令和元年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


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令和元年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号

議事日程 第4号

 令和元年12月12日(木曜日)

 午前10時開議

 第1 議案第174号から議案第201号まで(質疑)

 第2 一般質問

 

会議に付した事件

 第1 議案第174号から議案第201号まで(質疑)

 第2 一般質問

 

出席議員(42人)

 1番 鈴木德久

 2番 山家敏宏

 3番 中本浩精

 4番 堀 龍雄

 5番 藤山将材

 6番 岸本 健

 7番 井出益弘

 8番 宇治田栄蔵

 9番 北山慎一

 10番 中西峰雄

 11番 秋月史成

 12番 森 礼子

 13番 濱口太史

 14番 尾崎要二

 15番 冨安民浩

 16番 川畑哲哉

 17番 玉木久登

 18番 鈴木太雄

 19番 岩田弘彦

 20番 吉井和視

 21番 谷 洋一

 22番 佐藤武治

 23番 岩井弘次

 24番 中 拓哉

 25番 多田純一

 26番 新島 雄

 27番 山下直也

 28番 中西 徹

 29番 玄素彰人

 30番 谷口和樹

 31番 藤本眞利子

 32番 浦口高典

 33番 山田正彦

 34番 坂本 登

 35番 林 隆一

 36番 楠本文郎

 37番 高田由一

 38番 杉山俊雄

 39番 片桐章浩

 40番 奥村規子

 41番 尾﨑太郎

 42番 長坂隆司

欠席議員(なし)

 

説明のため出席した者

 知事         仁坂吉伸

 副知事        下 宏

 知事室長       細川一也

 危機管理監      森田康友

 総務部長       田村一郎

 企画部長       田嶋久嗣

 環境生活部長     田中一寿

 福祉保健部長     宮本浩之

 商工観光労働部長   稲本英介

 農林水産部長     角谷博史

 県土整備部長     髙松 諭

 会計管理者      飯島孝志

 教育長        宮﨑 泉

 公安委員会委員    細江美則

 警察本部長      檜垣重臣

 人事委員会委員長   平田健正

 代表監査委員     保田栄一

 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫

 

職務のため出席した事務局職員

 事務局長       中川敦之

 次長         中谷政紀

 議事課長       松山 博

 議事課副課長     山田修平

 議事課議事班長    岸裏真延

 議事課主任      保田良春

 議事課主査      伊賀顕正

 議事課主事      浅田晃秀

 総務課長       井邊正人

 政策調査課長     中平 博

 

  午前10時0分開議

○議長(岸本 健君) これより本日の会議を開きます。

 日程第1、議案第174号から議案第201号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。

 16番川畑哲哉君。

  〔川畑哲哉君、登壇〕(拍手)

○川畑哲哉君 皆さん、おはようございます。

 「おもしろきこともなき世をおもしろく」、風雲のアジテーターと呼ばれました幕末の志士・高杉晋作の辞世の句とされる歌でございます。そして、その最期をみとりました女流歌人・野村望東尼が下の句をつけ加えています。「すみなすものは心なりけり」、つまり、自分の気持ちや考え方次第であると、そういうことではないでしょうか。

 高杉晋作は、幕府貿易視察団の一員として上海に渡り、港を埋め尽くす西洋の商船や要塞のようになっている商館、そして西洋人にこき使われる清国人の姿を見て、安易な開国は国を滅ぼすということで攘夷を志したと言われています。

 古今を問わず、現場を見て、現地の方から話を聞き、そして考えて行動に移すことが政治にかかわる者の基本であると心得ております。まさに、高杉晋作の生涯は、国のためという一心で活動し続けた生涯であったのではないでしょうか。私も、そのように和歌山県勢の発展のためという一心で活動をし続けてまいりたいと思います。

 申しおくれましたが、私、岩出市から選出をしていただいております川畑哲哉と申します。ただいま岸本健議長よりお許しをいただきましたので、以下、通告に従いまして、心を込めて一般質問をさせていただきます。

 まずは、中国山東省訪問についてでございます。

 10月14日から17日にかけて、岸本健議長を団長とした奉祝団を結成し、山東国際友好都市大会並びに和歌山県・山東省友好提携35周年記念祝賀会に出席すべく、中国は山東省を訪問してまいりました。

 14日の午後便で関西国際空港を出発し、中国山東省は済南遥墻国際空港へ到着したころには、すっかり夜模様となっていましたが、まちは静かながら物すごくきらびやかという印象を受けました。さきの周年に山東省を訪れた先輩議員から感想をお聞きしましたところ、数年の間に巨大なマンションや企業ビルが林立し、山東省の人口増や経済発展には目をみはるものがあるとのことでございます。

 山東省済南市は、およそ883万人を擁する大都市で、1億人超の山東省の省都でございます。山東省とは、両県省の友好関係を深めるべく、環境、経済・貿易、農業、文化・芸術・スポーツ、観光、人的交流の6項目について実質的な交流プロジェクトを展開してきています。

 山東省訪問2日目は、早朝7時15分にホテルを出立して、1987年に世界で初めて複合遺産として世界遺産に登録された泰山へ向かいました。

 泰山は、標高1545メートルの玉皇頂を主峰とする華北平原に壮大にそびえる中国道教の聖地でございます。秦の始皇帝が天子最高の儀礼である天地の祭りの封禅を行って後、漢の武帝、後漢の光武帝等が倣い、杜甫、李白等の文人墨客をいざなうなど、人々から崇敬されてきました。

 泰山の麓の紅門から岱頂の南天門までの石段は、約7000段にして全長9キロにも及ぶ壮大なものでございます。中天門から南天門までは全長約2キロのロープウエーも運行されており、多くの観光客が訪れています。

 私たち訪問団一行は、バスで中天門まで移動した後、ロープウエーに乗りました。「泰山に登って夢を念じると、必ずかなう」とアテンドスタッフから何度も言われましたが、なるほど、確かに登ってみますと、霊験あらたかにして集う大勢の皆様のあつい信仰心を感じます。

 どうやら「泰山に登ったことがある」と話すことで、山東省の方々とは一歩親しくなれるような気がしました。まさに、山東省が世界に誇る泰山には、友好提携する和歌山県の皆様にもぜひ訪れていただきたいと思います。

 また、泰山は、ユネスコ世界ジオパークにも泰山国家地質公園として認定されています。バスが走る道路の路面状態の悪さや多数の歩行者が比較的自由に歩いていることから、接触等の危険性が高いなどの問題も散見しますが、利便性も数種整えて海外からの観光客のニーズにも応えられる観光地となっており、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」と南紀熊野ジオパークを持つ本県にとりましても、観光資源を有効活用し、いかに誘客につなげていくかという点において、大変意義深い視察となりました。

 夕刻より、山東国際友好都市大会夕食会及び文芸演出が開かれました。世界各国から山東省や省内各市と御縁のある関係者が一堂に会する本大会は、圧巻のスケールで展開され、夜の文芸演出も、雑技など、とてつもない迫力でゲストを魅了していました。

 山東省訪問3日目は、怒濤の日程となりました。

 まず、午前9時より、33カ国113都市が参加する山東国際友好都市大会開幕式に出席いたしました。この大会は、山東省政府が海外との友好関係を構築して40周年を迎えることを記念するとともに、山東省を軸にした各国友好都市間のさまざまな分野での交流を一層推進するということを開催の目的としています。

 劉家義中国共産党山東省委員会書記より、山東省の景況説明と、3点、民間融合(理解し合おう)、情報・通信・学校・病院等への投資、友好都市も一帯一路の延長への呼びかけ及び理解を求める御挨拶をされました。本県からは仁坂知事が登壇され、大気汚染等の環境問題への技術協力や中国においても急速に進んでいる高齢化について積極的な交流を行っていくなど、山東省との35年にわたる友好提携の実績と今後の課題等について挨拶をされました。

 続いて、バスにて移動し、山東省人民代表大会を表敬訪問いたしました。于曉明山東省人大副主任と岸本健議長の会談前には、すばらしい庭を御案内いただきました。

 会談では、1984年に初めて和歌山県議会より山東省への和歌山県・山東省友好提携締結答礼団が組織された際に、岸本健議長のお父様、岸本光造元議長が訪問されたエピソードも御紹介されました。

 于副主任からは、山東省の概要や山東省における経済成長のスピード、エネルギー開発やインフラ整備への注力ぐあい等について御説明をいただき、さらに、両県省のこれまでの交流の成果が語られた後、今後も交流を維持し、交流レベルをさらに上げ、その上で山東省人大と和歌山県議会の交流をより深化させたいとの御要望をいただきました。

 于副主任の「春は花が咲き、秋は実をなす」というお言葉どおり、交流を維持する以上は、本県議会としましても、誠意を持って、より有意義な交流へと発展させていく必要があると私は考えます。

 会場へ戻り、岸本議長とともに、山東国際友好都市大会企業商談会開会式に出席いたしました。

 本県代表として、岸本議長が、1973年に日中友好和歌山県議会議員連盟を結成して以来、一貫して相互交流に努めてきたところであり、今後もより一層の交流に尽力していきたい旨の御挨拶をされました。

 平成17年から実施されています当該商談会には多岐にわたる分野の企業が参加されていますが、今回の商談会には本県から10社の企業が参加され、代表してデュプロ精工株式会社様が山東省とのゆかり等も含めた企業PRをされました。

 参加された企業は、いずれも卓越した技術と優秀な人材を持たれているすばらしい企業であり、関西空港と山東省済南空港間が約2時間半というアクセスのよさを強みとして、このたびの商談会を経て、今後、より高い成果へとつながることを御期待申し上げます。

 ちなみに、ガーナやナイジェリア、フィリピンの州知事など各代表が、自州のPRに始まり、中国企業への投資を熱心に呼びかけていらっしゃいました。

 中座して、バスにて山東博物館を訪問し、郭映雪山東博物館職員より、先史時代から明朝を中心に、館内を御丁寧に御案内いただきました。

 山東博物館は、中華人民共和国建国後に初めて設置された省級博物館として、1954年に開館したとのことです。歴史、自然、芸術等多分野にわたる収蔵品を保有する総合博物館であり、国家級文化財も多数収蔵しているそうです。建築面積は約8.3万平方メートル、展示ホールが1階から3階まであり、山東省の歴史文化はもちろん、アフリカ野生生物や考古成果展もあります。限られた時間では広い館内と多数の収蔵品を観覧し切れませんので、御興味おありの方には1日かけてじっくりと御観覧いただきたいと思います。

 なお、御説明は流暢な日本語でしていただき、時折、和歌山県事情にも精通している面が見られました。友好提携都市を訪れた際に、自分たちの故郷が知られていると、うれしいものでございます。本県におけるインバウンド対応としましても、多言語対応はもちろんですが、本県とゆかりのある地域を初めとした相手国の国や地域の事情を常に注視し、それらを反映させたおもてなしをしていくことにより、リピーターの増加やさらなる誘客につなげられるのではと感じました。

 その後、再び会場へ戻り、和歌山県・山東省友好提携35周年記念祝賀会に、本県から議員団、知事を初めとする行政団、高齢者施設団や文化交流団、企業団等、約160名に及ぶ和歌山県関係交流団として出席いたしました。

 この祝賀会では、山東省からも龔正省長を筆頭に、副省長、民生庁長ら政府要人のほか、多分野にわたる方々が多数参加され、まさに官民一体となった交流が行われるとともに、筆舌に尽くしがたいほど盛大に、友好提携35周年がお祝いされました。私も、同席させていただいた山東省関係の皆様と大いに意見交換をさせていただきました。

 訪問中、とにかく「文化交流のさらなる深化により、山東省を産業革新のプラットフォームに」という趣旨のメッセージを何度も受け取りました。文化レベルの向上は、その地域に住む人々の生活をより豊かにするものであり、その根幹は文化交流でございます。

 文化交流は、人と人が接触することにより発生するものであって、その意味から、異文化多様性のある都市間の姉妹友好提携は極めて意義があると思いますが、このたびの訪問では、そのあり方につきまして随分考える機会ともなりました。

 そこで、仁坂知事にお尋ねいたします。

 国際交流に関する方針や手法など、本県の国際戦略について、どのようなお考えをお持ちでしょうか。御答弁、どうぞよろしくお願い申し上げます。

○議長(岸本 健君) ただいまの川畑哲哉君の質問に対する答弁を求めます。

 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 2017年に策定いたしました和歌山県長期総合計画におきましては、目指す和歌山県の将来像として、「『世界とつながる 愛着ある元気な和歌山』~県民みんなが楽しく暮らすために~」と掲げております。

 現在、和歌山県では、地方政府を対象とした五つの友好提携と、交流分野を特定し、中央政府等を相手とした10の覚書を締結しております。国同士の友好関係のためには、友好都市同士の交流というのは大変な武器でございまして、それ自体として価値があるものでございます。

 しかし、実際に全国で起こっていることは、往々にして形式的なものとなりやすくて、相互訪問をして乾杯をするというようなものが多いもんですから、和歌山県ももうちょっと実質的な関係を取り結んで、県民の方々が実利があるようにしたいなあというふうに思いまして、就任して以降、実質的な交流となるように、だんだんと転換をしてきております。

 また、覚書を締結するに当たっては、相手方として実績的に国に匹敵するような大きさだなというようなものを除きまして地方政府はできるだけやめて、国もしくは国レベルの団体を対象としております。それは、例えば企業マッチングを考えますと、和歌山も日本の中の狭い部分でございますんで、相手も狭い部分だとなかなかマッチングの相手が見つからんと、すれ違ってばっかりで見つからんということになりますので、全体に顔がきくネットワークのある中央政府のほうがよかろうということを思ったというわけでございます。

 また、やはり当県は、国全体、日本国政府と違って、動員できる人的資源も少のうございます。やたらと、割と申し込まれることが多いんですけども、よっしゃよっしゃということで格好つけて数多くの地域と何らかの約束だけをしておりますと、後のメンテができないということになります。そうすると困るので、できるだけ厳選をさせてもらってるということでございます。

 最近の例によりますと、国内はもとより外交の面でも活躍されている二階先生が、ミッションなどを通じて外国といい関係をつくられて、いわば耕してくれていますので、そこへ和歌山県が後からそれをうまく利用して、具体的な成果を取り結ぶという例が結構多くなってきております。

 そうしてできた覚書締結先に対しては、まず私自身が率先的に動きまして、それを機に、県庁職員や民間交流団体の方々が積極的に果敢に攻めるということによって、その関係を深化させてるというのが現状であります。また、このことが県内の事業者にとっても、ビジネスチャンスの拡大につながるものと考えております。

 今後とも、こうした友好提携や覚書提携を通じまして、これまでに築いてきた人的ネットワークとか信頼関係とか、そういうものを基礎として、真に求められる分野において、交流の実利を創出してまいりたいと考えております。

○議長(岸本 健君) 川畑哲哉君。

  〔川畑哲哉君、登壇〕

○川畑哲哉君 よくわかりました。

 次の項目に入らせていただきます。

 訪問中に出席いたしました山東国際友好都市大会夕食会や和歌山県・山東省友好提携35周年記念祝賀会等でお会いした現地の方々に、「日本食の料理屋や和歌山県関係のお店が市内にどれくらい存在しますか」とお尋ねし続けましたが、「1店舗から2店舗ぐらいかな」とか、「よくわからない」とか、日本及び和歌山についての意識が低いような曖昧な答えが返ってくることもございました。私としましては、正確なデータを求めたわけではなくて、日本や和歌山に地元の方がどれくらいのなじみを持たれているか知りたかったわけですが、友好提携をして35年になる和歌山はもとより、日本についても余り親しみを持たれていないのではと不安になるひとときでもありました。

 一方で、例えば同じ中国でも大連市では、日本へのなじみを数字からも、まちの人からも感じます。そのことは、ことし8月に訪れた三菱UFJ銀行大連支店長もおっしゃっておられました。

 しかし、私は、これらのことだけをもって山東省との友好提携の意義が疑われるとは考えておりません。皆様も御存じのように、両県省は、1984年4月に友好提携を締結して以来、35年の長きにわたり、脈々と人と人とが歴史を紡いできたのでございます。

 1972年9月の日中国交正常化以来、両国の地方自治体間での友好提携締結機運が高まった際に、本県の記録によりますと、本県では、当時の大橋正雄知事が江蘇省との友好提携を申し入れる書簡を持って訪中され、続く仮谷志良知事も同省の中で特に蘇州との提携を望んでいるという書簡を持参して訪中されたとのことでございます。

 ところが、日中友好都市選定推進会議での決定を受けた1981年1月、仮谷知事は、県と山東省、和歌山市と済南市の友好提携を申し入れ、双方の協議が加速し、1983年1月14日の和歌山市、済南市の提携に続き、県と山東省の提携は、1984年4月18日に梁歩庭省長を団長とする訪問団6名を和歌山にお迎えして、県庁正庁にて行われました。

 提携先が変更した経緯につきまして、和歌山県日中友好協会の歴代会長でいらっしゃいます門三佐博元県議会議長にお尋ねしましたところ、山東省外事弁公室主任や済南市長を務められました徐天瑞氏と山崎利雄元県会議長との深い親交が大きく影響したと教えてくださいました。

 この提携以降、両県省は多分野での交流を図るようになり、1984年12月には和歌山下津港と青島港が友好港となり、1986年5月には県立医大と山東医大が友好校になっています。さらに、2007年11月には両県省の友好交流関係の発展に関する覚書、2009年12月には県商工観光労働部と山東省旅遊局の友好協力覚書への調印も行われています。

 1984年以来、10数回の訪中を重ねられ、両県省の友好関係発展に尽力された御功績により、山東省栄誉公民の称号を贈られていらっしゃる門三佐博元議長は、「行くたびに見違えるように発展していく山東省と和歌山県との友好関係をつくってきたのは人のつながりであり、今も両県省は人でつながっている」と話されています。

 和歌山県議会としましても、5周年ごとに議員により奉祝団を組織して訪中し、平成22年3月2日には、念願の関西国際空港と中国山東省の済南遥墻国際空港との間に山東航空の定期便が就航したことに伴い、当時の冨安議長初め議員3名が、副知事、県内企業とともに山東省を訪問されています。

 そのほかにも、本日に至るまで、機会を捉えては、時の議長や和歌山県日中友好議員連盟が中心となって交流を続けてまいりました。人がかわれども、それぞれそのときの両県省の代表がこの間に交わした名刺や会話の数、ともにした食事の数、そして何より、ともに過ごした時間の積み重ねにより、歴史を紡ぎ、情を育み、そして、たとえ国同士の関係が冷え込んでも、揺るぎない両県省の強固な友好関係を構築してきたわけでございます。

 和歌山県・山東省友好提携35周年記念祝賀会で同席した別の山東省の方は、以前、和歌山県でお勤めされたことがあるとのことで、先日も訪日の旨の御連絡をいただきました。次回お会いできる際には、ぜひ私の故郷、岩出市の名産・クロアワビタケの極上ステーキをごちそうしてさしあげたいと思います。

 先ほど、仁坂知事には、本県の国際戦略についてお答えいただきました。それでは、山東省と35年にわたる友好提携の成果及び実績についてはどのようなことが挙げられるでしょうか。山東国際友好都市大会でも御挨拶されていらっしゃいましたが、改めてこの場で知事の御答弁をよろしくお願い申し上げます。

○議長(岸本 健君) 知事。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 山東省とは、和歌山県初の海外との提携先として、1984年4月に友好提携を締結いたしました。2007年11月に和歌山県・山東省友好交流関係の発展に関する覚書を締結して以降、多方面で実質的な交流を実施しております。

 この間、あるいはこのもっと前からかもしれませんが、山東省にこだわらず、日中友好に多くの方々が関与され、そして努力されたわけでございまして、その方々の努力の結果が現在に至っとるということであろうかと思います。

 この間、大きな成果を上げている交流事例としては、最近実質的にいこうということを考えた一例でございますけれども、山東省から御要望がありまして、環境問題をやろうということになりました。これは、2007年、私が山東省を訪問したときに、基本の覚書に次ぐ具体的な覚書を結んだんですが、そのときに書いてあることであります。

 和歌山県は、この分野では一定の知見を有していたこともございます。なぜならば、和歌山県自体が高度成長期があり、そして、そのときには大気とか、あるいは水質とか、そういうものの悪化で苦しんだ時期もあるわけでございます。その後、そういうものを克服しようとしていろんな努力をして、それで企業の方も努力するけれども、政府のほうも規制をきちんとするとか、そういういろいろなノウハウがたまっております。そこで、これを成長著しい中国山東省に経験としてお語りすれば、山東省のことだから、きっとそれでいろんなことをやられるだろうと、こういう考え方でありました。

 そこで、2008年から2013年まで、大気汚染を中心に毎年テーマを決めて、技術者の派遣とか研修団の受け入れを実施いたしました。結構長く山東省に行ってもらったこともあります。その成果も相まったと私たちは確信しておりますが、PM2.5とか環境基準値が大いに改善をしております。最近訪問すると、空気の汚れが大分減ったような気がいたしました。

 青少年交流では、ここ数年、山東師範大学の学生約70名が来県しているほか、山東省の小中学生30名がきのくにロボットフェスティバル参加のために来県をしています。また、山東省を含めた中国からの訪日教育旅行者数も伸びております。

 人的交流では、これまで11名の若手職員を山東省に派遣して、語学を鍛えてもらいまして、帰国した職員は、その中国語を生かして関係部署で中国等との交流を担当しております。また、山東省からも、2017年からこれまで3名の職員を和歌山県庁に受け入れております。山東省から和歌山県に来られた職員については、もっとずっと前にはもう少したくさんいらっしゃったんですが、最近切れておりましたのが、また復活したということであります。

 こうした交流がきっかけとなって、山東省政府、和歌山県庁との間には、他の自治体とは一線を画した独自の人的ネットワーク、信頼関係があると認識というか自負をしているわけでございます。

○議長(岸本 健君) 川畑哲哉君。

  〔川畑哲哉君、登壇〕

○川畑哲哉君 よくわかりました。

 では、次の項目に入らせていただきます。

 于曉明山東省人大副主任からは、和歌山県議会との交流をさらに深めたいとの御提案がございました。私も強く賛同するところであり、中途半端な形だけの友好提携であれば、今後は県民の皆様からの御理解も得られにくくなってくると考えていますし、何より、諸先輩たちが脈々と積み重ねてこられました山東省との関係をより有意義なものにし、より活発化させて、県勢のさらなる発展につなげていく責務が今の私たちにはあると感じています。

 特に各産業における技能実習生受け入れを中心とした人材交流や県産品の山東省内への販路拡大などにおいて、私たち議員や議員連盟が担い得る職責は大きいものがあると思います。

 他方、県当局としては、今後、この山東省との友好提携をどのように展開させていくのでしょうか。マンパワーにまさるものはないとは私も常々感じているところでございますが、人口減少に苦しむ本県とは違い、圧倒的なマンパワーを有する山東省でございます。そこには、本県の県勢発展につながる、まだまだ大きな可能性が存在します。

 そして、今や、いわゆる人、物、金を備えつつある山東省に対し、本県には技術を持つ中小零細の企業、事業所があり、世界に誇る技術を持つという矜持がございます。とはいえ、人材を受け入れて技術提供を続けていますと、将来的にはただただ技術を流出させてしまったという結果を導きかねませんので、これまでに築いてきた信頼関係を基礎として、本県からも積極的に人、物、情報等をこれまで以上に発信していくことが必要ではないでしょうか。

 そこで、交流を深化させることで、両県省がともに発展していく関係を構築していくことが大切であるという観点からお尋ねいたします。

 山東省との友好提携における今後の取り組みについて、仁坂知事の御答弁をよろしくお願い申し上げます。

○議長(岸本 健君) 知事。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 議員御指摘のとおり、山東省は本県の発展につながる可能性を秘めているものと理解しております。何せ、中国の中ではほとんどの分野でベストスリーに入るような有力な省でございまして、現在、本県と山東省との間で幾つかの重点課題を確認しているところです。

 まず、これは山東省のほうからの御要望というか提案なんですが、山東省でも高齢化が急激に進んでおります。この問題をどうしようかというのが喫緊の課題になってるわけでございます。さきの訪問においても、このような高齢者・医療分野、これを山東省側の求めに応じ、大いに取り上げようということになりました。県内の高齢者施設を運用しているような方々にお願いをして、たくさん行っていただきました。

 そこで、その方々と中国側の関係者をもとにしてセミナーを開いたわけでございます。かなり大規模なものでございました。そこで私自身が日本の介護保険制度を解説いたしまして、それから竹中昭美県老人福祉施設協議会会長などから、「高齢者施設の運営について」というのをいろいろ御講演いただいたということであります。

 その後、具体的なマッチングというところまではいかないんですけども、具体的な個々の関係者同士のいろんな交流があったというふうに考えております。

 今後も、引き続き介護分野において、研修団、職員の受け入れ等の交流を深め、双方の高齢者が幸せになる取り組みを推進したいと考えております。

 次に有力な分野は観光分野でございまして、双方が有するすぐれた文化、歴史を知り、魅力的な観光資源として発信するために、旅行会社やマスコミを対象とした相互ファムトリップなど、双方向の観光プロモーションを実施していきたいと考えております。

 実は、山東省は、日本人の中ではあんまり有名ではないというところがまたおもしろいんですが、なかなかすぐれた観光資源を持っています。御指摘のあった泰山とか曲阜とか青島の古い町並みとか、あるいは済南も泉があちこちで湧くようなすばらしいまちであります。できるだけそういうことを我々も日本の中でPRをしてさしあげたらいいと思うし、それはまた山東省の方々が和歌山に来てくださるもとになるんじゃないかと、そんなふうに思っております。

 それから、青少年交流では、次世代を担うリーダーを育成するという観点から、教育旅行を初め、活発な交流の促進等に取り組んでまいりたいと思います。

 先ほど、こういうのがありますということを申し上げたんですが、特に双方向の修学旅行などを考えますと、他の地域に比べて少しおくれていた地域でございます。和歌山自身がちょっと十分だったかなという感じもあるし、それから、実は和歌山には中国から教育旅行、修学旅行で結構来てくださってるんですけど、意外と山東省は少ないというところもありまして、その辺を反省して拡大をしていきたいと思います。和歌山からも行っていただいたらいいんじゃないかと、そんな話をしたいと思います。

 それから、人的交流では、人材の養成ということで引き続き若手職員を派遣いたしまして、語学ができる職員をもっともっとどんどんふやしていきたいと思います。

 今後とも、和歌山県は山東省と互恵的、実質的な交流を進めることによりまして、県内事業者等による海外事業展開を後押ししていきたいと思います。こうした交流がより厚みのあるものとなるように、県議会におきましても活発な交流を進められることお願い申し上げたいと思います。

○議長(岸本 健君) 川畑哲哉君。

  〔川畑哲哉君、登壇〕

○川畑哲哉君 さらなる交流の深化に向けて御一緒に頑張ってまいりたいというふうに思います。

 それでは、次の大項目に入らせていただきます。

 去る12月2日、決算特別委員会のメンバーで県立こころの医療センターを視察いたしました。決算特別委員会での視察は近年では例を見ない希少な機会ではないかと思いますが、委員会中、メンバーより当センターに対する興味深げな質問や運営を心配する質問が多く出たこと及び実際に当センターを訪れたことのあるメンバーがほとんどいないことから、尾﨑太郎委員長の強靱な御意向により実現しました。

 森田院長初めスタッフの皆様より、アルコール、ギャンブル、ドラッグ等の各依存症患者への対応等、運営状況を御説明いただき、院内を御案内いただきました。初めて見る保護部屋にも衝撃を受けましたが、アルコール依存症に関して、家族が入院治療を求めても本人が入院治療を拒否する際には強制的な入院措置が難しいことや、不足がちなスタッフの実情、また、廊下の空きスペースに机や棚を置いただけの窮屈な看護師長室や現場感の薄い法律の規定など、緊迫感のある課題や悲痛な現場の空気が実感できました。

 特に当センターでは、入院患者の早期退院に向け、入院患者に対する精神科作業療法を積極的に実施しているものの、一部の患者については診療報酬上の基準を満たせず、診療報酬を得られていないことは、大きな違和感を覚えました。

 精神科作業療法による診療報酬の算定基準は、患者1人当たり1日2時間の作業療法実施時間を標準とすると規定されていますが、現実的には、なかなか2時間の参加が難しい患者も多く、患者の体力面や精神面の負担を考えると、時間を短縮して実施する場合が全体のおよそ40%にも上るそうです。

 心配しますのは、患者のために一生懸命頑張っても収入に結びつかないことによるスタッフのモチベーションと当センターの経営への影響でございます。患者を第一と心がけることは大切なことであると思いますが、結果、スタッフのモチベーションが維持されにくくなったり経営面に負の影響が出てしまったりしては、結局患者のためにもなりません。

 スタッフの1人の人間としての幸せの実現と仕事の両立が不安定になれば、今後の人材確保も困難になることが予想されますし、当センターでは国の方針にのっとり、早期退院を促進させて在宅生活支援への注力に移行していくとのことですので、医業収入の約90%を担う入院費の減少に伴い、当然経営面ではマイナスになります。

 決算特別委員会の中でも、「独立採算でやっていくことはなかなか厳しいと思う」という御答弁がなされていましたが、それでも当センターは県内では数少ない精神疾患の医療機関であり、経営の安定化を多少犠牲にしてでも患者のために遂行すべき業務が多くあるということを今回の視察で痛感いたしました。

 そこで、福祉保健部長にお尋ねいたします。

 このような課題を抱えながら、今後、当センターをどのように運営していくべきとお考えでしょうか。御答弁、よろしくお願い申し上げます。

○議長(岸本 健君) 福祉保健部長宮本浩之君。

  〔宮本浩之君、登壇〕

○福祉保健部長(宮本浩之君) 県立こころの医療センターは、24時間365日対応の精神科救急病院として、急性期医療を必要とする重症患者を含むあらゆる精神疾患の患者を受け入れております。

 当センターでは、入院患者が一日も早く住みなれた地域で自分らしい暮らしを送れるよう、早期退院、地域生活への移行に向けた治療を行っております。精神科作業療法もそうした治療の一つであり、急性期の患者に対しても入院の早い段階から積極的に実施していることから、診療報酬の標準の時間を満たさない場合があります。

 こうした取り組みの結果、当センターの入院患者は減少傾向にあるため、その対策として、今年度から入院病棟を再編し、経営の合理化を図るとともに、今後、精神科医療を充実させるための新たな取り組みにも着手しているところです。

 その取り組みとしては、病棟の再編に伴い、アルコール依存症患者への治療を充実させるための専用病床を新たに整備するほか、在宅に移行した患者が安心して療養できるよう、訪問看護の体制を強化しております。また、ギャンブル依存症や認知行動療法など、新たな医療ニーズにも対応できるよう、医療スタッフの育成も含めた体制の整備にも取り組んでいるところです。

 今後も、当センターは、精神科医療の中核病院として、県民に必要とされる質の高い医療提供できるよう努めてまいります。

○議長(岸本 健君) 川畑哲哉君。

  〔川畑哲哉君、登壇〕

○川畑哲哉君 県立こころの医療センターには、県内の精神科病院の中核として今後も県民のニーズに応えるべく、鋭意取り組んでいただきたいと思います。これより設置されるとお聞きしましたアルコール依存症専門病床のつくりにも患者目線の配慮が組み込まれますよう、県の御指導、御支援を望みます。

 また、精神科作業療法の診療報酬も、現場の実情に応じたきめ細やかな設定がなされるべきであり、診療報酬の算定基準が医療現場の実情に合っていないことを県もあらゆる機会を捉えて国に働きかけていただきますよう要望申し上げます。

 それでは、最後の項目に入らせていただきます。

 去る9月22日から23日にかけて、紀の川市の市役所南別館ホール田園をお借りして、私たちの有志のチーム「Tosaka Labo.」主催にて、避難所泊体験事業を開催させていただきました。

 この「Tosaka Labo.」を改めて御紹介させていただきますと、那賀地域の30代から40代青年経済人により、「小さくとも世界に誇れるプロジェクトを」を理念として、地域活性化のために活動しているチームです。過去には、御当地アイドル「ナガール」や県内初のアダルティーなレディースユニット「おとナガール」のプロデュースを初め、夏目漱石先生の御生誕150年にちなんで、夏目漱石先生がお好きであったであろうミルクセーキを「ミルク・ソーセキ」と名づけて行ったコンテスト事業「MS-1グランプリ」の開催、参加者のファッションコーディネートから、アベック成立の暁には初デートの段取りまでつかさどる「おせっかい過ぎる婚活事業」の敢行等で御存じいただいております。

 そんな「Tosaka Labo.」が満を持して企画運営をさせていただきました本年度入魂の事業が避難所泊体験事業でございまして、事業名は「共助大作戦」と銘打たせていただきました。名づけましたのは、もちろん不肖私でございます。

 すなわち、「自助・共助・公助」と声高に叫びますが、自助には限りがあり、公助は常に間に合うとは限りません。1人でも救える命を救うためには共助が極めて大切であると私は考えていますが、これまで共助キャリアを積む機会が潤沢にあったとは言えないと思います。

 そもそも私たちの周りには、生まれてこの方、避難所に避難した経験のある人が少なく、最初の3日間でストレスのピークがやってくると言われる避難所生活への備えが全くと言っていいほどできていません。避難の際に用意するグッズを机上の学として把握はできていても、そのストレス解消のために自分が必要とする物が、お気に入りの香りなのか音楽なのか、はたまた現金なのかなど、認識できていない場合がほとんどではないでしょうか。

 また、避難所生活を送る方々に対する慰問や激励のキャリアも乏しいと感じています。諸外国では、避難所にサーカスがやってきたり、地元の名店がブース出店をしたりして慰問、激励を行っているようです。加えて、世界に冠する技術大国の我が国において、昨今の避難所内の絵づらを思いますと、この令和の時代に、もっと衛生感があって、もっと快適感のある空間を構築できると考えます。

 そんな思いを込めて、まずは実際に避難所で宿泊する避難所泊体験をし、明くる朝には避難所周辺にブース出店が広がり、避難所前ではダンスや音楽などのステージ演出が繰り広げられるという事業を世に提案させていただくべく、共助大作戦を開催させていただきました。

 和歌山県、和歌山県議会、和歌山県教育委員会を初め、紀の川市、岩出市、両市教育委員会、各商工会、JA紀の里、FMはしもと等、多くの自治体、機関、団体より後援をいただき、また、自衛隊和歌山地方協力本部、岩出警察署、那賀消防組合等にも御協力をいただきました。

 当日は、台風接近による強風のため2日目の野外の慰問・激励事業は中止とさせていただきましたが、避難所泊体験事業は予定どおり開催をさせていただきました。

 まずは、アイスブレークを経て、赤十字奉仕団紀の川市地区委員会の御尽力をいただき、カレーの炊き出しによる夕食から事業がスタートしました。そして、静岡県が考案されました避難所運営ゲーム・HUGを紀の川市危機管理部の皆様主導によりワークショップ形式で展開し、あとは強化段ボールによる間仕切りやベッド作製を行って、初日は消灯とさせていただきました。

 2日目は、備蓄食による朝食からスタートし、フリータイムを経て、自衛隊、警察、消防、自治体の4者によるパネルディスカッションを行いました。コーディネーターは、もちろん不肖私でございます。

 主たる論点は、災害発災時における4者の職責のすみ分けでございます。災害が発生した際に、4者の職責がどう違うのかとか、どのように連携されているのかなど、意外に知られていない内容をそれぞれの立場からわかりやすく論じていただきました。

 以上が避難所泊体験事業の概要でございますが、肝となりましたのは、やはり避難所運営ゲーム・HUGでございます。

 このゲームは、模造紙に小学校などの避難所のレイアウトを描き、避難所にやってくるさまざまな人物をあらわしたカードをめくりながら、それぞれの人物をどのスペースに配置するかをチームで考えるという内容でございます。カードには、老若男女はもちろん、障害者や外国人観光客、ペットまで登場します。

 現実に、過去の避難事例では、ペットを伴って避難所に避難してこられて、「ペットは家族の一員だから一緒に寝る」と主張してやまない方もいらっしゃったそうです。

 ちなみに、私も夏終わりからハリネズミを飼っておりますが、このハリネズミという小動物は不思議な生き物でございまして、我が国で飼育が認められているハリネズミは、ヨツユビハリネズミという1種だそうです。前足の指は5本指、後ろ足の指は4本指という特徴がありまして、夜行性の雑食。気温が高くなりますと熱中症になり、気温が低くなると低体温症になって死に至るという、日本の自然の中ではなかなか生きられないということで飼育が認められているというようなお話も聞いてございます。名前はトリニティでございまして、三位一体ということなんですけれども、人間とハリネズミと自然と、健全に健やかに生活できるようにと、そういう意味があって名づけたわけではございませんが、名づけ親はもちろん不肖私でございます。

 ある急に冷たい風が吹くようになった夜、ハリネズミ、針がありますから、緊張したときに筋肉が固まると針がかたくなって、衣服を突き刺すぐらいのかたさになるんですね。なので、革手袋をしてさわるわけなんですけど、その革手袋をもってハリネズミを、トリニティをさわろうとしたときに、いつものような抵抗がないんですね。持ち上げると少し軽くて、体温も下がってるんですね。冷たくなっている。動かないんですね。

 これはまずいと思いまして、すぐに電気ストーブを出して温めたんです。夜間救急動物病院に電話をしまして、すると、「ハリネズミは扱ったことはありません」とか「ハリネズミの担当医、今晩いません」という中で、ある獣医さんが「電話で対応します」と言ってくださったんですね。深夜12時ごろだったと記憶をしておりますけれども、「まずは温めてください」ということで、電気ストーブをもう1台追加して温めました。毛布にくるまってですね。そして、「低血糖症になっているかもしれないので、ガムシロップを与えてください」ということでした。そして、3点目、「低酸素症になっているかもしれないので、酸素ボンベを用意してください」と言われました。

 さすがにそんなものは我が家にはございませんで、とにかく温めたんですね。温めること3時間、何と何とトリニティが動き出して、瞬間、コンビニへ走って、酸素ボンベは売っていないということだったので、ガムシロップだけを買って帰ってきて、小皿に移して、さっと差し出したんですね。すると、元気よくなめ出して、何事もなかったように、また動き出したんですね。その瞬間、心の底から感動をしました。

 それまで革手袋をしなければさわれなかったのに、それ以降は素手で持ち上げられるようになったんですね。つまり、それまでの飼い主とペットという関係から、死線をともに乗り越えた同志という関係になったんだと思うんです。世のペットをお飼いになられている方々、こういう思いを皆さんされてるのかと思うと、確かにこの方のように、ペットは家族の一員だから一緒に寝ると主張される方、気持ちはわからないでもないんです。私も共感いたします。

 しかし、とはいえその飼い主と、他人からしますと温度差もあるでしょうし、やはり動物アレルギーの方もいらっしゃると思うんです。そんな空間をスムーズに運営していくために事前のシミュレーションが大切であり、例えば各小学校単位くらいで幼少時より避難所運営シミュレーションになれ親しむことで、「和歌山の人や和歌山県で育った子供は避難所運営に強い」と呼ばれるようになることも期待されるのでは思います。

 また、熊本地震の際、直接死50名に対し、ことし3月時点での災害関連死220名という報告もされていますが、避難所運営キャリアを地域一丸となって積むことで、有事の際には災害関連死から1人でも多くの命を救うことにつながるでしょう。その意味で、この避難所運営ゲーム・HUGは極めて有効であると思います。

 ただし、このゲームは、静岡県の考案により、登場する地名や人名、絵柄は静岡県にゆかりのあるものとなっています。防災関連には本県も一家言あり、防災先進県として多くの他の自治体や団体から視察を受け入れているともお聞きをしております。そして、来年は、我らが和歌山県議会初代議長・濱口梧陵先生御生誕200年の記念の年でもございます。

 また、県民の皆様が、このゲームによりいそしむことで、登場する地名、人名、絵柄になじむことを考えますと、私は和歌山県のオリジナル版を作成するべきと考えますが、いかがでしょうか。本県における避難所運営ゲーム・HUGの活用状況とあわせて、危機管理監の御答弁をよろしくお願いいたします。

○議長(岸本 健君) 危機管理監森田康友君。

  〔森田康友君、登壇〕

○危機管理監(森田康友君) 避難所運営ゲームについてでございますが、県では、大規模災害時の避難所運営を円滑に行うための講座や研修を実施しており、議員から御紹介のありました避難所運営ゲームは、避難所で起こるさまざまな出来事への対応について模擬体験ができ、避難所運営を考えるための教材として有効であると考えていることから、講座等において活用しています。

 具体的には、避難所を運営する主体である市町村職員等を対象にした避難所運営リーダー養成講座や、地域の自主防災組織や企業等の方々を対象にした紀の国防災人づくり塾のカリキュラムの一つとして組み込んでいます。また、学校や地域の事業所等に出向いて実施する「出張!減災教室」の中でも、地震体験車、建物の耐震化や家具固定などの体験学習に加え、避難所運営ゲームもメニューの一つに取り入れているところでございます。

 一方、現在活用している避難所運営ゲームは、議員お話しのとおり静岡県が考案したもので、人名や地名等、本県になじみが薄いものもございます。

 本県では、避難所運営にかかわる取り組みとして、災害時緊急機動支援隊による情報収集ツールの開発や防災ナビによる避難所検索など、他府県にない独自の施策も行っていることや、避難所への物資供給の仕組みや長期停電時の対応など、これまでの災害対応で教訓としてきた運営方法についても、検討を重ねて確立してきております。

 これらのことから、県といたしましては、本県の実情に合い、誰もが気軽に参加でき、避難所の生活や運営について身をもって体験できる和歌山県オリジナルを開発する方向で検討してまいりたいと思います。

○議長(岸本 健君) 川畑哲哉君。

  〔川畑哲哉君、登壇〕

○川畑哲哉君 前向きなすばらしい御答弁、ありがとうございました。

 和歌山版オリジナル、楽しみにしています。和歌山の魅力はもちろんですし、最新の世相を反映させた中身にしていただきたいなあというふうに思います。

 そして、その登場人物には、やはり外国人材や障害者、老若男女はもちろんですけれども、ひきこもりの成人やLGBT、それから別姓の御夫婦、AI、ロボット、スペースティーチャーなどを盛り込んでいただければなあと。そして、ペットにはもちろんハリネズミを入れていただければありがたいなというふうに思います。

 いずれにしましても、私もしっかり引き続き県勢のさらなる発展のために取り組んでまいりますことをお誓い申し上げますとともに、来る年がすばらしい1年となりますことを心から祈念申し上げまして、私の記念となります人生10度目の一般質問を終了させていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(岸本 健君) 以上で、川畑哲哉君の質問が終了いたしました。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 30番谷口和樹君。

  〔谷口和樹君、登壇〕(拍手)

○谷口和樹君 おはようございます。改新クラブ、谷口和樹でございます。

 議長のお許しをいただきましたので、早速、質問に入らしていただきたいと思います。

 まず、その前に、関東周辺を襲いました台風19号の被害に遭われた皆様方に謹んでお悔やみとお見舞いを申し上げます。冠水した家屋や収穫前の農産物などを報道で目にする中で、紀伊半島大水害を思い起こしつつ、心が痛むところでございます。一日も早い復興・復旧をお祈り申し上げます。

 さて、知事初め当局の皆様方には、田辺市上秋津地区の崩落通行どめの対策について早期の対応をいただき、心より感謝申し上げます。今後も早期復旧に、くれぐれもよろしくお願いいたします。

 それでは、質問に入らしていただきます。

 まず一つ目、田辺・西牟婁の県立高校募集定員について質問させていただきます。

 10月25日に令和2年度の県立高等学校募集定員が発表され、全体で9クラスの減少で、そのうち7クラスが普通学科での減少であり、みなべ・田辺・西牟婁地方については、南部高校と田辺高校でそれぞれ普通科1クラスずつの減がありました。

 夏ごろにこの地域の中学校の進路動向を聞くと、ことしも圧倒的に普通科志向は強く、それに対して、ある専門学科は、3クラス120人定員に対して20人未満であったと聞いています。ちなみに、昨年、3クラス120人定員のところ50人未満の入学者であり、2クラス近い数の生徒が、今、在学していません。

 今回のように、専門学科で大きく欠員を生じている学校の定員をそのまま残し、普通科の募集定員を減らすことは、生徒の進みたい方向とずれているのではないでしょうか。幾ら教育委員会が総合的に考え、残したいとはいえ、前年度、2クラス分、空になっている専門学科を残し、行きたい中学生であふれる普通学科2クラスを削るのはおかしいのではないかと考えます。

 また、そのように定員が充足していない学科をそのままにしておくのは、前年までの入学実績やことしの動向から考えても、志望していた学科とは異なるところへ進学することになり、現在まで発生している不登校や中途退学者の問題と関連していると考えます。

 また、こうした生徒一人一人への支援には、現場の教員が多くのエネルギーを投入し、丁寧な対応に努められていると思いますが、そのことが教員の働き方への大きな負担や教育の質の低下につながる一面があるのではないでしょうか。

 そこで、お聞きをします。

 まず一つ、ことし、人のいない、欠員の多い専門学科2クラスを残して、普通科2クラスを削減したのはなぜか。

 もう一つは、学生の志望進路と県立高校の募集定員に数字的にも乖離がありますが、中学生の進みたい方向を教育委員会が進めたい方向に合わせていくということに、中学生に対してどのような思いを持っているか。

 もう一つ、中途退学の未然防止や中途退学者の支援に向けて、現場の教員を支える県教育委員会の取り組みについて。また、今から減らした普通学科と定員割れして志望動向の低い専門学科を再調整できないか。

 以上を含めて、欠員の多い専門学科2クラスを残して普通学科2クラスを削減したのはなぜか、教育長にお聞きをいたします。

○議長(岸本 健君) ただいまの谷口和樹君の質問に対する答弁を求めます。

 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 県立高等学校の募集定員につきましては、中学校卒業生徒数の推移、高等学校への入学状況、地域の状況及び学校長のビジョンなどを踏まえるとともに、地域からの要望をしんしゃくしながら、総合的な観点に立ち、慎重な検討を重ね、決定したものであります。今から募集定員を変更することは考えておりません。

 なお、田辺・西牟婁地方の全日制の募集定員につきましては、過去11年間で6学級以上に相当する生徒数が減少する中、4学級の減少にとどめてまいりました。うち1学級は平成29年の神島高校の普通科ですが、残りの3学級は平成21年の熊野高校の総合学科、平成27年の田辺工業高等学校の電気電子科、平成27年の神島高校の経営科学科です。

 こうした中、来年度につきましては、普通科と専門学科のバランスも考慮しながら総合的に判断し、先ほど申しました熊野高校、田辺工業高校、神島高校は学級数を維持します。これまで12年以上学級数を減らしていなかった田辺高校と田辺・西牟婁地方に隣接する南部高校の普通科を1学級ずつ減らすことといたしました。南部高校の食と農園科につきましては、今年度、実習棟がようやく完成したことや、来年3月に初めて卒業生を送り出すこと、また、今後、南部高校の柱として地域を担う人材育成と地域活性化に役立つと期待されることから、学級数を維持することとしました。

 中学生が志望する進学先として普通科志向が根強いことは募集定員を決定する上で配慮していますが、その一方で、本県の次代を担う人材育成の必要性から、職業教育を主とする専門学科の重要性も看過できないと考えます。

 また、募集定員につきましては、ここ数年、受験倍率が1倍を切るように穏やかに設定しています。「和歌山の子供は和歌山で育てる」という方針のもと、高校進学希望者を全て受け入れることができる募集定員にしています。多様な生徒が入学する中で、普通科での学習が向いている生徒ばかりでなく、職業教育を主とする専門学科において多く実践されている実習を中心とした学習で自身の能力を発揮する生徒もおり、多様なニーズに対応できるよう、専門学科を開設していくことは重要なことであると考えています。

 中学生には、ぜひ自分の将来についてしっかりと考え、普通科、専門学科、総合学科等の特徴を理解し、幅広い選択肢の中から自分にとって最適な進路を選択してほしいと願うとともに、中学校の進路指導にも期待をしたいと思います。

 また、中途退学者を出さないために、各高等学校では、独自に少人数クラスを設置するなど、一人一人の生徒が充実した高校生活を送れるよう、入学直後から、きめ細かな対応や支援など、粘り強い取り組みを進めています。

 県教育委員会といたしましては、このような各学校の取り組みを支援するため、教職員が専門家と連携しながら対応できる体制として、必要とする全ての県立学校へスクールカウンセラーを配置するとともに、福祉機関等と連携調整を行うスクールソーシャルワーカーの配置を今年度は12校に拡充しています。

 加えて、やむを得ず中途退学に至った生徒に対しても切れ目ない支援が行えるよう、各学校では、本人と学校とのつながりを大切にしながら、不安や悩みなどに関する相談があった場合には丁寧な相談対応に努めています。また、若者への総合相談や就労支援を担う若者サポートステーションWith Youと県立学校との連携を強化し、生徒本人のニーズや保護者の意向を確認しながら相談支援を進め、社会の担い手として活躍できるよう、一人一人に応じた支援につなげています。

 今後も、それぞれの高等学校の特徴や普通科と専門学科のバランスも考慮しながら、慎重かつ総合的な判断のもと、募集定員を決定してまいります。高等学校に進学した全ての生徒が、それぞれの未来に夢を持ち、意欲的に学習に励むことができるよう、高校教育の充実に努めてまいります。

○議長(岸本 健君) 谷口和樹君。

  〔谷口和樹君、登壇〕

○谷口和樹君 過去11年で、6学級のところを4でとどめてとありました。4年前、神島高校普通科を減らしたときに、近年ないくらい多くの生徒が涙をのみました。定員割れしていた別々の専門学科3学科を統合して、そのまま専門学科3クラスでスタートする傍ら志望数の多い神島高校普通科を削減した、そのときです。

 しかし、この専門学科は定員に満たず、その後、多くの中途退学者を生むことになります。昨年は3分の2の在学生、ことしは3分の1の在学生ということで、あいたままの状態で、来年こそは120人ということなんでしょうか。

 恐らく1年様子を見て来年減らされる、そういうことなんじゃないかなと思いますけども、しかし、何十年のスパンで働く皆さんと、受験生の人生を左右する1年というのは同じでしょうか。今からの変更は混乱を起こすからできないと、そういうことでしたけども、今からでも変更していただけたら今の混乱がおさまるんじゃないかと思います。受験生のために、ぜひ再考を要望します。

 また、先ほど答弁の中に「しっかり考えて」とありました。学歴重視のまだまだ色濃い和歌山の中で、現状、中途退学者にある選択肢というのは必ずしも多くはありません。実際、この3年間の中途退学者に、窓口はあっても、現実、どれだけの就職フォローができているのかと考えると、まず中途退学者を出さないクラス編制を実現するのが大切ではないでしょうか。今回の答弁をいただいた中で、しっかり考えるのはどちらでしょうか、このように強く感じています。

 もう一つ、現場の教員の皆さんはさぞかし御苦労されてるんじゃないかなと察しています。今回のクラス編制に、そういう現場の皆さんとの意識共有というのはしっかりされておられるんでしょうか、このことも少し考えています。

 もとに戻りますが、事前に受験生の意向調査もなしに、用意した「普通科を減らして、あいた専門学科をそのまま残す」という判断。結論から申し上げると、受験生の進みたい方向を曲げてしまうミスジャッジにつながっているんじゃないかなと思います。

 繰り返しますが、受験生の1年は大人の迎える当たり前の1年ではありませんので、ぜひ今からでも再考を要望いたします。

 続いて、二つ目の御質問に参ります。

 地域医療構想による病床数削減について。

 厚生労働省が、本年9月26日に、再編・統合が必要として424施設の公立・公的病院名を公表し、和歌山県下では五つの病院の名前が挙がり、利用者、住民や勤務する職員から不安の声が上がっています。

 公立・公的病院は、地域医療、とりわけ不採算とされる山間地、僻地への医療サービスなど、当県の医療提供体制の中心的な役割を果たしてきました。少子高齢化が進むと予測される中で、これまで公立病院が果たしてきた役割を民間病院だけが担うとは考えがたい上、今後も住民への医療サービス確保の観点から、公立・公的病院の果たすべき役割は大きいと考えます。

 病院の再編・統合は国の方針もありますが、設置者が地域の実情に沿った判断をすべきだと思いますが、知事のお考えをお聞きいたします。

○議長(岸本 健君) 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 団塊の世代が75歳以上となる2025年を見据え、医療費の膨張を抑える観点から、国は、平成26年、医療介護総合確保推進法を制定いたしました。

 同法の成立を受けまして、都道府県には、効率的で質の高い医療提供体制の構築に向け、2025年までに将来の病床数の必要量の達成をせよ、すなわち平たく言いますと、ベッド数を削減して患者をできるだけ在宅に行ってもらうようにせよということでございます。その在宅の方々の世話をちゃんとしないといけないので、してくださるようなかかりつけ医もしくはその代替的な方々のシステム、すなわち地域包括ケアシステムの構築を進めよと、こういう義務が法律で課されることになったわけでございます。

 鑑みますと、今まで企業家の感覚で、各病院がどんなふうにベッド数を決めて、どんなふうな診療科にしたらいいかということを考えておったわけですが、それを県知事が削減せよと。しかも、その有力な手段でありますところの診療報酬は国が握り締めたままということで、県としてはつらい立場に立たされているわけでございます。

 しかし、法律の命令でございますし、その根っこには医療費の高騰で国が滅びるかもしれないという問題がありますので、仕方がない、頑張ろうということで、県を挙げて取り組んでいるところです。

 そしたら、この間の知事選挙で対立候補が「仁坂知事が各地の病院のベッド数を切ろうとしている」と言われまして、何ということだというふうに思いました。このメカニズムがわかっていないか、わかっていて、わざと人をおとしめるために言っておるのか、メカニズムの勉強を全くしてないのでそう信じ込んでおられるのか、よくわかりませんけども、いずれにしても情けないことだなあというふうに思いました。

 この実現方法でございますが、都道府県では、2025年を目標年とする地域医療構想を策定いたしまして、各医療機関が機能分化と連携を図り、高度急性期、急性期、回復期、慢性期から在宅医療に至るまで、将来の医療需要に応じた医療提供体制が構築できるように協議を続けておるというわけでございます。

 協議というのは、具体的な手段としては、国が県全体のベッド数を示しまして、県が今度は医療圏ごとにベッド数を示します。ここまでは既に終わっておりますけれども、これをもとに和歌山県では、全ての病院と地元の医師会、市町村などの関係者で構成する地域医療構想調整会議を設置いたしまして、各病院が行うべき役割等について協議を行っているところでございます。

 もちろん県としても考え方は示しますが、各病院それぞれの事情がおありでしょうから、それを出し合って、まずは自分たちでどうすればこれが実現できるか話し合ってくださいというような状況にあります。

 この話し合いは、もちろんなかなか大変でございまして、現実には、具体的に個別病院の削減数を決めるというところには和歌山県も至っていないし、全国のほとんどのところもそうだと思います。

 そこで、厚生労働省はこの制度全体についての責任がありますので、全国の協議の進捗状況を調べたと思いますけれども、思ったほど議論が進んでいないということがわかったのだろうというふうに推測します。

 そこで、恐らくでございますが、動機までははっきり聞いておりませんが、明らかに推察されるのは、2025年までに余り時間もなく、多分、これはいかんのじゃないかと──現状ではですね──もっと急いでやらないといけないということで、各地の議論に刺激を与えることを目的として、削減が進んでおらんぞということと、削減が進めば経営が成り立たない病院が出るぞということで、それを分析して公表するという対応をとったんではないかというふうに考えております。

 しかしながら、一般に、こういった公表に際しては、対象となる病院とか関係自治体とか、和歌山県なんか一生懸命やっとるわけですから、そういうところに事前に、こういうことですからやりますよとか説明をするというのは割合よくあることでございます。私も行政をずっとやっていましたが、まともな行政庁はそういう点を考慮するものでございますが、今回は事前説明が全くないまま、いきなり新聞でみんな見て、びっくりしてしまったということでございます。

 また、ベッド数とかの削減、それから在宅医療の地域包括ケアシステムをつくるというところは法律で定めるところでございますけれども、そうなったときに、病院が再編や統合など、どういうふうにしてやっていくんだというのは、これは法律でも国でもなく、また県でもなく、設置者やそれを支える住民、市町村が考えるべきことでございます。国がそこまであれこれ言うのは、おせっかいというか勇み足いうところではないかというふうに思います。

 本県では、考えてみますと、特に公立や公的病院が地域医療の中心的な役割を果たしておりまして、各医療圏では地域の実情に応じて、災害とか救急とか僻地医療とか、そういう、場合によっては、あるいは多くの場合、不採算になる部門も担いながら、地域住民の安全・安心に大きく寄与してくださってるわけでございますから、今回の公表が結果的に病院関係者や自治体の長あるいは住民の不安を招くことになってるということは、これは遺憾なことだというふうに考えております。

 県としては、地域医療構想、これの実現は法律の定めるところですからしなきゃいけないんで、地域医療構想調整会議において、引き続き各医療機関が担う役割について丁寧な議論を行い、そして合意形成を図りながら進めていくわけですが、厚労省の勇み足には勇み足として冷静に対処して、適切な医療提供体制の構築に取り組んでいけばいいんだと、そういうふうに思っております。

○議長(岸本 健君) 谷口和樹君。

  〔谷口和樹君、登壇〕

○谷口和樹君 御答弁ありがとうございました。最初の選挙の話はちょっと余分やったん違うかなと思うんですけど。

 ニュースでちょっとお聞きする限りは、テンションも高くという割に少し厳し目のコメントなんかを読んでいたので、きょうの御答弁いただくと、大分オブラートに包まれて話をされているのかなと思います。

 しかしながら、言われてる趣旨はそういうことであると思うので、ぜひとも今後とも、現場といいますか、地域、地方の意見をぜひ一緒に考えて進んでいっていただけたらなと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 次の質問に入ります。

 三つ目、県指定管理施設のキャッシュレス化について質問します。

 県内のキャッシュレス化はすばらしい進捗を見せ、例えばPayPayの店舗数に対するキャッシュレス取り扱い店舗の割合は、全国的にも全国5番目にあるとお聞きをしています。

 そのような中で、さらなるキャッシュレス化の推進のために、和歌山県の指定管理された公共施設料金のキャッシュレス決済化について総務部長にお聞きします。

○議長(岸本 健君) 総務部長田村一郎君。

  〔田村一郎君、登壇〕

○総務部長(田村一郎君) 県では、現在、38施設において指定管理者制度を導入しておりますが、このうち施設利用者から利用料等をいただいておりますのは25施設で、うちキャッシュレス決済を既に導入しておりますのが2施設となっております。

 これら指定管理者制度導入施設につきましては、会館やスポーツ施設、船舶係留施設などさまざまな形態があり、施設利用者の支払い頻度や1回当たりの支払い金額が大きく異なっていること、また、利用者が団体中心か個人中心かの違いもありますことから、キャッシュレス決済の導入に当たって、適・不適が考えられるところでございます。

 一般論で申し上げますと、団体利用が多かったり、支払い頻度が少なく利用料金収入が少ないような施設につきましては、キャッシュレス決済になじまないというふうに考えられるところでございまして、実際、導入可能性があるところは限られてくるところでありますが、キャッシュレス決済の導入は、施設利用者の利便性の向上に資するということでございますので、各施設において、初期及び将来にわたってのコスト面も考慮しつつ、決済手段の多様化が図られるよう、検討を促してまいります。

○議長(岸本 健君) 谷口和樹君。

  〔谷口和樹君、登壇〕

○谷口和樹君 よろしくお願いします。

 四つ目の質問に入ります。南紀白浜空港への観光局移転についてお聞きをいたします。

 まず、南紀白浜空港では、4月から民営化が始まり、南紀エアポート株式会社による運営が始まっています。

 現在、定期便は東京・羽田便が1日3往復あり、旅客数は、18年度は16万人でしたが、今後は28年に25万人にという目標を立てられています。ロシア・ウラジオストク国際空港の運営会社と覚書を結び、今後はチャーター便を誘致しつつ、羽田便の増便を目指していくと聞いています。

 空港へのアクセスでは、4月には、串本町、那智勝浦町、新宮市を結ぶ高速バスの運行が始まり、大阪や京都、東京への高速バスも空港に乗り入れており、空港型地方創生を目標に進まれています。

 ITオフィスについてお話しします。

 第1オフィスは現在6社、第2オフィスは4社満室の中、3カ所目のITオフィスは、映画館経営や不動産の賃貸・販売を手がけるオーエス(大阪市)が白浜ワーカーズビレッジWHITEとして来年1月から着工し、綱不知に計7室の貸し室を設ける予定です。

 せんだって行われたロケット発射場起工式についてお話しします。

 16日、和歌山県串本町田原にて、日本初の民間小型ロケット発射場の起工式が行われ、事業主体のロケット会社・スペースワンは、小型衛星を地球周回軌道に打ち上げる商業宇宙輸送サービス事業を2021年夏完成に向けて進められるということです。

 串本町や隣接する那智勝浦町では、見物するための施設を整備検討予定と聞いています。紀南への観光客増加や雇用など、経済波及効果が大きく期待されています。あわせて、近年の「紀伊山地の霊場と参詣道」、高野・熊野世界遺産ほかの効果によるインバウンド増など、今後、紀南浮上のきっかけとなる可能性のある県の取り組みが実を結びつつあります。

 人口減少と経済縮小が進む南紀エリアの振興策として大きな期待がかかる県の取り組みの実効性や市町村との連携をより効果的かつ効率的に展開するために、観光局のダイレクトハンドリングを期待すべく、南紀白浜空港への移転を提言いたします。

 拠点を南紀に移しての直接指揮は、政策、事業のPDCAサイクルのスピードを速め、事業効果を高めるとともに、組織の時間的効率も高めます。時間的な効率や現場直結のダイレクトハンドリングがお客様満足度を向上させ、今後、国際的観光都市を目指していくと考えます、進んでいくと考えます。

 さらに、国の統計局の地方移転などの考え方と照らし合わせて、観光局を、特に空の玄関口でもあり、高速バスのハブでもある南紀白浜空港に移転してはどうかと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。

○議長(岸本 健君) 知事。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 国の機関の地方移転もいいことがあるわけでございますが、国の機能が落ちないようにしないと困るわけでございまして、落ちるようなものであれば余り実現しないというのが当然ではないかというふうに思います。

 実は、統計局を狙ったのも、これだったら和歌山へ来ても国の機能は落ちないなと、そういうふうに分析しておったから狙いに行ったんですが、全体はうまくいきませんでしたけれども、新しい分野ならやってあげようということで、和歌山に一部、統計利活用センターが来てくださったということになるわけです。

 ほかのこともそうで、県の部分についてもそうでございまして、観光局は、県内各地の魅力ある観光資源を活用した誘客プロジェクトを、国内のみならず海外にも観光局職員が直接出向いて、精力的にプロモーションをして支えております。

 こういった県内全体にあるプロジェクトを実施していくためには、県全体を見て、県庁の他部局との調整、連携とか、県外の方々と密接なコンタクトを続けていくようなことが全部必要でありまして、すなわち、観光局が孤立しておったらあかんわけであります。

 観光地の近くでないと観光の業務ができないというのは全くあり得ないことでございますが、議員の御意見も今後ともお伺いして、なるほどという点があれば、それをやったらああなる、これが不都合だというようなことも含めて、ちゃんと比較衡量いたしまして、それで考えていくべき議論かなというふうに思っております。

○議長(岸本 健君) 谷口和樹君。

  〔谷口和樹君、登壇〕

○谷口和樹君 ありがとうございます。

 羽田空港が来年以降、超大型ホテルやショッピングモール、エンターテインメント施設がオープン予定ということで、国際線のハブ空港化を目指して周辺整備が加速していると聞いています。便数もかなりふえるということで、羽田から南紀への路線というのもこれから充実が期待もされますし、利便性も上がるんじゃないかなと思います。

 新しい県の実績をお客様満足度の向上につなぐこと、国際的観光都市の実現をし、なおかつ人口減少と経済縮小の加速する紀南再生に向けての御提言ということで、御真摯な答弁をいただきました。ありがとうございます。今後とも、そういう提言というのもしながら、生かしていっていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 続きまして、五つ目の質問に参ります。近露平瀬線について、通行どめ復旧めどと拡幅改良の進捗についてお聞きをいたします。

 全面通行どめから3年の県道近露平瀬線の復旧めどについてお聞きをいたします。

 また、紀伊半島大水害被災時に、国道311号の災害代替道路として、近露、本宮、熊野川への唯一のライフラインとして活用された際、幅が狭隘な近露─平瀬間は4トン車以上の通行というのが制限され、ガソリンや生活物資を運搬するのに大変困難をきわめました。

 平成28年度の議会一般質問の際に、「10カ所のうち3カ所は事業予定、残り7カ所も順次進める」と御答弁をいただきましたが、現在の拡幅改良の進捗について、県土整備部長にお聞きをいたします。

○議長(岸本 健君) 県土整備部長髙松 諭君。

  〔髙松 諭君、登壇〕

○県土整備部長(髙松 諭君) 県道近露平瀬線の通行どめの復旧めどなどに関する御質問をいただきました。

 近露平瀬線の復旧状況につきましては、平成29年4月の豪雨によりまして斜面が崩壊し、通行どめとなりましたが、この箇所につきましては、平成30年11月に復旧工事は完成してございます。しかしながら、そのすぐ隣の近接する場所におきまして、平成30年6月の豪雨で新たに斜面が崩壊したことにより、現在もなお通行どめを行っているところでございます。

 平成30年6月の崩壊箇所につきましては復旧工事に着手いたしましたが、この斜面で平成31年3月にさらなる崩壊が発生し、斜面の岩盤に多数の亀裂があったこともあり、工法の検討に関し、国土交通省との協議を含め時間を要していたという状況でございます。

 復旧の時期についてでございますけれども、年内に工事を再開し、今年度末の通行どめ解除を目指し取り組んでまいりたいと、このように考えております。

 また、県道近露平瀬線の現道対策についてでございますけれども、10カ所を計画してございまして、特に狭隘な3カ所について事業着手し、これまでに測量設計を完了してございます。現在、この3カ所のうちの近露地区の1カ所において工事を進めておりまして、計画しております約340メートルに対し、昨年度までに約260メートル区間を完成してございます。

 引き続き、災害復旧工事と並行して順次整備していきたいと、このように考えております。

○議長(岸本 健君) 谷口和樹君。

  〔谷口和樹君、登壇〕

○谷口和樹君 もうかなりの年数がたってるので、ぜひともちょっと急いでいただけたらなと思います。やはり通勤であったりとか、使われてる方もおられますので、何とか早目に通らしていただくように、時間使うても結構ですし、そういう対策も重ねてお願いを申し上げて、次の質問に移ります。

 六つ目の質問です。IR外国人専用カジノとギャンブル依存症対策について質問します。

 一つは、ギャンブル依存症対策に係る費用と時間と手間、もう一つは、昨年の人口における自殺率ワーストワンなどの地域への影響などを考えると、当初は外国人専用カジノに規制すべきだと、それで始めるべきだと思いますが、知事の見解をお聞きいたします。

○議長(岸本 健君) 知事。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 世界を見ますと、外国人専用カジノもございます。割合多いのがホテルの中にあるカジノというようなもんでございますが、結構ございます。これも成功しているところがたくさんございまして、私は外国人専用カジノという考え方もあり得る話だと思っております。かつて、そういうので和歌山いこうかといったこともありますが、それも今でもあり得る話だし、それから間違ったことを言ったとは思っておりません。

 世界中を見ますと、日本と中国とブラジルとイスラム国の一部を除くと、大体主要な国はみんなカジノがありまして、一部を除いて──その一部というのは無規制で韓国人を入れてしまった韓国ですけど、その1カ所ですが──皆、問題など起きておりませんが、住民がカジノ漬けになるぞといった議論をする人がいますので、それなら住民は関係ないということならいいんですかという気持ちで、それじゃ外国人でやりましょうかといって言うてみたというわけでございます。

 その時点では、国が安全規制にどれほど本気かということが実はわからなかった。法律もできておりませんので、わからなかったということもございます。どんな場合でも、住民が、和歌山県民がカジノ漬けになって、依存症みたいなむちゃくちゃになるというようなことは、これは絶対にいけないことですから、そういうことについてのリスクも若干あったことも事実ですので、言ってみたということでございます。

 ただ、国は、シンガポールをモデルにいたしまして、私の言葉ですけど、これは成長戦略としてのIRにかじを切ったというふうに思います。それで法律をつくったというわけでありまして、すなわち、国際会議場とか展示場とか宿泊施設とかカジノ施設等を一体として大規模に整備をして、日本人を含む多くの観光客を呼び込むことを目的に制度設計されることを前提に制度をつくっています。したがって、外国人専用カジノは想定されておりませんし、どこかの県がそういった計画をつくっても認められる可能性は全くないというふうに思います。

 一方、ギャンブル依存症の問題については、IR整備法において、国がマイナンバーカードを利用した入場回数制限とか入場料の設定とか、本人・家族申告による入場制限措置とか、クレジットカードの使用不可とか、重層的で多段階的な規制を設けたところでありまして、私は、ここまでやるんなら、まあ大丈夫だなあというふうに思いまして、カジノ行為に起因する依存症を事前に防ぐ手だてはほぼ万全だと評価をしました。まあ大丈夫だというふうに思ったわけです。

 さらに、本県独自の取り組みとして、使用上限額を設定して現金をチャージするIRカードの導入とか、かけごとに熱くなってる人に休憩や退場を促す依存症対策専門員の配置などを、これは法律の規制ではありませんが、事業者との契約で求めまして、これらの運用を行っていただけるならば、ギャンブル依存症に加えて、1回のかけごとで全財産をなくしてしまうような破産リスクについても、その懸念は払拭されると考えております。

 このようなことから、本県は国の方針に従ってIR誘致を推進しているところであります。

○議長(岸本 健君) 谷口和樹君。

  〔谷口和樹君、登壇〕

○谷口和樹君 娯楽としてのカジノを否定もしませんし、経済活性化の可能性を有したIR誘致というのも否定はしません。当然、投資的な政策に挑む姿というのは大事なことで、それ自体は頑張っていただけたらなと、このように思っています。

 しかしながら、昨年、自殺率の全国ワーストワン、こういう結果が得られた中で、本当に和歌山県が日本人相手にカジノを開放するということが果たして和歌山県が県の内外に胸を張って出せる政策なのかなと、こういうことも考えました。

 また、当然、先ほどもお話ありましたけども、依存症対策、当然セキュリティーもそうですけども、手間暇かけてやることも、それは大事なことなのかと思うんですけども、それくらいだったら今までやったことないことに取り組むに当たって、やはり当初はリスクも考えて外国人専用でスタートするほうが今でも無難だと思ってますし、そういったことがいいんじゃないかということで、今回御質問をさしていただいたところでございます。

 当然、知事の考え方もあると思いますが、決めることは国ですし、そちらの方向に沿って進まなければならないことですけども、ぜひ、影響力のある知事ですので、どこかには、やはりそういう外国人専用というのも頭に入れていただいて、当初は──当初はですよ──それでスタートすることを期待もしながら、考えていただくことを要望しながら、質問を閉じさしていただきたいと思います。ぜひ少しよろしくお願いいたします。

 以上で、一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)

○議長(岸本 健君) 以上で、谷口和樹君の質問が終了いたしました。

 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。

 この際、暫時休憩いたします。

  午前11時39分休憩

 

  午後0時59分再開

○副議長(森 礼子君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 40番奥村規子君。

  〔奥村規子君、登壇〕(拍手)

○奥村規子君 皆さん、こんにちは。

 議長のお許しを得ましたので、通告に従って一般質問をさせていただきます。

 一つ目は、カジノを含む統合型リゾート(IR)についてお伺いをいたします。

 県の説明会後のアンケート結果による県民の懸念について、お尋ねをいたします。

 私は、これまで予算委員会を初め一般質問で、カジノを含むIRの誘致について反対を表明してまいりました。以前より県も説明会をされていましたが、この直近では8月から10月の間も和歌山県IR基本構想(改訂版)をもとに、和歌山市内6カ所、説明会を開催されました。私は、和歌山市河北コミセンの説明会に参加させていただきました。質疑応答を含め1時間半の予定でしたが、フロアから質問や疑問も多く出され、予定時間を超えるほどでした。

 参加者からのアンケート結果は、ネットででも公表されています。IRへの懸念事項の問いに対して、懸念することはないと回答した方はわずか13名で、ほとんどの方が何らかのことを懸念しています。交通、環境、治安の悪化、ギャンブル依存症の増加、未成年や地元への影響などを懸念する項目に多くの方が複数回答されています。ほかにも、勤労意欲の減退や災害時の対策について回答がありました。

 和歌山カジノに反対する海南の会が、漆器まつりでにぎわう町なかでカジノ誘致の賛否を問うシール投票を行いました。その結果、「カジノは要らない」264名、「つくってほしい」が18名でした。「どちらとも言えない」という方も19名いらっしゃいました。このことから、もっと多くの人の声を聞くべきだと思います。

 そこで、企画部長にお聞きいたします。

 このような多くの懸念の声が聞かれることについて、どのようにお感じでしょうか、お答えください。

○副議長(森 礼子君) ただいまの奥村規子君の質問に対する答弁を求めます。

 企画部長田嶋久嗣君。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○企画部長(田嶋久嗣君) 県では、IRに関する県民の皆様の御理解を深めていただくためにシンポジウムや説明会などを開催しており、その際にIR設置に伴う社会的リスクへの対応策についても御説明しているところです。

 これまで開催したシンポジウムや和歌山市内6カ所を含む県内13カ所での説明会、県政おはなし講座などに御参加いただいた方にアンケートを実施し、説明を聞いた後にIRをどのようにお感じになったかということを確認したところ、IR誘致については「賛成」または「どちらかといえば賛成」とされた方が約8割、「反対」または「どちらかといえば反対」とされた方が約2割となっております。

 また一方で、議員御指摘のようにIRに対する懸念につきましても示されておりまして、回答が多い順に、渋滞などの交通問題、治安の悪化、反社会的勢力の介入、ごみ・騒音などの環境問題、ギャンブル依存症の増加という結果となっており、本運営に当たり気をつけていかないといけないと思っておりますし、まだまだ御説明を続けていく必要があると感じているところです。

 県としましては、引き続きシンポジウムや説明会など、あらゆる機会を捉えまして、社会的リスクへの対応策を含めた正確な情報の発信に努め、県民の皆さんの御理解を得てまいりたいと考えております。

○副議長(森 礼子君) 奥村規子君。

  〔奥村規子君、登壇〕

○奥村規子君 企画部長より答弁をいただきました。その中で、やはり説明会では賛成という方が圧倒的に多いというような説明であったかと思いますが、私自身、まちの中でお話を聞いたり、いろんな訪問したりする中では、決してそういうような状況ではないということも実感しています。

 先ほどは海南の住民の方がシール投票ということで御紹介をさせていただきましたが、私はこの、どちらかといえば賛成というその気持ちの中には、やはり県はこのカジノを含むIRを誘致することで県の活性化、そのことでお話をされている点で、やはり潜在的には県の活性化というのが、非常に皆さん、県民一人一人が望んでいる方向だと思うんです。そういった点でカジノを受け入れていかないと仕方ないのかなという、そういう思いが私はあるように思います。

 そういった点で、実際にカジノの問題についてはもっともっと説明をされていくということですので、カジノそのものの問題、そして和歌山県がそういったことを取り組んでいくことについてどうなのかという、そういった問題も含めて皆さんの意見を今後もぜひさらに聞いていっていただきたいなというふうに思いますので、これは要望しておきます。よろしくお願いします。

 次に、もし事業が失敗した場合について、その点についてお伺いをしたいと思います。

 県民から懸念の声が出されるのは、IRの中核がカジノであり、刑法で禁じられている民営賭博であるためです。全国的な世論調査、10月時事通信でも反対が58%で賛成が27%、カジノ反対が大きく上回っています。カジノ反対の声は根強いと思います。

 基本構想によりますと、カジノの収益は1401億円、その15%が県への納付金210億円と入場料収入見込み額73億円、それを財源に観光振興・社会福祉の増進、文化芸術・教育の振興に充てるとしています。しかし、カジノ収益の原資は庶民が汗水流して働いて得たお金です。カジノ事業者が生産活動を行って得た利益ではありません。収益が大きければ大きいほど、国民の懐からカジノ業者にお金が吸い込まれるということになります。

 これにより、地域の消費力へのマイナスの影響があります。ギャンブル依存症をふやし、家庭崩壊などの不幸を広げます。それはカジノからの距離が近いほど深刻な状態になると言われています。カジノによるマイナス面は大変大きいと考えます。

 また、事業が失敗すれば自治体にお金が入らず、地域の荒廃、失業者の増大、巨大な廃墟が残ることになりますが、どのように考えますか、企画部長にお伺いいたします。御答弁よろしくお願いいたします。

○副議長(森 礼子君) 企画部長。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○企画部長(田嶋久嗣君) 議員御質問の事業の継続が困難になる可能性につきましては、三つの観点からそのリスクは少ないものと考えております。

 まず、事業者においては、みずからの調査で採算性があると判断したからこそ和歌山マリーナシティを投資先に選んだこと、次に、県においては、事業者公募の際に提出される書類を精査し、IR事業を長期的に継続して確実に実施する能力を有する事業者を選定すること、さらに、国においては、区域認定の評価基準としてIR事業を安定的、継続的に運営できる能力及び体制を掲げており、この点について評価が高くなければ認定はされないことでございます。

 万一、事業の継続が困難になった場合には、一義的には事業を引き継げる新たな事業者を見つけることになりますが、そのような事態に備え、今後、県と選定する事業者との間で締結する実施協定において、あらかじめ事業の継続が困難になった場合における事業者負担などの措置に関する事項を盛り込むなど、リスク対策を講じることとしております。

○副議長(森 礼子君) 奥村規子君。

  〔奥村規子君、登壇〕

○奥村規子君 企画部長の御答弁では心配ないよというような御答弁だったと思いますが、私は先ほどの、事業者においてみずからの調査で採算性があると、そういったことを判断しているからマリーナシティを投資先に選んだことというようなことで言われていましたが、本当にこの採算性が、どのように採算性があるというように事業者が考えられているのか、そういった点での事業計画の県の分析というものは県自身が行って、このことについても事業者が言うとおりだというようなことで判断されてるんでしょうか。もう一度、企画部長にお尋ねいたします。

○副議長(森 礼子君) 企画部長。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○企画部長(田嶋久嗣君) 事業の採算性につきましては、今議会に認定の委員会を設けることを提案させていただいておりますが、そこに採算性に関して分析をする専門家の方に入っていただいて、まずはそこで審査をしていただきます。そこでチェックをしていただいて、最終的にはいろんな分野の専門家の方の審査の結果を受けて県で事業者を選定すると、そういう手続になっております。

○副議長(森 礼子君) 奥村規子君。

  〔奥村規子君、登壇〕

○奥村規子君 これはあくまでも採算性ということで、いろんな資料に基づいてとかいろいろされる、それはされるんだろうと私も思うんですけども、こういった事業について、お客さんに来てもらわないといけないわけですから、そういった状況が世界的にも今カジノ市場というのがどうなってるかというようなことも検討はもちろんされるかと思うんですが、私としてはやはり、例えば中国の富裕層を対象にしてるとか、それでいろいろと説明の中にもありましたけれども、そういった中でカジノ競争、国際的な競争も非常に激しくなってくると私は思います。そういった競争の中に私たち県民が巻き込まれていくということになっていくと大変だなという思いもしていますので、そんな点ではやはりこの事業が必ず成り立っていくかという点についても非常に危険な、私はこういう経済対策を県としては選んでいってるなというふうなことを思わざるを得ません。

 そういったことを、私自身の考えを申し上げて、次に行かしていただきます。

 次は、子供にかかわってです。子供が育つ生活環境への影響についてお尋ねします。

 賭博が違法とされている理由には、賭博が国民に怠惰、浪費の弊風を生む、健康で文化的な社会の基礎をなす勤労の美風を害することなどがあります。兵庫県の井戸知事が記者会見で述べていますが、「額に汗しないで金もうけしようというスタイルは子供たちに大きな影響を与える」と、カジノはいけないという考えを示しました。カジノそのものが子供の生活環境に悪影響を及ぼすのではないでしょうか、教育長にお尋ねをいたします。

○副議長(森 礼子君) 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) IRにつきましては、先ほど谷口議員に対する知事答弁にもありましたように、IR整備法において厳しい規制がかけられているとともに、本県独自の取り組みも計画されています。議員のおっしゃるような子供の生活環境に悪影響を及ぼすということは考えにくいかと思います。

○副議長(森 礼子君) 奥村規子君。

  〔奥村規子君、登壇〕

○奥村規子君 教育長が子供の生活環境への悪影響は考えられないと考えています、考えにくいということで、そんなに影響はないよと。それは整備法なんかのところで規制されているからということで言われていましたが、その規制法について、カジノの問題でも、例えば国は週3日、月10日ということでカジノへ入場する制限をということを言うてますけど、その中で1日の時間、カジノは24時間やってますから、その24時間、週3日ということになれば、24時間、時間制限もない中で非常にカジノにずっとい続ける、負けるまで行くというようなことが生じると思うんです。

 いろいろな規制をやってる、上限額を規制してるとかいろんなことがありますが、そういった中で子供への悪影響について、やっぱり家庭が崩壊していくというようなことが、ギャンブル依存症の問題とか、そういったことをもっと深刻に考えていただきたいなというふうなことで思うんです。

 そういった点で、やはりギャンブル依存症がどんなに大変な問題か。これは専門家でいえば依存症は病気だということで言われている中で、そういった点も含めて、やっぱり直接の家庭環境やそういった子供たちのこれからの──今、教育の現場ではスマホの依存症の問題が大変先生たちの中でも御苦労されている問題もあって、それに加えてこういったことが、環境が、また和歌山県としてよくないような状況になるんじゃないかということで、もっと真剣に考えてもらいたいなというふうに思います。その点ではいかがでしょうか。

○副議長(森 礼子君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 先ほども申しましたように県独自の政策もありますし──深刻に考えているかということなんですけども、深刻に考えているからこそ、今日の子供たちの周りにあるゲームとかスマートフォンとか、また将来的にはギャンブルとか喫煙とか薬物とか、そういったもののさまざまな誘惑があります。そういったものに対する依存症に陥らないように実効性のある教育活動を行うということが我々の仕事だと思っておりますし、そのような形で準備を進めているところです。

○副議長(森 礼子君) 奥村規子君。

  〔奥村規子君、登壇〕

○奥村規子君 子供たちに、刑法に反するこのカジノの問題については、どのようにカジノについて教えていくつもりなのか。その点でもう一度、もう一回お答えください。

○副議長(森 礼子君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 今、いわゆる依存症リスクと言われているものがあります。これはギャンブルだけではなくて、喫煙、薬物とかそういったものもありますし、子供たちにとって一番問題なのは、やっぱりゲームとかスマートフォンになります。そういったものの依存症というのが大変問題になっているというのは御存じだと思います。そういったことに対応するために、教育委員会としては依存症予防教育を進めているというところでございます。

○副議長(森 礼子君) 奥村規子君。

  〔奥村規子君、登壇〕

○奥村規子君 私は、カジノそのものについてどのように子供たちに教えるのかなということについてお聞きをもっとしたかったんですけど、これはカジノをつくらないことが最大の──予防教育をするということですので、つくらないことが最大の予防だと私は思うということをお伝えして、次の質問に行かしていただきます。

 カジノで最後の質問なんですが、IR誘致により県の活性化が図れるのかという点について、知事にお尋ねいたします。

 県は、カジノを含むIRの誘致により経済波及効果絶大だと宣伝しています。しかし、IRの収益として県が明らかにされているのは、カジノ1401億円、ホテル255億円、アリーナ施設14億円、駐車場20億円、飲食代325億円などで、82%はカジノの収益と計算されています。カジノは何も生み出さず、国民のお金を吸い上げるものです。

 私は、県が言う経済効果、雇用創出効果があったとしても、カジノを含むIRを誘致して県の活性化を図るのは反対でございます。県当局のその点についての見解、知事にお尋ねいたします。

○副議長(森 礼子君) 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 本県がIR誘致を目指しているのは、和歌山県の将来を考えてのことであります。

 御承知のように、1970年代までの本県の県内総生産は全国順位のほぼ真ん中あたりで推移しておりましたけれども、日本の産業構造が大きく変化する中で、本県では大きな転換がなされず、その順位をじわじわっと下げてきて高齢化が進んでおるというのが現状であります。

 何でそうなったか、いろいろ個々の原因はあるんでございますが、基本は、まずまずうまくいってるときは、何もしなくてもこのままうまくいくはずだと、人間というのは必ず、そういうふうに思いがちであります。うまくいってなくても、何もしなかったらもっとひどいことになるだろうと誰も思わない。誰もというか、大体の人は思わない。これが、こういう想像力が乏しかったことが、いろんなところで今日の和歌山のつらいところをあらわしてきているんじゃないかというふうに思います。

 県では、このような状況を背景に、これまでの和歌山の足を絞ってきた問題を一つ一つ解決しながら、さまざまな分野の企業誘致や県内産業の振興に取り組んでまいりました。その結果、県内総生産は若干持ち直しつつありますけども、まだ過去の衰退トレンドを払拭したわけではありませんし、今少しよさそうに見えることでも、申し上げたとおり、将来ずうっと続くという保証はないわけであります。その結果、今後本県がさらに発展していくためには、これまでの取り組みに加えて、できるだけ多く新たな取り組みもしていかないといけないということが必要だと考えております。

 IRは、滞在型観光の核として本県の観光振興に貢献し、その投資額は非常に大きくて、多くの職種で雇用の増加が見込まれます。経済活性化の起爆剤と言えると思います。さらに、これによって新たな雇用により定住者が生まれる、よそからも来てくれるということでございますので、人口減少策としても大いに期待できるというふうに思います。

 シンクタンクに調べてもらいました。そしたら、約3000億円弱の投資で毎年波及効果が約3000億円、現在和歌山のGDPが3兆5000億円ですから、大体10%強底上げされる。すなわち、それによって直接、間接にいろんなところでチャンスがふえるということが予想されます。

 ただし、経済活性化や雇用創出効果があるからといって、ギャンブル依存症などの課題をないがしろにするのであったら、これはいかんということは明らかでございますんで、必要な対策をちゃんとした上でIR誘致に取り組んでいるわけでございます。

○副議長(森 礼子君) 奥村規子君。

  〔奥村規子君、登壇〕

○奥村規子君 経済効果とか雇用創出効果について述べられました。答弁をいただきました。その中身にかかわって、再度質問をいたします。

 施行令で、ホテルは客室の床面積合計がおおむね10万平方メートル以上という日本最大クラスを上回る巨大なものです。また、国際会議場と展示場についても2000人収容の国際会議場と12万平方メートルの展示場、6000人収容の国際会議場と6万平方メートルの展示場など、今日本にはない規模のものを要件とすることが決められました。これは、県の基本構想の想定より大きなものをつくらなければなりません。和歌山にできたらどれだけ使われるのか、果たして運営できるものなのか、ちょっと考えられないような巨大な施設ではないでしょうか。

 知事は、以前には記者会見で「現実問題、大都市圏でしかああいうもの、すごく大きい国際展示場とか国際会議場とかの総合施設って立地できないのではないか」と言われています。県から国への要望書でも、国際会議場、劇場、宿泊施設等の施設要件が大規模かつ高度なものとなった場合、地方都市ではその要件を満たすことは極めて困難などとしていました。そのとおりだと私も思います。

 しかし、施行令は大都市でも地方都市でも統一基準で、ホテルやMICEの規模を決めました。現実問題、地方都市にこんな巨大施設をつくっても全く空虚なものになってしまうのではないでしょうか。知事は、巨大な施設が要件とされた施行令の基準について、今どのように考えられているでしょうか。

 また、日本の最高水準のホテルやMICEが施設要件となれば、投資規模は極めて大きくなり、その収益エンジンとしてのカジノにより一層大きな負荷がかかることになってしまいます。高収益を上げ、それを継続しなければならないと、そういった状況が起こってきます。

 カジノとは、客と胴元がかけ合うもので、カジノが高収益を上げるということは、いかに客にかけ続けさせることができるかどうかにかかっているのではないでしょうか。カジノが高収益を上げるということは、より多くの国民をギャンブル漬けにし、国民のお金や資産をカジノ収益に吸い上げることにほかならず、より多くの依存症患者を生むことになる。そのことについてどうお考えでしょうか。この点について、二つのことについて御答弁よろしくお願いいたします。

○副議長(森 礼子君) 知事。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 第1の質問に関しましては、私の印象でございますが、奥村議員はどうもカジノ反対というか、IR反対かと思ったら、事業の成否を心配してくださっているように聞こえますが、私の考え方を申し述べます。

 この法律ができる前でございますけれども、ヨーロッパ各国にあるようなホテルの中にあるカジノでもいいじゃないかと、観光の手段としてちゃんとやってるんだから、そういうのを認めてもらえないかという運動をしていたことも事実でございます。

 ところが、国は、明らかにそういう議論をいろいろ吸い上げた上ででございましょうが、シンガポール型の巨大なIR、統合型のリゾートをつくって、その巨大な投資の力で日本を成長させようと多分思ったんだろうと思います。そういうようなものでないとだめよというふうに言われたわけでございまして、それならそれで、それに合わせて我々も考えるしかないなと、我々も成長は望むところだからというふうに思っているわけです。

 しかしながら、その整備法の基準が和歌山では到底つくれんなあというようなことになると、これはちょっと和歌山としてはつらいというのがございますので、その中身についてはいろいろ意見を言ったりしたりお願いをしたりしてきたところです。

 もっと具体的に言いますと、例えば商業施設あるいは商業機能、これが巨大なものでなきゃいけないとすれば、和歌山は大都会でもなく商業の中心でもありませんから、やっぱり商業の中心のところでしかつくれないような施設ができちゃったら、ちょっと和歌山はつらいねということになりますので、その辺はきちんとやってくださいよという話をしておりましたら、実際はでき上がったMICE基準は、例えば商業ばっかりじゃなくても観光型の、あるいはレジャー型のMICEを中心とするような施設でもよろしいというふうになりましたので、まあいいかなあというふうに思ってるわけです。

 次に、IRというのは民設民営事業でありまして、日本は資本主義ですから、国家が全ての経営をあんばいするようないつかの体制とは違うわけでございますね。したがって、本県に投資を希望するような事業者がいないと成立しない中で、事業者の意向がどうかというところが大事になってくるわけです。

 本県に投資意向のある複数の事業者に対して、IR整備法施行令で示されたMICEやホテルの施設基準についてどうですかというふうに意見を求めたところ、事業者からは、現状の事業用地の規模で政令基準を満たす施設の設置、運営は可能であるという意見をいただいてるところなんで、余り我々にとっては、現状の施設基準に対して奥村さんのような心配はしてないということでございます。

 第2に、カジノの採算は必ずしも──これは現状なんでございますが──料金の決まっている博物館の入場料収入みたいなもんではないんですね。すなわち、たくさんの人を動員しなきゃいけないんだということでは必ずしもなくて、決められたルールのもとに誰かが参加して、それで料金を払ってもらえばよろしいということになります。

 したがって、今言われた多くの国民を動員して何とかかんとかと、こういう話は必ずしも当たらないかもしれない。当たるかもしれませんが、当たらないかもしれません。それで決めつけるのは論理的に間違ってるというふうに思います。すなわち、カジノ施設の入場者数の多寡によってカジノの採算が、あるいはIRの採算が決まるわけではない。

 もう一つ、もっと大事なことは、ギャンブル依存症対策はカジノ施設への入場者数の多寡で揺らぐものではないわけでございます。これは1人入ろうとたくさん入ろうと、守るものは守ってもわらないと困るんで、したがって、従来から申し上げているとおり、法律によってマイナンバーカードを利用した入場回数制限、入場料の設定、本人・家族申告による入場制限措置、クレジットカード使用不可、それからキャッシュディスペンサーを置かないとか、そういうことによって、そういう重層的な規制でカジノに起因する弊害は防げるかなあというふうに思いますが、さらに破産リスクも防ぎたいと私たちは思っておりますので、使用上限額を設定して現金をチャージするIRカードの導入とか、あるいはかけ事に熱くなってる人に休憩や退場を促す依存症対策専門員の配置など、これは法律ではありませんので、事業者に求めて、これらの運用を行っていただくことにより、ギャンブル依存症に加えて、1回のかけ事で全財産をなくしてしまうような破産リスクについても防ぐことができると考えています。

 ギャンブル依存症は、現に和歌山にあります。全世界的にあります。それはよくないことであります。現にあるわけですから──当然、和歌山のカジノとは関係ありません。だけどよくないことであります。カジノを韓国の一部みたいに何の規制もなく認めたら、それはもう大変なことになります。いわば、1回ごとの玉を買うお金、パチンコはかけと言っちゃいけないのかもしれませんが、かけ類似行為でのお金が何百倍とか何千倍になったようなものを想像すれば、それはもう恐るべきものになってしまうわけですが、そんなことはしちゃいけないわけです。ちゃんと規制をせないかんわけです。

 人間は想像力があるから立派なんで、したがって、この依存症問題も代替効果を考えるということも人間として、し得ることであります。現にシンガポールはIRを導入した2010年以後、依存症の人は急減してしまいました。

 以上でございます。

○副議長(森 礼子君) 奥村規子君。

  〔奥村規子君、登壇〕

○奥村規子君 知事が「心配してくれている」というふうに私のことを言いましたが、心配している立場がちょっと違うので、それは申し上げておきたいと思います。

 もう時間が、ちょっと後の関係もあるので、御意見だけ。

 このカジノについて、これまでも何度も、先ほども申し上げましたが、刑法で違法とされている民営賭博ですから、公益性がなければ合法化されません。だから、巨大なホテルやMICEが要件とされているのではないでしょうか。私はこれで合法化されるとは思いませんが、しかし、法律の理屈としてはそうしているのではないですか。それでエンジンとしてのカジノが高収益のものになってしまうと、このことを言いたいのです。

 カジノの収益、1401億円とされていますが、これをパチンコの粗利と比較してみますと、2017年時点のデータですが、県内にはパチンコ店87店舗、パチンコ台は2万5362台、スロット1万2796台あります。業界誌の計算で、それぞれ1台当たり1日の粗利は全国平均でパチンコ台1790円、スロット1台2260円、年間営業日数330日で計算すると、合計で245億円です。県内中のパチンコ店で客の負け分の合計が245億円です。カジノは1店で1401億円、パチンコの5.7倍のもうけ。逆に言えば、客の負け金の規模が5.7倍ということではないでしょうか。そういう規模の賭博が行われるということになるんです。

 県の試算では、7割は外国人からの収益だと言います。仮にこの試算どおりとしても、県民初め日本人から381億円をもうける。これはパチンコの1.5倍です。これだけの規模でお客のお金が吸い上げられていく、このことは地域経済にとって巨大なマイナスの経済効果を生み出すことになると私は訴えたいと思います。

 そのことを指摘いたしまして、次、2項目めの芦原地区連合自治会長の逮捕事件について質問をさせていただきます。

 一つ目、県の発注工事に関する調査結果についてお尋ねします。

 芦原地区連合自治会長が詐欺容疑で逮捕されました。連合自治会長が市公共事業を請け負った業者から協力金名目で現金をだまし取ったというもので、市職員が請負業者を同自治会長に挨拶に連れていくなどしていることが明らかになりました。尾花市長は市職員が不適切な対応をしたことを認めました。

 県も発注工事での調査をしたということです。その結果について説明を求めます。県土整備部長、お答えください。

○副議長(森 礼子君) 県土整備部長髙松 諭君。

  〔髙松 諭君、登壇〕

○県土整備部長(髙松 諭君) 芦原地区の県発注工事等に関する調査につきまして御質問いただきました。

 和歌山市発注工事に関連し、芦原地区連合自治会長が詐欺容疑で逮捕されましたことを受けて、県におきましても県発注工事等について調査を行ったところでございます。調査につきましては、平成26年度から令和元年度の間の工事等31件につきまして、36名の職員、25の業者から聞き取りを行ったところでございます。

 調査結果でございますけれども、職員と施工業者等の双方からの聞き取り結果といたしまして、職員と業者が一緒に挨拶に行ったのは31件のうち22件、このうち業者のみが残ったのが15件でございます。不当な要求があった旨の相談が業者から職員に対してなされていた事例はございませんでした。

 さらに、職員に対する聞き取りでは、芦原地区連合自治会長の妻が経営していたスナックのパーティー券の販売に関与したり購入した職員もいませんでしたので、和歌山市では不適切とされた事例がございましたけれども、和歌山県としては不適切な対応はなかったということでございます。

 一方、施工業者等に対する聞き取りでは、寄附が行われていたのは25業者のうちの10の業者、そのうち寄附の要請を受けたのは6業者、みずから寄附を行ったのは四つの業者でございました。その内容につきましては、祭りの寄附や地区への協力金などで、寄附額は3万円以下が6業者、3万円から5万円が1業者、30万円が2業者、回答なしが1業者でございました。

 寄附を行った業者につきましては、不当な要求であると受けとめた業者はありませんでした。また、不当な要求を受けたと感じた業者はありましたが、金品等の支払いは行われておらず、その数は二つの業者でございました。

 以上の調査結果につきまして、先月11月29日に今後の対応とあわせまして発表をしたところでございます。

○副議長(森 礼子君) 奥村規子君。

  〔奥村規子君、登壇〕

○奥村規子君 再度、県土整備部長にお尋ねしたいんですが、県も業者と一緒に連合自治会長のところに挨拶に行っていたということですが、いつから、なぜ挨拶に行っていたのでしょうか。また、連合自治会の会長への挨拶は芦原地区だけでしょうか。再度お尋ねいたします。

○副議長(森 礼子君) 県土整備部長。

  〔髙松 諭君、登壇〕

○県土整備部長(髙松 諭君) 2点お尋ねをいただきました。

 まず、1点目でございますけれども、芦原地区連合自治会長へ職員が業者と一緒に挨拶に行った経緯でございますけれども、職員への聞き取りでは、この地区の工事等につきましては落札業者等と挨拶に行くよう前任者から引き継がれており、いつからかといったことや理由といった経緯などについてはわかりませんでした。

 2点目でございますけれども、芦原地区のみだったのかという御質問でございましたけれども、連合自治会長にこのような形で挨拶に行った事例は芦原地区のみでございました。

○副議長(森 礼子君) 奥村規子君。

  〔奥村規子君、登壇〕

○奥村規子君 芦原地区のみで、実際挨拶に行ってたのはいつからかわからないという御答弁いただいたんですけども、なぜ芦原地区のみだったのか、わからないではやっぱりぐあいが悪いと思いますので、しっかりと調査をぜひしていただきたいなということを要望して、次に行かせていただきます。

 2番目に、隣保館運営についてお尋ねいたします。

 連合会長が芦原文化会館の一室を私物化していたということですが、これまで市民団体の方が会議室を借りに行った際に使用拒否をされました。最近のことですが、一旦文化会館の使用申し込みを受け付けたのにもかかわらず、館長は尾花市長名で不許可通知を突きつけてきました。通知内容は、「2019年11月14日付で申請のあった隣保館の使用については、次の理由により許可しないことになりました。不許可の理由は、地域外の人が会議で使用することができないため」ということでした。

 芦原文化会館は、隣保館事業と位置づけられていて、国から予算上の措置も行われています。国の運営方針では、広く地域住民が利用できるよう運営しなくてはならないとしています。隣保館について、県はどのような見解をお持ちでしょうか。福祉保健部長にお尋ねいたします。

○副議長(森 礼子君) 福祉保健部長宮本浩之君。

  〔宮本浩之君、登壇〕

○福祉保健部長(宮本浩之君) 隣保館は、社会福祉法並びに隣保館設置運営要綱に基づき、周辺地域も含めた地域社会全体の中で、福祉の向上や人権啓発の住民交流の拠点となる開かれたコミュニティセンターとして、生活上の各種相談事業や人権課題の解決のための各種事業を総合的に行うことを目的として設置運営されている施設です。

 そのため、隣保館の運営に当たっては、隣保館設置運営要綱に基づき、地域社会に密着した社会福祉施設として、広く住民に利用されるべきものと考えています。

○副議長(森 礼子君) 奥村規子君。

  〔奥村規子君、登壇〕

○奥村規子君 周辺地区を含め、広く住民に利用されるべきとお答えになっていただきました。全くそのとおりだと思います。

 ところが、芦原文化会館は「地域外の人が使用できないため」という理由で使用を断ってきました。このことは、福祉保健部長がお答えいただいたこととは違っていると思いますが、どうお考えでしょうか。

○副議長(森 礼子君) 福祉保健部長。

  〔宮本浩之君、登壇〕

○福祉保健部長(宮本浩之君) 議員から御質問いただいた状況によりますと、全ての状況を克明に把握するところまでは私は至っておりません。

 ただ、そもそも公の施設というのは、その設置主体である自治体が責任を持って管理すべきものと考えておりますから、県が個別の案件個々について意見を申し上げる立場にないというふうに考えています。

 隣保館は、先ほども申し上げましたとおり、各種相談事業や人権課題の解決を初めとして、福祉の向上のために広く施策を展開する施設でありますから、その施設管理者が責任を持って利用条件、利用目的も含めて適正な判断をされているものと考えますし、また、そうあるべきと考えます。

○副議長(森 礼子君) 奥村規子君。

  〔奥村規子君、登壇〕

○奥村規子君 隣保館事業は、同和対策特別措置法に位置づけられて国補助のもとに進められてきましたが、2002年度の法期限後、一般施策として、先ほど答弁のあった運営のあり方で行われているはずだと思います。地域を限定するような線引きはやめるべきだと指摘しておきたいと思います。

 その次に、芦原地区特別対策協議会についてお尋ねいたします。

 今回の事件は、芦原地区連合自治会長が引き起こした事件ですが、自治会長は芦原地区特別対策協議会の会長でもあります。和歌山市長は、市議会の場で議員質問に答え、今回の事件の起こった背景と原因について、芦対協との交渉の場において職員が糾弾されることを過度に恐れていたことが背景にあり、不当な要求にも対応せざるを得なかったことが原因と考えていると答弁されました。

 芦対協という組織は、県庁内に最初につくられ、その後、和歌山市と地元にもつくられたものだとお聞きしましたが、県庁内につくられた芦対協は、いつ、どのような目的で、どのようなメンバーで設置され、いつ、どのような理由で解散しましたか。

 また、地元につくられた芦対協はどういった組織で、今までこの協議会に対し、県はどのような対応をしていましたか。

 この事件を受け、市は芦対協と今後交渉しないことを明言しましたが、県として今後どのように対応するのかお答えください。企画部長にお尋ねいたします。

○副議長(森 礼子君) 企画部長。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○企画部長(田嶋久嗣君) 御質問のありました点で、まず、県の庁内組織である芦原地区特別対策協議会につきましては、昭和52年2月に芦原地区の生活環境等の諸問題の解決に向けて必要な施策を協議するため設置し、その後、所期の目的を達したため、平成12年度には解散しておりましたが、公文書の保存期間が過ぎていますので、具体的な所掌事務や構成メンバー等の詳細は不明です。

 また、地元につくられた芦原地区特別対策協議会につきましては、昭和54年11月に地元住民が芦原地区の生活環境等の諸問題の解決に向けて必要な施策を協議するために設置された組織です。

 県の対応状況につきましては、和歌山市を通じて、芦原地区特別対策協議会と和歌山市の交渉に県職員の出席依頼があり、要望項目の担当部署職員数名と企画部職員1名が出席し、要望への回答や意見交換を行っていました。

 今後の対応については、和歌山市と芦原地区特別対策協議会との関係の見直しを踏まえて、芦原地区特別対策協議会との交渉は行いません。

○副議長(森 礼子君) 奥村規子君。

  〔奥村規子君、登壇〕

○奥村規子君 今後、芦対協とは交渉せず、特別な対応をしないということを答弁していただきました。

 それでは、次に、鉄道駅のバリアフリー化についてお尋ねします。

 国は、2006年、新しいバリアフリー法を制定しました。2018年には理念として、共生社会の実現、社会的障壁の除去を明示するなど改正しました。県としては、鉄道駅のバリアフリー化について、誰もが安心して鉄道を利用できるよう県も推進していると聞いています。

 1日当たりの利用者数が3000人以上の駅については、令和2年度までに原則として全てについてエレベーターやスロープを設置することを初めとした段差の解消など、移動等の円滑化を可能な限り実施することを国の基本方針で定めております。鉄道事業者と地元市町村と連携し、鉄道駅のバリアフリー化を推進するということです。

 それで、お尋ねしたいんですが、これまでバリアフリー化を施行した中で1日当たり乗降者数3000人に満たないところもありますが、3000人未満の場合の支援状況と考え方についてお尋ねいたします。──ごめん。2番に行ってしまった。すいません、すいません、すいません。直近の支援状況をお答えください。すいません。

○副議長(森 礼子君) 企画部長。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○企画部長(田嶋久嗣君) 議員御指摘のとおり、国の移動等円滑化の促進に関する基本方針では、1日当たりの乗降者数が3000人以上の駅については、令和2年度までに原則として全てについてエレベーターまたはスロープを設置することを初めとした段差の解消など、移動等の円滑化を実施することとし、その場合、地域の要請及び支援のもと、鉄道駅の構造等の制約条件を踏まえ、可能な限りの整備を行うとされています。

 この方針を受け、県では、誰もが安心して鉄道を利用できるよう、鉄道事業者が行う鉄道駅のバリアフリー化事業について補助する市町に対し、支援を行っているところです。

 なお、直近の取り組み状況につきましては、JR岩出駅、紀三井寺駅及び湯浅駅で現在進められているバリアフリー化整備に対して支援を行うこととしております。

○副議長(森 礼子君) 奥村規子君。

  〔奥村規子君、登壇〕

○奥村規子君 次、2番です。

 3000人未満の場合の支援状況についてお尋ねいたします。

○副議長(森 礼子君) 企画部長。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○企画部長(田嶋久嗣君) 1日当たりの乗降者数が3000人未満の鉄道駅につきましては、平成25年度にJR紀伊勝浦駅で、今年度は湯浅駅で支援を実施しております。

 国の基本方針では、1日当たりの乗降者数が3000人未満の鉄道駅についても、乗降者数のみならず高齢者、障害者等の利用の実態等に鑑み、可能な限りバリアフリー化を実施することとしており、地域の強い要望があり、地元市町も補助を行う場合には、県も支援を行っています。

 県といたしましても、今後も引き続き鉄道駅のバリアフリー化が推進されるよう、鉄道事業者及び地元市町と連携しながら取り組んでまいります。

○副議長(森 礼子君) 奥村規子君。

  〔奥村規子君、登壇〕

○奥村規子君 急いでの御答弁ありがとうございます。

 最後に、そういった中で3000人未満というところで非常に、紀ノ川駅の周辺の皆さんが2624筆という署名を集めて県にお届けしてるんですが、この紀ノ川駅はあと少しで3000人以上になるんですが、そういった点も含めてぜひとも──バリアフリー化の必要性をもっともっと訴えたかったんですが、ちょっと時間がないので失礼しまして、ぜひとも来年度の中でもぜひ実現の方向で頑張っていただきたいなと。

 また、宮前駅というところなんですが、そこが大変、学生さんや、また通勤で非常に多いので、そこでは全く、3000人以上なんですが、トイレがないという状況なんです。それはもちろん県のほうも知っているかと思いますが、その点もあわせて、ぜひとも改善し、お年寄りが安心して外へ出かけていかれるように、そういったことも含めてよろしくお願いしたいなということを要望して、質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。(拍手)

○副議長(森 礼子君) 以上で、奥村規子君の質問が終了いたしました。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 2番山家敏宏君。

  〔山家敏宏君、登壇〕(拍手)

○山家敏宏君 改めまして、こんにちは。

 2回目の一般質問のため、お聞き苦しい点もございますけども、御了承いただき、議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行わさせていただきます。

 大項目1の濱口梧陵に関する県のこれまでの取り組み状況について質問させていただきます。

 昨今、和歌山県も含め、各都道府県が台風や豪雨などによる想定外の被害に見舞われております。河川の氾濫、暴風、土砂崩れなどによって家屋の倒壊、屋根の破損、土砂に埋め尽くされるなど、大変な状態になっています。その中で最も残念なことは、家族を亡くされた方がたくさんいらっしゃるということです。悲しみの中、被災された方々からは「今まで経験したことがないことが起こった」、「あっという間だった」、「これからどうすればよいのだろうか」という話を聞くことに心を痛めます。

 どんなに防災のことに耳を傾けていても、心のどこかで、私は大丈夫、このあたりは昔から大丈夫だからなどと安心しているのかもしれません。後で、あのときああすればよかったと思っても遅いのです。日ごろからの準備、御近所の方々との連携や協力、信頼できる指導者の育成等にも力を入れ、本当に安心して暮らせるようにしていかなければならないと思っております。

 もちろん、災害は日本だけではありません。世界中でも起きています。平成27年12月には、国連総会において11月5日を「世界津波の日」と制定されました。この世界津波の日というのは、安政元年の旧暦11月5日に起きた安政南海地震で多くの人命を津波から救った「稲むらの火」の故事にちなみ制定されたもので、この故事は小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の小説「A Living God(生ける神)」や日本の教科書にも掲載され、国内外で紹介されています。

 安政元年(1854年)、安政の南海地震で濱口梧陵は、津波に追われる人や漂流する人が夜道でも逃げ道がわかるように、大変貴重な稲わらに火をつけ、安全な高台にある神社まで誘導し、多くの命を救っただけでなく、その後も津波で家も仕事もなくしてしまった村人のために、食料の配給、生活に必要な家財道具の準備、家のない村人には無料で宿泊できる宿の建設、道路や橋の補強工事、再び何十年後には襲うであろう大津波災害から一人でも多くの村人を守るための大堤防の建設に私財を投じ、これらの建設には仕事をなくした村人を雇用し、広村の復興に取り組んだのが、皆様も御存じであると思われる「稲むらの火」の主人公、和歌山県有田郡広川町出身の濱口梧陵です。

 濱口梧陵は、当時の紀伊国広村に1820年6月15日に濱口家の分家の長男として誕生しますが、本家のヤマサ醤油に跡取りがなかったため、千葉県の銚子にある本家へ12歳で養子となって行きました。梧陵は、濱口家の家訓に従って、みずから困苦に耐える習慣を養うため、でっち小僧と寝食をともにし、人を率いる道を学び、剣法の修行も怠ることなく、特に槍術を好み、米俵をやりの穂先で軽々と空中に投げ上げるほどの腕前だったそうです。

 家業においても、幕末の風雲の中、ヤマサ醤油は特に品質にすぐれたしょうゆとして幕府から認められ、最上醤油の称号を得、ヤマサ醤油7代目の梧陵は実業家としても成功をおさめています。また、江戸や千葉の銚子と和歌山を行き来する傍ら、蘭学医の三宅艮齋と出会い、海外事情や科学知識、最新の内外情報を教わり、ますます西洋文化に興味を持ち、その後も兵学者の佐久間象山の門に出入りすることで兵学と砲術などの研究を熱心に学び、国家の守りとなるべき修養を積んだようです。梧陵自身が砲術を学んだかどうかはわかりませんが、砲術の研究と大砲の製造などには心を傾けていたことは確かで、佐久間象山から小銃を手に入れています。

 このように多方面に卓越していた梧陵は、当時流行していた安政コレラの大流行の防疫にも意を注ぎ、防疫法と薬品等を手に入れ、銚子でのコレラ防疫に業績を上げ、火事で焼失した種痘所──現在の東京大学医学部──の再建や医学書の出版費用など、近代医学の発展にも深くかかわっています。

 梧陵は、ますますの青少年の育成、学問の発展、社会貢献こそが国と地域発展の土台づくりに必要であると考えていたため、人材育成のために、学問を望む人々には学資を惜しみなく支援し、後に「自学自労」の精神に満ちあふれた人材が育つようにという思いを込められた耐久舎という稽古場を建てています。その後は、時勢の進歩や中学校令によって耐久舎は耐久学舎に、耐久学舎は私立耐久中学校、県立耐久中学校と呼ばれるようになり、現在は学制改革によって県立耐久高校として多くの生徒を社会に送り出しています。私もその中の一人です。

 このように、賢く判断力に富んだすぐれた見識と度量の大きさを認められた梧陵は、商人身分ながら紀州藩勘定奉行、初代の駅逓頭──現在の郵政大臣に当たります。駅逓頭はわずか1週間ほどで辞職していますが、その短期間にもかかわらず、飛脚制度から近代的な郵便制度の基礎を形づくっています。その後も、和歌山県の参事を経て初代の和歌山県議会議長に就任しますが、惜しまれながら辞職しています。辞職してからも、梧陵の政治思想の「済世安民」という根底は消えることなく、国家に利益をもたらすための欧米視察旅行に出かけています。残念なことに、志半ば、享年66歳という若さでニューヨークのホテルで病死しています。

 梧陵を知る人々からは、君は善を楽しみ、施しをよくした、常に喜んで孤独な者を助け、貧窮する者に与え、災害を救済したが、常に謙虚であって、みずから徳を表にひけらかすことなく、高潔で人間愛に満ち、すばらしい先見の明と行動力を持ったリーダーであったと伝えられています。

 そこで、濱口梧陵のすばらしい功績の周知等について、11月5日、世界津波の日に合わせた訓練や講演会、学校教育やふるさとの偉人としての教育、偉人を顕彰するシンポジウムなど、それぞれの担当部局でこれまで取り組んでこられたと思いますが、それらの取り組みについて、危機管理監、教育長、企画部長にそれぞれ順番に答弁を求めます。

○副議長(森 礼子君) ただいまの山家敏宏君の質問に対する答弁を求めます。

 危機管理監森田康友君。

  〔森田康友君、登壇〕

○危機管理監(森田康友君) 濱口梧陵翁の功績を伝える「稲むらの火」の故事には、防災にかかわる重要な三つの要素である人命救助、地域の復旧・復興、将来の災害への備えが含まれており、現代にも通じる普遍的な津波防災の教訓と考えているところでございます。

 このことから、県では、故事にちなんだ11月5日を中心に、津波災害対応実践訓練や地震・津波避難訓練、津波防災講演会等、災害対応力の強化や防災意識の向上を図るためのさまざまな取り組みを行っています。

 また、国では、津波、高潮等に対する防災・減災に関して顕著な功績を上げた国内外の個人、団体に対し、濱口梧陵国際賞を設け表彰していますが、その受賞者の方々を本県へお招きし、講演会等を行っているところでございます。

 さらに、濱口梧陵翁の功績を周知する取り組みといたしまして、広川町の稲むらの火の館・津波防災教育センター内に3D津波映像シアターを整備し、日本語はもちろん、英語、中国語、インドネシア語等6カ国語にも対応し、稲むらの火の故事を再現した映像コンテンツ「稲むらの火 濱口梧陵の決断」を上映しているところでございます。

○副議長(森 礼子君) 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 県教育委員会の取り組みでございます。

 濱口梧陵翁の功績や教訓は、本県の防災教育において極めて重要な位置づけとして活用されてきました。平成18年、アジア防災教育子どもフォーラムを開催し、国内外に「稲むらの火」の逸話と濱口梧陵翁の功績を広くアピールし、以降、防災教育のさらなる充実に取り組んでいます。

 また、国連総会での世界津波の日制定を契機に始まった「世界津波の日」高校生サミットを昨年、本県で開催しました。世界48カ国、約400名の高校生が「『稲むらの火』発祥の地で濱口梧陵の精神を共に学ぶ」をテーマに活発な議論を行い、その成果を「稲むらの火継承宣言」として世界に発信しました。

 各学校では、世界津波の日リーフレットを活用して、世界津波の日の成り立ちや稲むらの火の故事等について学習するとともに、毎年避難訓練を行うなど、子供たちの防災意識の向上に努めています。

 さらに、地域のために尽くした濱口梧陵翁の生きざまなどを学ぶことは、子供たちにとってよりよい社会の実現に努めようとする心を育む上で有意義であり、今後も学習活動に取り入れてまいります。

○副議長(森 礼子君) 企画部長田嶋久嗣君。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○企画部長(田嶋久嗣君) 濱口梧陵の稲むらの火を初めとする偉業を県内外に発信するため、平成25年度に東京・明治大学においてシンポジウムを開催し、800名の方に参加いただきました。

 また、平成27年度には世界津波の日制定を記念し、県内各地から2000名の方に御参加いただき、県民文化会館において講演会やイベントを開催いたしました。

 また、広川町が昨年度から3カ年で取り組んでいる「濱口梧陵生誕200年~梧陵さんと広川町の魅力再発見~」プロジェクトをわがまち元気プロジェクトで支援しているところです。

○副議長(森 礼子君) 山家敏宏君。

  〔山家敏宏君、登壇〕

○山家敏宏君 多岐にわたる部署でさまざまな取り組みを継続的に行っていただいていますことは、一人一人の防災意識の向上、防災教育の推進につながっていると考えております。また、濱口梧陵のように、他の人々のために慈悲し、真の政治家であったことは、偉人であるにふさわしい和歌山県の誇りであるとも思っております。今後とも、各部署間で協力しながらの周知をよろしくお願い申し上げます。

 続いて、大項目2、濱口梧陵生誕200年を契機とした県としての取り組みについてを質問させていただきます。

 先ほど企画部長からも説明がありましたわがまち元気プロジェクトを活用し、地元広川町では、初代県議会議長でもある濱口梧陵生誕200年記念式典を来年6月実施に向け、実行委員会を立ち上げ、その功績の普及の拡大を図る催し等を検討しているところでございますが、私は、この記念すべき年に広川町で行われる式典をキックオフとして、広く県民を対象とし、興味のなかった方々等も含め大規模な周知イベント等を県内で行う等、濱口梧陵生誕200年事業を和歌山県事業として、広川町の協力とともに広域的な功績の周知を図る絶好のチャンスだと考えていますが、知事の考えをお尋ねいたします。

○副議長(森 礼子君) 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 議員御提案のありました濱口梧陵翁の生誕200年を一つの契機として、その功績を一層広く県民に知らせることも大切と思うところでございますが、もっと広く世界に発信することも重要であると思います。

 県といたしましては、というか私自身の思い出もたくさんございますけれども、濱口梧陵に関していろいろなことをやってまいりましたのは、各部長が申し上げたとおりでございます。

 何といっても津波対策の推進に関する法律ができて、それから、それに基づいて国と一緒に記念シンポジウム、セミナーをやったとか、あるいは国連で2015年、満場一致で世界津波の日が制定されて、それで物すごく誇りに思ったとか、それの関連で、特に高校生サミットを和歌山市とか広川町なんかでやって、それで大勢の方が来てくれたとか、それから、東京で和歌山県偉人シンポジウムの一環で、2013年ですか、濱口梧陵を取り上げて大勢の人に来てもらって、どうだと言ってやったとか、そういうのがたくさんございます。

 考えてみたら、議員御指摘のように、津波防災の日とか世界津波の日とか、いずれも濱口梧陵さんの偉業が原点であって、これは世界に誇る立派な人だというふうに思うわけです。よって、この関係ですね、すなわち津波防災とかそういうことをテーマとして、大規模イベントを通じて改めて世界にその功績を発信して、かつ、津波防災の重要性を伝えていきたいなあと、これからいろいろ考えようと、こういうふうに思ってるわけでございます。

 あわせて、御指摘のように、濱口梧陵さんは多方面の天才みたいな方で、大偉人でありました。初代県会議長であるし、初代郵政大臣であるし、和歌山県の財政運営も一肌脱いでくださっておるし、伝染病の予防治療にも大変な努力と功績をしておられる人でございまして、これらは例の偉人シンポジウムで全て取り上げたことではございますけれども、改めてこういう方面も世界に発信していったらいいんじゃないかと、こういうふうに思います。

 特に、初代県議会議長でいらっしゃいますので、県議会の皆様の御協力も得て、こっちもやりたいなあと、こんなふうに思ってる次第でございます。

○副議長(森 礼子君) 山家敏宏君。

  〔山家敏宏君、登壇〕

○山家敏宏君 世界津波の日を通じて、県内、国内、そして全世界に発信していくという力強い意気込みを感じる御答弁、まことにありがとうございます。

 今までの継続的な取り組みと生誕200年を契機としてのイベントを実施していただくことにより、濱口梧陵のすばらしい功績が全国的に周知できるものと大きく期待できます。これらを機に、全国の皆様の機運が高まり、テレビドラマ、映画等に採用されれば、さらに防災意識の向上、観光客誘致にもつながることですので、何とぞよろしくお願いいたします。

 続いて、大項目3の津波災害時における高台への避難について質問させていただきます。

 ことしの6月議会では、防災の観点から、湯浅湾における一文字堤防について質問させていただきましたが、今回は高台への避難についてであります。

 津波災害発生時には高台への避難が最も有効でありますが、各地域では避難所を設定し、安全な避難ができるように取り組んでいます。また、災害発生時に自宅にいるとは限りませんので、和歌山県では避難先検索、防災情報のプッシュ通知、グループ登録すれば家族等が避難した場所の確認、避難トレーニングを行うことができる和歌山県防災ナビアプリを作成していますが、このアプリ自体の周知拡大も犠牲者ゼロにつながる重要なことだと考えております。

 しかし、災害発生時、避難を行う際に、家屋及びブロック塀の倒壊、倒木、電柱が倒れる等のさまざまな障害が起こる可能性が高いのが現状です。

 また、平成25年8月8日に気象庁の地震計にトラブルがあり、関西で震度7との誤報がありました。このとき、電車が緊急停止したため湯浅町の踏切遮断機がおりたままになり、かなりの交通渋滞が発生しました。その後、調べたところ、各踏切によって違うのですが、そこの踏切は一番速度の速いくろしおを基準にしているため、踏切から約1キロ以内に電車がある場合、遮断機はおりたままになることがわかりました。

 これらのいろいろな課題が残っているのが現状ですが、県として、住民の方が少しでもスムーズな避難を行えるようどのような対策を行っているのか、危機管理監の答弁を求めます。

○副議長(森 礼子君) 危機管理監。

  〔森田康友君、登壇〕

○危機管理監(森田康友君) 県では、津波による犠牲者をゼロとするため、避難対策を最優先に取り組んでいます。

 大きな揺れや長い時間の揺れを感じた場合、できるだけ早く行動を起こし、高台などのより安全な避難場所等に避難していただくことが重要であると考えており、周知徹底を図っているところでございます。

 あわせて、議員御指摘のとおり、避難の際、交通渋滞や建物の倒壊、倒木等により通行の支障が生じるおそれもあることから、原則徒歩での避難を呼びかけております。

 また、迅速な避難ができるよう、住宅の耐震化や家具固定の促進に加え、道路沿いのブロック塀の安全対策にも取り組むとともに、新たな避難路整備も進めているところです。さらに、市町村がこれらの対策を実施する場合は、わかやま防災力パワーアップ補助金等で支援を行っております。

 県といたしましては、今後も引き続き、「揺れたら逃げる」の意識を徹底し、早期避難を呼びかけるとともに、国や市町村とも協力し、ハード、ソフト両面での津波対策の一層の充実に取り組んでまいります。

○副議長(森 礼子君) 山家敏宏君。

  〔山家敏宏君、登壇〕

○山家敏宏君 犠牲者ゼロを目指し、避難対策としていろいろと取り組んでいただいていることに感謝申し上げますとともに、継続して啓発、推進をよろしくお願いいたします。

 踏切遮断機がおりたままになることについては、踏切に行かなければわかりません。土地カンのある場所であれば、避難経路を変更してほかの避難経路を使って避難も可能な場合もあると思いますが、土地カンのないところではほかの避難経路に行くまでかなりの時間を要します。

 このことについては、和歌山県だけでなくて全国的な課題ではありますが、担当部局においては鉄道事業者と協議を行い、情報共有等に取り組んでいただき、その情報を市町村に提供できるようにすることが有効だと考えておりますので、このことについては要望させていただきます。

 続いて、大項目4のふるさと納税の返礼品としての電子感謝券の導入について質問させていただきます。

 返礼品の一つとしての電子感謝券を御存じの方も多いと思いますが、少し説明させていただきます。

 電子感謝券は、納税者が電子感謝券利用に登録している自治体の中から応援したい自治体を選び、例えば1万円をスマートフォン等で寄附した場合、即時3000ポイントが付与されます。そのポイントを、自治体に対し登録している飲食店、物販店、宿泊施設、温泉、体験型施設等で利用可能であり、ポイント不足分については現金で支払うことが可能なため、返礼品ポイントを無駄なく使い切ることが可能です。使い方も電子マネーと同じで、利用可能な店舗にてバーコードを読み込むか、QRコードの提示で使用できます。

 既存の制度であれば、納税者は応援したい自治体等に納税してお礼の品をいただくというのが通常ですが、この電子感謝券の場合は、登録している自治体に来ていただけるため、観光にもつながると考えます。今までメリットが少なかった飲食店、温泉等で使用できるため、経済効果も期待できます。

 現状では、47都道府県の自治体での登録はありませんが、全国の市町村では38市町村が登録されています。そのうち近畿地方では3市2町が登録しています。今年度より和歌山県内では湯浅町も同制度を導入し、感謝券を町内における飲食や物販、体験型施設に使用する等、一定の経済効果が見込まれていますけども、小規模な自治体単独ではその効果に限界を感じています。

 県が実施することにより、各市町村の同意が必要ではありますが、共通返礼品として利用できることになり、例えば和歌山市に納税した場合でも、白浜の温泉、有田川町のブドウ狩り、湯浅町のシラス丼等、各施設が登録をすれば利用できるため、利便性が高まり、より経済効果が見込まれるものと考えられますが、県として導入実施の可能性はあるのか、総務部長の答弁を求めます。

○副議長(森 礼子君) 総務部長田村一郎君。

  〔田村一郎君、登壇〕

○総務部長(田村一郎君) 県のふるさと納税の返礼品については、寄附者に対し、感謝の気持ちを伝えるとともに、本県のすぐれた地場産品を知っていただく絶好の機会と捉え、県が優良県産品として認定、推奨しているプレミア和歌山の商品で事業者の協賛が得られた商品の中から寄附者の方に選択していただいているところでございます。

 こうしたプレミア和歌山という自慢の逸品を返礼品とすることで、全国に広くPRするとともに、寄附をきっかけに、以後、継続的な購入につなげて地場産業の振興を図ることを目的としているところでございます。

 議員御提案の電子感謝券等の電子ポイントによる返礼は、寄附者に本県のすぐれた地場産品を届けたいという県の考え方とは少し趣旨が異なることとなり、また、現在、市町村が返礼品として提供している宿泊券等との重複による影響も考慮すると、県での導入は慎重にならざるを得ないと考えておりますが、本県を訪れる方の増加につながる取り組みと考えられますので、県内の各市町村に電子感謝券について紹介してまいりたいと思います。

○副議長(森 礼子君) 山家敏宏君。

  〔山家敏宏君、登壇〕

○山家敏宏君 和歌山県としては、プレミア和歌山の商品で全国に広くPRしていることはすばらしいことだと思います。すぐれた地場産品を届けたいという県の趣旨についても私は理解しています。しかしながら、私は、すぐれた地場産品をその場で食していただくことや体験型施設にて和歌山県の魅力をPRできることは、趣旨が異なるとは考えておりません。

 また、県では、市町村が提供している宿泊券等の重複による影響もあるため、市町村にこの制度を紹介していくとのことですので、多くの市町村が導入することで、少しでも多くの方に和歌山県に来ていただきたいと考えております。

 市町村の同意、協力等、ハードルはございますが、電子感謝券は全国の都道府県に先駆けて実施することにもメリットを感じるため、今回質問させていただきました。今後も、電子感謝券及びふるさと納税については、和歌山県、また市町村も含め全国的な動向を注視してまいりますが、ふるさと納税制度に対し、引き続き各市町村への協力、御指導をお願いいたします。

 続いて、大項目5の県立高等学校の将来に向けた取り組みについて質問させていただきます。

 近年、少子化が進む中、全日制29校、4分校、定時制9校について、和歌山県教育委員会公表の平成30年度、31年度和歌山県立高等学校入学者選抜実施状況について調査いたしました。

 平成30年度定員割れになっている学校が、全日制で15校、約51.7%、分校では4校、100%、定時制では9校、100%です。平成31年度では、全日制16校、約55.2%、分校では4校、100%、定時制では9校、100%です。数字的には余り変化がないのですが、定員割れを起こしている学校が変化しています。

 例えば、平成30年度については、県立中学校を併設している高等学校5校については定員割れがなく、平成31年度については日高高等学校、田辺高等学校が定員割れとなっています。

 普通科の日高高等学校と耐久高等学校の出願者を見ますと、平成30年度は耐久高等学校が定員200名に対して152名出願で定員割れ、日高高等学校は定員200名に対して202名で定員オーバー。逆に平成31年度は、耐久高等学校が定員200名に対して6名オーバーの206名、日高高等学校は定員200名に対して180名で定員割れでした。

 また、有田郡市の県立高校において、耐久高等学校と箕島高等学校の両校に普通科が存在し、近年はそれぞれ定員割れとなることが起こっています。また、総合学科の有田中央高校においても平成30年度から1学級を減らし、3学級となっています。有田地方では、学区を撤廃してから、和歌山市の高等学校への生徒流出も激しく、それぞれの高校が特色をさらに生かして存続することが重要だと考えます。

 一方で、県として高等学校のあり方についての将来展望を持つことはとても重要であることから、そのことについて教育委員会はどのような取り組みをしておられるのか、教育長の答弁を求めます。

○副議長(森 礼子君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 県立高等学校の将来に向けた取り組みについてでございます。

 今後、本県においては、人口減少や少子化がさらに進行し、15年後の中学卒業生徒数は、ことしの8607人から7割程度に減少することが予想されることから、現在の県立高等学校の体制を維持していくことが困難になります。

 各地域における高等学校には、それぞれの地域社会を担う人材を育成するという役割が強く期待されており、そのための教育環境の整備が必要です。一方で、人口が大きく減少する地域においては、地域とともに持続可能な高等学校のあり方が求められています。

 教育委員会では、中長期的な展望に基づいた今後の高等教育のあり方を示す高校教育ビジョンをまとめていくため、先般、総合教育会議において協議するとともに、ことし10月、有識者等から成るきのくに教育審議会を立ち上げ、来年6月までの審議をお願いしているところです。

○副議長(森 礼子君) 山家敏宏君。

  〔山家敏宏君、登壇〕

○山家敏宏君 私も、地域に根づいた高等学校は存続しなければならないと考えます。そのためにも、学区の課題、定数の課題、また、さらに特色ある高等学校の実現に対しても、きのくに教育審議会で議論していただくことを要望いたします。

 そして、審議会の結果についても注視していきますので、何とぞ活発な議論をお願いし、私の一般質問を終了いたします。(拍手)

○副議長(森 礼子君) 以上で、山家敏宏君の質問が終了いたしました。

 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。

 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。

 本日は、これをもって散会いたします。

  午後2時40分散会

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