令和2年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


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令和2年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号

令和2年2月
和歌山県議会定例会会議録
第4号
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議事日程 第4号
 令和2年3月4日(水曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第1号から議案第17号まで、議案第34号から議案第72号まで、議案第74号及び議案第76号から議案第86号まで(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第1号から議案第17号まで、議案第34号から議案第72号まで、議案第74号及び議案第76号から議案第86号まで(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(42人)
 1番 鈴木德久
 2番 山家敏宏
 3番 中本浩精
 4番 堀 龍雄
 5番 藤山将材
 6番 岸本 健
 7番 井出益弘
 8番 宇治田栄蔵
 9番 北山慎一
 10番 中西峰雄
 11番 秋月史成
 12番 森 礼子
 13番 濱口太史
 14番 尾崎要二
 15番 冨安民浩
 16番 川畑哲哉
 17番 玉木久登
 18番 鈴木太雄
 19番 岩田弘彦
 20番 吉井和視
 21番 谷 洋一
 22番 佐藤武治
 23番 岩井弘次
 24番 中 拓哉
 25番 多田純一
 26番 新島 雄
 27番 山下直也
 28番 中西 徹
 29番 玄素彰人
 30番 谷口和樹
 31番 藤本眞利子
 32番 浦口高典
 33番 山田正彦
 34番 坂本 登
 35番 林 隆一
 36番 楠本文郎
 37番 高田由一
 38番 杉山俊雄
 39番 片桐章浩
 40番 奥村規子
 41番 尾﨑太郎
 42番 長坂隆司
欠席議員(なし)
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       細川一也
 危機管理監      森田康友
 総務部長       田村一郎
 企画部長       田嶋久嗣
 環境生活部長     田中一寿
 福祉保健部長     宮本浩之
 商工観光労働部長   稲本英介
 農林水産部長     角谷博史
 県土整備部長     髙松 諭
 会計管理者      飯島孝志
 教育長        宮﨑 泉
 公安委員会委員    細江美則
 警察本部長      檜垣重臣
 人事委員会委員長   平田健正
 代表監査委員     保田栄一
 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       中川敦之
 次長         中谷政紀
 議事課長       松山 博
 議事課副課長     山田修平
 議事課議事班長    岸裏真延
 議事課主任      保田良春
 議事課主査      伊賀顕正
 議事課主事      浅田晃秀

 総務課長       井邊正人
 政策調査課長     中平 博
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午前10時0分開議
〇議長(岸本 健君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第1号から議案第17号まで、議案第34号から議案第72号まで、議案第74号及び議案第76号から議案第86号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 4番堀 龍雄君。
  〔堀 龍雄君、登壇〕(拍手)
〇堀 龍雄君 皆さん、おはようございます。
 2日目のトップの座をお許しくださいました先輩議員、同僚議員に心からお礼を申し上げます。
 また、新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るっており、また、他府県では拡大の状況にありますけれども、和歌山県においては、仁坂知事を筆頭に県職員の御尽力におきまして収束の兆しが見えて、ほっとしておるところでございます。
 惜しくも1人のお亡くなりになった方に心からお悔やみを申し上げますとともに、治療している方にお見舞いを申し上げます。
 今朝の新聞でしたか、済生会有田病院も今日から通常の業務が再開されるようになったということが報じられておりました。大変喜ばしいことだと思っております。全世界においても早くこのウイルスが終息して、全ての人が普通の生活が送れますように御祈念申し上げます。
 それでは、議長のお許しを得ておりますので、通告に従い一般質問を行います。お聞き苦しいところはお許しをお願いいたします。
 まず一つ目に、読書活動の推進についてということで、和歌山県子供の読書活動推進計画についてということでお尋ねをいたします。
 昨年の12月の5日、6日、7日の3日間連載で、「文章作れぬ若者」という大きな見出しで「読売新聞」に記載されておりました。読書をあまりしない私でも目に入ってきました。
 内容については、12月3日に公表された経済協力開発機構(OECD)による国際的な学力調査で、日本の若者の読解力低下が浮き彫りになりました。実際に大学やビジネスの現場で、文章の意味を正しく読み取れない、言いたいことを正確に伝えられないという国語力の低下の危機を感じている、言葉の世界で何が起きているのかということでした。
 国語力が危ないと赤信号を発し、警鐘を鳴らしております。私も気になり、取り上げさせていただきました。
 それは、大手予備校の受験生から提出された要約文に「この公園には滑り台する」と書かれたのを読んで、またかとため息をついたそうです。こうした主語、述語が不明確で、意味が通じない文章が、近年特に目につくそうです。その原因の一つにSNSの普及があると、大手予備校の小池陽慈先生や武蔵野大学の藤本かおる准教授も指摘しております。
 スマートフォンを使って短文のやり取りなどが急速に広がっており、友人らと短文でやり取りできるLINEは、単語や略語だけで気楽な話し言葉で通じますし、そのときの微妙なニュアンスで表すスタンプや絵文字を使えば、感情を言葉にする必要がなくて済みます。
 SNSを通じて、ぱっと書いてぱっと送る習慣がついてしまって、ゆっくりと考え、文章の質を高める努力をしなくなったため、書けない、読めない人が増えています。読書を通じて正しい日本語に触れる機会も減っている上に、正しく書かなくても相手の人に思いが通じる環境が言葉の乱れにつながっていると思います。
 読書は、読む力だけでなく、考える力や想像力、集中力、表現力を培い、好奇心や探究力を生むとも言われています。そのことから、子供の頃から読書習慣が重要視されています。
 一方では、テレビ、ビデオ、インターネットなどの様々な情報メディアの発達、普及や子供の生活習慣の変化などにより、子供の読書離れが指摘されています。
 そこで、和歌山県子供の読書活動推進計画について、教育長にお尋ねをいたします。
〇議長(岸本 健君)  ただいまの堀龍雄君の質問に対する答弁を求めます。
 教育長宮﨑 泉君。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
〇教育長(宮﨑 泉君) 和歌山県子供の読書活動推進計画は、子どもの読書活動の推進に関する法律に基づいて、子供の読書環境を充実させる目的で、平成16年度から5年ごとに策定しているものでございます。
 本計画は、子供たちに自主的な読書習慣が身につくよう読書環境を整備し、社会全体で読書活動の推進を図るための基本方針や方策について示しております。
 県教育委員会では、読書は言葉を学び、感性を磨き、表現力や創造力を豊かなものにし、人生をより深く生きる力を身につけていく上で欠くことのできないものであると考え、読書活動の推進に取り組んでいるところでございます。
〇議長(岸本 健君) 堀 龍雄君。
  〔堀 龍雄君、登壇〕
〇堀 龍雄君 教育長から御答弁をいただきました。
 それでは、市町村の読書活動の状況についてということでお尋ねをいたします。
 地域の施設で、大人にとっても子供にとっても本に身近に触れられるのは図書館であると思います。読みたい本を自由に選び、読書の楽しみ方も体験できます。また、子供に読ませたい本の選択や、子供に読書のよさの指導も行ってくれています。
 また、学校図書館も教育に欠かせない施設で、読書、学習、情報の中心的な存在であり、児童生徒が落ち着いて読書できる、安らぎのある環境や好奇心を抱かせる学びの場であらなくてはならないと思っております。そのために、学校司書、司書教諭の配置により、読みたい本のリクエストや図書館だよりなどにより、新刊などの紹介や児童に読み聞かせをすることなどにより、児童生徒と本をつなぐ役割があると思います。
 市町村の子供読書活動推進計画の策定状況や読書活動の状況について、教育長にお尋ねをいたします。
〇議長(岸本 健君) 教育長。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
〇教育長(宮﨑 泉君) 市町村の計画の策定状況についてでございますが、現在、県内においては、17市町で子供の読書活動推進計画が策定されております。また、全ての市町村において、乳幼児期からの読み聞かせや、学校と地域の図書館やボランティア団体が連携協力した読書に関するイベントなど、子供たちが読書に親しむ機会の充実に向けた取組が実施されております。今後は、これらの取組に対する評価、改善を行うよう働きかけてまいります。
 近年では、ビブリオバトルという本を紹介し合う催しが読書のきっかけになることから、学校や地域の図書館でも積極的に取り組まれています。今年度、県大会につながる地域大会が各市町村で開催されるなど、裾野の広がりを見せております。
 一方で、学年が進むに従い読書離れが顕著になるなど課題が見られますが、子供たちが本に触れる機会が増えるよう、学校図書館をはじめとした読書環境のより一層の充実が必要であると考えております。
 県教育委員会といたしましては、市町村が実施している様々な子供の読書活動の取組が積極的に推進されるよう支援してまいります。
〇議長(岸本 健君) 堀 龍雄君。
  〔堀 龍雄君、登壇〕
〇堀 龍雄君 市町村では、県の指導により、子供の読書活動推進計画が17市町で策定されているということがあったんですけれども、その計画がまだなされていないところでも読書活動支援を十分に行っている市町がありますので、今後、やはり策定ができていきますように、県のほうでもよろしくお願いしたいと思います。
 また、御答弁の中にあったビブリオバトルも、私も自分の町内で見せていただきました。たった5分の間で、その本のよさを語り、そして、その本のよさを人に伝えるということは本当にすばらしいことであって、その本でチャンピオンになるというんですか、チャンプ本になったら、周りの人が本当にその本を読みたいよといって、貸し出す本の数も増えているということも聞いております。
 また、チャンピオンにならない本でも、そうしてビブリオバトルで紹介されたら、その本もやはり貸出しの量が増えていくということもお聞きしておりますので、各市町村におかれましても、こういう活動について、県としても十二分に後押しをしていっていただきたいなあと、そう思います。
 また、ボランティアの読み聞かせなどが各市町で行われておりますので、その活動もしやすいように県としても取り組んでいっていただいて、後押しをしていっていただきたいと思いますので、重ねてお願い申し上げます。
 三つ目の質問に入らしていただきますけれども、学習到達度調査(PISA)についてということでお尋ねをいたします。
 2018年の国際学習到達度調査で、日本の15歳の読解力は、前回2015年の調査の8位から15位に急落したとありました。国語力の危うさは、社会に出てからも問題になると指摘されておりました。
 ネット上のチャットなどで短文のやり取りが増え、新聞や雑誌のように内容を精査した長文をよく読む生徒が少なくなった。
 本を読まない生徒の割合は、日本は25.7%で、成績がトップの中国は3.3%と書かれてありました。
 小説や新聞まで幅広く読んでいる生徒は、読解力の得点は高く、活字に触れていることが文章を的確に理解する力を育んでいることは間違いないとも言われています。
 読書を肯定的に捉える生徒、よく読書する生徒は読解力の得点が高く、日本は読書を肯定的に捉える生徒の割合が多い傾向にあるんですけれども、読書の頻度は減少傾向にあると言われております。
 このような学習到達度調査の結果を見て、教育長のお考えはどうですか。お尋ねをいたします。
〇議長(岸本 健君) 教育長。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
〇教育長(宮﨑 泉君) 学習到達度調査の結果についてでございます。
 今回の結果を見ますと、日本は読解力に課題があることが明らかになりました。また、全国学力・学習状況調査の結果からも、和歌山県も同様に読解力に課題が見られます。
 その要因としては、様々なことが複合的に影響していると思いますが、その一つとして、スマートフォン等の普及により、子供たちの言語環境が急激に変わり、読書などで長文に触れる機会が減ってきていることが考えられます。
 読解力の育成には、本を読むことが大切です。子供たちが読書によって得た知識、語彙力は、思考力、判断力、表現力などを豊かにする基礎となるものでございます。
 和歌山の子供たちには、読書の時間を確保して、とにかく本を読んでいただきたいと思います。
 県教育委員会では、今後も、学校図書館担当教員や学校司書などを対象に研修会を行うとともに、ボランティアの協力も得ながら、読書好きな子供の育成と学校図書館の充実を図ってまいります。
〇議長(岸本 健君) 堀 龍雄君。
  〔堀 龍雄君、登壇〕
〇堀 龍雄君 今、教育長の御答弁の中に、学校図書館の充実は学校司書も非常に関係が多いということが言われておりました。平成25年から小中学校に司書の配置をしていただいておりますけれども、5年たった今も全国的にはその水準に至っていないんではないかなあと、そう思いますので、子供たちが本に接するチャンスを多くできるように、司書のこともお考えいただきたいなあと思います。
 四つ目の項目に入らしていただきます。
 学校におけるICT教育の取組についてということで、今までお尋ねしたことと少し違うかもしりませんけれども、気になることも言われておりました。
 コンピューターを使った国語力の調査では、今後主流となると思われます、今回の学力到達度調査で15位に急落したのは、ICTを活用した出題に慣れていなかったことも理由の一つであるとも言われていました。学習でのICTの活用の遅れから、複数の課題文やインターネット上のサイトから情報を取り出して、頭の中で理解できずに間違った回答が多く見られたとありました。
 日本では、デジタル機器を使った国語、数学、理科の授業や宿題をする頻度が、OECD加盟国の中で最下位とありました。
 国では、令和時代の標準として、学校に高速大容量のネットワークを一体的に整備するとともに、小中学校に1人1台のコンピューターを整備するGIGAスクール構想を打ち出しています。
 このことについては、学校におけるICT教育の取組について、教育長にお尋ねをいたします。
〇議長(岸本 健君) 教育長。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
〇教育長(宮﨑 泉君) 学校でのICT教育の取組についてでございます。
 国が実施するGIGAスクール構想では、児童生徒に1人1台のコンピューターが整備されます。これまでも各学校ではコンピューターを利用しての調べ学習やパンフレットづくりなどを通して、コンピューターの基本的な操作の習得や情報活用能力の育成を図ってきたところですが、これを機に飛躍的に充実できると考えております。
 また、県教育委員会では、児童生徒にコンピューターをさらに効果的に使いこなす力や論理的思考力を養うプログラミング教育をきのくにICT教育として実施しております。これは、全国に先駆けて今年度から全ての小・中・高等学校で実施しているものです。
 引き続き、市町村教育委員会と連携し、より高度化される情報化社会においても活躍できる児童生徒を育成してまいります。
〇議長(岸本 健君) 堀 龍雄君。
  〔堀 龍雄君、登壇〕
〇堀 龍雄君 スマートフォンによる国語力の低下や依存症対策についてということでお尋ねをいたします。
 仁坂知事も同じ記事を御覧になり、気になられたのか、「文章作れぬ若者とSNS」という見出しで、令和2年1月にメッセージを出されてありました。「国語力が危うい状況は一大事です。SNSに依存することなく読書して、説得的な文章を書く練習と教育をよほど熱心にしていかなければならないと強く思いました」と述べられていました。
 国際学習到達度調査の結果が急落したのは、読書離れもありますが、ICTを活用したコンピューター使用型の問題には不慣れで、誤答が多く見られたとありました。正しく答えるには、パソコンやタブレットに慣れて情報活用能力を伸ばすことが必要ではありますけれども、逆にインターネットに常に接続されていることから、つながり依存やゲームの依存症になるのではと思われます。
 スマートフォンによる国語力の低下や依存症対策について、知事の御所見をお願いいたします。
〇議長(岸本 健君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
〇知事(仁坂吉伸君) LINE等のSNSでは、単語や文節、短い文章だけで済ましてしまうことが多くなりまして、論理力や洞察力、判断力が低下するといった問題が起こるほか、相手に自分の思いを直接表現する、対面での実際に会ってのコミュニケーション力が低下し、相手を説得する力も弱くなるんじゃないか、そういう懸念がございます。
 そのため、家庭、地域、学校等において、読書活動を充実させ、それぞれの年代に応じた適切な文章を読む機会を増やすとともに、説得力のある文章を書くことを学校教育で充実させる必要があることから、各校において取り組んでいるところでございます。
 一方では、現代社会において、スマートフォンは便利なコミュニケーションツールの一つであると認識しております。
 しかし、SNSやゲームにのめり込む、いわゆるスマホ依存は、心や体に取り返しのつかない影響を及ぼし、大切な時間を失ってしまうということになると考えます。
 スマートフォン等の依存症対策については、児童生徒に弊害を十分理解させ、うまく付き合っていくために、自らをコントロールさせる力を身につけさせることが大切であると考えております。
 このため、県では、自撮り画像やメッセージによるネットトラブルを防止するための正しい使い方の指導と併せまして、依存症を予防するための啓発リーフレットの作成や外部講師の派遣など様々な対策を実施しているところでございます。
 さらに、来年度の新政策では、家庭において児童生徒と保護者が話し合ってルールをつくることや正しい生活習慣を確立するための取組を実施する予定でございまして、引き続き学校での依存症予防教育に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
〇議長(岸本 健君) 堀 龍雄君。
  〔堀 龍雄君、登壇〕
〇堀 龍雄君 これから1人1台のコンピューター学習、GIGAスクール構想が今後本当に必要になってこようかと思いますけれども、依存症にならないように、また、読書習慣がつきますように、よろしくお願いしときます。
 二つ目の項目に入らしていただきます。
 クビアカツヤカミキリ対策についてということで、被害調査の状況についてお尋ねをいたします。
 クビアカツヤカミキリは、コウチュウ目、カミキリムシ科に分類される昆虫の一種で、別名・クロジャコウカミキリと呼ばれることもあります。
 2018年1月に環境省により特別外来生物に指定されましたが、分布は、中国、モンゴル、ロシア極東部、朝鮮半島などに分布されます。日本では、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、東京都、愛知県、三重県、大阪府、奈良県、徳島県に外来生物として移入しています。食害する樹木は、桜、桃、スモモ、梅など、バラ科の植物で繁殖します。
 2015年に大阪府で、桜の木で生息が発見されました。徳島県では2015年に確認され、2年後の2017年には桃園の170園中17園で生息が確認され、被害に遭いました。
 和歌山県では、2017年にかつらぎ町で雄1匹が発見され、2年後の2019年には6園11の樹木から被害があると報じられました。
 クビアカツヤカミキリは、繁殖力が強いことが知られておりますけれども、被害樹の数はまだ少ないとも言えますけれども、幼虫の数はこれの数十倍あると考えられております。放置すれば、もっと大きな被害となることが懸念されます。
 そのことから、橋本市、伊都郡の果樹農家の皆様にこれ以上被害を出させてはいけない、また、他の地域へ拡散されては大変なことになるということで、伊都振興局が中心となり、かつらぎ町やJA紀北かわかみが一丸となって広報して説明会を行っていただきました。
 場所は、かつらぎ町文化会館大ホールで、1月16日に2回と、1月の17日の1回、計3回行っていただき、321名の参加者がありました。私も参加させていただき説明を受けました。
 初めに、かき・もも研究所の研究員から、クビアカツヤカミキリの生態と日本の発生の報告や被害樹の状況を説明され、その後、農業環境・鳥獣害対策室の職員から、被害の実態や発生時の対処法、防除対策や被害樹に対する県の支援策など説明を受けました。これ以上被害を拡散しないためにも、今回の発見に至った経緯と被害調査の状況について、農林水産部長にお尋ねをいたします。
〇議長(岸本 健君) 農林水産部長角谷博史君。
  〔角谷博史君、登壇〕
〇農林水産部長(角谷博史君) クビアカツヤカミキリの被害調査の状況についてお答えをさせていただきます。
 まず、発見に至った経緯についてでございますが、議員お話しのとおり、平成29年にかつらぎ町において成虫1匹を捕獲して以降、県では、農家や森林組合、公園管理者などへ啓発用チラシ等を配布し、注意喚起を行うとともに、発見した場合に県へ連絡していただくようお願いをしておりました。また、市町村やJAと協力してモニタリング調査を行うなど、警戒を続けてまいりました。
 こうした中、昨年11月にかつらぎ町の農家から、桃の木に幼虫の食害による排出物を発見したとの通報がございまして、国立研究開発法人森林総合研究所によるDNA分析の結果、県内で初めてクビアカツヤカミキリの被害を確認いたしました。
 被害調査につきましては、これまで県内全域の農地、森林、公園など500地点で被害調査を行っており、現時点では、かつらぎ町の6地点11本の桃とスモモで被害を確認しております。
〇議長(岸本 健君) 堀 龍雄君。
  〔堀 龍雄君、登壇〕
〇堀 龍雄君 それでは、被害樹への対策についてということで、樹木の中で卵から1年から3年で成虫が羽化し、幼虫による初期では発見することが難しいと言われております。また、1匹の雌で約350から1000個の産卵があるとされ、さらなる被害が予想されます。被害を受けた木への対策などについて、農林水産部長にお尋ねをいたします。
〇議長(岸本 健君) 農林水産部長。
  〔角谷博史君、登壇〕
〇農林水産部長(角谷博史君) 被害樹への対策等についてお答えを申し上げます。
 被害を受けた木については、内部が食害され枯死に至る事例も多く見られることや、6月頃から成虫が羽化し、周辺地域へ被害を拡大させるおそれがあることから、現在、農家に対して被害樹の伐採・抜根や焼却処分等を指導してございます。
 被害樹11本のうち2本は既に伐採・抜根を終えており、残り9本につきましても、今後早急に伐採・抜根を行う予定です。
 なお、被害樹の伐採・抜根等に当たっては、県単事業で支援を行ってございます。
〇議長(岸本 健君) 堀 龍雄君。
   〔堀 龍雄君、登壇〕
〇堀 龍雄君 部長のほうからの説明があったように、3月1日の新聞にでも、昨年の12月から今年の1月にかけて森林などで調査をしていただき、被害がありませんでしたと発表がありました。本当に木の中でおるときには発見がしにくいので、6月から羽化し、成虫が飛び交い、産卵をするようになった時期に、みんなの目で見ていただけるように、そして被害が起きないように、これからも周知徹底することをお願いしたいと思います。
 それでは、今後の予防対策についてということでお尋ねをいたします。
 クビアカツヤカミキリの発生は、かつらぎ町でありましたけれども、かつらぎ町はフルーツ王国とも言われ、桃、スモモ、梅などたくさん栽培されております。隣の九度山町でも桃、梅、スモモが栽培され、そして、もう一つ隣の紀の川市におきましても、桃山地区、荒川地区にでも本当に被害が行かないように徹底しなければいけないし、世界農業遺産になっております田辺・みなべ地方にもそういう被害が行けば大変なことになろうかと思いますので、その被害にならないようにお願いしたいなあと、そう思います。
 そして、その被害にならないように、今後の予防対策について、農林水産部長にお尋ねいたします。
〇議長(岸本 健君) 農林水産部長。
  〔角谷博史君、登壇〕
〇農林水産部長(角谷博史君) 今後の予防対策についてお答えを申し上げます。
 クビアカツヤカミキリは繁殖力が強いことや、加害される桃や梅が本県農業の基幹品目であること、また、他の都府県においては発生地域が拡大していることから、本県農業への影響を大変懸念をしてございます。
 発生の拡大を防ぐには、初期段階で封じ込めを行うことが重要であると考えており、現在、県の職員により、農地や森林、公園等で発生状況の調査を行うとともに、農家を対象とした研修会の開催などを通じ、発見した場合に県へ連絡していただくこととしてございます。また、啓発用チラシを作成し、農家等へ防除対策を指導しているところでございます。
 さらに、国の研究機関や被害発生府県、農薬メーカー等による共同研究に本県も参画し、生態の解明をはじめ殺虫剤や天敵微生物による防除、フェロモンを利用した誘殺方法などの研究に取り組んでいるところでございます。
 今後も、国や市町村、JA、森林組合、公園管理者等との連携を図りながら、あらゆる対策を講じ、クビアカツヤカミキリの被害拡大の防止に万全を期してまいる所存でございます。
〇議長(岸本 健君) 堀 龍雄君。
  〔堀 龍雄君、登壇〕
〇堀 龍雄君 本当に拡散すれば大きな被害になると思いますし、そして世界農業遺産の名が汚れないようにしていくには、伊都地方で1匹も出さないようにし、撲滅することに対して御協力をお願いしたいなあと、そう思いますので、よろしくお願いしておきます。
 三つ目の項目のCSFワクチン接種についてということで、イノシシのCSF検査状況についてということでお尋ねをいたします。
 CSFは、ウイルスが原因の豚の伝染病です。感染力が強く死亡率も高い疾病で、予防ワクチンがありますが、治療方法は今のところありません。家畜伝染病法で指定された家畜伝染病で、感染が発見されれば、その飼育施設の豚は全て殺処分して埋却しなければなりません。
 CSFの発生は、2018年9月、国内では26年ぶりに岐阜県の養豚場で確認されました。その後、感染は拡大して、2020年2月6日現在で1府9県で56件の発生が確認されています。
 さらに、野生イノシシにおいても、豚の発生から4日後に岐阜県でCSFウイルスの感染が確認され、12月には愛知県、2019年6月以降は三重県、福井県、長野県、富山県と感染確認地点が周辺に徐々に広がっています。2020年2月7日現在で、豚の発生の8県を含む12県で1880頭のイノシシの感染が確認されており、さらに拡大することが懸念されております。
 そこで、お尋ねをいたします。
 まず、和歌山県の野生イノシシでのCSF検査状況について、農林水産部長にお尋ねをいたします。
〇議長(岸本 健君) 農林水産部長。
  〔角谷博史君、登壇〕
〇農林水産部長(角谷博史君) 野生イノシシのCSF・豚熱の検査につきましては、隣接する三重県の野生イノシシでの感染が確認されたことから、国からの要請を受け、昨年9月より、県内全域で捕獲されたイノシシの抽出検査を行ってございます。
 現時点で、捕獲イノシシ71頭と、これまでに家畜保健衛生所に持ち込まれた死亡イノシシ6頭の計77頭の検査を行っておりますが、全て陰性となっております。
 今後も、本県養豚場での発生を防止するため、野生イノシシの検査を継続してまいります。
〇議長(岸本 健君) 堀 龍雄君。
  〔堀 龍雄君、登壇〕
〇堀 龍雄君 CSFワクチン接種についてということでお尋ねをいたします。
 滋賀県においてもCSFに感染した野生イノシシが2019年9月13日に確認され、国家防疫の視点により、経口ワクチンの散布と捕獲強化に協力するとありました。CSFワクチンについても、2019年10月31日から接種が行われました。
 近隣の奈良県では、農林水産省からCSFウイルス接種推奨地域の指定を受けて2020年1月20日から、また、京都府では2020年1月15日から接種が行われたところであります。
 本県においても、CSFが懸念される養豚農家からワクチンの接種を早くと望んでおります。早く農林水産省へ要望していただきたいと思いますが、県の取組について農林水産部長にお尋ねをいたします。
〇議長(岸本 健君) 農林水産部長。
  〔角谷博史君、登壇〕
〇農林水産部長(角谷博史君) CSF予防ワクチンについては、国の豚熱に関する特定家畜伝染病防疫指針に基づき、野生イノシシにおけるCSF感染状況、農場周辺の環境要因等を考慮し、CSFウイルスに感染した野生イノシシから豚等への感染リスクが高い地域がワクチン接種推奨地域に設定され、接種が行われてございます。
 本県は、野生イノシシで感染が確認されている三重県に隣接しているものの、発生地域が三重県北部であるため、感染リスクが低いと国が判断したことから、ワクチン接種推奨地域には設定されておりません。
 しかしながら、県内全ての豚やイノブタ等を飼育されている農家の皆様方に意向を確認したところ、全農家からワクチン接種の希望がございましたので、ワクチン接種推奨地域への設定を国へ要望するとともに、近畿ブロック知事会や全国知事会CSF対策プロジェクトチームからも要望してきたところでございます。
 今後も、本県がワクチン接種推奨地域に設定されるよう、国に対し引き続き要望してまいります。
〇議長(岸本 健君) 堀 龍雄君。
  〔堀 龍雄君、登壇〕
〇堀 龍雄君 養豚農家の人たちが本当に安心して養豚ができますように、一日も早くワクチンの接種ができますように要望いたしまして、一般質問を終わらせていただきます。本当にありがとうございました。(拍手)
〇議長(岸本 健君) 以上で、堀龍雄君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 37番高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕(拍手)
〇高田由一君 議長のお許しをいただきましたので、最初に、新型コロナウイルスの影響と対策について伺います。
 質問に入る前に、この間、この新型肺炎で亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、御遺族に心からお悔やみを申し上げます。また、現在もなお、この新型肺炎で闘病中の方もいらっしゃいます。元気に回復されることを心からお祈りしております。さらに、この間、知事を先頭に県当局の御奮闘に敬意を表したいと思います。
 以下、質問に入ります。
 コロナウイルスの問題では、今回、安倍総理が一斉臨時休校の要請をしたことについて、あまりにも唐突であり、専門家や現場の意見を聴くこともなく、また、必要な政府内での議論も十分でないまま発表したことに憤りを感じています。
 今、子供たちはもちろん、社会全体が大きな影響を受けています。私ども日本共産党県議団は、3月2日、知事と教育長に宛ててこの問題についての緊急申入れをさせていただきました。
 その内容は、今後の対応では児童生徒の安全・安心の確保を最優先に取り組むこと、保護者が仕事を休むことにより、社会の機能を低下させないこと、春休みまでという当初決定した休校期間にこだわることなく、現場の状況や社会情勢、他自治体の対応も見極めながら柔軟に期間変更などの対応することなどです。
 そして、当面の具体的な要望として、1、保護者の事情により学校で児童生徒を預かる場合、スクールバスなどの通学手段の確保について柔軟に対応すること。学童保育などが近隣にない場合、預かり時間も通常の下校時までとすること。2、特別支援学校・学級等の児童生徒については、児童デイサービス等へ受入れ拡大を要請しているが、多人数となる場合、感染防止の観点からも、学校での預かりと併用することなど特段の配慮をすること。3、学童保育、児童デイサービスなどについて、消毒薬、マスクなどの不足が心配されており、受入れを要請する限り、県として支援すること。以上のような内容の申入れです。
 これらのうち具体策については、今後、県と市町村が協議しながら進めていただけることを要望いたします。
 そこで、教育長に伺います。
 先ほど述べた要望のうち、春休みまでという当初決定した休校期間にこだわることなく、現場の状況や社会情勢、他自治体の対応も見極めながら柔軟に期間変更などの対応をすること、このことについて教育長の考えを答弁願いたいと思います。
〇議長(岸本 健君) ただいまの高田由一君の質問に対する答弁を求めます。
 教育長宮﨑 泉君。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
〇教育長(宮﨑 泉君) 県では、これまで学校における感染の防止に努めてきたところです。
 2月27日に示された国の要請により、3月2日から終業式までの期間、全ての県立学校を臨時休業としました。
 市町村教育委員会に対しても、このことについての理解を求めるとともに、同様の措置を要請しました。
 もとより早期の終息を望むところでありますが、今後、感染の状況及び国の動向等を踏まえつつ、適切に対処してまいります。
〇議長(岸本 健君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
〇高田由一君 答弁をいただきました。適切に、そして柔軟に対応していただければと思っております。
 要望を申し上げます。
 一つは、特別支援学校の児童のことです。中でも重度の肢体不自由の子供たちが心配だと親御さんたちが言っておられました。休校になって、福祉施設に併設をされたデイサービスなどを利用しているわけですが、その施設は、医療やその他のほかのサービスもあるので、不特定多数が建物に出入りします。重い障害のため、感染症には弱い。支援学校にいることのほうが安全だという訴えです。だからこそ、今からでも現場の声を拾って柔軟に対応していただきたい。
 もう一つは、学童保育です。昨日のある学校の学童保育の話です。天気もよくて温かくて、子供たちも外に出て、校庭に遊びに出たい、こうなったそうなんですが、ところが、学校のほうでは、休んでいる子供たちに外出を控えなさいと言ってる手前、校庭で遊ぶと、それを見た学童以外の子供たちがどう思うだろう。こんなことになって、外遊びをやめたそうです。子供から外遊びを取ってしまって、20日以上も元気に過ごせといっても無理な話ではないでしょうか。現場では、こうしたこともあるということで、ぜひ対応を検討していただきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。
 次に、県内経済への影響について伺います。
 新聞報道によりますと、白浜温泉旅館協同組合の調査で、今年の1から3月分だけでも合わせて7200件、約2万3000人余りの宿泊キャンセルがあるといいます。そのうち国内の方からのキャンセルが約6000件、2万人分ということで、新型コロナの流行を受けて日本国内の旅行が極端に控えられている、こんな状況が浮かび上がってまいりました。白浜町内のあるホテルでは、1月から3月だけでも、例年より1億円近い収入減少と言われています。さらに、地域の商店なども影響が出ています。
 このような厳しい状況の中、県は、経営支援資金の要件緩和で、売上げの減少が1か月あれば貸付けを利用できるようにしていただきました。また、国は、旅館・ホテルや飲食店などが利用できる衛生環境激変対策特別貸付を別枠でつくり、さらに雇用調整助成金の特例を出し、一時的に休業しても労働者の雇用を維持した場合には休業手当や賃金などの一部が助成されることになりました。
 そこで、商工観光労働部長に伺います。
 こうした緊急対策への相談や利用は現時点でどのようになっているでしょうか、答弁をお願いしたいと思います。
〇議長(岸本 健君) 商工観光労働部長稲本英介君。
  〔稲本英介君、登壇〕
〇商工観光労働部長(稲本英介君) 県においては、事業者の資金需要に迅速に対応できるよう、2月1日から全国に先駆けて、金融支援として県の制度融資、経営支援資金の対象要件を緩和したところでございます。
 当制度の現時点の相談や利用状況についてでございますが、3月2日時点では利用に至っておりませんが、県窓口への相談は29件となっております。
 雇用調整助成金については、主に観光バス等の事業者や旅館・ホテル業の事業者から相談が寄せられていると聞いておりますが、申請先である和歌山労働局に確認しましたところ、3月2日現在において相談件数が38件、申請はまだないとのことです。
〇議長(岸本 健君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
〇高田由一君 今後の対応、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、ひきこもり支援への県の取組について伺います。
 まず、相談や支援の実際について伺います。
 12月の県議会でも部長も答弁されたように、相談窓口への相談件数は平成30年度で延べ2400件となっています。この相談機関ごとの内訳、これはどうなっているでしょうか。また、来所での相談件数はどうなっているでしょうか。
 さらに、保健所からのアウトリーチといって家庭訪問をして相談に乗る、そういう事業はどれくらいの訪問件数になっているでしょうか。
 あわせて、ひきこもりの相談を扱う民間団体のほうでは年間どれくらいの相談があるでしょうか。福祉保健部長の答弁をお願いします。
〇議長(岸本 健君) 福祉保健部長宮本浩之君。
  〔宮本浩之君、登壇〕
〇福祉保健部長(宮本浩之君) 平成30年度の相談窓口における延べ相談件数、約2400件の内訳は、県精神保健福祉センターに設置しているひきこもり地域支援センターへの相談が151件、県内8か所の保健所への相談が528件、市町村への相談が1091件、若者サポートステーションWith Youへの相談が627件となっています。そのうち、来所相談につきましては592件となっています。
 また、県内8か所の保健所の家庭訪問につきましては178件となっており、民間事業所における相談件数は1260件と把握しております。
〇議長(岸本 健君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
〇高田由一君 答弁をいただきました。
 電話の相談などでは、公的機関への相談が民間団体への相談の約2倍ぐらいに大きくなっております。
 ところが、今ございましたように、来所して来ていただいての相談となると行政機関合計で年間592件ですから、月平均49件。これに対して、民間5団体に伺ったところ、実際に人と会っての相談について、来所相談の件数については月102件というふうになっていて、県の約2倍の相談が民間の団体のほうに寄せられています。実際こうした状況になっています。こうした民間団体の頑張りがあってこそ、草の根でひきこもり者を支えている、私はこのように実感をしております。
 そこで、次の質問に移らせていただきます。
 ひきこもり当事者がどの地域に住んでいても居場所等の支援が受けられるような体制づくりについてです。
 具体的には、現在の制度では、民間団体と市町村が委託契約を結んで居場所づくりなどをしておりますが、民間団体の居場所には、やはりそれぞれ特徴がございます。当事者もそれぞれ好みというものがあります。遠くの居場所でも行きたい、こういうふうに思う居場所もあれば、家の近くでも気に入らなければ通うことにはならない、こんなときもございます。
 ところが、今の現状では、民間団体のほうと委託契約をしている市町村以外の当事者の受入れは、補助金を出しているか出していないかというこの違いもあって、なかなか利用が困難というふうに伺っています。
 県下どの地域にいても、市町村の枠にとらわれずに居場所や支援が──アクセスフリーと言われていますが──アクセスフリーで利用できる体制をつくっていただきたいのですが、このことについては県と市町村の調整も必要なことなので、今後の検討をお願いしたいと思います。
 ただ、福祉保健部長に伺いたいのは、民間団体が県下どの地域の相談であっても支援できるようにするアクセスフリーというこの体制、これが必要だという認識はお持ちでしょうか。このことについて答弁をお願いしたいと思います。
〇議長(岸本 健君) 福祉保健部長。
  〔宮本浩之君、登壇〕
〇福祉保健部長(宮本浩之君) 県では、平成16年度から全国に先駆けて、ひきこもり者社会参加支援センター事業を実施し、当該事業がモデルとなり、国庫補助事業「ひきこもりサポート事業」が創設されました。
 現在、ひきこもりサポート事業を活用し、23市町村が7民間事業者の協力を得て、ひきこもりの方が社会との交流を取り戻すため、自宅以外の場所で過ごすことができる居場所づくり事業を実施しています。
 そうした状況の中、居場所の提供などひきこもりの支援は、基本的には生活の拠点となる身近な地域で受けることが望ましいと考えますが、中には遠くても自分に合う民間事業所の利用を希望する方もおられますので、県内どの地域の相談であっても支援につなげることができる体制は必要であると考えています。
〇議長(岸本 健君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
〇高田由一君 答弁をいただきました。よろしくお願いいたしたいと思います。
 この問題の最後に、和歌山県として、今後どのような取組を進めようとしているのか、このことについて御答弁をお願いします。
〇議長(岸本 健君) 福祉保健部長。
  〔宮本浩之君、登壇〕
〇福祉保健部長(宮本浩之君) ひきこもり対策については、まず、地域の中で支援が必要な方がどこにおられるかを把握し、保健所などの相談機関につなげ、ひきこもりサポート事業で行っている居場所へ参加することにより、社会との交流を取り戻すことが重要であると考えています。
 しかし、ひきこもりの方は社会との関係が途絶え、孤立しがちとなり、またその家族も、いつかは社会と交流をしてくれるだろうという期待や、どこに相談したらよいのか分からないという思いから、相談につながり難い状況となっています。
 県では、今年度から相談機能を強化し、訪問相談の充実を図っており、昨年8月からは、個人の家庭を訪問し、福祉サービスを提供する事業所や社会福祉協議会などの協力を得て、ひきこもりの方と暮らす世帯を相談窓口につなげていくための取組を行っています。
 さらに、来年度から、県、市町村、民生委員・児童委員、社会福祉協議会、自治会などが連携し、地域住民が抱える様々な課題を把握し、相互に協力することにより、問題を解決していく体制を構築することとしています。
 このような取組により、ひきこもりで悩まれている方を一人でも多く保健所などの相談につなげ、社会性を回復していく取組に進んでいけるよう、より一層、市町村や民間事業者との連携を深めてまいります。
〇議長(岸本 健君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
〇高田由一君 答弁をいただきました。
 最後に、要望でございますが、私は、あわせて民間団体へ任せるところは任せる、事業委託などの部分もしっかり検討いただいて、民間団体の運営も成り立つような支援の充実についてもぜひ検討いただきたい、このように考えております。よろしくお願いをいたします。
 次の質問に移ります。
 次に、南紀・はまゆう支援学校の統合、新設に当たっての課題について伺います。
 現在、南紀、はまゆう両支援学校の統合のための工事が進んでいます。この間の関係者の御努力に敬意を表したいと思います。
 一方で、現場を担当されている先生方から心配の声も伺っています。その第1は、今後、教室が不足することはないのか、こういう心配です。それというのも、平成13年に本格開校した紀伊コスモス支援学校では、計画段階で39学級、150人規模ということを想定していたんですが、開校して3年後には想定規模をオーバーしています。現在では、58学級、229名と、想定規模の1.5倍化している。
 また、平成26年に本格的に開校した和歌山さくら支援学校、こちらは35学級、130人規模の想定でつくられたわけですが、ここはもう本格的に開校した時点で既に想定規模をオーバーしました。現在は49学級、205名と、これも想定された規模の1.5倍以上に膨れ上がっています。
 はまゆう支援学校のほうでも、この10年で児童生徒が増えています。
 そこで伺います。統合後の南紀・はまゆう支援学校の普通教室数、児童生徒数はどれくらいの数を想定しておられますか。その算出の根拠は何でしょうか。また、開校後の児童生徒数はどうなる見通しをお持ちでしょうか。教育長の答弁をお願いしたいと思います。
〇議長(岸本 健君) 教育長。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
〇教育長(宮﨑 泉君) 南紀・はまゆう支援学校統合校の児童生徒数については、校区内の出生数に対する入学率や、小中学校に設置されている特別支援学級からの入学者数を基に算出をいたしました。
 その結果、普通教室は48教室、児童生徒数を190人前後と想定し、統合校の施設設備を計画しました。
 推計算出当初に比べ、はまゆう支援学校では児童生徒数の増加が予想されますが、統合校での対応は十分に可能な人数であると考えております。
〇議長(岸本 健君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
〇高田由一君 先生方がこのような心配をするのは訳があります。この特別支援学校の教室不足という問題は全国でも見られており、普通の小・中・高校では起こり得ない問題です。子供が増えることが分かっていれば、校舎を増設したりプレハブでも校舎を造ったりします。
 ところが、特別支援学校では、教室が不足をしても、特別教室を潰したり普通教室を分割したりして対応しています。このようなことになるのは、特別支援学校にだけ学校教育法第3条、これに基づく学校設置基準がないからです。普通の学校は、この設置基準に従って施設や学級編制や教職員配置などを決めることになっているのです。なぜなら、一定の準拠すべき基準がなければ、設置者の財政事情や教育に対する情熱の相違などによって学校教育が一定の水準を下回ることになる懸念があるとされるからです。
 そういう重要な学校設置基準が特別支援学校だけにないということは、以前から私ども日本共産党が国会でも繰り返し取り上げてきた問題です。これは、国がしっかり定めるべきだと考えます。
 そこで、教育長に伺いたいと思います。
 このような特別支援学校の学校設置基準がない中、和歌山県内、特に和歌山市内において支援学校の過大規模化が進み、教室が不足するといった事態になっておりますが、こうした現在の状況にあるということについて、どう認識をされているでしょうか。お願いします。
〇議長(岸本 健君) 教育長。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
〇教育長(宮﨑 泉君) 県内特別支援学校における過大規模化についてでございますが、特別支援学校では、在籍する児童生徒等の障害の状況に応じ、必要となる施設や設備が様々であることから、国は一律の基準を設けていません。しかしながら、平成28年に文部科学省が策定した特別支援学校施設整備指針に基づき、施設整備が行われています。
 現在、特別支援教育への理解が進んでいることから、在籍する児童生徒数が増加している傾向があると認識しています。
 今後も、各校の状況を見極めながら、学習環境の整備に努めてまいります。
〇議長(岸本 健君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
〇高田由一君 ぜひ、支援学校の児童生徒の教育が適切に受けられるように、しっかり対応していただきたいというふうに考えます。
 この問題の最後に、統合後の南紀・はまゆう支援学校の体育館に空調設備が設置されていないことについて質問いたします。
 この間、猛暑が続く中、学校内での熱中症が大問題になり、国も予算をつけて普通教室、特別教室への空調施設の設置が進んでまいりました。必要なところは県内でもほぼほぼ終わってきた状況ではないかなと思います。
 ところが、配付した資料を御覧いただきたいわけですが、体育館です。体育館の中でも、特にこの特別支援学校の体育館への空調の設置は、都道府県により大きなばらつきがあります。和歌山県はゼロ%ということになっておりますが、なぜ今回新設に当たって、病弱な子や体温調整が十分できない子が多い支援学校を新築するのに、体育館に空調設備がないのですか。答弁をお願いします。
〇議長(岸本 健君) 教育長。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
〇教育長(宮﨑 泉君) 南紀・はまゆう支援学校の再編整備におきまして、体育館への空調設備の整備は予定しておりませんが、軽運動や集会などを行う講堂には空調設備を整備することとしております。
 体育館については、温度や湿度など、子供たちの健康に十分留意して活用してまいりたいと考えています。
〇議長(岸本 健君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
〇高田由一君 今、予定がないようなんですけれども、この表を見ていただいても、ちょうど和歌山県の黄色い横の線が挟まれてますが、奈良県23%、兵庫県に至っては91.1%、鳥取県は76.9%、このように並んでいます。もちろんほかにもゼロ%という県はございますが、低い県を見ましても、どの県を見ても必ず一致しているのは、小中学校や高等学校の体育館への空調設置率よりも特別支援学校の設置を優先して取り組んでいるという実態ではないでしょうか。
 予定が聞けないんですが、では教育長、今後はどのようにされるおつもりか、再質問をさせていただきます。
〇議長(岸本 健君) 教育長。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
〇教育長(宮﨑 泉君) 先ほど申し上げたとおり、特に夏季の体育館の使用に当たっては、温度や湿度などを適切に見極めながら、体育館、講堂を有効活用していきたいと考えてるんですけれども、体育館につきましては530平米、講堂につきましては300平米ございますので、講堂にはもちろん空調がついておりますので、そこをうまく活用して、よほど暑いときは体育館はもちろん使用は避けるんですが、ほとんど講堂のほうで対応できるというふうに考えておりますので、そうしていきたいと思ってます。
〇議長(岸本 健君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
〇高田由一君 やっぱり支援学校の体育館へも設置をしていくというのが大事だと思うんです。
 現在の南紀支援学校での様子を伺いましたが、やっぱり式典やいろいろな行事、大規模な行事のときは体育館を使うんですね、今はね、狭いですから。体育館を使うんですが、そのときに寒かったり暑かったりした場合には、体育館の横に自立訓練室という、いろんな日常の訓練をする部屋が真横に引っついてるんです、引っついてたんです、今、体育館ないんでね。引っついてたんです。で、その自立訓練室には冷暖房がついてるから、そんな大きな規模の行事を全体でするときには、そこの自立訓練室のクーラーや暖房を、もう朝の早うからかけて、体育館へ流し込んで、それでそこで行事をする、こんな対応をされていました。本当に子供たちの、本当に、先ほども申し上げたかも分かりませんが、重度の重い子が入っており、体温調整や体力がない、病気になりがちというのがあります。ぜひ、こうした問題を解決していっていただきたい、今後の予定に入れていただきたいと、これは要望をさせていただきたい。
 そして、新しく校舎が計画されている紀北支援学校、今されておりますけれども、ぜひこうした今日の議論を生かしていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いをいたします。
 次に、障害者スポーツの普及、振興について伺います。
 東京オリンピック・パラリンピックの開催が迫っています。新型コロナウイルスの影響が心配されますが、無事に開催できますことを祈っております。
 障害者にとってスポーツを行うことは、最も自然なリハビリテーションと言われ、全身的な機能の回復、心理的な効果、社会への適応への大きな自信になることなどが挙げられています。
 私も参加をしたある講習会で、「健常者にとってスポーツは選択科目、障害者にとっては必修科目」と講師の方が言われていたのが印象的でした。障害者がスポーツをすることは必要不可欠であり、大きな意義があります。
 そこで、県内の障害者スポーツの推進に関して幾つか伺います。
 まず、和歌山県において、障害者スポーツの参加者を広げていく、この活動はどうなっているでしょうか。福祉保健部長の答弁をお願いします。
〇議長(岸本 健君) 福祉保健部長。
  〔宮本浩之君、登壇〕
〇福祉保健部長(宮本浩之君) 県では、障害者スポーツの振興を図るとともに、障害のある人の自立と社会参加を促進するために、平成13年に県内で最大のスポーツの大会である和歌山県障害者スポーツ大会を開始したところです。
 あわせて、障害のある人のスポーツ参加の機会を増やすため、卓球、テニスをはじめとし、広く障害者スポーツ教室を開催してまいりました。
 これらの大会や教室の開催に加えて、障害のある人が安心してスポーツができるよう、障害者スポーツ指導員養成講習会を開催し、約250名のスポーツ指導員を養成してきたところであり、各地域で開催される障害者スポーツ教室や各種大会において、運営や参加者の支援を行っています。
 そうした中、平成27年10月に本県で開催された全国障害者スポーツ大会「紀の国わかやま大会」の開催を契機に、新たな競技に取り組む方が増えるなど、障害のある人のスポーツ人口が大幅に増加しました。
 こうした取組により、和歌山県障害者スポーツ大会は、開始当初約400人であった参加者が、今年度は約900人になるまでに発展しました。
 また、さらに、重度の障害のある人にも参加できるスポーツ・レクリエーション大会や教室を開催し、障害のある人もスポーツに親しむことができる取組を行っているところです。
 今後も、引き続き障害のある人が広くスポーツを楽しむことにより、自立と社会参加の促進につながるよう取り組んでまいります。
〇議長(岸本 健君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
〇高田由一君 次に、施設整備の点で伺います。
 障害者スポーツの普及の中心的な役割を担っているのが和歌山県障害者スポーツ協会だと思います。その拠点となっている県子ども・女性・障害者相談センターの体育館やプールでは、年間を通じて様々な取組がなされております。車椅子バスケや卓球、テニス、グラウンドゴルフ、カヌー、アーチェリー、バドミントンなどです。
 この間、利用されている用具の充実がされてきたということは評価したいと思います。
 ただ、平成23年に改築をされた体育館には空調設備がありません。窓を閉め切って行う卓球や激しい運動量の車椅子バスケでは、夏場の利用は本当に厳しい状況となっています。
 先日、和歌山県立医科大学のみらい医療推進センターに行ってまいりました。障害者スポーツ医科学の研究を活発に行っておられ、また、障害者スポーツ日本代表選手の公式医療機関としても指定を受けております。地域のパラスポーツを楽しむ皆さんも、そのときも来られて、トレーニングによく利用しているんやというお話をされていました。
 そこで、頂いた資料にもあったんですが、例えば首から下が麻痺をした頸椎の損傷者ですが、汗をかけません。そのため、高温多湿環境においては体温が上昇しやすい。腕や足の切断者は、健常者に比べて体の表面積が減少するため、皮膚血流による熱放散が減少して、代わりにたくさんの汗をかくため、脱水症状に陥りやすい。さらに知的障害者は、暑さに対して自ら判断し適切な体温調整へ対応することが苦手であり、ときには熱中症のリスクを高めてしまうなどの特徴があるそうです。空調設備は、障害者スポーツの施設になくてはならないものです。
 県障害者センターの体育館にぜひこの空調設備が必要だと思いますが、今後の施設整備について、部長の答弁をお願いしたいと思います。
〇議長(岸本 健君) 福祉保健部長。
  〔宮本浩之君、登壇〕
〇福祉保健部長(宮本浩之君) 子ども・女性・障害者相談センターの体育館は、主に車椅子バスケットボールや卓球に活用されてきましたが、平成27年の全国障害者スポーツ大会「紀の国わかやま大会」の開催を契機として、障害のある人のスポーツ人口が増加したことに伴い、現在では、季節、昼夜を問わず活用されるようになりました。
 そのような中、特に夏季など気温の高い日の利用については、障害のある人の中には体温調整機能が失われている人もいることから、今年度から夏季など気温の高い日に体育館を使用する際には、スポットクーラー2台を設置して体温調整を行えるように配慮しているところですが、体育館の利用頻度が増加している現状から、常時室温管理ができるよう空調設備が必要であると考えているところです。
 本県が所有する公共施設については、平成28年度に策定した和歌山県公共施設等総合管理計画に基づき個別施設計画を作成することとなっており、当該空調設備については整備に向けた検討を行ってまいります。
〇議長(岸本 健君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
〇高田由一君 よろしくお願いいたします。
 最後に、紀南地方での普及の拠点づくりについて伺います。
 どうしても琴の浦にある県障害者センターがパラスポーツ、障害者スポーツの普及の中心になっておりますので、紀南地方への普及は遅れています。パラリンピック陸上競技の競技別強化拠点施設に田辺スポーツパーク陸上競技場が指定をされました。こうした施設を生かすことも含めて、紀南地方にも障害者スポーツの拠点を県としてもつくっていく必要があるのではないかと感じています。部長の答弁をお願いします。
〇議長(岸本 健君) 福祉保健部長。
  〔宮本浩之君、登壇〕
〇福祉保健部長(宮本浩之君) 田辺スポーツパーク陸上競技場は、パラリンピック陸上競技のナショナルトレーニングセンター競技別強化拠点施設に指定され、今年開催される東京パラリンピックに向け、多くの陸上アスリートが練習を行うなど、広く障害のある人がスポーツを楽しむ環境の整備が図られているところです。
 県では、紀南地方においても、スポーツ教室の開催など障害者スポーツへの参加者の裾野を広げる取組を行っているところであり、はまゆう支援学校における知的障害者バスケットボールやみくまの支援学校におけるソフトボールなど、障害のある人の団体競技も盛んになり、競技人口が増加しているところです。
 県としましては、障害のある人のスポーツを楽しむ環境が整った田辺スポーツパークを中心に、地域の指導者と障害者スポーツの競技者や愛好家が連携する体制づくりを進め、障害のある人のスポーツの普及と振興に努めてまいります。
〇議長(岸本 健君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
〇高田由一君 答弁ありがとうございました。
 私も少し障害者スポーツに関わらせていただいておりますが、やはり拠点があって、その周りで活動されているいろんなメンバーがおられて、それで地域の普及が進んでいくというのを実感しておりますんで、ぜひお願いしたいと思います。
 先ほどの支援学校の施設整備の議論と併せて考えると、私は大きなヒントがあると考えています。国もスポーツ庁がスポーツ実施率向上のための行動計画を平成30年に発表しました。その中で、障害者向けの取組ということで、身近な場所でスポーツを実施できる環境整備をするとして、医療・福祉施設との連携、特別支援学校を活用した地域における障害者スポーツの拠点づくり、これを進めるとしています。
 支援学校児童生徒については、卒業後のスポーツ機会の確保のため、学童期に慣れ親しんだ特別支援学校の体育施設を利用できるようにすることなどが、これはこの方針の計画の中で挙げられています。特別支援学校がこうした機能も果たせるように、重ねて要望をしておきます。
 次の質問に移ります。
 和歌山南漁協の補助金不正問題について伺います。
 昨年12月議会の農林水産委員会でも報告がありましたが、県から田辺市への補助金が二つの事業で300万円余の不適正使用がありました。また、田辺市から同漁協への補助金では約5400万円の不正がありました。
 特に田辺市の補助金関係では、同漁協が事業費の2分の1の補助金を受けられる制度を悪用して、事業費をほぼ倍に膨らませて架空計上して、事業費の全額が市からの補助金で100%賄われるような仕組みをつくっており、これが長らく慣例のように不正受給が行われていたということであります。
 この不正の背景には、私は、五つの漁協が広域合併して和歌山南漁協が誕生したわけですが、合併後も業務や経理の面でも旧漁協別で行われ、統一した漁協としての組織的な運営がなされていなかった、言わば、何といいますか、縄張意識のようなものを取り去ることができなかったことにあると感じています。
 そこで伺います。合併してできた和歌山南漁協の設立後、県がどのような指導をしてきたのかが問われていると思います。これまでの県の指導の在り方について、農林水産部長の答弁をお願いします。
 また、あわせて、問題発覚後に県の指導に基づき取られた漁協の改善策や今後の改善の予定、さらに、不正のあった田辺市への補助金について、その返還は具体的にどういう計画になっておられるのかについても御答弁をお願いしたいと思います。
〇議長(岸本 健君) 農林水産部長角谷博史君。
  〔角谷博史君、登壇〕
〇農林水産部長(角谷博史君) まず、和歌山南漁協合併後の指導についてですが、和歌山南漁協は平成19年に五つの漁協が合併して誕生し、合併直後から繰越欠損金を抱える深刻な経営状態であったため、県では、県漁連などと協力して経営改善計画に基づく財務の健全化を重点的に指導してまいりました。平成27年度に繰越欠損金が解消されたことから、その後は他の漁協と同様に、常例検査による指導をはじめ組合運営や事務処理方法等について指導助言を行ってまいりました。
 今回の問題発覚後、漁協が設置した第三者委員会や県による調査の中で、議員御指摘の業務執行体制等に起因する重大な問題が明らかになったため、昨年、漁協内に設置したJF和歌山南経営改善策検討委員会に県も参画し、組織体制の抜本的な見直しによるガバナンス、コンプライアンスの強化等を含む経営改善策を策定させ、その実行を強力に指導しているところでございます。
 これを受け、和歌山南漁協では、組合の業務執行の基本ルールを定めた職務規程や経理規程等の見直し、顧問弁護士によるチェック体制の強化、各支所単位での事務処理や資金管理の廃止と本所への事務集約化、資金の一元管理等の取組を既に行っております。
 今後、支所や市場の統廃合や員外監事の登用について検討を進めるなど、さらなるガバナンス、コンプライアンスの強化に向けて取り組んでいくこととなってございます。
 県といたしましては、和歌山南漁協に対して経営改善策が確実に実施されるよう、今後とも重点的な指導を行ってまいります。
 次に、田辺市からの県補助金返還計画についてですが、不適正使用のあった県補助金に関する県の調査結果を手交した上で、納付期限を3月31日として補助金の返還と加算金の納付を請求してございます。
 田辺市では、返還金及び加算金の所要額を盛り込んだ補正予算案を今議会に上程し、期限内に納付すると聞いております。
〇議長(岸本 健君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
〇高田由一君 ぜひ、今後の強力な指導をよろしくお願いしたいと思います。
 最後に、先ほど堀議員も取り上げられましたが、クビアカツヤカミキリの防除について伺います。
 果樹王国和歌山の桃や梅の生産に大きな影響を及ぼしかねない特定外来生物、クビアカツヤカミキリについて伺います。
 昨年11月に、かつらぎ町内の桃園地で発生が確認されて以来、県も早急な取組をしていただいていることに感謝をしたいと思います。
 県としては、この害虫に対し、農と林と環境のそれぞれの各課が、それぞれ農地や森林、公園での駆除に県単の補助を用意して準備をしていただいております。今後大規模な発生となれば、なかなか県財政にとって重い負担になってくる可能性もあります。
 現時点では、この害虫は特定外来生物ということで、なかなか名前は物々しいのですが、この特定外来生物には、例えばアライグマやブラックバスなど、もはや日本に定着したと言えるようなものもあり、所管する環境省も全てこれらを根絶するという立場ではなくて、また予算も限られているため、対策には限界があるというのが現状です。
 一方で、農業生産を守るため、有害な害虫や病気を駆除するための法律である植物防疫法、この法律では、この害虫はいまだ重要な位置づけがなされていない状況です。
 和歌山の果樹生産を守るためには、本県独自の取組と、そのための国の財政支援が必要になると考えます。
 この害虫の防除対策に係る国への財政支援の要望についてどのようにお考えか、農林水産部長の御答弁をお願いします。
〇議長(岸本 健君) 農林水産部長。
  〔角谷博史君、登壇〕
〇農林水産部長(角谷博史君) クビアカツヤカミキリの防除対策に係る国への財政支援についてお答えをさせていただきます。
 植物防疫法第17条では、新たに国内に侵入し、もしくは既に国内の一部に存在している病害虫が蔓延して農作物に重大な損害を与えるおそれがある場合、農林水産大臣が緊急防除を行うということになってございます。
 ところが、クビアカツヤカミキリにつきましては、国内に侵入した当初、農作物でない桜で被害が拡大し、特定外来生物に指定されたことから、農林水産省による緊急防除の対象外で、都道府県に対する支援も行われておりません。
 一方、特定外来生物を所管している環境省では、防除計画の策定や発生状況調査への支援を実施してございますが、農作物に限定した防除対策への支援は行われてございません。
 しかしながら、クビアカツヤカミキリは、本県農業の基幹品目である桃や梅等を加害し、大きな影響を及ぼすことも懸念されるため、今後、緊急防除の対象に加えることや、県単事業で実施している被害樹の伐採・抜根等の経費に対する支援策の創設を国へ要望してまいります。
〇議長(岸本 健君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
〇高田由一君 答弁ありがとうございました。
 緊急防除というのは、例のウメ輪紋ウイルスのときも発動がされておりましたが、国のやはり財政支援がついてくるということで、大変大事な仕組みだと思います。ぜひ、それが実現するように要請していただきたいと思います。
 最後に要望ですが、この害虫に対する防除対策の研究です。
 これまでの研究で一定の農薬がこの害虫に登録をされていますが、議論のあったように、幼虫は堅い幹の中に生息しており、また、成虫も飛翔し動きが大きいことから、防除がしにくい害虫になっています。カミキリムシとしては大変多い300から1000個の卵を産むそうで、やはり大規模発生をさせないことが大切です。
 桃や梅の木に被害を及ぼすコスカシバという害虫がありますが、殺虫剤など従来の薬剤防除とともに、性フェロモン剤といって、それを利用した薬剤による、交尾をさせない、産卵をさせない、こういうような防除も取り組まれています。
 性フェロモン剤などは、ほかの虫や環境には負荷が少ない防除の方法です。環境への影響からも、こうした防除や物理的な防除も含めて新しい防除方法の研究が必要ではないかと思います。国と一緒になって研究をしていただけるよう要望して、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
〇議長(岸本 健君) 以上で、高田由一君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時41分休憩
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  午後0時59分再開
〇副議長(森 礼子君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 32番浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕(拍手)
〇浦口高典君 外はあいにくの雨でございますが、私の心は澄み切った日本晴れでございます。
 それでは、議長のお許しを得ましたので、通告に従い質問をさしていただきます。
 その前に、このたびの新型コロナウイルスに感染し、亡くなられた方々には、心より御冥福をお祈り申し上げますとともに、現在も感染し、治療されている皆様の一日も早い御回復をお祈り申し上げる次第でございます。
 さて、和歌山県でも、湯浅町で2月13日に最初の感染が確認されてから、仁坂知事を先頭に、野尻健康局長、健康推進課、医務課を中心に職員の皆さん方の御尽力ぶりには心より敬意を表する次第でございます。本当にお疲れさまでございます。
 それだけに、今回16回目になります私の「健康長寿日本一わかやま」の実現についての質問につきましては、その二つの課を省きまして、少し核心の部分から外れるかもしれませんが、おとなしく質問さしていただきたいと存じます。これは、決して妙な忖度ではなしに、私の武士の情けであります。
 それでは、まず第1項目から、これは質問ではなく要望でありますが、濱口梧陵生誕200周年についてであります。
 既に皆さんも御存じのとおり、安政元年(1854年)11月5日、安政南海大地震のとき、自らの稲むらに火をつけて多くの村民を大津波から守ったという「稲むらの火」の話は有名で、その濱口梧陵が生まれて、今年6月15日でちょうど200年になります。
 稲むらの火のことだけではなく、歴史に残るその偉業は、2015年紀の国わかやま国体のオープニングで、真言宗の開祖・空海、世界で初めて全身麻酔を用いた手術を成功させた江戸時代の外科医・華岡青洲、そして、和歌山県が生んだ博物学の巨星・南方熊楠らと並び称された四偉人の一人として全国に大きくアピールされたということであり、皆さんも御記憶に新しいことだと存じます。
 その濱口梧陵が、後進の育成のために建てた私塾が耐久舎であり、現在の和歌山県立耐久高校であります。同じ名前で受け継がれた高校として全国一古いとも言われ、私自身、その耐久高校の卒業生の一人であります。それだけに尊敬の念を込めまして、以下、梧陵翁と呼ばせていただきますが、ぜひ今年6月15日、生誕200年でもある記念すべき年に、県を挙げて全国、全世界に発信すべきだと考え、やはり同校の先輩である吉井議員に相談し、梧陵翁についてその人柄、人物、功績等を調べ、当局にただそうと考えておりましたら、昨年の12月議会で、やはり同校の後輩である山家議員に先に言われてしまい、しかも私の考えていた倍ぐらいよく調べられて、もう言うことはございません。ただただ優秀な後輩を持って幸せであります。
 それはさておき、これから県、広川町でも各種イベント等で全国、全世界へ発信を考えられているかと思います。梧陵翁が初代議長を務められたこの和歌山県議会の議員として、私も支援は惜しみません。
 梧陵翁生誕200年を節目として、津波防災への備えをはじめとしまして、先ほども申し上げたとおり、耐久舎の設立など後進の育成にも尽力され、さらに、種痘館の再興に当たっては多額の支援を行うなど、教育、医学にわたって多大な功績を残された偉人について、この機会にどうか広く知らしめていただくよう、強く要望をしておきます。
 さて、それでは質問に入らせていただきます。
 「健康長寿日本一わかやま」の実現についてでありますが、最初に申し上げたとおり、私の質問回数、2月、9月の年2回、これまでトータル16回、つまり8年以上このテーマを追いかけ、数々の政策を提案し、それが県の施策として今生かされていることは、実践中でもありますことは、一議員として大変うれしく思います。
 しかしながら、理想とする健康長寿日本一というレベルにはまだまだでありますし、そもそも私がこの問題を最初なぜ取り上げたかと申しますと、平成20年4月発表の県長期総合計画の中で「健康長寿日本一を目指す」と記載され、平成29年4月発表の長期総合計画の中にも、今度は「日本一を実現する」と明確に書かれているからであります。
 しかしながら、約10年たった今でも、和歌山県の健康寿命、ここでは単純に平均寿命から要介護認定期間を引いたものですが、男女とも全国的に下位であることは、昨年の9月議会でもお示しした奈良県の資料でも明らかであります。
 また、翻って私自身、その後もこの問題を何ゆえここまで追いかけてくるか。それは、一人でも多くの県民の皆さんが、これからも健やかで長生きされることを望むことはもちろんでありますけれども、我々議員や知事も含め、政治家がよく言う「地元和歌山の活性化」ということが大きなテーマであるからであります。
 そこで、資料1を御覧ください。この資料でありますが、左側を見ていただきたいと思うんですが、これは昨年から何度か和歌山市内で県政報告をさせていただいたとき、一般の方にも現状をはっきりと認識していただくために作成した資料であります。
 この数字を説明させていただく前に、皆さんに御認識いただきたいのは、政治を考えるとき、よく言われるように、虫の目、鳥の目、それにこれは私の造語でありますが、時の目という視点が大事であると思います。虫の目とは、現在起こっている事柄を虫のように間近くで見ることであり、鳥の目とは、同じ問題を同じ目線の高さで見るのではなく、飛んでいる鳥のように高い位置から全体を見ること、全体を俯瞰すると言いますが、そして、時の目とは、もちろん時、つまり時間には目はありませんが、時間軸というものの視点でこれらのことを見ていくということであります。ここでは、特に時の目という視点から御覧いただきたいと思います。
 左の表であります。こっち側でありますが、これは1985年から2015年までの近畿圏2府4県における人口増減、高齢化、要介護の国勢調査の数値であります。昨年2月議会でも全国47都道府県の一覧表を出しましたが、近畿圏に限って言うと、この30年間で実質人口が減少しているのは我が和歌山県だけなんです。実は私自身、このことに正直あまり気がついておりませんでした。他の2府3県は減少傾向にあるところもありますが、実際に減少しているのは我が和歌山県だけなんです。その数、30年間で12万3627人、逆に今も増加傾向にある滋賀県は25万7072人増加で、その上下の人数は38万699人であり、現在の和歌山市の人口よりも大きな数字になります。また、高齢化率は和歌山県のみ30.9%と30%台の大台に乗っておりますが、滋賀県は24.2%と、単純に見ても6.7%と大差となっております。
 そして、私がいつも指摘しております5年連続全国一高い65歳以上の要介護認定率は、和歌山県は22.2%ですが、滋賀県は17.1%で、これも単純に比較できるものではありませんが、5.1%も違います。
 しかし、これが私は悪いと言ってるのではありません。事実を申し上げているだけなんです。これが2015年までの30年間であります。
 そして、ここに、皆さんのお手元にありませんが、ここに(資料を示す)平成30年12月に発表された国立社会保障・人口問題研究所、いわゆる社人研の将来推計人口について記されたものがあります。これは2010年の国勢調査の結果を基に、2015年までの人口増減をベースに2045年までを推計されたものでありますが、その中で、これはこっち側の右側に載ってるやつですね。こっち側のやつです。これ抜粋したもんでありますけれども、その中で和歌山県及び県内市町村の数値が細かく書かれていますが、知事はじめ県職員の皆さんはもちろんですが、ここにいらっしゃる議員の皆さんも我が事のように考えていただけるように、各選挙区ごとにまとめさしていただきました。
 2045年(令和27年)には、つまり25年後の和歌山の人口は68万8031人となっていますが、その数字を見て私ははっと気がつきました。それは、以前話題になった「地方消滅」の著者で、岩手県知事、総務大臣を務められ、先日、日本郵政株式会社の社長に就任された増田寛也さんが座長を務められた日本創成会議が2014年8月にまとめられた人口推計では、この社人研のものより東京圏への人口一極集中が続くもので、もっと早くこの数字に近いものが来ると予想されていました。それによると、2040年に和歌山県の人口は68万9616人、これ小さいですが、ここに書いてる数字がその数字であります(資料を示す)。非常に社人研の言った2045年の数字に近いもんがありますが、それは2015年の国勢調査、15年10月の1日をベースにした推計では、2020年、つまり今年の10月1日には、和歌山県の人口は92万1152人となっているのですが、それはここに、先ほど言いましたように、この中に書いてるんですが、実際にはこの2020年、ついこの間の、これも県の人口推計でありますけれども、この2月の1日の和歌山県の人口は、もう既にこの数を下回っておりまして、92万681人ということであります。つまり、あと8か月、大体、去年調べますと、1年間で1万人余り、月に直しますと1000人前後ぐらいの方が和歌山から消えていってるというか、減少していってるもんですから、まだ8か月あってこの数字であるということが現実であります。
 つまり、思っている以上に人口減少が早く進んで、あと20年で社人研の人口推計を大きく下回って、68~69万人の人口になるということも十分考えられるわけであります。
 また、高齢化率は、2045年には39.8%とほぼ4割の人が65歳以上の高齢者になります。これも2040年頃を覚悟しておいたらいいのではないかと、私は思います。しかも、2015年には、15歳から64歳までの労働人口は60%近くありますが、2045年には50%を割るという推計が出ております。これも2045年ではなしに、2040年頃を覚悟しておいたほうがいいのではないかと思います。
 つまり、あと20年でさらに人口は大きく減少するが、高齢者の割合は右肩上がりで、普通に考えても活力が少なくなる社会になることは容易に想像がつきます。そして、要介護認定率が今のように、いや、それ以上に高位で進むと、ますます活力のない、つまり元気のない社会が現れてくることは間違いございません。
 このような和歌山県で経済が今後大きく伸びることは考えにくいし、それはそれで大変なことでありますが、ここで人口激減、超高齢先進和歌山を元気にするために、本気で「健康長寿日本一わかやま」の実現を目指して、人を元気にする政策に重点化を図るような思い切った発想の転換が必要ではないかと私は思っております。
 私自身、一言で申し上げて、今までどちらかというと「健康長寿日本一」と訴えながら、どこか心の片隅で「健康で長生きしてくれりゃいいのにな」とか、また、介護予防だとか、専門的な言葉ですが、フレイルチェックだとか、つまり、介護にできるだけかからないような政策を取ればいいのになという、どっちかというと受け身的な感覚で捉えていたことも否定はできません。
 しかし、このことを今深く反省しつつ、仁坂知事、いい意味で危機感を持って、「健康長寿日本一わかやま」実現で、人口激減、超高齢化の和歌山県の将来を明るいものにしていただけるように、つまり活性化を図っていただきたいと思いますが、仁坂知事のお考えをお聞かせください。
 これで、1問目を終わらせていただきます。
〇副議長(森 礼子君) ただいまの浦口高典君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
〇知事(仁坂吉伸君) 県の活性化のためには、議員御指摘のとおり、県民一人一人が生涯にわたり健康で、その人らしい人生を楽しめるようにしていくことも重要と考えます。
 このため、これまで和歌山県長期総合計画に沿って、健康づくりや生きがいづくりといった県民みんなが活躍できる社会づくりに取り組んでまいりました。
 特に、楽しく運動習慣の定着を図る仕組みを構築し、地域コミュニティーに密着した健康づくり県民運動を全県的に展開するなど、県や市町村だけでなく、地域の住民や企業も巻き込み、県民自らが主体的に取り組めるような工夫を講じたところでございます。
 来年度の新政策では、わかやま健康推進事業所の認定制度や健康教育の推進、健康と食のフェスタの開催に加え、健康づくり運動ポイント事業の強化を図るとともに、ワールドマスターズゲームズ2021関西に向けた生涯スポーツに対する機運の醸成、紀の国わかやま文化祭2021に向けた文化芸術活動への参加促進といった人を元気にする取組を推進していく所存であります。
 これらの取組は、多くの県民を巻き込みながら、一歩一歩着実に進めていかなければならず、時間はかかるものの、県を活性化させるための大きな礎となるものであることから、深化を重ね、健康長寿日本一、元気な和歌山の実現に向け、全力で取り組んでまいる所存であります。
 このような楽しい生活も健康あってこそでございますので、健康の維持のため、これまでの浦口議員の御指摘を踏まえ、引き続き努力をしていきたいと考えます。
〇副議長(森 礼子君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
〇浦口高典君 知事、どうもありがとうございます。大変安全運転の御答弁でありまして、運動ポイント事業で8万人と軽く口をこの場で滑らせたもんですから、今回はそのことは私、聞きませんけれども、数字を出すとやっぱり非常にやりにくいなというのが、気持ちは十分分かるんですが、ここでちょっと一つ御紹介したいんですが、ここに、御覧になった方もいらっしゃると思うんですが(資料を示す)、2月の27日に読売新聞の朝刊に、私以前、これも神奈川県の黒岩知事が提唱してる未病ということについて取り上げたことがございます。
 それが未病プロジェクトということで、新聞の2面を通じて、いろんなシンポジウムやったそうです。この中で、人生100年時代のヘルスイノベーションということで、これ横浜でこの1月にされたそうなんですけども、その中で、元厚生労働省医政局長で、現在神奈川県立保健福祉大学の大谷泰夫理事長が「未病対策になる魅力的な商品やサービスを開発する民間企業が増えれば、将来これが10兆円産業、10兆円規模の市場になる」と言われていますけれども、その可能性を秘めているということで、次回、また私このことについてもう少し詳しく、以前一度、ヘルスケア産業ということについてお話しさせていただいたことあるんですが、決して、このひな壇には福祉保健部長だけじゃなしに、商工労働部長はじめ優秀な職員の方がいらっしゃいますから、ぜひ県の持てる力をこの「健康長寿日本一わかやま」に傾注していただきたい。そのように思って、ぜひ発想の転換というか、今までやってきたことはずっと、それはそれで続けていただいたらいいんですが、やはり県民の皆さんが元気になってもらえるような施策をしないと、先ほども言いましたように、人口は減ります、高齢者は増えます、しかも要介護認定率は現時点で5年連続日本一だということになってきたら、やっぱりますます元気のない和歌山県になると思いますので、強く要望をいたしておきます。
 それでは、2問目に移らしていただきます。
 次は、わかやま100歳大学についてであります。
 さきの質問でもいたしましたとおり、これからさらに人口減少、超高齢化、要介護認定が進むと考えられる中、和歌山県の活性化は経済だけではなく、県民自身の元気さに比例すると言っても過言ではないと私は思います。
 私自身、この課題を8年以上追っかけてきて、最近心の底からそう思うようになってきましたし、それだけではなく、これを実現するための方法として、一人一人に対して運動、栄養、社会参加の必要性、重要性を説いてまいりました。
 また一方で、日本人自体が寿命も延び、人生100年時代と言われるようになった中で、2年ほど前に親しい老人ホームの施設長からこのようなことを言われたことがございます。それは「高典さん、あなたの言う健康長寿のための運動の大切さというのは私たちもよく理解しているけれども、この施設だけで暮らしている人たちに、あえて体力づくりを必要と思っている人なんか、そんなに数いませんよ」ということです。言ってみればそのとおりで、確かにトイレに行ったり、食事のために食堂に行くぐらいでは、そんなに体力も要りません。しかし、もう一つその施設長から言われたのは「ただ、何かの目標、例えば月に1度、お孫さんの顔を見に行くとか、週に1回は外に出かけて買物や映画等を楽しむとか、そんな目標ができれば、そのための体力づくりのための運動はしますよ」ということであります。なるほど、言われてみればそのとおりであります。
 人間何もしなければ、年齢とともに気力も体力も衰えていくことは当たり前のことであります。しかし、何かのきっかけで生きがい、やりがいを見いだし、生きる目標として意欲が湧いてくる、そのための気力、体力づくりに励むということであります。
 しかしながら、これから人生100年時代と言われ、人生が長く続く中で、どう対応していけばいいのか。もちろん、これは個人個人の問題でもありますので、皆が皆、そのことを真正面から受け止めて、真剣に考え行動しているとは、私には到底思えませんでした。そこで、いろいろと調べて考えた末に巡り会ったのが、老いの義務教育、第2の義務教育、100歳大学であります。
 これは、二つ目のこの資料を見ていただければいいんですが、これは既に滋賀県の湖南市や栗東市では数年前から実施されているもので、資料2を御覧いただきたいのですが、多くの人が100歳を生きる可能性がある時代になり、このもう一つの人生を生き切るためには、老いの生き方について学ぶ必要があるということで、詳しくはそこに載っているとおりでありますので、いわゆる市民大学だとか老人大学と違いますので、その辺もじっくり御覧いただきたいと思いますが、私自身、この100歳大学に大変興味を持ち、和歌山県健康生きがいづくりアドバイザー協議会の市野弘代表やそのメンバーの高林さんらとともに、昨年8月1日早朝、和歌山を出発して、朝10時からの栗東市の100歳大学を見学さしていただき、参加者の皆さんが積極的に取り組んでいる姿に感動を覚えました。
 そこで、帰ってきて早速、その他の福祉関係者や運動実践指導者の方々にも入ってもらい、和歌山100歳大学設立準備委員会を立ち上げ、私が委員長になり、月1~2回のペースで会合を重ねつつ、この2月の1日に和歌山ビッグ愛で100歳大学の提唱者である國松善次元滋賀県知事を招き、講演会とシンポジウムを開催したのですが、それがこの右上の写真でありますけれども、250名ほどの皆さんにお集まりいただき、なかなかの盛況でありました。
 そこで、同委員会の副委員長を務めてくれている吉本昌純和歌山市議会議員が、昨年12月市議会定例会で和歌山市における100歳大学の設立について、厚生労働省の地域支援事業交付金の制度を活用して開校してはどうか、これは、100歳大学というのは民間でやろうと思ったらすぐできんことはないんですが、継続性、また公性ということを考えたときに、これは公設民営がいいだろうということで、市にそのように訴えたところ、「人生100歳時代にふさわしい健康長寿の人づくりと健康長寿のまちづくりにつながるものと考えます。今後、事業効果を検証するために、現在実施している湖南市や栗東市等の活動状況を研究してまいります」と当局から前向きな答弁をいただいたと聞いております。
 県としても、この事業に対して和歌山市をバックアップする姿勢があるのかどうか、福祉保健部長、お答えください。
〇副議長(森 礼子君) 福祉保健部長宮本浩之君。
  〔宮本浩之君、登壇〕
〇福祉保健部長(宮本浩之君) 議員御提案の市町村が設置する100歳大学につきましては、高齢期に入った65歳の方を対象に、人生の最後を迎えるまでどのように生きるかを体系的に学び、健康で地域に貢献する意欲を持った高齢者を育成する取組であると認識しております。
 現在、和歌山市を含む県内の市町で、高齢者が生活していく上で必要となる健康教育、消費者被害の予防、高齢者施策などを学んだり、囲碁や将棋、園芸といったクラブ活動等を行う教室や大学が開設されており、多くの高齢者の方が参加しております。
 こうした高齢者を対象とした取組につきましては、日頃から高齢者の各種相談への対応をはじめ、総合的に支援を行っている地域包括支援センターを設置する市町村が、地域の実情に応じて主体的に実施していくことが重要であり、和歌山市では、今後、議員御提案の「わかやま100歳大学」の事業効果等について研究を進めていくと聞いております。
 県といたしましては、和歌山市と情報交換を密に行っていくとともに、事業の実施に当たっては、介護保険制度の地域支援事業を活用しながら財政的支援を実施してまいります。
〇副議長(森 礼子君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
〇浦口高典君 どうもありがとうございました。部長、先ほどもちょっと詳しくは説明しませんでしたが、今ある、いわゆる老人大学だとか市民大学とちょっと色合いが違って、これは私、この間3時間ほど國松元滋賀県知事といろんな話しさしてもらったんですが、まあとにかく、今81歳ですが、元気な方ですね。本当にやっぱり100歳生きるにはこれぐらいのパワーが必要かなと思うぐらい非常にバイタリティーにあふれた方で、この人がもともと滋賀県の福祉保健の部長なんかされてたときに、やっぱりいろいろ感じることがあって、今言いましたように、単なる趣味とか自分たちの好きなことだけをやるというんじゃなしに、これから、老いの義務教育というのは、やっぱり生きるということがどういうことであるかということそのものを学ばないかんということで、この資料にも書いておりますが、100歳大学の基本カリキュラムとテーマ事例ということで、これが20編ありますけど、大体40編が1こまとして1年間で学ぶそうなんですが、非常に、この間も見学させていただいたときに活発な議論もされてましたし、参加者が非常に元気であるということを私肌で感じましたんで、ぜひとも、市が今ちょっと意欲的に取り組もうとしておりますんで、県のほうもバックアップをよろしくお願いいたします。
 以上でございます。
 次に移らしていただきます。
 次に、和歌山市のラジオ体操の拠点づくりについてでありますが、これは教育委員会の所管でありますけれども、介護予防にはシニアエクササイズ、子供たちの体力づくりに紀州っ子かがやきエクササイズ&ダンスとそれなりの成果も上げ、大変喜ばしいことなのですが、それ以外の成人の体力づくりについても平成25年9月定例会で提案したところ、当時の教育長が「新たにミドルエクササイズを考えるよりも、皆に親しまれているラジオ体操をやってはどうでしょうか」ということだったもんですから、それだったらそれをやりましょうということでラジオ体操の指導者をつくることになり、4年間で指導者を、このときたしか550名ほどつくったと思いますが、私ももちろんその中の一人として入らしていただいておりますけれども、それはそれで評価するのですが、では、どれだけの人が地元で指導しているのかということを平成29年9月定例会で問うたところ、この和歌山市で42ある連合自治会でラジオ体操指導員として継続的に指導に当たっているのは僅か11名のみであったということでした。
 もちろん教育委員会としては、「指導者づくりまではやるけれども、それ以上は」というような思いがあるかもしれませんが、先ほども私がずっと申し上げてるとおり、これは和歌山県、特に日本一高い要介護認定率のこの和歌山県よりも、さらに1ポイント以上高い和歌山市の将来に対して、非常な、私自身、危機感を持っております。それだけに、これは教育委員会のスポーツ課の範疇にとどまることなく、生涯教育という面からも取り組んでいただきたいと思います。
 まず、先ほどから知事にも言っておりますとおり、「健康長寿日本一わかやま」で和歌山県を活性化する思いで、和歌山市42連合自治会に一つずつぐらいつくる必要があると強く私自身は思っておりますが、その後の結果も含めて、今後の意気込みについて、教育長の御所見をお聞かせください。
〇副議長(森 礼子君) 教育長宮﨑 泉君。
  〔宮﨑 泉君、登壇〕
〇教育長(宮﨑 泉君) ラジオ体操を指導員資格を持って継続的に指導している人は、和歌山市では平成29年の11名から、現在は19名へと増えております。また、県内全域では30名となっています。
 ラジオ体操指導員資格者の有無に関わらず、県教育委員会が働きかけしつつ、和歌山市では42の連合自治会のうちの半分以上の22の連合自治会の区域44か所において、ラジオ体操が定期的に行われています。さらに、県内全域では、取組当初の平成26年の55か所から現在113か所と、自主的な指導により参加者も年々増えております。
 こうしたことから、地域の方々にラジオ体操が着実に浸透していると感じています。
 引き続き、「出張!県政おはなし講座」でのラジオ体操指導や市町村への指導員の派遣に加え、最寄りの実施場所をウェブサイトに掲載するなど、ラジオ体操のさらなる普及啓発に努めてまいります。
〇副議長(森 礼子君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
〇浦口高典君 教育長、どうもありがとうございました。私、思ってた以上に一生懸命取り組んでいただいてるということで、大変うれしく思いますし、今後、ちょっと次の質問にも関係するんですが、もう少し市と県が一体となって、どこ行ったらラジオ体操やってる、どこ行ったらシニアエクササイズをやってる、例えば運動ポイント事業はどうしたら入れるんだとかいったことを、ぜひ一元化してもらいたいと思うんで、ぜひともラジオ体操の見える化というか、一般の方にも分かるようにしていただきたいと思います。
 それでは、4番目に移らしていただきますが、これは要望であります。
 健康長寿ホットステーション、これ仮称でありますけれども、今申しましたとおり、ラジオ体操に続き、和歌山市の健康づくりに限って要望さしていただきたいと思うのですが、現在、和歌山市内では、健康づくりの運動として、県が勧めるシニアエクササイズやラジオ体操、さらに、健康づくり運動ポイント事業の実施、また、和歌山市が勧めるWAKAYAMAつれもて健康体操、自主活動移行教室、つれもてサポート事業やシニアのための元気アップセミナーなどを実施し、健康長寿の向上に努めているということでありますが、はっきり言ってそれぞれがばらばらで横のつながりが少なければ、お互いの交流もあまりないようであります。
 これは、市の行政においても、住民の自主性ということで、それぞれの団体の長に任せて、全体を掌握しているとはとても思えません。
 しかし、以前から申し上げてるとおり、これから和歌山県全体が猛烈なスピードで人口減少だけではなく、昨年2月定例会でもお示ししたとおり、これは和歌山市でありますけども、全国47の都道府県県庁所在地で、和歌山市は1985年から2015年までの30年間で全国第2位の人口減少率であるということ、さらに、右肩上がりの急速な高齢化率の上昇、そして、何度も申し上げるとおり、既に要介護認定率は5年連続日本一、しかも、その和歌山県に比べて和歌山市の要介護認定率が1%以上高いという現状を考えたとき、もっとより効果的に健康づくりによる長寿社会を本気でつくっていかなければならないと思います。
 そのために具体的に考えられるのは、和歌山市内15の地域包括支援センターとも連携を図りながら、まずは市内モデル地区を選定し、その地区の自治会館や公民館を健康長寿ホットステーション──これは仮称でありますけれども──と位置づけて、プロの指導者、例えば理学療法士、健康運動指導士、公認スポーツトレーナー等を定期的に巡回配置し、地域の皆様方に健康長寿のための情報提供、各種健康相談等も加え、現在進めている県と市の事業を共同して充実発展させていくことが必要だと思います。
 この件に関しましても、先ほど「わかやま100歳大学」で紹介いたしました吉本和歌山市議会議員がやはり昨年12月の定例市議会で質問し、当局の前向きな答弁をいただいてると聞いております。
 今回質問はいたしませんが、9月定例会では必ずこのことを質問さしていただきますので、県においても、健康推進課だけではなく、長寿社会課やスポーツ課など、関係各課含めて、我が事として取り組んでいただきたく、じっくりとこれから協議をしていただくことを要望しておきます。
 それでは、最後の質問に移らしていただきます。
 次は、和歌山県立医科大学薬学部卒業生の進路についてであります。
 いよいよ来年4月に和歌山県立医科大学薬学部が開校になり、第1期100人を選抜し、入学いたします。薬学部は6年制で、その後5年間入学者を集め、全学生600人で、もちろん卒業すれば薬剤師国家試験受験資格を取ることができます。教育研究体制は4部門18研究室、教員数は60名程度で、学部長には元東京大学薬学部出身の太田茂先生が就任予定で、養成する人材像は、1、高い実践能力を有する薬剤師、2、地域で活躍できる薬剤師、3、国際的に活躍できるファーマシスト・サイエンティスト、これは研究マインドを兼ね備えた薬剤師ということでありますが、しかもこの学部は、近畿圏で国公立としては京都大学と大阪大学にしか薬学部がないものですから、初の公立、県立医科大学薬学部として、和歌山県内だけではなく、全国からかなり優秀な人材が集まるのではないかと期待をしております。
 さて、県立であるだけに、気になるのは卒業生の進路であります。もちろん来年開学でありますから、それから6年後、つまり今から言うと7年後のことを今からどうのこうの言っても始まらないかもしれませんけれども、ちなみにこれはあくまでも参考であります。そのために調べたんですが、国立大学法人和歌山大学の昨年3月の卒業生、そのうち教員や公務員を除いた、つまり民間企業ですが、和歌山県内、県外への就職先を調べたところ、教育、経済、システム工学、観光学部の大学卒と大学院卒は合計693人いたそうなんですが、そのうち県内就職は、民間ですね、88人で12.7%、県外は605人で87.3%と、ほぼ9割の人が県外の企業に就職をしております。もちろん、もともと国立大学でありますから、無理に県内へ残れとは言えませんけれども、薬学部は公立大学法人で県からも運営費交付金が毎年入るだけに、県民の皆さんにおいても卒業生が県内に残って活躍してくれることを大いに望んでいると思います。
 少し、これはジャンルは違うんですが、この和歌山大学を調べたときにいろんな御意見聞いてると、そのときに話題に上ったのが花王です。花王の工場には、前から聞いとったんですが、花王の和歌山工場は研究者も非常に多いということで聞いたものですから調べたところ、これはざっくりとした数字なんですけれども、3000人の従業員のうち約900人が研究職であるということです。それだけに、和医大の薬学部卒業生も、できることなら一人でも多く県内に残ってもらえるよう、そのためには大学と企業の関係が非常に重要になってくると思います。
 そこで、福祉保健部長にお聞きしますが、薬学部の卒業生がどの程度県内に就職する見込みなのか。また、薬学部と企業の連携について、どのように取り組まれようとしているのか、御答弁をよろしくお願いいたします。
〇副議長(森 礼子君) 福祉保健部長。
  〔宮本浩之君、登壇〕
〇福祉保健部長(宮本浩之君) まず、薬学部卒業生の県内就職についてお答えいたします。
 県内進学を望みながらも県外へ進学せざるを得なかった学生に対し、県立医科大学に薬学部を設置することにより、大学進学時における県内進学先の選択肢を増やし、少しでも多くの学生を県内にとどめたいと考えております。
 さらに、卒業生を県内定着につなげるため、薬学部の入学定員100名に15名程度の県内推薦枠を設け、その卒業生に対しては卒業後2年間、県内の病院及び薬局での実地研修を行い、地域医療に貢献する意欲を醸成する、薬学部としては全国で初めての取組も行います。
 加えて、県内への就職を希望する卒業生を支援するため、薬学部にキャリア支援センターを設置し、県内医療機関や製薬、化学企業とのマッチングなどを行うこととしており、こうした取組の推進により、できるだけ多くの卒業生を県内就職につなげていきたいと考えております。
 次に、薬学部と企業との連携についてですが、医科大学では、薬学部の開設と同時に、紀三井寺キャンパスに医薬看共同研究施設を設置し、医学部及び附属病院併設の強みを生かし、がん、精神疾患などの創薬や治療薬の研究、機能性食品の製品開発などを推進することとしており、製薬関連企業をはじめ産業界との連携は必要不可欠であると考えております。
 県といたしましても、薬学部と企業の連携を支援することにより、活力ある地域社会の発展にもつなげていきたいと考えております。
〇副議長(森 礼子君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
〇浦口高典君 どうも部長、ありがとうございました。ぜひ頑張ってください。
 私、今までとちょっと違う視点かと思うんですが、ずっと私、県民、市民という視点からこの和歌山県どうなるかということを考える中で、特に人口問題というのは、私、実は平成15年の初当選のときからずうっと言い続けております。それで各地域の、私自身ももともと紀南の代議士の秘書をやっておりましたんで紀南にも住んでおりましたし、私も一度若い頃、勢いに任せて参議院の選挙も出て県内全域も回った経験もあるだけに、和歌山県に対しては非常に思いが強いもんですから、いろいろその地域、地域をそれなりに見聞きする中で、一つ、なぜ私、この大学と就職ということを言うかというと、例えば、これはちょっと誤解あるかもしれないんですが、御坊市が、先ほどのこの図で見ていただいても分かるように、意外と高齢化率というのはあまり上がってないんですね。紀南のほう、ほとんど高齢化率が非常に高い中で、御坊市が上がってないんです。
 これ、なぜかというと、よく人口ピラミッドで見たら、二十歳前が非常に多いんです。これなぜかというと、いわゆる和工専があるんですね。ところが、二十歳過ぎるとぐっと減ってしまうんですよ、人数が、若い人の。だから、先ほども言いましたように、和歌山市には和歌山大学があるから、その間は、22ぐらいのときまでは和歌山へ結構人がいるんだけども、それ過ぎると、さっきも言ったように、9割ぐらいが外へ出ていってしまうということでありますので、ぜひとも和歌山で、せっかくの県立、公立大学法人ですから、残っていただけるように御努力いただきたいと思います。
 最後でありますけれども、先ほど冒頭申し上げましたとおり、私は、今回の仁坂知事のこの新型コロナウイルスに対する措置の速さというか、非常に立派なもんだと、これは決してお世辞じゃなしに、本当に思っております。
 また、今から9年ほど前にあった台風19号ですか、紀南の大水害のときも、そのときも知事は非常に勇断を持っていろんなことを決断しながら、どんどん、どんどん進めていって、できるだけの最小限で済んだということは、非常に私は評価するし、これは県民の皆さんもよく分かってると思うんです。
 ただ一つ、私、先ほど来、この人口で言ってるように、これ現在から30年前と現在から30年後を見たら、ここにある程度和歌山県の姿って書いてるんですよ、これ、先ほど言いましたようにね。これを危機と言わずして何というかと言うのが私自身の考えなんです。
 先ほどのコロナウイルスとか台風19号の紀南の大水害のときというのは、これはまさに、私は決しておべんちゃらを言うわけじゃないですけど、現在の濱口梧陵と言ってもええぐらい知事はもう勇猛果敢に仕事されたと私は思っておりますし、ただ、この今さっきも言った、虫の目と鳥の目で見たらそれなりによくやってることは分かるんですが、時の目から見ると、今度──今のことじゃないですよ、30年後、和歌山どうなってるかというと、人口は68~69万になる可能性ある、高齢化率は4割超える可能性ある。30年後言いません、もう20年後ぐらいかもしれません。
 それから、今のままでいくと、要介護認定率が日本一高い22.2%、これ実は埼玉県が一番低いんですけど、それと大体7ポイントぐらい違うんですね。7ポイントぐらい違うその高さでもっと高くなると、イメージしただけで分かるじゃないですか。これほどの危機ないですよ。
 和歌山が非常にこれから活力のない、みんな元気ない、もうみんな寄り合って、もたれ合って生きるような地域社会になってしまうと、ますます若い人からとっては魅力ない地域になってしまうんで、ぜひともその辺、鳥の目、虫の目だけではなしに、時の目というのを考えていただいて、30年後の和歌山をぜひ知事に想像していただいて、今後も県政に励んでいただきたいと存じます。
 私のほうからは以上でございます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇副議長(森 礼子君) 以上で、浦口高典君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 22番佐藤武治君。
  〔佐藤武治君、登壇〕(拍手)
〇佐藤武治君 皆さん、こんにちは。本日の最後になりましたけども、もう少しお付き合いをお願いいたしたいと思います。
 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、私の一般質問を始めたいと思います。
 ついこの前、正月が終わったなと思ったばっかりでしたけど、もう既に3月に入っております。昔から言葉遊びとでも言うんでしょうか、そんな時期の慌ただしさを表現した「1月は行く、2月は逃げる、3月は去る」という言葉があります。もともとは「イチゲツイヌル、ニゲツニゲル、サンゲツサル」と言っていたようですけども、いつしか現代風バージョンの「1月は行く、2月は逃げる、3月は去る」が定着したようでございます。
 昨年末から今年の冬は、非常に各地で暖冬傾向にあり、スキー場等では雪がない状態が続き、記録的な暖冬が続く中、営業できないスキー場が多かったと聞きました。中には、2月の19日、過去最も遅いオープンをしたところもあったと聞いていますし、また逆に、既に営業を終えたスキー場もあったようです。
 年明けの2日には、日産自動車の前会長カルロス・ゴーン被告がレバノンに逃亡したニュースがあり、ゴーン前会長は海外渡航を禁じた東京地裁の保釈条件に反して出国。「私はレバノンにいる。不正と政治的な迫害から逃れた」とする声明を公表いたしました。
 しばらくはこの話題で持ち切りでしたけども、新型コロナウイルスに関連した肺炎の患者が国内で初めて確認されたのが1月15日、発表は翌日1月16日だったと思いますけども、その後は毎日のようにテレビ等が取り上げて報道され、政府の対応が後手に回ったのではないかと報道するメディアもあり、混乱が続いておりました。その後、2月の13日に和歌山県内でも感染者が出ましたが、知事を筆頭に関係者の迅速な対応は、県民にとっても安心感を与えたと思っております。テレビなどでも、和歌山県の対応については非常に適正な対応だという報道もあったと記憶するところであります。
 ただ、残念なことに、先月28日に県内在住の男性がお亡くなりになったと聞きました。御冥福をお祈り申し上げますとともに、現在治療されてる方々が一日も早く復帰することをお見舞い申し上げます。
 日本国内、また世界的にも、まだまだ終息する感じはありませんけども、当局におかれましては、引き続き適切な対応をお願いするところであります。
 さて、1月18日から24日にかけて、議長の許可を得まして、新島議員、中西峰雄議員、川畑議員、そして、国際課の職員とともに、インド視察に行ってまいりました。明日の一般質問の中で川畑議員のほうから詳しく報告があると思いますけども、事前の勉強会で知ったことなど、私の所見を少しだけ述べさせていただきたいと、こう思います。
 和歌山県議会としてのインド訪問は初めてであるとのことでありました。ただ、訪問先のマハラシュトラ州と和歌山県においては、相互協力に関する覚書が、2013年10月9日、仁坂知事がインドを訪問し、マハラシュトラ州首相プリスヴィラジ・チャバン氏との間で結ばれており、その後、さらなる関係強化及び広範囲な分野における相互関係の拡大を目的とし、県知事、県代表者が2018年1月30日にムンバイを公式訪問し、マハラシュトラ州首相と会談をし、両者は2013年の覚書締結以後、観光、食品加工分野のほか、多方面で活発な交流を続け、その成果を認識しつつ、両者間のさらなる関係強化を目的として、2018年10月満了する覚書を2023年10月まで5年間更新することに合意をしております。
 2013年の覚書以降、和歌山県とマハラシュトラ州との交流は27回に及び、2014年8月、マハラシュトラ州観光開発公社オーランガバード事務所内に本県職員1名を派遣しております。2015年3月、仁坂知事がムンバイを訪問し、今後の交流についてファドナヴィス州首相、ラオ州知事と会談をしています。また、2016年5月、下副知事が同州を訪問、両県州双方でのファムトリップを実施、2019年12月まで自治体国際化協会補助事業にて同州日本語ガイドが来県、研修を実施するなど、数多くの交流を深めています。
 ムンバイの気候は、典型的な熱帯モンスーン気候で雨季と乾季に分けられ、モンスーン期前の4月、5月、雨季明けの10月、ここが酷暑期で最高気温は38度前後まで上昇し、40度を超える日もしばしばあるとのことでありました。私たちが訪問した1月中旬は最も過ごしやすい時期であり、日本の春か初秋を思わせる季節でありました。
 ムンバイ首都圏の人口は約1840万人で、1平方キロメートル当たり2万人余りの人口密度があり、東京都の人口密度とほぼ同じということで、人の多さにも驚きましたが、目につくのは若い方が非常に多いという印象でありました。
 初日の19日、ムンバイ国際空港に到着後、現地職員の大西さんと合流してバスでの移動となりましたが、まず驚いたのが、交通事情とまちじゅうにごみがあふれているその光景でありました。特にプラスチックごみは、人口急増や経済成長に伴い深刻な問題になっています。
 二輪車、車が多いのは分かるんですが、一瞬でも車間距離を空けると、その僅かな隙に入り込んで、割り込んできます。横断歩道もあまり見ることがなく、走っている車の前を普通に横断してくるわけです。インドでは当たり前だということでありますけども、事故にならないのが不思議なくらいで、日本では考えられない光景でありました。バスを利用する人も多いそうでありましたけども、見た目にも、このバスでよう動くなという古い車両であり、乗降するドアは常に開いたままで走っており、満員のときなどはバスから落ちている客もいて死亡することもあると聞き、びっくりいたしました。
 極めつきが50ccと思われる単車に2人乗り、3人乗りは当たり前で、50ccを超える単車には4人乗り、5人乗りのそういう光景を目にしました。車を購入する一歩手前の家庭によくある光景であるらしく、確かによく見ると、一番小さな子供が前に、父親が運転、その後ろにまた子供、そして最後に母親が乗っており、そういう光景が多かったです。もちろん違反でありますけども、取締りはほとんどしないと聞きました。
 2日目以降は、ムンバイ日本国総領事の原田総領事との意見交換会、ジェトロ(日本貿易振興機構)の所長、職員との意見交換、マハラシュトラ州の観光大臣との面談では、今後和歌山県との交流を望んでいるとのことでありました。
 最終日には、日本語学校、プネー市役所、サイバーセキュリティーのIT企業を訪ねました。日本語学校では、1年生から3年生までの3学級の授業を、短い時間ではありましたけれども、見学をさせていただきました。私は、その授業内容のレベルの高さに感心したものであります。
 初めての海外旅行で少しハードな面もありましたけれども、百聞は一見にしかずで、現地に行かないと分からないことばかりであり、視察の重要性を感じたところであります。
 少し前置きが長くなりましたけども、通告の1番目の空き家問題について質問いたします。
 空き家問題は、私が町議時代の2014年に大きく新聞報道をされました。そのときの総務省が発表した資料では、昭和63年、西暦でいうと1988年当時で約400万戸だった全国の空き家数は、25年後の2013年には約820万戸──マンション等の共同住宅の一部も含んでおりますけども、そしてまた5年前の前回調査から63万戸、数字でいうと8.3%が増加し、総住宅数に占める割合は、空き家率ですけども、過去最高の13.5%になり、実に7~8軒に1軒まで増えている実態が明らかになりました。
 空き家の内訳はというと、賃貸用の住宅429万戸、別荘、売却用の住宅などもありますけども、世帯が長期不在の住宅、いわゆる長期に住んでない住宅、放置された住宅でありますけども、これが約318万戸。放置されることで管理が行き届かなくなり、トラブルを引き起こすなど問題となるケースが多くなっているのが現状であります。
 空き家は、高齢化や人口減少に伴って右肩上がりで増えており、歯止めがかからない状況であります。治安や防災面からは社会問題化されています。
 当時和歌山県は、別荘等を除く空き家率の高い上位10県の7番目と記載されていたと思います。直近では、昨年総務省が発表した2018年10月時点の住宅・土地統計調査によると、国内の住宅総数に占める空き家の割合は過去最高の13.6%で、地方を中心に増え、戸数も約848万戸になり、政府も中古住宅の活用や老朽化した空き家の撤去を促す政策を相次いで導入していますけども、空き家の増加に追いついていないのが現状であります。
 そもそも、なぜ空き家が増えたのかということに関しては、地域により発生の差はあると思われますけども、特に言われているのが、第二次世界大戦後の住宅政策の影響が大きいと指摘をされております。敗戦後の日本は、市街地が焼け野原になった上、外地からの復員者も増えて住宅が圧倒的に不足をしておりました。政府は、住宅建設を行うため、曖昧な線引きのまま農地も宅地に転用して、無秩序に市街地を広げていきました。高度成長期に入り、建設ラッシュが起き、政府は持家制度を奨励し、住宅公庫の低融資、減税の仕組みもつくりました。
 量の確保が最優先で、質の良い建材を用いて手入れをしながら長く使うという戦前の概念は後回しにされてきました。地価は右肩上がりに上昇して、早期に住宅を取得することが有利とされたようですが、バブルが崩壊して、不動産価格は必ず値上がりするという土地神話が崩れても、一貫して住宅建設の後押しを続けてきました。この結果が、空き家の増加につながってきたと言われています。
 当時、野村証券の試算によると、全国地域の平均で、2040年には約36から40%が空き家になるということでありました。実に3軒に1軒であります。当時の地方紙に、和歌山県全体で約8万6000戸もの空き家があると報じられていましたが、直近の調査で、空き家率が最も高い都道府県は21.3%の山梨県、次いで和歌山県が20.3%で2番目となっております。県下の調査対象となった市町の中でも紀南地方は高い傾向にあり、私が住んでいる串本町も空き家が目立つようになったと感じているところであります。南海トラフ等の大地震が起きると倒壊のおそれがあり、避難路を塞ぐということになり、救出活動にも大きな支障が生じると思われます。
 そこで、本県において増え続ける空き家は大きな課題であると考えますけども、空き家問題に対する県の認識とこれまでの取組をお聞かせください。
 また、空き家を所有している人にとっては、対策をしようと思っても課題が複雑で、どこに相談したらいいか分からなかったり、空き家を所有していても課題を認識できていないなど、所有者に対するアドバイスや啓発の取組も重要であると認識をしております。
 和歌山県空家等対策推進協議会を設立し、その取組の一つとして空き家なんでも相談会を県内各地で開催していると思います。この相談会の効果についても、併せて県土整備部長にお伺いをいたします。
〇副議長(森 礼子君) ただいまの佐藤武治君の質問に対する答弁を求めます。
 県土整備部長髙松 諭君。
  〔髙松 諭君、登壇〕
〇県土整備部長(髙松 諭君) 空き家問題に対する認識や相談会の効果などについて御質問をいただきました。
 適切に管理されていない空き家というのは、防災や衛生、あるいは景観上、地域住民の生活環境に大きな影響を及ぼしますとともに、土地の流動化を図り、地域の活性化を進める上でも大きな阻害要因となり得ますことから、空き家対策は喫緊の課題であると認識してございます。
 このため、和歌山県におきましては、平成24年に国に先駆けて建築物等の外観の維持保全及び景観支障状態の制限に関する条例を施行し、空き家対策に取り組んでまいりました。
 その後、国におきまして、平成27年に空家等対策の推進に関する特別措置法、いわゆる空き家法でございますけれども、この法律が施行されました。この空き家法では、空き家対策の主体は市町村とされておりますが、県も一体となりまして各種取組を進める必要があると考え、県、市町村、学識経験者等で組織いたします和歌山県空家等対策推進協議会を設立し、空き家の状態に応じた対策を総合的に推進してきているところでございます。
 議員御質問の空き家なんでも相談会につきましては、所有者等からの除却、利活用、適正管理など、多様な相談に対して具体的な助言が行えるよう、和歌山県空家等対策推進協議会と専門家団体との間で協定を締結し、空き家問題の解決に向け、これまで県内各地で延べ63回開催してまいりました。
 相談のありました約270件の中には、専門家に相談されましたことをきっかけに、空き家の流通や除却が図られますなど、空き家の状態に応じた対策が講じられたケースがありまして、一定の効果が出てきているのではないかと、このように考えております。
〇副議長(森 礼子君) 佐藤武治君。
  〔佐藤武治君、登壇〕
〇佐藤武治君 答弁ありがとうございました。
 県のほうも空き家対策は喫緊の課題と認識されているとのことであります。主体は、あくまでも市町村であると思いますけども、連携しながら対策を講じておられ、協議会では63回もの相談会、その成果も上がっているということでございますので、引き続きその対応をお願いするところであります。
 続きまして、県下の市町村の取組状況についてお伺いをいたします。
 県内では、一昨年の台風で住宅被害が多発し、空き家でも屋根などの飛散により近隣住民への被害が多数発生したり、危険性が高まってもなかなか対応されないなどの課題がありました。今後発生が懸念されている南海トラフ地震等の大規模災害時には、耐震性のない古い空き家や、適切に管理をされていない空き家が被害を拡大させるのではないかと危惧しているところです。
 空き家が増えた中でも、誰も管理しない空き家の代表的なものとして考えられるのが、一つは、実家を相続したが、高齢のため体力的に管理ができない、遠方に住んでおり頻繁に帰れなくて管理ができない、あるいは、相続関係でもめており、誰が実家を相続するかが決まっていない──こうなりますと所有者を特定することが困難になるわけですけども──また、建物の利用予定がないが、壊すと固定資産税が上がるのでそのままにしている、親の実家を壊す、また売却は感情的にも抵抗がある等が理由と言われてるようであります。
 空き家法では、市町村が空き家の所有者等への適切な管理を促すため、情報提供や助言に努めることとされておりますが、現在の市町村の取組状況はいかがでしょうか。
 また、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態や、衛生上有害となるおそれのある状態などの空き家について、市町村が特定空家等と判断することができるとされていますが、中でも特に厄介なのは所有者不明のものであって、こういったものは老朽化が進み、地域住民にとっては大きな懸念となっています。
 所有者が不明の特定空家等は、最終的には市町村が略式代執行を行わざるを得ないことも出てくると思いますが、費用の回収について、所有者が分かっていればもちろん所有者への請求もできますけれども、所有者不明の場合には、費用を回収する見込みがあれば財産管理制度などの活用が考えられるところです。一方、費用が回収されない場合は、市町村にとっては非常に負担の大きいことだと思われます。
 県下の市町村による所有者等への情報提供や助言の実施状況、また、特定空家等に対する助言、指導等の実施状況、略式代執行の実施状況並びに市町村の費用負担はどうなっているのでしょうか。県土整備部長にお伺いをいたします。
〇副議長(森 礼子君) 県土整備部長。
  〔髙松 諭君、登壇〕
〇県土整備部長(髙松 諭君) 市町村の助言等の状況、あるいは略式代執行の状況等についてお尋ねをいただきました。
 和歌山県空家等対策推進協議会におきましては、これまで市町村が空き家の所有者等に対して助言、指導等を実施する際の特定空家等の判断基準の策定や、所有者不明等の場合の略式代執行、加えて、財産管理制度の手続に関するマニュアル等を作成してきたところでございます。
 県内の市町村では、これらを活用等いたしまして、所有者等に対し、空き家等の適正管理について既に約2500件の助言等を行っており、うち約1000件の空き家については除却や修繕を行うなどの成果が生まれてきております。
 また、特定空家等に対しましては、約100件の助言、指導を実施しておりまして、略式代執行もこれまでに4件実施されております。
 この費用につきましては、この4件のうち3件は国費を活用することで市町村の負担は軽減されており、また、残りの1件につきましては、財産管理制度の活用を含め、現在検討中であるというふうに伺っております。
〇副議長(森 礼子君) 佐藤武治君。
  〔佐藤武治君、登壇〕
〇佐藤武治君 答弁ありがとうございました。
 いろいろと努力をされていって、その中で4件の略式代執行等も実施されておりますし、また、国庫補助金事業も活用できるとのことでありますので、今後も増える可能性があると思われる危険空き家等については、市町村が早急に対応できるように、引き続き県の協力を求めておきます。
 それでは、次でありますけども、県、市町村、関係団体が一体となって空き家対策に取り組んでいることは理解をしました。ほかにも県内では、観光地では廃墟のような大規模な空き家が和歌山県の魅力を損なわせていると感じているところであります。市町村が主体的に所有者等に働きかけをすることも重要ではありますけども、こういったものについては、県も市町村と協力し対策を進めていくことが、県全体の魅力向上のために必要ではないかと思います。
 この点について、県の取組と今後の空き家対策の方針について、県土整備部長にお伺いをいたします。
〇副議長(森 礼子君) 県土整備部長。
  〔髙松 諭君、登壇〕
〇県土整備部長(髙松 諭君) 大規模な空き家に対する県の取組、それから、今後の空き家対策の方針についての御質問でございました。
 県におきましては、地域の活性化を図るため、今年度から幹線道路沿道等で、放置されると周辺に悪影響を及ぼすおそれのある廃ドライブインや廃旅館などの未利用建築物を除却し、その跡地を10年以上地域振興等に活用するなど一定の条件を満たす場合に、市町村負担の一部を補助する制度を開始し、市町村に対し当該制度の活用も含め、空き家対策の促進を働きかけてきたところでございます。
 そうしましたところ、当該補助制度を活用するものではございませんけれども、廃ドライブインを改修し、地域活性化施設として再生する計画がなされるなど、制度の趣旨に沿った成果が現れてきているところでございます。
 今後の空き家対策についてでございますが、まずは新たな取組といたしまして、空き家なんでも相談会を休日に開催する、あるいは市町村役場等でも開催するなど、専門家団体をはじめとする関係の皆様にも協力いただいて、相談体制のさらなる充実を図ってまいりたいと考えております。
 さらに、県といたしましては、引き続き、市町村や関係団体の皆様と連携しながら、先ほど述べました未利用建築物の除却とその跡地の高度な利用を促進してまいります。また、あわせまして、空き家対策につきましても、インスペクションの普及啓発等により中古住宅の流通を促進するとともに、空き家が適正に管理や修繕されるよう所有者等に啓発を行い、それでも管理が不十分な空き家については除却を進めるといった、空き家の状態に応じた対策を総合的に推進してまいりたいと、このように考えております。
〇副議長(森 礼子君) 佐藤武治君。
  〔佐藤武治君、登壇〕
〇佐藤武治君 ありがとうございます。
 いろいろと策を取っていただいてるそうで、廃ドライブイン等については、本当に見た目にもあまりいい印象ではございません。一定の条件を満たしますと費用の一部も補助するということでありますので、市町村にもっと働きかけをしていただきまして、その解消に努めていただきたいと、こう思います。
 続いて、空き家バンクについてお伺いをいたします。
 空き家を活用する方法として、県外からの移住者の住居としての活用も有効ではないかと考えております。
 県や市町村が移住推進に積極的に取り組んでいることは、私も以前から承知をしております。地域の担い手となり得る移住者を確保するための住まいとしての空き家の活用は、アパート等の賃貸物件が少ない地域でこそ積極的に推進していかなければならないのではないでしょうか。
 空き家所有者からは私も様々な意見を伺っており、家財道具が残っている、また、盆や正月には帰ってくる、知らない人に貸すのは非常に不安だと、こういう理由で貸すことができないという意見がありますが、行政が主体的に取り組むことで所有者の理解を得られること、これはそういうふうに思っております。
 このために、和歌山県が市町村と連携して空き家バンクを開設、運営していることは効果的であると、こう考えております。
 そこで、わかやま空き家バンク、この取組状況について、企画部長にお伺いをいたします。
〇副議長(森 礼子君) 企画部長田嶋久嗣君。
  〔田嶋久嗣君、登壇〕
〇企画部長(田嶋久嗣君) 議員御指摘のとおり、特に過疎地域等への移住を推進する上で、空き家の活用は有効であると考えています。
 そこで、県では、県外からの移住希望者に住まいの情報を提供するわかやま空き家バンクのホームページを平成27年8月に開設し、行政が空き家の所有者と移住希望者との間に立ち、両者の心理的な不安の払拭に努めてきたところです。
 また、過疎地域等の空き家を貸す上で課題となっている家財道具を撤去する費用や空き家を改修する費用の支援に取り組み、移住者の快適な住まいづくりをサポートしているところです。
 その結果、空き家バンクの登録数は、令和2年1月末までに477件となり、うち153件について契約が成立しています。
 さらに、令和2年度新政策において、過疎地域等の市町村が移住者向けの住まいとして空き家を事前に改修する場合にも、新たに支援を行うこととしております。
 今後も、市町村と連携して空き家所有者に対し、制度内容の丁寧な説明を行い、空き家の活用を促進することにより、さらなる移住者の獲得を図ってまいります。
〇副議長(森 礼子君) 佐藤武治君。
  〔佐藤武治君、登壇〕
〇佐藤武治君 ありがとうございます。
 私も、空き家の所有者に「家は住んでこそ長もちすることになるので、希望する方があれば、家賃収入も入るし、貸してあげるのがいいのではないか」と話したことがあります。ただ、やはり本人は、素性が分からない方に貸すことに少し抵抗もあったようでございます。行政が間に入ることで、今答弁があったように不安の払拭にもなります。また、家財道具を撤去する費用や空き家を改修する費用の支援などに取り組んできた結果、4年余りで153件の成立があったとのことでありますので、着実に成果も出てきているようであります。
 さらに、令和2年度新政策においても取り組んでいただけるという答弁がありましたので、今後とも市町村と連携して空き家の活用を推進していただきたいと、こう思います。
 それでは、次の質問に移りたいと思います。
 昨年の6月議会で一般質問をさせていただきましたジオパーク関連について質問をいたします。
 南紀熊野ジオパークセンターは、昨年の7月27日に南紀熊野ジオパーク内、上富田町、白浜町、すさみ町、串本町、古座川町、太地町、那智勝浦町、新宮市、それから北山村、そして、瀞八丁のある奈良県の十津川村を入れる10市町村にまたがる各ジオサイトの紹介や、展示、学習、また情報発信や調査研究の拠点となる施設としてオープンをいたしました。
 南紀熊野ジオパーク、これはプレートの沈み込みに伴って生み出された3種類の大地と、その大地に育まれた自然や文化を楽しむ場として、平成26年には日本ジオパークにも認定、平成30年には再認定をされており、オープン当初から、私自身はもちろんでありますけども、地元の人たちや地元関係者も、このセンターには大きな期待をしていましたし、今後の紀南地域の活性化にどう生かしていくか、オープン後の活動にも注視をしてまいりました。
 オープン以来、私も講演会などの機会があるたびに時間があれば参加をし、知らないことが多かったジオについても興味が出てまいりました。また、私の予想以上に大勢の方の参加がありました。子供から高齢者まで幅広い方の参加も多く、その関心の高さにも少し、自身驚いたところであります。
 直近のイベントでは、先月の15日に串本町文化センターと隣の町立体育館で開催されました第7回南紀熊野ジオパークフェスタ、これがありました。シンポジウムやブースの出展等を通して地域の魅力を再発見する機会を提供してくれておりました。体育館のブースには、同ジオパーク内の自治体や各種団体、関係事業者による物品販売や活動PR、近隣のジオパークのPRなど、58のブースが並び、来場者はブース巡り、また、関係者は熱心に紹介などをしておりました。残念ながら私は時間の都合で午後の基調講演は聴けなかったのですが、大勢の方が参加をされたと聞いております。
 昨年6月の質問に、仁坂知事から「香港のジオパークを視察し、感銘を受けて、南紀熊野ジオパークセンターを地域活性化に活用できるセンターにすべきだという思いに至りました」と、こういう答弁をいただいております。
 そこで、ジオパーク活動の推進に係るこれまでの活動等について、環境生活部長にお伺いをいたします。
〇副議長(森 礼子君) 環境生活部長田中一寿君。
  〔田中一寿君、登壇〕
〇環境生活部長(田中一寿君) 昨年7月にオープンした南紀熊野ジオパークセンターの来館者数は、2月末現在で4万人を超えており、国内外からの観光客をはじめ小中学校の児童生徒など、幅広い方に利用されています。
 特に常駐のジオパークガイドがあれこれとやり取りをしながら行う河川実験装置の実演は、訪れた方々から「とても分かりやすい」と好評をいただいております。
 このジオパークセンターをうまく活用しながら、次の四つの視点を軸にジオパーク活動を進めてまいります。
 まず、教育普及面では、活動を担っていく若年層を育成するため、センターの研究員やジオパークガイドが出前授業を行っており、地元の串本古座高校ではグローカルコースのカリキュラムとしてジオパークが取り上げられています。また、県内全ての中学1年生に、授業や課外活動で活用できる学習用ハンドブックを配布するなど、教育機関との連携を図っています。
 次に、調査研究として、当ジオパークの地質的価値を科学的に証明し、国際的評価を高めるため、学術研究に対し助成を行っており、今年度新たに、紀伊半島沖の海底でつくられた地層がどのようにして陸地になっていったかを解明する研究など、2件を採択しました。
 3点目は、観光資源としての活用で、テレビ、雑誌、SNSなどの各種メディアを活用し、広くPRを行うとともに、スキルアップ講座などによりジオパークガイドの技術の向上を図っています。
 4点目は、地域活性化のための活動として、地域の方々がジオパークを活用し、自らの手で魅力を発信している活動、例えば観光スポットにジオパークの紹介コーナーを設けたり、ジオサイトマップを作成するなどの活動に対して支援を行っています。こうした活動を発表する場として、先月、第7回南紀熊野ジオパークフェスタを開催したところです。
 このように、南紀熊野ジオパークセンターを中心に幅広い分野にわたる活動を、ジオパークガイドや地元の方々と一緒になって取り組んでいるところです。
〇副議長(森 礼子君) 佐藤武治君。
  〔佐藤武治君、登壇〕
〇佐藤武治君 どうも答弁ありがとうございました。
 続いて、世界ジオパーク認定に向けた取組についてお尋ねをするところです。
 今、答弁ありましたけども、約7か月間で4万人以上の方が来館しているとのことであります。特に小中学生が非常に施設見学に来ている。これは私も行くたびによく見かけた光景でありました。特に、言われました河川の実験装置、この実演が来館者から非常に喜ばれてるということでありますけども、私も当然見学をさせていただいてるところですけども、私のような素人にも非常に分かりやすくて、いいなというふうな感じを受けたところであります。また、テレビ、雑誌、SNSなど、各種メディアを活用してのPRをしていただいてるということであります。本当により多くの方の誘致に向けた取組を今後も考えていただきたいと、このように思います。
 昨年6月、知事の答弁にもありましたように、関係者が期待する世界ジオパーク認定に向けた取組を期待しているところであります。今後の取組について、環境生活部長にお伺いをいたします。よろしくお願いします。
〇副議長(森 礼子君) 環境生活部長。
  〔田中一寿君、登壇〕
〇環境生活部長(田中一寿君) 世界ジオパークの認定に向けては、学術面の強化と地域が一体となったジオパーク活動の一層の盛り上げが必要と考えています。
 そのため、学術面では、最新の知見に基づく研究と専門的職員による研究の2点を強化します。
 最新の知見に基づく研究については、先ほどお答えしました研究助成での成果が国際的に高い評価を得られるよう、国内外における論文や学会での発表を支援してまいります。
 また、専門的職員による研究については、センターに配置している研究員が、長期的な視点に立った研究を進めてまいります。具体的には、世界最北限にある串本の大規模サンゴ群集が防災とどのように関わっているかなどについて、他の学術研究機関の協力を得ながら調査研究を行ってまいります。
 次に、ジオパーク活動を一層盛り上げるための取組としては、民間事業者によるジオパークを活用した商品開発などを促進するため、優れた取組を行った事業者を表彰、PRするジオパークビジネス支援事業を進めてまいります。
 また、ジオパークガイドと連携して、ジオサイトの監視と保全を行う仕組みづくりや、ガイドならではの写真やコメントを観光情報サイトを通じて発信する取組、こういったものなども行ってまいります。
 引き続き、世界ジオパーク認定に向けて、地域とともに取り組んでまいります。
〇副議長(森 礼子君) 佐藤武治君。
  〔佐藤武治君、登壇〕
〇佐藤武治君 どうも答弁ありがとうございました。
 いろいろと多くの取組とか御支援とか研究、いろいろと強化する部分があって、世界ジオパークに向けてということであります。
 実は昨年の11月に、半島振興・地方創生対策特別委員会、この県内調査でも、宇治田委員長をはじめ委員の方々で南紀熊野ジオパークセンターを調査してまいりました。初めての委員も多かったようでありますけども、皆さんそれなりに興味を持っておられたと、こういうふうに思いました。
 それとまた、福祉環境委員会の方々も県内調査で南紀熊野ジオパークセンターを訪れております。今後、まだ訪れていない議員の方や職員の方々にも、ぜひ機会を見つけて訪れていただければと、こう思っております。
 ぜひ、世界ジオパーク認定に向けた取組を一層強化して認定をされますよう、そしてまた、知事の答弁ばかり出して恐縮ではありますけども、南紀熊野ジオパークセンターを名実ともに紀南地域活性化のシンボルに、こうしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 最後、通告にはなかったんですが、せっかくです。最後に答弁いただいた環境生活部長にお願いがあります。
 本日、私が着用しているこのネクタイは、昨年当選した暁にお祝いで頂いたネクタイでありますけども、今日は思い切って色がかぶっております。次回、部長が私に答弁するときは、ぜひ事前に通告をいただきたいと思います。
 これで、私の一般質問を終わります。最後まで御清聴いただきありがとうございました。(拍手)
〇副議長(森 礼子君) 以上で、佐藤武治君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時36分散会

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