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令和元年6月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


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令和元年6月 和歌山県議会定例会会議録 第3号

議事日程 第3号

 令和元年6月19日(水曜日)

 午前10時開議

 第1 議案第109号から議案第132号まで(質疑)

 第2 一般質問

会議に付した事件

 第1 議案第109号から議案第132号まで(質疑)

 第2 一般質問

出席議員(42人)

 1番 鈴木德久

 2番 山家敏宏

 3番 中本浩精

 4番 堀 龍雄

 5番 藤山将材

 6番 岸本 健

 7番 井出益弘

 8番 宇治田栄蔵

 9番 北山慎一

 10番 中西峰雄

 11番 秋月史成

 12番 森 礼子

 13番 濱口太史

 14番 尾崎要二

 15番 冨安民浩

 16番 川畑哲哉

 17番 玉木久登

 18番 鈴木太雄

 19番 岩田弘彦

 20番 吉井和視

 21番 谷 洋一

 22番 佐藤武治

 23番 岩井弘次

 24番 中 拓哉

 25番 多田純一

 26番 新島 雄

 27番 山下直也

 28番 中西 徹

 29番 玄素彰人

 30番 谷口和樹

 31番 藤本眞利子

 32番 浦口高典

 33番 山田正彦

 34番 坂本 登

 35番 林 隆一

 36番 楠本文郎

 37番 高田由一

 38番 杉山俊雄

 39番 片桐章浩

 40番 奥村規子

 41番 尾﨑太郎

 42番 長坂隆司

欠席議員(なし)

説明のため出席した者

 知事         仁坂吉伸

 副知事        下 宏

 知事室長       細川一也

 危機管理監      森田康友

 総務部長       田村一郎

 企画部長       田嶋久嗣

 環境生活部長     田中一寿

 福祉保健部長     宮本浩之

 商工観光労働部長   稲本英介

 農林水産部長     角谷博史

 県土整備部長     髙松 諭

 会計管理者      飯島孝志

 教育長        宮﨑 泉

 公安委員会委員長   溝端莊悟

 警察本部長      檜垣重臣

 人事委員会委員長   平田健正

 代表監査委員     保田栄一

 選挙管理委員会委員長 小濱孝夫

職務のため出席した事務局職員

 事務局長       中川敦之

 次長         中谷政紀

 議事課長       松山 博

 議事課副課長     山田修平

 議事課議事班長    岸裏真延

 議事課主任      保田良春

 議事課主査      伊賀顕正

 議事課主事      大森圭悟

 総務課長       井邊正人

 政策調査課長     中平 博

  午前10時0分開議

○議長(岸本 健君) これより本日の会議を開きます。

 日程第1、議案第109号から議案第132号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。

 11番秋月史成君

  〔秋月史成君、登壇〕(拍手)

○秋月史成君 おはようございます。

 一般質問2日目のトップバッターとして登壇させていただきます。2期目初の一般質問となります。まだまだ緊張は隠せませんが、最後までおつき合いいただきますよう、よろしくお願いいたします。

 本日は、地元西牟婁郡より、「大人の社会見学」と銘打ち、議会傍聴に来られております。県当局の皆様、何とぞ前向きな御答弁、よろしくお願いいたします。

 それでは、議長の許可をいただきましたので、通告に従い一般質問を行います。

 まず初めに、県と市町村の合同の災害図上訓練実施についてお聞きいたします。

 災害図上訓練とは、地図を用いて、地域で大きな災害が発生する事態を想定し、地図と地図上に透明シート、ペンを用いて危険が予測される地帯または事態をシートに書き込んでいく訓練であります。自衛隊で行われる指揮所訓練(CPX)を防災訓練または災害対策の検討に応用したものであります。

 地域住民の皆様及び基礎自治体である市町村の職員、県、国、関係機関の多くの人員を参加させ、実動防災訓練を行うのが理想ではありますが、実際のところ、実動防災訓練を行うのはかなりの困難をきわめるのは私も承知しております。

 和歌山県では、定期的に関係機関と緊密な連携のもと、図上訓練を実施してはおりますが、その中には市町村は含まれておりません。大規模災害発生時は、国の機関や県の力も大切ではありますが、地域を一番知る市町村の力が重要と私は考えます。

 しかしながら、行財政改革が進む中、市町村の職員数も減り、日常の業務に精いっぱいというのが現状かと思います。また、日常の業務にあわせて昨今の防災意識の高まりもあり、基礎自治体においても大規模災害発生時における対応も、県並びに基礎自治体である市町村の重要な行政課題にもなっております。

 しかし、私の知る限り、基礎自治体である市町村の職員と県及び関係機関と合同の訓練実施頻度が低いのが現状です。今後、高い確率で発生が予測される大規模災害に備えて、県と市町村の関係機関を交えた災害図上訓練を実施してはいかがかと考えます。

 幸いなことに、ここ和歌山県では、陸上自衛隊の元1等陸佐が自衛隊を定年退職後、危機管理局災害対策課に勤務しております。陸上自衛隊における高級幹部であった高い指揮能力を有した人材が和歌山県の危機管理局に勤務していただいておりますことは、私も県民の1人として非常に心強いと感じております。その優秀で有能な高い指揮能力のある職員を生かし、市町村を交えての災害図上演習を実施してはと思いますが、県当局のお考えをお答えください。

○議長(岸本 健君) ただいまの秋月史成君の質問に対する答弁を求めます。

 危機管理監森田康友君。

  〔森田康友君、登壇〕

○危機管理監(森田康友君) 議員御指摘の県と市町村を交えた災害図上訓練については、現在、有田振興局や日高振興局において、管内市町の参加も得て実施しているところであります。その際に、自衛隊OBの県職員も参加し、初動体制等についてアドバイス等を行っております。それ以外の市町村については県と合同の図上訓練は実施していませんが、このような訓練は繰り返し実施し、県及び市町村職員の対応能力向上を図っていくことが重要であると考えています。

 県といたしましては、大規模災害時にいち早く被災市町村を支援できるよう、各市町ごとに担当職員を決め、災害時緊急機動支援隊を編成しております。この支援隊員や自衛隊OB職員も含めた危機管理担当職員が各市町村の図上訓練に参加したり、また県の実施する図上訓練に市町村職員が参加するなど、県と市町村を交えた訓練を実施できるよう調整してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

○議長(岸本 健君) 秋月史成君。

  〔秋月史成君、登壇〕

○秋月史成君 昨日、新潟県を中心に広範囲に震度6強の地震が発生いたしました。被災に遭われました皆様に心よりお見舞い申し上げます。

 CPX(図上訓練)は、大変有効な訓練の一つだと思います。御答弁にもありましたように、合同で災害図上訓練をやっている地域とやってない地域があるのが問題かと思います。今後は、市町村と緊密な連携のもと、来るべき災害に備えていただきたいと思います。

 私の選挙区でもあります白浜町では、元陸上自衛隊の3等陸佐が総務課危機管理室に勤務しております。現役時代、もちろんCPXも経験しております。また、自衛隊OBの県職員の方は、制服組の中ではキャリアコースであるCGS(指揮幕僚課程)を修了した非常に優秀で有能な職員の方であります。互いに類いまれな経験を持ち優秀で有能な人材を生かし、来るべき災害に万全の体制で備えていただきたいと思います。

 次の質問に移ります。

 私は、お酒を飲みません。飲酒を好まない分、大食漢で、食べることが大好きであります。和歌山県議会議員42名の中で、恐らくナンバーワンの大食漢だと思います。また、おいしいものの情報を収集し、実際にうまいものめぐりをするのも余暇の楽しみにしております。先輩・同僚議員にお聞きし、地域の隠れた名店情報を収集するのも日課となっております。

 2018年10月12日発売の「ミシュランガイド京都・大阪+鳥取」は、鳥取県内の中古車販売店が営むラーメン店が「ミシュランガイド」に掲載され、大きな話題を集めたのは皆様も御承知のことだと思います。私の同業と言っても過言ではない中古車販売店がラーメン店を営み、それも「ミシュランガイド」に掲載されることにも私は注目いたしましたが、それ以上に私の目にとまったのは、鳥取という県名であります。

 日本が誇る世界的観光地であり、「京料理」の言葉もあります京都、また、日本第2の都市であり、食い倒れのまち・大阪なら誰もが理解できると言えますが、「何で鳥取なん」と感じておりました。鳥取県を決して低く見ているのではありません。全国的にも良質の食材を生産する鳥取県ですので、おいしい飲食店が存在するのは不思議なことではありません。

 ここ和歌山県も、鳥取県に引けをとらない豊富な海の幸、山の幸、川の幸に恵まれた地域で、良質な食材の生産地域でもあります。「水の国、わかやま。」キャンペーンを展開する良質でおいしい水資源にも恵まれた地域でもあります。

 私は、「ミシュランガイド」で紹介されるような隠れた名店は本県和歌山にも存在すると信じております。また、風光明媚で自然あふれる本県和歌山においしい飲食店が存在することは、観光客を呼び込む上で大きな強みとなります。観光振興の観点から、今以上、県内飲食店の振興に取り組む必要があると考えますが、県当局の御所見をお聞かせください。

○議長(岸本 健君) 商工観光労働部長稲本英介君。

  〔稲本英介君、登壇〕

○商工観光労働部長(稲本英介君) 食は、温泉などとともに国内旅行者、訪日外国人旅行者ともに旅の目的の重要な要素となっております。

 本県は、マグロ、クエや熊野牛、ミカン、柿、桃など、温暖な気候や黒潮、果物の栽培に適した土壌などが育むすぐれた食材に恵まれ、これらをふんだんに使用したグルメも県内各地に多数存在しております。

 そこで、県では、和歌山が誇るグルメを提供する県内飲食店を広く紹介し、来店いただくため、昨年度に引き続き、「和みわかやまっぷwithスタンプラリー」を市町村及び観光関係団体等とともに、本年7月から店舗数を拡大し実施することとしております。

 また、観光連盟のウエブサイトにおいて、「和歌山通がおすすめするご当地グルメ情報」と題し、食材にこだわった店舗やおいしいと評判の店舗の情報を発信するとともに、国内外の観光客に和歌山の夜の楽しみ方を紹介する県の多言語ウエブサイト「Nightlife in WAKAYAMA」においても県内各地の飲食店情報を発信しているほか、「水の国、わかやま。」キャンペーン、サイクリング王国わかやま、わかやま歴史物語などの取り組みにおいても県内のグルメ情報を紹介するなど、旅行者の飲食による消費額拡大を図る情報発信に努めているところでございます。

 今後も、食の情報を温泉や体験、絶景など県内の観光資源と組み合わせ、幅広く発信し、一層の誘客促進による県内飲食店の振興につなげていきたいと考えております。

○議長(岸本 健君) 秋月史成君。

  〔秋月史成君、登壇〕

○秋月史成君 引き続き、よろしくお願いいたします。

 次の質問に移ります。

 現在、国策としてキャッシュレス社会の構築を目指しております。本県でも、総務省統一QR「JPQR」の普及事業、導入店舗向け説明会を6月から7月にかけて、県内商工会、商工会議所など計35カ所で開催いたします。キャッシュレス社会に対応し、キャッシュレス決済の導入を促進するため、県内の事業所に説明会を行う施策であります。

 キャッシュから電子マネーに移行していくであろう今後の状況の中、民間企業ではキャッシュレス社会への対応を迫られております。時代の流れには逆行できません。

 そこで質問です。

 和歌山県では、県税を納める方法として、現在では、金融機関の窓口や口座振替による収納、インターネットバンクやクレジットカード決済による電子収納、コンビニエンスストアでの収納がありますが、スマートフォンを利用したキャッシュレス決済には現在のところ対応しておりません。今後のキャッシュレス社会に備え、和歌山県において県税の収納方法にキャッシュレス決済を導入してはいかがかと考えますが、県当局のお考えをお聞かせください。

○議長(岸本 健君) 総務部長田村一郎君。

  〔田村一郎君、登壇〕

○総務部長(田村一郎君) 県税では、納付機会を拡大し、納税される方の利便性向上を図るため、平成19年に、金融機関の窓口収納や口座振替に加え、コンビニエンスストアの収納やインターネットバンキングによる収納を、平成21年にはクレジットカードによる収納を導入するなど、収納方法を充実させてきたところでございます。

 議員御指摘のとおり、県では、国とともにキャッシュレス決済の普及を推し進めており、さらに、10月から実施されるキャッシュレス決済に伴うポイント還元事業により、ますます普及するものと考えております。

 そのため、県税においても、納税者の利便性をさらに向上させるため、キャッシュレス決済を導入していきたいと考えており、納税通知書に記載されているバーコードをスマートフォン等で読み取るだけの簡単な操作で県税の納付ができるようにする予定でございます。

 スケジュールとしましては、年内のできるだけ早い時期に、個人事業税と不動産取得税に導入し、既に今年度の定期課税が終了している自動車税は来年度から利用できるよう、現在、準備を進めているところです。

○議長(岸本 健君) 秋月史成君。

  〔秋月史成君、登壇〕

○秋月史成君 よろしくお願いいたします。

 次の質問に移ります。

 白良浜の階段護岸の築堤についてお聞きいたします。

 昨年、平成30年定例会において、白良浜の高潮・高波対策についての質問に対し、当時の森戸県土整備部長は、「今後も砂浜の整備が完了し十分な消波機能を発揮するまでは、台風接近時の高潮や高波に備え、大型土のう等を設置することを継続せざるを得ない」と御答弁がありました。

 また、私からの「恒久的な対策が必要ではないか」という指摘に対し、「まずは砂の移動状況を注視することとし、その結果、既設の階段護岸の天端のかさ上げが必要と判断された場合には、白浜町や地元関係者等の御意見を踏まえ、整備方針を検討してまいりたい」とお答えいただいております。

 昨年8月末、9月初旬、本県を襲った台風20号、21号、24号により、白良浜に設置された大型土のうが強風及び高波・高潮により吹き飛ばされる事例がありました。1トンを超える大型土のうは吹き飛ばされ、隣接する県道にも砂がまき散らされ、強風や高波・高潮の力の大きさを現場視察で痛感させられることとなりました。もう間もなく台風シーズンの到来となります。約1年が経過する中、昨年と同様の高潮・高波対策では十分ではないと私は考えます。

 そこで、再度質問いたします。

 昨年の教訓を踏まえ、白良浜の恒久的な高波・高潮対策が必要と考えますが、県当局のお考えをお聞かせください。

○議長(岸本 健君) 県土整備部長髙松 諭君。

  〔髙松 諭君、登壇〕

○県土整備部長(髙松 諭君) 白良浜の恒久的な高波・高潮対策に関する御質問をいただきました。

 白良浜の恒久的な高波・高潮対策につきましては、当初計画では、養浜工事を実施しまして、砂浜の幅、浜幅をさらに広げることで、消波機能、波を消したり、あるいは弱くしたり、こういうことの機能でございますけれども、こういった機能を確保することとしておりましたけれども、昨年度まで実施してきておりました砂の移動状況を経過観察した結果、これを実施しても砂が定着せず、効果に乏しいという結論に至ったところでございます。

 このため、浜の幅、浜幅を現状のままといたしまして、既設の階段護岸の天端をかさ上げする方法で恒久的な対策を講じてまいりたいというふうに考えているところでございます。

 この対策につきましては、景観面あるいは利用面からの関係者との調整が極めて重要と認識しておりまして、現在、白浜町と協議を始めたところでございますけれども、今後、順次、地元の関係の皆様方とも協議を行う予定でございまして、協議が調えば、本年度より既設の階段護岸のかさ上げ工事に着手してまいりたい、このように考えているところでございます。

○議長(岸本 健君) 秋月史成君。

  〔秋月史成君、登壇〕

○秋月史成君 既設階段護岸の天端をかさ上げする方法に方向を決めたわけではありますが、白良浜は白浜のシンボル的場所であります。御答弁にもありましたように、白浜町や地元関係者等と丁寧に調整をお願いし、早期に高波・高潮対策に努めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 次の質問に移ります。

 昨年の台風の際、私の選挙区において、もう一つ、高波・高潮被害を受けた地域があります。旧日置川町の志原海岸であります。

 高波・高潮により、道の駅志原海岸及び国道42号を渡った隣接するテニスコートにも志原海岸の砂利が打ち上げられ、波の威力の大きさと恐ろしさを痛感することとなりました。志原海岸堤防に設置されている遊歩道の手すりも漂流物で破壊されました。

 地元の皆様からの御意見を聞かせていただき、堤防のかさ上げの要望を受けましたが、かさ上げすることにより志原海岸付近の景観に支障を来す可能性も否めない状況の中から、堤防のかさ上げには慎重な対応が必要とされます。

 しかし、今後も大きな台風が発生することが懸念されることから、対応が迫られることになりますが、県当局の御所見をお聞かせください。

○議長(岸本 健君) 県土整備部長。

  〔髙松 諭君、登壇〕

○県土整備部長(髙松 諭君) 志原海岸の高波・高潮対策に関する御質問をいただきました。

 白浜町の日置川海岸志原工区の高波・高潮対策につきましては、環境面、利用面にも配慮して、緩傾斜護岸や人工リーフと既存の砂浜を組み合わせまして、波の力を沖合から徐々に弱める面的防護方式を採用いたしまして、平成15年度に完了したところでございます。

 今回、被害が発生いたしました昨年、平成30年台風第24号は、非常に強い勢力を保ったまま紀南地方に上陸しており、周辺の漁港で実施した被災時の波浪の推定の計算から、志原工区では設計時の波浪を上回る高波が押し寄せた可能性が高く、その結果、遊歩道の手すりが壊れるなどの被害が発生したと考えております。

 今後の対策でございますけれども、昨年、台風第24号の高波で砂浜の砂が階段護岸上に打ち上げられ、浜幅が減っておりまして、当初の防護機能が確保されてない状況となってございますことから、ことしの台風時期までに、階段護岸上に打ち上げられている砂を砂浜に戻しまして、本来の形状に整地をすることで早急に防護機能の回復を図ってまいりたい、このように考えております。

○議長(岸本 健君) 秋月史成君。

  〔秋月史成君、登壇〕

○秋月史成君 よろしくお願いいたします。

 遊歩道の手すりも、私の情報では、1年近くたってるにもかかわらず、まだ直ってないようでございます。早目に復旧をお願いしたいと思います。

 最後の質問に移ります。

 政治経験4年と数カ月。大変生意気な言い方になるのかもしれませんが、政治家というのは、生きざま、みずからの体験というのが非常に大切になる職業であると現在感じております。

 決して経験したくない経験ではございましたが、昨年8月23日から24日、本県を襲った台風20号により、私の会社も浸水被害を受ける体験をいたしました。県民の負託を受けた県議会議員の職責を果たすため、被害を受けた会社を後にし、郡内各地の被害状況を確認し、被害に遭われた皆様のお見舞いに伺いました。県議会議員としての責任もありますが、また、私には経営者としての責任も重く肩にかかっております。お客様からお預かりした車両の賠償問題、事業を再開するために必要な資金調達、社員の心のケアなど、さまざまな課題が多くのしかかりました。

 幸い、企業総合保険という風水害でも補償される損害保険に加入していたため、復旧、事業再開の大まかなめどはつけることができました。しかしながら、保険会社が雇った損害調査を行う鑑定人が我が社を訪れたのは、被害を受けてから約1カ月後でした。その後、被害を受けた建物、什器備品等の見積もりの作成は、困難と大きな労力を要することになりました。見積もりの作成が終わり、被害額が確定するのは年末近くとなり、相当な苦悩が続くこととなりました。

 ここ和歌山県では、台風20号、21号及び24号による災害により被災した県内の被災事業者の県内における事業の再開を支援するため、被災企業に対し、予算の範囲内で補助金を交付することをいち早く決定いたしました。仁坂知事の迅速な御英断に感謝する次第であります。

 しかし、その補助要綱を見ますと、建物、設備等で、建物では、被災事業者の資産として計上される工場、試験研究施設、店舗、事務所または作業所等の建物。設備では、事業の再開に供する設備であって、被災事業所の資産として資産台帳に登載され、耐用年数が1年以上で、かつ、取得額または製作費用が10万円以上であり、原則として汎用性が低く、その業務にのみ使用するもので、県が定めるものに限定されております。補助基準額の上限は2億円、下限は100万円、補助率10分の1と大変ありがたい補助ではありますが、事業所にとっては大変利用しづらい補助金と私は感じております。

 和歌山県では、中小企業どころか、大半は零細企業であります。まちの商店では、資産台帳に登載されない少額減価償却資産が多いのが現状で、昨今の税制の優遇の観点から、事業を再開するには資産計上されない設備が最も必要であると私は感じております。同じ被災した第1次産業と比較すると、事業再開に必要とされる、企業に寄り添った補助金でないと感じております。

 和歌山県の経済を長年支えてきたのは、大企業ではなく、中小零細企業であることは承知の事実かと思います。そこで、災害発生時に事業者にさらに寄り添った内容の支援策に進化させた補助メニューとして一考してはいかがかと思いますが、知事のお考えをお聞かせください。

○議長(岸本 健君) 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 平成30年度地域企業等事業再開支援事業補助金は、被災された事業者の方が早期に事業を再開できるよう、平成23年の紀伊半島大水害の際に、県内企業の流出防止のため創設した補助制度を参考にしたものでございます。

 23年のときの気持ちでございますが、これは企業誘致と同じぐらいのものをやっておかないと、あれをきっかけにして県外に行ってしまうとか、事業をやめてしまうとかいって、結果的には雇用がなくなってしまうと。早く再開してもらわないかんということで、企業誘致と同じような制度をつくったわけでございます。30年度も同じような形でございますから、議会にお願いをしてつくっていただきました。

 県といたしましては、多くの被災した事業者の方に御利用いただくために、補助申請をする前に着手したものについても補助対象にするとともに、被害の大きかった地域では、企業担当者を決め、いつでも相談できるようにするなど、事業者にできるだけ寄り添った支援に努めた結果、事業再開計画は296件、補助金総額約4億4000万円の申請がございました。

 一方、御指摘のように、補助金の交付要綱には、事業再開に供する設備等であり、資産台帳に登載され、耐用年数が1年以上、かつ、取得額または製作費用が10万円以上であるというふうになっておりまして、これが問題だというお話でございます。

 租税対策特別措置法では、30万円未満の少額減価償却資産で一括償却した場合は資産台帳に登載されないということも明らかでございまして、被災した設備等の所有を資産台帳では確認できない場合があるということを御指摘いただきました。

 明らかに我々の盲点であったなあというふうに思っておりまして、何でこんなことを書いてあるかというと、簡単に、もとありましたということを証明する手段として書いておったんですが、何も資産台帳になくてもそれを別に証明してもらえばそれでいいんじゃないかというふうに、現在は御指摘を踏まえて思っておりまして、これからは資産台帳だけではなくて確定申告書等により確認するなど、議員の問題提起を踏まえ、柔軟な対応ができるように検討してまいりたいと思います。

○議長(岸本 健君) 秋月史成君。

  〔秋月史成君、登壇〕

○秋月史成君 事業を再開し、営業を迅速に再開するには、事業規模が小さければ小さいほど資産台帳に登載されない少額の設備等が必要となる場合もあります。柔軟な対応ができるよう今後検討してまいりますと大変前向きな御答弁ではございましたが、ぜひとも実施をお願いいたしまして、私の一般質問を終わらせていただきます。最後までおつき合いいただき、ありがとうございました。(拍手)

○議長(岸本 健君) 以上で、秋月史成君の質問が終了いたしました。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 39番片桐章浩君。

  〔片桐章浩君、登壇〕(拍手)

○片桐章浩君 おはようございます。

 議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問を行います。

 まず、令和3年、和歌山県で開催される国民文化祭に関する質問であります。

 和歌山県の長い歴史からくる文化度は高く、地元和歌山県の開催を心から楽しみにしている、こういう皆さんの話を聞いてございます。

 しかし、気になることが数点ございまして、まず1点目です。

 開催期間が23日間だということです。本年度開催の新潟県は77日間、令和2年開催の宮崎県は51日間ですから、和歌山県の開催期間はこれらの県と比較して短いように思います。過去5年間の状況を調べてみますと、平成30年、大分県が51日間、平成29年、奈良県が91日間、平成28年、愛知県36日間、平成27年、鹿児島県が16日間、平成26年度、秋田県が31日間でした。

 この中で鹿児島県だけが短かったので、少し確認を鹿児島県に連絡をとったところ、基準に基づいた期間よりも、期間はあるんですけども、離島などがあり、その分をしんしゃくしてこの期間にした。つまり、短いけれども積極的な日程を設定したんだよと、こういう話でありました。

 和歌山県の文化活動がもしも低調であるならば、この開催期間はやむを得ないと思いますが、和歌山県の文化活動、文化人の活動は非常に熱心だと思います。果たして23日間で、県内の文化活動をしている皆様方が十分その日ごろの成果を発揮することができるのかと思います。

 例えば、出演を希望する文化団体が参加できるのか、あるいは準備をするのに十分な時間を確保できるのか、開催日時、場所などの調整は希望どおりに行うことができるのか、こういった疑問があろうかと思います。もっと開催期間を長く確保して、より多くの文化団体が参加できる、演出面などから希望に近い場所で出演できる日程を確保できるのかと思います。

 現在、文化活動している人や団体にとって、地元で開催される国民文化祭ですから、納得のいくものに仕上げたいという覚悟を持っている人がたくさんいます。そのために、文化活動している人、団体の参加意向や意見を聞いて、開催期間や内容を決めていただきたいと思います。

 参加希望する文化人、団体が希望に沿った形で出演してほしいと思いますから、参加の意向も、あるいは希望する地域なども聞いて、極力皆さんの意向に沿った形で出演できるように調整していただきたいと思います。

 そこで、国民文化祭の会期について、まず質問をさせていただきたいと思います。

 国民文化祭の開催期間が短いように感じますが、新潟県、宮崎県と同様の開催期間を確保するようにすべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。まず、企画部長の答弁を求めます。

○議長(岸本 健君) ただいまの片桐章浩君の質問に対する答弁を求めます。

 企画部長田嶋久嗣君。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○企画部長(田嶋久嗣君) 国民文化祭の開催期間につきましては、議員御指摘のとおり、近年、1カ月以上開催する県も見られますが、和歌山県では、参加を希望する文化団体等の発表の機会を十分確保しつつ、国民文化祭の開催期間中に県内各地で和歌山の特色を出した質の高い事業を集中して実施し、観客がいつ訪れても喜びや感動を体験でき、盛り上がる祭典にしていきたいと考え、長期間の拡散的実施ではなく、文化の日を含む10月30日の土曜日から11月21日の日曜日までの23日間という期間に凝縮して実施することとしています。

 なお、開催期間につきましては、昨年10月に設立した第36回国民文化祭、第21回全国障害者芸術・文化祭和歌山県実行委員会において、県内の文化団体の委員の皆様からも御承諾いただいているところです。

 本県で開催する国民文化祭が、文化活動を通して、県民総参加で、元気な和歌山を実現する大会となるよう準備を進めてまいります。

○議長(岸本 健君) 片桐章浩君。

  〔片桐章浩君、登壇〕

○片桐章浩君 開催期間について事前に調整、当然、総会等々、役員会で諮ってると思いますが、文化団体にとっては、より中身を今いいものにしたいということで、県外とか海外からの出演者の協力も含めていろいろ調整してると聞いてます。実力が発揮できるように、時間、場所、きっちりと調整していただけたらというふうに思います。

 続いて、訴えるべき和歌山県の文化というのはどんなものかというのを御質問させていただきたいと思います。

 新潟県、本年度開催ですが、「北前船によって海路から上方文化、陸路から江戸文化が新潟の地で交差・融合し、『文化の丁字路』」、これがテーマになっておりますし、宮崎県の場合は、神代の昔から豊かな山と海、そこから育まれる命をいただいてきた。そのことに対する感謝の心を、文化として宮崎県で芽吹いて今まで脈々と継承されてきたことを訴えると、こういうテーマ性を持っていようかと思います。

 これらの開催県と同等、それ以上に、和歌山県は歴史に包まれた文化がございますから、ふさわしい発信をしていただきたいと思います。国民文化祭で訴えるべき和歌山県の文化性とはどのような価値なのでしょうか。企画部長の答弁をお願いします。

○議長(岸本 健君) 企画部長。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○企画部長(田嶋久嗣君) 和歌山県の文化の特徴は、万葉の時代から歌に詠まれた美しい自然と世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」に代表される高い精神性を有する悠久の歴史に恵まれた環境のもとで、個性豊かで魅力ある文化が育まれてきたことであると考えております。

 こうした特徴を表現するため、本県の大会のキャッチフレーズを「山青し 海青し 文化は輝く」としたところです。

○議長(岸本 健君) 片桐章浩君。

  〔片桐章浩君、登壇〕

○片桐章浩君 続きまして、出演者のための環境整備について質問をさせていただきます。

 文化活動をしている人、団体で参加希望してる人が出演する環境を整えることが必要かなというふうに思っております。和歌山県全体がお祭りに参加しているような環境づくりも必要だと思いますし、極力参加を希望されてる方の出演機会を持ってほしいと思います。現在の状況、出演にかかわる考え方をお示しいただきたいと思います。この点も企画部長の答弁をお願いします。

○議長(岸本 健君) 企画部長。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○企画部長(田嶋久嗣君) 県内の文化団体等が主催して国民文化祭で実施する事業につきましては、各地域で培われてきた文化資源を活用し、独自色を打ち出した事業を県実行委員会において広く募集することとしております。

 また、文化団体等に対しては、国民文化祭で実施する事業の内容の充実や運営の方法を学んでいただくため、国民文化祭、全国障害者芸術・文化祭開催県への視察に係る経費を県が補助する制度を設けているところです。

 さらに、県や市町村が実施する事業におきましても、文化活動の発表の機会の提供やワークショップの実施等、多くの方々に参加いただけるような事業内容を検討してまいります。

○議長(岸本 健君) 片桐章浩君。

  〔片桐章浩君、登壇〕

○片桐章浩君 企画部長の答弁をいただきまして、この項目、要望であります。

 団体については、いいものをぜひしたいということで、準備期間、企画時間を含めて1年以上どうしても欲しいというところもありますので、極力、出演機会、場所等々を調整していただける、そして気持ちよく出演して和歌山の文化を訴えていただく、そういう機会にしていただけたらと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 続きまして、質問2点目、「外交史料と近代日本のあゆみ」展についてであります。

 昨年、国の明治150年事業の一環として外務省が外交史料館で「明治の日本外交」展を秋冬2回開催し、大変好評であったこの展示会を和歌山県版にアレンジし、開催することになりました。

 ことし11月2日から12月15日まで、和歌山県立近代美術館で開催されるテーマが「外交史料と近代日本のあゆみ」展、外務省外交史料館も和歌山県とともに主催してることになりますので、全国の皆さんに来てもらえる充実した内容になりそうで、大いに期待が高まります。

 今回は約40点の外交史料を展示する予定ですし、貴重な外交史料を貸し出してる期間が1カ月を超える、これは異例なことだと聞いておりますが、多くの県民の皆さんに来館していただきたいと思います。

 明治外交の最重要課題は、江戸幕末時代に西欧・米列強の国々と結ばれた不平等条約の改正を図ることでした。その最大の功労者が、陸奥宗光元外務大臣と小村寿太郎元外務大臣の2人でした。以下、敬称を、お名前だけの紹介とさせていただきます。

 御存じのとおり、陸奥宗光は当和歌山市の出身ですが、薩長土肥の藩閥官僚たちが果たせなかった不平等条約の改正に成功、日清講和条約、三国干渉の処理など、国難を乗り切った功績により、外務省内に唯一銅像として建立された人物ですし、小村寿太郎は、成績優秀で入省したものの、当時の藩閥政治によって閑職にされていた小村の才能に気づいた陸奥宗光が外務次官にまで育て上げ、陸奥の亡き後、残されていた関税自主権の回復に成功し、不平等条約を完結させた人物です。この2人の功績もあり、明治日本は国家独立を守り得たと思います。

 和歌山県での開催に当たり、陸奥宗光の功績である条約、批准書も展示予定ですから、我が国の明治外交を学ぶ絶好の機会となります。何より我が和歌山県で本物の条約、批准書を見ることができる機会はこれ以降はないかもしれませんから、最高の展示会になるよう企画をお願いしているところであります。

 また、不平等条約改正までの流れが理解できるよう、江戸時代に列強の国々と結ばれた条約から、陸奥宗光が活躍したあかしとなる史料をお借りする予定だと聞いております。条約改正までの道のりは長く厳しかったのですが、不平等条約改正があったからこそ、現在の日本があります。歴史は過去から現在まで切れ目なくつながっていること、熱意ある多くの人がかかわっていることを学ぶ絶好の機会になると思います。

 展示される明治外交史料について少し触れさせていただきたいと思います。

 まず、江戸時代です。江戸時代の外交史料で展示されるのは日米修好通商条約、これは残念ながら複製ではあります。幕末に江戸幕府がアメリカと締結したこの条約は、外交経験の少ないことから、治外法権、関税自主権など不平等な条約になりました。後々、諸外国ともこの条約をもとにして締結をしていくことになるのですが、さらに不平等な内容へとなっていきます。

 外交経験が少ない中、条約を締結していったことが明治政府が近代化をしていく上での大きな壁になったのですが、陸奥宗光の条約改正に至る史料の流れを見ることで、外交とは何かを考える契機になろうかと思います。

 現代社会も都度、政治判断によって方向性が変わることがありますが、これらの史料の数々を見ていただき、誰が政治にかかわるのか、誰に政治を託すべきかなど、国や地方自治体の方向は現代を生きる私たちの判断次第で変わることができる、こんなことも学べるのではないだろうかというふうに思っておりますし、明治外交史を通じて、政治と社会のあり方、私たちの暮らしている環境が変わっていくこともあり得るよ、これを感じていただきたいと思います。

 そして、何といっても、当時、西洋列強と対等の国力を保っていたメキシコと交わした日墨修好通商条約の調印書と批准書、これは本物でありますが、されることになっております。通商航海の自由と安全を保障し、治外法権を認めない、関税も相互の最恵国待遇の完全な平等条約で、この条約を締結したことで列強との条約改正へと後々つながっていきます。

 歴史は、危機に際して問題を解決するために、すぐれた人物を登場させています。偉人たちの考え方、そのときの判断、どのように歴史をつくっていったのかも今回学びたいところです。この「外交史料と近代日本のあゆみ」展がすばらしい企画になるように期待しております。

 そこで、開催趣旨と概要についての質問であります。

 新元号3年目、令和3年、和歌山県150年であり、第36回国民文化祭、先ほど触れましたが、開催されます。国民文化祭は、新天皇皇后両陛下が御臨席されると聞いております。皇后陛下は元外務官ですから、陸奥宗光元外務大臣への御関心も高いのではないでしょうか。皇后陛下が外務省にお勤めなされていたころ、外務省内の陸奥宗光公像を出勤時に毎日ごらんになられていたものと想像いたします。

 そこで、この「外交史料と近代日本のあゆみ」展の開催意図、概要について詳しく説明してください。企画部長の答弁をお願いします。

○議長(岸本 健君) 企画部長。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○企画部長(田嶋久嗣君) 「外交史料と近代日本のあゆみ」展の開催趣旨についてでございますが、郷土の歴史や偉人の功績を知ることは、ふるさとへの愛着や誇りを持つことにつながることから、これまでもシンポジウムを初めとして、さまざまな取り組みを行ってまいりました。

 今回の展覧会は、明治期の外交史料等の実物を目にすることで、改めて歴史の歩みと郷土の偉人の功績を再認識していただくことを意図して企画いたしました。

 議員の御質問にありましたとおり、11月2日から12月15日の予定で、「外交史料と近代日本のあゆみ」と題した展覧会を県立近代美術館において開催できるよう準備を進めております。

 展示内容につきましては、議員のほうから詳しく御説明いただいたんですけども、郷土の偉人、陸奥宗光の功績を中心に、明治期の日本外交の歩みを紹介するコーナーと、開国により世界に広がった和歌山県人などの活動を美術作品を通して紹介するコーナーで構成することとしており、外務省の外交史料館や国立国会図書館などから貴重な史料を多数お借りし、充実した展覧会としていきたいと考えております。

○議長(岸本 健君) 片桐章浩君。

  〔片桐章浩君、登壇〕

○片桐章浩君 それでは、この項目、2点目であります。

 参考まででありますが、平成28年10月、当時の天皇皇后両陛下は、京都市国立博物館を訪れ、「没後150年坂本龍馬」展をごらんになられております。今回の「外交史料と近代日本のあゆみ」展には、両陛下にお越しいただけるぐらいの意気込みを持って開催してほしいと切に願います。

 続いて、より多くの方に来館していただくための取り組みについての質問です。

 県民の皆さんを初め、すぐれた企画なので多くの方々に来てもらいたいと思いますが、その取り組みについて企画部長の答弁をお願いいたします。

○議長(岸本 健君) 企画部長。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○企画部長(田嶋久嗣君) より多くの方に御来館いただくための取り組みにつきましては、「県民の友」やテレビ、ラジオなどの県の広報番組に加えまして、展覧会の会場となる美術館では同時期に日本・チェコ共和国交流100周年を記念した大規模展を開催することから、相乗効果を図れるよう連携して来館を勧めてまいります。

 また、ねんりんピック開催時期とも重なることから、全国から来県される多くの方々への絶好のPRの機会と捉え、より多くの皆さんに来ていただけるよう働きかけてまいります。

○議長(岸本 健君) 片桐章浩君。

  〔片桐章浩君、登壇〕

○片桐章浩君 さて、開会に合わせて講演会、シンポジウムを開かれるというふうに思いますが、ここに外務省外交史料館・冨塚一彦「日本外交文書」編纂室長にお越しいただき、明治の我が国の外交について講演してもらうことも希望したいと思います。一級の展示物とともに、話を聞くことで、歴史観がより深まると思うからです。開会後の講演会についても検討してほしいことを希望いたしますが、いかがでしょうか。企画部長の答弁をお願いします。

○議長(岸本 健君) 企画部長。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○企画部長(田嶋久嗣君) 議員御指摘の外交史料展に合わせた講演会については、外交史料館職員に加え、学識経験者なども交え、充実したシンポジウムを史料展開始直後の11月4日に開催することを予定しております。この日は休日ですので、多くの皆さんに参加いただきやすい講演会としていきたいと考えております。

 また、外交史料展の展示内容をわかりやすく理解いただけるよう、期間中に外交史料館職員に直接説明いただき、フロアレクチャーも開催する予定としております。

○議長(岸本 健君) 片桐章浩君。

  〔片桐章浩君、登壇〕

○片桐章浩君 企画部長にお答えいただきましたように、このフロアレクチャーは非常に効果がありまして、僕も外交史料館へ行ってみっちりとレクチャーを受けてきましたし、地元の学生も行ったところ、歴史観、あるいは明治を学ぶことは現在を学ぶことということで、大変学生たちも感銘を受けていたように思いますので、この機会にぜひ多くの方に、特に若い人にレクチャーを受けていただく、この機会をより多く設けていただきたいと思います。

 ところで、この4点目、展示会等への中学・高校生の生徒の参加について、これは教育長にお尋ねをさせていただきたいと思います。

 この貴重な展示会ですが、外交史料と聞くと何か難しいイメージで捉えてしまいがちになります。先人が守ってこられた外交史実を次世代につなげるためにも、何のために国家間の調印が必要であったかなどを説明する解説文をできるだけ易しくわかりやすい表現にして、小中学生、高校生、お年寄りにも受けとめてもらいやすいものでなければならないと思うのです。

 ここで、明治外交を語る前に最も大切なところをお話しさせていただきたいと思いますので、教育長にもこういった考え方に基づいた答弁を聞かせていただけたらと思います。

 明治の新国家をつくるために、日本の各地を歩き、人と人を結びつけた坂本龍馬は、無念にして明治の世を見ることなく亡くなりました。しかし、彼のそばで新しい世をつくるために懸命に龍馬を助けた陸奥陽之助、後の陸奥宗光ですが、やがて龍馬の描いた新国家の夢を自分の夢として描き、努力に努力を重ねて達成したのが不平等条約の改正でした。

 龍馬の夢、宗光の夢が明治の世であり、それを守るために費やした時間が明治の日本外交そのものだと思います。新国家をつくる夢を諦めなかった両雄がいて、令和の時代の今に引き継がれているのだと思います。

 「外交史料と近代日本のあゆみ」展は、次世代の青少年に夢や希望を両雄のように諦めず、強い心を持ってもらうすばらしい教材として示されると信じます。「外交史料と近代日本のあゆみ」展を親しみやすい、楽しい展示会として受けとめてもらうために、解説文をわかりやすいものにしてほしいと思います。

 この企画には、歴史好きの文学者だけが来館する展示設定ではなく、家族、御夫婦、カップルなどに来てもらえる楽しい展示会をおつくりいただきたいと思います。県外からの来館者を呼びかけるのも必要ですが、地元県民に親しまれる文化施設での展示会でありたいと思います。

 また、この取り組みは、来る国民文化祭にも必ず役立ちます。楽しい和歌山国民文化祭につながるのです。どうかよろしくお願いしたいと思います。

 この精神を理解して、開催に合わせて実施するフロアレクチャーや記念講演会は、県内の中学生、高校生にも鑑賞とともに話を聞いていただきたいと思います。特に県内の中学生、高校生に学習してもらう意義は大きいかと思いますので、和歌山の全高校生、全中学生に、近代美術館の展示会に鑑賞に訪れるようお勧めいただきたいと思いますが、この点に関して教育長の答弁をお願いします。

○議長(岸本 健君) 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 展示会等への中学、高校の生徒の参加についてでございます。

 郷土の偉人、陸奥宗光元外務大臣の功績に触れる機会となる明治外交史料展の見学や、日本の外交史等についての専門家から直接意見を聞くことは、大変有意義であり、郷土の偉人、先人から学ぶことを通して近現代の歴史を理解することは大切なことであると考えております。

 外交史料展、またそれに合わせて開催されるフロアレクチャーなどをふるさとや歴史に関する学習に十分活用するよう、市町村教育委員会とともに進めてまいります。

○議長(岸本 健君) 片桐章浩君。

  〔片桐章浩君、登壇〕

○片桐章浩君 教育長の答弁をいただきました。ぜひ中学生、高校生に呼びかける、市教委にも協力をお願いして、開催期間も非常に長くとっていただいております。その趣旨を理解していただきまして、参加していただけるようにお願いしたいと思います。

 そして、この展示物の解説文ですが、文化学術課が中心になろうかと思いますが、県教育委員会義務教育課あるいは文化遺産課も協議をしていただきまして、わかりやすい表記、解説していただくのが好ましいと思いますので、御協力をいただくようお願いしたいと思います。

 また、この「外交史料と近代日本のあゆみ」展を国民文化祭のPRに大いに活用してほしいと思います。言いかえれば、「外交史料と近代日本のあゆみ」展を外務省外交史料館とともに開催するプレイベントと捉え、全国にPRする絶好の機会としてほしいのです。国民文化祭の前夜祭的な意味合いの大展覧会として活用を図ることを考えてみてはいかがでしょうか。これは要望ですので、ぜひお願いしたいと思います。

 続けて、3問目であります。メガソーラーの動向について質問をさせていただきたいと思います。項目、少し多くなりますが、よろしくお願いしたいと思います。

 現在、和歌山市の和泉山脈に数カ所のメガソーラー計画があります。これらの事業者は、これまでも地元に対して地元説明を実施していたようですが、同意が得られないまま推移していたと思っております。

 ところが、この時期に来て、条例に基づいた地元説明会を開催していますし、法律に基づいて、現在、事業計画で公開、縦覧中のものもあります。これらの事業計画は、準備が整い次第、事業者から和歌山県に対して本申請が届くことになります。

 現在、進展を見せているのは、事業者が調達価格を維持するために地元説明と本申請を急いでいるのではないでしょうか。再生エネルギー導入の趣旨からしますと、事業参画が地球環境の保全、地元への貢献を前提にしていることも精神としてあると思います。

 もしそうであれば、調達価格にこだわることなく、地元同意をとり、地元を初めとする皆さんが納得できる形で事業開始を進めればいいと思います。とにかく、地元説明会を急いで本申請を進めているようには思います。

 現在、国民に──負担を強いると言えば言い過ぎですね──負担のある形でのFIT制度の見直しが図られていますし、和歌山県としても令和2年度の政府要望にあるように、事業終了後の後始末も含めて再生可能エネルギー事業のあり方を再考している時期だと認識しています。

 昨今の集中豪雨や大型台風など、自然災害が増加していることから、山林の大規模開発を伴う太陽光発電などの事業計画は、数字にあらわれていない過去からの地元の災害の歴史を知る皆さん方の意見を聞き、尊重すべきだと思います。

 これらのメガソーラーの計画に対して、地元と事業者の思いが一致していないことから、計画の賛否を含めて問題になっていると認識しています。

 当初、一定規模以上の開発を伴うメガソーラー計画に対して、県は、和歌山県林地開発許可制度事務取扱要領に基づいた対応をしていましたが、和歌山県太陽光発電事業の実施に関する条例制定以降は、当然ですが、この条例に基づいた対応をしています。

 知事は、「この条例は、これまで行っていたさまざまな問題を一挙に解決し得る画期的なものであると思います」と語り、「住民と環境と仲よしの太陽光発電を進めていくために正しいルール」、このように話していたと思います。

 今後、これらのメガソーラー計画に関して和歌山県としてどのような対応をしていくことになるのか、地元の意向反映度合いを中心に、確認を含めて、以下、質問を行います。

 一つ目、地元の意見の反映度合いについてであります。

 地元に暮らしている自治会、皆さんの意見は果たして反映されるのでしょうか。地元同意がなくても説明会を開催した後に本申請を行い、意見集約を行った後に県が審議することになりますが、これらの案件に対して県条例では地元の皆さんの意見を十分に反映できるものになっているとお考えでしょうか。環境生活部長の答弁をお願いいたします。

○議長(岸本 健君) 環境生活部長田中一寿君。

  〔田中一寿君、登壇〕

○環境生活部長(田中一寿君) 太陽光発電について、規模や設置場所の関係から環境影響評価や森林法等の適用を受けない場合や、事前に地域住民等に説明が行われないまま事業が実施されトラブルが生じた事例があったことから、和歌山県太陽光発電事業の実施に関する条例を制定し、太陽光発電事業を行う者は、あらかじめ計画を策定し、知事の認定を受けることとし、認定申請の条件に関係自治会等への周知義務を課したところです。

 事業者から事業計画の認定申請があった際には、県が1カ月間、申請書等を縦覧し、関係自治会や住民等利害関係者は自然環境、生活環境、景観等、環境保全上及び災害の発生の防止上の見地から意見を述べることができることとし、出された意見に対して知事は事業者に見解を求めなければならないこととしています。

 認定の可否を決する場合は、こうした意見や見解、さらに市町村長の意見、和歌山県太陽光発電事業調査審議会の意見も踏まえ、安全面、環境面、景観面及び市町村の条例等も含めた法令上の認定基準に適合しているか、科学的かつ総合的に判断することにより、これまで意見を述べる機会がなかった住民の方の意見が反映される仕組みとなっていると考えております。

○議長(岸本 健君) 片桐章浩君。

  〔片桐章浩君、登壇〕

○片桐章浩君 条例の件はこの後また触れていきたいと思いますが、この項目、二つ目です。

 平成29年6月、県議会一般質問で、当時の農林水産部長から、和歌山県林地開発許可制度事務取扱要領の見解を示していただきました。その内容は、「事業者からの申請に地元自治会や隣接する土地所有者、水利組合等の同意書の添付を求めており、事業者からの申請書に同意書の添付がなければ、その申請書は受け付けません。地元自治会が反対している限り、当該太陽光発電ができることはありません」と答弁をいただいております。

 県議会におけるこの当時の部長答弁の見解は変わっていないと認識していますが、農林水産部長の見解をお示しください。

○議長(岸本 健君) 農林水産部長角谷博史君。

  〔角谷博史君、登壇〕

○農林水産部長(角谷博史君) 林地開発許可制度における地元同意についてですが、平成30年3月23日に和歌山県太陽光発電事業の実施に関する条例が公布され、透明性、客観性、理論性を備えた科学的な仕組みが整えられたことにより、同条例に規定する住民の意見を反映させるための必要な措置を講じたことを証する書面をもって同意書にかえることができるとしたところです。

 したがって、この条例の手続を進めることで、これまでどおり、地域住民等の意見が反映されるものと考えています。

○議長(岸本 健君) 片桐章浩君。

  〔片桐章浩君、登壇〕

○片桐章浩君 それでは、地元の皆さんの意見が反映されるかどうか、地元同意の要否についてであります。

 繰り返します。平成29年6月県議会一般質問で、当時の農林水産部長は「地元自治会等が反対している限り、当該太陽光発電ができることはありません」とおっしゃっていただきました。

 事実、太陽光発電のある事業者が申請したけれど、補正期限の延長についてと記者発表したこともあるように、受け付け段階でとまっていたこともあります。これは、地元の自治会の同意書が添付されていなかったことが歯どめになっていたというわけです。

 メガソーラー案件に関して、県条例では、地元説明会の開催と意見聴取を求めるものでありますが、同意書の添付は必要はないだろうと、こういうことだと思います。それに対して、従前は、今部長がお答えいただいたように、和歌山県林地開発許可制度事務取扱要領では、地元自治会や隣接する土地所有者、水利組合等の同意書の添付を求めていました。

 しかし、現在、和歌山県の林地開発許可に関しては、条例の手続を経れば、今答弁をいただきましたように、住民の意見を反映させるために必要な措置を講じたことを証する書面をもって同意書にかえることができるとなっておるようでありますが、このことに関して知事の見解をお示しいただきたいと思います。

○議長(岸本 健君) 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 和歌山県太陽光発電事業の実施に関する条例では、事業者は事業計画案を示し、関係自治体や住民に事業内容を説明し、その後、縦覧に供した上で、市町村や地域住民がその開発計画が不適当だと思えば県に意見を述べる機会を設けるという制度にしました。

 その際、県は、必要に応じて専門家に意見を聞くなど、客観的かつ理論的な視点において審査されるよう手続を制度化し、透明性、客観性、理論性を備えた仕組みを整えました。同意という無限定なものから、住民の懸念に対して科学的に判断をするというふうにしたわけでございまして、これによって、地元とは何を指すんだというような不明瞭なものも排することができるし、かつてこの議場で提起されたように、同意を得るために金銭が動くというような不合理な面も排除できると考え、同条例に規定する住民の意見を反映するための必要な措置を講じたことを証する書面をもって同意書にかえることができるとしました。

 必要な措置を講じたことを証するというのは、勝手に事業者が「やりました」と言っても全然だめでございまして、県の審査があって、審議会などで議論をした結果、これだというふうに県が考えて「それをやりなさい」と言ったものを「はい、やります」と言って持ってきたら、それで結構でありますということでございますので、一番初めには、もちろん県の考えもありますが、地元の方々、これは地元の方というか、1人でもいいわけです。そういう方々の議論には十分全部答えるようなものでなければ、それはいけない。

 ただし、住民の意見といっても、ちょっと不合理なものもあるかもしれません。それについては、これはちょっとおかしいということで審議会などで意見が出たものについては、それは反映できないかもしれない。

 そういうような形で全部解決されたらそれで結構ですというのは、新しい制度でございます。

 したがって、この条例の手続を進めることで、これまでどおり地域住民等の意見は反映されるというふうな仕掛けになっております。

○議長(岸本 健君) 片桐章浩君。

  〔片桐章浩君、登壇〕

○片桐章浩君 それでは、地元同意について、もう少し知事と議論を交わしたいと思います。

 平成です。29年10月16日、太陽光発電所建設工事を実施するため、林地開発許可申請書の提出がある事業者からありました。同年10月25日付で、海草振興局長から、添付書類が整っていないことから許可申請書を返却していますし、許可申請書の補正の必要性を訴えています。その後、同意書が添付されることなく平成30年3月29日付で本申請は提出されていますが、その後、取り下げられていると認識しています。

 このように、事務取扱要領は、地元意見を聞き、地元の意向を反映する役割を果たしていたと思います。これが当時の農林水産部長の答弁の根拠であったわけであります。

 ところが、この要領がいつの間にか改正され、地元同意書の添付は不必要となっております。「地元自治会等が反対している限り、当該太陽光発電ができることはありません」という答弁は、その後、根拠を失い、覆されたことになるのではないでしょうか。

 条例制定以前は地元同意書の添付が本申請受け付けの要件となっていたのに対して、条例制定後は同意書がなくとも受け付けすることになっている。これは地元の意向を反映できないことになっていませんか。再度、知事の答弁をお願いします。

○議長(岸本 健君) 知事。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 太陽光発電条例では、関係自治会や利害関係のある住民は、開発計画に対して、自然環境、生活環境、景観等、環境の保全上及び災害の発生の防止上の見地から、県に自由に意見を述べるということができることにしてます。

 これは、従来の地元同意書の場合と異なりまして、例えば自治会の多数が賛成の場合であっても、理由がおかしいと、何か自治会費を出すから黙ったとか、そういうのがあるんじゃないかなんていう人は、誰でも意見を述べることができるように門戸を開放したつもりであります。

 従来は、入り口のところだけで、形式要件で要件が整わないから排除しておりました。だけど、その中身について、ひょっとしたら、そんなものは不合理だといっていろんな司法手続なんかに入られると、ひょっとしたら乗り越えられる可能性もあります。したがって、もうちょっときちっとしたやり方で本県はやらないと、後で、電気事業法の規制なんかでぎりぎりとした規制があるわけじゃありませんので危ないなあというようなことも考えて、今のような制度に変えたわけであります。

 その上で、意見は勝手に出しなさい、これで終わりというんじゃなくて、その事業者の意見ももちろんそれに対する反論も求めますし、それが合理的かどうかについて専門家の意見も踏まえて総合的に判断をするわけでありまして、したがって、科学的根拠のある意見であれば絶対通るということになるわけであります。

 このように条例の手続を進めることで、従来ありました地元とは何じゃというような議論が不明瞭であるところがなくなりますし、反対を出せないようにお金が動くというインセンティブもなくなります。したがって、住民の真っ当な意見については審査に十分反映されると考えておりまして、合理的な地元の意向はむしろより通りやすくなるというふうに私たちは思っております。

○議長(岸本 健君) 片桐章浩君。

  〔片桐章浩君、登壇〕

○片桐章浩君 知事に答弁をいただきました。再度、知事の見解についてただしたいと思います。

 仮に認定基準に適合していた、科学的、合理的に適合していたとしても、今、公開、縦覧中ですから、こういう分厚い計画資料等、こんなの読んだところ、プロがつくってる資料ですから、これが、決して専門家でない人が見たところで合理的な反論理由というのが果たして言えるものか、示せるものなのか、立証──立証責任はないんですけども──できるものかというのは少し思うところがあります。こちらも専門家が入りゃ別ですけども、地元の中にはそういう方がなかなかいらっしゃらないと思いますから、そのあたりがまず入り口時点で少し「うん?」と思うようなところも感じるところであります。

 つまり、それは何なのかといいますと、計画自体は過去からの雨量想定でありますとか、地層のこういうふぐあいに関してきっちりできてるという計画に対して、何となく不安を感じるというんでしょうか、これ、おかしいぞという、そういう不安を感じたり、生活が今後脅かされると、そういう感じをするということが地元の皆さんの意向、いわゆる地元同意でもあったかというふうに思うわけです。

 そして、その地元同意がもし添付されていなければ、事業者からの申請が県にあったとしても受け付けしないよ、補正して出してくださいよということが県の意向だったと思いますが、この条例制定以降、もう繰り返すことはしませんが、知事が示していただいた見解のとおりということになっていようかと思います。

 これが果たして、科学的でないものと言ったらおかしいですけど、地元の方々が抱えてる不安、生活を脅かされるという不安に対して、果たして、そんなものは科学的じゃないよということで余り無視されてしまうような気もしないことはない。でも、それを防ぐために今回条例つくってるわけなんですけども、今回、地元連合自治会からメガソーラーに関して土砂災害、環境破壊の懸念があることから反対だよという要望が来ていようかと思いますし、地元の意思をあらわすための署名活動も行っていると思います。

 知事は、地元自治会からの要望があることについて、また、署名を持ってきた場合、どう取り扱おうとしているのか、また、認定審査において、どの程度地元自治会からのこれらの意見を反映、尊重するつもりなのか、知事の答弁をお願いしたいと思います。

○議長(岸本 健君) 知事。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 片桐議員がおっしゃった、まさに何となく不安だ、それで何かよくわからんけど反対しとこうかというふうに出した反対が制度的に安定なものかということは、多分、片桐議員はちょっと危ないかなというふうに思われると思います。まだこれは司法の問題になったことはありませんけれども、とても不安定な制度であります。

 したがって、そのときに一気にやられるというわけではなくて、何となく不安な状態で大丈夫かなと思ったら意見を出していただければいい。そしたら、県庁のほうは、県庁の能力もあるし、それから申請者にもぎりぎり聞けるし、それから第三者もお雇いして、そういう日本のトップクラスの方々にちゃんと判断をしてもらう。それによって何となく不安というのが、本当に不安かどうかということがわかってしまうわけでございます。

 だから、何となく不安だったらどんどん出してもらえばいいというのが今のスタイルで、それでぴしゃっととめて手続的にこれでストップということはできませんが、そのかわり極めて安定的な制度をつくったということなんでございます。住民の意見というのは大変大事なことで、それで自分で立証できなくても、何かこれ危ないんじゃないかとか、それはどうよというような話は、当然ちゃんと聞いて議論をしなきゃいけない。そういうことを可能にするような制度をつくったというのが今回の制度でございます。

 まして、さっきちょっと申し上げましたように、例えば、町内会で出さんといてくれと、町内会費をたくさん出すからと、これで出さなかったら、それはむしろおかしいですよね。そういうような不合理な誘因というのは一切排しているわけでございますから、したがって、堂々とした議論ができて、それで住民の漠然とした不安が正しければそれは認められないということになるというのが、今回の制度でございます。

○議長(岸本 健君) 片桐章浩君。

  〔片桐章浩君、登壇〕

○片桐章浩君 それでは、事業者からの申出書というものについて質問をしたいと思います。

 株式会社鈴鹿電設代表取締役が地元の連合自治会に対して、令和元年6月13日、申出書が届けられました。内容は、これ、地元が今、署名活動やってるわけなんですが、署名活動に法的拘束力がないこと、不適当な発言、内容での署名を募ることにより事業者がこうむる風評被害ははかり知れないことから、不穏当な署名活動は到底容認できず、その署名活動の停止を求めること、署名活動が継続され行政に提出されたとしても、正確な情報に基づかないことから無効であるとの弊社の見解、これを申し出ております。正確な情報に基づかない、何となく不安とか、そういうことだと思いますが、この申出書が届けられたことから、地元では事業者の抑圧的な姿勢に一層不安を感じているようです。それでも署名を継続して、今月24日に締め切ってから以降、知事に集まった署名を届ける、こういう手順になっていようかと思います。

 地元連合自治会の皆さんが不安に感じて、和歌山県知事、和歌山市長に対して不許可を求める署名に対して、署名活動の停止を求める、無効を訴えてる事業者からの申出書が届けられることに対して、また、事業者が指摘しているように、今回の署名を知事に届けても意味のないことなどと判断するのか、知事の見解をお示しください。

○議長(岸本 健君) 知事。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 多分これまでの答弁で、私が答えることはもう必要がないぐらいの状況になってるというふうに思いますが、もう一度繰り返しも含めて申し上げたいと思います。

 まさに今起こってる事態というのは、住民の例えば同意がない、そういうものについて、それが全てであるというふうなところにフォーカスされてるので、それを妨害に来るというようなことだと思うんですね。そうじゃなくて、署名があろうとなかろうと、1人でもおかしいという意見があったら、それは十分尊重して、審査の対象に加えていきながら、それは本当かどうかということをやっていくわけですから、漠然とした不安でも、十分立証されてないものでも、どんどん出してもらえばいい。例えば、洪水が起こらないかとか、景観がこうなるじゃないかとか、そういうのはどんどん言っていただければいいというのが今回の条例の趣旨でございます。

 そういうことを権利としてむしろ定めているわけでありまして、意見の提出は住民の正当な権利であります。それをやめよというようなことを仮に事業者が言ってるとすれば、それは明らかに間違いであると思いますし、意見の提出と署名は同義ではありませんが、署名についても、それは明らかな間違いというふうに思います。

 署名の形でなくても結構なんで、利害関係を有する個人は意見を提出できるわけですから、署名をやめよという行為は全く本当は無駄なことで、多分、昔の旧制度、それを念頭に置いて、あんまり賢くないことをやってるというふうに私は思います。逆に言うと、そういうことを働きかけるという業者の不健全さをよく物語ってるんじゃないかなあというのが私の感想であります。

 また、署名があろうとなかろうと、意見書として取り扱うべきなのでございますので、ちゃんと署名を添えて出していただいても結構ですし、どんな形でも、例えば代表者のお名前でも個人のお名前でも、誰でも出していただければ、条例に基づいて専門家の意見を聞いて、厳正に審査をするということになるということでございます。

○議長(岸本 健君) 片桐章浩君。

  〔片桐章浩君、登壇〕

○片桐章浩君 それでは、最後になります。

 地元不安のある中での計画ということでありまして、先ほどから申し上げたように、要綱を改正した理由というのは僕も重々に承知しておりまして、要綱ですから当然司法リスクを抱えてるわけでありますし、条例の中に同意書がないというのも、これは人権を束縛するから多分条例から外したんだろうというふうに僕は解釈して条例には賛成したわけなんですけども、営業権とか財産権とかいう意味でね。

 それで、そもそもメガソーラーの事業計画において、事業者が認定基準を満たさずに提出するはずはないというふうに思います。何も今、急に地元説明会を行ってるわけじゃなくて、数年前から地元説明は行ってますし、その都度、当初の計画から地元の意見を入れたような形で変化、変化、変化、改良されながら計画、今回仕上げた、今の時点の計画に仕上げてるという経過があります。

 ですから、地元自治会の皆さんは、事業計画が認定基準に適合していたとしても、ここは何とか県に我々の思いを知っていただきたい、不安感を知っていただきたい。根拠を示すことは難しいけど、知事は聞いてくれると言ったんで安心してるんですけども、こういう不安がある、こういう要望がある、でも我々はわからないから県さん何とかしてよねと、こういう要望をしたいなというふうに思っているところであります。

 地元の皆さんが災害への備えに不安を感じることは、今言いましたように合理性があるとは言えないかもしれませんが、生活の安全・安心を求める地元の皆さんの切なる思いを聞いていただきたい、知事には聞いていただきたいというふうに思います。たとえ財産権の主張があったとしても、片や幸福追求権というものがありますから、利益衡量をすることも知事の責務の一つではないでしょうか。

 地元がこのような不安を感じている中での、しかも、知事が、和歌山県が守るべきと考えておられるかもしれない和泉山脈で、メガソーラー計画について、再度、知事の考え方をお示しいただきたいと思います。

○議長(岸本 健君) 知事。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 何度も申し上げておりますが、この意見というのは、司法上の裁判上の原告と被告の立証責任というようなものではないんです。条例も、その意見の正当性について、住民に、つまり提出者に立証しろと、どこにも書いておりません。だから、そういう意味でいろんな意見を申し述べればいいんで、もちろんその根拠などを書いておればそれは説得力は高くなるわけですけれども、漠然とした不安で、これ洪水が起こるんじゃないかとか、そういうようなことで十分なわけでございます。

 そういう不安がある中で事業計画が進むのはいかがなものかということなんですけど、その事業計画が進むのと、それから事業が許可されるのとは全然違うわけです。ですから、我々は事業の許可主体として、不安のあるような問題が本当にあるならば、条例上の手続により合理的な判断をしますから、したがって、どんどん出してくださいというふうに思っておりますので、一切遠慮なく、どんどん出していただければ、むしろ従来よりは楽になるというふうに思っています。

○議長(岸本 健君) 片桐章浩君。

  〔片桐章浩君、登壇〕

○片桐章浩君 時間もほぼなくなってきましたので、以上で終わらしていただきますが、知事の答弁で、かなりお考え方なり、条例の合理的、科学的かつ総合的というのも含めまして聞かしていただきましたんで、事業者の見解も、もとより地元の皆さん方の感じてることもお聞きいただいて総合的に判断を下していただけたらというふうに思いますので、ぜひよろしくお願い申し上げまして、一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

○議長(岸本 健君) 以上で、片桐章浩君の質問が終了いたしました。

 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。

 この際、暫時休憩いたします。

  午前11時35分休憩

  午後1時0分再開

○副議長(森 礼子君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 38番杉山俊雄君。

  〔杉山俊雄君、登壇〕(拍手)

○杉山俊雄君 議長のお許しをいただきましたので、発言通告に基づいて一般質問を行います。

 「学校がブラックになっている」と教職員の長時間労働がNHKニュースで取り上げられるなど、社会問題になっています。この是正は労働条件の改善として急務であり、子供の教育条件としても極めて大切な課題です。

 2017年、政府も教員の長時間労働の早急な是正を掲げました。しかし、その対策は教員増がないなど不十分です。学校が安心して働き続けられる場にすることが求められています。教員生活40年の経験から、教職員の長時間労働の是正と、学力テスト関連の業務削減と県学力テストの中止について質問をします。

 まず初めに、教職員の長時間労働の是正について質問します。

 教職員の長時間労働については、2016年に国が実態調査を行っています。それによると、平日に小学校で11時間45分、中学校で11時間52分で、ほぼ12時間働いています。法律で45分と定められている休憩時間は、小学校で6分、中学校で8分となっています。週当たりの残業時間は小学校で24時間30分、中学校で29時間41分で、ともに過労死ラインを超えています。

 県でも、2017年に市町村立小中学校で勤務実態調査を実施しています。それによると、週当たりの残業時間は小学校で12時間で、中学校で約20時間となり、中学校では平均で過労死ラインに達しています。

 平日、教員の1日の勤務時間が平均12時間ということは、8時間の人がいれば16時間の人もいる、9時間の人もいれば15時間の人もいるということです。15~16時間の人は、夜11時や夜中になるということです。

 ある行事に参加したとき、50年ぶりに同級生に会いました。高校時代以来です。その同級生の息子が中学校の教師をしていると言ってました。「毎日夜中の12時を過ぎる。何か報告書をつくるのに大変時間がかかるらしい。子供とちゃんと向き合えているのか、授業をちゃんとやれているのか、精神的に参っていないか、病気や過労死しないか心配です。今の学校はブラックですね」と話していました。

 昔からひどいわけではありません。時間外勤務を週当たりで見ると、今から約50年前の1966年では、週当たりで小学校で2時間30分、中学校で3時間56分です。それが2016年では、小学校で24時間30分、中学校で29時間41分です。50年前はゆったりしていました。50年後には週当たりで20数時間長くなっています。

 教育長にお伺いします。

 教師の労働時間が、平均で約12時間という過労死ラインを超える長時間労働になった原因をお聞かせください。

○副議長(森 礼子君) ただいまの杉山俊雄君の質問に対する答弁を求めます。

 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 教職員の長時間労働の原因は何かについてでございますが、近年、グローバル化や情報化、少子高齢化など社会の変化に伴い、高度・複雑化する諸課題への対応が必要となってきており、学校や子供たちを取り巻く環境が複雑かつ多様化し、教職員に求められる役割は拡大しています。

 このような中で、教職員には、従来の教科指導に加え、いじめ、不登校等、生徒指導上の諸課題や保護者への対応、部活動の指導、特別支援教育に対応することなどが求められています。加えて、通学路の安全確保や校内美化などの校務分掌事務を担当しており、1人で複数の職務を担っております。

 これらのことが、教職員の労働時間の増加の原因につながっていると考えております。

○副議長(森 礼子君) 杉山俊雄君。

  〔杉山俊雄君、登壇〕

○杉山俊雄君 私は、長時間労働になった原因は三つあると思っています。

 一つは、国が教員の授業負担をふやした。二つ目は、業務の増大です。三つ目は、労基法、労働基準法が適用されない職場であるということです。

 事業の増大については、教育長から答弁がありました。しかし、国の責任による教員の負担増と労基法については触れられていません。そこで、これらのことについて少しお話ししておきます。

 教職員定数を定める法律は、1958年に制定されました。義務教育標準法と縮めて言いますが、その際の基準は、教員1人1日平均4時間、要は6時間あっても4時間授業をする。これを4こまとこれからこま数で呼びますが、4こまです。

 1日8時間労働のもと、半分の4時間は、4こまと休憩、残り半分の4時間は授業準備などもろもろの校務に充てるという考え方でありました。当時は週6日制労働ですから、1週間に授業時間は、教員1人24こまとなります。

 ところが、学校5日制になったとき、この配置の基準が壊されました。1日4こまを守るなら、5日で五四、二十、週20こまに引き下げる必要があります。教員をふやすか授業数を減らすかどちらかですが、教員数をふやさないなら、授業総数を6分の5にする、すなわち6分の1減らす。パーセントで言えば16.7%減らす必要がありました。

 ところが、5日制への移行の際に、国は定数増なしで授業時数を7%しか削らなかったのです。こういうふうな言い方は少し難しいというかぴんとこないので、こま数で言うと、1週20こまにすべきところを22.3こまにして、授業負担をふやしたということです。しかも、その後、国の標準時数を上回る授業時数の確保を求める異例の通知を出した。

 さらに、脱ゆとり、ゆとりを批判した後、ゆとり見直しと称して標準時数を980から1015時数、週で言うと、昔は28こまといって月曜日と水曜日は5限で、五六、三十の二つあいてて28こまだったのですが、これによって25こまに一つふえた。今では学校6日制とほとんど変わらなくなっています。

 二つ目は、労基法の問題です。

 公立学校の教員は、給特法、給与に関する特別措置法という法律で労基法が適用されません。教員に一律給与の4%、教職調整額と言いますが、4%を支給することで、残業代が支払われません。また、休日労働への割り増し賃金も支払われません。

 ちょっと舌が回りませんが、教職調整額4%は1日の労働時間に換算して18.6分です。時間外勤務をさせる場合は限定4項目といって、生徒実習、学校行事、職員会議、非常災害等やむを得ない場合に限るとされています。法律で限定4項目以外に時間外勤務はないということで、何ぼ働いても、例えば進路で忙しくなっていろいろ事務をしても、これは時間外勤務ではない。ただ勝手に、自発的に、自主的にやっているんだというふうにされてきました。そのため、教育委員会や校長は時間管理をしないことが慣例になっていて、そのことが長時間労働を野放しにしました。

 公立学校の教員100万人に残業代を支払うとなればどのぐらいになるかというと、9000億円になるというふうに言われています。残業代を削って、アメリカの防衛のためと言われているイージス・アショアやF35ステルス戦闘機など、武器の爆買いに充てられると思うと、たまったものではありません。給特法という法律は、今の時代に通用しない現実離れした法律で、今後避けて通れない問題になってくると思っています。

 長々と原因について説明しましたが、長時間労働を解決する対策の一丁目一番地は、国の責任で教職員定数を抜本的に改善することだと思っています。

 ある小学校の校長が私にこんなことを言っていました。「小学校でも平日6時間授業、教師は1日1こまあきがあるかないかです。休み時間は子供たちと遊び、昼は給食指導で45分の休憩もほとんどとれません。子供が帰ってから丸つけ、ノート点検、あすの授業準備と休む暇はありません。子供に問題が起これば、親と対応します。日本の教師は、1人何役もこなしています。フィンランドとは大違いです。1升瓶に2升の酒は入らないのは当たり前です」と語っていました。

 また、市町村の教育長や現場の校長と話をすると、SSSシステムというスクールサポート、最近入ったシステムですが、これについてはありがたいけれども、抜本的な解決にはならないというふうに言っていた校長もありました。やっぱり教職員定数の抜本的改善が必要だと、こういうふうに言っていますし、厚生労働省の「過労死白書」では、過重労働防止に必要な取り組みとして教員の78.5%が「教員の増員」を挙げ、断トツ1位です。

 「日本教育新聞」のアンケートでは、教育委員会の実に97.2%が国に定数改善を求めています。文科省の中央教育審議会でも多くの委員が教員増の意見を持っています。

 長時間労働をなくすためには、教員増しかありません。これが教育関係者の声です。しかし、財務省は教職員増の要求には耳をかしません。

 つきましては、長時間労働の原因を解決する対策について、教育長のお考えをお聞かせください。

○副議長(森 礼子君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 長時間労働の原因を解決する対策は何かについてでございますが、まず、いじめや不登校等、生徒指導上の諸課題や保護者への対応につきましては、教職員が個々に対応するのではなく、学校が組織的に専門スタッフなどの意見を聞きながら取り組むことが必要であると考えます。

 このようなことから、教職員に加えてスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、不登校児童生徒支援員、訪問支援員、ICT授業支援員、部活動指導員などの専門スタッフを積極的に活用しております。

 また、各学校の運動部の活動に関しては、休業日を設定するなどの活動方針や校務の効率化を進めるための点検シートを示して軽減を図っております。

 さらに、学校に対して行っている調査やアンケート、研修会について精査し、簡素化するなど、学校、教職員等の業務改善の推進に取り組んでいます。

 今後とも、教職員が業務に集中できる体制をさらに整備してまいります。また、教員定数の改善につきましては、引き続き国に対して強く要望してまいります。

○副議長(森 礼子君) 杉山俊雄君。

  〔杉山俊雄君、登壇〕

○杉山俊雄君 定数の改善については、国に対して強く要望していただくことをお願いしておきます。

 教育長から調査やアンケートについての精選や簡素化の話が出ましたが、職場では何でも文書で報告が求められることに対して、愚痴が多く聞かれます。例えば月5日以上の欠席生徒の報告についてですが、不登校で同じ状態が続いても本人や家族との連絡記録を月末に入力、様式が1、2とあり、同じような内容なのに面倒と担任は口をそろえてぼやいていると言います。月末が迫り、担当者が学級担任に急ぐように催促すると、両者の間で気まずい雰囲気になると言っていました。お互い余裕がないからだというふうに思います。

 また、いじめアンケートでは、同じ内容のものを年3回実施、20項目ほどの質問結果を集計し、パソコンに入力するのに、長いときには3時間ほどかかると言っていました。担任は日々子供たちを見ており、当然気になることがあれば話を聞いている、また学校独自の生活アンケートもしており、本当に二度手間だとぼやいていました。

 また、教職員自己申告書については、毎年4月の忙しい時期に目標3項目と具体的数値を書き、校長に提出、その後面接。目標が曖昧であったり数値が書かれていなければ書き直し。その他、不祥事防止20カ所チェックリスト、勤務状況把握チェックリスト、これをやっても過労やストレスがふえると不祥事も起きてしまうのではと愚痴をこぼしていました。

 教職を去り、学童保育の指導員をしている人が、「今の学校は文書ばかりと向き合うことが多過ぎる。学童保育のほうが給料が安いが、子供たちと向き合え、やりがいがある」と語っていました。子供と向き合い、希望を語れる学校でありたいと思っています。

 次に、35人学級について質問します。

 知事は、昨年の9月議会で、「少人数学級が必ずしも教育的効果が高いわけではなく、これが全てではない。各学校の状況に応じて教員を配置することが重要である。いろいろな問題を抱えている子供たちの実情に応じたきめ細かい対応を行うことが重要だ」と答弁しています。

 実情に応じたきめ細かい対応については、国からの加配があり、県でも措置されています。また、教育効果が低いと言われる少人数学級の効果については、文科省初等中等教育局財務課のホームページで、学力向上、不登校減少、欠席率低下等が紹介されています。

 35人学級については、国は小学2年生でストップしたままで、先には進んでいきません。しかし、国がやらないので、県独自の財源措置で教員を採用し、中学校3年生まで35人学級を実施している県があります。秋田県、福島県、山形県などです。

 ぜひ県で財源を確保して教員を採用し、中学校3年生まで、国の標準、県の基準に見合う教員配置で35人学級を実施してください。教育長の答弁を求めます。

○副議長(森 礼子君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 本県の少人数学級への取り組みについては、国の加配を活用し、これまで小学校3年生から6年生の35人もしくは38人以下の学級編制、中学校の35人以下の学級編制とするために必要な教員定数を確保し、国基準よりも少人数の学級編制を実現してきたところでございます。

 近年、学校を取り巻く環境が複雑かつ多様化している中、各学校の状況に応じて教員を配置することが重要であり、さまざまな問題を抱えている子供たちに対して、個別の指導や補充学習、個々の児童生徒の実情に応じたきめ細かな対応を行うことがより重要だと考えております。

 県教育委員会といたしましても、今後も市町村教育委員会と協議しながら、学校や児童生徒の課題解決のために必要な教員を配置し、きめ細かな対応ができるよう取り組んでいきたいと考えております。

○副議長(森 礼子君) 杉山俊雄君。

  〔杉山俊雄君、登壇〕

○杉山俊雄君 少人数学級については、国のTT加配を活用して県独自の学級編制、38、35人学級を行っていますが、県独自の財源措置による教員はありません。これが、教員に負担を強いるありがた迷惑な編制になっています。

 中学校でいえば、県独自の35人学級編制が適用されても、教員配当は40人学級に基づいて計算されます。例えば、全ての学年の生徒が76人の学校の場合──1学年76人です──40人学級編制なら1学年76の2で38人、1学年38人の2学級掛ける3で6学級となります。1学級当たりの生徒は38人。

 実際は、県独自の35人学級が適用されるので、76を3で割って、大体1学級当たりの生徒数は25人で1学年3学級になり、学校全体で9学級になります。しかし、教員配当は40人学級で計算されるので、6学級分の教員しか配当されません。

 県の基準でいうと9学級なら15人配当されるのに、40人学級に基づく計算、6学級では10人で、3学級ふえるので10プラス3の13人の配当となります。2人少ない配当になり、教員の持ち時間がふえます。

 私も岩出中学校のときに1学級ふえて、職員の間で大変な論争をしました。1学級ふえるということは、29時間を1人で持つということです。1学級ふえるということは、1学級ふえたら週29時間あります。それを1人で持つということです。

 1人で持つということは、休み時間もなしです。6こま、ずうっとやらんなん。こんなことはほとんどできません。だから、1日1人20こまとして、9こまは誰かに持ってもらわなあかん。そうすると、みんなで分かち合っても一つずつふえていく、3年生だったら3年生でふえていく。

 そんなんちょっとしか学級数減れへんのに、大きなところだとほとんど変わらないので、そんなんやったらやめて、もうもらわんとそのままやろうやというようなことを何回も論議した経験があります。そういう意味で、ありがた迷惑だと言っています。

 しかし、子供たちにとっては、先ほどの例だと38人から25人になってすごくゆとりはあります。しかし、教員にとってはゆとりはありません。いつも子供たちのためにという美名のもとに、教員に負担増が押しつけられています。これで働き方改革と言えるのかが大変疑問に思っています。

 ぜひ県で財源を確保し、教員を採用し、中学校3年生まで35人学級を実施し、子供たちと教職員にゆとりを与えてください。再度お願いしておきます。

 長くなりますが、次に学力テスト関連の業務の削減と中止を求める質問です。

 学テにかかわる業務が大変多いことに驚いています。ある中学校の先生に実態を聞きました。ことしは4月18日に全国学力テストが行われました。行われて、終わるたびに全生徒の回答を、僕は古い人間だから、あれだけコピーしたら大変だろうなあと思ったんですが、今はすうっとスキャンをして、流してそれですぐに印刷が出てくるという、そういう機械があるらしいので、ばあっとスキャンをして紙ベースで印刷されてくる。それを皆で手分けして採点してパソコンに入力するというようなことを言っていました。

 それから、5月中旬に教育センター学びの丘主催で全国学力テストにかかわった教科の研修会が行われて、5月の末からは、市教委主催で学力向上の研修会が年3回、国、数、理、英の順で行われると言っていました。そこでは、小中学校各8校500名程度の抽出による県サンプル結果で、そこから早く県で全国のテストを県サンプルで分析結果を出して、そして、自校との比較で弱点克服のための対策指導が求められると言っていました。また、支援事務所から月1回の指導があり、学力部会で対策を求められると、こういうふうに言っていました。

 10月には、2年生対象に県学力テストがあります。さらに、2年生対象に評価テストが1月か2月に実施されると言っています。これは4月の2年生ですから、来年3年生で、これは4月の全国学力テスト対策だと、こういうふうに言っています。

 それから、評価問題という過去問、これは学びの丘のインターネットから取り出して、総合や学活の時間を利用して、学テの弱点を補強するために活用すると言っていますし、学びの丘のマスター問題、通称・きいちゃんドリルと言っているらしいですが、これで県学テ対策を行っているというふうに言っていますし、小学校、中学校ともに国語と理科があるらしいです。ふだんの復習や朝学、宿題等で活用され、市教委から実施の報告が求められると言っていました。

 それから、ちょっと長くなりますが、今度は小学校での実態です。

 全国学テの1週間前から授業を使ってテスト対策が行われると言っていました。終了後、1クラス分を採点して、研究部会で分析、検討、課題を見つけて校内研修で対策を提案。結果を市教委に報告をします。

 先ほど言うた評価問題は、学びの丘のウエブから国、算、理を1、2という2セット取り出して、ある市では市教委で全部刷って学校へ配ると言っていますが、ここの市は自分とこの学校で印刷をする。こんなに分厚くなる。それを朝学に使うので教室の前の棚に置くと言っていました。朝学で実施すると、児童からは「もう嫌や」という、こういう声も上がることがある。教師も、何でこんなことをせなあかんのやと嫌になるし、印刷したプリントを床にぶつけたくなるというときもあると、こんなふうに言っていました。

 1問ごとに、きょうの参加者数と正解数を記入して、放課後にパソコンに入力する。毎日毎日採点して入力する。大変です。これを市教委に報告する。なぜか。点数が低いと学力定着フォローアップに当たるから点数アップが必要なんやと言われると嘆いていました。

 学力定着フォローアップは学びの丘の事業で、県内47校が指定され、1校14回の指導があると聞いています。点数が低い学校には、2学期から指導員が入って、1人ずつ研究授業をして個別指導がある、こんなふうに言っています。

 全国学テが終われば、県学テに向けて対策、県学テが終われば、次年度の全国学テに向けての対策というふうに、現場は学力テストのツーサイクルシステムになっているとある校長は語っていました。

 このように、全国学テでの順位を上げるために過去問の練習、独自採点、研修会、研究授業、部会での対策、県独自テスト、採点等たくさんの業務があります。子供も教師も辟易しています。

 地方教育委員会や学校の学力向上のために行っている多くの会議や研修会をなくすだけで仕事が減ります。減った分だけ教材研究や授業研究の時間がふえ、子供たちと楽しい授業ができます。教師の本分は、子供たちとの授業です。大胆に学テにかかわる業務を削減することが、働き方改革を実現することになると思います。

 また、馳文科大臣は、2016年の4月の記者会見でこんなことを言っています。「点数さえよければいいのか。調査の前になると過去の問題をやっている学校がある。とんでもないことです。それも4月だけでなく、2月、3月からです。とんでもないと思います。福井県に負けるな、富山県に負けるな、本当に情けないと思います。教育委員会が点数に過敏になっている」と語っています。馳文科大臣にとんでもない、情けないと言わせていることが、和歌山県で行われている学テの点数アップ対策ではないでしょうか。

 学テにかかわる業務の削減と学テ中止は表裏一体です。県学力テストを中止するだけで大胆に業務を削減することができると思います。2018年度に業務を削減する目的で県独自テストを休止、中止に踏み切った県があります。福島県、神奈川県、長野県、岐阜県、奈良県等です。先進県に学んで、県学テの中止を強く求めます。教育長の見解をお伺いします。

○副議長(森 礼子君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 和歌山県学習到達度調査は、全国学力・学習状況調査と異なる学年を対象として、主に当該学年の学習内容について、教員が子供たち一人一人の学力の定着状況をきめ細かく把握することで、個々の課題に合わせた指導を行い、学習内容を確実に身につけさせるために実施しております。

 この調査と全国学力・学習状況調査をあわせて実施することで、課題とその改善状況を把握しながら学力の定着に取り組むことができ、子供たちの確かな学力の向上につながると考えております。

○副議長(森 礼子君) 杉山俊雄君。

  〔杉山俊雄君、登壇〕

○杉山俊雄君 全国学力テスト、県学力テストに対して、子供も教師もやりがいを見出せずに悲鳴を上げています。やらされ感の強い学力テスト対策で本当に力がつくのか、疑問に思っています。

 高校の先生が言っていました。「最近入ってくる子は燃え尽き症候群になっているのではないかな」、こんな感想も漏らしていました。勉強しろ、勉強しろと強制すればするほど、子供たちはやる気をなくします。勉強が嫌いになります。馳文科大臣がおっしゃっている「情けないこと」であります。しかし、県教育委員会は、これが一番と胸を張っています。とんでもないと思います。

 最後に、学力世界一のフィンランドについて述べたいと思います。

 マイケル・ムーアの映画「世界侵略のススメ」を見ました。その中で、フィンランドが学力世界一になったのは「学力テストをやめる、宿題をやめる、授業時数を減らして遊ぶ時間をふやしたからだ」と映画の中で、これが世界一になったんだと言っていました。私は目からうろこでした。

 僕は、家で宿題を必ずやることが学力アップだとして、ずうっとそれを生徒に教え込んできました。それが、宿題をやらずに教科書は学校に置いておく、こういうふうな映画の中身でした。「日本とは正反対だ」とある校長に言うと、学力世界一のフィンランドを視察したことのある校長は「子供にかかわるスタッフがたくさんいてます。教科担当の教師は午後3時で終わりです。給食は食堂でいただき、教師はタッチしません。生徒に問題があれば、ケースワーカーが対応します。地域には指導員が配置されている。こういうふうに教育に大変お金をかけているからですよ」と言っていました。

 日本の教育予算は、OECD加盟国中、3年連続最下位です。フィンランドの約2分の1です。教員がゆとりをもって子供たちと向き合えれば、教育は充実をします。

 以上をもって質問を終わります。(拍手)

○副議長(森 礼子君) 以上で、杉山俊雄君の質問が終わりました。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 2番山家敏宏君。

  〔山家敏宏君、登壇〕(拍手)

○山家敏宏君 皆さん、こんにちは。

 議長のお許しをいただきましたので、通告書に従い一般質問を行わせていただきます。

 その前に、一言御挨拶をさせていただきたいと思います。

 昨日午後10時22分ごろ、山形県沖でマグニチュード6.7の地震が発生し、新潟県村上市では震度6強、山形県鶴岡市では震度6弱が発生し、多くの方々が被害を受けております。被害に遭われた方々に対し、心よりお見舞い申し上げます。

 この伝統ある和歌山県議会において登壇をさせていただけることはまことに光栄で、また、身の引き締まる思いとともに、責任の重さを痛感している次第です。

 さきの統一選挙で有田郡選挙区から選出させていただきました山家敏宏です。私は、後援会活動の一つとして、有田郡内を回り、住民皆様の声をお聞かせいただきましたところ、各地域に抱える課題は多種多様であることがわかりました。

 例えば、目立った産業もない、住民にとって住むための魅力がない、非常に交通の便が悪く病院の通院が困難なことなど、住民はこのような生活を嫌って地元を出ていってしまい、高齢化が進み、空き家の増加につながっている現状がございます。

 私が町議会議員のときに、外灯を設置してほしいという要望で経験したことでありますが、本当にこれは難しいということを痛感いたしました。設置自体は行政が行いますが、それにかかる電気料金の問題があります。電気料金は区費から捻出している市町村も多いと思いますので、一つふえただけでも、各市町村、空き家が増加し空洞化が進んでいる和歌山県の現状から見ても、この負担で区費がなくなる地区があることを御理解いただきたいと思います。

 これらの課題を、住民の皆様と県を結ぶパイプ役となり一つ一つ解決していくことが、私の使命であると考えています。民間企業、役場職員、湯浅町議会議員の経験を生かして、今日までふるさと和歌山県のために取り組んでいただいている重要政策を継承しつつ、さらなる和歌山県の飛躍を目指し、粉骨砕身取り組んでまいりますので、先輩議員、同僚議員、仁坂知事初め県当局の皆様におかれましては、御指導、御鞭撻のほどお願い申し上げます。

 初めての一般質問のため、お聞き苦しい点も多々あると思いますが、御了承いただきますようお願い申し上げます。

 昨年9月の台風21号は、全国で死者14名、負傷者1011名、また、家屋や農作物に対して甚大な被害に見舞われました。和歌山県でも最大瞬間風速57.4メートル、最高潮位316センチメートルを観測し、人的被害、家屋や農作物への被害は甚大でありました。被害を受けた家屋においては、いまだにブルーシートを張りつけたままの屋根が和歌山県全域でまだ見受けられます。

 また、近年、台風だけでなく、集中豪雨による河川氾濫や土砂災害、地震による家屋倒壊や津波など、さまざまな対策も必要になってきています。もちろん早急なる対処や対応も必要ではありますが、防災の主な課題としては、防災計画や防災システムの実行力があること、避難の目安となる予報や警報、災害が起こった後の安全に逃げてもらうための信用できる避難情報のあり方なども必要ではないでしょうか。

 もちろん、住民の皆様にも防災に対する取り組み方の対策をお願いしなければならないことも重要であります。災害が起こってからでは、遅いのです。

 災害時の対応についても、現在三つの区分に分けられております。

 一つ目は、みずから対応する自助。みずからが、困難な問題に対してまずは自分自身で考え、行動し、問題解決を図るよう努めていただくこと。これは、豊かな生活を送るための基礎となるものです。

 二つ目は、御近所などの共同体で助け合う共助。御近所の方々が協力、協働し、ボランティア活動を行い、福祉のまちづくりをしていかなければならないことです。

 三つ目は、消防や自治体に助けてもらう公助。自分たちだけでは解決できず、行政機関にお願いしなければならない課題のことです。

 この三つの区分は災害時にとても重要で、どれをとっても欠けてはならない取り組みです。実際、自助、共助については、少子高齢化が進み、難しくなっています。また、公助においても、交通の便が不自由であるがゆえに、救助、復興のおくれなどから地元を離れていく若者が増加し、少子高齢化につながっております。

 今回、昨年の台風21号を取り出してみましたが、和歌山県は海、山、川と大変自然豊かな地域であります。あるがゆえに、どうしても災害に見舞われてしまうのが現実です。しかし、災害に強いまちにしていくことで、自然豊かな和歌山を最大限に有効活用し、現在、和歌山県で取り組んでいただいている「災害による犠牲者ゼロ」の実現に向けて発信していきたいと思っております。

 災害による犠牲者ゼロの実現の一つとして、平成23年10月に完成しました住民の命を守る一文字防波堤。湯浅広港の一文字防波堤とは、昭和南海地震を想定し、総延長950メートル、幅は広川町側約7から8メートル、湯浅町側は約10メートルと、かなり重厚な堤防が平成23年10月に完成し、3連動地震が発生した場合の想定津波においても、浸水エリアが約3割程度減少するとともに、浸水の深さも低減する効果があるとされています。

 しかし、その防波堤が、昨年の台風21号で広川町側の堤防が移動しているとも聞いております。まず、このことは事実でしょうか。

 また、大きい台風といえども、津波対策に建設された堤防が移動するというのは、3連動の地震時の津波は本当に大丈夫なのでしょうか。沿岸地域の住民の方は、大変不安を抱えております。このことについて、県土整備部長の答弁を求めます。

○副議長(森 礼子君) ただいまの山家敏宏君の質問に対する答弁を求めます。

 県土整備部長髙松 諭君。

  〔髙松 諭君、登壇〕

○県土整備部長(髙松 諭君) 湯浅広港の津波防波堤に関する御質問をいただいたところでございます。

 この湯浅広港の津波防波堤につきましては、平成10年度から、50年確率波及び昭和南海地震による津波にも耐え得る構造として整備を進め、平成23年10月に一旦完成をさせていただいたというところでございます。

 この防波堤のうち、南側、広川町側の一部が、昨年の台風第21号の波浪によりまして、港内側、いわゆる陸地側になりますけれども、この陸地側に最大で1.1メートル移動したことは、議員から御指摘のありましたとおり事実でございます。

 一方で、平成23年3月の東日本大震災の発生に伴いまして、和歌山県としては、東海・東南海・南海の領域で同時に発生する、いわゆる3連動地震と最大クラスの巨大地震を想定し、津波シミュレーションを見直したところでございます。湯浅広港の津波防波堤につきましても、このシミュレーション結果を踏まえまして、3連動地震の津波に対する安全性を検証いたしました。

 この結果、この津波防波堤としての必要な高さが確保されていないこと、また、倒壊のおそれはないものの、基礎部分が一部損壊するおそれが判明したことから、かさ上げや基礎部分の補強などの改良工事を行うことといたしました。平成27年度より設計を開始いたしまして、平成29年度より現地の改良工事に着手していると、こういう状況でございます。

 先ほどの防波堤が最大で1.1メートル移動した区間については、この改良工事にまだ着手していない区間でございます。

 このような状況を踏まえまして、この津波防波堤の改良工事を引き続き推進していきますとともに、防波堤が最大で1.1メートル移動した区間につきましては、現在、基礎部分の調査、これは転倒するおそれがあるかどうかといったことを中心とした調査でございますけれども、この調査を実施しているところでございまして、この結果、追加の対応が必要であれば、先ほど申し上げました改良工事とあわせて速やかに対策を講じてまいりたいと、このように考えております。

○副議長(森 礼子君) 山家敏宏君。

  〔山家敏宏君、登壇〕

○山家敏宏君 3連動を想定した補強工事を継続して行っていただいているということについては十分理解していますが、少しでも早期完成に向けて、引き続きよろしくお願いいたします。

 また、台風21号の波浪により1.1メートル移動している部分については、調査結果を考慮していただき、一日でも早い対応をお願いいたします。

 港湾工事については、施工中であってもなかなか住民の方々にはわかりづらい面がございますので、調査結果及び補強工事については、各町とも連携しながら発信していただき、住民の皆様の不安を取り除いていただきたいと思います。

 私は、行政の職員の方の大変さも十分理解しているつもりではございますが、私は常に民間の考え方で物事に取り組むようにしております。例えば、住宅のRCの擁壁が10センチ移動すれば、当然ですが、早急に原因究明し、補強が必要な場合は即座に工事着手を行い、住まわれている方の不安を取り除き、安心して生活できるようにしなければなりません。

 和歌山県全域のこともございますので難しい面もあると思いますが、今回、そして今後もこのようなことが起こらないほうがよいのは当然ではございますが、万が一起こってしまった場合は、補正予算等での対応も重要だと考えております。

 また、現状、津波被害の不安から、沿岸部には空き家が増加し、高齢化が進んでおります。それだけでなく、災害が起こった後の風評被害をなくすことも重要であると考えています。風評被害を防ぐのは、インターネットが普及している昨今、間違った報道や個人の見解による配信を防ぐことは大変難しいことでありますが、反対に、インターネットを利用して、事前に災害が起きても安全・安心できる対策をしていることを伝えておく、また、災害が起こった後においても、事実のみを私自身も情報提供できるよう努めていくことが重要であると考えております。

 そして、以前「コンクリートから人へ」という耳ざわりのいいような言葉が流行した時期もございましたが、私は当時から、やはり人命を守るためには強固なハードづくりが最も重要だと考えておりますので、引き続き安全で安心できる和歌山県実現のため、よろしくお願い申し上げます。

 二つ目の質問に移らせていただきます。

 2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けたインバウンド誘客について質問させていただきます。

 日本政府観光局の発表では、全国的なインバウンド数は、2014年1341万3467人、2018年3119万1856人と年々増加しております。2014年と2018年を比較いたしますと、5年間で約2.3倍となります。

 全国的なインバウンド増加要因については、日本への関心の高まり、アジア諸国の経済的成長、円安の進行、LCCによる運賃下落、官民が連携したインバウンド呼び込み施策、フリーWi-Fiの設置、多言語看板の設置等、いろいろ要因がございますが、私は官民一体となった取り組みの成果が大きいと考えております。

 そうした中、私のふるさと有田地方では、1市3町の有志の議員の方々が集まり、有田地方観光振興議員連盟を平成25年度に設立し、有田地方、そして和歌山県の観光振興に取り組んでくれております。設立当時は、玉木県議、そして、私も参加させていただいていました。

 その活動の一環として、平成26年3月に仁坂知事に対しまして、特にインバウンド観光客を対象にした多言語看板の設置、民間施設等にフリーWi-Fi設置に関する補助金の要望をさせていただきました。

 その後、仁坂知事、先輩議員の御尽力のおかげで、平成26年度より多言語案内看板の重点的な整備、平成26年度2月補正予算では、和歌山フリーWi-Fi大作戦の実施を行っていただきました。この場をおかりいたしまして、感謝申し上げます。

 このように和歌山県では、インバウンドの観光客をふやすためにさまざまな施策を講じていますが、現時点においての特徴の一つとして、ヨーロッパ諸国、アメリカ、オーストラリア、アジア等の方々には数多く訪れていただいていますが、ロシア、ドイツ、中東の方々には、まだまだ浸透していないためか、ほとんど来ていただけない状況です。また、滞在期間も短いのが現状でございます。

 和歌山県の魅力は、世界遺産やパンダ等は大きく取り上げられていますが、私が今目を向けているのは日本遺産です。平成27年度に開始された日本遺産制度ですが、ことしで5年の月日が過ぎたにもかかわらず、まことに残念なことでございますが、まだまだ認知度が低く、多くの方々には知られていない現状にあります。

 全国では83件、日本遺産に認定されています。そのうち和歌山県内で認定をされているのが、和歌山市、海南市の「絶景の宝庫 和歌の浦」、湯浅町の「『最初の一滴』醤油醸造の発祥の地 紀州湯浅」、広川町の「『百世の安堵』~津波と復興の記憶が生きる広川の防災遺産~」、新宮市、那智勝浦町、太地町、串本町の「鯨とともに生きる」、和歌山県を含む2府5県で認定を受けている「1300年つづく日本の終活の旅~西国三十三所観音巡礼~」、83件中5件と、全国割合で考えればかなり多い件数が認定されております。

 これらの観光資源を生かし、日本遺産のすばらしさを世界遺産の観光で訪れた世界各国の方々、また日本国内でも知っていただけるよう、国、県、市町村とも協力しながらさらに知名度を上げていくことが、和歌山県にとって観光客誘客増加に対し重要だと考えております。

 和歌山県の世界遺産に関しては、最も魅力の一つである2004年にユネスコ世界遺産に登録された「紀伊山地の霊場と参詣道」にある高野山。1200年の歴史を重ね、至るところがお寺の境内地であり、土地全体がお寺のためか、不思議と心安らぐ聖地、パワースポットと称賛され、世界各国の人々からは憧れの地とも呼ばれております。

 高野山は、お寺の外観や景色などをただ観光するだけでなく、写経、阿字観瞑想、護摩祈禱、勤行体験ができ、世界遺産に宿泊し、過去から現在に受け継がれてきた精進料理も体験できるすばらしい地であります。

 熊野古道は、三重、奈良、和歌山の3県を広大な範囲にまたがっていますが、和歌山県南部の熊野三山の本宮大社、那智大社、速玉大社を目指し、浄土に憧れ、さまざまな思いを持って歩いた修行道は、参拝者の思いがこもった神聖なる道であります。

 最近は、香港、台湾、ベルギー、ポーランド、フランス各国の方々も熊野古道に大勢訪れていただいている現状の中、来年、2020年東京オリンピック・パラリンピックが、御承知のとおり、三つの基本コンセプトのもと実施されます。

 その基本コンセプトは、一つ目は全員が自己ベスト、二つ目は多様性と調和、三つ目は未来への継承。

 2020年東京オリンピックは、2020年7月24日から8月9日までの17日間、パラリンピックは8月25日から9月6日までの13日間の日程で開催されます。また、東京2020組織委員会では、聖火リレー日程の発表を6月1日に行い、和歌山県内では2020年4月10日と4月11日に実施です。

 日本政府の観光ビジョン目標値では、2020年インバウンド観光客4000万人、インバウンド旅行消費額8兆円で、4000万人は2015年度の約2倍の数値でございます。和歌山県にとってはインバウンド誘客の絶好のチャンスと私は捉まえておりますが、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けたインバウンド誘客についての現状の取り組みと今後の取り組みを商工観光労働部長にお伺いいたします。

○副議長(森 礼子君) 商工観光労働部長稲本英介君。

  〔稲本英介君、登壇〕

○商工観光労働部長(稲本英介君) 2020年東京オリンピック・パラリンピックを契機として世界中から日本への注目が集まる中、大会期間の前後を含め、さまざまな国々、地域から多くの皆さんが来日されるものと予想しております。

 和歌山県では、この機会を和歌山県の魅力を世界中に発信する絶好のチャンスとして捉え、現在、26カ国・地域をターゲットに日本政府観光局や関西観光本部と連携したプロモーション活動を展開するとともに、海外旅行社や訪日ツアーオペレーターに対し、本県観光地を含むツアー商品の造成を働きかけているところです。

 特に本県には、海外メディアから高い評価を受けている世界遺産「高野山・熊野古道」に加え、絶景を初めとするすばらしい自然景観や温泉、グルメなど、豊富な観光資源があることから、有名スポーツ選手を活用した海外メディアの招聘や海外スポーツメディアとの共同キャンペーンなど、さまざまなメディア媒体を活用した和歌山の魅力発信に取り組んでおります。

 あわせて、個人で訪れる外国人観光客への対応として、公共交通を活用した移動環境の改善と県内観光施設のインバウンド対応やキャッシュレス対応の導入促進に加え、南紀白浜空港を利用することによる東京から白浜へ1時間というアクセス優位性を生かした東京プラスワントリップの観光周遊モデルルートの普及促進にも取り組んでまいりたいと思います。

 世界の注目が日本に集まるこのチャンスを逃がすことのないよう、日本政府観光局や関西観光本部を初め関係機関とともに積極的なプロモーション活動を展開し、世界中から多くの皆さんに和歌山県へお越しいただけるよう取り組んでまいります。

○副議長(森 礼子君) 山家敏宏君。

  〔山家敏宏君、登壇〕

○山家敏宏君 開催まであと401日ですが、誘客に向けて多種多様な方法で取り組んでいただいていることをお聞きさせていただきました。

 開催中はもちろんですが、閉会後も和歌山リピーターとなっていただけるよう、関係団体、各市町村と協力しての取り組みを引き続きお願いいたします。

 ここで、少し話が脱線いたしますが、私が思うオリンピック・パラリンピックの重要なところは、先ほどお話しさせていただきました二つ目の多様性と調和だと考えています。

 平成23年6月に、当時、駐日パラグアイ共和国特命大使・豊歳直之様の講演を拝聴させていただく機会がございました。その中で最も影響を受けたのが、世界中の人々が同じ地球という名の宇宙船に乗って宇宙を旅するということです。これは言葉のとおり、世界中の人々が一つの宇宙船に乗って宇宙を旅しているのだから、あらゆる面での違いを肯定し、自然に受け入れ、互いに認め合う。そのことを共有できれば、あらゆる差別や戦争はなくなるという考えです。2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催によって、少しでも生かせればと考えております。

 本題に戻りますが、2019年9月にはラグビーワールドカップ、2020年東京オリンピック・パラリンピック、2021年アジア開催が初めてのワールドマスターズゲームズ2021関西、そして、2025年には大阪・関西万博が開催されます。また、本年は、和歌山県でも11月9日から11月12日の4日間、ねんりんピック紀の国わかやま2019が開催されます。和歌山県にとって、インバウンドのみならず観光客誘客の絶好のチャンスが続いております。

 特に、2025年大阪・関西万博は185日間という期間で実施され、2025年国際博覧会検討委員会報告書では、来場需要予測で約2800万人、国内から約2470万人、海外から約350万人、全国への経済波及効果は約1.9兆円と試算が出ております。関西国際空港を利用される方も多いので、取り組み方によっては和歌山県にとっても大きな経済効果があると考えております。

 まだ詳細は発表されていないのが現状でありますが、当然、他府県も誘客にかなり力を入れてくると考えられています。開催まで6年間の短い期間という認識のもと、詳細決定以前からの誘客に向けての取り組みの実施、そして、いろいろな御意見もあると思いますが、和歌山県にとって、人々が何度も足を運びたくなるような建物の建設も私は有効であると思いますので、このことを踏まえて要望いたしまして、以上で私の一般質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手)

○副議長(森 礼子君) 以上で、山家敏宏君の質問が終了いたしました。

 質疑及び一般質問を続行いたします。

 29番玄素彰人君。

  〔玄素彰人君、登壇〕(拍手)

○玄素彰人君 議席番号29番、玄素でございます。県議会議員当選後、初めての一般質問をさせていただきます。何分、初めての質問でございます。ふなれな部分につきましては御容赦をいただきたいと思います。

 それでは、早速質問に入らせていただきます。

 まず、大見出しの1点目でありますが、県証紙の段階的廃止と現金化またはキャッシュレスへの移行についてを質問いたします。

 県証紙については、御承知のとおり、許認可などの申請をするときの手数料や県立高校の入学金として現金のかわりに納められているものであります。現在、警察、交通関係を中心に年間約16億円の売り上げ、それに係る証紙売りさばき手数料は2700万円ほどです。

 証紙を張って納めるのではなく、直接現金で、またコンビニ、カード決済するほうが、利用者にとっての利便性は高まりますし、証紙を紛失するリスクもなくなります。また、証紙を直売する人件費の手間が省かれることが想定をされ、県証紙に関しては一定の役割を終えつつあるのかなと感じております。

 平成29年2月1日付の産経ニュースによりますと、既に証紙を廃止している広島県においては、証紙の廃止効果が年間約7000万円となる試算もあるようです。売りさばき所との関係など、これまでの経緯は尊重しますが、既に廃止をしている東京都、広島県や大阪府を参考にして、現在、和歌山県が実験的に進められているキャッシュレス化、または現金化、カード化等に移行してはと考えますが、会計管理者に答弁を求めます。

 以上、1点目の質問をさせていただきました。これより後の質問、再質問は対面式演壇にて行わせていただきます。よろしくお願いいたします。

○副議長(森 礼子君) ただいまの玄素彰人君の質問に対する答弁を求めます。

 会計管理者飯島孝志君。

  〔飯島孝志君、登壇〕

○会計管理者(飯島孝志君) 本県では、使用料の一部及び手数料の徴収につきましては証紙により収入しており、その額は平成29年度で約16億円となっています。

 現在、東京都、大阪府、広島県の3都府県が証紙を廃止しており、基本的に現金納付へと移行しているところでございます。

 証紙を廃止し、現金納付へ移行した場合、証紙売りさばき手数料などの経費の削減や申請者の証紙購入等に係る手間は省けるものの、現金の収納や金融機関への払い込み等の新たな事務が生じるため、検討が必要であると考えております。

 また、県民の利便性を高めるためには納付方法の多様化が必要であり、その中でカードによる決済を初めとするキャッシュレス決済は有効な納付方法の一つであると考えております。今後、その導入につきまして、収納システムの構築や運営にかかるコストなどを勘案しながら検討してまいりたいと考えております。

○副議長(森 礼子君) 玄素彰人君。

  〔玄素彰人君、登壇〕

○玄素彰人君 ただいま答弁をいただきました。

 質問をさせていただいたんですが、障害は、これはなくしていくとかということになると一定あるのは理解するんですけども、広島県でも7000万の効果があるんやと。利便性もよくなるというのも確かだと思いますので、直ちに今すぐということではないんですけども、将来を見据えて、そういったことの試みをしていただければと思いますので、よろしくお願いします。もうこの質問はこれで終わります。

 次の質問に移ります。

 次に、大見出し2点目のLINEによるいじめ相談についてを質問いたします。

 いじめ対策については、いじめ防止対策推進法の施行以来、各学校ではいじめ防止基本指針の策定、校長会や教頭会、職員会議での周知、生徒に対してはアンケートを実施されております。和歌山県においても、24時間対応の子供SOSダイヤルや教育相談電話、ネット安全パトロール和歌山Web、教育長POSTなどを通じて、日々対応されているところだと思います。

 そういった中で現状の対策に加えてはどうかと今回提案させていただきますのは、LINEによるいじめ相談です。

 LINEによるいじめ相談については、既に神奈川県、大阪府、兵庫県で、また、本県では和歌山市で既に実施されております。

 滋賀県大津市では、従来の電話や手紙を通じた相談窓口に比べ、相談対応回数は3倍にもなったそうで、事業実施資金については、文部科学省の補助金等が全額活用できるとのことです。これまでの相談体制に加えて、気軽に相談できる、事前にいじめを把握しやすい、やりとりを後から読み返せるので課題の整理がしやすく、引き継ぎも円滑であるなどのメリットもあると考えます。

 類似の質問は平成30年2月の議会にもなされており、アプリを介した相談の体制について、当時の教育長は、「STOPit」「LINE」「Kids'Sign」「Filii」などのアプリについて、「さまざまな観点から検討してまいりたいと考えております」と答弁されております。

 現状において、これらの検討結果は出ているのかどうかも踏まえ、教育長に答弁を願います。

○副議長(森 礼子君) 教育長宮﨑 泉君。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) いじめ相談につきましては、これまでもさまざまな取り組みを行っております。

 LINEによるいじめ相談窓口につきましては、今年度から取り組むこととしています。いじめに関しては、認知件数が夏季休業を挟んでふえる傾向にあるため、7月末から1月末まで開設したいと考えています。

 今後も、いじめの早期発見、早期対策に向けた県の教育相談体制の充実に努めてまいります。

○副議長(森 礼子君) 玄素彰人君。

  〔玄素彰人君、登壇〕

○玄素彰人君 LINEによるいじめ相談については、本年度から実施していただけるということで理解をいたしました。ありがとうございます。

 今、答弁の中で、実施期間が7月から1月の末ということでお聞きをしました。本来であれば通年でやればええのになというふうに単純に考えれば思うんですけども、何か理由はあるんでしょうか。済みません、教育長、再度答弁願います。

○副議長(森 礼子君) 教育長。

  〔宮﨑 泉君、登壇〕

○教育長(宮﨑 泉君) 実施期間につきましては、いじめの認知件数の多寡やSNS相談窓口を設置している他の自治体の状況を参考にして設定をいたしました。

 今後につきましては、今年度のLINEによるいじめ相談の実施結果、効果を見た上で検討してまいりたいと考えております。

○副議長(森 礼子君) 玄素彰人君。

  〔玄素彰人君、登壇〕

○玄素彰人君 とにかくやっていただけるということなんで、うれしく思うんですけども、いじめに関しては、何というか幅広いということの対策、セーフティーネットをとるということとか、あと時間軸でやっぱり早いということが大事なんだというふうに思っております。今回、もうほとんど全額、文科省のお金でやれるということで、それはそれでうれしいんですけども、俗に言うたら、はしごを外される、もう国が予算ことしからつけへんでというようなことも、十分想定はされてると思いますけども、ぜひとも、多分ええ仕組みだと思うんで、実施をお願いしたいと思います。

 以上で、このことに関しては質問を終わらせていただきます。

 それでは、三つ目の質問をさせていただきたいと思います。

 人口減少対策課、または局の設置についてを質問させていただきます。

 現在、県における人口減少対策は、子育て、雇用、教育、都市政策、定住など、多くの部署や課にわたって実施をされております。人口減少に関する議会質問も、ここ数年は年間2件ぐらいのペースで行われているぐらい重要な問題と認識しております。また、私もこれまで町議、町長という立場からこの問題に取り組んでまいりました。県においても、当該問題に対処すべく、さまざまな政策を打たれていることを承知しているところです。

 そこで、各部にわたっている政策の連携を強くするとともに、県民への決意を表するため、並びにこれが最も大事であると思うのですが、職員の責任体制を明確にするため、組織の名称、形にはこだわりませんが、人口減少対策課または対策局、あるいはそれに類するものを設置したほうがより効果が上がるのではないかと考えております。

 類似の質問は平成23年2月議会でもございまして、当時の知事の答弁を見る限りでは若干否定的な答弁であったと理解しておりますが、その方針に変更はないでしょうか、知事に伺います。

○副議長(森 礼子君) 知事仁坂吉伸君。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 人口減少問題は本県にとって大きな課題であるとともに、子育て環境や働く場づくり、まちづくりなど、全てのセクションにまたがる問題と認識しております。和歌山県にとって一番大事な、重要な、あるいは深刻な問題は何ですかといって言われると、やっぱりそれは人口減少問題なんですよといって、それがある意味では全てですというようなことを、これは個人的な会話の中で言うたり、よくしております。

 この認識のもと、全庁一丸となって人口減少対策に取り組んでおりまして、議員御質問の人口問題対策本部とか人口問題対策課とか、そういう設置については、当時と変わりなく、現在も知事をトップとする県当局そのものが人口問題対策本部と考えております。

 したがって、例えば子育て支援や産業振興、道路整備など、全てが人口減少対策につながるものでありまして、特定のセクションで取り組めるような生易しいものではないと思っておりますので、新たに人口減少対策課または局を設置する必要はないし、そのようなことをすれば、かえってうまくいかなくなるのではないかと考えております。

 すなわち、人口減少問題は、ある部署に任せたといったことになってはいかんということであります。毎日毎日の仕事に人口減少問題への対応という目的意識を持って取り組むよう、自分も心がけ、部下も指導しているところであります。

 その中でも、春から次の年の春にかけて行っております新政策プロセスに関しては、具体的な仕掛けについて、全職員が同じ問題意識を持っていろいろ全庁的に議論をして、それで既存事業の見直しや新規事業の展開を図っているところでございます。

○副議長(森 礼子君) 玄素彰人君。

  〔玄素彰人君、登壇〕

○玄素彰人君 ただいま答弁をいただきまして、方針に変わりはないんだということでありました。

 人口問題って難しい、だけど諦めることができない、諦めたらだめだというような終わりのない戦いみたいなもんだというふうに思うんですけども、先ほど知事から、春ぐらいから次の年のことを議論して、多分来月ぐらいには新政策の何か会議なんかをされるんだと思っております。

 関連で、知事、もう一回お伺いをしたいんですけども、例えば知事から直接各部に対して、こういう政策を人口対策でやりたいんだからこれをやってくれんかというような、例えば指示を出したような政策が今年度おありなのかということと、それから、もう既に7月の半ばぐらいに新政策に関するヒアリングをされると思うんですけども、その中で、ことしはこれは人口対策の目玉だよというのがもしあるんならばお示しをいただきたいと思うんですけども、いかがでしょうか。

○副議長(森 礼子君) 知事。

  〔仁坂吉伸君、登壇〕

○知事(仁坂吉伸君) 人口減少問題は、過去50年ぐらいの原因の積み重ねがここへ来て顕在してきたもんでございますんで、簡単には解決できません。

 しかし、今手を打たないで座しておると、この問題がどんどんどんどん後へ響いて、ますます深刻になっていくわけで、問題は少しでも早く解決せんといかん。それは、自然減を減らすように子供の数をふやして、社会減を減らすように雇用につながるものは何でもやるということに尽きるわけであります。

 しかし、尽きると言って総論ばっかり言っててもしようがないので、それの具体的な方策を一々全部考えてやっていくということで、この方向に沿って新しい政策をこの10数年間、どっさりと積み重ねてきておりますけども、さらに足すこと、改めることはないかということを不断に考えなければいけないところであります。

 先ほど来月にもとおっしゃいましたけど、実は和歌山県庁の新政策プロセスは4月に始まります。4月にいろんな議論をして、先に国に要望しておかなきゃいけないことはしておかないと、実は6月ぐらいを逃すと省庁の検討は間に合わないということになるんで、そっちを先にやってもらって、こっちの詰める話はもうちょっと時間をかけてじっくり詰めようと。だけど、目的意識とか大変なこととかいうのは先に一緒にもう考えとこうと、こんなようなことを考えてるわけでございます。

 最近でいうと、この議会でも議論がありますように──まあ一例を挙げろということなんで、例えば人口が減って高齢者がたくさんになって、それでその方々がどうやって移動するかというようなことを、これは人口をふやすほうの対策ではありませんけど、人々の幸せという観点から物すごく大変なことなんで、車の運転にかわる交通システムを、あるいは交通の手段をどうやって確保するかなんていうのはことしの大政策だよなあ、頑張ろうとかなんとかというような話はしとるんですが、その中身についてはまだこれからどんどん詰めてまいりますし、10月ぐらいには途中経過、項目だけ発表して、さらに詰めて、最終的には2月の議会で皆さんにお願いをしていくということになります。

 したがって、余りああだこうだというのをたくさん言うというのはあんまりよろしくないという感じもいたしますので、このぐらいにしておきます。

○副議長(森 礼子君) 玄素彰人君。

  〔玄素彰人君、登壇〕

○玄素彰人君 私、今再質問でお願いしたのは、大きな目玉はないんですかということと、知事から直接これはやってほしいというものがありますかというお話だったと思うんで、今の答弁聞いておりますと、ちょっと余り前向きかなというふうには思えなかったんですけども。

 仮の話をさせてもらって恐縮なんですけども、仮に僕が人口減少対策局長をやれと言われて、僕が職員だったら、多分僕の性格だったら24時間365日、人口を減らさんためには何をしたらええんやろか、各部にお願いをして、何とか何とかならんか、僕こんなこと調べてきたんやけども、こんな政策ってできんのだろうかというような話をするんだと思うんですね。

 今は、企画部長がその担当をされてると思うんですけども、企画部長もその仕事ばっかりしてるわけではない。やっぱりずうっとそのことを考えてられるような人が欲しい。責任はもちろん知事、企画部長がとればいいんですけども、そういったアイデアが出てこんということ自体どうなのかなというような思いがあってこの質問をさせていただいているということを、まず理解していただきたいというふうに思います。

 それから、今、長期総合計画で、終期が2026年だったと思うんですが、そのときの人口の目標が89.4万人になっているんだと思っております。

 だけど、ことしは4月末で92万7000人ぐらいだったと思います。平成30年から31年度にかけて、人口で1万300人ぐらい減ってたと思うんです。2026年まであと7年ありますけども、単純に考えれば92万7000人の現在から7万人、多分この減り方というのはもうちょっとスピードは上がってくるように思いますから、85万人ぐらいになる。

 最重要政策やと知事が言われてるんですから、今、長計で89.4万人て言いやんねけども、今の調子でいったら間違いなく長計の計画というのは破られるためにあるというような感覚を持たれても仕方ない。それは、意識は知事だけじゃなくて自分自身も共有してあるからこそ、そういうお話をさせていただいているんです。

 とにかく、僕それでどうやこうやと、数字がどうやこうやということは言いたないんで言いませんけども、ぜひともその僕の思いというのだけ頭の隅っこに置いといてもうて、今後とも人口減少対策に取り組んでいただけたらと思いますので、よろしくお願いして、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 それでは、大見出しの4点目の基金・県債の扱いについてを質問させていただきます。

 和歌山県の基金は、本年5月末現在で763億円あると理解しております。基金の活用に関しては、個々の目的基金別に運用するのではなく、一括で運用されていると聞いております。

 私は、少しでも余剰財源を生み出すためには、運用期間の長目の設定や預入金額の増額などで預け入れ金利を上げていくなどの試みが必要でないかと考えております。

 現在は金融緩和等により利率の低迷が続いておりますが、長期国債、地方債、政府保証債、地方公共団体金融機構債などの長期債を組み込んだり、年金積立金管理運用独立行政法人──これGPIFと呼ばれてるものでありますが──のように、ラダー型運用を活用したりするなども考えられると思います。

 今のところ、県におきましては、基金の運用に関して長期的な計画はないと聞いております。今後10年から20年先を見据えた長期的視点に立って、効果的かつ計画的な運用を考えることが県民のためにもなると考えます。

 その上で、中見出しの1点目でありますけども、基金の運用状況等について、会計管理者から答弁をお願いいたします。

○副議長(森 礼子君) 会計管理者。

  〔飯島孝志君、登壇〕

○会計管理者(飯島孝志君) 5月末現在、本県では、財政調整基金を初め33の基金が設置されており、その残高は約763億円となっています。

 その運用につきましては、元本の保全を第一とし、基金の取り崩し等の状況を確認の上、その活用できる範囲内で収益を確保することを基本としているところでございます。

 具体的には、複数の基金を一つに集約して運用する一括運用により、県の借入金債務と相殺が可能な範囲で定期預金等へ1年以内の期間で預け入れを実施しております。

○副議長(森 礼子君) 玄素彰人君。

  〔玄素彰人君、登壇〕

○玄素彰人君 御答弁ありがとうございました。

 基金に関しては763億円ありますということは、5月末現在だか4月末現在だかにありました。

 僕らは、多分桁が二つ違うとこから県へ上がってきてあるんで、感覚が麻痺してるのかもわかりませんけども、できれば──今1年以内での運用をされていると、763億円に関しては。これ、もうちょっと何か上手な方法で、長いこと運用するとか金額を上手に分けるとかってしてやれば、ちょっと利率を上げられるような効果的な運用ができて余剰財源を生み出せんかなというのが今回の質問なんですけども、そういうことはできないんでしょうか。再度答弁お願いします。

○副議長(森 礼子君) 会計管理者。

  〔飯島孝志君、登壇〕

○会計管理者(飯島孝志君) 基金の運用につきましては、取り崩しなど基金本来の目的に支障を来さないようにする必要があることに加えて、普通交付税の交付までの間や年度末など支払いが集中する時期において、歳計現金が一時的に不足する際に繰りかえ運用を行っていること、さらに、現在の低金利の状況などを勘案して、1年以内での運用を行っているところでございます。

 今後とも、金利等の動向を注視し、基金所管部局と協議しながら、より有利な運用を検討してまいります。

○副議長(森 礼子君) 玄素彰人君。

  〔玄素彰人君、登壇〕

○玄素彰人君 今の御答弁を聞いておりますと、交付税の交付というのは年に4回あって、多分ことしの予算で1670億ぐらいだったと思うんですけども、400億ぐらい足りんような時期があるんやろなというようなイメージを持ちましたし、一時借り入れをしているというような事情もあるというのもちょろっと聞いております。

 端的に言えば、それを有効に運用するだけの余裕がないんかなというのが率直な感想ですし、今の御答弁を聞いてたら、なるほど僕が理想とするような運用というのは、今ちょっと難しいんかなというふうに思っております。

 ただ、今、和歌山県において100億ぐらいの1年預かりの定期預金で、その利率が0.025ぐらいだったと思います。ただ、ある自治体の話をすれば、数億円ぐらいの預け入れでも0.03で1年定期を預かってもらっているところもあります。多分同じ金融機関だと思いますけども、そういう差はどうして生じるんかといったら、やっぱり金利の交渉をするとかというような努力をしているからかなというふうに思うんです。

 自分のお金でそれだけの、763億円も預かったら、それはこれ何とかせんなんって思うのが人の気持ちなんでしょうけども、これ公金になったらどうしてもその意識というのが下がってしまうんかなと。別にそれを投機的に何かをやれということではないんですけども、そういう気持ちを持ってもらいたいという思いでこの質問をさせていただいてますことを何とぞ御理解をいただきまして、この質問に関しては終わりにしたいと思います。

 引き続き、中見出しの2番目について質問をさせていただきます。

 県債の繰上償還については、平成29年度末で約1兆円ある県債のうち、年利1.5%以上で借り入れされている県債が14.5%あると伺いました。これら高金利の県債を繰上償還すれば、それも余剰財源を生み出す結果につながると考えますが、総務部長から答弁をお願いしたいと思います。

○副議長(森 礼子君) 総務部長田村一郎君。

  〔田村一郎君、登壇〕

○総務部長(田村一郎君) 県債の繰上償還についてでございますが、県債の借り入れについては、大きく分けますと、銀行等からの借り入れ、いわゆる民間資金と、財政融資資金や地方公共団体金融機構からの借り入れ、いわゆる公的資金がございます。

 そして、民間資金の繰上償還につきましては、発行者の都合により投資家に不測の損害を与え、和歌山県債の信頼性を損なうことになるため、できるだけ避けるべきであると考えております。

 なお、民間資金の借り入れについては、原則として10年ごとに金利を見直す契約としており、順次、比較的低利な資金へ借りかえを進め、将来の金利負担の軽減を図っているところでございます。

 公的資金につきましては、県債残高抑制のため、決算剰余金を活用して繰上償還を実施しているところですが、繰上償還に当たっては、将来の金利負担に相当する補償金を支払う契約となっております。

○副議長(森 礼子君) 玄素彰人君。

  〔玄素彰人君、登壇〕

○玄素彰人君 御答弁ありがとうございます。

 今のをざっくり要約すれば、県債というのは民間から借りるやつと公的資金から借りるやつで、民間資金で借りるものについては10年ごとの見直しがあるんやというふうに理解しました。

 私もう一回聞かせてほしいんですが、その民間資金、今県債の中にある民間資金の部分について、それを繰上償還することに対しては、発行者の都合みたいな御答弁を今いただいたと思うんですけども、これテクニカル的にどうかということで答えていただきたいんですけども、県債で民間資金から借りている部分については、繰上償還がテクニカル的にできるのかできないかということについて、再度答弁いただけないでしょうか。

○副議長(森 礼子君) 総務部長。

  〔田村一郎君、登壇〕

○総務部長(田村一郎君) 民間資金の借り入れにつきましては、金融機関等との交渉によって決まるところでございますが、これを繰上償還する場合ですと、考えられますのが違約金を求められるというところがまず考えられることもございますし、また、仮に交渉によってこの違約金を払わないで済むというような形でできたとしても、そうしますと、その後の借り入れのところで今度は厳しいような条件でやられるということも考えられるし、また、そういうことがありますと、そういうことをする団体であるということが、業界の中で話がいろいろなところを回るということもございまして、そういったところを総合的にいろいろ勘案しながら、今後対応を適切に行ってまいりたいというふうに考えてございます。

○副議長(森 礼子君) 玄素彰人君。

  〔玄素彰人君、登壇〕

○玄素彰人君 繰上償還するには多少ハードルもあるんだということを理解しました。ただ、テクニカル的にはできなくないという話も一方でわかりました。

 ここで、そこを何とかやれというようなイメージで今言うべきではないんかもわからんですけども、お金を持ってるところ、和歌山県は、民間企業というか金融機関にとってはええお客さんやと思うんです。やっぱり駆け引きで優位な立場に立てるんかなと思いますから、その辺のところは借りるときの段階とか繰上償還するときの段階とか、できると思う。それが結果として余剰財源を生む、県民のためにもなるというふうに思いますんで、よろしくお願いしたいと思います。

 今、県債って、僕も知らなかったんですけども、1兆円あると聞いてます。普通会計以外の特別会計の中でも210億円ぐらいある。直接県には関係ないとは思いますけども、土地開発公社で477億円ぐらいあると。決して油断らしてられるような財政状況ではないなというふうに私自身は思っております。

 今回、県債で借り入れられてる中においても、3.5%から4%で借りられているというやつもあるというふうに聞いております。とにかく、県債を上手に運用していただいて、県民のためになるように、私から再度お願いをいたしまして、この質問に関しては終わりにさせていただきたいと思います。

 続きまして、大見出しの5番目の高速トンネル内等防災を意識したラジオ環境についてを質問いたします。

 現在、私は、県庁に来る際には和歌山放送のAM、FM放送を聞きながら通勤をしております。印南町から和歌山市までの場合、FMとAMいずれの放送を聞くにしても、三つの周波数帯を通り抜けるため、そのたんびにチャンネルを変更する必要があります。

 具体的には、ワイドFMでは田辺91.6、御坊92.4、和歌山94.2、いずれもメガヘルツであります。AM放送においては1233、続いて1557、1431キロヘルツの三つです。また、高速トンネル内でワイドFMは通じませんので、やむなくAMチャンネルに変えるのですが、これもかなり聞きにくい状況のところもあります。

 和歌山放送のホームページには、平成28年にFM局を開設した際、「大規模災害が発生したときも、県民の生命を守るための情報を放送でお届けするため、和歌山県がFM送信所を整備し、和歌山放送が運用して放送を継続していくことが可能になりました」と掲載されています。

 また、紀南地域に観光に来られる方にとっても、チャンネルをたびたび変えなければならないのは、ホスピタリティー的にもどうかと思います。大規模災害時も想定して、和歌山県内の災害情報がクリアに聞こえるよう何とかしてほしいと思う中で、中見出しの1点目の質問をさせていただきます。

 防災の観点から、またワイドFM局を県の予算にて設置している県の立場から、高速道路会社に対してワイドFMのラジオ再放送設備設置の働きかけを行うなど、高速トンネル内でワイドFMが聞こえない状況の解消に努めていただきたいと考えていますが、高速道路会社のラジオ再放送設備の県内の状況について、県土整備部長に答弁願います。

○副議長(森 礼子君) 県土整備部長髙松 諭君。

  〔髙松 諭君、登壇〕

○県土整備部長(髙松 諭君) 高速道路トンネル内のラジオ環境の状況につきまして御質問いただきました。

 高速道路を含みます道路トンネルにおきましては、国土交通省の道路トンネル非常用施設設置基準に基づきまして、火災等の際の連絡や事故の拡大防止等のため、延長と交通量等によって決まるトンネルの等級区分に応じまして、道路管理者がラジオ再放送設備等を設置するものとされております。

 西日本高速道路株式会社がトンネルを整備した後、再放送設備を設置する際に坑口での受信状況を確認した結果、AMラジオの受信状況がFMラジオと比較して良好であったため、県内20カ所のトンネルのうち、延長が160メートルと短い柳瀬トンネルを除く19のトンネルにおきまして、具体的には昭和59年から平成19年の間にAMラジオ再放送設備の整備を進めてきているところでございます。こういうことで西日本高速道路会社から伺っております。

 なお、御提案のワイドFMラジオ再放送設備につきましては、西日本高速道路株式会社の関西支社管内では、現時点においてはどこにも整備されてないというふうに聞いております。

○副議長(森 礼子君) 玄素彰人君。

  〔玄素彰人君、登壇〕

○玄素彰人君 今、御答弁をお聞きしていると、FMよりもAMのほうが入りやすかったからその環境を整備したというふうに捉まえたんです。

 ただ、質問の冒頭でさせていただいたとおり、FMは、印南からの話で恐縮なんですけども、三つの周波数帯をくぐっていかなあかんのやと。トンネルへ入ったらその都度切れてしまうというような状況は変わりはないということを改めて御認識いただきたいというのと、AMの放送局というのも、その機材の更新時期を迎えているというふうに聞きます。

 今後、何らかのチャンスで、これは県にやってほしいという話じゃなくて、西日本高速道路株式会社につけてもらう、近畿圏内ではないんやということなんですけども、これも先を見通して、和歌山県が1番につけてもうたんやというぐらいのことをしてもらえたらなというふうに思うんですけども、県土整備部長、再度答弁いただきたいと思います。

○副議長(森 礼子君) 県土整備部長。

  〔髙松 諭君、登壇〕

○県土整備部長(髙松 諭君) 高速道路のトンネルにおけるラジオの再放送につきましては、道路利用者が道路管理者からの避難情報を入手する、あるいは広く防災等に関する緊急情報を入手するということから、有効な手段の一つというふうに認識しております。

 このため、今後、AMラジオ放送からワイドFMラジオ放送への転換など情報通信環境の変化ですとか、あるいは受信機器の普及状況、利用状況などを見ながら、ワイドFMラジオ再放送設備の整備につきまして、道路管理者でございます西日本高速道路株式会社に対して伝えていきたいというふうに考えております。

○副議長(森 礼子君) 玄素彰人君。

  〔玄素彰人君、登壇〕

○玄素彰人君 すいません、県土整備部長、ありがとうございました。それで結構でございますんで、どうぞよろしくお願いいたします。

 では続いて、中見出し2の質問をさせていただきます。

 ラジオの聞きづらい箇所については、トンネル内だけではなく、私の地元の印南町の沿岸部や日高川町やみなべ町の山間部、由良町や日高町、美浜町の沿岸部にも多々ございます。

 AM局、FM局とも周波数帯の干渉帯にあるからなのか、それ以外に原因があるからかはわかりませんけども、解決する方法はないのでしょうか。企画部長にこれは答弁をお願いします。

○副議長(森 礼子君) 企画部長田嶋久嗣君。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○企画部長(田嶋久嗣君) ラジオ放送についてでございますが、放送法では、NHKに対し、NHKのラジオ放送が全国あまねく受信できるように義務づけておりますし、和歌山放送など基幹放送を行う放送事業者に対しても、放送対象地域であまねく受信できるように努めるものと規定されております。これらの規定に基づき、基本的には県域での放送は確保されております。

 しかしながら、聞きづらい場所があるという場合には、混信ですとか電波の特性上の問題があるかもしれませんので、和歌山県では、平成25年にラジオ通じるサポートセンターを開設しまして、難聴等に関する県民からの御相談に応じるとともに、必要な場合には各放送事業者等の相談窓口を御紹介しております。

○副議長(森 礼子君) 玄素彰人君。

  〔玄素彰人君、登壇〕

○玄素彰人君 今、答弁いただいたわけで、ラジオが聞きづらかったらラジサポへ連絡してくださいという要旨だったと思います。僕、そういう窓口があることも知らなんだんですけども、そうして、この機会に皆さんに知ってもらえたらというふうに思います。

 ただ、そのラジサポへ、そしたら電話したら全部解決してくれるんかなというふうに今、淡い期待を持ったんですけども、ラジサポへ電話したら、例えばどういった件数の御相談があって、どういうとこまで対応していただけるんか。あんまり物すごく全部やってくれるような感じもしないんですけども、再度、企画部長に答弁願います。

○副議長(森 礼子君) 企画部長。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○企画部長(田嶋久嗣君) サポートセンターに県民から御相談があった場合には、まずは詳細をお聞きしまして、必要な場合には県の職員が現地を訪問するなどして、可能な限り適切な解決方法を御提示しております。

 今まであった御相談の大多数は、実はラジオ端末の性能の問題であったりとか、ラジオを聞く場所の問題であったり、それに起因する問題が大多数で、ほとんどがそれで問題の解決に至っております。

 なお、これらの原因以外と考えられる場合は、放送事業者等の適切な相談窓口を御案内する等の対応を行っているところです。

○副議長(森 礼子君) 玄素彰人君。

  〔玄素彰人君、登壇〕

○玄素彰人君 今の答弁ですと、ラジオ古ないかとか置く場所大丈夫かというような話の相談で、ほとんど解決できるというふうには理解をしました。

 ただ、質問の冒頭でも申し上げたように、やっぱり南のほうへ行くと山間部があったり、あとこのラジオの質問をするというふうにフェイスブックへ載せましたら、「あれは中国と韓国の電波きついさかいあかんねん」とか「いや、四国放送の電波がきついからあかんねん」、「いや、そんなに周波数帯をようけつくるさかいあかんねん」といろいろ言われるわけであります。

 それは一遍に対応できない、特に干渉帯にあるところなんかは難しいというふうに聞くんですけども、そういった個別の問題、先ほど放送事業者には地域にあまねくこの放送、ラジオを届ける責任があるということに対して、それは事業者の責任やと言うてしまえばそうなんですけども、その責任の一端はやっぱり県にもあると思うんですけども、そういったものが多少生じたときに、これはもう県に、企画部長に御相談させてもうたらええんでしょうかということについて、再度答弁をお願いします。

○副議長(森 礼子君) 企画部長。

  〔田嶋久嗣君、登壇〕

○企画部長(田嶋久嗣君) 議員の御質問にありました周波数帯の調整を要する場合ですとか、夜間、外国の電波が聞こえてくるというのは、これは自然現象の部分もあって、なかなか解決するのが難しい。周波数帯の調整は国でやることですし、あと自然現象についてはどう対応するか、放送事業者で考えていただかないといけない問題だとは思うんですけど、ただ、そういった内容についても県のほうでは御相談に応じて、よくお伺いして、なるべくそういうところへ伝えるものであれば伝えていくというふうな形で、御相談は拒否するというようなことはございません。

○副議長(森 礼子君) 玄素彰人君。

  〔玄素彰人君、登壇〕

○玄素彰人君 企画部長、すいません、ぜひともよろしくお願いをいたします。

 そしたら、この項はもうこれで質問を終わります。

 次に、最後でありますけども、6点目、復興計画の事前策定と市町村の応急対応とのリンクについてを質問させていただきます。

 復興計画の事前策定については、手引を作成するなどして都道府県が主体的に進めるものとしては、和歌山県が全国初の取り組みであると聞いております。また、このほど美浜町が県内第1号で計画を策定されたとも新聞報道で知りました。事前に災害を想定し、その予測を立てることは極めて重要で、緻密であればあるほど、災害後の復旧・復興の速度は上がると考えています。

 一方、本計画策定についてはあくまでハードの計画が中心で、かつ南海トラフ巨大地震を想定して、事前に地権者も含め関係者の合意形成を図るものとなっていると聞いてございます。また、最近の市町村の防災担当者会議の中では、本計画策定のハードルを下げるために、まずは市町村によるイメージ案を作成することとしたとか、計画策定期限を延長したとかという話も聞きました。

 本来、地震、津波が襲来した際に、初期段階でとるべきは応急対応で、どこに避難するのか、どこで救急患者を受け入れるかとか、必要な医療機材はそろっているかとか、御遺体はどこに収容して、だびに付す際はどこで行い、そのバックアップ電源をどうするのかなどだと考えます。それらの詳細ができていない中で復興計画を立てるというのは、必要性を感じながらも順番が違うように思います。

 応急対応については各自治体の地域防災計画で定められていると思いますけども、実際のところは、応急に必要な個別計画が詳細にできていないですとか、備品の予算措置ができていないなどで思考停止に陥ってるところも少なくないのではないかと思っております。

 そこで、市町村の応急計画を県がマンパワー的、また財源的にサポートすることを含めて、復興計画の事前策定を立てれば、急がば回れではないですけども、よりしっかりとした、かつ中身の濃い復興計画になると考えますが、危機管理監の見解を求めます。

○副議長(森 礼子君) 危機管理監森田康友君。

  〔森田康友君、登壇〕

○危機管理監(森田康友君) 大規模災害が発生した際、初動期には人命救助活動を最優先に取り組み、並行して復旧活動を迅速に実施することが重要であると認識しております。

 県では、東日本大震災直後から、防災・減災対策の総点検を実施し、167項目に及ぶ防災対策を全庁的に進めてまいりました。その中で、市町村と一緒に応急対応時の計画やマニュアルの策定にも取り組んでまいりました。また、わかやま防災力パワーアップ補助金により、防災拠点施設や避難所に必要な非常用発電機など、市町村が行う資機材の整備等について支援してきたところです。

 一方で、復興計画事前策定については、東日本大震災の被災地の復旧・復興状況を調査したところ、復興に時間がかかり過ぎると住民や企業が疲弊し、地域の活力が失われるおそれがあるため、市町村ができるだけ早く復興に取りかかれるよう災害発生前から計画を考えておくことが重要であることから、その手引を平成29年度に策定したところです。

 さらに、県では、市町村復興計画の事前策定支援本部を設置し、各市町村ごとの担当職員を決め、策定支援を行っているところでございます。

 県といたしましては、災害から県民のとうとい命を守るため、今後も引き続き市町村とともに災害応急対策の充実と復興計画の事前策定の推進に取り組んでまいります。

○副議長(森 礼子君) 玄素彰人君。

  〔玄素彰人君、登壇〕

○玄素彰人君 御答弁ありがとうございます。

 一生懸命やっているんやということはようわかりました。何も私、ここで質問させていただいているのは、事前の復興計画を策定すること自体は、質問の冒頭でも申し上げたように、ええことなんやと思ってるんです。

 ただ一方で、一例を申し上げると、例えば地震来て津波来ました、その後、瓦れきができました、その瓦れきをどう処分しますかというその計画が、30市町村中、今、最近1個ふえて14になったとかというふうに聞きます。これ、できてないんですね。

 あえてセンセーショナルな話題を出すとすると、津波来ました、地震来ました、南海トラフの想定では相当な方がお亡くなりになるという想定もされております。ただ、その方の、じゃあ御遺体の袋は用意できているんですか。例えば、それをだびに付す際に対して、焼却炉の1日のキャパ数は3人ですねと、仮にそうしたとしたら、あと残りの方はどこに安置をすればいいんですか。その炉にもその対応というか、何回か焼却をしたら弱くなってくる。その炉を、電気を最初はつけなければ火がつかないという装置もあります。そのバックアップ電源をどうしているんですかというような質問をしたときに、答えられる市町村があれば逆に私が教えてほしいというふうに思ってるんです。

 割かし県と市町村の関係って、県からいろんな計画をやってくださいねというふうにどんどん言うわけです。これ別に防災に限ったわけではないんですね。ほかでもある。市町村もある程度、県にメンツ立てなあかん、そんたくをして、これはちゃんと上げなあかん、これはそこそこでええな、これはほっといてもよかろというのが現実あるというふうに理解をしてもうても、言い過ぎではないというふうに思っているんです。

 ただ、防災に関しては命にかかわることなんで、そこに関しては少々市町村に──煙たがられるんです、そういうことを言うていくと。煙たがられるけども、やっぱり防災の際の、災害の際の中心になるのは県になってもらいたいということからいうと、よその町ではこういうようなおもしろい取り組みやってるんやで、これだったらうまいこといきませんか、財源ないんですか、こういうところに国じゃないほかの基金があるから、こういったとこ活用したらどうですかというように──何回も言いますけど、市町村に嫌われるんです。嫌われるんですけども、なかなかやっぱり応急対応をするとこまできっちりできてない。

 ええ復興計画を立てたとしても、それが1年で復興を終わりますという計画だったとしても、応急計画がばたばたばたばたして3年、4年になってしもたら、結局、じゃあ何年かかったんですかという話になってしまいかねないというふうに思うことを私は危惧してるんです。

 別に再答弁は求めませんけども、ぜひともそういう感覚があるんやと。具体的にどういうことよということであれば、私も危機管理監のしもべで働かせてもらっても結構なんですけども、ぜひともお声がけをいただけたらと思います。

 少しでも防災力の向上のために役に立てればと思って質問させてもらったこの心意気を何とぞ御理解をいただきまして、この項目に対しての質問を終わります。

 以上で私の予定しておりました六つの質問、全て終了いたしました。御協力、感謝申し上げます。ありがとうございました。(拍手)

○副議長(森 礼子君) 以上で、玄素彰人君の質問が終了いたしました。

 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。

 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。

 本日は、これをもって散会いたします。

  午後3時6分散会

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