令和2年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


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令和2年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号

令和2年9月
和歌山県議会定例会会議録
第4号
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議事日程 第4号
令和2年9月18日(金曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第115号から議案第130号まで(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第115号から議案第130号まで(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(42人)
 1番 鈴木德久
 2番 山家敏宏
 3番 中本浩精
 4番 堀 龍雄
 5番 藤山将材
 6番 岸本 健
 7番 井出益弘
 8番 宇治田栄蔵
 9番 北山慎一
 10番 玄素彰人
 11番 中西峰雄
 12番 秋月史成
 13番 森 礼子
 14番 濱口太史
 15番 尾崎要二
 16番 冨安民浩
 17番 川畑哲哉
 18番 玉木久登
 19番 鈴木太雄
 20番 岩田弘彦
 21番 吉井和視
 22番 谷 洋一
 23番 佐藤武治
 24番 岩井弘次
 25番 中 拓哉
 26番 多田純一
 27番 新島 雄
 28番 山下直也
 29番 中西 徹
 30番 谷口和樹
 31番 藤本眞利子
 32番 浦口高典
 33番 山田正彦
 34番 坂本 登
 35番 林 隆一
 36番 楠本文郎
 37番 高田由一
 38番 杉山俊雄
 39番 片桐章浩
 40番 奥村規子
 41番 尾﨑太郎
 42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       細川一也
 危機管理監      森田康友
 総務部長       田村一郎
 企画部長       田嶋久嗣
 環境生活部長     田中一寿
 福祉保健部長     宮本浩之
 商工観光労働部長   大山 茂
 農林水産部長     角谷博史
 県土整備部長     庄司 勝
 会計管理者      城本 剛
 教育長        宮﨑 泉
 公安委員会委員長   中野幸生
 警察本部長      親家和仁
 人事委員会委員長   平田健正
 代表監査委員     保田栄一
 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       中川敦之
 次長         井邊正人
 議事課長       山田修平
 議事課副課長     岩井紀生
 議事課議事班長    岸裏真延
 議事課主査      松田太郎
 議事課主査      伊賀顕正
 議事課主事      浅田晃秀
 総務課長       嶋岡真志

 政策調査課長     神川充夫

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  午前10時0分開議
〇議長(岸本 健君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第115号から議案第130号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、併せて日程第2、一般質問を行います。
 11番中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕(拍手)
〇中西峰雄君 おはようございます。
 一般質問も3日目になってきて、皆さん、お疲れのところかと思いますが、朝一からちょっとお耳を拝借したく思います。よろしくお願いいたします。
 議長のお許しをいただきましたので、早速、一般質問に入らしていただきます。
 まず、私の最初の質問は、水害対策と安全なまちづくりというのをテーマに質問さしていただきます。
 地球規模の温暖化、気候変動は、日本列島に毎年、大水害をもたらしています。本年も熊本県の球磨川流域に甚大な被害をもたらしたことは、記憶に新しいところです。
 このように、近年の降雨の過激化による大水害を受け、国土交通省は平成27年に水防法を改正し、水害ハザードマップをそれまでの計画規模降雨の予測区域から、想定し得る最大規模の洪水に係る区域、1000分の1──1000年に1回とか、その年に起こる確率が1000分の1──というものに変更いたしました。
 県内河川の新基準による洪水浸水想定区域図及び市町村のハザードマップの策定状況についてお尋ねします。
〇議長(岸本 健君) ただいまの中西峰雄君の質問に対する答弁を求めます。
 県土整備部長庄司 勝君。
  〔庄司 勝君、登壇〕
〇県土整備部長(庄司 勝君) 洪水浸水想定区域図及び市町村ハザードマップの策定状況について御質問がございました。
 まず、洪水浸水想定区域図につきましては、県管理の450河川のうち、水防法により作成義務のある県管理21河川と国管理4河川において作成済みです。
 なお、作成に用いられる想定最大降雨量は、全国を降雨特性が似ている15地域に分類し、当該河川を含む地域での実績最大降雨量または当該河川における1000年に1度の確率での降雨量のいずれか多いほうを採用しています。
 次に、市町村ハザードマップにつきましては、この洪水浸水想定区域を含む26市町のうち、11市町で作成済みです。残る15市町のうち、13市町は令和2年度中に、2市町は令和3年度中に作成予定と聞いております。
〇議長(岸本 健君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
〇中西峰雄君 答弁いただきました。
 県内河川の、水防法で定められた21河川については、想定区域図はできていると。だけれども、400数十ある川の県内の川については、できてないところもいっぱいあるということかと思います。
 ここで言うたほうがいいんかな、次で言おうかな。ちょっとできてるところとできてない川があるんですけども、例えば、私どもの地方にダムの予定であった川があるんですね、紀伊丹生川というのが。この川は氾濫歴があるんですよ、氾濫歴が。家が流されたこともあるし、近年も、近い近年ですけども、橋が流されたりとか、それから道路がえぐられて何か月も通行止めになったりとか、そういうことをした川がございます。その川は含まれてないんですよね。だから、これ、今後、21河川以外の川で氾濫歴のある川についても十分に前向きにちょっと考えていただきたいなあというふうに要望しておきます。
 その次に行きます。
 次は、ハザードマップの県民への周知についてということでお聞きします。
 今年7月に宅地建物取引業法の施行規則というのが改正されまして、不動産取引の際に、重要説明事項として宅建業者に浸水想定区域を示した取引対象物件の説明義務が課せられました。この8月28日から施行されています。
 宅建業者には国交省から宅建業協会を通じて通知がされていますので、恐らくそれは遵守されるだろうというふうに思ってますが、ただ、問題は、田舎のほうに行きますと、宅建業を通さない不動産取引というのも結構まあまああるんです。売手と買手が相対で直接売り買いする取引は結構あります。その場合には、法の縛りがありません。そこを考えますと、売手も買手も浸水想定区域やハザードマップを確認することが当たり前の社会になっていかなければならないだろうというふうに考えます。
 また、少なからず市街地が浸水想定区域内にありますし、市街地でなくても浸水想定区域内にたくさんの人が住んでいます。全てを施設整備、ハード整備で浸水しないようにするということは、まず不可能なことだと思います。
 私が思いますのは、大事なのは、住民自らが災害リスクを十分に把握、理解した上で住む場所を選び、住まい方や、いざというときの避難を考えていただくことであり、それが安全なまちづくりにつながっていくものと考えます。そういう意味におきまして、ハザードマップが果たす役割は大変大きい、重要であるというふうに思っています。
 昔の言葉で「道おのずから成る」という言葉があります。ちょっと使い方が違うんですけれども、「安全なまち、おのずから成る」というふうにつながっていく大変重要なことではないでしょうか。
 そこで、お尋ねいたします。県は、市町村と協力をしながら県民にハザードマップの周知と理解を深めるために、どのように今後取り組んでいただけるんでしょうか。
〇議長(岸本 健君) 危機管理監森田康友君。
  〔森田康友君、登壇〕
〇危機管理監(森田康友君) ハザードマップを活用し、県民の皆さんお一人お一人が、お住まいの地域の浸水想定区域などの災害リスクや安全な避難場所、避難所を事前に確認しておくことは、災害から命を守る上で大変重要であると考えています。
 平成30年7月豪雨や最近の熊本県での令和2年7月豪雨における浸水範囲がハザードマップで示された浸水想定とおおむね一致していたことからも、その有用性が改めて認識されたところでございます。
 ハザードマップの周知については、市町村において作成した後、全ての市町村で戸別配布やホームページ等で公表を行っているところです。さらに、多くの市町では、配布や公表だけでなく、住民説明会やイベント等の機会を利用した周知、避難計画を考えるワークショップや防災訓練等を通じ、住民の理解を深める取組を進めているところです。
 県でも、和歌山県防災ナビやホームページ等による周知のほか、「出張!県政おはなし講座」や「出張!減災教室」の出前授業、地域防災リーダーを養成するための研修である「紀の国防災人づくり塾」等において説明してきたところですが、今後は、ハザードマップの一般的な見方に加え、出向いた地域のハザードマップを用いて、その地域の災害リスクを具体的に解説するなど、さらなる理解の醸成に向け取り組んでいきたいと考えております。
 今後も、引き続き市町村と協力し、ハザードマップについての県民への周知と理解の向上に向けた取組に努めてまいります。
〇議長(岸本 健君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
〇中西峰雄君 ハザードマップの認知というのは大変重要だと思ってまして、この質問をしたんですけども、中には、「ハザードマップ、今さら言わんでも、もう分かってるやん」と思っておられる方もいてるかと思うんです。ところが、実際のところは、私、自分の身近で見聞きする肌感覚でいいますと、なかなか住民の方々、自分の住んでるところの災害リスク、分かっておられない方が大変多いんですね。基本的には、これはもう市町村の仕事なんです。市町村の仕事なんですけれども、市町村も濃淡がありまして、熱心なところもあれば、そうでないところもあるんで、そこはやっぱり県として市町村と協力してハザードマップ、そして水害リスクを住民が十分に理解いただけるように、なお一層頑張ってくださることをお願いしたいと思います。
 次に参ります。
 大規模氾濫減災協議会についてであります。
 平成29年の水防法改正によりまして、国交省は大規模氾濫減災協議会を国管理河川については全て、都道府県管理河川については平成31年までに100%の設置を目指すとしています。
 大規模氾濫減災協議会は、水害意識を、ハード整備による洪水の防止から、ハードでは防げない洪水は発生するものとして根本的に転換すること、社会全体でこれに備える水防災意識社会再構築の取組をさらに加速すること、そして、多様な関係者が連携して洪水氾濫による被害を軽減するためのハード・ソフト対策を総合的かつ一体的に推進するためのものとしております。
 この協議会において、現況施設能力を上回る──氾濫が発生する──あらゆる規模の洪水の被害を軽減するためのハード・ソフト一体となった対策について、協議会の構成員である関係機関の取組を共有し、これを横断的、総合的に検討の上、密接な連携体制を構築するための協議等を行うとしております。
 県内河川の設置状況をお尋ねします。
〇議長(岸本 健君) 県土整備部長。
  〔庄司 勝君、登壇〕
〇県土整備部長(庄司 勝君) 県内河川における大規模氾濫減災協議会につきましては、水防法により対象とされる23河川について7協議会が設置されています。
 具体的には、直轄管理河川では平成28年に紀の川上流、紀の川下流、熊野川の三つの協議会、県管理河川では平成29年に有田、日高、西牟婁、東牟婁の四つの協議会を設置しています。
 なお、本協議会は、国や県、市町村等で構成され、おのおのが取り組む内容を定めるとともに、実施状況のフォローアップを行っています。
 具体的には、想定最大規模降雨による洪水浸水想定区域図や、これに基づくハザードマップ、避難勧告等の発令に着目したタイムラインを作成すること等を取り決め、これらの作成状況等について情報共有を図っています。
〇議長(岸本 健君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
〇中西峰雄君 県内ではできてるということで、設置したけど仕事してないということのないようにしていただきたいと思います。
 それでは、その次に参ります。
 都市再生特別措置法等の一部を改正する法律というのが、今年6月に公布されました。都市再生特別措置法は立地適正化計画の根拠となる法律でして、和歌山県では、和歌山市、海南市、有田市、新宮市、湯浅町の五つの市町で策定されています。町なかに都市機能誘導区域と居住誘導区域を設定し、コンパクトでにぎわいのあるまちにしていこうとするものです。
 今回、今年の改正では、大きく二つのテーマが掲げられました。一つは、魅力的なまちづくりです。これは都市の魅力を高めて、より一層、町なか居住を推進するためのもので、これまでの延長線上にあるものと思います。
 もう一つの柱が、安全なまちづくりです。頻発・激甚化する自然災害に対応して、災害ハザードエリアの新規立地の抑制、移転の促進、ハザードエリアを踏まえたまちづくりを目指したものです。
 この改正により、立地適正化計画における居住誘導区域から災害レッドゾーンが原則除外されます。
 ちなみに、災害レッドゾーンとは、災害危険区域―崖崩れ、出水等―、土砂災害特別警戒区域、地滑り防止区域、急傾斜地崩壊危険区域をいいます。また、立地適正化計画の居住誘導区域のみならず、市街化調整区域についても浸水ハザードエリアの開発許可を厳格化するとしています。
 そこで、お尋ねいたします。市街化調整区域における浸水ハザードエリアの開発許可は、どのように厳格化されるのでしょうか。また、市街化区域や立地適正化計画における居住誘導区域の浸水ハザードエリアは今後どうなるのか、お尋ねします。
〇議長(岸本 健君) 県土整備部長。
  〔庄司 勝君、登壇〕
〇県土整備部長(庄司 勝君) 都市再生特別措置法等の一部を改正する法律と浸水ハザードエリアとの関係についての御質問をいただきました。
 まず、市街化調整区域における浸水ハザードエリアの開発許可については、本改正法の施行予定である令和4年4月以降、厳格化されることとなります。
 具体的には、市街化調整区域内においても開発可能な区域として市町村が位置づけることができる区域から浸水ハザードエリアなどを除外すべく、関連する政令改正の準備が進められていると聞いています。
 次に、市街化区域や立地適正化計画に基づく居住誘導区域における浸水ハザードエリアについては、今回の法改正では触れられておりませんので、現行のままの運用となります。
〇議長(岸本 健君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
〇中西峰雄君 法律はできたけども、具体的にどうするかは2年先まで分からんという話ね。分かりました。
 次に参ります。
 気候変動を踏まえた水災害対策の在り方についてということで、これも今年の7月に、社会資本整備審議会というのがありまして、そこが「気候変動を踏まえた水災害対策のあり方について」という答申を提出しました。流域全体で行う持続可能な流域治水への転換を強く提言しました。地球規模の温暖化による気候変動がもたらす降雨の過激化と頻発化、ハード整備では守り切れない、いわゆる想定外の洪水リスク、それに対する水防災意識の再構築等、大変参考になる多くの提言がされております。
 その中で、多段的ハザードエリアという考え方が提言されました。これは何かといいますと、先ほどのハザードエリアの見直しだけじゃなくて、これ、1000分の1とか想定し得る最大規模の降雨というだけじゃなくて、10年に1度とか、20年に1度、100年に1度、200年に1度という浸水のハザードマップを作成して、あらかじめ住民に周知を図るとともに、水害対策に生かしていこうというものです。
 実際に、滋賀県では、大河川だけでなく、身近な水路の氾濫なども考慮した10年に1度、100年に1度、200年に1度の浸水想定マップ──滋賀県のほうではこれを地先の安全度マップと呼んでますが──を作成済みで、まちづくりや住まい方、防災計画などに生かしています。
 滋賀県のマップでは、水防法に基づく洪水浸水想定区域では反映されない小河川や主たる水路からの氾濫も反映されています。滋賀県の担当者によりますと、「このマップなしでは各地区の避難計画を含めた防災計画はつくれない」と言っておりました。身近な水路等からも、たとえ30センチ、10センチの深さの浸水でも、避難は特に夜なんかは難しくなるからです。現場に即した防災計画のためには非常に有益な取組であり、ぜひ本県でも取り入れていただきたいと思います。
 また、既に幾つかの自治体では、流域治水の考えに沿った条例が制定されています。滋賀県の流域治水の推進に関する条例、兵庫県の総合治水条例、奈良県の大和川流域における総合治水の推進に関する条例等です。
 滋賀県の条例では、多段的浸水想定区域の導入とともに、おおむね200分の1、200年に1度の洪水で浸水の深さ3メーターを超える区域を滋賀県浸水警戒区域として設定しまして、土地の利用規制、建物の建築規制をかけていこうとしてます。規制だけでなくて、かさ上げ等には2分の1、最大400万円までの補助金もつけています。40数か所の該当地区があるとのことなんですけども、県の担当者が各地区に出向きまして出前講座で理解を深めていただいて、その上で、地区の了解を得た上で、これを指定しています。この8月までに5地区が指定されるとのことです。初めて指定されたのは平成29年。今年の8月末までに5地区が指定されました。
 滋賀県の浸水警戒区域というのは建築基準法第39条に基づくもので、災害危険区域とほぼ同じだと思います。災害危険区域は、建築基準法第39条によりまして、地方自治体──都道府県も市町もそうですけども──が指定して建築制限をかけることができるものです。しかし、災害危険区域の指定は私権の制限となるため、積極的には指定していない自治体が多いと思います。
 古い話ですけども、昭和34年の伊勢湾台風による被害を受けまして、建設省の事務次官が同年の10月27日、「風水害による建築物の災害の防止について」という通知を出しています。内容は、「建築基準法第39条に基く災害危険区域の指定、特に低地における災害危険区域の指定を積極的に行い、区域内の建築物の構造を強化し、避難の施設を整備させること」というものです。
 これを読みましたとき、私は遠い昔のこととは思えませんでした。近年の頻発化、過激化する豪雨災害を見るに、災害危険区域を見直し、特に低地における指定を積極的に行う必要があると考えます。
 滋賀県は積極的に指定していこうとしています。これも考慮に値する取組だと思います。
 このように、都市再生特別措置法の一部改正及び本審議会の答申並びに他都道府県の条例等を踏まえて、本県における水災害に対する取組と安全なまちづくりを今後どうしていかれるのか、お尋ねいたします。
〇議長(岸本 健君) 県土整備部長。
  〔庄司 勝君、登壇〕
〇県土整備部長(庄司 勝君) 水害対策とまちづくりが連携した取組について御質問がありました。
 県は、国や市町村、関係機関と連携して、これまで堤防のかさ上げや河道掘削など、主に河川区域内の河川改修を鋭意推進してきたところです。
 しかし、近年、頻発化、激甚化する水災害に対応するため、国において、既存の河川改修に加え、流域のまちづくりと連携した流域治水の検討が進められています。
 これまでも、流域治水の要素の一つである土地利用制限をかける災害危険区域の指定について、市町村と連携して実施してまいりました。
 具体的には、熊野川の本宮地区と日足地区において、輪中堤の外側の浸水が想定される区域が指定されています。
 今後も、市町村の意向を十分に伺った上で、効果の高い箇所より、慎重に検討してまいります。
 なお、災害危険区域の指定に当たっては、浸水想定の情報が重要です。現在、水防法で作成義務のない429河川についても、国土交通省が6月に公表した「小規模河川の氾濫推定図作成の手引き」を踏まえ、作成を進めています。
 また、議員御指摘の洪水の規模別に浸水エリアを示す多段的な浸水想定区域図については、市町村において、まちづくりの参考とする意向がある河川で試行的に実施するなど、順次作成を進めていく方針です。
 一方、まちづくりについては、現行の都市計画運用指針において、居住誘導区域を設定する際には、災害リスクや災害を軽減するための施設の整備見込み等を総合的に勘案し、居住を誘導することが適当でない場合は、原則として、区域に含まないこととしております。この運用を市町村と連携して、引き続き適切に進めてまいります。
 県といたしましては、氾濫被害を軽減する河川改修等のハード整備とともに、令和4年4月以降、都市再生特別措置法等の一部を改正する法律により、市街化調整区域の開発許可が厳格化されることを踏まえ、市町村のまちづくりとの連携を進め、流域治水を実現し、流域の住民等の水害リスクを低減させてまいります。
〇議長(岸本 健君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
〇中西峰雄君 ありがとうございます。
 答弁いただいたんですけども、ちょっとこれ、お願いなんですけども、第一義的に市町村が水害対策とかまちづくりとかも考えていかなあかんというのは原則そのとおりだと思うんですね。ただ、そこにやっぱり県として市町村に積極的に協力していくという姿勢をぜひ持っていただきたいなあと思います。
 というのは、よその県のことを褒めるわけじゃないんですけど、滋賀県は、別段、市町村からそれを作ってくれと言われて多段的なハザードマップを作ったり、それから39条の指定をしたりとしてるわけでなく、県の立場として、こういうリスクがありますよね、あるんですよということを住民さんにも市町村にも自らが示してるんです。当然、市町村や地元の理解も得る努力もされてるんですね。そういう、市町村が主なメインプレーヤーということは原則そうなんですが、県としても頑張っていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、次に参りたいと思います。
 項目の2番目は、子供の医療費助成、それから無料化についてです。
 言うまでもありませんけども、子供の医療費は、公的医療保険で就学時前までは8割、小学生以上は7割が支払われて、自己負担分はそれぞれ就学時前が2割と、小学生以上は3割になってます。医療費助成制度というのは、皆さん御存じだと思うんですけど、その自己負担分を地方自治体が助成するという制度です。
 子供の医療費助成は2000年頃から幾つかの自治体で始まりましたけれども、今では全ての都道府県が市町村と協力しながら制度化しています。しかも、ここには国のお金は一つも入ってないんですね。都道府県と市町村でやってる。就学時前までの子供を対象としてる都道府県が多いようですけども、中には小学校卒業あるいは中学校卒業まで、さらには静岡県のように高校卒業まで助成の対象としてる県も出てきてます。
 平成29年4月1日付の厚生労働省の調査の資料によりますと、1741ある全ての市町村が制度化しています。そのうち、通院と入院につきまして、中学校卒業まで対象としている市町村が1021、高校卒業まで対象としている市町村が474ございます。全国の市町村のうち、実に86%が中学校卒業あるいは高校卒業までの子供を助成の対象としています。
 一定の所得以下に対象者を絞っているところもありますが、84%の市町村には制限がありません。また、制限があったとしましても、その基準は総じて高いです。ほとんどの家庭がその恩恵にあずかることができます。
 また、自己負担ゼロという市町村が6割以上もあります。自己負担がある市町村でも、レセプト1枚につき500円とか、月額1500円までとかで、非常に軽い負担で済むところがほとんどです。
 和歌山県がどうなっているのか、確認しておきます。
 県としては、就学時前までの子供を対象に、所得制限をした上で、県2分の1、市町村2分の1で助成しています。中学校までを対象としている市町が14、高校までを対象としている市町村が16となっています。市町村で所得制限をしているのは、和歌山市と橋本市だけ。一部負担のあるのは、岩出市のみとなっています。
 さて、この医療費助成制度──私は無料化と言って間違いじゃないと思ってますけども──ですけども、是非をめぐって、いろいろと議論がございます。私個人は、これはいかがなものかというふうに感じています。
 制度の目的として言われるのは、少子化対策、子育て支援、あるいは低所得世帯への支援です。
 少子化対策というのは、どうなんでしょう。医療費が要らないから子供を産もうと考える人は恐らくいないと思いますから、少子化対策は、狭義の出生率の向上に資するものという意味でいうとすれば、理由にはならんでしょう。しかし、子育て支援、子供を持つ低所得世帯への支援としては、一定の前向きの評価はできると思います。子育ての費用を軽減してくれるものですから、子育て世代の方々には喜ばれる施策です。しかし、それが本当に、ターゲットを絞った支援を必要としている人への支援なのかというと、私は大いに疑問があります。
 私は、日本の国民皆保険制度というのは世界に誇るべきすばらしい制度で、課題はあるにしても、是が非でも守っていかなければならないと考えています。基本3割の自己負担で、しかも高額療養費制度で一定額以上の負担なしで医療を受けることができます。お金の重みというのは人によってそれぞれ違いますから、いろいろあると思いますけども、総じて負担は軽いと言えると思います。しかし、それでも低所得の子育て世帯にとっては重い負担になります。そういう家庭の子供の医療費を助成するのは理解できるところです。しかし、負担能力のある人にまで無料化というのはいかがなものでしょうか。84%もの市町村が所得制限なしに一律に医療費を無料化しています。また、所得制限があったとしても、平均所得を超える水準で設定しているところが多いです。
 ただの医療はありません。誰かが負担しなければなりません。日本の総医療費が43兆円を突破し、国民の命と健康を守る持続可能な医療制度、そして健康保険制度をどう守っていくのかは大きな課題です。所得にかかわらず上質な医療を受ける権利を保障するためには、負担能力のある人には負担してもらうしかありません。所得制限なしの子供の医療費無料化は、これに反していると思います。
 また、幾つかのデータが、医療費無料化が過剰受診、過剰診療を招いている疑いを示しています。
 一つは、子供の医療費の伸びです。2000年度から2016年度までの国民の世代ごとの医療費を見ますと、75歳以上の医療費の伸びは9%。高齢化でどんどん増えているにもかかわらず9%。45歳から64歳は16%増えてます。14歳までの子供の伸びは、実に42%も医療費が増えているんですね。75歳以上の4倍以上の伸びなんです。これ、少子化が急速に進んでいるにもかかわらず、この伸びなんですね。
 また、皆さんも新聞報道でも御存じかと思うんですけども、新型コロナ禍の中で全国の医療機関の患者数は減少してます。全体では5月は前年同月比で2割減少してるんですけども、自治体から医療費を助成されている小児科の患者数は46%減と、倍以上の減少となってます。子供の医療について、過剰受診、過剰診療の疑いを拭えないと思います。
 もう一つ、兵庫県三田市の事例を紹介いたします。三田市では、従前、所得制限なしで、かつ自己負担なしというのを見直しまして、小中学校の通院について、市民税非課税世帯を除いて、1医療機関当たり1日最大400円、1か月当たり最大2日分までの自己負担を求めるように制度を見直ししました。そう見直した結果、見直しの前後の期間を比べますと、助成件数が小学生で7%、中学生で10%減少しました。また、市の助成金額は23%の減少となっています。レセプト1枚につき、たった400円、処方箋と合わせて1日当たり800円、1か月最大1600円の負担を求めただけで、これだけ減少しました。
 最後に、私が調剤薬局の方から聞いた生の声を紹介いたします。ジェネリック医薬品についてのお話です。「大概の人はジェネリック医薬品を選んでくれるんですけどね。医療費がただの人、無料の人は先発医薬品を選ぶ人が多いんですよ。医療費をまともに払ってる人が安い薬を選んで、負担していない人が高い薬を選ぶというのはおかしいと思いませんか」と言うんですね。私はおかしいと思うんですね。
 過剰受診、過剰診療があるかないかというのは議論のあるところです。しかし、状況証拠としては限りなく黒に近いと私は思ってます。
 ここで、もう一つ申し添えますが、国民医療費全体は43兆円です。国全体の子供の医療費総額は2兆5392億円。これは平成29年の資料ですけどね、2兆5392億円。国民医療費全体に占める子供の医療費は低いです、5.9%。
 和歌山県全体の医療費はというと3634億円。そのうち、子供の医療費が全国平均並みの5.9%だと仮定すれば──実際のところは和歌山県は少子化が進んでるんで、もっと低いかなと思うんですけども──子供の医療費は214億円になります。
 子供の医療費助成制度無料化の弊害で過剰受診、過剰診療が10%あると仮定すれば、国全体で2539億円、和歌山県では21.4億円、5%あると仮定すれば、国全体で1270億円、和歌山県では10.7億円と、余分に費やされているということになります。決して少ない金額ではございません。それらは全て公的な負担の増加となっています。
 子供の医療費の無料化がこれだけ広がったというのは、民主主義国家の我が国の民意の総意であって、国民の総意であるとも言えるわけですけれども、しかし、私からすれば、政治のポピュリズムといいますか、政治の貧困といいますか、以外の何物でもないなというふうに思っているところであります。
 本当に、昨日も組合健保、共済健保のほうですね、保険料の支払いができない事業所は2000ぐらい今あるんだという報道がありましたけども、この持続可能な医療制度、国民皆保険制度をどう守っていくのかということを真剣に検討されるべき喫緊の重要課題となっている今、応能負担に反して過剰受診、過剰診療を誘発する制度は放置していいとは私は思いません。一定の前向きに評価できるところはあるにしても、やはり見直すべきだと思っております。
 子供の医療費助成制度をどう考えられるのか、知事にお尋ねいたします。よろしくお願いします。
〇議長(岸本 健君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
〇知事(仁坂吉伸君) 子供の医療費助成については、昭和36年に全国で初めて市町村の制度が創設されて以来、現在、全国全ての市町村において実施されております。助成対象となる年齢の範囲や自己負担額の有無等については自治体の裁量に委ねられており、各自治体において様々な手法で実施されているところでございます。
 和歌山県においては、乳幼児の健康の保持増進と子育て世帯の経済的負担の軽減を図り、安心して子供を産み育てることができる環境づくりを推進することを目的といたしまして、特に抵抗力が低く、病気にかかると重症化しやすい小学校就学前の乳幼児を対象とする市町村への補助制度を創設し、負担能力に応じた一定の負担は必要と考えて、所得制限を設けた上で、乳幼児のベースとなる部分の支援を行う制度として、昭和48年から市町村への補助を開始したところでございます。
 国においては、平成27年度に厚生労働省が開催いたしました子どもの医療制度の在り方等に関する検討会において議論がなされまして、議員御指摘のとおり、負担能力に応じた負担を求めるべきだという意見や、自治体間での拡大競争の中、国として一定の線を引くべき等、助成拡大に対する慎重な意見がある一方、ちゅうちょなく医療機関を受診できることで子供の命を守る仕組みとなっている、地域に子育て世帯を呼び込む、または流出させないための人口減少対策となっている等の肯定的な意見もある状況になっております。
 そうした中、各市町村では、早期受診による重症化の防止や将来の医療費抑制、さらには少子化対策などの観点から、受診拡大による医療費の増加の懸念はあるものの、所得制限の撤廃や対象年齢の拡大など、それぞれの市町村の実情に応じた考え方に基づく政策として実施しているところでございます。
 実情を申し上げますと、市町村からは、これらは県で肩代わりしてくれというような話がいつも来るんでございますが、私はそれは違うんじゃないかということで、いつもお断りをしてるというのが実は現実であります。
 県としては、それぞれの市町村が独自に判断するものと考えておりまして、過剰受診や過剰診療につながることなく、医療が必要な子供の受診機会が失われることのないように、医療機関とも連携を図りながら、適正受診の推進に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
〇議長(岸本 健君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
〇中西峰雄君 時間が迫ってきたんで、ちょっとあんまりあれなんですけども、国と地方の対立みたいなところもございますね。国のほうは、子供の医療費助成制度について、交付税の減額調整というのをやってます。従来、全部やっておったんですけども、就学時前までは、これ、減額調整の対象としないというふうになったんですけども、小学校以上は、やっぱりこの制度をやってるところの交付税は減額しようじゃないかということで減額調整というものをやってます。ですから、国はやっぱりこれはちょっとどうかなというふうに考えているんですね。ところが、地方のほうは、これはええことだと思ってやっているということかなと思います。
 もう一つ、ちょっと理屈にならんなと思ってることがあって、何かというと、子供が早く医療を受けて重篤化を防いだりとか、そういうことが目的としてあるんだというんですけども、これ、エビデンスのない話で、日本の場合は小児科というか乳幼児の死亡率、大変低くて、重症化するリスクも低いです。それがこの制度が始まってから、どんだけ改善されたんかというエビデンスは何もない。
 それと、もう一つ言いますと、ちょっと忘れました。ちょっと時間がないんで、この程度にしておきますけど、ちょっと根拠のない理由が多いんかなあというふうに思ってます。
 でも、これは、私はせっかく県議会で発言する機会を与えていただいたんで、和歌山県議会の中に、少数ではあるけれども、こういうことを考えている議員もいるということを議事録に残しておきたいなと思いました。
 次に移らせていただきます。
 時間がないんですけども、次は、和歌山県の女性職員の管理職への登用についてということで、戦後75年がたちまして、社会の激変とともに女性の地位も著しく向上しました。しかしながら、女性の社会進出が進んだとはいいましても、社会の多くの組織における上層部は圧倒的に男性が多いです。
 例えば、2020年の帝国データバンクの企業の意識調査によれば、女性が管理職に占める割合は僅か7.8%にすぎません。男女共同参画社会という言葉が登場して久しいにもかかわらず、社会組織の全ての階層において、男女はその能力に応じて等しく参画しているとは言い難いのが実情であります。
 県庁組織についても同じことが言えます。男女共同参画社会の実現に向けて本県では条例もつくり、チームまでつくって取り組んでいただいておりますが、県庁知事部局の女性職員の管理職、課長以上は、部長級で27人中3人、次長級で50人中4人、課長級では427人中26人にすぎません。また、教育委員会においては、次長級8人中零人、課長級は63人中5人にすぎない。また、県警本部においては何をか言わんやで、今年初めて女性署長が誕生しましたけども、管理職の少ないというのは言うまでもありません。
 知事やここにおられる参与の皆さんがこれをよしとしているとは思いません。何とか是正したいと考えておられると思います。しかし、何かがそれを妨げているんではないでしょうか。それは一体何なのでしょう。ひょっとしたら女性職員に管理職への自己抑制があるのかもしれません。家庭生活における夫婦間の関係は、男尊女卑や亭主関白という言葉がほとんど死語となり、むしろ夫婦間の関係は、多くの家庭において意識として女性優位になっていると言っても間違いではないと思います。私の家庭もそうであります。
 しかし、家庭を維持する家事労働や子育てについては、今なお女性がその主たる役割を担っていることが多く、また老親の介護においても女性に頼っている家庭が多い。意識的には女性が優位に立ちながらも、家事の主たる部分を女性が担っているという構造が、女性職員の心理に管理職としての職責を担うことをためらわせているのかもしれません。あるいはまた、休日出勤や時間外勤務の多さ等の働き方かもしれません。
 高度化した社会においては、活躍の機会が男女の性によって差異が生じる領域は、男女の肉体的差異が決定的であるスポーツにおいて競技が男女別に行われることを除いては、ほとんどないと言っても過言ではありません。男性優位の構造を持つ社会や組織は、高度化した社会のなお一層の進歩、発展のためには、もはや有害であるとさえ言えます。県庁が県民のためにより優れた組織となるためには、女性管理職のさらなる登用が必要だと考えます。
 何が女性管理職への登用を妨げているのか。そして、その是正のためにどう取り組んでいくのか、代表して知事にお答えをお願いしたいと思います。
〇議長(岸本 健君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
〇知事(仁坂吉伸君) 女性職員の管理職への登用については、これまで積極的に推進してきたところでございまして、例えば、今回の新型コロナウイルス対応で野尻技監が優れたリーダーシップとマネジメント力によって目立った成果を上げてるように、優秀な女性の管理職が本県でも大活躍をしてるというところがだんだん増えてきております。
 しかしながら、県庁における現在の管理職に占める女性の割合は、年々増加しているものの6.6%と、まだまだ低い状況でございます。
 そもそも管理職には十分な知識、経験とマネジメント能力を持った職員を性別にかかわらず登用すべきであり、その考え方の下、人事配置をしております。私としては、世間の評判をよくしようと数合わせ的に無理やり女性を登用するということはしておりませんけれども、実力のありそうな人は積極的に登用しようとしておりまして、もちろん、特段、女性を管理職に登用することを妨げているものがあるわけではございません。
 現在では、若いうちから省庁や海外等への女性職員の派遣や、どの職場にも男女分け隔てなく配置し、等しくキャリア形成に必要な職務経験も積ましておりまして、どんどん優秀な人材が育っているというふうに私は思っております。
 次の管理職候補である40歳代後半の職員に占める女性の割合は21%なんですけれども、約220ある課長補佐及び班長のポストに占める女性の割合は19%でありまして、これは10年前と比べると約10倍となっております。
 また、県庁が女性職員も働きやすい職場環境であることを学生等に積極的にPRすることによりまして、どんどん来てくださいということでやってまいりましたところ、あるいは、そういう採用をしていただいたところ、新規採用職員における女性の占める割合は増加いたしまして、一般行政職員では、今年でございますけど53%、それから、全体、いろんな職種を入れて、全体でも44%であります。
 今後とも、こういった取組を進めることによりまして、女性職員のキャリアアップにつながる人材育成を行いまして、女性職員の今度は管理職への登用も推進していく所存でございます。
〇議長(岸本 健君) 中西峰雄君。
  〔中西峰雄君、登壇〕
〇中西峰雄君 ありがとうございます。
 私もちょっと調査不足といいますか、女性職員の割合というのを考慮してなくて、ぱっと見て管理職、少ないなあという印象で、どうなってんかいなということで、この質問をさしていただいたんですけれども、今後、女性の管理職が増えていくことを期待いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
〇議長(岸本 健君) 以上で、中西峰雄君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 39番片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕(拍手)
〇片桐章浩君 おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問を行います。どうかよろしくお願いしたいと思います。
 まず1点目、「わかやま記紀の旅」でございます。
 皆様方、御存じのように、今年は日本書紀編さん1300年の年になりまして、この節目の年に県としてこの取組をされたことは誠に時宜を得たものだと思っております。しかも、この記紀の旅を企画することが可能なのは、本県以外は宮崎県、奈良県、島根県、三重県といった、「日本書紀」「古事記」の重要な舞台となった地域に限られ、我が県の取組は全国発信できるものであり、記紀に記された歴史を大切に守ってきたことのあかしでもあり、和歌山県の誇りであろうかと思います。
 先月、この「わかやま記紀の旅」(パンフレットを示す)なんですけども、これを基にして、ゆかりのある地を何か所か巡ってきましたので、そのことに簡単に触れたいと思います。
 まず、神武天皇が海路でこの地を訪れたと伝えられているのが狭野、新宮市佐野、当時は狭野―挟む野と書くんですが―この場所だと言われておりまして、ここには神武天皇聖蹟狭野顕彰碑というものがございます。「日本書紀」によりますと、狭野を越えて熊野に一行が到着されたということで、この場所に顕彰碑が建立されているわけなんですが、訪れる人は少ないと伺いました。
 その近くにあるのが、熊野荒坂津神社であります。ここは、神武天皇が高倉下命から霊剣を賜り、覚醒して丹敷戸畔を誅した場所だと伝えられています。皆様方、御存じのとおり、県庁正面には保田龍門作のこの場面のレリーフがあることは周知のことかと思います。
 続いて、阿須賀神社です。神武天皇は、熊野市神邑に到着されたと伝えられておりまして、この神社の参道の脇には熊野神邑顕彰碑、これも天皇にまつわる碑でございますが、建てられておりました。
 そして、新宮市に参りまして、これはもう有名であります神倉神社でありますが、これは「わかやま記紀の旅」から由来を引用させていただきたいと思います。「『日本書紀』で神武天皇が熊野に到着後に登られたという天磐盾は、神倉神社のある神倉山であると伝えられている」、「鎌倉時代に源頼朝が寄進したと伝えられる538段の急な石段を登りつめるとあらわれるのが、社殿とご神体のゴトビキ岩。熊野三山の神々が最初に御降臨されたと言われる巨大岩である」。
 山頂にあるゴトビキ岩は、神武天皇が東征の折、この岩に鎮座し、太陽の光で元気を取り戻したと言われている場所であります。
 そして、和歌山市内に戻りまして、竈山神社であります。この神社で最も大切なお祭りと言われているのが雄誥祭ですが、この祭りも派手なことをしないで、ひっそりとというのがモットーでありまして、これに関しては彦五瀬命の命日を祭るものであり、日本の国づくりの礎を支えた彦五瀬命の思いを今に伝えているからでもあります。
 東征につきましては、もう言うまでもありませんが、日向の国から神武天皇とともに出向いたのが長兄の彦五瀬命でありました。命は、浪早──現在の浪速──ですが、那賀須泥毘古との戦いで重傷を負い、男之水門──現在の雄湊神社──で崩御され、その御遺体が鎮められる場所として竈山神社に葬られているわけであります。今、竈山神社の由来には、このように記されております。「竈山の岩根に鎮まります御神霊は、この日本の基礎であると共に、永久に世界の安定と発展とをお守り下さることでせう」と記されているわけであります。
 政を観光にするには、「永久に世界の安定と発展とをお守り下さること」と示されていますように、心を静め、穏やかな心を持ち、祭る。この精神を理解してもらうことが大事だと思います。
 記紀にゆかりのある神社を訪ねると、控え目で厳かな和歌山の県民性が表れているように感じております。
 こうしたことから、改めて和歌山県の歴史と、ここで継承されているものはすごいものでありますし、文化と伝統を継承することが大事だと思いました。
 そして、白浜町にあります太刀ヶ谷神社であります。神武東征の一行が和歌山市で名草戸畔との戦いを終えて、和歌山市から御坊市を経て田辺湾に入りました。「和歌山県聖蹟上巻」によりますと、このように記されております。「この地に上陸し給い、太刀をお埋めになり御祈願遊ばされたと云うのであって、今に土地の人々の間に継承せられている」、このように記されているわけであります。
 地元の人によりますと少し解釈が違いまして、「田辺湾に入ったのは台風の影響で海が荒れていたそうで、田辺湾から上陸した一行は、地元の人たちの歓迎を受け、しばらく滞在したようです。しかし、なかなか波風が収まらないので、いら立った神武天皇は、自らの太刀を海に投げ込んだ。そうしたところ、波は収まり、一向は出立することができた」、こういう話を聞かせていただきました。
 その後、一行は海路で熊野地域に向かって、先ほど私が訪ねたような場所を巡るわけなんですが、このとき、地元の人々は、その海に投げ込まれた太刀をもらい受け、その太刀を大切に扱い、御神体としてお祭りしたそうです。太刀を御神体としたことから太刀ヶ谷神社と命名され、現在に至っているそうです。もちろん太刀は現存していませんが、地元ではこの歴史を大切にしているということを聞かしていただきました。
 また、一行がこの地を出立したのが旧暦の8月1日であったことから、9月1日には太刀ヶ谷の字祭りを行っています。この祭りは、神武天皇一行の出立をお祝いすることが由来なので、敵に知られてはいけないということですから、ここでもにぎやかなものではなく、ひっそりとお祝いする、これが特徴になっています。
 ただし、近年は、この地域には若い人が少なくなり、祭りの担い手が不足していることなどから、運営が難しい状況にあることが課題だとお伺いしました。そのため、運営してくれる人も、地域の外の方にも、これからは募っていきたい、こういう状態でありまして、この神社は白浜町の民俗無形文化財にも指定されているものですから、地域の財産としてこれからも守り続けてほしいと願うばかりであります。
 姿形が失われていくとともに、語り継ぐ人がいなくなると、記録に乏しい資源であれば歴史から消えてしまいます。日本書紀編さん1300年、そして「わかやま記紀の旅」を発刊したこの時期に、我が県の歴史の跡、そして、今から決してつくることのできない大切な観光地として残していっていただきたいと思います。
 参考までに、今年の同神社のお祭りは9月17日、昨日、コロナウイルスの関係で、神事のみ実施されております。
 1872年(明治5年)に明治政府が神武天皇が即位した年を、記紀の記載から西暦紀元前660年と決め、その年を皇紀元年としております。東征された神武天皇が即位なされた皇紀元年から数えて今年は2680年という、これまた節目の年を迎えているわけでありますが、この太刀ヶ谷神社を守る人からは、2680年もの間、神武天皇のお迎えをして、その志を感じ、太刀を受け取ってお祭りした精神を今に受け継いでいると聞きました。これはすばらしいことではありませんか。この精神は決してこの時代に消してはならないものだと思います。
 民俗無形文化財をまさに無形のものにしてはなりませんから、「わかやま記紀の旅」に──これは実は掲載されていないわけなんですけども──掲載することや、和歌山県として保存を支援することなど、この次の時代に残すための取組が必要ではないかと思います。
 このように、私たちは、ふるさとの歴史を知り、語れなければなりません。歴史を学ぶこと、知ることは武器になると思うからです。武器という意味は、戦う道具というだけではなく、社会競争で有効な長所や生き残りの手段を武器と比喩表現することがありますが、フランス、イタリア、エジプトなどの世界的な観光地は、まさにこのような精神で観光地としての地位を確立していると思います。
 歴史を学ぶこと、知ることは武器になる。和歌山県のことをもっと知ってもらったお客さんが私たちのふるさとに呼び込む力になるということでありますから、そこに我々の県の歴史の跡があり、物語があってこそ、伝えられるものだというふうに思います。
 先般、大阪、奈良、そして和歌山市の知人、友人に、この太刀ヶ谷神社の由来とともに話をしたところ、「そんな神社があることは知りませんでした。参拝したいので連れていってください」、こういう答えが返ってきまして、「この神社は神武天皇に由来する神社ですが、神主さんもいない小さな神社です。それでもよいですか」と伝えますと、「そんな歴史のある神社であれば、ぜひ行ってみたい」ということだったので、何組かを案内さしてもらっております。
 たとえ地元では珍しいものでなかったとしても、地元以外の人にとっては観光資源になり得るものがあります。歴史が好きな人、日本書紀編さん1300年を記念として、ゆかりの地を巡っている人にとっては、何としても行きたい神社の一つになるかもしれません。和歌山県民であっても知らない「日本書紀」「古事記」の神武東征に関わる話があることを知り、これらの逸話を物語としてしっかり伝えていきたい、このように思っております。
 記紀から思うことは、東征というのは戦いや略奪ではなく、全てが征服ではなく、話合いによる統治、平和の道のりであったのではないかというふうに思うようになってきたわけであります。
 また、記紀の旅は決して大型の観光地ではなく、地元の人々が志を受け継いでいる観光地であり、令和の時代にあってこそ、ここを守り、この形で次の時代に引き継ぐべき観光地だと思います。「わかやま記紀の旅」をさらに充実させること、掲載されていない神社などを追記して、「わかやま記紀の旅」を完成形に近づけていってほしいというふうに思います。
 我が国の起源を短時間のうちに訪れることができる県は、宮崎、奈良、島根、三重、そして我が和歌山だけだと思いますから、改めて和歌山県の歴史はすばらしいと感じますし、当時の紀伊国の出来事がなければ記紀は成り立っていない、このように思うわけであります。
 ところが、これらの歴史は和歌山県内でもあまり知られていないことが残念であります。自分のことも振り返ってみますと、あまり中身について習った記憶というのが薄いわけなんですが、そんな大人が多いのではないでしょうか。次世代の子供たちには、このようなすばらしい歴史を学校で学んでいただきたいと思います。
 今回、「わかやま記紀の旅」のパンフレットが刊行されたことから、この場所を訪ねる機会に恵まれました。和歌山県の歴史を観光に生かす取組を和歌山県の皆さんから始め、関西全体、そして全国へと展開していくことを期待しているわけであります。
 そして、全ての足跡、口碑──これ、言い伝えということなんですけども──「わかやま記紀の旅」に掲載されているものではないので、次に発刊するときは改訂版としてさらに充実させていただきたいと思います。
 そこで、「わかやま記紀の旅」に込められた知事の思いについて質問をさしていただきます。
 「わかやま記紀の旅」は、和歌山県の歴史と文化を知ること、観光資源にもなり得る内容だと思います。しかも、日本書紀編さん1300年に合わせて発刊しているセンスがすばらしいと思います。
 宮崎県では「神話のふるさと みやざき」、奈良県は「なら記紀・万葉」などを掲げ、この日本書紀編さん1300年の記念行事を行い、観光客を集めているところであります。
 和歌山県も両県に劣らない記紀にまつわる神社や場所がありますから、これらの「日本書紀」「古事記」の神話に登場する和歌山県の歴史について、そして「わかやま記紀の旅」の作成に込められた知事の思いについて、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。
〇議長(岸本 健君) ただいまの片桐章浩君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
〇知事(仁坂吉伸君) 「古事記」や「日本書紀」の中では、建国神話や神武東征などが語られ、御指摘のように、和歌山県内にも登場する舞台が数多くございます。
 かつて、ちょっと前ですが、奈良県知事が島根県知事と語らって、それで記紀シンポジウムをやるんだということを言われたのを嗅ぎつけまして、和歌山県も資格があるんだからぜひ入れてくれと言って、それで入れてもらって、東京でずっとやっているというのもございます。
 また、今年の日本書紀編さん1300年を記念して、本県にある記紀にゆかりの場所がたくさんあることを県民をはじめ多くの方に知ってもらって、実際に県内を巡っていただきたいというふうに考えまして、「わかやま記紀の旅」というものを作成したところでございます。
 「わかやま記紀の旅」では、神武東征について、後の神武天皇が都探しのため、紀伊国において激戦を繰り広げ、さらに熊野から大和に向かい、様々な試練を乗り越え、初代天皇に即位するまでのストーリーを掲載しておりまして、その舞台となる熊野三山をはじめ和歌山市の竈山神社や海南市の杉尾神社等の関連神社や周辺の立ち寄りスポットなどを含め、記紀にまつわるストーリーを県で九つにまとめております。
 これらの神話と本県の関わりを「わかやま記紀の旅」を通じて知っていただくことによりまして、例えば自然崇拝の地である熊野が神話の時代から特別な地域であったということが分かるとか、あるいはヤタガラスとか大きな熊などの様々な神秘的なものが出てきて、この地域が尋常でないような特別な魅力を持った地域だというふうなことが印象づけられるとか、そういうことによりまして、旅の楽しみや感じる深みも大きく違ってくると思います。
 今後も、まだまだ知られていない、地域で守り継がれている資産を掘り起こし、「わかやま記紀の旅」の充実を図りながら、その魅力を発信し、県民をはじめ多くの方々に県内を繰り返し巡っていただきたいと考えております。
〇議長(岸本 健君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
〇片桐章浩君 知事の答弁を、思いを聞かせていただきました。
 実は、昨日も記紀について5時間ぐらい、ある方と議論をちょっと交わさせていただきまして、それを全て今回、埋められてないわけなんですけども、この記紀に書かれていることというのは、今、知事が答弁いただきましたように、やっぱり日本人だけが感じられると言ったら大げさですが、自然信仰、神宿る熊野というんでしょうか、そういう自然への畏怖というふうな思いが記されていると思いますし、我々日本人はそういった心というのを現在まで受け継がれている、生まれながらにして受け継いでいるんではないかというふうに思います。
 そこで、この記紀というのは決して昔の話ではなくて、現在にもまさに通ずるだろうと、こういう話も交わしまして、例えば「古事記」と宇宙というふうな観点から話をしてきたわけなんですけども、アメリカ人が、日本人が持つような自然への畏怖というんでしょうか、こういう思いを持ったというのが1960年代、宇宙から地球を眺めたときに初めて理解したというふうな、こんなことを日本人はもう既に持っていたと。こういう話なんかも交わさしていただきまして、改めて日本人というのはすごい民族だというふうに思いますし、こういう歴史があることは世界に誇れるものだと思います。そして、和歌山県がそういった歴史の跡を残してるということを誇りたいなというふうに思っているところであります。
 さて、「わかやま記紀の旅」、これができたことから、この地を巡る、観光に訪れる人が増えていると思いますが、特に、わかやまリフレッシュプランを活用して県内の皆さんも訪れる機会が増えていることは喜ばしいことだと思います。
 ただ、先ほど触れました竈山神社にしても、例えば最も重要な式典である雄誥祭は、毎年、訪れる人は一桁でありますし、ふだんからも観光客らしき姿は少ないように思います。
 この記紀の旅はすばらしい内容なので、ぜひ改訂を続けながら発刊を継続していただきたいと思います。そのため、この「わかやま記紀の旅」に掲載されていない熊野荒坂津神社、太刀ヶ谷神社、畠島などを今回掲載されていないゆかりの場所なども記載したいと思いますので、県内外からさらに多くの方に来てもらえるよう、来年度以降の「わかやま記紀の旅」を活用した観光の取組について、商工観光労働部長の答弁をお願いいたします。
〇議長(岸本 健君) 商工観光労働部長大山 茂君。
  〔大山 茂君、登壇〕
〇商工観光労働部長(大山 茂君) 県では、現在展開している「蘇りの地、わかやま」キャンペーンの一環として、県民リフレッシュプラン販売促進事業を実施するとともに、楽しみながら県内を周遊してもらえるよう、「わかやま記紀の旅」をはじめ三つのスタンプラリーを実施しているところです。
 「わかやま記紀の旅」については、これまでのスタンプラリーの達成者は約160人ですが、特設ウェブサイトでのアクセス数は月1万件以上もあり、多くの方が興味を持って県内のゆかりの地を巡っていただいていると考えております。
 議員から御紹介のありました白浜町にある太刀ヶ谷神社や畠島につきましては、「日本書紀」や「古事記」に直接掲載がないものの、神武東征の物語とゆかりのある場所として伝えられており、地域の方々はこの歴史を大切にしていると聞いております。
 今後は、さらにこうしたスポットを掘り起こし、特設ウェブサイトなどにおいてストーリーを充実させながら、より一層「わかやま記紀の旅」を活用し、誘客につなげていきたいと考えております。
〇議長(岸本 健君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
〇片桐章浩君 部長の答弁をいただきまして、第3問目に移ります。
 「日本書紀」「古事記」の学習についてでありますが、先ほど、次世代の子供たちには、このようなすばらしいふるさとの歴史を学校で学んでほしいと思いますと伝えましたが、私たちの世代では、地元の歴史にまつわる「日本書紀」「古事記」は学校で深く習った記憶というのがあまりないような気がします。今の子供たちには、ぜひ学校教育で伝えてほしいと思いますが、どんな教育、学習を、授業をしているのか、教育長の答弁をお願いします。
〇議長(岸本 健君) 教育長宮﨑 泉君。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
〇教育長(宮﨑 泉君) 学校における「日本書紀」「古事記」の学習についてでございますが、国家の成り立ちに関する理解を深めるため、社会科において「日本書紀」「古事記」等の神話や伝承を取り扱うことになっており、小学校ではヤマトタケルノミコトの神話を取り上げ、中学校では「古事記」「日本書紀」「風土記」などに取り上げられた神話や伝承などを学習します。
 県教育委員会といたしましては、子供たちの興味・関心を高めるために、地域の様々な教育資料を積極的に活用した学習を行うことは大切であると考えております。
〇議長(岸本 健君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
〇片桐章浩君 教育長の答弁をいただいたわけなんですけども、分かるということは、そこに書いてあることを知るということではなく、歴史を生きた先人たちの意思あるいは葛藤まで思いをはせる、そういった力を養うことだというふうに思うわけであります。そのためには、学習とともに、その中身に触れる、あるいは記紀の旅に基づいて現地に行く、地元にはこういう史跡がございますから、そういった教育が大事だというふうに思うわけでありまして、今、ひっそりと答えていただいたわけでありますが、力強くこういった学習をしていただきたいと思います。
 そして、昨日、アメリカで広報の仕事をやっていた方と話をしたところ、やっぱり日本人が外国でビジネスをするためには、日本の歴史を知らなければ、語れなければ、決してすることはできない、こういうことを話さしていただきました。日本人が例えばアメリカでとする。そういったときに、おまえの国は何だと、起源は何だと、どういう国だと言われたときに、平たいような答弁ではなかなかビジネスにつながっていかない、信頼につながっていかない、国を代表して来ているんだということを思わさなければいけないということもお聞きしましたから、ぜひそういう観点から、学校教育の中で取り上げていっていただきたいということを要望さしていただきたいと思います。
 続きまして、二つ目の項目、和歌山県誕生150年記念式典についてお伺いをさしていただきます。
 和歌山県は、明治4年11月22日に誕生していますから、来年、令和3年には和歌山県誕生150年の年を迎えることになります。県民の皆さんと共に和歌山県誕生150年を迎えることを喜び合いたいというふうに思います。
 伝統的な芸能であります雅楽というものがございまして、和歌山にも和歌山雅楽会というものがございます。ここの代表の江川定光さんによると、和歌山県誕生100年の時期に県民文化会館で宮内庁式部職楽部の演奏会があったそうです。
 当時、大学生だった江川さんに尋ねますと、「県民文化会館で開催された演奏会を今もはっきりと覚えています。宮内庁から来て演奏してくれたのですから」と話してくれました。そのときの感動を覚えているので、来年の和歌山県誕生150年にも宮内庁から演奏に来てほしいと願い、雅楽会を通じ、宮内庁に連絡した話を聞かせていただきました。
 そうしたところ、宮内庁は、「国民文化祭に式部職楽部は派遣することはしません。しかし、県の誕生式典となれば話は違います。和歌山県150年の式典を開催するのであれば、依頼があれば検討することもできますが」、こういう回答であったということをお伺いしました。
 誕生100年のときの演奏の感動を来年も味わいたい、そう思った和歌山雅楽会の江川さんは「和歌山県誕生150年までには、あと1年になりました。宮内庁式部職楽部は春と秋に皇居で──これ、陛下の前ですが──演奏を行いますから、早くお願いをしなければ調整がつかないと思います」と、心配する声を届けてくれました。
 昨年9月議会で、この質問をさしていただいたところ、知事からこういう答弁をいただいておりますので、少し繰り返さしていただきたいと思います。「昭和46年には岡公園において、陸奥宗光の銅像の除幕式典が行われました」、「2年後の令和3年には、和歌山県誕生150年を迎えます。折しもビッグイベントの国民文化祭、全国障害者芸術・文化祭、全国高等学校総合文化祭が開催されます。あわせて、ワールドマスターズゲームズもあります。そうした中で、県民が本県の歴史や文化を振り返り、これまで以上にふるさと和歌山を愛し、誇りを持って未来に向かって歩みを進めるきっかけとなるような記念行事の実施について、検討を進めてまいりたいと思います」、この質問で「ますます熱意が触発されましたので、頑張ってやりたいと思います」と、力強い答弁をいただいております。
 また、平成になりますが、平成20年9月議会一般質問において、和歌山県の偉人を敬う教育についてをさしていただきましたが、そのとき、「陸奥宗光のこの銅像を建立したのは、当時の大橋和歌山県知事、和歌山市長の宇治田省三氏を初めとする経済界の歴々で、この銅像の前に立つと、和歌山県民が陸奥宗光を誇りと思い、後世に伝えたい、こういう気持ちと意思、こういったものがひしひしと伝わってきます」、こう述べたことがございます。
 明治100年陸奥宗光銅像除幕式典は昭和46年8月24日に行われておりますが、その理由は、元外務大臣の薨去された日、すなわち命日だったということが理由だと思います。
 もう詳しく触れることはしませんが、陸奥外務大臣は、幕末から明治にかけて西欧列強国と交わされた不平等条約によって日本は植民地化されようとしていたところ、不平等条約の改正に成功し、日本の独立を遵守したことで知られていますが、功績はそれだけではありません。
 その以前、明治になって戊辰戦争が起こり、その後の処理の折に、親藩であった紀州藩は取り潰しの危機に直面することになるわけですが、新明治政府の要人であった岩倉具視に陸奥は働きかけ、和歌山藩が藩政改革の見本になることを約束し、取り潰しを食い止めます。
 近代国家のひな形となる改革は、市民平等にのっとった新兵制度、法整備、新産業の構築からインフラ整備に至り、廃藩置県のモデルとなり、新国家体制の原点になったことで和歌山藩、すなわち和歌山県は解体されずに済んだと思います。
 ところが、この僅か50年前の式典でさえ、はっきりとした記録が残されていないのですから、歴史を継承することの難しさが分かりますし、受け継ぐことの大切さを今さらながら感じている次第であります。
 そこで、和歌山県誕生150年記念式典は、県民の皆さんに感動と誇りを持てるようなお祝いの式典にしたいと思いますが、知事の見解をお聞かせください。
〇議長(岸本 健君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
〇知事(仁坂吉伸君) 議員御質問のとおり、昨年の9月議会で、和歌山県誕生150年記念式典実施に向けて頑張っていきたいとお答え申し上げました。
 和歌山県は明治4年に誕生し、陸奥宗光をはじめ多くの先人が今に至る歴史を紡いでまいりました。このため、来年秋に予定している記念式典は、県民が政治、経済、文化、スポーツなど幅広い分野にわたって和歌山県が育んできたすばらしい歴史を学び、次代に引き継ぐとともに、ふるさと和歌山になお一層愛着と誇りを抱くことができるようなものにしたいと考えております。
 折しも、ロケット発射場の整備、高速道路の延伸、IR構想の実現など、本県の明日を託す大きなプロジェクトが実現に向けて着実に進んでいる中で、この式典を契機として、全ての和歌山県民がふるさとの歴史に自信と誇りを持ち、未来への期待と希望を持って和歌山を盛り上げていくことができるよう、県議会の皆様をはじめ様々な方々から御意見をいただきながら準備を進めてまいる所存でございます。
 また、きいちゃんを使ったロゴを作成し、県の刊行物などを使って和歌山県誕生150年をどんどんPRし、県民の皆さんのお祝いムードを盛り上げてまいりたいと考えております。
〇議長(岸本 健君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
〇片桐章浩君 知事の答弁をいただきまして、中身についてはまだ決まってなさそうな感じはしますので、これからしっかりとしたものをつくり上げてくれると思うんですが、来年の和歌山県誕生150年を盛り上げるために、民間の団体が、来年、令和3年8月21日、岡公園で陸奥宗光外務大臣の銅像建立50年の記念式典を計画しております。50年前の除幕式と同様、盛大な式典にすることを目指していると聞いておりますので、和歌山県におきましては、ぜひあのときと同じように和歌山市にも呼びかけを行っていただきまして、共に和歌山県誕生150年の記念式典のプレ式典として支援、応援していただけたらと思いますので、ぜひお願いしておきたいと思います。
 それでは、3項目めであります。
 避難所等でのペットとの共生についての質問に入ります。
 和歌山県では、災害に備えた対策を講じているところではありますが、今年は避難所での新型コロナウイルス感染症対策などが必要になるなど、避難所運営について新たな対応が検討されているところですが、今回は、ペットを飼っている方の災害発生時の避難についてに絞りまして質問をさしていただきたいと思います。
 ペットの飼い主にとって、ペットは家族の一員であり、人によって事情は違うと思いますが、もし災害が発生したとき、そのまま家に残して避難することは考えられないといった意見も聞くことがあります。
 ペットの同行避難について、他県で過去に発生した避難所で起きた問題があったことの指摘がありました。令和2年7月、福岡県久留米市などが集中豪雨で見舞われたときのことです。久留米市は142か所の全指定避難所にペット飼育場を設けているということで、全避難所でペットを受け入れていると、こういうふうに認識した、ペットを飼っている方が2匹の猫と共に避難したところ、避難所で、猫は外に置くように、こう指示されたということです。
 ここで行き違いになった原因が、同行避難、そして同伴避難という表現方法と、意味の解釈だろうというふうに思います。
 和歌山県のペット災害対策については同行避難の表現があり、ペットと一緒に避難できるイメージがあります。市町の中には、「災害時にペットと一緒に避難できるように」だとか、「避難所でペットと一緒に生活する場合」の表現で、「同行避難」の表現がないところがあり、どちらなのか判断できないという声も聞くことがあります。
 表現にこだわる必要はありませんし、その指摘ではなく、多くの人が理解できる表現にしなければ、ペットを飼っている人も、ペットが嫌いな人も、災害発生時に避難所に行ったところ、双方が誤解してトラブルに発展する、こういったことが考えられます。事実、過去の大災害ではペットに伴う避難所のトラブルというのは、事例を幾つも聞いているところであります。
 最近、新たな動きもありまして、さきの台風第10号に備えて熊本県荒尾市は避難所を開設しましたが、そこでペットの同伴避難を受け入れたようです。これは同伴避難ということです。同市では、ペット同伴を認めたのは、指定避難所23か所のうち、小中学校11校と旧小学校の12か所。各教室を避難所にしていたため、体育館でペットと飼い主を受け入れたようで、その理由について、通常はペットを同伴できず避難を諦めてきた市民の声が表面化した、このように聞いております。
 このように、ペットと共生する避難所の在り方も検討する社会というか時代背景ができてきたように思います。
 ただ、避難所への同行避難の場合の問題点というのがありまして、避難所にはペットスペースが、和歌山県の場合、設けられているんですが、そのスペースが十分に確保できているかどうかということです。
 2019年、日本ペットフード協会の資料によりますと、犬の飼育世帯数は12.55%、平均は1.23頭です。猫の飼育世帯数は9.69%、平均飼育数は1.77匹となっていますが、これだけ飼育している家庭があるので、各避難所に全ての頭数とは言いませんが、受け入れられるスペースを確保する必要があります。しかし、避難所によっては、避難者数──想定ですね──と比較してペットスペースが極端に少ないところがあり、果たして同行避難の全てのペットを収容できるのかなと思います。
 そこで、災害時におけるペットの同行避難についてお尋ねしたいと思います。
 避難所は市町村が運営主体であり、それぞれの避難所では同行避難と同伴避難との言葉の意味の違いがよく分からないまま混同して使われている現状があちこちで見受けられます。万が一、発災時に備えて、あらかじめペットの飼い主がしておくべきことにお尋ねをしたいと思います。
 飼い主が同行避難を想定している中で、避難所にペットがいられる十分な広さが確保していない箇所もあるように思います。一方で、「ペットは家族」「一緒に避難所等の安全な場所に同行避難したい。それができないなら避難しない」という人もいますし、こうした大切なペットを守りたいと願う飼い主が災害時にトラブルを避け、安全に同行避難ができるよう、災害に備えてあらかじめ心がけしておくことや、しておくべきこと、しておくべき備えが大切になろうかと思います。これらのことについて、環境生活部長の答弁をお願いいたします。
〇議長(岸本 健君) 環境生活部長田中一寿君。
  〔田中一寿君、登壇〕
〇環境生活部長(田中一寿君) ペットを飼っている方にとって、ペットは家族の一員であることから、災害発生時にペットを同行し、安全に避難したいというお気持ちはよく分かります。
 災害時にペットと共に避難をする際、飼い主が同室で世話をできる場合、飼い主が世話をすることができますが同室はできない場合、飼い主以外の第三者がペットを一元的に管理する場合がありますが、これは個々の避難所の受入れ環境によって異なるものであり、あらかじめ飼い主が理解していないと、議員御指摘のように、避難時の混乱につながります。
 したがって、ペットと共に円滑に避難することができるよう、こうしたことも含め、避難所におけるペットの受入れ環境について、市町村において事前に住民に広報紙等で周知徹底を図り、飼い主はあらかじめ指定された避難所の受入れ環境を確認しておく必要があります。
 次に、災害に備えて、あらかじめペットの飼い主がしておくべきことについてでございますが、まず、飼い主は、避難所等において、できる限り他の避難者に迷惑をかけることがないよう、平時からペットのしつけや健康管理を行っておく必要があります。
 加えて、飼い主は、避難所における受入れ環境やペットの状況等から総合的に考えて、ペットを避難所で管理する方法のほかに、車の中で管理する、被災していない地域の知人に預けるなど、最も適切な選択肢を事前に想定しておくことも大事なことです。
 県としましては、災害時にペットを適切に飼養できるよう、引き続き動物愛護フェスティバル等のあらゆる機会を通じて、これらのことを啓発してまいります。
〇議長(岸本 健君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
〇片桐章浩君 部長から答弁をいただきまして、災害発生時というのは、当然といえば当然ですけど、人命最優先の支援活動を行いますから、ペットのことはその次というふうな考え方を、これは無理もないことだとは思います。ただし、ペットのことを無視して防災を考えてよいものかというふうに思います。といいますのは、近年発生している東日本大震災、熊本地震、西日本豪雨、そして紀伊半島大水害においても、被災犬というものを僕も預かって、飼い主を探した経験もございますし、備えというのは、今、部長おっしゃってくれたように、しっかりしておく必要があるのかなというふうに思います。
 また、今回のこの質問をするという項目を知った方から、「ペットがいるから避難しない」「ペットと一緒でなければ避難所に行かないから、しっかりとしてほしい」という、こういう意見もいただいておりますように、取り残された人を救助するためにどれだけの労力を費やす必要があるのか。被災動物を探す、救助するために費やす費用と労力。そして被災時の心のケア、飼い主の心のケアですが、その人にとってペットの存在がどれだけ必要になるかなどを考えると、ペットも避難できる避難所の在り方について考えてほしいかなというふうに思います。
 環境省や内閣府がペットの同行避難を推奨しているのは、過去の巨大災害からの教訓を基にしているからと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 そこで、これらの考え方を基にして専門家の支援をいただき、避難所の在り方を考えるために、獣医師会などと災害時における動物救援活動に関する協定を締結し、支援体制を整えることも方法ではないかと思います。関西の各府県においては、府県の獣医師会との協定を締結しているところもあると思います。
 負傷動物の応急措置や治療、被災動物の保護収容、被災動物の飼育者の支援などのための専門家の支援を受けられるよう、県獣医師会と協定を締結するなど、連携を図ることが今後の課題だと思います。環境生活部長の考え方をお聞かせください。
〇議長(岸本 健君) 環境生活部長。
  〔田中一寿君、登壇〕
〇環境生活部長(田中一寿君) 災害時には、負傷した被災者のペットの飼養や、飼い主とはぐれたペットの収容、けがをしたペットの治療、飼養が困難となったペットの一時保護や新たな飼い主探しなど、専門的な知識や技術を必要とする様々な課題が発生します。
 現在、獣医師会において、災害時のこうした課題に対して具体的にどういう役割を果たせるか検討されており、県としましては、獣医師会の意向も踏まえ、できるだけ早期に協定を締結できるよう協議を進めてまいります。
〇議長(岸本 健君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
〇片桐章浩君 それでは、最後の項目に移りたいと思います。
 ライブハウス等での新型コロナウイルス感染症対策の取組についての項目であります。
 新型コロナウイルス感染症の影響を受けているのは全ての業種に及んでいると思いますので、それではちょっと広がってしまうということで、今回はライブハウス、ライブバーの感染症対策の取組について質問をしたいと思います。
 和歌山市内の飲食店、意見を伺いますと、8割まで戻ってきてるよというお店もあれば、まだ半分程度というお店などがあります。これは店の業態というんでしょうか、誰を対象にするかというふうなことによって違いがありますが、多くのお店では回復には至っていないという状況であります。
 同じように、ホテルでも稼働率が40%程度と伺っているところもありますが、ライブハウスはもっと深刻で、イベントができないのでゼロの日も多い、こういう話をいただいておりまして、元の状態に回復するまでには相当の時間というんでしょうか、月日を要するというふうに思います。そういう現状だというふうに思います。
 先般、和歌山県が公表した感染症対策実施に関する調査結果で、ライブハウスの結果が100点ということになっておりまして、これ、つまり調査対象としたライブハウス、ライブバーが全て感染症対策がなされていると。こういう好成績になっていたわけでありまして、これはライブハウスの皆さんが自主的にガイドラインを作成し、それを遵守しているお店に新型コロナウイルス対策安心・安全認証店舗のステッカー──これは「GO TO LIVE」というステッカー名称になっておりますが──貼り付けて、安心と安全をお客さんに伝える取組をしたことが要因かというふうに思っております。
 このガイドラインの作成に当たっては、これ、独自ですよね、和歌山のライブハウスと首都圏のライブハウスと、やっぱり規模とか楽曲なんかも違いますので、和歌山県独自のガイドラインというのをつくったことに関しまして県の多大な御協力をいただいて、短期間でこれをつくり上げることができたので、感染症対策はできているということに感謝したいわけなんですが、このガイドラインに定められたチェックリストというのがございまして、実に25項目に及びまして、全て遵守していなければ、この安心・安全のステッカーを貼ることができないという、こういう規制になっております。例えば、店舗入り口及び店内での感染症対策、楽屋、控室における感染症防止策、トイレ、洗面所、化粧室等における感染症防止対策、掃除、ごみの廃棄における感染症防止策、店舗スタッフに対する感染症防止策、来場者に対する感染防止に分けて細かくチェックをしながら、安全を保ちながらお客さんの来場を呼びかけているところであります。
 さきの知事の定例記者会見でも知事がこの取組を評価していたように、業界として自主的な感染症対策によって安心と安全を訴えることで、お客さんである我々に安心感を与えてくれる取組だというふうに考えております。
 そこで、ライブハウス等での新型コロナウイルス感染症対策の取組についてお伺いをしたいわけなんですけども、県の事業者への感染症対策の取組の調査は、8月4日と9月1日に実施されております。その中でガイドライン遵守率が100%になっているのが、今回取り上げておりますライブハウス、ライブバーです。業界として自主的に和歌山版ガイドラインを設定し遵守することで、安全性を確認しています。これは旅館、ホテルも実施している同様の取組をしているものですが、ライブハウスにおいては関係者が協議会を設立し、新型コロナウイルス感染症予防対策を自主的に進めていることについての評価と期待について、環境生活部長の見解をお聞かせいただきたいと思います。
〇議長(岸本 健君) 環境生活部長。
  〔田中一寿君、登壇〕
〇環境生活部長(田中一寿君) 本県の飲食業界におきましては、業界全体を包括する団体として和歌山県飲食業生活衛生同業組合が組織されていますが、これまでライブハウスやライブバーのような業態による連絡組織はありませんでした。
 今般、ライブハウス等の有志の方々によって新型コロナウイルス感染症対策を目的に和歌山ライブハウス連絡会が結成され、主体的にガイドラインの遵守に取り組まれたことを大変心強く思っております。
 また、ガイドラインを遵守している安心・安全な店舗を共通ステッカーでアピールする取組は、感染症対策がより徹底され、利用客に安心感を与え、快適にライブを楽しんでもらえることから、にぎわい、売上げの回復に効果的であると考えております。
 ライブハウス等のこうした取組については、今月1日の知事定例記者会見において、新型コロナウイルス感染症対策の好事例として紹介したところです。
 現在、連絡会の会員は、和歌山市内に店舗を持つ事業者に限られているようですが、広く県内全域で会員を募り、広域的に連携を図って活動を進めていくことも考えられると思います。
 和歌山ライブハウス連絡会による取組は、新型コロナウイルス感染症による苦境からの回復にとどまらず、イベントの企画・開催などの協働事業につなげていくことで、今後のライブハウス等の発展に大きく寄与するものと期待しているところであり、県としましても必要な助言や情報提供を行うなど、応援をしてまいります。
〇議長(岸本 健君) 片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕
〇片桐章浩君  部長、答弁ありがとうございます。
 実は、このライブハウス、ライブバーについては、先ほど言いましたように、8月4日に第1回目の調査が入ったときに、なかなか辛口の評点をいただきまして、奮起した経営者たちが集まって、僅か1か月でガイドラインをつくって相互チェック、もちろん県の助言と指導を得たわけなんですけども、しっかりとしたガイドラインをつくって、再びお客さんに安心して来てもらえるような状況まで持っていったというのが特筆すべきことだというふうに思います。これぞまさに自助、共助、そして公助の考え方でございまして、県の支援策のみに頼ることだけではなくて、自分たちが安心・安全を提供してお客さんに来てもらおう、そして和歌山県の経済活動の回復につなげていこうと、こういう取組でございますので、ぜひこういった取組を、全てのところとは言いませんけども、県内に好事例として広げていっていただけることを切にお願いを申し上げまして、一般質問とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(岸本 健君) 以上で、片桐章浩君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時53分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
〇副議長(濱口太史君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 40番奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕(拍手)
〇奥村規子君 皆さん、こんにちは。
 今日は、3番目の一般質問に立たせていただきます。どうかよろしくお願いいたします。
 それでは、議長のお許しを得ましたので、通告に従って三つの項目について質問をさせていただきます。
 1項目めは、新型コロナウイルス感染拡大の抑止についてです。
 東京、大阪などで、一定の地域に多くの感染者がおり、そこから感染が広がるという状況が起こりました。和歌山県内の第2波の感染拡大も、東京や大阪などからの県内への持込みによるものが非常に多かったと報告されています。
 東京大学先端科学技術研究センターの児玉龍彦氏は、参議院予算委員会で、無症状の感染者の集積している感染震源地(エピセンター)の危険性を指摘し、感染震源地を制圧するために1日20万人以上のPCR検査が必須と主張しました。
 今回のような都市部での感染拡大に対して、感染震源地を明確にし、そこに集中的に大規模で網羅的な検査を行い、無症状感染者を見つけ出し、保護、隔離し、治療する、その必要性を訴えたわけです。
 もう一つは、感染者が多く出たりクラスターが発生した地域にある医療機関や介護施設など、集団感染リスクのある施設の職員や入所者への定期的検査の必要性です。世田谷区では、感染症の疑いがある有症状の人や濃厚接触者のPCR検査と社会的インフラを継続的に維持するためのPCR検査(社会的検査)を行っていくとしました。
 政府対策本部が8月28日に出した新型コロナウイルス感染症に関する今後の取組では、「感染者が多数発生している地域やクラスターが発生している地域においては、その期間、医療機関、高齢者施設等に勤務する者、入院・入所者全員を対象に、いわば一斉・定期的な検査の実施を都道府県等に対して要請する。また、地域における感染状況を踏まえ、感染拡大を防止する必要がある場合には、現に感染が発生した店舗、施設等に限らず、地域の関係者を幅広く検査することが可能であることを明確化し、都道府県等に対して、積極的な検査の実施を要請する」としています。
 県では、これまで感染症の疑いがある人への検査、感染者の濃厚接触者、場合によってはその周辺への検査は徹底して行われてきたと思います。これは有症状者、感染者が起点です。しかし、新型コロナウイルス感染症の重大な特徴は、無症状の感染者からの感染が起こることです。これを早く見つけ出す、そのためにPCR検査を抜本的に広げることが重要ではないでしょうか。
 そこで、お聞きいたします。感染震源地が疑われる場合は、その地域への集中的で網羅的な検査、また、感染者が多くクラスターが発生している地域で、医療機関、介護、障害者福祉、保育、学校など、集団感染のリスクが高い施設の職員や入所者に検査対象を広げることについて、どのようにお考えでしょうか。また、そのためにはPCR検査能力を大きく引き上げる必要があると思いますが、見通しはどうでしょうか。知事にお伺いいたします。
〇副議長(濱口太史君) ただいまの奥村規子君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
〇知事(仁坂吉伸君) 本県では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止を図るため、早期発見、早期隔離、徹底した行動履歴の調査を行う和歌山方式を着実に実行し、その要であるPCR検査については、積極的に実施してまいりましたことは、奥村議員御指摘のとおりであります。
 特に医療機関や介護施設等で感染者が確認された場合においては、広く迅速に徹底したPCR検査を行い、早期発見、早期隔離につなげることで感染者を最小限に食い止めてきたところです。
 現在、今、感染者が確認された場合と申し上げましたけれども、これは有症者だけじゃなくて、例えば濃厚接触者でこれは危ないというような方が介護施設などに入っていた場合には、より広範にPCR検査なんかもしたらいいということでやってきたところでございます。
 こうした取組の中で、PCR検査の重要性を認識し、感染者の早期発見に不可欠な検査体制を強化するため、県では県環境衛生研究センターにおいて、PCR検査機器をどんどん増設をしてまいりました。また、これはちょっと目的が違うんですけども、当初は地域の中核病院において時間短縮型のPCR検査機器の整備を行い、これで院内感染を防いでいただくとともに、一般的な検査のときにも助けていただこうと、こういうふうに思って検査体制の整備を行ってきたところであり、今後もさらなる検査体制の拡充を図っていったらよろしいというふうに思っております。
 しかしながら、PCR検査は、感染者を早期に発見し、早期に入院さして隔離するための検査というのが基本でございまして、希望する全ての人を対象に実施することは現実的に不可能なので、また、公費負担でそれを行うということは不可能なので、感染すると集団感染につながり、重症化して病床を逼迫するおそれがある医療・介護施設等の関係者についてもトリアージを行って、それで十分に必要性を判断しながら取り組んでいくところでございます。
 議員の御質問もそうかなというふうに若干推察するんですが、よく、あらかじめたくさんあるいろいろな福祉施設の職員とか病院の人は、全部定期的にPCR検査をどんどんやれと言う方がいらっしゃるわけであります。それができれば、もちろんやって悪いわけではないのですが、しかし、テレビの素人のコメンテーターと違って、看護師でいらっしゃる議員はよくお分かりのように、そもそもPCR検査は、一定の潜伏期間を含んだ検査前の感染の有無を判定しているものであって、検査最終時点後の陰性は全く保証することができないわけでございます。
 すなわち、一度検査をして、例えば陰性になったといっても、検体採取後、暴露を受けていれば、その人は必ずしも感染をしていないという保証はないということでございます。したがって、よほど直後に時限的に大事なイベントがあるというような特別な場合は別として、定期的な検査で陰性の確認を行うことで安全が保たれると考えることは、ちょっと現実的ではない。
 したがって、定期的な検査で陰性確認を行うということをやらなきゃいけないというのは、これは非効率かなというふうに思うわけでございます。やって悪いわけじゃないんですけど、現実的にはなかなかできない。
 いずれにしても、本県では、これまで取り組んできた和歌山方式を継続していって、それで早期に囲い込みをする。それから、重要な施設には持ち込まないように、いろいろな他の方策も含めて努力をしていただくということが現実的であろうなあというふうに考えております。
〇副議長(濱口太史君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
〇奥村規子君 御答弁ありがとうございました。
 今、答弁していただいた中で、全ての人を対象に検査を実施することを求めているのではないということを、まず、分かっていただいてるかと思いますが、そういうことを言っているのではございません。無症状の感染者を見つけ出すという、そういったことで様々なやり方を含めて広げていくということを言ってるので、そういった点について、検査体制はまた、インフルエンザとかこれからまた第3波とか、そういうようなことを想定されて、いろいろと検査能力を上げていくというようなことでは努力していただけるなというふうに思ったんですけども、まず、そういう今やっている有症者から、そして濃厚接触者というようなことのやり方の中に含めて、やはり無症状の感染者を見つけ出すという、そういった点でのお考えについてはいかがかということで、もう一度お伺いいたしたいと思います。
〇副議長(濱口太史君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
〇知事(仁坂吉伸君) よく御理解いただけたと思って安心しておりますけれども、実は和歌山というのは、濃厚接触者を割り出したら、症状があろうとなかろうと、とにかく濃厚接触者は全員検査、濃厚接触者の定義にちょっと当たらなくても、ちょっと外側に、ちょっと怪しいかなと、ひょっとしたら可能性があるという人も、症状があろうとなかろうと全員検査と、こんなふうにやってきたわけでございます。
 実は、第1波のときに大阪がどうなっていたかというと、実はもう手が足りなくなって、濃厚接触者は分かってても症状がある人だけしか検査をしないという原則でやっていて、これは本当は厚労省なんかは「よくない」と言っておるんですけれども、そういう形であって、「こういうことをやってると無限に感染が広がるぞ」と言って、一生懸命大阪にいろいろ意見を申し上げたことがあるんです。
 ですから、奥村議員がおっしゃるように、症状がある、ないということではなくて、この人はうつっている可能性が高いんじゃないかという方は、無症状者でもちゃんと検査をしなきゃいけない。その検査ができるような体制をどうやって維持していくか。つまり、検査をする人って、若干、やっぱり資源が有限でございます。いろんなことをやり過ぎると、その人たちが大事なことができなくなるということもございますので、したがって、一番大事なことをきちんとやるというのを和歌山で一生懸命やっていきたいと思っております。
〇副議長(濱口太史君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
〇奥村規子君 せんだってのGoToが実施されて、ある方なんかは、感染者が少ない和歌山がやっぱり安心だというような形で来てくださった方もあるというようなことをお聞きしました。そういった点でも、県民がやはり安心できるという状態をつくるという意味合いも含めて、できるだけ、さっきおっしゃってくれた「大きなイベントのときには別ですけど」と言われましたが、そういったことも、やっぱりイベントなんかができるような状況にするためにも、一定の検査を広げていくというようなことでよろしくお願いしたいなと思っています。
 次の質問へ行きます。
 二つ目は、インフルエンザとの同時流行への備えについてお聞きします。
 これから秋、冬にかけて、インフルエンザと新型コロナウイルスの同時流行が大変心配されます。発熱などの症状が出たとき、医療機関としては、インフルエンザなのかコロナ感染なのか、どう対応するのかという問題です。
 県は当初から、コロナ感染が疑われるとき、かかりつけ医に相談するよう指導していました。しかし、地域の医療機関では混乱もありました。和歌山保険医新聞によると、保険医協会での緊急アンケート、これは4月20日から4月24日に行われたものなんですが、394医療機関から回答が寄せられています。コロナ感染を疑う患者の来院が「あった」と答えた医療機関は、医科で半数近くありました。そういう患者さんが見えたとき、慢性患者や高齢の患者が同時に受診していることがあり、一般受付とは別に発熱外来を設けたり、診察場所や動線を区別することが求められるが、それは難しいという声や、個々の医療機関では困難なので検査センターを設置してほしいという要望が多く出されています。
 インフルエンザとの同時流行に備え、国は診療の流れを変えるとしています。厚生労働省の事務連絡によりますと、お手元に配付させていただいた資料を御覧いただきたいと思います。「地域の実情に応じて、多くの医療機関で発熱患者等を相談・診療・検査できる体制を整備すること」とされています。
 これまでは、保健所に帰国者・接触者相談センターを設置し、また、疑い患者の診療、検査を行う帰国者・接触者外来を設置し、和歌山のように近くの医療機関を受診した場合でも、保健所に連絡して帰国者・接触者外来につないで、そこで検体を採取するというのが基本的な流れでした。
 今は、検体を採取する協力医療機関も出てきているということです。それを、10月中をめどに、「都道府県は、発熱患者等が、帰国者・接触者相談センターを介することなく、かかりつけ医等の地域で身近な医療機関を相談・受診し、必要に応じて検査を受けられる体制」をつくる、「多くの医療機関で相談・診療・検査を担う体制を構築していく」とされています。つまり、診療・検査医療機関、仮称ですが、これを指定し、そこで診療を受け、検査を受ける。これは検体採取だけでなく、検査の実施も含めてその医療機関で行えるような体制をつくるということです。医療機関で検体を取って環境衛生研究所に運ぶという今の体制から、医療機関で検査実施までできるようにするということだと思います。
 政府の事務連絡では、この体制について、「地域の医療機関で簡易・迅速に行えるよう、抗原簡易キットによる検査を大幅に拡充するとともに、PCR検査や抗原定量検査の機器の整備を促進し、必要な検査体制を確保する」、「新たな検査体制整備計画を策定」するようにとあります。
 インフルエンザとの同時流行に備え、診療や検査体制をどのようにしていくのか、また、住民への周知をどのようにされるのか、福祉保健部長にお伺いいたします。
〇副議長(濱口太史君) 福祉保健部長宮本浩之君。
  〔宮本浩之君、登壇〕
〇福祉保健部長(宮本浩之君) インフルエンザの流行期を控え、発熱等の症状を訴える患者が増加することが想定されますが、季節性インフルエンザと新型コロナウイルス感染症を臨床的に鑑別することは困難です。
 このため、県としては、医療機関の負担の軽減や公衆衛生上の観点から、まず、新型コロナウイルスを診断する必要があると考えており、両方の検査を実施可能な医療機関を増やすよう取り組んでいるところです。
 また、地域の医療機関において、抗原検査キット等を活用し、簡易・迅速に検査ができる医療機関をこれまで以上に拡充するとともに、PCR等検査機器を配備する病院を現在の10病院から16病院に拡充する予定としており、さらなる検査体制の強化に努めているところです。
 受診体制については、国は、これまで帰国者・接触者相談センターで相談することを促していましたが、インフルエンザの流行に備え、かかりつけ医等の地域で身近な医療機関でも相談ができる仕組みに改新するよう指針を出したところです。
 本県では、従来地域の医療機関でも相談や診療を行い、検査につなげる体制を取っておりますが、国の指針も踏まえ、医療機関においては感染防止の取組を一層進めるとともに、発熱等の症状がある方が地域のかかりつけ医等に相談を行った際に、検査が可能な医療機関を紹介できる体制を構築するなど、県民の皆様が安心して医療機関を受診できる体制の整備に努めてまいります。
 また、県民の皆様には、県のホームページや県民の友などを通じて、発熱等の症状が生じた場合には、かかりつけ医等の地域で身近な医療機関にまず相談を行うよう広く周知を行っていきます。
〇副議長(濱口太史君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
〇奥村規子君 インフルエンザと新型コロナウイルスの両方の検査が実施可能な医療機関を増やすように取り組むということで、今、答弁をいただきました。
 抗原検査キット等を活用して、簡易・迅速に検査ができる医療機関をこれまで以上に拡充するということで、検査してもらいやすくなるとか、身近なところでというようなことがうんと広がって、そして、インフルエンザもコロナの感染も防いでいくというようなことだと思います。
 こうした医療機関が一体どの程度、今現在あるのか。また、そういう医療機関というのは診療検査医療機関ということで、10月中をめどにどの程度まで増やしていこうということで考えられてるのか、検討されているかと思いますが、教えていただければと思います。
〇副議長(濱口太史君) 福祉保健部長。
  〔宮本浩之君、登壇〕
〇福祉保健部長(宮本浩之君) インフルエンザの流行に備えて、8月からそういう両方の検査ができる医療機関を増やすことに対して、地域の医師会等の協力なんかも得ながらずっと取り組んできました。
 その結果、これまでの帰国者・接触者外来、地域の医療機関に加えて、現在221の医療機関で実施可能になっています。
 今後もいろいろ検査体制の強化とかはまだまだ必要だと思うんですけど、10月までにどれぐらいということは、ちょっと申し上げることは難しいんですけど、まだまだいろんな体制を強化して、さらに増やして、住民の方が安心して、極めて身近な医療機関で受診できるような体制に取り組んでいきたいというふうに思います。
〇副議長(濱口太史君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
〇奥村規子君 今、お答えしていただいて、地域の医療機関に安心してかかれるよう、また、医療機関側も安心して患者さんを迎えていけるように、そういった点でぜひ十分県としての支援をこれからも引き続いてよろしくお願いしたいと思います。
 三つ目は、感染防護のための物資不足への対策についてお伺いします。
 医療現場の困難は、感染症に立ち向かうために不可欠なマスクやガウン、手指消毒用アルコールの不足から始まりました。現在は市中にもマスクが出回るなど、一定の物資不足は解消されましたが、疑似患者を含め感染者や濃厚接触者の診察時には、接触・飛沫感染の予防として、N95マスクや目の防護具、長袖ガウン、手袋が必要です。特にN95マスクやプラスチック手袋が手に入らず、感染対策が十分できないことへの不安と緊張が続いています。感染防護のための物資の不足が再び起こることのないようによろしくお願いしたいと思います。
 そこで、どのように、今、対策されているのか、福祉保健部長にお伺いいたします。
〇副議長(濱口太史君) 福祉保健部長。
  〔宮本浩之君、登壇〕
〇福祉保健部長(宮本浩之君) 新型コロナウイルス感染症の発生当初、マスクや消毒薬をはじめとした感染予防のための医療物資が、急激な需要の高まりにより十分確保できない状態が続いていました。
 県では、独自の流通ルートを持った業者に調達を強く働きかけたり、国からの供給を要請するなどの取組により、必要な医療物資の確保に努めたところです。
 現在では、プラスチック手袋など、いまだ注文どおりの納入が困難な物資もありますが、医療機関における医療物資の不足は、流通が改善されてきていることもあり、おおむね解消されています。
 今後、再度の新型コロナウイルス感染症の感染拡大に備え、国の緊急包括支援交付金を活用し、医療機関における物資の備蓄を支援してまいります。
〇副議長(濱口太史君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
〇奥村規子君 特に医療の現場で医師、看護師が直接患者さんと接する、そういう場合において、N95マスクというのは微細な物質からの感染を防ぐということで、本当に重要なものなので、それが不足するというようなことがあったら大変なことだと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。そのことを要望して、特に質問は今回してないんですが、改めて要望させていただきたいと思います。
 入院病床の確保などについては、今議会のほかの先生方からも議論があったと思うんですけども、その中で、繰り返しませんが、中でも入院の場合でも、精神、脳を含む障害のある方とか難病の方がコロナに感染した場合の入院受入れについても、また特別な考慮をお願いしたいと思います。これまでも求めてきたところですが、病院や医療機関の減収による経営難、そういった点についても、また検討をぜひよろしくお願いしたいということを要望して、次に行かせていただきます。
 次は、経済対策について、引き続き、コロナ対策に関わって、コロナの影響により、深刻な状況となっている営業、雇用への経済対策についてお聞きします。
 東京商工リサーチが発表した1から8月累計の飲食業の倒産件数(負債額1000万円以上)は、前年同期比13.2%増の583件で、過去最多と報告されています。県内でも旅館など観光業、飲食店はじめ多くの事業者が大きな打撃を受けています。私の身近なところでも廃業した方や廃業を考えているという、そういった声がたくさん聞かれています。
 こういった中で、国の持続化給付金や雇用調整助成金は、対象が広げられたり手続が簡素化されるなど、国民からの声で改善されてきましたが、持続化給付金も1回きりではとても足りないという声が強く上がっています。
 県は、上乗せ支援を決め、支援本部担当課には県民からの相談が相次ぎ、県支援策の申請は想定以上で、補正予算での上乗せも行われたところです。特に小規模事業者がこうした制度を利用するためには、きめ細かなサポートが必要です。
 また、相談は多数寄せられるが、なかなか申請、支給までいかないと言われている雇用調整助成金や、また、家賃支援給付金や休業手当を受けられない労働者が直接申請できる休業支援金については、より踏み込んだサポートが必要だと考えます。
 小規模事業者等へのサポート体制の状況はどうなっていますか。商工観光労働部長にお伺いいたします。
〇副議長(濱口太史君) 商工観光労働部長大山 茂君。
  〔大山 茂君、登壇〕
〇商工観光労働部長(大山 茂君) 県では、新型コロナウイルス感染症に係る支援本部を立ち上げ、各事業者の相談をワンストップで受けることができる相談窓口も開設し、部局を横断し30名体制で対応してきたところです。これまで約1万5000件の相談が寄せられており、県及び国の支援策に係る申請手続の説明等を行っているところです。
 国が実施する持続化給付金や家賃支援給付金、雇用調整助成金などの支援策は、ウェブ申請のみの受付であることや申請書類が複雑なことなど、申請手続が困難であるとの声が多く寄せられたことから、県内の商工会、商工会議所及び社会保険労務士の協力を得て、申請がスムーズに行えるようサポート体制の整備を行いました。
 その結果、8月末までに、商工会、商工会議所には約3万件の相談が寄せられ、また、雇用調整助成金関係では、個人の方からの相談を含め、約1000件の相談が寄せられているところです。
〇副議長(濱口太史君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
〇奥村規子君 今、報告していただいた相談件数が1万5000件の相談ということで、また、コロナ関係では健康推進課さんの専用相談窓口とか1万件以上とか、いろいろそういったことで大変な対応をしていただいてるんじゃないかなということは思います。
 そういった中でも、特に経済対策でいえば、持続化給付金は、売上げが前の年の50%以上減の事業者が対象ということなので、県の支援金もこれを受けた人への上乗せということになっています。
 観光業や飲食業などでは8割減、9割減という事業者も多く、持続化給付金や県の支援金、1回きりではとても足りません。さらなる支援をぜひお願いしたいと思います。
 また、売上げ減が2割、3割という事業者も大変苦労しています。こうした実態についてはぜひつかんでいただいて、対策を、支援策を講じていただけるように要望して、次に行かしていただきます。
 2項目めのカジノ含むIR誘致問題についてです。
 現在の取組状況について、企画部長に三つの点でお尋ねをそれぞれしたいと思います。
 国内のIR施設の制度設計を示す政府の基本方針が、今年1月をめどという予定から無期限先送りという状態です。秋元司元内閣府副大臣らが逮捕されたカジノ汚職事件は、金の力で裁判での証言をねじ曲げようとした証人買収事件にまで発展しました。
 さらに、コロナ感染拡大により、カジノは世界各地で一時閉鎖され、再開後もこれまでのように客を詰め込む事業ができず、賭博収益がほぼ消失しています。どこのカジノも対前年比9割以上の収益減少となっています。
 毎日新聞の社説には、国の「(IR)を整備する計画が行き詰まっている」、「にもかかわらず、政府も誘致自治体もIR推進の姿勢を変えていない。認識が甘いのではないか」と書かれています。
 計画の前提がこのような状況であるが、現在、県の取組状況についてお示しください。
〇副議長(濱口太史君) 企画部長田嶋久嗣君。
  〔田嶋久嗣君、登壇〕
〇企画部長(田嶋久嗣君) カジノを含むIR誘致に関する現在の取組状況についてでございますが、IR誘致については、募集要項等で示したスケジュールに沿って準備を進めており、事業者が作成する提案審査書類の提出期限である10月19日に向けて、参加資格審査を通過した2者と募集要項等の内容について対話を行っているところです。
 引き続き、国の動向を注視しつつ、事業者の選定、区域整備計画の作成等、国への区域認定申請に向けた取組を着実に進めてまいります。
〇副議長(濱口太史君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
〇奥村規子君 今、企画部長の答弁から、着実に、こういったコロナ禍という状況の中でも進めていくという県の姿勢が明らかな答弁だったと思います。
 次、8月26日の衆議院内閣委員会が開催された中で、国土交通副大臣が「今の段階、基本方針、区域整備計画の認定申請時期を、いつまでに出すという設定はない」と答弁しています。したがって、政府の基本方針の公表、決定時期が未定の中、手続を進めるべきではないと思います。
 今後、政府の基本方針にコンプライアンスの確保や新型コロナ対策が盛り込まれると思われますが、県の特定複合観光施設設置運営事業実施方針(案)は撤回して見直すべきと考えますが、いかがでしょうか。
〇副議長(濱口太史君) 企画部長。
  〔田嶋久嗣君、登壇〕
〇企画部長(田嶋久嗣君) IR整備法では、国の基本方針に即して都道府県等が実施方針を策定することになっております。
 一方、昨年9月に公表された基本方針(案)では、基本方針確定前に都道府県等が実施方針の作成等の手続を進めていくことも想定されており、その場合は、国の基本方針確定後、必要に応じて実施方針等の内容の修正を行うこととされています。
 本県では、本年2月、国の基本方針(案)に即して実施方針(案)を作成したところですが、議員御発言のコンプライアンスの確保や感染症対策も含めて、国の基本方針が修正されれば、必要に応じて実施方針(案)の内容を修正した上で所定の手続を進めてまいります。
〇副議長(濱口太史君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
〇奥村規子君 基本方針が出れば、県は実施方針(案)の内容を修正するという答弁だったと思いますが、10月19日に向けて、事業者2者からの提案審査書類というのは、現在の実施方針(案)を基にしたものだと思います。それが変わる、しかもいつ変わるか分からないということですから、このまま事業者の提案を提出させても、これは選出の根拠にはならないかと思うんですけど、その点どのようにお考えでしょうか。
〇副議長(濱口太史君) 企画部長。
  〔田嶋久嗣君、登壇〕
〇企画部長(田嶋久嗣君) 基本方針(案)では、基本方針策定前に県が公募等の手続を行って、その後、基本方針が確定して、県の実施方針ですとか公募要項等の修正が必要となった場合に、事業者から提案された計画について修正を要する場合、修正する機会を与えなければならないとなっております。
 したがいまして、まだ基本方針が出ておりませんので最終確定しておりませんが、それを見させていただいて、事業者に対して修正を追加で求めるような事項がありましたら、それは改めてお願いするということになります。
〇副議長(濱口太史君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
〇奥村規子君 国の基本方針を待たずに進めるということには、私は無理があると思います。今のスケジュールでそのまま進めることはできないと思いますので、少なくとも一旦ストップすべきではないかと申し上げて、次の質問に移ります。
 先ほどの質問の中で触れてましたが、新型コロナウイルス感染症の影響により、世界各地でカジノ施設が一時閉鎖され、再開後もこれまでのようにお客さんが戻らず、カジノビジネスの収益性が失われていると認識しています。
 こうした現状を踏まえると、カジノ収益をエンジンとした日本型IRは成り立たっていかないのではないかと思いますが、県はもう一度立ち止まって考えるべきと再度申し上げたいんですが、その点でまた、御答弁よろしくお願いします。
〇副議長(濱口太史君) 企画部長。
  〔田嶋久嗣君、登壇〕
〇企画部長(田嶋久嗣君) 今年に入り、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、ラスベガス、シンガポール、マカオといった世界の主要地域でIR施設が閉鎖されたことで、業界全体が大きなダメージを受けているのは事実です。
 今後の影響は中長期的に注視する必要がありますが、国が目指すIRのビジネスモデルが新型コロナウイルス感染症収束後に成り立たないのであれば、全てのIR事業者が採算性を考え、日本から撤退するに違いありません。しかしながら、多くのIR事業者は引き続き日本への投資意欲を示しておりますし、実際、本県の事業者公募にも2者が参加しているところです。
 IR誘致については、経済波及効果や雇用創出効果など、本県にとって大きなメリットがあることから、引き続き推進し、国による区域認定を受けられるよう全力を挙げて取り組む所存です。
〇副議長(濱口太史君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
〇奥村規子君 世界的なコロナの感染拡大によって、カジノ収益が大きく落ち込むどころか、カジノ企業が存亡の危機にあるということを指摘せざるを得ません。営業を再開してもコロナ対応が求められるため、アメリカ・ネバダ州では、スロット客間の距離を確保する、テーブルでも人数制限が課され、たとえフル操業状態でも収益の大幅な低下は免れないのではないでしょうか。施設内で対面密集して賭博を行う典型的な3密ビジネスのカジノは、もはやかつての高収益性を失ってしまったのではないでしょうか。
 経済波及効果や雇用創出効果と言われましたが、コロナ禍前につくられた県の基本構想では、カジノ施設の売上げ1401億円、うち外国人によるカジノ売上げが1020億円となっております。そこから経済波及効果や雇用創出効果、県への納付金収入などが計算されています。しかし、コロナ禍による状況の激変で、この実現性が失われているということを指摘して、次の質問に移らせていただきます。
 カジノの最後です。住民団体から、先日、カジノ誘致反対の署名1万6344筆が県に提出されましたが、どのように受け止められているのか、知事の御答弁をよろしくお願いいたします。
〇副議長(濱口太史君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
〇知事(仁坂吉伸君) カジノについて、賛成か反対かの2択で聞きますと、もともと「好きか嫌いで言うと嫌い」という方は結構いると思うし、賭け事が嫌いと思っている方は署名された方もいるんじゃないかなというふうに思います。
 しかし、現実の選択は、賛成なら賛成で弊害は極力なくさないといけないんで、こういうふうにしてなくしましょうということも考えないといけないし、反対なら反対して、潰してしまった後、「代わりの和歌山再興策はこれでいこう」と言えないと、一人前の意見とは現実には言えないということだと私は思います。
 IRには、観光振興や雇用創出など、地域経済の発展に非常に大きな効果があるため誘致を進めており、これをやめてしまえば、若者の県外流出が続き人口減少が加速するなど、将来の発展の機会は失われると思っております。
 「カジノが嫌い」あるいは「カジノが嫌いだから反対」という方に、「このように、例えば人口減少が続いて若者が流出して雇用がなくなって、これに代わるものがないんですがいいですか」とかなんか言うと、「それは困る。それは知事が考えることだ」と、そういうふうに言われると思うんですが、一昔前と違って、IRに匹敵するような大規模な投資とそれによる効果が望めるような施策は見つからない。それで、これは千載一遇のチャンスだと私は思うわけでございます。
 したがって、カジノが「嫌い」あるいは「嫌いだから反対」という方がいるからといって誘致をやめてしまうというのは、将来世代と和歌山県に対して無責任であると考えております。
 その上で、署名をされた皆様がお持ちの御不安、御懸念に対しては、それを払拭できる十分な手だてを国、県ともに講じて、考えているわけですが、それをちゃんと実現するように物事を進めて、それをできるだけ多くの機会を捉えて御説明をしていくということが必要で、できれば御理解を得たいとは思います。
 ただ、どうしても反対だと初めから固く決めていて、その反対の私が賛成するようになるまでは説明不足だと言い続ける人は、どうも手が出ないなあというふうに感じることが結構あります。
 物事を進めようとする者には、どうしてそうなのか、どうしてそんなに進めたいのか、それでも本当に大丈夫かということを説明する責任があるということはもちろんでございますが、反対をする人も、どうしてそうなのか、反対のままでも大丈夫かという説明責任があるんじゃないかなあというふうに、これは感想でございますけれども、最近感じるところでございます。
〇副議長(濱口太史君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
〇奥村規子君 そういう意見を、十分耳を傾けて、説明をするということを優先するんではなくて、理解を求めるということだけでなくて、しっかりとその意見を聞いていくという、県民に寄り添って意見を聞くという、そういった姿勢の中で、やはり将来を考えていく、子供たちの未来を考えていくということは、同じ思いだと思うんです。
 そういう中で、和歌山県が今後どのように発展していくのか、発展させていくのか、そういった点を十分考える中で、じゃあ時間が取れてきたかというと、一方ではカジノありきということで、今、るる説明をいただいた中では、やっぱり推進していくという立場で着々といろんな手順を踏んでいっている。そういった中で、やはり同じ土俵で意見を聞くというような状況かということでは、大変疑問に思うわけです。
 そういう意味合いを含めても、まだまだカジノによって、国のほうがそういった面で大変遅れている状況もある中で、嫌だとか嫌いだとかいうのも一つの大きな県民の思いだと思うんです。そういったことをぜひ受け止めて、十分将来の和歌山県の姿を一緒に共有できながらしていけると、そういった議論を深めていただきたいなあと思いますので、そういう立場で今後とも意見交換をぜひよろしくお願いしたいなと思っています。
 3項目めに参ります。和歌山市西庄太陽光発電計画についてお尋ねします。
 事業者が、県に対して認定申請を提出し、それに対して住民の皆さんが約3500通もの意見を提出しました。県は、和歌山市からの意見聴取を終え、現在、事業所に対して住民などの意見への見解書を求めている段階だとお聞きしています。
 そこで、お尋ねいたします。太陽光条例では、事業計画の内容が認定基準に適合しているかどうかの判断の際、必要に応じて有識者から成る県太陽光発電事業調査審議会に意見を求めることがあるということになっていますが、どのような場合、意見を求めることになるのか、環境生活部長にお尋ねいたします。
〇副議長(濱口太史君) 環境生活部長田中一寿君。
  〔田中一寿君、登壇〕
〇環境生活部長(田中一寿君) 和歌山市西庄で計画されている旭メガソーラー和歌山西庄発電事業につきましては、住民意見に対して事業者から提出された見解の記載内容が不足していることなどから、補正を指導しているところです。
 和歌山県太陽光発電事業調査審議会は、防災、安全、環境、景観分野の専門家で構成され、事業計画の内容、市町村長の意見、住民の意見及び事業者の見解について、自然環境、生活環境、景観等環境保全上及び災害の発生の防止上の見地から必要と考えられる場合に意見を求めることとしております。
〇副議長(濱口太史君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
〇奥村規子君 その際、住民の声が十分反映できるように、そういった点で意見を求めるということになってるんだと思いますが、こういうたくさんの方の意見も含めて、住民の声が十分反映できるようによろしくお願いしたいと思います。
 最後に要望なんですが、県条例の対象となる太陽光発電事業については、条例で適切に対応していただいていることは十分理解しているつもりです。一方、県条例の対象とならない太陽光発電事業については、県内の幾つかの市町が独自に条例を制定し、対応していると聞いています。
 しかし、市町村においては、職員数も少ない中、太陽光発電事業者に対する指導、ノウハウを蓄積することは困難だと思われます。
 県条例の対象とならない規模の事業であっても、市町村に対する適切なアドバイスを、また、違法な行為などが認められた場合には、県から国に対し、FIT法上、何らかの対応をしてもらえるよう求めていただきたいことを要望して、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
〇副議長(濱口太史君) 以上で、奥村規子君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 2番山家敏宏君。
  〔山家敏宏君、登壇〕(拍手)
〇山家敏宏君 皆様、こんにちは。
 まだまだお聞き苦しい点もございますけども、御了承のほどお願い申し上げます。
 今もなお、日本のみならず、世界中で新型コロナウイルスの大流行によって生活が一変しています。一日でも早く元の生活に戻れるように、ワクチンと治療薬の開発を願います。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告書に従い一般質問をいたします。
 大項目1の新型コロナウイルス対策について、最初に小項目1、現状のPCR検査数と今後の検査数、自由診療PCR検査について質問いたします。
 新型コロナウイルスの大流行が収まらない状態で、季節性インフルエンザの流行する季節に入ろうとしている今、季節性インフルエンザと新型コロナウイルスの同時流行が懸念されております。
 また、7月22日から保険適用になっている新型コロナウイルスと季節性インフルエンザの同時鑑別できる新検査法も行われていますけども、県民の皆様は不安を抱え、過ごされていると思われます。
 そこで、現状のPCR検査数、今後の検査数、抗原検査数も含め、また、自由診療PCR検査の現状について、福祉保健部長の答弁を求めます。
〇副議長(濱口太史君) ただいまの山家敏宏君の質問に対する答弁を求めます。
 福祉保健部長宮本浩之君。
  〔宮本浩之君、登壇〕
〇福祉保健部長(宮本浩之君) 県においては、新型コロナウイルス感染患者の早期発見と感染拡大防止のため、これまで検査体制の強化を図ってきた結果、現在、県環境衛生研究センターにおけるPCR検査可能数は、標準的に1日60検体となっています。さらに、PCR検査機器の導入を進めているところであり、導入後は標準的に1日100検体になる予定です。
 なお、集団感染が発生した場合には、囲い込みのために迅速に結果を出す必要があることから、フル稼働で1日約250検体に上る検査が実施可能になる見込みと考えています。
 また、和歌山市衛生研究所では、標準的に1日68件の検査能力を備えています。
 加えて、県が10か所の病院に1日20検体以上の検査が可能なPCR検査機器を設置し、院内で検査を実施できる体制を整えているほか、地域の医療機関においては民間検査機関の活用や抗原簡易キットによる検査などを行う体制を整えており、総じて、現状では、県内全体で約700検体以上の検査が可能となっています。
 今後、さらに6か所の病院にPCR検査機器等を追加配置する予定であるほか、抗原検査などを実施可能な地域の医療機関の拡充に努めてまいります。
 なお、自由診療によるPCR検査については、県内にも、費用は全額自己負担で、海外への渡航に当たり検査が必要な方などを対象にPCR検査を行っている医療機関があると聞いていますが、詳細は把握しておりません。
 県としましては、新型コロナウイルス感染患者の早期発見と感染拡大防止のため、引き続き、検査体制の強化に取り組んでまいります。
〇副議長(濱口太史君) 山家敏宏君。
  〔山家敏宏君、登壇〕
〇山家敏宏君 ありがとうございます。
 続いて、小項目2の保健所でのPCR検査実施者の定義について質問いたします。
 PCR検査というワードをニュース等から聞くだけで、今でも高熱が続いた場合、本人も御家族の方も心配なために、新型コロナウイルスの検査をしてもらえるものだと思われている方もいるようで、実際のPCR検査までの流れや内容まで分からない方が多く、私も県民の方からPCR検査について質問等をいただきます。その都度、県職員の方に相談させていただくんですけども、和歌山県でのPCR検査実施者の定義について、福祉保健部長の答弁を求めます。
〇副議長(濱口太史君) 福祉保健部長。
  〔宮本浩之君、登壇〕
〇福祉保健部長(宮本浩之君) 保健所でのPCR検査実施対象者についてですが、県民から相談があった場合は、発熱、せき、全身倦怠感、味覚・嗅覚異常などの症状や肺炎の有無、県外への滞在歴、勤務歴、県外から来られた方との接触歴等を聞き取るとともに、医療や介護従事者など、集団感染が起こる可能性を考慮するなど、総合的に判断し、検査の対象としています。
 また、かかりつけ医が新型コロナウイルス感染を疑い、検査を必要と判断した場合も、保健所と協議し、同様な対応を行っております。
 なお、新規感染者が確認された場合は、保健所が疫学調査により濃厚接触者等を特定し、症状の有無にかかわらず幅広くPCR検査を行っているところです。
〇副議長(濱口太史君) 山家敏宏君。
  〔山家敏宏君、登壇〕
〇山家敏宏君 ありがとうございます。
 私が心配に思っていることは、例えば発熱等の症状があり、かかりつけの医師に相談した結果、PCR検査が必要との判断、その後、保健所での問診結果では不必要になった場合、かかりつけの診療所、その他の診療所でも診察を拒まれるのではないかということです。
 症状がある方に対しては、できる限り多くの方の検査を要望いたします。
 続いて、小項目3の陽性から退院までの日数について質問いたします。
 皆様も御承知のように、現在、陽性判断から退院までの日数が短縮されています。厚生労働省の基準で、6月11日までは発症日から14日間経過し、かつ症状軽減から72時間経過した場合に退院可能となっていました。6月12日からは、発症日から10日間経過し、かつ症状軽快後72時間経過した場合に退院可能に変更になっています。
 和歌山県では退院時のPCR検査を実施いたしますけども、陽性のまま退院になる方もおられますので、退院された方もその御家族の方々は非常に不安を抱えていると聞いております。最低でも退院時にはPCR検査での陰性が望ましいと考えますけども、科学的根拠も含めて、福祉保健部長の答弁を求めます。
〇副議長(濱口太史君) 福祉保健部長。
  〔宮本浩之君、登壇〕
〇福祉保健部長(宮本浩之君) 新型コロナウイルス感染患者の退院については、感染症法に基づく退院基準が国から示されており、当初は症状軽快後にPCR検査を実施し、2回陰性が確認されることが条件となっていました。
 しかし、その後、発症後9日以降や症状軽快後の3日後になると、培養可能なウイルスが分離されなくなり感染力はなくなるとされ、また、こうした時期にはおおむねこのウイルスに対する抗体ができているとの考えから、6月12日に退院基準が改正され、現在は、原則として、有症状者については、発症日から10日間経過し、かつ症状軽快後72時間経過した場合、無症状病原体保有者については、検体採取日から10日間経過した場合と規定されており、退院前の陰性の確認は必要とされていません。
 本県では、退院基準を満たし、退院した後においても抗体ができておらず、いまだに感染能力を保持していることを疑わせるような事例が発生していることを踏まえ、退院後2週間の健康観察を行っております。
 現状では、そういった事例から家族等への2次感染は発生しておりませんが、国民に不安を与えないよう、科学的根拠をきちんと示して国民に分かりやすく説明するよう、国に要望を行っているところです。
〇副議長(濱口太史君) 山家敏宏君。
  〔山家敏宏君、登壇〕
〇山家敏宏君 御答弁ありがとうございます。
 新型コロナウイルスの終息にはまだ時間がかかる中、新型コロナウイルスによる差別問題についても、どうにかしなければならない問題だと思っております。人々は、不安を抱え正確な情報がないと、偏見や固定観念で行動してしまいます。不安が高まっていくと冷静な判断を失い、感染患者やその御家族、医療・福祉従事者に対して心ない言動や行動を起こし、まるで悪いことをしたかのような扱いをするので、休職や離職につながる大きな問題に発展します。
 そのため、差別や偏見を恐れた感染患者やその御家族は、医療機関への受診をためらい、そのことがさらなる感染拡大につながり、さらに、医療崩壊にもつながりかねません。また、医療・福祉従事者、その御家族も、常に新型コロナウイルスと向き合っている不安と慢性的な疲労感やストレスで鬱状態になるおそれもございます。
 心からの感謝の気持ちを伝えるとともに、少しでも心の支えとなっていただけるような応援メッセージや適切で正しい情報伝達をするためにも、微力ではありますが、私も何らかの形でお手伝いし、思いやりの心のある社会になってほしいと願っております。
 続いて、大項目2、和歌山県福祉のまちづくり条例について質問いたします。
 条例の前文には、「私たち一人一人が自立し、生きがいを持ち、住み慣れた地域で安心して生活を営むことができる真に豊かな福祉社会の実現は、私たちすべての願いである。このような社会を実現するためには、一人一人が個人として尊重され、社会からのサービスを平等に享受でき、個性と可能性に応じたあらゆる分野での社会参加の機会が平等にもたらされなければならない。このためには、障害者や高齢者等の行動や社会参加の機会を阻んでいる様々な障壁を取り除き、すべての人が自らの意思で自由に行動し、主体的に社会参加ができ、共に地域社会で快適に暮らせる福祉のまちづくりを推進していくことが必要である。ここに、私たち県民は、福祉のまちづくりを推進するために、共に力を合わせ、不断の努力を傾けることを決意し、この条例を制定する」と定義されています。
 この条例が平成8年10月に制定されてから約24年が経過し、県内全域で多目的トイレ、多目的駐車場、点字ブロック、スロープ等の設置もかなり進み、趣旨にもある障害者や高齢者等の自由に行動し主体的な社会参加ができる社会になってきております。
 制定当時、私は専門的な観点から見て、運用面で難しい部分があるなと正直感じたところもございましたけども、しかしながら、すばらしい条例を制定していただいたことに、当時の推進検討委員会の皆様や関係者の皆様に感謝申し上げます。
 先ほど、運用面において難しい部分があると述べさせていただいた部分は、小項目1の既存建築物の利用目的の変更における対応についてです。そのことについて質問させていただきます。
 以前から、公共建築物については適切に対応されているようですけども、民間建築物においては心配される点があります。それは、小規模施設の利用目的を変更する場合の対応です。
 この条例では、建築物の新築や増改築はもとより、既存建築物の利用目的を変更する場合には、社会福祉施設や診療所等は、その規模にかかわらず、整備基準への適合が求められ、届出が必要とされています。
 このような場合において、建築基準法に基づく申請が必要な建築規模であれば、万が一届出が出されていなくても、審査部局の方から届出を求めることができ、整備基準への適合を確認することが可能になります。しかしながら、テナント、空き家等を賃借した場合は、建築基準法に基づく申請等が不要な建築規模になる可能性が高く、届出がなされず見過ごされていることがあると思われます。
 さらには、利用目的を変更する申請等が必要な建築物の規模は、令和元年6月に改正された建築基準法により、それまでの100平米を超える場合であったものから200平米を超える場合に緩和され、ますます見過ごされる可能性があります。実際に対応できていない建築物も存在するのではないかと危惧しています。
 それらをなくしていくためにも、施設の開設に関して許認可を担当する部署から事業者に周知し、整備基準への適合に誘導することが有効であると考えます。
 そこで、建築基準法における用途変更手続が不要となる施設の対応状況について、県土整備部長の答弁を求めます。
〇副議長(濱口太史君) 県土整備部長庄司 勝君。
  〔庄司 勝君、登壇〕
〇県土整備部長(庄司 勝君) 議員御指摘の問題につきましては、既存建築物の用途を福祉関連施設等に変更する際、和歌山県福祉のまちづくり条例で届出を求められているものの、建築基準法による建築確認申請が不要な規模の変更については届出が十分になされていないのではないかという指摘と認識してございます。
 県といたしましては、議員御指摘のような事例が生じないように、これまでも建築士や工務店に対し、講習会等の機会を設け、条例に基づく届出が必要である旨、周知しています。直近では、令和元年8月に行われた改正建築基準法の講習会において131名の建築士等に対し周知したところです。
 また、民間事業者からのバリアフリー改修のための整備や届出に関する相談に対応する和歌山県福祉のまちづくり施設アドバイザー派遣事業も実施しているところです。
 今後はこれらの取組を鋭意実施していくとともに、議員の御提案も踏まえ、福祉施設等の開設に際し、事業者から関係部署に相談があった場合や事業者向けの講習会等の機会を捉え、本条例の届出制度などを分かりやすく解説したリーフレットを配布するなどにより、広く周知してまいる所存です。
〇副議長(濱口太史君) 山家敏宏君。
  〔山家敏宏君、登壇〕
〇山家敏宏君 ありがとうございます。
 私は、特に関係部局との連携を密にしていただくことが一番有効だと考えていますので、よろしくお願いいたします。
 続いて、小項目2の視認性に配慮した条例施行規則の運用方法について質問いたします。
 高齢者の方々は、住み慣れた自宅等でも、ちょっとした段差につまずき、けがをしたという話をよく聞きます。これは、どうしても加齢に伴い視覚が低下し、段差に気づかないことが原因であると考えられています。
 条例では、駐車場等から建物に至る経路に段差があれば、勾配12分の1以下でのスロープ設置を整備基準で定めていますので、条例に該当する建築物では、よくスロープと階段を併設していますが、ほとんどの高齢者の方は、距離が長くなるスロープの使用より階段を利用しています。階段等でつまずくと大けがにつながるおそれがありますので、その対策は非常に重要であります。
 当然のことではありますけども、段差があることが分かりやすくなるような視認性を高めることが一つの対策です。県の公共施設に関しては適切に対応されておりますけども、民間建築物については、より一層の配慮が必要であります。
 そこで、建築物の階段等の視認性の配慮に関する基準とその遵守に関する取組状況はいかがでしょうか。県土整備部長の答弁を求めます。
〇副議長(濱口太史君) 県土整備部長。
  〔庄司 勝君、登壇〕
〇県土整備部長(庄司 勝君) 議員御質問の建築物における階段の視認性の配慮に関する整備基準につきましては、条例施行規則に「踏面の端部とその周囲の部分との色の明度の差が大きいこと等により段を容易に識別できるものとすること」と規定されています。
 県といたしましては、民間建築物においてもこれらの整備基準が遵守されるよう、整備例などを図示した設計マニュアルを策定し、その内容を講習会やホームページにより設計者等に周知しています。
 また、届出の対象となる建築物を整備する際には、整備基準への適合状況を確認するため、条例に基づき工事完了時に検査を行っております。
〇副議長(濱口太史君) 山家敏宏君。
  〔山家敏宏君、登壇〕
〇山家敏宏君 ありがとうございました。
 建築物、また歩道等においては、視認性に配慮しなければならない部分も多々ございますけども、今回は階段等ということで質問させていただきました。建築士の方のデザインの関係もあると思いますけども、事故が起こってからでは遅いので、今後とも徹底した運用、誰もが快適に暮らせる福祉のまちづくりのさらなる推進をよろしくお願いいたします。
 続いて、大項目3、紀州材を利用した木造の応急仮設住宅の取組について質問いたします。
 今年の1月26日、和歌山県木造住宅生産体制強化推進協議会主催の応急木造仮設住宅施工マニュアル研修に参加させていただき、木造仮設住宅に関わる取組について勉強させていただきました。
 木造応急仮設住宅は、平成23年から増加しています。平成23年3月の東日本大震災では、岩手県、宮城県、福島県の3県を合わせて1万3335戸、25%の建設、平成23年8月の紀伊半島大水害では奈良県で57戸、50%の建設、平成24年の熊本広域大水害では仮設住宅48戸全戸を木造建設、平成28年4月の熊本地震では683戸、16%の建設、平成30年7月豪雨でも、愛媛県172戸のうち160戸、93%が木造の仮設住宅です。
 プレハブと木造を比較しますと、木造仮設のメリットとして、生活環境が優れているため、入居者に好評であります。また、入居者が退去後でも、基本的に買取りであるため、恒久的に公営住宅、地域の集会所等にも利用できると考えられます。デメリットとしては、プレハブより木造仮設の工期が比較的長くなると考えられます。これらの工期に関しては、大工職人以外でも建築可能なプレカット金物工法、また、建築仕様を確立しておくことで短縮できると私は考えております。
 当然木造材料には、本県の紀州材の利用をしていただくようお願いいたします。
 このように、私は災害時における木造仮設住宅が円滑に建設できる供給体制をさらにスピード感を持って推し進めていただきたいという考えで、現状の取組状況について、県土整備部長の答弁を求めます。
〇副議長(濱口太史君) 県土整備部長。
  〔庄司 勝君、登壇〕
〇県土整備部長(庄司 勝君) 木造仮設住宅が円滑に建設できるための供給体制について御質問をいただきました。
 災害時においては、被災者の居住の安定を図るために、可能な限り短期間で仮設住宅を供給する必要があります。この応急対策の要の一つである仮設住宅を木造で建設する場合には、建設資材である木材と木造建物の建設に従事する人材を切れ目なく供給する体制が必要になります。
 まず、建築資材の供給体制につきましては、県内外の建築関係3団体で構成される和歌山県応急木造仮設住宅建設協議会と、平成30年に災害時における木造の応急仮設住宅の建設に関する協定を締結し、民間が保有する流通ネットワークを活用した建設資材の確保を可能にしたところです。
 また、本協定においては、県内で製材された木材を使用することを原則としており、可能な限り紀州材を利用したいと考えてございます。
 次に、建設従事者の確保につきましては、もとより人手不足が問題となっている業界でありますが、協議会とも連携して建設従事者の確保に向け、引き続き努力を続けていく所存です。
 また、議員御指摘の大工職人以外でも施工できるプレカット金物工法は、施工の省力化や合理化を図れる工法であり、このような工法を採用し、大工の作業工程を減らすことで必要な建設従事者の確保が可能と考えます。さらに、建設従事者の労力を減らし、建設が円滑に行われるよう、木造仮設住宅の仕様書を、今年度末を目標に作成しているところです。
 県といたしましては、引き続き協議会と協力しながら、災害時における木造仮設住宅が円滑に建設できるよう、建設資材の供給体制の確立や建設従事者の確保等を進めてまいります。
〇副議長(濱口太史君) 山家敏宏君。
  〔山家敏宏君、登壇〕
〇山家敏宏君 御答弁ありがとうございます。
 県土整備部の方々におかれましては、推進協議会での講師をしていただき、誠にありがとうございました。
 今後も生産体制の役割分担を確立しておくことで工期短縮は可能でありますので、それらも踏まえながら、引き続き木造仮設住宅の推進をお願いいたします。
 続いて、大項目4、本県における県立高校普通科の今後の在り方について質問いたします。先日来の藤本議員、佐藤議員の質問と重複する部分もございますが、御了承ください。
 私は、昨年12月議会で、県立高等学校の将来に向けた取組について質問させていただきましたが、内容は、他市町村から和歌山市の高等学校への生徒流出が激しくなってきております。私は、それぞれの高等学校の特色をさらに生かし存続することが重要だと思っております。
 また一方では、県として、高等学校の在り方について、将来展望を持つことはとても重要であるとしていることから、そのことについて、教育委員会の取組状況をお伺いいたしました。教育長の答弁では、「各地域における高等学校には、それぞれの地域社会を担う人材を育成するという役割が強く期待されており、そのための教育環境の整備が必要です。一方で、人口が大きく減少する地域においては、地域とともに持続可能な高等学校のあり方が求められています。今後の高等教育のあり方を示す高校教育ビジョンをまとめていくため、有識者等から成るきのくに教育審議会を立ち上げ、審議をお願いしている」ということでした。
 皆様御承知のとおり、今年8月に第6期きのくに教育審議会の答申が発表されました。答申の中で、今後15年間でなすべき方向性として、和歌山市周辺では普通科高校を4校、工業・商業・総合学科の拠点校を各1校、それ以外の地域では普通科高校を各市域に1校、工業・商業・農業が専門的に学べる学校または学科を紀北、紀南に各一つ、現在の29校ある全日制学校がおよそ3分の2、20校程度になるとなっております。
 今年、令和2年3月の中学校卒業生徒数は約8000人でした。ピーク時の平成元年3月の中学校卒業生生徒数の約1万8000人から比べると半数以下にまで減少しております。その後も減少傾向が続くとなっております。
 答申の内容にもある学校行事や部活動の活性化、進路希望に応じた科目の開講の充実などを踏まえ、1学年6学級制を考慮し、高等学校数の減は仕方がないことだと理解しております。
 教育委員会でも、答申を踏まえた(仮称)再編整備実施プログラムを作成すると聞いておりますけども、現状は、難関大学への進学を目指す生徒は偏差値にこだわり、和歌山市の県立高等学校や私立高等学校に進学する傾向が強く、地元から流出しています。
 また、和歌山市を除いた各市域の普通科は1校にするとなっておりますけども、もちろん今回の答申を踏まえた上でのことですけども、再編整備方法次第によっては、難関大学への進学、また、専門学校を目指す生徒も含め、地元の普通科に進学したくなるような魅力あるプログラムでクラス編制等を行うことができる大きなチャンスだと考えております。
 そこで、教育長のお考えをお聞かせ願います。
〇副議長(濱口太史君) 教育長宮﨑 泉君。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
〇教育長(宮﨑 泉君) 地域の県立高校普通科の今後の在り方についてでございますが、答申では、昨今の普通科志向の中で、確固とした動機を持たずに普通科へ入学する生徒が少なからずいることや、普通科の一斉的・画一的な授業が生徒の学習意欲を低下させることなど、幾つかの課題が指摘されています。また、地域外や県外の高校への進学を選択する生徒が多くなっていることも課題として示されています。
 そのような状況の中で、各地域に活力と魅力を備えた高校、自己実現が十分に果たせる高校を整備していくことが重要だと考えています。
 特に、議員御指摘のように、それぞれの普通科高校には、高い目標に挑戦できる環境を保障する必要があるため、教員の専門性や指導力の向上、カリキュラム編成の工夫等に引き続き取り組んでまいります。
 県教育委員会といたしましては、子供たちや地域に信頼され、夢や希望を与えられる高校を整備できるように取り組んでまいります。
〇副議長(濱口太史君) 山家敏宏君。
  〔山家敏宏君、登壇〕
〇山家敏宏君 御答弁ありがとうございます。
 ぜひ、地元の生徒たちが地元の高等学校へ進学したいと思うような再編整備実施プログラムをよろしくお願いいたします。
 以上で、私の一般質問を終了いたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇副議長(濱口太史君) 以上で、山家敏宏君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会は9月23日定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時33分散会

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