令和2年6月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


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令和2年6月 和歌山県議会定例会会議録 第3号

令和2年6月
和歌山県議会定例会会議録
第3号
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議事日程 第3号
 令和2年6月17日(水曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第103号から議案第105号まで(当局説明)

 第2 議案第91号から議案第100号まで並びに諮問第1号(質疑)

 第3 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第103号から議案第105号まで(当局説明)

 第2 議案第91号から議案第100号まで並びに諮問第1号(質疑)

 第3 一般質問
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出席議員(42人)
 1番 鈴木德久
 2番 山家敏宏
 3番 中本浩精
 4番 堀 龍雄
 5番 藤山将材
 6番 岸本 健
 7番 井出益弘
 8番 宇治田栄蔵
 9番 北山慎一
 10番 玄素彰人
 11番 中西峰雄
 12番 秋月史成
 13番 森 礼子
 14番 濱口太史
 15番 尾崎要二
 16番 冨安民浩
 17番 川畑哲哉
 18番 玉木久登
 19番 鈴木太雄
 20番 岩田弘彦
 21番 吉井和視
 22番 谷 洋一
 23番 佐藤武治
 24番 岩井弘次
 25番 中 拓哉
 26番 多田純一
 27番 新島 雄
 28番 山下直也
 29番 中西 徹
 30番 谷口和樹
 31番 藤本眞利子
 32番 浦口高典
 33番 山田正彦
 34番 坂本 登
 35番 林 隆一
 36番 楠本文郎
 37番 高田由一
 38番 杉山俊雄
 39番 片桐章浩
 40番 奥村規子
 41番 尾﨑太郎
 42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       細川一也
 危機管理監      森田康友
 総務部長       田村一郎
 企画部長       田嶋久嗣
 環境生活部長     田中一寿
 福祉保健部長     宮本浩之
 商工観光労働部長   大山 茂
 農林水産部長     角谷博史
 県土整備部長     庄司 勝
 会計管理者      城本 剛
 教育長        宮﨑 泉
 公安委員会委員    竹田純久
 警察本部長      檜垣重臣
 人事委員会委員長   平田健正
 代表監査委員     保田栄一
 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       中川敦之
 次長         井邊正人
 議事課長       山田修平
 議事課副課長     岩井紀生
 議事課議事班長    岸裏真延
 議事課主査      松田太郎
 議事課主査      伊賀顕正
 議事課主事      浅田晃秀
 総務課長       嶋岡真志
 政策調査課長     神川充夫
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  午前10時34分開議
〇議長(岸本 健君)  これより本日の会議を開きます。
 日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
 過日提出のあった議案第92号及び議案第97号は、いずれも職員に関する条例議案でありますので、地方公務員法第5条第2項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、文書により回答がありました。お手元に配付しておりますので、御了承願います。
 この際、報告いたします。
 議案の追加提出がありました。
 日程第1、議案第103号から議案第105号までを議題といたします。
 議案は、お手元に配付しております。
 まず、当局の説明を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
〇知事(仁坂吉伸君) ただいま上程されました議案について御説明申し上げます。

 議案第103号は、新型コロナウイルス感染症対策を盛り込んだ国の第2次補正予算や県内の厳しい経済状況等を踏まえ、一般会計で総額404億6600万円余の補正予算をお願いするものです。

 主なものとして、感染症病床のさらなる確保や、医療機関、介護施設等における感染症対策の強化を支援する経費のほか、苦境にある県内事業者を支援する新たな県独自施策として、国の家賃支援給付金に上乗せして支援する経費や、観光客に安心して訪れてもらうための大規模な感染症対策を実施する事業者を支援する経費を計上しております。

 また、学校再開に伴い必要となる教員等の追加配置や感染症対策を実施するほか、今後の感染拡大に備え、県立高等学校の休業時においても、同時双方向型のオンライン指導等により全生徒が学習を継続できる環境を整えてまいります。

 次に、議案第104号は、県立こころの医療センター事業会計において、感染症対策に要する経費など2300万円余を計上しております。

 また、議案第105号は、補正予算に係る教員等の追加配置に伴い、和歌山県立学校等職員定数条例の一部を改正するものでございます。

 何とぞ、御審議の上、御賛同賜りますようにお願い申し上げます。
〇議長(岸本 健君) 以上で、当局の説明が終わりました。

 次に日程第2、議案第91号から議案第100号まで並びに諮問第1号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、併せて日程第3、一般質問を行います。
 5番藤山将材君。
  〔藤山将材君、登壇〕(拍手)
〇藤山将材君 おはようございます。

 令和2年6月定例会、今日から一般質問が始まるわけですが、そのトップバッターとして登壇をさせていただく機会をいただきました。先輩・同僚議員の皆様に感謝を申し上げつつ、議長に許可を得ましたので、一般質問に入らせていただきます。

 まず、新型コロナウイルス感染症について伺ってまいります。

 令和2年4月臨時会及び5月臨時会において、私は新型コロナウイルス感染症について質疑をさせていただきましたが、今議会でももう一度、この新型コロナウイルス感染症の取組についてお尋ねをさせていただきます。

 本県においては、国内では流行の早期と言える2月に済生会有田病院で院内感染が発生して以降、知事はじめ関係当局の御尽力により早期の収束を図ることができ、その対応については国内外から多くの称賛の声が聞こえるところでありますが、その後、東京、大阪など都市部を中心に国内でも感染者が急増し、政府は4月7日、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言を発令し、さらに、4月16日には対象地域を全国に拡大いたしました。

 本県でも、政府の一連の動きに即応して、4月8日を最初に、幾度となく県民に対し、不要不急の外出の自粛、県外への往来の自粛等をお願いし、さらに、4月25日午前零時から休業要請が始まりました。

 緊急事態宣言が発令されている間、県からの度重なるお願いに対し、県民の皆様は不自由な面もあったかと思いますが、非常に協力してくれたのではないかと感じています。

 そういう県民の皆さんの御努力と和歌山県の医療保健行政、いわゆる早期発見、早期隔離、行動履歴の徹底調査を行う和歌山方式と言われる対策を地道に積み重ねてきたことが功を奏し、本県では、5月13日以降、新たな感染者の発生がなく、6月2日には陽性患者がゼロになり、昨日時点で35日連続で新規感染者が出ていない状況であります。ここまでの県当局の皆さんの頑張りと県民の皆さんの御努力に対し、この場をお借りし、改めて御礼申し上げたいと思います。

 しかしながら、これからがさらに大事であり、ここで気を抜いてはなりません。

 そこで、知事は「感染症との闘いは長期戦になると見込まれる」とよく言われていますが、いずれ来るとも言われる第2波、第3波に向けてどのような備えをする考えであるのか、知事にお尋ねをいたします。
〇議長(岸本 健君) ただいまの藤山将材君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
〇知事(仁坂吉伸君) 新型コロナウイルス感染症対策は、これまでもしばしば申し上げてきたとおり、県の保健医療行政の努力と県民の行動自粛の努力の足し算と考えております。

 そのため、保健医療行政の機能が十分でないと、すぐに感染が蔓延し、県民の皆様に大きな負担をお願いせざるを得なくなることから、感染状況が落ち着いている今だからこそ、県の保健医療体制を来るべき第2波、第3波に備えてさらに充実していくことが喫緊の課題であると認識しております。

 保健医療行政の要は、これまで取り組んできた早期発見、早期隔離、徹底した行動履歴調査を行う和歌山方式を着実に今後とも実行していくことだと考えております。

 その観点から、まずは、感染者の早期発見にとって不可欠なPCR検査体制をさらに強化するため、県の検査機関である環境衛生研究センターにPCR検査機器を増設し、処理能力の増強を図ることとしております。

 さらに、早期に発見した患者を迅速、的確に隔離することが必要であることから、これまでも医療機関に協力要請を行い、感染症患者を受け入れるための病床を確保してきたところでありますけれども、第2波以降の感染症患者の急増に備えるため、引き続き病床の確保に努めてまいる所存であります。

 こうした医療体制を堅持していくためには、徹底した院内感染の防止を図っていくことが必要不可欠であります。このため、とりわけ救急、周産期、小児医療といった専門医療を担う地域の中核病院において、時間短縮型のPCR検査機器を配備し、救急受診時や手術前、分娩前に迅速に病院内で検査を実施できる環境を整備してまいります。

 加えて、各医療機関がそれぞれの機能や規模に応じ、地域における役割分担の下で必要な医療を提供できるよう、院内で疑い患者とその他の患者が混在しないような動線を確保するなど、感染拡大防止対策等に必要な経費についても支援してまいります。

 一方、重症化リスクの高い高齢者等が利用する福祉施設等においても、感染予防を徹底しながら必要なサービスを継続することが極めて重要となることから、感染の移入と拡大を防止するための環境整備や、マスク、消毒液など衛生・防護用品の購入等に係る経費を支援するとともに、県においても備蓄に努め、必要な施設に対してこれらの物資を迅速に供給できるよう万全を期してまいります。

 このような一連の取組により、保健医療体制の戦力を整え、装備を強化するとともに、行政職員を鼓舞して、新型コロナウイルス感染症の再流行に備えてまいる所存でございます。
〇議長(岸本 健君) 藤山将材君。
  〔藤山将材君、登壇〕
〇藤山将材君 次に、休業要請や外出自粛などにより経済活動が非常に停滞し、それにより苦境に立たされている県内事業者がたくさんおられますが、県としてどのように地域経済を回復させていこうとしてるのか、知事にお尋ねをいたします。
〇議長(岸本 健君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
〇知事(仁坂吉伸君) 県では、これまで事業者の方に対する支援策として、全国に先駆けて融資制度の要件緩和を行い、事業者の方々の資金需要に迅速に対応しているところでありまして、加えて、国の様々な支援メニューを活用するように促してまいりました。

 新型コロナウイルスの影響が全ての業種、多くの事業者に及んでいる中、感染が終息した際には全ての方に県経済を牽引していただく必要があることから、全業種・全ての人が対象、困っている人を助ける、事業継続に資するを三つの原則とし、全国的にも例のない包括的な支援策を取りまとめ、実施しているところであります。
 さらに、各事業者の方々からのお声を聞き、新たな支援策を検討してまいりました。

 そこで、雇用の維持と事業の継続等を図るため、家賃に対する支援や創業して間もない方への支援の拡大を図るとともに、安心して訪れてもらう観光地づくりを目指し、観光関連事業者が実施する持続的な感染拡大防止等への支援を行い、その他、県融資制度の融資上限額を引き上げることで事業者の方の資金需要に確実に応えていく所存であります。

 また、県内での消費喚起につなげるため、県民による県内宿泊施設や県内の観光施設等の利用も促進させます。

 このような支援策をスピード感を持って実施することで、新型コロナウイルス感染症により大きなダメージを受けた事業者を強力に支援するとともに、県内消費を促進させ、地域経済を回復していきたいと考えております。
〇議長(岸本 健君) 藤山将材君。
  〔藤山将材君、登壇〕
〇藤山将材君 3点目ですが、新型コロナウイルス感染拡大で臨時休業が続いていた学校は約3か月ぶりに再開し、教室には久しぶりに児童生徒の元気な姿が戻ってきました。学校再開後は、消毒や児童生徒の体調管理をはじめ分散授業の実施など、各学校において様々な工夫を凝らしながら、徐々に通常の学校生活に戻りつつあると聞いております。

 しかしながら、今回の休業は、今まで経験したことがないほど長期にわたっており、休業により発生している学習の遅れなどをどのように取り戻していくのか、保護者の関心は非常に高いことと思います。

 また、教科学習のみならず、児童生徒に様々な学びを与える課外活動などの実施についても、新型コロナウイルスに対するワクチンが一般に流通していない現状においては、再開については不安が拭い去れず、通常の状態に戻るにはかなり時間がかかるのではないかと考えます。

 そこで、現状において、発生の可能性を否定できない感染拡大の第2波を見据えながら、児童生徒の安心と安全を確保しつつ、学習の遅れと通常の学校活動を取り戻すために今後どのような取組を展開していくのか。これについては教育長から答弁をいただきたいと思います。
〇議長(岸本 健君) 教育長宮﨑 泉君。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
〇教育長(宮﨑 泉君) 児童生徒の学習の遅れを取り戻すための取組についてでございます。

 各学校では、休業期間中において児童生徒の学習を遅滞させないために、課題の配付や授業の動画配信を行い、家庭学習の充実に向けた様々な取組を行ってまいりました。

 しかしながら、議員御指摘のように、今回の休業は当初の予想をはるかに超え、学習の遅れ等が懸念されます。そのため、児童生徒の安全・安心と学びの保障を両立させるための必要な予算について、今議会に上程しているところでございます。

 まず、学校における新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、校長が状況に応じて迅速かつ柔軟な対応ができるように予算措置を講じるとともに、学級担当をサポートするスクール・サポート・スタッフやスクールカウンセラー等の増員を図り、児童生徒の安全・安心を確保できるよう取り組んでまいります。

 次に、学習の遅れを取り戻すため、夏季休業を短縮するなど授業日数を確保するとともに、教員の増員配置や補習等の実施のための学習指導員を追加配置し、児童生徒の学びを保障してまいります。

 また、今後の感染拡大に備え、既に公立小中学校において1人1台のパソコンの導入に向けて取り組んでおりますが、加えて、県立高等学校においても生徒1人に1台のタブレット型パソコンを導入するなど、オンライン学習を実施するための環境整備を急ピッチで進め、懸念されます再度の学校休業時においても学習を遅滞させないための学習環境の整備を図ってまいります。

 さらに、課外活動等においても、児童生徒の心身のバランスの取れた成長に欠かせないものであります。特に感染予防の観点から全国大会の中止等の影響が出ている部活動について、再開のガイドラインを策定するとともに、県独自の各大会等の開催を支援してまいります。
 今後とも、児童生徒が安心して学校生活を送り、健やかに成長できるよう、感染症対策や学習保障等を実施するため、様々な取組を充実させてまいります。
〇議長(岸本 健君) 藤山将材君。
  〔藤山将材君、登壇〕
〇藤山将材君 次に、大項目の二つ目、新型コロナウイルス感染症による県産農産物への影響と今後の販売促進について伺います。
 本県の基幹産業である農業においても、この新型コロナウイルスによる影響が出ているのではないかと思います。
 農業の場合、工業製品と違って、生産をストップしたり生産のスピードを調整することは到底無理であり、農家の方々は各産地の特徴を生かして農作業を続け、丹精込めて農作物を作り上げ、収穫適期を見定めて最高品質のものを市場へと出荷されています。
 学校の休業やイベントの中止、飲食店が休業するなどで、せっかく作った農作物が売れない、売れても非常に単価が安く、採算が取れないなどの情報が新聞やテレビ報道等で飛び交っており、私も地元の農家の方々からそうした声も聞いております。
 このような中、現時点で新型コロナウイルスによる県内農産物への影響はどのような状況なのでしょうか。また、影響を受けた農家に対する支援策はどのようなものでしょうか。
 本県は、ミカンや梅、柿などの果樹を中心に日本一の生産量を誇る産地が幾つもあり、新鮮で高品質な農産物を全国の消費者の皆さんにお届けをしております。既に梅では本格的な出荷が始まっておりますが、秋には柿、そしてミカンへと、本県が誇る農産物の出荷が続いてまいります。
 新型コロナウイルスの感染が収まりつつあり、第2波等が懸念される状況ではありますが、これから本県の農産物出荷が本番を迎えるに当たって、全国の消費者にそのおいしさを積極的に情報発信していくことが大切ではないでしょうか。
 毎年、JAグループなどが消費宣伝を行っておりますが、今年は、より一層、消費宣伝や情報発信に力を入れる必要があると考えます。
 そこで、今後出荷される柿やミカンなどの販売促進に当たって、県は具体的にどのような取組を行うのか、農林水産部長にお伺いをいたします。
〇議長(岸本 健君) 農林水産部長角谷博史君。
  〔角谷博史君、登壇〕
〇農林水産部長(角谷博史君) 新型コロナウイルス感染症による県産農産物への影響と今後の販売促進についてお答えをいたします。
 まず、新型コロナウイルス感染症による農産物への影響についてですが、特に切り花がイベントの中止や結婚式の延期等により消費が落ち込み、牛肉についてもホテルや外食産業の営業自粛により売上げが減少しております。
 また、観光農園や農産物直売所も外出自粛に伴う来客数の減少により、売上げが落ち込んでおります。
 このため、県独自の支援策をはじめ持続化給付金などの国の制度により、影響を受けた農業者や事業者の方々への支援を行っております。
 また、国の1次補正で予算化された高収益作物次期作支援交付金について、本県より交付単価の引上げを要望したところ、2次補正で大幅に増額されたことから、切り花生産農家等での積極的な活用を促進しているところでございます。
 さらに、牛肉の需要喚起を図るため、国の補正で予算化された国産農林水産物等販売促進緊急対策事業を活用し、県内小中学校等の給食に提供するための予算を今議会にお願いしております。
 今後販売されるミカンや柿などの農産物については、10月から11月にかけて、JAグループと連携し、日本橋三越などの大都市圏の百貨店で和歌山フェアを開催するとともに、JR大阪駅においても和歌山マルシェを開催することとしております。
 また、先月開設いたしました「おうちで和歌山」特設サイトにおいて、県産品の魅力発信やインターネット販売などの取組をさらに拡大するとともに、JAグループが実施するメディアを通じたPRや販路拡大の取組などへの支援も行い、農業者や事業者の売上げ回復に向けてしっかりと取り組んでまいります。
〇議長(岸本 健君) 藤山将材君。
  〔藤山将材君、登壇〕
〇藤山将材君 次の項目に移ります。
 これからの出水期を迎える中で、避難所での感染症対策についてお尋ねをいたします。
 新型コロナウイルス感染症の発生のおそれのある状況において、地震や台風などの自然災害が発生し、市町村において避難所を開設する場合、避難所には多くの避難者が集まり、密接、密集、密閉のいわゆる3密の環境ができやすくなり、集団感染のリスクが高くなります。3密の環境を避けるための対策としまして、分散避難などを検討していただくことも重要かと思います。
 そこで、避難の在り方についてどのように考えているのでしょうか。
 次に、避難所においては、慣れない避難での疲れやストレスなどから、インフルエンザやノロウイルスなどの感染症が集団で発生したとの話も聞きます。今回の新型コロナウイルス感染症においても同様に、避難所において集団感染が発生することを危惧します。風水害のシーズンに入っていることでもあり、早急な対策が必要とも思いますが、感染予防策についてどのように考えているのでしょうか。
 加えて、避難所での感染予防対策を講じるための資機材が必要となりますが、市町村への支援等を考えているのでしょうか。
 以上3点、危機管理監にお尋ねをいたします。
〇議長(岸本 健君) 危機管理監森田康友君。
  〔森田康友君、登壇〕
〇危機管理監(森田康友君) 災害が発生または発生しそうな場合には、その災害から自分の命を守ることを最優先に、新型コロナウイルス感染症の感染リスクの有無に関わらず、ちゅうちょなく避難していただくことが重要です。
 災害の危険から逃れるために急を要する場合は、緊急避難場所に避難していただき、その後、一定期間の避難生活が必要な場合は避難所に避難していただくことになります。
 県では、平成23年の紀伊半島大水害の教訓を踏まえ、防災・減災対策の総点検を行い、緊急避難場所については、大規模の災害でも安全な避難場所を確保するため、地形等による土砂災害や浸水被害の可能性、施設の構造などを考慮した安全レベルを設定し、大幅な見直しをしたところです。
 避難の際に、自宅や親類・知人宅が近隣の緊急避難場所と比較して安全レベルが同等以上であれば、自宅での垂直避難や親類・知人宅に避難することも考えられます。
 次に、避難所での集団感染の予防についてですが、県では、避難所における新型コロナウイルス感染症の予防や拡大防止を徹底するため、市町村避難所運営マニュアル作成モデルを改定し、市町村に対して適切な避難所運営について強く働きかけているところでございます。
 主な改定内容といたしましては、従来の感染症対策に加え、大きく次の四つの対策を追加したところです。
 一つ目は、避難されてきた方全員の体調を受付時に検温や健康チェックシートにより確認し、その中で、発熱やせきなど症状がある方については、避難所内の別の個室に入っていただくこととしました。

 二つ目は、飛沫感染予防のための対策として、避難世帯ごとの間隔を2メートル離した上で、パーティションにより、間仕切りをすることといたしました。

 三つ目は、避難所生活の中で、手洗い、せきエチケット等はもちろんのこと、居住スペースやトイレ等の定期的な清掃に加え、消毒を徹底するといった衛生管理を強化することといたしました。

 四つ目は、避難所内での感染症の早期発見や感染拡大防止のための対策として、避難者一人一人に健康チェックを毎日お願いし、発熱やせきなどの症状がある場合は、避難所内の別の個室に移っていただくことといたしました。

 また、これらの対策を含む避難所運営を行うために、市町村が必要となる資機材の調達の支援につきましては、国の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金や県によるわかやま防災力パワーアップ補助金があり、それぞれの活用をお願いしているところでございます。

 なお、間仕切りとしてのパーティションについては、集団感染予防を徹底する観点から、早期に県下全ての避難所への配備が必要であるため、県が緊急整備を実施したいと考えており、一般会計補正予算の追加提案の中でお願いしているところでございます。

 出水期を迎え、引き続き県民の皆さんへ避難について周知を行うとともに、市町村へ適切な避難所運営について助言してまいります。
〇議長(岸本 健君) 藤山将材君。
  〔藤山将材君、登壇〕
〇藤山将材君 最後に、IRについてお尋ねいたします。
 新型コロナウイルス感染症が世界経済に未曽有の打撃を与えている中、各国は経済の落ち込みを回復するための政策の検討、発動を迫られているところでありますが、我が国では、去る4月7日に閣議決定された新型コロナウイルス感染症緊急経済対策において、過去最大規模の経済対策が示され、また、6月12日には第2次補正予算が成立したところであります。
 緊急経済対策では、その対策フェーズを、感染症拡大の収束にめどがつくまでの間の緊急支援フェーズと、収束後の反転攻勢に向けたV字回復フェーズの2段階とし、後者を、早期のV字回復を目指し、観光・運輸、飲食、イベント等大幅に落ち込んだ消費の喚起とデジタル化・リモート化など未来を先取りした投資の喚起の両面から反転攻勢策を講ずる段階として位置づけています。
 我が自民党は、IRを滞在型観光の核として、本県の観光振興、雇用の増加に貢献し、地域経済活性化の起爆剤となり得、ひいては人口減少の抑制も大いに期待できるものと考え、その誘致を全面的に支援しているものでありますが、このIRの誘致は、図らずも新型コロナウイルス感染症終息後のV字回復フェーズに焦点を当てた本県の経済成長施策として、将来の和歌山のために非常に有用なものと考えており、是が非でもこれを成功させなければならないと、現下の状況を鑑みて、改めてそう感じる次第であります。
 そのIR誘致の実現に向けた手続の第一歩として、和歌山県特定複合観光施設設置運営事業に係る事業者の公募が3月30日から開始をされ、4月30日にそのエントリーが締め切られたところでありますが、新型コロナウイルス感染症の影響が心配される中で、2者の応募があったことは大変喜ばしい限りであり、これまでの県当局のIR誘致に対する努力にひとまずの敬意を払うものであります。
 さて、ここで何点かお尋ねしたいと思います。
 まず、投資環境が非常に厳しい現下にあって、2者から応募があったことについて、知事の所感はいかがなものか。また、改めて今後の意気込みを伺います。
 次に、今般、提案審査書類の締切りを当初の8月末から10月19日まで延長されたが、この延長によって、私は国の認定申請受付の期間内に申請できるのかを大変心配しています。
 そこで、当初の予定を延長した理由と今後のスケジュールについて、これについては企画部長にお尋ねをいたします。
 3点目に、今回エントリーした2者ですが、それぞれどのような事業者で、IRに関して海外ではどのような事業活動をしているのか、同じく企画部長にお尋ねいたします。
 最後に、今後事業者を選定するに当たって、公平性、公正性、透明性が殊さらに必要だと考えますが、改めて選定の手順及び基準について、部長から答弁をいただきたいと思います。
〇議長(岸本 健君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
〇知事(仁坂吉伸君)  まず、率直に、空振りにならなくてよかったと思っているところであります。
 ただ、県では、多くの事業者と意見交換を行い、本県の観光資源が豊富なことや、候補地である和歌山マリーナシティが関西国際空港、京阪神に近いこと、マリンレジャーの聖地であることなど、本県の優位性について説明してきておりまして、複数の事業者に大変強い興味を持っていただいていると感じておりましたんで、実はまあ応募はあるだろうなあという期待もございました。
 議員御発言のとおり、新型コロナウイルス感染症が世界中で猛威を振るっておりまして、投資環境が悪化している中で、実際2者に応募していただいたということは、これまでの取組が実ったものと考えております。
 今後、エントリーしていただいた2者の提案を待って、その内容を精査し、IR事業者を決定するわけでございますが、両事業者には、国に選ばれるために優れた事業提案をしていただけるよう、大いに期待しているところでございます。
 IR誘致については、経済波及効果や雇用創出効果など、本県にとって大きなメリットがあることから、新型コロナウイルス感染症が終息した後の復興のためのメニューの大きな一つとして引き続き推進し、区域認定の上限数である3か所の中の一つに選ばれるよう、今後選定する事業者とともに、地域振興に大きく寄与し、国の観光立国政策に貢献する優れた区域整備計画の作成に全力を挙げる所存であります。
〇議長(岸本 健君) 企画部長田嶋久嗣君。
  〔田嶋久嗣君、登壇〕
〇企画部長(田嶋久嗣君) IRについていただいた御質問のうち、まずスケジュールの関係ですが、県では、本年3月30日から、和歌山県特定複合観光施設設置運営事業に係る事業者の公募を開始したところ、新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言が4月7日に7都府県に、4月16日には全都道府県に発令され、5月25日に全面解除されるまでの間は、都道府県間をまたぐ移動の自粛要請や在宅勤務の推奨などにより、民間事業者の事業活動に制限が生じていたところでございます。
 この事業活動が制限された期間を考慮いたしまして、よりよい事業計画の作成、コンソーシアムの組成などに必要な時間を手当てするため、緊急事態宣言が発令されていた期間に相当する期間──49日間でございますが、これにつきましてはスケジュールを延期することとし、提案審査書類の提出期限を8月31日から10月19日に、事業者選定の時期を11月中旬から来年1月頃に変更したものでございます。
 なお、事業者選定から区域認定申請までの間の行政側の手続を圧縮することで、認定申請期間とされている来年1月から7月までの間に申請を行うことができると考えております。
 次に、今回、和歌山県特定複合観光施設設置運営事業に係る事業者公募に応募があった2者、クレアベストニームベンチャーズ株式会社及びサンシティグループホールディングスジャパン株式会社の事業内容についてでございます。
 まず、クレアベストニームベンチャーズ株式会社につきましては、カナダ、アメリカ、チリ、インド、イギリスの5か国で30以上のゲーミング事業に携わるなど、北米を中心に世界で幅広く投資を行っているクレアベスト・グループの関係会社でございます。
 同グループは、早くから日本型IRに関心を示し、地方部をターゲットに活動を続けてきており、本県も2017年から対話を続けてきたところでございます。
 次に、サンシティグループホールディングスジャパン株式会社につきましては、マカオなどアジアの複数地域で富裕層を対象にしたカジノ関連事業や、エンターテインメント、宿泊、ホスピタリティーといった様々な事業をIR施設で運営するサンシティグループの関係会社でございます。
 同グループも、2017年に本県に関心を示されて以降、対話を続けてきており、昨年8月に開催しました本県のIRシンポジウムにおいては、自身の和歌山IR構想をプレゼンテーションされております。
 次に、議員御質問の事業者選定の手順につきましては、まず、応募されている2者から、10月19日までに事業計画等の提出をしていただき、和歌山県特定複合観光施設設置運営事業者選定委員会における審査を経て、IR事業者候補の選定を行います。その後、和歌山市及び県公安委員会との協議を経て、来年1月頃に知事がIR事業者を決定する予定としてございます。
 次に、選定の基準につきましては、事業者公募を開始したときに公表しました優先権者選定基準に示すIR全体のコンセプトや国際競争力の高い魅力ある滞在型観光の実現への寄与などを評価することとしており、和歌山県の将来の発展に最も貢献する事業計画を提出した事業者をIR事業者として選定することとしております。
 なお、議員御指摘の選定過程の公平性、公正性、透明性を担保するために、IR事業者選定を行った後に、選定方法及び評価の過程などの資料を公表することとしてございます。
〇議長(岸本 健君) 藤山将材君。
  〔藤山将材君、登壇〕
〇藤山将材君 答弁いただきました。
 IRは、和歌山を世界に発信できるツールであり、誘致が実現すれば世界中から和歌山を目指す観光客が増えることになるわけで、知事の答弁のとおり、現状、新型コロナウイルス感染症で打撃を受けている観光産業を含む県経済の回復を加速させるエンジンとなるものと大いに期待しているものであります。引き続き、知事、県当局には積極果敢に取り組んでいただきたいというふうに思っております。
 ただ一方で、これは要望でありますけれども、IR誘致が成功したとして、マリーナシティ周辺に及ぼす影響、以前にも同僚議員が質問されておりましたけれども、交通渋滞であります。この間の10連休のときなんかもひどいもんでありましたし、かつては大型連休ともなれば、マリーナシティから海南インターあるいは海南東インターまで、車がもう全部つながってしまったというようなこともありました。そういう意味で、近隣住民への負担が大きくならないように、しっかりした手だても並行して検討していただきたいというふうに思っております。
 以上で、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(岸本 健君) 以上で、藤山将材君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 12番秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕(拍手)
〇秋月史成君 改めまして、おはようございます。
 藤山自民党県議団会長に続き一般質問を行わせていただきますことは、誠に光栄に存じます。
 一般質問に先立ちまして、今回の新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、医療の最前線で新型コロナウイルス感染症に立ち向かい、日夜奮闘する医療従事者の皆様、県庁職員や行政関係者の方々、そして難局を乗り切るために努力されている全ての皆様に心より感謝申し上げます。
 また、北朝鮮による拉致被害者・横田めぐみさんの父・横田滋さんが、6月5日に老衰のため87歳でお亡くなりになられました。心より御冥福をお祈りいたします。そして、日本国民の1人として、私も横田めぐみさんをはじめとする拉致被害者の皆様の早期帰国、北朝鮮の重大な我が国への主権侵害である拉致問題を風化させることのなきよう、微力ながら全力で頑張りたいと思います。
 それでは、議長の許可をいただきましたので、以下、通告に従い、一般質問を行います。
 県道白浜久木線の白浜町庄川から久木間の改修につきましては、地元関係者の皆様方をはじめ県道白浜久木線改修促進協議会の方々の熱意ある献身的な要望活動の結果、2014年度に久木側の約2.7キロ区間が、2017年度には庄川側の約2キロ区間が事業化され、現在、鋭意工事が進められてるところです。
 もともとこの区間は車が通れるような道はなく、約1メートル程度の登山道のような道がある程度で、いわゆる通行不能区間であります。現地は急峻な地形で、道なきところに道を整備するような状況で、工事の進捗には相当の時間がかかるのではと危惧しています。
 私は、少し時間があると現場付近を訪れており、一部用地の取得に時間を要しているとのことも聞き及んでいますが、やはり地形が急峻なこともあり、工事の進捗が難しいこともあるのでしょうか、平成31年1月に久木トンネルが貫通してから、目に見えた工事進捗が図れてないようにも見えます。
 そこで、県道白浜久木線の進捗状況と今後の取組について、県土整備部長、お答えください。
〇議長(岸本 健君) ただいまの秋月史成君の質問に対する答弁を求めます。
 県土整備部長庄司 勝君。
  〔庄司 勝君、登壇〕
〇県土整備部長(庄司 勝君) 県道白浜久木線の整備につきましては、白浜町庄川から久木間のうち、通行不能区間約4.7キロメートルの解消を図るべく、地籍調査が完了した区間から順次事業化してきたところです。現在、さきに事業化した久木側につきましては、久木トンネルが完了し、続く橋梁工事や工事用道路の整備を進めています。また、庄川側につきましては、出合橋から山中橋までの間において、工事用車両の進入路を確保するための路側工事を進めております。
 このように、これまでできるだけ現道を利用した計画で進めてきたところでございますが、議員御指摘のとおり、現地の地形が急峻であり、特に峠の前後区間では急勾配となることから、現道を利用することは困難であると判断し、新たにトンネルを含めたルートにより、安全な走行が可能となるよう検討を行っています。
 今後、早期の通行不能区間の解消に向け、早急に急勾配となる区間のルートを確定するとともに、現道を利用できる区間につきましても、議員はじめ地元協議会や町の御協力をいただきながら用地取得や工事を推進してまいります。
〇議長(岸本 健君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
〇秋月史成君 ありがとうございます。
 本日、地元より、県道白浜久木線改修促進協議会の皆様がお見えになっております。トンネルという片仮名が4文字、現在、県土整備部長から述べられましたが、改修促進協議会の会長、副会長は、もう80歳を優に超えられております。この道路改良に当たり、長年壮絶な御努力をなされてきました。1日、1時間、1分、1秒でも早い開通を切にお願いいたします。
 次の質問に移ります。
 入梅の候と言われる6月、そろそろ河川周辺に居住する住民の皆様の不安が募る季節となります。一昨年は、私の住む紀南地方でも台風及び集中豪雨の被害で家屋の床上・床下浸水があり、この季節になると、まだかまだかと河川整備を待ち望む声が私の元に届けられます。
 和歌山県では、水系ごとに河川整備計画をまとめ、私の選挙区では、富田川、日置川の河床掘削等河川整備が力強く推し進められております。県当局の御尽力に深く感謝する次第であります。
 しかし、住宅に近い支川では、堆積土砂の撤去にいま一歩力強さがないように思われます。上富田町内では汗川、馬川、岡川、生馬川、白浜町内では瀬田川、庄川、高瀬川等、近隣の住民の不安も支川に注がれております。
 そこで質問です。
 県管理河川の支川における堆積土砂の撤去についてどのように取り組まれているのか。また、富田川の支川における取組についても併せて、県土整備部長、お聞かせください。
〇議長(岸本 健君) 県土整備部長。
  〔庄司 勝君、登壇〕
〇県土整備部長(庄司 勝君) 県管理河川の支川及び富田川の支川における堆積土砂の撤去につきまして御質問をいただきました。
 県管理河川の堆積土砂の撤去につきましては、本川、支川を問わず、洪水時の流下能力や沿川の土地利用状況、土砂の堆積状況、上下流のバランス等を踏まえ、緊急性の高いところから順次実施しているところでございます。
 堆積土砂の撤去に係る国の支援制度としまして、昨年の台風第19号による河川氾濫等の大規模な浸水被害等を契機に、地方自治体による河川等のしゅんせつに対し、今年度から令和6年度までの5年間について地方債の発行が可能となる緊急浚渫推進事業が創設されました。
 県といたしましては、財政上の負担が少なくなるこの制度を最大限に活用し、水害や土砂災害に係る住民の不安解消に向けて取り組んでまいりたいと考えており、現時点では、県管理河川のうち、本川20河川、支川33河川において実施予定でございます。
 今年度は、人家への影響が大きく、土砂の堆積が著しい箇所から取り組むこととしており、この制度を活用することにより、例年の約2倍程度となる量のしゅんせつを予定してございます。
 富田川につきましては、現時点では、富田川本川の庄川付近及び富田川支川のうち、まずは土砂堆積の著しい生馬川の生馬地内においてしゅんせつを予定しており、そのほかの支川につきましても、引き続き土砂の堆積状況を注視し、事業の活用について検討してまいります。
〇議長(岸本 健君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
〇秋月史成君 しっかりよろしくお願いします。
 次の質問に移ります。
 昨年6月より約1年間、和歌山県議会経済警察委員会委員長を先輩・同僚議員のお支えをいただき、務めさせていただきました。委員長任期終盤は、新型コロナウイルス蔓延により、警察行事も縮小並びに中止となることが多くなりましたが、それまでは行事があるたびに委員長として警察行事に出席させていただき、非常に有意義な時間であったと感じております。忠実に任務を遂行する警察官の皆様の姿を目の当たりにして、県民の1人として心強く感じました。
 しかし、人口分布の変化や道路交通網の発達に対し柔軟な体制構築を行っていく必要があると、課題も存在するように思われます。
 現在は、警察署、交番、駐在所の体制となっております。人口分布の変化や高速道路南伸、幹線道路網整備、府県間道路整備など、道路交通網の発達により、事案認知後の現場臨場時間が短縮されることを想定すると、今までは所轄署から臨場時間がかかるため、山間地域に配置していた駐在所などを廃止、統合したり、小規模警察署と統合して規模を拡大することにより、限りある人員を効率的に運用するなど、事態対処の強化、初動体制、パトロール等の機動力強化を図ることが必要であると考えます。特に高速道路南伸や府県間道路が整備されると利便性の向上が図られることになりますが、反面、京阪神方面から窃盗集団や違法薬物の売人などの紀南地方への侵入が懸念されます。
 現在、私は、2期目を迎える県議会議員でございます。初挑戦の際、選挙区の一つでもあるすさみ町を回り、住民の皆様のお声を聞いてまいりました。
 すさみ町は、4000人を切る紀南地方の小さな町の一つであります。現在、なくなりつつある地域のコミュニティーもしっかり存在し、近所の人と濃密な人間関係も残っており、自助、共助、公助のバランスも整った心温まる町であります。そういったこともあり、5年前は、家の玄関の鍵は大抵の家ではかかっていなかったことが多かったと記憶しております。ところが、昨年は、大抵の家では玄関の施錠がしっかりとされている状況でありました。住民の皆様にその変化についてお聞きしたところ、高速道路の延伸により、すさみ町も少し物騒になったような気がするからと感じておられるようでした。
 そういった状況も踏まえ、例えば、初動捜査のスペシャリストである機動捜査隊の紀南地方への配置も必要ではないかと感じた次第であります。
 また、皆様も御存じのとおり、私は、まちの自動車整備、車体整備、販売を行う会社の経営者でもあります。登録自動車の販売を行う際は、上富田町在住のお客様の車庫証明は田辺署に提出いたします。白浜町に在住のお客様のものは白浜署に提出、すさみ町に在住の方には串本署に提出いたします。同じ西牟婁郡でも、3町が別個の警察署の管内という珍しい地域でもあります。つまりは、行政区域と警察署管轄区域が乖離している状況です。自動車ディーラーと呼ばれる販売店は、その大半が田辺市並びに上富田町に存在しております。
 このような状況を踏まえ、今後、和歌山県警察本部としてどのように組織の再編と機能強化について取り組んでいくのか、警察本部長、お答えください。
〇議長(岸本 健君) 警察本部長檜垣重臣君。
  〔檜垣重臣君、登壇〕
〇警察本部長(檜垣重臣君) 県警察では、県内の各界有識者で構成する「次代に対応する和歌山県警察を考える懇話会」から頂いた提言書に基づいて、令和2年3月に和歌山県警察機能強化推進計画を策定し、この計画に基づき、組織再編も考慮に入れながら、県警察全体の機能強化について取り組んでいるところであります。
 議員から御指摘の高速道路の延伸による影響が懸念される紀南地方の治安情勢や警察署の管轄区域による行政サービスの利便性も含め、県下全体の人口分布の変化や交通網の発達、犯罪情勢の変化や南海トラフ地震に伴う津波浸水被害等を考慮し、限りある警察職員をいかに効率的に運用して、県民の皆様の安全・安心を確保していくかについて、具体的な検討を進めているところでございます。
〇議長(岸本 健君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
〇秋月史成君 次の質問に移ります。
 本年2月8日、陸上自衛隊少年工科学校入校35周年記念行事に参加するため、神奈川県横須賀市に行ってまいりました。周年記念行事、小難しい名前はついてはおりますが、いわゆる同期会と呼ばれるものであります。
 月日の流れるのは早いもので、あと数年で定年退官を迎える年齢となっております。同期生のその大半は、幹部自衛官となり、陸上自衛隊の主力部隊で指揮官及び幕僚として国防の任についております。高級幹部と言われる佐官も多く、昔話に花を咲かせつつ、現在の国防事情や自衛隊について多数お話を聞かせていただきました。
 私が現職の頃は、北方重視の防衛体制の下、北海道に主力部隊を置き、旧ソ連の脅威から国を守るという体制でありました。しかし、平成の時代に移り、世界における我が国の状況も変化し、国際協力として海外へも自衛官が長期にわたり派遣することになっております。
 また、東アジア情勢も変化し、現在は、北方重視から西方重視となり、部隊予算の措置も西部方面隊に重点を置いたものとなっております。
 それにも増して、私が現職の頃になかった概念、家族支援という言葉がよく聞かれるようになりました。自衛官が任務を遂行するには家族の支えが大切という理念の下、家族間の交流会や家族が住む官舎の充実など、様々な後方施設の充実が図られております。
 昨年、私の原隊である陸上自衛隊中部方面航空隊八尾駐屯地を訪れた際、昔、バラックのような老朽化した官舎が取り壊され、現在はマンションのような官舎と生まれ変わっておりました。
 しかし、防衛省陸上幕僚監部に勤務する同期生に聞いたところ、学校施設等後方施設に予算配分が後回しになり、今後、自衛官の教育訓練の充実を危惧する声も聞かされました。
 和歌山県警察本部では、最前線である各警察署の耐震化、老朽化に伴う建て替え、交番、駐在所の建て替え等が計画的に行われていると存じますが、今後、職員官舎等の警察施設の老朽化に伴う充実、整備についてのお考えをお聞かせください。
 また、警察学校も築50年を超え、かなり老朽化が進んでいると思います。あわせて、整備についてのお考えを警察本部長、お聞かせください。
〇議長(岸本 健君) 警察本部長。
  〔檜垣重臣君、登壇〕
〇警察本部長(檜垣重臣君) 警察職員宿舎につきましては、過去10年間に10棟184戸の宿舎を警察署建て替え時等に新築整備し、居住環境の充実を図っております。
 今後の職員宿舎等の警察施設の老朽化対策につきましては、和歌山県公共施設等総合管理計画に従い、各施設の将来の利用動向等を踏まえ、取り組んでまいります。
 警察学校につきましては、昭和42年に国費予算で建設された建物であり、築後53年を経過することから、県警察では、警察庁に建て替えの要求を行っているところであります。
〇議長(岸本 健君)  秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
〇秋月史成君 次の質問に移ります。
 本年2月定例会において、私の一般質問、はまゆう支援学校の跡地利用について、教育長より、「新校舎は、隣接する施設等との連携も含め、基本計画を策定しました。はまゆう支援学校の跡地については、南紀・はまゆう統合支援学校の屋外運動場として利用する計画です。今後は、両校統合委員会や市町等地元の関係機関との検討を重ね、教育環境の充実を図るとともに、児童生徒が安全・安心に学ぶことができる環境づくりを行ってまいります」と御答弁いただきました。児童生徒が安心して学ぶことができる環境づくり。統合校立地を見たとき、統合校から、もしはまゆう支援学校の跡地を統合校の屋外運動場としたとき、障害を抱えた児童生徒が安心・安全にどのように移動できるのかと不安がよぎります。また、教職員の移動に伴う負担が増大するものと思われます。
 私が思いますに、現在の建築物の耐用年数を考えますと、最低50年はその場所に所在するものと認識しております。50年、半世紀となります。半世紀の長きにわたり、安心・安全に移動できるのか。教育委員会が考える教育環境の充実を図るとともに、児童生徒が安心・安全に学ぶことのできる環境づくりができるのかと懸念を抱く次第でございます。
 屋外運動場として利用する計画を進めることの是非が問われる問題だと思いますが、教育長の見解をお聞かせください。
〇議長(岸本 健君) 教育長宮﨑 泉君。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
〇教育長(宮﨑 泉君) はまゆう支援学校跡地利用についてでございます。
 はまゆう支援学校の跡地を統合校の屋外運動場として利用する場合、児童生徒の移動の際に安全面等に課題が生じるということについては認識をしております。
 屋外運動場は児童生徒の心身の健全な育成のためには一日も欠かせない不可欠な施設であり、子供たちが安全・安心に学ぶことができるよう、隣接土地を所有する社会福祉法人和歌山県福祉事業団を含め、地元の関係機関等と協議を重ねながら柔軟に対応してまいりたいと考えております。
〇議長(岸本 健君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
〇秋月史成君 地元が上富田町ですので、南紀はまゆう支援学校の立地を私はよく知っております。現在の教育長の御答弁が何を意味しているのか、私にはよく理解できます。よろしくお願いいたします。
 次の質問に移ります。
 本年2月定例会にての私の質問、県教育委員会のガバナンスについて、教育長より、「ガバナンスに関しては、県教育委員会自体の問題であるとともに、県教育委員会と学校の関係、さらに学校内においても重要な問題であります。県教育委員会では、これまでも教職員に研修会等の機会を捉まえて、服務規律を含めた指導を直接行っており、学校訪問など機会あるごとに通知等が教職員に徹底され実行できているか、併せて検証をしております。今後、校長の強力なリーダーシップの下、学校が組織として充実した機能を発揮し、全教職員に対して一人一人に指導が徹底するよう努めてまいります」とありましたが、その詳細な検証方法及び検証結果に対する取組について、教育長、お答えください。
〇議長(岸本 健君) 教育長。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
〇教育長(宮﨑 泉君) 教育委員会のガバナンスを強化するには、組織を活性化し、定期的にその組織を見直すことも必要であります。今年度、教育委員会の組織改正を行い、組織の活性化と指示系統の効率化を図りました。
 ガバナンスの実効性を検証するため、学校訪問や校長ヒアリングを実施して、教職員に指導が徹底されているかなど、成果と課題の把握に努め、課題があれば迅速に指導を行っています。
 また、検証後の課題や結果に対しましては、教育委員会で取りまとめ、校長会等で情報を共有し周知徹底することで全体のガバナンスの強化を図っています。
 さらに、今年度から、各学校の中堅教員を対象に、マネジメント力やミドルリーダーとしての資質を向上させる研修を実施しています。校長の学校運営を支え得る若い人材を育成し、校長が強力なリーダーシップを発揮でき、組織的に学校を運営することで、ガバナンスの強化につながるものと考えております。
〇議長(岸本 健君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
〇秋月史成君 しっかりよろしくお願いします。
 次の質問に移ります。
 令和2年3月末、「紀伊民報」において、「小中学校の入学・始業式延期 教員説明会でコロナ感染者」というタイトルの記事が掲載されました。内容を見ますと、田辺市で開催された「管内の小中各学校に今春から任用される教員を対象にした県教育委員会の説明会で、出席者に新型コロナウイルス感染者がいたことが分かった」、「説明会の出席者によると、説明会は田辺市高雄1丁目の市民総合センターで3月27日にあり、125人が出席した」とありました。
 早速、宮﨑教育長から、不備をわびるお電話をいただきました。なぜこの時期に125人も一斉に集め、説明会を開催する必要があったのかと、怒りの声が多数私の耳にも届けられました。近隣市町村の行政機関並びに教育行政にも支障を来す大失態だったと思います。恐らく、昨年も開催したからという慣例に基づき実施したのではないかと推測されます。県教育委員会の危機意識、またガバナンスが効いていない結果ではなかったかと思います。
 後日、その説明会に参加した新型コロナウイルスに感染した採用予定者は、採用を辞退したと風のうわさを耳にいたしました。結果的に、県教育委員会の対応で不幸な若者をつくってしまった格好になります。一つの業界に長く身を置いていると、本当に知らず知らずのうちに、目に見えない殻に閉じ籠もってしまうんだということを感じました。
 この一連の事案について、県教育長はどのように感じ、お考えになられたのか、お聞かせください。また、当該説明会を開催するという決断に至った意思決定のプロセスについても併せてお聞かせください。
〇議長(岸本 健君) 教育長。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
〇教育長(宮﨑 泉君) 県教育委員会が開催した教員説明会の開催に至ったプロセスについてであります。
 説明会は、年度当初から学校に赴任する講師に、勤務校の内示や教員としての心構え、服務規律等を徹底するとともに、年度当初の学校の円滑な運営のために、この時期に開催する必要があります。
 当時の担当課であった学校人事課が、新型コロナウイルス感染症を考慮して、全体の時間短縮や会場の換気、座席間隔を広げるなどの対策を講じた上で開催することを決定いたしました。
 しかし、出席者に新型コロナウイルスの感染者がいたことが分かり、濃厚接触者が出たことで、多くの学校の運営に支障を来し、地域住民に不安を抱かせてしまいました。新型コロナウイルス対策の徹底を指揮監督すべき私にとっては大いに反省すべき結果となりました。
 今後は、前例にこだわらず、視野を広く持ち、目に見えない殻に閉じ籠もることなく対応してまいりたいと考えております。
〇議長(岸本 健君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
〇秋月史成君 田辺市で飲食業を営む方のお声です。県教育委員会は、わしらを潰す気か。その言葉を申し添えておきます。
 次の質問に移ります。
 昨年12月に、高級宿泊施設の誘致に向けた和歌山県宿泊施設開設促進奨励金制度が制定され、本年3月2日に知事室にて、仁坂知事、井澗誠白浜町長、株式会社京都プラザホテルズ・清水幸雄代表取締役社長が、本制度を活用した第1号の立地協定を締結いたしました。初期段階から深く関わった者の1人として非常に喜ばしい結果となりました。
 本ミッションの遂行に当たり御尽力いただいた商工観光労働部サービス産業立地室の大変少ないスタッフの皆様の献身的な御努力に敬意を表します。
 しかしながら、昨年末頃から中国の武漢市で確認された新型コロナウイルスが世界的に猛威を振るい、これによる100年に1度と言われる経済状況の悪化により、新規に高級ホテルを誘致することについて非常に難易度が高くなってはいるが、今後、本県では、この状況下でどのように高級ホテルの誘致を進めていくか、県当局のお考えを商工観光労働部長、お答えください。
〇議長(岸本 健君) 商工観光労働部長大山 茂君。
  〔大山 茂君、登壇〕
〇商工観光労働部長(大山 茂君) 高級ホテルの誘致に関しましては、観光消費額の増加と新たな雇用の創出を目的として実施しているところであり、本年3月2日に、株式会社京都プラザホテルズと、仮称でございますが、「南紀白浜 和みの湯 花鳥風月」の新規開業に係る立地協定を締結しました。
 立地協定に基づく立地計画につきまして、新型コロナウイルス感染症の影響を懸念していたところですが、建築資材調達の遅れを主因とする開業時期に遅れが発生するものの、計画は遂行していくと伺っております。
 県としましては、できる限り早期の開業に向け、サポートを行ってまいります。
 今後の誘致活動につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けることになりますが、一方で、安全で安心な環境が備わったことに対する消費者のニーズが強くなるのではないかと考えられます。
 例えば、個別露天風呂を設けた開放感ある客室で食事を提供し、ゆったりとリラックスした時間を過ごしていただくというような他のお客様との接触機会を回避できるヴィラタイプや、離れの客室を有するホテルなどに需要が高まるのではないかと考えております。
 また、これまで訪日外国人が多い地域をターゲットに関係事業者はホテル開発を進めてきましたが、現在、訪日外国人が激減したことにより、改めて日本人による国内観光や地域観光の重要性を見直そうとしており、本県の魅力を発揮できる絶好の機会であると考えております。
 県としましては、このような状況を踏まえ、関係事業者への誘致活動を一層強化してまいります。
〇議長(岸本 健君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
〇秋月史成君 次の質問に移ります。
 現在、日本では、新型コロナウイルスとの共生、アフターコロナ、ウィズコロナという言葉が報道でよく叫ばれております。今後、新型コロナウイルスを含む感染症対策も大きな行政課題、経済的課題ともなってまいります。
 政府は、成長戦略の一つとして、2020年に訪日外国人観光客を4000万人超とするという目標を掲げており、政策を着実に推し進めておりました。和歌山県でも例外ではなく、仁坂知事を先頭に、その駒を力強く進めておりました。その成果も顕著に現れておりました。
 しかし、今後政府の方針もさることながら、和歌山県として、インバウンド観光を含めた観光戦略について一考しなくてはならない状況であると認識しております。
 そこで質問です。
 今後のインバウンド観光に関わる観光戦略について、県当局の御所見を商工観光労働部長、お答えください。
〇議長(岸本 健君) 商工観光労働部長。
  〔大山 茂君、登壇〕
〇商工観光労働部長(大山 茂君) インバウンド観光につきましては、昨年の県内外国人宿泊者数が50万2000人と過去最高を記録しました。一方、今回の世界的な新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う入国制限により、訪日外国人数は、直近の4月のデータでは対前年比で99.9%減と大きく減少しております。このため、本県のインバウンド観光も大きな影響を受けているところです。
 県では、観光事業者をはじめ新型コロナウイルス感染症の影響を受けた県内業者を救済するため、副知事を本部長とする支援本部を設置し、厳しい状況下にある県内事業者の支援を行うとともに、特に大きな影響を受けている観光業の復興に向け、「蘇りの地、わかやま」キャンペーンとして、まずは、国内観光客向けの周遊キャンペーンに取り組むこととしております。
 インバウンド観光につきましては、現在も入国制限が継続しており、海外プロモーションができない状況でありますが、今後、海外での感染状況を見極めつつ、海外大手メディアやSNSを活用したグローバルメディアキャンペーンをはじめ、鎮静化の見通しが確認された国、地域から順次、旅行博覧会や商談会への参加など、段階的に海外プロモーションを再開していきたいと考えております。
 これまでも、和歌山県は、アジアだけではなく、欧米豪からの観光客のシェアも高かったところであり、今後も長期的な視点から、特定の国、地域に偏ることのないよう多くの国々にファンを増やしていき、再び世界中から多くの皆さんにお越しいただけるよう頑張ってまいります。
〇議長(岸本 健君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
〇秋月史成君 次の質問に移ります。
 やまない雨はない、明けない夜はないという言葉があります。我が国・日本は、大東亜戦争敗戦後、先人たちが努力に努力を重ね、奇跡的復興を成し遂げました。100年に1度と言われる難局ではありますが、世界から称賛される日本人は、他人を思いやり、利他の心を有するすばらしい国民性を持ち合わせた優秀な民族です。きっとこの危機も国民、県民を挙げて克服し、この難局を乗り越えると私は信じております。
 しかし、世界的、また、日本人の価値観、マインドにも変化が生じることになると思われます。東京一極集中主義の解消、地方創生と叫ばれて久しい状況の中、今後、企業を含めた人の流れに変化が生じる可能性もあります。報道では、東京のオフィスを解約する動きがあるとされていました。また、今回のウイルス蔓延に伴い、なかなか進まなかったテレワークの導入も加速することとなりました。大変不幸なことですが、実証実験ができ、テレワークの問題点もあぶり出しすることができ、今後、企業や行政課題ともなっております。
 和歌山県では、現在、紀伊半島の一周高速道路の整備も着実に進んでいると認識しております。紀南地方では南紀白浜空港があり、首都圏から約1時間で移動できます。和歌山市近隣には関西国際空港があり、全国から、また全世界からの空の窓口があります。ある意味、二つの空港を有する県と言っても過言ではありません。
 私に教えてくれた人がいました。ピンチは最大のチャンス。いつもプラス思考で物事を考えること。
 そこで質問です。
 新型コロナウイルス感染症の影響で生じたピンチをチャンスに変え、和歌山県の強みをアピールし、新たな発想を加えた県の企業誘致を進めてはいかがかと考えますが、県当局のお考えを商工観光労働部長、お答えください。
〇議長(岸本 健君) 商工観光労働部長。
  〔大山 茂君、登壇〕
〇商工観光労働部長(大山 茂君) 新型コロナウイルス感染症の拡大により、人と人との接触機会の低減を目的に、企業では、テレワークやウェブ会議の導入が急激に加速しました。
 これまでも、企業では働き方改革が進められてきましたが、さらにBCP対策の必要性や大都市への過度な人口集中の危険性が認識されたことから、今後、経営の在り方の検討が進められ、都市部より安全で生活環境のよい地方で生産性を向上しようとする企業が増えると考えられます。
 そのような中、本県は、南紀白浜空港、関西国際空港により首都圏からのアクセスがよく、また、豊かな自然にも恵まれており、コロナ終息後の新しい価値観にふさわしい立地環境を備えています。
 非常事態宣言の下においても、オンラインによる面談など新しい営業手法で誘致活動を行ってきたところですが、これからは、従来の企業訪問に織り交ぜながら、IT企業だけでなく、リモートワークが可能な企業の本社機能一部移転など新しい働き方に応じた誘致に取り組んでまいります。
 県といたしましては、企業が新型コロナウイルス感染症終息後を見据え、地方への分散化などに取り組もうとしているこの機会を逃さず、全力で企業誘致を進めてまいります。
〇議長(岸本 健君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
〇秋月史成君 次の質問に移ります。
 新型コロナウイルス感染症の影響で、企業のみならず、大都市圏に生活している多くの方々が過密状態である現状に不安を覚えているのではないでしょうか。

 日々満員電車に揺られて通勤し、多くの社員が勤務するオフィスで仕事をすることを見直したい、地方に転職・移住したい等、新しい生活様式に対応するニーズが今後高まると考えます。ピンチは最大のチャンスであります。
 そこで、新型コロナウイルス感染症終息後の移住・定住戦略について、県企画部長、お答えください。
〇議長(岸本 健君) 企画部長田嶋久嗣君。
  〔田嶋久嗣君、登壇〕
〇企画部長(田嶋久嗣君) 新型コロナウイルス感染症拡大により、大都市圏に暮らす人々の過密状態への不安やリスクが浮き彫りとなり、人が集中しない地方の暮らしのよさが改めて認識されています。
 県では、過疎地域だけではなく、移住者の転職ニーズに対応可能な市街地への移住も推進するため、今年度から、東京、大阪の移住相談窓口に就労支援の専門家を配置したところです。
 ここでは、相談者の特性に応じた仕事を紹介し、就職をサポートするなど、移住者のニーズにきめ細かく対応できる体制を整えております。さらに、オンラインによる個別相談にも応じているところであり、今後増加が見込まれる大都市圏から地方への人の流れをできるだけ和歌山に呼び込みたいと考えております。
 また、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、現状では現地案内等の働きかけはできておりませんが、移住希望者が現地をバーチャルで体験できる動画の配信など、できる範囲で工夫を凝らした移住推進を行っているところです。
 県としては、暮らし方や働き方に対する意識の変化を的確に捉え、都市部よりも安全で生活環境のよい和歌山県への移住を積極的に働きかけてまいります。
〇議長(岸本 健君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
〇秋月史成君 しっかりよろしくお願いします。
 最後の質問に移ります。
 今回の新型コロナウイルスに伴い、国は様々な力強い支援策を実施しているところであります。和歌山県も例外ではなく、限られた財源の中、知事の御英断により、県民を守るという視点で着実に政策を進めていただいております。その中で、県内事業者の事業継続のため、新型コロナウイルス感染症に関わる支援策の募集をしていただいております。
 しかし、私は、いつも感じることがあります。小規模事業者のことであります。
 記憶をたどります。小学校、中学校の社会科の授業での中小企業の定義であります。中小企業基本法では、業種によって異なりますが、その定義によれば、県内企業は中小企業と呼ばれる企業はかなり少ないと思います。中小企業と呼ばれる企業は、地域にとっては大企業となります。私の選挙区でもある西牟婁郡、隣接地である田辺市でもかなり少ない状況だと思います。県都和歌山市でもかなり少ないように思います。中小企業より事業規模の小さな小規模事業者が和歌山県の経済を長年支え、牽引してきたと言っても過言ではありません。
 和歌山県が打つ企業支援策を見ますと、どうも中小企業に目線を合わせているように感じます。県内企業は、昨年の消費増税及び働き方改革の推進、それに追い打ちをかけるような昨今の新型コロナウイルス蔓延等、今後、瀕死の状態になる懸念もあります。大多数である小規模事業者に目線を合わせた支援策を今以上、これ以上推し進めてはいかがかと思いますが、知事の御所見をお聞かせください。
〇議長(岸本 健君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
〇知事(仁坂吉伸君) 2016年の経済センサスによりますと、県内中小企業数は3万4367で、総企業数の99.9%、うち小規模企業数は3万242と87.9%を占めておりまして、中小企業、特に小規模企業の比率が非常に高い状況であります。本県産業にとって重要な存在であると認識しております。
 新型コロナウイルス感染症の全国的な感染拡大による影響は、休業要請をした業種だけではなくて、全ての業種、多くの事業者に及んでいるところであります。感染が終息した際には、この全ての方が県経済を牽引していただく必要があります。
 こうしたことを踏まえて、全業種、全ての人を対象、困っている人を助ける、事業継続に資するを三つの原則として、県内事業者の事業継続を下支えし、再起を支援するための事業継続支援金や、新たな取組を後押しする事業継続推進補助金、無利子・無担保の融資制度を創設し、御活用いただいているところであります。
 また、小規模事業者の皆様から、国の持続化給付金のウェブ申請が困難だとのお声が多く寄せられているところから、商工会等の協力を得て、申請がスムーズに行えるサポート体制を整備したところであります。
 現在、県独自の事業継続支援金の申請受付中92%が従業員5人以下の事業者からの申請であり、申請のほぼ全てが小規模事業者からのものとなっております。
 このたび、商工会等を通じ、小規模事業者の声を聞いた上で家賃支援金を追加提案したところでございまして、今後も、県議会や事業者の皆様の御意見をよく聞いて対策を講じ、小規模事業者を含む全ての事業者を全力で支援していきたいと考えております。
〇議長(岸本 健君) 秋月史成君。
  〔秋月史成君、登壇〕
〇秋月史成君 全力でお支えいただきますようにお願い申し上げまして、私の一般質問を終わります。最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございました。(拍手)
〇議長(岸本 健君) 以上で、秋月史成君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午後0時12分休憩
────────────────────
  午後1時15分再開
〇議長(岸本 健君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 37番高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕(拍手)
〇高田由一君 議長のお許しをいただきましたので、早速一般質問に入らせていただきます。
 最初に、新型コロナウイルス感染症対策について質問をいたします。
 新型コロナウイルス感染症では、この間の関係者の皆様の御努力により、和歌山県内では入院者数、現在ゼロ、感染者も5月12日以降、1か月以上出ておらず、事態が落ち着いている状況です。関係者の皆様のたゆまぬ御努力に感謝を申し上げます。
 こういうときだからこそ、今、県下の公衆衛生を過去から現在まで振り返り、評価すべき点と不足している点を明らかにしておくことは、感染症の次の波が来ることを考えたとき、大切であります。
 そこで、以下、質問をさせていただきます。
 日本医師会の横倉会長は、先日、日本外国特派員協会で講演し、記者との質疑応答の中で「保健所を減らし過ぎただけでなく、職員も減らしたことが、今回の感染拡大の事態を招いた大きな要因になっている」との考えを示されました。今、公衆衛生における保健所の重要性が、改めて浮き彫りになっています。
 1994年の地域保健法の成立により、それ以降、都市部を中心に、保健所数は1992年の852か所から現在469か所へ激減しました。特に2000年代初頭の小泉構造改革で、大阪市などの政令指定都市では、各区に1か所ずつあった保健所が市全体で1か所に統合されるなど、大都市部が今回のコロナ禍に対応できてない一つの要因となっているのではないかと言われています。
 和歌山県の保健所はどうだったでしょうか。和歌山県内でも地域保健法の成立で、県内8か所の県保健所が6か所に減らされるかもしれないと、保健師さんらを中心に心配が出されていました。県議会でも、95年の12月議会で我が党の村岡キミ子議員が、長年住民に親しまれてきた現在の保健所をそのまま残し、体制や機能の強化を図ることを求めています。
 翌96年2月議会では玉置公良議員が、廃止されるかもしれないとされた古座保健所について、周辺町長や住民などから存続を求める陳情があったことを紹介しながら質問をしています。さらに、古座保健所の問題では、周辺町議会からも存続と充実を求める意見書が当時出されていました。そうした住民の運動もある中、和歌山県の保健所は今も7保健所1支所のこの体制を維持してきました。
 このように、基本的には保健所を守ってきたという経過があると思います。
 そこで、これまでの公衆衛生に関わる県行政を振り返って、優れた点や問題点をどのように捉えられているか、答弁をお願いいたします。あわせて、今後の衛生研究所と保健所の充実について、どのように考えておられるのかについても知事の御答弁をお願いします。
〇議長(岸本 健君) ただいまの高田由一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
〇知事(仁坂吉伸君) 地域保健法の施行に伴い、全国的に保健所の再編が進められてまいりましたが、本県は、地域住民の生活に不可欠となる保健予防、公衆衛生の水準を維持することが重要と考え、保健所を各圏域単位に設置する体制を堅持してまいりました。これまで保健所は、保健予防と公衆衛生の専門的かつ広域的拠点として、結核などの感染症や食中毒、災害対応などの様々な健康危機管理事象への対応の中で、知見を重ねノウハウの蓄積に努めてきました。また、今年度から多様化する保健・福祉ニーズに、より的確に対応するため、保健所の組織改正を行い、機能強化を図ったところであります。
 このような取組を進めてきたからこそ、今般の新型コロナウイルス感染症の対策において、保健所が早期発見、早期隔離、徹底した行動履歴調査を行う和歌山方式の拠点として、コロナ封じ込めに大きな役割を果たすことができたものと認識しております。
 すなわち、保健所が、本県独自の早期発見システムにより発見された感染者の入院措置を行い、行動履歴を徹底的に調査するとともに、濃厚接触者を特定した上で健康観察を行うなど、早期に介入を行うことにより、感染者が発生するたびにそれを抑え込んでクラスターが発生しないように努め、それでもクラスターが実際は発生したんでございますけれども、その感染拡大を最小限に食い止めることができたものと考えております。
 また、環境衛生研究センターは、研究事業も行いながら、常に専門職員の資質や技術水準の向上に努めてきたところであります。
 今般の対応に当たっては、感染者の診断に欠かせないPCR検査を実施する最前線の機関として、検査数の増加時には、終日フル稼働をしてもらうなどの緊急時対応により、積極的に検査を実施してきたところでありまして、このような状況に対応するため、暫定的な増員配置を既に行い、体制の強化を行っているところであります。
 今後、第2波の到来が予想される新型コロナウイルスをはじめ、いつ起こるかもしれない大規模災害や集団感染の発生に備え、保健所及び環境衛生研究センターが有する保健、衛生などの専門性を十分発揮できるように、職員の資質向上を図る研修や実地訓練等を積み重ね、地域住民の安心・安全の拠点となるように一層の機能強化を図っていく所存でございます。
〇議長(岸本 健君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
〇高田由一君 御答弁をいただきました。
 より一層の機能強化ということで、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。
 それで、この保健所については、機構改革についても御答弁がありました。「日本公衆衛生誌」という雑誌、専門誌がありますが、2012年の第59巻第8号に掲載されました「都道府県立保健所統合組織の組織権限面の実態と今後の方向性」という論文があります。その中で、全国的に1990年代から保健福祉サービスの一体的提供と、こういう名の下に、県の保健所と福祉部門、福祉事務所を統合してきた流れを総括しまして、次のように書かれている文章があります。「保健所が健康危機管理の拠点として活躍することを期待するならば、統合には無理があった。組織統合の真の目的は、行政改革として組織数を減らすことではなかったか」と、このようにこれまでの流れが批判されています。
 今年度、和歌山県が行った機構改革については、保健師の皆さんが本来の業務に集中をできるという体制をつくった点で評価をしたいと思います。同時に、過去の行革の流れの中で起きた福祉事務所と保健所のこの統合の流れ、住民の健康を守るという点で大きな問題があったのではないかということを指摘しておきたいというふうに思います。
 それでは、次の質問に移らせていただきます。
 次に、検査体制の充実について伺います。
 仁坂知事も名を連ねられました18道県の知事による「感染拡大を防止しながら一日も早く経済・社会活動を正常化し、日常を取り戻すための緊急提言」が5月11日に発表されました。私ども日本共産党も6月4日、「感染抑止と経済・社会活動の再開を一体にすすめるための提言」を発表、その中でこの18道県知事の提言を引用しまして、受動的な検査から感染者の早期発見・調査・入院等による積極的感染拡大防止戦略への転換と、検査体制の早急な整備を求めています。
 検査体制の問題では、和歌山県においては和歌山市と合わせまして、以前は1日当たり80件のPCR検査体制でしたが、これを充実させ、今では1日当たり168件を目標とするところまで来ています。このことは大いに評価をしたいと思うのですが、和歌山市内でしかこの検査ができないという状況は変わりません。新宮や串本、田辺などで検体採取をしても、行政検査のためには一々和歌山市まで検体を運搬しなくてはならないことになります。
 そこで伺います。
 今後、新型コロナの検査体制をどのようにして充実させようとしておられるでしょうか。また、知事会も触れている積極的感染拡大防止戦略を和歌山県ではどのように具体化をされるのでしょうか。さらに、検査を担ってもらおうとしている地域の医師会との話合いでどんな御意見が出ているでしょうか、お答えを願います。
 加えて、私は紀南地方に常設のPCR検査センターを造ることを提案したいと思います。このセンターは、ただ単に検体を採取するということだけでなく、現地に検査機器も据えて実際に検査をする場所です。この提案についても御答弁をお願いしたいと思います。
〇議長(岸本 健君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
〇知事(仁坂吉伸君) まず、議員のお話にございました積極的感染防止戦略という言葉なんですが、これは実は感染拡大防止のために自粛だけに頼るというんではなくて、保健医療行政を最大限活用して、それで、そちらの力をもって自粛のところにかかる負荷ですね、これを少なくしようと、そのためにはということでいろいろ提言をしてるんですが、実は、和歌山県が一番モデルとしてふさわしいぐらいの感じかなあというふうに思っております。だんだん、そういうことを言っておりましたら、賛同者が増えてまいりまして、広島県の湯崎知事が取りまとめをしてくれたということであります。

 国におきましては、このような緊急提言を行った後、5月29日に検査対象者を拡大する見直しを行ったんですけども、本県はもともと、よく御存じのように、あんまり国の基準なんかにとらわれないで、論理的に大事だと思うことをやってきたということでございます。それは、実はある意味では大変なことでございまして、ピーク時には、県の検査機関である環境衛生研究センターを終日フル稼働してもらって、通常の処理能力を超える検査を実施して、それで何とかそれを実行してきたわけでございます。そうやって感染者の早期発見に努め、早期隔離、そして、徹底した行動履歴調査という和歌山方式をずっと追い求めてきたということでございます。
 今後の感染第2波の到来に備えて、考え方はこれでよろしいかと思うんですが、やっぱり装備とか武器とか、そういうものはたくさんあったほうがよろしいわけでございます。そういう意味で、環境衛生研究センターの検査機器を増設し、1日当たりの処理能力を増加さしたほか、救急医療、周産期医療等を担う県内全域の中核病院にPCR検査機器を配備いたしまして、救急患者や手術前患者及び分娩前妊婦等にPCR検査を迅速に行うことで、院内感染防止を徹底して、医療従事者が安心して医療を提供できる環境をつくるということに取り組むとともに、状況に応じて、紀南地域のみならず、各地域の検査にもこれは活用できるもんですから、お願いをして機能を発揮させる所存でございます。
 さらに、地域における検査体制の強化につきましては、各医療圏単位で、保健所を中心に医師会や医療機関等と今後の検査体制について協議を行っているところでございますが、医師会からは、抗原検査キットの確保や唾液検査の導入についての意見が出されておりまして、県として必要性は十分認識しております。ただ、検査をすりゃいいというもんではなくて、たくさん検査をするためのいろんな装置というのをマスコミなどはよくプレイアップするんでございますけれども、実は、何のために検査をするかというと、やっぱり感染症法の措置をきちんとやるために仕分をしていくということで検査があるわけで、そこのところをどうも日本全体が忘れていて、和歌山県は忘れないようにきちんとしていかないといけないということではないかと思います。
 今後は、抗原検査、こういうものも採用いたしまして、これは実は若干不正確なんですけども、迅速に判断できるというメリットがありますので、先ほどのPCR装置がちゃんとそろっていないところなんかで、感染がちょっと拡大をして、この感染者であるおそれのあるような方を迅速に検査をするには有効な手法と思いますので、こんなものもきちんと整えておくということもやっていきたいと考えております。
〇議長(岸本 健君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
〇高田由一君 知事からは、病院に配備をされるPCRの検査機械も、そういうものも地域の検査に使いながらという御答弁がありました。そこで受皿が広がるということでしたら妥当だと思います。ただ、私は、将来的に、今度のコロナが一旦収まったとしても、考えても、やはり紀南地方に1か所、県がきちんと検査をできる体制、場所を、センターを確保しておくことは必要だと思いますので、ぜひこれは強く要望しておきたいというふうに思います。
 次に、今後の感染症病床の在り方について伺います。
 これまでは新型コロナに対応できる病床として指定感染症病床32床に加えて結核病床13を足して45床でしたが、これが多くの病院の協力を得て、現在150床まで対応可能だとしておられます。
 当面はこの状況を維持されると思いますが、将来的にはこの感染症病床など、どうしようとしておられるのか、県としての考えをお尋ねしたいと思います。
 また、地域医療構想の今後の進め方について、どう考えておられるでしょうか。今回のコロナが終息後、その経験を生かして、この地域医療構想も考えていくべきではないかと思いますが、部長の御答弁をお願いします。
〇議長(岸本 健君) 福祉保健部長宮本浩之君。
  〔宮本浩之君、登壇〕
〇福祉保健部長(宮本浩之君) 感染症指定医療機関数及び感染症病床数は、感染症法に基づく国の配置基準により、都道府県ごとに定められていますが、今般の新型コロナウイルス感染症においては、全国的に感染症病床が逼迫する事態となりました。
 本県では、感染症指定医療機関に加え、地域の公立・公的病院を中心に、一般病床を感染症病床として活用する臨時応急の対応で、コロナ感染者の受入れ及び感染拡大に備えた病床の確保に努めてきたところですが、第2波の襲来に備え、さらなる増床が必要であると考えてます。
 コロナ感染者を一般病床において受け入れるには、院内感染防止対策を講ずる必要があるため、受入れ病床だけではなく、同じ病棟内にある一般病床への一般患者の入院も制限する必要があり、このような事態が長期間続けば、地域医療への影響は少なくありません。
 そのため、県としては、感染症病床の配置基準に加え、一般病床での感染症の受入れを前提とした病床確保の考え方など、今後の感染症対策について早急に見直すよう、国に対し働きかけているところです。
 一方で、地域医療構想は、地域の医療関係者の協議を通じ、病床の機能分化と連携を進め、効率的な医療提供体制を実現する取組であり、本来、感染症病床は対象となっておりません。
 しかしながら、緊急時と平時の医療を切り離すことができないことから、今後、国において感染症対策の見直しが行われ、緊急時において感染症病床へ転用すべき一般病床数の考え方など、一定の見解が示されれば、県としても、その影響を踏まえ、適切に対応してまいります。
〇議長(岸本 健君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
〇高田由一君 感染症病床の少なさについては、私は、やはりこれまでの国の感染症対策の認識の甘さというのが露呈したのではないかというふうに考えております。ぜひこういう立場でしっかり国にも働きかけていっていただきたいと思います。
 それでは次に、大幅な収入減となっている病院や診療所への財政支援について伺います。
 日本病院会などの3団体の調査によれば、コロナ患者を受け入れた病院は、4月は平均1億円の赤字だとしています。また、新型コロナ対策は、一部の専門病院だけで対応はできません。地域として病院や診療所が役割分担をしてきたからこそ、辛うじて抑え込めてきたと私は考えます。全ての医療機関への支援が必要です。
 こうした状況の中、既に病院で働く医師や労働者にボーナスカットなどのしわ寄せが早くも始まっています。
 そこで、医療機関への財政支援について、県としてどう考えておられるのか、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
〇議長(岸本 健君) 福祉保健部長。
  〔宮本浩之君、登壇〕
〇福祉保健部長(宮本浩之君) 新型コロナウイルス感染症患者の増加に対応するためには、一定の受入れ病床を確保する必要があることから、県内全域の医療機関に対し、病床確保の協力要請を行ってきたところであり、患者を受け入れる医療機関にあっては、感染者の受入れに備え、病床を常に空床のまま確保しておく必要があることから、国において、病床確保に係る支援策が講じられたところです。
 また、実際に感染症患者を受け入れた場合には、手厚い人員配置や多くの医療資材などが必要となることから、国において、診療報酬上の臨時的な取扱いとして、重症や中等症の感染症患者に対する診療報酬額をこれまでの約3倍に引き上げるなど、医療機関に対して必要な対策が講じられたところです。
 しかしながら、これらの支援策は、医療機関が新型コロナウイルス感染症患者の受入れ病床確保や実際に患者の受入れを前提に講じられている対策であり、受診控え等により収入減となった医療機関を支援するためのものではありません。
 もちろん、一定割合以上の収入減となった事業者については、国の持続化給付金をはじめ、全業種を対象とした県独自の事業継続支援金、県内事業者事業継続推進を創設しているところであり、これらの事業の活用により、新型コロナウイルス感染症患者の受入れを行っていない病院を含む全ての医療機関に対応していきたいと考えています。
〇議長(岸本 健君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
〇高田由一君 今、答弁をいただきましたが、重症や中等症の感染症患者を受け入れれば診療報酬3倍というようなこともありますが、軽症者には全くないというふうに伺っております。しかも、部長最後に答弁されたように、収入減となった場合には一般の事業者と同じようにいろいろな制度を使うんだと、それはそのとおりだと思うんですが、やはり医療機関というのはこの間特別な、重要な役割を果たしてきたと思うんです。
 私は、一生懸命この医療機関で頑張ってこられた方の給料やボーナスに響いてくる、このような事態を考えるなら、やはりもっと国に対して、こういうことはしっかり支援をしようということを部長から、また知事からもしっかり訴えていっていただきたい。また、県のメニューもつくっていただければと思いますが、ぜひ強く要望されることを願っております。どうぞよろしくお願いをいたします。
 このコロナ対策の問題で、最後に市町村との情報共有と連携について伺いたいと思います。
 和歌山県新型インフルエンザ等対策行動計画でも、県と市町村との連携をうたっておられます。ところが、市町村からは、実際は必要な情報が提供されていないのではないかという声が届いています。
 6月10日にかつらぎ町議会が、知事と県教育長に対して意見書を可決されていますが、その内容は「感染者については陽性確定の後に性別、年代が提供されるのみで、その家族や濃厚接触者については一切の情報が提供されていない。こういう状況では、町が管理責任を負う各施設について適切な対応ができない」というような内容になっています。
 そこで伺います。
 こうした市町村との情報共有をもっと密にしていくべきではないでしょうか。また、必要なときは市町村とのオンライン会議ですね、そういうことも適宜開催していくべきではないかと思いますが、部長の御答弁をお願いします。
〇議長(岸本 健君) 福祉保健部長。
  〔宮本浩之君、登壇〕
〇福祉保健部長(宮本浩之君) 県においては、感染防止対策に係る県の方針や感染拡大防止に必要となる情報については、記者会見等で積極的に公表しているところであり、公表内容については、速やかに市町村等関係機関との情報共有を図っているほか、県民に対しても、ホームページ等を活用し、より分かりやすい情報の発信に努めています。
 一方、感染症法においては、国及び都道府県は、感染症の発生の状況や動向及び原因に関する情報等を積極的に公表することとされているが、公表に当たっては個人情報の保護に留意することが併せて規定されています。
 感染症法では、感染症の発生状況、動向及び原因調査や検体の確保、移送、入院勧告など、感染症対応の中心となる業務は、都道府県が実施することとされており、実際にその業務を担う保健所においては、個人情報について極めて限定的に取り扱う必要があるものと考えています。
 県では、保健所に対し、市町村をはじめ医療機関や各関係機関が参加の上、感染防止対策に係る検討を行うよう指示しており、感染拡大防止、早期発見、感染者の生活支援等の観点から市町村との連携が必要となる場合においては、保健所と市町村との間において、個人情報の保護に配慮しつつ、情報共有を行っていきたいと考えています。
 いずれにしても、感染防止対策を効果的に実施していくには、市町村の協力が必要であることから、引き続き取組方針や必要な情報共有を図るための会議等を適宜開催するなどし、連携を密にし、感染拡大の防止に努めてまいります。
〇議長(岸本 健君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
〇高田由一君 御答弁をいただきました。情報共有をしっかり行っていくという内容でしたので、お願いしたいと思います。
 ある町の広報なんですが、熱が出たとき、コロナの心配があるときにどういうふうに対処するかという中で、風邪の症状や37.5度以上の発熱が4日以上続いているときには相談センターへ相談してくださいという、厚労省のそのままのアナウンスが広報でもされている事例が幾つかございます。やはりそういうところも含めて県と市町村、せっかく県がいい方針を出していただいてるんですから、そこは情報共有というか、やり取りをしっかり密にしていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いします。
 次に、2番目の項目、種苗法改正案について伺います。
 報道によりますと、今国会で成立を目指していた種苗法改正案の審議が見送られるようです。コロナ危機の中、十分な審議ができないまま成立になるのではと危惧しておりましたが、国会での今後の十分な議論を期待するものです。
 言うまでもなく種苗は、農林水産業における基礎的な生産資材であり、収量、品質、耐病性など、優れた品種を育成することは、生産者にとっても消費者にとっても重要な意義を持つため、品種の育成者の権利を守ることは大切です。
 この立場から、育成者権の及ぶ範囲を加工品の生産、譲渡にまで拡大したり、権利の存続期間を拡大する2005年の種苗法改正には、国会では我が党も賛成をしてまいりました。
 現在の種苗法でも、育成者が必要ならば独自の契約を提供農家などと結ぶこともできます。また、自家増殖禁止植物の種類は、2006年には82種類、その後2017年に289種類、現在では400種近くに及んでいます。このような状況ですから、育成者権は現在でも十分保障されていると思っています。
 一方で、それと対をなすように、農家に対しては、生産者に関しては、自家増殖は原則容認とされてきました。国際条約でも、国連「農民の権利宣言」でも、地域の伝統的な品種の保存・利用や自家増殖は農民の権利と定めています。
 種苗法改正案が成立すると、登録品種の自家増殖は許諾制となります。農家については自家増殖を原則容認、こうしていたものを、今回の改正案では原則禁止に180度転換することになります。農業者は、これに違反すれば10年以下の懲役または1000万円以下の罰金を科す刑事罰の対象となるようです。
 そこで伺います。
 現在示されている法案の内容で成立をした場合に、県内農業や育種にはどういう影響がございますでしょうか。農林水産部長の御答弁をお願いします。
〇議長(岸本 健君) 農林水産部長角谷博史君。
  〔角谷博史君、登壇〕
〇農林水産部長(角谷博史君) 今般の種苗法改正案は、国内の優良品種が海外に流出している実態に鑑み、これを防止すべく、法律の見直しを図るものと聞いております。
 現行の種苗法では、海外への転売については、同法が適用されずに規制の対象となっておりません。これに、国内で自家増殖された種苗の違法な海外流出も加わり、育成者権が保障されない状況が生じております。
 改正案では、育成者権を持った者が栽培地域を指定できるようにすること、自家増殖を許諾制にすること、これらの権利を侵害する場合は罰則の対象とすることなどにより、登録品種の海外流出を防止する仕組みとなっております。
 議員御質問の本県農業への影響につきましては、農家が自家増殖する際に許諾が必要となる品種は、在来種や登録が失効したものを除いた登録品種に限られており、例えばミカンについては全体の2%であることや、県が育成した登録品種については自家増殖を認めていくことから、県内農家への影響は小さく、むしろ、海外流出した際にブランド価値が下がることの損失のほうが圧倒的に大きいものと考えております。
 また、育成者権が保護されることで、安心して育種に取り組めると考えております。
 議員御案内のとおり、種苗法改正案は今国会での審議が見送りとなっておりますので、今後も国の動きを注視し、県内農家に多大な影響が及ぶ場合には、必要に応じ国に対して要望を行ってまいります。
〇議長(岸本 健君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
〇高田由一君 続いて、もう一問お願いします。
 次に、これまで県試験場などで有力な品種が育成された場合、海外への流出を防ぐ対策をどのように取られてきたでしょうか。また、これからはどうしていかれるおつもりでしょうか。部長の御答弁をお願いします。
〇議長(岸本 健君) 農林水産部長。
  〔角谷博史君、登壇〕
〇農林水産部長(角谷博史君) 県では、これまでミカン、梅、柿などの果樹をはじめ、野菜、花卉の品種開発に取り組んでおり、現時点で、登録された品種と出願中のものを合わせて22品種あります。
 今般の種苗法改正案については、県育成品種の海外流出を防止する上で有効であると考えているところでございますが、今国会での成立は見送られました。
 現行の種苗法では、栽培地域を指定できず海外への転売が規制されていないことから、本県においてはこれらの品種の流出を防ぐため、苗木組合等との契約により種苗の販売を県内に限定するとともに、栽培農家には自家増殖した苗を無断で第三者に譲渡することのないようチラシなどで啓発を行っております。
 また、海外での増殖を防ぐためには、国ごとに相手国の知的財産関係法令に基づき品種登録を行う必要があり、現在、中国、韓国などで柿やイチゴの品種登録を進めるなど、海外へ流出しないよう工夫して取り組んでおります。
 県で育成した品種は県民の財産であることから、今後も海外での品種登録を進めるとともに、農家の方々へは、研修会などあらゆる機会を捉え、さらなる啓発を行ってまいります。
〇議長(岸本 健君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
〇高田由一君 今回の種苗法改正は、登録品種の海外流出を防ぐのが目的というふうに言われますけれども、現在でも登録品種の使用に当たって契約を結んでいる例が多いのですから、海外へ持ち出しては駄目ということももっとはっきりさせることは可能だと思います。
 また、答弁にもあったように、本気で海外流出を防ごうと思ったら、県の試験場でやられているように、海外での、外国での品種登録ということを積極的にするしかありません。気になるのは、現在は影響がそれほどでなくても、将来、大手の種子企業に種の権利が独占されていくのではないかという懸念です。特に今回の改正案では、主要穀物にまで自家増殖を禁止するということですが、欧米でも主要穀物は農家の自家増殖を認めていますし、日本のように穀物まで一律に自家増殖を禁止という国はないと言われております。
 こうした問題点、心配があるということをこの機会に申し上げておきたいというふうに思います。
 続けて質問いたします。
 次に、県土整備部で今年度の新規事業として予定されている緊急浚渫推進事業の内容と県の取組について伺います。
 この事業は、昨年度の台風第19号による河川氾濫等の大規模な浸水被害が相次ぐ中で、維持管理の大切さが国のほうで改めて位置づけられ、河川等のしゅんせつや堆積土砂の撤去等を行う事業です。
 事業のやり方としては、地方単独事業という形で後に財政措置をするものですが、この新たな事業について、和歌山県としてどのように取り組まれるのか、また、田辺、西牟婁地方ではどのような箇所を対象と考えておられるのか、御答弁を県土整備部長にお願いします。
〇議長(岸本 健君) 県土整備部長庄司 勝君。
  〔庄司 勝君、登壇〕
〇県土整備部長(庄司 勝君) 緊急浚渫推進事業は、昨年の台風第19号による災害を契機に、地方自治体による河川やダム、砂防等に係るしゅんせつを推進するため、今年度、国において創設されたものでございます。

 これにより、今年度から令和6年度までの5年間、地方自治体が単独事業として実施するしゅんせつに係る経費について、地方債の発行が可能となりました。
 県といたしましては、財政上の負担が少なくなるこの制度を最大限に活用し、水害や土砂災害に係る住民の不安解消に向けて取り組んでまいりたいと考えており、現時点では、県管理河川で53河川、二川ダム、そして、18か所の砂防施設において事業を計画しております。
 今年度は、人家への影響が大きく土砂の堆積が著しい箇所から取り組むこととしており、河川、ダム、砂防を合わせて約10億円の事業執行を予定しております。
 この制度を活用することにより、例えば河川においては、例年の2倍程度となる量のしゅんせつが可能となっております。
 なお、田辺市及び西牟婁郡内におきましては、富田川などの8河川や大塔川の砂防堰堤においてしゅんせつを予定しております。
〇議長(岸本 健君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
〇高田由一君 よろしくお願いします。
 次に、高速道路の安全対策について伺います。
 県内の近畿自動車道紀勢線南紀田辺インター以南及び京奈和自動車道での暫定2車線区間での安全対策としてのワイヤーロープ、この整備状況と効果、すさみ南インターから新宮市までの現在事業中区間も含めて、今後の設置計画はどうなっているでしょうか。また、橋梁やトンネル部分については地盤の関係からいまだに着工がされていませんが、この部分での着工の見通しというのはございますでしょうか。県土整備部長の御答弁をお願いいたします。
〇議長(岸本 健君) 県土整備部長。
  〔庄司 勝君、登壇〕
〇県土整備部長(庄司 勝君) 暫定2車線の高速道路における安全対策について、県ではこれまで対面通行による重大事故防止の観点から、道路管理者である国土交通省に対して、車線逸脱防止機能を有するワイヤーロープの設置を要望してまいりました。
 そうした中、国土交通省では、暫定二車線の高速道路のワイヤーロープ設置方針に基づき、供用済みの土工区間でその設置が進められているところです。
 県内の整備状況としましては、昨年度までに南紀田辺インターからすさみ南インター間の約3キロ、那智勝浦新宮道路の約4キロ及び京奈和自動車道の約9キロの区間でワイヤーロープの設置が完了しています。
 その効果としまして、ワイヤーロープ設置以降に発生した事故のうち、南紀田辺インターからすさみ南インター間及び那智勝浦新宮道路ではおのおの1件、京奈和自動車道では9件の事故で、重大事故につながりかねない車線逸脱が回避されました。
 また、橋梁やトンネル部のワイヤーロープの設置については、今年3月に国土交通省から「中小橋において、標準設置を進める」ことや、「長大橋・トンネル区間については、公募選定技術の性能検証を引き続き進める」と発表されたところでございます。
 一方、現在事業中のすさみ串本道路などにつきましては、完成2車線の計画で整備が進められており、中央分離帯にコンクリート製の壁型防護柵等を設置することとなってございます。
 県としましては、引き続き国に対して、暫定2車線区間の車線逸脱防止対策の推進を働きかけてまいります。
〇議長(岸本 健君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
〇高田由一君 日々高速道を利用してる地域住民からは本当に安全対策の声が上がっておりますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 それでは、五つ目の項目、最後ですが、メガソーラー計画についての疑問ということで伺います。
 上富田町市ノ瀬地区のゴルフ場跡地に計画されてるメガソーラー計画について伺います。
 計画では、広さ約74ヘクタールの敷地に太陽光パネルを設置し、発電規模は92メガワットと、完成すれば国内でも屈指の大きさになります。地元の皆さんの理解もある中で計画が進められていることは承知しており、私もこの上富田町内の発電所計画自体に異論を唱えるものではありません。県の太陽光発電条例の認定も下りております。しかし、今回取り上げたのは、ここに至るまでの経過がどうも納得できない、問題提起をしたいと思ったからであります。
 実はこのメガソーラーの計画は、当初は古座川町の小森川というかなり奥のほうで計画をされていたんです。聞くところによりますと、2015年に再生可能エネルギーの固定価格買取制度、以下FIT制度と省略をさせていただきますが、この認定を受けたものの、後に計画変更をして上富田町内での計画となったようです。そのため、古座川町内でも、僅かではありますが、23キロワットの発電パネルを設置して、そこと、何と上富田町の間を、古座川町の奥から延々約90キロにわたって、主に県道の地下にケーブルを埋設するという方法で接続をするということになっています。FIT制度で古座川町で計画認定を受けたからその場所が入っていないと、計画自体が新規のものとみなされるからだと考えます。
 遠く90キロも離れた発電所の計画が一体のものというふうにみなされる、これはなかなか常識で考えると理解ができないのであります。
 ところが、県の太陽光発電条例の申請では、上富田町内だけの計画申請となっております。
 そこで、まず伺いたいのは、FIT制度では一体のものとして申請をしている計画が、なぜ県条例では別々の計画と判断をされているのかということであります。環境生活部長の御答弁をお願いします。
〇議長(岸本 健君) 環境生活部長田中一寿君。
  〔田中一寿君、登壇〕
〇環境生活部長(田中一寿君) 県太陽光条例は、出力50キロワット以上の太陽光発電設備の設置等に関し、設備が整備される地域に係る防災面、安全面、環境面及び景観面といった観点から審査し、認定の可否を判断する制度となっております。
 御質問の上富田町と古座川町の太陽光発電設備につきましては、資源エネルギー庁に確認したところ、送電線で接続することで、FIT法において特例措置として一体の事業と認められていると聞いておりますが、事業区間や設備に関し、明らかに一体性がなく、それぞれ独立した太陽光発電設備であることから、県太陽光条例では別の計画と判断したところです。
 なお、古座川町の出力23キロワットの太陽光発電設備につきましては、出力が50キロワットを下回るため、県太陽光条例の対象とはなりませんが、古座川町の太陽光条例の対象となることから、現在、町において条例に基づく手続が行われております。
〇議長(岸本 健君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
〇高田由一君 御答弁をいただきました。
 部長も「明らかに一体性がない」というふうに言われましたが、常識的に見たらそうだと思うんです。
 なぜFIT制度でこういう解釈ができるのか、いろいろ調べてみたんですが、資源エネルギー庁の通知がありました。
 そこでは、次のように書かれています。2017年7月14日付、2020年4月1日改訂の資源エネルギー庁の再生可能エネルギー推進室から出ている「再生可能エネルギー発電事業計画における再生可能エネルギー発電設備の設置場所について」という通知です。その中に「再生可能エネルギー発電設備の設置場所の変更」という項目があり、本来なら20年の調達期間が終了するまでの間は同一の場所であることが求められているんですが、例外として変更できると、その場合があるとして、「隣接する一連の地番(電線路により電気的に接続している発電設備を設置する飛び地を含む)の追加又は削除」と書いています。こうした通知が根拠となっているのではないかと思います。
 離れた発電所でも電線でつなげば一体とみなすということなんですが、これは常識的に考えたら、近くの発電所がそういうことなら分かるんですけれども、もし今回のような解釈でいくとするなら、例えば県境を越えるような計画でも、電線でつなげばこれ一体ですよということになると思うんです。残念ながら、FIT制度については事業者と資源エネルギー庁という関係で進められておりますので、ここでは県には聞くことができないんですが、私はこういう解釈でいってるんだなあというふうに大変驚いた次第です。
 その上で、最後に県土整備部長に伺いたいと思います。
 今回の計画の両地点を結ぶ自営線と呼ぶ電線を埋設するために、県道などを約90キロ掘って埋め戻すという工事がこれから行われていきます。既にこの件は道路法の占用許可が県から下りていますが、その許可の根拠は何でしょうか。また、この占用工事に伴う住民生活への影響などは大丈夫でしょうか。このことについて、県土整備部長の御答弁をお願いします。
〇議長(岸本 健君) 県土整備部長。
  〔庄司 勝君、登壇〕
〇県土整備部長(庄司 勝君) 一般的に道路の占用は、道路法第33条の規定に基づき、道路本来の目的を阻害しない範囲において、道路の敷地外に余地がなく、やむを得ない場合に認められ、道路管理者が、その占用目的、占用形態等諸要素を総合的に判断して、許可することとなります。
 一方、電気事業者が事業の用に供する電柱、電線を設ける場合には、道路法第36条第2項により、占用物件を埋設する深さなど政令で定める基準に適合するときは、道路管理者は許可しなければならないとされてございます。
 御質問の件は、申請者が電気事業法に基づく届出をしている電気事業者で、その事業の用に供するため、道路に電線を埋設するものであり、埋設する位置や深さが政令で定める基準に適合していたことから、許可したものでございます。
 なお、工事の施工に当たっては、住民生活への影響を最小限にとどめるために、事業者に対し、施工方法や交通規制について、沿線地域への説明などを行うよう、引き続き指導してまいります。
〇議長(岸本 健君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
〇高田由一君 ぜひ、住民生活に支障のないようにお願いしたいと思います。
 最初に申し上げたように、今回のメガソーラー計画自体に反対だと言うつもりはありませんが、これまでの過程に疑問は残ります。私は、太陽光発電をめぐる今後の事業がよりよい事業となるようにとの思いから問題提起をさせていただいた次第です。
 御清聴いただきありがとうございました。以上で、一般質問を終わらせていただきます。(拍手)
〇議長(岸本 健君) 以上で、高田由一君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 25番中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕(拍手)
〇中 拓哉君 皆さん、こんにちは。「なかなか頑張る中拓哉」、35回目の登壇でございます。
 世の中の不幸をなくすため、もっと働き、さらにやり抜く、そのための一般質問、県民から託されました貴重な質問権の行使です。主権者である県民への行政府当局の誠実な答弁を期待いたします。
 議長のお許しをいただきましたので、早速に質問いたします。
 3月3日の当初予算審議の一般質問の折には、私、新型コロナウイルス感染症の蔓延防止のため、当時のスタートのことを思い返しますと、政府の要請を受け、県立学校の休校措置を打ち出し、県下の市町村にも同様の措置を求めたところ、九度山町の町長さん、九度山町のみが休校措置を取らずに、そのほかは一斉休校を取り、その後数度の延長を経て、ようやくにして今月から授業の開始となったところでございます。
 実は、私の初孫も新1年生なので、去年の秋にはランドセルを用意して待ちわびておりました。規模を抑えた入学式はあったものの、休校のままで随分寂しい思いの姿に接するたびに、ふびんに思ったものでございます。
 顧みれば、1月16日に武漢帰りの最初の感染者が神奈川で発症していたものの、1月25日、春節連休直前の23日に武漢封鎖のニュース、その後、チャーター機による武漢から邦人の帰国、あるいは横浜に停泊しました大型クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号、これの係留検疫、また、その中で済生会有田病院外科医50代男性、本県発生第1報に2月13日に接したところで一遍に緊張が走ったのを思い出します。
 公明党和歌山県本部としても県内の議員を構成員とする対策本部を直ちに設置し、15日には緊急要望として、情報提供、医療体制強化、風評被害阻止、大型イベントへの対応など、5項目の申入れを山本香苗参議院議員とともに仁坂知事にお届けしました。
 3月11日には、WHOのほうからテドロス事務局長がパンデミック宣言を発したところでございます。
 4月7日には、新型インフルエンザ等対策特別措置法、これに基づき、東京、埼玉、千葉、神奈川、大阪、兵庫、福岡の7都府県に緊急事態宣言が出され、16日には全国に拡大するとともに、北海道、茨城、石川、岐阜、愛知、京都を加えた13都道府県を特定警戒に指定しました。
 その後、5月6日にはこの宣言を延長しました。また、14日には、ありがたいことに39県は解除しました。21日には大阪、兵庫、京都が解除され、5月の25日に残る東京、埼玉、千葉、神奈川、北海道と約7週間ぶりに全面解除となりました。
 毎日のニュースやワイドショーが新型コロナウイルス感染症の話題であふれ、その他の番組も収録ができないことから再放送や再編成といったものになっておりました。
 この間、医療崩壊を招くことなく感染の蔓延を阻止し、経済の再生を図る上から様々な施策が打ち出されました。
 本県におきましても、2月議会の当初予算と会期途中の追加予算、4月補正、5月補正と予算をそのたびに組み、新たな対策を講じた上に6月補正の提案があり、本日また重ねて知事から追加補正の予算の提示であります。いずれも緊急を要する重要な施策であり、一日も早く対象者に届けなければなりませんし、この議会中に間に合わそうとして財政当局も一生懸命なさったことについては敬意を表したいと思います。
 総括的なことは後ほど知事にお答え願うとしまして、まず最初に、一月の売上げが前年同月比で50%以上減少した中小企業等には、最大、国のほうで200万円、個人事業主には最大100万円の持続化給付金、これに併せて、県独自で20万円から100万円を支給する事業継続支援金の説明、これの説明書には「全産業」とあり、国が除外している宗教法人の宿坊も旅館業法の許可を得てるとして県のこの事業継続支援金は渡すと、こういうことに、対象に含みながら、一方、風俗業については国が除外してるとして県も除外するのはなぜでしょうか。全産業を全部救うということで対象として明示しているので、当然風俗業なんかも含まれると思いますけども、どうしてそんなことになるのか、第1問としてお答えください。
〇議長(岸本 健君) ただいまの中拓哉君の質問に対する答弁を求めます。
 商工観光労働部長大山 茂君。
  〔大山 茂君、登壇〕
〇商工観光労働部長(大山 茂君) 観光産業は、本県の基幹産業の一つであり、特に昨年の県内外国人宿泊者数50万2000人と過去最高を記録しました。このうち約2割の外国人観光客が高野町に宿泊しており、宿坊はインバウンドをはじめ本県の重要な観光資源であります。
 国の持続化給付金では宗教法人は対象となっていないものの、宿坊については、旅館業法上の営業許可を取得し、経理も区分して行われるなど、一般の宿泊事業者と事業形態に異なるところはないことから、他の宿泊事業者と扱いに差を設けず、県の事業継続支援金の対象としたところです。
 一方、風俗業については、風営法の法制度、その成り立ちから考えると振興するべき業種ではなく、県民感情も考え、本県では対象外としているところでございます。
〇議長(岸本 健君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
〇中 拓哉君 振興すべきでない事業だと、風俗業は。そんなもんでしょうかね。そうではないと思いますけども、続けてお尋ねします。
 また、同じく県独自の支援策のうち、教育訓練の推進、これも大事です。新型コロナウイルス感染症からの事業の本格的な再開に向けて、従業員のスキルアップの向上を図るため、雇用調整助成金の教育訓練、これがあるわけですけども、この加算額を、国は中小企業には2400円、大企業には1800円、それぞれ国は用意しております。それに県独自として、さらに3000円の上乗せを示しておりました。
 この施策を発表したときの休業手当は1日当たりの助成額の上限が8330円でしたが、今回の国の第2次補正では1万5000円へと1.8倍に大幅増額となっております。
 休業手当として従業員に支払ったものを国に申請して事業者が受け取るものですので、教育訓練へのインセンティブの必要性が──8300円から1万5000円に上がったことですから、そのインセンティブの必要性が薄れ、3000円の上乗せの効果が薄いのではないかと思いますけど、そこはいかがでしょうか。
 その上、今回の第2次補正で、事業主から休業手当を受け取っていない中小企業の労働者は、自分の生活を守るために、雇用保険未加入者も、パートやアルバイトやそういった未加入者の方も対象とする月額33万円を上限に賃金の8割を支給する仕組みも今回の国の第2次補正で整いました。いわゆるこの新型コロナウイルス対象で休業支援金として、1日の上限は1万5000円とありますけども、そのように準備、本人からも言えるとありました。
 このままだと、県が3000円この教育訓練を上乗せしましたけど、結局未執行のまんま予算流れてしまって、さほどの効果がないということになると思いますけど、そこらをお答えください。
〇議長(岸本 健君) 商工観光労働部長。
  〔大山 茂君、登壇〕
〇商工観光労働部長(大山 茂君) 雇用調整助成金につきましては、今回、国の第2次補正予算において、休業手当、賃金への助成の上限額が1人1日8330円から1万5000円に引き上げられましたが、県の支援は、据置きとなりました教育訓練費に上乗せするものであり、中小企業の場合、国の2400円に県も3000円を助成するものです。
 したがいまして、2400円が5400円となることから、助成金を活用する県内企業においては、より充実した教育訓練を行うことが可能となり、新型コロナウイルス感染症終息後の来る時代に備え、従業員の雇用の維持、確保や競争力強化につながる効果的で意義のある支援であると考えております。
 引き続き、県では、社会保険労務士による相談窓口を充実させ、県内企業の雇用調整助成金の申請をサポートするとともに、経済団体等と連携し、あらゆる機会を通じてこの制度の活用を促し、従業員の雇用の維持、事業の継続を支援してまいりたいと思います。
〇議長(岸本 健君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
〇中 拓哉君 ぜひ、そのように期待はいたします。しかし、なかなか事業主の方もこの制度のもう一つよさは分かりませんし、なかなか進まんもんやから、もう国もしびれ切らして、本人からもらいに行けるように、そういう仕組みをつくりました。だから、事業主やらいろんなところで説明するのも、同時ですけども、個人からももらえるんですよというふうな相談にもぜひ応じてあげていただけたらな、かように思います。
 また、同じくこの経済対策の関連で、同じく県独自の支援策で、観光関連事業者緊急融資3000万円というのを知事が5月1日に発表しまして、1年間無利子、保証料免除という融資でございます。ここでも全ての業種、全ての人を対象、こういう第一原則と述べておきながら、融資の分野では、先ほどの風俗業のみならず、事業継続支援金で言うてきてくれたら県独自で審査して渡すよとする宿坊等にも、先ほどは国とは別に用意するんだとおっしゃっておきながら、この3000万円の融資については外しております。なぜ全ての業種と言いながら全てが入らないんですか、お答えください。
〇議長(岸本 健君) 商工観光労働部長。
  〔大山 茂君、登壇〕
〇商工観光労働部長(大山 茂君) 本県の中小企業融資制度は、県と金融機関、そして、信用保証協会が協調することにより、必要な資金を県内中小企業者の方に貸し付ける制度でありますが、中小企業信用保険法による中小企業者であるものの、公序良俗などの観点から問題がある業種は、国により信用保証の対象外とされていることから、残念ながら県の融資の対象外となる業種があります。
 次に、観光関連事業者緊急融資を設けた理由につきましては、観光業の中には規模が大きく、資金不足に陥っている事業者もあり、事業継続の観点から、当面の資金ニーズに応えるために設けたものであります。
〇議長(岸本 健君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
〇中 拓哉君 それで今回質問をするということで、いろいろ当局の方と私の質問の趣旨を申し上げました。3000万円、3000万円という話で来たんですけど、今日は聞いたらもう4000万円になってるんですね。そういうことで、これは議会の招集の在り方も含めてか分かりませんけども、国のほうで第2次補正予算組んでて、こういうことになりそうだな、閣議決定しました、そうなると6月補正も組まなあかんなと、こうなります。
 そうしますと、議会の招集日をもうちょっと柔軟的に考えて、今日がもし招集日であれば、4000万円、4000万円の事業として、また私も中身も見て質問もできますし、どうもぎくしゃくした形で今日を迎えたことに残念でなりません。私1人の力で直るもんではありませんけども、そこらのところも注意してもらいたいな、また、もっと親切に対応してもらいたいな、かように思います。
 また一方で、川畑議員さんもここでよくおっしゃってくれます夜の経済活性化、まさに大事なことだと思います。また、観光地においても、観光客が宿泊したときに、恐らく宴会もするんでしょう。新しい生活になって宴会の仕方も変わると思いますけども、そうなった後、また街に繰り出して夜の街へ行きます。それも観光の大きな産業だと思うんですね。
 一方で、ホテルや旅館については、なるべく何でもやろうということでやるわけですけども、その先のいわゆる接客を伴う接待飲食等営業、これもちゃんと風営法で警察に届け出て許可をもらってしてるし、ちゃんと雇用保険やらそんな従業員の対応もしてるし、税金も納めてるし、何ら先ほどの部長の答弁で「振興すべきでない産業だ」というようなことを言う必要はないと思うんですよ。そういった中でちゃんと見てあげるのが、全ての産業、全ての人を助けるとおっしゃるから、私はむきになってそのことを申し上げてるんです。
 また、なかなかこういうところで口にしにくいですけども、やっぱり皆さんもそういう夜の街で、憩いの場でストレスを発散し、英気を養って、次の仕事にまた頑張ると、こういうことも大きな役割でございますんで、産業という意味では支えていったほうがいいんではないかなあ、かように思う次第でございます。
 その上で、次の質問に移ります。
 仁坂知事と下副知事の5月1日の新型コロナウイルス感染症に係る支援策の記者会見を拝見しておりました。そこで、包括的な支援策を示すのは和歌山県が初めてだ、3原則だ、一つは全業種、全ての業種、全ての人、二つ目は、今朝もおっしゃってましたけど、困ってる人を助ける、第3番目には、事業継続に資するもの、そのように述べて、他の都道府県が支援策としてやっている、いわゆる休業補償、協力金の類いですね、しかも「法律上の休業要請をした業種だけお金をあげるからやめてくださいなんていうのは、それは邪道だと思いますよ」とまで知事は言ってのけました。
 「世の中で話題になっている20万円とか、東京都は100万円とか、休業要請だけに配る休業補償なんかよりも、もともと用意していたものを使って救済するほうがはるかに影響力が大きい。だけど、これでも不十分だと考えたので、和歌山県は独自の政策をもって、今日は発表するんです」と、こういう話でございました。
 「邪道」というのを字引で引きますと、「人としての道に外れている」と、「正当でないやり方、よこしまな道、正しくない方向」、こういうふうに辞書にありました。
 感染防止のために休業を要請した相手に補償することは、法律上も理の当然かと思いますが、邪道とまでおっしゃった理由、そこをお答えいただきたいと思います。
〇議長(岸本 健君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
〇知事(仁坂吉伸君) さっとお言葉がありましたが、私は、理の当然だとは全く思っておりません。邪道という意味をたくさん言われましたが、正しくない方法だということで、心持ちがどうのこうのとかいうところまでは申し上げてはおりません。
 これを申し上げた上でお答え申し上げますと、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく休業要請は、感染を拡大させるおそれのある業種に対して、感染拡大防止のため必要な協力を要請するものであって、協力した人には補償するということにはなじまないと私は思います。
 知事が県民のために、県民の声を代弁して、公益のために行うものであって、それが必要なものであるということですから、例えば道を造るために、普通に住んでおられる人に立ち退いてもらうと、そういう際の用地補償などとは性質が違うと思います。また、広く国民にも外出自粛などを呼びかけましたけれども、だから外出自粛の補償をするなどという話は聞いたこともありませんし、そして、外出自粛を要請した結果、それの効果として商売がはやらなくなったから補償だということについても聞いたことはありません。
 単に営業自粛をした、これによる補償というところだけが世の中の議論になってるというのは、私は変だと思っております。
 法律を所管している政府も同じ考えでありますし、欧米でも営業停止とか、あるいは外出自粛とか、もっと厳しくやっておりますけれども、これに対して補償をするということは、寡聞にして聞いたことはありません。
 小池知事が「営業自粛だ」と言ったときに「補償します」と言われたのが、どうも右に倣えと感染してしまったかなというふうに私は思ってるわけであります。
 また、今回の新型コロナウイルス感染症の影響は、休業を要請した業種だけではなくて、例えば隣で自発的に休業した方も、店を開けていても売上げ10%以下なんていう店もたくさんあるわけですから、そういう店を何ら顧みることなく、営業自粛を行った業種だけ補償するというのは変だなあというふうに思っておるわけでありまして、このように全ての業種、多くの事業者の方が困ってるんだから、休業要請をした業種だけに補償することは不公平であると私は思います。
 そこで、休業要請を行った業種もそうでない業種もみんな困っている、そういう方々には、全ての人を対象にする救済システムを、仕組みをつくって、それで実行しようと考えたところでございます。
 ただ、先ほど議論を聞いておりますと、ちょっと気がついたんですが、あくまでもこれは原則でございますので、これが100点を取ろうとすると、やっぱりちょっと副作用も出てまいりますんで、法律違反になったりもするんで、そこは原則ということで頑張っておるというふうにお考えいただきたいというふうに思います。
〇議長(岸本 健君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
〇中 拓哉君 またここで時間取るのもちょっと不本意なんですけども、知事がおっしゃること分からんではないです。僕も賛同します。だから、自発的に「こんなことして店開けて、感染拡大したら悪いわな。お客さん来てくれるか分からんけども、まあ休もうか」、こういう人もあります。翻って言うと、だから県も事業継続支援金を用意するわけですよ、国も持続化給付金を用意するわけですよ。あるいは、関係ない一般国民も一律10万円で、皆さんに御苦労かけてると、この際、この国難を乗り切りましょうということであんなような10万円の給付も始まったわけですね。だから、そういう意味では全然大丈夫なんです。
 でも、そうやって、外国の場合はもう法律で休ませられるから、命令やから、これについて一々法的に補償せんなんことはないか分かりませんけど、東京や大阪の知事は、権限がない中で何とか夜の街、休んでもらいたいと思ってやるわけですわな。そんなときにちょっとでも誘導策と思ってやることも、そんなに悪いことではないと思います。できるところはやったらええと思うんです。
 それを「東京なんかはいいですわなあ、それはやったらよろしいわ」と言うんじゃなしに、「邪道や」と言うたら「東京都、間違えてますよ、大阪、間違えてますよ」というふうな言葉になるんじゃないかと思ったんでお尋ねした次第でございます。
 また、100点満点ではない、そらそうか分かりません。しかし、全ての業種、全業種だと言った限りは、その対象に風俗営業も含まれるんであろう、こう思って、同じように夜の街を支えてきて、産業を支えてて困ってることには違いないんですから、同じように扱ってほしいな、こう思った次第でございます。
 でないと、そうでないんであれば、とりわけ外すんであれば、except何々と、そうやって、こういうところは除外しますよと言うとかないと、何遍聞いても、ええ言葉やなあ、全てです、全業種で言うてくれたらきれいな言葉なんですけども、ちょっと違うんかなあ、そんなこと思ったんで、ここで嫌事申し上げました。
 また、知事は「STOP!コロナ差別」という公益財団法人人権教育啓発推進センターの事業に賛同されまして、差別をなくし正しい理解を啓発するキャンペーンにお出になって、映像で訴えられております。「コロナは、誰でも感染するおそれがあります。そして、世界的な規模で考えれば、感染はなかなかなくなりません。しかし、感染をしても、ちゃんと手当てをして治して、それでその治ったことをきちんと確認して社会に復帰していただいたらいい、そのような病気だと思います。そうしたことを誰もが頭に置き、そして、社会に復帰された人が、いわれのない差別や非難中傷、いじめがないような社会をみんなでつくっていかなければならないと思います」とお述べでございます。もう私も全くおっしゃるとおりと満腔の賛意を申し上げたいと思います。
 その上で、知事ですけど、「この人がどのようなところに行った可能性があるというようなことは申し上げます。しかし、感染予防あるいは感染防止と関係のないようなことはプライバシーですから、そんなことを言ってはいけないということをきちんと情報公開してきました。それから、感染者がどこに住んでいたんだと、これはもう必要のない情報です。なぜなら感染者はちゃんと病院に入っていますので、知る必要もないようなことを一々詮索するのは間違っているのです。そのような詮索が結構盛んに行われたこともありました」と述べていました。
 市町村といった基礎的行政機関にも、今のまんまでは性別や年代しか分からないために、先ほど高田さんも聞いてましたけど、そういう管理責任を負う施設の感染防止もできないままの不安から、橋本市なんかも6月8日に、先ほど高田さんは6月10日のかつらぎ町議会をおっしゃいましたけど、6月8日に橋本市議会からも、住所、氏名、性別、生年月日といった、そんな基本4情報を市町村に提供しては、こういうふうなお声がありますから、何かさっきの答弁では、保健所と市町村の間に入るのが県やみたいなことおっしゃってましたけど、県がもうストレートに保健行政やってるわけですから、きちんと公開してあげたらなと思います。
 また、5月12日の、毎日送ってくれるCOVID-19の報告ですね、あれで判明した検査者一覧の33番の人ですけど、和歌山市の男性40代、このことで、大型連休中に大阪天王寺の盛り場へ遊びに行った、こういった発言を記者会見でなさってたようでございますけども、決めたルール上、それは適切だったのでしょうか。そのルール変更あるいはこの大阪へ遊びに行った人のことについての知事の発言、これについてお答えください。
〇議長(岸本 健君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
〇知事(仁坂吉伸君) 感染症法において、国及び都道府県は、感染症の発生の状況や動向及び原因に関する情報を積極的に公表することとされておりますが、公表に当たっては個人情報の保護に留意することが併せて規定されているわけであります。
 感染症対応の中心となる感染症の発生状況、動向及び原因調査や検体の確保、移送、入院勧告といった業務は、感染症法上、都道府県が実施することとされており、実際にその業務を担う保健所においては、業務上知り得た個人情報について、極めて限定的に取り扱う必要があるものと考えております。
 もちろん市町村との連携の必要のある場合には、患者や家族等の氏名、性別、住所等の個人情報については、市町村に対して共有しなけりゃいけないという場合もあると思います。ただ、一律に公表する、通知するということは考えておりません。
 そもそも私も、実はこの63件の方の氏名等々、全く知りません。(「あ、そうですか」と呼ぶ者あり)はい。もちろん担当はちゃんと分かってるわけでございまして、例えば、結構厳重に自宅待機をお願いしたケースもあります。そういうときなんかはその自宅に、そうはいっても買物なんか行かれないとお食事ができないわけですから、例えば振興局などが御要請を聞いて物を届けるような、そういうようなサービスも実はしているわけでございますが、私がそれをやるわけではございませんので、したがって、実は一人も知りません。
 次に、5月12日の記者会見における私の発言についての御質問でございますけれども、まさに中議員が引用していただいた趣旨に沿ってやっておるつもりでございます。同時に、当時、5月12日の少し前でございますが、一番自粛要請がきつかったときなんでございます、特に県外には行かないでくださいねと、県外からも交流をしないでくださいねというようなことを言っておったわけで、これは仕事や通院の場合もできるだけ抑えようとして努力をしていたぐらいのときでございまして、ましてや遊びに行くというのはちょっと慎んでいただきたいと思いますというような時期だったんですね。
 そういう意味では、県民に対していつも注意を喚起しておりますので、これが実際に起こったときに、これはちょっと少し言っとかないといかんなあということで、それを明らかにいたしました。もちろん詳細についてはそのときは分かりませんでしたし、しかし、本人の発言というか、陳述と言ったらおかしいですね、言葉が。御本人の報告によって、我々当局に対する報告によって分かっておりましたので、それはやっぱり県民の皆さんに対して、アナウンスメント効果を考えて言わしていただきました。
 感染源が明らかであると思われてる事例については、過去も、どこでうつったと思われるとか、あるいはこの人はどこどこへ行っておりましたよとか、そういうことについては県民の皆さんに、ああそうかと、ああいうところでうつるんだなというようなことがお分かりになったほうがよろしいわけですから、したがって、それは記者会見で明らかにしたことが結構あります。
 また、一番端的な例で言うと、ある感染者が通勤をしてたときに、どういうルートを通じて通勤してたか。そうすると一緒に、隣に座った人が、ひょっとしたら心配である可能性もあるわけですから、それは結構明らかにいたしました。
 それを明らかにすることによって、むしろ自分が調子悪いけどあのせいじゃないかという方は、名のり出ていただいたらちゃんと調べますよという趣旨で、そういうことは言うとるわけです。ただ、先ほど御引用されたように、例えばこの人は何という人で、どこに住んでんだとか、そういうことについては言う必要はないわけです。なぜならば、一つの例で言えば、もう既に濃厚接触者としての家族も陰性は確認されているし、もう御本人はそこにはいらっしゃらなくて入院しておられるわけですから、決して感染とはもはや関係がないわけです。したがって、そういうことについては言わないようにしようというふうに考えておりまして、一つ一つ結構慎重に考えてる次第でございます。
〇議長(岸本 健君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
〇中 拓哉君 そういった対策が功を奏して、「ワシントン・ポスト」でもガバナー・ニサカのことが載り、ここのところ、連日の連載でも、和歌山は成功例の一つと言うてくれてるんやと思います。
 ただ、私らは毎日一覧表もろうて年代と性別だけは分かりますけども、どんなもんかなあと思うて心配しております。そうしたら一方で、「いや、実は初島から電車に乗ってる女性や」とか「コールセンターや」とか、あるいは「車のディーラーの誰々や」とか、あるいは「打田中学や」、あるいは「橋本の何とか園や」といって、情報公開されて──あの紙には書いてくれてないんですよ、私らにくれる紙には書いてないんですけども、報道によって分かるわけです。それはやっぱり分かったら、「あ、私もその電車乗っちゃったんかも」というようなことが言えますし、一つは関係なかったら安心やし、関係してたら、知事おっしゃるように、調子悪かったら私も関係者かなあと思って名のり出やんなんですわね。
 そういうことで、際どい中でやってるんでしょうけども、大阪の男性の場合もそうやって一部言うもんやから、私ら市民からは「中君、あれ、大阪行っちゃったんってどこよ」、「天王寺のどこよ、何という店よ」、「どんな店よ」、まあこうなるわけですわ。「知らんよ」ということで終わらすんですけど、一つ物議を醸しますんで、何か統一したルールがあったらいいなと思いますし、最初の有田の済生会の病院のときでも、湯浅町の人らも町の職員さんらも、やっぱりもっと県からいろいろ教えてほしいよと思ったでしょうし、橋本も、先ほど申し上げたようなことで、いろいろあったところは、そこで言うてそこから漏れたらもう非常に困りますけども、行政の方を信頼して、チームワークをやるんであればそんなことのないようにしてもらえたらなと、これはお願いでございます。
 次に、新型コロナ禍について、次の問題に移りたいと思います。
 学ぶ機会をどう確保するのか、朝、藤山さんも聞いてくれてましたけども、文部科学省は、昨年12月、全国の小中学生1人に1台のパソコンやタブレット端末を確保し、学校内に通信ネットワークを構築するGIGAスクール構想を立ち上げました。何年間かでやると言ってたんですけど、今回のことでいっぱい予算がつきまして、今年度内に実現するということで計上しております。
 総務省も光ファイバー回線整備の補助事業を拡充しております。オンライン学習の環境がどんどんどんどん整いつつあります。また、ICTの環境整備をサポートするICT活用教育アドバイザー事務局というのも文科省が立ち上げまして、いろんな自治体からの相談に応じています。
 今回のCOVID-19による休校期間中にオンライン授業の必要性が高まり、実施した学校では、思わぬ効果として不登校の生徒が参加してくれて、勉強になって、こんな顕著な例が思わぬ効果として報告されております。
 また、このオンライン学習、何というかテレワークでもないですな、そういう遠隔の勉強については、同時双方型も動画配信型もオンライン教材活用型、いろいろやり方があるようでございます。反対に、パソコン慣れした生徒に先生が教えてもらわんなん、こんなこともあるやもしれません。
 そうはいっても、私が思うに、学校でみんなで過ごすことが学習につながるんじゃないかなあ、そう思います。だから、今回の休校措置により、およそ3か月の学習の遅れが生じました。私の孫も元気に学校へ通う姿を今見せてもうて、胸をなで下ろす一方ですけども、学習の遅れが心配でございます。高校受験の中学3年生は、果たして全部終わるんやろか、入試の範囲はどこやろか、そんなことも気になるところです。
 3か月の遅れを取り戻すには、夏休み、冬休み返上はもとより、土曜日の授業や1日の単元そのものも拡大してやっていかないと追いつかないと思います。
 12日に成立した国の第2次補正予算には、8万4900人の人的支援が示され、教員加配、学習指導員、スクール・サポート・スタッフ、退職教員、学生──学生さんもですよ、あるいは学習塾の講師も、そういった方も、あるいは地域の方々といったオールキャストの陣容で学校を支えてもらうんだ、こうありました。従来の手法にとらわれない新たな発想で、子供たちの学力・体力育成に取り組めるように文科省は教示してくれております。
 本県にも優秀な教員OBが大勢いらっしゃいます。学校現場における豊富な経験と学校運営にも知見を有する、こういった教員OBの積極的な活用を求めるところでございます。この際、先輩方に一肌脱いでもらいたいと思いますが、教育長、お答え願います。
〇議長(岸本 健君) 教育長宮﨑 泉君。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
〇教育長(宮﨑 泉君) 教員OBの活用についてでございますが、本県では、経験豊富な退職した教員を再任用教員、臨時的任用講師、非常勤講師として既に約750名を任用し、教育活動の充実に大いに貢献をいただいております。
 今後は、臨時休業で生じた児童生徒の学習の遅れを取り戻すため、補充授業等を行う学習指導員等の配置を考えているところでございます。こういったところにも退職教員をはじめとして多くの方々に御協力をいただきながら、子供たちの学習を強力に支援したいと考えております。
〇議長(岸本 健君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
〇中 拓哉君 ありがとうございます。何としても本県の子供たちがちゃんと単元終わって、年間通じて勉強できますようにお願いします。定数条例までちゃんと直されて増やしてくれるということでございますんで、皆さんの働きを期待したいと思います。
 続いて、平成30年の12月議会で取り上げた、私の関係でいいますと、和歌山市今福にたたずむ洋館「郭家」の保存についてお伺いします。
 きっかけは、私の恩師である小関洋治先生の「わかやま新報」の連載のエッセイの「紀州つづら折り」を目にしたことから、日常、今福方面も私の御近所でよく行きますもんですから、なじんだ建物だったもんですから、あのときお聞きしました。
 あの小関先生の連載も昨年、令和の初日に上梓され、今年の3月に第2版が増刷されました。くだんの「急がれる郭家住宅の文化財指定」というところは、49ページから51ページに掲載されておりますし、余談ながら、「センバツ海南甲子園参戦記上」として201ページに、小関先生、私のことも書いてくれておりました。
 代々紀州藩の御殿医を務める郭家の7代目当主、郭百甫さんが明治10年に建てた洋館と言われております。ベランダをつけた洋館としては日本で最初の可能性を東京大学の藤森照信名誉教授が指摘し、裏側に建つ数寄屋造りの和風の家は陸奥宗光の生家の可能性もあり、こういったことです。
 そのときの私の質問に対する県当局の答弁は、「平成9年に国の登録有形文化財に登録され、全国最古級、建築史学会からも重要な文化財と高く評価、県教委としても詳細な調査を続行」との答弁でした。
 その後、毎年送ってくれます議会参考資料「定例会の本会議における議員の質問等に対する措置状況」、こういうまとめた本がございますが、そこには「令和元年度は、建物の実測図面を作成し、年度末に調査結果を取りまとめた報告書を刊行し、その成果を基に文化財のランクアップを進めるとともに、保存管理体制の充実を図る」とあります。
 本当にもうこういったことは守っていかないといけないと思いますので、報告書はできたのでしょうか、今後の見通しをお示しください。
〇議長(岸本 健君) 教育長。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
〇教育長(宮﨑 泉君) 郭家住宅は、代々紀州藩の御殿医であった郭家の7代目百甫氏が明治の初期に建設したもので、正面に建つ洋館をはじめ、診察棟、主屋など、7件が平成9年に国の登録有形文化財に登録されております。
 全国的な学術団体である建築史学会からも貴重な文化財と高く評価されていることから、県教育委員会では、重要文化財の指定の可能性を探るため、平成30年秋より、建造物及び豊富に残る医学関係等の資料について、詳細な調査を進めてまいりました。なお、令和元年度末に報告書を刊行する予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響等もあり、編集作業が遅れております。
 報告書の完成後は、その成果を基に文化的価値を広く周知するとともに、今後の保存活用については、所有者や地域住民の皆様の御意見を踏まえながら、和歌山市とともに検討してまいります。
〇議長(岸本 健君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
〇中 拓哉君 コロナの関係で遅れてるのはもう致し方ないと思います。どうぞ進めてくださいませ。
 おっしゃるように、和歌山市がやっぱりキーを持つと思いますんで、私も和歌山市のほうにお願いしますけども、ぜひよろしくお願いします。
 長屋門については、もう仁坂知事の指導力で、潰されそうになったやつを三年坂のところにできて、文化財ももちろんですけど、観光の資源としても、この前、月、フルムーン見て写ってる写真を自分で撮りながら、ここに残ったことがよかったかな、そんなことも思いました。そういう意味で、文化財の保存については、知事さん、そういうことは造詣深いと思いますんで、期待しておりますんで、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 その次に、やっぱり同じく新型コロナウイルス感染症の関係でお伺いします。これも朝、藤山さんが災害避難所のことについてお聞きしてくれてましたけど、私はまた別の観点からお聞きしたいと思います。
 去る5月の23日の公明党の全国代表懇談会の席上、山口代表から当面の最重要課題ということについて、感染症対策を備えた避難所の設置に言及がありました。密閉、密集、密接の3密を防ぐ間仕切り用の段ボールやベッド、消毒液・マスクなどの衛生用品、住民間の距離の確保、分散避難の、さっきありましたホテルや旅館、そういった活用、あるいは避難所の点検・確認ということで、全国の地方議員に頑張れと、こういう話がありました。
 私も当選当初より顧問を務めさせてもらっております一般社団法人和歌山県清掃連合会主催の研修会が、2月10日、ホテルグランヴィア和歌山でありまして、岩手県山田町の白土靖行さん及びNPO日本トイレ研究所代表理事の加藤篤さんの講演を拝聴いたしました。「災害時のトイレ対策と関係者連携」と題した加藤氏の話に、大いに示唆を受けました。
 また最近は、岩手医科大学の櫻井滋先生のダイヤモンド・プリンセス号船内の感染症対策や東日本大震災時の山田高校避難所、あるいは熊本地震の南阿蘇村避難所にも櫻井先生は行かれたそうですけども、ノロウイルス対策、さらに、この前の日曜日ですけど、NHKの6月14日、「明日へつなげよう証言記録『感染症から巨大避難所を守れ』」という朝の番組です。福島のビッグパレットでの取組など、専門家による感染症予防の視点から多くのことを学びました。
 熊本地震の避難所に駆けつけた、DMATでも活躍の日赤の和歌山医療センターの中大輔先生の講演でも、衛生対策の重要性を強調しておりました。
 突き詰めて申せば、トイレなんですね。避難所常設の水洗トイレは瞬く間に使用不能になり、仮設トイレが用意されるもバキュームカーの処理が追いつかず、くみ取り作業が頓挫してしまいます。屋外のマンホールトイレの整備が何よりも急がれるとのことでした。
 幸い、私の近くの長町公園でも最近そういうのを造ってくれてますんで、ひとつ安心するんですけども、それまでに私なりにできることとしたら、簡易トイレの整備と個々人の携帯トイレ、組立てトイレ、こういうものの準備だと、こういうことでございました。
 「避難所では、まずトイレ担当の責任者を決めるべし」、このように加藤先生もおっしゃってました。「全てはそこから始まるんだ。でなければ、悲惨な状況が待ち受けてますよ」、こういうことでした。
 避難所運営のマニュアル改訂も順次なされているかと推察しますが、こういった簡易トイレあるいは組立てトイレ、携帯トイレといった衛生用品の備蓄状況に抜かりはございませんか、お答えください。
〇議長(岸本 健君) 危機管理監森田康友君。
  〔森田康友君、登壇〕
〇危機管理監(森田康友君) 避難所での生活において、衛生管理については大変重要であるため、県では、市町村避難所運営マニュアル作成モデルに対策を盛り込み、適切な運営を行えるよう市町村に助言しているところでございます。
 その中で、避難所の開設時には、まず各活動を行う運営スタッフを配置することとしておりますが、議員御指摘のトイレ担当については、保健・衛生班が分担し、既設トイレの使用可能状況を把握し、使用できない場合は、災害用トイレを設置するなどの対応や衛生管理に当たります。
 また、県といたしましては、災害用トイレである簡易トイレ、携帯トイレ等の備蓄やマンホールトイレの整備について、市町村に助言を行うとともに、わかやま防災力パワーアップ補助金により支援を行っており、全市町村において確保が進められ、マンホールトイレについても、県内で約700基が整備されています。
 今後とも、災害用トイレのさらなる備蓄やマンホールトイレの整備について市町村を支援するとともに、より良好な生活環境が確保された避難所運営となるよう助言してまいります。
〇議長(岸本 健君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
〇中 拓哉君 ありがとうございます。その一連の衛生関係を勉強する中で、手洗いも当然大事ですし、ビニール袋を皆さん持っときましょうということでした。いろいろ使ったやつを避難所でそのそばに置いてたら、それがまたあかんと。とにかくビニール袋へ詰めて蓋していけ、そういうふうな癖をつけよ、こういうことでございました。
 次に、「県民の友」6月号についてお伺いします。
 もう何を今さらということを思ってる方もいるか分かりませんけど、そもそもこの広報紙を発行する予算とその発行する意義をお答えもらいたいと思います。
 何でこんなことを言うてるかといいますと、「県民の友」最新号の6月号を5月21日に頂きました。そこでは、ルーチンワークとして、この6月は防災のことやから、水害、土砂災害ということがあって書いてます。それはそれでいいんです。また、知事のメッセージは、新型コロナウイルス感染症の5月1日の、先ほどの全業種、全ての人を助けると、こういうことをおっしゃってくれてます。
 にもかかわらず、入ってるのはこの1枚だけの手洗いのだけなんですね。5月号も同じようなことで、電話番号だけでした。
 そういったことで今回聞くわけですけど、5月号を受け取った4月21日も感じたことで、知事のメッセージでは、新型コロナウイルス感染症の対策を詳細に語っておられる。肝腎の中身はさっぱり触れておりません。1ページの4分の1を使って健康相談や融資、貸付けの電話番号を書いてくれてるだけです。
 5月号に今度は詳しいお知らせが載るものと思うて期待しておりましたけども、同じように感染症の──今度6月号ですね。5月号があんなことやったから6月号は載るんやろうと思うて待ってましたところ、同じような扱いでございました。知事は、当然この中にはホームページに詳しいことが載ってますよというようなことは言うてくれてるんですけども、しかるに、同じように6月号にも5月と同じ融資の電話番号と保健所の電話番号、こんなことでございました。
 そこで、県内各市町村の広報紙を調べてみました。いろいろ取り寄せてみますと、和歌山市では、皆さんに配りました市長のコラムで書いてる新しい生活等々含めて、中開いてもらったら、いろんな事細かく今回のいろんな対象者に向けた、市独自のも当然書いてますけど、いろいろ載せております。
 またほか、海南、橋本、新宮、田辺、紀の川、有田、湯浅、有田川町、そういったところもページを割いて特集しておりました。
 近畿で見ますと、奈良県と兵庫県はわざわざ臨時号を出しておりました。滋賀、京都、大阪でもそれなりに紙面は確保しておりますのに、本県の広報紙には、先ほど申し上げた1ページがあるだけなんで、何でこんなときにコロナのことを載せないんでしょうか。その理由をお示しください。
〇議長(岸本 健君) 知事室長細川一也君。
  〔細川一也君、登壇〕
〇知事室長(細川一也君) 「県民の友」6月号につきましてお答え申し上げます。
 今般の新型コロナウイルス感染症への県の広報対応といたしましては、県民の不安解消や感染拡大の防止、国の緊急事態宣言の発出に基づく行動や営業の自粛要請、これらにより影響を受けた方々への支援策などについて、テレビやラジオの広報番組、広報紙やホームページ、SNSの活用のほか、知事記者会見を通じて新聞やテレビへ取り上げてもらうなど、様々な媒体を通じ、迅速、丁寧な情報発信に努めてきたところでございます。
 広報紙「県民の友」につきましては、テレビやラジオ、ホームページといった県民の皆様からアクセスを前提としたものとは異なり、毎月、紙媒体で県内全域の各世帯に県の主要施策や県民に身近な情報をお届けするものと考えております。
 また、発行に要する経費としては、令和2年度当初予算に1億748万8000円を計上しており、毎月約41万部を発行し、月初めに各世帯にお届けできるようなスケジュールで制作をしております。
 県民の皆様にお伝えすべき新型コロナウイルス感染症対策の情報の中には、毎日、毎週のように変動、更新されるものもあるため、月1回発行の紙媒体である「県民の友」では、速報的な対応をし切れず、また、タイムリーな情報提供にはなじまない場合がございます。
 実際、紙媒体の広報紙を県内全域の各世帯に配布するという性質上、原稿の校正、印刷業者への発注、各市町村、さらには各自治会の皆様など、各戸配布いただく方々へ発送するなど、掲載内容の決定から県民の皆様の目に触れるまで、多くの過程を経ることから、相応の一定期間が必要となってまいります。
 議員御指摘の「県民の友」6月号における新型コロナウイルス感染症に関する支援策の掲載につきましては、支援本部が立ち上がり、5月14日に相談専用ダイヤルの設置や募集開始などの詳細な情報について記者発表を行いましたが、印刷業者への発注期限が5月11日であったことから、印刷のスケジュール上、間に合わず、掲載することはできませんでした。
 このため、「県民の友」7月号において、事業継続支援金や事業継続推進補助金など、主な支援策の特集ページを設け、県民の皆様にお知らせすることとしており、議員御指摘を踏まえ、8月号以降においては、継続的に紙面を確保し、様々な情報提供に努めてまいりたいと思います。
 一方、新型コロナウイルスの感染については、各種メディアや広報紙の媒体の特性に応じて情報発信を併せて行っているところでございます。特に、本県独自の取組として、県の広報番組である「きのくに21」で、4月12日の放送回から、毎週、知事が自ら出演し、県の取組を県民に直接お伝えしているところでございます。今後も、様々な媒体を通じて、広く県民に情報提供してまいりたいと思います。
〇議長(岸本 健君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
〇中 拓哉君 やっぱりここでこうやって聞くだけの値打ちありますね。やっぱりそんだけ丁寧に答えてくれて、7月号では載せてくれると。前段で言ってくれた言い訳なんかどこも一緒なんですよ。どこも一緒なんやけども、よそはやってるんです。だから、ページ挟んでやるくらいのこと、何で思うてくれやんのかなあと思いますし、商工会議所はもともとの仕事か分かりませんけど、和歌さんところ行ってみたら、こういうきれいなの作ってました。これも新しいの出たら、またすり替えなあきませんよ。すり替えなあきませんけど、やっぱりホームページ見ようとかテレビ見てるとかラジオでやってるとか言われても、毎月、毎月家に置いてんのはやっぱり「県民の友」なんですよ。
 やっぱりそういう媒体の中でも特に1億何ぼも使うて40万部も皆さんに行き渡るんですから、時宜に応じたものをやってもらいたい。また、7月号、期待しております。よろしくお願い申し上げます。
 それでは最後に、今回の国のいろんな新しい施策を見てまして、抗体検査なんかも始まると。和歌山県では、最近の報道では抗体検査もやると。そうこうしてたら抗原検査もやると、こういうことなんです。抗体や抗原やPCRや、いろいろ専門的な難しい言葉あるか分かりませんけども、抗体検査もそれなりに意味があるやろうし、また、今回の予算の中でも考えてくれてる抗原検査なんかも意味があるんかと思いますので、そこら感染症、これから第2波、第3波を防ぐ意味からも、この抗原性の検査をなさる内容を、この後どういうような活用をなさるか、知事からお答えください。お願いします。
〇議長(岸本 健君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
〇知事(仁坂吉伸君) 新型コロナウイルス感染症の都道府県等が実施する行政検査については、感染が疑われる方や陽性患者の濃厚接触者などに対してPCR検査を実施しておりますけれども、全国的な感染拡大により、より簡便な検査が求められる中、5月13日に抗原検査が保険適用となりまして、行政検査の一環として、検査体制が充実されました。
 国においては、抗原検査により行政検査の迅速化及び効率化を図ることを目的といたしまして、検査に要する費用が第2次補正予算に盛り込まれたところであります。
 PCR検査が結果判明まで5~6時間を要するのに対して、抗原検査は特別な検査機器を要せず、約30分で検査が判明するというメリットがございまして、多少精度は劣るものの、短時間で多くの検査を行うことが可能であるもんですから、感染が小康状態にある時期に、広く一般に実施するものではないと考えておりますけれども、感染の流行期においては、救急患者や入院を要する患者などの受入れ時に迅速に検査を実施し、院内感染を防ぐことが何よりも大事であることから、本県においても積極的に導入したいと考えております。
 しかしながら、現時点では、抗原検査の検査キットの供給量が限られているところから、当面は希望する全ての医療機関で実施できるわけではございませんで、帰国者・接触者外来等を実施している限定的な医療機関にとどまるということにされております。
 県としては、抗原検査の活用を含め、検査体制の強化を図ることにより、今後さらに新型コロナウイルス感染症患者の早期発見及び感染拡大防止に努めていきたいと思います。
 なお、抗体検査については、これはどちらかというと我々の知見を高めるための研究目的というふうに今のところ考えていただきたいと考えております。
〇議長(岸本 健君) 所定の時間が参りましたので、以上で中拓哉君の質問を終了いたします。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後3時14分散会

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