令和元年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


◆ 汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているものもあるため、人名等、会議録正本とは一部表記の異なることがあります。人名等の正しい表記については「人名等の正しい表記」をご覧ください。

令和元年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号

議事日程 第2号

 令和元年6月18日(火曜日)

 午前10時開議

 第1 議案第109号から議案第132号まで(質疑)

 第2 一般質問

 

会議に付した事件

 第1 議案第109号から議案第132号まで(質疑)

 第2 一般質問

 

出席議員(42人)

 1番 鈴木德久

 2番 山家敏宏

 3番 中本浩精

 4番 堀 龍雄

 5番 藤山将材

 6番 岸本 健

 7番 井出益弘

 8番 宇治田栄蔵

 9番 北山慎一

 10番 中西峰雄

 11番 秋月史成

 12番 森 礼子

 13番 濱口太史

 14番 尾崎要二

 15番 冨安民浩

 16番 川畑哲哉

 17番 玉木久登

 18番 鈴木太雄

 19番 岩田弘彦

 20番 吉井和視

 21番 谷 洋一

 22番 佐藤武治

 23番 岩井弘次

 24番 中 拓哉

 25番 多田純一

 26番 新島 雄

 27番 山下直也

 28番 中西 徹

 29番 玄素彰人

 30番 谷口和樹

 31番 藤本眞利子

 32番 浦口高典

 33番 山田正彦

 34番 坂本 登

 35番 林 隆一

 36番 楠本文郎

 37番 高田由一

 38番 杉山俊雄

 39番 片桐章浩

 40番 奥村規子

 41番 尾﨑太郎

 42番 長坂隆司

欠席議員(なし)

 

説明のため出席した者

 知事         仁坂吉伸

 副知事        下 宏

 知事室長       細川一也

 危機管理監      森田康友

 総務部長       田村一郎

 企画部長       田嶋久嗣

 環境生活部長     田中一寿

 福祉保健部長     宮本浩之

 商工観光労働部長   稲本英介

 農林水産部長     角谷博史

 県土整備部長     髙松 諭

 会計管理者      飯島孝志

 教育長        宮﨑 泉

 公安委員会委員    竹田純久

 警察本部長      檜垣重臣

 人事委員会委員長   平田健正

 代表監査委員     保田栄一

 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫

 

職務のため出席した事務局職員

 事務局長       中川敦之

 次長         中谷政紀

 議事課長       松山 博

 議事課副課長     山田修平

 議事課議事班長    岸裏真延

 議事課主任      保田良春

 議事課主査      伊賀顕正

 議事課主事      大森圭悟

 総務課長       井邊正人

 政策調査課長     中平 博

 

  午前10時0分開議

○議長(岸本 健君) これより本日の会議を開きます。

 日程に先立ち、諸般の報告をいたします。

 過日提出のあった議案第112号は、職員に関する条例議案でありますので、地方公務員法第5条第2項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、文書により回答がありました。お手元に配付しておりますので、御了承願います。

 日程第1、議案第109号から議案第132号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。

 41番尾﨑太郎君。

  〔尾﨑太郎君、登壇〕(拍手)

○尾﨑太郎君 おはようございます。

 議長の許可を得ましたので、一般質問をいたします。

 天皇陛下におかれましては、このたびの御即位まことにおめでたく、国民の1人として心からお喜び申し上げます。目白のキャンパスで時折お見かけしたお姿は、既に神々しいものでありましたが、この方がいずれ天皇陛下になられるのだと、同じ学びやで学べることをひそかに誇りに思ったものです。

 令和の御代で初めての一般質問となります。トップバッターで登壇する機会をお与えくださった先輩・同僚議員に感謝申し上げ、質問してまいりたいと存じます。

 「歌の前の平等」、これは尊敬する故・渡部昇一先生の言葉です。「万葉集」の大きな特徴は、歌を選ぶに当たり一切身分等の分け隔てがないことです。天皇から庶民、兵士、芸人、物乞い、遊女に至るまで、男女の別も貴賤の別も全くありません。大陸や半島に勃興した国々では、みかどと庶民を同列に並べることなど、それこそ天地がひっくり返ってもあり得ないでしょうし、そもそも庶民に詩を詠むという習慣があったのでしょうか。

 キリスト教文明は神の前に平等、ローマ文明は法の前に平等、21世紀の今日、いまだ平等という概念を育めない国もある中で、8世紀、既に歌の前に平等であった我が国のあり方は、我々が大切にしていくべき美風であります。

 我が国においては、誰であれ、よい歌を詠めば新年の歌会始に天皇から招待を受けるわけですが、こんなすてきな文化が他のどこの国にありましょうや。

 令和という元号は、この「万葉集」が出典だそうです。元号は、これまでその出典を漢籍に求めてきました。新儀を好まない皇室の伝統からすればいかがなものかとする見方もあります。私も、国書に出典を求めたこと自体を殊さらよいとも思いませんし、正直に告白するならば多少の違和感を持ちましたが、「万葉集」から引いたというのには感銘を受けました。「万葉集」こそは、日本的なるものの原風景であるような気がするからです。

 本県にもなじみの深い、日本人なら誰でもが知る山部赤人の「若の浦に潮満ち来れば潟を無み葦辺をさして鶴鳴き渡る」、「田子の浦ゆうち出でてみれば真白にそ富士の高嶺に雪は降りける」、これらの歌を詠めば、1000年の時を超えて赤人と我々は同じ情景を見れるではないですか。

 「令は命令の令であり、何となく安倍政権の目指す国民への規律や統制の強化がにじみ出ている感が否めません」などと言う政党党首もいましたが、さすがにこれはひねくれた見方と言わざるを得ません。

 元号は、有名な劉邦によって建てられた前漢の武帝の時代、およそ紀元前2世紀に制定されました。中学校で習った645年の大化の改新の「大化」が最初とされています。もちろん、この元号は、大陸で使われていたものではありません。半島の国々では大陸の元号を使っていましたが、7世紀に新羅が独自の元号を使っていたところ、唐の皇帝から叱責を受け、その後は唐の元号を使っておりました。ベトナムも、詳細は知りませんが、独自の元号を持っていたようです。

 全くの余談ですが、高校の世界史の授業で、今は亡き小山先生が、「箸を使うところは漢字文化圏だ。これは私の仮説だが、皆さんの中で誰かこの仮説を将来実証してほしい」と話されていたことを思い出します。なるほどベトナムも箸を使いますが、独自の元号を使っていたところを見れば、独立不羈の気風はかの国の伝統であるのかもしれません。元号は、東アジアでは独立国家の象徴であったのです。

 今日のように一世一元となったのは明治からで、天皇の即位に際して改元することになりました。天皇の御代で時代を区分することは、実用上は多少の不便があるとはいえ、独特の味わいがあるものです。少し前に行きつけの銀行の用紙の日付欄が元号から西暦に変わっており、ちょっと残念な気持ちになりました。

 私も「お父さんはほんまに昭和やわ」と息子に言われる年になりました。昭和は頭がかたい、融通がきかないというほどの意味でありましょう。そして、確かに私はそうであります。

 元号により時代を切り取れることは日本人の特権です。昭和は、あの大戦争と地続きの時代でした。モーレツ社員、エコノミックアニマル、企業戦士、男は黙ってサッポロビール、24時間戦えますか。今なら確実にブラック企業、できない理由は根性がないから、気合が足りないから。昭和にはかわい子ちゃんはいてもイケメンはいず、イクメンは恐らくさげすみの対象であり、草食系男子に至っては、もはや理解の範疇を超えた存在でしょう。

 バブルの崩壊と昭和の終わりが重なるのは余りにも象徴的です。平成は明らかに昭和とは違った価値観の時代でした。長らく続くデフレは、若者の気質も社会の構造もゆっくりと、しかし確実に変えていきました。

 以前、自民党県議団の研修会で、名門帝京大学ラグビー部監督をされている新宮市出身の岩出雅之氏にお話を伺いました。何と帝京大学ラグビー部では、先輩が後輩に先に挨拶し、さまざまなお世話を率先してやるのだそうです。昭和の時代、大学体育会の1年生は、それこそぼろ雑巾のようにこき使われたものです。まして、それが強豪大学体育会ともなれば推して知るべし。しかし、平成の名将は、昭和とは全く違ったやり方で最強のチームをつくり出したのです。

 これは、昭和のやり方が間違っていたというよりも、まさに時代なのでありましょう。その時代にはその時代の価値観、正義がある。昭和の時代、確かに根性はよりよいパフォーマンスを発揮させる装置として機能したのです。今の若い人には信じられないかもしれませんが、義理、人情、浪花節で昭和の日本経済は世界を席巻したのです。

 人生100年と言われる今、我々は複数の時代を生き抜かなければなりません。過去の成功体験をいつまでも引きずっていては、それこそ時代に置いていかれるでしょう。若い人々はもとより体も心も頭もやわらかいので、すぐに時代に順応するでしょう。頭も心も硬直した我々壮年はそうはなかなかいきませんが、改元は時代の変わり目を意識させてくれるよい機会になるものと思います。

 我々は、変わらなければなりません。変わらざるを得ないのかもしれません。しかし、それは変わらないコアな部分があるからこそ、変化を我が物とし、時代を生き抜くことができるのです。変わらないもの、変えてしまってはならないもの、それは我々にとっては、「万葉集」もその一部である国語であり、皇室、天皇であります。

 このたびの改元は、天皇の崩御によるものではなく譲位によるものであったので、昭和から平成に移るときのような国民全体が喪に服すようなムードはなく、新たな時代を歓喜で迎えたようなにぎやかなものとなりました。

 陛下の御譲位をめぐっては、さまざまな議論が展開されました。皇室典範第4条において「天皇が崩じたときは、皇嗣が、直ちに即位する。」と定めており、譲位は想定されておりません。譲位そのものは、これまでの皇室の歴史の中で行われてきたことですが、現行の皇室典範には、譲位に関する定めはないのです。また、皇室典範16条2は、天皇が国事行為を行い得ない場合は摂政を置くとしております。つまり、天皇はおかくれになるまで皇位にあるとの定めです。

 そして、憲法は第2条において「皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。」としております。

 先帝陛下は、「天皇もまた高齢となった場合、どのようなあり方が望ましいか、天皇という立場上、現行の皇室制度に具体的に触れることを控えながら、私が個人としてこれまでに考えてきたことを話したいと思います」と仰せになり、摂政についても「天皇が十分にその立場に求められる務めを果たせないまま、生涯の終わりに至るまで天皇であり続けることに変わりありません」と、これに賛同しないことを表明なさいました。そして、「国民の理解を得られることを切に願っています」と結ばれました。

 私のような学のない者は承詔必謹、陛下のお言葉が出た時点で思考は停止し、ひたすら御意に沿うことばかり考えてしまいますが、日ごろ皇室を大切にする立場であるはずのいわゆる保守派の人たちからは譲位に異論が出、皇室に余り理解がないとされる、いわゆるリベラルの人たちからは、おおむね譲位に好意的であったように思われます。国民は、圧倒的多数が陛下の御意思を尊重することを支持しました。

 現行憲法は、第4条において、天皇は国政に関する権能を有しないと定めています。これをいかに解釈するか。

 現在の憲法学の枠組みをつくったのは、およそ法学部で学んだ者ならば知らぬ者のいない東京大学法学部教授であった宮澤俊義です。彼は、その著書「全訂日本国憲法」で──一部昭和な表現がありますが、そのまま引用します──「天皇の国事行為に対して、内閣の助言と承認を必要とし、天皇は、それに拘束される、とすることは、実際において、天皇を、なんらの実質的な権力をもたず、ただ内閣の指示にしたがって機械的に『めくら判』をおすだけのロボット的存在にすることを意味する」と書いています。有名な天皇ロボット説ですが、宮澤は憲法学の最高権威と言ってもいい存在です。

 政府の有権解釈はどうなっているでしょう。有権解釈とは拘束力を持つ解釈のことで、実質的には内閣法制局の解釈のことですが、「天皇の行動があらゆる行動を通じて国政に影響を及ぼすことがあってはならない」としています。つまり、現行憲法のもとでは、天皇は、たとえ結果としてであっても、国政に影響を与えるような言動はできないとされているのです。天皇は、まさに個性を持たないロボットであることが求められているのです。

 では、今回の天皇のお言葉は果たして違憲であったのか否か。日ごろ声高に護憲を叫ぶいわゆるリベラルが沈黙し、改憲を叫ぶいわゆる保守派が声を潜めて「違憲の疑いがあるのでは」とささやく奇妙な逆転現象が見られました。

 イギリスの憲政史家ウォルター・バジョットは、立憲君主の権利として、警告をする権利、激励をする権利、諮問を受ける権利を挙げ、これらに基づく言論の自由があるとしています。そして、君主をかいらいとすることは国民の望むところではないと説いています。主権者たる日本国民も、天皇をロボットにしようなどとはゆめ思っていないでしょう。ちなみに、バジョットの「英国憲政論」は、英国の不文憲法の一部をなすと言われるほどの古典です。

 国民は、おおむね天皇のお言葉を好意的に受けとめました。今回の御譲位は、現行の憲法解釈の限界を露呈させることになったのではないでしょうか。

 安倍総理は、9条の改正に意欲を燃やしておられます。緊迫する東アジアの情勢の中で、自衛隊の存在もまた解釈の限界に来ています。

 大学時代に受けた憲法の授業を思い出してみますと、「日本国憲法は、平和主義のもと戦力の保持を否定しているが、主権国家として当然自衛権は保持している。したがって、自衛のための必要最小限の実力は、憲法が禁じている戦力には当たらない。よって、自衛隊は合憲であるとするのが政府の解釈である。しかし、有力な学説では、自衛権の存在と自衛のための戦争や戦力を持つことは同義ではないので、戦力以外のあらゆる方法を自衛のためにとることは許されているが、自衛隊には違憲の疑いがあるとされている」、およそこんな内容であったかとは思いますが、わかったのかわからないのか。

 現代は、私の大学時代より格段に自衛隊に対する国民の理解は進んでいるように思いますが、確かに安倍総理の言われるように、憲法学者には自衛隊を違憲とする者もいるでしょうし、自衛官の子供が嫌な思いをしたこともあるやもしれません。だからといって、2項を残したまま3項に自衛隊を書き込むというのは、理由としてはいささか弱過ぎはしませんか。今でさえアクロバティックな解釈が、もはや奇術的になってしまいはしないかと心配いたします。

 自衛隊の南スーダン国連平和維持活動の日報に戦闘が報告されているという問題がありました。憲法上の制約から、自衛隊は戦場へは行けません。稲田防衛大臣は、この問題について何と言ったのか。「事実行為としての殺傷行為はあったが、憲法9条上の問題になる言葉は使うべきではないことから、武力衝突という言葉を使っている」と述べたのです。耳を疑うとはこのこと。それって憲法違反を言葉遣いでごまかしているということなのでしょうか。まさかそんなことはないと思うのですが、法律家で私よりはるかに憲法に精通しているであろう稲田氏であるだけに、真意をはかりかねるところであります。

 私は、改憲論者でありますが、憲法は一般の国民が国語で普通に読めば理解できるものであるべきで、改正するならばぜひそうしてもらいたいと思います。新しい御代のもとでも、憲法はどうあるべきかを国民とともに今後とも考えてまいりたいと存じます。

 さて、安倍政権に対する若者の支持率は大変高いものがあります。民主党政権時代、私の事務所へも職を求める陳情が非常に多くありましたが、今や逆で、中小企業の経営者が人を求めて私どものところへやってきます。

 議長時代にIRの誘致について講演をした折に、中小企業の経営者の方々から反対の声をいただきました。理由は「そんな施設ができたら、ただでさえ人手不足であるのに、我々のところへは誰も来てくれないようになる」ということでありました。

 雇用環境の改善こそ高い支持率の源であることは間違いありません。名目雇用者報酬も実質雇用者報酬も上向き、ようやく我が国経済は本格的な回復の入り口に立ったのではないでしょうか。

 しかし、報道によりますと、まことに残念なことに、安倍総理は今のところ、本年10月の消費税の10%への引き上げを予定どおり実施するとのことです。何度でも申し上げますが、消費税は上げてはなりません。

 アベノミクスの始まりの平成25年1~3月期のGDPは498兆、それが平成26年の1~3月期には512兆に達していたのです。ところが、4月に8%に消費税を増税した途端、GDPの伸びはぴたりととまりました。GDPの6割は個人消費であり、これを抑制する消費税が上がればGDPが下がるのは火を見るより明らかなことです。何と民間最終消費支出は、4~6月期に対前期比4.8%という減となったのです。

 安倍総理は、以来2度にわたり増税を延期してきました。まことに英断であったと思います。その間、増税を画策する人たちは、あらゆる言説を弄してこれを正当化しようとしてきました。ありもしない財政危機を叫び、「将来ある子供たちにツケを残してはいけない」などともっともらしいが全く事実に反することを言い、果ては「消費税の増税は国際公約だ」などとわけのわからないことを言うやからまで出てくる始末です。

 リーマンショックを予測し、一山当てたカイル・バスなる投資家がいましたが、その後、彼は「日本国債は暴落する」と言い立て、売りを浴びせかけ、破産しかかったあげく、敗北宣言を出しました。日本国債の金利は最低で、国債が暴落する確率は極めて低いことは、国債の暴落に備えて掛ける保険の料率を見てもわかります。国の借金が1000兆を超え、GDPの200%を超え、先進国中最低であると大騒ぎしている連中は、なぜか日本が先進国中最大の資産を持っていることについては口を閉ざしています。

 我々日本人は、外国の権威に弱いところがありますが、国際通貨基金(IMF)は、各国政府の貸借対照表を比較して、日本の公共部門の純債務はほぼゼロだとするレポートを公表しました。つまり、日本は、借金も非常に多いが資産も非常に多いので、差し引きとんとんだということなのです。

 マレーシアで92歳のマハティール氏が首相に返り咲いたのには驚きましたが、前政権が導入した消費税を、事実上この6月から停止しました。マレーシアの個人消費の回復が今から楽しみですが、さすがはマハティール氏であります。

 我が国経済の浮沈は、ひとえにGDPの6割を占める個人消費の回復、さらには伸長にかかっていると言えます。消費税はこの消費を抑制するもので、本来は延期よりもむしろ減税か廃止が望ましい。もし我が国経済が過熱するような僥幸に恵まれたならば、そのときこそ消費税の出番であります。

 現役世代に負担が集中しないように国民全体で広く負担するというのが新たな増税の大義とされていますが、要するに弱い人たちからも税を取るということにほかなりません。

 社会保障制度、すなわち年金、医療、介護等は、基本的に保険方式で運営されてきたのであり、制度の維持に不安な点があるならば、国民の前に明らかにして、まずは制度や運用の改善を図るべきです。子育て世代の負担の軽減と言うならば、それこそ国債の発行に財源を求めればよいではないですか。子供の育成、教育ほど国の発展に欠かせないものはなく、これは誰が見ても有効な投資であり、必ず大きなリターンが見込めるものです。

 増税の圧力がすさまじいものであることは察するに余りあります。我が国経済を成長軌道に導くため、安倍総理の御英断を心から期待をいたします。

 この春の統一地方選挙に、私は、和歌山にIRを誘致し、和歌山を人生を楽しむ舞台にしたいとの思いを持って選挙に臨みました。人生を楽しむ、遊ぶ、楽しむために消費する、そしてそれに呼応して新たな産業、サービスが生まれ出てくる、そのためのツールの一つがIRだと思っています。しかし、選挙戦を通じ、まだまだIRとはどういうものであるかという理解が県民に浸透してはいないと感じました。

 IRは、もちろん単なるカジノではありません。昨年、特定複合観光施設区域整備法が成立いたしました。本年3月には同法施行令が公布されたところであります。この法律、政令が定めるカジノスペースの規模は、IR施設全体の延べ床面積のわずかに3%以下とされています。加えて、中核施設として、我が国を代表するにふさわしい、これまでにないスケールとクオリティーを備えた国際会議場、展示施設、日本観光の魅力増進施設、送客施設、宿泊施設を整備することを要件としています。

 県当局も、IRの出前講座等で県民にIRがどのようなものであるかの理解を深める努力をしてくれていますし、知事による県政報告会でのお話も効果的ではあるでしょう。しかし、まだまだ誘致の機運が醸成されてきたとは言いがたい状況であるというのが正直な感想であります。

 何かしら視覚で県民に訴えられるパースのようなものがあればIRのイメージがつかめてよいのではないかと思うのですが、残念ながら、現時点では事業者からそれらのものは提供されていないようです。百聞は一見にしかずで、実際に諸外国のIRを見る機会がなくても、視覚的にIRとはどのようなものかがつかめるようなものがあれば、県民の理解はもっと進む気がいたします。

 カジノスペースにはとりたてて行く必要はないのですから、こんなすてきなところなら家族や友達と、あるいは恋人とぜひ行ってみたいと思わせるイメージパースが早く見てみたいものであります。

 国がどのような基準で最大3カ所とされる設置自治体を選ぶかはよくわかっていませんが、いずれにせよ同法の設置目的である先進的な観光立国に資することが必要で、そのためにも本県の持つ豊かな観光資源をいかにIRと有機的に結びつけ、魅力の相乗効果を生み出していけるかが大きな鍵となるはずです。

 ラスベガスのMGMグランドでは、2017年の収益の70%はカジノ以外で稼いでいるそうです。県民の中には「和歌山に国際会議場や展示場をつくっても誰も来るかよう」と言う人もいますが、私の後援会長は眼科医ですが、関空にほど近い和歌山にIRができれば、眼科医の総会は数千人の規模になるらしいですが、「和歌山でやることになるやろう」と言っておりました。関空に近い、これはIRというビジネスモデルにとって何よりのアドバンテージであります。

 いよいよこれから自治体間の誘致合戦も本格化してくるでしょうが、まずは、本県はマリーナシティにおいてIR設置を目指す事業者を選定しなければなりません。カジノを含むIRには、最高レベルの透明性、コンプライアンスが求められることは言うまでもありません。この選定についても各事業者間の公平性、選定基準、過程の透明性を十分に確保しなければなりません。不透明な選定をしたとの疑いが少しでもあれば、国における認定選考に少なからず影響が出ることは必定であります。

 この観点から、民有地であるマリーナシティが誘致場所となっていることに関して、注意すべき点があると考えます。例えば、所有者はどの事業者に対してでも売却をすること、売却代金はどの事業者に対してでも同じ金額とすること等、所有者が民間の方であるがゆえに、公平性の担保に不安を感じざるを得ません。

 IRは民設民営ではありますが、用地については県が各事業者に公平公正に提供できるよう、例えば一時的に県が買い戻し特約つきで購入するなどの方法を考えるべきであると思います。

 IRは3000億にもならんとする、まさにビッグプロジェクトであり、実現すれば本県経済への貢献ははかり知れません。令和の時代の和歌山が飛躍するためにも、知事及び当局の皆さんの奮闘を期待いたします。

 期せずして冷戦の終結と重なることになった平成の御代は、デフレの時代でありました。デフレは平和の産物とする言説もあります。令和の御代の幕あけは、新たな冷戦の始まりを予感させるものであります。

 思えば大化の改新とは、大陸の大国に対峙するための備えであったと見ることもできます。東アジアでは、大陸も半島も不穏な動きを強めています。備えあれば憂いなしは、天災だけに対する心構えではありますまい。安全保障もまたしかりであります。十分に備えるためには、国民経済の成長が不可欠であることは言うまでもありません。

 さらに言うならば、備えること、すなわち政府支出こそ国民経済を成長させる原動力となり得るものであります。安倍総理が経済成長を最重要政策としたことは、まことに炯眼でありました。

 以上、申し述べましたことを踏まえ、質問をいたします。

 第1点、まず、知事の元号に対する御所見をお伺いしたい。

 第2点、消費税増税時における本県経済の見通しについてどのように考えているのか、また中小事業者のキャッシュレス決済対策などの進捗状況についてはどうか、商工観光労働部長にお伺いする。

 第3点、IR整備法に基づく基本方針の公表がおくれるとの報道があった。以前、県は2024年度の開業を目指すと言っていたが、改めて県の想定するスケジュールについてお伺いする。

 第4点、県がIRを誘致しようとしている和歌山マリーナシティは民間の所有地であるが、所有者が個別に事業者と売買した場合、事実上その事業者以外は応募できないことになり、県の選定が意味をなさなくなるおそれがある。各事業者に対してオープンアクセスを確保するためには、県がしかるべき方法で介入し、公平性、透明性を確保する必要があると考えるがどうか。

 第5点、近ごろ、IR誘致の候補地が加太に変わったのですかとの問い合わせを複数の会社経営者の方から受けた。本県は、昨年の投資意向調査(RFI)では全ての事業者がマリーナシティに関心を示したとして候補地を同地に定めたものと理解しているが、今後、コスモパーク加太を含め、他の場所に候補地が変わる可能性はあるのか。以上は企画部長にお伺いします。

 以上お尋ねして、一般質問といたします。

○議長(岸本 健君) ただいまの尾﨑太郎君の質問に対する答弁を求めます。

 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 元号につきましては、その歴史は大変古く、紀元前2世紀に中国で始まり、その後、周辺国に広まる中、我が国においては、7世紀になって最初の元号である「大化」が定められました。

 このたびの新元号「令和」まで、1400年近くも改元が連綿と続けられ、暦に元号を用いるのは伝統文化であり、日本人の生活にしっかりと根をおろしていると思います。

 私たちは、自分が生きてきた時代を映す鏡として、過去の出来事を振り返る際には元号を意識することも多いのではないかというふうに思います。

 また、令和には、一人一人が大きな花を咲かせることができる日本でありたいとの願いが込められているというふうに言われておりますけれども、元号はその時代を生きる人々の願いが込められたものであると思います。

 このようなことから、私としては、紀元についてのさまざまな考えを尊重しつつ、元号については愛着を持って使い続けたいという思いでおります。

 天皇陛下の御即位とともに、新しい時代をすがすがしい気持ちで迎えており、新元号である令和も大切にしていきたいと考えております。

○議長(岸本 健君) 商工観光労働部長稲本英介君。

  〔稲本英介君、登壇〕

○商工観光労働部長(稲本英介君) 平成26年4月の消費税率引き上げ前には、広範な品目で駆け込み需要が顕在化し、全国における四半期ごとの民間最終消費支出の1月から3月期までは前年度比3.4%押し上げられましたが、4月から6月期の前年同期比マイナス2.6%と大きく落ち込みました。

 また、県内においても同様であり、大型小売店販売額、新車登録台数及び新設住宅着工戸数が4月以降3カ月連続で前年を下回るなど、平成26年度の県内の民間最終消費支出が前年度比3.7%減少したところでございます。今回の消費税率引き上げにおいても、駆け込み需要の反動等による売り上げの減少など、景気の下振れリスクになる県内経済への影響が懸念されています。

 このため政府では、消費税率引き上げに伴う需要平準化対策を講じており、キャッシュレス決済を用いた場合のポイント還元や低所得者、3歳未満の子育て世帯の消費に与える影響を緩和することを目的としたプレミアムつき商品券の発行、販売など、臨時・特例の予算が措置されたところです。

 また、県における中小企業者へのキャッシュレス対策については、5%のポイント還元等が受けられる店舗の拡大に向け、昨年度からセミナーを開催し普及に努め、今年度は総務省の統一QR「JPQR」普及事業を活用し、低負担でキャッシュレス決済の環境を整えることができるQRコード決済の推進を図っているところです。

 県といたしましても、産業別担当者などを通じ、国の施策を積極的に広報するとともに、県庁内の関係部署及び関係団体に特別相談窓口を設置し、各種相談に応じるとともに、情報収集をきめ細かくし、国や県が実施する施策を総動員することで、県経済が落ち込むことがないよう最大限努力してまいりたいと考えております。

○議長(岸本 健君) 企画部長田嶋久嗣君。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○企画部長(田嶋久嗣君) IR誘致についてでございますが、議員御質問のスケジュールにつきましては、いまだ国が基本方針の公表時期や区域認定の申請受け付け期間を明らかにしていないため、あくまで県独自の想定ではありますが、仮にことしの秋から冬ごろに基本方針が公表されれば、速やかに実施方針を策定、公表して事業者公募に入り、来年には事業者を選定する予定としております。

 その後、事業者と共同して区域整備計画を作成し、公聴会などの法定手続を経て、和歌山市の同意、県議会の議決をいただいた上で、再来年には区域認定の申請ができるよう準備を進めているところです。

 また、本県の候補地である和歌山マリーナシティは、全域造成済みですぐに着工できるという優位性があるため、区域認定されれば、2024年度内には日本で最初のIRが開業できると、そういうふうに想定しております。

 続きまして、事業地の提供方法についてでございますが、政府が主催した法律の説明会において、事業の継続性、安定性、廉潔性の確保、事業者の公正公平な選定の観点から、公有地を使用するなどオープンアクセスを確保することが必要との見解が出されております。また、本県への投資を検討しているIR事業者からは、「県が一旦購入し、権原を整理した上で提供していただきたい」との要望をいただいているところです。

 このようなことを受けまして、権原の整理や公正性、公平性の観点から、土地所有者との間で区域認定後に売買の効力が発生する契約を締結した上で、県が一旦事業地を購入し、事業者に適正な価格で提供するスキームを検討しているところです。

 候補地についてでございますが、議員御発言のとおり、県では、コスモパーク加太、旧南紀白浜空港跡地、和歌山マリーナシティの3カ所を事業者に分け隔てなく御紹介した上で、昨年、投資意向調査(RFI)を実施し、全ての事業者の意向が和歌山マリーナシティに集中したことから、候補地を同地に決定いたしました。この結果に基づいて、昨年10月に作成した和歌山県IR基本構想改訂版では、候補地を和歌山マリーナシティに一本化しているところです。

 現在、先ほど申し上げましたように、県では、国が示す基本方針を受けて速やかに実施方針を公表すべく事務作業を進めておりますが、実施方針には事業地の位置や面積を記載しなければならないため、現段階に至って候補地を変更することはございません。

○議長(岸本 健君) 答弁漏れはありませんか。

  〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(岸本 健君) 再質問を許します。

 尾﨑太郎君。

  〔尾﨑太郎君、登壇〕

○尾﨑太郎君 まず、消費税ですけれども、県のほうも増税があれば県経済が落ち込むであろうという認識を持たれているわけですね。これは、誰が考えてもそうなんだろうと思います。

 そういう中で、落ち込むからいろいろ予算措置をして落ち込みをカバーしようと。それならば上げないほうがいいんじゃないかと素直に思ってしまうわけでありますけれども、私は上げないほうがいいと思いますが、万が一上がってしまったら、何とか皆さんの御努力で県経済が落ち込まないように、引き続き注視して御努力をいただければと思います。

 それから、IRに関してですけれども、これは民間の投資です。民間が3000億投資するわけですから、和歌山に今、何社かちょっとお伺いに来てるような状況ですけど、最後までこの和歌山に、事業者が区域整備計画を出すまで和歌山に魅力を感じて──それまでもかなりお金要りますから、ずうっと興味を持ち続けて──最後に区域整備計画を県とともに出して、そして認定をかち取る。そこまで行くには随分まだ道のりがあるんですけど、現時点で、ちょっとこれは知事にお聞きしたいと思いますけど、事業者が和歌山に来てくれてるのか、そういうすごく意欲のある事業者を引きつけられてるのか、そういうことをまず聞きたいですね。

 それから、そうであるならば、いよいよその中から事業者を選んで認定をかち取るべく頑張らないかんのですけど、改めて、県民も期待してると思いますので、知事の意気込みを再質問で聞かしていただきたいと思います。

○議長(岸本 健君) 再質問に対する答弁を求めます。

 知事。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 議員御指摘のとおり、IRは投資を行う事業者がいなければ成就いたしません。

 県民の方といろいろお話をしたり説明しているときに、「あ、こういう誤解をしてるのか」というのが時々あるんですが、「県庁はまた何かうまくもいかないようなIRにたくさんの投資をして、それで不良資産をつくってしまうんじゃないの」というようなお話があるんですが、実はこの事業そのものには、法律の建前も含めまして──別にやってはいけないということはない、別に補助金をやってはいけないということはありませんが──基本的には民間の事業者が投資をするものということになっとるわけでございます。

 そういうことで、民間の事業者は大事なんですが、県では、昨年5月から8月にかけて、投資意向調査(RFI)を実施いたしました。海外事業者7社を含む33事業者から、具体的な本県への投資計画について御提案をいただいております。また、本年2月に民間事業者が開催した和歌山IRビジネス構築セミナーには海外事業者4社が協賛をするなど、本県への投資意欲を示す事業者は複数いると思っております。

 ここで事業者というのは、自分でリスクをとって事業を完遂する能力がないと困るわけでございます。企業を連れてきてやるとか、コンサルをしてやるとか、一部参加してやるとか、そういう企業は実はいっぱいいるんでございますが、そういうアプローチをしてくる人もいますけれども、そういうのはあんまり当てにならないわけであります。

 一方、自分でリスクをとって事業を完遂するというつもりの事業者の一つでありますが、5月にはフランスの事業者であるルシアン・バリエールが和歌山市に事務所を開設したり、人気俳優を連れてきたり、本県の投資に向けた動きも具体化をしております。

 私どもは、まだ特定の事業者を、手続もとっておりませんから、公平に扱うというのが一番大事なことでございますんで、そうしておりますが、それでも事業者の確保については、和歌山に関しては問題ないというふうに思っております。

 県といたしましては、国に認定される3カ所に選ばれるように、本県の発展に最も寄与する事業計画を提出した事業者、これを選定し、その事業者とともにすぐれた区域整備計画を作成し、そして、国に認定されるよう全力を挙げて取り組んでまいる所存であります。

○議長(岸本 健君) 答弁漏れはありませんか。

  〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○議長(岸本 健君) 再々質問を許します。

 尾﨑太郎君。

  〔尾﨑太郎君、登壇〕

○尾﨑太郎君 県民の方とお話をしたら、「これ民設民営なんですよ、県がやるんじゃないですよ」と言ったら、「ああ、民間の方がそんな3000億も出すんですか」って、知事がおっしゃるようにまだ誤解をされてる方も多いんですね。だけど、「民間の方が3000億も出して和歌山らでやって、元取れやんでしょう」と言う方もいらっしゃいます。

 今、知事のお話にもありましたけど、この投資にリスクをとるのは事業者であって、リスクをとってでも事業が成り立つという魅力を和歌山も提供できてないとあかんわけなんですね。そういう不安はちょっと私もありましたけど、今、知事の答弁では、和歌山に関しては、認定されるかどうかは別として、事業者の確保には不安を抱いていないということですから、ちょっと心強い限りであります。

 あと、用地の確保が民有地であるということで、オープンアクセスを確保する上から、私もちょっと突っ込んだ提案をいたしましたけれども、このことについても県民に誤解を招かないように進めていかんと、「そんなん県が用地買い取るんかい」というふうになると、民設民営というスキームがまた誤解を受けるんじゃないかと思うんで、オープンアクセスを確保するというのは本当に大事なことでありますけれども、その辺の誤解もないように、今県がやってらっしゃる出前講座なんかもさらに活発にやっていただいて、私どもも頑張りますけれども、まず県民の中に機運を醸成して、そして、今のスケジュールでは再来年以降になるんでしょうね。その国の認定をかち取れるように頑張ってまいりたいという意見を表明いたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)

○議長(岸本 健君) 以上で、尾﨑太郎君の質問が終了いたしました。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 24番中 拓哉君。

  〔中 拓哉君、登壇〕(拍手)

○中 拓哉君 おはようございます。

 「なかなか頑張る中拓哉」、4月7日の県議選におきまして4度目の当選を果たすことができました。私に投じてくださった8477票の市民の方へはもちろんのこと、選挙を棄権した市民も含め、県民全体の奉仕者として、この先4年の任期中、議員としての責務を果たしてまいりたい、そういう決意でございます。

 中でも託された権限の第1は、こういった県会議場での質問権かと思います。世の中の不幸をなくすため、また県民の福祉の向上につながるよう質問いたしますので、知事初め当局の答弁も県民の幸せに結びつく御返答であることをお願いします。

 私も、令和となりまして元号が改まるということは、一新紀元を画する、そういう日本のよき風習かなと思います。新鮮な気持ちで頑張ってまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 まず冒頭、選挙の際には陣中の事務所にお立ち寄りくださるとともに、私の選挙はがきの推薦人にお名前を連ねてくださった仁坂知事に御礼申し上げます。ありがとうございました。

 県議選を終えた後の市議選のさなかに、4月16日かと思いますが、仁坂知事が支部長を務める内外情勢調査会和歌山支部の月例の勉強会に出席いたしました。会場のアバローム紀の国には500名からの参加で、にぎわっておりました。県の幹部さんもたくさんお見えでございました。

 「和歌山県のこれまでと今後」と題した講演は、わかりやすい資料とともに、あなたの軽妙な語り口も相まって、充実した内容に参観者も満足したことと思います。

 また、講演を終えた後、時事通信の女性記者から少子化対策の効果等についての質問があり、それに答えた後、「時事通信の質問だとやらせみたいやね」とあなたがおっしゃるもんですから、「それでは私が」と手を挙げて質問いたしました。

 和歌山県勢の衰えの分析やら道路網の整備の進捗、ミカンや観光の伸び、IT産業の白浜への誘致、ワーケーション、ロケット打ち上げ射場の串本誘致の成功、そういった話題とともに、最後にIRの話で締めくくられたわけですけども、和歌山の指導的立場の方が大勢集まっていらっしゃるこういった会場ですから、知事の熱弁に触れた直後に、それこそ民意をはかる意味からも、アンケートをとるなり、あるいは挙手してもらって賛否を尋ねるなりして進めたらもっとわかりやすいのにな、いずれ議会での賛否を問われる私議員としても参考にできるのになあ、そう思ってお尋ねしましたところ、あなたの答えは「アンケートをとるとか、あるいは住民投票するとかといった気持ちは全くありません。中さんの言われるようなやり方には賛成しないし、歴史的に見ても、それに頼ってとんでもないことになったものがいっぱいあります」との答弁でした。時間切れで再質問はできなかったものですから、改めてお尋ねします。

 こういったIRの大きな重大施策も含めてですけども、私はそういう一個一個進めていったほうがいいのになと思うんですけど、あなたがお答えになりました「民意をはかりながら進めていった事業や政策というのはとんでもないことになったことがいっぱいある」、こういうことでございましたんで、そのいっぱいの事例をここでお示し願いたいと思います。よろしくお願いします。

○議長(岸本 健君) ただいまの中拓哉君の質問に対する答弁を求めます。

 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 中議員とはこれまでもIRに関する県民投票に関して議論してきたところでございますけれども、世論や世の中のムードだけに頼ることは、時に混乱を招き、誤った方向に進んでいく危険性があると私は思っておるわけでございます。

 現在の世界情勢に目を向けますと、大変話題になってるのが、イギリスのEU離脱のブレグジットの問題であります。これもきっかけになっているのは、もともといろんな議論があったんですが、是非について行われた国民投票によって加速されてるというふうに思います。キャメロン首相は自分の考え、すなわちこれはもうEUに残留しないとイギリス経済は破綻するというようなことを──国民投票で補強したのではないかというのがきっかけだというふうに言われております。スコットランド独立の投票も同じように、キャメロン首相からするとうまくいったので、味をしめたんじゃないかというふうに言われてるわけでございます。

 一方、日本の歴史を振り返りますと、日清戦争終結後のフランス、ドイツ、ロシアによる三国干渉に基づいて、日本政府はこの干渉の勧告を受諾したわけでございます。また、日露戦争で勝って、ポーツマス条約の締結によって、例えば賠償金が一銭も取れなかったというようなことについて、世論が大いに反発して社会の混乱を引き起こしましたけれども、時のそれぞれの外務大臣である陸奥宗光とか小村寿太郎は、日本が現実的には戦争を続ける能力が乏しいと、ほとんどないというふうにちゃんとわかっていたので、みずからの政治生命をかけて戦争終結に持っていったというふうに思います。その結果、当時の世論は非難ごうごうでありまして、日比谷焼き打ち事件なども起こりました。あのとき彼らが自分の地位を守る、またはみずからを正当化するために国民投票でもしていたら、多分、日本はどうなったのかというふうな思いもいたします。

 また、さきの太平洋戦争──大東亜戦争と言えと言う人もいますが、この前には、メディアや国民も含めて戦争へ傾倒していた、そういう時代であります。本来ならば、国の指導者はいろんなことをよく知ってるわけですから、生産力の彼我の差、国力の差などを知っているわけで、これは戦争は避けるべきだと判断しなければならないはずのその指導者が、迎合的にしか行動できなかったというのはやっぱり問題であったと思います。戦後になると、これが全部ひっくり返るわけでございます。

 このような事実がある中で、例えば太平洋戦争の前に国民投票を行ったとして、「米英をやっつけるべきか、懲らしめるべきか」と設問すると、イエスとなる可能性はあったと思いますが、「米英に勝てるか、負けたときは国が滅びるがそれでもよいか」というふうに設問して、当時の国力の差などを情報開示すれば、それは別の意見が大勢になっていたかもしれません。

 最近においても、民主党への政権交代時、「コンクリートから人へ」のムードが大変高まりました。その結果、紀伊半島一周の高速道路の完成が遠のき、御坊─田辺間の高速道路の4車化が一旦白紙になり、取り上げられてしまったわけであります。結果的にはこれは本県の発展に大きな影響をもたらしたと思いますが、その際に、それに反対をする私に対して、「コンクリートから人へはいい政策だ、賛成だ。知事は風を読めないやつだ、KYだ」と言って批判をする人が、和歌山県ですら恐らく県民の半分はいたんじゃないか、そういうふうに私は思っています。

 しかし、例えば「高速道路の順番を待たされていた、ついにその順番が来た本県にとって、そういうふうにすることが大打撃なんだけども、それでもあの政策は賛成か」と、そういうふうに正しく聞けば──「正しく」とあえて言いましたけど、そういう聞き方をすれば、これはまた別の結果が出たかもしれないというふうに思うわけです。

 このように、簡単なワンフレーズによる投票やアンケートは、政治家としてはある意味楽な民意の捉え方でありますし、それに沿っているということでみずからの立場を正当化し、身を守る便利な方法でもあると、少なくとも私は思っておりまして、自分自身としては、このようなある意味の方法をとろうとする人たちに対しては批判的であります。

 さまざまな政策判断を行う上で、間違いはないか、少しでもよい方法はないか、世の中のムードや傾向により状況判断が誤っていないかなどと考慮して、まさに陸奥宗光の言葉をかりれば「他策なかりしを信ぜむと欲す」ということを基本として政治のかじ取りを行うべきであるというふうに思っております。

 主権者たる国民、県民、住民には、いいところも悪いところも全部情報開示して、丁寧に説明して、その上で選挙の際には信を問うていくべきではないかと思っております。

 さらにその上でも、個別の人々の不安や批判はよく察知をして、その上で総合的な判断に立って進路を決め、しかもなおかつ、誠実に丁寧に、かつ慎重に政策を進めていかなきゃいけないと思うし、そのようにやってるつもりであります。

○議長(岸本 健君) 中 拓哉君。

  〔中 拓哉君、登壇〕

○中 拓哉君 御答弁ありがとうございます。

 最初に示してくれましたイギリスのブレグジットの問題は、今の民主主義の中ですから知事が引き合いに出すのは当を得てるといいましょうか、そういうことで国民は離脱を決めたけども、いまだに混乱が続いておる、それはまさにそうです。それこそ僕は民主主義だと、反面思います。

 あるいは、IRA初めスコットランドとの紛争がもう長年の懸案でございまして、それが落ちついたのはええけども、このブレグジットの問題にしましても、アイルランドとの国境のことについては比較的スムーズにいかそうとするんやけども、ヨーロッパを渡るときのことが難しいと、そういったことも背景にあるようでございますから悩んでんねやろうなと思います。

 後で出された戦前のことについては残念ながら民主主義がまだ完成もしてないときのことでございますんで、あるいは、当時の政府も民意を高揚するためにいろいろ講じたことでございますんで、一概に知事が私のアンケート、住民投票しましょうねということの間違った判断の一つというのはなかなか当たらないんではないかな、かように思います。

 また、陸奥さんも私も尊敬しますんで、「他策なかりしを」というのは全くそうでございます。それぐらい自分を責めてといいましょうか、自分に厳しくして、ほんまにこれやな、だから進むんだ、それはいいんですけど、ある面、例えばIRの誘致のことについても、知事さん1人で御判断できるんであれば御判断、悩んで、それこそ心労を尽くして決断するということがあるかわかりませんけど、仕組み上もやはり議会の同意を得なきゃならないわけですから、二元代表制で、知事1人が意思を決めれる専決事項みたいなことではないわけですから、やはり問われる私たち議会のほうとしましても、同じように悩んでいかなあかん。

 そういうときに、何も私は県民投票で例えば諾否を決めて、それが全てということはないと思います。それはやはり憲法に書かれているように、地方自治体の大きなことでしか住民投票ではできませんから、こういう政策一つ一つはそんなことはないんですけど、やはり私も議会制民主主義で住民に選出された以上、自分の意思を決めるときに参考にしたいんです。

 先ほどおっしゃったように、今、太郎さんの質問にもありましたけど、3000億民間が出しても元取れる。そやろな、やっぱりカジノやもんな。普通の国際会議場です、美術館です、ホテルです、そういったことでは3000億は解消できない。しかし、カジノがあるからできるんだ。そういうもとに成り立つ話ですから、そういうことも含めて3000億投資してくれる会社。おっしゃるように、たくさん雇うてもくれます。あるいは、その上がりの中から県へもたくさんのお金をくれます。それはいろいろ有用に使えることですから、県民の方からしたら、そういうことで福祉が進むんならそういう判断もあるでしょう。そういうことをオープンにしながらやっていくことは当然大事ですし、そのときに住民に聞くという。だって、前には県民意識調査やってるんですね、数年前には。そういう意味からも、やることにちゅうちょすることはないのにな、そのように思えたもんですから、こういうことを思ったわけです。

 どこまでも二元代表制の中で、私自身がここで決断迫られるときに、住民の意向はどうやったんかなということを──何もそれで従うわけじゃありませんよ。さっきおっしゃったように断じて行かんなんこともあります。住民がこうやと言うても、そうじゃないんだと。

 例えば、例えは適切かわかりませんけども、今、沖縄の基地の問題、普天間という危ない基地、これをほっといてええんか、あるいは辺野古へ移してええんか、そういったことは住民投票もしました。しかし、だからといってそれが決定力を持ったわけではないんですから、事外交に関してはそんなこともあるでしょうし、その他の問題につきましても、あるいは原子力の問題についてもそんなことがあるかわかりません。そういうことの中で民主主義が成り立ってるわけですから、前に和歌山県がなさった県民意識調査だけでもすればいいのにな、あるいは諮問型の住民投票みたいなこともすればいいのにな、かように思います。

 和歌山市も当事者ですから市長も自分の判断でできるんですけど、議会に聞くと言うてますし、民主主義のそういった装置を使いながら慎重に進めていけばな、かように思いますんで、そのことは意見として申し上げたいと思います。

 次に、県庁職員の働き方改革、非常勤職員の処遇の改善についてお尋ねします。

 政府が進める働き方改革の柱に、同一労働同一賃金というのがございます。同じ仕事をしたら同じ賃金、至って当たり前の話でございます。

 ところが、県庁には常勤の職員と非常勤の職員という分け方があります。私たち議員のように議会開会中のみ出勤の義務のある特別職の公務員もあれば、毎日出勤しなくても報酬はもらえてる各種委員の委員さんなんかもございます。また、私らも議会がなければ別に県庁へ出てこなくても定例日に報酬はいただいております。

 一方、県庁には、毎日出勤し真面目に勤務していながら、非常勤の公務員としての分類をされて、その中でも報酬の支給が月額で定められている職員もあれば、日額で定められてる職員もおります。幾ら説明を聞いても日給支給と月給支給の違いがわかりません。

 地方自治法203条の2にただし書きがありまして、条例で特別の定めがあれば勤務日数に応じなくてもよいとする規定を援用しているようです。それでその規定は、例えば選管の委員さんであるとか、労働委員さんであるとか、あるいは収用委員さんであるとか、それこそそれこそ毎日県庁に出てこなくても、事あるごとに来て会議して、それを月額で払う、そのような方々を条例で定めておけ、こういうことやろうと思いますけど、そうじゃない非常勤の職員のことの日給支給と月給支給のことを所管さんに、各所属長だといいますから、聞こうとするけど、やめとけと言います。

 県庁の本庁や出先の振興局といった公務所で公務の仕事を毎日していることに違いはないのですから、職員給料と同じように決まった日に支給すべきではないでしょうか。

 203条でいうところの報酬を支給すべき職員とは、先ほど申し上げましたけども、この法律の中で列記されている私ども議員や、あるいは委員会、審査会、審議会、調査会の委員といった、あるいは選挙のときにいろいろ報酬をくれる立会人や選挙の管理者といった、そういったことしか読めません。

 来年度から会計年度任用職員制度の適用が予定されておりますし、承れば、6カ月以上週15時間30分以上の勤務の職員には期末手当も支給してよいとのことでございます。毎月同じ日に同じように決まった日に支給してあげるべきが本来かと思いますけど、総務部長、お答えください。

○議長(岸本 健君) 総務部長田村一郎君。

  〔田村一郎君、登壇〕

○総務部長(田村一郎君) 非常勤職員の報酬につきまして御質問がございました。

 常勤職員の給料は、その月の勤務日数にかかわらず、勤務した当月中の21日に支払うということになっているのに対しまして、非常勤職員の報酬については、毎月の月末に勤務実績を確認した上で支払うことになっておりますので、できるだけ早く支払うべきものと考えているところでございます。

 その支給日については、毎月の勤務状況等を確認した後、県や金融機関における支払い手続として最低5日の日数を確保した上で、現在設定しているところでございます。

 議員の御指摘は毎月同じ日に支給してはどうかということでございますが、それは現行より支給日が遅くなることも考えられますので、県といたしましては、翌月のできるだけ早い日に支給してまいりたいと考えております。

○議長(岸本 健君) 中 拓哉君。

  〔中 拓哉君、登壇〕

○中 拓哉君 総務部長、ありがとうございます。

 できるだけ早い時期にと言うんですけど、4月分の給料を私らは21日が4月の19日にくれましたね。それは土日を挟むから前倒しでくれるんです。一方、こういった非常勤の職員さんは4月の給料をいつ受け取ったか御存じでしょうか。

○議長(岸本 健君) 総務部長。

  〔田村一郎君、登壇〕

○総務部長(田村一郎君) 大体、事務補助職員になりますと、金融機関の5営業日後という形になってございます。

 4月の給与につきまして、翌月5月の金融機関の5営業日後になってまいりますと、ことしにつきましてはかなり多くのゴールデンウイークでございましたので、ちょっと正確な日付につきましては今すぐ計算できませんけども、休みが、ゴールデンウイークが明けて、そこから5営業日後の日に支給されたものというふうに考えているところでございます。

○議長(岸本 健君) 中 拓哉君。

  〔中 拓哉君、登壇〕

○中 拓哉君 そのとおりで、5月の13日なんですね。また、6営業日と決められた人もありますから、5月の14日なんです。ちょっと気の毒やなと思ったんが、そもそもこの問題の発端でございます。

 それで、条例読みましたら、非常勤の調査員、嘱託員等の報酬及び費用弁償の条例というのがもう昭和の二十何年にできておりまして、その後改正を重ねながらですけど、その中には「報酬の支給方法については、一般職の職員の例に準じて」というふうになっています。任命権者が定めると。だから例に準じてするんです。あるいは一般職員の例によるという規定もいっぱいあります。そういう意味からすると、5月については、私ら4月の19日やのに、あるいは一般職員は4月の19日やのに、5月の13や14までというのは準じてないように思えて仕方ありません。

 それで、来年度の令和2年度から会計年度任用職員制度というのが決まってまして、いろいろ改善できるようでございます。さっき言うたようにボーナスも出るそうですけども、そういったちょうどいい機会ですから、この際、仕組みを改めて、4月の給料が5月の5営業日ということでなしに、例えば5月の13なら13、15なら15、真ん中まで来たとしても決まった日に支給してあげてるほうが職員さん、働いてくれてるアルバイトの職員さんなんかも当然しやすいと思うんですね。

 そういう意味からも改善につながると思いますんで、一般職と同じ日に、同じ例に倣うように改善されてはいかがでしょうか。

○議長(岸本 健君) 総務部長。

  〔田村一郎君、登壇〕

○総務部長(田村一郎君) 議員、今御指摘ありましたように、来年度から会計年度任用職員という制度に非常勤職員の制度が改まってまいります。その中で、非常勤職員の制度はもろもろ、いろいろと整理していかなきゃいけないというところで、今作業しているところでございます。

 その中で報酬の支払いについても、当然その中に入ってくるわけでございますけども、基本的な考え方としては、これまで申し上げたとおり、非常勤の方につきましては、前の月に働いた勤務状況を確認し、それから支払うと、こういうふうになっているところでございます。

 働きましたら、なるべく早目にその勤務に応じて報酬をお支払いするというのが好ましいのではないか、適切ではないかと私どもは考えておりますので、そうしますと、今の議員御指摘のような形で、例えば13日とか、そういった日になりますと、実際ほかの月になってまいりますと、現行の仕組みでしたら5日、6日とかもっと早い時期に支払うことができたものがもっと遅くになってしまうというふうになってまいりますので、考え方としては今までどおりを考えているところでございます。

 以上です。

○議長(岸本 健君) 中 拓哉君。

  〔中 拓哉君、登壇〕

○中 拓哉君 いや、そもそも、その非常勤の職員というのがくせ者でございまして、県庁の中で、公務所で公務について現に仕事してるお互い同じ職員ですよね。また、働き方改革の中で、今までの非常勤、非正規は6割やから8割にせえと、こういうことで国もやってますし、当然、だから県庁、役所のほうでも給料は上がっていくんかわかりませんけども、そのように待遇をやっぱり同じように並べていくということを考えたってほしいと思います。役所で仕事をしてて同じように机並べてんのに、違うのは何でよ、こういうことですから提案したわけでございます。このことについては、しつこくまた言っていきたいと思います。

 それで、次に職員さんの、これも関係しますけども、職員録についてお尋ねします。

 皆さんもお手元に来たと思いますけど、毎年5月の連休明けに配ってくれます。あるいは、私ら自分の家でも要るし、車の中も置いときたいし、事務所でも要るしということで数冊買うわけですけども、ことしは選挙があって改選されるということなんで、5月の連休明けではなくて、5月の臨時議会の議長選や監査委員の選任同意を待つ必要から、5月21日付の通知をいただきました。それにより、30日午前10時から配布と書いてくれておりました。

 実は、平成25年のことですけど、職員録を見てましたら、知事や下さんのページが一番最初にあるんですけど、そこに住所や電話が載ってなかって、次に3ページぐらい連なる議員には住所や電話番号が載ってるんで、不思議やなと思って調べました。知事のお住まいの高松の官舎も、当然官舎ですから税金で維持してます。あるいは、引いてる固定電話も税金で払うてるから電話番号持ってます。そんな意味から、税金で使うてんのに知事の住所や電話番号が載ってないのはおかしいなと思って、各都道府県を調べました。

 そしたら、そのついでにこの体裁も、議会を大事にしてくれてんのか後回しにしてくれてんのかということも含めて調べましたら、富山や愛知、高知の3県だけが議員のページが最初で、あとは知事さんが先で和歌山のように私らで、もっとひどいのは、一番最後のページでついでに議員のページというのもありましたけども、それはそれぞれ県が考えてるんでしょう、そこまで言いません。

 ただ、そのときに現物も送ってもらって、問い合わせだけじゃなしに現物も見てみました。そうしますと、発行日もいろいろありまして、4月1日付で発行してるところが多かったです。その上で、なるべく4月1日付やけど5月に渡さんなんので、その後異動あったら訂正してますけど、追っつかない場合は差しかえでお願いしますというような、そんな断りも載っておりました。

 また、今回、和歌山県の場合は、私や職員さんや県民さんが買うときは750円です。あるいは、県自身が互助会から買うわけですけど、買いそろえて東京事務所で和歌山県に縁のあった、今回、田村さんでもそうですね。いずれまた戻られたらそうなるわけですけども、そんな方々に配る分やら、あるいは記者クラブに差し上げる分やら、あるいは各課ごとにせめて1冊は必要やろうと、こういうことは公費で848冊は、何と私らに750円で売っておきながら600円という二重価格であることもわかりました。

 3月末の人事のデータ、3月の二十何日にくれますね、異動表。そういうデジタルデータを印刷するだけの作業にもかかわらず、毎年5月の連休明けまでもかかったりしてること自体、僕は疑問を感じました。さらに、改選期に、先ほど申し上げたように、臨時議会を開いて、その上で議長、副議長決まらなんだら出せない、こんなことをする理由がわかりません。

 特に、今回は5月30日午前10時に配布、一旦はしたんです、赤表紙。ところが、回収されて赤色の装丁から青色の装丁に変わりました。赤色やったらわかりやすかったのに青色にされたんで、平成26年と間違うような形になってしまいました。

 令和元年版が6月13日までおくれた理由を御説明願います。

○議長(岸本 健君) 総務部長。

  〔田村一郎君、登壇〕

○総務部長(田村一郎君) 職員録の配布につきましての御質問がございました。

 議員の御指摘のとおり、職員録の作成、販売は一般財団法人和歌山県職員互助会が行っているところですが、職員録の配布時期については、人事異動発表後、原稿の作成及び校正に最短でも1カ月余りの期間を要することから、例年5月中旬となっております。

 ただし、県議会議員選挙が行われる年については、できるだけ正確な情報を掲載すべきという観点から、臨時議会において議長、副議長が選出されるのを待ってから印刷製本を開始するため、配布時期が遅くなります。

 今年度も5月の臨時議会で議長、副議長が選出された後、印刷業者に直ちに作業に取りかかってもらいましたが、納品された職員録を確認したところ、議員の掲載ページにおいてふぐあいがあったため、配布を中止して印刷をやり直しました。

 今回、職員録の配布がおくれたことにより、議員を初め職員録を購入して活用いただいてる皆様に大変御迷惑をおかけしました。

 今後とも最新かつ正確な情報を掲載した職員録をできるだけ早く提供できるよう、職員互助会と連携して取り組んでまいります。

○議長(岸本 健君) 中 拓哉君。

  〔中 拓哉君、登壇〕

○中 拓哉君 「大変迷惑かけました」だけでおわびがないのでちょっと残念ですね。

 それと、実は30日に配られたときに、私そのことを、また回収されたというから「何でよ」ということで随分職員厚生室の方に聞きまして、そしたら理由は言うてくれないんです。「いやいや、ふぐあいがあった」と。

 で、私、自分のフェイスブックに、「何かおもしゃいことあったみたいやで」といって赤い表紙の分を写真撮りまして自分なりに発信しました。そしたら、「県費使うてんのかい、もったいないん違う」というような市民の方からの問い合わせがありまして、「それは職員互助会やから県費は使っておりません」と、「職員さん気の毒になあ」と、こんなことの反応があったわけですけども、そうこうしてたら、匿名のはがきが届いたんですね。ほかの議員さんも届いたか知りませんけど、和歌山県の職員録が回収されて、こんなことは初めてですということで、議員さんも知っとけよということで、またどなたかがくれました。言われるまでもなく知ってたんですけどね。

 もう一つ、何でこんな嫌みなこと言うてるかといいますと、この互助会さんから配布のことの御通知がありまして、各主管課の課長さんや会計局長、県議会事務局長、各委員会の事務局長等に5月30日、東別館の1階で配るよという通知があります。当然いっぱい来ますから、時間をずらして10時とか何とかて書いてるんですけど、ここに、議会事務局長にとりに来なさいよということを書いておきながら、とりに行く時間が議会事務局はありません。抜けてるんです。それで、何と失礼やなと。読んだら「その他」がありますから、議会をその他扱いしてくれてんねやなということで私は理解しました。そこもまた、別にここでそのことについては謝ってもらうことはないですけど、一遍互助会たるものの仕事のありようといいましょうかね。議会を別に軽んじてるんじゃないでしょうけども、せっかくつくってるのにそんなん失礼違いますかということです。

 それで、ここで再質問します。

 ですから、ふぐあいがありましたと言いましたけど、それが毎年、職員録配られたら正誤表がついてきます。つくったけどこんな間違いあったんですと、あるいは名字の旧字使わなあかんのに使うてないんですと、そういったことで毎回ありますから、それはもう人間のやることですから仕方ないんですね。それで済ませれるのに、何でわざわざ回収までして、あるいはお金も幾らか、つくるのに340万かかってるといいますから680万になるんかいなと思ったらそうでもないようですけど、そこそこのお金がかかるかと思いますんで、そのふぐあいの内容をここでぜひ言うてください。

 それと、互助会のお金のことですけど、互助会といえども損するわけですから、一体どれぐらいの金額になるものやら、お願いしたいと思います。

○議長(岸本 健君) 総務部長。

  〔田村一郎君、登壇〕

○総務部長(田村一郎君) 職員録の誤りの件でございますが、誤りは議員の掲載順序が従前からのルールと異なるルールで掲載されていたということがわかりましたので、改めたものでございます。通常、幾つかの誤字とか誤りにつきましては正誤表で対応できるかというふうに考えたところでございますが、順序が余りにも違うものですから、これを直すとなりますと正誤表では対応するのは困難であると考えましたので、その全てを直しまして配布し直すことにしたものでございます。

 再配布に当たりまして、追加で必要になった金額はおよそ130万円ということでございまして、そちらは議員が御指摘のありましたとおり、職員互助会のほうで負担して対応するということにしております。

 以上です。

○議長(岸本 健君) 中 拓哉君。

  〔中 拓哉君、登壇〕

○中 拓哉君 順番間違うてたということで、当局が気にしてくれるのは幸いですけども、見せてもらわなわからんけど、そんなに怒らんなんことでもなかったら回収までせんでもええのになあと。先ほど申し上げたように、むしろこういうところの文書の中で軽んじられるほうが僕は問題やと思います。まあ、それにしても、もうちょっと注意払って見てくれてたらええわけです。

 もう一つ申し上げましょう。そうやって議会の改選期を待つことにしますもんですから、残念なことに、改選前の議長さんは職員録にずっと載らないまんまになるんですね。例えて言えば、向井嘉久藏先生、谷洋一先生、坂本登先生、藤山将材先生は、それぞれ改選前に議長をなさったんですけど、どの職員録にも残念ながら議長としては載っておりません。

 一方、中村裕一先生、新島雄先生、前芝先生、岸本先生等は2回載ります。ことしの令和1年と来年の令和2年と、そういう形で議長が載ってしまいます。

 また、もう一つ決定的に、そうやって議会を大事にする、改選期まで待つんだと言うんだったら、平成29年は空位のまんまです。あいたまんまです。これは恐らく浅井修一郎先生が亡くなったからあいたまんまということですけど、そういう対応もあるのに、わざわざ改選期を待って、待った上に間違うてと言ったら嫌みになりますけど、待ってやってるということのもう一つ合理性がわかりませんので、そういうことじゃなしに、もう基準日を決めて早急に渡すように改善なさったらいかがでしょうか。

○議長(岸本 健君) 総務部長。

  〔田村一郎君、登壇〕

○総務部長(田村一郎君) 議員御指摘のように、県議会議員の選挙が行われる年につきましては、4月末に議員の任期が切れますので、職員録ができ上がる5月時点では、議長、副議長不在となりますので、改選前の議長、副議長を掲載するということもできませんので、現行の取り扱いでは議長、副議長が選出されてから、その当該年度の職員録に載せるのが妥当ではないかというふうに考えて、現行の取り扱いをさせていただいてるということにつきまして、御理解いただければと考えるところでございます。

 いずれにしましても、職員録作成に当たりましては、活用される皆様の利便性を考えながら真摯に対応して作成、配布してまいりたいと考えてございます。

○議長(岸本 健君) 中 拓哉君。

  〔中 拓哉君、登壇〕

○中 拓哉君 これ以上は平行線になりますんで終わりますけども、私もよう活用してるんです。これ見ながらいろんなことを問い合わせしたときに、あるいは控室へ来てくださったときに、お名前を一つ一つ確認しながら失礼のないように、非常にありがたい制度です。あんまり責めて、これやめると言われたらつらいもんですから、これからも充実することを祈っております。

 ただ、今さっきの130万が余計な経費やというのは、互助会の資料を見ましたら、ちょうどもうけがそれぐらいなもんですから、ことしはもうけなしということで、印刷屋さんに気張ってもうたんかな、そんな気がしてなりません。それは私の感想でございます。

 続きまして、最近とみに耳にする高齢者の重大交通事故について考えてみたいと思います。

 関係者皆様の並々ならぬ努力によりまして、和歌山県自転車の安全利用の促進に関する条例がこの4月1日に施行されました。そこの第4条第3項に、高齢者の家族や同居人は、自転車の安全利用のための必要な助言を高齢者に行うようにという努力義務規定が設けられております。

 それでは自動車の運転についてはと調べてみましたけども、道交法の改正で、75歳以上の高齢者には認知機能検査等が課されるようになりまして、あるいは違反したときや免許の更新時期に一定の歯どめがかかっております。

 また、免許の返納できる日をもっと便利にしたらということで、平日だけだったのを平日に加えて日曜日も含めるようにしたり、運転経歴証明書の提示でコミュニティーバスが半額になったり、あるいは日高町や由良町では、タクシー券を1万円相当分配券されたりしております。しかし、なかなかほかの市町村に広がりませんし、効果のほどはお寒い限りやと思います。

 そこで、他の自治体の高齢者交通安全条例を調べてみました、和歌山県でもつくったらええかなと思いまして。しかし、自転車の条例のような家族に努力義務を課しているような、例えば自転車のときと同じように、高齢者が車に乗るときに家族や同居人は自動車の運転の安全利用のために必要な助言を行うようにせなあかんとか、そういったくだりはなかなかなくて、もっといっぱい見たらあるんかわかりませんけど、なくて、むしろ高齢者に優しいまちづくりをせえとか、そういう形の高齢者の交通安全条例でございました。そこを見ても、交通ルールを守りなさい、マナーを守りなさい、あるいは安全教育を推進しなさい、広報啓発を促す、こういった文言が並ぶだけの条例でございました。

 一方、池袋や福岡での悲惨な事故を踏まえ、効果的な方策がないもんか、ちょうど6月に質問の機会がありますから考えておりましたところ、コペルニクス的な転換に気づきました。それはどういうことかといいますと、6月11日の東京都議会で、公明党の小磯都会議員、町田市の選出でございますが、彼の代表質問に対して、小池知事が、アクセルとブレーキの踏み間違いによる急発進を防ぐ装置の取りつけに、その費用の9割を補助すると答えたんです。生活に不可欠な自動車を取り上げるのではなく、事故の起こらないように改良すればいい。あ、そうなんだ。そういうことですね。

 早速にオートバックスやイエローハットで調べたところ、「ペダルの見張り番」──これ商品名です。「ペダルの見張り番」や「誤発信防止システム2」といった商品名で用意されておりました。価格も3万円から4万円とのことでした。

 高齢者ドライバーを抱える御家庭では、連夜のごとく、このニュースが流れるごとく、話し合いが持たれております。息子や娘、孫たちから返納を迫られるおばあちゃんやおじいちゃんは「そんなこと言うてもわしにも生活があるやないか」、「買い物や医者通いはどないしてくれんのな、送り迎えちゃんとしてくれんのか」、こういった形の議論になると思います。自己完結以外に解は見出せないのですから、事故の起こらない車に改良するしか答えはありません。

 悲惨な事故を未然に防ぐためにも、和歌山県としても急発進防止装置への補助制度を実施すべきです。ためらう余地はございません。真っすぐな御答弁をお待ちします。

○議長(岸本 健君) 環境生活部長田中一寿君。

  〔田中一寿君、登壇〕

○環境生活部長(田中一寿君) 高齢者の自動車運転による交通事故が毎日のようにニュースになっていますが、高齢者の事故は、判断能力、反射神経、視力の低下など、加齢による身体的な衰えなどが大きな要因と考えられます。そうした事故を防ぐため、県や警察では、高齢者を対象とした安全運転講習を初め、免許証の自主返納を行いやすい環境整備、高齢免許保有者宅への戸別訪問活動など、返納の促進に努めているところです。

 議員御提案の急発進防止装置の購入に対する補助についてでございますが、高齢者による事故が、ペダルの踏み間違いを初め、ハンドル操作の誤り、体調の変化など、身体的な衰えから生じるさまざまな要因により発生していると考えられることから、高齢者の事故防止については、東京都の実施結果もあわせて、どういった対策が効果的か、総合的に研究してまいります。

○議長(岸本 健君) 中 拓哉君。

  〔中 拓哉君、登壇〕

○中 拓哉君 総合的に。いいんですけど、結局、じゃあ返してもらおうかという話になるんですけど、法律でもう何歳以上免許取り上げというようなことが決まればはっきりしますけど、そうじゃない中で、お年寄りの中でも元気な方がおりますし、心配ない方もおります。そういう個々の場合に、毎日のように事故が起こるたんびに家族で、もうおじいちゃん返しなよ、おばあちゃん返しなよという話をせなあかんわけですね。それでなかなか進まないんですよ。かというて、じゃあ困ったときにパトカーが送り迎えしてあげらよと、そんな時代になるわけでもありません。あるいはタクシーをただにしてあげらよ、そんな時代になるわけでもありません。そういうことで、なかなか解が見当たらんわけですね。

 そんなときに、今申し上げたように──お金のある方は、最近、車も自動ブレーキやの、はみ出し防止やのといった形で運転技能もようなってますから、お金にゆとりのある方は、息子があれば、おじいちゃん、おばあちゃんのために買うでしょう。あるいは、高齢者御本人もお金ありましたら、ああ、そうやなと、もったいないけど、事故起こす前に買いかえようか、こういうことがあるかわかりません。それはほっといても進みます。

 そうじゃなしに、今目前に、きょうもまた事故があるかわからん、あしたもまた事故があるかわからん、そういうときに、よっしゃ、わかった、和歌山ではほなこうしよう、何とか安全を届けようというて、補助しましょう──まだ額はどうかわかりませんけども──そういう仕組みを、一歩踏み出すべきが今じゃないかということで質問しました。

 それが無理だと言うんなら、じゃあ先ほどの高齢者交通安全条例みたいなのをつくって、もっときつくお年寄りに「返しませんか」と迫れるような、あるいは促せるような条例もつくってみるお気持ちはありますか。

○議長(岸本 健君) 環境生活部長。

  〔田中一寿君、登壇〕

○環境生活部長(田中一寿君) 家族から返納するよう働きかけてもらうことは非常に大事なことと考えておりますが、議員御提案の条例につきましては、強制力を持った条例を制定することは困難なことから、これまで以上に、本人はもちろん家族に対してもより強く自主返納を促進する啓発活動を続けてまいりたいと考えております。

○議長(岸本 健君) 中 拓哉君。

  〔中 拓哉君、登壇〕

○中 拓哉君 こちらにも先輩議員、今、県会議員として車を運転して元気に活動してくれておりますよね。そういうちゃんとできてある人に迫るのは変な話ですよね。だから難しいんですよ。

 ですから、もう古い車でそういう新しい車によう買いかえんのやったら、もう県が補助出そう、こう決めるということを切に願いまして、また引き続き取り組んでまいります。

 次に、時代の趨勢におくれることなき和歌山県と思いまして、キャッシュレス決済についてお伺いします。

 華美な返礼でおとがめを受けたふるさと寄附のような事例が電子マネーでも起こっているようです。使った金額の20%をおまけにする額が100億円、開始数日で達成したとかで、よくわからないことが起こっております。テレビのコマーシャルを見ても理解不能なことがあり、つくづく私自身の年齢を感じてしまいます。

 スーパーの買い物がICOCAのカードで支払えたり、QUOカードのお金がコンビニで使えたり、便利さを一面享受していましたら、昨年夏、雲南省の昆明や大理へ旅行する機会がありまして、向こうの訪問で自動販売機に硬貨を入れるところがないのに驚きました。中国ではもうスマホ決済が日常でした。

 わからないまんまにPayPayのアプリを入れたり、勧められるままにau WALLETやゆうちょPay、LINE Payをスマホに入れました。娘や息子に手伝ってもらってですけど、そういうことをしました。恐る恐るお店で使ってみるとうまくいき、ささやかながらも快感を味わいました。おまけのポイントもついてくるようでございます。

 先日も、県から提供された資料の中に、総務省とともに県下の事業所に統一QRコード「JPQR」普及事業のペーパーが目にとまりました。消費税10%の10月からはポイント還元事業もスタートするとのことです。キャッシュレス取引には、消費者の所得に関係なく5%が還元されてまいります。お得で便利な仕組みを県民にわかりやすく普及する必要があると考えます。

 海のものとも山のものともわからないことに熱意を燃やすIRよりは、QRへのお取り組みをお願い申し上げます。

○議長(岸本 健君) 商工観光労働部長稲本英介君。

  〔稲本英介君、登壇〕

○商工観光労働部長(稲本英介君) QRコード決済は、クレジットカードや電子マネーと並ぶキャッシュレス決済の一つになります。事業者にとっては、働き手不足対策や業務の効率化、また、消費者にとっては利便性の向上につながるなどのメリットがあるとされています。

 総務省とともに進めている統一QR普及事業は、複数のQRコード決済事業者のサービスをまとめて申し込むことができる利便性のほか、事業期間中は加盟店手数料の率が優遇されるなど、事業者がサービスの導入を検討するに当たり、負担の軽減が図られています。

 現在、この事業の参加を希望される店舗向けに、県内各地で合計35回の説明会を進めており、6月3日の海南商工会議所での説明会を手始めに、これまで12回の説明会を開催したところです。

 また、10月の消費税の引き上げに伴い実施される経済産業省のキャッシュレス・消費者還元事業では、事業期間中の加盟店手数料率の軽減が図られるとともに、例えば地域の中小・小規模事業者の登録された店舗においてキャッシュレス手段を用いて支払った決済に対し、消費者に5%程度のポイント還元が行われるものとなります。

 これらの施策は、県内事業者にとってキャッシュレス決済を導入する絶好の機会となるとともに、消費者である県民のキャッシュレス決済への関心を高める大きな機会であると認識しております。

 県としても、これらを契機として、県内事業者に対してキャッシュレス決済の普及を進め、増加するキャッシュレス決済利用者への対応を図り、県内事業者の振興につなげてまいります。

○議長(岸本 健君) 中 拓哉君。

  〔中 拓哉君、登壇〕

○中 拓哉君 よろしくお願い申し上げます。

 それでは最後に、安全・安心でとうとい命を守る和歌山と長期総合計画で示されておるところの災害備蓄について御提案します。

 平成23年、3.11の東日本大震災の折、砂山消防分団員として、津波警報発令に伴い出動いたしました。避難所となっておりました砂山小学校や和歌浦小学校の体育館に避難していた住民の方々を見回ると、それぞれの方々から口々に現状を尋ねられました。皆さん、避難したものの、情報に触れていないものですから、不安で仕方がなかったんですね。一方、自治会長や校長先生は校長室でテレビを見てましたから状況がわかっておりました。

 そんな経験から、この県議会の壇上から、避難所へのテレビ、ラジオといった情報機材の必要性を訴え、避難所マニュアルに追加してもらいました。

 冒頭で触れました内外情勢調査会の4月の知事に続いて、5月では別府茂さんという災害食の専門家の講演をお聞きしました。災害から考える食の危機管理との観点から、非常食ではなく災害食として備えるべしとのことでした。

 先日のNHKの朝の番組では、末永恵理さんの活躍ぶりが紹介されておりました。山本香苗参議院議員を初め公明党議員の尽力もあり、乳児用液体ミルクの原料となるホエイ(乳清)の関税を引き下げる改正関税暫定措置法の成立を受けて、江崎グリコさんや明治さんが相次いで商品化して販売しております。粉ミルクのようにお湯を注いだ後冷ますといった手間が不要なため、夜中の授乳や外出時や災害時にも有効とのことです。政府も防災指針に明記し、地方自治体の備蓄を促すプッシュ型支援対象物資として被災地支援に取り組む決定をいたしました。

 災害備蓄のみならず、女性の社会参画や男性の育児参加にも大きく貢献する画期的な商品です。これがそうでございます。(現物を示す)こっちがグリコさんで、こっちが明治さんです。清潔な水やお湯を沸かす燃料の確保が困難な災害時に赤ちゃんの命をつなぐ貴重な栄養源になり得る上、自治体が備蓄を進めれば、全体的に自治体がどんどん購入するということで価格の抑制にもつながるそうでございます。

 本県におきましても遺漏なきようお取り組みかと思いますが、現状の実態をお示しの上、ぜひともこれを備蓄するようにお願い申し上げます。御答弁願います。

○議長(岸本 健君) 福祉保健部長宮本浩之君。

  〔宮本浩之君、登壇〕

○福祉保健部長(宮本浩之君) 乳児用液体ミルクについては、本年1月31日、厚生労働省により液体ミルクの販売が承認され、3月5日、消費者庁により液体ミルクが乳児用の特別用途食品として許可されたことから、国内でも乳児用液体ミルクの販売が可能となりました。

 乳児用液体ミルクは、災害時に使用するに当たり調乳用の湯が不要であり、簡単に授乳を行うことができるなどのメリットがある一方で、粉ミルクと比較すると賞味期限が短い、コストが高いなどのデメリットもあります。

 乳児用ミルクについては、現在、社会福祉施設において、消費しながら補充を行う、いわゆるところてん式により粉ミルクを備蓄していることから、液体ミルクの備蓄についても施設での利用動向とともに普及状況などを見ながら検討してまいります。

○議長(岸本 健君) 中 拓哉君。

  〔中 拓哉君、登壇〕

○中 拓哉君 部長、検討するということでお願いしたいんですけど、やっぱりこうやって私ら議会で質問して答えもろうて、やっていって前へ進むとしたら、やっぱり安心を与えてもらうためにやりますよと、お金かかりますけどやりますよと、こういう答弁欲しいですね。

 そしてまた、今現に、最初は備蓄用にええと思って国もやったけど、実はもう若いお母さん方は粉ミルクより便利なもんですから、多少高くても、もう一般に使い始めております。それが、この前のニュースでした。

 そうなってきますと、むしろ粉ミルクにこだわってることが恥ずかしいといいましょうか、変なことになってきまして、「行ったら粉ミルク出されたよ」というようなことになりかねませんので、そういうところで、せっかくところてん方式やってるんですから、こういうことを利用して、多少高いんかわかりませんけども、心配するなと、避難所へ来てくれたらちゃんと液体ミルクあるよ、夜中泣いても大丈夫やよ、湯沸かさんでもいけるよ、こういうことをここで宣言してもらうことが大事かと思いますんで、私の再質問聞いて考えが変わったんであれば、どうぞ御答弁ください。

○議長(岸本 健君) 福祉保健部長。

  〔宮本浩之君、登壇〕

○福祉保健部長(宮本浩之君) 確かに、液体ミルクの有用性は理解しております。ただ、先災といいますか、先に被災を受けたところの状態を今把握したところが、粉ミルクでも余り大きな支障がないというふうに把握してます。

 ただ、そのころは液体ミルクの販売もされてませんでしたから、そういった状況も踏まえて、さらに研究を重ねていきたいというふうに思います。その中で液体ミルクの導入についても検討してまいります。

○議長(岸本 健君) 中 拓哉君。

  〔中 拓哉君、登壇〕

○中 拓哉君 以上で、一般質問を終わります。議長、済みませんでした。(拍手)

○議長(岸本 健君) 以上で、中拓哉君の質問が終了いたしました。

 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。

 この際、暫時休憩いたします。

  午前11時44分休憩

 

  午後1時0分再開

○議長(岸本 健君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 36番楠本文郎君。

  〔楠本文郎君、登壇〕(拍手)

○楠本文郎君 議長の許しを得まして、初めてこの本会議場から、県民の命と暮らし、財産を守るために、私見を交えながら、県知事初め県政の執行責任を担っておられる方々に対し、御質問申し上げることができることは、本当に光栄なことだと思っています。

 御坊市民の負託に応えていくために懸命に頑張る所存でございますが、まだまだ全体を把握し、短く適切に御質問申し上げるには時間が足りませんでしたので、戸惑いながらになると思いますが、御容赦のほどをお願いいたします。

 市民、県民の願いを真っすぐに届けるということを念頭に、今回は大きくは3点についてお尋ねしていきます。

 まず、大きな1点目の質問は、災害から住民の命と暮らしを守るための対策についてです。

 気候変動、地球温暖化の中、集中豪雨、異常な高温、すさまじい強風、さらには、とてつもない台風が繰り返し襲来しています。その上、東海・東南海・南海の3連動地震、南海トラフ巨大地震とそれに続く津波はいつ起こってもおかしくないと言われる昨今です。災害対策は待ったなし、最優先の課題だと言えます。

 御坊市民にとって日高川は豊かな自然環境と命の水をもたらす母なる川ですが、時には牙をむいて大災害を引き起こしてきました。特に昭和28年7月18日のいわゆる7.18水害は、私の生まれる1年前のことですが、そのすさまじさは、折に触れ、聞かされて育ちました。そして、平成23年9月の台風12号による大洪水により、再び大きな被害を受けました。8年近く経過する中でも、復旧の進捗状況と、その上での今後の治水対策は大きな関心事になっています。

 そういう観点から、県土整備部長に6点についてお尋ねしていきます。

 まず、平成28年3月に、二級河川日高川水系河川整備計画が策定されています。この計画は、平成13年10月に策定された日高川水系整備基本方針に沿って、「今後概ね20年で計画的に実施する河川工事の目的、種類、場所等の具体的事項を示した計画である」と記されています。

 昭和28年の7.18水害を受け、昭和56年には日高川総合開発事業の全体計画が策定され、平成元年には椿山ダムが完成しました。もうこれで洪水は起こらないと流域住民の誰しもが信じ込んでいた中で、平成23年9月の台風12号によって大洪水が発生したわけであります。

 二級河川日高川水系河川整備計画は、この洪水被害を受けてから後につくられた計画ですから、日高川本川の計画の位置づけについては、単なる復旧ではなく、今後の同規模の洪水対策が含まれていると考えてよろしいでしょうか。

 この河川整備計画にある日高川町内の若野、入野、平川、船津、坂野川、田尻、三十木、皆瀬、浅間の9カ所については、復旧を伴い、さらに流下能力向上対策を目的として、既に大きな工事として進められています。それぞれの進捗状況の説明と今後の計画についてお示しください。

 また、日高川町江川は、平成23年12号台風以外の大きな台風で相次いで被害を受けたこともあり、支川であるが本川の水位上昇の影響を受けやすいとして、流下能力向上を目的として工事が進められてきました。工事完了のめどについてお聞かせください。

 美浜町内の西川でも工事が継続されています。上流域、下流域の河道掘削、護岸工、堤防の整備等があります。同時に、西川は美浜町内の五つの樋門と御坊市内の大和水門、熊野川の樋門と防潮水門もあわせ、津波対策として遠隔操作化を図る計画になっています。この点でもそれぞれの進捗状況と今後の計画についてお示しください。

 この河川整備計画の中では、下川、斉川、堂閉川、東裏川についても述べられています。御坊市民からすると、それぞれの流域においてのたび重なる浸水は一刻も早く対策を講じていただきたい流域です。被害の実情と現状は県においても十分に把握された上で整備計画に入っていると思いますが、いつになったら改善されるのかと首を長うして待っている状態です。見通しについてお示しください。

 この項の3点目に、椿山ダムの操作規則についてお尋ねします。

 椿山ダムは、昭和28年7.18水害対策として計画され、完成して30年です。平成23年の大洪水は、下流域住民にとってはあり得ないと思わせる洪水でした。現時点では、冷静に振り返り、椿山ダムの果たす役割と限界を受けとめる時期にあると思っています。

 日高川町議会から平成26年3月にまとめられた知事宛ての改善要望書が届けられていることだと思います。この要望書では、1点目に、日高川町が大きな集水面積を持ち、しかも多雨地帯であることからすれば貯水能力は少ないこと、2点目、流入量600トン毎秒からの放流では遅いこと、3点目は、雨のピークが二つ以上ある場合は初期の段階から放流して空き容量の温存を図ることなどが述べられた上で、調整開始流入量を3段階に分けることが提案をされています。

 私は、この要望書を見て、4500トン毎秒で計画された椿山ダムがなぜ4000トン毎秒でこれだけ大きな被害を出したのかがわかった気がしたんです。雨のピークが二つあったのが大きな要因ではないかと思えてきました。参考資料に、お手元に配付をしている資料でございます。すなわち、たまった水をもっと早く流すべきという結論なのですが、大事な問題です。御所見を伺いたいと思います。

 二級河川日高川水系河川整備計画の第3章3.1には、洪水等による災害の発生または軽減に関する目標の記述の中に、「堤防点検を行い、必要に応じて堤防の安全性確保のための堤防強化対策を実施する」とあります。ちなみに、御坊市野口地域、御坊市藤井・吉田地域に関する記載はありませんが、この地域は昭和28年の7.18水害で最も被災が大きく、また、平成23年9月の12号台風では、堤防天端すれすれまで水が来て、「堤防から川の水で顔が洗えた」と表現されているほどでした。椿山ダムの操作が同じで、さきに御質問申し上げた上流域の流下が向上されたなら、左岸の野口、右岸の藤井の堤防は持ちこたえることができるのか、越流はないのかという心配と不安が増幅しています。

 安心が市民全体に共有されているとは言いがたい状況です。野口側で言えば、今の堤防は、基本的には7.18水害時に瓦れきもまざった土砂を積み上げた堤防のままで、御坊市防災センター建設によりその周辺の補強はされているものの、民家側の土手は手つかずであるということです。江川が改善された分、今度は野口堤防に当たる流量が増加するという意見です。

 また、藤井側では、藤井グラウンド前の堤防の両側の補強工事を実施していただきました。このこと自体は緊急対応として歓迎をされていますが、根本的には、若野、江川流域からの流れ込み流量は大きくなり、堤防の老朽化とで持ちこたえられないのではないかという思いは消えません。この点でのお答えをいただきたいと思います。

 さらに、藤井側の堤防は、県道御坊美山線の整備が残されている区間と位置づけられている場所とも重なる部分があります。この未整備区間は、日常的に自転車通学路、通勤路として交通量が多くなった上に、近年は川辺インターへのアクセス道路としても頻繁に活用されており、野口橋右岸取りつけ部は見通しが悪く、危険が増大している道路状況になっています。

 この道路整備に関しては、以前からの課題になっていましたが、道路整備の今後の方針について御説明をいただきたいと思います。

 この項目の最後に、河川整備計画第4章2.2の1)の河道の維持という項目があります。「河道内において、土砂堆積や草木等の繁茂によって川の流れが阻害されないか点検した結果、治水上問題があると判断した場合には──中略しますが──河床掘削や障害物の除去等による流下阻害対策を行い」とあります。

 既につけられている国の30年度補正予算もこうした判断のもとで執行されると思います。ただ、御坊市議会災害対策特別委員会では、野口新橋周辺、御坊市ふれあいセンターゴルフ場前の土砂のしゅんせつ要望が繰り返し提起をされています。現時点でのしゅんせつ予定箇所をお示しください。

○議長(岸本 健君) ただいまの楠本文郎君の質問に対する答弁を求めます。

 県土整備部長髙松 諭君。

  〔髙松 諭君、登壇〕

○県土整備部長(髙松 諭君) 1点目といたしまして、日高川本川の整備計画の位置づけ、日高川町、美浜町の各工事の進捗状況と今後の計画に関するお尋ねをいただきました。

 まず、日高川の河川整備計画についてでございます。

 日高川の河川整備につきましては、これまでの最大規模の洪水でございます昭和28年洪水や平成23年台風第12号洪水と同規模の洪水でも安全に流下させることができる水準を将来的な目標といたしました河川整備基本方針を策定してございます。

 一方、その整備には多大な費用と相当の期間を要することから、早期に一定の整備効果を発現させるため、これまでの最大規模洪水に次ぐ大きな被害をもたらしました平成15年8月台風第10号洪水と同規模の洪水に対して、家屋の浸水被害を解消することを目標といたしました河川整備計画を策定し、段階的な整備を推進しているところでございます。

 次に、日高川町、美浜町の各工事の進捗状況、今後の計画についてでございます。

 この日高川町、美浜町の各工事の進捗状況、今後の計画でございますけれども、日高川本川の河川整備状況につきましては、若野地区、入野地区、三十木地区、皆瀬地区の4地区では、築堤あるいは河道掘削等の整備が概成しているところでございます。残りの五つの地区につきましては、今後着手時期を検討してまいりたいというふうに考えております。

 さらに、日高川支川の江川の整備状況につきまして御質問をいただきました。

 日高川合流点から上流約4.9キロの区間を災害復旧助成事業として平成27年度から着手しているところでございますけれども、工事は順調に進捗しておりまして、JR紀勢本線に近接する区間と本川との合流部の工事等を残すのみとなってございます。

 さらに、日高川支川の西川の整備状況、そして樋門、水門の遠隔操作の状況について御質問いただきました。

 日高川支川の西川の整備状況につきましては、平成29年度から工事に着手しておりまして、下流からの護岸工事や河道掘削を鋭意進めているところでございます。

 この西川につきましては、平成29年度は当初予算の10倍となります補正予算を確保し、また、平成30年度も国において実施されることとなりました防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策、これを活用いたしまして、県の当初予算に対しまして3.5倍となる補正予算を確保したところでございます。

 今後とも、さまざまな機会を通じ予算を確保し、早期進捗に努めてまいりたいというふうに考えております。

 なお、御指摘のありました8カ所の樋門、水門の遠隔操作化につきましては、平成29年度までに全て完了してございます。

 次に、西川の支川の下川、斉川、堂閉川、東裏川の工事計画に関する御質問をいただきました。

 これらの川の浸水対策につきましては、現在下流から進めております西川の本川の整備に一定のめどがつき次第、着手について検討してまいりたいというふうに考えております。

 次に、椿山ダムの操作規則に関する御質問をいただきました。

 椿山ダムの操作規則を大洪水に対応した運用にできないかとの御指摘でございますけれども、議員御指摘の方法では、大規模洪水が予想され、ダム下流で被害が発生する流量となった場合でも洪水調節されることなく、洪水初期の段階から被害が発生してしまう、こういうことになるというふうに考えております。

 したがいまして、避難時間が確保できなくなることや、大規模洪水に至らなかった場合に、本来ダムで守られたはずの生命、財産を危険にさらしてしまうことが懸念されるところでございます。

 例えば、昨年8月23日の古座川の七川ダムでは、台風第20号に伴う豪雨の影響によりまして、ダムへの流入量が短時間で急激に増大したところでございます。下流の古座川の水位につきましても、平常時の水位からわずか4時間ほどで氾濫危険水位を超過したという、こういう状況でございます。

 このような中、ダムでは限界ぎりぎりまで洪水調節を行いました。その結果、大きな被害には至りませんでしたけれども、仮に早い段階からダムへの流入量を貯留せずに放流していた場合、下流の水位上昇と相まって、浸水被害が拡大する事態が発生していたことが予想されております。

 このようなことや、精度の高い降雨予測が現時点ではなかなか困難になることも踏まえると、現状では、御指摘の方法を操作規則に位置づけることはできないというふうに考えております。

 一方、本県では、全国に先駆けまして特別な取り組みを行っております。具体的には、ダムの空き容量を大きくしておくことが効果的であると考え、大規模な出水が予測される場合には、本来は関西電力株式会社が使用することができる容量分の水につきましても、河川管理者の判断によりまして、事前に放流させていただくことができる協定を関西電力株式会社の協力により締結をいたしました。これによりまして、洪水調節機能の強化、拡大が図られ、これまでに椿山ダムでは2回の事前放流を行ってきたところでございます。

 次に、御坊市藤井地区及び野口地区の堤防に関する御質問をいただきました。

 御坊市の藤井地区及び野口地区の日高川本川におきましては、その上流域の河川改修が完了した場合、同地区付近の流量が若干増加いたしますが、その場合であっても、平成23年台風第12号による洪水と同規模の洪水を流下させることができるというふうに考えております。

 また、藤井地区の藤井グラウンド前の約740メートルの区間におきまして、平成29年度より、張りコンクリートによる護岸の修繕工事を実施しているところでございます。

 今後とも、御坊市野口地区も含め、堤防の状態を把握しながら、適切に堤防の維持管理に努めてまいりたいと、このように考えているところでございます。

 次に、県道御坊美山線藤井地内の道路整備に関する御質問をいただきました。

 県道御坊美山線につきましては、日高川沿いの主要幹線道路でございまして、全線でおおむね2車線が確保されているところでございますけれども、議員御指摘の御坊市藤井地内の区間約900メートルだけが未整備の状況となってございます。幅員が狭く、交通量が多いことから、県としては、従来より整備の必要性は高いと考えていたところでございます。

 一方で、平成23年の紀伊半島大水害時には、日高川の水位が大きく上昇し、御坊市内におきましても堤防天端近くまで達するなど、洪水に対する懸念の声が大きいというふうに認識してございます。

 そうしたことも踏まえ、県といたしましては、道路拡幅により河川の断面を狭くすることはできないと判断いたしまして、昨年10月、堤内側──川と反対側でございますけれども、堤内側への拡幅案による人家等への影響について地元藤井区の役員の皆様に説明し、今年度、事業化いたしたところでございます。

 引き続き、道路整備の進め方につきまして、地元の皆様方に説明をし、測量設計に着手してまいりたいと、このように考えてございます。

 最後に、日高川本川のしゅんせつにつきまして御質問をいただきました。

 日高川本川における河床掘削や障害物の除去等による流下阻害対策といたしましては、今年度から野口新橋を含みます天田橋から野口橋間の樹木密集地において樹木の伐採を行い、さらに、再繁茂防止のための除根と掘削も行うこととしております。

 以上でございます。

○議長(岸本 健君) 楠本文郎君。

  〔楠本文郎君、登壇〕

○楠本文郎君 県土整備部長から、6点にわたって丁寧に御説明をいただきました。

 紀三井寺球場ばっかりで予選やってきたんです。まだ甲子園に出たことないんです。ここは後楽園球場ぐらいに位置づけられるのかなあ。かなり緊張しております。再質問をやることがほんまの質問やと思いながら、どうもこれ、再質問し始めたら、1時間の持ち時間が簡単にこの項目だけでオーバーしてしまうというふうに思いました。それで、一定の要望を述べさせていただきたいと思います。

 まず、日高川本川の整備計画の位置づけと日高川町、美浜町の各工事の進捗状況の御答弁を丁寧にいただきました。

 私が思い違いをまずしていたのは、昭和28年の7.18水害もしくは平成23年水害の対応だと思っていました。ではなくて、平成15年8月の台風10号被害を想定して、そこの雨量には十分に対応できるよと。まずそこまでやで。そこから7.18水害対応というのは、やっぱり20年という大きなスタンスで考えて、それ以降のことやでということを答弁されたんですよね。これが、私、市民まだ共有になってないなというふうに思いながら事前のレクチャー、勉強をさしてもらったわけなんです。

 それで、とにもかくにも、長い区間の整備についてはやっていただきました。かなり長い区間を片つけていただいて、あと残るところは、平川、船津、坂野川、田尻、浅間、大体400メートル及び360メートルという区間なんですね。ですから、ここを計画よろしくやっつけていくと。しかし、これを先やるんか、後やるんかという流れは、江川との関係、同時に西川との関係があるよということも答弁をされた中身だと受けとめました。

 ですから、西川は、私ら御坊に住む者にとってみたら、ちょっと高速道路に乗るところまで行くと、どんどん進んできてるというのが見えるんですよね。だから、そこの工事が進んでくるということと、それから海岸線に近いところは西川なんですね。この西川が同時に掘削を進めてもうたら、水は高いところから低いところへ流れるのは当たり前ですから、より流れやすくなるということも、これは素人感覚でもわかりやすいということで、そういう工事が続けられているということもわかりました。

 ですから、その後よら、御坊に関係してくるのは。その後のところの下川と斉川と堂閉川と──地域では「ドウジメ川」と呼ぶ方もおられるんですが、ここでは「ドウベ川」と呼ばしてもらいますが──東裏川と、これ、美浜町や日高町の浸水対策とも物すごう大きな影響がありましてね。とにかく少し大きな雨が降ると浸水になって、行政も、それから議員さんも、これは市町全てですが、「また浸水や。見に行ってくれ」という形で、とにかく引っ張りだこになるというぐらいの頻繁さ、頻度があるわけなんですね。ですから、ここに早く日高川の支川も含めて到達してほしいというのが我々御坊市民のもう偽らざる心情。そして、御坊市民だけでなくて、日高川町、美浜町、日高町もみんなそういうことを願っているということを率直にお伝えしておきたいと思います。

 その要望をお願いしながら、肝心の椿山ダムはどうなのかということでのお話が必ず出てくるわけなんですね。それが皆さんの手元に配付をさせていただいた添付資料なんですけれども、この添付資料にありますように、実はこの事業は4500立米毎秒まで大丈夫だというふうに設計されたという頭があります。ところが、平成23年の大洪水は4500まで行かない4000弱で大洪水を起こしてるわけなんです。そこに何があったんかというのが、直面した日高川町の役場とそれから議会で、すったもんだ議論を続けてきてあって、それが26年の町議会意見として出されてある部分なんですね。

 お手元配付のところで、黄色に塗られている、そこの部分が鍵ではないかというふうに言われています。つまり椿山ダムの設計は、一気に雨が降って4500まで到達して、そこから一気に放流しますよという、このデスクワークなんですよね。ところが、大きな雨が降って、一旦小やみになって、また降り出すと。このときに、いつ水量を流しておくのかというところは、これはダムの運用規程の問題だということで、この間の県と日高川町とのおしゃるきは、まさに「早うあけい」、「いや、そんなに早うあけたら、治水それから電力、対応できない」、ここの話になっているんですね。

 そこのところをどうやって考えていくかというところが、私はこれからの椿山ダムの恩恵をこうむると同時に、被害をこうむるかもしれないリスクとどう向き合うかということだと思っています。

 その分で言えば、最初に読み上げましたけれども、「もう二度と日高川に洪水は起こらない、椿山ダムがあるから」というのは、もう神話にしましょう。特に、線状降雨帯なんかの降り方を見てたら、大きな雨が連続して降ってくるということは、もう当たり前の時代に入りました。そういう降り方の状況の中で、ダムの放流をいつどのようにやるかというのは、これから地元も含めて、もう少し大きな視点で私も勉強してみたいと思っておりますので、今後とも、この問題の投げかけをさせていただきたいと思っています。

 ただ、参考までに申し上げると、平成23年の9月議会に、今回戻ってきました高田由一議員がこの問題を早くからもう指摘をしています。神話にはさせてはならないというところがあったのと、それから、そういう指摘が影響したのか否かなんですけれども、ダムの操作規程の中で、当局からお示しいただいたんですけども、いわゆる事前放流という形で既に24年の6月に作成して──同じ考え方ですね。早い目に放流をして、大きな雨を受け入れるという容量をどれだけあけておくかという物の考え方が既に手を打たれています。

 ただ、これは24年ですが、日高川町はその後の26年に、もっと早うからあけてくれという要望を上げてますから、この検討のほどもお願いをしたいと思っています。

 堤防の問題です。

 左岸の野口側と右岸の藤井の堤防は持ちこたえられるのかということでいえば、先ほど冒頭に申し上げましたように、平成15年の8月台風には持ちこたえられますという、そのままの回答だと思います。

 けれども、昭和の28年、私の生まれる、だから66年前になるんですが、そのときの堤防が持ちこたえられるかどうかということでいえば、私はまだ明確な回答をいただいていないと考えてます。それが、実際に御坊市民の、藤田、湯川、御坊町の皆さん方の受けとめなんですよね。そこのギャップがこんだけあるんやなあと思ってまして、それはまたるる発言をさせていただきたいと思っています。きょうのところは、この程度に済ませます。

 それから、道路整備の問題は、これは御坊市、それから商工会議所、自治連合会、いろんな形でこの堤防の整備というのを要望を上げてられます。どちらにどうということではなくて、いろんなイレギュラーもあったやに聞きましたが、事業化として取り組んでいただけるということを確認して、この項は終わりたいと思います。

 日高川本川の中でのしゅんせつ場所について最後にお尋ねをいたしました。

 1個持ってきたんですが、(資料を示す)これはお願いということで、これはカメラを、写真撮る人たちに向かっても配布されたもんで、和歌山県自然環境室、御坊保健所衛生環境課。ナベヅルなんですね。すばらしく、ナベヅルが集団で越冬をしてくれました。この巣が、予定されてある天田橋から野口橋の区間にあるんです。写真撮られている方から提供いただいたんですけれども、物すごい貴重な、ある部分、ナベヅルというのは編隊を組むんですよね、こんな形で。ですから、とてもきれいな写真なんですけども。この巣との問題というのは、実際事業化するに当たっては、ぜひ地元ときちんと協議の上で取り組んでいただきたいということを重ねて要望しておきます。

 以上で、1項目めの要望を終わらせていただいて、大きな2点目の質問に参りたいと思います。

 高過ぎる国民健康保険料・税の引き下げの課題についてでございます。この点でも私見を交えながら、幾つかの質問をさせてください。

 まず1点目、単刀直入に知事にお尋ねします。私は、戦後日本の復興の中でつくり上げられてきた国民皆保険制度は、日本社会がつくり上げてきた世界に誇れる制度であって、守られなければならない制度だと考えています。いかがでしょうか。

 その国民皆保険制度の根幹をなすべき国保が危機に瀕している。これは、構造的問題だと繰り返しこの場でも答弁をされています。改めて、現在国保の構造的問題という認識と、全国知事会が求めている改善の方向とあわせて、知事のほうからお答えをいただきたいと思います。

○議長(岸本 健君) 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 我が国では、国民皆保険制度により国民にひとしく良質な医療が提供され、その成果として、国際的にも評価される世界最高水準の平均寿命や高い保健医療水準を達成してまいりました。

 国民健康保険は、相互扶助の精神にのっとり、他の医療保険等に加入していない全ての住民を被保険者としており、国民皆保険の根幹をなすものとして重要な役割を果たしております。誰もが安心して必要なときに必要な医療を受けることができる国民皆保険制度は、我が国が世界に誇るべき制度であり、今後も維持していくべきであると考えております。

 しかしながら、現在、国民健康保険は、協会けんぽや健康保険組合などの被用者保険と比べて、年齢構成が高く医療費水準が高い、所得水準が低く保険料の負担が重いといった構造的な問題があるということでございます。

 国民健康保険制度を将来にわたって守り続けるために、これまでの市町村の個別単位ではなくて、平成30年度からは、県が財政運営の主体となり、国保運営の中心的な役割を担うことになっております。しかし、これで長期的には市町村単位の状況は平準化できるわけでございますが、当県のように全体として高齢化が進んで、いわゆる地方の問題を抱えているところは、大都会に比べてつらい状況にあるということには変わりはございません。

 少しでもこれを軽減しようということで、国保財政の安定化を図るために、国民健康保険運営方針に基づき、事務の効率化や標準化などを推進するとともに、特定健診受診率の向上や糖尿病重症化予防、後発医薬品の使用促進などに取り組むことにより、医療費の適正化を推進しているところでございます。

 ただ、問題は、先ほど申し上げたとおりでございますので、高齢化の進行や医療の高度化により今後も医療費が増加すると見込まれる中、国民健康保険制度を持続可能なものにしていくことは国の責任であるというふうに思います。

 このため、全国知事会では、これまでも繰り返し国庫負担金の増額など財政支援の拡充を国に要望してまいりましたが、今後も被保険者の負担軽減が図られるように、全国知事会を通じて要望していきたいと考えております。

○議長(岸本 健君) 楠本文郎君。

  〔楠本文郎君、登壇〕

○楠本文郎君 そこの知事が言われた構造的問題というところが、最も重要な点なんですよね。医療費が高騰してるから、足らん分を税金で賄えという議論をしているつもりはありません。けれども、世界に誇れる制度として行ってきた、築いてきた国民健康保険という制度が今崩れてきている。何でえな、構造的な問題があるからなんだ、これが知事が答弁をされた部分でして。そしたら、この構造的な問題を誰が解決するのかというたら、市や町が具体的な被保険者と対応しながら、県がトータルでプランを立てながら、でも、最終的には費用負担は国が持つべきではないかというのが、この間、知事会の中で進められてきた議論ではないのかというふうに私は把握しているんですね。

 そういうトータルバランスを持っていただいて、二つ目に質問しているんですけども、御坊市議会で長らくお世話になってきました。6月は国保議会と位置づけて、繰り返し発言をしてきたんです。昨年から県が中心的な役割を果たすということになりましたから、この場で細かいところまでほんまは聞かしてもらいたいんですけども──えらいもう早いわ。あともう18分しかないわ。で、どないするかと考えたら、端的に、質問じゃなくて要望していきますね。

 被保険者の負担は限界に近づいてる。これ、もう20年以上前から御坊市では言われとったんですよ。ところが、全国で今それをやっと言うてくれるようになってきたと。で、ペナルティーかけました。差し押さえもしました。けれども、減らへんのです、滞納額が。かなり減った部分もありますけれども、減らへん、なくならへんのです。だから、県が運営の主体者を担うという点から、現場を預かる福祉保健部長の認識のほどはいかがなのかということなんです。

 全国知事会の言われてる定率の国庫負担率の引き上げしかないと私は思ってます。構造的な問題は構造的に取り組んでいかなければ解決しない。富が異常に集中して、格差が生み出されました。富の再分配を行えるのは国しかできないと私は思っています。

 法定外繰り入れをなくせと国のほうは言いますが、市町村が繰り入れをしているのは、被保険者の耐えがたい負担を少しでも軽減するために、必要に迫られて行っているものであって、それをなくすことは被保険者にさらなる負担をかぶせることになると思うんですね。

 ですから、収入の少ない国保の被保険者が高い保険料から逃げるためには、医療にかからない、逃げ出すということしかないというのが被保険者の思いなんですが、この点、福祉保健部長としていかがか、お尋ねをしておきたいと思います。

○議長(岸本 健君) 福祉保健部長宮本浩之君。

  〔宮本浩之君、登壇〕

○福祉保健部長(宮本浩之君) 国民健康保険は、協会けんぽや健康保険組合などの被用者保険のような事業主の負担がないことや、世帯員数に応じて算定する均等割が賦課されることなどから、被用者保険と比較すると、相対的に保険料の負担が重くなっています。

 また、低所得の世帯について、負担能力に応じて均等割及び平等割の最大7割を軽減する保険料軽減措置の対象となっている被保険者の割合は、平成30年度で約63%であり、低所得の被保険者が多い状況であることは認識しております。

 こうした中、県では、保険料の負担を軽減するため、平成30年3月に策定した第3期和歌山県医療費適正化計画に基づき、特定健診の受診率の向上や糖尿病重症化予防など、県民の健康の保持増進を図るとともに、後発医薬品の使用を促進するなど、医療費の適正化を行っているところです。

 また、保険料の納付が困難な場合にあっても、国民健康保険に加入している県民ができるだけ必要な医療を受けることができるよう、各市町村において面談による納付相談を実施し、保険料の徴収猶予などのきめ細やかな対応を行っているところです。

 なお、市町村の法定外繰り入れにつきましては、現在、市町村間の保険料格差をなくすため、県内統一保険料の実現を目指していることから、解消する必要があると考えております。

 いずれにしましても、国民健康保険を持続可能なものにしていくことは国の責任であると考えており、被保険者の負担軽減が図られるよう、今後も国に対し、全国知事会を通じて国庫負担金の増額などを要望してまいります。

○議長(岸本 健君) 楠本文郎君。

  〔楠本文郎君、登壇〕

○楠本文郎君 国の負担を求めていくということが繰り返し答弁をされました。今まで僕ら、御坊で発言してきたと雲泥の差があるんですよ。それぐらいに市民の目線を今、県のほうもわかってくれ始めたのかなと、うれしくて仕方ないんです。ぜひ、この被保険者の生のところをもっともっとつかまえていただきたいと思うんです。

 知事さん、知事さん終わられて、すぐに国保へ入らんといてよ。最高限度額、間違いないんです。2年間、継続医療に。部長さん方も。みんな国保に入ったら最高限度額なんですよ。みんな仕事やめたら国保へ入らないで、つまり収入がなくなってから国保へ入るんです。国保ってそんな制度になってるんですよ。この国保を救おらよということを私、言いたいわけですね。

 その上で、では、国に対してどんなことを求めていくのかということで、公平な負担のあり方について、3点目の質問をしたいと思います。

 国保料でも国保税でも、その負担額は利益を受けるんだからという理由で、平等割、均等割という二つの応益割と、資産割、所得割という負担能力に応じた応能割の二つ、合わせて4区分について、全ての家庭1軒1軒に当てはめられて計算されてきたんです。

 ところが、所得の低い階層がいることによって、応益、利益を受けるという割合に軽減措置がかかりました。今では7割、5割、2割と細かくなったんです。そして、この軽減世帯は今や多数を占める現状になりました。

 物すごい制度が複雑になって、担当者泣かせなんですけれども、後期高齢者支援分が加わって、介護給付金分が加わって、大変なんですけれども、軽減措置が必要になっているということは、利益を受ける者がすべからく平等に負担せよという制度ではなくなって、収入のある人は負担してよ、ない人は軽くしようらよ。応能じゃないですか。このところに入ってきているのではないかと思いますが、部長としてのお考えはいかがでしょうか。

 さらに、ゼロ歳児も利益を受けるからとしてかけられた均等割が、高齢者医療を支えるために負担を求める均等割として計算されている。高齢者医療の支援をゼロ歳児にまで求めるという不合理で異常な負担を求めることになってしまってると。子供の人数が多ければ国保料・税が高くなるのは子育て支援に逆行しているという批判は、かなりの説得力を持ってきており、子供に係る均等割保険料軽減措置の導入が必要だという全国知事会の考え方につながっていると思うんですが、いかがでしょうか。

○議長(岸本 健君) 福祉保健部長。

  〔宮本浩之君、登壇〕

○福祉保健部長(宮本浩之君) 国民健康保険料の算定に際しては、負担能力に応じた応能割と、受益に応じた応益割が設けられております。

 議員御指摘の応益割には均等割と平等割があり、均等割は、国民健康保険の受益者が個々の被保険者であるため、世帯員数に応じて負担するのが合理的であるということから設けられているものです。

 しかしながら、均等割だけでは、世帯員数が多く所得が少ない世帯の負担が過重となる場合があるため、これを緩和させる方法として、世帯ごとに保険料を賦課する平等割が設けられております。

 被保険者全体で制度を支え、被保険者間の負担の公平を図るという観点から、応能割、応益割にはそれぞれ重要な意味があるものと認識しております。

 一方、保険料の軽減措置につきましては、所得額が一定以下の世帯について、応益割に係る保険料の負担を軽減するものであり、低所得世帯の負担が過重となることを避けるために、当然必要なものであると考えております。

 なお、子供に係る均等割につきましては、子育て支援を推進する観点から、全国知事会を通じて保険料軽減措置の導入を国に要望してきたところであり、今後も継続して要望してまいります。

○議長(岸本 健君) 楠本文郎君。

  〔楠本文郎君、登壇〕

○楠本文郎君 1点目、2点目、そして今の3点目、かなりの私たちと意を同じくするという点がはっきりしています。

 ただ、応益を全部なくそらという僕らの考え方と、そうではないよと、役割あるよというのと違いがあるんですが、私らはやっぱり国の責任においてですから、消費税に頼らないで、いかにして高所得・高収入の方から富の分配を受けたものを国保に回すのかということで1兆円の財源をつくろうやないかという提案をさせてもらってるんですが、その方向は何にも県が考えてる方向と逆説的なものではないということも今の答弁でわかりました。

 最後に、国保問題の最後に、実は、国保はどんなに貧乏でも払わんならんのです。払わなんだら滞納処分になります。大体、生活保護が、御坊市の方、65歳で受けたら6万7000円ぐらいなんです。6万6000円の年金で、国保払ろうたら、この生活保護よりも低くなるんです。でも、「私は生活保護は、絶対お上の世話にはなりたない。だって車を運転したいもの」、こういう人がおるんです。だから、全額国費で賄う国の制度が免除制度として必要ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

○議長(岸本 健君) 福祉保健部長。

  〔宮本浩之君、登壇〕

○福祉保健部長(宮本浩之君) 国民健康保険は、被保険者相互の支え合いに基づき、負担能力と受益に応じた保険料を負担していただく制度であります。

 世帯の所得が低く、保険料の負担が過重となる場合は、保険料のうち均等割と平等割で構成される応益割を軽減する措置がありますが、軽減額の上限は7割となっております。軽減後の保険料を負担することにより生活保護の最低生活基準を下回る、いわゆる境界層の世帯につきましては、生活保護法による必要な保護を受けることができ、最低限度の生活が保障される仕組みになっております。

 先ほどからずっと申し上げたんですけども、相互扶助の保険制度でありますから、お互いにやっぱり負担するという認識がまず大事であります。ですから、支払うということをまず確定して、ただ、同様にその方の生活を守ることが必要でありますから、生活保護を適用して、生活を守っていくということになっております。

○議長(岸本 健君) 楠本文郎君。

  〔楠本文郎君、登壇〕

○楠本文郎君 ここらがちょっと違うところなんやろな。国保の御利益を受けるという思いは皆さんに大事なんですが、払える国保にしたいということを申し上げて、ここのところはこれからの議論に、またやりたいと思います。

 大きな項目の3点目の質問をさせてください。

 和歌山南漁協の補助金不正受給という問題が発覚しました。この問題は、昨年4月の漁協組合員による内部告発がきっかけとなり、表に出てきたものです。地方紙が昨年4月27日付で報道したところによると、「放流補助金水増しの疑い」という見出しで報じられました。それを受けて、田辺市が同漁協に関する補助金について独自調査を実施したところ、田辺市でも補助金の不正受給があり、大きな問題となった。これを受けて、南漁協は、昨年5月から弁護士などで構成する第三者委員会を立ち上げて、それぞれ調査結果を意見書という形でまとめ、漁協に対して報告しています。

 漁協の対応などの推移は見守りたいと思います。言うまでもなく、漁業協同組合に対する監督や検査の権限は県にあります。今回明らかになった補助金不正は、現時点では市町の補助であります。しかし、漁協の組織体制や事務管理、財務のいいかげんさが今回の不正を招いたことは間違いないと思うんですね。その点において、監督官庁の県の責任はどうなのかが問われます。

 農林水産部長に単刀直入に伺います。今回の補助金不正問題、県はどう捉えていますか。これまでの県の監督、検査の中ではなぜこうした不正が見逃されてきたのかをお示しください。

○議長(岸本 健君) この際、申し上げます。所定の時間まで残りわずかですので、御注意ください。

 農林水産部長角谷博史君。

  〔角谷博史君、登壇〕

○農林水産部長(角谷博史君) 今回の補助金不正問題については、内部告発をもとに、支出先関係者への聞き取りなど、詳細な証拠調べを経て判明してきたものです。この問題の背景には、広域合併した和歌山南漁協の運営が実質的には旧漁協単位で行われ、組織としてガバナンスが機能していなかったことがあると考えられ、直接的な原因としては、事務処理体制が脆弱であったこと、チェック体制が機能していなかったこと、理事、職員ともに法令遵守意識が低かったこと等が挙げられると考えております。

 県の常例検査では、財務諸表が適正かどうかを確認するため、組合の帳簿を中心に検査をしております。今回の補助金不正問題は、悪質で巧妙な会計処理によるものであったことから、県の検査で発見することは困難であったと考えております。

○議長(岸本 健君) 楠本文郎君。

  〔楠本文郎君、登壇〕

○楠本文郎君 最後に、では県としてこれからどのようにして取り組むのか。他の漁協に対してはどうなのかだけお答えください。

○議長(岸本 健君) 農林水産部長。

  〔角谷博史君、登壇〕

○農林水産部長(角谷博史君) 今回のような事件の再発を防ぐため、新たに設置されたJF和歌山南経営改善策検討委員会に県も参画し、組織のガバナンス体制、事務処理体制、チェック体制及び法令遵守意識を抜本的に見直す改善策を位置づけるよう強力に指導し、先日、組合理事会で方針決定されたところです。

 今後は、改善策が着実に実施されるまでに和歌山南漁協に対して継続的に指導監督を行うとともに、今回の事案については、他の漁協でも起こり得る内部牽制体制や法令遵守体制に係る問題であることから、この機会を捉えて他の漁協に対しても重点的に指導してまいります。

 今回の補助金不正問題につきましては、本来、補助金交付元の市町が主体となって検査を行うものと考えております。しかしながら、県におきましても、県内の漁協に対する常例検査の中で、新たに補助金に係る検査も行うとともに、必要に応じ臨時に検査を行うなど、市町を側面からサポートし、再発防止に万全を期してまいります。

 なお、田辺市が不正または不適正であると推認している事業の財源として一部に県の補助事業が含まれていたことから、その件については、今後さらに詳細な調査を実施した上で事実関係を明らかにし、厳正に対応してまいりたいと考えております。(「御協力ありがとうございました」と呼ぶ者あり)

○議長(岸本 健君) 以上で、楠本文郎君の質問が終了いたしました。

 この際、申し上げます。

 申し合わせ等により質問時間の制限がございます。当局におかれても、また質問者におかれても厳守いただきますようお願いを申し上げます。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 4番堀 龍雄君。

  〔堀 龍雄君、登壇〕(拍手)

○堀 龍雄君 私、このたび県議会選で再びこの場に送り出していただきました。御支持いただきました皆様に、全ての皆様に心からお礼を申し上げます。

 また、一般質問初日の発言の場を与えてくださいました先輩議員、同僚議員にお礼を申し上げます。

 初めの台湾の報告ですけれども、2月議会の予定でおったんですけれども、私のちょっと関係で、できなくなって、おくれましたことをおわび申し上げます。まだ全快とは言えませんので、お聞き苦しいところがあると思いますけれども、御容赦のほどお願いいたします。

 それでは、議長のお許しをいただいておりますので、通告に従い報告をさせていただきます。

 台湾訪問についてということであります。

 平成30年11月5日から7日まで3日間、和歌山県議会日台親善議員連盟に所属する尾崎要二会長、岸本健議長、鈴木太雄議員、中本浩精議員、そして私、堀龍雄の5名が、伊都郡町村会を構成する平野高野町長、井本かつらぎ町長、岡本九度山町長と県内の観光事業者の方々らとともに台湾台北市を訪問いたしました。

 訪問の主な目的は、観光客誘致のためのプロモーション活動と台湾との親善交流をさらに深めるため、関係機関の訪問です。

 5日午後、台湾桃園国際空港に到着後、海南市下津町において世界的なかんきつ分類学者であった田中長三郎氏の研究を行っている大阪大学の伊藤謙特任講師の案内で、国立故宮博物院を訪問し、陳東和副研究員から、同博物館の運営や所蔵品の保存手法と効果的な展示方法について説明を受け、意見交換を行いました。

 同博物館は、書に関する関心が非常に高く、「和歌山県にすぐれた書があるなら、お互いの所蔵物を貸し出し合って行えば、おもしろい企画展ができるのでは」といった提案をいただきました。

 尾崎要二会長のほうからは、「和歌山県には寺社仏閣や歴史に名の知られている方々はたくさんいます。その関係する方々と相談して、そういう企画をぜひ立ち上げていただきたい」と述べられました。

 6日午前、建国の父・孫文の記念堂、国立国父記念館を訪問いたしました。

 御存じのとおり、南方熊楠はロンドンでの遊学時代に孫文と出会い、その後、孫文が日本に来日した際に和歌山で再会するなど、深い親交を結びました。

 平成29年6月に、仁坂知事や尾崎要二会長らが同記念館を訪問したことを契機に、同記念館の史跡展覧室において、南方熊楠に関する資料を展示していただいております。以降、林国章館長が平成29年10月に和歌山県に来られ、田辺市で開催された南方熊楠翁生誕150周年記念式典に出席していただいています。また、この年の11月には、国父記念館で開催された国際学会に県内の南方熊楠関係者らが招待されるなど、交流が進んでおります。

 このたび、梁永斐氏が新館長に就任されたことに伴い、御挨拶と和歌山県について改めて紹介するとともに、南方熊楠顕彰館が所蔵する孫文自筆の手紙のレプリカ5点を県当局とともに寄贈いたしました。梁永斐館長を初め、記念館の皆様と意見交換を行いましたが、手紙からは孫文と南方熊楠がいかに親しい交流をしていたかがわかり、非常に高い関心を持っていただきました。

 なお、11月下旬に、神戸孫文記念館で開催された孫中山・宋慶齢記念地聯席会議に各国の孫文研究者や記念館代表者らが参加されました。県当局が企画した南方熊楠記念館・顕彰館視察ツアーに梁永斐館長も参加され、私たち県議会議員も意見交換の場に参加し、交流を行いました。

 台湾を初め関係国との間で孫文の研究者や記念館のネットワークが構築されており、また、台北の国立国父記念館には台湾内外から多くの観光客や研究者が訪れます。南方熊楠を紹介していただくことによって、和歌山県の情報が発信され、台湾の人々だけでなく、世界の観光客の方々に和歌山県のすばらしさを知ってもらって、和歌山県に来ていただけると期待されます。

 6日午後、県当局が企画した観光プロモーションに、伊都郡町村会の会長、高野町・平野嘉也町長、かつらぎ町・井本泰造町長、九度山町・岡本章町長の3町長と県内の観光業者22名とともに参加し、台北市の文化施設・紀州庵で開催したセミナーでは、現地メディアや旅行会社、一般参加者など約80名の台湾の皆様に和歌山の魅力を紹介いたしました。

 紀州庵は、大正6年に和歌山市出身の平松徳松氏が豪華料亭として建設し、戦後は台湾を代表する多くの文学者を輩出した由緒ある日本建築です。台湾大学や地元の市民のグループが保存活動を行ってくれたおかげで、現在は台北市文化局により重要文化財に指定され、総合文化拠点として台北市民に親しまれています。平成29年10月には、紀州庵の運営やボランティアガイドの関係者17名が和歌山について学ぶため和歌山県を訪れ、県内各地で観光地や施設を視察されました。

 今回のセミナーでは、伊都郡町村会の3町長がそれぞれプレゼンテーションを行い、会長である平野高野町長は、「世界最大の旅行サイトであるトリップアドバイザーで、外国人に人気の観光スポットランキングで7位に選ばれました。このエリアは、高野町、かつらぎ町、九度山町の3町で、高野山を中心とした世界遺産のエリアです。このエリアは、関西空港から車で約50分、電車ではなんば駅から60分と近いところにあり、大変便利です。この高野山が開創された1200年前に、参詣道として町石道が開かれ、世界遺産『紀伊山地の霊場と参詣道』として登録されました。近年では、全長20キロもある町石道を、日本人を初め、欧米人からも多くの方々が歩き、高野山へ参拝されます。高野山の玄関口にある九度山には慈尊院というお寺があります。女人禁制であった高野山に女性が最も近づけるお寺であり、弘法大師の母君が晩年過ごされ祭られていることから、女人高野として親しまれております。また、かつらぎ町に入ると、丹生都比売神社があり、1700年前に創建され、本殿、桜門、太鼓橋、そして鳥居ともに朱色で大変美しい神社で、高野山の守護神であるとして知られております」とも述べられました。

 また、九度山町長からは、大河ドラマで「真田丸」が放映されており、5月5日には、よろいかぶとをまとった武者200人が武者行列を行い、まちを練り歩くイベント「紀州九度山真田まつり」を開催しております。九度山町長からは、「侍、好きですか」とのお声がけに、「好きです」というお声があり、「日本の侍になって、このイベントに参加してください」とのことでした。

 かつらぎ町長からは、「かつらぎ町は高野山と関西空港の間の位置にあり、高野山へ車で行く際にはかつらぎ町を通ります。温暖な気候に恵まれた地域で、果樹栽培が盛んであり、1年を通じてさまざまな果物が収穫できます。また、果物を自分で収穫し、食べ放題で楽しめるフルーツ狩りができ、思う存分楽しんでいただけると思います。ぜひ日本に来てください」とPRをしていました。

 私たちも和歌山県の観光資源や特産品などを紹介いたしました。また、10月に県当局が招聘した台湾の著名ブロガーにも、現地目線で和歌山の魅力を発信していただきました。こういった和歌山に所縁のある施設と連携し、セミナーを開催することで、現地で発信力を持つ方々に対して、より効果的な情報を発信することができたと考えます。

 台湾政府の対日窓口機関である台湾日本関係協会に夕食会を催していただき、張淑玲秘書長ら幹部の方々と、和歌山県と台湾との人的交流や経済交流の発展について意見交換を行いました。

 最終日の7日午前、この日は二つのグループに分かれて、私たちは観光事業者の9名と県当局とともに、和歌山県へ多くの送客実績がある喜鴻旅行社を訪問し、李柏樟副社長らに和歌山県の観光資源を紹介し、さらなる観光誘致を図るため、意見交換を行いました。

 李柏樟副社長からは、9月の台風以後、関西のツアーの販売は苦しい、苦戦しているとのお話がありました。台湾から和歌山県への観光客数は、努力次第ではまだまだふやすことは可能だと感じましたので、県当局には、引き続き細やかな情報提供など現地とのコミュニケーションに努めていただきながら、引き続き積極的なプロモーションを期待する次第でございます。

 最後に、今回の訪問では、伊都郡町村会や県内観光事業者、県当局国際課と観光交流課の職員とで総勢41名という大きなミッション団を結成できたことで、私たちの意気込みと和歌山県の魅力を効果的に台湾の方々に伝えることができたものと考えております。和歌山県と台湾との交流が進んでいることも確認することができ、大変有意義な訪問でした。和歌山県議会としても、今後ともさらに努力をしていくと同時に、関係者とのより一層の御尽力により、台湾との交流がますます促進されますことを期待し、報告といたします。

 2番目の項目に入らせていただきます。

 農薬の登録についてということで、農薬の登録の仕組みについてということでお尋ねをいたします。

 登録されている農薬の種類はたくさんありますが、作物ごとに使用できる農薬が決められているので、防除目的が同じでも、例えば殺菌剤とか殺虫剤とか、多く使われるんですけれども、同じ農薬を他の作物に使用できない場合があります。農家が同じ農薬を複数の作物に使用することができれば、調合の手間も省け、効率的に農薬を使用することができます。また、農薬の登録が進めば、生産コストを下げることにもつながります。

 一方、農薬を登録するには多くの時間と費用がかかると聞いています。

 そこで、農薬登録の仕組みについて、農林水産部長にお尋ねをいたします。

○議長(岸本 健君) ただいまの堀龍雄君の質問に対する答弁を求めます。

 農林水産部長角谷博史君。

  〔角谷博史君、登壇〕

○農林水産部長(角谷博史君) 農薬につきましては、農薬取締法に基づき、農薬メーカーが、使用できる作物や対象病害虫ごとに、薬効、薬害、毒性に加え、残留性などの試験データを添えて国へ申請し、登録されたものだけが製造、販売できることとなってございます。

 なお、申請された農薬は、厚生労働省において残留基準が設定された後、農林水産省で登録されることとなっており、期間につきましては、登録のための試験開始から登録まで約5年かかると聞いております。

 また、費用につきましては、新規登録の場合は250億円から300億円、登録拡大の場合は約1500万円かかると聞いております。

○議長(岸本 健君) 堀 龍雄君。

  〔堀 龍雄君、登壇〕

○堀 龍雄君 新規登録には5年間の歳月と250億から300億円と膨大な費用が必要ですと、また登録拡大では1500万円ぐらい必要ですとの御答弁をいただきましたけれど、登録拡大では新規登録よりも、高額でありますけれども、比較すれば大きな差があるということを今確認されました。

 続いて、登録農薬の推進及びドリフト対策についてということでお尋ねをいたします。

 私の生活している伊都郡は、柿、桃、ブドウ、キウイフルーツに加え、サンショウ等、全国的に見れば生産量の少ない、いわゆるマイナーな作物も栽培されております。

 多くの種類の作物を栽培する理由の一つとしては、高齢化による労働力不足や自然災害に対応するため、いっときに収穫し、収入が入るのではなく、四季ごとに収穫し、収入を得られるように労働力の配分や収入の配分をした農業経営を行っています。

 そのため、一方で、隣接する農地で異なる作物が栽培されているということになり、心配なのが農薬の飛散、いわゆるドリフトです。例えば、柿に散布する農薬が隣接する園地のほかの作物に風などでドリフトしてしまい、登録農薬でない農薬が検出された場合に、出荷できなくなるわけです。登録農薬外農薬の混入に当たります。

 このように、異なる作物が隣接して栽培している場合が多くありますので、幅広い作物に効果があって、かつ幅広い作物に使用可能な農薬があれば、ドリフトの心配が軽減されるとともに、使用する農薬の種類が少なくなることにより経費が削減され、結果、農家の方の収入が増加につながります。

 農家の皆さんも、幅広い作物に使用可能な安全な農薬を期待されますので、農薬の登録を推進していただきますよう、お考えはいかがでしょうか。

 また、農薬の登録が進まない状態において、ドリフトを防止する県の取り組みについて、農林水産部長にお尋ねをいたします。

○議長(岸本 健君) 農林水産部長。

  〔角谷博史君、登壇〕

○農林水産部長(角谷博史君) 生産量の少ない、いわゆるマイナー作物に使用できる農薬につきましては、議員御指摘のとおり、採算性の観点から農薬登録が少ない状況となっております。

 このため、県では、生産現場からの要望に基づき、多様な作物に農薬が使用できるよう、登録拡大に向け、試験場において薬効・薬害試験、作物残留試験を実施しているところでございます。このデータをもとに農薬メーカーが国へ登録申請した結果、サンショウのミカンハダニやシシトウのうどんこ病など、延べ65の農薬が登録拡大されてございます。

 また、農薬のドリフト対策、飛散防止対策といたしましては、風の強い日に農薬を散布しないことや、ドリフトが低減できるノズルの使用などを研修会を通じて指導してきてございます。

 今後も、多様な作物に使用できる農薬の登録に向けた試験の実施やドリフト対策の啓発に積極的に取り組んでまいります。

○議長(岸本 健君) 堀 龍雄君。

  〔堀 龍雄君、登壇〕

○堀 龍雄君 試験場のデータをもとにして65種類の農薬が拡大されたということは、非常に大きいことだと思います。今後も、農家の声を取り上げて、農家の方に喜んでいただけるように研究を進めていっていただきたいなと思いますし、また、風などで飛散するドリフト問題についてでも、物質的な考えで県としても有効な手法を考えていただいて取り組んでいただきたいなあと思いますので、よろしくお願いいたします。

 三つ目の問題に、ドローンの実用化に向けた研究についてということでお尋ねをいたします。

 昨年の11月15日に伊都管内でわかやまスマート農業セミナーが行われました。その中で、スマート農業関連メーカーによる新機種の展示、説明会がありました。その中で私が一番進めるべきであると心の中で思ったのは、ドローンによる薬剤散布でした。

 玉木議員も、平成29年の9月議会でこのことを取り上げて質問されております。そのときの答弁では、本県のような急傾斜果樹園への導入を目的とした取り組みは全国でもほとんど実施されていない状況ですと。また、現在は、果樹試験場において農薬散布の実用化に向けた研究に取り組まれておるということですけれども、その取り組みの状況について農林水産部長にお尋ねをいたします。

○議長(岸本 健君) 農林水産部長。

  〔角谷博史君、登壇〕

○農林水産部長(角谷博史君) ドローンでの農薬散布が実用化されれば、傾斜地果樹園が多い本県において大幅な省力化が図られるものと考えております。

 このため、本県では、平成29年度から傾斜地果樹園でのドローン実用化研究を開始し、昨年度からは国の競争的資金を獲得して、果樹試験場とかき・もも研究所において、国の研究機関やメーカー、他県の試験場と連携し、ミカンと柿においてドローンによる薬剤散布の実用化研究に取り組んでいるところです。

 これまでの散布試験では、薬剤の付着量にばらつきが見られたことから、現在、散布液の量や飛行ルートなど、散布方法の改善に取り組んでいるところでございます。

 また、生産現場への普及を促進する国のプロジェクトに本県の提案が採択され、今年度から農業者のミカン園地において、ドローンによる薬剤散布実証試験に取り組むこととしております。

○議長(岸本 健君) 堀 龍雄君。

  〔堀 龍雄君、登壇〕

○堀 龍雄君 国のプロジェクトに和歌山県の提案が取り入れられたということは本当に重要なことであって、和歌山県で果樹をつくったり、また稲をつくったりすることにおいて、本当に重要なことであると思います。

 1年を通じて全部の農薬散布ができるように努力していただいておると思うんですけれども、この防除には効果が分かれてくるということも先ほどからお話がありました。例えば、薬剤散布が5回やらなあかん、6回やらなあかんという中で、効果のあらわれたとこから、これは1回はドローンでいけますよ、2遍目はいけますよということを早く見つけていただいて、農家の人たちにそのことを教えていただければ、省力化につながって、農家の人たちの農家離れというのも減ってきて、若い人の農業就業人口というのもふえてこようかと思いますので、その点でも、これからももっともっと御尽力いただきたいなあと思います。

 4番目の質疑に入らせていただきます。

 ドローンで使用できる農薬の登録についてということでお尋ねをいたします。

 ドローンは、今後の農業の活性化で、また発展のために、なくてはならない機具だと思います。

 いろいろ調べておりますと、ドローンにより防除できる、使える農薬は非常に少ないことがわかりました。和歌山県には、果樹試験場やかき・もも研究所など多くの試験場があり、先ほどの御答弁のとおり、実用化に向けた研究に積極的に取り組んでいただいておるところですが、さらに農薬メーカーの登録拡大の後押しをお願いしたいと思います。

 そこで、ドローンで使用できる農薬の登録をふやすために、取り組みについて農林水産部長にお尋ねをいたします。

○議長(岸本 健君) 農林水産部長。

  〔角谷博史君、登壇〕

○農林水産部長(角谷博史君) 議員御指摘のとおり、現在、ドローン用の登録農薬は、果樹ではかんきつ類で5剤のみと少ない状況となっております。

 このため、県では、市町村や農協から意見をお聞きした上で、国や農薬メーカーに対して働きかけを行うとともに、試験場において登録拡大に向けた試験に取り組んでいるところです。

 今後も、ドローンによる農薬散布時における指導を徹底することにより、安全性を十分に確保した上で、生産現場からの要望に基づき、ドローンで使用できる農薬の登録拡大を推進してまいります。

○議長(岸本 健君) 堀 龍雄君。

  〔堀 龍雄君、登壇〕

○堀 龍雄君 本当に前向きな御答弁をいただき、ありがとうございます。

 農薬の散布をドローンで行うには、農薬の種類は少なくて、登録農薬を拡大することが本当に必要なんです。陸上散布で認められている農薬をドローンで散布するには、積載量も限られておりますので、農薬の散布の希釈数の変更が必要かと思います。その変更は登録農薬の拡大につながるんではないかなと、そう思っておりますので、初めに述べられたように、新規登録では250億から300億円が必要ですけれども、登録拡大では1500万円ぐらいということになっておりますので、県の果樹試験場やかき・もも研究所で薬効や薬害について試験をしていただいて、大幅な検査コストを削減することができ、農薬メーカーにも登録を拡大しやすくなると思いますので、農家の方々の多くが利用できるドローンの対策に対しても、今後ともよろしくお願いいたします。

 3番目の項目に入らしていただきます。

 ふるさと納税についてであります。

 皆様も御存じのとおりですが、この制度は、多くの人が地方のふるさとで生まれ、その自治体から医療や教育等さまざまな住民サービスを受けて育ち、やがて進学や就職を機会に生活の場を都会に移し、そこで納税を行っています。結果、都会の自治体では税収を得ますが、自分が生まれ育ったふるさとの自治体には税収が入りません。

 そういうことから、今は都会に住んでいても、自分を育ててくれたふるさとに自分の意思で応援したい、また、田舎に年老いた親を残して、せめてもの感謝の気持ちを幾らかでも納税できる制度があってもよいのではないかということで、数多くの議論や検討を経て生まれたのがふるさと納税です。

 実際には、ふるさと納税と言葉になっていますけれど、市町村への寄附行為です。一般的には、自治体に寄附した場合には、確定申告を行うことで、その寄附金額の一部が所得税及び住民税から控除されますが、ふるさと納税では原則として自己負担額の2000円を除いた全額が控除の対象になります。

 寄附をいただいた自治体は、その寄附金の使い方の目標を決めて、基金を積んだりして目標達成に役立てたり、いろんな手法をこなしています。そのお礼として、自治体も心を込めた返礼品を創意工夫をしながら、寄附者に喜んでいただける産品を提供しています。

 そこで、私も提案ですけれども、各自治体には特産品の種類に差があります。その差をなくすためにも、ふるさと納税の返礼品を県内の特産品として提供することにより、和歌山県の特産品を全国各地へ情報発信することができ、特産品の事業所や生産者の活性化を促すことができます。

 その上、県当局がプレミア和歌山も含めて各自治体が出し合った特産品を共通特産品として指定し、運用を開始することにより、各自治体が自由に和歌山県共通特産品を全国に発送できるようにしてはどうですか。そうすることにより、今まで窓口が一つであったものが、和歌山県に30市町村があるので30カ所の窓口になり、宣伝効果も30倍になると思います。返礼品の数もふえ、事業所や生産者は今まで以上に活性化が進まれると思われますが、知事にお考えをお尋ねいたします。

○議長(岸本 健君) 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) ふるさと納税は、生まれ育ったふるさとに貢献したり、応援したい自治体を選ぶことができたりする制度として創設され、年々この制度を活用した寄附額がふえております。

 しかしながら、全国的に返礼品競争が過熱してる状況を踏まえ、このたび制度の見直しが行われたところであります。この制度の見直しにより、ふるさと納税の返礼品を提供する場合に、返礼割合を3割以内にすることと、原則として当該地方団体の区域内で生産されたもの、あるいは加工されたものとされたところであります。

 例外として、複数の市町村による共通の返礼品とか、県と複数の市町村による共通の返礼品を仕組んで提供することも、団体間の同意があれば可能となっております。

 県内の市町村の中には、特産品の種類がごくごく限られているところもありますので、法令を遵守すれば、満足にふるさと寄附を受けられないというところも出てくるおそれがあると思います。したがいまして、議員御提案のように、返礼品の共通化について、ぜひやっていきたいと思っておるわけでございます。

 これは県の産業活性化につながるとも考えられまして、県としては、現在、県内30市町村間で共通返礼品として提供可能な地場産品について意向調査を行うとともに、県が優良県産品として認定、推奨し、その一部を県の返礼品としているプレミア和歌山の商品について、原産地市町村の同意のもと、県と30市町村の共通返礼品とすることで、できる限り多くの品目を取り扱えるよう調整したいと考えております。

 こうした取り組みを通じ、1人でも多くの方に和歌山県と県内市町村を応援していただき、結果的にこれが県全体の産業の発展や県産品のPRになるというふうに狙っていきたいと考えております。

○議長(岸本 健君) 堀 龍雄君。

  〔堀 龍雄君、登壇〕

○堀 龍雄君 ただいま仁坂知事のほうから、本当に前向きな御答弁をいただきました。

 新政策は6月1日から、本当言うたら進んでいるんですよね。まだ調整中ということでお伺いいたしました。各自治体が本当に期待しておりますので、一日も早い実現のために御尽力をいただきまして、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(岸本 健君) 以上で、堀龍雄君の質問が終了いたしました。

 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。

 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。

 本日は、これをもって散会いたします。

  午後2時44分散会

 

このページの先頭へ