令和3年2月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


◆ 汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているものもあるため、人名等、会議録正本とは一部表記の異なることがあります。人名等の正しい表記については「人名等の正しい表記」をご覧ください。

令和3年2月 和歌山県議会定例会会議録 第3号

議事日程 第3号

 令和3年3月4日(木曜日)

 午前10時開議

 第1 議案第18号から議案第33号まで、議案第60号、議案第65号、議案第71号及び議案第72号(委員長報告・同質疑・討論・表決)

 第2 議案第1号から議案第17号まで、議案第34号から議案第59号まで、議案第61号から議案第64号まで、議案第66号から議案第70号まで及び議案第73号から議案第85号まで(質疑)

 第3 一般質問

────────────────────

会議に付した事件

 第1 議案第18号から議案第33号まで、議案第60号、議案第65号、議案第71号及び議案第72号(委員長報告・同質疑・討論・表決)

 第2 議案第1号から議案第17号まで、議案第34号から議案第59号まで、議案第61号から議案第64号まで、議案第66号から議案第70号まで及び議案第73号から議案第85号まで(質疑)

 第3 一般質問

────────────────────

出席議員(42人)

 1番 鈴木德久

 2番 山家敏宏

 3番 中本浩精

 4番 堀 龍雄

 5番 藤山将材

 6番 岸本 健

 7番 井出益弘

 8番 宇治田栄蔵

 9番 北山慎一

 10番 玄素彰人

 11番 中西峰雄

 12番 秋月史成

 13番 森 礼子

 14番 濱口太史

 15番 尾崎要二

 16番 冨安民浩

 17番 川畑哲哉

 18番 玉木久登

 19番 鈴木太雄

 20番 岩田弘彦

 21番 吉井和視

 22番 谷 洋一

 23番 佐藤武治

 24番 岩井弘次

 25番 中 拓哉

 26番 多田純一

 27番 新島 雄

 28番 山下直也

 29番 中西 徹

 30番 谷口和樹

 31番 藤本眞利子

 32番 浦口高典

 33番 山田正彦

 34番 坂本 登

 35番 林 隆一

 36番 楠本文郎

 37番 高田由一

 38番 杉山俊雄

 39番 片桐章浩

 40番 奥村規子

 41番 尾﨑太郎

 42番 長坂隆司

欠席議員(なし)

────────────────────

説明のため出席した者

 知事         仁坂吉伸

 副知事        下 宏

 知事室長       細川一也

 危機管理監      森田康友

 総務部長       田村一郎

 企画部長       田嶋久嗣

 環境生活部長     田中一寿

 福祉保健部長     宮本浩之

 商工観光労働部長   大山 茂

 農林水産部長     角谷博史

 県土整備部長     庄司 勝

 会計管理者      城本 剛

 教育長        宮﨑 泉

 公安委員会委員長   中野幸生

 警察本部長      親家和仁

 人事委員会委員長   平田健正

 代表監査委員     保田栄一

 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫

────────────────────

職務のため出席した事務局職員

 事務局長       中川敦之

 次長         井邊正人

 議事課長       山田修平

 議事課副課長     岩井紀生

 議事課議事班長    岸裏真延

 議事課主査      松田太郎

 議事課主査      伊賀顕正

 議事課主事      松本 悠

 総務課長       嶋岡真志

 政策調査課長     神川充夫

────────────────────

  午前10時0分開議

○議長(岸本 健君) これより本日の会議を開きます。

 日程に先立ち、諸般の報告をいたします。

 監査委員から監査報告がありました。お手元に配付しておりますので、御了承願います。

 この際、暫時休憩いたします。

  午前10時0分休憩

────────────────────

  午前10時59分再開

○議長(岸本 健君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 日程第1、補正予算等議案議案第18号から議案第33号まで、議案第60号、議案第65号、議案第71号及び議案第72号の計20件を一括して議題とし、順次、常任委員会委員長の報告を求めます。

 農林水産委員会委員長谷口和樹君。

  〔谷口和樹君、登壇〕(拍手)

○農林水産委員会委員長(谷口和樹君) 農林水産委員会における審査の経過並びに結果について、御報告申し上げます。

 当委員会に付託されました案件は、議案付託表に記載のとおり、議案3件であります。

 委員会は、2月25日、第4委員会室において開催し、当局から付託案件について説明を聴取した後、慎重に審査いたしました結果、議案第18号、議案第19号及び議案第65号については全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、委員会審査における主な質問項目等を申し上げますと、わかやまブランド支援事業の補正内容について、災害関連緊急治山事業の補正内容についてであります。

 以上をもちまして、農林水産委員会の報告を終わります。何とぞ、適切な御決定をお願い申し上げます。(拍手)

○議長(岸本 健君) 建設委員会委員長中本浩精君。

  〔中本浩精君、登壇〕(拍手)

○建設委員会委員長(中本浩精君) 建設委員会における審査の経過並びに結果について、御報告申し上げます。

 当委員会に付託されました案件は、議案付託表に記載のとおり、議案6件であります。

 委員会は、2月25日、第5委員会室において開催し、当局から付託案件について説明を聴取した後、慎重に審査いたしました結果、議案第18号、議案第25号、議案第28号、議案第33号、議案第65号及び議案第72号については全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、委員会審査における主な質問項目等を申し上げますと、国土強靱化のための5か年加速化対策について、紀の川市西脇地区の広域農道の斜面崩落に伴う損害賠償の内訳や県の瑕疵及び今後の教訓について、市町村負担金についてであります。

 以上をもちまして、建設委員会の報告を終わります。何とぞ、適切な御決定をお願い申し上げます。(拍手)

○議長(岸本 健君) 文教委員会委員長中 拓哉君。

  〔中 拓哉君、登壇〕(拍手)

○文教委員会委員長(中 拓哉君) 文教委員会における審査の経過並びに結果について、御報告申し上げます。

 当委員会に付託されました案件は、議案付託表に記載のとおり、議案3件であります。

 委員会は、2月の25日、第6委員会室におきまして開催し、当局から付託案件について説明を聴取した後、慎重に審査いたしました結果、議案第18号、議案第21号及び議案第60号は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、委員会審査における主な質問項目等を申し上げますと、学校におけるトイレの洋式化やウオシュレット化の進捗状況について、和歌山北高校北校舎体育館の大規模改造工事に係る債務負担行為の追加について、和歌山県ホストタウン等新型コロナウイルス感染症対策基金条例の内容についてであります。

 以上をもちまして、文教委員会の報告を終わります。何とぞ、適切な御決定をお願い申し上げます。(拍手)

○議長(岸本 健君) 総務委員会委員長中西峰雄君。

  〔中西峰雄君、登壇〕(拍手)

○総務委員会委員長(中西峰雄君) 総務委員会における審査の経過並びに結果について、御報告申し上げます。

 当委員会に付託されました案件は、議案付託表に記載のとおり、議案6件であります。

 委員会は、2月25日、第1委員会室において開催し、会計局、人事委員会、監査委員、選挙管理委員会、議会事務局、知事室、企画部、総務部の順に当局から付託案件について説明を聴取した後、慎重に審査いたしました結果、議案第18号、議案第22号及び議案第26号から議案第29号までは全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、委員会審査における主な質問項目等を申し上げますと、会計局関係では、会計年度任用職員制度対応に伴う財務会計システムの改修について、人事委員会関係では、就職氷河期世代を対象とした採用試験について、知事室関係では、関西広域連合の負担金の減額について、企画部関係では、わがまち元気プロジェクト支援事業について、地域交通運行継続給付金について、総務部関係では、東牟婁総合庁舎空調工事予算の繰越しについて、超過勤務手当の増額についてであります。

 以上をもちまして、総務委員会の報告を終わります。何とぞ、適切な御決定をお願い申し上げます。(拍手)

○議長(岸本 健君) 福祉環境委員会委員長玉木久登君。

  〔玉木久登君、登壇〕(拍手)

○福祉環境委員会委員長(玉木久登君) 福祉環境委員会における審査の経過並びに結果について、御報告申し上げます。

 当委員会に付託されました案件は、議案付託表に記載のとおり、議案3件であります。

 委員会は、2月25日、第2委員会室において開催し、福祉保健部、環境生活部の順に当局から付託案件について説明を聴取した後、慎重に審査いたしました結果、議案第18号、議案第23号及び議案第30号は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、委員会審査における主な質問項目等を申し上げますと、福祉保健部関係では、一般会計の歳出予算の補正として、生活福祉資金貸付事務費補助事業における緊急小口資金等の特例貸付などの実施に必要となる増額と当初からの変更点について、児童福祉企画調整事業及び要保護児童対策等推進事業における減額とその内容について、保健所運営事業における非常用自家発電設備の整備計画の変更に伴う減額等について、医薬品等緊急対策事業における備蓄用抗インフルエンザウイルス薬の購入費等の減額について、感染症対策事業における認知症等を伴う新型コロナウイルス感染患者の受入れ支援について、一般会計の繰越明許費の補正として、老人福祉施設整備事業における建設予定地内の埋設物調査について、医薬品等緊急対策事業における抗原検査キットの配付対象やその方法等について、特別会計として、国民健康保険特別会計における令和元年度保険給付費等の確定に伴う増額について、県立こころの医療センター事業会計における医業収益の減額と医業費用の増額について、環境生活部関係では、一般会計の歳出予算の補正として、地域子ども団体育成事業における市町村への補助減額とその要因について、環境衛生研究センター費における職員費の増額とその内容について、水道施設整備指導事業における市町村への交付金減額とその内容について、不幸な猫をなくすプロジェクト事業における地域猫の不妊去勢手術件数増に伴う増額について、大気汚染常時監視テレメーター装置運営事業における入札執行に伴う減額とその要因についてであります。

 以上をもちまして、福祉環境委員会の報告を終わります。何とぞ、適切な御決定をお願い申し上げます。(拍手)

○議長(岸本 健君) 経済警察委員会委員長堀 龍雄君。

  〔堀 龍雄君、登壇〕(拍手)

○経済警察委員会委員長(堀 龍雄君) 経済警察委員会における審査の経過並びに結果について、御報告申し上げます。

 当委員会に付託されました案件は、議案付託表に記載のとおり、議案6件であります。

 委員会は、2月25日、第3委員会室において開催し、商工観光労働部・労働委員会、公安委員会の順に当局から付託案件について説明を聴取した後、慎重に審査いたしました結果、議案第18号、議案第20号、議案第24号、議案第31号、議案第32号及び議案第71号は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、委員会審査における主な質問項目等を申し上げますと、商工観光労働部・労働委員会関係では、事業継続支援金の減額補正について、公安委員会関係では、航空隊活動の減額補正についてであります。

 以上をもちまして、経済警察委員会の報告を終わります。何とぞ、適切な御決定をお願い申し上げます。(拍手)

○議長(岸本 健君) 以上で、常任委員会委員長の報告が終わりました。

 これより委員長報告に対する質疑に入ります。

 質疑はありませんか。

  〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(岸本 健君) 質疑なしと認めます。よって、質疑を終結いたします。

 お諮りいたします。ただいま議題となっております案件については討論の通告がありませんので、これより直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ございませんか。

  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(岸本 健君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。

 これより採決に入ります。

 議案第18号から議案第33号まで、議案第60号、議案第65号、議案第71号及び議案第72号を一括して採決いたします。

 本案に対する委員長報告は、いずれも原案可決であります。

 本案をいずれも委員長報告のとおり決することに賛成の諸君は、御起立願います。

  〔賛成者起立〕

○議長(岸本 健君) 起立全員であります。よって、本案はいずれも原案のとおり可決されました。

 この際、暫時休憩いたします。

  午前11時14分休憩

────────────────────

  午後1時0分再開

○議長(岸本 健君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 日程第2、議案第1号から議案第17号まで、議案第34号から議案第59号まで、議案第61号から議案第64号まで、議案第66号から議案第70号まで及び議案第73号から議案第85号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、併せて日程第3、一般質問を行います。

 5番藤山将材君。

  〔藤山将材君、登壇〕(拍手)

○藤山将材君 自由民主党県議団の藤山将材でございます。今日から一般質問、始まるわけですが、そのトップバッターで登壇をさせていただく機会をいただきました議員諸兄に、心から感謝をいたします。

 さて、国内で新型コロナウイルスの感染者が確認をされて1年余りが経過をいたしました。

 冒頭、改めて、新型コロナでお亡くなりになられた方々にお悔やみを申し上げますとともに、罹患された方々にお見舞いを申し上げます。また、それぞれの現場でエッセンシャルワーカーとして社会を支えてくださっている方々にも、そして、またその御家族にも感謝を申し上げます。

 社会全体が想定外の危機に直面をし、私たち地方の成長戦略もなかなか見通しが立たない中、暗中模索が続いているわけでありますが、よく言われますように、明けない夜はありません。元の生活を取り戻すには、まだまだ時間がかかると思いますけれども、日々、薬やワクチンの開発に研究者の方々が奮闘してくださっています。医療の現場では、それこそ最前線で医療従事者の方が頑張ってくださっています。何とか今を踏ん張って、私たちはこの新型コロナウイルスとの闘いに打ち勝たなければなりません。そのためにも、これまでのように感染対策、そして経済活動の両立を図りつつ、新型コロナ後の社会に向けた立ち上がる準備をしていくことも肝要であります。

 そういう中で2月定例会が開会しましたが、私は、今回、以下の4点について質問をさせていただきますので、知事はじめ県当局の皆さんには、どうぞよろしくお願いをいたします。

 それでは、まず1点目、令和3年度の新政策について伺います。

 昨年11月から始まった新型コロナの第3波により、1月7日には緊急事態宣言が再発出され、13日に対象区域の拡大、2月2日には緊急事態宣言の期間が延長されました。

 その後、全国的に新規感染者数は減少傾向にあり、2月28日には関西3府県、愛知県、岐阜県及び福岡県の6府県で緊急事態宣言が先行解除されましたが、首都圏では新規感染者の減少ペースが鈍化していることから、緊急事態宣言を再延長する方向性を昨夜、菅総理大臣が打ち出しました。また、宣言解除した地域でのリバウンドも懸念されるなど、まだまだ予断を許さない状況にあると思います。

 こうした中、先月15日に内閣府が発表した2020年10月から12月期のGDP速報値では、実質GDP成長率(季節調整済前期比)は3%と2四半世紀連続のプラス成長となったものの、2020年の実質GDP成長率は、前年比4.8%減と11年ぶりのマイナス成長となり、改めて日本経済が受けた影響の大きさを認識しました。

 国においては、「新型コロナウイルス感染症の拡大防止策」、「ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現」、「防災・減災、国土強靱化の推進など安全・安心の確保」のこの三つを柱とする追加歳出19兆円規模を含む第3次補正予算が1月28日に成立したところであり、早期の効果発現を期待してやみません。

 一方、県におきましては、昨年2月に済生会有田病院で院内感染が発生して以降、保健医療行政、いわゆる早期発見、早期隔離、徹底した行動履歴の調査に、保健所の統合ネットワークシステムを加えた取組に全力で取り組まれています。年末年始に感染者が急増し、1月20日にはこれまで1日の感染者数が最多の24人、22日には入院患者数も最多の149人となり、大変心配されたところでしたが、最近は、新規感染者が確認されても1人、2人、あるいはゼロの日もあったりと、減少してきている状況と認識をしております。改めて、保健所職員の方をはじめ県当局、医療関係従事者の方々及び全ての県民の皆さんの頑張りに深く感謝を申し上げます。

 しかしながら、本県は緊急事態宣言の対象区域ではないものの、国のGoToトラベル事業再開の再延期もあり、観光産業をはじめ本県地域経済全体にも多大な影響が続いております。新型コロナウイルス感染症の終息を期待しつつ、全国民が耐えておる状況であります。

 感染拡大防止策と社会経済活動を両立させ、日本国内の回復に遅れを取らず、迅速に県経済や県民生活の回復、再生を図ることが重要と考えます。

 そこで、知事に伺います。

 令和3年度新政策が取りまとめられ、今定例会に当初予算案が上程されております。まさしく和歌山がウィズコロナ時代を生き抜くためとなる、これら新政策についての基本的な考え方をお尋ねいたします。

○議長(岸本 健君) ただいまの藤山将材君の質問に対する答弁を求めます。

 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) これまで、1年余り、新型コロナウイルス感染症と苦闘してまいりましたけれども、和歌山県では、保健医療行政で感染拡大防止対策を行うとともに、人々の活動と事業活動にはできるだけ制限を課さないようにすることで、県民の生活と経済に悪影響を及ぼさないように取り組んでまいりました。

 秋頃には、少数の感染と経済の復調という流れができていたと思います。しかしながら、首都圏で抑えられなかった第3波の流行に伴って国のGoToトラベル事業が中止になり、また、飲食店が流行の急所というふうにされたことによりまして、飲食業や宿泊業、旅行業者などが最も影響を受けまして、また、交通業もずっと不振でございましたので、このような業種に対する救済支援を行ってまいりたいと思いまして、そのための補正予算を午前中に議決いただいたところでございます。

 さらに、新型コロナによる影響が長期化する中で、保健医療行政を強化するとともに、県内企業の資金繰り支援はもとより、業態転換や新分野への展開に取り組む事業者を強力に支援するなど、苦境に立たされている地域経済と雇用、県民の命と暮らしを守り抜いていくことが必要であるというふうに思います。

 一方で、コロナ禍が社会経済に大きな変革の契機をもたらしたということで、新しい世界として見えてきたことが三つあると私は思います。一つ目は、東京一極集中の瓦解であります。二つ目は、海外生産拠点の国内回帰の流れであります。三つ目は、テレワークをはじめとする非接触のデジタル化の促進であります。このような新型コロナ後の新しい世界の流れをうまく取り入れて、和歌山が雄飛できるように、戦略的な企業誘致とかデジタル和歌山の実現など、新たな取組に挑戦していくことが重要であると考えます。

 さらに、IRや宇宙関連産業の誘致など、本県発展に向けた新しい芽を生み出して、成長エンジンとなるように一層取組を進めるとともに、将来のチャンスを保障する道路ネットワークの整備など、和歌山の未来を創る基盤整備を推進する必要があると考えます。

 そこで、来年度においては、「コロナ禍から経済とくらしを守り抜く」、それから「新しい世界への対応と挑戦」の二つの政策を柱として積極果敢に施策を展開し、新型コロナ危機からの難局を乗り越えていくとともに、和歌山を元気にし、力強い再生・発展を実現するため、全力で取り組んでいく所存であります。

○議長(岸本 健君) 藤山将材君。

  〔藤山将材君、登壇〕

○藤山将材君 次に、2番目として、県内事業者の状況と今後の取組について伺います。

 今、知事からウィズコロナ時代を生き抜く新政策について答弁をいただきましたが、もう少し経済対策に関して掘り下げ、コロナ禍における県内事業者の状況と今後の取組について、今度は商工観光労働部長にお尋ねをいたします。

 我々自由民主党和歌山県連では、昨年2月17日に新型コロナウイルス感染症対策本部を立ち上げ、その影響や要望などについてヒアリングをさせていただくべく、緊急事態宣言が解除された昨年5月から6月にかけて、県内の約80団体を訪問いたしました。また、今年1月には、医療・福祉関係や、特に痛みの激しい飲食や観光、交通の業界に絞り、約20団体を訪問し、多岐にわたる御意見や要望をいただきました。

 それらを取りまとめ、県に申入れを行った部分もあり、修学旅行の県内への行き先の変更をはじめ、2月補正での雇用の維持と事業の継続等は、まさに知事の御決断をいただいたものであります。まずは、このことにつきまして感謝を申し上げます。ありがとうございました。

 しかしながら、県内の主要産業である観光産業をはじめ飲食業など、多くの産業においては、今後も深刻な状況が続くものと思われます。コロナ禍から地域経済と雇用を守り、また、コロナ禍がもたらした社会環境の変化に事業者が対応できるよう県として具体的にどう取り組んでいくのか、お尋ねをいたします。

○議長(岸本 健君) 商工観光労働部長大山 茂君。

  〔大山 茂君、登壇〕

○商工観光労働部長(大山 茂君) 県が2月に実施した調査では、新型コロナウイルス感染拡大第3波による緊急事態宣言の再発出などに伴い、飲食や宿泊・観光業など非製造業の約4割が、昨年12月と今年1月における売上げが対前年同月と比べ50%以上減少しています。一方、製造業においては、売上げは減少している業種、事業者はあるものの、昨年5月以降、徐々にではありますが業況は改善しつつあります。

 そこで、特に影響が大きい飲食業、宿泊業及び旅行業を対象に、飲食・宿泊・旅行業給付金を新たに創設したところです。

 今後も、新型コロナとの闘いは続くものと思われ、事業者の方々には安全な営業に努めていただくことが前提ではありますが、新型コロナ危機からの脱却に向け、当初予算としては過去最大となる1200億円の融資枠を確保し、経営改善などに取り組む事業者に対する資金繰り支援を行うとともに、離職を余儀なくされた方々を正規雇用につなげるなどの雇用対策も行います。

 また、コロナ禍がもたらした現状と社会環境の変化に県内事業者が対応できるよう、販売促進ツールや業務支援システムの構築などへの支援や、商工会・商工会議所等と連携し、専門家を派遣するなどにより事業者のデジタル化の促進を図ります。

 加えて、新分野への展開や事業・業種転換など、事業の再構築に積極的に取り組んでいただけるよう、経済団体及び金融機関などとも連携し、スピード感を持って進めてまいります。

○議長(岸本 健君) 藤山将材君。

  〔藤山将材君、登壇〕

○藤山将材君 次に、新型コロナウイルス感染症対策について、お尋ねをいたします。

 昨年の10月以降、県内では、季節性インフルエンザの感染者は、定点の医療機関からはまだ2人しか感染が報告されていないそうであります。その理由として、マスクの着用、手洗いや消毒を心がけていることが有効に働いている可能性が高いと言われています。それでも、新型コロナの場合は、広がっていく感染力の強さが、このウイルスのたちの悪さであります。

 冒頭でも申し上げましたが、11月から始まった第3波による新規感染者数が減少傾向にあるものの、これから就職や転勤に伴い人が交流する年度末を控え、県当局も引き続き感染対策の徹底が必要と、常々、注意喚起してくれていますが、改めて、県として現状をどのように捉え、今後、どのように感染対策に取り組んでいくのか、知事にお尋ねをいたします。

○議長(岸本 健君) 知事。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 感染拡大防止対策は、これまでもしばしば申し上げてきたとおり、県の保健医療行政の努力と県民の皆様の行動や営業の自粛の協力の足し算と考えております。

 第1波の初めての緊急事態宣言下におきましては、国の対処方針に忠実に、多くの業種で休業要請を行うとともに、徹底して不要不急の外出自粛を県民に全面的に要請をいたしました。大変な自粛をお願いしたわけでございます。その結果、新型コロナの発生はほとんどゼロになったんですけれども、一方では、県民生活とか経済が甚大な打撃を受けました。

 このような状況をつらつら考えると、県民生活や経済にこれ以上の影響を与えることは、これはいかんなというふうに思いました。したがって、今度は、足し算ですから、片方の感染拡大防止には、まず保健医療行政が懸命に努力をして、県民への制限は最小限に抑えるということを行ってまいりました結果、夏以降は、感染の拡大を一定程度抑えつつ県内の経済は回復傾向が続き、一部の宿泊施設では、前年実績を上回るまでの回復に至ったというところまで来ておりました。

 ところが、11月からどんどん始まりました第3波では、首都圏で抑え切れなかった感染が次々爆発いたしまして、京阪神等に飛び火いたしまして、それが県内にも影響した結果、1月下旬には、1日当たりの新規感染者数や入院患者数ともに最多を数えるに至りました。また、高齢者施設等で、随分用心してきたつもりなんですけども、クラスターも発生したということで非常に厳しい状況になりました。

 現在、緊急事態宣言が出まして、首都圏、京阪神などで対象になり、第3波が収束に向かいつつあるわけですけれども、第1波、第2波後の教訓を踏まえると、首都圏においては、感染の大爆発で機能不全となってしまっておる保健医療行政を立て直して、積極的疫学調査をはじめとする感染症法に基づく基本的な感染対策を、ちょっと減ってきたんだから、徹底してやらないと感染拡大を抑え込めないぞというふうに思っております。今までは、感染者が多過ぎて、京阪神も含めて手が回らなかった。しかし、京阪神ではこの点、各リーダーも含めて、方向性は誤らなかったと思います。

 ところが、神奈川や東京では、濃厚接触者を全部もう追っかけないでよろしいというのを露骨に指令を出したりしておりまして、都県民の協力で少しは感染者が減っておりますけれども、減り方はそういう事態ですから、感染者をいっぱい逃がしていると思いますので、やっぱり減り方は京阪神と大違いということが現状ではないかと思います。都県民に迷惑をかけるぐらいなら、都県の職員が苦しくても頑張るというのが行政の心意気だと思いますけれども、どうもまだそうはなっていない。

 さらに、問題は、ここのところが収まらないと地方への感染波及が止められません。なぜならば、やっぱり日本の中心でございますから、いろんな意味で交流があるわけであります。そうすると、地方の感染の波及と、それから地方及び首都圏両方の経済の停滞、これで日本全体は大変なことになるというのがまだ懸念されているところであります。

 他県のことは、国にもいろいろ指導していただくといたしまして、保健医療行政に取り組んできた本県としましては、和歌山県のことについては、早期発見、早期隔離、徹底した行動履歴の調査を保健所の統合ネットワークシステムにより進めるこれまでの取組を引き続き着実に実行していくということは、これはもう当然のことだと思います。それから、全員入院に対応するような新型コロナ病床の確保など、医療提供体制をちゃんと堅持するということも大事なことだと思いますが、今後の備えとして、一層の強化をしなければいけないかなというふうに思っております。

 それが、具体的には、救急医療機関に簡易型の遺伝子検査機器を配備するとともに、重症化リスクの高い施設内への感染の持込みを早期に発見し、感染の拡大を徹底的に防止するために、医療機関とか高齢者施設などに検査キットを配付いたしまして、スクリーニング検査をやってもらって、第3波において県内で発生いたしましたクラスターの発生をこれ以上なくすように、努力をしていくということでやっていきたいと思っております。

 また、これは経済対策になりますけども、県経済の支援として、飲食業や宿泊事業者など、大きな影響を受けている事業者に対する事業継続のための給付金などを盛り込んだ2月補正予算を午前中に議決いただいたところであります。

 加えて、やっぱりワクチンが大事だなあというふうに思います。この新型コロナウイルス感染症の終息をこれまで以上徹底的に進めていくためには、県民全員がワクチン接種をしてしまうということがやっぱり大事だというふうに思いまして、現在、医療機関の協力の下、市町村と一丸となった接種体制の構築に取り組んでいるところでございます。

 引き続き、県民の命と暮らしを守るために、新型コロナウイルス感染症対策に全力を挙げてまいりたいと考えております。

○議長(岸本 健君) 藤山将材君。

  〔藤山将材君、登壇〕

○藤山将材君 次に、ワクチン接種の役割分担と支援について伺います。

 新型コロナウイルス感染症対策の切り札として期待されているワクチンの接種が国内でも始まりました。現在、ワクチン接種が県民の一番の関心事であり、接種の実務を担う自治体では急ピッチで準備が進められています。国においても、接種スケジュールや配付量が刻々と変わったりしているようですが、先日、高齢者接種が4月12日から始まると公表され、2月26日には、6月末までに高齢者3600万人分の各地への配送を完了するとの発表がありました。

 今、知事からもワクチンの接種体制の整備についても万全を期していくとの答弁でありました。いよいよ県民へのワクチン接種が本格化してくるわけですが、ワクチン接種は基礎自治体である市町村の仕事ということは認識しているものの、市町村によって接種体制に差があったり、接種スケジュールが違ったりしますと、県民の皆さんに、不安であったり混乱が生じてしまう可能性があると思います。

 そこで、日本の医療史上最大のプロジェクトと言われる今回のワクチン接種について、市町村と県の役割分担を踏まえ、市町村がスムーズに接種を進められるよう県としてどのように支援していくのか、知事にお尋ねをいたします。

○議長(岸本 健君) 知事。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 新型コロナワクチンの接種は、国の指示の下に、都道府県の協力によって市町村が中心になって実施するということになっております。細かく言うといろいろあるんですけれども、その上で、円滑に接種を進めていくために、国、県、市町村が担う役割が定められております。

 国は、ワクチンの確保、接種順位の決定、それから、ワクチンに係る科学的な知見の情報提供を行うということになっとるわけです。

 県は、医療従事者等に対する優先接種、これを直接コントロールするということになっております。そこで、医療関係団体等と連携して接種体制の確保に取り組んでおりまして、来週にも接種を始められるように準備を進めているところです。県内でいうと、これは直轄事業でございます。

 一方、高齢者をはじめとする県民への接種、高齢者の後はそのほかの県民も入ってくると思いますが、これは、県内各地域の接種実施状況等を考慮して、国から割り当てられたワクチンを各市町村でどんなふうにしてうまく打つかということを市町村が考えなきゃいけないということになっております。県は、このワクチンの市町村への配分量、これを調整して決定する役割を担っております。

 そうなんですけれども、市町村が勝手にやってくださいというわけには決していきませんので、市町村の御相談に応じたり、あるいはいろいろ質問をして、うまくいっているかどうかをチェックしながら御支援をするというのが県の役割だろうというふうに思います。

 また、あわせて、やっぱりワクチン接種に関して様々な情報が必要だと思います。そこを、住民には市町村が手続的なことを言わないといけないんですが、一般的な医学的なこととか、一般的な情勢とか、そういうのは、例えば副反応の状況なども含めて幅広く発出せないかんし、それから、市町村で対応困難な相談事が多分出てくると思いますので、そういうのは県で代わりに対応していかないかん、そんなふうに思っております。

 繰り返しになりますが、市町村は住民への接種を実施する主体となっておりまして、個別接種や集団接種などを組み合わせて、地域の実情に応じた接種体制を構築とするとともに、接種会場の確保とか、あるいは予約受付方法の設定、接種券の発送などの準備を現在進めているところです。これは、県下30市町村ありますが、我々で把握している限りにおいては、少しずつやり方がみんな違ってくる、実情に合わせて違うということ、それはよろしいかと思います。

 新型コロナワクチンの接種は、通常の予防接種に比べて非常に大規模なものでございます。かつ、扱うワクチンにも徹底した温度管理が求められて、配送や保管に注意が必要なことなどから、県民への接種を迅速に完了するためには、市町村の業務とはいえ、県の積極的な関与が不可欠であると考えております。

 そこで、県では、地域において円滑な接種が実施できるよう、接種に協力してくれる医療機関や医療従事者の確保とか、ワクチンの取扱いや接種円滑化システムに関する技術的な指導など、様々な観点から今後とも市町村を支援していく所存であります。

 ところが、若干懸念することがここへ来て出てまいりまして、ワクチンの国による確保が、当初にアナウンスされていたようなほど、ちゃんと確保できないかもしれないという情報が多くなってきております。これは、私は、国は何をしておったのかという不満が本当はございます。そうなると、接種が遅れる可能性もある。1日遅れれば、それだけ新型コロナに感染して病気で体調を崩す、あるいは亡くなられる、そういう人たちが増える可能性が強いわけですから、これは困ったことで、もっとちゃんとやってもらいたいというふうに思うわけです。

 また、今まで実は準備をしていただいていました。これは、ワクチンが、例えば高齢者向けだったら、4月からどっと来るということで、むしろたくさん一遍に来ることをうまくさばくための問題意識で準備をしてくれていたんですけども、ちょっとしか来ないと、今度は、どうやってちょっとのものを少しずつ打っていくのかということについて考えなきゃいけない要素が出てまいります。

 したがって、そういうことも含めて、今後とも、市町村と多く情報交換をしながらやってまいりたいと思いますし、県民の方もその情報をちゃんとキャッチするように耳を高くしといて、それで打ち漏らしなんかがないようにしてほしいというふうに思います。

○議長(岸本 健君) 藤山将材君。

  〔藤山将材君、登壇〕

○藤山将材君 次に、ワクチンの接種に関する不安や懸念の払拭について伺ってまいります。

 私の周りでも、ワクチンを接種しても大丈夫なのか、副作用や副反応が怖いから、ちょっと接種に関しては様子を見たいとか、接種をしたくないとか、そういう不安の声を聞くことがあります。また、基礎疾患がある人は、ワクチンを接種することによって悪化するとテレビで言っていたという人にも会いました。そういう声を聞くたびに、私は、体制を整備してワクチン接種が始まったとしても、接種を拒否する人があって、なかなか接種が進まないのではないかと危惧もしています。

 そこで、ワクチン接種に関する県民の不安や懸念を払拭してもらえるよう、知事から、ぜひとも県民の皆さんへメッセージを発信していただきたいと思います。

○議長(岸本 健君) 知事。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) まず、ワクチンの前に、この新型コロナのリスクということでございますが、本県の新型コロナウイルス感染症の状況を見ますと、第3波において高齢者の感染者数が増加しておりまして、基礎疾患を有する方が多いということで、重症化し亡くなられる方も増加しているわけでございます。また、これは若年者も含めて、退院後も長期間にわたり、あるいは短期かもしれませんが、体調不良を訴える後遺症があるという方が結構いらっしゃるわけであります。

 和歌山県では、保健医療行政がしっかり県民を守っていると思いますので、ひょっとしたら、ともすれば、感染リスクは大したことはないと思っている人が逆に多いかもしれない。これが逆にリスクなわけです。しかし、現にこれだけ頑張っても──もう最大限頑張っていると思いますけれど、県だけでもやっぱり感染者は1000人を超えているし、それから、18人の方が貴い命を亡くされているわけであります。

 したがって、これは、感染の懸念というのは、決して軽く見てはいかんというのが多いと思いますし、また、仮にその方が感染しなくても、生活や経済の地域としての再建が、こういう状態では十分安心できないということになります。また、いつまでも保健医療行政の関係者に、今、実は大変な御苦労をかけているわけでありますが、それをかけ続けるというのもなかなかつらいものがあるということになります。

 このような状況にあって、やっぱり救いの手は、今はワクチンだというふうに私は思っております。テレビなんかもだんだんそういうことを言い始めたわけでございますが、接種が開始されているファイザー社製のワクチンについては、2回の接種によって、新型コロナウイルス感染症の発症を防ぐ有効性が95%あると認められておりまして、これは物すごい数字でございますね。インフルエンザワクチンと比べてもかなり高い効果が報告されております。

 大体、こういう新しいことが始まるときは、不都合な、かつまれなケースで、これのみがニュースになるわけでございます。したがってニュースなんでございますが、副反応がその典型でありますが、国内の治験では、接種部位の痛みとか発熱、頭痛がやっぱりある人たちにとってはあるということは、これはもうどうも明らかなようでございます。しかし、考えてみたら、ワクチンとか、あるいはいろいろなものの薬とか、治療とか、どうしてもやっぱりそういうことは否定できないんで、我々も薬を服用するときも、こういう点が出たら注意してくださいねとか何かは書いてあります。あの類いの話かなというふうに思います。

 また、急性のアレルギー反応でございますアナフィラキシーの発症、これは本当に怖いもんでありますが、発症頻度はそんなに高くないんでございます。また、万が一こういうものが起きても、これはもう今から覚悟をしておりますので、実は、ワクチンを打つときに、医療従事者が必要な対応を行うということについては、十分気をつけているわけでございます。

 このように、マイナスのところも、それはあるかもしれないが、先ほど一番初めに申し上げました感染リスクと比べると、これはもう圧倒的に差があるというふうに私は思います。

 したがって、新型コロナウイルスのワクチン接種は、副反応とかいろいろ、痛いとか、そういうことを考えても、両方をてんびんにかけたら、それは明らかに接種するメリットのほうが大きいんじゃないかなというふうに思いますので、県民の皆様にもこの点を御理解いただき、打たないと絶対に損だというふうに申し上げたいと思います。

○議長(岸本 健君) 藤山将材君。

  〔藤山将材君、登壇〕

○藤山将材君 今、知事からのお話の中に安全性とリスクのてんびんの話が出ましたけども、昨日、毎日新聞の夕刊に、アメリカの国立研究機関にいらっしゃる峰宗太郎さんの記事が出ておりましたけれども、やはり今、日本人というのはワクチンに対して不信感が多い国民性だというような話の中で、一般人から科学者までが不正確な情報を流しているという形で警告されておりました。

 ワクチンの接種については、先日、多分和歌山市のアンケートで、打ちたい人は8割、打ちたくない慎重な方は2割というようなアンケート結果を見たような気がするんですが、僕の心象は逆で、2割の方は積極的に打ちたい、8割ぐらいの方はちょっと様子見たいとか慎重な方が多いんです。

 その誤った情報とか不確かなことに対して、先日、同僚議員が、ワクチンを打つと、抗体ができるまでの間は人に感染さすんやというのを聞いたんです。えらいこっちゃやなと思って、僕も何人かにしゃべってしまっているんですね、そういうことを。ある職員さんは、「打ちたいですか」と聞くと、「もう一日でも早く打ちたい」と。「それは何でですか」と言うと、「打てば、もうマスクを外して、お酒を飲んでどんちゃんできるからや」という、やっぱりこういう誤った、勘違いされている方もたくさんいるので、やっぱりそういうところは正しい情報を発信し続けるしかないというふうに思うんです。

 そういう意味で、せっかくたくさんの命がワクチンで救われるにもかかわらず、マスコミについても、もしワクチンを打って、ちょっと何か具合が悪くなったという1人の方を取り上げるだけで、やっぱりワクチン忌避に県民、国民が走ってしまうんじゃないかということが危惧されますんで、引き続き、やっぱりいろんな場、記者会見でも「きのくに21」でも、いろいろ県当局の皆さんも発信していただいていますけども、新聞も見ない、テレビも見ないという世代にどう届けていくか、そういうのも、県でもSNS、公式のアカウントをつくってされていますけれども、フォロワーも一番多いものでも1万5000人ぐらい、少ないものであれば5000人ぐらい、やっぱりそういうインターネットですから、そういう情報に頼る人もたくさんいるわけで、やっぱり観光とかでやっているインフルエンサーなんか、ぜひ知事なんかとそういう動画をつくっていただいて、やっている都道府県もあると聞いておりますんで、ぜひとも情報発信のほう、しっかりとよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、最後の項目に移ります。

 IRについて、お尋ねをいたします。

 IRについては、滞在型観光の核として、本県の観光振興、雇用の増加に貢献し、地域経済活性化の起爆剤となり得、ひいては人口減少の抑制にも期待できるものと捉え、我が自民党は、その誘致を全面的に支援しているところであります。

 去る1月15日に提案審査書類の提出期限を迎え、県は、事業者公募にエントリーしていた2者から提案があった旨、発表されました。事業者公募は、昨年3月30日に開始されたものの、新型コロナウイルス感染症の影響や国の基本方針(案)の修正などを受け、2度の延期を余儀なくされたところであります。紆余曲折を経てようやく提案書の提出、とりわけ、誘致自治体の中で一番に提案書の提出にこぎ着けたことは、本県にとっても、また、事業者にとっても非常に喜ばしい限りであり、これまで御苦労されてきた県当局の皆様に、ひとまず「お疲れさまでした」とねぎらいの言葉を贈りたいと思います。

 とはいえ、大阪や横浜、長崎も、本年夏頃には事業者を選定する予定と聞いており、今後、誘致レースは熾烈を極めると思われますので、知事はじめ当局におかれては、引き続き、3か所の一つに入れるように力戦奮闘していただきたいと思います。

 ときに、従前我が自民党県議団はIR誘致を積極的に推進し応援してきましたが、私としては、2者の提案内容などについて大変に興味のあるところであります。例えば、施設の外観、投資額、経済波及効果といった期待の大きいところであるとか、逆に、世界的なコロナ禍の中での事業者の財務状況や運営能力といったいささか懸念するところなど、お聞きしたいところはたくさんあります。

 ただ、現在は事業者の選定期間中であり、個別の内容や機微に触れる内容をお聞きして、少しでも選定審査に影響を与えるような事態になってはいけないと心得るので、ここは自粛し、このあたりのところは、事業者が選定されてから改めてお聞かせいただくことといたします。

 スケジュールを見れば、春頃には優先権者を決定することになっていますが、県当局におかれても、公平性、公正性に十分配慮して、透明性のある事業者選定を行っていただくようお願いする次第です。

 さて、冒頭にも申し上げたとおり、本県は、有力と言われている四つの誘致自治体の中で一番手続を先行させ、先般、提案書の提出に至ったわけであります。国の認定をいただくに当たって、手続が先行していること自体に優位性がないのは理解していますが、早くに提案書を受け付けて事業者を決定するということは、ほかの誘致自治体に比べて、区域整備計画を作成する時間をそれだけ長く取れるというアドバンテージがあると考えており、私は、その優位性を生かして、今後、どのような区域整備計画が出来上がるのか、本県にどのような社会的、経済的効果をもたらすものなのか、非常に楽しみにしているところであります。

 そこで、知事にお尋ねをいたします。

 まず、日本で最初に提案審査書類を受け取った自治体の長としての受け止めはいかがなものか。また、今後、区域整備計画の作成という誘致に向けた新たな段階に入っていく中で、改めてIR誘致にかける知事の思いをお聞かせください。

○議長(岸本 健君) 知事。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 国のおっしゃるとおりのスケジュールに沿って、和歌山県は、粛々と手続を進めた結果、議員御発言のとおり、誘致自治体の中で一番に提案審査書類を受け取ることができたというわけでございますけれども、実は、そのこと自体はそれほど重要ではないと言わざるを得ないと思います。

 ただ、新型コロナウイルス感染症によって世界的な経済停滞が起こり、特にこのIRビジネスが世界的に打撃を受けておるという中で、ほかの地域では、勢いがあって物すごく熱心そうに見えた業者が撤退をしたり、あるいは失速をしたりするというのがありますので、そういう点では、2者が残って提案をしてくれているということについては、やれやれというところであります。

 しかし、これでまた安心でもございませんので、国の定める3地域の中に入らないといけません。しかも、3地域だから、3まではどんなもんでも出てきたやつは認めるのかというと、実はどうもそうではないらしくて、いいのがなければゼロでもいいんだというぐらいの考え方で国がおられるようなんで、これはいいものを絶対に持っていかないといかんということなんです。

 したがって、現在、事業者選定という大変重要な手続を透明性を持って行っているわけでございますが、今後、本県IRを運営するにふさわしい事業者を選定いたしました上で、その事業者と一緒に、今度は本格的に区域整備計画の作成という新たなステージに入ることになりますので、一層奮励努力しなきゃいけないということであります。

 県としては、選定する事業者と共に、また、立地市である和歌山市にも御協力をいただきながら、社会的リスクを排除しつつ、地域振興に大きく寄与し、かつ国の観光立国政策に貢献するような区域整備計画をつくり上げて、議会や県民の皆様の御理解をいただいた上で、来年4月ぐらいには区域認定を申請したいと考えております。

 優れた区域整備計画をつくれば──この区域整備計画案をつくれば、国は必ず認めていただけるだろうというふうに思っておりまして、その際には、日本で最初のIR開業を目指すことができるというふうに考えております。

○議長(岸本 健君) 藤山将材君。

  〔藤山将材君、登壇〕

○藤山将材君 今回、一般質問させていただくに当たり、IR推進室にお聞きしたところ、区域整備計画については、事業者選定と並行して準備を進めているとのことで、大変心強く感じた次第です。今後も、事業者も交えてすばらしい区域整備計画を作成していただけるものと大いに期待をしております。

 二階幹事長をはじめ県選出の国会議員の先生方も、協力は惜しまない、最大限努力すると話されておられましたので、どうか、いい区域整備計画を国のほうに上げていただきたいということを要望して、私の一般質問を終わります。御清聴、どうもありがとうございました。(拍手)

○議長(岸本 健君) 以上で、藤山将材君の質問が終了いたしました。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 26番多田純一君。

  〔多田純一君、登壇〕(拍手)

○多田純一君 皆さん、こんにちは。

 公明党県議団の多田純一でございます。本日2人目の一般質問となります。しばらく御静聴のほど、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 議長のお許しをいただきましたので、早速、一般質問に入ってまいりたいと思います。

 令和3年度、本県の予算は、昨年度比215億円増、率でいいますと3.7%増で総額6120億円、県政史上最大規模の予算であり、その中でも、特に新型コロナウイルス対策に重点的な予算配分となっております。新型コロナウイルス感染症の問題につきましては、先ほど藤山議員も質問されていました。なるべく重複を避けながら、2点お聞きしたいと思います。

 本県では、昨年2月の13日に1人目の陽性が判明して以来、現在まで、感染者は1164人、お亡くなりになった方は18人となっております。感染された方々にはお見舞いを申し上げるとともに、お亡くなりになった方々には心から御冥福をお祈り申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症の第1波、第2波、第3波と続く波は次第に大きくなり、猛威を感じましたが、1月20日を境に、第3波は少しずつ感染者の数が減少してきています。しかし、これで終息するとはとても思えません。まずは、次の感染拡大に備えることが重要です。第3波は、クラスターの発生が多く、それまでのクラスターは、第1波で3クラスター、第2波が4クラスターに比べ、第3波は20クラスターとなっております。在宅福祉や高齢者福祉などが多く、続いて医療機関、幼稚園、保育所など、施設内感染となっております。70代以上の高齢者の感染率も、それまでと比べ16.7%と一番高くなっております。

 本県における新型コロナウイルス感染症第3波の特徴と今後の対応について、仁坂知事にお聞きしたいと思います。

 続いて、新型コロナワクチン接種スケジュールについてお伺いします。

 ウイルスの蔓延防止策として、国民の接種希望者に新型コロナワクチン接種を早急に進めなければならないと考えます。

 公明党は、新型コロナウイルスワクチン接種対策本部を立ち上げ、和歌山県本部としても立ち上げて、各市町村の状況をヒアリングしてまいりました。その地方の声を集約し、2月12日に、対策本部として菅総理に7項目の提言も行いました。今回の新型コロナワクチン接種の実施主体は市町村ですが、国、県、市町村がそれぞれの役割分担の下、連携、協力しながらワクチン接種を実施する必要があります。ぜひ、県としましては、市町村を協力、バックアップしてほしいと考えます。

 いよいよ、来週から本県でも医療従事者の優先接種が始まると伺っております。そして、市町村では、住民接種に向けての準備の最終段階だと思います。様々な課題もクリアしなければなりませんが、現在、最も重要課題の一つはワクチンの供給量になります。国からのワクチンの配分が十分でないとの声も聞きますが、本県への配分はどうなっているのか。想定より不足しているがために、医療従事者に続いて優先接種となっている高齢者の方々への接種が遅れるようなことはないのか。

 接種が始まる医療従事者と来月から予定されている高齢者接種の各市町村の接種スケジュール等はどうなっているのでしょうか。福祉保健部長にお尋ねをいたします。

○議長(岸本 健君) ただいまの多田純一君の質問に対する答弁を求めます。

 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 感染拡大防止対策は、これまでもしばしば申し上げてまいりましたとおり、県の保健医療行政の努力と県民の皆様の行動や営業の自粛の協力との足し算と考えております。県民に自粛を強く働きかけますと、生活や経済に大打撃になりますので、本県としては、できるだけ、従来実施している早期発見、早期隔離、徹底した行動履歴の調査を保健所の統合ネットワークシステムによって進めて、感染防止対策をやろうということで取り組んでいるところであります。

 もちろん、感染対策上、リスクのとても大きい行動は慎み、注意していただくよう県民の皆様にも努力をいただきながら、感染拡大を食い止めておりまして、夏以降は、これで感染の拡大を一定程度抑えながら、県内の経済の回復傾向が続きまして、一部の宿泊施設は前年実績を上回るというところまで来とったわけでございます。

 しかしながら、11月からの第3波においては、感染経路について、これまで同様、県外からの持込みや家族内感染が多い状況ではありますけれども、とりわけ首都圏で抑え切れなかった感染が次々と西に参りまして、今度は京阪神から本県にもどんどん影響があって、感染者も第1波、第2波と比べて急増し、1月下旬には1日の新規感染者数、入院患者数ともに最多となったほか、クラスターも幾つか発生いたしまして、非常に厳しい状況であったわけでございます。

 現在、第3波は収束に向かいつつあるとは思いますけれども、第1波、第2波後の教訓を踏まえると、首都圏においては、感染の大爆発で機能不全と現在なっている保健医療行政を立て直して、疫学調査をはじめとする感染症法に基づく基本的な感染対策を徹底して感染拡大を抑え込まなければ、感染が急速になくなるということは期待できないし、リバウンドもあるかもしれないし、そしたら、地方への感染波及、日本経済全体の停滞、こういうものが懸念されるというところだと思います。

 第3波による本県のクラスターの発生状況を見ますと、特に高齢者施設や病院での発生が多くなってきております。基礎疾患のある方などが当然多いわけですから、そういう方の重症化リスクを考えると、従来申し上げておりますが、特に高齢者施設、病院等への感染の持込みを徹底的に防止することが非常に重要となっております。

 これまでも、いろいろと注意事項を発したりしておりましたし、それから、地域の中核医療機関等にPCR検査装置をかなり配備してきましたが、これはまあ、さらに強化せないかんなあということでございまして、入院施設、入院設備のある医療機関へは、私は1人PCRと言っておりますけれども、遺伝子検査装置、これを配備支援するというふうにしたいと思っておりますし、入院はできなくても、その他の医療機関とか高齢者施設などへの感染持込みも防止するために、簡易に検査ができる抗原検査キットの配付も併せて広範に行いたいと考えております。

 また、県経済への支援としては、飲食業や宿泊事業者など、大きな影響を受けている事業者に対する事業継続のための給付金などを盛り込んだ2月補正予算を午前中に議決いただきまして、どうもありがとうございました。加えて、新型コロナウイルス感染症の終息に向けまして、県民全員のワクチン接種を進めるということで、現在、医療機関の協力の下、市町村と一丸になって接種体制の構築に取り組んでおりますが、これも頑張ってやっていかないかんということだと思います。

 引き続き、県民の命と暮らしを守るために、新型コロナウイルス感染症対策に全力を尽くしていく所存であります。

○議長(岸本 健君) 福祉保健部長宮本浩之君。

  〔宮本浩之君、登壇〕

○福祉保健部長(宮本浩之君) 本県の医療従事者の優先接種対象は約3万7000人です。今週と来週に分けて、1回接種分として約8000人分のワクチンが届くことになっています。この初回分につきましては、新型コロナウイルス感染症患者の入院受入れ医療機関や感染症の疑いがある救急患者等を受け入れている医療機関の医療従事者を中心に接種を行うこととしています。

 今後も、医療関係団体等と緊密に連携しながら、配分されたワクチンを速やかに接種できるよう体制を整えていきたいと考えております。

 次に、高齢者への接種についてですが、全国的に4月12日から接種開始となっており、当初のスケジュールに大きな遅れはないものの、国から提示されるワクチン供給の全体スケジュールがいまだ不透明であり、状況に応じた柔軟かつ迅速な対応が必要となります。

 本県の優先接種対象となる高齢者は約30万9000人ですが、4月5日以降、3週にかけて届くワクチンの供給量は約1万1000人分と提示されております。この初回分につきましては、配分される量が少数であることから、各市町村の接種体制と意向を確認しながら、19の市町に配分することとしています。

 なお、実施市町では、配分されるワクチンが少数であること、また、今回新たに導入されるワクチン管理円滑化システム等の運用をテストする必要があることなどから、公共施設等で行う集団接種を中心に実施する予定となっております。

 全市町村でのワクチン接種の開始は、4月26日以降の出荷分からとなりますが、先行する市町の情報を共有しながら、円滑なワクチン接種の実施につなげていきたいと考えております。

○議長(岸本 健君) 多田純一君。

  〔多田純一君、登壇〕

○多田純一君 御答弁をいただきました。

 ワクチン接種というか、この供給につきましては、毎日のようにいろいろと報道もされておりますけども、今のところ、3月、4月はどうも遅滞ぎみですけども、5月、6月とワクチンの量が増えてくることも想定して計画を組む必要も出てきていると思います。迅速かつ効率的に使用し、住民接種が円滑に進むよう市町村を支援していただきたいということを要望させていただいて、次の質問に入りたいと思います。

 新型コロナウイルス感染症の影響で社会問題化してきている社会的孤立問題について、お伺いをしたいと思います。

 コロナ禍の中で、社会的弱者だけでなく、現役世代の方も含めて疲弊している方々が増え、深刻な状況になってきているとして、政府は、2月の19日、社会的孤独・孤立対策の担当室を内閣官房に設置しました。担当室は、新型コロナウイルスで深刻化する社会的孤立問題に省庁横断で対応する。その上で、5月までに孤独・孤立対策を取りまとめる方針を明らかにしております。

 本県は、全国平均を上回る速さで高齢化が進んでいて、高齢人口比率は、令和2年1月1日現在32.4%に達し、独り暮らしの高齢者は約6万9000人、65歳以上の人口の22.4%を占めている状況です。2000年と比較すると、倍近くまでに増えてきております。

 児童に関する問題も見逃せません。県内2か所にある児童相談所に寄せられる虐待の件数も年々増えてきており、家族や地域における養育力の低下や、子育ての孤立化が課題となっております。子供の貧困も指摘されて久しくなっております。

 障害者に関する調査では、障害者手帳の交付数を比較すると、知的障害者や精神障害者手帳の交付の数は増えている現状です。高齢の親とひきこもりの子供が社会で孤立し、困窮に陥る8050問題が新たな問題にもなってきております。自殺の問題でも、様々な取組で減少していたにもかかわらず、コロナ禍で、若い人や女性の自殺が増えているとの報道もあります。

 先日、私も、県社会福祉協議会を訪問し、いろいろと話を伺ってまいりました。皆様のお手元に配付させていただいた和歌山県社会福祉協議会がまとめた資料を御覧いただきますと、この2ページですけども、これまでの生活福祉資金特例貸付状況、昨年の3月の25日から今年の1月31日までの件数でございますけども、緊急小口資金では6282件、総合支援資金では5927件、緊急小口資金は、県内約70世帯に1世帯の割合の貸付けとなっているところでございます。

 次のページをめくっていただきますと、年別貸付状況の推移ということで、昭和30年から昨年、令和2年までの表が折れ線と棒グラフで表されております。右端が令和2年のところでございますけども、リーマンショック期を大幅に超え、この10か月で見ますと、昭和30年から令和2年までの65年間の累計の約8割の件数、金額を貸し付けたということになります。

 次のページの職種別の状況を見ますと、まず、この飲食関係、そして建設・製造関係、運送関係が最も多くなっている状況がうかがえるところでございます。

 その次のページで見ますと、近畿圏、また全国比でまとめていただいておりますけども、人口1万人当たりの件数で見ますと、和歌山県は全国平均よりも高くなっている、そういう状況がうかがえると思います。

 最後のページでございますけども、県内の圏域で見ますと、和歌山市、それから田辺・西牟婁郡、新宮・東牟婁郡の貸付件数、また金額も高いということがうかがえると思います。持続化給付金などの支援策からこぼれ落ちた人が活用できるのが、この貸付けぐらいで、この貸付金に集中した結果がこの数字だと考えられます。

 一方、生活困窮者自立支援における新規相談件数も、今年度上半期では、前年度の半期平均と比べると約5.8倍になっている状況です。相談者の傾向を伺うと、全体として20代から70代、幅広い年齢層になっております。新型コロナ以前では30代から50代の割合が高かったのですけども、今回は若年層と高齢者数が多い状況です。コロナ禍が、幅広い年齢層に大きな影響を及ぼしているということが分かると思います。

 世帯の状況では、単身世帯、母子家庭を主とする独り親家庭が目立ちます。年金を受給しながら、生活を支えるために働いている高齢者の単身世帯も多いようです。また、勤務時間の短縮で減収になったケースもありました。コロナ禍の影響が長期化する中で、生活基盤を揺るがしてきていることが顕著に表れております。

 2008年のリーマンショックと違い、多くは、今までの生活困窮とは無縁の、仕事さえあれば働ける人たちが圧倒的に多い方々ばかりです。ある社会福祉協議会の担当者は、給付つき就労など、再起の後押しが必要とおっしゃる方もおられました。

 幅広い庁内横断的な取組が必要でしょうが、1年以上続くコロナ禍の中で、社会的孤立問題の現状について、仁坂知事はどのように受け止めておられるのか、見解をお伺いいたします。

 続いて、実効性のある福祉的施策をどのようにお考えか、福祉保健部長にお伺いをいたします。

○議長(岸本 健君) 知事。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 新型コロナウイルスの影響が長期化する中で、議員御指摘のとおり、全国的に女性とか若者の自殺とか、生活困窮者が増加していることとか、健康診断や医療機関への不受診などによる健康の悪化とか、精神の不調とか、様々なリスクが発生しておりまして、新型コロナ感染への対策と同様、生活と経済が抑制されて、人と人との接触が抑え込まれることで起こる社会的孤立に対しても、しっかりと取り組んでいかなきゃいけないと思います。

 和歌山県では、このため、こういうことを念頭に、保健医療行政で感染者をできるだけ抑え込んで、生活と経済にはあまり悪影響を及ぼさないように、人々の活動とか営業活動には制限をできるだけ課さないようにするということをやってまいりましたが、それは、まさに社会的孤立問題をはじめ、新型コロナ感染とは別の、直接の感染とは別のリスクが大変なことになるのをできるだけ減らそうというふうに考えたからでございます。その中でも、特に経済的打撃の中で、いろいろと不都合なことが起こるということがやっぱり大きいと思います。

 そこで、4月からの緊急事態宣言が解除された後も、大きな打撃を受けた県内経済を立て直すために、全国に先駆けた融資制度の拡充とか、事業継続支援金などの支援策に加えて、県独自のわかやまリフレッシュプランなどの需要喚起策なども実施し、事業者に資するようにしてきましたし、また、御指摘のように、収入の減少や失業等により生活に困窮した世帯、これがたくさんありますので、各福祉事務所において相談窓口を設置して、県民に寄り添った相談体制を整えたり、あるいは、これも御指摘の生活福祉資金の特例貸付を実施するなど、包括的な支援策を講じてまいりました。

 しかしながら、新型コロナの第3波が燃え盛りまして、これは、首都圏を中心に再爆発があったということからどんどんと燃え広がったんですが、こうやって努力していたのが吹っ飛ばされるような感じで、これは、特に飲食や宿泊などの需要もどたんと落ちてしまって、県民経済にも多大な影響が再び出ておるという状態だと思います。

 こういう厳しい状況から抜け出すためには、これは、ここが正念場だということで、もちろん引き続き保健医療行政の頑張りで感染拡大の防止には努めるのですが、宿泊業とか飲食業など大きな影響を受けている事業者に対する事業継続のための給付や、生活福祉資金の貸付け延長などを行うことにいたしまして、これらを盛り込んだ2月補正予算を午前中に議決いただいたところであります。

 とはいえ、新型コロナによって被る経済的打撃の大きさに比べますと、行政で支援して支えてできる規模には限界があります。したがって、大事なことは、感染を抑え込むというか、感染が拡大しないようにして、感染の拡大防止と、それから、経済や生活の充実を何とか図っていくということが大事だと思うんですけれども、そういうふうに首都圏がどうも動いてくれない感じがするなあというふうに今思っております。

 驚くべきことに、神奈川県では、保健行政が大変だったということはよく理解できるんですが、大変だったので積極的疫学調査を十分にしなくてよろしいと、特に、濃厚接触者も、家族とCOCOA以外はもう追わないでよろしいというような指令をはっきりと文書で指示をし、東京も似たような扱いをしているようであります。そうすると、これではなかなか感染を完全には抑え込めない。批判精神のあるはずのマスコミも全くこういうことは批判しない。これでは、ずっと大変なことになって、ひょっとしたら、宣言の解除などで都県民の行動が復活したら、またリバウンドしてしまう。そしたら、また影響が地方に及んでくるというような心配があるわけで、それぞれ大いに自ら反省して直していただくのと、政府も本当は指導してほしいなあというふうに思っている次第であります。

 こういうことではございますけれども、県としては、従来の方針を堅持しながら、一方、何とか県民生活が向上できるように、新しい波なども取り入れて、それで和歌山を元気にしていくように頑張っていきたいと、そうでなければ、社会的孤立、つらい人生、そういうものを十分にお救いすることができない、そんなふうに思っている次第でございます。

○議長(岸本 健君) 福祉保健部長。

  〔宮本浩之君、登壇〕

○福祉保健部長(宮本浩之君) 県では、福祉事務所ごとに生活困窮者自立支援相談員を配置し、生活困窮者からの様々な生活相談に対応しております。

 今年度は、新型コロナウイルス感染症の影響により、令和3年1月末時点において県内で5562件の相談が寄せられ、世帯の状況に応じて住居確保給付金や生活福祉資金を活用しながら、生活困窮者の生活支援に努めているところです。

 また、市町村や社会福祉協議会をはじめとする相談窓口と連携した相談支援や、離職や収入が減少した方などに対する求職活動の支援などについても丁寧に行っているところです。

 さらに、今年度から児童扶養手当を新規に受給する経済的に厳しい独り親家庭を全戸訪問し、受給する世帯に寄り添った相談支援にも取り組んでいるところです。

 加えて、市町村、社会福祉協議会、民生委員・児童委員、自治会などの構成機関で福祉事務所ごとに設置する生活困窮者自立支援会議において、経済的に困窮する世帯はもとより、地域や社会で孤立する世帯を早期に把握するとともに、それぞれの世帯が抱える課題の解決に向けた包括的な支援を進めているところです。

 今後も、引き続き、県民が安心して相談できる体制を充実させるとともに、県民が抱える課題をしっかりと把握し、課題の総合的な対策を講じながら、県民に寄り添った丁寧な支援に取り組んでまいります。

○議長(岸本 健君) 多田純一君。

  〔多田純一君、登壇〕

○多田純一君 御答弁をいただきました。

 大変、知事のお立場からしても、この感染状況、新型コロナの第4波がどういう状況になるかはちょっと分かりませんけども、感染状況によって、また大変な生活困窮の方が増えるということもあり得ると思います。今、部長からも御答弁いただきましたように、やっぱり丁寧な相談ということが県民に寄り添う、そういうことになっていくんじゃないかと思いますし、そういう意味では、しっかりと国へもそういう声を県から上げていただきながら、県民のそういう今の状況をしっかりと把握していきながら、適正な県政に当たっていただきたいと、このようにお願いをする次第でございます。

 続いて、3点目の防災・減災、国土強靱化対策について、お伺いをしたいと思います。

 近年、大雨や短時間豪雨の発生頻度が増加し、毎年、全国各地で甚大な洪水被害が発生し、国民、県民の河川についての関心が高まっています。

 公明党和歌山県本部では、10年前の紀伊半島大水害での教訓を令和3年度以降に生かすべく、一昨年より1年をかけて、県管理河川450河川と市町村管理の準用河川100河川、合計550河川について調査点検を行いました。県河川課の皆さんにもお世話になり、河川の仕組みや河川法や水防法などを改めて勉強し、大滝ダムや県内県河川を中心に現地に赴き、視察をしてまいりました。

 また、国交省担当者の方とも、今後の治水管理についての意見交換をしてまいりました。河川の治水安全度を高め、住民への安全・安心の向上を図るため、仁坂知事に調査結果を御報告し、申入れも行わせていただきました。

 大災害を経験した紀伊半島大水害から10年を迎え、二度とあのような被害を出さないためにも、このたびの防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策をどのように治水対策に生かされるつもりか、まず、知事の決意をお伺いしたいと思います。

 2点目に、過日行いました河川総点検の申入れについてお伺いします。

 県は、ホームページ上で、450河川のうち、平成12年から現在、16水系、4圏域について河川整備計画を策定しております。おおむね20年計画とすると、計画が終了する時期を迎えている河川もありますし、新たな課題が発生している河川もあるかもしれません。工事が進んでも、目に見えない箇所もあろうかと思います。地元住民の方々のためにも、河川整備の進捗やその見える化を図る必要があります。今後、どのようになさるのか、御答弁を下さい。

 また、整備計画未策定河川が93河川あります。その中には、洪水浸水想定区域図を公表して、洪水に伴う氾濫を想定し、住民に注意喚起を促しているにもかかわらず、整備計画を立てていないという状況でございます。整備計画未策定河川について、今後どのように取り組まれるのか、お伺いをします。

 洪水浸水想定区域にある福祉施設等で、避難確保計画ができていない施設が令和2年10月末現在で468施設、全体の約4割もあります。洪水浸水区域図作成だけでは、住民の生命・財産は守れません。市町村と協力して、早急に作成を促すことは大事です。どのようにお考えか、お聞かせください。

 浸水想定区域未指定の中小河川の計画における想定図の作成について、どのようにお考えか。また、今後は、流域治水への転換を図る必要があります。現状と今後の方向性についてお答えください。

 以上を県土整備部長にお尋ねをいたします。

 この項目の3点目に、七瀬川、大門川及び和田川など、和歌山市内の河川整備についてお伺いをいたします。

 七瀬川は、平成29年、台風で大きな被害があった河川です。その後、河川の拡幅工事が進められております。1期工事も間もなく終了し、2期工事へ向かうと伺っております。大門川は、河床掘削、堤防かさ上げ等により、流下能力不足箇所の改修としゅんせつ等で治水安全度の向上を図る必要があります。和田川は、護岸整備や河床掘削など課題を抱えておりますが、なかなか進みません。

 これらの河川整備に当たっては、5か年加速化対策予算も使われるものと考えていますが、七瀬川、大門川、和田川の整備について、県土整備部長にお答えを願います。

○議長(岸本 健君) 知事。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 昨年11月2日に、多田議員ほか公明党所属の議員から、県内河川の調査点検結果を基に、河川整備の着実な推進や進捗の見える化、浸水リスク情報の提供、治水対策を面的に実施する流域治水への転換などを御提言いただきました。よくお調べになったなあと思うような、極めてきめの細かい実証的な調査の上での御提言でございまして、県河川行政の大いに参考とさせていただいているところでございます。

 本県では、平成23年紀伊半島大水害において、熊野川や日高川、那智川などが氾濫し、甚大な被害が発生しました。その対策として、施設の復旧に併せて再度災害の防止を図る改良復旧とか、あるいは全国に先駆けて運用を開始したダムの事前放流などを実施しているところでございます。

 しかしながら、近年でも、平成29年台風21号では七瀬川や亀の川等において、平成30年台風20号では、熊野川流域の日足地区とか、あるいは支川の大塔川流域の川湯温泉において大規模な浸水被害が発生するなど、依然、県下全域において水害の危険にさらされている状況にはあります。ついては、これらの河川における対策をはじめ県下の河川整備を引き続き推進し、水害リスクの低減を図る所存でございますが、これは、やっぱりスピードアップせないかんというのが私たちの問題意識であります。

 このような中、これまでの3か年緊急対策の後継として、昨年12月11日に、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策が閣議決定されまして、初年度予算を含む国の第3次補正予算が1月28日に成立いたしました。これは、5か年、別枠、15兆円という大変大きなものでございまして、通常予算とは別枠で防災関係に重点を置いた予算が確保されたということで、通常のインフラ整備を和歌山県もまだまだ必要としているわけですが、これと予算を取り合うことがなくて、堤防整備や河道掘削などの河川整備を集中的に進めることができるということで、本県にとっては大変喜ばしい、意義のあることを政府がやってくれたというふうに高く評価をしております。

 これを活用するわけですが、いたしますと当然、県負担も伴います。しかし、県民の命と財産を守るためには今がチャンス。この予算を最大限活用して、この機を逃すことなく治水事業を加速化していきたい、そんなふうに思っておる所存でございます。

○議長(岸本 健君) 県土整備部長庄司 勝君。

  〔庄司 勝君、登壇〕

○県土整備部長(庄司 勝君) 議員からいただきました五つの御質問について、順次お答えいたします。

 まず、河川整備の進捗の見える化につきましては、試行でありますが、今月中に県のホームページにおいて、河川整備計画に位置づけられた県管理河川を対象に、工事の進捗状況を図面や写真を用いて公開する予定です。その後、皆様の御意見も伺いながら、分かりやすい情報発信となるよう改良していく所存でございます。

 次に、整備計画未策定の河川における整備計画の策定につきましては、周参見川水系と印南川水系において、今年度実施している基礎的調査の結果を踏まえ、来年度から策定にも着手する予定です。また、山田川水系においては、来年度から河川整備基本方針の策定に向けた基礎的調査に着手する予定でございます。

 次に、洪水浸水想定区域内の福祉施設等の避難確保計画につきましては、計画未作成の施設管理者に対し、国が作成した支援資料を周知する等、関係部局や市町村と連携し、引き続き早期の計画作成を促します。

 次に、浸水範囲の想定図が未作成の河川につきましては、現在、浸水範囲の計算の基となる潮位、水位データの収集など、作成準備を進めています。今後、準備が整い次第、県保有の航空レーザ測量で得た3次元データも活用しつつ、順次作成していく予定です。

 最後に、流域治水の取組につきましては、1級水系紀の川及び熊野川において、国土交通省が中心となって、今年度中の流域治水計画の作成を目標に鋭意進めています。また、2級水系においては、県が中心となって、日高川水系で令和2年10月から、その他水系についても地域ごとの協議会を順次開催し、流域の市町や関係機関と協力して、流域治水の計画作成に向けた検討を始めたところです。県としましては、令和3年度末までの計画作成を目指しております。

 続けて、3点目の和歌山市内の七瀬川、大門川及び和田川の整備状況についてお答えします。

 まず、七瀬川につきましては、紀の川合流点から鴨居川合流点までの1期工区において、令和3年出水期までの完成を目指し、川の断面積を約8倍に拡大する河道拡幅などを進めています。その上流の2期工区においても、下流端に位置する六箇井水路のサイホン付け替え工事に令和3年度から着手する予定でございます。

 次に、大門川につきましては、新北中橋から出水橋までの区間において、川の断面積を約1.5倍に拡大する整備を進めています。令和3年度は、今年度に引き続き、JR橋付近の護岸工事を進める予定です。

 最後に、和田川につきましては、和歌川合流点から前代川合流点までの区間において、川の断面積を約1.4倍に拡大する整備を進めており、これまでに、下流から約4.2キロメートルの区間の整備を完了しております。令和3年度は、今年度に引き続き、石関取水堰の改築などを進める予定としております。

 これらの河川の整備に当たっては、5か年加速化対策予算を積極的に活用するなど、引き事業の進捗に努めてまいります。

○議長(岸本 健君) 多田純一君。

  〔多田純一君、登壇〕

○多田純一君 それぞれ御答弁いただきまして、本当にありがとうございます。引き続き、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 それでは、最後の質問のところに移りたいと思います。

 岩橋千塚古墳群「紀伊風土記の丘」についてであります。

 今年は、岩橋千塚古墳群「紀伊風土記の丘」が昭和46年に開園されて50年の節目になります。改めてそのときの建設概要を見ますと、当時の知事は大橋正雄知事でした。知事は、この特別史跡について、全国に類例のない一大古墳群集地域で、我が国の歴史の流れを知る上で極めて貴重な遺産であるとされ、祖先が残したこの文化財を保護するために、この地域一帯を県が買い上げ、環境整備をして永久に後世に伝承する目的の下に、昭和43年より5か年の年月と8億8000万余りの建設費をかけて、史跡公園「紀伊風土記の丘」を建設したとされております。

 昭和46年8月2日に開園式。その後、10月には天皇皇后両陛下が行幸啓、常陸宮同妃殿下がお成り、翌年3月には三笠宮同妃殿下がお成りという、宮家にも御覧いただいた歴史を持つ特別史跡です。以来、数星霜を重ね、整備も進み、大日山35号墳から発掘された埴輪──両面人物埴輪、翼を広げた鳥形埴輪などが、日本には一つしかない埴輪として重要文化財にも指定をされております。

 岩橋千塚古墳は、古墳時代に大和朝廷の有力な豪族の一人として和歌山を治めた大きな勢力で、西庄遺跡では、5世紀代の石敷製塩炉跡があり、鳴滝遺跡には大きな倉が7棟も並んだ倉庫群も分かっています。朝鮮半島との交流など、大和朝廷の中枢に位置していた存在だったことがうかがえます。

 今まで、岩橋千塚古墳群「紀伊風土記の丘」として県外でシンポジウムを行ったことはありません。ぜひ、岩橋千塚古墳群「紀伊風土記の丘」開園50周年として、首都圏で大勢の皆様に知っていただく機会としてお取組をいただきたいと考えます。仁坂知事のお考えをお聞かせください。

 2点目に、今後、特別史跡として追加指定の計画についてお伺いをいたします。

 2月27日、井辺1号墳の追加指定に向けての発掘調査についての現地説明会に参加をいたしました。岩橋千塚古墳群の中で、大日山の南斜面に当たる井辺地区に29基の古墳が密集しております。井辺1号墳は、井辺地区で最大の古墳で、7世紀前半頃に造られた方墳です。特別史跡に入っていない重要古墳はまだまだありそうです。その追加指定について、教育長にお考えをお聞きします。

 最後、3点目に、古墳公園として楽しめる公園づくりや園路の整備について、お伺いをしたいと思います。

 天王塚古墳に行くにも、山道を通るしかありません。特別史跡に指定された地域にも、古墳が点在するだけのところも多く、整備が進んでいない状況です。古墳公園として、市民、県民が楽しめる公園としての園路の整備や案内板などの整備を進めてはと考えます。教育長のお考えをお聞かせください。

○議長(岸本 健君) 知事。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 岩橋千塚古墳群は、日本書紀で、雄略天皇の時代に大将軍として新羅に派遣されたと記されている紀氏一族の墓域と言われておりまして、900基にも及ぶ古墳が築かれていることから、紀氏の繁栄ぶりがうかがい知れるところでございます。

 当時の紀の川下流地域は、水運や後に南海道と呼ばれる陸路でヤマト王権の中枢部とつながっている、国際港とも言える紀伊湊も造られておりました。この地域では、朝鮮半島からの影響を受けた文物が多数出土していることから、九州や大陸への表玄関口であったものだというふうに考えられるわけでございます。

 また、「木の国」という名のとおり、森林資源にも恵まれたところでございますので、木造船の建造が盛んであると、その技術が岩橋千塚古墳群の最大の特徴である横穴式石室の石棚、石はりに生かされているというふうにも言われております。

 このようないろんな特色がある貴重な岩橋千塚古墳群は、全国に三つしかない特別史跡に指定されている古墳群の一つであり、まさに和歌山県の宝と言えるものであると思います。

 議員が、特別史跡の3県のシンポジウムをやったらどうだという話がありまして、早速働きかけをいたしました。令和3年度に、首都圏で古墳の専門家を招き、学術的なシンポジウムを日本一の規模でやりたいというふうに思っておりまして、他の2県にも声をかけているところでございますし、また、堺市、これは百舌鳥・古市古墳群の世界遺産をちょうど資産も持っておるわけでございますので、一緒にやろうと言って、これも声をかけております。

 それほど乗ってこないというところもありますし、それから、費用負担の面でちょっとというところもありますので、多分、初めに考えていたような完全に共催でやるというのはちょっと難しいかなというふうにも思っておりますが、和歌山県主導で、こういう方々も巻き込んでシンポジウムをやればよろしいかということで、そのための経費を今議会にお諮りしているところでございます。

 実現の暁には、岩橋千塚古墳群の魅力はもちろんのこと、和歌山の古代文化の豊かさを全国に向けて発信する機会としてまいりたいと考えております。

○議長(岸本 健君) 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 追加指定の計画についてと古墳公園としての楽しめる公園づくりや園路などの整備について、一括してお答えいたします。

 特別史跡への追加指定につきましては、未指定地域にある約400基の古墳の中にも重要なものがあることから、順次、追加指定を目指し取り組んでいるところです。

 平成29年、平成30年には、古墳の分布状況や土地の改変等の精密な情報を得るために、航空レーザ測量調査を実施しました。この調査から得られた情報を基に、令和元年度から、特別史跡の南西部周辺の踏査を行うとともに、令和2年度には、井辺地区の詳細な測量調査と7世紀前半頃の首長墓である井辺1号墳の発掘調査を実施しました。今後、これらの調査結果を踏まえ、追加指定に向け、文化庁との協議を進めてまいります。

 次に、古墳公園として楽しめる公園づくりや園路などの整備についてでございますが、紀伊風土記の丘では、園内を周遊するための幹線園路と、主な古墳を巡る散策路及び案内板を設置しており、破損箇所の修復や除草など、日々、その維持管理に努めているところです。また、平成28年に追加指定された天王塚古墳の整備と管理のため、現在、幹線道路を新たに建設しております。

 特別史跡地内での整備には法令上の制約があり、また、紀伊風土記の丘の敷地はほとんどが山林であることから、敷地全体を巡る園路等を整備することは困難でありますが、今後とも、大人から子供まで多くの来場者にとって魅力のある体験ができる古墳公園となるよう整備に努めてまいります。

○議長(岸本 健君) 多田純一君。

  〔多田純一君、登壇〕

○多田純一君 御答弁ありがとうございました。

 県外で、ましてや首都圏での初めてのシンポジウム、相手も、パートナーの問題もあると思いますけども、非常に楽しみにしておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 また、お話にも出てきましたけども、考古民俗博物館の再編整備も、今、着々と進めていただいているところだと思います。現在の資料館の近くに土地購入もしていただいております。全国的にも大きく注目されると期待をしているところでございます。着実な進展をお願いいたしまして、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(岸本 健君) 以上で、多田純一君の質問が終了いたしました。

 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。

 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。

 本日は、これをもって散会いたします。

  午後2時47分散会

このページの先頭へ