令和2年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


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令和2年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号

令和2年12月
和歌山県議会定例会会議録
第4号
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議事日程 第4号
令和2年12月9日(水曜日)
午前10時開議
 第1 議案第133号、議案第134号及び議案第141号から議案第164号まで(質疑)
 第2 一般質問 
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会議に付した事件
 第1 議案第133号、議案第134号及び議案第141号から議案第164号まで(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(42人)
 1番 鈴木德久
 2番 山家敏宏
 3番 中本浩精
 4番 堀 龍雄
 5番 藤山将材
 6番 岸本 健
 7番 井出益弘
 8番 宇治田栄蔵
 9番 北山慎一
 10番 玄素彰人
 11番 中西峰雄
 12番 秋月史成
 13番 森 礼子
 14番 濱口太史
 15番 尾崎要二
 16番 冨安民浩
 17番 川畑哲哉
 18番 玉木久登
 19番 鈴木太雄
 20番 岩田弘彦
 21番 吉井和視
 22番 谷 洋一
 23番 佐藤武治
 24番 岩井弘次
 25番 中 拓哉
 26番 多田純一
 27番 新島 雄
 28番 山下直也
 29番 中西 徹
 30番 谷口和樹
 31番 藤本眞利子
 32番 浦口高典
 33番 山田正彦
 34番 坂本 登
 35番 林 隆一
 36番 楠本文郎
 37番 高田由一
 38番 杉山俊雄
 39番 片桐章浩
 40番 奥村規子
 41番 尾﨑太郎
 42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       細川一也
 危機管理監      森田康友
 総務部長       田村一郎
 企画部長       田嶋久嗣
 環境生活部長     田中一寿
 福祉保健部長     宮本浩之
 商工観光労働部長   大山 茂
 農林水産部長     角谷博史
 県土整備部長     庄司 勝
 会計管理者      城本 剛
 教育長        宮﨑 泉
 公安委員会委員長   中野幸生
 警察本部長      親家和仁
 人事委員会委員長   平田健正
 代表監査委員     保田栄一
 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       中川敦之
 次長         井邊正人
 議事課長       山田修平
 議事課副課長     岩井紀生
 議事課議事班長    岸裏真延
 議事課主査      松田太郎
 議事課主査      伊賀顕正
 議事課主事      浅田晃秀
 総務課長       嶋岡真志

 政策調査課長     神川充夫

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  午前10時0分開議
〇議長(岸本 健君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第133号、議案第134号及び議案第141号から議案第164号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、併せて日程第2、一般質問を行います。
 1番鈴木德久君。
  〔鈴木德久君、登壇〕(拍手)
〇鈴木德久君 皆様、おはようございます。
 12月議会、一般質問2日目のトップバッターとして、ただいま議長からお許しをいただきましたので、今回は、大きな項目として、防災、情報、観光振興の3点について一般質問をさせていただきます。
 現在、国内において、まさに新型コロナウイルス感染症の第3波が襲来し、GoToトラベルの再度見直しが検討されるなど、予断を許さない状況が続いております。命の最前線である医療現場も逼迫の度合いが高まっており、長期間の対応となってしまった医療従事者の皆様や関係者の方々に、改めて深く感謝申し上げたいと思います。
 また、今年も、新型コロナウイルス感染症をはじめ、九州の水害等、病気や事故、災害等でたくさんの方々が亡くなられたり、被害に遭われました。謹んでお悔やみ申し上げますとともに、心よりお見舞い申し上げます。
 さて、皆様方にもそれぞれの自分史の中で、命に関わるような病気や事故、災害の経験をお持ちだと思います。
 私の話に少しお付き合いをいただきますと、生まれが昭和34年10月4日で、その1週間前にあの伊勢湾台風が潮岬に上陸した時期でした。
 皆さん、既に御承知のとおりですが、伊勢湾台風は、昭和34年9月26日潮岬に上陸後、紀伊半島から東海地方を中心に、ほぼ全国にわたって甚大な被害をもたらした台風で、人的被害は、犠牲者5098名、うち死者4697名、行方不明者401名、負傷者3万8921名に及ぶ、明治以降の日本における台風史上最悪の惨事となった台風です。
 出産を控えた母は土砂に埋まった田んぼを茫然と見ていたという記憶があると、聞いたことがあります。それ以来、60年来の熊野川の災害とのお付き合いと言えると思います。
 また、事故の経験から申しますと、二十歳で和高専を卒業して、大阪の電気工事会社に就職し、堺市のダイセル化学工業堺工場のメンテナンス事業者の一員として働いておりました。
 入社3年目の昭和57年8月21日、樹脂製造工程における重合反応釜の異常反応による大きな爆発事故が発生しました。
 現場から直線距離で200メートルぐらいの現場事務所の中で、見積書の作成中でしたが、机二つを飛び越えて吹き飛ばされていました。幸い無傷でしたが、親しくしていただいていたその工場の工務課長さんが亡くなられました。
 大変安全管理の厳しい工場で、訓練もよく行われていましたので信じられませんでしたが、命に危険を感じた事故との遭遇でした。
 そして、次には阪神・淡路大震災です。平成7年1月17日午前5時46分に発生したマグニチュード7.3の直下型地震で、当時としては気象庁観測史上初の震度7を記録し、死者6434名、負傷者4万3792名に上りました。全半壊した住宅は25万棟で、犠牲者の約8割が建物の倒壊などによる圧死とされた教訓から、その年に耐震改修促進法が、平成10年には、家を失った世帯への公的支援の在り方を定めた被災者生活再建支援法が成立しました。救出された方の多くが近所の方々によるもので、共助の必要性が広く認識され、平成7年はボランティア元年とも呼ばれたとされています。
 当時、私は本宮町の職員であり、震災5日後に、東灘区役所の罹災者証明発行事務のお手伝いで1週間ほど神戸に入りました。まだ陸路でのアクセスが困難な時期で、船で神戸港から入った記憶があります。
 そのとき見た信じ難い光景を前に圧倒され、想像を絶するようなことが起こるのもこの世の中なんだと実感いたしました。想定外といった言葉も初めて聞いたような気がします。
 そして、平成23年3月の東日本大震災と9月の紀伊半島大水害です。
 今までの経験から、事故や災害はいつ、どんな規模でやってくるか分からないということ、自分の経験や知識と運を信じて行動するしかないのではと思っております。まさに今、菅総理が言われている自助、共助、公助、それぞれが機能しなければということでしょう。
 私は、10月22日に岩手県釜石市の震災の記憶や教訓を将来に伝える「命をつなぐ未来館」、「釜石祈りのパーク」を訪問しました。
 そこで対応してくださった語り部ガイドの女性スタッフは、震災当時、釜石東中学校の3年生だったそうです。まさに「釜石の奇跡」の真っただ中にいたということです。実際に避難体験をされた様子を交えての説明は、臨場感もあり、大変心を打たれるものがありました。たまたま私の息子も同じ年で、紀伊半島大水害のときには、床上浸水した家の泥かきを手伝っていた姿とダブりました。お互いに15歳で強烈な災害の経験をしたということでしょう。
 さて、「釜石の奇跡」については皆さんに、今さら申すまでもありませんが、その一方で、大変悲しい出来事として大川小学校の悲劇があります。
 和歌山県では、昭和の南海地震や「稲むらの火」の伝承等と、近い将来、発生が予想されている南海トラフ巨大地震への備えから、大変高いレベルでの防災教育がなされていることと思いますが、この二つの事例を教訓とし、本県の防災教育にどう生かしているのかを教育長にお伺いいたします。
〇議長(岸本 健君) ただいまの鈴木德久君の質問に対する答弁を求めます。
 教育長宮﨑 泉君。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
〇教育長(宮﨑 泉君) 県教育委員会では、議員御指摘のような東日本大震災の教訓から、自分の命は自分で守ることのできる児童生徒を育てるとともに、災害時に的確な判断の下、主体的に考え、子供の安全を確保できる教職員を育成することが重要であると考えています。
 県内の小中学校では、片田敏孝教授の協力の下、作成した「防災教育指導の手引き」を授業等で活用し、県内各地で地域の特色に合った防災教育が進められています。
 県立学校では、地域防災の担い手を育てるため、実践的な防災教育を行う高校生防災スクールを全ての学校で実施しています。また、「世界津波の日」高校生サミットには、毎年、県内の高等学校の代表者が参加し、本県の防災の取組を世界に向けて発信しています。
 加えて、県内全ての公立学校の管理職等を対象に防災リーダー研修会を実施し、災害時に児童生徒を守ることができる教職員の防災リーダーを育成しています。
 近い将来、南海トラフ巨大地震の発生が高い確率で予測されています。東日本大震災をはじめ、これまでの様々な災害の教訓を風化させることなく、1人の犠牲者も出さないという覚悟で防災教育を着実に進めてまいります。
〇議長(岸本 健君) 鈴木德久君。
  〔鈴木德久君、登壇〕
〇鈴木德久君 ありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします。
 ただ、「釜石の奇跡」と言われている釜石市の鵜住居地区においても、100人単位で高齢者や地域の方が亡くなっています。
 防災の世界では、津波による浸水予想地域において、避難通路の整備や避難タワーの設置、あるいは避難ビルの設定等、あらゆる対策を考えて避難困難地域の解消に努められています。しかしながら、今年の九州球磨川での水害や昨年の千曲川の水害でも、寝たきりの方の犠牲者が出ています。
 地震による津波での避難は時間との闘いで、そのときに自助できない方をどう共助するのかは大変難しい問題ですが、本県における浸水想定区域などに居住する避難困難要支援者の実態把握と、その対策についてはいかがでしょうか。福祉保健部長にお尋ねします。
〇議長(岸本 健君) 福祉保健部長宮本浩之君。
  〔宮本浩之君、登壇〕
〇福祉保健部長(宮本浩之君) 災害時に自ら避難することが困難な避難行動要支援者につきましては、災害対策基本法により、全ての市町村に名簿の作成が義務づけられているほか、国の指針により、要支援者一人一人の避難先や避難方法などを記載した個別計画の策定が求められています。
 津波による犠牲者ゼロの実現を目指す本県としては、こうした取組が重要であると考えており、毎年、市町村災害救助対応主管課長会議や市町村ヒアリングを開催し、市町村に対して早期に名簿を作成するとともに、個別計画を策定するよう働きかけてきたところです。
 その結果、令和2年11月末現在、県内全市町村で名簿は作成されており、個別計画についても県内23市町村で策定が進められています。個別計画の策定が進んでいない市町村に対しては、県もその現状を把握し、個々の課題に対しては、県内外の先進事例を参考にしながら積極的に関与するとともに、必要な対策については、防災部局のわかやま防災力パワーアップ補助金を活用し、避難支援活動に必要な環境整備について支援しているところです。
 今後も引き続き、市町村の実態を把握しながら、個別計画の策定が進むよう強く働きかけてまいります。
〇議長(岸本 健君) 鈴木德久君。
  〔鈴木德久君、登壇〕
〇鈴木德久君 ありがとうございます。
 どう考えても大変困難な対応を迫られますので、私としては、各市町村において災害復興計画も整備されつつある状況ですので、事前に避難行動要支援者が希望すれば移住できるような施設の建設を計画すべきだと思っておりますので、御検討のほどよろしくお願いいたします。
 続きまして、土砂災害への対応です。
 土砂災害警戒区域等の指定について、本県では、今年度中の指定完了予定とのことですが、この目的と指定状況について、県土整備部長にお伺いします。
〇議長(岸本 健君) 県土整備部長庄司 勝君。
  〔庄司 勝君、登壇〕
〇県土整備部長(庄司 勝君) 土砂災害警戒区域等の指定目的と指定状況についてお答えします。
 土砂災害警戒区域等は、土砂災害警戒区域と土砂災害特別警戒区域から構成され、土砂災害防止法に基づき、急傾斜地の崩壊等が発生した場合に、住民等の生命または身体に危害が生じるおそれがあると認められる土地の区域を県が指定することとなっています。
 区域指定の目的は、土砂災害から住民の命を守るために、土砂災害の発生するおそれのある区域を事前に指定することで、危険の周知、警戒避難体制の整備、住宅等の新規立地の抑制、既存住宅の移転促進などのソフト対策を集中的に推進するためです。
 令和2年11月末現在、土砂災害警戒区域として指定済みとなっている箇所は2万1753か所であり、基礎調査において指定が必要な2万1879か所のほとんどを指定している状況です。今年度中に全ての箇所の指定終了を目指して取組を進めているところでございます。
〇議長(岸本 健君) 鈴木德久君。
  〔鈴木德久君、登壇〕
〇鈴木德久君 大変重要な施策であることはよく分かりましたが、区域内において施設整備などの土砂災害を軽減する対策の実施も重要であると考えます。土砂災害への対策に関する事業や支援制度について、県土整備部長にお伺いします。
〇議長(岸本 健君) 県土整備部長。
  〔庄司 勝君、登壇〕
〇県土整備部長(庄司 勝君) 土砂災害警戒区域等での対策事業の概要と区域内の居住者に対する支援制度についてお答えします。
 県では、土砂災害特別警戒区域における対策として、砂防堰堤や擁壁工等土砂災害防止施設の整備によるハード対策を、緊急度の高い箇所から着実に実施するとともに、住民への警戒情報の提供等による人的被害を回避するソフト対策にも取り組んでおります。
 一方、土砂災害特別警戒区域内の既存住宅の所有者への支援は市町村が事業主体となっており、土砂災害に対して安全な構造に改修する土砂災害対策改修に関する事業と、区域外への移転を促す、がけ地近接等危険住宅移転事業がございます。これらの事業を促進するため、市町村への県費補助制度を昨年度に創設したところであり、本制度が広く活用されるよう周知に努め、市町村と共に居住者の安全の確保を進めてまいりたいと考えてございます。
〇議長(岸本 健君) 鈴木德久君。
  〔鈴木德久君、登壇〕
〇鈴木德久君 ありがとうございます。よろしくお願いしたいと思います。
 土砂災害警戒区域等については住宅周辺の話ですが、大規模な災害としては土砂ダムが考えられます。
 平成23年の紀伊半島大水害から10年近い歳月が流れ、復旧工事もほぼ終わってきております。この10年間で、様々な分野においていろんな角度から議論がなされ、防災・減災のレベルもかなり上がってきていると思いますが、まず流木災害の観点から質問させていただきます。
 紀伊半島大水害以降も全国で水害が発生し、橋桁に流木が引っかかり、越流するといった光景をよく目にしました。元市役所の林業担当者としては、切捨て間伐や皆伐後の林地残材が影響しているのではと心配しておりましたが、平成29年の北九州大水害での調査結果報告書によりますと、流木のほとんどは山腹崩壊によるもので、林地残材の影響は少ないとの結論でしたが、本県においても同様の認識でしょうか。そして、山腹崩壊を招かないための施策について、農林水産部長にお伺いします。
〇議長(岸本 健君)  農林水産部長角谷博史君。
  〔角谷博史君、登壇〕
〇農林水産部長(角谷博史君) 森林の災害防止対策についてお答えします。
 本県では、間伐や皆伐を行った際、伐採木をやむを得ず林地内に残す場合には、横置きにしているか、また、流出するおそれのある谷に放置していないか巡視を行うとともに、改善する必要がある箇所を発見した場合は適切に処理するよう指導しているところでございます。
 これらの取組により、林地に残した伐採木によって災害が起きる可能性は抑えられているものと考えております。今後も、巡視により、こうした災害が起こらないよう努めてまいります。
 次に、山腹崩壊を予防するには、間伐等により森林の適切な密度管理を行い、樹木や下層植生の根の発達を促すことが重要となります。このため、県では、国庫補助事業等を活用しながら間伐を進めるとともに、放置すると危険度が高まる集落周辺の未整備森林については、紀の国森づくり基金を活用し、危険木の除去を行っております。
 加えて、万が一崩壊した場合に土砂の流出を防ぐ治山ダムの設置を進めており、昨年度は田辺市ほか4市町において11基の治山ダムを設置し、災害の未然防止に取り組んでいるところでございます。
 今後も、こうした取組を通じ、森林の災害防止に努めてまいります。
〇議長(岸本 健君) 鈴木德久君。
  〔鈴木德久君、登壇〕
〇鈴木德久君 ありがとうございました。よろしくお願いします。
 また、身近で行われている土砂ダム防止のための治山事業としましては、林野庁の直轄治山事業として、田辺市上秋津地区の奇絶峡で行われている地滑り対策がありますが、その取組状況と今後の対策について、農林水産部長にお伺いします。
〇議長(岸本 健君) 農林水産部長。
  〔角谷博史君、登壇〕
〇農林水産部長(角谷博史君) 田辺市上秋津地区における地滑りについては、平成23年の台風12号の豪雨により発生し、斜面の調査・観測を行ったところ、地滑りの規模が大きいことから国に要請し、平成29年度から林野庁が民有林直轄治山事業として対策工事を実施しております。
 工事を進めている途上で、令和元年7月豪雨により大規模崩壊が発生したことから、専門家の意見を踏まえ、現在、対策工事が実施されております。具体的には、地割れを計測する伸縮計や落石検知センサー、ライブカメラを設置して監視を行うとともに、地滑りの原因となる地下水を除去するため、井戸を掘り、そこに水を集めるための集水ボーリング工事などを実施しております。
 今後、地滑りが鎮静化した段階で、斜面を安定させるためのアンカー工事を実施することとなっており、県といたしましては、これまでも早期完了を国に対し要望してきたところでございますが、今後も引き続き林野庁に対して強く働きかけてまいります。
〇議長(岸本 健君) 鈴木德久君。
  〔鈴木德久君、登壇〕
〇鈴木德久君 ありがとうございます。引き続きよろしくお願いいたします。
 同じく田辺市長野地区で行われている地滑り対策についても、その取組状況と今後の対策について県土整備部長にお伺いします。
〇議長(岸本 健君) 県土整備部長。
  〔庄司 勝君、登壇〕
〇県土整備部長(庄司 勝君) 田辺市長野地区の地滑り対策事業について、現在の取組状況と今後の対応についてお答えします。
 田辺市長野地区の地滑り対策事業は、調査観測と対策工事により構成される補助事業です。平成27年に地滑りの兆候が確認されたため調査観測を開始し、平成30年度より、地下水を排除する集水井や横ボーリング等の対策工事を実施しているところです。
 今後も引き続き、現在進めている対策工事を鋭意取り組むとともに、水位の低下等の効果を検証し、早期の完成を図ってまいります。
〇議長(岸本 健君) 鈴木德久君。
  〔鈴木德久君、登壇〕
〇鈴木德久君 ありがとうございます。
 全国的に大規模な水害が多発しておりますので、引き続き防災対策をよろしくお願いいたしたいと思います。
 続きまして、情報関連についてです。
 もともと本県では、新型コロナウイルスの感染拡大以前からワーケーションに取り組み、実績もありますが、最近では、新型コロナウイルスを契機としたリモートワークの普及を背景に、本社機能の都市部への一極集中によるリスクを減らすため、企業の地方分散の動きが生まれています。
 県では、いち早く、令和3年度新政策と予算編成方針の中で、ICT・オフィス系企業の大規模オフィス誘致を強力に推進するとして、奨励金の創設を発表しました。大変タイムリーな施策で、全力で取り組んでいただきたいと思います。
 また、一方で、山間部の温泉地の施設経営者からは、閑散期対策としてウイークリーあるいはマンスリーマンションのようなオフィスの提供はできないだろうかとの提案もいただいておりますが、実現には、光ファイバーなどの情報通信網が必要不可欠となります。
 また、私は、県庁には本宮から中辺路、龍神、美山、有田川町経由で参るときもありますが、3か所程度、携帯の電波が届かない場所があります。バイク雑誌等でもこの人気の路線において、結構交通量も多く、事故等の対応について心配されるところですが、県内における情報通信網の整備状況について、企画部長にお伺いします。
〇議長(岸本 健君) 企画部長田嶋久嗣君。
  〔田嶋久嗣君、登壇〕
〇企画部長(田嶋久嗣君) 情報通信網の整備状況につきましては、令和2年3月末現在で、超高速ブロードバンド及び携帯電話の居住地域における整備率は、共に世帯カバー率で99.9%となっております。携帯電話につきましては、令和5年度末までに携帯キャリアによる居住地域の整備が完了する予定と聞いております。
 今後は、居住地域で超高速ブロードバンドが未整備のエリアや、居住地域以外でも利用が見込まれ、かつ通信事業者にとってもメリットのあるエリアに対して、引き続き整備を促してまいります。
〇議長(岸本 健君) 鈴木德久君。
  〔鈴木德久君、登壇〕
〇鈴木德久君 ありがとうございます。
 情報通信網の整備は地域住民の生活に必要不可欠なものですので、よろしくお願いしておきます。
 最近の総務省が発表した住民基本台帳人口移動報告によりますと、10月の東京都の転出者数は3万908人と、前年同月に比べて10.6%増え、転入者数は2万8193人と7.8%減少したとされています。これで、4か月連続で東京の転出人口が転入を上回っているとのことです。10月の転出者数が前年同月比で増えたのは、都道府県では東京だけだったそうで、新型コロナウイルスによってテレワークなどが普及し、都心から郊外へ転居する動きが続いているとされています。
 世の中の常識が変わりつつあるような状況の中で、これを機会に少しでも人口減を食い止め、地域の活性化に資するようよろしくお願い申し上げます。
 また、少しだけ私の6月議会の一般質問の関連でお話をさせていただきたいのですが、あれから菅内閣が誕生し、デジタル庁の設置が、来年秋の始動を目指して急ピッチで進められています。さらに、新型コロナウイルス感染症対策も、より現場での厳しさが増してきております。
 本県の令和3年度新政策と予算編成方針における「ポストコロナ時代を見据えた産業、ひと、基盤づくり」、「『デジタル和歌山』の実現」の中で、県内市町村を含む行政のあらゆる分野において、電子申請、オンライン相談を導入するとともに、県所有情報の電子化を進め、行政のデジタル化を推進していくとされています。くどいようですが、医療、介護の現場の少しでも仕事量を減らすため、6月議会で提案させていただいたAIによる介護認定システムの導入についても、引き続き検討をお願い申し上げます。
 最後に、観光振興についてです。
 先日、11月24日から26日まで、田辺以南の商工観光施設を中心に視察訪問をさせていただきました。
 第3波の到来ということで、GoToトラベルの見直しもあり、当初の思惑とは大分変わってまいりましたが、総じて国、県、市町村の対応策は大変好評で、また、GoToトラベルの事業延長を希望する声も多くありました。実際に訪問させていただいた各施設では、予約状況から復活の手応えもつかんでいるようでした。
 このような中、県としての観光振興に関するこれまでの取組の成果と今後の展開について、商工観光労働部長にお伺いします。
〇議長(岸本 健君) 商工観光労働部長大山 茂君。
  〔大山 茂君、登壇〕
〇商工観光労働部長(大山 茂君) 県では、新型コロナウイルス感染症拡大により大きな打撃を受けている観光産業の回復を図るため、6月から、自然に恵まれた和歌山で絶景、温泉、グルメなどを楽しんでいただき、心身を癒やし、リフレッシュしていただく「蘇りの地、わかやま」キャンペーンを展開しています。
 まず、急激に落ち込んだ県内の観光需要を喚起するため、7月8日から9月30日まで、県民向けにわかやまリフレッシュプランを実施し、宿泊施設、旅行代理店合わせて計332事業所に参加いただき、延べ約14万人、直接消費額約16億円と、多くの県民の皆様に利用いただきました。
 また、県内小中学校の修学旅行についても、県内実施を校長会等に働きかけた結果、11月で、小学校では全体の8割に当たる約190校、中学校では全体の半数を超える約70校が行き先を県内とするとともに、近畿圏・中京圏をはじめ、県外からも多くの修学旅行を誘致し、観光産業の下支えに寄与したものと考えております。
 さらに、わかやまリフレッシュプランが終了した後は、国のGoToトラベルによる需要を確実に取り込むため、10月から宿泊得々キャンペーンを開始し、県内宿泊施設の利用促進を図るとともに、「わかやま歴史物語」と「水の国、わかやま。」をテーマに、新たにスマートフォンを活用したスタンプラリーを開始し、県内周遊や消費拡大につなげているところです。
 また、これまで、和歌山県観光情報誌「紀州浪漫」や公式SNS等による情報発信に加え、県外からの誘客を図るため、JR等、公共交通機関とのタイアップによる情報発信や、西日本エリアを中心に旅行会社への商品造成及びメディアへの記事掲載について働きかけを行ってきました。
 今後も、新型コロナウイルス感染症の感染状況や社会情勢を見極めながら、市町村や関係団体と共に各種施策を展開し、引き続き和歌山の観光振興の取組を推進してまいりたいと考えております。
〇議長(岸本 健君) 鈴木德久君。
  〔鈴木德久君、登壇〕
〇鈴木德久君 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
 最後に、GoToトラベル後の観光の在り方や、よみがえり、リフレッシュといった感覚をいかに実感していただけるかについて、私の思いを述べさせていただきたいと思います。
 具体的には、近年、AppleやGoogle、Yahoo!といったIT関連企業、それに、P&G、NIKE、Goldman Sachsといった多くの欧米の先進的企業で、社員のストレス低減から生産性の向上、人材開発のために取り入れられているマインドフルネスの熊野への導入です。
 忙しい日常の中で、「今ここ」に注意を向けることを訓練するプログラムで、日本の禅など仏教で伝統的に行われてきた瞑想法が基になっています。そうした瞑想法を脳科学や心理学によって整理し、宗教的色合いをなくして誰もが日常的に実践できるようにしたものが、マインドフルネスとして世界的に流行しています。1980年代から医療分野を中心に少しずつ広がり、Googleが社内向けのメンタルヘルス向上プログラムとして提供したのをきっかけに、2010年以降、IT企業を中心に多くの企業が本格的に導入するようになっています。
 マインドフルネスのプログラムは、呼吸や身体感覚に注意を向けるといった簡単な内容でありますが、習慣的に行う必要があります。「言うは易く行うは難し」なので、日常生活から離れた場所で集中的に学ぶことが重要とされています。かつてであれば、お寺などに籠もって修業をしましたが、マインドフルネスでは宗教色をなくしており、そうした場所の代わりとしてリトリートセンター、日本風に言えば、おもてなしの館が注目されております。
 リトリートセンターは、都会から離れ、自然に囲まれた静かな場所に造られることが多く、豊かな自然があり、熊野古道など、平安時代からよみがえりの地としての伝統がある熊野は最適の地であると思います。
 マインドフルネスの世界的リーダーの1人であるアメリカのジョアン・ハリファックス老師は、昨年、一昨年の本宮大社の例大祭に参列され、熊野がマインドフルネスを学ぶすばらしい場所であると述べています。また、米国でsalesforceやGoogleなどで企業のマインドフルネスの指導を行ってきた曹洞宗国際センター元所長の藤田一照さんも、2017年から3回、熊野を訪れ、「蘇りの地熊野における死と再生」をテーマに講演、ワークショップを行っています。
 このように熊野とマインドフルネスはとてもつながりが深く、よみがえりの地熊野のブランドを生かしてリトリートセンターを設けたり、企業の森に参加している企業などに向けて、熊野の自然の中でマインドフルネスを組み込んだ人材開発や社員研修プログラムを提供することで、これまでの観光業に加え、新型コロナ時代における新たなツーリズムを提供できるものと考えます。
 以前、県と関西大学と田辺市で締結した大学のふるさと事業の延長でもある、田辺市本宮行政局内の関西大学SDGsラーニングラボでは、日本にGoogleのSIYプログラムを導入した一般社団法人、通称「MiLI」と共同でプログラムを開発中ですので、ぜひとも県の御助力といいますか、御協力をお願いしたいと思います。
 以上で、今回の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(岸本 健君) 以上で、鈴木德久君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 37番高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕(拍手)
〇高田由一君 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、質問をさせていただきます。
 まず、質問に入る前に、現在、新型コロナウイルス感染症と闘病中の方々もいらっしゃいます。お見舞いを申し上げますとともに、元気に回復されることを心からお祈りを申し上げます。また、この間、亡くなられた方も増えました。御冥福をお祈りいたしますとともに、心からお悔やみを申し上げます。
 さらに、医療関係者や県担当部局におかれましては、県民の命と暮らしを守るために日夜奮闘していただいております。このことに敬意を表したいと思います。
 では、質問に入ります。
 最初に、現時点での感染状況をどう考えているのか伺います。
 和歌山県内でも、あちこちでクラスターが発生しています。現時点で、県内でも、直近1週間の人口10万人当たりの感染者数は6.81人、入院患者数も70名を超え、病床使用率も21%となって、まさに第3波の状況です。
 また、大阪府は深刻です。少し前には、ほぼ全ての指標で国が定めたステージ4、つまり爆発的な感染拡大を超えているという、こういう報道もございました。大阪での感染拡大の状況から見ると、本県でもさらなる拡大が懸念されます。
 これらの状況をどう見ておられますか。また、感染拡大防止への対応について、どうお考えでしょうか。知事の御答弁をお願いしたいと思います。
〇議長(岸本 健君) ただいまの高田由一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
〇知事(仁坂吉伸君) 全国的に新型コロナウイルスが、第1波、第2波と比べ急増いたしまして、県内でも明らかに第3波と言える感染拡大が見られているところであります。
 まず、県内の最新の状況を申し上げますと、第2波と比べ、1週間の人口10万人当たりの感染者数が増加をしておりますし、また、幅広い年代層に感染が見られるようになってきたところです。もっと端的に言うと、高齢者の感染者が第2波のときは少なかったんですが、今回は多くて、それが大変懸念されるところでございます。また、感染経路を見ると、県外由来や家族内感染は従来同様多くなっております。このような中、空気が乾燥し、換気状態も悪くなる冬場を迎えることから、感染者のさらなる増加が懸念されるところでございます。
 次に大阪府の感染状況を申し上げますと、爆発的な感染拡大によりまして、府民に対して不要不急の外出自粛を要請せざるを得ない状況に立ち至っておりまして、大阪府との交流が多い本県としても非常に危惧をしております。
 さらに、感染者の急増により、医療体制も逼迫しております。先日、大阪府からの看護師派遣要請を受けまして、本県としても感染が拡大しつつある中、看護師の派遣、特に大阪から要請されました、ICUでちゃんと働ける看護師という派遣は大変難しいんでございますけれども、大阪府が危機的状況であることから、何とかお願いをいたしまして、看護師2名の派遣を、これは時期的には早々に決定したところでございます。他県も応援に続々と続いてきておる状態であります。
 県としては、これまでも県民の皆様へのお願いとして、特に感染が拡大している地域に出かけての会食や接待を伴った飲食はしないなど10か条、当時は8か条だったんですが、最近改めて10か条について徹底した感染対策に取り組んでいただくようお願いをしております。
 加えて、大阪府が府民に対して──これは最近でございますけども──不要不急の外出自粛を要請したことから、それに合わせて、本県でも去る12月4日に、できる限り大阪府への不要不急の外出は控えるようにという県民の皆様へのお願いを申し上げました。
 常に申し上げているとおり、感染拡大防止策は、保健医療行政の努力と県民の行動自粛の努力の足し算だと考えているところでございます。ただ、あんまり県民の行動を抑制いたしますと、生活や経済が破壊されてしまうという、常にそういうリスクの上で考えておかなきゃいけないというつらいところにあります。
 本県といたしましては、従来実施している早期発見、早期隔離、徹底した行動履歴の調査を保健所の統合ネットワークシステムにより進めていく、言わば和歌山方式の──これは和歌山方式というよりも、感染症法の基本だと思いますけども、そんな感染防止対策に取り組むことで、全面的な経済生活の制約をできるだけしないように運用をしていきたいと思っておるんでございますけれども、感染状況を見て、県民の皆様に対して、時宜に応じた感染防止のお願いをさしていただくことによりまして、引き続き、県民の皆様と一緒になって感染防止に取り組んでまいりたいと考えております。
〇議長(岸本 健君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
〇高田由一君 よろしくお願いしたいと思います。
 次に、社会的検査の必要性について伺います。
 高齢者施設等への社会的検査ですが、今回の感染拡大を受けて厚生労働省は、従来出していた高齢者施設等の入所者、介護従事者に対する検査の徹底について、再度の要請を11月19日付、11月20日付の事務連絡で出しました。
 その内容は、要するに、一つ目は、高齢者施設等の入所者や介護従事者で発熱した人は必ず新型コロナの検査をすること。それで陽性者が出たら施設全員の検査をすること。二つ目は、保健所管内で複数のクラスターが発生している地域では、高齢者施設等や医療機関等に積極的な検査をする。つまり、症状の有無にかかわらず検査をしていこうという、こういう2点だと私は捉えています。
 この政府方針は、検査の徹底について初めて客観的な基準を示した点において、従来の方針を大きくバージョンアップしていると思います。和歌山県において、この政府方針に基づき社会的検査を実施していくべきではないでしょうか。また、高齢者施設等の「等」には、障害者の入所施設なども含まれると思いますが、これらの施設も含めて実施するべきではないでしょうか。福祉保健部長の答弁をお願いします。
〇議長(岸本 健君) 福祉保健部長宮本浩之君。
  〔宮本浩之君、登壇〕
〇福祉保健部長(宮本浩之君) 新規感染者を確認した場合、行動履歴等の調査を徹底的に行い、濃厚接触者はもとより、少しでも感染の疑いがある者を検査対象者として特定し、症状の有無にかかわらず広範囲にPCR検査を徹底して実施することが、感染の拡大を抑え込む最善の方法です。
 本県では、県内で感染者が確認された当初から、保健所が徹底して調査を行った上で検査対象者を特定し、早期発見、早期隔離につなげる和歌山方式による取組を継続してきたことで、感染拡大を最小限に抑え込んでいるものと認識しています。
 また、感染拡大を抑えていくためには、大規模な集団感染の発生を抑えることが重要ですので、医療機関や高齢者・障害者施設など、感染すると重症化リスクの高い方が利用する施設においては、感染者が確認された場合、広く迅速に徹底したPCR検査を行い、早期発見、早期隔離につなげることで感染者を最小限に食い止めてきたところです。
 社会的検査の実施に係る国からの通知に関し照会したところ、その趣旨は、感染が蔓延し、感染者の行動履歴等の把握や検査対象者の特定ができない状況に陥った地域を対象に、最低限高齢者施設等を守るために発出されたものであり、本県は対象となるものではないことを確認しているところです。
 実際に、いわゆる世田谷方式のように、施設関係者の一斉検査を実施している都市部の地域もありますが、限られた保健所のマンパワーでは、施設内の入所者を守ることはできても施設外の感染拡大を抑えることができず、多数の感染者が発生している現実もあります。
 本県がこれまで実施してきた和歌山方式を継続していかなければ、一気に感染が蔓延するような状況になることは明らかであることから、引き続き和歌山方式による感染防止対策に全力を挙げて取り組んでまいります。
〇議長(岸本 健君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
〇高田由一君 答弁をいただきました。
 高齢者施設等の社会的な検査については、本県ではやらないようなんですが、先ほど答弁の中でも御紹介のありました東京都世田谷区、既に先行してこうした検査に踏み出しています。同区の保坂区長は、「症状が出てから検査をしていたら、もっと感染が広がっていたかもしれない。重大になる前に感染者集団を見つけ、未然に防げた」と、ある施設のPCR検査で陽性が出たことについて、こうコメントしております。このように社会的検査に国の方針よりも先行して踏み出したところで、クラスターを未然に防いでいるという事実もあります。
 部長、なぜ国は高齢者施設等を最優先に検査せよと、このように言っているのでしょうか。それは、やっぱりクラスターが発生してからでは重症化して手後れになるから、やっぱりこの高齢者施設を優先せえと言っているわけだと私は思っています。和歌山方式は今まで成果を上げてきたわけですから、これは継続していただいたらいいと思うんですが、ただ私は、高齢者施設等には、その上乗せできちっと検査をしておく、このことも必要だと思います。
 それで、気になったのは、先ほど部長答弁で国とのお話をされましたけれども、この国の通知の趣旨は、感染が蔓延し、感染者の行動履歴等の把握や検査対象の特定ができない状況に陥った地域を対象に、最低限高齢者施設を守るために発出されたと、本県は対象ではないと、こういうふうに確認をされたと言うんですが、この確認についてもう一度、そうだったんですかというのを、この議場で再度確認をしたいと思います。
〇議長(岸本 健君) 福祉保健部長。
  〔宮本浩之君、登壇〕
〇福祉保健部長(宮本浩之君) 先日、通知を受け取ったときに、20日付の文書によりますと、クラスターが発生した地域によると、優先的に高齢者施設等を検査するようにと、そういうような趣旨が読み取れる文書でありました。
 少し先ほどの答弁を補足させていただきますと、高齢者施設を優先的にしない、そういうことではなくて、我々がずっとやっているその検査の方式というのは、1人の陽性の患者が出たら、一定のその方の行動履歴を徹底的に把握して、どんな場所でどんな方と接触した、そういったことを徹底的に把握し、その中で、その関連性で、いわゆる確認をすべきだという判断をした人は全て検査をする。
 そういう中で、高齢者施設の人が少し関わると、国を上回ったぐらいの特定をして全てやっていると、そういうことであります。ですから、特別にそれを別にやるというよりは、今までの方針が全てそこに含まれていると、そういうふうに考えております。
 そういったことをずっとやっていたものですから、国の通知にありまして、全く感染の要因がないところまでするというよりは、危険の高いところを優先的に我々はずっとやっているわけですから、その中で、特に福祉施設なんかは慎重に、より広く特定しているわけです。そういった中をずっとやって確認したところは、和歌山方式を続けてくださいと、和歌山の判断に任せますと、それで、特にそういったところ、できていないところについては少し調整をしていきたいと、そういう回答をいただいたところです。
〇議長(岸本 健君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
〇高田由一君 答弁をいただきました。重要な御答弁だったと思います。
 国のこの通知や資料を見ましても、言うたら、どこにも都道府県で判断してというのは出てこなくて、私はもうこの額面どおりに受け取って、これは全部の県でやるべきだというふうに思っているんですが、でも、問い合わせたら、それぞれの県で判断してくださいということを言われたと。これは、私は、ちょっと政府の分科会の専門家の先生らがこの文書を作り上げて出したというのと、厚労省の役人との間で認識にギャップがあるんじゃないかなというような感じがしています。国会は閉じていますから、ぜひ年明けの国会で、我が党の国会議員団とも連携して、国のほうでこれは修正をしてもらいたいというふうに思っています。
 最後に、この間、私どもは高齢者施設や障害者施設、皆さんからも意見を伺いました。どの方からも、新しい国の検査方針を歓迎する声が出されていました。お年寄りや障害者に感染させてはならない、日々、神経をすり減らしながら勤務をされています。こうした皆さんの心配に応えるためにも、私は、ぜひこの国の方針どおりに社会的検査を実施できるように強く要望をしておきたいと思います。
 議長、続けて次の質問に行きます。
 次に、県の検査体制の充実について伺います。
 お配りしているこのカラーのPCR等検査体制という資料ですが、これは10月27日の知事の記者会見で発表された資料なんです。行政、病院、民間というふうに検査能力が分類されていて、例えば10月1日現在を、真ん中のところを見ますと、民間の緑のところは1日415検体検査できますよということですが、それが、感染が蔓延したときには2870検体まで拡大できるとしております。約7倍に拡大をできる。こんなに急に増やせるんかなあというふうに、特に病院の状況を見ていて思います。
 やはり私は、国も言い始めた高齢者施設等への徹底的な検査をやろうと思ったら、大手の民間検査機関がある都会ではともかくとして、和歌山県では、保健所で実際の検査をできる機材の配備と臨時的な人員体制の増強がどうしても必要になってくるのではないかと思います。
 そこで、福祉保健部長に伺います。
 行政、病院、民間と分けたこの表、この検査体制の分類の内容はどういうものになっているでしょうか。また、ピーク時の検査可能数の根拠は何でしょうか。
 さらに、ピーク時のこの検査数は、現在の県や病院などの人員体制で実際に可能かどうか。病院への人員支援の体制が必要だと考えますが、行政検査の一部を担ってもらう病院との事前調整はどうなっているでしょうか。
 加えて、必要な県保健所には、県が検査機器と人員を配置してはいかがでしょうか。
 以上、答弁をお願いしたいと思います。
〇議長(岸本 健君) 福祉保健部長。
  〔宮本浩之君、登壇〕
〇福祉保健部長(宮本浩之君) 本県の検査体制については、県及び市の地方衛生研究所による検査を「行政」、院内PCRを配備し自院で検査分析を行う地域の中核病院による検査を「病院」、主に民間検査機関で検査分析を行うクリニック等による検査を「民間」と分類し、それらを合わせ、感染蔓延期のピーク時には約3800件の検査が可能となる体制を確保したところです。
 この検査数は、それぞれの医療機関において実施する検査種別や人員体制も調査の上、県で算出したものであり、現在の県や医療機関の検査体制でも十分対応可能となる数値を見込んでいるものです。
 次に、議員御質問の保健所への検査機器と人員の配置についてですが、保健所は、感染の拡大を抑え込む最善の方法である行動履歴等の調査を徹底的に行い、検査対象者を特定するなど、感染症対策の中核となる役割を担っており、その業務量は、第3波と言える感染者の急増により著しく増大しています。こうした中、まさに極限の状態で業務を遂行している保健所に本来業務でない検査業務による負荷をかけてしまうと、感染症対策の仕組みそのものが破綻してしまうことは明らかです。
 そこで、このような極限状態の保健所の機能を維持していくため、保健所間の相互応援体制の整備や市町村等との協定による人員体制の強化を図っているところです。このようなことから、保健所に検査機能を持たせることは不可能です。
 一方で、検査体制の強化、拡充については、保健所機能と同じく、感染防止対策に不可欠であることは言うまでもありません。このため、これまで県環境衛生研究センターにおける検査機器の増設、人員体制の強化や、地域の中核病院への機器配備などによる体制整備を図ってきたところです。これに加え、県内の検査体制をさらに拡充するため、今議会に、一般社団法人和歌山市医師会成人病センターにPCR検査機器を整備する予算案をお願いしているところです。
 いずれにしましても、徹底した調査を基にした検査対象者の特定と、特定された対象者に対し適正に判定を行う検査、これら双方の取組をしっかりと継続し、感染拡大防止に努めてまいります。
〇議長(岸本 健君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
〇高田由一君 保健所の本来業務に大変な負荷がかかるということでございますが、私は、やはり、だからこそ臨時的な人員も配置して対応するべきじゃないかと提案をさせていただいているわけです。感染が拡大したら、病院自身の業務も手いっぱいになってきます。
 病院で検査するのか、それとも保健所でやるのかと、こういうことではなくて、どちらの力も増強して乗り越えましょうという、こういう提案ですので御理解をいただきたいと思いますし、実際、京都府や、あるいは一番多いのは福岡県なんですが、保健所への機器の配置もしてやっているところもございます。ぜひこうした取組をしていただきたい。
 特に、私は南のほうに住んでおりますから、少なくとも紀南地方の県保健所には、そうした検査機能を持たせることが必要ではないかということを強調しておきたいと思います。
 それでは、議長、次の質問に移ります。
 次に、県内中小業者への経済対策について伺います。
 政府は、経済も回さなければならないと言っておられます。もちろんですが、日本医師会の中川会長も言われるとおり、感染防止策が結果的には一番の経済対策だと思います。県内では、感染拡大の第2波も過ぎ、ようやく商売への活気も取り戻せるかとなってきたときに、今回の第3波は大きな打撃となります。
 そこでまず、新型コロナウイルス感染症によって県内の中小業者へどのような影響があったのか、また、国や県の支援策がどのような効果を上げたのか、商工観光労働部長の答弁をお願いします。
〇議長(岸本 健君) 商工観光労働部長大山 茂君。
  〔大山 茂君、登壇〕
〇商工観光労働部長(大山 茂君) 新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け、5月の調査では、前年から売上げが半分以下となった事業者が、宿泊・観光業においては全体の98%、飲食業においては80%を占めるなど、県内事業者は甚大な影響を受けていました。
 その中で、本県では、事業者の方々に対する支援策として、全国に先駆けて融資制度の要件緩和を行い、資金需要に迅速に対応しました。さらに、4月臨時会、5月臨時会、6月定例会、9月定例会において議決いただき、事業者の事業継続を目的に融資制度の拡充や事業継続支援金などを創設するとともに、甚大な影響を受けた観光関連事業者への観光需要喚起策のわかやまリフレッシュプランなどの支援策を包括的に取りまとめ、実施してまいりました。
 各施策の活用状況として、融資制度の11月末現在の実績は約9800件で約1570億円、事業継続支援金については、約2万7000件で約55億円の申請を受け付けるなど、事業者の方々の事業継続に寄与し、また、わかやまリフレッシュプランについては、300以上の事業者が参加され、延べ約14万人、直接消費額約16億円と、多くの県民の皆様に御利用いただき、夏場の観光関連産業の下支えに寄与するものとなりました。
〇議長(岸本 健君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
〇高田由一君 では、今、御答弁いただきましたような成果と認識に基づいて、今後どのような対策を打っていこうとお考えでしょうか。
 財務大臣の諮問機関である財政制度等審議会は、中小業者向けの持続化給付金や家賃支援給付金などの支援措置については、長期化はモラルハザードを生む、政府の支援への依存を招くなどとして、予定どおり終了させるべきだと提言をしました。こういうことでは、苦しい中小業者がやっていけません。
 国に対しても持続化給付金などの直接支援策の継続を求める必要があるのではないでしょうか。また、そのためにも、中小業者の皆さんの状況を把握するための特別な取組、これが必要ではないかと思うんですが、再度、部長の答弁をお願いしたいと思います。
〇議長(岸本 健君) 商工観光労働部長。
  〔大山 茂君、登壇〕
〇商工観光労働部長(大山 茂君) 今後も新型コロナウイルスとの闘いは続くものと思われることから、新型コロナウイルスの感染に気をつけながら、安全な営業、安全な生活、そして安全な外出に努め、うまく折り合いをつけてやっていくしかないと考えております。
 その中で、県経済を持続発展させるため、雇用を守り、競争力を高めていくことができるよう、国や県の施策を総動員し、県内事業者が実施する生産性向上や販売促進などの新たな取組を支援するとともに、コロナ禍がもたらした現状と社会変化に対応できるようデジタル化を推進し、社会環境に応じたビジネスモデルを構築できるよう取り組んでいきます。
 一方で、新型コロナウイルスの感染状況を踏まえ、資金繰り支援など、県内事業者が事業を継続し発展できるよう、国に対して必要に応じ要望してまいります。
 また、県内事業者の実態把握については、現在、県独自の制度である産業別担当者などを活用し行っているところですが、今後も引き続き、実態の把握に努め、施策に反映していく所存であります。
〇議長(岸本 健君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
〇高田由一君 私がいろいろお話を伺った中小業者からは、家賃や地代、リース料などの固定費への継続的な支援をお願いしたいとの声がありました。また、既に県からは要請をいただいているようですが、持続化給付金についての継続や、また、様々な団体から要望が出ております「みなし法人」についても、この給付金の対象となるよう、ぜひ国にも力を入れて要請をしていただきたいというふうに思います。
 以上、これは要望をしておきます。
 続けてお願いします。旧白浜空港の活用についての提案という項目です。
 この問題については、以前から県議会でも何度か議論をされております。私の今回の提案は、地域の皆さんの声を基に提案をしたいと思っておりますが、その内容は、防災機能と公園を兼ね備えた防災公園ということです。
 現在、県が旧白浜空港に設定している広域防災拠点という機能と矛盾させることなく、ふだんは、県民はもちろん、白浜に来られる観光客やワーケーションの関係の方の憩いの場として活用しながら、いざ大規模災害時には、防災機能を持つ公園として整備をするという提案です。
 これまで、知事は、旧白浜空港の活用については、紀南地域全体の経済発展や活性化を考える上でも重要な土地、経済発展とか雇用増とかに使わないともったいないと、このような考えを示され、そのような施設の誘致を推進されてきたと思います。ただ、私は、今、県も推進している空港を核とした地域活性化で、周辺地域へオフィスなどを誘致する動きや交通の拠点とする動きも出てきていることから、広い意味では、企業が来たくなる地域づくりの核となるという点で防災の公園もありではないかと思います。
 今回、私が参考にさせていただいたのは、国営明石海峡公園です。神戸地区と淡路地区の2か所に分かれた形の公園ですが、淡路地区の公園は、関西空港建設にも使われた土取り場の跡地を利用したものです。年間を通じて美しい花の景色をつくり出すとともに、広い芝生広場や駐車場を生かした地域の大規模イベントの会場としても活用されています。
 もちろん、南海トラフの巨大地震にも対応できる広域防災拠点としても位置づけられています。近年の公園への入園者数は年間50万人を超えるまでになっています。白浜のアドベンチャーワールドの年間入場者数が100万人を超えると言われていますけれども、それと比べても公園の集客力はあると思います。
 既に、新空港となってから25年が経過しています。企業誘致の努力について、もちろん否定するものではありませんけれども、新たな視点に立ったこの旧白浜空港の利活用について、私の提案も含めて、知事のお考えを聞かせていただければと思います。
〇議長(岸本 健君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
〇知事(仁坂吉伸君) 旧南紀白浜空港跡地は、紀南地方に残された数少ない広大な土地でありまして、本県を代表する観光地である白浜温泉の中心に立地しているところから、紀南地域全体の経済発展や活性化を考える上でも大変重要な土地であると思います。
 防災公園として整備することが広い意味で周辺地域の企業誘致によい影響を及ぼすとの御意見でございますが、白浜においては、観光が中核産業でありますので、地元白浜町と連携を図りながら、観光地としての価値をより高めることを第一に考え、観光産業との相乗効果が図れ、できるだけ高い集客力を持ち、地元雇用の貢献も見込まれる施設を誘致することが紀南地域の経済発展や活性化に最も効果を与えるものと考えてきました。
 これまで、県内で、IRでもいいですよとか、あるいはアウトレットモールはどうですかとか、宿泊施設等の立地を検討している企業や関係機関に対し、候補地の一つとして紹介をいたしまして、進出の働きかけを積極的に──これは、積極的にのところは別にIRが入るわけではありません。積極的に行ってきましたが、しかし、今のところ、すんでのところでうまくいかなかったという状況でありました。
 今後も、白浜空港の運営の民営化や新ターミナルの整備、白浜空港フラワーラインの全線開通の影響を踏まえ、以前よりももっと立地条件がよくなっておりますので、関係部局及び白浜町と連携を図り、集客力の高い施設の誘致に向けて取り組んでいくのが王道であろうというふうに思います。
 この地域では、御指摘のように、大規模な災害が発生した場合に必要になる広域防災拠点として、白浜空港が紀南、紀中の代表として指定されておりまして、一旦、大規模災害が発生した場合は、自衛隊や緊急消防援助隊をはじめ、多数の防災関係機関の航空機が全国から結集する、また資材もここにためておくということになるわけであります。隣接する旧空港跡地のスペースも、こういうことになったときは活用すればよろしいということでございますので、理想の誘致が実現するまでの間は、空港と一体として活用したいと思っております。
 また、議員の御指摘にありましたイベントとか、今、新型コロナでございますから、そういうことは無理でございますが、そういうこともいろいろな用途はあるなあというふうに、御質問をお聞きして思っておりますので、また参考にさしていただきながら用途をいろいろ考えてまいりたい、そういうことを思っております。
〇議長(岸本 健君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
〇高田由一君 ぜひ私の提案についても積極的に御検討いただけたらというふうに思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、次の項目に移ります。
 災害時の仮設住宅として使える移動式木造住宅の検討をという項目です。
 この移動式木造住宅、聞き慣れないんですが、最近、住友林業などの大手も含め民間事業者の間でも開発と普及が進められています。なぜ移動式かというと、住宅そのものの規格が海上輸送コンテナと全く同じ四角の大きさになっていて、解体することなくそのままの形でトレーラーなどでどこへでも運んで、電気、水道、ガスをつなげばすぐに生活できるよというものです。今年の7月の豪雨で大きな被害を受けた熊本県球磨村でも、実はこの移動式木造住宅68棟が既に活用されていると聞いています。
 この移動式木造住宅がこれまでの仮設住宅と違うのは、社会的備蓄という考えに基づいて、ふだんは宿泊施設やオフィスなどとして活用しながら、いざ災害時には仮設住宅や福祉避難所としても利用できるという、こういう機能があることです。災害に遭ってから応急仮設住宅が完成するには、従来のやり方では早くても1か月以上かかります。移動式木造住宅だと、ふだんから利用しているんですから、そのまま活用することもできるし、また、移動させて、ほかの被災地で応急仮設住宅として支援に使うこともできます。また、もちろん木造ですから、県産材の利用促進にもなるし、新しい集成材のCLTの活用もできるとされています。
 ぜひこの移動式木造住宅の仮設住宅への利用について検討を始めていただければと思いますが、県土整備部長の御答弁をお願いします。
〇議長(岸本 健君) 県土整備部長庄司 勝君。
  〔庄司 勝君、登壇〕
〇県土整備部長(庄司 勝君) 災害時の仮設住宅として使える移動式木造住宅について御質問をいただきました。
 議員御指摘の移動式木造住宅は、平時には宿泊施設に、災害時には応急仮設住宅に活用できるトラック輸送可能なコンテナ型の住宅です。これまで、平成30年7月の西日本豪雨や令和2年7月豪雨において、岡山県や熊本県の応急仮設住宅に採用されるなど、全国で100基程度の活用実績があると聞いてございます。
 県では、災害時の応急仮設住宅の供給については、まずは既存の公営住宅や民間賃貸住宅の空室を一定期間借り上げることで、被災された県民の方々の居住の安定を確保することとしています。その上で、必要な戸数が確保困難な場合などにおいて、応急仮設住宅を建設し、戸数を確保することとしています。また、そのために、一般社団法人プレハブ建築協会や和歌山県応急木造仮設住宅建設協議会など関係業界団体と、あらかじめ建設従事者や資材の迅速な提供に係る協定を締結しています。
 県といたしましては、災害時において現在の仕組みが最大限機能するよう体制を整えることに注力することとし、移動式木造住宅の応急仮設住宅への導入については、当面、活用実績の推移の把握、平時における活用事例の収集、災害時における輸送方法や据付け方法などの検討を実施してまいります。
〇議長(岸本 健君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
〇高田由一君 ぜひよろしく御検討をお願いします。
 次に、障害者に優しい観光地づくりとして伺います。
 1番目、バリアフリー観光への情報発信の取組について伺います。特に今回は、車椅子利用者が安心して移動、観光できるような情報提供と、歩道などの整備に力を入れてほしいという思いから質問をいたします。
 自転車を利用した観光については、「サイクリング王国わかやま」ということで、県内全域に、県も国も力を入れてサイクリングロードを整備していただいています。道路に青い線、ブルーラインが目立っています。和歌山県全体で力を入れていることが内外にアピールされ、自転車で観光される方も増えています。大変いい取組だと思いますが、今回、私が提案したいのは、同様の取組を車椅子の方向けにも実施できないものだろうかということです。
 私も、たまに車椅子の方の移動支援をすることがあります。地元白浜の観光施設や景勝地周辺でも、歩道であっても車椅子利用者が絶対に通れない、そんな構造になっているところもあります。風光明媚な観光地において、観光スポットをタクシーなどを使って巡るのもいいです。しかし、歩いて散歩を楽しむのと同様に、サイクリングも風を切っての移動そのものが楽しみです。
 こうした移動の楽しみを観光に取り入れることは、特に障害のある方にとってはほかで味わえない大きな楽しみになると考えます。こうした点を踏まえて、バリアフリー観光への情報発信の取組について、商工観光労働部長の御答弁をお願いします。
〇議長(岸本 健君) 商工観光労働部長。
  〔大山 茂君、登壇〕
〇商工観光労働部長(大山 茂君) 本県に訪れる全ての観光客が、安全・安心・快適に観光地で過ごすためには、受入れ地域の宿泊施設や観光施設等のバリアフリー情報は重要です。
 このため、県では、公式ホームページ「わかやま・福祉のまちづくりマップ」において、障害のある方が安全かつ円滑に利用できる宿泊施設や観光関連施設、トイレ、文化施設などの整備状況や位置等を案内しています。また、飲食店やお土産、温泉施設等を紹介し、観光客の皆様に県内周遊していただくために実施している「和みわかやまっぷwithスタンプラリー」の冊子においても、参加施設のバリアフリー情報を掲載しているところです。
 今後も、車椅子を利用される方にも安心して本県で観光していただけるよう、県が作成する観光パンフレットの、例えばモデルコースで紹介している施設に車椅子マークを表示することや、可能なところでは車椅子での移動ルートを明示するなど、バリアフリー情報を充実させていきます。また、パンフレットの作成に当たっては、市町村にも協力いただきながら、掲載施設等のバリアフリー状況の点検及び調査を実施していきます。
 加えて、県内の観光関係者を対象に実施しているおもてなしセミナーにおいても、車椅子を利用される方をはじめ全ての方が楽しめるよう、バリアフリー観光を研修テーマに組み入れ、関係者のバリアフリー観光に対する意識を高めてまいりたいと考えております。
〇議長(岸本 健君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
〇高田由一君 バリアフリーの観光推進のためには、全県押しなべて均一の取組をするというよりは、どこかモデルコースのようなものをつくって、成功例をそれぞれの観光関連の皆さんに体験をしてもらうということが大切だと思います。それが新たな顧客を獲得することにもつながると思います。
 ハードの整備が必要な箇所もあるでしょう。ボランティアの助けが必要なところもあるかもしれませんが、私も地元の皆さんや車椅子利用者の皆さんとも連携をしながら、今後も問題提起をしていきたいというふうに思います。
 サイクリングのブルーラインのように、ぜひ車椅子観光にはハートフルなラインが──実際引くかどうかは別にして、そういう押し出しができるように、ぜひお願いをしたいと思います。
 続いて、二つ目のタンデム自転車の一般道路走行解禁について伺います。
 タンデム自転車とは、以前、岩田議員も本会議で取り上げておられましたが、2人分の座席があって、ペダルも2人同時にこぐというものですが、後部座席の人はハンドル操作をする必要がないため、視覚障害やほかの障害を持った方などもサイクリングを楽しむことができるものです。また、パラリンピックの競技種目にもなっています。
 今回、この問題を取り上げたのは、視覚障害者のマラソンの伴走やタンデム自転車での走行について、ボランティアをされている皆さんから要望をいただいたことがきっかけです。
 今年になって、次々と一般道路の走行が解禁される県が増えました。和歌山県では、これまで紀の川サイクリングロードなど自転車専用道路のみでの走行に限られていたタンデム自転車ですが、伺いますと、昨日公表され、12月20日からは一般道路でも走行が可能となったようで、大変喜ばしいことです。
 ただ、最近、ペダル装置が縦列にというのは、縦に設けられたものではないタイプのタンデム自転車も出てきています。お配りしていただいている資料の後ろに、この愛媛新聞のコピーをつけさせていただいていますが、こんなタイプのタンデム自転車も出てきています。こういうのが使えれば、本当に足が悪い方でも観光地での気軽な楽しみが増えるというふうに、私は思います。
 そこで、伺います。
 和歌山県でのタンデム自転車の一般道路走行解禁に向けたこれまでの検討経過、並びに先ほど紹介したようなこうした新しいタイプのタンデム自転車は走行可能なのかどうか、警察本部長の御答弁をお願いいたします。
〇議長(岸本 健君) 警察本部長親家和仁君。
  〔親家和仁君、登壇〕
〇警察本部長(親家和仁君) 県内の一般道路において、いわゆるタンデム自転車の走行を認めるか否かにつきましては、関係団体からの要望等も踏まえてこれまで検討してきたところですが、先般、2人乗り用としての構造を有し、かつペダル装置が縦列に設けられた自転車について、県内の一般道路で運転することが可能となるよう和歌山県公安委員会規則である和歌山県道路交通法施行細則を改正し、昨日12月8日の県報により公布がなされたところであります。
 改正規定は、本年12月20日から施行となりますが、このタンデム車については、乗車時のバランス等について一般的な自転車とは異なる特性を有していることから、利用者の安全を確保する観点からは、その取扱いに慣れた上で運転する必要があると考えておりますので、県警察といたしましては、関係団体等とも協力の上、安全面で必要な広報啓発に努めてまいりたいと考えております。
 また、議員お示しの新しいタイプのタンデム自転車につきましては、配付資料の写真を拝見しますと、2人乗りではありますが、ペダル装置が一つであるように見受けられます。そうであれば、今回の改正により一般道路における運転が可能となる自転車には該当いたしません。こうした自転車につきましても、県民等からの要望があれば、他府県の状況や安全性等を勘案し、必要な検討を進めてまいりたいと考えております。
〇議長(岸本 健君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
〇高田由一君 よろしくお願いしたいと思います。
 最後の項目です。
 種苗法の一部改正について伺います。
 今国会で成立した種苗法の改正については、6月県議会でも議論をいたしましたが、私は、農林水産省の言う登録品種の海外流出の防止というこの理由が、本当に実効性あるものとは到底思えません。
 今回の改正で、登録品種を意図的に海外などに持ち出した農家は処罰できます。しかし、圃場などから盗まれるなどして流出したらどうしようもありません。海外での品種登録こそ、真の意味での育成者権の保護につながると思います。
 今回の改正で、登録品種であっても基本的には農家に認められてきた自家増殖の権利が否定をされ、育成者権者の許諾がなければ自家増殖はできなくなります。しかし、長年種を育ててきたのは農民です。元になる種があるからこそ、研究機関や企業などが新品種を開発し登録できています。品種開発の最後の段階だけすくい取って新品種として登録をし、農家の自家増殖を認めないというのは、育ての親である農民の権利をないがしろにするものではないかと思います。
 この自家増殖の否定によって、やはり将来、大手の種子企業に種の権利が独占されていくのではないかという心配は、国会審議を見ても消えることはありませんでした。
 以上のような理由で、今回の法改正には私は反対の立場ですが、一部改正が成立をしてしまったからには、両院の附帯決議があります。この附帯決議の一番最初に書かれているように、農家負担が重くならないことが重要です。
 そこで、農林水産部長に伺います。
 これまで県が育成をしてきた登録品種の許諾料について、今後どのようにしていくんでしょうか。一旦登録品種を買った農家が自家増殖をする場合、新たな許諾料を取るのかどうか、この点について答弁をお願いします。
〇議長(岸本 健君) 農林水産部長角谷博史君。
  〔角谷博史君、登壇〕
〇農林水産部長(角谷博史君) 種苗法の一部改正に伴う県育成品種の許諾料についてお答えします。
 県が育成した登録品種は、ミカン、梅、柿などの果樹をはじめ、イチゴ、エンドウ、スターチス等、現時点で申請中のものも含めて22品種ございます。
 許諾料については、和歌山県所有登録品種等利用許諾要領に基づき、登録に要する費用を勘案して定めており、農家が種苗を購入する際に、例えば、イチゴの「まりひめ」は1株当たり2円、「紀のゆらら」の商標で販売されているミカンの「YN26」は、苗木1本当たり17円を種苗代に上乗せして許諾料を頂いております。
 今回の種苗法改正後も、現時点では許諾料を変更せず、自家増殖の許諾に伴う新たな費用負担が発生しないようにしていきたいというふうに考えております。
〇議長(岸本 健君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
〇高田由一君 御答弁をいただきました。
 県の登録品種、開発した品種については、新たな農家負担は発生しないということで確認をしたいと思います。
 以上で、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(岸本 健君) 以上で、高田由一君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時38分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
〇副議長(濱口太史君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 30番谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕(拍手)
〇谷口和樹君 こんにちは。30番、谷口和樹でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 質問に入る前に、日本全国で感染が拡大する中、お亡くなりになられた方にお悔やみを申し上げますとともに、感染された方々にお見舞いを申し上げます。また、懸命に立ち向かう医療従事者や職員の皆様方に敬意と感謝を申し上げます。
 それでは、質問に入らしていただきます。
 この1の項は、主に15分で切れる観光客用の和歌山フリーWi-Fiを県民にも使えるようにしてほしい、60分間接続をできるようにならないかということで質問をさせていただきます。
 インバウンドを含め、平成27年、観光客の利便性向上のために、和歌山フリーWi-Fi大作戦において驚異的に進んだ我が県の通信インフラですが、和歌山県内1138か所に設置され、現在、自治体フリーWi-Fiでは設置箇所数全国4位とお聞きしています。
 しかしながら、1138か所とは言いつつも、そのうちの952か所は15分間で自動的に接続が切れるようになっており、設置機器の利用頻度や設置者が大きく増えていない現状から、アクセスポイントはあるけれども短い時間で切れてしまう使いにくい状況がうかがわれます。
 また、アクセスポイント1機器当たり最大約60デバイスの接続が可能ということですが、実際同時接続はほぼ不可能ながらも、換算すると、どれだけつながっても最大約9万デバイスであり、昨年度の平日も入れた1日当たりの平均入り込み観光客数約10万人だけから見ても、観光客が多い週末などはとても足りない状況になりつつあります。
 Wi-Fi設置箇所の増設は、数字上も必須であることは明らかでありますが、Wi-Fi設置箇所の数は平成27年以降、あまり民間設置数は大きく増えていません。ここは使いづらいので普及していないのではないかと考えられます。
 平成27年度の和歌山フリーWi-Fi大作戦では、導入費用を1機目15万円上限、2機目以降10万円で、総額最大205万円まで助成しましたが、当時は初めてのフリーWi-Fi設置ということで、現在5万9620円の1時間接続用ロングの接続機が当時9万4000円だったこともあり、ランニングコストも少ない3万4000円の15分間用ショートの接続機を選ばれる方が多かったと考えます。
 ちなみに、ランニングコストは、月額ショート約7800円、ロング約8600円、その差は約900円ほどとなっています。
 移動通信網の整備事業は、アクセスポイントを設置するのがゴールではなくて、設置者や利用者に満足するサービスを提供することが求められるところであります。それがあって、初めて広がると思います。
 和歌山フリーWi-Fi大作戦において飛躍的にフリーWi-Fi設置箇所の整備が進んだ和歌山県ですが、その移動通信基盤をさらに活用して、接続時間が15分間である952か所などを中心に、接続時間が1時間に再整備を進めることで、設置者、利用者に使いやすい通信環境を構築でき、大きく増加しない和歌山フリーWi-Fi設置者や設置箇所数を増やしていけるのではないかと考えます。
 さらに、今まで観光客だけを対象に整備したものを、接続時間を延ばして、新たに県民にも開放し、利便性が高い通信環境を提供することで、個別の契約プラン見直しによる、特に若い世代の家計の中の通信費負担を和らげることもできることから、ぜひ和歌山フリーWi-Fi大作戦の再度の取組で、県民も受益者になる制度に再構築をお願いするところでございます。
 ちなみに、参考までに全国的な自治体フリーWi-Fiの設置状況は、ホームページなどによる情報を調査した限りでは、全国の自治体フリーWi-Fiのうち、メール登録の上での接続において接続時間が15分間以下なのは、和歌山を含め6県であり、逆に無制限接続は東京、宮城、関西では奈良、兵庫を含め5都県ありました。接続時間1時間以上の自治体というのが多く見られます。
 このフリーWi-Fiですが、もし接続時間が延び、日常の通信環境の利便性を向上することができたならば、幾つもの簡単そうでできなかったことが可能になります。
 例えば一例ですが、和歌山ビッグウエーブなど体育館等の公共施設での設置と接続時間延長が実現すると、コロナ禍で観客制限された中高生の試合などを家族向けに自分たちの端末でライブ中継したり、プリンターやプロジェクター、小型カメラのWi-Fi接続が可能になり、スポーツ大会運営の時短や省力化ができたり、より趣向を凝らした工夫ができ、盛り上がりを演出できます。
 ビジネスシーンでは、外での移動中にパソコンでの緊急の資料作りや話合いが必要になった場合など、重要な内容のやり取りはできなくても、いざというときに長くWi-Fiがつながることで、テレビ会議ができたりリモートワークができたりという、いつでも助かるWi-Fi環境は、仕事のしやすい和歌山となって、今後、テレワーク導入推進やテレワーク導入企業誘致に追い風になるかと考えます。
 通信機器の県民利用率が高くなり、生活スタイルが変わってきている中、新たな県民サービスの一環として、また、今後の和歌山県の情報政策推進の一環として、和歌山フリーWi-Fiの接続時間を、和歌山県民が利用しやすいように延長することができないか、知事にお聞きします。
 続いて二つ目、和歌山フリーWi-Fiアクセスポイントの普及について質問します。
 前項1では使いやすさ、ここではつながりやすさということで、和歌山フリーWi-Fiの運営会社の関連企業に、維持導入費のかからないWi-Fiつき自動販売機というものがあり、この機器に和歌山フリーWi-Fiロングが取付け可能とお聞きしたので、県内にこのような機種の設置などという手法を取れば、大きく増えないフリーWi-Fiの設置場所、アクセスポイントをローコストで増やしていけるのではないかということで質問させていただきます。
 先ほどの1項の和歌山フリーWi-Fiの接続時間を長くできないかという質問とも連動しますが、昨年平日も入れた平均1日当たりの観光客約10万人から見ても、観光客が多い週末などははるかに足りない状況になりつつあります。
 また、テレワークや災害時の通信確保という意味でも、今後もなお一層設置場所、アクセスポイントを増やすことは大変必要なことです。
 和歌山県の人口に対する自動販売機の設置率は高いことから、フリーWi-Fiつきの自動販売機を利用してアクセスポイントを増やせないかという案というのは、以前からあったかと思います。ただ、従来のフリーWi-Fiつき自動販売機は、フリーWi-Fiを利用するためにはその自動販売機付近での利用に限られ、連続して設置されていたとしても、その都度設定の作業が必要になります。
 そこで、和歌山フリーWi-Fiの設置業者でもあるNTT西日本に調査をいただいたところ、フリーWi-Fiを搭載した災害対応自動販売機において、フリーWi-Fi自体を導入時から和歌山フリーWi-Fiにすることが可能とのお答えをいただいています。
 この機器の場合、設置者はこの会社自身になり、設置による利益は設置者のものである代わりに、イニシャル・ランニングとも設置者負担である、いわゆる場所貸し方式であります。当然、和歌山フリーWi-Fiを取り付けるコストは発生するので、この部分を行政の助成制度を利用するか、もしくは設置者の採算に組み入れるかになります。
 一方、実際設置には売上数との兼ね合いもあることから、設置場所は往来があったりと条件はつきますが、ある程度の台数をエリア指定で設置することにより、平均を取るので、設置場所の自由度が上がるとのことです。
 実際、千葉県大多喜町は、さらなる観光客誘致のために、2015年3月からこの提供を開始しています。全39拠点のうち、テルウェル東日本との協業により、11拠点にWi-Fi自動販売機を設置したとのことです。
 幾つかの条件はありますが、先ほどの1の問いに重ねて、この接続時間1時間の和歌山フリーWi-Fiつき自動販売機の設置が進めば、アクセスポイントが増え、観光客と県民双方の利便性を格段に上げることになります。
 ちなみに、現在のWi-Fiつき自動販売機には、防犯対応として、カメラで撮った映像をWi-Fi通信で記録するオプションを持った機器もあります。近年増える子供たちの見守り防犯対策として防犯カメラの設置ニーズも増えていますが、過疎地域などでも往来が多ければ、設置が遅れている場所での活用も期待できます。
 また同時に、災害停電時にバッテリー駆動で通信を確保する機能は、もしもの備えになると同時に、災害停電時の飲料確保の役目も期待できます。
 こういう観点から、県内で市町村と連携して、このような和歌山フリーWi-Fiロングのアクセスポイント増設推進に取り組めないか、知事にお聞きします。
 三つ目の質問に入ります。
 将来的な和歌山の移動通信環境整備のビジョンについてお聞きします。
 今後ますます、道路インフラと同じように重要な移動通信機器用の通信インフラですが、さらなる移動通信環境の整備は、テレワーク推進、移住起業、企業誘致、スポーツ振興、また、過疎対策に欠かせません。また、都市部と山間部、県内のデジタルデバイドを解消すべく、山間集落へのフリーWi-Fiの設置は、今後も継続して増やしていくべきだと考えます。
 移動通信機器向けなどの通信インフラ政策は、道路インフラ整備政策に比べて受益者が多く、家計における通信費負担や利用頻度の高い若い世代ほど恩恵を受けやすい政策であることも特徴で、広い世代へのコストパフォーマンスが高い政策だと言えます。
 今後は、道路インフラ整備と同じくらい通信インフラ整備は重要と考えますが、将来的な和歌山の移動通信環境整備のビジョンについて、知事にお聞きいたします。
〇副議長(濱口太史君) ただいまの谷口和樹君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
〇知事(仁坂吉伸君) まず最初に申し上げておきますと、議員はフリーWi-Fiを大変評価しておられて、それで特に若者の立場から見ると、あれがあると物すごく便利だということで、どんどんそれを増やしていこうと、こういう熱意を持って質問しておられると思います。
 私は、その気持ちに対しては全く反対はありませんで、そうだとは思うんですが、問題は誰がお金を出して、それで誰のためにやるか。もっと端的に言うと、県が公費を出してやるかというようなことが、多分問題になるんじゃないかというふうに思っております。その観点から答弁を申し上げます。
 平成27年度に実施した和歌山フリーWi-Fi大作戦、これ当時、私が「トイレ大作戦だ」と言ったら、何か職員がみんな勝手に大作戦と全部つけまして、それで「そんなに粗製乱造するな」と言って後で怒ったんですが、もう広がってしまったんで文句は言えない。こういうことでございましたが、そのフリーWi-Fiの大作戦、これは和歌山県内を訪れる外国人観光客等が快適に和歌山県内を周遊することができるように、これはWi-Fi環境がないともう来てくれるはずがないということで、本県への誘客を促進する手段としてやったもんでございます。
 県が、実は整備費用を負担いたしまして、観光客が増えることで利益を得る宿泊施設や観光関係施設などを所有、運営する事業者が毎月の利用料を負担するということで、整備が一気に推進されたわけでございます。
 実はその前は、和歌山県はフリーWi-FiというかWi-Fi後進県でありまして、あんまりなかったわけです。基本的にはこういうものは、例えばホテルなんかを考えますと、「うちのホテルはWi-Fiができるんですよ。だからおいでください」ということで、営業戦略そのものなんですね。したがって、実はこれは数年間、私は「そんなものは事業者の問題だ」と言って、全部ペケにしていた話なんでございます。
 ただ、大作戦に踏み切りましたのは、インバウンドを一気に増やしたいと思ったのと、それからもう一つは、地方創生で石破大臣のときでしたけれども、自由に使えるお金をもっとくれたわけです。それならば、ちこちこ使わないで、宿題のこれをもうこの際だから一気にやってしまおうと言ってやったのが、このときの話なんでございます。
 したがって、運用は各施設にお任せしましたので、Wi-Fiの接続時間の設定は、宿泊施設は利用者の滞在期間が長いことから1時間のロングを選択する人も多いし、飲食店などは利用者の回転率を上げたいわけですから、長く居座られると困るんで、したがって15分単位を選択するなど、施設の形態や利用者のニーズに応じて、実は選択をされております。
 議員は、県民が利用しやすいように和歌山フリーWi-Fiの接続時間を延長せよという御意見でございますが、私どもが権限を行使して「延長せよ」と言うのは、これはもうちょっと筋が違う。それから、説得するにしても、普通の県民が長時間Wi-Fiを利用したいんで、その受益を受けるのはその方だけども、負担は施設管理者にやりなさいと言うのは、ちょっと何か酷な感じがするというか、おかしな話をするなあというふうに、まず思うのが第一でございます。
 その次に、Wi-Fiつき自動販売機、これもいい話だなあというふうに思います。ただ、これは、先ほど言ったような状況でございますので、こうなったら取扱業者と施設管理者の双方がウィン・ウィンの関係になったときに、設置につながるビジネスモデルだと聞いております。
 あえて言いますと、もう理屈もなしに、かつて和歌山県がやってきた、一気に全部、お金があるから投入してしまえというようなことは、ありかもしれませんが、あんまり勧められたことではありません。
 例えば、飲料品の販売収入が十分見込まれる施設の場合は、Wi-Fiつき自動販売機の取扱業者は、場所代の免除を条件に、Wi-Fiの設置運用経費を自ら負担して、Wi-Fiつき自動販売機の設置を施設管理者に働きかけたりしてるようです。
 一方、施設管理者は、Wi-Fiつき自動販売機の設置を認めることで、設置運営経費を負担することなくWi-Fiアクセスポイントを利用できるんで、施設の魅力向上になるから、ウエルカムということになるわけでございます。
 このようなビジネスモデルによって展開されておりますので、こういうのもあるよということをみんなが知るということは悪いことではないと思いますが、あくまでも判断は、ビジネスの観点から取扱業者や施設管理者が、難しい言葉で言うと費用対効果に基づいて、整備の要否を検討すべきものだろうなあというふうに思います。
 その次に、通信環境でございます。
 これはとても大事なことで、「道路と並んで大事なもんだ」と言っておられるのはそのとおりだというふうに思います。
 ただ、通信といっても様々な通信がありまして、基幹的なものと、それからアプリケーションそのものというのがあるわけであります。
 そうすると、県とか、国もそうですが、そういうところが少なくともしとかなきゃいけないのは、インフラとして必要になる様々な情報通信機能のインフラとして必要となる超高速ブロードバンドをちゃんと整備しとかないといけないということで、これに積極的に取り組んでおりまして、世帯カバー率は令和2年3月末現在で99.9%になっております。残りも全部やらないかん、こういうふうに思っているわけでございます。
 フリーWi-Fiは、外国人観光客をターゲットとして考えました。これはだんだんと日本人もそういう世界になっておりますので、Wi-Fiがなければ、やっぱりあのホテルには泊まりたくないなあと、あそこへ行きたくないなあという方もどんどん増えてきております。
 そういう状況でございますので、平成27年度やりました、言わばショック療法としての一気に普及率を上げたんですけど、これで皆さん結構味をしめていて、その後見ておりましたら、じわじわと、もう後は補助金とか一切ありませんが、自ら導入を進めているところも結構あって、あの当時と数字も随分違ってきております。
 したがって、そのようなことを啓発するというのは我々の仕事かもしれませんが、直接お金をつけて、どうしてもやりなさいと、あるいは、やってあげるからサービス料だけ払いなさいというようなことを言う必要はないんじゃないかなあというふうに、現在は思っております。
〇副議長(濱口太史君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
〇谷口和樹君 ありがとうございます。
 分かっていただいてありがたいなと思うのは、できたらこの使いやすい通信環境というのがあれば、やっぱり若い子たちに恩恵も大きい政策なので、考えてもらえたらなあと、そういうことを思いながら質問をさしていただきました。
 観光客だけじゃなくて県民も使いやすいようなWi-Fiの保障というのは結構なお声であるかなと思うので、これから先、少しそういうことを感じていただけるようなタイミングがもし来るならば、県民の皆さんにちょっとお聞きする、そういうふうな取組もタイミングを見てお願いできたらなあと思います。
 自動販売機なんですけども、ちょっと具体的に言いますと、県のフリーWi-Fiロングの設置されている箇所で、避難場所施設になっているところというのは整備していただいているんですけども、それ以外のところでWi-Fiがついてない県有施設というのは幾つかあります。そんなところに置いていただけたら、ランニングコストも要らなくて、皆さんWi-Fiが使える環境になるのかなあと、県の負担もなくていけるんじゃないかなあと思うので、そういうところがあれば、また取付け等取り組んでいただけたらなと思います。
 それを要望しまして、次の質問に入らしていただきます。
 県立高校の再編について質問さしていただきます。
 高校再編において、3校以上の複数校統合は法律上可能か、また、その選択肢を地域の意見を伺う説明会で提示できるか、お聞きをいたします。
 今後も減り行く児童数の中で、もう少し先を見通さなければ、短い時間で再度統合ということも起こりかねないということから、安易な着地ではなくて、さらに未来を見越したしっかりとしたビジョンの下で行われるべきと考えます。
 例えば田辺西牟婁地域でいうと、学生たちがふだん通学利用の中心である田辺駅の周辺には三つの高校があります。今の田辺西牟婁地域の方がいない教育審議会の提言では、神島高校と工業高校が統合されると、そういうような提言があると聞いてますが、将来の児童数減に対応するためには、田辺高校も含めた3校を、校舎を使いながら同等に統合することも選択肢の一つかと考えます。
 各地で行われている説明会で、基本の想定は2校を統合という以外提示されていませんが、ルール上可能かどうか、また、その選択肢を説明会等で示せるか、教育長にお聞きをいたします。
 続いて、二つ目の質問に入ります。
 校舎使用を廃止しない統合は今回可能かということでお聞きをします。
 過去、統合した和歌山北高校と西高校は、現在も以前の両校舎を使用しつつ運営されています。学校がなくなることでの地域の衰退を懸念する意見や、今までの卒業生などの母校に対する思い入れにも配慮された形だと考えます。
 今回の再編計画でも、このようにしばらくは統合後も校舎を使用しながら運営する形態は考えられているか、教育長にお聞きをいたします。
 三つ目、統合の考え方において部活動環境は尊重されているかについてお聞きします。
 一昨年、熊野高校にて五つのクラブが一度に休部になりました。生徒や保護者、協会の願いも聞き入れられず、また、1年生に選手がいるにもかかわらず、部員募集停止になったクラブもあります。
 タイミングがもう少し遅ければ、休部を免れたと思います。権限は校長先生にあるので、当時教育委員会が一生懸命掛け合っていただいたのですが、本当に校長先生が示さなければならなかった学校が進むべき方向というのは、先生の数を見て自分の学校のクラブを減らすのではなく、生徒のために学校統合での生徒数維持への道筋を考えたり、あらゆる手段で部活動を存続するために行動することであったはずで、このことは今でも口惜しく感じています。
 高校生活での部活動の存在は、今さら言うまでもありませんが、後の人生を左右するほど貴重な人生経験を得られる場であります。
 今回の統合において、生徒数などと同じくらいに部活動の環境というのは考慮されて、また、発展的に尊重されているか、教育長にお聞きします。
 また、あわせて、この機会での紀南地方へのスポーツ拠点校の設置の可能性について及びマイナー競技においても廃れることなく存続するように配慮されるのか、教育長にお聞きをいたします。
 四つ目、統合を契機に女子スポーツ環境は今以上に整備されるかについてお聞きをいたします。
 この機会に女子競技において、競技中、また、その前後の環境を発展的に整備いただけるかをお聞きします。
 柔道、剣道、レスリングなどを筆頭に、格闘技などのコンタクトスポーツは、従来皮膚などへの感染症が消毒などの対処をしても防ぎ切れない難しいものでありましたが、今後は新型コロナウイルス感染症もあり、接触感染はもちろん飛沫感染等にも対応しなくてはなりません。
 感染症対策は、今に限ったことでも、女子に限ったことでもありませんが、特に皮膚感染のリスク度合いや女子スポーツ選手の競技継続を考えると、シャワー室などは早々に必要な環境整備であります。
 まずは今回の高校再編という機会に、空き教室、空きスペースなどを利活用するなどして、女子競技者のためのシャワー室やロッカールームなどの設置など、感染症対策などに取り組めないか、教育長にお聞きをいたします。
 五つ目の質問に入ります。
 県立高校再編と県立職業訓練校の連携についてお聞きをいたします。
 県立の職業訓練校においても生徒数の確保に苦慮される近年ですが、同じような内容が学べるにもかかわらず、他府県の専門学校に進学されるケースもあるとお聞きします。
 地元の中小工場にとって、技術者等の若い人材の確保は存続を左右するくらいの課題であり、同時に地域経済の衰退にも直結します。
 将来存続をしていく上で、現在でも説明会などで高校生にPRするなど取り組まれているかと思いますが、この再編の機会に工業高校に併設する形などで新たな生徒確保の流れをつくれるのではないかと考えます。
 今回の高校再編の議論において、県立職業訓練校との連携を考えなくてよいのか、教育長にお聞きをいたします。
〇副議長(濱口太史君) 教育長宮﨑 泉君。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
〇教育長(宮﨑 泉君) 3校以上の統合は、法律上不可能ではありません。再編整備を進めるに当たっては、様々な可能性や方法を除外せずに考えてまいりますが、それぞれの学校のよさや特色をさらに発展させることや、発展的に融合させて新たな学校をつくり出していくことが大切だと考えています。
 今後、再編整備実施プログラム(案)に示していく内容も含めて、慎重に検討し、進めていく必要があると考えています。
 統合後の校舎の使用でございますが、県立高等学校の校地や校舎は大切な教育財産であるため、今後も有効に活用していきたいと考えています。
 再編整備を進めるに当たって、二つの学校が統合する際に、これまでなれ親しんできた校舎を活用することは有効であると考えます。一方で、学校としての一体感や教育的効果も必要な観点であることから、慎重に判断をしていきたいと考えています。
 部活動については、具体的な目標を見いだし、それに向かって粘り強く取り組む姿勢や経験を獲得するなど、極めて高い教育的効果があります。
 生徒数が減少する中で、学校の小規模化が部活動に影響を与えている場合もあります。部活動の重点化に取り組んでいる学校もありますが、議員御指摘のように、統合による生徒数の確保にも必要な方策であると考えます。
 紀南地方には、競技人口が少なくても全国レベルの部活動が幾つもあります。今後も、このような部活動が興隆していくように、指導者の配置や練習環境の整備等を行ってまいりたいと考えています。
 女子スポーツの環境でございますが、本県においては、近年、女子がこれまで部活動になかった競技にも取り組むようになる中で、議員御指摘のような女子競技者のための環境整備も必要になってきていると認識しております。
 今後、再編整備の状況も勘案して、女子スポーツだけでなく、生徒が部活動に打ち込める環境づくりに努めてまいりたいと考えております。
 最後に、産業技術専門学院は和歌山市と田辺市に設置されており、物づくり等に関する高度かつ実践的な技術、技能を習得することができる学びの場であるというふうに考えております。
 専門学院には、主に高校卒業後に進学しますので、オープンキャンパスや生徒保護者への情報提供、教職員間の情報共有など、進路指導上における連携は必要であると考えています。
〇副議長(濱口太史君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
〇谷口和樹君 よろしくお願いします。
 熊野高校でクラブが校長先生主導で整理されたりしたことがあったんですけども、それまでに早く再編に取り組めていたらなあということで、今本当に思っています。ぜひ生徒によい再編になるようにしていただきたいし、これからの進め方の中では、ぜひ具体的な、再編されることでプラスになる、こういうビジョンをしっかり示していただけたらなあと思います。
 そして、田辺西牟婁地域に限って言うと、教育審議会の案というのを少し安直に感じるなというのも一つお聞きした意見の中であります。メンバーの中に田辺西牟婁地域の審議員さんがおられなかったと聞いてますので、そういうことを考えると、ぜひ再編後はエリアごとで審議会、部会でもええと思うんですけども、エリアごとの審議会の設置というのを再編後、考えていただけたらなと思います。このことだけ要望して、次の質問に移ります。
 3番、新型コロナウイルス感染症に対応する県内の医療従事者支援宿泊施設について質問をいたします。
 急速に増加している新型コロナウイルス感染症患者の治療に従事する医療従事者や検査に関わる保健所などの技師、保健師の肉体的、精神的負担というのが増しています。特に新型コロナウイルス感染症患者の対応に当たる医療従事者の方からは、治療に当たった日は帰宅せずに外泊を望む、そういった場面が多々あるとお聞きしています。
 県が行っている新型コロナウイルス感染症に対応する医療従事者を支援する宿泊施設について、紀南地方の宿泊施設が極端に少なく、ホテルだけでなく条件の見直しも視野に、公有施設も含め、緊急で宿泊できる場所の確保をする必要があると思うが、県として医療従事者が自宅に帰りづらいなどの場合にはどうしたらよいと考えているか、福祉保健部長にお聞きをいたします。
〇副議長(濱口太史君) 福祉保健部長宮本浩之君。
  〔宮本浩之君、登壇〕
〇福祉保健部長(宮本浩之君) 新型コロナウイルス感染患者に対応する医療従事者は、感染予防を徹底するために、強い緊張の続く状況下で長時間集中力を求められるとともに、高い使命感も加わって勤務時間が長くなる傾向があることから、県においては、医療従事者の心身の疲労軽減のため、自宅に帰らずに近くのホテル等に宿泊できるよう支援しているところです。
 利用可能な宿泊施設については、現在、全体で10施設、そのうち紀南地方では1施設ですが、現在も継続的に施設の募集を行うとともに、県内各地の施設に対し個別に理解を求めているところです。
 なお、県としましても、利用可能な宿泊施設を増やしていくために、今後、早急に施設側と内容について協議をしながら、何とか多くの施設を確保できるよう精いっぱい働きかけてまいります。
〇副議長(濱口太史君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
〇谷口和樹君 どうぞよろしくお願いいたします。
 四つ目の質問に入ります。
 河川レジャーにおけるライフジャケット着用の義務化についてお聞きをいたします。
 今年も河川での水難事故が相次ぎました。もしライフジャケットをつけていたら防げていた可能性は少なくありません。全国でも、海、湖では水上スキーや船舶などの海事法などでライフジャケット着用が義務づけされているが、河川に限っては船舶に乗らない限り着用のルールがありません。
 水温が低く流れのある河川において、思った以上に泳げる距離が短く、以前ほど川での体験が減っているので、流された際に上流に向かって泳いだり、飲酒状態で水に入るケースもあります。全国的に、ほんの少しの認識不足で水難事故に見舞われることを自己責任で済ませてきたところもあるのではないかと考えます。
 和歌山県遊泳者等の事故防止に関する条例において、第1条には「この条例は、海域等におけるスポーツ、レクリエーション等に伴う事故を防止し、もって遊泳者等の生命、身体及び財産の保護を図ることを目的とする」とあります。
 全国的に前例はありませんが、この条例において、河川のレジャーにおけるライフジャケット着用の義務づけをできないか、警察本部長にお聞きをいたします。
〇副議長(濱口太史君) 警察本部長親家和仁君。
  〔親家和仁君、登壇〕
〇警察本部長(親家和仁君) 御指摘の和歌山県遊泳者等の事故防止に関する条例につきましては、遊泳者とプレジャーボートの衝突事故等の水難事故が多発したことを踏まえ、こうした水難事故を防止するため、海水浴場開設者やプレジャーボート事業者等に対し、公安委員会への届出義務や水難事故防止措置を義務づけるとともに、遊泳者に対する禁止行為やプレジャーボート操船者の遵守事項等を定めたものであります。
 言わば、多くの人が遊泳する海水浴場の開設者や関係事業者に水難事故防止措置を義務づけるとともに、遊泳者等を守るために遊泳者等に対する危険行為等を禁止することにより、遊泳者等の生命、身体等の保護を図ることを目的とするものであります。
 そのため、例えば夏場に水難事故が発生する海水浴場におきましても、利用者にライフジャケットの着用等を義務づけるといったことは規定されておらず、本条例において河川レジャーに関し、ライフジャケットの着用を義務づけることは、条例の趣旨に照らし、慎重な検討が必要と考えられます。
 また、河川のレジャーについては、どのような場所でどのような行為を行うことがこれに当たるのか不明確なところがある上、河川の形態や水量は様々で、天候や時期、時間によってもこれらの状況は変わり得ることから、河川の危険性について、一概に判断することは困難であると認識しております。
 こうした状況を踏まえると、ライフジャケットの着用等、河川レジャーにおける安全対策については、場所や時間ごとに、きめ細かに検討する必要があると考えられますので、まずはそれぞれの場所の管理者において、その場所の状況を踏まえた必要な安全対策を講じていただくことが適当ではないかと考えております。
 なお、河川における水難事故防止については、国土交通省が主となり各種施策を推進しているものと承知しており、警察としては、国土交通省の取組に対し必要な協力を行うことにより、河川における水難事故の防止に貢献したいと考えております。
〇副議長(濱口太史君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
〇谷口和樹君 再質問をさしていただきます。
 県警が河川における遊泳者等の事故防止に関するルールは国交省が所管すると考える根拠について、警察本部長にお聞きをいたします。
〇副議長(濱口太史君) 警察本部長。
  〔親家和仁君、登壇〕
〇警察本部長(親家和仁君) 警察法第2条において、「警察は、個人の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の予防、鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕、交通の取締その他公共の安全と秩序の維持に当ることをもつてその責務とする」と規定されており、一方、国土交通省設置法においては、同省がつかさどる事務の一つとして「河川、水流及び水面の整備、利用、保全その他の管理に関すること」が規定されております。
 河川の安全利用については、事務の所掌という観点から見ると、個人の生命、身体等を保護するという側面からは警察が関与する余地もあり、一方で、河川の管理という側面からは国土交通省の所掌ともなるものと考えております。
 このように所掌事務については明確に切り分けることが難しいものもあり、そうした事務については、その目的に向け、関係する役所が協力して取り組んでいるのが現状であります。
 お尋ねの河川レジャーにおけるライフジャケットの着用を含む河川の安全利用につきましては、一口に河川と言ってもその範囲は大変広く、その形状や利用形態は様々であることから、河川の状況をよく把握している河川管理者において検討するのが適当だと考えており、これまでも国土交通省において、研究会や検討会を設け、河川利用者の安全等に関し検討を行ったり、河川水難事故防止のアクションプランを作成し、全国の河川管理者に周知したりしているものと承知しております。
 また、同省の水管理・国土保全局河川環境課においては、昨年3月、「ミズベアソビガイド」なる冊子を発行し、河川及びその周辺で遊泳、沢登り、魚取り、ボート、魚釣り、バーベキュー、キャンプ、散策等を行う際の留意点や、河川の特性やエリアに応じたライフジャケット着用の有用性について詳細に説明しております。
 このように、河川の特性をよく把握している国土交通省において施策が推進されていることから、警察においては、必要に応じ、こうした取組に協力を行うことにより、各種水難事故の防止に努めることとしているところであります。
〇副議長(濱口太史君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
〇谷口和樹君 和歌山県ならば所管が県土整備部ということか、警察本部長にお聞きをいたします。
〇副議長(濱口太史君) 警察本部長。
  〔親家和仁君、登壇〕
〇警察本部長(親家和仁君) 知事部局内で河川の安全利用に係る事務を所管している関係部署につきましては、県土整備部河川課と聞いております。
〇副議長(濱口太史君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
〇谷口和樹君 少し重なる部分もありますが、再質問します。
 県土整備部は、河川において災害などを想定した護岸、堤防などの安全管理保全を目的として事業推進をしていますが、「河川におけるスポーツ、レクリエーション等に伴う事故を防止し、もって遊泳者等の生命、身体及び財産の保護」は、和歌山県遊泳者等の事故防止に関する条例、目的第1条にもあるように、この条例を所管する警察本部の所管になるかと考えますが、警察本部長に再度お聞きいたします。
〇副議長(濱口太史君) 警察本部長。
  〔親家和仁君、登壇〕
〇警察本部長(親家和仁君) 当該条例の第1条は、その条例で規定する各種取組の目的について規定されたものであり、この規定によって、条例の目的に沿う取組や規制等を全て警察が行うこととしたものではないと理解しております。
 先ほども説明しましたとおり、河川の利用のルールについては、河川の状況等をよく把握している河川管理者において検討することが実効的な対策になるのではないかと考えております。
 警察におきましては、水難事故の防止に向け、釣りやボート等で水辺に行くときは、必ずライフジャケットを着用するよう呼びかけているところであり、引き続き、国土交通省等の取組に必要な協力を行ってまいりたいと、このように考えているところであります。
〇副議長(濱口太史君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
〇谷口和樹君 であるならば、少し要望をさしていただいて終わりたいと思います。
 所管が県土整備部だという警察本部長のお話がありました。水難事故で、今年もライフジャケットをつけていたら救える命、失わなくてよかった命というのがあると思います。
 事故があった付近に住んでいる方々の精神的な衝撃というのもすごい大きなものがあって、そのことも考えてもらった上で、やっぱり事故が起こると、その場に警察の職員さんも駆けつけますし、行政職員さんもその場に駆けつけていきます。ぜひ生命、身体、財産を守るという、そういう立場から、河川の所管が県土整備部河川課だと思われるんであったら、水難事故の防止に関する取組というのをぜひ所管のほうにお話しいただけたらなあと、御指導いただけたらなあと思いますので、そのことを要望して質問のほうを終わりたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
 五つ目の質問に入ります。
 磯間シラス引き寄せ網漁法と文化財保護について質問いたします。
 田辺市磯間に残る伝統のシラス引き寄せ網漁法では、港から2隻のエンジンつきの引き船で網と漁師たちを乗せた大きめの引き寄せ網漁船を左右に引きながら順々に網を広げ、最終は入り口を閉じて網を上げます。ほとんど10人ほどの漁師によって人間の手で少しずつ少しずつ絞って漁獲します。
 一見すると非効率的な漁法ですが、デリケートなシラスの体を傷つけない、優しく、結果的に環境にも優しい伝統漁法です。
 シラス漁の歴史は、どの時代まで遡るかは調べ直さなければなりませんが、はるか昔からあり、戦後をきっかけに昭和21年頃は40人ほどのシラス漁船が7隻ほどになり、厳しい復興期に生活を支えるなりわいとしてあったとのことです。
 同時に、周辺漁業と共に田辺市民の食を支えながら、紀伊田辺駅周辺の飲食街を中心とした戦後田辺のまちの再生の一助として支えてきました。
 引き寄せ網漁法は、手こぎ舟しかなかった時代から全国各地で行われてきた漁法ですが、現在シラス漁の主流になっているのは、効率的に船で引き回すパッチ網漁で、いつの間にか伝統的な引き寄せ網漁法のシラス漁としては、全国でも田辺磯間に残るだけとなりました。
 網から上げる際は、まだシラスが生きた状態なほどで、良質で味も格別、しかも日本ではそこにしかない引き寄せ網漁法ということでプレミアがつき、値段も高く全国から注文が入ります。
 しかしながら、全国でも磯間にしか残っていない歴史的にも文化的にも価値も高い伝統漁法の引き寄せ網は、今秋にも1団がお辞めになられて、現存するのは1団となりました。伝統漁法の価値ある技術継承や文化伝承に赤信号がともったことになります。
 そこで、過去、有田川鵜飼い漁の例もありますが、今後、引き寄せ網漁法のような日本でも珍しい伝統漁法が文化財として指定できるか、教育長にお聞きをいたします。
〇副議長(濱口太史君) 教育長。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
〇教育長(宮﨑 泉君) 田辺市の磯間で行われているシラス漁は、現地では引き寄せ網漁と呼ばれるもので、伝統的な漁法の一つであります。
 このような漁法を文化財と見る場合、無形民俗文化財の中の民族技術の分野に当てはまり、その指定には、対象となるものが「技術の発生又は成立を示すもの」「技術の変遷の過程を示すもの」「地域的特色を示すもの」のいずれかの条件を満たすことが必要となります。
 この磯間の引き寄せ網漁に関しては、地元の田辺市や関係者の皆様と協力して、文化財指定の条件を確認できるような資料を調査してまいります。
〇副議長(濱口太史君) 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
〇谷口和樹君 ぜひよろしくお願いします。
 それでは、一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
〇副議長(濱口太史君) 以上で、谷口和樹君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 10番玄素彰人君。
  〔玄素彰人君、登壇〕(拍手)
〇玄素彰人君 連日お疲れさまでございます。議席10番の玄素でございます。
 今般12月議会に一般質問を、議長の許可をいただいてさしていただくことになりました。非常に眠たい時間ではありますけども、当局に対しましては、ちょっと眠気を緩和するぐらいの指摘はさしていただくこともあろうかと思いますけども、ひとつ県を思うがゆえということでお許しをいただけたらと思います。
 それでは、質問に入らしていただきます。
 さて、昨年の12月議会において、私は、和歌山県が管理している2600キロある道路の管理に関する質問をさせていただきました。その中で、維持修繕というものは、何も道路だけの問題ではなく、河川のしゅんせつについても言えるということ、予算がないとか、まだ何とかなるなどの理由で待たされることが多い中で、早急な対策の必要性を訴えさせていただいたところです。
 毎度のことで恐縮ではありますが、「防災対策にあらかじめ1ドルを投ずれば、災害時に生じる7ドルの損失を回避することができる」。公共インフラの維持修繕を単に修繕の問題と捉えるのではなく、交通安全対策や防災対策とも捉え、「言われたからやる」ではなく、「言われる前にやる」という意識転換を図り、維持修繕に関する予算を増やすべきであるということを申し上げたところです。
 そんな私の思いが通じたのか、本年度から国において、緊急浚渫推進事業なる制度が創設されました。これは、近年の台風などによる河川氾濫など、大規模な浸水被害が相次ぐ中で、地方自治体に国が70%の交付税負担をすることによって、河川のしゅんせつを促していこうというもの。河川における具体的な個別計画は必要なものの、事業費を100%地方債で充当できる有利な事業です。
 こういったことを受けて、和歌山県においては今年度約10億円の予算を組み、対応されているところですが、その上で以下の小項目として、しゅんせつに関する質問を3点させていただきます。
 まず1点目ですが、今年度組まれている10億円の予算の中で約6.8億円が河川のしゅんせつのための費用、2.5億円がダムの堆積土砂を取り除くための費用、7000万が砂防堰堤の土砂の堆積を取り除く事業であると理解しております。
 特に絞って河川整備について言えば、各振興局単位に予算が割り振られていると聞いておりますが、御坊・日高地域における今年度からのしゅんせつ予定河川について、事業の進捗、計画も踏まえ、県土整備部長の答弁を求めます。
 以降の質問につきましては、対面式演台で行わせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
〇副議長(濱口太史君) ただいまの玄素彰人君の質問に対する答弁を求めます。
 県土整備部長庄司 勝君。
  〔庄司 勝君、登壇〕
〇県土整備部長(庄司 勝君) 御坊・日高地域における緊急浚渫推進事業の実施対象河川並びに事業の進捗状況についてお答えします。
 緊急浚渫推進事業は、土砂の堆積状況や人家への危険度の観点から優先度の高い箇所で、地方自治体が単独事業としてしゅんせつを実施する場合において、令和6年度までの5年間に限り、地方債の発行が可能となる事業です。
 御坊・日高地域では、今年度から、現時点で事業の採択条件に合致する日高川、西川、土生川、壁川、印南川、切目川、西ノ地川、由良川、南部川及び桜川の10河川において実施しております。
 次に、これら10河川の進捗状況につきましては、現在、測量設計を進めており、今年度中に工事に着手し、令和6年度までに順次完了させるべく、しゅんせつを行っていく予定です。
〇副議長(濱口太史君) 玄素彰人君。
  〔玄素彰人君、登壇〕
〇玄素彰人君 部長、答弁ありがとうございました。
 10か所、日高・御坊地域においてしゅんせつを、しゅんせつ事業債を活用して実施していただけるということであります。
 これまでしゅんせつを目的とした事業というのは、河川管理というか、なかったかと思うんです。ただ、近年の水害等々、気象条件の変化等を見て、やっぱりしゅんせつというのが必要やなあということになって、こういうものができてきたんだと思います。
 ちなみに、先ほど質問の中で、和歌山県は今年度10億円の予算を組まれて対応してるというお話をさしていただきました。広島県においては今年度で、これ補正で対応されているところもあるというふうに、上乗せで対応されてるところというのもあるというふうに聞いているんですけども、広島県では41億円、兵庫県では40億円、当初で組まれているというふうに聞いております。兵庫県と広島県の面積って大体同じなんですけども、和歌山県と比較すると10対6ぐらいの大きさの違いがあるんだと、和歌山県のほうが6なんですね。
 そういうイメージで言えば、40億円あたりに0.6掛けて24億円、25億円あたりが、しゅんせつをしっかりやっています、月並みにやっていますというぐらいの金額になるのではないのかなあというふうに、あとはもう今の話を聞いていただいて、県土整備部長の行動力に御期待を申し上げて、次の質問に移りたいと思います。
 それでは、2点目に移ります。
 小項目2点目の質問ですが、この緊急浚渫推進事業債──事業につきましては5年間の時限措置、先ほど答弁にもあったと思います。一方で、答弁をいただきましたけども、御坊・日高地域においては、5年間で今のところしゅんせつ予定の河川は10河川。しかしながら、御坊・日高地域の県管理河川は96河川ございます。しゅんせつが必要なところ、そうでないところはあるにせよ、自身の感覚からすれば、これまでしゅんせつのための予算がなかった中で、相当な河川でしゅんせつが必要なところがあると考えます。
 残り御坊・日高管内にある86河川について、今後どのような対応をされるのか、県土整備部長の答弁を求めます。
〇副議長(濱口太史君) 県土整備部長。
  〔庄司 勝君、登壇〕
〇県土整備部長(庄司 勝君) 御坊・日高地域の全96河川のうち、現時点で事業の対象となっていない86河川に関する今後の対応についてお答えします。
 御指摘の86河川につきましては、定期的に土砂の堆積状況等を確認し、当該事業が活用できないか検討の上、活用が可能な河川については早急に事業化できるよう手続に入ります。
 一方、当該事業が活用できない河川において、局部的に土砂が堆積するなど、しゅんせつが必要な箇所につきましては、通常の維持管理事業を活用して対応してまいります。
〇副議長(濱口太史君) 玄素彰人君。
  〔玄素彰人君、登壇〕
〇玄素彰人君 部長、答弁ありがとうございました。
 前向きな答弁であったというふうに思います。よろしくお願いします。
 いずれにしましても、和歌山県というのは急峻な地形で、かつ台風の常襲地帯でありますし、水害というものには非常に神経質になるところがあるんだと思います。しゅんせつをしなかったばっかりに河川の氾濫が起きたんだとか堤防が決壊したんだというようなことがないように、ひとつお願いを申し上げて、3点目に移りたいと思います。
 続いて、小項目3点目でありますけども、この緊急浚渫推進事業の市町村の取組について質問いたします。
 先ほどからの質問については、緊急浚渫推進事業を活用しての県管理河川のしゅんせつについて、るるお聞きしましたが、この事業は市町村が管理する準用河川、普通河川にも活用できると理解をしております。
 しゅんせつの事業は、基本的に河口部から順々に上流に向かって実施していくというのが一般的だと思うのですが、上流部分である準用河川や普通河川においてもしゅんせつを実施したならば、その効果は事業を実施する県管理河川と相まって大きくなると考えます。
 そこで、この事業を市町村において実施することの必要性を感じるのですが、現状は、しゅんせつの事業は県任せというふうにも感じております。
 今回の緊急浚渫推進事業に呼応して、市町村においても当該事業を準用河川や普通河川で実施すべきと考えますが、そういった予定は市町村でおありなのでしょうか。準用河川や普通河川をしゅんせつすることの効果も踏まえて、県土整備部長、お答え願います。
〇副議長(濱口太史君) 県土整備部長。
  〔庄司 勝君、登壇〕
〇県土整備部長(庄司 勝君) 市町村における緊急浚渫推進事業の実施予定並びに市町村が本事業を活用して準用河川や普通河川をしゅんせつすることの効果についてお答えします。
 今年度の実施予定については、和歌山市、海南市、橋本市及び田辺市の4市が、準用河川2河川、普通河川5河川で本事業を活用してしゅんせつを行う予定であると聞いております。
 しゅんせつによる効果につきましては、下流河川の流下能力や上下流河川の土砂の堆積状況等に応じて、県が行うしゅんせつと市町村が行うしゅんせつを一体的に実施するほうが、大きな効果を発揮する場合もあります。
 県といたしましては、本事業の活用を市町村に幅広く周知していくとともに、しゅんせつの箇所や時期など、事業効果を最大限発揮できるように、市町村と連携して実施することとしています。
〇副議長(濱口太史君) 玄素彰人君。
  〔玄素彰人君、登壇〕
〇玄素彰人君 部長、答弁ありがとうございました。
 質問の中でも申し上げたんですけども、しゅんせつというのは河口部から上流を向いて土を取っていくというやり方が一番いいのかなあと、それはそうだと思うんです。同時に、2級河川があって、その枝葉にまた2級河川があったりするんですけども、最終的に市町村が管理する準用河川であるとか普通河川になっていくと思うんです。幾らこれ2級河川だけ土を取っても、準用河川、普通河川においてしゅんせつを実施しなければ、せっかく取っても一つ大きな雨が降ったら、またそこの2級河川に土が流れてくるという状況は安易に想像できるのかなあというふうに思います。
 ちなみに、私の住んでいる印南町でいえば、印南川と切目川って2本の割かし大きな2級河川があります。そこに、印南町においては69普通河川がある。ざっくりな言い方をして申し訳ないんですけども、この二つの主要な2級河川に30本ぐらい支流がついているという言い方をしても、そんなに外れてはないと思うんです。そういう想像をしていただいたら、やっぱり市町村の管理河川においてもこのしゅんせつを実施していただくことの必要性というのを分かっていただけるのかなあというふうに思います。
 しゅんせつに全集中することまでは要求しませんけども、ちょっと集中していただいてやっていただくようお願いを申し上げて、次の質問に移りたいと思います。続けて行きます。
 次に、質問項目2点目の接遇──括弧して「あいさつ」と書かしていただいてますけども──強化について質問いたします。
 一つ目として、来庁のお客様は、会釈や挨拶でお迎えします。二つ目として、お困りのお客様には積極的にお声をおかけします。三つ目として、お客様の御用件は丁寧にお伺いします。四つ目として、所管外の仕事でも「自分の仕事でないから」で済まさず、正しい所管の説明や案内をします。五つ目として、お客様は笑顔でお見送りします。
 これは、和歌山県庁好感度アップ大作戦の目標項目です。
 今申し上げた五つの項目には、それぞれ「庁内で来庁者と擦れ違う際には会釈をしましょう」とか「『おはようございます』『こんにちは』と声をかけましょう」など、具体的にどのように行動すべきか簡単な説明が付されているのですが、特に挨拶なんかは県庁内にいてかなりの確率で実行されているようには思えませんし、この1年ぐらいを思い返すと、パスポートの更新や車庫証明を取る際の接遇の悪さを残念に思ったこともあります。
 接遇ができないことと、メンタルヘルス不調者の発生率や離職率、もう少しで重大事故になりかねないヒヤリ・ハット率、公用車の事故などの事故率、県民からのクレーム率には大いに相関関係があると思いますし、同時に接遇強化、特に挨拶強化の必要性を痛感しているところです。
 挨拶を含め、接遇ができないことについては、知事も昨年の知事メッセージで「あいさつ」「臨機応変」という題名でその難しさを吐露されるほど深刻さを認識されていると考えています。
 私もかつて首長であった際には、常に職員の愛想のなさ、不親切の類いを住民から聞いてきました。そんな中で、接遇マニュアルの策定、職員の机の配置の変更、若手の新人研修の一環としての役場代表電話の受け答え訓練、課長会議での継続的な指示徹底、責任の所在を明確にするための職員証の常備携行などを行い、継続していく中で、解決に至った経緯があります。
 では、なぜ接遇が悪くなるのか。自分なりに考えてみますと、一つ目として、権限のあるお役所には、陳情、お願いタイプの来訪者が多い。ゆえに勘違いしてしまう傾向にあるのかな。
 二つ目として、直接住民と接する機会が少ない。ゆえに市町村職員以上に県庁職員のコミュニケーションを取る必要に迫られない構造的なものがあるのかなと。
 三つ目として、机上の能力は優秀ではありますが、相対的にコミュニケーション能力がないからなのかな。
 四つ目として、公務員になることが目的で、パブリックサーバントという根本がたたき込まれてないのかな。
 五つ目として、役所独特の縦割り組織が世の中の組織の標準のように感じるようになっていて、個人事業主、農業者、小規模事業者、サラリーマンなど、民間の考える当たり前の認識に乖離があるからなのかななど、考えたりします。
 では、どうしたら接遇が向上するのか。これについても自分なりに考えてみますと、一つ目、接遇の必要性をしっかり認識をしていただいた上で、二つ目、接遇向上に必要な試みをいろいろ考え実施し、三つ目、それらアクションをチェックしながら継続していくことだと考えます。
 挨拶や会釈は子供だってできることだと思います。本気になってないだけで、優秀な職員さんにできない理由はありませんし、それが証拠に、私がたまにしかつけない議員バッジをつけて歩いているときは、会釈ぐらいはかなりの確率でしていただいております。
 改めて申し上げるのですが、この問題が単に接遇ができない、挨拶をする、しないという事柄ではなくて、そのことで生じるささいな事故をなくしていこう、冷やっとする事件をなくしていくために必要だということを改めて申し上げ、以下、質問いたします。
 まず、小項目1点目ですが、さきに述べたように、接遇を向上させるためには、強くそのことを認識し共有することが必要と考えますが、接遇することの必要性について、県ではどのように御認識されていますか、総務部長に伺います。
〇副議長(濱口太史君) 総務部長田村一郎君。
  〔田村一郎君、登壇〕
〇総務部長(田村一郎君) 御質問いただきありがとうございます。
 議員から御質問のあった接遇、挨拶の必要性についてですが、挨拶は人と人との潤滑油であり、社会人として当然のマナーです。
 毎日、県庁には多くの県民の方が来庁されます。中には、生活上の困り事で御相談に来られる方で、役所に来ること自体、敷居が高いと感じながらいらっしゃる方もいるかと思います。
 そのときに、県職員が来庁者に対して率先して会釈や挨拶をすること、また、行き先が分からず困っている方には用件を伺い、用務先まで案内するなど、常に県民の立場に立って親身に対応することは、県職員として当然の心がけと認識しております。
〇副議長(濱口太史君) 玄素彰人君。
  〔玄素彰人君、登壇〕
〇玄素彰人君 総務部長、答弁ありがとうございました。
 県職員として当然の心がけという認識ということでありますけども、その当然の心がけができていないという認識をしっかり持っていただきたいなというふうに、まず思いました。
 それとあと、私もここに来さしていただいて1年半たつんです。いろいろな方を研究してるんですけども、普通に挨拶してくれる人はそれでいいんですけども、ある人は、自分の存在を消すように目を背けたり、ある人はそそくさと、もう会いたないよというのがあからさまにこっちとして感じるんですね。それは僕が嫌われているからかも分からないんですけども、ただやっぱり僕だけじゃなくて、別に一般の職員さんの皆さんは、それがそういう組織で当たり前だと思えばそうなんだと思うんですけども、気にするのは、やっぱり外からお客さんが来られたときに、えっ何よというふうに思うんですね。
 これから来年も文化祭をもうやるんだという中で、よそから来られたときに、これはやっぱりちょっとどうかなというふうに思うんです。今回の質問をもう総括してざっくり言えば、会釈ぐらいやったらええん違うんかいって思うんですね。
 だから、もうこれ、和歌山県庁の品位に関わる問題だというふうに私は認識をしているということもお伝えをして、次に移りたいと思います。
 続いて2点目、接遇を向上させるためには、そのための様々な取組や継続をしていくことが必要と考えます。
 接遇向上のために、これまで具体的にどのような努力をされてきましたか。また、現状、継続的に実施されていることはありますか。総務部長、お答え願います。
〇副議長(濱口太史君) 総務部長。
  〔田村一郎君、登壇〕
〇総務部長(田村一郎君) 県では、職員一人一人がおもてなしの心を持って県民をお迎えすることで、県民の満足度を高めてもらうとともに、県庁の好感度アップに努める取組として、議員も御紹介ございましたが、平成23年度から和歌山県庁好感度アップ大作戦に全庁挙げて取り組んできました。
 全職員向けには四半期ごとに、行政事務用パソコンの掲示板に「お知らせ」として、県職員としての心がけなど、メッセージと併せて和歌山県庁好感度アップ大作戦を周知し、職員一人一人に取組を促しております。
 とりわけ、新規採用県職員を中心に接遇マナー研修の時間を設け、日々実践するよう周知を図っております。
 しかしながら、時には県民の方から職員の挨拶や応対についての厳しい御意見をいただくこともあります。その際には、臨時に全職員に対して、職員一人一人が県庁の顔という認識の下、行動するよう改めて周知し、取組を進めているところであります。
〇副議長(濱口太史君) 玄素彰人君。
  〔玄素彰人君、登壇〕
〇玄素彰人君 平成23年から和歌山県庁好感度アップ大作戦というのをやられてるという答弁でありました。
 冒頭、五つ項目を申し上げました。ちょっと色をつけても50点あるのかなというのが正直なところであります。それだけしかできてないということをやっぱり肝に銘じていただいて、今後改善していただければうれしいなあというふうなことをお伝えし、次に移りたいと思います。
 続いて3点目、現状を考えたとき、さらなる何らかのアクションを接遇強化に取り入れる必要があると考えますが、福井県が昨年策定したクレドといって行動規範のようなものを策定するような新たな仕掛けを行う予定などありませんか。総務部長、お答え願います。
〇副議長(濱口太史君) 総務部長。
  〔田村一郎君、登壇〕
〇総務部長(田村一郎君) 県としては、和歌山県庁好感度アップ大作戦の取組について、引き続き行政事務用パソコンでの掲示による周知等と併せ、本庁及び振興局等の職場研修委員による朝礼、終礼時を利用した職場研修を毎月行うなど、この取組が職員一人一人に定着し、実践できるよう徹底したいと考えております。
 また、議員より取組の御紹介のありました議員が以前、首長をされていた自治体の住民の方にも役場の評判をお聞きするなど、勉強させていただき、接遇の向上に努めてまいりたいと考えております。
〇副議長(濱口太史君) 玄素彰人君。
  〔玄素彰人君、登壇〕
〇玄素彰人君 部長、答弁ありがとうございました。
 アンケートもその後、取らしていただいているんで、また調べてもうたらというふうに思います。
 和歌山県庁好感度アップ大作戦を周知徹底する。確かに中は物すごくいいことが書いてあるんです。これができたならさぞかしいいだろうというふうには思うんですけども、やっぱりできてないんですね。例えば先ほど「お知らせ」をアップして職員に周知徹底というお話もありましたけども、8月がなぜか抜けているんですね。それもなぜかって聞いても、理由が分からんというふうなことなんです。毎月するんだったらやっぱり毎月そういうこともやっていただきたいなあというふうに思います。
 先ほども申し上げたように、今、私が接遇をする総務部長の立場であるんだったら、まず1点目、やっぱりせめて会釈ぐらい、これやってほしいねというふうに思います。二つ目があるとすれば、接遇ができていないんですから、やっぱり接遇マニュアルみたいなものは作っていただきたいと思いますし、あと、質問の中でも申し上げたように、職員証の携行、これも半分もできていないです。責任の所在を。結構ね、知事、幹部の方はされていたりというようなことを見るんですけども、一般の方は半分以下ぐらいかなというふうに思いますから、自分を自覚してもらうというような意味で、そういうのをつけていただきたい。
 あと、なかなか内部からやっていくというのも難しいと思いますから、たまに部長には県庁の正面玄関か北門の辺りに立っていただいて、声も大きいですから、挨拶をしていただく。こういうことも、いや、これ真面目な話、効果があると思いますし、先ほど申し上げたように、長計なんかで、例えば長計を立てるときとか、中間点、5年目で例えば見直していくときなんかにもアンケートを取り入れるとか、出入りされている事業者さん、県民の方に「我々の接遇、どうですか」というふうにやっぱり真摯に聞いていただくということであるとか、例えば部長会議で定点的に最近は接遇できているかというような継続的なチェックというのもやっぱり必要なのかなと。
 接遇に全集中してくださいとまでは申し上げませんけども、少なくともちょっと集中していただいたら、かなりよくなるというふうに思っておりますので、そのことをお伝えし、3点目の質問に移りたいと思います。
 最後に、大きな項目3点目の我が県のデジタル化の取組についての質問をさしていただきます。
 この質問につきましては、昨日の一般質問と一部重なる点もあろうかと思いますが、御了承をいただきたいと存じます。
 今年6月の議会において、私はポストコロナを見据えて、5G、オンライン教育、テレワークについての質問をさせていただきました。デジタル化への移行は簡単に進まないにしても、今後必要なことであるとの思いでの質問でしたが、本年9月16日、菅内閣が発足してからは、来年9月にはデジタル庁を発足させる方針が打ち出されるなど、デジタル化への移行がこれまでとはうそのような進捗を見せていることは、この議場におられる皆さんも御承知のことと思います。
 まず、マイナンバーカード。2022年度末には、ほぼ全国民に行き渡ることを目指すと首相が表明をされております。
 次に脱ハンコ。総務省においては、住民票の写しの交付など、年間1万件以上申請のある104の手続で判こを廃止する方向で検討がなされております。行政システムの統合についても、政令で定められた基幹系情報システムについての標準化、業務系システムについても標準仕様書が定められる予定で、2025年度までに実現を目指す方針が国において示され、来年度通常国会において法案提出が予定されているところです。
 こういったことを受けて、他の都道府県の動きも活発になっております。
 福井県では、デジタル化を通じた行政手続や県民生活の向上に向け、庁内に部局横断的なプロジェクトチームを立ち上げたようであります。
 滋賀県においては、手続の簡素化や規制改革などの提案を募集する行政経営提案箱を開設し、提案のあったものから可能な限り実施していく方針が打ち出されています。
 三重県では、県事業のデジタル化を推進するため、民間に在籍しながらアドバイスしてもらう人材の活用、京都市では、行政職の採用試験にICT、デジタル枠の募集を開始したところです。
 いずれも時宜にかなったアクションであると感じています。
 今回のコロナ禍において、また、新政権のデジタル化に関する方針が打ち出されたことによって、地方自治体においてもその対応を迫られているところではと思いますが、その上で、小項目として、以下3点について質問をさせていただきます。
 まず一つ目として、マイナンバーカードについては、デジタル社会の基盤になると私は考えております。来年には健康保険証とのひもづけ、今後、介護保険証、運転免許証、カード機能のスマホへの搭載、在留カードとの一本化なども検討されていると理解をしております。
 さきにも申し上げましたが、首相は2022年度をめどに、全国民にカードが行き渡ることを目指すと表明されております。総務大臣からは既に都道府県、市町村長に対して、普及促進に向け、窓口の人員増や土日・夜間の開庁、交付枚数の増加を見据えた交付円滑化計画の見直しも求められていて、本年11月10日までにその計画も見直され、国に提出されていると思います。
 国においても、今後さらに普及をさせていくために、カードのパスワードを忘れた際の再設定や5年に1度の更新、将来的にはカードの発行も郵便局でできるよう、来年の通常国会で法案が出されるとも聞いております。将来的にマイナンバーカードと様々なものがひもづけされれば、国民の利便性向上はもちろんのこと、行政コストの削減、職員の負担軽減にもつながると考えます。
 マイナンバーカードの和歌山県の取得率は、11月1日現在18.9%と全国平均の21.8%と比べても厳しい状況にあるわけですが、今後、国、市町村との連携、個人情報の面も配慮しながら、いかに工夫をして取得促進に努められるのか。2022年度末までの期限までの目標はしっかり立てられておられるのでしょうか。総務部長の答弁を求めます。
〇副議長(濱口太史君) 総務部長。
  〔田村一郎君、登壇〕
〇総務部長(田村一郎君) マイナンバーカードにつきましては、最近のデジタル化の動きが加速する中、議員御指摘のとおり、利便性のさらなる向上のため、国において様々な検討が行われているところでございます。
 本県においては、9月から開始されたマイナポイント事業などの機会を捉えながら、県民の皆様にカードの取得を呼びかけてきたところで、今後もテレビ・ラジオ等を通じた広報や、取得率が低いエリアや人口が多いエリアにおける出張申請所の開設などの取組を展開してまいります。
 その際、このマイナンバーカードが今後のデジタル社会の基盤となっていくことや、カードには十分なセキュリティー対策が施されていることを改めて強調しながら、県民の皆様に取得を呼びかけてまいりたいと考えております。
 この12月からは、カードをまだ取得されていない方に対し、交付申請書が全国で改めて順次送付されることになっており、本県でも申請数の増加が見込まれます。住民の方からの申請を受け付ける市町村においては、国補助金等も活用しながら、円滑にカードを交付できる体制を整えていただくよう県からも依頼しており、令和4年度末までに全県民がカードを取得されるよう、引き続き国、市町村と連携して取り組んでまいります。
〇副議長(濱口太史君) 玄素彰人君。
  〔玄素彰人君、登壇〕
〇玄素彰人君 部長、答弁ありがとうございました。
 今回、この12月議会において、このデジタル化に関する質問をさせていただくというのは、1か月ぐらい前かな、原課のほうにお話をさせていただきました。そこから漏れ伝わってくるところによると、相当このデジタル化に関して、スピードアップして力を入れて作業をしてくれているというふうに聞いております。非常に、それだけでも、私、今回この質問をしたことの意義ってあったのかなというふうに喜んでいるわけでありますけども、2022年の末といえば、総務部長もそろそろもうお帰りになる頃かなというふうに思うんですけども、少なくとも「ええ仕事していってくれたな」と言うていただけるようにひとつお願いをして、次に移りたいと思います。
 2点目でありますけども、電子決裁を取り入れた脱ハンコのための取組について質問をいたします。
 国の脱ハンコの動きに呼応して、全国の都道府県においても動きが見られます。県の電子決裁率が既にほぼ100%の茨城県では、100本以上の規則改正と662業務で押印を廃止する方針が出されております。
 新潟県においては、庁内や自宅のパソコンからも決裁ができる、ひいてはそのことが働き方改革や脱ハンコにつながるよう電子決裁システムを導入するための予算を今年度9月議会に計上したとのことです。
 北海道においては、無駄な押印を廃止する脱ハンコの検討と併せて、書面や対面での手続規制も見直す方針であるようです。
 大分県においても、押印廃止に向けた作業要綱を作成、国に関わるものなど以外は押印をやめる方針が示されております。
 極めつけは東京都で、当初2025年度中に行う予定であった年間約130万件の決裁を全て来年度末までに電子決裁で行う予定に前倒しをしたとのこと。約5年をかけてこういった試みがされてきたようですが、これによりコピー用紙を5年前に比べて50%減、ファクスは2019年度比98%減、そのほかにも関連として、都民が利用する78施設で電子決裁を、行政相談については全部局においてタッチレスで進める方針を出しております。
 本県においても、会計課において出張旅費、人事課においては超過勤務等の申請に関して電子決裁が導入されていると思いますが、今後スピードを速めていく必要があると考えます。
 電子決裁を取り入れた脱ハンコのための取組について、今後の方針、具体的な行動計画について、総務部長の答弁を求めます。
〇副議長(濱口太史君) 総務部長。
  〔田村一郎君、登壇〕
〇総務部長(田村一郎君) 議員御指摘のとおり、電子決裁の導入には、押印の見直しが必須であり、加えて添付書類の簡素化などの取組が重要であると認識しており、事務の効率化や職員の働き方改革につながると考えております。
 他方、工事図面等添付が難しい書類の取扱いや、画面上での参照・チェック作業の煩雑さなどの課題もあります。
 現在、県では旅費システムや超勤等管理システムにおいて電子決裁を導入していますが、今後、他府県の状況や導入コストを調査し、導入拡大について検討してまいります。
〇副議長(濱口太史君) 玄素彰人君。
  〔玄素彰人君、登壇〕
〇玄素彰人君 部長、答弁ありがとうございました。
 とりわけ電子決裁のことを、判こと絡めて質問をさしていただきました。決裁書を見たら、こんなに判こが欲しいんかというぐらいばあっと押しているやつがあるんだと思うんです。一体何人の方がどこまで見てんのかなというようなものもあるわけなんですけども、本当にそれだけの判こを押す人が必要なのかということをまず考えてもらえたらなというふうに思うのと、あと、書類ですよね。見てもない添付書類をがさっとつけているとかというのもあると思いますし、そもそも見るつもりのない人が判こを押してるような状況ですから、本当にどこまでの書類が必要なのかということも見ていただきたいし、決裁権者がどこまでで行こう、課長で止めたらいいのか部長で止めたら、今もやっていると思うんですけども、果たして決裁権者がここでいいのかとか誰でいいのかとかというのも、これ1回見直してもろうたらいいのかなと。
 それが皆さんの働き方改革なんかにつながったら、何か割と遅うまで残って仕事をされているというふうにも聞きますけども、ちょっとでも早う帰れるようにつながったらなあと。先ほども申し上げたように、外からリモートで決裁もできるとかというふうになればいいのかなというふうに思っておりますので、ぜひともよろしくお願いをしたいと思います。
 続いて3点目のほうに進みたいと思います。
 続いて3点目ですが、行政手続のオンライン化についてです。
 デジタル化に移行することの目的は、県においては県民の利便性の向上、そのことがひいては行政の効率化、職員の負担軽減につながることにあるのだと考えます。そういったことからいうと、行政手続のデジタル化、簡素化は必要不可欠であると考えます。
 静岡県では、戸籍や診断書などの原本を添付させる行政手続の実態を調査し、押印などすぐに省けるものは年内に取りやめる方針が立てられております。
 茨城県においては、1641ある県の申請・届出関連業務のうち、県独自に対応できる手続、これは721あるそうでありますけども、その中の342の業務についてデジタル化する方針を打ち出しています。
 滋賀県においては、転出入時の行政手続の案内や申請をオンラインで処理するシステムの試験運用を開始しているようです。
 行政手続のデジタル化における障害は、これまでの書類をそのままデジタル化すればいいという考え、判こ、添付書類、手書きの資料あたりだと私は感じているのですが、本県における行政手続のデジタル化、簡素化の状況はいかがなものでしょうか。現状における具体的なアクションも踏まえ、総務部長の答弁を求めます。
〇副議長(濱口太史君) 総務部長。
  〔田村一郎君、登壇〕
〇総務部長(田村一郎君) 議員御指摘のとおり、県行政手続のデジタル化、簡素化については、申請者の利便性向上や負担軽減等につながると認識しております。
 行政手続のデジタル化の状況については、公共工事等電子入札システムや物品電子調達システムなどにおいて、電子申請が導入されているところです。
 県では、既に導入されている手続も含め、全庁調査に着手しているところですが、国においては、地方公共団体の情報システムの標準化など、デジタル基盤の整備に向けた取組が進められております。
 年内に定められる予定の自治体デジタルトランスフォーメーション推進計画など、国の動向や他府県の状況を注視するとともに、情報格差にも配慮しつつ、各部局と協力しながら、県行政手続のデジタル化、簡素化を推進してまいります。
〇副議長(濱口太史君) 玄素彰人君。
  〔玄素彰人君、登壇〕
〇玄素彰人君 部長、答弁ありがとうございました。
 このデジタル化に関する質問に関しては、総じていい答弁であったというふうに思います。
 この3点目は行政手続についての質問だったんですけども、何もこの行政手続だけやればいい、例えば2問目に申し上げた判こだけ減らせばいい、1問目のマイナンバーだけやればいいというような問題ではなくて、この三つというか、このデジタル化に関するものに関しては、非常に汎用性というかリンク性というか、こういうものの条件設定を、国から言うてくることにプラスして、自分たちでどうやれば効率化に資するか、働き方改革に資するために負担軽減につながるのか、もちろん第一義的には、県民の皆さんの利便性に資するかということを考えて、相当、頭が沸騰するほど考えていただいて設定をしていけば、非常にいいものになっていく。私がいろんな書類を見る限りでは、3割ぐらいはやっぱり負担軽減につながるんではないかなあというふうに思っております。
 これも別にここだけを全集中していただく必要はないんですけども、とにかくちょっと意識をしていただいたらよくなると思いますので、ひとつお願いをできたらなあというふうに思います。
 以上で、私が予定をしておりました質問は全部終了したんですけども、とにかく、いつも申し上げることなんですけども、あらゆる政策課題に対して早めにタッチメントしていただいて、それを実行していただくことによって、やっぱり政策というのは最大の効果を上げるのかなということを、今回の質問でも申し上げたかったということをお伝えしたいなと思うと同時に、ちょっと話はそれるんですけども、知事におかれては、今回、冒頭中本先生からのお話にもあったんですけども、広域連合長の就任、誠におめでとうございます。
 もう知事も古希をお迎えになる中で、非常に日々大変だと思うんですけども、頑張っていただきたいというふうに思います。関西広域連合は独任制だというふうに、多分知事がおっしゃっていたと思うんですけども、地方自治を進めさせるにしても、後退させるにしても、知事の胸三寸というところがあるんだと思います。
 私も来年は年男でございまして、自分が政治を志して、もう30年たつんやなというようなことをしんみりと感じると同時に、自分に与えられたテーゼというかミッションというのは、真に自立した地方の確立にあるというふうな思いを持ち続けております。
 そんな思いを知事にも少しでも共有していただけたらうれしいなと思うと同時に、今回ちょっと職員さんには厳しい接遇の質問もさしていただきましたけども、そんな中において、自分の持ち場だけじゃなくて、新型コロナの対応で併任辞令をされて頑張っている職員さんというのは少なからずいるというふうにも聞いております。そんな方々を含め、それぞれの持ち場で頑張っていただいている県民の皆さんに、コロナ禍で頑張っていただいている県民の皆さんに感謝と御礼を申し上げ、来年は新型コロナを克服して、和歌山県が、和歌山県民がさらに飛躍発展することを祈念し、私の12月議会における質問を終わりたいと思います。
 議員の皆様方にも御協力いただき、ありがとうございました。(拍手)
〇副議長(濱口太史君) 以上で、玄素彰人君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時42分散会

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