令和3年6月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(全文)


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令和3年6月 和歌山県議会定例会会議録 第6号

令和3年6月

和歌山県議会定例会会議録

第6号

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議事日程 第6号

 令和3年6月21日(月曜日)

 午前10時開議

 第1 議案第104号から議案第116号まで、報第3号及び報第4号並びに諮問第1号(質疑)

 第2 一般質問

 第3 議案等の付託

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会議に付した事件

 第1 議案第104号から議案第116号まで、報第3号及び報第4号並びに諮問第1号(質疑)

 第2 一般質問

 第3 議案等の付託

 第4 休会決定の件

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出席議員(41人)

 1番 鈴木德久

 2番 山家敏宏

 3番 中本浩精

 4番 堀 龍雄

 5番 藤山将材

 6番 岸本 健

 7番 井出益弘

 8番 宇治田栄蔵

 9番 北山慎一

 10番 玄素彰人

 11番 中西峰雄

 12番 秋月史成

 13番 森 礼子

 14番 濱口太史

 15番 尾崎要二

 16番 冨安民浩

 17番 川畑哲哉

 18番 玉木久登

 19番 鈴木太雄

 20番 岩田弘彦

 22番 谷 洋一

 23番 佐藤武治

 24番 岩井弘次

 25番 中 拓哉

 26番 多田純一

 27番 新島 雄

 28番 山下直也

 29番 中西 徹

 30番 谷口和樹

 31番 藤本眞利子

 32番 浦口高典

 33番 山田正彦

 34番 坂本 登

 35番 林 隆一

 36番 楠本文郎

 37番 高田由一

 38番 杉山俊雄

 39番 片桐章浩

 40番 奥村規子

 41番 尾﨑太郎

 42番 長坂隆司

欠席議員(1人)

 21番 吉井和視

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説明のため出席した者

 知事         仁坂吉伸

 副知事        下 宏

 理事         田嶋久嗣

 知事室長       赤坂武彦

 危機管理監      細川一也

 総務部長       田村一郎

 企画部長       横山達伸

 環境生活部長     生駒 享

 福祉保健部長     志場紀之

 商工観光労働部長   寺本雅哉

 農林水産部長     岩本和也

 県土整備部長     安部勝也

 会計管理者      真田 昭

 教育長        宮﨑 泉

 公安委員会委員    細江美則

 警察本部長      親家和仁

 人事委員会委員長   平田健正

 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫

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職務のため出席した事務局職員

 事務局長       出津野孝昭

 次長         中井 寛

 議事課長       山田修平

 議事課副課長     岩井紀生

 議事課課長補佐兼議事班長

                                        岩﨑 亮

 議事課主任      伊賀顕正

 議事課主査      菅野清久

 議事課主事      松本 悠

 総務課長       須田剛司

 政策調査課長     神川充夫

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  午前10時0分開議

○議長(森 礼子君) これより本日の会議を開きます。

 日程第1、議案第104号から議案第116号まで、地方自治法第179条第1項の規定による知事専決処分報告報第3号及び報第4号並びに諮問第1号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、併せて日程第2、一般質問を行います。

 40番奥村規子君。

  〔奥村規子君、登壇〕(拍手)

○奥村規子君 おはようございます。

 議長のお許しを得ましたので、早速質問をさせていただきます。

 ちょっとマスクを外させていただきます。

 今回は、大項目1点でございます。IR誘致の断念を求めることについて質問をいたします。

 初めに、仁坂知事は、6月定例会招集に当たって、IRに関して次のように説明をいたしました。「6月2日に事業者公募における優先権者候補として、クレアベストニームベンチャーズ株式会社及びクレアベストグループインコーポレーテッドのコンソーシアムを選定し、公表しました。現在、和歌山市及び県公安委員会への法定協議を行っており、終了後に優先権者として正式に決定する予定です。今後は、選定した事業者と共に、区域整備計画の作成に全力を挙げて取り組む」という積極的な姿勢を示されました。

 前日の6月1日には、「カジノ誘致 今こそ断念 6・1 県庁一周 県民大宣伝」が行われました。多くの住民の方々が、新型コロナの危機から県民の命と暮らし、営業を守る緊急対策が必要なとき、カジノ誘致に躍起になっている場合ではないと、「カジノはいらん!」のポスターを貼ったプラカードを持ってスタンディング行動に参加をされていました。知事は、県民の皆さんの根強い反対の声がありながら、観光や地域振興にとってまたとないチャンスだということで、具体的にカジノ誘致を進めています。

 県のIR基本構想では、納付金の使途について、観光の振興、地域経済の振興、社会福祉の増進、文化芸術の振興に関する施策等の経費に充てること、また、入場料についても、地域経済の振興、社会福祉の増進及び教育の振興に関する施策等の経費に充てると記されています。

 全ての地方自治体が標準的な行政サービスを行うために必要な財源を保障し、調整する制度として、地方交付税制度があります。本来、地方財源を保障するには、地方交付税率の引上げにより、社会保障や新型コロナをはじめ頻発する災害への対応など、財政需要が増すばかりの地方自治体の実情に見合うように一般財源の総額を拡充する、そういったことを国に求めることがまず重要であると考えます。

 これまでも繰り返し主張してまいりましたが、カジノは大規模なギャンブルであり、何ら生産するわけでもなく、そのもうけは利用客からお金を集めたものです。ギャンブルに頼ることなく、安全・安心のまちづくりを進めていただきたいという立場から、今回の優先権者候補の選定に関わり、7点にわたって質問をいたします。

 一つ目は、サンシティの辞退についてでございます。

 県IR設置運営事業の事業者選定委員会の審査講評──2021年4月30日付の総評の中に、「オーストラリアでのカジノ営業に関し、Suncity Group Holdings Limitedを本社とする企業グループにマネー・ローンダリング関与疑惑があるほか、経営者と反社会的勢力との関係を示唆する報道があり」、「コンプライアンスやマネー・ローンダリング対策等を適切に評価できているか不安が残る旨の意見も見受けられた。この点は、和歌山県においても引き続き十分に調査を実施することを強く要望する」とされています。

 私は、2月議会の総務委員会の場で、サンシティの最高責任者が自身とサンシティグループは反社会的勢力の一員ではありませんとの声明を示して、こうした声明を出すということは、事業者の状況は本当はどうであるのかとただしました。IR推進室長は、「オーストラリアの件については、県としても把握している。今、事業者の適格性の審査、予備調査を進めている」と答えられました。

 予備調査とは、県の募集要項で、優先権者を選定する段階においても、カジノ事業の免許の基準を踏まえ、適格性につき確認を行うことであり、カジノ事業の免許基準は、申請者がカジノ事業を的確に遂行することができる能力を有し、かつ十分な社会的信用を有するものであること、あるいは、カジノ事業における犯罪による収益の移転防止が万全であることなど、法で規定されています。

 事業者を選定する上で、適格性が損なわれているとなれば致命的なものと考えますが、この予備調査の途中で事業者が辞退となったとお聞きしています。サンシティの適格性については、どこまで予備調査をしておられましたか、その調査結果はありますか、理事にお尋ねをいたします。御答弁よろしくお願いいたします。

○議長(森 礼子君) ただいまの奥村規子君の質問に対する答弁を求めます。

 理事田嶋久嗣君。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○理事(田嶋久嗣君) サンシティの予備調査についてでございますが、オーストラリアのニューサウスウェールズ州政府が大手カジノ事業者であるクラウン社に対して行った新設カジノへのライセンス付与の適格性に関する調査の結果報告書に、サンシティの適格性について確認を要する事案が記載されたことから、予備調査として、サンシティへのヒアリングやニューサウスウェールズ州のカジノ規制当局への事実確認などを行っておりました。

 しかしながら、この予備調査が完了する前に、サンシティから5月12日付で辞退届が提出されたことから、調査結果は取りまとめておりません。

○議長(森 礼子君) 奥村規子君。

  〔奥村規子君、登壇〕

○奥村規子君 取りまとめていないという答弁でしたが、予備調査として、ニューサウスウェールズ州のカジノ規制当局への事実確認などを行ったということですが、それでどこまで明らかになっていたのでしょうか。また、この予備調査とサンシティの辞退との関連はどうなのか明らかにすべきと考えますが、いかがでしょうか。再度、御答弁をよろしくお願いいたします。

○議長(森 礼子君) 理事。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○理事(田嶋久嗣君) まず、ニューサウスウェールズ州への事実確認ですけども、これも途中で終わってしまっておりまして、結論は出ておりません。

 そして、サンシティに関する辞退の理由ですけども、サンシティからは、このコロナ禍で世界の経済情勢が非常に不透明であり、今後どうなっていくかよく分からないということと、日本のこのIRの制度自体がまだ不分明なところもあるといったようなことを理由にして辞退届が出されておりまして、その辞退届からは、オーストラリアの問題については触れられておりません。

○議長(森 礼子君) 奥村規子君。

  〔奥村規子君、登壇〕

○奥村規子君 調査の途中で辞退届があったと、そういうふうに今お答えいただいたんですけども、この県の特定複合観光施設設置運営事業募集要項というところですけども、この予備調査と選定委員会との関係で、この中に予備調査の期間ということで、「予備調査の期間は、応募企業又は代表企業の参加資格審査書類提出後、提案審査終了までの期間とする」ということが書かれているので、私としては当然、選定委員会が4月30日に選定をしたと、それの報告が県にあったわけですから、その4月30日まで、やはり予備調査を終えるというようなことが普通じゃないかということを指摘させていただきます。

 それでは、次に2点目です。

 サンシティに係る審査講評について、選定委員会の審査講評において、審査項目であるマネーロンダリング対策についての評価の概要では、いずれの提案も選定基準はおおむね満たしていると評価できる、つまりサンシティも選定基準をクリアしたとされています。

 一方、同じ審査講評の総評では、サンシティに関する疑惑報道を受けて、「マネー・ローンダリング対策等を適切に評価できているか不安が残る」との記載があり、選定基準を満たしていると評価した点と矛盾があると言えるのではないかと思います。

 選定の在り方に問題があるのではないですか。ぜひこの点についてお答えください。

○議長(森 礼子君) 理事。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○理事(田嶋久嗣君) 事業者の選定は、事業者選定委員会が行う提案審査書類の評価及び県が直接行う予備調査の結果を踏まえて行ったものです。

 事業者選定委員会は、あくまで提案書類の内容を審査基準に基づき評価するものであり、その評価とは別に県が行う予備調査があるわけです。

 議員御指摘の審査講評の総評は、選定委員会が、県の実施する予備調査において事業者の疑惑を十分に調査するよう求めたものであり、評価ではございません。よって、選定委員会が審査基準を満たしていると結論づけたことと矛盾はなく、選定の在り方に何ら問題はございません。

○議長(森 礼子君) 奥村規子君。

  〔奥村規子君、登壇〕

○奥村規子君 再度、お尋ねいたしますが、選定委員会はあくまで提案書類の内容を審査基準に基づき評価するものであり、その評価とは別に県が行う予備調査があるという答弁だったと思います。

 しかし、募集要項によりますと、予備調査は、参加資格審査書類提出後、提案審査終了までの期間とすると──先ほども申し上げましたが、そのように書かれています。予備調査というのは、企業の適格性を調べて確認するものですから、まずそれが確認されなければ提案審査は終了しない、これが当然ではないでしょうか。

 しかし、今回は、4月30日に選定委員会として審査を終了し、結果を発表しています。そのときに並行して予備調査が行われていたというお話でした。この点が選定の仕方として問題なかったのか、もう一度御答弁いただきたいと思います。

○議長(森 礼子君) 理事。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○理事(田嶋久嗣君) 先ほど答弁いたしましたように、IR事業者の選定については、選定委員会が行う提案審査書類の審査と県が直接行う予備調査というこの2本立てで出来上がっております。だから、双方が完結して終わるという形になっておりますので、特に矛盾はございません。

○議長(森 礼子君) 奥村規子君。

  〔奥村規子君、登壇〕

○奥村規子君 今のお話で、それぞれの役割分担というような意味合いに聞こえたんですが、そういったことになれば、やはり選定委員会というところでの選定する際のこの物差しというものが、今の事業者の資格を問うような、そういった根本的な、最も大事なそういった点についてのことが審査の対象になりにくいというようなことで、予備調査ではなくて、選定委員会がある意味では形骸化するところにやっぱり通じていくんじゃないかという、大変そういう思いをいたしております。

 それを述べまして、次は、3項目めの選定委員会の評価の公表についてお尋ねいたします。

 県が公表した選定委員会の評価の概要は簡略なものであり、評価の内容が十分には分かりません。先ほどのマネーロンダリング対策でもそうですが、どの項目も「いずれの提案も選定基準は満たしている」という評価になっています。懸念を指摘している項目もありますが、採点結果では、大項目で半分を超える採点となり、合計では6割を超える点数となっています。

 県民には、概要でなく、提案書類と審査会の議事録など、詳細を公表すべきと考えますがいかがでしょうか、お答えください。

○議長(森 礼子君) 理事。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○理事(田嶋久嗣君) まず、審査講評については、事業者選定委員会が計3回の委員会の開催結果を踏まえて取りまとめ、県に提出されたものであり、概要資料ではございません。

 その上で、事業者から提出された提案審査書類、委員会の詳細な議事録については、現時点で公表しますと事業計画内容の詳細が明らかになり、他のIR誘致自治体との競争上、不利となるおそれがあるため、現時点では公表はいたしません。

○議長(森 礼子君) 奥村規子君。

  〔奥村規子君、登壇〕

○奥村規子君 公表しないという答弁でしたが、これは、カジノというこれまで日本では禁止されていた賭博を解禁する事業ですから、普通の企業間競争とか誘致の競争とかとは違うのではないでしょうか。その事業者や事業内容を審査するわけですから、違法性の阻却や事業者の廉潔性が問題になると思います。その点から、審査の内容、検討の経過が県民にも明らかにされるべきだと考えます。重ねて詳細の公表を求めたいと思います。これは要望をさせていただきます。

 次に、四つ目にクレアベストの適格性の調査とコンソーシアムの追加についてお尋ねいたします。

 サンシティの適格性の調査について問題にしましたが、クレアベストについても適格性を判断しなければなりません。クレアベストへの予備調査の結果に問題はなかったのでしょうか、御答弁よろしくお願いします。

○議長(森 礼子君) 理事。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○理事(田嶋久嗣君) 予備調査についてですが、県では、IR事業者の役員予定者や株主が暴力団員等に該当しない者であるかどうかについての和歌山県公安委員会への照会、事業者へのヒアリング、公示情報の精査、無犯罪証明書の提出など、カジノ免許を取得する上での欠格事由などが存在しないことを確認するため、世界的な監査法人であるEY新日本有限責任監査法人とアドバイザリー契約を結び、その協力を得ながら調査を進めてきたところです。その結果として、クレアベストについて問題はないと判断しております。

○議長(森 礼子君) 奥村規子君。

  〔奥村規子君、登壇〕

○奥村規子君 再度、その問題ないと言われていることに対してお尋ねをしたいと思います。

 海外の事業者に対して、マネーロンダリングへの関与や海外の反社会的勢力との関係などを含め、調査をされたのでしょうか。どういう調査をされて問題ないと判断されたのか、いま一度お尋ねをいたします。

○議長(森 礼子君) 理事。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○理事(田嶋久嗣君) 海外でのカジノ事業を行っていて、何か不祥事等がございますと、まず規制当局がそれを指摘して、そういったことが公になってまいります。そういった公示情報をつぶさに見ていって、クレアベストに関しては、そのような情報というものが、我々が調べる範囲内でないということでございます。

○議長(森 礼子君) 奥村規子君。

  〔奥村規子君、登壇〕

○奥村規子君 世界的にカジノは、マネーロンダリングに使われたり、反社会的勢力と関わるという問題が起こっています。だからこそ、カジノ事業者には高い廉潔性を課しているわけです。そこまで事業者の調査が果たしてできるのか、大変疑問に思います。

 また、コンソーシアムの構成員についても適格性が問題となります。クレアベストは投資会社であり、コンソーシアムとしているのもクレアベストグループです。カジノ事業や国際会議場、展示場、ホテルなどの運営を行う企業がコンソーシアム構成員として提案審査書類提出の際に明らかにされ、その構成員についても適格性の審査を行わなければならないはずですが、その点、どの企業がカジノ事業を行うとされていたのでしょうか。それから、クレアベストニームベンチャーズ株式会社及びクレアベストグループインコーポレーテッドのコンソーシアムということですが、カジノ事業を行う企業についてはどこなのか、お答えいただきたいと思います。

○議長(森 礼子君) 理事。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○理事(田嶋久嗣君) 県に提出されました提案書類では、カジノ運営事業者としては、クレアベストニームベンチャーズ株式会社及びクレアベストグループインコーポレーテッドのコンソーシアムとなっております。

○議長(森 礼子君) 奥村規子君。

  〔奥村規子君、登壇〕

○奥村規子君 再度、お尋ねしますが、募集要項では、「提案審査書類の提出までの間、コンソーシアム構成員を追加することができるものとする。提案審査書類の提出以降、応募企業、代表企業及びコンソーシアム構成員の変更は原則として認めない」とあります。

 「和歌山IR 事業者選定後の手続き」として出した文書の中で、「募集要項等では、下記のとおり記載しており、事業計画の変更、コンソーシアム構成員の追加が可能」としていますが、これはどこに記載していますか。また、「コンソーシアム構成員のみならず、協力企業や委託先などに対しても、必要に応じて徹底的な背面調査を実施」はどこに記載されているのでしょうか、その点、お答えいただきたいと思います。

○議長(森 礼子君) 理事。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○理事(田嶋久嗣君) 県が優先権者候補発表時に示した「和歌山IR 事業者選定後の手続き」の根拠ですが、募集要項の37ページに優先権者選定後の手続として、「コンソーシアム構成員又はSPCの株主の変更又は追加等については、基本協定及び実施協定に定める要件及び手続に従ってのみ行うことができる」と定めているところです。

 また、徹底的な背面調査については、募集要項の32ページに記載された予備調査のみならず、IR整備法や国の基本方針において厳格な規定がなされているところです。

○議長(森 礼子君) 奥村規子君。

  〔奥村規子君、登壇〕

○奥村規子君 今、説明をしていただきましたが、募集要項には、コンソーシアム構成員の追加などは、基本協定及び実施協定に定める要件、手続に従ってのみ行うことができるということです。どういう基本協定を結ぶのか分かりませんが、追加の仕方についても、手続を決めた後でなければ追加できないということです。文書にある「県の事前の承諾がある場合、コンソーシアム構成員の追加を行うことができる」というのとは意味が違うと思います。

 選定委員会の講評の中では、事業運営体制等の審査のポイントは、「出資者になることが想定されるコンソーシアム構成員及び業務委託が想定される受託者が具体的に示されており、体制上の役割分担が明確になっているか」という点が挙げられています。これは、コンソーシアム構成員や受託者を提案書類提出の際に明らかにしておくべきだということだと考えます。

 そのことを申し上げて、次に、優先権者候補として選定された直後に、報道によると、クレアベストはコンソーシアム構成員の追加を発表しました。株式会社AMSEリゾーツジャパンとグループ・パルトゥーシュが新たに中心的なメンバーとして参加すると発表しました。当然、県も把握されていると思いますが、県として認めたものですか、そのことをお尋ねいたします。

○議長(森 礼子君) 理事。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○理事(田嶋久嗣君) クレアベストが6月7日に発表したコンソーシアム構成員の追加につきましては、現時点において県が認めたものではございません。

 今後、クレアベストから正式に申請があれば、事業実施体制の強化につながるものであるのか、また、適格性に問題はないかについて確認するなど、所要の手続を行った上で判断いたしてまいります。

○議長(森 礼子君) 奥村規子君。

  〔奥村規子君、登壇〕

○奥村規子君 再度、お尋ねいたします。

 県が認めたものではないということでした。しかし、県の文書を見ると、構成員が追加されることは想定されていたように思われます。そして、適格性に問題ないかについて確認する所要の手続を行った上で判断するということです。それでいいのでしょうか。

 本来は、提案書類提出の時点でコンソーシアム構成員、受託者まで明らかにし、それに対しての予備調査、選定審査が行われるべきものではないでしょうか。選定審査後、追加するというようなことでは、今、出している提案書類の選定審査の結論を出していいのでしょうか。選定すべきではなかったのではないかと思いますが、その点について御答弁よろしくお願いします。

○議長(森 礼子君) 理事。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○理事(田嶋久嗣君) コンソーシアム構成員ですとか協力企業に関してですが、クレアベストは確かに6月7日に新たなメンバーというのを出しておるわけなんですけども、実は、提案審査書類の段階でも、将来のコンソーシアム候補である企業とか、事業を受託する企業の具体的な名称というのは明らかにはなっておるんです。

 ただ、その企業名を公表するということについて、それぞれの企業からまだ合意が得られていませんので、私たちは発表をしておりませんが、選定委員会の審査の段階で、そういったコンソーシアムの将来の候補企業であるとか、受託事業であるとかというものの名称を見た上で、一定の中身を見て判断をしています。だから、6月7日の発表というのは、その提案審査書類とは別に新たに出てきているものだということです。

 ただ、提案審査書類に書かれているコンソーシアム候補であったり、受託事業者候補についても、これはあくまで候補なので、今後、実際にこれからSPCというIR事業者をつくっていくんですけど、そのつくっていく過程で、正式に入ってくるかどうかという申請があった時点で、改めて予備調査といったものを行うという、そういう流れになっております。

○議長(森 礼子君) 奥村規子君。

  〔奥村規子君、登壇〕

○奥村規子君 次に、5点目の資金調達についてお尋ねいたします。

 「和歌山IR 事業者選定後の手続き」の中に、3項目を優先権者に求めるとして、事業者提案書の内容の変更、コンソーシアム構成員の追加、資金調達の確実性を担保する融資確約書の提出を上げています。これらは選定委員会で意見をいただいたとしていますが、選定委員会の議事録なり、審査会の全体を示してもらう必要があると思います。

 優先権者候補に選定されたクレアベストは投資会社であり、今回、クレアベストから提出された事業計画概要によれば、初期投資額4700億円と非常に大規模です。その資金の出どころがどこなのか、明らかにしてもらう必要があります。審査講評の附帯意見では、県が求める水準の資金調達の確実性を裏づける資料の提出には至らなかったと指摘されています。

 今、コロナ禍の下、世界のカジノ事業は完全に行き詰まっており、日本に進出しようとしてきた大手カジノ事業者も撤退が相次いでいます。こうした中で、資金調達の確実性が担保されていない事業者を選定することには無理があるのではないでしょうか、理事にお尋ねいたします。

○議長(森 礼子君) 理事。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○理事(田嶋久嗣君) 資金調達の確実性についてでございますが、一般論として、資金調達の確実性を裏づける資料を、地方にお

ける事業者選定、言わば地方予選の段階において都道府県等に提出することは、非常に高いハードルであったと考えております。

 審査講評の全体収支・資金調達の項目において、「いずれの提案とも、県の求めるコミットメントレター ──いわゆる融資確約書──の提出はなかったものの、現時点でできる努力はみられた。ただし、資金調達の確実性については引き続き留意が必要である」と評価されております。つまり、融資確約書までは出ていないけども、一定、それに代わるものというものが出ているということでございます。そうはいうものの、コミットメントレターまでは出ておりませんので、こういう評価になっておるわけです。

 こういった1項目の評価が低いからといって、直ちに失格となるものではございません。選定委員会において、この項目を含むその他多くの審査項目全てを評価した上で、評価点が全体として6割を超えていたことから、両者ともに審査基準を満たしていると報告されており、クレアベストの選定に何ら問題はございません。ただし、議員御指摘の資金調達の確実性を裏づける資料につきましては、今後、区域整備計画を作成し、事業実施体制の強化を図る中で融資確約書などの提出を求めてまいります。

○議長(森 礼子君) 奥村規子君。

  〔奥村規子君、登壇〕

○奥村規子君 答弁の中で選定委員会の評価が挙げられましたが、同じ項目の評価概要では、「クレアベストは配当が『適切な水準』であるか、また、日本の会計基準に基づいた計画となっているかという点で懸念があった」とあります。分かりにくい言葉ですが、これ以上の詳しいことは分かりません。どういう懸念なのか、資金調達計画全体の懸念なのか、この点について再度お尋ねいたします。

○議長(森 礼子君) 理事。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○理事(田嶋久嗣君) 今、議員御指摘の部分なんですけども、資金調達全体の確実性の問題というよりは、その後どのようにして運営をしていくかというところの考え方について、和歌山県が求めるものについてはまだ足らないなと、もっと積極的にどんどん投資に回していってほしいというようなところについて、提案がやや不十分であるというようなところとか、会計基準についての考え方が、十分に日本の会計基準というものに沿ったものになっていないというふうな部分、こういった部分は修正が可能な部分でございまして、ただ、提案書上、そういったことを書いてあるのは事実ですので、そこを指摘されているということでございます。

○議長(森 礼子君) 奥村規子君。

  〔奥村規子君、登壇〕

○奥村規子君 次、6点目の法定協議についてお尋ねいたします。

 現在、和歌山市、公安委員会との協議中とのことですが、具体的な協議事項の内容について御説明をよろしくお願いしたいと思います。

○議長(森 礼子君) 理事。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○理事(田嶋久嗣君) IR整備法では、都道府県等は、実施方針に即して、民間事業者を公募の方法により選定をしようとするときには、立地市町村等及び公安委員会との協議をしなければならないとされているところです。

 国からは、審査項目や配点基準のみならず、選定の理由、民間事業者の適切性について協議をしなければならないとの考えが示されており、事業者選定のプロセス、提案の概要、審査講評の内容について、和歌山市及び公安委員会への協議を実施しているところです。

○議長(森 礼子君) 奥村規子君。

  〔奥村規子君、登壇〕

○奥村規子君 再度、お尋ねしますが、事業選定のプロセスや提案の概要、審査講評などについて協議するということでした。

 和歌山市や公安委員会には、和歌山県に提出されている全ての資料を渡しているのでしょうか、協議は何回にわたって行われるのでしょうか、しっかりと議論することになっているのでしょうか、その点で再度、お答えいただきたいと思います。

○議長(森 礼子君) 理事。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○理事(田嶋久嗣君) 先ほど申し上げましたように、国からの考え方に基づいて、提案の概要をお示ししております。ただ、和歌山市に関しては、提案書類をお渡ししております。(「協議は何回にわたって」と呼ぶ者あり)

○議長(森 礼子君) 理事。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○理事(田嶋久嗣君) 大変失礼しました。

 法定協議というものは、1回行います。この事業者の選定に関しての協議というのは1度です。

○議長(森 礼子君) 奥村規子君。

  〔奥村規子君、登壇〕

○奥村規子君 最後の7点目について、知事にお尋ねいたします。

 優先権者候補の選定決定についてお尋ねします。

 県の選定委員会と適格性に対する予備調査についてお聞きしました。サンシティの予備調査がどうだったのか明らかにはされませんでした。地方自治体が、国外のカジノ事業者の疑惑についての調査がどこまでできるのか懸念するところです。

 また、選定後にコンソーシアム構成員が追加される可能性があるという点についても、募集要項での規定とは違うということや適格性の確認という点から問題だと指摘しました。資金調達の確実性も担保されていません。

 今回の優先権者候補の選定過程における決定には無理があると思います。改めて知事の見解をお聞かせください。

○議長(森 礼子君) 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 先ほどからの質問と答弁のやり取りを聞いていて、奥村議員が選定過程における決定のどこに無理があるとお考えなのか、私は全く分かりません。

 ただ、国外のカジノ事業者の疑惑への調査をどこまでできるのかという点については、先ほど田嶋理事が答弁いたしましたとおり、世界的な監査法人であるEY新日本有限責任監査法人とアドバイザリー契約を結んでおりまして、その協力を得ながらカジノ免許を取得する上での欠格事由等が存在しないことを確認しているわけでございます。追加されるかもしれないコンソーシアムの構成員の企業に対しても、当然きちんと調査をして、問題のある企業は入るのをやめてもらうということになるわけでございます。

 また、資金調達の確実性の問題についても、一般論として、いわゆる融資確約書といった資料を、言わば地方予選の段階において都道府県等に提出することは非常に高いハードルであったことなど、先ほど田嶋理事から丁寧に説明をしたとおりでございまして、この時点で100点を取る必要はなくて、私は選定の過程に何ら問題はないと考えております。

 これまでの答弁を聞いた上で無理があるという指摘でございますけれども、具体的にどの部分に問題があって、どこが間違っているのか、もしそう主張されるのであれば、理由とともにまず明確にしてもらいたいなあと私は思います。それをせずに、選定過程には問題があり、その決定には無理があると主張されるのはどうかなあというふうに考えるわけでございます。今までの質問と答弁を聞いて無理があると主張される人は、ひょっとしたら説明には常に耳を塞いでいるのではないかと世の中の人は思うのではないでしょうか。

 奥村議員におかれましては、仮に党中央という上位の機関がそう決定されたとしても、それに盲従するのではなく、和歌山県人であるならば、長期に衰退をしてきたこの和歌山県が、将来さらに一層衰退していかないように、雇用機会と所得増進機会をなくしてしまってよいのか、自分の目と耳で、よく考えてくださると幸いであると私は思います。

○議長(森 礼子君) 奥村規子君。

  〔奥村規子君、登壇〕

○奥村規子君 大変失礼な答弁だったと思います。これまで質問してきたことについて疑問や、お答えしていただいたことには、本当に県民の皆さんの声とともに、やはりまだまだはっきりしない点が多々あると思います。その点について説明を求め、やってきたわけですけども、そういった点について何に無理があるとお考えなのかと言われても、質問をしている中で、きちっと聞いていただけていないということに非常に残念だと思います。

 クレアベスト1社となった段階で審査して選定したことについて、5月18日の知事の記者会見では、選定しない可能性も否定していません。その適格性やコンソーシアム構成員、また資金の担保など、選定する上で様々な問題があることを聞いてきました。問題ないと言われましたが、その審査の中身や検討の経過は十分に公表されていないわけです。このことは県民に知らせるべきことだと思います。選定に至った経過は全て公表されるべきです。

 県という地方自治体がカジノというギャンブルに県の発展をかけるという、それこそギャンブルを打つようなことは、絶対にやってはいけないと思います。ギャンブル施設を誘致して和歌山県を荒廃させてしまったときに、知事をはじめ県幹部が反省しても取り返しがつきません。和歌山県民の暮らし、経済を発展させる力は、今の和歌山県が持っている産業、歴史、文化、風土の中にこそあると考えています。

 また、コロナ禍の中、県民の命と暮らしを守るために、感染拡大や医療体制、また、大変な営業への直接支援などに全力を尽くすことが求められています。そのことこそ地方自治体の仕事だということを強く訴えて、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)

○議長(森 礼子君) 以上で、奥村規子君の質問が終了いたしました。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 23番佐藤武治君。

  〔佐藤武治君、登壇〕(拍手)

○佐藤武治君 皆さん、おはようございます。

 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、私の一般質問をさせていただきます。

 冒頭、新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになられました方々に心からお悔やみを申し上げますとともに、治療中の方々にお見舞いを申し上げ、一日も早い快癒を願うものであります。

 また、医療や介護、保育、運輸や物流など、それぞれの現場で私たちの生活を支えてくださっておられますエッセンシャルワーカーの皆様、その御家族の皆様にも改めて感謝を申し上げます。そして、大きな影響を受けている事業者の皆様をはじめ、県民の皆様には、一日も早く元の日常が戻ることをお祈り申し上げます。

 さて、その新型コロナウイルス感染症の拡大を抑える切り札となるであろうワクチン接種が、医療従事者から高齢者等を中心に全国で始まっていますが、本県においては、和歌山市をはじめ各市町村がそれぞれの立場で最もふさわしい方法を考え、県と協議した上で、しっかりと準備を進めてこられたことが功を奏し、全国トップ水準で接種が進められております。県当局、各市町村、医師会などの関係各位に感謝を申し上げるとともに、接種希望者の方々に一日でも早く接種が進みますよう、引き続き御努力をお願い申し上げます。

 それでは、一般質問に移ります。

 今回は、3月25日に新聞紙面等で公表され、本議会にも関連する補正予算案が計上されております有田警察署と湯浅警察署、新宮警察署と串本警察署をそれぞれ統合し、現在の14の警察署を12の警察署に再編することを柱とする警察署再編案について質問をいたします。

 平成30年7月に、県内各界有識者で構成する次代に対応する和歌山県警察を考える懇話会が設置され、議論が重ねられた結果、令和元年7月に提言書がまとめられております。その提言書の中で、人的基盤の強化、物的基盤の強化、高齢者対策等々の各項目に関する提言に加え、限られた人員で最大限に警察機能を発揮するためには、新たな技術等を活用した業務の効率化や警察署の再編・統合による事案処理能力の維持・向上など、これまでにない抜本的な組織改革が必要であるとの総括が記載され、県民の安全と安心を実現するために、県警察が一丸となって今後の在り方を検討し、一つでも多くの取組が実現されることを期待すると結ばれていたとのことであります。この提言を踏まえつつ、県警は、令和2年3月に和歌山県警察機能強化推進計画を策定し、その取組を進める中で、令和3年3月25日に警察署等の再編(案)が公表されました。

 統合・再編の対象となる私の地元、串本警察署管内では、即座に大きな反響がありました。翌3月26日には、串本町議会で全員協議会が招集され、同議会議員からは、「警察署の配置、ここは管轄する地域の人口や犯罪件数だけではなく、その面積も考えるべき」との意見や、「警察署統合により地域の過疎化が加速するのではないか」、また、「警察と各町消防との連携が低下するのではないか」との懸念の声があったとのことであります。

 4月16、17日には、警察官友の会、警察署協議会を対象とした説明会が串本警察署にて、また4月28日には、古座川町・串本町民を対象にした説明会が串本町文化センターにおいて開催されております。参加された各組織の会員、町民からは、串本警察署の統合について反対の立場からの意見が多くあったと承知をしております。

 私も16日の警察官友の会への説明会に参加をさせていただきました。説明会は、テレビ和歌山の番組での警察本部長の説明を視聴した後に、参加者からの質問や意見を伺い、それに答えるとの形で進められてきましたが、参加者の多くは突然の発表に困惑し、また、一部誤解や誤認もあるようでありましたけども、治安や住民サービスの低下など、統合への不安を口にしておられる方が多かったと思います。

 私も住民からの御支援をいただき、本県議会に送っていただいた身であります。今回は、住民の皆さんから寄せられた不安や御意見を基に質問をさせていただきますので、地域住民の方に御理解いただけるような丁寧な御答弁をお願いいたします。

 説明会の参加者からも質問があったかと思いますけども、テレビ放送での説明を見ると、地震、津波により串本警察署が被害を受けて警察機能が失われるから、もう統合すると感じておられる方もおりますし、また、串本警察署管内における刑法犯罪の認知件数の低下なども統合の要因と考えておられる方もおります。

 まず、今回の警察署等の再編(案)を策定するに至った経緯と再編案の概要や理由について、警察本部長にお伺いをいたします。

○議長(森 礼子君) ただいまの佐藤武治君の質問に対する答弁を求めます。

 警察本部長親家和仁君。

  〔親家和仁君、登壇〕

○警察本部長(親家和仁君) 警察署再編の経緯や概要等について御質問をいただきました。丁寧に説明したいと考えておりますので、答弁が少し長くなることを御容赦いただきたいと思います。

 それでは、お答えいたします。

 県警察においては、社会情勢の進展や治安情勢の変化等を見据え、今後取るべき対応や対策について検討するため、平成30年7月に有識者から成る次代に対応する和歌山県警察を考える懇話会を設置し、意見を求めたところ、同懇話会から、令和元年7月に和歌山県警察の在り方についての提言をいただきました。その中で、現状の限られた人員で最大限の警察機能を発揮するため、警察署の再編・統合による警察署各部門の処理能力の維持・向上、警察署間の負担格差の是正及び夜間体制の強化など、これまでにない抜本的な組織改革を行う必要がある旨が示されたところです。

 この提言を受け、県警察においては、令和2年3月に和歌山県警察機能強化推進計画を策定し、警察本部や警察署の機能強化に向けた取組を進めており、今回の組織再編案は、この一環として策定したものであります。

 続いて、組織再編の概要や理由について御説明いたします。

 現在、和歌山県内では14の警察署が30の市町村を管轄しております。和歌山市内に和歌山西、東、北の3警察署がありますので、11の警察署が和歌山市以外の29の市町村を管轄しているのが現状であり、この状況は約50年間変わっておりません。

 しかしながら、近年、地域の人口分布に変化が見られる中、刑法犯認知件数や交通事故発生件数が大幅に減少しており、警察署で勤務する警察官1人当たりの負担も警察署間で大きな差が生じております。一方で、DV、ストーカー、児童虐待等の人身安全関連事案や新たな局面を迎えたテロ対策など、新規の課題への対応が強く求められています。

 このような状況の下で、県下の警察署を見渡し、犯罪や事故の発生件数、地理的状況、地震や津波が発生した場合の警察署の業務継続性の確保などの観点から総合的に検討した結果、令和4年4月に所要の組織再編が必要との結果に至ったところであります。

 その概要につきましては、有田警察署の管轄区域を湯浅警察署の管轄とする。

 串本警察署の管轄区域のうち、串本町、古座川町を新宮警察署の管轄とし、すさみ町を白浜警察署の管轄とする。

 有田警察署と串本警察署の庁舎については、それぞれ湯浅警察署、新宮警察署の分庁舎として存続させ、日中は、風俗営業の許可、遺失物や拾得物の取扱い、困り事の相談などに対応する。

 田辺警察署の管轄区域のうち、上富田町を白浜警察署の管轄とし、西牟婁郡内の自治体を全て白浜警察署の管轄とする。

 そして、いずれも所属名は仮称ですが、警察本部に、DV、ストーカー等を専門に取り扱う人身安全対策課、テロ対策等危機管理の司令塔となる警備企画課を設けるというものであります。

 警察署の統合の理由について、もう少し詳しく説明いたしますと、警察署ごとの警察官1人当たりの年間処理件数は、刑法犯認知件数について見ると、平均が2.7件であるところ、有田警察署が1.3件、串本警察署が1.2件と他の警察署に比べて少なくなっております。交通事故発生件数についても、平均が1.1件であるところ、有田、串本両警察署は0.5件と少なく、110番通報の受理件数についても、平均が35.2件であるところ、有田警察署が16.8件、串本警察署が14.9件と少なくなっております。

 負担を平準化するには、負担が少ない警察署の人員を減らせばよいわけですが、そうすると別の問題が生じます。警察署の人員のうち、警察署長や課長等の幹部は減らすことはできず、また交番や駐在所は、地域の最前線で住民の安全を守っており、ここも減らすことはできません。そうなると、減らすことができるのは、各種捜査や交通事故の処理等に当たる実働部隊になります。

 こうした実働部隊の人員を減らすと、規模が小さな事案には対応可能ですが、大きな事案、例えば、人手がかかる事案や継続的に内偵捜査あるいは警戒が必要となる事案などには、警察署単独の体制では対応が難しくなります。住民の皆さんが不安に感じる事案に対して、十分な警察力を投じることが困難になるということであります。交番、駐在所以外で考えると、近くに少数の警察官がいるよりも、少し離れたところであっても、多くの警察官が控えており、ここぞというときに迅速かつ柔軟に対応できるようにしたほうが早期の犯人検挙、継続的な警戒活動の強化等が期待でき、地域の治安維持にとってメリットがあると考えております。

 こうしたことに加え、有田警察署にも同様の問題がありますが、特に串本警察署に関しては、津波被害発生時の警察署機能の維持を考慮する必要があります。東日本大震災後の想定によれば、南海トラフ巨大地震で串本町は短時間で大きな津波被害にさらされ、串本警察署周辺は5から10メートルの浸水が予測されています。こうした大きな津波が発生した際、串本警察署の車両や通信機器等の装備資機材は流出または浸水により使用不能となり、警察署の機能は完全に失われてしまいます。今回の警察署の統合は、こうした事態を防ぐという意味もあります。

 このような検討を行った結果、先ほど申し上げた組織再編を令和4年4月に実施する必要があるとの結論に至ったところであります。

 そして、今回の組織再編案の公表までの経緯について、簡単に御説明いたします。

 県警察においては、昨年10月までに外部に示す組織再編案を固め、11月以降、順次、住民の代表である関係自治体の首長等に内々に説明を行ってきたところです。また、今年に入ってからは、関係警察署の警察署協議会のメンバーや警察署運営に対する関心が高く、様々な側面で御協力をいただいている警察官友の会のメンバーなどに順次説明し、理解を求めてきました。

 その後、本年3月25日から4月23日にかけて、和歌山県県民意見募集手続実施要綱に基づき、パブリックコメントを実施いたしました。「パブリックコメントにより初めて警察署再編の話を知った」、「事前に説明してほしかった」といった困惑の声が住民から出ていることは承知しておりますが、今回の組織再編には、関係する自治体が複数あり、関係者も一定数存在することから、これらの方々に同時に説明することは事実上難しい中、県警察においては、説明時期の後先によって無用の混乱が生じることのないよう、パブリックコメントの機会にマスメディアの力を借り、再編案や県警察の考え方を広く示すことが最善であると考え、今回のような流れとしたところであります。

 この点に関し、「決まってから示されても遅い」、「決める前に住民等に説明するべきだ」との意見も承知しておりますが、組織として、内部で検討段階の案を軽々に住民等に説明することは、かえって住民等を軽視するものであり、混乱の原因となるのではないかと考えております。県警察内で熟慮した結果、住民のためになると考えたことから、内部手続を経て正式に県警察の考え方をお示しするに至ったところであります。何とぞ御理解をいただきたいと思います。

○議長(森 礼子君) 佐藤武治君。

  〔佐藤武治君、登壇〕

○佐藤武治君 答弁、御丁寧にありがとうございます。

 今、経緯とか概要、理由を説明していただきました。今回の経緯については、当初の説明よりもよく分かりました。それで、再編の概要、理由についても、新たな局面を迎えての対応が必要になったというようなことでありますし、また、大きな事案等については、単独の体制では対応が難しいから、統合したほうの体制が迅速かつ柔軟にできますと、こういうふうな治安維持にとってもメリットがあるよというような説明であったかなと思いますので、そこについてはどうも説明ありがとうございます。

 続きまして、次の質問に移りたいと思います。

 続いては、住民の多くの方が抱いている治安の低下、事件・事故発生時の初動対応への不安について質問をいたします。

 4月28日の説明会では、警察署統合後も、日々の治安水準は絶対に低下をさせないとの説明があったかと思います。一方で、新宮警察署と統合となった後の串本分庁舎に配置される人員は半分になるとされておって、パトカー1台を増強し、パトロール活動を強化するとのことでありますけども、やはり配置される警察官が減ると治安が低下するのではとの懸念、不安が拭い切れておりません。

 現在の串本警察署の警察官の配置数が、統合後の串本分庁舎では約半分になると、それにより、治安水準は低下することはありませんか。

 地域の治安維持のみならず、福祉的な機能も担ってくださっている交番、また駐在所についても、住民の関心の高いところであります。現串本警察署管内のすさみ町、古座川町、串本町にある交番、駐在所は引き続き存在させ、津波被害が想定される交番、駐在所については、安全を確保しつつ、より機動的かつ実効ある活動が行えるよう運用するとのことでありますが、現体制のまま存続するのですか。夜間の体制についてはどうなるのでしょうか。安全確保や運用方法を検討の結果、やはり廃止しますということはありませんか。また、再編・統合の議論とは別に、津波被害が想定される交番、駐在所の高台等への移転は、現状、検討されてはいないのでしょうか。

 古座川町は、平成の市町村合併前には、県下で一番広い面積の町であり、現在でも2番目の広さの町であります。古座川とその支流、そのまた支流沿いに小さな集落が点在しております。道路事情も決してよいとは言えず、現在でも、串本警察署から古座川町の松根地区や平井地区には1時間ほどかかります。新宮警察署からとなると、それ以上の時間を要することとなると思いますが、事件・事故発生時の初動対応については、現在の水準を低下させることなく的確に対応いただけるのでしょうか。

 以上、治安の低下や分庁舎、交番、駐在所の体制、初動対応への懸念等について、警察本部長にお伺いをいたします。

○議長(森 礼子君) 警察本部長。

  〔親家和仁君、登壇〕

○警察本部長(親家和仁君) まず、串本警察署に配置される警察官が約半分になり、治安水準が低下することはないのかという御質問についてですが、串本町や古座川町の治安を守る警察官が現状の半分になるというのは、事実ではありません。

 まず、住民の身近で日常の治安維持に当たっているのは、交番、駐在所の警察官やパトカーで警戒に当たっている警察官となりますが、これらの警察官の体制や運用については、再編後、より強化することを考えております。

 また、現在、串本警察署は、署長以下55人体制で串本、古座川、すさみの3町の治安を守っていますが、再編後、串本、古座川両町の治安維持については、統合により約100人から140人に体制が強化される新宮警察署が担当することとなります。そのうち一定数の警察官は、分庁舎として存続する串本警察署の庁舎に配置することとしており、串本、古座川両町に存在する交番、駐在所の警察官と分庁舎に引き続き配置する警察官の数を機械的に足した数を見ると、現状の約半数になりますが、これらの者だけが両町の治安維持に当たるわけではなく、管轄する新宮警察署が全体として責任を持って両町の治安維持に当たることとなります。治安水準が低下することにはならないと考えておりますので、御理解をいただきたいと思います。

 次に、交番、駐在所の関係ですが、串本警察署管内の交番、駐在所は、再編時に廃止する予定はありません。引き続き、住民の身近で治安維持に当たる活動拠点として運用することとしております。

 ただ、再編の議論とは別に、また串本警察署管内に限らず、津波による浸水被害への対応をどうするかということは検討が必要となります。一般論として、公的機関の施設は津波による浸水被害を受けない場所にあることが望ましいことから、交番、駐在所についても、御質問にありましたように、高台等に移転させるということも一つの選択肢であり、今後検討していかなければならないと考えております。

 しかしながら、比較的狭い地域を管轄する交番や駐在所については、管轄内に津波の被害を受けない高台等が見当たらない場合や、そうした場所はあるものの地域の外れにあるなどの理由で、その場所は日常の治安維持業務を行うには必ずしも適当ではない場合もあります。

 こうしたことを踏まえ、津波による浸水被害を受ける地域において、勤務員やその家族の安全を確保しつつ、地域の治安を守るためにどうしたらいいのかということでありますが、その一つとして、夜間については、通常、勤務員も就寝していることから、勤務員を別の場所に引き揚げるよう運用を改め、当該地域については、夜間はパトカーにより警戒を強化するといったことも考えているところです。

 こうした運用により、交番、駐在所の周辺以外の地区にも警察の目が届きやすくなることから、当該地区の幅広い方に安心していただけることになると考えております。串本警察署管内の古座交番と和深、田並、大島の3駐在所については、津波による浸水被害が想定されておりますので、こうした考え方に基づき、当面の間、夜間においては勤務員を引き揚げ、パトカーによる警戒で対応することを考えております。

 もう一つ、初動対応への懸念についての御質問ですが、今回の再編案では、住民の身近で治安維持に当たる交番、駐在所については、先ほど申し上げましたとおり、全て存続させることとしており、これに加えて、パトカーを1台増強して初動体制を強化することとしております。このように、住民の皆さんが通常接している警察官は、警察署の統合後も変わらず皆さんの身近なところでパトロール等を行うことから、初動対応に特段問題はないと考えておりました。

 しかしながら、その後、佐藤議員等から地元住民の不安の声について何度も御意見をいただきました。県警察として、こうした御意見を踏まえ、またパブリックコメントでいただいた御意見も参考に真摯に検討した結果、当初案において示していたパトカーを1台増強することに加え、串本分庁舎に刑事と交通を担当する2人の警察官を24時間体制で駐留させて、初動対応に当たることを追加で考えております。

 このような形で、治安水準や初動対応のレベルを低下させることがないよう運用してまいりますので、御理解をいただきたいと思います。

○議長(森 礼子君) 佐藤武治君。

  〔佐藤武治君、登壇〕

○佐藤武治君 今、答弁いただきましたが、当初思っていた警察官が半分になるというのは、実は違うということであります。体制や運用面で、治安についてはより強化されるということで答弁いただきましたので、かなり安心したところです。そしてまた、交番、駐在所についても、再編時の廃止とか縮小はないという、現状でいきますということでありますし、ただ、津波の被害が想定される駐在所等については、今後検討いただけるというふうなことで理解させていただいていいですか。

 また、一番心配な初動体制についても、当初のパトカー1台は再編案にもあったんですが、その計画以外に、今回新たに2人の警察官を24時間体制で駐留をさせて初動に当たると、こういうふうな今答弁をいただきましたので、少し、より一層安心したところであります。よろしくお願いします。

 そしたら、次の質問に移ります。

 住民の皆さんが一番不安に思っていることは治安面ということでありますけども、串本警察署管内の刑法犯の認知件数は、平成13年390件が令和2年になると61件に、そしてまた、人身事故発生件数も176件が28件にまで減少しているとのことではあります。一方でDV事案や児童虐待事案、特殊詐欺、サイバー犯罪など、新たな形態の事案も後を絶ちません。犯罪防止のために、抑止力として警察の力は絶対に必要であると考えております。

 人員数の減少を補うために、例えば、機能強化推進計画にも、「犯罪の起きにくい環境整備の更なる推進に向け、自治体、教育機関、関係機関・団体等に対し街頭防犯カメラやドライブレコーダーの設置拡充を働き掛けることで地域の防犯力の向上を目指します」と記載されているとおり、防犯カメラや交通事故多発地への監視カメラの設置等、地元自治体等と協力しながら、それぞれの事案に応じた柔軟かつ効果的な対応を要望しておきます。

 私は、2月定例会において、今年度中にも予定されている民間小型ロケット打ち上げ時の交通渋滞対策と併せて、治安・防犯面での住民不安解消の取組についてお伺いをし、警察本部長からは、「パトロールの強化等必要な対策を講じることとしている」、また、「ロケットの発射にかかわらず、ふだんから地域住民の方々には不審者に関する情報提供を呼びかけるとともに、自宅や車、自転車への鍵かけ等、防犯に必要な情報発信を行い、犯罪の発生抑止に努めてまいりたい」との御答弁をいただいているところでありますけれども、統合後の体制においても、パトロールの強化やふだんからの地域住民への防犯啓発等の取組について、御答弁いただいた内容に変更はないものと考えてよろしいでしょうか、警察本部長にお伺いをいたします。

○議長(森 礼子君) 警察本部長。

  〔親家和仁君、登壇〕

○警察本部長(親家和仁君) 2月定例会で御質問いただいた際に答弁申し上げたとおり、ロケット発射に伴う交通対策や防犯対策につきましては、主催者、自治体等と緊密に連携を図り、適切に対処してまいります。

 こうした対応につきましては、警察署の再編の有無にかかわらず、しっかりと行ってまいりますが、あえて申し上げると、ロケットの発射場所は新宮警察署管内に近いところにあり、見学場も一部は新宮警察署管内に設置されることから、ロケット発射に係る各種対応は、再編後の新宮警察署において行うほうが効率的ではないかと考えているところでございます。

○議長(森 礼子君) 佐藤武治君。

  〔佐藤武治君、登壇〕

○佐藤武治君 今、答弁いただきましたロケット打ち上げ時、非常に地元住民の方々が本当に心配をされております。交通対策、防犯対策、本当によく私のところにも相談に来られることが多かったんですが、2月の定例会で警察本部長から答弁いただいたことをお伝えしたところ、非常に安心をしていただいているところであります。

 再編後のほうがより効果的になると、体制は充実するよということでありますので、このことについて、私も住民の不安解消に向けてまた御説明等をするわけですけども、ひとつ警察本部におかれましてもそのような対応を強くお願いをしておきます。

 続きまして、災害発生時の対応について質問をいたします。

 南海トラフ巨大地震のような大規模な災害が発生した場合の警察機能についても、多くの住民が不安を覚えております。南海トラフ巨大地震のような大規模災害発生時には、県内のみならず全国的な被害が予想されますが、昨今のコロナ禍の状況や地震、豪雨災害を見るにつけ、組織・体制面からは、集中、統合よりむしろ分散配置させたほうがよいのではないか、分庁舎とするよりも、署としての体制を残すほうが指揮命令的にも的確に行われるのではないかとも考えるところであります。

 また、新宮警察署から串本分庁舎への経路も被害を受け、新宮市と串本町や古座川町との往来も寸断されることが予想されます。このような事態となっても、本当に現在よりも警察機能は低下しないのでしょうか。分庁舎となっても、現在より災害発生時に即応できなくなることはないのですか。警察本部長にお伺いをいたします。

○議長(森 礼子君) 警察本部長。

  〔親家和仁君、登壇〕

○警察本部長(親家和仁君) 災害発生時の対応と警察署の再編についてお答えいたします。

 大規模災害発生時の警察署の役割については、被災直後のものとして大きく二つあると考えております。

 一つは、被災状況を把握して警察本部に報告することです。警察本部では、警察署からの報告に基づいて県下の被災状況を正確に把握し、関係機関と情報を共有の上、必要な支援につなげることとなります。

 もう一つは、応援部隊等の受入れです。大規模災害発生時には、警察署の人員だけで対応することは到底不可能です。本部機動隊や自衛隊等の応援部隊を素早く要請して、住民の皆さんの救助や復旧作業等を迅速に行うことが求められます。

 大規模な津波被害により、串本警察署の機能が喪失してしまえば、こうした重要な役割を果たすことができなくなります。

 また、被災後、しばらくたってからの役割も当然あります。被災後も住民の皆さんの生活は続きます。また、管轄区域内には、幸いにも被災を免れた地域もあると思います。串本警察署が機能を喪失してしまえば、こうした被災後の日常の治安を守ることも難しくなります。災害発生時に、近くに警察署があるほうが何となく安心できるという住民の気持ちは分かりますが、実際に、発災時の対応に当たる警察の立場から見ると、警察署が被災して機能を喪失してしまえば、先ほど申し上げたとおり、その警察署の管轄区域内での住民の救出や秩序の維持に向けた活動は相当困難となり、住民のためにもそれは避けなければならないと考えております。

 この点、串本警察署については、平成26年にサンゴ台に代替指揮所を設置しているので大丈夫ではないかとの声もいただきます。統合後の串本分庁舎には、串本地区の特殊性に鑑み、災害対策を担当する警察官を、幹部を除き、そのまま残し、最低限の初動対応を行うこととしておりますが、機能面、施設面を考慮すると、代替指揮所のみでは、住民の安全を継続的に確保するには到底十分とは言えません。いずれにしても、警察署は、津波等で被災しないところにあることが必要であると考えております。

 それと、新宮市と串本町等をつなぐ国道42号が機能しない状況になった際の懸念についてお答えします。

 地震や津波の被害により、国道42号が浸水や橋の崩落等により物理的に通行できない、あるいは寸断される状況になることが想定として考えられます。新宮市との関係で懸念が示されることが多いところですが、道路が寸断され、その先の地域への往来が困難になるといった事態は、串本警察署の管内においても起こり得るものです。

 こうした場合は、先ほど申し上げた分庁舎に引き続き配置する災害対策を担当する警察官を中心に、交番、駐在所の勤務員や近くで警戒等を行っている警察官が対応するほか、当該地域への別ルートがあれば、そちらからアプローチすることとなります。それも難しいということであれば、新宮警察署の調整の下、他府県警察から応援派遣を受ける機体も含めた警察の航空機による輸送のほか、自衛隊、海上保安庁等と連携した航空及び海上輸送により、被災地域に随時必要な部隊を投入することとなります。

 なお、再編の理由として大規模災害や津波被害を挙げると、大規模災害などいつ起こるか分からないと言う人もいますが、南海トラフでは、マグニチュード8から9の巨大地震が今後30年以内に発生する確率は70%から80%と言われています。しばらくの間は大丈夫だろうといった楽観視は許されません。今日、明日発生してもおかしくないとの前提で対策を講じる必要があります。したがって、今から手続を始めて、最も早いタイミングである令和4年4月の実施を考えているところです。

 また、こうした災害対策の観点からの説明について、東日本大震災から10年たってから言われても理解できないという声もいただいています。それはそのとおりです。本来は、東日本大震災後、すぐにでも措置すべきであったと思います。我々は、東日本大震災は特別大きな災害で、こうした大災害はそう頻繁にあちこちで起こるものではないとの希望的観測により、現実から目を背けてきた面は否めません。組織再編には、手間暇がかかります。しかし、これはどこかで思い切ってやらなければならないものであります。

 今回の警察署の再編は、こうした意味で、住民の皆さんの命を子の代、孫の代まで守るために必要なものです。ぜひとも早期の実現について御理解を賜りたいと考えております。

○議長(森 礼子君) 佐藤武治君。

  〔佐藤武治君、登壇〕

○佐藤武治君 答弁ありがとうございます。

 本当に心配される南海トラフ巨大地震でありますけども、今、高台にある代替指揮所以外に、串本地区の特殊性に鑑み、担当を残していただけるということでありますし、また、国道42号が機能しない場合でも、災害担当者を中心に、交番、駐在所の勤務員、他の警察官がしっかりと対応できるというふうにお答えいただきましたし、それ以外にも、航空隊や自衛隊、海上保安庁との連携、こういうことで対応してくれるということをお聞かせいただいた。少し安心をいたしました。

 先日、ちょっと日にちを忘れましたけども、潮岬の芝のほうで夜間訓練等を何か行ったような記事も載っておりました。いろいろと大災害時になると、予想もできないようなことが起こるかというふうに思いますので、そういう訓練等も日々しっかりと行っていただいて、災害時にはしっかり対応していただくように、ひとつよろしくお願いをしておきます。

 続きまして、行政サービスの低下への懸念、具体的に言いますと、運転免許証の更新業務について、再編案では、串本分庁舎では手続をすることができず、新宮運転免許センターでの取扱いになるとのことであります。また、パブリックコメントに寄せられた更新業務の継続要望に対しては、検討をしますとの回答となっております。

 串本町、古座川町は、県下でも高齢化の進展がいち早く進んでいる地域であります。原付免許しか持っていない高齢者も多く、新宮まで更新手続に行くのは、公共交通の不便さからも結構大変であると思います。今後、ますます高齢化が進む中で、高齢者の運転免許証返納といった課題もありますけれども、公共交通も貧弱なこの地域では、住民の日常生活に運転免許証は大変重要なものであります。細やかな配慮を、分庁舎における更新業務の継続をぜひともお願いしたいというふうに思いますけども、いかがでしょうか。警察本部長にお伺いをいたします。

○議長(森 礼子君) 警察本部長。

  〔親家和仁君、登壇〕

○警察本部長(親家和仁君) 運転免許証の更新手続は、3年から5年に1回のことであります。また、警察署で更新手続を行う場合は、どうしても申請時と講習時の2回の来署が必要となり、不便である一方、運転免許センターにおいては即日交付が可能となっています。こうしたことから、当初は、再編後の分庁舎において、あえて運転免許証の更新手続に係る業務を継続する必要はないのではないかと考えておりました。

 しかしながら、原付免許しか持っていない高齢者も多く、新宮まで更新手続に行くのは公共交通の不便さからも大変であるといった地元住民の強い要望があることを踏まえ、これは有田警察署についても同様の要望があったところでありますが、引き続き、それぞれの分庁舎においても運転免許証の更新業務を継続するよう再編案を改めることといたしましたので、今後、そのような形で周知を図っていきたいと考えております。

○議長(森 礼子君) 佐藤武治君。

  〔佐藤武治君、登壇〕

○佐藤武治君 ありがとうございます。

 この運転免許証の更新、再編案で改めて継続していただけるという100点満点の答弁をいただきました。本当にこの御意見、私も、説明会に参加された多くの方から、本当にこの問題は大変だなあと、これは本当に新宮まで行くとなったら、1日かかって、費用も費やして、免許の更新だけにこれは大変だなあというふうには本当に思っていました。こういうことで、地元で対応していただけるということでありますので、ここはまたしっかりと胸を張って住民の方に説明をするというか、周知をしていきたいと私も思っております。ありがとうございました。

 そしたら、次の質問でありますけども、今回の再編案が公表されて以来、私自身が一番懸念していることは、県警察に対する地域住民の信頼が崩れてしまう、そうではないかなと、こうして感じているところであります。

 串本警察署管内の地域は、他の地域よりも警察署に対する思い入れの強い地域であると、こう私は思っております。警察署というよりも、串本警察署や各交番・駐在所と言ったほうが正しいかもしれません。多くの住民が串本警察署や各交番・駐在所を頼りにして、それに応ずるように協力してきたとの思いが強い地域であるのだと思っております。串本警察署に関わる各種団体の活動を通じて、長い間に築かれてきた地域住民と串本警察署や各交番・駐在所とのある意味、家族的とも感じられる信頼関係、このことが地域の治安維持に最も重要な要素であるのだと思います。この関係を崩してしまってはいけないと思います。再編・統合後も、各種団体とはこれまで以上に連絡、連携を密にして、より緊密な協力関係を築き上げていってほしいと思っておるところです。

 ここまで幾つか質問をいたしましたが、最後に、警察本部長の再編に対する思いについてお伺いをいたします。

○議長(森 礼子君) 警察本部長。

  〔親家和仁君、登壇〕

○警察本部長(親家和仁君) 我々の中では、よく「一署懸命」ということが言われます。「一署」の「しょ」の字は警察署の「署」です。鎌倉時代の武士が命をかけて与えられた領地を守ろうとすることを意味する「一所懸命」、この「一所」の「しょ」は「所」という字ですが、この「一所懸命」にかけた言葉であり、警察署長が自署の管轄区域の治安を命をかけて守るという意気込みを表すものです。

 今回、串本警察署の再編関係で御質問いただいておりますが、同署の再編に伴い、管轄警察署が変更となる串本町、古座川町、すさみ町、そして、有田警察署、田辺警察署の関係で同様に管轄警察署が変更となる有田市、上富田町につきましては、新たに管轄することとなる警察署において、警察署長が責任を持って治安の維持を図ってまいります。治安に対する不安や要望、意見等があれば、新たに管轄することとなる警察署に遠慮なく言っていただきたい、このように考えております。警察本部としても、これらの地域の治安状況については、体制面その他について十分に目を配るつもりであります。

 また、私も今回の組織再編の説明をしていく中で、様々な方から「警察署があるから安心して生活ができている」、「交番、駐在所があるだけで安心だ」、「いざというときに頼りになるのは警察官だ」といった声を多数いただき、住民の方々にとって、いかに警察が頼りにされているかを改めて感じたところであります。こうした住民の方々の思いを組織として共有し、今後もしっかりと和歌山県の治安を守っていきたいと考えております。

 いずれにいたしましても、治安水準は落とさないよう全力を挙げますので、何とぞ今回の組織再編案について御理解をいただきたいと存じます。よろしくお願い申し上げます。

○議長(森 礼子君) 佐藤武治君。

  〔佐藤武治君、登壇〕

○佐藤武治君 今まで各質問をさせていただきました。本部長には丁寧かつ踏み込んだ御答弁をいただき、ありがとうございました。

 県警察の統合後も、治安水準や初動対応を低下させることがないよう進めていくとの決意を確認させていただき、住民の皆さんが抱いている、また私自身も抱いていた疑念や不安も収まったように思います。私も、今回答弁いただいた内容を地元へ持ち帰り、関係者にお伝えし、住民の不安や懸念の払拭に寄与したいと、こう考えております。

 人口減少が今後より一層進展すると予想されております。それに比例して、関係する職員数の削減や効率化の名の下に、県などの機関もさらに再編、統合、廃止が求められていくことも予想されます。このような中で、先般の県立高校の再編や今回の警察署の再編の問題も出てきたのだなというふうに思います。将来的には、同様に知事部局における出先機関の再編等も議論されることになるのではないかと、こういうふうにもまた予想をしております。

 人口減少が著しい我々の東牟婁地域では、ある意味仕方ないことだとの諦めや、見捨てられてしまうのではないかとの不安がある一方、県庁から離れていればいるほど、その地域の住民は、県の機関や県立学校、警察署への思い入れが強く、頼りにもすれば大事にしていることは、この地域へ赴任された経験のある職員の方々は実感されているのではないかと思います。今後、このような問題に当たっては、関係者への地ならしや公表の仕方、タイミングにも留意が必要ですが、これらの地域の方々の思いといったものを胸にとどめておいてほしいと切にお願いを申し上げます。

 最後に、今回の質問を行うに当たり、地域住民の方から私の元へメッセージが寄せられています。このことをひとつ御披露したいと思います。「和歌山県警察に採用され、勤務されている警察職員の皆様、日夜、危険と隣り合わせの警察業務に精励されていますことに深く敬意を表しますとともに、感謝を申し上げます。これからも健康に留意されまして、地域住民の安全・安心な暮らしを守ることを第一とし、警察業務に邁進してください。和歌山県警察の皆様、いつもありがとうございます」というふうなメッセージでございます。

 これをもちまして、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(森 礼子君) 以上で、佐藤武治君の質問が終了いたしました。

 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。

 この際、暫時休憩いたします。

  午前11時46分休憩

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  午後1時0分再開

○議長(森 礼子君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 18番玉木久登君。

  〔玉木久登君、登壇〕(拍手)

○玉木久登君 皆さん、こんにちは。

 質疑及び一般質問最終日、午後からの登壇ということで、最後は大先輩、井出先生が控えております。精いっぱい務めてまいりたいと思います。どうかよろしくお願い申し上げます。

 今回は、要望1点、それと3項目について質問をいたしたいと思います。どうか最後までよろしくお願い申し上げます。

 それでは、議長のお許しを得ましたので、早速入りたいと思います。

 1項目め、和歌山県警察における警察署等の再編(案)についてであります。要望であります。

 3月25日、和歌山県警察から、有田警察署、串本警察署に係る再編計画案が公表され、パブリックコメントにより、広く意見を求めることになりました。その後、新聞等の報道で、「再編、統合」の文字が先行し、署がなくなるなどの臆測が広がり、再編対象地域の住民からの問合せや不安の声が今なお届いています。

 また、和歌山県警察が示した再編に関する想定問答では、住民サービスの一部を今後は執り行わないと明記していたことから、多くの住民から不満の声が上がり、果てには、「住民の考えなど聞くに及ばずか」と、不信感にまで発展しているのが現状です。

 そのことを受け、和歌山県警察は、協力団体や住民への説明会の開催、市町の代表者との協議を重ね、誤った情報や認識に対応するとともに、再編の必要性について説明を重ねてまいりました。

 今回、佐藤議員による再編内容に関する一般質問に対する警察本部長の答弁内容は十分理解できるものとして受け止めています。

 しかしながら、地域の安全・安心は警察と地域住民との相互理解と信頼の下、治安は維持されるものであり、刑法犯認知件数や交通事故件数等が少ない有田警察署、串本警察署においては、その相互力によるものと言えます。

 そのことを踏まえ、住民に対して十分な理解が得られるように、本日示された改正案を基に、地域への懇切丁寧な説明を重ねていただくよう強く要望いたします。真摯な対応に期待いたします。

 今回、有田市を代表して、有田市長、有田市議会議長、有田市連合自治会長、紀州有田商工会議所会頭の連名による要望書が提出されています。

 本日、議場にも配付されております。

 内容については、再編計画実施後も初動捜査の機動力を落とさず、これまでどおりの治安状況を維持すること。運転免許証の更新手続を継続するなど、住民サービスの低下を招かないこと。再編後の警察署の名称は、有田地域全体を管轄するにふさわしいものとすること。長期的な計画においては、有田地域での地理的条件を踏まえて最適な場所へ警察署庁舎を建て替えること。

 以上を強く要望いたします。

 最後に、県内の各市町村は、首長を中心として、少子高齢化が進む中、懸命に努力し、昼夜を問わず町の発展に努めています。また、和歌山県警察も、昼夜を問わず、県民の財産を守り、皆が安心して暮らせるよう懸命に働いてくれています。互いの信頼がなくなり、互いの気持ちが相反することになれば、この再編自体が本末転倒になってしまいます。分庁化とはいえ、その対象地域の住民の思いを大切にしていただきたいと思います。そして、安心・安全なまちづくりを今までと変わることなく、共につくり上げてまいりましょう。

 以上、要望といたします。

 続きまして、それでは、ここから質問に入ります。

 大項目2番、県立高等学校の望ましい在り方について。

 小項目1、高等学校教育の充実と改善についてお伺いいたします。

 もとより、各高等学校それぞれ学びの場として、伝統と校風の下、今があることは言うまでもありません。

 しかしながら、少子化による生徒数の減少により、各校本来の伝統や校風など、あるべき姿が生かされているのかと、ふと考えてしまいます。

 県教育委員会は、今ある32校を充実させ、可能な限り存続させることを前提としながらも、より特色を有し、質の高い学びを保障する高等学校の整備と再編を視野に入れた課題解決に取り組んでいます。

 地域とのつながりや歴史を考えれば、今ある32校の存続が望ましいと考えますが、その観点を重視し、物事を進めていくのでは、課題解決には至らないと考えます。その点からも、私自身は、前向きな再編は進めるべきであると考えます。

 とはいえ、拙速では意味がなく、時代のスピードに遅れることもなく、先見の明を持った再編へのプロセスを示すことが、進学を控えた子供や保護者への夢と安心をもたらすのではないでしょうか。

 そのためにも、今後、自宅から通学可能なところで、活力ある高等学校づくりを目指すに当たり、子供たちの夢や希望がかなえられるような高等学校教育を提供していくために、どのような考えをお持ちなのか。また、偏差値が色濃く進学に影響を及ぼしているのも事実であり、どのように捉えているのか。今後の考え方について、教育長にお聞きいたします。

○議長(森 礼子君) ただいまの玉木久登君の質問に対する答弁を求めます。

 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 生徒の心身の成長や多様性という点から、高等学校の選択において、偏差値に過度にとらわれないほうがよいと考えます。生徒が一面的な指標にとらわれず、主体的に高等学校を選択できるようにするためには、高校入学者選抜の在り方の研究や、中学校での進路指導の充実とともに、魅力や特色を備えた高等学校の整備が必要です。

 このことに関して、4月に実施した「どのような高校が必要か」という意見募集において、県民の皆様からは、おおむね1時間以内を通学圏内としつつ、多様な学び方と進路希望の実現、専門性の高い授業、ICTの活用、活発な部活動、多くの生徒との交わりなどを期待する声が寄せられています。

 県民の皆様からいただいた御意見は、質の高い教育や多様性への対応、活力を備えた高等学校の充実ということに収れんされるものと考えておりますが、それは生徒数の減少が続く中で容易なことではありません。

 しかし、和歌山県内の高等学校でしっかりと学び、成長できるという期待と、それぞれの地域で充実した高校教育が保障されるという安心を実感できるようにしてまいります。

○議長(森 礼子君) 玉木久登君。

  〔玉木久登君、登壇〕

○玉木久登君 教育長から御答弁をいただきました。

 学力というのは本当に必要だと感じています。しかしながら、偏差値のみで高校を選ぶこと、これは変えていかなくてはならないのかなと私は思っています。個性を生かし、学びたいことに特化した点を評価して受け入れられることができる高校が望ましいのではないかと思います。全ての教科の平均点を上げることより、得意なことを伸ばすことができる高等学校の再編整備をお願いしたいと思います。

 小項目2番に移ります。

 義務教育課程と県立高等学校との連携の状況についてお伺いいたします。

 各高等学校の特色を示すことは、子供たちの進路に大きく影響することはもちろん、選択の幅を広げることになります。

 2003年(平成15年)には、和歌山県全県1区となり、より選択の幅も大きく広がったのではないでしょうか。それに伴い進路指導の在り方も工夫され、多様性への対応もされてきたのではないかと考えます。

 しかしながら、それ以降、地元有田地域を振り返ると、公立、私学を問わず、和歌山市方面である北への志向が顕著に表れ、現在、地元有田3校の魅力をどのように伝えるか、課題の一つになっているんではないかと考えています。

 そこで、それぞれの地元の県立高等学校と中学校との連携や交流など、どのような取組がなされているのか。また、各高等学校の魅力や特色に関する情報がどのような形で進路指導に生かされているのか。義務教育課程、とりわけ中学校との連携の重要性に鑑み、教育長にお聞きいたします。

○議長(森 礼子君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 県立高等学校は、義務教育課程との連携や交流を通じて、自校の特色や魅力を伝えようとしています。

 例えば、各県立高等学校では、体験授業や施設、クラブの見学等を行う体験学習を実施するとともに、部活動での中高の連携や、小学生への読み聞かせボランティア活動に取り組んでいます。

 また、県教育委員会は、職業系専門学科や総合学科での学びと、高等学校卒業後の就職等を意識できるように、冊子「和歌山で学ぶ・働く」を作成し、全ての中学生に配布しています。

 しかしながら、これらの情報提供や説明は一方通行となりがちで、高等学校での学びや生活について、中学生の目線で理解できる工夫や双方向の情報共有に課題があります。

 今後、各高等学校がどのような生徒を求め、どのように育てるのかというスクールポリシーを明確にすることと、それに併せて、高校入学者選抜の在り方や中学校の進路指導を変えていくことで、中学生の高校進学の動機づけを深め、主体的な高校選択につながると考えます。

○議長(森 礼子君) 玉木久登君。

  〔玉木久登君、登壇〕

○玉木久登君 答弁いただきました。

 将来の就職を意識した進学への取組がされているという御答弁の内容ですけど、いいことだなと感じます。その意識を育むこと、これが中学校でどれだけ重視して取り組んでいるのか、そのことを少し感じてしまいます。大半の生徒は、まずは高校に入ること、これが優先ではないかなと思います。中学校では逆に、進学を望む全ての生徒が高校に受かるよう進路指導を行っているのではないかと思います。それは言い換えれば、やはり偏差値による振り分けではないのかなと思います。個々の成績の多様性、これに対応するには、そうせざるを得ないのが現状なんかなと、そうも感じます。

 受皿となる高等学校が多様性に対応し、そのスクールポリシーが鮮明になれば、義務教育課程との密な関係が構築できるのではないかなと考えます。

 今後は、義務教育課程への各高等学校、ここからのより一層の働きかけに期待をいたします。

 次の項目に移ります。

 小項目3、地域に愛される高等学校とはであります。

 地域から愛される高等学校、地域から見た今の高校生に思うことは何なんでしょうか。また、高校生は、その地域や地域の人々のことをどのように捉えているのでしょうか。大変興味深く思っています。

 少子化の流れの中で、当たり前であった高校生の通学風景が少しずつ変わりつつあることを肌で感じている方も多いのではないでしょうか。

 地域の寄せる期待としては、若者との交流を深め、地域の課題解決の一役を担ってもらうなど、多種多様なようであると思います。

 最近では、高校生も地域活動への積極的な参加への意欲も多く見かけるようになりました。そのきっかけとして、登下校時のお互いの挨拶なども重要な要素かもしれません。

 また、高齢化社会の中で、地域の高校生は今後大きな役割を担うかもしれません。逆に、地域も学校の抱える課題に積極的に参画していくべきではないかと考えます。

 その意味から、双方の課題解決には、地域から愛される高等学校、地域が支えたくなる高等学校でなくてはなりません。その点について、お考えを教育長にお聞きいたします。

○議長(森 礼子君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) これからの学校には、社会に開かれた教育の実現や、地域と共にある学校への転換等が求められています。

 本県では、コミュニティ・スクールを強く推進しており、地域との連携を深めているところではありますが、高等学校における地域連携については、より充実、発展させるべき点があると考えています。

 地域に愛される高等学校とは、地域社会の一員として地域に貢献し、地域の子供たちに憧れや期待感を抱かれる存在であると考えています。卒業生はもとより、保護者や地域住民が自信を持って子供たちに勧められる学校ではなくてはなりません。

 各高等学校の在り方については、伝統や実績のみならず、将来を見通した構想が必要であり、地域に真に愛される高等学校及び高校教育を創成していくために、県立高等学校の再編整備を着実に進めてまいりたいと考えております。

○議長(森 礼子君) 玉木久登君。

  〔玉木久登君、登壇〕

○玉木久登君 真の信頼関係が望まれるところです。今後ともよろしくお願いいたします。

 大項目3に移ります。

 きのくにICT教育(プログラミング教育)とGIGAスクールにおける今後のICT活用についてお伺いをしていきたいと思います。

 まずは、小項目1点目、県内小中高の各学校におけるプログラミング教育の状況についてお伺いいたします。

 2019年(令和元年度)からスタートした県教育委員会、きのくにICT教育事業では、コンピューターやネットワークの仕組み、これらを活用し進展している社会の動きについて、基礎的な知識を身につけさせるとともに、これらに親しんで使いこなすことができる力を育むことができるよう、県内全ての小・中・高・特別支援学校において、発達の段階に応じた体系的なICT教育を実施するとしています。

 今やプログラミングは多くの企業で活用され、欠かすことができない分野でもあります。私は、キャリア教育にも通ずると感じ、今後に期待しています。

 今回、その教育内容について、教育長にお聞きいたします。

○議長(森 礼子君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 本県では、きのくにICT教育として、全国に先駆けて、令和元年度より、県内全ての公立の小学校、中学校、高等学校においてプログラミング教育に取り組んできました。

 その結果、小学校から高等学校までを体系化した指導内容や、論理的思考力や情報活用能力の育成に資するプログラミング教育が定着してきました。

 しかしながら、より高度で実践的な授業を展開するためには、教員の指導力向上が課題と考えており、教員研修の実施やプログラミング教育支援員を学校に派遣するなど、支援体制を整えております。

 さらに、商工観光労働部と連携し、専門的で高度な知識、技術を学びたい生徒を支援するため、中学校、高等学校のパソコンクラブに県内のICT企業等から指導者を派遣する取組とともに、きのくにICTプログラミングコンテストなどを行っております。

 今後は、プログラミングに関する国家資格にまで挑戦するような子供を輩出できるよう、プログラミング教育をさらに充実させてまいります。

○議長(森 礼子君) 玉木久登君。

  〔玉木久登君、登壇〕

○玉木久登君 ありがとうございます。

 県内のICT企業との連携、将来の県内での重要な人材育成になると思います。今後も、どんどんビルドアップしていただきたいなと思います。

 高等学校の専門性、これを生かすには重要な取組の一つではないかなと思います。検討してもらいたいなと思うのは、専門学科として専門性を有する高等学校をつくっていくということの中では、やっぱり専門学科としてやっていってもらうこともいいのではないかと思いますので、検討もしていただきたいと思います。

 次、小項目2に移ります。

 コミュニケーションが苦手な子供たちのためのICTの活用についてお伺いいたします。

 学校生活の中で、友達や先生とのコミュニケーションが苦手であったり、うまく自分の考え、自分のことが伝えられないなど、悩みを抱える子供たちのお話をお聞きすることがあります。そんな悩みから、学校に行くのが不安となり、不登校の要因の一つになっているのではないかと考えます。

 そのことから、教育現場では様々な取組が行われていると思います。国の進めるGIGAスクール構想により、学校では1人1台のタブレット端末が整備され、いよいよ活用が始まります。

 さきの質問でお話ししたICT教育に活用されるのはもちろんですが、あくまでプログラミングを主とした教育での活用にとどまっているんではないかと思います。

 今回、このタブレット端末を活用して、コミュニケーションツールの活用ができないかと考えています。従来のSNSに代表されるLINEなどのコミュニケーションツールではなく、学校におけるタブレット端末を活用することにより、授業で分からないことをうまく伝えられないこと、そのことをしっかり伝えたり、友達にもより理解をしてもらえるなど、活用は可能だと思います。そのことにより相互理解も深まり、子供たちの友達への思いやりを養い、心の豊かさへとつながると考えます。

 コミュニケーションの苦手な子供たちへのICTの活用について、教育長のお考えをお聞きいたします。

○議長(森 礼子君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) コミュニケーションが苦手な児童生徒には、自分の言葉を選んで気持ちを伝えることや、会話の内容や周囲の状況を読み取ること、他者からの働きかけをうまく受け入れること、これらのことが難しいなど、普通の学習や生活での困難さが見られることがあります。ICTを有効に活用することによって、このような困難さを軽減し、学校生活等を円滑に行い、学習内容の理解を助けることが期待されます。

 例えば、音声言語ではなく、文字で考えをやり取りすることや、話し合う課題や内容を画面に表示することなどがICTを活用することで可能となります。

 昨年度末から、1人1台のタブレット端末が県内の小中学校で整備されたことで、効果的なICT活用の研究を進め、このような困難さが見られる児童生徒を支援してまいります。

○議長(森 礼子君) 玉木久登君。

  〔玉木久登君、登壇〕

○玉木久登君 教育長から答弁いただきました。

 答弁内容、私が言いたかったことというのを十分理解していただいて御答弁いただいたなと、ちょっと感謝しています。

 私が言いたいのは、発達障害をお持ちの子供、やっぱり最近多く耳にすることがあります。いろんな研究がされているとは思います。やっぱり学級支援員さんや学校支援員さんのマンパワーにも限りがある中、このICTを活用して、やはりコミュニケーションが苦手な、例えば発達障害がある子供さん、その方への活用をぜひ研究していただきたいと思います。

 保護者の方の一番の悩みというのは、やっぱり友達づくりであったり、また進学、それと社会人になってから、その子が活躍できる場であります。小学校の段階からしっかりとそのことを研究していただいて、和歌山の子が1人も脱落することなく、社会に羽ばたいていけるように研究を重ねていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 最後の大項目になります。

 四つ目です。新型コロナウイルス感染症の長期化による1次産業への影響についてであります。

 一つ目、コロナ禍における県内の農林水産業の状況についてお伺いいたします。

 新型コロナウイルスの感染拡大は経済に大きな影響を与え、外食産業、観光業は特に大きな打撃を受けているのが現状です。

 また、和歌山県の基幹産業である1次産業への影響も懸念されます。

 そこで、1年以上続くコロナ禍における農林水産業の最近の状況について、農林水産部長にお聞きいたします。

○議長(森 礼子君) 農林水産部長岩本和也君。

  〔岩本和也君、登壇〕

○農林水産部長(岩本和也君) 新型コロナウイルス感染症の長期化による県内の1次産業への影響についてお答えいたします。

 まず、農業についてでございますが、野菜や果物、食肉では、外食需要が減少したものの、内食等の需要が増加したことにより、また、花卉では、イベントや冠婚葬祭の中止等による需要の低迷が懸念されましたが、輸入花卉の減少などに伴い需給バランスが保たれていることにより、現在、市場価格はコロナ禍前と同等の水準となっております。

 次に、林業・木材産業につきましては、昨年4月以降、緊急事態宣言による営業活動の自粛や住宅設備機器納入の遅れから住宅受注が減少したことにより、木材需要が低迷したものの、9月以降、住宅着工戸数が復調するとともに、ウッドショックに伴う輸入木材の減少から国産材需要が高まり、現在、原木価格及び木材製品価格とも、コロナ禍前の水準を超える状況となっております。

 また、水産業では、訪日外国人数の減少や外出自粛に伴うホテル・飲食店向け需要が減退したことにより、マダイやアワビなど一部の高級魚介類で市場価格の低迷が見られるものの、巣籠もり消費の拡大により、シラスやマアジなどの小売店向けの需要は比較的安定した状況となっております。

○議長(森 礼子君) 玉木久登君。

  〔玉木久登君、登壇〕

○玉木久登君 最後の小項目に移ります。

 2番目、影響を受けた農林漁業者への支援策についてお伺いいたします。

 近況の答弁を受け、回復の兆しは現れているものの、今後の動向にはまだまだ不透明感があるのではないかと感じています。

 そこで、新型コロナウイルス感染症の長期化により影響を受けた農林漁業者への支援策について、農林水産部長にお聞きいたします。

○議長(森 礼子君) 農林水産部長。

  〔岩本和也君、登壇〕

○農林水産部長(岩本和也君) 農林漁業者への支援については、国等において運用される制度として、4月から6月の間に飲食店の休業・時短営業による影響を受けた事業者に支給される月次支援金制度をはじめ、売上金額が減少した場合等の損失を補塡する農業経営収入保険制度や漁業共済制度、社会的要因等による経営悪化に対し融資を行う農林漁業セーフティネット資金があり、県内でも推進を図っているところです。

 さらに、切り花など、国が指定した対象品目については、本年1月から3月の緊急事態宣言期間の販売実績が平年よりも減収となった農業者に対して、減収額の8割を上限として補塡される国の高収益作物次期作支援交付金も昨年に引き続き実施されており、市町村や関係機関と連携し、本事業の活用を図ってまいります。

 県といたしましては、これら国等の支援制度の活用に加え、コロナ禍の中で取扱量が増加しているインターネット販売を強化するため、初めてeコマースに取り組む農林漁業者への専門家派遣をはじめ、ウェブ用販売促進ツールの作成等に係る補助制度を創設するとともに、様々なコンテンツで県産品の魅力を伝え、購入することができるポータルサイト「おいしく食べて和歌山モール」の開設を進めるなど、農林水産物の販売促進に積極的に取り組んでいるところです。

 新型コロナウイルス感染症による1次産業への影響につきましては、引き続き注視していくとともに、必要に応じ迅速に対処してまいります。

○議長(森 礼子君) 玉木久登君。

  〔玉木久登君、登壇〕

○玉木久登君 部長から答弁いただきました。

 緊急事態措置、まん延防止等重点措置により影響を受けた事業者と取引のある全国の事業者を対象とした月次支援金ですね、これ、お話をよく伺う内容です。

 また、漁業者には、燃油、配合飼料など、価格上昇に対応した漁業経営セーフティーネット構築事業、こういうのもあります。市独自、町独自で漁業者に燃油購入費用を補助する支援を行っている自治体もあるということをお聞きしております。

 今後、国の支援策、より適切なものを今後も要望していっていただきたいなと思います。

 そして、県の取組についてですけど、先ほど部長から、ウェブ用販売促進ツール作成等への補助制度の創設というお話がありました。

 ちょっと漁業についてお話をさせていただきたいなと思います。県内各漁協、それぞれ販売ルートがあったりとか、過去からの仲買人さんとの取引等があって、なかなか直販というものが難しい、そういう現状もあるのではないかなと思っています。そういう点から、なかなかそれが全ての漁業従事者の、また漁協に当てはまるかというと、そうではないのかなと思っています。

 地元有田の有田箕島漁協で今取り組んでいる漁協直営の「浜のうたせ」という施設があります。これ、昨年、コロナ禍の中、5月末にオープンをしたんですけど、この1年間、大変売上げが好調で、今、箕島漁協の皆さんの本当に販売の柱になっている状況です。魚も安定して、最初は売れんかったけど、巣籠もりでスーパーとか家庭の中で消費が増えているので、そこそこ戻ってきているという話ですけど、やっぱり魚種によっては、もう全然値が上がらない、高級魚ほど値段が下落している、そんな現状にも直面していて、やはりそれぞれの漁協では苦悩をしているのではないかなと思います。

 その中で、浜のうたせ、漁協の直営店が好調であるというのは大変うれしいことではあります。だから、今後、この好調をキープするためには、いろんな施策を、取組ですね、漁協がやっていこうということで、土曜日もお話をいただいて、頑張っていこうやないかということで、いろんなお話もいただいています。

 そんな中で、県が執り行っているブルーツーリズムであったりとか、様々な施策をこういう新たな漁協の取組に講じていっていただき、県独自の支援策、これを強く要望してまいりたいなと思います。今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 以上で、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴どうもありがとうございました。(拍手)

○議長(森 礼子君) 以上で、玉木久登君の質問が終了いたしました。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 7番井出益弘君。

  〔井出益弘君、登壇〕(拍手)

○井出益弘君 最終の最終ですので、皆さん、早く終わってほしいと思っているか。

 今日は、ちょっと林業の質問をさせていただくことになったんですけど、その前に、皆さんの肩をほぐしてもらうために、私の幼き頃の、おしんのような過ごした時代のことを。

 といいますのは、私は、花園中学校、今の和歌山県伊都郡かつらぎ町花園──その前はかつらぎ町と合併してなかったんで伊都郡花園村やったんだけども、そこの出身でありまして、中学校を卒業してから住友金属の学校へ行ったんです。家が貧乏やったから、高等学校へ行くお金がないということで、それで中学校を出るまで山の仕事をたくさんさせていただきました。

 その当時は、女性というか母が日当400円、父が600円。私が手伝いに行くと、重たいもん提げたりするから500円という日当。そういう時代でありまして、そして山の手入れに行くときは、親も「おまえが大きくなったら、売れる木になって、売るときはすごい値段するんやから」ということで、なかなか日当をくれなくて、家の手伝いに行くのは日当なしで、よそのとこへ行くのは日当。

 そういう中で、高野龍神スカイラインのとこに私とこの山がありまして、花園村からずうっと歩いて、背中へ苗を負うて行ったり、なかなかいろんなことをするのが大変やったんです。

 それで、いろいろ、蜂の巣があってね、下刈りというのをやっとったら、木を植えたところを蜂に刺されたりね。谷の近くへ行くとマムシがおるんですよ。フキノトウをかんで何か歯を抜いて、子供を産むときとかに。あんまりこの話、長うなったらあれやけど。

 それで、これ最近困っている話が次にだんだんと。

 私、家族で、今もその山の木が大きくなって、もう70センチから80センチ、70前後ですね、そういう木になった。それで、僕も年、70を超したから、中学校の頃、何年かの木を植えとるやつが今そんな年齢になって、ちょうど山の谷川のとこに行くと、ワサビとかフキノトウとか、それからちょっと谷沿いにイタドリ、ごんぱちというんですかね、それ、おいしいです、何だかね。そういうのを取りに家族で年に1回か2回行くんですけども、最近、林業されておる方、この間からちょっといろいろ事情があって話をしたんですけども、「最近、気つけなあかんで。井出さん、うっかりいつものフキを取りに行ったりワサビを取りに行くときに、うっかりしていたらあかんで」と言うから、「何よ」と言うたら、マムシが殖えた、マムシが。それで蛇も何かなかなか──マムシが殖えたこと。それで「何でよ」と言うたら、豚コレラでイノブタが物すごく村でも減っていると、それで減ってある。そしたら、イノブタはあんまり僕好きと違うけど、あれ、マムシとか蛇を取って食うんやね。

 それで、「ああ、そうですか」と言って、そんな話まではまだよかったんやけど、娘3人おります、私ね。長女、次女、三女。その娘が、この頃、「お父さん、もう終活に入ってよ」と。俺、終活って就職の活動かと思ったら、終わりの活ですよ。何ということを言うかと。私、いろんなことまだやっているのに。

 ところが、何でかというと、山の通知がかつらぎ町からよう送ってくるんですよ。そしたら、なかなか山の際面とか分からへん。それで、そんなん相続されても、山が荒れているとか、どれたとか何か言うてきても、3人とも「山は要らない」と言うんですね。ショックですよ、これ、ほんまに。そんな時代になってもうてね。

 そこで、私がちょっと、以前からも、山林、林業、あるいは木を売れるようにということで、皆さんにも御協力いただいて、木を中国へコンテナいっぱいの見本を積んでいったりとかさせて。あのときは300万円ほど県から助成いただいて、本当に。だけど、あの後、本当に売りたいんやけど、うっかり山を売ったら、水源地とか大事なところ、外国へ売ってしまうと大変やとか、いろんなこともあるんで。

 そろそろ本題に入らせて。

 まず、1番目の和歌山県の林業政策についてであります。

 (1)で、外国人材の受入れについて。

 現在、木材業界ではウッドショック──昔、オイルショックってあったけどね。今、ウッドショックです、ウッド──と呼ばれる輸入材の不足が生じ、輸入材を主体として製材等を行っている事業者の方々は混乱しています。

 先日、山家議員の一般質問でも、紀州材の促進、林業就業者の確保について質問がありましたが、これらの原因は、アメリカ政府の大規模な金融政策による住宅金利の低下などの要因により、住宅需要が旺盛で、ベイマツ材を中心にアメリカ国内の需要が優先され、日本への供給量が減少していること。また、コロナ禍からいち早く経済回復を目指す中国での木材需要の急拡大により、ホワイトウッドなどヨーロッパ材の日本への輸入量が減少しているためであります。そして、これらの外材製品価格が非常に高騰しています。

 日本の木材自給率は年々上昇しているが、それでも製材用材では約50%は輸入材で、特に木造軸組み住宅で外材が使用されている割合は、はりや桁で約9割、柱で約6割、筋交いやたるきなどの羽柄材では5割と多く、外材が入ってこないと住宅の建設にも影響が出ています。

 それから、これまでの外材を扱ってきたプレカット工場などは、国産材へのシフトを検討し始めているとのことであるが、国産材の中でも生産量の多い九州材でもなかなか入ってこない状況にあり、工場の稼働率は通常の70%程度にまで落ち込んでいると聞いています。

 このような状況の中、和歌山県内の森林には、切り頃の杉やヒノキがたくさん植わっています。まさしく紀州材を売るには絶好の機会と思い、私も故郷で所有している森林の伐採を地元の山林所有者と一緒に森林組合にお願いしました。すると、「伐採する作業員がいないので、急な仕事には対応できない。早くても1年程度待ってほしい」と言われてしまって、その理由の一つには、1年先、2年先まで、どこの山の木を伐採するか予定が決まっているし、切るには県や市町村に伐採から伐採後の造林に係る計画など必要な書類を作らなくてはいけないが、書類を作成する事務職員がおらず、「すぐには対応することができない」と言っていました。

 このような理由もあるが、やはり林業の担い手不足が一番の問題であり、紀州材を増産したくてもできないということでありました。

 これまでも林業の担い手不足は大きな課題であり、和歌山県では、林業の担い手の育成、確保のため、平成29年に農林大学校に林業研修部を新設するとともに、都市部での体感セミナーの開催や就業相談会など様々な取組を行い、新規就業者の確保に努めていただいておりますが、まだまだ担い手が足りない状況にあります。

 私は、この件に関しても、中国の黒竜江省、一番ロシアに近いところ、そこのほうの林業大学を出て──中国はまだ国内で木を切ったらあかんという法律のまだ半分か、そのとき行ったら30年間、切ったら駄目やから、林業大学を出た人が就職に困っていると。

 それで、私も和歌山県のまず法務局の入管局へ行って、それから法務省の入管局にも、「農業研修生とか漁業研修生、カツオの一本釣りとか、いっぱい来ているのに、林業の研修生は呼べないのですか」と言ったら、呼べない。それで、いろいろ勉強させてもらうと、林業の種目については、林業のいろんな資格制度がないと。それで、林業の技能士3級、2級、1級というような資格の認定をできるような、例えば大学ですね、林業大学とか、そういうようなところでちゃんと教えて、そういう3級だったら3級という制度があるよといったら、もう、即、来れますと。研修生、受入れできますと。そういうことやったんです。それで、私、そういう研修制度をぜひつくってほしいと。

 いろんな、カツオの一本釣りってね、僕、「どんなことを勉強して一本釣りの技能士というんか、そんな話になるのよ」と言うたら、釣って後ろにぽんと放り込む、あれで半年間とか、ぱっと来れるんやからね。それで、後は、いろんなこと教えたらまた延長できるんですよ。

 それで、農業も同じです。農業も半年間は来れるけど、後はそういう研修で資格みたいなやつを取るという、そういうような制度になっているんで、ぜひお願いしたいということで。

 大分その話は、向こうもこっちへも可能性はあったんですけど、今ちょっと新型コロナになってしもうて、ちょっとお話、止まっておると。

 ですから、ぜひこれを和歌山初で、そういう技能士を受け入れるというようなこともできないかなと。

 知事は、なかなか先頭切って和歌山初とか、今回の新型コロナのことも、さすがというか。やっぱり今、関西広域連合の広域連合長ですよ。ですから、いろんなことをやっぱりリーダーシップを取っていただけると思うし、これは簡単ではないと思います。だけど、ぜひお願いしたいと。

 まず1回目の質問を終わります。(「これ、農林」と呼ぶ者あり)ちょっと待てよ。誰に言うてええんか。取りあえず、農林水産部長に答弁を。

○議長(森 礼子君) ただいまの井出益弘君の質問に対する答弁を求めます。

 農林水産部長岩本和也君。

  〔岩本和也君、登壇〕

○農林水産部長(岩本和也君) 林業における外国人材の受入れについての御質問でございます。

 林業就業者数の減少と高齢化が進む中、県産材の増産を推進していくためには、外国人材の受入れも一つの方策であると認識しております。

 現在、県内では、国が設けた技能実習制度を利用し、在留期間が1年の技能実習1号でベトナム人の実習生を受け入れ、苗木生産に従事させている例はありますが、現行制度では公的な技能評価制度が未整備であるため、在留期間が3年となる技能実習2号への移行ができず、十分な技能習得ができない状況です。

 こうした状況に対応するため、平成31年4月に、全国森林組合連合会をはじめとする業界7団体が林業技能向上センターを設立し、伐木作業を中心とした国家資格の技能検定制度を創設することで2号への移行が可能となるよう取り組んでいるところであり、林野庁においても制度の大枠について厚生労働省と協議中と聞いております。

 今後、このような国等の動きに注視しながら、県内林業事業体の意見を踏まえ、外国人材の受入れについて研究してまいります。

○議長(森 礼子君) 井出益弘君。

  〔井出益弘君、登壇〕

○井出益弘君 答弁ありがとうございました。

 簡単にはいかんか分からんけど、ぜひこれは努力して、受入れができる方向になるように、お互い、県議会も我々も要望活動したいと思いますし、ぜひ知事部局の皆さんにもお願いいたします。

 次に、2番目。1の(2)の林業振興に関する取組と今後の方針についてお聞きします。

 和歌山県の森林面積は、皆さんの御承知のとおり、県の面積の4分の3以上になり、大部分が民有林です。その民有林の約6割は木材の生産目的のために植えられた人工林で、切りどきである50年以上の人工林がたくさんあります。

 長期にわたり安価な外材が使われてきましたが、国産材の自給率は回復傾向にあります。しかし、国産材は輸入材に比べて1.5倍から2倍程度単価が高かった時代もあったが、今は概して国産材のほうが安くなっています。

 冒頭で説明しましたウッドショックについて、外国産材が不足し、国産材を使おうとする変化が起きています。紀州材の販路を拡大し、「木の国わかやま」を復活させる本県の林業振興の絶好のチャンスではないかと考えます。

 そこで、知事はこれまでも林業振興のために様々な施策に取り組んでこられましたが、これまでの取組と、現在のウッドショックの状況も踏まえ、林業振興について今後どのように進めていくのか。知事のお考えをお聞きいたします。

○議長(森 礼子君) 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 木材需要の低迷と就業者の減少、高齢化という苦境に長らく立たされてまいりました本県林業の振興に当たっては、公共建築物、合板工場、バイオマス発電等の新たな需要先の開拓や、森林ゾーニングにより生産性の向上に加え、農林大学校林業研修部の開講等を通じた優れた人材の育成及び新規就業者の確保に取り組んできたところでございます。

 その結果、素材生産量や新規就業者の増加など成果も少しずつ現れてきているところでございますが、まだ道半ばでございます。

 こうした中、議員お話しのとおり、ウッドショックにより、国産材の製品価格、原木価格が共に上昇している状況は、かつて木材で経済的繁栄を築いた「紀州・木の国」を取り戻す千載一遇の大チャンスの到来であると私も考えておりますが、長い間価格が低迷する中で苦労してまいりました林業局長などは、「興奮を禁じ得ない」と言っております。

 この機会を生かし、山主、森林組合等の林業事業体及び木材加工業者のいずれもが高収益を得られる、もうかる林業をつくることが肝要と思っております。

 そのためには、まず流通構造の抜本的な転換が必要となってまいります。これまでの原木市場を介した取引にとどまることなく、ICTを活用し、生産現場と買手等が直結した取引を可能とするマッチングの仕組みをうまく構築することで、県内外の新たなニーズを取り込んでいって、販売額を上げていくということが大事だと思います。

 今度は、そういたしますと、生産性を上げていかないといけませんので、高性能林業機械に加え、AIなどの最先端技術を活用し、伐採から運搬までの作業を一気通貫に自動化させ、省力化、低コスト化を実現して、これまた収益を上げていくということが必要だと思います。

 さらに、紀州材のさらなる高付加価値化が重要であることから、紀州材の特徴であるところの強さ、これを分かりやすくアピールすることを今年度ぐらいから始めておりますが、もっと拍車をかけていきたいと思います。

 こうした取組により、国内のみならず、海外での販路を目指せるような強い競争力も備わっていくのではないかと思っております。

 もうかる林業によって、林業就業者の所得の大幅な向上が図られますと、御指摘されたような林業従事者を取り巻く環境も変わってまいります。そうすると、好条件を提示できれば、多数の就業希望者が押し寄せる好循環が生まれます。これにうまく和歌山県も取り組んで、林業従事者の数も増やしていけば、ひいては山村地域の活性化にもつながるというふうに考えております。

 以上、申しましたとおり、チャンスを物にするように全力を尽くす所存でございます。

○議長(森 礼子君) 井出益弘君。

  〔井出益弘君、登壇〕

○井出益弘君 答弁ありがとうございました。

 なかなか難しいことですけども、どうもちょっとずつ可能性が出てきているなあというような気もします。

 朝ドラを見ておったら、林業のことが最近出るんですよ。それで、なかなかちょっと追い風になってきているか。ああいう機械の、これは自動で木をばっと切って倒して寸法に切って、ああいう皮もむいて、枝も取ってという、なかなかね。だから、宣伝みたいに、これ、知事、NHKに頼んだんでもないか分からんけど、割合テレビで、和歌山、追い風みたいな感じがするので、ぜひまた御尽力いただきたいと思います。

 次に、最終の2番目の質問に入ります。

 第二国土軸、紀淡海峡ルートの実現について。

 これも非常に知事に肩の荷かけるってそんな、一緒になってと思うんですけど、関西広域連合長として、資料を頂いた中に紀淡海峡ルートのあれが載っているんで、ぜひ広域連合長としても頑張ってほしいという意味で質問も、この際、質問させていただきたいんですけども。

 京奈和自動車道の和歌山県区間が全線開通し、紀伊半島一周道路の整備が着々と進められております。

 そういう中、さきの2月議会の一般質問において、私の念願でもあり公約でもあります京奈和自動車道の第二阪和国道への延伸について質問させていただきました。

 知事からは、この道路の実現については最重要課題であり、実現に向けて、あらゆる機会を通じて国に働きかけていくと力強い答弁をいただきました。

 京奈和自動車道と第二阪和国道をつなぐこの連絡道路の実現に尽力していただいているところでありますが、御承知のとおり、この道路をさらに延ばした先には、紀淡海峡、第二国土軸につながっていくわけであります。

 第二国土軸を形成する紀淡海峡ルートは、大阪湾岸の都市をつなぐ大阪湾環状道路、関西全体をつなぐ関西大環状道路の要をなすものであり、また、大阪から和歌山、四国、九州へとつながる四国新幹線においても重要な役割を担うことになります。

 紀淡海峡ルートを通った基幹的な高速交通インフラを整備することは、和歌山県の将来の発展のためには必要不可欠であります。関西の発展、日本の発展にも欠かせないものであることは言うまでもありません。

 この大規模なプロジェクトを実現するためには、関係府県、また関係市町と一緒になって国に働きかけていくことが重要となりますが、我々県議会も、早期実現のため、強く国に対し、また和歌山県選出の国会議員をはじめ、あらゆる方々に要望していきたいと考えております。

 私たちも、実は2か月ほど前になりますか、門代議士と、それから和歌山県議会の第二国土軸の役員、それから和歌山市の──和歌山市はまだ第二国土軸というのがないので──京奈和自動車道、第二阪和国道の役員の皆さんとで加太のほうに集まって、1回目のこれの作戦会議をやりました。

 それで、そのときには幾つかの努力目標というのがあるんですけども、取りあえず、あそこのふじと台のイオンのあそこの前の道の壁に、地元の企業の方の御協力もいただけるということで、大きな紀淡海峡大橋の夢を実現というような意味の大きなプランがあると、それから、第二国土軸を三重県から大分までという、そういうような看板を上げようという話になりました。

 ぜひ、こんなん看板を上げたからといってできるもんじゃなくて、やっぱり頑張って汗かいてもらう中には、最もリーダーになっていただかなあかんのが仁坂知事かなと。非常に難しいことですけども、精いっぱい。いつ着手になるか、私らも生きているうちには開通せんやろうという、そんな最初からそう簡単にはいかんというあれはありますけど、ぜひこのルートについて、大変難しい大きなプロジェクトでありますが、知事の考えをお伺いいたします。

○議長(森 礼子君) 知事。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 紀淡海峡ルートは、和歌山県のみならず、関西の発展、日本の将来の発展の要となる重要なプロジェクトであるとともに、東京一極集中からの脱却を図り、双極型の国土構造の構築、さらには国土強靱化を図る上で必要不可欠なプロジェクトでございます。

 また、日本の国土の在り方を考える第四次全国総合開発計画、大分前になりますけれども、これの中心的なテーマでございました第二国土軸、これを形成する上でも重要であります。

 県内の高速道路の展望がかなり開けてまいりましたので、そろそろこれに立ち上がろうと考えまして、数年前から行動を開始しております。ぜひ、これを実現したいと考えております。

 御指摘のありました第二阪和国道と京奈和を連絡する紀北外環道路は、それ自体として絶対に必要でございますけれども、実は、この第二国土軸の上に乗っかっている道路でもあるわけでございます。

 紀淡海峡ルートの実現は、考えてみますと、第1に第二国土軸としての国土のリダンダンシーを確保するもの、第2に西日本の大動脈の代替機能を有する四国新幹線の実現を可能とするもの、第3に関西国際空港と大阪都心を結ぶ超高速鉄道の整備につながり、関空の機能強化につながるもの、第4に関西大環状道路や大阪湾環状道路の形成につながるものでございまして、効果は非常に大きいというふうに考えております。

 効果は、これは和歌山だけじゃなくて、関西の効果でもあるし、よう考えたら日本全体の効果にもつながるというふうに思うわけであります。

 こうしたことから、実は数年前と言いましたが、平成25年に私が関係府県の知事に直接働きかけを行いまして、関空・紀淡・四国高速交通インフラ期成協議会というのを設立いたしました。そこでは、紀淡海峡ルートの実現のため、毎年国への要望活動を行うとともに、各地でシンポジウムを開催したりして、ちょっと一度下火になっておった機運をもう一度盛り上げようというふうに今取組を重ねてまいっているところでございます。

 一方、国においては、現在、「新幹線の基本計画路線を含む幹線鉄道ネットワーク等のあり方に関する調査」といたしまして、一般論でございますが、単線新幹線の有効性とか、あるいは地域における新幹線の有効性とか、そういう課題の検討などを進めておられます。その中で、四国の幹線ネットワークに資する調査もなされていることから、四国新幹線の整備計画決定への希望が膨らんでいると思います。

 県といたしましては、紀淡海峡ルートの実現に至るには財源問題など解決すべき課題が多くございますけれども、引き続き機運醸成や国、関係団体への働きかけなど、さらに積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

○議長(森 礼子君) 井出益弘君。

  〔井出益弘君、登壇〕

○井出益弘君 大変前向きな御答弁、力強い御答弁ありがとうございました。

 以上で、質問を終わります。(拍手)

○議長(森 礼子君) 以上で、井出益弘君の質問が終了いたしました。

 お諮りいたします。質疑及び一般質問を終結することに御異議ございませんか。

  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(森 礼子君) 御異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問を終結いたします。

 次に日程第3、議案等の付託について申し上げます。

 お手元に配付しております議案付託表のとおり、議案第104号から議案第116号まで、地方自治法第179条第1項の規定による知事専決処分報告報第3号及び報第4号並びに諮問第1号は所管の常任委員会に付託いたします。

 お諮りいたします。6月22日及び23日は常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。

  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(森 礼子君) 御異議なしと認めます。よって、6月22日及び23日は休会とすることに決定いたしました。

 次会は、6月24日定刻より会議を開きます。

 本日は、これをもって散会いたします。

  午後2時15分散会

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