令和元年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


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令和元年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号

議事日程 第4号

 令和元年6月20日(木曜日)

 午前10時開議

 第1 議案第109号から議案第132号まで(質疑)

 第2 一般質問

 

会議に付した事件

 第1 議案第109号から議案第132号まで(質疑)

 第2 一般質問

 

出席議員(42人)

 1番 鈴木德久

 2番 山家敏宏

 3番 中本浩精

 4番 堀 龍雄

 5番 藤山将材

 6番 岸本 健

 7番 井出益弘

 8番 宇治田栄蔵

 9番 北山慎一

 10番 中西峰雄

 11番 秋月史成

 12番 森 礼子

 13番 濱口太史

 14番 尾崎要二

 15番 冨安民浩

 16番 川畑哲哉

 17番 玉木久登

 18番 鈴木太雄

 19番 岩田弘彦

 20番 吉井和視

 21番 谷 洋一

 22番 佐藤武治

 23番 岩井弘次

 24番 中 拓哉

 25番 多田純一

 26番 新島 雄

 27番 山下直也

 28番 中西 徹

 29番 玄素彰人

 30番 谷口和樹

 31番 藤本眞利子

 32番 浦口高典

 33番 山田正彦

 34番 坂本 登

 35番 林 隆一

 36番 楠本文郎

 37番 高田由一

 38番 杉山俊雄

 39番 片桐章浩

 40番 奥村規子

 41番 尾﨑太郎

 42番 長坂隆司

欠席議員(なし)

 

説明のため出席した者

 知事         仁坂吉伸

 副知事        下 宏

 知事室長       細川一也

 危機管理監      森田康友

 総務部長       田村一郎

 企画部長       田嶋久嗣

 環境生活部長     田中一寿

 福祉保健部長     宮本浩之

 商工観光労働部長   稲本英介

 農林水産部長     角谷博史

 県土整備部長     髙松 諭

 会計管理者      飯島孝志

 教育長        宮﨑 泉

 公安委員会委員長   溝端莊悟

 警察本部長      檜垣重臣

 人事委員会委員長   平田健正

 代表監査委員     保田栄一

 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫

 

職務のため出席した事務局職員

 事務局長       中川敦之

 次長         中谷政紀

 議事課長       松山 博

 議事課副課長     山田修平

 議事課議事班長    岸裏真延

 議事課主任      保田良春

 議事課主査      伊賀顕正

 議事課主事      大森圭悟

 総務課長       井邊正人

 政策調査課長     中平 博

 

  午前10時0分開議

○議長(岸本 健君) これより本日の会議を開きます。

 日程第1、議案第109号から議案第132号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。

 42番長坂隆司君。

  〔長坂隆司君、登壇〕(拍手)

○長坂隆司君 皆様、おはようございます。

 まずは、一昨日夜半、山形県沖を震源とする地震で被害に遭われた皆様方には謹んでお見舞いを申し上げます。

 それでは、以下、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。

 一つ目に、ラグビーワールドカップ日本開催に当たっての和歌山県の対応についてであります。

 イングランド発祥の競技・ラグビーは、「紳士のスポーツ」と称され、「One for all,All for one」といった人間形成に対する価値が評価されているスポーツです。

 ラグビーワールドカップは、世界三大スポーツ大会の一つと言われ、その中のオリンピックやサッカーワールドカップと比べても、開催時期は日本の大会でも9月20日から11月2日まで、44日間と長くなっています。肉体的な消耗が激しく、身体の回復のために間隔をあけて試合が設定されるためですが、経済効果の観点では大いにプラスに働きます。

 会場は、日本全国12の都市と広範囲に及び、50万人に迫ると言われる訪日外国人客の消費支出による直接効果は1057億円に上ると予測されています。また、61もの自治体が公認チームキャンプ地となっており、今般、アフリカ地区代表のナミビア共和国チームのキャンプ地に選ばれた和歌山県上富田町もその一つになります。

 本県においても、社会人チーム「ヒガシクラブ」の主催で、和歌山陸上競技協会や和歌山県サッカー協会の御配慮のもと、昨年、ことしと続いて、子供たちから大人までが楽しめるラグビーフェスティバルを和歌山県紀三井寺陸上競技場にて4月に開催して、県内のラグビー人気アップに貢献してくださいました。

 本県においては、少年ラグビースクールが和歌山市、岩出市、有田市、田辺市、そして新宮市、5カ所にあり、中学生の部があるのは岩出ラグビースクールのみです。

 現在、和歌山県内の中学校では、和歌山市立西浜中学校に、2017年4月から、関係者の御尽力で、紀の国わかやま国体代表選手であった福田亮介先生が監督に就任され、西浜中学校ラグビー部が始動しました。本年度は、試合ができる人数がそろい、近畿大会を目指して頑張っています。

 そんな中、本年度より、大分県別府市が市内8中学校から1校を選んでラグビー部が創設され、ラグビーの拠点校として、市内の別の学校に通う生徒も所属できるようにしました。和歌山市教育委員会では、今年度より、ラグビーは西浜中学校へ、そして相撲は西和中学校へ、それぞれ競技団体と両学校長の推薦があれば、校区を越えて入部が許されることになりました。

 今後、ラグビーにおいても、小学生のラグビースクールがある和歌山市、岩出市、有田市、田辺市、新宮市、5カ所に拠点校を指定して、中学校にラグビー部ができるよう、ラグビーの少年への普及をさらに進められないものかと思います。あわせて、女子ラグビー日本代表チーム「サクラセブンズ」の活躍もありますし、将来的に女子ラグビー部の創設にも御尽力をいただければと思います。

 そこで、質問に入りますが、一つ目、生徒数も少なくなって学校の部活動ができなくなって廃部になっているところもあり、持続可能な部活の運営もしていかなければいけませんが、ラグビーワールドカップ日本開催を契機に、子供たちの気持ちや熱意に応えられるよう、地域にも協力を仰ぎながら、より充実した中学校の部活動ができるような状況がつくれないものかと思いますが、教育長、いかがですか。

○議長(岸本 健君) ただいまの長坂隆司君の質問に対する答弁を求めます。

 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) より充実した中学校部活動についてでございますが、ラグビーワールドカップが日本で開催され、本県でナミビア代表チームの合宿が行われることは、ラグビー競技の発展はもとより、和歌山県のスポーツ振興とともに、生徒のスポーツに対する興味・関心が一層高まるものと期待をしております。

 中学校の運動部活動については、生徒みずからが積極的に活動できる環境を整えていくことが大変重要であると考えています。しかしながら、少子化が進展する中、今までどおりの部運営体制では活動が困難になるため、拠点校の導入や近隣の学校による合同部活動の実施など、運営上の工夫が必要となってきます。

 県教育委員会といたしましては、今回の大会で高まるスポーツ熱をうまくゴールデン・スポーツイヤーズへとつなげるとともに、関係団体と連携して中学校運動部活動の充実に努めてまいります。

○議長(岸本 健君) 長坂隆司君。

  〔長坂隆司君、登壇〕

○長坂隆司君 自分の学校に自分がやりたい部活がなければ、移動する際の安全を担保していただいて、一つの拠点校で、志のある部員同士で切磋琢磨することには大きな意義を感ずるものです。ワールドカップでラグビー人気が沸騰したならば、必ずや小学生のラグビースクールがある市にもその熱は伝播すると思いますので、その際はラグビーの拠点校をつくっていくこともお考えいただきたいと思います。

 次に、当局におかれましては、今回、ナミビア代表チームの上富田町でのキャンプ決定に当たっての誘致活動にも随分お骨折りいただいたことと思いますが、ラグビーワールドカップ日本開催を契機に、本県として、ラグビーのさらなる普及、そしてラグビー人気を盛り上げるために、どのような取り組みをしていくおつもりですか。教育長にお尋ねします。

○議長(岸本 健君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 本県のラグビーの人気を盛り上げるための取り組みについてでございますが、今回、ナミビア代表チームの公認キャンプ地に上富田が決定したことは、県と町が連携し、さまざまなスポーツ合宿の誘致に取り組んできた成果であり、特に、町のスポーツ施設を最大限に活用した練習環境の提供とおもてなしの心が評価されたものであると考えております。

 公認キャンプ地に決定して以降、県下初の女子ラグビーチーム「パオ」が発足し、また、今月上旬にはナミビア共和国・ルスウェニョ駐日全権大使に訪問していただくなど、ラグビーに対する地元の機運はますます高まっております。

 今回のキャンプをより多くの県民の皆様にラグビーの魅力を伝えられる絶好の機会と捉え、県全体でラグビー競技の理解を深めるとともに、競技団体と連携を図り、普及啓発イベントの開催等を検討してまいります。

○議長(岸本 健君) 長坂隆司君。

  〔長坂隆司君、登壇〕

○長坂隆司君 パブリックビューイングも組織委員会の規制がいろいろあってなかなか厳しいとお聞きしておりますが、民間で大いに盛り上がる場は必ず出てくると思いますので、その熱意をどうか当局としても真摯に受けとめて、前向きな御理解、サポートをいただきたいと思います。

 3点目に、ラグビーワールドカップ2019が終了後、本県として、そのレガシーを最大限に残していきたいものです。例えば高校ラグビー部の活性化、さらに他の国々のチームのキャンプの誘致、また陸上競技やサッカーとも共存共栄ができるグラウンド使用など、いろんなことが考えられると思いますが、県教育委員会として、ワールドカップ後にそのレガシーをどのように生み出し、生かしていくおつもりか、教育長、お答えください。

○議長(岸本 健君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) ワールドカップ後のレガシーとしての高等学校のラグビー部の活性化につきましては、高校生による小学生のタグラグビー指導や地域のラグビースクールとの交流等により、ラグビー競技の裾野を広げることなどが考えられます。

 また、ワールドカップ出場チームがキャンプを行ったことで、一流の合宿地として広く認められ、大学や国内トップチームの訪れる機会が増し、県内高校生との交流も生まれ、活性化につながることと期待をしております。

 今後、キャンプ誘致につきましては、受け入れ実績とノウハウを生かし、本県のすぐれた競技施設や練習環境に加え、アクセスのよさなど、キャンプ地としての優位性を積極的にアピールし、国内外トップチームの誘致にさらに取り組んでまいります。

○議長(岸本 健君) 長坂隆司君。

  〔長坂隆司君、登壇〕

○長坂隆司君 サッカーワールドカップ日韓同時開催のときのように、今回は和歌山県民に開かれたオープンなキャンプとはいかないようで残念ですが、せっかく本県にナミビア代表チームがお越しいただけるのですから、引き続き良好な関係を結んでいく努力をしていただくよう、よろしくお願いいたします。

 2点目、行きます。

 「海から始まる修行の道『葛城修験』」の日本遺産申請について。

 和歌山市加太から大和川沿い上流の亀の瀬までの葛城二十八宿の道が、「海から始まる修行の道『葛城修験』」というタイトルで本年1月に文化庁へ日本遺産の認定を申請されましたが、惜しくも認定されませんでした。関係18市町を取りまとめられた和歌山県観光振興課には、その御労苦と御尽力に大きな敬意を表するものです。

 また、約15年前から地道に活動されていた第一番経塚のある地元加太の加太観光協会や加太浦大護摩供顕彰会などの皆様、そして森林保全と観光振興を両立させることで、深い歴史的背景を持つ森林とストーリーを次世代につなぐことを目的に進めてこられた一般社団法人グリーンバナー推進協会の皆様など、民間からの賛同者の方々、そして各地行政関係者の皆様の熱意とたゆまぬ努力にも深甚なる敬意を表したいと思います。

 関係市町には、当然それぞれの事情もあり、日本遺産認定に対する温度差もあるでしょうし、共同歩調のための3府県18市町ものお取りまとめ自体が画期的なことだと思っております。ちなみに、共同申請者である泉佐野市と河内長野市は、今回それぞれ単独で日本遺産認定を受けています。

 日本では古来、山岳に神霊が宿り、深山幽谷に分け入って修行することで魂を鍛え上げ、超常的な能力を発揮できるようになると考えられてきた山岳信仰に、伝来してきた密教系仏教の信仰、あるいは道教や陰陽道などの要素と結びついて修験道が生み出されました。修験道は、修行により吸収した山の霊力を人々に授けるというものであります。

 修験道は、巡礼の始まりとも言われています。梅原猛先生は、「仏教とともに神道を研究して、日本の宗教が全体として少し見えてくると、この修験道というものこそ真に日本的宗教であり、その謎を解くことによって、日本仏教の謎も、あるいは日本神道の謎も解けるのではないかと思うようになった」と言われています。

 道なき道を分け上り、沢を下り、密林をかいくぐり、山野に伏して、ひたすら極限の行脚を続けるのは、古代の巡礼姿そのものとも言われています。観音巡礼も修験道には大いに影響を受けたものと思われます。

 また、修験者たちは熊野の山奥に分け入り、那智の滝などの自然神(山の神)の前で読経し、修行しました。修験道を介して神道と密教が一体となった信仰、これがまさに熊野信仰と言われる信仰でもあるならば、修験道の開基、役行者が最初に修行した加太友ヶ島の虎島の断崖絶壁から和泉山脈、大和葛城山から金剛山地へ連なる葛城修験は実にスケールの大きなストーリーを有する、和歌山県としても誇るべき歴史遺産であります。

 選挙の終盤でありましたが、去る4月6日、聖護院の大勢の修験者による紀州加太浦採燈大護摩供を見学させていただきました。古くから伝わる作法にしばし見とれておりました。

 また、5月の連休を利用して、まずは岸和田市にある第十番経塚・牛滝山大威徳寺法師品にお参りしてきました。多宝塔は重要文化財、そして重厚な本堂があり、経塚は大きな自然石のところにありましたが、針金で無造作に張りつけられた表示板が貧弱なのには寂しい気がしました。大雨が降っていたので、役行者が修練したとされる第一、第二の滝に行くのは断念しました。

 次いで、3日後、山中渓までJRで行って、そこから紀州街道を南下し、岩出市境谷の入り口にある第四番経塚・入江宿(さくら地蔵)信解品を訪ね、境谷の在所奥では第五番経塚に至る道を見つけ、地蔵寺には、4月5日に聖護院一行が来られたお札がありました。

 その後、和歌山市滝畑に入り、春日神社の不動の滝(一ノ滝)で地元の方に説明をいただきました。4月5日には、聖護院門跡が来られたとのことでした。地域で大切に管理されているのが印象的でした。

 滝畑金剛童子像のある雨谷池にも立ち寄り、山口地区の産廃施設建設反対の横断幕を山奥で見つけました。

 それから、常住の家屋は2軒だけという落合で、しかめっ面の2体の地蔵さんが祭られている八王子社にお参りしました。和歌山市の最高峰490メートルの雲山峰へ向かう道すがら、急峻になってきましたが、六角堂にたどり着き、青少年の森を越えて、ようやく雲山峰頂上です。雲山峰にも石積みの石祠があり、大福山とともに第三番経塚と言われています。

 帰りは役行者堂を経由しましたが、案内板がいま一つ不明確で、ゴロタ石の谷川に出たら立入禁止の看板があったりと、本当に役行者堂に到着するのかと不安を覚えましたが、しばらく谷を下ると、忽然と建物があらわれました。立派なお堂がありました。

 役行者堂から井関橋、その後、墓の谷へと進みます。住民の方との「こんにちは」の挨拶や道端のツツジの花に癒やされました。

 「大規模太陽光発電事業絶対反対」の大きな看板もあります。こんな役行者がたどってこしらえた歴史の道が、崖崩れを誘発する無味乾燥な、利益ばかりを追求する太陽光発電のパネルに置きかえられてしまうことなんか許せるわけがありません。

 ようやく千手川が見えて、へとへとになりながらJR六十谷駅に到着しましたが、さすが修験の跡をたどる道、なかなかタフな道中でした。

 先週14日には、語り部の方に導いていただいて加太、友ヶ島に渡り、沖ノ島から第一番経塚・虎島序品窟へ行ってまいりました。

 虎島へ渡る前にあるはずの閼伽井の碑がありません。どうも昨年の台風で流され、聖護院一行の方が海の中で見つけてくれたそうです。

 その後、虎島へ渡るのに潮が満ち始め、ズボンをぬらしながら渡りました。ここも台風の影響で、渡るのに都合のよい、もともとあったはずの石も流されてしまったようです。大きな石と岩を伝って、時々滑りながらも序品窟にやっとたどり着きました。第一番経塚の白い表示柱もなくなっていました。1人で来ていたら、わからなくなって、途中で断念していたかもしれません。

 頭をぶつけるような狭い洞窟の中に入っていくと、「妙法蓮華経序品第一」と記された立派な碑がありました。洞窟を抜けると、日差しに映えた海が何ともまぶしい美しさでした。

 その後、虎島の頂上付近まで登り、木々の中にあるれんがづくりの堡塁遺構の横を抜け、もう少し登ると役行者像がありました。立派な優しいお顔の役行者でした。そこから海峡を隔てた地ノ島を臨む光景は、実に神々しく雄大でした。

 修行の地である五所の額と観念窟は諦めました。帰りは、余計潮が満ちてきて、太もものあたりまでずぶぬれになりました。役行者が、住民を困らせていた大蛇の爪を剝いで封じたという深蛇池は立入禁止になっていました。海から流れ着いた発泡スチロールの破片が雪のように一面に散乱して、見るも無残な池になってしまっているようです。

 そこで質問ですが、一つ目、この葛城二十八宿の跡を全て実際に訪れたことがある人によりますと、和歌山県側は大阪府側よりも山を登っていくまでの道が整えられていなくて、険しいけもの道のままのところが多いと指摘していました。確かに、大阪府側には、ダイヤモンドトレール等ハイキングコースとして整備されているところが多いような気がします。

 2020年までに100の日本遺産をということで、あと十七つの席をめぐって、来年こそ日本遺産への認定が実現してほしいと願っておりますが、認定に至るまで、歴史的足跡となる経塚、また修験の道に点々とあるほこらや石碑などの保存、修復や、さらに向井家文書や建物などの再調査、そして新たな文化財としての指定に向けた取り組みを進めていただきたいと思いますが、教育長にお伺いいたします。

○議長(岸本 健君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 史跡の保存、修復と調査についてでございますが、県教育委員会では、葛城二十八宿地域連携協議会が一般社団法人グリーンバナー推進協会の協力により開催されました情報交換会に参加したり、市町と共同で現地踏査を行うなど、葛城修験の道に関する現況把握を進めているところでございます。

 向井家文書につきましては、その一部が和歌山大学紀州経済史文化史研究所及び和歌山市立博物館に寄託されていることから、資料調査について両者と協議をしてまいりたいと考えております。

 また、建造物につきましては、令和元年5月17日に、国の文化審議会は根来寺6棟を重要文化財に指定することを文部科学大臣に答申しました。この中には、役行者を祭った行者堂も含まれております。

 葛城修験に関しましては、このほかにも歴史的価値が高いものがあることから、所有者の状況を踏まえながら調査を検討してまいります。

○議長(岸本 健君) 長坂隆司君。

  〔長坂隆司君、登壇〕

○長坂隆司君 実際に経塚などは大部分が未指定でありますが、地域には経塚を大切に守ってくれている人がいます。後世にもその史跡を引き継いでいけるよう、地域を巻き込みながら、助力をいただきながら、地道な調査を続けることによって、新たな文化財としての指定に向けた取り組みを加速いただきたいと思います。

 2点目ですが、大阪府、奈良県、そして関係市町ともさらに連携を深めて、日本遺産認定の機運を高めていけるよう、経塚のある28カ所の地域の互いの理解、協力を深めていくための勉強を重ねていただいて、具体的に取り組みを進めていただきたいと思いますが、商工観光労働部長、いかがでしょうか。

○議長(岸本 健君) 商工観光労働部長稲本英介君。

  〔稲本英介君、登壇〕

○商工観光労働部長(稲本英介君) 日本遺産は、地域の歴史的魅力や特色を通じて我が国の文化、伝統を語るストーリーを文化庁が年1回認定しているもので、令和2年までに100件程度の認定が予定されており、今年度までの認定総数は83件で、そのうち、本県の市町を構成団体とする日本遺産は5件となっております。

 「海から始まる修行の道『葛城修験』」につきましては、今年度の認定を目指し、ことし1月、和歌山県、大阪府、奈良県の3府県並びに3府県内の18市町が連名で申請を行いましたが、残念ながら認定には至りませんでした。修験道の開祖と仰がれる役行者が開いたとされる葛城修験は、世界遺産である大峯奥駈道と並ぶ修験の聖地と言われ、海の行場から始まる非常にまれな修行の道でもあります。

 県といたしましては、来年度の認定に向けて再度申請を行いたいと考えておりますが、そのためには関係府県及び市町との連携が不可欠であります。

 ストーリーを構成する葛城二十八宿とその他の構成文化財の歴史的、文化的な価値や保全の必要性について、関係府県及び市町が理解を深め、認識を共有するとともに、日本遺産認定後の観光振興や地域活性化に資する施策についても検討する機会を設け、再申請に向けた取り組みを進めてまいります。

○議長(岸本 健君) 長坂隆司君。

  〔長坂隆司君、登壇〕

○長坂隆司君 この葛城二十八宿は、山々に経塚や宿の跡があり、自治体の境界周辺にひっそりとたたずんでいるところが少なくないと思います。だからこそ、自治体の連携がどうしても必要となります。そして、自治体自体が史跡の歴史的意義に真に価値を認識し、愛着を持っていただかなければなりません。

 次回の申請まで、あと7カ月ぐらいしかありませんので、さらに日本遺産としての自立性、継続性を明確にして、地域の魅力を後世にどう伝えていくかの計画性を充実させていただきたいと。そして、文化庁当局のハートを揺さぶる御申請をしていただきますようお願いいたします。

 3点目です。百舌鳥・古市古墳群の世界遺産登録と岩橋千塚古墳群の文化遺産としての魅力発信についてであります。

 岩橋千塚古墳群は、和歌山市東部丘陵地帯に広がる、5世紀初頭から7世紀後半にかけて築造された約850基を超える全国でも有数の大規模な群集墳で、当時、この地域を支配していた紀伊国造・紀氏の墓域と言われています。2016年には、墳丘長88メートル、2段築成の県最大の前方後円墳で、横穴式石室の高さは5.9メートルもあり、全国第2位の規模を持つ天王塚古墳、そして和歌山市鳴神の大谷山山頂に位置する墳丘長約70メートル、2段築成の前方後円墳で、円筒埴輪が周囲にめぐらされ、人物、動物、家、盾などの形象埴輪が出土し、岩橋型横穴式石室を持つ大谷山22号墳が、ともに特別史跡に追加指定されています。

 現在確認されている古墳は、前方後円墳35基、方墳21基、その他が円墳となっています。古墳の範囲は、前山地区、大日山地区、花山地区、大谷山地区、寺内地区、井辺地区、さらには和佐地区、東西山東地区にも及んでおり、同古墳群周辺では、朝鮮半島製の土器や武器、金、銀、銅などを使った装飾品が数多く出土し、紀氏と朝鮮半島などとの交流の歴史も想像されます。

 日像鏡を御神体として日前大神を奉祀し、日矛鏡を御神体として國懸大神を奉祀している紀伊国一之宮、日前宮ですが、天孫降臨の際、三種の神器とともに両神宮の御神体も添えられ、神武天皇東征の後、紀伊国造の肇祖に当たる天道根命を紀伊国造に任命し、二つの神鏡をもって紀伊国名草郡毛見郷の地に奉祀せられたのが日前宮の起源とされ、垂仁天皇の御代に現在の場所に移られたとされていますが、天道根命の末裔である紀氏によって歴代奉祀されています。

 初代神武天皇とも縁の深い紀氏の墓域ということで、古代のロマンは、いやが上にも広がってまいります。さらに調査が進んでいかれることを待ち望んでいます。

 先ごろ、仁徳天皇陵古墳を含む百舌鳥・古市古墳群の世界文化遺産登録が内定しました。天皇陵と地方豪族の墳墓という違いはありますが、同じ古墳群として、この和歌山県の歴史にとって重要な位置を占める岩橋千塚古墳群の魅力をさらに発信いただきたいと思いますが、今後の取り組みについて、教育長にお伺いいたします。

○議長(岸本 健君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 岩橋千塚古墳群は、国内最大規模の古墳群で、重要文化財に指定された翼を広げた鳥形埴輪、両面人物埴輪など、本県の古墳文化を知る上で貴重な資料が数多く出土しています。

 県教育委員会では、平成29年、30年度の2カ年で、特別史跡周辺の約500ヘクタールを対象に航空レーザー測量調査を実施したところでございます。この成果をもとに、さらなる特別史跡への追加指定を目指してまいります。

 また、この周辺では、木ノ本の車駕之古址古墳から朝鮮半島製と考えられる国内唯一の金製勾玉が出土され、また、楠見の大谷古墳からは、同じく朝鮮半島製と考えられ、重要文化財に指定された馬甲、馬冑が出土しております。このような渡来文化についても学術的な研究を進めていきたいと考えております。

 今回、百舌鳥・古市古墳群が世界遺産に登録されれば、日本の古墳文化の政治や社会の構造を明確に表現するモニュメントとして国内外にアピールする機会となります。このことから、県内外にある古墳群などと連携しながら、文化的観光資源としての活用についてもさらに力を入れ、岩橋千塚古墳群の魅力を発信してまいりたいと考えます。

 さらに、岩橋千塚古墳群を初めとする県内考古資料や民俗資料を展示している紀伊風土記の丘資料館を再編し、古墳文化や考古学、民俗学の県内の研究拠点としてふさわしい機能を有する考古民俗博物館──これは仮称でございますけれども──そういった形に整備をすることとしておりまして、そのための準備を進めているところでございます。

○議長(岸本 健君) 長坂隆司君。

  〔長坂隆司君、登壇〕

○長坂隆司君 世界遺産とは、顕著な普遍的価値を持つ人類共通の財産であるということでありますが、百舌鳥・古市古墳群が世界遺産としてそうならば、私は、岩橋千塚古墳群も地域にしっかり根をおろした当時の地方豪族のありようを反映した、現在へと受け継がれた普遍的価値を有する、まさに人類共通の文化財産になり得るものだと思っております。

 ぜひ今後、岩橋千塚古墳群の世界文化遺産登録についても御検討いただきたいと要望させていただきます。

 4点目です。和歌山県におけるインバウンド観光の取り組みについてであります。

 平成30年には、海外からの訪日外国人客数が3119万人となり、消費額も4.5兆円に達しました。昨年後半に相次ぐ自然災害の影響で伸び悩んだことを考えれば、東京オリンピック・パラリンピックの2020年の4000万人へふやす政府目標の達成も視野に入ったと言えるでしょう。

 本県も、インバウンド観光客の数の伸びは鈍化したとはいえ、南紀白浜空港も民営化され、LCC就航も十分に予想されますし、関空の利用客とあわせて、今後、本県へのたくさんの観光客の訪問が期待できる国々もあるのではないかと思われます。

 経済成長が著しく、日本ともかかわりの深い東南アジア諸国の今後のインバウンド観光への潜在力には大きなものがあると思います。また、信仰など精神文化に特に興味のある欧米やオーストラリアの方も、全体的に高野山、熊野方面を初めとして、本県への訪問観光客は多くなっているのではないでしょうか。

 ちなみに、中国、韓国、台湾、香港の東アジア4カ国・地域は、2018年の訪日客数は73%を占めていたといい、まだこれからも大きな市場ではあると思います。

 しかし、インバウンド市場をさらに充実させるためには、キャッシュレス決済への対応など、本県側の受け入れ態勢の整備も急務であると思います。

 そこで質問ですが、和歌山県のインバウンド観光、特に東南アジア市場と欧米、オーストラリア市場についての現状と今後の取り組み、そして受け入れ環境の取り組みについて、商工観光労働部長、お聞かせください。

○議長(岸本 健君) 商工観光労働部長。

  〔稲本英介君、登壇〕

○商工観光労働部長(稲本英介君) インバウンド誘客につきましては、現在、世界26カ国・地域をターゲットに、世界各地で開催される旅行博覧会や商談会へ参加するとともに、海外からの旅行会社の現地視察やメディアの取材支援を実施しております。

 本県には、東南アジアの方々の嗜好にマッチする美しい自然景観やグルメなどの観光資源が豊富にあることから、今後、大きく伸ばせる有望市場であると考えており、現地旅行会社へのツアー造成の働きかけやメディア取材の受け入れを継続的に行うとともに、タイ、ベトナム、インドネシアに配置している観光プロモーターを通じた現地語によるSNS情報発信にも取り組んでいるところです。

 特に東南アジア諸国の中でも訪日客数が最も多いタイにつきましては、昨年末にタイ国政府観光庁と観光交流促進に係る趣意書を締結しました。今後、この趣意書に基づき、タイにおけるプロモーション活動を強化してまいりたいと考えております。

 また、本年5月には、知事がタイ及びシンガポールを訪問し、現地で開催した和歌山プロモーションを通じて、和歌山の魅力を大いに発信してきたところです。今後とも、さまざまな機会を捉え、プロモーション活動を展開してまいります。

 次に、欧米豪市場につきましては、日本の歴史、文化に高い関心を持つ個人客をターゲットに、海外メディアからの評価が高い世界遺産や宿坊体験、熊野古道トレッキングに加え、サイクリングなどスポーツツーリズムをテーマとした誘客促進にも取り組んでいるところです。

 特に、一昨年12月に関西国際空港とシドニー間の直行便が就航したオーストラリアや、熊野古道とサンティアゴへの道の姉妹道提携20周年を迎えたスペインにつきましては、プロモーション強化対象市場として位置づけ、海外メディアとの共同キャンペーンや取材支援を通じて和歌山の魅力を発信し、さらなる誘客を努めてまいります。

 また、議員御指摘の受け入れ態勢につきましても、外国人観光客が県内をストレスなく周遊、滞在できる環境づくりや観光施設における多言語対応、キャッシュレス決済の普及促進により、外国人観光客の利便性向上と消費拡大に向けた取り組みもあわせて進めてまいります。

○議長(岸本 健君) 長坂隆司君。

  〔長坂隆司君、登壇〕

○長坂隆司君 阪神・淡路大震災をきっかけに、災害時に外国人に情報を伝えることを想定して、弘前大学の研究室が考案した「やさしい日本語」の導入が観光や行政サービスなどにも広がっています。国立国語研究所の調査によれば、定住外国人が理解できる外国語として、日本語を挙げたのは62.6%であったのに対し、英語は44%だったそうであります。日本語にふなれな外国人観光客にも、お互いの共通言語として「やさしい日本語」を使うことも、インバウンド観光にとって一つの大きなおもてなしにつながるのではないかと思います。

 5点目、行きます。学校の安全対策についてであります。

 大阪教育大学附属池田小学校の児童殺傷事件が平成13年6月に発生してから、18年が経過しました。男が校内に包丁を持って侵入し、2年生の女児7人と1年の男児1人の計8人を殺害、教師2人と1、2年の児童13人に重軽傷を負わせた事件でした。

 私も当時、ちょうど学童を2人抱え、小学校のPTA役員も務めていたころで、PTA役員会で協議の上、保護者が当分の間、分担して下校時に学校正門に立ったり、防犯ブザーを全校生徒に持参してもらったり、職員室を2階から1階へ移動してほしい旨の陳情活動も行ったりしたことがありました。保護者が被害に遭ったらどうしてくれるのかなどとの批判もいただきました。

 この事件をきっかけに学校の安全対策は確かに進展したと思いますが、一昨年から子供が狙われる事件がまた起こっています。一昨年には、千葉県松戸市のベトナム国籍の小3女児が登校中に殺害され、昨年5月には、新潟市の小2の女の子が下校中に殺害され、線路に遺棄されましたし、本年に入ると、4月に、お茶の水女子大学附属中学校で、工事の者を名乗った男が学校に侵入して、秋篠宮御夫妻の長男・悠仁様の机に刃物を置いた事件が発生。そして、5月28日には、川崎市で、スクールバスを待つ私立の小学校の児童ら20人が刃物を持った男に殺傷されました。

 そこで質問ですが、一つ目、まず、池田小学校の事件後の学校の安全対策について本県の取り組みはどうであったか、教育長、お聞かせください。

○議長(岸本 健君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 池田小学校の事件後、県内の各学校では、緊急時の対応マニュアルを整備し、来訪者の確認を行うなど、校内に不審者が入ることのないよう安全管理面での対策を行ってまいりました。

 また、青少年センターや警察の協力のもと、不審者の侵入を想定した避難訓練や防犯学習等を実施して、児童生徒の安全確保に取り組んできたところでございます。

 さらに、教職員の学校安全に関する対応力の向上を図るため、警察や警備会社等の協力のもと、防犯対策の研修会を毎年行っております。

 今後も、不測の事態に備えて、定期的にマニュアルに基づいた訓練や研修を行ってまいります。

○議長(岸本 健君) 長坂隆司君。

  〔長坂隆司君、登壇〕

○長坂隆司君 今回の事件は、川崎市の通学路での、それもスクールバスを待っていたところでの殺傷事件でしたが、地域の子供見守り隊活動でも、交通安全の確保のみならず、不審者など防犯への意識もさらに強くしていかないといけないなと思いますし、防犯カメラのさらなる設置とカメラに映っている状況のチェックを徹底すべきことも一つの手段かと思っております。

 川崎殺傷事件を踏まえた児童生徒の安全対策について、教育長と県警本部長にそれぞれお伺いいたします。

○議長(岸本 健君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 川崎殺傷事件を踏まえました児童生徒の安全対策についてでございますが、登下校時の安全対策につきましては、これまで、学校、警察、市町村教育委員会等と連携して、夜間・休日を含めた不審者情報の共有及び連絡体制の整備、通学路の安全点検を行ってまいりました。

 また、犯罪が起こりやすい場所をまとめた地域安全マップづくりの学習や不審者と遭遇した際を想定した訓練などにも取り組んでまいりました。

 さらに、通学路セーフティーネットの日を年6回設定し、学校、保護者、警察に加え、地域の方々や学校安全ボランティアと一体となって、県内一斉に児童生徒の見守り活動を行っています。

 今回の川崎市の殺傷事件を受け、スクールバスの停留所及び停車時刻の情報を警察に直ちに提供し、迅速に対応していただいたところでございます。

 今後も、多くの子供が集まる場所等について警察と情報共有するとともに、関係団体や地域など多くの方々と連携し、協力しながら防犯意識の高揚に努め、学校安全対策を推進してまいります。

○議長(岸本 健君) 警察本部長檜垣重臣君。

  〔檜垣重臣君、登壇〕

○警察本部長(檜垣重臣君) 県警察では、以前から、自治体、教育委員会、学校、地域のボランティア団体等と連携し、登下校時における通学路の警戒強化、各種広報媒体による情報発信、「きしゅう君の家」の周知徹底、声かけ事案対応要領等の防犯指導、防犯カメラの設置と活用等の安全対策を推進しております。

 さらに、平成27年7月から、毎月1日と15日をきのくに子ども見守り強化の日に設定し、自治体、小学校、防犯関係団体と連携し、登下校時の通学路における子供の見守り活動を強化しているところであります。

 今回の川崎市の事件を受け、登下校時におけるスクールバスの停留所を含めた通学路の警戒を一層強化しておりますが、引き続き、効果的な防犯カメラの設置と活用等の対策を推進してまいります。

 また、県警察では、重要凶悪事件の発生時や通学路に重大な危険が及ぶおそれのある事案等につきましては、教育委員会等を通じて学校と情報共有できる体制を構築しておりますが、今後も教育委員会等と緊密に連携を図りながら、児童の安全対策を推進してまいります。

○議長(岸本 健君) 長坂隆司君。

  〔長坂隆司君、登壇〕

○長坂隆司君 今回の川崎殺傷事件においても、事件4日前に駅や現場周辺の防犯カメラに加害者とおぼしき人物が映っていたり、今月16日早朝に起きた交番襲撃拳銃強奪事件でも、防犯カメラが逮捕のための容疑者特定につながりました。

 人通りの少ない地点はもちろんのこと、今回のように児童生徒が集まりやすい場所にも防犯カメラの設置が必要なのかと感じた次第です。まさに、防犯カメラを適所に効果的に増設いただきたいと思います。

 3点目ですが、川崎市の殺傷事件は、現場にいた児童生徒、そして友達を失った児童生徒にも大きな精神的ショックを与えたことと推測されます。こうした痛ましい事件が起こった際の児童生徒の精神不安への対応について、教育長にお伺いいたします。

○議長(岸本 健君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 児童生徒の心のケアにつきましては、学級担任を中心に、県が派遣している心理の専門家であるスクールカウンセラーと連携して行っております。また、臨床心理士、社会福祉士、弁護士等の専門家で構成する学校サポートチームも設置しており、学校からの要請に応じ、支援を行うこととしております。

 今回のような事件が起きた場合、児童生徒の言動の変化や心身の健康状態に留意し、早期の支援を行うため、スクールカウンセラーの追加派遣や学校サポートチームメンバーの緊急派遣等の対応を行っております。

○議長(岸本 健君) 長坂隆司君。

  〔長坂隆司君、登壇〕

○長坂隆司君 現場での惨劇を直接目にしてしまったり、大切なお友達を急に失ったショックは、特に児童生徒には、はかり知れないものがあると思います。それこそ子供たちの心に寄り添って、スクールカウンセラーや、時には学校サポートチームの方々とともに保護者も加わった中で、心のケアを図っていただきたいと要望させていただきます。

 これで、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(岸本 健君) 以上で、長坂隆司君の質問が終了いたしました。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 35番林 隆一君。

  〔林 隆一君、登壇〕(拍手)

○林 隆一君 皆様、おはようございます。

 日本維新の会の林隆一と申します。よろしくお願い申し上げます。

 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従い一般質問をさせていただきます。

 まずは、県営住宅の共益費集金の問題について質問をいたします。

 現在、県営住宅の居住世帯は約4600世帯あると聞いております。ある県営住宅で自治会費を集金している方から、自治会費とあわせて共益費も集金しており、大変だとの相談がありました。共益費を集金に行ったら、「寝ているのにうるさい」とか、「お金がないから月末してくれ」とか、「忙しいときに来るな」とか、さんざんなことを言われ、相当なストレスとなっているとのことです。また、固定電話より携帯電話を持っている人がふえて、集金するための電話料金もばかにならないとのことでございました。「自治会から、順番なので会計になってほしいと頼まれたので、仕方なしに会計になった」とおっしゃっていました。

 県営住宅は、皆様御存じのように、低額所得者向けの住宅でございます。県営住宅の募集要項を見ると、世帯所得が一般的に月額15万8000円以下です。共益費を集金する方も、集金される方も、ストレスを感じてる方が多いと思います。県は、こうした業務を県営住宅の居住者に負担させることで、居住者に負担、迷惑がかかってる状況を放っておいてよいのかと思っております。

 そもそも、自治会というのは、加入しようが加入しまいが自由のはずです。自治会に加入したら自治会費とは別に県営住宅の共益費まで集金しなければならなくなったというのは、どうかなと思います。全国的に自治会離れが進んでいる昨今においては、自治会に入った人に対しては共益費を集金に行くが、自治会に入らない人に対しては集金に行かないということにもなり、今の時代にそぐわないのではないでしょうか。

 そこで、県土整備部長に質問をいたします。

 県が県営住宅の居住予定者及び居住者に団地自治会への加入をあっせんしてることについてお答えください。

○議長(岸本 健君) ただいまの林隆一君の質問に対する答弁を求めます。

 県土整備部長髙松 諭君。

  〔髙松 諭君、登壇〕

○県土整備部長(髙松 諭君) 県営住宅団地に入居されている方の自治会への加入に関するお尋ねをいただきました。

 県では、県営住宅団地において、入居者の皆様方が利用される共用部分の運営管理や住民が交流する機会の創出など、良好な団地生活の維持及び形成に資する共同活動を行っていただくため、入居される皆様方に、地縁に基づく団体である、いわゆる自治会を組織していただいているところでございます。

 これらの自治会活動を通じて、団地内の円滑なコミュニケーションが図られ、子供の見守りなど防犯面の強化や災害時の対応など、安全・安心な団地づくりにつなげていただくことに加え、入居者の皆様方で県営住宅を適切に維持管理をしていただけるよう、自治会への加入をお願いしているところでございます。

 県といたしましては、議員の御指摘を踏まえ、入居者の誤解を招くことのないよう、今後はより一層、入居者の皆様方に自治会加入の趣旨を丁寧に御説明申し上げ、御理解を得るよう努めてまいります。

○議長(岸本 健君) 林 隆一君。

  〔林 隆一君、登壇〕

○林 隆一君 それでは、再質問をさせていただきます。

 私としましても、自治会が良好な地域社会の維持や形成に有効な組織であるということは十分に認識しております。

 しかしながら、さきにも述べたように、自治会は本来、加入しようが加入しまいが自由のはずです。自治会への加入を強制することはもちろんあってはならないことですが、そもそも県が自治会加入をあっせんすべきではないのではないかと考えております。県土整備部のお考えをお伺いいたします。

○議長(岸本 健君) 県土整備部長。

  〔髙松 諭君、登壇〕

○県土整備部長(髙松 諭君) 公営住宅法に基づく県営住宅は、「住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸することにより、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与すること」を目的としたもので、「事業主体は、常に公営住宅及び共同施設の状況に留意し、その管理を適正かつ合理的に行うように努めなければならない。」ということで、公営住宅法に規定されてございます。

 一方、「公営住宅の入居者は、当該公営住宅又は共同施設について必要な注意を払い、これらを正常な状態において維持しなければならない。」ということで、公営住宅法第27条に規定されてございます。

 県内の状況に当てはめますと、県営住宅団地以外の地域の場合であっても、ごみ置き場、側溝等の掃除は自治会で実施していただいているところが多いことから、団地内におきましても、その住民の皆様方がみずからこれを実施することが基本ではないかと考えております。その団地内のごみ置き場、通路、植栽等の共同施設の清掃活動等を自治会以外の第三者に委託することになりますと、その経費は入居者の負担増にもつながることになります。

 このため、団地内に自治会組織を設置することが有効であると考えてございまして、県といたしましても、入居者の皆様方に対して自治会への加入をお願いすることが妥当ではないかというふうに考えているところでございます。

○議長(岸本 健君) 林 隆一君。

  〔林 隆一君、登壇〕

○林 隆一君 私は、何度も言いますが、自治会への加入は個人の自由であると考えております。しかし、共用部分の管理や共益費の運用等に関しては、居住者全員が協働して行うべきものであると考えております。

 県が、自治会は地域社会の維持、形成に重要な役割を担う組織であると認識しており、そのことによって共益費の集金や運営を自治会に任せているというのであれば、自治会が集金した県営団地の共益費は、自治会から会計報告などが県に報告されているのでしょうか。また、県がそれをチェックしているのでしょうか。県土整備部長、お答えください。

○議長(岸本 健君) 県土整備部長。

  〔髙松 諭君、登壇〕

○県土整備部長(髙松 諭君) 県営住宅の共益費に係る会計の県のチェックについてお尋ねをいただきました。

 県では、県営住宅の共同施設の管理に関しまして、外灯や給排水施設等の維持管理費や光熱水費など、団地内の共同施設の維持運営に要する費用である共益費の金銭管理も含めて、団地の自治会にお願いしているところでございます。これは、県営住宅条例におきまして、共益費を入居者の負担とすることを規定していることから、入居者の皆様で共益費の徴収事務をしていただくもので、全国的には多くの自治体で行われている手法となってございます。

 御指摘の共益費に係る会計に関する県によるチェックにつきましては、自治会は自主的に運営されている組織でございまして、県は監査、監督する立場ではなく、自治会からは報告を受けてはおりません。

○議長(岸本 健君) 林 隆一君。

  〔林 隆一君、登壇〕

○林 隆一君 それでは、再質問をいたします。

 過去に、ある県営住宅において、自治会役員の1人が10年以上にわたり多額の共益費を使い込んだという事案があったと聞き及んでおりますが、団地の管理運営に必要な共益費の会計をチェックしていれば、このようなことが起こらなかったのではないでしょうか。以前そういう共益費の使い込み事案があったにもかかわらず、県は今も共益費の管理を全くしていません。こういった事案に対する県営住宅管理者としての見解はいかがか。再度、県土整備部長にお答え願います。

○議長(岸本 健君) 県土整備部長。

  〔髙松 諭君、登壇〕

○県土整備部長(髙松 諭君) 県は、自主的に運営いただいている自治会の共益費に係る会計について、監査、監督する立場にはございませんので、チェックはしておりません。これは先ほども申し上げたとおりでございます。

 しかしながら、適切な管理が滞ると、共同施設の故障が発生し、団地生活に支障が生じるおそれがあることから、自治会運営における共益費に係る会計について、県として必要な助言をしていくことは適切なものと考えております。

 その際には、会計の透明性の確保ということが重要でございますので、県といたしましては、総務省が作成した会計事務を中心に取りまとめた「コミュニティ団体運営の手引き」を活用するなどいたしまして、定期的に団地自治会に対し、共益費に係る会計の透明性の確保を図られるよう助言してまいります。

 なお、共益費がその目的に沿って使用されないことは、団地の共同施設の適正管理に支障を来す行為となりまして、県営住宅管理者である県といたしましては、まことに遺憾だと考えているところであり、厳正に対処すべき行為であると考えてございます。

○議長(岸本 健君) 林 隆一君。

  〔林 隆一君、登壇〕

○林 隆一君 県営住宅の共益費の使途等に不正があった場合には県が厳正に対処するということですが、そもそも共益費を自治会に集金させていることが問題なのではないでしょうか。

 共益費は、県営住宅の共用部分の電気代や浄化槽の点検等に充てるための経費であると認識していますが、例えば共用部分の電気がとめられたり、浄化槽の点検をしなかったために浄化槽が壊れてしまっては、県営住宅そのものが機能しないとも考えられます。

 そうしたことから、共益費というのは県営住宅を適切に機能させていくための必要経費であり、県営住宅を設置した県が共益費を管理運営していくべきではないかと考えております。

 そこで、県営住宅の共益費を家賃とあわせて県が徴収することはできないのか、県土整備部長、お答えください。

○議長(岸本 健君) 県土整備部長。

  〔髙松 諭君、登壇〕

○県土整備部長(髙松 諭君) 共益費を家賃とあわせて県が徴収することができないのかというお尋ねをいただきました。

 共益費の徴収、管理に関しましては、先ほども答弁申し上げましたとおり、自治会にお願いをしているところでございますが、県は関与しないというのではなく、自治会からの要請を受けて、県または県住宅供給公社職員が自治会役員とともに滞納者宅を訪問するなど、自治会と協力して対応してきているところでございます。

 共益費を家賃とあわせて県が徴収することができないかという議員の御提案でございますけれども、これまでも団地自治会からの要望を受けましたこと、また県議会でも御質問をいただいてきたことから、従来からも問題意識を持って研究してきたところでございます。

 共益費を自治体が徴収している事例といたしましては東京都や大阪府が挙げられますが、東京都の場合は、共益費を都が徴収するものの、徴収経費として約4.5%が上乗せされています。

 こうしたことも背景にございまして、5年前に大規模な県営住宅の自治会役員を対象に、県による共益費の徴収に関してヒアリングを実施した際も、かえって入居者の負担がふえるのではないかといった理由や入居者の連帯性が低下するのではないかといった理由などから、県による徴収を希望する自治会は少なかったため、その時点では実施を見送ったところでございます。

 また、少子化、高齢化が進む中、共益費を県が徴収することとした場合、現在、自治会が果たしております共同施設、共用部分の清掃活動を初めといたしますコミュニティー維持の活動、あるいは消防訓練、防災訓練の実施といった住民の安全・安心につながるような活動にも支障が生じないか、懸念されるところでございます。

 このため、県といたしましても、団地自治会のあり方を研究するため、まずは、年内を目途に、入居者を対象といたしました共益費の徴収に関するアンケートや、他の都道府県を対象に共益費の徴収方法や対象とする経費に関する調査を実施してまいりたいと考えております。

 また、あわせまして、自治会を対象に、県が共益費を徴収した場合の自治会運営上の効果や懸念されることのほか、共益費の滞納状況等についてもヒアリングを行ってまいりたい、このように考えております。

 その上で、共益費を徴収する際の課題を整理し、どういった手法が入居者の合意形成が図られるのか、災害時等の対応に重要となるコミュニティー維持などさまざまな観点から、共益費徴収のあり方について検討してまいりたい、このように考えているところでございます。

○議長(岸本 健君) 林 隆一君。

  〔林 隆一君、登壇〕

○林 隆一君 これから調査研究をするとのことなので、質問は調査研究の結果が出たころ、12月議会か、それ以降かわかりませんが、一般質問の機会を与えていただいたときに質問をさせていただきたい、そのように思っております。

 質問にかえて、答弁に対する私の考えと要望を述べさせていただきたいと思っております。

 全ての入居者を対象に共益費の徴収方法についてアンケート調査を年内実施、共益費を県が徴収することを望んでるかどうか把握するとのことですが、キャッシュレス時代到来かと言われてるときに、県に徴収されたら困る人は少ないのではないでしょうか。

 また、自治会に対して共益費の滞納状況を調査するとのことですが、今まで調査はしていなかったということにびっくりしております。

 それと、各都道府県が共益費を徴収しているか、及び共益費を対象としている県についてもあわせて全国調査を行い、共益費の徴収のあり方について研究するとのことですが、わざわざ全国調査の必要があるのでしょうか。先行事例の東京や大阪を研究すれば足りるのではないでしょうか。そのように思います。

 県営住宅の自治会の住民負担やリスクを減らすことはもちろん、本来、県営住宅の共益費は県が自治会に集金をお願いしているということであれば、当然県が管理すべきもので、県に責任があると考えております。県として効率的、効果的に管理するためにも、共益費は家賃とあわせて県が徴収するよう強く要望いたします。

 それでは、次に、浄化槽水質検査の向上について質問いたします。

 浄化槽の水質検査は、浄化槽法により、毎年1回検査を受けることを義務づけされております。それにもかかわらず、未受検者が多いことを遺憾に思っております。

 聞きますと、田舎のほうでは水質検査に来たことはないという家庭や、浄化槽を設置してから長い期間がたち、それでも水質検査の案内が来たことはなかったのに、突然案内が郵送されてきたというような住民の方もいらっしゃいます。

 水質検査は法律に定められた義務であるとしてきっちり受検されている方もいれば、お金がかかるから、わざと受検しない方は論外ですが、水質検査を受けるようにと案内が送られてこないから受検しないという人がいるということは問題なのではないでしょうか。正直者がばかを見るようなことがあってはならないと考えております。

 そこで、県土整備部長に質問させていただきます。

 浄化槽水質検査について、未受検者もおり、不公平感があります。検査率の向上に努めるべきではないのでしょうか。お答えください。

○議長(岸本 健君) 県土整備部長。

  〔髙松 諭君、登壇〕

○県土整備部長(髙松 諭君) 浄化槽水質検査の受検率の向上についてお尋ねをいただきました。

 浄化槽水質検査につきましては、浄化槽の保守点検及び清掃が適正に実施され、機能が正常に維持されているか否かを判断するため、浄化槽法第11条第1項の規定により、浄化槽管理者は、毎年1回、指定検査機関の行う水質に関する定期検査を受けなければならないというふうに定められてございます。

 本県におけます法定検査の対象となります浄化槽、これは平成29年度で約19万6000基設置されており、そのうち法定検査を実施しているのは約6万4000基にとどまっており、受検率は32.7%、全国平均でも41.8%にとどまっており、全国的にも課題となっているところでございます。

 法定検査を受けていただくために必要な指導及び助言は、権限移譲によりまして市町村が行うこととなっておりますが、県といたしましても、公共用水域の水質保全等の観点から、浄化槽管理者に法定検査を受けていただくよう、一層の働きかけが必要であるというふうに認識をしております。

 このため、県、市町村、指定検査機関公益社団法人和歌山県水質保全センターが連携、協力し、ホームページ、広報誌、街頭啓発、テレビ・ラジオCM、バスの側面広告などによる啓発を行っているところでございます。

 また、新たに浄化槽管理者となる方を中心に、浄化槽を適正に維持管理するための講習会の開催、これは平成30年度で28回、延べ596名の方が参加されております。このほかに、送り先のわかっている全ての浄化槽管理者に対する案内文書の郵送、浄化槽管理者が不明の場合における現地調査及び所有者の確認等を行うことにより、浄化槽管理者に法定検査を受けていただくよう努めているところでございます。

 特に、未受検者に対しては、平成30年度に戸別訪問9937件、電話による啓発2万7303件を行い、平成22年度からの累計で約16万8000件の戸別訪問や電話での啓発を行うなど、受検率向上のために取り組んでいるところでございます。

 このように、さまざまな取り組みを行っているところではありますが、受検率が低く、不公平感が否めないことから、今後とも、県といたしましては、テレビ和歌山の「きのくに21」を初めさまざまな手段を通じて広報啓発活動を強化していきますとともに、市町村や和歌山県水質保全センターと連携、協力した戸別訪問の強化等を通じて、法定検査のさらなる受検率向上に努めてまいりたいと、このように考えております。

○議長(岸本 健君) 林 隆一君。

  〔林 隆一君、登壇〕

○林 隆一君 浄化槽は約19万6000基あり、受検しているのは約6万4000基ということは、まだ13万2000基が水質検査を受けてないということになります。それにもかかわらず、先ほどの答弁では、戸別訪問と電話による啓発を合わせて、1年で4万弱であるということでした。法定検査の未受検について危機感を持っているのであれば、この4万弱という啓発件数は余りにも少ないのではないでしょうか。

 これは、その検査を実施する人の数が足りないのではないか。また、戸別訪問や電話で啓発するための人員が十分でないことが原因の一つではないかと考えております。

 現在、浄化槽の法定検査は、和歌山県水質保全センター1者が県から指定され、実施しています。私は、この浄化槽の法定検査の業務について、県が1者だけしか指定していないということは問題なのではないかと考えております。

 私が聞くところによりますと、和歌山県水質保全センターの理事には、県のOBが入ってるということです。そういったことが、法定検査の指定機関を1者にし、他者が入り込めないよう、排他的な状況にしているのではないでしょうか。

 そこで、浄化槽水質検査機関の指定について、県土整備部長にお伺いいたします。

 和歌山県水質保全センターの理事に、県のOBは何人入っているのでしょうか。それは何か理由があるのでしょうか。また、和歌山県の水質検査機関は和歌山県水質保全センター1者となっていますが、複数者を指定することはできないのでしょうか、お答えください。

○議長(岸本 健君) 県土整備部長。

  〔髙松 諭君、登壇〕

○県土整備部長(髙松 諭君) 浄化槽水質検査機関の指定に関するお尋ねをいただきました。

 和歌山県における検査機関につきましては、昭和60年10月28日に、社団法人和歌山県水質保全センターを県指定検査機関に指定したところでございます。

 現在、公益社団法人和歌山県水質保全センターには12名の非常勤理事が在職していますが、このうち6名が元県の職員でございます。この元県職員の理事につきましては、公益法人認定法における公益認定基準で、他の同一の団体の理事の合計数が理事の総数の3分の1を超えないものであることと定められていること、また、県の指定検査機関の指定に係る審査基準といたしまして、外部の学識経験者等の理事が3分の1未満のときは指定検査機関として指定してはならないと定めていることなどから、このように元県職員が就任されているものと承知しております。

 なお、非常勤の理事でございますので、報酬は会議等への出席に係るもののみとなっております。

 次に、検査機関の指定につきましては、浄化槽法第57条で、知事が浄化槽の水質に関する検査の業務を行う者を指定するとされており、同法施行規則第54条では、検査の業務を行おうとする者の申請により行うとされているところでございます。

 また、同法施行規則第55条では、知事は、申請が指定の要件を満たしていると認めるときでなければ、指定検査機関の指定をしてはならないとされております。

 検査機関として複数者を指定することができないのかという議員の御指摘につきましては、昭和60年9月27日に出されております厚生省水道環境部長通知におきまして、「都道府県ごとに一の機関を指定することが適当であるので留意されたいこと。なお、止むを得ず複数の機関を指定する場合は、機関ごとに担当区域を定めること等により、地域ごとでは検査機関の一元化が図られるよう配慮されたいこと」という記載がありますことから、法令上、1者に限定しているものではございません。

 なお、全国47の都道府県で複数指定している府県については、10の府県がございます。浄化槽水質検査の受検率が最も高い県は、この指定検査機関1者という状況でございますし、一方で、受検率が最も低い県は、複数者、具体的には2者指定していると、こういう状況でございます。こういったことを考えますと、指定検査機関が複数存在するということが水質検査受検率に大きく影響するものではないというふうに考えているところでございます。

 しかしながら、いずれにしましても、受検率が低く、不公平感があることは事実でございまして、また、今回、林議員から御指摘をいただいたことも踏まえますと、今後は市町村や公益社団法人和歌山県水質保全センターと連携し、広報啓発をより一層積極的に実施していくとともに、受検率の高い他の府県の効果的な取り組みなども参考にしながら、受検率の向上に努めてまいりたい、このように考えているところでございます。

○議長(岸本 健君) 林 隆一君。

  〔林 隆一君、登壇〕

○林 隆一君 和歌山県水質保全センターは、公益社団法人といえども、県の外郭団体ではなく、一企業であります。その一企業に対して、県のOBが理事の半数を占めるということに関して疑問の余地は残ります。法律等で決まってるとしても、全ての外部理事が県のOBである必要はないのではないでしょうか。

 多少の疑問は残るものの、ただ1者に限定しているわけでないということであれば、質問はこの程度にとどめ、あとは要望といたします。

 浄化槽の法定検査の受検率が低いのは、和歌山県だけではなく、全国的な課題となっております。和歌山県は、下水道の普及率も全国から比べても相当低い状況であり、そういう中では浄化槽に係る水質管理をしっかりと行い、環境保全に努めるべきであると考えております。法律に定められた義務であるにもかかわらず、受検する人が少ないというのは、やはり啓発がまだ足りないのが大きな要因だと考えております。

 一方で、浄化槽を設置している住民の方々の水質環境に対する意識も非常に重要だと考えます。県や和歌山県水質保全センターに対して、もっと積極的に浄化槽の法定検査に係る啓発を行うよう要望するとともに、浄化槽を設置している県民の皆様にも、浄化槽の法定検査を必ず受検いただくよう要望し、一般質問を終わらせていただきます。御清聴いただき、どうもありがとうございました。(拍手)

○議長(岸本 健君) 以上で、林隆一君の質問が終了いたしました。

 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。

 この際、暫時休憩いたします。

  午前11時24分休憩

 

  午後1時0分再開

○副議長(森 礼子君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 22番佐藤武治君。

  〔佐藤武治君、登壇〕(拍手)

○佐藤武治君 皆さん、こんにちは。

 議長のお許しが出ましたので、通告に従い、私の一般質問を始めたいと思います。

 私、当初はこの6月議会での一般質問の予定はありませんでしたが、議会開会初日に知事説明の中で話された項目で、私の地元串本町関連のことが2点ほど話されましたので、急遽、今回その2点について質問する運びになりました。地元関連の質問でもありますので、途中で串本弁も入り、わかりにくいこともあるかと思いますけども、御容赦願いたいと思っております。

 今回は、私の生まれ育った串本町において、地域活性化の大きな起爆剤になるであろう南紀熊野ジオパークセンターとロケット発射場の2点について質問をいたします。

 まず、南紀熊野ジオパークセンターについてですが、来月27日に、本州最南端の串本町潮岬にいよいよオープンする運びとなりました。10市町村にまたがる各ジオサイトの紹介や展示、学習、情報発信、調査研究の拠点となる施設であり、ますます地域全体で南紀熊野ジオパークを盛り上げていく必要があると、地元の人たちはもちろん、私自身、このセンターに大変大きな期待をしているところであります。

 知ってのとおり、紀南地域は近畿自動車道が延伸し、さらに着々と事業化をされており、紀伊半島一周道路もようやく形が見えてきたところでございます。

 串本町では平成30年度の宿泊客が、昨年4月に県内に初めてオープンした大江戸温泉物語南紀串本の効果もあり、前年に比べ倍増するなど明るい兆しも出てまいりました。

 ただ、この地域は都市部から物理的に距離があり、企業誘致には不利な状況ではありますが、反面、豊かな自然が残り、独特の文化が育まれ、観光名所も多い地域であります。

 南紀熊野ジオパークは、プレートの沈み込みに伴って生み出された3種類の大地と、その大地に育まれた自然や文化を楽しめる場所ということで、平成26年8月に日本ジオパークに認定されました。

 また、昨年は4年に1度の再審査が実施され──ジオパークはこれがあるため、非常に続けていくのが大変だと聞いております。この4年に1度の再審査が実施され、ことし1月18日に日本ジオパークに再認定を受けたところでありますが、日本ジオパーク委員会の審査員は「和歌山県が中心となって地域一帯を一生懸命盛り上げている。また、各ジオパークガイドの質の高さとその熱意も他のジオパークとは違う」と話されていたと聞いております。

 特に串本町や古座川町のジオパークガイドは、さまざまな趣向を凝らしたガイドツアーやジオ出前講座などを開催し、知名度を上げるため、この取り組みに頑張っていただいておるところであります。私の知人にもジオパークガイドの資格を持っている人がいます。その方々に説明をしてもらうと、今まで日常の風景として毎日のように何度も見ていた橋杭岩や樫野崎、古座川町の一枚岩などの景色が、より興味を持って眺めることができ、知的好奇心をくすぐられるところであります。

 特に、今から1400万年前という気の遠くなるような太古の昔に、紀伊半島に地球最大規模の火山活動があったことや、その火山活動がこの地域を特徴づける文化である熊野信仰や温泉にかかわっていることを初めて知り、改めて地域のすばらしさを実感するとともに、一層興味を持つようになりました。

 そこに今回、南紀熊野ジオパークセンターができるとのお話があり、どのようなセンターなのか、興味津々であります。

 センターの立地する潮岬は、本州最南端の地として、太平洋の雄大さを肌で感じる串本町民にとってもとっておきの場所であり、潮岬灯台や望楼の芝などの観光スポットもあり、年間多くの観光客が訪れる地であります。地形的にも典型的な海岸段丘であり、近年は防災意識の高さから移転する方が、町民はもとより他の市町村からも多くなっているところであります。

 持続可能な地域社会を実現するためには、まず、地元の人々に南紀熊野ジオパークを周知し、関心を持ってもらい、さらには誇りを持ってもらうよう取り組みが重要であると考えています。ジオを通じて地域の歴史や文化、地質の仕組みを学ぶことによって、防災意識の向上へとつなげていくことが大切なのではないでしょうか。

 このように、さまざまな面において、この地にジオパークセンターができるのは大変意義深いことであります。

 私は、今回のジオパークセンターのオープンを契機に、紀南地域の活性化を大きく進めてもらいたいと考えています。

 そこで、知事にお伺いいたします。

 この南紀熊野ジオパークセンターを今後の紀南地域の活性化にどう生かしていくのか、お考えをお聞かせください。

○副議長(森 礼子君) ただいまの佐藤武治君の質問に対する答弁を求めます。

 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 私は、南紀熊野ジオパークが日本ジオパークに認定された直後から、拠点施設が必要であると考えておりました。その時期に、世界ジオパークの一つであります香港ジオパークを、香港にプロモーションに行ったときに同時に視察をいたしまして、内容を詳しく伺い、感銘を受けました。この香港の事例から多くのヒントを得て、地域活性化に活用できるセンターにすべきだという思いに至りました。

 また、地元で自主的、自立的活動に携わってこられた多くの方々は、活動の拠点を長く待ち望まれていたと思います。

 このように、私も含めて多くの方々の思いが結実いたしまして、いよいよ7月にオープンを迎えるということになりましたのは、まことに感慨深いものがあります。

 このセンターは、ジオパークに関する学術研究や教育普及のみならず、観光、地域振興などの機能も有し、地域内外の人々がさまざまな形でかかわり、にぎわいづくりの拠点となる施設といたしました。これにより、地域を担う人材の育成、ジオパークを活用した新たなビジネスの創出、地域を愛する方々の活動の充実など、さまざまな可能性が期待できます。

 また、来訪者の利便性を高めるため、センターを交通拠点の一つとして、関係者と協働で実施する串本周遊バスの運行を初め、紀南地域の交通拠点やジオパークの見どころであるジオサイトをバスやタクシーで相互に結ぶなど、誘客にも積極的に取り組んでいきたいと考えております。

 このように活動の輪が広がり、地域全体が一丸となって活性化に向けた取り組みを進めることにより、おのずと世界ジオパークの認定も視野に入ってくると考えております。

 ぜひ、このセンターを名実ともに紀南地域活性化のシンボルとしてまいりたいと考えます。

○副議長(森 礼子君) 佐藤武治君。

  〔佐藤武治君、登壇〕

○佐藤武治君 ありがとうございます。

 今、知事から答弁をいただきました。観光、地域振興など、また、にぎわいづくりの拠点となる施設、それと串本周辺などのバスの運行、誘客にも積極的に取り組んでいきたいと、知事がこのセンター建設に熱い思いを持って取り組んでいただくことがよくわかりました。

 そこで、そのジオパークセンターについて詳しくお伺いしたいと思います。

 環境生活部長に4点ほどお伺いいたします。

 まず、南紀熊野ジオパークセンターの展示の内容とその魅力について答弁をお願いいたします。

○副議長(森 礼子君) 環境生活部長田中一寿君。

  〔田中一寿君、登壇〕

○環境生活部長(田中一寿君) 南紀熊野ジオパークセンターの展示は、ジオパークを知らない方でも、世代を問わず、その魅力を楽しく学び、感じることができるということをコンセプトとしています。

 具体的には、紀伊半島の大型立体模型に火山の噴火などの迫力ある映像を投影させたプロジェクションマッピングや、津波などのメカニズムをわかりやすく見せる実験装置など、大地の不思議を見て、触れて、体感していただきます。

 また、人の動きに合わせ足元にある魚の画像が泳ぐフロアインタラクション、ジオパークエリアにある木のにおいや重さなどの特徴をクイズ形式で学べる展示など、本県の豊かな自然や文化も楽しみながら理解していただきます。

 このように、五感を使ってジオパークと南紀熊野を理解してもらえるよう工夫を凝らしたものにしております。

○副議長(森 礼子君) 佐藤武治君。

  〔佐藤武治君、登壇〕

○佐藤武治君 ありがとうございました。

 展示内容については、今詳しく答弁いただきました。

 現場の南紀熊野ジオパークセンター、潮岬の望楼の芝でありますけども、非常に私の自宅からも近いところにありますので、少し歩いて何分かで行けるようなところであります。外から、まだ外観だけしかもちろん見てないわけですけども、今部長から答弁いただいたように、いろんな形の展示があると。特に津波やそういう火山噴火などのこういうことが実験装置などで触れて、見て、体験できると、こういうふうな答弁でございますので、またぜひともいろんな方に行っていただきたいと、このように思っております。

 次に、日本ジオパークの再認定において評価の高かったジオパークガイドのセンターでの役割とはどのようなものかをお伺いいたします。

○副議長(森 礼子君) 環境生活部長。

  〔田中一寿君、登壇〕

○環境生活部長(田中一寿君) 当センターの大きな特色は、ジオパークガイドが常駐することです。ジオパークガイドは現在97名で、南紀熊野ジオパークガイドの会を組織し、個人、団体、教育機関等からの要請があれば、有料で現地案内等を行っております。

 当センターにおいては、展示の詳細な解説を行うだけでなく、地元ならではの情報を提供するなど、ジオパークへの理解をより深めていただく手助けを行います。

 さらには、センターから橋杭岩や一枚岩などのジオサイトに実際に行ってみたい方々にはジオツアーとして同行し案内を行うなど、紀南地域各地の周遊へといざなう役割も担うこととしております。

○副議長(森 礼子君) 佐藤武治君。

  〔佐藤武治君、登壇〕

○佐藤武治君 ありがとうございます。

 今、役割についてお伺いしたところ、常駐をされて、それでまた必要とあればジオツアーとして同行もしていただくと、こういう話でありますので、ジオパークのガイドの責任も、適任というんですか、いろんなことにおいて大切な役割を担っていただく、もちろんそうでありますので、ひとつ重要な位置づけだと思っておりますので、よろしくお願いします。

 続いて、センターのオープンに当たりまして、ジオパーク専門員を採用、そしてまた研究などで重要な役割を果たすと伺いましたけども、具体的にはどのようなことをされるのであるかなというふうに思いますので、そこら辺、答弁をお願いします。

○副議長(森 礼子君) 環境生活部長。

  〔田中一寿君、登壇〕

○環境生活部長(田中一寿君) ジオパーク専門員は、本年4月に2名を新規採用し、当センターの根幹ともいうべき学術研究と教育普及活動を担当します。

 まず、学術研究については、自主研究はもちろん、さまざまな研究者や機関との共同研究に積極的に取り組み、その成果を国内外に発信することで、地質、地学の分野を初めとする多くの研究者に注目をされる研究活動を行ってまいります。

 次に、教育普及活動ですが、ジオパークガイドと連携し、小中学生向けに講座や体験イベントを行うとともに、授業としても活用できる教育プログラムを開発し、修学旅行など教育旅行への活用にもつなげ、学術研究やジオパーク活動の将来を担う人材の育成を図ってまいります。

○副議長(森 礼子君) 佐藤武治君。

  〔佐藤武治君、登壇〕

○佐藤武治君 ありがとうございます。

 今、なかなか専門員、具体的なというところで答弁をいただきましたけども、一言で大変やなと思います。地質、地学、そういう部分を初め、多くのことを研究していただくんやなと思いましたし、また一つは教育の普及活動についてもしっかりとやっていただけるようなので、特に小中学生、今まであんまりジオについて興味のなかった子供たちにも、これは将来的にまたそういうジオについての興味を持っていただく大切な役割であろうかなというふうには思います。ひとつその点もよろしくお願いしておきます。

 今回の質問ではもう最後になるんですが、私も観光については非常に関心を持つところであります。このセンターについては、今後の紀南──私の地域であれば東牟婁になるわけですけども、そこの観光の振興にとっても非常に重要であると考えておるところです。

 現在、串本町は観光客が一気に増加をしております。高速道路の南伸による影響、各メディアで橋杭岩、ここが大きく取り上げられていることが一つの要因ではあるやろうと考えます。中でも世界的大手旅行サイトのトリップアドバイザーのエクセレント認証を5年連続受賞、国内最大級の写真総合エージェンシー「アフロ」、ここの「絶景・海」部門においては断トツの日本一に輝くなど、注目が上昇しているのは確かであります。

 また、和歌山県の全面的な支援のもとでホテルの誘致にも成功しております。民間ロケットの射場誘致、また古民家活用事業にもより、これからますます観光客が増加することは間違いないであろうというふうに考えているところです。

 しかし、思うに観光の形態は、数十年前のマス型観光から体験型観光、そして、インスタを意識した観光へと変化しているように思います。そこで、串本町潮岬に南紀熊野ジオパークセンターが開館したからといって、それだけではお客様が来るというものではないと、このように考えます。

 施設を地域活性化に結びつけ、魅力あるものとするために、観光への活用について、現時点で結構ですので、考えられておる施策や今後の展開について答弁をお願いいたします。

○副議長(森 礼子君) 環境生活部長。

  〔田中一寿君、登壇〕

○環境生活部長(田中一寿君) 当ジオパークセンターは、学術研究や教育普及の機能に加え、観光拠点としての機能も備えており、ジオパークに関する情報だけでなく、センターを訪れた方々が紀南地域各地への関心や興味を深め、訪問への動機づけとなるよう、地域全体の観光や交通アクセスなどの情報提供にも力を入れてまいります。

 また、オープンに合わせ、センター、串本駅、宿泊施設、大島などを結ぶ串本周遊バスを串本町や地元事業者と協力して運行させる予定です。さらには、紀南周遊の交通の基点となる白浜や新宮から橋杭岩などのジオサイトをめぐり串本へ至るバスツアーやタクシーを使ったジオツアーの実施等について、関係事業者に強く働きかけを行っているところです。

 いずれにいたしましても、先ほど申し上げました施設面の機能の充実に加えて、観光拠点としての機能も充実させ、串本地域の魅力ある観光ポイントの一つとして、県内外から、行きたい、再び訪れたい、そう思ってもらえるようなセンターにしてまいります。

○副議長(森 礼子君) 佐藤武治君。

  〔佐藤武治君、登壇〕

○佐藤武治君 ありがとうございます。

 本当に私、観光についてはいろいろと自分なりの考えも持っているわけですけども、今、串本がジオセンターであるとかホテルであるとかロケットであるとかということで、特に紀南、東牟婁地方においては注目をされている、そういう話題を多く出しているところであるんですが、全体を見てみると、やはり宿泊客の減少なども見受けられる町村もございます。そこをひとつ一連一体とした、そういう観光に何とか結びつけていけたらなあという思いもあります。

 今答弁いただいた中にでも、地元業者と協力してバスの運行であるとか、それからまた、白浜、新宮からのそういうジオサイトをめぐる串本へのバスツアー等々も考えていただいてるようでありますので、本当にぜひともこれは実現していただいて、紀南の観光の活性化につなげるように御努力をしていただきたいと、このように思いますので、よろしくお願いしときます。

 続きまして、私の一般質問、項目の2に入らせていただきます。

 小型ロケットの発射場についてであります。

 この小型ロケットでありますけども、本年の3月、スペースワン社から正式に和歌山県において小型ロケット射場の建設を進めていきたいとの発表がありました。和歌山が宇宙への玄関口になるという、とても夢のあるプロジェクトが本格的に動き出すことが決まりました。

 地元で話を聞いておりますと、「ロケットはどこで見たら一番ええんやなあ」、「ロケットを見に、一体どれぐらいの人、串本へ来るんかなあ」、「最初の打ち上げはぜひとも地元の子供らに一番いい場所で見せてあげたい、見せてくださいよ」、「本州最南端から最先端のまちになるんやね」といった声が早くも上がっております。本プロジェクトに対する期待の大きさを感じているところであります。

 私も、最初の打ち上げはぜひとも地元の小さな子供たちに一番いい場所で見せてあげたい、こう常々思っているところであります。実現に向けて、私も一生懸命対処したいと思います。

 小型ロケット射場の誘致は、平成29年12月の和歌山県議会において、先輩議員である前芝元議員の質問に答える形で、仁坂知事が初めてその方針を表明されました。そこから立地決定に至るまでの1年以上の長きにわたり、小型ロケット射場の誘致にかかわってこられた全ての皆様に対して、地元選出議員として、まずは感謝を申し上げたいと思います。

 特に、私は、これまでの和歌山県、そして、串本町の取り組みを大いに評価したいと思っております。小型ロケット射場を本当に串本で建設することができるかどうかの判断を行うために、スペースワン社は、地元の方々の理解が得られるか、地元の自治体がプロジェクトを本気で応援してくれるのか、事業に必要な広大な用地を確保する算段がつくかどうかといった、そういう点を注意深く見きわめてきたと聞いております。

 そうした企業側の関心事を深く理解した上で、知事のリーダーシップのもと、県が頻繁に現地を訪れ、現地で企業と地元の方々との関係構築を支援したことや、適切なタイミングでわかやま版PFI制度による無利子・長期の資金を貸し付ける支援策を打ち出したことが、そして、一番の地元である串本町が旧古座町役場である古座分庁舎内に民間ロケット射場誘致推進室を開設し、町役場のOB2名を臨時職員として配置するなどを通じ、串本町を挙げて用地交渉を中心に全力で事業者をサポートしたことなどが、今回の事業者の決定に大きな影響を与えたものだと思っております。聞いた話によりますと、スペースワン社の担当職員は全員「これだけの用地案件をこんなに短時間で解決するのは、これは奇跡に近い」と言っていたそうであります。

 従来の宇宙開発は国家主導で進められてきた大型プロジェクトが中心でしたが、アメリカのスペースエックスやヨーロッパのアリアンスペースなど、民間企業が大きな役割を担う時代へと変わってきました。世界では民間ベンチャーによる宇宙ビジネスが本格化しており、リモートセンシングや高速通信を実現するために多くの衛星打ち上げが計画されていると聞いております。

 また、日本国内においても、人工流れ星やデブリ除去など、ユニークなミッションも立ち上がりつつあります。こうした趨勢を見ると、小型衛星を活用した宇宙ビジネスは、21世紀の最先端産業の一つになるものと思います。

 こうした中、我々のふるさとにそうした最先端産業の中心となる小型ロケット射場ができることで、串本町、そして和歌山県が日本の宇宙産業の一大拠点となるのではないかとわくわくしております。今から、打ち上げが実現する日を待ち遠しく思っております。

 スペースワン社が串本町でのロケット発射場の建設を発表してから約3カ月がたちますが、改めて、誘致実現についての県としての受けとめをお伺いいたします。

 また、発表以降、事業実現に向けた進捗状況についてどのように把握されているでしょうか。当初から誘致に携わってこられた商工観光労働部長にお伺いいたします。

○副議長(森 礼子君) 商工観光労働部長稲本英介君。

  〔稲本英介君、登壇〕

○商工観光労働部長(稲本英介君) ロケット射場誘致は、特に力を入れてきた取り組みの一つであり、本年3月、スペースワン社から正式に和歌山県での小型ロケット射場の建設を決定したとの発表を受け、ともに誘致に取り組んできた串本町や那智勝浦町を初めとした地元関係者や、わかやま版PFIによる支援を一緒に検討いただいた和歌山県誘致企業認定審査委員会の皆様にお礼申し上げたいと思います。また、誘致に賛意を示し、協力していただいた和歌山県議会の皆様にも、改めて感謝申し上げたいと思います。

 これまで、紀南地方への企業誘致については大きな成果を上げることができずにいたこともあり、今回宇宙産業という大きな発展が見込まれる分野での企業誘致が実現したことで、地元の発展に大きく貢献するものと期待しております。

 次に、本事業の進捗状況についてですが、スペースワン社は既に射場建設に向けた土木工事に着手しております。現在は国道42号から浦神半島を越えてロケット射場へのアクセス道路工事を行っており、今後、2年程度の工事期間を経て、2021年中の完工、初打ち上げを予定していると聞いております。

 県としましては、射場の候補地として串本が選ばれたということで気を緩めることなく、この先、この事業が紀南地域、そして和歌山県の発展につながるよう、地元の方々やスペースワン社と協力してしっかりと取り組んでいきたいと考えております。

○副議長(森 礼子君) 佐藤武治君。

  〔佐藤武治君、登壇〕

○佐藤武治君 進捗状況について、今答弁をされましたけども、確かに記者発表後、間もなく工事が始まって、私もあの道は時たま通るわけですけども、非常に早く工事にかかっていただいてるなというふうに理解しております。打ち上げの日程がもうほぼ予定は決まっているような話も聞きますので、何とか工事については順調にというふうには望んでおります。

 続いて、2点目でありますけども、そのロケット、今少し言いましたけど、今後の取り組みについてちょっとお伺いをしたいと思います。

 最先端の技術の粋を集めたロケットが和歌山県から宇宙に飛び立つということ自体が大変誇らしいことだと思いますけども、小型ロケット射場によってもたらされる経済効果など、地域の活性化に与える好影響にも大いに期待をしているところです。中でも、新たな観光資源としての誘客効果に対する地元の期待は非常に大きいと感じているところです。

 鹿児島県肝付町に所在するJAXA内之浦宇宙空間観測所では、打ち上げに際して、少ないときでも2000人、多いときには2万人程度の見物客が同地を訪れたと聞いており、本県串本町は関西都市圏から3時間のみならず、名古屋圏から4時間、南紀白浜空港からは1時間という地理的条件を考慮すると、それ以上の見物客が来県する可能性があるのではないかと考えています。

 紀南地域は、世界遺産である熊野を初め、豊富な観光資源を有しています。ロケットの打ち上げを見に来る観光客に対して、うまく他の観光資源と結びつけて紀南をPRしたり、打ち上げのないときでも発射場を見学できるようにしたりといった工夫をしていくことで、さらに大きな経済効果を生むようにできるのではないでしょうか。

 しかし、その一方で、観光客が多く来ることで、幹線道路が国道42号しかない紀南地方に大交通渋滞が発生するのではないか、全面的に協力してくださった地元の人たちが自分の家から出入りすることもできない、緊急車両が通行することもできない、観光客がロケット見たさに危ないところに立ち入らないかなど、見学場や駐車場といった観光インフラ整備は本当に大丈夫なのか、今からいろいろと心配になることもあります。

 ロケットの初打ち上げに向け、こうした心配事に対して、県としても今からしっかりと対策を講じるよう準備をしていく必要があるのではないかと思います。本プロジェクトに対する期待と2021年度の初打ち上げに向け、このプロジェクトを地域活性化にしっかりと結びつけていくために、県としてどのように取り組んでいく方針なのか、知事にお尋ねいたします。

○副議長(森 礼子君) 知事。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) スペースワン社が民間初の小型ロケット射場建設地として串本町を選定し、ここ和歌山を拠点として衛星の打ち上げビジネスを始めていくことを決めたことは、和歌山にとってさまざまな意義があるのはもちろんのこと、オール日本としての快挙と呼ぶべきことでもあります。

 世界では、技術革新による小型衛星の高性能化や衛星で収集した情報を利用するための技術の進展などを背景に、衛星をビジネスで利用しようという動きが活発化しております。実際、こうした衛星打ち上げ需要の高まりを見据え、アメリカやヨーロッパなどでは既に複数の企業がロケットによる衛星の打ち上げサービス事業を始めております。

 スペースワン社は、日本を代表して、今後競争が激化すると見込まれるこの市場に参入し、競争に勝ち抜いていくことを目指しております。つまり、スペースワン社の事業がうまくいけば、この和歌山が最先端の宇宙ビジネスで世界と戦う日本の拠点になっていくわけであります。和歌山県にこのような施設ができることは誇らしいと思いますし、和歌山県の知名度を高めるということにもなると思います。県もこうした未来が順調に結実していくように、スペースワン社の取り組みを引き続き応援していくつもりであります。

 もちろん、こうした話だけではなくて、さらに、地元には二つの効果が期待できます。

 一つは、雇用の創出でございます。将来性のある関連する衛星製造業者等が和歌山に立地し、和歌山に特にロケット打ち上げという大変なハイテク産業を担う人々が集積をしたり常駐したりする、そういうことになりますと大変よろしいわけで、このような宇宙関連産業の集積ができれば、地域はもっと盛り上がっていくと思います。

 二つ目は、ロケットの打ち上げを見物に来てくれる観光客の増加であります。これを利用してさまざまなビジネスが考えられます。

 今回のプロジェクトをしっかりと地域の活性化に結びつけていくためには、串本といえば宇宙、そしてロケットだと思ってもらえるように情報発信を行っていくことがまずは重要だと考えております。

 本年8月には、そのための第1弾の取り組みとして、衛星工学の第一人者や宇宙領域で新たなビジネスを興そうとしている起業家、今回ロケット射場の建設を決めたスペースワン社などをゲストとして招き、宇宙をテーマとしたシンポジウムを串本で行おうと考えております。

 また、観光面について申し上げれば、紀南地域は世界遺産である熊野古道や温泉、美しい自然といった観光資源の宝庫でもあることから、これらの観光資源とうまく組み合わせてPRすることで、ロケットの打ち上げだけを見て帰るということではなくて、さまざまな和歌山県の魅力を体験してもらえるように取り組んでいくといったことを考えております。

 ロケットを見に来る方々を受け入れるために、見学場所や駐車場をどのように確保していくかといったことも重要な課題でございます。串本町や那智勝浦町などの地元関係者と連携しながら、早急に検討していく所存であります。

 一方、こうした取り組みのみならず、多くの方々がロケットの打ち上げを見に来ることで大規模な交通渋滞が発生するのではないか、観光客の安全確保は大丈夫かといった心配、御指摘がありましたが、こういうことにもしっかりと向き合っていかなければならないと考えております。

 そのためにも、一日も早い紀伊半島一周高速道路の完成に努力しなければならない。しかも、これができると、これは一層の観光客の増加もまた期待できるということで、努力しなきゃいけないと思います。

 地域をいかに盛り上げるか、そして、さまざまな懸案事項にどのように対応するかという両面について、既にスペースワン社及び地元関係者に加え、県警や海上保安庁などの関係機関と議論を始めておりますけれども、初めての打ち上げが2021年度中に予定されているところから、早急にこれはやらなきゃいかんというふうに考えております。

○副議長(森 礼子君) 佐藤武治君。

  〔佐藤武治君、登壇〕

○佐藤武治君 知事、答弁ありがとうございます。

 今、お聞きしましたところ、8月にもうそういうふうな宇宙をテーマとしたシンポジウムを考えていただいているということであります。私も非常に楽しみにして、ぜひその場に行きたいと思っております。

 そして、観光面でもいろんな取り組みを考えているということでありますので、本当に紀南地域の活性化、これに全てが、本当に無限の可能性も秘めた、そういう事業であると考えております。うれしく思うところであります。

 予定では、2021年度中に串本の地から初めてのロケットが打ち上がるということであります。ぜひ知事のリーダーシップのもと、何よりもこの事業に理解と協力をしてくださった地域の人々に、ロケット射場が立地してよかったと心から思ってもらえるように、まだ2年もあるということではなく、初打ち上げまでもう2年しかないという思いを持って、今からさまざまな面での対応を進めていってほしいかなというふうには思います。

 今回は、新たな観光資源としての誘客効果に関連することを中心にお伺いいたしましたが、高度な技術を持った人材が串本に多く集まることも、地域の将来にとって大きな意味を持つと思います。さらには、中長期的に紀南への宇宙関連産業が集積していくのではないかといったことも期待をしております。

 その意味では、足元の対応のみならず、中長期的な視野に立った対応も今から考えていっていただきたいと、このように思います。

 私も、本プロジェクトを通じ、紀南地域を初め和歌山県の活性化が実現できるよう全力で協力を惜しまない、このような思いであります。

 これをもって、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)

○副議長(森 礼子君) 以上で、佐藤武治君の質問が終了いたしました。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 27番山下直也君。

  〔山下直也君、登壇〕(拍手)

○山下直也君 皆さん、こんにちは。自由民主党県議団、山下直也でございます。

 6月定例会一般質問3日目、そろそろいろいろとお疲れやと思いますが、きょうは私で最後であります。あとしばらくの間、おつき合いのほどよろしくお願いを申し上げます。

 今、議長のお許しをいただきましたので、県議会改選後初めての、また私にとりまして通算31回目ということになりますが、その一般質問をさせていただきたいと思います。

 4月の県議会議員選挙では、多くの皆さん方から御支援をいただきました。これからの4年間、その責任の重さを感じながら議員活動に取り組んでまいりたいと思います。

 今回の改選で県議会議員7期目に入ったわけでありますが、初当選以来、常に現場第一主義ということを心がけ、県民の皆さんとの直接の対話を大切に議員活動を行ってきたところであります。

 そして、最近、県民の皆様が不安に思っていらっしゃることの一つが、風水害や地震の発生により、安全かつ安心して暮らしていけるのかどうかということでありました。特に昨年は、西日本豪雨や台風21号といった大きな風水害が発生をいたしました。

 「読売新聞」の6月16日の記事によれば、ことしも南米ペルー沖の海面水温が上昇する、いわゆるエルニーニョ現象の影響を受け、梅雨が長期化することが懸念されております。また、近年は激しい雨がふえる傾向にあり、気象庁によりますと、1時間に50ミリ以上の雨が降った回数は、2009年から2018年の10年間の平均を1976年から1985年の10年間の平均と比較をいたしますと、1.4倍にふえているとのことであります。このため、これまでも想定していなかった災害があちこちで起こり得ることを我々は意識しないといけないのではないでしょうか。

 そこで、今回の一般質問では、まず防災重点ため池について取り上げてみたいと思います。

 6月12日に新聞各紙が報じたように、防災重点ため池については、昨年7月の西日本豪雨で多くのため池が決壊し、防災重点ため池でない小規模なため池で甚大な被害が生じたことから、国において、防災重点ため池の選定の考え方を見直し、再選定を行ったものであります。

 この結果、全国の農業用ため池の総数16万6638カ所、これのうち防災重点ため池は6万3722カ所となり、これまでの約1万1000カ所から大幅に増加をいたしました。全国では兵庫県が最も多く9135カ所、次いで広島県が8167カ所、香川県が5849カ所であり、和歌山県は総ため池数5131カ所のうち2539カ所を選定したとのことでありました。実に、約半数を防災重点ため池に再選定しているわけであります。

 そこで、先ほど申し上げましたように、想定もしなかった災害が起こり得るからこそ、この防災重点ため池に対する今後の県の取り組みについて、農林水産部長にまずはお尋ねをいたします。

○副議長(森 礼子君) ただいまの山下直也君の質問に対する答弁を求めます。

 農林水産部長角谷博史君。

  〔角谷博史君、登壇〕

○農林水産部長(角谷博史君) 防災重点ため池については、決壊した場合に人的被害を与えるおそれが高く、重点的に監視を行っていく必要のあるため池で、国が示す基準に基づき再選定を行い、従前の635カ所から2539カ所となりました。

 今後、市町村と協力し、これらのため池について緊急連絡体制を整備し、重点的に監視を行うとともに、ハザードマップを作成し、地域住民の防災意識の向上に努めてまいります。

 なお、再選定した2539カ所の防災重点ため池のうち、老朽化したため池や危険度の高いため池については改修を行っていく必要がございますが、県では既に平成25年にため池改修加速化計画を策定し、ため池の大きさや受益面積に応じて、県、市町村等で役割分担し、順次改修を進めているところです。

 そのうち県は、規模が大きく改修の必要性の高い233カ所について、令和8年度完了を目指して改修に取り組んでおり、昨年度までに43カ所の改修を完了し、今年度は34カ所の改修を予定しております。

 なお、今回の防災重点ため池選定後も、ため池改修加速化計画に基づき、改修の必要のあるため池の箇所数については変更ございませんが、市町村等が分担するため池につきましても適切に改修が行われるよう引き続き指導してまいります。

○副議長(森 礼子君) 山下直也君。

  〔山下直也君、登壇〕

○山下直也君 それでは、続いて、県民の皆さんが不安に思い、安全かつ安心を脅かすおそれのあるものとしては、南海トラフ地震が挙げられます。

 一昨日も山形県沖を震源とするマグニチュード6.7の地震が発生したばかりであります。被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げるとともに、決して対岸の火事ではないということを私たちは意識をし続けなければならないと思います。

 さて、南海トラフ沿いの地域においては、地震調査研究推進本部地震調査委員会の長期評価によると、マグニチュード8から9クラスの地震が今後30年以内に発生する確率は70から80%とされており、言いかえれば、あすに発生する可能性も同様であり、大地震発生の切迫性が指摘をされております。

 このような中で、南海トラフ沿いの地域である本県におきましては、東北地方太平洋沖地震を教訓に、最大クラスの巨大な地震・津波を想定し、突発地震に備えた減災・防災対策から復旧・復興まで、地震対策の取り組みが総合的に進められているところであります。

 その中でも、人命を守るための対策として、保育所、障害児者入所施設、高齢者入所施設及び病院の耐震化の状況について、福祉保健部長にお伺いをいたします。

○副議長(森 礼子君) 福祉保健部長宮本浩之君。

  〔宮本浩之君、登壇〕

○福祉保健部長(宮本浩之君) 平成31年3月末現在の保育所、障害児者入所施設、高齢者入所施設及び病院の耐震化の状況についてお答えいたします。

 福祉医療関係の施設につきましては、自力で避難することが困難な方が多く利用されていることから、災害が発生した場合であっても利用者の安全が確保されるよう、耐震化整備を推進してきたところです。

 まず、認可保育所及び幼保連携型認定こども園につきましては、208施設263棟のうち245棟が耐震化されており、耐震化率は約93%となっております。

 また、障害者支援施設及び障害児入所施設につきましては、31施設56棟のうち54棟が耐震化されており、耐震化率は約96%となっております。

 さらに、特別養護老人ホームなど高齢者が入所している施設につきましては、511施設577棟のうち564棟が耐震化されており、耐震化率は約98%となっております。

 最後に、病院につきましては、83病院のうち57病院が耐震化されており、耐震化率は約69%となっております。なお、地域医療の中心的役割を担う病院は全て耐震化済みとなっております。

 今後も未耐震の施設につきましては、耐震化を働きかけてまいります。

○副議長(森 礼子君) 山下直也君。

  〔山下直也君、登壇〕

○山下直也君 福祉保健部長に答弁をいただきました。

 次、人命を守るための対策としては、橋梁、トンネル及び住宅の耐震化や津波対策としての堤防の整備、また、先ほどの質問で述べたように梅雨の長期化や激しい雨に対応するための河川整備も気になります。

 これらの施設の整備状況について、県土整備部長にお伺いをいたします。

○副議長(森 礼子君) 県土整備部長髙松 諭君。

  〔髙松 諭君、登壇〕

○県土整備部長(髙松 諭君) まず初めに、自然災害の頻発、激甚化を背景に、平成30年12月14日に閣議決定されました防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策を集中的に実施するため、国において編成されました平成30年度第2次補正予算では、国土交通省関係の交付金事業で、本県に対しまして市町村分も合わせて約168億円が配分されました。これは昨年度、平成30年度当初予算約700億円の約24%、当初予算に対する補正予算の割合で全国6位の予算獲得となりました。

 同様に、今年度の当初予算では約926億円が配分され、昨年度の当初予算の約1.3倍、伸び率で全国2位の予算獲得率となったところでございます。なお、この予算の一部につきましては、補正予算として今6月議会に御提案申し上げ、御審議いただいているところでございます。

 これらの予算を活用いたしまして、県民経済、生活を支える重要インフラの機能維持を図り、防災対策を推進する取り組みを加速化していくこととしてございます。

 大幅に予算が増加した事業の一例を挙げますと、美浜町の西川河川整備工事は、平成30年度当初予算に対する今回の緊急対策による平成30年度補正予算と令和元年度当初予算を合わせた額の伸び率は約4.5倍となっているところでございます。

 防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策は、台風や局地的豪雨による被害が頻発し、また、近い将来発生が懸念されております南海トラフ地震への対策が喫緊の課題である本県にとりまして、防災対策の強力な推進につながるものでございます。

 これまで県議会からも国土強靱化のための意見書の提出など、その必要性につきまして政府に御要望いただいたおかげであり、改めて厚く御礼申し上げますとともに、今般の予算確保に御尽力いただきました政府・与党初め関係の皆様方に対し、深く感謝申し上げます。

 今ほど議員から橋梁、トンネルなど各分野の防災対策の進捗状況に関する御質問をいただきました。

 まず、橋梁の耐震化についてでございます。

 県が管理いたします2379橋のうち、緊急輸送道路にかかる耐震化が必要な439橋について、順次対策を進めているところでございます。平成30年度末までに360橋の対策を完了しており、残る79橋についても早期の完了を目指し、取り組んでいるところでございます。

 トンネルの耐震化につきましては、安定した地山の中に存在することから、一般に地震の影響を考慮する必要はないとされており、老朽化対策といたしまして、道路法に基づく5年に1回の点検を行い、その結果に基づき必要な対策を実施しておりまして、交通の安全確保に努めているところでございます。

 次に、住宅の耐震化につきましては、平成16年度より、市町村と連携しながら木造住宅の無料診断や耐震改修の定額補助により耐震化の促進を図っておりまして、昨年度、平成30年度末までの補助実績は、耐震診断が1万5403戸、耐震改修が1974戸となっております。

 また、大規模建築物の耐震化につきましては、建築物の耐震改修の促進に関する法律で耐震診断が義務づけられました99の施設のうち、平成30年度末時点で87施設が耐震改修済み、二つの施設が耐震工事中、三つの施設が設計済み、一つの施設が設計中、残る六つの施設が今後建てかえや移転を予定しているところでございます。

 地震・津波対策としての堤防の整備状況につきましては、平成26年10月に策定いたしました「津波から『逃げ切る!』支援対策プログラム」に基づきまして、津波避難困難地域において、津波の第1波を防ぎ、避難時間を確保するための堤防のかさ上げや耐震化の整備を三つの町の計6地区において推進しており、1地区において対策が完了しているところでございます。

 また、津波避難困難地域以外の地域でも、経済被害を抑え、早期の復旧・復興につなげるため、港湾、漁港の既存施設のかさ上げ、拡幅等による強化を15の市町の六つの港湾と十の漁港において、現在対策を推進しているところでございます。

 津波の影響を受ける水門、樋門の遠隔操作化、自動化等につきましては、操作者の安全が確保できないなど対策が必要な89の施設において、平成29年度末までに対策が全て完了しているところでございます。

 最後に、洪水対策としての県管理河川の整備状況につきましては、近年、集中豪雨等により頻発する浸水被害の軽減を図るため、順次整備を進めており、現在、48の河川で対策を行っているところでございます。

 今後も防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策を初めとする国の施策、予算を最大限に活用いたしまして、本県の防災対策を一層推進してまいりたいというふうに考えております。

○副議長(森 礼子君) 山下直也君。

  〔山下直也君、登壇〕

○山下直也君 次、人命を守るための対策として、教育委員会であります。

 小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の耐震化は、未来を担う子供たちを守るために大変重要なところであります。

 これらの施設の整備状況について、教育長にお伺いをいたします。

○副議長(森 礼子君) 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 学校施設は、児童生徒の命を守るべき安全な施設であり、安心して過ごせる場でなければなりません。また、震災時には、地域住民の応急避難施設としても活用されますので、これまで耐震化を進めてまいりました。

 県立学校及び特別支援学校の耐震工事は、既に平成25年度に完了しております。公立小中学校の耐震化率は99.4%となっており、未整備の小中学校につきましては、当該市町村が2年以内に整備を完了する計画となってございます。

○副議長(森 礼子君) 山下直也君。

  〔山下直也君、登壇〕

○山下直也君 ありがとうございました。

 それぞれ各部長、また教育長、御答弁をいただきました。

 それぞれの分野において耐震化等に計画的に取り組んでいただいているということがよく理解できました。90数%、しかし、人の命がかかっております。100%を目指して、それぞれの分野で御尽力をいただきたいと思います。

 次の質問に移ります。

 次に、南海トラフ地震の多様な発生形態に備えた防災対策についてお伺いをしたいと思います。

 南海トラフで発生する大規模地震には、1944年に南海トラフの東側で昭和東南海地震が発生し、その約2年後に南海トラフの西側で昭和南海地震が発生した事例や、1854年にも南海トラフの東側で大規模地震が発生した約32時間後に、西側でも大規模地震が発生した事例が知られております。

 南海トラフでの大規模地震の発生形態は多様であり、次に発生する南海トラフの大規模地震がどのような形態となるか不明とされております。1707年の宝永地震のように、東側、西側で同時に地震が発生する場合を想定した備えも必要であり、東側だけで大規模地震が発生した際に、西側の地域において次の大規模地震に備えることも必要であるという考えがあります。

 国は、このような大規模地震発生の可能性が平常時と比べて相対的に高まったと評価された場合の防災対策について、地方自治体などが具体的な防災計画を策定する際の参考として、3月末に南海トラフ地震の多様な発生形態に備えた防災対応検討ガイドラインを取りまとめ、去る5月31日に開催された中央防災会議において、ガイドラインの内容が国の基本計画に位置づけられたところであります。

 国のガイドラインでは、南海トラフ沿いの地域において、例えば東側で大規模な地震が発生した場合、西側でも連続して大規模地震が発生する可能性があるため、その備えとして事前避難するなどの対応が求められています。

 このような西側または東側で大規模な地震があった場合、「半割れ」や「一部割れ」のケースと呼ばれるようでありますが、県民の皆様にとって非常にわかりにくいのではないかと思います。

 そこで、半割れや一部割れとはどういうことなのか。また、本県でそのような事態が発生した場合、具体的にどのような防災対応が考えられるのかを危機管理監にお伺いをいたします。

○副議長(森 礼子君) 危機管理監森田康友君。

  〔森田康友君、登壇〕

○危機管理監(森田康友君) 南海トラフの想定震源域及びその周辺において、マグニチュード6.8程度以上の地震が発生した場合、気象庁から南海トラフ地震臨時情報(調査中)が発表されます。この調査の結果、地震の規模がマグニチュード7以上8未満であった場合、気象庁から南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)が発表されます。このようなケースを、いわゆる一部割れと呼び、国、県、市町村は地域住民に対して1週間、日ごろからの地震への備えの再確認を呼びかけることとなります。

 また、調査の結果がマグニチュード8以上であった場合、気象庁から南海トラフ地震臨時情報(巨大地震警戒)が発表されます。このようなケースを、いわゆる半割れと呼び、発生した残りの領域でも大規模地震発生の可能性が高まったと評価され、1週間を基本として事前避難と、その後1週間の注意が必要とされます。

 この場合の事前避難につきましては、国、県、市町が、地震発生後、津波到達までに避難が完了できない地域の住民や、津波到達までに避難が完了できない可能性のある高齢者等に呼びかけることとされています。

 このような防災対応については、先ほど議員からお話のありました国のガイドラインで示されておりますが、このガイドラインは過去の地震の発生形態等、科学的知見を踏まえて策定されたものと承知しており、ガイドラインに沿った行動をとっていただくよう地域住民に周知するとともに、避難者数の把握や避難所の確保、運営などの防災対応について、市町とともに検討を進めてまいります。

 また、日ごろから「揺れたら逃げる」の意識を改めて徹底することはもとより、引き続き「津波から『逃げ切る!』支援対策プログラム」に基づく避難路整備の促進や堤防整備の推進等とともに、防災情報の多重化として和歌山県防災ナビの普及促進など、ハード、ソフト両面の対策を総合的に進め、津波からの犠牲者ゼロに向けて取り組んでまいります。

○副議長(森 礼子君) 山下直也君。

  〔山下直也君、登壇〕

○山下直也君 2項目め、がん対策についてお尋ねをいたします。

 5月31日の「日本経済新聞」の記事によれば、「がんにかかったら仕事をやめなくてはいけない」と考えている会社員の割合が、大企業では31.8%、中小企業で35.6%だったとする国立がん研究センターの調査結果が掲載をされておりました。

 同センターが昨年11月から12月に、大企業の社員624人、中小企業の社員419人への調査をまとめたものであり、企業規模にかかわらず、がんにかかった3割の会社員が離職の不安を抱えていることを憂慮すべきであると私は思いました。

 また、がんにかかったときの相談先を尋ねる質問には、「会社には相談しない」とした人が大企業で11.8%あったのに対し、中小企業では25.3%と10ポイント以上の差が出ております。

 和歌山県内のほとんどが中小企業や零細企業であることからすれば、がんにかかったときの相談体制も整っていないことに、私は大きな不安を覚えました。

 今から7年前、当時各会派の御協力をいただきまして、私は議員提案ということで、和歌山県がん対策推進条例制定のための検討会の座長を務めさせていただきました。それ以来、議員活動の中で、このがん対策を自分自身の中で最重点項目の一つとして、それからも取り組みを進めてまいりました。今日までも一般質問でたびたび質問に立たしていただいたところであります。

 和歌山県がん対策推進条例第10条第2項では、「事業者は、従業員又はその家族ががん患者となった場合においては、当該従業員が働きながら治療を受け、療養し、看護し、又は介護することができる環境の整備に努める。」と規定しております。

 今回の国立がん研究センターの調査結果と本県の会社員の方々が同じ意識をお持ちなら、効果的な対策を早急に講じる必要があると考えます。

 そこで、本県におけるがんにかかった、いわゆる罹患した会社員の方々の離職状況、また、企業の支援体制を踏まえ、そういった方々が自分らしく働き続けられる環境整備に県としてどう取り組んでいかれるのか、福祉保健部長にお伺いをいたします。

○副議長(森 礼子君) 福祉保健部長。

  〔宮本浩之君、登壇〕

○福祉保健部長(宮本浩之君) 県では、がん対策推進計画に基づき総合的ながん対策を進めており、がんの75歳未満年齢調整死亡率は低下傾向にあります。また、体への負担が少ない内視鏡手術の普及や外来での抗がん剤治療など、医療技術の進歩に伴い、がんにかかっても長期入院せずに通院治療を受けながら働き続けることが可能となってきております。

 しかしながら、県内のがん患者等に対し平成29年に県が実施したアンケート調査では、雇用されていた方の約30%ががんにかかった後に退職している現状となっており、また、事業所に対して他機関が実施した調査においては、治療しながら働く従業員のための支援制度がある事業所は約20%にとどまるなど、就労継続の支援が不十分であるという課題が明らかになっています。

 こうした中、国において平成28年に事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドラインが策定され、がんなどの疾病を抱える従業員が治療しながら働くことのできる職場環境の整備や、従業員に対する個別支援の進め方が示されたところです。

 本県におきましては、従業員が離職することなく仕事を継続できるよう、県内9カ所のがん診療連携拠点病院等に設置しているがん相談支援センターにおいて、治療や就労上の疑問、悩みに対して相談支援や情報提供を実施しているところです。

 また、平成29年7月に県、労働局、経営者団体、労働組合、医療機関など関係機関が連携して、和歌山県地域両立支援推進チームを設置し、治療と仕事の両立支援に関する取り組み状況の共有や、パンフレットによる相談窓口の周知などを進めております。

 さらに、事業所に対して、労働セミナーや企業訪問の機会を通じて、治療のための時間単位での休暇や短時間勤務制度など、職場環境の整備について理解を深めるとともに、自宅で働くテレワークなど、治療と仕事の両立も可能となる柔軟な働き方の推進に取り組んでおります。

 今後、就労上の悩みを抱える患者を必要な支援機関につなげるなど、関係機関との連携を強化し、議員提案の和歌山県がん対策推進条例の理念である、「がん患者を含む全ての県民がいきいきと生活することができる地域社会の実現」に向け、がんになっても働き続けられる環境づくりに取り組んでまいります。

○副議長(森 礼子君) 山下直也君。

  〔山下直也君、登壇〕

○山下直也君 部長、答弁ありがとうございます。

 支援の取り組みを進めていただていることは理解をいたしました。しかし、支援制度があることを十分に周知しなければ、がんに罹患した方々の負担を軽減するということにはならないのではないかなというふうに思いますので、これからさらに十分な制度周知に努めていただくことをこの場からお願いをいたし、がん対策についての質問は終わります。

 3項目め、受動喫煙対策についてであります。

 望まない受動喫煙の防止を図るため、多数の者が利用する施設等の区分に応じ、喫煙を禁止するとともに、当該施設等の管理について権限を有する者が講ずべき措置等を盛り込んだ健康増進法の一部を改正する法律が、2018年7月に成立をいたしました。

 2020年4月の全面施行に先立ち、本年7月1日からは、学校、病院、児童福祉施設等や行政機関において、原則敷地内禁煙となるとのことであります。このため、「原則」の言葉が示すように、例外がどのような場合に認められるのか、また全面施行の際には個人の飲食店での喫煙がどうなるのか等、県民の皆様に十分な周知が必要と考えます。

 そこで、今回の健康増進法改正の趣旨と規制の内容、県有施設の対応、そして県民の方々への周知の以上3点について、福祉保健部長にお伺いをいたします。

○副議長(森 礼子君) 福祉保健部長。

  〔宮本浩之君、登壇〕

○福祉保健部長(宮本浩之君) まず、健康増進法改正の趣旨は、受動喫煙の健康への影響が明らかになるとともに、屋内における対策が諸外国よりもおくれていることから、特に子供や妊婦、患者等に配慮し、望まない受動喫煙の防止を徹底することとなっています。

 改正法による規制は、施設の類型、場所ごとに段階的に実施されます。具体的には、本年7月から学校、医療機関、行政機関等、子供や患者が利用する機会の多い第一種施設において原則敷地内禁煙となり、来年4月からは第一種施設及び喫煙目的施設以外の事業所や文化施設等の第二種施設において、原則屋内禁煙となります。

 その一方で、第一種施設では、施設の利用者が通常立ち入らない屋外に喫煙場所を設けることができ、第二種施設では屋内に煙の流出防止を徹底した喫煙専用室を設けることができることになります。

 また、既存の個人または中小企業が経営する客席面積100平方メートル以下の飲食店では、直ちに喫煙専用室の設置を求めることが困難なことから、保健所への届け出を条件に、経過措置として店内で喫煙できることとなります。ただし、全ての喫煙場所においては、喫煙場所であることの掲示が必要になるとともに、二十未満の者は立ち入ることができなくなります。

 次に、県有施設の対応についてですが、第一種施設に該当する本庁や振興局などの地方機関については建物の屋上などに喫煙場所を設けるとともに、第二種施設については屋内禁煙を前提として検討を進めているところです。

 最後に、県民への周知につきましては、これまで「県民の友」や市町村の広報紙への掲載、世界禁煙デーのイベントにおけるパンフレット配布等により啓発を進めてきたところです。

 今後さらに、テレビ、ラジオなどマスメディアを活用して広く周知を図るとともに、保健所ごとに健康課題の解決に取り組む地域・職域連携推進協議会の構成メンバーである市町村、医師会、商工会等と一体となって、地域においてきめ細やかに周知してまいります。

○副議長(森 礼子君) 山下直也君。

  〔山下直也君、登壇〕

○山下直也君 受動喫煙対策は、子供など二十未満の方への健康への悪影響を防ぐためにも対策の徹底が必要であります。行政機関はもとより、私たち県議会議員一人一人も高い意識を持ってこの問題に取り組んでいかなければと思います。

 次の項目、プラスチックごみの環境汚染について質問をいたします。

 5月30日の「朝日新聞」デジタル版の記事によれば、マレーシア政府は、日米など少なくとも7カ国から違法に持ち込まれたプラスチックごみ450トンを輸出国に送り返すと発表いたしました。リサイクル用プラスチックの最大の受け入れ国だった中国が1年半前に受け入れを禁止して以来、プラスチックごみが東南アジアに大量に持ち込まれ、各国が対応に苦慮しているとのことであります。

 このニュースが報じられる以前に、東南アジアの各国は、日本の廃プラスチック輸出の受け皿となっていました。ジェトロのまとめによれば、日本からの廃プラスチック輸出量は、中国が受け入れを禁止した2017年と2018年の上半期を比較すると、2018年に入り、タイ、マレーシア、ベトナムを初めとしたアジア各国への輸出量が急増している一方で、中国が96.1%減、中継貿易地となる香港が89.0%減となっており、その他の東南アジア各国が輸出先代替地となっていることは明白であります。

 その後、日本を初めとする世界からの大量の廃プラスチック輸出を受けて、タイ、マレーシア、ベトナムの3カ国は輸入禁止、制限措置の実施に踏み切ったのは当然のことではないでしょうか。

 廃プラスチックがこれだけ大きな問題となる背景には、プラスチックが引き起こす環境問題があります。廃プラスチックのうち5ミリメートル以下のマイクロプラスチックにつきましては、魚などが飲み込み、最終的には生態系を通して私たちの口に入る可能性が指摘をされております。

 日本では、長野県軽井沢町でG20のエネルギー・環境閣僚会合が開催され、海洋汚染を引き起こすプラスチックごみについて、各国が対策を報告する枠組みを設けることなどを盛り込んだ共同声明が6月16日に採択されました。国際的にプラスチックごみに対する意識はますます高まってきております。

 しかし、意識するだけではなく、今後は対策の実効性を考えていく必要があるのではないでしょうか。

 5月31日の「毎日新聞」の夕刊によると、大阪湾のプラスチックごみのレジ袋を関西広域連合が推計したところ、300万枚に上ることが判明し、淀川水系からの流入が多いと分析をしております。大阪湾南部では、ペットボトルによる漁網への被害も深刻化しており、関西広域連合では汚染や被害の拡大の防止、対策の検討のための琵琶湖・淀川流域海ごみ抑制プラットフォームを発足させたところであります。

 プラットフォームは、大阪湾における汚染対策がその設立目的ではありますが、和歌山県は長く黒潮踊る海岸線を有しており、その美しい海岸線の汚染を防ぐため、関西広域連合の取り組みだけでなく、県として主体的に取り組んでいくことが必要ではないでしょうか。

 そこで、プラスチックごみによる県内の海岸部の汚染はどのような現状でしょうか。また、現状を踏まえた上での汚染防止対策について、知事にお伺いをいたします。

○副議長(森 礼子君) 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 海岸部のプラスチックごみについて、県内では漁業への被害は聞いておりませんけれども、平成28年度に串本町上浦海岸で国が行った海岸漂着ごみの調査では、漂着ごみのうち人工物が354個で、そのうちプラスチックごみが312個と相当な割合でプラスチックごみが漂着しております。

 平成30年度には、県や市町村が港湾や海岸等でプラスチックごみを含む約200トンのごみを回収しておりますが、海岸沿いに限らず、ごみが入ったレジ袋を目にするので、道路保全のためにパトロールをしている振興局建設部の職員に回収させているところです。

 プラスチックごみに限らず、ごみの原因で一番悪いのは不法投棄やポイ捨てでありまして、ポイ捨てのない社会にしなければならないと思います。

 このためには、三つの対策が必要であると考えます。先ほどのポイ捨て、こういうのは至るところで起こりまして、時として海へ流れていって、今問題となってるプラごみの環境汚染、環境破壊というのを起こすのだというふうに思っておりますので、三つの対策ということでございます。

 一つ目は、大人には社会教育を通じて、ポイ捨ては悪いことだとしっかり意識を持ってもらい、子供たちには学校でそういうことをきっちり教えるということが大事だと思います。

 二つ目は、取り締まりと回収で、特にポイ捨てや不法投棄は厳しく取り締まり、発覚したら社会的制裁を加えられるという抑止力を持たすことであります。県では、今年度、不法投棄監視カメラを100台新たに追加し、監視体制を強化するとともに、県民の方々には情報の提供をお願いしているところであります。

 三つ目は、ポイ捨てをしようと思わないシステムをつくることであります。今は分別ごみ回収が一般的で、それは大変結構なことなんでございますが、ごみを出すな、回収はしてやらないとうるさく言い過ぎると、だらしない人はすぐその辺にポイ捨てをしたり不法投棄をしがちであります。また、いわゆる環境派の人がサーマルリサイクルに余りにも低い評価をしていたということも、少々反省すべきであると私は思います。

 例えば、和歌山市では、ペットボトルは個別に回収してリサイクルに回しておりますけれども、そのほかのプラスチックごみは燃えるごみと一緒に回収して焼却処分を行っております。もちろん燃やすだけではなくて、熱を回収して発電を行っており、これにより年間1億円以上のコストダウンにつながっていると聞いております。その分、石油消費が減って、地球環境にいいのであります。

 そういうやり方は環境省の評価では随分評価が低く、世論からは批判されるのでありますが、私は和歌山市のような焼却によるサーマルリサイクルも積極的に活用するなど、ベストミックスな対応を市町村や関係機関と連携して行っていくべきだというふうに思います。

 世の中では、プラスチックのストローはやめましょうとか、スーパーのレジ袋は有料にしようとかばっかりでございますが、これは、エネルギーの無駄遣いや地球環境問題などにそれなりに有効であると思いまして、反対ではもちろんありませんけれども、プラごみの放置による海洋汚染の問題には余り役に立たないというふうに思います。

 プラスチック問題については、プラスチックをできるだけ使わないための消費者の意識や行動も重要でありますが、使い捨てプラスチックを提供する事業者側の任によるところが大きいので、例えばそういう、ひょっとしたら捨てられる可能性のあるものは生分解性プラスチックでやろうとか、そういう国などのほうでしっかりとした制度設計を行うべきであるというふうに思います。

○副議長(森 礼子君) 山下直也君。

  〔山下直也君、登壇〕

○山下直也君 ただいま知事より答弁をいただきました。このプラスチックごみの汚染防止対策は、ごみを捨てない意識はもとより、バイオプラスチックの開発等、万が一ごみが出ても自然に分解される素材を使用するなど、多様な方法を検討していく必要があると感じております。私も、この問題に関しましては、これからも国際的な動向も含め、状況を注視してまいりたいと思います。

 いよいよ最後の項目であります。中小企業の振興についてお尋ねをいたします。

 冒頭、防災対策でも申し上げたわけでありますが、私は初当選以来、現場第一主義を掲げ、県民の皆さんとの対話を大切にしてまいりました。その対話を通し、県民の皆様が今不安に思うことが三つあると思います。

 一つ目は、人口減少について、二つ目は、先ほど質問いたしましたが、風水害や地震に対する不安、そして、三つ目としては、経済的不安が挙げられます。

 日本経済は現状では穏やかに回復しているとの報告がありますが、私が対話してきた中小零細企業の経営者は、口々に「経営環境は厳しい」、「経営的に苦しい」とおっしゃっておられます。一部堅調な業種もあると理解をしておりますが、本県経済の現状と取り組み、その方針について、改めて知事にお伺いをいたします。

○副議長(森 礼子君) 知事。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 本県では、さまざまな業種の中小企業が活躍し、中には技術力により世界でトップの地位を築いている企業もございます。また、繊維、皮革、家庭用品などの地場産業は各地域ごとに集積し、雇用を初め地域経済を支えてまいりました。県の中小企業の占める割合、これは99.9%でございまして、県経済にとって中小企業の発展がかなめとなります。

 安倍内閣の経済政策の効果は、輸出採算のある大企業の稼ぐ力を高め、雇用・所得環境を大きく改善させましたけれども、その大企業を支える下請みたいな中小企業にはあんまり及んでないというのがまだまだのところだというふうに思います。

 この結果、大企業の社員の給料は上がって、その人々の消費は伸びるんでございますが、なかなか取引先の中小企業の調達価格が、上げてくれない。そうなりますと、その下請企業の、中小企業の社員の給料はなかなか上がりませんので、消費もあんまり伸びないということが起こります。これが地方の相対的な沈下を物語ってるんじゃないかなあというふうに思うわけであります。

 また、こういう今申し上げましたことは、一応真っ当な取引交渉によってなされることなんでございますけれども、中には明らかに不当な取引関係を押しつけたり、あるいは、これは法律に触れるなと、明らかに違法だというようなひどい取引条件を押しつけられている例もございます。

 そのため、これは和歌山県は捨てておけないということで、県独自でも動いておりましたが、昨年7月、和歌山県は全国で初の取り組みといたしまして、経済産業省と下請取引適正化に関する連携協定を締結し、古くからの商慣行の是正や取引適正化に向け、取り組んでいるところでございます。この取り組みが進めば、県内企業の利益が増加して賃上げが可能になり、消費が上がり、景気の回復に火がつく割合が多くなるんじゃないかというふうに思う次第でございます。

 県経済の活性化には、県内企業が競争力を高めるとともに、時代の潮流に応じた新たな成長分野に取り組んでいくことも、今申し上げましたことに加えて重要でございます。

 そのため、県としては、世界で通用する技術の開発やサービスの高付加価値化を支援していくとともに、成長が見込まれているASEAN地域などの政府との連携を強化し、県内企業の海外市場への展開を積極的に促進してまいりたいと思います。

 また、このような産業発展、企業発展の前提といたしまして、今までうんとおくれておりました県内外への高規格道路を初めとする道路網の整備が進んでまいりました。このような産業活動は、やっぱりインフラを初め産業活動に不利にならないような、そういう制度がちゃんとできてないと困ります。教育や医療などの条件もその一つだと考えております。

 高速道路など道路網に加えまして、国際ハブ空港である関西空港が至近距離に位置するなど、京阪神圏、首都圏、そして世界に短時間でアクセスできる環境が大分整ってまいりました。

 そういう意味では、本県の相対的な条件的価値といいますか、そういうものが高まってきたとも言えます。これらを生かし、既存の産業界も頑張っていただき、そして企業誘致も力を入れ、特にICTやロケットなどの最先端技術を持った企業の誘致を進め、成長産業の集積を図っていきたいと考えております。

 このようにして、県民の皆さんの期待に応えられるように、県経済の活性化に果敢に取り組んでまいります。

○副議長(森 礼子君) 山下直也君。

  〔山下直也君、登壇〕

○山下直也君 次の質問に移ります。

 先ほど知事は、時代の潮流に応じた新たな成長分野に取り組んでいくことが重要であると御答弁されました。しかしながら、それはそうであるとは思いますが、本県は、何度も申し上げるようでございますが、中小零細企業の割合が非常に高く、また、これまで地域経済を支えてきたのは、繊維、家具・建具、皮革等々を初めとした地場産業だったのではないでしょうか。新しい取り組みは大いに進めていくべきであるという知事の考えに、私も共通の認識を持っておるわけではございますが、それはこれまで頑張ってこられた地場産業を支える中小零細企業の支援と両輪で進めていかなくては、和歌山経済の閉塞感打破にはつながっていかないのではないでしょうか。

 地場産業といっても、各業界において置かれている環境は異なると思いますが、地場産業を支える中小企業の現状と、そしてその振興策について、最後、商工観光労働部長にお伺いをいたします。

○副議長(森 礼子君) 商工観光労働部長稲本英介君。

  〔稲本英介君、登壇〕

○商工観光労働部長(稲本英介君) 本県は中小企業数の比率が99.9%と非常に高く、そのうち小規模企業の占める割合が87.9%となっており、中小企業は県経済を支える大きな原動力になっております。

 中でも、繊維、家具・建具、皮革などを初めとした地場産業がこれまでの本県地域経済を支えてきましたが、近年では、アジア諸国からの安価な製品の輸入増や消費者ニーズの変化、国内市場の縮小等による競争激化により、厳しい経営状況が続いているところです。

 そのような中、新しい技術やアイデアを取り入れ、時代の潮流に応じた付加価値の高い製品を開発し、競争力を高めることで、ここ数年は安定した収益を上げている企業も数多く出てきております。

 しかしながら、県内の地場産業の現状としましては、賃加工や下請型の企業がいまだに多数を占めていることから、県では、計画策定から新商品開発、販売促進までを一貫して支援するわかやま地場産業ブランド力強化支援事業など、新しいブランドづくりへの取り組み支援により、地場産業の経営力強化に努めております。

 あわせて、フランス・パリで開催される世界最大級のインテリア・デザイン見本市メゾン・エ・オブジェへの集団出展など、国内外の展示会への出展支援による販路開拓を図っており、ヨーロッパの高級レストランのテーブルウエアに採用されるなど、商談成立に至る事例も出てきております。

 また、昨年7月に、下請等中小企業者の取引適正化に向け、経済産業省と本県が連携協定を締結したところであり、本県としては、今後とも産業別担当者制度を中心として地場産業の現状や課題をきめ細かく把握するとともに、各種支援制度の積極的な周知を図るなど、地場産業を含めた本県経済のさらなる景気向上に努めてまいります。

○副議長(森 礼子君) 山下直也君。

  〔山下直也君、登壇〕

○山下直也君 商工観光労働部長から答弁をいただきました。

 人口減少による担い手の不足など、地場産業を取り巻く環境は大変厳しいです。引き続き、今、部長答弁にもありましたとおり、きめ細かな地場産業の支援をお願いしたいと思います。

 今回は、いろいろと5項目にわたり一般質問をさせていただきました。人を育み、地域をつくり、県民の生命と財産を守るという思いは、私ども議会議員、そして知事を先頭に県当局の皆さん方、思いは同じであると思います。これからもどうか、厳しい時代は続きますけれども、それぞれの持ち場においてなお一層の御支援をよろしくお願い申し上げ、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○副議長(森 礼子君) 以上で、山下直也君の質問が終了いたしました。

 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。

 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。

 本日は、これをもって散会いたします。

  午後2時40分散会

 

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