令和3年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)


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令和3年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号

令和3年6月

和歌山県議会定例会会議録

第5号

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議事日程 第5号

 令和3年6月18日(金曜日)

 午前10時開議

 第1 議案第104号から議案第116号まで、報第3号及び報第4号並びに諮問第1号(質疑)

 第2 一般質問

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会議に付した事件

 第1 議案第104号から議案第116号まで、報第3号及び報第4号並びに諮問第1号(質疑)

 第2 一般質問

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出席議員(42人)

 1番 鈴木德久

 2番 山家敏宏

 3番 中本浩精

 4番 堀 龍雄

 5番 藤山将材

 6番 岸本 健

 7番 井出益弘

 8番 宇治田栄蔵

 9番 北山慎一

 10番 玄素彰人

 11番 中西峰雄

 12番 秋月史成

 13番 森 礼子

 14番 濱口太史

 15番 尾崎要二

 16番 冨安民浩

 17番 川畑哲哉

 18番 玉木久登

 19番 鈴木太雄

 20番 岩田弘彦

 21番 吉井和視

 22番 谷 洋一

 23番 佐藤武治

 24番 岩井弘次

 25番 中 拓哉

 26番 多田純一

 27番 新島 雄

 28番 山下直也

 29番 中西 徹

 30番 谷口和樹

 31番 藤本眞利子

 32番 浦口高典

 33番 山田正彦

 34番 坂本 登

 35番 林 隆一

 36番 楠本文郎

 37番 高田由一

 38番 杉山俊雄

 39番 片桐章浩

 40番 奥村規子

 41番 尾﨑太郎

 42番 長坂隆司

欠席議員(なし)

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説明のため出席した者

 知事         仁坂吉伸

 副知事        下 宏

 理事         田嶋久嗣

 知事室長       赤坂武彦

 危機管理監      細川一也

 総務部長       田村一郎

 企画部長       横山達伸

 環境生活部長     生駒 享

 福祉保健部長     志場紀之

 商工観光労働部長   寺本雅哉

 農林水産部長     岩本和也

 県土整備部長     安部勝也

 会計管理者      真田 昭

 教育長        宮﨑 泉

 公安委員会委員    竹田純久

 警察本部長      親家和仁

 人事委員会委員長   平田健正

 代表監査委員     保田栄一

 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫

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職務のため出席した事務局職員

 事務局長       出津野孝昭

 次長         中井 寛

 議事課長       山田修平

 議事課副課長     岩井紀生

 議事課課長補佐兼議事班長

                                        岩﨑 亮

 議事課主任      伊賀顕正

 議事課主査      菅野清久

 議事課主事      松本 悠

 総務課長       須田剛司

 政策調査課長     神川充夫

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  午前10時0分開議

○議長(森 礼子君) これより本日の会議を開きます。

 日程第1、議案第104号から議案第116号まで、地方自治法第179条第1項の規定による知事専決処分報告報第3号及び報第4号並びに諮問第1号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、併せて日程第2、一般質問を行います。

 29番中西 徹君。

  〔中西 徹君、登壇〕(拍手)

○中西 徹君 皆さん、おはようございます。質疑・一般質問3日目、今日登壇するメンバーは全員1期生です。先頭として頑張ります。よろしくお願いします。

 議長のお許しを得ましたので、早速一般質問を始めさせていただきます。

 まず、1番目に、平成29年3月に県が策定、公表している中期行財政経営プランに関する取組状況についてお尋ねします。

 和歌山県は、全国よりも速い流れで人口減少も進み、今後、何も対策を講じなければ、2060年には50万人程度まで激減すると予測されています。また、2020年1月1日現在の高齢化率は32.4%となっており、今後2040年には38.9%に達するものと見込まれ、高齢化に伴う社会保障費関係の経費の増大や、1960年から1970年代の高度成長期に数多く整備された公共建築物やインフラ施設などの公共施設等の老朽化が進むことで、大規模修繕や建て替えなどによる財政負担の発生が見込まれます。さらには、国の財政健全化に向けた動向による地方財政への影響に対応していく必要もあります。

 和歌山県は、平成29年度から令和8年度までの10年間を計画期間とする長期総合計画の実現に向け、取り組んでいるところかと思います。長期総合計画実現のためには、同時に県の行財政基盤についてもしっかりと確立されたものである必要があり、長期総合計画と中期行財政経営プランを同時期に策定し、この経営プランに基づいて毎年の行財政運営に当たっているかと思います。

 これまで、数次にわたる行財政プランに基づいて、簡素で効率的な組織・人員体制の構築や財政健全化に全庁を挙げて取り組まれており、その結果、現プランの冒頭説明においても、数次にわたるプランの取組等を通じ、県財政の状況は改善しており、平成27年度当初予算から3年連続で収支不足額をゼロとし、県の貯金とも言える財政調整基金と県債管理基金の残高は、平成29年度当初予算額においては219億円を確保していると説明されています。

 ただ、新型コロナウイルス感染症による甚大な影響が社会や経済に出ている中、中期行財政経営プランの取組方針で示されているような人員体制の削減や財政調整基金と県債管理基金の残高確保については、厳しくなるのではと考えます。

 そのような中、中期行財政経営プランの成果を踏まえ、今後のプランを検討することは非常に重要であると考えます。本年度、令和3年度が現プランの最終年度に当たります。そこで、プラン最終年度に入った現段階での現プランに係る主な取組状況、成果について、総務部長より御答弁をお願いします。

○議長(森 礼子君) ただいまの中西徹君の質問に対する答弁を求めます。

 総務部長田村一郎君。

  〔田村一郎君、登壇〕

○総務部長(田村一郎君) 中期行財政経営プランは、将来にわたる持続可能な行財政運営の確保と長期総合計画の実現とを両立するため、平成29年度から令和3年度までの5か年を計画期間として策定したものでございます。

 これまでの主な取組内容、成果でございますが、まず人員体制については、さらなる効率的な体制づくりを推進する一方で、本年秋に開催される紀の国わかやま文化祭の開催準備や新型コロナウイルス感染症対応などの行政需要増に対応する人員配置を行ってきました。その結果として、プラン期間中の人員削減目標の達成については困難な状況になってはおりますが、県財政の健全性の維持を前提に定員管理を行ってきたところでございます。

 次に、財産管理については、公共施設等総合管理計画に基づきながら、公共建築物の更新等に係る費用を適正化することによって、財政負担の抑制に努めてきたところでございまして、さらに今後も、各年度における財政負担が100億円を超えないよう、財政負担の適正化、平準化に取り組んでいきます。

 これらの取組に加え、事業の見直しや特定目的基金の有効活用に取り組んだことにより、県の貯金に当たる財政調整基金と県債管理基金の残高は、令和3年度当初予算時点において、プラン策定時の想定153億円を上回る184億円を確保できる見込みとなっております。プラン最終年度となる今年度においても、引き続き行財政改革に係る取組を継続してまいります。

○議長(森 礼子君) 中西 徹君。

  〔中西 徹君、登壇〕

○中西 徹君 答弁ありがとうございます。

 新型コロナウイルス感染症対応などの行政需要増により、人員削減の目標達成については困難な状況というのは理解できます。そのような中でも、財政調整基金と県債管理基金の残高は、予想を上回る184億円を確保できているということですので、今年度も引き続き──先日、知事の提案説明にもありましたが──行財政改革を着実に進めるために、新たなプランに関する検討を今年度進めていくということですので、ぜひよいプランを策定いただくようよろしくお願いします。

 次に、2項目め、未利用財産の有効活用についてお伺いします。

 未利用財産については、庁舎等の未利用スペースや未利用土地等の情報を県全体として共有し、国や市町村とも情報共有し、民間への貸付け、相互利用、交換など、連携した取組についても協議が行われていると考えます。

 未利用財産の売却方法としては、新聞広告への掲載や現地での看板設置による売却情報の広報、また、以前はインターネットオークションなどを実施され、取り組まれていたとお聞きしています。また、前回の行財政改革プランにおいて、未利用財産の売却など歳入確保の推進として取り上げられていました。私も、財政状況が厳しくなってくる中で、新たな収入確保の推進として重要な課題であると認識しています。

 令和3年3月末時点の一般県有地は約97万6000平方メートルであり、そのうち未利用状態の土地は約49万9000平方メートルとお聞きしている中で、未利用財産については、平成24年度から平成27年度まで売却された歳入の実績については4億1000万円になっています。

 平成28年度以降の県有未利用財産の売却についてはどのようになっているのか、また、歳入確保に向けた売却など、今後の未利用財産の有効活用についてどのように考えておられるのか、総務部長にお伺いします。

○議長(森 礼子君) 総務部長。

  〔田村一郎君、登壇〕

○総務部長(田村一郎君) 県有未利用財産の売却につきましては、平成28年度から令和2年度の5年間で約9億8000万円の歳入を確保したところでございます。

 また、県における未利用財産の活用につきましては、公共用利用を優先し、利用予定がない場合は、所在する市町村に対して取得要望調査を行い、市町村から取得要望がなかった場合は、一般競争入札による売却を進めているところです。

 今後とも、未利用財産の有効な活用に努め、歳入確保を図ってまいります。

○議長(森 礼子君) 中西 徹君。

  〔中西 徹君、登壇〕

○中西 徹君 平成28年度以降、約9億8000万円の未利用財産を売却し、歳入確保をしているということが分かりました。平成27年度までの実績より倍以上の金額で、大きな成果という数字だと思います。

 今後、人口減少などで公共施設等の集約化なども進んでいくと考えられるので、未利用財産も増加してくるのではないかと考えます。売却したくても売却できない資産もあるのではないかと考えているわけですが、新潟県は、県有財産を対象に、第三者に施設利用に関する提案受付を始めており、使用料収入を見込み、民間の自由なアイデアを取り入れて施設の有効活用を目指すということです。

 和歌山県も、部長が答弁していただいたように、あらゆるやり方で未利用財産の有効活用をしていただき、歳入確保を図っていただきたいと思います。

 次に、3項目め、外国籍の小中学生への日本語指導についてでございます。

 先日、新聞報道で、外国籍の小中学生への日本語指導について、全国の状況が掲載されておりました。その内容としては、出入国在留管理庁によると、2020年6月末時点で在留外国人は約288万人となっています。また、文部科学省によると、公立の小中に通う子供は全国で約9万7000人、母語が外国語のため日本語で十分に日常会話ができなかったり、授業参加に支障が生じたりしている小中学生は、18年度に約3万6000人いるということです。このほか、両親のどちらかが外国人であるなど、日本国籍で日本語の指導が必要な子供も約9000人いるとされています。

 そのような中、5月10日の日本経済新聞の朝刊1面に「外国籍の子『支援学級』頼み」という記事が掲載されていました。障害のある子供向けの特別支援学級が日本語の不得意な外国籍の子供の受皿になっているということです。

 和歌山県は該当しませんが、外国人が多く住むと文部科学省が位置づける8県の25市町では、外国籍の小中学生の特別支援学級在籍率が6.5%と、全小中学生で見た支援学級への在籍率の2倍に上りました。本来、特別支援学級は、発達障害や知的障害を抱える子供の教育が目的ですが、人数の多い通常学級で日本語が不得意な外国籍の子供をサポートするのは難しく、その受皿になっているようです。

 国の対策も自治体任せなとこが多く、文部科学省は、外国籍の子供に対する別教室での日本語指導を単位への算入とともに認めていますが、実施するかどうかは校長に委ねられています。他県においては、自ら対策に乗り出す自治体も一部ありますが、外国籍の小中学生の約半数が、指導者がいないといった理由で日本語の授業を受けられていないということであります。

 外国では、公用語を母語としない子供の語学力向上に向けた取組が進んでいると聞きます。米国は、英語が苦手な子供の数に応じて各州に補助金を支給し、年1回の試験で英語力を把握します。韓国も、外国籍の子供を対象に韓国語の能力試験を実施します。

 今後、働き手不足の緩和や企業のグローバル化に向け、外国人の受入れに積極的な企業も増えてくる中、将来の人材確保や安心して日本で暮らせるようにする上で、来日した子供が日本語を身につけることができるような教育体制の見直しも含めた取組も進むべきだと感じています。

 そのような中、和歌山県ではこのような実態とは異なると聞いていますが、本県として、外国籍の子供への日本語指導についての取組状況はどうなっているのか、教育長にお伺いします。

○議長(森 礼子君) 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 外国籍の子供への日本語指導についてでございますが、本年度、本県の日本語指導が必要な児童生徒数は、5月1日現在で小学校に22名、中学校に20名在籍しております。個々の児童生徒の日本語の理解等は、状況は様々であるため、一人一人に応じた個別の指導を行い、充実した学校生活が送れるように支援しているところです。

 県教育委員会では、複数校を巡回し指導する日本語指導担当教員を、対象児童生徒数が多い和歌山市に2名、田辺市に1名、新宮市に1名配置しております。市町村教育委員会においても、独自の支援員の配置や外国語ボランティアを活用し、対応をしています。

 また、日本語指導教員等を対象に研修会を毎年開催し、日本語指導の質の向上を図っているところです。

 一方、主に社会人を対象に、四つの県立高等学校においてきのくに学びの教室を開設しており、その中で日本語に関する講座では、小学生から高校生までの7名が受講しています。

 今後、日本語指導が必要な児童生徒の増加が予想されるため、日本語指導担当教員の増員を国に要望し、丁寧な対応に努めてまいります。

○議長(森 礼子君) 中西 徹君。

  〔中西 徹君、登壇〕

○中西 徹君 和歌山県においては、現在、在籍する人数も少ないこともあり、新聞記事のようなことはなく、きめ細やかな対応をしてくれているということで分かりました。

 今後は、グローバル化が進み、和歌山県も対象児童が多くなってくることも考えられるので、今まで同様、児童が充実した学校生活を送れるよう支援いただければと考えます。

 次に、マイナンバーカードの交付状況についてお伺いします。

 マイナンバーカードの普及については、2019年6月に閣議決定されたマイナンバーカードの普及とマイナンバーの利活用の促進に関する方針で、首相は、「スマートフォンへのカード機能の搭載は2022年度中、運転免許証とカードの一体化は24年度末に実現する。こうした工程に基づいて、国、地方のデジタル化を着実に進めていきたい」と強調し、2022年度中にはほとんどの国民が保有するという目標を掲げられています。ただ、2021年5月1日現在のマイナンバーカードの全国の交付率は30%と、一昨年の11月の14.3%に比べると大きく伸びていますが、目標には厳しい状況となっています。

 私自身は、今後の行政サービスなどのデジタル化の中で鍵となる存在と考え、効率的な手続の実施には不可欠だという思いであります。6月5日の日本経済新聞では、「マイナンバーカード、関西先行」という記事が掲載されていました。関西のマイナンバーカードの交付率は全国的に見て高水準で、奈良県は34.9%と全国2位、兵庫県は34.3%で全国3位と、関西6府県のうち、和歌山県を除く5府県が全国平均30%を上回っている一方で、和歌山県は26.3%にとどまっています。

 また、行政デジタル化の基礎として普及を進める自治体が多い背景で、利便性の向上に向けた独自の取組も自治体によって行われており、滋賀県では、2020年9月1日から2021年3月1日まで、マイナポイント事業で県独自に5%分の上乗せ還元を実施し、奈良県では昨年の8月、県内市町村の首長全員にマイナンバーカードの普及の県内先進事例を伝え、交付率向上の取組を促しています。

 和歌山県内においては、一番交付率が高い市は橋本市の34%、町でいえば由良町が30.5%、北山村は36.9%となっています。なお、中核市の和歌山市は27.3%になっています。なぜ交付率が向上しないのか、原因として、住民にマイナンバーカードのメリットが分かりづらいのだと考えますが、実際、住民票が要るときなどはコンビニエンスストアで交付を受けられたり、税務署で混雑に巻き込まれることなく確定申告を行うことができたりします。

 今後は、健康保険証や免許証との一体化やスマートフォンへの搭載などが検討されているので、交付率は伸びてくると考えてはいますが、現在なかなか伸び悩んでいる本県として、現状分析と今後の対策について、総務部長、お伺いします。

○議長(森 礼子君) 総務部長。

  〔田村一郎君、登壇〕

○総務部長(田村一郎君) 県では、これまで、市町村が主催するイベントや商業施設、確定申告会場などにおいて、市町村と合同でマイナンバーカードの出張申請を実施してまいりました。また、マイナポイント事業においても、テレビやラジオ、新聞等を活用した広報を実施し、県民の皆様に対しカード取得の呼びかけを行うなど、様々な機会を捉え、カード取得促進に向けた取組や発信を行ってまいりました。

 これらの取組もあり、カードの交付率は上昇しましたが、議員御指摘のとおり、本年5月31日現在で住基人口に対する交付率は、全国平均が31.7%であるのに対し、和歌山県は27.8%となっており、交付率は全国平均を下回っている状況でございます。

 本県におけるカード交付率が他府県ほど上昇していない理由について、県内市町村からは、現時点でカードの取得を必要とする決定的な理由がないとか、カードを持つ必要性を感じていない住民が多いなどの意見もあり、カードを持つことの必要性やメリットを感じられていないことが原因であると考えております。

 カード取得率が大幅に上昇した自治体の中には、カード取得者を対象としたマイナポイントの上乗せなどを実施したところもございます。しかしながら、本県としては、単にカードを取得していただくのではなく、実際にカードを使用していただき、行政サービスを受けられる際にその便利さを実感していただくことが肝要であると考えております。

 マイナンバーカードについては、健康保険証としての利用開始や運転免許証との一体化が予定されているところでございます。また、本年5月に和歌山デジタル化推進検討会議を設置し、国が示した自治体DX推進計画等も参考にしながら、行政手続のオンライン化対象の拡大など、市町村がデジタル化を進めるに当たっての方向性を示すこととしております。

 従前の取組に加え、市町村における行政手続のオンライン化などについても後押しを行い、カードを利用すると便利だと実感を持っていただける環境を整えてまいります。

○議長(森 礼子君) 中西 徹君。

  〔中西 徹君、登壇〕

○中西 徹君 和歌山デジタル化推進検討会議が設置されたということであります。

 9月発足予定のデジタル庁では、マイナンバーカードの普及促進やマイナポータルの環境整備、マイナンバーを扱うシステムの整備などを行うことで、デジタルトランスフォーメーションを推進すると聞いております。行政側は、デジタルトランスフォーメーションが進むことにより、人的・財政的負担軽減、住民側はサービスの利便性向上が期待できます。

 行政のデジタルトランスフォーメーションを進める上で重要な課題が、マイナンバー制度の整備になると考えます。県民にとって、1人でも多く便利さを実感していただくことが肝要でありますし、より便利でしっかりとした環境整備を整えていただくことが賢明であると思います。よろしくお願いします。

 次に、5番、自然博物館の移転についてお伺いします。

 県立自然博物館の移転・リニューアルについては、平成29年4月策定の県長期総合計画や平成30年3月策定の第3期県教育振興基本計画において、移転・リニューアルを進める旨、記述されています。

 平成29年2月定例会で、私と同じ海南市・海草郡選挙区の藤山将材議員が自然博物館の移転場所、移転の時期、そしてどのようなコンセプトで建設に臨まれるのかについて、知事に対し質問をされました。このとき私は、初めて県議会の傍聴席で同僚議員と聞いていたことを思い出します。

 その質問に対し知事は、移転場所について、「場所については、防災の観点、それから地域の受入れ体制などの諸条件を十分に勘案し、これまで大切に育ててくれた海南市の意向も尊重した上で決定をしなきゃいかん」と御答弁されています。また、移転時期については、お金をどういうふうに工面してはめていくかという課題もあるが、設計から完成まで5年程度かかる。「とにかく、10年間の期間中につくりましょうというふうに計画に書いたわけですから、実現するように頑張っていきたい」と述べられています。

 私の地元、海南市では、大野中地区内にある内池と大池の一部を埋立造成し、隣接する既存のわんぱく公園と併せて、災害時には防災拠点として機能する防災公園として、都市公園の大幅リニューアルに取り組んでおります。海南市では、移転候補地として、この事業用地内において新しい自然博物館の受入れ準備を進めています。市としては、この公園を様々な体験を育む場として整備を進めており、この地に自然博物館が移転されれば、一層このエリアの価値は高まります。今回の海南市の公園事業は、令和7年4月のオープンに向け進めており、本年度は自然博物館移転候補地の造成工事にかかると聞いています。本来であれば、海南市の公園と同時オープンが望ましいと考えますが、現状のままでは、自然博物館の部分が取り残される形となります。

 コロナ禍においていろんな事業が影響を受けており、厳しい状況とは理解していますが、県としては、いつまでに海南市の移転候補地に自然博物館の移転をしようと考えているのか、教育長にお伺いします。

○議長(森 礼子君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 県立自然博物館につきましては、昭和57年の開館以来38年が経過しており、長期総合計画においても移転・リニューアルを行う旨を記載し、現在、移転に向けた基本構想について検討を進めております。

 また、先月開催されました全県市町村長会議におきましても、神出海南市長から、海南市中央防災公園を移転先とするよう御要望をいただいたところです。

 今後も、海南市の意向を踏まえながら、できるだけ早期の移転・リニューアルを目指し、引き続き準備を進めてまいりたいと考えております。

○議長(森 礼子君) 中西 徹君。

  〔中西 徹君、登壇〕

○中西 徹君 早期の移転・リニューアルを目指し、よろしくお願いします。

 続きまして、最後に1点、要望を申し上げます。

 公共事業の早期実現についてでございます。

 仁坂知事におかれましては、御就任以来、厳しかった県財政を、機構改革の着手をはじめ、先頭に立ち、健全財政へと導いてこられました。しかしながら、今また和歌山県は、県下全域で大型公共事業の真っただ中であり、財政出動が喫緊の課題であります。

 私どもの地域におきましても、知事の御尽力のおかげで長年待望していた事業の進捗が目立ってまいりました。先日も、国道42号有田海南間整備促進協議会役員が、県土整備部さん等に御同行いただき、国交省の近畿地方整備局や本省、そして本県選出の国会議員の方々をお訪ねし、要望活動をさせていただきました。そこで、私の同級生でもあります望月有田市長と私の住んでいる海南市の神出市長の両氏が、和歌山県選出の国会議員の先生から、早く事業を完成させたいのであれば、知事さんにも県負担をお願いしなさいという発言を受けてきたということであります。県財政の厳しい中、優先順位等の取捨選択は大変厳しいと思いますが、地域の皆さんからは、ゴール、竣工のめどはいつかと迫られるわけであります。

 国直轄事業の国道42号有田海南間整備促進や、いつ発生するかもしれない大津波に対する津波防波堤事業に対する御支援はもとより、先ほども質問させていただいた県立自然博物館の早期移転に対し特段の御配慮を申し上げ、要望とさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。

 これで、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(森 礼子君) 以上で、中西徹君の質問が終了いたしました。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 2番山家敏宏君。

  〔山家敏宏君、登壇〕(拍手)

○山家敏宏君 おはようございます。6回目の一般質問ですので、なるべくお聞き苦しくないように質問いたしますので、よろしくお願いいたします。

 目下最大の課題である新型コロナウイルス感染症は、1年以上に及ぶ大流行で、県民の皆様には外出自粛、時短要請、イベントの中止等をお願いしてまいりました。幸い和歌山県では急激な拡大には至っておりませんが、経済的打撃、変異株への恐怖、計り知れないほどの精神的負担の中、終息の見えない状況が続いております。

 感染症防止の切り札として期待されるワクチン接種が始まり、県知事を先頭に、県職員の皆様、市町村職員の皆様の御尽力、医療従事者の御協力のおかげで、接種普及率は全国でもトップレベルという結果につながっています。この場をお借りしてお礼申し上げます。

 また、ワクチン接種をしたからといって、ノーマスク、3密、感染予防対策解除にはなりません。まだまだ気を配っていただく不自由な生活をお願いしなければならない状況であります。

 また、1年延長していたオリンピック・パラリンピックの開催も1か月先に近づいています。今回は5年ぶりになりますが、世界中が注目するビッグイベントです。開催時には、直接観戦できなくても、テレビの前で力いっぱい応援したいと思っております。

 それでは、議長のお許しをいただきましたので、一般質問をいたします。

 まずは、2025年開催の大阪・関西万博について質問いたします。

 大阪・関西万博の開催期間は、2025年4月13日から10月13日までの6か月間、来場予定者数は想定で2820万人となっており、世界中の人々が関西に注目する博覧会です。

 この質問については、令和元年9月議会において、先輩の岩田議員が大阪・関西万博を起爆剤とする和歌山県の活性化について質問を行っております。そのときの内容については、「関西国際空港、高速道路ネットワーク、府県間道路網、世界遺産、ジオパーク、ロケット発射場、産業振興企業立地戦略など、ここ数年の本県の取組は、1970年の大阪万博の頃よりも本県にチャンスを生かす力は増大している。この万博のインパクトを一過性のものとせず、持続的な和歌山県の活性化につなげることが非常に重要である」、「本県は、万博を起爆剤として、今後どのように取り組もうとしているのか」との質問に対し、知事の答弁では、「開催前に関しては、万博には外国人を含む多くの観光客が訪れることから、これを絶好の機会と捉え、本県への誘客に積極的に取り組んでまいります」、「開催期間中に関しては、来場された方に対して、会場内のパビリオンで、本県の圧倒的な自然、歴史、文化と最先端技術を組み合わせたバーチャルリアリティー等を活用した本県の魅力を発信して、実際に本県を訪れてみたくなるような仕掛けを設けていきたいと考えております。あわせて、会場内でプレミア和歌山をはじめ県の特産品などを大いにPRしていきたい」ということでした。

 私も、本県の魅力発信には、バーチャルリアリティー等の最先端技術の活用で、誘客につながる成果を出すことが重要だと考えております。

 岩田議員の質問から1年9か月が経過し、令和2年12月には大阪・関西万博の基本計画が発表され、本県も着々と準備を進めている段階だと思いますが、現状は、関西広域連合パビリオンの中に和歌山ブースが入る予定だと聞いております。もちろん予算も伴う上、知事が広域連合長という立場を考えますと難しい部分もあると理解しておりますが、1970年の大阪万博から55年ぶりに関西で開催される万博ですので、全世界に和歌山県の魅力を最大限にPRできる千載一遇のチャンスです。

 このチャンスを生かすためにも、和歌山館を単独で設置し、各市町村の自然、文化、食等を全世界に発信し、誘客につなげていける効果的な参加で本県の大花火を打ち上げていただきたいと考えております。和歌山館の単独設置に関しての知事のお考えと万博に関する意気込みをお聞かせ願います。

○議長(森 礼子君) ただいまの山家敏宏君の質問に対する答弁を求めます。

 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 2025年大阪・関西万博は、世界の英知を集約し、未来社会を共創することを目指しておりまして、日本経済全体の底上げにつながり、その効果は和歌山県にも当然及ぶのですけれども、さらに及ばさなきゃいけないということでございます。その効果を最大限に取り込むということが本県の活性化にとって大変大事でございまして、そのため、全体で約2800万人と予想されている来場者に、いかに和歌山県を訪れてもらうかという仕掛けをつくることが重要になると私は思っております。

 議員から御提案のあった和歌山館の単独設置については、意義については同感なわけでございますが、開催地である大阪府市を除いた構成府県市と共同で関西パビリオンを設置することにしようという方向で今進めております。何せ大阪・関西万博なのでございますので、関西という主催地のパビリオンがないと話にならんということも一つでございますが、和歌山にとっては、そのほうがよい宣伝になるだろうという下心もあるわけであります。

 すなわち、このパビリオンは、関西全体のことを訴えるパーツを少なくいたしまして、ゲートウエーのところはそんなふうになるんですけれども、主としてこの自分でお金を出して参加をするという各構成府県市が、それぞれ自分の地域をそれぞれの企画で宣伝できるものにしていきたいと私は思っております。全体として例えば、芸術家とかそういう方に企画を丸投げいたしまして、その方が張り切って、言わば自己主張をして、それでパビリオンを造るというのは、あんまり私は支持をいたしません。そういう意味では、それぞれの県がそれぞれの訴えたいことを思い切りいろんな工夫をして、それで、それぞれのブース、部分的なブースを造るわけですが、そのブースの中でやるというのがよろしいかと思います。

 そうすると、和歌山県は何を訴えるかということを考えますと、和歌山県というのは、いろいろといいことがありまして、訴えたいことが山のようにあるんですが、何でも訴えていると印象が薄くなりますので、やっぱりこの際は、周りを見ても観光だなあというふうに私は思うのでございます。

 そこで、観光に絞って、それで、しかも技術としてはバーチャル技術を使って、和歌山に観光で行ったような意識をわあっと高められるような、そういう催しをつくったらどうだと。例えば、会場に居ながら那智の滝を体験するとか、高野山などに代表されるような文化的なものを体験しちゃうとか、圧倒的な自然、歴史、文化などをバーチャルという技術を使ってそこで体験をしてもらって、そこで和歌山というのはすごいなあということをまず思わせる。だけど、すごいなあと思ったら、本物を見てみたくなるのが人間でございますので、それじゃ次は、本物を見に和歌山へ実際にいらしてくださいということで、和歌山県を訪れてもらえるような仕掛けをつくっていきたいと思っているわけでございます。

 そのため、今度はインフラ整備が必要になってまいります。万博会場の来場者が本県を含め他の地域にも快適に行けるように、万博会場を起点とする広域的な観光周遊ルートの整備や万博までの紀伊半島一周高速道路などの完成について、実はずうっと、そういう趣旨から国に働きかけてきたわけでございます。

 実は、和歌山県だけじゃなくて、関西全体でそういうことがあるんで、全体として要望してたんですけれども、特に和歌山県がかなり、100点満点とは言いませんが、今のところ、もうそれに近いぐらいのことをやってあげるというふうに、この間から発表がありまして、それで、和歌山県に万博会場からわあっと流れてくるのは、かなり楽にできるというふうになったわけでございます。ただ、関西全体としては、まだちょっと不十分なところがあるんで、引き続きお願いをしていきたいなあとは思っているんですけれども、そういう状況に今なっております。

 大体あんな小さな夢洲や、せいぜいその対岸の大阪市内の中に2800万人という大勢の来訪者を押し込めておくというのは、ほとんど不可能だと思うし、それから快適ではありません。したがって、関西一円、あるいは日本全国と言ってもいいかもしれませんが、それと夢洲との間を出たり入ったりしながら楽しんでいただけるような、そういう仕掛けをつくったら絶対いいんだというふうに私は思っておりまして、その企画で今のような構想を実現していきたいと思っているわけでございます。

 万博に来た人が、仮にその時点で和歌山のことを知らなくても、この関西館の和歌山ブースに立ち寄って、和歌山に魅了されて、ほら行こうかということになって和歌山を訪れる。そして、和歌山を堪能したら、またあの夢洲で人類の未来の夢をもう一回見てみようかとか言って戻ると、また帰ってくると、そういうことが関西全体でできれば、大阪・関西万博の名にふさわしいと思っております。

○議長(森 礼子君) 山家敏宏君。

  〔山家敏宏君、登壇〕

○山家敏宏君 関西広域連合で関西パビリオンを設置して、大阪府・大阪市を除く構成府県市と共同で設置する方向で検討を進めているということなので、単独設置は難しいとのことで残念な部分もございますが、少しでも広くスペースを確保し、本県の魅力を世界に発信していただきたいと思います。

 万博で本県の魅力を知っていただくためには、当たり前のことですが、まず関西パビリオンに誘客し、その後、和歌山ブースに誘客しなければなりません。2005年に開催された愛・地球博で最も来場者が多かったパビリオンは、JR東海超電導リニア館が約690万人、次いで民間企業7社共同で出展した夢見る山、約600万人、3番目に経済産業省が出展した長久手日本館、約308万人で、誘客力の内容については様々な要因があるため、単純な比較は難しいですが、関西パビリオンの来場者数の目標設定を行い、関西パビリオンの誘客の目玉となるもの、関西パビリオンから和歌山ブースへの誘客の目玉となるものを設けることが重要であり、開催前、開催中もあらゆる媒体を利用してのPR活動が重要ですので、引き続き大阪・関西万博の成功に向けての取組をお願いし、次の質問に移ります。

 続いて、大項目2の新型コロナウイルス感染症対策について質問いたします。

 最初に、県立学校(高校等)におけるトイレ手洗い場自動水栓化の状況について質問いたします。

 令和3年3月8日の日本教育新聞に、「手で握ってひねる蛇口が一般的だった学校の手洗い場が、手をかざすと水が出る自動水栓に変わりつつある。新型コロナウイルスの接触感染を予防するため、本年度内に学校園の工事を完了する自治体に加え、令和3年度予算に盛り込む自治体が出てきた。自動水栓の専業メーカーでは、学校向けの出荷が大幅に増えている」ということです。神戸市は新年度から、市内にある約300の幼稚園や小中学校、高校を対象に、屋内の手洗い場に自動水栓器具の設置を始める。市教育委員会の担当者は、感染対策として非接触が有効であることから、全学校園での導入を決めたと説明しております。「石川県や福岡市も新年度、県立学校や市立学校で順次、自動水栓を導入する」と掲載されていました。また、マスコミ報道等でも、最近はよく取り上げられています。

 このように、新型コロナ対策の一つとして自動水栓化が急速に進んでいる中、本県の県立学校のトイレ手洗い場自動水栓化の状況と教育委員会の方針について、教育長に答弁を求めます。

○議長(森 礼子君) 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 県立学校においては、従前、トイレを改修する際には手洗い場を自動水栓化することとしてまいりました。その結果、現在おおむね半分の蛇口で自動水栓となっております。

 今般、新型コロナウイルス感染症対策において、非接触が感染症対策として有効であることが再認識されたところであり、今後は、トイレ手洗い場の自動水栓化をこれまで以上に進めてまいります。

○議長(森 礼子君) 山家敏宏君。

  〔山家敏宏君、登壇〕

○山家敏宏君 約半分ということですが、個々の学校の考えもあると聞いております。例えば、訓練のため、あえて100%自動水栓化にしていない支援学校もあるということです。

 しかしながら、訓練等のため自動水栓化をしない学校は別として、県庁、振興局、また公共的なトイレではかなり自動水栓化が進んでいる中、学校施設においては、特に新型コロナウイルス感染症対策、また、節水効果もありますので、引き続き早急に進めるよう要望いたします。

 次の質問に移ります。

 次は、生理の貧困の状況について質問いたします。

 新型コロナの影響もあり、経済的な理由で生理用品を購入できない生理の貧困については、昨今、マスコミ報道等でも多く取り上げられています。

 まずは、都道府県の支援状況を二つ紹介させていただきます。

 鳥取県は、市町村が実施する生理の貧困対策への支援として、経済的な理由で生理用品を買うことができない人に無償提供する取組などを後押しする。具体的には、生理用品の購入費や発送料など、無償配布に関する経費の3分の1を補助する事業を実施しています。また、神奈川県では、県立の高校や特別支援学校高等部の計12校の女子トイレに生理用品を配備し、ニーズや実情を把握するモデル事業を始めており、期間は8月末までで、生徒らへのアンケートや利用状況を検証した上で、今後の対応を検討するようです。

 この問題は、日本では生理の貧困などない、どうせ海外だけという意見が多く、生理の貧困というワードだけで片づけてしまいがちです。しかし、実際には、親が生理用品を買ってくれないネグレクト的要素が含まれるケースや、パートナーが生理用品を買わせてくれないDVの問題まで発展するケースもあるようです。ただ単純に言葉だけで片づけてはいけない問題であると思っております。

 また、本県の生活保護申請件数は、令和元年度1469件、令和2年度1507件と2.6%増になっており、市町村社協が行う生活福祉資金の貸付額は、令和2年3月25日以降令和3年5月末時点で約87億円に上る等、生活困窮者は増加傾向にあるのが実態です。

 新型コロナ対策支援は、国も県もいろいろな施策を講じていますが、本県の生理の貧困の状況について、環境生活部長の答弁を求めます。

○議長(森 礼子君) 環境生活部長生駒 享君。

  〔生駒 享君、登壇〕

○環境生活部長(生駒 享君) 議員御質問の貧困については、報道などで、生理用品を買えないことが殊さらに強調されて取り上げられていますが、その本質は、生活全般にわたる困窮の問題であると考えています。

 本県においては、現在のところ、具体的な相談事例はございませんが、生活困窮に対する支援策としては、生活資金の貸付制度や生活保護等、様々なセーフティーネットが用意されています。

○議長(森 礼子君) 山家敏宏君。

  〔山家敏宏君、登壇〕

○山家敏宏君 本県では、現時点で把握している限り、具体的な相談事例はないということですので、安心した部分もございますが、なかなか口に出して訴えていきにくいことでもあります。困っていればすぐに相談できるような環境づくりも重要ですので、今後とも柔軟な対応をお願いいたします。

 また、本県では、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、4月21日から6月6日まで、県民の方々に対しての不要不急の外出を控えるお願いが和歌山県全域で実施され、和歌山市以外でも全域にわたり、飲食店、宿泊、サービス業等はかなりの影響を受けており、支援事業として、今議会では、地方創生臨時交付金を利用しての飲食・宿泊・サービス業等支援金31億1603万5000円の予算が上程されております。

 令和3年4月臨時会で、前回大変好評だったリフレッシュプランの第2弾として、わかやまリフレッシュプラン2ndの予算20億円が可決され、その後、私も地元のイベント等で挨拶の機会があり、わかやまリフレッシュプラン2ndのPRを行い、挨拶終了後には、うれしいことにリフレッシュプランを利用したい方から多くの質問をいただきました。県民の皆様は、開始を楽しみにしていると思います。感染状況を踏まえた上で、国との協議も必要ですが、私は、関連事業者の方々のためにも、できる限り早い時期での実施が重要であると考えていることを申し添えて、次の質問に移ります。

 続いて、紀州材の促進について質問いたします。

 まず、紀州材を利用した木造の応急仮設住宅の進捗状況について質問いたします。

 先日、有田川上流域に住んでおられる方と話をする機会がありました。今から68年前の昭和28年に起こった紀州大水害時に、大工であったこの方のお父さんが建設された木造の災害公営住宅が今もあちこちに残され、今でも利用されている住宅があると伺いました。この年の災害公営住宅には、地域の木材を利用した住宅を有田川町内では約500戸、翌年には約300戸が建設されたそうです。この方の家の再建は、父が大工であったこともあり最後でしたが、父にとっては、地域の窮状に応える大変やりがいのある仕事だったとも話しておられました。

 しかし、現在、この方がお住まいの地域で育つ杉、ヒノキ材が活用されず、放置されています。この現状を憂い、これらの木材を材料にした木造仮設住宅の組立てキットを準備しておけば、県内、県外にかかわらず、災害発生時には即応可能な対応で仮設住宅を提供し、復興にも役立ち、さらには、県産材の利用促進と県産材のアピールもできるという御提案をいただきました。

 この御提案が実現できるかどうかは別としても、ウッドショックと騒がれているにもかかわらず、実際の木材消費につながらない地域の現状へのいら立ちに共感いたします。地域の木材を使用した住宅の建設は、地域産業の復興に役立つということを68年前の住民の方々が経験し、証明しています。

 私は、令和2年9月定例会で、和歌山県の木造応急仮設住宅の取組状況について質問させていただき、木材をはじめとする建設資材の供給体制、木造応急仮設住宅の建設体制について答弁をいただきました。大工職以外でも施工が可能なプレカット金物工法の採用など、工期短縮、建設可能戸数の上積み検討など、関係団体の御努力には敬意を表します。

 また、答弁時点で進めている取組として、発災時の円滑な供給に向けた仕様書の作成についても御回答をいただいているところです。この点について、進捗状況や今後の取組について、県土整備部長の答弁を求めます。

○議長(森 礼子君) 県土整備部長安部勝也君。

  〔安部勝也君、登壇〕

○県土整備部長(安部勝也君) ただいま御質問のありました紀州材を利用した木造の応急仮設住宅に係る仕様書の進捗状況と今後の取組についてお答えします。

 議員御指摘の仕様書の進捗状況につきましては、県内外の建築関係3団体が個々に定めていた構造部材の規格や内部仕上げ等の居住性能を今年3月に統一いたしまして、仕様書の案が完成したところです。現在、より現場の実情を反映させるために、これまで仮設住宅の実績のある田辺市等に聞き取りを実施しており、例えば、屋根裏への断熱材設置の強化による暑さ対策や団地内の雨水排水対策の強化などの意見をいただいたところです。

 県といたしましては、今後とも、市町村の周知を図るとともに、現場の意見のさらなる聞き取りを進め、仕様書の早期の完成を図りたいと思います。

○議長(森 礼子君) 山家敏宏君。

  〔山家敏宏君、登壇〕

○山家敏宏君 今年度は、市町村への周知や現場の意見の聞き取りも行っていくということですが、御承知のように、各市町村によって状況は全て違う中での計画は難しいと思います。協力体制をさらに強固にして取り組んでいただきたいと思っております。

 また、今年の3月27日の読売新聞の記事では、政府の地震調査委員会が3月26日に公表したデータによりますと、今後30年以内に震度6弱以上で揺れる確率は、和歌山市では68ポイントとなっており、前回の2018年の予測より10ポイント増、全国最大の上昇幅になっております。これらのことも踏まえ、災害時に即時対応するためには、さらにスピード感を持って進めていただくことを要望し、次の質問に移ります。

 続いて、林業の新規就業者確保の取組と成果について質問いたします。

 さきの2月議会では、強い紀州材の需要喚起対策について質問させていただき、林業関係者の方の話では、「現時点において、バイオマスでの木材需要はかなり多いが、構造材としての需要は伸びていない、また人手不足等の課題があると報告を受けました。人手不足の解消、森林を守るためには、紀州材の付加価値を高め、安定した価格で供給できることが最重要であり、それが人件費向上につながり、人手不足の解消になると考えます」と述べさせていただきました。

 このような林業就業者の人手不足の中、アメリカや中国では住宅市場が活況であり、その影響による木材不足や海上輸送運賃の上昇、コンテナ不足等で、輸入木材価格の高騰、いわゆるウッドショックの波が押し寄せ、業界紙によれば、ベイマツ人工乾燥材105ミリ角の製材価格は、昨年5月に1立方メートル当たり5万7000円だったが、今年5月には同10万円と約1.8倍に上昇している状況です。

 私も、ウッドショックの現状を詳細に把握するため、県内の製材関係者、工務店等に聞き取りを行いました。製材関係者の方の話では、最初は輸入材、特に集成材の高騰から始まりましたが、その影響で国産材の柱、はり等の高騰、今では国産材の羽柄材の高騰も起こり、工務店に対しての見積り時と納入時の価格変動が大きいため、見積書作成自体が難しくなっているとおっしゃっていました。工務店関係者の方の話では、図面も完成し、いつでも着工できる物件があるのに、集成材は入手できないし、国産材も価格の変動が激し過ぎるため、お施主様と契約ができていない物件が数件あるとおっしゃっておりました。

 単純に森林が多い和歌山県では、需要が増えて価格が高騰しているなら、紀州材の出荷量をどんどん増やして、今が絶好のチャンスではと思いますが、現実はそう簡単ではありません。山側の人手不足、ICT等による素材生産の効率化の課題があります。宝の山があるので、何とかできないものかと思います。

 紀州材の出荷量を急激に増加させるのは難しいと思いますが、林業の原動力である新規林業就業者の確保と就業者の若返りが重要であると考えています。

 和歌山県では、紀州林業の就業に関する都市部でのPR、令和2年度からは、県単独事業の給付金制度の創設等、新規就業者確保のための事業は行ってくれております。その取組と成果を、農林水産部長の答弁を求めます。

○議長(森 礼子君) 農林水産部長岩本和也君。

  〔岩本和也君、登壇〕

○農林水産部長(岩本和也君) 林業での新規就業者確保の取組と成果についてでございますが、林業就業者の減少と高齢化が進行する一方、ウッドショックにより国産材の需要が高まる状況下において、新規就業者の確保と就業者の若返りが重要と認識しております。

 このため、県では、令和元年度から東京や大阪など都市部での紀州林業体感セミナーを開催するとともに、SNSを活用した情報発信に加え、市町村やわかやま林業労働力確保支援センターと連携し、仕事、住まい、暮らしなどをワンストップでサポートする体制を整え、新規就業者の確保に取り組んでいます。

 また、林業に必要な経営知識と技術を有する人材育成を目的に、平成29年度に開講した農林大学校林業研修部林業経営コースの入講者数は、令和元年度までは3名から5名でしたが、45歳以上54歳未満の受講生を支援する県独自の給付金制度の活用などにより、令和2年度は9名、令和3年度には11名と増加しております。

 こうした取組により、平成30年度に11名であった新規就業者は、令和元年度には32名、令和2年度には46名に増加するとともに、平成27年度に52歳であった就業者の平均年齢は、令和2年度では49歳となり、若返りも図られつつあります。

 現在、ウッドショックに伴い、国産の原木価格が上昇傾向であることから、このチャンスを生かして就業者の所得が向上するもうかる林業を構築し、広く発信するとともに、働きやすい環境づくりに対する支援策を講じていくことで、さらなる新規就業者の確保に積極的に取り組んでまいります。

○議長(森 礼子君) 山家敏宏君。

  〔山家敏宏君、登壇〕

○山家敏宏君 人手不足の課題については、農林大学校林業研修部の入講希望者も増加傾向であり、新規就業者も増加し、かなり成果が出てきていますので、引き続き新規就業者確保に努めていただきますようお願いいたします。

 また、本県では、林業振興に対してはいろいろな施策を講じていますが、ICT等による素材生産の効率化、林道整備等、多岐にわたる課題が残されています。引き続き課題解決を行っていただき、紀州材の促進に向けてのさらなる取組を要望し、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(森 礼子君) 以上で、山家敏宏君の質問が終了いたしました。

 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。

 この際、暫時休憩いたします。

  午前11時15分休憩

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  午後1時0分再開

○副議長(鈴木太雄君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 10番玄素彰人君。

  〔玄素彰人君、登壇〕(拍手)

○玄素彰人君 皆さん、連日お疲れさまでございます。議席10番玄素でございます。

 今般6月議会において一般質問をさせていただく機会をいただきました。非常に、お昼を食べた後で眠たくなる時間帯ではありますけども、できるだけ皆さんに眠気をお誘いするようなことのない一般質問に努めたいと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 さて、新型コロナウイルスに関してでありますけども、エッセンシャルワーカーの皆さん、また県民の皆さんの御協力、さらには県庁の職員さん、担当していただいている職員さんの頑張りもあって、ようやく第4波も乗り越えることができたかなあと、こう感じる今日この頃でございます。改めて、これまで御協力いただきました県民全ての皆さんに感謝と御礼を申し上げたいなあと、そのように思います。

 また、ワクチン接種につきましても、65歳以上の方には、ほぼ7月いっぱいぐらいまででめどがつくということであります。また、65歳以下に関しても、菅総理が10月、11月ぐらいまでには、必要とされる方に接種を完了するんだと強い意気込みの下、大体方向性も見えてきたかなあというふうに思いますし、先般、中本先輩の質問に対しましても、知事から、第2回目の接種率に関しては和歌山県が依然トップであるというふうなお話があったと思います。こういったお話を伺っておりますと、非常に誇らしくも感じるわけであります。

 今の私の体形からはなかなか想像しづらいかも分かりませんけども、私、これまで10度程度、マラソンを走らせていただいてまいりました。そのときに常に思うことがあるんですけども、ゴールを意識し始めた頃、これがやっぱり一番つらく感じるように思います。今の新型コロナ対策も当初思われていたよりはやっぱり長引いているんだと思います。そんな中で、担当していただいているエッセンシャルワーカーの皆さんや県職員の皆さんも非常につらい思いをされている、そんなことに思いをはせますと、非常に心苦しく思うわけでありますけども、引き続き県民の皆さんのためにお力添えいただくようお願いを申し上げたいと思うのと同時に、そんな中において、ポストコロナもイメージをした一般質問をさせていただきたいとも思っております。

 行政の執行をチェックするというのが議会、そしてその構成員である議員の役割だというふうに常々思っております。そんなことから、今回の一般質問においても多少強く御指摘申し上げることも当局の皆さんにあろうかと思いますけども、そこは県を思う玄素の思いということで、広い心で受け止めていただければ幸いに存じます。

 それでは、質問の内容に入らせていただきたいと思います。

 まず1点目でありますが、AI婚活システムの導入について質問いたします。

 さて、厚生労働省が今年6月に発表している人口動態統計速報によると、2020年1月から12月の出生数は84万832人で、過去最低を記録したことが報じられております。結婚しない人の増加や晩婚化に加え、新型コロナの感染拡大に伴い妊娠を控える傾向が重なり、今年の年間出生数は80万人を割り込む試算がなされているとのこと。

 出生数が100万人を割ったのが2016年。現実になれば、たかが5年で、ざっと20万人、年間の出生数が減ることになり、公的推計よりも10年以上も少子化が前倒しで進むことになるようです。

 また、これに呼応するように、昨年の婚姻数は52万5490組。前年と比べ7万3517組少なく、12.3%の減少。2000年の婚姻数は年間約80万件ですから、こちらも急激に減っていることをうかがい知ることができます。

 そんな中、国において、地方自治体がAIやビッグデータを活用した婚活システムを導入する際の負担割合を従来の2分の1から3分の2に引き上げて支援する事業が今年度から始まることになりました。

 婚活事業については、2013年に内閣府が地方自治体の少子化対策事業に使える交付金を創設して以来、ほとんどの都道府県において取組がなされているところです。

 本県においても、県が主催するわかやま出会いの広場を通して婚活イベントが行われ、カップル成立率も、2018年に成立率を公表した17府県の中では愛媛県に次いで高い比率であるなど、一定の成果は出されているところですが、これが成婚率にまでつながっているかというと、疑問が残るのも正直なところです。

 AI、ビッグデータを駆使した婚活については、既に埼玉や栃木、新潟、兵庫、香川県など27県で実施をされています。そして、その中でも2011年にICTを活用した独自システムの構築、2013年にビッグデータを活用したお勧め機能を導入、2015年にAI婚活支援事業を立ち上げた先進県である愛媛県では、従来の婚活事業とは違って、条件に合わなくても相性のいい人を見つけてくることができるということで、高い成果を上げています。

 また、2018年10月にAIによる婚活システムを導入した埼玉県では、これまで結婚が成立したことが分かっている69組中、33組がAI婚活によるものであるという結果も出ているようです。

 「AIが選ぶから気軽に参加できる」、「これまでの婚活とは違い、自分が気に入る相手だけでなく、自分を好むかもしれない相手、自分を好んでくれるかもしれない人物を抽出するなどおせっかいを焼いてくれる」、「カップル率だけでなく成婚率も伸びる」、「市町村などとシステム連携できれば、さらに成婚率は上がる」、「婚活疲れに陥った40代の成婚率が上がる可能性がある」、「利用料金も民間と比べて比較的安い」など、利点を秘めたAI婚活の仕組みを本県でも早期に導入し、1組でも成婚率を上げる努力をすべきと考えますが、福祉保健部長の見解を求めます。

 以上、再質問につきましては、対面式の演壇より行わせていただきます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

○副議長(鈴木太雄君) ただいまの玄素彰人君の質問に対する答弁を求めます。

 福祉保健部長志場紀之君。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 議員御発言のとおり、2020年の出生数は本県を含め全国的に減少しているものの、本県の合計特殊出生率は1.49で、前年比0.03ポイント増となりました。

 本県では、第3子以降の出生数の全体に占める割合が19.7%と、前年より0.7%増加しており、多子世帯の経済的負担を軽減する県独自支援の成果が現れているところです。

 婚姻率につきましては、全国が前年比12.3%減と大幅に減少した一方、本県は前年比8.6%減で、全国より減少幅は小さく、また、本県の女性の平均初婚年齢は前年比0.2歳マイナスの28.8歳で、全国で4番目に若い値となっております。

 いずれも合計特殊出生率の向上に寄与するものと考えられますが、人口維持に必要である2.07には遠く及ばないため、より一層少子化対策に取り組んでまいります。

 県では、少子化の大きな要因である未婚化、晩婚化への対策として、平成25年度から結婚支援に取り組んでおり、婚活イベントを毎年10回程度、県内全域で実施しています。

 また、カップル成立率を向上させるため、コミュニケーションのスキルアップを図るセミナーを交えるなど、工夫しながら出会いの場の提供を行っております。

 議員より御提言のありましたAIやビッグデータの活用を含めたマッチングシステムについては、その有効性を検討するため、平成31年に愛媛県に職員を視察に行かせたほか、同様の取組を行う自治体に利点や課題を聞いたところです。

 利点としては、利用者の登録情報を分析し、好まれる可能性が高い相手をリコメンドする機能によりカップル成立率が上がることや、スマートフォンやパソコンから時間や場所を問わずシステム利用が可能であることなどが挙げられました。

 一方、課題としては、システム導入後、一時的に会員が集まるものの、その後伸び悩むということや、実施自治体の住民に限定した会員ではデータ量の集積が進まないこと、また、システム開発の初期投資に加え、毎年のランニングコストの負担の大きさ、個人情報の取扱いの難しさなどが挙げられました。

 こうした課題や費用対効果を勘案しながら、引き続き検討してまいりたいと考えております。

○副議長(鈴木太雄君) 玄素彰人君。

  〔玄素彰人君、登壇〕

○玄素彰人君 部長、答弁ありがとうございました。

 検討をしていただけるというようなことであったというふうに思うんですけども、何かちょっとイメージ的には、了としたいんですが、何か1歩下がりながら検討しますと言っているような感じに受け止めたのは私だけではないような気もするんですけども、答弁の中で出生率ということを述べられていました。これは婚活ということと成婚率と関係してくるから、そう答弁をしていただいたんだと思うんですけども、今回、出生率が伸びたということだったんだと思うんですけども、それはそれでやっぱり県の施策というのは多少効いているんだと思うんです。

 ただ、出生率ということの子育て支援ということだけで申し上げると、ちょっと婚活システムから外れるんですけども、今の仕組みというか支援だけでは、やっぱりこれが一時的なものにはなったとしても、どうしても急激な人口減少であるとか少子化というのは抑えることができないのかなと。これは私見でありますけども、試算をしていただいたら、和歌山県の子供全ての保育料、これを全部無料にしたらどうなのかというような試算をしてもらったら、15億円程度やっぱり県のために必要やというようなことを聞きました。ただ、それくらいしないと、これはやっぱりどんどん下がってくる傾向は変わらないのかなということをまず申し上げておきたいと思います。

 その上で、合計特殊出生率の話もあったんですけども、昨年で全国的には1.34であったと思います。この合計特殊出生率というものは、皆さんも御存じだと思うんですけども、独身の方も母数の中に入っていますから、当然下がる傾向にあるんだと思うんです。

 一方、完結出生児数という言葉も御存じだと思うんですけども、夫婦になった世帯というか結婚された方が一生涯でどれだけの子供をもうけられるかという数値もあります。私が生まれた1973年頃は大体2.2人ぐらいあったと理解をしております。これが2000年ぐらいまでずっと2.0を維持してあって、直近の私の知る調査では、2015年に1.94という数字になっていると思います。ただ、これは50年近く通して言えることがあるとすれば、結婚をしていただいたら2人近い子供をもうけていただくということなんだと思うんですね。

 また、今の若者世代なんかも常に調査をしているんですけども、結婚したいですかということをお聞きしたら、男女ともやっぱり8割5分から9割ぐらい、常にいつの時代の調査を取っても、意志はあるわけなんです。であるのならば、やっぱりそういうような支援というのはきっちりやっていかないと駄目だろうし、婚姻率を上げるということの必要性というものを認識していただけるのかなあというふうに思います。私、これは内閣府の担当者に直接電話をしてお聞きしたら、やっぱり婚活システム、27の県で、19県については婚活システム、AIによるもので、あと残りはマッチングシステムを導入しているというものでありました。それだけほかの県も婚姻率を上げるということに対して非常に危機感を持っている表れなのかなというふうに思ったということを申し上げておきたいと思います。

 それと、まだちょっと長くなるんですけども、そんな中で、じゃあ、県は今までどうされてきたのかというと、イベントを開いて婚活パーティーをやっていましたというようなことを、ざっくり言えばそういうことなんだと思うんです。平成25年から8年間続けられて、大体3600万円のお金を投じられているというふうに聞いておるんですけども、それでどれだけ成果が上がったんですかということをお聞きしましたら、28組だそうであります。1年当たりでいうと3.5組。それに対して1年の予算というのは、3600万円に対して8で割ると450万円ぐらい。1組成立させるのに130万円ぐらいかかっているんだと思うんです。ただ、これは、もちろん県庁の職員の人件費も換算すると、もっとこの単価は上がってくるように思うんです。

 そんなことを聞きますと、私なんかはどうしてもうがった見方をしてしまうわけで、これはコーディネーターとかと最近は言われるんですけども、地元の中にいるおせっかいを焼いてくれるおばちゃんとかおっちゃんとかそういう人たちに、県から、「どうぞ1組でもたくさん見つけてください。カップルを見つけてください。そのときにはお礼を50万円差し上げます」と言ったほうがよっぽど効率がいいのと違うかなというようなことも思ってしまうんです。

 ですから、AI婚活のシステムに関して、費用対効果を言われる以上に、今の事業に対しての費用対効果をお考えいただきたいなあというふうに思います。

 ただ、私は、このAI婚活とか婚活支援について予算を減らせと言っているわけではなくて、また後で紹介もしますけども、増やしていっていただきたいというふうに思っている1人であります。

 そんな中で、1週間前に長崎県の取組が紹介された記事を見ました。長崎県でどうやっているのかといいますと、やっぱり地域の人たちに、さっきのコーディネーターですね、おっちゃん、おばちゃんたちに婚活の、婚活というか婚姻していただける方の人数をたくさんつくるために協力してほしいということで、コーディネーターの委嘱をするそうであります。そして、それにプラスして、もちろん婚活システム、もう既に導入しているんです、それに加えてコーディネーターの委嘱をして、さらに、婚活事業をやっている市町村と連携までして、その体制をつくるということが書いてありました。

 それに係る今年度の予算が3700万円だそうであります。和歌山県、8年かけて使ってきた予算よりも多いんだということを理解していただきたいし、同様の取組が、これは福島県でも大体内容は同じようなことをやっているわけであります。ですから、どんどん先を見てやっていただけたらなあというふうに思うんです。

 せんだって、国勢調査の速報値というのが出ていました。和歌山県でこの5年間で大体4万500人ぐらい減っているというようなことが書いてありましたけども、これは4万人といいますと、西牟婁郡の人口で大体3万9000人ぐらいですから、白浜町と上富田町とすさみ町がこの5年間で、そこから人がどっといなくなったというような想像をしていただければ、より身近に感じていただけるのかなというふうに思うんですけども、中途半端なことをやっていたら、やっぱり駄目なんだと思うんですね。

 ですから、予算も今後この婚活に対して増やしていただく、また、かつ説明責任が果たせるような内容でないと県民の皆さんも納得していただけないですから、そういったこともやっていただく。そして、何よりも情熱を持ってやっていただくように、これは要請も御指摘もお願いも申し上げて、この質問を終わりたいと思い、次に進みたいと思います。

 それでは、続いて2点目の公用車等の運用についてであります。

 昨年のことでありますけども、テレビ番組で、生涯賃金が3億4000万円の人が一生で幾ら税と保険料を負担するかについての放送がされておりました。答えは1億1735万円。一生をかけて稼いだお金の3分の1を公共のために支出するわけであります。

 また、私の経営する会社においても、県税である法人県民税、法人事業税、不動産取得税をはじめ市税である法人市民税、固定資産税や、国税である法人税、消費税など様々な税、社会保険料、雇用保険料などを支払わせていただいております。そんなことですから、公金の支出に対しては無関心ではいられません。改めるべきところがあれば改めていただかなければと、日々考えているところであります。

 公金の認識改善につきましては、これまでも、基金の運用や県営住宅の入居率、説明責任を果たせないような備品購入、コピー用紙の年間の使用枚数、根拠に乏しい随意契約、国等の補助金を獲得することのない県の単費の使用の有無、費用対効果の検証がない広報予算の支出、非効率な人件費の使い方など、一般質問や委員会質問、聞き取りなどを通じてこれまでも指摘をさせていただいたつもりでありますけども、枚挙にいとまがないというのが正直なところです。

 およそ自分の家計ではやらないことを平気でやっていることが見受けられたりします。明らかに自分のお金でないから感覚が緩んでしまうということ、徴税権があるので、お高く留まっていること、公金支出に対しての厳格なペナルティーがないこと、継続性があったり、業者との付き合いだったりする、そういったこともこういった傾向をつくり出していると考えますが、決して褒められたものではありませんし、自分のお金以上に公のお金を大事にするのが公僕じゃないのかなあと考えれば、現状の公金に対する考えは改善していくべきと思います。

 そういった趣旨から、今回、以下、公用車に関して3点質問をいたします。

 1点目です。

 公用車については、和歌山県においては現在1200台程度保有されていると伺っております。その中には、精神障害者の移送や災害対応のものや、国庫補助を受け、用途が指定されている特殊車両なんかもあると理解しておりますが、行政部局、教育部局、警察における現在の公用車の台数、使用率と、それに係る年間の経費について、総務部長、お答え願います。

○副議長(鈴木太雄君) 総務部長田村一郎君。

  〔田村一郎君、登壇〕

○総務部長(田村一郎君) 公用車につきまして、知事部局だけでなく教育委員会、警察本部につきましても、まとめて私のほうから答弁させていただきます。

 県所有の公用車の台数につきましては、知事部局、県議会事務局及び各種委員会事務局において109台、そのうち特殊車両は320台となっております。

 また、令和3年4月における特殊車両を除く公用車の使用率は55.7%、令和2年度の車検、ガソリン代等の年間経費は約1億900万円でございます。

 次に、教育委員会における公用車の台数は92台、そのうち特殊車両は42台、使用率は37.9%、年間経費は約800万円、また、警察における公用車の台数は127台、そのうち特殊車両は31台、使用率は59.6%、年間経費は約2600万円と承知しております。

○副議長(鈴木太雄君) 玄素彰人君。

  〔玄素彰人君、登壇〕

○玄素彰人君 総務部長、答弁ありがとうございました。

 いつも総務部長のときに厳しなるんで、お許しをいただきたいんですけども、公用車の使用率ですね、まず行政部局から申し上げると55.7%ということであります。ざっと50%と考えれば、週5日勤務の中で半分の期間、要は2.5日が公用車を使っていないというような状態のように感じてしまうんですけども、およそ県民の皆さんに説明責任が果たせるのかなということと、どうなのかなというまず所感を持ったということを申し上げておきたいと思います。

 その上で、やっぱりこれは8割程度使用率を維持できなければ、これは廃車にするとか、そこに持っていくための努力をするということをやっていただきたいなあというふうにも思います。

 それと、もう一点申し上げたいのは、今回、私はこの公用車に関する質問をするまでは、部局ごとに縦のところでは公用車の数とか把握されているんですけども、じゃ、全体一体、和歌山県の中でどれだけの数があるんですかという数字は把握をされていなかった。これは使用率に関しても、これは一月分のものだけしか出してもらっていないんですね。ほかの月、まだ出ていないというようなことでありますから、これは費用対効果を検証する中で、いや、数がどれだけあるか把握できていないんですよと、使用率がどれだけあるのか把握できていないんですよというのは、ちょっとこれはやっぱりナンセンスかなというふうに思っているということを申し上げたいというふうに思います。

 それから、あと、令和元年のオンライン会議の回数というのが128回であったと聞いております。これが、令和2年度になって4738回。約26倍に、ぼんと膨れ上がったというふうに聞いております。今まで公用車に乗って出張していたのが、それによって26倍になったんですから、使う回数も減ったということもあるんでしょうけども、これは新型コロナが明けてから、じゃあ、また元に戻りますかというと、やっぱりそんなことはないんだと思うんで、そういうイメージを持っていただきたいということ。

 また、ドライブレコーダーですね、これも半分ぐらいついていないそうなんです。ですから、そういうことも、今後、公用車の適正管理というのを考えていく上で考えていただきたいということ。

 また、和歌山県も最近カーボンニュートラル宣言をされたと思うんですけども、東京都は2024年までに1400台ある公用車を全て脱ガソリン車にするということでありますから、そんなイメージもやっぱり持っていただいて、これからの公用車の適正管理をお考えいただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 それとあと、教育委員会、教育長にもちょっと申し上げたいんですけども、37.9%と、これ使用率、どうですかねと。かなり厳しいかなあというふうに思います。

 それと、県庁の職員さんの中で、公用に使う教育委員会の車というのは9台あるというふうに聞いております。その教育委員会の車ってどこにあるかというと、南別館、執務されているところからちょっと離れた博物館か何かの地下駐車場にあるというふうに伺っているんです。ちょっとやっぱり遠いですから、使い勝手が悪いように思ったりもするんです。じゃあ、その9台をなくして、自分の自家用車、次の質問にもあるんですけれども、それを公用として使ったら、できないんですかというお話もさせてもらったら、できないことはないというようなお話であったんで、その辺の数というのもちょっと考えていただきたいなというふうに思います。

 それと最後に、警察本部長にもお願いを申し上げたいと思うのは、警察本部の車、これは和歌山県がお金を出している公用車に関しては158台というふうにあったと思うんですけども、警察車両なんかは約700台が国から支弁されているというふうに思うんですね。これは、人口であるとか犯罪率であるとか面積であるとか、そういうことを加味して、国はこれくらい必要でしょうということで約700台を提供しているんだというふうに思います。それは間違いなく必要なんだと思うんですけども、それでもまだ必要なんだということで、和歌山県のお金で158台購入をされているわけであります。「安全・安心のためです」と真顔で言われれば、なかなか議員も、また一般の県民の人も、「ほんまにそれは適切に使われていますか」と言いづらいとこなんだと思うんですけども、そこはやっぱり組織の自浄能力に頼らざるを得ないというふうに思うんです。

 ですから、いま一度、今の警察本部の中の単費で支出されている警察車両について、その使用が適切になされているか検証をしていただければということをお願い申し上げまして、この1点目の質問を終えて、次に進みたいと思います。

 それでは、2点目、行きます。

 小項目2点目であるんですけども、公用車による出張については自家用車の使用も可能となっていますが、年間の出張における自家用車の使用回数と、それに係る経費について、行政部局、教育部局、警察における直近のものを総務部長、再度答弁をお願いしたいと思います。

○副議長(鈴木太雄君) 総務部長。

  〔田村一郎君、登壇〕

○総務部長(田村一郎君) まず初めに、先ほどの答弁の中で、県所有の公用車の台数に誤りがございまして、申し訳ございません。知事部局ほかの台数につきまして、909台が正しい数字でございました。申し訳ございませんでした。

 そして、今、質問がございました件につきまして答弁させていただきます。

 職員の自家用自動車等の公務使用につきましては、交通の不便な地域における用務で、公用車または公共交通機関の利用が困難な状況にあり、自家用自動車等を使用すれば著しく能率が向上する場合等に限り承認できることとなっております。

 知事部局、県議会事務局及び各種委員会事務局の令和2年度の自家用自動車等を使用した旅行命令件数は1万1209件であり、それに伴う旅費は約3100万円でございます。

 次に、教育委員会は2万7246件、それに伴う旅費は約5300万円、また、警察は907件、それに伴う旅費は約200万円と承知しております。

○副議長(鈴木太雄君) 玄素彰人君。

  〔玄素彰人君、登壇〕

○玄素彰人君 部長、答弁ありがとうございました。

 今、聞いていただいたように、和歌山県においては、普通の一般に公用車と言われる公用車の運用と、自分の職員さんの車を使って公用に使用されるということ、この2パターンがあるということだと思うんです。

 その比率というのは、僕もちょっと最近というか、この質問をすることになって初めて聞いたんで、まだ把握し切れていないところがあるんですけども、公用に使う車が3で、自家用車1ぐらいの割合かなというふうにざっくりと感じているんです。ただ、自分の車を公用として使う基準という中に、先ほど答弁にもあったように、著しく能率が向上する場合とか、ほかの項目なんかを見ても、客観的に妥当である場合とかということがずらずら書いてあるんですね。だけど、これも客観的というよりか、むしろ主観的な文言で、これは必要だ、効率が上がるとその職員が認めれば使えるということになるのかなというふうに逆読みをしたりもしますし、本当に著しく能率を向上させるのであれば、今の公用車、一般に言われる公用車の運用を、これはサブにして、県庁の職員さんの自家用車をメインにするというふうな構造転換をしたほうがよほど能率は上がる、客観的にも説明ができる、県民の皆さんにも説明責任が果たせることになりはしないかなというふうに思ったということをお伝えしたいと思います。

 また、そうしたほうが、昨日、秋月先生からの質問にもありましたけども、これは、やっぱり事故も増えていると。自分の車を運転して、公用でやったら、なかなか簡単に当てられるもんではないかなというふうに思いますし、公用車の数が、そんな形で少なくなってくれば、県庁の周りに、県有地のところに公用車を今たくさん止められていると思うんですけども、その数がどんどん少なくなってくれば、その土地の有効活用なんかもできてくるのかなというふうに思うということを申し上げて、この項目を終わり、次に進みたいと思います。

 続いて3点目でありますけども、平成29年度予算で、glafitという電動機付自転車を32台、601万8248円で購入されていますが、公用で使用されているのを私は見たことがありません。現状どのような配置をされているのか、使用率はどれくらいか、年間の維持経費は幾らになるのか。総務部長の答弁をお願いいたします。

○副議長(鈴木太雄君) 総務部長。

  〔田村一郎君、登壇〕

○総務部長(田村一郎君) glafitバイクにつきましては、購入した32台に、寄贈されました1台を加えた33台を所有しており、本庁に16台、振興局に14台、出先機関に3台配置しております。

 また、令和2年度の使用率は2.4%、維持経費は年間約6万円となっております。

○副議長(鈴木太雄君) 玄素彰人君。

  〔玄素彰人君、登壇〕

○玄素彰人君 総務部長、答弁ありがとうございました。

 2.4%、これは、まずいですよね。もうそんなに選択肢はないと思うんですけども、80%ぐらい使ってもらうように努力をするか、もう廃棄するかとかというような選択しかないと思います。

 それと、この2.4%も、特にglafitバイクに興味がある方が継続的に使われたというようなお話も聞いております。ですから、ほとんど使われていないというのが正しいことなのかなというふうに思います。これではやっぱり県民の皆さんに説明責任が果たせないので、よろしくお願いをしたいと思います。

 以上、これら3点、公用車に関する質問をさせていただきましたけども、これ公用車だけの問題ではなくて、備品の購入であるとか予算の方法、見積りというか、予算を計上する際においても、本当にこれだけのお金が必要なのかということの検証なくして積み上がってきているというようなイメージを僕は物すごく受けるんですね。そういった意味から申し上げれば、私の前にいらっしゃる、ひな壇にいらっしゃる皆さんに、これは全てに、やっぱりこれから公金に対する認識というのを改めていただきたいということも申し上げまして、次の質問に進みたいと思います。

 次に、3点目のナッジ理論の活用について質問いたします。

 さて、ナッジ理論という言葉があります。これは、2017年にノーベル経済学賞を受賞したリチャード・セイラー教授の提唱する理論。ナッジとは、そっと後押しをするという意味で、行動科学の知見を生かし、人々を望ましい方向に誘導するものです。

 具体例をお示ししますと、男性用便器にハエの絵を入れることによって、床面の清掃効率を向上させたり、住民票の発行を「お近くのコンビニを活用すると100円安い」という案内をし、誘導をしたり、「65歳を過ぎたら結核検診」というのを、「65歳以上は結核検診が法律で義務づけられています」という表現に変えたり、新型コロナ対策で高機能換気設備を導入した飲食店の入り口に、換気がよいことを示すステッカーを貼り、集客率を上げたり、吸い殻専用のごみ箱を透明にすることで、「こんなに入っているんだから、自分も吸い殻を入れないといけない」という心理にし、ポイ捨てを減らしたりするなどです。

 こういった流れは、経済産業省においてはエネルギー政策や中小企業対策、プラスチック製レジ袋の削減、環境省においては省エネや節電、新型コロナ対策においても見られます。

 また、都道府県においては、岡山県ではナッジ理論を取り入れるユニット──これ、班ですけども──を設置したり、三重県においてもがん検診の受診の勧誘や生活習慣病対策に、奈良県においては働き方改革、障害者支援、がん対策の分野で、大阪府では省エネにおいてナッジ理論を活用する取組が始まっています。

 さらに、最近、横浜市戸塚区においては、固定資産税の口座振替の勧奨にナッジ理論を取り入れ、結果、口座振替率が従来の2倍になるなど、成果も上がっております。

 本県においても、大腸がん検診の受診向上に向けて、今年度からナッジ理論を活用することになりました。

 「人を突き動かすのは欲と恐怖」という言葉が現実的で、私は好きでありますけども、人を動かすというのは簡単なことではありません。ちょっと心を見透かされている感は否めませんが、この行動科学を活用したナッジ理論、和歌山県でも積極的に採用していったらいいのになあと考えているのですが、我が県における今後のナッジ理論の取組、考え方について、企画部長の答弁をお願いいたします。

○副議長(鈴木太雄君) 企画部長横山達伸君。

  〔横山達伸君、登壇〕

○企画部長(横山達伸君) ナッジ理論は、個人の選択の自由を阻害することなく、情報発信や選択肢の提示方法などを工夫することで行動変容を促すことができることから、規制や税制、あるいは補助金などの従来型の政策手法を補完する新たな政策手法として、国や他府県においても取組が行われております。

 本県におきましても、他府県のように専門の組織は設置しておりませんが、様々な分野でナッジ理論を活用した取組を始めております。

 具体例といたしましては、生活習慣病予防のための特定健診について、ナッジ理論を活用した受診勧奨に取り組む市町村の支援を行っているほか、大腸がん検診についてもナッジ理論を活用した受診勧奨に取り組んでおります。

 また、本県が進めている津波避難3原則のうち、「率先避難者になれ」、これはナッジ理論における同調性を活用したものであり、自分は大丈夫だと思う正常性バイアスにより、避難をためらう人に逃げる姿を見せることで避難を促すものです。

 そのほか、空き家発生防止のための普及啓発等においても、利得より損失に強く反応する損失回避性などのナッジ理論の考え方を取り入れて行動変容を促す工夫を行っているところです。

 議員御指摘のとおり、県が政策を進める上で効果的に普及啓発を行うことは非常に重要であることから、引き続き幅広い分野においてナッジ理論を活用してまいります。

○副議長(鈴木太雄君) 玄素彰人君。

  〔玄素彰人君、登壇〕

○玄素彰人君 企画部長、答弁ありがとうございました。

 1問目のAI婚活のときより何歩も前に進んだ前向きな答弁であったと評価したいと思います。

 政策というのは割かしお金をかけないとその実効性を担保できないというところがあるんだと思うんですけども、このナッジ理論というのはちょっと工夫するだけで、お金もそんなにかかるもんではないんだと思います。一方で政策効果を上げられると思うんで、今後に大いに期待したいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 続いて、引き続き4点目、参ります。

 4点目でありますけども、自転車の転落事故防止対策についてであります。

 自転車で川や田んぼ、水路などに主に年配者が誤って転落し死亡する事故が過去3年で8件起きていて、うち4件は昨年に起こっています。昨年起こった死亡事故のうち1件は私の地元でありますし、場所も存じているところであります。

 昨年の車両単独の交通事故による死亡者数が8人という中で、4名というのは相対的に決して少ない数字ではないと思います。

 こういった事故は不注意によるもので起こったと言えばそれまでですが、見方を変えれば、公共物を管理する自治体の管理責任を問われる問題だということもできますし、安全対策をしていないがためにけがをした、冷やっとした件数なんかは相当あるようにも感じます。

 こういった事態を県警でも重く受け止め、昨年10月から県内全域で危険な地点をリストアップする作業を始め、優先順位の高いものから公共物を管理する県や市町村などに解決を働きかけていくと伺っているのですが、リストアップや優先順位をつける作業、予算要望など、働きかけの進捗はいかがなものか。私の地元である日高郡の状況も踏まえて、警察本部長に伺います。

○副議長(鈴木太雄君) 警察本部長親家和仁君。

  〔親家和仁君、登壇〕

○警察本部長(親家和仁君) 議員御指摘のとおり、昨年は、10月までに、自転車運転者が柵のない用水路等に転落して死亡する事故が4件発生しております。事故現場を見ると、走行していた道路が突然途切れ、その先が用水路になっているにもかかわらず、柵等の転落防止措置が講じられていないなど、地理に不案内の方や夜間に走行する方にとって、大変危険な状況となっていました。

 県警察としては、これまでも、こうした危険箇所を把握した場合は、その都度、自治体等の道路管理者と連携して対策を講じてきたところでありますが、同種の死亡事故を抑止するため、この機会に集中的に対策を講じる必要があると考えたことから、昨年10月16日付で通達を発出し、各警察署に対し、管内の道路環境を点検した上で、危険箇所については道路管理者等に働きかけを行い、速やかに対策を講じるよう指示したところであります。

 その結果、県下全域で48の危険箇所を新たに把握し、これらについて道路管理者等に働きかけを行ったところ、現時点で30か所において防護柵を設ける、ポストコーンを設置するなどの対策が講じられたものと承知しております。

 引き続き、警察においても、必要な働きかけ等を行うこととしております。

 なお、議員の地元の日高郡につきましては、管轄する警察署からの報告に基づき、危険箇所として3か所を把握しておりますが、そのうちの1か所については既に防護柵が改修されており、残り2か所についても今年度中には同様の措置が講じられる予定と聞いております。

 こうした取組は、交通死亡事故等の抑止に大いに資するものであり、継続的に実施する必要があると考えられることから、6月4日に開催した県下警察署長会議において、私から各警察署長に対し、危険箇所対策を今後も継続して実施するよう、改めて指示したところであります。

 県警察においては、こうした取組も含め、交通死亡事故抑止に向けた各種取組を強力に推進してまいりますので、引き続き御支援を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

○副議長(鈴木太雄君) 玄素彰人君。

  〔玄素彰人君、登壇〕

○玄素彰人君 警察本部長、答弁ありがとうございました。

 今の答弁をお聞きしまして、どんどんやっていただいているなという感想を持ちました。

 今回、この質問をさせていただくという中で、最初29か所だったんですけども、その途中でも1か所の改善箇所が増えましたということで御報告があったりしました。非常に積極的にやられているなというのを肌に感じたところであります。

 ただ、こういった危険箇所を見つけて改善をしていくということには当然予算も必要でありますけども、これに関しては知事も前向きに取り組まれているというふうなことも伺っております。感謝申し上げます。

 また、最後に地元でありますけども、残り2か所に関しても今年度中にやっていただけるということであります。大変感謝をしたいと思います。

 今後も、引き続き交通安全のために御尽力いただくようお願いを申し上げまして、この質問を終わりたいと思います。

 以上で、私の予定をしておりました質問は全部終了いたしました。いつもながらの拙い質問に御協力をいただきましたことに各位に感謝を申し上げまして、今般6月議会における一般質問を終えたいと思います。お付き合いいただき、ありがとうございました。(拍手)

○副議長(鈴木太雄君) 以上で、玄素彰人君の質問が終了いたしました。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 36番楠本文郎君。

  〔楠本文郎君、登壇〕(拍手)

○楠本文郎君 議長のお許しをいただきまして、本日、1期生の4人目の最後として、年長のゆえではないんですが、最後に質問をさせていただきたいと思います。

 3日目の最後ですから、ちょっと緊張感、緩めてください。どうぞ楽にして聞いてやってください。

 私の質問の1点目は、日高川流域治水プロジェクトの具体化について、まず御質問申し上げます。

 国土交通省は、流域治水に関する地域での取組を推進するため、河川整備に加え、流域のあらゆる関係者が協働して行う対策も含めた治水対策の全体像を流域治水プロジェクトとして各水系で取りまとめ、全国一斉に公表しました。

 流域治水プロジェクトは、近年の気候変動による災害の激甚化、頻発化を踏まえ、上流、下流、本川、支川の流域全体を俯瞰し、河川整備、雨水貯留浸透施設、土地利用規制、利水ダムの事前放流など、治水対策の全体像を取りまとめた初めての取組だと説明されています。

 全国109の1級水系を対象に、和歌山県では紀の川水系、新宮川水系で取り組まれ、2級河川では全国で12か所、和歌山県内では、2級河川としては日本一長いとして日高川水系が取り上げられています。

 6月3日、県は管内7市町や関係機関で構成する日高地域における大規模氾濫減災協議会を開き、この協議会の中で、日高川流域治水プロジェクト最終案を承認、策定したと報道されています。

 早速、公表されている資料を読ませていただいて、まだ底は浅いんですけれども、以下の質問をさせていただきたいということになりました。

 まず、流域治水プロジェクトと銘打つことの意義を示していいただきたいと思うんですね。と申しますのは、このプロジェクトは三つの柱が示されていますが、その中には、これから取り組むもののほか、既に取組が完了したもの、着手を始めたものもたくさんうたわれているんです。この中には、地域の意見、要望となっていることがたくさん含まれています。

 例えば、一つ目の柱は、「氾濫をできるだけ防ぐ・減らすための対策」です。

 その具体的中身は、今年度で言えば、補正予算も含め9億7000万円も計上されている西川河川整備や下川放水路整備などが位置づけられています。

 これらに関しては、和田川樋門の──和歌山にもありますが、これは日高郡美浜町の和田川樋門の──生かされ方はどうなるのか。また、その上流の千貫樋門の改善が進めば東裏川の流下は進むが、和田川との競合は心配ないのか。その際の西川の流下能力と海水の干潮・満潮時の差はどうなるのか。また、千貫樋門の上流の改善までに上流域の砂利のしゅんせつが必要になっている。さらに、下川放水路計画は2000万円の調査費がついて歓迎されていますが、御坊市内の浸水対策としても、西川だけでなく、他の河川への負担軽減のためにも優先してほしいといった意見など、たくさんの地元からの意見をお聞きしています。

 二つ目の柱は、「被害対象を減少させるための対策」です。

 ここでは、農業振興地域の農地転用の監視、二線堤の保護などが位置づけられていますが、その内容では、二線堤の保護にすぐ着手してほしいという意見、土地利用規制の検討を望む意見もあります。

 三つ目の柱は、「被害の軽減、早期復旧・復興のための対策」です。

 この内容としては、既に市町で完成してきているハザードマップ、防災ナビアプリの普及啓発や水位計、監視カメラの設置などが位置づけられていますが、このジャンルでは日高川の支流域にも水位計が必要だという意見もお聞きしています。

 本会議場は、こうした具体を議論することにはなりませんので、個別に回答を求めるものではありませんが、流域治水プロジェクトと、これまでの日高川水系河川整備計画との関係を整理していただけたらと思います。

 もう一つの角度は、この流域治水プロジェクトと、これまでの日高地域の減災に係る取組方針との関係を説明いただきたいと思います。

 日高地域等における大規模氾濫減災協議会では、日高地域の減災に係る取組方針について、今年、令和3年が5か年計画の最終としてまとめ、改めて5か年計画を策定していくというタイムスケジュールを示しています。今年度は、取組が完了した項目、継続的に実施する項目、新規に実施する項目の三つにふるい分け、取組方針の改定を行うとされています。どのような改定内容になるのでしょうか。逐次それぞれお答えをいただきたいと思います。

○副議長(鈴木太雄君) ただいまの楠本文郎君の質問に対する答弁を求めます。

 県土整備部長安部勝也君。

  〔安部勝也君、登壇〕

○県土整備部長(安部勝也君) 日高川流域治水プロジェクトに係る三つの質問についてお答えいたします。

 まず、一つ目の流域治水プロジェクトと銘打つことの意義については、日本一長い2級河川の日高川において、治水に寄与するハード及びソフト対策、対策の実施主体、スケジュールなどを関係者の間で共有することにより、協力体制をより強固にし、治水対策を加速化させることです。

 二つ目の河川整備計画との関係については、河川整備計画に基づく治水対策がこの流域治水プロジェクトに含まれます。

 三つ目の日高地域の減災に係る取組方針との関係については、本取組方針に基づき作成した浸水想定区域図や、これに基づくハザードマップ、避難指示の発令に着目したタイムラインなどがこの流域治水プロジェクトに含まれます。

 なお、本取組方針の改定内容については、今般の日高川流域治水プロジェクトの策定に係って出た様々な議論を踏まえて、現在、検討しているところでございます。

○副議長(鈴木太雄君) 楠本文郎君。

  〔楠本文郎君、登壇〕

○楠本文郎君 県土整備部長から答弁をいただきました。ありがとうございます。

 基本的に、この間に連続してマップが届けられているんです。これが(資料を示す)2014年の津波防災マップということで、これは市町の仕事になっているんですよね。これは、津波です。私の家は海岸線ですから、もうこれを待ち望んでいたんですね。この津波と同じように、今、出ているのは、色は変わったんですが、これが(資料を示す)1面で、ちょっと理事者に向けて、こういう形で出されています。これが洪水ハザードマップになります。この洪水ハザードマップに関しては、私の住む塩屋という地域でいえば、何もない白なんです。

 ところが、この津波に関してと洪水に関する二つともが挟まれる町、地域が出てきます、御坊市の中でも。それが日高川流域の中でも御坊河北地域と呼ばれるところで、薗、島、それから藤田、吉田という形で上っていく。ここら辺りが堤防崩れへんか、決壊せえへんかということで大いに関わるので、ほんならどんなにして逃げたらええんよということも含めてハザードマップが作られてきたという経過です。これは市町の仕事です。

 その次に、最近こういうのがどんどん出てきました。(資料を示す)ため池マップです。大きな、国なり県なり管理の、ため池は今までずっと出されておったんですけれども、これは、地域が管理しているため池も含めて、これも農林水産、市でやってきて、全戸に配られてきています。

 そういう蓄積の上に、昨年からちょっと予備的に質問させていただきましたけれども、流域治水プロジェクトというネーミングが突然現れて、今年の3月に、これでこれからはやるんですよというような形になってきたんで、ちっと頭の中、整理しよと。その頭の中、整理すると同時に、部長が答弁をされました。お話そのもの、住民はどうしたらええの。ここが私、ポイントやと思っていますので、それの出発を御坊、日高ですね、それから日高川流域だけでなくて、他の近くの河川も含めて考え方を示していきましょうという方向になっているんだと思います。そういう共通理解をこれから広げていくということが、今、何より大事やと思っています。

 その意味では、二つ目の問いかけになるんですけれども、今申し上げたようなことを前提にして、現在の専門的知見の総合的評価を県、市町の職員が共有することはとても大事なことだと考えているんです。その上に、これからはそれを地域住民にどのように理解してもらって、住民自ら主体となって豊かにする営みが必要だと考えるんですね。

 地域により、課題の共通項と相違があることを前提に、課題の大きい地域からワーキングチームをつくって検討と実践を積み重ねることが必要だと考えています。

 ちなみに、そういう私の思いというのがありまして、昨年来、御坊市全体で2回目の防災シンポジウムというのを、ちょっと大きな守備範囲といいますか、呼びかけて、開かせていただきました。地域住民の生の声をお聞きするという目的です。さらに、広域的な集会では、今度は焦点が定まらない。今申し上げたように、私の住む塩屋と御坊の町なかとは全然温度が違うわけですから、呪文のようになっちゃうという地域もありますから、その地域に特定の問題を取り上げる、より小さな範囲での地域懇談会的な聞き取りもしてまいりました。先ほど申し上げた具体的な事柄は、そうした中で出された御意見だと受け止めていただきたいと思います。

 その中で感じたことは、町内会長さんとか町内会連合の河川対策会とか、いろんな名称を皆さんつけられていますけれども、そういう皆さんの経験上持っている知識の豊かさが本当にすばらしいなと思いました。生活の知恵とも言うべき知見を流域治水プロジェクトの中に生かさない手はないという思いなんです。

 洪水に対する地域の防災力向上のためには、計画の策定段階はもとより、事業を実施していく段階においても、県と市町も地域の意見を聞きながら検討を重ねていくことが重要だと思います。この考え方について、県土整備部長のほうからの御答弁をお願いいたします。

○副議長(鈴木太雄君) 県土整備部長。

  〔安部勝也君、登壇〕

○県土整備部長(安部勝也君) 議員御指摘のとおり、治水計画の策定やその実施に当たっては、地域住民の意見を踏まえることも重要であると認識しています。

 これまでも、例えば平成28年3月に策定した日高川水系河川整備計画の策定段階においては、地域住民の代表等により構成される日高川を考える委員会の計4回にわたる開催や、32日間にわたるパブリックコメントの実施により、地域住民からの意見を広く聴取したところでございます。

 また、実施段階については、例えば令和2年10月15日に御坊市野口地区で開催した護岸の洗掘対策に係る説明会など、地元住民との意見交換を通じて、まさに地元住民が把握している地理的な知見や被災体験に基づく地域独自の取組や工夫などの把握に努めているところでございます。

 つきましては、日高川流域治水プロジェクトの実施に当たっても、地域の方々の意見を聞きながら、市町と連携して、洪水に対する地域の防災力向上に努めてまいります。

○副議長(鈴木太雄君) 楠本文郎君。

  〔楠本文郎君、登壇〕

○楠本文郎君 策定段階でも地域住民の意見を聞いているでと。流域治水と、非常に大きな視点で取り上げた中でも、しっかりと意見はお聞きしていきますよという基本的な御答弁をいただきました。

 でもね、私、ここへ上がらしていいただく前は町内会長をやったんですよ。町内会長の経験というのは、ちょっと行政からしてみたら、うるさい存在。ここ直してくれ、これやってくれ、これが願いやという形で行くでっしゃろう。そうやってやっていくと、あなた直す人、県の土木、建設課、日高の振興局って、こういう感じでもって日参するというような関係になっていく。でも、今の雨の降りようは、そんなことで河川さえ堤防を強化したら収まりまっせという範囲を超えてしまったというのが、去年、おととし、さきおととしと続いているたくさんの河川の氾濫でもって、はたと詰まるわけですよね。

 だから、今までの日高川河川整備計画で積み上げてきた、この計画に出したやつは全部やり上げますよと。でも、これをやったからといって、これから洪水が起こらんとは限らんのですよね。限らんということを地域住民にも知ってもうて、そのときにはどうするのかということを各地域地域でしっかり検討していきましょうよと。逃げるとなったら、この道、直さなあかんということも協働でできてくるやないかと。だから、そういう点では、国、県、市という行政機構と、それから住民組織が共通の理解を持ち合うということがまず大事で、その共通理解の上に立った役割分担というイメージを私は持ちました。

 ほぼほぼ、御答弁いただいた中では、それは間違いのイメージではないなあというふうに思いましたので、今後ともしっかりとピンポンをやりながら、そういう方向に進めていけたらと思っているんです。

 せんだって読んだ新聞で、警報、避難指示というのを出しても、なかなかその避難指示が地域に届かない、避難している人は1割、2割になってしまったというのは、いっぱいいろんな新聞でも取り上げられていますよね。だから警報とは何なのか、集団で逃げるとは何なのかということも、その今の話の中に入れていただけたらと思っていますことを申し上げて、次の質問に移ります。

 大きな質問の二つ目は、ちょっと細かくいろいろとやらせてもらいたいんですけれども、風力発電所問題についてお尋ねしていきます。

 地球環境問題から見た再生可能エネルギーとしての風力発電所は必要不可欠なものと考えます。しかし、どこでも問題なく建設されてよいはずはありません。気候変動の下でも生活できる自然環境を守るために必要なのが再生可能エネルギーですから、この定義からも自然環境と生活環境が壊されるようなことは行わないのが大前提だと思います。

 まずは、その立場から、洋上風力発電事業についてお尋ねしていきます。

 2月議会で質問をさせていただいて、答弁をいただいていることを前提に、ここでは端的に質問をさせていただきます。

 和歌山県洋上風力発電に係るゾーニングマップ及びゾーニング報告書の事業者への提供について、商工観光労働部長から──前任の方ですが──「エネルギー関係事業者など、数社が関心を持っており、問合せ等をいただいている」、また、「事業者向け説明会を開催するなどにより周知を図る」というお答えをいただきました。

 この項目の質問の一つ目に、この事業者向け説明会の実施状況について、商工観光労働部長にお伺いしたいと思います。

○副議長(鈴木太雄君) 商工観光労働部長寺本雅哉君。

  〔寺本雅哉君、登壇〕

○商工観光労働部長(寺本雅哉君) 令和3年2月26日にゾーニング報告書を公表し、令和3年3月12日に洋上風力発電に係るゾーニング事業者説明会を開催いたしました。説明会には、エネルギー関係事業者、ゼネコン、商社、メーカー、コンサルタントなど約60名の御出席をいただきました。

○副議長(鈴木太雄君) 楠本文郎君。

  〔楠本文郎君、登壇〕

○楠本文郎君 60名ですから、二つ目に、全体としては2月議会における知事の答弁が県としての基本スタンスですが、だからこそ、県の姿勢を承知の上で企業がどんな関心を寄せられているのかは今後の動向でとても注目をしています。現状において企業の方々がどのような関心を寄せておられるのかを商工観光労働部長からもう一度お答えいただきたいと思います。

○副議長(鈴木太雄君) 商工観光労働部長。

  〔寺本雅哉君、登壇〕

○商工観光労働部長(寺本雅哉君) 令和3年2月定例会において知事からも答弁しましたように、本県周辺の海域につきましては、黒潮の流れが速く、苛酷な気象、海象条件である上に、海そのものが観光資源となっており、自然公園や世界遺産からの景観や、騒音による生活への影響など様々な環境上の配慮が必要です。このほか、漁業者の活動や船舶の往来なども非常に活発な海域でもあります。

 事業者の皆さんとしても、どの海域にどれほどの懸念があるのかをまず把握されたいということで関心も高く、説明会の後も随時お問合せ等があるため、ゾーニング報告書を基に説明をさせていただいております。

○副議長(鈴木太雄君) 楠本文郎君。

  〔楠本文郎君、登壇〕

○楠本文郎君 それでは、三つ目になりますが、ゾーニングマップ完成前に既に環境影響評価法に基づく手続を開始しているパシフィコ・エナジーさんという会社があります。その手続の状況はどのようになっているでしょうか。この点は、環境生活部長のほうからお答えをいただきたいと思います。

○副議長(鈴木太雄君) 環境生活部長生駒 享君。

  〔生駒 享君、登壇〕

○環境生活部長(生駒 享君) 環境影響評価の手続を大きく区分すると、配慮書、方法書、準備書、評価書の順に四つの段階があり、御質問のあったパシフィコ・エナジー株式会社が進めている洋上風力発電事業については、配慮書の手続を令和元年8月に終了しています。

○副議長(鈴木太雄君) 楠本文郎君。

  〔楠本文郎君、登壇〕

○楠本文郎君 ありがとうございました。

 洋上風力でも知事の答弁は、私の地域でも、とってもインパクトのある答弁になっていまして、かなり難しいんやなあというような一言が返ってきます。でも、事業者説明会には60名の方々の参加があって、可能性を考えるから説明を聞きに来るんやしてね。その後の問合せもいっぱいあるということですよね。

 その下で、今答弁あったのは、配慮書は終わっていると、こういうことなんですよ。僕から言わせたら、あの配慮書は、ゾーニングやったところでよ、とっても造られるようなとこ違うでというところまでやってあるねんで。日高町の黒島ですかね。それからずっと新宮までを含めてのところでゾーニングというのを県がせっかく調査してあるからね。だから、あの配慮書ら、出直しやと思うんやけども、手続上は、あれは配慮書、もう一応終わってあるよと。こんなになるというのが今の御答弁ですよね。そのことを参考にしながら、洋上風力については地元ではもう終わった話のように受け止められていますが、重大な関心を持って対応してまいりたいと思います。

 その上で、今度は、陸上の風力発電所問題について幾つかに分けてお尋ねをしていきたいと思います。

 まず、陸上の風力発電所は県内で既にたくさん稼働されている。既に稼働している事業の現状と、現時点で環境影響評価法に基づく手続中の事業数についてお示しをいただきたい。

 同時に、この項の質問の二つ目にまとめてお伺いさせてもらいますが、個別の問題に入ると、稼働しているところは何々事業と言えるんですけども、影響評価を求めているところは全部「仮称」と呼ばなあかんねらよ。でも、仮称というたら、何か仮称仮称と訳が分からんようになるんで、もうそれは省かせてください。仮称という表現は省かせていただいて、二つ目に質問をしますが、海南・紀美野風力発電事業が4月の20日に有田川町に事業計画の変更を伝達してきて、有田川・海南発電事業になったということなんですね。設置予定範囲を見せていただいて、これはとても継続性があるとは思えない。ところが、環境影響評価では、方法書の段階から準備書に進められようとしているというんですね。1段階、前に進んだというふうになります。

 私は、初めからやり直しをすべきと違うんかと思うんですが、法律上、どのような変更になれば手続のやり直しなどの状況になるのか、お示しをいただきたいと思うのが2点目です。

 3点目、三つ目には、しばしば出てくる地元同意という表現です。

 他の事業でも繰り返し出てきて疑問に思うことが間々あるんですが、陸上における風車という建造物の場合、地権者の同意は当然のことやけれども、隣接者の同意もしくは影響を受ける地元という表現の同意の在り方がしばしば問題になります。環境影響評価法におけるこれらの同意の必要性について、3点について、お答えをいただきたいと思います。

○副議長(鈴木太雄君) 環境生活部長。

  〔生駒 享君、登壇〕

○環境生活部長(生駒 享君) まず、現在稼働している陸上風力発電事業の現状につきましては、環境影響評価法の対象規模である出力7500キロワット以上の事業が7事業、発電機総数97基、合計出力が16万3250キロワットとなっています。また、6事業が、環境影響評価法に基づく手続中となっています。

 次に、環境影響評価の手続をやり直す必要があるケースは、出力が10%以上増加する場合、または300メートル以上離れた区域が新たに対象事業実施区域となる場合とされていますが、出力や区域を縮小する場合は必要ありません。

 最後に、地元同意につきましては、環境影響評価法において、地権者、隣接者及び影響を受ける地元等の同意を必要とされていません。

○副議長(鈴木太雄君) 楠本文郎君。

  〔楠本文郎君、登壇〕

○楠本文郎君 ちょっと時間との関係で、ゆっくり説明をしたかったんですけれども、議員の皆さんには、ほんまにこれは固有名詞が出てきて分かりにくいと思ったんで、それで資料をつけさせてもらいました。

 一つは、和歌山県の風力発電事業の現況という、この一覧表ですね。上のくくりが、現に稼働している発電所。下のくくりが、計画中の事業の陸上。下側が洋上、先ほど申し上げたやつですね。字も小さくて、何か似たようなネーミングの組合せみたいな感じで、どこがどこやらという形なんですけども、ちょっと注目しておいてほしいのは、上から順番に稼働した順番なんです。広川明神山風力発電所というのは2008年、それからユーラスが2009年、白馬ウィンドファームが2010年と。以下、順番に来て、中紀ウィンドファームが2021年の4月に稼働が始まる。ついこの間の4月なんです。そこから始まった。

 単機出力というのが1000キロワットのものが2100キロワットというところになったのが、中紀ウィンドファーム。それが計画中のものになると、びっくりするなよという話ですが、仮称「海南・紀美野」と今私がお尋ねしたこの事業変更を言われているのは4500キロワットの15基という計画なんですよ。大きいことはいいことか。中ぐらいに、ばかでかいのが後々出てくるということで、それが和歌山県全体を地図化したらいいかなと思ったんやけども、それではあれなんで、楠本があと15分ほどしゃべる間に、この地図を見ていただけたら、言うていることが15分、緊張感持たんでも分かるというふうに思っているんで見ていただきたいんです。日高川町の管内図を用いました。あえて日高川町という町から見て、ウィンドファームがどうなっていくかという地図にしてみたんです。

 答弁者もお持ちですね。見てくれていますね。

 白馬ウィンドファームというのが、高速道路に乗ったら日高川町の役場から由良を抜けていく、そこのところに出てまいります。これが20基あります。そこから、広川・日高川ウィンドファームというのは、高速からは見えません。そこから次に上っていく形になります。中紀ウィンドファームというネーミングで2100キロワットの23基が竣工予定というのは、2月の26日時点の作ったときですから、4月に竣工をされている中に入っています。

 そして、今、環境影響評価、環境アセスメントが出てきているのが、中紀第二ウィンドファーム、4300キロワット、12基という、このど真ん中の、ちょっと私が鉛筆書きで丸で囲ったこれです。同じ赤色になってしもて分かりにくいかもしれませんけど、こんなん丸がないんやで。地図上の印やで。それで、右側に大和エネルギー、DREAM Windという名称で、こんな形になるんかなあということを、こんな中紀第二ウィンドファームの(資料を示す)説明会資料を、ここ見たら書いてあるんで、もう入れてみたわけです。DREAM Windの資料をこうやって落としてみたんです。そしたら、これはえらいこっちゃなあ。御坊弁、出てくるんよ。がいなもんよらあ。こんな粗くたいにしてええんかあという感じなんよらよ。それが今回の質問の動機なんです。これは、粗くたいぞ。

 ちょっと質問に行きますね。ほんまにがいなもんよ。

 ここからの質問は位置図で見てもらいながら聞いてほしいんですけども、白馬山脈の尾根伝いに中紀ウィンドファームの23基あって、次のウィンドファームは4300キロワットというふうに、もうこれは繰り返しますが、これをきれいと見るか、風力発電をね。高速道路で見ていたらね、ひゅうっとゆったり回っているように見えて、「がいなきれいんや」と言う方もおられたんですよ。ところが、私は、すさまじい環境破壊というふうに最近は思えてきているんです。事実を正確に把握して、その自然に与える影響をつぶさに考察する。何より近くで住み続けている住民の声が反映されなんだらあかんというふうに思っています。

 有田川町、日高川町からも地元自治体からの意見が出されています。この過程には、住民説明会においての住民の反発も含まれていると思います。私、これらの事業者がこうした意見に真摯に向き合っているなあとは思えなくなっています。より厳しく対応せざるを得ないのではないかと感じています。

 そうした下で、一昨年8月に、中紀第二ウィンドファーム事業の方法書について知事意見が述べられています。昨年9月には、DREAM Wind和歌山有田川・日高川風力発電事業の配慮書に対して知事意見が出されています。それぞれの知事意見の基本的な考え方をお示しいただきたいと思います。

○副議長(鈴木太雄君) 環境生活部長。

  〔生駒 享君、登壇〕

○環境生活部長(生駒 享君) 白馬山脈については、東に向かって自然度が高く、貴重な動植物の生息域が残っていることから、この区域における事業は自然環境に重大な影響を与える可能性が極めて高いと考えています。

 また、この地域で既に稼働している風力発電施設よりさらに東側に中紀第二ウィンドファーム事業とDREAM Wind和歌山有田川・日高川風力発電事業が計画されており、発電施設が立ち並ぶことによる累積的な影響も懸念されます。

 現在、地球温暖化対策や資源循環の観点から再生可能エネルギーの導入が進められていますが、それはあくまで自然環境や生活環境との調和を前提としたものでなければならず、そうでないものは是認できません。

 このような考え方を踏まえ、両事業の配慮書及び方法書に対する知事意見では、天然林等の自然度の高い植生の伐採を避けること、騒音等に関して住居から十分な離隔距離を取ることなどを求めています。

 加えて、重大な環境影響を回避または十分に低減できない場合は、中紀第二ウィンドファーム事業については区域の見直しや基数の削減を、DREAM Wind和歌山有田川・日高川風力発電事業については、事業の廃止を含め、事業計画の抜本的な見直しを求めています。

○副議長(鈴木太雄君) 楠本文郎君。

  〔楠本文郎君、登壇〕

○楠本文郎君 ありがとうございます。

 ちょっと力みがありまして、時間が予定よりも尽きてきました。

 ちょっと絞っていきますが、知事の意見というのはとっても重たいものやと考えています。中紀の第二についても、DREAMについても、繰り返しずっとこれを引っ張ってみましたら、累積という言葉もありまして、そういうことも含めて、とっても重たい意見が出されているということがよく分かりました。それで、ここで根掘り葉掘りお尋ねすることはやめて、この審査が、いわゆる住民にとって健康や生活を壊されることがないのか。そして、人間が住めるような、自然が壊されることがないのかという立場から審査をされるということの受け止めで、ここの場は置いておきたいと思います。

 ただ、4点目の質問に、健康被害についての県の把握状況だけはお伺いしておかなければならないと思います。

 私の先輩の雑賀元県議が、かなりこの議場で繰り返し取り上げてきています。白馬山脈の尾根伝いに造られてくるウィンドファームについては、そのような訴えは出されていないのでしょうか。県の把握はどうでしょうか。お答えをいただきたいと思います。

○副議長(鈴木太雄君) 環境生活部長。

  〔生駒 享君、登壇〕

○環境生活部長(生駒 享君) 中紀ウィンドファーム事業に関し、周辺地域の住民の方から騒音の訴えがあることは把握しております。

 このことから、現在、事業者と地元区の間で締結された覚書に基づき、事業者が騒音の測定を実施しているところであり、その結果に基づき、事業者において必要な対策が講じられるものと考えております。

○副議長(鈴木太雄君) 楠本文郎君。

  〔楠本文郎君、登壇〕

○楠本文郎君 繰り返しの答弁ありがとうございます。

 環境生活部長から、この審査のポイントは十分に述べていただけたというふうに思っています。

 それで、部や課が変わるんですけれども、農林水産部長から一つだけお答えをいただいておきたいと思うんですね。

 尾根伝いを上っていくこれらの計画は、白馬の山並みの尾根という山の頂を連続して削って、大量の土砂を流出させ、山の保水力を奪うことになるんと違うかい。私には、こうした計画は白馬のお山の頭からはつっていくというように見えます。自然環境への負荷をたくさんかけることになるこの計画は森林法に基づく林地開発許可が必要な問題ではないかと思います。

 そこで、これまでにこの地域に設置した風力発電所施設はどのような許認可が行われ、またこれから設置する風力発電所施設はどのような手続が必要となるのか。この点は農林水産部長からお答え願いたいと思います。

○副議長(鈴木太雄君) 農林水産部長岩本和也君。

  〔岩本和也君、登壇〕

○農林水産部長(岩本和也君) 風力発電施設の設置に係る森林法の許認可についてですが、地域森林計画区域内で開発行為の規模が1ヘクタールを超える場合は、和歌山県林地開発許可制度事務取扱要領に基づく林地開発の許可が、また、保安林に指定されている場合は、国で定められた森林法に基づく保安林及び保安施設地区関係事務に係る処理基準に基づく保安林指定の解除のいずれかが必要となります。

 白馬山脈で既に設置されています白馬ウィンドファーム及び広川・日高川ウィンドファームにつきましては、林地開発の許可を行い、中紀ウィンドファームにつきましては、一部に保安林が存在していたことから、林地開発の許可及び保安林指定の解除を行っています。

 次に、現在計画されています中紀第二ウィンドファーム事業及びDREAM Wind和歌山有田川・日高川風力発電事業につきましては、計画区域が保安林に指定されていることから、保安林指定の解除手続が必要になりますが、現時点では、事業者から保安林解除の申請はなされていません。

 県といたしましては、天然林などの自然度の高い森林が有する公益的機能や自然環境上の価値は重要であり、保全すべきものと考えています。

 したがって、これらの機能や価値を毀損するような望ましくない開発行為に対しては、法的規制等に照らしつつ、厳格な審査を行い、事業の見直しや中止を求めることも含め、断固とした対応で臨む所存です。

○副議長(鈴木太雄君) 楠本文郎君。

  〔楠本文郎君、登壇〕

○楠本文郎君 答弁は、重みのある答弁をいただいたと思っています。厳格な審査とか、中止を求めることも含めとか、断固としてと、知事の思いも込められていると受け止めて、この質問を終わりたいと思います。

 大きな項目3点目に、コロナ禍の下で介護の現場は疲弊しています。今、介護をめぐる一番の問題は、新型コロナウイルス感染症対策です。この点では、高田議員の質問にあったように、特別の対策を求めたいと思っています。

 私の質問では、住民負担になる介護保険料・利用料の問題、サービスを提供する介護事業者とその従事者の問題などについてお尋ねしていきたいと思います。

 その1点目。2000年に介護保険制度がスタートして20年を超えました。出発時点の県内の介護保険料の平均は月2910円でした。今年は第8期目の出発の年になりますが、月額は県下で6541円、2.25倍となり、もはや限界を超えたと言われています。「少ない年金から介護を引かれて大変や」、「年金が減らされて、介護は上がる。これからどうなるんやろう」というお年寄りの声がたくさん聞こえてまいります。

 御坊市では、保険あって介護なしの状況にしてはならないと、この20年、奮闘してきました。特に認知症の方に寄り添うため、認知症の御本人を主人公とした市条例をつくって取組を重ねてきており、市民の信頼も高くなっています。

 一方で、介護保険料も県下で一番高くなったと、お叱りを受けるという状況にあります。これは別々の問題を一緒にしていますし、御坊市の保険料が高くなっていることには市の分析が必要な問題もあります。

 しかし、行政や高齢者施設が介護をしっかりやったら介護保険料が高くなる。高齢者から考えると、介護のサービス提供を受けたら利用料が必要となって、保険料・利用料の負担が大変というジレンマを持ちます。

 今年度から始まる第8期介護保険料が高くなっていることをどう捉えているのか、福祉保健部長から御答弁をいただきたいと思います。

○副議長(鈴木太雄君) 福祉保健部長志場紀之君。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 本県では、要介護認定率が全国で最も高く、保険料も4番目の高水準にあることから、市町村と共に体操教室やサロンなど通いの場を充実させることで元気な高齢者を増やし、健康の保持を図る介護予防を推進するとともに、介護の必要度が低い軽度な方を対象に、自立につながる適切なケアプランを検討するための地域ケア個別会議の実施を全ての市町村に拡大させ、ケアプランに適切なリハビリテーションを反映させるなど、自立支援の取組を推進してきました。

 このような取組の結果、第7期の介護保険事業支援計画で想定していた要介護認定者数やサービス利用量が見込みを下回ることができ、これまで右肩上がりで上昇していた県平均保険料は、第8期において月額6541円と、前期に比べ3円増とほぼ横ばいとなっています。

 ただし、介護保険料は団塊ジュニア世代が65歳以上となる2040年には約9600円まで上昇が見込まれることから、上昇の抑制のため、引き続き介護予防や自立支援に取り組むことが重要と考えています。

○副議長(鈴木太雄君) 楠本文郎君。

  〔楠本文郎君、登壇〕

○楠本文郎君 ありがとうございます。

 ちょっと言いたいことはありますが、飛ばさせていただいて、もう一つの問題として、現場の介護人材不足という深刻な問題があります。

 ハローワークによりますと、令和2年度和歌山県内の有効求人倍率を見てみると、全業種0.92に対し、介護関連職種は2.99となっています。担い手不足は歴然だと思います。

 何で介護の担い手が不足しているんな。そこのところが大きなテーマだと思っています。

 しかし、こうした状況を担当部課もつかんでくださっているとは思っているんです。ですから、対策を取られてきているところについて、賃金格差は改善されてきているのか、和歌山県の処遇改善の取組はどうなんか、お答えをいただきたいと思います。

 さらに、全体としての介護人材の確保というテーマを持って様々な改善策を具体化されていると思います。

 以上2点について、福祉保健部長からお答えをいただきたいと思います。

○副議長(鈴木太雄君) 福祉保健部長。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 全国における令和2年度の訪問介護員の給与額は月額約26万円と、全産業の平均よりは約7万円低くなっていますが、平成21年度の給与額と比べると約5万7000円改善されています。これは、平成21年度から4次にわたる処遇改善による引上げによるものです。

 介護職員の処遇改善については、国が定める介護報酬の中で措置されているものであり、また、令和元年10月から始まったさらなる処遇改善について、介護報酬の加算制度を取得している事業所の割合は約6割強にとどまっていることから、県としては、引き続き事業所に対する説明や指導、社会保険労務士による個別助言など、必要な支援を行ってまいります。

 次に、県における介護人材の確保に向けた施策については、高校生が無料で介護職員初任者研修を受講できる取組や返還免除つきの介護福祉士修学資金の貸付け等により介護職場への参入促進を図るとともに、介護ロボットやICTの導入支援等により労働環境の改善と離職防止を図るなど、総合的に取り組んでいるところです。

 なお、介護人材を安定的に確保するためには、介護職への理解促進とイメージアップ、処遇改善が重要であることから、全国知事会等を通じて、国に対し、引き続き要望してまいります。

○副議長(鈴木太雄君) この際、申し上げます。所定の時間まで残り2分であります。質問は簡潔にお願いをしたいと思います。

 楠本文郎君。

  〔楠本文郎君、登壇〕

○楠本文郎君 ありがとうございます。

 最後に、介護保険ができて20年。これから20年後の2040年というのがまた大きな山だと言われています。それに向かって、原点に戻って現行制度の持続性を高めるために、県としてどのようなことを考えて計画されているのかということをお答えいただきたいと思います。

○副議長(鈴木太雄君) 福祉保健部長。

  〔志場紀之君、登壇〕

○福祉保健部長(志場紀之君) 介護保険制度は、介護を必要とする高齢者を家族から社会全体で支えるため、それまでの行政主導の措置制度から、利用者がサービスを選択できる公的保険制度として平成12年度に創設され、現在、県内で約6万8000人が利用する暮らしに欠かせない制度として浸透、定着しています。

 当制度の財源は、介護サービスの利用者が原則1割を負担し、残りを40歳以上の保険料と国、県、市町村の公費で半分ずつ賄っており、65歳以上の保険料については、保険者である市町村が介護サービスの見込み量を推計し、独自に設定することとなっています。

 県では、現行制度の持続性を高めるため、さきに申し述べましたとおり、市町村と共に介護予防や自立支援の取組を推進しています。

 ただし、一方で、このような取組によっても、高齢化の進展に伴い今後も上昇が見込まれる保険料を抑制することには限界があることから、国の責任において恒久的な保険料の軽減措置を講ずるよう、国に対し要望しているところです。

○副議長(鈴木太雄君) 楠本文郎君。

  〔楠本文郎君、登壇〕

○楠本文郎君 御協力のお礼申し上げないと終われません。もう少し時間配分を考えて、今後とも頑張りたいと思います。眠たい中、御協力をいただいた皆さん方にお礼を申し上げ、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)

○副議長(鈴木太雄君) 以上で、楠本文郎君の質問が終了いたしました。

 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。

 次会は6月21日定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。

 本日は、これをもって散会いたします。

  午後2時49分散会

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