令和元年12月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)


◆ 汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているものもあるため、人名等、会議録正本とは一部表記の異なることがあります。人名等の正しい表記については「人名等の正しい表記」をご覧ください。

令和元年12月 和歌山県議会定例会会議録 第5号

議事日程 第5号

 令和元年12月13日(金曜日)

 午前10時開議

 第1 議案第202号から議案第204号まで(当局説明)

 第2 議案第174号から議案第204号まで(質疑)

 第3 一般質問

 第4 議案の付託

 

会議に付した事件

 第1 議案第202号から議案第204号まで(当局説明)

 第2 議案第174号から議案第204号まで(質疑)

 第3 一般質問

 第4 議案の付託

 第5 休会決定の件

 

出席議員(42人)

 1番 鈴木德久

 2番 山家敏宏

 3番 中本浩精

 4番 堀 龍雄

 5番 藤山将材

 6番 岸本 健

 7番 井出益弘

 8番 宇治田栄蔵

 9番 北山慎一

 10番 中西峰雄

 11番 秋月史成

 12番 森 礼子

 13番 濱口太史

 14番 尾崎要二

 15番 冨安民浩

 16番 川畑哲哉

 17番 玉木久登

 18番 鈴木太雄

 19番 岩田弘彦

 20番 吉井和視

 21番 谷 洋一

 22番 佐藤武治

 23番 岩井弘次

 24番 中 拓哉

 25番 多田純一

 26番 新島 雄

 27番 山下直也

 28番 中西 徹

 29番 玄素彰人

 30番 谷口和樹

 31番 藤本眞利子

 32番 浦口高典

 33番 山田正彦

 34番 坂本 登

 35番 林 隆一

 36番 楠本文郎

 37番 高田由一

 38番 杉山俊雄

 39番 片桐章浩

 40番 奥村規子

 41番 尾﨑太郎

 42番 長坂隆司

欠席議員(なし)

 

説明のため出席した者

 知事         仁坂吉伸

 副知事        下 宏

 知事室長       細川一也

 危機管理監      森田康友

 総務部長       田村一郎

 企画部長       田嶋久嗣

 環境生活部長     田中一寿

 福祉保健部長     宮本浩之

 商工観光労働部長   稲本英介

 農林水産部長     角谷博史

 県土整備部長     髙松 諭

 会計管理者      飯島孝志

 教育長        宮﨑 泉

 公安委員会委員長   中野幸生

 警察本部長      檜垣重臣

 人事委員会委員長   平田健正

 代表監査委員     保田栄一

 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫

 

職務のため出席した事務局職員

 事務局長       中川敦之

 次長         中谷政紀

 議事課長       松山 博

 議事課副課長     山田修平

 議事課議事班長    岸裏真延

 議事課主任      保田良春

 議事課主査      伊賀顕正

 議事課主事      大森圭悟

 総務課長       井邊正人

 政策調査課長     中平 博

 

  午前10時0分開議

○議長(岸本 健君) これより本日の会議を開きます。

 この際、報告いたします。

 議案の追加提出がありました。

 日程第1、議案第202号から議案第204号までを一括して議題といたします。

 議案は、お手元に配付しております。

 まず、当局の説明を求めます。

 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) ただいま上程されました議案について御説明申し上げます。

 議案第202号から議案第204号は、さきに本定例会に上程しております議案第182号、議案第184号及び議案第190号の施行期日を改めるものでございます。

 これらの議案の施行期日については、情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るための行政手続等における情報通信技術の利用に関する法律等の一部を改正する法律の施行の日としておりましたが、当該法律の施行期日を定める政令が本日公布され、法律の施行の日が議会の会期中となることから、施行期日について規定の整備を行う必要があるため、追加で提案さしていただくものでございます。

 何とぞ、御審議の上、御賛同賜りますようお願い申し上げます。

○議長(岸本 健君) 以上で、当局の説明が終わりました。

 次に日程第2、議案第174号から議案第204号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第3、一般質問を行います。

 5番藤山将材君。

  〔藤山将材君、登壇〕(拍手)

○藤山将材君 おはようございます。

 12月定例会一般質問最終日、久しぶりに登壇をさせていただく機会をいただきました。議員諸兄並びに答弁をいただく当局の皆さんには、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 議長が許してくれましたが、質問に入ります前に、過日開催されました和歌山県人会世界大会について触れておきたいと思います。

 11月24日から27日にかけて、和歌山県人会世界大会が開催されました。これは、鶴保庸介参議院議員が沖縄特命担当大臣だったころ、沖縄の世界のウチナーンチュ大会を見て、非常にいい取り組みであるので和歌山でもぜひ開催してはとの提案に仁坂知事が賛同し、県として初めて取り組むことになったものです。私も含め数多くの県議会議員が、24日の式典を初め、開催期間中、各地で行われた海外県人会の方々との交流会に参加をさせていただきました。

 まず、11月24日に和歌山県民文化会館大ホールで行われた記念式典には、海外から280名、県外から168名の県人会員等を初め、来賓、一般参加者を合わせ約2000名の皆さんが参加をし、県人会の皆さんをお出迎えいたしました。議会からは35名の議員がこの記念式典に参加したほか、その夜、行われたレセプションで、海外、国内の県人会の皆様と交流を深めました。

 また、翌日の25日から27日の3日間は、海外県人会の皆さんのふるさとめぐりツアーが実施され、紀北、紀中、紀南の3コースに分かれて、ゆかりの地を訪れて、地域の方々との交流が行われました。

 議会としては、これまで北米、中南米で行われてきた各県人会の記念式典などへの参加を通して各県人会の皆様方との交流を深めてきたところでありますが、今回の世界大会では、ここ、ふるさと和歌山で皆さんとお会いすることにより、今まで以上に皆さんとの距離が近づき、友好の輪が広がったと実感しているところであります。

 また、式典で、会ったこともなかった親戚が自分を探しに席まで来てくれたとか、ふるさとめぐりツアーで偶然、海外移住していたいとこに出会えたなど、全く予想もしなかった親類とのうれしい出会いのドラマなどもあったと聞いております。さらには、今回、親戚とは残念ながら会えなかったけれども、親戚以上の最高の友人がふるさと和歌山にできたとおっしゃる声もありました。

 私は、せいぜい浴衣姿で臨んだ懇親会で桂文福さんに間違われた程度で、何のおもてなしもできませんでしたが、そういったいただいた声の中には、和歌山県議会南北アメリカ諸国友好議員連盟の谷会長の御尽力、御差配、そして3日間のツアーの中で献身的に添乗員を買って出てくれた濱口議員、そして「アモーレ和歌山、ビバ和歌山」と会場を所狭しと圧巻のパフォーマンスを繰り広げられた玉木議員の御活躍が大きく寄与していたというふうに、議連の幹事長として申し添えておきたいと思います。

 今回初開催のこの県人会世界大会は、我々県民にとっても、先達の歴史を知り、将来への希望を得るような、かけがえのない機会となったと思います。大会は、定期的に開催されるよう検討されていると聞いています。今後、幾代にもわたり和歌山県と県人会のつながりを深めていくよう、我々も引き続き応援していきたいと思います。

 それでは、順次質問に入らせていただきます。

 まず1点目、キャッシュレス決済について。まず、JPQRの普及状況とキャッシュレス日本一に向けた今後の取り組みについて伺います。

 このキャッシュレス決済については、平成24年12月定例会で初めて取り上げました。直近では、平成30年2月定例会における一般質問で、外国人観光客の利便性向上に資するQRコードを活用したキャッシュレス決済の普及促進について質問を行い、海外と比較してキャッシュレスによる決済比率が低くとどまる日本において、外国人観光客の利便性向上を図る上で、QRコードを用いた決済方法が不可欠であることを提案いたしました。

 そのような中、キャッシュレス比率の向上を掲げる政府の方針のもと、総務省がJPQR普及事業という実証事業を実施し、その実証県の一つが和歌山県となりました。これは、いわゆるQRコード決済のサービスを広く地域の事業者に導入する実証事業であり、事業者にとっては、複数の決済事業者のサービスを低負担で導入することができる機会となるものであります。

 6月に白浜町で開催されたJPQR普及事業のキックオフイベントには、当時の石田総務大臣も出席され、その場において、仁坂知事が「和歌山県がキャッシュレスの日本一を目指す」という宣言を行ったという報道を拝見し、県のキャッシュレス推進に対する決意を改めて感じたところであります。

 10月の消費税率引き上げのタイミングにおいては、新たに経済産業省によるポイント還元事業がスタートし、キャッシュレス決済という言葉をあちらこちらでよく聞くようになりました。

 そこで、現在取り組んでいるJPQRの普及状況はどのようになっているか。また、日本一を目指して取り組むキャッシュレス化の今後の取り組みについて、商工観光労働部長にお尋ねをいたします。

○議長(岸本 健君) ただいまの藤山将材君の質問に対する答弁を求めます。

 商工観光労働部長稲本英介君。

  〔稲本英介君、登壇〕

○商工観光労働部長(稲本英介君) 本年6月より募集を開始したJPQR普及事業につきましては、商工会、商工会議所等の協力のもと、県内で約1700の店舗に参加いただいております。これまで導入費用や決済手数料の負担などが原因でキャッシュレス決済を導入できていなかった中小の店舗等に、幅広く導入いただくきっかけを提供することができたと考えております。

 また、国によるポイント還元事業の実施により、各店舗におけるキャッシュレス決済導入への関心が大きく高まったことから、QRコード決済や多種類の決済サービスがまとめて導入できるマルチ決済端末の導入など、県内事業者のキャッシュレス化は大きく進んだと考えているところです。

 県としては、今後とも、全国展開されるJPQRを含むキャッシュレス業界の最新動向を常に把握することにより、県内事業者のニーズに応じたキャッシュレス決済導入を支援してまいります。

○議長(岸本 健君) 藤山将材君。

  〔藤山将材君、登壇〕

○藤山将材君 今の答弁にありましたように、目に見えてキャッシュレス決済のそういう普及が広がっているなというのは、もう肌に感じて思っております。

 特に、大手だけでなくて、小売、本当に小さいお店でもキャッシュレス、オーケーだというような表記がレジに立ってるのをよく目にいたします。中でも、PayPayを導入されているお店が非常にふえてきてるというふうに思うんですけども、このPayPayは中国のアリババ、Alipayと共通に、互換性というんですかね、そういうのがあるということで、インバウンドの面から見ても、中国からのそういう観光客の方の利便性に大変資するもんだというふうに思っております。

 また、引き続き県内事業者への普及促進に取り組んでいただきたいというふうに思います。

 次に行きます。

 次に、県立博物館施設におけるキャッシュレス決済の導入について伺います。

 昨日、同僚議員から指定管理施設のキャッシュレス化についての質問があったところでございますが、それでは、県が直接管理する自然博物館を初め、紀伊風土記の丘、近代美術館、博物館といった施設におけるキャッシュレス決済の導入について、県の考えを伺います。

○議長(岸本 健君) 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 県立博物館施設4館の入館料等につきましては、現在、現金で徴収しているところですが、入館者の利便性向上に資するため、キャッシュレス決済を導入してまいりたいと考えております。

 つきましては、その運用方法を関係部局と協議してまいります。

○議長(岸本 健君) 藤山将材君。

  〔藤山将材君、登壇〕

○藤山将材君 ぜひよろしくお願いします。

 それでは、大項目の2番目で、ながら運転と歩きスマホについて伺ってまいります。

 まず初めに、ながら運転の罰則強化に伴う対応について伺います。

 メールなどの確認に気をとられて横断中の歩行者に衝突したり、携帯電話の操作に気をとられて路肩を走行していた自転車に気づかずに追突したり、痛ましい事故のニュースや記事をよく目にいたします。

 警察庁によりますと、平成30年度中には、携帯電話使用等に起因する交通事故の件数は2790件発生し、平成25年の2038件と比べて約1.4倍に増加をしており、携帯電話使用等に起因する交通死亡事故も毎年発生をしており、平成30年は42件発生しているとのことであります。

 実際にはもっと多いというふうに推察しておりますけども、こうした中で、今月1日から、スマートフォンや携帯電話を操作しながら運転する、いわゆるながらスマホ、ながら運転が厳罰化され、違反点数が3倍、反則金も高額になりました。携帯電話の使用により事故を起こすなど、交通の危険を生じさせた場合には、一発免停にもなるとのことであります。

 先日、新聞報道でも県下一斉取り締まりの記事が掲載されていましたが、痛ましい交通事故につながる、このながらスマホを防止するため、今後どのような取り組みをしていくのか、警察本部長にお伺いをいたします。

○議長(岸本 健君) 警察本部長檜垣重臣君。

  〔檜垣重臣君、登壇〕

○警察本部長(檜垣重臣君) 県警察では、これまでも、自動車等の運転中に携帯電話等を通話のために使用したり、携帯電話やカーナビゲーション装置等の画面を注視したりする行為、いわゆるながら運転については、これが交通事故につながる行為であることから、積極的な取り締まりを行うなど、厳正に対処してきたところであります。

 議員のお話にもありましたとおり、平成30年中における全国のながら運転に起因する交通事故件数が5年前に比べ約1.4倍に増加していることや死亡事故も多数発生していることを背景として改正されました道路交通法の施行により、ながら運転に対する罰則が強化されたことを受けまして、県警察では、12月4日に県下一斉の集中取り締まりを行うなど、ながら運転に対する取り締まりを強化しているところであります。

 県警察といたしましては、今後も、引き続き関係機関・団体と連携して、改正法の内容について周知徹底するとともに、ながら運転を含めた悪質・危険運転の根絶に向け、一層の広報啓発活動及び積極的な取り締まりを推進してまいります。

○議長(岸本 健君) 藤山将材君。

  〔藤山将材君、登壇〕

○藤山将材君 ことしは、また特にあおり運転というのが非常に社会問題化をいたしました。警察庁でも新たに罰則を創設する方針、また法務省も自動車運転処罰法の改正を検討しているというふうに報道で見ましたが、これを契機に、危険な運転、根絶する契機になっていけばというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 次に、歩きスマホの注意喚起について伺います。

 ながらスマホが事故を誘発する危険があるのは歩行中の場合も同様で、スマートフォンを操作しながら歩行する、いわゆる歩きスマホによる事故も年々増加しており、問題となっています。

 以前、歩きながらスマートフォンを操作している歩行者が目の不自由な方が歩いてきているのに気づかずに、ぶつかりそうになっているのを見て冷やっとしたことがありました。私自身も、歩きスマホの人にぶつかられて、その上、本人から逆ギレされたということもありました。もし高齢者や体の不自由な方に同じことが起きれば、傷害事件になるかもしれません。

 本来ならばモラルやマナーの問題でありますが、自動車だけでなく、歩きスマホについても何らかの注意喚起をしていく必要があるのではないでしょうか。

 以前、路上喫煙や歩きたばこが問題視され、禁止する条例が全国各地でつくられたように、今後大きな事故が起こり、社会問題化して法規制の流れになっていくのかどうかはわかりませんが、何でも厳罰化するより、まずは価値観の形成が肝要だと思います。

 携帯電話の通信事業者が行っているキャンペーンや駅のホームで流されているアナウンスは、それを続けることで意識が醸成されることを期待してのもの。それでも、ついついやってしまっているのが現状かと思います。

 意識改革はなかなか難しいですが、行政もじっとしているわけにはいかないはずです。県の取り組みについて、環境生活部長に伺います。

○議長(岸本 健君) 環境生活部長田中一寿君。

  〔田中一寿君、登壇〕

○環境生活部長(田中一寿君) 歩行中にスマートフォン等の携帯端末を操作する行為、いわゆる歩きスマホは、画面に夢中になる余り周囲への注意が著しく散漫になることから、全国的に、人や物との接触、転倒や転落等、事故や事件が発生しております。中でも、駅のホームからの転落はすぐに重大な事故につながることから、議員御質問のとおり、鉄道各社では、アナウンスやポスターの掲示等で乗客に対する啓発が行われています。

 現在、歩きスマホを規制する法令等はなく、取り締まりの対象とはなっておりませんが、県といたしましても、歩きスマホが交通事故等を誘発する危険があることから、季節ごとに実施する交通安全運動の重点項目に位置づけ、警察や学校を初め、関係機関・団体と連携して、歩きスマホに対する注意を促す教育、啓発に努めてまいります。

○議長(岸本 健君) 藤山将材君。

  〔藤山将材君、登壇〕

○藤山将材君 それでは、大項目の3問目、観光振興について伺います。

 まず1点目、インフルエンサーへの働きかけについて伺います。

 私は、これまで幾度となくこの本会議場の場において、県の観光振興やイメージアップ、その他さまざまな事業の促進には、インターネットの活用やホームページの充実などについて質問をしてまいりました。

 特に観光振興に当たっては、その活用がいかに効果的であるかは誰もが知るところであり、現在の県の観光に関するホームページを見ても、当初のころよりはるかに充実し、熊野古道、高野山などモデルコース、温泉、和歌山の食など、盛りだくさんの情報が掲載され、観光客にとっても情報源になっていることと思います。

 一方で、先ほどネガティブな面でながらスマホを取り上げましたが、今はポジティブな面でのネットやスマートフォンなどの活用が観光の振興には欠かせなくなっています。

 例えば、動画サイトのユーチューブで何万回も再生される有名なユーチューバーという、そういう職業まで生まれています。最近では、京都市がPR事業の一環で、漫才コンビにツイッターで2度にわたって発信してもらうため、計100万円を支払う契約をしていたという報道があったことは記憶に新しいところです。

 その人の行動があっという間に情報を全国に、全世界に拡散することができ、社会に対して影響力を持つような人物のことをインフルエンサーと言っています。契約金の多寡など、さまざまな考えはあるでしょうが、インフルエンサーに働きかけ、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で例えば和歌山の魅力スポットを紹介してもらえば、あっという間に情報を拡散することができ、それを見て和歌山に行ってみようと思う人の流れも誘発できるわけですが、現在の和歌山県におけるインフルエンサーを活用した観光振興についての取り組み状況をお聞かせください。

○議長(岸本 健君) 商工観光労働部長。

  〔稲本英介君、登壇〕

○商工観光労働部長(稲本英介君) 和歌山の魅力の発信は、本県観光施策の主軸であり、中でもメディアの活用を最も重要な施策として位置づけています。特に、既存のメディアと異なるターゲット層への訴求や全世界に向けて発信できるウエブやSNSの活用に取り組んでおり、その一つとしてインフルエンサーの活用も積極的に行っています。

 まず、サイクリング王国わかやまを国内外にPRするため、世界的に著名なサイクリストで、フェイスブックのフォロワー数が100万人を超えるアルベルト・コンタドール氏を今年度も招聘し、サイクリングロードを実際に走行する様子などを国内外に発信していただきました。

 また、インバウンドに向けての取り組みとして、26の国と地域をターゲットに、日本政府観光局や関西観光本部と連携し、その国や地域のインフルエンサーを起用した海外メディアの招聘を実施しているほか、香港の訪日旅行最大手のEGL社の袁社長に県観光大使として国内外で和歌山を大いにPRしていただいているところです。

 今後も、効果的かつ効率的な情報発信を行うため、引き続きインフルエンサーを積極的に活用してまいります。

○議長(岸本 健君) 藤山将材君。

  〔藤山将材君、登壇〕

○藤山将材君 次に、2番目の高野山・熊野を愛する100人の会の設立と今後の活動について伺います。

 9月4日の資料提供で、高野山・熊野を愛する100人の会の発足を知りました。サイトを見てみますと、実際には100名を超える著名なメンバーが名を連ねておられます。仁坂知事もメンバーになられていますが、この高野山・熊野を愛する100人の会の設立の趣旨と、そして、これから今後の活動についてお尋ねをいたします。

○議長(岸本 健君) 商工観光労働部長。

  〔稲本英介君、登壇〕

○商工観光労働部長(稲本英介君) 「紀伊山地の霊場と参詣道」の世界遺産登録15周年を機に、高野山・熊野の価値の継承とさらなる魅力を発信するため、高野山・熊野を愛する100人の会を9月3日に設立いたしました。

 会員として、歌手の坂本冬美さんを初め、博物学者の荒俣宏さんや作家の夢枕獏さん、東京藝術大学学長の澤和樹さんなど、各界の著名な方々に参画していただいております。

 今後は、会員それぞれの活動において高野山・熊野を発信していただくとともに、県が実施する首都圏での観光プロモーションや県内での講演会等に協力いただくなど、その影響力を生かした取り組みを展開してまいります。

○議長(岸本 健君) 藤山将材君。

  〔藤山将材君、登壇〕

○藤山将材君 では、3点目の和歌浦湾エリアの観光振興について伺います。

 皆さんは、和歌の浦日本遺産活用推進協議会事務局が作成をした「日本遺産 絶景の宝庫 和歌の浦」というホームページ、ごらんになられたことがあるでしょうか。事務局は和歌山県商工観光労働部観光局観光振興課内となっていますが、一昨年、認定された日本遺産である和歌の浦一帯が、きれいな写真をふんだんに活用して紹介されています。

 この和歌の浦を活用しようと、「雑賀崎は日本のアマルフィ」と打ち出して、和歌山市も地中海風のホテルを誘致するなど、魅力づくりがされてきているところであり、和歌浦一帯がぜひ再び活気を取り戻してほしいものと思います。

 日本遺産は、和歌浦だけでなく、私の地元である海南市にある温山荘や藤白坂、長保寺なども含むエリア的に認定されているとのことであります。塩津や戸坂なども雑賀崎と同じような町並みに風情がありますし、最近はカキの養殖に取り組み、とれたカキを焼いて食べることができるカキ小屋も一つの人気になっています。もちろんマリーナシティもありますし、片男波や浜の宮海水浴場はマリンスポーツのメッカでもあります。例えば、民間活力を生かしてサンセットクルージングができたりすれば、さらに魅力アップにつながることと思います。

 和歌山市から海南市にまたがる、この和歌浦湾エリアの観光資源を最大限に生かして、連携をさせ、広域的な見地から観光振興に取り組んではどうかと思いますが、県の考えをお聞かせください。

○議長(岸本 健君) 商工観光労働部長。

  〔稲本英介君、登壇〕

○商工観光労働部長(稲本英介君) 風光明媚な和歌浦湾エリアは、平成29年度に「絶景の宝庫 和歌の浦」として日本遺産に認定されました。

 これを契機に、和歌山市、海南市及び関係団体との連携を強化し、誘導板等の設置や日本遺産ガイドの養成、構成資産やグルメスポットなどを紹介したガイドブックの作成や特設サイトによる発信、さらにシンポジウムの開催などに取り組んでまいりました。

 また、昨年度から実施している「わかやま歴史物語」の100のストーリーの中で、「藩主も惚れ込んだ和歌の浦の絶景」や「悲劇の皇子 有間皇子と藤白坂」などの物語をモデルコースとともに紹介しています。

 今後は、より広域での周遊や滞在時間の延長を図るため、和歌浦湾エリアの持つ歴史、文化の多彩な魅力に加え、SNS映えする絶景や古民家カフェ、マリンスポーツや漆器・まき絵などの体験を組み込んだ旅のルートを紹介するパンフレットを作成するほか、インフルエンサーの活用やメディアでの情報発信、さらに旅行会社への提案活動により、一層の誘客に努めてまいります。

○議長(岸本 健君) 藤山将材君。

  〔藤山将材君、登壇〕

○藤山将材君 先ほど御紹介した「絶景の宝庫 和歌の浦」のホームページ、本当によくできてるな、シンプルですし構成もすごくいいなというふうに思ってます。特に「小学生オススメのお店」というのも見ましたが、なかなか子供目線でお勧めの店舗、たくさん載ってて、本当にいいサイトだなというふうに思ってます。

 お勧めの店で小学生が鉄板焼きのお店を勧めてたので、それはそれで驚きましたけども、ぜひいろんな人に見ていただくよう、目に触れるような形で周知をしていただきたいというふうに思いますし、今まさに和歌浦湾、マリーナシティへIRを誘致しようということで一生懸命取り組まれておりますが、このIRを核にこの和歌浦湾エリアを活性化させて、その効果をまた和歌山県全体へと広げていけるように期待をしております。

 では、次へ移ります。

 最後の項目です。4番目、「都市計画道路松島本渡線の南進について」、知事に伺います。

 議長を務めさせていただいた間、今まで以上に県内各地を訪れる機会に恵まれました。その際、かねてから気にかけている道路整備の状況も確認いたしました。

 自動車専用道では、京奈和道路が29年3月に和歌山市から岩出市まで供用を開始し、奈良県名阪国道へと延びつつあります。第二阪和国道も29年4月に淡輪から平井までの供用を開始。近畿自動車道もすさみまで27年8月に開通し、今後、串本まで延伸する見込みでありますし、4車線化についても印南までが令和3年12月完成に向けて着々と工事が進められています。

 これらに接続する国道や県道、都市計画道路なども整備が進んでおり、和歌山北インター、和歌山南インターに接続する都市計画道路西脇山口線や、私も以前、一般質問で早期完成を求めました南港山東線など、大型トラックも極めて通行しやすく、地域振興、産業発展に大きく寄与していると思っております。

 一般国道では、かつらぎ町の国道480号鍋谷峠道路が整備され、大阪との交流促進に効果を発揮しています。念願久しかった私の地元の国道424号木津バイパスは29年の3月に、国道370号阪井バイパスも何とかことし6月に開通し、旧道の交通渋滞がうそのように解消いたしました。当局並びに工事関係者の方々に、この場をおかりして心から感謝を申し上げます。

 一方、いま一度、地元に目を向けますと、やはり国道42号の混雑がどうしても気にかかります。海南─和歌山間は大型車両が通行しやすいのは国道42号と高速道路のみであり、例えば県道岩出海南線について見てみますと、災害時や救急車などの通行を考えると、黒江駅付近の拡張はしていただいておりますが、脆弱と言わざるを得ない状況であり、知事が常に問題視されるリダンダンシーの確保ができているとは思えません。

 和歌山─海南間を南北に結ぶ松島本渡線の南伸、また、それが接続する県道岩出海南線に関する取り組みについて、知事はどのように考えておられるのか、お伺いをいたします。

○議長(岸本 健君) 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 和歌山県の各都市、和歌山市が一番多いんですが、その次は海南市ぐらいでしょうか、都市計画道路が随分ちゃんと計画されてるんですけども、ずうっと長い間、放置と言ったらおかしいんですが、進捗がおくれていて、なかなか完成していなくて計画だけというのがたくさんあったんですけども、それをどんどん推進いたしまして、随分枠組みができてきたかなあというふうに思います。

 その際に、これはもう時代も変わったし、要らないなあというようなものは、和歌山市ですけれども、廃止をしていただいて、例えば建物なんかが自由に建てられるようにするとか、そういうふうにいたしましたが、やるべきだというやつは早くやるというふうに思ってまいりました。

 ただ、その中で、実は都市計画になってないのがあって、これはやっぱり必要だというのが、議員おっしゃったような二つの線だと私は思っております。

 和歌山─海南間の南北の交通については、御指摘のように、沿岸部の幹線道路である国道42号線だけに頼ってる。それと高速道路ですが、内陸部においてリダンダンシーを確保して交通の分散を図れば、絶対にこれはいいというふうに思うわけです。もう一つの幹線道路が必要であって、これは途中まで最近ようやくできてきた都市計画道路松島本渡線を海南までちゃんと延長すれば、この問題は解決するというふうに思っております。

 これに続きましてというか、松島本渡線の和歌山南スマートインターチェンジとあわせてかなり南伸をして冬野まで供用いたしましたが、これに続きまして松島本渡線の冬野地区以南及びそれに接続する海南市域の都市計画道路岡田大野中線の県道海南金屋線までの区間を今年度新規事業化いたしまして、現在、和歌山市域において現地測量を進めておりまして、今後設計に着手していくところでございます。

 また、岡田大野中線が接続する御指摘の県道岩出海南線についても交通量の増加が予想されることでございますので、未整備区間でございます海南市黒江地内の整備を進めることとし、昨年度末から現地調査に着手し、線形及び幅員の検討を行った上で、既に地元説明会を終えておりまして、今年度内の都市計画変更を目指しております。

 引き続き、和歌山─海南間のリダンダンシーを確保いたしまして、交通の分散を図るために、海南市から和歌山市その他への幹線道路、すなわち松島本渡線と岡田大野中線の整備を図っていきたいというふうに考えております。

○議長(岸本 健君) 藤山将材君。

  〔藤山将材君、登壇〕

○藤山将材君 和歌山市街地への交通の流れ、県下では一番、もちろん経済、文化の中心になりますんで多いわけです。その和歌山市内への車の流れというのは──大きくですよ──大きく分けると、泉南からのルート、そして紀の川筋からのルート、そして海南以南からは、紀南からのルートは海南市を通らなければほとんど和歌山市に入っていけない、そういう状況にあるんですけども、いわば海南市は和歌山市のエントランスホールのような役割を果たしているわけですが、その海南市内の道路整備、南北の幹線道路の整備はどうしても脆弱だというふうに思います。

 海南─和歌山間を結ぶ道路としては、まず42号線、そしてマリーナシティを経由していく和歌山市道、そしてあと県道が7本、海南と和歌山間にあるわけですが、これはどれ一つとってもまともに幹線道路として役割を果たしておりません。そういう中で、先ほどリダンダンシーということで、今年度から新規事業をしていただいたわけですが、ぜひとも、このままではまた20年、30年待たされかねませんので、ぜひとも知事の強力なリーダーシップで、一日も早い完成を願っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 以上で、私の一般質問を終わります。御清聴、どうもありがとうございました。(拍手)

○議長(岸本 健君) 以上で、藤山将材君の質問が終了いたしました。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 42番長坂隆司君。

  〔長坂隆司君、登壇〕(拍手)

○長坂隆司君 皆さん、おはようございます。

 議長のお許しをいただきましたので、以下、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。

 1点目に、和歌山県の防災対策についてであります。

 ことしも全国各地で多くの災害がありました。犠牲に遭われた皆様には謹んで哀悼の誠をささげますとともに、被災者の皆様にはお見舞いを申し上げます。

 9月9日に上陸、千葉県を中心に甚大な被害を出した台風15号、10月12日に上陸、関東地方、甲信地方、東北地方などで記録的な大雨となり、やはり甚大な被害をもたらした台風19号、10月25日から翌26日に千葉県を中心に被害をもたらした台風21号にも影響を受けた千葉県豪雨、それに、10月31日に沖縄県首里城で火災が発生、正殿と北殿、南殿が全焼しました。ほかにもたくさんの災害がありましたが、今回は上記4点に絞って質問させていただきます。

 一つ目、台風15号の直撃を受けた千葉県では、強風による倒木や飛来物が原因で、電柱や電線が多数損壊し、大規模停電の長期化につながりました。倒木は、県指定のサンブスギが至るところで倒れ、その多くが溝腐病にかかっていたそうで、林業の衰退で放置されたまま被害が拡大し、今回の強風に耐えられなかったと見られています。間伐などの適切な管理を地域全体で進めないといけないと専門家は指摘しています。

 停電が長期化した原因について、経産省は、倒木などの原因で電柱の倒壊や電線の切断が相次いだことに加え、東京電力が高圧線の復旧を終えても、民家などにつながる低圧線や引き込み線の損傷を確認できなかったことが要因と分析しています。

 台風の多い沖縄県では、強風や飛来物に備えた対策として、沖縄電力は最大風速(10分平均)が秒速60メートルの風に耐えられるよう鉄塔を設計し、国が示した全国基準を20メートル上回っています。海沿いの直線道路など強風の影響を受けやすい地域では飛来物が生じやすいため、倒壊や傾きを防ぐ支柱を電線に取りつけているそうです。

 強風被害を防ぐ有効策として、電線を地中に埋設する無電柱化が考えられますが、高額な整備コストも課題になります。関西電力も昨年秋の台風被害を受け、対策に乗り出されていると思いますが、大型台風による大規模停電が発生した場合の手だてとして、過去の教訓から和歌山県はどのような対策を考えておられますか。危機管理監にお伺いいたします。

○議長(岸本 健君) ただいまの長坂隆司君の質問に対する答弁を求めます。

 危機管理監森田康友君。

  〔森田康友君、登壇〕

○危機管理監(森田康友君) 大規模停電対策についてでございますが、本年の台風第15号では、議員からお話のありましたとおり、千葉県で大規模かつ長期の停電が発生いたしました。

 本県でも、昨年の台風第21号では、県内全域で暴風となり、飛来物や倒木により約480本の電柱の毀損や倒壊があり、最大24万3000軒の停電が発生したところでございます。特に、紀美野町や有田川町などの山間部では、電柱や電線への多数の倒木や土砂等の障害物の撤去に時間を要し、復旧がおくれ、10日間を超える長期停電が発生いたしました。

 このため、県では、関西電力株式会社と調整の上、県が倒木等の撤去を支援し、電線・電柱の復旧作業と役割分担を行い、その後の早期復旧につながりました。

 こういった経験を踏まえ、同じような事態が発生した場合には、より速やかに対応できるよう、本年4月に、関西電力株式会社と災害時における停電復旧作業の連携等に関する協定を、また、西日本電信電話株式会社と災害時における通信障害復旧作業の連携等に関する協定を締結いたしました。

 さらに、停電が長期化した際に電動車両が避難所等における電源としても活用できることから、大規模災害時に無償貸与を受ける協定を大手自動車メーカー及び県内の販売店と締結したところでございます。

 今後とも、県といたしましては、長期停電が発生した場合は県民生活に多大な影響が生じることから、市町村や関係機関と連携し、対策を進めてまいります。

○議長(岸本 健君) 長坂隆司君。

  〔長坂隆司君、登壇〕

○長坂隆司君 地球温暖化に伴い、日本に上陸する台風の勢力はますます強まる可能性があります。屋根、看板、テレビアンテナ等、強風で飛ばされやすいものも少なくありません。強風による飛来物の危険性についても、さらに県民への呼びかけによる啓発を徹底いただきたいと思います。

 2点目、台風19号は記録的な大雨となり、福島県と宮城県にまたがる阿武隈川、流路延長239キロ沿いがほぼ全域で浸水しました。阿武隈川の水位が上がったため、合流を遮られた支流の水位が上がるバックウオーター現象も各地で続発。阿武隈川とその支流、計41カ所で堤防の決壊を引き起こしました。ほぼ川の全域で浸水が起きた理由として、阿武隈川の流れる方向と台風の進行方向が同じだったことが挙げられています。

 今回、下流では、台風による大雨と上流からの増水が重なって各地で水位が高い状態が長く続き、氾濫を引き起こしました。台風19号により21都県の住宅約3万9000棟が床上・床下浸水しましたが、多摩川沿いの川崎市中原区の武蔵小杉駅周辺の住宅地で、排水能力を超える雨水が下水施設に流れ込んで、側溝からあふれてまちが浸水した内水氾濫もありました。

 甚大な浸水被害があった長野市や宮城県丸森町では、洪水時の浸水想定区域を示すハザードマップと今回の浸水区域がほぼ一致しています。ハザードマップを知らず、逃げおくれた人も少なからずいたということで、ハザードマップの周知も課題となりました。

 また、台風19号で堤防が決壊した71河川のうち半数の36河川で、洪水で水につかるおそれがある地域を示す洪水浸水想定区域図がつくられていなかったということで、いずれも県が管理する中小規模の河川で、浸水想定の対象になっていませんでした。

 都道府県が管理する中小河川は、川幅が狭く浅いため、大雨で急激に水かさが増すリスクが高いです。「読売新聞」の調査で、台風19号で洪水が起きた16都県管理の河川の7割が、洪水予報河川などに指定されていませんでした。水位計がない河川もまだまだ多く、早期の設置が急がれます。

 また、今回、河川の氾濫が防げた地域が一定の機能を果たしたと見られるダムや調整池の効果も調べ、結果を治水計画の見直しに反映していいかもしれません。このように、台風防災においてたくさんの課題を投げかけました。

 そこで質問ですが、一つ目、和歌山県において平成29年10月の台風21号で紀の川の水位が高くなり、七瀬川に水が流れにくくなることによって生じた浸水被害への対策の検討状況について。

 次に、例えば和歌山市における雨水対策についてでありますが、一時期、排水能力を超える雨水が下水管などの排水施設に流れ込み、側溝などからあふれてまちが浸水する内水氾濫への対策としての下水道事業による整備状況、あわせて、和歌山県内において内水対策を実施している自治体について。

 3点目に、本県におけるハザードマップのもととなる洪水浸水想定区域図の作成状況について。

 4点目に、県管理河川における水位計等の設置状況について。

 以上、4点にわたって県土整備部長にお伺いします。

○議長(岸本 健君) 県土整備部長髙松 諭君。

  〔髙松 諭君、登壇〕

○県土整備部長(髙松 諭君) 4点の御質問をいただきました。

 まず、1点目でございますけれども、平成29年10月の台風第21号による紀の川と七瀬川合流付近での浸水被害への対策の検討状況についてのお尋ねでございました。

 この台風による豪雨により、七瀬川など紀の川本川と支川との合流部の多くの地区で浸水被害が発生いたしました。こうした浸水被害の軽減に向け、国土交通省が国、県、市町を構成機関とする紀の川流域における浸水対策検討会を平成30年1月に設置をいたしました。これまでに幹事会を4回、検討会を3回開催してきた結果、具体的な対応策を検討する前提となります浸水発生要因の分析が完了したところでございます。

 この検討会では、七瀬川の浸水要因について、紀の川の水位が高い時間に山地流域や平地部での雨が継続して降ったため、七瀬川からの水が紀の川本川に流れにくくなり、七瀬川の水位が上昇し、七瀬川や水路から溢水が発生したものによるものとしております。

 一方、県が整備を進めております七瀬川の改修効果も含めた浸水対策案については、国からはことしじゅうに取りまとめを行うと説明を受けておりましたが、現時点では、事実上不可能となっております。県といたしましては、一刻も早く取りまとめるよう重ねて国に要請してまいりたいと考えております。

 次に、和歌山市における内水氾濫への対策としての下水道事業による整備状況と、和歌山県内において内水対策を実施している自治体について、御質問をいただきました。

 和歌山市の下水道としての内水氾濫への対策につきましては、市街化区域7415ヘクタールのうち6087ヘクタールを整備対象区域として事業を実施しているところでございます。その整備状況につきましては、平成30年度末時点において整備済み面積2563ヘクタール、前年度末と比較して7ヘクタールの増加であり、整備率は42.0%から42.1%へ、わずか0.1%の上昇にとどまっている状況であると和歌山市より伺っているところでございます。

 なお、和歌山県内において下水道による内水対策を今年度実施している市町村といたしましては、概成している、おおむね完成しております海南市、田辺市、紀の川市、美浜町、那智勝浦町を除きますと、和歌山市のほか、有田市、新宮市、かつらぎ町、湯浅町でございます。引き続き、市町に対しては内水氾濫への対策のさらなる進捗を促してまいりたいと考えております。

 次に、ハザードマップのもととなる洪水浸水想定区域図の本県における作成状況につきまして、御質問いただきました。

 洪水浸水想定区域につきましては、水防法において想定最大規模降雨により当該河川が氾濫した場合に浸水が想定される区域とされており、洪水により相当な損害が生ずるおそれがあるものとして指定した洪水予報河川と水位周知河川が対象となっております。

 和歌山県内における洪水予報河川と水位周知河川の指定状況でございますけれども、国管理河川については紀の川など四つの河川全てが指定され、県管理河川につきましては、和田川など20の河川を指定しております。

 次に、洪水浸水想定区域図の公表状況でございますけれども、国管理の4河川につきましては、既に公表が完了しております。県管理の20河川については、和田川などの七つの河川を本年2月の知事記者会見におきまして公表したところであり、残る13の河川につきましては、今年度内の公表を目指し作業を進めているところでございます。

 県といたしましては、洪水浸水想定区域図の今年度内の公表を確実に行えるよう努めてまいりますとともに、関係市町に対しましては、洪水ハザードマップの早期作成を働きかけてまいりたいと、このように考えております。

 最後に、県管理河川における水位計等の設置状況について御質問いただきました。

 水位計につきましては、市町村における水防活動や避難誘導のほか、住民の自主避難を支援するため、河川監視カメラとともに設置を進めているところでございます。水位計の設置に当たっては、比較的流域面積が大きく水位の上がり方が緩やかであるため、水位を監視することにより時間的な余裕を持って水防活動や避難行動を行うことが可能であると、このように考えられる河川を対象としてございます。

 一方、流域面積が小さい河川につきましては、洪水時における水位上昇が急激でありますことから、水位を判断材料とした避難行動等が困難であると、このように考えており、このような河川につきましては、降雨予測などの気象情報を活用していただきたいと考えております。

 これらを踏まえまして、昨年度、県管理河川において水位計を6カ所、河川監視カメラを42カ所、それぞれ増設し、既存の箇所と合わせますと、これまでに水位計を86カ所、河川監視カメラについても86カ所を設置しております。

 これらの河川情報について、河川監視カメラの映像は県のホームページで、また水位情報は、県のホームページのほかテレビ和歌山やNHKのデータ放送などを通じて広く一般に公開をしております。このうち、県ホームページの和歌山河川・雨量防災情報につきましては、見やすさ、わかりやすさという点において全国でもトップレベルのものになるよう工夫をしまして、提供をしております。さらに、本年7月からはスマホ版サイトを新たに開設し、利便性の向上に努めているところでございます。

 県といたしましては、洪水時における早目の避難判断にこれらの河川情報を広く活用していただきたいと、このように考えております。

○議長(岸本 健君) 長坂隆司君。

  〔長坂隆司君、登壇〕

○長坂隆司君 七瀬川や住吉川については国、県、市町で、紀の川流域における浸水対策検討会にて議論いただいております。台風や大雨のたびに浸水する地域住民の不安ができるだけ早く解消できるよう、よろしくお願いします。

 今般の台風19号では、ハザードマップを知らず逃げおくれた人もいたということであります。気象情報で注意報や警報が出たら各戸に配布されているハザードマップをしっかり確認するよう、県から各市町村へ改めて呼びかけをお願いしたいと思います。

 やはり、地球温暖化の進展で洪水、浸水災害は激甚化しております。10年、20年後、いや、50年後を見据えた治水対策を進めていただきますよう、よろしくお願いします。

 3点目に、台風19号と21号の大雨による犠牲者のうち、70歳以上の高齢者が半数近くいたというところも課題として浮かび上がります。自力避難が困難で、逃げおくれた高齢者が多かったということかもしれません。自宅1階で亡くなった方も多くいたということで、できるだけ高いところへ避難を促すことも必要でしょう。

 洪水浸水時における高齢者を含めた避難対策について、危機管理監にお伺いいたします。

○議長(岸本 健君) 危機管理監。

  〔森田康友君、登壇〕

○危機管理監(森田康友君) 風水害から生命を守るには、気象情報や避難情報に基づき、夜間を避けた早目の避難が大切です。特に、要介護の高齢者の方や障害のある方などで避難に支援を要する避難行動要支援者には、早目に避難していただくことが重要となります。

 県では、市町村が避難勧告等の発令に当たり河川の水位や雨量等の数値データから客観的に判断できるよう、避難勧告等の判断・伝達マニュアルのモデル基準を策定しています。あわせて、日本気象協会の短長期の降水予測情報をもとに和歌山県気象予測システムを整備し、市町村に最長51時間先までの降水予測データを提供しているところです。

 市町村では、これらモデル基準と予測システムを活用し、氾濫危険水位の超過が見込まれる場合などには、明るい時間帯に避難準備・高齢者等避難開始などの情報を発令し、早目の避難を呼びかけています。

 また、本年の台風第19号接近時など、災害発生のおそれがある場合には、県から市町村に対し避難情報の早期発令等を促すとともに、消防職団員等による避難行動要支援者への確実な情報伝達及び誘導についても依頼しているところです。

 県といたしましては、今後も早期避難が徹底できるよう、市町村を支援してまいりたいと考えております。

○議長(岸本 健君) 長坂隆司君。

  〔長坂隆司君、登壇〕

○長坂隆司君 台風19号や台風21号による記録的な大雨で亡くなった方の半数が、乗車中に浸水で流されるなどした車中死と見られています。JAFによると、水深が30センチを超えるとエンジンが停止し、車から脱出する必要があると言います。高齢者を含めた避難について、浸水の際の車での避難というのも十分注意していなければならない点だと思います。

 4点目ですが、今回、台風19号の影響で千曲川が増水して堤防が約70メートルにわたり決壊しましたが、その影響で長野県の上田電鉄の鉄橋が崩落しました。築116年を経過した南海電鉄紀ノ川橋梁についても、橋がかかる両端の道沿いの堤防部分が気になるところです。当該区域は河川の幅も広くて、伊勢湾台風規模の川の増水にも十分耐えられると、いつも御指摘いただくのですが、時々、南海鉄橋の北側の県道善明寺北島線を通った際、鉄橋架橋部分の堤防を見ていて、大丈夫かと不安に思うことがあります。

 架橋部分の堤防について、十分な強度があると言えるのでしょうか。県土整備部長にお伺いいたします。

○議長(岸本 健君) 県土整備部長。

  〔髙松 諭君、登壇〕

○県土整備部長(髙松 諭君) 南海電鉄の紀ノ川橋梁の架橋部分の堤防の強度につきまして御質問いただきました。

 国土交通省和歌山河川国道事務所によりますと、南海本線紀ノ川橋梁の架橋部近辺の堤防形状は、高さ、幅ともに所要の規定を満足しており、また、堤防やその基盤への水の浸透に対する照査結果も所要の安全率を満足していると聞いております。

 ただし、紀ノ川橋梁は明治時代に施工された橋梁であり、河川の横断工作物に関する現行基準は必ずしも満足していないと聞いております。このため、占用者に対しては、占用許可更新の際に、橋梁を改築する場合には現行基準を満足した構造とするよう占用条件を付すとともに、当面の改築の予定がない場合にあっても改善を行うよう働きかけていると聞いております。

 長坂議員御指摘の千曲川では、堤防決壊等の甚大な被害が発生しましたことを受けまして、国土交通省北陸地方整備局が設置します千曲川堤防調査委員会が、現在、被災要因を分析しているところでございます。これには、上田電鉄別所線千曲川橋梁の一部落橋した区間も含まれております。この委員会の検討資料では、当該区間の堤防欠損は、越水や浸透、また橋梁等の構造物の影響が要因ではなく、堤防の基礎部が鉛直方向に最大で約5メートルも洗掘されたことで護岸が流出し、堤体の浸食につながったことが主要因ではないかと現時点で推定されております。

 御指摘の南海本線紀ノ川橋梁周辺の堤防強度についてでございますけれども、橋梁は鉄道事業者、堤防は国土交通大臣がそれぞれ管理する施設ですので、県が軽々に申し上げるべきものではないと考えますけれども、千曲川の千曲川橋梁付近と紀の川の紀ノ川橋梁付近の河川特性についての比較をあえて申し上げるならば、千曲川橋梁付近は千曲川の上流部に位置し縦断勾配が急ですが、一方で紀ノ川橋梁付近は紀の川の河口付近に位置しておりまして、縦断勾配が緩い状況でございます。また、千曲川橋梁付近は高水敷いわゆる河川敷がありませんけれども、一方、紀ノ川橋梁付近、この付近は河川敷があると、こういう状況でございます。

 縦断勾配が緩くなりますと流速が遅くなり、洗掘は相対的に発生しにくくなると思われます。また、河川敷上は水深が一様に浅くなり、川底の摩擦係数の度合いが大きくなることから、堤体基礎部の流速は抑制され、流水による堤防を侵食する力も相対的に小さくなると思われます。

 なお、千曲川の被災要因につきましては国が現在も調査中であり、結論めいたことを申し上げるのは差し控えさせていただきますけれども、例えば、先ほど申し上げたとおり、流速一つをとりましてもこのような違いがございまして、千曲川の被災のメカニズムが直接、紀の川にそのまま当てはまることはないと思っております。

 ただ、県といたしましては、紀ノ川橋梁架橋部の堤防の強度に関する懸念の声があることにつきまして、国土交通省和歌山河川国道事務所に伝えてまいりたいと考えております。

○議長(岸本 健君) 長坂隆司君。

  〔長坂隆司君、登壇〕

○長坂隆司君 とにかく南海鉄橋は架橋されてから長い年月が経過しておりますんで、架橋部分の堤防についても十分な調査をするよう南海電鉄に要請いただきたいと思います。

 5点目ですが、去る10月31日未明、沖縄県那覇市にある国の史跡首里城で火災が発生、正殿と北殿、南殿が全焼しました。11月20日、和歌山県出身沖縄並びに南方諸地域戦没者追悼式の帰りに首里城公園に立ち寄りましたが、中には入れず、外側から焼けただれた屋根の部分がわずかに見えるだけ、那覇市内の高台の路地からもう少し大きく焼けた建物の上部が見えるだけでしたが、屋根部分が溶けて黒くなったような状況でした。

 今回は、1989年に復元された建物が焼けたということで、世界文化遺産登録の構成遺産には含まれていません。出火の原因はまだ不明ということです。焼失した正殿周辺の消火設備としては、高圧の水を放つ放水銃に加えてドレンチャーと呼ばれる設備があったが、あくまで他の建物から出火した場合に正殿を守るための設備で、正殿そのものから出火した今回のケースでは機能し切れなかったと見られています。

 4基の放水銃も、初期消火を試みた警備員らが火災の熱で近づけなかったため使用できなかったと言います。また、復元された首里城の木造建築は重要文化財の指定を受けておらず、スプリンクラーの設置も義務づけられていなかったそうであります。

 和歌山県に目を転じますと、たくさんの文化財を有する和歌山県においても、地域住民を含めた日ごろからの防火・防災体制について再調査は必要であろうかと思います。本県の文化財に対する防火・防災対策について教育長にお伺いいたします。

○議長(岸本 健君) 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 本県では、国や県の補助金により防火設備の整備を進めておりますが、首里城の火災を受け、より効果的な設備の整備に努めてまいります。

 また、議員御指摘のとおり、日ごろから地域住民の防火意識を高めることが重要と考えられ、今後とも市町村や消防本部等と連携を深め、文化財の防火・防災対策に取り組んでまいります。

○議長(岸本 健君) 長坂隆司君。

  〔長坂隆司君、登壇〕

○長坂隆司君 数年前、関西広域連合議会で文化財の防災対策の必要性について要望をさせていただいたことがありました。ことしに入って、4月のノートルダム大聖堂火災、そして10月の首里城火災と続いておりますが、仮に文化財が原形をとどめないくらい破損しても復旧できるよう、今からでも所有者情報を含めたデータを細かく残しておく、蓄積しておくことが、それによって持続可能な関西文化となると、そういう趣旨で要望をさせていただいたことがありました。和歌山県においても、文化財のデータの収集、蓄積、そういうものをぜひよろしくお願いいたします。

 2点目です。港湾における暴風雨及び高潮対策について。

 和歌山県においては、昨秋の台風21号の暴風雨でガントリークレーンが損傷、雑賀崎工業団地で高潮時の高波による護岸等の破損によって、工業団地内にある約17社が浸水被害に見舞われました。港湾に被害が及ぶと、臨海にある工場での生産・製造や輸出入貨物の停滞等、経済活動自体に大きく支障を来します。刻々と変わる気象情報によって、自然の猛威に対する港湾全体での段階を踏んだ防災対策が必要となると思います。

 港湾が大型台風に見舞われた際に、まず一番懸念されるのは、暴風雨及び高潮による電気系統の被害だと思います。ガントリークレーン、フォークリフト等の荷役機械、それに保冷機能のあるリーファーコンテナしかりであります。また、台風によるガントリークレーンの倒壊、倉庫、上屋の損壊や浸水による貨物の水没、損傷もありました。

 本県での大型台風に備えた港湾貨物、港湾の諸施設・設備の暴風雨、高潮対策について、以下お伺いいたします。

 一つ目に、台風による送電線の切断等で港湾ターミナル全体が停電に陥る可能性もあります。事務所、倉庫、上屋に電気が届かずに機械やコンピューターのオペレーション自体ができなくなったり、荷役機械は動かなくなり、保冷機能がストップしたりしてしまいます。港湾ターミナル全体の停電対策として、非常用電源の確保や電気設備の配置場所等、どのような対策を考えておられますか。県土整備部長にお伺いいたします。

○議長(岸本 健君) 県土整備部長。

  〔髙松 諭君、登壇〕

○県土整備部長(髙松 諭君) 和歌山下津港の港湾ターミナル全体の停電対策についてのお尋ねをいただきました。

 和歌山下津港では、平成13年の国際ターミナルの供用に合わせ、ガントリークレーン等の港湾荷役に使用する電気設備を、過去最も高かった第2室戸台風における最高潮位の3.54メートルよりも高い位置である4.6メートルの場所に整備しておりました。昨年の台風第21号の際にも浸水被害は発生しませんでした。

 一方、神戸港などにおいては高潮による浸水被害を受けてガントリークレーンの電源喪失等の被害が発生いたしました。こうした事態を受けまして、国土交通省では、港湾の堤外地等における高潮リスク低減方策ガイドラインを改訂し、電源設備の機能喪失に対し、例えば、電気設備の入り口への仮設止水板の設置や非常用電源による給電などの対策を講じることとしております。

 これを受けまして、和歌山下津港におきましても、このガイドラインを参考にしながら、幅広く対策を検討しているところでございます。

○議長(岸本 健君) 長坂隆司君。

  〔長坂隆司君、登壇〕

○長坂隆司君 2点目に、暴風によって、積み上げられたコンテナの山が倒壊したり、最悪の事態としてコンテナが海へ流出することも考えられますが、それらを防止する手だてとしてどのような対策を考えておられますか。県土整備部長にお伺いいたします。

○議長(岸本 健君) 県土整備部長。

  〔髙松 諭君、登壇〕

○県土整備部長(髙松 諭君) コンテナの流出事故の防止対策についてのお尋ねをいただきました。

 和歌山下津港では、以前から、台風接近時のコンテナの倒壊や流出の事故防止対策といたしまして、コンテナ貨物を縄、ひも、金具等でかたく締める固縛や、コンテナの積み方を3段以下にする段おろし、重いコンテナを上の段にするなどの作業を行うよう港湾運送事業者に対して要請し、対応していただいているところでございます。こうしたことから、昨年の台風第21号ではコンテナの倒壊や流出等の事故は発生しませんでした。

 しかしながら、大阪港、神戸港におきましては、コンテナの倒壊や流出等の事故が発生し、港湾機能に多大な支障が生じたことから、和歌山下津港においても早期の復旧の観点から、このような事故がないよう必要な対応をとるべきだと考えております。

 このため、先ほど申し上げましたガイドラインに基づきまして、台風等の異常気象時の港湾管理者及び関係事業者の行動計画であるフェーズ別高潮・暴風対応計画を今年度中に策定しまして、港湾運送事業者を初めとする関係者が台風接近時等の段階に応じて適切な対策を実施できるように取り組んでいるところでございます。

○議長(岸本 健君) 長坂隆司君。

  〔長坂隆司君、登壇〕

○長坂隆司君 港湾は、経済活動の要諦であります。停電の事態が起こらぬように細心の備えをお願いいたします。

 また、本県は、幸いというか不幸せというか、コンテナ貨物の取扱数が少なくて、コンテナの山がそびえ立つ状況ではありませんが、テレビや雑誌で他府県の港でコンテナが倒壊したり海へコンテナが流出したりしているのを見ますと、荷主や港運業者の側からすれば目を覆うような惨状であります。被害を最小限に食いとめるため、コンテナの倒壊、流出対策についても気象状況を絶えずチェックしながら十分な備えをお願いいたします。

 3点目に行きます。本県における中高年のひきこもりについてであります。

 初日の鈴木德久議員の質問と重なるところがありますので、これは自分なりの意見を述べて、以下要望とさせていただきます。

 中高年のひきこもり状態にある方は、就職活動でつまずいたり20代からの就労経験がないまま、中高年になっても親の年金を頼りにひきこもりの状態の生活を続けた場合、親が亡くなり、年金収入が絶たれてしまうと、途端に生活不能に陥ってしまう可能性があります。

 NPO法人まちづかい塾の2018年度事業報告書によると、中高年の引きこもりのきっかけは、退職が32.2%、人間関係が21.3%、病気が21.3%、職場になじめないが19.1%だそうです。本人の自信や自尊心の喪失が一番の原因かなと思ってみるのですが、それには家庭や人間関係など、さまざまな環境の違いもあると思います。そして、社会参加したくても受け入れられない、理解されない苦悩が自暴自棄を招き、事件につながる場合もあるかもしれません。

 ひきこもり状態の方を抱えた御家族の心労も大きなものがあると思いますし、本人やその家族に手を差し伸べる手だては必要です。子供の生き方を認めて親の考え方を変えればよいと言われることもありますが、これも長年築いてきた親の価値観というものは容易に変えられるものではありませんし、子供のほうも中高年になって自分の考え方を改めることは簡単ではありません。

 もともと、ひきこもりの支援に当たっては就労支援が中心であったと思いますが、ひきこもりの状態が長期間にわたり、高齢化が進む中で、就労だけでなく、生きる意欲を支える生き方支援が重要性を持ってきていると思われます。まずは、本人に何ができるのか、そこから考え、やりたいことよりもできることを探すことから始めることも必要ではないかと思います。ひきこもり状態にある方には、できるだけその人の心に寄り添い、話を聞かせてもらって、その人の価値観を最大限尊重することを大切にしなければならないと思います。

 県当局におかれましては、痛ましい事象が発生しないためにも、世代世代でさまざまなひきこもりの状態があると思いますので、その地域で支える住民の皆様、医療福祉関係者や、ひきこもりの状態から立ち直った経験のある方々とも連携しながら、自然な形の相談しやすいような温かい支援の輪を構築いただきますよう要望させていただきます。

 4点目にまいります。葛城二十八宿についてであります。

 文化庁は、去る10月30日、歴史の道百選の追加選定を発表し、県内から和歌山市、岩出市、紀の川市、橋本市、かつらぎ町、5市町に及ぶ葛城修験の道と、古座川町、すさみ町、上富田町、白浜町、4町の古座街道が新たに選ばれました。第1回の1996年に78カ所、その中には本県では今回範囲拡大された熊野参詣道と高野山参詣道も含まれていますが、今回は36件選定され、合計114件となっています。

 選定の基準は、1、原則として土道、石畳道、造形などが一定区間良好な状態で残っているもの、2、他の地域との連続性を持っているもの、3、単体または単独の交通遺跡は選定の対象外、4、参詣道、信仰関係の道は広域信仰圏(数カ国規模)を有するもののみ、5、原則として現用の舗装道路は選定の対象外とするが、街道としての連続性を考慮する場合に限り含めるとあり、どれにも二つの道は当てはまります。

 葛城修験の道は、過去何度も取り上げさせていただきましたが、現在も山伏など修験者の修行の場として使われています。飛鳥時代に修験道の開祖役小角、役行者が行場を開き、後に妙法蓮華経を28カ所に埋納したとされ、葛城二十八宿と言われるゆえんであります。

 私も4月の改選後に、さらに和歌山県内では第1番の加太友ヶ島の虎島にある序品窟、第3番から第4番経塚に通じる墓の谷、雲山峰から滝畑、根来寺、粉河寺から葛城中台としての中津川行者堂と熊野神社、そして第7番経塚と何カ所か歩いてきました。

 イノシシがごそごそしているようなところ、急な坂道、ごつごつとした土道、雑草や折れた木や竹が通せんぼするような山道、谷川が流れる岩と石だらけのところもありますが、空気がおいしく爽やかで、花をつけた山野草に目を奪われつつ、コケむしたほこらや行者堂をめぐると、心が洗われ、ふと往時にタイムスリップしたような感覚で、思わず両手を静かに合わせたくなります。

 先日も、和歌山大学紀州経済史文化史研究所の七宝瀧寺と志一上人展を拝見させていただき、根来寺の大きな過去の地図などを見ていると、根来寺周辺と役行者とのいまだ解明されていないストーリーが新たに出てきても不思議はないというような気がしました。

 そこで質問に入りますが、一つ目、今回、歴史の道百選に選定されたことについて和歌山県としての意義をどう捉えておられますか。教育長にお答えいただきます。

○議長(岸本 健君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 葛城修験の道が歴史の道百選に選定されたことについての意義についてでございます。

 道や水路等の古道や交通関係の遺跡は、古くから人、物、情報の交流の舞台であり、我が国の地域や歴史を理解する上で重要な意味を持っています。

 議員御指摘のとおり、平成8年には高野山参詣道と熊野参詣道が歴史の道百選に選ばれておりましたが、今回、それらの選定範囲が延伸されたのみならず、新たに葛城修験の道と古座街道が選定されました。

 このことは、歴史的、文化的に特に重要な価値を有する古道として認められたあかしであり、その保存と活用を広く呼びかけ、顕彰する上で大変意義があることと考えております。これを契機に、歴史の道を適切に保存し活用しようという機運が、関係市町や地元の方々にさらに高まるよう取り組んでまいりたいと考えております。

○議長(岸本 健君) 長坂隆司君。

  〔長坂隆司君、登壇〕

○長坂隆司君 葛城修験の道と古座街道が全国から注目される歴史の道になったことで知名度はおのずと上がるでしょうから、ぜひ本県の誇る歴史文化の道として注目に恥じない道として、ソフト・ハードの対策を講じていただきたいと思います。

 なお、中津川行者堂には、かつて役行者像、前鬼像、後鬼像、そして不動明王立像が存在していたそうですが、無人のお堂で無指定の文化財は管理もままならず、盗難の被害に遭い、平成23年5月に役行者像のみの所在が確認され、それも真贋のほどは疑わしいところがあるようですが、現在、県立博物館に保管されていると聞いています。

 各地のこうした無人の社寺、お堂では、今までたくさんの仏像類などの文化財が盗難されていることと推察されます。私も先日、行者堂を訪れた際、お堂の障子の破れたすき間から中をのぞかせていただきましたが、金の刺しゅうが施された大きな赤い布がつるされているくらいで殺風景な状況でした。

 盗難された仏像などの文化財は、恐らく地域住民の精神的支柱ともいうべき信仰の対象だったでしょうし、地域の歴史と文化を示すものであります。本県における無人の寺社建物内にある無指定の文化財の保護や文化財の指定について、地域住民の皆様とも協力の上、詳細な調査を進めていただいて、前向きな御検討をいただきたいと要望させていただきます。

 2点目に、葛城二十八宿は修験最古の道であり、役行者が大峰山を開山する以前、そして、熊野修験以前に開いたものとされています。県観光振興課の課員の皆様も和歌山県側の葛城修験の道をくまなく歩かれたと伺っていますが、関係府県市町村とお互いの理解と連携を一層深めていただいて、この歴史の道を、古くからの山岳信仰の道をさらに磨いて、修験者だけでなく、健脚の人なら進んで歩きたくなるよう、道しるべや注意事項等も必要最小限敷設いただいて、県内外、そして国内外の人々が訪れたくなる歴史ストーリーの糸をさらに紡いでいっていただきたいと思いますが、商工観光労働部長、いかがですか。

○議長(岸本 健君) 商工観光労働部長稲本英介君。

  〔稲本英介君、登壇〕

○商工観光労働部長(稲本英介君) 葛城二十八宿は、和歌山、大阪、奈良の3府県境にまたがる約100キロメートル以上にも及ぶ山岳修行の道であることから、その活用に当たっては関係する自治体の協力が不可欠です。

 このたび選定された歴史の道を含む当該地域については、本県が事務局となり、3府県19市町村から成る協議体を組織し、修験と地域の人々とのかかわりをストーリーとした日本遺産認定を目指しています。構成自治体に対しては、28カ所の経塚に加え、役行者ゆかりの寺社や修験者が修行を行う滝や地域の祭りなど、関連資産の掘り起こしを依頼し、人々が訪れたくなるストーリーの充実に努めています。

 今年度は、こうした取り組みを進めながら、日本遺産認定に向け注力するとともに、今後は周遊ルートの構築についても関係自治体とさらに協議を進めてまいります。

○議長(岸本 健君) 長坂隆司君。

  〔長坂隆司君、登壇〕

○長坂隆司君 おっしゃるとおり、周遊ルートの構築という点では、大阪側は随分前から取り組まれている気がします。歩いていて本当に親切だなと思わせる道しるべやルート案内が整備されている気がします。トレッキングやハイキング客に随分配慮しているようです。

 しかしながら、歴史や文化面、そして精神面の充足を得られる自然の恵みについては、決して大阪に引けをとらない和歌山県であります。日本遺産認定はもちろんのこと、その先も葛城修験の道を和歌山県発の地域資源として大切にしていって、さらなる価値を見出す御尽力をいただきたいと要望させていただきます。

 5点目、高校国語の改革についてであります。

 2022年度から高校の新学習指導要領の国語の選択科目に、今までの現代文が論説文や評論文、広報文、企画書などを教材とする論理国語と、明治時代以降の小説、詩歌、随筆などが教材の文学国語に分かれて選択科目となるということであります。

 現在の高校では、1年生で必修科目の国語総合を学び、2~3年生で選択科目の現代文と古典を履修します。今回、新指導要領で論理国語と文学国語の選択ということになって、例えば、論理国語を選択すると、近現代の明治時代以降の文学作品や小説を読まない高校生が一段とふえるのではないかと憂慮するものです。

 確かに、先日12月3日に2018年のOECDの国際学習到達度調査(PISA)の結果が出て、読解力が8位から15位に順位を落とすなど、読解力が低下したと言われるような状況が最近出てきていますが、そこで論理国語なるものを別に設けたのではないかと推測されるわけですが、そんな事象だけで日本語教育のかなめである現代文国語を論理国語と文学国語に分けて済むような単純な問題にしてしまっていいのでしょうか。

 小説のような文学作品でも、情緒的なものだけでなく、論理的な読み方や考え方は求められると思いますし、評論文などでも情緒的なニュアンスは感じることがありますし、筆者がその文章を書くに至った背景などを想像するとき、文学的な読み方も求められるのではないでしょうか。

 国語という科目は大切な日本語教育の礎と言えるものであるのに、論理と文学をそんなに簡単に線引きしてしまって、高校時代から学生の学びの幅を狭めてしまってよいのでしょうか。難解な論説文を読解するだけでなく、文学作品の文章の中にある情緒的なもの、豊かな美しい表現力というものを読み解くおもしろさも経験する機会を逸するとなると、高校生の読書離れに一層拍車がかかってしまうのではないでしょうか。

 社会に出て、外国人にも日本の文学作品のよさをどんどん語りかけ、日本を、日本人の感性をさらにアピールしていかなければならないそういう時代に、論理と文学を分けてしまうような教育はいかがなものかと思います。教育長の御所見をお伺いいたします。

○議長(岸本 健君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 現行の現代文という科目から論理国語と文学国語という二つの科目に分かれるということにつきまして、感性を豊かにし、論理的な思考力を育成するためには、文学的な文章や論理的な文章など、さまざまな文章に触れることが重要であると考えております。

 今回の高等学校学習指導要領では、実社会で扱う文章を適切に読む力の育成等が強く求められていることから、論理的な文章や実用的な文章などを扱う選択科目の論理国語等が新たに設定されました。

 科目構成としては、現代国語と言語文化が必修科目とされ、それぞれ論理的な文章や文学的な文章などを教材として扱うこととしており、教材のバランス等も考慮されております。さらに、論理国語や文学国語は、それらの学びを一層深めることができるよう選択科目として設定されました。

 論理国語と文学国語の両方を学ぶなど、国語科の他の選択科目もうまく活用して、本県生徒の国語力をバランスよく育成してまいりたいと考えております。

○議長(岸本 健君) 長坂隆司君。

  〔長坂隆司君、登壇〕

○長坂隆司君 日本語は、日本人として死ぬまで使います。その意味で現代国語については、高校時代には特に偏りなく学んでいかなければなりません。しかし、大学受験を意識する高校2年くらいになって、どうしても2者のうち1者の選択を考えていかなければならなくなると、選ばなかった科目の学習はおろそかになってしまいます。

 私は、あえて論理と文学には分ける必要は全くないと思いますが、最悪、その事態でスタートするならば、バランスのとれた、それこそ総合的な国語力が身につくよう県教育委員会の御配慮、御指導をどうかよろしくお願いいたします。

 6点目です。学校図書館について。

 学校司書は、学校の図書館で子供が本を探すのを手伝ったり授業に必要な本を選んだりする職員であります。しかるに、平成24年度の文部科学省調査で、和歌山県は全国唯一、公立小中学校の学校司書数はゼロでした。現在はようやく24市町で配置されるようになったと聞いていますが、配置された自治体でも全小中学校を網羅しているわけではありません。

 平成26年6月27日には学校図書館法が改正され、学校は「司書教諭のほか、学校図書館の運営の改善及び向上を図り、児童又は生徒及び教員による学校図書館の利用の一層の促進に資するため、専ら学校図書館の職務に従事する職員『学校司書』を置くよう努めなければならない」とあります。やはり法律の趣旨からしても、県下全校に1人は学校司書が配置されてしかるべきだと思います。

 そこで質問ですが、まず、学校図書館そのものの趣旨ということで、学校図書館と学校司書の役割について教育長にお伺いします。

○議長(岸本 健君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 学校図書館は、子供の想像力や豊かな心を育む場であるとともに、新たな知識や情報を主体的に活用したり、調べ学習などの自発的な学習活動を実現したりする重要な役割を担っております。また、学校司書は、子供の読書意欲を高めるため、本の紹介や読書環境を整えるとともに、教員の教材準備に関するサポートや資料相談の対応など、学校図書館の充実を図る大切な役割も担っています。

○議長(岸本 健君) 長坂隆司君。

  〔長坂隆司君、登壇〕

○長坂隆司君 他府県の中には、民間派遣会社に学校司書の派遣を依頼する自治体もあらわれているという驚くべき事実を聞かされておりますが、民間の指定管理者の一企業社員が学校図書館へ配置された場合の学校教育への関与について懸念を抱かざるを得ません。

 学校図書館の運営及び学校司書のあり方について、教育長の御見解を聞かせてください。

○議長(岸本 健君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 学校図書館の運営につきましては、各学校の設置者である市町村の判断において行われるものと考えております。全国的に見ると、学校図書館を支援する方策として、公共図書館からの職員の派遣や民間業者に業務委託を行っている事例もあると承知しております。

 学校司書につきましては、平成26年、学校図書館法改正により、配置することが努力義務となりました。したがいまして、学校司書につきましては、学校の設置者が雇用する職員であると認識しております。

○議長(岸本 健君) 長坂隆司君。

  〔長坂隆司君、登壇〕

○長坂隆司君 和歌山市立図書館が民間の指定管理者のもと、令和2年4月にグランドオープンされますが、あわせて学校図書館についても、その民間指定管理者が社員を学校に派遣、運営すると伺っています。

 そもそも学校図書館長は学校長であり、学校司書はそれぞれの学校の教諭や児童生徒と直接話し合い、学校図書館運営にかかわることができることが求められるはずです。学校図書館は、教育という聖域の中の現場であって、結局は営利業者である民間の指定管理者制度の導入はあってはならないと考えます。

 県教育委員会におかれましては、各市町村教育委員会に、文科省の方針のとおり、学校図書館には各市町村教育委員会が選任した学校司書を全校に1人ずつ配置するよう呼びかけていただいて、学校という教育現場において民間の営利業者に図書業務を左右されることなく、各学校に配置された学校司書の采配で児童生徒に図書館の本や資料を授業に使って調べ学習をさせたり、読書好きな子供を育成して、それこそ諸外国に負けない読解力を身につけさせる、そして教員のサポートにも資するよう選書、蔵書の充実も図っていただきたい。まして、学校図書館を鍵がかかったままの状態にすることのないよう要望させていただきます。

 これで、一般質問を終了させていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(岸本 健君) 以上で、長坂隆司君の質問が終了いたしました。

 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。

 この際、暫時休憩いたします。

  午前11時42分休憩

 

  午後1時0分再開

○議長(岸本 健君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 9番北山慎一君。

  〔北山慎一君、登壇〕(拍手)

○北山慎一君 皆さん、改めまして、こんにちは。私は、岩出市より選出をいただいております北山です。

 4月の初当選後、伝統あるこの和歌山県議会で令和元年最後となる12月定例会におきまして、一般質問最終日に初登壇させていただけるという大きな舞台を御用意いただきました先輩・同僚議員に深く感謝申し上げますとともに、大変光栄に思います。それと同時に、大変緊張もしております。しかし、この初登壇の気持ちを忘れず、今後もしっかりと務めてまいりたいと思いますので、何とぞよろしくお願いいたします。

 また、何分初めての一般質問となりますので、大変お聞き苦しい点もあると思いますが、寛大なお心で受けとめていただければ幸いです。

 それでは、議長のお許しもいただきましたので、通告に従い一般質問を行いたいと思います。

 まずは、本県の競技力向上についてお尋ねいたします。

 本年9月20日から11月2日まで、ラグビーワールドカップ2019日本大会が、世界の各地を代表する20チームが出場し、アジアで初めて開催されました。日本代表が初のベスト8という快進撃を果たし、南アフリカの優勝で1カ月余り繰り広げられました熱戦の幕は閉じました。

 倒されても倒されても起き上がり、パスをつないで一丸となりゴールを目指していく、日本代表のそんな姿に多くの人が心を打たれ、感動しました。「ONE TEAM」という言葉が2019流行語大賞にも選ばれるほど日本中が大いに盛り上がったことは、皆様方の記憶にも新しいことと思いますが、来年、2020年7月、いよいよ東京オリンピックが、そして、8月にはパラリンピックが開催されます。

 現在からさかのぼること55年、1964年に日本で開催されました第18回オリンピック競技大会東京オリンピックを知らない私にとっては、今回の東京オリンピックは非常に楽しみにしている大会であり、また、自国開催とあって、国民の絶大なる応援という後押しを受け、日本の選手のメダル獲得が大いに期待できる大会でもあります。

 そのオリンピックや国際大会に出場する選手、アスリートのほとんどは、幼少期のころからしっかりとしたビジョンを持ち、周りのサポートも受けながら、たゆまぬ努力と厳しいトレーニングを重ね、時にはけがや故障とも闘い、それらを克服し、精神面、体力面、そして技術面を成長させ、成人するまで一歩一歩、一流アスリートとして階段を上がっていきます。

 そんな中、各競技いろいろありますが、近年、日本のトップアスリートは年々低年齢化をしてきているという声も聞こえてきております。実際、卓球や水泳、体操やフィギュアスケートといった競技の選手は、超早期から一貫した強化を行っている傾向があり、現在その競技のトップに位置する選手は10代の選手が多く含まれており、その中でも15歳や16歳という若さで世界レベルで活躍する選手も出てきています。

 幼少期のころから競技を始め、すばらしい指導者に恵まれ、最新の理論に基づきトレーニングを行い、技術や体幹の強化を図り、その能力はさらに開花、オリンピアンを初め、世界で活躍するトップアスリートを多数輩出している日本のスポーツの現状は非常に誇らしく思います。

 そのようなスポーツ界の流れがある中、本県では平成18年度からゴールデンキッズ発掘プロジェクト事業がスタートし、小学校3年生、4年生を対象にした県内のすぐれた素質を有する子供たちを選抜。1学年40名弱という人数で、いわゆるゴールデンエージと呼ばれる4年生から6年生までの3年間、発育段階に応じた育成プログラムを実施し、国際舞台で活躍できるアスリートの育成をされてきております。

 そこで、ことしで14年目となるゴールデンキッズ発掘プロジェクト事業のこれまでの取り組みと成果を教育長にお尋ねいたします。

○議長(岸本 健君) ただいまの北山慎一君の質問に対する答弁を求めます。

 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) ゴールデンキッズ発掘プロジェクトでは、身体能力にすぐれた4年生から6年生の各学年約40名の子供たちに対し、最新の理論に基づくトレーニングやチームスポーツに必須となるコミュニケーション能力を高めるプログラム、また、未体験の競技に親しむ競技体験プログラム等を実施しております。さらに、中学進学後も本人の能力や適性を見きわめた競技選択ができるよう助言や情報提供を行っているところです。

 これまでの修了生は373名に上っており、中学校や高等学校の全国大会で活躍するほか、国民体育大会や国際大会でも活躍する選手も出ています。今年度の実績としては、1期生、5期生、8期生の3名が国際大会に出場したことに加え、第46回全日本中学校陸上競技選手権大会の女子4×100メートルリレーで8期生がアンカーを務め、日本中学新記録を樹立いたしました。また、競技体験プログラムをきっかけにカヌーを始めた5期生が、カヌー女子高校日本代表として日本選手権大会カナディアンシングル200メートルで6位入賞を果たすなどの活躍もありました。

 今後とも、関係団体や各競技団体と連携し、育成プログラムの充実を図り、オリンピアンを初め多くのトップアスリートが誕生するよう努めてまいります。

○議長(岸本 健君) 北山慎一君。

  〔北山慎一君、登壇〕

○北山慎一君 御答弁ありがとうございました。

 先ほどの御答弁にありましたが、ことしで14年目となる本プロジェクトは373名が修了しており、その修了生の中から今年度は国際大会に3名が出場したことに加え、8期生の女子中学生が全日本中学校陸上競技大会で4×100メートルリレーでアンカーを務め、日本新記録を樹立。また、5期生の女子高校生がカヌー女子高校日本代表となり、カナディアンシングル200メートルで6位入賞を果たすなど、すばらしい結果が出ているとお聞きし、非常に喜ばしく思います。

 私は、このプロジェクトは大変すばらしい取り組みだと思っております。現に応募率が増加しているとも聞いており、各スポーツ関係団体と連携協力し、専門の講師や指導者による育成プログラムを取り入れ、さまざまな分野の専門プログラムを実施し、子供たちの育成に取り組んでいただいております。

 しかしながら、やはり課題もあります。ゴールデンキッズに認定され修了された子供さんを持つ保護者にお話を聞く機会があったのですが、我が子が数少ないゴールデンキッズに認定され、すばらしいプログラムを学べることは非常に光栄でありがたく感じているが、親の負担もかなり大きいのが実のところ大変だと、そうおっしゃっていました。

 その負担とは、ゴールデンキッズは県内各地から選抜されることとなるため、トレーニング会場を1カ所とは限定せず、紀北、紀中、紀南とバランスよく開催されます。基本、その開催会場までは保護者の方が送迎することになりますが、この開催場所が自分の住まいから遠方で行われるとき、移動にかなりの時間と費用を費やします。これがかなりの負担となっているそうです。

 そういったことも承知の上でゴールデンキッズに応募していると思いますが、かわいい我が子のためとはいえ、近年共働きの家庭がふえている背景もあり、仕事との調整や時間の調整、また、移動に伴う費用、交通費など、保護者の子供の送迎はかなりの負担になるようです。

 そこで、保護者の負担を軽減する措置として、私は、例えば紀北エリアのゴールデンキッズ発掘プロジェクト、紀南エリアのゴールデンキッズ発掘プロジェクトと2地区にエリア分けし、育成プログラムの開催場所もそのエリア内の会場で開催することや、育成プログラム開催時間の見直しや工夫、また、エリア分けをすることにより認定数もふえ、今現在よりも無限の可能性を秘めた子供たちが一人でも多くすばらしいプログラムを受講でき、指導されることになります。

 今後も、本プロジェクト事業からすぐれた素質の子供たちを発掘、育成、そして、世界で活躍できるトップアスリートを輩出していただけることを強く願い、この質問は終了したいと思います。

 続きまして、小項目(2)指導者の資質向上の取り組みについてお尋ねいたします。

 私は、小学2年生のころから野球を始め、中学、高校、大学と学生時代は、勉学はもちろんですが、並行して野球にも打ち込んでおりました。その野球をしていた学生時代は、よき思い出よりも、練習や日常的なマナーなど、非常に厳しく指導していただいた苦い思い出がより心に残っております。

 しかしながら、私が教わってきました指導者の方々は非常に優秀な方々ばかりで、特に高校時代にお世話になりました指導者の皆様は、今もなおおつき合いをさせていただいているほどです。野球の技術的なことを教えるのはもちろんのことですが、体幹の鍛え方や体のケアの仕方、またメンタル面など、選手との距離も近く、非常にコミュニケーション能力にたけ、個々に合わせ的確に細かく指導し、時にはよき理解者としてさまざまな相談にも乗って支えてくれる、人としましても本当に尊敬のできる指導者でありました。

 ですが、現実はそんな指導者ばかりではありません。ここ数年、部活動やクラブ活動での指導者や顧問による体罰問題やパワハラ問題がよく報道されるようになってきました。体罰により選手がけがをしたり、また、パワハラにより精神的に追い込まれ、鬱状態となり、やむなく退部したり、最悪の場合はみずから命を絶つことも。

 スポーツの世界では、特に学生時代までは指導者は絶対的な存在となることが多く、選手はその指示に従わなければ試合に使ってもらえない、大会に出場させてもらえないという思いが働き、逆らうことができなくなる上下の関係が築かれることが多くあります。その関係性が全てだめなのかというと、そうではないケースももちろんありますが、比較的よくない方向に向くことのほうが多い傾向です。

 競技によっては、同じ1年間を過ごすにしても、指導者は指導する何年かのうちの1年で、選手は毎年入れかわり、やり直しがききますが、学生の選手たちにとってはひとときも無駄にできない、取り返すことのできない大事な1年になります。そんな大事な1年を、指導力もない質の悪い指導者に左右されることは非常に残念に思います。

 そのような指導者は、スポーツの入り口のジュニア世代にも多く見られます。わかりやすく言えば、スポーツを始め出した子供たち、いわゆるピラミッドでいえば一番底辺の部分です。この部分はたくさんの種類のスポーツ競技があり、競技人口も一番多くなります。そのため、必然的に指導者もたくさん必要となってきます。

 基本、指導者はボランティアの人がほとんどですが、そこに落とし穴があり、指導者資格を持たない人や指導者講習を受けてない人、また、間違ったトレーニング方法や偏った指導をする人、それ以前に無意味にどなってみたり、気合いと根性で乗り切れると技術的な指導を全くしない人など、一番大事な時期であるゴールデンエージの世代にかかわる資質の高くない指導者が多い状況です。

 私も少年野球の指導者をしておりますが、自分はどのように子供たちに見られているのか非常に気になるところではありますが、県では指導者の資質向上のためにどのような取り組みをされているのか、教育長にお尋ねいたします。

○議長(岸本 健君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 指導者の資質向上につきましては、高度な指導方法を身につけるため、中央競技団体等の経験豊富な指導者を強化練習会に招いたり、全国の優秀な指導者のもとに派遣したりするなど、実際の指導場面から学ぶ研修を行っています。

 また、県内の多くの指導者を対象に、指導法を習得するなどを目的に、和歌山県スポーツ指導者研修会を年2回、和歌山国体を契機に始まったチーム和歌山コーチ塾を年4回開催しているところです。

 研修内容は、メンタルトレーニングや体幹トレーニング、女性アスリートへのサポートや選手のモチベーションの高め方など、身体的、精神的圧力による指導ではなく、科学的、理論的根拠に基づいた指導方法などとしております。

 特に、将来、本県の競技力を担うことになるジュニア選手の指導者の資質向上が極めて重要と考えますので、今後とも体育協会及び関係団体と連携し、一人でも多くの方が研修会に参加するよう積極的に情報提供に努めてまいります。

○議長(岸本 健君) 北山慎一君。

  〔北山慎一君、登壇〕

○北山慎一君 御答弁ありがとうございました。

 今後とも各関係団体としっかりと連携をとっていただき、競技をする選手たちに間違った指導がされないよう、講習会や研修会への参加の呼びかけ、そして、時代とともに変化や確立されていく最新の指導方法やトレーニング方法の情報提供をいち早く行えるネットワークをつくっていただき、県内のあらゆる競技、全ての世代のスポーツに携わる指導者の育成、資質の向上に力を入れていただけますことを強くお願いいたしまして、次の質問に移りたいと思います。

 続きまして、大項目の二つ目、第三次和歌山県健康増進計画中間見直しを踏まえた取り組みについての質問に移りたいと思います。

 本県では、全ての県民が生涯を通じて心身ともに健康で長生きするという理想の姿を実現するため、和歌山県健康増進計画が策定されました。そして、平成20年には関連する計画との整合を図るため、計画期間を2年延長し、第二次和歌山県健康増進計画に改定されました。

 その後、平成26年に第三次和歌山県健康増進計画が策定され、平成30年3月に中間見直しを行い、引き続き健康長寿日本一わかやまを目指し、1年8カ月余りが経過しました。

 中間見直しにおいて、本県の平均寿命、健康寿命ともに全国平均より短く低位に位置しています。また、男性の大腸がんや心疾患の死亡率も大きく増加しており、1日の野菜摂取量が少ない、成人の喫煙率の低下が鈍化している、糖尿病性腎症による年間新規透析導入患者数が増加しているなど、目標を達成できていない項目がまだまだ多くあるのが現状となっています。

 そして、これらの生活習慣病の早期発見や予防、また、がんの早期発見やがんにならないための予防に有効と考えられる特定健診、がん検診ともに本県の受診率は低く、全国でも低位にあります。

 各市町村は、それぞれ工夫し、受診率向上対策に取り組んでいますが、なかなか受診率が向上しない現状です。各市町村が行う検診だからと言ってしまえばそれまでですが、県全体の受診率を底上げするために県としてどのような取り組みを行っているのでしょうか、福祉保健部長にお尋ねいたします。

○議長(岸本 健君) 福祉保健部長宮本浩之君。

  〔宮本浩之君、登壇〕

○福祉保健部長(宮本浩之君) 県では、県民の健康増進、維持を図ることを目的に、平成26年に第三次和歌山県健康増進計画を策定し、平成30年3月に中間見直しを行い、健康長寿日本一わかやまを目指して、運動、食生活、喫煙対策など、総合的な施策に取り組んでいるところです。

 健康長寿を実現するためには、議員御指摘のとおり、生活習慣病やがんにかからないための予防とあわせて、早期発見、早期治療につながる特定健診やがん検診の受診率向上が重要です。

 特定健診の受診率向上について、県では、市町村に対し研修会などの機会を活用し、きめ細やかな受診勧奨や健康グッズの贈呈など、受診促進につながる効果的な取り組みを行うよう指導しております。

 また、特定健診未受診者の3割以上が医療機関で受療中であることに着目し、患者が特定健診未受診の場合には、当該医療機関の医師から受診を働きかけるよう、本年4月に県医師会を通じて要請したところです。

 次に、がん検診の受診率向上については、市町村に対し、個別受診勧奨を推進するため、案内文の印刷や郵送に係る経費の補助を行うとともに、受診案内や啓発イベントに活用するためのわかりやすい啓発資料を作成するなど、より効果的な受診を勧奨する取り組みを支援しています。

 さらに、事業所に対しては、わかやま健康推進事業所の認定要件の一つに、従業員のがん検診の受診を促す取り組みを設定しているところです。

 加えて、がん検診が効果的なものとなるよう、専門の医師を交えた会議を開催し、市町村に対し、検診方法の改善に関する指導を行うなど、質の向上にも取り組んでいます。

 しかしながら、受診率は着実に向上しているものの、特定健診及びがん検診の受診率はなお全国平均を下回っていることから、今後、受診対象者の行動心理に着目した新たな受診勧奨方法の活用を検討するなど、さらなる受診率の向上を図ってまいります。

○議長(岸本 健君) 北山慎一君。

  〔北山慎一君、登壇〕

○北山慎一君 ありがとうございました。

 受診率向上に関する質問は、これまでも先輩議員もたくさんされてきたと思いますが、それでもなお、なかなか受診率向上に至っていないのが現状です。県民の健康増進、維持を図るためにも、地道に受診案内や啓発活動を継続していくことが非常に大事になってくると思いますので、引き続き徹底した取り組みをお願いいたします。

 続きまして、小項目の二つ目の健康づくり運動ポイント事業について質問したいと思います。

 この事業に関しましては、浦口議員の専売特許であり、私が質問するのは大変恐縮いたしますが、私も健康を意識する一県民ですので、何とぞお許しいただきたいと思います。

 先ほど第三次和歌山県健康増進計画中間見直しが行われたことに触れましたが、そんな中、和歌山県民は運動しない、歩かない県民であることがわかりました。二十から64歳の1日30分の運動を1週間に2日以上行っている人の割合が、男性19.4%、女性15.2%、また、二十から64歳の1日の歩数の平均値は男性6430歩、女性5940歩と、県が目標としている1日8000歩を大きく下回っております。

 適度な運動が健康につながるということから、県では2017年、平成29年度新規事業として、健康づくり運動ポイント事業を開始しました。それから約2年余りがたち、現在の登録者数は、登録目標人数8万人と掲げてはおりますが、約7000人となっているのが現状です。

 登録者数をふやすためには、事業の中身を見詰め直すことももちろん必要だと私も思いますが、そもそもこの健康づくり運動ポイント事業が一体県民のどのくらいの方に知っていただいているのであろう、また、この言葉自体を聞いたことがあるのだろうか、私はそこを知りたいという思いに駆られ、地元岩出で身近な方々に直接健康づくり運動ポイント事業を知っているかどうか聞いてみました。

 スポーツに携わっている方や医療に携わっている方、健康な高齢者の方々など、約50人を対象にお聞きしましたが、知っていると答えた人は、残念ながら誰もいませんでした。たまたま私の周りの人だけ知らなかったのかもしれませんが、そんな状況でも1人や2人くらいは知っていてもおかしくはないと思います。

 そこで思うのですが、登録者数がふえない、ふえないと頭を抱えるより、まずは周知を徹底すべきではないのでしょうか、福祉保健部長にお尋ねいたします。

○議長(岸本 健君) 福祉保健部長。

  〔宮本浩之君、登壇〕

○福祉保健部長(宮本浩之君) 健康づくり運動ポイント事業については、これまで「県民の友」などの広報媒体やイベントで広く周知を行うとともに、企業のイメージアップにつながるよう、ポイント事業への参加をわかやま健康推進事業所の認定要件の一つに設定し、事業所に働きかけているほか、自治会に対する周知や健康推進員などによるフェース・ツー・フェースでの勧誘などを行ってきたところです。

 しかしながら、議員御指摘のとおり、現在の登録状況からすると県民への周知はさらに必要と認識しており、今年度から献血していただいた方に個別にチラシを配布し、周知に努めているほか、わかやま健康推進事業所について認定要件のハードルを下げ、どの事業所においてもポイント事業に参加しやすいよう見直しを行ったところです。

 今後、さらに多くの県民にこの事業を認知していただくためには、市町村等と連携した周知や事業所への働きかけを強化するとともに、県民がもっと健康に関心を持つような仕掛けが必要であると考え、現在、毎日のウオーキングなどでたまったポイントと引きかえに、日常生活で活用できるような特典が受けられる仕組みづくりを検討しているところです。

 県としましては、引き続き県民に身近な市町村や関係機関との連携を図りながら、ポイント事業の参加者がふえるよう取り組んでまいります。

○議長(岸本 健君) 北山慎一君。

  〔北山慎一君、登壇〕

○北山慎一君 御答弁ありがとうございました。

 歩くという点に目をつけ、年齢を問わず誰もが気軽に始められるウオーキングを健康づくりの一つとして生かしていくことは、非常にすばらしいことだと私は思います。

 より多くの県民に知っていただくためにも、さらに周知を徹底していただくことが大切で、答弁にあったように、フェース・ツー・フェースとなる市町村や事業所、保健所などの県民に身近なところで、日ごろからしっかりと周知を行っていくことが重要ですので、十分な周知が行えるような取り組みや体制の充実をお願いするとともに、大阪府が行っている健康アプリ「アスマイル」なども注視しながら、ポイント事業の中身も見詰め直し、その結果、登録者数が増加し、和歌山県が健康長寿日本一に少しでも近づける事業となりますことを御期待申し上げまして、次の質問に移りたいと思います。

 続きまして、大項目の三つ目、小中学校の登下校時における安全、防犯対策についてお尋ねいたします。

 昨今、時代の流れとともに子供たちを取り巻く環境は大きく変わってきております。そんな中、全国的に通学中や下校中、児童生徒に関するさまざまな事件、事故が発生しております。地域での見守り活動をするなど、防犯対策は各地域でしておりますが、未来ある子供たちの安全・安心を今後も継続して築いていかなければならないことは必須であり、通学時、下校時の地域の防犯対策はもちろんのことですが、子供を預かる学校としても防犯対策の強化は必要と思われます。

 そこで、今回は学校の防犯対策の現状について、教育長にお尋ねいたします。

○議長(岸本 健君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 学校の防犯対策としましては、これまで学校、警察、市町村教育委員会等が連携し、不審者情報を共有するための連絡体制の整備や、防犯対策の観点での通学路の安全点検を行ってまいりました。

 また、地域ボランティアの方々とも一体となって、通学路セーフティネットの日や、きのくに子ども見守り強化の日を中心に、子供の見守り活動を行っています。

 さらに、県内全ての学校で緊急時の対応マニュアルを整備するとともに、各学校の実情に応じて、出入り口の限定、来訪者の確認、校門にインターホンや防犯カメラ等を設置するなどの安全管理面での対策を行っています。

 今後も、こうした取り組みを充実してまいります。

○議長(岸本 健君) 北山慎一君。

  〔北山慎一君、登壇〕

○北山慎一君 御答弁ありがとうございました。

 各関係機関で連携して防犯対策に取り組んでいただいておりますことは、非常に心強く思います。

 そこで、次の小項目になるのですが、少し的を絞った質問をさせていただきます。

 先ほどの御答弁の中で、学校では緊急時の対応マニュアルの整備や出入り口の限定、来訪者の確認、校門にインターホンや防犯カメラ等を設置するなど、安全管理面での対策を行っているとありましたが、県内の小中学校における防犯カメラの設置状況と防犯カメラの設置に対する県教育委員会のお考えをお聞かせください。教育長、よろしくお願いいたします。

○議長(岸本 健君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 県内小中学校の防犯カメラの設置状況は、小学校では234校中117校で50%、中学校では118校中48校で41%となっております。また、近年、登下校時の事件や事故が発生する中、子供の安全を確保するため、駅や通学路などに防犯カメラ等の設置が進められています。

 議員御質問の学校における防犯カメラの設置につきましては、学校の出入り口に設置することで学校への不審者の侵入や接近を防ぐことになることなど、有効な防犯手段の一つであると考えておりますので、各市町村に働きかけてまいります。

○議長(岸本 健君) 北山慎一君。

  〔北山慎一君、登壇〕

○北山慎一君 ありがとうございました。

 御答弁にありましたが、現在、小中学校への防犯カメラの設置状況は、小学校で234校中117校、設置率50%、中学校では118校中48校、設置率41%ということです。小中学校とも約半数の学校が設置しておりますが、約半数は設置されておりません。

 私は、施設に防犯カメラというより、正門や裏門など、生徒が登下校時に通る出入り口に防犯カメラを設置してほしいと考えております。特に、一斉に下校する時間帯の校門付近では多くの生徒が行き交い、見守りされている先生や保護者、ボランティアの方々では全ての生徒に目が行き届かないおそれもあり、そういう状況下で犯罪が起こる可能性も出てきます。

 そのような状況下にこそ、防犯カメラがあることにより不審者の侵入や犯罪の抑止効果にもつながり、また、仮に事件が発生したときには犯人につながる情報や特徴が記録されているため、早期解決にもつながることから、子供たちの安全を守る有効な手段の一つとなると思います。

 「家政婦は見た」ではないですが、「カメラは見た」で犯罪を抑止し、防犯対策の一つのアイテムとして設置率が上がっていくよう各市町村へ県の働きかけをお願い申し上げまして、私の一般質問を終了させていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(岸本 健君) 以上で、北山慎一君の質問が終了いたしました。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 20番吉井和視君。

  〔吉井和視君、登壇〕(拍手)

○吉井和視君 12月議会の最後に登壇を許していただきました議員の皆さんに感謝を申し上げたいと思います。

 それでは、最初に部落差別の解消における県条例について質問をさせていただきます。

 明治維新により明治4年に解放令が出されたわけなんですけれども、それでそのときより政治的に、それはまた制度的に、賤民が日本国になくなったわけなんですけれども、それから150年たった今、途中、大正の時代に水平社運動もありまして、昭和40年、いわゆる地対法の前段の同和対策審議会の答申が出されて、答申の中で、部落差別は政治がつくった差別であり、政治の責任によって速やかに解決しなけりゃいけないと、そういうことになったわけなんですけども、それで特措法もできて、地区の環境は大分ようなったわけなんですけども、しかし、150年たった今も差別が厳然として残っておるわけなんです。

 私は、なぜ差別問題が現在も残っておるのかと、これ常々考えて、最近になって思うわけなんですけども、これは大多数の皆さんが、自分は差別される側に立っておらないという、そういう認識が差別行為になったり差別発言になったり、そういうときに起こるわけなんです。これを意識を改革するためには、そんな問題は起こらない、ないんだという意識を皆さんに感じ取ってもらえるためにはどうしたらええかということなんですけども、これはやっぱり教育ですね。

 学校現場では常々繰り返し教育して、社会の場においてでも社会教育の中で、差別行為は犯罪であるということ。犯罪ですね。犯罪というのは学生時代に習ったことがあるんですけども、社会の逸脱的な行為、これが犯罪なんですね。法学的な犯罪なんです。これは犯罪行為であるということを認識してもらうために教育をやらなければいけないと。これがいわゆる新法の、部落差別解消法の本当の原理原則なんです。

 それで、この法律が、まあ3年ほど前にできたわけなんです。明治の4年の解放令以来、初めて部落差別という法律ができたわけなんです。それで、できたけれども課題が多過ぎて解決できないと、そういうことで、私はこの6月議会に議場で知事に申し上げて、県条例をつくってくれと。

 法律があって、条例というのは法律を超えない条例ということで、各地域の課題に応じて、そしてまた、地域が多ければ多いほど、その地域の県の条例をつくって、これをなくすという検討をしなければいけないと、そういうことで質問をさせてもらいました。

 それで、私が思うのには、この部落差別をなくするためには、県も随分前から、実効性のある被害者を救済するような法律をつくってくれと、常々従来より国に申し上げてきたところであります。そして今も、現在も申し上げておるところであります。それで考えれば、規制の伴った県条例をつくるのは、私は当然ではないかと、そういうふうに思うわけであります。

 それで、人権・少子高齢化問題等対策特別委員会でことし11月に、この間ですけど、福岡県に行ってまいりました。福岡県は、この県条例ができたのは7~8年前にできたと思うんですけども、それまでにも当委員会が視察に行って勉強させてもらっておるわけなんですけども、再度、福岡県に学びたいと、そういうことで寄せてもらいました。

 福岡県は、この法律が3年前にできた後に、県条例を改正しております。県条例を改正して、いわゆる人生の一番転換期である、まず就職ですね。就職、そして結婚、そのときに差別行為があれば、個人的な申し入れに応じて知事がそれはやめなさいと、調査をやめなさいと、そういう事業者に対して、事業者が調査をするということになれば事業者にやめなさいと知事が勧告できると、そういう条例ができておるわけであります。これは何も法律を超えておるということにはならないと、そういうことをお聞きし、帰りました。

 そしてまた、一番懸念する事項でありますけれども、県条例というのはつくれば市町村との間に──地方分権一括法で県が条例をつくれば市町村が従うということにならないわけなんです。市町村と県は対等ですから、そういう県と市町村の関係はどうかということを尋ねたわけなんですけども、この条例をつくっても、市町村には情報を共有するけれども、市町村には直接協力関係はないと。各個人、県民とのやりとりでやるんだと。むしろ市町村が当初段階、知らないほうがいいという、そういう話がありました。

 それで、まず福岡県に学んできた県条例についての、私は知事の評価もお聞きしたいなと思うわけです。

 それで、1点目は県条例についての検討状況がどうなっておるのかということをお聞きして、2点目は福岡県の県条例について知事がどのように評価しておるのかと。

 3番目に、今後の──和歌山県というのはそういうふうに同和対策、あるいはまた同和研修、そういった同和施策については先進県であるという、その自負はされておったと思うんです。先進県であるわけなんです。そういう先進県の知事が、今後どのような対策、取り組みをするのかと、そういうことをお尋ねしたいなと、そんなに思います。

 以上で、1点目の質問を終わらせていただきます。積極的に取り組めば、全国的に先進県の取り組みに他府県も学ぶと思うわけなんです。そういうことで答弁をよろしくお願い申し上げます。

 1問目、終わらしてもらいます。

○議長(岸本 健君) ただいまの吉井和視君の質問に対する答弁を求めます。

 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 部落差別の解消に関する御質問でございますけれども、まず、部落差別の解消の推進に関する法律というのが最近できたというのは、大変なこの問題に関するエポックメーキングになるところだと思っております。

 この点につきましては、まさに御質問になりました吉井議員が提唱をされて、それで東京でシンポジウムが行われ、そこに自民党、公明党、民主党の幹部の方々もお見えになって、それでその盛り上がりをもとにしてできたというふうに私は認識しておりまして、大変和歌山県として誇りに思うところでございます。

 本県では、現在、差別事象への対応については、県と市町村が連携を図りながら、被害者に寄り添ったサポートや行為者に対する指導及び啓発を行っております。

 部落差別に対する規制や差別された場合の救済は、どこにでもある話ですから、全国的な課題でありまして、国が責任を持って対応すべきものであると考えますが、それぞれの地域で条例に基づき対応することも検討に値するということでございますので、吉井議員からの御提案もありまして、他府県の条例の制定状況やその内容、差別事象への対応等を調査し、本県の差別事象への対応方法等との比較検討を行ってまいりました。

 引き続き、調査内容等を精査し、部落差別解消のための効果的な方法について、詳細に検討を進めていく所存であります。

 次に、福岡県条例についてどうかというお話がありました。

 福岡県条例については、福岡県が同和問題を解決しようという思いから、福岡県議会において真摯に議論がなされ制定された条例であると思います。私も条文を読ましていただきましたけども、この問題について、いろいろと困難な対応を強いられる中で、精いっぱい最善のことをやろうという考えがよく見える、そういう内容だというふうに思います。

 本県では、この条例の内容も精査しながら、部落差別解消のために何が一番効果的なのかを検討しているところでありますが、何としても部落差別をなくさなければならないという熱意、思いは私も一緒でございまして、大いに共感するところであります。

 なお、差別事象が発生した場合、本県では、県及び市町村の職員が連携を図りつつ、直接、行為者に対して指導や啓発を行い、差別された方の思いや苦しみがどのように深刻であるかを正しく受けとめていただくようにするとともに、同和問題について正しく理解するよう、粘り強く取り組んでいるところでございます。

 3番目に、解決に向けた取り組み及び今後の取り組みということでございますが、まず本県では、基本的に、同和問題は人々の差別意識だけではなくて、同和地区住民の生活実態の低位性などにあらわれていたことから、かつて、昭和23年ですが、国に先駆けた独自施策として地方改善事業補助制度を創設し、基本的人権の尊重と同和問題の一日も早い解決を目指し、実体的差別と心理的差別の解消に努めてきたという歴史があります。

 法律ができたことで、今や差別はいけないことだという規範性は以前よりも高まったというふうに思います。そういう意味で同和問題は解決に向かっているとは思いますものの、個人を誹謗中傷する差別発言や、同和地区を避けようとする目的で同和地区の所在を調査したり行政機関へ問い合わせたりする事例が起きているほか、これをいわばビジネスとして行ってるような連中もいるというふうに認識しております。特にインターネット上に差別書き込みを行うなどのことはとても悪質なことだと思っておりますが、そういう事象も発生しております。

 部落差別の解消の推進に関する法律にも、情報化の進展に伴って部落差別に関する状況の変化が生じていることが明記されているということでもございます。したがって、法の趣旨に照らして、行政でやらなければならないことを和歌山県もやっぱり独自で考えようというふうに考えまして、今年度からインターネット上の人権侵害対策事業を実施し、差別的な書き込みのモニタリングを行い、プロバイダー等に削除要請を行うなど、差別の拡散や助長の防止に努めるとともに、県民に対してインターネットの正しい使い方について理解を深めるための講座を実施するなど、啓発にも取り組んでおります。

 今後とも、時宜に応じて必要な施策を展開し、全ての県民の人権が尊重される平和で明るい社会の創造を目指して、国及び市町村と連携し、県民、企業、団体との協働により、同和問題の解決に取り組んでいく所存であります。

○議長(岸本 健君) 吉井和視君。

  〔吉井和視君、登壇〕

○吉井和視君 知事には、前向きな答弁をいただきました。しかし、事業者に知事が勧告するというのは、知事が非常に強い決断でなければできないと、そういうふうに思います。個人にするわけではないですから、事業者がそういうふうな差別の行為を、身元調査するというようなことに関しては、県条例がなくても誰かが、県がやらなけりゃいけないことなんで、ひとつ積極的にやってもらいたいなと、そんなに思います。

 続いて質問さしていただきます。IRについて質問をさしていただきます。

 今、どこの地方へ行っても、どこの地域へ行ってでも、観光振興、観光で一生懸命御飯を食べようと。和歌山県も観光立県ということで議員条例をつくって、観光を一生懸命やろうと、観光収入を高めるためにやろうということで、決意でやっております。

 知事も、観光を一生懸命やらなけりゃいけないということで、選挙前にIRを和歌山へ誘致しようということで選挙も戦い、圧倒的な強さで当選をしてもらいました。

 それで、IRを考えるときに、今の状況からすれば、和歌山県も何となく国の誘致に成功するんではないかと、そういう段階に入ってきたなあと、そういうふうに思います。かつて、和歌山選出の国会議員に尋ねたときに──これは二階さんじゃないですよ、ほかの国会議員に尋ねたときに、「和歌山はIR無理ですよ」と、こういう話をしておった国会議員がおって、最近その国会議員に「どうですか」と、そういうふうに尋ねたら、「和歌山県は有望になってきたな」と。答えも変わってくるほどその状況がよくなってきたように思うわけなんです。

 それで、知事は、IR事業を展開して、この議会でも和歌山のGDPが低いという話をしておったわけなんですけども、起死回生の和歌山の観光振興策としてIRを考えておるということでありますけれども、いっそやるなら、世界の観光都市和歌山というふうに言われるように、そして日本の内外に、非常にびっくりするようなIRをつくってもらいたいなと、そんなに思うわけであります。

 まず、知事に聞きたいことは、知事は和歌山のIRはどのようなビジョンを持ってつくりたいのかと。県のIRの姿というものは、そういう事業者に、どういうふうに共有をしようとしておるのか。この点について、まずお尋ねしたいなと思います。

○議長(岸本 健君) 分割なんで、続けて。

○吉井和視君 続けて。はい。

 この点と、それから続いて、IRを成功させるためには相当な苦労もあるわけなんです。それで、もし誘致に成功して和歌山にIRができたとすれば、これはやっぱり、観光というのはどの道、こんな言い方は悪いですけども、富裕層と言われるお金を持ってる人に和歌山に来てもらわなければいけないと、そういうふうに思うわけなんです。富裕層ばっかりターゲットにしておる観光というのは余り思わしくないと思うわけなんですけども、ひとつ必然的にIRができたら富裕層に和歌山に来てもらわなけりゃいけない。

 そこで、和歌山のIRがラスベガスとかマカオとかフィリピンとか、そういうIRと競争をしなければいけないと思います。門さんがこの間言ってましたけど、世界に通じるIRをつくってくれということを言っておりましたけれども、そのとおりだと思うんです。顧客から選ばれるような、富裕層から選ばれるようなIRを和歌山につくらなきゃいけないと。

 それにはどうするかということなんですけども、私が思うのに、IRだけではなくて、きょうも藤山議員が和歌浦観光って言っておりましたけども、万葉の和歌浦を──この間通ってみたら、まあ廃墟になっておりますね。ホテルの残骸が残っておったり、かつての和歌浦の姿がないような気がするわけなんですけども、この和歌浦のいわゆる整備計画も含んで。そして、富裕層というのはIRへ来てゴルフもしたいとか、そういうことになるわけなんですね。ゴルフ場もIR業者につくってもらうような、そういうお願いもしなきゃいけないなと、そういうふうに思うわけなんです。そういう総合的な観光をできるようなIRをつくっていかなけりゃならないと思うんで、知事のそういう思いを、見解をお聞きしたいなと、そんなに思います。

 そして最後に、IRが和歌山に来てもらえるような、三つのうちに入るために、やっぱりほんまに国会議員に精力的に誘致活動をしてもらわなければいけないなと。知事も、やっぱり国会議員に、和歌山にぜひともIRが欲しいということを熱情を込めて言って、それから議員も一生懸命頑張って、一丸となってオール和歌山でやっていかなけりゃいけないと。

 そういうことで今後の取り組み、知事の手腕に期待したいわけなんですけども、取り組みをお尋ねいたします。

○議長(岸本 健君) 知事。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 国が整備を目指す日本型IRは、これまでにないスケールやクオリティーの国際会議場や宿泊施設、家族で楽しめるエンターテインメント施設等が一体となって整備される複合観光施設でありまして、民間事業者の活力と創意工夫を生かし、国際競争力の高い魅力ある滞在型観光モデルを確立することを通じて、日本を観光先進国へ引き上げることが期待されておるということになっております。

 先般、ちょっと前になりますが、プロモーションとあわせてシンガポールへ行ってまいりまして、二つIRがありますので、改めて見学をしてまいりました。

 片方は前も行ったことがあるんですが、片方は実は初めてでありまして、両方ともカジノ部分ももちろんありますが、いろいろおもしろいものがたくさんありまして、マリーナベイサンズのほうはどちらかというとショッピングなどで市民の方が物すごい楽しんでおられるし、もう一つのほうは水族館とか、それからレジャー施設とかそんなのがいっぱいあって、それでこれも大変多くの方でにぎわってると。

 大体、聞いてみたら、にぎわってる人の多くの人が実はシンガポール市民で、それでカジノに来ておられる人はだんだん減ってきて、ほとんど中国の方を中心とするような外国の方というふうになっとるというようなことでございました。特に、だんだんと定着してまいりますと、ホテル施設を利用したり、そういうことで、何といいますか、幅広い観光客の人がここを中心としていろんな活動をするようになってるというところが一番いいところだなあというふうに思いました。

 これまで本県は、マリンスポーツとか海洋レジャーが満喫できるほか、高野山、熊野古道、温泉、美しい海岸線、おいしい食べ物、そういう魅力ある観光資源が豊富にあるということから、これらを背景としたリゾート型のIR、これは言葉として同意義反復になりますが、要するにレジャー型、リゾート型、そういう観光型のIRを目指して、そのビジョンを和歌山県IR基本構想において明確に示してきたところでございます。したがって、こういうのをつくりたいということであります。

 そういうところではどういうふうになるかというと、魅力的な観光資源を持つ和歌山の強みを生かした県内周遊の促進のみならず、日本の伝統、文化、芸術を生かしたコンテンツなどを導入しまして、和歌山IRという大きなホテルなどのある施設をゲートウエーとして、外国人観光客を、あるときはまずそこに集めて、そして近隣の観光地あるいは周辺のまち、あるいはちょっと遠いところの観光地にも、あるいは全国にもそこから回ってもらうようなところにしたいし、また、全国にお越しになったお客さんが、最後かどうか知りませんが、その旅程の一つとして和歌山のIRに行ってちょっと楽しもうと、こういうふうになってもらったらいいなあというふうに思ってるわけでございます。

 したがって、近隣の地域、近隣といっても本当に近い、御指摘のありましたような和歌浦とか海南とか、そういうようなところのまちの中にあるいろんな食べ物屋とか、そういうところも含めた連携も大事だと思いますし、ちょっと離れて高野山とか熊野古道とかそういうところ、あるいは和歌山の海とか温泉とかそういうことも大事だし、もうちょっと離れると京都とか奈良とか神戸とか、あるいはもっと離れて富士山とか日本アルプスとか、そういうようなところに出かけていくと、和歌山IRを根拠にして出かけていくというのもなかなかいいIRになっていくんじゃないかなあというふうに思います。

 また、当然、MICE施設等々において、あんまりかけ事と関係ない人たちがたくさん見えますので、これは京阪神地方の方、それから和歌山の方、こういう人たちがたくさん集まってきて、それで、ここ和歌山は少し強みがあるのは京阪神というバックグラウンドがありますので、大きなイベントをやったときは割と来てくれやすいということなんです。そういう意味では、そういうことを熱心に推進してもらうようなコンテンツをどんどんつくっていったらいいんじゃないかなあというふうに思います。

 カジノで遊びたいという人も、外国人などいらっしゃると思いますが、そういう方でもかけ事だけをしてというのは、世界的に見てほとんど考えられません。したがって、残りの時間に何かをして遊ぶという、あるいは楽しむ、そういうことを当然考えていくということになりますので、そういうほうの受け皿づくりなんかも熱心にやっていかないといけないということだというふうに思っております。

 そういうIRをつくり、そして、そういうIRが栄えるという図式にしたいわけですが、何といっても三つのうちに入らないといけません。国によって認定をされないと、これはもうそこでとまってしまうということになるわけです。

 したがって、こういうビジョンを踏まえて、国としての日本型IRに求められてる効果を確実に発現できるような能力を有する事業者を選定して、それで、その事業者とともに次はすぐれた区域整備計画をつくり上げ、当然、合格水準に達するだけじゃなくて三つのうちに入るというふうにして、それで区域認定をいただくということがこれからの仕事だというふうに思います。

 ただ、和歌山県は、ほかの面でもそうでございますが、手続その他は物すごく透明で、デュープロセスを踏んできっちりやっていくということでございまして、よそでささやかれてるように、あそこはもう決まってんじゃないかとか、そういうことは一切ありません。そういうことをきちっとやることがまた大事なことで、仮にそういう手続がおかしいんじゃないかとか、不祥事が起こってるんじゃないかとか、そういうようなことが仮に言われ始めると和歌山のIRの認定にも少し曇りが出るので、そういう点についてもみんなで気をつけてやっていかなきゃいけないということだろうというふうに考えております。

○議長(岸本 健君) 吉井和視君。

  〔吉井和視君、登壇〕

○吉井和視君 IR、和歌山県が1番に選ばれるように念願をしております。

 引き続き、世界農業遺産、日本農業遺産、これに関連してお尋ねします。

 世界農業遺産が、独自性のある伝統的な農林水産業システムということで国連が認定するわけなんですけども、みなべ・田辺の梅システムが5年前に認定されました。これ、和歌山県一丸となって認定をしてもらったんですけども、特に坂本議員、あるいはまた地元の議員がこの認定について努力されたということは本当に評価させていただきたいなと、そんなに思います。

 それで、これに認定されなかった、いわゆる日本遺産というものがあるわけなんですね。世界遺産までいかない日本農業遺産というのがあって、去年も下津蔵出しみかんシステム、そしてまた高野山・有田川流域の農林業システムというのが申請をして、下津町の蔵出しみかんが認定されたわけなんです。

 それで、有田川・高野山の流域の農林業システムをことしも認定してもらえるように再度申請するということを聞いておりますけれども、見通しと、今後どのようにしてやれば認定されるかと、そういうことについてお尋ねしたいと思います。

 もう一つ、もっと和歌山にはほかの日本遺産に認定されるような地域、そういったものがないかということを考えたときに、最近になって有田みかんの産地の生産者の皆さんが、有田みかんも伝統的な、そしてまた独自性のある、そういうミカンの産地であると。

 ミカンの産地、全国に何カ所もあるわけなんですけども、有田みかんほどミカン園地が集約されて──蜂蜜でもそうですよ。養蜂業者も言ってるわけなんですけども、有田の養蜂業者ぐらい、純粋なミカンの蜂蜜を採取してる蜂蜜は日本全国で有田だけやと、このように言っておるわけなんです。そのくらい蜂も、よその蜜吸いに行かんとミカンばっかり吸うような、ならしておるということを言うたら悪いですけども、そういう蜂蜜が全国一の香りの高い、ミカンの香りのする蜂蜜をつくっておるわけなんです。

 そういうことで、伝統もあり独自性もあり、日本遺産として有田みかんが認定されれば、もちろん生産者にも誇りができてくるし、ブランド力も高まってくるし、いいことばかりだと思うんで、このことを考えていただきたいと思うわけなんです。

 ところで、湯浅に「最初の一滴」というしょうゆの日本遺産があります。広川町には「百世の安堵」ということで、濱口梧陵の関連した日本遺産があるわけなんです。有田川町にないわけなんです、有田郡のうちに。有田川町がミカン、あるいはまた高野・有田流域システムの日本遺産があれば、有田地方は有田市も含め日本遺産の地域に、有田ということになるわけなんです。そういうことを売り出して観光振興の一助としたいなと、そんなに思いますんで、取り組みのほうをよろしくお願い申し上げて、この点について農林水産部長の見解をお聞きしたいと思うわけです。

○議長(岸本 健君) 農林水産部長角谷博史君。

  〔角谷博史君、登壇〕

○農林水産部長(角谷博史君) 農業遺産に関する2点の御質問に一括してお答えをさせていただきたいと思います。

 まず、1点目の高野山・有田川流域の農林業システムについてですが、審査結果通知後に、かつらぎ町、高野町、有田川町の3町長から、現地域を維持したままシステムの再構築を行いたいとの意向を受けまして、高野山とのつながりの根拠や森林エリアの設定など、審査での指摘に対する再申請案を今作成しているところでございます。

 具体的には、コウヤマキやぶどう山椒といった特用林産物の生産や、あらぎ島など棚田の稲作などによる花園・清水地域と高野山とのつながりの根拠を再調査するとともに、高野六木の森や里山等のエリア設定を行い、現在、国際連合大学や地元有識者の意見も聞きながら、再構築を行っているところでございます。

 年内をめどに再申請案を作成し、令和2年に申請を行い、認定されますよう県議会の皆様の御指導をいただきながら、関係市町や団体の皆様と一緒になって頑張っていきたいというふうに考えてございます。

 次に、2点目の有田みかんに関する農業遺産認定申請についてでございますが、当地域のミカン栽培は400年を超える歴史がございまして、海沿いや川沿いなど、多様な地形、地質に適応し、ミカン栽培を日本で初めて産業化したことや、生産者が高い観察力に基づいて枝変わり探索により多様な品種が栽培されておりますこと、また、石積みの段々畑により良好な景観を形成していることを特徴とし、日本初の共同出荷組織「蜜柑方」から現在の多様な出荷形態へと続く先進的な生産・販売システムは、将来にわたり継承すべきものであると考えております。

 今後、関係市町やJA、生産者団体など、地元の方々との協議を行いまして、申請に向けた準備を進めてまいります。

○議長(岸本 健君) 吉井和視君。

  〔吉井和視君、登壇〕

○吉井和視君 有田地方の日本遺産認定の協力、よろしくお願いいたします。日本遺産に認定されれば、物語性がふえて観光振興のためにも非常にいいと思いますんで、よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。(拍手)

○議長(岸本 健君) 以上で、吉井和視君の質問が終了いたしました。

 お諮りいたします。質疑及び一般質問を終結することに御異議ございませんか。

  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(岸本 健君) 御異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問を終結いたします。

 次に日程第4、議案の付託について申し上げます。

 お手元に配付しております議案付託表のとおり、議案第174号から議案第204号までは所管の常任委員会に付託いたします。

 お諮りいたします。12月16日及び17日は常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。

  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(岸本 健君) 御異議なしと認めます。よって、12月16日及び17日は休会とすることに決定いたしました。

 次会は、12月18日定刻より会議を開きます。

 本日は、これをもって散会いたします。

  午後2時19分散会

このページの先頭へ