令和2年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


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令和2年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号

令和2年9月
和歌山県議会定例会会議録
第2号
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議事日程 第2号
 令和2年9月16日(水曜日)

 午前10時開議

 第1 議案第114号から議案第130号まで(質疑)

 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第114号から議案第130号まで(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(42人)
 1番 鈴木德久
 2番 山家敏宏
 3番 中本浩精
 4番 堀 龍雄
 5番 藤山将材
 6番 岸本 健
 7番 井出益弘
 8番 宇治田栄蔵
 9番 北山慎一
 10番 玄素彰人
 11番 中西峰雄
 12番 秋月史成
 13番 森 礼子
 14番 濱口太史
 15番 尾崎要二
 16番 冨安民浩
 17番 川畑哲哉
 18番 玉木久登
 19番 鈴木太雄
 20番 岩田弘彦
 21番 吉井和視
 22番 谷 洋一
 23番 佐藤武治
 24番 岩井弘次
 25番 中 拓哉
 26番 多田純一
 27番 新島 雄
 28番 山下直也
 29番 中西 徹
 30番 谷口和樹
 31番 藤本眞利子
 32番 浦口高典
 33番 山田正彦
 34番 坂本 登
 35番 林 隆一
 36番 楠本文郎
 37番 高田由一
 38番 杉山俊雄
 39番 片桐章浩
 40番 奥村規子
 41番 尾﨑太郎
 42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       細川一也
 危機管理監      森田康友
 総務部長       田村一郎
 企画部長       田嶋久嗣
 環境生活部長     田中一寿
 福祉保健部長     宮本浩之
 商工観光労働部長   大山 茂
 農林水産部長     角谷博史
 県土整備部長     庄司 勝
 会計管理者      城本 剛
 教育長        宮﨑 泉
 公安委員会委員    竹田純久
 警察本部長      親家和仁
 人事委員会委員長   平田健正
 代表監査委員     保田栄一
 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       中川敦之
 次長         井邊正人
 議事課長       山田修平
 議事課副課長     岩井紀生
 議事課議事班長    岸裏真延
 議事課主査      松田太郎
 議事課主査      伊賀顕正
 議事課主事      浅田晃秀
 総務課長       嶋岡真志

 政策調査課長     神川充夫

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  午前10時0分開議
〇議長(岸本 健君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第114号から議案第130号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、併せて日程第2、一般質問を行います。
 20番岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕(拍手)
〇岩田弘彦君 皆さん、おはようございます。
 令和2年度9月議会、質疑一般質問、先頭を切って質問の機会を与えていただきましたことに感謝申し上げまして、ただいま議長のお許しをいただきましたので、一般質問に入らしていただきます。
 まず、大項目1番、新総理大臣に期待することとさしていただいて、去る8月28日、安倍首相は、持病の悪化が原因で突然辞意を表明されました。このことに大変驚きました。誠に残念であります。
 安倍首相は、戦後最長となる7年8か月の長きにわたり政権を担ってこられ、デフレ経済克服のためのアベノミクスと呼ばれる大胆な経済対策を講じられました。その結果、GDPの上昇、雇用情勢の改善に加え、株価が上昇するなど、戦後最長に匹敵する景気回復を成し遂げられました。
 安倍首相の辞意表明を受け、新型コロナ危機に切れ目なく対応するため、速やかに自由民主党総裁選挙が行われ、9月14日、菅義偉第26代総裁が誕生いたしました。本日、臨時国会が開かれ、首相指名選挙を経て、菅新内閣が誕生することと思います。
 安倍内閣発足以来、総理大臣の右腕である官房長官として内閣を支えてこられました。その手腕について異論がないことは衆目の一致するところであり、私も大いに期待しているところであります。
 菅総裁は、今回の総裁選出馬に当たり、人と人との絆を大切にし、地方の活性化、人口減少等の課題解決を図るため、「自助・共助・公助~地方から活力あふれる日本に!~」を政治理念として掲げられております。まさしく和歌山県をはじめとした地方の活性化なくしては、今回の新型コロナウイルス感染症で疲弊した我が国の経済再生はなし得ないと私は考えております。
 そこで、今回誕生するであろう菅新総理大臣に対し、地方の活性化についてどのように期待されているのか、知事にお伺いします。
〇議長(岸本 健君) ただいまの岩田弘彦君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
〇知事(仁坂吉伸君) 菅自由民主党新総裁は活力ある地方をつくるため、頑張る地方を政治主導でサポートするということを宣言されており、総理として地方に寄り添った政策を実施されるものと大いに期待しております。
 まず、現下のコロナウイルス禍に対応するため、保健医療行政の体制確保に対する支援とともに、観光産業をはじめ甚大な影響を受けている多くの中小事業者が事業を継続しつつ、次なる展開に備える取組にも支援を望みたいと思います。
 また、地方はそれぞれが様々な課題を抱えておりまして、特に和歌山県においては、半島性の脱却のための高速道路の延伸や、近い将来発生すると見込まれる巨大地震に備えるための国土強靱化が課題となっているが、引き続き、これらの政策を進めていただきたいと思います。
 今回のコロナウイルス禍において、東京一極集中の弊害がクローズアップされました。今後、その是正のための試みがいろいろ出てくると思います。企業の地方移転や移住といったもの、あるいはワーケーションをやってみるというような、そういう様々なバランスの取れた施策が必要と考えておりまして、国においても取組に支援されるように要望してまいりたいと思います。
 いずれにしても、新政権が間もなく誕生いたしますが、我々地方の声を聞いていただき、国民、県民の幸せに全力を尽くしていただきたいと、県民を代表して強く思います。
〇議長(岸本 健君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
〇岩田弘彦君 今、知事の御期待というのを聞かしてもろたんですが、現時点の報道ではありますが、我が自由民主党和歌山県連二階会長が、また引き続き自民党の幹事長をされるというのもお聞きしておりますので、この期待が実現に変わるように、共に頑張っていかしていただいたらと思うてますので、知事、一緒に頑張りましょう。
 次、第2大項目、新型コロナウイルス感染症対策について、(1)感染症対策の現状と今後の取組についてであります。
 知事は6月議会において、新型コロナウイルス感染症の第2波、第3波に備え、県の保健医療体制をさらに充実していくことが喫緊の課題であると認識を示され、「保健医療行政の要は、これまで取り組んできた早期発見、早期隔離、徹底した行動履歴調査を行う和歌山方式を着実に実行していくことである」と述べられました。
 こうした観点から、本県では、和歌山方式の継続的な実施はもとより、感染者の早期発見にとって不可欠なPCR検査体制の処理能力の増強、感染患者の増加に備えた病床の確保、医療機関や福祉施設における感染防止のための環境整備など、新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策に引き続き精力的に取り組まれていると思います。
 しかしながら、7月に入り、全国的に第2波による新規感染者の増加が始まり、連日のように、東京や大阪の状況を中心にマスコミ報道がされておりました。マスコミ報道は常に東京とか大阪ばっかりのことを報道されていると思うんですが、和歌山県の状況は、その状況とは違うと思います、和歌山方式で頑張っているので。
 そこで、本県の感染状況、対策の取組状況並びに今後の取組について、知事にお伺いします。
〇議長(岸本 健君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
〇知事(仁坂吉伸君) 県内の感染状況については、6月には一定の収束を見ていたのですが、7月以降、感染者が急増した都市部からの感染移入により、再拡大してしまったところでございます。
 感染拡大防止対策は、保健医療行政の努力と県民の皆様の行動や営業の自粛の協力の足し算だというふうに考えております。県民の皆様にもいろいろ御協力をお願いいたしましたけども、かつてのように行動や営業の自粛に頼り過ぎると、生活や経済に大きな影響を与えてしまうということが分かってまいりましたので、まずは保健医療行政の努力で必死に持ちこたえさせようと、そういうふうに考えているわけでございます。
 本県では、従来実施しております早期発見、早期隔離、徹底した行動履歴の調査、これを和歌山方式と勝手に言っておったんでございますが、どうも見ておりますと、もう一つあるなあと。実は和歌山県は、和歌山県の健康局長をトップにするような体制が全県的にできていて、保健所の統合ネットワークシステムがちゃんとできてるんですね。他県を見ると、特に大都市なんかは、てんでばらばらというのが結構ありまして、これはいかんなと思っておるんですが、幸いこの四つ目の特色も和歌山方式と言うべきだというふうに思っております。
 そういうことに加えまして、県議会に随分御無理を申し上げまして、県環境衛生研究センターや地域の中核病院の機器整備をさしていただきまして、PCR検査体制をさらに強化をしてまいりました。加えて、医療機関におけるさらなる受入れ病床の確保や保健所の体制整備にも懸命に取り組んでいるところでございます。
 もちろん県民の皆さんにも、野放図にというわけにはいきませんので、感染の再拡大を招いた要因等を踏まえまして、8か条から成る県民の皆様へのお願いを発出しておりまして、感染拡大防止の徹底を県民の皆様に強く訴えるとともに、事業者の皆様には、感染拡大予防ガイドラインの遵守の徹底を働きかけてきたところでございます。
 あわせて、甚大な影響を受けている地域経済への対応といたしまして、事業者の事業継続を強力に支援するため、全国に先駆けて実施した県独自の包括的な支援策なども講じてきたところでございます。
 こうした取組が功を奏しまして、9月に入りまして県内の新規感染者数は減少傾向となってきたところでございまして、第1波の際のように厳しい行動や営業の自粛をお願いすることなく、今回の感染拡大局面を抑制できたかな、あるいはできているかなというふうに認識しております。
 その結果、観光や産業活動など、恐らく落ち込みもありますけど、落ち込みは全国一少ない状態で保たれてるんじゃないかと思います。
 なお、今般、実はそうやってきっちりやってまいりました感染症法上の我々の活動なんですが、この感染症法上の類型を見直そうとする動きが国においてございます。これまでの本県の分析結果から、例えば陽性が判明した時点で無症状であっても、その後、重症化する場合もあるわけでございますので、措置入院は絶対必要だというふうに思います。それが本県では滞りなくできているわけですから、それができなくなるというようなことを国においてされちゃうと、とんでもないことになるぞということで、感染者は全員入院の上、適切な入院治療と経過観察を行う現在の体制を維持していくことが不可欠だと思いまして、国に、これは熱心に申入れをしているところでございます。
 本県では、これまでも保健医療行政による感染の拡大防止と経済対策の取組により、社会経済活動との両立を図ってきたところでございますけれども、引き続き、和歌山方式を徹底し、県民の命と暮らしを守りながら、新型コロナウイルス対策に積極的に取り組んでいきたいと思います。
〇議長(岸本 健君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
〇岩田弘彦君 知事、答弁ありがとうございました。
 私も知事と同じ意見なんですが、和歌山方式が一番合理的で一番しっかりとした取組ができると思います。
 今、何か国で言ってんのは、過密都市、東京とか大阪の事情に配慮すると、そういうふうにしなければならない物理的なこともあってやられてるんと違うかなと私は勝手に推測してるんですが、和歌山もしっかりできておりますので、それについてはやっぱり、東京者の都合で地方に合わせと言うてるように、僕、耳がちょっと悪いか分かりませんが、聞こえてしゃあないんで、和歌山は和歌山の方法として堂々と、僕は一番信頼受けてると思うんで、それで進めていっていただけたらいいと思いますので、よろしくお願いします。
 次に、何点か、これは部長のほうにちょっと確認さしていただきたいんですが、今後、感染拡大に備えるためには、私は、全国的にも評価が高くて県民の信頼が厚い和歌山方式のさらなる充実が必要であると思います。
 和歌山方式の重要なポイントの一つは、陽性が判明した時点で、無症状であっても感染者は全員入院の上、適切な入院治療と経過観察を行う体制にあると私は思います。このためには十分な感染症病床を確保しておく必要があります。
 また、最前線において、感染防止の重要な役割を担っている保健所体制の充実、先ほど知事も言われてましたけど、これは必要不可欠であります。
 そこで、改めて確認さしていただきますが、感染病床の確保体制と保健所体制における現状と今後について、福祉保健部長にお伺いします。
〇議長(岸本 健君) 福祉保健部長宮本浩之君。
  〔宮本浩之君、登壇〕
〇福祉保健部長(宮本浩之君) 県内で初めて感染者が確認された当初、32床の感染症病床を確保していましたが、その後の感染拡大を受け、医療機関への協力要請により、順次病床数を拡大し、必要となる医療提供体制を確保しているところです。
 具体的には、7月以降に感染が再び拡大し、8月には県内の入院患者数がこれまでの最多となる50人となり、当時は病床の逼迫が懸念されましたが、その後も病床確保を図り、現状では約200床の受入れ病床を確保しているところです。
 また、今後のさらなる感染拡大に備え、重症用病床40床を含む最大400床の受入れ病床を確保する体制を構築しております。
 次に、保健所の体制整備についてですが、保健所は、感染症への対応に当たり、疫学調査や感染者等の健康観察など、最前線において感染症の拡大を食い止める役割を担う非常に重要な機関であることから、集団感染発生時においては、県立保健所間での相互応援などによる体制強化を図るとともに、検体搬送など、特に専門性を要しない業務については他部局の職員が後方支援を行うなど、職員が疫学調査など専門的に感染拡大防止対策に専念できる体制を構築しているところです。
 また、今後の感染拡大に備え、和歌山県看護協会や県内市町村との保健師応援体制の整備など、保健所体制のさらなる充実に向け、引き続き取り組んでまいります。
〇議長(岸本 健君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
〇岩田弘彦君 部長の答弁で、200床を400床確保ができる体制はできてます、保健所のほうも質を上げて連携も協力体制もできてますということで、ちょっとほっとさしていただきましたんで、この和歌山方式、しっかりまた頑張っていただいてよろしくお願いします。
 次に、もう一つ気になる点がありまして、検査体制の拡充についてであります。
 今後訪れる季節性インフルエンザの流行期には、発熱等の症状を訴える方が大幅に増え、検査や医療需要が急増することが懸念されております。さらなる検査体制の充実が必要であると考えます。
 また、発熱患者が新型コロナウイルスの検査についても季節性インフルエンザと同じように、地域の医療機関で簡易、迅速に行えるよう、帰国者・接触者相談センターを介することなく、かかりつけ医など身近な医療機関などに相談、受診し、必要に応じて検査を受けられる体制を整備することが必要ではないでしょうか。
 今後の検査体制の充実についてどのようにお考えなのか、福祉保健部長にお伺いします。
〇議長(岸本 健君) 福祉保健部長。
  〔宮本浩之君、登壇〕
〇福祉保健部長(宮本浩之君) 季節性インフルエンザの流行期には、例年多数の発熱患者が発生し、今年度も同程度の患者が発生することが想定されますが、発熱等の症状のある患者に対して、季節性インフルエンザと新型コロナウイルスとを臨床的に鑑別することは困難です。
 こうしたことから、各医療機関では、両方のウイルスを想定した診療体制が必要となってきますが、県としては、医療機関の負担の軽減や公衆衛生上の観点から、まず、新型コロナウイルス感染症を優先的に診断することが重要と考えます。
 このため、まずは地域の医療機関において、抗原簡易キット等を活用し、簡易、迅速に検査が実施できる医療機関をこれまで以上に拡充するとともに、PCR等検査機器を配備する病院を現在の10病院から16病院に拡充するなど、さらなる検査体制の強化に努めているところです。
 さらに、発熱患者への対応としては、地域のかかりつけ医等に相談を行った際に、検査が可能な医療機関を紹介できる体制を構築するなど、県民の皆様が安心して医療機関を受診できる体制の整備に努めてまいります。
〇議長(岸本 健君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
〇岩田弘彦君 頑張って体制をつくっていただいてるということなんで、ありがとうございます。
 あと一点、ここで気になるのが、もしコロナがなかったとしたら、日頃でしたらこれインフルエンザということで、私でしたらかかりつけ医の先生がもうほんまに近くでいらっしゃるんで、熱出て、風邪かな、インフルエンザかなといったら、もうそこの診療所へ、まず1次医療、かかりつけ先生のところへ行って、こうぴゅっと鼻から検査して、インフルエンザかともうそこでできてという体制がやっぱり普通の体制ということで、それやったら、まあいうたら普通の生活を送れとるわけなんです。
 早くコロナもそういうふうになってくれたらいいなあと思うんですが、ただインフルエンザとコロナの最大の違いは、ワクチンと特効薬ができているかできていないかというところがありますので、熱出たときにやっぱり発熱外来みたいに別のところ、分けて診療せんなんというリスクもあると思うんで早くそうなってほしいんですが、県のほうでも10分の10の診療所への支援体制も整えていただいてやってるんですが、結構高齢のお医者さんからは、やっぱりその体制を取りたいんだけど、人、物、お金、これないとなかなかできへんのでというところもあると思うんです。当然企業努力でやってもらったほうが、お客さんは来てもらいやすいわけなんですよね、民間経費でいきますと。その辺のはざまで悩まれている先生のお話もちょっと聞かせてもらいましたんで。
 今、電話で問合せして、自分とこで駄目やったらお隣の先生を紹介するとか、そんないろんな体制も取ってくれるようなお話でしたんで、その辺も御配慮いただいて、その先生が高齢の先生とはいえ、日頃やっぱり県内の1次医療を支えてくださっている方なんで、そこにもちょっと配慮していただいたらええかなと思いますので、これは要望ということでよろしくお願いします。
 次に、大項目3、コロナ禍における県経済について、(1)県内産業の状況と今後の取組についてであります。
 本県では、事業者の方に対する支援策として、全国に先駆けて融資制度の要件緩和を行い、事業者の方々の資金需要に迅速に対応し、加えて、国の様々な支援メニューを活用するように促してまいりました。
 また、新型コロナウイルスの影響が全ての業種、多くの事業者に及んでいる中、感染が終息した際には、全ての方に県経済を牽引していただく必要があります。
 このことから、「全業種、全ての人が対象」「困っている人を助ける」「事業継続に資する」を三つの原則として、全国的にも例のない包括的な支援策を実施しています。
 さらに、各事業者の方々からのお声を聞き、新たな支援策を検討し、雇用の維持と事業の継続等を図るため、家賃に対する支援や創業して間もない方への支援の拡大も図っています。
 このような支援策を、スピード感を持って実施することで、新型コロナウイルス感染症による大きなダメージを受けた事業者を強力に支援するとともに、県内消費を促進させ、地域経済の回復に取り組んでいます。
 そこで、スピード感を持った取組という点から言わしていただきますと、大体1年に1回ぐらいPDCAサイクルを回して新政策をつくったりやってると思うんですが、それをやっぱり早く回していくというのが、どうもトヨタ方式、民間でいうたらそうみたいなんで、今、施策も実施し、一つの議会が過ぎましたので、そのスピード感を持った取組を進めるための一つの節目として、支援策を踏まえた県内の産業の状況はどうだったのか。また、今後の取組についてはどのように考えているのか、知事にお伺いします。
〇議長(岸本 健君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
〇知事(仁坂吉伸君) 新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、県内産業は観光業や飲食業をはじめ、ほとんどの業種において甚大な影響を受けております。具体的には、5月の調査結果では、前年からの売上げが半分以下となった事業者が、宿泊観光業においては全体の98%、飲食業においては80%を占めておりました。
 本県では、このような現実を基に、事業者の方々に対する支援策として、全国に先駆けて融資制度の要件緩和を行い、資金需要に迅速に対応したんですが、さらに国の支援策がどんどん発表されたということもありまして、それも受けまして、4月臨時会、5月臨時会、6月定例会において、議会に多大な予算を御議決いただきまして、融資制度の拡充や事業継続支援金などの御指摘のような支援策を包括的に実施してまいった次第でございます。
 このような政策で何とか火急をしのいでまいりましたけれども、かつてのように、緊急事態宣言下のように経済活動の自粛を強力にお願いをする、あるいはそれを何度も繰り返してお願いをするということをやっておったら、こういう救済策を繰り返しても、どうも経済がやっぱり立ち行かないということであろうかと思います。
 こういう教訓を生かしまして、県といたしましては、経済活動を自粛せよとか、あるいは他府県からの往来はやめろとかなんかは言わないで、保健医療行政をしっかりやるから、県民の方々は県外の人を敵視することなく、それぞれ安全に気をつけて、頑張って営業も生活もしてくださいというメッセージを発出してきたわけでございます。
 これが功を奏したのか、県経済の回復は、夏ぐらいでございますけれども、各種数字を見る限り、全国一の水準ではないかなあと思います。しかし、つらいことには変わりはないわけでございます。
 県では、県経済を持続発展させるため、雇用を守り競争力を高めていくことができるように、国や県の施策を総動員して、県内事業者が実施する生産性向上や販売促進などの新たな取組を今後は支援していかないかんというふうに思っております。
 また、新しい働き方への対応、これは東京一極集中の反省みたいなものが出てくるはずなんで、これを利用し、あるいは、国外に頼り過ぎて困ったというのもある反省から、サプライチェーンが多分見直されるだろうと。こういうようなものを、今がチャンスとして、和歌山にできるだけ多くの資源を持ってくるように、社会環境の変化を的確に捉えて、全力で取り組んでいきたいと思っております。
 ただ、今後も新型コロナウイルスとの戦いは続くものと思われますので、今申し上げましたように、新型コロナウイルスの感染に気をつけながら、安全な営業、安全な生活、そして安全な外出に努め、うまく折り合いをつけていくように我々も県民も頑張っていこうではないかと、そんなふうに思っとるわけです。
 ただ、どうなるか分かりません。今以上に大変な状況となるおそれもございまして、その際には、また新たな救済策というのをまた打ち出さなきゃいけないのかもしれません。その節は、どうぞよろしくお願い申し上げます。
〇議長(岸本 健君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
〇岩田弘彦君 政策を実施して短い期間ではありますが、きちんとやっぱり知事は捉えてくれてて、次のことも考えていてくださるということで、よろしくお願いしときます。
 次に、(2)番、観光関連産業の現状と今後についてであります。
 観光関連産業は、本県の魅力を発信するとともに、本県の経済を支える重要な産業の大きな柱の一つであります。また、コロナ禍の影響を大きく受けている産業でもあります。
 このことから、本県では、安心して訪れてもらう観光地づくりを目指し、観光関連事業者が実施する持続的な感染拡大防止等への支援を行い、また、県内での消費喚起につなげるための県民による県内宿泊施設や県内の観光施設等の利用も促進させてまいりました。
 9月2日の日経新聞において、「夏の白浜 コロナ下で健闘」、この健闘は物事を話合いでの検討やなくて頑張ってるという健闘でございます。「お盆9割稼働のホテルも」、そして、「地元の感染防止対策の努力とそれに応えた観光客により、いまだ感染者が判明しておらず」の記事が掲載されておりました。地元地域の皆さん並びに御尽力をいただきました関係の皆様に深く感謝申し上げます。
 そこで、スピード感を持った取組を進めるための一つの節目として、この支援策等を踏まえた県内観光産業の現状について並びに国のGoToトラベルを活用した、何か東京も入るように報道されてますが、本県への誘客など、今後の取組について、知事にお伺いします。
〇議長(岸本 健君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
〇知事(仁坂吉伸君) 甚大な影響を受けている観光関連事業者への事業継続支援として、全国に先駆けて実施した県独自の包括的な支援策に加え、観光業に対する融資枠や観光客に安心して訪れていただくための受入れ環境整備に対する支援などを創設し、多くの事業者に活用いただいております。
 観光需要喚起策として、県民の皆様による県内周遊を促進するわかやまリフレッシュプランを9月末まで実施することとしておりまして、8月末現在で約24万枚、約6億円が販売され、直接消費額約12億円と多くの県民の皆様に御利用いただくとともに、県内の観光関連事業者の売上げに寄与してまいりました。
 一方で、各事業者をはじめ県民の皆様が、8か条から成る感染予防対策や感染拡大予防ガイドラインなどの遵守徹底に御協力いただいているところでございます。時々、県を挙げて事業者の見回りをさしていただいておりますけれども、総じて気をつけてくれているというような評価をしております。
 これらの取組により、観光需要が徐々に回復に向かっているものの、個人客に比べ団体客の回復が遅れている状況であると認識しております。
 今後も感染対策と経済面の両立を図りつつ、GoToトラベル等国の施策を最大限活用するとともに、感染状況に応じ、段階的に市町村及び関係団体一丸となって「蘇りの地、わかやま」キャンペーンを展開し、より多くの誘客につなげてまいりたいと考えております。
 実はこれ、「蘇りの地、わかやま」というのは、コロナからのよみがえりということでございまして、コロナからよみがえるときのシンボルとして「和歌山へぜひいらっしゃい」と、こういうふうに言おうとずっと用意してきた言葉でございます。
〇議長(岸本 健君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
〇岩田弘彦君 今、コロナからのよみがえり、また頑張っていきますよという答弁やったと思うんですが、この中で1点、先日、私たち自民党の和歌山県連の役員と自民党の県議団の役員とでバス協会さんの悲痛なお話を聞かしていただいて、いろいろな施策をしていただいてるんですが、やっぱり知事も今御理解いただいてましたけど、個人旅行というのは結構伸びていってるんですが、団体の旅行というのは、言葉悪いんですけども、すっとこですということでした。それの一番影響を受けてるのはやっぱり貸切りバスとかになってきますと、お話聞いたんですが、4月以降、もうずうっと、もう将来のめども立たずに、前年比90%減ということが、施策を実施してもうても続いているという状況になっておりまして、このままいくと、私が思ったのは、もう来年、国民文化祭とかいろんな起爆剤とかもありますけど、その頃に和歌山県内のバスがなくなっとるん違うかなというぐらい大変な状況になっているというのを聞かしていただいて、これ、いろいろ考えたんですけど、やっぱりバス会社はきちんと感染対策をもうやってくださってるんです。何ぼ頑張って企業努力をしても、お客様がやっぱり団体的なことを過度に避けてしまうと、どうしてもバスはこういう状況になる。
 これはバス協会の皆さんの責任ではないと思うんですよ。企業努力が足らないという話でもなくて、もう一点、旅館業界の方にも聞きますと、よく昔でしたら、旅行に行ったら、何々御一行様という、これがもう全くない。
 観光の一つの柱がそれですので、やっぱり団体客のきちんとしたガイドラインの下に対策も打ちながら、観光客の誘客というのもやっぱり考えていかなあかんと思いますので、この団体客の誘客に向けた取組ということで、再度知事にお考えをお聞かせ願います。
〇議長(岸本 健君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
〇知事(仁坂吉伸君) 全く仰せのとおりでございまして、わかやまリフレッシュプランとか国のGoToトラベルなどの需要喚起策で旅行需要がちょっと持ち直しつつあるものの、団体で移動するということについては、どうも心配する観光客も多くて、団体旅行の需要の回復が遅れております。
 特に和歌山に関して言えば、他県もそうでございましょうが、外国人がバスで旅行するというのが圧倒的に多かったんで、この部分が全部なくなってしまっておると、ほとんど全部、ということもあるし、それから、みんなが集まるということは、バスだけじゃなくてイベント系、あれについても割合皆さん、ちょっと用心され過ぎてるというところもあると思っております。
 おっしゃるようなことが、バスもそうですし、それから、観光地のホテルはいいんですけど、市街地のホテルとかイベント会場とか、そういうところが、これは物すごい心配というのもございますんで、少しずつ、やっぱり安全に気をつけながら、行うべきイベントは行ったらいいんじゃないかというふうにだんだん言っていこうよと言って、どきどきしながらですけど、そういうメッセージを発出したいと思っているところです。
 観光については、和歌山県安心な観光地づくり促進事業により安心して訪問いただける観光地の形成に向けて実施しているところでございまして、旅館・ホテル、観光施設、輸送機関などの感染リスクを抑えるための施設や設備の整備に御利用いただいてるところでございます。
 こうした県の取組とともに、県内事業者が業界のガイドラインを遵守し、徹底した安全対策を講じていることを旅行会社にPRをいたしまして、団体旅行の造成を強く、これからは働きかけてまいりたい、そんなふうに思います。
 また、修学旅行を県内に行こうよという運動もしているんですが、これなんかも多分ここには貢献してくれるんだろうというふうに思っております。
 一方で、多くの観光客が来ると感染拡大のリスクは当然確率的に上がっていくわけでございますんで、しかし、人が来れば必ずうつるというわけではないから、業界におけるガイドラインの遵守徹底や保健医療行政の努力など、皆で気をつけて一生懸命やっていくことが必要と考えております。
〇議長(岸本 健君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
〇岩田弘彦君 再質問にお答えいただいてありがとうございます。なかなか勇気の要る御発言で、後ろにいらっしゃる福祉保健部長さんもちょっと冷や冷ややったかなと思うんですけど、私は、和歌山県だから安心して取組をできるというふうに全国の人が思っていただいてると思います。それだけやっぱり県並びに県の医療関係者の皆さん、この和歌山方式、頑張っていただいて、そういうインパクトがあるんで、これをどっかがやり始めないと、もうこのまま行ったら全国のバス会社が潰れるんちゃうかなという心配もありますんで、両立ができますように御配慮いただいて、どうかよろしくお願いいたします。
 次に、大項目4番、コロナ禍による社会環境変化に対応した取組についてであります。
 もちろん新型コロナウイルス感染症対策は最重要課題であります。あわせて、コロナ禍を契機として、社会や産業、働き方などの生活様式が大きく変わろうとしているところだと思います。これへの対応は非常に大切なことだとも思います。
 コロナ禍は、過密都市のリスクを広く認識させ、東京一極集中の是正を示していると思います。また、製造業の過度な中国をはじめとする海外依存の問題点から、海外生産拠点への依存リスクが浮き彫りとなり、生産拠点の国内回帰の動きが生まれつつあります。さらに、テレワークの急速な拡大により働き方が見直され、地方移住への関心も高まりつつあります。
 最近の事例を取り上げさしていただきますと、人材派遣会社大手のパソナグループが、令和5年度末までに社員約1200人を東京本社などから淡路島に異動させ、淡路島で取締役会や経営会議を開催するなど、本社化する方向性を発表しました。報道の見出しでいいますと、「パソナ、本社を淡路島へ移転 新型コロナきっかけ 地方創生のモデル示す」であります。これが一番分かりやすいかなとは思います。
 内容についてちょっとお話しさしていただきますと、「新型コロナを受け、多くの企業がリモートワークを実施。通勤ラッシュを避け、在宅で勤務ができる「働き方改革」が実証された形だが、パソナでは「会社に行かなくても仕事ができる」改革に積極的に取り組む方向で議論を重ねてきた。この結果、あえて物価や賃料の高い東京に本社を置かず地方へ本社機能を移しても支障がないと判断。東京から約600キロ離れた淡路島への本社移転を決めた。登記上の本社を地方に置く大企業にはファーストリテイリング」──ユニクロとかGUの会社でありますが──山口県山口市に登記上は置いてるという事例はあるんですが、「東京本社を逆に地方へ移転する企業は珍しく」、新たな取組とのことでありました。
 このような動きは、地方にとって大きなチャンスであります。本県が積み上げてきた先行投資や起爆剤は、この流れを本県に呼び込む力を築いていると私は思います。「これからは和歌山」となるよう、この好機を生かすべきではないでしょうか。
 コロナ禍による社会環境変化をどのように発展のチャンスにつなげていくお考えなのか、知事のお考えをお伺いします。
〇議長(岸本 健君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
〇知事(仁坂吉伸君) 新型コロナウイルス感染拡大の影響によりまして、東京一極集中や海外依存のリスクが顕在化してきております。一方で、大都会におけるテレワークの拡大など、場所にかかわらず勤務できるんだという認識が広がってまいっております。また、企業の本社の一部移転や生産拠点の国内回帰に有利な環境ができる見通しもできつつあると思います。まさに今、和歌山にとって、企業や人を呼び込む大きなチャンスが到来していると考えます。
 そもそも本県は、自然がいっぱいでございますし、人口密度も低くて、コロナがうつりやすいという印象からは遠いわけでございますが、現に感染が抑えられておりますので、その印象が余計に強くなってるんじゃないかというふうに思います。
 また、やや弱点でございました道路ネットワークとかそういう交通の関係も、整備が進む道路ネットワークや関西国際空港、南紀白浜空港を有する和歌山でございますんで、首都圏や京阪神からのアクセスのよさもございます。
 さらに、全国トップクラスのネットワーク環境、全国最高水準の奨励金制度など、ここ近年、環境を整えてまいりましたんで、そういうことも評価していただけるんじゃないかというふうに思います。
 加えて、実は移転先を決定する際には、ビジネス環境だけじゃなくて社員さんの生活環境も重要な要素になるというふうに考えます。これらの条件を整えることが必要だと思います。
 本県は、通勤時間が短くて家賃が安いといった恵まれた住環境もありますし、安全で安心できる医療提供体制もあります。また、高等学校の賦存とか、そういうことを考えると、教育環境もそう悪くはないということでありますし、待機児童が少なくて安心だと、そういう条件は整っております。
 しかし、それらをきちんと整理して協力体制をつくって、世間にあるいは対象企業に訴えていかなければならないわけでございますんで、ぼうっと生きてるとチャンスはよそに取られてしまうということになります。
 これらの和歌山の強みをパッケージし、あるいは磨きをかけて、職住近接モデルとして提案するなど、新しい時代に対応した戦略的な誘致活動により、企業や個人に和歌山を選んでもらえるよう総力を挙げて取り組んでまいりたいと思います。どうも営業の時代に入ったなあというふうに考えております。
〇議長(岸本 健君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
〇岩田弘彦君 もう知事のおっしゃるとおりでございます。営業の時代に入った、僕も思います。だから、ある程度今まで県が仕掛けてきたことが芽を吹いて実る、そのための営業を今からやったら、私は和歌山はよくなると思うんです。
 理由がありまして、私の妻の兄弟って大阪に住んどるんですよ。私、県議会議員をしとることもあって、行くたんびに「和歌山ええさかい、もう和歌山へ住んだらどう」と言っておったら、前までは「何言うとんのよ、それは大阪よ」と言うとったんですけど、最近変わってきました、このコロナから。「やっぱり和歌山ええでな」とかって。そういうところもあるんです。それって割と大事かなというのを。そのくらい和歌山が頑張ってるということだと思うんですが、それも踏まえまして、知事、よろしくお願いいたします。
 次、大項目5番、児童相談所について、(1)コロナ禍における児童相談所の状況についてであります。
 児童虐待発生時の迅速、的確な対応を行うためには、児童相談所の体制強化が重要であります。
 令和元年度の児童福祉法の改正により、児童相談所の体制強化が定められました。このことから、一時保護など介入的対応を行う職員と支援を行う職員を分けるなど、児童相談所における機能分化、そして、児童相談所において、常時弁護士による指導または助言の下で対応するための体制整備、そして、児童相談所における医師、保健師の配置、児童福祉司、児童心理司などの計画的な増員と人材確保などであります。
 本県では、積極的な児童相談所体制の強化に向け、計画的な取組を行ってきていると思います。そんな折、新型コロナウイルス感染症拡大が始まり、その対策として、学校の休校や行動自粛などが行われました。このような環境の変化により、児童虐待が起こりやすい状況になっていることが心配されておりました。
 そこで、コロナ禍における児童虐待の現状について、福祉保健部長にお伺いします。
〇議長(岸本 健君) 福祉保健部長。
  〔宮本浩之君、登壇〕
〇福祉保健部長(宮本浩之君) 厚生労働省が発表した全国の児童相談所における今年1月から5月の児童虐待相談対応件数、これは速報値でございますけれども、この合計は、前年同期比で約9%増加している中、本県におけるこれまでの児童虐待相談対応件数は、前年同期比でおおむね横ばい状態となっております。
 これまでも児童虐待の未然防止、早期発見、相談対応等について市町村と連携し取り組んできたところですが、とりわけコロナ禍における学校休業、外出や営業の自粛等が継続していた期間においては、保護者や児童の生活状況の変化やストレスの増加等により、児童虐待リスクの高まりが危惧されたため、各市町村の要保護児童対策地域協議会が中心になって、要保護児童の状況確認を定期的に行うこととするなど、見守り体制をより一層強化し、児童虐待の未然防止、早期発見に努めてきたところです。
 今後も引き続き、市町村や関係機関と連携した見守り活動を継続するとともに、児童虐待防止対策の一層の強化を図ってまいります。
〇議長(岸本 健君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
〇岩田弘彦君 頑張ってくれてたおかげで影響はほとんどなかったという御報告ですので、感謝申し上げます。ありがとうございます。でも、今後もありますので、どうかよろしくお願いいたします。
 次、(2)児童相談所体制の充実についてであります。
 本県は、和歌山市内と田辺市内の2か所に児童相談所及び新宮市内に分室を設置しております。現在、児童相談所職員の県内配置は、2か所の児童相談所と1か所の分室、そして、中央児童相談所管内の日高振興局と伊都振興局に児童相談所兼務職員をそれぞれに配置し、全県的なバランスを考えた配置をしているとお聞きしております。
 しかし、橋本市の子育て世代包括支援センターの担当者と児童福祉法の改正について意見交換をした際に、伊都振興局に配置されている児童福祉司2名について、名前も分からないとのことでありました。調べますと、橋本市の担当は和歌山市の中央児童相談所に配置されており、伊都振興局の児童福祉司は緊急的な一時保護を除き、ほとんど児童相談所以外の仕事をしているとのことでありました。
 これでは、和歌山県子どもを虐待から守る審議会からの提言である「児童相談所での勤務経験の豊富な複数の職員を、伊都振興局に児童相談所兼務職員として配置し、所管市町村の日常的な虐待対応のレベルアップを受け持つとともに、当該職員が市町村と連携して安全確認及び一時保護を行なう」ことになっていないと思います。
 配置された児童福祉司に、市町の現場を踏まえ、いろいろと経験させていくことがスキルアップにつながり、効果的であるのではないでしょうか。
 また、市町から見ると、身近な振興局に児童福祉司がいるのであれば連携を密にできるのでお互いのスキルアップにつながるのに、なぜなのかと不思議に思うのではないでしょうか。
 このことについて、どのように改善を考えているのか、福祉保健部長にお伺いします。
〇議長(岸本 健君) 福祉保健部長。
  〔宮本浩之君、登壇〕
〇福祉保健部長(宮本浩之君) 年々複雑・困難化する児童虐待事案に対応するため、令和元年度の児童福祉法改正において、児童相談所の体制強化が定められたところですが、本県においても、法改正に伴い、令和4年度までに児童福祉司、児童心理司、保健師等の採用、配置を計画的に進めるなど、組織体制を整備しているところです。
 また、市町村においても、社会福祉士や保健師等の専門職員を配置した子ども家庭総合支援拠点を令和4年度までに設置することとされるなど、第一義的相談窓口である市町村の専門性や対応力を向上させることが喫緊の課題となっております。
 こうしたことを踏まえ、伊都振興局に配置した兼務職員についても、管内市町の虐待対応のレベルアップに資するようケース検討会議に参加し、個別事例にも積極的に関与するとともに、一時保護の前提となる危険度や緊急度の判断に迷う事案については家庭訪問に同行するなど、市町との連携をより一層強化してまいります。
〇議長(岸本 健君) 岩田弘彦君。
  〔岩田弘彦君、登壇〕
〇岩田弘彦君 具体的な例も挙げていただいて、より一層強化していくということで、ありがとうございます。
 やっぱり現場のことも、できたら児童福祉司が若い間に現場も経験して、そんな中で役割分担はきちんとした中で、それも経験もして現場も見て、そして中央児相で、また次の育成に携わってもらうとかリーダーシップを取ってもらう、そういう形になると、やっぱり現場も分かった中でやっていくと、私は日本一の児童相談所になり得ると思いますので、その辺、どうかよろしくお願いいたします。
 以上をもって私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(岸本 健君) 以上で、岩田弘彦君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 26番多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕(拍手)
〇多田純一君 皆さん、おはようございます。公明党県議団の多田純一でございます。
 早速、議長にお許しいただきましたので、質問に入りたいと思います。多少、今の岩田さんと重なる部分がありますけども、御容赦いただきたいと思います。
 本日開かれる臨時国会では、新総理の首班指名が行われます。安倍総理の突然の辞任、大変驚きました。体調不良による苦渋の決断だったと思われます。安倍総理には、まずは、御苦労さま、お疲れさまでございましたと申し上げたいと思います。
 7年8か月の間、国政選挙6連勝、このことが安定した政治運営につながり、朝日新聞の調査でも、国民の71%の方がその政権運営を評価しています。特に外交、安全保障、そして、経済対策や社会保障など、世界に誇れる実績を残していただいたと思います。海外からの称賛の声も上がっております。まさに「日本を取り戻す」とした安倍総理の功績は大きいと申し上げたいと思います。
 一昨日、自民党総裁選挙が行われ、菅義偉官房長官が自民党両院議員総会で新総裁に選出され、首相指名選挙で第99代の新総理に選ばれることが確実になりました。安倍政権、それを菅新総理は継承されると話されております。ここに国民の期待もあるのではないでしょうか。私も官房長官時代に2度ほどお会いしたことがありますが、非常に庶民的な印象を持っております。今の国難を乗り切っていただき、日本経済を成長軌道に戻していかれるかじ取り役、そして、大胆な規制緩和や少子化対策など、期待をしている一人でございます。
 自民党総裁選挙を通じ、そのお人柄や人物が分かってまいりましたが、安倍政権の継続だけでなく、新しい発想も取り入れていただける、そんな期待値も高いと感じております。
 3年前、2017年10月衆議院選挙の結果を踏まえ、自公連立政権の継続を確認し、幼児教育の無償化や全世代型社会保障制度の基礎などを進めてきています。
 昨日、自民党の菅総裁や二階幹事長など、自民党の新役員の皆さんと、公明党側では山口代表や斉藤幹事長など、党役員と国会内で会談し、改めて自公の連立政権合意書を確認し、それぞれ署名をいたしました。
 前文で「新政権発足に当たり、これまでの安倍政権における政権合意を継承し、国民のための政策を前へ進める」との方針を確認。現在の「新型コロナウイルス感染症と、これによる経済や国民生活への影響が広範に及び、未曽有の国難に直面」、「自民・公明両党は、この国難を乗り越え、その先に新たな繁栄の道筋を切り拓くため、政策を強力に推進する」として、ワクチン・治療薬の確保、医療機関への支援、コロナ禍で改めて取り組まなければならない課題、防災・減災、国土強靱化、全国津々浦々まで元気にする地方創生など、9項目の政策課題を挙げました。
 仁坂知事は、菅新総理誕生へのどのような期待を寄せられているのか。また、自民党や公明党が与党として引き続き政権運営をしていく中で、改めて仁坂知事の御所見をお伺いいたします。
〇議長(岸本 健君) ただいまの多田純一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
〇知事(仁坂吉伸君) 新総理の誕生と自由民主党、公明党の連立政権についてお答え申し上げます。
 安倍政権は、日本経済のデフレからの脱却を掲げ、アベノミクス政策を推進し、日本経済の復活に尽力されました。また、地方創生、国土強靱化にも力を入れていただいたところであります。幼児教育の無償化、少子化対策、それから社会的弱者への対策のような施策が進んだことも自公連立政権の成果の一つであろうかというふうに思います。
 新政権は、これまで安倍政権が進めてきた政策を基礎とし、現下のコロナ禍に対応するため、保健医療行政の体制確保に対する支援を行っていただき、その上で経済と生活維持が両立するよう、うまくかじ取りをしていってもらいたいと考えております。
 また、地方の活性化策についても力を入れていただけるものと期待しております。多田議員の言われる少子化対策や子育て、教育への支援などの社会保障の充実、雇用の確保が重要との御指摘は、全く意見を同じくするものでございます。
 これらについては、本県においても従来懸命に力を注いできておりまして、ちょっと国よりも先に走ったような形でやってまいりましたが、合計特殊出生率や有効求人倍率などの指標で改善の傾向が見られていたところでございました。
 しかしながら、最近のコロナ禍によりまして、これまでの努力にもかかわらず、これは和歌山県だけではもちろんございませんで、国全体でございますが、少子化とか雇用の問題などが深刻化するおそれもございます。また、コロナ禍を受けて、社会的弱者と呼ばれる方々には、特に影響がきつく出てくるということが心配されるわけでございます。
 そのような中、菅総裁は、総裁選公約において、「少子化に対処し、安心の社会保障を」「雇用を確保、暮らしを守る」が政策の柱に掲げられております。
 本県としても、今後示される施策が実効性のあるものとなることを大いに期待しているところでございまして、国、県が一緒になって課題解決に取り組んでいけばいいというふうに考えております。
〇議長(岸本 健君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
〇多田純一君 それでは、2問目に入りたいと思います。
 新型コロナウイルス感染症対策についてお伺いをいたします。
 このウイルスの出現によって、私たちの生活環境は一変し、多くの国民が不安を抱えたままの生活を余儀なくされております。
 政治は、まず新型コロナの一刻も早い収束に総力を挙げ、同時に、どう社会・経済活動を続けていけばよいのか、その見通しを示すことも政治の重大な責任です。
 世界保健機関(WHO)が、新型コロナウイルス感染症のパンデミックを3月11日に表明して半年、収束の見通しは依然不透明ですが、一方で、研究の進展で新たに解明された事実も少なくありません。本格的に日常生活を取り戻すには、感染不安を払拭することこそ、本格再生の鍵になってまいります。
 感染症のうち、8割の方は他の人に感染させていないし、8割は無症状のまま治癒する。2割は酸素投与が必要な中等症と重症、そして、約5%の方がお亡くなりになっている。中でも65歳以上の高齢者や基礎疾患のある方が重症化しやすいということが分かってきました。ハイリスクの場やリスクの態様に応じためり張りの利いた対策を講じることによって、重症者や死亡者をできる限り減らしつつ、社会経済活動を継続することが可能と政府の新型コロナウイルス感染症対策本部では発表しております。
 県内の発生状況について、資料を確認いたしますと、和歌山県は2月13日に最初の感染者が判明し、4月に1回目のピークを迎え、次が7月下旬から8月下旬にかけて2回目のピーク。1回目のピークより感染者数も増えて、2回目のピークのほうが大きな波となっています。今月に入ると感染者ゼロという日もあり、下火になってきている感じがいたします。8月末までに230人の感染者が確認をされております。
 第1波では、働き盛りの50代が比較的多かった傾向が、第2波では20代が圧倒的に多い傾向となっていますし、10代、20代では、無症状か軽症のままで退院の方が圧倒しています。世代別重症度を見てみますと、第1波、第2波とも亡くなってる方は60代以上の高齢者になりますが、第2波では、無症状や軽症の方の比率が高くなってることも分かります。陽性判明時に無症状であっても、その後肺炎や重篤になったり亡くなってる方もおられるのも、これまでで分かったことだと思います。
 7か月がたちました。これで収束するとも思われません。長期化する覚悟で第3波以降に備える必要もあります。今後の対策として、高齢者や基礎疾患をお持ちの方など、重症化しやすい方々をどのように守っていくのか、行政としてメッセージを送り、安心感を持ってもらう。行政がやらなければならない責務であると考えます。
 その一つが、PCR検査体制の拡充だと思います。今後、県は、1日当たり60検体から100検体に整備するとされています。
 長引く新型コロナウイルスと向き合うためにも、今後、秋から冬にかけて、季節性インフルエンザとの同時流行が懸念されております。季節性インフルエンザの患者数は、全国で約1400万人が感染し、平成29年、平成30年は2000人から3000人が死亡しています。県内でも、平成31年には約12万人が罹患し、平成30年には29人が亡くなっている現状です。
 一方、これまでに国内で判明した新型コロナウイルスの死者数は、8月末、全国で1279名、本県では4人となっております。どちらも症状は似ており、とりわけ初期症状で判別するのは難しいとされています。
 医療現場では、両方の検査を行わなければならないケースが急増する可能性もあります。WHOもインフルエンザ予防接種を奨励しています。
 厚労省では、インフルエンザワクチンを原則として高齢者や医療従事者、子供などから優先的に接種する方針を決めています。来月10月からワクチン接種が始まり、先ほども申し上げた高齢者や医療従事者、基礎疾患がある人と妊婦や子供などに勧奨することも大事になってまいります。市町村と連携し、体制強化を図ることをお願いします。
 また、この同時流行に備え、検査体制の整備計画の策定が都道府県に求められております。季節性インフルエンザの予防接種への体制強化と検査体制の整備、計画策定について、福祉保健部長に見解をお聞きいたします。
〇議長(岸本 健君) 福祉保健部長宮本浩之君。
  〔宮本浩之君、登壇〕
〇福祉保健部長(宮本浩之君) 今後、インフルエンザの流行期を控え、発熱等の症状を訴える患者が増加することが想定されますが、季節性インフルエンザと新型コロナウイルス感染症を臨床的に鑑別することは困難です。このため、県としては、医療機関の負担の軽減や公衆衛生上の観点から、まず新型コロナウイルスを診断する必要があると考えており、両方の検査を実施可能な医療機関を増やすよう取り組んでいるところです。
 具体的には、まずは地域の医療機関において、抗原簡易キット等の活用により、新型コロナウイルスの検査が実施可能となる医療機関をこれまで以上に拡充するとともに、PCR等検査機器を配備する病院を現在の10病院から16病院に拡充する予定です。加えて、地方衛生研究所においても、増加が予想されるPCR検査に対応できるよう、PCR検査機器の増設を図り、さらなる検査体制の強化に取り組んでいるところです。
 さらに、発熱患者への対応としては、県民の皆様が地域のかかりつけ医等に相談を行った際に、検査が可能な医療機関を紹介できる体制を構築するなど、県民の皆様が安心して医療機関を受診できる体制の整備に取り組んでおります。
 また、季節性インフルエンザの重症化を未然に防ぐことが入院病床の適切な運用につながることから、高齢者など特に重症化リスクの高い方にインフルエンザワクチンを確実に接種できるよう、市町村や医療機関に対し強く働きかけてまいります。
 このように、季節性インフルエンザの流行に備え、万全を期し、医療体制の整備や検査体制の強化に計画的に取り組んでまいります。
〇議長(岸本 健君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
〇多田純一君 今、申し上げましたように、いよいよ10月からこの季節性インフルエンザの予防接種が始まるんですね。最近、特にもう季節が変わってきたなあというような季節感、秋に、また、今年の冬は長いんじゃないかなと、こういう懸念もされるわけでございますけども、もう既に始まってるというふうに思います。
 今、部長から御答弁いただきましたけども、これを早く体制を整備する。そして、それを周知する。県民の皆さんに、まずは自分が、熱が出た、ちょっと体がだるい、そういうときに、まずどうすればいいのか。先ほど「体制の整備に取り組んでまいります」とおっしゃってましたけども、いつまでにそれをおやりになるのか。この周知、広報、それから、いつまでにその準備をされるのか。その点を再度確認したいと思います。
〇議長(岸本 健君) 福祉保健部長。
  〔宮本浩之君、登壇〕
〇福祉保健部長(宮本浩之君) 今、議員御指摘のこういった計画策定について、厚生労働省から、10月中に計画策定を求めるような指導が来ております。
 県としてはそれを待たずに、10月の早い時期にはきちっとそういった体制を周知できるように取り組んでまいりたいと思います。
〇議長(岸本 健君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
〇多田純一君 県民の皆様のこういう不安を解消していく、それが非常に大事だと思いますので、広報、先ほど申し上げました周知、そういうことをしっかりまたお願いを申し上げたいと思います。
 この問題の2点目についてお聞きしたいと思います。
 クラスターと呼ばれる集団感染が新型コロナウイルスの特徴となっております。新型コロナウイルスの場合、感染者が5人存在したとしても、新たな感染者を発生させる可能性は約1人と低い。ところが、人と人が至近距離で一定時間以上交わるといった条件がそろうと、1人の感染者から複数人に感染させることが分かってきました。これがクラスター感染です。インフルエンザはじわりと広がっていくイメージですが、新型コロナウイルスはクラスターを介して連鎖的かつ爆発的に拡大をしていきます。これが最大の特徴と言われております。先日も相撲部屋で多数の感染者が発生したと報道がございました。
 クラスター対策として、8月28日に行われた新型コロナウイルス感染症対策本部では、感染者が多数発生している地域やクラスターが発生している地域について、その期間、医療機関、高齢者施設等に勤務する者、入院・入所者全員を対象に、言わば一斉・定期的な検査の実施を都道府県等に対して要請をしております。
 また、地域における感染状況を踏まえ、感染拡大を防止する必要がある場合には、感染が発生した店舗、施設等に限らず、地域の関係者を幅広く検査することを明確化し、積極的な検査の実施を要請されております。
 現に和歌山県では、八つの集団感染が認められております。病院や学校、介護事業所、飲食店、カラオケ、そしてスポーツ施設など、夜遅くまで営業し、狭い空間や密閉状態など、感染の危険性が高いと指摘されております。
 どのようにお考えになるのか。例えば施設や感染場所によっては、医者と看護師のチームで集団として抑え込む必要も出てこようかと思います。クラスター感染を生まないようにする予防策やクラスター感染が確認された場合の抑え込む体制についてどのようにお考えか、福祉保健部長にお聞きいたします。
〇議長(岸本 健君) 福祉保健部長。
  〔宮本浩之君、登壇〕
〇福祉保健部長(宮本浩之君) 新型コロナウイルス感染症対策は、保健医療行政の努力の積み重ねが重要であり、本県では、感染者の早期発見のための積極的なPCR検査、早期隔離のための全例入院、感染源の探求や濃厚接触者の特定のための徹底した行動履歴調査を行う和歌山方式により、感染拡大防止に取り組んでまいりました。
 加えて、県では、地方衛生研究所や地域の中核病院の機器整備を行い、PCR検査体制の強化を図りながら、民間検査機関によるPCR検査や抗原検査等を地域の医療機関で実施できる体制を整備するとともに、病院におけるさらなる入院受入れ病床の確保や保健所の体制整備にも懸命に取り組んでいるところです。
 また、7月以降の県内の感染拡大を受け、感染要因の状況を踏まえた県民の皆様へのお願いを発信し、感染拡大防止の徹底を強く訴えるとともに、事業者の皆様には、感染拡大予防ガイドラインの遵守の徹底を働きかけてきたところです。特に重症化リスクの高い高齢者や基礎疾患のある方が利用する医療機関や福祉施設サービスについては、感染拡大防止対策に万全を期するため、極めて厳しい基準による職員への注意喚起と、施設内への持込み防止対策を徹底してお願いしております。
 このように、本県のこうした取組そのものが集団感染の防止につながっており、たとえ集団感染が発生しても、最小限に食い止めてきたところです。
 今後も引き続き和歌山方式を徹底することにより、新型コロナウイルスの感染拡大の防止、すなわち集団感染の防止に努めてまいります。
〇議長(岸本 健君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
〇多田純一君 3点目は、和歌山市との連携です。
 この7か月を見ますと、県内感染者数の36%が和歌山市ですが、全体のPCR検査数では41%が和歌山市となっています。濃厚接触者から感染者の増加を抑え込んでいると分かります。
 和歌山市も9月補正予算で新型コロナウイルスの検査やクラスター対策を強化しようとしています。どのように役割を分担しながら連携していくのかお示しください。福祉保健部長にお尋ねいたします。
〇議長(岸本 健君) 福祉保健部長。
  〔宮本浩之君、登壇〕
〇福祉保健部長(宮本浩之君) 県及び中核市である和歌山市は、保健所を設置する義務があることから、それぞれに保健所を設置し、新型コロナウイルス感染症の早期発見と感染拡大防止など、感染対策の実施に当たり、これまでも様々な連携を図ってきたところであります。
 まず、PCR検査については、県及び和歌山市がそれぞれ検査を行う地方衛生研究所を設置しており、検査数の状況によっては、互いの検査能力に応じて補完し合いながら、迅速な検査につながるよう取り組んでいるところです。
 また、患者の濃厚接触者の考え方をはじめ、疫学調査についても、県と和歌山市が方針を共有して対応に当たり、必要な情報交換を行いながら感染拡大防止に努めています。
 さらに、感染患者の入院については、受入れ医療機関の病院機能及び患者の病状や居住地等を考慮し、一元的に調整する必要があることから、和歌山市からの入院要請においても、県が一括して入院調整を行っているところです。
 今後とも、県においては新型コロナウイルス感染症対策に効率的に取り組むため、より一層和歌山市と連携を図りながら、感染拡大の防止に努めてまいります。
〇議長(岸本 健君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
〇多田純一君 しっかりとこの新型コロナウイルス並びに季節性インフルエンザの対応をお願い申し上げたいと思います。
 大きな項目の3点目に入らせていただきます。
 教育力の向上についてお伺いいたします。
 特にその中でも、不登校児童生徒の問題についてお伺いをしたいと思います。
 この問題につきましては、この10年間、様々な角度で先輩・同僚議員が取り上げてきています。とりわけ目立つのは、平成27年から平成28年にかけて、1年半ほどで7回質問項目に取り上げられてるほど本県の大きな課題になっています。
 それは、平成26年度、文科省が発表した不登校について、本県では小学生でワースト1、中学生でワースト3の記録を出しています。平成27年9月、中拓哉議員の指摘に対し、仁坂知事は、「今回の調査結果は、大変憂慮すべき状況であると認識しております。中略。不登校の要因や背景はさまざまな要素が複雑に絡み合っておりまして、児童一人一人への必要な支援は、多分異なるものだというふうに思います。不登校にはこれが決め手だという対策を考えついてるわけではありません。今から検討して、平成28年度新政策の最重要課題として取り上げていきたい」と答弁をされております。同年には有識者会議を開催し、翌年6月まで都合5回、対策を検討しています。
 資料を御覧ください。
 1000人当たりの不登校児童生徒数の推移を小・中・高校とまとめたグラフです。下の折れ線グラフは三つのグループに分かれております。一番上が中学校、紫の線は全国平均、緑は本県の実態。真ん中のグループは高等学校、ブルーが本県でオレンジが全国平均。最後のグループは小学校、赤の線は全国平均、青の線は本県の小学校。
 果断な取組が功を奏し、平成28年を見ますと、小学校で横ばい、中学校、高等学校では減少しています。しかし、その後、全国においても本県においても増加し続けている現状です。
 不登校児童生徒について、現状の認識と今後の対応をどのようにお考えか、教育長にお尋ねをいたします。
〇議長(岸本 健君) 多田議員に申し上げます。分割質問方式であります。
〇多田純一君 2点目の質問に入ります。
 教員の研修についてでございます。
 先日、和歌山県教育センター学びの丘で行われました教育相談研修講座に参加いたしました。毎年の、小学校から高校までの現役教員の研修です。「子供との関わりに認知行動療法などの視点を生かす」とのテーマで、今年は80人の先生方が受講されていました。認知行動療法の視点を取り入れた研修は今年で7年目になりました。年々参加者は増えており、昨年は100名を超す参加者でしたが、今年は感染症対策のため、80名に絞ったそうです。これまで約500人の教師が研修したことになります。私自身も平成26年の最初の研修から3回目の参加となりました。
 今年のこの研修の講師を務めていただいたのは、三重大学教育学部附属小学校校長、松浦直己教授でした。午前中の講義では、「認知(何を考えるか)」「感情(どう感じるか)」「行動(何をするか)」、この三つは密接に関連している。児童生徒の問題行動、不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査では、不登校の要因として、小学校も中学校も「無気力、不安」を一番に挙げています。
 松浦教授は、この学習性無力感への挑戦を教え、「このような子供に必要なのは、どのように受け止め、どのように考え、どのように行動すればよいかを一つ一つ丁寧に教える」と受講した現場の教員に講義をしておられました。
 不登校問題について考えると、問題を抱える子供に対し、状況を分析したり、対応マニュアルを活用したり、児童生徒の理解を深め適切な関わり方について学ぶ教員の資質向上が何より大事だなあと改めて考えています。
 子供一人一人と寄り添えることを基本に身につけるために、教員の資質向上を目指した教員研修について、教育長のお考えをお聞きしたいと思います。
〇議長(岸本 健君) 教育長宮﨑 泉君。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
〇教育長(宮﨑 泉君) 不登校児童生徒、その現状の認識と今後の対応についてお答えをいたします。
 本県では、平成26年度に1000人当たりの不登校児童生徒数が全国でも最低のレベルでありました。このことに危機感を持ち、平成27年度に県内外の有識者を招聘した不登校対策に係る有識者会議での助言を基に、様々な施策を講じてまいりました。
 その結果、全国的に不登校児童生徒数が増加する中において、本県は減少し、1000人当たりの不登校児童生徒数が全国平均を大きく改善する状況にまで至りました。
 しかし、議員御指摘のように、近年、1000人当たりの不登校児童生徒数は、全国平均に比べよい状況にはあるものの、増加傾向にあることから、不登校は今後も大きな教育的課題と捉えています。
 これまでの取組の成果と課題として、県教育委員会が作成した不登校問題対応の手引き及び不登校対応基本マニュアルを活用した研修や組織的な対応を行ってきたことで、不登校の早期対応、学校復帰支援に成果を上げてきました。
 一方、ネットやSNSが子供たちの生活に浸透する中、不登校の要因はさらに複雑になっており、社会の変化に合わせた研修の充実が今後の課題であると考えております。
 また、累計5日以上欠席した児童生徒の個人シートを活用することで、教職員とスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等の専門スタッフが連携して、ケース会議でアセスメントを行い、一人一人の状況に応じて支援ができてきました。
 しかしながら、個人シートの活用やアセスメントによる対応がその場しのぎになり、本質的な改善になっていないという課題もあると思います。特に中1ギャップと呼ばれる小学校から中学校への接続部分での対応についても課題が指摘されています。
 このことについては、個人シートの活用の方法やアセスメントが有効であったかを検証し、その精度を高めていくため、教職員や専門スタッフの力量向上に向けた研修を充実してまいります。また、専門スタッフについては、県内外を問わずに積極的に募集を行い、優れた人材の確保に努めてまいります。
 今後も有識者会議での助言を踏まえ、これまでの地道な取組を状況に合わせながら修正し、積み重ね、不登校の着実な減少につなげていきたいと考えています。
 続きまして、教員の研修についてでございますが、不登校のきっかけや要因は複雑に絡み合っている場合が多いため、児童生徒の行動の背景を理解できる資質、能力を持った教員が求められています。
 児童生徒の行動の背景を理解する有効な方法の一つとして、議員御指摘の認知行動療法があります。これは、行動を引き起こす原因となる感情や物の捉え方に着目し、例えば自己否定的であるなど、児童生徒に自身の物の捉え方のゆがみなどを気づかせることにより、自らの行動の変容を促すものであります。
 県教育委員会では、平成26年から教育相談に係る研修講座において、認知行動療法の視点を生かした研修を行っており、当研修の受講者からは「学んだ指導技術を学校経営に生かすとともに、所属校で校内研修を行い、同僚教員に広めることができた」、「子供の行動の背景を理解し対応することで子供との距離が縮まり、寄り添うことができた」など、積極的な活用の声が寄せられています。
 今後も認知行動療法の視点を生かした研修をはじめ、様々な研修等の実施を通して、教員の資質、能力の向上に取り組んでまいります。
〇議長(岸本 健君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
〇多田純一君 ありがとうございました。
 最近、文科省も少しこの不登校のことで変わってきてるし、また、今年は特にコロナの問題がございますんで、学校に行かなくてもいいような、そんな風潮が出てきておりますけども、やっぱり子供たちと向き合う、そういうことをしていかなきゃいけないでしょうし、必ず子供たちが抱えた問題をどうつかんでそれに対応できるかという、こういう教員の力、それを本当につけていかなきゃいけない、そういう時代になってきてると思います。
 先日、テレビ和歌山の日曜日の番組を見てますと、「きのくに21 知事と語る」、その中で仁坂知事もこの教育の問題を語っておられました。和歌山県には様々な教育の課題はございますけども、少なくとも学力の問題であるとか体力の問題とかというのはこの議場でもいろんな方が質問されてきましたけども、少しずつ手応え感があるんじゃないかと思います。
 この不登校の問題につきましても知事の御所見をお伺いしたいと思うんですけども、知事が早速有識者会議を開いていただいて、様々な観点から、近しい人とかそういうものを使いながら、子供たちのアセスメントをしながら一人一人と向き合っていく、こんなことが続けられておりますけども、残念ながら、また今、増加傾向ということもございますので、仁坂知事の教育、また、特に不登校への対応について、御見解をお聞きしたいと思います。
〇議長(岸本 健君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
〇知事(仁坂吉伸君) この議会でも、御指摘のように御質問を受けたとき、和歌山県のある部門の不登校比率が日本一になってしまったということは、ちょっと私にとってはサドンアタックみたいなところがありまして、これはやっぱり不登校にならざるを得ない子供たちにとっては、あるいはその周りの御家族にとっては大変な問題だ、苦しみだというふうに思いますので、これは放置できないというふうに思ったわけでございます。
 ただ、ちょっとサドンアタックと言いましたけれども、十分、なぜそうなるんだろうかとか、それからどうしたらいいんだろうかということについて、私も、それから教育委員会のプロの諸君も、それほど分かってるわけではない。審議会など、よく批判されるのは、隠れみのとかなんかいうことを言われるんですが、そういうのはあんまり和歌山県はしないんですけど、これはちょっと我々以外の人の知恵も借りないとどうしようもないなあということで、日本で一番よく分かってそうな人をみんな集めて、それで御意見を賜ったりしたわけです。
 それを基にしてマニュアルを作ったり、それから、すぐ改善したのは、5日間も不登校になったらすぐに連絡してみんなで対応しようとか、そんなことを始めてまいりました結果、ちょっと改善をしてるんです。
 ただ、そうはいっても、こういう問題というのは後を絶ったわけではありませんし、かわいそうな子供たちがまた新しく出ているというところも現実でございますし、また、それがちょっと増加傾向というのも大問題でございますんで、全国より少なけりゃいいやというわけではありませんから、今後、勉強したことをもう一度検証しながら、実はやらなきゃいけないと言われていたことがやられないで済ましていないかなあということも、より多く関心を向けて、それで引き締めてやっていきたい、教育委員会の方々とよくお話をしながらやっていきたいというふうに考えております。
〇議長(岸本 健君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
〇多田純一君 大変ありがとうございました。
 最後の質問に入らせていただきたいと思います。
 4番目に、岩橋千塚古墳群紀伊風土記の丘についてお聞きしたいと思います。
 今年7月に、文化庁文化財第2課の方々と意見交換をしてまいりました。その際、この雑誌ですけども、(雑誌を示す)「発掘された日本列島 新発見考古速報2020」という冊子を頂きました。今年の6月の新刊です。この冊子の最初に、文化庁長官の御挨拶が掲載されていました。このように書かれています。「我が国には46万か所の遺跡が知られており、まさに遺跡の宝庫と言えます。単なる過去の遺産ではありません。それぞれの土地の気候や風土に適応して地域独自の生活を営み、世代をつないできた私たちの先祖の文化的なDNAと言うべきものであり、私たちが未来を切り開いていく礎と言える」と述べられております。
 遺跡の中で、古墳は約16万基あるそうです。全国で一番古墳が多いのは、兵庫県の約1万8000基とされ、和歌山県は21位で1486基、北海道や青森県、そして、沖縄県にはないようです。本州、四国、九州に分布するこの古墳文化が、当時の豪族たちの勢力図を物語っています。また、王、大王級の首長の墳墓と考えられる全長200メートルを超えるような大型古墳は、奈良や大阪に多く見受けられます。
 古墳の中でも史跡や特別史跡として国の指定を行い、文化財として価値を示しておりますけども、国指定の史跡が411件、特別史跡は、古墳としては石舞台古墳、高松塚古墳、キトラ古墳など、奈良県を中心に6件、古墳群として、宮崎県の西都原古墳群、和歌山県の岩橋千塚古墳群、そして、今年、令和2年3月に68年ぶりに3番目の特別史跡に指定されました埼玉古墳群の3件だけとなっております。
 文化庁の方がわざわざ私にこの冊子を下さったのが分かりました。先ほど紹介いたしました「発掘された日本列島」の中に、この岩橋千塚古墳群とともに、隣り合わせで埼玉古墳群が並べて紹介をされておりました。
 岩橋千塚古墳群は、約900基の古墳を有する国内最大級の古墳群。埼玉古墳群、これは埼玉と書くんですけども、県名にもなった埼玉と書き、東日本最大級の古墳群、埼玉県初の特別史跡と紹介をされております。
 この埼玉古墳群を7月に視察をしてまいりました。お祝いムードが漂う博物館も訪れ、前館長にもお話をお聞きしました。八つの前方後円墳と日本最大級の直径105メートル、墳丘高さ17メートルの円墳、丸墓山古墳、全体で約3キロ、歩くと2時間コースで楽しめるところでした。丸墓山古墳は高さが17メートルもあり、豊臣秀吉が天下統一を進める1590年、家臣の石田三成が敵方の城を水攻めにした際、城がよく見えるこの丸墓山古墳の頂上に陣を張ったとされる場所だそうです。
 博物館を訪れて驚いたのは、国宝に指定された115文字が刻まれた鉄剣や神獣鏡の実物を見られたことです。この剣に記された文字の中から、大和王権の中心である大王家に代々仕え国を治める手助けをしてきたことがうかがえる内容です。古墳群の数はそんなに多くはありませんが、出土品から、この古墳群の学術的価値の豊かさに感心いたしました。
 特別史跡に指定されています三つの古墳群を比較してみました。お手元に資料を配付させていただいております。
 一つは、宮崎県の西都市にある西都原古墳群、これは西都原という台地に大小300余りの古墳が点在をして、非常にきれいな感じでございました。この下の写真は、鬼の窟古墳という古墳で、これが非常に象徴的な古墳だそうでございますけども、古墳群の中央部に、墳丘の外側に塁がなされてるということで、非常に珍しい古墳と言われているところでございます。
 真ん中が岩橋千塚古墳群、ちょっと西都原古墳群のほうが古いんですけども、西都原で3世紀末から7世紀半ば、岩橋千塚古墳群で4世紀末から7世紀、そして、約900基がございます。この岩橋千塚古墳群につきましては、皆様もなじみが多いと思いますけども、この真ん中の写真、これが天王塚古墳石室内で、下から上に向かって写真を撮ったところでございます。石はりが8本、石棚、これが岩橋型横穴式石室と言われて、非常に全国でも珍しい古墳の内部でございます。
 埼玉古墳群、これは大宮台地の北端に位置するんですけども、埼玉県行田市にある古墳でございます。これは先ほど御説明させていただきましたけども、この写真は稲荷山古墳から出土された鉄剣です。これが国宝になっているそうでございます。
 文化財保護法第109条には、「史跡のうち学術上の価値が特に高く、我が国文化の象徴たるもの」が特別史跡に指定されるとうたわれております。いわゆる国宝級ですけども、これで九州、関西、関東と3か所が指定されたことになりました。この3特別史跡から、古墳時代の歴史や文化の価値と大和朝廷との関わりやそれぞれの地域性などが改めて分かってくるように思います。
 また、昭和41年度から開始された風土記の丘構想でも共に連携してきた経緯があります。また、現在も古代歴史文化協議会として定期的に勉強会も重ねてきているそうです。
 西都原古墳群や埼玉古墳群を訪れ、他の古墳群を視察し、改めて岩橋千塚古墳群の魅力を再発見いたしました。双方の古墳群を比べたり、その出土品を比較してみたりという地域の特性が生かされた文化遺産を見詰め直すよい機会になると考えます。
 この特別史跡に指定された3古墳群による古墳サミットを開催してはどうかと考えますが、知事のお考えはいかがでしょうか。
 埼玉県名ゆかりの史跡博物館ですので、市民、県民の愛着もあり、年間10万人以上の来館者があるようです。西都原古墳群博物館も年間10万人以上と伺っております。それと比較して、紀伊風土記の丘資料館への来館者は、昨年で2万人弱となっております。宮崎県や埼玉県も参りましたけども、西都原古墳群も埼玉古墳群も、地の利がよく見学に行くのに交通の便がよいところとは必ずしも申せません。逆に、県都和歌山市からバスで30分の岩橋千塚古墳群のほうが行きやすいと私は感じております。特に地元の方々には、ウオーキングコースとして親しまれております。
 そんな方が関心を寄せて立ち寄ってもらえるような工夫やサービス、先祖の文化的なDNAを体感してもらえるような企画や若者に魅力を感じてもらえるようなイベントなど、SNSを使って発信していただきたいと思います。魅力創出をもっと図り、来館者を増やす今後の取組について、教育長にお尋ねをいたします。
 考古博物館構想を取り上げたのが、平成28年9月県議会、知事の御英断で、和歌山県長期総合計画の中で初めて特別史跡岩橋千塚古墳群紀伊風土記の丘の資料館の再編整備が取り上げられました。また、平成29年から2年間かけて、航空レーザーによる地形測量を行い、指定候補地の土地調査や特別史跡追加指定の計画づくりと進んできております。そして、平成30年度からは、博物館構想に取り組み、令和元年度予算には、考古博物館土地購入関係費として約2億9800万円が計上されております。建設計画に向け、着実に前進していると考えております。地元住民の方への説明も順調に進んでいるようです。
 昨年9月県議会で、考古民俗博物館構想をどのように進めていかれるのか、博物館建設計画の見直しやその規模についてお聞きしました。宮﨑教育長も御答弁の中で、「新博物館の規模については、同種の博物館を参考に、現時点では、延べ床面積で、現資料館約2000平方メートル、新館約6000平方メートル程度を想定しています。現在、これらを整備するために必要となる土地の取得手続を進めています。さらに、今後の基本設計着手に向け、その準備も進めているところです」と御答弁がありました。
 今年の3月21日から4月7日にかけまして、紀伊風土記の丘資料館ロビーで、「紀伊風土記の丘 夢計画」パネル展を企画していただきました。地元の西和佐小学校4年生の作品展が開催されておりました。また、このときに資料館に来館された方々も様々な意見を寄せていただいております。楽々山登り計画──古墳型のカートに乗って山登りを楽しもうとか、目と耳のバリアフリー計画──音声や画面を使ってもっと分かりやすくしていくとか、古墳型の自動販売機やお年寄りも安全に登る計画とか、そういう様々な案が寄せられておりました。
 また、大阪府岸和田市の方からは、「仁徳天皇陵など、近づき難いところと違って、本当に岩橋のこの紀伊風土記の丘は身近に感じられてよかったです」という意見も届いておりました。
 土地購入もほぼ終わっているというふうにお伺いしております。考古民俗博物館、仮称ですけども、この整備計画の現状について、教育長にお尋ねをいたします。
〇議長(岸本 健君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
〇知事(仁坂吉伸君) 私は、子供の頃に全く知らなくて、知事になってから学んだものが和歌山には結構あります。こんなにいっぱいいいものがたくさんある中で、そういうことで大変恥ずかしい思いをしておるんですが、これがその一つでございます。岩橋千塚古墳群がその一つでございます。
 何で知らんかったんかというんで大変恥ずかしいんでございますが、今から思い起こすと、西都原のほうは、名前はともかくとして、何か知ってたような気がするんですね。そういう意味では、子供にちゃんと教えんかった、あるいは全国に売り出さなかった行政とか教育もいま一つ、いまいちだなあというふうに思い、これは反面教師として教訓になっております。そういうことで、これは頑張らないかんという対象であります。
 岩橋千塚古墳は、4世紀から7世紀にかけて丘陵上に築かれた約900基から成る全国有数の古墳群で、岩橋型と呼ばれている石はり、石棚を持つ横穴式石室は、学術的に高く評価されていることは御指摘のとおりです。天王塚古墳では、石室の高さが5.9メートルもあって全国で2番目の高さである。これらの古墳群を造営したのは、恐らく古代豪族紀氏と考えられておりまして、当時の紀氏の力がうかがい知れます。和歌山県が、これら古墳の宝物を持っているということを誇りにしております。
 ほかには、議員御指摘のように、埼玉古墳群には大型の前方後円墳や円墳があり、国宝に指定されている鉄剣が出土しておりますし、また、西都原古墳群も台地上に大小300を超える前方後円墳や円墳、地下式横穴墓が築かれており、国宝の馬具や重要文化財に指定された埴輪類が出土しております。
 これらの三つの古墳群は、それぞれの成り立ちや特徴に違いがあることから、議員御提案の古墳サミットを開催し、連携してその魅力を発信することは、古墳文化を考える上で意義深いものと考えます。
 このようなことから、今後、いいお考えでございますので、古墳サミットの開催に向けて、宮崎県、埼玉県と連携、協力して検討していきたいと考えております。
〇議長(岸本 健君) 教育長。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
〇教育長(宮﨑 泉君) 紀伊風土記の丘のより魅力のある資料館に向けてということでお答えをいたします。
 紀伊風土記の丘は、特別史跡岩橋千塚古墳群を中心としたフィールドミュージアムとして、古墳の整備、公開や重要文化財に指定されている多様な埴輪の展示を行うなど、県内の考古資料の博物館としてその使命を果たしてきました。また、園内には、県内を代表する江戸時代の民家を移築して保存、公開するなど、民俗資料の収集、展示にも力を入れ、魅力づくりに努めてまいりました。
 資料館では、子供を対象にした取組として、ふどきっずやチャレンジ!ジュニア考古学などのプログラムを実施するとともに、勾玉や埴輪を作る体験講座、学芸員や館長による専門性の高い講座など、県民の幅広い興味や関心を受け止め、考古学に親しみやすい取組を行っています。これらの体験学習や講座等は、本資料館の強みであり、引き続きその充実に努めてまいります。
 さらに、資料館の魅力を多くの方に知ってもらうために、インターネットを活用したホームページやフェイスブックなどに加え、最新のデジタル技術を活用した展示と情報発信の充実にも努めてまいります。
 現資料館は、建築後約50年を経過し、展示・収蔵・研究スペースの不足、展示・収蔵環境の悪化など、いろいろな課題を抱えていますことから、再編整備に努めてまいりたいと考えています。
 続きまして、考古民俗博物館、仮称ですが、整備計画の現状についてお答えをいたします。
 新館建設等のために必要となる土地については、令和元年度から取得の手続を進めているところで、地域の方々や土地所有者の御理解を得て、年度内に取得が完了する見込みでございます。
 これに並行して、再編整備の具体的な内容を検討しているところであり、新館建設をはじめとする再編整備が一日でも早く実現できるよう取り組んでまいりたいと考えております。
〇議長(岸本 健君) 多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕
〇多田純一君 ありがとうございました。
 私も県会議員になって、自分が鳴神という地域に住んでるものですから、この地域は大日山35号墳の麓なんですね。前にもお話しさしていただいたと思いますけども、そういう意味では灯台下暗しということで、なかなか気づかなかった点もございますけども、改めてこの岩橋千塚古墳群を見てみると、和歌山県の誇りだなあと、そんなふうに感じてるとこでございます。
 知事の御答弁に、この三つの特別史跡の古墳群のサミットを計画していきたいという前向きな御答弁いただきました。ぜひ東京とか大阪とか、人が多いところでこういうサミットの会場を選んでいただいて、しっかり宮崎県とも、また埼玉県の方々とも協力しながら、大いに古墳文化の宣揚に努めてまいりたいと思いますので、よろしくお願い申し上げまして、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(岸本 健君) 以上で、多田純一君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時55分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
〇議長(岸本 健君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 32番浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕(拍手)
〇浦口高典君 皆さん、こんにちは。議長のお許しを得ましたので、質問させていただきますが、その前に、今年に入り新型コロナウイルス感染症について、7か月以上たった今もまだ終息の気配が見えず、知事はじめ関係部局の皆様には長期にわたる御尽力、御奮闘、誠にお疲れさまであると同時に、心より敬意を表する次第でございます。
 さて、今年8月8日の新聞を見て、私の頭の中に衝撃が走りました。これなんですが、(新聞を示す)それは、県のきのくに教育審議会が、現在29ある県立高等学校全日制の数を3分の2の20校程度にするということです。もちろんこれは今すぐにということではありませんが、今後15年間でということであり、それは県内の中学校卒業生徒数は2019年3月に8607人だったのが、2034年、つまり15年後には5974人と7割ほどに減少すると推計されるとのことであります。ちなみに、約30年前の平成元年には1万8014人いたということですので、既に半分以上が減少しているということになります。
 そして、その衝撃の次にやっぱりなという気持ちと、これは私が17年前に初当選したときから訴えていたこと、つまり人口減少社会をどう迎えるか、ようやく行政も本腰を入れて動かざるを得なくなったと思った次第であります。詳しくは、「これからの県立高等学校の在り方について」――この小誌、皆さんのほうに行っていると思うんですが(小誌を示す)――「~高等学校が地域とともに持続可能な存在であるために~答申」、令和2年8月、第6期きのくに教育審議会で、ここにありますが、なかなかよく考えられた答申で、今後、これを基に議会でも活発な議論がされるものと期待をいたしております。
 さて、改めまして人口減少について申しますと、2008年4月発表の和歌山県長期総合計画の142ページには、2005年103.6万人の人口が、2017年には、何もしないと92.8万人になるが、この計画を推進することによって97.5万人になると書かれております。実際は94.4万人で、目標より3.1万人少なくなっています。また、この反省の上に立って書かれたという2017年4月発表の仁坂県政の第2弾の長期総合計画には、2026年には、このままだと85.9万人に減少するのを、この計画を推進することによって目標を89.4万人に設定しています。
 しかし、今年8月1日現在、人口推計でありますが、91.5万人と、目標まであと6年あるにもかかわらず、既に余すところ2.1万人しかありません。昨年度1年間で1万500人が減少し、あと5年足らずで団塊の世代が後期高齢者になると、以前も申しましたとおり男性がかなり減少し、全体の減少スピードにさらに加速がつくものと考えられます。
 また、昨年4月の県議会議員選挙で初当選された方は初めてですが、昨年2月の定例会で、1985年から2015年までの30年間で、和歌山県、そして私の地元でありますこの和歌山市の人口動態がどうであったかを参考資料を配付して御説明をいたしました。
 それは、今では人口減少社会というのは枕言葉のように使われておりますけれども、果たして全国的にはどうかという疑問から、国勢調査のデータから人口増減を調べたところ、1985年に比べて2015年に人口が減少しているところは47都道府県中24県で、和歌山県は11.4%の減少で、全国で7位の減少率でありました。
 一方、都道府県庁所在地で見ると10市のみが減少しており、その中でも和歌山市は9.3%の減少で、全国の都道府県庁所在地の中で2位、ちなみに1位は長崎市、これは造船不況の影響、3位は青森市、これは大降雪、雪の影響であるとそのとき申し上げました。
 また、この結果で分かったことは、県全体の人口が減少しても、その県の県庁所在地が人口のダムのような働きをして、他府県への流出を食い止めているということであります。
 例えば、岩手県全体では10.7%の人口が減少していますが、県庁所在地の盛岡市は逆に人口が19.1%増加と大きく増えております。
 和歌山県・和歌山市の関係でいうと、県庁所在地が人口のダムの働きができず、人口減少に歯止めがかかっていない現状であります。和歌山市は、私も含め15名の県会議員の選挙区でもありますので、決して他人事として傍観しているわけではありません。
 そこで改めて深く考え、今後少しでも県、市のプラスになるような政策を提案し、当局と協力して人口減少に対応する対策を進めていかなければなりません。そして、今回、和歌山市だけではなく県全体の地域ごとの人口増減を提示し、議員の皆さんにもよく御理解いただけるよう、各選挙区ごとにまとめました参考資料1を御覧ください。
 1985年から2015年までの30年間で、先ほど申し上げたとおり減少率だけでいいますと、県全体で11.4%、和歌山市は9.3%でしたが、一番減少率の激しかったのは伊都郡の35.6%、2番目は東牟婁郡の32.3%、3番目は新宮市の27.5%の減少となっております。次に、将来人口推計でありますが、昨年2月定例会では2015年をベースにした2045年の人口推計を国立社会保障・人口問題研究所、略称社人研のデータを出させていただきましたが、実際にはこれより早く人口が減少してきているようであります。
 ここでは、以前も紹介をいたしましたが、元総務大臣であった増田寛也氏が座長を務めておりました日本創成会議の2040年、つまりこれから20年後の人口推計、これは社人研のデータより若者の首都圏への転出が加速するという仮説の下で算出されたものを右に記しました。そして、これを見ていただくと、2015年と比べるとやはり一番減少率の大きいのは伊都郡で44.9%の減少、2番目はやはり東牟婁郡で44.1%の減少、3番目は新宮市で39.9%の減少であります。また、この3地域だけの1985年から2040年までを見ると、伊都郡では64.5%の減少、東牟婁郡では62.1%の減少、また新宮市は56.4%の減少となっております。
 何ゆえ私がここまで人口減少のことを申すかといいますと、確実に今までとは違う時代が来ているということであり、冒頭のきのくに教育審議会の答申を例に取るまでもなく、産業構造、基盤整備、都市計画等、この違う時代に合わせて進めていく必要があると思うからであります。
 ここで、知事にお伺いをいたします。
 では、今お話ししました時間軸と人口減少の大きさ、つまり人口激減時代の和歌山県の将来ビジョンについてお答えください。
〇議長(岸本 健君) ただいまの浦口高典君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
〇知事(仁坂吉伸君) 人口減少が進む現下の状況には、私も大変危機感を持っております。ただ、人口減少が進むに任せていてはまずいけませんので、何とか止める方法を考えないかんということが第一でございます。
 少子化、高齢化を伴う人口減少は、地域経済や医療、教育など様々な分野に悪影響を及ぼし、自治体の存続まで危うくする可能性があるわけでございます。したがって、まずは止めようということでございますが、そのための必要な対策に取り組んでおります。
 具体的には、子育て世帯に対する全国トップレベルの経済的支援など、子供を安心して育てることのできる環境の充実を図って、子供さんをたくさん産み育ててもらえるようにすること、それから産業振興や企業誘致など働く場の創出、あるいは県内で働きましょうといって新しい学卒者などを和歌山県に連れてくる労働政策、あるいは町なかへの大学誘致、発展の基盤となる道路ネットワークの整備など、自然減、社会減両面から対策を講じております。
 しかしながら、当面は人口減少が避けられませんので、それが現実でございますから、その中でも地域の活力や生活の基礎となるサービスを維持し、県民誰もが楽しく快適に暮らせるために、議員御指摘のように人口減少時代に適応した対策を取るということが必要だということでございます。御指摘のような県立高等学校の在り方の検討も、その一つであると御理解いただきたいと思います。
 ほかにも施設管理の一体化や共同化など、市町村と連携した持続可能な上下水道施設の基盤強化や、中山間地域において存続が困難となることが予想される集落の再編、これをずっと永久に守り続けることはできないので、できるだけ無理のない程度に再編をするほうに誘導しましょうとか、あるいは町なか居住への誘導をはじめとしたコンパクトな都市づくりを行って、そんなに人口が増えない都市でもきちんとした暮らしができ、まちづくりができていくようにしましょうとか、そういうことを和歌山県長期総合計画で既に書いていて、それでできるだけ戦略的に対策を講じているところでございます。
 このように、人口減少に歯止めをかける努力を行いながら、現実に即した対策を講じているところでございまして、引き続き県民と危機感を共有しながら、持続可能で元気な和歌山の実現に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
〇議長(岸本 健君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
〇浦口高典君 知事、どうもありがとうございました。後ほどまたお話しさせていただきますが、2番目に移らしていただきます。
 日本製鉄株式会社の関西製鉄所和歌山地区第1高炉休止についてですが、この質問につきましては、今年2月定例会で中議員が、関西電力海南火力発電所跡地も含め「県内産業の斜陽くい止め」という標題で質問されて、多少重なる部分もありますが、私は人口流出の大きな原因でもあります職場が失われるという観点から質問をさせていただきます。
 日本製鉄、ここにいる多くの皆さんには、住友金属、住金という名前のほうが慣れ親しんでいると思いますが、8年前の2012年10月に新日鐵と合併し、2019年4月1日から社名を日本製鉄株式会社に変更いたしました。そして、2020年4月には製鉄所組織の統合・再編成として和歌山製鉄所から関西製鉄所和歌山地区という名称に変更となっております。ここでは、それらに合わせて日本製鉄と呼びますが、日本製鉄は言うまでもなく、日本を代表する鉄鋼メーカーであり、長年和歌山県の発展に寄与してきた企業であります。
 しかしながら、近年、国内の鉄鋼需要は製造業向けの減少に加え、中長期的にも高齢化、人口減少による需要の縮小や海外現地の生産拡大に伴う需要減少が見込まれております。また、海外については、中国が国内景気対策としてインフラ投資に向けた増産を続けていることや、ASEANに最大新鋭製鉄所を建設していることもあり、日本からの輸出が増やせず、競争が一層激化していることも想定されております。
 さらに、米中貿易摩擦に端を発した世界的な製造業向け鋼材需要の減退や、原燃料価格の高止まりなどの外部環境については、好転の兆しが見られていません。
 そうした中、日本製鉄は収益確保、販売量拡大に向けた最適生産体制を構築することに当たり、日本製鉄各事業所の設備休止に至ったということでありますが、この中で関西製鉄所和歌山地区第1号高炉として、それに関連する設備休止は大きな施策であります。
 この発表を受けて、尾花和歌山市長は、早速に日本製鉄本社を訪れ、休止計画の見直しや影響へ配慮してほしいと申し入れたということを聞いております。和歌山地区で影響を受ける人員については、直営社員で140名程度、関係協力会社については数字は公表されていませんが、数百名程度が影響を受けるとされているようであります。つまり、ここではあえて全体を数百名規模というふうに言っておきますが、数百名規模の職場がなくなるということであります。
 このことについては、今年の2月定例会で中議員の質問に対し答弁されていますが、これらの方の雇用は、日本製鉄直営社員については同地区で配置転換となり、また関係協力会社についても現在人手不足ということもあり、今のところは大きな混乱もなく収まりそうであると聞いております。
 しかしながら、これを日本製鉄の構内だけの問題として捉えるのではなく、数百名程度の企業が廃業になると考えれば大変なことであります。ちなみに、県内では、三菱電機や花王などの大手は別にしまして、なかなか数百人規模の企業というのはほとんどないということでありますので、これが廃業ということになりますと、すなわち雇用の場がなくなると考えていくと、本当に大変なことであると私は認識をしております。現在働いている方たちは別の職場に収まったとしても、これから社会に出ようとする若者にとっては、地元の雇用の場が数百名分なくなるわけでありますから、大きな損失であることは間違いありません。
 そこで質問ですが、県としてはこの大きな雇用の穴を埋めるために、新たな雇用を生み出す経済活動や雇用のサポートをどう考えているのか、商工観光労働部長、お答えください。
〇議長(岸本 健君) 商工観光労働部長大山 茂君。
  〔大山 茂君、登壇〕
〇商工観光労働部長(大山 茂君) 今回の第1高炉休止に伴う県内雇用への影響は大きいものであると認識しております。
 県では、これまでも雇用対策は非常に重要であり、産業人材の確保と働く場を創出する産業振興を両輪で取り組んできたところです。
 産業人材の確保につきましては、県内には数多くの技術力のある優れた企業が存在することから、高校生の県内就職や大学生のUIターン就職を促進するため、就職ガイドブックを作成し、県内企業の魅力や県内就職のメリットを伝えるとともに、合同企業説明会開催などにより学生と企業とのマッチング支援に重点的に取り組んでいます。
 一方で、企業の成長促進や創業支援、企業誘致など、働く場を創出する産業振興についても様々な取組を推進しています。県内企業の成長促進としては、新しい商品や先端技術導入、省力化設備導入に対する支援、展示会への集団出展による販路開拓など、川上から川下まで一気通貫で企業の成長を促しております。創業支援については、投資会社や金融機関によるチームでサポートを行うことや、地域課題を解決する起業に対し助成するなど、起業家創出に積極的に取り組んでいます。
 企業誘致については、従前の取組に加え、リモートワークが可能な企業の本社機能の一部移転など、新しい働き方に応じた誘致活動にも取り組んでいるところです。さらに、県経済を持続的に成長させるためには、ITやロケットに代表される先端産業の誘致や県内企業の技術革新の推進を図り、新たな産業も興してまいります。
 このような取組を通じ、今回の第1高炉休止により雇用への影響を受ける人のみならず、県内就職を希望する全ての人の働く場所の確保に努めてまいります。
〇議長(岸本 健君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
〇浦口高典君 ぜひ頑張ってください。
 次に、わかやま塾についてお話をさせていただきますが、これは今の雇用とも関係してくると思うのですけども、平成25年度から県が開催しており、今年度で8期目を迎えるわかやま塾についてであります。
 既に御存じの方も多いと思いますが、これは和歌山県の将来を担う県内の若手経営者や経営者候補の方々を対象として、世界に羽ばたくグローバルな人材の育成を目的としたものであります。概要としては、年9回、6月から2月までの毎月1回、講義内容は、知識編には、国の政治行政制度、日本経済情勢、世界経済情勢、IT情勢またその教育、エネルギー、社会保障、福祉、インフラ、これらの産業等があり、また、心がけ編では、経営者としての心構えなどで、講師は各界の専門家及び著名人、県内外の経営者で、塾生は50歳未満の県内企業の経営者、幹部、後継者、起業を志す者、そして公務員ということで、全9回のうち6回以上出席で修了、いわゆる卒塾ということだそうですが、昨年の第7期まで合計579名の受講者があり、うち507名が、これは87.5%、卒塾されたということであります。
 そして、このわかやま塾の塾頭が、県公安委員会委員長の中野BC株式会社の中野会長でいらっしゃいます。今日はいらしておりませんが、ここにその中野会長が書かれた、こういった本がございます。(本を示す)私もこれ、「私たちの会社『経営基本方針』」「我が社の経営理念」「いきている言葉『私たちの経営のコツ』」「私が尊敬する『先輩から学んだ経営のコツ』」という言わば4部作がございまして、全てに目を通さしていただきましたが、大変すばらしいものであります。
 実は昨年、中野会長から、あるとこでばったりとお会いしまして、お声かかりまして、「浦口先生、いつも先生が議会で訴えている健康長寿日本一わかやまについて、一度教えてもらえやんか」とお話がございまして、早速昨秋、中野BC株式会社の本社を訪ね、2時間余り説明をさしていただいたことがございます。
 そこで私は、先ほども紹介しました県の長期総合計画に、平成20年と平成29年度版に、最初は「健康長寿日本一わかやまをめざします」と書いていたのが、正直うまくいってなかったもんですから、平成29年度版には、今度は「健康長寿日本一わかやまを実現します」と明言していますから、仁坂知事を筆頭に県は今度こそやるでしょうというふうに中野会長に御進言したことがございます。
 という意味から、私が具体的にこの健康長寿日本一について今まで提案してきました施策ということについてもお話をさせていただいた次第なんですが、私は決して、これは中野会長におべんちゃら言うわけじゃないんですけども、中野BC株式会社は、健康長寿日本一わかやまに合致した健康食品などをもう既にいろいろと開発されて、また業としても新たに興されて非常にすばらしいんじゃないでしょうかと。私は、起業ということについては、今後、和歌山は第1次産業をベースにした、そこからヒントを得たいろんな商品を開発することが和歌山のためになるんではないかというようなお話をさしていただいたことを今でも覚えております。
 そのように申し上げましたら、中野会長がぽつんと言ったことに非常に私は印象深かったんですが、実はうちはもともと中野酒造として日本酒造りをやってきたが、日本酒だけではもう早うに潰れてたというようなことを言われました。まさに、オーナーである中野会長が言われたことですからそのとおりだと思います。そういう意味で、非常に先見の明のある立派な経営者であります。
 話を元のわかやま塾に戻しますが、その中野会長が塾頭を務められている若手経営者、また起業家づくりを目指す、わかやま塾を一度拝聴したいと思っておりましたら、新型コロナウイルス感染症の影響で遅れておりましたが、今年は7月15日スタートの今期講座に、実は私の耐久高校時代からの親友であります垣内永次氏が来られるということでありましたので、彼は今、京都の株式会社SCREENホールディングスの代表取締役取締役会長をされてるということで、講師としてこの7月15日来られました。早速それを拝聴さしていただきました。この株式会社SCREENホールディングスという会社は、一般にはあまりなじみが薄いのですが、昨年度の年商は3232億円で、全従業員が6074人であります。国内外で幅広く展開する半導体製造装置事業やプリント基板関連機器事業などを手がけるグローバル企業で、実は彼も私も高校時代あまり学業に熱心ではなかったもんですから、ようこんな大きな会社の会長に収まってるなと、私、今でも不思議なんですけれども、非常に立派な講演でありました。
 また、実は彼のお兄さん、これは皆さんも御存じだと思うんですが、1997年に全国で高校の分校として初めて甲子園出場を果たした日高高校中津分校の野球部の垣内邦夫監督であります。
 それはともかくといたしまして、当日50名余りのわかやま塾出席者は、もう熱心に垣内会長の話を聞かれていて、終わってからも積極的に皆さん質問されていました。その夜、垣内会長は久しぶりに和歌山へ泊まるということで、私と2人食事を取りながら酒を酌み交わし、これからの和歌山についていろいろ話をしたのですが、彼もこれからの人生で、ふるさと和歌山県の発展のためには、「できるだけ自分でよかったら何でも協力するよ」と言ってくれましたし、彼の一途な性格を知っているだけに、決してその言葉に社交辞令や誇張もないと確信し、県会議員の一人として大変うれしく思いました。
 そこで質問ですが、まず、わかやま塾の卒塾生で現在どのような活躍をしているのか、商工観光労働部長、お答えください。
〇議長(岸本 健君) 商工観光労働部長。
  〔大山 茂君、登壇〕
〇商工観光労働部長(大山 茂君) わかやま塾につきましては、今年度8期目を迎え、新たに57名が受講しています。
 これまでの実績として、卒塾生は507名を数え、塾生からは、「チャレンジすることへの意欲がさらに強くなった」「示唆に富んだ内容で勉強になった」「時代の流れを痛切に感じ、自分がどうあるべきか真剣に考えるきっかけになった」といった感想をいただいています。
 卒塾生は会社の経営者や幹部社員として、それぞれのポジションで創業、事業拡大、海外展開などで活躍されていますが、その中には、次代の県経済をリードし得る企業として県のソムリエ委員会において賞を受賞された方、多くの起業家を輩出している創業塾を主宰されている経営者もいます。
 また、卒塾後も定期的に勉強会や情報交換などを行う活動が行われており、塾生同士の新たな取引が生まれるなど、和歌山県経済の活性化につながる取組が継続的に実施されています。
 和歌山県の産業を支え、発展させるため、県内企業の未来を担う人材の育成は重要であるとの強い思いから、今後も世界に羽ばたくグローバル人材を育成するわかやま塾を引き続き実施してまいります。
〇議長(岸本 健君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
〇浦口高典君 部長、どうもありがとうございました。ぜひ頑張ってください。我々も応援さしていだたきますので。
 それでは最後、4番目の質問に移らしていただきます。健康長寿日本一わかやま、令和9年4月、これは実現します、知事が断言してるもんですから、私もそれを信じております。
 ここまで人口動態、雇用の場、新しいビジネスの創造などについて質問をいたしましたけれども(「もう一問」と呼ぶ者あり)元い、もう一つですね、失礼しました。ちょっと急ぎ過ぎまして大変失礼しました。
 2番目の質問でありますが、垣内氏のように、和歌山県出身で積極的に故郷のために協力すると言ってくれている会社経営者や和歌山県にゆかりのある会社経営者などに、どのような形でアプローチし、具体的に協力してもらうのか、商工観光労働部長、お答えください。
〇議長(岸本 健君) 商工観光労働部長。
  〔大山 茂君、登壇〕
〇商工観光労働部長(大山 茂君) 県では、本県出身者や本県にゆかりのある経営者の方々に、わかやま塾の講師をはじめ、産業交流サロンなどのセミナーの講師として御協力をいただいています。
 わかやま塾で講師として講義いただいた方には、講演終了後も塾生からの様々な質問に個別に対応いただいています。
 また、講師が経営されている会社が運営するセレクトショップ型オンラインサイトにおいて、県内の逸品を選定いただくなど、販路開拓やブランディングなどで御協力いただいています。
 さらに、講師が経営されている会社と優れた技術を持つ県内企業との技術マッチング商談会も予定しているところです。
 今後も、わかやま塾をはじめとした事業でお世話になった会社経営者の方々との御縁を最大限に生かし、様々な角度から協力いただくことで、県内企業の振興や新たな産業の創出にも資する取組を進めてまいります。
〇議長(岸本 健君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
〇浦口高典君 部長、ぜひ本当に頑張ってください。我々も協力さしていただきますので。同じことをまた2回言うようで大変失礼なんですが。
 4番目、いよいよ私の得意分野をお話しさせていただきます。
 健康長寿日本一わかやま、令和9年4月実現、これは仁坂知事がはっきりとこの長期総合計画の中で約束されてますから、皆さん、これは分かってくださいよ、その前提でやりますから。
 ここまで人口動態、雇用の場、新しいビジネスの創造などについて質問いたしましたけれども、それは取りも直さず、現在の和歌山県民の一人として、次の時代の方、次世代の方に誇りを持ってこの和歌山県に住み続けていただけるような、そういった思いから、私自身ふだんから申していることであります。特に、その原点と言うべき30数年前から和歌山県の人口減少、さらにこれから20年でその動きに加速がつき、まさに消滅可能性市町村が県内の至るところで現れてくる現実を考えたとき、何とかしなければなりません。しかし、はっきり申し上げまして、人口の増加を望むことは、いつも示している人口ピラミッドを見ればほぼ不可能であり、また、増加させなくても一定の人口を確保するには、近い将来、海外からの移民も考えなければならないかもしれません。しかし、これは日本全体の制度として考えるべきことであります。
 しかも、高齢化率も現在、県全体では32%ですが、20年後の2040年には40%近くまで上がると予測され、必然的に15歳から64歳までの労働人口も大幅に減少することは簡単に想像されることであります。そのような将来を見据えた上で、知事は県全体、そして我々は足元である自分たちの地域がどうあるべきか、当たり前のことですが、議員の皆さんの一人一人が日々考え、いろいろと発想の下、地域、そして県全体のために汗を流されていることは想像することに難くないと思います。
 私自身、このような中で注目しているのが、65歳以上の要介護認定者の割合の大きさであります。平成30年度まで5年連続要介護認定率全国第1位、県では平成30年度21.9%ですが、私の地元和歌山市では、この数値より1%以上高い23.3%であります。そこに注目し、ここを改善しないと活力ある和歌山県、和歌山市の将来がないと自分なりに確信し、これを改善するためにこの8年間にわたり、県の進める健康長寿日本一わかやま実現の一環として、ラジオ体操指導者づくり、健康推進員づくり、運動ポイント事業ほか提案し、施策として県も取り組んでいることは、皆さんも既に御存じのとおりであります。
 お手元の資料、令和2年度地域・職域連携推進事業の概要についてを御覧ください。詳しくは申し上げませんが、地域、職域、教育からのアプローチがそれぞれあり、地域と職域の連携協議会があり、市町村や企業、学校、市民グループなどと連携、地域に根差し、生涯を通じた健康づくりの推進をすれば、目標の健康長寿日本一の実現になると大変すばらしいものであります。
 県の福祉保健部の健康推進課がつくったものでありますけれども、実はこれ、ここで初めて見られる方がいらっしゃるかもしれませんが、8年前からあるんです、この資料は。ちょっと書き加えたとこがあるんですけれども、しかしながら先ほど述べましたように、要介護認定率5年連続全国第1位のように、全くこれが進んでないんですね。進んでる気配さえ私は見えません。もちろん、いろいろやってますというふうな御答弁はそのときいただくんですが、これ日本一というのはあくまでも各都道府県と相対的なもんですから、かなり今も低位に沈んでいってるというのが私の実感でありまして、決してこれは、悪い表現なしに言えるのは、絵に描いた餅とは言いませんけど、非常に立派な書面なんですけども、これが本当にできていればもっとこれが表へ出てきて、皆さんに披露されると思うんですが、なかなかそこたいから探さないと出てこないということは、ひょっとするとこれ、もうできるだけ触れないでほしいというのが本音であったんではないかなと私は感じております。実は私もこういった資料があるのを忘れてたんです。今年、新型コロナウイルスの影響でステイホームで5月にいろいろと自分の部屋で書類整理してたらひょこっと出てきました。そういや、こんな立派な資料、県も作ってんのやなと思ったんですが、後で確認したら全然進んでないなというのが私の実感であります。
 新型コロナウイルスで、要するに人の命、生命の大事さというのは改めて我々も感じている次第ですが、人の命に比べれば、健康に対してそこまで行政が力を入れる必要があるのかと思われるかもしれませんが、私は命を大切にするためにも、身体と精神を健やかに保ち、長生きすることが最終的には命を大事にすることだと思っております。
 そして、前段でも訴えました人口激減、超高齢先進、要介護認定率5年連続全国第1位という現実を考えたとき、この健康長寿日本一わかやまは本当に大事な課題であると私は確信をしております。実は、なぜそんなことを言うかと、これはまた新聞からなんですけど、和歌山県、いろんなところで新聞出てくるんですが、8月9日に朝日新聞を見て私は驚いたんです。これ見たら、和歌山県が断トツにトップなんですよ。これ私、梅干しかミカンの出荷量かと思ったら違うんですね。要するにPCR検査の人口10万人当たりの1日の検査能力が、和歌山県、断トツ1位なんですよ。さすがやっぱり知事がこれだけ評価されるだけのことはありますよ。これ見てたらね、やる気があればできるということがここに書いてるんですよね、この新聞の中に。
 さすがに、これは改めて言いますけど、ワシントンポストが評価する世界の仁坂ですよ。しかし、命を支える県民の健康寿命が相変わらずこんなに低いということは、これも事実でありますから、ぜひ御認識をいただきたいと思いますが、何度も言いますように、これは要はやる気というより、やるかやらないかなんです。本気になってやればできるんですね。今晩のテレビも恐らく、この健康長寿については、これは浦口議員が提案と絶対言わないですよ、県が進めると言ってますから、これは県の施策ですから、真剣になってやってくださいね。
 そこで、質問です。
 この地域・職域連携推進事業はどこまで進み、8年前と比べてどれだけ進化しているか、福祉保健部長、お答えください。
〇議長(岸本 健君) 福祉保健部長宮本浩之君。
  〔宮本浩之君、登壇〕
〇福祉保健部長(宮本浩之君) 近年、急速な高齢化が進む中、疾病構造が変化し、がんや糖尿病等の生活習慣病の増加が大きな課題となっており、これを予防するためには個人の主体的な健康づくりへの取組はもちろんのこと、生涯を通じた継続的な健康支援が必要であり、県、市町村、事業所が連携し、住民の健康に関する課題を共有し、より効果的な取組を行うことが重要です。
 そこで、県では、市町村、事業所の健康づくり関係者が共通理解の下、連携体制を構築することを目的に医師会、病院協会、労働局などで構成する和歌山県地域・職域連携推進協議会を設置し、地域保健と職域保健が共同で取組を行い、生活の場である地域を核とし、就業者を含めた家族の健康支援に取り組んでいるところです。
 このような取組を進めてきたことにより、県や市町村が実施する健診や健康づくり事業に関する情報を商工団体を通じて事業所に周知する仕組みが広がるとともに、行政主体で実施していた学校への健康講座についても、地域の医師会が主体となって独自で実施するようになるなど、まだまだ十分ではありませんが、関係機関の連携による自発的な取組が広がりつつあります。
 さらに、職場での健康づくりをサポートするため、平成30年度に協会けんぽと共同で健康づくりチャレンジ運動を開始するとともに、積極的に健康づくりに取り組む事業所に対し、県が認定証を発行する県独自のわかやま健康推進事業所制度を創設するなど、新たな取組も進めているところです。引き続き、関係機関の連携による県民の健康づくりを推進してまいります。
〇議長(岸本 健君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
〇浦口高典君 部長、大変はきはきとしたお答え、ありがとうございました。
 しかしながら、現実考えたら、ちょっと笑い話みたいになってくるんですよ。私も実態がいろいろ分かってるだけに、8年前の計画を今また引き出しから出してきてこういうことを言うのは、非常にどうかと思ったんですけど、やっぱり進んでいない、しかもさっきも言いましたように、この長計で約束してるもんは真剣になって私やらないかんと思いますし、もちろん私も責任持ちます、言った限りは。そのつもりであります。
 いずれにしましても、健康長寿日本一わかやまへの道はまだまだ遠いというのが私の実感ではありますけれども、これはなぜかというと、県民、市民を本格的に巻き込んでいないですよね、まだ。いろんな制度はつくっても、絵は描いてもなかなかその絵が本格的に動き出していないというのが本音ではないかと思います。
 今回の新型コロナウイルス感染症の件で我々が大きく学んだこと、それは当たり前のことではありますけれども、県民一人一人の協力を得なければ、この感染症に打ちかつことができないということであります。これは、健康長寿日本一わかやまも一緒なんですね。そのためにはどうしたらいいか、一人一人の意識改革と行動変容が大事であります。これはもう前からずっと言ってます。しかし、なかなかできないからこういうていたらくな状況の中で、半年以上過ぎて、実はこのコロナウイルス、私も自分なりに驚いてるんですが、私みたいななまくらな男が、この夏の暑い時期、こうやってマスクして歩いてるんですよ。これはまさに行動変容なんですね。これが行動変容です。
 これが、起こすということは、それだけ自分の意識も変わってきた、それぐらいやらないかんし、確かに、今言うように健康を害したからすぐに死ぬわけじゃありませんけれども、結局それをやってる県が、今までずっとこの議会でも言いましたように横浜市であるとか長野県であるとか滋賀県であるとか、そういったところはもうやってるんですね、健康長寿についても。ぜひともこのことを御認識いただきたいと、そのように思っておりますので、ぜひこの意識改革と行動変容を起こすために、県民、市民の協力を得て共にやっていきたいなと私も思っております。
 最後に、私、ここで提案なんですが、これちょっと、いろいろ当局とお話しする中で、若干乱暴かなと思いましたけれども、今までずっと10数年間にわたり健康長寿という看板を上げながらやってる中で進んでいないということは、まだ本格的に県民、市民が動いていないということでありますので、私は県民、市民をいかにして動かすかということが、動いていただくか、これから大きな課題であると思っております。
 しかし、不特定多数の県民、市民さん、なかなかそういう意識をお持ちじゃありませんので、今まで県だとか和歌山市なんかがやっておりましたいわゆる健康長寿のための介護予防事業であるとか、またフレイル対策であるとか、具体的に言いますと県なんかはシニアエクササイズなんかあります。また市なんかはつれもて健康体操なんかもありますし、またこの2月に、これはまだ形としてできておりません、今日もちょっと傍聴席に来ていただいてますけど、我々の仲間で今進めております、もちろんこれは公設民営でやるという前提でやってるんですが、滋賀県の國松知事が提案された100歳大学についても、これからの高齢化社会をどう迎えるかということをもう一回勉強しようじゃないかということも含めて、こういった取組をされている市民の方がたくさんいるわけですから、これを糾合というかできるだけ一つにまとまっていただいて、もちろん県と市の担当者も入っていただいた中で官民一体となり、一歩も二歩も前へ進めていく、そのための共同体、協議体をつくってはどうかと私は提案をしたいし、仮称ですが、和歌山県健康長寿推進協議会をつくってはどうかと私は思っておるんですが、そのとき、県の協力について、福祉保健部長、お答えください。
〇議長(岸本 健君) 福祉保健部長。(「県の協力なしにやりゃあいい」、「やれます、やれます、やれます」と呼ぶ者あり)
  〔宮本浩之君、登壇〕
〇福祉保健部長(宮本浩之君) 健康で長生きするためには、自らが主体的にかつ継続的に健康づくりに取り組むことが重要なことから、県では、県民の健康意識の高揚を図り、健康を維持するための取組を推進しているところであり、こうした取組がより効果的なものとなるよう、市町村や関係団体、民間の事業者との情報交換や共同実施などを通じて連携強化を図っているところです。
 議員御提案の官民一体の和歌山県健康長寿推進協議会については、議員のお話を伺いながら、県民の健康づくりの推進のため、既に設置している組織との連携も含め、県としての対応が必要なことがあれば積極的に協力していきたいと思います。
〇議長(岸本 健君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
〇浦口高典君 部長、どうも大変力強い御答弁、ありがとうございます。今ちょっと、先輩議員のほうから、おまえら、民間だけでやれよという御意見ありました。全くそのとおりだと思うんです。もちろん、基本は県民、市民が中心にならないけません。私、今から10数年前に、和歌山を元気にしようということで、いつも言っております2人の若者、私と3人で紀州よさこい祭りを立ち上げました。そのときに私が若い子だとかみんなに言ったのは、「絶対に行政を頼るな」と。こういったものは行政に頼ると非常に小さなものになってしまうということで、自分たちでお金集めて、その立ち上げた中で元気が出てきました。そのあと県も市も協力してくださるようになり、県の非常に大きなイベントになったわけでありますけども、今もその気持ちは全く一緒なんですが、ただ、この健康長寿については、これ一人一人の生活も絡んでることです。また、介護保険だとか医療保険だとか、そういった一人一人のお金も出すことでありますから、非常に大事なことですから、これはやはり行政も共に歩んでいただきたい、そのように思う次第であります。
 本当に、今日はそのお言葉をいただいただけで、私、この場に立っただけ値打ちがあったなと思っております。ありがとうございました。知事の御指導の下、我々も頑張ってまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 最後になりますが、ちょっと健康長寿から離れるんですが、最初の人口減少問題、これは質問じゃありません、最後一言だけしゃべらせてください。
 今、時節柄、あまり、私も野党の小さな党の県連の幹事長という立場がございますので、私が発言するといろいろ問題起こしたらいけませんので、あえて言いませんが、これ新聞のとおりいきます。安倍内閣の8年間の――7年8か月ですね、具体的にいろいろな功績、実績という中で、これもやっぱりどうしても朝日新聞に出てくるんですが、9月15日の新聞で、いわゆるどう変わったかということで地方都市に焦点を当てて書いてるんですね。その中で見ると、「人が減り、じわり細る『故郷』」「相次ぐ閉店/訪日客効果限られ」「進んだ『選択と集中』」と、大きな題目で書いてるんです。これを見ますと、非常に二極化してるんですね。人口の増えているところは東京を中心とした関東圏が、ベスト5が関東圏4つに沖縄県なんですね。今度、人口が減っている4県については、逆に東北3県と高知県、四国1県と何と和歌山県が5番目に減ってるんですね、割合でいうと、この8年間で。非常に、アベノミクスはいろいろと効果があったといいます。私はあえてそのことについて、この場で言うとまたいろいろ後ろからやじられそうなので言いませんけれども、本当にやっぱりこれが現実なんですよ、和歌山県が。だからこそ、その一つの方策として私は健康長寿と言い、これ大きな、我々にとっては、命題だと思ってますんで、これ真剣に取り組んでおりますんで、ぜひともこれから皆さんも御協力いただきまして、私も言った限りはいろいろな形で前向いて進めるように頑張ってまいりますので、いろいろ世界の仁坂知事はじめ、御協力いただくようにお願いを申し上げまして、簡単ではございますが、私の質問とさせていただきます。本日は誠にありがとうございました。(拍手)
〇議長(岸本 健君) 以上で、浦口高典君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 23番佐藤武治君。
  〔佐藤武治君、登壇〕(拍手)
〇佐藤武治君  (「頑張れ」と呼ぶ者あり)ありがとうございます。
 皆さん、こんにちは。すいません。外すの、緊張して忘れてました。議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、私の一般質問をさせていただきます。
 先月28日、日本の憲政史上で最長の政権となり、連続在職日数でも記録を塗り替えた安倍首相の辞任表明があり、突然のことで非常に驚きました。持病の潰瘍性大腸炎が悪化したとのことで、国民の負託に自信を持って応えられる状態でなくなった以上は、首相の地位にあり続けるべきではないと説明をされていたところです。
 アベノミクスで日本経済の立て直しに尽力をされ、民主党政権下に比べれば経済は回復して、雇用情勢も大きく改善されたと思います。内政、外交ともに上げた功績に敬意を表するとともに、まずは治療に専念をしていただきたいと思います。
 そして、恐らく本日の臨時国会で第99代菅総理大臣が誕生するところでありますけども、先日の「国民のために働く内閣」ということを掲げています。ぜひ国民のために汗をかいていただき、コロナ禍で落ち込んだ経済回復に粘り強く取り組んでほしいと思っているところであります。
 さて、今年の夏はコロナ禍の下、今までにない夏となりました。日本感染症学会の舘田一博理事長は、先月19日に始まった同学会の講演冒頭で、「日本は、第1波、4月7日の緊急事態宣言の後、何とかそれを乗り越えることができたが、今まさに、第2波の真っただ中にいるわけです」と述べておられました。そして、「感染者数の推移は、全国も東京も、そのピークを越えたかのように見られているが、また再上昇が見られないかどうか非常に注意を持って見ていかなければいけない状況だ」と述べ、警戒を呼びかけているところであります。
 本県においては、新型コロナウイルスの第2波が6月23日から始まったとされ、7月以降、新規感染者が急増しました。9月14日現在の感染者数の累計は236人、死亡者が4名になっております。お亡くなりになられた方々には心からお悔やみを申し上げますとともに、治療中の方には一日も早く快癒されることを願っております。
 国内においても、最近はかなり落ち着いてきたように思いますけれども、その終息はいまだ見えずという状況が続いておりまして、冬にインフルエンザの患者が増えることを考えると予断を許さない状況と言えると思います。本当に一日も早い終息を願うばかりであります。
 また、今年の夏は例年以上に猛暑となりました。各地で豪雨災害が相次ぎ、日照時間も少なかった7月から一転し、実は私のいとこが住む静岡県の浜松市では、8月17日に国内最高気温の41.1度を記録、また私の住む潮岬でありますけれども、いつもなら、和歌山市などよりも3度から4度低いところでありますけれども、お盆の8月16日に、大正2年の観測開始以来最高となる36度1分を記録したところであります。ちょうどその日に、孫が6~7年前に夜店ですくってきた金魚がいたわけですけども、それを私が飼育をしていた、小さなこういう金魚であります、夜店ですくってくる金魚、それが7年ぐらいたちますと大きいので8センチぐらいまで育っていたんですが、最高気温その日に、ひょっと見ると浮いておりまして、熱中症で亡くなったなと。いまだにまだ孫にはそのことを伝えておりません。どうしようかなと非常に悩んでいるところです。
 そういうのは一つ、笑えるところではあるんですけども、その記録的な猛暑のせいか、串本と紀伊大島の間に浅海という、養殖が行われている海域があるんですけれども、そのお盆頃から、この海域の海水温が過去にないぐらい、30度を超える高温になりまして、養殖のマダイ、これが1日に400~500匹、多い日には1000匹を超えて死ぬ状況が続いていました。養殖業者の方が来られて、私のとこにも来られて、この実態を知ってほしいんやということで代表の方が来られました。ふだんでもコロナ禍の中で打撃を受けています。値段も安いし、なかなか出荷もできない、そしてこの災害とも言える今回の件で、さらに厳しい状況に直面をしているところです。これ以上の被害が続けば、養殖業を継続することができないというふうな声も出るところまで追い込まれておりまして、まさに死活問題に今なっているところです。
 気象庁によりますと、猛暑の大きな原因は、2階建ての高気圧であるというふうに聞いております。勢力の強いチベット高気圧、また太平洋高気圧で重なり合うように列島を覆ったこと、これが今回の猛暑と、8月の平均海面水温が1982年の観測開始以来、過去最高になった原因となっているようでございます。
 今日は9月16日であります。確かにもう私の地元では朝夕、本当に少し涼しくなって過ごしやすくなってきたように感じますけれども、まだまだ皆様には体調に十分気をつけていただきたいと、このように思います。
 私は、6月議会において、新型コロナウイルスの感染拡大により、多くの事業者が多大な影響を受けている。とりわけ深刻なのが観光関係の事業所の皆さんであって、観光立県をうたう和歌山県では一刻も早く回復基調に転ずるための対策の実施が強く求められており、新型コロナウイルスの感染拡大により非常な影響を受けた観光事業者への支援と、今後の県の観光の施策等について質問をさせていただいたところです。
 商工観光労働部長からは、「新たな融資枠などの県独自の包括的な支援策を5月に創設するとともに、本6月定例会においても、融資枠の拡大や観光客に安心して訪れていただくための受入れ環境整備に対する補助を提案させていただいております。あわせて、県民の方に新型コロナウイルス感染症の閉塞感からリフレッシュしていただき、県内の魅力に触れ、郷土愛の醸成につなげていただくため、県内の宿泊施設等を利用した際に宿泊費用等の一部を支援する県民リフレッシュプラン販売促進事業についても本定例会に提案させていただいているところです。今後、地域経済の復興に向けた取組として、観光産業の早期回復を図るため、新型コロナウイルス感染症対応を踏まえた観光振興アクションプログラムに基づき、『蘇りの地、わかやま』キャンペーンを段階的に展開してまいります」との答弁をいただきました。
 国のGoToトラベルも事業が開始されております。もうすぐ2か月となりますけれども、お盆過ぎの8月22日、1か月が経過しましたけれども、その時点では、ちょうど第2波と言われる感染拡大の影響もあって、利用者は伸び悩んでいるというふうに言われていたように思います。赤羽国土交通大臣が、9月1日の記者会見で、割引商品の販売を始めた7月27日から8月27日までに利用した宿泊者が、少なくとも延べで556万人に上ると明らかにしたところであります。
 群馬県の草津温泉では、埼玉県や栃木県などの近隣県からの旅行客が伸びて、8月の宿泊者と売上高はいずれも前年同期の7割程度まで回復したということが新聞に載っておりましたけれども、一方、奈良市では、遠方からの宿泊を伴った観光客は伸び悩み、効果はあまり聞かれないと地域差が出ているようでありました。事業対象から東京都が外れたことや、実施のタイミングとしてはどうだったのかなという声もありますけれども、政府とすれば困窮する観光業界を支援するために、感染再拡大への懸念が広がる中、7月の4連休等もあり、GoToトラベルを強行した感が強いと思います。しかし、事業の参加状況は芳しいとは言えない状況で、ある大手の旅行会社も、お盆の売上げが前年の2割から3割程度にとどまったところが多く、また、ある大型ホテルでは従業員の一部を休ませたままで、感染の再拡大でGoToトラベルの効果も吹き飛んでしまったと話をしているところもあるそうです。
 東京オリンピック・パラリンピックの開催で大幅な増加が見込まれていた訪日外国人観光客も、延期により、現在は皆無に等しい状態であります。ただ、コロナ終息後においては、長期的に見れば訪日客は戻るとの期待感は根強く、一部のアンケート結果ではありますけれども、行きたい旅行先に我が国を挙げる外国人はアジア居住者では56%と、2位の韓国を大きく引き離しているという結果も出ているようでございます。
 私も、わかやまリフレッシュプランの電子チケットを購入して、8月の上旬、2家族で近くの温泉に行って、あるホテルを利用さしていただきました。たしか平日であったにもかかわらず、県内はもちろん、県外も含めて大勢の利用客があったように思っております。
 わかやまリフレッシュプランについては、さきに朝から岩田議員のほうが質問されていましたので、私からはあえて質問はいたしませんけれども、私自身、多くの観光事業者の方々にお話をお伺いする中で、本当にありがたいんだ、こういうことをもっと続けてほしい、そういう声がほとんどでありました。ただ、一方で、ほんの一部の事業者からではあるんですが、少し使い勝手が悪いという声も聞かれました。
 事業終了後、恐らくその効果等については検証をされることと思います。検証に当たっては、取扱事業者の意見や県民の声を酌み上げるなどして、今後の備えとしてしっかり検証していただくように要望をしておきます。
 新型コロナウイルスの感染拡大は、児童や生徒の学校生活にも非常な影響を及ぼしています。県内の小中学校や高校でも、楽しみにしていた行事などが相次いで中止になるなど、修学旅行についても、ふだんの年であれば県外等を訪れるはずであったのが中止になったり、旅行先を県内に変更して実施する学校も多く、私の地元・串本町潮岬にある県立南紀熊野ジオパークセンターでも、紀北、紀中を中心に約70校近くの学校から修学旅行の予約が入っていると聞いております。昨日、一昨日ですかね、散歩途中にジオパークの職員さんと会ってちょうどそのことをお話をしたところ、大変ありがたいというふうな話でありました。既に訪問した小学校の児童からは、「和歌山県にはすごい自然がいっぱいあることを学びました」「地形や川の仕組みをいろいろと知ることができて楽しかったです」という手紙をいだたくなど、大変好評と聞いておりました。
 6月に観光部局に伺った記憶があるのですけども、その当時、県内を周遊する修学旅行の取組は、経済活動の回復、観光関係事業者の復興につながるので歓迎するところです。また、県内小中学校の児童生徒にとってもふるさと教育の、また和歌山県の魅力に触れる絶好の機会であると考えますといったような話であったかなと思っております。その当時は、まだ具体的に検討されるところはほとんどなかったようですけれども、その後、7月に各市町村の教育委員会教育長宛てに、義務教育課長から小中学校等の修学旅行についてということで、修学旅行の候補地選定に当たり、県内での修学旅行について積極的に検討をいただきますようお願いしますと、こういうふうな文書が出されていたと思います。
 そこで、修学旅行を県内に変更した小中学校はどれほどあるのか。また、これを機に、今後県内での修学旅行を後押しするお考えのほうはあるのか、教育長にお伺いをいたします。
〇議長(岸本 健君) ただいまの佐藤武治君の質問に対する答弁を求めます。
 教育長宮﨑 泉君。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
〇教育長(宮﨑 泉君) 今年度、各学校では、修学旅行の教育的意義を踏まえ、新型コロナウイルス感染症の感染防止対策等を講ずる中での実施について慎重に検討してきました。
 現在、県内の修学旅行を実施または検討している小学校は全体の約4分の3に当たる176校、中学校は全体の約半数の61校となっています。
 県内での修学旅行を実施した学校では、子供たちにとって熊野古道散策やカヌー体験等、日常とは異なる体験ができ、改めて和歌山の魅力を知る機会となったと聞いております。
 県教育委員会としましては、受入れ先の地域の協力もいただきながら、今後、県内修学旅行が選択肢の一つとして定着することを期待いたします。
〇議長(岸本 健君) 佐藤武治君。
  〔佐藤武治君、登壇〕
〇佐藤武治君 今、教育長のほうから、小学校全体で約4分の3というふうな、今176校ですか、中学校については約半分、61校もということで、非常に多くの小中学校が今回、県内の地を修学旅行で訪れていただくということでありますので、今、教育長も言われましたけども、今後もひとつ選択肢の一つとしてお願いしたいと思います。
 新型コロナウイルス感染症の早期終息を願ってやみませんけども、影響が長引くことも懸念されております。本県には、世界文化遺産、紀伊山地の霊場と参詣道や南紀熊野ジオパーク、日本遺産、南方熊楠、そして濱口梧陵などの偉大な先人など、勉強になる場所も数多くあります。県内の生徒が修学旅行などの校外学習で県内を訪れることは、観光事業者等への一助ともなりますので、今後も引き続き推奨していただきますようにお願いいたします。
 あわせて、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて、本県を教育旅行で訪れる予定であった県外の学校からはキャンセルとなった事例や、逆に近隣府県の学校からは旅行先を東京や沖縄から本県に変更することを視野に入れた問合せがあったとの事例も伺っているところです。現状では、他府県へ出向いての活動はまだまだ難しい状況であるかと思いますけれども、関係部局には教育旅行誘致の取組も、今後の状況を見ながらになるかと思いますけれども、さらなる強化を要望しておきます。
 続きまして、第6期きのくに教育審議会の答申を読ませていただきました。人口減少や少子化が進行し、15年後の中学校卒業生徒数が現在の7割程度になると予測される中、県立高等学校がどうあるべきかについて、県教育委員会がきのくに教育審議会に昨年の10月に諮問をして、今年の8月に提出された答申であります。この答申は、精査されたデータや分析を基に、中長期的かつ多面的な視点から高校教育の在り方について直言しており、これまでになかった踏み込んだ答申内容であると思います。
 答申は、今後のさらなる人口減少への対処に終始せず、本県高等学校教育の発展性と持続可能性が大きな柱となっていると私は感じております。発展性については、和歌山県の高校教育の長年の課題であった子供たちの優れた能力を十分に発揮させる教育や、特別支援教育の観点からの個に応じた学び、高校教育を構成する普通科、専門学科、総合学科の充実改善策、高校入試と中学校の進路指導のあるべき姿等の提案がなされております。実現に向けて取り組むべき内容であると、このように思います。
 一方、持続可能性については、地域の教育と地域の活力の両立を可能とするため、1学年6学級を適正規模としつつ、それぞれの地域にどのような高等学校を整備すればよいかという方策が示されています。マスコミの報道では、現在29校ある県立の全日制高校が、今後15年でおよそ3分の2、約20校程度になることや、和歌山市以外の地域では普通科高校を各市域1校に再編するなど、センセーショナルな取上げ方をされている面もありますけれども、答申を冷静に読めば合理的な内容であるかと感じます。
 地域に親しまれた高校や青春時代を過ごした母校の一部が形を変えたり再編されたりしていくことは、頭では理解はできていても、心情的には納得がいかないことはもっともなことであると思いますが、この答申内容を前向きに捉え、本県においても新しい学校教育を創造していく契機となることを期待しております。
 県教育委員会は、この答申を基に今後の高校教育の整備をどのように進めていくのか、その工程を示した実施プログラムの案を年末にかけて作成していくものと聞いています。県民の期待に応え、子供たちに夢や希望を抱かせ続けることができる施策を期待しています。
 そこで、教育長にお伺いします。
 少子化により、各高等学校の再編整備は避けては通れない課題だと、これは思います。しかし、そのような中にあっても、県民の期待に応え、子供たちが夢や希望を抱いて成長できるようにするためには、本県の高等学校教育改革をさらに進めていく必要があると思いますが、このことについて、教育長の思いや決意をお聞かせ願いたいと思います。
〇議長(岸本 健君) 教育長。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
〇教育長(宮﨑 泉君) 本県の高等学校教育改革を進めることへの思いについてでございますが、本県の多くの高等学校では、生徒数減少に伴い小規模化が進行し、活力、多様性、魅力が低下してきています。その状況が、本県の地域社会の活力低下や和歌山県の教育の衰退につながるのではないかという危機感を多くの人が抱いています。
 活力ある高等教育を実現するためには、それぞれの地域に生徒一人一人の希望、興味・関心、適性に応える教育システムを備えた学校を配置することが必要です。一方、その基準にとらわれない、地域に応じた高校の在り方という観点も忘れてはなりません。
 今後、再編整備に向けた実施プログラムを策定、実行していく上で、痛みも伴うことから厳しい御意見をいただくことがあるかもしれません。しかし、この機を高等教育の質の向上と改革の好機と捉え、立ち止まることなく将来の子供たちへの責任を果たすべく、強い決意で進めてまいりたいと考えています。
〇議長(岸本 健君) 佐藤武治君。
  〔佐藤武治君、登壇〕
〇佐藤武治君 ありがとうございます。本当に今後、再編整備に向けたプログラムについてはしっかりと、いろんな意見があるかも分かりませんけども、子供たちのためでありますので、ひとつしっかりと進めていただきたい。
 私は、できるだけ多くの人にまずこの答申を読んでいただきたいなと、そして読んでもらうだけではなくて、今後の和歌山県や子供たちの将来のために必要な方向性だと受け止めていただきたいと、こういう思いがあります。答申の内容を1人でも多くの方に理解していただくためには、当然、県民への説明も必要になるでしょうし、今後、教育委員会が行うこととなる再編整備実施プログラム、この作成に当たってはそれぞれの立場を乗り越えて、大局的な見地から寄せられる多くの意見を聞き届け、まとめていくことも必要になってくると思います。
 この答申の末尾「むすびに」の部分には、「県教育委員会は、この答申が県民に広く理解される機会を設けるなど、県民の合意形成が図られるよう尽力することを望む」との記載もあります。今後、再編整備を進めるに当たり、この答申の内容について、県民に広く理解を促し、合意形成を図っていくためにどのような対応を考えているのか、教育長の考えをお聞かせ願いたいと思います。
〇議長(岸本 健君) 教育長。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
〇教育長(宮﨑 泉君) 答申が県民に広く理解されるための方策についてでございますが、昨年10月、きのくに教育審議会へ諮問し、半年にわたる審議を経て、先月、本答申を受け取ったところです。議員御指摘のとおり、この答申をできるだけ多くの人に周知し、しかるべき方向性であると理解していただきたいと考えております。
 そのようなことから、答申を県教育委員会のホームページに掲載するとともに、自治体や学校の関係者等に広く配布し、説明を行っているところです。また、地域や一般県民の方々にも知っていただき、意見を伺う機会として、9月末から10月中旬にかけて地方別の懇談会を県内5会場で開催することとしています。これらに加え、多くの方々による踏み込んだ議論も必要になると考えております。今後、限られた時間ではありますが、広く意見を伺いながら再編整備実施プログラム案を年内に作成し、パブリックコメントを経て年度内には策定したいと考えています。
〇議長(岸本 健君) 佐藤武治君。
  〔佐藤武治君、登壇〕
〇佐藤武治君 10月の中旬から各地方で県内5会場ですか、いろんな意見を聞く機会を持っていただけるということであります。多分いろんな厳しい御意見もあろうかなというふうに思いますけども、しっかりその意見を踏まえながら、ひとつ策定のほうをお願いしたいと、このように思います。
 答申には、私の地元の串本地域について、中学校生徒数の減少が著しい中にあっても、地元で高校教育を受けることができるように学びやを存続することが必要であると書いていただいております。個人的には大変ありがたく思っているところです。
 しかし、地域に様々な魅力や資源がありながら、それが高校教育の充実、発展と必ずしもうまくかみ合っていないという、今、串本地域が直面している課題は、今後の和歌山県全体を俯瞰したときに、決して特異なものではなく、他の地域でも起こってくることであると思います。大人たちは串本の魅力を強く感じ、この地域で高校生活を送ることの有意義さを考えます。しかし、その一方、子供の中には、可能性を伸ばし、地域外へ大きく羽ばたきたいという声も少なくはありません。このジレンマが非常に悩ましい問題であります。
 今後、再編整備が進む中で、我が町に学校がなくなるのは反対だという声だけが突出し、地域の子供たちの思いに応えることができなくなった、形だけの学校が残るという状況は避けなければならないと、こう思います。中身が伴っていないと、地域の活性化だけではなく、地域の衰退につながる場合もあると思うからであります。
 広い舞台で自分を高めたいという生徒の意思を尊重することも大切ではありますけれども、一方で、地域外に行かなくても地元で充実した学びができるよう、ICTを活用した教育環境の整備と、地元でなければできない学びや体験を両立させるとともに、指導する教員の力量を高めることにより、人口減少地域においても斬新で柔軟かつ魅力あふれる高校を創造することはできるのではないでしょうか。
 各地域においては、それぞれの地域が育んできた文化や歴史、産業、そして地域住民の思いに基づいて、形にこだわらず中身のある高校教育が必要であると感じています。そのためには、地域の理解や支援は不可欠です。私も、串本古座高等学校の地域協議会の一員として、地域とともにあるべき学校を引き続きバックアップしていきたいと考えています。
 今後、生徒数の減少が著しく進むと予想される地域は多いですが、それらの地域の将来を担う県立高等学校の在り方について、特に串本地域についてどのように考えているのか、教育長の考えをお伺いいたします。
〇議長(岸本 健君) 教育長。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
〇教育長(宮﨑 泉君) 串本古座高校は、平成29年度から全国募集を含めた様々な改革、串本古座高校魅力化プロジェクトと申しますが、これに取り組んでいます。全国募集1期生のうち1名は地元就職し、地域社会の担い手として歩み始めました。
 地域協議会では、串本町・古座川町が、様々な事業を通して生徒たちを支援してくれています。中でも、くろしお塾では、進学対策講座や基礎・基本を学ぶ講座、それから英語検定・漢字検定の対策講座など、様々なニーズに対応した学びが提供され、生徒たちに好評でございます。
 串本地域が直面している課題は、他地域でも生じることです。多くの人口減少地域を有する本県では、串本古座高校の取組を参考にして、各地域の学校を充実させていくことも必要です。
 県教育委員会といたしましては、地域からの御支援もいただきながら、それぞれの地域の実情に応じた魅力ある学校づくりを進めていきたいと考えています。
〇議長(岸本 健君) 佐藤武治君。
  〔佐藤武治君、登壇〕
〇佐藤武治君 どうも答弁ありがとうございました。
 今、教育長のほうから答弁のあったくろしお塾でございますけども、私も先日、保護者から関係者に会いまして、いろいろお話を、現況などのお話を聞いてきたところでございます。
 今、担当している方は非常に熱心な方やと聞いております。子供にも保護者にも非常に信頼されているようでございます。何か聞くところによると、期間があるのかな、何年かすると動くというのは、これは当然だと思うんですけども、今後、これをひとつ本当にくろしお塾存続、いろいろと聞くと大変な面も、資金面も含めてあるようでございますので、何とか県教委におかれましては、支援も含めて御協力のほうをお願いしたいと、このように思います。全て子供たちのためでございますので、教育長、ひとつよろしくお願いいたします。
 最後になりましたけども、地域おこし協力隊についてちょっとお伺いをいたします。
 この質問といいましょうか、地域おこし協力隊については、本来は県ということではなく市町村が事業主体というんですか、こういうことでありますので、県の当局にこうした一般質問をするのはどうかなということも思いましたけれども、地域おこし協力隊が充実することによって、県内への移住・定住者の増加、これにつながるんかなというふうなことも思います。県下の現状、今後の取組方針などについて簡単にお伺いできればというふうに思っております。
 この制度については、皆さん御存じであると思いますけれども、2009年、総務省によって制度化されたものでありまして、地方自治体が募集を行って、地域おこしや地域の暮らし等に興味のある都市部の住民を受け入れて、地域おこし協力隊員として委嘱して、隊員には、地域ブランド化や地場産品の開発、販売、またはプロモーション、そしてまた都市住民の移住・交流の支援、また農林水産業への従事、住民生活の維持のための支援などの地域協力活動に従事をしてもらって、併せてその定住、定着を図って、そのような活動を通じて地域力の維持、強化を図っていくことを目的としている制度であって、総務省も財政支援をしているということでございます。
 全国では、2019年度の隊員数は5349人、前年度より10人減少したと、2009年の制度開始以来右肩上がりに増えてきたが、初めて減少したということになっております。近年は、地域になじめずに任期途中で辞める隊員もいるため、採用数を抑えた自治体があったためと報道されていたようでございますけれども、一方で、隊員を受け入れている自治体は増えているようであります。
 県内では、2009年に高野町が取り組まれて、その後、21市町村が採用、2018年に最多の55人が活動されていたようでございます。今年8月末現在では、活動しているのは15市町村の36名というふうに聞いております。
 以前、弘前大学大学院の平井太郎准教授の調査ではありますけども、地域おこし協力隊の隊員、その25%が着任から1年以内に辞めているというようなことが分かっています。その半数近くは、住民や行政との関係で悩みを抱えており、活動前から十分な意思疎通を図るなど、受入れ態勢の整備が定着の鍵になる、このように指摘をしております。半年以内に退任した隊員は7%、半年から1年以内は18%という結果も出ているところであります。
 その地域おこし協力隊について、本県の状況や事業主体である市町村が抱える課題とその解決のための取組について、今後の考え方も含めて企画部長にお伺いをいたします。
〇議長(岸本 健君) 企画部長田嶋久嗣君。
  〔田嶋久嗣君、登壇〕
〇企画部長(田嶋久嗣君) 地域おこし協力隊の状況についてでございますが、本県では市町村と協力し、隊員の活動期間中から起業や就業支援など、各隊員のニーズに合わせたきめ細かいサポートを行っており、その結果、6割を超える隊員が活動終了後も県内にとどまり、移住・定住につながっていると考えております。
 議員御指摘の、1年以内で退任した隊員については、本県においては18%で、弘前大学大学院の全国調査の結果による25%より下回っております。また、その半数が市町村の求める活動内容とのミスマッチや、地域になじめない等の理由で活動を断念していますが、残りの半数は県内で就職や起業をする等、地域の担い手となり活躍しております。
 県では、より一層の定着を図るため、市町村が隊員を募集する際に、地域が望む人材を公募し選抜する県主催の公募型移住者選抜会への参加を働きかけ、採用前から両者が十分に意思疎通できるよう支援を行うとともに、地域おこし協力隊の経験者と現役隊員とが相互に交流し連帯感を深められるよう、メールマガジン等により活動に役立つ情報の共有を図っているところです。
 県としては、今後も隊員が地域で活躍するとともに、活動終了後も地域の担い手として県内に定着できるよう、より一層市町村と連携を密にして取り組んでまいります。
〇議長(岸本 健君) 佐藤武治君。
  〔佐藤武治君、登壇〕
〇佐藤武治君 部長、答弁、ありがとうございました。活動終了後も地域の担い手として県内に定着できるように、またそれが人口減少の一つの歯止めにもなるかなというふうに思います。より一層、今後市町村と連携を密にしまして取り組んでいただければと、このように思います。
 これで、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(岸本 健君) 以上で、佐藤武治君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時36分散会

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