令和元年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)


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令和元年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号

議事日程 第5号

 令和元年6月21日(金曜日)

 午前10時開議

 第1 議案第109号から議案第132号まで(質疑)

 第2 一般質問

 第3 議案の付託

 

会議に付した事件

 第1 議案第109号から議案第132号まで(質疑)

 第2 一般質問

 第3 議案の付託

 第4 休会決定の件

 

出席議員(42人)

 1番 鈴木德久

 2番 山家敏宏

 3番 中本浩精

 4番 堀 龍雄

 5番 藤山将材

 6番 岸本 健

 7番 井出益弘

 8番 宇治田栄蔵

 9番 北山慎一

 10番 中西峰雄

 11番 秋月史成

 12番 森 礼子

 13番 濱口太史

 14番 尾崎要二

 15番 冨安民浩

 16番 川畑哲哉

 17番 玉木久登

 18番 鈴木太雄

 19番 岩田弘彦

 20番 吉井和視

 21番 谷 洋一

 22番 佐藤武治

 23番 岩井弘次

 24番 中 拓哉

 25番 多田純一

 26番 新島 雄

 27番 山下直也

 28番 中西 徹

 29番 玄素彰人

 30番 谷口和樹

 31番 藤本眞利子

 32番 浦口高典

 33番 山田正彦

 34番 坂本 登

 35番 林 隆一

 36番 楠本文郎

 37番 高田由一

 38番 杉山俊雄

 39番 片桐章浩

 40番 奥村規子

 41番 尾﨑太郎

 42番 長坂隆司

欠席議員(なし)

 

説明のため出席した者

 知事         仁坂吉伸

 副知事        下 宏

 知事室長       細川一也

 危機管理監      森田康友

 総務部長       田村一郎

 企画部長       田嶋久嗣

 環境生活部長     田中一寿

 福祉保健部長     宮本浩之

 商工観光労働部長   稲本英介

 農林水産部長     角谷博史

 県土整備部長     髙松 諭

 会計管理者      飯島孝志

 教育長        宮﨑 泉

 公安委員会委員    中野幸生

 警察本部長      檜垣重臣

 人事委員会委員長   平田健正

 代表監査委員     保田栄一

 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫

 

職務のため出席した事務局職員

 事務局長       中川敦之

 次長         中谷政紀

 議事課長       松山 博

 議事課副課長     山田修平

 議事課議事班長    岸裏真延

 議事課主任      保田良春

 議事課主査      伊賀顕正

 議事課主事      大森圭悟

 総務課長       井邊正人

 政策調査課長     中平 博

 

  午前10時0分開議

○議長(岸本 健君) これより本日の会議を開きます。

 日程第1、議案第109号から議案第132号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。

 3番中本浩精君。

  〔中本浩精君、登壇〕(拍手)

○中本浩精君 おはようございます。

 令和元年6月定例会一般質問最終日のトップバッターを務めさせていただきます中本浩精です。よろしくお願いいたします。

 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問を行います。

 まず1項目め、橋本保健医療圏における病院の機能分化、連携についてお尋ねいたします。

 団塊の世代が75歳以上となる2025年には、全国的に医療需要、介護需要のピークを迎えることが見込まれており、持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律に基づく措置として、医療介護総合確保推進法が平成26年6月に成立しました。

 これを受けて、将来の目指すべき医療機能別提供体制を示す地域医療構想を各都道府県において策定することとされ、和歌山県においても平成27年度以降、県内各二次保健医療圏単位で、地域の医療関係者及び市町村、保険者等により構成される圏域別検討会を設置して、和歌山県地域医療構想策定に向けての検討を重ね、平成28年5月に策定されています。

 地域医療構想は、各構想区域・圏域において、各医療機関の機能分化と連携を図り、高度急性期、急性期、回復期、慢性期から在宅医療に至るまで、将来の医療需要を踏まえ、患者の病状に合った質の高い医療体制を構築しようとするものであり、2025年における和歌山県全体の必要病床数は、高度急性期が885床、急性期が3142床、回復期が3315床、慢性期が2164床の計9506床となっています。うち、橋本圏域(橋本・伊都地域)については、高度急性期が65床、急性期が267床、回復期が327床、慢性期が78床の計737床で、2014年7月1日現在の病床数798床と比べると61床少なくなっています。これは、圏域内の病院で急性期を306床、慢性期を45床減らし、高度急性期を65床、回復期を225床ふやす調整が必要になるということです。

 地域医療構想策定後の平成28年度からは、全ての病院と地域医師会などの関係団体で構成する地域医療構想調整会議が各圏域で定期的に開かれ、地域の医療機関が担うべき病床機能等について協議が進められております。地域医療の中核を担う公立・公的病院のあり方についても議論されていると聞いております。

 私としては、橋本圏域に限って言えば、公的な二つの病院、橋本市民病院と和歌山県立医科大学附属病院紀北分院が、病床数の調整を行っていく上で非常に重要な鍵を握っているのではないかと思っています。

 平成29年8月22日に開催された橋本圏域の協議の場において、橋本市民病院長から公立病院の再編について、奈良県における南奈良総合医療センターの成功事例を挙げた上で、「市民病院も紀北分院も赤字であえいでいる状況で、何とか病床の機能分化ができないか、橋本市民病院と紀北分院で同じようなことができるかといえば、ハードルが高く、不可能に近いが、今このまま何もせずに過ぎ去ってもよいのかとの思いが強く、一度しがらみを取り去り、単に病床をどう使うのが一番よいのかという考え方をしてみるべきではないか」との発言が出ています。

 また、平成29年12月11日に開催された橋本圏域の協議の場では、和歌山県立医科大学附属病院紀北分院長から、紀北分院について、「専門医制度がスタートした中、新たな基本領域である総合診療医を育てるのが大学の附属病院としての分院の使命と考えており、総合診療医養成のため内科をもう一度シャッフルして優秀な人材を育てていきたい。そして、総合診療医を育成することで地域医療に貢献したいというのが今後の方針であり、そのために病床をもう一度再編して今後につなげていきたい」との発言が出ています。

 橋本圏域の総人口は、今後、減少の一途をたどると推測される一方で、65歳以上の高齢者人口に関しては、2025年に向けて増加していく見込みとなっています。また、近年は、京奈和自動車道や国道24号等の整備により、圏域内はもちろん他圏域へのアクセスも容易になっています。このような地域を取り巻く環境の変化に伴い、今後は医療需要の変化、減少が予想されます。

 また、ことし3月には「医師の働き方改革」の概要が示されたところです。国の検討会の報告書によれば、全ての医療機関で2024年4月から新たに時間外労働の上限が設定されることになり、一般的な病院の勤務医については年間960時間とされました。また、2035年度末までの暫定措置として、救急医療機関等の地域医療を支える勤務医は、例外的に年間1860時間となりましたが、平成29年度に厚生労働省が実施した調査では、年間の救急車受け入れ件数が1000台以上の病院では、約半数の52%の病院においてこの1860時間の上限を超えている医師がいると推定されています。こうした医師の働き方改革が適用されれば、さらなる医師不足が生じる可能性があり、ひいては救急医療等地域医療への影響が懸念されます。

 このような状況下において、地域住民への貢献という公的病院が担うべき役割を果たしながら、民間病院を含めた橋本圏域の医療提供体制を将来にわたって維持していくためには、橋本市民病院と紀北分院、この2病院の診療機能や病床機能の見直しを行い、機能分化、連携を図ることが大変重要であると考えます。

 そこで、福祉保健部長にお尋ねします。

 橋本圏域における各病院の医療機能の分化、連携に向けた議論は、現在どのような状況でしょうか。

○議長(岸本 健君) ただいまの中本浩精君の質問に対する答弁を求めます。

 福祉保健部長宮本浩之君。

  〔宮本浩之君、登壇〕

○福祉保健部長(宮本浩之君) 県では、将来の医療需要に応じたバランスのとれた医療提供体制を構築するため、全ての病院や医師会、市町村などの関係団体で構成する調整会議を立ち上げ、地域医療構想を推進しているところです。

 本県においては、公的病院が救急医療などの地域医療を担っている現状にあることから、平成28年10月、「地域医療構想と公的病院のあり方」を独自に策定し、公的病院を中心とした再編・ネットワーク化の方向性を提示したところです。

 その中で、橋本医療圏においては、橋本市民病院を中心に機能分担と連携を一層進めることとし、県立医科大学附属病院紀北分院については、大学病院としての役割等も踏まえた圏域内での機能分担と連携を進めることとしています。

 さらに、昨年度は、再編・ネットワーク化をより進めていくために、県が各病院の経営上の課題抽出や将来の医療需要に基づく収支見込みなど、客観的なデータを用いた分析を行い、経営効率化の指標を示したところです。

 現在、国においても、公的病院の役割が高度急性期や急性期、不採算部門など、地域の民間病院では担うことができない医療機能へ重点化されるよう、各病院の診療実績を分析しており、橋本医療圏についてもその結果が示される予定です。

 県としましては、これらの分析結果を活用しながら、橋本医療圏において病院の医療機能の分化、連携が一層進むよう、各病院とともに取り組んでまいります。

○議長(岸本 健君) 中本浩精君。

  〔中本浩精君、登壇〕

○中本浩精君 ただいま福祉保健部長から、橋本圏域における病院の機能分化と連携を進めていくという答弁をいただきました。

 この問題は、本当に調整は難しく、道は本当に険しいのかなと思いますけど、今、答弁にもいただきましたけど、データ等を分析していただいて、エビデンスに基づいて、県が間へ入っていただいて、しっかりと進めていただいて、医療提供体制の充実に努めていただきますことを要望いたしまして、次の質問に入らせていただきます。

 2項目め、食の安全・安心についてお尋ねいたします。

 まず1項目め、種子法の廃止と県の対応についてお尋ねいたします。

 TPP11、いわゆるアメリカを除く環太平洋連携協定が昨年12月30日に発効され、日本の農林水産品は82%で関税が撤廃されることになりました。また、それに先立ち、昨年4月1日、主要農作物種子法、いわゆる種子法が廃止されました。

 種子法は、戦後の食糧増産という国家的要請を背景に、稲、麦及び大豆の優良種子について、国、都道府県が主導して生産、普及を進める必要があるとの観点から、昭和27年に制定されました。

 しかしながら、近年では、種子生産者の技術水準の向上等により種子の品質が安定してきたことや、農業の戦略物資である種子については、多様なニーズに対応するため、民間ノウハウを活用した品種開発を強力に進めていく必要があるとの理由から、廃止に至りました。

 これまで県では、稲の優良種子を確保するため、種子生産圃場の指定や生産圃場、生産された種子が法律の基準に適合していれば証明書を交付するなど、その品質を担保してきました。しかしながら、県民の中には、種子法の廃止により、これらの基準を満たさない粗悪な品質の種子が流通するのではないか、また、種子法はTPP11の発効を背景に廃止され、これにより大手の種子会社の参入が促され、近い将来、主要農産物である米の種までもが海外からの輸入に頼る時代が来るのではないかといった懸念の声も聞かれます。

 私は、種子法廃止後も優良種子を確保するため、県で継続的にしっかりと対応していただいているものと認識しておりますが、生産者や消費者の皆様の中には、そのような漠然とした不安を持たれている方々がいるのも事実です。

 そうした不安を払拭する意味でも、種子法廃止後の県の対応について農林水産部長にお願いいたします。

○議長(岸本 健君) 農林水産部長角谷博史君。

  〔角谷博史君、登壇〕

○農林水産部長(角谷博史君) 議員お話しのとおり、主要農作物種子法は、近年、種子生産者の技術水準の向上等により品質が安定してきたことや、民間ノウハウを活用した品種開発を進めるため、平成30年4月に廃止されたところでございます。

 一方で、法律の廃止に伴い、これまでの種子法で規定されていた稲、麦、大豆の種子の品質基準が種苗法に引き継がれております。種子生産者や種苗業者は、この品質基準を遵守することとなってございます。

 本県では、法律の廃止後もこれまでと同様、県農業試験場で水稲の原々種や原種を採種し、県とJAグループで構成する県種子協会へ供給するとともに、増殖した種子の発芽率や病害虫発生の有無、雑草の混入など、種子が優良なものかどうかを確認した上で農家に供給しております。

 今後、こうした取り組みをJAの広報誌等により生産者や消費者に周知するとともに、JAグループと連携し、優良種子の安定供給にしっかりと取り組んでまいります。

○議長(岸本 健君) 中本浩精君。

  〔中本浩精君、登壇〕

○中本浩精君 農林水産部長から答弁をいただきました。種子法の廃止後も、県では実質的にこれまでと同様の対応をしていただいてるということがよくわかりました。今後も、引き続きしっかりした対応をしていただきますようによろしくお願い申し上げます。

 次の質問に入らしていただきます。

 小項目2、遺伝子組み換え食品の安全性についてお尋ねいたします。

 遺伝子組み換え食品については、厚生労働省による安全性審査を受けることが義務づけられており、審査を受けていない遺伝子組み換え作物、またはこれを原材料に用いた食品は、国内での販売や輸入が法的に禁止され、流通することはないと認識しておりますが、TPP11の発効を契機に、遺伝子組み換え作物の輸入が拡大されるのではないかという懸念の声も聞かれます。

 先ほどの種子法の廃止と同様、県民の方々の不安や誤解をなくすためにも、適切な情報を提供する必要があると思いますので、遺伝子組み換え食品の安全性に係る国や県の取り組みについて、環境生活部長にお尋ねいたします。

○議長(岸本 健君) 環境生活部長田中一寿君。

  〔田中一寿君、登壇〕

○環境生活部長(田中一寿君) 議員御指摘のとおり、遺伝子組み換え食品を輸入や販売する際には、食品安全委員会の安全性評価を踏まえた厚生労働省の審査を経る必要があり、審査を経ていない遺伝子組み換え作物やこれを原材料に用いた食品の国内での流通は、食品衛生法で禁止されているところです。

 TPP11協定では、遺伝子組み換え作物に関する規制は、締約国の法令により対応するものと規定されており、ただいま御説明しました食品衛生法の規制が適用されます。

 したがいまして、県民の皆様には輸入される遺伝子組み換え食品の安全性がどのように確保されているか、意見交換会等のリスクコミュニケーションにより正しい情報をお知らせし、不安の払拭に努めてまいります。

○議長(岸本 健君) 中本浩精君。

  〔中本浩精君、登壇〕

○中本浩精君 環境生活部長から答弁をいただきました。

 TPP11の発効に関連して、本当に食の安全にかかわるさまざまな情報が飛び交っていますのは事実だと思います。正しい情報を県民の皆様にお伝えし、引き続き不安や誤解をなくすための取り組みを続けていただきますように、どうかよろしくお願いいたします。

 次の質問に入ります。

 最後の3項目めの生涯スポーツについて、まず1項目め、ねんりんピック紀の国わかやま2019についてお尋ねいたします。

 いよいよ、ねんりんピック紀の国わかやま2019の開催まで150日を切りました。私自身、小さいころから野球が大好きで、小学校から大学まで野球を続けさせていただきました。最近は、肩痛い、膝痛いということで思うようなプレーはできませんが、年齢を重ねても、いつまでもスポーツや文化のすばらしさを全国の方々と共有できるこの大会を心待ちにしています。

 大会に向けた準備も大詰めを迎え、いよいよラストスパートといったところだと思いますが、令和元年の記念すべきこの和歌山大会の成功に向けた現在の取り組み状況と今後の予定について、福祉保健部長にお尋ねいたします。

○議長(岸本 健君) 福祉保健部長。

  〔宮本浩之君、登壇〕

○福祉保健部長(宮本浩之君) 本年11月9日から12日にかけて県内21市町で開催するねんりんピックは、全国から約1万人の選手団の方が来県されることから、本県の魅力をアピールできる絶好の機会と捉え、鋭意準備を進めているところです。

 今月5日に開催された実行委員会において、メーンイベントとなる総合開会式、総合閉会式の内容について承認をいただいたところであり、総合開会式では、ねんりん世代の人生を和歌山の四季に例え、夢の芽が芽吹いて花を咲かせ、実を収穫するまでの一生を歌とダンスで表現します。また、総合閉会式では、日本女子競泳初の金メダリスト、前畑秀子さんの人生をミュージカルでつづり、和歌山から来年の東京オリンピックへ夢をつなぎます。

 県内の児童生徒を初め、総合開会式の出演者は、既に歌やダンスの練習を本格化しており、大会を支えていただくボランティアについても既に県民の皆様から多数御応募いただいております。

 また、各交流大会を開催していただく市町においても、競技団体の協力を得て大会運営の準備も最終段階を迎えているところです。加えて、郷土料理の振る舞いを初めとした各地域ならではのおもてなしにも取り組んでおります。

 さらに、全国の選手団の皆様に対して、県産品や観光情報を盛り込んだパンフレットを事前に送付するなど、和歌山をより楽しみにして御来県いただける取り組みも進めております。

 開催まであと141日となり、県民総参加で選手団の皆様を温かくお迎えし、和歌山に来てよかった、また来たいと思っていただける大会とするよう全力で取り組んでまいります。

○議長(岸本 健君) 中本浩精君。

  〔中本浩精君、登壇〕

○中本浩精君 福祉保健部長から、この令和元年のねんりんピックにかける県の意気込みを答弁いただきまして、よく伝わりました。私の地元の橋本市においても、ゴルフとソフトバレーが開催されますので、ぜひ私も応援に行きたいと思っております。

 今後ますます高齢者人口かふえる中、地方が元気になるためには、高齢者の方々が元気であることが重要であり、そのためには、高齢者みずからが生きがいや目標を持って毎日を生き生きと過ごすことが大切だと考えます。ねんりんピックがそのきっかけづくりの一つになっていただければいいなと思います。

 大会の成功を心から祈念いたしまして、次の質問に入らしていただきます。

 2項目め、ワールドマスターズゲームズ2021関西と生涯スポーツの振興についてお尋ねいたします。

 ことしは、ねんりんピック紀の国わかやま2019が開催される中、9月から11月にかけて、ラグビーワールドカップ2019日本大会が開催されます。また、2020年には東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会、2021年にはワールドマスターズゲームズ2021関西と、3年連続で一大スポーツイベントが開催されます。

 特に、ワールドマスターズゲームズ2021関西は、4年に1度、オリンピック・パラリンピックの翌年に開催される生涯スポーツにおける世界最高峰の国際総合競技大会で、今回、アジアで初めて日本の関西で開催されます。おおむね30歳以上であれば誰でもエントリーすることができ、世界の人々とともにスポーツを楽しむことができる大変貴重な機会となり、本県においても、陸上、射撃、セーリング、バレーボール、ダンススポーツといった公式競技や、それ以外のオープン競技も行われる予定ですが、開催まで700日を切った現在の準備状況と今後の取り組みについて教育長にお尋ねいたします。

 また、生涯スポーツの祭典が連続して開催されるこの機会を決して一過性のものにとどめることなく、最大限に生かさなければなりません。毎日の充実や生きがいに結びつくと考えられる生涯スポーツの振興について、今後どのように考えているのか、あわせて教育長にお尋ねいたします。

○議長(岸本 健君) 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) ワールドマスターズゲームズにつきましては、5月26日に大阪市でワールドマスターズゲームズ2021関西・大会2年前イベントが開催され、アスリートによるトークショーやスポーツ体験イベントに約8000人の方々が参加し、大会認知度は徐々に高まっています。

 本県では、来年2月の大会エントリーの開始に向け、実施要項を作成するとともに、観光・宿泊サイトの開設や効率的な輸送体制の確立に取り組んでいるところです。

 また、大会により多くの方々に参加していただくため、今後ともPR活動に力を入れ、わかやまリレーマラソンのほか、県内外で開催されるさまざまなスポーツイベントや国際競技大会での周知に取り組んでまいります。

 生涯スポーツの振興につきましては、本年から大規模スポーツイベントが3年連続で開催される、いわゆるゴールデンスポーツイヤーズが始まります。県といたしましても、この機会を捉え、スポーツに対する機運を大いに盛り上げ、スポーツをする人をふやしつつ、見る、支える人を含めたスポーツ参画人口の増加につなげてまいります。

 そのためにも、総合型地域スポーツクラブの支援や各種スポーツ体験会の開催、また、さまざまなキャンプの誘致等により、県民の皆様がより一層スポーツに親しむ機会を提供できるよう取り組んでまいります。

○議長(岸本 健君) 中本浩精君。

  〔中本浩精君、登壇〕

○中本浩精君 教育長から答弁をいただきました。

 生涯にわたってスポーツに親しむことは、人生に潤いを与え、シニア世代が元気で健康な毎日を過ごせることにもつながります。しかしながら、働き盛りの世代や子育て世代は、時間に追われてスポーツに親しむ機会が少ないとも言われております。

 私は、ゴールデンスポーツイヤーズであるここ数年はチャンスだと思っております。ねんりんピック、ワールドマスターズゲームズをきっかけに、全ての世代でスポーツに親しむ機会をふやすなど、生涯スポーツの振興にしっかりと取り組んでいただきますようによろしくお願い申し上げます。

 最後の質問に入ります。生涯スポーツイベントを契機とした本県への誘客施策についてお尋ねいたします。

 昨年11月に富山県内で開催されたねんりんピック富山2018の観客を含めた県内外からの参加者は延べ55万3300人で、その経済波及効果は約110億円に上ったとも言われています。

 また、ワールドマスターズゲームズ2021関西では、国内外の参加者に加え、競技に参加しない家族、友人などを合わせて15万人を超える人々が、大会期間の前後を含めて開催地を訪れる見込みと聞いております。

 本県においても、これらの大会開催に伴う観光効果が大いに期待されるところであり、ねんりんピックにおいては、本県を訪れる皆様にいかに和歌山の魅力を伝え、楽しんでいただくか、また、ワールドマスターズゲームズにおいては、関西、特に大阪を訪れるたくさんの国内外の参加者を、高野山を初めとする和歌山の観光地へいかに誘客するかが重要だと考えますが、これらの大会を契機とした県の誘客施策について具体的にどのように取り組んでいくのか、商工観光労働部長にお尋ねいたします。

○議長(岸本 健君) 商工観光労働部長稲本英介君。

  〔稲本英介君、登壇〕

○商工観光労働部長(稲本英介君) ねんりんピックでは、選手、役員など約1万人の来県が見込まれ、また、ワールドマスターズゲームズでは、海外からの参加者約2万人を含む約5万人の参加選手が競技会場となる関西エリアへお越しになると見込まれており、県といたしましては、高野山、熊野の世界遺産ブランドを初めとした和歌山の魅力を体感していただく絶好の機会と捉え、具体的な取り組みを進めているところでございます。

 まず、ねんりんピック開催につきましては、開催地各エリアの人気観光地を訪れる日帰りコースや1泊2日コースの観光ツアープランをねんりんピック推進課と共同で企画し、現在、同ツアーへの選手など関係者の参加を募集しているところです。さらに、9月下旬には、「わかやま歴史物語」などの観光パンフレットも選手など関係者に配布し、大会前後を通じて県内を周遊していただけるよう、事前に観光情報を提供することとしています。

 次に、ワールドマスターズゲームズに関しましては、県内において多くの参加者が見込まれるハーフマラソンを初め5競技が開催され、海外からも多くの参加者が見込まれることから、海外の旅行会社に対し大会の周知を行うとともに、海外のスポーツメディアを初めさまざまなメディア媒体を通じた和歌山の情報発信に取り組んでおります。

 また、ワールドマスターズゲームズ2021関西組織委員会と連携し、大会ウエブサイトで競技開催市町を中心とした観光周遊ルートや体験プログラムの情報発信を行うとともに、体験プログラムのインバウンド対応や予約システムの整備を今後重点的に進めていきます。

 ねんりんピックを初め、3年連続で世界的なスポーツイベントが開催されるこの好機を逃がすことのないよう、大会主催者や関係機関一丸となって国内外から多くの皆様にお越しいただくため、積極的なプロモーション活動を展開してまいります。

○議長(岸本 健君) 中本浩精君。

  〔中本浩精君、登壇〕

○中本浩精君 ただいま商工観光労働部長から、具体的に取り組んでいくという内容の答弁をいただきました。

 この秋に開催のねんりんピックは、和歌山県に初めて来られるという方も多いかと思います。せっかく来ていただくんで、高野山や熊野の世界遺産、白浜といった有名観光地はもちろん、本県には非常に多くの観光資源があり、またその楽しみ方もいろいろあるということをぜひ体感していただきたいと思います。

 また、ワールドマスターズでは、国内外から参加選手を含め、スポーツ愛好家の皆さんがたくさんお越しになられます。和歌山県は、世界的にも評価の高い世界遺産に加え、高野山町石道のトレッキングやサイクリング、川や海でのアクティビティーなど、スポーツ愛好家の皆さんに楽しんでいただける体験型観光の宝庫とも言えるエリアであると思います。

 このチャンスを契機として、主要観光地だけではなく、周辺エリアにも周遊してもらえるよう、地域の新たな体験型観光プログラムの掘り起こしや、外国人の方が参加しやすいような受け入れ環境づくりなどに、地域の観光協会や事業者の方々と連携しながら取り組んでいっていただければと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 以上で、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(岸本 健君) 以上で、中本浩精君の質問が終了いたしました。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 30番谷口和樹君。

  〔谷口和樹君、登壇〕(拍手)

○谷口和樹君 皆さん、おはようございます。谷口和樹でございます。30番議員でございます。

 3期目の議席をいただきました。また、先輩方、同僚の皆様方、そして当局の皆様方、4年間、しっかりよろしくお願いいたします。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 一つ目、東京オリンピック・パラリンピックに向けてのふるさとアスリートの応援制度について質問さしていただきます。

 昨年、和北総合型スポーツクラブ主催で、NPO日本オリンピアンズ協会によるオリンピアン巡回指導事業というイベントが、和歌山北高校西校舎で開催されました。

 理事長である東京オリンピック体操金メダリスト、私の出身の田辺市出身の早田卓次先生を初め、レスリング、フェンシングなどのそうそうたるメダリストの方々が来られ、ふるさとのちびっ子アスリートたちに指導をしてくださいました。

 会話の中でもそうですし、子供たちの反応などを見ていてもそうですし、やはり、はるか裾野から厳しく長い競争を勝ち抜き、オリンピックに出場され、またその後もオリンピアンとして品格を求め続けられ、またそれに応えてきた人たちというのは、やはり知識、指導力だけでなく、人としてもすごいなあと感動したところでございます。

 オリンピアンである彼らは、スポーツを愛する人間にとって憧れの存在であると同時に、世の中への大きな影響力を持つインフルエンサーでもあります。そういう方々が我が和歌山県におられるということは、和歌山県にとって本当に大きな財産だなと感じたところでございます。

 というわけで、来年に迫った東京オリンピック・パラリンピックの質問に入りたいと思います。

 東京で開催されるオリンピックは、来年7月24日から8月9日の日程で、パラリンピックは来年8月25日から9月6日の日程で開催されます。東京オリンピック開催まで残り400日を切り、これから各競技、厳しい選考の末、強化選手から代表選手に絞られる時期に入ってきますが、和歌山県出身のアスリートも、懸命に4年に1度の夢舞台へ日本代表として出場を目指して極限のトレーニングや調整に励んでいます。和歌山県の各競技団体、協会の皆様方も、物心も含め、全力のサポートを継続されておられますが、県も過去のオリンピック・パラリンピック同様、和歌山県出身のアスリートに対して惜しみない支援を期待するところでございます。

 今回は、開催地が日本ということで、より国民、県民のスポーツ振興に対する理解も熱も高まると考えます。この機会にふるさとオリンピック・パラリンピックアスリートに対する支援を制度にできないか、御質問させていただきます、提言させていただきます。

 例えば、一つは、健康面や生活面でのサポートとして、ふるさとオリンピック・パラリンピック有望選手に選んでもらって、プレミア和歌山の県産品を提供する応援制度をつくれないか、また、大会までの間において、ふるさとオリンピック・パラリンピック有望選手を起用したテレビ、ラジオ等の番組制作への制作助成制度をつくれないか、また、それらをつなぐ窓口として、また選手の大会直前サポートに若手職員を派遣してフルサポートする支援員派遣制度ができないかなどが考えられますが、何より、日本開催のオリンピック・パラリンピックでスポーツ振興やアスリート支援への機運も高まると思われますので、和歌山県は、ふるさと出身のアスリートが個人だけでは超えられないひときわ大きな舞台に挑む際には、和歌山県全体でサポートする、この意思表示を制度という形にして、アスリートの郷土愛とモチベーションを奮い立たせれたらと考えます。

 東京オリンピック・パラリンピックに向けて、県民全体でふるさと出身のオリンピック・パラリンピックアスリートを支える制度を持てないか、教育長にお聞きをいたします。

○議長(岸本 健君) ただいまの谷口和樹君の質問に対する答弁を求めます。

 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 東京オリンピック・パラリンピックに向けてのふるさとアスリート応援についてでございます。

 本県ゆかりのアスリートが東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に出場し活躍することは、県民に夢と感動を与え、本県のスポーツ振興に大きく寄与するものであります。

 現在、県では、大会出場を目指すトップアスリートの競技力の向上のため、強化合宿や国際大会に参加するための費用の一部を助成しているところです。また、日ごろからアスリートと連絡を密にして、競技力向上に向けた練習状況や健康状態などの把握に努めております。

 今後とも、このような取り組みを継続し、選手の思いに寄り添いながら、アスリートのために何が必要かを考え、支援を検討してまいりたいと考えております。

○議長(岸本 健君) 谷口和樹君。

  〔谷口和樹君、登壇〕

○谷口和樹君 ぜひよろしくお願いします。

 せんだって、うれしいことが二つありました。レスリング競技の全日本選抜選手権大会が東京でありまして、フリースタイル74キロで和歌山県出身の奥井眞生選手が優勝して、世界選手権へのプレーオフに進みます。世界選手権で3位までに入れれば、五輪出場権ということで一歩近づいたことになります。

 もう一つは、東京五輪から採用のローラースポーツ、ストリートで昨年アジア大会優勝の和歌山県出身の池慧野巨選手、現在も国内外で大活躍されてます。オリンピック有力選手と同時に、メダルの有力候補でもあります。

 お二人とも田辺市の大塔地区、鮎川地区に子供のころおられたこともあり、うれしい限りであります。無事にけがなく、ぜひ五輪に出場いただきたいと思います。

 皆様方も、思い入れや関係のある選手がいたりするかと思うのですが、やはりオリンピック・パラリンピックは、アスリートも国民も特別ですから、日本開催のこの機会にさまざまなスポーツ環境の整備や振興につなげたいものであります。

 今になって思いますが、2015年に和歌山国体・和歌山大会が開催されたこと、総合優勝したことが、今、五輪へ向けての選手、関係者たちへの勢いにつながってると感じています。改めて、2015年、あのとき頑張った全ての和歌山県民に感謝を申し上げ、次の質問に移りたいと思います。

 二つ目、市町村への災害用アークライトの設置補助について、危機管理監にお聞きをいたします。

 経済産業省、ものづくり2013に認定されるとともに、関西広域連合と構成6府県における新商品調達認定制度に認定された田辺市の中小企業が開発したオリジナルの災害対応機器・現代版稲むらの火アークライトについて、県外からも大きく評価される中、県内での普及が少ない状況です。

 個別の商品ではありますが、一度は和歌山県も含めた関西広域で随意契約まで認証されたオリジナルの開発商品で、現在は地震が来た際に自動点灯、携帯電話での遠隔点灯の機能が追加されています。

 全国各地からデモンストレーションのお呼びがたくさんかかる中、和歌山県産の災害復旧対策機器の県内設置普及を促進する設置補助制度について、危機管理監にお聞きをいたします。

○議長(岸本 健君) 危機管理監森田康友君。

  〔森田康友君、登壇〕

○危機管理監(森田康友君) 県では、東日本大震災の直後から、防災・減災対策の総点検を実施して、避難路の整備等を推進するとともに、避難場所の安全レベルの設定や和歌山県防災ナビの構築など、津波避難対策に重点的に取り組んでいるところです。

 こうした対策を進める上で、よりきめ細やかな防災対応を実施していくため、市町村に対して、わかやま防災力パワーアップ補助金により財政支援を実施しています。

 この補助金は、市町村における防災対策の充実強化を目的とする資機材や避難路等の整備について、県が支援を行うものです。防災対策の観点からは、個別の製品の普及促進を目的に支援するのではなく、市町村の防災対策に資する事業に対して支援することが重要であると考えています。

 県といたしましては、議員御提案の機材について、市町村が防災対策の充実強化のため有効であると判断した場合、わかやま防災力パワーアップ補助金による支援が可能かどうか検討してまいりたいと考えております。

○議長(岸本 健君) 谷口和樹君。

  〔谷口和樹君、登壇〕

○谷口和樹君 よろしくお願いします。

 三つ目の質問に入ります。田辺市にある射撃場改修における県の補助参加について質問いたします。

 田辺市だけでなく、県内広範囲の銃保持者からの利用により長い間継続されてきた民営の田辺射撃場ですが、老朽化に当たって、利用者の居住地が県内の広範囲に及ぶため、県への売却や県費による改修助成のお話というのが、各種団体、自治体からあったと思います。

 この民営の田辺射撃場に関しては、県の講習や警察の訓練等でも利用され、社会的役割を果たしてきた一面も持ちながら、民間ですが、銃猟者の減少や高齢化を危惧しながら、採算に合わない事業を長い間継続してきています。

 今回、田辺市の呼びかけで、国庫補助金を活用し、田辺射撃場が事業主体となって、田辺市及び周辺町村の支援を含め、整備されることになりましたが、ランニングコストの負担もない税金の大量に投入を予定された県営の新施設とは、設備やスタッフなど比べるまでもなく、競争力で今回の民間の田辺射撃場は将来的に圧倒的に不利益を受けると思われます。

 恒常的に公平な競争を実現するためにも、このタイミングで和歌山県もともに補助すべきと考えますが、いかがでしょうか。知事にお聞きをいたします。

○議長(岸本 健君) 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 野生鳥獣による農作物被害額が8年連続で3億円を上回り、狩猟者の減少が進む中、狩猟者の育成確保が喫緊の課題であり、捕獲技術の向上や事故防止を図る必要もあることから、県営射撃訓練施設を整備することとしているところであります。

 この施設は、20ヘクタールの広い敷地に、狩猟者団体による技能向上のための各種大会に加え、クレー射撃競技の公式大会も開催することができるトラップ射撃場、スキート射撃場及び距離100メートルの大口径ライフル射撃場の整備を考えておりまして、県内全域の銃猟者を初め、県内外の射撃競技者など、多くの来場者を見込んでおります。

 一方、民間の田辺射撃場には、クレー放出機が一つしかないタイプのアメリカントラップ射撃場と距離40メートルの標的射撃場がございます。敷地が2ヘクタールと狭いために、クレー射撃の練習や狩猟者団体の予選会などの開催は可能であるものの、拡張の余地もないために、今回の改修後も公式競技の実施は不可能であります。

 実は、県営で考えてるようなタイプの射撃場をつくろうと考えたときに、この競技場にてこ入れをしたらどうだというような議論もあったのですが、いろいろな意味で不可能であり、消極的であったということでございまして、断念をしたところもありました。

 このように、射撃場としての規模や機能に大きな相違があり、田辺射撃場については、狩猟前の射撃訓練など地域に密着した役割を担う施設であると考えております。

 このため、県としては、県を代表する水準の施設である県営射撃場の整備を行うこととしているものでありますので、同射撃場は、議員御提案の田辺射撃場とは目的、機能を異にしており、競合するおそれは少ないものと思っております。その観点から、田辺に県が補助をすることは難しいというふうに思っております。

○議長(岸本 健君) 谷口和樹君。

  〔谷口和樹君、登壇〕

○谷口和樹君 御答弁をいただきました。御理解するところではございますけども、周辺市町村だけではなくて、広範囲からも皆さん事前の練習で使われてる施設で、広範囲から来られます。県内隅々から来られる施設なので、ぜひとも今後とも余地があれば、周辺整備でありましたりとか、運営の中でもありましたりとか、ぜひ協力がある余地があれば御検討いただけたらなと。御要望をさせていただきたいと思います。

 それでは、四つ目の質問に入らしていただきます。和歌山県内の放流事業を初めとする補助金の不正受給について御質問をさせていただきます。

 まず、本来の漁協会計とは別の通帳に管理されていた補助金不正受給についてお聞きをいたします。

 先に申し上げますが、今回の補助金不正受給については、昨年の4月に発覚してから既に1年余りが経過しています。1年余り長引いて、市民の目など一番迷惑をこうむっているのは、漁協経営からはほど遠いところにある個人や小規模でやっている零細の現場の漁師さんたちではないかと思います。

 漁協への補助金不正受給の返還が取り沙汰されていますが、そうなれば、個人の漁師さんも含めて全組合員が返済義務の対象者になると考えられ、これは不名誉、不利益この上ない話だと思います。使途解明で責任の所在を明らかにして、現場の漁師さんたちなど零細の漁業経営者たちの尊厳を守ることが、今後の漁業振興に大切なことだと考えています。

 補助金の適正は市町でできても、漁協のコンプライアンスまでは見れませんので、ぜひ県には現場の漁業者に寄り添う御判断をお願いしつつ質問に入らせていただきます。

 「紀伊民報」6月12日記事から御引用させていただきます。

  和歌山県田辺市が関わる水産事業で少なくとも19年間にわたり不正な支出があった問題で、市は10日、調査の中間報告をした。イセエビ放流事業ではチェック体制が甘く、和歌山南漁協からの水増し請求を見抜けず、市が事務局を務める別の事業では市職員が事実と異なる実績報告書を作成して補助金を支給していた。公金のずさんな取り扱いが明らかになり、真砂充敏市長は「痛恨の極み。市民、議員の皆さまに心からおわび申し上げる」と謝罪した。

  イセエビ放流事業は、市が事業主体となって和歌山南漁協と実施している。中間報告によると、漁協は放流量の水増しを繰り返し、稚エビ代を過大に請求。2017年度までの19年間で約969万円を不正に受け取っていた。放流には市職員が立ち会っていたが、数量の確認まではしていなかった。本来なら漁協が作成すべき請求書も、市職員が漁協からの聞き取りに基づいて作っていた。

  また、市水産課が事務局を務める「市水産振興会」が実施していた海面環境保全事業では、同じ19年間で約347万円の補助金を不正に支出していた。この件では、担当の市職員が代々、海面ごみの回収量を水増しした実績報告書を作り、不正支給分を振興会の運営費に充てていた。

  このほか、他の放流事業などで同期間に市が漁協などに支出した9200万円余りについても「50%程度が不正または不適正であると推認」されるとしており、最終的な不正額はさらに膨らむ見込み。

 もう一つ、こちらも「紀伊民報」の記事から引用さしていただきます。

  和歌山南漁協が田辺市や白浜町からイセエビなどの放流事業にかかる費用を水増し受給していた問題を受け、県は不正防止策として市町村に協力を呼び掛け、稚魚や稚エビの購入先に書類の提出を依頼するなどし、実際の放流量が適正か確認する方法を検討している。

  同漁協は放流量を水増しして費用を請求し、不正に受け取っていた。田辺市の中間報告によると、不正受給は2017年度までの19年間で969万円に及んだ。白浜町では06~17年度で574万円が「不正」とされて、漁協はこの分を返還している。

  今回の問題では、補助金を支出した市町のチェックの甘さが指摘されている。漁協の監督官庁である県はこれまで、漁協への立ち入り検査で、財務諸表を確認し、収支が合っているかなどを調べていたが、今回の問題を受けて、さらに踏み込んだ検査を検討するとしている。

  具体的には、市町村と役割分担し、稚魚の購入先に書類の提出を依頼し、購入した稚魚の量を確認。漁協から市町村に提出された実績報告書の放流量と相違がないかなどを確かめる方法を考えているという。

 ここで、質問に入らせていただきます。

 和歌山県への返還について、田辺市は、今回28万点にも及ぶ資料を精査して、つまびらかに全容解明し、公表し、謝罪しました。当たり前という意見も出るかもしれませんが、みずからの組織の関与も疑われる中、隠蔽せず、ごまかさず、徹底的に調査し、市長をトップに公式謝罪したことは、市民に対して自治体のあるべき姿だと思います。

 県には県の役割があって、出した補助金の適正は市町の調査、不正に取得した補助金をその後どう使ったかは県の調査責任かと思います。

 一方で、県として合併から再建まで長い間さまざまな分野でかかわってあったこと、同時期に県職員が県漁連に出向していたことから、日々の作業も見る機会が多々あったのではないかと思います。

 県の対応と受けとめ、そして直接または市町を通しての県への返還請求について、知事にお聞きをいたします。

○議長(岸本 健君) 知事。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) まず、県の対応と受けとめについてお答え申し上げます。

 県では、漁協の健全な発達を図るため、水産業協同組合法に基づく監督を行っておりまして、水産庁の監督指針では、漁協に不祥事件があった場合には、その原因を明らかにし、再発防止策を確実に実行させることを目的として監督権を行使することが規定されているために、今回の事件発覚後、直ちに報告徴収命令を発するとともに、市町からも情報提供を受けながら原因究明に取り組んでまいりました。

 今回の事件の背景には、広域合併した漁協の運営が、実質的には旧漁協単位で行われ、組織としてガバナンスが機能していなかったということが影響しており、直接的な事件の原因としては、事務処理体制が脆弱であったこと、チェック体制が機能していなかったこと、理事、職員ともに法令遵守意識が低かったことなどが挙げられると考えております。

 また、補助金の適正執行を確保すべき市町が結果的に不正を見逃してきたことも原因となっております。

 今回のような事件の再発を防ぐため、新たに設置されたJF和歌山南経営改善策検討委員会に県も参画し、組織のガバナンス体制、事務処理体制、チェック体制及び法令遵守意識を抜本的に見直す改善策を位置づけるよう強力に指導し、先日、組合理事会で方針決定されたところであります。

 今後は、改善策が確実に実施されるまで和歌山南漁協に対して継続的に指導監督を行うとともに、市町の調査の進展にも十分配慮しながら必要な対応を行っていく所存であります。

 次に、県への補助金返還についてお答え申し上げます。

 これは、県の補助金は市町に対して一度出して、それでその市町が漁協に出しておるということであります。市町の補助金に関しては一義的に市町で対応すべきものでありますが、一方、県の補助金が使われていた2事業で不正の疑いがありますので、検査をしているところでございまして、不正があれば、当然、補助金返還は求めていかなきゃいけないというふうに思っております。

○議長(岸本 健君) 谷口和樹君。

  〔谷口和樹君、登壇〕

○谷口和樹君 御答弁の中で、理事、職員ともに法令遵守意識が低かったということですが、職員は関係ないんじゃないかなと思います。

 続いて、返還について再質問をさせていただきます。

 不正に取得した補助金は、別口座に移されて使われていたとお聞きしています。水産庁の指針にもある再発防止徹底に関しては、理由なしに不正受給するわけではありませんので、返金すれば不問では、別口座にプールしなければならない背景の根本解決にはならないと考えます。

 水産庁の指針にもある再発防止、またあわせてコンプライアンスと指導監督責任の観点からお答えください。使い道を明らかにした上で返金を促すということでしょうか。知事にお聞きをいたします。

○議長(岸本 健君) 知事。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 県費補助金の返還を求めるに当たっては、事実関係を明らかにするため、継続して検査を行っております。補助金の返還とは別に、組合の運営について、別口座など不適正な会計処理がどうもあるということが判明しておりますので、これはこれ自体としていけないことでございますから、その内容も調査をし、是正指導を行っていく必要があると思います。

 この機会に、会計処理を全面的に点検し、健全な漁協経営となるようしっかり監督をしていく所存であります。

○議長(岸本 健君) 谷口和樹君。

  〔谷口和樹君、登壇〕

○谷口和樹君 ぜひよろしくお願いいたします。

 ここからは、担当部長に御質問さしていただきます。

 田辺・西牟婁地区以外の状況についてお聞きをいたします。

 全容解明とともに再発防止が課題になるかと思われますが、和歌山南漁協の田辺・西牟婁一部地域に限った20年近く続いた不正だったのか、他の地域にはないのか、農林水産部長にお聞きをいたします。

○議長(岸本 健君) 農林水産部長角谷博史君。

  〔角谷博史君、登壇〕

○農林水産部長(角谷博史君) 現時点では、ほかの漁協から補助金について不正があったとの報告は受けておりません。

 今回の補助金不正問題については、本来、交付元の市町が主体となって検査を行うべきものと考えております。しかしながら、今回の事案に鑑み、県といたしましても、市町を側面からサポートしていくという観点から、今後、県内全ての漁協を対象とした常例検査において、新たに補助金に係る検査も行うとともに、必要に応じて臨時に検査を行ってまいりたいと考えております。

 なお、県といたしまして、県内の全漁協に対して、内部牽制の再点検や法令遵守体制の強化を求める文書を3月に発出しております。

○議長(岸本 健君) 谷口和樹君。

  〔谷口和樹君、登壇〕

○谷口和樹君 昨年の4月の発覚以来1年余りたっておりますので、その間、熱心に取り組まれていたというお話もあるんですけども、やはり市町の報告を待ってという事後対応というのは、担当の農林水産部の改善をいただきたい、このように思うところでございます。もう1年余り経過しておりますので、この点を申し上げながら次の質問に入らしていただきたいと思います。

 先ほど知事からプールした部分の細部調査をいただくとありましたが、昨年4月発覚から1年余り──重複しますけれども、1年余りということで、不正に受給された補助金はどう使われたか、これをお聞きしたいと思います。

 不正に受給した補助金は別口座で管理され、会計に乗らない部分に使用されたと聞いています。また今回、田辺市の不正調査に当たって、各方面からさまざまな御意見をいただいたと聞いております。後日の「紀伊民報」のコラム「水鉄砲」には「仄聞するところでは苦々しく思う人たちからの圧力めいた動きもあったようだ」という一文がありました。

 いろんな意見があって、立場が誰であっても、たとえ国、県、市町の政治家であっても、調査に反対の意見などを市にすること自体というのは問題があるとは思いません。しかしながら、例えば不正受給した補助金が政治資金パーティーや政治献金などによって還流された公人や政治家が、中断の示唆という圧力を調査に当たる職員に万が一かけるということでもあれば、全く違う話になります。これは、原資が税金ですから、そういうことがあったかなかったか判断するためにも、これはやはり解明と公表というのは必須の作業だと考えます。

 そこで、原資が税金である別口座に管理された補助金の中から、政治資金パーティー等の領収書の有無など、1年余りありましたので、その大まかな中身ぐらいは確認されているでしょうか。農林水産部長にお聞きをいたします。

○議長(岸本 健君) 農林水産部長。

  〔角谷博史君、登壇〕

○農林水産部長(角谷博史君) 現在、田辺市が補助金の使途について解明を進めている途上であり、県では現時点では把握しておりません。

○議長(岸本 健君) 谷口和樹君。

  〔谷口和樹君、登壇〕

○谷口和樹君 春の発覚から大分時間がたってましたので、大まかに中身ぐらいは確認していただいておったのかなあとちょっと期待もしながらお聞きをしました。細部調査の件ですけども、しっかりよろしくお願いいたします。

 今後とも、3期目の議席をいただきましたので、しっかり市民、県民、困っている皆さんに寄り添えるよう、役に立てるようにしっかり頑張っていきますので、今後とも皆様方には御指導、御鞭撻をお願いいたしまして、私の質問とさしていただきます。ありがとうございました。(拍手)

○議長(岸本 健君) 以上で、谷口和樹君の質問が終了いたしました。

 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。

 この際、暫時休憩いたします。

  午前11時15分休憩

 

  午後1時0分再開

○議長(岸本 健君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 40番奥村規子君。

  〔奥村規子君、登壇〕(拍手)

○奥村規子君 皆さん、こんにちは。

 きょうは最終日から、あと残すところ2名ということで、ぜひとも頑張って質問させていただきたいと思います。

 前任期の2月議会で、またこの場に立てるように頑張りますと皆さんにお伝えをいたしまして、今回4期目、この場に立たせていただいたこと、支援者の皆さん初め、そして当局の皆さん、そして先輩議員、同僚議員、後輩議員の皆さんに、これからも大変お世話になりますが、どうか何よりも県民の命や暮らしが大切にされる県政実現のために、ともに力を合わせて頑張ってまいりたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。

 それでは、議長のお許しをいただいたので、通告に従って4点について質問をさせていただきます。

 一つ目は、格差と貧困を広げる消費税10%の増税問題についてお尋ねをいたします。

 去る6月11日に、安倍首相を議長とする経済財政諮問会議において、経済財政運営と改革の基本方針2019(仮称)原案で、消費税増税を予定どおり実施することを改めて明記をしています。

 先月13日に内閣府が発表した3月の景気動向指数から見た国内景気の基調判断は、6年2カ月ぶりに悪化となりました。さまざまな経済指標を見ると、景気の悪化を認めざるを得なくなっています。

 政府公表の実質賃金指数は、1年前に比べマイナスです。また、2014年の4月に消費税の税率を8%に引き上げて以来の消費の低迷は続いており、ことし1月から3月期の国内総生産(GDP)の約6割を占める個人消費も、昨年10月から12月期に比べ0.1%減少しました。その上、輸出については、中国経済の不振や米中の貿易摩擦などによって2.4%も減少しています。

 県内の雇用者数を見ますと、12年と17年を比較しますと微増となっています。これは、高齢者の雇用数の増加が一つの要因だと考えられますが、同時に、非正規の雇用者の割合も増加しています。また、県内の実質賃金指数は、15年を100としますと、16年は99.3、17年は98.4と2年連続で下がっております。

 一方、消費税増税を見込んで、この春から値上げが広がっています。例えば、2リットルの飲料水、340円から360円に上がっているものもあります。また、ヨーグルトでも250円から260円、ラーメンは500円から550円に上がっているものがあります。和歌山県の有名なおまんじゅうも10円値上がりしています。

 また、先日、若い御夫婦から、税金が払えず分納にしてほしいといった相談を受けました。子供が4人進学などでちょうどお金が要る時期で困っていました。妻は病院通いもしています。夫は看護師をしていますが、住宅、自動車などのローンの支払いが大変です。

 あるシングルマザーの方は、毎日10円単位の節約をされています。野菜は100円以下と決め、お肉や魚は割引シールつきを買っているということです。節約で、何といっても一番削りやすいのは、食費になってきます。子供の分は削れないため、自分の食べるものをできるだけ安くする。どうしても栄養が偏ってしまうと言います。今でも厳しい生活が、消費税が上がればさらに厳しくなると言います。

 私は、2月の定例議会の一般質問において、国に増税中止を求めていただけるよう申し上げましたが、県の答弁は、消費税の逆進性を問題としながらも、国が増税に伴う影響緩和策を考えていると言われました。国の対策の中で低所得者に対する支援策と位置づけられているのは、軽減税率を除けば、6カ月に限ってプレミアムつき商品券──2万5000円の商品券を2万円で買えるということと、年金生活者に、恒久的ですが、支援給付金月5000円、年間6万円を支給するだけです。

 前回の14年増税の際には、低所得世帯には1人当たり1万円、4人世帯なら4万円の臨時福祉給付金を配付し、年金生活者には5000円ずつ上乗せもしました。前回に比べると、今回の低所得者対策はわずかな額になっています。

 その一方で、住宅や自動車を購入した人には減税です。カードで買い物した人には5%のポイント還元など、高額所得者には有利な仕組みになっていると思います。

 そこで、増税に伴う低所得者への緩和策についての効果をどのようにお考えなのか、知事にお尋ねをいたします。御答弁よろしくお願い申し上げます。

○議長(岸本 健君) ただいまの奥村規子君の質問に対する答弁を求めます。

 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 本年10月の消費税率10%への引き上げは、全世代型社会保障制度の構築に向け、少子化対策や社会保障に対する安定財源を確保するために必要なものと言われております。

 消費税は、低所得者ほど収入に占める税負担の割合が高くなる、いわゆる逆進性を有しておりますが、税率引き上げによる増収分は社会保障の充実や安定化に充てられることから、その受益は一般に低所得者ほど大きくなるものと理解しております。

 また、低所得者対策について、前回の消費税率引き上げの際は臨時的措置ばかりでしたが、今回は臨時的措置であるプレミアムつき商品券に加え、恒久的措置として、住民税非課税世帯等に対する幼児教育の無償化や年金生活者支援給付金の支給などの手厚い支援が実施されることとなっています。

 さらに、低所得者ほど家計支出に占める食料費の割合が大きいことを踏まえた食料品等を対象とする軽減税率制度の導入は、あらゆる世代が対象となり、かつ恒久的な低所得者対策であり、その効果は大きいと考えております。

 こうした措置を総合的に勘案すれば、所得の低い世帯に手厚く、全体として逆進性に対して大変効果のある緩和策であると考えております。

○議長(岸本 健君) 奥村規子君。

  〔奥村規子君、登壇〕

○奥村規子君 今、消費税については、先ほども応能負担ということでなくて逆進性ということは認めていただいてると思うんですが、これが低所得の人に対する緩和策ということになれば家計の負担は軽減されるものと考えるとおっしゃっていただいたんですが、そのことについての根拠というのはどのようにお考えですか。

○議長(岸本 健君) 知事。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 質問の趣旨がちょっとわかりかねるんですが、根拠というのは、先ほど政府がなさることでいろいろ私が申し上げた、引用したというか紹介をした、そういうことについての理論的なお話としては、逆進性がある消費税の値上げに対して、低所得者に対する配慮があるので緩和されると、理論的なことを申し上げた次第であります。

○議長(岸本 健君) 奥村規子君。

  〔奥村規子君、登壇〕

○奥村規子君 そういうことにならないようにということで、消費税の増税については、私は先ほど申し上げたような今の経済状況なので引き上げるべきではないというように思っていますので、そのことを伝えて、ぜひともそういった状況の、やはり今の暮らしについての検証をやっていただきたいなということを申し上げたいと思います。

 結局、食料品などの軽減税率は税率8%のままなだけで、軽減ではなく据え置きということです。店内か持ち帰りかで税率が違い、混乱を引き起こすこともあります。

 20年実施の自治体ポイントは、全国に約70自治体しかありません。不評のマイナンバーカードに付与する条件がついています。防災や国土強靱化の公共事業をふやしても、家計にはプラスとはなりません。プレミアムつき商品券は、低所得の印が押されたようなものと言わざるを得ません。すまい給付金、自動車の減税などは高所得者に有利な対策だと私は思います。

 安倍首相は、消費税の増税分を全て国民に還元すると言っていますが、実際に消費税は1%で2.8兆円、2%で5.7兆円と計算されていますが、政府が決定した増税対策は総額で6兆円になります。増税する必要がないということを申し上げておきたいと思います。

 政府の対策は、消費の駆け込みと反動減をどう少なくするかということで、低所得者の生活を考えていないのではないでしょうか。消費増税の中止こそ最善の対策だと私は思います。

 税金は、そもそも所得の再分配という役割があります。累進課税で所得の多い人がより多い税を負担し、低所得者は免税、軽減します。応能負担が最も公平な税制です。経済的な格差、地域格差が拡大している社会では、もうけているところに課税して福祉の向上を図ることが、財政の役割ではないでしょうか。

 消費税に問題があるということですから、消費税のように低所得者に負担が重い逆進性の税金は、私は民主主義に反する税制ではないかと思います。消費税ではなく、内部留保や不労所得などに課税して、多くの国民、県民の負担を軽減する道こそが大事だと考えます。

 このように消費税についてぜひとも、この秋に10%にということで言われているところを、ぜひ知事としても県民の暮らし向きを考え、もう一度再考していただきたいと思いますので、要望して次の質問に行かせていただきます。

 次は、インボイス制度の導入についてどう考えるか、総務部長にお尋ねをいたします。

 インボイス制度というのは、税金計算のベースとなる証標制度です。正式名は適格請求書等保存方式と言われています。適格請求書等の保存を仕入れ税額の控除の要件とする制度となっています。

 中小零細業者にとっては、消費税が導入されればそれだけでも消費が落ち込み、業者にとっては売り上げの減少につながります。さらに、複数税率の導入によって事務が複雑化し、レジの入れかえなどの負担も生じます。

 政府が対策として打ち出した内容も、1%還元セールの奨励やポイント還元のためのキャッシュレス決済システムの導入、カード会社への手数料など、事業者の負担を増すばかりです。

 そして、増税から4年後に導入予定のインボイス制度が考えられています。インボイス、これは消費税の納税を免除されている業者が新たに課税業者とならざるを得ないということにもつながります。

 日本商工会議所、中小企業団体中央会、日本税理士会連合会などが、消費税については引き上げについてのさまざまなスタンスがあるかと思いますが、こぞってこの時期にこのインボイス制度については反対をしていると聞いています。

 県として、インボイス制度をどのようにお考えでしょうか、総務部長にお尋ねいたします。

○議長(岸本 健君) 総務部長田村一郎君。

  〔田村一郎君、登壇〕

○総務部長(田村一郎君) インボイス制度の導入についてでございますが、軽減税率制度が導入され複数税率となった場合、事業者間の取引において、仕入れ額に含まれる消費税額を買い手が正確に把握するためには、税率ごとの税額が売り手から伝えられることが不可欠となってまいります。そのため、このような情報を請求書等に記載し、その書類の保存を義務づけるインボイス制度の導入が必要となってきます。

 しかし、制度導入に伴い、区分経理やインボイスの発行等にかかわる事務負担がふえるのではないか、あるいは、免税事業者が取引から排除されるのではないかといった懸念の声もあります。

 このため、政府では、インボイス制度の導入までに4年間の準備期間を設け、直ちに税率ごとに区分することが困難な中小事業者に対しては、売り上げの一定割合を軽減税率対象品目の売り上げとみなすなどの特例を設けております。

 また、インボイス制度導入後においても、6年間は免税事業者からの仕入れについて一定の仕入れ税額控除を認めるなどの経過措置を設けております。

 さらに、中小企業や小規模事業者の方々に対しては、複数税率対応のレジ導入費用等の補助制度もあり、これらの対策により、個々の事業者への影響は緩和されるものと考えております。

○議長(岸本 健君) 奥村規子君。

  〔奥村規子君、登壇〕

○奥村規子君 和歌山県は、中小零細企業が、昨日の質問の中でも99.9%が中小企業、零細企業であるとおっしゃられたと思うんですけども、そういったこの制度について説明や周知など取り組んでいらっしゃると思いますが、県民、業者さんからはそういった歓迎の声というのは何かありますか。この制度について反応とか歓迎する声というのは、県としてはお聞きしていますか。それをちょっとお尋ねいたします。

○議長(岸本 健君) 総務部長。

  〔田村一郎君、登壇〕

○総務部長(田村一郎君) 今のお尋ねでございますけども、国税庁、それからこちらの県税のほうでも、制度の周知に向けまして、ただいま努力してるところでございます。

 そういった中で、先ほど議員がおっしゃいますように、懸念の声もあるところでございます。その中でこういった制度がありますよということで周知しておるところでございまして、事業者さんたちも今後の動向を見てるのかなと思いまして、この措置に対して批判も歓迎、両方の声は特にないところでございます。様子を見てるんではないかと考えているところでございます。

 以上です。

○議長(岸本 健君) 奥村規子君。

  〔奥村規子君、登壇〕

○奥村規子君 私は町なかで、前もちょっと、2月の議会でも申し上げたかと思うんですが、やはりこういうことになるといろんな事務が煩雑だったり大変だといういろんなお声を聞いてるんで、そういった点もやはりぜひ県としても聞いていっていただきたいなというふうに思いますので、最後に要望などをしておきたいと思います。

 私の意見として、中小零細業者を初めとした広い層に多大な経済的、事務的負担が生じると。消費税の滞納や廃業などの増加をもたらすおそれが強いのではないかと考えます。

 消費税が増税されればそれだけでも消費が落ち込み、業者にとっては売り上げの減少になります。複数税率の税率によって事務が複雑化になってしまいます。その上に、さらにインボイス制度です。

 現在、消費税の納税を免除されている業者が、新たに課税業者とならざるを得なくなります。商店などの自営業者だけではなく、個人タクシー、大工さんやさまざまな商品の販売員、家庭でパソコン作業を請け負う主婦、駐車場を経営する地主、副業を持つサラリーマンなど多岐にわたると思います。

 政府は、副業などを含め、雇用によらない多様な働き方を広げる方向ですから、将来は一億総インボイス時代になってしまうかもしれないと心配をいたします。非課税の低所得の層であっても、インボイスを発行するために10%の消費税を払わなければなりません。

 所得税ならば扶養家族が多いとか障害を持っているとかの事情に合わせて負担が軽減されますが、消費税にはそんな配慮がありません。しかも、消費税を納税した後の残りの所得で買い物したら、今度は消費者として消費税を負担させられます。まさに弱い者いじめの税制であるということを申し上げまして、次に行かせていただきます。

 次の質問は、カジノの誘致の問題です。

 カジノ施設面積はIR全体からすると一部ですが、どの国のIRも収益全体の7割から8割をカジノが稼ぎ出しています。カジノにホテルを併設するのは、お客さんを24時間ギャンブル漬けにするためではないかと思います。IRの施設は、全てカジノに人を呼び込むための集客装置としてつくられています。

 賭博は犯罪です。刑法で禁止されているものです。国民の多くは反社会性を見抜き、カジノ実施法に反対をいたしました。こういったことがある中で、今、説明会が行われていると思います。

 IR誘致について、その点で企画部長にお尋ねをいたします。

 これまでも質問してまいりましたが、その中で、県民には丁寧に説明し理解を得るとしてきました。県民の意向をどのように考えているのか、県民への説明について、県の取り組み状況についてお尋ねをいたします。

○議長(岸本 健君) 奥村議員、分割方式ですので、同じ項目のは続けて質問してください。

○奥村規子君 申しわけございません。

 次に、2017年度からIR誘致活動に要した関連費用もお尋ねしたいと思います。

 今年度の当初予算の内容について、全てお教えいただきたいと思います。また、今後必要な費用の見込みなどもお教えください。失礼しました。

○議長(岸本 健君) 企画部長田嶋久嗣君。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○企画部長(田嶋久嗣君) IR誘致に関する御質問のうち、まず、県民の理解を得るための取り組み状況についてですが、これまで和歌山市でIRシンポジウムを3回、振興局単位でIR説明会を7回開催しているほか、「出張!県政おはなし講座」などを利用しての説明を現時点で50回以上実施するなど、IR誘致に対する理解促進に努めているところです。

 これまでの説明会等で3500名を超える方々に御参加いただいているところですが、今後も引き続き、IRに関する正確な情報の提供を行うため、シンポジウムや説明会、おはなし講座などにおいて丁寧に御説明するとともに、より多くの県民の皆様から御理解を得るため、「県民の友」等を利用した広報活動にも積極的に取り組んでまいります。

 次に、IR誘致関連予算につきまして、これまで県では、平成29年度に約1100万円、平成30年度に約4500万円を執行しております。主な内訳は、平成29年度では和歌山県IR基本構想策定に係るアドバイザリー業務や土地権利関係調査の委託に係る経費など、平成30年度では投資意向調査・RFI実施支援や交通量調査の委託に係る経費等となっております。

 次に、今年度当初予算として2億3187万5000円を計上させていただいておりますが、これは今後、区域認定申請までの事務作業において、専門的観点から助言をいただくアドバイザリー契約の締結や渋滞対策に係る検討のほか、シンポジウムを開催するための経費などでございます。

 また、アドバイザリー契約が3年間となることから、令和2年度及び3年度の2カ年で8581万1000円の債務負担行為を設定しているところです。

 今後必要な費用の見込みにつきましては、誘致を進めていく上で費用が必要となった場合には、改めて御説明をさせていただきたいと考えております。

 なお、これまでも申し上げておりますように、IR事業そのものは民設民営事業でございますので、IRの設置、運営に係る費用は全て民間事業者の負担となります。県が負担することは一切ないことを申し添えさせていただきます。

○議長(岸本 健君) 奥村規子君。

  〔奥村規子君、登壇〕

○奥村規子君 まず、説明会で説明されている内容は基本構想のパンフレット、あれで説明をされているかと思うんですが、その説明というのは、こういうIR構想をこう考えてますよということで、経済波及効果とかいろいろと説明をされていると思いますが、私は、やっぱりこのIRについて、先ほども申し上げましたように、IRそのものを、カジノを含むという点では、カジノについてはやはりこういうことで経済政策にすべきではないというふうに思うんですけど、賭博を和歌山県の経済の柱にしていくということが、やっぱり正確な情報の提供を行っていただくということで言われてるんですけど、そんな点も含めて、やっぱりカジノそのものに対するそういう意見も含めて説明をしていただいてるんでしょうか。

○議長(岸本 健君) 企画部長。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○企画部長(田嶋久嗣君) 議員御質問ございましたように、IRはカジノを含むIR施設である、これは当然丁寧に説明をさせていただいておりますし、カジノに対する御懸念が県民の皆様にあるということは十分承知しておりまして、それに対する国の対策でありますとか、和歌山県が考えている独自の対策について、そういう懸念を払拭するための取り組みについて御説明をしておるところです。

○議長(岸本 健君) 奥村規子君。

  〔奥村規子君、登壇〕

○奥村規子君 和歌山県IR基本構想、これですよね。(資料を示す)これで、一つは集客見込みの内容ということで、どれだけの来場者が──約400万人という、年400万人と書いてますが、これって集客見込みの内容と根拠というのはどのように算出してるのかという点が、そんなこと一つ一つ聞いてたら、この質問、ここで時間もありませんしなんですけども、この点と、それと、先ほどおっしゃったアドバイザリーの契約ということについて、このアドバイザリー契約の締結、これに要した費用というのは幾らかというのを教えていただけますでしょうか。

○議長(岸本 健君) 企画部長。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○企画部長(田嶋久嗣君) まず、基本構想に書いてある入場者数の見込みですけど、これ平成29年度に実施いたしまして、これ以前御説明しましたけど、トーマツという監査法人がございまして、そちらのほうに委託をしまして、諸外国のIR施設の状況ですとか、今現在和歌山県に来られている旅行者などを基本に計算をしまして、400万人程度、今のところそれぐらいだろうというふうな計算をしているところでございます。

 議員御質問の今年度の関係、おっしゃったのは今年度のアドバイザリー契約が幾らになるのかということだと思うんですけども、債務負担行為等を合わせますと2億8000万程度になります。

○議長(岸本 健君) 奥村規子君。

  〔奥村規子君、登壇〕

○奥村規子君 このアドバイザリー契約2億8000万ということでございますが、この契約先の会社、事業者と言えばいいんですか、その応札は何件だったんでしょうか。

○議長(岸本 健君) 企画部長。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○企画部長(田嶋久嗣君) 今年度からのアドバイザリー契約につきましては、結果的には1社となっております。

○議長(岸本 健君) 奥村規子君。

  〔奥村規子君、登壇〕

○奥村規子君 1社ということですので、そういう中でこれだけの高額の契約をするということで、しっかりと県民にやはり説明というところでは、いろんな疑問もあるかと思いますので、ぜひともそういう機会をしっかりと持っていただいて。

 このカジノが県民にとってどうなのかというあたりで、私は今のこの状況をお聞きしたら、説明会は3500人、今まだこれからもどんどんやりますよ、一方では、こうやってアドバイザリーの契約もして進めていくという、このことでは、やっぱり県民の合意とか、やっぱりカジノ誘致の反対という意見もたくさんある中でぜひとも考えて、私はやはり一旦凍結してやっていくべきではないかなというふうに思いますので、これは私の意見を申し上げて、次に行かせていただきます。

 次は、三つ目は、太陽光発電建設計画についてお尋ねいたします。

 現在、和泉山脈において大規模に山林を開発する複数のメガソーラー計画があり、土砂災害や環境破壊の懸念があることから、住民の不安が高まっています。

 「県民の友」6月号では、近年の総雨量が1000ミリを超える大雨など集中豪雨の発生回数が増加し、雨の降り方が局地化、集中化、激甚化していることで、和歌山県においても1時間雨量で50ミリを超える豪雨の発生回数が40年前と比べて約2.2倍に増加しており、台風や豪雨による被害が頻発していると述べられています。このような気候変動に伴って、一層住民の皆さんの不安が深まっています。

 そこで、お手元に配付しておりますが、専門家の協力を得て、今、認定申請を提出している事業所の計画地を調査した資料でございます。

 その資料は、お手元に千手川流域の土砂災害予測図ということで、以前、皆さんに前の質問のときにも示させていただいた地層図ということも含めて、「千手川流域の地形・地質」という、こういったパンフレットを、私は市会議員の南畑議員と協力してつくったわけです。(パンフレットを示す)

 そういったことも含めて、もとにして、今回報告書をまたお願いをしてつくっていただいたものなんですが、それをちょっと資料にまとめさせていただいたものです。

 このときには、2018年の7月の千手川流域の土砂災害調査報告書というのが出しました。そのときの岩盤の緩んだ斜面や地すべりで崩壊が多く発生していました。千手川上流でやや規模の大きな土石流が発生して一時的に千手川をせきとめ、その結果、川の水位が急上昇して危険な状態になりました。

 計画地内でも二つの谷で土石流が発生して土砂の流出が起こり、市道を塞ぐ災害が発生しています。事業者が区域を立入禁止にしているため崩壊地点を特定できませんが、二つの谷で崩壊、土石流が発生したと推定されます。これが、以上、昨年の報告書のとおりでございます。

 この調査に引き続いて、専門家に依頼してこの地域の地形・地質、土砂災害、洪水の危険性について調査と検討を依頼しました。その結果と報告書が、今お手元に皆さんのところで見ていただいてる資料なんですが、計画地斜面では岩盤地すべり、地すべりがあります。岩盤の緩みが多く発生しています。黄色のところで矢印が入ってるところが、この矢印の方向が地すべりの方向ということになります。

 それぞれ右肩上に印がありますが、例えばここの業者さんが作業道路をつくられるということにすると、作業道路をつくった後の土を残土とか盛り土にするというようなことになっていますが、その下が地すべりの崩壊をして土石流にという位置になっているところが計画を考えられていると、そういったことがあります。

 そういう岩盤の緩みがたくさんあるということで、また新しく新規の崩壊跡が随所に見られています。崩壊した土砂が谷底や谷の出口に堆積もしています。千手川流域の滝谷、和歌山県と和歌山市が土石流危険区域に指定されています。計画地の四つの谷は大規模な土石流が発生する可能性のある谷で、千手川をせきとめるおそれがあります。

 このようなところの大規模な太陽光発電の建設計画については、大変危険な箇所での計画と考えられます。事業計画地周辺で生活している住民の方からも、土砂崩れが発生するのではないかという不安の声が私のところにも届いています。

 こうした状況の中、和歌山県太陽光発電事業の実施に関する条例において、住民の不安の声や計画への意見の反映について、県としての対応をお聞かせください。

○議長(岸本 健君) 環境生活部長田中一寿君。

  〔田中一寿君、登壇〕

○環境生活部長(田中一寿君) 和歌山県太陽光発電事業の実施に関する条例では、事業者から事業計画の認定申請があった際には、県が申請書等を縦覧し、関係自治会や住民等利害関係者は自然環境、生活環境、景観等、環境保全上及び災害の発生の防止上の見地から意見を述べることができることとしております。

 認定の可否の決定に当たっては、こうした意見や事業者の見解、さらに市町村長の意見、和歌山県太陽光発電事業調査審議会の意見も踏まえ、安全面、環境面、景観面及び市町村の条例等も含めた法令上の認定基準に適合しているか、科学的かつ総合的に判断することとしております。

 したがいまして、地元の方が不安を感じたり計画が不適当だと思われる場合は、条例にのっとって意見を提出していただきたいと、このように思います。

○議長(岸本 健君) 奥村規子君。

  〔奥村規子君、登壇〕

○奥村規子君 太陽光条例にのっとって意見をということですので、そういった意見が専門家のやはり十分な、慎重な検討をしていただけるようによろしくお願いしたいと思います。

 こういった単体、1事業ずつ、やはり認定審査をしていくという今の仕組みの中で、前にも申し上げましたが、和泉山脈に何カ所かそういう申請をされるようなところと、今縦覧もしてるところもあるかと思うんですけど、そういった何カ所もあるということに対する環境破壊とかそういったことをやっぱりどうするのかということが課題にあるかと思うんです。

 そんな点もあわせて、でも審査は1個ずつの事業ごとやっていうことで言われてますので、その点について、やはりこれは和歌山市さんとも十分相談しながら、やはり環境を守って、よりよい再生エネルギーの政策をして進めていくということで、していかないといけないと思いますので、ただ住民にこんなに不安を与える、そういった計画については、私はやっぱり認定しないようにしていただきたいというふうに思うんです。

 最後に、こういった災害防止の区域とか開発抑制区域などをぜひとも考えていただきたいなということを申し上げて、次に行かせていただきます。

 質問の最後の項目は、子供の生活実態調査についてお聞きいたします。福祉保健部長、よろしくお願いします。

 県では、子供の貧困対策の推進に関する法律に基づき、2017年3月に和歌山県子供の貧困対策推進計画を策定されました。そして、昨年、子供の生活実態や学習環境、支援制度の利用状況やニーズを把握し、県計画に基づき取り組む各施策や支援制度の検証を行い、県の子供の貧困対策をより効果的に推進していくことが目的ということで実態調査されました。

 その調査の対象は、子供と保護者、そして、子供の支援にかかわる機関の従事者に対しても調査が実施されたということです。今回、資料提供にもいただいた、この和歌山県子供の生活実態調査結果報告書というのは、各議員に送られたと思います。

 そして、この結果報告書、かなり厚い報告書が皆さんのいろいろな御苦労やいろんな方の御協力のもとでこういう報告書ができたことについては敬意を表していきたいと思ってるんですが、これをどう今後政策の中で生かすかということになってくるかと思うんです。

 そういう中で、この調査書から見えてきた子供の生活実態、特に生活習慣や健康面をどのように捉えているのか、お聞きしたいと思います。そして、今後の課題をどう考えているかもぜひお聞かせください。

○議長(岸本 健君) 福祉保健部長宮本浩之君。

  〔宮本浩之君、登壇〕

○福祉保健部長(宮本浩之君) まず、実態でわかったことですが、昨年度実施した和歌山県子供の生活実態調査では、小学5年生及び中学2年生の全員及びその保護者に対するアンケート調査を実施し、家庭の経済状況が子供の学習状況や社会性、生活習慣等にどのような影響を及ぼしているのかを分析しました。

 調査結果から、経済的に厳しい世帯の子供ほど「学校の授業がいつもわかる」と答える子供の割合が低いこと、「自分には、良いところがある」、「がんばれば、いいことがある」等の自尊感情が低い子供の割合が高いこと、また、経済的に厳しい世帯であっても保護者の精神的健康状態が良好である場合は、子供の自尊感情が高い傾向にあること等が明らかになりました。

 また、議員御指摘の子供の生活習慣については、経済的に厳しい世帯の子供ほど、歯磨きをしたり、朝食をとったり、決まった時間に寝起きするといった基本的な生活習慣が備わっていない傾向が見られました。加えて、受診する時間がなかった等の理由により、医療機関を受診させなかった経験がある割合や、未治療の虫歯がある子供の割合も高くなっているなど、世帯の経済状況は子供の健康面でも影響を与えていることが明らかになったところです。

 今後の課題をどのように考えているかということですが、今回の調査では、経済的に厳しい世帯ほど自尊感情が低い子供の割合が高いこと、また、就労上などの理由により、子供とかかわる時間の確保が難しく、保護者が子供の悩み事の相談相手になっていることが少ない傾向が見られるなど、家庭における子供へのかかわり方に課題があることが明らかになりました。

 子供の自尊感情を高めるためには、学校においてそれぞれの子供のよいところを見つけ、褒めることが重要であることから、子供が自分に自信を持てるような取り組みをより一層充実してまいります。

 また、子供への直接的な働きかけはもちろんのこと、保護者の子育てに対する意識を高めることも重要であると考えます。このため、基本的な生活習慣の確立については、学校、家庭、地域で取り組んでいる「早ね・早おき・朝ごはん」運動を引き続き推進していくとともに、学校における個人面談等の機会を活用し、保護者に対し、規則正しい生活リズムを身につけさせることの重要性や子供との対話の必要性を伝えてまいります。

 さらに、民生委員・児童委員や放課後児童クラブ支援員、ひとり親家庭見守り支援員等に対しても、保護者の子供への適切なかかわり方について研修を実施し、日ごろの業務において保護者とのかかわりの中で活用していただくようにするなど、教育委員会とも連携を密にしながら、さらに取り組みを進めてまいります。

 また、今回、子育て支援制度や相談窓口について十分認知されていない傾向が見られたため、必要な世帯に支援が行き渡るよう、市町村との連携をより密にし、児童扶養手当の現況届け出の機会を活用するとともに、県のホームページを初めテレビ、ラジオ等さまざまな媒体を通じ、各種支援策の周知徹底を図ります。

 現在、9部局24課室で構成する庁内会議において、新たな事業の展開も含め、既存事業の点検、見直しを行っているところであり、引き続き、全庁を挙げて取り組んでまいります。

○議長(岸本 健君) 奥村規子君。

  〔奥村規子君、登壇〕

○奥村規子君 かなり大がかりな調査だったと思いますし、また、報告をまとめていく上でも大変だったと思うんですけど、こういった中からやっぱり課題が、先ほど部長がおっしゃってくれた課題を、やはり和歌山県民挙げてという形で子供たちを、やっぱり将来和歌山を担っていく子供たちが健やかに成長していけるように、私たちも頑張っていきたいなというふうに思います。

 全庁挙げてということの中で、やはり実質課題が推し進めていけるような、全庁の会議ということだけでなくて、やはりいろんな課題を進めていく、解決できていくような、そういうある程度権限も持つ中での全庁的な会議をぜひよろしくお願いしたいなと、これは知事にもよろしくお願いしたいなと思いますので、以上で一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)

○議長(岸本 健君) 以上で、奥村規子君の質問が終了いたしました。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 20番吉井和視君。

  〔吉井和視君、登壇〕(拍手)

○吉井和視君 それでは、今議会最後の質問ということで、やらせていただきます。

 それで、今回質問するに当たり、質問の趣旨を早く言ってくれということで、当局に質問原稿も出しておりました。しかし、質問趣旨を変えずに、議場の雰囲気も感じながら、早く終われというそういう雰囲気であれば早く終わりますし、そういうことで原稿なしでやらしていただきたいなと、そんなに思います。

 この質問については、私も県議会議員29年目に入ります。これは、これを最後にという気持ちで──まだ最後になるかわかりませんけども──そういう強い気持ちで真剣に情熱を込めてやりたいなと、そんなに思います。

 まず、最初に質問させていただく項目は、部落差別解消についてということに質問さしていただきます。

 この同和問題、あるいはまた部落問題ということについて、私が最初に質問をさせていただいたものは、平成7年の2期目の当選して、その年なんですけども、12月にさせてもらいました。

 これは吉備町が、吉備町の同和地区が、同和問題の解決のために同対特措法ができてその事業を行って、28年目にして完成をしたと。そういう完成報告を議会でお礼とともにやってくれという町の要請もありましたけれども、私は町民代表として、地区住民代表としてやらなければいけないと、そういうことでこの議場でやらしてもらいました。

 その内容は、完結集会がこの年にあったわけなんです、吉備町で。もうこの同和問題が終わったと、差別が吉備町ではなくなったと、そういうことで町単独の事業は今後一切やらないと、そういう決意の集会であったわけなんです。

 それを受けて私は、吉備町において同対事業はこれで終わりと。今後差別のない社会の推進を行っていくけれども、事業自体については終わりですということを県下に宣言をしたわけなんです。

 これは、ややもすると──その当時の先輩議員で松本貞次という議員がおりました。解放運動で常に熱心にやっておられた議員でありますけれども、その議員からすれば、そういう吉備町においての同和事業の完結集会、あるいはまた完結宣言、これはやっぱりおかしいものではないかと、そういうことも言っておられました。

 私は、そうであるけれども、一応吉備町民が──今はもう有田川町になってますけれども、吉備町民が一生懸命努力をして、この吉備町の同和地区がなくなったという、そのことを宣言したいというその気持ちも、私は十分わかり過ぎるほどわかるわけであります。

 この吉備町のドーン計画は、一般の部落差別の事業と違う、考え方が違うわけなんです。というのは、まあ普通、近代民主主義の原則から言えば、差別問題、これは差別するほうが悪いんですね。それにもかかわらず、吉備町においては、差別されない、部落民の存在しない、そういう町をつくろうということでやったわけなんです。これは多少おかしいと思いましたけれども、地区住民は泣く泣く、そうであれば一刻も早い完全解決ができるんであればと、そういうことで一致団結して参加したということであるわけなんです。

 そういうことで、この議場において、私は町民代表として、県議会の請願に対しての御礼、そしてまた、今後の同和行政のやり方というものについて質問をさせてもらいました。

 それで、ちょっと振り返って、同和問題、部落差別についてのことを皆さんに申し述べたいと思うんですけれども、これは昭和40年に同和対策審議会というものが、佐藤栄作首相が審議会に諮問して、審議会の答申が昭和40年に出たわけなんです。これは画期的あるいはまた歴史的な、いわゆる同和問題に対しての本質をついた答申であったわけなんです。

 この部落差別の原因は、政治の責任であると。政治がつくった責任であるからこそ、政治で解決しなけりゃいけないと。そしてまた、これは国民的課題として国民こぞってやらなければいけない、そういう問題であるということを答申をなされたわけであります。この答申は、やっぱり今後の部落の方針、そしてまた、こういう過去に部落差別、あるいはまた現状にあるんだということを初めて明確にした答申であったわけなんです。

 この答申ができて、同和対策措置法、これが4年後にできたわけですね。同和対策措置法ということができて、これは昭和44年にできたわけなんですけども、これにより一斉に全国の部落地区が同和対策事業をやってもらって地域改善をしようと、そういうことで私は全国中隅々まで対策が始まったと思うわけであります。

 昭和44~45年といえば、私は昭和49年に県庁の職員になったんですけども、職員になったころも同和問題の職員の意気込みというのは今日と違うものがあったですね。これは国民の課題としてやっていかなければならない、そういうことで同和研修も組合初め職域で随分たくさんありました。

 今の職員の皆さんにはわからないと思いますが、下副知事であればそのころ、46~47年ごろに県庁に入られたと思うんですけれども、組合活動もやっておられましたし、そのことは十分知っておられると思うんです。

 そのことについて、私は、この事業が33年、同和対策事業がやられてきたわけなんです。いろんな批判もありました。それは、同和地区だけがよくなって、近隣の地域がよくならない、逆差別であるというような意見もありました。

 しかし、私の県職員時代からの目からすれば、私は県職員のときには生活保護を回って生活保護行政の仕事をしておりましたけれども、各地域の同和地区へ行けば、まだまだ低位な状態がありました。生活改善事業がなされたけれども、これはまだ多くの事業をやらなければいけないということを思っておりました。

 それは33年続いて、私は県議会議員になったのが平成3年です。それから10年ぐらい、県議会議員になっても同和対策事業が進んでおりました。その最終、地対財特法となったわけなんですけども、これも終了して、33年間の、私は総括を考えてみれば、同和対策答申が出て、同和対策措置法ができて、33年間事業をやったけれども、まだまだ課題は残っておると、そういうことでありますけれども、一方、事業をやる余り、本質的なことが欠けておったんではないかと、そんなに思います。差別をなくする、差別をやめてくださいという、いわゆる国の法律がなかったと。事業の法律があったけれども、差別を禁止する法律がなかったと、そういうことで、これは困ったなということでありました。

 それで突然、平成23年に「週刊朝日」の事件がありました。皆さん御承知でしょうか、「週刊朝日」の事件。

 大阪の市長選において──これ週刊誌に随分名前が出てしまったもんですから、名前を言ってもいいでしょう──橋下徹市長が選挙に出たときに、「週刊朝日」は、橋下徹さんは親がやくざであったとか、それから部落出身であるとか、そういうことをさんざん実際の地区名を載せてやったわけです。これはけしからん。こんなことをほっておけば、どんどんどんどん部落差別が拡散するし、そういう差別が助長されると、こういう問題があるということで、私は一般質問にも立たせてもらいました。

 それは、企業あるいはまた団体の差別が許せない。そういうことで、差別の禁止の法律が必要であるとか、差別を受けた者に対しての救済が必要であると、そういう趣旨の質問でありました。

 この事件はどうなったかといいますと、「週刊朝日」は初めはいっこも謝らなかった。「週刊朝日」の100%出資してるのは「朝日新聞」です。橋下市長は「朝日新聞」に抗議を申し込んで、謝罪せよとすったもんだしたあげく、「週刊朝日」は謝ったと。本当に社会的な逸脱行為であったと、とんでもない行為をしてしまったということを週刊誌に掲載して謝ったと。新聞社はなかなか謝らなかったわけなんです。100%出資しておる子会社といえども別会社であるということで、謝らなかったと。これはおかしいんじゃないかということですったもんだしたあげく、市長室に赴いて謝ったという決着であるわけなんです。これは慰謝料、幾ら払ったか知りませんけども、慰謝料も払ったということを聞いております。

 そこで私は、「朝日新聞」あるいはまた新聞社、マスコミに問いたい。そんな差別をしておいて、謝ったらしまいかと、謝罪文を載せてしまいかと、そういうことを問いたいです。

 そういうことで、やっぱり企業とか団体とか、そういうところについては、差別をしたら、やっぱり社会的に責任を問わなけりゃいけないと、そういう法律が必要であるということで、二階先生にも相談をさせていただいたら、県議会で意見書を上げてこいと、そういうことが始まりであったわけなんです。

 それで、自民党の県議団にもお願いをして、人権特別委員会でもお諮りをして、企業、団体による差別については許さない、規制をしなければいけない、そういう実効性のある法律を国においてつくってくれと、そういう意見書を、これは27年9月につくりました。

 ただ、意見書をつくって衆参議長とか国に上げても、上げるだけではいけないということで、東京に上京して法務局とか自民党にも回りました。自民党は谷垣幹事長、稲田政調会長、二階総務会長はもちろんですけれども、三役を回らしてもらって、稲田政調会長に回らしてもらったときに印象的なことは、部落地名総鑑とか、今インターネット上で行われている差別問題について、余り認識がなかったというのは失礼ですけども、知らなかったという面があるわけなんです。これではいけないと。特別法をつくってですね。

 かつては、人権擁護法案とか人権救済設置機関とか、自民党・小泉内閣のときとか民主党内閣のときに出されたけれども、途中で終わってるんですね。人権一般の、人権を一くくりにした法案であれば、自民党内でも保守的な人たちは、何が人権侵害かということで流れたという経過があるわけなんです。その中心人物は、稲田政調会長とか安倍さんもそうです。衛藤晟一さんもそうです。

 そういう人権に対して、法案に対して反対をされておった、稲田政調会長なんかがそのとき「やりましょう」と、「個別法でやりましょう」と、そういうことを言っていただいたので、私はこの法案が、いわゆる差別解消法がこの1年後に成立するわけなんですけれども、本当に急ピッチで、類を見ない速さで成立したというのは、私は自民党の稲田政調会長、あるいはまた二階総務会長の働きが多かったように思います。

 そしてまた、忘れてならないのは、本県選出の門博文さん。この人なんかも本当に都度都度、小委員会ができたとか、そしてまた、今こういう段階に至っておるとか、そういう連絡をいただいたという、そういう思い出があります。

 それで、忘れてならないのは、これは本質的な問題でありますから、あえて言わせていただくんですけれども、自由同和会というのがあるわけなんですね。二階総務会長、当時総務会長ですね。自由同和会が反対しておるから、そういう意見を聞いてきてくれということで、私と門さんが大阪へ出向いて意見を聞きました。この自由同和会の言い分は、同じく部落差別という個別法ではだめだと。人権全般について一くくりのそういう法案でなければいけないと、そういう意見であったようです。これは自由同和会の方に申し上げたんですけども、日本の今の部落差別というものを根絶しなければ、行く着くところの天皇制についても、身分差別というのは天皇制との問題に行き着くところであるわけなんです。かつて「天皇制を打倒しないと部落差別がなくならない」と言った政党もあるわけなんです。

 これは階級闘争で考えるような問題ではないということで、とにかく部落差別というものをなくして、そしてこの日本の社会を築かなきゃいけないと、そういう意見交換会であったように思います。

 この部落差別解消法が平成28年に完成したんです。和歌山県議会で意見書を出して1年後余りに完成をしたわけなんです。あらゆるところから評価されておるところは、この意見書を出して、差別をなくする人権集会というものを東京でやったということ。二階実行委員長のもとに人権フォーラムと銘打って、民主党の浦口さんにもお世話になりました。解放同盟の藤本委員長にも大変お世話になって、自民党と公明党の方にもお世話になりました。

 そういうオール和歌山で、知事にも出席してもらって東京で人権集会。この集会において決議したことは、企業、団体の差別を絶対許さない、そういう実効力のある法律をつくってくださいと、こういう要望でありました。それからすぐに法律ができたわけであります。

 この法律は、昭和40年の初めて出た同和対策審議会、同対審答申の差別の禁止法をつくれ、事業をやれ、啓発をやれ、その答申を受け継いだ、答申に答えを出した、初めての部落差別を禁止すると、部落差別ということを、名前を出した最初の法律であるわけなんです。理念法であるという、そういうこともありますけれども、理念法であるだけに目的がはっきりしておりますけれども、理念法であるだけに、私が今から申し上げる県条例をつくって、差別を許さない、団体あるいはまた企業が、事業者が、そういう差別を利用して問題を起こせば、県独自に規制をする、勧告する、公表すると、いろんなやり方があるけれども、審議会、協議会という団体も設置して考えてくれというのが質問の内容であります。

 知事におかれましては、るる今まで私が申し上げたとおり、この差別というものは、今インターネット上、あるいはまた隠れた、県に対しても問い合わせ等にあるとおり、差別が充満しております。

 そういった中で、条例等の必要性、そういうものをお聞きしたいと思います。

 その内容については、今、奈良県とか福岡県で条例が策定されております。先般、湯浅町にも最近条例ができました。湯浅町の条例は、個人に対しても勧告、公表できるという非常にハードルの高い条例になっておると思うんですけれども、最低、企業や団体、事業者、こういうものが行った、いわゆる差別を助長するような行為について規制できるような、福岡県のような条例を私はつくっていただければということで質問に立ちました。

 これで終わるわけなんですけれども、ついでというのもおかしいですけども、あとの質問もここでやらしてもらいます。

 議長、いいですか。

○議長(岸本 健君) 分割ですから、一回……。

○吉井和視君 では、分割にさせてもらいます。

○議長(岸本 健君) ただいまの吉井和視君の質問に対する答弁を求めます。

 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 部落差別解消について、県条例の必要性とその条例の内容について、あわせてお答えさせていただきます。

 平成27年9月に、県議会において御採択いただいた「『企業・団体等による部落差別撤廃のための法律』の早期制定を求める意見書」が契機となりまして、その後の東京での「人権課題解決に向けた和歌山県集会 人権フォーラム」の開催を経て、部落差別の解消の推進に関する法律の成立につながったということは吉井議員の御指摘のとおりで、吉井議員のお働きに心から敬意を表したいと思います。

 しかしながら、議員御指摘のとおり、法律には部落差別に対する規制や差別された場合の救済措置が含まれていないというところがあり、これは規制や救済は全国的に解決しなきゃいけないということで、国が責任を持って対応すべきであると考え、これまでも実効性のある法制度の整備を国に対して求めてまいりました。

 一方で、本県だけをとっても、個人を誹謗中傷する差別発言や、同和地区を避けようとする目的で同和地区の存在を調査したり行政機関へ問い合わせをしたりする事例が起こっておりますし、特にインターネット上の差別書き込みが目に余るものがあるという状況でございます。

 こういうことを放置しては、部落差別解消法の成立に努力した当県の名折れだというふうに思いまして、本年度からインターネット上の差別的な情報のモニタリングを実施し、プロバイダー等に削除要請を行うなど、差別の拡散、助長の抑止に努めております。

 また、県ではこのような差別事象が発生した場合、行政が主体的に取り組む必要があるとの認識のもと、市町村と連携しながら直ちに事実関係の確認を行い、被害者に対しては心理面でのケアや被害者の気持ちに応じて適切な機関へ取り次ぐなど、差別された心の痛みに寄り添ったサポートを行っておりますし、加えて、行為者に対しては、差別された方の思いや苦しみがどのように深刻であるかを正しく受けとめさせるとともに、人権感覚を高めるための指導や啓発などを粘り強く行っております。

 このように、県としても努力をしてきたつもりでございますけれども、吉井議員の感動的なお話と御指摘もいただきましたので、部落差別解消のために何が一番効果的なのか、条例によりどのような規制をするのか、その必要性も含め、研究、検討してまいりたいと考えております。

○議長(岸本 健君) 吉井和視君。

  〔吉井和視君、登壇〕

○吉井和視君 知事には、前向きな答弁をいただいてありがとうございます。

 令和の時代に入って、令和の年号というのは、人が人を差別してはいけない、人間が人を迫害してはいけないという、そういうメッセージの入った年号であると私は思っております。そういうことで、この問題は令和の時代に、できるだけ早い時代に終結をさせたいと、そういうふうに思っておりますので、県条例の制定についてよろしくお願いをしたいと思います。

 続いてお願いします。

 続いて、新しく教育長になった宮﨑さんにお尋ねしたいと思います。

 これは、歴史教育ということでお尋ねするわけなんですけども、歴史教育の必要性ということについてです。

 これは、歴史、いろんなことで日本にも教育界にも問題がありました。歴史教科書の自虐史観とか、自分の国をおとしめる、自分の国を大事にしない、そういうこと。そしてまた、河野談話のように近隣条項、教科書をつくるときに問題があれば、近隣とちょっと話し合うというようなこともあったわけなんです。

 それで私は、歴史教育には何が必要かということを思っております。歴史というものは影と光があるわけなんですね。光の部分を誇張して生徒に教えると、自分の国に誇りを持ってもらう、愛国心を持ってもらうと、こういうことが歴史教育の一番大事なことだろうと思います。

 それで、日本の教育の中で、戦後、戦争に負けたときにGHQ、国際裁判所ということを設置されてA級戦犯、戦争犯罪人ができたわけなんです。事後につくった平和の罪とか、そういうことで戦争犯罪人を裁いたわけなんです。

 A級戦犯では12人のA級戦犯、そして、2000人に近いB級、C級戦犯が処刑をされておるわけなんです。A級戦犯は7名ですかね、処刑をされたと。こういうことで、戦争に勝てば英雄で、将軍マッカーサー、英雄ですね、アメリカの。日本は戦争に負けたということで東条英機なんかは悪人、戦争犯罪人、そういうことで処理をされてしまうわけなんです。

 ここで言いたいことは、私は歴史上の先人の苦悩、その時代における苦労ですね、苦悩、思い悩んで国のためにやったことがあるわけなんです。そういうことを歴史に学んで、反省するべき点も歴史に学び、誇りを持てるようなことは思いっきり学校の先生が歴史の時間に教えてあげると。自分の国の批判ばっかりしておったんではだめだと思うんです。

 日清戦争以来、明治から朝鮮半島に対して進出したと。日本ばっかり悪いということになれば、子供はどういうふうに思うのかと。自分の国のことについて、日本の政治家が謝るばっかりでは、どんどんどんどん批判の的にされてしまうと、こういうこともあるわけなんです。だから、教育が一番大事であろうと思うわけなんです。

 外国の歴史教育の中に、history(歴史)とstory(物語)、これは同じ語源であるということなんです。同じ語源ということであれば、歴史も物語であるという話なんです。その国の物語。やっぱり日本の物語が歴史教育に反映されなければいけないと、そういうふうに思うわけであります。

 そういうことで、歴史教育の必要性ということについて教育長に──歴史教育の必要性というよりも、歴史教育をどのようにすればいいかということについてお尋ねしたいなと思います。

○議長(岸本 健君) 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 歴史教育はなぜするのかということについてお答えをいたします。

 歴史教育は、史実を論理的に捉えることが大切であると考えています。そのためには、歴史的な事象を一面的に捉えるのではなく、さまざまな資料などを多角的に考察することにより、公正に判断していく力を育成することが必要であると思います。

 このような学びを通じてこそ、おのずと我が国をつくり上げてきた歴史や国民性を誇る気持ちと、自国をとうとぶ気持ちが子供たちに生じるのではないかと考えております。

 歴史教育を通して、これから未来を開いていく子供たちが主体的に課題を解決する力を身につけることができるように努めてまいりたいと思います。

○議長(岸本 健君) 吉井和視君。

  〔吉井和視君、登壇〕

○吉井和視君 すばらしい答弁で、歴史教育をしっかり考えてやっていただきたいと思います。

 続いて、道徳教育について質問させていただきます。

 道徳教育の中で、第1次安部内閣のときに、60年ぶりに教育基本法が改正されました。改正点の主なものは、道徳教育をしっかりやってくれということで、それから自分の国を愛する態度、愛国心ですね、これを身につけてほしいと、こういうことで、長い間改正されなかった教育基本法が改正されたわけです。

 その改正されてからもう7~8年たっておると思うんですけども、そこで、歴史教育の中の教育勅語ということできょうは質問させていただきます。

 教育勅語で同僚議員なんかともいろいろ話し合う機会を持つわけなんですけども、公明党の中拓哉議員なんか、教育勅語の話をしたら教育勅語をそらんじて言うわけなんですね。それほど幾度も幾度も読んで精通しておるわけなんですけれども、中身の話は聞いたことないんですけどね、立派なもんなんです。

 それで、この教育勅語は明治23年に、文明開化というときに、国民が西洋かぶれになってはいけない、普遍的な失ってはいけない道徳を国民に明示する必要があるということでつくられたわけなんですけれども、去年も柴山文部大臣、文科省大臣になったときに定例の記者会見で、教育勅語にも学ぶべきところが随分あると、こう言ったもんだから、マスコミの集中攻撃に遭ったわけなんですけども、柴山文科相も偉いですね。信念を変えずに謝らなくて意見を通したと、そういう評価できるところがあったように、立派であったと思っております。

 私も、どういうことが書かれておるかということで、この教育勅語をもう何回も何回も読んで、今では中議員と同じく暗唱できるようになったわけなんですけども、それでこの教育勅語については教育の現場の中で批判的な部分もあるだろうと思いますけれども、先人がそういう明治の、これから日本が世界に飛躍しようと、世界の列強と肩を並べてやっていこうと、そういう時代につくった時代背景を考えて、教育勅語についての中身をどう思うかということについて、教育長にお尋ねしたいと。

 批判は批判で、批判するところがあれば十分申し上げていただいたらいいわけなんですけども、普遍的な学ぶべきところがあれば、歴史教育として教育勅語について生徒に教えたらいいんではないかと、そんなに思うわけなんです。

 どっかの学園が──塚本学園ですかね、保育所の子供に暗唱させておったという、そういうテレビの場面も見ましたけれども、これはどうかと思いますけれども、やっぱりこういう教育勅語も明治時代にあったと、現在に通じる道徳的な事柄も含まれておるということを教育の場で教えるのも一つかと思います。答弁をお願いします。

○議長(岸本 健君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 歴史教育の中での教育勅語についてお答えをいたします。

 教育勅語は1890年(明治23年)10月30日に発布されました。

 当時の状況を振り返りますと、明治維新後、国力の充実に努めてまいりましたが、教育勅語が発布された1890年当時、我が国は欧米列強と比べるとまだまだ極東の弱小国であり、陸奥宗光による不平等条約の初めての改正や日清戦争は4年後のことであります。また、国内においては、自由民権運動の高まりなどから国論が混乱した状況にありました。

 このような国内外の難局を乗り越えるためには、理想の日本人像を示して教育方針を定めることが必要と考え、教育勅語が発布されたのだと思います。

 350字の教育勅語には、我が国固有の倫理が示され、教育がこの倫理に基づくこと、その価値観が普遍的であることが宣言されています。

 その後、我が国の状況が変わっていきますが、教育勅語は50年以上にわたって道徳及び教育の基本、精神的支柱としての役割を果たしてまいりました。

 このような時代背景、大日本帝国憲法のもとで作成された教育勅語は、戦後、日本国憲法の公布や教育基本法の施行により、その役割や使命が終わったとして、1948年(昭和23年)に国会で排除・失効が決議されました。

 しかしながら、教育勅語の一字一句が否定されたものではなく、友情や思いやりなどの徳目は、時代を超えて普遍的価値があるという考えがあることは承知しております。

○議長(岸本 健君) 吉井和視君。

  〔吉井和視君、登壇〕

○吉井和視君 いい答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 道徳教育ということで、これは教科化ということで始まっております。ことしから始まりました、中学校でも。これは道徳の教科化ということで、現場で教える教師も大変だろうと思います。なおかつ、この教科化になれば評価も伴うわけなんですね。教育現場が非常に荒廃化してるという中で、そういう道徳教育のいわゆる教科化になれば、相当の想像できない問題もこれから起ころうかと思います。

 教育長におかれましては、たびたび教育現場に赴いて、道徳教育の現状、そしてまた、本県のあり方というものについて十分担ってほしいなと、そんなに思います。

 以上で、質問を終わらせてもらいます。ありがとうございました。(拍手)

○議長(岸本 健君) 以上で、吉井和視君の質問が終了いたしました。

 お諮りいたします。質疑及び一般質問を終結することに御異議ございませんか。

  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(岸本 健君) 御異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問を終結いたします。

 次に日程第3、議案の付託について申し上げます。

 お手元に配付しております議案付託表のとおり、議案第109号から議案第132号までは所管の常任委員会に付託いたします。

 お諮りいたします。6月24日及び25日は常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。

  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(岸本 健君) 御異議なしと認めます。よって、6月24日及び25日は休会することに決定いたしました。

 次会は、6月26日定刻より会議を開きます。

 本日は、これをもって散会いたします。

  午後2時46分散会

 

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