令和2年12月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)


◆ 汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているものもあるため、人名等、会議録正本とは一部表記の異なることがあります。人名等の正しい表記については「人名等の正しい表記」をご覧ください。

令和2年12月 和歌山県議会定例会会議録 第5号

令和2年12月
和歌山県議会定例会会議録
第5号
────────────────────
議事日程 第5号
令和2年12月10日(木曜日)
午前10時開議
 第1 議案第133号、議案第134号及び議案第141号から議案第164号まで(質疑)
 第2 一般質問 
────────────────────
会議に付した事件
 第1 議案第133号、議案第134号及び議案第141号から議案第164号まで(質疑)
 第2 一般質問
────────────────────
出席議員(42人)
 1番 鈴木德久
 2番 山家敏宏
 3番 中本浩精
 4番 堀 龍雄
 5番 藤山将材
 6番 岸本 健
 7番 井出益弘
 8番 宇治田栄蔵
 9番 北山慎一
 10番 玄素彰人
 11番 中西峰雄
 12番 秋月史成
 13番 森 礼子
 14番 濱口太史
 15番 尾崎要二
 16番 冨安民浩
 17番 川畑哲哉
 18番 玉木久登
 19番 鈴木太雄
 20番 岩田弘彦
 21番 吉井和視
 22番 谷 洋一
 23番 佐藤武治
 24番 岩井弘次
 25番 中 拓哉
 26番 多田純一
 27番 新島 雄
 28番 山下直也
 29番 中西 徹
 30番 谷口和樹
 31番 藤本眞利子
 32番 浦口高典
 33番 山田正彦
 34番 坂本 登
 35番 林 隆一
 36番 楠本文郎
 37番 高田由一
 38番 杉山俊雄
 39番 片桐章浩
 40番 奥村規子
 41番 尾﨑太郎
 42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
────────────────────
説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       細川一也
 危機管理監      森田康友
 総務部長       田村一郎
 企画部長       田嶋久嗣
 環境生活部長     田中一寿
 福祉保健部長     宮本浩之
 商工観光労働部長   大山 茂
 農林水産部長     角谷博史
 県土整備部長     庄司 勝
 会計管理者      城本 剛
 教育長        宮﨑 泉
 公安委員会委員長   中野幸生
 警察本部長      親家和仁
 人事委員会委員長   平田健正
 代表監査委員     保田栄一
 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫
────────────────────
職務のため出席した事務局職員
 事務局長       中川敦之
 次長         井邊正人
 議事課長       山田修平
 議事課副課長     岩井紀生
 議事課議事班長    岸裏真延
 議事課主査      松田太郎
 議事課主査      伊賀顕正
 議事課主事      浅田晃秀
 総務課長       嶋岡真志

 政策調査課長     神川充夫

────────────────────
  午前10時0分開議
〇議長(岸本 健君) これより本日の会議を開きます。
 この際、知事から発言を求められておりますので、許可いたします。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
〇知事(仁坂吉伸君) 議長のお許しをいただきまして、一言申し述べます。
 本日、紀の川市におきまして、高病原性鳥インフルエンザの発生が確認されました。県におきましては、直ちに対策本部を立ち上げ、殺処分や移動制限区域の設定等の防疫措置を講じたところでございまして、今後、防疫体制に万全を期してまいりたいと考えております。
 県民の皆様には、感染した鳥に濃厚に接触しない限り、人には感染しないこと、また、感染した鳥の肉や卵が市場に出回ることはございませんので、どうか安心して市場に出回っている鳥や、あるいは卵は御購入いただいて何ら問題はありませんということを申し上げたいと思います。
 県といたしましては、迅速な防疫措置と同時に、県民の皆様に正確な情報の伝達に努めてまいりますので、御理解と御協力をお願い申し上げます。
 以上でございます。ありがとうございました。
〇議長(岸本 健君) 日程第1、議案第133号、議案第134号及び議案第141号から議案第164号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、併せて日程第2、一般質問を行います。
 42番長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕(拍手)
〇長坂隆司君 おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので、以下、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 一つ目に、和歌山県の防災対策についてであります。
 一つ目、本県における流域治水の取組について。
 近年の気候変動の影響で記録的な大雨が増えて、毎年大規模水害が発生しています。2011年には紀伊半島大水害、2018年には西日本豪雨、2019年には台風19号、そして本年は大型台風の直撃はなかったとはいえ、7月に熊本豪雨と大規模な河川の氾濫が発生しました。氾濫危険水位を超えた河川は、2014年には83でしたが、昨年は5倍弱の403まで増えました。最近は、大きな河川だけでなく中小河川も氾濫し、各地に被害をもたらしています。
 国土交通省は、7月に流域治水プロジェクトを開始し、従来のダムや堤防だけでなく、大雨が降る前に農業や発電に使用する水を流してダムの空きを増やす事前放流を実施したり、遊水地やビルの地下に貯留施設を整備、あるいは水田やため池を活用して雨水をためられる容量を増やす、堤防に切れ目を造って田畑に水を逃す霞堤の整備など、そして流域の土砂被害や浸水の危険性が高いエリアの開発を規制し、高台への住宅移転を一層促進しようとしています。住民や企業の協力なしにはそうそう簡単に進むものではないでしょうが、大いに期待するものです。
 また、7月の熊本豪雨のように、局所的に次々と積乱雲が生じる線状降水帯は予測が難しかったとされ、事前予測の困難な状況をどう改善していくのかも大きな課題であります。
 避難情報を出すタイミングの改善だけでなく、日頃から地域で避難訓練を行って、住民が自ら命を守る危機意識のさらなる醸成も図っていかなければなりません。本県も、今後、確実に大型台風や豪雨の襲来が増大することは覚悟しておかなければならないと思います。
 そこで質問ですが、本県における流域治水の取組について、県土整備部長の御所見をお伺いいたします。
〇議長(岸本 健君) ただいまの長坂隆司君の質問に対する答弁を求めます。
 県土整備部長庄司 勝君。
  〔庄司 勝君、登壇〕
〇県土整備部長(庄司 勝君) 本県における流域治水の取組について、御質問をいただきました。
 流域治水とは、近年の甚大な水災害、気候変動等を踏まえ、流域の行政機関のみならず、企業や住民等あらゆる関係者が協働して、流域全体で水災害を軽減させるハード対策とソフト対策が一体となった取組をいいます。
 具体的には、河川管理者による河川整備に加え、本県で取り組んでいるダムの利水容量を活用した事前放流や、ため池の治水利用、氾濫域での土地利用規制、タイムラインの作成による避難体制の強化など、あらゆる対策を鋭意実施することにより、効果的に洪水被害の軽減を図ることとしております。
 現在、1級水系の紀の川水系、新宮川水系において、国が中心となって対策の策定を進めております。また、2級水系では先行的に日高川水系において10月に協議会を立ち上げ、対策の検討を始めたところです。
 今後、紀の川水系や新宮川水系、日高川水系の流域治水プロジェクトを早急に取りまとめ、現在実施している事業も含め、事業のスピードを加速化するとともに、この取組をその他の2級水系にも広げ、住民の安全・安心の向上に努めてまいります。
〇議長(岸本 健君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
〇長坂隆司君 和歌山県は山地が多く、どうしても急流や天井川も少なくなくて、昔から水害に悩まされてきた県であります。そのため、住民だけでなく、たくさんの農林水産関係の被害も出ます。避難体制の強化はもちろん、流域全体で安全性を高めるという流域治水を、今後、国と共に速やかに推し進めていただきたいと思います。
 2点目に、ブロック塀対策についてであります。
 2018年6月18日、大阪府北部を震源として震度6弱を観測した大阪北部地震が発生して、高槻市の小学校でブロック塀が倒れ、女児が死亡する事故が起きました。事故を契機に、全国各自治体では学校内のブロック塀対策が鋭意進められています。以前のブロック塀は撤去され、軽量なフェンスへ交換されているところも目につくようになりました。
 そこで質問ですが、本県での公立の小中学校や県立学校におけるブロック塀対策の進捗はいかがですか、教育長にお伺いいたします。
〇議長(岸本 健君) 教育長宮﨑 泉君。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
〇教育長(宮﨑 泉君) 県内の県立学校や公立小中学校のブロック塀については、昨年度までに外観に基づく緊急点検及び内部点検を行い、危険と判断された箇所は、撤去または安全なフェンス等への改修工事を完了しております。
 残りのブロック塀で、今後、老朽化したものについては順次改修してまいります。
〇議長(岸本 健君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
〇長坂隆司君 通学路上には、民家などの民有地に傾きかけた古い危険なブロック塀が残っているところが見受けられます。一たび地震でも発生すれば惨事になりかねませんし、倒壊して避難路を遮ることにもなります。中には、空き家になって所有者も特定できないような箇所も少なくないと思います。民有地における危険ブロック塀対策について、直接の窓口は当該市町村でありましょうが、県はどのようなお考えをお持ちでしょうか。危機管理監、お答えください。
〇議長(岸本 健君) 危機管理監森田康友君。
  〔森田康友君、登壇〕
〇危機管理監(森田康友君) 県では、大阪府北部地震の発生直後に、県内の通学路や避難路沿いのブロック塀の総点検の実施を市町村に依頼し、その結果、建築基準法の現行基準に不適合の可能性があり、危険と思われるブロック塀が約1万か所あることを把握しております。
 市町村から報告のあった危険と思われるブロック塀について、建築士が現地調査を行い、そこで著しい傾斜やぐらつきがあるなど、特に危険なものと判断された488か所については、建築基準法に基づく撤去等の指導を行い、135か所が是正済みとなっています。
 なお、残りの箇所については、今後も引き続き指導を行ってまいります。
 また、建築基準法における指導等の対象とはならないが、現行基準不適合と判断された箇所については、市町村が所有者等への個別訪問を行い、必要な対策について助言するとともに、所有者等の相談に対応するため、県において建築三団体まちづくり協議会と連携した相談体制を整えています。
 さらに、県では、市町村が所有者等の撤去費等への補助を行う場合には、わかやま防災力パワーアップ補助金による財政支援を行うなど、対策の促進に取り組んでいるところでございます。
 今後も引き続き、県内の通学路や避難路沿いの危険なブロック塀対策について、市町村と連携し取り組んでまいります。
〇議長(岸本 健君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
〇長坂隆司君 3点目に、事前避難対象地域の指定状況と考え方についてであります。
 南海トラフ地震で、短時間に大きな津波被害が予想される太平洋沿岸の139市町村のうち、6割の自治体が津波の発生前に住民を避難させる事前避難対象地域を指定できていないと、今年4月27日付朝日新聞の記事にありました。想定震源域の半分でマグニチュード8クラスの地震が起きた際、残り半分の震源域でも大地震が発生するおそれがあります。国は、二つ目の地震への警戒を呼びかける臨時情報を出し、すぐに高台や避難施設に逃げられない住民に1週間程度の事前避難を促すという計画だそうです。4月27日の時点で、和歌山県では事前対象地域を7市町が指定した一方、8市町が指定できていないということでしたが、その後、どのような状況でしょうか。
 住民の避難となると、まず学校の体育館が指定されることが多いですが、学校としても1週間の休業とか体育館の使用自体ができなくなるなど、学校教育にも大きな支障が出てくる問題であります。本県における事前避難対象地域の指定状況と県の考え方について、危機管理監にお伺いいたします。
〇議長(岸本 健君) 危機管理監。
  〔森田康友君、登壇〕
〇危機管理監(森田康友君) 南海トラフの想定震源域及びその周辺において、マグニチュード6.8程度以上の地震が発生した場合、気象庁から南海トラフ地震臨時情報(調査中)が発表されます。調査の結果、地震の規模がマグニチュード8.0以上であった場合、気象庁から南海トラフ地震臨時情報(巨大地震警戒)が発表されます。このようなケースをいわゆる半割れと呼び、発生した残りの領域でも大規模地震発生の可能性が高まったと評価され、1週間を基本とした事前避難とその後1週間の注意が必要であると、国の南海トラフ地震防災対策推進基本計画で示されております。
 県では、昨年度改定した地域防災計画において、住民が地震が発生してからの避難では津波到達までに避難が間に合わないおそれがある地域を、市町が事前避難対象地域として明示することとしており、古座川町を含む由良町以南の沿岸14市町に対して、事前避難対象地域の指定を促してきたところでございます。
 現在の指定状況は、9市町で指定済みであり、残りの5市町についても今年度中に指定する予定となっています。
 また、対象の市町では、平時からの備えや臨時情報の発表後の防災対応について見直しを行っているところでございます。
 なお、事前避難対象地域内に所在する県立学校については、臨時情報(巨大地震警戒)が発表された場合、休業措置を行うこととなっております。
 県といたしましては、南海トラフ地震臨時情報にかかわらず、従来市町と共に、津波からの犠牲者ゼロを目標に防災・減災対策に取り組んでいるところであり、今後も引き続き、より一層の充実に努めてまいります。
〇議長(岸本 健君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
〇長坂隆司君 4点目に、本県における神社の立地と自然災害の関係についてであります。
 先日、友人より、「和歌山県における神社空間の自然災害リスクに関する一考察」という、神戸市立高専都市工学科・髙田知紀先生と東京工大大学院社会理工学研究科・桑子敏雄先生の論文を紹介され、興味深く拝読しました。本研究は、「ある土地において信仰上の重要な役割をもつ神社は、自然災害発生時においても安全性を担保しうる立地特性を有している」という仮説に基づいて、和歌山県下の398社の神社を対象に、その自然災害のポテンシャルを検証することを目的としています。
 和歌山県が対象になったのは、1点目に、和歌山県は熊野信仰をはじめとして、日本における信仰上の重要な地域である、そして、熊野信仰だけでなく、古事記、日本書紀などに和歌山を舞台とした描写が多く見られる、2点目に、その地域的特性から土砂災害、津波災害、河川氾濫など多様な自然災害が発生するリスクが高い地域である、2011年には、和歌山県の各地において大規模な土砂崩れや河川氾濫による被害が発生した、また、今後起こり得る南海トラフ巨大地震発生時の津波被害、紀の川をはじめとする河川氾濫など、様々な自然災害のリスクが高い地域であるの2点からです。
 まず、津波災害リスクのポテンシャルでは、約90%の神社が浸水域の境界付近で被害を免れているということ、河川氾濫リスクのポテンシャルでは、同様に約90%の神社は河川の氾濫の危険性を回避した立地特性を有しており、神社の河川氾濫による浸水の被害が最もあると想定されるのが和歌山市の紀の川付近であると言われています。3点目の土砂災害リスクのポテンシャルでは、対象全398社のうち、土砂災害危険区域内に鎮座しているのは3分の1の133社で、津波や河川氾濫に比べてその割合は高い結果となっています。
 一方、山地内においても、土砂災害危険区域を全てかわす形で鎮座している神社も多くあるとしています。興味深いのは、県下のそれぞれの神社の由緒及び信仰的意義に着目し、自然災害リスクについての検討を行っている点です。平安時代の法典である延喜式に記載されている神社、すなわち式内社の災害リスクを検証しています。
 さらに、和歌山の土地に深く関わるイソタケル系の神社、すなわち植林・林業の神として信仰を集める神社、また熊野系神社、すなわち三山と称するように、山地や丘陵地、あるいは海岸や河川沿いの段丘上に鎮座していることが多い神社、そして王子系神社、すなわち熊野信仰と密接な関わりがある神社について、その自然災害リスクを検証しています。
 そこで、南海トラフ地震による津波被害に関しては、延喜式内社、イソタケル系神社、熊野系神社、王子系神社にはいずれもその多くが被害を回避し得る場所に立地していて、イソタケル系神社は津波及び土砂災害に対して安全な場所に立地している、熊野系神社は津波や河川氾濫といった水害に対して安全な立地である一方で、山地や海岸沿いの高地に多く立地することから土砂災害のリスクは回避していない、また王子系神社は多くが津波、河川氾濫、土砂災害のいずれの災害リスクに対しても安全であることを明らかにしたと結論づけています。
 論文を一通り読んで、和歌山県を、また本県の災害リスクというものを全て理解しているとは言い難い、少々粗削りな気はしましたが、自然崇拝に由来する山岳信仰の聖地・和歌山県だからこそ、鎮守様たる神社の立地というのは、いにしえからの自然災害の発生と大いに関連づけてしかるべきだと思います。論文の最後に、「今後の課題となるのは、それぞれの地域における防災・減災計画のなかで、長い歴史をもつ神社空間を具体的にどのように位置づけ、その維持管理も含めた活用方策をいかにして論じていくか」と述べておられます。
 そこで質問ですが、それぞれの地域の鎮守様であり、氏神様たる神社の由緒、歴史を踏まえて、神社の背景たる自然空間から発生し得る自然災害に対する防災・減災を検証していく視点も大切であると思いますが、危機管理監の御所見をお伺いいたします。
〇議長(岸本 健君) 危機管理監。
  〔森田康友君、登壇〕
〇危機管理監(森田康友君) 御紹介のありました論文によりますと、議員のお話にもありましたとおり、和歌山県下の神社の立地について、津波や河川の氾濫に関しては、約10%が浸水区域内にあり、土砂災害については、3分の1が危険区域にあるということでございますので、全ての神社が安全な場所に立地しているわけではございません。
 そのため、住民の皆さんが避難する場合には、科学的データに基づき作成されたハザードマップ等を活用していただくということが大事であると考えております。
 一方、神社を含め歴史的遺構には、自然災害の被害の教訓を伝えるなど地域の防災・減災に資するものも多くございます。
 例といたしましては、広川町の廣八幡神社では、毎年、濱口梧陵の功績をたたえるとともに、その精神を引き継ぐため、稲むらの火祭りや津浪祭が開催されております。特に、津浪祭の際には、神社まで徒歩で避難訓練を実施するなど、住民の防災意識の向上にも役立てています。
 また、白浜町の飛鳥神社に残る津波警告板には、村人に地震が来たら近くの山に逃げることなどが記載されており、毎年の祭礼の際に警告板の解説をすることで地震や津波の防災・減災の啓発に役立てられてきました。
 そのほかにも、県では、過去の津波到達の記録や津波被害の状況を記した石碑である津波碑の調査を行い、「和歌山県内の津波碑」という冊子にまとめ、過去の津波被害から教訓を学ぶ資料として活用してきたところでございます。
 県といたしましては、こういった歴史的教訓も生かしながら、引き続き防災・減災の啓発に取り組んでまいります。
〇議長(岸本 健君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
〇長坂隆司君 神社も、人為的に破壊されたものもあれば、自然災害を受けて廃止されたものもあるとは思いますが、神社の立地というものは、長い歴史の中でその神社の建設と維持に関わってきた人々の意思と懸念の結果であるとも言えます。御答弁いただいたように、1707年の宝永地震とか1854年の安政南海地震などで、県内に何か所か自然災害伝承碑が残っています。神社から、そして歴史の跡から地域防災を学ぶ意識を地域住民と共に共有していけたらと思っております。
 2点目に、コロナ禍での認知症の人への対策についてであります。
 認知症の人が新型コロナウイルスに感染した場合に、入院できるのか、ちゃんと治療してもらえるのかと、家族も施設関係者も不安を強めています。認知症の方には、マスクをつけたがらない人や消毒液も飲物と勘違いする人もおられますから、置いたままにしておけません。また、歩き回ったりして感染が広がらないかと、絶えず不安の種は尽きません。病院への移送も困難な場合もあるでしょう。もちろん、施設での大規模なクラスター発生だけは何としても避けなければなりません。
 神奈川県では、5月から在宅の認知症患者と介護者が新型コロナに感染し、入院先が見つからない場合に受け入れるケア付き宿泊療養施設を設置したと聞きます。
 そこで、以下、福祉保健部長に項目ごとまとめて御答弁お願いいたします。
 一つ目に、認知症の人が新型コロナウイルスに感染した際の本県における入院体制と治療体制についてお伺いいたします。
 2点目に、認知症の人が自分でマスクを着用したり、ソーシャルディスタンスを取ることができないなど、感染症防止対策が取りにくいことが間々あると思います。グループホームや特養、老健施設のスタッフの皆様の御労苦も想像を絶するものがあると思いますが、県は施設における認知症の人に対する新型コロナの感染防止対策をどのように現状把握し、指導されておられるのか、お伺いいたします。
 最後、3点目に、コロナ禍の中で家族との面会も難しいことと思いますが、新型コロナの対応でなかなか面会もままならない状況にある間の認知症の方の症状の進行や、心身の衰えが大変気になるところです。一般の家族が隔離部屋等においてオンラインで面談する機会をいただくだけでなく、認知症の人と面会してかけがえのない時間が持てるように、県としてできる限りの面談環境の整備等の支援をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
〇議長(岸本 健君) 福祉保健部長宮本浩之君。
  〔宮本浩之君、登壇〕
〇福祉保健部長(宮本浩之君) 本県では、新型コロナウイルス感染症の陽性が判明した場合、患者全員に対して、症状や年齢、基礎疾患の有無等を聞き取り、適切な対応ができる医療機関と入院調整を行っています。
 認知症をはじめ、介護が必要な感染患者に対しては、看護師が患者に付きっきりで対応するなど、非常に多くの医療スタッフの配置が必要となりますが、入院医療機関の協力を得ながら、全員を入院対象として、適切な入院を行っているところです。
 次に、施設の感染防止対策については、介護施設等では、認知機能の低下により長時間のマスク着用や消毒液の使用など感染対策への協力や自身の症状の訴えなどが難しい認知症の方が多く入所されています。
 このため、県では、これまでも施設に対し、ウイルスを施設に持ち込まないよう、手洗い、手指消毒、マスク着用、検温等の基本的な対策はもとより、食事介助や消毒液の配置場所の工夫など感染防止対策の徹底についてお願いしてきたところです。
 さらに、感染した場合に重篤化しやすい高齢者の入所施設等の特殊性に鑑み、感染管理の専門家である感染管理認定看護師の方々に現地指導をいただき、施設における感染予防対策の基礎知識、施設のゾーニング手法や防護用具の使用法をはじめ、認知症の方や重度の要介護者に対する介助方法などの適切な取扱いを徹底するなど、施設の感染症対応力の向上と新型コロナウイルス感染の高リスクに対応している職員の資質向上を図っているところです。
 今後も、感染防止のための徹底的な取組を指導してまいります。
 最後に、入所者への面会については、新型コロナウイルスについて、高齢者は感染した場合に重篤化するおそれがあり、また、集団生活する介護施設等では集団感染のリスクがあるため、感染防止対策の徹底が必要と考え、県では、飛沫防止パネルの購入や換気設備の整備などに対し、国の緊急包括支援交付金を活用し、積極的に支援しているところです。
 入所者への面会については、現状の感染状況においては、直接の面談は困難と考えざるを得ず、緊急やむを得ない場合を除き制限をお願いしているところです。
 しかしながら、議員御指摘のとおり、長期間にわたる面会制限により認知症の症状の進行や心身の衰えも危惧されることから、施設においてオンライン面会を行う際などには、実施に必要なパソコン等の機器導入や環境整備を支援しているところです。
〇議長(岸本 健君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
〇長坂隆司君 認知症と新型コロナの両方に対応できる医療機関は限られていると思いますが、一番恐れるのは、大規模なクラスターが何か所で起きてしまって、施設で対応せざるを得なくなる状況になることであります。施設と医療機関の強力な連絡・連携体制を整備しておいていただきたいと要望させていただきます。
 3点目に、新型コロナと自殺についてであります。
 日本では、自殺者が夏から急増しています。今年になって1月から6月はいずれも前年を下回っていましたが、7月に前年同月比2.6%増、8月、17.8%増、9月、10.0%増と増加して、10月になって39.9%増で2153人という、1か月で日本の累積新型コロナ死者数をその段階で上回る自殺者数となりました。
 その中で、自殺者全体に占める割合では約40%と男性を下回るものの、女性の自殺が増加、8月に前年同月比42.2%増で10月には82.6%増になり、昨年10月の1.8倍になりました。男性も同22%増加しています。女性の中でも、40歳代の人の自殺が142人と、前年同月の2.29倍に達し、40歳未満の女性も10月に過去3年平均と比べ7割も増えています。ちなみに、小・中・高校生での学生の8月の自殺件数は59人と、前年の倍以上になっております。
 新型コロナウイルスによる自殺者は世界中で増えていますが、もとより多くの自殺者を出していた日本の現状は桁違いです。女性は宿泊等の観光関係、飲食、小売といった業種にパートタイムで就いているといった非正規雇用が多く、新型コロナによって職を失った人がかなりの数に及んでいます。収入の不安に加え、ただでさえ男性の5倍の時間を費やすと言われる家事や育児の負担が急激に重くなりました。家庭内暴力(DV)も少なからず要因の一つでしょう。
 日本の自殺率が高いのは、長時間労働、勉強や進学に関するプレッシャー、社会的孤立、精神衛生上の問題を抱えることを恥とする文化などが、これまで要因として挙げられています。昨年までの10年間で自殺者の数は減少傾向にあり、昨年では2万169人、1978年に統計を取り始めてから最も少なかったのに、今年のコロナ禍の中、急増してしまいました。子供も、感染対策の一環で学校に通えず、社会活動にも参加できていません。そうした中、家で虐待に遭ったりストレスのたまる生活を強いられるほか、SNS等でのいじめ、大量に出される宿題を片づけなくてはならないプレッシャーにさらされていると言われます。子供もストレスを抱えているのであります。
 もう一つ、自殺増の誘因として考えられるのは、この数か月、自ら命を絶つ有名人が相次ぎました。プロレスラーの木村花さんの場合、プロレスの試合が開催できなくなる中、SNSでたくさんの誹謗中傷を受けていたと指摘されています。
 これから寒さが本格化して、新型コロナの感染者数もまだまだ増加が予想され、経済の落ち込みが続くと、さらに自殺者が増加するのではないかという危機感があります。また緊急事態宣言でも発出されれば、コロナ鬱は増幅するおそれ大であります。民間団体で孤独や悩みを打ち明けられる取組もあろうとは思いますが、新型コロナで何かと行動が制限されているのではないかと憂慮します。自分一人で悩みを抱え込まず、人に話せる、相談できる窓口が必要だし、また、生活を成り立たせるための支援も引き続き必要かと思います。
 そこで質問ですが、一つ目、本県における本年の自殺の動向と傾向、また保健所等の自殺相談窓口での新型コロナに関連する相談件数について、福祉保健部長、教えてください。
〇議長(岸本 健君) 福祉保健部長。
  〔宮本浩之君、登壇〕
〇福祉保健部長(宮本浩之君) 厚生労働省の自殺統計速報値では、令和2年1月から10月までの間、全国の自殺死亡者数は1万6843人で、対前年比で2.4%増加しています。
 男女の内訳では、男性は僅かに減少していますが、女性は13.3%の増加となっています。さらに、年代構成別で見ると、39歳までの子供若者層においては8.8%の増加となっていますが、40歳から59歳までの中高年層、60歳以上の高齢者層ではほぼ横ばいとなっています。
 一方、本県の自殺死亡者数は、同期間において135人で、対前年比8.8%の減少となっており、男女とも減少していますが、特に女性が14.0%と大きく減少しています。さらに年代別に見ると、子供若者層では10.0%、中高年層では6.0%、高齢者層では10.3%と全ての年代で減少となっています。
 また、精神保健福祉センターや保健所が行っているこころの健康相談において、新型コロナウイルス感染症に関する相談件数は、日本で感染が確認された2月から11月末までの間に延べ449件の相談がありました。その多くは、従来精神保健の相談支援を継続している県民からの相談であり、発生間もない4月には129件と最も多くの相談がありましたが、その後落ち着き、現在は月平均10件程度となっています。
〇議長(岸本 健君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
〇長坂隆司君 本県の本年における自殺者数や、新型コロナウイルスにおける心の相談件数が意外と少ないことにいささかびっくりするとともに、安堵もしましたが、新型コロナの第3波が厳しさを増して、お隣の大阪府との行き来を控えざるを得ない状況の中、今後の本県経済への影響や様々な自粛制限が出てくるおそれなど、決して事態は予断を許さなくなっていると思います。
 そこで質問ですが、コロナ禍の中、本県における一人でも多くの命を救うための自殺防止対策について、福祉保健部長、お聞かせください。
〇議長(岸本 健君) 福祉保健部長。
  〔宮本浩之君、登壇〕
〇福祉保健部長(宮本浩之君)  コロナ禍の中、全国的に見られるような女性、子供の自殺者数増加の傾向は、現在のところ本県においては見られませんが、外出を控え、自宅で孤立しがちな生活状況の中では、悩みを人に相談できる環境が重要です。そのため、本県では、従前実施している24時間の電話相談や、SNSを活用した相談など、対面することなく相談できる体制の周知に努めているところです。
 さらに、相談窓口である保健所においては、これまで訪問を行っていた御家庭に対して、感染の不安から、訪問をちゅうちょされる方には、適宜電話相談に切り替えるなど、相談者の目線に寄り添った対応を行っております。
 また、自殺未遂者の再企図の防止を図るため、地域の救急病院の協力の下、昨年度から開始した自殺未遂者に対する相談支援についても、現在入院中の面会が困難な状況となっておりますが、退院後、速やかに相談が始められるよう病院と連携し取り組んでいるところです。
 いずれにしましても、現在は、医療、司法、民間支援団体をはじめ様々な分野の有識者の方に参加いただき、和歌山県自殺防止に関する有識者会議を開催しているところであり、本県の自殺の傾向を分析し、その分析結果を踏まえた長期的な自殺防止対策を検討してまいります。
〇議長(岸本 健君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
〇長坂隆司君 和歌山県は、新型コロナによる自殺というのが幸い今のところほとんどなさそうですが、経済的にも精神的にも落ち込んでくるのはこれからかもしません。専門家の御意見も参考に、悩んでいる人に寄り添って話が聞ける環境づくりとともに、生活をしていけるための御支援も、そのほうもよろしくお願いいたします。
 4点目に、新型コロナの感染者等の搬送に係る手順と体制についてであります。
 新型コロナウイルスが全国的に第3波として感染が拡大してまいりました。和歌山県も入院患者が急上昇しておりまして、今回の第3波では50代以上が過半数を超えていて、重症に至る患者の増加に対する懸念が日に日に大きくなってまいります。新型コロナの感染者あるいは感染が疑われる患者を病院へ運ぶ搬送回数がこのところ随分増加しているのではないかと思いますし、今後さらに増えることも予想されます。新型コロナの感染者等を搬送する車と、一般の救急患者を搬送する車は明確に分けておく必要があるでしょうし、乗務員の感染防止等にも配慮しなければいけないなど、保健所の役割が大変大きいのではないかと思います。本県における新型コロナの感染者等の搬送に係る手順と体制について、福祉保健部長、お聞かせください。
〇議長(岸本 健君) 福祉保健部長。
  〔宮本浩之君、登壇〕
〇福祉保健部長(宮本浩之君) 新型コロナウイルス感染患者の入院に係る搬送については、まず県が医療機関と調整を行った上で入院先を決定し、保健所が医療機関までの搬送を行っています。
 感染が疑われる患者につきましては、基本的に検査結果が出るまでは自宅で待機していただき、陽性が確定すれば保健所が医療機関まで搬送しますが、患者の健康状態が悪いなど、搬送中に医療行為が必要となる可能性がある場合には、速やかに消防機関に対し救急車による搬送を依頼しています。
 また、入院後に状態が悪化し、その医療機関では対応できず転院が必要となる場合も、消防機関に対し救急車による搬送を依頼することになります。
 なお、県では、今後のさらなる感染拡大に備え、民間事業者を活用した搬送体制も整備しています。
〇議長(岸本 健君) 長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕
〇長坂隆司君 新型コロナについては、多岐にわたるいろんな問題あると思いますんで、これからも部長、よろしくお願いいたします。
 最後、5点目に、飼い主の散歩途中での飼い犬のふん尿マナーについてであります。
 和歌山市における事案ですが、散歩している際の犬のふん尿が放置されて、悪臭がぷんぷん臭ってきて、飼い主のマナーがなっていないとか、何度となく家の外壁や家周辺の空き地や畑におしっこをさせて、そのまま立ち去る飼い主を見つけて注意したら、謝りもせずに「そしたらどこでさせればええの」と食ってかかる人もいると聞きました。そればかりか、家主の車のボディーに怒っている家主の似顔絵を指で書いておりました。被害者のお宅で外向きに設置している防犯カメラの録画映像を見せていただきますと、きょろきょろしながら犬に用を足させて、その後は悠然と立ち去っていく同じ飼い主が何回か写っておりました。ふん尿禁止といった看板類も焼け石に水でありまして、まるで効果がありません。
 世の中には犬が苦手な人、嫌いな人も、世論調査では25.1%もいるそうです。飼い主は、まずは周りに住まいのある人に不快感を与えないよう、日頃の散歩を意識する必要があります。畑でせっかく生育した野菜も、犬におしっこをかけられたら臭気がついて、商品価値はなくなってしまいます。そもそも、尿の処理は犬が散歩中、尿をしたら水をかけて洗い流し、トイレシーツで吸い取るべきでありまして、おしっこをさせたままほったらかしは許されないことであります。悪臭がすることはもちろん、一度臭いがついた場所はほかの犬も尿をしやすくなり、たくさんの犬のトイレになってしまうことがあります。
 犬は、尿を使って縄張を主張するマーキングの習性もあります。水をかけるだけでは、ただ尿の臭いを広げてしまっているだけになっていると思います。ふんはやはり必ず拾って持ち帰るべきで、もし軟便で地面に跡が残ってしまう場合は、水で流してトイレシーツで水、臭いなどの痕跡ができるだけ残らないように注意すべきであります。理想は、室内のトイレシーツの上、または自宅の敷地内で排せつを済ませてから散歩に行くことでしょうし、言葉の指示で排せつができるようにトレーニングし、外でもトイレシーツの上でできるようになれば理想的です。
 外でしか排せつしない犬もいるので、基本的に飼い主はリードを短く持つようにして、至るところでふん尿をしないように飼い主の言葉の指示でしかるべきところで排せつができるようにトレーニングすることが肝要でしょう。
 ところで、法律や条例等はどうなっているかといいますと、動物の愛護及び管理に関する法律第7条には、動物の所有者又は占有者の責務等で、「動物が(中略)生活環境の保全上の支障を生じさせ、又は人に迷惑を及ぼすことのないように努めなければならない。」、そして同法第25条には、「都道府県知事は、動物の飼養(中略)に起因した(中略)悪臭の発生(中略)等によつて周辺の生活環境が損なわれている事態として環境省令で定める事態が生じていると認めるときは、当該事態を生じさせている者に対し、必要な指導又は助言をすることができる。」、2項、「都道府県知事は、前項の環境省令で定める事態が生じていると認めるときは、当該事態を生じさせている者に対し、期限を定めて、その事態を除去するために必要な措置をとるべきことを勧告することができる。」、3項、「都道府県知事は、前項の規定による勧告を受けた者がその勧告に係る措置をとらなかつた場合において、特に必要があると認めるときは、その者に対し、期限を定めて、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる。」とあります。環境省令にも、周辺の生活環境が損なわれている事態として、「当該支障が、複数の周辺住民からの都道府県知事に対する苦情の申出等により、周辺住民の間で共通の認識となっていると認められる事態」として、「動物のふん尿その他の汚物の不適切な処理又は放置により発生する臭気」とあります。さらに、法第46条の2では、「第25条第3項の規定による命令に違反した者は、50万円以下の罰金に処する。」とまでうたっています。
 それでは、和歌山県動物の愛護及び管理に関する条例はどうかといいますと、第5条に、動物の所有者等の責務として、「人の生命等に害を加え、及び周囲に迷惑を掛けないように適正に飼養するよう努めなければならない。」、そして第7条の動物の所有者等の遵守事項として、第7号に「動物が公園、道路その他の公共の場所又は他人の土地、建物等を汚し、又は損壊しないようにすること。」とあり、第8条の飼い犬の所有者等の遵守事項第3号に、「飼い犬が道路、公園その他の公共の場所においてふんを排せつした場合には、直ちに当該ふんをその場から除去する等適正に処理すること。」とあります。そして、第23条の勧告及び命令において、第3項第5号に、「飼い犬が人の生命等に害を加えないようにするために必要な措置」と挙げた上で、第26条の罰則の第1項に「第23条第3項の規定による命令に違反した者は、20万円以下の罰金に処する。」とうたわれています。
 和歌山県警察にお聞きしますと、当該迷惑行為は軽犯罪法にも適用可能で、悪質なら検挙もできるとおっしゃっています。そもそも、飼い主が所構わず飼い犬のなすがままにふん尿をさせて、悪臭を放つ迷惑行為というのはマナーの問題でありますが、そのマナーが守られずに当たり前になっていることがおかしいのであって、このマナーをルールに、すなわちそれぞれの法律や条例にのっとった対応をしていただくべきだと思います。ネットで調べても、全国各地で同様の苦情は後を絶ちません。
 被害を受けている住民の立場に立てば、マナーのない飼い主によって連日悪臭に悩まされるといった、誠にいたたまれない事案であります。あくまで近隣住民の人と人との間の問題でもあるので、なかなか難しい部分もあろうとは思います。今回は和歌山市内における事案であり、その対応は、和歌山県の事務処理等の特例に関する条例により知事の権限に属する事務が和歌山市に移譲されており、一義的には和歌山市が行うものではありますが、県当局も県警察当局も実効性を担保する意味でも、ぜひとも被害者の目線で法律や条例にのっとって悪いことは悪いと、毅然と誠意を持って問題解決に取り組んでいただきたいと、問題提起と要望をさせていただきます。
 これで、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(岸本 健君) 以上で、長坂隆司君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 17番川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕(拍手)
〇川畑哲哉君 議長よりお許しをいただきました。以下、通告に従いまして、心を込めて一般質問をさせていただきます。
 130年前となります1890年という年は、かの女性記者ネリー・ブライ氏が72日間をかけて単独世界一周を完遂させたことに始まり、2月1日には國民新聞が創刊、民事訴訟法、商法、刑事訴訟法が順次公布、教育勅語が発布、そして7月1日には第1回衆議院選挙が行われ、11月29日には第1回帝国議会が開会されました。また、4月4日にはラフカディオ・ハーンが来日され、5月23日には東京音楽学校が開校、6月18日には利根運河が開通しています。
 そんな1890年の9月16日、オスマン帝国軍艦エルトゥールル号が本県串本町大島樫野崎沖で遭難する事件が発生しました。猛烈な台風により、かじが利かなくなって船は座礁し、流入した海水でボイラーが爆発して大惨事となった事件でございました。亡くなられました乗組員は587名、しかし遭難を目撃した大島の住民たちによる命がけの救助活動により、69名の命が奇跡的に救われ、そしてその後も住民による遺体の捜索や遺留品の回収及び修理が続けられたのでした。
 それから95年後の1985年3月、勃発していたイラン・イラク戦争中のイランはテヘランより、取り残された日本人215名をトルコの救援機が救います。日本大使館からの救援要請をトゥルグト・オザル・トルコ共和国首相が受けて救援機を手配され、危険な任務と承知で勇敢なるパイロットがテヘランへ飛び、同じテヘランの空港で母国からの救援機を待っていたトルコ人の皆様が悲壮感あふれる日本人をその救援機に乗せたわけでございます。「今からはるか昔、我々の祖先であるトルコの英雄たちが遠い異国の地で困難に陥った。飢えと希望、病気とけが、ありがたいことにその国の人々の献身と善意のおかげで祖国に帰ることができた。どうか彼らを見てください、救えるのは我々だけです」。仁坂知事が世耕弘成・現参議院自民党幹事長と御一緒にスポンサー集めに奔走された映画「海難1890」の劇中、トルコ人キャスト・ケナン・エジェ氏扮するトルコ大使館職員ムラトが、空港内でトルコ人の皆様に語るこのセリフに涙があふれます。
 2013年3月6日、当時の安倍晋三内閣総理大臣は、来日中のイスメト・ユルマズ・トルコ共和国国防大臣の表敬を受けた際、その直前に亡くなられたテヘランから日本人を救出した救援機のパイロットの御逝去に対し弔意を表明されたことは、あまり我が国でも知られていないように思います。
 この劇中、忽那汐里氏扮する日本人学校教師の春海が、「どうして日本が日本人を助けられないのですか」と叫びます。痛烈なメッセージが込められています。当時、我が国の民間機は、帰りの空路の安全が保障されないという理由から、また自衛隊機は国会の承認に時間がかかるという理由から、イランに取り残されている日本人を救出に行けないとのことでした。その折、救出に向けて御尽力されました当時の野村駐イラン大使はじめ、政府、御関係の皆様に深甚なる敬意を表します。
 一方、かわぐちかいじ氏の著作「空母いぶき」では、武力衝突を回避して一人の我が国の犠牲者も出さないことが外交の勝利であると奔走される外交官の姿や、最前線で警察官職務執行法の準用を徹底的に守りながら一人の犠牲者も出さずに国を守る職務に文字どおり心身を賭して取り組む自衛官の姿が描かれています。
 本年は、戦後75年の節目の年となります。私が県議会議員として初めて登壇させていただきました2015年12月定例会におきまして、初めての一般質問項目が「戦後70年となる2015年を振り返って」でございました。その際にも、仁坂知事より県民の平和と安全を守ることについての御決意をお答えいただきましたが、戦後75年を迎え、改めて県民の皆様の平和と安全を守るということにつきまして、仁坂知事の御所感をお尋ねいたします。
〇議長(岸本 健君) ただいまの川畑哲哉君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
〇知事(仁坂吉伸君) 幾多の貴い命が失われたさきの大戦の終結から75年の節目に当たる本年、多くの県民、国民の皆さんが万感胸に迫る思いをされたことと思います。
 今日、私たちが享受している平和と繁栄は、苛烈な戦争により心ならずも命を落とされた多くの方々の貴い犠牲の上にあることを決して忘れてはならないと強く思っております。
 そのため、私は就任以来、戦没者の慰霊祭には必ず出席して、犠牲になられた方に対して平和と和歌山の繁栄のために努力することを誓っております。
 我が国が、戦後75年の長きにわたり平和と繁栄を享受することができたのは、平和主義をうたった現憲法や日米安全保障条約をはじめとする外交的立ち位置も大いに効果を発揮したと考えておりますが、何よりも、戦争の焼け跡から立ち上がり、心から平和を希求し続けてきた国民の不断の取組があったからこそであると思っております。
 二度と戦争の惨禍を繰り返さぬように、その悲惨さ、平和の尊さを後世に伝え、戦争を起こしてはいけないという国民の気持ちが風化しないようにするとともに、戦争が起こらないような外交、安全保障政策をしっかり遂行して、恒久平和の実現に努めることが現代を生きる私たちの責務であると考えております。
 戦後75年の節目に当たり、平和を守りながら、先人が築いてきた郷土和歌山を、県民の誰もが将来に夢と希望の持てるすばらしいふるさとにしていかなければならないと、決意を新たにしているところでございます。
〇議長(岸本 健君) 川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕
〇川畑哲哉君 このたびも、仁坂知事より力強い御所感をいただきました。どうぞよろしくお願いいたします。
 次の質問に入ります。
 この令和の時代におきまして、戦没者の顕彰や御遺族の皆様の福祉向上、また世界の恒久平和の確立に寄与することを目的として活動されている遺族会も、他の団体の例に漏れず、高齢化や後継者不足により活動継続が困難な状況になってきているとお聞きしています。慰霊塔や顕彰碑の清掃等、拠点の維持活動すら難しくなってきているという声も聞かれます。
 遺族会は、平和希求に向けて、行政や学校現場でできない取組をされている団体であると私は認識していますが、戦地へ赴くことに加え、故郷で空襲を受けたり親を戦争で亡くしたりということも後世に伝えるべき平和希求への礎となる戦争体験となるのではないでしょうか。
 和歌山県遺族連合会は、終戦70年を機に「あゝ大東亜戦争 遺児たちの歩んだ道」という本を発行されています。この本の中では、遺児遺族として自分たちも苦しい生活を送ってこられながら、戦死された旦那様やお父様への思いを切々と、あるいは淡々とつづられています。ある遺児の方の追悼文の末尾は、「お父さん、同志の方々とどうぞ安らかにお眠りくださいね。そして桜が満開になる季節には、靖国神社や護国神社のほうに汐風に乗って来てください。私もきっとお参りに行きますからね」と締められています。
 平和学習をより充実させ、また戦争体験を後世につないでいくためにも、遺族会へのさらなる支援や遺族会との一層の連携を模索していくべきと私は考えますが、県としてはいかがお考えでしょうか、福祉保健部長より御答弁よろしくお願い申し上げます。
〇議長(岸本 健君) 福祉保健部長宮本浩之君。
  〔宮本浩之君、登壇〕
〇福祉保健部長(宮本浩之君) 和歌山県遺族連合会は、昭和22年6月に現在の前身である和歌山県戦争犠牲者遺族連合会を設立、昭和29年1月からは和歌山県遺族連合会として、残された御遺族の福祉向上と戦争の悲惨さや平和の尊さを後世につなぐこと等を目的として活動されております。
 県では、議員から御紹介のあった県遺族連合会による戦没者の遺族の方々が歩んだ御労苦をつづった記録誌の出版など、平和の大切さを後世に引き継ぐ活動に対して積極的に支援を行うとともに、本県が主体となって県戦没者追悼式の開催や全国戦没者追悼式への参列を実施しています。
 さらに、多くの本県出身者が亡くなられた沖縄の地に、和歌山県議会からの御寄附を契機として慰霊塔を建立するとともに、南方諸地域での戦没者追悼式を実施し、県遺族連合会と連携して、より多くの方々に御参列をいただいているところです。
 戦後75年を経過する現在、戦争の時代を生き抜いてこられた世代の方々の高齢化が進んでいる中で、次の世代への遺族会の活動を引き継ぐことが課題となっておりますが、その意志を継承するため、御遺族の孫やひ孫世代等で組織する青年部を平成29年5月に設立し、語り部養成や組織として活動を継続できるよう、後継者育成に努めているところです。
 県としましては、戦争の悲惨さを風化させることなく、戦争のない恒久平和の社会を実現するため、引き続き県遺族連合会と連携を取りながら取り組んでまいります。
〇議長(岸本 健君) 川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕
〇川畑哲哉君 戦争の悲惨さを風化させることなく、戦争のない恒久平和の社会を実現する、そのためには教育も極めて重要でございます。むしろ、教育こそその要になるという思いを込めて次の質問に入ります。
 2018年11月5日、私は靖国神社を参拝した後、遊就館へ入館し、フィリピンはルソン島にて戦死した祖父の遺影を奉納しました。
 長く続きました今春のステイホーム期間中、私は鴻上尚史氏原作の「不死身の特攻兵」を一心不乱に読みふけりました。描かれていますのは、フィリピンの戦線にて敗戦を重ね後退する日本軍と、生死のはざまで苦悩する兵士の思いや姿であり、随所に戦地へ赴く際の兵士の心持ち、送り出す家族の心持ち、無事の帰国を待つ身の心持ち、そして特攻していく際の心持ち等が温度高く著されています。
 今年10月、文教委員会の県外調査にて、昨年4月末にリニューアルオープンした広島平和記念資料館を訪れました。加藤秀一副館長兼学芸課長より、館内を詳細に御説明いただきましたが、万感胸に迫るものがございました。
 被爆した後、弟を思いながら亡くなられた大本利子さんの弟、久夫さんは、「もし今、姉が生きていれば」という問いに、「恋をさせてあげたい」と答えられたそうです。
 また、先月は長崎原爆資料館を訪れ、語り部の方より館内の詳細な御説明をいただき、その後、平和公園も御案内いただきました。夜も開放されているという平和公園を歩きながら、「夜間に不健全な集いが行われたり落書きがされたりということはございませんか」とお尋ねしましたところ、「そのようなことは聞いたことがございません。長崎で教育を受けている人は、皆様ここが祈りの場所だと心得ていると思います」とのお答えをいただきました。
 長崎市では、夏休みの課題の一つとして原爆資料館を訪れることになっているそうで、教育の偉大さを痛感いたします。
 両施設には様々な思いが募り、展示されています。戦争体験者の話をデジタル化して最新機器の活用を試みたり、語り部の育成を行ったりしながら戦争体験を後世に残す取組をされています。
 長崎市の軍艦島デジタルミュージアムを訪れた際に、MRホロレンズ体験をしてみました。MRホロレンズとは、バーチャル空間と現実世界の融合体験を可能とする機器で、目の前の空間にバーチャル映像を浮かび上がらせることができます。例えば、この機能を活用して戦争体験者による戦争体験を後世にまで伝えていくことができるのではと考えていることを、長崎県御出身の田出恭子フロアチーフにお尋ねしてみましたところ、長崎県民は戦争や平和についての教育をしっかりと受けているので、当時に思いをはせるだけで心が締めつけられる、それをMRホロレンズでさらに現実性が出るととても耐えられないと思うと御回答されました。
 自由民主党結党以来の党是であります憲法改正を論議するたびに、また戦争を始めるのかとか、軍国主義に戻すのかとかという御意見を拝聴することがございますが、世界で唯一の被爆国である我が国におきまして、国民一丸となって平和を希求するということは、現代に生きる私たちの共通の責務であるはずです。二度と戦争の惨禍を繰り返さないという意識はもちろんですが、我が国の歴史を卑下する必要もなく、真正面から受け止めることが肝要であると思います。そして、後世の皆様に温度差を極力広げずに伝えていくことが大切なのではないでしょうか。
 そこで、教育長に平和学習についてお尋ねいたします。
 私たちの子や孫、優秀なる地元人から世界を渡る企業戦士まで、自分たちのルーツに誇りと気概を持って活躍していただくためにも、先人たちの貴い意志や恒久平和を願う気持ちを若い世代にも丁寧に伝えていくことが大切だと思います。
 一方で、戦争体験者が今後増えることはなく、時がたつにつれて平和であることに慣れてしまうのではと強い危惧を覚えます。これまでどおりの取組ではなく、例えば修学旅行等の機会に靖国神社や各地の護国神社を訪れたり、参拝が宗教的儀礼とされて学校の授業にそぐわないということであれば、遊就館や各地の戦争資料館、慰霊追悼施設等を訪れて語り部の方からの話を聞くという行程をもっと積極的に組み込んだり等、一層踏み込んだ取組が必要です。平和学習について、教育長の御所見及び本県の取組と今後の方針をお聞かせください。
〇議長(岸本 健君) 教育長宮﨑 泉君。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
〇教育長(宮﨑 泉君) 平和学習につきましては、教育基本法に「国際社会の平和と発展に寄与する態度を養う」とあり、平和について学び、考えることは極めて重要であります。
 終戦から75年がたち、戦争体験者の方々の高齢化が進み、直接お話を聞かせていただくことが困難になっています。そのような中でも、各学校においては、戦争体験者から引き継いで語り部として活動されている方を学校に招き、紙芝居と語りで平和について学ぶ機会を設定したり、平和に関する映画や朗読劇の鑑賞をするなど、児童生徒の発達の段階に応じて平和に関する教育が行われています。
 平和の尊さ、戦争の悲惨さを風化させることなく、次の世代に伝えることは重要であり、今後も様々な工夫をしながら学校における平和学習の充実に努めてまいります。
〇議長(岸本 健君) 川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕
〇川畑哲哉君 ぜひ、今までどおりの取組を続けるだけではなくて、これまで以上に踏み込んで、時には最新鋭の技術を駆使した取組なんかも取り入れていただきながら、平和学習の一層の充実を強く要望申し上げます。
 次の質問に入ります。
 先月末、大麻草を販売目的で栽培した等として、九州で10代から50代の男女6人が大麻取締法違反等の疑いで逮捕されたというニュースをお聞きしました。関係先から押収された大麻草は計約550株と、全国の麻薬取締部が押収した中では今年最多だそうです。
 昨年から本年にかけて、芸能人等有名人が薬物使用や所持による麻薬取締法違反で逮捕され、そのたびに全国で衝撃が走りました。
 我が国における薬物事犯の検挙状況は、全薬物事犯検挙人員数が平成27年は1万3524人で、5年後の令和元年は1万3364人とほぼ横ばい、うち覚醒剤事犯検挙人員数は、平成27年は1万1022人で5年後の令和元年は8584人と20%以上減少しています。ところが、大麻事犯検挙人員数は、平成27年の2101人から5年後の令和元年には4321人と倍増していて、本年も昨年を超える勢いで検挙人員数が増えています。
 加えまして、先日法務省より発表されました犯罪白書の調査では、20代の検挙人員数は前年比約28%増、二十歳未満は約42%増と若年層の増加が顕著となっていて、大麻が心身に与える影響についてインターネット上で誤った情報が広まっていると指摘されています。
 本県の状況を見てみますと、全薬物事犯検挙人員数は平成27年の174人から令和元年の155人と減少、覚醒剤事犯検挙人員数も平成27年の140人から令和元年の109人と減少、ところが、大麻事犯検挙人員数は平成27年の26人から令和元年の40人と1.5倍増、そして本年10月末時点で既に50人と倍増しています。インターネットニュース等を検索しますと、各地で大学生が大麻取締法違反容疑で逮捕され、中には関連して高校生が書類送検されている事例も認められます。
 そもそも、大麻取締法は、所持は違法ながら使用は処罰されない等、その内容につきまして誤解釈やあやふやなイメージが先行している面もあるのではないでしょうか。大麻取締法第1条では、規制対象が大麻草及びその製品であり、樹脂はこれに含まれ、成熟した茎と種子及びその製品が除外されると規定されていて、例えば七味唐辛子には麻の実が使用されていますが、実は規制対象から除外されているわけでございます。これは、大麻草全体に有害物質が含まれているわけではなく、幻覚作用を催すTHC(テトラヒドロカンナビノール)という成分は、大麻草の花や葉に含まれている樹液に多く含まれていますが、厚生労働省によりますと、成熟した茎や種子にはTHC成分が含まれていないことによるとのことです。
 さらに1961年に制定されました国際条約「麻薬に関する単一条約」でも、大麻の吸引等の使用につきましては締約国に罰則の制定が求められてはいなくて、多くの先進国においても使用罪が制定されていないようです。つまり、本人が大麻を能動的に吸引した場合だけではなく、間接的あるいは受動的に吸引した際にも、麻酔い等の症状を呈する場合があり、その場合にも刑罰をもって臨むことは不適切なのではという事情が発生し得るからでございます。
 大麻を不正に使用する際には、その前段階として、大麻の譲受あるいは所持罪及びその共犯罪を成立させることで、多くの場合は規制となり得るということのようでございます。ともかく、いわゆる大麻の吸引は同法規制対象となる部分の使用であることから、処罰対象となることは明らかであり、各都道府県知事より免許を受けた大麻取扱者以外は生産、流通、研究のための使用を禁じることが明確に規定されています。
 以上にもかかわりませず、全国で発生している大麻の栽培や所持等による検挙事例の増加や検挙人員の低年齢化は極めてゆゆしき状況でございます。和歌山県における大麻をはじめとする薬物乱用防止対策の取組について、福祉保健部長と警察本部長より御答弁をお願い申し上げます。
〇議長(岸本 健君) 福祉保健部長。
  〔宮本浩之君、登壇〕
〇福祉保健部長(宮本浩之君) 薬物事犯は、近年横ばいが続く中、大麻事犯は大きく増加しています。本県でも同様に大麻事犯は増加している状況です。
 そこで、県としましては、広く県民に大麻をはじめとする薬物の危険性を強く訴えるため、テレビや広報誌を活用した啓発に加え、薬物事犯者の更生や少年の非行防止に関わる方々、さらには薬物に深い知識を有する専門家の中から協力いただける方に薬物乱用防止指導員を依頼し、その様々な知識や経験を生かしながら、県民に薬物の怖さをより身近に感じてもらえるように、地域に根づいた啓発に取り組んでいるところです。
 また、薬物依存症者やその家族の支援につなげるために、県に相談窓口を置き、薬物事犯者に再乱用させない取組も行っています。
 さらに、近年、大麻事犯の検挙人員が若年層で大きく増加していることから、特に中学生や高校生などの若い世代に、大麻をはじめとする薬物の危険性や有害性を正しく啓発することが重要と考えています。
 そこで、県、市町村の教育委員会と連携し、中学校や高等学校での薬物乱用防止教室に薬物乱用防止指導員や県の職員を講師として派遣し、大麻をはじめとした薬物の持つ依存性などの恐ろしさを強く訴える講演を行っております。特に、中学生には、より分かりやすく理解してもらえるよう、大麻をテーマとした漫画を活用したパンフレットを新たに作成し、教材として全中学校に配布するとともに、薬物に誘われたときの断り方を生徒に実演してもらったり、薬物に関するクイズ形式による薬物の啓発を行うなど、生徒に参加してもらいながらのイベントでありますノードラッグフェスティバルを実施し、薬物の怖さをより身近なものと実感してもらう取組の強化を行っているところです。
 今後も、引き続き、薬物に一度でも手を出すと一生後悔することを、若い世代をはじめ広く県民に周知する取組を進めてまいります。
〇議長(岸本 健君) 警察本部長親家和仁君。
  〔親家和仁君、登壇〕
〇警察本部長(親家和仁君) 議員御指摘のとおり、大麻事犯につきましては、他の薬物事犯に比べ、検挙人員のうち初犯者や20歳代以下の若年層が占める割合が高くなっております。県警察におきましては、こうした状況も踏まえ、大麻をはじめとする違法薬物の乱用を防止するため、各種取組を実施しております。
 幾つか例を挙げますと、まずは、薬物乱用防止に向けた広報があります。ラジオ、インターネット、県警防犯メール、交番や駐在所で作成している広報紙などの各種媒体を活用して、県民に薬物乱用防止のメッセージを発信するとともに、学校や団体等と連携してイベントを開催し、薬物乱用防止の冊子、チラシ、啓発物品の配布などを行っております。
 また、警察官が学校等に赴き、講話や映像による啓発などを行い、参加者に直接、薬物乱用が身体に及ぼす有害性、危険性を伝えるなどの取組を実施しております。
 さらに、警察から情報発信するだけではなく、警察署や交番において違法薬物に関する相談や情報提供を受け付けているほか、警察本部に薬物乱用問題に関する相談電話を設置し、24時間対応するなどしております。
 そのほか、薬物事犯の再犯対策として、警察で検挙した薬物関係の被疑者やその家族に対し、厚生労働省麻薬取締部が設置する支援窓口や民間団体が設置する支援窓口等を教示するなどしております。
 県警察といたしましては、各種薬物事犯の徹底検挙を図るとともに、今、御説明申し上げた各種取組を強力に推進し、薬物事犯の撲滅に努めてまいりたい、このように考えております。
〇議長(岸本 健君) 川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕
〇川畑哲哉君 薬物事犯の低年齢化を防ぐためには、低年齢より年代に合わせながらの組織的かつ専門的な指導が大切であると思います。先ほど申し上げました大麻取締法への誤解釈やあやふやな解釈等を育ちの中で身につけさせるのではなく、教育として適切な指導をし、大麻など薬物には決して手を出してはいけないという意識を低年齢より徹底して醸成していく必要があります。これまで以上の取組をすることで、将来にわたる薬物事犯検挙人員数減少につなげられるものと私は考えています。
 そこで、学校現場で行われている取組と今後の方針について、教育長より御答弁をお願い申し上げます。
〇議長(岸本 健君) 教育長。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
〇教育長(宮﨑 泉君) 若年層の薬物乱用は、大変憂慮すべき問題であり、特に大麻は深刻でございます。子供たちが薬物に染まることのないよう、県教育委員会では、学校薬剤師や保健所、警察等と密接に連携を図って、薬物乱用防止教室等の取組を充実しているところです。
 学校では、授業で大麻や覚醒剤、危険ドラッグなどを取り上げ、薬物乱用の背景、要因及び心身の健康や社会への影響について、発達の段階に応じて学習をしております。
 また、保護者が子供の薬物乱用への危険意識を持つことが大事であるため、特に長期休業前には面談や文書配付を行い、注意喚起を徹底しております。
 教職員が、薬物の危険性や子供たちがどのように薬物に手を出していくかなどを理解し、感度の高い指導を行えるよう、研修等もより一層充実してまいります。
〇議長(岸本 健君) 川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕
〇川畑哲哉君 どうぞよろしくお願いいたします。
 次の質問に入ります。
 第6期きのくに教育審議会の答申によりますと、文化・芸術に関する記述としまして「文化・芸術分野については、人生を豊かにするための教育であることを踏まえた上で、高等学校教育にどう位置づけるかを考えていかなければならない」、「一流の文化・芸術に触れる機会の提供に引き続き積極的に取り組むとともに、指導者の適切な配置や、学習環境の整備を行う中で、生徒が興味・関心をもとに学び」という箇所が認められます。これには、私も全く同感でございます。
 また、近年、第4次産業革命を調査してきた中で、目まぐるしく発達するAIはじめ最先端技術が活用されてきている現代におきまして、これから社会に出ていく世代に必要な教育は、いわゆる人間らしさを伸ばし、そのためには探求心や発想力を鍛えるということであると私は強く思います。
 そもそも、音楽や美術、ファッション等を含めてアートと呼ばれるジャンルには、唯一絶対の正解や目に見える完成形というものがほぼございません。発想やひらめきという感覚を研ぎ澄ませて洗練させていくことが、偉大なアーティストへのステップでございます。加えまして、創作活動の過程におきましては、発想の連鎖や努力の積み重ねから起こる偶然の産物というものもあると思います。
 ザ・ビートルズの不傑出の名曲「レット・イット・ビー」でも、間奏後、3番のAメロ部分でバックのオルガン演奏が一瞬コードを外しますが、そのまま収録され、気づかなかったとか、わざとずらしているのかと思ったとか、不具合感にたまらなく引かれるとかという感想を聞いたことがございます。
 ファッションでも、あえて全体から外した色使いがアクセントになることもございます。セオリーや理論どおりではない場合に、作品の完成度がより高まるということもあるわけでございます。また、複数のプレーヤーが集まった際に起きる予期せぬ仕上がりというものもあり、よく化学反応とも表現されています。
 あと、アートの世界でも、作品やアーティスト同志の交流を通じて思いが紡がれていきます。BOØWYのギタリスト・布袋寅泰氏は、独特の音づくりやシャープなギタースタイルが特徴的ですが、当時、圧倒的な異彩を放っていたであろう「B・BLUE」のBメロで、ルート音を半音ずつ下降させるコード進行を構築しています。結果、布袋氏から影響を受けたと言われるBUCK-TICKの今井寿氏は、その名曲「スピード」のサビ部分で、5度の音や基音を半音ずつ上昇させるコード進行を見せ、途中のコードは、音楽家をして「表記の仕方が分からない」と言わしめる独創的な仕上がりとなっています。そこに思いが紡がれ、発展していきます。
 ちなみに、活動初期のBOØWYはサックスを含む6人編成でした。管楽器の入っているバンドは多くはないものの、弦楽器だけではなく管楽器もそろった形態でのコンサートを試みるバンドマンやロックアーティストは少なくありません。
 この管弦楽が相当数以上集まる、言わばフルコンテンツの演奏形態を管弦楽団、オーケストラと呼びます。楽器を手にする者にとって、オーケストラの一員として演奏することは、大なり小なり憧れる夢の一つではないでしょうか。
 しかし、オーケストラを立ち上げること、またオーケストラの活動を維持していくことには相当の人的、経済的負担が生じます。もちろん、指導者や相当数のプレーヤーも必要となります。バンドであれば3~4人で始めることができますが、オーケストラはそうはいきません。そのオーケストラを、人生の早い段階で最も現実的に体現できる機会が学校の部活動ではないでしょうか。
 アートに関わるメンバーは、それぞれが主人公となります。レギュラーメンバーもサブメンバーもなく、そのプレーヤーがその音を出さなければその楽曲は成立しません。これは、バンドでも吹奏楽でもオーケストラでもそうだと思います。
 その中で、演奏形態の最高峰であるオーケストラに所属して洗練されることで、努力することやチームワークを確立すること、マナーや教養を身につけて他のプレーヤーを立てることや、時には自分が率先して楽曲を引っ張ることなどを学びます。
 音楽文化の先進県・千葉県では、進学校にこそオーケストラ部があるとうたわれてるそうですが、その千葉県内でも高名な千葉県立幕張総合高等学校シンフォニックオーケストラ部を取材されて書かれた阿久井真氏の著作「青のオーケストラ」では、有名なオーケストラ部に憧れる中学生や必死に受験勉強を頑張ってその高校に入学した感動、オーケストラ部入部後の楽器経験者と初心者とのあつれきや友情、それぞれの挫折や奮起を通してクラブ活動と勉学との両立に邁進する高校生たちのスクールライフが生き生きと描かれています。
 また、オーボエ奏者・米山龍介和歌山大学観光学部教授にお話をお伺いしましたところ、吹奏楽はロックやジャズなど幅広い音楽を演奏するが、オーケストラが演奏するのはクラッシック音楽のみであり、弦楽器が主体となる。クラッシック音楽文化の振興という意味でも、オーケストラの存在意義は大きいとのことでございました。
 和歌山県内の県立高等学校には、29校中26校に吹奏楽部があり、11校に軽音楽部があり、2校にマーチングバンド・バトントワリング部がありますが、オーケストラ部は残念ながら1校もございません。
 現在、県立高等学校の再編整備に向けた準備が進められる中で、部活動の活性化については具体的にどのような考慮がされているのでしょうか。部活動を活性化することは、学校の活性化や受験希望者の増加、それに伴う地域の活性化など、再編整備の趣旨にかなうものと私は考えています。その観点から、生徒数が増え、施設や予算面でも各校が現状より膨らむ可能性のあるこの再編整備の際に、県内初のオーケストラ部創設を含めた部活動のさらなる活性化に向けた県教育委員会の大いなる御支援をお願いしたいと思いますが、教育長はいかがお考えでしょうか、御答弁どうぞよろしくお願いいたします。
〇議長(岸本 健君) 教育長。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
〇教育長(宮﨑 泉君) 県立高等学校再編整備に際し、オーケストラ部の創設等の部活動の活性化に向けてということでございますが、部活動には、高い目標に向かって粘り強く取り組む姿勢や態度の養成などの教育的意義がございます。部活動の活性化に取り組むことの重要性については、きのくに教育審議会の答申においても指摘されているところです。今後、再編整備に取り組む中で、議員御指摘のような新しい部活動が生まれるチャンスもあると考えます。そのためには、PTAや同窓会はもとより、地域社会において学校や生徒を支援してくれる外部指導者等との連携を重視していきたいと考えます。
 部活動は、少子化による学校規模の縮小で、多くの学校では部員の確保に苦労しています。そのような中で、新たな部活動を立ち上げることは容易ではありませんが、生徒から自主的に声が上がるのなら、チャレンジしていくことは学校の活性化や生徒たちの成長にとってすばらしいことでありますので、柔軟かつ前向きに検討してまいります。
〇議長(岸本 健君) 川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕
〇川畑哲哉君 答弁いただきました。
 県立高等学校へのオーケストラ部創設は、県内で活動されている多くの音楽家の皆様の夢でもあります。自分たちの子供をぜひ入部させたいと念願されている方もいらっしゃいますし、本県の文化・芸術振興の大きな一助になると信じてやまない方もいらっしゃいます。オーケストラ部創設に御理解いただける方を募り、声を強くし、いつの日か必ずオーケストラ部創設につなげてまいりたいと思います。その際には、絶大なる御支援を賜りますよう、お願いを申し上げます。
 次の質問に入ります。
 令和3年は、和歌山県にとりまして一大文化年となります。高校生の文化部の全国大会とも言える全国高等学校総合文化祭(総文祭)と国民体育大会の文化祭版と言える国民文化祭(国文祭)及び全国障害者芸術・文化祭が同時に開催予定となっています。この総文祭と国文祭という両文化祭が同一年度に同一県で開催されますのは、全国初の偉業でございまして、何年も前より御関係の皆様には御準備や御段取りに御尽力をいただいていますことと改めて感謝を申し上げます。
 去る10月25日、第45回全国高等学校総合文化祭・紀の国わかやま総文2021プレ大会、総合開会式に出席させていただきました。立派な開会式でございました。ステージは、とても高校生と思えない上質な仕上がりで感動を呼びつつ、完璧な時間進行で閉幕したことにも驚きを覚えました。おのおののさらなる資質向上はもちろん、和歌山県の一層の文化レベルの向上のきっかけになる場としていただければとも思いますし、今後の和歌山県を担う文化人輩出の機会になればとも思い、非常に楽しみにしています。
 さらに先日、軽音楽部門を視察させていただきました。自分たちの高校生時代の淡い思い出と重ね合わせながら、感動的なステージを続けざまに拝観しました。開催に際しましては、感染症対策等、御関係の皆様による様々な対応が細やかにしつらえられていました。
 ちなみに、独自調査によるインターネットニュースを提供している株式会社NEWSY運営の「ニュースサイトしらべぇ」によりますと、年収層別のバンド経験者の割合は、年収300万円未満が7.0%、年収300万円以上500万円未満が14.1%、年収500万円以上から700万円未満が18.3%、年収700万円以上1000万円未満が15.1%、そして年収1000万円以上は23.5%となっています。高収入層にバンド経験者が多くなっている要因として、バンド活動が最高の自己表現のツールであり、等身大の自分を観客の前で見せつける積極性を持ち、自己主張の強い仲間たちと協働する力が磨かれ、さらに演奏力向上への情熱などが考えられるとされています。
 ともかく、御出演されていた皆様には存分にバンド活動に打ち込んでいただき、社会に出てからはその熱意を勤労に向け、高収入を得て適切に納税していただき、豊かで有意義な人生を送っていただきたいと思います。
 この全国高等学校総合文化祭・紀の国わかやま総文2021は、生徒企画委員会という高校生による実行委員会が組織され、企画や運営が行われています。その過程において、他校の生徒同志による交流や切磋琢磨が起こり、人生における貴重な経験が積まれることと思います。様々な御労苦もあることとは思いますが、山は高ければ高いほど、乗り越えた際の感動もより大きなものとなります。また、一人でも多くの仲間とその感動を分かち合うことで、生涯の財産もより大きくなることでしょう。実行委員会のメンバーや出演されるメンバー、そして関わられる方々が一丸となってすばらしい大会にしていただき、それぞれがよき思い出をつくっていただければ私もうれしいです。
 そんな期待の膨らむ総文祭ですが、どうも全県的な盛り上がりがまだ感じられないように思います。イベントのPRには、いわゆる企画サイドからの戦略的なPR方法と、出演者サイドからの発信とが考えられます。特に、コロナ禍により、出演者によるステージ機会や発信がやりにくい状況であることは想像に難くないわけでございますが、それでももろもろのニューノーマル構築にチャレンジしていくべき社会的要請段階にあり、総文祭につきましてはPRも最終コーナーに入ろうかという段階かと感じています。
 加えまして、秋に控える国民文化祭「紀の国わかやま文化祭2021」へとつながる盛り上げを醸成していただくことで、一層本県の文化レベル向上に資することが期待できます。
 そこで、教育長にお尋ねいたします。
 紀の国わかやま総文2021におけるPR活動は、どのように取り組まれているのでしょうか。今後、さらにPR活動を強化していく必要があると思いますが、どのようにお考えでしょうか。また、演者への出演機会増に向けてはどのようなお考えをお持ちでしょうか。国文祭との連携も含めて御答弁をよろしくお願い申し上げます。
〇議長(岸本 健君) 教育長。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
〇教育長(宮﨑 泉君) 全国高等学校総合文化祭は、芸術文化活動に取り組む全国の高校生が一堂に会し、合唱や吹奏楽など22部門で成果を披露、交流する祭典で、来年夏、本県では初めて開催されます。本年度当初、新型コロナウイルス感染症の影響で活動等に支障がありましたが、様々な注意や工夫をしながら準備を進め、10月に300日前大会PRイベントを開催し、吹奏楽や日本音楽などの演奏や吟詠剣詩舞の演舞、美術、書道、写真の作品展示など各部門の取組を発表しました。
 同月、さらにプレ大会を開催し、総合開会式のパレードとともに各部門大会を実施しました。高校生の優れた演出とパフォーマンスに対して、多くの方々から称賛と応援のお言葉をいただき、本大会開催を広く知っていただく機会であるとともに、生徒が本番に向け経験を積み、さらに高みを目指すきっかけともなりました。
 今後、紀南地方で200日前大会PRイベントや、各地域の様々な催しに高校生が参画し、経験を重ねることと、大会のPR活動を充実してまいります。
 さらに、全国高等学校総合文化祭の後に開催される国民文化祭や全国障害者芸術・文化祭をPRするため、工業高校の高校生が作成したカウントダウンボードや大会PR用フラッグの設置などを進めるとともに、これら文化の祭典に高校生が積極的に参加していくように取り組んでまいります。
〇議長(岸本 健君) 川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕
〇川畑哲哉君 次に、国文祭についてお尋ねいたします。
 国民文化祭は、全国植樹祭、国民体育大会、全国豊かな海づくり大会と並び、天皇陛下が皇后陛下と御一緒に御臨席あそばされる四大行幸啓の一つでございます。本県における行幸啓は、2015年の紀の国わかやま国体以来であり、令和になっては初のこととなります。
 その国民文化祭ですが、昨年開催されました新潟県へ当時の総務委員会として調査に訪れた際に、先方の御担当者からもお聞きしましたが、やはり国体と比べるとどうしても盛り上がりが乏しいように感じるとのことでございました。とはいえ、令和3年は和歌山県誕生150年の記念の年であり、先ほども申し上げましたように、総文祭と国文祭が全国で初めて同じ年に同じ開催地で行われるという、和歌山県にとりまして一大文化年でございます。これまでの先催県にはない特段の事情を伴っての開催となりますので、大いに盛り上げて、和歌山県の文化レベルの一層の向上、ひいては県勢のさらなる発展につながることを心より御期待申し上げます。
 そんな期待の膨らむ国文祭ですが、総文祭と同じく、これまではどうも全県的な盛り上がりがまだ感じられません。要因はもろもろあるかと思いますが、コロナ禍による各ステージや展覧会等のイベントが春から秋にかけて中止や延期せざるを得なかったことが大きいのではと推察しています。特に、ステージ系のイベントは今も開催しにくい雰囲気が漂い、プロのアーティストでもフィルムコンサートに切り替えたり、インターネット上でのライブ動画配信に切り替えたりと苦慮されているようです。
 そんな折、歌手の田原俊彦氏が今年9月より全国ツアーを開催した旨のニュースをお聞きしました。全16公演を7公演に縮小し、入場前にアルコール消毒を行い、入場人員を規制し、客席間のソーシャルディスタンスを確保し、ステージと客席の距離も離し、客席にての着席と歓声ではなく拍手での反応を求めての開催とされたそうでございます。延期とした公演も来年に振替公演を予定し、全公演ともキャンセルされる方にはチケット代の払戻しに応じ、開催された公演については後日オンライン配信という念の入れようで進められています。果たして、公演初日の1曲目終了後、客席から割れんばかりの拍手が数十秒にわたって続き、その大きさと長さは近年の東京近郊の公演では聞かれない質と量を醸し出していたそうです。
 紀の国わかやま文化祭2021本番を無事に迎えることは一番の目標となりますが、本番で出演者が最高のパフォーマンスをするためには、本番に至るまでに本番さながらの臨場感の中でのリハーサルを重ねることや、客側のステージ観覧慣れということも大きく影響すると思います。
 そこで、企画部長にお尋ねいたします。
 紀の国わかやま文化祭2021におけるPR活動は、どのように取り組まれているのでしょうか。今後、さらにPR活動を強化していく必要があると思いますが、どのようにお考えでしょうか。また、参加団体の今後の活動に対してどのように支援していくお考えをお持ちでしょうか、御答弁どうぞよろしくお願い申し上げます。
〇議長(岸本 健君) 企画部長田嶋久嗣君。
  〔田嶋久嗣君、登壇〕
〇企画部長(田嶋久嗣君)  紀の国わかやま文化祭2021を、多くの県民の皆さんの参加の下、大いに盛り上がる祭典とするためには、県民の皆さんの認知度を上げるための広報がとても重要であると考えております。
 新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、県内のイベント等が中止になるなど、県民に直接働きかける広報が難しい状況にありましたが、ポスター・のぼりの掲示や公式ホームページの情報発信など、まずは県民の皆さんに文化祭開催を広く知ってもらうための広報を展開してきたところです。
 そういった中でも、夏以降は、一部県内のイベント等の再開の動きもあり、広報活動を本格化してきております。
 8月には、より文化祭の認知度を上げるため、広報キャラバン隊による県内各地での巡回広報や、本県出身で著名人の本谷紗己さんと中島由貴さんのお二人をスペシャルインフルエンサーに委嘱し、SNS等で文化祭の様々な情報を発信いただいております。
 さらに、10月には、より県民の皆さんに文化祭の内容を知ってもらい、参加意欲の醸成を図るため、開催期間中のイベント等を掲載した公式リーフレットを作成するとともに、子供たちなど県民の皆さんが参加いただける折り鶴プロジェクトや出前体験プロジェクトの募集を開始したところです。
 また、現在、約50社の企業、団体の皆さんに、応援企業としてポスターやのぼりの掲出、チラシ配布などで御協力いただいており、官民一体となって盛り上げを進めているところです。
 今後はさらに、PR映像や公式ガイドブックを作成し、様々な機会や媒体等を活用し、積極的な広報を展開するとともに、県外からも多くの方々に参加してもらえるよう観光等関係部局と連携し、より相乗効果のある取組を推進してまいります。
 次に、紀の国わかやま文化祭2021参加団体への支援についてですが、開催まで1年を切り、一部のイベントでは全国から出演団体、出演者、作品の募集を開始するなど、着実に準備を進めております。
 一方、新型コロナウイルス感染症の影響により、市町村や文化団体では、集まって練習できないなどの理由で今年度予定していたイベントを縮小、中止せざるを得ないといった事例も生じております。県としては、市町村や文化団体と頻繁に打合せを行い、開催に向けた不安を払拭するとともに、万全な体制で本番が迎えられるよう、準備に係る経費についても今年度から補助対象としております。
 具体的には、出演募集、オーディション、合同練習等の経費に加え、新型コロナウイルス感染症対策経費についても補助対象とするなど、運営面及び費用面についてもしっかりと支援を行っているところです。
 新型コロナウイルスの感染拡大が見通せない状況でありますが、今後とも市町村や文化団体と協力しながら、芸術・文化のすばらしさを和歌山県から全国に届けられる大会にできるよう、引き続き支援を行い、開催準備に取り組んでまいります。
〇議長(岸本 健君) 川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕
〇川畑哲哉君 御答弁の中にもございました出前体験プロジェクトに関しましては、私の母校の小学校でも御協力させていただきたく、現在日程調整をさせていただいているところでございまして、開催への実現を大変楽しみにしております。できる限り、私もPRの御協力をさせていただこうと引き続き努めてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、最後の質問に入ります。
 国民文化祭は、国体とは違い、他ジャンルとのコラボレーションがしやすいという特徴がございます。実際、新潟県でも、邦楽器による効果音も含めた生演奏とデーモン小暮氏による朗読及び歌唱、さらにサンドアートをバックスクリーンに映し出すという演出が施された斬新な公演が行われていました。
 また、1995年にステファン・ポージェス博士によって発表されましたポリヴェーガル理論という神経医学の分野における新しい理解の手法があり、この理論によって人の状態をよりよく理解して見極めることで、ストレス状態などの神経の黄信号や赤信号状態を人間の自然な状態である青信号状態にするための対応をしやすくするとのことですが、その際に、深呼吸や適度な運動などのほか、やはり文化・芸術に親しむということが大切であると御提案されているそうでございます。
 人間には、生きる上で文化・芸術が必要であると、先日当事務所へ御来所いただきました学者の方からも御指摘いただきましたし、私もより豊かな暮らしの実現には文化レベルの向上が必要であると以前より訴えてまいりました。
 県内外の多くの皆様に、多くの文化・芸術に触れていただける絶好の契機となります紀の国わかやま文化祭2021開催に際して、県としてはどのようなことを期待されているのでしょうか、企画部長より御答弁どうぞよろしくお願い申し上げます。
〇議長(岸本 健君) 企画部長。
  〔田嶋久嗣君、登壇〕
〇企画部長(田嶋久嗣君) 紀の国わかやま文化祭2021の開催期間中の23日間で130を超えるイベントが行われ、県内はもちろん、県外からも多くの方が参加されます。来県される皆さんには、文化祭を楽しんでいただくことはもちろんのこと、県内各地のすばらしい自然、歴史、食や地域のもてなしに触れていただくとともに、地域の方々との交流を通して「山青し 海青し 文化は輝く」和歌山県の魅力を堪能していただきたいと考えております。
 また、多くの県民の皆さんにも御参加いただき、この文化祭を機に県内で活躍されている様々な文化団体の活躍を見て聞いて体験いただき、県内の文化芸術活動の輪が大きく広がることで心豊かな和歌山県を創造してまいりたいと考えております。
〇議長(岸本 健君) 川畑哲哉君。
  〔川畑哲哉君、登壇〕
〇川畑哲哉君 答弁いただきました。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
 新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、都会から離れる人が増えているとお聞きしています。地方でもそれなりの便のよい生活ができるようになってきていますし、何よりSNSやアプリ、最新鋭の機器等を活用することで、地方に住みながらにして自分を表現できる時代になってきています。
 そんな時代だからこそ、発想やひらめきの鋭い若者を育成することが大切であり、そのためにはアート振興、文化芸術振興施策が必要なのではと思います。コロナ禍の折、SNS等を通じて窮屈な生活を強いられている県民の皆様へ、アートに関わられる方々は一生懸命に作品を創ってエールを送ってくださいました。「おうちでForever Love」や「にじ」、また一般社団法人和歌山青年会議所主催「和歌山が元気に!和歌山から元気をつなぐ#ハピネスでいこら」など、SNSやユーチューブで御視聴された方も多いのではないでしょうか。ステージやイベントが中止となり、多くのアーティストの皆様は大幅な収入減となっていたにもかかわらず、社会にエールを送り続けてくださったわけでございます。
 そんなアーティストの皆様に、私たちからもエールを送ろうではありませんか。県当局の皆様には、ぜひわかやまリフレッシュプランのアート版のような施策も御検討いただきたいと思います。アーティストの皆様にエールを送り、よりすばらしいアートを世に誕生させていただき、本県のアート感を高めて紀の国わかやま総文2021、紀の国わかやま文化祭2021、全国障害者芸術・文化祭わかやま大会を大成功につなげてまいりましょう。
 私も全力でお手伝いしてまいりますことをお誓い申し上げまして、私の人生12度目の一般質問を終了させていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(岸本 健君) 以上で、川畑哲哉君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時50分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
〇副議長(濱口太史君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 38番杉山俊雄君。
  〔杉山俊雄君、登壇〕(拍手)
〇杉山俊雄君 こんにちは。
 議長の許可を得ましたので、早速一般質問に移っていきたいと思います。先輩諸氏から同じような、高校再編については同じような質問があって重なるかと思いますが、よろしくお願いします。
 一つ目は、高校再編についてです。
 県教育委員会は、きのくに教育審議会の答申を受け、今年度中に高校再編整備実施プログラムを作成しようとしています。中身は、生徒減少を理由に、今後15年間で現在ある29校を20校に削減する計画で、無謀と言わざるを得ません。今や高校は準義務教育的な存在であり、子供に高校教育を受ける権利を保障することは人権保障であり、高校教育を受ける機会を奪うことがあってはなりません。
 学校統廃合は、未来永劫、歴史のある学校を地域から消し去り、子供や住民に多大な負担や苦労をおかけします。学校規模が小さく、財政効率が悪くても、教育を受ける権利の保障に必要な経費を支出し、教育条件を整え、その利点や可能性を最大限追求するのが県教委の役割です。
 県教委は、答申の理解を得るために、地方別の説明会や諸団体との懇談を持ったとしていますが、十分な意見を聞いたわけではありません。
 地域懇談会では、拙速な再編計画に異論が噴出しました。南部高校では、町長を会長に南高の未来を創造する会が結成され、学校存続への運動が始まっています。また、笠田高校でも県教委との懇談会が持たれ、県議、町長、教育長なども出席し、PTAからは高校を残すよう強く要望がなされています。
 このように、地元首長をはじめ議員、保護者、OBほか地域住民が各地で存続を求める声を上げ始めています。また、元校長の会が、安心して学べる学校を地元の近いところに保障してほしい、少子化がますます加速する、地域全体の活力につながる問題として捉えてほしいと県教委に要望をしています。
 学校は、地域の文化センターとしての中心的な役割があり、地域の魅力、核である学校の廃止は地域の衰退の引き金になります。このことからも、拙速な統廃合を中止し、子供や学校関係者はもとより、広く地域住民の声に真剣に耳を傾け、合意を得るには数年間の議論の時間が必要と考えます。
 そこで、地域に根差した高校の重要性をどのように捉え、どう進めようとしているのかについて、また、地域住民の声に真摯に向き合うことが求められることについて、さらに子供の学習権保障に対する考えと具体化について、教育長の答弁を求めます。
〇副議長(濱口太史君) ただいまの杉山俊雄君の質問に対する答弁を求めます。
 教育長宮﨑 泉君。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
〇教育長(宮﨑 泉君) 先ほどからの議員の質問において、「学校を削減する」や「高校教育を受ける機会を奪う」、また「学校を地域から消し去り」など、答申内容の解釈にそごがあるように感じますので、まず、答申の意図するところについて説明をさせていただきたいと思います。
 本県には、議員も御承知のとおり、地道な取組や特色ある取組により、魅力を備え地域に根差した高校が数多くあります。答申が指摘しているのは、生徒数の減少が進む中で、そのような重要な学校が立ち行かなくなる懸念があるということです。
 答申は、地域とともに持続可能な学校づくりを推進していくこと、また、地域の学校が成り立たなくなった場合でも、単なる削減ではなく、発展的に融合した新たな学校づくりを推進していくことを提起しています。このことは、議員の質問にある地域に根差した高校づくりということと相入れないものではないと考えます。
 また、学習権については、学校の数を減らすことによって侵害される、あるいは学校の数を残すことによって保障されるというものではなく、一人一人の成長にとってどのような学びが必要なのかを考えながら学校を整備していくことによって保障されるものだと考えます。
 答申では、これからの県立高等学校の在り方として、和歌山の子供の優れた能力を十分に発揮できる高校教育、高等特別支援学校や学び直しの学級の設置等を含めた個に応じた学び、普通科、専門学科、総合学科の充実などの点において、その方向性が提示されていますので、これらを実施プログラムで示し、その具体化を図ることによって、真に学習権の保障がなされると考えます。
 今後、長期間にわたって実施されることになる再編整備では、これらの高校教育の在り方について、県民の皆様と共に考え、共通理解に至ることが大切と考えます。このことから、9月以降、答申内容を説明する地方別や個別の懇談会を開催するとともに、そこでいただいた御意見を尊重しながら、県教育委員会として再編整備実施プログラム案の作成に取り組んでいるところです。
 懇談会では、議員の発言にもあった安心して学べる学校、地域の魅力、核である学校づくりについても説明させていただきました。また、そのために学校が地域と協働することの重要性を説明したところ、学校のことを一緒に考えたい、学校と共に動いていく必要性を感じたなどの前向きな御意見もいただいております。
〇副議長(濱口太史君) 杉山俊雄君。
  〔杉山俊雄君、登壇〕
〇杉山俊雄君 答弁をいただきました。
 教育長の答弁の中で、単なる削減ではなくて融合といいます。この融合を紀北筋で考えれば、商業、工業、農業、この三つを一つにすれば、残り二つは必要ないということで、数の上では2校が削減される、そういうふうにして県内を全て融合していった数が29から20校になるということだというふうに思っています。
 また、県民の共通理解が大切だというのはそうだというふうに思いますが、私が懸念するのは、実施プログラムに沿って、それができたら着々と実行されるのではないかと心配をしています。拙速に進めないように要望して、次の問題に移ります。
 二つ目は、6学級の根拠についてです。
 今回の答申のポイントの一つは、適正規模を1学年4学級から6学級に引き上げたことです。根拠として、学校の小規模化が高校の魅力の低下につながり、地域の活力低下を生み、負のスパイラルに陥る懸念があるとしていますが、納得はできません。4学級規模では科目開設の制約、習熟度別クラス編制の制限、教員の専門外授業の負担等、様々な課題が生じるので適正でない、8学級では今後のさらなる少子化の進行で現実的でないというのです。つまり、中を取って6学級が適正と言っているに等しく、御都合主義だというふうに私は思っています。
 和歌山県は、1校当たりの生徒数で見れば、全国16位で中位の上です。他県と比べて小規模校が多いわけではありません。全国的に再編整備計画が進められていますが、全国15位の香川県は標準規模を定めず、地域の状況に応じて定員を決めるとしています。26位の山梨県では、適正規模を4から8学級とし、適正規模を下回る高校についても直ちに再編の対象とせず、通学時間などの地域の状況等を踏まえ、生徒にとって最もよい視点で考える、また学校は地域の知の拠点で地域活性化の核でもあり、地域の人々との連携を求めるとしています。43位の秋田県では、生徒減の実情に即して学級減を進める、しかし直ちに学級減とせず、1学級の定員を35人にするなど穏やかな計画を検討しています。
 他県は、和歌山県のように1学年6学級を適正規模とし、無謀に高校を削減する計画にはなっていません。優しさがないのではないかというふうに思っています。1学年6学級の妥当性を切磋琢磨論や新しい学びに一定程度の生徒数が必要としていますが、科学的な検証はありません。学級規模と教育的効果についての研究はされていますが、学校規模との相関関係に関する研究は見当たりません。日本で言われるような小規模校が生徒の成長、発達によくないという主張は、諸外国ではほとんどありません。適正規模は子供にとっての適正という意味ではなく、行政効率からの適正で、効率が悪いから統合しようというのはリストラの基準にほかならないのではないでしょうか。
 新型コロナウイルス感染症を経験して、今後も新たな感染症が懸念される中、現在の40人学級では身体的距離が取れません。また、分散登校で20人程度の学級を経験し、教師たちは一人一人に目が届く、子供たちは先生に質問ができ、勉強が分かるようになったと大好評であったことからも、少人数学級の必要性は明らかです。生徒減少期だからこそ、他県でも見られる少人数学級や学級規模の縮小を行い、行き届いた教育を保障することで学校統廃合を避けることができると思います。
 そこで、伺います。
 6学級が適正という根拠について、また20人程度の学級の必要性について、さらに国の基準が30人学級になった場合の対応策について、教育長に伺います。よろしくお願いします。
〇副議長(濱口太史君) 教育長。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
〇教育長(宮﨑 泉君) 平成17年の再編整備計画では、県立高校の適正規模を4から8学級としてきました。生徒減少が続く中、現行基準のままでは大多数の学校がこの範囲には収まらなくなってしまいます。特に、地方では、通学範囲内に4学級を満たす学校がなくなることも懸念されます。そこで、考え方を見直す必要があると考えています。
 答申では、生徒の多様な人間関係の中での成長・成熟、学校行事や部活動の活力、必要な教員数が確保されることによる教科・科目の充実が期待できることなどの利点を挙げて、現実的かつ望ましい学校規模が1学年6学級と示されました。
 また、この規模であれば、将来さらなる少子化が進んでも、地域においては活力があり、地域の核となり得る学校として存在していけるという見通しも含まれています。
 ただし、市域と市域の間にある高校や専門学校については、6学級を満たすことが難しい場合でも存続させることが必要となることもあります。このようなことを総合的に考えると、6学級規模の学校を中心に4学級未満の学校もあり得るという形が和歌山県の実情に見合った高校の在り方だと考えます。
 それぞれの高校に求められる機能が維持できる範囲においては、現在の学校をできるだけ存続させられるよう努めつつ、それが困難になった場合には、学校の発展性や生徒の通学範囲等に配慮しながら、新たな学校に再編整備する必要があると考えています。
 20人程度の学級については、一概に人数を減じて学級数を増やすことで学校が存続すればよいというわけではありません。学級の人数は、その導入目的やもたらされる教育効果などから考えるべきものです。例えば、答申に含まれている10名程度で学ぶ学び直しに特化した少人数学級の新設については、必要性があると考えており、実現していきたいと思います。
 なお、来年度の高校募集定員では、串本古座高校を1学級35人編制といたしました。35人学級は、学校運営に一定の負担がかかるものですが、地域や学校の要望も踏まえての限定的な設定です。国においても少人数学級が制度化されるように、今後も県教育委員会としても働きかけてまいります。
 国の制度が30人学級になった場合でも、教室数等に支障が生じないように、現在慎重に検討を重ねつつ、再編整備の実施プログラム案を作成しているところです。
〇副議長(濱口太史君) 杉山俊雄君。
  〔杉山俊雄君、登壇〕
〇杉山俊雄君 いろいろ考えられているというふうな答弁をいただきましたが、6学級の科学的根拠はありません。15年先の生徒減少数を6学級規模の生徒数で割れば9という数字が出てきます。ちょうどぴったりです。削減のたびに6学級と言っているのではないかというふうに勘ぐりたくなるのです。こういうふうに6の根拠というのは、そういうことぐらいかなというふうに私は思っています。そういうことを指摘して、次の質問に移ります。
 競争教育と教育の機会均等とに関わって質問をします。
 答申では、公教育の責務を「世界に羽ばたき、和歌山発展に寄与する人材を育てること」としています。これは、教育基本法の教育の目的、機会均等に反する立場だというふうに思っています。難関大学進学、アスリートの育成など競争教育を一層強化する方向での再編計画は、教育の機会均等を侵し、見過ごすことはできません。難関大学への進学が低いことを、教員の指導力や生徒の学ぶ姿勢等に責任転嫁をしています。これは、現場で頑張っている教員や生徒を愚弄することにしかならないのではないでしょうか。
 私が配付してもらっている資料を見てください。赤と青の折れ線グラフがありますが、大学進学率に関して言えば、平成17年以降、全国平均と比較して年々格差が大きくなっています。このことは何を物語っているのでしょうか。教員や生徒の質が低下してきたからではなく、県の教育政策に問題があるのではないかと思っています。
 県教委は、全国に先駆けて、平成15年度から通学区を撤廃し、平成16年度からは県立の中高一貫校を設置しました。公立の数では全国一だというふうに思って、資料を見れば全国一ですし、平成17年度には高校再編の計画を策定しています。このように大きな制度改革と軌を一にして、大学進学率の格差が拡大しています。これらの教育政策が大学進学率の低下につながっているのではないかと思います。
 また、東大進学者数を10年単位で見ていっても、1970年代と2010年代とは同数です。どの年代でも進学者数はそれほど変わりませんが、違うのは年代とともに地域に偏りが出てくることや、私学が8割、9割を占めるようになったことです。有名大学への進学者を伸ばすために学区を撤廃し、中高一貫校をつくっても大きな成果を上げるには至っていない、競争教育をあおればあおるほど、学力の高い生徒は実績のある私学に流れ、県立高校は疲弊していきます。競争をあおる教育政策で高校間格差が拡大し、階層分化された各高校での活力が失われ、負のスパイラルを生んでいるのではないでしょうか。小規模化が負のスパイラルを生むのではないというふうに思います。
 答申では、人口減少で通学区域を再設定すれば、子育て世代が地域から流出するので、再設定すべきでないと結論づけていきます。しかし、難関大学を希望する生徒は地域の有名私立へ進学し、学区撤廃と相関関係はありません。競争的な教育政策をなくし、ゆとりを持って学校生活が送れるように、学区を縮小し、高校間格差をなくし、地域の子は地域で学び、どこでも同じような教育を受けれるような制度設計に改めることを検討する時期に来ているのではないかと思いますが、教育長の答弁を求めます。
〇副議長(濱口太史君) 教育長。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
〇教育長(宮﨑 泉君) 今後進める再編整備においては、各地域に活力と魅力を備えた高校、自己実現が十分に果たせる高校を整備し、県内どの地域においても格差なく質の高い教育が受けられるようにすることが重要だと思います。このことは、議員の質問にある競争主義を一層強化する方向での再編とは異なるものです。
 また、学区制についてですが、生徒が自らの意思で選び、学びたいという意欲を持って通うことのできる学校の存在が重要と考えます。答申では、学校は学区という制度ではなく、生徒、保護者、地域から信頼され、地域の拠点として認められることにより持続可能性を帯びていくものとされています。
 そういった高校教育を各地域に実現していこうとするのが、今回の再編整備実施プログラムの柱になると考えています。そのために、県教育委員会として、保護者、同窓会、地域等と共に地域の子供たちが真に学びたいと思える地域の核となる県立学校づくりに邁進していきたいと考えております。
〇副議長(濱口太史君) 杉山俊雄君。
  〔杉山俊雄君、登壇〕
〇杉山俊雄君 どの地域でも格差なく教育が受けられるのであれば、答弁のようにあれば、選択の余地はありません。学区を外して選択できれば格差が生まれます。格差のない教育と学区外しは、矛盾していると思います。選択できるのは一部の生徒だけであります。格差がないというのであれば、学区を設定すべきだというふうに要望をしておいて、次の質問に移ります。
 続いて、1年単位の変形労働時間制について質問を行います。
 この変形労働時間制導入に当たって丁寧な意向調査が行われたかということについてです。
 変形労働時間制は、恒常的な時間外労働がないことが前提なので、長時間労働が常態化している学校に導入する余地はないと思いますが、まず、導入に当たって丁寧な意向調査が行われたかについて質問します。
 変形労働時間制は、忙しい時期には所定労働時間を1日8時間以上を設定し、暇な時期には労働時間を短縮し、全期間をならせば週40時間以内に収まるようにする制度です。しかし、学校には暇な閑散期はありません。文科省は、導入しても勤務時間や業務を短縮するものでないと言っているのに、どうしてこのようなものを導入するのかについて、6月の文教委員会で質問しました。
 教育長は、超過勤務が45時間以内でないと導入されないが、現在導入できる状況にない。しかし、市町村が導入する場合、県で条例をつくっておく必要があると答弁、県が不作為とならないために条例をつくるというのです。
 日本共産党の畑野衆議院議員は、昨年11月の文部科学委員会で導入するためのプロセスについて確認をしています。政府参考人は、条例を制定するプロセスの出発点は、まず学校で検討、その上で市町村教育委員会と相談し、市町村教委の意向を踏まえ県教委が条例案を作成し、県議会に諮る、また、各学校の事情を踏まえずに県の条例で一律に強制することはできませんと答弁しているように、職場の意向や学校の実情を尊重し、決定することになっています。
 さらに、全国の教育長や教育関係者会議等、様々な場で改正法の趣旨や意義を周知徹底することも答弁しています。
 萩生田文科大臣は、各学校の意向を踏まえずに県が一律に条例で強制しても何の意味もない、当然、学校のみんなが嫌だというものを条例で運用して動かすことはできないと言っています。条例制度の出発点は、国会答弁のとおり、各学校での話合いであります。各学校の意向を無視して条例はつくれないと思いますが、そこで教育長に伺います。
 現在、県教委は意向調査を行ったと思いますが、国会答弁にあるような現場の事情をよく聴く調査になっているかをお答えください。
〇副議長(濱口太史君) 教育長。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
〇教育長(宮﨑 泉君) 公立学校の教育職員における休日のまとめ取りのための1年単位の変形労働時間制の導入について、全ての県立学校及び市町村教育委員会の意向を丁寧に確認をいたしました。現時点では、この制度を直ちに導入したいという意向の表明はありませんでした。今後も、各学校や市町村教育委員会の考え方を慎重に確認してまいりたいと考えております。
〇副議長(濱口太史君) 杉山俊雄君。
  〔杉山俊雄君、登壇〕
〇杉山俊雄君 今、丁寧に意向調査を行っているというふうに聞きましたが、市町村学校では、校長ですら説明を受けていません。説明というのは、働き方改革の説明はあっても、変形労働時間制については一切説明を受けていません。教員はなおさらです。高校でも教員は知らされていません。校長だけです。
 プロセスの出発点は、学校での話合いと国会で答弁をしています。県教委は、不作為にならないように条例をつくるというふうに言っていますが、学校の意向を丁寧に聞かないことのほうが、不作為ではないかと私は思っています。今後、改正法の趣旨を現場に周知徹底することを要望して、次の質問に移ります。
 二つ目は、夏季休業中、夏休みは閑散期、暇か、そういうふうなデータはあるかということについてです。
 文科省は、夏休みのまとめ取りについて、リフレッシュ時間を確保でき、教職の魅力向上で意欲と能力のある人材の確保につながるとしています。つまり、夏休みの連続5日、休日に魅力を感じ、教職希望が増えるというのです。しかし、教員は夏休みのまとめ取りに魅力を感じて教員をしていません。子供と一緒に歩んでいくところに最大の魅力を感じて頑張っているのです。
 文科省は、まとめ取りのできる夏休みを閑散期と捉えています。しかし、夏休みは授業がないだけであって、教員はいつもと同じように勤務し、結構仕事が詰まっています。部活動の指導、校外の研修への参加、家庭訪問、授業期間中にできないもろもろの業務をこなしています。
 さいたま市は、昨年7月に試行的にこの制度を導入しました。7月の4日間、1時間勤務時間を延長した分、7月22日以降の夏休み期間中に4時間分を調整するということです。しかし、僅か4時間でさえ、結局調整する日が見つからなかったと報告されています。理由として、教員の未配置や未補充が多く、常に忙しくて長時間を余儀なくされる中、長期休業中を閑散期と決めつけ、導入するのはあまりに無謀だということです。現場では教員を増やし、勤務時間内に普通に仕事ができるようにしてほしいと訴えています。
 大橋名古屋造形大学教授の研究によると、2015年度と2016年度のいずれも新任教員は全ての月において残業が生じている、しかも、ほとんどの月で過労死ラインを超えており、閑散期と想定されている8月も2015年度は26時間、2016年度は16時間の残業が確認できたとしています。
 そこで、教育長に伺います。夏季休業中は閑散期となるデータ、証拠データはありますか。お答えください。
〇副議長(濱口太史君) 教育長。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
〇教育長(宮﨑 泉君) 文部科学省は、休日のまとめ取りが可能な状況をつくるためには、授業のない期間である夏季休業等に業務を削減して閑散期をつくる必要があると述べております。
 本県におきましては、夏季休暇の一斉取得日を設定するとともに、その前後には行事や研修等を設定しないようにすることで、夏季休業中に休日をまとめて取ることができる状況をつくっております。
 全ての校種において夏季休業中の8月は、他の月と比較して明らかに超過勤務時間が少なくなっているというデータは把握しております。
〇副議長(濱口太史君) 杉山俊雄君。
  〔杉山俊雄君、登壇〕
〇杉山俊雄君 答弁は、8月が少ないと。しかしながら、夏休みは他の月より残業が少ないだけで、8時間以上働いています。この状況を閑散期というのですか。閑散期というのは、いつも半日で終わって帰るとかというようなことだと閑散期と言えますが、8時間以上、残業も少しあるというんだから、8時間以上は働いているんです。これは閑散期ではありません。
 月45時間、毎日約2時間のただ働きが許されているという認識に立っているのではないかなというふうに、いろんな人たちと、校長や教育委員会の人たちと話していると、そういうふうに思えてきます。だから、超勤45時間を超える教員に指導が入る、こういうふうに45時間以内は許されるという認識があるのではないかというふうに私は話しているとそんなふうに思えてきます。だから、45時間でもこれは不当な労働だという、労基法からいえばそういうふうに思っています。
 それで、次の質問に移ります。
 制度導入をクリアするために、業務をどのように削減しているのかについてです。
 勤務時間を延長する時期について、文科省の導入の手引では、年度当初や学校行事等で業務が多い月、4月、6月、10月、11月を考えています。これらの月は過労死事案が多い月で、4月は新学期の環境の変化によるストレスに加え、行事の多さが加わります。業務量が多く過労死事案が多い月に、わざわざ所定の労働時間を延ばして勤務をさせるのは理解に苦しみます。疲労は日々その日のうちに解消するのが原則です。たまった疲労は簡単には取れません。寝だめ、休みだめはできません。変形労働時間制は健康を害し、体を壊します。
 ある新採は告発をしています。「1か月働きましたが異常です。残業せざるを得ない仕事量を任されて、残業してもボランティア扱いで残業代は出ない。雑務等の仕事が多いせいで、授業や学級をよくしようとする試みや子供一人一人を考える時間が全く取れません。本当に悲しい。日々の授業はほぼ準備なしです。毎回思いつきのような授業になってしまって、子供に本当に申し訳ない。このままでは質の良い教育はおろか、教員は死にます。助けてください」と悲痛な叫びが上がっています。忙しい時期に勤務時間を延長することは、異常だというふうに思います。
 文科省の勤務実態調査から、教員は1日11時間を超える長時間労働で、月80時間の過労死ラインを超える超過勤務は、小学校で33.5%、中学校で57.6%に上っています。長時間労働で身も心も疲れ切っている教員の働き方を変えるのが、教育委員会の仕事ではありませんか。今でさえ多忙な時期に所定労働時間を延長するなど、受け入れられません。
 導入の大前提は、教育長が答弁したとおり、超過勤務時間をガイドラインで示された月45時間、年360時間以内とするまで業務を削減することです。文科省は、業務の削減を徹底的に進めると答弁していますが、教育長は具体的にどのように削減するおつもりなのか、お答えください。
〇副議長(濱口太史君) 教育長。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
〇教育長(宮﨑 泉君) 業務削減については、学校ではICTの活用や休暇の確保、ノー残業デーの設定、会議の簡素化、部活動における休養日や練習時間の縮減等に取り組んでおります。
 また、体育部及び文化部の部活動指導員やスクールサポートスタッフ、スクールカウンセラーなど様々なスタッフを配置しております。
 加えて、各学校ではICTやタイムカードによって勤務時間の的確な把握を行い、超過勤務時間の縮減を進めております。
〇副議長(濱口太史君) 杉山俊雄君。
  〔杉山俊雄君、登壇〕
〇杉山俊雄君 今、勤務時間を管理しているという答弁をもらいました。勤務時間を把握して削減に取り組んでいると言っていますが、現在でも超勤はなくなっていません。導入されていろいろやっていても、45時間以上はある市では40%を超えていますし、過労死ラインもかなりの人が超えております。だから、先ほど言うような周辺部の小手先の改革では何ともならないというのが現状ではないかというふうに思います。業務の大幅削減や教員増など、抜本的な改革が必要です。そうでないと、校長による時短ハラスメント、ある時間が来れば帰れ、帰れ、それで持ち帰り仕事をすると、そういうようなことが起こるし、一旦パソコンを切って、あと残って仕事をするというような虚偽の報告をすることも予想されます。そういうふうなことになれば、大きな社会問題になってくるというふうに考えます。真剣に取り組んでいただくことを要望して、次の質問に移ります。
 三つ目は、部落差別解消推進条例の一部改正についてです。
 共産党県議団は、2月議会で、部落差別解消推進条例については、既に人権尊重の社会づくり条例があり、これを生かすべきとして反対しました。今回の一部改正案にも反対の立場から、2点について質問を行います。
 一つは、プロバイダーに対する責務規定の追加についてです。
 条例一部改正の理由は、インターネット上に部落差別の書き込みが拡散されていて、プロバイダーに削除要請しても削除されていないこともあるから、条例の法的根拠でより強く削除要請をするというのです。インターネット利用に関連しては、条例がなくても既に削除要請は実施をされています。わざわざ改正をする必要があるのか、疑問です。半年余りで条例を改正しなければならないほど、2月に提出された条例に不備があったのか、疑問に思います。
 11月17日に行われた人権施策推進審議会では、弁護士や大学教授から条例の問題点が指摘されています。また、10月17日から11月16日まで行われたパブリックコメントへは2名から提出があり、条例改正は必要ないとの意見でした。
 さて、インターネット上に部落問題があふれているのかについてですが、県と共同研究している和大のモニタリングでの掲示板への書き込みの確認件数は、令和元年度で19万件だといいます。県職員が部落差別と判断してプロバイダーに削除要請をした件数は362件で、全体の0.19%と極めて少数です。このうち削除された件数は83件で、0.04%とごくごく少数です。削除されていない件数は279件ですが、モニタリングで書き込んだ人を特定できた件数はなく、説示等を行っていないと聞いており、特に抽出して条例にプロバイダーの責務条項を追加する必要はないと思います。
 和大への負担金は300万円で、情報専門教授の院生を中心に週8時間のモニタリングが行われています。1時間に約450件、1分間に約8件というとてつもない数のモニタリングです。ネット上の書き込みは表現の自由と関連していて、差別に該当するかどうかについては、県の判断とプロバイダーの判断が異なることは十分あり得ます。現に、削除要請があっても全て要求が通るわけではありません。県の削除要請に応えないことが問題ではないかというふうに思います。ネットの削除要請は任意の制度で、従うか否かは原則としてプロバイダー等の意思にかかっています。
 プロバイダ責任制限法第3条では、削除の規定はありますが、プロバイダーの削除義務の規定ではなく、削除しても責任を問われない条件を規定したものです。インターネットの発信者に対する勧告のためには、発信者情報が必要ですが、開示を求めること自体、手続的にハードルが高く、開示請求できるのは権利侵害が要件です。自治体の権限でできることではありません。仮に明らかになったとしても、勧告自体、法的には強制力はありません。インターネット上に流出した情報を全て回収することに多大な時間を費やし、問題があると探し続け、削除要請することに意味があるとは思えません。税金を使ってまで追求する価値があるのか、疑問に思います。
 プロバイダ責任制限法や業界団体の自主規制では、削除要請に対する対応を必要とするのは権利侵害のある場合です。一般的なお願いしかできないのでは、責務規定を条例に追加する意味はありません。県としてできることは、被害者へのサポート体制を充実することではありませんか。また、県民に対しては、人権尊重に関する啓発や相談活動を積極的に行うことではないかと思いますが、企画部長の答弁を求めます。
〇副議長(濱口太史君) 企画部長田嶋久嗣君。
  〔田嶋久嗣君、登壇〕
〇企画部長(田嶋久嗣君) 部落差別解消推進条例の一部改正について、プロバイダーの責務を追加で規定する必要はないのではないかという御質問でございますが、インターネットは、拡散性及び匿名性といった特性を有しております。従来型のトイレなどでの差別落書きと異なりまして、インターネット上で部落差別が行われた場合は情報が瞬時に拡散され、被害が大きくなることから、県では本年3月に和歌山県部落差別の解消の推進に関する条例を施行し、インターネットを利用しての部落差別を禁止したところです。
 また、本規定に違反した書き込みがないかどうかのモニタリングを行い、違反書き込みと特定したものについては、プロバイダーに対して削除要請を実施しております。
 令和元年度では、362件の削除要請を行い、本条例施行後も令和2年11月末時点で321件もの書き込みを本規定に違反していると判断し、プロバイダーに対して削除要請を行ったところです。しかしながら、削除要請を行った書き込みのうち、約85%が削除されていないという状況です。
 プロバイダーは、インターネット上で部落差別が行われている場合に、当該情報を削除することができることから、県としては、インターネットを利用した部落差別の拡散防止を図るためには、プロバイダーの役割は非常に大きいものであると考えております。そのため、県では、引き続き削除要請を行っていきますが、プロバイダーにおいても、自身がインターネット上で部落差別が行われていることを確認した場合には、当該情報を削除いただくことを求めるためにプロバイダーに対する責務を規定したものです。
 また、県では、被害者へのサポートを行うため、人権局や各振興局、公益財団法人和歌山県人権啓発センターに部落差別に関する相談窓口を設置するとともに、月2回の無料の弁護士相談を実施しています。さらに、県民に部落差別についての関心を促すとともに、正しい理解と認識を深めていただくため、駅前等での街頭啓発や啓発資料の作成、部落差別に関する歴史や現状、今後の課題を知っていただくための研修会や講演会を開催するなど、積極的に啓発活動を行っています。
 県では、今後も引き続き部落差別の解消を推進していくため、啓発や相談体制の充実に努めてまいります。
〇副議長(濱口太史君) 杉山俊雄君。
  〔杉山俊雄君、登壇〕
〇杉山俊雄君 今、啓発や相談活動の充実をしているというふうに言われたので、そういうような方向でお願いしたいと思うんですが、インターネット上の書き込みは、今でも、条例がなくても──条例がなくてもというのはプロバイダーを責務規定をしなくても、消しに行くことができています。県とプロバイダーの責任、判断基準が異なるので、全てを消すということはいきません。書き込んだ人を特定するには、高いハードルがあります。条例をつくってまで消しに行くことに力を注ぐより、先ほど言ったように、今現に行われている啓発や相談体制を充実することのほうが大事だということで、よろしくお願いしたいと思います。
 それから、二つ目は、県の部落差別の判断についてです。
 部落差別解消条例には部落差別の規定がないので、部落差別であるのかの判断は判断者の主観になります。禁止条項を置き、勧告という指定の手続を設定している以上、定義は不可欠です。例えば、部落差別事件として取り上げられ、市町村からの報告のあった事例を公文書開示一覧で見ると、次のようなものです。
 同和住宅は、毎月6000円の家賃を払い続けたら自分のものになると知人から聞いた、不公平だと思い電話をした、これが差別事件として報告されています。この質問者に対し、市は、旧同和住宅に払下げ制度はないこと、市営住宅全般ではもろもろの要件についてお互いの合意があれば払下げできる制度があると説明し、理解していただいたと報告されています。差別事件報告書の差別の分析によると、本件は同和対策事業に対する誤った認識による問合せである、情報をうのみにして誤った認識で捉えることは偏見であり、差別意識を助長する。認識を改めなければ妬み意識につながるとともに、誤った情報がさらに拡散され、歯止めなく流布される。同和地区に対する偏見や部落差別は、このような誤った情報から起こると考えられると分析されています。
 参議院法務委員会の附帯決議や地対協の意見具申は、今日的な課題として、周辺地域との一体性や一般対策との均衡を欠いた事業の実施は、新たな妬み意識を各地で表面化させている、このような行政機関の姿勢は国民の強い批判と不信感をもたらしていると行政の主体性の欠如が差別の解消を阻害し、新たな差別を生む危険性を指摘しています。
 部落差別解消推進条例には、部落差別を行った者に対する説示、勧告の権限が県に付与されています。県による主観的判断により、差別かどうかが認定されることになっています。県が説示、勧告を行うことは本筋ではないと思います。国の人権擁護機関である法務局に任せるべきではないかと考えますが、企画部長の答弁を求めます。
〇副議長(濱口太史君) 企画部長。
  〔田嶋久嗣君、登壇〕
〇企画部長(田嶋久嗣君) 本条例における部落差別とは、部落差別の解消の推進に関する法律における部落差別のことで、誰もが理解できる歴史的事実です。一般的には特定の地域の出身者であることを理由に、結婚を反対されるなどの不合理な取扱いを受けることをいいます。
 本県においても、インターネット等を用いて、今もなお同和地区やその関係者を避けようとする目的で誹謗中傷を行ったり、同和地区の所在の調査や行政機関へ問合せをしたりするなどの事例が発生しており、部落差別は過去の問題ではなく、現実の問題として残っています。
 部落差別により深く傷つけられた方がおられ、この方々の心の傷は決してささいなものではありません。そのため、県としてこのような部落差別に悩まれている被害者を救済していかなければならないと考えています。
 県では、市町村と連携を図りながら、被害者に対しては被害者の心に寄り添ったサポートを行い、部落差別を行った者に対しては、部落差別は許されないものであり、行ってはならないということを説示し、今後、部落差別を行わないように促しているところです。
 また、部落差別については、本県だけの課題ではなく全国的な課題であることから、国に対して引き続き実効性のある法制度の整備を提案してまいります。
〇副議長(濱口太史君) 杉山俊雄君。
  〔杉山俊雄君、登壇〕
〇杉山俊雄君 部落差別が現実の課題として残っているから、サポートするために県が関わるというふうな答弁でしたが、私は、そうであっても県が説示、勧告を行うべきではなく、国の人権擁護機関である法務局に任せるべきだというふうに思っています。
 これで、一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇副議長(濱口太史君) 以上で、杉山俊雄君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 18番玉木久登君。
  〔玉木久登君、登壇〕(拍手)
〇玉木久登君 皆さん、こんにちは。
 本日最後の一般質問となります。機会をいただきました先輩・同僚議員の皆様に感謝申し上げます。最後までお付き合いのほどよろしくお願い申し上げます。
 一般質問に入る前に、少しお時間をいただきたいと思います。
 先週、県庁の正庁において、今年度の紀の国チャレンジド賞、紀の国チャレンジド・サポート感謝状、表彰状の授与式が行われ、岸本議長と出席をいたしました。チャレンジドとは、障害を前向きに捉え、克服し、生き生きとした社会生活を送っている障害のある方をチャレンジドと呼びます。そのチャレンジドの方とチャレンジドの社会生活をサポートする方を表彰するものでありました。大変すばらしいことと感じましたし、これからも応援していきたいなと思った次第です。
 それから数日後、福祉関係の所管の立場からお知り合いになった方からお電話をいただきました。その方は全盲です。お電話の内容は、目の不自由な人は建物内のどこに消毒液が置いてあるのかが分からないので、消毒できないから人に迷惑をかけてしまうとのことでした。その言葉に、今の現状に疑問を思うこともなかった自分自身が少し──かなり恥ずかしくなりました。本当の意味のノーマライゼーションとは、そういうことを当たり前のように捉えることができる社会ではないのかと思ったところでございます。
 その後、障害福祉課にも相談はしていますが、御本人いわく、白杖の持つ手は右手なので、入り口の右側に消毒液を置いてくれれば確認できますとのことでした。皆様に少しでも知っていただければと思い、お時間をいただきました。どうかよろしくお願い申し上げます。
 それでは、議長のお許しをいただき、通告に従い一般質問を行います。
 大項目の1番、和歌山県の教育現場におけるメンタルヘルスに関する取組についてであります。
 その中の一つ目、県内の児童生徒へのメンタルヘルスの対応状況についてであります。
 6月定例会一般質問において、和歌山県における総合的な自殺対策についてお伺いをいたしました。今回は若年層、特に学校におけるメンタルヘルスについてお伺いいたします。
 厚生労働省が発表した統計によると、小中学生と高校生の自殺者は今年4月から10月までで246人と、去年の同じ時期より58人増加しており、深刻であるとの報道がありました。有識者からは、新型コロナウイルスの感染拡大による生活の変化が影響していると見られ、子供の気持ちをしっかりと聞くことが重要であると指摘しています。従前学校内において、児童生徒へのメンタルヘルスケアについて、教育委員会、また先生方が様々な形でメンタルヘルス、心の健康へのサポートをなされていると思います。また、経験値のまだまだ少ない児童生徒は、いろいろな悩みを持ち、友達や家族など打ち明けにくいことも先生に相談することが多いのではないかと思います。また、スマートフォン等によるSNSを使って友達に相談することも多いのではないでしょうか。
 一方で、前回、SNS等による誹謗中傷について取り上げましたが、学校内においても児童や生徒間で問題になっているのではないかと思います。
 そこで、県内の学校における児童生徒へのメンタルヘルスの対応状況について、教育長にお伺いいたします。
〇副議長(濱口太史君) ただいまの玉木久登君の質問に対する答弁を求めます。
 教育長宮﨑 泉君。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
〇教育長(宮﨑 泉君) メンタルヘルスの対応状況についてでございます。
 今日、様々な専門性を有する人が、チーム学校として複雑化、多様化する諸課題に対応しています。
 児童生徒へのメンタルヘルスについても、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等の専門スタッフと連携を図りながら、児童生徒の心に寄り添った対応に努めています。
 とりわけ、養護教諭は、保健室でしか見せない言動や行動から、児童生徒の変化にいち早く気づき、こうした情報を基に、心身の健康に課題のある児童生徒に対して、学校全体で指導、支援を行っています。
 また、教育委員会では、児童生徒が不安や悩みを誰にも相談できず、一人で抱え込まないよう、24時間対応の相談電話やSNSを活用した相談窓口を設置しています。
 さらに、県と連携してネットパトロールを実施し、被害、加害の児童生徒に迅速な指導や心のケアを行っています。
 加えて、きのくにコミュニティスクールの取組において、悩みを抱える子供たちについての対応を学校運営協議会で協議し、声をかけたり相談機関につなげたりしている地域もあります。このように地域や家庭を巻き込んだ取組を県内に紹介するなどして、さらに広げてまいりたいと考えています。
 今後も、児童生徒一人一人の状況を丁寧に把握することに心がけ、心の健康保持に努めてまいります。
〇副議長(濱口太史君) 玉木久登君。
  〔玉木久登君、登壇〕
〇玉木久登君 教育長から御答弁いただきました。スクールカウンセラーとかスクールソーシャルワーカー、そういう専門的なスタッフという形で、学校を回られたりとか相談をされているんだと思うんですけど、やっぱりマンパワーには限りがあって、常駐するわけにもいかず、すぐに相談に乗ってほしいなというときには乗れない状況ではないかなと思います。
 そんな中で、養護教員の重要性ということで、先ほど御答弁にもありました。いろいろお聞きすると、保健室というのが非常に自分の悩み事を相談できたりとかいうのがしやすいという話をちょっと聞くんですね。そんな中で、養護教諭がその役割を果たすということは非常に大きいことかなと思うので、そこら辺は各学校のほうで重要視していただきたいかなと思います。本来は担任の先生であったり副担任であったり、その場その場で対応できたりとかするのが一番重要なんかなとは思いますけども、そこの連携をしっかりしていくということなので、そこは何とぞよろしくお願いしたいと思います。
 あと、きのくにコミュニティスクールのお話も出ましたけども、地域で相談できる体制というのは非常に大事だなと思います。やっぱり町の人が声をかけて、子供たちを見守るという体制は非常に大事なことだと思います。コミュニティスクールを多くつくるとか、達成率を上げるということではなくて、本当にコミュニティスクールの重要性というものが学校運営協議会の中で、しっかり学校と地域が連携を取ること、これがやっぱり重要なことだと思います。つくるんではなくて中身の問題だと思うので、以前もお話しさせてもらったとおり、なかなか人も、マンパワーも足りない中で、こういうことは非常に重要なことだと思いますので、しっかりお願いしたいなと思います。
 あとは愛情だと思います。愛情をしっかり、子供たちに声をかけてあげてください。お願いします。
 次の質問に移ります。
 二つ目です。自己肯定感を身につける取組についてであります。
 自分に自信を持つことって大事だと感じています。児童生徒の心の健康を語る上で、家庭での教育はもちろんですが、教育現場においても自己肯定感を身につけることが重要だと思います。児童生徒の自己肯定感を上げることが、思い悩み、自分に自信をなくし、マイナスな方向性へと行く心の歯止めとなると考えています。自己肯定感を身につける取組について、教育長にお伺いいたします。
〇副議長(濱口太史君) 教育長。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
〇教育長(宮﨑 泉君) 自己肯定感を身につける取組でございますが、児童生徒一人一人がよいところを伸ばし、自信を持って成長しようとすることは大切であると考えています。各教科の学習においては、自分の考えを仲間の前で発表するなど活躍の場を設けたり、仲間と協力し、何かを創り上げる活動を取り入れたりすることで、児童生徒一人一人が達成感を味わい、自信を持つことができるように取り組んでいます。
 また、道徳科では、長所を伸ばそうとする態度を育むとともに、自己の理解を深めることができるよう指導しています。
 県教育委員会といたしましては、今後も様々な教育活動を通じて自己の個性を肯定的に捉え、前向きに学校生活を送ることができる児童生徒の育成に努めてまいります。
〇副議長(濱口太史君) 玉木久登君。
  〔玉木久登君、登壇〕
〇玉木久登君 御答弁いただきました。全くそのとおりかなとは思うんですけど、褒めること、最近褒めて育てろとかよく言うんですけど、昔は厳しく育てて何ぼって僕らも思っていたんですけど、褒めることによって自己肯定感が上がる、そういうことは非常に大事かなと思いますけど、時にはやっぱりしっかり叱って、めり張りというんですかね、そういうことも非常に大事かなと思いますし、例えばその子の一つの光るところをきっちり見てあげることというのが物すごい大事かなと思いますので、学校現場においてもそういうことでしっかりとサポートしてあげてほしいなと思います。
 あとは、僕が考えるのはやっぱり夢を持たせるというか、夢の持つ教育というんですかね、やっぱり夢を持つことって物すごい大事だと思うんです。例えば将来像ですね、自分はどういうふうになりたいなとかいうこと、それを育む力を持たせるとか、そんな経験をさせることって物すごい大事なんじゃないかなと思います。そういう中では、職業体験なんかも非常に大事なことで、例えばプロレスラーになりたいとかいう夢も、あれもいいと思うんですよね。そういうところで、そのプロレスラーになるためには例えば御飯をいっぱい食べんとなられへんとか、いろんな目標を持つということは大事なことかなと思います。ちょっと例えがあれでしたけども。
 あと、地域活動への参加というんですかね、地域に出ると地域の人が子供のことを見ますし、その子供のよさであったりとか、この子は挨拶が元気いいねとか、やっぱりいろいろ声かけてくれたりとかして、その子の活力になると思うので、先ほどコミュニティスクールの話もしましたけども、地域にどんどん出ていって、やっぱり子供の活動の中を見ながら褒めていただけたらなと思います。どうか教育長、よろしくお願いいたします。
 続いて、三つ目に入ります。
 学生団体WAKA×YAMAの取組と若者の意見を教育行政に取り入れることについてであります。
 学生団体WAKA×YAMAの活動について、6月定例会で紹介をさせていただきました。「若(WAKA)者のアイデアで病(YAMA)いをなくす」、ここからWAKA×YAMAという名前になっているそうなんですが、それをモットーに若者から地域に働きかけることで持続可能な課題解決策を生み出す、また、そのような次世代リーダーを育成することとし、若者ならではの視点と行動力で地域密着型のイノベーションを起こすこととして結成されています。今年度は、9月21日、若者の自殺防止策を考えるシンポジウムを企画し、中高生11チームによるメンタルヘルスについてのプレゼンテーションが開催されました。開催に当たり、参加の呼びかけに県当局からは障害福祉課の職員の皆さんはじめ多くの皆さんが参加してくださいましたことを感謝申し上げたいと思います。
 今回のシンポジウムでは、若者と行政が一緒に自殺対策に取り組めるような場や仕組みをつくっていくことが必要ではないかと考え、若者だからこそできることを模索し、行政からは把握しづらい現状について、若者自ら行動して自殺対策に貢献していきたいとの思いから、シンポジウムの内容を政策提言として取りまとめました。また、中高生自ら考えた教育プログラムを通して、そのアイデアを教育行政に提案することとなっています。
 この背景には、和歌山県では2018年、自殺率がワーストワンとなり、これを受けて県行政も独自に多くの対策を行っているところではありますが、調査結果のデータからは、若年層の現状が見えにくくなっていることがあります。今回提出された政策提言には、和歌山県自殺対策有識者会議への若者の参画、それに伴い学生CFO(最高未来責任者)を設置して、自殺対策等若者の意見が持続的に反映できるように求めています。また、中高生自ら考えた教育プログラムを教育行政に取り入れることについても記されています。
 これを受け、去る11月24日、学生団体WAKA×YAMAと行政によるディスカッションが開かれ、自殺対策問題に先駆的に取り組まれている山下直也議員と共に出席をいたしました。まずは、学生団体WAKA×YAMAから団体概要と今回の取組について、障害福祉課、教育支援課からは行政の取組について、双方から説明の後、フリーディスカッションが行われ、相互理解と信頼を深めることができました。
 総括として、このようなディスカッションが相互継続的に行っていけるように努めること、また県自殺対策有識者会議メンバーへの政策提言書等の送付を快諾していただきました。ありがとうございます。
 今後の展開としては、中高生自ら考えた教育プログラムを教育行政に取り入れることについて、教育長の考えをお伺いいたします。
〇副議長(濱口太史君) 教育長。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
〇教育長(宮﨑 泉君) 若者が社会問題に関心を持ち、問題の改善や解決に向けて熟議し、社会に向けて提言することは、社会参加に積極的な若者が育つことにつながり、有意義であると思います。
 さらに、このような若者のグループや団体が互いに交流や提携することで、大きな力となって、社会をよりよい方向に動かしていくことも期待できます。
 議員御紹介の団体が主催したシンポジウムで提言されている幾つかの教育プログラムの中には、若者ならではの視点もあり、今後の参考になる提案もありました。県教育委員会では、若い世代に期待して、若者のグループや団体とのディスカッション等をしながら関わっていきたいと考えております。
〇副議長(濱口太史君) 玉木久登君。
  〔玉木久登君、登壇〕
〇玉木久登君 御答弁ありがとうございました。若者が社会に目を向けて、このことを向けるということの重要性、僕は物すごくうれしく思ってます。やっぱり若い子の意見が行政に反映されるなんて、とてもええことやなと本当に思うので、これからも続けていっていただきたいと思いますし、自分たちで学ぶことを自分たちで決めていくんだという気持ちになっていただけたというか、なってくれていること自体が非常にすばらしいことだなと思ってます。それぞれ一生懸命発表されていましたし、中身についてもこれはということも本当にあると思いますので、ぜひとも実現に向けて何とぞよろしくお願いしたいと思います。
 大項目2項目めに入りたいと思います。
 県内農業を支える新たな担い手の育成と農業の活性化に向けた取組についてであります。
 その中の一つ目です。農業系高等学校と農林大学校の5年間一貫教育による人材育成の内容についてであります。
 来年度の新政策と予算編成方針において、農業を支える担い手を確保するため、新たに農業系高等学校と農林大学校の5年間一貫教育による人材育成に取り組むというのが示されていました。私はこの新たな取組に大きな期待を感じています。
 2020年農林業センサス農林業経営体調査、基幹的農業従事者数では、令和2年2月1日現在、5年前に比べて6060人、18.2%減少しており、基幹的農業従事者男女平均年齢は66.5歳と高齢化も進行しているという課題があります。しかし、農業は我々の食を支える上で欠かすことのできない産業であり、世界では食料不足や食の安全、食料自給率など農業に関する様々な問題が提起され、そのニーズや重要性は増す一方であります。
 また、本県は、恵まれた自然条件を生かして農業が盛んであり、特に果樹栽培においては、平成30年のデータではありますが、梅、柿、ミカンが全国1位、桃が全国5位の産出額を誇っています。このようなことを考え合わせると、県内の農業を支える人材の育成は急務であり、優れた経営感覚や高い技術を持った担い手や地域の中核となる人材を育成する必要があります。
 さらに、現在の農業では、ロボット技術やICT等の先端技術の活用も進んでおり、これまでとは異なる新たな観点での人材育成も不可欠だと考えます。優れた農業人材を育成していくためには、本県の農業教育を今後どのように進めていくのか、大変重要であり、具体的には県内にある農業系高等学校や農林大学校が個々に農業教育に取り組むのではなく、連携、協力して農業人材を育成していく必要があると感じています。
 そのようなことから、高等学校段階から農業を長期にわたって専門的に学ぶことができる農業系高等学校と、農林大学校との5年間一貫教育は、大変意味のある取組であると考えます。
 そこで、今後、本県の農業系高等学校においてどのような農業教育を進めていくのか、教育長にお伺いいたします。
〇副議長(濱口太史君) 教育長。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
〇教育長(宮﨑 泉君) 本県には、現在、紀北農芸高等学校、有田中央高等学校、南部高等学校、熊野高等学校の四つの農業系高等学校があります。それぞれの学校では、農業全般に係る基礎的な授業や圃場での実習とともに、ジャムなどの農産物の加工品開発や地域での販売、通学路沿いの花壇造りなど、地域と連携した特色のある教育活動を行っています。
 また、栽培のみならず、生産から加工・販売まで行う農業の6次産業化についての学びを深めるとともに、農業系高等学校の取組を広く県民の方々に知っていただくために、和歌山市の中心地域で、農業系高等学校の農作物や加工品を定期的に販売するマルシェを予定しています。
 こうした中、農業系高等学校の3年間と農林大学校の2年間を一貫教育で結び、優れた専門性や技術を有した人材を育成していくことは、本県の農業教育をさらに充実させる上で大変重要と考えています。
 5年間の学びでは、果樹王国和歌山の強みを生かし、梅や柿、ミカン、桃などの果樹を軸にした農業教育となるよう、今後、農林水産部との協議を進めてまいりたいと考えています。また、農林大学校だけでなく、果樹試験場や、かき・もも研究所、うめ研究所など、本県が誇る優れた研究施設とも連携し、果樹栽培の最先端の技術を実習等に取り入れるとともに、農業科教員の専門性向上にも取り組んでまいりたいと考えています。
 さらに、ICTを活用したスマート農業など、これからの農業の発展分野についても、5年間系統立てたカリキュラムをつくっていきたいと考えています。
 農業系高等学校と農林大学校の5年間一貫教育で専門的に学んだ生徒が、卒業後、就農や農業関連法人への就職、4年制大学への編入等、農業に関わる様々な分野に進み、本県の農業を担う人材となるよう取り組んでまいりたいと思います。
〇副議長(濱口太史君) 玉木久登君。
  〔玉木久登君、登壇〕
〇玉木久登君 御答弁いただきました。
 高等学校としてやらなければならないことというのを、きっちりと御精査いただいていることだろうとは思いますが、令和3年度からの新政策ということですので、私なりに思うことを少し述べさせていただけたらなと思います。
 農林大学校で継続して学ぶことのメリットというんですかね、それをやっぱりしっかりと示していただきたいなと、まずは1点思います。例えば、専修学校として農林大学校はあるんですよね。大学に編入できますよという制度が、これ全国で幾つかあるんだと思うんですけど、和歌山県は当然取得しているという話を聞いてますけども、これ大学に編入できるという可能性を持っているということですね。あとは就農のメリットです。今は最近のデータを見ると雇用就農というんですか、雇用就農がやっぱり増えてきていて、自家就農するよりも雇用就農が和歌山県でも多いような気がします。あとは地方自治体ですね、それとか農業団体への就職への有利性ということも大事なんではないんかなと思うので、逆に入ってからそうするんだではなくて、やはり中学校の段階で農業系高等学校を選ぶメリットみたいなものは、中学校の中でしっかりと言っていかないと、なかなか難しいもんがあるんじゃないんかなと思うので、そこら辺は考えていただいているとは思いますけども、よろしくお願いしたいかなと思います。
 あと、今、高等学校のことを聞きましたんで、農林大学校についてどうのこうのというのではないんです、言うつもりはないんですけども、ただ、関連としてちょっと思うことというのは、やっぱりニーズが変わってきているということだと思いますね、農業の中で。だから教育内容を変えていっていただいていると思います。また、就農支援の在り方、こういうことも変えていってくれていると思うので、大学校側ですね。それは入校者のニーズに合ったものにしていかないと、また高校との連携というのは難しいんかなと思いますので、それもお願いしたいかなと思います。
 あとは、やっぱりコロナ禍の中で、就職というものが非常に難しくなったり、また途中で退職されたりとかいろいろあることもあると思うんですよ。今、社会科課程というか──社会人課程、リカレント教育というんですか、そういうことを農林大学校としたらしていっていただくことも、物すごく大事なこと、力を入れてもらうことというのは大事だと思うんです。
 過去のデータからですけど、リーマンショックと今回のコロナ禍が同じ現象ではありませんけど、やっぱり就職が難しくなったりとか、会社を辞めざるを得ない、また退職してくれ、そういうふうな事態と非常に酷似しているような気がします。そのときはやっぱり就農人口というのは増えるんですね、増えているんですよ、過去も。そういうことがありますんで、やっぱり和歌山の利点を発揮するには最高のときかも分からないです、逆になれば。そういうことで、中高年の再就職の場であったり、就職氷河期と言われた方々の活用というのも非常に大事なことではないかなと思いますので、そこら辺もまた御検討いただきたいと思います。ちょっと外れてしまって申し訳ありませんでした。
 二つ目に移ります。農林大学校と県内各試験場との連携状況についてであります。
 農林大学校の前史は、大正4年4月農事試験場において農業技術員の養成に始まり、昭和46年4月、農業大学校として発足、平成29年4月から農林大学校へと至ります。農林大学校農学部では、次世代農業の人材育成の場として園芸学科、アグリビジネス学科の二つの学科があり、果樹・野菜・花きコースを選択できます。歴史から見ても試験場との関係は密接であると考えていますが、現状における農林大学校と県内各試験場との連携状況について、農林水産部長にお伺いいたします。
〇副議長(濱口太史君) 農林水産部長角谷博史君。
  〔角谷博史君、登壇〕
〇農林水産部長(角谷博史君) 農林大学校と試験場との連携状況についてお答えします。
 農林大学校では、実用化された技術の習得だけではなく、新しい技術の開発状況を学習させるため、試験場との連携を行っております。
 具体的には、入学時に農業試験場や果樹試験場などにおいて、研究全般にわたり学習させるとともに、果樹、野菜、花きの専攻決定後には、関連する試験場において研究員の指導の下、先端技術の研究について5日間の研修を行っております。
 また、農林大学校において、新技術や新品種について試験場の研究員が講義を行うとともに、研究成果を活用したスマート農業機器の実証を行っております。
 今後も、農林大学校と試験場との連携により、本県農業の将来を担う優れた人材を育成してまいります。
〇副議長(濱口太史君) 玉木久登君。
  〔玉木久登君、登壇〕
〇玉木久登君 ありがとうございます。引き続きよろしくお願いしたいと思います。
 三つ目に移ります。農業の技術開発における産官学連携による取組についてであります。
 2月定例会予算特別委員会にて、スマート農業の加速化について、農業技術開発における大学等との連携についてを質疑し、答弁をいただいていますが、今回は産官学連携についてお聞きします。
 近年、食品加工業界ではユーザーニーズに応えるべく、食品の品質向上、安全性などを目的として、自社農園や農家との契約による品質確保に取り組んでいます。当然、研究機関等との連携についても行われていると考えます。現在、県として食品加工業界、またその他の企業との連携がどのようになされているのか、大学との連携状況も含め、農林水産部長にお伺いいたします。
〇副議長(濱口太史君) 農林水産部長。
  〔角谷博史君、登壇〕
〇農林水産部長(角谷博史君) 農業の技術開発における産官学連携の取組については、試験場単独では実施困難な課題で、民間企業の持つ技術や大学の知見を活用することにより、研究の効率化やスピードアップが図られる場合に実施をしております。
 具体的には、これまで近畿大学や県内酒造メーカー等と連携して、赤い色素を多く含む梅の「露茜」の加工品開発を行うとともに、大阪府立大学と共同で温州ミカンの高品質・安定生産のためのかん水技術、近畿大学と共同で脂肪交雑を抑えた「紀州和華牛」の育成などの研究に取り組んでまいりました。
 また、今年度からは県内の大手化学メーカーと連携し、柿の輸送中の黒変障害を抑制するための共同研究に着手するとともに、家畜ふん尿の臭いを軽減する技術や果樹病害虫の効率的防除などの研究実施について協議を進めているところでございます。
 今後も、企業や大学等と積極的に情報交換を行い、産官学連携による技術開発に取り組んでまいります。
〇副議長(濱口太史君) 玉木久登君。
  〔玉木久登君、登壇〕
〇玉木久登君 部長、ありがとうございました。これからも引き続き連携を取っていただいて、やっていっていただきたいなと思います。
 最後の四つ目に入ります。福島大学食農学類設置の経緯報告と県内農学部の必要性についてであります。
 令和2年10月12日、岸本健議長、濱口太史副議長、藤山将材議員、鈴木太雄議員、堀龍雄議員と共に福島県を訪れ、福島県農林水産業の振興に向けた福島県と国立大学法人福島大学農学群食農学類の連携について調査してまいりました。
 現地にて衆議院議員・門博文代議士とも合流し、まずは福島大学農学群食農学類研究ラボを訪問、農学群食農学類農業経営学・荒井聡教授ほか3名の先生方から農学群食農学類学部設置の経緯と学部新設における産官学の連携について、また和歌山県に理系大学農学部を基本とする学部設置に向け取り組むべき課題等をお聞きし、質疑及び意見交換を行いました。
 その後、福島県庁を訪れ、福島大学農学群食農学類学部新設における県の役割と連携についてお聞きをし、質疑及び意見交換を行いました。
 今回の訪問では、福島大学に農学部がどのようにして新設されたのか、その経緯を当時、学部設置に関係した方々から農学部の意義や今後の課題等を聴取することにより、より多くの知見を得ることができました。また、県行政としての役割や産官学の連携の重要性も改めて認識することができました。関係各位には改めて御礼を申し上げたいと思います。
 今回の調査でも、県の役割の一つとして、人材育成が重要課題であると言えます。さきの県立農業系高等学校と農林大学校との5年間一貫教育に代表する様々な政策や施策についても人材育成の一環であります。教育長の答弁にもありましたとおり、今後を考える上で5年間一貫教育から理系大学農学部へと進み、より農業について研さんを重ねたいと考える学生を育てることも重要ではないかと考えます。
 もうかる農業、新たな食産業、地域再生、自治体や農業団体の牽引、農村再生と生き生きとした地域づくりを担う人材育成のため、また農業を基幹産業とする我が県として、県内に大学農学部は必要と考えますが、知事のお考えをお聞きいたします。
〇副議長(濱口太史君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
〇知事(仁坂吉伸君) 本県にとって農業は、地域経済を支える重要な産業でありまして、かつ、今後、輸出の拡大も見込めるなど、成長が期待できる分野であります。実は、他のセクターに比べると、和歌山県の農業というのは結構成長してるわけでございます、ここ数年でございますけど。
 最近は、そういうことを背景に農学部を見直そうという流れがございます。そのまたちょっと前は、農業、林業、水産業自身がそうであったんですが、ちょっと冬の時代が続いておりまして、せっかく有史以来、農学部という、あるいは林学科とか農学科とかいうのがちゃんとあったのに、生命科学科とか生物理工学科とか、環境科学科とか、科の代わりに部と入れてもいいんですけど、そんなきらきらネームにみんな直ってしまいまして、それで農業自身を科学としてきちんとやろうというよりも、ちょっと外縁的なところに学としては発展したということだろうというふうに思います。しかし、最近は見直されてきつつあります。
 農学部の設置については、より専門的な知識を持った人材の育成を通じて、農業と地域の振興を図っていく上で意義があると思っておりまして、本県にあればもちろんよろしいというふうに、ぜひ欲しいというふうに思っております。
 とはいえ、新たに県で大学を設置することはちょっと無理というか、現実的ではありません。実際には今ある大学――端的に言うと和歌山大学になるんですけど――に設置していただくことになるんですが、新たな学部を設置する際には定員の中で学部の振替などを行って対応するというのが最低限で、そこからさらにハードルもたくさんあるわけでございます。それに、農業は資格職ではありませんので、私が誘致したり新たに設置したりするような他の大学と違って、将来的に、これは全体的に学生数の減少が見込まれる中で、設置主体となる大学にとっては経営という視点から安定的な運営を進めていく上で結構つらいというところはあると思います。
 こうしたことから、農学部の設置はよいこととは思うけれども、なかなか簡単には実現できないというふうに思っておりますが、とはいえ、和歌山大学には常に話をしておりますけれども、お願いはし続けようと思っております。
 それとともに、本県の農業を将来にわたって発展させていくためには、企業的な感覚で生産や加工、流通、販売に取り組む強い経営体を育成していくことが必要でありまして、今年度から協業組織を育成するための支援を開始してるところであります。
 こうした強い経営体を担い、本県農業を牽引する中核人材の育成確保というのが次に必要になってまいりますので、これまでも県農林大学校でのアグリビジネス学科の設置や農業経営塾の開催に取り組んでまいりました。さらに、高等学校から農業教育を一貫して学ぶことが重要であるというふうに私ども思っておりまして、来年度の新施策として、先ほど教育長からもありましたけれども、農業系高校と農林大学校の一貫教育の実施について検討しているところでございます。
〇副議長(濱口太史君) 玉木久登君。
  〔玉木久登君、登壇〕
〇玉木久登君 知事、御答弁いただきました。
 初めてではないんです、この農学部ということに対してずっと思いというのがありまして。この場だけではなくて、知事と例えばお会いするときも、農学部ってどうですかねみたいな話はよくさせていただきました。
 よく私たちは、県民の皆様の負託を受けてこの場に来てます。知事も、もちろん県民の皆様の負託を受けてこの場に来てるわけですけども、やはり地域地域において、それぞれのニーズというか、こうなったらええなとか、農学部欲しいなという思いというのは、ここ近年ずっと私自身は感じてきています。それは何かというと、やはり一生懸命県行政がやってくれている中でも、例えば世界農業遺産であったりとか日本農業遺産であったりとか、様々な形で農業を支えていこうというパワーというか、そういうのが少しずつではありますけども、感じてきてくれているんだと思うんです。
 そんな中で、昔から農業を支えてきてくれていた方がだんだん高齢になってきて、自分たちが若い世代に残せるものは何かということを考えてくれることが多くなってきたんだと私は思ってます。そんな中で、やっぱり和歌山に農学部が欲しいという思いというのは、物すごく必死になって訴えてこられる方が多くなってきています。おおむね知事のお話を聞かしていただくと、やはりあることにはこしたことないし、頑張っていくけど、だけど言われたように例えば少子化の問題であったり大学側の問題があって、なかなか一筋縄じゃいかないという本音を聞かせていただけたんやと思って、僕は非常にうれしく思ってます。
 ただ、やっぱり夢を語ることであったりとか、その県民の夢というものをやっていくのが私たち政治家でもあると私は思います。だから、知事もやはりその思いを私たちと共有していただいて、やっぱり県民の皆様が望むことに対してチャレンジしようという気持ちを持っていただいていたと私は今の答弁の中で感じています。
 そんな中で、しっかりとこれからも農学部について語っていけるように、もちろん知事に任せっきりにしようとか、農林の方、企画の方に任せっきりにしようなんて思っていません。僕らももっともっと勉強していって、やっぱり農学部の優位性であったりとか問題点、また課題等をやっていきたいと思っていますんで、今後ともこの問題についてはしっかりと前を向いて話をしていきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いしたいと思います。
 以上で、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇副議長(濱口太史君) 以上で、玉木久登君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時46分散会

このページの先頭へ