令和3年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


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令和3年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号

議事日程 第2号

 令和3年9月15日(水曜日)

 午前10時開議

 第1 議案第124号から議案第135号まで(質疑)

 第2 一般質問

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会議に付した事件

 第1 議案第124号から議案第135号まで(質疑)

 第2 一般質問

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出席議員(42人)

 1番 鈴木德久

 2番 山家敏宏

 3番 中本浩精

 4番 堀 龍雄

 5番 藤山将材

 6番 岸本 健

 7番 井出益弘

 8番 宇治田栄蔵

 9番 北山慎一

 10番 玄素彰人

 11番 中西峰雄

 12番 秋月史成

 13番 森 礼子

 14番 濱口太史

 15番 尾崎要二

 16番 冨安民浩

 17番 川畑哲哉

 18番 玉木久登

 19番 鈴木太雄

 20番 岩田弘彦

 21番 吉井和視

 22番 谷 洋一

 23番 佐藤武治

 24番 岩井弘次

 25番 中 拓哉

 26番 多田純一

 27番 新島 雄

 28番 山下直也

 29番 中西 徹

 30番 谷口和樹

 31番 藤本眞利子

 32番 浦口高典

 33番 山田正彦

 34番 坂本 登

 35番 林 隆一

 36番 楠本文郎

 37番 高田由一

 38番 杉山俊雄

 39番 片桐章浩

 40番 奥村規子

 41番 尾﨑太郎

 42番 長坂隆司

欠席議員(なし)

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説明のため出席した者

 知事         仁坂吉伸

 副知事        下 宏

 理事         田嶋久嗣

 知事室長       赤坂武彦

 危機管理監      細川一也

 総務部長       吉村 顕

 企画部長       横山達伸

 環境生活部長     生駒 享

 福祉保健部長     志場紀之

 商工観光労働部長   寺本雅哉

 農林水産部長     岩本和也

 県土整備部長     安部勝也

 会計管理者      真田 昭

 教育長        宮﨑 泉

 公安委員会委員長   中野幸生

 警察本部長      親家和仁

 人事委員会委員長   平田健正

 代表監査委員     森田康友

 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫

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職務のため出席した事務局職員

 事務局長       出津野孝昭

 次長         中井 寛

 議事課長       山田修平

 議事課副課長     岩井紀生

 議事課課長補佐兼議事班長

            岩﨑 亮

 議事課主任      伊賀顕正

 議事課主査      菅野清久

 議事課主事      松本 悠

 総務課長       須田剛司

 政策調査課長     神川充夫

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  午前10時0分開議

○議長(森 礼子君) これより本日の会議を開きます。

 日程第1、議案第124号から議案第135号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、併せて日程第2、一般質問を行います。

 4番堀 龍雄君。

  〔堀 龍雄君、登壇〕(拍手)

○堀 龍雄君 皆さん、おはようございます。

 9月議会一般質問の初日に、トップバッターとして登壇させていただくことに、先輩議員、同僚議員にお礼を申し上げます。

 また、新型コロナウイルス感染症に対して、知事はじめ県関係者の皆さん、医療関係者の方々に感謝を申し上げます。おかげで感染者数もだんだんと減少の傾向にあり、喜んでおるところでございます。新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになられた皆様に心から御冥福をお祈りするとともに、今、治療を受けている方々に、一日も早い回復を願っております。

 また、こういう声でお聞き苦しい点があろうかと思いますけれども……(発言する者あり)はい。皆さんに御理解いただけるようにゆっくりと一生懸命させていただきますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、議長のお許しを得ていますので、一般質問をさせていただきます。

 新型コロナウイルス感染症についてということで、新型コロナウイルス感染症の状況と今後の対応について質問をさせていただきます。

 新型コロナウイルス感染症が世界中に蔓延して、約2年になります。日本においては、令和2年1月15日に初めて患者が確認されました。和歌山県においては、2月13日に湯浅町で確認され、1年8か月経過しましたが、その間、知事はじめ県当局、医療関係者のたゆまぬ御努力に感謝しておりますが、ウイルスもアルファ株、ラムダ株、その上、今猛威を振るっておりますデルタ株が蔓延し、私たちを脅かしており、いまだ終息の兆しが見えていません。また、日本でも、デルタ株について新たな変異があるウイルスが検出されたと聞きました。

 最近の感染状況を踏まえた今後の対応について、知事にお伺いをいたします。

○議長(森 礼子君) ただいまの堀龍雄君の質問に対する答弁を求めます。

 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 新型コロナウイルス感染症の状況について、7月に入ってからの本県の第5波の特徴としては、非常に感染力の強いデルタ株の出現がございます。

 その感染力の強さから、家族全員への感染や職場等でのクラスターの発生など、感染が急速に拡大し、8月1か月の感染者数が1596人となり、これまでに経験したことのない規模の感染状況であります。一方、ワクチン接種の行き渡っている高齢者の発症者が少なくて、したがって、重症者・死者の割合が少ないというのがせめてもの救いということでございます。

 これまで、県民の生活にはできる限り制限を課さず、積極的疫学調査など保健医療行政の頑張りで感染拡大を抑制してきたのですが、感染力の強さから感染拡大に歯止めがかかりませんで、県民の皆様には不便をおかけすることになりますけれども、一般的な不要不急の外出の自粛と、学校現場、県外への通勤・通学時の注意、県外観光の抑制など、本県のデータに基づく具体的な行動の抑制に踏み切らざるを得ない状態になりました。

 このような状況においても、医療機関の協力を得ながら、継続して病床の確保に努め、9月8日からは過去最大の605床、これは全国的に見ても人口に比して非常に多い病床数を確保しているところであり、引き続き、全国で唯一の全員入院を堅持する医療体制を構築できております。

 また、今回の感染症患者の増加に伴い、9月1日からは宿泊療養施設を開設し、和歌山市内のホテルに151室を確保したところであります。ただし、その運用については、退院基準の見直しを行い、発症後の経過から悪化の可能性が低く、自宅に戻るのが不安な方を対象に宿泊療養施設に移っていただくことにしております。

 幾ら医療施設を整備しても、感染者の数がどんどん増えてまいりますと困るわけでございます。そこで、保健医療行政と積極的疫学調査はどこよりも強力に展開して、新型コロナを抑え込もうとしているわけであります。

 一方で、感染終息にはワクチンの接種が重要となります。高齢者の接種も約9割になっておりまして、ワクチン接種による感染者の減少の効果は明らかでございます。接種による副反応のリスクもいろいろあるようでございますが、新型コロナウイルスに感染して苦しんだり、後遺症に悩んだりする、あるいは死んでしまったり、人にうつしたりするリスクを比較すると、それは接種したほうがよいはずであると思います。ぜひ若い人にも接種をお願いしたいと思います。

 ただし、ワクチンを接種したから必ず感染しないというわけではないので、ワクチン接種後も三つの密の回避や人と人との距離の確保、マスクの着用、手洗いなどの手指衛生の感染予防対策は、これまでどおり励行していただきたいと思います。

 繰り返しになりますが、和歌山県といたしましては、今のように県民の皆様に自粛という制約を課して苦労をかけているのならば、一番県の行政が働かなければならない。すなわち、引き続き保健医療行政の努力が重要と考え、感染者の早期発見のための積極的なPCR検査、早期隔離のための全員入院、感染者や濃厚接触者の特定のための徹底した行動履歴の調査を保健所の統合ネットワークにより実施し、今後、新たな変異株が出現しても、科学データに基づき、総力戦で新型コロナウイルス感染拡大の防止に努めてまいる所存であります。

○議長(森 礼子君) 堀 龍雄君。

  〔堀 龍雄君、登壇〕

○堀 龍雄君 今、知事のほうから、感染症にかかったら、全員の方を入院させて治療しますよという力強いお言葉をいただきました。今朝の新聞でも、第5波が起こったときに、95%という入院率になって大変苦しい思いをしたということも載っておりました。今後とも、感染した患者に関しては安心のできるような体制を取っていただきたいのと、若い人たちにも早くワクチン接種していただきますように、よろしくお願いいたします。

 続きまして、新型コロナワクチンの接種率向上に向けてということでお尋ねをいたします。

 令和3年9月9日の記者会見資料の県内の年齢別感染者数を見ると、第5波ではこれまでの感染の状況と異なり、20代が約23%と最も多く、70歳以上は約7%と非常に少ない傾向にあるとあります。これは、約9割近い、非常に多くの65歳以上の方がワクチン接種をされていることが、第5波の感染状況に反映されていると思います。

 65歳以上の方への接種を7月末までに完了させると菅総理が明言し、その宣言に知事はじめ医療従事者や市町村がしっかりと実現していただいたおかげで、和歌山県における第5波の感染拡大は、全国と比較して抑えられているのではないかと思います。

 こうしたことから考えると、やはり新型コロナウイルス感染症の発症を予防し、蔓延の防止を図り、一刻も早く前の生活を取り戻すためには、ワクチン接種をあらゆる世代で、できる限り多くの方に進めていくことが最も有効な方法だと考えます。

 医療従事者の方を除いた9月13日時点の12歳以上の接種対象者の第1回目のワクチン接種をした人の割合は69%と聞いておりますが、できる限り多くの65歳未満の方にワクチン接種をしていただくに当たって、どのような取組が行われているのか、福祉保健部長にお尋ねをいたします。

○議長(森 礼子君) 福祉保健部長志場紀之君。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) ワクチンの接種率を向上させるためには、大きく二つのことが重要であると思います。

 一つ目は、ワクチンの接種効果を正しく県民に伝えることです。

 そのため、県では、県内の新型コロナウイルス感染症の感染者とワクチン接種との関係を分析し、ワクチンを2回接種することで感染者及び発症者を90%以上減少させ、万が一感染しても重症化予防が期待できるという調査結果を発表するとともに、新型コロナウイルスに感染した方々の体験メッセージやワクチンの関連情報を県のホームページに掲載しています。

 二つ目は、ワクチン接種を受けやすい環境を整えることです。

 市町においては、診療所等における夜間での接種や休日における集団接種会場の設置、さらに、ショッピングモールに集団接種会場を設けるなどして、若年層も接種しやすい環境が整えられています。

 県といたしましては、今後とも、ワクチン接種についての様々な情報や県内外の先進的な取組事例を発信し、希望する全ての県民がワクチンを少しでも早く接種できるよう、市町村や医療機関と共に取り組んでまいります。

○議長(森 礼子君) 堀 龍雄君。

  〔堀 龍雄君、登壇〕

○堀 龍雄君 部長の答弁をいただきました。働き盛りの若い人たちにも早く接種していただける機会を与えていただきますように、よろしくお願いいたします。

 三つ目の質問に入らせていただきます。

 新型コロナウイルスの感染症拡大による事業者支援策の対象についてのお考えはということでお尋ねをいたします。

 新型コロナウイルスの感染拡大が和歌山県のみならず日本全体に及んでいる中、全国的にも営業時間の短縮やイベントの中止など、経済、産業を一時停止させてでも、これ以上の感染拡大を阻止することに全力を注いでいる状況です。このコロナ禍において、営業時間短縮要請や外出自粛要請などの影響により、特に宿泊や飲食業などのサービス業の苦境が続いていますが、多くの事業者が感染拡大防止に努め、工夫を凝らしながら必死に営業されています。

 このような中、和歌山県では、令和3年2月定例会で、飲食・宿泊・旅行業給付金、その上、6月定例会でも飲食・宿泊・サービス業等支援金を提案し実施するなど、経済活動や県民活動への影響を最小限にするよう迅速に対応し続けておられ、知事はじめ商工観光労働部局の方々の御尽力には大変感謝申し上げます。

 しかし、飲食・宿泊・旅行業などの業種に対する支援はありますが、外出自粛やイベントの中止などにより影響を受けているアパレル産業なども苦しい状況との声も聞かれます。

 支援策の対象業種について、どう考えているのか、商工観光労働部長にお伺いをいたします。

○議長(森 礼子君) 商工観光労働部長寺本雅哉君。

  〔寺本雅哉君、登壇〕

○商工観光労働部長(寺本雅哉君) 県が直近で実施したヒアリングやアンケート調査では、これまでも厳しい状況にあった飲食業や宿泊業、また、そうした産業に関連するサービス業などについて、新型コロナウイルスの感染が落ち着いていた7月には回復も見られましたが、感染が再拡大し始めてからは厳しい状況となっています。

 また、製造業については、非製造業に比べ比較的良好でしたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響が長期化する中、外出自粛や百貨店の営業自粛、催事の中止などにより、影響を強く受けた繊維産業などの県内地場産業においては、厳しい状況にあると認識しています。

 そこで、本議会に提案している飲食・宿泊・サービス業等支援金(第Ⅱ期)については、特に影響が大きい飲食・宿泊業やそれらに関連する業種に加え、地場産業についても対象としています。

○議長(森 礼子君) 堀 龍雄君。

  〔堀 龍雄君、登壇〕

○堀 龍雄君 次の質問に入らせていただきます。

 アフターコロナを見据えた経済対策についてということです。

 今、部長のほうから地場産業を対象に入れていくとの御答弁があり、大変ありがたいことと感謝しております。今後も、支援の手を緩めることなく、事業者の事業継続や雇用の持続に向けて尽力され、和歌山県の経済が迅速に回復されるよう、スピード感を持って施策を実施していただくことを期待しております。

 そこで、お尋ねをいたします。

 現状、事業者への救済策は非常に迅速に対応していただいておりますけれども、アフターコロナを見据えた経済対策にも取り組んでおかないと、今後の和歌山県の経済回復をさせるに当たって、他の地域に比べ一歩遅れていくのではないかと思います。

 アフターコロナを見据えた経済対策について、知事の御所見をお願いいたします。

○議長(森 礼子君) 知事。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 現下の県経済は、コロナ禍の影響が続き、厳しい状況にありますけれども、保健医療行政で頑張るとともに、ワクチン接種が行き渡れば、感染は必ず終息するものと確信しております。それを見据え、県経済の回復に向けた取組を強力に進めなければなりません。

 まず、痛手を被った方々の救済をしないといけません。支援金を出すのもその一つでございますし、さらに、企業存続のための資金繰り対策をさらに続けていくとか、少し収まってきた、もう大丈夫かなということであれば、リフレッシュプラン等の消費喚起策を徐々に進めていくということも大事だと思います。

 そればかりではなくて、現在の企業にこうしてできるだけ頑張って存続していただくというのは第一でありますけれども、さらに、新型コロナが少し落ち着いてきたら、そういう企業にどんどん事業革新をしていただいて、それで成長していただいて、それで和歌山を元気にしていくというのは物すごく大事なことであります。そのための政策を強力に推進していかないといけないというふうに思います。農業や観光なんかも大ターゲットでございます。

 次に、新たな成長産業を育てていくことが重要であるとの観点から、これからの成長分野でございますICT産業の集積とか、民間ロケットの打ち上げなどの大型プロジェクトに精力的に取り組んでいく必要があると思います。まあ少し先になりますけれども、IRもその大戦力になるだろうと考えております。

 さらに、新型コロナで見えてきたこともございます。一つは、オンラインの活用が、初めはやむを得ず始まったという感じもありますが、これは便利だということになりましたし、新型コロナでデジタルトランスフォーメーションの各方面における遅れが、これが大変問題だったということも分かってきて、ということは、逆に需要が物すごくあるということでございます。したがって、これを強力に進めていかないといけない。

 それから、テレワーク勤務、これも初めはちょっと嫌々始めたんですけども、しかし、やってみたら意外といけるじゃないかというようなことになって、大都市の過密というのが反省ムードになっております。この機に乗じて、和歌山にビジネスをする人に来てもらうということが大事で、このための「New Work×Life Style」というのを提案して、いろいろな要素をいっぱい宣伝して、和歌山いいぞと言って移住を強力に進めていきたいと考えております。

 また、昨今、いろいろ問題になっておりますが、製造業でも、製造拠点が全部海外に行ってしまって大問題であったというのが反省であります。そうすると、新たな投資が起こってくるだろうということで、これも頑張っていかないといけないということでございます。

 そういうことを頑張るに当たっても、やっぱり実は和歌山に来ていただく、あるいは和歌山で活動していくときに便利なようにしておくということが大事でございますので、したがって、インフラ整備は強力に進めていかないといけないし、それから、例えば医療や教育、そういう政策もきちんとしていかなきゃいけないので、この総合力で頑張って勝負していきたいと考えております。

○議長(森 礼子君) 堀 龍雄君。

  〔堀 龍雄君、登壇〕

○堀 龍雄君 今、知事のほうから力強い答弁をいただきました。新型コロナが終息して、さあこれから頑張るぞとアクセルいっぱい踏んでも、息切れして回らないエンジンにならないように、今後も目いっぱいの御尽力をお願いしたいと思います。

 次の項目に入らせていただきます。

 和歌山県の盛土と土砂災害対策についてということでお尋ねをします。

 和歌山県においても、平成23年8月25日に発生した台風12号の豪雨により、紀伊半島大水害と言われる甚大な被害をもたらしました。10年前の節目として追悼式を行う予定でしたが、この新型コロナウイルス感染症のため延期となりました。改めて、お亡くなりになられた皆様に御冥福をお祈りしたいと思います。

 それでは、一つ目の項目で、熱海市で発生した土石流を教訓にしてということで質問に入らせていただきます。

 7月3日に熱海市で発生した大規模な土石流のすさまじい状況をテレビニュースで見て、すごい災害が起こったなと身の震える思いとなりました。そして、7割以上が山間部である和歌山県においても、同じようなことがいつ起こってもおかしくないという恐怖感を覚えました。26名の貴い命を奪い、行方不明の方がまだ1名いらっしゃいます。一日も早く発見されることを願いますとともに、亡くなられた方々に心から御冥福を申し上げます。

 このような大規模な土石流を発生させた原因は不法な盛土にあると、後日、報道されています。和歌山県においても、土石流が発生するかもしれない危険な箇所があるのではないかということで総点検を実施され、土石流に関する盛土箇所の抽出が完了したところとのことですが、その状況と今後の対策について、県土整備部長にお伺いをいたします。

○議長(森 礼子君) 県土整備部長安部勝也君。

  〔安部勝也君、登壇〕

○県土整備部長(安部勝也君) 今年7月の静岡県熱海市の土石流災害を受けた本県の対応状況と今後の対策についてお答えいたします。

 本災害は、その発生原因やメカニズムが明らかになっていませんが、県土の地理的特性を踏まえ、発災後すぐに盛土の総点検に着手したところです。

 この総点検は、不適切な盛土箇所を是正するという目的がございますので、まずは県土全域を対象に盛土箇所を抽出することを第一とし、市町村や関係部局の協力を得ながら、平成8年度と令和2年度の航空写真データや地理空間データを比較すること等により、5834か所の盛土箇所を抽出したところです。

 現在、これら箇所より、道路構造物等行政が盛土した箇所、申請書等からその適切性が確認できる箇所などを排除し、現地で目視点検をする箇所を選定しているところです。現時点で、土石流関連の土砂災害警戒区域で抽出した838か所の盛土箇所のうち、76か所を選定しました。

 今後は、全ての盛土箇所を対象とした現地点検箇所の選定を完了させるとともに、並行して現地点検を進め、必要に応じ、ボーリング等の詳細な調査を実施することで、早期に現地点検箇所における具体的な対策の必要性を精査することとしております。

○議長(森 礼子君) 堀 龍雄君。

  〔堀 龍雄君、登壇〕

○堀 龍雄君 どうぞよろしくお願いしておきます。

 それでは、土砂災害対策についてということで質問させていただきます。

 また、盛土の場所だけでなく、これまで指定されている地滑りや急傾斜地の防止区域なども大変気になるところです。

 今年のお盆の8月12日に、九州地方から関東地方まで伸びている停滞前線で、線状降水帯による大雨で各地に大きな被害が出ています。8月13日に、西日本を中心とした大雨で、長崎県雲仙市では民家が土砂崩れに巻き込まれ、貴い命が奪われております。広島県でも線状降水帯が発生し、大雨特別警報が発表され、広島市と隣接する安芸高田市、北広島町に、6985世帯1万4670人に避難警戒レベルで最高の緊急安全確保が発令されました。また、三次市内の江の川が氾濫し、安芸高田市内の多治比川で堤防が一部決壊し、大きな被害をもたらしました。長野県でも、停滞した前線の影響を受け、広範囲で記録的な大雨となり、岡谷市で土石流が発生して民家に流れ込み、3人の貴い命を奪いました。

 和歌山県でも、8月14日から15日にかけて紀中・紀北地方に大雨警報が発令され、土砂災害の危険性が高まり、8月15日に警戒レベル3が発令されました。以降も長雨が続き、8月18日に、和歌山市内の住宅街の裏山において土砂崩れが発生しております。

 このような予期しない大雨による災害は、盛土地域のみならず、いつどこで発生するか分かりません。私の地域でも、砂防関係と思いますが、伊都振興局のほうから調査に入りますので御協力のお願いの回覧が回ってきておりました。県民の生命と生活を守るために、土砂災害のおそれのある箇所について、調査や対策が必要であると思います。

 土砂災害対策について、知事の御所見をお聞かせください。

○議長(森 礼子君) 知事。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 今年7月の熱海市で発生した痛ましい土石流災害や、8月の停滞前線による大雨で犠牲となられた方々の御冥福をお祈りいたします。

 9月5日の紀伊半島大水害の慰霊において、犠牲になられた方々の御霊に祈りをささげさせていただきました。また、近隣の直轄砂防事業の進捗、これは井関地区の近くなんですけれども、それから田辺市熊野地区の復興状況、直轄のお願いをして、今大詰めになっておりますが、そういうことについても直接確認をしてまいりました。改めて、災害の規模と災害に対する備えの重要性、あるいはその努力、これを続け、常に訴え続けていかなければいけないと思いました。

 土砂災害対策については、防災拠点や避難所などの施設の重要度や現地の状況等を踏まえて、砂防堰堤や擁壁等の整備に取り組んでいるところでございます。

 また、人命を最優先に考え、崖崩れ対策では、前兆現象が見られる場合には、それまでと違って、たとえ人家1戸であっても対策ができるように制度改正をいたしました。

 これらのハード対策だけではなくて、ソフト対策も進めています。今年4月には、県下全域の土砂災害警戒区域の指定を完了させまして、ホームページで公表するとともに、市町村のハザードマップへ順次反映しているところであります。土砂災害メッシュの公開や土砂災害警報時のプッシュ型メール配信などによる緊急情報を素早く県民に提供できる仕組みも導入しました。

 さらに、和歌山県では、御指摘があったような静岡県のような、あんな緩い、ずさんな行政はしてはいかんというふうに思っておりまして、当県ではそんなことはしていないというふうに私は自信があるんですけれども、しかし、これが過信になったり油断になってはいけませんので、念のため、徹底的に全県で、危ないところが見逃されていないかどうかチェックをしておるわけでございまして、ただいま部長から答弁があったところでございます。

 過去の規制のチェックはもちろん、航空写真、衛星情報も動員し、さらには住民の人の意見や懸念も取り入れて、目下、緊急に作業中であります。

 引き続き、発災時の被害を最小限に食い止めるための施設整備と土砂災害に関する情報提供による県民の防災意識の向上をバランスよく見合わせながら、土砂災害からの安全性を高めてまいる所存でございます。

○議長(森 礼子君) 堀 龍雄君。

  〔堀 龍雄君、登壇〕

○堀 龍雄君 力強い御答弁をいただき、本当にありがとうございました。

 それでは、次の項目に入らせていただきます。

 わかやま農業教育一貫プロジェクトについてということで、5年間の継続した農業教育の全体像についてということでお尋ねをいたします。

 農業系高校から農林大学校への5年間の農業の一貫教育を可能とする新政策が打ち出されました。昨年12月定例会で玉木議員は、県内大学への農学部設置の必要性について質問に立ち、知事は、「農学部の設置はよいことで、簡単には実現できないと思っているが、和歌山大学にはお願いを続けようと思う」と述べられています。到達点はそこにあると思いますが、まだまだ時間がかかるように思われます。

 今の農林業の実態を見れば、悠長に構えている状態になく、待ったなしの状態であることは言うまでもありません。

 それは、5年に一度行われる農林業センサスの調査結果の中で、農林業経営体では、令和2年2月1日現在の県内の農林業経営体数は1万8335経営体で、5年前に比べ3737経営体、16.9%減少しています。そのうち、農業と林業に分けますと、農業経営体は1万8141経営体、林業経営体は340経営体となり、5年前に比べ、農業経営体は3355経営体、15.6%、林業経営体では900経営体、実に72.6%減少しています。また、5年前と10年前の5年間を比較すると、農業経営体では2820経営体、林業経営体では1410経営体がそれぞれ減少しています。農業・林業経営体は、どちらもこの状況では予断を許すことのできない状況にあります。

 また、経営耕地面積規模別経営体数は、5年前に比べ、耕地面積が0.3から1ヘクタール層では、2207経営体、18.7%減少し、9591経営体に、1から2ヘクタール層では、883経営体、16.5%減少し、4478経営体に、2から3ヘクタール層では、188経営体、10%減少し、1686経営体に、3から5ヘクタール層では、9経営体、1.3%減少し、711経営体となっております。

 一方、5ヘクタール以上層では、36経営体、36.4%増加して135経営体になっております。経営規模を大きくして経営の安定を図り、そして、専門的な技術が必要となりますけれども、経営の安定を狙ってのことだと思います。

 和歌山県の農業は、大消費地である京阪神に近く、インフラ整備も整ってきており、恵まれた立地条件であり、温暖な気候を生かした様々な種類の果樹栽培が盛んで、フルーツ王国と言っても過言ではありません。

 しかし、5年に一度の農林業センサスの調査のたびに、農林業経営体数や耕地面積が著しく減少しています。その状況を踏まえ、和歌山県の就農人口と農業経営体数の減少に歯止めをかけるためには、農業教育が必要と考えます。

 新政策として、わかやま農業教育一貫プロジェクトを立ち上げました。5年間継続した農業教育の全体像はどういうものか、知事にお伺いをいたします。

○議長(森 礼子君) 知事。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 果樹王国と呼ばれる本県の農業は、主要な産業として県の発展を支えてまいりました。その中で、農業系高校は、農家の後継者が専門的な農業技術を学ぶ場として、ずっと貢献してきたわけでございます。

 しかしながら、産業構造の変化により、第1次産業に対する関心が低くなるとともに、高校生というか中学生の中に、普通科志向や、あるいは大学進学希望者の増加によって、農業系高校を積極的に選択する中学生が減少してきております。このことは、就農人口や農業経営体数の減少などとも関係をしているわけでございます。

 そこで、農業系高校の活性化と農業教育の質の向上につなげるために、農業系高校4校と農林大学校がカリキュラム等で連携を図る5年一貫プロジェクトに取り組むことにいたしました。

 本プロジェクトでは、農業系高校において、和歌山の主要な農産物である果樹栽培に特化し、研究施設等と連携しながら生徒や教員の専門性の向上を図るとともに、農林大学校では、農業系高校で学んだ科目の一部を免除することで、その時間を活用してより深い研究ができるようにするものでございます。

 また、スマート農業や6次産業化についても、実践的な実習、研究を行い、高い知識、技能を習得することで、経営的な視点を持った人材や高い技術力を持った人材等を輩出していきたいと考えております。さらに、4年制大学への編入の道を広げることで、農業の学びに関心を持った生徒が増えて、農業系高校の活性化が図られ、農林大学校の充実・発展にもつながると考えております。

 この一貫教育で専門的に学んだ生徒が、卒業後、農業を担う人材となり、本県の主要産業である農業の持続的発展を牽引していく存在になってほしいと期待しております。

○議長(森 礼子君) 堀 龍雄君。

  〔堀 龍雄君、登壇〕

○堀 龍雄君 次の項目に入らせていただきます。

 中学校への募集活動についてということで、先ほども申し上げましたが、農林業センサスの調査の結果で明らかになっておりますけれども、農林業経営体数の減少、農家の減少、それに伴い、就農人口の減少が問題となってきております。年齢別基幹的従事者数は、5年間で、15歳から24歳で144人から92人と36.1%減少、25歳から34歳では828人が587人、29.1%減少しています。和歌山県にとって、主要産業の一つである農林業を衰退させないようにするには、若者の就業率を上げていかなければならない、そうしなければ解決のめどが立っていかないと考えられます。

 農林業を知ってもらうためには、中学校の生徒にも知っていただくことが必要であるということで、7月の1日に玉木議員事務所に元県農業大学校長の佐々木先生をお招きして、岸本議員、玉木議員、私と今後の農業教育についてお話を伺いました。その結果、中学校から高校、高校から大学校まで連携が必要ということになり、その後、7月28日に両議員と共に農林大学校で、副校長、近畿大学生物理工学部の仁藤先生、紀北農芸高校、南部高校、有田中央高校、熊野高校の各校長先生、県担当課、教育委員会に参加をしていただき、各校長先生から学校の特徴、方針などを報告していただいた後、意見交換を行いました。

 第1のステップとして、農業高校の必要性を中学校の生徒にも知ってもらうようにしなければいけないということになりました。中学校に対する募集活動について、教育長にお尋ねをいたします。

○議長(森 礼子君) 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 中学校に対する募集活動についてでございますが、小中学生が和歌山の農業の豊かさや可能性に関心を持つことは、ふるさと教育の目的の一つであり、将来の進路選択の一助になると考えます。特に、中学生が農業系高校の学習内容や学んだことが将来にどう生かされるのかをよく理解して、農業系高校に期待感を実感できる取組を充実していきたいと考えています。

 県内4校の農業系高校では、果樹の栽培を中心とした学習に、生産から加工、販売まで行う農業の6次産業化などの内容にも取り組んでいます。

 今後は、研究施設や農業法人などと連携することで、果樹栽培の最先端の技術を習得するとともに、これからの農業の発展的な分野においても、より実践的で専門性の高い学びを充実させてまいります。また、農業系高校卒業後、就農だけでなく、企業への就職、農林大学校をはじめとした上級学校への進学など、多様な進路が開かれていることが重要です。

 このような取組を通じて、展望を持って意欲的に農業系高校に入学する生徒が増えることを期待しております。

 令和4年度から、このような意欲のある県内外の中学生を対象として、通常の入学選抜前に農業科特別選抜を実施します。

 今後、この新しい選抜制度が効果的なものとなるよう、県教育委員会では、高等学校と共に県内外の市町村教育委員会や中学校と積極的に連携してまいります。

○議長(森 礼子君) 堀 龍雄君。

  〔堀 龍雄君、登壇〕

○堀 龍雄君 全国募集高校の各校の特徴についてということでお尋ねいたします。

 全国に募集するのは、紀北農芸高校と南部高校の食と農園科となっています。募集人数が増えるように、目的とそれぞれの学校の特徴を考えられていると思います。そのお考えを教育長にお尋ねをいたします。

○議長(森 礼子君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 全国募集高校の各校の特徴についてでございます。

 次年度から全国募集を行う紀北農芸高校と南部高等学校の食と農園科は、全国的にも知名度が高い柿、桃、梅などの栽培を中心としてきましたが、近年、活気を失いつつあります。今後、各学校が農林大学校や研究施設、農家などと深く連携し、栽培技術の改良や付加価値の高い生産技術等の教育、研究に重点的に取り組むことで、全国から期待される農業系高校にしていきたいと考えております。

 全国から、和歌山の農業に強い関心、興味を持った生徒たちが入学し、地元の生徒たちと切磋琢磨することで、質の高い農業の学びが期待できます。一例として、農業に関する学習や研究の成果を競い合う日本学校農業クラブ全国大会等での上位入賞等が挙げられます。さらに、和歌山の農業教育が全国から注目されることは、和歌山の子供たちに自信と誇りを感じさせることにもなります。

 こうしたことが、現在着手している5年一貫の農業教育を力強く推進することにもなると考えております。

○議長(森 礼子君) 堀 龍雄君。

  〔堀 龍雄君、登壇〕

○堀 龍雄君 農林大学校と高校の連携についてということで、それぞれの農業系高校から農林大学校へ入学したときのメリットについて、どのように考えられているのか、農林水産部長にお尋ねをいたします。

○議長(森 礼子君) 農林水産部長岩本和也君。

  〔岩本和也君、登壇〕

○農林水産部長(岩本和也君) わかやま農業教育一貫プロジェクトでは、農業系高校と農林大学校との5年間の継続したカリキュラムを構築し、今後の地域農業を牽引する経営力に優れた人材を育成します。

 具体的には、高校2年次において、農林大学校までの継続的な研究を見据えた課題研究のテーマを設定します。これにより、例えば果樹のような長期の観察が重要な品目をより深く研究したり、自ら考えた解決方法を繰り返し試験したりといったことが可能となります。

 また、農林大学校で実施している果樹概論など農業の基礎的な科目のうち、農業系高校の科目と重複する内容が多いものについては、カリキュラム調整を行った上高校で履修してもらい、農林大学校では、その余剰時間を課題研究に充当することとしております。

 このように、農業系高校から農林大学校への円滑な接続を図ることで、より実践的で専門性の高い知識、技術と課題解決能力が得られ、地域のリーダー役を担う経営能力が備わった農業者を輩出できるものと考えております。

○議長(森 礼子君) 堀 龍雄君。

  〔堀 龍雄君、登壇〕

○堀 龍雄君 農林大学校卒業後の進路についてということでお尋ねをいたします。

 卒業後の学生の行き先の選択肢が多ければ多いほど、このプロジェクトが成功すると思います。どのようなことを考えているのか、お尋ねします。

 また、衰退をし続けている和歌山県の農林業に歯止めをかけるには、就農に必要な耕作する土地の借受けや、その土地に適合した栽培方法を教えていただけるような地域の方々の御指導が必要であると考えます。その上、農業法人や各企業さんへの採用の御協力もお願いしなければならないと考えます。また、もっと実践以外に農業に関する研究をしたい学生に、十分勉強できる大学との連携も必要と思いますが、農林水産部長にお尋ねをいたします。

○議長(森 礼子君) 農林水産部長。

  〔岩本和也君、登壇〕

○農林水産部長(岩本和也君) 農業者の減少や高齢化が進む中、これからの本県農業の発展を図るには、家族農業に加え、農業法人など雇用力があり、地域農業を牽引できる強い経営体の育成を進めていく必要があると考えております。

 このプロジェクトにより、実践的で専門性の高い知識や技術、経営感覚を持った人材を養成し、親元での就農をはじめ独立自営就農や農業法人への就職など、毎年農業現場に送り出したいと考えております。

 こうした取組により、卒業生それぞれが経営力を発揮して、規模拡大や経営の多角化などを図ることで新たな雇用を創出し、さらに農業に人を呼び込むなど、将来の和歌山県農業の活性化につながるものと考えております。

 また、より高度なスキルを身につけたいと4年制大学への編入を目指す学生には、進学可能な大学や編入条件等について、学生の希望を踏まえたきめ細やかな進路指導を行ってまいります。

○議長(森 礼子君) 堀 龍雄君。

  〔堀 龍雄君、登壇〕

○堀 龍雄君 IR誘致についてということで、基本協定の内容についてお尋ねをいたします。

 IR誘致については、滞在型観光の核として、和歌山県の観光振興や雇用の増加に貢献し、地域経済活性化の起爆剤になると思います。その上、人口減少の抑制についても大いに期待できるものと考えられます。

 また、新型コロナウイルス感染症が終息した後、和歌山県の経済回復のエンジンとなることから、今、私たち自民党は、以前よりその誘致を全面的に支援してきました。今定例会に開催された会派代表者会議で、特別委員会の設置も提案したところです。

 和歌山県においては、6月2日の優先権者候補選定後、7月20日に優先権者を選定し、8月25日には基本協定を締結するなど、着実に取組を進めていることについて大変心強く感じています。現在、当局においては、区域整備計画の作成に全力を挙げていると思いますが、国への計画提出期限が4月28日と迫る中、具体的な進捗状況も大変気になるところです。

 熾烈な競争環境にある中ですが、計画の詳細な中身は区域整備計画案の完成を待つとして、まず、先日締結されました基本協定について、これはどのような性格のもので、具体的にどのような内容が記載されているのか、理事にお尋ねいたします。

○議長(森 礼子君) 理事田嶋久嗣君。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○理事(田嶋久嗣君) 議員御質問の基本協定は、公募手続により、クレアベストニームベンチャーズ株式会社及びクレアベストグループ・インコーポレーテッドのコンソーシアムが和歌山IRを実施する民間事業者として選定されたことを確認するとともに、区域認定後に実施協定を締結するまでの間の県と事業者双方の役割などと諸手続を規定しているものでございます。

 具体的な内容は、県と事業者が共同して行う区域整備計画の作成及び認定申請に関する事項や、事業者の費用負担、履行保証金等に関する事項、IR事業者の設立に関する事項、IR事業者やその株主の廉潔性確認に関する事項のほか、事業者の責めに帰すべき理由で実施協定の締結が不成立となった場合の違約金の支払いに関する事項などでございます。

○議長(森 礼子君) 堀 龍雄君。

  〔堀 龍雄君、登壇〕

○堀 龍雄君 計画提出に向けた今後のスケジュールについて、国への区域整備計画の提出期限は来年4月28日とされており、計画作成はもちろん、最終的には和歌山市の同意や県議会における議決等が必要であり、今後、かなり厳しいスケジュールとなることが想定されます。

 現在、当局において想定されているスケジュールについて、理事にお伺いいたします。

○議長(森 礼子君) 理事。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○理事(田嶋久嗣君) 今後のスケジュールについてですが、現在、クレアベストと共同して区域整備計画の作成に全力を挙げて取り組んでいるところです。

 区域整備計画を国へ申請するためには、IR整備法上、区域整備計画に住民の意見を反映させるための必要な措置を講じた上で、和歌山市及び県公安委員会の同意と県議会の議決を経る必要がございます。

 これらの手続を国への提出期限である来年4月28日までに終えるためには、逆算しますと、11月末には区域整備計画の原案を完成させ、県議会、和歌山市及び県公安委員会にお示しするとともに、県民向け説明会の開催、パブリックコメントを実施し、12月末頃までに終える必要がございます。

 その後、区域整備計画の原案に対する県議会や県民の皆様からいただいた御意見を踏まえ、原案の修正を行い、来年2月には和歌山市及び県公安委員会の同意をいただいた上で県議会に区域整備計画の議案を提出し、議決をいただく想定でスケジュールを組んでおります。

○議長(森 礼子君) 堀 龍雄君。

  〔堀 龍雄君、登壇〕

○堀 龍雄君 区域認定に向けた意気込みについてということで、ただいま田嶋理事より、基本協定の内容、今後のスケジュールについて詳しく答弁いただきました。

 そこで、横浜市のIR誘致断念、長崎県においては、事業者が選定のやり直しを求める混乱状況から考えますと、和歌山県は非常に有利になったものと考えるところです。

 一方、他府県の状況にかかわらず、優れた区域整備計画をつくり上げなければ、国には認定されません。人口減少、少子高齢化といった課題を抱える和歌山県にとって、IR誘致は是が非でも勝ち取らなければならない事業であります。他地域の情勢を踏まえ、改めて区域認定に向けた意気込みについて、知事の御所見をお願いいたします。

○議長(森 礼子君) 知事。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 栄えている横浜では、IRをやめてもずっと繁栄は続くと思う人が多いんだろうなあと思います。ただ、和歌山は、なかなかこういう大規模な投資案件はほかには考えられないので、頑張って進めなきゃいけないというふうに思います。

 数が少ないかどうか、相対評価ではございませんので、いいものをつくって国に認めていただかなきゃいけない。もちろん依存症や破産リスクなどが起こってはいけないんで、工夫をしているわけですが、この工夫でどこにそんなリスクがあると思うかなあというのを一度聞いてみたいというようなところもございます。そういう形で一生懸命やっていきたいと考えております。

○議長(森 礼子君) 堀 龍雄君。

  〔堀 龍雄君、登壇〕

○堀 龍雄君 これで、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(森 礼子君) 以上で、堀龍雄君の質問が終了いたしました。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 26番多田純一君。

  〔多田純一君、登壇〕(拍手)

○多田純一君 皆さん、おはようございます。公明党県議団の多田純一でございます。

 甚大な被害をもたらした平成23年9月の台風第12号から10年がたち、改めて犠牲になられた方に哀悼の意をささげ、災害に遭われた皆様にはお見舞いを申し上げたいと思います。

 私も、中拓哉議員と一緒に、発災後9月5日から知人、友人の安否確認のために新宮市に行き、そこから、三重県側から回って熊野川町、那智勝浦町、そして古座川町周辺の被災現場を見て回り、被害状況を目の当たりに体験させていただきました。先日に頂いた資料「紀伊半島大水害復興10年の軌跡」を見ましたが、そのときの記憶がよみがえってまいります。それを風化させることなく、これからも起こるであろう災害に対し、防災・減災に努めてまいります。党県本部でそのために、素人ながら2年かけて県内の河川の総点検を行い、河川についての改善策を知事に要望しております。しっかりと生かしていきたいと考えます。

 それでは、議長のお許しをいただきましたので、大項目として三つの質問を行いたいと思います。

 まず、1点目でございます。

 新型コロナウイルス対策についてお聞きします。

 昨年2月13日に新型コロナウイルス感染症が本県で確認されて以来、昨日9月14日で580日となります。昨日は、お一人お亡くなりになりましたし、新規感染者は21人でした。感染者数は累計で5076人、お亡くなりになった方は59人となり、改めて御冥福とお見舞いを申し上げたいと思います。

 また、未経験の新型コロナウイルスと必死で闘ってこられた医療従事者やそのスタッフの方々、そして、保健衛生行政に携われてこられた県や市町村の職員の方々の御苦労に敬意を表したいと思います。

 和歌山社会経済研究所発行の「21世紀わかやま」の今月号に掲載された野?技監の記事も読ませていただきました。和歌山方式と言われる疫学的調査に基づき、早期発見、早期対応、全国に比べると、感染者数も当然重症化率も低く抑えられております。しかし、第5波だけで2000人を超える感染者数となっております。以前の波と比べて桁違いに大きな波となっております。新型コロナ対策の切り札と言われるワクチン接種を進めるしか、今は手だてがありません。

 私たち公明党県議団では、様々な機会に新型コロナ対策の申入れや要望を仁坂知事に行ってまいりました。5月31日には、ワクチン接種に関する要望を行いました。

 3月の医療従事者への接種、そして、その後、4月12日から高齢者、基礎疾患をお持ちの方、そして一般接種と進み、行政とクリニックの対応がスムーズにいき、5月31日時点でも、県内ワクチン接種率は3週連続全国トップを走り、高齢者の4人に1人が1回目の接種を終えている状況となっておりました。

 私たちの要望は、このままワクチン接種が順調に進み、打ち手である医療従事者の確保、近くのクリニックに行けない在宅の方々、クラスターが発生しやすい高齢者施設等に勤務する介護従事者、そして、幼児の保育施設に勤務する従事者への優先接種、市町域を超えた集団接種体制、職場などでの職域接種を進め、県内の隅々までワクチンが行き渡るようにという思いで要望いたしました。

 福祉保健部長に、今日までの主なその取組について御説明をお願いしたいと思います。

○議長(森 礼子君) ただいまの多田純一君の質問に対する答弁を求めます。

 福祉保健部長志場紀之君。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 御要望のあった項目につきまして、状況を説明いたします。

 まず、接種体制に係る人材確保ですが、市町村や職域接種の実施主体からの依頼に基づき、県ナースセンターが潜在看護師の紹介を行い、9月13日時点で、市町村で25名、職域で16名の就業実績がありました。また、県立医科大学から医師を派遣しているところです。

 次に、県が実施主体となる大規模接種につきましては、市町村の個別接種や集団接種が順調に実施されていたこと、市町村の医療従事者確保に支障を来すおそれがあったことなどから、実施しないとしたところです。

 そうした中、7月以降は、市町村に配分されるファイザー製ワクチンが減少する一方で、国においてモデルナ製ワクチンの供給には余裕があったことから、市町村接種の負担を少しでも軽減するため、県庁では率先してモデルナ製ワクチンを活用し、県職員のみならず警察官、教職員、市町村職員など、幅広く対象として職域接種を実施いたしました。

 また、一定規模以上の企業や大学等についても早い段階で周知を行い、17団体から申請がありましたが、モデルナ製ワクチンの調達が全国的に遅延したことなどの理由により、結果として9団体での実施となりました。

 次に、クリニックに行くことが困難な在宅の方に対する接種についてですが、各市町村でかかりつけ医による訪問診療時やデイサービス利用時の接種、また、高齢者が集団接種会場へ移動する際に、市町村社会福祉協議会や市町村の職員による送迎などの支援が行われてきたところです。

 このように、御要望の内容も含め、県としてワクチンの配分について国への働きかけを行うなど、接種率の向上に取り組んだ結果、9月13日時点で、本県の12歳以上の接種対象者の1回目のワクチン接種率は69.0%と、全国的にも速いスピードで接種が進んでおります。引き続き、少しでも早く希望する県民が接種できるよう、市町村、医療機関等と力を合わせて取り組んでまいります。

○議長(森 礼子君) 多田純一君。

  〔多田純一君、登壇〕

○多田純一君 御答弁をいただきました。

 私は別に、その5月31日時点で要望して、そのときには、職域接種を含めて、あまり市町がやっていることを邪魔したくないと、こういうお話でございましたので、それはそうかなという部分で終わりましたけども、その後、この県庁でも、またいろんな地域で職域接種が始まって本当によかったなと、要望させていただいてよかったな、そんなふうに前向きに捉えているところでございます。

 市町でやるのは、市町の住民だけなんですね。だから、県でできることは、市町を広域にできるんじゃないかと、そんな思いで、県庁やそういう人が集まるところでしっかりと接種する会場を広げていくということは、これから若者対策の中でも言えることじゃないかと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 続いて、次の質問に移らせていただきます。

 ワクチン・検査パッケージと行動制限の緩和についてお聞きしたいと思います。

 政府は、新型コロナウイルス対策の行動制限について、ワクチン接種済みであることなどを条件に段階的に緩和する基本方針をまとめました。その中で、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が解除されていなくても、今秋にも県境を越える移動を認め、飲食店での酒類提供の解禁も検討、また、イベントの収容人数の上限引上げも容認する方向との報道です。政府側の発表も一つの考え方をまとめるもので、今後、ワクチン接種が進む11月以降をめどに国民的議論となってくるものと考えております。

 それを前提に、ワクチン接種証明書についても準備が進められております。尾身会長のレポートでは、「ワクチンパスポートという表現は、それを持っていない人が社会活動に参加できないということを想起させるために、国内では使用すべきでない」とおっしゃっておりました。7月26日から開始されて、和歌山市では保健所に申込みとなっておりますけども、既に335件の申請が行われているようです。

 今は、海外渡航の際に必要な方のみが申請可能となっておりますが、年内にもデジタルで発行する接種証明書を活用し、飲食店の営業や酒を提供できる時間、会食人数の緩和なども目指していると報道されております。いずれ収束もしくはウィズコロナの見通しが期待できる反面、時期尚早との専門家の懸念も出ております。

 ワクチン・検査パッケージと行動制限の緩和など国の動向について、知事のお考えをお聞かせください。

○議長(森 礼子君) 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) ワクチン・検査パッケージ等による行動制限の縮小、見直しについて、政府から考え方が示されましたけれども、将来を見据えた取組は必要でございまして、事前に制度設計は進めていくべきだと考えております。

 しかし、今回示された案は、人流しか関心のなさそうな人が考えた案なのか、人流をどうするかだけの案になっておって、根本的な問題があるんじゃないかなというふうに思います。

 まず、保健医療行政の取組として、積極的な疫学調査を強化し、感染者が増えないようにするということが前提で整備されてなきゃいけないと思います。加えて、それでも万一感染しても、医療の不備で人々が苦しんだり死んだりするということがないように体制を整えておくということが大事で、病床の確保と医療供給体制の充実を図るということが前提になっていないといけないと思います。

 それらをしっかりやった上で、初めて人流抑制をどのぐらいにすることができるかということを出口として考えたらいいんじゃないかな。これら全てのことをきちんと押さえた上でのワクチン・検査パッケージ等の活用による行動制限の縮小、見直しについての議論が必要であると考えます。

 政府は、行動制限の緩和について、どういうふうに考えたらいいのかという御質問でございますけれども、緩和もそうでございますが、実は制限をするときの考え方も、どうも緊急事態宣言やまん延防止等重点措置に伴う措置の中身、これが大都市だけ考えていないかなあというふうにいつも思うのでございます。地域の実情などはあんまり考慮せず、基準、すなわち基本的対処方針などにあるような基準を定めているように思います。

 例えば、地方では、そう人がたくさん集まってきていない飲食店やデパートが実情なんですけども、それだけをターゲットにしたり、お酒は一切駄目ですと言ったり、言っても実態がないときにはあんまり効果がないわけであります。細々と新型コロナと折り合いながら営業を続けている飲食店をさらに一気に収入減にしたり、さらには破綻に追い込んだりする余計なことになってしまうというおそれすらあります。

 したがって、今後、これは制限をするときもそうですが、縮小・見直しの実施に際しては、地域の実情、そういうものがみんなそれぞれ、大都市と地方、地方でもいろいろ違うんだということを念頭に置いて、それぞれの首長が、科学的なデータに基づいてきちんと対策ができるようなことが可能な制度をつくってもらいたいなと、そんなふうに思う次第でございます。

○議長(森 礼子君) 多田純一君。

  〔多田純一君、登壇〕

○多田純一君 御答弁いただきました。

 これからいろいろ議論されていく中身なんでしょうけども、知事は、全国知事会でも発信力というか発言力を高めておられますので、県民のために、しっかりとまた発信をしていただきたい、このように思っております。

 二つ目の項目に移りたいと思います。

 IR構想と国際観光都市和歌山の実現について質問をいたします。

 特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律、いわゆるIR推進法が成立した2016年12月当時は、候補地として取り上げられた地域は8か所あったと思います。その中でも、横浜市は、横浜港を有する日本最大の観光都市として、IRカジノの最有力候補地として注目を集めておりました。その横浜市が、8月22日に行われた市長選挙で推進反対派の候補に大差で負け、事実上、横浜市のIR構想は頓挫した形となりました。

 国内最大3か所選定、大阪府・大阪市、長崎県、そして和歌山県の3か所が候補地に挙がっている状況です。和歌山の区域整備計画次第では、可能性が高くなってきていると思います。横浜市の反省を踏まえて、県民に改めて和歌山IR構想の理解を深める必要があると思います。

 特定複合観光施設区域の整備に関する法律によると、「推進が、観光及び地域経済の振興に寄与するとともに、財政の改善に資するものであることに鑑み、特定複合観光施設区域の整備を総合的かつ集中的に行うことを目的とする」としております。基本理念では、「地域の創意工夫及び民間の活力を生かした国際競争力の高い魅力ある滞在型観光を実現し、地域経済の振興に寄与するとともに、カジノ施設の収益が社会に還元されることを基本として行われるものとする」とあります。

 IRは一体和歌山に何をもたらすものかについて、県民に分かりやすく説明する上で、改めてIR誘致を目指す意義、県民が受けるメリットについて、仁坂知事、お答えください。

○議長(森 礼子君) 知事。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 和歌山県では、少子高齢化や所得低迷といった課題に対応するため、これまで産業振興策の充実、国の機関や大学等の誘致、交通ネットワークの整備等に取り組み、結果、成長分野であるICT産業が少し来始め、小型ロケット射場をはじめとする多くのいいところが少し出始め、総務省統計局及び独立行政法人統計センターが設置する統計データ利活用センターの開設とか、五つの大学の設置など、いいところも少しは出てきました。しかし、まだまだ全体としては量が足りないというふうに思っております。

 新たな成長産業を取り入れていかないと経済がだんだん衰退していくというのは、本県の近年の歴史を振り返れば自明であります。かつてのような大規模な投資案件、特に製造業における大規模な投資案件が見当たらない中で、IRには、大規模な投資や経済波及効果、雇用創出効果が見込まれ、県民総生産が約10%──弱ですが──も増える可能性があることから、本県の将来を思い、何とか実現をしたいと考え、誘致を目指してきたところであります。

 誘致が実現すれば、波及効果で地域経済が潤い、県民所得の増加につながるとともに、税収の増加等による財政改善も見込まれます。さらには、事業者から納入される納付金や入場料収入を活用し、社会福祉の増進、教育の振興といった県民の皆様がその利益を直接享受できる事業なども行えます。

 もちろん、幾ら県勢の発展に資するからといって、社会的リスクをないがしろにしては絶対にいけないのでございます。県民の皆様が不安に感じておられるカジノ施設に起因するギャンブル依存症とか破産リスクについては、後者のほう、破産リスクは特に和歌山で考えたことで、あんまり世の中では言われないんですけれども、これも大事なことだということで和歌山県は物すごく重視しております。IR整備法で定めている世界最高水準の重層的で多段階的な規制に加え、これは言葉ではきついんですが、誠にそのとおりだと思います。使用上限額を設定して現金をチャージするIRカードの導入とか依存症対策専門員の配置といった県独自の対策も実現させることで、そのリスクを排除できると考えております。

 こうした制度の中で、どうやったら県民や国民が依存症になって、破滅したり破綻したりできるのかというルートをどういうふうにして考えられますかというふうに思うんですけども、反対の方は、そんなことは一切耳を塞いで、もうとにかく反対と言っておられるような気もいたします。

 このように、IRについては、県民の皆様にとって大きな意義、メリットがあり、うまく規制を行うことで弊害を防止することができると考えておりますから、引き続き、誘致に向け、全力を挙げて取り組んでいく所存でございます。

○議長(森 礼子君) 多田純一君。

  〔多田純一君、登壇〕

○多田純一君 県は、優先権者クレアベストニームベンチャーズ株式会社及びクレアベストグループ・インコーポレーテッドのコンソーシアムと基本協定を締結しました。IR事業者と基本協定を結んだのは、全国初となります。今後は、県とクレアベスト社と共同して区域整備計画を作成し、申請期限である2022年4月28日までに国への申請を行うことになります。

 基本協定を結ぶ前に、クレアベスト社がグループ・パルトゥーシュや株式会社AMSEリゾーツジャパンがパートナーとして加わることを発表しました。この問題につきましては、6月県議会で奥村議員も質問しておられましたけども、7月に開催された全員協議会の席でクレアベスト社は自ら、「我が社はプライベート・エクイティ投資会社として、ゲーミング産業、航空宇宙防衛、ヘルスケア、ITサービス、メディアなどに投資を行っている」とし、「単に投資をするだけでなく、事業に対する知見も持ち合わせている」とおっしゃっておられました。カナダやチリそしてアメリカ・ニュージャージー州、ニューヨーク州で事業を行っているとされております。一般的な評価としては、カジノ事業者とパートナーを組み、資金面で開発を支えるケースが多いとされております。

 報道されているこのたびのパートナーとしてパリのパルトゥーシュは、ゲーミング施設、ホテル、レストラン、スパなどを運営するまさにフランスカジノ大手のオペレーター、もう一つのAMSEは、日本に拠点を置くIR開発・マネジメント会社、アジア最大級のeスポーツクラブの開設も手がけた実績もあると評されております。

 コンソーシアムとして、県はまだ正式な構成員として認めたわけじゃないとされております。この話が6月7日に明らかになり、既に3か月、その上で、クレアベストが発表した新たなパートナーについて、その受け止めについて理事にお答えをいただきたいと思います。

○議長(森 礼子君) 理事田嶋久嗣君。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○理事(田嶋久嗣君) 議員御指摘のように、クレアベストがグループ・パルトゥーシュやAMSEリゾーツジャパンとの提携を公表したということは承知しておりますが、現段階では、事業者同士、民々の間でお話をされていることでございまして、県に対して正式な報告や打診はございません。

 県としましては、事業実施体制の強化を求めておりまして、クレアベストが別のカジノ事業者などと提携することについて、具体的な提案がありましたら、信用調査を行いまして、その適格性を審査した上で、参画の是非について判断をいたしたいと考えております。

○議長(森 礼子君) 多田純一君。

  〔多田純一君、登壇〕

○多田純一君 同じような答弁になっておりますけども、事業実施計画の強化という点では、先日の全員協議会で御説明いただいた限りでは、不安を抱いたのは私だけではなかったと思います。早く経験もあり信頼性のあるパートナーを選んで、その上で信用調査となるんでしょうと、時間がないんじゃないでしょうか。新しいパートナーも加わって和歌山県の区域整備計画案をつくり、12月までにはパブコメを実施し、意見をまとめて議会に提案、時間はありません。間に合うんでしょうか。

 それと、全員協議会の際、クレアベスト社の梶プロジェクトマネジャーが、7月中に和歌山に事務所を開設し、状況アナリストを置くと話されておりましたが、まだ開設したとは伺っておりません。大丈夫なんでしょうか。理事、お答えください。

○議長(森 礼子君) 理事。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○理事(田嶋久嗣君) 議員御指摘のように、和歌山県としましてもクレアベストに事業実施体制の強化を求めておりまして、彼らなりに努力していると、途中経過の報告は受けておりますが、彼ら自身もパートナーを選ぶに当たっては、彼ら自身としてもやはり信用調査というか背面調査をやっておるところでございまして、その結果を踏まえて、慎重に判断をした上で和歌山県に提出してくると、そのように伺っております。

 そして、事務所の開設につきましては、全員協議会での発言よりもかなり遅れたんですが、実は昨日、市内に事務所というものが開設されております。ただ、現時点では、多くの人がどんどん訪れてきてもらえるような事務所というよりは、作業を行うための拠点事務所と、そういった形になっておるところです。また、進捗がございましたら、御報告したいというふうに思っております。

○議長(森 礼子君) 多田純一君。

  〔多田純一君、登壇〕

○多田純一君 遅れているということは、指摘させていただきたいと思います。

 次に、広域観光をどのように進めていくのか、お聞きしたいと思います。

 関西圏や四国エリアに海外からのインバウンドを増やす広域観光、周遊観光を目指す中で、他地域、例えば中部や四国地域との連携などが必要と考えます。和歌山IRと広域観光の計画について、広域関西エリアや中部エリア、そして四国エリアにはどのような説明がされているのか。絵に描くだけじゃなく、それが共感につながるようにぜひしてもらいたいと思います。

 IR誘致に向けた広域観光実現を目的とした、例えば戦略会議の開催といった取組についてはどのように考えておるのか、理事にお尋ねします。

○議長(森 礼子君) 理事。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○理事(田嶋久嗣君) 我が国が目指すIRは、国際会議場施設や家族で楽しめるエンターテインメント施設等と収益面での原動力となるカジノ施設が一体となった、これまでにないスケールとクオリティーを有する特定複合観光施設であると同時に、議員御指摘のとおり、IRへの来訪者を国内各地に送り出すことで、世界と国内各地をつなぐ交流のハブとなり、もって国際競争力の高い魅力ある滞在型観光を実現することを目指すものとされております。

 これらの趣旨を踏まえ、和歌山県としましても実施方針において、和歌山IRを起点に、関西圏のみならず伊勢湾、紀伊半島、四国圏などに存在する魅力的な観光資源をつなぎ、巡礼や食文化といったストーリー性を持つ新たな観光街道を形成することで、IRの効果を広域的に波及させることを目標とする旨、記載し、募集要項において事業者に提案を求めたところです。

 また、県としては、紀伊半島3県知事会議における協力依頼や、紀伊半島及び四国圏の自治体やDMOへの訪問などを通じて、広域観光の実現に向けた調整を行っているところです。

 具体的な内容については、今年の11月末頃を目途に完成予定の区域整備計画原案においてお示ししたいと考えております。

○議長(森 礼子君) 多田純一君。

  〔多田純一君、登壇〕

○多田純一君 先ほど申し上げましたように、3地域に今のところ絞られてきているわけですけども、申し上げましたように、最大3地域ですから、この和歌山のIR構想をどういうふうに、やっぱり国が期待しているようなインバウンドに大きく影響を与えるか、そういうことの観点からすると、しっかりと他地域、申し上げましたように中部とか、この関西もそうですし、四国エリアもそうですし、大阪はそうでもなさそうですけども、長崎は九州・長崎IRと、こういうふうに見せているんですね。要するに、本当に九州のためにこの長崎にIRをつくるんだと、こういう構想は非常に意味があると思いますし、見せ方もうまいんじゃないかなと思うんです。

 だから、和歌山は、もっと本当に広域のために、今までにない、ゴールデンルートじゃなくて、和歌山らしい昔の南海ルートというんでしょうかね、そういうルートをしっかりと構築していくんだと、こういう姿勢もしっかり出していただきたいと、このように思っております。

 それから、次の質問に移らせていただきます。

 地元調達促進に向けた取組についてお考えをお聞きしたいと思います。

 本県にIRが誘致されることを見据え、その高い経済効果を広く県内全域に波及させ、広域に発展に資するため、地元調達の促進を図る必要があると思います。ビジネスセミナーの開催やIR事業者と地元企業との対話を開催し、民間主導による具体的なビジネスマッチングにつなげていく必要があると思いますが、ビジネスセミナーなどの開催について、どのように、いつ頃計画されているのか、理事にお答えをいただきたいと思います。

○議長(森 礼子君) 理事。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○理事(田嶋久嗣君) IR事業を推進していくに当たっては、県やクレアベストに加えて、地元経済界が一体となり取組を進めていくことが重要と考えています。

 そのため、クレアベストに対しては、地元調達や地元雇用の創出等により地域経済の発展に寄与するため、事業実施体制の強化に当たっては、県内事業者が公平・公正な仕組みで、特定の事業者に偏ることなく広く参加できるよう、オール和歌山の体制づくりを求めているところです。

 議員御指摘のビジネスマッチング等の具体的な手法については、現在、事業者において検討中であり、決定をしましたら速やかに公表したいと考えております。

○議長(森 礼子君) 多田純一君。

  〔多田純一君、登壇〕

○多田純一君 お答えいただきましたけども、なかなか水面下で進めていただいている部分が多いんでしょうけども、本当に最初に申し上げましたように、県民の方がやっぱり十分IR構想について賛同いただけるように、もちろん県民の中には、産業を担うそれぞれ企業もあると思いますし、それから、これから新しく産業を誘い込む、そういう部分もIR構想の中にあると思います。先ほど申し上げましたように広域で、本当に和歌山らしい、そういう構想を早くつくっていただかないと、この12月には間に合わない。しっかりと水面下でやっていますよと、こういうことでしょうけども、私たちにもしっかり分かるようにお願いをしたいと思います。

 続いて、懸念される事項の最小化についてお尋ねをいたします。

 ギャンブル依存症対策や治安対策など、県民の不安解消に努めるべきです。そのために、県民との対話が必要です。計画の概要ができた時点で、積極的に対話の機会を設けるべきです。市議会、県議会での承認を得るまで、どのような県民との対話を考えておられるのか。

 アジアはカジノ中心のIRが多いわけですけども、日本はラスベガス型IR、すなわち統合型リゾート──IRの趣旨を生かすために、複合コンベンション施設も整え、ビジネスはもちろん、家族連れで観劇、劇場、買物、美術館、水族館、温泉など、和歌山らしいものを楽しめる施設が望ましいと考えます。和歌山らしい伝統芸能やロボットやVRを融合させる。オリジナルなコンテンツを創造し、日本のエンターテインメントの質向上や発信の契機となるかもしれません。

 懸念される事項の最小化について、理事、お答えください。

○議長(森 礼子君) 理事。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○理事(田嶋久嗣君) 県民の皆様が不安に感じておられるカジノ施設に起因するギャンブル依存症や破産リスクについては、これを徹底的に排除するのは当然のことですので、これまでも県民の皆様に丁寧に説明を行ってきたところです。

 県としましては、IR整備法で定められたマイナンバーカードを利用した入場回数制限や入場料の設定、本人・家族申告による入場制限措置、クレジットカードの使用不可など、重層的で多段階的な規制に加え、使用上限額を設定して現金をチャージするIRカードの導入や、賭け事に熱くなっている人に休憩や退場を促す依存症対策専門員の配置といった県独自の取組をクレアベストに求めており、これを実現させることで皆様の御懸念を払拭できると考えております。

 その上で、新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえつつ、県民向けの説明会ですとか、「出張!県政おはなし講座」などを通じ、引き続き丁寧に説明を行ってまいりたいと考えております。

○議長(森 礼子君) 多田純一君。

  〔多田純一君、登壇〕

○多田純一君 この項目の最後に、IR誘致を踏まえた国際観光都市和歌山のビジョンについてお伺いをしたいと思います。

 近未来の和歌山のビジョンを示すよい機会だと思います。国際観光都市として、パリやロンドンで約2000万人、開業後4年目のクレアベストの提案では約1300万人、これは現在の東京やローマを抜いて、インドのムンバイ、トルコのイスタンブールやニューヨークに近づく数値となっております。今やシンガポールやマカオは、ロンドンやパリにも匹敵、もしくはそれ以上の観光都市になっております。国際観光都市にふさわしいインフラ整備や道路や港湾整備、どのような国際観光都市を目指すかどうかは重要な県政の目標となってくると思います。

 例えば、IR誘致は、未来に向けて和歌山県の国際観光を考える上で絶好の機会ですけども、クレアベストの提案の概要を確認すると、目標訪問者1300万人のうち、外国人訪問者が約300万人とされており、これまでの和歌山県の外国人観光客の実績からすれば、海外から桁違いの外国人観光客が訪問するチャンスが生まれるということになってまいります。つまり、IRが実現すれば、和歌山が国際観光都市として名高いパリやロンドン、ニューヨークやイスタンブールといった世界的な観光都市と、ある意味、肩を並べ得る大きな飛躍を遂げることが期待されます。

 そういう期待の中、県が目指す国際観光都市和歌山のビジョンについて、知事はどのようにお考えなのか、御所見を伺いたいと思います。

○議長(森 礼子君) 知事。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 県では、長期総合計画において、2026年に170万人の外国人宿泊者数を目指すとの目標を掲げ、これまで海外プロモーションに力を入れてきた結果、新型コロナウイルス感染症が拡大する前の2019年には、過去最高の約50万2000人の外国人宿泊者数を記録したところであります。よし、この調子で行くぞと思っていたら、新型コロナでインバウンドがほぼゼロになってしまったというわけでございます。

 現在は、厳しい状況が続いておりますけれども、今年1月にロンリープラネットのランキング「Best in Travel」の読者が選ぶサステーナビリティーに配慮した観光地部門では、和歌山が世界一に選出されるなど、引き続き世界から高い評価を受けております。

 そうした中にあって、本県のIRは、マリンレジャーやアウトドアスポーツ、また、歴史文化遺産や温泉など、県内の魅力ある観光資源と連携することで、海外からの訪問客がIRを核に県内外を周遊し、長期滞在をしていただく構想であります。先ほど多田議員からお話があったように、県内だけにはもちろん限りませんで、周辺、特に南日本に周遊していただくというのがビジョンの中に入っております。

 観光には多様性が重要でございますけれども、和歌山IRが実現すれば、本県にこれまでなかった規模のラグジュアリーなホテルや国際会議場、展示施設、あるいは大イベント会場、アミューズメント施設、そういうものが設置されることになりまして、これまで本県を訪れる機会があんまりなかったビジネス層とか超富裕層とか、先ほど言いましたような施設の愛好者とか、新たな客層の観光客が世界中から訪問することが見込まれるわけであります。

 そうしますと、こういう方々は、別にIR区域だけでとどまることは恐らくなくて、近くへ行ってみようと、いいところはないかと、こういう話になり、高野山とか熊野古道とか温泉とか美しい海岸線といった本県のもともとの観光資源を訪れ、その訪問先でウオーキングやマリンアクティビティーを楽しみ、そして、おいしい食材を召し上がっていただくということになるわけであります。

 また、他方で、本県の既存の観光資源を目的に来県した観光客も、先ほども申し上げました新たなコンテンツであるIRを訪問するようになって、それで、これまでにない人の動きが生まれ、観光産業にとっての大きな発展につながると考えております。

 つまり、和歌山IRと既存の観光資源が相乗効果をもたらし、互いに観光客を呼び込む仕組みとなって機能するとともに、これまで県が積み重ねてきたインバウンド誘致の取組と連携することで、これまでとは異なるレベルで本県の知名度が向上し、世界中から多様な観光客が繰り返し訪問したいと思うような、議員の言葉でいうと国際観光都市実現に向けた大きな追い風となり得るものと考えております。

○議長(森 礼子君) 多田純一君。

  〔多田純一君、登壇〕

○多田純一君 ぜひ、今の知事のお考えを含めて、様々なお考えの中身を県民にしっかり分かるように、今はコロナ禍ではございますけども、ウィズコロナ、アフターコロナ、そういう状況をつくりながら、しっかりと理解をしていただく、これが一番大事ではないかと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 最後の若者総合対策についてお聞きします。

 若者の社会的自立にとって、高校卒業の資格がないことは、その後の人生の選択にとっても大きな足かせとなる場合が多いと思います。専門学校や大学に進学を希望しても、高卒が受験要件であることはもちろん、就職やアルバイトの応募要件に高卒以上が求められる場合も少なくありません。

 内閣府の高等学校中途退学者の意識に関する調査では、約8割の人が「高校中退後、高卒の資格は必要だ」と回答しております。

 本県における不登校や高校中退の現状とその対策について、教育長にお尋ねいたします。

○議長(森 礼子君) 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 不登校や高校中退の実態とその対策についてでございます。

 入学した全ての生徒が高校生活を充実し、卒業できるよう、これまで特別支援教育の視点での授業改善、問題行動を起こした生徒への丁寧な指導、中学校との連携を含め、きめ細やかな支援等を行ってまいりました。また、各学校での取組を支援するため、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置等にも取り組んでまいりました。近年、少子化の中で、高等学校の不登校生徒や中途退学者の人数の下げ止まり傾向は、大きな課題であると認識をしております。

 今後、この状況を改善させていくためには、高等学校での指導支援をさらに充実、徹底させるとともに、学び直しの少人数学級や通信教育等、多様な学び方が可能な高等学校教育の整備、それから、入学後、学科の課程間の柔軟な学籍異動等を可能にする仕組みなどが必要だと考えています。

 また、やむを得ず中途退学に至った生徒には、学校とのつながりを大切にしながら、きめ細かな相談支援を継続し、「若者サポートステーションWith You」等との連携強化や、生徒が再び学びに向き合うなど、生徒の自己実現に向けた支援に努めてまいります。

○議長(森 礼子君) 多田純一君。

  〔多田純一君、登壇〕

○多田純一君 御答弁いただきました。

 具体的な数字は、特にお話にございませんでしたけども、なかなかこの不登校の問題、高校中退の問題、成果が上がりにくいという状況だというふうに伺っております。いろいろ教育現場でも御苦労されておりますし、教育委員会としても努力は重ねておられると思いますけども、今後ともしっかり対応のほどお願いをしたいと思います。

 続いて、それに関連してというか、次の質問に移らせていただきます。

 全国のこの高校中退の問題に対し、高校中退者に教育の光をと、文科省が学習支援事業に乗り出しております。一般社団法人全国子どもの貧困・教育支援団体協議会の青砥恭代表理事は、切れ目のないサポートが重要と御自身の経験からも話をされております。

 文科省では、高校中退者などを対象に学習相談・支援に取り組む自治体や民間団体を募集し、実践モデルの開発を積み重ねてきております。21年度以降、文科省は、事例や成果を教育委員会などに周知し、本格的に全国展開を始めております。厚生労働省が管轄する生活困窮者自立支援制度の子どもの学習支援事業との組合せもできるようです。既に、高知県や札幌市ではモデル事業として進め、成果も出ている状況と伺っております。

 この学びを通じたステップアップ支援促進事業について、本県ではどのようにお考えなのか、教育長にお尋ねいたします。

○議長(森 礼子君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) ステップアップ支援促進事業についてでございます。

 議員御紹介の学びを通じたステップアップ支援促進事業については、若者サポートステーションなどを学習施設として、学びの支援をする仕組みの開発に取り組んでいる事例であります。

 本県では、高等学校中退者等が再び学びに向き合う場合には、高等学校教育の仕組みを活用することも効率的やノウハウの面から有意義であると考えています。重要なことは、高等学校教育の仕組みと「若者サポートステーションWith You」の仕組みが互いに補完し合い、有効に機能していくことが大切であると考えています。

 そのためには、お互いの情報の共有や連絡をより一層充実させていくことが必要であり、県教育委員会といたしましても、編入学の弾力化や、通信制課程等における個別指導や相談体制の充実などを図ってまいります。

○議長(森 礼子君) 多田純一君。

  〔多田純一君、登壇〕

○多田純一君 まだ手を挙げていただいていないということでございますので、しっかりと検討して、こういうことも含めて対応のほどお願いをしたいと思います。

 次に、厚生労働省では、地方自治体と共同し、ひきこもりやニート等、社会的に孤立する若者の自立を目指し、実績やノウハウを持つNPO法人などに事業を委託し、地域若者サポートステーションを設置しております。平成23年度から全国展開を始めておりますけども、和歌山県では、いち早く平成20年から和歌山市に開設し、その後、田辺市、そして橋本市の3か所で設置されております。

 当初は、ひきこもりやニートなど、働くことに不安を持つ人を支援することを目的として立ち上げていただいた若者サポートステーションでは、キャリアコンサルタント等による専門的な相談から、自立に向けた様々な支援プログラム等を実施しているとお聞きしております。その後、高校中退者等アウトリーチ事業を実施し、高等学校等と連携しながら、進路の決まっていないおおむね1年以内の高等学校中途退学者を対象に、訪問支援担当のキャリアコンサルタント等による自宅への訪問支援を実施しております。学校から地域サポートステーションへの円滑な誘導を行い、切れ目のない支援を通じて、早期の自立や進路決定を促す支援も行っているというふうに伺っております。

 「若者サポートステーションWith Youわかやま」、これまでの評価や若者の社会的自立のための就労・就学支援の実施状況について、環境生活部長、お聞かせください。

○議長(森 礼子君) 環境生活部長生駒 享君。

  〔生駒 享君、登壇〕

○環境生活部長(生駒 享君) 県では、平成26年に、様々な困難を有する若者への相談支援と就労支援を一体的に実施するため、厚生労働省が所管する地域若者サポートステーションに、県が運営する若者総合相談窓口With Youを併設し、「若者サポートステーションWith You」を和歌山市、橋本市、田辺市の県内3か所に設置しました。

 議員御質問の「若者サポートステーションWith Youわかやま」における令和2年度の相談件数は3642件、就労に至った者の数は123人で、いずれも年々増加しており、今や本県の若者支援の中核拠点の一つとして浸透しているものと考えております。

 また、県では、令和元年度に、高校を中途退学する者や卒業時に進路未決定である者への対策として、県立高等学校及び特別支援学校高等部から「若者サポートステーションWith You」へと切れ目なく支援をつなぐ仕組みづくりを行いました。「若者サポートステーションWith Youわかやま」では、これまで7人の高校中途退学者がこの仕組みを利用し、4人の就労につながっています。

 今後も、教育、福祉、雇用等の関係機関との連携を一層深め、若者の社会的自立のための支援に努めてまいります。

○議長(森 礼子君) 多田純一君。

  〔多田純一君、登壇〕

○多田純一君 和歌山県では、若者の意識と行動に関する調査をし、若者の価値観や規範意識、学校・地域における生活実態等についての調査を終えて、今後の若者施策に生かそうということで、5年ごとに子供・若者計画をおつくりになっております。この報告書を今年3月にまとめておられます。

 若者の意識と行動に関する調査結果からうかがえることや今後の計画について、環境生活部長にお聞きします。

○議長(森 礼子君) 環境生活部長。

  〔生駒 享君、登壇〕

○環境生活部長(生駒 享君) 次期和歌山県子供・若者計画策定の基礎資料とするため、昨年、和歌山県の若者の意識と行動に関する調査を実施しました。

 調査結果については、高校生と若者、年代別、さらには男女の別で多少の差異はありますが、全体として見ますと、自らが住む地域への愛着を感じ、和歌山県への定住志向がある一方で、近所の人と会話する機会が少なく、地域活動に参加しない若者が多いことがうかがえます。

 男女の役割については、「男は仕事、女は家庭」と考える若者はほとんど見られず、また、インターネットについては、使用時間が格段と長くなり、その用途が多様化しています。子供や若者が健やかに育つために、経済的困難を抱える家庭への支援や気軽に行ける安全な居場所の提供などを求める声も数多くありました。

 こうした結果から、子供や若者の思いは多岐にわたり、県として講ずべき対策も多種多様に及ぶことが分かります。

 今回の調査結果や有識者から成る青少年問題協議会での議論、さらには、県民の皆様からのパブリックコメントなども勘案しながら、和歌山県の子供や若者が健やかに成長できるよう次期和歌山県子供・若者計画を策定してまいります。

○議長(森 礼子君) 多田純一君。

  〔多田純一君、登壇〕

○多田純一君 子供の貧困について伺いたいと思います。

 子どもの貧困対策の推進に関する法律に基づいて、県では、貧困対策推進計画を平成29年に策定しておられます。平成31年には、子供の生活実態調査の報告もまとめておられます。その後、和歌山県子供の貧困に関する20指標として、生活保護世帯の子供に関する指標、児童養護施設の子供に関する指標、ひとり親家庭の子供に関する指標、就学支援に関する指標、独自施策に関する指標の項目で、和歌山県の子供の貧困について取り組んできていただいております。

 和歌山県の子供の貧困について、どのように受け止めておられるのか、また、今後の対策について、お考えを福祉保健部長にお聞きしたいと思います。

○議長(森 礼子君) 福祉保健部長。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 県では、平成30年度に和歌山県子供の生活実態調査を実施し、その結果、家庭の経済状況の厳しさが子供の学習状況や社会性、生活習慣等に様々な影響を及ぼしていること、特に教育支援及び生活支援の拡充が必要であることが明らかになりました。

 そこで、家庭の経済力に左右されることなく、十分な教育環境を整えることにより、子供の学力を高めることが重要であると考え、子供たちの確かな学力の向上を図るため、学校の空き教室や公民館等を利用して、放課後等に学習支援や体験・交流学習を提供する子供の居場所の整備を推進しているところです。

 さらに、子供食堂についても、補助制度を拡充し、食事の場所の提供だけでなく、学習支援や地域交流の拠点となる子供の居場所としての機能が最大限発揮できるよう、支援に取り組んでいます。

 また、経済的に厳しい世帯では、子育て支援制度や相談窓口の認知度が低い傾向が見られたため、必要な世帯に確実に支援が行き渡るよう、県のホームページをはじめテレビ、ラジオなどの広報活動に加え、スマートフォン等で子育て全般に係る施策・情報が検索できるシステムを構築したところです。

 加えて、独り親家庭への支援として、児童扶養手当を新たに受給する世帯を支援員が全戸訪問し、孤立に陥ることのないよう相談体制を強化しています。

 子供の貧困対策については、教育支援、生活支援、保護者に対する就労支援、経済的支援といった多岐にわたっての施策を総合的に実施する必要があるため、9部局23課室で構成する庁内会議を設置、開催し、子供の貧困対策関連事業の効果を検証し、見直すべきところは見直し、新たな施策等について検討を行っているところです。

○議長(森 礼子君) この際、申し上げます。

 所定の時間まで残り僅かなので御注意ください。

 多田純一君。

  〔多田純一君、登壇〕

○多田純一君 最後に、若者総合対策についてお伺いをしたいと思います。

 「県民の友」9月号に、知事の若者に対するコメントが紹介されておりました。おっしゃるとおり、人口は減っていますけども、和歌山でも若者は生まれ、成長しております。様々な実態を調査し、分析し、計画をつくる。困難を抱える若者だけでなく、社会が求める多様性や可能性を伸ばす環境づくり。平成25年6月県議会の私の質問に対し、「関係機関が総がかりで問題解決に当たる」と御答弁をいただいております。

 青少年問題や若者対策は、県政の重要課題の一つです。若者総合対策について、知事のお考えをお聞きいたします。

○議長(森 礼子君) 知事。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 議員の青少年問題や若者対策が県政の重要課題の一つであるという御指摘は、全く同感であります。

 全ての子供、若者が立派に成長し、それぞれの個性と能力を十分に発揮して、それぞれの道で活躍してもらうように成長するということが地域の力であり、地域の目標であるというふうに考えます。

 そのために、第一に学校教育をきちんとしていかないといけない。そのために様々な政策を加えてまいりました。それから、若者が社会に出てもきちんと育てていかないといけないということで、先ほどの答弁などがあったと考えております。

 県では、誰一人取り残さない気持ちで、子供、若者に対して手を差し伸べ、寄り添い、それぞれの困難や悩みを解消できるように、教育、福祉、それに雇用など、あらゆる分野において頑張ってまいりたいというふうに考えております。

○議長(森 礼子君) 多田純一君。

  〔多田純一君、登壇〕

○多田純一君 ありがとうございました。

 しっかり県民に応えるように頑張っていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 これで、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(森 礼子君) 以上で、多田純一君の質問が終了いたしました。

 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。

 この際、暫時休憩いたします。

  午後0時1分休憩

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  午後1時0分再開

○議長(森 礼子君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 32番浦口高典君。

  〔浦口高典君、登壇〕(拍手)

○浦口高典君 議長のお許しを得ましたので、通告に従い質問させていただきますが、お昼一番ということで眠くなる時間帯で、気合を入れて、皆さんが眠くならないような、また当局におかれましても目の覚めるような答弁をいただきたいと存じます。

 最初に、人口減少問題と戦略的投資プロジェクトによる雇用者目標数についてであります。

 皆さんも御覧になったかと思いますが、6月6日、わかやま新報の1面見出しで(新聞を示す)「県人口5年で4万人減」、「国勢調査の速報値92万3000人」。これは、昨年10月1日現在の国勢調査の速報値が本来なら今年の2月ぐらいに発表されるのでありますが、コロナ禍の影響でもあり、6月に発表されたというものであります。

 本文では、「国勢調査による前回比の人口減が4万人を超えたのは初めてで、減少数も過去最大の4.21%だった」と書かれてあります。

 皆さんこれを見て、どう思われたでしょうか。私は正直、あれ、意外と人口減っていないなというのが感想でありまして、といいますのは、今年の2月議会の一般質問の中で、「令和2年(2020年)10月1日現在の推計人口は91万4055人で、この5年間で約5万人、人口が減少いたしました。年平均しますと、1年間で約1万人が和歌山県からいなくなった」ということを断言しておりましたので、つまり、この推計値では91万4055人ですが、速報値では92万3033人ですから、その差が8978人。ほぼ9000人の誤差があります。しかしながら、この誤差がどうしてこれだけ出たかというのは担当の部局でも今のところ分からないということでありますので、ここではこの速報値を使わせていただきます。

 ちなみに、人口減少問題を身近に感じていただくために、県議会議員の選挙区別の人口と減少率は配付資料項目1のとおりであります。これですね。(資料を示す)御覧いただけたと思いますが、この5年間で一番減少率が高いのは東牟婁郡選挙区で9.9%、2番目に伊都郡選挙区で7.7%、3番目に新宮市選挙区で7.3%であります。また、私の和歌山市選挙区では、減少率が2.0%と低いながら、減少数は7296人と、県内では一番多い数値が出ております。

 また、これは3番目の質問に関連して、高齢化率については右隣に書いておりますし、さらに最新の県及び市町村の要介護認定率も載せさせていただきました。これは、この8月31日の最新データですが、和歌山県はこれで要介護認定率6年連続全国1位であります。

 ちなみに、和歌山県の人口は微増の岩出市選挙区を除き全ての地域で減少の一途でありますが、私は決してこれを悲観的に見ているわけではありません。かといって、もちろん楽観的に見ているわけでもありませんが、事実は事実として受け止めることが大事であります。

 この人口減少問題について県民の皆さんと話をすると必ず出てくるのは、やはり県内には雇用の場が少ないので若者が県外流出するということでありますが、そのことは知事はじめ県幹部の皆さんもよく理解し、平成27年から和歌山県まち・ひと・しごと創生総合戦略を策定し、5年計画で行ってきました。その結果、本年2月議会では、5年間で1700人以上の新規雇用を創出するなどの本県の産業面での潜在力が開花してきたところということでありました。

 しかしながら、先ほどより申し上げているとおり、この5年間で4万人以上人口が減少しているという現実があります。もちろん、人口減少には自然減と社会減の二つの要素があるため両面から対策が必要でありますが、とりわけ社会減を少なくするために重要となるのが雇用対策であります。

 そこで、仁坂知事がこの6月29日に時事通信社、これなんですが(資料を示す)、時事通信社の内外情勢調査会の講演で、「『コロナで見えてきたもの』─和歌山県の挑戦─」という中で4番目に、戦略的投資プロジェクトとして、雇用に関係するものに和歌山市周辺では、IR(統合型リゾート)、橋本市周辺では新たな工業用地としてあやの台北部用地、また白浜町周辺ではICTのサテライトオフィス誘致、そして串本町周辺では日本初の民間ロケット発射場と、四つの大きなプロジェクトを強くアピールされておりましたが、それでは、今後これらのプロジェクトで何人の雇用を生み出すことができるのでしょうか。まず企画部長、御答弁をお願いいたします。

○議長(森 礼子君) ただいまの浦口高典君の質問に対する答弁を求めます。

 企画部長横山達伸君。

  〔横山達伸君、登壇〕

○企画部長(横山達伸君) 人口減少を抑制する雇用の創出のためには、地域の産業を活性化させることが重要との考えの下、製造業、農林水産業、観光業など、本県が強みとする県内産業の競争力強化や起業支援などの産業振興策を充実させるとともに、道路ネットワーク、港湾、空港など、発展の基盤となるインフラ整備をこれまで強力に進めてまいりました。

 一方で、産業や社会が変化する中、さらに和歌山を大きく成長させていくためには、これまでにない新しい芽、新しい産業を育てていくことが必要であるとの観点から、IR誘致、ICT産業の集積、あやの台北部用地の開発、民間ロケット発射場の誘致といった投資プロジェクトに戦略的に取り組んでいるところでございます。

 これらのプロジェクトによる今後の雇用創出数についてでございますが、ICT産業の集積などの企業誘致につきましては、具体的な雇用創出目標こそ定めておりませんが、長期総合計画において2026年までに200件の企業立地を目標としており、その達成に向けて強力に企業誘致活動を展開しているところでございます。

 また、IRにつきましては、和歌山IRを実施する事業者として選定したクレアベストの計画においては約1.4万人の雇用創出が見込まれているところでございます。

 それぞれの地域の特色を踏まえ、地域に合った産業を呼び込み、集積させ、競争力のある産業へと育成していくことで、地域の雇用の場の拡大につなげ、人口減少に歯止めをかけるよう今後も施策を積み重ねてまいります。

○議長(森 礼子君) 浦口高典君。

  〔浦口高典君、登壇〕

○浦口高典君 部長、どうもありがとうございます。

 具体的な数字が出てきたのは、このIR、1.4万人ということだけで、ほかのところについてはなかなか数字が出しにくいというか、そこはもう忖度をして、県民の皆さんから聞かれたら、企業誘致するけど何人雇えるかどうか分からんよということだけ伝えておきます。

 次に移らせていただきます。

 2番目に、新型コロナウイルス感染症のコロナ後を見据えた出口戦略についてであります。

 新型コロナワクチン接種について、当初、私が用意しておりました質問については、午前中、堀議員と多田議員がちゃんと質問してくださいまして、直前にその内容が分かったもんですから少し焦ったんですが、また違う観点からこの質問をさせていただきたいと存じます。

 今月の3日だったと思うんですが、テレビのニュース番組で、新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身会長の「ワクチンを世代別で何%打つと、これ以上の感染を抑えることができる」というような発表が目に入りました。詳しい発言内容は分からなかったのですが、今まで、あれをするな、これをするなとばかり、自粛ばかり求めていた同会長の発言からすると、この先の光が見えたようで、早速この資料を取り寄せ、じっくりと読みました。

 これはお配りをしていません。こういう資料です。(資料を示す)

 そこで、これで「ワクチン接種が進む中で日常生活はどのように変わり得るのか?」でありますが、もちろんこれは尾身会長の言うとおり、今後の議論のこれ自体はたたき台なんです。たたき台なんですが、この資料を見ますと、(Ⅲ)で、ワクチン普及後の行動制限の必要性について、(1)想定されるワクチン接種率で、これは実は2021年7月の首都圏1都3県、東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県の成人の二十歳から69歳を対象とした調査データを用いたものでありますが、シナリオAは理想的な接種率で、60代以上90%、40から50代80%、20から30代75%、シナリオBは努力により到達し得る接種率で、60代以上85%、40から50代70%、20から30代60%ということであります。さらにこの資料によると、「感染は主にワクチン未接種者の間で広がる。シナリオAでは、この集団を中心に、接触機会を40%程度低減」──これはマスク着用や3密回避等で達成可能な水準──「低減することで感染が一定水準に抑制され、また、入院者や重症者等が減少することが期待される。このため、医療逼迫が生じにくくなり、緊急事態措置等の“強い対策”を実施する必要がなくなる可能性がある」、「しかし、シナリオBでは、ワクチン未接種者を中心に、接触機会を50%程度低減」──これは、マスク着用等に加え、会食の人数制限やオンライン会議、テレワークなどで達成可能な水準──「低減しなければ、感染を一定水準に抑制することが難しくなることから、緊急事態措置等の“強い対策”が必要になる。このシナリオBが実際に最も起り得ると想定される」ということでありますが、これはあくまでも首都圏1都3県の目安であります。

 そして、6日後の9月の9日であります。その資料もあるんですが(資料を示す)、これをたたき台といたしまして政府の新型コロナウイルス感染症対策本部でこれらのことについて議論され、「ワクチン接種が進む中における日常生活回復に向けた考え方」というのが出されました。じっくりとこれ読みますと、同じようなことを書いています。今後、和歌山県においても、かなりの割合でワクチン接種が進むと考えられております。

 そこで、これは仁坂知事にお伺いをいたしますが、知事は、昨年2月13日に県内で初めて有田郡湯浅町の済生会有田病院にて新型コロナの感染者が出たとき、国のモデルでは体温37.5度以上が4日間続いたときに初めてPCR検査をするという基準を無視されて、その病院の医師、職員並びに入院患者、また通院している人にまでPCR検査を行い感染拡大を抑えた、いわゆる和歌山モデルを推し進め、世界的な評価を得ました。その後も感染者が出るたびに徹底的に追跡をし、最近ではかなり感染を抑えられています。また、デルタ株の影響で一時の急増に備えてホテルの借り上げをしたとはいえ、基本的に感染者を全員入院させる唯一の県であると伺っております。

 話は元に戻りますが、このような新型コロナに対する初期の対応、言わば入り口戦略と申しますか、これは私の勝手な言葉ですが、大変すばらしい成果があったことは間違いありません。

 今回の新型コロナウイルス感染症対策本部の見解を踏まえ、和歌山県独自のコロナ後を見据えた出口戦略について、県民の皆さんに明るい光が見えるような見通しを仁坂知事、語ってください。お願いいたします。

○議長(森 礼子君) 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 本県の出口戦略といたしましては、これは二つ側面があります。一つは当面の話で、もう一つは究極な話であります。

 当面の話として考えますと、状況を見て感染が収まってまいりますと、「県民の皆様へのお願い」、これをできるだけレベルを下げて、それでよっぽど危ないところだけは気をつけてくださいねというふうに考えて、できるだけあんまり生活やあるいは産業活動に御迷惑をかけないようにしようというのが一つの出口、当面の出口であります。

 究極の出口というのは、多分今やっている保健医療行政なんかはもうしなくてもいいというぐらいになってしまうということだと思います。

 第1の当面というのは、近く、ひょっとしたらできるんじゃないかというふうに思っておるんですが、あんまり拙速にやりますと危ないので慎重に考えていきたいと思います。そのためには、実は保健医療行政の取組として積極的な疫学調査をきちんとやって、それで病床の確保と医療提供体制の充実を図るということがこれ重要なんでございますが、その前提がなくて、単に人流だけで、このぐらいいいんじゃないかとかというのをやっておりますと、大変もろい状況になるのではないかなあというふうに心配をしております。

 もう少し現在は、御承知のように、一般的な不要不急の外出の自粛のお願いをするとともに、結構データで見て危ないところ、そういうところには「県民の皆様へのお願い」で注意をたくさんしておるわけでございますけれども、もう少し感染圧力が減ってくると、また自粛レベルを下げて、すなわち元のように、「安全な外出・安全な生活」というような標語の下に具体的な注意すべきアイテムを少し制限していくと、ちっちゃくしていくということにしていきたいと思っております。

 もちろん、そういうときも保健医療行政はまだ手抜きにするわけにはいきませんので、一生懸命囲い込みをしていくということになると思いますし、ワクチンを打っていただくように一生懸命努力をして、それで感染リスクを、ゼロにはなりませんけども、どんどん下げていくということが大事なことだというふうに思います。

 また、お店側、サービスを供給する側も、サービスはしていただくんだけども、予防的な対策として、新型コロナウイルス感染症予防対策認証制度などをうまく使っていただいて、それでうつりにくくするようなサービスを心がけていただくと、これが当面の出口かなというふうに思っております。

 本当の意味で最終的な出口というのは、これは将来になると思いますけど、ほとんどの人がワクチンを接種していて、それでしかも特効薬が行き渡って、それで人に感染するリスクはもちろん下がるんだけども、感染してもその薬の力によって容易に重症化したり死亡したりするということはないというふうになったら、これは感染症法上の厳格な対応もひょっとしたら必要なくなってくるんじゃないかというように思っておりまして、これが究極的なアフターコロナだというふうに思うわけであります。

 少なくとも和歌山では、私はこのように保健医療行政がきちんとやって、医療体制も整えて受皿もつくりながら、状況により自粛レベルを上げたり下げたりということをやって、あんまり観念的に人々の暮らしを破壊することなく、一向に出口の見えないこの状況の中にも一定の合理性と分かりやすさというのを示しながら、皆さんがちょっとつらいけど少し安心かなというような気持ちで暮らしていただけるようにし、最終的には本当の意味での出口を目指したい。目指すには、多分、力は和歌山県にはあまりないかもしれません。すなわち、国とか製薬会社とか科学技術の力を使わないと駄目かもしれませんが、そういうことに期待していきたいと考えております。

○議長(森 礼子君) 浦口高典君。

  〔浦口高典君、登壇〕

○浦口高典君 知事、大変ありがとうございました。

 非常に理論的というか論理的で分かりやすいというか、県民の皆さんが聞いて安心できるようなお答えだったと思いますし、本当に今いろんなところで、新型コロナ、新型コロナで、いつになったら終わるんよというのが物すごく、私だけじゃなしにほかの議員さんもそうだと思うんですが、言われているんですね。それだけに和歌山は、この新型コロナ対策については、仁坂知事がさっきも申しましたように初期の頃から非常に的確な対応をされているということで、私、大変喜んでおります。今後一刻も早く、先ほど言ったのはあくまでも尾身会長の政府の答申というか話でありますので、これは和歌山県にきちっと当てはまるわけではありませんし、もっと和歌山、ある意味では進んでおりますし、それほど1都3県のような密になっているわけじゃありません。ぜひとも、簡単に緩めるわけにいかないということはよく分かるんですが、一人一人が安心して平穏な暮らしができるように、希望を持って、また将来を語れるような和歌山県をつくっていただきたいと思います。

 続けて、次に移ります。

 3「健康長寿日本一わかやま」の実現について、(1)「運動ポイント事業」参加者8万人、これは知事がこの場で約束したことです。

 さて、本年2月議会で訴えましたように、コロナ禍の中で、改めて生命(命)と経済(お金)のことが現在も日常生活の中で重くのしかかり、和歌山県でも1年8か月がたっても収まるどころか、デルタ株という新しい変異ウイルスによりいまだに重苦しいムードが続いております。

 そのような中で健康長寿は喫緊の課題ではないと言われるかもしれませんが、2月議会でも、今言いました生命(命)と経済(お金)の間に身体(健康)というものがあると申し上げました。

 県でもその重要性は十分認識しており、平成20年4月、さらに同29年4月策定の県長期総合計画の中にも、10年後に和歌山県は健康長寿で日本一を実現すると明記されており、あくまでも私はその計画にのっとって、ここ2年間はコロナ禍で行くことができませんでしたが、それまではいろんな他府県の状況を視察し調査し、ここで提案してきている次第であります。

 そこで、運動ポイント事業について、これは横浜市のウオーキングポイント事業を参考に平成30年9月定例会で知事に問いただしたところ、これは非常にすばらしいことだということで、和歌山でも、成人の約10%に当たる8万人を目標に事業を進めると仁坂知事はこの壇上で明言されました。現在何人登録をし、どのような活動状況であるか、福祉保健部長、お答えください。

○議長(森 礼子君) 福祉保健部長志場紀之君。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 健康づくり運動ポイント事業の進捗についてですが、登録者数は8月31日現在、9412人となっています。

 これまで登録者を増やすため、「県民の友」などの広報媒体を活用した啓発や健康推進員による勧誘、また全国健康保険協会和歌山支部と協力して、企業のイメージアップにつながるよう、わかやま健康推進事業所の要件の一つに従業員の運動ポイント事業への登録を設定し、事業所に対し従業員への登録の呼びかけや情報発信に努めていただくなどの取組を行ってきたところです。

 また、今年度からコロナ禍の巣籠もりで運動不足が懸念される高齢者に対し、通いの場や自宅でも運動ができ、その回数に応じて健康づくり運動ポイントが付与される体操アプリを作成し配信することとしています。

 今後も、市町村や関係機関等とも連携を図り、楽しみながら運動習慣を身につけてもらえるよう、例えば一定の歩数達成者を対象に抽せんで特典が当たるキャンペーンの開催や健康維持・増進に役立つコラムやイベント情報の発信など、現行制度の見直しを実施するとともに、引き続き効果的な啓発等を実施し、目標達成に向けて取り組んでまいります。

○議長(森 礼子君) 浦口高典君。

  〔浦口高典君、登壇〕

○浦口高典君 福祉保健部長、どうもありがとうございました。

 8万人が今現在9412人ということで、私、以前、「エベレストに登るつもりが、今、龍門山の頂上辺りでうろうろしているのが今の状況じゃないですか」と言うたら、皆さん笑っておりましたけど、でも実際にまだそのレベルなんですね。なかなかこれ、私、前から言っているように、私自身が提案したんで非常によく分かるんですが、スマホでは、これちょっと考えてください、難しいんです。無理ですとは言いませんけども、ほとんど増えないですよ。1万人になったらええところです。1万人ぐらい何とかプラスアルファできるでしょうけど、恐らく知事が明言されたような8万人というのは、とてもじゃないけど私の感覚では無理です。

 横浜市では、前にも言いましたように、大体成人が300万人ぐらいいるらしいんですが、実際に身体活動計というのを、私自身は自分でやっているんですが、こういうものを(身体活動計を示す)30万人に持たせているんです。市内にずっとネットワーク張って、大体私、3年前に行ったとき、1000か所ぐらい、これ、リーダー置くだけでパーソナルデータが全部、横浜市どことなっておるんです。だからその地域の人の歩数というのは全部一目瞭然で分かるようになっているんですが、こういう、今、部長は現行制度の見直しをするというようなことをちらっと言われましたが、ぜひ制度設計についてもちょっと考えていただきたい。もちろん私も協力させていただきます。

 それと、これも蛇足なんですが、一定の歩数達成者を対象に抽せんで特典が当たるキャンペーン云々とあります。これ今まで言いませんでしたが、実はこれ、運動ポイント事業をやり出してから、私のところへすぐどっと県の健康推進課から送ってきたんですよ。何だろうと思って見たら、中に健康食品と健康何とかグッズがいっぱい入っているんですわ。これ、抽せんして、私それほど、最初はスマホでやっていたんですけど、それほど歩いてないのに、こんなん何で送ってきたか。恐らく私に対する口封じだなと、そのとき思ったんですけどね。ここで言っているように口封じにはなっていませんので、ぜひともそれは考え方を変えていただいたほうがいいと思います。(「考えているん違うの」と呼ぶ者あり)いやいや、大体想像はつくんです、当時の雰囲気から。

 じゃ、次に移らせていただきます。

 次に、2番目、健康推進員2500人について。

 同じく、これももう今から9年前になりますが、私が初めて福祉環境委員会の委員長のときに、長野県での視察調査で知った保健補導員制度をヒントに平成25年2月議会で提案いたしました健康推進員制度です。県では、そのときに5年間で2500人を育成すると当時の福祉保健部長は明言されました。しかし、これも長野県の人口規模からすると、本来の2500人というのは和歌山県──長野県は和歌山の大体2倍ぐらいありますので、当時ありましたんで──5000人ぐらいつくらないかんだろうというところで、妥協案として5年間で2500人ということで一応それでやろうということで決まったんですね。その後、既に5年は過ぎ、この9月で、最初に私が言ってから8年がたとうとしておりますけども、現在、この健康推進員を何人育成し、どのような活動をしているのか、福祉保健部長、御答弁をよろしくお願いします。

○議長(森 礼子君) 福祉保健部長。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 健康推進員の養成状況ですが、本年8月末現在で2122人となっています。

 健康推進員の活動内容は、各市町村において差はありますが、特定健診やがん検診の受診勧奨、生活習慣病予防に関する啓発、健康教室などのサポートを行っています。

 現在は、新型コロナウイルス感染拡大により、市町村の健康教室や健康イベント等、健康づくり事業が中止されている場合もあり、健康推進員の活動も縮小されているのが現状ですが、今後も感染状況を見ながら、健康推進員の知識を高めるための研修や「健康推進員だより」の発行などを通じ、活動の活発化を図ってまいります。

○議長(森 礼子君) 浦口高典君。

  〔浦口高典君、登壇〕

○浦口高典君 部長、どうもありがとうございました。

 2122人ですね、人数として。5年はとうに過ぎております。5年間で2500人と言ったんですが、なかなかそこへも到達しておりません。

 本来、私はこれ数字にこだわってるわけじゃないんです。なぜかといいますと、私自身が健康推進員の一員でありますので、今、特に和歌山市の健康推進員はどういう状況であるかという、本来的には量じゃなしに、数やなしに内容の話をしたいんですが、言ってみればまだ足し算ができていないわけですよ、2500人というね。ぜひこれは、さっきの運動ポイント事業はちょっとやり方を変えないかんでしょうけれども、これはできん数字じゃありませんので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 それでは、続けて行かせていただきます。

 それでは、今の2点の質問に通じて知事にお伺いいたしたいと思いますが、仁坂知事は令和元年9月議会で、この「健康長寿日本一わかやま」の最終責任者は自分であると断言され、私も非常に心強く思っております。

 しかし、この現状、特に運動ポイント事業については知事御自身が8万人とこの壇上で明言されたわけです。新型コロナに対して厳然とした態度で臨み、最近では政府からストップがかかり、思うように先に進んでいないとはいえ、ワクチン接種についても全国でトップクラスの進捗具合のリーダーシップを見せてくれる知事だけに、私は大いに期待し、県民の皆様も、あの新型コロナ対策で世界的に有名になった仁坂知事ならやってくれるという大きな期待感があります。

 もちろん、この健康長寿日本一を実現するための活動は、午前中の質問にもありましたけれども、若者のワクチン接種と同様、県民お一人お一人の問題でもありますので一人一人の努力が必要ではありますけれども、また仁坂知事の大いなるリーダーシップも必要であることは間違いありません。

 今回、新型コロナに関する質問を考える中、私自身、何冊か本を読みましたが、その中で、「免疫力を強める」という言葉をよく目にしました。しかしながら、これは医学的に言うと、必要以上に免疫力を強めると、かえって自分の体を攻撃するので、言葉の問題ですけども正確に言いますと、「抵抗力を強める」ということだそうですが、平素の健康長寿のための活動を積極的にやっていると、もしかして和歌山県でも感染者がもっと少なくなっていたかもしれません。

 その辺の検証はまだまだ行う余裕はないでしょうが、新型コロナだけではなく、今後起こり得る感染症や他の病原菌等に対しても抵抗力を強めることは大事であるということは間違いありません。

 そこで、その手段として、日常から生命(命)の土台である身体(健康)な方を1人でも多くつくる運動ポイント事業並びに健康推進員の今の、先ほども部長から御説明ありました現状をどのように知事は思い、今後どのように進めていくのか、最高責任者としての知事の御答弁をお願いいたします。

○議長(森 礼子君) 知事。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 浦口議員の大変元気な質問をいつもお聞きしておりまして、そのとおりでございますので、どうも笛吹けど皆踊らずなんですけれども、質問のたびごとに責任を背負って、健康状態が私のほうは元気がなくなっていくような感じが、反比例のような感じがいたします。しかし、頑張って努力してまいりたいと考えております。

 健康長寿の実現のためにはライフステージ別での取組が必要でございまして、子供の頃には望ましい生活習慣の確立、働く世代においては定期的な健診受診や生活習慣の改善、また高齢期においては適度な運動を実践しつつ社会活動や地域活動へ参加することなどが重要だと認識しております。

 こうした様々な取組については、個人の健康増進に対する意識向上とともに、社会全体の機運の高まりが不可欠であると思います。

 そのため、県では、楽しく運動習慣を身につけてもらう運動ポイント事業とか、検診受診率向上や草の根的に健康づくりを推進する健康推進員制度とか、働く世代の健康づくりを推進するわかやま健康推進事業所認定とか、さらには、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により残念ながら中止といたしましたけれども、県民の健康意識の高揚を図る健康と食のフェスタの開催など、あの手この手を考えつく限りやっとるんでございますが、どうも富士山と龍門山ぐらいのところまでしか行っていないというのもデータでは明らかでございまして、責任を痛感しております。

 ただ、高齢者についても市町村と一緒に介護予防や自立支援に取り組んでくださっているところも増えてまいりまして、要介護認定率の上昇は抑制されるなど、少しずつではあるが効果もないことはないという状況であります。

 健康づくりは、まず一人一人が日頃から食事、運動などの生活習慣に気をつけることから始めることが重要でありますけれども、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、県から不要不急の外出自粛をお願いしていることもあって、県民の方々が体を動かす機会も減少し、健康の維持に影響が及んでいるんではないかという懸念も持っております。

 こうした状況だからこそ、住民に身近な立場で市町村の健康づくりを支援する健康推進員の重要性、また、密にならずに自分のペースで時間も選んでできるというメリットのある運動ポイント事業の有用性は高くなっているものと考えます。

 実は、新型コロナに対する免疫も強まるんじゃないかというお話がありました。ちょっと話は違うかもしれませんが、実は健康上問題であるという肥満体質の方、この方々は新型コロナにかかりますととても重症化しやすいというのが最近顕著なんでございます。だから、そういう意味でも健康づくりに御留意いただいておくと、コロナ禍の中でも少しはよろしいかということでございます。

 そういう状況も踏まえながら、一歩一歩施策の展開を目指して、いつかは富士山にと考えております。

○議長(森 礼子君) 浦口高典君。

  〔浦口高典君、登壇〕

○浦口高典君 知事、どうもありがとうございました。

 私、これ正直な話、新型コロナ対策の仁坂知事と健康長寿対策の仁坂知事が何か人格が違うような気がするんです。非常に、今のお話を聞いていても、決して消極的とは言いませんけれども、最高責任者にあるにもかかわらず何か弱々しい。

 さっきもちょっとお話ししました時事通信社の内外情勢調査会のときに、忘れもしません、知事は新型コロナの成果、私は非常にそれは誇れることだし、知事として頑張っていただいていること、私は非常によかったなと思ったんです。その次の翌日か何かにテレビ和歌山のニュースで健康長寿の話をされていたんですよ。どこか知事、元気がないんです。肩が落ちているんですね。本当に私は同じ人格だと思っていますので、ぜひ前向いて、決して私は知事をいじめるためにこんなこと言っているわけじゃない。和歌山県のために、和歌山県民のために言っているわけで、今、知事もちらっと言いましたけれども、先ほど皆さんにお見せしました要介護認定率、和歌山県は6年連続日本一なんです。これを持ってきた担当の職員が私にいわく、「先生、来年は何とかここを脱出できそうです」と。来年は2位か3位になるそうなんですけども、それでもそのレベルなんです。だからこそ「健康長寿日本一わかやま」というのは必要だし、私自身もいろいろ今まで考え方、随分と変転というわけじゃないんだけども変わってきたのは、やっぱり時代が変わっているなという中で、今まで確かに私の持論なんですが、私は紀南の代議士の秘書をやっていましたのでよく分かるんですが、道や橋ができるとその地域が発展するとずうっと思っていました。ところが、この人口問題を捉えて分かってきたのは、道や橋、特にインターチェンジができたところはどんどん人が抜けていっているんですね。これはもう専門用語にありますストロー現象というのは確実に起こっているわけなんです。これからまだまだ和歌山県は人口がどんどん減ります。しかも高齢化というか、ぐっと、今32%と言いましたけれども、大体40%ぐらい、あと10数年でいきます。その中で要介護認定率がこれだけ日本一高かったら、私は経済以前の人の問題だと思うんです。

 だから、健康長寿というのは決して経済と関係のないことじゃなしに、お金がなくても一生懸命働けばお金になりますけども、体がもう本当に人に面倒見てもらわなきゃいけない方に、むち打って働かすことはできません。だから、その点を考えたら、やっぱり健康長寿日本一というのは、私はこれ県の長期総合計画で書かれたことはすばらしい先見性があることと思っているんです。

 しかし、もう13年がたっているんですね。平成20年4月にはつくっているんですね。それで私、それを見つけてそこから始まっているんですが、知事、ぜひ元気を出していただいて、新型コロナに対する知事のように勇猛とこの健康長寿についても闘っていただきたいと存じます。

 それでは、4番目に移らせていただきます。さて、新産業の創出、健康・医療産業についてであります。

 この質問は、今年の2月議会で、「健康・医療・福祉」に着目した新産業創出についてという質問をさせていただき、私が指摘した新しく開設する医療系4大学4学部との共同による新しい産業の創出をということに対して、商工観光労働部長は、「東京医療保健大学和歌山看護学部、和歌山県立医科大学薬学部、和歌山リハビリテーション専門職大学、宝塚医療大学和歌山保健医療学部との連携は、新たなビジネスの発掘にもつながることから、平成29年度に設立したわかやまヘルスケア産業革新プラットフォームへの参画を働きかける」との答弁と、そしてまた、「コロナ禍にあって、企業が今後発展するためには、事業の転換や再構築が必要であり、さらに異業種からの新規参入を促すなど、健康・医療・福祉分野でのニーズと産業界のシーズのマッチングによる新たな産業の創出、発展に向けた取組を進めていきます」という力強い御答弁をいただきました。

 実は、このとき私自身思い浮かばなかったのですが、改めて考えると、健康・医療・福祉分野でのニーズ(要望・欲求)と、産業界のシーズ(種・種子)のマッチングによる新たな産業の創出、発展に向けた取組というのは、その後の私に大きなヒントを与えてくれました。

 まず考えたのは、ニーズは、健康・医療・福祉分野に限らず、ここで何度も何度も繰り返し申し上げるように、県自体にこれらの分野についての最大のニーズはあるわけなんです。「健康長寿日本一わかやま」を実現すると約束しているにもかかわらず、こういう状況です。

 しかしながら、「その責任者は私である」と仁坂知事は何度も言うように、御自身が言っているわけですから、これは決して民間企業に任せるということだけではなしに、県もここで目を見開いていただいて、そのシーズについてじっくりと取り組んでいただきたいというのが私の趣旨であります。

 そして、産業界のシーズといっても、そのときはなかなか思いつかなかったんですが、今年の4月14日のわかやま新報の記事にこういうのがありました。これ実は、すみません、お手元には行っていませんが、こういう(新聞を示す)わかやま新報に、4月14日に金芽米で有名な和歌山市黒田に本社のある東洋ライスさんの雜賀社長が会長になり、そして同志社大学の生命医科学部の米井嘉一教授が理事長に、また東京農業大学教授で前農林水産省事務次官の末松広行氏が評議員に就任し設立された医食同源生薬研究財団というのが5月15日付のわかやま新報、これに載っていたわけなんです。

 この記事を読みますと、そこには、「病人になってからの対症療法ではなく、日常の食事で病気を防ぐ予防医学を推進」するということが書かれてあり、これは面白いと思い、すぐに東洋ライスさんに電話をし、訪問して内容を伺いました。

 その内容というのは、皆さんも御存じだと思うんですが、東洋ライスさん、金芽米、加工玄米の摂取による医療費削減ということで、大きな目的として、「今日わが国の医療費膨張によって、国の財政危機を招いているのに、その原因究明及び対策は寡聞にして知らない。近年玄米および加工玄米に含まれる栄養素が国民の健康維持・増進に貢献する可能性が指摘されている。本研究では主食の精白米を加工玄米に置き換えることが医療費支出額に及ぼす影響について調査した」と早速、これ実は県のほうにも連絡があったみたいですが、私は東洋ライスさんに行って、東洋ライスさんの担当の方から、関取締役から頂きました。あるアメリカの科学誌にも発表しているそうなんですが、これ日本語でも翻訳されているんで読ませていただきました。

 非常に面白い記事で、これは科学雑誌に載っていたということでありますし、実はこれは以前、雜賀社長が県のヘルスケア産業革新プラットフォームで語られたことの科学的裏づけでもありました。

 あくまでこれは一例なんです。ここをどうのこうのというんじゃなくて、これは一例でありますけれども、まさに産業界のシーズ(種)となるものが、健康・医療・福祉分野でのニーズ(要望・欲求)に対して、つまり県が内外に強く主張している「健康長寿日本一わかやま」に貢献していただけるのではないだろうか。

 同財団も、今後は健康増進や健康寿命の延伸、医療費削減、少子化の打開、地方活性化に貢献できるように研究を推進するということでありますので、例えば県が設立したわかやまヘルスケア産業革新プラットフォームを通じて、このシーズを新たなビジネスのニーズに、シーズを生かして新たなニーズの発掘をしてはどうか、それが健康医療産業の今後の発展につながると私は思っておりますが、商工観光労働部長、御答弁をよろしくお願いいたします。

○議長(森 礼子君) 商工観光労働部長寺本雅哉君。

  〔寺本雅哉君、登壇〕

○商工観光労働部長(寺本雅哉君) 県では、和歌山県産業技術基本計画において、重点的に推進すべき戦略的分野の中に医療・福祉分野及びバイオ・食品分野を位置づけており、先駆的産業技術研究開発支援事業等により県内企業の医療機器や機能性食品等の研究開発等を支援しています。

 わかやまヘルスケア産業革新プラットフォームは、県内民間企業、医療・介護関係団体、大学等の連携を促し、ヘルスケア産業の創出及び振興を図るため設立したもので、現在まで114会員の皆様が参画され、東京医療保健大学和歌山看護学部、宝塚医療大学和歌山保健医療学部なども新たに加わったところです。

 設立後、先進技術の取組紹介や医療・介護関係者からのニーズ報告などをテーマとしたセミナーを開催するとともに、ビジネスプレゼンテーション大会の開催による会員同士のマッチング等を実施してきましたが、議員からも御紹介があったように、機能性食品の実証実験の実施や介護機器の開発など、新たな取組が生まれ、成果も出てきております。

 本県としては、今後も産業界のシーズと医療・福祉分野をはじめとした様々な分野でのニーズのマッチングをより一層推進するとともに、梅、かんきつ類等の機能性に富む和歌山の産物や発酵技術を生かして、健康長寿につながる機能性食品等の研究開発や技術実証等への支援を実施し、さらなるヘルスケア産業の発展へとつなげてまいります。

○議長(森 礼子君) 浦口高典君。

  〔浦口高典君、登壇〕

○浦口高典君 部長、どうもありがとうございました。

 私、2月議会でも言いましたけれども、和歌山県の人口減少、特に私はこれは今さっき紀南のお話をしましたけども、和歌山市がこの30年間で、全国の県庁所在地で人口が2番目に減っているんですね。それは、やっぱりいろいろ調べてみると鉄鋼と、特に今、日本製鉄さん、住金さんの撤退というか縮小が非常に大きな影響があって、ほかの地域についても考えてみますと、特に有田市から北側、有田市だとか海南、下津なんかは、やはり昔、石油なんかで栄えたところだけに、非常に昭和60年ぐらいからどどどっと人口が減っているんですよ。それかいうて、じゃ、それを今度もう一度、夢をもう一度じゃないですけども、鉄鋼や石油をやってくれと言ってもなかなかそれはできることじゃありません、世界的な競争にさらされているわけですから。だからこそ余計に新産業を創出していかないかんという中で、これは知事も御認識が一緒だと思うんですが、新しい産業を創出するということは大変なことですけども、一つの目安として、関西広域連合なんかでも言われております。結局、関西地域はこれから何で生きるか、情報と健康医療産業だということもこの間、御紹介させていただきました。

 ぜひとも、このヘルスケア産業に力を入れていただくことを和歌山県のためにもよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、最後に行かせていただきます。

 最後は、これは御報告だけなんですが、皆さんのお手元にあると思います。

 「わかやまプレ100歳大学」の開催について、資料を御覧いただきたいと思います。

 この資料ですが、さて最後になりますが、昨年のこれも2月議会で、超高齢社会を他府県より先んじて迎える和歌山県にとって、今後必要な学びの場として提案し、また将来的に老いの義務教育を目指すことを目的とすることを訴えたところ、「県といたしましては」──これは非常に温かいお言葉をいただきまして──「和歌山市と情報交換を密に行っていくとともに、事業の実施に当たっては、介護保険制度の地域支援事業を活用しながら財政的支援を実施してまいります」との福祉保健部長の答弁をいただきました。

 ちなみに、この地域支援事業は、厚生労働省25%、県12.5%、市12.5%を出して行う事業であります。

 その後も、これはここに載せております主催者なんですけども、民間の団体ですが、実は私が委員長を務めております和歌山100歳大学設立準備委員会では、月1回ペースでもう17~18回も19回もやっているんですけれども、会合を重ねつつ、去年から和歌山市に対しても予算要求をお願いしてまいりました。と申しますのは、以前これも御説明いたしましたとおり、既に開設をしている滋賀県の栗東市や湖南市では公設民営、つまり自治体がお金を出して民間団体が運営していく形を取り、それぞれの自治体の首長がその学長に就任し、責任を持って運営していく形式を取っているからであります。

 しかしながら、本年度、先ほども申しましたように、令和3年度はコロナ禍もあり、和歌山市では新規の予算がつかなかったので、我々準備委員会と参加希望者がお金を出し合って、民設民営のわかやまプレ100歳大学、この配付の資料のとおり開催をいたしました。

 民設民営でありますので、私が一応今まで準備委員会の委員長をやってきましたので学長を務め──私は生まれて初めてです、学長になったのは──5日間で10こまの講義を開き、私自身も100歳大学の目指すものは何かということで講義をさせていただきました。

 非常にこれは好評というか、去年の2月に、これも御紹介いたしましたけども、提唱いたしました滋賀県の元知事の國松さんを招きまして講演会を開いたところ、私らもシンポジウムに出ていろいろ話をさせてもらったんですが、非常に会場がいっぱいになるぐらい、250人ぐらいビッグ愛の1階に入りました。密になったらいかんので、できるだけ離してくださいということで、非常に熱気のあった大会をさせていただいたんですが、ずうっともう新型コロナ、新型コロナで、次に開くことができなかったもんですから、今回7月に開かせてもらいました。密になったらいかんもんですから、60人、70人が入る会場で30人だけ募集していたんですけども、結果として33人の方がわざわざ1万円を出して来ていただきました。

 その御報告を改めて申し上げ、これからも県の御協力をお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(森 礼子君) 以上で、浦口高典君の質問が終了いたしました。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 3番中本浩精君。

  〔中本浩精君、登壇〕(拍手)

○中本浩精君 皆様、こんにちは。

 一般質問初日の4人目として登壇させていただく機会をいただきました中本です。どうかよろしくお願いいたします。

 4番バッターということで重責を感じながら、スピーディーに試合運びを進めてまいりたいと思いますので、どうか前向きな御答弁をいただきますよう、よろしくお願いいたします。

 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、一般質問をいたします。

 まず初めに、国道371号の石仏バイパスを含む府県間道路の進捗状況と開通見通しについてお尋ねいたします。

 平成31年2月議会において、仮称・新紀見トンネル工事の進捗状況と大阪府側のバイパス道路の完成見込みについて質問した際、県当局からは、「仮称・新紀見トンネルが間もなく貫通し、大阪府側の石仏バイパスについて、貫通後の仮称・新紀見トンネルを活用し、和歌山県側と大阪府側の両側から工事を進め、一日も早い全線供用に向け、大阪府と連携して取り組む」と答弁をいただきました。

 仮称・新紀見トンネルについては、和歌山県が実施していた本体工事が令和元年10月末に完成し、現在は大阪府が実施する照明施設や防災施設工事を残すのみとなりました。この工事も大阪府が今年度より着手すると聞いております。

 施設工事を含む仮称・新紀見トンネルの完成が目前となってきたと考えておりますが、大阪府が実施している石仏バイパスの全線が完成しないと道路の供用開始ができないと私は認識しております。

 この道路の完成は橋本市民にとって長年の悲願であり、全線開通となれば橋本市が和歌山県の東の玄関口としてより一層大きな役割を果たすことになることから、地元住民は一日も早い全線供用を期待し、心待ちにしているところであります。

 つきましては、国道371号の石仏バイパスを含む府県間道路の進捗状況と開通見通しについて、県土整備部長にお尋ねいたします。

○議長(森 礼子君) ただいまの中本浩精君の質問に対する答弁を求めます。

 県土整備部長安部勝也君。

  〔安部勝也君、登壇〕

○県土整備部長(安部勝也君) 国道371号石仏バイパスを含む府県間道路は、大阪側の石仏から天見間の3.4キロ区間については平成30年度までに供用しており、天見から仮称・新紀見トンネルを経て橋本市柱本までに至る3.7キロ区間については大阪府が橋梁工事、大規模土工事、そしてトンネル施設工事等を実施しているところでございます。

 開通の見通しについては、大阪府からは2020年代前半の供用を目指すと聞いておりますけれども、府の工事の進捗によることから、一日も早く全線供用するよう、府に対して、これまで以上に強く働きかけてまいります。

○議長(森 礼子君) 中本浩精君。

  〔中本浩精君、登壇〕

○中本浩精君 県土整備部長より答弁をいただきました。大阪府に対して、これまで以上に強く働きかけていくという答弁いただきました。ありがとうございます。

 先ほども申しましたとおり、この道路の完成は橋本市民にとって悲願であります。一日も早い全線供用に向け、大阪府への働きかけを今後もどうかよろしくお願いいたします。

 次の質問に入ります。

 国道371号紀見トンネルの老朽化対策についてお尋ねいたします。

 紀見トンネルは、1969年(昭和44年)に完成しました。それまでの紀見峠は難所であり、台風時の崖崩れや冬季の積雪、凍結などで交通が途絶することもあったと聞いております。そのため、「紀見峠をトンネルで」が当時の地元の声であったようです。私も、幼少の頃ですが、紀見峠の山道はカーブの多い曲がりくねった道であった記憶があります。

 その峠道も、紀見トンネルの完成により、崖崩れや積雪に脅かされない安全輸送が可能になった上に、20分のスピードアップが図られました。

 紀見トンネルを含む国道371号は紀北と大阪経済圏域を結ぶ道として、その役割は重要です。

 現在、府県間道路の整備において仮称・新紀見トンネルを含む新しいバイパスの工事が進められており、その完成が、御答弁いただきましたように、近づいている状況であります。

 しかし、紀見トンネルについては、新しいバイパスが完成した後も4車線計画のうちの2車線を担う道路として引き続き活用されることとなっております。このトンネルは完成から50年以上が経過していることから、老朽化対策は必須であると私は考えています。

 そこで、紀見トンネルの老朽化対策についての取組状況を県土整備部長にお尋ねいたします。

○議長(森 礼子君) 県土整備部長。

  〔安部勝也君、登壇〕

○県土整備部長(安部勝也君) 国道371号紀見トンネルに対する老朽化対策は、平成29年度に第1回目の法定点検を行い、覆工コンクリートや天井板、路面などの近接目視や打音検査を実施し、早期に対策を要する損傷はないとの結論を得ました。

 また、今年度は2回目の法定点検を今まさに実施中であり、その結果だけでなく、月1回の日常点検の結果も踏まえ、早期に対策を行う必要があるとされた場合には損傷に応じた補修を行うとともに、劣化が進んでいる設備については更新を検討することとしています。

 当該区間は、仮称・新紀見トンネル開通後はその交通特性が大型物流交通から地元交通へと変化し、自動車の日交通量が現在約1万5000台あるところから減少することが予想されることから、地元住民の視点に立った老朽化対策や抜本的な維持修繕等を実施していく所存でございます。

○議長(森 礼子君) 中本浩精君。

  〔中本浩精君、登壇〕

○中本浩精君 県土整備部長より、仮称ですけど、仮称・新紀見トンネル開通後は、地元住民の視点に立った老朽化対策や抜本的な維持修繕等を実施していくと、本当に前向きな建設的な御答弁をいただきました。ありがとうございます。

 部長におかれましては、何かとお忙しいとは思いますが、私もぜひ同行させていただきますので、一度、紀見トンネルの現場視察をしていただいて、どういうふうにしていくのが一番いいかということをまた御検討の材料にしていただければありがたく思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

 構造物は、年月を経て老朽化は進んでいきます。紀見トンネルは建設から50年以上がたっておりますが、今後も長く活用されるトンネルであることから、点検についてはしっかりと実施していただくとともに、先ほど答弁いただいたように、新しいバイパスが供用開始となった際には大規模な修繕などを着実に実施していただくことを要望いたしまして、次の質問に入ります。

 昨年実施したわかやまリフレッシュプランの成果と経済効果についてお尋ねいたします。

 長引く新型コロナウイルス感染症の影響により、多くの事業者が打撃を受けていますが、和歌山県の主要産業である観光は、インバウンドの需要が見込めないばかりでなく、国内においてもコロナ禍により団体旅行に期待が持てず、裾野が広い観光産業にあっては大打撃となっております。

 このような中、観光産業への支援の一つとして、昨年7月、新型コロナウイルス感染症による閉塞感からのリフレッシュを図るため、県民による県内周遊を促進する施策、わかやまリフレッシュプランが約3か月にわたり実施されました。

 このリフレッシュプランは、県民が県内旅行をする際、1人1泊当たり旅行代金の2分の1以内、1万円を上限に支援されるもので、実際には、ウェブ上で販売されている額面5000円のわかやまリフレッシュプラン電子チケットを2500円で購入し、あらかじめ本事業の参加事業者として登録された旅行代理店や宿泊施設で利用すると支援が受けられるものです。

 また、昨年同時期に国のGoToトラベル事業が開始し、リフレッシュプランと併用できたこともあり、実施期間中は特に盛況であったと聞いております。

 実際に参加した事業者からは、「現状販売しているプランが活用できるなど、事業者を支援する仕組みとして大変ありがたく、また県内利用者も増え、本当の意味での支援をいただいた」といった声を聞き、県民からは、「これまで旅行と言えば遠方に出かけてきたが、リフレッシュプランがあり県内旅行にした結果、移動時間が少なく、家族の時間が確保できた上に、改めて地元のよさを感じることにもつながった」といった声を聞くなど、大変好評でありました。

 加えて、県内の小中学校の修学旅行では、リフレッシュプランを活用できることも相まって、多くの学校が県内での修学旅行へ振り替えたとも聞きました。

 そこで、これだけ評価が高かったわかやまリフレッシュプラン、その成果と経済効果はどうだったのか、商工観光労働部長にお尋ねいたします。

○議長(森 礼子君) 商工観光労働部長寺本雅哉君。

  〔寺本雅哉君、登壇〕

○商工観光労働部長(寺本雅哉君) わかやまリフレッシュプランにつきましては、昨年6月定例会において3億5000万円の予算を議決いただき、昨年7月8日から9月30日の約3か月にわたり実施しました。

 事業期間中、電子チケットの在庫が少なくなるたび他の予算を流用しながら対応してきましたが、最終的には、9月定例会において議員の皆様の御協力の下、早期に議決をいただき、最終8億9000万円の予算で事業を実施しました。

 成果といたしましては、旅行事業者が71社、宿泊事業者が261社の合計332社の参画の下、延べ約14万2000人の県民の皆様に御利用いただき、総売上枚数約33万3000枚に対し、総利用枚数約33万1000枚と、販売分の99.3%が利用されました。

 経済効果といたしましては、5000円のチケットが約33万1000枚利用されたことから、少なくとも16億5000万円の効果がありました。

 チケットの売上状況や利用状況、県民の利用人数等を踏まえると大変効果があったものと考えております。

○議長(森 礼子君) 中本浩精君。

  〔中本浩精君、登壇〕

○中本浩精君 商工観光労働部長の答弁をいただき、昨年実施したわかやまリフレッシュプランは、大変よい成果と経済効果につながったことがよく分かりました。

 その答弁を受けて、最後の質問に入ります。

 地域観光事業支援の活用についてお尋ねいたします。

 3月末に観光庁が地域観光事業支援の実施を発表したことを受け、本県でも仁坂知事が一番早いタイミングで執行していきたいという強い思いで4月臨時会が招集され、予算20億円を議決してきたところです。

 地域観光事業支援とは、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により旅行需要が落ち込んでいる中、地域的な感染の広がりを抑制しつつ、ステージⅡ相当以下とする都道府県において、当該都道府県が実施する旅行商品や宿泊サービスに対する割引及び地域限定で旅行期間中に使用可能なクーポン券等の付与のために必要な費用を支援する事業で、各都道府県に支援上限額が設定されております。

 具体的には、1人1泊当たり旅行代金の2分の1、最大5000円の支援に加えて、クーポン券も最大2000円まで支援が受けられるというもので、利用期間は12月31日までとされています。

 これを踏まえ、わかやまリフレッシュプラン2ndは、昨年同様、1人1泊当たり旅行代金の2分の1以内、最大1万円の支援に加え、土産物店や観光施設などで旅行期間中に利用できる2000円分のクーポン券が新たに付与されるなど、昨年以上の支援内容となっています。

 そのため、わかやまリフレッシュプラン2ndは、旅行業、宿泊事業者だけでなく、飲食店や土産物店、交通機関まで広く消費喚起につながっていると事業者から聞いており、非常に評価が高い事業です。

 また、わかやまリフレッシュプラン2ndは、4月臨時会での議決後、本県においても新型コロナウイルス感染症が拡大状況にあったため、早々に事業開始とはならなかったものの、予算が議決されていることで、観光事業者に対しては「これを耐えれば支援は受けられる」という強いメッセージにもつながりました。

 結果、わかやまリフレッシュプラン2ndは6月22日から事業が開始され、チケットは販売開始後約3週間で売り切れになったことからも、県民の注目が非常に高い事業であることがうかがえます。

 現在、新型コロナウイルス感染症の感染状況を受け、新規予約の利用自粛や既存予約分についても旅行の繰延べをお願いしている状況で、今後も新型コロナウイルス感染症が落ち着くまでは再開が難しいかもしれません。

 8月の記者会見で仁坂知事は、リフレッシュプランの追加発行について言及され、「観光事業者支援のために実施しているものなので、引き続き観光事業者が物すごく困っていることや新型コロナウイルス感染症の動向にもよるが、ブレーキを踏んでいるときにリフレッシュプランのようなアクセルとなる施策について予算を提案できる素地にはない」と発言されました。

 一方で、事業開始後、あまりにも早いタイミングで販売終了となったことに対して、県民から追加支援の声が上がっていることも事実です。わかやまリフレッシュプランは、観光事業者をはじめ県民からも非常に期待されている事業であると私は思います。

 本定例会冒頭で仁坂知事は、「感染拡大の長期化により、経済も大きな打撃を受けている。この状況を何としても耐え抜くため、打撃を受けた事業者にさらなる救済措置を講じることで地域経済を支えていく」と説明されました。

 観光事業においては、先ほど申し上げました地域観光事業支援で本県に設けられた支援上限額に達していない中、これまで申し上げた観光事業者や県民の期待に応えるためにも、事業の執行時期については、新型コロナウイルス感染症が落ち着いた段階で仁坂知事の御判断にお任せするとして、すぐにでも事業に着手できるよう、また観光事業者への支援のメッセージの意味合いも込めて、今議会で予算を計上しては、知事、どうでしょうか。知事、お答えください。

○議長(森 礼子君) 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 議員も御指摘のとおり、8月中旬から本県においても第5波による新型コロナウイルスの感染が拡大いたしまして、こうした状況を踏まえ総合的に判断した結果、17日にはリフレッシュプランの新規予約の自粛などを県民に呼びかけるに至ってしまいました。

 このブレーキを踏んでいる状況において、アクセルとなる施策の予算をお願いするということが果たして適当かとか、あるいはひょっとしたら感染が収まらずに執行がすぐできないかもしれない予算を県議会が許してくれないのではないかとかいう思いがありまして、予算の計上を見送っておりました。

 しかし、議員が御指摘、御発言くださったことで、新型コロナウイルスの感染状況が今後どのようになるか予想はつかないものの、予算を計上しておくことで感染が落ち着いた場合には早々に事業が開始できること、また観光事業者への支援のメッセージにもなるというふうに御指摘になり、私も大変勇気づけられたところでございます。

 そのとおりだというふうに今は思いまして、今議会にリフレッシュプランに係る予算案を追加提案したいというふうに考えております。どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)

○議長(森 礼子君) 中本浩精君。

  〔中本浩精君、登壇〕

○中本浩精君 知事の御英断、大変ありがたく感謝申し上げます。ありがとうございました。

 知事の今の御答弁をいただいて、多くの県民の皆さんが喜んでいただけると私は思います。本当にありがとうございます。

 先ほども申したとおり、事業の執行時期については、知事もおっしゃってくれましたが、新型コロナウイルス感染症が落ち着いた段階で知事の御判断にお任せするところですが、今後、わかやまリフレッシュプランが改めて再開される際には、前回のように早々に売り切れることがないような仕組み等、1人でも多くの県民の皆様に喜んでいただける事業内容にしていただくことを要望いたしまして、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(森 礼子君) 以上で、中本浩精君の質問が終了いたしました。

 この際、暫時休憩いたします。

  午後2時23分休憩

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  午後2時35分再開

○議長(森 礼子君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 36番楠本文郎君。

  〔楠本文郎君、登壇〕(拍手)

○楠本文郎君 本日5人目の一般質問として登壇させていいただきました。リフレッシュプランに対するとってもフレッシュな答弁の後で、ほいでもこれもやってよというような感じでございますが、元気よく……(「簡潔にやれよ」と呼ぶ者あり)はい。御期待に沿えるように頑張りたいと思います。

 まず、私の1点目の質問は、新型コロナウイルスに関してでございますが、やっぱり5人ともこの問題を取り上げております。私は、特にその中で無症状の感染者の早期発見、早期隔離のための検査強化について御質問申し上げたいと思います。

 全国各地で第5波と言われる新型コロナの新規感染者数が急増、感染爆発、医療崩壊が深刻になりました。私たち日本共産党は、政府に対し、今求められているのは命を守ることを最優先にした対応であることを具体的に繰り返し緊急提案させていただきました。

 しかし、感染者の急増の中で8月3日、政府が、重症患者と重症化リスクの高い患者以外は原則自宅療養という重大な方針転換を行ったことは、新型コロナの患者を事実上、自宅に放置する無責任極まるものと考えます。中等症は原則入院との説明で修正しましたが、原則自宅療養という方針を撤回しているわけではありません。結果、圧倒的多数の患者が自宅療養を余儀なくされ、手後れで亡くなったり重症化したりする方が後を絶たないという事態が報道されています。政治が招いた重大な人災だとも言われているところでございます。

 和歌山県でも、第5波はかつてない患者数の増大になりました。ただ、取り組む姿勢が違いました。9月8日の知事の会見を少し引用させていただきます。長いんですけど、中略、間に入れます。

 「依然として全国的に新型コロナウイルスが猛威を振るっていまして、和歌山県でも、保健医療行政が感染の広がりを食い止め、病院が100%感染者の面倒を見、県民にも自粛という不自由を耐えてもらって頑張っているのですが、ウイルスの力も強く、先行きはまだ予断を許しません」──中略です。知事の言葉ですよ──「日本のように、感染症法や保健所という道具がある国では、抑制実効性の乏しい人流抑制にだけ頼るのではなく、保健医療行政の立て直しにも大きな関心を持ってもらったら、日本全体が随分違うと思います。和歌山県も、今は少し人流抑制も加味していますが、本来はまず保健医療行政の充実で感染者を抑える。次は、それでも出てしまった感染者は、病院の協力を得て全員入院で命を助ける。また併せて入院することで家族などに余計に感染させないようにする。その次に、これらの対策でもたなくなってきたら人流抑制で対策を強化するという方式をずっと取ってきました。その結果、大都市のすぐ近くで感染の要因が多いところですが、ほかよりもかなり少ない感染者数で食い止め、そうすると、全員入院が辛うじて何とか達成できるという形になっています」──中略します──「対策の順番は、1番に保健医療行政による感染の封じ込め、2番目に病床の確保、3番目が人流の抑制で、その逆ではありません」と説明されているんです。納得できる方針、説明です。

 こうした下で、和歌山県でも病床が足らない状況にさせないために、さらに何が必要なのかを考えました。

 私たちは、感染伝播の鎖を断つために、検査をいつでも誰でも何度でもの立場で、従来の枠にとらわれず大胆かつ大規模に行う。特に、感染拡大が顕著になっている事業所や学校、保育園、学童クラブ等に対する大規模検査を政府が主導して実行するべきだと言い続けてきました。感染力が強い変異株だという特徴は、もはや明白です。無症状感染者、初期症状の感染者を見つけ出し保護、治療することは、いよいよ重要になっていると考えます。

 この点では、既に5月6日、新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード第33回の議事概要に、その会議の議題2、尾身構成員から「抗原定性検査を活用した検査戦略」という資料の下で提案をされているんです。この提案の目的のところでは、「本来、軽い症状であっても、症状を有する者は速やかに医療機関を受診することが期待される。しかし、実際には医療機関を受診せずに社会活動を継続している軽症状者がいることを踏まえ、本戦略によって、このような者について幅広く薬事承認を得た抗原定性検査の対象とすることで、対策をより早く打ち出し、クラスターの大規模化を防止したい」と、問題意識は和歌山県知事と同じところから出発して、抗原定性検査のことを持ち出しています。

 そして、背景及び根拠の要約ですが、職場等では倦怠感や喉の痛み等体調不良であっても働いている人が多いこと、抗原定性検査は専用設備が不要で判定が迅速に行えること、抗原定性検査の感度はPCR検査より低いが、2次感染を生じさせるリスクの高い陽性者を見つける上では有効であり、ウイルス量が多い場合には感度が高いことなどが述べられています。

 その方針は、6月4日には、新型コロナウイルス感染症病原体検査の指針第4版として、(資料を示す)こうしてまとめられているところでございます。そして、この流れが政府分科会として、体調が悪いなど僅かでも症状のある人に短時間で結果が出る抗原定性検査を実施し、陽性であれば同じ職場の人全体にPCR検査を行うなどの手法を併用するなどの提案を行っているわけですが、政府は検討するというだけで、いまだに具体化していないわけなんですね。

 しかし、和歌山県では、5月に高齢者施設に対し持込みを防ぐという観点から、集中的に抗原検査キットを使った検査に踏み切っています。これは、こうした知見も含めてではないかと考えます。

 今後、感染症の広がりと変化の現状認識をどんなに抑えるかが大事だと感じます。第5波は、デルタ株にほとんど置き換わったと言われています。このデルタ株に感染すると非常に感染力が強く、一旦家庭に持ち込まれると家族全員が感染するという状況になり、それが特に10歳代以下の年齢の若年者や小児の感染者の増加につながっているわけです。

 第5波における9月8日時点の感染者は2257人と県から公表されています。年代別では、20代以下は全体の45.8%、10代14.9%、10歳未満は8.1%になるかと思います。

 私が特に強く感じるのは、日々県から公表されている感染者の中で、無症状と明記されている方がたくさんいることです。これ自体は、県として感染経路を追いかけ、濃厚接触者をかなり幅広くつかみ、無症状であってもPCR検査をかけるという積極的疫学調査を行っている証左ですが、無症状と軽症者の定義については明確な区分がないくらいの差ではないでしょうか。

 学校現場は、感染者急増の下で2学期が開始されました。既に、県内で休校もしくは学級閉鎖の状況が出ています。こうした状況の中で、尾身氏が言われる検査戦略こそ必要だと考えます。

 そこで、福祉保健部長にお尋ねします。

 既に和歌山県は、全国に先駆けて戦略をもって対処してきました。爆発的感染とクラスター防止のために、感染拡大が顕著になっている事業所などに対しての大規模検査を地域、場所を限定してでも、この抗原定性検査を思い切って取り入れることをお願いしたいと思います。御答弁をお願いいたします。

○議長(森 礼子君) ただいまの楠本文郎君の質問に対する答弁を求めます。

 福祉保健部長志場紀之君。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 抗原検査キットについては、PCR検査と比べると精度は落ちるものの、専用の設備が不要で判定が迅速に行える手軽さから、感染リスクが高まっている局面において機動的に使えるという利点があります。

 そういうことから、第4波における、とりわけアルファ株の影響により感染者が急増し、高齢者施設等で集団感染が複数件発生したことを踏まえ、県では、感染をより早い段階で発見するため、4月末から特に高齢者施設等の職員が1週間に1回、定期的に検査ができる体制を強化し、県から各施設に対し抗原検査キットを配付したところです。

 その結果、職員5名に陽性反応があり、医療機関でのPCR検査の結果、2名の陽性が確定し、速やかに入院につなげるなど、施設内での感染拡大を未然に防ぐことができたものと考えております。

 また、医療機関にも配付し、従事者から重症化リスクの高い入院患者への感染防止や救急等の現場での活用により、院内への感染持込み防止にも役立てております。

 第5波においては、例えば集団感染が発生した飲食店と店舗周辺に対して、積極的疫学調査と併せて、県から抗原検査キットをいち早く配付し、2名の陽性を確認できたところです。

 このように、県では、今後も感染拡大地域や施設への重点的な抗原検査キットの配付により、感染拡大の防止を図ってまいります。

○議長(森 礼子君) 楠本文郎君。

  〔楠本文郎君、登壇〕

○楠本文郎君 今回は、落ち着いて答弁をいただきまして、6月は慌てさせてごめんやで。その後で、僕の癖でいっぱい物をしゃべってしまうんですが、今の答弁は、とっても私にとってはうれしい答弁内容をいただきました。

 それで、文科省も既に動いているんですが、対象者をとても限定していると感じています。私の提案趣旨は、もう部長が把握をしていただいているように、とにかく、これですね、(資料を示す)新型コロナウイルス感染者の体温というところで一覧表にしてくれているんですけども、ここのところが問題意識の出発です。陽性判明時に発熱なしが60.6%、そのうち31.7%は発熱以外の症状で、つまり、僕ら今こういう血圧が高なったらよ、ちょっとしんどいわよって、この程度のものも陽性の直前にはあり得る症状なんですよね。風邪の症状、味覚が変という程度の方もあるかと思っています。全くの無症状が28.9%もあるというふうにここではなっていますから、こういう点をよく見ることが大事だと。

 和歌山県の場合には、そこを拾い上げてくれているという信頼の下なんですが、ところが初期の頃、知事が否定をされた37.5度以上4日間という刷り込みがまだ私たちの中にもあるんですよね。そないに熱が高ないさかいに、医者に行こか、まあそないに行ったら悪いわよという感覚が僕らの年代だったら必ずあるんですよね。それを若い子に押しつけないで、この程度では医者にかかれないという感覚を変えて、この症状の方を濃厚接触者の中でPCR検査をして拾い上げているということを優れているとして評価しながら、大事なことは、しっかりお医者さんに行ってもらう。でも、その体制を支えているのが、私は、和歌山県のこの体制やというふうに今回勉強して気づきました。(資料を示す)

 保健所の支援体制という方針なんですね。単に県、市の保健所を守るという体制というだけでなくて、県が中心になってどんどんと応援、支援体制をやっていくということが、これが保障されてきたからではないかというふうに私は理解をしました。一番に保健医療の体制だと言われるゆえんは、こういう体制が保障されているからだという自信の発言になるかと思います。

 少し減少したとはいえ、次の波はまたやってくることは間違いありません。市町村段階でも、学校などでも、この抗原定性検査をやろうとしているところが、この9月議会で予算計上されているところが周りで出てきたんです。

 ところが、抗原定性検査は、無症状の人には役に立たないという認識の市町村の職員の方もまだいらっしゃるんですね。だから、ここらあたりは、県のほうで答弁いただいたことを含めて、ぜひ指導、激励をしていただいて、保健所や学童での持込み、拡散をさせないために、この先行経験を生かしていただきますようにお願いをして、第1項目の質問は終わりたいと思います。ありがとうございます。

 続けて、2項目めの御質問に参ります。

 2項目めの質問は、流域治水プロジェクトの今後の課題についてです。

 そのうちの1点は、流域治水関連法成立以降の現在の状況についてお尋ねしてまいります。

 5月10日、流域治水関連法が9本の法律改正として公布されました。その施行は公布から3か月または6か月以内とされています。特定都市河川浸水被害対策法改正により、特定都市河川の指定対象に、河道等の整備による浸水被害の防止が自然的条件の特殊性により困難な河川が追加されました。県として、特定都市河川としての指定を検討されているのかどうか、まずお願いしたいと思うんです。

 また、要配慮者利用施設──高齢者施設などですね──については、水防法改正において、避難計画や避難訓練に対して、市町村による助言、勧告が可能となりました。水防法に基づく避難計画の策定、訓練の実施が必要な県内の要配慮者利用施設について、その状況を御説明いただきたいと思います。

 日高川水系は、2級河川としてはいち早くプロジェクトが策定されましたが、有田川、日置川、古座川においてもこの8月に策定されたと公表されています。このほかの水系における策定予定についても、併せて県土整備部長から御説明をいただきたいと思います。

○議長(森 礼子君) 県土整備部長安部勝也君。

  〔安部勝也君、登壇〕

○県土整備部長(安部勝也君) まず、1点目の特定都市河川の法指定については、現在、国において作成中のガイドラインを踏まえて、法施行以降に河川ごとにその可否を検討する予定にしております。

 2点目の要配慮者利用施設における避難確保計画については、令和3年3月末現在、水防法に基づく洪水浸水想定区域内の対象施設数1453施設のうち約6割の895施設が作成済みであり、約5割の766施設が避難訓練済みとなっています。

 3点目の流域治水プロジェクトについては、今年度中に切目川水系など12水系について作成する予定です。

○議長(森 礼子君) 楠本文郎君。

  〔楠本文郎君、登壇〕

○楠本文郎君 丁寧に御答弁をいただきましてありがとうございます。

 特定都市河川浸水被害対策法施行後に、河川ごとに国が指定をするということで了解します。ただ、避難計画は6割が作成済みということは、4割も避難計画がないということなんですね。約5割は避難訓練もできていないということが報告されたわけです。これは大変なことで、具体的な施設は市町村の助言、勧告ができるということですが、流域治水という考え方に基づいて早期に対応されるべき事項だと思います。

 流域治水プロジェクトは、今年度中に2級河川で県内16の河川となるようですから、それぞれの河川に関わる地域で急ぎ対応されるよう要望を申し上げておきたいと思います。

 2点目に参ります。椿山ダムの放流操作に関してお尋ねしていきます。

 10年になります。朝も示されました。紀伊半島大水害がございました。その一つが日高川洪水だったんですが、思い起こしてきました。日高川椿山ダムは、この10年前を教訓に、既に平成24年6月、全国に先駆けて事前放流の運用を導入したことが紹介をされています。椿山ダムでは、平成26年、30年、令和元年の3回、既に実績があるということです。

 実は、くしくも10年になる今年の8月、お盆の長雨が私はとても心配で、「和歌山県河川/雨量防災情報」とにらめっこをしていました。それを落とさせていただきますとこの棒グラフになります。(資料を示す)この流入量と放流量グラフのところなんで、ぜひ御覧をいただきたいと思います。

 こういう2級河川のあるところは、やっぱりこういう追いかけが必要な時代に入ってしまったという問題意識がございます。8月13日には、縦軸の左側の指標ですが、そこで赤色折れ線の流入量が毎秒200トンから400トン程度だったのが、8月14日の深夜には毎秒1100トン近くに跳ね上がり、緑色の折れ線の放流量も毎秒900トン近くまで増加をしてしまいました。椿山ダムの上流の降雨が多くなると、ダムの貯水位は見ている間に191.7メートル、この指標は右側の縦軸になりますが、青色折れ線の縦線右側指標でお分かりいただけると思います。下流でも大雨になっていましたから、不安になってきていました。しかし、幸いかな大雨があまり継続せず、その後はさほど大きな雨がなく、降ったりやんだりの降雨量になったおかげで、流入量もさほど心配するほどでなくなったんですね。赤色の流入量が少なくなると緑色の放流量が流入量を上回り、青色の貯水位が下がり始めるという相関関係です。

 青色の貯水位に注目していただきたいんですが、大きい山の後下がり、その後小さいめの山が少し来ていますけれども、これは15日の晩ですね、16日の未明と言うたらええか、夕方と言うたらええか、少し小さな山がありますが、8月16日夜に流入量と放流量がほとんど同じになると、しばらくの間、185.6メートル前後で調整されているんです。椿山ダムは、平常時最高貯水位は206.5メートル、洪水貯留準備水位は187.6メートルまでの治水域となっています。夏期制限水位と同意語になります。事前放流目標水位でもある最低水位は184.0メートルとなっています。

 今回のダム操作においては、治水域の187.6メートルを超えて、184メートルまでの利水域の一部まで放流したことになります。8月13日からの椿山ダムの操作について、県土整備部長から御説明をいただきたいと思います。

○議長(森 礼子君) 県土整備部長。

  〔安部勝也君、登壇〕

○県土整備部長(安部勝也君) 8月13日からの椿山ダムの操作についてお答えいたします。

 今回は、操作規則にのっとり、流入量が毎秒600立方メートルに達した13日20時より、当該流入量を下回った15日17時40分までの約46時間にわたり洪水調整を実施しました。水位調整に当たっては、利水者である関西電力株式会社と調整の上、夏期制限水位よりも低い貯水位を目標に放流し、洪水に備えました。その結果、最大流入量毎秒1092立方メートルを観測した14日2時30分頃には放流量を毎秒886立方メートルまで調整でき、下流への影響を最小限に食い止めたものと考えます。

○議長(森 礼子君) 楠本文郎君。

  〔楠本文郎君、登壇〕

○楠本文郎君 ありがとうございます。

 操作規程にのっとってやったと言われるんですが、なぜでしょう、私の周りでは、今回の洪水調整は評判ええんです。

 13日に日高川町議会一般質問で、椿山ダムの堆積土砂に関する質問がありました。平成元年8月豪雨で災害復旧として土砂のしゅんせつ工事が行われており、その堆積土砂撤去をさらに求める質問を町議会でやっているんです。その工事の関係で、夏期制限水位を下回る185.6メートル前後での調整が関西電力との合意で行われたのだなと私は解釈ができました。グラフの赤色の流入量の増加は一つの山では終わりません。特に椿山ダム上流の雨の多い広い流域を持つ──龍神全部持ってあるのがのう、その広い流域を持っている日高川だからこそ、次の大雨が予想される気象状況のときには、早いめ、早いめの洪水調整を行って、関西電力との合意を今回のような水準に持っていってくれるように求めるのが、地元では多く、強い声だということを要望しておきたいと思います。

 3点目に参ります。日高川水系整備計画についてお尋ねしておきたいと思います。

 西川の支川では、昨年度に堂閉川、今年度に下川の放水路が事業化をされました。今後の予定についてお示しをいただきたいと思うんです。

 また、西川については多額の予算が計上され、大幅に進捗しているところでございます。今年度は、寺田橋の架け替えと、その少し上流の護岸工が整備されています。かなり進んできたことに期待が膨らむところでございますが、この整備が本当にその威力を発揮するのは、そのまた上流の斉川、和田川、東裏川の合流点を過ぎ、入山という地域に入ってからではないかと思っているんです。

 西川流域に係る来年度以降の予算確保に向けてどのように取り組まれるのでしょうか、県土整備部長に御答弁をお願いしたいと思います。

○議長(森 礼子君) 県土整備部長。

  〔安部勝也君、登壇〕

○県土整備部長(安部勝也君) 堂閉川については、河道を一部付け替えて斉川の下流に接続することで流下能力を高める計画としており、また、完成までの暫定的な運用として、付け替え河道を貯留施設として活用することとしています。今年度は、付け替え河道のルートや断面の検討を進めているところです。

 次に、下川については、日高川へ接続する放水路を県道御坊停車場線の下に整備することで、浸水被害の軽減を図る計画としており、今年度より事業着手し、現在、放水路の設計を進めています。

 県といたしましては、西川流域をはじめとするこれら日高川水系の河川整備に要する予算を確保するために、これまでと同様、政府提案活動など様々な機会を活用し、国や関係者に対し積極的に働きかけていく所存でございます。

○議長(森 礼子君) 楠本文郎君。

  〔楠本文郎君、登壇〕

○楠本文郎君 文字どおり、様々な機会を捉えての予算獲得の御努力のほどをお願いしなければならないぐらい、とっても大きな事業だと思っています。堂閉川の河道付け替え計画は、本当に待たれています。先ほど申し上げた、今回のお盆での降雨量でも、管内では数少ない、やっぱり道成寺山門付近は道路への冠水がありました。でも、一昨年、堂閉川河床の敷き張り工事という簡易な工事をやってもらったんですけれども、それだけでも冠水の量も頻度も少なくなったという地域の方の喜ぶ話は、とってもうれしいものがありますよね。待たれているところに、しっかり早期の付け替えに着手をしていただけたらありがたいと思います。

 日高川、西川という大きな予算の継続を重ねて要望して、この項の質問は終わりたいと思います。ありがとうございます。

 続けて、第3の項目、国保の問題に参りたいと思います。

 まず、国民健康保険運営方針と今後の課題についてという大きな項目なんですが、その一つは、国保の構造的問題についてでございます。

 国民健康保険法の一部改正によって、平成30年度から保険者は県と30市町村になって3年目に入りました。この新制度では、県が財政運営の責任主体として中心的役割を担うとされ、市町村は被保険者資格の管理、保険給付、保険料(税)の決定、賦課徴収、保健事業などを担うことになりました。この役割分担の下、市町村と共同しながら、統一的な運営方針は県が定めることとなっています。

 令和3年度からは、この運営方針は第2期になりましたので、この中で述べられている市町村国保の現状と課題の中で、まず2点お尋ねしていきます。

 一つは、被保険者数の推移、被保険者の年齢構成、国保世帯主の職業別構成割合、また加入状況が示されており、こうしたいわゆる国保の構造的問題については共有できていると思っています。ただ、国保世帯の平均所得のところで、平成30年度課税標準額の被保険者1人当たりの額が市町村比較で2.2倍という格差になっているということなんですが、その原因をどのように分析されているのか。

 また、昨年来のコロナ禍の下で、特に低所得者層の多い国保世帯の平均所得については、よほど慎重かつ丁寧に検討する必要があるかと思います。この点では、国保には所得の低い方への保険料(税)の負担軽減制度がありますが、令和2年度におけるこの軽減状況と近年の動向はどうなっているのか、併せて福祉保健部長からお答えをいただきたいと思います。

○議長(森 礼子君) 福祉保健部長。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) まず、平成30年度の国民健康保険料(税)の1人当たり課税標準額の格差についてですが、課税標準額が最も高いのはみなべ町で、県の平均額より約41万円高く、最も低い那智勝浦町の約2.2倍となっております。しかしながら、次に高い有田川町と比較すると約1.5倍となり、みなべ町の課税標準額が特に高いことが格差を大きくしていると言えます。

 厚生労働省の平成30年度の国民健康保険に関する抽出調査の結果では、みなべ町と那智勝浦町を比較した場合、農業所得で大きな差があることから、農業所得の差が主な要因であるというふうに考えております。

 次に、国民健康保険料(税)の軽減世帯数とその推移についてですが、保険料(税)については、所得に応じて応益割の7割、5割、2割を軽減する制度があり、所得の低い方への保険料(税)負担の軽減が図られております。令和2年度の対象世帯は約9万4000世帯で、国民健康保険加入世帯の約63%となっており、直近5年間は同様の水準で推移しております。

○議長(森 礼子君) 楠本文郎君。

  〔楠本文郎君、登壇〕

○楠本文郎君 御答弁をいただきました。

 みなべ町、有田川町、田辺市、上富田町、印南町、日高川町などの県平均よりも高いところの共通性の分析等も必要で、これはちょっと大分四股を踏んできちっとやらんだらあかんということだと思っています。

 軽減世帯の割合もお答えをいただきました。和歌山県は63%の軽減世帯で、新型コロナの下でも横並びで推移していると。全国的な指標もちょっといただいたんで見たんですけれども、全国的には53%台、10%の差があるんですね、和歌山と。和歌山は、だから軽減世帯が多い。でも、全国はちょっとずつ増えているんで、もう少し状況を全体として分析を深める必要があるということを感じました。

 二つ目、2項目めです。こういうことも念頭に前提として置きながら、市町村の保険料(税)の水準を統一するというところの課題が出てまいります。明確に運営の方針の中で打ち出されました。令和9年度に統一を目指すという方針です。

 しかし、まあこのテーマは、とっても大きい課題ですよね。それで、もうここは単刀直入に、現時点で県が課題として認識していることは何やろかということを福祉保健部長からお示しをいただいておきたいと思います。

○議長(森 礼子君) 福祉保健部長。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 本県では、平成30年の国民健康保険運営方針の策定に当たり、市町村と協議を重ねた結果、期限を決めて取り組んでいく必要があるとの合意の下、平成30年度から10年間で保険料水準の統一を目指すこととしております。

 保険料(税)は、負担と給付の公平性の観点から、県内どの市町村に住んでも、同じ所得、同じ世帯構成であれば同じ保険料水準が望ましいと考えております。

 しかしながら、保険料水準を統一するためには多くの課題があります。現在、各市町村で格差のある医療費水準の平準化、二通りある保険料(税)算定方法の統一化、保険料(税)収納率の差、特定健診の検査項目の追加や子供医療費助成事業など市町村が個別に政策的に取り組んでいるものの整理などが挙げられます。

 県としましては、そうした課題について市町村と議論を深めてまいります。

○議長(森 礼子君) 楠本文郎君。

  〔楠本文郎君、登壇〕

○楠本文郎君 御答弁いただいたように、和歌山県内で運営方針の一つとして出してんねんから、それぞれ市町村の保険料率は同じが望ましいというのは、そのまんま思いますよね。ところが、この統一をするのにどんなに難しいかというところで、いろいろと考えましたんで、それぞれ担当課のところにもぶつけていきたいなと思いますが、固定資産割は、大分もうなくなっていくというのが市町村の方針のようですね。

 これがなくなっていったら、じゃ、そこで課税をしなかった分をどこへ上乗せするのかと。国保というのは、市町村にとったら県に納める額、最初に納付額を決められるわけですから、それを誰からどんなにして取るかというのが国保料(税)の水準なわけですから。だから、固定資産割で取れない分をどこから取るかという話になるというのはかなり簡単にはいかない、市町みんな別々やというところの相談が要るということと、それから、9億円の基金を持っている町とゼロの町と、これがまた大変な話よなあ。

 基金というのは、あくまでもそれぞれの市町で、自分ところの目的に使いますよということで特会の中につくってやるものやから、それ以外に使ったらあかんわけですね。県にお世話になっているさかいってプレゼントするよとはいかないんですよね──いくか。決めたらいくけど、そんなわけにはいかんでしょうということを考えれば、とってもこの保険料の統一というのは難しいということを申し上げて、だからこそ、市町としっかりとどう統一するかという、統一するために何が必要なんかという観点で議論をしっかり深めていただけるようにお願いを申し上げておきたいと思います。

 この国保税のところの3点目、高過ぎる保険料をいかにしたら引き下げることになるのかということについて、私は子供の均等割を国保料(税)に課さないことを求めたいと思います。

 国において半額の公費負担が示されました。論理的に考えれば、負担能力のない子供に均等割という料・税を課すことは、子育て支援に逆行すると政府のほうも認めたわけですから、本来、国が全額国庫で措置すべきものであると考えます。そして、国が全額措置をするまでの間、県の一般会計から繰入れすることを求めます。また、市町村が一般会計から措置することもあり得るのではないかと考えますが、いかがでしょうか。

○議長(森 礼子君) 福祉保健部長。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 国民健康保険における子供に係る均等割保険料は、国民健康保険制度が被保険者全体の相互扶助で支えられていることから、応分の保険料(税)を負担していただく必要があるため、世帯員数に応じて均等に賦課されているものです。

 県としましては、子育て世帯への経済的負担軽減や医療保険制度間の公平性を図るためにも、国に対して、子供に係る均等割保険料の軽減措置の導入について、これまでも全国知事会等を通じて国に要望してきたところです。

 その結果、本年6月に国民健康保険法が改正され、令和4年度から全世帯の未就学児を対象に、均等割保険料の5割を公費により軽減する措置が導入されることになり、国が2分の1、県及び市町村がそれぞれ4分の1を負担することとなっております。

 議員御指摘の県及び市町村が子供の均等割保険料軽減措置拡充のために一般会計から繰り入れることは、国民健康保険の被保険者以外の方の負担にもなることですので、避けるべきものだと考えております。

 県としましては、子供の均等割保険料軽減措置拡充については、医療保険制度間の公平性を図るという観点からも、制度設計者である国が責任を持って対応すべきものと考えており、対象者や軽減幅のさらなる拡充を引き続き全国知事会等を通じて国に要望してまいります。

○議長(森 礼子君) 楠本文郎君。

  〔楠本文郎君、登壇〕

○楠本文郎君 既に子供の均等割額の減免をしている地方自治体が現れてきています。(資料を示す)その減免の仕方というのはいろいろとあります。その財源があるのかないのかということでいえば、先ほど私が申し上げた基金を使う自治体があってもええやないかということになるかと思いますが、一般的には、被保険者から集めたものをば軽減に使うと、これは問題が出てくるやろうと思います。ですから、根本的には、国のほうにしっかりとこの均等割を、もう保険料(税)に課さなくてもよいように全額見ておくれよという要請を強めていただけるようにお願いをしておきたいと思います。そのことを申し上げて、この項の質問は終わります。ありがとうございます。

 最後に、GIGAスクール構想についてのお尋ねをいたします。

 学校教育の情報化の推進に関する法律が、全会派賛成の下、令和元年6月28日に公布、施行されました。第1条の目的には、全ての児童生徒がその状況に応じて効果的に教育を受けることができる環境の整備を図るため、学校教育の情報化の推進に関し、基本理念、国等の責務、推進計画等を定めることにより、施策を総合的かつ計画的に推進し、もって次代の社会を担う児童生徒の育成に貢献と概要説明をされています。

 昨年は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、国の実施するGIGAスクール構想が当初の予定を前倒ししてどんどん進められました。令和3年7月末時点の文部科学省の集約として、端末利活用状況等の実態調査(速報値)が公表されています。そこで、その全国の情報を前提として教育長にお尋ねします。

 まず1点目、和歌山県における学校教育の情報化に関する環境整備の進捗状況についてお答えください。

 2点目に、タブレット等の利活用について、現在の現場の状況、どんなにやっているんかをお尋ねしておきたいと思います。

 新型コロナの感染が広がる中で、オンライン授業やタブレットによる個別学習が課題になりました。そして、今年の夏休みは、様々なところで教職員の研修会が開かれたようです。参加された方の感想をお聞きすると、タブレットが起動せなんだ、研修会が無駄だったという方から、これは便利で授業で使えるという方まで両極の意見でした。

 ただ、大事なことは、何が何でもタブレットを使わなければならないのではなく、授業の内容や教材によって、タブレットを使うことによって子供たちの理解が深まるかどうかではないかという点だと思っています。そして、子供の発達段階を踏まえることも大事な視点ではないかなという思いなんですが、前倒しで実施してきた中で、利活用としての条件整備はこれからつくっていくという段階ではないのかと考えます。

 教育委員会として、情報機器の導入から利活用に向けての現場の状況をどのように認識、把握されているのか、教育長にお伺いいたします。

○議長(森 礼子君) 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 学校教育の情報化に関する教育機器の導入については、県内全ての公立学校で端末の整備を完了しています。利活用については、各教科教育研究会を中心に授業動画の作成に取り組むとともに、教育委員会においても動画活用の研修会を実施するなど、教員の資質の向上に努めているところであります。

 県立高等学校においては、全国的に先駆けて整備を完了した1人1台端末を用いて、授業動画を授業や家庭学習で活用するなど新しい学びを進めています。効果的な学習指導とは、対面授業とオンライン授業のそれぞれのよいところを組み合わせていくことであると考えております。9月1日からの全ての県立高等学校での分散登校時においては、対面授業とオンライン授業を併用した学習指導を実施しています。

 小中学校においては、ドリル学習や調べ学習など、児童生徒一人一人の理解度に応じた学習活動や、子供同士の学びを深めるための協働学習での活用など、教員が児童生徒の発達段階に応じた取組を進めているところです。

 これからの学力の向上や授業の改善には、ICT環境の充実というのは必須であります。着実に進めてまいりたいと考えています。

○議長(森 礼子君) 楠本文郎君。

  〔楠本文郎君、登壇〕

○楠本文郎君 御答弁いただきました。ありがとうございます。

 これまでに、5人の方がこのGIGAスクール構想について質問をされているということも前提にさせていただきながら、どんなに未来が開けるのかというパンフレットも熟読しなければならないというふうに思っています。

 今日はもう時間がありませんから、そんなことを申し上げるつもりはないんですが、この1人1台端末の環境が完了した中で、どのように活用するのかというところがこれからのテーマになろうかと思っております。

 多くを語る部分もありますが、私がとにかく驚くのは、こんな機器だって、私の知っている限り、大体学校現場に教育機器が入るのに10年かかってんねんから、一つのもんね。2年もかからんと入ったこと自体が僕もびっくらこいてんねん。それは何なんていうたら、「令和の日本型学校教育」というものが背景にあるということが分かってきたんです。

 このGIGAスクール構想という命題は、2019年(令和元年)の12月の閣議決定から始まっている。2017年に内閣府の下に経済産業省、厚生労働省、文部科学省によって「第4次産業革命 人材育成推進会議」がつくられている。その下で、経済産業省は人材力会議というのを開いている。内閣府は人づくり革命というのを提唱して、経済産業省はSociety5.0という言葉を打ち出してきたということなんですね。文科省は、Society5.0に向けた人材育成の推進を提案して、2021年、今年の1月の中教審答申の「令和の日本型学校教育」へと集約していくということなんで、大きな国家戦略の中で、1人1台端末というのが生み出されているんやということは、ちゃんと押さえとかんなんなというふうに思っております。

 そうした中で整備された1人1台、この利活用をどうするか。今、現場では、正直言うと右往左往しています。年配の先生、僕らと一緒に仕事したようなぐらいの年代の先生はおろおろしています。二十歳代の方は、自分の得意分野が現れたということでどんどんやります。ところが、この若い方と年配の方というのは、僕らが若い頃のあれで言うたら、年配の方は子供を引きつける能力、物すごくあるんですよ。若いのは引きつける能力がないから、走り回って引きつけようとするんですけどね。

 そういう同じような年代が寄るんじゃなくて、異年齢の教師集団があるからこそ、社会の縮図やといって教育というのは成り立つというのが私の持論なんですよ。この中で、先生によってこの能力で早い遅いというのはあまり言わんようにしようらよと。だから、職場の中でこの有効性というのを共有できるような、そんな教育条件を使うていこらよと。試行錯誤しながら実践を積み重ねてこそ生きるものということを申し上げておきたいと思います。

 どんなによいものでも魂を入れないとあかん。今は、その魂がどんなになるんかという段階ではないかと思います。経済的な費用対効果が議論されてくるんですよ。でも、これは費用対効果ちょっと待っておくれよということを申し上げたいので、あえて一般質問をさせていただきました。御協力ありがとうございました。(拍手)

○議長(森 礼子君) 以上で、楠本文郎君の質問が終了いたしました。

 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。

 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。

 本日は、これをもって散会いたします。

  午後3時34分散会

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