令和2年12月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(全文)


◆ 汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているものもあるため、人名等、会議録正本とは一部表記の異なることがあります。人名等の正しい表記については「人名等の正しい表記」をご覧ください。

令和2年12月 和歌山県議会定例会会議録 第6号

令和2年12月
和歌山県議会定例会会議録
第6号
────────────────────
議事日程 第6号
令和2年12月11日(金曜日)
午前10時開議
 第1 議案第133号、議案第134号及び議案第141号から議案第164号まで(質疑)
 第2 一般質問

 第3 議案の付託
 第4 請願の付託  
────────────────────
会議に付した事件
 第1 議案第133号、議案第134号及び議案第141号から議案第164号まで(質疑)
 第2 一般質問

 第3 議案の付託
 第4 請願の付託
 第5 休会決定の件
────────────────────
出席議員(42人)
 1番 鈴木德久
 2番 山家敏宏
 3番 中本浩精
 4番 堀 龍雄
 5番 藤山将材
 6番 岸本 健
 7番 井出益弘
 8番 宇治田栄蔵
 9番 北山慎一
 10番 玄素彰人
 11番 中西峰雄
 12番 秋月史成
 13番 森 礼子
 14番 濱口太史
 15番 尾崎要二
 16番 冨安民浩
 17番 川畑哲哉
 18番 玉木久登
 19番 鈴木太雄
 20番 岩田弘彦
 21番 吉井和視
 22番 谷 洋一
 23番 佐藤武治
 24番 岩井弘次
 25番 中 拓哉
 26番 多田純一
 27番 新島 雄
 28番 山下直也
 29番 中西 徹
 30番 谷口和樹
 31番 藤本眞利子
 32番 浦口高典
 33番 山田正彦
 34番 坂本 登
 35番 林 隆一
 36番 楠本文郎
 37番 高田由一
 38番 杉山俊雄
 39番 片桐章浩
 40番 奥村規子
 41番 尾﨑太郎
 42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
────────────────────
説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       細川一也
 危機管理監      森田康友
 総務部長       田村一郎
 企画部長       田嶋久嗣
 環境生活部長     田中一寿
 福祉保健部長     宮本浩之
 商工観光労働部長   大山 茂
 農林水産部長     角谷博史
 県土整備部長     庄司 勝
 会計管理者      城本 剛
 教育長        宮﨑 泉
 公安委員会委員長   中野幸生
 警察本部長      親家和仁
 人事委員会委員長   平田健正
 代表監査委員     保田栄一
 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫
────────────────────
職務のため出席した事務局職員
 事務局長       中川敦之
 次長         井邊正人
 議事課長       山田修平
 議事課副課長     岩井紀生
 議事課議事班長    岸裏真延
 議事課主査      松田太郎
 議事課主査      伊賀顕正
 議事課主事      浅田晃秀
 総務課長       嶋岡真志

 政策調査課長     神川充夫

────────────────────
  午前10時0分開議
〇議長(岸本 健君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第133号、議案第134号及び議案第141号から議案第164号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、併せて日程第2、一般質問を行います。
 39番片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕(拍手)
〇片桐章浩君 おはようございます。
 今年は、前の議会でもちょっと伝えましたように、日本書紀編さん1300年の年でありまして、それを受けて和歌山県が、11月1日、主催で「『生きる』―偉人に学び、生命(こころ)を強くする―」学習会を開催していただきました。県が皮切りにスタートを切ってくれたおかげで、県内で民間団体が8か所、小中学校に入りまして、この1300年を記念する学習会を開催できたことをまずお伝えをさしていただきたいというふうに思います。
 それから、もう1点、コロナ禍の中において、今、リモート会議というのが非常に使われておりまして、春先は、このリモート会議というのが通常のリアルの会議の代わりという意味合いでやられていたことが多かったと思うんですが、最近は、もうリアルの会議ではなくて、リモート会議自体が意味がある、こういうふうに変わってきているなあというふうに思います。
 昨日、夜11時から、米国と日米スペース・パートナーシップのリモート会議に参加をさしていただいたんですが、これは東海岸の時間で午前9時、こちらは翌日の午後11時ということで、昨日11時から2時間ぐらい、夜、話をしてきましたんで、少し寝不足のところもありますが、しっかりとやらさせていただきたいと思います。
 それでは、議長からお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさしていただきます。
 まず、最初でございます。紀伊半島一周高速道路と有田─南紀田辺間の4車線化の早期実現についての質問であります。
 さきの11月19日、和歌山県議会高速自動車国道紀南延長促進議員連盟の谷会長、冨安顧問、濱口幹事長、鈴木太雄副幹事長、秋月事務局長、鈴木德久会計監査、佐藤武治会計監査の役員メンバーで、紀伊半島一周高速道路と有田─南紀田辺間の4車線化の早期実現を求める要望、それに必要となる令和3年度の予算要望を行ってまいりました。
 当日は、自民党本部、和歌山県選出の衆参国会議員、国土交通省を訪ねさせていただきました。
 この議員連盟が結成されたのは二階幹事長が和歌山県議会議員の頃で、その頃の歴史、経緯も伺ってまいりました。当時、紀伊半島一周高速道路の構想の話をすると、県内においても笑い話をされた。多くの人はそんなことが実現するとは思っておらず、夢物語だと言われた時代だったそうです。今では、この紀伊半島一周高速道路とともに有田─南紀田辺間の4車線化が同時に工事が進められていますから、これまで多くの方々、先輩方が要望活動をしてきたことが成果となって現在になって現れてきており、その願いが今実現に向かっている、そういうことを実感さしていただきました。
 そうした中、知事は、2025年の大阪・関西万博までの開通を求めていますが、私たちもそのことを当然期待しているところであります。
 幹事長からは、「紀伊半島一周高速道路に関しては、どれだけ要望しても誰も文句は言わない。和歌山県は半島のため、道路は後回しにされてきた経緯があり、早期開通を目指すためにどれだけ要望してもらっても構わない。もっと和歌山県からも県議会からも強く要望してくれたらよい」という趣旨の言葉をいただきました。
 また、「和歌山県は紀伊半島一周高速道路の実現に苦労してきたのは、和歌山県と三重県以外にこの道路の必要性を強く訴える県がなかったからだ。半島の先に県がないから仕方のないことだと思いますが、それだけに和歌山県は随分苦労して取り組んできた、このことを忘れないでほしい」、こういう趣旨の話もしてくれました。
 半島ゆえに、和歌山県が強く要望活動を続けてきました。国土軸と比較して随分遅れましたが、ようやく同じ土俵に上がれるところまで来ています。
 高速道路が完成してからが和歌山県としての勝負の時期だと思います。物流、企業立地、観光、医療などの分野で和歌山県の実力を発揮できる機会が訪れることになります。今日、これらの分野で、国土軸の府県と対等の勝負ができる環境をつくり出せていることをうれしく思いますし、議員連盟として要望したことを受け止めてくれたものと確信しているところであります。
 また、今回の要望では、この印南─南紀田辺間の付加車線設置工事を令和2年度内に完成させること、有田─印南間を令和3年12月までに完成することも併せて要望しておりますし、印南─みなべ間の早期完成とともに、優先整備区間に選定されているみなべ─南紀田辺間の早期事業着手と早期完成も強く要望してきたところであります。
 また、国土交通省からは、「紀伊半島は海岸沿いの国道だけなので、高速道路は命の道路だと認識しています。早期完成を目指していることは認識しているので、なるべく早く実現に向かわせたい」、こういう趣旨の回答もいただいております。
 あわせて、国土強靱化の期間延長に関しては、3年間ではなく5年間の延長を要望してきました。災害から命を守るために必要な紀伊半島一周高速道路の実現のためにも、5年間の延長を要望してきたものであります。この点に関しても、国土交通省からは、「できれば3年ではなく5年間の延長をしたいと考えています。この次は、ミッシングリンク解消やダブルネットワークの構築など、和歌山県の次の道路行政の計画に応じた予算を確保することを考えています。もちろん今後の協議次第ですが、和歌山県の要望に応えるよう要望書を預かります」と話してくれたことは、今回の要望の成果だと考えております。
 そこで、質問であります。
 紀伊半島一周高速道路と有田─南紀田辺間の4車線化の早期実現について知事に質問をいたします。
 今回、高速自動車道国道紀南延長促進議員連盟として強く要望を行ってきました。そして、知事は2025年の大阪・関西万博開催までの実現を目指していると思います。早期実現を目指す意気込みと実施時期の目途について答弁をお願いいたします。
〇議長(岸本 健君) ただいまの片桐章浩君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
〇知事(仁坂吉伸君) 紀伊半島一周高速道路は、企業立地や産業振興など将来のチャンスを保障するものとして、また南海トラフ巨大地震などの大規模災害への備えとして、その実現は不可欠かつ急務でありまして、これまでも様々な機会を捉えて早期整備を強く求めてきたところであります。
 こうした中、令和元年度に近畿自動車道紀勢線の未事業化区間が全線事業着手され、念願であった紀伊半島一周高速道路の実現に向けた道筋が整いました。また、4車線化についても、昨年9月に印南─南紀田辺間が優先整備区間に選定されるとともに、本年3月末には印南─みなべ間の事業許可がなされました。
 これらの成果は、県議会高速自動車国道紀南延長促進議員連盟の皆様をはじめ県選出国会議員や関係市町村長など多くの方々の御尽力のおかげであり、心から感謝を申し上げます。
 現在、すさみ以南では、紀伊半島一周高速道路の実現に向け、用地取得や工事などが着実に進展しております。国交省から委託を受けまして、県部隊が直接用地買収に入っております。
 また、有田─印南間についても、令和3年12月までの4車線化に向けて工事が鋭意進められているところは、皆さん、大変、お走りになったときによくお分かりになられると思っております。
 こうした中、こういう機運を多分カウントされたと思いますけれども、串本町で日本初の民間ロケット発射場や、沿線にロードサイド型ホテルの建設が順次進められるなど、高速道路の整備が民間投資の誘発につながっております。
 さらに、2025年大阪・関西万博への観光客を本県に呼び込むなど、その効果を最大限に生かすことが重要と考えております。
 万博は万博島というか夢洲で主として行われるわけでございますが、大変狭いところでございますから、多くの海外、国内のお客様をそこだけに閉じ込めるというわけにいきませんので、近畿を中心にして、関西を中心にして、各地に散らばったり、あるいはまた戻ってきたり、そういうことで多くの方々に御利用いただければいいんじゃないか。そのためには必ず道が要るぞと。でないと、そんなところまで行きませんということになってしまうんじゃないか。そういうキャンペーンを張っているわけでございます。
 県としては、円滑に事業が推進されるように、引き続き地元市町と連携して国に協力するとともに、皆様の御協力を得ながら、紀伊半島一周高速道路と有田─南紀田辺間の4車線化を万博までに完成させるという意気込みを持って、大いに掛け声をかけて事業推進を図るよう、国や関係機関に強く働きかけてまいりたいと思っております。
〇議長(岸本 健君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
〇片桐章浩君 お答えをいただきましたので、引き続いて、道路に関する道の駅での子育て応援の取組について質問をさしていただきたいと思います。
 国土交通省からは、道の駅やサービスエリアを子育て応援のための取組、この考え方というのが示されていると思います。
 その趣旨は、少子高齢化社会を迎えた我が国において、子育て世代を応援する、推進する、そういう施策は非常に重要で、高速道路のサービスエリア、道の駅における子育て応援の取組は、高速道路会社、地方自治体と連携しながら、子育て応援施設の整備を加速していく、こういう趣旨のものだと思います。
 この方針は、全国の高速道路のサービスエリアと、国が整備した道の駅を対象としていますが、地方が整備した道の駅も地方自治体と連携して実施する方針に据えていると思います。
 主な整備目標は次のとおりです。24時間利用可能なベビーコーナーの設置、妊婦向け屋根付優先駐車スペースの確保、おむつのばら売り、以上の項目について、令和2年度からおおむね5年以内に半数程度は整備を完了すること、今後新たに整備する箇所については標準装備とすることがうたわれているところであります。加えて、さらなる機能改善として、子供用トイレ、キッズスペースなど、先進事例を共有しながら順次整備を進めることにしています。
 和歌山県では道の駅を35か所設置しており、これは国が整備したもの以外も含めてということになりますが、これらの機能を持たした道の駅になっていないところが見受けられます。5年以内に子育て応援のために整備するためには、今から整備計画を策定して順次実施していく必要があります。
 県内外からお客さんをお迎えするに当たって、子育て応援をしている和歌山県でありたいと願っていますし、そのためには、県と市町村が連携を図り、子育て応援の取組を今から進める必要があると思いますので、全ての道の駅を、できれば早い段階で、この機能を持たせることを目指して取組をすべきだと思います。
 そこで、この道の駅での子育て応援の取組について、応援に資するための整備について、県土整備部長の答弁をお願いしたいと思います。
〇議長(岸本 健君) 県土整備部長庄司 勝君。
  〔庄司 勝君、登壇〕
〇県土整備部長(庄司 勝君) 道の駅での子育て応援の取組についてお答えします。
 議員御指摘の取組につきましては、平成30年9月に、国土交通省が、全国の高速道路のサービスエリアや、国が整備した道の駅における今後の取組方針を取りまとめ、子育て応援施設の整備をおおむね3年以内に完了すると発表したものです。
 加えて、令和元年11月に、新「道の駅」のあり方検討会の提言の中で、あらゆる世代が活躍するための環境を提供する主な取組目標として、2025年までに、全国の道の駅1160駅のうち、50%以上の駅において、24時間利用可能なおむつ交換台や授乳室を備えたベビーコーナーを設置推進するという目標が示されました。これを受けて、和歌山県内の道の駅35駅について、国が管理する8駅のうち3駅においてベビーコーナーの設置が完了しており、5駅において整備が進められていると聞いてございます。
 一方、市町村が管理する道の駅27駅のうち、近年設置した2駅においてはベビーコーナーを設置しましたが、残る25駅においては、現時点で子育て応援の施設整備に取り組めていない状況です。
 つきましては、道の駅を管理する市町村に対し、和歌山県「道の駅」連絡会等を通じて子育て応援の取組の趣旨を説明し、施設の整備を推進するよう働きかけるとともに、県が整備したトイレについては、おむつ交換台の設置等に順次取り組んでまいります。
〇議長(岸本 健君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
〇片桐章浩君 答弁ありがとうございます。
 ぜひ市町村に対して県のほうから働きかけをお願いして、できたらと思っております。
 続いての項目に入ります。
 洋上風力発電について、4項目を質問させていただきたいと思います。
 和歌山県では、洋上風力発電に係るゾーニングマップ及びゾーニング報告書【中間とりまとめ】を公表しています。これは、平成30年度から令和元年度まで自然環境の観点からゾーニングを行ってきた結果を中間取りまとめという形で公表しているものです。
 中間取りまとめによると、「和歌山県では、地域における地球温暖化対策の推進や、新産業の創出が重要な課題であるとの問題意識に基づき、自然環境と調和した形での再生可能エネルギーを活用した電源開発の促進を推進している」と書かれております。
 和歌山県が導入に向けて先進的かつ前向きな取組をしていることがうかがえます。
 和歌山県の姿勢からも分かりますように、洋上風力発電は現在最も期待されている再生可能エネルギーの一つだと思います。
 まず、世界を見てみます。ヨーロッパでは、2019年度末で12か国、110か所、発電能力は約22.1ギガワット、5047基の風車が既に稼働しています。ヨーロッパで導入されているのは、エネルギーの安全保障、地域温暖化防止に加えて、地域振興と雇用創出につながることが大きな理由です。
 特徴的なのは、イギリス、ドイツ、デンマーク、オランダ、そしてベルギーの5か国で、ヨーロッパ全体の99%を占めている点にあり、中でもイギリスは、四方が海に囲まれている利点を生かして導入を拡大しているところであります。驚くべきことに、イギリスのエネルギー自給率は68%と、高い水準にあります。洋上風力発電所は40か所、総発電容量は9.9ギガワット、風車数は2225基、これぐらいの規模で推進をしているところであります。
 四方を海に囲まれている日本としても、先進事例として大変参考になる導入事例だと思います。
 この洋上風力発電の優れている点は次の点にあろうかと思います。まず一つ、陸上よりも風が強く安定していること。二つ、土地や道路の制約がないため、大型風車の導入が比較的容易となり、少ない基数で多くの発電が可能であること。三つ、陸地から離れているため、景観と騒音の影響が小さいこと。四つ、長期的に関連ビジネスを生む可能性が高いこと。以上のような特徴があります。
 再生可能エネルギーの中でも特に洋上風力発電は、調査、部品機械の製造、拠点港での組立て、輸送、設置工事、運営の過程において様々な関連ビジネスがあり、経済波及効果が大きいことが特徴です。
 例えば、先進国のオランダでは、サプライチェーンの形成によって長期安定的な産業需要が生まれているようです。
 国内においても、経済波及効果が算出されております。日本風力発電協会が2030年までに洋上風力発電を10ギガワット導入した場合、初期投資と2030年までの累計導入量に応じた各年度運転維持費用を合わせた直接投資額は約5.7兆円、経済波及効果は約15兆円、雇用創出効果として約9.5万人と予測しております。
 個別に見ますと、港湾において既に洋上風力発電の建設が始まっており、一般海域においても洋上風力発電を導入する計画のある秋田県では、事業規模が400メガワットの洋上風力発電を一般海域で建設した場合、県内企業の参入拡大が図れるとすれば、建設、撤去段階における県内経済への波及効果は約2100億円、雇用創出は約2万人と公表しています。また、運転、保守段階における県内経済への経済波及効果は毎年約50億円、雇用創出は約530人と試算されております。
 同じく導入を計画している山形県では、事業規模が250メガワットの洋上風力発電を一般海域に導入した場合、これも県内企業の参入拡大が図れればという条件付ですが、県内経済への経済波及効果は約534億円、雇用創出効果を4585人と試算しております。
 このような背景があることから、我が国全体では、2020年6月末で約18ギガワットの洋上風力発電の環境影響評価手続が既に進んでいるようであります。
 和歌山県も自然環境保護、社会的な事業環境の観点からゾーニングを行うことで積極的に洋上風力発電を導入しようとしていることは、この中間報告から見ますと、評価すべきことだと思います。
 また、安全性に関しても、巨大地震、津波にも耐えられる安全性を確保していると聞いております。専門家に尋ねたところ、津波が発生したとき、陸地に近いところよりも沖のほうが津波は低く、風車に与える影響は小さいので、安全性は比較的高いという見解を聞かしていただきました。陸上と比較しても優位性があると、こういうことだと思います。
 また、基本的な設計の考え方としては、風車本体は風荷重が支配的であり、地震荷重、津波過重は風荷重より小さいので、地震荷重や津波荷重により風車本体が損傷することは少ない、こういうことが確認されているそうであります。
 ただし、和歌山県として、環境保全を図りながら再生可能エネルギーの導入を両立させるべきなので、地元の方々との共生を図りながら考えていく、これは当然のことだというふうに思います。
 和歌山県の伝統的な産業は、高齢化が進んでいることや後継者が不足していることなどから、このままでは先細りにはなっていくのではないでしょうか。今から将来に備えた収入を確保しなければならないので、新たな産業との組合せを考える必要もあろうかと思います。
 例えば、洋上風力の風車の基礎部が人工魚礁の機能を果たすことから、基礎部の魚礁化を図ること、風車間の海洋空間を活用して養殖施設を設置することなども考えられると思いますから、県内産業と共生関係を築くことは可能だと思います。
 加えて、観光資源としても活用が図れている事例が我が国にはあります。茨城県の次世代エネルギーパークでは、鹿島港内の漁船を利用した洋上風力発電の見学ツアーがあり、見学に訪れる人は年間3000人以上にも及んでいるそうです。地元漁業関係者の共生をしていくためにも必要な取組だと思います。
 そこで、1点目、導入を図ることについての質問になります。
 和歌山県では、長期総合計画に基づき、再生可能エネルギーの先進県を目指しておりますが、中でも、地方創生、経済効果、雇用創出、観光振興などの効果がある洋上風力発電は次世代型の大規模な再生可能エネルギーであり、積極的に導入を図るべきだと思いますが、いかがでしょうか。知事のお考えをお聞かせください。
〇議長(岸本 健君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
〇知事(仁坂吉伸君) 洋上風力発電については、議員御指摘のとおり、既に欧州を中心に導入が大規模に進んでおりまして、私もデンマークとの交流というときに、数年前ですが、行かしていただきました。海という海は風車で埋まっているというような、これが一つの景観なんだなというふうに思いました。もちろん海は鏡のような海でありまして、穏やかそのものの上に、ぶんぶん風車が回っている、こんな感じでありました。
 国内でも、最近、ヨーロッパに後れてではありますが、長崎県とか秋田県とか千葉県で、これから事業が本格的に進もうとしているところだと理解しております。
 洋上風力発電の検討が先行している事例を見ると、開発規模が大きくて自然環境や景観への影響といった課題に加え、漁業や海上交通など社会的な調整が必要な事項も多くなると聞いております。
 和歌山県の周辺海域では、黒潮の流れが速く、浮魚礁が何度も流されるというような苛酷な気象とか海象条件でございます。また、海そのものが観光資源でございますんで、国立公園とか自然公園とか世界遺産からの景観とか、そういうものにも配慮せないかんと。それから、騒音は遠くにあれば大したことはないかもしれませんが、近くにあればこれはちょっといろいろ考えなきゃいけない。それよりも、漁業者の活動とか船舶の往来、これをどう考えるかということが大事な海域に和歌山県はあるわけでございます。
 これらを踏まえますと、洋上風力発電は地球環境の観点から大変いいものでございますが、その立地に関しては、特に和歌山県での立地に関しては、今申し上げましたようなものに支障を及ぼさないようにうまく調整をする必要があるので、あんまりそういうことを考えなくてもいい箇所に比べると、ハードルは非常に高いかなというふうに考えております。
〇議長(岸本 健君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
〇片桐章浩君 知事の答弁をいただきまして、おっしゃるとおりだと思います。地元ファーストでございますし、既存の産業を押し出してまでということは当然駄目だと思います。
 ただ、こういった、和歌山県においては、例えば今答弁を聞きながら思ったんですけど、ロケット発射場に関しても航空とか漁業関係者、航路、こういったものの海域の調整を速やかに条件設定ができた和歌山県でありますから、こういったノウハウを持ちながら少し考えていっていただいたらいかがかなというふうに思ったりもしたところであります。
 そこで、2点目に入ります。
 洋上風力発電に係るゾーニングマップ及びゾーニング報告書【中間とりまとめ】を行っているのは、それでも導入したらいかがかなあという、検討しているところかなというふうに思いますし、これまでも和歌山県洋上風力発電に係るゾーニング検討会というものによって、導入に向けた議論が交わされてきていると思います。
 これまでの検討結果を踏まえて、令和2年度に報告書を完成させる計画だと認識しておりますが、現時点において、和歌山県の検討会では以下のスケジュールが示されております。既に終わったのもあります。令和2年3月、ゾーニングマップ案を公表。令和3年2月頃、普及啓発フォーラムを開催。令和3年3月、事業者向けのゾーニング説明会を開催。令和2年度末にゾーニングマップ最終案を公表する。こういうステップで進んでいくことになろうかと思います。
 これ以降につきましては、「作成したゾーニングマップについて、情報更新を行い、必要に応じてエリアの設定の見直しを行う」としておりますが、県が具体的にどのようにして洋上風力発電を設置しようとしているのかは示されておりません。
 ゾーニングマップが公表された後の手続の流れについて、商工観光労働部長の答弁をお願いいたします。
〇議長(岸本 健君) 商工観光労働部長大山 茂君。
  〔大山 茂君、登壇〕
〇商工観光労働部長(大山 茂君) ゾーニングにつきましては、和歌山県沖において洋上風力発電事業を行おうとする事業者に対し、適正な立地の検討を促すため、2018年度からの3か年間の事業で実施しており、これまで主に自然的条件から評価を行ってきましたが、最終年度の本年度において、海上交通や漁業等の社会的条件に関する調査、検討を行っています。
 ゾーニングマップ完成後の取組についてですが、県民の皆様や漁業関係者など海域の利用者に洋上風力のメリット・デメリットを正しくお伝えする必要があるとともに、事業者に対しては、今回のゾーニング結果を基に、和歌山県沖の海域における自然的条件、社会的条件の課題、懸念事項について個別具体的に十分説明し、正しく理解していただく必要があります。
 なお、2019年4月に施行された再エネ海域利用法では、地方自治体等からの情報提供や地元関係者から成る協議会での検討結果に基づき、具体的に事業を進めていくエリアを国が促進区域として指定するとともに、この区域において、公募に基づき国が事業者を選定することとなっております。
〇議長(岸本 健君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
〇片桐章浩君 それでは、今の答弁に基づきまして、検討中のゾーニングマップにおいては、保全エリア、保全推奨エリア及び調整エリア、三つのエリア区分をしていると思います。これまで実績の多い着床式洋上風力発電は、水深の制限により、保全推奨エリアでしか設置することができないかと思います。
 エリアマップによりますと、保全エリア及び保全推奨エリアも事業実施を規制するものではないとされているので問題はないと考えますが、保全推奨エリアでの事業であったとしても適正があれば進めることができると考えてよいのでしょうか。商工観光労働部長にお尋ねいたします。
〇議長(岸本 健君) 商工観光労働部長。
  〔大山 茂君、登壇〕
〇商工観光労働部長(大山 茂君) 議員御指摘のとおり、比較的水深の浅い海域では、着床式と呼ばれる発電施設の設置が適切であると言われていますが、現在行っているゾーニング調査では、こうした海域の大部分を自然公園法等で開発が規制されている保全エリア、または自然的・社会的条件から保全することが望ましいと考える保全推奨エリアと位置づけているところです。
 本県の保全推奨エリアとなる海域は、自然公園の景観や騒音、漁業者の活動や船舶の往来など多くの懸念事項があるため、事業検討においては非常にハードルが高いものと考えております。
〇議長(岸本 健君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
〇片桐章浩君 それでは、今の答弁に基づきまして、事業化に向けた促進区域指定ということで質問をさせていただきたいと思います。
 保全推奨エリアまたは調整エリア内で複数の事業者が地元との調整を行った場合、和歌山県として、和歌山県の海域が複数の促進区域に指定するために国へ申請──情報提供というんでしょうか──する考えはあるのでしょうか。この点に関しても商工観光労働部長にお尋ねいたします。
〇議長(岸本 健君) 商工観光労働部長。
  〔大山 茂君、登壇〕
〇商工観光労働部長(大山 茂君) 再エネ海域利用法における促進区域につきましては、一つの都道府県で複数の促進区域が指定されている例はありますが、和歌山県の沖合は、自然公園や景観、騒音、漁業者の活動や船舶の往来など多くの懸念事項があると認識しています。
 そのため、それらの課題をクリアし、国に対して促進区域指定に向けた情報提供といった手続を進めることができるかどうか、現時点で判断することは困難です。
〇議長(岸本 健君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
〇片桐章浩君 今も答弁をいただきまして、現時点で判断できないというのは分かる話でありまして、本年度末にゾーニングマップが示されまして、事業者向けの説明会等々のステップに入っていこうかと思います。その辺りをしっかり説明をしていただきまして、適切な取扱いをいただきたいと思いますのと同時に、昨日もちょっと報道されていましたように、グリーン成長戦略、これは政府が目指す2050年の温室効果ガス排出量の実質ゼロに向けた戦略が示されておりまして、これによりますと、洋上風力の発電容量の政府目標、2030年、1000万キロワットだが、2040年には3000万から4500万キロワットを目標にする、こういう導入目標を掲げて、これから国を挙げて取り組もうとしております。こういったグリーン成長戦略の実行計画と併せて、和歌山県としても検討、考えていっていただけたらいかがかなと思いますので、御提案さしていただけたらと思います。
 続きまして、4点目、ハイテク型企業誘致について、質問に入らしていただきたいと思います。
 今議会、本会議の冒頭、知事から、従来の発想を切り替えて、令和3年度は「コロナ禍から経済とくらしを守り切る」、「新しい世界への対応と挑戦」、2本の柱として取り組む方針が示されました。
 コロナ禍を契機とした社会環境の変化を捉え、新しい成果を先取りし、和歌山県の発展につなげていけるよう大規模オフィスの誘致など、和歌山県に企業と人を呼び込むための企業誘致の推進、新しい時代に対応した「デジタル和歌山」の実現、宇宙関連産業など成長分野における新産業の創出や県発展の基盤となるインフラ整備の取組を進めていくことが示されております。
 それを裏づけるように、令和3年度新政策と予算編成方針において、「ポストコロナ時代を見据えた産業、ひと、基盤づくり」では、極めて野心的、戦略的、関西はもとより日本をもリードしていくための考え方が示されているのは歓迎すべきことだと思います。
 生産活動拠点の国内回帰需要を見据えて新たな企業用地を開発すること、南紀白浜空港でのビジネスジェットの受入れの拡大に向けた環境整備に取り組むこと、宇宙・ロケット関連産業など成長分野の企業誘致、集積に取り組み、新しい産業を創出することで和歌山県発展に必要となる基盤整備の強力に推進する決意を示してくれたものと認識しております。
 県勢発展に向けて時宜を得たものであり、県行政として他府県との競争を勝ち抜こうと強い覚悟を示してくれたことから、共に推進、取り組んでまいりたいと考えております。
 ここで日本が参考にすべきだと、先日、紹介、説明してもらった事例があります。これは、中国のシリコンバレー、世界最先端都市と言われている深圳のことです。
 ここには、テンセント、世界のドローン市場でシェアが70%を超えるDJI、通信機器メーカーのHUAWEIなど、世界トップレベルの企業が集積しております。さらに、台湾企業である鴻海精密工業や米国のApple、Microsoftなど多くの企業がここに進出しております。
 理由は様々ですが、その一つとして、経済特区としてハイテク企業に優遇措置を行っているため、全土から優秀な人が集まったことで知識と技術が集積され、設計から製造、組立て、検品、出荷までを市場が求めるスピードでできる仕組みが確立されている。これが要因だというふうにお聞きさしていただきました。
 しかし、昨今の米中貿易摩擦を中心とした米中の関係が悪化していることから、深圳から移転を考えている外国企業があるようだとお聞きしております。そういった企業は、深圳でなくても安全で安心できる国に移転、進出することを検討しているようで、アジアで最も安全で安心な国というのは言うまでもなく我が日本であり、このような国際情勢を酌み取り、和歌山県が受皿として名のりを上げ、先端企業が集積する県を目指すことを提案したいと思います。
 鴻海精密工業の創業者・郭台銘氏は、「今日の世界は大が小を勝つことなく、ただ速いが遅いに打ち勝つことだ」と企業価値について発言しているように、トップが方針を示し、意思決定を早くすることが、現在において競争に打ち勝つことにつながることだと思います。
 その一つである、知事が推進しているロケット産業について、宇宙関連産業の関係者と話合いをする機会を持っている真っただ中の12月6日、はやぶさ2が約6年ぶりに地球に帰還し、喜びに包まれるという出来事がありました。NASAからは、「小惑星から岩石が持ち帰られるのは歴史的だが、初代はやぶさに引き続き、2回も日本が成し遂げたことは称賛に値する。祝福する」、このようにたたえられております。改めて、日本こそ宇宙関連産業にふさわしい国だとの思いをさらに強くしました。
 さて、これも関係者との話合いの中で出てきた話ですが、ロケット発射だけなら宇宙ビジネス全体の10分の1程度の規模にすぎないようで、その工程の前後の企業誘致を進めるほうがいいんではないかと、こういう説明を聞かしていただきました。これらの前後の工程を取り持つ企業を誘致することで、宇宙関連産業が完結とすることになります。ロケット本体の組立て工場、研究施設、人工衛星の組立てや試験工場、教育機関など、和歌山県には大方の宇宙関連産業が集積することを目指してほしいと思います。
 和歌山県が我が国の宇宙関連産業の拠点になれば、ここから技術の移出、製品の輸出につながるので、県内総生産に大きく影響を及ぼすことになります。もちろん人材の育成も同時に目指すことになるので、世界の宇宙関連産業で活躍できる人材を輩出することにもつながります。
 事実、宇宙関連産業に関わる人からは、「産業を集積しようと思ったら、地元で人材が必要となります。いきなり人材をそろえることは無理だと思うので、企業誘致とともに人材育成のための教育機関を同時に設置する必要もありますよ」と、こういう話もいただいております。
 地元の和歌山大学では、宇宙教育が実施できる環境にありますし、人材の育成も十分可能だと思います。これら宇宙関連産業と連携することで研究と実践の機会が得られますから、人材育成の仕組みはつくれるのではないかと思います。
 さらに、アジアでは、数千基単位の人工衛星を打ち上げる計画があることも聞かしていただきました。例えばアジアに衛星携帯電話を普及させるためには、その規模の人工衛星が必要となるようで、そのための発射場が足りていない、このような状況だそうです。日本で可能性のある地域は鹿児島県の内之浦と和歌山県だけなので、誘致の機会は十分過ぎるほどあります。この絶好の機会を逃さないようにしたいと思います。
 この人工衛星がビジネスとして有望なことは、既に世界の企業が参入を表明していることからもうかがい知ることができます。例えばアマゾン・ドット・コムは、人工衛星を使った通信サービスの参入に関して100億ドル、日本円で約1兆400億円を投じて、合計3236基の周回衛星を配備する計画を公表しております。参入の目的は、固定通信回線が届かない山間部でもブロードバンド通信サービスが利用できる環境整備を整えるためだということです。
 和歌山県は関西空港に近接していること、南紀白浜空港があること、これらの優位性を生かして、現在に至るまでも企業誘致を推し進めていますが、さらに推進力を増してくれることを期待しております。宇宙関連産業としての人工衛星、通信携帯端末関連産業の誘致、さらにハイテク産業としての半導体、全国の自治体が熱心に今誘致をしているデータセンター、2030年までに30万トンの利用を目標としている水素製造拠点など、将来有望な企業の誘致にも取り組むべきだと思います。そのためには、企業には保税地域の活用を図ってもらうこと、和歌山県においてはハイテク企業集積のための経済特区申請なども視野に入れていただきたいと思います。
 台湾出身の華僑団体の方からは、「国際経済特区の構築など、ハイテクの外資企業誘致環境が整えば進出に協力していくので、和歌山県がリーダーシップを取ってください。中でも宇宙関連産業に関しては、和歌山県のリーダーシップを期待しています。ロケットビジネスは、和歌山県と鹿児島県だけが機会を持っているのです。もし和歌山県がやらなければ、日本ではなく、アジアの国で産業集積することになります」と、こういう話も聞かしていただいております。
 そこで、和歌山県として、宇宙関連産業などの企業誘致を図るお考えについて、知事にお尋ねしたいと思います。
〇議長(岸本 健君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
〇知事(仁坂吉伸君) 誠に御指摘のとおりだというふうに思っております。
 県では、これまでも新たな産業の創出による地域経済の振興と雇用の創出を目指して、ICT企業や最先端の設備を有する製造工場などの企業誘致を推進してまいりました。
 こうした中、串本町にロケット発射場ができることを契機として、海外企業も含めた宇宙関連産業の集積に向けた機運が高まるものと考えております。
 ロケット発射場は、本州最南端という立地条件がむしろ利点になることに着目して誘致活動を行った結果、串本町において日本初の民間ロケット発射場「スペースポート紀伊」の立地が決定し、令和3年度中の初打ち上げに向けて建設工事が着々と進められております。
 また、10月に、衛星工学の第一人者等を招いて開催した「宇宙シンポジウムin串本」では、募集開始後すぐに定員に達したことからも、多くの方々からの期待と関心の高さがうかがえます。
 小型化が進む人工衛星は、農林水産業や防災、エネルギー事業など多くの分野で利用が始まっておりまして、これからの世界を変えるようなビジネスの展開が予想され、今後、小型衛星の製造、打ち上げの数が増大し、急速な市場成長が見込まれております。
 これまで小型衛星を宇宙空間に運ぶ打ち上げビジネスは、JAXA等による大型ロケットへの相乗りが中心でございましたが、衛星事業者のニーズに応じてタイムリーに打ち上げることが可能となる小型ロケットによる事業を行っていくのが一番よろしいと。そのよろしいことをやっておるのは現在は米国企業1社だけでございまして、「スペースポート紀伊」が多分2番目になるんじゃないか。これへの世界的な期待は大きいと思います。
 衛星関連企業にとってロケット発射場に近いことは大きなメリットでありまして、さらに、和歌山県は南紀白浜空港を有しておりますし、今後、紀伊半島一周高速道路の整備が進んでいくと、実は名古屋と大阪に大変近いところでもあるわけでございます。県では、もちろん既存のいろんなところの企業用地の活用などはやっていかないといけませんけれども、一方では、この宇宙関連ビジネスをできるだけ集めていきたいというふうな野心を持って、それで初めからこのロケット発射場の誘致の際にも、それを実現できるようにするにはどうしたらいいかというのをちょっと考えて、あんまり無理を言うとナンセンスになるんですが、努力をしてきたわけでございます。
 具体的に言うと、議員御指摘のように、前後の裾野産業、これが期待されるわけですが、そのためには、発射場の近くに常時スペースワンを中心とするような企業の方々がいて、それで、いつもいるので、その人たちと打合せをしたり、いろいろなすり合わせをしたりするときには、地元で立地したほうが楽だなあとか便利だなあというようになるようにしたい。したがって、常時いる部隊を多くするようにいろいろお願いをして、大体60人ぐらいはいるようにしたいというような意向も聞いているわけでございます。これはもちろん第1陣というか今の計画でございますんで、さらにこれがもっと発展して、二つ目、三つ目とかなんかいうことになると、これはもっと大きくなるということで、期待が持てるわけでございます。
 もちろんハイテクは宇宙だけではございませんので、新しい世界として東京一極集中がなくなるから、なくなるというかちょっと衰えてくるから、ITを中心とするようなハイテク企業が、特にオフィス系が展開を始めるだろうなあと。あるいは製造業の国内回帰もある程度進むかもしれない。そんなことを狙って、今はチャンスだから頑張らないといけないと、6月議会ぐらいからずっと申し上げてきたことでございます。
 ただ、ぼうっとしておると東京の外延的な拡散だけに終わってしまう可能性があり、最近は今のようなことをよそも気がつき始めて、負けないように頑張っていかないといけないので、全力を挙げなきゃいかんなというふうに思っておる次第でございます。
〇議長(岸本 健君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
〇片桐章浩君 知事の答弁をいただきましたので以上にさしていただきますけども、ちょっと補足と言うたらおかしいですけども、今の宇宙に関して、昨夜、米国とリモート会議をしたのが日米スペース・パートナーシップというところの会議だったんですけど、その中で情報が一つありまして、これ、我が県がオレンジパートナーシップ協定をしているフロリダ州に、もちろんここはケネディ・スペース・センターがあるわけなんですけども、ここにペンサコーラ海軍航空博物館というのがございまして、ここにはフライトアカデミーといって世界でたった一つだけの青少年の教育施設というのがあるそうです。未来の飛行・宇宙関係に向かう若者を育てるすばらしい施設ですので、ぜひこういった教育機関とも、これ、教育機関もやっぱり裾野の一つだと思いますので、ぜひこういったところとも連携というんでしょうか、教育の中で連携を図っていただいて、ぜひ全ての工程を和歌山県が取る、そういう覚悟で取り組んでいただければありがたいかなと思います。
 それでは、以上をもちまして一般質問を終わらしていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(岸本 健君) 以上で、片桐章浩君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 40番奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕(拍手)
〇奥村規子君 皆さん、おはようございます。
 質問に入る前に、一言御挨拶を申し上げたいと思います。
 新型コロナウイルスの感染、ちょうど昨年12月に中国の武漢から発生し、そして1年がたとうとしています。こういった中で、日本においても1波、2波、3波というような状況で、毎日、新型コロナウイルス感染症の報道も、過去最高というようなことが報道されている中で、本当に私たちの日々の命と暮らしが大変な状況になっている中で、毎日奮闘されている全ての皆さんに敬意と感謝を申し上げたいと思っています。
 また、残念ながら、人生の中で突然命が絶たれまして、本当にどのような形で苦しい思いをされていたかなあと、そういったことも思います。家族の方々は日々そのことが、最期を見送ることもできずに、その思いがずっと引きずられている中で日々を過ごされていると思います。そういった皆さんにも、亡くなられた皆さんにお悔やみと、そして、今、療養されている皆さんが早く元気になられることを願って、質問させていただきたいと思います。
 加えて、今朝は資料提供いただいて、高病原性鳥インフルエンザがまた発生をしたということで、その迅速な対応に本当に敬意を表したいと思います。今日も、深夜、今朝までずっと殺処分に当たられた職員の方、8時前には殺処分が完了したということもお聞きしました。これから私たちにどのようなことが起こってくるか分からない中で、本当に、自身の力はもちろんなんですが、行政のあるべき姿も示しているのではないかなあと思っています。
 そういった点からも含めて、これから2点にわたって質問をさせていただきますが、御答弁のほどよろしくお願い申し上げます。
 それでは、議長のお許しを得ましたので、通告に従って2点について質問をさせていただきたいと思います。
 新型コロナウイルス感染症対策について。
 一つ目です。
 新型コロナウイルスの感染が県内でも急拡大しています。まず、感染者の入院体制についてお伺いをしたいと思います。
 厚生労働省は、12月2日時点でございますが、新型コロナの病床使用率は18都道府県で25%を超えており、その後も、大阪、北海道、兵庫など逼迫した状況となっています。重症病床も、12月5日時点で、7都府県で使用率20%以上とされています。
 そこで、県の現時点の入院病床の確保状況と、すぐに入院可能な実運用数、そして実運用数に対して入院患者数はどのようになっているか、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
〇議長(岸本 健君) ただいまの奥村規子君の質問に対する答弁を求めます。
 福祉保健部長宮本浩之君。
  〔宮本浩之君、登壇〕
〇福祉保健部長(宮本浩之君) 県内で初めて感染者が確認された当初、32床の感染症病床を確保していましたが、その後の感染拡大を受け、医療機関への協力要請により順次病床数を拡大してきたところです。
 現状では、約230床の受入れ病床を確保しているところですが、今後のさらなる感染拡大に備え、重症用病床40床を含む最大400床まで拡大できる体制を構築しています。
 12月9日時点の入院患者数は71名で、実運用病床に対する入院患者数は約30%となっています。
 なお、今後のさらなる感染の拡大に備え、県内医療機関の一層の協力をいただき、今議会にさらに70床を増床するための補正予算案をお願いしているところです。
〇議長(岸本 健君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
〇奥村規子君 今、病床確保の現状についてお答えいただきました。
 この病床確保についても、いろいろな病院の状況、また看護師さん、医師、医療スタッフの状況なども含めて調整が、努力されるのに困難な状況やというふうに思います。
 こういった中で、やはり今後感染が拡大し、現在400床まで拡大できる体制を構築と言われたんですが、これも限度があるベッド数だと思います。
 そういった状況の中でも、やはり拡大を抑えていくということが改めて大事なことだというふうに思いますし、現在ある病床をこういった感染患者さんを受け入れていくということでの体制的にも現場としてはやりくりをするというような状況で、こういったやりくりが、もともと医療スタッフ、看護師体制にゆとりがない、厳しい状況だという中で、こういう感染症を受け入れていかないといけないということでは、想像できる状況がございます。
 そういった点で、ぜひともこの問題では検査体制などを充実させて、本当に感染症を防いでいくというような状況が大事で、医療崩壊に結びついていかないような努力をぜひやっていかなければいけないなというふうに思います。
 こういった状況の中で、さらに2番目に質問をさせていただきたいと思います。
 入院病床の状況についてお答えいただいたわけですが、病床を確保するためには、全国的にもそうですが、医療現場での人員、特に看護師の増員が急務になっています。また、新型コロナの患者の入院を受け入れた病院に対する財政的な支援が必要です。
 現場からの声は、「重症患者への診療報酬は通常の3倍となっています。人手もかかり、機材も必要ですから、5倍ぐらいが適切な水準ではないか」と言われている方もいらっしゃいます。
 ある病院では、軽症者を受け入れることになっているところがあります。高齢者の場合は特に、昨日、長坂議員のほうからも認知症の患者さんへの対応などの問題もリアルに出されましたが、そういった点でもお世話の必要度が高い人がございます。その場合は、人手を非常に要する中で、こういった現在の空床確保の場合、5万2000円の補助がありますが、感染患者を受け入れても、診療報酬分と1万6000円の加算はあるものの、ほぼ同等額にしかならない状況が訴えられています。
 新型コロナの患者を受け入れることで、ほかの患者さんの受診抑制にもつながり、それによって減収も起こっています。
 こうした病院経営の状況から見ても、医療従事者の年末一時金が前年より削減されているところが多いということもお聞きをしました。緊張感の中で懸命に感染者への対応をされている医療従事者にしわ寄せが行っていると思います。
 新型コロナの入院患者を受け入れることによって経営が大変となっている病院に対して、県としてどのような支援を行っているのか、福祉保健部長にお尋ねいたします。
〇議長(岸本 健君) 福祉保健部長。
  〔宮本浩之君、登壇〕
〇福祉保健部長(宮本浩之君) 新型コロナウイルス感染症患者の入院病床を確保するためには、病院においては、感染者の受入れに備え、病床を常に空床のまま確保しておく必要があることから、国において、病床確保に係る支援策が講じられています。
 また、実際に感染症患者を受け入れた場合には、手厚い人員配置や多くの医療資材などが必要となることから、診療報酬上の臨時的な取扱いとして、重症、中等症の診療報酬額が大幅に引き上げられたところです。
 県では、国の支援が薄い軽症患者を受け入れる医療機関に対しても他と同等の支援が必要であると考え、県独自で国基準単価との差額を上乗せしているところです。
 さらに、感染初期の段階から日夜緊張の続く現場で働く医療従事者に対し、特別手当を支給する医療機関への財政支援を行っているところです。
〇議長(岸本 健君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
〇奥村規子君 今答弁をいただきました。
 医療現場では、もともと医師や看護師不足の状況があったという、そんなところにこの新型コロナの対応が求められています。現場は本当に一層大変な状況になっているわけですが、そういったところに人員増と経営への支援なしには、入院体制の確保も診療・検査医療機関の確保も進まない状況だと思います。
 病院、医療機関への県独自の支援をされていると、今、御答弁いただきました。さらに拡充をされるよう求めるものです。今の現場の実態を十分に把握していただきながら、そのことをぜひ国に求めることと、また、県としてさらに拡充していくことをお願いして、次の質問に行かせていただきます。
 現場で頑張っている医療従事者は、感染抑止に細心の注意を払いながら緊張感を持って業務に当たっています。この方々の心のケアのために、専門家の派遣や相談体制など、県として支援が必要ではないかと考えます。
 この点での県のお考えをお聞きしたいと思います。福祉保健部長にお尋ねいたします。
〇議長(岸本 健君) 福祉保健部長。
  〔宮本浩之君、登壇〕
〇福祉保健部長(宮本浩之君) 新型コロナ感染症患者への対応が長期化する中、日々業務に当たられている医療従事者の心理的負担は増加しているものと思われます。
 各医療機関が従業員の健康管理としてメンタルヘルス相談等を実施する場合は、国の交付金を活用した医療機関等の感染拡大防止対策事業の支援対象となっており、県では、積極的に当該事業が活用されるよう、医療機関に働きかけています。
 加えて、県単独でも、県精神保健福祉センターで、新型コロナに感染された方やその家族をはじめ県民の皆様からの心のケアに関する相談を受け付けており、過度の緊張やストレスにさらされている医療従事者に対しましても、積極的に相談窓口を活用するよう周知に努めております。
 県としては、今後も、県医師会及び県病院協会と協力しながら、医療従事者の心理的負担の軽減に取り組む医療機関を支援してまいります。
〇議長(岸本 健君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
〇奥村規子君 今のケアに対するいろんな医療従事者の心理的な負担に対してのお答えをしていただいたんですが、やはり病院の要請があったりとかというようなことだけではなくて、ぜひ県としても、そういった面での専門家の派遣などぜひ検討され、また相談の受付については、さらに周知をしっかりしていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 この医療従事者の負担を軽減するために、そういった取組と併せて、日々毎日、今、奮闘されている中で、宿泊所支援制度についてという問題が、一昨日、谷口議員のほうからも質問されていましたので、重ねて質問ということではないんですけども、この点について条件の見直しも含めてさらに検討をしていただきたいという要望をさせていただきたいんですが、この制度は、県のほうにお尋ねしたら11月末時点で延べ57日利用されているというようなことだったんですが、非常にこれは少ないんじゃないかなあと。本来、もっと利用したいなと思われてる方がいらっしゃると思うんです。
 制度については、感染症対策に従事した当日しか宿泊できないということになっていると思うんですが、また原則として、前日の17時までに予約を取らなければ使えないというようなことにもなっているということです。
 こういった点で、非常に現場からの御要望、声をいただくんですけども、突然にやっぱりシフト、勤務表が変わったり、感染者の方の受入れというのがいつ何どきというのは分からない状況の中で、非常に勤務が変わったりします。そういったときに、非常に利用がしにくい。宿泊所にお尋ねすると、申込みをしてください、予約してくださいということで、利用できなかったという、そういった声が幾つか聞かれています。
 また、この宿泊所支援制度ということをさらに今の看護師不足という中で、先ほども新型コロナの対応をしてということが二重、三重にあるんですが、さらに御家庭の事情で小さいお子さんがいたり、御病気の同居の家族がいらっしゃったり、またいろいろそういう事情の中で、家に帰ってこないでというようなことを言われることも非常につらいという、そういう思いもお聞きするんです。
 そういった面で、やはり日々の労働環境をよりよくしていくという観点からも、しっかりとこういう宿泊所の支援制度というのを現場の要望もしっかり取り入れて広げていっていただきたいなという思いで、そういった点も含めて一昨日の質問の中では答えていただいてるかと思うんですが、ぜひともよろしくお願いしたいと思います。
 次に、四つ目ですけども、地域外来・検査センターの設置を含めた県内の相談・診療・検査体制についてお尋ねします。
 11月1日からの相談・診療・検査体制の見直しについて、インフルエンザとの同時流行に備え、かかりつけ医など地域で身近な医療機関から県が診療・検査医療機関を指定し、その医療機関では診療や検体採取を行うという体制が取られています。
 また、発熱患者を診ない、または検査しない医療機関が紹介するとしている地域外来・検査センターについても、他府県では設置されています。
 本県における地域外来・検査センターの設置を含めた県内の相談・診療・検査体制についてお伺いします。福祉保健部長にお尋ねいたします。
〇議長(岸本 健君) 福祉保健部長。
  〔宮本浩之君、登壇〕
〇福祉保健部長(宮本浩之君) 季節性インフルエンザと新型コロナウイルス感染症を臨床的に鑑別することは困難であることから、県においては、両方の検査を実施することができる医療機関の確保に努めてきたところです。
 インフルエンザの流行期を見据え、国の方針が変更され、従来必要とされた保健所の判断を待つことなく、医師の判断により自院での検査が可能となったことから、より効率的に検査を受けることができるようになっています。
 具体的には、発熱等の症状がある方は、まず、かかりつけ医等の地域で身近な医療機関に電話で相談を行っていただくと、検査が可能となる診療・検査医療機関を紹介できる体制を構築するとともに、かかりつけ医がない場合には、県の相談窓口等で紹介する仕組みを設け、11月1日から運用を開始しているところです。
 また、12月1日現在、自院で診療、検体採取が可能となる医療機関を診療・検査医療機関として317か所の指定を行っているほか、かかりつけ医からの紹介を受け、検体採取のみを行う地域外来・検査センターは2か所設置されています。
 引き続き、県民の皆様が安心して医療機関を受診できる体制の強化に努めてまいります。
〇議長(岸本 健君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
〇奥村規子君 今、御答弁いただいて、県内で指定されている診療・検査医療機関は317か所、地域外来・検査センターは2か所ということでした。
 地域での医師会や医療機関の協力で、さらに地域に応じた地域外来・検査センターを設けることをぜひ検討していただきたく、よろしくお願いして、また、5番目に行かせていただきたいと思います。
 県は、県内で新型コロナウイルスに感染して入院し、その後退院した人の約半数に後遺症と見られる症状があったとの調査結果を発表しました。退院から2か月以上たった人のうち、約3割の方が体調が回復されていないと回答し、退院して5か月以上症状が残っている方もあるということです。
 私の知り合いの元同僚の方からもお聞きしたんですけど、中には、「一生、新型コロナと付き合っていかなければいけない。いつ、どのようなことになるかも分からない」と不安が付きまとっていて、鬱状態を引き起こしている人もあるということです。この後遺症に対しての対応や対策はどのようにお考えでしょうか。福祉保健部長にお尋ねいたします。
〇議長(岸本 健君) 福祉保健部長。
  〔宮本浩之君、登壇〕
〇福祉保健部長(宮本浩之君) 本県では、新型コロナウイルス感染症患者の退院後の症状や生活状況等を把握し、予防の重要性や感染症への理解を深めるための啓発や対策につなげることを目的として、全国に先駆けて、9月中旬に、退院後2週間以上経過した方を対象にアンケート調査を実施しました。調査結果では、回答者の約46%の方から、嗅覚障害や倦怠感、呼吸困難感や脱毛など、退院後も残存する何らかの症状があると回答があったところです。
 感染症患者の退院後のケアについて、国の基準では、4週間、自身での健康観察を行うこととなっていますが、本県においては、退院後の症状や心身の健康状態を把握するため、県独自の運用として、保健所による2週間の健康観察を行っているところです。
 さらに、2週間経過後についても、健康面に不調がある場合は、保健所での健康相談のほか、症状に応じた専門の医療機関への受診を促すなどの対応を行っています。
 新型コロナウイルス感染症については、感染症に対する理解を深め、罹患しないよう感染予防を啓発することが何よりも重要であることから、県においては、今回の調査結果を医療機関に情報提供するとともに、引き続き、県民への呼びかけや、広報、チラシ等による周知に努めてまいります。
〇議長(岸本 健君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
〇奥村規子君 この点でも保健所の役割が非常に発揮していらっしゃるんじゃないかというふうにお聞きいたしました。
 12月10日13時時点では、感染者数の累計は538人と。感染症患者の方のその後について、保健所のやはり体制を強化して、状況の把握や相談に取り組まれるよう要望をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 大項目の2番目に行かせていただきます。
 カジノを含むIR誘致についてお尋ねをします。
 今、何よりもまず優先すべきなのは、先ほどからお聞きしたように、新型コロナの感染拡大を抑えて、検査、診療体制を整備することであり、県として、人の配置もお金もカジノ誘致につぎ込むことはやめ、新型コロナ対策に回すべきだと考える立場から御質問をしたいと思います。
 県は、誘致に向かって、国の基本方針改定案を受けて県のIR設置運営事業実施方針案を見直し、事業者の選定、さらには協定に進もうとしています。そのIR計画の危険性と県の将来にわたる負担についてお尋ねをします。
 一つ目は、IR候補地における地震・津波対策についてお尋ねをいたします。
 南海、東南海、東海の3連動地震の発生について、今後30年間に70から80%と評価されています。県はカジノの開業を2026年と予定しているようですが、そうなれば、事業期間の40年の間に大きな地震と津波が発生して、県土の海岸部に大きな被害を与えることが心配されます。
 和歌山マリーナシティは、陸と2本の橋で結ばれているだけです。津波の高さは実際は何メートルになるかは分かりませんが、和歌山マリーナシティから陸に向かって大勢の人が避難しなければなりません。
 今年8月に湯浅町で業者が行った、IR施設に来るとすれば、1日当たり平均で3万5000人ということになります。それほどの人数が和歌山マリーナシティにいるときに大津波が襲来すれば、人命の安全を守るための対策が取れるのか、心配するのは当然だと思います。
 そして、被災したIR施設、カジノ施設の復旧に県民の税金がつぎ込まれるような事態は避けなければならないと考えます。
 県土全体に地震と津波の被害が広がっているときに、県財政をカジノ業者への支援に使われるような可能性がある協定は結ぶべきではありません。
 そこで、お聞きします。
 3連動地震や南海トラフ地震が発生した場合に、県はIRを来訪する人々の命を守る責任があると思いますが、そのために事業者に求めている条件は何でしょうか。防災対策、避難体制について、計画の中でどう義務づけていくのか、お聞きをいたします。企画部長にお尋ねいたします。
〇議長(岸本 健君) 企画部長田嶋久嗣君。
  〔田嶋久嗣君、登壇〕
〇企画部長(田嶋久嗣君) IRの誘致候補地である和歌山マリーナシティは、3連動地震や南海トラフ地震発生時に津波による浸水被害を一定程度受けることが想定されていることから、本県では、募集要項において、特定複合観光施設の設置及び運営については、南海トラフ巨大地震等自然災害に対して強靱かつ「津波による死者ゼロ」を充足する施設及び運営とすることを事業者に求めており、当該条件に即した提案が事業者からなされるものと考えております。
 なお、事業者の提案を踏まえた防災体制、避難体制につきましては、区域整備計画に記載することでその確実な履行を義務づけてまいります。
〇議長(岸本 健君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
〇奥村規子君 今、企画部長のほうから答弁をいただき、「津波による死者ゼロ」を充足する施設を求めるということでしたが、どういう施設なのでしょうか。
 また、集客人数は1日3万5000人といえば、旧海南市の人口にも及ぶほどの人数だと思います。果たしてどういう避難体制を取るのでしょうか。大変心配されるところです。
 また、災害で被害を被った場合などについて、「IR事業者は、不可抗力によって和歌山IRの全部又は一部を実施することができなくなった場合、和歌山県に対して速やかに通知するとともに、復旧に向けて協議する。和歌山県は、IR事業者による復旧及び継続に最大限協力する」となっています。この点についても心配するところです。県が復旧継続に最大限努力するということは、県財政からカジノの復旧継続に税金が投入されるということではないでしょうか。企画部長に御答弁を求めます。
〇議長(岸本 健君) 企画部長。
  〔田嶋久嗣君、登壇〕
〇企画部長(田嶋久嗣君) 今、議員の御質問にありました復旧に最大限協力するということなんですけども、例えば和歌山マリーナシティが津波を受けて公共岸壁が壊れてしまうであるとか、二つの橋が落ちてしまう、道路が損傷を受けるといった場合に、当然IR事業だけでなくて、あそこには人も住んでおられますんで、そういったところに対して復旧のため財政負担が生じる、こういったことを意味しております。
〇議長(岸本 健君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
〇奥村規子君 2番目に、実施方針案の中で事業期間が40年間とされています。IR区域整備法では、国土交通大臣による区域整備計画の認定の有効期間は、初めは10年であり、その後は5年とされています。そして、更新に当たっては、最初の認定時と同じく、県議会の議決や立地市町村の同意を得なければならないとされています。そうでありながら事業期間を県は40年とした理由についてお尋ねいたします。企画部長にお尋ねいたします。
〇議長(岸本 健君) 企画部長。
  〔田嶋久嗣君、登壇〕
〇企画部長(田嶋久嗣君) 国の基本方針案では、IR誘致を行う都道府県において、長期間にわたって安定的で継続的なIRの運営を確保することが極めて重要な前提条件であるとされております。
 本県の実施協定期間については、海外における先進事例、他のIR誘致候補地における実施協定期間等を参考に検討を行いました。
 まず、海外における先進事例ですが、日本とは制度が異なるため一概に比較はできないものの、巨大な複合観光施設であるIRの建設には多額の初期投資が必要となり、その投資回収に一定の期間を要することなどから、例えばシンガポールでは土地の賃借権が60年、営業権が30年とされています。
 また、他のIR誘致候補地である大阪、長崎の実施方針案では、実施協定期間を35年間と定めております。
 これらの諸要素を勘案し、実施方針案において実施協定期間を40年間とお示ししたところです。
〇議長(岸本 健君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
〇奥村規子君 次に、県の財政負担についてお尋ねいたします。
 40年間の事業期間中にIR事業を中止せざるを得ない事由などが起こった場合に、県は財政負担を行うのかという問題です。
 先ほど挙げた国の基本方針案では、IR事業の継続が困難となる事由として、「IR事業の業績不振、カジノ事業の免許が取得又は更新できない場合、国土交通大臣による区域整備計画の認定が取り消される場合又は認定の更新がなされない場合、災害の発生等が考えられる」として、「これらの想定される事由をできる限り具体的かつ網羅的に列挙した上で、それぞれの場合に都道府県等及びIR事業者が採るべき措置を定めておくことが求められる」としています。
 IR事業を中止せざるを得ない事由が起こった場合を列挙して、それぞれの措置を決めておくことが必要だとされていると思います。その中には、区域整備計画の更新に際して、議会の議決や立地市の同意なくして更新されない場合もどう補償するのかということも含まれています。
 ところが、実施方針では、「和歌山IRの継続が困難となった場合の措置の詳細は、資産の処分方法も含め実施協定書(案)において示す」とされています。またリスクの分担の在り方についての項でも、「詳細については実施協定書(案)に示す」となっています。
 実施協定書案の開示をお願いしましたところ、全く1ページも明らかにされていませんから、これについて県としての考えをお聞きします。
 IR事業を中止せざるを得ない事由が起こった場合に、それぞれの事由によって県は財政負担を行うことがあるのかどうか、お尋ねをいたします。企画部長にお聞きいたします。
〇議長(岸本 健君) 企画部長。
  〔田嶋久嗣君、登壇〕
〇企画部長(田嶋久嗣君) 実施方針案では、「和歌山IRにおけるリスクは、実施協定等に特段の定めのない限り、IR事業者が負う」としています。議員の御質問にありました例えばIR事業の不振であるとか、カジノの免許が取れないとか、大部分の場合はもう全てIR事業者にリスクを負えと、そういうふうに書いておるわけです。
 ただ、例外的に和歌山県がリスクを分担することがある場合として、不可抗力事象が発生した場合並びに法令等変更及び特定条例等変更が行われた場合について記載しております。
 まず、和歌山県及びIR事業者のいずれの責めに帰すことができない自然災害または騒乱、暴動、その他の人為的な事象であって、和歌山IRの実施に直接かつ不利な影響を与える等、いわゆる不可抗力事象が発生した場合、この場合も原則として、IR事業者に生じた損害は事業者自らが負担することとしています。
 ただ、先ほど議員の御質問にありましたように、本県では、このような場合、IR事業者による復旧及び継続に最大限協力することとしており、事象によっては先ほど御説明したような合理的な範囲で財政負担が生じる可能性がございます。
 次に、法令等が変更された場合、例えば国がIR推進の方針を変更し、IR制度を廃止するなどの法律の新設等が行われ、和歌山県またはIR事業者に損失が生じた場合には、IR事業者が投資した費用については事業者が、県が投じた費用については県がおのおの負担すると、そういったことになります。
 また、県の方針転換、つまりIRが県とIR事業者が共同で作成した区域整備計画に基づき順調に運営されており、IR事業者に何ら瑕疵がないにもかかわらず、県が一方的にIR事業を継続できないような条例を制定することなどにより、IR事業者に損失が生じた場合には、こういった場合にはやはりIR事業者に全く責めがないわけですから、県が一定の財政負担を行うというふうに書いております。
〇議長(岸本 健君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
〇奥村規子君 今、企画部長のほうから答弁をいただいて、県が財政負担を行う場合もあるという答弁だったと思います。区域認定を更新しない場合には事業者の損失を補償するとなると、計り知れない県の財政負担になるんではないでしょうか。この点についても県民にきちんと説明をすべきではないかと思います。
 そして、実施方針案には明記せず、実際は県の負担を想定しているような計画はやめておくべきだということを指摘をして、次の質問に行かせていただきたいと思います。
 次は、最後の項目ですが、知事にお尋ねいたします。
 県は、県民への説明会で、IR誘致について、経済波及効果や人口減少抑制の効果などを説明されてきました。9月議会において、市民団体からカジノ反対の署名が届けられたことについて、知事は「反対している人も代わりに再興策を示さないと、一人前の意見とは言えない」と発言をされました。
 これまでも繰り返してきましたが、刑法で賭博行為が禁止されており、公益性を口実にカジノが解禁されたとしても、その害悪はなくなるものではありません。反対する人は、安心して住める地域という願いと対立するものとしてカジノを捉えているのです。「再興策を示さないと、一人前の意見とは言えない」というのは、カジノを経済振興の1方法としてしか見ず、その危険性をまともに見ない、すり替えではないでしょうか。カジノに反対する県民の意見を切って捨てるような態度は、県民の間に分断を持ち込むことになるのではないかと思います。その発言の撤回を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。知事にお尋ねいたします。
〇議長(岸本 健君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
〇知事(仁坂吉伸君) 県では、これまでシンポジウムや説明会等でIRに関する正確な情報をお伝えするとともに、IR誘致に反対されている方々の意見にも真摯に耳を傾け、寄せられた疑問や質問に対しても誠実に対応し、お答えし、御不安や御懸念を払拭するための手だてを十分に取ることを具体的に説明してきたところであります。
 また、頂いた署名については、賛成・反対にかかわらず、県民の皆様の御意思であり、もとより謙虚に受け止めているところでございます。また、この議会をはじめ、あらゆるところの議論に対しても、頭ごなしに聞かないなどというようなことを言った覚えは全くないし、そういうつもりもございません。
 9月議会で奥村議員に対して申し上げたのは、どうしても反対だと心に固く決めていて、社会的リスクを排除するための手だてを十分に取ることを何度説明しても、県の危険予防措置などの説明のどの部分に問題があって、なぜ理解できないのか、どこが間違っているのか、どこが不十分なのか、そういうことを具体的に説明していただかない方々に対して、これはどうしようもないなあと感じることがございます。そういう具体的なことをおっしゃらないで、とにかく自分は納得できない、説明不足だというばかりに見えるような方は困ったなあというふうに思っておるわけです。
 例えば、先ほどの田嶋部長の県負担の答弁がありました。これを聞いた後にもかかわらず、全くお聞きになっておられなかったかのような御発言がありましたが、これはどうかなあというふうに思っておるわけでございます。こういうようなときは、困ったなあというふうに私は思っております。
 また、IRも和歌山を発展させるための政策の一つでございますから、IRでない方法で和歌山を発展させたいとのお考えであれば、これは、IRに代わって雇用や将来の生活を守り、県の将来の発展に通じる代替案があればぜひ意見を頂戴したいという趣旨であって、今でもそのように思っております。
 和歌山県の将来を考えたら、当然全ての人が考慮しないといけないことを指摘したのが何でいけないことなのかなあというふうに私は思いまして、これを撤回しろというんであれば、和歌山の将来を構想するなと言ってるのと同じでございますので、ここまでお聞きになったら、良識ある奥村議員は撤回しろというのを撤回されるのではないか、そんなふうに考えます。
 もうちょっと具体的に申し上げますと、奥村議員は、今、御発言で、IRのカジノ、これは刑法で賭博行為が禁止されておりということで論理を展開されました。賢明な奥村議員は違うというふうに私は信じますが、現に、IR整備法で認められたものは刑法の禁止の対象外なんですよということを国会で議決された法律で決まっておるということを全く理解しないで、私に現に、刑法違反はやめなさいとかなんかいうことを言ってこられる人がいらっしゃるなどはその一例なんでございます。
 また、最後に、危険性をまともに見ない、すり替えだというふうにおっしゃいましたけども、私たちは人後に落ちないほど、何もしないと危ない、賭け事は何もしないと危ないということについてまともに見ているからこそ、こういう工夫を法律ではされていますから、かなりいいですよとか、あるいは、県では、それにプラスアルファしてこういう運営でやりますから完璧ですよとか、世界一の水準だと思われるような危険予防策を考えて提案、発表して、何度も説明をしてるわけですが、いきなり、すり替えでけしからんと言われたら、ちょっと立つ瀬がないなあというふうに思うわけでございます。
 なお、一人前という言葉を申し上げました。これは、県知事である私とか、県の将来を考えられる県議会の議員さんとか、そういう方はやっぱりそういうことを一人前でなけりゃいけないということが求められると私は思います。ただ、県民の一人一人が全部同じことを求められるというわけではないと私も思います。したがって、反対をしてはいけないなどということは言っておりません。ただ、その際も、繰り返しになりますが、県の提案のどこが間違っておるか、どこが不十分だったのか、これ、おかしいじゃないかというようなことをぜひ具体的に言ってほしいんだけどなあというふうに強く願望しております。
〇議長(岸本 健君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
〇奥村規子君 やはり知事という立場からいえば、県民の暮らしと健康を守り、安全・安心な道で県経済を発展させる、そういう立場に立って、そして力を合わせて探求をしていくというのが、私は地方自治体の長としての在り方ではないかというふうに思っているわけです。
 国が、そういったことで、これまでは刑法で賭博行為が禁止されていたということで、それを国会で法律になったからということで言われますが、そういうことでいえば、和歌山県の地方政治をそういう県民の今の状況に対してその方向がいいのかどうか、それをしっかりと知事として、やはり県民と対話をしていくということが大事ではないかと思います。
 人口の問題とか、若者が流出するとか、それはこれまでにいろいろと、これからもし続けていかないといけないし、こういったことは非常に時間がかかり、また、健全なやり方を進めていくということを県民が望んでいるという部分も多くあると思うんです。
 そういう意味を含めて、反対だという方たちの意見をしっかりと尊重していってくれるというお話でしたので、その意見をさらに深めていく姿勢をぜひとも持っていただきたいなあと思っています。
 私たちは、ここで再興策を示さないとということを言ったのは、私にも知事が言うてることですよね。そういう意味では、私としては、和歌山県政の検証ということで県議団としても、こういったふうにこれまでの政策について、また一番はやっぱり予算要望の中で表してきたと思うんです。そういう意味では今後とも、知事がせっかくおっしゃってくださっているので、ぜひお時間をいただいて、それで私たちの意見もぜひ聞いていただきたいなというふうに思いますので、よろしくお願いします。
 以上で、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
〇議長(岸本 健君) 以上で、奥村規子君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時54分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
〇議長(岸本 健君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 9番北山慎一君。
  〔北山慎一君、登壇〕(拍手)
〇北山慎一君 皆さん、こんにちは。
 12月の定例会の一般質問も本日で最終日となりました。12月といえば、私ごとではありますが、46回目の誕生日を控えております。この最終日の舞台での登壇は、先輩・同僚議員の皆様方からの御厚意にあずかったプレゼントだと、私は勝手に解釈しております。ですので、私からは、皆様方への感謝の気持ちを持ちながら、短く端的な一般質問でお応えしたいと思いますので、少しの間、お時間お付き合いいただければ幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、議長のお許しを得ましたので、質問に入らせていただきます。
 まず、一つ目の質問として、県内修学旅行の実施を生かした今後の取組についてお聞きしたいと思います。
 本年の冒頭、新型コロナウイルス感染症が世界で拡大、その感染拡大は日本でも広がり、経済に、そして生活や日常に大きく影響を与え、環境の変化をもたらすこととなりました。その影響や変化は、ふだん当たり前にできていたことが容易にできなくなり、感染防止を第一に考え、経済活動とのバランスを図りながら自粛や抑制を強いられることとなり、様々な新しいスタイルでの対応を余儀なくされました。
 その様々な新しいスタイルでの対応の中で、今回、私が質問として取り上げたいのが、さきの6月定例会で一般質問させていただきました、県内の学校が修学旅行の行き先として県内へ行ってみてはどうかと知事にお尋ねした県内への修学旅行についてです。県内への修学旅行も、その一つとして私は含まれていると思っていることから、県内修学旅行の実施を生かした今後についてお聞きしたいと思います。
 本来、通常の状況ならば、県外への修学旅行が当たり前であり、県内への修学旅行ということに至ることはないと思いますが、コロナ禍という状況下に置かれている現在、中止をせず、児童生徒の安全を考えた県内修学旅行は、コロナ禍だからこそ対応した新しいスタイルであり、あまり前例のない極めてまれな行事となります。
 県外での新型コロナウイルスの感染状況が落ち着かず、移動時のリスク等も踏まえ、実際に修学旅行の行き先を県内へ変更し、実施された学校も多くあったと聞いております。一つ例を挙げますと、知事も記者発表されました南紀熊野ジオパークセンターには、11月26日時点の実績として、県内の学校93校が来訪。内訳として、小学校75校、中学校17校、特別支援学校1校の計3578名の児童生徒が訪れております。この数字を聞くだけで、本当に多くの学校が県内修学旅行に変更し、実施されたことがうかがえます。
 今後も、新型コロナウイルスの終息が見えないこのような状況が続くようであれば、来年もまた、修学旅行の行き先を各学校で検討しないといけなくなります。
 今回、コロナ禍の状況下で県内修学旅行を実施した学校が多くあり、行き先を変更した学校の児童生徒は、和歌山の魅力に触れ、和歌山をより知ることとなり、今までの修学旅行と違った反応があったのではないかと私は思っております。そういったあまり前例のない事例を今後の教育の場に有効に生かすためにも、情報収集、分析は必要と考えられます。
 県内修学旅行、また、ふるさと教育、来年度の新政策にもある教育旅行のさらなる誘致等にもつながる生きたデータが、今回の県内修学旅行で十分取れ、そのように集約したデータは、県内の各学校が今後、それぞれの教育課程の中で修学旅行や課外授業などの行事を行う上で、大変参考となる一つの判断材料になると私は思います。
 例えば、行った先での児童生徒や先生が感じた感想、また、よかった点やもう一工夫が必要だった点、日程の組み方、移動手段や移動時に工夫した点、食事の取り方や、宿泊先での工夫などが挙げられると思います。
 県内への修学旅行を実施した学校は、行き先はそれぞれ違ったかもしれませんが、和歌山の歴史や文化、また、和歌山のすばらしい資源や魅力に触れ、加えて、感染防止対策も実施しながらの修学旅行であったはずですから、くどいようですが、もし仮に来年も新型コロナウイルスの感染状況が落ち着かず、コロナ禍での修学旅行を実施することになるのであれば、大変参考になる情報だと私は思います。県内のそれぞれの学校、それぞれの市町村だけで情報を持っているのは、非常にもったいないことです。
 県教育委員会が主体となり、情報を収集し、それらをまとめ、県内の学校、市町村にお知らせし、共有する。また、その情報を関係部局にも提供し、県外からの修学旅行や教育旅行の誘致などにも生かしてもらう。無駄にはならず、むしろ財産になると私は思っておりますが、県教育委員会は、今後、県内修学旅行を実施した各学校にアンケート調査等を行い、実施状況の情報収集及び分析をしていくのか、また、情報収集するのであれば、どのように生かしていくのか、教育長にお尋ねいたします。
〇議長(岸本 健君) ただいまの北山慎一君の質問に対する答弁を求めます。
 教育長宮﨑 泉君。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
〇教育長(宮﨑 泉君) 県内修学旅行の実施を生かした今後の取組についてでございます。
 今年度の修学旅行については、コロナ禍の中、県外の感染状況や長距離移動のリスク等を踏まえ、市町村教育委員会を通じて各学校に、県内での修学旅行について御検討いただくよう積極的に働きかけてまいりました。その結果、小学校では全体の8割に当たる約190校、中学校では全体の半数を超える約70校が県内で実施、または予定をしております。
 県教育委員会としましては、今年度、修学旅行を実施した学校を対象にアンケート調査を計画しております。本年度内に調査結果をまとめ、来年度以降の修学旅行の行き先を検討する際の参考として、市町村教育委員会に情報を提供することで、今後も、修学旅行が教育的意義を果たし、より充実したものとなるよう取り組んでまいります。
 また、得られた情報を関係部局にも共有することで、県内を目的地とした修学旅行が魅力あるものになることを期待しております。
〇議長(岸本 健君) 北山慎一君。
  〔北山慎一君、登壇〕
〇北山慎一君 答弁いただきました。
 前回の6月定例会では、県内への修学旅行、そして、本定例会ではアンケート調査の質問をさせていただきました。どちらの答弁も、同じ方向を向いていただいていることに心強く感じております。
 アンケート調査による生きたデータは、観光の部分も多く含まれ、非常に大切な情報資源となりますので、県教育委員会と商工観光労働部をはじめとする関係部局が連携を図り、情報共有をし、それぞれの分野でしっかりと生かしていただくようお願いいたします。
 それでは、次の大項目2の産科医確保の取組についての質問に移ります。
 本県では、地域間や診療科間の医師の偏在が課題となっていることから、和歌山県医師確保計画が令和2年3月に策定されました。その計画期間は、令和2年度から令和5年度の4年間となっています。
 その計画策定の趣旨及び目的は、医師数については年々増加している一方、地域間や診療科間の医師の偏在があり、人口減少、高齢化が進行する中で、地域で求められる医療を堅持しつつも、地域医療構想の推進、医師の勤務負担の軽減等の観点から、これまで以上に実効性のある医師偏在対策が求められていることを踏まえて、本県における医師の状況を国から提示された医師偏在指標を用いて比較評価し、それぞれの地域に応じた医師確保対策の推進を図り、県内の医師偏在の解消を目的として策定されております。また、今後の医療政策の動向、地域及び社会情勢の変化に対応するため、年1回以上の検証を行い、必要に応じて計画を見直すともされております。
 その計画の中で、「第4章 産科・小児科における医師確保計画」に記載されておりますが、「産科・小児科については、政策医療の観点だけでなく、医師の長時間労働となる傾向が強いため、他の診療科以上に医師の偏在解消に向けた取組」が求められており、「本県においても、周産期医療、小児医療に携わる医師の地域偏在が課題となっていることから、その偏在解消に向け、国が算出した産科・小児科における医師偏在指標等を踏まえつつ、産科・小児科における医師確保計画を策定します」と書かれております。
 また、安心して出産できる体制を維持するためには、分娩を取り扱う医師だけではなく、県内で勤務する産科医の絶対数を増加させるとともに、女性医師が多いという産科の特徴を踏まえ、女性医師が働きやすい環境整備を進めていくことができるよう子育て支援対策の充実も図っておられます。
 そういう状況の中、岩出市と紀の川市の2市で設置しております公立那賀病院においては、分娩を担当できる医師が配置されていないため、令和2年9月末をもって分娩が休止となり、いまだ再開の見通しも立たず、また、那賀圏域で唯一分娩ができる北山産婦人科クリニックが、令和2年12月をもって閉院することとなりました。
 この12月以降、那賀圏域で、若い世代が安心して子供を産める、近距離にある地元の医療機関がなくなってしまうわけであります。今後、分娩となると和歌山市や橋本市まで通院しなくてはならなく、現在、新型コロナウイルスの国内感染者が再び増加する中、感染リスクが高まるなど、安心して出産できる環境が失われていく事態に不安の声もお聞きしており、出産や分娩に対して不安を感じている女性は多くいらっしゃいます。
 出産前、出産後のことを考えると、実家がある地元で親の支えを受けながら安心して出産をしたいと、そのように思っている方もたくさんいると思います。しかしながら、これからは、地元に帰省し親元で出産を考えている方が、実際に地元に帰省をしても、診察は受けられるが、分娩できる医療機関がない。
 和歌山県で唯一人口が増えている岩出市も、このような状態が続くと、今後、人口減少につながりかねない危機的な重要課題になるのではと懸念しております。もちろん、これは岩出市だけの課題ではなく、那賀圏域でいいますと紀の川市、また、大きくは和歌山県全体での課題でありますので、県内全ての医療圏でバランスの取れた産科医の確保をお願いしたいところであります。
 また、令和2年8月には和歌山県の7市が、市長会を通じて、医師・看護師の確保対策についての要望書を提出していると聞いております。全国的に見ても、産科医の成り手が不足している厳しい状況とは思いますが、公立那賀病院の分娩の再開を望む声も寄せられているとも聞いております。
 そこで、福祉保健部長にお尋ねいたします。
 今後、県内の各医療圏で、また地域で、安心して分娩できる体制が重要と考えておりますが、分娩に携わる産科医師の確保について、県はどのような取組を行っているのか教えてください。
〇議長(岸本 健君) 福祉保健部長宮本浩之君。
  〔宮本浩之君、登壇〕
〇福祉保健部長(宮本浩之君) 県では、県民が住み慣れた地域で安心して出産できる体制を堅持するため、地域の中核を担う公立・公的病院の産科医確保に向け、様々な対策を実施しているところです。
 具体的には、県立医科大学の学生に対し、定期的に実施している個別面談等の機会を捉えて、地域医療における周産期医療の重要性や、産科医としてキャリアを積んでいく上での県のサポート体制について丁寧に説明をし、産科を志す医師を増やすよう取り組んでいます。
 産科を専攻することとなった若手医師に対しては、返還免除つき研修資金を貸与することで、産科専門医の取得を支援しています。さらには、県外から即戦力となる産科医を確保するため、様々な研究に活用できる返還免除つき研究資金貸与制度を設けています。こうした貸与制度や県内医療機関の産科医募集情報を、様々な媒体を通じて、県外の指導医クラスの産科医に発信しています。
 加えて、県内の分娩取扱い医療機関の勤務環境改善を財政的に支援するなど、産科医が働きやすい環境づくりにも取り組んでいます。
 県としては、これらの取組を推進することで、引き続き、地域の公立・公的病院で勤務する産科医の確保に努めてまいります。
〇議長(岸本 健君) 北山慎一君。
  〔北山慎一君、登壇〕
〇北山慎一君 答弁いただきました。
 医師の中でも、特に分娩を取り扱う産科医は当直や拘束が多く、激務であることも、産科医の減少、また、不足している要因の一つかと思います。この問題は、本県だけの課題ではなく、全国の各地方でも課題となっている状況もあり、産科医を確保することは容易でないことは理解できます。しかし、生まれてくる大切な命があります。
 県当局におかれましては、引き続き産科医の確保、そして育成にしっかり取り組んでいただき、一日でも早く県内全ての医療圏で安心して出産できる環境を整えていただけますようお願い申し上げ、次の質問に移ります。
 続きまして、大項目3、県内における特殊詐欺についてお尋ねします。
 まず初めに、小項目1の現状と対策についてお聞かせください。
 特殊詐欺については、全国的にも社会問題となっていることは皆様も御承知のことと思いますが、県内の現状や対策について、少し質問させていただきたいと思います。
 最近では、新しい手口で高齢者や若者を狙った悪質商法やネットトラブルによる消費者被害が複雑多様化、巧妙化しており、特に高齢者は、消費者被害や特殊詐欺の標的にされやすい傾向にあります。
 県内の特殊詐欺の状況は、平成30年では認知件数50件、令和元年では認知件数45件となっており、その被害者の約8割は高齢者となっております。
 高齢者の方々も、日頃から特殊詐欺に対する防御や対策など、意識はされていると思いますが、いざそういった場面に直面し、当事者になってしまいますと、緊急を要するよう言葉巧みに話をされたり、メールやはがきを送りつけられ不安をあおられるなどにより、頭が真っ白になったり、パニックになったりと、落ち着いた状態で対応できない状況に陥ってしまい、被害に遭ってしまっていることだと思います。
 特殊詐欺に関しては、啓発だけではなかなか防ぎ切れないのではと、私は感じております。
 そこで、警察本部長にお尋ねいたします。
 特殊詐欺の手口は年々変わってきていると思いますが、県内の特殊詐欺の現状や特徴、また、実践している対策について教えてください。
〇議長(岸本 健君) 警察本部長親家和仁君。
  〔親家和仁君、登壇〕
〇警察本部長(親家和仁君) 本年11月末現在における和歌山県内の特殊詐欺の認知件数は27件で、前年同期に比べ17件減少しておりますが、被害総額は約1億4600万円で、被害額の高額なものが1件ございましたので、前年同期に比べ約6900万円の増加となっております。
 その手口について見ますと、全国的には、警察官や銀行員等を装い、キャッシュカード等をだまし取ったり、盗み取る手口が多くなっておりますが、和歌山県内におきましては、これに加え、未払いの料金があるといった架空の事実を口実としてお金をだまし取る手口も多く発生しており、これらの手口を合わせると、全体の約9割を占めている状況にあります。また、被害者につきましては、70歳以上の高齢者が約8割を占めており、特に女性が被害に遭う割合が高くなっております。
 県警察におきましては、特殊詐欺を撲滅するため、被疑者の検挙と発生の抑止を2本柱として各種取組を強化しており、特に抑止面では、高齢者宅への訪問による指導の強化、特殊詐欺被害防止アドバイザーによる出張出前講座、電話の相手の音声を自動録音する自動通話録音機の活用促進、金融機関、コンビニエンスストア等における水際対策、各種メディア等を通じた広報活動や各自治体に依頼しての防災行政無線による広報などを強力に推進しているところであります。
〇議長(岸本 健君) 北山慎一君。
  〔北山慎一君、登壇〕
〇北山慎一君 詳細にお答えいただき、ありがとうございます。
 では、次の小項目2の自動通話録音機についての質問に移ります。
 先ほど警察本部長に御答弁いただいた中にも出てきましたが、特殊詐欺を抑止する取組の一つとして、本県では、電話の相手の音声を自動録音する自動通話録音機の活用促進を推進していただいております。県警察においては、特殊詐欺の被害防止のために自動通話録音機の貸出しが行われており、先般、貸出しからおおむね1年以上が経過することから、自動通話録音機の効果についてのアンケート調査が実施されました。
 そのアンケート結果は、令和2年9月に公表されており、その内容は県警察ホームページにも掲載されています。アンケート結果では、利用者の約9割の方が「自動通話録音機を利用してよかった」と回答、その「よかった」と回答した方は、「安心感につながった」、「悪質な勧誘電話が減った」と、多くの方が効果を実感している旨の理由でよかったと答えております。また、「自動通話録音機があると安心できますか」の問いには、97.4%の方が「安心できる」と回答しております。
 このように自動通話録音機を利用することで、不審な電話や勧誘電話が減り、利用者のほとんどの方が安心できるという安心感にもつながることがアンケート調査で分かりました。
 そこで、警察本部長にお尋ねいたします。
 このアンケート結果を踏まえ、今後どのような取組をしていくのか、教えてください。
〇議長(岸本 健君) 警察本部長。
  〔親家和仁君、登壇〕
〇警察本部長(親家和仁君) 議員から御質問のありました自動通話録音機についてでございますが、県警察におきましては、平成31年度事業として、これを500台購入し、特殊詐欺のターゲットになりそうな方々を対象に活用を図っているところであります。
 自動通話録音機の設置による特殊詐欺被害の抑止効果につきましては、貸出し後、まだ十分な期間を経ておりませんので、確定的に申し上げることは難しいのですが、議員御指摘のとおり、自動通話録音機の効果についてアンケート調査を行いましたところ、「安心できる」、「不審電話や勧誘電話などの回数が減った」といった回答を多数得ておりますので、各種機会を通じ、県民、特に高齢者の方への普及促進を図っていきたいと考えております。
 県警察といたしましては、引き続き、特殊詐欺の撲滅に向け、各種取組を強力に推進してまいりますので、御支援をいただきますようよろしくお願い申し上げます。
〇議長(岸本 健君) 北山慎一君。
  〔北山慎一君、登壇〕
〇北山慎一君 特殊詐欺被害を防止するには、啓発活動だけではなく、手口や発生状況等の情報を常に発信し、より多くの方、特に被害の大半を占める高齢者の方々の防犯意識の意識づけが大事であると私も感じております。
 アンケート結果を踏まえ、自動通話録音機の普及促進に加え、特殊詐欺被害に遭わないため高齢者の方々が防犯意識を持っていただけるよう、私も日々の活動を通じて、県民の方、特に高齢者の方々に働きかけてまいりたいと思います。
 それでは、次の大項目4の聖火リレーについての要望に移りたいと思います。
 この要望は、今後の新型コロナウイルスの感染状況にも大きく左右されるのですが、開催されるものと信じての要望となっておりますことを御理解いただければと思います。
 本年の3月、新型コロナウイルスが世界的に感染拡大した影響を受け、東京オリンピックが延期されることとなりました。それに伴い、3月下旬に福島県をスタート地として、本県を含む全国各地を巡り、つないでいくはずであった聖火リレーも中止されることになり、非常に残念な思いでいました。
 オリンピックは延期すると発表されていましたが、果たして聖火リレーはどうなるのだろうと心配をしていたところ、9月28日に大会組織委員会から実施に向けた概要が発表され、これにはひとまず安心いたしました。
 概要としては、予定はほぼ踏襲、実施する859市区町村は原則として変更せず、走行ルートも維持するとのこと。しかしながら、コロナ禍での開催を余儀なくされることから、簡素化、効率化を図ることも併せて発表されました。国内の新型コロナウイルスの感染状況が落ち着かない現状を鑑みての簡素化は致し方ないところだと思いますが、どのくらいのレベルのものになるのか、少し心配しております。
 今回のこの聖火リレーのコンセプトは、「Hope Lights Our Way/希望の道を、つなごう」となっています。新型コロナウイルス感染症を乗り越えた先にある希望を全世界の人々に示していくとされています。コロナ禍での実施となり、聖火リレー隊列のスリム化、グランドスタート、セレブレーションの簡素化が図られ、大会組織委員会の方針を受けての開催となりますが、聖火リレーを非常に楽しみにしておられる県民も多くいます。
 ランナーの走行中の安全確保や、新型コロナウイルスの感染防止対策をしっかりと行っていただくことはもちろんのことですが、ぜひともその決められた条件や状況の中でも、県として最大限の盛り上げをしていただきたいということを強くお願い申し上げ、私の登壇への感謝の思いで応えた、また、聖火リレーではありませんが、最終登壇者へつなぐ一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(岸本 健君) 以上で、北山慎一君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 13番森 礼子君。
  〔森 礼子君、登壇〕(拍手)
〇森 礼子君 皆さん、こんにちは。マスク、外します。森礼子でございます。
 先日は、在職10年以上の勤続表彰をいただきました。日頃お世話になっている先輩、そして同僚議員の皆様方、知事、副知事、県職員の皆様方にお礼を申し上げます。また、日頃、私をいつも応援してくださる県民の皆様方にも感謝の気持ちを伝えたいと思います。本当にありがとうございました。
 また、今回は、最終登壇の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。大きな声で元気よく務めてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 さて、仁坂知事は、今回、関西広域連合の広域連合長に就任されました。これまでの10年間も、「関西は一つ」としてたくさんの関西連携の構築をされてきました。今後は、新型コロナと向き合った中での取りまとめ役は大変御苦労が多いと思いますが、近畿のリーダーとして手腕を発揮していただきたいと思います。
 早速、仁坂知事は、大阪からの要請に応え、看護師2名の派遣を表明されました。結果、府県からは26名の派遣が予定されることとなりました。この議場をお借りいたしまして、大きな役割を担当いただくお二人の方々に、心より感謝を込めエールを送りたいと思います。そして、同時に、県内の医療現場を守ってくださっている全ての方々にも感謝を申し上げます。
 県当局に申し上げたいと思います。一から立ち上げる医療施設で、しかも重症患者対応病床への派遣ということです。大変な状況であると思いますので、しっかりとバックアップのほう、よろしくお願いいたします。
 では、議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、質問させていただきます。
 初めに、年末年始の診療体制について伺います。
 平時でも、年末年始の診療体制は手薄になりがちですが、今年はコロナ禍での年末年始ということで、医療の現場も県民も大変です。特に、発熱等の症状が出たとき、病院サイドも受診者も、新型コロナウイルス感染対応なのか否かと混乱が予想されますが、診療の体制はどのようになっていますか。福祉保健部長の答弁をお願いいたします。
〇議長(岸本 健君) ただいまの森礼子君の質問に対する答弁を求めます。
 福祉保健部長宮本浩之君。
  〔宮本浩之君、登壇〕
〇福祉保健部長(宮本浩之君) 本県では、新型コロナウイルスの感染拡大が考えられることから、11月から、発熱等の症状のある方が地域の身近な医療機関において適切に診療及び検査を受けられるよう体制を整備しております。
 発熱等がある場合は、まず、かかりつけ医等、地域の身近な医療機関に電話で御相談いただくか、かかりつけ医がなく、どの医療機関を受診したらいいか分からない場合は、受診相談医療機関や、24時間体制のコールセンター和歌山県新型コロナウイルス感染症専用相談窓口等に御相談をいただければ、最寄りの適切な医療機関を御案内しております。
 年末年始の輪番制の中でもこの体制を維持するために、県・郡市医師会及び地域の病院との協議を行っているところであります。
 今後も、発熱等の症状のある方々が安心して医療機関を受診できる体制整備に努めてまいります。
〇議長(岸本 健君) 森 礼子君。
  〔森 礼子君、登壇〕
〇森 礼子君 長期休暇の間の診療の大切なポイントには、必要なときに必要な情報が確実に取れるということが大切であるように思います。答弁にあったような情報は、県民の友、そして県のホームページで確認ができるということを聞いておりますが、今年は特に丁寧な対応が必要であると思いますので、メディア等を通して、県民の皆様が事前に情報を周知できるように要望いたします。
 次の質問に移ります。
 県立医科大学における新型コロナウイルス感染予防と大学の授業の在り方について伺います。
 2021年4月の待望の県立医科大学薬学部開設を目前に、期待が高まっております。入学を志望する学生は、入学後の夢と希望を力にして、懸命に受験勉強にいそしんでおります。
 新型コロナウイルスの感染拡大で実施できなくなっていた対面授業が徐々に復活し、大学に学生の姿が戻ってきました。しかし、現状では、全体の7割を対面、または対面とオンラインの併用で実施していると聞いています。
 12月2日付の日経新聞の記事によると、全国の有力大学154校のうち、3割が2021年度に対面中心の授業を計画していることが、学長アンケートで分かりました。新入生のメンタル面を危惧する大学が8割に上ることなどが背景にあります。足元では新型コロナウイルス感染症のクラスター発生が相次ぎ、5割が来年の授業形式を未定とするなど、慎重な大学も多いと記されていました。
 国家試験を目前に控えた6年生はもちろん、全ての学生は実験や実技で学ぶ重要性が多くある中、県立医科大学の授業は、緊急事態宣言によりリモート等での対応期間がありましたが、医師国家試験等に必要な実習などはカバーできているのでしょうか。また、現在の授業の実施状況について教えてください。
 そして、薬学部では、例えば緊急事態宣言が出ても大丈夫なのか、授業の実施方針についてお伺いいたします。
〇議長(岸本 健君) 福祉保健部長。
  〔宮本浩之君、登壇〕
〇福祉保健部長(宮本浩之君) まず、現在の県立医科大学における授業の実施状況ですが、本年度の県立医科大学の授業については、新型コロナウイルス感染症拡大及び緊急事態宣言による休業要請に伴い、新学期のスタートから約1か月間休講としていましたが、5月中旬から遠隔授業を開始し、さらに、緊急事態宣言の解除を契機に、6月には一部対面授業も開始いたしました。
 遠隔授業のみで対応していた期間に実施できていなかった実習についても、6月から開始し、順調にカリキュラムを実施しております。加えて、学生が安心して国家試験に取り組めるよう、相談体制の充実を図っているところです。
 県の感染拡大防止ガイドライン及び大学活動制限指針に沿って感染対策の徹底を行うことにより、対面授業を段階的に増やした結果、現在の実施率は、医学部で約65%、保健看護学部で約45%まで回復してまいりました。
 今後、感染状況を踏まえ、引き続き対面授業や遠隔授業を適切に組み合わせながら、学業に支障が生じないよう対応してまいります。
 続きまして、薬学部についてですが、来年4月、伏虎キャンパスに開設される薬学部においても、コロナ禍の状況を踏まえ、学生や教職員の安全確保のため、大勢の学生を収容可能な大講義室を活用し、教室内ではソーシャルディスタンスの確保や換気の徹底等を行うなど、感染対策を講じた上での対面授業を増やす方向で調整しているところです。
 一方、仮に緊急事態宣言が出た場合でも、本年度、医学部や保健看護学部で実施した新型コロナウイルス感染症対応の授業と同様、遠隔でも円滑に実施できるよう環境整備を行っています。加えて、来年度は、学生生活に不慣れな新入生を対象とした授業となるため、悩みや不安を抱えた学生の把握に努め、学生の不安を軽減するよう臨床心理士によるメンタル相談なども計画しています。
 こうした取組を通じ、新型コロナウイルス感染症の拡大防止と学修機会の確保を両立させ、学生が生き生きと大学生活を送れるよう努めてまいります。
〇議長(岸本 健君) 森 礼子君。
  〔森 礼子君、登壇〕
〇森 礼子君 県立医科大学の医師国家試験の合格率は、これまで、とても優秀で100%というふうに伺っております。来年2月に実施される国家試験においても不安なく立ち向かえるためにも、このリモート期間のカバーはすごく重要であったというふうに思っております。学生の多くが、やっぱりリモートということに対しては不安が多いというふうに伺っておりますので、引き続き、メンタルのカバーと、そして質のいい授業が受けられますようによろしくお願いいたします。
 議長、続いてお願いします。
 次、3番目に高校受験生の可能性支援について伺います。
 県内の私立高校は、大学進学やスポーツ競技で活躍しています。例えば、進学では、東大、京大、早慶など難関校へは、私立高校の上位4校で県内からの進学者の半数以上を占めており、医学部入学に関しては、私立高校からの入学実績が高い状況であります。
 知事は、この私立高校の現状をどのように評価されますか。また、今後の期待についてお伺いさせてください。
〇議長(岸本 健君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
〇知事(仁坂吉伸君) 私立高校は、それぞれの建学精神や教育理念に基づき、独自性を追求しながら、公立高校とは一線を画した多彩な教育を展開していると理解してます。その結果が、議員御指摘のように、スポーツ大会での優秀な成績や難関大学への進学実績につながっていると思います。
 本県では、全日制の高校生の約2割が私立高校生でありまして、卒業生も各界で活躍しており、本県公教育の重要な役割を担っていると評価をしております。これからも、公立高校、私立高校が互いの長所を生かしながら、切磋琢磨して、本県の未来を託す多種多様な人材を輩出してくれることを期待しております。
 若干、私事に当たりますが、私は公立高校出身者でございます。知事に就任したときに、行政側に何となく公立頑張れ、私立に負けるなという意識、対抗心があったように感じました。私は、両方、長所を生かして、特色のある教育をして頑張ればよくて、こんな対抗心は無用だと、そのように思いましたし、思って、そのように行動してまいりました。だからといって、私立優先というつもりもございません。(「県立負けてない」と呼ぶ者あり)
〇議長(岸本 健君) 森 礼子君。
  〔森 礼子君、登壇〕
〇森 礼子君 次に、高校進学への応援について質問させていただきます。
 自公政権の目玉政策として、本年4月から私立高校の授業料が無償化されました。具体的には、私立高校就学支援金の支給対象が拡大され、収入が約590万円までの家庭に年額39万6000円が支給されることで、実質的に無償化としています。しかし、実際に私立高校へ進学するためには、授業料以外にも入学金や施設整備費など数十万円単位の校納金が要るので、依然として私学進学には大きな溝があります。
 そこで、福井県では、国費を入れて、なおある溝を埋めるために県費を充当し、私立高校と公立高校の負担差をなくしました。高校受験生が家庭の収入で進路を決めるのではなく、希望と成績で進路を決めるようにしています。
 一方、本県では、これまで支出していた県費を引き上げてしまいました。国は、国費増額を県費の肩代わりをするためにやったのではなく、どこに住んでいても平等な支援を受けられるようにすべきとして、貧困の連鎖を断ち切るためのものであります。
 福井県では、国費に県費を追加して、授業料では、年収590万円以上910万円未満の家庭にも33万5000円を上限に、施設整備費では、年収590万円まで上限最大9万円が支給され、私立高校生の約8割が無償化になると言われています。福井県のように、国費の足らざるところを県費で応援し、低所得な境遇の高校受験生が割を食わないようにすることが、連鎖の断ち切りであるというふうに思います。
 全国の都道府県費の支出状況は、お手元にお配りしている資料のとおりですが、授業料平均が国費より低い場合でも何らかの支援を行っている都道府県がある中、県内授業料平均が国費より高い状況で、全く県費支援がないのは和歌山県のみです。また、資料の授業料以外の支援等の状況においても、4項目において何も支援がないのは和歌山県と愛媛県であるが、愛媛県の県内授業料平均は国費より低い状況であります。
 当県においても、国費の足らざるところを県費で応援し、高校受験生の可能性支援の復活をすべきであると思います。
 知事は、国の授業料無償化についてどのような見解か、またこのままでよいのか、現状について、知事の御所見をお伺いいたします。
〇議長(岸本 健君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
〇知事(仁坂吉伸君) 私は、先ほども申し上げましたように、それぞれの高校が特色を生かして、それで、いいところもアピールしながら、その代わり授業料もくださいとか、そのような政策を取って生徒を募集したらいいというふうに思っているわけであります。
 しかし、経済的事情で、やっぱりあの高校へどうしても行きたいんだけど、それは授業料が高過ぎるので行けないというのが、あまり顕著であるために諦める子供がいては気の毒だなあというふうに思っていて、こういう観点から、私立高校生に対する授業料補助については、低所得世帯への支援に重点を置きまして、国の制度を補う形で上乗せ支援を行ってまいりました。
 ただ、この場合でも、全額県立高校と同じように、授業料はもう負担なしですよといったわけではありません。今年度から国の制度が大幅に拡充されて、県が独自支援で補ってきた以上の政策を国が取るようになりました。そこで、この国の制度拡充によりまして、これまで県が支援策と考えていた人の経済的負担が、実は大幅に軽減してしまいましたので、さらにそれを上回る支援は、初めからの考え方からいうと、必要はないなあというふうなことで、支援を考えておりません。
 なるべく行きたい高校に行けることは大切でありまして、一定レベルの支援は必要であり、かつてからずっとそういうふうにしてきたんですが、その支援のレベルが必ずしもみんな一緒でなきゃいかんということではなくて、したがって、授業料を無料にするというところまではする必要はないんじゃないかというふうに思っております。
〇議長(岸本 健君) 森 礼子君。
  〔森 礼子君、登壇〕
〇森 礼子君 現状、知事の方針は、今の御答弁をいただいたので理解をいたしましたが、私学進学を希望する保護者の方とか、今、在校生のお母さん、お父さんからは、全国の都道府県県費の充当の状況などを御自身で調べられて、うちの県はというふうに御相談を伺う機会がございましたので、今回の質問に至ったわけですけれども、高校生みんなが自分の目標に向かって受験をできるように、そして夢がかなうように、県政としても応援いただけますように要望いたします。
 次の質問に移ります。
 和歌山市内の渋滞対策についてお伺いします。
 11月8日、近畿自動車道紀勢線建設促進協議会促進大会が開催されました。和歌山県の道路環境の充実により、和歌山の魅力をますます発信できることに期待いたします。
 和歌山市内の状況は、都市計画道路西脇山口線や南港山東線など東西を結ぶ道路はあり、さらに、和歌山市から京奈和・第二阪和連絡道路の事業化に期待が膨らんでいます。高速道路は、京奈和自動車道が開通し、紀伊半島一周が見えてきました。
 和歌山市内の紀の川の南側において南北を結ぶ道路については、国体道路と国道42号線等がありますが、特に朝夕のラッシュ時には、北新橋西詰や紀三井寺交差点で渋滞が発生し、通常時に比べて移動にかなりの時間を要しています。
 そこで、第二阪和国道の終点から、高架で和歌浦まで、以南は国道42号線を高架で冷水拡幅に接続する市内縦貫道路を提案したいと思います。全線高架で建設すれば、南北を10分で移動でき、IR誘致が実現すれば必要不可欠の縦貫道路となります。和歌山市内の道路の渋滞緩和策を含め、答弁をお願いいたします。
〇議長(岸本 健君) 県土整備部長庄司 勝君。
  〔庄司 勝君、登壇〕
〇県土整備部長(庄司 勝君) 和歌山市内の渋滞対策についてお答えします。
 和歌山市内の渋滞対策につきましては、国や市、警察、西日本高速道路株式会社等、関係機関と協力して、国体道路等の幹線道路に集中している交通を周辺道路に分散させるなど、ハード整備とソフト施策を一体的に実施することで渋滞緩和に努めています。その結果、国道42号や国体道路、県道和歌山阪南線、国道24号和歌山インターチェンジ以西などの渋滞が緩和されてきたところです。
 また、議員御指摘の紀三井寺交差点につきましては、市内中心部方面への左折専用レーンを増設したことにより、朝の渋滞は緩和されたところですが、依然として夕方の海南市方面への渋滞が発生しており、市内の南北の交通を分散させ、転換を促すために、並行する都市計画道路松島本渡線の海南市方面への整備を推進しています。(「早うせえよ」と呼ぶ者あり)
 一方、北新橋西詰交差点の渋滞対策として、御提案の第二阪和国道の終点から連続した高架橋で冷水拡幅に接続する市内縦貫道路につきましては、沿道の商業地等への影響が大きいことから、検討の俎上に上がっていません。なお、市内の渋滞は、中心部を目的とする交通が特定の箇所、時間に集中しているという特性があることから、これを踏まえて対策を行うことが必要と考えます。
 県といたしましては、引き続き、渋滞の発生状況を注視するとともに、各道路管理者や警察と連携し、市内の渋滞対策に取り組んでまいります。
〇議長(岸本 健君) 森 礼子君。
  〔森 礼子君、登壇〕
〇森 礼子君 提案した南北の縦貫道路に関しましては、いつか明るい兆しが届くように望み続けたいと思います。
 次の質問に移ります。
 先ほど、閣議決定されたといううれしい便りが届きましたが、最後の項目は、国土強靱化5か年計画について質問させていただきます。
 和歌山県にとって、防災・減災対策は喫緊の問題であります。この防災対策や、県土を整備し、社会の仕組みを強くしなやかに整えることは、国土強靱化の真髄であります。
 発災から来年で10年となる平成23年紀伊半島大水害、そして、その後も度々発生した大型台風や集中豪雨、そのたびに被災し、復旧工事を繰り返してきました。私は、崩れたら修理するというこのサイクルを断ち切ってほしいと思います。例えば、伊太祁曽神社前の和田川護岸は、毎年のように崩壊と修繕を繰り返し、地元からは抜本的な改修の要望をいただいたところであります。
 さらに、南海トラフを震源とする地震は、いつ起きても不思議でない時期に突入しています。地震や台風など巨大災害に遭遇しても、多少は傷んでも、県民の命と財産、暮らしや経済活動を守る強靱な和歌山にすべきであります。
 国土強靱化は、和歌山県の実情が反映されたすばらしい政策でした。河川の整備や橋梁の耐震化など、安全性が高まることで、対策が進むだけでなく、県民の災害に対する意識も高めてまいりました。
 そこで、平成30年度から始まった、防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策によって、県土整備部関係では、どの程度、防災・減災対策が進捗したのでしょうか。県土整備部長にお伺いいたします。
〇議長(岸本 健君) 県土整備部長。
  〔庄司 勝君、登壇〕
〇県土整備部長(庄司 勝君) 防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策の成果についてお答えします。
 本緊急対策は、近年の台風や集中豪雨等、自然災害の頻発化、激甚化を踏まえ、防災や経済、生活を支える重要インフラの機能維持のため、特に緊急に実施すべきハード・ソフト対策として、3年間で総額7兆円程度の事業を集中的に実施するものであり、国により平成30年12月に取りまとめられました。
 県土整備部関係では、平成23年の紀伊半島大水害をはじめ、災害が頻発する県土の実情を背景に、3年間で約600億円の事業費が確保できたところです。
 これにより、例えば河川事業では、七瀬川、西川など27河川の河道掘削等が進むことで流下能力が高まり、道路事業では、12橋梁の耐震化が進み、緊急輸送道路における橋長15メートル以上の橋梁の耐震化が完了する見込みとなっています。また、海岸・漁港事業では、12か所の対策が進み、津波から逃げ切る対策に係る堤防等が、那智勝浦海岸下里地区と串本漁港の浅海防波堤で完了する見込みとなるなど、災害に対するインフラの強靱化が確実に進捗したところです。
 引き続き、事業中箇所の迅速かつ確実な完成を図ってまいります。
〇議長(岸本 健君) 森 礼子君。
  〔森 礼子君、登壇〕
〇森 礼子君 では、農林水産部関係では、どの程度、防災・減災対策が進捗したのでしょうか。農林水産部長にお伺いいたします。
〇議長(岸本 健君) 農林水産部長角谷博史君。
  〔角谷博史君、登壇〕
〇農林水産部長(角谷博史君) 防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策による農林水産部での防災・減災対策の成果についてお答えします。
 防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策として、3年間で約50億円の事業費が確保できたことで、和歌山県国土強靱化計画に基づき、ため池の改修をはじめ、治山ダムや落石防止ネットの整備、幹線道路の迂回路としての林道整備などを計画的に進めているところでございます。
 具体的には、ため池で10か所、治山では4か所、林道では3路線が完了し、これら以外にも、24か所のため池をはじめ、治山7か所、林道4路線の整備に取り組んでいるところでございます。
 今後も、防災・減災の効果をいち早く発揮させるため、事業の早期完成に取り組んでまいります。
〇議長(岸本 健君) 森 礼子君。
  〔森 礼子君、登壇〕
〇森 礼子君 ありがとうございます。
 ただいま御答弁をいただいた3か年緊急対策ですが、令和2年度に終了することとなっています。県議会では、3年で終わってしまうことに対し強い危機感を持ちました。特に、新型コロナウイルス感染症対策による財政支出の増加の一方、大都市一極集中の弊害が認識され、地方回帰の動きを見せていることなどが拍車をかけました。
 県議会は、本年6月と9月の2度、国土強靱化緊急対策の継続を求める意見書を提出しました。10月5日には、県議会を代表して岸本議長、自民党和歌山県連からは山下直也幹事長が上京され、県選出国会議員はじめ財務省事務次官、主計局長、国土交通省技監、関係局長に要望されました。さらに、県内30市町村全ての議会が同様の意見書を提出し、和歌山市議会議長が代表して要望されたと聞いています。
 二階俊博自由民主党幹事長が提唱した国土強靱化は、今や国策となり、このほど国では、2021年度から2025年度の5年間に15兆円規模の国土強靱化対策を推進することとし、初年度は、2020年度の第3次補正予算に盛り込むと聞きます。また、メニューについても、これまでの防災対策に追加して、老朽化対策やデジタル化等の推進も行うようです。
 そこで、知事にお伺いいたします。
 これまで、紀伊半島大水害をはじめ、様々な災害に対し陣頭指揮を執ってこられた知事だからこそ、国土強靱化への思いは人一倍であるのではないかと推察いたします。知事は、県の政府提案のみならず、例えば、11月5日に行われた知事会において3か年緊急対策の後継の必要性を訴えるなど、様々な場面でその必要性を発言されております。5か年加速化対策に対する知事の評価や決意をお伺いいたします。
〇議長(岸本 健君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
〇知事(仁坂吉伸君) 議員御発言のとおり、そもそも国土強靱化という概念自体が、二階自由民主党幹事長が提唱されたものでありまして、野党時代から始まって、長きにわたりこの政策コンセプトをつくられて、その重要性を訴えられてきました。
 これらが結実し、国家の大政策として、平成30年12月に防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策として、別枠で事業規模7兆円程度を措置され、本県における国土強靱化をこれまで以上に、このおかげで強力に推進することができたわけでございます。
 しかしながら、このおかげで随分、事業の進捗が進んだとはいえ、まだいろいろ残っているところがありまして、対策は十分でないことから、私もこれまで、あらゆる機会を通じて緊急対策の延長とか拡充を要望してきたところでございます。県議会の議員の皆様にも、今、御議論がありましたように、要望の実現に向けて大変なお力添えをいただきました。
 このような中、今般、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策として、別枠で事業規模15兆円程度の措置がなされたというふうにお聞きし、本当にありがたいことだというふうに心から感謝を申し上げたいと考えております。このような対策が講じられたことで、この対策のお金をできるだけ活用して、本県における国土強靱化を一気に進めるようにしたいというふうに思っておりますし、これはチャンスだというふうに思うわけでございます。
 これを実は利用しようとすると、当然、県負担も伴いますので、財政状況が厳しくなるというのは当然なんですけど、こういう機会はそんなにあるわけではないので、この機会を逃がすことなく、安全・安心な社会基盤を確実に次の世代に継承するためには、覚悟を決めて本県の国土強靱化を加速させていきたいと考えております。
〇議長(岸本 健君) 森 礼子君。
  〔森 礼子君、登壇〕
〇森 礼子君 知事からは、力強い答弁をいただきましてありがとうございます。
 これからの5か年計画の具体的な内容が、これからどんどん明らかになっていくと思われますが、和歌山県が多くの予算を確保できるように一致団結し、強靱な和歌山のために奮起してまいりたいと思います。
 以上をもちまして、私の一般質問を終了いたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(岸本 健君) 以上で、森礼子君の質問が終了いたしました。
 お諮りいたします。質疑及び一般質問を終結することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(岸本 健君) 御異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問を終結いたします。
 次に日程第3、議案の付託について申し上げます。
 お手元に配付しております議案付託表のとおり、議案第144号は人権・少子高齢化問題等対策特別委員会に付託いたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(岸本 健君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
 次に、お手元に配付しております議案付託表のとおり、議案第133号、議案第134号、議案第141号から議案第143号まで及び議案第145号から議案第164号までは所管の常任委員会に付託いたします。
 次に日程第4、請願の付託について申し上げます。
 今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、所管の常任委員会に付託いたします。
 お諮りいたします。12月14日及び15日は常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(岸本 健君) 御異議なしと認めます。よって、12月14日及び15日は休会とすることに決定いたしました。
 次回は、12月16日定刻より会議を開きます。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時12分散会

このページの先頭へ