令和3年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


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令和3年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号

議事日程 第4号

 令和3年3月5日(金曜日)

 午前10時開議

 第1 議案第1号から議案第17号まで、議案第34号から議案第59号まで、議案第61号から議案第64号まで、議案第66号から議案第70号まで及び議案第73号から議案第85号まで(質疑)

 第2 一般質問

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会議に付した事件

 第1 議案第1号から議案第17号まで、議案第34号から議案第59号まで、議案第61号から議案第64号まで、議案第66号から議案第70号まで及び議案第73号から議案第85号まで(質疑)

 第2 一般質問

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出席議員(42人)

 1番 鈴木德久

 2番 山家敏宏

 3番 中本浩精

 4番 堀 龍雄

 5番 藤山将材

 6番 岸本 健

 7番 井出益弘

 8番 宇治田栄蔵

 9番 北山慎一

 10番 玄素彰人

 11番 中西峰雄

 12番 秋月史成

 13番 森 礼子

 14番 濱口太史

 15番 尾崎要二

 16番 冨安民浩

 17番 川畑哲哉

 18番 玉木久登

 19番 鈴木太雄

 20番 岩田弘彦

 21番 吉井和視

 22番 谷 洋一

 23番 佐藤武治

 24番 岩井弘次

 25番 中 拓哉

 26番 多田純一

 27番 新島 雄

 28番 山下直也

 29番 中西 徹

 30番 谷口和樹

 31番 藤本眞利子

 32番 浦口高典

 33番 山田正彦

 34番 坂本 登

 35番 林 隆一

 36番 楠本文郎

 37番 高田由一

 38番 杉山俊雄

 39番 片桐章浩

 40番 奥村規子

 41番 尾﨑太郎

 42番 長坂隆司

欠席議員(なし)

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説明のため出席した者

 知事         仁坂吉伸

 副知事        下 宏

 知事室長       細川一也

 危機管理監      森田康友

 総務部長       田村一郎

 企画部長       田嶋久嗣

 環境生活部長     田中一寿

 福祉保健部長     宮本浩之

 商工観光労働部長   大山 茂

 農林水産部長     角谷博史

 県土整備部長     庄司 勝

 会計管理者      城本 剛

 教育長        宮﨑 泉

 公安委員会委員    細江美則

 警察本部長      親家和仁

 人事委員会委員長   平田健正

 代表監査委員     保田栄一

 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫

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職務のため出席した事務局職員

 事務局長       中川敦之

 次長         井邊正人

 議事課長       山田修平

 議事課副課長     岩井紀生

 議事課議事班長    岸裏真延

 議事課主査      松田太郎

 議事課主査      伊賀顕正

 議事課主事      松本 悠

 総務課長       嶋岡真志

 政策調査課長     神川充夫

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  午前10時0分開議

○議長(岸本 健君) これより本日の会議を開きます。

 日程第1、議案第1号から議案第17号まで、議案第34号から議案第59号まで、議案第61号から議案第64号まで、議案第66号から議案第70号まで及び議案第73号から議案第85号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、併せて日程第2、一般質問を行います。

 12番秋月史成君。

  〔秋月史成君、登壇〕(拍手)

○秋月史成君 おはようございます。

 先日、手話通訳を行う女性の方と少しお話しする機会をいただきました。本日も、この辺りで手話通訳を行っていただいていることと思います。その女性との短い会話の中で、「議員、手話通訳をしやすいようにできるだけゆっくり話してください」とのことでした。できるだけゆっくり話し、聴覚障害のある県民の皆様にも県政での議論を知っていただきたいと存じます。

 それでは、議長の許可をいただきましたので、以下、通告に従い、一般質問を行います。

 令和2年9月16日、菅内閣が発足しました。発足当時、自助、共助、公助、そして絆をキャッチフレーズに掲げ、国民のために働く内閣として、御祝儀もあったでしょうが、高い支持率でスタートいたしました。その後、国民に身近な政策を次々と掲げて、実行する菅内閣。新型コロナウイルス感染症という未曽有の事態を乗り越えようと日々御尽力いただいていることを報道等で拝見しております。現代社会において、人類が初めて経験する感染症対策と経済再生の両立という大変困難な課題に日々挑戦されていることと私は感じております。

 政治家というのは、どんなに頑張っていても国民やマスコミから評価されにくい職業だと思います。その証拠に、安倍前首相が体調不良のために退陣を表明した際、それまで安倍政権に対し批判的な論調だったマスコミや国民も、安倍前政権が行ってきた政策や外交実績を高く評価する論調となりました。まさに、手のひらを返したような論調に、私は滑稽さを覚えた一人でもあります。

 人類が初めて経験する未曽有の新型コロナウイルス感染症対策及び経済再生の両立という難局、このバトンを安倍前政権から引き継いで国政の運営を行う菅政権、国民世論からその新型コロナの対応、経済政策について日々批判を受け続けている論調ではありますが、和歌山県の首長として現政権をどのように評価しているのか、知事の御所見をお聞かせください。

○議長(岸本 健君) ただいまの秋月史成君の質問に対する答弁を求めます。

 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 御質問ではございますが、何となく総理大臣について論評を加えるなどということについては少しちゅうちょするところがありますが、通告でございますので申し上げたいと思います。

 最近、菅総理を見ておりますと、総理の職は本当に大変だなあというふうに思います。特に総理というのは、政治全体、つまり日本全体のリーダーでございますので、したがって、ありとあらゆることについて配慮しなきゃいけない。だから、あれをやったらいいのに、これをやったらいいのにと言っておれば済むというもんではなくて、これは大変だなあと。しかも、どうもやっぱり権力闘争みたいなところがどうも国政にはあって、やっぱり総理を攻撃するのが仕事みたいな感じになっている風潮があるなあというふうに思いますし、また、マスコミなんかも、内容にかかわらず、やっぱり総理とか政権とか、そういうものをたたくのがやっぱりよしというふうに思っている感じがあるなあというふうに思いますので、そういうことも悪いというふうに言えないんですけど、大変だなあという感じがあります。

 新型コロナに関しては、もっと大変なのは、権限とか実質をいろいろ考えると、総理のせいというか政権のせいでもない、政府のせいでもないなあと、これは都道府県のせいじゃないかと思うようなことまで、何かぽんとげたを預けられてしまって、それで呻吟をしているという姿がよく私には映りまして、これはもっと大変だなというふうに思います。

 総理とも何回かお話をしたことありますが、それからお書きになったことを読んだりもいたしますが、この方は実務が得意だなあというふうに思います。たくさんございますけれども、きれいごとだけを言っているという、理想を語って、それは大事なことですが、それで終わりというわけじゃなくて、実務をちゃんとやるのが自分の真骨頂だというふうに思っておられるんじゃないかというふうに思います。

 本当にすごいなあと思ったことを二つ挙げますと、関空の台風で壊れた連絡橋をあっという間に直してしまったと、あれは私も台風12号のとき、後の対策でいろいろ同じようなことをしましたけれども、いろいろな機関がそれぞれ行動には癖があるんですね。また、縦割りでそれぞれ自分は責任を取りたくないというふうにみんなが思うわけです。それを一固めにして最大効率で働かせたというのは、これは大変な力量だろうというふうに思います。

 また、利水ダムを治水用途で使うというのは、これは実は和歌山県はあるきっかけでできたんですけれども、10年ぐらい前からやっとるんですが、それについて成功しているのでほかの県でもやらしたらどうですかと、国営ダムでもやったらどうですかとずっと言い続けていたんですけど、それがぱっとできたのは、実は菅官房長官の一声でできてしまいました。だから、そういう意味では、やっぱりそういう実務をちゃんとこなす力量はおありになるんだなと思って、これからもそういう点で頑張って、国をうまく導いていただきたいと考えております。

○議長(岸本 健君) 秋月史成君。

  〔秋月史成君、登壇〕

○秋月史成君 次の質問に移ります。

 現在、和歌山県も令和3年度の方向を決める2月定例会が開会し、一般質問が始まっております。今議会は1年に4回開会される定例会の中でも、最も重要な定例会であります。

 そこで、知事に質問です。和歌山県の首長として、先ほどの質問の答弁を踏まえ、菅政権に令和3年度に期待すること、そして、政権に対して望むことをお聞かせください。

○議長(岸本 健君) 知事。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 今度は、和歌山県のほうから見たときの期待ということになりますので、言いやすいんでございますが。

 まず、新型コロナの感染をあるところまで終息させるということをやってほしいと思います。そのためには、どうも世の中の、特にメディアの論調とか専門家の方々、メディアに出てくるがゆえに影響力のある専門家の方々は、みんな行動を抑えろと、経済を潰せと、こういうことばっかりおっしゃるんですけど、やっぱり大事なことは、田舎のほうの県のほうをずっと見ていますと、ちゃんと積極的疫学調査と病床の確保と、そういう保健医療行政をきちんとやっているところは程々にコントロールしているわけでございますから、特にそれが全然できてない首都圏に対してちゃんと指導をして、それをやるようにというメッセージをちゃんと発出してほしいというふうに思います。

 それから、経済対策では、全国至るところ困っているわけでございます。現在は、もちろん困っていることを全部解消はできませんが、緊急事態宣言を宣言したところについては、ほかのところと比べると格段に政府もお金を出して助けようということになっているわけですが、影響はほかのところもほとんど同じぐらい受けているわけですね。したがって、地域や業種によって不公平が生じないように配慮をして、それで助けてほしいというふうに考えております。

 それから、ワクチンについて、私はこれが物すごい救世主になるというふうに思っているわけでございますが、最近見ると国の確保、供給スケジュールが、何か初めにアナウンスされていたよりも随分遅いと、それで大丈夫かというような感じも若干あるわけで、ここは得意の実務能力を最大限発揮していただいて、それではっきり言うと、ちょっと今までどうかなあということであった厚労省のワクチン確保グループを叱咤激励して、早く確保してもらいたいというふうには思います。

 それから、これだけじゃなくて、コロナ後の新しい世界というのも見据えた政策を打ってもらいたいと思うんですが、それについては菅総理も、例えばデジタル化、あるいは活力のある地方づくり、あるいは少子化対策、不妊治療の拡大。割合、菅総理らしい具体的な目標のある政策を早々に提唱されていらっしゃいます。そういうことをどんどん進めていただくとともに、ほかにも新しい世界というのはあると思いますので、それを応援してほしいというふうに思います。和歌山でいえば、IRもあるし、ICT企業の集積やロケット、それからワーケーション、様々な課題がもうそこにあるわけでございます。もちろん、我々自身が頑張らないといけないところがありますが、国においても応援をしてほしいというふうに思います。

 その中で特に言及いたしますと、実はワーケーションは今ほとんど国の全体の大目標になっている感があります。しかし、これは和歌山県が提唱して、それで当時は総務省とそれから経済産業省が支援をしてくれていた。その中で仲間を増やし、イメージをつくって一生懸命やってきたんですけれども、ここのところへきて一気にばんと拡大したのは、実は官邸で行われました、昨年7月ですけど、観光戦略実行推進会議というところで、これは菅官房長官が議長をしておられるわけです。そこに和歌山県ワーケーションだそうだ、なんていうことで呼ばれまして、意見を開陳いたしました。そしたら、これはぜひ推進すると、主担当も決めて推進するというふうにはっきりと明言をしていただきまして、そこからばっと各省庁に広がったというところもあるというふうに思います。

 こういうことをほかにもどんどんやっていただいて、和歌山県も大いにすがっていきたい、そんなふうに思っている次第でございます。

○議長(岸本 健君) 秋月史成君。

  〔秋月史成君、登壇〕

○秋月史成君 最近の報道では、連日連夜、現政権の批判の報道がなされております。仁坂知事は、現政権に高い評価を寄せているようですが、評価すべき点はきちんと評価し、県民のためには言うべきことはきちんと言う、今後もそんな姿勢で政権に対して臨んでいただきたいと思います。

 次の質問に移ります。

 去る2月13日、福島沖を震源とする震度6強を記録する地震が発生しました。来週11日には、東日本大震災が発生して10年目の節目を迎えます。当時の記憶が呼び戻され、地震の恐ろしさを感じたところです。震度6強が発生したにもかかわらず、驚くほど被害が少なかったように思います。これは10年間にわたり、震災対策を進めてきた結果ではないかと思われてなりません。復興庁の下、被災地には復旧・復興のために多額の予算が投入されたと聞きます。

 和歌山県でも他人事ではありません。2月13日には和歌山市でも震度4が発生し、その後、余震が続いています。また、マグニチュード8.7の東海・東南海・南海3連動地震と9.1の南海トラフ巨大地震の発生が予想されています。南海トラフでマグニチュード8から9クラスの地震が今後30年以内に発生する確率は70%から80%ということです。

 地震以外にも忘れてはいけない災害として、東日本大震災の半年後に発生した紀伊半島大水害があります。西牟婁を地盤とする私にとっても、一政治家としても、県民の命を絶対に守らなければならないと改めて強い決意をした災害でした。今年は発生から10年目の節目を迎えます。

 これまで、県は一生懸命に防災・減災対策を進めてきました。特に、平成30年から始まった防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策は、樹木伐採など対策が目に見える形で進んでいきました。県民も安全が高まったと理解しています。そして、昨年12月11日に防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策が閣議決定されました。昨年の6月議会並びに12月議会の意見書もその実現に寄与したものと信じています。

 一方、私は、その決定に喜びつつも、和歌山県に十分に予算が配分されているか、大変気になりました。また、ネットワーク対策や老朽化対策など、3か年緊急対策と比べて、対象とするメニューが拡充されたと聞いていますが、県土の強靱化にどのような影響があるのか、大変興味があります。

 そこで、県土整備部長にお伺いいたします。

 県土整備部関係では、和歌山県に対してどの程度の予算が配賦されたのでしょうか。また、メニューが拡充されたことにより、県にどのようなメリットが期待されるのでしょうか、お答えください。

○議長(岸本 健君) 県土整備部長庄司 勝君。

  〔庄司 勝君、登壇〕

○県土整備部長(庄司 勝君) 防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策に係る本県に配賦された初年度の予算額、拡充された施策並びにメリットについてお答えします。

 まず、初年度の予算につきましては、国において編成された令和2年度第3次補正予算では、国土交通省関係の直轄事業で約189億円、県土整備部所管の補助事業と交付金事業の合計で市町村分も含め約215億円の合計404億円です。

 次に、拡充された施策は、高規格道路のミッシングリンク解消や4車線化等の道路ネットワークの機能強化対策、予防保全型インフラメンテナンスへの転換に向けた老朽化対策、国土強靱化に関する施策を効率的に進めるためのデジタル化等の推進となっております。

 最後に、本県へのメリットにつきましては、本対策により防災・減災対策のさらなる進展はもとより、緊急輸送道路である紀伊半島一周高速道路の整備の加速化、既存のインフラが災害時に十分な機能を発揮するための老朽化対策の着実な実施、河川等の監視カメラ増設などデジタル化推進といったものが県土の強靱化に大きく寄与すると考えます。

○議長(岸本 健君) 秋月史成君。

  〔秋月史成君、登壇〕

○秋月史成君 ただいま県土整備部長から答弁があったように、和歌山県に対して予算がしっかり配分され、メニューも拡充されています。私は、これは和歌山県にとって大きなチャンスではないかと思います。国土強靱化予算は、当初予算とは別枠で確保され、地方の財政措置も有利であると聞きます。地元の富田川の河道掘削や日置川の築堤などがさらに加速化するのではないかと期待しています。県民悲願の紀伊半島高速道路一周も加速化するものと信じています。それだけではありません。メニューにデジタル化が追加されたことにより、河川水位などのデータをより広範に取得し県民に提供するだけではなく、現場で工事を進める関係者の業務効率化に資するなど、ソフト施策の充実にも寄与するものと思います。

 そこで、知事にお伺いいたします。

 知事は、紀伊半島大水害で陣頭指揮を執り、早急な復旧を図りました。その後に発生した災害でも、果敢に対応されています。これら災害の復旧・復興から得た教訓を踏まえ、国土強靱化5か年加速化対策を活用して和歌山県の強靱化をどのように進めようとされているのか、知事の決意をお聞かせください。

○議長(岸本 健君) 知事。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) これまで本県は、今年度で終了となる防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策を大いに活用いたしまして、防災事業を推進してまいりましたが、施策の対象が緊急対策に限定されていたところがあります。

 このような中、これまでの3か年緊急対策の後継として、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策が昨年12月11日に閣議決定されたところであります。

 この5か年加速化対策では、大事な要素が三つございまして、まず、いつも申し上げておりますが別枠というところでございます。それから15兆円という物すごい大きな金額、これが大事だということに加えまして、もう一つ対象も広がったというところが三つ目の非常にいいところだというふうに考えております。すなわち、高規格道路のミッシングリンクの解消とか、あるいはインフラの老朽化対策、それから一連の対策を効率的に進めるためのデジタル化というような方面に対象が拡充されております。

 例えば、高規格道路のミッシングリンク解消として、我々の悲願でございますところの紀伊半島一周高速道路の整備もこのお金を使えるということになるわけでございまして、この整備が大きく進展する可能性が高いというふうに思います。

 また、既存インフラの老朽化対策というのは対象でございますから、ポンプ場とか砂防堰堤とか港湾の岸壁等の整備、そういうものが抜本的に進めることができるんじゃないかというふうに思います。

 さらに、デジタル化の推進によりまして、これは監視カメラの増設など災害関連情報の収集体制を強化するなどが必要になってくるわけで、これも和歌山県、既に力を入れておりますけれども、さらにこういう点でも国のお金も使いながら、正確な情報をより迅速に県民に伝えることが可能となります。これは、本県の課題となっておりますインフラづくりに力強い後押しになるものだと思っておりまして、高く評価しているところでございます。

 こういう予算を最大限活用して頑張っていきたいと思いますが、当然自己負担がこれには伴います。伴いますが、そんなことを言っていてじっとしていると、後々の時代にツケがどんどん回るということになりますので、ここはちょっと思い切って、この勢いに乗って加速化していきたい、そんなふうに思っているところでございます。

○議長(岸本 健君) 秋月史成君。

  〔秋月史成君、登壇〕

○秋月史成君 多額の予算が和歌山に来るということで、予算を執行するのが大変かと思いますが、その辺は様々な工夫をして、着実に執行して、県民の安心・安全に寄与していただきますことをお願いいたします。

 次の質問に移ります。

 昨年9月に発足した菅政権。昨年の臨時国会の所信表明演説で語った2050年カーボンニュートラルは、我が国が世界の流れに追いつき、一歩先んじるためにはどうしても実現しなければならない目標であります。環境対策はもはや経済成長の制約ではありません。むしろ、我が国の企業や国民に対して、将来に向けた投資を促し、生産性を向上させるとともに、経済社会全体の変革を後押しし、大きな成長を生み出すものだと思います。環境と成長の好循環に向けて発想の転換を行うことが、日本として、いえ、人類として非常に重要な課題となります。

 2015年、国連気候変動枠組条約第21回の締約国会議(COP21)、いわゆるパリ協定、全ての国と地域が参加する地球温暖化に対する協定でありますが、一方、2015年当時は、私は国内でカーボンニュートラルの社会が実現できるという感覚はほとんどありませんでした。その後、世界も社会も急速に変わっていく中、菅政権が2050年カーボンニュートラルの実現という、世界的に見ても野心的な目標を掲げましたが、和歌山県でも例外ではなく、孫末代まで引き継がれる地球環境の保持及び成長に努めなくてはなりません。

 そこで、知事にお伺いいたします。

 和歌山県として、カーボンニュートラルへの今後の取組についてお聞かせください。

○議長(岸本 健君) 知事。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 地球温暖化問題については、世界中で様々な影響が顕在化してきておりまして、本県においても、これはちょっとなあと思うような農産物への影響とか大雨の増加とか、様々な問題が出ているというふうに認識しております。

 そのため、これは世界全体で温室効果ガスを削減するということが求められているということでありまして、その中で、昨年10月に菅内閣がカーボンニュートラル宣言をして、国を挙げて脱炭素社会を目指すべく、現在、革新的なイノベーションの加速、グリーン成長戦略なども含め検討が加えられているところであります。

 県においても、従来再生可能エネルギーの導入促進とか、省エネの推進など温室効果ガスの排出削減に取り組んできたところですが、このような国の動きを受けて、より一層取組を進める必要があると考えております。

 今月末の策定を予定している第5次の和歌山県環境基本計画では、2050年カーボンニュートラルを目指すということを明らかにして、新たな温室効果ガスの削減目標や、省エネルギーの推進、再生可能エネルギーの利用促進、森林吸収源対策といった気候変動対策の方針を示したいと考えております。

 カーボンニュートラルを達成するためには、あらゆる場面において省エネ、再生可能エネルギーの導入に加え、今後の科学技術や個人個人の生活様式におけるイノベーションが必要不可欠であります。

 急激な社会様式の転換は、生活や経済への影響が計り知れないことも十分理解しておりまして、そのことにも留意した上で、国内外の動向を注視し、本県に実装できる気候変動対策を積極的に取り入れ、県全体が一丸となって脱炭素社会の推進に取り組んでまいりたいと考えております。

○議長(岸本 健君) 秋月史成君。

  〔秋月史成君、登壇〕

○秋月史成君 現在、知事の答弁で、県として「2050年カーボンニュートラルを目指すことを明らかにし」というお言葉をいただきました。力強い御答弁でしたが、県議会の答弁にしては珍しいほどはっきり言い切った御答弁でした。仁坂知事による和歌山県カーボンニュートラル宣言と私は理解いたしました。私も、今後、一県民として、脱炭素社会の実現に協力したいと思います。

 次の質問に移ります。

 そもそも、政府がカーボンニュートラルを掲げたのは、世界が急激に脱炭素化に向けた動きを始めたためであります。車を例に取れば、2030年代にガソリン車及びディーゼルエンジン車の販売禁止へと、欧米、中国など世界で環境規制を厳しくする動きが加速しております。最近テレビでも、欧州車を中心に電気自動車のコマーシャルが流され、近年、電気自動車に消極的だった国内メーカーまでも次々と電気自動車の開発、販売に向けた動きが公表されております。自動車の電気化にシフトするのか、水素化にシフトするのか分かりませんが、今後、化石燃料を使用する内燃機関の自動車から脱することは、昨今の世界的な情勢から推測されます。世界的な脱炭素化の機運の高まりで、自動車メーカー各社が電気自動車(EV)など電動自動車の開発を加速させております。

 私も、1年ほど前に電気自動車を購入しました。加速もよく、内燃機とは違い静粛性も非常に高く、車両としては非常に快適な車両でした。しかし、航続距離が短く、地元・上富田町と県庁を往復すると充電しなくてはいけなく、その充電にも時間を要し、まだまだ課題も多い車両でもありました。私の仕事の特性上、すぐに車両で行動することが多く、その航続距離の短さ、普通充電での充電時間の長さで、車両としては満足していても、すぐに売却を決意いたしました。つまりは、脱ガソリンを声高に叫んだとしても、現状では私が述べさせていただいた航続距離の短さ、充電に要する時間の長さなどの問題点があり、特に山間部を抱える本県においては、県民生活への影響は非常に大きいと思います。

 このように、車一つを取っても、カーボンニュートラルを目指すためには、国を挙げての技術革新、意識改革が必要で、これは全ての産業や私たちの日常生活においても同様であります。そのような中で、知事から県全体として第5次和歌山県環境基本計画を策定する中でカーボンニュートラルを目指すという御答弁をいただきました。

 そこで、今月末に策定するという第5次和歌山県環境基本計画とはどのようなもので、計画におけるカーボンニュートラルを目指す取組というのはどういうものなのか、環境生活部長にお聞きいたします。

○議長(岸本 健君) 環境生活部長田中一寿君。

  〔田中一寿君、登壇〕

○環境生活部長(田中一寿君) 和歌山県環境基本計画は、和歌山県環境基本条例に基づき、本県の環境の保全に関する総合的かつ長期的な施策の大綱を定めるものです。

 新年度からは、新たな計画に基づきカーボンニュートラルの達成を含め、本県の環境保全に向けた取組を一層進めてまいります。

 第5次計画では、大きく四つの取組の方向を示すこととしています。

 一つ目はカーボンニュートラルを目指す気候変動対策の推進、二つ目は生物多様性の保全等を目指す自然共生社会の推進、三つ目は地域循環共生圏の構築を進める循環型社会の推進、四つ目は大気環境や水環境の保全等を目指す安全・安心で快適な生活環境の保全です。

 特に、カーボンニュートラルを目指す気候変動対策の推進では、県としての温室効果ガス削減目標とその達成のための取組として、電気自動車や燃料電池自動車など次世代自動車や低燃費車の普及促進、水素や蓄電池など新しい技術の普及促進、地域の環境と調和した再生可能エネルギーの導入促進、企業の森や新紀州御留林制度による森林保全や、紀州材の需要拡大、バイオマス発電などによる森林吸収源対策の推進、わかやま環境賞表彰などによる啓発活動や環境教育の推進、カーボンリサイクルなど今後の革新的環境イノベーションの活用をはじめとした脱炭素社会に向けた取組の方向を示しています。

 さらに、温室効果ガスの削減の取組だけでなく、近年顕在化している大雨の頻度の増加や農作物の品質低下など気候変動の影響に対し、どのように適応していくかという適応策についても示しています。

 議員御指摘のとおり、2050年カーボンニュートラルを目指すことは、例えば電気自動車であれば、充電設備の充実や航続距離の延長など技術的課題や社会システム的課題があり、簡単に達成できるものではないと考えています。また、国民の皆さんの生活にも大きな影響を与えることから、国レベルでの技術開発等の動向も注視しつつ、本県の実態に即した取組を進めてまいります。

○議長(岸本 健君) 秋月史成君。

  〔秋月史成君、登壇〕

○秋月史成君 せっかく立てられる計画ですので、計画倒れにならないように着実に前進していただきたいと思います。

 次の質問に移ります。

 現在、コロナ禍であります。連日連夜、報道では新型コロナ関連の情報が取り上げられています。昨年2月、横浜港に停泊したダイヤモンド・プリンセス号、当該客船は、船内で乗客の発熱が報告されており、船内の有症状者と濃厚接触者から新型コロナウイルスの検体が採取されたことから、防衛省が自衛隊を派遣、長期化する船での生活に備え、乗客乗員へ向けた生活物資や医療などの支援活動を行いました。

 また、大阪府では、看護師等、医療従事者が不足しており、その運用が困難となっていることから、吉村知事が自衛隊に災害派遣を要請しました。そのことを受けて、ひげの隊長で有名な佐藤正久参議院議員は、「自衛隊は便利屋ではない。それを理解した上で緊急対応の必要性から要請内容を具体化して要請するのが基本。何人でもいいからではなく、この病院に看護師約何人とか、施設消毒等具体的なものが必要。自衛隊OBが府庁にもいるはず」とツイートされました。

 私も、ダイヤモンド・プリンセス号の自衛隊の災害派遣の要請及び大阪府の災害派遣の要請には違和感を覚える一人でありました。自衛隊の出動には三つあります。外部からの武力攻撃もしくはそれが切迫している場合。日本と緊密な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより日本の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合に行われる防衛出動。一般の警察力では治安が維持できない場合に行われる治安出動。都道府県知事その他政令に定める者からの要請に基づく災害派遣の出動があります。幸い、防衛出動、治安出動は一度も実施されておりませんが、災害派遣の出動はこれまで既に3万2000回以上の出動実績があります。

 現在、陸上自衛隊において責任のある立場にいる同期生に会い、日頃の自衛隊の災害派遣における任務についての感謝の言葉をお伝えしたところ、必ず返ってくる言葉があります。「秋月、我々自衛隊の主たる任務は国防であって、災害派遣も重要な任務ではあるが主たる任務ではない」。自衛隊の主たる任務は自衛隊法第3条第1項に規定されており、外国の侵略からの国土防衛であり、災害派遣は同法第3条第2項の主たる任務に支障のない範囲で行われる、本来任務の中の従たる任務に当たるものです。

 私も、現職時代は国土防衛のために厳しい訓練を行ってきました。自衛隊は便利屋ではないの言葉のとおり、和歌山県では、私の知る限り、便利屋のごとく都道府県知事その他政令で定める者からの要請に基づく災害派遣の出動は一度もありませんでした。現在の仁坂知事も含め、歴代の知事が、県下の政令で定める者も要請を乱発したと感じたことはありません。

 自衛官の服務の宣誓を御紹介いたします。「私は、我が国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、日本国憲法及び法令を遵守し、一致団結、厳正な規律を保持し、常に徳操を養い、人格を尊重し、心身を鍛え、技能を磨き、政治的活動に関与せず、強い責任感をもつて専心職務の遂行に当たり、事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえることを誓います」、私も、遠い昔のこととなりますが、服務の宣誓を行いました。その精神は、現在もなお私の魂に刻まれております。

 そこで、質問です。

 そのような重要な使命感を有し、鍛え上げられた国の機関の中で最も国民から支持、信頼される自衛隊への災害派遣の要請における知事の判断基準をお聞かせください。

○議長(岸本 健君) 知事。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 議員御発言のとおり、自衛隊は、全国各地で頻発する災害において、災害派遣として出動し、国民の生命、財産を守るために大活躍していただいているわけであります。

 要請の判断基準はということでございますが、災害など有事の際には、大量の人員と物資を投入することによって人命救助等に当たり、これを速やかに遂行するということが大事でございますので、災害における困難を早期に終息させるために自衛隊の力が必要だと判断するときは、ちゅうちょなく災害派遣を行うということが、私が申し上げたいことでございます。

 このために、日頃から第3師団や第37普通科連隊の陸上自衛隊をはじめ、海上自衛隊、航空自衛隊、和歌山県は三つございますから、情報交換するとともに、今後発生が想定される南海トラフ地震などの大規模災害に備えた津波災害対応実践訓練などに自衛隊も参加していただくなど、引き続き連携を図っているところでございます。

 また、御発言の趣旨に沿うとして、判断基準とはちょっと違いますが、一言付け加えさせていただきますと、災害派遣だけが自衛隊の任務であるかのような考え方は間違いであると私も思っております。どうも、平和と叫ぶと平和が達成されるという、一種の言霊信仰にとらわれている人がいるような気がしますし、自衛隊を暴力装置ですと言って呼ぶような政治家がおりましたように、何か武力というのを本能的に嫌うというような風潮が、どうも日本には今あるなあというふうに思うわけでありますが、いずれも私は取らぬところでございます。国防の任にあって、戦争の抑止力を果たしてくれている自衛隊の方々に対しては、その面でもいつも感謝をしておりますというふうに、私は連絡を取らせていただくたびごとに、あえて申し上げることにしているところでございます。

○議長(岸本 健君) 秋月史成君。

  〔秋月史成君、登壇〕

○秋月史成君 自衛隊の災害派遣の要請には、公共性、緊急性、非代替性の3要素が大切だと思います。知事は、有事の際は非常にすばらしい指揮能力というか、持っておられると思います。これは私、勉強とか経験とかも大事なんですけど、センスというのもあると思います。その公共性、緊急性、非代替性の3要素について市町村長とも共有していただきますことをお願いいたします。

 次の質問に移ります。

 消防防災ヘリコプターの墜落事故が相次いだのを受け、総務省消防庁は、令和元年9月24日、遵守義務を課した初の安全基準を運航自治体に通知し、機長と副操縦士を同乗させるダブルパイロット制は、人材確保が難しい自治体に配慮して令和4年4月1日施行といたしました。違反しても罰則はありません。

 操縦士2人体制は、安全対策の柱として、機長が体調不良など緊急事態に陥っても副操縦士が対応できますが、人材の採用や訓練などには時間がかかるため、施行日の令和4年4月1日になっても間に合わない場合、令和7年3月末までには訓練中の人が副操縦士の代わりとなるのを認めるそうであります。また、新たに導入する機体にはフライトデータレコーダー(飛行記録装置)の搭載を義務づけることになりました。

 防災ヘリは、急病人の搬送や空中消火活動などを担い、2009年以降、埼玉、群馬、長野、岐阜の各県で墜落が相次ぎ、26人がお亡くなりになられました。消防庁によると、各自治体消防防災ヘリコプターは、令和元年4月時点で55自治体に配備され、うち23は既にダブルパイロット制を導入しているそうです。私は、陸上自衛隊時代、テストフライトの際、毎日のようにヘリコプターに搭乗しました。陸上自衛隊では2パイロットが当たり前で、県議会議員になり和歌山県防災ヘリに搭乗させていただいた際、1パイロットで運航しているのに驚いたことであります。もし機長が体調不良に陥ったらどうするのかと感じておりました。

 他県で事故が相次いだことから、ようやく2パイロットに和歌山県でも移行すると聞いております。国内では、ヘリコプターのパイロットの養成施設は少なく、事業用ライセンス取得のために海外へ訓練先を求めているようです。また、退職自衛官のパイロットの再雇用についても、自衛隊機では単発事業用エンジンライセンス取得者が大半で、双発事業用エンジンライセンスの取得者が少ないようであります。単発事業用エンジンライセンス取得者が、双発事業用エンジンライセンスを民間で取得するには、数千万円の費用がかさみ、今後ますます防災ヘリのパイロット不足が懸念されます。陸上自衛隊で長年パイロットを務め、防災ヘリのパイロットになった学校の先輩にお話を伺ったことがあります。その方は、陸上自衛隊時代にはUH-1、UH-60の飛行時間も長く、私の同期生のパイロットに聞いたところ、かなりの腕利きパイロットだったと聞いております。自衛隊時代に腕利きパイロットだった先輩でも、防災ヘリの操縦はオペレーションが違い、自信喪失したそうです。一見、1人操縦から2人操縦になることで、操縦に対する負担軽減につながることは間違いないと思いますが、安全性の見地から見ると2パイロットはぜひとも必須のこととは思いますが、長年1パイロットで慣れ、そのオペレーションに慣れ親しんでいることから、また新たに課題が生まれてくると思います。

 そこで、質問です。2パイロットの安全性の見地から見たオペレーションについて、また今後のパイロットの確保についての御所見を危機管理監にお聞きします。

○議長(岸本 健君) 危機管理監森田康友君。

  〔森田康友君、登壇〕

○危機管理監(森田康友君) 防災ヘリコプターの操縦士2人体制については、議員からお話のありましたとおり、総務省消防庁から、消防防災ヘリコプターの運航に関する基準が示されており、令和4年4月1日までに実施するよう求められていますが、本県では、来年度に運用を始める新機体から、操縦士2人体制で運航することを予定しているところでございます。

 操縦士が2人体制となることにより、機長に不測の事態が発生した場合の対応が可能となることや、副操縦士が飛行中の監視や計器類の操作補助を行うことで、機長の負担が軽減されるなど、安全管理上、効果があるものと考えております。

 一方で、基本的なオペレーションが大きく変わることはありませんが、これまでの体制に新たに交代要員が加わり、操縦士が4人となるため、操縦士は本県特有の地形等を踏まえた操縦技術や、防災ヘリコプターの活動手法の習得が必要となります。さらに救助活動等では、操縦士と防災航空隊員との間で十分な連携が重要であるため、現在、着実で安全な運航を目指して訓練を行っているところでございます。

 次に、パイロットの確保については、本県が来年度から運航を予定している操縦士2人体制に係る確保はできておりますが、全国的には将来、ヘリコプターのパイロット自体の不足が懸念されております。また、特に防災ヘリコプターの機長については、総務省消防庁から1000時間以上といった飛行経歴が求められていることなどから、人材の確保が課題となっています。そのため、県といたしましては、国に対し、航空業界や自治体が操縦士を確保できるよう対策を講じるよう要望しているところでございます。

 今後も、県民の生命を守るため、防災ヘリコプターの安全な運航と防災航空隊による迅速な救援・救助活動に取り組んでまいります。

○議長(岸本 健君) この際、申し上げます。

 所定の時間まで残り僅かです。質問並びに答弁は簡潔にお願いいたします。

 秋月史成君。

  〔秋月史成君、登壇〕

○秋月史成君 現在、私は和歌山県監査委員を拝命しております。監査に入ると、監査委員の前にはずらりと県の職員さんが並ぶことになります。私は、監査の内容もさることながら、職員の表情を観察いたします。監査という独特の緊張感からか、また、監査委員から厳しい指摘がされるからかは分かりませんが、一様に曇った表情であったり、伏し目がちであったりと、疲弊したように受け取れます。これは私の感覚ではありますが、どうも監査に挑む緊張だけではないように推測しております。正直な感想を述べさせていただきます。職員の皆様の疲弊した表情を見るのは、私は嫌です。時代とともに生活は便利になり、金銭的にも豊かになっているのに、それに逆行するかのように、現代人の心はすさんでいると思います。県職員の皆様も同じことだと思います。ストレス社会と言われて久しい現代社会、民間でも公務員の社会でも、同じことが当てはまると思います。行財政改革が進み、職員数も以前に比べ減り、1人当たりの業務量が増えていると思います。心の病に至る要因の一つとして、極度のストレスに起因するものと推測しております。

 そこで、質問です。心の病だけではないと思いますが、ここ3年間の長期休職者数とその主たる原因、また中途退職者の現状について、総務部長、お聞かせください。

○議長(岸本 健君) 総務部長田村一郎君。

  〔田村一郎君、登壇〕

○総務部長(田村一郎君) ここ3年間の長期休職職員数につきましては、平成29年度は31名、平成30年度は29名、令和元年度は33名となっております。長期休職の主な原因につきましては、約8割が心の病によるものでございます。

 続きまして、中途退職職員の状況につきましては、平成29年度は36名、平成30年度は47名、令和元年度は61名となっております。

○議長(岸本 健君) 秋月史成君。

  〔秋月史成君、登壇〕

○秋月史成君 ちょうど時間も来ましたので、質問を終わらせていただきます。今後も、職員さんの心をお守りいただきますように、よろしくお願いいたします。

 最後までありがとうございました。(拍手)

○議長(岸本 健君) 以上で、秋月史成君の質問が終了いたしました。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 32番浦口高典君。

  〔浦口高典君、登壇〕(拍手)

○浦口高典君 議長のお許しを得ましたので、通告に従い質問させていただきますが、その前に、この議場にいらっしゃる方もそうだと思うんですが、ふだん、本や新聞、またネットなどを見ていて、それまで何げなく考えていたことが、一行の文章、言葉によって自分の中ですとんと落ちることがあります。つまり、それまでもやもやと考えていたことが、その文章、言葉によって、なるほど、これだと納得するということであります。

 先日、テレビ番組の解説でおなじみの、元NHKのアナウンサーである池上彰氏と外交アナリストである佐藤優氏との対談の「知的再武装60のヒント」という本を読んでいたときに、知的再武装の一つの方法として、佐藤氏が世の中のことを考える上で、生命、身体、財産の順で考えてみることが大事であると述べております。その文章を見たとき、はっと感じたのは、昨年初めからもう1年以上、日本だけではなく世界中を暗く覆っているコロナ禍の問題は、やはりここで最優先されるのは生命をいかに守るか、それだけに新型コロナウイルスの蔓延を防ぐためには、経済に相当なブレーキをかけていかなければならないということは、皆さんも肌で感じていることであります。

 しかし、その真ん中に身体というものがあり、これを肉体だけではなく精神も含め、いかにバランスを保ち日常生活を維持していくことが大切であるかということは言うに及ばずであります。

 そこで、この生命、身体、財産という言葉をもっと分かりやすく言うと、命、健康、お金という順で考えれば、いろんなことが見えてくるということを私なりに解釈し、納得した次第であります。

 そこで、今回の質問については、大項目1、生命(命)、2は身体(健康)、そして3と4については財産(経済・お金)という観点で質問させていただきますので、当局の皆さんの的確な御答弁をよろしくお願いを申し上げます。

 1番目、新型コロナウイルスの後遺症については、昨年の12月議会で奥村議員もされていますが、あえてここで取り上げたのは、恐らく皆さんの中にも、正直なところ、新型コロナ、新型コロナとこれだけ世間で騒がれていても、自分は大丈夫という気持ちと、和歌山県は東京、大阪など都会に比べて密になることも少なく、万が一感染しても的確に対処する、全国的にも評価されているリーダーである仁坂知事がいるから大丈夫だと思っている方も、いまだに多くいるのではないでしょうか。

 しかし、もし自分と非常に身近なところで感染者が出てその現実を知ると、決して他人事というわけにはいきません。

 新聞等で実名が公表されているので、皆さんも御覧になったと思いますが、昨年11月初めに永野和歌山市議会議員が、新型コロナウイルスに感染をいたしました。この新聞でありますが(新聞を示す)、しかもほかに4名、計5名でクラスターに指定されたその会議に、本来ですと私が出席していなければならなかったのですが、私はちょうど和歌山市の介護予防の研修会がありまして、重なって、永野市議にお願いした次第であります。そこで彼が感染したということであります。

 それだけに、彼に大変申し訳なく、入院後は毎日、電話なりメールなりを入れて様子を伺いましたが、電話では少し話し込むとせき込みが激しく、「もうええよ、もうええよ、永野君」と言って、私のほうから電話をしておきながら、こちらから切るということが何度かありました。

 そのことについては、2月12日の朝日新聞の和歌山版に詳しく載っていますけれども、2月14日の毎日新聞の和歌山版には、そこに同席していた方──仮にAさんといたしますが、Aさんの記事も載っていました。特にこの方は糖尿病の基礎疾患があり、血中酸素飽和度が80%台になり、厚労省の「診療の手引き」では、93%以下は中等症Ⅱ、呼吸不全ありということとされており、すぐにICUに入ったとのことであり、途中、人工呼吸器のECMOをつけた重症の患者さんを見かけて、初めて死というものが現実味を帯びたと述べられております。その2人とも、新聞には大きな見出しで永野市議、「『まさか自分が…』心身疲労」、同じくAさん、「『まさか自分が…』心も影響」と書かれています。

 特に、永野市議は、退院後の生活、元通りではないということを新聞にも述べられていますし、先日会ったときも、この先のことが不安であると言われておりました。

 最近、テレビのニュース番組でも新型コロナにかかって分かったことというようなコーナーを設け、定期的に放映し、視聴者の中には少しずつ、この病気の厄介さや後遺症についての認識もできつつあると思います。私自身、身近な人間が感染し、退院後、今も苦しんでいることに接し、決して他人事ではないと思い、先日、この後遺症の対策や治療法について、きちんとした知識を得ようと書店に行ったのでありますけれども、その後遺症についての本は本当にないんですね。

 あるのは週刊誌の記事です。こういう記事ですね。(週刊誌を示す)これは芸能人やスポーツ選手など、これまで新型コロナウイルスにかかった人のインタビュー記事でありますが、結論からいうと、後遺症の根本的対処法が分かっていないということであります。参考までに、この週刊誌の記事によると、新型コロナの後遺症として、血管損傷により脳や心臓に異変をもたらす、命を落としかねない症状、倦怠感などの不調がいつまでも続く症状、毛が抜けるなど見た目が気になる症状、眠れない、外に出たくない、生きるのがつらいなどの心が乱れる症状が挙げられております。

 そして、現在はそれほど後遺症が出ていなくても、将来的にどのような症状が出てくるのか、今のところはっきりとしていないということであります。県としては、昨年9月、新型コロナウイルスの後遺症のアンケートを取り、その結果について、この2月26日のテレビ和歌山の「マンスリー県政ニュースワイド」という番組で、野?福祉保健部技監が述べられて、また3月号の「県民の友」8ページにもこの後遺症について載せられています。

 最初、私は、この後遺症の怖さをもっと県民の皆さんに周知徹底して知ってもらうべきではないかという質問をしようとしておりましたけれども、しかし、それはそれなりに県も取り組んでいるということでありますので、もう一歩進んで、元患者さんの立場に立って考えながら、後遺症についての情報を、例えば和歌山県立医科大学等で一元化し、それに対応する専門外来をつくり、元患者さんの不安に少しでも応えられるような体制づくりをしてはどうかと思います。もちろん、先ほどから言っております根本的な治療法はまだはっきりしていないとはいえ、研究も兼ねた大学病院で各科の協力を得ながら、手探りでもその方策を考えることにより、元患者さんの不安感を少しでも取り除くことができると考えますが、新型コロナ対策の先進県としての福祉保健部長の御答弁をお願いいたします。

○議長(岸本 健君) ただいまの浦口高典君の質問に対する答弁を求めます。

 福祉保健部長宮本浩之君。

  〔宮本浩之君、登壇〕

○福祉保健部長(宮本浩之君) 新型コロナウイルス感染症の後遺症については、県独自の調査からも患者の多くが嗅覚障害、倦怠感、脱毛や集中力低下など様々な症状を訴えており、長期に継続することが分かってきております。

 感染症患者のアフターケアについて、本県では、後遺症も踏まえた退院後の症状や心身の健康状態を把握するため、県独自の運用として、保健所による2週間の健康観察を行い、さらに2週間の健康観察経過後についても、健康面に不調がある場合は、保健所での継続的な健康相談を行っております。

 相談において、継続して症状のある方については、大半が軽症であり、継続して通院しやすいかかりつけ医に紹介しております。また、それぞれの診療科において治療が必要と考えられる場合は、入院医療機関等へ紹介しておりますが、現状では症例数が非常に限られております。

 このような状況から、専門外来の設置につきましては、引き続き、保健所や医療機関での相談状況を見ながら必要性を検討してまいります。

 また、調査研究につきましては、現在、国において後遺症の実態把握と病態生理や予後の解明等に関する研究が全国規模で開始されており、その結果をまずは注視してまいります。

○議長(岸本 健君) 浦口高典君。

  〔浦口高典君、登壇〕

○浦口高典君 部長、どうもありがとうございました。専門外来の設置については、大都市圏に比べて非常に症例が少ない、1000件余りあるようですけれども、引き続き必要性については検討していくということも聞いております。できるだけ元患者さんの立場に立って、不安感を取り除いていただくように続けてお願いをしたいと思います。少し話が飛躍するかもしれないんですが、今日の質問の中の4の2の質問に入れているんですけど、私、今後、和歌山の産業構造を考えたとき、健康、医療、福祉に着目した新産業の創出ということを関連して質問させてもらっているんですけども、そういったときに、非常に今回のいろんなところでいろんなことを言われていますけど、非常にレアなケースというか、今までになかったようなウイルスだけに、県としてもそのことを十分掌握しといていただいて、もちろん医学的な専門家の知見は必要ですけども、それを集約することによって、いずれまたそれが産業のほうにっていきなり言うのはなんですけども、災い転じて福となすじゃありませんが、生きてくる可能性もありますので、引き続きこの危機を好機と捉えて進めていただきたいなと、そのように思っております。

 それでは、次に移らせていただきます。

 2番目の「健康長寿日本一わかやま」の実現について、滋賀県の実績の評価についてでありますが、平成24年9月定例会から年2回の一般質問で、9年間連続で18回、この「健康長寿日本一わかやま」について質問させていただいておりますが、最近では県議会の同僚議員や県の職員の皆さんと話をしていても、話が途切れると、社交辞令的に「健康長寿日本一、いかがですか」とお声をかけていただけます。「健康長寿日本一わかやま」といえば浦口高典、非常にありがたい言葉なのですが、決してこれは私の持ちネタではありませんので、私の大いなる野望は、一言言わせていただきますと、毎回毎回このテーマを出さなくとも、仁坂知事はじめ県職員、そして市町村、県民の皆さんの誰もが和歌山県は日本一健康で長生きできる県であると、堂々と胸を張って言ってくださることであります。

 平成20年4月、また特に同29年4月の県長期総合計画の中には、声高らかに「『健康長寿日本一わかやま』を実現する」とまで断言しているのです。しかしながら、言ってみれば日本一の富士山の頂上に立つどころか、いまだに、これ12年、13年ほどたつんですけども、麓のほうをぐるぐるぐるぐる回っていて、今回もやむなく質問させていただくことの心苦しさがあります。しかし、昨年は新型コロナウイルスの影響で、本来なら1人で全国の先進地域に出かけ、和歌山県の参考になる内容や資料を収集し、この場で提示して少しでも富士山の頂上に向かい、本気で仁坂知事はじめ県行政がリーダーシップを発揮してもらえるようハッパをかけるのですが、今回はさすがに行くことができずに残念であります。

 しかし、それならということで、実はここに過去から温めてきた資料があります。これは平成30年11月15日に、県民文化会館で開催された和歌山県公衆衛生学会で講演された井下英二・滋賀県衛生科学センター所長の「滋賀県における平均寿命と健康寿命の延伸に向けた取組み」で、それを基に質問させていただきます。

 この講演会は、実は野?技監からお誘いをいただき、私も拝聴したのですが、大変すばらしいものでありました。ここに、そのときの資料なんですけど、かなりこれ分厚いもんですから、今日はお手元に配付しておりますのはそのごくごく一部なんです。それを参考にしながら、それに従って滋賀県と和歌山県を比較しながら要点だけを申し上げますと、資料を見ていただければいいんですが、平成27年都道府県別平均寿命、これはAですね、Aは男性で滋賀県がついに長野県を抜いて全国第1位、女性も全国第4位になったということですが、和歌山県は男性44位、女性41位であります。

 では、滋賀県がもともとそのような長寿県であったのか、資料C、その下でありますが、Cを見ていただきたいと思います。昭和40年(1965年)には男性は全国で27位、女性は31位であったということであります。また、これはお手元の資料にはありませんが、平成27年から過去5年間の平均寿命の延びを滋賀県と長野県を比較すると、滋賀県は長野県に比べて男女ともに大きく延びているということで、女性も次回、この間の去年の10月、令和2年、2020年の国勢調査──まだこれは結果が出ていないんですけども──では第1位になる可能性が高い。つまり、男女ともに平均寿命が全国第1位になると予測されていました。

 また、その横の資料Bの平成28年都道府県別健康寿命は、滋賀県は男性2位、女性3位でしたが、和歌山県は男性44位、女性45位でした。ちなみに、健康寿命の3要件である運動、栄養、社会参加に関連する滋賀県民の生活の質ということで、その次の資料、Dですが、平成28年、総務省の社会生活基本調査を見ると、ボランティア活動は全国で滋賀県1位、和歌山県41位、スポーツは滋賀県4位、和歌山県38位、旅行・行楽は滋賀県5位、和歌山県38位、趣味・娯楽は滋賀県6位、和歌山県36位、学習・自己啓発・訓練は滋賀県5位、和歌山県28位となっております。これらを総合して、健康長寿に取り組む滋賀県の実績について、まずどのように評価されるのか、福祉保健部長、お答えください。

○議長(岸本 健君) 福祉保健部長。

  〔宮本浩之君、登壇〕

○福祉保健部長(宮本浩之君) 滋賀県では、平成11年度から県の衛生科学センターが健康データの分析を行っており、その分析結果を活用し、例えば、現状を分かりやすくまとめた啓発資料を作成するなど、県民に情報を発信しています。

 また、保健所圏域や市町村ごとの分析も行っており、その結果から各市町が課題を認識した上で、減塩や喫煙対策など健康づくりの取組を長年にわたって地道に行っていると聞いています。

 そうした取組の結果、1日の平均的な塩分摂取量や喫煙率などが改善されるなど、健康な生活習慣を身につけている人が多くなり、また若い世代層が多い、失業者が少ない、高齢単身者が少ないなどの環境要因も加わり、全国トップクラスの長寿県になったものと思われ、滋賀県の実績は大変すばらしいと思っています。

○議長(岸本 健君) 浦口高典君。

  〔浦口高典君、登壇〕

○浦口高典君 部長、どうもありがとうございました。滋賀県の実績は大変すばらしいって、非常に素直でよろしいですね。

 ただ、今まで長寿県というと、どちらかというと長野県だとか沖縄県、同じ日本であっても非常に離れたところ、何百キロメートルも離れたところです。遠い国の出来事みたいに思っていたんですけども、滋賀県は同じ近畿圏内ですし、この間ちらっとざっくり見たんですが、直線距離で100キロメートル余りしか離れてないんですね。そのようなところですから、決してよその国で起こっていることじゃないんですよ。同じこの近畿圏で起こっていることで、間近な滋賀県ですから、ぜひその辺、何年もかかりながらもやっているわけですから、もう既に13年ほどたっているんですかね、最初言い出してから。

 ここで、私は今回あえて現地の視察にも行っていない、私自身は行きたかったんですが行けなかったもんですから、あえてそういう現地の調査をしていないんで、知事にはお話ししていないんですけども、一昨年、私は関西広域連合議会の議員として行かせていただいたときに、滋賀県の──下副知事はよく御存じですが、三日月知事を目の前にして、私が健康長寿のことを言うとにたにた笑っているんですよ。だから僕は腹が立ってきましてね、三日月知事にね、「三日月知事、今は滋賀県はそれこそ天下取っているかもしれませんけどね、今に見といてください。これ8年後、和歌山県は滋賀県を抜きますから」と、私は知事のことを代弁して言いましたから、決して……(「分かってない」と呼ぶ者あり)はい。勝手なことを言っているみたいですけど、これは確かに、でも長期総合計画に書いているわけですから、さっきも言いました、私の持ちネタのギャグじゃないんです、これは。ひとつその辺を御了解いただきたいと存じます。

 それでは、次に移らせていただきます。

 2番、和歌山県の目標と進捗状況について。

 さて、これらの先行している滋賀県を参考にしながら、和歌山県の健康長寿について質問させていただきますが、改めて言うまでもなく、温暖で風光明媚で海の幸、山の幸が豊かな和歌山県は、本当に私はすばらしいところだと思います。しかし、後ほど詳しく述べますが、人口は減る一方で、高齢化率はうなぎ登り、しかもその高齢者、つまり65歳以上の要介護認定率が5年連続日本一って、ちょっと考えただけで何かおかしくないですかと私は思うんですね。

 しかも、この事実は意外と県民の皆さん、知らないんですよ。私がこのことを強く言いますと、県民の皆さんのお一人お一人が口をそろえたように「えー、ほんまに、そんなに和歌山県って短命なん、知らんかったよ」って人ごとみたいに言うんですが、それはもちろんこのことを県がひた隠しにしているとは私は思いません。そんなに知事は、そういうずるいことをする方じゃありませんので、それはもう信頼しているんですが、先ほどの新型コロナウイルスの後遺症の県民への周知徹底した宣伝というか、そのときに言いましたけれども、まずこの和歌山県の要するに健康寿命について、非常に弱々しい県であるということを県民の皆さんに伝えることが、私何度も言っていますけど大事だと思うんです。それ知らないと、和歌山県って長寿の県だとみんな思って、勘違いしているんですよ。

 先ほども言いましたように、これからは本当に人口減少も高齢化率も要介護認定率も非常に危機的状況というか、厳しい中で、実はここに本州の最北端、北の最果て、青森県の弘前大学、国立大学ですね、中路重之・同大学院特任教授が書いた「健康づくりを基点とした大学の地域貢献」という資料があります。(資料を示す)実はこの弘前大学と和歌山県立医科大学は、以前、青森県と和歌山県の短命県同士で情報交換していると、これが新聞に載っておりましたんで、この場で取り上げたことがございます。

 参考までに、ここに書かれていることなんですが、1ページ目──これは青森県のことですよ、「青森県民の平均寿命について」を紹介しておりますが、1番目、日本一の短命県、トップ長野県と2歳半の差。2番目、どの年代でも死亡しやすい、特に40代から60代男性。3番目、どの病気でも死亡しやすい、特に3大生活習慣病(がん、脳卒中、心臓病)プラス自殺──どっかで聞いたようなことですが。4番目、背景は、はっきり言っています、生活習慣が悪い(飲酒、喫煙、運動不足、塩分摂取過多など)、健診受診率が低く、病院受診が遅い、通院も悪いということを書いています。5番目、最後に、対策には健康の知識(健康教養)をつける、県民全体の盛り上がりが必要と、赤裸々に堂々と述べられていますが、はっきり言って、我が和歌山県も似たり寄ったりであります。

 もう一度、先ほどの資料のBのところを見ていただきたいんですが、都道府県別健康寿命でいくと、男女とも青森県は堂々の47位、最下位ですが、和歌山県は男性44位、女性45位なんです。和歌山県も、堂々と赤裸々に1年ごとの目標とその進捗状況、さらに令和9年3月31日には、先ほど私が滋賀県知事の三日月さんにたんかを切ったように、いよいよ和歌山県が日本一健康で長生きできる県だということを県民の皆さん一人一人が堂々と胸を張って言えるような和歌山県になっていただきたいと思いますが、この点について、福祉保健部長、御答弁をお願いいたします。

○議長(岸本 健君) 福祉保健部長。

  〔宮本浩之君、登壇〕

○福祉保健部長(宮本浩之君) 本県では、平成26年3月に策定し、平成30年3月に中間見直しを行った第三次和歌山県健康増進計画の中で、49項目の目標値を設定しております。

 その中で、特に、栄養・食生活や身体活動・運動に関しては後退している項目も見られることから、状況に応じた対策を強化する必要があり、例えば、子供の頃からバランスのよい食生活や継続的な運動などよい生活習慣を身につけてもらうため、漫画を活用した健康教育教材を作成し、市町村の乳幼児健診や学校に出向いての出前講座で活用しているほか、楽しみながら健康習慣を身につけてもらうため、「みんなで実践!健康づくり運動ポイント事業」に取り組んでおります。

 また、健康推進員のさらなる養成や、事業所の健康づくりを推進するためのわかやま健康推進事業所認定制度などを実施しているところであり、引き続き、目標達成に向け取組を進めてまいります。

 なお、目標として掲げている項目は、毎年数字が出るものばかりではなく、また、1年という短期間ですぐに成果が現れるものではないことから、1年ごとの目標設定は難しいと考えます。しかしながら、県民の皆様に本県の状況を周知し、生活習慣の改善を促すことは大事であると考えており、これまでも複数回にわたり、県民の友などで平均寿命、健康寿命、歩数、野菜摂取量などについて、全国順位を盛り込みながら啓発を行っているところです。引き続き、繰り返し啓発を行っていくことが健康意識の高揚につながると考えており、効果的な啓発方法を検討し、工夫しながら周知を図ってまいります。

 今後も引き続き、長期総合計画の目標である「健康長寿日本一わかやま」の実現に向け、しっかりと取組を進めてまいります。

○議長(岸本 健君) 浦口高典君。

  〔浦口高典君、登壇〕

○浦口高典君 部長、どうもありがとうございました。「『健康長寿日本一わかやま』の実現に向け、しっかりと取組を進めてまいります」と、力強いお言葉をいただきました。私も、ここで聞くのは18回目ぐらいだと思うのですが、それは余談といたしまして、あと何回この言葉を聞いたらいいのかなと楽しみにしております。9月議会でも必ずやりますので、ぜひその言葉を発していただきたいと思いますし、新たな決意をまた見せていただきたいと存じます。

 以上でございます。よろしくお願いいたします。

 次に移らせていただきます。

 3番目に、和歌山県まち・ひと・しごと創生総合戦略について、その1、雇用創出に関する5年間の成果についてでありますが、昨年10月、5年ごとの国勢調査が行われ、その速報値がこの2月に出る予定でしたが、今回は新型コロナウイルスの影響で、6月ぐらいにずれ込むということであります。

 そこで、本来なら速報値の数値を基に、人口減少にスポットを当て質問する予定でしたが、それができないために、前回、平成27年(2015年)の国勢調査確定値を基に、毎月の増減を住民台帳から拾った推計人口で質問することをまず御了解いただきたいと存じます。平成27年(2015年)10月1日現在、和歌山県は国勢調査の確定値は96万3579人でしたが、令和2年(2020年)10月1日現在の推計人口は91万4055人で、この5年間で約5万人、人口が減少いたしました。年平均しますと、1年間で約1万人が和歌山県からいなくなったということであります。

 その前の5年間、すなわち平成22年から平成27年までの5年間では約4万人、年平均では約8000人の減少ですので、人口減少がさらに加速しているということになります。

 いつも私がここで述べているとおり、あと4~5年、つまり人口の多い団塊の世代が後期高齢者になる2025年頃から、さらに人口減少が本格的に起こることは容易に想定されます。県人口ビジョンでは、このままのペースでいくと、2060年には和歌山県の人口は50万人程度とのことなので、何とか70万人で食い止めようということで、安倍内閣のとき、平成27年から県ではまち・ひと・しごと創生総合戦略を策定し、5年計画で行いました。この戦略は、少子化対策のみならず、地方に人を、特に雇用を生み出すことによって若い人たちを残していこうという趣旨だったと思いますが、和歌山県には果たしてその効果があったのか。もちろん、人口減少の要因としては、社会減だけではなく自然減が影響することも理解しておりますが、雇用の創出に関する5年間の成果について、企画部長、御答弁をお願いいたします。

○議長(岸本 健君) 企画部長田嶋久嗣君。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○企画部長(田嶋久嗣君) 人口減少対策は本県の最重要課題であり、これまで和歌山県まち・ひと・しごと創生総合戦略に基づき、自然減と社会減の両面から対策に取り組んできました。特に、社会減対策では、地域に雇用があるということが大切で、雇用を創出するためには経済活動の基盤となる公共インフラの充実を図ることや、企業活動を盛んにすることが必要との考えの下、取組を進めてまいりました。

 昨年度までの5年間の成果としては、幹線道路網の整備が進み、京奈和自動車道の県内全線が供用されるとともに、紀伊半島一周高速道路の全線開通に道筋がつくなど、将来のチャンスを保障する道路ネットワークが着実に整備されてきました。

 また、製造業や農林水産業、観光業など、本県が強みとする県内産業の競争力強化や新産業の創出などの様々な産業振興策が充実し、民間ロケット発射場をはじめ、成長分野であるICT産業を含む企業誘致では、5年間で97件、1700人以上の新規雇用を創出するなど、本県の産業面での潜在力が開花してきたところです。

 その結果、雇用情勢としては、比較可能な指標である毎月勤労統計調査では、平成26年を基準として、令和元年の常用労働者数は約1.06と増加傾向にあります。

 しかしながら、社会減は続いており、議員御指摘のとおり、人口減少、少子高齢化は依然として深刻な状況でありまして、人口構造を大きく変えるには相当の期間を要することから、長期的な視点に立ち、様々な施策を積み重ねていくことが重要であると考えております。

 特に雇用の創出につきましては、令和3年度の新施策では、コロナ禍を踏まえ、デジタル化や業態転換に取り組む県内事業者への支援や離職者の再就職支援を強化するとともに、東京一極集中からの地方回帰や生産拠点の国内回帰を見据え、戦略的な企業誘致活動に取り組んでまいります。

 今後も、毎年度の新政策プロセスを通じて、事業の見直しや新規事業の構築を行い、より一層対策を充実・深化させ、地方創生の取組を推進してまいります。

○議長(岸本 健君) 浦口高典君。

  〔浦口高典君、登壇〕

○浦口高典君 部長、どうもありがとうございました。

 昨年までの5年間で97件、1700人以上の新規雇用があったということ、それはそれで私はすばらしいことだと思うんですが、そうはいっても、要するに毎年の人口の自然減、社会減を見ておりますと、この5年間でそれも含めて1万6849名の社会減があったんですね。10倍近い社会減があるという事実があります。これは議員の皆さん、皆さん御覧になっていると思うんですが(資料を示す)、この和歌山県まち・ひと・しごと創生総合戦略だけを見ていると、後ろの各項目の達成度が書いているんですよ。非常に二重丸とか丸が多いんです。

 これは、すばらしいなと思うんですが、その結果として5年間で確実に5万人、人口が減っているわけなんで、この数値の在り方というのは果たしていかがなもんかと私は思うんです。それはそれでよしといたしまして、ぜひ、これも先ほどの健康長寿じゃないですが、人口減少というのはやっぱりこれ、真正面から受け止めていただいていると思うんですよ、知事が一番よく分かっていると思うんですが、県民の皆さんがこの事実を分かっていただかないと、感覚的にまだ県民の皆さんも同じような感覚なんですよね。和歌山県民は寿命が長いとか、和歌山県は人口がどんどん増えているという、人口がどんどん増えているとは言いませんけど、何となく減ってきたな程度なんですが、1年間に確実に1万人は減っているんですね。そのことを申し述べまして、次に移らせていただきます。

 それでは、最後の4項めに行かせていただきます。

 和歌山県の経済再生について、人口減少だとか健康長寿とか、そういったことばかり言いましたんで、これは私自身も以前から考えていることなんですが、和歌山県、経済をどうやって再生するかということについて少しお話をさせていただきたいと思います。1番目、わかやま起業塾について、昨年9月に、中野BC株式会社の中野会長が塾頭を務められるわかやま塾に、ちょうど講師として招かれた、京都のSCREENホールディングス株式会社の垣内会長が、耐久高校時代の友人ということもあり、私も参加させていただき、講演後、垣内会長と2人で食事を取りながら和歌山の将来について語り、彼からも郷土和歌山のために自分ができることは何でもするという言葉をもらったということを、この場で前に御報告をいたしました。

 この塾は、企業の2世や幹部として働いている方の育成を目指したものであり、しっかりとした活動をしていることに今後も大きな期待が持てると私は思っております。そこで今回は、昨年10月の17日に和歌山市駅の市立図書館にて開催されたわかやま起業塾について質問をいたします。

 この塾は、これから業を起こそうとする若者を中心に、約20名の方が参加されており、私も興味があり出席をし、冒頭挨拶をさせていただきました。そしてその後、塾についての説明を聞かせていただきました。12月5日まで、8日間で15回の講演があり、様々な業種で新しい業を起こそうという方が、既に卒塾されていると思いますが、その成果と今後はどのようなプロセスで実際の業を起こしていくのか、商工観光労働部長、御答弁、よろしくお願いいたします。

○議長(岸本 健君) 商工観光労働部長大山 茂君。

  〔大山 茂君、登壇〕

○商工観光労働部長(大山 茂君) わかやま起業塾は、創業希望者が事業経営に必要な知識、スキルを実践的に習得するための講座で、経営者の心構え、財務指標の作り方、販路開拓のノウハウ、IT活用などを講義形式だけではなくワークショップ形式を数多く取り入れ、将来創業するために必要な事業計画策定を目指す内容であります。

 令和2年10月17日から12月5日までの毎週土曜日、全8日のカリキュラムで受講生を募集したところ、定員を大きく上回る応募があり、第1期わかやま起業塾をスタートさせ、19名が卒塾しました。

 現在、本塾を通じて知り合った塾生同士で情報交換を行いながら、事業計画書をブラッシュアップし、ビジネスコンテストへの応募や創業のために必要な資金調達の準備を行っています。

 県では、起業塾のような創業準備段階から創業時、創業後まで段階に応じた支援パッケージで創業者をサポートしています。創業時は、地域課題解決型のビジネスを起業する者に対する創業補助金や、さらなる資金調達を支援するためのふるさと納税型クラウドファンディング、創業後は創業者ならではの課題や悩みなどを解決するための創業支援に知見のある専門家による伴走支援などを行っています。

 令和3年度は、新たにコロナ禍がもたらした現状と社会変化に対応するため、デジタル化を推進し、社会環境に応じたビジネスモデルを構築できるよう、知る・学ぶ場としてシンポジウムやセミナーなども実施予定であり、新たな事業や事業転換に取り組んでいただけるよう支援していきます。

 このような取組はもとより、経済全体の活性化、産業の担い手の裾野を広げるためには、創業しやすい環境づくりが重要であるため、創業希望者の段階に応じて支援する和歌山県版創業支援パッケージを推進し、志の高い創業者を生み出していきます。

○議長(岸本 健君) 浦口高典君。

  〔浦口高典君、登壇〕

○浦口高典君 部長、どうもありがとうございました。これは本当に一朝一夕ではいかないと思うんですけども、和歌山において第2の島正博氏や故西本貫一氏みたいな立派な事業者、起業家も出ておりますので、ぜひ県のほうもそういった意味で導いていただきたいと、そのように思っております。

 次に移らせていただきます。

 最後、4の2番目ですが、「健康・医療・福祉」に着目した新産業創出について、昨年9月議会で、来年開学する公立大学法人和歌山県立医科大学薬学部の卒業生の進路についてただし、また、卒業後、和歌山県内に残ってもらうには大学と企業の関係が非常に大事であるということを質問させていただきました。これは、言葉を換えれば卒業生を生かす企業が欲しいということでありますけれども、過日、和医大、和歌山県立医科大学薬学部に付設する施設として御連絡いただいたんですが、次世代医療研究センターというのができ、その趣旨は、医療系総合大学としてさらなる発展のための研究拠点、また学内提携、そして学外提携、他大学との共同研究をし、大学淘汰の時代にあって和医大の存在意義を全国レベルに押し上げるということでありますが、大変すばらしいことで、ぜひ新しい研究をして、新しい事業に結びつけるように、また企業を誘致できるように御努力いただきたいと存じます。

 そのことに関連して、ここ数年で和歌山市内に新たな五つの大学ができ、そのうち四つは薬学部、看護学部、保健医療学部、健康科学部など、健康・医療・福祉系の学部であります。

 そこで一昨年、私も参画させていただいていた関西広域連合議会の関係で、平成30年3月ですが、ここに「健康長寿に資する新産業の創出と産学官連携の『日本モデル』をめざして~関西健康・医療創生会議報告書~」という資料でありますが、(資料を示す)大変今後の和歌山県の新産業の方向性を明示しているのではないかと、私、じっくりと読ませていただきました。

 御存じのとおり、関西には、京都大学のiPS細胞に代表される世界最先端の医学研究や神戸医療産業都市、また大阪には吹田市の北大阪健康医療都市や、大阪中之島に2023年開業を目指す未来医療国際拠点構想などがあります。健康・医療産業の創生で、関西を東京に対抗できる第2極としての構想と、これからの日本経済を支えるのは情報産業と健康・医療産業であるということから、特にこの分野に力を入れようとしているということであります。

 しかも、団塊の世代が後期高齢者になる2025年の開催を目指して「いのち輝く未来社会のデザイン」~多様で心身ともに健康な生き方 持続可能な社会・経済システム~をテーマに大阪・関西万博が開催されることは、現在まで和歌山県の経済を背負ってきた重厚長大の工業だけではなく、新産業を創出する大きなチャンスであると私は考えております。

 人口激減、超高齢先進、要介護認定率5年連続日本一という現状の和歌山県だけに、そのピンチをチャンスに変える意味からも、健康・医療、そして福祉に着目した新しい産業を創出することは、目標としていかがなもんでしょうか。商工観光労働部長、御答弁をよろしくお願いいたします。

○議長(岸本 健君) 商工観光労働部長。

  〔大山 茂君、登壇〕

○商工観光労働部長(大山 茂君) 県経済発展のためには、新産業への進出や事業転換が必要であり、その中で健康・医療・福祉分野は重要な産業の一つとして捉え、これまでも取り組んできたところです。

 県内における民間企業、医療・福祉関係、大学等の効果的な連携を促し、ヘルスケアに関連する産業創出及び振興を図るため、平成29年度にわかやまヘルスケア産業革新プラットフォームを設立し、これまで会員が実施する事業への協力や会員同士のマッチングなどを実施してきました。

 最近では、リハビリ現場が抱えるニーズや課題解決のために、例えばトイレでの見守りシステムやリハビリにおける荷重計測装置など、県内企業が和歌山県理学療法士協会や和歌山県作業療法士会などと共に新規分野の事業化に向けた取組を進めています。

 議員御指摘の東京医療保健大学和歌山看護学部、和歌山県立医科大学薬学部、和歌山リハビリテーション専門職大学、宝塚医療大学和歌山保健医療学部との連携は、新たなビジネスニーズの発掘にもつながることから、本プラットフォームへの参画を働きかけ、引き続き企業に対して新産業進出への機会を提供してまいります。また、新産業創出のためには、企業の技術力やアイデアが不可欠であり、大企業を含め、少しでも多くの企業が参画することが重要であると考えています。

 コロナ禍にあって、企業が今後発展するためには、事業の転換や再構築が必要であり、さらに異業種からの新規参入を促すなど、健康・医療・福祉分野でのニーズと産業界のシーズのマッチングによる新たな産業の創出、発展に向けた取組を進めていきます。

○議長(岸本 健君) 浦口高典君。

  〔浦口高典君、登壇〕

○浦口高典君 部長、どうもありがとうございました。

 今回、先ほども言いましたように、どこも現地視察という、調査ということができなかったもんですから、インターネットとか本なんかから得た知識を中心に、私自身が今感じていることを述べさせていただきましたが、よく知事も言われるように、今までの和歌山県の産業構造からいうと、やっぱりこれは産業構造を転換せざるを得ない時代へ入ってくると同時に、これは決してちゃかして言うているわけでも何でもなしに、人口減少のこと、それから高齢化の進み具合、要介護認定度の高さというのは、これは全国でもトップクラスですよ、和歌山県は。

 それだけに、これを単なるピンチとして捉えるだけではなしに、これをチャンスとして捉えて、しかも先ほど来言っていますように、ここ数年で和歌山、しかも市内に、この狭い35~36万人ぐらいのところで大学が四つも五つもできるわけですから、これを生かしながら新たな産業を生み出すのが私は賢明であると思いますし、これは私の勝手な言い分なんですが、和歌山県のこれからのリーディング産業というのは、健康・医療・福祉産業であると確信をしておりますので、またこの点について、今後とも当局とやり取りをしながら、またこの場で議論していきたいと思います。

 本日は、これで終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(岸本 健君) 以上で、浦口高典君の質問が終了いたしました。

 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。

 この際、暫時休憩いたします。

  午前11時54分休憩

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  午後1時0分再開

○副議長(濱口太史君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 1番鈴木德久君。

  〔鈴木德久君、登壇〕(拍手)

○鈴木德久君 皆様、こんにちは。1番鈴木德久でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、新型コロナウイルス感染症に関しましては、今日にも関東の1都3県の2週間の緊急事態宣言の延長が発表されそうですが、待望のワクチン接種も視野に入ってきたところで、一日も早い終息を願いたいと思います。

 これまで新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた方々に対しまして、心からお悔やみ申し上げますとともに、今も療養中の方々の一日も早い回復をお祈り申し上げます。

 さらに、医療関係者や県担当部局におかれましては、命の最前線で奮闘されていることに対しまして、敬意を表したいと思います。

 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、一般質問をさせていただきます。

 まず、県立高等学校の再編整備についてですが、私は、先月11日に行われたみなべ町と田辺市の紀南文化会館での県立高等学校の今後の在り方の骨子案の説明・懇談会に参加してきました。その中で、これまでの県立高等学校整備や高等学校教育の改革等の経緯についての説明がありました。生徒増と高校進学率向上による高校教育の機会確保に迫られた昭和の時代と、県立高校の教育的課題が顕在化し、様々な教育改革に取り組まれた時代、これが平成の前期。少子化の影響が現実的となり、高校教育の在り方が問われた時代、これが平成の後期とされるとのことでした。

 進学率が上がり出した私の高校時代から弟や妹の時代、そして私の子供たちの時代と、確かに実感できる時代の流れだと思います。

 ただ、私は早くから生徒減による小中学校の統廃合に奔走される過疎地域の真っただ中で暮らしてきました。

 私の小学校時代は1年生から6年生まで完全複式学級でしたので、3校が集まる中学校も各学年1クラス。一度もクラス替えを経験したことがありません。小学校は平成2年に、中学校は平成11年に統合され、今は残っておりません。高校も和高専でしたので、当然、寮生活。私は5人兄弟の長男でしたが、弟や妹たちもそれぞれ田辺高校や熊野高校、新宮高校の寮でお世話になりました。

 私の子供たちの時代も児童、生徒減との闘いで、小学校での複式学級阻止のために県外から家族での山村留学を募集し、空き家の確保や改修費用の一部負担等の努力の結果、数組の家族の受入れができました。白浜での県連Pの研修大会でも発表させていただいたことがあります。

 さらに、私の3人の子供たちも高校から寮生活という、かなりまれなケースだと思います。

 今回の県立高校再編整備も近い将来の生徒減を想定しての計画だと思われますが、寮生活の経験者からすると、県内の生徒だけを対象とするのではなく、全国から募集して、環境のよい和歌山での高校生活のよさをPRして、できる限りの対策をお願いしたいと思います。

 文部科学省の調査によると、少子化が急速に進む中、2000年以降毎年約500校のペースで廃校になっているそうです。

 そんな中、廃校の危機にありながら、早くから全国募集をして成功した事例として、島根県隠岐島前高校が有名です。12月の坂本議員の一般質問で大変詳しく紹介されておりましたので、今回は全国募集に絞って簡単に申しますと、隠岐島前高校では、1989年には246人いた生徒が、2008年には89名となりました。その後、都会から呼び寄せた優秀な講師陣による学習塾の運営やシンガポールへの修学旅行、自主性を尊重した寮生活など、そういったユニークな取組によって、8年後の2016年には180人にまで回復させることができ、そのうち約半数が島外出身者となっています。

 12月の答弁で、教育長は、「本県にも、部活動の重点化や地域との連携、全国募集等の特色ある取組などにより、活性化を図っている学校は数多くあります」との回答でしたが、本県の全国募集はどのような状況でしょうか。教育長にお伺いします。

○副議長(濱口太史君) ただいまの鈴木德久君の質問に対する答弁を求めます。

 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 本県の全国募集の状況についてでございます。

 全国募集は、地域との連携など、特色ある教育活動を広く全国の生徒に提供することを目的とした制度でございます。他府県から入学した生徒と地元の生徒が共に学ぶことで、互いの成長を促すとともに、学校の活性化にもつながっています。また、他県では、地域が一体となって全国募集を支援し、多くの生徒が入学している例もございます。

 本県におきましては、地域と密着した取組や部活動の活性化、恵まれた自然環境を生かした体験学習などの特色を発信した全国募集を串本古座高等学校、海南高等学校美里分校、有田中央高等学校清水分校、日高高等学校中津分校、南部高等学校龍神分校の1校4分校で実施しております。

 現在、1校2分校で他府県から入学した生徒が学んでいます。3学年合わせた在籍生徒数は、串本古座高等学校で8人、日高高等学校中津分校で27人、南部高等学校龍神分校で8人となっており、近年、ほぼ横ばいの人数で推移しています。

 第6期きのくに教育審議会の答申においても、全国募集は学校活性化の重要な取組であると示されており、今後、この制度がさらに充実するように取り組んでまいります。

○副議長(濱口太史君) 鈴木德久君。

  〔鈴木德久君、登壇〕

○鈴木德久君 また、2月16日付の地元紙では、南部高校龍神分校の硬式野球部の後援会が打撃練習用のネットを贈ったとの記事がありました。

 後援会は50人ほどの会員で野球部のために様々な支援活動を行っており、昨年は、部員が遠征時に使う小型バスを購入したそうです。

 また、野球部の今年のスローガンは、「全員野球~村の応援を力に~」で、村との結びつきの強さをうかがうことができます。

 この野球部にも県外からの入学希望者は多いそうで、地元からの要望でもある全国募集枠の緩和等のお考えはあるのか、教育長にお伺いします。

○副議長(濱口太史君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 全国募集枠の緩和についてでございますが、南部高等学校龍神分校の硬式野球部後援会をはじめ地域の方々が熱心に応援や支援をしていただいていることに大変感謝しております。また、生徒も地域の行事に参加させていただくことで触れ合いが深まり、地域の方々から喜ばれていると伺っております。

 南部高等学校龍神分校の全国募集枠は、現在、募集定員の10%程度、4名程度としており、この人数を超えて出願されたことはありませんが、今後、志願者の増加等の場合、柔軟に対応してまいりたいと考えております。

○副議長(濱口太史君) 鈴木德久君。

  〔鈴木德久君、登壇〕

○鈴木德久君 12月議会の答弁では、高等学校から農業教育を一貫して学ぶことが重要であり、来年度の新政策として、農業系高校と農林大学校の一貫教育の実施について検討しているとのことでした。

 田辺地域では、熊野高校や南部高校龍神分校での林業科の復活を願う声もあり、農林大学校との一貫教育の実施についても御検討よろしくお願いします。

 これからの高等学校教育を考える上での論点整理の今後特に重点的に取り組む事項として、地域と連携し、地域に支えられる高校づくりとされています。また、基本的な考え方としては、自宅から通学可能なところに多様性と活力のある高校を確保するとされています。

 しかしながら、田辺・みなべ周辺でも農業における課題としては後継者不足と農繁期の労働力不足が挙げられますが、地元だけでは農業を希望する生徒数の確保は非常に難しい状況にあると思われますので、そこに全国募集の観点を入れてほしいということであります。

 全国的には、新型コロナの影響で、都会での密集を嫌がり、地方での就業を目指して田園回帰の流れもできつつあります。後継者や農繁期における担い手不足に困っている農家と農業系高等学校の教育活動をつなぐような取組が全国募集等を通じてできないものでしょうか。教育長にお伺いします。

○副議長(濱口太史君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 林業と、それから農家と農業系高校の連携についてお答えをいたします。

 林業に関する学習は、この田辺地域で長年にわたり培ってきた学びであり、現在でも熊野高等学校の総合学科において、林業系科目を設定したり、近くの県農林大学校林業研修部の出前講座を活用するなどして、生徒が林業や森林、環境等について学んでおります。また、南部高等学校龍神分校においても、林業体験を通した学習を行っています。このような学びに対する地域の期待も大きいと認識しています。

 農業科の全国募集につきましてでございますが、今議会に上程をしておりますわかやま農業教育一貫プロジェクトにおいて、果樹王国わかやまの強みを生かした農業教育を行う中で実施してまいります。

 一方、農業高校では、これまで農業の経験がない生徒が大多数となっているため、地域の農家において本物の学びを体験し、農業の実践的な経験を積むことは大変重要であると考えており、今後、希望する生徒と農家のマッチングを進めてまいります。

 こうした取組を通じて、就農への関心や意欲が高まることを期待しています。

○副議長(濱口太史君) 鈴木德久君。

  〔鈴木德久君、登壇〕

○鈴木德久君 ありがとうございます。

 教育長に2点ほど要望がございます。

 海外からの留学生の受入れについてであります。

 全国募集をしていただくとしても、少子化、生徒数減の問題は全国的なもので、地域間の競争は激しくなるものと思われます。それでは、前例踏襲から脱し、新たな取組として、海外からの生徒募集はどうでしょうかということです。

 ここで少し技能実習生の話をさせていただきます。

 技能実習制度は、2017年11月に施行された技能実習法によりますと、「人材育成を通じた開発途上地域等への技能、技術又は知識の移転による国際協力を推進することを目的とする」とされており、日本の職場で身につけた技能を自国に持ち帰り、自国の発展に生かしてもらうということです。

 今や多くの日本の第1次、第2次産業の貴重な労働力となっている技能実習生は、2019年6月には36万7000人に達しており、半分がベトナム、その半分が中国と、二つの国で約4分の3を占めています。

 しかしながら、この制度は、表向きは受入れを認めていない低賃金での労働者を受け入れる方便として機能している側面もあり、長時間労働、最低賃金違反、残業代の不払い、パワハラ等の劣悪な労働環境がしばしば問題となっています。

 2019年に厚生労働省が全国の労働局や労働基準監督署を通じて全国7300事業所を対象に行った調査では、実に70%以上で労働基準関係法令違反が認められています。

 技能実習生の多くは、日本の技術を学びたいといった純粋な思いを持って来日しているはずです。そういった思いを裏切らないためにも、今までにない新たな定時制高校のような安心して働きながら学べる環境を、さらには、労働者不足にも対応でき、マッチングさえうまくいけば後継者にもなれるといったユニークな取組を和歌山から発信できないかと思います。御検討よろしくお願いいたします。

 2点目としましては、田辺市では、昨年10月に、明治16年、田辺市に生まれた合気道の開祖・植芝盛平翁の偉業を広く国内外に発信するための拠点として、植芝盛平記念館を併設した新武道館を建築しました。

 国内には、空手、柔道、剣道、合気道など、我が国の伝統的な武道が存在しており、とりわけ合気道は、野球やサッカー、テニスといった一般のスポーツや他の武道と違い、無理に相手を倒そうとしたり、強弱、勝負を争うものではなく、相手と相和して切磋琢磨を図り、自己の人格形成を目指す武道であるとされています。

 愛と和合の精神は世界平和に通じ、SDGsの最たるものと思われます。この理想は、日本のみならず、世界の武道として広く愛されるとともに、大きく発展を続け、愛好者は現在では、日本国内110万人、全世界では140か国、160万人とも言われています。

 また、2012年から国内の中学校で実施された武道必修化に伴い、幾つかの地域で保健体育の授業に導入されています。

 高校でじっくりと合気道が学べるコースをつくり、世界中から愛好者を受け入れる体制ができればすばらしいと思いますので、この件につきましても御検討よろしくお願いします。

 次の質問に入ります。

 この植芝盛平記念館を活用した観光資源としての可能性についてお伺いします。

 田辺市では、2008年10月に、植芝盛平翁没後40周年記念事業第10回国際合気道大会が開催されました。当時の資料によりますと、46か国から628人が訪れ、国内と合わせて5000人程度の参加があり、大変盛況であったとのことですが、この植芝盛平翁が始められた合気道、またその聖地が和歌山にあるということを国内のみならず全世界へ発信し、観光に武道体験などを組み入れ、世界中から来県してもらうような取組は大変意義があると考えますが、これらの観光資源としての可能性について、商工観光労働部長にお伺いします。

○副議長(濱口太史君) 商工観光労働部長大山 茂君。

  〔大山 茂君、登壇〕

○商工観光労働部長(大山 茂君) 県では、現在、「わかやま歴史物語」において、「世界140の国と地域で愛好される武道!合気道の開祖・植芝盛平」として、ウェブサイトで植芝盛平翁ゆかりの地を取り上げております。

 さらに、同氏のルーツを実際にたどっていただくよう、スマートフォンを活用したスタンプラリーを昨年10月から開始し、その中で植芝盛平記念館もスポットに入れ、ゆかりの地や周辺の観光地と併せた周遊促進の取組を行っており、本年2月末日までに約1000人の方に御利用いただいております。

 インバウンド誘客につきましては、現在も入国制限が継続しているため、海外プロモーションが制約されている状況ではありますが、合気道をはじめ日本特有の武道を活用したツーリズムは、欧米豪のメディアや旅行会社の関心も高く、インバウンド再開後の有力なテーマの一つとして期待されています。

 今後、海外での感染状況を見極めつつ、段階的に海外プロモーションを再開していきたいと考えておりますが、合気道についても、海外メディアやSNSを活用した情報発信を手始めに、田辺市や関係者と連携して体験プログラムの造成に取り組み、合気道を活用した武道ツーリズムや学生向け教育旅行の旅行会社への提案などを通じて、多くの国々にファンを増やしていき、再び世界中から多くの皆さんにお越しいただけるよう取り組んでまいります。

 今後も、国内外の愛好家のみならず、幅広い方々に合気道の開祖生誕の地を訪れるきっかけとなるよう、植芝盛平記念館を本県の重要な観光資源として広く発信し、なお一層誘客につなげてまいります。

○副議長(濱口太史君) 鈴木德久君。

  〔鈴木德久君、登壇〕

○鈴木德久君 ありがとうございます。よろしくお願いします。

 当時の宿泊施設での話ですが、食事について、宗教上の問題やベジタリアンあるいはオーガニックに対する要望等で苦労されたケースがあったとのことでした。

 また、近年においては、オーガニック食品の市場は年々拡大傾向にあり、2018年時点で、その総額は約12兆円となり、10年間で2倍以上、15年間で4倍以上の成長を遂げています。

 先進国を中心に、食の安全とSDGsに対する意識が高まる中、オーガニック食品の約8割の売上げが欧米に集中しているのが現状ですが、今後は欧米以外での需要増加も期待され、市場のさらなる成長が予測されています。また、香港やシンガポールでの輸出商談会でも必ず何割かはそういった要望があると聞いています。

 また、2月18日付の地元紙によりますと、「有機栽培学びたい/技術向上へ田辺で研修」との見出しで、北海道の農園関係者が、有機農業に取り組む田辺市内の農園で研修を続けているとのことでした。この北海道の農園関係者は1月に設立したばかりで、新規就農者における関心の高さをうかがい知ることができます。

 IR誘致を目指す和歌山において、それと新型コロナ後、インバウンドの需要拡大が見込まれる中で、オーガニック食材の生産振興について、県は今後どのように進めていくのか、農林水産部長にお伺いします。

○副議長(濱口太史君) 農林水産部長角谷博史君。

  〔角谷博史君、登壇〕

○農林水産部長(角谷博史君) オーガニック食材の生産振興についてお答えします。

 化学肥料や化学合成農薬等を一切使用しないオーガニック、いわゆる有機栽培は、一般的な栽培に比べ労働力が多く必要で、また収量が不安定な一面もありますが、食の安全・安心や環境に対する意識の高まりを背景として、有機食品の世界での売上げが増加しており、国内におきましても、その市場規模は拡大傾向にあります。

 こうしたことから、県では、和歌山県有機農業推進計画に基づき、有機栽培も含め、環境保全型農業を推進するための取組を実施してございます。

 具体的には、土壌診断に基づいた施肥の指導をはじめ、農家を対象とした研修会の開催やモデル園の設置とともに、国の交付金制度を活用して、環境に優しい農業に取り組む農業者を支援しております。

 また、生産された農産物を消費者の方々へ広くPRするため、有機JAS認証制度や農家の取組を県のホームページで発信しており、農業者自身もわかやま産品商談会に出展し、積極的な販路開拓に取り組んでおります。

 こうした取組の結果、本県での有機栽培の面積は、10年前に比べ約2倍の91ヘクタールに増加しております。

 今後とも、市町村やJA等と連携を図りながら、オーガニック食材の生産振興に取り組んでまいります。

○副議長(濱口太史君) 鈴木德久君。

  〔鈴木德久君、登壇〕

○鈴木德久君 ありがとうございます。

 次に、過疎対策についてお伺いします。

 緑の雇用事業や企業の森事業など、先に県が先進的な取組を始めて、その後、国が制度化するといった事業があります。

 わかやま版「過疎集落支援総合対策」も、当初は過疎集落活性化支援事業として県単独事業で平成22年度からスタートしたと思います。

 この事業の目的は、基幹集落を中心として、周辺の集落との間でふるさと生活圏を形成し、生活の営みを確保するとともに、生産の営みを振興するために寄り合い会が行う取組を支援するとされています。

 先月、2月14日、県立情報交流センターBig・Uにておいて開催された「まちづくり市民カレッジ+(プラス)」の中で、田辺市本宮町四村地区の取組が発表されていました。

 ここでは、四村地域の11自治会の会長により組織化され、地域再生と活性化の活動を実践しており、小規模ながら新たな産業化につながったり、目標をつくり実践することで新たなコミュニティーが生まれ、活性化が図られたとのことです。

 県内のこれまでの実績とその評価について、企画部長にお伺いします。

○副議長(濱口太史君) 企画部長田嶋久嗣君。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○企画部長(田嶋久嗣君) わかやま版「過疎集落支援総合対策」のふるさと生活圏における取組支援については、議員からお話がありましたように、田辺市の四村生活圏をはじめ、これまでに22市町村、40生活圏で実施しております。

 本事業では、遊休施設を活用し、高齢者サロンの設置や農産物の販売を実施することで住民の交流促進が図られたり、閉店した商店を地域住民が運営する店舗として再利用することで、生活必需品を近隣で調達することが可能となるなどの取組が行われています。

 また、移住者の受入れに積極的に取り組み、若い世代が定住し、新たな地域の担い手となった結果、集落が元気になるとともに、高齢化の進行や人口減少の速度が緩やかになるなどの効果が現れている地域もあります。

 このように、各ふるさと生活圏単位で課題を抽出し取組を行うことは重要であり、本事業は地域の課題解決や活性化に資する事業と考えております。

○副議長(濱口太史君) 鈴木德久君。

  〔鈴木德久君、登壇〕

○鈴木德久君 次に、地域おこし協力隊についてお伺いします。

 地域おこし協力隊の制度概要としましては、都市地域から過疎地域等の条件不利地域に住民票を移動し、生活の拠点を移した者を地方公共団体が地域おこし協力隊員として委嘱。隊員は一定期間地域に居住して、地域ブランドや地場産品の開発、販売、PR等の地域おこしの支援や農林水産業への従事、住民の生活支援などの地域協力活動を行いながら、その地域への定住・定着を図る取組とされています。

 また、総務省では、令和元年度で約5500名の隊員が全国で活動していますが、この隊員数を令和6年度に8000人に増やすという目標を掲げています。

 さらに、2月12日付読売新聞によりますと、総務省は、新年度、地域活性化に携わった経験や専門知識のある人に地方に住んでもらい、地域おこし活動のリーダー役になってもらう地域プロジェクトマネージャーの制度を創設するとありました。

 もう少し詳しく言いますと、地方自治体が重要プロジェクトを実施する際には、外部専門人材、地域、行政、民間などが連携して取り組むことが不可欠ですが、そうした関係者間を橋渡しするプロジェクトマネジメントができるブリッジ人材が不足している。そこで、市町村がこうした人材を地域プロジェクトマネージャーとして任用する際の支援措置を新たに創設するとのことです。

 過疎地にとっては至れり尽くせりの施策であり、大変ありがたい流れではあるのですが、なかなかうまくいかないケースも少なからずあるのも事実です。場合によっては、雇うことが目的みたいになったり、協力隊に任せっきりになったりして孤立させてしまう失敗例もあります。

 地域おこし協力隊事業へのこれまでの評価とこの連携について、企画部長にお伺いします。

○副議長(濱口太史君) 企画部長。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○企画部長(田嶋久嗣君) 本県では、これまで122名が地域おこし協力隊として活動しており、個々の能力や特性を生かし、それぞれの地域で商品開発や販路開拓、生活支援などで活躍し、地域の課題解決に貢献しています。

 また、活動終了後も地域にとどまり、地域の担い手となり活躍するなど、人口減少と高齢化が進み、地域産業の後継者や地域づくりの担い手が不足している過疎地域においては、大変重要な役割を担っていると認識しております。

 一方、議員御指摘のとおり、地域になじめず孤立してしまうという事例も見受けられています。

 このような状況を踏まえ、県では、地域おこし協力隊の経験者や現役隊員が相互に交流し連帯感を深められるよう、メールマガジン等により、活動に役立つ情報の共有を図っているところです。

 県としましては、地域おこし協力隊等の外部人材との協働の重要性を踏まえながら、より一層、地域住民や市町村と連携を密にして、過疎地域等の課題解決に取り組んでまいります。

○副議長(濱口太史君) 鈴木德久君。

  〔鈴木德久君、登壇〕

○鈴木德久君 ありがとうございます。よろしくお願いします。

 全く個人的な意見としましては、その地域に住んでいる者が地域のそういった問題を解決できない事柄について、やはり3年という期限付の職員として雇う若者に任せて解決してもらおうというところに少し無理があるのではないかと感じているんですけども、もっと濃密な地域連携やサポートが必要だということだと思っております。

 そこで提案ですが、職員歴10年ぐらいの希望する県の職員を平成の合併以前の町村に派遣する事業を創設できないかということです。できればそこに住んでいただいて、地域の方々や市町村職員、そして地域おこし協力隊と共に、地域の課題解決に取り組める状況をつくっていただきたいと思います。

 お医者さんに例えれば、県庁の職員を専門医から総合診療医に変えるようなイメージでしょうか。

 全国的にもテレワークが進んでいます。過疎地にいても県の仕事ができる業種をつくり、県職員自らが田舎暮らしを実践する。そのことで、過疎地における問題の本質がより一層見えてくるのではないでしょうか。御検討よろしくお願いします。

 次の質問に入ります。

 過疎地における選挙の投票事務について、平成28年12月議会で泉議員が質問しています。

 当時、合併した本宮町では、投票所が14か所あり、投票管理者、投票立会人に選任されている地域の方々は、18時に投票所が閉鎖すると、19時前に行政局に集合、田辺市の開票所まで1時間余りかけて投票箱を運ぶのですが、14個の投票箱に対して28名の方がバスに乗って往復しなければなりません。往復すると22時を超えることもあり、地域の方々にとって大きな負担となっているという質問でした。

 これに対し、選挙管理委員会として、投票箱送致に係る負担軽減について、市町村選挙管理委員会と連携して、国に対して要望してまいりますという答弁でした。

 制度的にも、公職選挙法第55条の読替規定の期日前投票における投票箱の送致については、選挙管理委員会が預かり、当日に選挙管理委員会が開票管理者に送致しなければならないとありますので、当日投票分も選挙管理委員会が預かったとしても大きな不都合はないのではないかと思われますが、その点も含めて、質問後の経過について、選挙管理委員会委員長に御答弁よろしくお願いいたします。

○副議長(濱口太史君) 選挙管理委員会委員長小濱孝夫君。

  〔小濱孝夫君、登壇〕

○選挙管理委員会委員長(小濱孝夫君) 当日投票所の投票箱の送致につきましては、公職選挙法第55条で、投票管理者は1人以上の投票立会人と共に、投票箱等を開票管理者に送致しなければならないと規定されており、投票管理者と少なくとも1名以上の立会人が投票箱を開票所の開票管理者に直接引き渡すことになっております。

 議員から御意見のありました選挙管理委員会が地域の投票箱を預かり、一括して開票管理者に送致するということについてでありますが、選挙管理委員会が投票箱の送致を受けることができるのは、現行法上、期日前投票所の投票箱のみに限られております。

 県内には、市町村合併や過疎化により、開票所から離れている投票所が存在し、そのような投票区では、長時間の拘束や投票箱の送致に係る投票管理者、投票立会人の負担が大きく、成り手不足も深刻化していると聞き及んでおります。

 こうした状況を受け、本県としても、都道府県選挙管理委員会連合会を通じての要望など、国に対し、両者の選任要件の緩和等を訴えかけてまいりました。

 その結果、令和元年6月1日施行の公職選挙法等の改正により、投票管理者、投票立会人の選任要件から地域要件が撤廃され、選挙権を有していれば居住地がどこの方でも選任できるように緩和されるとともに、投票管理者が投票時間中に交代できるようにもなり、負担軽減について一定の進展がありました。

 選挙管理委員会といたしましては、国に対し、投票管理者、投票立会人のさらなる負担軽減について、引き続き市町村選挙管理委員会と連携して要望してまいります。

○副議長(濱口太史君) 鈴木德久君。

  〔鈴木德久君、登壇〕

○鈴木德久君 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。

 大阪万博が開催された昭和45年に、過疎地域を支援する法律である過疎地域対策緊急措置法が制定され、50年がたちました。この間、昭和55年には過疎地域振興特別措置法に、平成2年、過疎地域活性化特別措置法に、平成12年からは過疎地域自立促進特別措置法として、これまで4次にわたる法改正がなされ、和歌山県においても、国と過疎市町村と一体となって産業の振興、交通・生活環境・福祉等の施設整備、情報通信環境の確保、地域医療の確保、教育の機会の確保など、総合的な過疎対策事業を実施し、過疎地域の生活環境の改善に取り組まれてきたことと思います。

 昭和60年当時、私のメモですと、県庁出張時に自家用車で約4時間50分かかったとありました。現在は2時間30分です。私自身も、過疎対策事業には一定の成果を上げていると、日々の生活において実感することができます。

 一方で、その現行法も令和3年3月31日で期限を迎えますが、過疎地域の格差が全て是正されたわけではありません。過疎地域には、いまだに条件不利性という課題が残され、人口減少や高齢化が現在でもなお急速に進み、多くの地域が維持できなくなる危機的な状況にあります。

 過疎地域は、豊かな自然や歴史、文化を有するふるさと地域であり、食料や水の供給、自然環境の保全、森林による地球温暖化の防止や癒やしの場の提供といった多面的かつ公益的な機能を果たしています。これらは過疎地域の住民によって支えられており、地域に住み続ける住民にとって安心・安全に暮らせる地域として維持されなければ、県民共有の財産である和歌山県の緑豊かな山々や風光明媚な海岸線は、将来、失われてしまうかもしれません。

 現行法の期限後も引き続き過疎対策を講じる必要があると思われますが、知事のお考えをお伺いします。

○副議長(濱口太史君) 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 日頃から県内各地を訪れ、住民の方々とも直接対話する中で、また私ごとでもよく行くところは過疎地域でございますので、人口減少や高齢化の進行による担い手不足、商店の廃業による生活機能の低下、あるいは鳥獣害被害の蔓延、そういうものに悩む地域の窮状を目の当たりにし、過疎地に暮らす方々の苦労をずっと肌身に感じております。

 こうした過疎地域からの声を受けて、これまで和歌山県の過疎対策としては、地域の住民の方が安全・安心に暮らせるように、幹線道路とか水道施設の整備など、生活基盤の向上を目指してハード対策を進めるとともに、過疎集落支援総合対策による住民主体の取組の支援とか、移住定住大作戦による移住・交流の促進などソフト対策もやってまいりましたが、その成果もある程度は上がっているというふうには思いますけれども、住民が1歳ずつ年を取っていくということもございまして、中には亡くなる人もいるわけでございます。したがって、過疎地域の困難性はなくなってはいないというふうに思って、引き続き過疎対策を講じることが必要であると考えております。

 議員御指摘のとおり、現行過疎法においては今月末に失効となります。延長の動きはもちろんございますが、本県では、新過疎法の制定及び現行過疎法における「みなし過疎」の継続指定あるいは過疎対策予算の確保等について、本県独自の政府提案をはじめ、全国知事会や全国過疎地域自立促進連盟等を通じて、国や関係議員に強く要望してきたところでございます。現在、法案ができまして、新過疎法の制定に向けて国会でも前向きな議論がなされると認識しておりますけれども、我々が要望してきたところを配慮してくれた内容になっているというふうに思っております。

 過疎対策を継続するには、こうした法による国の支援もうまく使いながら、県としても過疎地域に暮らす人々が夢や希望を持って元気に暮らせるように、引き続き全力で取り組んでまいる所存でございます。

○副議長(濱口太史君) 鈴木德久君。

  〔鈴木德久君、登壇〕

○鈴木德久君 ありがとうございました。

 そのほとんどを過疎地域で暮らしてきた私にとって、その変化は劇的であり、一番恩恵を受けた年代だと実感しております。

 しかしながら、その暮らしが改善に向かう中においても、人口の流出、高齢化の流れは止まらず、我が集落も早くに限界集落となりました。それでも、山と川、田んぼが織りなす美しい風景と、そこでの暮らしは継承されており、都会で暮らす友人からは「最高の空間での暮らしが羨ましい」とも言われております。

 こんなすばらしい生活がテレワークの普及等によって若い世代にも味わっていただけることを夢見まして、今回の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○副議長(濱口太史君) 以上で、鈴木德久君の質問が終了いたしました。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 23番佐藤武治君。

  〔佐藤武治君、登壇〕(拍手)

○佐藤武治君 皆さん、こんにちは。

 2日目、最後の登壇になりました。議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、私の一般質問をさせていただきますので、もう少しだけお付き合いをお願いいたします。

 冒頭、新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになられました方々に心からお悔やみを申し上げますとともに、治療中の方々にお見舞いを申し上げ、一日も早い快癒を願うものであります。

 また、医療や介護、保育、運輸や物流など、それぞれの現場で私たちの生活を支えてくださっているエッセンシャルワーカーの皆様、そしてその御家族の皆様にも感謝を申し上げたいと思います。

 さて、私の地元、紀南地域、東牟婁地域は、観光が一つの基幹産業であります。今は本当に大変苦しい時期ではありますけれども、将来に向かって頑張ってくれている大勢の方がいることを忘れないでいたいと思います。

 昨年2月に、本県で新型コロナウイルスに感染された方が確認されてから1年以上が経過しました。世界の感染者が年明けの1月10日に9000万人を超えたという報道がありましたが、2週間後の25日に1億人を超えたと報道されました。その感染拡大のスピードに驚いたところであります。

 本県でも、新型コロナの第3波の感染拡大で一時期多くの新規感染者が確認されていましたが、2月中旬頃から減少し、昨日、2名の方が確認されて、累計1166人。そのうちの7割が第3波の期間での感染確認者であると言われています。他府県と比べて非常に少なく、和歌山方式と言われた当初からの対応がその成果に現れているものと思われます。

 全国的にも新型コロナの第3波が少し落ち着いてはきているものの、油断ができない状況の中でのワクチン接種が、2月17日から医療従事者を対象に開始されています。その効果が期待されるところですが、接種希望のアンケート結果も報道されているように、希望する方の割合は年代や地域でばらつきがありますが、集団免疫の獲得を考えると、最低でも7割以上、できれば8割以上の方が接種されないと効果が出ないという地元のお医者さんの話も聞きました。

 特に日本人は、欧米人に比べると、安全性を十分確認した上でワクチン接種を判断する方が多いようであります。情報が少ない中ですが、県におかれましては、最新の正しい情報を県民や各市町村に周知され、接種率を上げるようにお願いをします。

 当初、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種につきましての質問を私も予定しておりましたが、前日に、藤山議員と多田議員から同様の質問がありましたので、私からは先ほどの周知の件を徹底していただくように要望しておきます。

 1項目めの質問に入ります。

 民間小型ロケット発射場についてであります。

 年明けの1月29日に、私を含め議員有志5名で、串本町ロケット推進室の方を通じ、発射場の整備工事を進めている清水建設株式会社の現場責任者の方を訪ね、工事の進捗状況を説明していただいた後、実際に建設現場も案内していただきました。

 現場責任者の方は、「打ち上げ予定のロケットに関しては、専門的なことは分からない」とおっしゃりつつも、仕事上、よく勉強されており、打ち上げが予定されているロケット本体の説明もしていただきました。

 公表されている小型ロケットは、高さ18メートル、重量23トン、直径が約1.35メートル、フェアリングと呼ばれる先の膨らんだ部分でありますけども、ここが約1.5メートルと説明をいただきました。

 現物を見たことがないので漠然としか想像できていませんでしたが、2月12日から、串本町役場の古座分庁舎を会場に、宇宙関連品の展示など、ロケットの町をPRする「宇宙ウィーク」が開催され、その際に、分庁舎の正面に、高さ18メートル、幅約1.8メートルの実物大のロケットの懸垂幕が設置をされており、その高さは庁舎よりも高く、その大きさを実感し、改めて迫力を感じたところであります。

 重量に関しては、搭載する衛星の重量や、地球の自転の方向に打ち上げるのか、また南極、北極の方向に打ち上げるのか、打ち上げの方向にもよって燃料の必要量が変わるため、多少の増減があるとのことでした。燃料は固体燃料を使用して、「子供の頃、遊んだロケット花火、これと原理としては同じですよ」というように分かりやすく説明をしていただいたところです。

 ロケット本体は群馬県で製造され、コスト面を考慮して、大型トラックで陸送されることになるようでございます。

 多くの経費がかかる事業であり、採算面でどうなのかという話もあるようですけれども、今後10年間、世界全体では、8500基ぐらいの需要も見込まれているとの説明でありました。

 スペースワンのライバルと目されるアメリカのRocket Lab(ロケット・ラボ)という企業は、現在、既に18回の打ち上げをしているとのことで、成長率も年間12%を見込んでいるということであります。

 衛星の利用方法は、写真、通信関係・インターネット関係、気象衛星、クラウドストレージ、燃料補給やスペースデブリの回収・除去などが考えられており、スペースワンにも問合せが寄せられているようであります。

 驚いたのが、今、地元串本町も年間で約1センチ動いているそうですが、これがその衛星で測れるそうであります。

 整備中の射場はL字型をしており、国道に面したところに総合司令塔を建設中で、事務所とロケットの監視をする場所となり、運び込まれた衛星が運搬途中でトラブルが起きていないかをチェックするクリーンルームもそこに入るということであります。

 さらに、ロケット組立て棟や、燃料を仮置きする倉庫も建設されることになっており、ロケット発射の前後に散水して火災を予防するための防火水槽が既に建設をされていました。現場責任者から細かく完成のパーツの説明をいただき、徐々にではありますが、イメージが湧いてきたところであります。

 建物の建設自体は5月末に終わって、周辺設備の整備や場内の舗装を行い、目標としては8月頃に工事を完了、スペースワン社に引き渡す予定ということで、その後は、打ち上げに向けたトレーニング、シミュレーションを実寸大の模型を使って繰り返すようであります。

 新型コロナウイルス感染症の影響で海外からの部品の調達の遅れなども若干あり、物流トラックの手配が大変だったようですが、串本町は新型コロナの影響も少なく、工事についてはおおむね大きな遅れはないように聞いておりますけども、事業の進捗状況について、県当局はどのように把握しているんでしょうか。

 また、2021年度中の打ち上げに期待が膨らむところでありますが、打ち上げに向けては多くの課題があるというふうに考えます。次年度、県の関連施策、支援策や見学者の受入れ対策等について、また、用地等に協力をいただいた地元住民の日常生活、いわゆる病院に行ったり買物に出かけたりするときに交通渋滞が発生して迷惑がかからないようにするため、地元の那智勝浦町や串本町、関係機関とどのように連携をして対策を検討しているのか、商工観光労働部長にお伺いをいたします。

○副議長(濱口太史君) ただいまの佐藤武治君の質問に対する答弁を求めます。

 商工観光労働部長大山 茂君。

  〔大山 茂君、登壇〕

○商工観光労働部長(大山 茂君) まず、我が国初めての民間小型ロケット発射場であるスペースポート紀伊の整備状況につきましては、新型コロナウイルスの影響を受けながらも順調に進んでいると聞いており、本年夏頃には建設工事が完了し、令和3年度中の初打ち上げが予定されるなど、滞りなく進捗していると認識しております。

 次に、初打ち上げに向けての県の関連施策でございますが、周辺渋滞対策や誘客のための経費を本定例会に提案させていただいているところです。

 具体的には、打ち上げの際には多くの来訪客が想定されますが、マイカーでの来訪が集中すると交通渋滞が発生し、周辺住民の生活環境に悪影響が生じてしまう可能性があります。

 このため、警察とも連携し、国道42号における駐停車禁止規制を行い、周辺住民へ迷惑をかけないよう、通過交通の円滑化を図ります。

 また、適切な地点でロケット打ち上げを見学いただけるよう、スペースポート紀伊周辺に位置する田原海水浴場や旧浦神小学校を有料かつ事前予約制の公式見学場として運用します。ここにはマイカーでの来訪がないよう駐車場は設けず、代わりにホテルや旅館、周辺駐車場等からバスでお越しいただけるようなパーク・アンド・ライドの仕組みを運用するとともに、両見学場は紀伊田原駅や紀伊浦神駅から徒歩圏内にあるため、JR西日本とも連携して、鉄道での輸送も活用してまいります。

 加えて、これらの公式見学場には、リフトオフの瞬間を投影する大型スクリーンや音響設備を配置することで、来場者にロケット打ち上げの迫力を体感いただきたいと考えております。

 これらの事業実施に当たっては、地元と連携を取って進めていく必要があることから、串本町、那智勝浦町をはじめとする行政機関、商工団体、交通関係の機関等で構成するスペースポート紀伊周辺地域協議会に県商工観光労働部長を事務局長とする事務局を置くとともに、地元の串本町を拠点として具体的な企画・運営を行っていくこととしております。

 ロケットの打ち上げは、観光の振興をはじめ、紀南地域活性化の起爆剤となるものであるとともに、地元住民の生活に悪影響を及ぼさないように取り組んでいく必要もあることから、引き続き地元関係者と共にしっかりと準備してまいります。

○副議長(濱口太史君) 佐藤武治君。

  〔佐藤武治君、登壇〕

○佐藤武治君 ほぼほぼ予定どおりということで把握されているということで、令和3年度中ということですから、約1年後以内には打ち上げをされるんだろうなというふうには予測します。

 先日、紀陽銀行がスペースワンに対して3億円の出資をしたとの報道がありました。5社目の株主となって、同行の担当者は、「今後は紀南エリアへのロケット関連などの企業誘致に取り組みたい。地元の産業や観光の振興をサポートしたい」とおっしゃっておりました。

 今、地元串本町では、潮岬中の生徒たちを皮切りに、町内の小中学校、高校の児童・生徒がロケット事業に関するワークショップに参加し、ロケットに関する基礎知識を教わったりしているところです。

 また、田原小学校の児童が、田辺市龍神村の絵本作家・やのともこさんが描いたロケットの原画に色づけをして、その絵をラッピングした町営バスをこの4月から走らせる予定もあるように聞いております。

 先日の「宇宙ウィーク」には、2日間で約1000名の来場があって、その後、町立小中学生を対象にした見学会を実施したり、発射場の射点近くからサーチライトを照らしてロケットの発射軌道のイメージを演出したりしており、今後も、講演会などを計画して、町を挙げてロケット事業を盛り上げていきたいとのことであります。

 言われたように、ロケットの打ち上げは本当に観光の振興をはじめ、紀南の地域活性化の起爆剤になると思います。県におきましても、受入れ対策等には万全を期していただき、今後の打ち上げに、特に初打ち上げの成功に全面的な協力、支援をいただきたいと、こう思います。

 一方、地元では、大きな期待とともに、大勢の方が見物に来られることが予想され、一部には1万人から2万人が訪れると予想されていると聞きます。大勢の方が来られる、その中には、純粋にロケットの打ち上げを楽しみに来ている方が多いとは思いますが、そればかりではないのではないかという防犯面に関して心配される声も日に日に聞こえてくるところです。

 地元の田原地区は、特に高齢者が多い地域であります。また、ふだんから外出する際には鍵をかけないで出かける方が多いと聞いております。

 民間小型ロケット発射場の誘致に関しては、長年暮らした家を立ち退いてもらったりして、田原地区の住民には大変な御協力をいただきました。

 先ほど、日常生活に支障を来すことがないよう交通渋滞対策をお願いしましたが、田原地区においては、以前は派出所があり、常時巡回などもしてもらっていましたが、数年ほど前に廃止をされております。治安や防犯面についても、住民の皆さんの心配も大きいところです。

 可能であれば、発射の2~3日前に臨時、仮設の交番を置いていただくことはできないかという相談もいただいておりますが、いかがでしょうか。事件、事故が起きてからでは遅いので、交通渋滞対策と併せて治安・防犯面での住民の不安解消、軽減に対して、警察本部としてできることはないのか、警察本部長にお伺いをいたします。

○副議長(濱口太史君) 警察本部長親家和仁君。

  〔親家和仁君、登壇〕

○警察本部長(親家和仁君) ロケット発射前後の交通渋滞対策についてでございますが、警察としては、国道42号を走行する車両を円滑に流すための信号時間の調整や見学場周辺の駐停車禁止規制を考えております。

 また、通行禁止規制による生活ゾーンへの流入車両の抑制等について要望を受けておりますので、これについても今後検討していくこととしております。

 あわせて、渋滞が発生した場合は追突事故等の発生も懸念されることから、情勢を踏まえて交通機動隊等を応援派遣することも考えております。

 次に、治安・防犯面の不安についてでございますが、お尋ねの住民の方々の不安については、ロケット発射に絡み、関係事業者や見物客等、ふだん見かけない人が当該地区に入ってくることから生じるものと思います。

 多くの人が集まると各種トラブルの発生や雑踏事故も懸念されることから、警察といたしましては、関係機関等と連携し、予想される状況等を把握した上で、パトロールの強化等必要な対策を講じることとしております。

 なお、臨時交番の設置について要望をいただきましたが、発射前後の一定期間ということであれば、警察車両の駐留や流動による警戒を強化することで対応が可能ではないかと考えており、必要に応じ、こうした取組を行うことにより、住民の方々の不安解消を図ってまいりたいと考えております。

 また、ロケットの発射にかかわらず、ふだんから地域住民の方々には不審者に関する情報提供を呼びかけるとともに、自宅や車、自転車への鍵かけ等、防犯に必要な情報発信を行い、犯罪の発生抑止に努めてまいりたいと、このように考えております。

○副議長(濱口太史君) 佐藤武治君。

  〔佐藤武治君、登壇〕

○佐藤武治君 ありがとうございます。

 防犯対策については、さきの12月の串本町議会でも取り上げた議員がいまして、防犯カメラを2~3か所に設置するような話も聞いております。ただ、それだけでは不十分なところもあると思いますので、御答弁いただいたように、ふだんから地域住民の方々に不審者等に関する情報提供を呼びかけていただき、防犯に必要な情報提供を地元の区長さん等にも行うとともに、しっかりとパトロールをしていただき、少しでも住民の不安解消に向けて取り組んでいただくように要望しておきますので、お願いいたします。

 続いて、質問の2項目めの県内での修学旅行の件で質問をいたします。

 まず、南紀熊野ジオパークセンターでの今年度の修学旅行の受入れについて、報道では多くの学校が訪れたということでありますが、その実績や、来ていただいた学校に対しアンケート等は実施されたのでしょうか。実施しておれば、その概要について、また、結果を受けて今後どのように取り組んでいくのか、環境生活部長にお伺いをいたします。

○副議長(濱口太史君) 環境生活部長田中一寿君。

  〔田中一寿君、登壇〕

○環境生活部長(田中一寿君) ジオパークセンターにおける今年度の修学旅行の状況についてでございますが、2月末現在で112校4287名の児童生徒が来られています。校種別では、小学校87校、中学校23校、特別支援学校2校で、県内108校、県外4校となっております。中には、習熟度を高めるため、オンラインにより事前学習、事後学習を行った学校もあります。

 来訪された全ての学校に対して、訪問のきかっけ、教育プログラムや施設の評価、センターに希望することなどについてアンケートを行いました。

 その結果、訪問のきっかけとしては、教育委員会や旅行会社からの提案という回答が多く、学校はもちろん、広く関係機関などにも積極的にアプローチしたことが訪問につながったと考えています。

 次に、教育プログラムや施設の評価では、地形のできる仕組みをジオパークガイドの説明を聞きながら見て触って学ぶ河川実験装置への評価が高く、直接目で見ることのできない大地のダイナミックな営みを子供たちに分かりやすく伝え、理解へとつなげるために、このような体験型プログラムが効果的であることが改めて浮き彫りになりました。

 さらに、センターに希望することとしては、「もっと深く知りたい」あるいは「子供たちの興味が一過性に終わらないような仕組みを考えてほしい」といった声が多く寄せられました。

 こうした結果を参考に、学校をはじめとする関係先への働きかけを強化するとともに、展示や体験プログラムの拡充、オンライン等で年間を通じて学校と連携を図ることなどにより、子供たちのジオパークに対する関心や知識を高め、紀南地域の魅力に触れる機会を増やしてまいりたいと考えています。

○副議長(濱口太史君) 佐藤武治君。

  〔佐藤武治君、登壇〕

○佐藤武治君 ありがとうございます。

 今、答弁いただきました。県内が108校、それから県外も4校というふうな大勢の児童・生徒が来られたということでありますが、私も地元に建設されたジオパークセンターですので、現状を常に気にしているところです。自宅から歩いても数分で行けるところにありますので、時間があれば、できるだけ顔を出すようにして、講演会やイベント、来館者の状況などをセンター長等に聞いているところであります。

 昨年、聞いたときには、紀北、紀中を中心に大体70校ほどの予約があると聞いていましたので、今、112校余りということで、非常に多くの学校が来てくれたとのことで、喜んでいるところであります。

 常日頃から、やはり情報発信、それから特に各学校へのセールス的な訪問が効果的であったのかなというふうには感じます。

 また、このように大勢来ていただいた、せっかく県内の学校とのつながりができたわけですから、そのつながりを大切にして、今後も積極的に誘致に取り組んでいただき、紀南地方の魅力を発信してほしいと願っております。

 私もジオパークガイドの方、数人を知っているんですけども、そのガイドの方々の本当に能力の高さというんですかね、ここは本当にできた当時からよく勉強されておりまして、私も何回か顔を出して聞いたこともあるし、先ほど部長が言われた河川の実験装置、ここについても本当に丁寧に分かりやすく説明を、我が小学校の子供たちに対して分かりやすく説明をしていたことを覚えています。

 ありがとうございます。分かりました。

 そしたら、次の質問に移りたいと思います。

 昨年の9月議会でも、私は、修学旅行の県内誘致について質問をいたしました。また12月議会で、北山議員も、県内修学旅行の実施を生かした今後の取組について質問をされていたところです。

 私の質問に、教育長からは、「県内での修学旅行を実施した学校では、子供たちにとって熊野古道散策やカヌー体験等、日常とは異なる体験ができ、改めて和歌山の魅力を知る機会になったと聞いております。県教育委員会としましては、受入れ先の地域の協力もいただきながら、今後、県内修学旅行が選択肢の一つとして定着することを期待いたします」との答弁をいただきました。

 また、北山議員の質問に対しては、「県教育委員会としましては、今年度、修学旅行を実施した学校を対象にアンケート調査を計画しております。本年度内に調査結果をまとめ、来年度以降の修学旅行の行き先を検討する際の参考として、市町村教育委員会に情報を提供することで、今後も、修学旅行が教育的意義を果たし、より充実したものとなるよう取り組んでまいります。また、得られた情報を関係部局にも共有することで、県内を目的地とした修学旅行が魅力あるものになることを期待しております」との答弁をされています。

 そこで、今後も、県内修学旅行が選択肢の一つとして定着することを期待し、県教育委員会におけるアンケート調査の結果概要と、市町村教育委員会や県関係部局との情報共有を含め、来年度以降の県内での修学旅行を推奨する取組について、教育長にお伺いをいたします。

○副議長(濱口太史君) 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 今年度の修学旅行に関して、県内小中学校を対象としたアンケート調査を実施した結果、小学校では全体の8割を超える198校、中学校では全体の6割に当たる71校が県内を行き先としていました。

 県内で修学旅行を実施した学校からは、「コロナ禍にあっても、行き先を変更して実施できたことはよかった」や「修学旅行本来の目的を果たすことができた」など、肯定的な意見が多数寄せられました。

 詳細な集計結果については、関係部局と情報共有するとともに、市町村教育委員会を通じて各学校にも提供したところです。

 今後も、県内への修学旅行を推奨してまいります。

○副議長(濱口太史君) 佐藤武治君。

  〔佐藤武治君、登壇〕

○佐藤武治君 ありがとうございます。

 修学旅行は、本当に児童・生徒にとっても一大イベントであると考えます。

 1988年に文部科学省から出された告示・通達があります。修学旅行の目的は、「平素と異なる生活環境の中にあって見聞を広げ、集団生活のきまりを守り、公衆道徳について望ましい体験を得ることなど」と書かれていました。

 また、修学旅行の教育的位置づけとして、昭和43年の10月2日付で出されている通達には、小学校、中学校、高等学校等の遠足・修学旅行の計画と実施について、「自然保護や文化財尊重の態度を育成すること」や「事後指導として、実施中における学習や行動について、児童生徒に自己評価させる機会を設け、実施の成果をじゆうぶん生かすようにすること」などを特に留意して「その徹底を図ること」と記されています。

 私は、個人的に、小学生の修学旅行については県内でも十分にその目的、教育的位置づけは達成されるものと考えております。

 今、緊急事態宣言の発令や新型コロナの第3波の影響でGoToトラベルが停止になって、予約もキャンセルが相次ぎ、宿泊業者の関係者は事業を継続することが大変困難な状況になっております。

 あるホテルの関係者は、「昨年、県内の小中学校などが県内に修学旅行先を変更していただいて本当にありがたかった。助けられた思いであります」と、こういうふうな言葉をおっしゃっておりました。

 以前も申し上げました。本県には、世界文化遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」や世界農業遺産「みなべ・田辺の梅システム」、南紀熊野ジオパーク、日本遺産、南方熊楠や濱口梧陵などの偉大な先人など、勉強になる場所が数多くあります。

 昨年11月に、農林水産委員会県内調査で、農業、林業、水産業に関する7か所を訪問しました。7か所とも、修学旅行先として立ち寄ってもいいところであると思いました。人数の問題などがあって難しい場所も中にはあるかと思いますけども、その中で私が特にここがいいなと思ったのが、太地町の森浦湾で、平成18年に「太地町くじらと自然公園のまちづくり」構想を策定し、それを基に、森浦湾鯨の海構想として、鯨と人の触れ合いと癒やしの場の創出など四つの考え方に基づいて各種プログラムを取りまとめ、森浦湾鯨の海構想の計画として展開をしています。

 太地町の玄関先に当たる森浦湾に浮き桟橋形式の海上遊歩道と仕切り網を設置して、ハナゴンドウクジラとイルカを飼育、訓練しており、私たちを楽しませてくれました。各委員からも「きっと子供たちも喜ぶのではないかなあ」、「修学旅行や遠足でも楽しいと思います」、こういうふうな声も上がりました。

 身近なところに意外な場所を発見することもありますので、学校関係者の皆さんにもぜひ御一考をいただけたらと思います。

 ほかにも、紀北地域からは少し遠くなるんですが、北山村のいかだ下りなども子供たちにはよい体験になると思います。ちなみに昨年は、聞いてみましたら、例年以上多くの小中学校が、6校でありますけども、訪れたという話を聞いております。

 また、先日、海南市立第三中学校の生徒たちが、修学旅行で訪れたジオパークセンター、太地町立くじらの博物館や熊野那智大社などについて、旅行を通じて学んだことを発表しておりました。例えば、ふるさとの再発見として和歌山の名所から学んだこと、ふるさと和歌山をどうしたらもっと多くの人に体験してもらえるのかを考え、熊野那智大社については「自然の大きさを感ずることができた」などと発表されていました。

 先ほども申し上げましたけども、本県には子供たちにとって勉強になる場所が数多くありますので、今、教育長からも前向きな、推奨していきますというふうな答弁をいただきました。本当に、今後も県内での修学旅行を推奨していただきますよう要望をしておきます。

 最後に、要望事項として、県内修学旅行を推進するためにも、県内で修学旅行を行う学校には補助金制度の創設を検討していただきたいと、こう思います。

 といいますのは、三重県では、昨年6月に、新型コロナウイルス感染症の影響で県外への修学旅行が難しくなることが懸念される中、県南部、伊勢志摩地域や東紀州地域の13市町村に、修学旅行や遠足を行う県内の小中学校や高校に対して、児童・生徒1人当たり最大5000円を補助したということであります。

 子供たちに県内での教育旅行を通じて、すばらしい自然や歴史、文化などを体験していただき、改めて三重県の魅力や価値を感じていただくとともに、教育旅行に対する支援を実施するということで、県南部の主要産業である観光業を支援する側面もあったようであります。同制度を利用した学校は424校に上り、今までになかったほどの効果があったように聞いております。

 来年度については、当初、三重県南部地域活性化局長は、財源不足を理由に、同事業の継続は非常に難しいというふうな説明をしていたそうですが、その後、東紀州地域観光DMO事業推進協議会が補助金制度の継続を求める要望書を提出し、それを受けて、鈴木知事は来年度も継続する考えを示しております。

 本県でも、同様の要望をしていこうではないかというふうな動きもあると聞いております。補助金制度の創設を本県でも検討していただくよう強く要望いたしまして、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴どうもありがとうございました。(拍手)

○副議長(濱口太史君) 以上で、佐藤武治君の質問が終了いたしました。

 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。

 次会は3月8日定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。

 本日は、これをもって散会いたします。

  午後2時28分散会

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