今議会でも、3度目の支援金実施のための補正予算が上程されるなど、様々な支援策を講じています。しかし、本県でも感染爆発した第5波のピーク時は、病床使用率も一時期90%を超えました。「この状況でも県は国に要請すらしてくれないのはなぜなのか」と言われたときに、返す言葉が見当たりませんでした。

 県の支援金は、固定経費や人件費の補助に役立ててもらっていますが、決してそれで利益が得られるわけではありません。これだけコロナ禍が長期化し、まだまだ先の見えない状況で、悪化する経営状態は日に日に重症化し、事業者も従業員も徐々に気力も体力も失われ、頼るところは行政しかありません。したがって、他府県で時短要請の協力金が支給されていると聞けば、やはり同じようにしてもらえないのかと考えるのは当然の心情だと思います。

 感染拡大防止対策が成功している和歌山県であるがゆえに、述べてきたような別の意味での不安感、不公平感が県民に生じていることも事実であります。

 そもそも、緊急事態措置やまん延防止等重点措置を政府が指定する目的とは何でしょうか。県当局の説明を聞く限り、新型コロナウイルス感染症が拡大すると地域の医療供給体制が崩壊してしまうので、それを防ぐために、地域住民の移動や接触を抑制する目的で指定するものという解釈をしています。それはそのとおりだと思いますが、県民の中には、県境をまたぐ移動に対して強制力はないと理解しているものの、本県も宣言地域に指定してもらえば、他府県からの来県、あるいは往来をしようという県民の考えにブレーキがかかるのではないかと考えることから、要望する声が多いのだと推察いたします。

 こういった事情も踏まえていただき、本県における緊急事態措置やまん延防止等重点措置に対する考え方や、当然、国ともやり取りを行っていることと思いますので、要請するに至らない判断理由の説明を改めて知事から県民に聞かせていただき、その周知を図っていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○副議長(鈴木太雄君) ただいまの濱口太史君の質問に対する答弁を求めます。

 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 県民の皆さんの一部に、他府県では緊急事態宣言とかまん延防止等重点措置とかやっているんだから、和歌山県もしたらどうか、何をぼやぼやしているのかというような議論がございます。たくさん投書も参ります。

 最近は、そういう人にも、知事メッセージなんかにちゃんと書いてありますから、読んでくださいねというようなお返事を丁寧に説明しておりますので、かなりその手の話が減ってまいりましたが、県民の皆さんが、感染者が大変多くなって心配している、あるいはなかなか終息しないことにいら立っておられるというのはよく分かるわけでございます。

 濱口県議におかれましては、こういう声をちゃんとよく聞いておられるということで、評価を申し上げたいというふうに思います。

 投書者の中にはこんな人もおりまして、何とか自分にたくさんお金をもらえんかということで、「つべこべ言ってないでやれ」とか言うような人もいるんですが、以下申し上げましたように、なかなかやろうと思ってもできないというところもあるわけであります。

 どうやら、第一に、多くの方々は、緊急事態宣言を出すこと、まん延防止等重点措置の対象地域に指定されることが、それ自体、感染防止になるとお考えの人がいると思います。

 しかし、現実に対象となった地域で、新型コロナの感染がますます盛んというところもあります。対象となっていないところがぐっと減ったというところもあって、どちらかというと後半のほうが多いわけであります。

 マスコミも、こういう話というのは分かりやすいので、対象になるかならないかだけをフォーカスいたします。こういうニュースだけを見ている人は、宣言を早く出してくれと、要請しないのは対策を怠けているように見えるのではないかなというふうに思います。

 しかし、対象になること自体は、当該地域の人々にショックを与えるという効果はあると思いますけれども、和歌山県民はそんなショックを与えないとどうしようもないというような方々であるとは、私はあんまり考えておりません。

 また、和歌山県にこういうときに来る方が、宣言が出ているか出ていないかで、来るか来ないかというふうに考えるとはどうも思えなくて、むしろ感染状況が現実にどうなっているかというようなことは、ひょっとしたら、本来ならば県外に出てはいけないんだけど、出ちゃおうかなというときの考えの根拠になるということではないかなあというふうに思っているわけでございます。

 さっき怠けているんじゃないかという話を言われていると申し上げましたが、和歌山県では、およそ考えられる全ての手は打っているのでございまして、それ以外は実は、先ほど申し上げましたようにできない。やろうと思ってもできないからできないということなんであります。

 先ほどの話に戻りますと、大事なことは、宣言を出す、出さない、指定をする、しないではありませんので、緊急事態措置とかまん延防止等重点措置として何をするかというわけであります。すなわち、宣言を出す、出さないのではなくて、どういう措置をするかが大事なのでございます。

 その前提で申しますと、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置に係る区域の指定は政府でございます。政府には政府の指定をするときの考えとか基準がありますので、頼めば指定をしてくれるというわけではありません。現在の政府は、どちらかというとあまりしたくないほうで、ぎりぎりと審査をしているようであります。

 しかしながら、大事なことは、指定されたときのその措置、すなわち対策は知事がやらなければならないということになっているわけでございます。もちろんその際に、基本的対処方針という国が決めたものがございまして、それに縛られるというところはあるんですが、いずれにしても知事がやらなきゃいけないということなんでございます。

 実は今、和歌山県が県民にお願いをしている外出自粛は、緊急事態宣言などの指定がなくても知事ができます。その他、休業要請、時短、イベント、観光抑制などについても全て知事ができます。ただし、緊急事態宣言が出ている地域でも、そうでない地域でも、強制力が弱いというのは日本の特色でございます。

 では、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の対象区域に指定された場合にどうなるかというと、現在の考え方だと、時短とか休業要請の強制が伴います。とりわけ、お酒を出すなという強制が伴っております。特に、現在、お酒については強制が厳しいので、お酒を出す店は休業ですということになるわけでございます。そして、休業要請や時短要請をしたときの協力金の国から頂ける単価が違うわけであります。

 そうなると、感染症対策をした上で頑張っておられる飲食店、あるいは家族客や常連客で何とかやりくりしているお店も、一気にお酒の提供ができなくなりますから、ましてや、はやらなくなって、ひょっとしたら自発的休業等に追い込むことになるわけであります。

 ある人が嫌だとか、中には、ほとんどの人が嫌だと言っても、やれということになるわけでございます。これが緊急事態宣言というものでございます。

 それでも、ここで感染が一番ひどいんだ、特に飲食店のお酒を出すことが一番悪いことなんだというふうに実証でき、ここさえ止めれば、あとは大したことはないということであれば、思い切ってやるのも私は正しいと思いますが、県内の飲食店で実際にうつしたというケースは、田辺のあのクラスター、最近起こりましたかなり大きなクラスターを入れても、全体としては僅かでございます。

 したがって、その飲食店に鉄槌を下すようになってしまうということは、これはどうかなあというふうに今の事態では思っているわけであります。

 そういう、先ほどの緊急事態宣言とかまん延防止等重点措置のことについて、おまけに言いますと、こういう人流抑制以上に、私は大事なことがある。保健医療行政や保健所の積極的な疫学調査、あるいは病床の確保、こういうものをやる、あるいは医療体制を整備する、そういうことは、緊急事態宣言と実は法的に何の関係もないというふうに現状はなっていて、これは、私は本当に大問題だというふうに思うわけであります。

 ということでございますけれども、仮に、今度は私が宣言をしてもらいたいと思ったといたします。要請を出すとどうなるかということなんですが、そこで緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の区域にしていただけるかというと、政府の現在の考え方では難しいかと思います。というのは、和歌山県の感染者は最大のときでも、全国的には大したことではないんですけど、例えば近隣で滋賀県とか三重県などと比べても何分の1かでありまして、しかも入院率は100%、全員入院が、そのときでも、今でもまだ達成されているところはほかにないわけでございますから、和歌山県を指定するとしましたら、全ての県を指定しなければならないということになるからであります。

 指定をされたいので、もっと感染者を増やしたいなんていうことを考える人は、それは絶対にないということになるわけでございまして、例えば入院率100%というのは、全国的に見たら、これは病床占有率に物すごく絡んでくるんです。和歌山県の病床占有率が一時96.5%まで行ったということは御指摘のとおりなんですが、そのときですら、実は入院率100%を全国平均並みにしたら、10%あるかないかに換算できるんです。

 そういう中で、「和歌山やってよ」と言っても、これはなかなか難しい。実は前回、ちょっとそういうことを試したことがあるんですが、全く相手にされなかったということもございまして、もう要するにできないわけなんでございます。

 そういうことでございますので、それでも、できないとはいえ、飲食店は全く感染上問題がないか、あるいはこれから問題になってくるんじゃないかと常に心配でございます。したがって、大変言葉は悪いんですけども、いろんな手段を用いて飲食店街の動向をウオッチさせていただいています。その結果、今は、夜が更けてからの客数は大変低調であります。県外の人も結構いるじゃないかという議論がありました。しかし、8月半ば以降、急減しております。

 さっき言いましたように、お酒も出しながら、常連の方々を中心に細々といろんな形で仕事を続けている方に、店を閉めるか、お酒を出さないで夕方までだけの営業にせよなどと、とても言えないというのが現状であります。

 それでも、私の店はどうせはやっていないんだから、もうこの際、そんな理屈を言っていないで、店を閉めるのでお金をよこせという方もひょっとしたら考えられるかもしれませんが、それじゃあ、そういうことができるかというと、はやっていなくて、すなわち感染拡大も考えられないお店にわざと休業要請をして、そしてお金を──県民のお金ですから──お払いするというのもちょっと難しいということもあって、これもできないということでございます。

 したがって、お金を差し上げるのならば、困っている人みんなに差し上げたいということで、困っている程度に応じて差し上げるような予算措置を今回お願いしているという状況でございます。

 ただし、和歌山県でも、今これ現状でそういうことだからということなんでございますが、仮に、我々の努力が足りなくて、感染が大爆発をして、まん延防止等重点措置などを要請しなきゃいかん。要請して、もう一段徹底的な、現在のような形じゃなくてもっときつい自粛や営業停止、時短の要請などしないと、もうどうしようもなくなるということになる可能性だって、それは絶対にないとは言えないわけでございます。そうなったときは、とても今のままでいられないわけでありまして、県民生活をシャットアウトしても、とにかく感染拡大を防がなければならなくなると思います。

 そういうときは、ちゅうちょなくその要請をして、政府にお願いしたいというふうに思っております。

○副議長(鈴木太雄君) 濱口太史君。

  〔濱口太史君、登壇〕

○濱口太史君 ただいまの知事の説明を踏まえまして、では、可能性のある支援の取組ということでお話をさせていただきたいと思います。

 特に大きな打撃を受けている飲食店の状況を打開するための支援について、要望させていただきたいと思います。

 長引くコロナ禍で、売上げが大幅に減少されている業種は数多いと認識していますが、お客がマスクを外さなければならない飲食業界は、特に感染リスクが高いとされています。感染が拡大している地域では、宴会など大勢での会食、酒類の提供、深夜遅くまでの営業などに制限がかかっておりますが、そのイメージが本県でも浸透してしまい、それがもとで客離れによる経営難の危機的状況に陥っていると言えます。

 経営者の立場では、利益確保が当然重要なことではありますが、例えば、常連客以外の他府県からと思われるお客に対しては、もし感染者だとしたら大変なことになるという懸念から、ほかのお客やスタッフの人命を優先と考え、入り口に「一見様の入店をお断りします」などの貼り紙で、せっかくの新規客であるにもかかわらず、入店を余儀なく制限しています。

 感染防止マニュアルに従い、席数を減らし、アクリル板、空気清浄機、また、入り口に消毒用アルコールや体温計を備えるなどしているにもかかわらず、地域において感染拡大の傾向が見られると、不要不急の外出は控えるよう行政としては呼びかけなくてはなりません。しかし、その呼びかけが、不特定の人が集まる店の利用や大人数の会食は控え、なるべく飲食は家で行ってくださいというメッセージにも受け取れてしまいます。それでは、店側が費用をかけ、補助金を活用して講じた感染防止対策は何のためだったのか、利益確保と自己犠牲、倫理のはざまに立たされる飲食店の苦悩は深刻さを増しており、どこまで踏ん張ればよいのか、全く先が見えない状況との悲痛な声です。

 その状況から救済すべく、県独自の支援金、補助金、給付金、融資制度などのほか、国の財政支援に上乗せするなど、飲食業界をはじめ県内の事業所への支援策をこれまでにも現在も実施されていますが、さらなる支援策のお願いを3点申し上げたいと思います。

 1点目は、現在実施している飲食・宿泊・サービス業等支援金のような飲食事業者を下支えする支援制度を継続していただきたいということです。

 県民へのワクチン接種が順調に進み、大方の県民への接種が完了したとしても、重症化には効果はありますが、感染を完全に防止できるものではないと言われています。やはり特効薬の完成に期待を寄せますが、まだまだ時間を要すると思われます。

 また、直近の第5波は収まりつつあるものの、感染力が強い変異株が世界各地で発生しているため、今後、第6波、第7波がやってくるという懸念もあります。この先、コロナ禍がまだまだ長期化すると想定すると、重症化し、継続が危ぶまれる飲食店の増加は避けられないでしょう。現在実施している支援制度の継続をお願いいたします。

 2点目は、県として、さらなる事業者支援を行うその財源確保のため、国への要望にさらに力を注いでいただきたいということです。

 自由民主党和歌山県連では、去る9月11日、我々を代表して山下直也幹事長、藤山将材政務調査会長、岸本健総務会長の3名が菅首相とリモート対談を行い、県内の飲食業などの事業所の苦しい状況を訴え、新型コロナで影響を受けている事業者への助成金の支給要件や単価などを緊急事態宣言区域と同じ条件にすることなど、地域格差の是正を要望いたしました。

 このことを踏まえ、県としましても、引き続きしっかりと国への要望を行っていただきたいと思います。

 3点目は、今後、新型コロナの感染状況が落ち着いた際に、飲食店を盛り上げるべく、規制を緩和させ、安心して飲食店を利用してもらえる雰囲気をつくり出すための呼び水となるようなメッセージを、知事をはじめ県から発信していただきたいということです。

 政府は、10月から11月には希望者全員のワクチン接種が完了するとの見通しで、飲食、イベント、旅行など、社会活動の正常化の道筋をつけていく方針を示しました。例えば、第三者認証を受けた飲食店では、営業時間や酒類提供の制限、会食の人数制限を緩和していくとのことです。飲食業界にお客を呼び戻すために、緩和が始まると気が緩み、リバウンドにつながるなど、医療現場から警鐘を鳴らす声もあるそうですので、認証制度の周知徹底を行い、店内の安全を十分確保した上で外食ムードを高める必要があります。

 そこで、県民に対する知事のメッセージには大きな影響力がありますので、タイミングを見計らい、ぜひとも後押しとなる発信をお願いいたします。

 大きな打撃を受けている飲食店の状況を打開するための支援として、以上3点を要望しますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。

 それでは、続いて、次の項目に入らせていただきます。

 紀伊半島大水害から10年が経過してという大項目から進めていきます。

 ここ数年、日本だけでなく、世界中での雨の降り方に変化が見られ、各地で豪雨による災害が頻発しています。その大きな要因が、地球温暖化による海水温の上昇と言われています。その影響で、今がシーズンでもある台風は大型化し、また、台風でなくても、最近よく耳にする線状降水帯がもたらす大量の雨が土砂災害や水害を引き起こし、全国各地で甚大な被害が後を絶ちません。

 本県でも、平成23年9月に台風12号による紀伊半島大水害が発生し、長時間にわたり降り続いた大量の雨が山腹崩壊、河川の氾濫、道路の冠水、家屋への浸水などを引き起こし、多くの人命や家屋などが甚大な被害に見舞われました。あれから10年が経過したのであります。謹んで犠牲になられた方々に哀悼の意を表します。

 さて、テレビやラジオ、新聞等でも大水害発生当時の状況を振り返るとともに、犠牲者への慰霊の様子や各地の復旧の状況などが連日、報道されておりました。

 そこで、その後10年間で、どのような復旧工事並びに防災のための整備が行われているのか、また、二度と同じ犠牲を出さないため、教訓を生かすためにどのような取組を行っているのか、ハード・ソフトの両面から確認をしたいと思います。

 まず一つ目、熊野川の河川事業の進捗状況についてであります。

 熊野川では、河川の氾濫による甚大な被害が発生しました。その後、熊野川の河口付近においては、国直轄事業で堆積土砂のしゅんせつ作業、川幅の拡幅工事が行われました。また、豪雨が予想される際に下流への流量を低減させるため、ダムにおける水位をこれまでよりさらに下げてもらう、いわゆる事前放流を電源開発に要請するなど、あらゆる改善を行っていただきました。

 そこで、県土整備部長にお尋ねします。

 大水害から10年が経過した現在、熊野川町日足地区における輪中堤整備をはじめ、熊野川における県の河川整備の進捗状況について、工事内容、完成見込みなどをお示しください。

○副議長(鈴木太雄君) 県土整備部長安部勝也君。

  〔安部勝也君、登壇〕

○県土整備部長(安部勝也君) 熊野川の県管理区間では、浸水被害の軽減を図るため、主に河道掘削や輪中堤の堤防の整備を行っています。

 まず、河道掘削については、紀伊半島大水害以降の10年間で、日足地区や本宮地区等で約78万立方メートルを掘削しました。これに、田辺市による河道掘削、民間企業による砂利採取、県による支川の河道掘削を含めると約182万立方メートルに達します。これは、10トントラックの37万台分に相当します。

 次に、輪中堤整備については、日足地区で令和3年6月に約3メートルのかさ上げとなる築堤盛土が概成し、現在、令和4年度の完成を目指して、護岸工事や道路の付け替え工事を進めています。また、隣接する能城山本地区においては、今年度から用地買収に着手したところであり、早期に工事に着手できるよう地元と協力してまいります。

○副議長(鈴木太雄君) 濱口太史君。

  〔濱口太史君、登壇〕

○濱口太史君 続きまして、那智川の河川事業と流域における砂防事業の進捗状況について、お尋ねをいたします。

 那智川では、下流において、溢水による家屋浸水やJR紀勢本線の那智川橋梁の落橋が発生しました。また、各支川で土石流が同時に多発し、流域が甚大な被害に見舞われました。その後、国の直轄砂防事業により、砂防堰堤や遊砂地の整備が計画されました。

 那智川における河川整備並びに流域における国の砂防事業の完成状況について、併せて、まだ継続中の工事についても、工事内容、完成見込みなどをお示しください。県土整備部長にお願いいたします。

○副議長(鈴木太雄君) 県土整備部長。

  〔安部勝也君、登壇〕

○県土整備部長(安部勝也君) 那智川下流部では、災害復旧助成事業を活用して、護岸等の原形復旧と併せて、河口から天女川合流点までの約3.6キロ区間において、川幅を最大7メートル程度広げ、川底を最大3メートルまで掘り下げる工事を平成28年度までに完了させたところです。

 また、中流部では、国が直轄砂防事業として工事を進めており、那智川支川において17基の砂防堰堤と1基の遊砂地、那智川本川において2基の遊砂地の計20基が計画されており、これまで支川の15基が完成したところです。

 残る5基のうち、今年度は、おおむね5年後の完成を目標に、本川の2基と支川金山谷川の1基の整備が進められております。なお、未着手である金山谷川と鳴子谷川に残るそれぞれ1基の砂防堰堤についても、国に対して、早期に工事に着手するよう働きかけてまいります。

○副議長(鈴木太雄君) 濱口太史君。

  〔濱口太史君、登壇〕

○濱口太史君 二つの川につきましての整備状況を御説明いただきました。

 続きまして、三つ目、災害を教訓とした土砂災害啓発センターや大規模土砂災害対策技術センターの活動状況について、お尋ねをいたします。

 災害の教訓を生かし、防災意識の向上を目的とした土砂災害啓発センターが平成28年4月に那智勝浦町に開設されて、はや5年が経過しています。

 1階には、パネルや映像、土石流模型実験装置などの実験機材が設置され、土砂災害に関する啓発が行えるほか、県内外の自治会や自主防災組織などの各種団体を対象とした土砂災害に関する啓発研修を実施しております。

 また、小学校、中学校等での出前防災教育を積極的に実施しており、学校周辺の地形や土砂災害警戒区域等のハザード情報を盛り込んだオリジナルのハザードマップづくり等、各学校の実情に沿った資料の作成等を行い、自分事として、土砂災害について考えてもらう授業を実施しております。

 2階には、大規模土砂災害対策技術センターがあります。土砂災害に関する高度な知見を有する大学や研究機関との連携を取りつつ、深層崩壊のメカニズムを研究解明することで、より効果的な防災対策につなげるための活動が行われています。また、国土技術政策総合研究所の研究官の指導の下、和歌山県内で発生した土砂災害の調査を行っています。

 そこで、土砂災害啓発センターの利用状況、啓発活動の内容など、また、大規模土砂災害対策技術センターにおける研究成果などについて、県土整備部長にお尋ねをいたします。

○副議長(鈴木太雄君) 県土整備部長。

  〔安部勝也君、登壇〕

○県土整備部長(安部勝也君) 県の啓発センターの利用状況ですが、過去5年間で、県外や中国等海外も含めて総計470の団体が利用しています。

 活動内容については、令和元年度より、これまで40の小中学校に対し、授業の一環として防災教育を行っており、今後は県下全域に広げる予定です。

 また、土砂災害警戒区域を空中から確認できる動画を作成するといった様々なコンテンツを開発し、無料で配信するなど、自然災害による被害を軽減させる活動を実施しています。

 次に、国の技術センターの研究成果としては、深層崩壊の発生メカニズムの解明、発生要因を把握するための調査技術の開発、崖崩れの発生危険度評価手法の開発が挙げられ、それらは、砂防学会等における125件の研究発表や39件の論文として国内外に発信されています。

 また、近年では、これら研究以外に、ドローンを活用した調査手法に関する最新技術の開発が行われています。

○副議長(鈴木太雄君) 濱口太史君。

  〔濱口太史君、登壇〕

○濱口太史君 御答弁をいただきました。

 実は、啓発センターの近くの、大水害で甚大な被害を受けました那智勝浦町立市野々小学校では、児童1名が亡くなりましたが、その後は、災害時の教訓を後世に生かすため、様々な防災学習や取組が行われておりまして、そのセンターのほうからも度々おいでいただいて、授業をしていただいているということです。大変、学校関係者も喜んでおりましたので、また引き続きそういった活動をよろしくお願いいたします。

 それでは、最後の項目に入ります。

 熊野川の洪水対策に向けた知事の決意についてお伺いをいたします。

 紀伊半島大水害は、被災地に非常に大きな衝撃と多くの傷痕を残した大災害であり、この災害がもたらしたものを風化させないよう、被災地では、追悼式や復興を祈る行事が行われています。

 9月3日、新宮市熊野川町内約600世帯と学校、福祉施設などで、当時お世話になった災害復興ボランティアなどへ感謝のメッセージを書いてもらった、たくさんの黄色のハンカチが新宮市さつき公園に掲げられました。また、9月4日には、同じく熊野川町において、地元有志のグループによる犠牲者供養の花火約780発が夜空に打ち上げられました。

 5日に予定されていた県主催の紀伊半島大水害10年追悼式典は、あいにく新型コロナの感染拡大の状況を鑑み、延期となりましたが、仁坂知事は、特に被害者の多かった田辺市、那智勝浦町、新宮市の4か所の慰霊碑や復興記念碑を訪れ、犠牲者を悼み、献花を行い、二度と繰り返さない仕組みの維持を誓ったと伺っております。

 最後に、紀伊半島大水害から10年が経過した今、熊野川等での当時の災害を踏まえ、二度とこのような犠牲を出さないため、熊野川の洪水対策に向けた知事の決意をお聞かせください。

○副議長(鈴木太雄君) 知事。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 紀伊半島大水害から10年を経過いたしましたが、改めて当時を振り返り、災害の規模と備えの重要性を再認識するとともに、これまで率先して災害対策に心血を注いできた成果を生かして、次に災害が起こりそうなときは、もっとうまくやらねばならないというふうに思っている次第でございます。

 実は、もう最近は、紀伊半島大水害のその後というのは、全国ではちょっと忘れられた感じがありますが、あの直後から復旧・復興を急ぎまして、そのあまりの早さに全国的にびっくりしていたというのがあのときの状況でありました。ただ、私としては、それはそうだけど、まあうまくやったとは思うけど、だけど、61人からの方が実際に命を亡くされているわけでございまして、それをゼロにしなければ誇れないなというふうに思っている次第でございます。

 そういう考え方として、ハードとソフトの対策を今後、もっと一生懸命やっていかないといけません。

 ハード対策としては、県が直さなきゃいけないというところはほとんど直しましたし、国にお願いをしているところもどんどん進み、あと少しという状況になっています。その後の状況も踏まえまして、国や三重県等、関係機関とも情報共有をしながら、輪中堤の整備とか河道掘削など集中的に実施して、引き続き、今使える国土強靱化の予算、これを最大限に活用して、残されたところの早期完成を目指していく所存であります。

 一方、ソフト対策では、2級河川において、全国に先駆けてダムの事前放流を導入いたしました。熊野川においても、電源開発株式会社に対して運用の改善を申し入れてきたわけですし、それから、県のやり方を国交省に一生懸命説明して、これで全部やってもらったらいいんじゃないかというふうに働きかけというか説得をしてたんですが、ついに、それが分かったのか、分からなかったのかは分かりませんが、菅官房長官のときに官房長官自らが号令をかけられて、それで、和歌山県のモデルであるところの利水ダムの事前放流、これが全国的に制度化をされて、それで熊野川についても、その取組が進められているというふうに理解しているところでございます。

 また、県民の避難活動とか災害に対する備えを強固にするために、河川やダムの水位、画像などを県民が誰でもすぐに入手可能な河川/雨量防災情報システムを整備いたしまして、これ365日24時間、誰でも見られるというふうに、県のホームページからですね、そういうふうになっております。また、ハザードマップの整備も促進してまいりました。

 こういう防災対策の強化は、とても一つ一つ語り尽くせませんが、最近、被災10年を祈念して出版した復旧・復興の記録誌へ詳細に載せたところでございます。

 その中で残された、私にとっては、最大と言ったらちょっと言い過ぎかもしれませんが、非常に大きな課題でございました熊野川の抜本的な対策、これに必要不可欠な河川整備基本方針の見直し、これが先般ようやく始まりました。その後、進捗は結構進んでおりまして、先般もようやく社会資本整備審議会河川分科会において、私も出させていただきましたが、この話がどんどん進んでいるところであります。

 その中では、紀伊半島大水害と同レベルの毎秒2万4000立方メートルに対して、利水ダムによる洪水調節を見込む形でピーク流量が見直され、かつ気候変動も入れて、ちょっと量を多くしても大丈夫なようなそういう形になっておりまして、これができて、つまり基本方針ができて、そして河川整備計画ができて、それで今度は実際の施工へとつながるわけですが、それができるだけ早く今度は完成をしてもらいたいなあというふうに思っている次第でございます。

 もちろん県自体としても、近年、災害が激甚化、頻発化する中で、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」等必要な予算の確保に努めまして、災害に対して強靱な施設整備や避難等に最大限活用できるようなシステム増強を図ることで、引き続き、熊野川をはじめとする県民の命と暮らしを守る所存であります。

 紀伊半島大水害を踏まえ、先ほど申し上げましたダムの事前放流をはじめ、様々な制度をつくってまいりました。これらは、全国に誇るべきものだと思っております。しかし、運用するのは人間でございます。したがって、今後も、迅速かつ効率的に対応できるように、常に想起し、習熟し、訓練していかなきゃならない。こうした制度が今後も適切に機能するように、緊張感を持って取り組んでまいる所存であります。

○副議長(鈴木太雄君) 濱口太史君。

  〔濱口太史君、登壇〕

○濱口太史君 本県にも、いつ豪雨が襲ってくるかもしれません。憂いがないよう備えを万全に、どうか引き続きよろしくお願いいたします。

 今回、災害を風化させず、教訓として生かしていくことが重要ではないかと話を進めてまいりましたが、一方では、被災者の御遺族の中には、あの忌まわしい災害を思い出したくないという考えの方もおられるようです。また、災害の恐怖ばかりを学ぶと、せっかく身近にあるすばらしい自然に近づくことをためらう子供が増えてしまうかもしれません。そのような気持ちを酌み取る配慮も必要かと存じます。

 また、新型コロナウイルスにおいても同じことが言えるかもしれませんが、正しい知識の下、適切な対策を講じながら、共生していく道を模索しながら、今後、さらに安心・安全な和歌山県を目指していくことが大事だと思います。

 歴史を遡りますと、先人も感染症や自然災害に幾度も苦しめられましたが、そのたびに知恵と努力で乗り越えていただいた結果、今日があるのです。ふるさとを将来につなぐために、我々も負けずに克服していかなくてはなりません。どうか皆さん、一丸となって頑張りましょう。

 以上で、質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○副議長(鈴木太雄君) 以上で、濱口太史君の質問が終了いたしました。

 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。

 次会は、9月21日定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。

 本日は、これをもって散会いたします。

  午後2時41分散会

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