令和3年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


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令和3年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号

議事日程 第3号

 令和3年9月16日(木曜日)

 午前10時開議

 第1 議案第124号から議案第135号まで(質疑)

 第2 一般質問

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会議に付した事件

 第1 議案第124号から議案第135号まで(質疑)

 第2 一般質問

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出席議員(42人)

 1番 鈴木德久

 2番 山家敏宏

 3番 中本浩精

 4番 堀 龍雄

 5番 藤山将材

 6番 岸本 健

 7番 井出益弘

 8番 宇治田栄蔵

 9番 北山慎一

 10番 玄素彰人

 11番 中西峰雄

 12番 秋月史成

 13番 森 礼子

 14番 濱口太史

 15番 尾崎要二

 16番 冨安民浩

 17番 川畑哲哉

 18番 玉木久登

 19番 鈴木太雄

 20番 岩田弘彦

 21番 吉井和視

 22番 谷 洋一

 23番 佐藤武治

 24番 岩井弘次

 25番 中 拓哉

 26番 多田純一

 27番 新島 雄

 28番 山下直也

 29番 中西 徹

 30番 谷口和樹

 31番 藤本眞利子

 32番 浦口高典

 33番 山田正彦

 34番 坂本 登

 35番 林 隆一

 36番 楠本文郎

 37番 高田由一

 38番 杉山俊雄

 39番 片桐章浩

 40番 奥村規子

 41番 尾﨑太郎

 42番 長坂隆司

欠席議員(なし)

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説明のため出席した者

 知事         仁坂吉伸

 副知事        下 宏

 理事         田嶋久嗣

 知事室長       赤坂武彦

 危機管理監      細川一也

 総務部長       吉村 顕

 企画部長       横山達伸

 環境生活部長     生駒 享

 福祉保健部長     志場紀之

 商工観光労働部長   寺本雅哉

 農林水産部長     岩本和也

 県土整備部長     安部勝也

 会計管理者      真田 昭

 教育長        宮﨑 泉

 公安委員会委員    竹田純久

 警察本部長      親家和仁

 人事委員会委員長   平田健正

 代表監査委員     森田康友

 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫

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職務のため出席した事務局職員

 事務局長       出津野孝昭

 次長         中井 寛

 議事課長       山田修平

 議事課副課長     岩井紀生

 議事課課長補佐兼議事班長

            岩﨑 亮

 議事課主任      伊賀顕正

 議事課主査      菅野清久

 議事課主事      松本 悠

 総務課長       須田剛司

 政策調査課長     神川充夫

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  午前10時0分開議

○議長(森 礼子君) これより本日の会議を開きます。

 日程第1、議案第124号から議案第135号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、併せて日程第2、一般質問を行います。

 34番坂本 登君。

  〔坂本 登君、登壇〕(拍手)

○坂本 登君 皆さん、おはようございます。

 議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行います。

 質問に先立ち、一言、知事並びに新型コロナ対策に当たっておられる職員の皆様にお礼を申し上げます。

 予想をはるかに超える新型コロナによる災禍が世界中を駆け巡っております。テレビや新聞はこのニュースで持ち切りであり、国内にあっては、都道府県の患者数や知事の対応が連日報じられております。

 その中にあって、我が和歌山県は、常にその先頭に立って、新型コロナ対策の成果を収めつつあります。感染者の早期発見や徹底した行動履歴の調査などの対策は、和歌山方式として全国的に高い評価を受け、知事の的確な状況判断と毅然とした主体的な取組に、県民は大きな安心感と信頼を寄せております。

 また、野?技監の落ち着いた、それでいて的確な事態への対応は、新型コロナ対策の大きな功労者であり、県民の一人として心から賛辞を送ります。

 そして、県民の皆様には、もう少しコロナ禍が完全に収束するまで、お互い自粛することをお願いいたしたいと思います。

 それでは、質問に入ります。

 最初に、食、食べるほうの食です。食に関する2点について、提案を交え、当局の考え方をお伺いするものであります。

 まず、第1点目は、日高地方の特性を生かしたブランド米の開発についてであります。

 結論を言いますならば、紀州南高梅を包んでいるおにぎり専用のお米を、日高地方の水田を使って開発してはどうかという提案であります。やはり、日高特産の南高梅のおにぎりには、地元日高のお米が一番よく合うのではないでしょうか。

 私の地元日高郡の農業形態は、大きく分けて南部の果樹地域と北部の水田地域に分けることができます。南部の果樹地域は、申すまでもなく南高梅を主力とする梅生産が、高い品質と圧倒的な市場占有率を誇り、全国的に見ても優れた農業地帯を形成しています。

 一方、水田地帯は、一部には高生産の野菜栽培が見られるものの、米を主力とする地域は全国的な価格競争から低迷を余儀なくされています。私は、現状を見るにつけ、この違いは南高梅という全国的なブランドを持つ梅と、他産地に比べブランド力において優位性を欠く当地方の米の差ではないかと思っております。

 もともと本県は、長年にわたり果樹、野菜といった商品化率が高く、価格競争力のある戦略的な農産物に焦点を当てて、官民挙げて新品種の開発、品質の向上、生産基盤の整備、市場開拓など、各般にわたりたゆまぬ努力を続けてまいりました。その結果、全国的にも特徴のある優れた農業王国をつくり上げてきました。私は、その戦略の正しさと長年にわたる努力に敬意を表し、大いに賛同するものであります。

 しかしながら、日高郡という地域をズームアップして考えますと、やはり総論賛成とばかりは言ってはおられません。日高川沿いに広がる水田地帯の農業をどうすれば元気づけられるのか。今のままでは農業者の高齢化と相まって水田の耕作放棄が続き、地域の崩壊にもつながりかねない憂慮すべき事態に立ち至っております。

 簡単には答えは出ないと思いますが、本日は私から一つの提案をし、当局と共にこの問題を考えてみたいと思います。

 まず、最近の米をめぐる情勢を概観してみたいと思います。

 日本人のお米の消費量は、極端に減少しています。国民1人当たり、1年間の米の消費量の推移を見ますと、昭和37年の118.3キログラムをピークに、平成17年には約半分になり、平成30年には53.5キログラムと、約45%まで減ってきております。日本人の生活様式の変化に伴い、家で御飯を炊かなくなったということですが、その反面、コンビニや外食の利用割合は、昭和60年には15.2%だったものが令和元年には32.7%になり、米を食べる場面が変わってきております。

 さらに、昭和44年には初めて米の自主流通米制度が認められ、平成15年には食管法が改正され、政府米以外は全て民間流通米となりました。自由栽培、自由販売が認められ、各地のブランド化が急速に進んでおります。有名なところでは、コシヒカリ、ひとめぼれ、あきたこまち、ゆめぴりかなど、既に全国区で高い評価を受けているブランド米があり、ほかにも40品種以上の特Aと最も高いランクづけされているブランド米があるそうです。

 こうした先進県に限らず、近年はブランド米への研究開発への取組が進み、全国で品種登録されているお米は839品種、うち主食用は270品種に上り、さながら米の戦国時代と言われる状況だそうです。それにつれ、価格もかなり高いブランド米からそうでないお米との差はますます広がりを見せている状況であります。

 本県にあっても、他産地に負けないブランド米の開発を期待する声は大きいものがありますが、大体この種の研究開発には10年から15年を要すると言われております。限られた予算、限られた研究体制の下、私は県に対し、米の新ブランド開発を最優先に取り組めと主張することには多少のためらいがあります。

 発想を変えてみたいと思います。全体のブランド化が無理であれば、何か特色のある分野でのブランド化があるのではないか。

 2021年6月、おにぎり協会が調査をしたおにぎりに関する調査結果がネットで紹介されておられます。調査対象はコンビニ4社です。こうした公の質問で個別の企業の名前を出すことははばかられますが、調査結果の紹介をする以上、正確さが求められますので、あえてコンビニ名を出して紹介をいたします。

 調査対象は、セブン-イレブン、ファミリーマート、ミニストップ、ローソンの4社です。これらコンビニでの売上げの人気度を見てみますと、ツナマヨネーズとベニザケが最も人気があるようであります。紀州南高梅を使った梅のおにぎりは、セブン-イレブンとミニストップで3位でした。4社共通の人気商品は、年間を通して販売額で見れば、サケ、シーチキン・ツナマヨネーズ、梅がベストスリーでした。今後の取組に関する質問には、セブン-イレブンとファミリーマートは米のうまさを求める傾向がありました。

 もう一つ、一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会の調査を紹介します。

 1万2195人を対象にしたコンビニのおにぎり購入に関するアンケート調査であります。「おにぎりは好きですか」との質問には、「大好き」と答えた人は35.6%、「好き」と答えた人は56.3%と、合わせると9割以上の日本人はおにぎりが好物のようであります。

 では、おにぎりの中に入っている具の好みはどうかといいますと、サケが53.5%、明太子が31.3%、ツナマヨネーズが29.0%、4番目が梅で27.9%となっております。参考までに、セブン-イレブンの年間のおにぎりの販売数は22億個だそうです。

 コロナ禍にあって、おにぎりの消費傾向がどう変わってきたのかという点について、もう少し追っかけてみたいと思います。少々おにぎりの話も飽きてきたかと思いますが、もう少しお付き合いをお願いしたいと思います。

 セブン-イレブンの取組です。コロナ禍にあって、通常のおにぎりの販売が減少しているようであります。そこで、原料や製法で通常のおにぎりとの違いを強調したこだわりのおにぎりを販売したところ、前年比約2倍の売上げがあったということであります。理由は、自宅で過ごす時間が多くなり、より豊かな食生活を求め、プチぜいたくをしたいということだそうであります。

 こだわりのおにぎりとは、新潟県産コシヒカリおむすび熟成たらこや、新潟県産コシヒカリおむすびサケの塩漬けなど、新潟県産コシヒカリを使ったおにぎりに代表されますように、値段は少々高くなりますが、おいしさを追求したおむすびのことを言います。梅おにぎりについては、紀州南高梅の熟成期間を延ばすことにより、うまみ、コクをアップさせ、より果肉の食感を味わえることを狙った手巻おにぎり熟成旨味仕立て紀州南高梅たたき梅が売り出されています。

 こうした値段が少々高くてもお米や具にこだわったおむすび戦略は、ほかのファミリーマートやローソンでも同じ傾向のようであります。私たちは、一度おいしいものを口にしますと、値段がちょっと高くてもやはりそちらに走ってしまう傾向があります。おにぎりも同様、これからもお米や具にこだわったプチぜいたく路線になっていくのではないかと私は考えています。

 少々おにぎりの話が長くなりましたが、要点は二つ。1点目は、南高梅を使ったおにぎりは人気が高く、今後も息長く高い消費が続いていくであろうということ、2点目は、これからのおにぎりは具に合った、具の味と相性のいいお米が重視されるということであります。

 そこで、私の提案は、おにぎりの具、すなわち南高梅と最も組合せのよい、南高梅のうまさをより引き立てるお米の開発をしてはどうかということであります。言わば一点突破型のブランド米、すなわち南高梅と相性のいいおにぎりブランド米を研究開発してはどうかという提案であります。

 かつて、どこでしたでしょうか、卵かけ御飯に最もよく合うというしょうゆを開発して、全国的な展開を見たことがありました。

 南高梅入りのおにぎりは、既に確固たる人気商品になっています。消費者の嗜好が急ピッチで変化する今日、研究開発には10年も15年もかけるわけにはいきません。

 新しい挑戦、開発に当たっては、最も消費者に近く、販売の最前線にいるコンビニのノウハウをお借りしてはどうでしょうか。生き馬の目を抜くと言われるほど競争の激しいコンビニのノウハウは、私たち公的機関の研究所が持っているノウハウとはまた違ったセンスとスピードが期待できるんだと思います。私は、和歌山県とセブン-イレブンなどとの共同開発を提案します。おにぎり用ブランド米の開発、コンビニとの共同開発、この2点について知事の所感をお伺いいたします。

 次に、食に関するもう一つは、ごんぱちの商品化の話であります。ごんぱちは、正式名はイタドリと言いますが、本県、特に県南部ではごんぱちの名で通り、春先の野草として誰もが収穫し、水にさらした後、多くは煮物として広く食卓に乗ってきました。その素朴な味は、何百年にもわたって親しまれ、愛されてきたものであります。

 私は、今後、方言ながら地域の思いの詰まった「ごんぱち」という名を使って質問を通してみたいと思います。

 本県でも、かつては有田以南の特産物ということでしたが、今では、和歌山でも大阪でも、お酒のおつまみなどでよく見かけるようになってきております。スーパーマーケットなどでは、売り切れのところもあると聞いております。

 このごんぱちの商品化に積極的に取り組んでいる方々が、日高地方におられます。先日、日高川町の美山地区を訪ねる機会があり、地元の生活研究グループ美山支部の皆さんからその活動ぶりをお伺いいたしました。その際、リーダーの竿本千明さんから、皆さんが開発された何種類かのごんぱちの製品を紹介いただき、サンプルを頂いてきました。

 ごんぱち本体を煮物にした商品名「ごんちゃん」、その際に出てくる皮や花を乾燥したお茶、さらに地元のミカン果汁や梅酢と調合したドレッシングやジャムの4種類でした。夕食時に、きれいに包装され、また瓶詰めされたごんぱちを、懐かしさとともにありがたく頂いたものであります。

 最近、原料不足といううれしい悲鳴も聞かれ、原料確保のため休耕田を利用して取り組んでいるとのことでありました。私は感心しました。何十年、何百年、いやもっと長く地元に伝わり、当たり前に食べていた山菜が商品化できないのか、その山菜で地域の元気が取り戻せるのではないだろうか、そう考えた地元の皆様、特に御婦人の発想とその取組に、本当に目を覚まされる思いでありました。

 そして、私の役目は、皆様の取組と熱意をできるだけ応援し、ごんぱちを地域の特産品にまで育て上げ、地域の活性化、ふるさとの誇りを手助けすることだと強く決心した次第であります。

 総じて地域の特産品は、そのスタートは小さな取組です。生産量も少なく、なかなか商業ベースの流通ルートにはのせてはくれません。しかしながら、地域に芽生えたやる気、熱意をできれば、これを伸ばしてあげたい。

 和歌山県に限らず、全国の自治体には東京に物産あっせん所、いわゆるアンテナショップを置いております。本県は、有楽町の駅前にテナントを構えています。このアンテナショップは、文字どおり本県産の物産の大消費地への紹介であり、窓口であり、同時にどういった産品に対して消費者が興味を持つか、人気があるか、そうした点を県として調査し、その情報を県内に伝えて、より魅力的な品質や商品化の取組を応援していく拠点施設であろうと思います。

 県内の各地域には、こうした小さな取組が大きな志を持ってその第一歩を踏み出している生産者の方々がたくさんおられると思います。美山地区のごんぱちの取組もそうです。この動き、熱意を何とか県として応援してあげられないものか。

 商品化、特に消費者に好まれる商品まで高めるには、地域での自分たちだけの取組だけでは無理な点も多々あります。製品化の段階でのノウハウが必要であり、流通レベルでの手助けは地域が最も期待しているところであります。行政あるいは場合によっては関係業界の技術指導や販売指導などを受けながら、競争力のある商品化に挑戦していくことが必要であることは論をまちません。

 地元の努力、行政の支援、双方の熱意がうまくかみ合ったとき、地域の特産品が誕生いたします。北山村のジャバラなどが、最もいい事例なのではないでしょうか。美山地区の小さな挑戦、大きく花を咲かせてあげませんか。関係部長の所感をお伺いいたします。

 次に、国道424号、通称龍南線の切目辻トンネルの改修工事についてお伺いいたします。

 切目辻トンネルの改修については、平成29年12月議会におきまして、その緊急性と利便性を柱にその早期実施を求めました。これについて、知事はじめ県土整備部長からその必要性について深い御理解をいただき、早速、事業化に向けて手を打っていただき、現在は既にトンネルの両端から工事に着手していただいております。

 その際にも申し上げましたが、龍南線は、旧南部町と旧龍神村を結ぶ生活道路であり、事業の迅速な取組に対し、関係する地域住民は大変喜んでおります。この場をお借りいたしまして、知事はじめ当局の皆様に厚くお礼を申し上げる次第でございます。

 こうなりますと、関係者の関心と申しますか要望は、工事はどこまで進んでいるんだろう、いつ完成するんだろうといった点で膨らんでまいります。事業の進捗状況及び今後の見通しについて、県土整備部長から本会議を通して説明してあげていただきたいと思います。

 県土整備部長に、重ねてもう一点お伺いいたします。それは、日高川水系西川の改修についてであります。

 御坊市、美浜町にまたがる平たん部を流れ、煙樹海岸に注ぐ西川は、洪水時に度々周辺地域への浸水被害を引き起こしてまいりました。このため、平成28年3月に策定された日高川水系河川整備計画において、西川下流部から志賀川合流点まで4.8キロメートルにわたって護岸や河道掘削等の整備を行うこととし、既に令和2年度から14億5300万円が予算化され、整備が進んでおられます。

 近年、温暖化の影響もあって、全国的にこれまでの常識を大きく上回る大雨の被害が頻発しています。本県も例外ではありません。いつ大型の台風あるいは大雨の被害が発生するかもしれません。

 河道の掘削は、川の底の堆積物をしゅんせつすることにより川の断面積を大きくし、水の流れをよくし、越水や堤防の崩壊を防ぐことにあります。こうした点からも、西川の改修はまさに時宜を得た対策であり、住民の期待も大きいものがあります。

 先日、私が美浜地区のある方から伺った話が気にかかります。老婆心ながら申し上げ、私の杞憂に終わることを願っております。

 それは2点、河道の改修に当たっては、川底をしゅんせつし、河口から押し上げてくる海水面の高さまで矢板を打って、水の流れをスムーズに確保しようとする工法が取られております。

 そこで、疑問の1点目です。これまで、土手に緩やかなのり面をつけて河道断面を確保してきた西川が、河道と垂直に矢板を打つことにより断面積を狭くしてしまうのではないかとの疑問であります。このため、川底をしゅんせつし、低くすることによって河道断面を確保しようとしているのだと思いますが、川底を低くしても海から押し上げてくる海水面の高さは変わらないのではないでしょうか。

 干潮の際は、上流からの水はスムーズに海に流れてくれます。満潮の場合はどうでしょうか。上流から流れ込む水は、海から押し上げてくる海水に阻まれ、矢板で補強した護岸を越えて水があふれるということにはなりませんか。特に、大潮や大雨の場合は心配が大きくなります。

 加えて、比較的緩やかな流れの西川でせっかくしゅんせつしても、また何年か後には周辺の土や泥が流れ込んできて、川底の高さは元の状態になってしまうのではないかという心配です。川底が高くなれば、当然越水の心配が増えてまいりますし、それにつれて、度重なるしゅんせつの必要が出てくるのではないか。しゅんせつには巨額の工事費が必要となります。取り越し苦労かもしれませんが、慎重を期したほうがいいと考える次第であります。

 2点目は、矢板で補強した護岸から上の、もともとあった堤防に関してであります。美浜町側の堤防は、もともと竹や木が生え、堤防を補強してきた感がありましたが、今回の工事に伴い、これはほとんど伐採されました。その結果、土手は砂地状態となり、土手としての強度は著しく低下しています。

 先ほど来指摘してきましたように、新しい護岸を超える川の水の量が発生することは十分予測され、その場合、弱体化した堤防では耐え切れないのではとの指摘もあります。新しい護岸壁の上側、土手の強度は本当に大丈夫なのか、補強の必要性はないのか、この部分は計画の対象には入ってはおりません。念のためお伺いいたします。

 もちろん、こうした点につきましては、当局において既に精緻に計算され、設計されているものと思いますが、全国各地から伝わる洪水被害に住民は不安を募らせております。住民の皆さんが安心できるような、優しい、よく分かる説明を求めます。

 以上で、私の第1回目の質問を終わります。

○議長(森 礼子君) ただいまの坂本登君の質問に対する答弁を求めます。

 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 日高地方は、県内でも水稲栽培が盛んな地域でございますけれども、米生産者からより高く売れる優良品種の導入が望まれております。県では、国等で開発された耐暑性や食味に優れた品種の現地栽培試験を行い、本県に合った有望な品種を絞り込んでいるところでございます。

 御指摘を受けまして、次のように、さらに努力をしていきたいと考えます。

 これらの品種から、南高梅を具材としたおにぎりに相性のよいものを選抜し、南高梅のおにぎりに適した新品種として、JA等と連携して広くPRするとともに、試作農家を募集する、あるいは本格的な栽培をしていただく、そういう普及を図ることで、日高地域に新たな品種の米産地をつくっていく所存であります。

 また、県では、これまで大手コンビニエンスストアとの協働で、県産品を活用した商品開発にも取り組んでまいりました。紀州南高梅を冠した多くの商品が、この流れの中で販売されているところであります。

 今後、南高梅と新たに地域で生産される米を併せてコンビニエンスストアに提案し、コンビニエンスストアが有する梅干しと相性のいい米に関する食味や食感といった消費者嗜好等の知見を活用して、日本一の南高梅おにぎりを目指し、共同開発に取り組む所存であります。それによって、南高梅との関連で地元産米のブランド化を図り、よってもって、梅の振興はもちろんのこと米の振興も図りたいと考えております。

○議長(森 礼子君) 農林水産部長岩本和也君。

  〔岩本和也君、登壇〕

○農林水産部長(岩本和也君) ごんぱち、イタドリの生産、加工、販売に対する県の取組、支援についてお答えいたします。

 イタドリは、県内の山間地で広く食されていた代表的な山菜で、塩漬けしたごんちゃん漬けは県外からも買い求める人がいるなど、人気の特産品となっております。

 県では、こうした地域資源を商品化し、山間地域の活性化を図る取組は重要であると認識し、これまでも生産、加工などに支援しているところでございます。

 具体的には、県林業試験場において、平成26年度からイタドリの畑地栽培方法の確立や、太くて収量が多い優良系統株の選抜を行うとともに、平成29年度から日高川町生活研究グループ美山支部、県林業試験場及び県工業技術センターの共同研究により、議員からお話のあった健康茶、ドレッシング及びジャムの商品開発を行いました。

 また、同研究グループは、平成30年度に和みのむら活性化支援モデル事業の採択を受け、遊休農地を活用した増産や商品のPR等に取り組むとともに、本年度は県単小規模土地改良事業を活用し、圃場の土壌改良や獣害防護柵の設置を行いました。

 こうした取組により、本年7月時点の栽培面積は、平成27年度に比べて約8倍と増加しています。今後も、増産のための栽培技術指導や栽培地の整備支援に取り組むとともに、新たな商品開発をはじめ、わかやま紀州館におけるテスト販売や展示商談会への出展による販路開拓等、生産から販売までを総合的に支援することにより、地域資源を活用した特産品づくりを推進し、山間地域の活性化を図ってまいります。

○議長(森 礼子君) 県土整備部長安部勝也君。

  〔安部勝也君、登壇〕

○県土整備部長(安部勝也君) 次に、切目辻トンネルの改修工事における事業の進捗状況と今後の見通しについてお答えします。

 切目辻トンネルを含む国道424号切目辻工区は、昨年度に用地買収が完了し、現在、みなべ側においてトンネル工事着手に必要な路側工事、龍神側において現道との接続部における山切り工事を実施しています。

 今後は、これら工事を早期に完成させるとともに、この9月議会において工事請負契約の締結に係る議案を上程させていただいている延長829メートル、工事期間約2年間のトンネル本体工事や、その後のトンネル照明・防災設備の工事に着手してまいります。

 続きまして、日高川水系西川の改修についてでございます。

 まず、西川の維持管理について、議員から御指摘のあった2点の質問のうち1点目の、川底を低くしても水がスムーズに流れないのではないかという点についてお答えします。

 水が流れるかどうかは、基本的に海面との水位差によって決まりますので、水位差を確保した上で水が流れる断面積を広くすれば、川底を低くしても、川幅を広くしても、同じように水の流れはよくなります。

 なお、干潮時に比べて満潮時は海水面が上がりますので、水位差が小さくなり、水は流れにくくなります。しかし、西川では、そうであっても満潮時にも既往最大規模の洪水である平成18年9月豪雨と同規模の洪水を安全に流下できるように計画し、工事を進めています。

 2点目の川底を低くしても数年後には元の状態に戻るのではないかという点については、議員の御指摘のとおり、適切な維持管理をしなければ低くした川底はいずれ元に戻ります。しかしながら、西川沿川には住家や工場、優良農地等が存在し、水の流れる断面積を大きくするために川幅を広げる選択をした場合、用地取得に大変な年数を要することが想定されました。

 県としては、沿川の住民の命や財産を可能な限り早期に守るため、適切な維持管理は必要なものの、最も早く効果を発現できる川底のしゅんせつを選択した次第です。つきましては、土砂の堆積状況に応じて土砂の撤去を行うなど、適切な維持管理に努めてまいります。

 最後に、西川の改修に当たって、議員から御指摘された護岸上部の補強の必要性についてお答えします。

 西川で樹木伐採を行った区間は、宅地側の土地の標高が高いため、堤防を設けない掘り込み河道と呼ばれる区間です。竹や木が河川内に生えていると、流下阻害や洪水時の倒木等により河岸が崩壊する可能性があることから、その可能性のある樹木について、地元住民の方と調整しながら伐採を行った次第です。決して弱体化しているわけではございません。

 また、議員から御指摘された護岸上部斜面の砂が露出している区間については、洪水時に流水の作用により宅地側の土地が侵食される等のおそれがあることから、河川側の斜面にコンクリート製の護岸を整備してまいります。

○議長(森 礼子君) 答弁漏れはございませんか。

  〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(森 礼子君) 再質問を許します。

 坂本 登君。

  〔坂本 登君、登壇〕

○坂本 登君 再質問のお許しをいただきましたので、知事並びに関係部長の答弁に対し、以下、私の所見を申し述べ、何点か要望を申し上げたいと思います。

 今回、私は、おにぎり用ブランド米の開発とかごんぱちの商品化とかいった、これまであまり取り上げられてこなかった地域特産品の付加価値アップという面に視点を当て、さらに地域が過疎化、高齢化している中で、地域に根差した、地域を守っていく方々の身近な生活に係る地域の課題や取組に寄り添った行政の必要性を強く感じ、質問した次第であります。

 知事からは、日高地域のお米の一層の品質向上に取り組み、日本一の梅ブランド「南高梅」と相性のいい消費者の嗜好に当たって、日本一の南高梅おにぎりを目指して取り組んでいくとの積極的な答弁をいただきました。また、私がコンビニとの共同開発を提案しましたのは、本当に信じられないぐらいの速さで変化している現代の社会にあって、消費者の嗜好や変化に対し、最前線でこれまで敏感に取り組んでいるコンビニのよさと、行政が得意とする息が長い腰を据えた研究開発という、お互いのよさを組み合わせることにより、地域の皆様に一日でも早く希望の持てる明るい行政の報告ができればと考えた次第であります。うれしい成果が出ますよう、期待しております。

 次に、ごんぱちの商品化についてであります。

 生産者の対策は、積極的に取り組んでいただいているとの答弁でした。やはり、こうした取組の成否に鍵を握るのは、商品化に当たって消費者の嗜好などを把握するか、消費者のニーズに合った商品をどう創り出すかにかかっていると思います。わかやま紀州館の活用など、今後とも生産から販売まで総合的に支援いただきますことを要望いたします。

 切目辻トンネルの改修事業につきましては、積極的な予算措置や工事の進捗に取り組んでいただいておりますことがよく分かりました。この場をお借りいたしましてお礼を申し上げる次第でございます。今後とも、早期の改修をお願いいたします。

 西川の改修につきましては、西川特有の事情により、御苦労や工夫がよく分かりました。今後の適切な維持管理を強くお願いする次第であります。

 また、護岸上部の砂が露出している区間の対策につきましては、河川側の斜面にコンクリート製の護岸を整備するとの答弁をいただきました。最近、全国的に堤防の決壊や、それに伴う大災害の報告がよく聞かれます。堤防の補強は本当に重要であります。ぜひ事業の速やかな進捗をお願いいたします。

 以上、要望であります。これで私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)

○議長(森 礼子君) 以上で、坂本登君の質問が終了いたしました。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 20番岩田弘彦君。

  〔岩田弘彦君、登壇〕(拍手)

○岩田弘彦君 皆さん、おはようございます。議長のお許しをいただきましたので、早速質問に入ります。

 大項目1番、紀の川の県内上流域の水害対策について、(1)紀の川の小田狭窄部対策についてであります。

 全国的にも、平成30年の7月豪雨、台風第21号などにより、これまで経験したことのない事象が起こり、重要インフラの機能に支障を来すなど、多大な影響が発生いたしました。

 これを受けまして、国民の生活を守る重要インフラがあらゆる災害に際してその機能を発揮できるよう、全国各地で緊急点検が行われました。紀の川についても、緊急点検の結果、特に緊急に実施すべき対策は、3年間で集中的に実施することとされ、これらは平成30年12月に防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策として取りまとめられ、令和2年12月には、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策が取りまとめられ、整備が推進されていると聞いております。

 紀の川流域の水害対策の基本は、紀の川本川の水位を下げることにあると思います。紀の川の県内上流域において、小田狭窄部対策の加速化が重要であります。

 そこで、小田狭窄部対策の現状と今後について、県土整備部長にお伺いします。

○議長(森 礼子君) ただいまの岩田弘彦君の質問に対する答弁を求めます。

 県土整備部長安部勝也君。

  〔安部勝也君、登壇〕

○県土整備部長(安部勝也君) 小田狭窄部対策については、国より、昨年度から予備設計に着手していると聞いておりますが、下流に位置する藤崎狭窄部の対策を先行させなければならないことから、工事着手までには年数を要するものと思われます。

 しかしながら、洪水時には紀の川本川の水位を少しでも下げるために、国は令和元年度から防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策予算などを活用して、下流に負担を与えない程度の河道掘削や流水の影響となる樹木伐採を進めています。

 県といたしましては、小田狭窄部対策の早期着手のみならず、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策予算などを活用した河道掘削や樹木伐採を継続していただくよう国に対して働きかけてまいります。

○議長(森 礼子君) 岩田弘彦君。

  〔岩田弘彦君、登壇〕

○岩田弘彦君 狭窄部対策は、やっぱり下流から順番にと、これは基本でございます。それは十分分かっております。その中でも、河道掘削とか樹木伐採とか取り組んでいただいているということなんで、より早く藤崎のほうも終わって、小田狭窄部に来ますようにお力添えよろしくお願いいたします。

 次、(2)大谷川流域の浸水対策について質問させていただきます。

 平成29年10月の台風21号に伴う豪雨により、紀の川沿川の各地で甚大な浸水被害が発生したことから、浸水被害の軽減に向けて、県議会から国に対する意見書の提出や、県・関係市町による積極的な要望活動が行われました。

 この動きを踏まえ、国土交通省は、紀の川沿川の各地域における浸水被害に関する情報提供や、今後の浸水対策に効率的かつ効果的な整備につなげることを目的とし、国・県・関係市町を構成機関とする紀の川流域における浸水対策検討会を平成30年1月に設置しました。

 その後、当検討会において、国・県・関係市町の連携の下、浸水被害の軽減に資する具体的な対策等について検討されているとお聞きしております。

 紀の川の県内上流域において、大きな浸水被害が発生するのは、大谷川流域であります。本年3月の検討会において、大谷川流域では浸水被害がなくなる対策案が取りまとめられたと聞いております。

 そこで、大谷川流域の浸水対策について、国・県・市連携の下、どのように取り組んでいかれるのか、県土整備部長にお聞きします。

○議長(森 礼子君) 県土整備部長。

  〔安部勝也君、登壇〕

○県土整備部長(安部勝也君) 大谷川流域における浸水対策は、ただいま議員が御指摘されたとおり、第5回紀の川流域における浸水対策検討会において議論され、そして、今年3月にその取りまとめがなされたところでございます。

 その中で、短期的な対策として、国は紀の川本川で河道掘削や樹木伐採を推進し、県は紀の川合流付近に可搬式ポンプを配備し、橋本市は市内に排水ポンプ車を配備することとしております。これによって、平成29年10月の台風21号で発生した床上浸水が約9割解消する効果があると期待されています。

 また、長期的な対策として、小田狭窄部対策の完成によって紀の川本川の水位が低下し、支川の大谷川の水が紀の川本川に流れやすくなり、平成29年10月の台風21号に対する浸水被害は完全に解消するとされています。

 県といたしましては、関係者が一体となった対策が今後とも着実に実施されるよう、検討会を通じて取り組んでまいります。

○議長(森 礼子君) 岩田弘彦君。

  〔岩田弘彦君、登壇〕

○岩田弘彦君 的確な答弁ありがとうございました。

 これについては、国・県・市やっぱり連携の下に、おのおのが頑張って取り組むという形でないと、役割分担もあると思いますので、どちらにも対応できて、なおかつ国土交通省に近い方でございますので、間に入っていただいて連携をうまくして、早く、まあ言えばあの当時は、橋本地区の大体床上浸水が100戸を超えたということでございます。それが解消されるということですので、どうかよろしくお願いいたします。

 堤防の越水対策についてに入ります。

 令和元年12月議会において取上げさせていただきました橋本市中心部の紀の川右岸堤防延長約300メートル区間についてであります。皆さんの記憶に残っていると思いますが、令和元年の台風19号の大雨で、大河千曲川の堤防が決壊し、本川の水が一気に流れ込み、新幹線の車両基地が水没している映像が度々テレビで放映されていました。覚えていらっしゃると思います。決壊したのは、長野県長野市、千曲川左岸の堤防で、1984年に完成し、2007年に幅を7メートルから2倍以上の17メートルにまで広げる整備を行ったところでした。

 国土交通省によると、決壊するに至った主な要因は越水で、堤防の住宅側が削られ水圧に耐えられなくなった、いわゆる越水決壊とのことでありました。国土交通省の想定を上回ることが起こってしまったことは明らかだと思います。このことにより危機感を強く持ったのが、整備はされているが一目で分かるような堤防高の低いところであります。特に橋本市の中心部、紀の川右岸堤防、橋本中央中学校横約300メートル区間であります。紀の川重要水防箇所調書においても、危険度ランクAであります。

 この地点に水が集中し、越水決壊したと仮定した場合、橋本市の中心部が甚大な被害を受けるとともに、重要施設であります伊都振興局、橋本警察署、橋本市役所、橋本消防署、橋本市保健福祉センターは全て短時間で確実に浸水します。このような事態になると、橋本市は壊滅状態となり、伊都郡にまで多大な影響を及ぼすと思います。

 昨今の記録的な豪雨台風、集中豪雨、線状降水帯をはじめ気象の急激な変化など、想定を上回ることがいつ起こっても不思議ではないと考え、緊急的な対応の必要性についてお伺いしました。

 県当局からの答弁は、当該区間の堤防につきましては、現時点で必要な河川の断面をおおむね確保できている状態ではございます。しかし、昨今の雨の降り方が激甚化している中で、国が管理する整備水準が高い大河川におきましても、堤防決壊による甚大な浸水被害が度々発生している状況にあるため、御指摘も踏まえ、一連区間の堤防高が同一になるよう、国に対して対策を強く要望してまいりたいとのことでありました。その後の取組についてはどうでしょうか、県土整備部長にお伺いします。

○議長(森 礼子君) 県土整備部長。

  〔安部勝也君、登壇〕

○県土整備部長(安部勝也君) 御質問の件は、県からの働きかけも功を奏しまして、国からは、昨年度よりかさ上げ工事に必要な測量や設計に着手していると聞いております。県といたしましては、早期に工事に着手していただけるよう、国に対して引き続き要望してまいる所存です。

○議長(森 礼子君) 岩田弘彦君。

  〔岩田弘彦君、登壇〕

○岩田弘彦君 測量とかに入っていただけているということで、これは私、一旦整備された後、緊急的な対応ということになったんで、ちょっとハードルは高いかなって自分も思いながら質問していたんですが、きちんと対応していただいて。先ほどから1番、2番の答弁もいただきましたが、三つを通じまして、やっぱり担当部長さんと担当課長さんが国土交通省に近い方でよかったなあって大いに御期待もしておりますので、どうかよろしくお願いいたします。

 次、大項目2番、コロナ禍の経済支援についてお伺いします。

 (1)飲食・宿泊・サービス業等支援金についてであります。

 本県では、6月議会において、特に影響が大きい飲食業や宿泊業、それに関連するサービス業などを主な対象業種とした飲食・宿泊・サービス業等支援金、さらに宿泊事業者が行う安全・安心を確保する取組や、新たな需要の創出につながる前向きな取組を支援する宿泊事業者事業継続支援事業、及び飲食店における感染拡大防止に向け、県の飲食店認証制度を取得された事業者の方々に必要な経費を助成する飲食店感染拡大防止対策補助金を新たに創設し、経済活動の継続を支援しています。

 さらに、今議会においても、飲食・宿泊・サービス業等支援金(第Ⅱ期)などが上程されており、継続的な取組に大いに賛同できるものであります。

 飲食・宿泊・サービス業等支援金(第Ⅱ期)の予算規模を見てみますと、同じような支援なのに、第Ⅰ期の6月議会補正予算では約31億円、今回の補正予算では約20億円となっておりますが、継続支援に支障はないのでしょうか。また、飲食・宿泊・サービス業等支援金(第Ⅰ期)の実績も併せて商工観光労働部長にお伺いします。

○議長(森 礼子君) 商工観光労働部長寺本雅哉君。

  〔寺本雅哉君、登壇〕

○商工観光労働部長(寺本雅哉君) 飲食・宿泊・サービス業等支援金については、新型コロナウイルス感染拡大による営業時間の短縮や外出自粛の要請により影響を受けた事業者を支援するために創設したものであり、第Ⅰ期では、予算不足により支援が受けられない事業者が生じないよう、ヒアリングやアンケート調査などの結果も踏まえて積算し、十分な予算を確保したところです。

 第Ⅰ期の実績については、8月31日時点で約6300件の申請があり、そのうち支出済みは約2100件、約3億5000万円となっております。

 第Ⅱ期においては、第Ⅰ期の支給実績見込みを勘案した上で、必要な金額を積算し、補正予算案を提案したものであり、支障なく苦境にある事業者の方々に支給できるものと考えております。

○議長(森 礼子君) 岩田弘彦君。

  〔岩田弘彦君、登壇〕

○岩田弘彦君 最初は、まあ言うたらどのぐらいか分からないというところも、私実際そうやと思います。その中できちんと精査して、補正予算を組んでくれていたということで、私としたらやっぱりこれはきめ細かく皆さんのとこへ届けることができるようにという予算配分ということで思っていましたので、安心したということで次の質問に入らせていただきます。

 (2)周知・申請サポート・支給の迅速化についてであります。

 私は、日頃の支援策、経済的なもんとか産業的なもんというのは、頑張る方を支援するタイプが多いと思います。しかし、飲食・宿泊・サービス業等支援金については、言い方は適切かどうかちょっと分かりませんが、新型コロナの被害を受けた者を救済する、そのタイプの事業やと思います。このことから、きめ細やかな制度の周知、きめ細やかな申請サポート、そして支給の迅速化が重要なポイントだと私は思います。

 この重要な三つのポイントに関して、本県の取組の現状と、そして今後について、併せて第Ⅱ期の申請期間についても、商工観光労働部長にお伺いします。

○議長(森 礼子君) 商工観光労働部長。

  〔寺本雅哉君、登壇〕

○商工観光労働部長(寺本雅哉君) 制度の周知については、県のホームページなどで周知するとともに、県内の商工会・商工会議所などの経済団体や市町村にも配架と周知をお願いしてきたところです。

 加えて、テレビ、ラジオ及び「県民の友」、各種情報をメール配信する商工通信や県独自制度である産業別担当者などを活用し、県内事業者への周知に取り組んでおります。

 また、昨年度より設置している総合支援相談窓口に加え、支援金の事務局も設置し、制度の案内をはじめ、申請に当たっての問合せなど各種相談に対応するとともに、商工会・商工会議所においても申請のサポートができるよう、臨時的に人員を措置し体制を強化したところです。

 こうした中、より多くの事業者の方々の申請機会を確保するため、第Ⅰ期では、当初8月31日までの申請受付期間を1か月延長し、9月30日までといたしました。

 支給の迅速化については、できるだけ簡易な内容で申請いただけるようにしており、また、3週間程度で支給できるよう申請内容を確認の上、迅速な事務手続を行っております。

 第Ⅱ期については、補正予算案について議決をいただき次第、速やかに準備に取りかかり、申請受付を開始する予定であり、申請期間は12月末までを想定しております。

 引き続き、経済団体や市町村とも連携し、きめ細やかな周知を行い、申請がスムーズに行われるようしっかりとサポートするとともに、より一層審査の効率化を図るなど、苦境にある事業者の方々をお待たせすることがないよう、できる限り速やかな支給に取り組んでまいります。

○議長(森 礼子君) 岩田弘彦君。

  〔岩田弘彦君、登壇〕

○岩田弘彦君 きめ細やかに迅速に頑張っていただいているということで、ありがとうございます。やっぱり、これってきめ細やかに迅速に当たっていただいたら、困っている県民の皆さんが、ああ、やっぱり県は分かってくれて、やってくれているわというのはこれ継続してやっていますやんか。私、この効果がやっぱり信頼、県民の信頼を得る効果は大きいと思うので、より丁寧に、より迅速によろしくお願いいたします。

 続きまして、(3)借入金返済への不安についてであります。

 コロナ禍において、県内事業者は多くの新たな投資ではなくて、事業を継続するための、どっちかいうたら運転を継続するための資金でありますから、かなりの額の借入れを行っていると思います。コロナ禍の長期化で、返済の原資をつくり出す売上げの増加は今のところなかなか望めない。望めない状況にあるにもかかわらず、据置期間はあるものの、返済期間が迫ってくる状況にあると思います。

 私も小規模経営者の端くれでございますので、新しい店舗を出すという、投資して売上げを3倍にしてと、こういう夢のある話はいいんですが、これって新型コロナのことで耐え忍ぶという状態になっているんで、その耐え忍ぶときに大きな借金を抱えて──元金は返さなあきませんので──という状態になっていると思うので、当然、将来を考えたら事業の継続に必死に頑張る人ほど不安になってくるという状況になっていると思うのです。

 そこで、借入金返済の不安解消に向けた本県の取組の現状と今後について、商工観光労働部長にお伺いします。

○議長(森 礼子君) 商工観光労働部長。

  〔寺本雅哉君、登壇〕

○商工観光労働部長(寺本雅哉君) 新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者の資金繰りを支援するため、昨年度、政府系金融機関や県の制度融資を活用した民間金融機関による無利子・無担保融資が創設され、多くの事業者が借入れを行っているところです。

 現在、一部の事業者においては返済が既に始まっている状況の中、議員御指摘のとおり、コロナ禍の長期化により今後の返済について不安を感じられている事業者が少なからず存在するものと考えています。

 県としては、これまでも月々の返済負担を軽減できるよう、借換え資金を整備しているところでありますが、コロナ禍において事業者の資金繰りに重大な支障が生じないよう、国・県の双方から金融機関に対して、既往債務の返済猶予などの条件変更を含め、事業者の実情に応じた柔軟な対応を行うよう要請してきたところでございます。

 なお、金融庁が本年8月に公表している中小企業者に対する金融機関における貸付条件の変更等の状況によれば、金融機関は条件変更に99%応じているとされており、県内の金融機関においても同様の状況であると聞いております。

 今後とも、事業者の皆様が資金繰りに不安を感じることがないよう、金融機関をはじめとする関係機関と連携し、きめ細やかな支援を行ってまいります。

○議長(森 礼子君) 岩田弘彦君。

  〔岩田弘彦君、登壇〕

○岩田弘彦君 きめ細やかに頑張っていただけているということで、ただ私、もともと商工会議所の青年部長経験者なんで、先日から大体30代、40代、50代、飲食店、地元でももともとコロナ前ははやっていたところ、頑張っていたところ、20人ぐらいの会員に呼ばれてお話も聞いたんですけど、制度的に上手に活用していただいて、頑張ってくれているんだけど、やっぱりここの部分、みんな同じように思っているわけですよ。今まで以上に投資的じゃなくて、つないでいくための借金って、そんなんしたことない子らばっかりやったんでね、非常に不安というなんで。これ、売上げさえ上がってくれたら僕らは大丈夫ですということやったんですが、その売上げがなかなか上がってこないんで、これからもうちょっと細かく見といてあげてくれて、皆さんがやっぱり和歌山でまだ頑張って商売するんやという状態になれるように、どうかお力添えいただけますようによろしくお願いいたします。

 次の質問に入らせていただきます。

 大項目3であります時短要請についてであります。

 県内において、本年4月以降、かつてない勢いで感染者が増加しました。本県では、これまで経済にできる限り制限を課すことなく、保健医療行政の頑張りで感染を制御してきましたが、しかし、変異株の感染力は想像を超え、保健医療行政だけでは防ぎ切れない事態となったことから、やむを得ず方針を転換し、予防的措置として、和歌山市内の飲食店に営業時間短縮を要請する強い対策を講じました。このような私権制限や民業圧迫につながるような対策というのは、本県にとって初めてではないでしょうか。

 そこで、飲食店の皆様の対応状況並びに時短要請の総合評価で、今第5波における時短要請の考え方について、危機管理監にお伺いします。

○議長(森 礼子君) 危機管理監細川一也君。

  〔細川一也君、登壇〕

○危機管理監(細川一也君) 営業時間の短縮要請については、令和3年4月22日から5月31日まで、和歌山市内の食品衛生法の営業許可を取得して営業している店舗に対し、新型インフルエンザ等対策特別措置法第24条第9項に基づき、午前5時から午後9時までの営業時間の短縮を要請いたしたところでございます。

 営業時間の短縮状況を確認するために、見回り活動を行っていただいた和歌山市からの報告によれば、午後9時以降も営業をしていると思われる飲食店等約1800店舗のうち、調査が実施できた約1700軒について、おおむね要請に応じていただいていたとのことでありました。

 その結果、大阪府からの来客は減少いたしました。同時期に、併せて県内全域に不要不急の外出自粛を要請していたこともありまして、県全体の人口10万人当たりの新規陽性者数が、要請を開始した4月22日の時点の30.1人から、要請を解除した5月31日に5.5人に減少いたしました。

 また、病床使用率についても同様に、県全体で4月22日の時点の96%から、5月31日に17.7%に減少いたしました。このようなことから、感染防止対策に寄与したものと考えています。

 営業時間の短縮要請は、飲食店における感染防止を目的に行われるものですが、本県における現在の感染の傾向として、飲食店での感染事例が全体に占める割合が数%しかなく、飲食店が感染拡大の主な要因とはなっていないため、感染防止の決め手とは考えておりません。

 本県としては、現在の感染傾向を分析した結果、むしろ学校、教育現場や医療現場等における感染予防対策の徹底がより効果的であると考えております。このような理由から、現時点では、飲食店に対して営業時間の短縮要請を行う状況ではないと考えております。

○議長(森 礼子君) 岩田弘彦君。

  〔岩田弘彦君、登壇〕

○岩田弘彦君 的確な検証、ありがとうございます。飲食店での感染事例が、全体に占める割合の数%しかなく、飲食店が感染拡大の主な要因ではないよと、和歌山県はそうということなんで、これはもう日頃から言われていたんですけど、何か飲食店が悪者みたいにマスコミで言われているけど、うちはもう的確に検証して、この答えを出していただいて、ありがとうございます。もうそれやったらそんなんする必要がないんで、やっぱり的確に次の政策を。

 単純に言われたんですよ。大阪が激しくなっていて、前より和歌山の人数が多くなっているのに、和歌山市さん危ないのと違うのというような言われ方もしていますので、お聞きしました。的確に伝えて、的確に次の手を打ってください。よろしくお願いします。

 続いて、大項目4番、国道371号紀見トンネルについてであります。

 昨日、同僚議員の中本さんが取り上げて質問していただいておりましたので、その答弁を踏まえて、改めて次の段階の質問をさせていただきます。

 国道371号紀見トンネルは、本県が管理している唯一の天井板のあるトンネルで、約50数年が経過しております。

 平成24年12月2日に発生した笹子トンネル内の天井板落下事故を受け、平成24年12月議会において、紀見トンネルの安全・安心の確保と天井板の撤去について一般質問をさせていただきました。緊急点検の結果につきましては、当時の同僚議員への答弁で、緊急に対策を要する箇所はなく、天井ばり及び天井板の落下のおそれもないということを確認した上で質問をさせていただきました。

 そのときの答弁は、「今後も、安全・安心の道路交通を確保するため定期的にトンネル点検を実施し、必要な修繕を行うとともに、換気装置の維持管理の観点から、天井板等の撤去の可能性につきましても検討してまいります」でありました。

 12月に県が安全宣言を出した翌年、平成25年1月3日に、トンネル内の側壁のコンクリート片が落下しました。これはちょっと大騒動になったんですが、平成25年の予算特別委員会にて、工事による現トンネルの長期間にわたる全面通行止めは、橋本市を中心に大きな経済的ダメージを与えるため、仮称・新紀見トンネルの早期整備とともに、天井板を撤去し、気持ちよく通れるトンネルにリニューアルしていただきたいとの思いから、紀見トンネルの安全・安心の確保並びにリニューアルについて質問をさせていただきました。

 そのときの答弁は、紀見トンネルにつきましては、昨年12月、天井板を、また本年1月に側壁コンクリート部分の緊急点検を行い、側壁部の修繕と補強を実施しました。引き続き漏水対策を行うとともに、これまでの不定期な点検から定期点検に見直し、必要となる修繕及び設備の更新を行ってまいります。

 また、トンネルのリニューアルについては大規模な修繕となり、通行止めを伴うことから、仮称・新紀見トンネルの整備も含めて、大阪府と協議してまいりますでありました。

 紀見トンネルに限らず、県内のトンネルの安全・安心を確保することは当然のことであります。今後の紀見トンネルの課題は、危険な天井板を必要としないのに、旧態依然の延長線上のままの維持管理をするのか、天井板を撤去し新たな維持管理をするのか、どちらを選ぶかだと思います。

 仮称・新紀見トンネルも貫通し、国道371号バイパスの開通も見えてきました。将来にとって、重要な選択の時期だと思います。

 そこで、検討結果や大阪府との協議結果並びに天井板の撤去を前提とするリニューアルについて、県土整備部長にお伺いします。

○議長(森 礼子君) 県土整備部長。

  〔安部勝也君、登壇〕

○県土整備部長(安部勝也君) 紀見トンネルの換気を担う天井板は、平成24年12月の中央道笹子トンネルの天井板崩落事故を受け、地元の皆様の関心が高いと聞いています。

 平成25年度に、仮称・新紀見トンネル開通後の紀見トンネルの換気設備の必要性について検討したところ、自動車排出ガス規制の効果や交通量の減により、その必要性が低いとの結論を得ました。

 ついては、大阪府との協議を開始しましたが、仮称・新紀見トンネル開通時期の見通しが立たなかったこと、天井板撤去に当たって通行止め等が必要なことから、後年度の検討となったところです。

 また、平成29年度に第1回目の法定点検を実施したところ、紀見トンネルについて対策を要する損傷がないとの結論であったことから、老朽化の観点からも当面、天井板を継続して維持管理していくこととしました。

 今般、仮称・新紀見トンネルの開通の見通しが見え始めたことから、今年度当初より大阪府との協議を再開したところです。つきましては、今年度実施中の2回目の法定点検の結果等も踏まえ、天井板の撤去や照明のLED化など抜本的な維持修繕について、大阪府の協力も得ながら取り組んでまいります。

○議長(森 礼子君) 岩田弘彦君。

  〔岩田弘彦君、登壇〕

○岩田弘彦君 取り組んでいくということで、ありがとうございます。方向性が見えましたので。昨日の中本議員の質問の老朽化対策と、天井の今日の話を含めまして進んでいっていただけるということで感謝申し上げます。よろしくお願いいたします。

 次、5番、企業立地について、(1)あやの台北部用地についてであります。

 本県では、内陸型の大規模用地の開発として、私の地元であります橋本市では、積極的な企業誘致を進めていただいております。UR都市機構の全国初となる共同開発事業であります紀北橋本エコヒルズにおいて、県の企業立地課の精力的な取組と、市の企業誘致室の取組で、この相乗効果で用地は完売状態であります。にもかかわらず、現在でも多くの問合せがあり、新たな大規模用地を待ちかねている、そのように聞いております。

 現在、紀北橋本エコヒルズに近接するあやの台北部地域において、新たに大工業用地の開発に着手しているところであります。

 的確な戦略の積み上げで、訪れた絶好のチャンスを見逃すわけにはいきません。コロナ禍ではありますが、さらなる企業誘致の促進が期待されるあやの台北部用地の進捗状況並びに誘致の見込みについて、知事にお伺いします。

○議長(森 礼子君) 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 県では、これまでも新たな産業の創出による地域経済の振興と雇用の創出を目指して、懸命に企業誘致を推進してまいりました。

 企業誘致を進めるに当たりましては、企業用地の確保がもちろん第一でありますけれども、併せて道路ネットワークの整備も積極的に行わなきゃいけないということで頑張ってまいりました。

 京奈和自動車道や府県間道路の整備に伴い、和歌山県の交通アクセスは格段に向上してまいりまして、京阪神などの近隣府県だけではなくて、中京圏からも企業の進出が期待できるようになってまいりました。

 とりわけ、京奈和自動車道というのは大変大きな意味がございまして、今のところ、奈良県の一部で少し工事が滞っているというか、ゆっくりしているところがありまして、これが奈良市の南まで開通してしまいますと、それこそ名古屋なんかには、ほとんどただで高速環境で物資が運搬できるというような感じになりますので、これはますますこの地域の価値が、和歌山県の地域の価値が高まってくるだろうというふうに思っております。

 その結果、紀北橋本エコヒルズをはじめとする県内の多くの工業団地がほぼ完売となりまして、企業に進出いただくための用地が乏しい状況になってしまっておるわけでございます。

 これは、本県に訪れたチャンスを逃すことになると、そうなったら大変だということで、県は橋本市、南海電気鉄道株式会社と共同で内陸型の大規模工業団地「あやの台北部用地」を開発することを決定いたしまして、それぞれがお金を出して、現在、造成工事を進めているところでございます。

 工事については、地元の方々の御理解と御協力により、令和5年度の引渡しに向けて順調に進んでおります。また、この用地をいち早くPRするため、昨年度から既に募集を開始しておりますが、そうしましたところ多くの企業から問合せをいただいている状況で、既に複数の区画が予約済みとなっております。

 県としては、コロナ禍により製造業の国内回帰や新たな投資が進むと見込まれるということもございまして、交通インフラなどの立地条件をさらに充実させるとともに、あやの台北部用地をはじめ市町村と連携した新たな工業団地の開発も進めながら、全力を挙げて企業誘致に取り組んでまいりたいと考えております。

○議長(森 礼子君) 岩田弘彦君。

  〔岩田弘彦君、登壇〕

○岩田弘彦君 全力を挙げてということで、知事、よろしくお願いいたします。地元の皆さん、今ちょっと工事中なんでね、茶色い水が出たとか、田植のときに立ったんですけど、私、言うんです。皆さん、これ職場ができて、次の世代の人が近隣に住んで、今、職住近接で県が頑張っているんで、通勤時間は今、2時間ほどで大阪に行かれているのと違うん、子供さんって。片道2時間やったら往復4時間で、これ地元やったらこんなん往復30分でしょうと。だから、3時間何ぼは時間毎日空くんですよと、その間に子供のこと、地域のこと、趣味のこと、心豊かに生きていこうと思ったらやっぱり和歌山はええでと言って、夢を見てくださいよ、1回ね。だから少々のこと、すいませんけど、こらえたってよというふうな話の仕方をしておりますので、どうか知事、頑張っていただきますようによろしくお願いいたします。

 次に、(2)新たな企業誘致戦略についてお伺いします。

 新型コロナウイルス感染症の拡大により、人々の生活様式が大きく変化しており、それに伴い企業のビジネス環境もさま変わりしてきております。テレワークが普及し、会社に出勤しなくてもどこでも仕事ができる時代になってきました。本社を使う機会が少なくなるわけですから、賃料の高い都心の本社は規模を縮小し、その代わりに地方にサテライトオフィスを構えることを選択する企業が増えてきていると聞いております。

 これは、経費削減の意味もありますが、東京に権限を集中するとコロナ禍のような有事の際に対応がしづらい、危機管理の意味もあるようであります。

 また、東京の企業に勤めたまま地方に移住して、地方で仕事をするといった移住形態も出てきており、こういった移住者も今後、徐々に増えていくと思われると思います。昨年9月議会において、知事から、「和歌山の強みをパッケージし、職住近接モデルとして提案するなど、新しい時代に対応した戦略的な誘致活動により、企業や個人に和歌山を選んでもらえるよう総力を挙げて取り組んでまいりたい」との御答弁をいただきました。

 そこで、これからの新しい時代に向けた新たな企業誘致戦略とその取組を、知事にお伺いします。

○議長(森 礼子君) 知事。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 新型コロナウイルス感染拡大の影響によりまして、テレワークが大変脚光を浴びて普及してまいりました。これは、場所を選ばない働き方と言ってもいいかと思います。

 その結果、従業員が都心に毎日通わなければいけないということで都心に近いところに住んでいたのが、もうちょっと離れたところに居を移してもいいなあというような流れが出てきておりますし、一方、企業のほうでも、都心の一等地に大きなオフィスを、高コストでございますが、それを設置する必要がなくなってきておりまして、それならば地方にオフィスあるいはサテライトオフィスを構えるのもいいなあというような動きがあることは明らかであろうかと思います。

 ただ、この動きで自動的に黙っていても来てくれるのは、首都圏ないしは関東圏の周辺部だけで、それ以外のところはもっと努力をしないと、この動きを取り込めないということではないかなというふうに私は思っております。

 そこで和歌山県では、首都圏等からのアクセスのよさとか、これは関空があったり新幹線があったり、それから南紀白浜空港があったりということでございますので、アクセスは結構いいわけで、それからネットワーク環境も、これは通信でございますが、全国でトップクラスだと思います。それから、全国最高水準の奨励金もあるなあというビジネス上の優位性に加えて、緑に囲まれた快適な住環境、万全な医療体制、充実した教育、学校・保育所の待機児童の少なさ、こういうのは全て、移住してこられる人がいたとしたら、そういうことを考えて、あんなところは嫌だとかここならいいと、こう考えるはずなので、そういうことをどんどんとPRをして、それで首都圏等からのオフィス誘致を頑張りたいと思っているところでございます。

 そこで、PRのために「アフターコロナ時代のNew Work×Life Style」といった提案書を作成して、職員はもちろんでございますが、私自身も企業に対して時々トップセールスをやっていると、こんな感じであります。こういう活動が功を奏しまして、昨年度は6社のICT企業の誘致に成功しました。今年度も既に2社の誘致が決定しております。

 また、首都圏等の企業に、これは全く新しい働き方なんですが、企業に籍を置いたまま地方に移住して、テレワークを活用してこれまでの仕事を継続して行う、いわゆる転職なき移住ということが今後増えてくるんではないかというふうに見込まれることから、従来のオフィスそのものを誘致するというだけじゃなくて、企業の従業員の移住、これも併せて推進していかなきゃいけないというふうに考えております。

 そのための受皿として、和歌山市はもちろんなんでございますが、南紀白浜空港の公園内において、民間の活力を生かした新たなビジネス拠点の整備を進めております。また、白浜町以外の市町村にも働きかけて、国の地方創生テレワーク交付金というのがあるんですが、これを活用してそれぞれの市町村にサテライトオフィスやコワーキングスペース、こういうものをつくるように努力してはどうかということを進めておりまして、だんだんと県内各地で、こういう意味での企業や従業員を受け入れる体制を整えているところでございます。

 また、当県はワーケーションの聖地、白浜が一番有名になったんですけど、そのほかも頑張りたいと思っておりまして、このワーケーションを振興いたしまして、ワーケーションで来てくださる人々とか、あるいは企業ですね、こういう方々がここはいいところだと、働きやすいぞと、それじゃあちょっと拠点を移してみるかというようなことを考えてくださる、あるいは移住しちゃおうかなとか、そういうことを考えてくださるようになったらいいので、このワーケーションも盛り上げていかなきゃいけないと思っております。

 企業を取り巻く環境は、どんどんと変わっていくわけでございます。いろんな事情によって加速されたりもします。県としては、こういうことについてぼうっとしていることなく、アンテナを高くしながら社会の変化に対応して、それで企業へのPRとか、あるいは移住希望者をターゲットとするようなPR、きめ細かいサポート、そういうことを続けて積極的に誘致活動に取り組んでまいりたいと考えております。

○議長(森 礼子君) 岩田弘彦君。

  〔岩田弘彦君、登壇〕

○岩田弘彦君 いつもながら、先を見た選定の取組もしていただいて、本当にありがとうございます。コロナ後の方向性もありますし、今、万博というのも一つのきっかけかなと思います。その辺もまた的確に捉えていただいて、大いに御期待申し上げますので、どうか知事、よろしくお願いいたします。

 以上で、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(森 礼子君) 以上で、岩田弘彦君の質問が終了いたしました。

 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。

 この際、暫時休憩いたします。

  午前11時39分休憩

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  午後1時0分再開

○副議長(鈴木太雄君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 1番鈴木德久君。

  〔鈴木德久君、登壇〕(拍手)

○鈴木德久君 皆さん、こんにちは。

 ただいま議長からお許しをいただきましたので、私にとりまして6回目となる一般質問をさせていただきます。今回は、大きな項目として4点予定しておりますので、どうかよろしくお願いいたします。

 まずもって、新型コロナウイルス感染症に関しまして、県内の状況は9月14日現在、感染者は累計5076名、うち亡くなられた方が59名、また現在入院されている方は183名となっています。お亡くなりになられた方々に対しまして心から御冥福をお祈りするとともに、今もなお治療されている方々にはお見舞いを申し上げ、一日も早い御回復をお祈り申し上げます。

 また、新聞報道等によりますと、県内でも8月25日には病床使用率は96.5%を超え、かなり緊迫の状況でありましたが、医療現場や保健医療行政等の関係者皆様の頑張りにより、9月10日には8月14日以来27日ぶりに50%を下回りました。さらなる感染拡大のおそれもあるとしながらも、第5波のピークは越えたのではとされています。

 都市部での自宅療養の状況や救急車での搬送先が決まらないなど、そういった報道を見るにつけ、改めて関係者の皆様に感謝申し上げたいと思います。

 そしてまた、今年は、県内でも死者・行方不明者61名、住宅被害が8000棟以上に及んだあの紀伊半島大水害から10年目の節目に当たります。県が9月5日に那智勝浦町体育文化会館において予定していました紀伊半島大水害10年追悼式は、新型コロナの影響で中止となりましたが、各地で規模を縮小しながら追悼式が行われました。

 私の近くでは、二つの写真展が開催されました。一つは熊野本宮大社瑞鳳殿で8月13日から9月5日まで、熊野本宮大社が流された1889年(明治22年)と1953年(昭和28年)、そして10年前の2011年(平成23年)のこの三つの紀伊半島大水害の貴重な資料や写真が展示されました。

 もう一つは、世界遺産熊野本宮館で8月21日から9月12日まで、10年前の水害で唯一集落の解散を決めた田辺市本宮町三越奥番集落の「流された村 奥番」と題した写真展が開かれました。

 災害からまだ10年ですが、復興が進み、被災地以外では災害の記憶が風化しつつあるとも言われています。そんな中で、132年前と58年前、そして10年前の写真展を通して、記憶をいかにして次世代につなぎ、将来の減災に生かそうとする、このような取組は大変貴重なものだと思います。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 忘れてはいけない、そして次世代にしっかりとつないでいかなければならない記憶として、さきの戦争の記憶があります。

 76回目の終戦記念日を迎えた8月15日、約310万人の戦没者を慰霊する政府主催の全国戦没者追悼式が東京都千代田区の日本武道館で開かれました。

 天皇陛下は、式典でのお言葉で「再び戦争の惨禍が繰り返されぬことを切に願い」と、不戦の決意を表明されました。また、菅総理は式辞で、「私たちが享受している平和と繁栄は、戦没者の尊い命と、苦難の歴史の上に築かれたものであることを、私たちは片時たりとも忘れません」と哀悼の意を述べられました。

 さらに、遺族を代表して兵庫県の柿原さんは、「今日の平和と繁栄は尊い犠牲の上に築かれ、その犠牲として亡くなられた人々は、今の日本に暮らす人々と同じようにごく普通の生活を過ごしていた方たちであったことを、どうか気がついていただきたい」との思いと、「平和の大切さを確かに次世代へと継承するために一層努めてまいります」と追悼の辞を述べられていました。

 例年、追悼式には5000人程度の遺族が参加されていましたが、今年は新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、政府が都道府県間の移動自粛を求めており、22の府県が参加を取りやめたため、参列者の数は185人と、追悼式が始まった1963年以降で最も少なくなりました。

 また、終戦から76年を迎え、遺族の方々の高齢化も一層進んでおり、初めて戦没者の配偶者の参列がなかったとのことです。

 私の地域でもお寺に戦没者の慰霊碑があり、23名の方が祭られています。私の母方の祖父が戦没者であり、祖父は母とその妹が4歳と2歳のときにフィリピン南方海上にて戦死と聞いております。ちょうど私の孫が今4歳と2歳であり、息子も祖父と同じ年頃です。当時の祖父の心中を思い、私なりに不戦の誓いを新たにした今年の夏でした。

 私どもの遺族会でも、毎年ささやかながら慰霊祭を執り行ってまいりました。母が役員としてお世話をさせていただいておりましたが、高齢と体調不良のため、ここ数年は私がお手伝いをさせていただいております。今年はとうとう遺族の方の参加がかなわず、関係者のみでの慰霊祭となりました。

 全国的にも、遺族の高齢化で会員が減り、遺族会の解散が相次いでいるとのことですが、一方で戦争への記憶が薄れていく今こそ、平和の大切さを次世代へと継承するために、孫、ひ孫らで構成する青年部が設立されているとのことですが、県内の青年部の現状と今後について、福祉保健部長にお伺いいたします。

○副議長(鈴木太雄君) ただいまの鈴木德久君の質問に対する答弁を求めます。

 福祉保健部長志場紀之君。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 和歌山県遺族連合会は、残された御遺族の福祉向上と、戦争の悲惨さや平和の尊さを後世につなぐことなどを目的として長年活動されておりますが、戦後76年を経過する現在、戦争の時代を生き抜いてこられた世代の方々の高齢化が進み、次の世代へ活動を引き継ぐことが課題となっております。

 県遺族連合会では、その意思を継承するため、御遺族の孫やひ孫世代等で組織する青年部を平成29年5月に設立し、現在、青年部の部員は約50名となっています。本部や女性部と連携して英霊顕彰活動に取り組み、また、戦争の悲惨さ等を後世に伝える語り部としても活動できるよう研さんを積むとともに、各支部で部員の獲得にも取り組まれています。

 県では、青年部の活動も含め、県遺族連合会が取り組む平和の大切さを後世に引き継ぐ活動に対して支援を行ってきたところです。

 また、県戦没者追悼式及び南方諸地域での戦没者追悼式につきましては、長年主催してきた県遺族連合会からの要望を受け、将来にわたって戦没者の慰霊を継続していくために、平成25年度からは平和を祈念する式典として県が実施し、県遺族連合会と連携してより多くの方々に御参列いただいております。

 今後も引き続き、戦争のない恒久平和な社会を実現するため、県遺族連合会の皆様と共に努力してまいります。

○副議長(鈴木太雄君) 鈴木德久君。

  〔鈴木德久君、登壇〕

○鈴木德久君 御答弁ありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします。

 戦争の悲惨さを次世代に伝えるものとして、様々な基地などの戦争遺産があります。田辺市新庄町の鳥の巣半島には、特攻艇「震洋」のための出撃基地跡があり、NPO法人震洋鳥ノ巣基地跡保存会により設置、管理運営され、戦争の悲惨な記憶が風化しないよう、地道な活動が続けられています。

 特攻隊とは、太平洋戦争の戦況が悪化した末期に日本軍が編成した、生還を期さない体当たり攻撃部隊「特別攻撃隊」の略称で、航空機などを爆装し、搭乗員もろとも敵艦に体当たりするものです。

 特攻隊には航空特攻と海上特攻があり、航空特攻は1944年10月のフィリピン・レイテ沖海戦における神風特別攻撃隊が最初であり、それ以降、日本軍航空部隊の主要な戦法となってしまいました。

 海上特攻の場合は、潜水艦の甲板上などから発進して敵艦に体当たりをする人間魚雷「回天」や、体当たり用の爆装モーターボート、特攻艇「震洋」などがあるとされています。

 特攻艇「震洋」とは、日本海軍が太平洋戦争中盤以降に開発、実戦投入した特攻兵器です。全長5メートルのベニヤ製モーターボートに古いトラックのエンジンを搭載し、船内艇首部に爆弾を乗せ、搭乗員が乗り込んで操縦して目標艦艇に体当たり攻撃を敢行するものです。

 1944年5月には試作1号艇が完成し、総生産数は終戦時までに各型合わせて6197隻とされ、全国で約2500人が戦死されたそうです。

 元NPO代表の原さんは、調査の結果、鳥の巣半島には、震洋を敵から隠すために掘られた洞窟7本が見つかり、遺構を保存して人間を兵器にした戦争のむごたらしさを訴えようと、有志と共に保存会を設立、土地所有者の協力を得ながら展示室に戦争関連書籍などを並べ、洞窟には当時の設計図から原寸大の震洋の模型を収めて、2015年に平和公園をオープンしたそうです。

 最近では、期せずして、8月11日の読売テレビ「かんさい情報ネットten.」の中で、「Let's go!若一調査隊」(和歌山・今も残る戦争遺跡・海の特攻兵器「震洋」「回天」・引き上げ港の名残)と題して、作家の若一光司さんとアナウンサーの黒木千晶さんにより詳しく紹介されました。

 また、8月14日の読売新聞でも、「特攻艇の地 風化許さぬ」との題名でNPO法人震洋鳥ノ巣基地跡保存会が紹介され、皆様にも周知のこととなりました。しかしながら、保存会のメンバーも高齢化し、会の存続に加え、基地跡の保存・維持も心配な状況となっています。

 そこで、このような歴史的遺産の保存や維持に向けた県の考え方について、教育長にお伺いいたします。

○副議長(鈴木太雄君) 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 戦争の悲惨さを次世代に伝えるため、地域の人たちが活動を続けておられることはとても立派なことだと思います。

 現在、県では、幕末から第2次世界大戦終戦頃までのいわゆる近代の文化遺産について調査を進めているところであり、市町村から2500件余りの事案が報告されております。

 議員御紹介の震洋の基地跡もこのうちの一つであり、今後、これらについては専門家の指導を得ながら、関係市町村と共に個別調査をしていく対象となります。

 歴史的遺産を後世に伝えていくためには、市町村が地域住民と連携しながら一体となって保存と活用に取り組むことが重要であり、県はこのような取組を支援してまいりたいと考えています。

○副議長(鈴木太雄君) 鈴木德久君。

  〔鈴木德久君、登壇〕

○鈴木德久君 御答弁いただきました。ぜひともよろしくお願いしたいと思います。

 近年、夏には周辺の高校生が洞窟の見学と進入路の草刈り活動を行ってくれています。地域の高校生との交流は大変ありがたく、意味のあることだと思います。このような交流は、平和学習にもつながると考えますが、県の考え方について、教育長にお伺いいたします。

○副議長(鈴木太雄君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 高校生が地域活動をしている方々と触れ合い、できることを見いだして協力することは、地域貢献や生徒の社会性の育成という点において有意義なことと考えます。このことは、地域の課題等に気づき、それを探求する姿勢や意欲を育むとともに、主体的に考え、課題解決に向けて行動していこうとする力や態度の育成にもつながるなど、これからの教育の目指す方向性と一致します。

 高校生が戦争に関する歴史的な遺産の整備活動等に自主的に関わることは、平和の大切さを実感するとともに、地域の方々との交流によって平和を希求する思いを受け継ぐなど、貴重な学びの体験になると考えます。

○副議長(鈴木太雄君) 鈴木德久君。

  〔鈴木德久君、登壇〕

○鈴木德久君 広島、長崎の原爆慰霊祭でも、当事者の方々は、命の限り伝承していく決意を述べながら、今後は行政の力も借りなければ難しいのではとのコメントがありました。戦後76年が経過して、もうそういう時期が来ている感がありますので、今後ともどうぞよろしくお願いしたいと思います。

 次に、鳥獣害対策についての質問に入ります。

 私は、家の手伝いから始めて40年近く米作りをしています。最初の頃は5反ほどの自分の田んぼだけでしたが、近所で耕作をやめる人が増えてきて、今では頼まれた田んぼも含めて1町5反ほどになっています。また、今年のお盆も長雨など、最近では花かけ時期のゲリラ豪雨や気温の上昇によって、近年ますます米作りが難しくなってきているように感じます。

 そして、その上に厄介なのが鳥獣害被害です。

 私は、本宮大社の旧社地にあります大鳥居の周辺で5反ほど耕作していますが、参拝者の通行のために獣害ネットを常時締め切るわけにもいかず、4か所のネットの開閉を夕方7時に閉めて朝の5時に開ける、この作業を9名のメンバーが交代で、5月から8月いっぱいまで毎日続けております。

 また、今年は別の離れた場所にある山田の1枚は、ちょっとした隙にネットの隙間からイノシシに入られ、ほぼ全滅しました。私の周りでも、獣害との戦いに疲れ果て農業をやめる方が多いように思います。

 農林水産省の令和2年度食料・農業・農村の動向の中でも、野生鳥獣による農作物被害は営農意欲の減退をもたらし、耕作放棄や離農の要因になることから農山村に深刻な影響を及ぼしており、鳥獣害対策を全国的に進めるとしています。

 令和3年度当初予算でも、有害捕獲や防護柵の整備など鳥獣被害防止総合対策交付金として110億円が計上されています。さらに、県においても令和3年度当初で6億6500万円もの予算で支援を行っていただいており、捕獲頭数も年々増加傾向とのことです。

 大変ありがたい施策で感謝しておりますが、今回は有害捕獲補助金の単価について質問をさせていただきます。

 簡単に申しますと、田辺市ではイノシシの成獣を捕獲した場合、国の補助金は、銃での捕獲もわなによる捕獲も同じ7000円です。県では銃が8000円、わなはゼロ円となっています。銃による捕獲については、免許の取得や銃の所持に係る費用など相当の経費を必要とするため、1万5000円程度の報奨金は妥当な金額であると思われますが、わなによる捕獲についても毎日の見回りが必要であり、くくりわなについては仕掛けそのものが高価で、一度の捕獲で破損するケースも多く、銃と同等の費用が必要と思われます。

 田辺市での令和2年度の捕獲実績は、イノシシが1476頭、鹿は2214頭の合計3690頭、そのうち銃による捕獲が1246頭、わなでは2444頭となっています。

 このように、わなでの捕獲割合が66%を占めている状況で、今後、有害鳥獣の捕獲の推進にはわなによる捕獲従事者の確保が重要と考えられます。ぜひとも、わなによる捕獲補助金の見直しを検討いただきたいと思いますが、県の考え方について農林水産部長にお伺いします。

○副議長(鈴木太雄君) 農林水産部長岩本和也君。

  〔岩本和也君、登壇〕

○農林水産部長(岩本和也君) イノシシなどの有害捕獲報奨金は、市町村において国交付金と県補助金を活用し、銃による捕獲で1頭当たり1万5000円、わなによる捕獲で1頭当たり6000円を基本に捕獲従事者に支払っており、これに独自で上乗せ補助を行っている市町村もございます。

 令和2年度の県全体の有害捕獲報奨金の支出合計は約3億3000万円で、内訳としては、国が約2分の1、県と市町村がそれぞれ約4分の1となっております。

 議員お話しの田辺市を例に取りますと、成獣をわなで捕獲した場合の報奨金1万円の内訳は、国交付金が7000円、県補助金はゼロ、市補助金は3000円となっております。一方、銃による捕獲報奨金1万5000円の内訳は、国交付金が7000円、県補助金が8000円、市補助金がゼロとなっております。こうした捕獲報奨金の県補助額は、これまで捕獲経費などを勘案し、適宜増減させてきたところであり、今後も必要に応じて見直しの検討を行ってまいります。

○副議長(鈴木太雄君) 鈴木德久君。

  〔鈴木德久君、登壇〕

○鈴木德久君 御答弁ありがとうございます。捕獲状況や従事者の意見を常に把握していただき、必要に応じ見直しをお願いしておきます。

 次に、夜間銃猟についてお伺いします。

 国においては、2013年に抜本的な鳥獣捕獲強化対策として、鹿及びイノシシの当面の捕獲目標を、2023年度までに生息数を半減させることとしました。その中で、指定管理鳥獣の捕獲等の推進のため、知事が捕獲の効率性を向上させるために、夜間銃猟が有効と判断し、かつ厳格な安全管理が可能と判断した場合には、限定的に夜間銃猟が認められています。

 県では、2015年度から夜間銃猟を実施とのことですが、これまでの捕獲頭数や1頭当たりの捕獲経費などの実績と今後の方針について、農林水産部長にお伺いします。

○副議長(鈴木太雄君) 農林水産部長。

  〔岩本和也君、登壇〕

○農林水産部長(岩本和也君) 夜間銃猟につきましては、鳥獣保護管理法の改正により実施可能となり、県では、平成27年度から生息数が増加傾向にあるニホンジカについて、昼間の銃猟やわな猟による捕獲とは別の新たな捕獲方法として取り組んでまいりました。

 これまでの実績につきましては、取組当初の平成27年度は試行錯誤をしながらの実施となったため、捕獲頭数も6頭と少なく、1頭当たりの経費も100万円以上かかりましたが、平成28年度以降の5年間は、捕獲数が年平均54頭、1頭当たりの捕獲経費も約20万円となっております。

 夜間銃猟の実施に当たっては、捕獲従事者に加え、事前の餌づけや実施時の安全確保のための作業員が必要で、これらの人件費も経費として算定することから、1頭当たりの捕獲経費が有害捕獲に比べて高くなります。

 しかしながら、夜間銃猟はニホンジカの捕獲数増加の一助になると考えており、捕獲方法を改善することで捕獲数の増加による1頭当たりの捕獲経費の低減を図り、引き続き取り組んでまいります。

○副議長(鈴木太雄君) 鈴木德久君。

  〔鈴木德久君、登壇〕

○鈴木德久君 捕獲効率のよい、誰もが納得できるような対策事業について、今後ともよろしくお願いしたいと思います。

 次は、新型コロナウイルス関連のシステムについてお伺いします。

 新型コロナウイルス関連及びワクチン予約には、様々なシステムが開発されています。これらは正確な感染状況の把握やスムーズなワクチン接種のため、立て続けに開発されましたが、一方で、システムの乱立が問題視されています。複雑過ぎて、現場からはシステムハラスメントではないのかといった声も聞かれています。

 特にワクチン関連では、割当てを管理する厚生労働省のワクチン接種円滑化システム(V-SYS)と、接種記録を管理する内閣府のワクチン接種記録システム(VRS)の二つのシステムがあります。ワクチンを接種するために、各自治体は接種券を住民に配付します。その接種券番号はマイナンバーとともにVRSに記録されます。ワクチン接種会場では、接種券番号を照会することでその人が何回目の接種か把握できます。

 一方で、接種券を発行するシステムは、各自治体が個別に開発をしています。別々のシステムになっているので、VRSとの連携はCSV形式のテキストファイルをアップロードする形で行われます。また、ワクチンの使用状況はV-SYSに登録し、新たなワクチンの配分を決めるための情報となります。このVRSとV-SYSはシステム連携していませんので、担当の方がVRSの集計画面を見ながらV-SYSに必要な情報を手で入力することになります。

 ワクチン接種の現場からは、接種券の数字をそのままOCRで読ませる方法にしたことによるタブレットの不具合や、受付から接種までスムーズにいっても記録に時間がかかっているといった声が聞こえてきます。

 これから3回目の接種も検討されていますが、国に対して現場の混乱や苦労を改善するために、システムの統合や改修を要望していただきたいと思います。これらのシステムに係る現状と課題について、福祉保健部長にお伺いします。

○副議長(鈴木太雄君) 福祉保健部長。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) ワクチン接種に係るシステムであるV-SYSとVRSの運用については、急遽国において作成されたシステムであったため、二つのシステムへの重複入力やVRSの読み込みに時間がかかるなど、運用上の様々な課題があったところです。

 当該システムの課題は、全国的に共通の課題であることから、全国知事会において数回にわたり懸案事項について緊急要望を行い、V-SYSとVRSのそれぞれで行っている接種実績の入力を一元化するなど、様々な項目について国において改善がなされたところです。

 ワクチンの3回目接種の運用につきましては、現時点では具体的に国から示されておりませんが、同システムが引き続き運用されるようであれば、現在も要望を行っているV-SYSとVRS間の情報連携やVRS読み込みの迅速化など改善が必要な項目について、引き続き全国知事会を通じて要望してまいります。

○副議長(鈴木太雄君) 鈴木德久君。

  〔鈴木德久君、登壇〕

○鈴木德久君 先日のニュースによりますと、東京都は3日、JR渋谷駅の近くに開設した若者向けの新型コロナワクチン接種会場でのオンライン抽せんを始め、4日に接種する375人の枠に21.7倍の8128人が申し込んだと明らかにしました。受付開始の午前7時頃は、一時エラーが出るほどのアクセスが集中したそうです。

 渋谷会場は、事前予約なしを売りにしておりましたが、希望者が多いため、5日分の接種からは前日にオンライン抽せんを実施する方式に切り替えたそうです。午後5時まで無料通信アプリ「LINE」での申込みを受け付け、夜に当せん者を発表、それでスムーズにワクチン接種が行われたそうです。素人考えでも、最初からそうすればいいのにと思いますが、やっぱり自治体はどこも試行錯誤をしているんだと思います。

 予約システムについては、自治体ごとに作成となっていますが、県内統一の予約システムの構築も一つの方法かとも思います。今後の3回目のブースター接種に向け、混乱回避や現場の負担軽減につながる予約システムの在り方について、県はどのようにお考えでしょうか。福祉保健部長にお伺いします。

○副議長(鈴木太雄君) 福祉保健部長。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 和歌山県では、個別接種、集団接種、あるいは二つの町が共同で接種を行うなど、各市町村がそれぞれの実情に応じて最適なワクチン接種体制を構築しているところです。

 したがいまして、予約方法も市町村によって異なり、申込先を市町村役場のみ、医療機関のみ、もしくはその両方としていたり、申込方法も電話やはがきでの受付のみとしているところもあれば、オンラインでの受付も可能としているところなど、それぞれの方法で行っています。

 各市町村がそれぞれの実情に応じて予約の受付体制を早期に構築したこともあり、他府県と比較してスタートダッシュがうまくいき、速いペースで接種が進んでいる状況です。そうしたことから、予約システムの導入につきましては、各市町村で判断していただくことになるかと考えます。

○副議長(鈴木太雄君) 鈴木德久君。

  〔鈴木德久君、登壇〕

○鈴木德久君 新型コロナに関しまして、1点、県に要望したいことがあります。

 世界に目を向けますと、デジタル化の進んだ欧州諸国やイスラエルなどでは、国民に関するかなり詳細な医療データを管理しているので、新型コロナウイルス感染症へのリスクの高い人をあらかじめ把握できると聞きました。

 日本においても、現在、厚生労働省がデータヘルス改革を進めています。この計画は、これまで個別のシステムで管理していた健康診断の情報、医療や薬剤のレセプト情報、電子カルテや介護の情報を、マイナンバーを活用して一元的に把握できるようにする取組です。これにより、国民が生涯にわたり自身の保健医療情報を把握できるようになるとともに、医療機関や介護事業所においても、患者・利用者ニーズを踏まえた最適な医療・介護サービスを提供することが可能になるとされています。

 既に、マイナポータルにおいて、定期予防接種や乳幼児健診、妊婦健診の情報が確認でき、来月、令和3年10月からは、特定健診や薬剤情報が確認できるようになる予定です。来年度からは、がん検診、肝炎ウイルス検診などの自治体検診や手術・透析情報などが加わり、その後、事業主健診、学校健診、検査結果やアレルギーの情報、介護情報などが令和6年度までに確認できるようになるとのことです。

 こうした情報は、本人の同意の上で、医療機関、介護事業所でも閲覧可能となります。

 今回の新型コロナウイルス感染症のワクチン接種において、基礎疾患の把握ができなかったという話も聞きましたが、医療・介護分野におけるデジタル情報の一元化が進めば、将来発生するであろう新たな感染症に迅速に対応できるようになると期待をしています。

 もう少し踏み込みますと、医療・介護情報の全国的、一元的なデータベースが構築されれば、将来的に様々な利活用が考えられると思います。その人に最適な医療・介護サービスの提供がよりしやすくなるでしょうし、手続の効率化、迅速化などにより、現場で働く医療従事者、介護従事者の負担軽減にもなるかもしれません。介護認定などの行政手続も、効率化が期待できます。

 これまで、和歌山県内において、和歌山県立医大によるきのくに医療連携システム「青洲リンク」ですとか、一般社団法人伊都医師会によるゆめ病院、あるいは一般社団法人和歌山県介護支援専門員協会によるくろしおNETといった電子健康記録の取組が進められてきました。

 県として、県民の健康と安心のため、こうしたシステムと国のシステムとの連携も視野に入れながら、医療情報の有効な利活用を率先して進めていただくとともに、現場を知る者としての意見をどんどん国に進言していただき、よりよいシステムの構築につなげていただければと思います。

 以上をもちまして、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○副議長(鈴木太雄君) 以上で、鈴木德久君の質問が終了いたしました。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 23番佐藤武治君。

  〔佐藤武治君、登壇〕(拍手)

○佐藤武治君 皆さん、こんにちは。2日目の最後となりましたけども、もう少しお付き合いをしていただきたいと思います。

 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い私の一般質問を始めさせていただきます。

 さて、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が、最近になってようやく新規の感染者の減少が見られているところでありますけれども、なかなかその先、収束が見えてきません。

 新型コロナウイルス感染症に関連した肺炎患者の発生が国内で最初に確認されたと厚生労働省から発表されたのは、昨年の1月16日でありました。

 厚生労働省のホームページには、「1月14日、神奈川県内の医療機関から管轄の保健所に対して、中華人民共和国湖北省武漢市の滞在歴がある肺炎の患者が報告されました。この方については、1月6日にご本人が医療機関を受診した際に、武漢市の滞在歴の申告があり、その後、原因が明らかでない肺炎等の患者に係る、国立感染症研究所での検査制度に基づき報告されたものです。当該患者の検体を国立感染症研究所で検査したところ、1月15日20時45分頃に新型コロナウイルス陽性の結果が得られました。新型コロナウイルスに関連した肺炎の患者の発生が国内で確認されたのは初めてです」、こういうふうに記載されています。

 それから、第1波、第2波、第3波、第4波と感染拡大の波を繰り返し、本年7月23日、新型コロナウイルス対策に当たる政府の分科会メンバーであります東邦大学の舘田一博教授は、その時点での感染状況について「全国で感染拡大の第5波に入ってきていることが見えてきている。感染者数が増えると一定の割合で重症例が出て、50代以下でも亡くなる人が増えてくることを考えておかなければならない。第5波では、感染力が強い変異ウイルス『デルタ株』の影響もあり、第4波の関西で見られたような急激な蔓延、医療現場の逼迫がもう一度全国で起きてもおかしくない状況になりつつある。大きな感染の波はつくらないという決意を持って、一人一人が感染を防ぐ行動をしなければいけない」と警鐘を鳴らしておられました。その後の状況は、舘田教授の警告されていたとおりの結果となっています。

 本県においても、8月20日と24日に過去最高の90人の新規感染者が確認をされ、一時期は、全国で和歌山県だけが成し遂げていた感染者の全員入院も、その堅持が危うい状況となりましたが、最近では新規感染者数も減少が見られ、全員入院が堅持されております。しかしながら、近隣府県の状況、特に大阪府の状況を見ますと、まだまだ予断を許さない、私たち一人一人が油断をしてはいけない状況が続いています。これまでの間、医療関係者の皆様、保健所など行政の担当機関・部局の皆さんをはじめ、関係者の方々には大変な御尽力、ある意味奮闘と言っても過言ではないと思います。この奮闘を続けられていますことに、改めて心から感謝を申し上げたいと思います。本当にありがとうございます。

 それでは、質問に入ります。

 今回の質問は、私も近い将来に、そして誰しもが将来的にはお世話になる可能性がある介護について、現在深刻な状況となっている介護の人材不足に係る県の人材確保・育成施策について質問をいたします。

 この介護の人材不足の問題については、私も何度も新聞紙上等で取り上げられたのを見たことがあるんですけども、詳しくはなかなか理解していなかったと痛感する、また反省する機会がありました。6月議会の閉会後、病院関係者と介護の件について話をする機会があり、私の地元地域の資料を見せていただきました。介護の人材不足がここまで深刻になっていることに驚いた次第であります。

 その後、私が住む串本町の社会福祉協議会、また近隣の社会福祉協議会を訪れ、それぞれの事務局長さんからお話を伺ったり、資料を提供していただいたりしましたけれども、大変厳しい、せっぱ詰まった状況であると感じました。今すぐにでも手を打たないと大変なことになる、各市町村や県において、この問題に対する取組はどのようになっているのかと思い、そういう思いから今回の質問をさせていただきます。

 県では、高齢者が安心して生き生きと暮らすことができる和歌山を目指し、平成12年(2000年)に第1次の計画を策定し、その後3年ごとに、これまで8次にわたるわかやま長寿プランを策定し、現在は第8次に当たるわかやま長寿プラン2021が令和3年度から令和5年度までを計画期間として実施されております。ここに長寿プランの冊子を頂いておりますけども、(冊子を示す)非常に細かいところまで計画されているように思います。

 このプランの第1章、計画の策定についての1、計画策定の経緯と趣旨では、人口の高齢化の進展に触れ、高齢者の生活支援、介護、医療等のニーズはこれからもさらに増大をしていくことが想定され、こうした基盤をいかに確保していくかという課題に直面をしている。本県は、全国に先駆けて高齢化が進んでおり、令和2年1月1日現在の高齢化率は32.4%、2025年(令和7年)には34.2%、2040年(令和22年)には38.9%に達するものと見込まれています。介護ニーズの高い85歳以上の人口は、2035年(令和17年)まで増加することが見込まれており、さらに本県には中山間地域でより高齢化が進んだ地域も多く、高齢社会への対応は大きな課題となっていますと厳しい認識が示されています。

 私の住む東牟婁地域は、県内の中でも高齢化率が最も高い地域であります。古座川町が52.6%と県内で最も高く、串本町が45.4%で4番目、北山村が6番目、太地町が8番目、そして那智勝浦町が9番目と、全てベストテン以内に入っておるという高齢化地域であります。古座川町に至っては、既に2人に1人が高齢者であります。

 厚生労働省は、7月9日、都道府県がまとめた将来の介護保険サービスの利用見込みを集計し、将来の介護職員数の必要数を推計した結果を公表しています。それによると、高齢者人口がほぼピークとなる、いわゆる団塊ジュニア世代が65歳以上となるタイミングの2040年度の必要数は約280万人、2019年度の介護職員数約211万人から約69万人を追加で確保する必要があるとのことであります。それより前の団塊ジュニア世代の親に当たる団塊世代が75歳以上となる2025年(令和7年)度、この必要数は約243万人とされており、たった4年しかないこの期間で約30万人規模の上積みが求められています。

 政府は、介護職員の待遇改善にも取り組んでおり、年数万人のペースで増員していますけれども、高齢の介護職員も多く、現在従事している方がずっと働き続けるわけもなく、2025年度には22万人、2040年度には65万人もの不足が生じるとの推計もあります。私の地元では、既に介護職員が不足をしている状況であります。

 串本町社会福祉協議会では、平成18年、このときに79人いた訪問介護員、いわゆるホームヘルパーでありますけれども、令和3年、今年の3月末には40人にまで激減しています。地元の特別養護老人ホームにおいても、施設での人員が不足し、ホームヘルパーから施設のほうに異動して補っており、それでも現在、10人以下で対応しているとのことでありました。

 また、別の社会福祉法人でも訪問介護の部門を縮小し、デイサービスは令和2年4月をもってサービスを廃止しております。また、別の社会福祉協議会でも職員を募集しても応募がなく、長期間補充ができないため、やむを得ず土曜日の営業を停止するなど、規模の縮小を検討しているとのことであります。

 先ほど申し上げましたけれども、2025年には22万人もの介護職員不足が生じると推計をされております。2025年問題という言葉もよく耳にします。いわゆる団塊の世代である約800万人が、2025年までに75歳以上の後期高齢者に達し、我が国に超高齢化社会が訪れることで生じる様々な影響のことを言いますけれども、医療費や介護費などの社会保障費の増大と、これに伴う現役世代の負担の増大が懸念される問題でもあります。

 同時に、高齢者世帯数は約1840万世帯、その約7割が独り暮らしか高齢夫婦のみ、うち約680万世帯が独り暮らし、認知症高齢者数が約320万人と急速な増加が見込まれるなど、ますます介護職の必要性、重要性、期待が高まる一方、多忙、他の職種に比べ給与が低い、体力が必要ということに加え、3K──汚い、臭い、きつい、このイメージが影響して人材不足が常態化をしております。

 国は、介護報酬の改定に当たり、処遇改善加算を創設し、働きやすい職場環境の実現に向けた取組などで、徐々にではありますけれども、介護職の待遇改善を図っているものの現実は非常に厳しく、介護職員の確保、育成は喫緊の問題であります。

 そこで、お伺いいたします。

 このわかやま長寿プランによると、本県の介護職員数は令和元年度に2万4306人となり、前回プランの時点より増加をしておりますけれども、一方、現場からは、介護職員の確保が難しく、年々減少しているという声を伺いました。老人福祉圏域によって介護人材の偏在や需給差があるのではないかと思いますが、圏域によって介護職員の不足を感じている事業者の割合はどのような状況でしょうか。

 また、わかやま長寿プラン2021の第6章第3項、人材の確保・育成の現状と課題に、福祉分野の職場は、他産業に比べ若い世代を中心に離職率が高いと記載されています。主な離職の理由とそれに向けた対策はどのように講じられておるのでしょうか、福祉保健部長にお伺いをいたします。

○副議長(鈴木太雄君) ただいまの佐藤武治君の質問に対する答弁を求めます。

 福祉保健部長志場紀之君。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 介護職員の不足を感じている事業者の割合は、令和元年度の県調査では県全体で7割弱、8圏域別では最も高い圏域で8割弱、最も低い圏域で6割弱となっています。

 次に、本県の介護職員の離職の主な原因として、同調査では、賃金、仕事の内容・やりがい、心身の不調の順となっています。

 賃金については、全国一律の問題として対策が進められ、平成21年度からこれまで5次にわたる処遇改善により、月額7万5000円改善されており、県として介護報酬の加算取得に向け、介護事業所に対する説明や指導、社会保険労務士による個別助言など、必要な支援を行っております。

 仕事の内容・やりがいについては、特に高校生では、就職前に介護の仕事を正しく理解していないことが要因の一つであると考えられるため、中高生のための出前講座や介護施設などでの職場体験等を実施するとともに、介護職についての適切な理解を得られるよう、進路指導担当者に啓発しております。

 心身の不調については、職員の業務負担の軽減に効果がある介護ロボット・ICTの導入に対し支援するとともに、経営セミナーなどを通じて介護事業者に職場環境の改善を働きかけております。

○副議長(鈴木太雄君) 佐藤武治君。

  〔佐藤武治君、登壇〕

○佐藤武治君 答弁ありがとうございます。今の答弁で、介護不足、介護職員の不足を感じている事業者、非常にやっぱり高いなというふうに再認識をしました。

 それで、離職の理由でありますけれども、それぞれ幾つか、賃金とやりがい、心身の不調等ということで、なかなか難しい問題だなあというふうに思います。

 ただし、離職を防ぐためには、なるほどそれらの賃金の処遇改善等はもちろんでありますけれども、私も社協の担当に聞いたところ、やはりやりがいを見つけるのも非常に大事だなあというふうな局長の話もありましたんで、そういうところの発信を、県としてもできる限りまた対応していくようにお願いしておきます。

 それでは続きまして、この同プランには、介護職場への参入促進、それから介護職場の労働環境・処遇改善、介護職員の資質向上、この観点から確実に介護人材を確保・育成していくための多面的な取組を進めますと記されています。この部分は、前回のプランにも同様に記載されている事項であります。これまでにどのような取組を進めてきたのか。

 また、本プランの知事の御挨拶の中に、今後3年間で800人程度の介護人材の確保・育成とありますけれども、具体的にはどのような取組を行うのでありますか、福祉保健部長にお伺いいたします。

○副議長(鈴木太雄君) 福祉保健部長。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 令和2年度までの3年間において、まず介護職場への参入促進の観点から、約450件の介護福祉士修学資金をはじめ、三つの返還免除つき新規貸付け、高校生が無料で介護職員初任者研修を受講できる取組、さらに県福祉人材センターでの福祉就職フェアの開催や無料職業紹介、介護未経験者への入門的研修・就職相談会、外国人介護人材の受入れ支援等を実施してきたところです。

 次に、介護職場の労働環境・処遇改善の観点から、介護ロボット約600機器の導入、介護記録の電子化などのICT化約30件の支援、処遇改善加算等の取得促進を実施してきました。

 さらに、介護職員の資質向上の観点から、介護職員への新任研修、介護技術向上研修の開催や介護福祉士等へのキャリアアップ支援等を実施してきました。

 今後3年間においては、これまでの取組をはじめ、他業種から介護分野への参入促進や福祉系高校からの安定的な人材確保のため、新たな返還免除つきの貸付けを行うとともに、離職防止や生産性向上のため介護ロボット・ICTの導入支援を拡充するなど、介護人材の確保・育成を図ってまいります。

○副議長(鈴木太雄君) 佐藤武治君。

  〔佐藤武治君、登壇〕

○佐藤武治君 今、部長のほうから様々な対応をしてきています。例えば外国人介護人材であったりとか介護ロボット、またICTの導入等々でありますけれども、そういうところはきちっとやっぱり計画を立てているわけですから、そうした取組に対しては遅れることなくしっかりとやってほしい。そしてまた新しく今年度から新たな介護分野の就職支援金の貸付け業務、こういうのも創設されているようでありますから、こういうのも十分活用しながら、知事もおっしゃられたように800人程度、この3年間、確実に人材確保をしていただくように知事にもお願いを申し上げます。

 続きまして、今、答弁の中にあった高校生を対象とした介護職員初任者研修でありますけれども、ここについては、私の地元の串本古座高校の生徒も実は受講しております。高校のほうにも聞いたんですけども、これをきっかけに地域内の施設に就職した生徒もかなりおるということであります。また、施設側からも実習等で介護の職や職場が実際どのようなものか、これを理解した上で就職をしてくれたということで、大変好評な面もあります。高校生の地元就職、また県内就職の観点からも、大変これは有意義だなというふうには思っております。

 この高校生を対象とした介護職員初任者研修のこれまでの県内の受講状況と、研修を修了した生徒のうちどれぐらいの生徒が介護関係に就職したんでしょうか。今年度の受講状況はどのようになっているんでしょうか。さらにまた、より多くの生徒に受講していただくべきだとこのように考えますけれども、いかがでしょうか。福祉保健部長、答弁をよろしくお願いいたします。

○副議長(鈴木太雄君) 福祉保健部長。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 若者の介護職場への新規就労を促進するため、平成27年度から県内高校生を対象に無料で介護職員初任者研修を受講できる取組を開始し、令和2年度までに29校、587人が受講し、うち496人が研修を修了しています。令和3年度の受講生は、8月末時点で17校、80人です。令和2年度までに研修を修了し、就職した生徒のうち、半数以上が介護・福祉分野に就職しています。

 県では、これまで一般社団法人和歌山県老人福祉施設協議会と共に学校を訪問し、進路指導担当者に介護職場での様々な取組や介護職員の声を紹介し、より多くの生徒に介護の仕事に関心を持ち、研修を受講してもらえるよう働きかけてきました。

 今後、介護職場の魅力ややりがいなどについて、生徒の理解が深まるよう、出前講座や職場体験など直接生徒に伝える機会を増やすことにより、研修受講の拡大を図り、介護分野に一人でも多く就職してもらえるよう努めてまいります。

○副議長(鈴木太雄君) 佐藤武治君。

  〔佐藤武治君、登壇〕

○佐藤武治君 今、令和2年度までに29校で587人が受講している、そのうち研修修了が496人ですか。令和3年度の受講生、これ8月末時点でありますけれども17校80人ということで、ここがちょっと私としては少ないような感じがするんですけれども、もっとやっぱり多くの方に、高校生の方にはこれを、先ほども言ったように介護職のもっと魅力をですよね、そこを若い人にアピールというんか周知をしていただいて、出前講座、ここにもパンフレットを頂きましたけども、(資料を示す)中高生のための出前講座、こういうのをもっと利用していただいて、より多くの方が地元なりのそういう職場に就けるように県のほうも御尽力いただきたい、このように思いますのでよろしくお願いをいたします。

 それでは、次の質問に入ります。

 私は、先日開催されたインド人材活用セミナー、これに参加をさせていただきました。そこで、ある会社の営業本部長の講演を聞かしていただいたわけなんですけれども、インドについては若い方が非常に多く、日本語の教育も充実しており、介護人材の確保、この切り札になり得るんじゃないかなというふうに思った次第であります。

 実はインドといえば、私が議員になった1年目に、先輩議員の新島議員、それから中西峰雄議員、川畑議員と共にインドの調査、実は行かせていただいたんです。そのときにもまず感じたのが、非常に人口が多いのはもちろんそうなんですけども、非常に若い方がインドって多い国だなあと、こういうふうに感じた次第です。

 そして、訪問中に、日本語学校にも行かせていただきました。そこで日本語の勉強をされている生徒さん、ずっと3学級だったかな、ちょっと見学というんですか、その教室に入って見学をさせていただいたんですけど、非常に熱心にそういう日本語の教育、そして生徒の中には、やはり将来は日本に行って仕事もしたい、こういうふうな意欲のある生徒さんがおられたように記憶をしているところであります。

 そういうことからいえば、インド人材活用セミナーに行って、改めて再認識をしたところでありますけれども、この2021のプランの中にも、外国人の介護人材、この受入れを希望する介護事業者が円滑に人材を受け入れられるように支援すると、こういうふうに記載されています。

 外国人介護人材の受入れ状況についてはどのように今なっておりますか。また、円滑な受入れのためどのような支援を行っているのか、福祉保健部長にお伺いいたします。

○副議長(鈴木太雄君) 福祉保健部長。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 本県の介護分野における外国人の受入れについて、県の調査では、令和3年7月末時点で59事業所218人となっており、その内訳は、経済連携協定が12人、在留資格の介護が67人、技能実習制度が60人、在留資格・特定技能が8人、介護福祉士資格取得を目指す留学生が71人となっています。

 県では、これまで介護福祉士資格取得を目指す留学生に対して、日本人の学生と同様に返還免除つきの修学資金を貸し付けるとともに、経済連携協定に基づく受入れを行う介護事業所に対し、日本語学習等に係る費用の補助を行ってきたところです。

 また、令和元年度の県の調査では、約150の介護事業所が外国人介護人材の受入れを希望していることから、新たに介護事業所と紹介事業者とのマッチング相談会や、外国人介護人材の指導者研修会の開催などに取り組んでおります。

 引き続き、介護事業所が円滑に外国人介護人材を受け入れられ、利用者が安心してサービスを受けられる環境の整備に取り組んでまいります。

○副議長(鈴木太雄君) 佐藤武治君。

  〔佐藤武治君、登壇〕

○佐藤武治君 今、外国人のそういう実績を答弁いただいたんですけども、その中で介護福祉士資格取得を目指す留学生は71人やということであります。このあたりしっかりと、もっと事業者、それから希望する介護事業者が約150もあるという答弁でありました。これは非常にやはりその需要というのか、そういうのがあるんだなというふうに思いますので、支援のほうもしっかり費用の補助等も行ってきているようでありますけれども、もっと多くの事業者に入っていただいて、これが人材確保につながると思いますので、ひとつよろしくお願いをしておきます。

 それでは、次の質問に入ります。

 介護支援専門員、これについてお尋ねをします。

 介護支援専門員は、介護保険法に規定された専門職であり、居宅介護支援事業所や介護保険施設には必ず配置をしなければならないとされている職種であります。一般にはケアマネジャー、略してケアマネと呼ばれているところでありますけれども、介護サービスを利用するには、介護サービス計画、ケアプランが必要であります。このケアプランの作成を行い、在宅や施設で生活している方々の相談に応じ、介護サービスの利用調整や関係者間の連絡など、介護サービスを適切に利用することができるようにマネジメントを行ってくれるのがケアマネジャーであります。介護保険制度においても重要な役割を担っております。

 このケアマネジャーについても、私の地元の社会福祉協議会や社会福祉法人などでは減少しており、新規利用者のケアプラン作成にも支障を来していると、このように伺ってきました。串本町社会福祉協議会では、平成30年度には18名のケアマネジャーがいましたけれども、令和3年、来月10月には1人が辞めて12名になるということであります。このままの状況では、必要なケアプランを作成することが不可能になり、介護認定を受けてもケアプラン作成がしてもらえず、サービスを受けられない状況が生じる可能性があるとおっしゃっておりました。いわゆる保険あって介護なしという介護難民が発生してしまうことになります。

 そこでお伺いします。

 本県で介護支援専門員、ケアマネジャーが不足していると感じている事業所の割合はいかほどでしょうか。また、介護支援専門員については、各都道府県に登録されている人数と業務に従事している人数にかなりの乖離があるとの話を聞いたことがありますが、本県の介護支援専門員についてはどのような状況にあるんでしょうか。

 さらに、試験の合格率は全国的にも低く、令和2年度の合格率は全国で17.7%、最も高い東京都でも23.1%とのことでありますけれども、本県の令和2年度の合格率はいかほどでしょうか。資格取得に向けた支援をしておられるのでしょうか。

 受験者数も激減しており、ケアマネジャーを目指さない人や、せっかく資格を取ったケアマネジャーを辞めてしまう人も増えております。ケアマネジャーは、資格の取得や資格の維持に費用も時間も負担が大きく、ケアマネは割に合わない職種との認識が広まっているとも言われています。試験に合格した後には実務研修を、資格をまた更新するためには5年ごとに更新研修を受けなければなりません。

 費用面もさることながら、業務に従事しながら結構な時間を要します。ケアマネジャーは、介護保険制度の中でもサービスのマネジメントという重要な役割を担っており、必要な業務知識、技術、多様なノウハウの取得が必要で、研修の必要性は否定するものではないんですけれども、多忙な業務の中、職場を離れて研修を受けなければならない。研修場所によっては何日も職場を離れなければならないというようなこともあるかと思います。この研修について、負担軽減を図るような取組はできないでしょうか。福祉保健部長にお伺いいたします。

○副議長(鈴木太雄君) 福祉保健部長。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 介護支援専門員の不足を感じている事業者の割合については、令和2年度の公益財団法人介護労働安定センター調査では県全体で約3割となっています。

 本県の令和3年8月末時点の介護支援専門員登録者数6760人のうち、業務従事に必要な介護支援専門員証の交付者数は3201人となっています。

 令和2年10月に実施された試験において、本県の合格者数は67人、合格率は15.5%となっています。県では、介護職員の資質向上のためのキャリアアップ支援として、介護支援専門員の資格取得のための講座を実施し、昨年度講座を受講した12人のうち3人が合格しています。

 介護支援専門員の更新研修については、県が研修実施機関と指定した一般社団法人和歌山県介護支援専門員協会と具体的な実施方法を協議し、これまでも複数コースの設定など受講しやすい環境を整備してきたところです。また、今年度からは、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点も踏まえ、オンラインでの受講も可能とするなど、受講者のより一層の負担軽減に取り組んでおります。

○副議長(鈴木太雄君) 佐藤武治君。

  〔佐藤武治君、登壇〕

○佐藤武治君 今、答弁いただきましたけれども、ケアマネの不足を感じている事業者が県全体で約3割という実態のようでありますから、やはりここは大きな問題だなというふうには感じます。

 それで、登録が6760人であって業務に従事している方が約半数以下という数字が出ているわけですけども、3割が不足を感じている中で、半数以下の資格を持っているケアマネが従事していないという実態ですので、何とか、いろいろ理由はあるかと思います。辞めたくないのに辞められたという方もおるでしょうし、様々な理由があると思いますけれども、そういう人たちを再度呼び込む、そういうことも一つの大きなこれからの課題ではないかなというふうに感じるところです。

 合格率においては、全国平均の17%に比べて少し低いぐらいですけれども、ここもひとつしっかりと支援した中で合格率を上げていただくように、そういうふうに県のほうにもお願いをしておきます。

 そしたら、続いての質問に行きます。

 今度は訪問介護員、いわゆるホームヘルパーと呼ばれる方についてお伺いしたいと思います。

 先日、厚生労働省が所管する財団法人介護労働安定センターが、全国の介護事業所や介護職で働く人たちを対象に毎年10月に行っている調査の令和2年度の調査結果が公表されておりました。訪問介護職が「大いに不足している」「不足している」「やや不足している」と答えた事業所は合わせておよそ80%に上り、本県でもほぼ同様の数字となっております。

 また、65歳以上の人が何人いるかと尋ねたところ、ホームヘルパーなど訪問介護職では25.6%、実にこの数字、4人に1人は65歳以上であることが分かりました。訪問介護職は非正規雇用が多く、収入が低いことなどから、介護職の中でも特に人手不足が深刻だと指摘をされております。高齢のヘルパーに支えられている実態が浮かび上がったところです。

 先ほど、私は串本町社会福祉協議会では、平成18年79人いたホームヘルパーが40人にまで減ってしまったと、このように申し上げましたけども、本当に深刻な問題となっておるところです。当初、同社協では、必要な資格、介護職員の初任者研修の受講する費用があります。ここが約9万円から10万円ほどかかるわけです。ここに原因があるんではないかと考えて、受講費用を補助することを条件に募集をしたそうでありますけれども、やっぱり応募者がいない。やはり給与の割には3Kのイメージが強い、こういう職種であることが敬遠される大きな原因なのかと考えているようでありました。

 古座川町では平成29年度から、串本町でも令和3年度から、介護職員初任者研修の受講料に対する助成事業を開始しております。いずれも費用の2分の1以内、上限を5万円とするものでありますけれども、これでも応募がない、極めて少ないというのが現状のようであります。

 訪問介護員の確保に対する県の取組についてはどのようなものがありますか、福祉保健部長にお伺いいたします。

○副議長(鈴木太雄君) 福祉保健部長。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 議員御指摘のとおり、訪問系サービスの介護職員については、他のサービスと比べ職員の不足を感じている事業者が多い状況にあります。身体介護を中心とした訪問介護に従事するためには、少なくとも介護職員初任者研修の修了が必要となります。

 県では、これまでの県内高校生を対象に無料で受講できる取組に加え、新たに他業種から介護分野に就職する方などを対象に、受講費用に充当可能な返還免除つきの就職支援金20万円の貸付けを行うこととしており、より一層の参入促進に取り組んでまいります。

○副議長(鈴木太雄君) 佐藤武治君。

  〔佐藤武治君、登壇〕

○佐藤武治君 答弁ありがとうございます。

 先ほど述べた調査結果を分析した一人、東洋大学の高野龍昭准教授は、今後、団塊の世代が後期高齢者になって介護ニーズが急増する一方、生産年齢人口は減少していき、今までと同じ方法で介護職を確保するのは相当難しい状況だ。特に、訪問介護は専門性の高さが求められる割には給料がほかの介護職より低く、若い人にとっては選択肢になりづらい。担い手がいないため、自宅で暮らし続けたいという高齢者の希望がかなえられない事態も起きかねないと指摘をし、介護報酬を上げて経営上の支援をすることに加え、キャリアアップの仕組みを公的に構築し、若い人が働きたいと思える環境を整える必要があると記事にありました。

 介護人材の確保、育成は本当に喫緊の問題であります。対応を急ぐ必要があると思います。本プランには、市町村と連携協調した計画づくりで、「市町村と連携協調して広域的な観点から取組を進めます」、そしてまた「自立支援・重度化防止、介護予防及び日常生活支援等に資する施策を、各市町村の地域差や取組状況に応じ支援していきます」と記されています。今回の質問をするに当たり、介護職員の確保の難しさについては、もはや一つの施設、村や町で対応し切れるものではないとの悲痛な声も届いておるところであります。

 また、この介護保険制度というのはできてからまだ20年そこそこということで、こういういろんな諸課題について、完全な制度になるにはなかなか時間がかかるかなあというふうに感じておるところでありますけれども、人材の確保・育成の面において、県としてもより一層市町村と連携し、地域差や取組状況に応じ協調して取り組んでいただくことを深く要望し、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○副議長(鈴木太雄君) 以上で、佐藤武治君の質問が終了いたしました。

 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。

 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。

 本日は、これをもって散会いたします。

  午後2時26分散会

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